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Sunday, August 04, 2019

リアル自爆炎上の恐怖

京都アニメ―ション放火事件という死者35名もの大事件がありました。40Lものガソリンを撒いて火をつけりゃこうなるってのは、ひょっとしたら容疑者自身が巻き添えになる可能性の認識が無かったのでしょう。

2003年の韓国大邱市の地下鉄放火事件では、ペットボトル1本分のガソリンで当局の対応のまずさもあって192名の死者を出してますし、2015年の東海道新幹線ののぞみ225号焼身自殺事件では、巻き添えの女性1名の死亡の他乗客乗員28名が重軽傷になるなど、身近な危険物としてのガソリンの危険性の認識が甘いんじゃないかと思います。学園や街頭で火炎瓶飛び交う時代を経験した私ら世代から見ると、昔はホントガバガバだったし、実際ガソリン放火事件は多数ありました。例えば1980年の新宿西口バス放火事件が思い出されます。

昔は成人男性の多くが喫煙者でマッチやライターを普通に携行していて、ガソリン販売の規制も緩い状況でしたが、その後規制強化されてはいますが、未登録の農機やフォークリフト、小型発電機の給油というニッチな需要がある以上、販売時に店員が用途を尋ねても抑止効果は限られます。今回の事件では500mほど離れたセルフスタンドで購入したと報じられており、セルフスタンドでの携行缶販売は法令違反ですが、店員の質問をクリアして購入できている訳です。こうなると身分証提示など一段の規制強化は必要ではないでしょうか。そうしないと、この事件で明らかになったガソリンの威力が悪用される事態もあります。その結果がこれ。

慰安婦少女像の展示中止 愛知の国際芸術祭 (写真=共同) :日本経済新聞
大村愛知県知事は河村名古屋市長のクレームに対しては「行政が展示物に干渉すべきでない」として見識を示した一方、脅迫まがいの抗議電話やガソリン放火を予告するFAXまで送付され、職員の安全を図るため中止を決断せざるを得ない無念を示しています。

愛知県警に相談しても、FAXはネットで匿名化されているから遡及は無理という意味不明の理屈で断っている訳で、これ明らかに愛知県警のサボタージュです。令状取ればプロバーダーに通信ログ開示を指示できますし、匿名化までしての脅迫ですから、寧ろそのことが犯行の意志を示します。ま、時間がかかるしそれ以前に犯行阻止のために警備強化はしなければならず、面倒ってことですね。G20大阪サミットで見せたガチガチの過剰警備に見られるように政権肝いりでなければ面倒は受けたくないってことですね。逆に2020東京五輪は戒厳令並みの警備体制確定でしょう。典型的な恣意的な公権力の行使です。ヤレヤレ。公権力の行使は公平公正でなければならないってのは、国民国家の基本中の基本ですね。

そんな状況で開催されるオリパラですが、選手村や競技施設が集中する湾岸エリアでは東京港の処理能力を超えた貨物の集中で道路がパンク寸前なのに、オリパラ関係者の移動のための大規模な交通規制が敷かれます。物流が滞ることは間違いありません。あ、だから日韓関係拗らせて貿易減らす?まさかね。

一方現状でも朝の通勤ラッシュで混雑している通勤鉄道に世界から観戦客が押し寄せる訳ですから、相当な混乱は避けられません。上述ののぞみ225号の事件のときにも新幹線のセキュリティチェックが言われJR東海が無理と即座に否定しましたが、混雑する通勤鉄道はテロLリストから見れば格好のソフトターゲットになります。繰り返しますがペットボトル1本のガソリンで大惨事の大邱市の事件など、新幹線でも不可能な通勤鉄道のセキュリティチェックの困難性は言うまでもありません。

加えて各スタジアムで入場時に行われると考えられるセキュリティチェックの長い列が鉄道駅に伸びた時に何が起きるか?駅外の混雑で予想外の事故を誘発した2015年の事故のリンク貼っときます。

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Saturday, July 27, 2019

減耗する固定資本に沈む夕陽

参院選が終わり、投票率は5割を切って「盛り上がらなかった」「投票しない奴が悪い」類の話がありますが、選挙期間中に法定の政見放送以外に特段の選挙特番を打たなかったんだから、関心が薄いのはある意味当然です。おそらく固定票を持つ自民公明両党の支持者も大勢に影響なしと投票所に行かなかった可能性があります。

一方で諸派の泡沫候補としてマスメディアがガン無視したれいわ新選組が2議席を確保したばかりか、NHKから国民を守る党も1議席、存亡の危機にあった社民党も1議席確保して、共に選挙区の得票率で政党要件を満たすという椿事も起きています。れいわとN党はYoutubeとSNSを駆使したネット発信で票を獲得し、資金はクラウドファンディングで集めるという形で、既存メディアに依存しない選挙戦を展開しました。

6年前に東京選挙区でトップ当選したれいわの山本太郎氏を泡沫とは言えないでしょうけど、合区で選挙区を失った与党議員の救済策として押し込まれた比例区の特別枠を利用して重度障碍者2名を擁立したれいわの戦略は、結果的に票の掘り起こしに寄与して2議席確保して政党要件を満たしました。代表の山本氏は議席を失っても、党代表として足場が出来た訳で、作戦は成功しました。尤もこれは感性に訴えるポピュリストの手法という批判はありますが、この点に関する論評は避けます。ただ確実に言えるのは、電波メディアを中心とするマスメディアの衰退は確実に進んでいるってことです。

山本氏に関しては明仁天皇に手紙を手渡ししたことが天皇の政治利用だとして批判された過去もありますが、ふけいざいエントリーで指摘したように、憲法第16条の請願権の行使と見れば問題ありません。ただし政治に関わらない象徴天皇ですから、天皇は規定に従って手紙を内閣に回送しましたが、内閣は請願に対して誠意を以て回答することが義務付けられているのに、回答があったという話は聞こえてきません。

対する安倍首相の選挙遊説は動員がかけられて周りを固める一方、一般人は近づけないようにしていました。そんな中で札幌のヤジ排除事件が起きました。道警とSPの連携だそうですが、当初公職選挙法違反を発表したら弁護士会などから拡声器も使わない1人の肉声は選挙妨害に当たらないという最高裁判例を引いて批判が出たため、混乱を避けるためという風に改めました。しかし憲法第16条の請願権の行使と見れば、これもれっきとした憲法違反です。

それはともかく、選挙戦に関するマスメディアの露出が少なかった一方、頻繁に流れる自民党のCMスポット。選挙特番で声高に放送法第4条の二の公平性を言い立てるのは専ら政権党の自民党ってこともあり、選挙期間中の特番はメンドクサイものと放送事業者が忌避した結果、自民党CMが目立つ結果になってます。この辺を考慮すると、改選議席を減らして憲法改正発議に必要な2/3を割り込んだのは、結構ショックだったかもしれません。という具合に非対称が目立った参院選でした。

