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Sunday, November 04, 2018

社畜の国の移民政策

韓国徴用工の新日鉄住金に対する賠償問題ですが、これ日韓条約で政府間の賠償問題は解決積みとされた訳ですが、この訴訟は個人としての韓国人徴用工の日本企業に対する賠償請求というところがミソでして、私人同士の賠償請求権が政府間の条約によって無効にできるのかが問われていたのですが、下級審で認められ、今回は上告審ですから、余程の訴訟手続き上の瑕疵がない限りこうなるのは当然です。

新日鉄住金は韓国ビジネスへの影響を考慮して和解を模索していたようですが、日本政府が和解に応じないよう圧力をかけたそうで、結果確定判決に至った訳で、和解しとけばそれで終わった話。これで戦時徴用に関連した70社超の日本企業が訴訟リスクにさらされるわけで、私人同士の問題に政治介入した結果のオウンゴールです。賠償を韓国政府に肩代わりさせると息巻いてますが、これ逆に元々関心が薄かった韓国の国内世論に火をつける可能性があり、困ってるのは寧ろ韓国政府です。

台湾プユマ号に関してメーカーの日車がATP解除した場合に自動的に指令に連絡する回線が接続されていなかったと発表しました。事故との関連は不明ですが、一定時間指令がATP解除を把握していなかった可能性はあります。当局の発表が二転三転したのはそのせいかも。いずれにしても日車のミスが明らかになった訳で、ややこしくなってきました。

このところ日産やスバルの無視覚検査や神鋼のデータ改ざんに始まり、川重の新幹線台車枠亀裂やKYBの免震、制震ダンパーのデータ改ざんに至る様々な不祥事が明るみに出ている日本企業ですが、いずれも経営陣が把握していなかったらしいという共通点があります。経営陣が現場を把握できていないガバナンスの問題と捉えるべきでしょう。日産やKYBのケースは政府規制の妥当性に疑義があるという見方もできますが。

てな具合に官民共にガバナンスがボロボロの日本ですが、政府の無能ぶりは言い疲れたwwwwわけぢゃないけど置いといて、生産年齢人口の減少が日本企業の現場を追い込んでるんじゃないかという問題意識で考えてみます。で、このニュース。

単純労働 外国人受け入れ 入国管理政策を転換 法案閣議決定、国会論戦へ :日本経済新聞
この臨時故国会で通して来年4月から施行というスケジュールも無茶ですが、事実上の移民受け入れとなるのに、国の在り方を変える議論には程遠いと言えます。

問題はいろいろあるんですが、基本在留期間5年ですから、あまり込み入った複雑な仕事は任せられませんから、単純労働を担うことになります。特定業種1級と2級に分けて一応生産性向上や高齢者や女性の労働力率上昇でも尚足りない業種に限定し、具体的な業種は3年毎に見直し充足されれば指定を外すとしてますが、生産年齢人口の減少は男女問わず進みますし、働ける高齢者の増加も減ってきますから、結局いつまで経っても充足されず、寧ろ他の業種でも足りないとなって業界の陳情合戦になって政治介入の余地を与えます。

冷静に考えて、生産年齢人口の減少が毎年50万人として、減少分を外国人労働者受け入れで埋めたとしても、5年で帰国するんですから、以後は足りなくなる訳で、帰国者分の受け入れを増やし続けない限り実効性は無い訳です。しかもスキルを磨いて高度な技能を習得するインセンティブもない訳で、果たして現場のモラルが維持できるのか?疑問です。現状日本人で構成された職場でさえ不祥事ボロボロなのに、外国人労働者を受け入れてまともなマネジメントができると考えているとすれば認識が甘すぎます。戦時徴用工の二の舞の悪寒。

結局社畜の代わりはAIでも外国人でもできないんです。人手不足を前提とした事業の見直しができなければ沈みゆくばかりです。そんな現実を踏まえてこのニュースをご紹介します。

東急、鉄道分社がもたらした27年ぶり高値  :日本経済新聞
東急の鉄道分社ですが、沿線再開発やビル賃貸などの事業は本体へ残すそうで、ある意味鉄道の専門性故の分社ということですが、このところの停電トラブルなど鉄道事業でのトラブル多発が背景にあります。その原因として電気技術者などの求人案があることは上記日産の無視覚検査と共にグローバルプリズンのエントリーで取り上げました。

東急にとってはルーツとなる田園都市株式会社が荏原電気鉄道や武蔵電気鉄道の免許線を利用して目黒鎌田電鉄を立ち上げた過去への先祖返りの形ですが、今や主力は渋谷など都内愛開発が中心で、かつて注力した多摩田園都市は高齢化で曲がり角を迎えています。いずれ多摩田園都市でも駅を中心とした再開発が必要ですが、そのためには鉄道がきちんと機能し信頼回復を図るための分社ということで、腐っても東急というか^_^;、現場問題をマネジメントの問題と捉える意識が見えます。勿論吉と出るか凶と出るかはわかりませんが。

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Sunday, October 28, 2018

傾く台鉄

本題に入る前に、シリアで反政府ゲリラに拘束されていたジャーナリストの安田純平氏が解放され無事帰国しましたが、自己責任を言い立てる書き込みが多いことが信じられません。同胞が無事帰ってきたことを何故喜べないのか?政府の制止を聞かずに渡航したことや、政府に批判的な言動があるとしても、それ思想信条の自由、言論の自由の範囲内だろ。思想信条や言論を理由に助ける助けないという議論自体の選別のヤバさを理解できないでしょうか?

加えてカタール政府が支払ったと報じられた3億円の身請け金を理由に「テロリストに資金が渡った」と沸いてますが、事実そうだとしても、それはカタール政府とテロリストの関係だし、日本政府が単純に肩代わりできるものでもありません。ただしサウジアラビアとの対立で経済制裁を受けているカタールとしては、貴重な外交カードを得たことは間違いない訳で、ODAなどの形で着地点を模索するのは政府間の話し合いになるだけの話。国民としては専門家としての外交官に付託すべき問題で、首突っ込むようなことじゃありません。

一方で「政府は何もしてないのに」という批判が反対陣営から出てますが、仮に事実そうであったとしても、同胞の帰還を喜べないのか?という疑問が拭えません。悪いけど自称リベラルな皆さんも火種を撒いているとしか見えません。同胞の無事を喜びましょう。

で、本題。台湾で大事故が起きました。

台湾で特急脱線、18人死亡 負傷者160人超、日本人の被害なし :日本経済新聞
8両編成の特急プユマ号が脱線し、5両が転覆して死傷者多数となりました。一応日本人の被害は確認されておりませんが、日本人に人気の観光地でもあり、日本人が乗っていても不思議ではありません。

その後の当局の発表が二転三転しました。事故の30分前に運転士から車両の異常が指令に伝えられていたということで、製造メーカーの日本車両製造(日車)株が売られます。この日はNY市場の株安を受けて東証でも値を下げたタイミングですから、事故の影響がどこまでかは定かではありませんが。

その後脱線は速度超過が原因とされ、更に運転士が日本のATSに相当する保安装置のATPを切っていたことも台湾鉄路管理局(台鉄)から発表され、運転ミスということで日車は少し値を戻します。しかしその後対話政府の事故調査チームが運転士のATP解除が指令に報告されていたことが発表され、事故調査チームが台鉄の発表に不信感を明らかにします。加えて気になるこのニュース。

台湾脱線事故 2年で7回 赤字続く公営 安全意識足りず :日本経済新聞
公営で赤字体質の台鉄では、脱線事故が繰り返されていたということです。被害が軽微だったとしてきちんとした事故調査も行われ繰り返さてこなかった上に、赤字体質でメンテナンスが手薄だったことが窺われます。


で、事故を起こしたプユマ号用車両TEMU2000型電車ですが、カーブの多い台鉄向けに車体傾斜システムを採用しました。日本のJR四国8600型やJR東日本のE353系に搭載されているシステムです。台鉄ではプユマ号の前にJR九州885系に似た制御付き振り子車タロコ号TEMU1000型を投入していましたが、プユマ号はその後継です。制御付き振り子はJR四国2000型気動車と8000型電車で採用され、それぞれ後継に8600型電車と2600型気動車が登場して同じ運転時間で運用されてます。JR東日本のE353系もやはり制御付き振り子のE351系を置き換えています。

車体傾斜システムは振り子ではなく枕ばねに使われる空気ばねの空気圧を制御するもので、JR北海道キハ201系で採用され、特急車キハ261系が続きますが、201系では早い段階で車体傾斜制御を「やめ、昨今の事故続きで261系でも使用を止めています。元々制御付き振り子よりも安価なシステムとして「導入されたものの、制御の難しさやメンテナンスの問題から使用を諦めたようです。それだけ難しいシステムだってことです。

JR東日本でもE353系量産先行車を製作して暫く走り込みをしてましたが、車体を傾けるタイミングの最適化のみならず、圧搾空気を消費するシステムなので、過度に使用してコンプレッサー回しっぱなしでも追いつかないこともあり得るわけですから、その辺の見極めもあります。実際JR四国では高徳線に投入した2600型をカーブの多い土讃線への投入を断念してます。そういう意味でユーザーの使いこなしのスキルが求められる車両ということになります。

