スポーツ

Sunday, June 02, 2024

終わらない後始末

アベノミクスの後始末関連で幾つか。小林製薬紅麹サプリの健康被害で青かびによるプベルル酸原因説の蓋然性が高まり、紅麹培養過程で青かびが混入したらしいということで、小林製薬の衛生管理に問題があったのは間違いないですが、それに留まらず健康成分を凝縮したサプリメントで規制の緩い特定保健用食品というところに違和感があります。規制の緩さ故にメーカーのモニタリングが甘くなった可能性は指摘できます。特に健康成分を濃縮したサプリメントは過剰接収の弊害が見落とされがちで、この面からの運用見直しは必要です。そしてリニア問題で注目の静岡県知事選。

静岡県新知事に鈴木氏、「県中・東部でも仕事で信頼」 知事選2024 - 日本経済新聞
川勝氏の後継と目された鈴木氏の当選は順当で与野党対決の構図よりもリニア静岡工区の着工問題が注目されました。鈴木氏自身はリニア推進を掲げていますが7割は反対とされる県民のリニア着工を巡る世論もあり、選挙期間中に微妙に態度を変えています。そしてこのニュースがかなり影響したようです。
リニアトンネル工事で井戸水位低下か 岐阜県瑞浪市で14カ所 - 日本経済新聞
大井川だけじゃなかった水問題ですが、実は山梨実験線の建設段階から井戸の枯渇などはいくつも発生していたものの、金丸信氏の鶴の一声で決まった経緯からか政治的にナイーブな問題としてあまり報道されませんでしたし、トンネルの多いリニアのルート故に静岡県以外でも当然起こりうる問題ですが、おそらく大口広告主としてのJR東海への忖度や当事者への個別補償で表に出なかったりだったのでしょう。しかしリニアにメリットのない静岡県故に大井川の水問題は抑えられず、またJR東海は水を全量戻すと言いながらトンネル工事が終わってからと当事者の神経を逆なでしてきたことで県民感情を悪化させてきました。そして川勝知事の突然の辞職を受けての静岡県知事選というタイミングでの報道ですが、開業時期が見通せないリニアの神通力が働かなくなったのでしょう。当然ながら鈴木新知事もJR東海に説明を求めています。

国策で進められているリニア事業が地方からストップがかかる構図はこれだけじゃなく、例えば佐賀県玄海町の核廃棄物最終処分場候補地の文献調査問題で山口知事が待ったをかけたりとか、辺野古の新基地建設を巡る沖縄県玉城知事の対応とか、国の動きに待ったをかけるという意味で地方首長選びは重要です。そんな中で都知事選への蓮舫氏の出馬表明がありました。五輪霧中などで繰り返し指摘してきた不正だらけの神宮外苑再開発が止められるかもしれません。そして国連も後押しします。

神宮外苑再開発「中止を」 ユネスコ諮問機関が会見 - 日本経済新聞
「文化遺産の不可逆的な破壊だ」というのは、元々明治天皇崩御を受けて地権者や国民の寄進で成立したメモリアルパークとしての神宮外苑の性格を踏まえたもので、私的所有を制限して成立した文化遺産を商業的に再開発することへの批判です。五輪関連の疑惑や不祥事は他にもいろいろありますが、とりあえず神宮外苑の再開発が止められるなら蓮舫氏だろってことですね。五輪の後始末も大事です。

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Saturday, April 13, 2024

採らぬ狸の戦争の配当

インボイス始めましたで取り上げたMLB大谷選手の通訳水原氏の供述で大谷選手の賭博関与疑惑は晴れました。疑惑の大谷選手の口座取引も水原氏のなりすましというシンプルなもので、アメリカでは銀行口座開設も面倒ですから水原氏が代理で手続きして銀行からの問い合わせにもなりすまして答えていたという訳です。水原氏はギャンブル依存症を拗らせていて、大選手の専属通訳となってある意味金づるを掴んだ結果深みにはまったと見られます。故にギャンブル依存症治療のカウンセリングを受ける条件で保釈されましたが、欧米ではこれが普通のこと。インフレは続くよどこまでもの大川原化工機冤罪事件のような人質司法がまかり通る日本の常識とは違います。てことでこのニュースにツッコミます。

岸田文雄首相とバイデン米大統領の日米首脳会談・共同記者会見の要旨 - 日本経済新聞
日米同盟強化で在日米軍と自衛隊の指揮・統制の枠組み見直しということですが、アメリカの本音はは明らかです。ウクライナでロシアの攻勢にさらされイスラエルの暴走で中東も問題を抱えて動けない米軍に代わって台湾有事よろしくってことですね。朝鮮半島有事で朝鮮国連軍の名目を持つ在韓米軍に韓国軍が指揮・統制される枠組みに準じて台湾有事には自衛隊が対処する枠組みです。

とはいえ朝鮮半島と台湾では国際法上の枠組みが異なります。朝鮮戦争は現在休戦中ですが、元々国連憲章に基づく国連軍による紛争解決という枠組みで北朝鮮の侵攻を食い止め押し返したものですが、当時常任理事国のソビエトが票決を棄権した結果拒否権発動無しに西側諸国が参戦したものですが、休戦と共に各国は群を引き揚げて米軍だけが残ったものです。

故に韓国軍は安保理決議に基づく指揮・統制権の制限を受け続けており、韓国では主に革新派がこの点を問題視していた訳で、文在寅政権で南北融和が模索され朝鮮半島終結に向かったのはこうした背景があります。尚、国連憲章で敗戦国の日本は敵国条項を盾に国連軍への協力を義務付けられており、朝鮮戦争当時は存在しなかった海上自衛隊代わりに海上保安庁が機雷掃海に駆り出されて誤爆による死者も出ています。戦争放棄の戦後日本でも戦死者が出た訳です。

一方の台湾ですが、元々国民党政府と共産党の内戦の結果敗走した国民党が台湾に敗走して臨時政府を台北に置いたことが始まりで、国連決議によって台湾問題は中国の国内問題とする所謂1つの中国論が国際的な合意事項になり安保理常任理事国も北京政府に譲ることになったものです。よく「台湾は親日的」と言われますが、国共内戦で敗走した外省人の国民党政府が独裁体制を敷いて台湾の内省人を抑圧したことから、清朝、日本政府、国民党政府と圧制を受けたことから、近代化が進んだ日本統治時代が相対的にマシに見えるというのが本当のところです。

ちなみに南シナ海の領有権問題のそもそもの発端は、WW1後の戦後処理で日本が島嶼部を国際連盟委任統治領としてリン鉱石採掘などの経済活動も行われていました。当時の日本政府は便宜上台湾統監府の所属としたことから、上述の1つの中国の原則に則って中国が領有権を主張しているもので、日本の台湾統治時代の落とし物です。という訳でやり方には問題がありますが、中国の主張も一応法の支配に則った国際法の枠組みに適います。

つまり国際法上は内戦扱いとなる中台紛争にどう対応するかという法的枠組みは未定ですから、アメリカとしては可能な限り台湾の防衛力強化の協力はするけれど、いざというときの対処法は決まっていない訳です。加えて実際に米軍を動かすには議会の承認が要りますが、ウクライナへの腰の引けた対応に見るように議会が賛成するとは限りません。それでも小競り合いから紛争に巻き込まれる可能性はありますが、その時には日本の自衛隊のせいにしてバックレることも可能です。アメリカだって核保有国の中国と事を構えたいわけではありませんから。

