スポーツ

Sunday, June 28, 2026

ポピュリズムの招待

EVMJ製の万博EVバス150台*1と府内自治体の自動運転バス向け40台の計190台が減損処理されました*2。万博のほろ苦い後始末です。加えて南河内地区で予定されていた自動運転バスは日野のディーゼルバスで行うことになりました*3。有権者の歓心を買って票につなげることしか頭にない維新の雑な政策運営がもたらしたトラブルです。しかしそれに引っかかる有権者ってのもどうなんだか。

マルクスが面白いことを言っていて、同じように貧困の淵にあっても賃労働に雇われた労働者と雇われていない物乞いなどの違いとして、後者は簡単にブルジョワジーに買収されてプロレタリアートに敵対する存在というう意味で「ルンペンプロレタリアート」と呼びました。団結を台無しにする存在として警戒したわけです。同様のことは日本の吉本隆明が大衆について述べたことと通底します。大衆は保守的で目先の利害しか見ないからインテリがいくらアジっても動かず、彼らが動くのは自らの生存に危険が迫った時だけということです。例えば右派インテリの三島由紀夫の檄に反応して武装蜂起しなかった自衛隊員という構図です。

マルクスはまた公娼制度についてもプロレタリアートを懐柔する娯楽と指摘します。娯楽の少なかった初期資本主義社会ではセックスの娯楽としての意味は大きく、故に所謂貧乏人の子沢山で世代を超えた労働力の再生産も安定していましたが、逆に扶養人口の増加は貧困をもたらすので、生殖から切り離されたセックスの必要性もあった訳です。但し資本主義の進化の過程で映画やテレビなどの娯楽が登場してそちらに関心が移ることで、公娼制度のニーズは低下します。更に進めばアイドルやアニメなど作り物のバーチャルな娯楽が登場して消費者としての個人に分断が進みますから、生殖を伴うセックスのようなメンドクサイ娯楽はむしろ敬遠されます。少子化は必然と言えます。

そうなると労働力の補充ができなくなって徐々に経済成長を押し下げますから、資本家が上前を撥ねるのが難しくなります。だから欧米では早くから移民で労働力を増やす政策が採られました。最初は主に植民地住民の本国への移転だったものが、戦後植民地の独立後も移転を受け入れ続けた結果、移民による労働力の補充が続きました。故に移民の多くは旧植民地から旧宗主国へという流れが主流でした。しかし日本は戦前は同じ帝国臣民と言いながら、戦後朝鮮半島出身者などを国民とは認めず、所謂在日問題となっています。だから原因は戦後の日本政府が作ったもので、彼らへの差別は全く正当性がありません。

やや遠回りしましたが、嫌韓嫌中やクルド人問題などのヘイトクライムも娯楽化していることが問題ですが、インフレに苦しむ国民の関心を逸らす意味はあります。国民をシカトして*4やりたいことしかやらないうましか宰相*5が下がったとはいえ高支持率なのも、政治が娯楽化した結果です。文春砲の中傷動画問題はそんな現実を暴いています。しかしその裏で日本の国富は食われています*6。5500億ドルの対米投資で国際協力銀行(JBIC)とメガバンクの協調融資で手当てされますが、メガバンクが音を上げています。ドル建て融資となるけどドル預金は少なく、市場で調達すれば円安が進みますます調達困難になるから難易度は上がります。対策として日銀のドル供給オペや外為特会活用などが言われてますが、日銀オペは経済ショックなどに備えたものだし、外為特会活用は米国債売却につながるとアメリカを刺激するしで打つ手なし。限られた民間銀行の融資余力を減らせば国内を含む民間投資を阻害するしで、基本的に打つ手はありません。てことでアメリカに貢ぐ姿勢は相変わらずですが。

銀行の融資余力の減少は金利上昇を通じて公共投資も民間投資も下押ししますから、政府が掲げる戦略17分野の成長戦略も動かすのが困難です。日銀利上げで銀行は日銀当座預金の超過準備に1%の利子がつく一方、預金金利は1年定期でも0.4%とかって水準ですから、融資余力を拡大するには預金集めが重要ですが、「貯蓄から預金へ」の掛け声で新NISAに家計貯蓄が流れてますから預金獲得のハードルも高くなってます。てことでカネ余りなのに銀行がピーピーいっているという摩訶不思議。まともな経済政策とは程遠い現状です。前エントリーで取り上げた阪急のなにわ筋連絡線や新大阪連絡線も着手できるかどうか。

また阪急の計画の前提のなにわ筋線にも異変が起きています*7。幹となるなにわ筋線の事業費が倍増しています。三セクおおさか高速鉄道が府と市に3200億円の追加出資を要請したものです。大阪府は泉北高速鉄道の売却益で、大阪市は市営地下鉄と市営バスの民営化で手当てした資金では足りず*8、追加出資をすることになるわけですが、万博で見せた泥縄*9は維新しぐさかい!尚、五輪、万博、ワールドカップなどの国際イベントも娯楽として消費されますし、ナショナリズムを鼓舞するから支配層にはおいしい話になります。また副首都や都構想も大阪人の首都東京へのナイーブな対抗心をくすぐり票につなげてます。

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Saturday, May 30, 2026

AIするチャッピー

運転再開*1。結局PC買い替えましたが、ソフトとデータの移行に手間取っています。AIが仕事を奪う未来とは異なるニュースですが、一部でそう見られているの草*2。巨人阿部監督が長女に暴行し、長女がChotGPTに相談して児童相談所に連絡し、それを受けて児相が警察に通報し、暴行罪容疑で現行犯逮捕されたということです。5時間の取り調べの後魁皇されており事件化されませんでしたが、有名人ということで話題になりました。

先に申し上げておきますが、誰であれ暴力は許されません。特に家庭内暴力でも特に父親による配偶者や子に対する暴力は、往々にして被害者が口を閉じたりむしろ父親を擁護したりもします。扶養関係で経済的な依存がある場合は特にそうです。その意味で直ちに警察へ通報した児相の判断は正しいし、すぐに動いた警察も正しい対応です。記者会見で代理人弁護士が代読した長女の手紙と称する文書を代読して、その中で長女が「大ごとになって反省している」とあることにも表れてます。この手紙も本物かどうかもわかりませんし、仮に本物でも当事者間の親書を公開の場で読み上げることの違和感もあります。結果的に長女はSNS上でバッシングされてます。結局加害者の阿部元監督は釈明のために長女をダシにしてますし、しかも謝罪相手は迷惑をかけた球団と関係者やファンに対してのものです。ますは長女に謝れ!