で、台鉄ですが、お世辞にもスキルが高いと言えなさそうですし、運転士と指令のやり取りから類推すると、おそらく何らかの理由で圧搾空気の消費が激しく、ブレーキ梃子を動かす元空気溜め菅の空気圧が低下して、ブレーキが込め位から緩めに戻らないブレーキ不緩解が起きた可能性は指摘できます。車体制御システムに原因があるかどうかはわかりませんが、ブレーキ込め状態で力行すれば所定の性能は出ない訳で、列車の遅れを気にして何とかしようとした結果のATP解除ではないかと考えられます。通常ならば停止してブレーキテストで異常なしを確認するという手順になると思いますし、乗客の証言として停車駅以外のところで停止した李再度走り出したりということですから、あり得ます。

それでも直らないならその場で停止したまま救援を待つのが正しい対応ですが、運行を続けたままでATP解除が運転士と指令で共有されていたってことは、信じられないほどの安全意識の欠如と言えます。台鉄の組織的な問題もありそうです。

思えば過去エントリーでも指摘しましたが、公社時代の国鉄は運輸省の指導下になかったという恐ろしい状況だったんですね。元々政府直営の現業部門で日本では軍部に次いで強い組織だった鉄道省が戦時の商工省や逓信省との統合の後、戦後現業部門を公社化して日本国有鉄道として、行政事務方が運輸省となった経緯から、公営私営の事業者は免許事業として運輸省の指導を受けていた一方、国鉄は公社化後も国の現業機関時代からの慣習を引き継いで自らの意志で事業を展開できる存在でした。その結果世論の反対を押し切って東海道新幹線を実現できたという面はありますが、行政の適切な指導の外にある状況だったわけです。

台鉄は戦前の台湾総督府鉄道がルーツで、所謂植民地鉄道だったわけですが、戦後中華民国政府に摂取されます。以来台北政府の現業部門として継続してますが、公社化を通して民営化する計画もあり、丁度日本の鉄道省時代に近い統治システムです。故に地形が険しく不便な東部幹線の建設や電化、重軌条化を進めるなど、設備投資も活発ですが、それだけ資産規模の拡大で収益がついてこない。加えて台湾高速鉄道や高速バス、国内線航空との競争にもさらされており、収支が厳しいわけです。

しかし投資に積極的な一方、赤字体質でコスト圧縮も求められるわけですから、現場にかなりストレスがある状況と考えられます。この観点から言えば、日本の国鉄民営化は「一応成功と言えるわけです。JR北海道の問題は、地方の容赦ない過疎化の結果でもあり、事業者としてのJR北海道に責任がある訳ではありません。問題は分割民営化の前提がこれだけ変化しているのに、見直しに動かない政府にあります。

あとおまけ。JR東日本のE351系は中央線高速化プロジェクトを睨んで投入されましたが、振り子車運行を想定していない中央東線で振り子を作動させたときのパンタグラフと架線の偏移の問題があり、台車枠から櫓を立ててパンタグラフを乗せるという無理目の仕様とした結果、これがトラブルの元となって所定の性能を発揮できなかった失敗作ではあります。加えて凝ったギミックを詰め込むためにコスト面から車体をスチール製としたために振り子車なのに重心が高いし線路も炒めるし、加えて高速化対応で最高速160km/hとした結果、加速が鈍くなりダイヤがタイトだという乗務員の指摘もあって歯車比の見直しで性能を下げました。技術力がるはずのJRでもこういう失敗はある訳で、使いこなせるかどうか分からない最新システムに飛び付くのは慎重であるべきです。

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Sunday, October 21, 2018

3度目の正直な消費税

いやヤバい事件です。例のサウジアラビア人ジャーナリストの事件ですが、何がヤバいって、変節黒田節で指摘したように、金の裏付けを失った米ドルの信用の源泉は石油であり、ドル基軸通貨体制は事実上石油本位制であるからです。WTIや北海ブレントなどの先物主導で相場形成される原油価格の安定が信用の源泉となっています。

輸出国で生産調整され消費国で備蓄され、かつての金本位制時代のように諸国で持ち合って価値が共有されている訳で、産油国の中でも特にアメリカの立場を忖度して生産調整に熱心なサウジアラビアの存在なしにアメリカに好都合なドル基軸通貨体制はありません。だから両国間関係にヒビが入る事態は世界を揺るがすことになります。

不思議なのは今回の事件がトルコ政府捜査当局のリークによって発覚した点です。サウジアラビアの在外公館内で起きた事件ですから、本来トルコ政府の捜査権は及ばない訳で、被害者のアップルウォッチで録音したデータを被害者の婚約者に預けたIphoneで樹脂似たというストーリーが語られてますが、相応にセキュリティを備えたサウジ在外公館の内部情報がアップル社のデバイスで易々と突破されたってことのリアリティは悩ましいところ。真偽は不明です。

そしてトルコもクーデター未遂事件への関与の容疑でアメリカ人牧師を拘束してアメリカから制裁を受けていたわけで、牧師は釈放されたものの経済的に苦しいトルコは、この事件を外交カードにしてアメリカやサウジアラビアを揺さぶる姿勢を見せています。失礼ながらトルコだけでここまでやれるか?第三国の関与の可能性もあります。あるいは強硬姿勢で事を進めるムハンマド皇太子の失脚を狙ったサウジアラビア人や米CIAの関与などもあり得ますが、結果としてサウジアラビア内外の対立の激化は避けられません。そういやソフトバンク株も売られましたが。

本題の消費税問題ですが、過去エントリーでSuica甘いか消費税Suica甘いか消費税再びで述べましたが、そもそも三党合意で消費税増税を決めた民主党政権時代も税収の上振れで補正予算が組まれていて、そればかりか復興増税で組まれた復興特別財源も余る状況だったってことは改めて指摘しておきます。

民主党政権以前から、大蔵省→財務省の予算編成のスタンスは、歳入を保守的に見積もってきましたから、税収の上振れ自体は珍しいことではなくほぼ毎年繰り返されてます。そして補正予算が組まれ、本予算で落とされた案件に予算付けされるということが繰り返されてきたわけで、災害復旧もその範囲でやれば本来増税は必要ないし、余れば次年度へ繰り越して次年度の国債発行を抑制することだってできた筈です。それをごまかし続けながら、景気対策と称して赤字予算を続けた結果が、GDP比200%超の赤字財政です。

少子高齢化で社会保障を持続可能にするためには財源が必要なんだという議論も要注意です。消費税増税の一方で小泉政権当時の年金改革で所謂百寝南進プランとか言われましたが、実質は保険料の値上げとマクロ経済スライドと称する給付の削減ですし、後期高齢者医療制度と称して切り分けた医療保険制度ですが、実質は現役世代が加入する組合健保や協会健保からの拠出金で賄い、各健保は拠出金ねん出の必要から保険料を値上げしている訳で、単なる負担の付け回しです。

消費税増税の本当の狙いは、輸出企業への戻し税による還付にある訳で、これあまり知られておりませんが、輸出品に関しては消費税は課税されない一方、仕入れ段階で負担した消費税が輸出時に還付されます。つまり実質的には輸出補助金になっているわけで、WTOルールでも流通の多段階で課税される付加価値税型物品税に限って還付を認めています。消費税の国境調整と呼ばれる措置です。消費税の手本とされた欧州の付加価値税をはじめ、EUの準加盟国的なポジションのカナダや社会主義国故に国税の考え方がなかった中国でも導入されており、主要国で同種の国境調整が行われていないのはアメリカぐらいです。

ここで思い出していただきたいのがトランプ大統領の誕生で導入が囁かれた、法人税の仕向け地課税による国境調整です。結局国内小売業などが影響を被るとして見送られましたが、その代わりにトランプ大統領は制裁関税を次々に繰り出しているという訳で、WTOの前身のGATTでフランスが物品税還付の特例として提案しアメリカが認めたことから始まったものという歴史過程を踏まえると、見え方が違ってきます。例えばEUは加盟条件として付加価値税率15%以上としており、殆どの国で20%前後となっていますが、これが欧州企業の輸出の後押しにどれだけ貢献しているか。また日本政府や財界も折に触れて消費税増税の必要性を言うのもわかります。

という訳ですから、一部で吹き上がっている消費税増税再延期は今回は無いと見るべきでしょう。とにかく消費税が増えるほど戻し税の還付が増える一方、ビジネスにやさしい安倍政権では法人減税も行われてますから、負担は減って還付は増える天国のような状況です。基本的に財界の意向には逆らえないでしょう。

でも消費にマイナスなのは確かなので、その回避策を小賢しく画策しておりますが、相も変らぬ自動車減税と住宅減税。成熟国の日本では自動車は基本買い替え需要ですから、減税で優遇しても需要の先食いが起きるだけで、寧ろ事後の落ち込みは大きくなりますし、人口減少で空き家対策が求められてる現状でまだ住宅増やすんかいって話ですね。

その一方でトヨタの豊田昭雄社長は自動車関連税の軽減を政府に迫っておりますが、輸出で還付金受け手法人税もまけてもらった上に、商売の邪魔になる税制無くせって言うんですからどこまで強欲なんだと呆れます。そうそう、日銀の異次元緩和のお陰で為替も円安ですから、それだけでも大儲けです。

