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Sunday, April 18, 2021

台湾海峡は波高しか?

本題に入る前にJR来宮駅での電動車いすを巡るネット炎上問題を取り上げます。事実関係の詳細を把握していないので、あくまでも一般論ですが、車いす生活者に限らず障碍者は健常者に対して少数であることがあまり意識されていない感じですね。多数派である健常者が自らの意思で自由に移動ができる一方、介助者を必要とする障碍者の移動はそれだけ制約が多い訳ですが、バリアフリーが叫ばれ、障碍者でも可能な限りの移動の自由を実現することは重要です。

しかし現実は健常者目線での対策ばかりで、当事者である障碍者にとっては使い勝手が悪いケースは散見されます。それに対して注文を付けることは当然ある訳で、それを受け止める社会の側が注文を拒否することは、意識するとしないとに拘わらず差別に当たるってことは指摘しておきます。

大事なのはあくまでも個人の自由意志の実現なんで、勿論実現のハードルが高い現実はありますが、それを話し合って社会的合意を導き出す必要はあります。参議院に重度障碍者2人を送り込んだれいわ新鮮組のお陰で国会議事堂の改装が実現したように、声を挙げなければ無視される現実があることに対しては意識を持つべきです。れいわの主張には同意できないことが多いですが、この点だけは認めます。

で、本題ですが、既に中国デカップリングのエントリーでも指摘しましたが、日米の首脳が詰めで話し合った結果、52年ぶりに日米共同声明で台湾が言及されたことは、予想されたこととはいえ大きな出来事です。

日米声明「台湾海峡」明記 初の会談、中国の威圧に反対:日本経済新聞
アメリカは日本に対して軍事的にどこまで出来るかを確認した筈です。北朝鮮核開発に対して軍事行動を考え日本に協力を求めたクリントン大統領に当時の細川首相が当時の憲法解釈に則って「出来ません」と答えたけど、政府はそれを伏せてい日米
通商協議の問題にすり替えて半導体協議の決裂を発表して取り繕いました。コロナ禍の中でわざわざの膝詰め会談ですから、当然今回も同様の話が出た筈ですが,管首相はどう答えたかは今後の推移から類推するしかありません。

アメリカは元々日本の安倍政権が提案したインド太平洋クワッドとして日米豪印4か国の連携を進め、おそらく北大西洋条約機構(NATO)のような集団安保体制の構築を狙っていると思われますが、これは安倍政権が解釈変更した集団的自衛権の行使より踏み込んだ話になりますし、国内世論の拒否感が強いので、即答できる問題ではないと思いますが、いずれ何らかのアクションが出てくるでしょう。

ただ心配なのは中国の国内世論の行方でして、香港やウイグルの問題を含めて習近平政権は中国の国内世論の支持を得ているという頭の痛い問題があります。この点は国民に銃口を向けるミャンマー国軍とは大違いってことです。これ喩えれば戦前の軍部の暴走を招いた日本の高揚したナショナリズムによる世論の沸騰に近い訳で、ABCDラインによる経済制裁の締め付けに寧ろ国民は怒り、主戦論を唱える皇道派が慎重な国際派を抑えて勢いを得た結果を招いた訳です。

注意が必要なのは中国が核保有国であり、しかも旧ソビエト時代からの核軍縮交渉が継続するロシアとは違って核軍縮の交渉の枠組みも存在しない中で、米中の軍事的対峙は核戦争の脅威を増すことにあります。そうなれば人類滅亡の扉を開くことになりますから、それだけは回避する必要があります。中国政府は日本の軍部よりは理性的でしょうから、いきなりそうなるという訳ではありませんが、国内世論の動向次第ではどうなるかわかりません。その意味で一方的な締め付けには慎重になる必要があります。

更にアメリカは台湾の国家承認による1つの中国政策からの離脱まで考えている可能性があります。その場合日本や欧州は共同行動を求められますが、当然中国は断交で対抗することになり、現実的に可能かといえば微妙です。特に欧州の足並みが揃わない可能性があります。中国は経済的に困窮する中東欧やギリシャなどへ接近しており、アメリカの意に反して共同行動をとらない可能性があります。

ただし実現可能ならば中国が主張する第一列島線以西の領有権は根拠を失う訳で、中国の海洋進出を抑制することが可能になります。戦前日本の国際連盟委任統治領だった南シナ海の島嶼群は、日本政府が台湾に属する行政区分としていたものが、サンフランシスコ講和条約と同時に発効した日華平和条約で台湾の領有権を放棄した一方、中国の国連加盟で中華民国が地位を失い、南シナ海が空白地帯になったことで、ベトナムやフィリピンなどの沿岸国が一部の島を占拠して既成事実づくりに動いた後で、日本統治時代の行政区分を盾に中国が海洋進出の足掛かりにしようとしたことで拗れた訳で、元を質せば戦後処理のバグのようなものです。

仮にそこまで考えたアメリカの戦略があるとしても、経済的に深く繋がった現在のサプライチェーンを前提にする限り、米中の軍事賞衝突は経済を大混乱させるだけになりかねません。故に経済的なデカップリングをアメリカは日本を含む同盟国に求めるでしょう。加えて自国の基幹産業の立て直しをその中で図ることになりますから、軍事面に限らずコスト負担を求めてくるでしょう。どこまで付き合うかは難しい判断になります。アフガン撤退は戦力の集中の為とすればアメリカの本気を伺わせますが。

実際はもっと手前でコロナ禍への対応で中国に後れを取っている現実がある訳ですが、ワクチン接種が進むアメリカに対しても後れを取る日本政府の無能ぶりは際立ちます。前エントリーで指摘したように自粛による人々の行動変容以外に対策を打たないでコロナを克服できる訳ないんで。実際まん延防止等重点措置がまん延しつつあります^_^;。今年も自粛で我慢のGW確実ですね。これがどれだけ経済を痛めているか。コロナか経済かという二択じゃないんです。

