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Sunday, October 08, 2017

希望のABEXIT

解散総選挙ですが、何だかえらいことになってます。民進党の前原代表が立候補予定者に希望の党への合流を推奨して反安倍政権で固まろうってのは理解できます。所謂オリーブの樹構想ですね。選挙戦を戦うために立場の違いを超えて同じ乗り物に乗るってことで、小池氏の新党に乗っかるってのは、正直驚いたけど、その意図は直ぐに理解できました。連合が仲介に動いたってのも、残業ゼロ法案阻止のために反安倍政権の立場を鮮明にした結果で、それ自体に驚きはありませんが、結果特定の党派への支持を見送り候補者ごとに支持という苦しい選挙戦になりました。

メディア的には保守とリベラルの分離と捉えられているようですが、リベラル陣営に共産党って変です。そもそも天皇制を否定する共産党が護憲というのも変なんですが、それ以上に政権があまりにも右寄りなので、基本中道の立憲民主党がリベラルに見えるってことでしょうか。しかし問われてるのはイデオロギーではなく労働法改悪阻止というリアルな課題だってことは忘れないでほしいところです。

以前のエントリーでも指摘しましたが、高度プロフェッショナル制度の問題点について、あまり理解が進んでいない気がします。メディアでは高度な専門性を有する対象業務で高年収ということで、想定されているのは金融のファンドマネージャーやIT関連のプログラマーなど、成果が時間との連携が薄い業務で一般雇用者の年収のおおむね3倍程度の年収ということですが、対象業務も年収要件も具体的には別途省令で定めるものとされています。つまり対象業務の拡大も年収要件の引き下げも国会審議を経ることなく変えられるわけで、気が付けばほとんどの業務で正規雇用ならば対象となりかねません。加えて現行法でも類似の規定はあります。

やはり今回の改正で盛り込まれる裁量労働制の範囲拡大がそれなんですが、現状、弁護士や研究者などの専門職と創造性を問われる企画職に認められている裁量労働制を営業側にも拡大するとされてます。これらの職種は始業終業が曖昧で、業務の把握が難しく自身のペースで働く方が効率的だったりするわけですが、裁量労働制は始業終業を本人が決めるのがキモで、就業時間に拘らず勤務したものとみなす制度で、コアタイムを設定する所謂フレックスタイム制とも異なります。ただし多くの事業所では時間の縛りを設けている事例が見られますし残業も多いんですが、みなし勤務だから残業代は払わなくてよいわけではありません。実際守られてませんけど。

で、営業職も外回りで直行直帰など業務の把握が難しいのは確かですが、昨今会社支給の携帯電話でGPSを用いて行動を監視するなど管理体制が厳格化する傾向にある一方、過大なノルマの消化のために長時間労働が当たり前になっている現実もあります。もちろん実働時間に応じて法定労働時間を超えた分は残業代の請求は可能ですが、支払われないケースが多く、訴訟も起きています。高度プロフェッショナル制度では残業がなくなりますから、省令で対象業務に含まれれば請求できなくなります。

加えて労基法36条の労使協定による繁忙期の残業上限の規制が導入されるんですが、年間720時間の上限には休日出勤は含みません。条文では残業と休日出勤を合わせて月80時間の上限も定められてますが、年間720時間を超える分を休日出勤に回せば運用上最大年間960時間の長時間残業と休日出勤の併用が可能で、寧ろ逃げ場のない状況になりかねません。これのどこが長時間労働の解消になるのでしょうか。

加えて36協定の裏の意味も重要です。労務管理の現場では36協定による残業上限はしばしば過剰な残業代のカットラインとして機能していて、超える部分はサービス残業になっている現実もあります。それでも未払い残業代訴訟では実態に合わせた残業代の支払いが命じられる判決が出ていますが、法律の条文で上限が決まれば訴訟での未払い残業代の上限がこれになるってことです。現実的には徹夜で追い込みをかけなきゃ終わらない仕事なんざザラにありますから、企業側から見れば訴えられた時の支払い上限になるという意味もあります。いや恐ろしい。下手に正社員になんかなると逃げられない可能性もあります。経済的に余裕があれば非正規の方がマシかも。こんなニュースも忘れないように

