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Saturday, November 29, 2025

AIの酸化に降参か左様なら

鹿の敵討ち*1の高市失言を立憲の野田代表がうまくフォローしました。発言撤回は求めず従来の政府方針を語らせることで国内向けには事態を収拾し、同時に質問者として批判されていた岡田代議士の名誉回復を図るという大人の対応を見せました。残念ながら高市首相はそれでも「質問されたから答えた」と岡田代議士批判の世論に乗っかって自己弁護で救いようなし。これからも失言しまくりで誰かがフォローする流れでしょう。その前にトランプ習近平電話会談があり、その後トランプ高市会談で釘を刺されたから本人も失敗は自覚しているとは思いますが*2。

18.3兆円の補正予算を閣議決定して国会へ上程されますが*3、こちらは簡単ではないでしょう。特に本来本予算で対応すべき防衛費増額を補正予算で行うのは臨時的対応を旨とする補正予算の趣旨にも反します。というよりも防衛費に限らず本予算では金額を明示しない事項請求をしておいて、補正予算に潜り込ませたということならば財政民主主義に反する暴挙です。中国の戦狼外交は団体客のキャンセルに留まらず日本のタレントの中国公演の軒並み中止など実害が出ていますが、中国の強硬姿勢を逆手に取って正当化する高市ショックドクトリン*4を警戒すべきでしょう。これナチス台頭時のドイツワイマール共和国時代の大砲かバターか論争の相似形で、敵を作って国民生活を圧迫することに他なりません。

既に市場は財政悪化を織り込んで長期金利が上昇する一方、短期金利は低いままで長短金利差が拡大しています。今後長期債の発行は困難になり短期債で回すことになりますが、そうすると国債の新規発行以外に既発債の借り換えが頻繁になり、インフレによる金利上昇でジワジワと財政を圧迫することになります。そしてその前に所謂債券自警団の投げ売りが始まると一気に国債大暴落となります。株価以外全部沈没*5で指摘したように株価はインフレを反映して上昇しているもののあくまでも円建ての話であり、円安と債券安は進んでいる現実があります*5。高市ショックも近いかも。株に関してはアメリカのAI相場の後追い*6で、AIブームに沸く米テック企業にも選別の目が向けられています。

2年前に勤労感謝にAIは勝つ?*7で分析しましたが、AIによる生産性向上効果は主に高スキル労働者の経験値に裏付けられた暗黙知をAIに学習させることで低スキル労働者の生産性が改善することが主なもので、謂わば教育効果による労働力の底上げなんですが、これは同時に高スキル労働者にとってはライバルの増加を意味しますから労働市場での優位性を失い賃金が下がることを意味します。加えて低スキル労働者にとってもスキルアップの機会とモチベーションを失わせますから、一定水準以上のスキルアップが止まり生産性向上効果は一巡します。つまり結果的にはAIなしには使えない労働力の劣化を意味する訳です*8。

逆にAIの開発者はそれを利用して労働者を都合の良いツールに誘導する誘因を持ち、創造性のない苦役で労働力を消費される訳ですから、次世代のイノベーションを阻害し経済自体の持続可能性を危うくします。そしてベーシックインカムの美名のもとでばら撒かれる給付を受動的に消費するデジタルペット状態になるとすれば、そんな未来はディストピアでしょう。そしてその片鱗は見えています。例えばアイドルの推し活はある種の依存症的なものがありますし、実在に人が相手ならまだしも生成AIが唯一の話し相手といったことにもなりかねず、実際AI依存症が原因と見られる若者の自殺は報告されています*9。

てことで気になるのがJR東日本がPayPayなどに対抗してモバイルSuicaにteppayというQRコード決済機能を持たせ、且つチャージ上限を現行の2万円から30万円に引き上げて個人間の送金にも使えるようにし、またVIEWカードとの紐付けで後払い決済にも対応すると発表しました*10。従来のFELICAベースのIC乗車券と電子マネーは残りますが、利便性に差をつけてモバイルSuicaへ誘導しようということですね。FELICAチップという特定ハードに依存した結果半導体不足で新規発行を止めた苦い経験もあるでしょうけど、同時に事実上記名カードとなることで個人データを取得しようということでもあります。

乗車券予約、宿泊、ショッピング、決済といった一連をカバーするスーパーアプリ化が狙いでしょうけど、同時にタッチアンドゴーという簡便さで高齢者などライトユーザーにも浸透したSuicaの良さは、アプリ操作で煩雑になり決済絡みでセキュリティも強化されるとすると、ユーザーインターフェースは複雑化が避けられませんし、ポイントやクーポンで利用を誘導することで一種の依存症的なことも起こり得ます。故に私は乗り換えるつもりはありませんが、ユーザーは気をつけて使わないといけません。これが進化なのか?

Suicaリニューアルに関係あるかどうかはわかりませんが、Suicaペンギンの卒業も発表されてます。普通に考えたらイメージの継続性を損なうリスクのあるキャラクターの変更は冒険だと思いますが、原著作者が個人であり個人保有の著作人格権は没後の相続以外に譲渡ができないことからの決定のようです。彦根市キャラクターのひこにゃんを巡る事件を参考に意思決定されたようで、企業として揉め事の芽を摘むということのようです*11。現時点で原著作者と揉めている訳ではないようですが、Suicaリニューアルとタイミングを合わせての決定というところでしょう。AIの時代にも個人の創造力は強固です。

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Saturday, November 08, 2025

AIのフーガ

米株式市場を追いかけて縋りつくような日本株式ですが、今週興味深い動きが見られました。前エントリー*1で株価の上昇トレンドを取り上げましたが、5日に大幅に下げて終値は5万円を割りました*2。AIバブル崩壊の懸念からか一部ファンドがエヌビディアなどテック株に大量の空売りを仕掛けて値下がりした前日のNY市場の流れから日本市場でもAI関連の売りが出て下げたもので、ソフトバンクグループのような大型株が下げた結果ですが、面白いことに翌6日には相場が5万円台に戻ります*3。AI関連は軟調ですが、内需株その他好業績企業が物色された結果ですが、ザックリ言えば日本株に流入した資金は引き続き日本に留まっているということになります。

勿論これは円安インフレによるもので素直に喜べないのですが、傾向として輸出その他で外需依存が強く関税の影響で利益を減らす製造業よりも内需関連のサービス業が業績を伸ばしています*4。まあ万博の影響もあると思いますが。それでも資本効率が改善しない日本企業の何が問題なのかということで、面白いコラムを見つけました*5。自己資本利益率(ROE)は自己資本で純利益を割った比率ですが、業績好調で利益は増えても分母の自己資本が増えれば比率は改善しない訳で、特に海外法人の売上が大きい外需依存企業では利益の本社送金をせずに海外法人が内部留保していると、決算時に為替変動を反映した含み益含み損が連結決算で自己資本に算入される訳で、円安による含み益が分母を押し上げているとすれば、なるほどROEは改善しない訳です。しかも国内からの輸出分の関税も円安効果で負担が軽くなるから利益減も圧縮される訳です、つまり日本株は円安で押し上げられているということですね。円安が反転しインフレが収まらない限りこのトレンドは続きます。