ただ政権選択ではない参院選ですから、長期的視点から問題提起して論戦に結び付ける議論があまりなかったのは残念です。少なくとも野党はアベノミクスの出口戦略できちんと議論して欲しかった。例えば3年前の参院選後のアベノミクスの出口に関する論考をアップしましたが、野党の関心は1人区を中心とした選挙協力に終始していた感じで、各党の思惑には残念ながらズレが見られます。この辺を深めておかないと、結局参院選ではまとまっても衆院選では不発の可能性があります。

例えばふけいざいエントリーでも取り上げましたが、GDP500兆円の日本で固定資本減耗が107兆円あり、しかも増え続けている現実があります。これ企業会計で言えば減価償却費に当たる資本の維持費なんですが、経済規模に対して大き過ぎないかってことを申し上げたい訳です。これ民間資本なら当該企業の減価償却費て手当てできますが、公共投資で作られるインフラに関しては、維持管理のための予算措置が必要になりますから、過剰な公共投資は皮肉にも公共投資の原資となる予算を長期間にわたって圧迫することになります。例えば五輪のレガシーと称する競技施設の数々ですが、維持管理して未来へつなぐ戦略は見られません。

こういうところをもっと突くべきだし、その方が有権者への訴求力も増したんじゃないかと思います。思い返せば2009年総選挙の前には、この手の議論がそれなりにありましたし、そうした中から「コンクリートから人へ」といったキャッチ―なフレーズで闘えたんですね。ま、政権交代後に露呈した未熟さで台無しにはなりましたが。

例えば、佐賀の乱で孤立線になる長崎新幹線ですが、事業仕分けで軌間可変車両の実現可能性を厳しく査定できなかった結果、拗れてしまいました。佐賀県区間のフル規格化を与党議員が画策してますが、財源の壁が立ちはだかります。とにかく今使える財源は30年の北海道新幹線札幌開業まで決まっており、尚且つ人件費増など事業費の拡大で危うい綱渡りをしています。

てことで、気になるのがJR北海道なんです。帳簿上JR北海道に属する6,822億円の経営安定基金ですが、実際は鉄道・運輸機構に預託されておりますが、アベノミクスの低金利のお陰で損失補填は果たせず、とはいえ旅客会社法で定義された特殊会社たるJR北海道は一存で処分もできません。

以下は仮定の話ですが、JR北海道の経営がいよいよ成り立たなくなって、何らかの対応を迫られたときに政府がどうするかですが、未上場企業で一般株主が居ませんから、政府の一存で潰すことも選択肢になります。経営再建のための再国有化という名目で、JR北海道が策定したリストラ策を維持しながら、経営安定基金を切り離して旧鉄道整備基金の勘定に入れれば、あら不思議財源が出来た-_-;。後は佐賀県の同意が得られれば着工となります。

気になるのが高橋前北海道知事が「国の問題」としてJR北海道の再建に後ろ向きだったことも、政権との阿吽の呼吸があった可能性を示唆します。鈴木新知事に代わって変化があるかどうかですが、夕張市長時代に夕張支線の廃止に道筋をつけたとはいえ、夕張市だけの都合で動けた条件闘争に過ぎず、広域自治体として関連自治体を調整しまとめ上げる立場で何ができるかは不明です。寧ろ政権との近さを考えると、高橋道政の継承となる可能性があります。

つまり北海道からお金取って九州へ回すってことですが、北のスットコドッコイで指摘した総連系労組が力を持つJR北海道は潰しても惜しくないでしょう。何しろJR東労組を挑発して窮地に追い込んだぐらいですから。JR北海道がこれを回避するには、鉄道ジャーナルの枝久保氏のコラムにあるように、JR北海道自身が経営安定基金を経営強化策に使う策を明らかにすることでしょう。

本題に戻しますが、公共投資の拡大は、固定資本減耗の拡大で国民生活を圧迫します。これも仮定の話ですが、財政出動を拡大して公共投資を増やして仮にGDPを600兆円に増やせたとしても、固定資本減耗が200兆円とかになれば、結局国民生活へのメリットはほぼありません。寧ろ公共投資の拡大は民間投資を圧迫しますし、折角の公共インフラも乗数効果が無ければただ生産性を下げるだけの存在になります。

一応直近の民間投資はGDP比16%ありますが、減価償却費を引いた純投資は1%です。結局バブル期の過剰投資で稼働率低下を招いたトラウマで思い切った投資ができない一方、余った投資資金は銀行にブタ積みされ国債投資を通じて公共投資で無駄に経済を圧迫することになります。野党の議論もこの辺まで踏み込んで欲しいところです。この悪循環を抜け出せなければ、ボロボロの公共インフラに夕陽が沈む光景を力なく見る未来が待っています。

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Sunday, June 30, 2019

G20サミットで見えた2020東京の混乱

G20サミットでメディアジャック状態でしたが、さしたる成果が見えない中で、大阪での大規模規制の混乱ぶりが注目を集めました。

レガシーを次に生かせるか 厳戒のG20大阪サミット閉幕  :日本経済新聞
高速道の通行規制や高速バスの運休に渋滞による路線バスの遅れやニュートラムの中埠頭駅通過扱いなど、市民生活に大きなストレスをもたらしました。

成果が見えない一方で経済活動にストレスを与えてまでやる意味があるのかってのは、尤もな疑問ですが、首脳外交なんてそんなもんです。1814年のウィーン会議が典型ですが、参加国が多ければ利害がぶつかり合い会議\は踊ります。それでもナポレオン戦争の戦後処理を決めウィーン体制が始まったことに意味があります。

普仏戦争の敗北とプロイセンのビスマルクによるドイツ統一で事実上の降伏を余儀なくされたフランスは、紆余曲折を経て1871年のパリコミューン攻防戦で大量流血となりました。それを当時ライン新聞主筆だったカール・マルクスはパリ市民への連帯の意を表す一方、ウィーン体制下で統一し帝国を形成したドイツを「神聖同盟の下で眠りこけている」と酷評します。産業革命の進捗で新たに登場した近代的労働者階級を古代ローマの無産市民になぞらえてプロレタリアートと名付け、その解放は反動的な神聖同盟(ウィーン体制のこと)の元では不可能と見抜いたわけです。

現代に置き換えれば「神聖同盟」はヤルタ・ポツダム体制が該当ですが、曲がりなりにも正規の外交交渉で決められたウィーン体制と違ってヤルタ会議という秘密会議で決められたことが大きく異なります。その結果国連憲章で日本とドイツは敵国条項で封じ込められ、ドイツは東西分割統治によtって、日本は日本国憲法による交戦権放棄によって、それぞれ無力化された訳です。ナポレオン戦争後のウィーン体制同様、戦勝国による敗戦国封じ込めは容赦がありません。

この体制も長く続けばいろいろ変化に晒される訳で、東西冷戦終結とドイツ統一でNATO軍としてドイツに駐留する米軍の地位協定が見直されますが、日本に関しては変化が無いばかりか、集団的自衛権行使容認や憲法改正で軍事同盟強化の方向性が示されてますが、大元のヤルタ・ポツダム体制の見直しはスルーされ、地位協定も変化無しです。その言い訳として朝鮮半島有事や台湾有事が取り沙汰されますが、台湾は経済面で中国と一体化が進み、米朝和平プロセスが始まった現状では、日本ばかりが「眠りこけている」状態です。