ワクチン接種も医療従事者への接種が終わらないうちに一般高齢者への接種が始まりましたが、これつまりワクチン接種を受けていない医師による一般人へのワクチン接種というクラスター発生原因になりかねない愚策で、限られたワクチンをどう配分するかの戦略不在です。こういった広義のロジスティックスがデタラメじゃ、中国との軍事的対峙なんて現実的に無理です。そしてこんなデタラメも。

多重委託、無責任の連鎖 COCOA不具合の重い教訓:日本経済新聞
デタラメトランスフォーメーションの深い闇が可視化されました。これ発注者の厚生労働省の問題であると同時に受注側の問題も浮き彫りにしました。巷間IT土方とも謂われる土建業界も真っ青な多重下請け体制で公金がピンハネされ責任は曖昧ということですね。コスト意識が希薄で言い値で受注できるからこういうことが起きる訳で、構図は公共事業と同じです。

減耗する固定資本エントリーで指摘したように、公共事業不要論ではなく、公共投資を積み重ねて見かけ上のGDPをかさ上げしても、資本の維持費である固定資本減耗の増加で財政が圧迫され経済厚生を低下させることが問題なんです。まして生産年齢人口の減少で現役世代の負担が高まる訳ですから、公共インフラを増やし過ぎないことは大事です。加えて生産年齢人口減少は労働力減少を意味しますから、事業の遅れによる負担増も見る必要があります。ただでさえ乗数効果の見込めないコスパの悪い事業を無理に進めることは経済の足を引っ張ります。

その意味で整備新幹線やリニアにも慎重であるべきで、実際北陸新幹線の工事の遅れや静岡県との対立と関係のないリニアの工事遅れもあります。あと宇都宮ライトレールも用地買収と工事の遅れから開業が1年延期で23年3月となり、事業費も1.5倍に膨らんでます。北海道新幹線も工事が足踏みしており、開業延期もありそうです。それでも公共事業を求める声が大きいのは、それで潤っているノイジーマイノリティがいるからということですね。

こうした土建国家体質が実はDXをも阻害している訳です。DX関連ではマイナンバーカードの普及が進まないのは、こうしたいい加減な政府の姿勢が国民に見透かされているからです。しかもマイクロソフトのインターネットエクスプローラーのプラグイン機能を利用して様々な紐付けを試みている訳ですが、IEのプラグイン機能の脆弱性が明らかにされてマイクロソフトがエッジという新ブラウザに切り替えを推奨しているのに、古いテクノロジーで開発されたマイナンバーカードの安全性に疑問符が付くことには無頓着では、なるほど国民の信頼は得られない訳です。一事が万事の日本政府はどこへ向かうのでしょうか?

あと中国武漢のハードなロックダウンはハイテクを駆使して強制的に個人の行動変容を求めた結果の封じ込めであったことも忘れてはいけません。冒頭の個人のセルフコントロールによる自由意志の実現が大事なんで、行政の効率化のためのマイナンバーカードでは見向きもされないということを理解すべきです。

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Sunday, February 07, 2021

イット革命でデタラメトランスフォーメーションな神の国

五輪大会組織委員会の森会長が大炎上中です。

五輪組織委・森会長「発言撤回しおわび」 辞任は否定:日本経済新聞
小渕首相の急死を受けて密室の謀議で首相に就任した森喜朗氏は当時から「しんきろう内閣」と揶揄されてましたし、とかく失言が多く、「神の国」とか「(選挙前に)無党派層は寝ててくれば」とか枚挙に暇がないですが、コロナ禍で五輪開催自体が流動的な中で、かなり致命的なダメージとなりました。一般的には話が長いのは高い地位にある高齢男性ですが、女性の発言が多いってことは、それだけ女性が感じる不自由が多いことの反映な訳ですが、それを疎ましく思うってのは、人の話を聞く気が無いってことです。

故に思わぬ逆風にとりあえず謝罪しておこうという会見で辞任を否定して逆切れしてますます炎上とドツボに嵌っております。首相時代に失言であれだけ叩かれた経験が活かされていない訳で、口で言う「反省」が出来ていない訳です。故に組織委女性理事に対する「わきまえている」発言で更に火に油。組織委会長という公職にある公人ということをわきまえていないのはあんただよ。

森氏の失言数あれど、私が真っ先に思い出すのは「イット革命」発言ですね。これIT革命に関する経産省のペーパーを見て「君、このイット革命とは何だね?」という発言が外部へ洩れて週刊誌に抜かれたものですが、不勉強ぶりに眩暈がします。元々こういう人なんで、公人になっちゃいけない人なんですね。こんな人を担ぎやすさだけでトップに据える日本の組織文化がもたらした炎上劇ってことです。

ただ森氏だけを笑えない現実がありまして、例えばコロナ感染濃厚接触を知らせるアプリCOCOAの不具合ですが、OSの更新にアプリの修正が追い付かなかったとか。

「COCOA」不具合 スマホOS更新、アプリ修正後手に:日本経済新聞
これスマホアプリに関する認識が出来ていなかったことが原因らしいってことです。これスマホアプリが典型ですが、使いながら不具合を修正するアジャイル式のシステム開発を厚労省が理解sていなかったってことです。

ソフト開発の手法で、ウォーターフォール式とアジャイル式の2つの方式に分かれます。前者は主に基幹業務システムで採用されているもので、システム全体の業務フローを上流から下流へと一貫して開発するもので、計画、要求分析、設計、実装(コーディング)、テスト、文書化の工程で段階的に進みますが、アジャイル式は反復(イデレーション)と呼ばれる短い単位期間でこれを繰り返し、修正を重ねることで対応するものです。

基幹業務システムでも要求分析の段階で発注者としての関与が大事なんですが、この部分をソフト会社に丸投げすることが日本の官庁や企業では多く、結果、システムのメンテナンスやバージョンアップも丸投げとなって、それ故に日本のITベンダーは言い値で請け負っておいしい思いをしてきた部分はあります。しかしその結果ユーザーである官庁や企業にシステムの全体像を理解する人がいないという異常な事態となり、今あるシステムを後生大事に修正しながら使い続けて却って非効率になっているという一面があります。