その意味では高市政権の所信表明演説で積極財政を打ち出したことは、財政悪化で円安もインフレも止まらず、企業業績が良くてもそれが賃金に反映されない限り賃金がインフレに追いつかず、国民生活は窮乏化することになります。そしてアメリカではさらに気になる動きがあります。アメリカの政府閉鎖が続いて航空管制官が無給で働いているものの、このまま続ける訳にもいかず、連邦運輸省は管制官を休ませるために航空便の減便に踏み込みます*6。言ってみれば政府によるロックアウトのような状況で、当然航空券は入手困難になり出張やレジャーは自粛または片道レンタカーなどの自衛策となり国民生活に多大な影響が出ています。

そしてそのこと自体の経済的損失もさることながら、既に1ヵ月を越える政府閉鎖で予算執行が滞った結果、政府支出による通貨の流動性の低下に影響が出ていると見られることです。つまり日本とは逆に意図せざる歳出削減効果が働いてそれが金融市場の流動性を低下させている疑いがあるということです。暗号資産ビットコインの暴落がそれをよく表していますが、この流れから本当にAIバブル崩壊に至るシナリオもあり得ます。その場合は日本も無事でいられるかどうか。但し企業が外需依存をリスクと捉えて内需関連の投資が増えれば局面が変わる可能性はあります。但し高市政権下では逆方向の動きが気になります。

例えば経済安全保障重視で造船などの海外事業の支援ってのは結局造船能力を喪失したアメリカの艦船製造を支援するって話で外需依存なんですよね。海底ケーブル敷設なども日本のデジタル赤字を拡大させるだけならサービス収支悪化で円安になるだけだし、何より明らかに大砲とバターの大砲重視の姿勢は確実に国民生活を圧迫します*7。そして台湾有事への言及が寧ろ安全保障環境を悪化させる恐れもあります*8。台湾に関しては当事者である中国も台湾も現状維持を求めており、アメリカも動けない。加えて日米共に台湾を国家承認していないから集団的自衛権行使の対象にはならないし、国際法上は内戦となりそれに対する軍事介入は重大な主権侵害になります。つまり現状の法的枠組みでは動けないから歴代政権が曖昧にしてきたところへ踏み込んだ訳で、寧ろ事態を悪化させます。

ってことでいろいろ心配はありますが、鹿を指して馬と為す*9東急田園都市線梶が谷駅の事故で政府は鉄道各社にシステム点検を指示し*9、他社でも同じ問題がありました。JR西日本や阪急阪神HD、関東ではJR東日本と京急で見つかり、それぞれ対策を発表しています*10。システム設定のミスが見つかり、今までは事故に繋がったケースはないものの、新しいシステムを導入しても設定ミスの見落としは防げない訳で、東急の見習い運転士のささやかなミスが将来の事故の可能性を摘み取ったと見れば良かったということになります。天下国家を論じて大きな物語に酔うよりも、新しいものを確実に社会実装して役立てていくというこうしたことが、国民生活を豊かにするということは声を大にして言いたいところです。

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Sunday, September 21, 2025

100年殺しのアベノミクス

アベノミクスが日本経済の停滞を招いたという主張を続けてきましたが、やっと社会的に認知されてきたようです。しかしコップの中の嵐*1では逆行する訴えもあり、本当に社会の変化を自覚していないんだなと。仮に首班指名されても国民はそっぽを向くだけですね。

実態として日銀の異次元緩和以外は機能しなかったアベノミクスですが、安倍官邸と黒田日銀の間にすき間風があったことは記憶にとどめておく意味はあります*2。黒田バズーカと言われた異次元緩和は結局日銀の国債大量購入による金融圧迫であり、影のテーマは日米金利差による円安誘導だった訳ですけど、政府はそれをいいことに放漫財政で財政再建目標を先送りし続けますし、企業も成長戦略を海外投資に見出して国内投資を蔑ろにするばかりで賃金は増えずデフレ脱却どこ吹く風で黒田総裁がややキレたなんてことがありましたが、結局政府には逆らえず効果の出ない異次元緩和をずるずる続けることになります。

そして国債発行が増えて当然のように長期金利に上昇圧力がかかりイールドカーブコントロール(YCC)が困難になります*3。また企業の国内投資抑制の影響で国内産業の空洞化が進み貿易収支が赤字基調となり、コロナ禍で財政拡大を余儀なくされたこととウクライナ戦争による資源高とやはりコロナ禍で財政が緩んでいた諸外国のコロナ明けのリベンジ消費によるインフレ昂進で日本は貿易収支が悪化して円安が進み、異次元緩和の見直しを余儀なくされたものの、諸外国が利上げに動いても日銀は直ぐには動けませんでした。その流れが今のインフレを呼び込んだ訳で、将にアベノミクスの呪いです。

その結果米雇用統計エントリー*4で予想した通りFRBは利下げに動きました*5。一方で日銀は今回は利上げを見送ったものの、利上げスタンスは維持しております。寧ろ今回のトピックスはこちらでしょう*6。日銀ETFは簿価37兆円時価70兆円、REITは簿価6500億円時価7000億円と含み益がある訳で、以前からその市場消化を財務省に打診していましたが*7、今回そこに踏み込みました。前段として2002~2010年頃まで緩和策として銀行保有株式と交換する形で資金提供する形で株式を取得した訳ですが、異次元緩和で拡大解釈して株式ETFやREITの購入に踏み込むという中央銀行の禁じ手に手を染めたものです。

なぜ禁じ手かといえば、国債や民間の社債ならば償還期限があって償還されれば残高が減る一方、償還期限のない株式ETFやREITはどこかで売る必要があります。しかし当然売れば市場価格を押し下げて影響が大きいだけに財務省は難色を示していたのですが、銀行引き受け株式の売却は認められ、市場消化を進めた結果、市場に負の影響を及ぼさない売却レベルで時間をかけて消化するということで実現に向かいます。FRBの利下げに拘わらず為替の安定で日経平均が最高値をつけた今の市況も後押しします*8。実際には年明け以降の実行となりますが、市場消化で残高を減らすと同時に含み益の益出しで利上げによる日銀当座預金の付利による日銀自身の収支悪化を防ぎつつバランスシート調整を進めることで利上げスタンスを維持するものでもあります。

ただしこのペースでの市場消化は終わるまで100年以上かかることになり、相変わらず出口は遠く、金融正常化は見通せない状況は続きます。その間にバブル崩壊や大規模災害やパンデミックや戦争などの非常事態への対応ののりしろがない訳です。AIバブル崩壊*9も南海トラフ地震もコロナ級パンデミックも台湾有事も起きないことを祈るしかありません。余談ですがFRBにあからさまに圧力をかける米トランプ政権のスタンスは将来日本の轍を踏むことになる公算大です。実際いろいろ不具合が出ています。

例えば日鉄が買収ししたUSスチールで黄金株を交付した米政府に高炉停止を差し止められました*10。同じく米政府が出資したインテルに同業のエヌビディアが出資して協業を提案してます。エヌビディアが国内企業なので事実上の経営権取得です*11。AIデータセンターの壁に Nvidea inside とか^_^;。その結果電力爆食いで電力会社が設備投資を強化して家庭向け電力料金2割高。テック企業の都合で国民生活を追い込む状況です*12。これ日本でも原発新増設その他で同じことが確実に起きます。北陸新幹線の敦賀以西延伸で小浜経由を譲らない福井県の態度も原発受入れのバーターという意識があるかもしれませんが。