当然ながら仕事を失ったのは加害者本人の問題であってAIのせいじゃない。しかし若い年代ほど悩みや困りごとをAIに尋ねることもまた確かで、ChatGPTをチャッピーの愛称で呼んだりしていて、それだけ相談できる頼りになる大人が身近にいないってことなんでしょう。声のデカいオヤジには尻のすわりの悪い話かもしれませんが、AIに仕事を奪われるのは高学歴文系事務職などの労働代替の話です。でも高学歴文系事務職はブルシットジョブをシレっと編み出したりします。例えばAIの未来を吹聴したりAIの使い方やプロンプト作法とか有象無象が早速表れてます。わからないことをカネで解決しようとすればこうなるわけで、管理部門が肥大化して価値創造の現場が搾取される資本主義社会の宿痾です。

一方で株式市場はAI一色で、AIの物語*3に深く反応してます。ニューヨークのみならず東響も高値更新です*4。10社程度の半導体関連企業が相場を押し上げており、その他の一般株は下げているものも多数という状況です。そして取引高も更新されていて、海外勢による買いが集まっています。これは」ニューヨークの相場が上がりすぎたことによるリスク分散の意味もありますが、AI関連が牽引する構図は同じです。イノベーションで異次元の効率化による生産性向上の思惑からAI関連に資金が集まりやすい状況ながら、同時にAI相場への疑問もあり一進一退のボラティリティの高い相場となっています。ボラティリティの高さには別の要因もありますが*5。AIを用いた株式投資が増えて、AIは合理的に同じ判断をして相場を動かすから動きが大きくなるという弊害をもたらします。元々市場は参加者の異なった思惑が交差する中で相場が形成されるものですが、AIはそんな無駄なことはしないからこうなる訳で、AIは実は市場経済と相性が悪いんです。これ内緒^_^;。

AIの」危険性を示したアンソロピックですが,システムの脆弱性発見の能力の高さが悪用の危険を示唆するのは確かでも、限定ユーザーにしか公開されないから実態はわからず、寧ろ米トランプ政権との対立を解消した上で持論のAI規制を飲ませる狙いがあった可能性はあります。実際時価総額ではオープンAIを超えています。いずれにしてもソースコード非公開なので検証の手段はありません。実はAIの一番の問題はここれでしょう。若者が依存するように、ユーザーを依存させて囲い込み、データで丸裸にして心地よい消費を促すデジタルペットとして飼われる存在になります。まるで家畜人ヤプーのディストピアです。

てことで最後にやや野球ネタ。新秋津の連絡船を介した観光列車直通で提携するjr東日本年と西武HDですが*6、TELと秩父のほか狭山のベルーナドームや東海道線の小田原もターゲットとか。小田原は伊豆箱根鉄道のバスの拠点でもあり、小田急と箱根山の因縁はあるものの、今は和解して共同企画キップを売り出す関係ですが、セパ交流戦で西武がヤクルトに2勝1分けは勝ちすぎ?国鉄由来のスワローズをやっつけちゃったけど提携関係大丈夫かwwww。車両はラ・ビュー登場で秩父特急から退いたニューレッドアロー10000系ということで小田原では小田急ロマンスカーとの並びが実現するかもしれません。

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Sunday, August 03, 2025

温暖化の加速

辞めない石破首相の続投の理由の一つが南海トラフ地震などの天然災害の発生の可能誌で政治空白を作るべきでないと。そしたらカムチャツカ半島東岸の海溝型地震と広範囲の津波警報/注意報が起きました*1。石破さん、あんた預言者かい?旧約聖書のノアの箱舟やモーゼの出エジプト記など天然災害のメタファーと見られる記述があり、神の試練と預言者の救済という共通したモチーフがあります。

新約聖書の福音書でマタイ伝だったと思いますが、ゴルゴタの丘に連行されたイエス・キリストと同時に処刑される筈の大盗賊の2人の内1人を赦免するとしたらどちらか?とローマ市民に対して役人が問い、市民は盗賊の罷免を求めました。何人も殺した物獲りの盗賊の所業は市民の日常感覚を拡張して理解可能なのに対して、訳の分からん戯言を述べる預言者は理解不能だったということです。裏金議員の方が理解しやすいのか?そんな盗賊の視点でキリストの復活劇を描いたのがスウェーデンのノーベル賞作家ラーゲルクビストの小説「バラバ」で岩波書店から邦訳が出ていましたが、今手に入るかどうかはわかりません。刑を逃れたものの何か空疎な感覚に支配された主人公の心象風景が描かれています。

それはさておき津波警報で東海道線など鉄道やバスの運休や海水浴場の閉鎖などで行き場を失った人が多数出て、鎌倉市では市役所や市会議場を避難者に開放するなどの対応を取りました*2。鎌倉市では市役所の深沢地区(旧国鉄大船工場跡地)への移転計画が市議会の反対でとん挫しましたが、移転して解体し再開発工事してたら対応できなかった訳で、多くの人を助けました。

警報発出時に外出していましたが、一山越えた安全な場所にいたこともあり、スーパーで買い物して自宅へ戻ろうとしたら待てど暮らせどバスは来ない。そのうちバス停に人が集まり収集がつかない中で、ウェブのバスナビで確認したら東海道線以南の路線は全面運休ということで、仕方なく炎天下徒歩で帰宅しましたが、途中のバス停でバスを待つ人がいたのでバスが動いていないことを話し、また鎌倉駅方面は現状がわからないから急いで戻らない方が良いといった話をしながら、暑さを凌ぐ木陰を辿りながら歩きました。緑の多い自宅周辺の環境に助けられました。警報が出ていてもパニックにならなかったのは東日本大震災などの経験が活きたとも言えます。逆に忘れた頃の天災は恐ろしいという裏腹な関係は意識すべきです。

炎天下の避難で熱中症で倒れた人も出ていて、避難の難しさも同時に意識せざるを得ないなど課題もあります。そして今年の夏の暑さは異常というレベルでもあります。体温を越えた気温と共に、特に日本近海の海水温の上昇で湿度が高い状況が続いています*3。つまり大気中の水蒸気量が増えている訳ですが、水蒸気はCO2以上の温室効果ガスです。但し上昇気流に乗って断熱膨張で放射冷却すれば結露して雲になり太陽の輻射熱を遮りますし、雨になれば地面も冷やすから通常ならば温室効果は限定的ですが、太平洋高気圧とチベット高気圧の2つの高気圧の影響で上昇気流は起きにくく、ただ暑く湿った状態が維持される訳です。そして湿度が高いと発汗による体温調整も働きにくくなりますから、原発や半導体やバッテリーと同様*4人間の能力も低下します。つまり生産性が低下する訳です。社会人も夏休みが必要ですね。暑さは農業などにもマイナスです*5。

そしてもう一つ不都合なのは、脱炭素の切り札とされる水素発電やFCVは水蒸気を発生させますから、湿度を高めて温室効果を助長します。グリーン水素の調達コストも高く、水素社会は当てにしない方が良いでしょう。同様につなぎとしてのアンモニア発電もコスト面で壁にぶち当たってますし、炭素固定(CCS)というやはりコストに課題のある技術とセットで推進されてます。当面はコストのこなれてきた太陽光を中心に再エネ活用を探る方が良さそうです。霞が関の官僚たちも考え改めてほしいですが、地下鉄霞ヶ関駅がサウナ状態という悲報です*6。日本の未来は絶望か?