電通、違法残業に罰金50万円 甘い労務管理にリスク  :日本経済新聞

人の命を奪った組織犯罪の罰金が安すぎます。で、この傾向は労働人口の減少で拍車がかかります。例えば新国立競技場工事の現場作業員の過労自殺なんて事件も起きてますが、現場の過酷さがうかがい知れます。渋谷の東急東横線渋谷駅跡地の再開発工事で鉄骨の落下事故なんてのも起きてますし、建設現場の事故報道は増えているようです。オリンピック関連のように納期がシビアな工事は負荷がかかること間違いありません。また相鉄の都心プロジェクトの完成予定の延期も、こういう状況では無理もないところ。鉄道関連では保線要員の確保も難しくなりますから、省力化のために軌道構造のメンテナンスフリー化も必要かも。下手すればJR北海道の二の舞もあり得ます。

というわけで、政治が流動化してわかりにくい選挙になりましたが、結果の分かっている選挙で投票所に足を運ぶ徒労感がないだけマシかも。希望の党の組織運営の稚拙さもあって、選挙後も波乱の芽がありますが、安倍政権にイグジットを突きつけるABEXIT選挙です。イデオロギーに惑わされず希望を捨てないで行きましょう。


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Sunday, September 17, 2017

下から裏からグローバル

前日のミサイル騒動と台風の襲来で台無しの三連休をいかがお過ごしでしょうか?今回もJアラートが鳴って新幹線が止まったりしたわけですが、今回は最高高度800㎞。前回も最高高度550㎞でいずれも主権の及ばない宇宙空間を通過したわけですから「日本上空を通過」はミスリードです。政府自ら脅威を煽る姿勢は問題ですが、一方で解散風が吹いてます。

早期解散強まる 首相、10月衆院選を模索か  :日本経済新聞
政府が言うように軍事的脅威が増したのなら、政治空白を作ることはできないはず。政府自ら脅威はないと白状したも同然です。しかも民進党の離島ドミノを見て勝てると見ているわけですね。政局だけで大義名分の無い解散総選挙とはある意味安倍政権らしいところ。

一方で核シェルター整備に補助金てな話も飛び出してますが、Jアラート鳴らしたけど、どこへ逃げたらいいんだという声が無視できなかったんでしょう。以前にも指摘しましたが日本の地下鉄は東側諸国の深いトンネルに広い地下空間を確保して核シェルター機能を持たせた地下鉄とは設計思想が異なります。それどころか列車風対策で強力な排気扇で空気を抜いて減圧してますから、着弾して地上に充満する放射能ブルームや毒ガスが流れ込みます。安全な逃げ場所とは言い難いですね。

北朝鮮危機に乗じて核保有論が日本と韓国で囁かれてますが、これ以前からアメリカの保守派の一部で議論されていたものです。日本の場合非核三原則で核兵器の国内持ち込みは建前上禁止事項で、日米安保の事前協議対象ということですが、持ち込みは黙認され、海外配備の核兵器の維持費が嵩むということで米軍は撤収していて、公開文書に記載されてます。つまり維持費を日本に肩代わりさせようって話です。同様に朝鮮戦争総司令部が米軍に属している韓国も同様です。ま、これは中国やロシアを刺激して北朝鮮問題への協力が得にくくなりますから、実現はしないでしょうけど。何しろ国連安保理の制裁決議も難航しましたし。

米、採択へ戦略的譲歩 北朝鮮へ圧力再強化視野に (写真=ロイター) :日本経済新聞
「戦略的譲歩」ってのは北朝鮮の態度を見て追加制裁の余地を残したって意味ですが、石油禁輸には踏み込めず、中ロの顔を立てた形です。実際15日のミサイル発射に対しては報道声明だけで具体的な追加策は出てきませんでした。そもそも制裁が効いていないことをどう考えるべきなんでしょうか。

実は西側先進国中心に制裁を実行しても世界経済に占めるシェアの低下で効かなくなっているという現実があります。その一方でその分の取引が中国に片寄せされるわけですが、リーマン後の経済成長率が西側諸国がせいぜい年率1%程度なのに中国は6-8%で成長しているわけですから、北朝鮮が寧ろ恩恵を受けているわけです。経済制裁で圧力って作戦自体が成り立たないわけです。あと内緒ですが、日米欧の金融緩和で世界的に金回りが良かったことも影響してます。