実際ウクライナでは体勢を立て直しつつあるロシアに対してウクライナは劣勢です。というのも米議会共和党のウクライナ支援への消極姿勢もありますが、それ以上に冷戦終結に伴う平和の配当でアメリカが国防費を削減した結果、軍産複合体と言われたアメリカの兵器産業も生産縮小を余儀なくされていたところでのウクライナ戦争ですから、アメリカも兵器の在庫が枯渇しつつあり、これ以上の支援は難しくなっています。そこでじゃあ日本で兵器作りましょうってのが武器輸出三原則の見直しであり日英伊の兵器共同開発でありということで、それに関連してライセンス生産の急所となるセキュリティ対策としてのセキュリティクリアランス法ですね。自民裏金問題の裏ですんなり通っちゃいました。

ロシア側から見ても兵器産業が集積するウクライナの独立はロシアにとっては痛手で、その意味で取り返したかったけど、当初の目論見と違って予想以上のウクライナの反撃で後退を余儀なくされました。故にロシアも国内の兵器製造能力を落としている訳ですが、それを補っているのが北朝鮮でありイランでありという訳です。一方で西側諸国で唯一平和の配当と無縁だったのがイスラエルで、ウクライナ戦争で潤っている西側でほぼ唯一の国です。

他方ロシアは近年石油や天然ガスなどの資源輸出で経済を回してきた訳ですが、それ故にウクライナ侵攻でも石油や天然ガスを止めれば欧米は困るだろうという読みがありましたが、実はガザ沖の有望な海底ガス田があることが英企業の調査で判明し、これを利用すれば現在ライフラインをイスラエルに依存するパレスチナ自治政府にとっては自前のエネルギー源を持って経済自立して独立というシナリオが可能になる訳ですが、イスラエルはこれを徹底的に邪魔し続けてますし、それどころか海底ガス田の利権を我が物にすらしようと狙っている訳で、そうなるとガザへの容赦のない攻撃の意図が別にあることが疑われます。ハマスのせん滅のみならずガザの住民を追い出してイスラエルの実効支配を確立したい訳です。資源国イスラエルとなれば国際的な発言力は増します。またアメリカのみならずロシアの資源禁輸で苦しんだ欧州でもあてにする国が出てきている訳です。

一方で欧米の国民はイスラエルの暴走に怒っていて反イスラエルデモが起こり、特に大統領選を控えるアメリカにとっては支持者離れを防ぐ意味からイスラエルに自制を求めるようになりますが、そうするとアメリカの支援が離れないようにイスラエルはシリアのイラン公館を空爆してイランを巻き込み、アメリカが関与せざるを得ないようにしようとしています。親イランと言われるイエメンフーシ派による船舶攻撃でスエズ運河の利用が困難になり米海軍が艦船を排煙して抑え込もうとしているように、イランが絡めば米軍が動くことを狙ったものです。

世界の紛争地帯の多くがこうして線で繋がる訳で、兵器産業にとってはまたとないビジネスチャンスですが、一般国民の経済厚生の向上に寄与するものではありません。ある意味冷戦終結によるグローバル化の進捗は平和の配当の具現化という側面は確実にあった訳で、例えば米国防総省ARPAnetが一般公開されてインターネットが始まり、それがネットコンピューティングと連携してIT革命が起きたし、先進国に追いつけなかった途上国が新興工業国として台頭することを助けました。その典型が中国です。という訳で中国の台湾進攻は現時点ではほぼ無いと見て間違いないでしょう。

アメリカも自国の兵器産業を増強することなく兵器を手に入れてライセンス料は取り、連邦予算はインフラ投資法やIRA法で民生部門の国内投資を促進して「大砲よりバター」路線なのに日本は真逆を行っている訳です。アメリカは大喜びですが、こうしたバイデン政権の政策が成果を上げているとは言い難く、例えばボルティモア港の橋落下事故のようにインフラの老朽化、脆弱化は止まりません。そして平和の配当としてのネットにも暗雲が漂います。

規制の緩さで巨大化した大手IT企業への規制が議論されてますが、既にアップルやグーグルはやり玉に挙げられています。一方ネット企業には中国の影が忍び寄ります。TikTokは議会が問題視して規制法が作られてますが、一方で格安ECサイトのTEMUが凄い勢いでユーザーを増やしてアマゾンを凌駕する勢いです。実は中国企業なんですが、巧みにそれを隠し、インフレによる割高感も手伝って安さで攻めています。人種差別にナイーブなアメリカでは経営者が中国人というだけでは規制できず、中国企業としての実態が問われる訳ですが、その中国では国営企業優先で民間企業が苦しんでいる中で、アメリカ市場への参入意欲は高い状況です。加えて中国資金による米企業への投資までは規制のしようがありません。気が付けばオーナーは中国人という事態は進むでしょう。

まあこの点は日本ではもっと愚かな政策が進んでいます。NTT法改正で外国人株主の制限が解除されます。つまり中国人も買える訳ですが、通信インフラを売り渡してそのお金で兵器を買って中国抑止ってどこまで愚かなのか-_-;。震災復興予算に使うことが法律で定められた東京メトロの株式上場も、国の保有分が復興に使われるかどうかは要注意です。何故ならば予算の余剰分や税収の上振れ分を防衛費に充てる防衛予算確保法が成立しており、わざと余らせて防衛費に回すことが可能になります。株高で懸案だった東京メトロの株式上場が進むのは良いのですが、能登半島地震の対応でも見られるように、災害復興予算をケチって防衛費に回すって典型的な「バターより大砲」の愚策です。そんな愚かな日本の捕らぬ狸の皮算用は如何に?

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Saturday, March 23, 2024

インボイス始めました

確定申告が終わって一息つきました。やはりというか、物価上昇の影響で経費が膨張して課税所得は激減です。インフレが憎い-_-;。また昨年10月1日付で適格請求書発行事業者に登録されて消費税の納税義務も負いましたから、所得税と消費税の2回の確定申告となりました。消費税に関しては1-9月の非課税事業者期間と10-12月の課税事業者期間があって区分経理で仕分けがメンド臭かったけれど、インボイスの電子帳票保存などは経過措置で紙で良いということになりましたので、当面紙で対応して電帳対応はゆっくりやればよいということで助かってます。

とはいえインボイス対応は零細企業や個人事業主の事務負担を高めたことも確かで、自民党の裏金問題に厳しい目を向けられるのはタイミングですね。昨年末の発覚時は安倍派中心でその影響力を受ける岸田政権にとってはチャンスでもあったのですが、他派へ波及し、特に岸田派の会計責任者の訴追で捨て身の派閥解散でサプライズを演出するも、世論の逆風が収まらなかったのは確定申告の時期に当たったこともあるでしょう。好事魔多しですね。

米ドジャースの大谷選手の専属通訳水原氏の事件は意外でしたが、野球も賭博対象となるアメリカでプロ選手が違法賭博に関わったってのは、本人の関与の有無に関わらず重大事件になります。ドジャース移籍でプロアスリート世界最高年俸を得て結婚し、公私にわたって絶好調だっただけに痛いところです。日本の国税庁にあたる内国歳入庁(IRS)とFBIが捜査に動き、MLBも本人から聴取するということで最悪身柄拘束もあり得ます。

