インボイス始めましたで取り上げたMLB大谷選手の通訳水原氏の供述で大谷選手の賭博関与疑惑は晴れました。疑惑の大谷選手の口座取引も水原氏のなりすましというシンプルなもので、アメリカでは銀行口座開設も面倒ですから水原氏が代理で手続きして銀行からの問い合わせにもなりすまして答えていたという訳です。水原氏はギャンブル依存症を拗らせていて、大選手の専属通訳となってある意味金づるを掴んだ結果深みにはまったと見られます。故にギャンブル依存症治療のカウンセリングを受ける条件で保釈されましたが、欧米ではこれが普通のこと。インフレは続くよどこまでもの大川原化工機冤罪事件のような人質司法がまかり通る日本の常識とは違います。てことでこのニュースにツッコミます。
岸田文雄首相とバイデン米大統領の日米首脳会談・共同記者会見の要旨 - 日本経済新聞
日米同盟強化で在日米軍と自衛隊の指揮・統制の枠組み見直しということですが、アメリカの本音はは明らかです。ウクライナでロシアの攻勢にさらされイスラエルの暴走で中東も問題を抱えて動けない米軍に代わって台湾有事よろしくってことですね。朝鮮半島有事で朝鮮国連軍の名目を持つ在韓米軍に韓国軍が指揮・統制される枠組みに準じて台湾有事には自衛隊が対処する枠組みです。
とはいえ朝鮮半島と台湾では国際法上の枠組みが異なります。朝鮮戦争は現在休戦中ですが、元々国連憲章に基づく国連軍による紛争解決という枠組みで北朝鮮の侵攻を食い止め押し返したものですが、当時常任理事国のソビエトが票決を棄権した結果拒否権発動無しに西側諸国が参戦したものですが、休戦と共に各国は群を引き揚げて米軍だけが残ったものです。
故に韓国軍は安保理決議に基づく指揮・統制権の制限を受け続けており、韓国では主に革新派がこの点を問題視していた訳で、文在寅政権で南北融和が模索され朝鮮半島終結に向かったのはこうした背景があります。尚、国連憲章で敗戦国の日本は敵国条項を盾に国連軍への協力を義務付けられており、朝鮮戦争当時は存在しなかった海上自衛隊代わりに海上保安庁が機雷掃海に駆り出されて誤爆による死者も出ています。戦争放棄の戦後日本でも戦死者が出た訳です。
一方の台湾ですが、元々国民党政府と共産党の内戦の結果敗走した国民党が台湾に敗走して臨時政府を台北に置いたことが始まりで、国連決議によって台湾問題は中国の国内問題とする所謂1つの中国論が国際的な合意事項になり安保理常任理事国も北京政府に譲ることになったものです。よく「台湾は親日的」と言われますが、国共内戦で敗走した外省人の国民党政府が独裁体制を敷いて台湾の内省人を抑圧したことから、清朝、日本政府、国民党政府と圧制を受けたことから、近代化が進んだ日本統治時代が相対的にマシに見えるというのが本当のところです。
ちなみに南シナ海の領有権問題のそもそもの発端は、WW1後の戦後処理で日本が島嶼部を国際連盟委任統治領としてリン鉱石採掘などの経済活動も行われていました。当時の日本政府は便宜上台湾統監府の所属としたことから、上述の1つの中国の原則に則って中国が領有権を主張しているもので、日本の台湾統治時代の落とし物です。という訳でやり方には問題がありますが、中国の主張も一応法の支配に則った国際法の枠組みに適います。
つまり国際法上は内戦扱いとなる中台紛争にどう対応するかという法的枠組みは未定ですから、アメリカとしては可能な限り台湾の防衛力強化の協力はするけれど、いざというときの対処法は決まっていない訳です。加えて実際に米軍を動かすには議会の承認が要りますが、ウクライナへの腰の引けた対応に見るように議会が賛成するとは限りません。それでも小競り合いから紛争に巻き込まれる可能性はありますが、その時には日本の自衛隊のせいにしてバックレることも可能です。アメリカだって核保有国の中国と事を構えたいわけではありませんから。
実際ウクライナでは体勢を立て直しつつあるロシアに対してウクライナは劣勢です。というのも米議会共和党のウクライナ支援への消極姿勢もありますが、それ以上に冷戦終結に伴う平和の配当でアメリカが国防費を削減した結果、軍産複合体と言われたアメリカの兵器産業も生産縮小を余儀なくされていたところでのウクライナ戦争ですから、アメリカも兵器の在庫が枯渇しつつあり、これ以上の支援は難しくなっています。そこでじゃあ日本で兵器作りましょうってのが武器輸出三原則の見直しであり日英伊の兵器共同開発でありということで、それに関連してライセンス生産の急所となるセキュリティ対策としてのセキュリティクリアランス法ですね。自民裏金問題の裏ですんなり通っちゃいました。