それはそれとして、消費税問題は論点が多いので絞りますが、上記の過去エントリーで取り上げたのは、主に消費税率を5&から8%を経て10%と小刻みに段階的に上げる結果、JRなど鉄道事業者のシステム改修がばなkにならないって話です。その結果ICカードJ峰車検に限って1円単位の運賃として現金運賃と2本立てにすることが認められましたが、これに限らず商店のPOSシステムや銀行の決済系システムなど小刻みな増税での負担が増す絵です。今回に限っては延期していた増税の実施ですから、ある程度の対応は織り込まれているでしょうけど、軽減税率が問題を複雑にします。

早速スーパーやコンビニのイートインコーナーの扱いが物議を醸してますが、8%の軽減税率適用のために飲食禁止にせよというトンデモな話になっております。勿論ここで軽減税率を認めれば外食産業の反発を招くわけですが、重要なのは、同千匹をしようと、軽減税率の運用を巡るトラブルは避けられませんし、軽減税率適用を巡って利権争いとなれば政治家を巻き込んだ泥仕合も起こります。モリカケ問題が示すところは、その方が政治家の口利きの余地があるってことかも。

ただある意味この軽減税率導入があるが故に、準備を進める意味でこのタイミングで消費税増税を表明せざるを得なかったという側面もあり、この辺のからくりに気付いた立憲民主党が増税反対にシフトしてきており、野党の追及の口実を与えるあたり、香ばしいですな。

あと与党サイドから電子決済限定でのポイント還元やらプレミアム商品券やらと有象無象が飛び出しており、消費税問題で選挙が戦えないってのが与党議員の本音のようです。特に前者は中小事業者の導入促進を狙ってクレジットカード決済手数料の上限設定なんて話まで飛び出してます。これ日本が電子決済で出遅れているのを取り戻そうって意図なんでしょうけど、民間の相対取引の領域まで踏み込むって中国だってやらないぞ。

それ以上にそもそも複数税率を区分経理で対応しようとしてますが、どれだけ手間が増えるのか考えたないのでしょう。インボイスを導入すればそんな面倒はないんですが、ここでも現在見なしで控除される仕入れ消費税が証拠で明示されることへの反対が一部であるとか。これ透明性がが増す訳ですが、それを嫌う企業があるってことですね。腐っとる(怒)。

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Monday, October 08, 2018

史上最大の敗戦

7世紀のミッドウエー海戦とも称されるのは白村江の戦です。日本書紀に記された大敗戦の記録ですが、唐では既に大型船の建造が可能で、多数の兵士を乗せた大型軍船で船団を組んで航行することで敵を威圧するような戦い方がされていた一方、当時の日本の造船技術では外洋航海も危険が伴う小舟しかなく、当然一斉に出発しても船団を維持できず縦長の隊列で唐の船団と対峙したため、次から次へと打ち取られ、歴史的敗戦を喫します。

朝鮮半島三国時代に、劣勢だった新羅が唐と同盟して対高句麗、百済で攻勢に出て百済王朝が滅ぼされますが、王朝は滅んでも唐や新羅の支配を受け入れ難い百済人の抵抗は続き、対新羅で攻勢ですらあった緒戦の状況から、同盟関係にあった当時の大和朝廷は援軍を送りますが、第一波は主に食糧その他の戦争に必要な物資の供給が中心でした。現代流に言えば後方支援です。

しかし唐、新羅連合軍が巻き返したことと、トップのいない百済人の内紛もあって戦況が悪化し、兵を出すことになったのですが、その結果は上述の通り、結果的に戦力の逐次投入で被害を拡大するあたりミッドウエーそっくりです。結果的に百済の再興はならず歴史的敗戦を喫します。この敗戦はまた壬申の乱を引き起こすことになり、東方の小中華帝国を目指し律令国家建設に邁進していた大和朝廷を揺さぶります。

そんな敗けられない戦いを敗けた大事件も中国や朝鮮の史書には記述が見当たらず、中国史、朝鮮半島史の観点からは些事だったってことですね。この辺も日本軍には重大だったけど米軍にはそうでもなかったという意味でミッドウエー海戦に似ています。しかしそこは古代の話。人口も生産量も遥かに少なかった時代故に単純比較はできませんが、そんなスケール感の違いはあるものの、日本史に繰り返し現れる構造的パターンが見えるのが面白うところです。

当時のリーダーは大化の改新を主導した中大兄皇子(天智天皇)ですが、蘇我馬子の謀殺には成功したものの、有力豪族の面従腹背に悩まされ、律令国家建設は遅々として進みませんでした。そんな時の百済滅亡の報せは大いに動揺したでしょうけど、同時に内政の停滞の打開に外交を利用することもあり得ます。古代のことですから、史料の裏付けは得にくいですが、可能性の指摘はできます。事実白村江の戦の敗戦で兵を出した豪族は疲弊し、朝廷にとっては統治改革を進めやすい状況にはなりました。後付けの論だと言われればその通りではありますが。

しかし疲弊した西国に対して相対的に兵力を温存していた東国の豪族たちが吉野で出家していた中大兄の弟の中大海王子(後の天武天皇)を立てて謀反を起こします。壬申の乱ですね。かくして東西に分かれて雌雄を決したのが美濃国西部の平原、後の関ヶ原という奇遇です。当然東軍の大勝で天智帝→天武帝への政権交代が起こり天武帝は国を失った百済人を渡来人として受け入れ、力を失った豪族たちを抑えて律令国家を完成に導きます。ザックリですが戦功をあげた諸大名への報償の枯渇から朝鮮出兵に踏み切った秀吉の後始末としての関ヶ原と、その後の豊臣→徳川の政権交代と、その後の幕藩体制整備という相似相が見られます。

7世紀にミッドウエーと関ヶ原を体現する日本史のフラクタル構造の恐ろしさというか、逆に言えば歴史に学べば防げた間違いも多いと見ることもできます。日本史の範疇を超えますが、前エントリーに照らせば、コンコルドの失敗やトランスラピートの開発断念を捉えてリニア建設を見直すとかですね。尚、天武帝は唐、新羅が攻めてくると危機感を煽って国内の体制固めをしたと言われますが百済滅亡の現実の前には一定のリアリティがあったとしても、唐には東の端の島国への野心はなかったようです。

気になったのが沖縄知事選。玉城デニー氏が当選しましたが、選挙戦中の玉城氏に対する酷いデマの数々ですが、玉城氏が当選すれば米軍が撤退して中国が攻めてくるってのがありました。何を根拠にしてるかわかりませんが、玉城氏自身は基地問題一辺倒ではなく、基地に頼らない、同時に政府の沖縄振興策に頼らない、観光振興を中心とした経済政策で若い有権者を引き付けました。基地に対しては米軍と自衛隊の共同管理などある意味翁長前知事よりも柔軟な姿勢を見せており、47都道府県中最下位に安住する従来の在り方に一石を投じる議論が見られます。

米軍が撤退したら中国が攻めてくるってデマですが、資源もないし平野も少なく農業に不向きな沖縄を含む日本を中国が軍事的に制圧して領有するメリットが思い浮かびません。いや技術や資本があるじゃないかって言いますが、それなら合弁事業による中国投資や中国資本による日本企業買収や技術者のヘッドハンティングが最適油断ですし、いずれも実行されてます。7世紀の天武帝に倣ったのかもしれませんが愚劣です。寧ろ7世紀の唐帝国が日本に関心を示さなかったことが繰り返されていると。

加えて言えば同盟重視の結果が百済への過剰な肩入れによる白村江の敗戦につながるわけですが、覇権を失うかもしれないという恐怖心に支配された今のアメリカとの間合いのとり方は要注意です。首脳協議で結局二国間協定の交渉開始を決めた安倍政権ですが「物の通商を巡るTAG(Trade Agreement of goods)でFTAじゃない」とか「農産物などの関税もTPP水準を超えない」などの言い訳がされている一方、英文の合意書にはTAGの表記はなく、今後サービス、投資、市場アクセスへと交渉を継続することが謳われています。

つまり国内向けに嘘の説明がされてるわけです。つまり実質FTAだし今回の押し切られ方を見ればTPP水準の譲歩制限もあてにはなりません。それどころか貿易赤字解消のネタとしてシェールLNGや兵器の購入拡大がなし崩しに進む可能性があります。軍事機密の塊の兵器を輸入に頼るってのは、輸出国への軍事的従属を意味しますし、言い値で高い買い物をすれば、それだけ既存兵器のメンテナンスや弾薬など消耗品購入に使うべき防衛予算を圧迫しますから、防衛力は低下するんですが。

FTAではないとすると、アメリカに対する譲歩は他の全ての貿易相手国に適用されるのがWTOルールですが、安倍首相が言うように自由貿易体制の意義を主張していくのなら、当然WTOルールに則って行動すべきですね。確かにアメリカの制裁関税にせよ中国の報復関税にせよWTOルールに明確に反している訳ですが、TAGがFTAでないとすると、日本もWTOルールを守らないつもりなんでしょうかね。そんな中でこのニュースに注目です。