てなことに関係なく円安株高は続きます。日銀政策決定会合の後で米FOMCで利下げ示唆があって米国株が値上がりした流れで日本株も上げてますが、日銀はマイナス金利解除でも緩和的と言いFRBは利下げするけどまだ先と言い、結局枠組みは変わらないということで安心してくださいで指摘した通りの展開です。但し日本株はともかく米株はバブルの水準ですから、この相場がいつまでも持続する訳ではありません。外国人相場の日本株もいつ資金が引き上げられるかはわかりません。円安相場では利益確定の売り逃げで終わると見るべきでしょう。

てことで特に新NISA出で株始めた人は要注意。損切りで売却損が出た場合、普通口座や特定口座なら確定申告で配当所得との損益通算ができますし、本業が低所得なら総合課税を選ぶことで配当控除が使えます。非課税のNISA口座ではできません。また配当所得は年20万円以下は課税免除となります。故に非課税だからといった理由ではなく、自分に合った投資スタイルを見つけることが大事です。基本的に資金力の乏しい個人投資家は株を長く持って配当を受け取ったり株主優待を受けたりしてメリットを得るといった狙いで良いでしょう。その意味では明らかに高値の現状で株を仕込むのは悪手でお勧めできません。

あと蛇足的ニュース。

国際機関の拠出金、当初予算で未確保 円安が外交に影 - 日本経済新聞
当初予算の想定為替レートを超える円安で拠出額が不足してしまい、補正予算でカバーすることが検討されています。つまり税金の一部が海外へ流出することになる訳で、その分政府支出を圧迫し行政サービスを低下させる訳ですね。こうなるとただでさえ遅れが指摘される能登半島の復興が進まなくなるでしょう。それでいて武器購入や五厘や万博には景気良く税金を投入するのですから救われません。特に自衛隊の出動を怒らせたりボランティアの現地入り自粛を求めたりと疑問だらけの対応ばかりで政府によるプッシュ型支援打ち切りとかひどいことばかりです。

そんな中で被害の大きかったのと鉄道の能登中島―穴水間が4月6日に復旧し全線運行されるのは朗報です。ボランティアの現地入りもやり易くなります。但し未だに宿泊場所がないから、例えば金沢などからの通いで対応となり移動時間分だけ作業時間が圧迫される訳です。当然ながら観光客を受け入れる余裕はありません。その一方で北陸新幹線敦賀延伸開業で観光客を呼び込もうとしているなど、政府や県の対応はチグハグです。そもそも自衛隊の災害復旧というのは前線補給のロジスティクス能力の活用な訳で、それがうまくいっていないのは実際の戦闘能力に疑義があるってことでもあります。これで国を守れるのか?

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Sunday, December 24, 2023

諸人こぞりて苦しむイブ

ユニコーンの馬脚で取り上げたライドシェア解禁の枠組みが決まりました。

「ライドシェア」24年4月に限定解禁 全面導入に業界抵抗 - 日本経済新聞
DX推進に前のめりな政府にタクシー業界が巻き返した形ですが、タクシー不足の地域や時間帯を限定して2種免許を所持しない一般ドライバーの参入をタクシー会社の管理下で認めるというもので、事業主体はあくまでもタクシー会社で、ドライバーへの指導や事故時の保険対応をタクシー会社が担いアプリ会社の参入は見送りという落としどころとなりました。関連して2種免許の要件緩和も盛り込まれており、カーナビ使用前提で地理学習を簡素化するということですね。この点は寧ろ見直しの契機となったという意味で、ライドシェア導入の議論自体は無意味ではなかったということでもあります。正—反―合の弁証法的展開です。

議論によって問題解決を図ることで、賛成反対の双方に納得感のある解決策を見出すことこそが民主主義のエッセンスです。結果的に決まったことへの事後的な反発が抑えられる訳で、議論を行うプロセス自体は時間がかかりますが、決定後はスムーズに事が運ぶ訳です。ところが民主国家を名乗り選挙制度などを備えた国でも議論をないがしろにして多数決の結果だけを押し通すのは民主主義と言えるのかどうか微妙です。例えばロシアも選挙制度は整ってますが、プーチン大統領の一存でウクライナ侵攻を決めるようなことが起きる訳です。見かけと中身が一致していない訳です。

安倍派裏金、事務総長の権限重点 地検が幹部聴取で捜査 - 日本経済新聞
翻って派閥裏金問題で揺れる日本の政界ですが、キックバック分を議員個人の政治資金収支報告書に記載しなかったことが違反行為として問われているものの、制度上責任を問われるのは会計責任者であって、指示や共謀などを示す物的証拠がない限り議員個人への訴求はできないという結構なザル法です。

今回は派閥パーティということで、資金管理団体としての派閥の運営で、事務総長の議員の権限が問題の中心にあります。つまり事務方に責任押し付けて議員はお咎めなしとはいかない構造がある訳です。キックバックを受けた個々の議員の会計責任者も派閥から不記載で問題なしと言われれば従うでしょうし、それが派閥の事務総長から発せられたものとすれば事務総長を務める議員はアウトになる訳です。但し検察がどこまで証拠を固められるかは尚不明です。またかように資金管理団体が多重化されていて実態を掴みにくいことも立件を難しくしています。

一方キックバックされた裏金が何に使われたかによっては選挙時の買収など公職選挙法違反にも問われますから、各議員は気が気ではないでしょう。また収支報告書不記載の時点で政治資金から外れてる為、議員個人の雑所得として申告納税されていない限り、脱税の責めも負う可能性があります。これは国税当局の守備範囲ですから直ぐにって話ではないですが、落ち着かない議員さん多数でしょう。あと余談ですが、パーティ券を購入した企業や個人でも欠席ならば寄付と見做され上限はありますが所得控除の対象となりますが、出席して飲食など対価を得た場合は交際費で課税となります。企業にとっても税務上面倒なことですが、メリットあるから受け入れているのでしょう。

仮に選挙時の買収で票を買っていたとすれば、選挙制度自体が空洞化し、多数の暴力で物事が決められて、強引に進められるということも起こり得ます。例えばオリガルヒの叛乱で取り上げた電動キックボードの解禁の議論で審議会での慎重論を無視して自民党MaaS議連が強引に決めたりした訳です。しかも国会論戦もそこそこに党議拘束で与党議員は中身を精査せずに賛成に回りますから、実態は少数派の力業で通したということですね。権威主義国家とどこが違うのかということになります。上記エントリーの北陸新幹線大阪延伸でJR西日本の言い分のみで、問題の多い小浜京都ルートに調査費をねじ込んだ与党新幹線プロジェクトチームの横暴もあります。

とまあ言い出したらきりがないですが、東京五輪や関西万博などさまざまな意思決定過程が歪められてきたことは間違いありません。主権者としての国民の自覚のなさが招いた事態ではありますが。最後にこれ。

トラック、高速道路で速度90キロ容認 - 日本経済新聞
電動キックボードでは慎重姿勢だった警察庁がトラックドライバー2024年問題対策として高速道路の大型トラックの制限速度を現行の80㎞/hから90km/hに緩和するというものですが、トラック輸送で何がボトルネックかといえば荷捌きと待機時間なんですよね。大型トラックは荷積みも荷降ろしも時間がかかりますし、そもそも荷捌き場への入場待ちで待機させられる時間が長く、ちょっとスピードアップしたからといって解消するものではありません。安全面を考えれば期間と区間を限定した社会実験で確認してから行うべきで来年4月の実施は拙速です。2024年問題対策の特効薬はありません。もっと早くから対応すべきでした。国民不在は至る所にあります。

