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August 2026

Sunday, August 16, 2026

災害と戦争

熊本地震*1で爆発事故を起こした嘉島町のイオンモール熊本の続報です*2。郊外型SCでは災害に強いからという理由であえてLPガスを使用するとか。補充可能で都市ガスのように長期間停止となる心配がないということですが、家庭用と違って大型タンクに貯蔵して館内配管で供給されるので、配管の損傷はあり得ます。故に揺れを検知して弁で遮断する保安装置やガス漏れ警報器なども備えられているはずですが、想定を超える揺れの場合作動しないこともあり得るし、ガス漏れ警報器も比重の大きいLPガスの場合は低い位置に設置しないと検知できないなどの問題があり、その辺はとりあえず刑事責任を問わない前提での調査に委ねるしかありません。SNSでは館内に戻ったことを叩くとか、それを命じたテナント企業や許可したイオンの対応への批判もありますが、まずは原因を特定し、問題があればそれを見直して今後に生かすことが重要で、法的な責任追及はその後の話です。イキって見せても何の解決にもなりません。

そして関東では台風15号の上陸と千葉県の豪雨に見舞われました。東から西へ向かい関東直撃という台風は過去にあまり例はなく、また台風通過後もすっきりしない天気が続きましたが、結果的に台風本体よりものちの豪雨被害のほうが大きくなりました。これ特殊な気圧配置の影響だそうで*3、東南アジアの季節風と台風が影響しあってモンスーンジャイアという巨大な渦が太平洋上に出現し、大量の水蒸気を含んだ風をまき散らした結果、台風15号を生み、また湿った暖かい風を関東へ運んだわけです。動きの遅かった台風13号がもたらしたらしいのですが、関東に吹き寄せた熱く湿った風は地形の影響で上昇して上空の-6℃の寒気に触れて積乱雲を連続的に発生させて線状降水帯ととなって大量の雨を降らせたものです。千葉県に被害が多いのは、北総台地や房総半島中央の台地に中小河川が渓谷を刻む地形ゆえに、渓谷に沿って上昇気流となる訳で、24時間で300mmと8月の平年値の3倍を超える豪雨となった訳です。同様に埼玉県南部の入間や飯能、東京都でも武蔵野台地を刻む善福寺川、野川、仙川流域の警報が出されたことも指摘できます。

加えて都市排水の処理能力を超えた内水氾濫でマンホールが飛んだりアンダーパスが水没したりして被害を拡大しました。道路は寸断され鉄道もほぼすべて運休という状況になり、成田空港では足止め客600人とか。そんな中で千葉都市モノレールは正常運行を維持しました。湘南モノレールと同じサフェージュ式懸垂モノレールですが、雨や雪に強い特性が生かされました。そういえば湘南モノレールでも台風で町屋付近の土砂崩れで下道の京急バスが1か月運休したときも正常運行でカバーしました。これ京急バスの大船地区からの撤退の遠因なのかも。5月の京急バス撤退後、江ノ電バスが肩代わりしたものの、昼間2時間間隔という運行頻度はそのままで、船5諏訪ヶ谷循環は鎌倉山止まりとなり、カバーしていた西鎌倉地区から大船駅へ直接行けなくなりました。

こうした自然災害は元々多かった日本ですが、逆にそれ故に太平洋戦争も災害感覚だった為に国の加害責任を強く問われなかったということなのかもしれません。後のノーベル賞受賞日本人学者にとっての太平洋戦争がそれを示唆します*4。学究肌の湯川秀樹はすぐには役に立たない素粒子理論を極めつつ、役に立つ成果を出せないことに葛藤していたとか。アメリカも疑った秘かな核兵器開発は無かったわけですが、当時の時世の一般国民と変わらない意識だったことが見て取れます。学者だから政治的転向は意識しなかったと思いますが、多くの日本人がシレっと転向したことが三島由紀夫を皇道派のような反動に駆り立て、吉本隆明をして大衆の無責任を語る戦後世相に大学者といえども例外ではなかったということですね。今は国立大学の独法化や科研費の削減や重点化などで政府がコントロールしようとしている状況は危ういと言えます。日本学術会議の独法化も要注意です。