スマホアプリは典型的なアジャイル式のシステム開発であり、使いながら不具合を修正する訳ですから、よりユーザーの関与が大事なんですが、ウォーターフォール式のノリで発注してあと放ったらかしすれば、OSのアップデートで生じる不具合が放置されたとしても不思議ではありません。これぞイット革命wwwwww。DXはデタラメトランスf-メーションの略だったのか?^_^;

冗談はさておき、コロナ禍で露呈した日本のDXのお寒い状況はホントにヤバいですね。マスク、マスク、マスクで指摘したマイナンバーカードを巡る混乱は記憶に新しいところですが、特別給付金の交付を自治体事務に定義した一方、マイナンバーカードは住民基本台帳と紐付けされておらず、そのことを理解しない政治家の不規則発言で混乱した訳です。こうして見るとイット革命の呪縛^_^;は続いているような。ワクチン接種でも混乱は覚悟しておいた方がよさそうです。流石神の国-_-;。

国鉄からマルスシステムを継承するJR各社はまだユーザーリテラシーを持っているとは言えますが、コロナ禍で売上減少が続く中、JR東日本などで時間帯別運賃の導入などでの対応が注目されます。Suicaによる非混雑時間帯の利用客へのポイント還元や週2-3回程度の利用を想定した新タイプの定期券などが考えられているようですが、バスや航空鵜で見られる大胆なダイナミックプライシングへ進むのは難しいと考えられます。

ということで、3月改正は国鉄末期を彷彿させる減量ダイヤ改正ですが、違いは私鉄も含む鉄道全般ということですかね。ただ影響は各社各様で、整備新幹線のリース料がのしかかるJR東日本や観光やホテル事業の比重が高い近鉄、東武、西武などが特に厳しいようです。そんな中でJR東日本がこう動きました。

JR東日本、「羽田空港アクセス線(仮称)」で鉄道事業許可を取得:日本経済新聞
今期4,500億円の赤字を見込む中で、3,000億円の投資を実行するということです。29年開業予定ですから、いくら何でもコロナ禍は終息しているでしょうけど、鉄道事業への投資は続けるということですね。吉と出るか凶と出るかはわかりませんが。

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Sunday, August 09, 2020

帰らざる社畜

お盆に家に帰るのはご先祖様と社畜で、家から居なくなるのがアニオタと鉄ちゃんと書いた社畜人ヤプーから4年。コロナ禍で様変わりしました。バーチャルなご先祖様はコロナ禍に無縁ですが、感染拡大の心配から帰省を自粛する社畜たちは、せめてネット動画で孫の姿を両親に見せるリモート帰省がせいぜいです。お盆に限りませんが、両親の介助と妊婦の安心感から選択される帰省出産もままならず、少子化は促進されるでしょう。もはや日本では消費をリードする中間層の再生産が成り立たなくなりつつあります。

コミケの中止はやむを得ないとしても、コロナ禍が無くてもオリパラで東京ビッグサイトが使えないから、アニオタは巣篭りしてネット動画チェックで本来のオタク道に回帰するから家から居なくならないけど、鉄ちゃんは相変わらず全国に散っています。帰省ラッシュ消滅でラッキーですらあります。臨時快速ムーンライトは走らないけど。

てことでご先祖様と鉄ちゃんは変わらないってことで、共に尊い?(笑) 社畜とアニオタは共に巣篭りだけど前者は強制後者は自発と中身は大違いで、ニューノーマル(新常態)での社畜人ヤプーの幸福はいずこ?

所定外給与24.6%減 6月、過去2番目の下げ幅:日本経済新聞
これ正規雇用者の残業の減少とボーナスの削減が原因ですが、非正規雇用者の雇い止めやアルバイト・パートの時間短縮を反映しておりませんから、消費へのマイナスインパクトはより大きい訳です。そんな中でのGo To トラベル強行はそもそも消費喚起効果が限られます。正規雇用者の残業減少も、不況による調整の意味に留まらず在宅ワークによる残業代ゴマカシも含まれますし、通信費や水道光熱費の負担増による消費のマイナスも考慮する必要があります。

結局旅行業界のロビーイングの成果なんでしょう。JTB、HIS、KNT、日旅の旅行業大手4社の5月の取扱高前年比が軒並み1-3%という惨憺たる状況です。これ前年比ですからね。しかも旅行業者は旅客と運輸、宿泊その他の事業者との仲介で手数料率は10%程度ですから、もはや社員の給料の支払いさえ覚束ない逆風です。

旅行業界では所謂団体扱いってのがありまして、国鉄→JRをはじめ運輸、宿泊、その他施設でも団体利用の割引料金が存在します。実際に日本人の旅行形態は戦後長らく団体旅行が主流でしたし、個人旅行のニーズ自体は60年代後半にやっと顕在化するといったレベルでした。しかも個人旅行の発生手配は手間ばかりで僅かなマージンしか得られないから旅行会社には歓迎されないものです。

ただ旅行業法で旅行会社は主催旅行を催行できることから、団体扱いで運輸や宿泊を割引料金で仕入れて、それを組み合わせて個人向けに販売するパック旅行という旅行商品を企画販売できます。しかも大手ほどバイイングパワーを駆使して相対取引で値下げを要求できますから、仕入れを安くして利益を乗せて個人向けには個別手配と同等若しくはやや割安程度でもワンストップで申し込めて旅客側の手間が省けますし、加えて一部の史跡や施設で団体のみの見学客受け入れというところを組み込めれば、付加価値としてアピールできます。

勘の良い人はお気づきでしょうけど、ツアーバスの仕組みがこれなんですね。旅行会社が団体旅行のオフシーズンに当たる盆暮れに貸切バスを割引価格で仕入れて、主催旅行として個人客を募集し運行する形です。しかも旅行業法で最少催行人数以下の場合は催行中止が出来ますからノーリスクな訳で、乗合免許で旅客の有無に関わらず運行する義務を負う高速乗合バス事業者から不公正と是正を求められ、関越道の事故で注目を集めました。