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Sunday, September 17, 2023

国際問題になった東京五輪の落とし物

東京五輪の落とし物の続きですが、ユネスコの諮問機関のNGOイコモスから神宮外苑の再開発撤回が要求されました。

神宮外苑再開発、イコモスが撤回要求 事業者や東京都に:日本経済新聞
富士山をはじめ世界遺産登録でお世話になったイコモスからの撤回要求ですから、スルーはできないでしょう。

おさらいですが、神宮外苑は明治天皇の崩御を悼む日本国民の寄進によって実現したもので、国民にとっては倒幕で維新、開化を実現させた偉い人程度の認識でしょうけど、広く国民から敬われていた存在でした。そんな国民の声を踏まえて当時の政府は開発制限で地権者の権利を制限する風致地区を制度化してその指定第1号としました。その結果緑地の保全や建設物の高さ制限が課されており、神宮球場や秩父宮ラグビー場、国立競技場などのスポーツ施設もその規制の範囲内で作られたものでした。

Undoしたい大草原wwwの小さな森のザハ案撤回騒動を覚えている人は多いと思いますが、あまり報じられておりませんが、当初旧国立競技場を改修して使うとしていた五輪招致がいつの間にか新国立競技場建設となり、旧国立競技場はあれよあれよと解体されて、工事の難易度が高いザハ案が撤回されたものの、同じ規模の隈研吾案に落ち着いたというアレですね。

実は事前に神宮外苑エリアの高さ制限緩和の都市計画変更が行われていて、謂わば新国立競技場はその露払いで、故にあの規模の新競技場が必要だったってことです。お陰でキャパが大きすぎてレンタル料も高く稼働率スカスカのお荷物になった訳ですが、高さ制限緩和で高層ビル建設が可能になれば。商業施設を誘致して高額のテナント料が稼げますから、少数の民間地権者を利する訳です。

実際三井不動産が高層ビル建設を表明してますし、一方で高層化を快く思わない明治神宮に対しては高さ制限緩和で生み出された容積率の過剰分を隣接する伊藤忠商事に譲渡して譲渡益を得ることで黙らせるという具合に実に悪知恵の詰まった再開発計画です。立案したのは萩生田光一議員で五輪招致委員長の森喜朗が後押ししたものです。ちなみに五輪汚職で招致委員などの刑事訴追がされてますが、萩生田光一も森喜朗もお咎めなしで単なるガス抜きですね。

こういう事情があるので、コロナ禍で1年延期してしかも無観客でも、五輪をやらないわけにはいかなかったし、その裏でこうした悪事が進行していたけど、スポーツを餌にメディアも沈黙していたしで、結局国民の知らないところで進んだ再開発計画というところもイコモスも問題視しています。五輪をダシにした再開発が問われます。

イコモスに関しては世界胃酸でとろける文化散財万歳で取り上げた軍艦島の世界遺産登録で英文の説明に韓国がクレームをつけたことで揉めたこともありましたが、一応日本の主張に沿った決着を見ております。その意味でイコモスからのクレームへの対応は難しいところがあります。

国際ルールを盾に政府の姿勢を正当化する姿勢はALPS処理水海洋放出でIAEAを利用したりしてますが、IOCも利用されただけってことで、国際ルールの都合の良いチェリーピッキングということが言えます。国も都も対応を誤れば国際世論を敵に回すことになりかねません。どうなるでしょうか。

一方五輪汚職で電通の指名停止もあって工程管理がグダグダになっている大阪万博ですが、怪運国債市場の蓋で述べたように工事が進まずいよいよ開催が危ぶまれてます。しかも夢洲の地盤沈下で土壌改良が追い付かないってはて、これ辺野古と同じような状況で土壌改良しないとパビリオン建設も困難ですし、建設資材の搬入路は橋とトンネルが1ずつですし電気もガスも水道も無いからトイレも浄化槽が必要と何だかウンコ臭い現状です。地下鉄中央線の公示も滞っております。

こうして見ると維新のザル頭ぶりが目につきます。所詮底の浅い小悪党で関西財界も腰が引けてます。政府が乗り出してゼネコンへの協力要請をしたりしてますが、図面すら開示されない工事を請負うことはできません。結局政府と大阪府/大阪市の責任のなすり合いになりそうですね。なにわ無くとも江戸村先五輪ですよで示唆したように、どこか間抜けな維新です。まあ阪神のアレで浮かれとりゃええわい。フランチャイズを失うヤクルトの優勝は遠のくでしょうから、留飲を下げられます。

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Saturday, April 29, 2023

東京五輪の落とし物

ジングウ・ファミリアでケチがついた新国立競技場は二転三転、Undoしたい大草原wwwの小さな森で森元首相が黒幕で五輪の目的は都市計画変更による神宮の森の再開発だったことも五輪霧中で指摘しました。ザックリ言えば日本初の風致地区指定で開発が制限されていた神宮外苑ですが、一部国有地はあるものの私有地に開発制限をかけることに対する地権者の不満はくすぶっていて、都もそれに応えるべく密かに再開発計画を作っていたものです。二転三転はあったものの、思惑通り再開発にこぎ着けた現在です。

「神宮外苑を、未来につないでいく。」神宮外園地区まちづくりの広告に大竹が一ツッコミ「大きな木切って、小さい木を植えますって本数かい!」:文化放送
利権のふえる訳ワカメちゃんでも取り上げましたが、故坂本龍一氏が都知事に宛てた手紙が話題になり、イチョウ並木の伐採などで反対運動が拡大中で、大手新聞のカラー一面広告を出して火消しに走った訳ですが、大手紙にこのサイズのカラー広告を出せる金銭的湯裕があるところを見せつけて、暗に記事掲載停止を示唆するメディア報道への圧力でもあります。実際殆どのメディアでは取り上げておりません。

それに伴って神宮球場や秩父宮ラグビー場などの建て替えや高層ビルや商業ビル建設も言われておりますが、これだけの大規模開発を都民の同意を得ずに密かに進めたことが問題です。ザハ案で揺れた新国立競技場のドタバタも、高さ制限解除の口実だったということですね。しかも制限解除に伴って容積率も緩和されますが、容積率の余剰の所謂空中権転売によって、近隣の伊藤忠本社ビルの建て替えで伊藤忠から代金が支払われるというおまけつき。試算では1,300億円ぐらいと言われます。故に一部で言われる神宮の森の維持費で明治神宮も大変なんだという説も大ウソってことです。

という訳で、五輪のレガシーは金まみれで、しかも新国立競技場のように使用料が高すぎて稼働率が低迷して赤字垂れ流しですが、再開発に群がった利権屋はそんなことお構いなしに自分たちだけで儲けて山分けの世界です。しかも政権与党に圧力をかける神社本庁のような宗教団体を利する形で旧統一教会問題で関心を集める政治と宗教の不適切な関係をもたらしている訳です。ツケは国民に回ります。

レガシーというのも憚られるこんな落とし物だらけの五輪で国民は不幸です。金満五輪のレガシーとしては選手村を改装して売り出された晴海フラッグの問題もありますが、こちらは地場相場より安い売り出し価格故に売れ行き好調ですが、1人で多数の区分を購入する明らかな富裕層の投資と思われるものが多く、相場に見合う利益を上乗せして転売されることは確実です。ここでも五輪は食い物にされてます。