ってことでかなり遠回りしましたが、実は災害も安全保障の一部ですし、発生確率で言えば戦争よりも遥かに高い訳で、国民の生命と財産を守るという視点からは、自衛隊は災害出動こそ本分と言って良いですし、災害救助に期待される理由は、戦争の勝敗を分ける兵站、つまりロジスティックス能力故ということです。前線へ兵器や食料などの物資及び兵員を効率よく送り込む能力が、被災地への支援に使えるということですね。そのための現地の情報収集であり具体的な支援策でありということであり、首相の現地入りや防衛相の悪目立ちは無意味どころは被災地の足を引っ張るものですらあるということです。てことはさ、防衛費増額を防衛所予算と紐づけるんじゃなくて例えば設置法が成立した防災庁に予算を持たせて防衛費にカウントするとか、欧州でもスペインやイタリアで堂々とやっていることをすれば国民の理解も得られるし、少なくとも米国製の高価なミサイル買うよりは道理にかないます。アメリカから文句言われたら「軍民デュアルユースです」とシレっと言い放てば良いですし^_^;。H3のみちびき打ち上げ成功も防衛費に入れちゃえばよいです。

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Sunday, August 09, 2026

非対称な日米協調介入

前エントリー*1冒頭で取り上げた為替の日米協調介入について報道が出そろいました。時系列に沿って振り返ります。日本時間の7月31日早朝に第一報です*2。ドル円164円を窺うタイミングでの日銀の円買い介入ですが、ほぼ同時にNY連銀によるレートチェックが行われたこともあり、相場は大きく動いて157円台を付けました。相場はすぐに158円台から159円を窺う水準に戻りましたが、米財務省の異例の円買い介入の予告もあり*3、その後も日銀は波状介入する一方、米NY連銀はユーロ売り円買いで呼応しました*4。日銀の介入資金もFIMAレポ・ファシリティーズという外国政府等への国債担保のドル融資という枠組みを用い、NY連銀もドルを売らずユーロを売って円を買うという異例の動きです*5。

国際決済通貨ドルの信認を守るために、ドル資金の調達に行き詰まった外国政府等を救済する枠組みのFIMAレポですが、金融危機等の非常時に備えた枠組みで、1998年のアジア津優香機器時に東南アジア諸国の救済などで発動されましたが、今回はそれに匹敵する危機感がアメリは側にはあったってことです。円安なのに高市政権の積極財政姿勢は変わらず、日本が大量保有する米国債の売却を止めたかったってことですね。その結果日本はドル建て借金で為替市場にポジションをとるというリスキーなことをしでかしました。しかも波状介入で総額11.7兆円相当の介入です。介入資金はいずれ返済する訳ですが,その時にはドルを買い戻すことになる訳で、タイミングによっては為替差損が発生します。

一方のアメリカはドルではなくユーロを売って円買いした訳で、保有外国通貨の振り替えにすぎませんし、規模も1兆円程度と少なく、協調介入と言いながら非対称です。加えてECB理事の一部からは「聞いてないよー」のクレームも。それでもそれに乗らざるを得なかった日本がアメリカにせがんで実現したものではあります。そしてタイミングを合わせたように食品消費税減税の閣議決定です*6。年間5兆円の財源が必要な一方、効果は国民1人当たり年間3.6万円の減税と限定的ですし、インフレで実質便乗値上げは確実ですから、国民負担の軽減にはほとんどなりません。しかも財源に外為特会活用とか、本当に何もわかってないです。

今回の円買い介入で得た11.7兆円の円資金は外為特会の元入金調達で発行された政府短期証券の返済資金になります。利子や為替差益による剰余金は一定の会計処理後に一般財源に繰り入れられますが、とても年間5兆円レベルに達しないどころかFIMAレポのドル債務の利払いや為替リスクで減額の可能性すらあります。つまり財源にはならない訳です*7。てことでアメリカからも日本の財政悪化にクレームつけられてます*8。アメリカの財政を滅茶苦茶にしているトランプに言われるのは大概ですが、今回の協調介入が決して日本を助けた訳じゃないってことです。それなのに日本の危機感の無さは本当に心配です。

それでも円安是正が必要ということは理解しているようですが、繰り返しますが30年にわたる日本の交易条件の悪化が円安の構造的原因であって、それに対する対策は何もない以上、これからも過度な円安をアメリカに泣きついて助けてもらうしかないってことですね。そして円安はいろいろな弊害をもたらしてますが、一番の問題は外需依存の大手企業にとっては円安は最終利益のかさ上げになることから危機感が乏しいことでしょうか。そのために例えばEVで後れを取っている現実があります*9。