本題に戻しますが、加えて旅行会社は旅客から前払いで代金を収受し、乗車券や航空券など大手キャリア向けの仕入れに一部使いますが、宿泊などは事後精算となりますから、国の支援を梃子にパックツアーが売れるなら、資金繰りの助けにはなります。Go To トラベルの場合、個人で支援条件を見極めて個別手配するのは手間がかかりますが、条件を踏まえた旅行商品を組むのは旅行会社にとってはお手のものですから、結局旅行会社のパックツアー利用に誘導されます。ワンストップが活かせるわけです。

その一方で宿泊を提供する旅館やホテルは感染防止策が求められ、館内消毒や従業員の手指消毒に留まらず、大部屋での食事提供やバイキングとはいかず、個室配膳となると手間が増えますしで、追加費用も発生します。いくら国が支援するとはいえ、儲けにつながるかは微妙で、実際Go To 便乗値上げのような動きも見られます。

てことで旅行会社にはメリットがあるかもしれませんが、そもそも消費の前提となる雇用者報酬が縮んでいるんだから効果は知れてますし、運輸や宿泊に留まらず裾野が広いから経済効果が大きいとのたまう経済学者がいますが、現場を知らないにも程があります。

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Monday, December 30, 2019

フリュグスカム

2019年を表すキーワードはやっぱ飛び恥でしょう。世界的には英語のフライトシェイム(flight shame)ですが、ムーブメントの起点となったスウェーデン語のフリュグスカム(Flygskam)で記します。実際この言葉がSNSを通じて世界に拡散しており、知っておいて損はありません。

たった1人のストライキで注目を集めたグレタ・トゥンベリさんの飛行機移動批判が始まりらしいんですが、ちょっと疑問に思ってます。というのもスウェーデン国民の環境意識の高さという背景が見えにくくなるからです。実際複数の著名人が言及し、グレタさんを含む共同署名記事で飛行機ボイコットを呼び掛け、Flygskemと名付けたのが始まりですが、元々機運があったからこその署名記事であり、また実際広く受け入れられ、1-3月のスウェーデン国内の航空利用が15%減った一方、鉄道利用は12%増となり、スカンジナビア航空(SAS)の幹部が不快感を表明するほどになっています。

影響はスウェーデン国内に留まらず、また観光旅行に留まらずビジネス利用でも広がっていて、飛行機ならば日帰り可能なフランクフルトなどへの出張でも24時間かけて鉄道移動が選択されるという状況にまでなっています。勿論欧州では国際夜行列車が未だに健在で選択肢が存在していたゆえに可能なことであり、サンライズを除いて定期夜行列車が淘汰された日本ではこうはいきませんが。

またKLMオランダ航空ではアムステルダム―ブリュッセル便1便をTGVタリスと提携して列車に振り替えており、更に振替を進めるとしており、エールフランスも同様に一部便をタリス振替している状況です。これから始まるBrexitで触れた列車による航空便コードシェアは既に実現している訳です。

欧州の国際夜行列車というと、オリエントエクスプレスのような豪華寝台列車を連想しますが、昨今は2等扱いのクシェット(簡易寝台)や座席車も併結し、座席車は貧乏旅行のバッグパッカー御用達で、日本の夜行高速バスのような役割も担っています。歴史過程の違いもあるので一概には言えませんが、日本ではブルートレインの相次ぐ廃止があり、まさかの北斗星とカシオペアまで廃止された訳ですが、開放寝台主体だった日本では個室化と共に料金も高くなり、また定員減で鉄道の強みである大量輸送の機能もスポイルしている訳で、客単価アップを狙った戦略ミスの可能性は指摘できます。

日本では4時間の壁が言われ、鉄道対航空の構図で語られることが多いですが、正直なところ航空各社はさほど意識しておらず、鉄道側の自意識過剰じゃないかと見ております。実際東海道新幹線が大量輸送の威力を示す東京―大阪間でも毎日片道60便以上の航空便が定期運航されてます。正規運賃は割高ですが、web予約を通じたダイナミックプライシングで搭乗率を高めて高収益をあげてます。寧ろ国内線へのビジネスクラス導入や快適な空港ラウンジ整備などで差別化しており、固定客を掴んでいます。

こういう現実を見ると、JR東海の中央リニアエクスプレスは対航空の切り札にならないでしょう。そもそも名古屋開業時点では航空側に影響ないですし、大阪まで開業しても、総額9,1兆円超の事業費の償還をしながら、現行新幹線の3倍の電力消費を負担する訳ですから、航空側から見ればわざわざコスト負担を増やしている訳ですから、価格競争を仕掛けられる心配がなくなる訳で、差別化に磨きをかけることで対応すると見られます。

これ北陸新幹線開業まで航空の独壇場だった東京対北陸の航空輸送でも見られますが、ANAの富山便こそ1便減便されましたが、福井からもアクセスのあるJALの小松便は機材の小型化で便数は維持しています。寧ろ機材の小型化は燃費の向上と搭乗率の改善もあって、売り上げは減ったけど収益性は高まっており、元々航空利用が定着していたこともあり、固定客を繋ぎ止めています。あと新幹線のない山陰は航空のドル箱で、運賃も高めに設定されています。ライバルのサンライズ出雲の輸送力と料金水準によるある種殿様商売です。

そういう意味では航空各社にとっては整備新幹線やリニアよりも、飛び恥が怖い筈。ムーブメントが日本に波及すれば、バスのドライバー不足問題もありますし、インバウンド需要によるホテル不足で宿泊料金高騰もあり、夜行列車復権の目もあり得ます。寧ろ新幹線に留まらず、効率性を追求するあまり、サービスの選択肢を狭めている感も否めず、そうなるとコスト優先で儲からないサービスはどんどん切られて鉄道の魅力を削いでいる可能性もあります。飛び恥を波及させるためには、相応の魅力ある選択肢を鉄道が示せるかどうかにかかっています。