テック企業と国民の関係は実は日本でも起きていて、スマホ保険証がスタートしましたが、医療機関はマイナ保険証に続いて読み取り装置や専用アプリの導入で負担がかかり、個人経営のクリニックでは対応が困難だったりします*13。これもデバイスメーカーやソフトベンダーにとっては取りっぱぐれのない国の事業で利益を出して医療機関等にコストを転嫁している訳で、国民の為にはなっていません。そしてJRも上場4社が共同記者会見でネット予約システムで連携を発表しました*14。

1度のログインで他社サイトにも移動できるということのようですが、各社バラバラに開発された結果、独自のルールやインターフェースうやポイント制度の壁は残りますから、例えば東京で東海道新幹線と東北新幹線を乗り継ぐ場合など単純な打ち切り合算となって却って高くつくケースもありますし、事前登録を擁するなどユーザーにわかりやすいものにもなりそうにありません。つまりクソUI^4+α^_^;。元々マルスシステムという共有の基幹システムを持ちながら、各社の都合でバラバラにシステム開発を行った結果、相互連携が取れなくなったわけで、事業者の都合で乗客にコスト負担を強いることになってしまった訳です。加えて各社別々にシステム開発してベンダーに支払っている訳ですから、その分開発費を余分に払っているとも言えます。これ全国共通IC乗車券でも見られますが、結果的に開発コストをペイできずに高コスト故に地方に普及せず逆に離脱まで起きていることにも通じます*15。

結局政府もダメ企業もダメ、頼みの綱の中央銀行も動くに動けず、100年の時を重ねる憂鬱な現実は動かずです。失われた世紀を生きる覚悟をした方が良さそうです。

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Sunday, August 24, 2025

AIが壊す社畜エスカレーター

民営化ドミノ*1の続きです。予想通りではあるんですが、ガソリン税減税の与野党協議会が足踏みしています*2。1兆円程度の財源を示せない野党の本気度が疑われます。特に立憲民主党の「税収上振れと税外収入」は論外です。インフレで税収の上振れは当然ありますが、同時に国債金利も上昇しており、使ってしまえば次年度以降の国債利払い費の膨張で財政を痛め、インフレを助長することになる無責任な議論です。決算剰余金として繰り越して次年度国債発行額を圧縮するのがインフレ時の正しい財政の在り方です。

野党各党でも国民民主党は論外として、維新の法人税租特法減税の見直しとか、共産はそれに加えて金融課税強化を打ち出しています。本気で政権取りにいくならせめてこれぐらいのことは言うべきですし、暫定税率の原点がオイルショックによる道路特財源の税収減を補う2年間の時限立法だった訳ですから、民営化エントリーで示した潤沢故に無駄が多い道路予算の削減を何故言えないのか?高速道路無料化を打ち出した民主党の後継政党らしからぬところです。そしてこれは腹括った少数与党の石破政権を利するものでもあります。立憲執行部にはどうせ少数与党だから向こうから頭下げてくるだろうという甘い考えがあるんじゃないか?だとすればとんでもないことです。

知恵熱の夏*3で示したように自民公明の与党の敗北は必然だったのですが、立憲民主党の伸び悩みも必然と言えるという厳しい総括ができていないってことです。そんな中で立憲・国民両党で組織内候補を擁立した連合から参院選の総括案が発表されました*4。連合自身の組織の弱体化を示す集票力の低下を認めつつ、それでも地方区で立憲と国民が選挙協力したところでは当選していることを指摘し、両党の協力を示唆するとともに、国民民主党の政策が財政支出を増やして寧ろインフレを助長し労働者を苦しめると言及しています。元を質せばアベノミクスの異次元金融緩和と財政出動の結果の円安インフレなんで、何故正面からアベノミクス批判ができなかったのか。結局自公の少数与党を助ける結果になっている訳です。

その石破政権もツッコミどころ満載で、例えばコメ増産を打ち出し、大規模化やスマート農業でやる気のある農家の支援や企業参入の解禁を打ち出してます。これ政権交代前の民主党も似たようなことを言っていたんですが、政権交代後には減反を前提とした10アール当たりの補助金交付に後退しました。但し国内出荷しない輸出米や加工品や飼料用など減反の枠外で自前で販路を見出す限り自由に作付けできる形とし、減反廃止の激変緩和を図ったことと、コメの先物市場を開設して市場価格を見ながら作付けの参考にする体制を整えました。但し農協の反対で先物市場は機能せず、また第二次安倍政権では逆に食用米の補助金を無くして加工米、資料米、輸出米に補助金を出して事実上の減反を継続させました。令和のコメ騒動でそれが裏目に出て逆にコメ先物市場には注目が集まるようになりました。

で、石破政権の大規模化とスマート農業が何故ダメかというと、戦後の農地改革で水田の圃場が細分化されていて。特に三大都市圏を擁する平野部では相続その他の事情で離農者が農地を手放し、小規模開発の宅地になったりしていますから、物理的に圃場の大規模化が困難になっており、また離農者が増えて一部の専業農家に生産委託されるケースは増えてますが、離れ離れの小規模な圃場で耕作を続けるしかない現状があります。

スマート農業で特に注目されている乾田直播農法ですが、種籾の前処理や播種後の雑草取りの手間が大変で、田植えが省略できるメリットを相殺してしまいます。雑草取りの手間を減らすには除草剤散布が欠かせず、近くに宅地があったりすると使えないし、そんな農薬まみれのコメが高値で売れるか?とか、水田耕法の利点の連作障害がない点もやってみなければわからないし、また水田耕法を前提とした農機類も使えず現時点では監視カメラやドローンなどの価格も高く、参入障壁が存在します。まして人口減少に苦しむ地方の中山間地では尚更で地方創生にも逆行します。一点突破的なイノベーションは無理があります。

食料米、輸出米、加工米、資料米の壁を取っ払って耕地面積で補助金を付けた上、先物市場の市況を参考に作付け量を決めることと、収穫後も市場価格を参照して出荷するといった形にして、離れた圃場の作付けなど農業者の工夫を引き出すことで儲かる農業を実現しつつ適正価格でコメが買えるようにして消費者にもメリットがあるといった形にすることは可能です。

やっと本題ですが、技術革新が必ずしも問題解決に繋がらないのはありふれた問題でもあります。そんな中でChatGPT5が「冷たくなった」というユーザーからの抗議が起こりました*5。前バージョンの4oと比べてフレンドリーさが失われたということですが、そもそも人間ではないAIに共感を求めること自体が間違いで、元々ハルシネーションと呼ばれるいい加減な回答を返すことは指摘されてきましたから、ユーザーが検証しないと使えないのですが、フレンドリーな受け答えに癒されて下手すると宗教とアヘン*6のような依存症にもなりかねませんし、それを誘導に使われる罠にはまる可能性もあります。基本的には個人のスキルアップのツールとして壁打ちの相手に使うのは有効でしょう。逆に言えばそれ以上でも以下でもないツールです。

但し生身の人間ではありませんから当然制約はあります。特に熟練を要する高スキルの獲得は、結局若いうちにそうした人と接する中で試行錯誤するしかない訳で、それはまた高スキルの人の補助的な立場で学ぶということでもありますが、高スキルの人がAIとの壁打ちで多くの問題を解決できてしまうと煩わしい若手の弟子を取りたがらないということも起こり得ます。そうするとその人の高スキルは次世代に継承されず引退して失われることになります。つまりAI依存で若手の育成が滞ることを意味します。典型的なのはプログラマーですが、業務フローを見ながらソースコードを書いてはテストの試行錯誤を経てスキルを上げていく部分をAIが肩代わりしてしまうと若手が育たないというジレンマに陥ります。既に米テック大手では業績好調でも大量解雇に動いており、AIに代替されるのは高給取りの技術職という予想が当たった訳です*7。