それでもこのような外交ショーがつつがなくできることが、秩序の健在を示す訳ですから、批判されようが経済を圧迫しようが、強権を以て「眠りこけている」ことは、政権にとっては重要な訳です。ただこれ来年のオリンピックではより長期間、広範な場所で再現されるわけですから、憂鬱な話です。休める人は休んで東京を脱出する方が良いでしょう。休めないまでも仕事の前倒しや先送りや時差出勤やテレワークで影響を回避する知恵は必要ですね。ヤレヤレ-o-💭。

通勤時間帯の鉄道の混雑もさることながら、物流の混乱は深刻です。

東京港、物流パンク寸前 トラック渋滞が慢性化  :日本経済新聞
現状が既にパンク寸前なのに、オリパラ期間中の交通規制で東京港は使えないということで、他港へシフトする動きが出ています。湾岸地域ではR356の東京港トンネル区間が供用開始したばかりですが、首都高に規制がかかればう回路として車が殺到するでしょうから、前後区間を含めて大渋滞が予想されます。

そんな状況で「混雑対策で船を活用」とか言ってる小池知事の牧歌的な認識はホントしょーもない。あと鉄道に関しても、地理不案内な外国人が多数殺到することも視野に入れる必要があります。混雑状況によっては改札規制がかかることもあるでしょうし、不慣れな人が増えて乗降に時間がかかったり、事故やトラブルも見込んでおく必要があります。企業も災難だと思ってBCP対策考えないとね。いやホント、地獄の五輪を覚悟せよって話ですね。

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Monday, July 16, 2018

北のスットコドッコイ

前エントリーの続きです。本題に入る前にこのニュース。

人口、最大の37万人減 生産年齢人口は6割切る  :日本経済新聞
死亡数と出生数の差の自然減が39万人で海外との転出入を加えて37万人の減少ってことです。当然ながら15-64歳の生産年齢人口の減少はもっと多いわけです。都道府県別では東京、埼玉、千葉、神奈川、の首都圏4都県と愛知県と沖縄県のみ増加ですが、そのうち自然増は沖縄県だけで、他の5都県は転入超過による社会増ですから、その分地方の人口減の勾配もきついわけです。

あと外国人の増加が16万人ってことですが、いろいろ問題が指摘される外国人技能実習生だけでも25万人を受け入れていて、その他留学生や高度スキルの就労ビザ対象者もいるわけですから、純増が16万人ってことは相当数の帰国外国人がいるってことです。移民や永住権取得が難しいからこうなるわけで、人手が足りないから外国人就労を拡大といっても、現実の生産年齢人口の減少には追い付かないわけです。人口減という現実を受け入れるしかないわけです。

この状況を踏まえて以下をお読みいただきたいんですが、事故や不祥事が重なって先行きが危ぶまれているJR北海道に未来はあるか?っていう話です。JR北海道もJR総連系のJR北海道労組が組織率8割を超える中で、JR東日本と明らかに異なる労使関係があるわけです。

元々赤字基調だからってことで経営安定基金が与えられ、その運用益で赤字を補填するスキームだったわけですが、90年代半ば以降の低金利によって赤字補填が果たせなくなり、基金の積み増しをした上で現状(独)鉄道建設運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)への預託で高金利運用という事実上の利子補給による補助金でどうにか最終赤字を回避している状況です。

加えて事故の原因となった老朽設備の更新も国の支援を得ながら進めている状況なのですが、事故や不祥事の背景として、JR北海道は益出しのために努力してきたんですが、その結果必要な人手確保がままならなくなり、それが事故の遠因となったり、データの錯誤に見られる不祥事につながったわけですね。その意味で強面の労組は役割を果たせなかった訳です。

JR北海道で起きていたのはおそらく労使の癒着だったと思われます。それ故現場の人手不足もゴマカシがまかり通る状況だったと考えられます。そんな状況を変えようとしたのが自殺した中島社長って話がここへきて出てきています。

そのために島田現社長を総務部長に据えて労組との交渉窓口の一本化を狙ったものの、JR北海道労組は反発して険悪になった状況で、事故や不祥事が重なって国交省の立ち入り検査を受けることになり、JR北海道労組も協力を約束していたものの、直後に札幌労基署による本社社員の36協定違反の摘発があり、労組側が態度を硬化して島田総務部長の関連会社出向を余儀なくされたという経緯がありました。それで追い詰められての自殺ではないかという見立てです。

本社社員もJR北海道労組に所属していたのだから、労組側が知らなかった筈はないと言われてますが、おそらくこれ本社社員だけの問題じゃなかったんじゃないでしょうか。各現場で人手不足が起きていて、36協定順守ところじゃなかったとすれば、そりゃ事故や不祥事も起きるし、労組側からの改善要求もあったはずです。しかし増収とコストカットに励む経営陣を動かせなかったという意味で、労組側からすればスルー出来ない問題ではあります。労使の癒着自体は日本の大企業で結構見られますが。

というわけで、国主導で島田氏の社長指名と設備更新補助金の交付が決まったものの、覆水盆に返らず、労使関係は険悪なまま、後ろ盾のない島田社長は指導力発揮もままならない中で、自力での維持が困難な線区を発表し、自治体にボールを投げたのが現状です。ただ現実的には冒頭の人口減のニュースに見られるように、北海道で言えば札幌都市圏以外の地域の人口減少は今後も続くと見るべきですから、その中でJR北海道が必要な人手を確保して現在の規模を維持できると考えるのは現実的ではありません。人口動態に合わせて身を縮めるのはほぼ唯一の現実解でしょう。

自治体にとっては青天の霹靂でしょう。元々人口減少が止まらず、財政再建団体に指定された夕張市はいち早く廃止を受け入れ、JR社員の出向など条件闘争で実を取った形ですが、夕張支線のように単一自治体だからという面もあります。廃止若しくは公的支援を求めるエリアは広大で、広域自治体としての北海道の対応が待たれますが、高橋知事は経済や人口の状況が分割民営化時と著しく変化していることを理由に国に対応を求めています。財政負担を警戒してという側面はあるものの、経営安定基金による赤字補填もままならず、沿線人口の減少も収まらない中で、交通政策基本法を盾に対応を迫られても受け入れられないってのは正論です。

加えて国絡みの問題も多数あります。例えば北海道新幹線の札幌延伸問題も、JR北海道は自治体との合意を得て国に要望してきたものの、時期の問題が見通せないまま、札幌駅の新幹線駅スペースと見込まれていた駅南の用地に駅ビル(JRタワー)を建てたことで、道庁などから非難されましたが、商業スペースとして価値の高い遊休地の有効活用は当然の話ですし、建設時点で札幌延伸は決まっていませんでした。