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Saturday, July 20, 2019

オウンゴールの国自BANG!―――黄金の国の誤変換

日韓関係が拗れまくってます。徴用工裁判問題と半導体材料の輸出審査見直し問題が同時並行で進んでいて、日本政府の公式見解も別らしいですが、寒みー場外乱闘で指摘した通り、世耕経産相が徴用工裁判問題に言及してます。故に世界のメディアは徴用工裁判問題の報復として「日本もトランプ流」と報じました。実はそれがまずいことなんですね。

昨日も河野外相が駐日韓国大使を呼んで「無礼者」呼ばわりしましたが、徴用工裁判はあくまでも民事の紛争ですから、そもそも政府同士の約束である条約で無効にはできませんし、あくまでも訴えた国の裁判所がその国の法律に基づいて判断するものです。例えばトヨタの米現地法人の役員がセクハラで訴えられた裁判では、米国法で被告の経済力に応じた懲罰的賠償金が認められていますから、億単位の賠償命令を受けてますが、「それは不当だから撤回しろ」と日本政府が言えばおかしいですよね。そのおかしなことを日本政府は韓国政府に要求している訳です。日本政府は国際紛争処理機関への提訴を準備中らしいですが、相手国の韓国が無視すれば事態は動きません。

対して輸出手続きの見直し問題を日本政府の関係者は判で押したように「制裁ではない」と言ってますが、これ韓国がWTOに提訴すれば日本の意向に関わらず紛争解決パネルで判断が下されます。その際に世界のメディアが「日本もトランプ流」と報じて制裁扱いしていることが、日本の心象を悪くするってことで、徴用工裁判との関連を否定し、あくまでも手続きの見直しだと異口同音に発言している訳です。とはいえ世耕経産相の発言は記録として残ってますから、否定しようが何しようが事実は消えません。

加えて日本政府の言い分に様々な矛盾が見られる点も気になります。複数の政府高官が言う「不適切な事案があった」なら、韓国当局にその情報を伝えて摘発を促すならわかりますが、事件化できるほどの証拠はなく、単に疑わしいってだけなら物は言いようで後付けの理屈にも見えます。「安全保障上の問題」と言うならWTOではなく国連安保理に諮るべきじゃないのか?ってこともあります。少なくとも日韓で揉めて一番喜んでるのは間違いなく北朝鮮の金正恩氏でしょう。

問題の純度が高いとされる日本製フッ化水素ですが、既にサムスンなど韓国企業は代替品を探しており中国やロシアが調達先に浮上しているようですが、同等の純度のものが手に入るかどうかは微妙なようです。エッチング剤ですから、微小な回路を刻むのに純度は大事で、結果として半導体製造の歩留まりが改善して高品質と低コストが両立する訳です。純度が下がればそこがどうなるかは分からない訳で、確かに韓国企業は困るでしょう。だけど困るのはそれだけじゃないんですよね。

韓国の半導体メーカーが日本製化学製品で実現した高品質と低コストを何故日本企業が実現できなかったかというと、ムーアの法則に鍵があります。インテルの創業者の1人のゴードン・ムーア氏が提唱したICチップの搭載トランジスタ数が凡そ2年で2倍になるという経験則です。つまり技術革新が指数関数的に進むってことですが、これが意味するのは技術の陳腐化が早くて絶えざる技術革新の連続でしか競争力を維持できないってことでして、言い出しっぺのインテルはそれを根拠に日本製の高品質低コストの汎用メモリのDRAMへの台頭で撤退し、プロセッサに特化してIBM、マイクロソフトと組んで所謂ウィンテル連合でPC市場を席巻し、且つ研究開発を強化して市場をリードしてきた訳です。所謂選択と集中ですね。

その過程で汎用品しか作れない日本の半導体メーカーは価格のたたき合いで多くが自滅します。加えてバブル期の強気の設備投資が設備過剰となり、その後の技術革新に合わせたタイムリーな設備投資を阻害します。かくして台湾や韓国の半導体メーカーが入れ替わるように台頭し現在に至る訳ですが、日本製半導体の高品質低コストを支えた日本製化成品が支えになった訳で、逆に言えばこの入れ替わりがあったから、日本の化成品メーカーは顧客を失わずに済んだ訳です。早い話日本の半導体メーカーの戦略不在の結果ですね。

結果的には日韓企業の強みの組み合わせで世界に高品質で低コストの半導体が供給され、多くの危機に実装されて革新的な成否が多数市場に送り出されてきた訳ですが、その構造に余分なストレスを与えることに何の意味があるのか、日本政府は答えていません。何しろ徴用工裁判問題に対する制裁じゃないそうですから、韓国に何を求めているのかがわかりません。結果誰得だよってことですね。

喜んでるのは専ら日本国内のウヨ的な人たちばかりで、問題の着地点も見えません。ま、そもそも制裁じゃないし、だから交渉するつもりはないし、場合によっては品目を増やすことも有り得るそうですから、韓国国内では経済への影響を心配する声はあるものの打つ手はないし、日本と妥協的な保守派も含めて文在寅政権支持の世論が形成されてます。長期的には日本依存のリスクが意識され、調達先の多様化や国産化、あるいは韓国企業の製造拠点の海外移転などで、寧ろ日本の方が損失を被ることになりかねません。こうなるとメンヘラ自傷行為にしかなりませんね。バカなのか?