似たような話は鉄道でもありまして、例えば台湾高速哲翁の増備車で2回にわたる入札不調です*10。新幹線輸出のほぼ唯一の成功例と言える台湾高速鉄道で旺盛な需要で増備車投入が決まり、JR東海700S系ベースの700ST系で入札したものの予定価格を上回るということで2回の入札不調が続き、結果的には円安に救われたという事例です。台湾高速鉄道は開業までにいろいろありまして*11、欧州連合が受注して線路や信号システムは欧州方式で作られた一方、地震の多い台湾側の意向で日本の新幹線方式に変更された結果、車両はJR東海700系ベースの台湾向け車両ながら、信号その他のシステムのすり合わせに手間取って、JR東海が技術者を引き上げるといった顛末もありましたが、在来線直通を考えなくてよいことから何とか開業にこぎつけました。しかしこの経験はその後に生かされませんでした。

仏TGVや独ICEなど最初から高速新線と在来線を直通させるシステムとしたのは、元々在来線も4ft8in・1/2(1,435㎜)の国際標準機だったということもありますが、日本の新幹線が在来線と異なる規格故にネットワーク形成がうまくいっていないことを反面教師とした結果です。日本が誇る有責事故ゼロも、独自規格の箱庭鉄道(GardenRail)故と容赦ない評価で、特に外国への売り込みではコスト面で有利ということをセールスポイントにしています。逆に日本の新幹線方式は高コスト故に各国の商談で連敗続き。特に中国の高速鉄道技術のキャッチアップもあってさらに不利になっている現実があります。石破政権で売り込みに成功したといわれるインド高速鉄道も、欧州勢の巻き返しで信号システムも欧州式とすることで、E10系の売込みに暗雲が漂っています。日本のメディアはあまり報じませんが。

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Sunday, August 02, 2026

東京以外全部副首都

HONEBUTOの骨粗しょう症*1を見てられないとばかりにアメリカが手を差し伸べました*2。詳しい検証は当局の発表を待ちますが、米財務省が30日にレートチェックし、31日には円買いユーロ売りの為替介入を実施し、事実上の協調介入となりました。しかしこれ日本を助けたというよりも円の信認低下に巻き込まれて米国債が売られることをブロックしたもので、ユーロ売りで穴埋めしたのは、もはや単独で日本の財政破綻を受け止めきれないのか、ドル覇権維持になりふり構ってられないってことでしょう。

てことで本題ですが、世界的には地価上昇による住居費の高騰を受け、首都圏地域からの人口流出が世界のトレンドになりつつあります*3。コロナ禍を契機としたリモートワークの拡大も理由の1つですが、行き過ぎた人口集積がむしろ渋滞その他の経済損失を生むことから、郊外への人口移転や都市機能の分化による連邦的自律分散など、国によって異なる形ですが、例えばやはり一極集中が言われるフランスでも、パリ近郊を含むイル・ド・フランス地域で人口の域外移転が見られる一方、日本と韓国の首都圏地域では相変わらず転入超過が続いていて一極集中が止まりません。

要因はいろいろあるようですが、一つは大企業の集中で待遇面の優位があることが考えられます。実際にアンケートで「給与が高くなる」という回答が多かったようです。それでも住居費の上昇はそれをスポイルすることになりますが、それでも首都圏転入が止まらない理由の1つが首都圏と地方のジェンダーギャップも指摘されます。地方は女性の就労機会が限られるばかりか家事分担も進まず女性の流出が多いということになります。これは少子化の要因にもなります。同時に地方の最低賃金上昇で首都圏と地方の待遇差をなくす取り組みも必要ということです。こうした点を踏まえると、維新が強引にねじ込んで成立させた副首都法案は問題解決に寄与しない可能性が高いと言えます。

副首都法案自体は首都圏が大規模災害で機能を失った時に備えてレジリエンスを意図したものということで、バックアップ機能を持たせるとしていて、公共投資や民間の本社移転への税優遇や交通網の整備などが言われてます。実際熊本で10年ぶりの大地震が起きて、もしも首都圏だったら?という議論はあり得ますが、やや飛躍した議論です。というのは、首都圏の地価上昇の原因でもある再開発で、首都圏の建物は概して新しい耐震基準に準拠したものが多いという点は指摘しておきます。寧ろ水道の耐震化など地方ほど進んでいないということもあって、能登半島でもそうでしたけど、熊本でも同様の問題が起きています。