その結果新幹線札幌駅の位置問題が二転三転して大東案に決まったのは最近のことです。北海道新幹線の札幌延伸が前進して2030年開業が決まったものの、駅をどうするかで迷走したわけです。当初北口側に新ホームを作って順繰りに振って1,2番線を新幹線用に転用する案が提案されたものの、既に北口の開発が進んで支障する建物が多数あると断念され、西案、東案、地下駅案が検討されたものの何れも却下され、修正東案として1番線南にギリギリ設置可能な1線分のスペースを新幹線上りに充て、1番線を新幹線下りに転用した上で東へ延伸して在来線とずらして設置する修正東案に落ち着いたものの、これも東日本大震災を受けて耐震補強が必要となり、結局在来線駅から離れた元の東案を大東案として決まったものです。位置的には札幌市営パーキングがあるということで、新幹線ターミナル駅設置のスペースも十分な上、駅前に新たな再開発ビル建設の可能性もあり、JR北海道の経営にもプラスと評価されますが、地権者の札幌市の意向は現時点で不明です。

あとJR貨物問題もあります。北海道の農産物を消費地の首都圏や近畿圏に輸送する上でJR貨物の役割は大きいのですが、それが結果的に線路を痛める原因にもなっております。加えてJR貨物は国の支援を得て設備強化投資をした結果、ドライバー不足によるトラック輸送からの移転もあって黒字転換が見込まれる状況ですから、格安な線路使用料を強いられてきたJR北海道には見逃せない問題です。まして株式上場まで取り沙汰されてますから尚更です。

温暖化の影響もあって北海道が稲作適地になりつつある現状もあり、競争力のある農業が叫ばれる中、その競争力を維持する意味で市場アクセスに欠かせないインフラとしての貨物鉄道という視点から、国の関与を強める余地はあります。貨物輸送のためにJR北海道の路線の一部を国の所有としてJR貨物やJR北海道に留まらず、自治体出資の三セクが第二種事業者としてローカル輸送に参入する余地を持たせるあたりに着地点があると思いますが、国が動く気配はありませんね。

加えて訪日外国人が増えている中、北海道観光人気で新千歳空港の利用が増えており、千歳線支線(南千歳―新千歳空港)が単線で空港駅も1面2線のため、対応しきれていない状況にあります。そこで新千歳空港駅を移転して3面4線とし、外側2線を千歳線につなげ、途中で単線を分岐して石勝線につなげる改良案が提案され、2022年の完成を目指すとされてますが、事業費は1,000億円規模になるということで、費用負担を巡ってひと悶着ありそうです。

実現すれば複線のまま空港新駅へ入れるだけでなく、苫小牧方面や帯広方面からも直接アクセスできるようになり、輸送力面に留まらず利便性も改善されますが、よく考えたら自衛隊と共用時代の千歳空港ターミナルビルとこ線橋で直結だった千歳空港駅(現南千歳駅)の機能を取り戻すだけであり、民間空港分離で誕生した新千歳空港のターミナルビルが離れた位置に作られたから仕方なく単線の空港支線を作った訳で、ここでも国の政策に翻弄された現実があります。しかも費用負担の問題でおそらく国の支援制度活用となるでしょうけど、JR北海道の事業縮小構想もあり自治体との調整は微妙です。また滑走路下のトンネル工事など難工事も予想されます。

あとこの問題は思わぬところへ飛び火しております。コメントを頂いたはまださんにご指摘いただいた日本ハムファイターズの北広島ボールパーク構想です。ダルビッシュや大谷をメジャーリーグへ送り出しながら若手の育成で実力を維持し、人気球団となったファイターズですが、不自由な札幌ドームに不満を抱いていたわけですが、ポスティングの補償金を得てそれを活かしたボールパーク構想を発表し、自治体向けに誘致コンペを行うというスキームを打ち出したところ、応札して勝ち抜いたのが北広島市です。

元々市民運動公園整備を構想し広い用地を確保していたところへ、ファイタースのコンペでボールパークをコア施設としてアクセスも千歳線に新駅を作って直結というもので、JR北海道にとっては増収策になるから大歓迎かといえば、空港輸送で線路容量に余裕のない状況では、寧ろ負担になりかねないということでご議論を呼んでいます。竣工予定は2023年3月ですが、空港新駅がそれまでに完成している確率はかなり低いと言えます。

さて、一番のスットコドッコイは誰?

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Sunday, June 04, 2017

ハケンからシュケンへ

トランプ大統領のパリ協定離脱が波紋を呼んでいます。

パリ協定離脱を正式表明「米国に不利益」  :日本経済新聞
離脱といっても手続き上は4年間は離脱できない仕組みですが、パリ協定自体が参加国が自主目標を持ち寄って相互検証などの国際ルールを決めるっていうユルユルな枠組みですから、実質的にはオバマ大統領時代に約束した緑の気候基金への30億ドル拠出の中止と国際会議への不参加ってことで、TPPと違ってパリ協定自体が漂流することはなさそうです。

この辺過去エントリーで繰り返し述べてきたことですが、トランプ大統領の政策は、ザックリ言えばアメリカが覇権国家から降りて強い主権国家になるというコンテクストの話であって、この観点から見れば、何の意外性もないニュースです。資金の拠出や国際会議への参加などの法的義務は負わないということですね。加えて大統領選当時から反オバマ政権の主張を繰り返して当選したわけですから、オバマ大統領のレガシーの否定に意図的に舵を切ったという意味でもあります。どのみち予想されたことです。

ただ日本にとってはちょっと痛いところがあります。京都議定書でも子ブッシュ大統領の離脱があって、危機感を抱いた欧州が、それまでとかく対立しがちだった日本に譲歩して森林のCO2吸収を認め、森林認証の仕組みなどを決めたことです。ある意味日本は漁夫の利を得て実際2008-2013年の実績でマイナス6%の目標を達成しています。それでもポスト京都の枠組みが決まらず期間延長が濃厚になると、震災による原発停止を口実に離脱した訳で、その結果ロシアなどの追随もあり、欧州主導で機能していた排出権売買市場を枯らしてしまうなどして不信を買いました。

パリ協定でも米中両国の積極姿勢と裏腹に様子見を決め込んで出遅れた上に、今回の米離脱宣言で、石炭火力と原子力に頼る日本のエネルギー政策をアメリカが援護射撃する構図は見込めなくなりました。加えて今回はBrexitの影響で揺れる欧州で、ドイツのメルケル首相が敢えて米英を頼れないという発言でEUの求心力を高める意図を明らかにしております。中国インドその他途上国も含めた枠組みですから、仮に日本が抜けても大勢に影響なし。日本のプレゼンスは下がりっぱなしです。

アメリカにしてみればシェール革命で資源国の側面が強くなっており、自国第一で考えれば敢えて国際協調は必要ないって点も見逃せません。トランプ流最強の主権国家の枠組みってことですね。シリアや北朝鮮の問題も、シリアにトマホークを打ち込んだのは直積反撃する能力がないからで、北朝鮮への圧力も意図してはいますが、反撃能力があるかもしれない、少なくともそれを目指してミサイル開発を続ける北朝鮮への直接攻撃は避けたわけです。トランプ大統領自身「同盟国への重大な脅威」とコメントし、対北朝鮮では戦争当時国なのに当事者意識は皆無。寧ろ日本政府が焚きつけた面もあります。