この辺の構図ですが、かつて指摘したICカードのソニーの失敗にも通じます。元々秘密保持を必要とする工場や事業所のセキュリティ対策として、センサーにタッチしてゲート開放や開錠する社員証やゲストカードとして開発されたFeliCaシステムに注目して交通系ICカード兼電子マネーに応用したのが香港の八達通'OctopusCard)で、その利便性と高機能を知ってソニー開発を要請したのがJR東日本のSuicaです。

そして開発過程でソニーが独自に開発したEdyのSuicaへの搭載をJR東日本は提案しますが、ソニーは断ってしまいます。JR東日本の狙いは決済システムは1つで良いし、センサー設置などを短期間で普及させるための機能統合としう戦略判断だったんですが、ソニーはそれを理解できず、Edyを独自に育てる選択をします。しかし所謂おサイフ携帯販売のために通信キャリアのNTTドコモに売り渡してしまいます。そのNTTドコモも持て余して楽天に転売してしまいます。かくして普及できないまま交通系カードにに電子マネー機能が追加され、nanacoなど流通系カードの参入もあってEdyは忘れられた存在になります。かくしてただでさえ高コストなFelicaシステムの各種カードが乱立してしまい、7payの蹉跌を生むことになる訳ですから、根深い問題です。

その7payの蹉跌も日本政府の消費税増税に伴うキャッシュバックなんてアホなことするから起きたことだし、そもそもバーコード決済も所謂二次元バーコード(QRコード)を開発して無償公開したのはデンソーですが、それを利用して決済システムを構築したのは中国のアリババや微博(Weibo)ってFeliCaと構図が似てます。そして電子決済を一気に普及させようとして混乱を招いている日本政府って-_-;。かくして黄金の国は誤変換の果てにオウンゴールの国になる?

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Sunday, July 14, 2019

間違いだらけの消費税

3度目の正直な消費税で予想した通り、今年10月の消費税増税は動きませんでした。野党は増税撤回を掲げて争う姿勢ですが、大勢は与党有利と言われています。選挙が終われば「国民の信任を得た」として消費税増税は確実に実施されるでしょう。上記のエントリーでも指摘しましたが、消費税を巡る議論が生煮えで、単純に消費税増税、是か非か、といった議論は今更感があります。寧ろ準備が粛々と進んでいます。そんなこのニュース。

鉄道運賃、消費増税で2%上げ 山手線初乗り136円に  :日本経済新聞
国交省の指針で値上げ幅を消費税増税分の範囲内に納めることを求めており、JR東日本で平均1.852%で、他社もほぼ同水準とされております。一応便乗値上げはありませんが、民営化後30年以上、消費税転嫁分の転嫁を除く運賃値上げは実施されておりませんので、低インフレもありそれなりに超過利潤は増えていると見られますが、その見直しまでは無いってことですね。

加えて鉄道運賃は事業者をまたぐ連絡運輸もあり、IC乗車券のようなストアードフェアシステムが普及していることもあり、バックオフィスのシステム改修にはかなりのコストがかかると思われますから、合理化による増益分は多分大した足しにはならないのでしょう。その一方でJRのライナー列車や複数私鉄の有料着席サービスなど付加サービスのの料金は届出制で自由度がありますから、今後も拡大するんじゃないかと思います。逆に存亡の危機にあるJR北海道は収支改善のための値上げを消費税増税部込みで申請済みで、カツカツの厳しい状況は続きます。

他方運賃制度の自由度が高い航空やバスに関しては、予約時期や路線や便毎に柔軟な運賃設定が可能なので、こうして見ると鉄道運賃にも一定の柔軟性が認められても良い気がします。例えばJR北海道のケースでは札幌都市圏とそれ以外で別運賃にするとかですね。あるいはJRは都市間列車に特化して特急料金込みとし、ローカル輸送はイギリスのフランチャイズ制に倣って地元自治体やバス事業者の参入を促し運賃を別建てにするとかでしょうか。

消費税本体の話からややそれましたが、消費税転嫁の値上げは価格カルテルから除外するという独禁法の例外になっていることを述べたかったんですが、鉄道運賃のように元々が規制価格でネットワークの外部性が強く働く分野はともかく、それ以外の商品一般に関して、この例外扱いが妥当なんだろうか?ってことです。

だから鉄道のような規制業種に限らず一斉値上げになりやすく、駆け込み需要が発生しますし、規制業種以外では便乗値上げも見られますし、食品などで見られる内容量を減らしたステルス値上げも常態化している訳ですね。逆に言えば消費税増税に伴う価格の段差を無くすには、一斉値上げを防ぐシステムを考えれば良い訳で、プレミアム商品券やキャッシュレス決済でポイントバックみたいなことは、寧ろ混乱を助長することになります。

付加価値税率15%以上とされるEUではどうかと言えば、一斉値上げはほとんど見られず、事業者は税率アップを見越して事前値上げしたり、値上げを見送って先送りしたり、コスト削減で吸収したりと、様々な対応を取って税率改定前後の期間平均で収支を調整しています。ある意味価格据え置きはシェア拡大のチャンスでもある訳で、より戦略的な価格政策が定着している訳です。

またインボイスの導入によって税率が変わる前の仕入れ分の低税率は控除額も少ない訳で、中間事業者の節税策が無力化される効果もある訳で、増税による駆け込み需要対策ならインボイス導入こそやるべきことですし、中小零細事業者の対応のためのシステム補助なら1回こっきりのシンプルな補助制度になり、ポイント還元のような大掛かりな仕組みも不要です。しかも2022年をメドにインボイス導入の方針もある訳ですから、それを前倒しするならともかく、今回増税の影響を軽減するという名目で大規模なバラマキをすれば、これが悪しき前例となって今後機動的な税率改定が難しくなるという副作用もあります。全くいいとこ無しです。

前エントリーで取り上げた7pay不正アクセス問題も、コンビニなど大手チェーンの加盟店は2%還元となる一方、地方スーパーを中心に資本金を5,000万円以下に減資して5%還元の対象事業者になってシステム投資の補助金まで取ろうとする動きが目立っており、7-11は対抗上3%分を本部負担で加盟店支援をしようとした訳ですが、セキュリティの強固なFelicaベースのnanacoの高コストがネックで、一方オムニセブンから派生した7iDのシステムが宙に浮いていて、それを利用したセブンアプリというポイントシステムに衣替えして、更にそれを土台に決済システムを構築した結果、元の7iDのガバガバなセキュリティが災いしたということのようですね。ベンダーの尻叩いて安上がりに済まそうとした結果でもありますが、同日にスタートしたファミpayでは問題が起きたという報告はありませんから、手抜きが高くついたってことですね。お粗末。