羽田新ルート 米と調整難航 在日米軍空域の通過認めず 訪日客4000万人へ壁 :日本経済新聞
2020年東京五輪で訪日外国人の増加に備えて羽田発着の新ルートで横田空域を一部通過することに対して米軍が否定的な見解を見せており、調整が難航しているのですが、横田空域問題は日米地位協定で米軍の管制下にあり、民間機が自由に飛べないエリアですが、運用で悪天候時の代替着陸や給油などの便宜供与は行われてきました。報道では新ルートが東京の市街地上空うを通過することから騒音問題などが取り上げられてますが、それを言うなら横田基地発着の米空軍機は今でも飛んでますし、時間制限もなく夜間もお構いなしですから、騒音問題がネックになることはないと言えます。

むしろ日米地位協定自体の見直しを頑なに回避して運用で凌いできた矛盾が顕在化したものです。本来日本政府が本気になって取り組みべきことを先送りし続けた結果です。地位協定問題はこれに留まらず、例えばドローン活用や空飛ぶクルマの実現などの障害にもなります。これらは航空法で高度300m以下の空白を利用する前提ですが、日本の航空法に縛られずお構いなく低空飛行する米軍機の存在がネックになります。こういった問題解決を先送りして同盟重視しても、アメリカの覇権の綻びはますます進みますから、史上最大の敗戦の将来へ向かっているってことですね。白村江の戦いが示す日本史のフラクタル構造はそれを示唆します。

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Saturday, September 29, 2018

イージー・スノッブ・ガラパゴス

安直(Easy)、俗物(Snob)、ガラパゴス(Galapagos)、略してESG。ホントは環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)ですね^_^;。低炭素や生態系維持に留意し途上国の資源採掘などで見られる児童労働の産品を用いず公正で透明な企業統治を行う企業には持続可能性('Susutainability)があり長期的にリターンが期待できるってことで、ESG投信が組成され、投資家の信任を得ているというわけですが、勿論日本は周回遅れ、期待を裏切りません。それでも国内メガバンクは既に石炭火力事業への新規融資の凍結を表明するなど、ジワジワ影響が広がります。

電力供給、想定超す喪失 北海道停電の検証始動  :日本経済新聞
北海道のブラックアウトの原因究明はこれからですが、記事にあるように地震直後に道東地区と北見地区で起きた停電は、送電線の故障で系統から切り離され、域内需要13万kwに対して域内水力の43万kwの供給過剰状態で送電停止となったものということで、送電線の故障がなければ需給調整が可能だった可能性があり、北海道電力の送電網の脆弱さを示します。

北電に関しては停止中の泊原発の再稼働が滞ってますが、活断層の存在が疑われる中、再稼働に向けた追加投資が追い付かず、規制委が承認しないからですが、そのために13年から18年3月期までの5年間で発電所に3,738奥苑を投資した内1,887奥苑を泊原発に注ぎ込んでいるわけで、その分老朽火力のリプレースなどが滞っていました。だから苫東厚真の石炭火力3基をフル稼働状態で回していたわけですが、無理を重ねていたことは否定できません。

泊原発の再稼働が見通せない中、燃料費が経営を圧迫して電力料金も高止まりしていて、工場などの事業用電力を中心に新電力に狙い撃ちされて大口契約を失う中、背に腹は代えられず燃料費を抑えられる大型石炭火力に依存してたわけです。それもこれも泊原発再稼働をメインシナリオにした事業を見直せなかった経営判断の問題です。

元々広い土地に低い人口密度で風力や太陽光など再生可能エネルギー発電の適地にも拘らず、出力が不安定という理由で北電は送電線接続を渋ってきました。電力系統の出力調整は主に火力発電と揚水発電で対応しますが、火力といっても出力調整が容易な小型ガス火力が必要なわけで、元々原発のバックアップ用で稼働率が低いから出力調整機能の弱い老朽石炭火力を温存してきた結果、再生エネ増加に対応できない状況だったわけですが、泊原発に投じた1,800億円あまりをこちらに振り向けていれば対応可能だった訳で、やはり経営判断に問題があります。

勿論高値買い取りを義務付けた再生エネ買い取り制度(FIT)の下では判断が難しいのは確かですが、だからといって老朽火力をフル稼働で綱渡りの運営が正しかったとは言えません。FITに関しては過去エントリーで明確に否定しましたが、案の定太陽光バブルでワヤクチャ。加えて太陽光の国内メイーカーはコスト競争力中国やドイツの後発組に勝てないまま衰退。欧州では脱原発宣言したドイツに留まらず今年の猛暑で発電量が増えた太陽光を活かすために原発止めた国もあります。腹の座った再生エネ活用が実践されてる一方、つくづく日本は政治後進国だなあ。


あと問題なのが北電が情報開示に消極的な点。上記の道東北見地区の停電の一方、同時間帯に泊原発に近い岩内地区では停電していなかったことなど、非常用自家発電設備を持つ病院への新聞取材で明らかになったもので、北電自身の発表によるものではないという点があります。泊原発の電源確保を優先した結果ではないかと邪推されるのはこういうところにある訳です。要はガバナンスに問題ありという訳です。まとめると環境よりも目先の利益に反応し(安直)、動かせる見込みのない原発に大金注ぎ込んで(俗物)、世界の趨勢に後れを取る(ガラパゴス)ESG企業ってことです。


頭痛いのはこれ北電だけの問題じゃないことでして、多くのの日本企業が似たり寄ったりのことをしている点です。リニアに前のめりなJR東海に関しては日経ビジネスで特殊が組まれて、その中で葛西敬之名誉会長のインタビューがあります。

談合は関係なし! 神様が見たってリニアはいける:日経ビジネスオンライン
論点はいろいろあるんですが、私が特に注目したのが「財投債ですけど銀行から借りるのとまったく同じですから」の部分。1企業に3兆円も貸し込む銀行がどこにあるのか?そんな銀行があればシャープの身売りも東芝の稼ぎ頭の半導体部門売却も回避できました。銀行団による協調融資にしても先行きに懸念が起きれば参加銀行が抜けてメイン寄せが起きますから、とても引き受けられません。仮にプロジェクトとして有望ならば社債発行や増資で直接市場から資金を集められる筈.です。

しかもこの3兆円ですが、無担保30年据え置きですから、民間資金では不可能です。法令で定められた鉄道・運輸機構の融資枠で例えばJR貨物の設備強化投資やJR北海道の老朽資産更新投資などは行われてますが、リニアに関してはこうした法定の融資枠もなく、政治判断で融資が決まった訳です。モリカケ問題と何と似たことか?融資を受けたJR北海道は2016年に1,200億円の支援を得ましたが、内1/2は無利子融資で同年から返済が始まっています。経営が苦しい中でキャッシュフローを削っているわけで、とても足りないと2019年、20年限定の400億円の支援が決まったものの予定していた老朽ディーゼル車の置き換えは断念しました。既に車両故障による輸送障害が起きているにも拘らずです。リニアの財投債資金投入がいかに優遇されているかがわかります。

電力消費は新幹線の3倍、南アルプスルートの長大トンネルや都内など大都市部の大深度地下区間など難工事テンコ盛りで大手ゼネコンも後ずさり、談合事件の本質はこれですが、駅の無い静岡県では水源の遮断の可能性を指摘して工事施行許可をしない方針に対してJR東海は工事強行を示唆してます。それもこれもJR東海の情報開示が不十分だからなんですが、スピードこそ正義と言わんばかりにカエルの面にしょん便。国鉄時代の東海道新幹線の成功体験から来る楽観論など、環境無視、社会的合意無視、ガバナンス無視の安直、俗物、ガラパゴスの日本版ESG企業ですね。

資金調達面ではリニアのライバル?のハイパーループにはイーロン・マスク氏の提唱に対して民間資金が集まっています。しかも米ベンチャーキャピタルや巨大ファンドよりも、年金基金や欧州鉄道資本などの出資もあり、ESG投資が意識されています。マスク氏はテスラモータースのMBOによる非上場化をツイッターして後で取り消して市場を混乱させたとしてSECから提訴されました。市場からの資金調達で事業を拡大してきたマスク氏すらキレさせるほど市場資金の要求は過酷なんで、政府保証資金でヌクヌクしているJR東海とは比べるべくもありません。

余談ですが企業経営者の不用意なSNS発言で市場を混乱させたことに対しては制裁発動の仕組みが働きますが、主権国家の元首となるとその仕組みがないか、ハードルが高い状況です。米大統領に関しては議会が弾劾手続きの権限を持ちますが、下院の過半数と上院の2/3超の議員の同意が必要で、中間選挙で民主優勢が言われますが、上院の2/3は無理でしょう。ましてそんな仕組みの無いあの国この国は?元首でもない某日本国のプライムミニスターの言いたい放題やりたい放題は?