中東でも似た構図があって、G7へ向かう中で立ち寄った中東ではサウジアラビアと急接近して反イランの立場を鮮明にしています。おそらく米国内のシェール産業との協調がこれから始まるでしょう。技術革新でコスト競争力をつけたシェールオイルですが、ここへきて米国内の雇用がタイトになってコストアップに転じてきているので、原油価格上昇を狙ってOPECとの協調はリアルに可能性があります。その文脈で言えばロシアとの和解は既定路線ってことになりますが。自由貿易を標榜してきたアメリカが石油カルテルに参加って、時代は変わったな。アメリカが消費国から資源国へシフトってことは、消費国である日本のアメリカ追随は国益的にはマイナスです。

そんな四面楚歌の中、国内では森加計問題がくすぶっています。世界史的な地政学的大変動期にあって、日本政府の絶望的な頭の悪さには眩暈がします。てなわけで、この話題。

「今回はプロセスに問題」 前川前次官インタビュー  :日本経済新聞
規制緩和は結構なんですが、意思決定のプロセスの透明性が問題です。前川氏が言うように、獣医学科の新設を必要とする農水省のデータは示されず、首相案件として進められた実態が語られてます。そもそも獣医学科は設置校でも定員60名が最大で、全国合計でも1,000名程度のところに、160名定員の獣医学科新設の申請ですから、需要面の根拠が示されないままの申請はあり得ません。

これ法の支配を標榜して法曹人口を増やすという名目で始まった法科大学院と構図が似ています。結果どうなったかと言えば、法科大学院新設の申請が殺到し、実際始まってみれば力量のある教員の確保がままならず、対応する新司法試験で合格率が低迷し、合格ラインを下げるという議論に対して各地の弁護士会から反丹が相次ぎました。そりゃそうです。数を充足させるために質を担保しないというのは本末転倒です。結局華々しくスタートした法科大学院も学生が集まらず廃止が相次ぐ事態となりました。

その意味でj地場で畜産が盛んなわけでもない今治に160名定員の獣医学科設置は普通に考えて無理です。大学誘致を望んでいる今治市にしても、卒業生が地元に留まらない学科の新設は定住人口の増加にもつながりません。加えて獣医師は医師のように大病院の勤務医でとりあえず実務に就けるわけでもなく、個人で開業もハードルが高いなど、受け皿もない。一応輸出競争力のある畜産のためというお題目のようですが、実際日本では畜産業は廃業オンパレードで規模の縮小が続いている状況で、関税の縮小撤廃で劣勢にあるのが現実です。少なくとも獣医師が足りないから輸出競争力が高まらないってのは、論理的につながらないですよね。

また特区制度の問題もいろいろあるんですが、元々小泉政権で始まった構造改革特区の精度は、地域の特徴を引き出して地方の自立を促す意味で、全国一律の規制が邪魔になるなら、地域限定で規制緩和しましょうという制度で、狙いとしては地域限定の一国二制度状況を作って規制改革につなげようということだったようですが、そのための検証を厳格に行えば、規制が原因で成長できないという事例はさほど多くないので、結局規制改革につながる事例は殆どないのが現実です。

てことで、政府主導でトップダウンの形で進める国家戦略特区制度が第2次安倍政権で始まったんですが、実は加計学園の獣医学科新設問題は構造改革特区時代に何度も申請され、検討段階で却下が続いた案件でした。それが安倍政権になって急転直下前進したわけですから、これを正当とするなら、よほど納得感のある説明が必要ですが、政府からはむしろ内部通報者となった前川前文科省次官の個人攻撃を公然とやってます。文科省天下り斡旋問題での引責辞任だったこともあり、私怨による仕返しと取ったようです。

また出会い系バー通いが読売新聞と週刊新潮で報道されましたが、前川氏に助けられたという女性の証言が週刊文集に載るなどしています。読売や新潮の報道はおそらく官邸のリークでしょうけど、それを裏も取らずに貴人してしまうメディアの無節操ぶりに呆れます。加えて個人的なことが報道される怖さというか、官僚の弱みを握るための身体検査の結果でしょうけど、共謀罪が成立すれば対象は一般国民に拡大します。頭悪い癖に悪知恵だけは長けているわけです。

規制と経済成長との関係は単純ではないってのは度々取り上げておりますが、こんな過去エントリーが参考になります。

特区の昔の24時間
百鬼夜行の公共性
ミザリーハロウイン
これ政府の規制改革会議で公共交通の終夜運行が提案され、それを受けて当時の猪瀬都知事が渋谷駅―六本木間で終夜運行を開始したものの、都知事選のときに徳洲会から5,000億円の資金供与を受けて政治資金収支報告主へ記載しなかったという疑惑で辞任し、後任の舛添都知事によって都営バスの終夜運行が止められました。公選の行政長が前任者を否定したがるのはトランプ大統領と共通です。

皮肉なことに運行最終日はハロウインで仮装した一般客が殺到して時ならぬ混雑になりました。これつまりスタートは政府の規制改革会議だったわけですが、別に日本の法律で終夜運行は規制されているわけではなく、単純に収支に合うだけの需要がなかったってのが結論です。もちろん多少の赤字ならアジェンダ実現のためのコストと割り切ることは可能ですが、その際に問われる公共性の説明ができていなかったから、都知事の交代であっさり葬り去られたわけです。

この辺既視感ありますが、例えば川崎市の市営地下鉄構想と、それに連動した京急大師線の地下化が市長の交代でとん挫したのですが、旧いすゞ自動車工場跡地を中心に先端産業集積地として再開発が進む殿町プロジェクトとの関連で、産業道路の踏切解消のために末端区間だけの地下化工事が進捗してます。加えて一旦沙汰止みになった羽田空港神奈川口計画の橋建設工事が始まっていて、環八から国際線ターミナルへの分岐付近に接着する予定ですが、アジェンダが曖昧なために時間を浪費した事例です。宇都宮市のLRT計画にも同じ匂いがするのは気のせいかな?

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Sunday, December 27, 2015

レジ袋と新聞紙

消費税の軽減税率を巡る自民と公明の協議アホらしさに声も出ません。ある意味安保法制以上に日本の民主主義が壊れた、あるいは最初から欠陥品だったかもと思い知ります。

そもそも日本の消費税制度は欠陥だらけで、税率の変更を大騒ぎしてやってますが、EU加盟各国はこともなげに税率も変えるし軽減税率も導入されてます。ただし低所得者対策としてはあまり効果がなく、むしろ線引きの曖昧さもあって運用面で混乱したり新たな利権を生んだりとマイナス面も指摘され、見直す議論もあるわけですが、遅れて導入する日本では、少なくとも現政権では一顧だにされていません。

それどころか、来年の参院選のことしか頭にないようで、財務省案のマイナンバーカードでを使って還付する案を「軽減税率の有難みが感じられない」と却下するあたり、本音はここですね。もちろんマイナンバーカードのセキュリティ真似など財務省案は問題だらけですが、軽減税率よりも還付の方が、低所得者対策としての効果は高いわけで、現在も住民税非課税世帯に1人当たり6,000円の還付は行われております。これは各自治体の課税台帳から抽出して該当する世帯へ通知し、申請させるという形で、現行の制度インフラの範囲で実行可能です。難点は申請率が低いことですが、低所得を恥じて申請を躊躇する世帯が多いということでしょう。