その一方で神宮外苑その他の再開発で樹木の伐採が進んでいて*7、涼をとれる木陰が減っています。加えて東京都は路面温度を下げる遮熱舗装事業を行ってますが、これが逆に照り返しで気温を上げていることが報告されてます*8。翌年にズレた2020東京五輪の暑さ対策でマラソン協議を札幌で開催することになったものの、サッポロも猛暑の予報があり、マラソンコースを遮熱舗装したのですが、その時のデータを解析したら、確かに路面温度は下がったものの、照り返しによる気温の上昇が認められ、熱中症対策としてはむしろ逆効果というエビデンスです。当然子供やペットの犬への影響は大きいし、最近男性も使う日傘も無意味というものなんですが、何故か東京都は遮熱舗装を推進しています。本当は都市緑地や街路樹の整備による木陰の創出こそが求められるのですが、都民を殺しにかかってる?

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Saturday, July 05, 2025

TIXY選挙の後始末

ティックトック、インスタグラム、エックス、ユーチューブを略してTIXYと呼ぶそうですが、SNSのショートムービー拡散機能を選挙活動に利用して、一方的な断定調の主張を有権者に届けるTIXY選挙が物議を醸しているのは都知事選の石丸現象*1や兵庫県の斎藤知事再選*2に留まらず、高齢者バッシング*3や年収の壁問題*4や氷河期世代煽ったり*5外国人の社会保険タダ乗りのフェイク*6などで支持を伸ばす国民民主党*7の躍進はSNSの拡散力によるものです。AIで見た目を整えることも容易になり、N党、れいわ、参政党などもSNS拡散を取り入れており、街頭演説中心の既存政党と異なった選挙戦術で自らを目立たせようとしてます。

その結果見た目のウケ狙いが目立つようになり、例えば野党各党が揃って消費税減税に言及し、与党の自公も給付金で対抗するという*8眩暈のする状況です。いずれもインフレ対策として打ち出してますが、総需要を賄える供給力が衰えた中での財政出動はインフレ要因になるだけで無意味です*9。税収の上振れが喧伝されますが、インフレの影響である以上、時差を伴って国債金利の上昇による国債の利払い費増が迫る中で、上振れ分は国庫に戻して国債発行の圧縮に使うべきものです。特に長期債の金利上昇は顕著で*10、低金利時代に増えた長期債をこれ以上増やせず、短期債で凌ぐしかない状況です。その結果国債に借換えが増えて借換え時の入札で決まる金利の上昇の影響を長期間受けることになります。つまり現役世代や将来世代へのツケ回しが膨張することになります。こうした財政の仕組みを知れば高齢者バッシングは無意味だし消費税減税や給付金も問題だと理解できるでしょう。

TIXY選挙で報道姿勢が批判された所謂オールドメディアがインフレ対策を「最大の争点」と報じるのですが、経済学上の常識としてインフレはマクロ経済現象であり、対策は日銀の利上げと財政出動の縮小による総需要抑制策しかないことぐらいきちんと指摘して欲しいです。逆にこの点を曖昧にしたままの選挙戦ではまともな結果が出るとも思えません。実際都議選では自民公明の議席は減ったものの都民ファーストが伸びて小池知事与党は盤石という結果になりました。自民党は都連の裏金問題で票を減らした模様ですが、都ファに票が流れたんじゃ意味がないです。寧ろ都の開発行政の不透明さは温存されて地価は上がる一方で家賃も上昇してもはや地方の若者を受け入れる余地は減ってます。

週刊東洋経済2025年6/21号の第二特集で東京の湾岸副都心を取り上げております*12。既に公募も取りやめ東京ドーム4個分の都有地が宙に浮いています。臨海副都心の開発は主に三菱地所が手掛けてきたのですが、1996年予定の都市博の中止*13で狂いが生じたものです。ご存じ青島幸雄氏が都市博中止を掲げて都知事選に立候補して当選し、逡巡はあったようですが民意を尊重して都市博中止を実行しました。規模としては開催中の大阪関西万博を上回る大規模博覧会を起爆剤に開発に弾みをつけようとしたようです。これ古くは1940年の幻の東京五輪と東京万博を想定して晴海展示場が整備されたものの戦争で中止した流れと同じですが、どのみちバブル崩壊で博覧会どころじゃなかったでしょう。とはいえ都有地の造成費用は支払われている訳で、税金で負担されていることは指摘しておきます。

しかし東京都は諦めず石原知事時代の東京五輪招致で競技施設を湾岸に集め、1964年の国立競技場その他の既存施設と連携したコンパクト五輪を構想するも選に漏れ、その後紆余曲折の果てに2020年東京五輪として招致されたものの、再利用される筈の国立競技場が建て替えられ*14、震災復興もそっちのけで容積率変更の既成事実づくりで強行され*15、コロナ禍で無観客になったり、事後的に五輪を巡る不正が明らかになったりしながら、新国立競技場を露払いにして神宮外苑の再開発が進んでいるのは周知のとおりです*16。つまり未利用の都有地を放置して風致地区指定の民有地の再開発を進める都の異常な開発行政です。そして神宮外苑の地権者には三井不動産や神社本庁が名を連ね、隣接地の伊藤忠本社ビル建て替えに伴う空中権売買まで行われております。都が造成費用を負担した臨海副都心は放置され、民間の大口地権者の利益誘導を図った訳です。しかも神宮外苑は都心の貴重な森で、都市部のヒートアイランド現象による気温上昇を抑える役割もあるのにお構いなし。熱中症で倒れる人が増えても知らん顔ってことです*17。こうした開発行政に信任を与えたことになる訳で、森喜朗元総理と萩生田光一議員が差配したことも明らかですが*18、元々流動人口が多く選挙への関心が低い東京都議選ではこうなってしまう訳です。ある意味TIXY選挙がやり易いと言えますが、参院選ではどうなるでしょうか。