そして地味ながら五輪には間に合わなかった東京BRTという落とし物もあります。元々五輪前に開通予定だった環状2号線を専用連接バスで運行する計画で、現時点では陸の孤島となっている晴海フラッグの住民輸送及び豊洲市場など湾岸と都心を結ぶ新交通として計画され、当初国産FCV連接バスを予定していたものの、車両開発も間に合わず、とりあえず対車体型の国産FCVバスのトヨタSORAと、いすゞのHEV連接バスが用意され、五輪期間中の選手輸送に活用した後に公募の運行事業者に運行委託ということで、京成バスが選ばれ東京BRTという別会社を設立してとりあえずプレ運行中です。ルートは現状3路線です。

幹線ルート:’(虎ノ門ヒルズバスターミナル)―新橋⋯東京テレポート
晴海ルート:虎ノ門ヒルズバスターミナルー晴海BRTー豊洲市場(ミチノテラス豊洲)
勝どきルート:新橋―勝どきBRT
勝どきルートは他の2ルートと完全に重複しておりますが、おそらく本格運行時に晴海フラッグに乗り入れると共に、東京駅延伸の含みもあるようです。新橋、勝どきBRT、豊洲市場(ミチノテラス豊洲)は乗継停留所に指定されており、ICカード乗車券で最初の乗車から60分以内で乗継成立としており、大人220円、小人110円で一定エリアの面の輸送をサポートしている点が一般路線バスと異なります。

湾岸のマンション地帯故にそれなりに利用されてはいますが、連接バスが必要な程の需要は現時点では見られず、また虎ノ門ヒルズバスターミナルや新橋のバス停がわかりにくいなどの課題もあります。そして豊洲市場に関しては都営バス市01系統が新橋駅前のJR駅前から210円で運行しており、豊洲市場が目的地なら利便性で勝ります。加えて都営バスのICカード90分ルールで他系統との乗継で100円引きの割引が受けられます。

将来はつくばエクスプレスとの直通が示唆される湾岸地下鉄の建設に繋げたいところでしょうけど、現状では地下鉄建設が必要な程の需要はなさそうです。それでも晴海フラッグの資産価値維持のためには強行される可能性があります。何とも重たい五輪の落とし物です。

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Sunday, April 02, 2023

怪運国債米国債と欧州劣つ後-!

ウンコクサイ話は日本だけじゃなかった。金融危機は核より怖いで取り上げたSVBにしろクレディ・スイスにしろアメリカとスイスの当局の迅速な対応でとりあえず沈静化してますが、これで終わりとはならない危機の種は残っています。

SVBは預金の膨張に合わせて米国債や不動産担保証券(MBS)など「安全資産」とされる債券投資を増やした結果の破綻なんですが、低金利下で発行された債券ですから、金利上昇に伴う含み損の問題は抱えていた訳で、その為に引当金を積むなどのリスク対応を採っていなかったことが破綻に繋がった訳で、トランプ政権時代の2018年に中堅銀行規制を緩和したことによる影響も言われて政治問題化しております。ということは米中堅銀行に危ない銀行が隠れている可能性は残っている訳です。FRBも利上げげの一方で最後の貸し手として資金繰り支援をしておりますが、金融政策としては矛盾した対応となります。

クレディ・スイスに関してはスイス当局のAT1債無価値化で、劣後債とはいえ弁済順位が劣る株式がUBS株式と交換されて保全されることを考えると疑問が残る対応です。高利回りに惹かれて購入した投資家はリスクを承知していた筈だという議論もありますが、AT1債を発行している銀行はクレディ・スイスに留まらずドイツ銀行など多数あり、これらのAT1債を購入した投資家に動揺が走っておりますし、もっと厄介なのは永久劣後債を謳いながら10年程度で償還して借り換えることが慣習化されている現実があります。ということは借り換えを渋る銀行は危ないという評価になりますし、さりとて借換債を発行したところで引き受けてくれる投資家がいるかどうかもわからないという進むも地獄退くも地獄という現実に直面する訳です。

ということで地雷が埋まっている状況に変わりはない訳です。また日本の地銀もSVBと同じような問題を抱えております。コロナ対応で持続化給付金や雇用調整助成金を受け取った地場企業はやはり預金を膨らませている訳ですし、加えてゼロゼロ融資でもとりあえず借りといてという企業が多い訳です。ゼロゼロ融資に関しては日銀の優遇資金提供でカバーされるし、元本の8割は政府保証の信用保証協会の肩代わりでリスクも低いということで銀行がこぞって融資に走った訳で、その結果信用創造で預金口座に積み上がっています。

今年5月には返済開始となりますが、通常の利付き融資への借り換えがすんなり進むとは限りません。解し渋り、貸し剥しで企業倒産となれば、信用不安が拡大して所謂メイン寄せによる特定銀行へのリスク集中による破綻はあり得ます。コロナ対応を口実としたバラマキはそれ自体がリスクを生む地雷です。怪運国債依存症で指摘したように、国債発行による財政赤字は将来GDPの前借りでしかない訳で、ウンコクサイ現実は変わりません。

という訳で金融危機の火種は残っていますし、日米欧何れも厳しい状況にある訳です。その中でロシアの戦術核ベラルーシ配備のニュースが流れましたが、手を変えた核の脅しではあります。というのも専門家の間で言われていたロシアの春の攻勢が実現しておらず、寧ろ占領地域を減らしている現実があります。兵力の消耗が激し過ぎて動けないということのようです。とはいえだから核攻撃に踏み切ることも現実的には難しく、変化球を投げてきたということですね。

ロシアに言わせれば戦術核はNATO加盟国にも配備されているからおあいこというロジックなんでしょうけど、ベラルーシに核の発射ボタンの管理を委ねる訳ではないでしょうし、出来る限りの嫌がらせということなんでしょう。核攻撃するつもりならこんな回りくどいことする必要はない訳です。日本でも核共有をという議論もありましたが、核のボタンをアメリカが手放す訳もないしNPT違反に問われます。

現状公式に非核三原則に従って米軍は日本国内に核配備はしていないことになっており、核配備は事前協議の対象ということになっておりますが、日本政府が検証できる訳ではありませんし、日本に核がないことで中国と対峙しても核戦争にならないという意味でアメリカの弾除けになりますし、いざとなれば深海に潜む原潜からSLBM発車で対応するでしょうし、同盟国とはいえ核のボタンに触れさせたくはないでしょうから、日米安保のリアルを無視した議論です。多分中国は日本国内に核が配備されていると見ているでしょう。

てことで主要国で財政が比較的健全なのは中国という構図です。中国にとっては西側先進国が弱っていく一方、自国は安泰ということで、時間を味方につけられる訳ですから、日本で言われるような台湾有事は当面ないということですね。ロシア産原油やガスを買い叩くことで交易条件も西側より有利になりますし、急ぐ必要はない訳です。但し祭英文総統の訪米や南米歴訪のような行動は挑発行為として報復の意味で威嚇行動を取ることはあります。逆に資源高で15兆円相当の交易損失を出した日本です。17兆円の財政バラマキでGDPの数字はプラスながら、上述のように将来GDPの前借りですから将来の経済を窮屈にしながら防衛費を増やすという愚かなことをやろうとしている訳です

てことでどう転んでも明るい展望が見えない日本です。日本ハムファイターズの新フランチャイズ球場として地域開発の期待を背負って3/30もオープンした北海道ボールパークFビレッジですが、観客輸送で課題を露呈しました。というのも予定されているボールパーク新駅が足踏みしていて、シャトルバスを用意したものの観客が殺到してバスに乗るのに長い待ち時間を強いられるという事態となりました。とはいえ新駅は未着手です。