これは民主党が主張する所得税の給付付き税額控除と組み合わせて全世帯を対象とすれば解決します。その際所得税の基礎控除38万円+扶養控除や青色申告控除の65万円、合計103万円の基礎控除相当額の還付とすれば、女性の社会進出を阻む103万円の壁と言われる扶養控除制度の見直しが同時にできるわけで、課税所得のある世帯は還付の代わりに税金を控除するわけですから、この部分の予算の手当ては不要です。自公の軽減税率を巡る議論のスジの悪さは呆れます。

新聞報道では公明党の強硬姿勢に官邸が鶴の一声で決着というストーリーが語られてますが、実は軽減税率を制度として確立したいのは財務省というあたりは、あまり言及されません。地味ですが2021年からのインボイス導入が決まったことが最大の肝です。というか、従来日本の消費税制度はインボイス導入をしなかったために矛盾に満ちた制度だったということは指摘できます。

インボイスというのは税額票と訳されているようですが、取引毎に発行される税額を明示した伝票で、事業者はそれに基づいて預かり消費税から仕入れにかかった消費税額を算出して控除する仕組みです。その結果インボイスが金券の役割を果たすことになり、一連の取引の連鎖の中で、課税事業者にしか認められないインボイスの発行ができない非課税事業者が排除され、結果的に事業者同士の相互チェック体制が出来上がるわけです。

加えて税率の異なるものが混入しても問題ないので、複数税率の併存が可能で、この結果軽減税率が可能になるほか、税率の変更が容易になることになります。これは昨年4月の5%から8%への税率アップのときに政府が音頭を取って価格転嫁を促し、店頭の商品の値札が一斉に取り換えられましたが、事業者は取引時点の税率で明示された税額だけで例えば5%で仕入れた商品を8%で販売しても、実際の納税額は両者の差額だけですから、本体価格への影響が出ないわけです。またインボイスで税額が明示されますから、価格交渉で売り手と買い手の関係もフラットになるので、現状のように買い手側の一方的な値下げ要求はしにくくなるわけです。欧州で税率変更をこともなげにできるのはこのためです。

こう考えると財務省がインボイスの導入に拘った理由も明らかですが、総額から税額を逆算する現状の扱いとは全く異なった扱いとなり、周知期間を含めて長い準備期間が必要なわけですから、17年4月の導入はさすがに無理ということで揉めたわけです。結果は当面のみなし課税の容認などで着地したわけです。しかも当初中小企業だけとされたみなし課税を大企業にも認めることになりましたから、所謂新たな益税問題が出てきたわけで、21年のインボイス導入までにひと悶着ありそうです。

インボイスに関しては経済界の反対が強く、曰く「事務処理負担増で中小企業に負担になる」というのですが、よく考えたら大量のインボイスを管理しなければならない大企業の方が負担が大きいわけで、中小企業向けにはインボイス導入をIT化のテコにすることは考えられますし、必要ならばシステム導入の補助制度を設けて初期投資の負担を和らげることは考えられますが、大企業ほど確立した基幹システムの改修が大変なことになりますから、実は大企業が中小企業をダシにして反対している可能d性があります。しかし複数税率を運用する以上、インボイス導入は避けては通れません。

消費税は最終消費者が負担する仕組みですから、今回議論されている食料品に関して、軽減税率を適用するときに、極論すれば小売り段階だけ税率を下げれば良いわけです。なぜならば仕入れ段階で10%課税された商品でも、小売り売上時点で8%課税しても、当該小売事業者が納める税額は売上にかかる8%相当の税額から仕入れにかかる10%相当の税額を控除した差額だけで済むわけですから、インボイスで対応する限り問題は起きません。この意味って大きいんですが、説明するとややこしくなります。

例えばペットボトル入りの水で言えば原価に占める内容物の率は4%程度であとは容器代ですが、容器代は10%課税になるわけですね。そう、食品といっても容器や梱包材のダンボールやスーパーのトレーやレジ袋といった包材類は10%課税になりますので、流通段階での消費税の計算はかなり煩雑なものになります。公明党が当初主張していた区分経理方式が非現実的なのは言うに及ばず、当面可能な帳簿方式による簡便法やみなし課税制度も、実態としては相当な混乱をもたらすこと間違いありません。おそらく現場の混乱はマイナンバー以上でしょう。何となればマイナンバーはバックレても処罰はないですが、納税に関わる虚偽申告や脱税行為は重罪です。

というわけで、線引きにあいまいな部分があることも含めて、恩恵を受けるはずの食品業界や飲食・小売り業界は頭を抱えてます。帳簿方式を前提としてPOSやバックオフィスシステムを構築してきたものをかなり変更しなければならないし、当面の簡便法への適応をし過ぎると21年のインボイス導入が難しくなるわけで、2度にわたってシステムの大変革を求められるわけです。いやこれ、軽減税率導入で国民に感謝されると考えてろアホな議員たちは救いようがないです。Suica甘いかどころじゃないパンドラの箱です。

そんな中で喜んでるのが新聞業界。何でも報道の公共性に鑑み、軽減税率導入を求めていたのが認められたということで、基本的に宅配が軽減税率適用になるようです。これ人口減少とネットの普及で新聞宅配は部数を減らし続けており、巻き返しを狙ったんでしょうけど、そのために政府にすり寄って報道の魂を抜かれ質の低下した新聞を取る意味が失われます。ホントこのところ新聞は政府をヨイショするばかりで、クリティカルな報道は見られません。恥を知れ(怒)。

あ、でも軽減税率ならレジ袋の代わりにはなるか(笑)。

おまけ。

北海道新幹線、「青函」が阻む3時間台(真相深層)  :日本経済新聞
ただでさえ赤字にあえいで安全運航に支障が出ているJR北海道に赤字の新幹線誕生とか、悪い冗談。さらに。
ザハ氏側、類似性を調査 新国立、隈氏のデザイン案 :日本経済新聞
おいでよパクザハの森(神宮外苑)へ。結局再コンペは予想通り大成グループで決まり、ザハ氏からパクり疑惑を指摘され。ま、機能面からスタンドの形態は決まりますし、その機能の絞り込みが不十分な上、おそらくザハ案でもスタンド工事受注を見込んで鉄鋼など資材の調達を始めていた可能性のある大成建設の意向もあったのでしょう。工期を考えれば妥当とはいえ、透明性があるとは言い難いところです。今の政権こんなんばっかし。

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Monday, July 20, 2015

Undoしたい大草原wwwの小さな森

いやもうあまりにも面白いので、新国立競技場のネタ続けます。まずは当事者のインタビュー記事です。

新国立、安藤氏「頼まれたのはデザイン案の選定まで」  :日本経済新聞
【新国立競技場】森喜朗氏「生牡蠣がドロッと垂れたみたい」(発言詳報)
今回のキーマン2人が揃いも揃って他人事コメント。意訳すれば「ボク悪くないもん」というわけです。ザハ案を強く推したのは安藤氏であることは、様々な証言から明らかであり、今回の一件で安藤氏の名声は地に落ちたと言えます。コストを無視したデザイン選定はあり得ません。