元々経済制裁は対象国の外貨獲得を抑制することで、核開発などの資金源を断つことはもちろんですが、それによって国内経済を圧迫して国民による政府への不信任を喚起するもので、人口が多く石油輸出に依存していたイランには効いて、若年層を中心に経済停滞で強硬派のアフマニデジャド大統領から穏健派のロウハ二大統領へ政権交代が実現したわけですが、同じことが側近の粛清で恐怖政治をしている北朝鮮で起こるはずがありません。

てことで、基本的にはアメリカと北朝鮮が直接交渉して朝鮮戦争和平を実現するしか出口はないわけです。ただアメリカはやらないでしょう。何故ならば北朝鮮のおかげで日本はイージスアショアの導入を表明し、韓国のTHAADの追加配備を表明したわけで、これ何れもアメリカから買うわけです。バノン氏の退任で軍産複合体に乗っ取られたトランプ政権に思わぬプレゼントです。アメリカは和平交渉に応じない方が儲かるわけです。

加えて言えば、北朝鮮の強気の裏にはグローバル闇市場の存在があります。この辺かなり複雑なんですが、ウクライナが親欧米政権化したことで、中東など紛争地域の国にとっては、ソビエト時代に軍需産業が集積していたウクライナからの兵器の買い付けはしにくくなっているのですが、そのウクライナから闇市場経由で流出したらしいロケットエンジンが北朝鮮のミサイルの性能改善に寄与したらしいと言われております。ウクライナ政府は否定してますが。

旧ソビエト製兵器のヘビーユーザーにはイランやシリアなどの中東の国がいるわけで、ウクライナに代わる調達先として北朝鮮が浮上しているという構図です。ミサイル開発の資金も回収可能という目論見が成り立てば目先の経済制裁はスルー出来る見通しが立つわけです。加えて相手は産油国でOPECの減産に唯唯諾諾従っている状況ですから、石油禁輸の保険にもなります。裏のグローバリゼーションが北朝鮮を支えるわけです。

加えて中国の深圳にはアフリカ向けの格安スマホその他の電子デバイスが溢れかえっており、ミサイル誘導装置などのハイ的技術も格安で手に入る環境があります。偽パスポートで国籍を偽れば先端部品が安く手に入るわけで、ここまで規制するのは至難の業です。中国をハブとする貧困国ネットワークが味方するわけです。

ま、というわけで北朝鮮問題は結局打つ手無く推移することになります。一部で言われる軍事オプションですが、限定的な軍事力行使が成功した事例は歴史的にあっほぼ皆無で、日本の真珠湾攻撃しかり、ベトナム戦争しかり、旧ソ連のアフガン侵攻しかり、アフガン戦争しかりイラク戦争しかり。後の2つは未だに撤収もままならず長期化しています。

グローバリゼーションには裏も下もあるってこってすな。

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Sunday, August 27, 2017

ザ・シビル・ウォー

米トランプ政権がバノン上級顧問の更迭を決めた後、流れたニュースがこれ。

アフガン早期撤収否定 米大統領、駐留規模明示せず (写真=ロイター) :日本経済新聞
バージニア州シャーロッツビルの非白人至上主義者とカウンターの衝突に対するトランプ大統領の声明文の中で「すべての立場の人々」という部分が取り上げられて差別容認姿勢としてメディアが一斉に報じて非難する騒ぎになったわけですが、考えてみれば変です。

大統領選当時からヘイトと見られかねないきわどい発言を繰り返し、直近では北朝鮮を挑発するようなツイッター発言など、他にツッコミどころがありそうなものです。公式の声明文だからってのはあるかもしれませんが、仮にそうだとしても公式声明文を綴るコメントライターが不注意だっただけ?ってことじゃないかと。で、待ってましたとばかりにメディアが囃し立てて大炎上。結果としてバノン氏の更迭に至ったわけですが、バノン氏自身は白人至上主義者を「愚かな奴ら」と軽蔑していたと伝えられており、ここがつながりません。経済ナショナリズムを標榜し対中強硬派とされることからの印象で反グローバルの軍事強硬派との印象が持たれてますが、実像とは違います。