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Monday, September 17, 2018

冗長性を高めて強靭化どころか脆弱化まっしぐら

今年は災害の当たり年なのでしょうか。近畿地震、西日本豪雨、猛暑、逆行台風、超大型台風に北海道の地震と息つく暇もありません。トピックはいろいろありますが、直近の2つに絞り込んで、関空の冠水と連絡橋損壊問題と、北海道電力の全系統停電(ブラックアウト)問題に絞ります。というわけでまずは関空から。

猛烈な南風 高潮を増幅 台風21号で関空が冠水 :日本経済新聞
強力な台風で中心気圧が低く海面を持ち上げている上、強い南西の風の影響で海面が寄せ上げられるために、記録的な高潮となった訳ですが、大阪湾は丁度南西に開いた地形ですから、南西風の影響を受けやすく、関空の位置はもろに高波を被る位置にある訳です。台風21号に関して言えば大阪市で3m29㎝、神戸市で2m33㎝を記録してますが、それだけ高波の影響を受けやすい位置に関空が立地していたことは指摘できます。

加えて埋立造成工事のときにも問題となった軟弱地盤問題による地盤沈下ですが、A滑走路で3m40㎝程度の沈下があり、一番低いところで海面から1m40㎝程度しかなく、高潮対策で堰堤の嵩上げはしているものの、航空法の制約もありいずれ限界に達します。不等沈下対策としてターミナルビル他の建屋の基礎にオイルジャッキが組み込まれていて地盤沈下に合わせて高さ調整されていることも知られています。

関空の構想段階で神戸沖案が有力だったことが思い出されます。実際に神戸市に打診されたものの、神戸市は大型船舶の航行に支障するという理由で断っております。その結果、都心から離れていてアクセスに課題がある上、漁業権の買収が必要な泉州沖に決まった経緯があります。加えて埋立工事中から軟弱地盤による地盤沈下に悩まされた訳です。南海トラフ地震の津波に対しても脆弱性があることは明らかです。

あくまでも結果論ですが、当時国際港湾として鳴らしていた神戸港も、釜山港などアジアのライバルの台頭で空洞化し、阪神大震災後、復興に必要として神戸空港建設を強引に進めた訳ですから、最初から関空を神戸沖に作っていればと思いたくなりますが、阪神大震災でポートアイランドなど神戸の埋立地で液状化現象がみられたように、震災で液状化して使えなかった可能性もあった訳で、良し悪しは簡単には決まりません。

寧ろ神戸空港ができたおかげで、連絡橋損傷の影響もあって全面復旧に時間がかかる関空の機能の一部代替が可能になります。関西3空港はコンセッション方式で運営会社が同じなのも幸いです。問題は国際線と貨物ですが、連絡橋の復旧までは貨物の扱い量は制限せざるを得ません。

連絡橋の損傷に関しては、8,000人もの人が取り残され孤立状態になったことが報じられました。神戸港の海上ルートと連絡橋の非損傷側の対面通行で対応したものの時間がかかりました。問題は足止めされた人たちの中に少なからず外国人がいたことです。彼らが帰国後にこの体験を周囲に語る訳で、中身次第で関空が忌避される可能性があります。LCCによってインバウンド需要を大阪にもたらした状況に変化をもたらす可能性はあります。

で、言いたいのは、この機に乗じてインフラの冗長性を言い立てる声があることです。無駄だとしてインフラ投資を抑制すれば、災害に対して脆弱になる、重複を厭わず新幹線も高速道路も空港も作って冗長性を高めるべきだって言うんですが、関空の現実を見ればそもそも大枚ははいて作った海上空港が脆弱だったってことの問題ウィスルーしてます。それと全国に張り巡らされた高速道路がJR在来線に与えたインパクトはかなり大きく、北海道や四国では会社存亡の危機にすら追い込まれてますが、それに留まらず東関東道の、アクアライン、館山道などの影響で房総地区の特急が淘汰された現実を見ると、首都圏と言えども影響大です。

これ他の要因として既存市街地に立地する特急停車駅周辺がシャッター通りになる一方、バイパスやインター周辺の商業集積が出現していて、高速バスはそうした郊外型のSCや道の駅に立ち寄って需要を拾っているという側面もあります。無秩序化インフラ投資の結果、地域の構造変化が起きて鉄道が取り残されてるわけです。やはりインフラ投資は過剰と評価せざるを得ません。

同時にインフラ投資は取捨選択が重要なんで、選択的投資によって相互補完を図ることは重要です。無駄な重複投資の抑制という観点から言えば、民主党政権が打ち出した高速道路無料化は評価されるべきです。北海道のブラックアウト問題でそれが見えてきます。

ブラックアウト3つの謎、問われる北電の説明責任  :日本経済新聞
3つの謎とは①苫東厚真2,4号機の停止後、一部地域王電を遮断して需給を調整する負荷遮断を行う筈。事実厚真町その他いくつかの地域で停電が報告されてますが、適切に行えばブラックアウトは防げた筈.。②2,4号機停止後、北本連携線を通じて本州から送電が開始されたにも拘らずブラックアウトを防げなかった。③苫東厚真2,4号機停止後17分間1号機の運転は続いたがブラックアウトと同時に停止。故に 1号機停止がブラックアウトの原因なのか結果なのかが不明。ということです。つまりブラックアウトの原因そのものは不明ってことです。

これもネットで泊原発が動いていれば防げたとか、安定供給のために再稼働すべきだという声がネットで吹き上がりましたが、そもそもブラックアウトの原因は不明ですし、ブラックアウト自体は電力需給のバラン頭が崩れて発電機に負荷がかかって50hzの安定したを辞できなくなり、それどころか発電機の損傷もあるので、安全装置が働いて停止したものですから、発電量の不足が原因じゃないってことが理解されてません。

加えて泊原発は活断層の存在が疑われて規制委の審査が滞っていて再稼働できない状況にあり、再稼働させるとすれば超法規的な政治判断が必要ですが、現政権にはリスクとなる判断です。寧ろ負荷遮断が中途半端だった原因として泊原発の外部電源喪失を過度に意識して中途半端な対応をした可能性すら疑われます。結果的に外部電源喪失で非常電源に切り替えられたわけで、余計な忖度でトラブルを拡大したのかもしれません。この辺は事実関係に基づく原因究明を徹底するしかありません。

仮に泊原発が動いていて、苫東厚真も1号機を休止していたとすれば、泊の2000万kwと苫東厚真2,4号機の130万kwで合計330万kwで、地震のあった夜間の需要が300万kw程度として、苫東厚真が自身で停止した状況を想定すると、過剰な30万kwは揚水発電所の揚水ポンプを動かして消化していたと思われますから、不足が100万kwで北本連携線からの給電が60万kwですから、苫東厚真1号機の35万kwと揚水発電所の発電開始でぎりぎりブラックアウトが回避された可能性はありますが、繰り返しますがブラックアウトの原因が不明である以上、断定はできません。泊原発稼働中のブラックアウトだとシビアアクシデントの危険すらあるわけです。

寧ろ昔から言われていたのが集中電源方式の送電システムの脆弱性でして、原発であれ大規模火力であれ、基幹電源としてフル稼働で効率性を追求し、出力調整は小規模火力や揚水発電で補うという考え方故に、その基幹電源が停止した時のリカバリーが困難になるわけです。これ電力会社にとっては利益の最大化になるわけですが、ライフラインを担う公益事業としてはあまりにリスキーです。欧州で自然エネルギーがブームになっている理由の1つは小規模発電を集成した分散電源方式の方が脆弱性が低いという考え方が浸透してきたこともあります。

加えて日本では日本では日本では欧州では国境を超えた広域連携が確立しており、電力の輸出入は日常的に行われています。日本では電力会社間の連携もあまりなく、北本連携線の容量も60万kwですから、泊にしろ苫東厚真にしろ基幹電源が停止した時のバックアップとしては心許ない限りです。これも直s津収益を生まないから後回しにされてきたからですが、この辺民営化後合理化で益出しに励んだJR北海道と共通の背景がありますね。

結局やみくもにインフラ投資をしても脆弱なインフラを増やすだけならば、寧ろ災害に弱い国土になるってことです。レジリエンスどころかフラジャイルになるわけです。インフラも分散投資と相互連携が問われます。

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Sunday, September 02, 2018

社畜の国の人工知能

暑さも峠を越したようですが、この暑さが今年だけのことで終わりそうにないのがつらいところ。ただでさえ高温多湿な日本で40℃は厚い風呂に入っているのと同じです。佇むだけで体力を消耗するレベル。ホントに2020年にオリンピックやるのか?死人出るぞ。

温暖化の影響は指摘されますが、現象はやや複雑で、温暖化による北極海の海氷減少で太陽輻射熱の反射が減って海水温が上昇し、その影響で偏西風が蛇行した結果、大陸のチベット高気圧が居座る一方、太平洋高気圧が押し上げられてチベット高気圧と合体。高気圧が上下に重なる形となり、強烈な下降気流が地表にぶつかる断熱圧縮という現象が起きて、気体の性質上圧力が増すと温度が上がる訳ですから、あの異常な暑さになった訳です。ディーゼルエンジンの原理ですな。多湿の日本だから山火事は起きにくいけど、積乱雲の発生で大雨は起きやすい訳で、利水優先の日本のダム治水の欠点も露呈しました。これ2015年の鬼怒川の決壊のときにも指摘された問題ですが、スルーされた結果の西日本洪水と見れば、人災と考えられます。

2年前のエントリーでお盆に家に帰るご先祖様と社畜についてですが、観念の産物であるご先祖様と違って物理的実体である社畜は、お盆シーズンの混雑や渋滞という外部不経済を引き起こす存在でもあります。ただ固定費負担の大きい鉄道事業者にとっては、長期休暇でビジネス利用が減る部分を帰省客が埋めてくれるありがたい存在でもあります。