また2019年のラグビーW杯を新スタジアムのこけら落としにしようとした森元首相は元々ザハ案が嫌いだったとのたまう始末。ノミの心臓サメの脳みそと言われる御仁だけに、無い知恵を絞っての釈明は、それ故に本質をついているところもあります。例えば責任は文部科学省にありという部分。実際の事業主体は(独法)日本スポーツ振興センター(JSC)ですが、こういう大きな公共インフラを手掛けたことはなく、不慣れだったことを指摘しています。確かにそうでしょう。

あとザハ案が嫌いだったという発言ですが、巨大キールアーチ構造の施工の困難さを指摘していることはあまり報じられておりません。橋なら船で運べるけど、陸上の大径間アーチは現地組み立てを余儀なくされ、形状が複雑だから大変だし、櫓を組んで仮受けする必要もあるなど、安藤氏よりよほど構造設計に詳しかったりします。さすが土建族。北陸新幹線を巡る談合事件が報じられてますが、関与は?

そもそもコスト感覚が希薄だったのではないかと思われます。求められている機能は国際大会の開ける陸上競技場であって、サッカー国際試合用の8万人収容のスタンドも、コンサート会場として音漏れ防止や全天候型のための開閉式屋根などは必ずしも求められていないわけで、むしろサブグラウンドがないなどがアスリートから指摘されている始末。事業の目的を忘れて盛り過ぎということで、この部分はデザイン案に関わらずコストを押し上げる要因になっています。

事業費の膨張も、具体化と共にジワジワとで、本来は1,000億円程度だったはずが、震災復興や円安の影響で資材費が値上がりし、人手不足による人件費高騰もあって1,300億円に見直された経緯もあります。つまり文科省やJSCが事業費膨張の理由として説明しているこの部分は、1,300億円に盛り込まれているはずで、その後の膨張は、設計の具体化や施工希望のゼネコンの意見などによるわけで、入札もされていないわけです。

しかもゼネコンの意見は日本の公共事業で慣例化している事後的な予算の増額が含意されていると見るべきで、2,520億円で終わりという話ではないと考えられます。杜撰すぎるプロジェクトの進行でこうなったわけですから、安藤氏や森氏を含む当プロジェクトに関わったメンバーは更迭し、新しいメンバーでプロジェクトをやり直すべきです。一応プロジェクトマネジメントに経験豊富な国交省が関与するようですから、少しはマシな展開になるかもしれません。とはいえ都に負担を求めたりToTo収益金など別サイフに付け替えるだけで誤魔化す可能性もありますから、引き続き国民の監視は必要です。

そして白紙見直しとなったわけですが、安保法制の強行採決で支持率が低下したことから、目晦ましとの指摘がある一方、最終選考に残ったザハ案以外の2案でも概算で事業費が減らないということで、白紙見直ししか手がないということもあります。コンペのやり直しなども言われますが、今回の件で国際的に信用を失ったプロジェクトに応募してくれる得る奇特な建築家が現れるかどうか。実際ザハ・ハディド・アーキテクツが公式にコストアップがデザインのせいではないとのコメントを出しています。

また別の論点として旧国立競技場の残存基礎や地下鉄大江戸線を含む地下埋葬物の支障問題も指摘されていますが、なぜか関連する資料は公開されておりません。そもそもこれでまともなデザインコンペができるわけがないですし、工事が始まれば地雷のように立ちはだかる可能性があります。再コンペやるならこの点の情報公開も必要でしょう。

ま、というわけで、鉄分少な目の今回のエントリーですが、大規模公共工事はまかり間違えばとんでもないことになるという教訓を得ることはできます。事業費査定が甘い中央リニアに幸あれ。

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Friday, June 23, 2006

事ー故ジャパン!

眠たい1日のお勤めご苦労様でした。しかし事故の多い日でした^_^;。渋滞?と思えばパトカーがいて実地検分中ということで、疲れました。やっぱこれもW杯効果? 眠気にはセブンイレブンのO2サプリミント缶がお勧めです。

サンシャイン近くの都電荒川線の踏切で足留めされ、通過した電車がなぜかガラガラ。そういえば先日追突事故があったことを思い出します。乗客が忌避しているのでしょうか。アホなメディアが「都電にはATSがない」なんて無知な報道するもんだから、こんなことになるんでしょうか。でもね、ATSなんぞ装備したら続行運転できなくなって、とげぬき地蔵の縁日でパニックになりまっせ。車内警報装置(旧国鉄B型相当のATSと同等)を装備した世田谷線が、暮れと新年のボロ市のときに容赦のない詰め込み輸送をするのも、続行運転できないため。あんたらの正義はいかにズレまくってるか自覚してほしい-_-;。

そういえば耐震強度偽装では姉歯建築士が以前から偽装をしていて、国会の証人喚問で「木村建設に圧力かけられた」という証言を翻しました。これには関係者が共謀して偽装を行ったという捜査当局のシナリオが崩れて、姉歯建築士の個人の犯罪となりそうな気配ですが、一罰百戒を狙って別件逮捕オンパレードできた捜査当局の責任問題にも波及するかも。そもそもは専門家が経験則に基づいて行ってきた強度計算ですが、国際化の進捗で海外とくに米企業の参入要求もあって、基準を明示することと規制緩和の要求が重なって、4つの異なった基準で強度計算を行うという木に竹を接ぐような制度になってしまったことに対する当局の反省は見られず、結局建て替えもままならないまま放置された被害者は置き去りです。困ったもんだ。

あとエレベーターの事故なんて話題もありますが、これもいろいろな問題を含んでます。そもそも建築基準法で通り一遍の安全基準が示されているだけのエレベーターですが、高層建築が増えて、コンピュータ制御の高度なメカになってきていて、メンテナンスの専門性が高いのですが、メーカーは競争激化でハードを安く売ってメンテナンスで元を取ろうとするから、メンテナンスに必要な技術情報の開示に消極的だし、一方で独立系のメンテナンス会社が安値で参入する一方で自治体では入札制度の見直しで随意契約や指名入札から競争入札へ移行したら、安かろう悪かろうでトラブル続出とは困ったもんです。鉄道ならば運賃収入を安全投資の原資にできるものの、エレベーター自体は、ランドマークタワーの展望エレベーターのような例外を除けば、直接キャッシュフローを生む資産ではないので、制度設計に難しさがあります。どうする国交省。

6月といえば株主総会の季節ですが、5月施行の新会社法の影響で、株主総会も様変わり、今年のトレンドは買収防衛策だそうで、なんとも保守的な日本企業です。新会社法も国際化の進展で国内企業の海外での事業展開や外国企業の国内事業展開などなど、国によって異なる会社の定義を米国基準や欧州基準などの要素を取り入れてやり直し、かつ規制緩和というナイーブな要求を満たすなど、要請される事項が多くて、カタカナ旧文語体の旧商法よりも難解な現代語条文のオンパレードとなりました。何か耐震強度問題に似ていることか。