日本の場合は雇用慣行の違いから異なった展開が予想されますが、所謂新卒市場に異変が起きる可能性は指摘しておきます。労働力人口減少の結果、新卒市場は売り手市場となり初任給が高くなってますが、どこかの時点でこれが反転する可能性があるということです。事務職と技術職が該当することになりますが、新人が下働きで覚える業務フローをAIが代替してしまえば若手を大量採用する必要が無くなる訳です。しかも即戦力として迎えられるから、付いていけずに離職する可能性も高まります。つまり有名大学を出て大企業に勤めて一生安泰というキャリアプランが成り立たなくなるということです。

これ企業側から見ると新卒市場の取り合いから好待遇を訴求しなければ人が集まらないという事態が解消されますから、即戦力にならない新人の初任給を下げられることを意味します。そしてゼロ年代以来の賃金抑制の結果勤続年数による定期昇給率が下がって賃金カーブがフラットになってますから、勤め続けても賃金はあまり上がらないということで、これが手取りが増えない原因なんですが、結局副業で補填するしかないということになります。ますますスキルは身につかず稼ぐには長時間労働しかなくなるということで、正社員でも実態は非正規と変わらないということになりかねません。てことで第二氷河期に向かうということですね。

元々日本的雇用慣行のメンバーシップ型雇用がバブル崩壊後に崩れて団塊世代の退職者補充を非正規で済ませたことが氷河期世代を生んだ元凶ですが、彼らはスキルアップに努めて正社員を勝ち取っても勤続年数の壁で定期昇給の恩恵も不十分で新卒プロパーと待遇差がありますし、賃金カーブのフラット化で若手より先に昇給が止まり賃金格差が固定化するし、役職者になれるチャンスも少なく、なれても役職定年で平に降格したりと散々な目に遭ってきた訳ですが、その二の舞がこれから就職する若手にのしかかる訳です。インフレを受けて賃上げが進んでいるとはいえ定期昇給込みですから、実質賃金に影響するベースアップ分は3%程度でインフレ率に追いつかない状況です。

そんな中で気になる動きがJR東日本で起きています。最大労組のJR東労組をぶっ潰して、代わりに社員親睦組織兼労使協議帯として経営陣と現場を繋ぐ社友会を組織して協議機会を1ヵ月から3か月に減らしたりした結果トラブルが増えています*8。その一方で会社に賃上げ要求をしたりして労組のような動きを見せていますが、労組ならざる社友会のこの動きに社員から違和感の声が上がっているということです。会社のカバン持ちが賃上げポーズで社員に阿る姿勢の中で、経営サイドからの合理化要求が加速しているというものです。

例えば南武線の遅延問題*9ですが、ワンマン化実施後に朝夕を中心に遅延が日常化しているということで、ドア開までの時間短縮などを打ち出してますが、元々沿線に工場が多く、最近はマンションも林立し、他線との乗換駅が多く乗降が頻繁という路線特性から経営陣が現場をどの程度把握できていたかが問われます。何だか京葉線の快速廃止の混乱*10を思い出させます。いずれも恐らく経営からのトップダウンで実施した結果の不具合という点で共通しています。京葉線は乗客や自治体のクレームを受けて千葉支社長が見直しに動きましたが、南武線ではメカ的な解決策しか示していません。段々JR東日本が嫌いになりつつある昨今です。社員の人も違和感があるならナショナルセンターの連合に相談して労組再結成しても良いと思います。今なら世論も理解するでしょうし、弱体化したナショナルセンターの連合も組織立て直しに繋がります。

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Sunday, August 10, 2025

外国人問題は社畜の怨念?

雨で凌ぎやすくはなりましたが、お熱うございます。社畜の帰省シーズン*1ですが、コロナ禍での帰らざる社畜2*の変化で様変わりしました。バーチャルなご先祖様はは変わらず帰って来るけれど、居なくなるアニオタはコミケの復活で元に戻り、寧ろ推し活や聖地巡礼で活性化されており鉄ちゃん顔負けです。一方鉄ちゃんは青春18きっぷアップデート*3で様子が変わり、売上3割減だそうで、使い勝手の良かった旧青春18きっぷユーザーは一部離れたようです。

とはいえJR東日本の来春の値上げ*4に見るようにコロナ禍の減収がリモートワーク普及で戻らない一方、インフレによる調達価格上昇もあり、これまで維持してきた国鉄末期の運賃体系で発生していた超過利潤が減少し、割引の原資が細った結果、割引きっぷの見直しも避けられないところですし、上記エントリーで指摘したように青春18きっぱーの増加で現場の負担が増えたこと、地方の過疎化でそもそも通学列車も減っていて企画きっぷ発売の趣旨も薄れてきてますし、また旅客6社の売上配分が利用者アンケートの結果に基づく推計値による案分というアナログな方法でこれも負担になっていたと考えられますから、自動改札の入出場記録に基づく実数値で配分できる分バックオフィスの負担も減ります。

てことですっかり様変わりしたお盆の風景ですが、もう1つ変わったのが円安を背景としたインバウンドの外国人観光客の増加です。特に社畜の帰省とは需要がバッティングします。加えてインバウンド客の大きな荷物が座席や通路を塞いでトラブルが頻発しており、観光地のオーバーツーリズムと相まって課題が明らかになってきてます。それなのにJR東海は定員減を嫌って荷物スペースを増やすといった対応を取っていませんし、予約荷物スペースが予約外の荷物で埋まったりしています。外国人観光客が荷物スペースの予約ができることをJR東海がどれだけ告知しているかが問われるところですが、一見さんの観光客にとって使いにくいシステムになっていないかといったところも問われます。

これJR東日本のえきねっとや指定席券売機の使いにくいユーザーインターフェース(くそUU)の問題*5とか、JR東海のスマートEXと別建てだったり、折角全国で使えるようにしたIC乗車券も敢えて仕様を変えて共通仕様から離脱したり*6、合理化でみどりの窓口縮小したら行列ができたり*7、クレジットカードのタッチ決済やQRコード決済の取り組みもバラバラ*8。先に検討していたJR東日本を出し抜いた格好です。混雑を前提に動作の確実性を求められる首都圏に対して、IC乗車券でも先行するSuica/PASMO陣営に対して仲間を増やす横展開で優位にあるICOCA*9と似た構図です。Suica経済圏危うし。JR東日本はみどりの窓口改革としてAI導入を打ち大sていますが*10、AIはあくまで道具で使い方次第です*11。

要注意なのはAIの電力消費の大きさで、単純に社畜の代替を目指すと人口減少下の高エネルギー消費で知恵熱地獄*12になるし、ろくなことになりません。あとマクドナルドのハッピーセット問題*13ですが、ちいかわでも起きたことの反省や対策も無しにポケモンカードのようなプレミアム性のあるキャラクターグッズを景品として配布して客を吊る企業姿勢にこそ問題があり、外国人のみならず日本人もいると思われる転売ヤーのせいにするというのはいただけません。「悪いのは外国人」というのは間違っています。