それでも流石に臨海副都心の都有地は何とかしたいから8号北上線(豊住線)*19や臨海地下鉄*20でアクセスに弱点のある臨海副都心のアクセス改善を狙っているんでしょうけど、神宮外苑に留まらずそこここで再開発ガシガシ進めている中で意味あんのかってのが正直なところです。加えて再開発を阻むもろもろの要素も顕在化しております。この点は別項にて取り上げたいと思います。

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Sunday, June 02, 2024

終わらない後始末

アベノミクスの後始末関連で幾つか。小林製薬紅麹サプリの健康被害で青かびによるプベルル酸原因説の蓋然性が高まり、紅麹培養過程で青かびが混入したらしいということで、小林製薬の衛生管理に問題があったのは間違いないですが、それに留まらず健康成分を凝縮したサプリメントで規制の緩い特定保健用食品というところに違和感があります。規制の緩さ故にメーカーのモニタリングが甘くなった可能性は指摘できます。特に健康成分を濃縮したサプリメントは過剰接収の弊害が見落とされがちで、この面からの運用見直しは必要です。そしてリニア問題で注目の静岡県知事選。

静岡県新知事に鈴木氏、「県中・東部でも仕事で信頼」 知事選2024 - 日本経済新聞
川勝氏の後継と目された鈴木氏の当選は順当で与野党対決の構図よりもリニア静岡工区の着工問題が注目されました。鈴木氏自身はリニア推進を掲げていますが7割は反対とされる県民のリニア着工を巡る世論もあり、選挙期間中に微妙に態度を変えています。そしてこのニュースがかなり影響したようです。
リニアトンネル工事で井戸水位低下か 岐阜県瑞浪市で14カ所 - 日本経済新聞
大井川だけじゃなかった水問題ですが、実は山梨実験線の建設段階から井戸の枯渇などはいくつも発生していたものの、金丸信氏の鶴の一声で決まった経緯からか政治的にナイーブな問題としてあまり報道されませんでしたし、トンネルの多いリニアのルート故に静岡県以外でも当然起こりうる問題ですが、おそらく大口広告主としてのJR東海への忖度や当事者への個別補償で表に出なかったりだったのでしょう。しかしリニアにメリットのない静岡県故に大井川の水問題は抑えられず、またJR東海は水を全量戻すと言いながらトンネル工事が終わってからと当事者の神経を逆なでしてきたことで県民感情を悪化させてきました。そして川勝知事の突然の辞職を受けての静岡県知事選というタイミングでの報道ですが、開業時期が見通せないリニアの神通力が働かなくなったのでしょう。当然ながら鈴木新知事もJR東海に説明を求めています。

国策で進められているリニア事業が地方からストップがかかる構図はこれだけじゃなく、例えば佐賀県玄海町の核廃棄物最終処分場候補地の文献調査問題で山口知事が待ったをかけたりとか、辺野古の新基地建設を巡る沖縄県玉城知事の対応とか、国の動きに待ったをかけるという意味で地方首長選びは重要です。そんな中で都知事選への蓮舫氏の出馬表明がありました。五輪霧中などで繰り返し指摘してきた不正だらけの神宮外苑再開発が止められるかもしれません。そして国連も後押しします。

神宮外苑再開発「中止を」 ユネスコ諮問機関が会見 - 日本経済新聞
「文化遺産の不可逆的な破壊だ」というのは、元々明治天皇崩御を受けて地権者や国民の寄進で成立したメモリアルパークとしての神宮外苑の性格を踏まえたもので、私的所有を制限して成立した文化遺産を商業的に再開発することへの批判です。五輪関連の疑惑や不祥事は他にもいろいろありますが、とりあえず神宮外苑の再開発が止められるなら蓮舫氏だろってことですね。五輪の後始末も大事です。

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Saturday, April 13, 2024

採らぬ狸の戦争の配当

インボイス始めましたで取り上げたMLB大谷選手の通訳水原氏の供述で大谷選手の賭博関与疑惑は晴れました。疑惑の大谷選手の口座取引も水原氏のなりすましというシンプルなもので、アメリカでは銀行口座開設も面倒ですから水原氏が代理で手続きして銀行からの問い合わせにもなりすまして答えていたという訳です。水原氏はギャンブル依存症を拗らせていて、大選手の専属通訳となってある意味金づるを掴んだ結果深みにはまったと見られます。故にギャンブル依存症治療のカウンセリングを受ける条件で保釈されましたが、欧米ではこれが普通のこと。インフレは続くよどこまでもの大川原化工機冤罪事件のような人質司法がまかり通る日本の常識とは違います。てことでこのニュースにツッコミます。

岸田文雄首相とバイデン米大統領の日米首脳会談・共同記者会見の要旨 - 日本経済新聞
日米同盟強化で在日米軍と自衛隊の指揮・統制の枠組み見直しということですが、アメリカの本音はは明らかです。ウクライナでロシアの攻勢にさらされイスラエルの暴走で中東も問題を抱えて動けない米軍に代わって台湾有事よろしくってことですね。朝鮮半島有事で朝鮮国連軍の名目を持つ在韓米軍に韓国軍が指揮・統制される枠組みに準じて台湾有事には自衛隊が対処する枠組みです。

とはいえ朝鮮半島と台湾では国際法上の枠組みが異なります。朝鮮戦争は現在休戦中ですが、元々国連憲章に基づく国連軍による紛争解決という枠組みで北朝鮮の侵攻を食い止め押し返したものですが、当時常任理事国のソビエトが票決を棄権した結果拒否権発動無しに西側諸国が参戦したものですが、休戦と共に各国は軍を引き揚げて米軍だけが残ったものです。

故に韓国軍は安保理決議に基づく指揮・統制権の制限を受け続けており、韓国では主に革新派がこの点を問題視していた訳で、文在寅政権で南北融和が模索され朝鮮半島終結に向かったのはこうした背景があります。尚、国連憲章で敗戦国の日本は敵国条項を盾に国連軍への協力を義務付けられており、朝鮮戦争当時は存在しなかった海上自衛隊代わりに海上保安庁が機雷掃海に駆り出されて誤爆による死者も出ています。戦争放棄の戦後日本でも戦死者が出た訳です。