会社法を難しくしているのは、さまざまな機関設置や株主の議決権を定款で制限できる場合があったり、商法の株主平等原則が消え去り種類株が解禁されるなど、使い方によっては紛糾しそうなさまざまな要素が盛り込まれているのですが、阪阪統合のTOB価格930円が妥当だったかどうか、TOBに応募しなかった阪神株主から異議が出されたらどうなるかなど、ややこしい問題があります。いわゆる株主代表訴訟がやりにくくなった感は否めません。ま、阪阪統合の場合はTOB期間中の株価下落という想定外の事態がなければどうなっていたかわかりませんし、1,000円を超える株価水準自体が利益水準から見て倍誓い高値という指摘もありますし、微妙な問題テンコ盛りです。ま、株価下落自体が米FRBバーナンキ議長の不用意発言がきっかけということで、中央銀行総裁の言動がいかに責任重大か、福井さんわかってんでしょ。

ブラジル戦が終わって、中田ヒデがピッチにへたり込んで悔しさを露わにしたのが印象的です。結果を変に庇うこともけなすことも不要です。悔しさこそアスリートには明日の糧です。

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Sunday, November 07, 2004

コクド球団売却に動く!? 西武ライオンズの蹉跌

事態は想像を超えて、思わぬ方向へ進んでいるようです。
 日本経済新聞11/6夕刊トップにタイトルの記事ですから、驚きました。前回、西武鉄道の自立をテーマとした記事で、鉄道側の事情での球団売却の可能性に言及いたしましたが、実際はコクドの方が球団売却に動いていたというわけですね。ま、西武鉄道にとっては、西武球場は乗客を集める集客装置として意味があるわけで、コクドも西武球場をフランチャイズとすることを条件にしての売却先探しだったようですから、西武鉄道の事情を汲んでいるわけですね。
 しかしライブドアにも声かけてたとは。楽天イーグルスにヤフーホークス???でかつて電鉄リーグと呼ばれたパリーグが、今度はITリーグの様相を呈しているのが、時代の変化を映しているようで面白いところです。
 半世紀にわたるライオンズファン^_^;の私ですが、思えばかつての黄金時代は石炭景気で業績好調だった西日本鉄道が、名監督や名選手をかき集めて実現したものといえるかと思います。
 黒い霧事件で戦力ダウンしたときは、既に国のエネルギー政策が石炭から石油へシフトして、親会社の西日本鉄道の業績も下り坂の時代ですから、西鉄が球団を持ちきれずに太平洋クラブへ身売りしたのも無理からぬところです。その後クラウンライターを経て西武コクドグループが買い取り、西武ライオンズとなったわけですが、鉄道屋からゴルフ場屋、ライター屋を経て(実際は共に平和相互銀行が資金提供していたようですが)、鉄道屋とはいえリゾート開発に傾斜していた西武コクドグループへの譲渡は、それ自身が歴史に翻弄された結果といえるのかもしれません。
 結局200~250億といわれる譲渡希望価格が高すぎて不調だったようですが、西武鉄度の管理ポスト行きで資金調達力が著しく低下した西武コクドグループとしては、聖域なきリストラにまい進するしか道がないということでしょう。
 日本のプロ野球は、ライオンズの歴史を見ても、所詮はタニマチ経済に支えられていたということなんですね。そしてタニマチの旦那衆に仲間入りするには、旦那衆の中でも頭領格の御仁(読売のナベツネ)の覚えめでたい者に限るという暗黙のご了解の下、頭領を抱き込んで10球団1リーグ制を画策したグループが、謀をめぐらせて失敗し、タニマチを抜けたいと言っている構図と見ればわかりやすいですね。これは裏を返せばプロスポーツとしての興行的な自立とは程遠い姿といえます。
 ま、私みたいに弱かった時代も離れなかったファンのいるライオンズですから^_^;、これぐらいのことでどうにかなるとは思っておりません。スポンサー企業が変わってもV2目指してがんばっていただきたいところです。

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Thursday, November 04, 2004

脱堤、西武鉄道は自立できるか?

西武ライオンズ日本一という結果をもって2004年シーズンを終えたプロ野球ですが、同時に堤義明氏のオーナー辞任によって、西武コクドグループの役職から公式に退いたわけですが、誰もこれで堤氏の西武コクドグループ内の支配がなくなるとは見ていないでしょう。
 でもいろいろな形で確実に変化の兆しは現れているというのが、この記事の要旨となります。とりあえず早稲田大学のご学友^_^;グループが経営陣から退き、生え抜きと運輸官僚出身者がトップに立つことで、本業回帰を目指す動きが見え始めているあたりに注目したいと思います。
 思えば春に発覚した西武鉄道の総会屋利益供与事件が発端だったんでしょう。監査役まで身内で固めて、事実上監査が機能しない上場企業は、何も西武だけに限りませんが、その体制を維持しようとすれば、さまざまな無理を重ねる結果となり、利に敏い闇の勢力につけ込まれたとしても不思議ではありません。
 結果として堤氏の腹心中の腹心である戸田博之社長と共に会長職を辞任し、社外取締役2人の選任と併せて7月に倫理委員会と業務改革委員会を立ち上げ、社内改革へと舵を切るという変化が出てきたようです。さらに取引先企業へのコクド実質保有の西武鉄道株を勧めてインサイダー取引を疑われたことで、常務取締役の白柳敏行氏が辞任に至り、堤氏側近が経営陣からいなくなるという椿事と相成りました^_^;。
 結果として西武鉄道経営陣は自立経営を志向する動きが出てきたという見方となります。本業の儲けを本業に再投資するから経営基盤が強化されて経営が安定するのは、鉄道業に限りませんが、大規模な資本を要する鉄道業においては、重要な経営戦略です。例えば東急が数々のビッグプロジェクトを当初計画とは違う形であっても実現していって現在の地位を築いたこととか、国鉄資産を継承してスタートが恵まれているとはいえ、毎年着実に投資を続けるJRの姿を今の西武鉄道経営陣はうらやましく感じているようです。
 しかし従来は堤氏の個人保証と保有不動産の含み益で銀行融資を引き出すことも、株式のグループ保有で株価を高止まりさせてエクイティファイナンスで資金調達することも今後は難しいわけですから、不採算事業の切り離しなどの事業の見直しが避けられないといえます。
 ところがこれが曲者で、例えば日本一に輝いた西武ライオンズはコクドの完全子会社ですが、フランチャイズ球場の西武ドームは西武鉄道が保有し、ライオンズに興行権料を支払っているという関係ですが、年間20億円程度の赤字事業という現状では、見直しせざるを得ないところですが、堤氏が継続保有を希望している限りは難しいですし、同じく堤氏ご執心のプリンスホテルも、赤坂や高輪など都内の好立地物件の多くは西武鉄道の保有でテナント収入を得ている現状ですが、資金調達のために手放すことになったらどうなるかなど、不透明な要素テンコ盛り状態といえます。
 とはいえやっと鉄道屋として目覚めた新経営陣には、やはりエールを送りたいと思います。

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