ロシア側から見ても兵器産業が集積するウクライナの独立はロシアにとっては痛手で、その意味で取り返したかったけど、当初の目論見と違って予想以上のウクライナの反撃で後退を余儀なくされました。故にロシアも国内の兵器製造能力を落としている訳ですが、それを補っているのが北朝鮮でありイランでありという訳です。一方で西側諸国で唯一平和の配当と無縁だったのがイスラエルで、ウクライナ戦争で潤っている西側でほぼ唯一の国です。
他方ロシアは近年石油や天然ガスなどの資源輸出で経済を回してきた訳ですが、それ故にウクライナ侵攻でも石油や天然ガスを止めれば欧米は困るだろうという読みがありましたが、実はガザ沖の有望な海底ガス田があることが英企業の調査で判明し、これを利用すれば現在ライフラインをイスラエルに依存するパレスチナ自治政府にとっては自前のエネルギー源を持って経済自立して独立というシナリオが可能になる訳ですが、イスラエルはこれを徹底的に邪魔し続けてますし、それどころか海底ガス田の利権を我が物にすらしようと狙っている訳で、そうなるとガザへの容赦のない攻撃の意図が別にあることが疑われます。ハマスのせん滅のみならずガザの住民を追い出してイスラエルの実効支配を確立したい訳です。資源国イスラエルとなれば国際的な発言力は増します。またアメリカのみならずロシアの資源禁輸で苦しんだ欧州でもあてにする国が出てきている訳です。
一方で欧米の国民はイスラエルの暴走に怒っていて反イスラエルデモが起こり、特に大統領選を控えるアメリカにとっては支持者離れを防ぐ意味からイスラエルに自制を求めるようになりますが、そうするとアメリカの支援が離れないようにイスラエルはシリアのイラン公館を空爆してイランを巻き込み、アメリカが関与せざるを得ないようにしようとしています。親イランと言われるイエメンフーシ派による船舶攻撃でスエズ運河の利用が困難になり米海軍が艦船を排煙して抑え込もうとしているように、イランが絡めば米軍が動くことを狙ったものです。
世界の紛争地帯の多くがこうして線で繋がる訳で、兵器産業にとってはまたとないビジネスチャンスですが、一般国民の経済厚生の向上に寄与するものではありません。ある意味冷戦終結によるグローバル化の進捗は平和の配当の具現化という側面は確実にあった訳で、例えば米国防総省ARPAnetが一般公開されてインターネットが始まり、それがネットコンピューティングと連携してIT革命が起きたし、先進国に追いつけなかった途上国が新興工業国として台頭することを助けました。その典型が中国です。という訳で中国の台湾進攻は現時点ではほぼ無いと見て間違いないでしょう。
アメリカも自国の兵器産業を増強することなく兵器を手に入れてライセンス料は取り、連邦予算はインフラ投資法やIRA法で民生部門の国内投資を促進して「大砲よりバター」路線なのに日本は真逆を行っている訳です。アメリカは大喜びですが、こうしたバイデン政権の政策が成果を上げているとは言い難く、例えばボルティモア港の橋落下事故のようにインフラの老朽化、脆弱化は止まりません。そして平和の配当としてのネットにも暗雲が漂います。
規制の緩さで巨大化した大手IT企業への規制が議論されてますが、既にアップルやグーグルはやり玉に挙げられています。一方ネット企業には中国の影が忍び寄ります。TikTokは議会が問題視して規制法が作られてますが、一方で格安ECサイトのTEMUが凄い勢いでユーザーを増やしてアマゾンを凌駕する勢いです。実は中国企業なんですが、巧みにそれを隠し、インフレによる割高感も手伝って安さで攻めています。人種差別にナイーブなアメリカでは経営者が中国人というだけでは規制できず、中国企業としての実態が問われる訳ですが、その中国では国営企業優先で民間企業が苦しんでいる中で、アメリカ市場への参入意欲は高い状況です。加えて中国資金による米企業への投資までは規制のしようがありません。気が付けばオーナーは中国人という事態は進むでしょう。
まあこの点は日本ではもっと愚かな政策が進んでいます。NTT法改正で外国人株主の制限が解除されます。つまり中国人も買える訳ですが、通信インフラを売り渡してそのお金で兵器を買って中国抑止ってどこまで愚かなのか-_-;。震災復興予算に使うことが法律で定められた東京メトロの株式上場も、国の保有分が復興に使われるかどうかは要注意です。何故ならば予算の余剰分や税収の上振れ分を防衛費に充てる防衛予算確保法が成立しており、わざと余らせて防衛費に回すことが可能になります。株高で懸案だった東京メトロの株式上場が進むのは良いのですが、能登半島地震の対応でも見られるように、災害復興予算をケチって防衛費に回すって典型的な「バターより大砲」の愚策です。そんな愚かな日本の捕らぬ狸の皮算用は如何に?
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