でアフガンの早期撤収否定の発表でピンときたんですが、アフガン即時撤退を主張していたのがバノン氏で、娘婿のクシュナー氏が民間軍事会社活用を提案して対立していたわけですが、今回の決定はクシュナー氏の案も退けられて、事実上の米軍増派ですから、トランプ政権のスタンスが明確に変化してます。一方で進まない閣僚などホワイトハウスのスタッフ人事も気が付けば米軍OBが幅を利かせており、政権内部の力関係が変化している可能性があります。で、今回の騒動は軍産複合体にとって目障りなバノン氏の更迭で収拾されており、影のシナリオライターがいるんじゃないかと。状況証拠だけですが。

バノン氏は北朝鮮問題でも「在韓米軍がいるから緊張を高めている」と発言したり、沖縄駐留米軍の削減にも言及しておりますが、日本のメディアではほとんど報じられておりません。むしろアメリカの反差別をほめそやす発言がリベラル陣営から聞こえますが、おめーら辺野古や高江の問題の解決が遠のいた現実をどーすんだよ。こういう似非リベラルどもは信用できません。

てなことはともかく、南北戦争の南軍の将軍像の撤去を巡る争いで、南北戦争自体は奴隷制度の是非を巡る紛争だったわけですが、単純に奴隷解放の正義の戦いという見方は、結局それで人種差別自体が消滅したような錯覚をもたらすものです。事実はその後も人種差別は社会に根付き、流血を伴う事件は発生しております。それだけアメリカの歴史に暗い影を落とす出来事だったわけで、単純化した理解は禁物です。

背景として当時の南部は産業革命で蒸気動力の紡績業で経済成長の只中にあったイギリスへ原材料となる綿花を供給する綿花栽培が主要産業であり、競争力維持のためには格安な奴隷労働力の存在は不可欠でした。加えて輸出を通じた外需遺贈の産業構造だったこともあり、自由貿易主義の立場でした。

一方の北部は米英戦争の影響でイギリスからの工業製品の輸入が細ったために、輸入代替工業が勃興したのですが、封建領主のエンクロージャーで土地付きの農奴が追放されて都市貧困層を形成していたイギリスと異なり、工業生産を支える労働者の確保に苦しんでいました。それ故南部の奴隷を解放 して北部の工業化を担わせることを望んでいましたし、輸入代替工業ですから、日本の戦前の殖産興業や戦後復興のように保護主義的な立場でした。

今流に翻訳すれば奴隷労働前提のグローバリゼーションと工業化のための保護主義の間の紛争だったわけです。仮に南軍が勝利していたら、アメリカは未だに新興国に留まってたかも。工業化の新興国への拡散を伴う現代のグローバリゼーションでは新興国の輸入代替のための工業化であっても、保護主義は許されないとされるので、ある意味昔より過酷な状況とも言えます。そんな中でバノン氏のような立場を表明する人が出るのも当然かもしれません。

更に言えばナポレオン戦争で財政を疲弊させたフランスからルイジアナ植民地を譲り受け、メキシコから独立したテキサスとカリフォルニアの編入もあり、特にカリフォルニアが北部諸州に倣って非奴隷州となったことで力関係が崩れ、南北戦争に至ります。思えばルイ15世に仕えた史上初のリフレ派ジョン・ローの失敗の後始末としてのフランス革命の帰結でもあったわけです。クロダ異次元緩和は世界史に何を残す?