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Sunday, July 27, 2025

知恵熱の夏

いしばしをたたいてわたる*1ころから、いつかは起こると予想された石破おろしですが、頭悪りーと思うのは、総裁変えて臨む首班指名選挙で勝てるのかってことです。あるいは衆院解散含みなのかもしれませんが、解散総選挙で多数派に返り咲けると考えているとすれば有権者を舐めているとしか思えません。案の定石破さん辞めるなデモが起きていしばしをたたいてわたれ*2の流れが顕在化します。国民の方が一枚上。いしばしをたたいてわらう*3のはやはり国民。いしばしをたたいておわる自民党^_^;。

日米関税交渉でとりあえずアメリカの理不尽な要求を押し戻したし、共同文書がない口約束とか、5500億ドル(80兆円)の対米融資枠設定などでとんでもない約束をしたとか言われてますが、これ政府系金融による融資枠の設定で、リニアの3億円財投などの例外はありますが、基本的に民間銀行との協調融資となりますから、融資枠に民間資金が含まれるかどうかなど敢えて曖昧にしている部分もあり、日米双方で国内向けに都合の良い発表ができる建付けで、特にアメリカ側の方が焦っていたと言われます。どうもエブスタイン事件スキャンダル*4が影響しているらしい。

元々今回の参院選で自公の与党が敗けることは予想の範囲でした。自民党も公明党も支える自民党員と創価学会員の高齢化の一方、子の世代は継承せず、人数が減っていたという状況があります。議員には二世が多いのに支持者に二世は少なく、そのため自民党議員の公認要件となる党員獲得のために金ばら撒くしか能がないのが二世議員や安倍チルドレンで裏金に走り、それが暴かれて有権者の離反を招いた訳ですし、当然マンパワーで左右される組織力も低下して旧統一教会や日本会議のような宗教組織の動員力に頼る壺議員が増えるし。公明党も創価学会員が高齢化し二世信者は減るしで組織力が低下しています。実は野党でも共産党がやはり専従者や支持者の高齢化と二世の離反が起きており、特に専従者の解雇を巡る内紛もあって支持者の離反を招いております。敗けに不思議な敗けなしです。

つまり組織選挙の敗北ですが、立憲と国民に分かれる連合系候補者も苦戦しております。組織票がものを言う日本の選挙が変わってきて無党派層の存在感がが増しているということです。故にTIXY選挙*5で反応しやすい状況で、国民民主や参政党の躍進になりました。但しだからといってSNSの作戦ミスと矮小化できないのは、SNS選挙の走りと言えるれいわやN党の敗北、石丸新党の鳴かず飛ばずなどに見られるように、支持者が飽きて離反するし、SNSではないけれど関西メディアで人気を得た維新のように、メディア露出を演出するだけでは長続きしないってことです。

一方で有権者は意外と政策を見ていたという分析があります*6。投票先未定層は政策を見て決めているのですが、減税ドミノ*7に対抗して給付金支給を打ち出したり日本人ファーストに対抗して外国人規制強化を打ち出したりしたことが、寧ろ与党にマイナスに働いたことが見て取れます。同時に減税ドミノに乗っちゃった立憲民主党の横ばいも説明がつきます。まともな有権者を与党から引き剥がすことができなかった訳で、政権交代のマイルストーンとしての参院選の作戦ミスは明らかです。減税ドミノに乗らずに給付付き税額控除の有用性を訴求していれば、低所得層支援、子育て支援、制度設計次第では社会保険料負担を含む年収の壁問題の解決といった成果が期待できますし、カナダや欧州など複数国で導入されている点も訴求できた筈です。

もっと言えばそもそも有権者はインフレに不満を持っている訳で、その原因を作ったのは10年続いたアベノミクスの副作用でインフレが制御不能になっている点で、これ与党は取り上げにくい論点です。同様に岸田政権で打ち出した防衛費増額や原発活用、更に世界的な課題の気候変動対策としての脱炭素政策など、選挙で訴えるべき問題は多数あった訳で、有権者もそれを期待していた筈ですが、減税か給付金かといった形で論点が矮小化されてしまった訳です。選挙戦を通じた議論の深掘りはできませんでした。

脱炭素と原発活用はそもそも両立しません。関西電力が美浜の敷地内に新設を発表しました*8。データセンター増加による電力需要増を見越して安定電源の必要性からの判断ということですが、データセンターが増えているのはAIブームによる部分が大きく、そのAIの特性を理解してるのか?大雑把にまとめると、AIは大量のデータから有用性がある可能性のある組み合わせを見つけるために仮説推論の試行錯誤をサーバーにやらせる訳で、それ故に電力変動が大きく、安定電源である原発とは相性が悪いんだけど内緒です^_^;。現に関西以上にデータセンター需要が上振れしている東電*9では原発なしで省電力要請もせずに対応しています。どうも空梅雨で日照時間の長い6月の晴れの天気で太陽光発電が助けているようです*10。気候変動による亜熱帯化と東電管内の製造業撤退の結果です。そういえば日産も追浜工場閉鎖しますし。つまり出力が不安定と言われる太陽光発電が実際には基幹電力としての存在感を高めているようです。ならば最低20年かかる原発新設よりも需給調整のための系統電力用バッテリーに投資した方が早くて安上がりです。

気候変動の影響はそれに留まらず、頼みの原発も影響を受けます*11。欧州の熱波による水温上昇でフランスでは原発の冷却水不足から原発の出力調整や停止が相次いでいて、実は気候変動に弱い電源ということが明らかになっております。気候変動が進んだ20年後の新設の美浜原発がスペック通りの出力ができるのかはわかりません。経済が停滞する日本に必要な投資なのかは疑問です。加えて言えばAI向けデータセンターの電力消費はその全量が回路抵抗による抵抗熱に変換されますから、かなり大きな熱源です。加えてサイリスタ日照り*12に見られるように半導体は熱に弱い。故に自らの消費電力で出た抵抗熱を屋外に放出する強力な空調機が必要になり、そちらでも電力を消費しますから、かなりエグい熱源でもあります。つまりAIだデータセンターだ原発だという先の未来は灼熱地獄ってことです。人口減少下の日本で機械仕掛けの知恵熱を引き受けるのは愚策です。

そして折れたつばさ*13のE8系のトラブルの原因が明らかになりました*14。補助電源装置のパワー半導体制御基板の不具合で所定より高い電圧がかかり、抵抗熱で半導体が融解し、動力モーター冷却が止まって主回路が遮断されたという流れで、特に先月17日には5編成がほぼ同時に異なる場所で停止ということが起きました。おそらく気温の高さも影響していた結果、半導体溶融が起きやすい状況だったと考えられます。逆に言えば気温の高さが思わぬバグを顕在化させたと見ることもできます。スマホ家電自動車から工場の機械類まで、半導体はそこらじゅうで使われています。加えてリチウムイオン電池の熱の弱さも言われており、今月20日の山手線の乗客の鞄の中のモバイルバッテリーの発火事件で長時間運転抑止されました*15。思えばスマホ、ハンディファン、ゲーム機その他携帯する電子デバイスは多数あり、ハンディファンの発火事件も起きています。結構危ない日常の悪寒。