新幹線は言うに及ばず、殆ど印刷代ぐらいしかコスト負担の無い青春18キップも、休校シーズンの普通列車の穴埋めになることから、周遊券など国鉄時代から続く企画商品が悉く廃止や見直しがされる中で存続しています。ただし2020年のオリンピックを睨むとこれが大きな障害になりかねないってことで、混雑対策が問題になってきます。まさか2020年夏の青春18は利用規制されるかも。社畜受難の東京五輪かも。

てな状況も生産年齢人口の減少で求人難となってくると、いつまでも社畜に頼る日本経済の持続可能性に疑問符が付くようになります。そこで慌てて子育て支援や外国人労働者の拡大を打ち出すものの、何度の指摘してますが、前者は支援に必要なマンパワーを取られて求人難が酷くなりますし、後者は移民受け入れを伴わない形で労働ビザの発給条件を緩和するものの、5年で国へ帰れってことになると単純労働しかできないし、労働力人口として定着できませんから、結局求人難の緩和にはつながりません。求人難で汲々とするような仕事は海外へアウトソースして付加価値の高い仕事が国内に残るような産業政策で人口が減っても1人当たりGDPの水準を維持するような政策へのシフトが必要です。とはいえこれが難題です。日経の連載コラムでこんなのがあります。

(モネータ 女神の警告)それぞれのジレンマ(2)41兆ドル、年金の自縄自縛 運用難、逃げ水の利回り :日本経済新聞
公的年金のジレンマを扱った記事です。これアメリカの話ですが、公的年金に共通するジレンマを表します。これも以前指摘しましたが、高金利時代に制度設計されて見直されないまま規模が拡張した結果、池のクジラとなって債券市場と株式仕様の双方で相場を持ち上げた結果、運用利回りが低下して運用難に陥っている訳です。米FRBが利上げしても長期金利が上がらないのは、ちょっと金利が上がると年金の買いが入って金利が下がってしまう訳です。その結果長短金利差が圧縮され金融仲介機能を低下させているって話です。株式の場合も株価収益率(PER)の低下が顕著ですから、基本的に同じ原理が働いています。

マイナス金利を導入した日本と結果的に似たような状況が出てきている訳ですが、年金の持続可能性への懸念は日本だけの問題じゃないってことです。日本の場合は少子高齢化による年金会計のストレスと解説されがちですが、日本でも大元の原理は同じです。とかく言われる日本の年金制度は賦課方式だからってフレーズに騙されちゃいけません。年金関連法のどこにも賦課方式なんてフレーズはありません。単純に高金利時代の設計で運用利回りを過大に設定した結果、積み立て不足が起きたってことで、アメリカと同じなんです。日本の場合低金利が長期間続いたこともあり、運用利回り自体は見直されてますが、それでも4.1%ですから、日銀の金融政策もあって長期金利が0%程度の現状では逆ザヤは無くなりません。

で、GPIFの国内株式や外国証券投資というリスク資産運用を余儀なくされるわけですが、当然相伴逆回転による損失の可能性がありますし、少しばかり積立金が増えたところで給付が増える可能性はないってことも押さえておきましょう。現状積立金は制度存続のためのバッファとsての資本勘定として機能しているわけですから、無理に積み立て不足を解消しようとせず、寧ろ報酬比例部分の支給上限を設けることで基礎年金部分を保全するのが現実的です。積立金は既に取り崩しが行われており、換金が容易な日本国債はともかく、国内株式や外国証券などは市況によって損失が出ることは避けられません。まして投資規模から言ってもGPIFの売りは相場を押し下げて損卒を拡大します。運用利回りを現実的なレベルに下げることでリスク投資を減らすことが必要です。こういう本質的な議論を避けて年金改革は実現しません。

少子高齢化問題と年金問題のリンクを外せば解決策が見えてきますが、労働力不足の解消をどうするかって話でAIに飛び付く議論が安易になされる現状はやはり問題です。次の2つの記事をご覧ください。

自動運転の波、公共交通に 日の丸交通とZMPが実験  :日本経済新聞
JAL、想定超すAI効果 新システム躍進 今期一転増益も :日本経済新聞
東京で自動運転タクシーの実証実験が始まったって話ですが、バス・タクシーなど公共交通も求人難が深刻化してますが、同時にウーバーやリフトはどのライドシェア対策という側面もあります。個人的ンはギグエコノミーで雇用を圧迫するライドシェアには否定的な立場ですが、いずれ規制緩和で認められるなら先回りってことでしょうけど、この思惑は失敗確実でしょう。

自動運転でも2地点間の単純なシャトル運行ならば、現在の技術水準でも可能なんで、実際大手町―六本木間を4往復というものです。一応ドライバーは乗車していて緊急対応する形ですが、なんでいきなり東京のような大都会でこれやるかなあ。大都市の道路事情は複雑で、アイコンタクトが使えない無人自動運転には不向きです。加えて光源が多くセンサーがノイズを拾いやすい環境でもあります。欧州で実施されている6人乗り自動運転コーチを特定ゾーンで走らせるって方向性が正解なんです。これなら現行の技術で無理なく可能だし、より深刻な過疎地の公共交通問題への対応につながります。

他方ライドシェアは有償運行の記録データが大量に発生することが注目され、トヨタをはじめ世界の有力自動車メーカーが提携に走るわけです。実走行のデータが大量に得られれば、それを解析することで、様々な状況に対応した自動運転ソフトが組めるわけです。世界に技術トレンドを読み間違えているわけです。

もう1つのJALのニュースが示唆するのは、AIの活用法の在り方が示されていることです。破綻後の社内改革で運航部門が各便の予約状況に応じて機材の入れ替えを機動的に行い、空席を減らしつつ機械ロスを最小化する取り組みの結果、機材繰りの最適化という航空会社にとって重要なレベニューマネジメントの基礎データの蓄積がったから、死すt無効親なわせてAIを導入したら、需要の予約精度が上がって搭乗率が向上し収益を改善したものです。しかも座席単価の高いビジネスクラスを減らしてエコノミークラスを増やしたにも拘らず、安売りチケットを減らして増収につながったものです。AIの活用は元データの質に左右されるっている身も蓋もない話ですが、アメーバ経営の浸透故の成果と言えるでしょう。

加えてAIに限らず機械化全般当てはまりますが、並行処理によるマルチタスクの実現が、労働生産性の向上に寄与して1人当たりGDPの水準維持に有効です。そのためにはマルチタスクを可能にする環境整備、IT投資に留まらず、ビジネスプロセス全体の見直しが必要なんですが、日本のマネジメント層はこの分野は無能です。

てことでAIは社畜の置き換えにはならないし、PCやスマホと同じくITリテラシーの有無で差がつくって話です。もっと言えば処理速度で見れば低性能な自分の生身の脳の活用すらできていないでAI活用なんて夢のまた夢。日はまた沈むな。

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Sunday, August 05, 2018

変節黒田節

黒田如水の話じゃなくて、黒田は黒田でもこっちね。

日銀、金融緩和運用柔軟に 長期金利の変動容認  :日本経済新聞
2%の物価目標を掲げた日銀にとっては事実上の敗北宣言ですが、緩和終結とか出口とかは言えないから、フォワードガイダンスとしての緩和継続にコミットしつつ、副作用に配慮して、長期金利の変動幅の拡大容認とETF購入の見直しに言及したものですが、いかにも苦しい言い訳です。

具体的にはイールドカーブコントロールと称して長短金利差を0%̟±0.1%の誘導目標を変動幅0.2%まで容認することと、従来日経平均連動ETFを主体に実施してきたETF購入も、大手企業の多くで日銀が筆頭株主になるという珍事が起きて、市場の歪みが無視できない状況になってきたことから、購入額を減らした上でTOPIX連動ETFにシフトするって話です。

後者は単なる株価維持策と批判されてましたし、実際国債と違って償還がないからいつかは売らなきゃならない訳で、このままのペースでの購入は無理ってことです。いずれも事前に市場関係者の予想の範囲で、その意味ではサプライズはないんですが、既に緩和縮小から利上げへ向かう米FRBと英BOE、マイナス金利のまま緩和縮小を打ち出した欧州ECBに続いて日銀も政策転換と見られて世界で一斉に金利上昇が見られる状況となりました。

流れとしては短期決戦だった筈の異次元緩和でも物価上昇は見られず、マイナス金利にまで踏み込んでも却って円高になったりと当初の目論見がくじれてきている中で、寧ろ副作用への批判を受けるるばかりで、しかも想定外の長期の緩和で出口が難しくなるということで、日銀事務方で検討が進められ、黒田総裁もその方向へ立ち位置をシフトしたってことのようです。ただし若田部副総裁、原田委員、片岡委員の3人のリフレ派が納得せず、フォワードガイダンスとしての緩和継続を言うことでまとめたってことです。

リフレ派に言わせればまだまだ追加緩和の余地はあるそうですが、その割には具体策の提案はない訳で、ザックリ言えば実務上やむを得ない判断なんだけど、対案も出さない反対派を懐柔するための表現と見るべきでしょう。実際の物価の動きは2014年4月の消費税増税時を除いて顕著な動きはなく、金融政策で物価目標を達成すること自体が無理というのは既に結果が出ているのですが、リフレ派に言わせれば、消費税増税で消費が腰折れしたせいだってことになってます。実際は14年4月前後で駆け込み消費とその反動としての落ち込みは見られますが、均せばフラットなトレンドは変わらず、単に需要を先食いしただけで、増税による消費腰折れは事実に反します。