一方の台湾ですが、元々国民党政府と共産党の内戦の結果敗走した国民党が台湾に逃れて臨時政府を台北に置いたことが始まりで、国連決議によって台湾問題は中国の国内問題とする所謂1つの中国論が国際的な合意事項になり安保理常任理事国も北京政府に譲ることになったものです。よく「台湾は親日的」と言われますが、国共内戦で敗走した外省人の国民党政府が独裁体制を敷いて台湾の内省人を抑圧したことから、清朝、日本政府、国民党政府と圧政を受け続けたことから、近代化が進んだ日本統治時代が相対的にマシに見えたというのが本当のところです。

ちなみに南シナ海の領有権問題のそもそもの発端は、WW1後の戦後処理で日本が島嶼部を国際連盟委任統治領としてリン鉱石採掘などの経済活動も行われていました。当時の日本政府は便宜上台湾統監府の所属としたことから、上述の1つの中国の原則に則って中国が領有権を主張しているもので、日本の台湾統治時代の落とし物です。という訳でやり方には問題がありますが、中国の主張も一応法の支配に則った国際法の枠組みに適います。

つまり国際法上は内戦扱いとなる中台紛争にどう対応するかという法的枠組みは未定ですから、アメリカとしては可能な限り台湾の防衛力強化の協力はするけれど、いざというときの対処法は決まっていない訳です。加えて実際に米軍を動かすには議会の承認が要りますが、ウクライナへの腰の引けた対応に見るように議会が賛成するとは限りません。それでも小競り合いから紛争に巻き込まれる可能性はありますが、その時には日本の自衛隊のせいにしてバックレることも可能です。アメリカだって核保有国の中国と事を構えたいわけではありませんから。

実際ウクライナでは体勢を立て直しつつあるロシアに対してウクライナは劣勢です。というのも米議会共和党のウクライナ支援への消極姿勢もありますが、それ以上に冷戦終結に伴う平和の配当でアメリカが国防費を削減した結果、軍産複合体と言われたアメリカの兵器産業も生産縮小を余儀なくされていたところでのウクライナ戦争ですから、アメリカも兵器の在庫が枯渇しつつあり、これ以上の支援は難しくなっています。そこでじゃあ日本で兵器作りましょうってのが武器輸出三原則の見直しであり日英伊の兵器共同開発でありということで、それに関連してライセンス生産の急所となるセキュリティ対策としてのセキュリティクリアランス法ですね。自民裏金問題の裏ですんなり通っちゃいました。

ロシア側から見ても兵器産業が集積するウクライナの独立はロシアにとっては痛手で、その意味で取り返したかったけど、当初の目論見と違って予想以上のウクライナの反撃で後退を余儀なくされました。故にロシアも国内の兵器製造能力を落としている訳ですが、それを補っているのが北朝鮮でありイランでありという訳です。一方で西側諸国で唯一平和の配当と無縁だったのがイスラエルで、ウクライナ戦争で潤っている西側でほぼ唯一の国です。

他方ロシアは近年石油や天然ガスなどの資源輸出で経済を回してきた訳ですが、それ故にウクライナ侵攻でも石油や天然ガスを止めれば欧米は困るだろうという読みがありましたが、実はガザ沖の有望な海底ガス田があることが英企業の調査で判明し、これを利用すれば現在ライフラインをイスラエルに依存するパレスチナ自治政府にとっては自前のエネルギー源を持って経済自立して独立というシナリオが可能になる訳ですが、イスラエルはこれを徹底的に邪魔し続けてますし、それどころか海底ガス田の利権を我が物にすらしようと狙っている訳で、そうなるとガザへの容赦のない攻撃の意図が別にあることが疑われます。ハマスのせん滅のみならずガザの住民を追い出してイスラエルの実効支配を確立したい訳です。資源国イスラエルとなれば国際的な発言力は増します。またアメリカのみならずロシアの資源禁輸で苦しんだ欧州でもあてにする国が出てきている訳です。

一方で欧米の国民はイスラエルの暴走に怒っていて反イスラエルデモが起こり、特に大統領選を控えるアメリカにとっては支持者離れを防ぐ意味からイスラエルに自制を求めるようになりますが、そうするとアメリカの支援が離れないようにイスラエルはシリアのイラン公館を空爆してイランを巻き込み、アメリカが関与せざるを得ないようにしようとしています。親イランと言われるイエメンフーシ派による船舶攻撃でスエズ運河の利用が困難になり米海軍が艦船を排煙して抑え込もうとしているように、イランが絡めば米軍が動くことを狙ったものです。

世界の紛争地帯の多くがこうして線で繋がる訳で、兵器産業にとってはまたとないビジネスチャンスですが、一般国民の経済厚生の向上に寄与するものではありません。ある意味冷戦終結によるグローバル化の進捗は平和の配当の具現化という側面は確実にあった訳で、例えば米国防総省ARPAnetが一般公開されてインターネットが始まり、それがネットコンピューティングと連携してIT革命が起きたし、先進国に追いつけなかった途上国が新興工業国として台頭することを助けました。その典型が中国です。という訳で中国の台湾進攻は現時点ではほぼ無いと見て間違いないでしょう。

アメリカも自国の兵器産業を増強することなく兵器を手に入れてライセンス料は取り、連邦予算はインフラ投資法やIRA法で民生部門の国内投資を促進して「大砲よりバター」路線なのに日本は真逆を行っている訳です。アメリカは大喜びですが、こうしたバイデン政権の政策が成果を上げているとは言い難く、例えばボルティモア港の橋落下事故のようにインフラの老朽化、脆弱化は止まりません。そして平和の配当としてのネットにも暗雲が漂います。

規制の緩さで巨大化した大手IT企業への規制が議論されてますが、既にアップルやグーグルはやり玉に挙げられています。一方ネット企業には中国の影が忍び寄ります。TikTokは議会が問題視して規制法が作られてますが、一方で格安ECサイトのTEMUが凄い勢いでユーザーを増やしてアマゾンを凌駕する勢いです。実は中国企業なんですが、巧みにそれを隠し、インフレによる割高感も手伝って安さで攻めています。人種差別にナイーブなアメリカでは経営者が中国人というだけでは規制できず、中国企業としての実態が問われる訳ですが、その中国では国営企業優先で民間企業が苦しんでいる中で、アメリカ市場への参入意欲は高い状況です。加えて中国資金による米企業への投資までは規制のしようがありません。気が付けばオーナーは中国人という事態は進むでしょう。

まあこの点は日本ではもっと愚かな政策が進んでいます。NTT法改正で外国人株主の制限が解除されます。つまり中国人も買える訳ですが、通信インフラを売り渡してそのお金で兵器を買って中国抑止ってどこまで愚かなのか-_-;。震災復興予算に使うことが法律で定められた東京メトロの株式上場も、国の保有分が復興に使われるかどうかは要注意です。何故ならば予算の余剰分や税収の上振れ分を防衛費に充てる防衛予算確保法が成立しており、わざと余らせて防衛費に回すことが可能になります。株高で懸案だった東京メトロの株式上場が進むのは良いのですが、能登半島地震の対応でも見られるように、災害復興予算をケチって防衛費に回すって典型的な「バターより大砲」の愚策です。そんな愚かな日本の捕らぬ狸の皮算用は如何に?