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Saturday, February 01, 2025

DeepSeekショックで見えたLentSeek

石橋を叩いて渡るのは米FRBパウエル議長も同じみたいです。

FRBパウエル議長「利下げ急がず」 金利維持、トランプ政策見極め - 日本経済新聞
実際1期目から利下げに応じないパウエル氏と対立してましたし、解任も視野に入れていたものの、大統領権限での解任はできない法の建付けですが、2期目でも既にトランプ氏の犯罪捜査に当たったFBIや司法省職員を解雇する大統領令を連発しているぐらいですから、言うことを聞かないならクビだというスタンスです。そして1期目でも相当数の連邦職員が解雇されていて、例えば航空管制官の人手不足が起きていますが、案の定ワシントンDCのロナルド・レーガン空港で事故が起きました。そしてこの発言。
トランプ大統領、ワシントン飛行機事故「DEI推進が背景」  根拠示さず - 日本経済新聞
ペンタゴン近くで軍用ヘリが多く飛ぶ立地条件で危険性は以前から指摘されていましたが、ある意味起こるべくして起きた事故ですが、それを民主党の多様性重視のDEI政策で、知的障害や精神障害を持つ人の雇用を進めたせいだと根拠も示さず発言するなど人格が疑われます。アンチ地球の歩き方でカリフォルニア山火事を環境対策ばかりの民主党のせいだと言わんばかりの批判と同じですが、悪い出来事は民主党のせい、ガザ停戦のような良い出来事は自分の手柄と自画自賛です。

というわけで、現在好調なアメリカ経済ですが、トランプ政権というワイルドカードを抱えて先行き見通せないのは米FRBも同じ悩み故に、様子見の現状維持という判断になった訳です。特に自らをタリフマンと称するトランプ関税政策の本気度が見えない部分があるということで、株式市場にも迷いがあるようですが、結果的に2/1からメキシコとカナダの25%関税を実行するということでNY株は下げました。しかし今週のハイライトは寧ろこちらですね。

DeepSeekの衝撃、公開技術でAI開発費「10分の1以下」 - 日本経済新聞
このDeepSeekショックが何故米株式市場を揺らしたかといえば、オープンAIのChatGPTが典型的ですが、元々非営利組織だったオープンAIがマイクロソフトと組んでマネタイズを模索したように、大規模な開発資金が必要で、学習に大量のデータが必要だからエヌビディアのGPUのような先端半導体が大量に必要で、しかもその駆動に大量の電力が必要だから原発を動かそうということで、大量の資金が必要とされていたのですが、バイデン政権のスモールヤード・ハイフェンス政策で先端半導体が入手困難になった中国のスタートアップ企業が、他のAIを先生役にして通常半導体だけで機械学習をさせて米AI企業の1/10以下の開発費で僅か2か月で公開したということで衝撃が走ったものです。特に数式問題その他論理性が問われる問題ではChatGPTを越えるパフォーマンスを示し、米国内でダウンロード数トップになるなどして衝撃となりました。米テック大手が掲げるAIナラティブに疑義が生じた訳です。ちなみに元々ChatGPTは数式問題の誤答が多いと言われています。数学苦手は人間らしさかもwww。

とはいえDeepSeekは中国企業だし当然中国当局の規制を受けて当局への開示義務を負う訳ですから、実際の利用には注意が必要ですが、オープンソース故にスキルのある人なら修正して使えるし、何よりアメリカの半導体禁輸などの制約下で可能なことを模索した結果辿り着いたやり方で、既にあるオープンソースAIの生成物を利用しつつ、不純物を排除する形で純化する蒸留といわれる工程も、大量のデータ処理を必ずしも必要としない訳です。つまりDeepSeekに留まらず、大量の開発資金が必要な米テック企業の優位とされた前提が、アメリカ以外の地域の企業にもイノベーションの可能性が見えたという意味で大きな出来事です。

DeepSeek自体は中国当局の規制もあるしセキュリティ面でも不完全なようですから、このまま米AIと入れ替わることはないでしょうし、短期的にエヌビディアのGPUの需要が落ちることもないでしょうから、株式市場はとりあえずショックの反動で戻しましたが、AI開発で今のところ収益化の成功例はなく、開発費ばかりが膨らんでいる状況でもあり、市場でも疑問を持たれていたから株式市場が反応したという側面もあります。但し熊本のTSMCや北海道のラピダスのような先端半導体需要を先取りした投資はちとやばいかなとは言えます。という訳で米テック企業も反応しました。

DeepSeekがデータ不正利用か OpenAIとMicrosoft調査 - 日本経済新聞
オープンAIの言い分はChatGPTの外部アプリ連携機能が悪用されて生成物が利用されたということで、利用規約違反ということですが、先生役のAIにChatGPTの成果物らしき成分が含まれているだけでは違反の証明になりません。プロンプトへの返しが似るのは自然なことですし、人間ならば著作権の保護で闘えるけど、公開されたAIの生成物の著作権をAIに帰することはできません。手があるとすれば蒸留禁止や悪意あるなど倫理的に問題のある回答の排除などで当局に規制してもらうしかない訳です。とはいえこれは価値観が絡むので公平公正をどう担保するかは難問です。つまりDeepSeekが米テック企業をLentSeekingに駆り立てることになりそうです。

とするとマスク氏、ザッカーバーグ氏をはじめ米テック大手のトップがトランプ大統領就任式に揃って出席してマスク氏のようにトランプ氏の懐に飛び込むようなことをしている訳で、なるほどトランプのようなビジネス優先の政府トップは企業にとってレントシーキングのターゲットとして最適な訳です。EUが進めるデジタル規制もアメリカは独自ルールで切り返して地位を守ることができます。こういう観点からは独裁的なトップは独占を狙う大企業にとっては好都合な訳ですね。

そしてトランプ関税ですが、1期目のトランプ減税の恒久化財源として関税を充てる方針が示されている以上、全ての貿易相手国に関税をかけることは視野に入っている筈ですし、その上で外交交渉の手段として追加関税を迫るというのは本気と考えるべきでしょう。だからこそ日鉄は米国内に生産拠点があれば関税を回避できるからUSスチールが欲しいし、ホンダとの統合でリストラを迫られる日産がシフトを減らして整理解雇はするけど米国内工場を温存しようとする訳です。どちらもうまくいく可能性はかなり低いですが。

ということは、JR東海が進めるテキサス新幹線も、車両などを国内から輸出することがネックとなって収益性を損なう可能性がある訳です。ただでさえ資金集めに苦労していて事業が進まない訳です。ロビー活動で日本の新幹線システムを米鉄道規制の例外にしたのはいいけれどその為に使ったロビー活動費は無駄になるという訳ですね。まあそのJR東海は安倍政権下でリニア事業に3兆円の財投資金がもらえたけれど、調布で、町田で、相模原で、多治見で、トンネル工事に関わるトラブル続きですし、知事交代で着手が期待された静岡工区も手付かずで、最近では川勝知事が正しかったという評価もされるようになっています。レントシーキングの結果公金を溶かすJR東海はいずこへ向かうでしょうか。

ついでですが、自民党の裏金問題も大企業によるレントシーキングそのものです。

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Sunday, December 29, 2024

青春18アップデートの不可避

今年冬からの青春18きっぷの改変に一部鉄ちゃんがイチャモンつけてます。JRを弁護する気は更々ありませんが、これも時代かなとは思います。訃報がありましたがJR東海初代社長の須田寛氏が国鉄営業局長時代に1982年のフルムーングリーパスという企画商品をヒットさせた成功体験に基づき、年代別の企画商品として1983年に中年女性向けのナイスミディパス、そして1982年に若者向けの青春18のびのびきっぷとして発売されたものが形を変えて民営化後も存続してきたものです。