そもそも消費税は高齢化に伴う社会保障費の膨張に対して、安定した財源であり、社会全体で広く薄く負担するってのが本来の意義だった筈ですが、その一方で年金も健保も保険料が値上げされている訳で、保険料の値上げは現役世代に負担が集中するので、負担と給付の見直しの中で合理的な選択だった筈ですが、実際は97年の3%→5%の増税と同時に保険料も値上げされ、年金の100年安心プランでも年金保険料の値上げとマクロ経済スライドによる実質給付の圧縮が図られ、健保も後期高齢者保健創設による国保、協会健保、組合健保などとも財政調整の結果保険料は毎年値上がりしている訳で、本来は消費税増税の代わりに保険料は固定するといった議論があってしかるべきですが、全くありません。

この辺の不誠実さが日本政治の現状です。その意味では税と社会保障の一体改革を打ち出して3党合意を纏めた野田政権はまだしも誠実だったとは言えます。その後解散総選挙で民意を問うて政権を失い戦犯扱いされてますが、とりあえず議論の俎上に載せたことは間違いありません。ただしここにもゴマカシがありまして、一つは地方消費税が5%時代はその内1%で税収額比20%だったものが、8%中1.7%で税収額比21.5%となりました。10%時には2.2%で税収額比22%になり、軽減税率8%に対しても1.76%(税収額比22%)と地方への配分が増えてます。

勿論社会保障負担が増えるのは地方も同じでよりシビアなので、これはこれで良しとすることは可能ですが、残る国税収入でも社会保障費に直接充当されるのは2割相当で残りは財政再建と政府消費による政府負担分の消費税負担増で消えるという笑えない話なんです。結局年金100年安心プランで約束しながら財源が見つからずに先送りされていた給付の国の負担割合を1/3→1/2の財源に充当されて終わりで、社会保障改革とは程遠い内容です。特に財政再建は過去の公共事業や減税などの財政出動の結果の財政悪化なんですから、素直に歳出削減と赤字国債圧縮を行うべきで、消費税で賄おうというのは筋悪です。

更に自公政権で導入が決まった軽減税率が問題でして、運用の混乱もさることながら、インボイス導入までは区分経理による帳簿管理とされており、錯誤や不正の温床になりますし、事務負担も増えます。インボイスが導入されれば複数税率への対応は容易ですが、それに留まらず、非課税とされる医療や一部の公共サービスを0%税率として申告に基づいて還付することも可能になりますから、制度としてはかなりスッキリします。また税率の変更も容易にになるのは上述の通りです。これを制度インフラとして適正な税率を国民目線で決めていくことが重要です。財政再建のためという増税議論なら国民の判断で止められる訳です。

あと消費税に合わせた所得税や法人税の見直しも必要です。制度の整合性を図るなら両税も付加価値型にすればスッキリします。所得税ならば1人当たりの給付付き税額控除額を決めて本人と扶養家族の人数分を税額控除し、税額が下回る場合は差額を給付することにすれば、仮に所得ゼロでも控除税額分の給付が受けられますから、社会保障費の圧縮が可能になります。法人税は人件費を含む付加価値を課税対象として、人件費に含まれる個人所得税と社会保険料を控除するという仕組みが考えられます。課税ベースが拡大しますから、税率は下げられます。低法人税率国との底辺への競争となる現在の法人減税の議論は必然的に財源を誤魔化すことになり、結果的に消費税収が充当されてましたってことも防げます。

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Saturday, July 06, 2019

G20サミット後の寒みー場外乱闘

寒みータイトルで恐縮ですが^_^;、サミットネタ連発です。サミット自体は成果が乏しいですが、サミット後の場外乱闘が興味深い。特にトランプ氏の行動は見事です。とはいえ「ツイッターで会談を呼びかけたら金正恩氏が応じた」という表向きのシナリオは信じない方が良い。事前に親書をやり取りし、米韓も事前に首脳会談やってるわけですし、陰のシナリオライターがいると見るべきでしょう。

誰が何のため?よりもこうして和平交渉が継続することに意味があるというのは度々指摘してますが、和平プロセスそのものの継続が意味がある訳で、今回に関しては、トランプ氏は自身の再選に向けて時刻有権者にアピールできましたし、金氏も制裁解除が滞って国内に不満がたまると寝首を掻かれかねないから、双方にメリットのあるバーターです。北朝鮮に関しては食糧危機が言われますが、裏で外貨稼いでいることもまた確実です。7PaYの不正アクセス被害の一部も恐らく流れている悪寒。セキュリティの重要性を理解できていない謝罪会見で露呈したように、アホな企業幹部が健在な限り、北調整にかもられると。

米中の通商摩擦も、結局制裁関税第4弾の発動は回避されました。撤回した訳じゃありませんから、今後もアメリカは制裁をちらつかせながらの交渉となるでしょうけど、第4弾を発動すると、アップルやクァルコムなど米企業にブーメランが返ってくるから、実際は脅しにしか使えないってことです。5G通信に関しては中国が押さえている特許も多数あり、完全排除すればアメリカも困る訳です。

そして中国ですが、事前に心配していた香港デモに関する他国の言及は殆どなく、通商問題でも一定の成果が得られてホクホクです。首脳会議ではほぼ習近平氏の「自由貿易を守れ」の発言で独演会状態だったようですが、香港デモで牽制する発煙をした国の首脳は居なかったのか、それともホスト国の意向なのか?何しろホスト国は国連人権理事会の問題児ですし、天安門事件もスルーした国ですし。早速中国はデモ隊に強硬策で応じました。天安門どころか19世紀のパリコミューンの血の1週間になりかねません。

で、ホスト国の日本はと言えば、日韓関係を拗らせてます。

韓国への輸出規制を強化、政府発表 韓国は対抗措置も  :日本経済新聞
世耕経産相はアレコレ理由を述べてますが、徴用工問題に言及したことで台無しです。これ社畜の国の移民政策のエントリーの冒頭でも述べましたが、元々李明博政権時代から続く訴訟で、控訴審での否決を受けた上告審で政府同士の債務免除の規定は民間同士の債務を無効にしないという判断を示して差し戻されたもので、新日鉄住金の敗訴は確実だった訳で、通常は和解して手打ちするところを、突っぱねて確定判決を引き出したという完全なオウンゴールです。