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Saturday, March 23, 2024

インボイス始めました

確定申告が終わって一息つきました。やはりというか、物価上昇の影響で経費が膨張して課税所得は激減です。インフレが憎い-_-;。また昨年10月1日付で適格請求書発行事業者に登録されて消費税の納税義務も負いましたから、所得税と消費税の2回の確定申告となりました。消費税に関しては1-9月の非課税事業者期間と10-12月の課税事業者期間があって区分経理で仕分けがメンド臭かったけれど、インボイスの電子帳票保存などは経過措置で紙で良いということになりましたので、当面紙で対応して電帳対応はゆっくりやればよいということで助かってます。

とはいえインボイス対応は零細企業や個人事業主の事務負担を高めたことも確かで、自民党の裏金問題に厳しい目を向けられるのはタイミングですね。昨年末の発覚時は安倍派中心でその影響力を受ける岸田政権にとってはチャンスでもあったのですが、他派へ波及し、特に岸田派の会計責任者の訴追で捨て身の派閥解散でサプライズを演出するも、世論の逆風が収まらなかったのは確定申告の時期に当たったこともあるでしょう。好事魔多しですね。

米ドジャースの大谷選手の専属通訳水原氏の事件は意外でしたが、野球も賭博対象となるアメリカでプロ選手が違法賭博に関わったってのは、本人の関与の有無に関わらず重大事件になります。ドジャース移籍でプロアスリート世界最高年俸を得て結婚し、公私にわたって絶好調だっただけに痛いところです。日本の国税庁にあたる内国歳入庁(IRS)とFBIが捜査に動き、MLBも本人から聴取するということで最悪身柄拘束もあり得ます。

てなことに関係なく円安株高は続きます。日銀政策決定会合の後で米FOMCで利下げ示唆があって米国株が値上がりした流れで日本株も上げてますが、日銀はマイナス金利解除でも緩和的と言いFRBは利下げするけどまだ先と言い、結局枠組みは変わらないということで安心してくださいで指摘した通りの展開です。但し日本株はともかく米株はバブルの水準ですから、この相場がいつまでも持続する訳ではありません。外国人相場の日本株もいつ資金が引き上げられるかはわかりません。円安相場では利益確定の売り逃げで終わると見るべきでしょう。

てことで特に新NISA出で株始めた人は要注意。損切りで売却損が出た場合、普通口座や特定口座なら確定申告で配当所得との損益通算ができますし、本業が低所得なら総合課税を選ぶことで配当控除が使えます。非課税のNISA口座ではできません。また配当所得は年20万円以下は課税免除となります。故に非課税だからといった理由ではなく、自分に合った投資スタイルを見つけることが大事です。基本的に資金力の乏しい個人投資家は株を長く持って配当を受け取ったり株主優待を受けたりしてメリットを得るといった狙いで良いでしょう。その意味では明らかに高値の現状で株を仕込むのは悪手でお勧めできません。

あと蛇足的ニュース。

国際機関の拠出金、当初予算で未確保 円安が外交に影 - 日本経済新聞
当初予算の想定為替レートを超える円安で拠出額が不足してしまい、補正予算でカバーすることが検討されています。つまり税金の一部が海外へ流出することになる訳で、その分政府支出を圧迫し行政サービスを低下させる訳ですね。こうなるとただでさえ遅れが指摘される能登半島の復興が進まなくなるでしょう。それでいて武器購入や五厘や万博には景気良く税金を投入するのですから救われません。特に自衛隊の出動を怒らせたりボランティアの現地入り自粛を求めたりと疑問だらけの対応ばかりで政府によるプッシュ型支援打ち切りとかひどいことばかりです。

そんな中で被害の大きかったのと鉄道の能登中島―穴水間が4月6日に復旧し全線運行されるのは朗報です。ボランティアの現地入りもやり易くなります。但し未だに宿泊場所がないから、例えば金沢などからの通いで対応となり移動時間分だけ作業時間が圧迫される訳です。当然ながら観光客を受け入れる余裕はありません。その一方で北陸新幹線敦賀延伸開業で観光客を呼び込もうとしているなど、政府や県の対応はチグハグです。そもそも自衛隊の災害復旧というのは前線補給のロジスティクス能力の活用な訳で、それがうまくいっていないのは実際の戦闘能力に疑義があるってことでもあります。これで国を守れるのか?

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Sunday, December 24, 2023

諸人こぞりて苦しむイブ

ユニコーンの馬脚で取り上げたライドシェア解禁の枠組みが決まりました。

「ライドシェア」24年4月に限定解禁 全面導入に業界抵抗 - 日本経済新聞
DX推進に前のめりな政府にタクシー業界が巻き返した形ですが、タクシー不足の地域や時間帯を限定して2種免許を所持しない一般ドライバーの参入をタクシー会社の管理下で認めるというもので、事業主体はあくまでもタクシー会社で、ドライバーへの指導や事故時の保険対応をタクシー会社が担いアプリ会社の参入は見送りという落としどころとなりました。関連して2種免許の要件緩和も盛り込まれており、カーナビ使用前提で地理学習を簡素化するということですね。この点は寧ろ見直しの契機となったという意味で、ライドシェア導入の議論自体は無意味ではなかったということでもあります。正—反―合の弁証法的展開です。

議論によって問題解決を図ることで、賛成反対の双方に納得感のある解決策を見出すことこそが民主主義のエッセンスです。結果的に決まったことへの事後的な反発が抑えられる訳で、議論を行うプロセス自体は時間がかかりますが、決定後はスムーズに事が運ぶ訳です。ところが民主国家を名乗り選挙制度などを備えた国でも議論をないがしろにして多数決の結果だけを押し通すのは民主主義と言えるのかどうか微妙です。例えばロシアも選挙制度は整ってますが、プーチン大統領の一存でウクライナ侵攻を決めるようなことが起きる訳です。見かけと中身が一致していない訳です。