ボールパーク新駅、計画見直しへ JR北海道社長:日本経済新聞
つまり現時点での計画見直しということは、事業着手までの道のりは遠く、当面課題を抱えたままということです。資材費や人件費の膨張が原因ですから、交易損失がこんなところにも現れたということですね。JR北海道にとっても数少ない増収期待案件故に痛いところです。

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Saturday, February 11, 2023

怪運国債市場の蓋

怪運国債依存症の続編のウンコクサイ話です。

日銀ピボットで株高の死角 共担オペに「追い証」リスク NQN編集委員 永井洋一:日本経済新聞
「毒まんじゅう」とは穏やかではありませんが、取り上げられている共通担保資金供給オペ、略して共担オペを取り上げております。これは12月の日銀のYYCの上限見直し後も10年ものだけ金利が低い屈曲イールドカーブを批判されて10年もの以外の金利も下げるため、民間銀行が保有する国債の担保差し入れで日銀が低利融資するというもので、日銀だけではすべての残存年数国債の買い付けすることには限界があるので、民間銀行に代わりをさせるものです。つまり金利の高い国債を保有したまま低利融資することで利ザヤが稼げる訳で、銀行保有国債の売りを阻止しようということです。

こうすれば金利上昇を睨んだ投機筋カラ売りに必要な国債の現物が市場に出なくなってカラ売りが困難になることを狙ったもので、残存年限によっては市場が干上がっているケースもあり、また日銀自身も2年もの5年もの20年もののなど買い散りオペでイールドカーブ全体を下げる狙いです。その結果多くの銀行が共担オペに入札し恩恵を受ける一方、投機筋の打ち手を封じることになりますが、同時に投機筋は空売りに必要な国債現物を日銀を含む銀行から借り入れていた訳で、当の日銀が投機筋を助けていたという笑えない構図があります。国債の高値買い取りと当座預金の一部にかかる0.1%の利息を稼ぐ必要がある訳です。

結果的に日銀の国債買い取りは過去最高になっており、民間銀行の共担オペ入札で国債市場はほぼ流動性を失った訳ですが、これも痛し痒しで、逆に規模の小さい市場ほど少ない手持ち資金で市場を動かしやすくなりますから、日銀による国債爆買い以上の効果は見込めませんし、銀行も金利上昇による追証追加を迫られるリスクを負う訳で、やり過ぎが銀行を追い込むことになり、それが民間融資を圧迫する可能性もあります。ただでさえゼロゼロ融資の期限で通常融資への借り換えのタイミングでの民間融資圧迫は愚策ですし、既に多くの銀行で貸倒引当金を積み増している状況です。企業倒産が増えることは間違いありません。

日銀の異次元緩和はこうした瑕をもたらす結果を見ればわかる通り大失敗なんですが、さりとて利上げに動けば国債金利の上昇で銀行の信用不安や国債利払いの増加で財政を圧迫したりすることから、急激にシフトという訳にもいかず、とりあえずYYC見直しから徐々に手掛けて市場にショックを与えない配慮が欠かせません。そんな難題を残して黒田日銀総裁は4月8日に任期満了で退任する予定ですが、後継総裁選びは難航してこうなりました。

日銀新総裁に植田和男氏を起用へ 初の学者、元審議委員:日本経済新聞
日銀プロパーで歴代総裁に仕えて陰で支えた本命とされた雨宮正佳副総裁の辞退で人選は難航し、結果的に民間人の学者として初の総裁ということで植田和男氏が浮かんできました。1998年から2005年まで日銀審議委員を務めており、金融政策に明るいとはいえ速水総裁時代のゼロ金利解除で反対票を投じるなどしており、異次元緩和の見直しがどれだけ進むかはわかりませんが、日銀も財務省も後始末の困難さはわかっているので引き受け手がいないというのが実際のところです。学者先生に弾除けになってもらいたいというのが本音でしょう。でも財政拡張は続きます。
経済力こそ国防の基盤 財政政策と国債増発の行方 鎮目雅人・早稲田大学教授:日本経済新聞
防衛費の財源問題が与党内で論争となっておりますが、税であれ国債であれ国内の経済資源を費消することに変わりはない訳で、国民に我慢を強いることにまります。それなのに防衛費増の必要性に関して腑に落ちる説明はなされておりません。はっきり言いますが、アメリカの歴代政権が日本に求めてきて日本の歴代政権がぬらりくらりかわしてきた宿題に対する満額回答をした訳です。

アメリカの国内世論の分断で支持が盤石とは言えないバイデン大統領にとっては外交成果となる一方、日本には財政負担のみならず、例えば島嶼部防衛の名目で南西諸島の陸自配備を決めたら米海兵隊がついてきたということで話が違うと現地は大騒ぎになっていますが、財政以外でも国民に我慢を強いる訳で、どっち向いて政治やってるんだって話です。そもそも台湾は日本もアメリカも国家承認していないので、中台で紛争が勃発しても内戦ですから集団的自衛権の対象にはなりません。この辺のウクライナとの事情の違いを無視しての軍備増強は少なくとも日本にとっては何のメリットもありません。敢えて言えば日米同盟増強による核抑止力の恩恵ぐらいです。

またウクライナでNATO軍が参戦しないように、敵が核保有国の場合アメリカとしては参戦が躊躇される訳で、核保有国の中国と直接交戦は避ける筈です。そうなると反撃能力として日本に配備したトマホークはインテリジェンスをアメリカに依存する限りアメリカの都合で発射ボタンを押される可能性はある訳で、アメリカの参戦は議会が決めることで大統領は助言するにとどまりますから、議会のせいにして中国に対しては日本がやったことにして参戦をためらうことになれば自国兵士を傷つけることなく中国を叩くことができる訳です。そうならないと確約できるのか。日本の自衛隊の指揮命令権が事実として機能しない可能性を否定できない現実があります。

という訳で経済力が落ち目に日本は防衛力強化の前にやるべきことがる筈ですが、デタラメばかりです。例えばこれ。

大阪万博、背を向けるゼネコン 採算低下で入札不成立:日本経済新聞
公共事業の不調は今に始まった話ではありませんが、再来年開催予定の大阪万博に暗雲が漂います。というのも資材費の高騰に加え台湾半導体メーカーTSMC熊本工場建設で熊本県菊陽町が大騒ぎになっており、関連企業を含め企業の投資意欲が旺盛でゼネコンにとってはおいしい状況にある一方、慢性的な人手不足、更に働き方改革の猶予期間が終わる2024年問題、五輪の費用膨張に対する国民の怒りで予算増額ままならず、夢洲の軟弱地盤も,、翻翻、ハネた~_~;。

なにわ無くとも江戸村先五輪ですよから巡り巡って大阪万博のパビリオン建設が進まず工期が迫れば尚のこと入札は難しくなります。うめきた新駅は来月開業しますが、乗り入れ予定のなにわ筋線は未だに事業着手もされず「なにわ無くとも大阪万博」どころか大阪府、大阪市の見通しの甘さからゼネコンにそっぽを向かれている状況です。府や市は国が何とかしてくれることを期待しているようですが、五輪の躓きが行く手を阻みます。

五輪談合、組織委元次長ら4人を逮捕 独禁法違反容疑で:日本経済新聞
コロナ禍の五輪で無茶やったから国も動きにくいし、防衛増税の議論で万博どころじゃないというところでしょう。いや忘れた頃にこっそりやらかす可能性はありますので、国民として監視は怠れません。ホントいい加減にせい!