当ブログでは当初から異次元緩和を批判し続けてきましたが、こうなることは目に見えてたわけで、正直アーアとしか思いません。リフレ派を中心に異次元緩和してもハイパーインフレは起きてないじゃないかと言われますが、長期的にハイパーインフレの可能性はありますが、当ブログで言及してきたのは、異次元緩和にしろマイナス金利にしろ、金融圧迫にしかならないってことを言い続けてきました。実際銀行の利ザヤが圧縮されて地方銀行では赤字決算も散見される状況です。

その一方で金融庁による地方銀行改革の掛け声も空しく、ビジネスモデルの見直しは進みません。その意味でシェアハウス融資で実績を積み上げて地銀の優等生と持て囃されたスルガ銀行が不正融資だったというオチですが、そうでもしないと借り手が見つからない現実があります。

一方で融資先を見つけられずに、新発国債を引き受けて日銀に高値で買ってもらう所謂日銀トレードはメガバンクや信託や証券の牙城で地銀の出る幕無し、イールドカーブコントロールで国債トレードそのものが利ザヤを得られなくなる中、外債投資に手を出したりしてますが、これもFRBの利上げで金利上昇の洗礼を受けて時価下落で損失を計上するような状況です。しかも為替ヘッジ無しのところもあるようで、今後為替が円高に振れれば差損が発生します。ファンダメンタルズを見る限り、インフレ率の差で円高へ触れるのは間違いないところです。

てな具合にハイパーインフレのずっと手前のTころで問題山積でして、今後日本発の金融危機の可能性が高まっているというのが実際のところです。米中貿易戦争の展開如何で日本の金融危機に飛び火することを覚悟しといた方が良いでしょう。五輪の前か後かはわかりませんが。

米中の貿易戦争はアメリカがかなりガチにやってますね。思えば北朝鮮問題も中国の衛星国である北朝鮮を中国から切り離す目的だったとすれば全て解けます。北朝鮮との和平プロセスはベトナムを意識したもので、ベトナムは戦争終結後、中国との対立を経てASEANに加盟し、ドイモイ政策で改革開放を掲げ、今やASEANきっての親米国です。加えて分断国家の韓国が性急な統合を望まず南北の緩い連合というアイデアを出してきたので、これに乗っかったってことですね。南北連合はASEANがお手本になります。政治体制の違いを踏まえて経済交流を深化させることで当面は良しとしており、経済支援で米企業の出番も期待できるってことですね。つまりアメリカにとっては中朝分断がテーマで核問題は脇へってことです。

しかし米朝首脳会談の前後で中朝が急接近したことが誤算だったのでしょう。和解ムードも漂っていた米中摩擦がアメリカの一方的な制裁で急展開したのはそのためでしょう。中国も対抗策を打ち出すものの、米ドル基軸通貨体制の下では資本逃避の心配もあり、いずれ折れるしかないでしょう。その時に習近平指導部が国内世論を納得させられる理屈を編み出せるかは結構微妙です。

ニクソンショックで金の裏付けを失った米ドルがなぜ強いかですが、戦略物資である石油貿易を米ドル建てにすることに成功したことによります。ブレトンウッズ体制下では米ドルのみが兌換券で主要国通貨は米ドルとの固定相場だったわけですが、金融の歴史を紐解くとわかりますが、そもそも金本位制の歴史は意外に浅く、18世紀に英イングランド銀行(BOE)の兌換券発行が始まりです。その前にフランスのルイ15世に仕えた経済顧問ジョン・ローの兌換券がありましたが、不換紙幣発行のよるリフレ政策の失敗でフランス革命を呼び込んだのは有名な話です。リフレ政策は既に歴史上失敗が記録されてるんですね。

で、ジョン・ローはフランスを出国して難を逃れたんですが、一説によればBOEの設立に関わったそうです。つまりフランスでの失敗を踏まえて、中央銀行自身が金を大量保有して貨幣の信用の裏付けとした訳です。これに続いて周辺国も中央銀行制度を導入し、複数の国で金を保有していたわけですから、金本位制採用国同士の取引の円滑化にも寄与し、欧州経済が世界をリードすることになりました。

つまり金本位制は実は中銀の金保有を通じた金価格の安定によって機能したわけで、銀本位制のスペインや中国の没落が新大陸と日本の銀山増産による銀価格下落による経済混乱だったことからすれば、クレバーな方法です。ちなみに黄金の国ジパングと言われた日本が金本位制を導入したのは明治期にイギリスを手本にしたもので、黄金の国が自国資源を活かせなかったほろ苦い歴史です。江戸時代の日本でば米が事実上の信用の源泉でした。

そういう意味でたとえ経済的に強大であっても、アメリカ1国の金本位制は持続可能ではなかった訳ですが、石油取引を米ドル建てにする縛りはある意味石油本位制とも言うべき信用の裏付けになっているわけです。多くの国は石油の輸入の必要から米ドルを外貨準備として保有することになりますし、オイルショックで価格変動のリスクもあるから、多くの国で石油は戦略備蓄されるわけです。

丁度金本位制時代の金の役割を石油が肩代わりした形ですから、ある意味アメリカだけの金本位制よりも安定している訳です。これ石油だから備蓄が可能なんで、天然ガスはLNGにすれば冷却しなきゃならないし、気体のガスでは体積が大き過ぎてやはり保有コストがバカにならない訳で、石油だからこその特性です。この観点から言えば燃料電池を駆動する水素社会はもっと難しい訳ですが。

今のアメリカはそのドルの強みを活かし、敵対国の企業等に米銀取引禁止の制裁を科すことで、事実上国際経済から締め出すことが可能ですし、そもそも銀行の取引記録から不正な取引を炙り出せるという意味もあり、これマカオのバンコデルタアジアの北朝鮮関連資産の凍結で北朝鮮にダメージを与えたことが思い出されます。思えばこれで金正日総書記の信用を失った金正男氏が失脚したんだとすると、金正恩の北朝鮮はアメリカが生み出した鬼子ってことかもしれません。

だから持っていても使えない金食い虫の核兵器よりも、金融制裁の方が相手国に深刻なダメージを与えられるってことを事実を以て体験しているアメリカが、北朝鮮の核問題を脇へやれる理由でもあります。トランプ政権侮るなかれです。

そんな日本の暗い近未来に思いを馳せながらこのニュースです。

次世代新幹線 飛行機の牙城崩せ JR東日本  :日本経済新聞
記事中にもありますが、盛岡以北の整備新幹線区間でのスピードアップが課題ですが、その一方で秋田新幹線の在来線区間の長大トンネルによる短絡が検討されてますし、大宮以南の最高速110km/hを防音壁の改良で130km/hにスピードアップすることは発表済みです。

これJR東日本が自社保有する資産だから、改良投資が可能だし、動産部分は減価償却できるので、スピードアップによる受益を減価償却費で控除することで内部留保できますが、鉄道・運輸機構が保有する整備新幹線区間の追加投資はそうはいきません。特に縦曲線の緩和は路盤を作り直すに等しい費用がかかりますから、何らかの国の支援策無しには不可能でしょう。まして140㎢/h制限の青函トンネル貨物供用区間は尚更です。ま、金融危機が起きればそれどころじゃなくなるけど。

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Sunday, July 29, 2018

タワマンたわわで8号豊住線建設マジ卍?

台風一過、暑さが戻った日曜日ですが、連日の暑さから2年後の東京オリンピックの危険性も指摘され、また鉄道や塘路の混雑も予想される中、2年後の予定された災害の声すら聞こえる東京のスットコドッコイです。

地下鉄有楽町線の延伸論、再び熱 豊洲移転に配慮  :日本経済新聞
有楽町分岐線とか北進線とか言われていて、地元江東区ががかねてより建設を希望していた都市計画8号線豊洲―住吉間の建設が動き出したのですが、これが難問だらけで迷走が予想されています。記事のタイトルにある通り築地市場の豊洲移転を巡る迷走で都と対立した江東区への配慮ってことで、きな臭さ漂います。

豊洲市場移転は二転三転して遅れに遅れたわけですが、長くなるのでそこへは立ち入らないことにします。問題は豊洲移転を巡るゴタゴタの結果、都が江東区に対して配慮せざるを得なくなった結果、8号豊住線の建設が決まるという完全な政治路線となることです。江東区としてはタワーマンションが乱立して人口が膨張する湾岸地域を抱え、小学校が足りないなどの弊害が顕在化する一方、洲崎(東陽)や錦糸町といった伝統的繁華街が取り残されており、バランス上南北方向の交通インフラ整備は切実な問題ではあります。

加えて小田急小田原線の複々線化完成で小田急のみならず広域で並行する東急田園都市線などの混雑も緩和され、混雑率ワーストとして東京メトロ東西線、JR総武線、JR京葉線が並ぶ状況で、8号豊住線による分散効果を期待しているわけですが、東京メトロは既に新たな新線建設を行わないと宣言しており、事業者が同意しない限り建設は不可能なわけです。