安倍派裏金、事務総長の権限重点 地検が幹部聴取で捜査 - 日本経済新聞
翻って派閥裏金問題で揺れる日本の政界ですが、キックバック分を議員個人の政治資金収支報告書に記載しなかったことが違反行為として問われているものの、制度上責任を問われるのは会計責任者であって、指示や共謀などを示す物的証拠がない限り議員個人への訴求はできないという結構なザル法です。

今回は派閥パーティということで、資金管理団体としての派閥の運営で、事務総長の議員の権限が問題の中心にあります。つまり事務方に責任押し付けて議員はお咎めなしとはいかない構造がある訳です。キックバックを受けた個々の議員の会計責任者も派閥から不記載で問題なしと言われれば従うでしょうし、それが派閥の事務総長から発せられたものとすれば事務総長を務める議員はアウトになる訳です。但し検察がどこまで証拠を固められるかは尚不明です。またかように資金管理団体が多重化されていて実態を掴みにくいことも立件を難しくしています。

一方キックバックされた裏金が何に使われたかによっては選挙時の買収など公職選挙法違反にも問われますから、各議員は気が気ではないでしょう。また収支報告書不記載の時点で政治資金から外れてる為、議員個人の雑所得として申告納税されていない限り、脱税の責めも負う可能性があります。これは国税当局の守備範囲ですから直ぐにって話ではないですが、落ち着かない議員さん多数でしょう。あと余談ですが、パーティ券を購入した企業や個人でも欠席ならば寄付と見做され上限はありますが所得控除の対象となりますが、出席して飲食など対価を得た場合は交際費で課税となります。企業にとっても税務上面倒なことですが、メリットあるから受け入れているのでしょう。

仮に選挙時の買収で票を買っていたとすれば、選挙制度自体が空洞化し、多数の暴力で物事が決められて、強引に進められるということも起こり得ます。例えばオリガルヒの叛乱で取り上げた電動キックボードの解禁の議論で審議会での慎重論を無視して自民党MaaS議連が強引に決めたりした訳です。しかも国会論戦もそこそこに党議拘束で与党議員は中身を精査せずに賛成に回りますから、実態は少数派の力業で通したということですね。権威主義国家とどこが違うのかということになります。上記エントリーの北陸新幹線大阪延伸でJR西日本の言い分のみで、問題の多い小浜京都ルートに調査費をねじ込んだ与党新幹線プロジェクトチームの横暴もあります。

とまあ言い出したらきりがないですが、東京五輪や関西万博などさまざまな意思決定過程が歪められてきたことは間違いありません。主権者としての国民の自覚のなさが招いた事態ではありますが。最後にこれ。

トラック、高速道路で速度90キロ容認 - 日本経済新聞
電動キックボードでは慎重姿勢だった警察庁がトラックドライバー2024年問題対策として高速道路の大型トラックの制限速度を現行の80㎞/hから90km/hに緩和するというものですが、トラック輸送で何がボトルネックかといえば荷捌きと待機時間なんですよね。大型トラックは荷積みも荷降ろしも時間がかかりますし、そもそも荷捌き場への入場待ちで待機させられる時間が長く、ちょっとスピードアップしたからといって解消するものではありません。安全面を考えれば期間と区間を限定した社会実験で確認してから行うべきで来年4月の実施は拙速です。2024年問題対策の特効薬はありません。もっと早くから対応すべきでした。国民不在は至る所にあります。

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Sunday, September 17, 2023

国際問題になった東京五輪の落とし物

東京五輪の落とし物の続きですが、ユネスコの諮問機関のNGOイコモスから神宮外苑の再開発撤回が要求されました。

神宮外苑再開発、イコモスが撤回要求 事業者や東京都に:日本経済新聞
富士山をはじめ世界遺産登録でお世話になったイコモスからの撤回要求ですから、スルーはできないでしょう。

おさらいですが、神宮外苑は明治天皇の崩御を悼む日本国民の寄進によって実現したもので、国民にとっては倒幕で維新、開化を実現させた偉い人程度の認識でしょうけど、広く国民から敬われていた存在でした。そんな国民の声を踏まえて当時の政府は開発制限で地権者の権利を制限する風致地区を制度化してその指定第1号としました。その結果緑地の保全や建設物の高さ制限が課されており、神宮球場や秩父宮ラグビー場、国立競技場などのスポーツ施設もその規制の範囲内で作られたものでした。

Undoしたい大草原wwwの小さな森のザハ案撤回騒動を覚えている人は多いと思いますが、あまり報じられておりませんが、当初旧国立競技場を改修して使うとしていた五輪招致がいつの間にか新国立競技場建設となり、旧国立競技場はあれよあれよと解体されて、工事の難易度が高いザハ案が撤回されたものの、同じ規模の隈研吾案に落ち着いたというアレですね。

実は事前に神宮外苑エリアの高さ制限緩和の都市計画変更が行われていて、謂わば新国立競技場はその露払いで、故にあの規模の新競技場が必要だったってことです。お陰でキャパが大きすぎてレンタル料も高く稼働率スカスカのお荷物になった訳ですが、高さ制限緩和で高層ビル建設が可能になれば。商業施設を誘致して高額のテナント料が稼げますから、少数の民間地権者を利する訳です。

実際三井不動産が高層ビル建設を表明してますし、一方で高層化を快く思わない明治神宮に対しては高さ制限緩和で生み出された容積率の過剰分を隣接する伊藤忠商事に譲渡して譲渡益を得ることで黙らせるという具合に実に悪知恵の詰まった再開発計画です。立案したのは萩生田光一議員で五輪招致委員長の森喜朗が後押ししたものです。ちなみに五輪汚職で招致委員などの刑事訴追がされてますが、萩生田光一も森喜朗もお咎めなしで単なるガス抜きですね。

こういう事情があるので、コロナ禍で1年延期してしかも無観客でも、五輪をやらないわけにはいかなかったし、その裏でこうした悪事が進行していたけど、スポーツを餌にメディアも沈黙していたしで、結局国民の知らないところで進んだ再開発計画というところもイコモスも問題視しています。五輪をダシにした再開発が問われます。

イコモスに関しては世界胃酸でとろける文化散財万歳で取り上げた軍艦島の世界遺産登録で英文の説明に韓国がクレームをつけたことで揉めたこともありましたが、一応日本の主張に沿った決着を見ております。その意味でイコモスからのクレームへの対応は難しいところがあります。