この辺の歴史の綾の微妙さは味わい深いんですが、そもそもイギリスの産業革命が単純な技術革新ではなく、前述のように封建領主の農地囲い込み(エンクロージャー)による生産手段の独占が起こり、それによって蓄財した王侯貴族が最初の資本家層を形成する一方、英東インド会社が輸入するインドの物産の消費が盛んになり、対インドで貿易赤字を拡大します。茶葉やキャラコなどのインドの薄物綿織物の輸入拡大があり、特に後者は欧州や奴隷貿易の供給元である西アフリカ地域の支配層にも支持されたこともあり、輸入代替できればイギリスの慢性的な貿易赤字の解消になるわけですが、そこへワットの蒸気機関の改良があり、国内産の石炭を使って安定した動力を得られるようになり、機械紡績での綿織物生産が始まります。

その原材料である綿花の供給元はアメリカ南部で、綿花の輸入代金は奴隷貿易で取り戻すという形でバランスされました。イギリスが産業革命で先行した事情はこうしてエンクロージャーによる資本蓄積と農奴追放による都市貧困層の出現によって労働者予備軍となり、投資先としての機械工業の出現につながるわけです。単純な技術革新ではない社会経済現象だったわけです。そうして繁栄を貪るイギリスを後追いしたい北部諸州にとっては打破したい現実でもあったわけです。

ちなみに当時の中国は清王朝の時代で、イギリスへは茶葉、陶磁器、絹織物などの輸出が盛んで、やはりイギリスの貿易赤字が常態化しておりました。それを解消すべくイギリスが清に持ち込んだのがインド産のアヘンでして以下略。1854年の黒船来航、総領事ハリスと徳川幕府の勘で交わした日米修好通商条約締結が1856年ですが、ハリスはイギリスのアヘン戦争を批判しながらアメリカとの条約締結を迫ったのですが、これがとんでもない不平等条約だったわけですね。

こんな状況の中で1861年に南北戦争が始まり1865年に北軍勝利で終結し、奴隷解放に至りますが、両軍で50万人近くの戦死者を出しながら、南部諸州では人種差別を合法化する州法を成立させたり有名なKKKなどの白人至上主義団体が活発に活動するなど社会的亀裂を深めます。そんな状況でイギリスなどに伍して日本の明治政府にしっかり食い込んだ底力は大したもんです。

このように国を二分する内戦は日本で言えば1868年―1859年の戊辰戦争ですかね。鳥羽伏見に始まり官軍が幕府軍を掃討した戦いですが、その後の薩長閥による政治支配は続き、ある意味安倍政権もその末裔でしょう。西南戦争は新政府内部の抗争による内乱と言うべきでしょう。こうして南北戦争と比べてみると明治維新の過剰評価は要注意ですね。

あと欧米と比べて日本の工業化は、ちょっと遅かっただけでそれほどの差はないことも意外な感じです。エンクロージャーと自由貿易が産業革命へ導いたイギリス、奴隷解放と保護貿易で後を追ったアメリカ、王政復古を旗印とした宮廷革命の日本と、それぞれの歴史の違いが面白いですが、後の時代への影響もそれぞれで複雑です。

そんな日本の高速鉄道がイギリスとアメリカへ売り込みがかけられているってのは面白いところ。イギリスはCTRL-HighSpeed1のClass395ジャベリンと都市間高速列車Class800ヴァージンあづまが日立製車両で営業してますが、更にJR東日本が英ミッドランド鉄道の営業権を取得したのは既報の通りですが、更にロンドン―エジンバラ間のHighSpeed2と呼ばれる最高速400km/hの高速鉄道新線計画があり、ひょっとするとJR東日本は参入を狙っているかもしれませんね。実際傘下の鉄道コンサルタント会社は関わってます。ただし事業費が膨らんで200㎞弱の新線に15兆円ということで、財政負担の面でスムーズにはいかないかも。

一方JR東海はテキサス高速鉄道に新幹線方式の高速新線計画を売り込んでおり、実現可能性ありと言われておりますが、度々指摘してますが、既存の鉄道インフラと断絶した独自規格の事業はハードルが高いところです。ただしこちらは一応純民間事業ということで、財政面の問題よりも資金集めがうまくいくのかというハードルがあります。自動車社会のアメリカで鉄道建設への理解が得られるかどうか。

てなわけで、歴史的に関わりの深い英米日ですが、高速鉄道を巡る意外な接点がいかなる未来を築くのでしょうか。いずれの国も工業国としては成熟段階にあり、高速鉄道の需要誘発効果に頼るのも難しいですが、JR東日本も東海も世界へ出ることで成長を模索しています。