明らかに貿易手続きを政治圧力に利用sた構図ですね。参院選に向けて国内向けにアピールするつもりでしょうけど、墓穴を掘りました。確かに韓国企業は困るでしょうけど、手続きの簡素化措置の停止ですから、手続きで停滞するだけですから、一時的に韓国企業の在庫が薄くなり、程度によっては韓国企業の生産活動が一時的に停滞することはあり得ますが、これをきっかけに日本以外の調達先にシフトする動きも当然出てきますから、韓国へ輸出する日本企業にとっては顧客を失う訳ですね。トランプ氏さえ踏み留まったブーメランを日本が投げちゃったと。ひたすら愚かです。

香港に関してはG20が無事終わったために災難な状況ですが、せめて注目していきましょう。中国政府をけん制するには国際世論の圧力が欠かせません。香港はソニーのFelicaシステムによるオクトパスカードをいち早く実用化し、Suicaなど日本の交通系ICカードやEDY、nanaco、waon、IDやQuickpayなどの決済カードのお手本になったことも忘れてはいけませんね。

そもそもnanacoでキャッシュレス決済を実現している7&iが何故バーコード決済を導入したのか疑問ですが、恐らく消費税増税に絡めてキャッシュレス決済を拡大したい政府のポイント還元策で、大手FC店が対象から外されたことで、対抗上独自ポイント付与のために、コストが嵩むFelica決済よりも低コストなバーコード決済の導入で対応しようとしたってことじゃないかと思いますが、そうだとすると愚かな政府が一番問題です。この論点は別の機会で深めたいと思います。

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Thursday, September 16, 2004

壊れ行くフォーラム

少し中断してしまいました。

≫第三者で見るって面白いですね。特に壊れる様を見るっているのは。

 通信環境が整わずwebフォーラムに移行しなかったシンパ会員が「入りたい」思いでイベントに参加しようとしたら、慇懃無礼に断っちゃう感性って、既に壊れているとしか思えないですね^_^;。
 あることないこと書くつもりはありませんけど、ハンドル宣言を前提としたハンドル解禁でシンパ会員に宣言を徹底できなかったばかりに、以後トラブル続きだったり、一度画像の貼りこみを禁止しながら自身で破ってみたり、それでいて一般会員がやると「ゴルァ!」と怒ってみせたりとハチャメチャです。ナベツネもかくやといったところでしょうか^。^。
 ということは、そのうちに不祥事の責任とって退任するつもりかしらん(笑)。

 

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Saturday, September 11, 2004

言論とジサクジエーン^_^;

SATOさん、コメントありがとうございます。
 何となくすれ違いポイントが見えてきました。端的に言えばタイトルのようなことになるんでしょう。「少数意見の尊重」が相手に伝わらない自己陶酔ならば、何も変わりません。彼らの言い分は、要約すれば「我を信じよ」ということにほかなりません。彼らはいかに多くの言葉を労して語っても、相手に伝わらず、間違いを指摘されても、キレる、トボケる、強弁するの三拍子揃います-_-;。ま、この手の人は「相手にしない」のが一番なんですが、相手にせざるを得ない場合は困ったことになります。
 つーことで、自由な言論活動は大事なんですが、自分の価値観を相手に押し付けることしかできない人が、言論活動自体を台無しにする、だからその口実になる自由な言論活動は制限されるべき、ということにはならないと思うんですが。手垢に染まったフォーラムは相手にせず、せっせとブログに記事をアップいたしませう^_^;。

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Tuesday, September 07, 2004

RE:反論:NPOはやはり自主か飼い犬

フォーラムのコメントリンク風タイトルにしてみました^_^;。

≫あはは。おかしいですね。まずこの前提が全くできていない。でも残念ですがこの流れは国民がしてしまっているわけです。責任は私かもしれないし、どこぞのゴンベイさんかもしれませんね。

 何故なんでしょうか。実際の法律のほとんどは、政府が作って国会審議を経て採決され成立するわけですが、役人は自分たちに都合のいい法律を作るし、議員は利権の分け前を得ればそれでよしですし、そもそも選挙制度自体が公正であるかどうかも定かではないです。それでいてこうなったのは「選んだ国民が悪い」とはうまくできてます-_-;。
 これは典型的な権力の腐敗でして、権力の座にある者が自己保身で身の回りを固めても、次の選挙で政権の座を追われれば、同じツールが自分を攻撃するものに変わってしまう、だからおかしなことはできないということで抑止力が働くんですね。これが本来の民主政治です。かのヒトラーも「民主的な」選挙で選ばれているんで、政権交代がない議会制民主主義は、実態として独裁政治と変わらない、どころか「わが国は民主国家」としゃあしゃあと言われてしまう分、悪質でさえあります。
 問題なのは一部野党の態度でして、彼らの言う「少数意見の尊重」はまったくおかしい。本来の意味は今は少数意見であるような意見でも、説得的な多数派工作の結果多数派となり得るように自由な減路活動を保証するという意味なんですが、自分たちが少数意見に留まっている、すなわち国民のニーズをつかみ損ねている現実を置いといて「少数意見だから尊重すべき」というのは、かなりバカバカしい話です。こういう野党がいてくれると、現政権に文句はあるけど政権交代までは望まない層が安心して投票してくれる、つまり彼ら少数野党は保守派の造反のガス抜き的な受け皿程度の存在意義しかないということです。そしてそれは確実に政権交代を阻害します。
 私はNPOの現実を知らないところで話しておりますが、この手の少数野党に匹敵するバカバカしい主張をするNPOというのは、確かにありそうで怖い^_^;。この手合いは実は無自覚に仲間内の足を引っ張っている困った存在にはなりそうですね。

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