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Saturday, September 17, 2022

物流を止めるな

コロナショックは従来の経済ショックと異なる面があります。大恐慌やリーマンショックなどは金融の混乱で消費が委縮したことで起きた需要ショックと言えますが、70年代の2度の石油ショックは石油の供給不安からの供給ショックと言えます。第三次オイルショックエントリーで指摘したように、需要ショックに対しては所謂ケインズ効果を狙った財政出動で需給ギャップを埋める政策が合理的です。一方供給ショックに対しては、需要喚起するとインフレが進んで経済を圧迫しますから、基本的には市場に委ねて需給調整するのが合理的です。その意味では総需要抑制策で市場調整を促す政策に合理性がある訳で、実際日本では福田政権でそれを実証している訳です。

コロナショックはロックダウンや行動制限などによる需要の蒸発という意味では需要ショックですが、一方で医療や物流などの供給側に供給制約を課す供給ショックの側面もあります。それ故に各国政府の対応も混乱した訳ですが、需要ショックの側面で見れば、旅行や外食が需要蒸発した一方、巣篭り需要で食品スーパーや電子商取引(EC)に需要シフトした訳ですから、経済セクター毎に影響はまだら模様で、またそのことが給付金を巡る混乱や不正などに繋がった訳です。勿論医療も影響を受けますが、初期に複数の医療機関でクラスター感染が発生したこともあり、一般診療は激減した一方、PCR検査やコロナ診療やワクチン接種という特需も享受しています。そんな中で考えさせられるこのニュース。

医療費、再び過去最高に 21年度4.6%増の44.2兆円:日本経済新聞
検査精度の高いPCR検査ですが、何故か日本では忌避論が言われました。出所はどうやら厚労省の医系技官らしいんですが、なるほどPCR検査はそれなりにコストがかかりますから、医療費の膨張で財務省からつつかれるのを嫌がったってことだとつじつまが合います。ぶっちゃけ保身ですね。

一方でコロナ病床確保の補助金を受け取りながらコロナ患者を受け入れない病院の問題などが報じられましたが、陰圧室や別棟で専門スタッフを置くといった対応が出来なければ院内感染の恐れがある訳で、受け入れが難しいのも確かです。だからコロナ受け入れを大病院に集約して専門スタッフも集約するということが必要でしたが、それだとコロナ関連の補助金が小規模病院に行き渡らない訳で、医師会がいい顔しない訳で、本来その辺を差配すべき医系技官がまともに働かなかったってことですね。

というう具合にコロナによる経済ショックは一筋縄ではいかない訳で、ある程度混乱はやむを得ない部分はあります。但し一方で疫学データも出揃ってきているのですから、経過観察期間の短縮や行動制限緩和や海外からの入国制限の緩和なども必要に応じて行うこと自体は必要な事なんですが、それに伴う見直しの根拠に完成手は納得のいく説明がされていないし冬に予想される第8波の備えもはっきりしないという状況です。

物流の混乱は主にアメリカのコロナ感染拡大に伴う港湾労働者の人手不足が原因ですが、裏には港湾労働者を含む低所得労働者の感染爆発がある訳で、それに加えてECの拡大による巣篭り需要で、主にアジア地域からの輸入が増えて西海岸のロスアンジェルス港やロングビーチ港にコンテナ船が殺到して、荷役が進まないから沖合待機させられて、世界中の海運が滞る事態になった訳です。つまり需要の拡大に供給が追い付かないという意味での供給ショックが起きた訳です。ちなみにアメリカの対中貿易赤字も拡大していますから、米中デカップリングどこ吹く風の現実が垣間見えます。その意味でこのニュースは結構重大です。

米国、鉄道スト警戒強まる 長距離路線はキャンセルに:日本経済新聞
スト自体はバイデン大統領の仲介で回避されましたが、実施されれば国内物流の30%を分担する鉄道貨物が止まる訳ですから、その影響はかなり大きい訳です。故に大統領が仲介して事なきを得ましたが、鉄道各社は従業員の賃上げや待遇改善を約束されました。当然運賃へ波及しますからインフレを助長しかねない訳ですが、賛否は分かれます。

トランプ時代にデタラメだったコロナ対策を立て直して経済を回復させたものの、その結果賃金上昇でインフレが止まらない事態を招いている訳ですが、何もしなければより大きな経済ショックを招きかねない中で、批判を覚悟の決断だったと思います。こういうことが所謂政治決断というやつで、目先の批判は受け入れるけど信念を以て動くというのは日本ではなかなか見られないことではあります。逆に政治家が邪魔して要らぬ災難を招く例は枚挙に暇はありません。

KADOKAWAの角川歴彦会長を逮捕 五輪汚職、贈賄容疑:日本経済新聞
アンダーコントロールのウソで招致し、旧国立競技場や都営霞ヶ丘住宅を解体して神宮の森を利権まみれにしてコロナ禍で無観客で経済効果無しの東京五輪ですが、出るわ出るわの五輪利権汚職です。被害者や国民だということは忘れてはいけません。スポーツ界からは札幌五輪招致への影響を危惧する声が聞こえますが、そういう問題じゃないだろ(怒))。一応予定では北海道新幹線札幌開業のタイミングですから、北海道としてもやりたいでしょうけど、その前に北海道新幹線の並行在来線問題が未解決なのは衰退途上国の在り方l で指摘しましたが、続報が出ました。
青函の貨物維持、国主導でJR貨物・JR北海道と協議へ:日本経済新聞
これは並行在来線引き受けを巡る自治体との協議とは別に、現実的な落としどころを探る動きです。現実問題として船舶へのシフトは難しいし、また例えば同島産のジャガイモはJR貨物で熊谷貨物ターミナルに運ばれてそこから仕向け地にトラック輸送される形で物流倉庫などが整備されている訳で、船舶シフトは受け入れる関東側のインフラも整備する必要がある訳です。JR貨物がみずほ総研に依頼した試算の経済損失は主に北海道の話ですから、こうした需要地側の経済損失もまた考える必要がある訳です。

また同試算で並行在来線三セクが毎年30億円規模の赤字ということもあり、自治体の協議がフリーズしている状況を打開する必要もあります。資産に貨物調整金が反映されているかどうかは定かではありませんが、財源は新幹線リース慮負担後のJR旅客会社の受益分ですから、元々収益性の弱い北海道新幹線では十分な負担が出来ない可能性はあります。実際北陸新幹線金沢開業でサイダーバードの富山乗り入れが無くなったのも、JR西日本の負担能力でカバーしきれない結果と言える訳です。

国が動いたことで、国交省は鉄道貨物を残す方向性を明らかにした訳ですが、北海道庁は動く気配がありません。沿線市町村だけでは毎年30応円の赤字を出す並行在来線三セク鉄道について協議しろと言っても無理ですし、国が助け船を出すとしても交通政策基本法の趣旨に照らせば地元からの働きかけが無いと動けない訳で、道が取りまとめに動くのが望ましいのですが、目先の経済損失よりも五輪招致の方が大事なのかな?だとすればそんな道知事や道議は落選させるべきです。道(どう)が道(みち)を誤らないことを祈ります。

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Sunday, July 10, 2022

東京メトロのコロナ減便

安倍元首相が狙撃されて死亡しました。誰であれ人の命を奪う行為は許されないことは当然ですが、釘を刺しておきたいことが幾つかあります。報道によれば犯人は元自衛官で手製の銃器を使った犯行ということで、捜査当局のコメントとして政治的意図ではなく宗教団体と見られる特定団体への恨みということで、現時点では不明ですが噂レベルで統一教会の名前が取り沙汰されております。