そこで都が何らかのスキームで建設を行う検討を約束した訳ですが、江東区のレポートによれば、第三セクターが整備主体となって路線を建設し東京メトロが営業主体となって運行を行うことが想定されているようです。都市鉄道利便増進事業費補助制度を用いた受益活用型上下分離ですが、その場合建設費1,420億円を整備主体’三セク)と国と地方がそれぞれ1//3を負担する形で、営業主体の東京メトロの受益が整備主体の必要施設使用料を下回り事業収支が成立しません。

地下鉄補助を適用した場合は整備主体の収支は30年以内に黒字化するものの、営業主体のその他の路線での減収の調整が必要ということで、こちらも営業主体の東京メトロの同意が得られる可能性はありません。整備費用だけで1,400奥苑を超えるのに乗車人員27万人の需要予想ですから、基本的な収支構造から言って、整備スキームを弄ってどうにかなるレベルではありません。

江東区は以前同区間を6連のワンマン列車で折り返し運転し、改札分離して割増運賃を取ることで収支均衡を狙った計画も出したことありますが、それだと果たして利用者がいるかどうかという問題もあります。ぶっちゃけ改札分離が可能なら、都営地下鉄として建設すれば問題はクリアできますが、ネットワーク効果による東西線などの混雑緩和は期待できません。鉄ちゃん的蛇足ですが、車両は三田線と共用で、高島平―元住吉―市ヶ谷―豊洲のルートで回送することは一応可能です。

ウルトラCがあるとすれば、メトロと都営の統一運賃が実現可能ならば、こういった問題はクリアされますが、その場合メトロ都営双方で減収がある程度発生すると考えられますから、その保障措置をどうするかとかややこしい議論になります。個人的見解としては思い切って初乗り200円程度で最高額500円程度に値上げしてプール精算する仕組みを作り、車両営業走行キロなどの代理変数で配分するなどでしょうか。まあそこまでやる気はメトロにも都営にも無いでしょうけど。

利便性だけを考えれば、いっそゆりかもめの延伸で対応するのも手です。その場合当然運賃も割高になりますし、輸送力も落ちますが、例えば新駅構想として豊洲―東陽町間の新駅(枝川?)のJR京葉線潮見駅接続の希望が現状では難しいですが、AGTのゆりかもめならルートの自由度も高まりますから、双方に駅設置ということも可能です。

その他にJR小名木川貨物線のLRT化構想ってのもありまして、やはり鉄道空白地帯の小名木川周辺の再開発狙いで遊休貨物線を活用し、明治通りに沿って新木場まで伸ばし、亀戸へアクセスする計画ですが、こちらは具体化していないようです。事業費の圧縮を考えるなら有力な案ではありますが。

築地市場の豊洲移転を巡っては、築地市場跡地は当面オリンピック対策としてバスプールに使われ、事後に食のテーマパークとして再開発するという構想ですが、これ今のところ口約束だけで何の裏付けもありませんが、こちらも中央区が希望する環状2号線ルートの銀座―有明間の地下鉄を実現するという話になっているようです。こちらは豊住線の半分程度の13万人の乗車人員見込みですから、普通ならまず実現可能性はありませんが、市場移転を巡るずさんな計画の結果、政治路線として建設されるとすれば、今は地方交付税不交付団体の東京都も将来は怪しくなります。

そもそも論として都心再開発花盛りですが、これ90年代頃から続く容積率規制の段階的緩和の結果です。その結果特に湾岸地域に多数のタワーマンションが建って人口が急増したわけですが、タワーマンションの建設にはいろいろ問題もあります。マンションの高層化は地価の高い都心エリアに安価に住宅を提供できる結果、所謂職住近接による交通ラッシュの解消などの狙いはある訳ですが、眺望を売りにできる人気の高層階は高単価な上に軽量化の狙いもあって区分所有面積も広いため高額であり、安価な低層階の住民との断絶がしんぱいされます。

これ管理組合の意見集約が難しいわけで、10年程度で実施する大修繕の費用負担の問題や将来の建て替えの問題で必ず揉めます。つまり人口が増えて税収増で自治体もハッピーとはいかないわけで、一体感の無い分断された地域社会でトラブルだけが頻発するってことです。しかも所得階層の上下はあるけど建設時期による年齢層は近接しており、それが小学校の不足などの特定年齢層増加に伴う問題を引き起こすわけです。

加えて新築志向が強く中古住宅流通が貧弱な日本の住宅市場でjは、年齢の近接した住民がそのまま高年齢化するわけで、小学校の次は中学校、そして高校と不足の連鎖が生じますし、就職や結婚で独立して親元を離れっれば、残るのは高齢の親世代だけとなり、社会保障負担がのしかかる訳です。だから新線を作って新たな再開発を手掛けて人口流入を続けるしかない訳ですが、今や人口減少で全国の住宅の1/3は空き家という状況です。これ以上の人口流入は郊外や地方の人口流出を促すだけで、地方を疲弊させます。こんなことは続けられません。

最後に一言、マジ卍?

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Sunday, July 22, 2018

西のスットコドッコイ

北の次は西ですが、スト労組繋がりで八晃運輸の強豪参入に身構える両備バスのストの顛末が興味深いものです。小嶋社長のローカル路線廃止発言に反応して八晃運輸の参入反対を掲げて労微バス労組がスト通告したもので、両備側から見れば自業自得のような展開ですが、拳を振り上げた労組側も簡単に引き下がれず膠着したところ、交通系NPOのリーダーの発案で集改札ストに落ち着いたという顛末です。

集改札ストはかつて京王帝都電鉄労組が、都内で並行する小田急電鉄労組のスト不参加に対応して始めたものですが、戦術的にインパクトが後退するとして行われなくなりましたが、運行を止める本格ストのノウハウを失った現在の労組からすれば、集改札ストは有効な戦術かもしれません。要は労組が使用者側を話し合いに引っ張り出す手段なんですから、昔ながらのストに拘るのも変です。労働三権として法令でも保護されている権利なのに、使えないなら無いのと同じです。高プロ制度が成立した中で、労組が労働者を守れなければブラック企業が蔓延る結果になります。

で、この話題はここまで。スットコドッコイの本題はこちらです。

長崎新幹線、整備方式の議論長期化へ 決定先送りで  :日本経済新聞
これ何度も話題にしてますが、結局軌間可変車の採用をJR九州が断念し、孤立する九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)をフル規格で整備しちゃったからさあ大変。全区間フル規格を求める声の一方、佐賀県が強硬に反対しているのが現状です。佐賀県にしてみれば軌間可変車の採用を前提に賛成したのに話が違う津尾いうわけです。

佐賀県の言い分は、整備区間が軟弱地盤地帯なので、事業費が上振れして負担増となることを嫌っているのですが、佐賀県の態度には市bン鳥栖駅のゴタゴタも絡みます。元々予定の無かった新鳥栖駅が設置された経緯は、県域をかすめるだけの九州新幹線鹿児島ルートで負担を求められ、ならば駅を作れという条件闘争の結果なんですが、冷静に考えれば県域がほぼ福岡都市圏に属する佐賀県にとっては、鹿児島ルートの完成で在来線の線路容量が空けば増発余地が出るわけですから、そうれで十分でもあります。軌間可変車は当初大阪直通が謳われていたこともあり、これも条件闘争として賛同したものです。

しかし過去に何度も指摘しましたが、軌間可変のメカニズムは車軸の重量増となるわけですから、線路を痛めるバネ下重量の増加となる一方、車体サイズは在来線レベルですから、線路を痛めるのに輸送力の劣る厄介者なわけで、しかも最高速を270km/hとしたため、その後の新幹線高速化には対応できず、山陽新幹線を所有するJR西日本にとっては迷惑な存在というわけで、国交省も大阪直通は無理として九州内運用を言い出す始末。そうなると高価な軌間可変車を入れるメリットはJR九州にはない訳ですから、採用断念は当然です。加えて鹿児島ルートでも山陽新幹線直通のみずほやさくらは好調な一方、九州内を走るつばめは冴えない状況です。

元々高速バスが高頻度に走る中で、新幹線開業前のつばめや有明はほぼ普通運賃並みの格安回数券で乗客を繋ぎ止めていたのが実態です。新幹線の高額な料金を負担してまでの利用は少なく、在来線特急の廃止で寧ろ高速バスの利用が増えている現状ですし、それどころか新幹線と接点のない西鉄天神大牟田線が好調ということで、部分開業の長崎新幹線の悲惨な未来を暗示します。余談ですが、やはり高速バスが好調な北海道でも、北海道新幹線の札幌延伸は悲惨な結果が予想されます。

加えて仮にフル規格/ミニ新幹線の何れかで整備が決まってもという博多南線問題という難関があります。博多―博多総合車両所間はJR西日本の所有で、博多南線はJR西日本の路線として営業しているわけで、長崎sん幹線が繋がっても増発余地は限られます。博多南駅は那珂川町にとっては生命線の路線で、廃止は無理です。近くに西鉄バス中川営業所がありますが、47系統大橋駅経由博多駅・天神行きのバスで1時間の道のりですから、廃止すれば人口流出、地価下落は避けられません。

新幹線欲しさに地域の事情を顧みずに強引に進めた結果、深刻な地域の分断に直面している訳で、スットコドッコイも極まれりです。

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