国鉄時代には乗車券だけで乗れる長距離普通列車が多数走っていて、その多くは旧型客車を連ねた機関車牽引の客車列車でした。客車は動力を持たないし、当時は寝台車やグリーン車を除いて冷房もなく、客用扉は手動の開戸でドアエンジン不要、照明は車軸発電機電源ですから引き通し線も要らないし自動ブレーキ管と暖房スチーム管を繋ぐだけで組成できるというシンプルな作り故にメンテナンスが容易なこともありますし、機関車は貨物と併用で済ませますから、料金を取れない普通列車には多く使用されていました。また長距離を走りますからラッシュ時間帯にかかる区間もあり、その需要に応える意味で長編成で運用されますから、メンテナンス負担が少ないことは寧ろメリットでもありました。また夜行普通列車も多数存在し、山陰線経由京都―下関間や鹿児島長崎佐世保大村線経由門司港―長崎間の夜行風通は寝台車が組み込まれていて、マルス収容のために「山陰」「ながさき」の愛称名までついていました。

これらの列車の多くは民営化後のJR各社の合理化策で縮小、廃止されましたが、青春18きっぷは春夏冬の休校期間の通学列車の余剰輸送力対策として存続することになります。加えて国鉄時代に関越高速バス運行開始に対抗して安価な夜行列車として新宿―新潟間に座席指定快速ムーンライトえちごが設定され、EF64牽引の14系客車で運行開始され、JR化後も車両の変化はあるものの定期列車として存続し、東海道線の通称大垣夜行もJR化後にムーンライトながらとなる流れとなります。当時はまだJR東海も唯我独尊ではなかったようです。また北海道の函館―札幌間快速ミッドナイトも定期運行されてJR化後も残りましたし、JR化後特にJR西日本を中心に臨時快速ムーンライトを青春18シーズンに運行するなどしてJR各社の連携でユーザーを掘り起こしたという意味はありました。しかし定期夜行快速は青春18シーズン以外の乗車率の悪化で季節臨に格下げされ、臨時ムーライトも含めて廃止に至ります。

しかし時は流れ若者向けとはいえ特に年齢制限のない青春18きっぷのユーザーも歳を取り、若者は割安な夜行バスに流れて当初の若者向け企画商品としての性格は失われていきます。11年前のエントリーですが、青春18還暦鉄の時点で、既に青春18きっぷの役割は変わり、青春を懐かしむ老いらくの旅の傾向が強まっていました。また同エントリーでも述べましたが、ムーンライト車内での検札でかなりの手間をかけていることや、自動改札化が進んでも磁気券ではないので有人改札に人が列をなすなどJRの現場への負担も大きくなってますし、整備新幹線開業に伴う並行在来線三セク化によるJR路線の分断もあり、ユーザーの使い勝手も悪くなっています。そういう意味で見直しは避けられなかったということはできます。加えてそもそも地方の人口減少で通学生も減って通学列車の余剰輸送力活用という前提も崩れてきています。そしてコロナ禍がJR各社の余力を奪ったことも。

ということで、今回の改変は事実上別の企画商品への変更となりますが、現場負担軽減のための磁気券化というのが一番の狙いでしょう。その結果期間中の任意の日の利用や2人以上の同時利用は制限せざるを得なくなりますし、出発日指定はおそらく磁気定期券のシステムを流用したってことでしょう。それ故に連続使用しかできなくなりますが、割引企画商品のために大規模なシステム改修を行うのは本末転倒ですし、寧ろ3日券という新たな選択肢を用意して購入しやすくする工夫も見られます。そうまでして残したこと自体は評価しておきます。

とはいえやっと磁気券になった段階ですが、栗鼠殺し?木から落ちたサルで取り上げたように、既にJR東日本では磁気券を無くしてQRコード乗車券を導入する検討を始めてますし、またVISAカードで始まったオープンループというNFCタッチ決済システムが関西私鉄や関東でも東急や東京メトロ、一部のバスやタクシーで導入が進み、Felicaシステム前提の全国共通ICカード乗車券から熊本の5事業者が離脱したことは壁は成長する?でも取り上げました。これらの変化を加味して未来の青春18きっぷをイメージできるかというところを考えてみたいのですが、結論から言えばあまり期待できないと考えられます。

JR東日本では半導体不足の影響で相変わらず無記名式Suicaの新規発行を停止中ですが、その代わりにモバイルSuicaを推奨しています。手持ちのスマホでネットで会員登録すれば即利用可能で500円のデポジットも不要で乗車ポイントをカードの場合の200円毎から50円毎と優遇して誘導しています。しかし事実上無記名でのSuica購入はできなくなるということですから、個人情報をJR東日本に預けることになります。それを受け入れたくない人も一定数いる訳ですから、一部利用者の排除となる可能性があります。TOIKAの壁ならぬSuicaの壁という訳ですね。加えてこのニュース。

JR東、スイカ大幅刷新 上限2万円から上げ コード決済 - 日本経済新聞
半導体不足でFelicaチップが入手困難になったこともあり、Suicaをスマホアプリ化して発行コストを下げると共にユーザー情報も取得し、更にJREバンクとも連携して予約、決済、乗車のみならず日常の買い物から旅先の宿泊や食事などまで含め、更に個人信用情報に基づくポストペイシステムまで実装してスーパーアプリ化というところまで見据えていると考えられます。これユーザーから見れば便利かもしれないけど、JR東海のスマートEXが東海道新幹線への利用誘導に使われるような形で、結局技術革新が壁を成長させるジレンマを予感させます。そうなると青春18きっぷなんぞ過去の遺物として排除される未来もあり得ます。草ならぬ壁生えるわwall-AI。

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Saturday, August 03, 2024

波乱の8月

プランBで指摘した日米金融政策の方向性の違いは予想通りでしたが、日米で株価下落が起こり、波乱のスタートとなった8月です。為替も円高へ動き、円安メリットが縮小したことや円安に助けられた日本株の株価押し上げ効果も剥落し、早速日銀の利上げにイチャモンですが、直接的にはには無関係です。そもそも今年年初は130円前後で、150円を割った今の水準は3月の日銀YCC終了時の水準とほぼ同じです。日経平均4万円台もこのときにつけました。今回の下落は別の原因です。

そもそもは米半導体大手インテルの業績不振とそれに伴う1,5万人規模の人員削減が発表され、半導体を中心としたテック株が売り込まれたことがきっかけですが、突然喰らうド障害の混乱や生成AIブームに陰りが見えてきたこともあります。加えて米雇用統計が予想を下回り、米景気にマイナス面が見えてきたことで、9月FOMCで利下げはほぼ確実視されながら、金利低下の恩恵を受ける筈のテック企業に逆風が吹き始めたってことです。AIバブルが弾けたと言っても良いでしょう。ムーアの法則で半導体業界牽引してきたインテルですが、微細化の壁に突き当たりました。先を行く台湾TSMCや韓国サムスンも手詰まりなのは同じで、寧ろ米中デカップリングで販路を狭められています。

米景気に関しては既に悪化しているという分析もありまして、実際インフレで賃上げが追い付かず実質賃金が下落する場面もありましたが、インフレの鎮静化で追いついてきたとはいえ、逆に企業の負担は増す訳ですし、堅調と言われる国内消費も、コロナ給付金の大盤振る舞いで支えられていただけで、家計の余剰資金は底を尽きつつあり、低価格品に消費がシフトしているとも言われます。加えてもしトラで低金利、減税、高関税、規制緩和なんぞしようものならインフレ再燃は避けられず、米経済も失速を余儀なくされるでしょう。中国の減速もあり外需依存の強い今の日本で株価が下がるのは当たり前です。そんな中で気になるニュースです。