今回の地震は10年前の震源地の南西で、同じ日奈久断層の割れ残りということです。10年前の地震で割れなかった部分に逆にエネルギーが蓄積して今回割れたということです。断層が動くということのメカニズムは複雑で予見可能性はほぼありません。ということで、備えが重要なのに地方ほどそれができていない現実がある訳で、副首都とか言う前に、地方のインフラの見直しこそ重要です。実際市町村役場などの公共施設は建て替えや耐震強化が徐々に進んではいますが、問題は民間の建物で、これは首都圏でも同じですが、強度不足でも耐震強化や建て替えに至らない建物が旧市街地に残るケースが見られます。一方でイオンモールなどの郊外型モールは築年が新しいだけに耐震強度は高かったりします。故に防災拠点として自治体と協定を結んだりしていて、広い駐車場にとりあえず避難できるし、状況によっては商品を支援物資として振り替えることなども可能で、爆発事故を起こした嘉島町のイオンモール熊本は防災協定が締結されていただけに、ショックな事故です*4。爆発事故の原因はわかっていませんが、相応の強度を持った建物の床が抜けるほどの爆発事故が保安装置付き配管からのガス漏れ程度で起きるというのも考えにくいところ。まるで福島第一原発の建屋内のようなドローン映像は謎です*5。また客とスタッフの計4,500人を30分で避難させたイオンの対応はお見事です。爆発事故が想定外だったということです。

今回の被害状況のまとめです*6。日本製紙八代工場の煙突折損は長周期振動が疑われてます。東日本大進さんでも東京の高層ビル群で大きな長周期の揺れが続いたということがありましたが、軟弱地盤などで地震動を受けて共鳴した振動が起きるらしいです。豆腐を振ると遅れて大きく震えるような感じでしょうか。建物は壊れなくても中の人や物は大きく揺さぶられるわけで、高層ビルによる野放図な再開発は見直したほうが良いかもしれません。そして被災地域には多くの工場が立地しており、サプライチェーンの攪乱が問題になります*7。TSMC熊本工場は新しいだけに建物の損傷は見られない一方、精密加工故に機械設備のチューニングがボトルネックになりそうです。自動車関連は九州以外の三菱自動車水島工場の稼働停止など影響大。また八代港と九州道の被災で物流に支障が出ています*8。特に九州道では断層前後の橋脚がズレて桁に段差が生じており、復旧は時間がかかりそうです*9。鉄道は新幹線も在来線も熊本以南の復旧の見通しが立たず、八代駅構内ではJR貨物の停車中の貨物列車が横転したままだったりして、高速道のう回路としても使えない状況です。

それでも地方や民間は助け合って乗り切ろうとしてますが、政府の動きが鈍いのが気になります。例えば自衛隊輸送機でクーラー300台を送り込んだものの、電源が取れないから使えないとか、あるいは犠牲者の数が県の発表と食い違ってたりとか*10、むしろ混乱させてます。体育館の空調とか避難所のプライバシー問題とかは、毎回繰り返されてますが、法律を定めて予算取って確実に執行するのが政府の役割で、それができてないのに目先のやったふりは選挙目当てのステマかい?副首都だって首都機能移転の国会決議に基づいて1992年に国会等移転法が可決成立しているのに、徳島の消費者庁や京都の文化庁ぐらいしか動かない。というかそもそも省庁の官僚は事務屋なんだし地方局もあるし、メールやリモートの活用で非常時の職務継続は可能なはずです。最大のネックは国会だと思いますが、国会議事堂が使えない状況での暫定議事堂を指定する手順を決めるとかやりようはある訳です。一番の問題は官僚による政治家へのレクチャーの都合で国会に近いところにいないと仕事にならないってことか?政治家がまともならこうはならないでしょう。

しかし一方で今回の副首都砲では札幌、福岡、名古屋が名乗りを上げ、大阪と争う姿勢ですが、それに留まらず広島県と群馬県まで表明してます*11。かくして東京以外全部副首都wwwwww^_^;。

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