国際ルールを盾に政府の姿勢を正当化する姿勢はALPS処理水海洋放出でIAEAを利用したりしてますが、IOCも利用されただけってことで、国際ルールの都合の良いチェリーピッキングということが言えます。国も都も対応を誤れば国際世論を敵に回すことになりかねません。どうなるでしょうか。

一方五輪汚職で電通の指名停止もあって工程管理がグダグダになっている大阪万博ですが、怪運国債市場の蓋で述べたように工事が進まずいよいよ開催が危ぶまれてます。しかも夢洲の地盤沈下で土壌改良が追い付かないってはて、これ辺野古と同じような状況で土壌改良しないとパビリオン建設も困難ですし、建設資材の搬入路は橋とトンネルが1ずつですし電気もガスも水道も無いからトイレも浄化槽が必要と何だかウンコ臭い現状です。地下鉄中央線の公示も滞っております。

こうして見ると維新のザル頭ぶりが目につきます。所詮底の浅い小悪党で関西財界も腰が引けてます。政府が乗り出してゼネコンへの協力要請をしたりしてますが、図面すら開示されない工事を請負うことはできません。結局政府と大阪府/大阪市の責任のなすり合いになりそうですね。なにわ無くとも江戸村先五輪ですよで示唆したように、どこか間抜けな維新です。まあ阪神のアレで浮かれとりゃええわい。フランチャイズを失うヤクルトの優勝は遠のくでしょうから、留飲を下げられます。

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Saturday, April 29, 2023

東京五輪の落とし物

ジングウ・ファミリアでケチがついた新国立競技場は二転三転、Undoしたい大草原wwwの小さな森で森元首相が黒幕で五輪の目的は都市計画変更による神宮の森の再開発だったことも五輪霧中で指摘しました。ザックリ言えば日本初の風致地区指定で開発が制限されていた神宮外苑ですが、一部国有地はあるものの私有地に開発制限をかけることに対する地権者の不満はくすぶっていて、都もそれに応えるべく密かに再開発計画を作っていたものです。二転三転はあったものの、思惑通り再開発にこぎ着けた現在です。

「神宮外苑を、未来につないでいく。」神宮外園地区まちづくりの広告に大竹が一ツッコミ「大きな木切って、小さい木を植えますって本数かい!」:文化放送
利権のふえる訳ワカメちゃんでも取り上げましたが、故坂本龍一氏が都知事に宛てた手紙が話題になり、イチョウ並木の伐採などで反対運動が拡大中で、大手新聞のカラー一面広告を出して火消しに走った訳ですが、大手紙にこのサイズのカラー広告を出せる金銭的湯裕があるところを見せつけて、暗に記事掲載停止を示唆するメディア報道への圧力でもあります。実際殆どのメディアでは取り上げておりません。

それに伴って神宮球場や秩父宮ラグビー場などの建て替えや高層ビルや商業ビル建設も言われておりますが、これだけの大規模開発を都民の同意を得ずに密かに進めたことが問題です。ザハ案で揺れた新国立競技場のドタバタも、高さ制限解除の口実だったということですね。しかも制限解除に伴って容積率も緩和されますが、容積率の余剰の所謂空中権転売によって、近隣の伊藤忠本社ビルの建て替えで伊藤忠から代金が支払われるというおまけつき。試算では1,300億円ぐらいと言われます。故に一部で言われる神宮の森の維持費で明治神宮も大変なんだという説も大ウソってことです。

という訳で、五輪のレガシーは金まみれで、しかも新国立競技場のように使用料が高すぎて稼働率が低迷して赤字垂れ流しですが、再開発に群がった利権屋はそんなことお構いなしに自分たちだけで儲けて山分けの世界です。しかも政権与党に圧力をかける神社本庁のような宗教団体を利する形で旧統一教会問題で関心を集める政治と宗教の不適切な関係をもたらしている訳です。ツケは国民に回ります。

レガシーというのも憚られるこんな落とし物だらけの五輪で国民は不幸です。金満五輪のレガシーとしては選手村を改装して売り出された晴海フラッグの問題もありますが、こちらは地場相場より安い売り出し価格故に売れ行き好調ですが、1人で多数の区分を購入する明らかな富裕層の投資と思われるものが多く、相場に見合う利益を上乗せして転売されることは確実です。ここでも五輪は食い物にされてます。

そして地味ながら五輪には間に合わなかった東京BRTという落とし物もあります。元々五輪前に開通予定だった環状2号線を専用連接バスで運行する計画で、現時点では陸の孤島となっている晴海フラッグの住民輸送及び豊洲市場など湾岸と都心を結ぶ新交通として計画され、当初国産FCV連接バスを予定していたものの、車両開発も間に合わず、とりあえず対車体型の国産FCVバスのトヨタSORAと、いすゞのHEV連接バスが用意され、五輪期間中の選手輸送に活用した後に公募の運行事業者に運行委託ということで、京成バスが選ばれ東京BRTという別会社を設立してとりあえずプレ運行中です。ルートは現状3路線です。

幹線ルート:’(虎ノ門ヒルズバスターミナル)―新橋⋯東京テレポート
晴海ルート:虎ノ門ヒルズバスターミナルー晴海BRTー豊洲市場(ミチノテラス豊洲)
勝どきルート:新橋―勝どきBRT
勝どきルートは他の2ルートと完全に重複しておりますが、おそらく本格運行時に晴海フラッグに乗り入れると共に、東京駅延伸の含みもあるようです。新橋、勝どきBRT、豊洲市場(ミチノテラス豊洲)は乗継停留所に指定されており、ICカード乗車券で最初の乗車から60分以内で乗継成立としており、大人220円、小人110円で一定エリアの面の輸送をサポートしている点が一般路線バスと異なります。

湾岸のマンション地帯故にそれなりに利用されてはいますが、連接バスが必要な程の需要は現時点では見られず、また虎ノ門ヒルズバスターミナルや新橋のバス停がわかりにくいなどの課題もあります。そして豊洲市場に関しては都営バス市01系統が新橋駅前のJR駅前から210円で運行しており、豊洲市場が目的地なら利便性で勝ります。加えて都営バスのICカード90分ルールで他系統との乗継で100円引きの割引が受けられます。

将来はつくばエクスプレスとの直通が示唆される湾岸地下鉄の建設に繋げたいところでしょうけど、現状では地下鉄建設が必要な程の需要はなさそうです。それでも晴海フラッグの資産価値維持のためには強行される可能性があります。何とも重たい五輪の落とし物です。

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