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Sunday, August 20, 2017

宴の終わり

バージニア州シャーロッツビルのの白人至上主義者の集会でカウンターとの衝突が起きてカウンター側の女性1人が死亡したニュースを巡るトランプ大統領の発言で大炎上。遂にバノン上級顧問の退任に追い込まれました。ま、元々クシュナー氏などとの確執が言われていましたから、意外感はありません。保守分裂がトランプ大統領誕生の原動力であり、アメリカが覇権国家を降りる地政学的変化の具現化であることに変わりはありません。本人の意図は知らんけど。

大統領選当時からポリコレ疲れなど、日本の一部の人たちが喧伝してましたが、彼らは多民族の移民国家であり、イギリスの多文化主義も継承しているアメリカを理解しておらず、元々多様化レベルが日本の比じゃないわけで、ダイバーシティの深度が高い社会です。その中での現実的な知恵としてポリティカルコネクトネスが言われるようになり、差別発言は社会的に圧迫される状況は元々ありました。

またデジタル経済で前エントリーで指摘した人の能力が生産手段(主流派経済学では資本と呼ぶ)となって高額報酬で獲得合戦が激化している状況で、アメリカの白人男性だけでは優秀な頭脳を確保できない現実もあります。人種差別なんかしてた日にゃ競争力を維持できない企業の現実があるわけです。人口規模がアメリカの4倍もある中国の存在も圧力となります。その中国の1/10の人口規模の日本では俗にIT土方と言われるデジタル人材の多重下請け構造でスキルを腐らせてます。あーしょーもなー。

でまあ同じく前エントリーで指摘した米朝関係の緊迫も、予想通りアメリカが折れて収束しました。それでも圧力外交は手放さず、中国企業への圧力や米韓合同軍事演習は続けます。元々今回はトランプ大統領のツイートが始まりだったわけですが、金正恩氏の胆力が勝ったってことですね。アメリカは核開発、ミサイル開発の凍結を直接交渉の条件から事実上外したわけです。

にも拘らず紛争当事国でない日本の対応は明らかに緊張を煽るものです。いくら森加計問題で支持率を下げているとはいえ、ひどすぎます。北朝鮮の問題を複雑にしているのは、アメリカが紛争当事国であることです。北朝鮮の南進を阻止すべく国連軍を組成して対応した結果です。今と違って常任理事国の中国は台湾の中華民国でしたし、ソビエトは棄権に回ったので国連軍の組成が実現したんですが、PKF同様参加国は交戦権を国連に預け、国連はアメリカに委託したわけで、朝鮮戦争が休戦中であるために、この構図が残ってしまったわけです。ですから韓国国内では、自国の頭越しにアメリカが軍事オプションを行使することに根強い反対論もあり、米韓が一枚岩になれない状況があります。軍事オプションは最初から無理なんです。

米朝緊迫で有事の円買いが起こり、円高株安に振れたのはある意味アベノミクスへの巨大ブーメランです。元々経常黒字が累積350兆円にも及ぶ日本ですから、それだけ国内貯蓄が国内投資で消化しきれず海外へ流出していたわけです。具体的には企業による海外M&Aや製造拠点整備などの直接投資に加えて、投資家による外国の金融資産への投資が増えていたわけですから、特に後者は有事に日本へ還流して為替を円高方向へ動かすわけで、所謂リスクオフと呼ばれる現象ですが、今回それに留まらない原因が退任した日銀審議委員から指摘されてます。

北朝鮮問題で浮かぶ 金利操作の矛盾  :日本経済新聞
これ日銀がイールドカーブコントロールと呼ぶ長期金利をゼロ近辺にピン留めする政策の副作用の指摘です。米FRBや欧州ECBは長期金利自体は市場に任せているので、危機で長期金利が低下し、連動するローン金利の低下で景気を下支えするわけですが、日本ではそのメカニズムが働かないから、危機による経済の萎縮がより強く現れます。加えて内外金利差で円買いが強まりますから、輪をかけて円高が進むわけです。ホントつける薬ないなあ。