JR東日本、Suica販売停止1年 ガラパゴス仕様で半導体作れず - 日本経済新聞
一時半導体不足から販売停止に追い込まれたSuicaとPASMOですが、半導体供給が増えて半導体市況を悪化させているにも拘らず、Felica用半導体はSuica販売停止を受けてメーカーの撤退が相次ぎ、今は1社のみとなっている現状です。一方で地方向けICカード乗車券やnanacoやWAONなどの流通系カードは販売されているのですが、販売量の違いから、十分な在庫がないと安定販売が出来ないということで販売開始に踏み切れず、そのためにメーカーの増産が難しいというジレンマに陥っております。故にインバウンド客へのSuica提供ができずに取りこぼしている訳です。

突然喰らうド障害エントリーで取り上げた国際規格のOpenLoopの台頭を許すことになりかねず、JR東日本にとっては頭の痛い問題です。そもそもは香港のオクトパスカードに始まったFelica系カードですが、ソニーが経営再建途上でEDYをNTTに売り、更に楽天に転売して袋小路に迷い込んだ結果、国際化を果たせず、量産効果によるコストダウンも実現できずということで、シャープやエルピーダメモリやジャパンディスプレイなど死屍累々の山を築いた日本企業の失敗の歴史をなぞっているとも言えます。折角香港で普及しているんだから中国や東南アジアで仲間を増やすことは出来た筈です。Felicaカードなら経済安全保障面でストップがかかる心配もないですし、寧ろ中国企業の参入でコストダウンしてたかも。

という訳で、こんな日本企業には円安でもなければ海外勢は見向きもしないという現実を認識できないで日銀に恨み言言っても始まりません。政府もTSMCやラピダスに補助金突っ込むよりもはるかに安上がりなFelicaチップ増産助けてやれよ。別のニュースです。

敦賀原発2号機不合格へ、日本原子力発電の経営に影響 大手電力負担重く - 日本経済新聞
福島の事故後発電停止された13年間、電力供給契約を結ぶ電力5社から基本料金として1.4兆円を受け取って黒字経営という日本原電ですが、東海第2は不祥事続きで地元同意が得られず、敦賀第2は活断層で審査停止で、流石に電力各社も契約見直しに動きそうということですが、再エネ賦課金が明細に記載されている一方、こちらの拠出金は明細には記載されておりません。同様に奉加帖方式で各電力会社に割り振られている福島の廃炉費用も明示されておりません。当然国民はその分高い電気料金を負担している訳です。

実際は太陽光を中心に再エネ電力が猛暑の夏の需要をカバーしていて電力不足は起きていません。AI普及田将来電力需要が増すとも言われますが、そのAIブームが著作権やフェイク問題などで規制が検討され、また電力消費で温暖化を促進するリスクも言われ、見直しでAIブームが踊り場にあるのは上述のとおりです。つまりAIで人類滅亡を早めるかもという微妙な問題がある訳です。

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Sunday, July 21, 2024

突然喰らうド障害

世界を揺るがしたシステム障害がありました。

世界の大規模システム障害、復旧へ 米国など影響なお - 日本経済新聞
世界中Windows系OSシステムで障害が起きて航空鵜予約システムや店舗のPOSレジなどが使えなくなり、復旧は進んでますが、未だ障害が続いているところもあるということです。原因はWindowsクラウド向けのクラウドストライク社製セキュリティソフトの19日未明の一斉更新にバグがあり、修正版が配布されたものの、ユーザー側で補正作業が必要なため、復旧に時間がかかったとされております。しかし同じシステムベンダー製予約システムを用いながら、JAL系のジェットスタージャパンで障害が起きた一方ANA系は障害なしとか不可解なこともあり、本当の原因はわかっておりません。

みずほのシステム障害とか、最近では三菱UFJ銀行の障害などもありますが、銀行の勘定系などはメイフレーム時代にCobolという言語で記述された基幹業務システムで、Cobolが使えるエンジニアの退職で年々メンテナンスが負担になっている一方でFintechでAPI公開とかやっていて、システムが複雑になり過ぎた面があります。故にセキュリティ面は強固なんですが、メンテナンスコストは高くなり、維持が難しくなっている面があります。

一方でクラウドはネット上で仮想的に複数のサーバーを束ねて処理する分散型で、ユーザーから見ればセキュリティも含めて使用料を支払って使うという意味で初期投資もランニングコストも安価ということで普及し、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどの大手が注力してユーザーを増やしてきました。ユーザーから見れば自社システムの維持費やセキュリティ費用を気にせずシステム構築できて、最新のセキュリティ環境が提供されるから安全性も高いという触れ込みでしたか、今回は裏目に出ました。

ふと思い出したのが木から落ちたサルで取り上げたJR東日本のSuicaシステムのクラウド移行ですが、各駅にステーションコントローラーを置いて分散処理することで処理速度を高める自前の分散処理システムをクラウド上の仮想センターサーバーに移行するという話題です。コスト削減になる一方、処理速度の問題は残る訳ですが、5Gなど通信環境の進化で遅延が縮小していることや計画中のQRコード乗車券システム導入との整合性を考えると正常進化とは言えるかもしれません。但し今回のようなトラブルに巻き込まれるリスクはある訳ですが。

その一方で楽天銀行との提携でJREバンクと呼ばれるBaaS事業への参入もあり、QRコード乗車券の決済をJREバンクの口座を使うとすれば、寧ろSuicaシステムの存在理由が希薄化する可能性もありますし、下手するとハウスカードのVIEWカードも楽天カードに置き換えられる可能性もあります。現時点でVIEWカードがJR東日本の経営資源としての貢献度がいかほどかはわかりませんが、JR東日本の金融事業が楽天グループと接近することは避けられないでしょう。そしてそれは別の面でSuicaの将来を左右します。

栗鼠殺し?で取り上げたオープンループが国内でも徐々に拡大しており、大手私鉄では南海電気鉄道がいち早く導入したほか、東急が続き、その他地方の公営交通やバスを中心に導入が続いております。特に東急ではVISA限定ではなく他社カードも受け入れておりますが、それに関連するかどうかわかりませんが、こんなニュースもあります。

VISAに公正取引委員会が立ち入り検査 他社の信用システム使用制限か - 日本経済新聞
東急のケースが該当するかどうかはわかりまっせんが、VISA以外のカード会社もVISAのシステムが使用されているとすると、VISAへの手数料の支払いが発生する訳で、独禁法違反の恐れがあるということになります。特にインバウンド需要の取り込みで外国人の利用が見込まれるオープンループでVISAが優越的地位を乱用したと見られれば、他社カードの相乗りが進んで結果的に楽天カードが相乗りとなると、ますますSuicaの存在意義は薄れます。今後は見通しにくいですが、ソニーのFelicaシステムが国際規格のNFCに置き換わることを意味します。ソニーとJR東日本がタッグを組んでEDYとSuicaが一本化されて導入コストを下げることが出来ていればまた違ったのでしょうが、日本企業発の規格が国際規格に駆逐されてまたひとつ日本の敗戦確定です。そういやEDYも楽天が買ったけど放置されております。何故こうなる?

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