オウム真理教事件を起こした日本ですが、それでもカルト宗教への対応はあまり見直されません。宗教が集票マシンとして有効なのと宗教活動にかこつけた政治活動として有効ということで、少なからぬ政治家が関わっている結果ですが、身内がカルト宗教に入信してトラブルを抱える家族は少なからず存在しており、今回もそうした問題からくる怨恨犯罪のようです。とすると政治的意図のテロではないし、民主主義への挑戦というのも当たりません。恨みを拗らせた結果の犯行ということですね。

あとSPを含む警察官の対応に疑問が寄せられております。1発目が外れた時点で警護対象者を押し倒し覆い被さって命を守るのが鉄則ですが、犯人確保に動いた結果、2発目の凶弾で犠牲になった訳で、警護の不備を言われても仕方ない状況です。当然宗教団体と繋がっている政治家にとっては居心地の悪さを感じるでしょう。ある意味警察の不始末が政治と宗教の不透明な関係を可視化する結果となるなら皮肉な話です。私自身は以前から宗教的背景のない候補にしか投票しておらず、今回も同様です。これだけは言っておきます。

さて梅雨明けの徒然大草原wwwの猛暑も落ち着いて寧ろ雲の多い天候ですが、予想通りコロナ感染者は増えています。恐らくこのまま第7波になるのでしょう。但し軽症者が多く自宅療養で対応できているので医療逼迫には至っておりませんが、油断はできません。ウィズコロナは茨の道です。そんなニュースがこれ。

銀座線・丸ノ内線など減便 東京メトロ、平日9時台2割減も:日本経済新聞
春ダイヤ改正で既に減便と終電繰上げによる運行時間帯の縮小は実施積みですが、ラッシュ時の乗客の戻りが予想以上に少なく、平日ラッシュ時を中心とした減便に踏み込みました。痛いのは各線で車両の置換え更新を進めてきたために、特に他線転属が不可能な銀座線と丸ノ内線は痛いところ。東西線は05系初期車を代替なしに廃車すれば済みますし、千代田線も当面保安装置更新の予備車確保が容易になるなどやりくりの余地はありますが、車両更新を精力的に進めた結果の余剰車両です。

まあ仮に乗客が戻れば増発は容易ですし、車両走行キロが減れば保守費用も削減されるし延命で次回の車両更新を先送りできるなどのプラス面もありますが、東京メトロにとっては痛い現実です。こうなったのは1つは90年代末からの人口の都心回帰がリモートワークの普及で郊外志向が強まったことと密防止でラッシュ時利用を避ける傾向の両方の影響があるようです。実際東京都区部の人口は転出超過に転じております。

但しあくまでも郊外移転であって、地方移転でないことは注意が必要です。首都圏の巨大集積は寧ろ維持強化されており、郊外でも全て転入超過になっている訳ではなく、選択的に斑模様になっている訳です。この傾向は首都圏で顕著ですが、近畿圏や中京圏ではあまり見られず、恐らく製造業比率の違いがもたらしていると見られます。つまりリモートワークがやり易い業種が多いってことですね。製造業立地の少ない東急線の乗客減が顕著なのも同様です。

とすると都心の再開発にブレーキがかかる可能性がある訳で、例えば高輪ゲートシティや五輪選手村を改装して売り出される晴海フラッグにも暗雲が漂います。これ銀座―有明管の湾岸地下鉄構想にも影響が出る可能性があります。そしてスポーツ施設建て替えと高層ビル建設が明らかになった神宮外苑の再開発にも影響が出る可能性があります。銀杏並木を含む樹木の伐採で反対の声が盛り上がっておりますが、構想自体は落選中の萩生田光一案が自民都議を通じて都職員から五輪招致委トップの森元首相にプレゼンして絶賛されたことが週刊ダイヤモンドの報道で明らかになっております。

利権のふえる訳ワカメちゃんでも取り上げましたが、五輪招致にかこつけて国立競技場の建て替えを口実に高さ制限を緩和している訳で、五輪をダシに利権を生み出した構図です。元々明治天皇をしのぶメモリアルパークとして構想され、地権者の協力や一般市民の寄進で造成された「神の領域」を再開発の名の下に蹂躙する事業で、且つ神社本庁の関与まで指摘されております。宗教と政治家の不透明な関係の1つとも言えますし、現人神とまで言われた天皇に対するリスペクトはそんなもんなの?とも思います。

銚子電鉄が6年ぶり黒字、純利益21万円 副業の物販好調:日本経済新聞
東京メトロとは真逆の話題です。6年ぶりの黒字ですが、副業の物販、つまり濡れせんべいの販売でカバーして黒字化したという訳です。これ地元の特産である醤油を活かした取り組みであるとともに、巨大な首都圏の人口の支えでもあり、存廃を問われるローカル線全般に当てはまる訳ではありませんが、銚電クラスのローカル私鉄はコロナ禍に対峙するローカル私鉄のキャッシュフロー経営でも指摘した通りです。

最後に鉄路的蛇足。銚子電気鉄道の前史は1914年12月に開業し1917年11月に廃止されたの銚子遊覧鉄道の線路施設一式を居抜きで取得して開業した銚子鉄道が後年電化で銚子電気鉄道となったというのは知る人ぞ知るところですが、元々需要が多い訳じゃない区間で、それでもその結果初期投資を圧縮できたことで存続に有利に働いたということは言えます。但し保守費用捻出に苦労して運休することもあり、東京陸運局の問題児ではあります。

似たような事例は実は結構ありまして、近鉄南大阪線の前身の2代目大阪鉄道の最初の開業区間は初代大阪鉄道(後の関西鉄道へ併合)の柏原―古市間を1898年委開業させた河陽鉄道が翌年営業不振で解散し、河南鉄道に再編され河内長野まで延伸されました。後に道明寺から大阪天王寺(現大阪阿部野橋)へ延伸して電化したもので、甲武鉄道の支線的存在の川越鉄道が高田馬場への電気鉄道延伸で姿を変えた旧西武鉄道と酷似します。

大沼公園―鹿部間の大沼電鉄は戦時中の函館本線の緩和勾配迂回線の砂原線の1945年6月の開業と引き替えに廃業しましたが、砂原線鹿部駅が鹿部市街から遠いということで、1948年に銚子口駅前―鹿部間を復活させております。大沼電鉄の事例では線路のみならず車両も残っていたことから、復活のハードルは低かったとは言えます。それでも道路整備の進捗と共に利用が減り1952年に2度目の廃業をしています。

直近の事例では2001年、半年に2度の衝突事故を起こして休止から廃止を余儀なくされた京福電気鉄道福井支社の越前本線富国粟原線を譲り受けて2003年に開業した三セク鉄道のえちぜん鉄道の事例があります。休廃止期間中はバス代行輸送が行われましたが、漸弱な沿線道路事情から渋滞が深刻化し鉄道復活の機運が高まったこともありますが、それでも東古市―永平寺間の永平寺線は譲渡されず復活しませんでした。えちぜん鉄道といえば再エネ電力託送事業でも注目されます。

という訳で都市鉄道よりも厳しい状況にあるローカル私鉄ですが、地元の取り組み次第で存続の可能性もあるということは言えます。その意味でhは滋賀県が近江鉄道の存続を期して県税として交通税導入を打ち出しておりますが、注目すべき動きです。「改革」と称してとかく減税の議論ばかり目立ちますが、社会的課題解決のための税制という視点は重要です。

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