安倍政権の失敗はまだまだあります。例えば高度プロフェッショナル制度の導入を長時間労働の解消をネタに連合を切り崩そうとしたこと。同時に民進党の支持基盤の切り崩しを狙ったんでしょうけど、事態は逆方向へ進んでいます。蓮舫代表の辞任の伴う民進党代表選で前原氏と枝野氏が立候補を表明してますが、手を突っ込まれた連合が高プロ制度反対に回り、民進党に反対するよう要請したわけですが、その流れで連合は前原氏支持を鮮明にしています。

安倍政権にとっては、旧民主党時代から党中枢にいて党勢弱体化にコミットしてきた枝野氏の方が与しやすい一方、前原氏は脱組合その他の過去の態度を見直す姿勢を見せており、特に自由党の小沢氏との和解は大きいと言えます。小沢氏は社民党や共産党との野党共闘に前向きで、ウイングを広げた所謂オリーブの樹構想の実現可能性が高まります。一方枝野氏はあくまでも選挙区ごとの選挙協力レベルでの野党共闘ですから、安倍政権にとってどちらが嫌かは明らかですね。国会議員票が前原氏優勢なのはそういうことですが、連合の支持となれば党員サポーター票も見込めます。ある意味余計なことをして寝た子を起こしちゃったわけです。

もう少し続けますが、日銀が異次元緩和で2%の物価上昇目標がいつまで経っても達成できない中で、自信満々だった黒田総裁は、物価目標の達成と引き換えに消費税増税を含む財政再建を政府に迫るつもりだったようですが、目標未達で政府に頭が上がらない一方、目標未達で緩和が続く状況は、財政赤字を垂れ流す政府にとっては居心地が良いわけで、事実上レームダック化した黒田総裁の再任は本人が間違いなく固辞します。後任選びはとっ散らかった金融政策の正常化という難題を押し付けられるわけですから難航必至です。

そんな中でECBのドラギ総裁が日銀に注目しているとか。例のマイナス金利イールドカーブコントロール導入時に、政策目標を量から金利にシフトして目先を変えた結果、国債買い入れ高を実質的に減らしたわけで、それがECBがこれから取り組もうとしてる金融政策正常化のための量的緩和縮小を先取りしているということらしいです。実は日銀は出口に向かっている?

一方で日銀によるETF購入は問題を抱えています。年間6億という規模から、特にETF組み込みの多い値嵩株で日銀の保有比率が高まって、筆頭株主は日銀という状態になるなど歪みを生んでいます。その結果実質的な流動株比率が上場基準に抵触の恐れが出てきています。一応投信で流動株にカウントされるとはいえ、余剰資金で自社株買いをして株主還元っがやりにくくなっており、実際上場企業の自社株買いは減っています。株価の上昇で企業が自社株を割安と評価できないという面もありますが、企業行動を制約していることは間違いありません。

加えていずれ期限が来て償還される債券と違って、株式はいずれ売らなくちゃならないことも問題です。日銀がこれだけ高いポジションを取ると、売るときに株価を押し下げてしまうということがありますから、市場を混乱させますし、日銀自身も残存持ち高の評価損になります。資本勘定としてその分の引当金を計上するか、資本金を取り崩すしかありませんが、金利上昇による国債の値下がりにも備えなければなりませんkら、下手すれば債務超過の危険性もあります。発券銀行だから破綻はないと言うなかれ、結局国庫補填となれば国民の税金が使われます。そこまでしても上がらない物価にもう一つハードルが。

物価抑える格安スマホ 一家に複数台、影響大きく  :日本経済新聞

消費がさえないから物価が上がらない。消費がさえないのは携帯キャリアの通信料金が高いからだとばかりに政府が介入して通信料金が下がったら、消費者は2台目3台目の購入に動いたって話ですが、価格が下がって消費者余剰が拡大したら需要が増えたってミクロ経済学の教科書通りのことが起きちゃったわけです。加えて家計の通信費支出の比率が高まってインフレ率を押し下げてしまうわけで、思いつきでインフレ目標をブロックしたわけです。経済優先が呆れます。こんなんもあります。
(真相深層)日本、牛肉買い負け懸念 輸入制限、時代に合った戦略か 発動の裏に米中対話 :日本経済新聞
ちょっとややこしいんだけど、そもそもは米中首脳会談で習近平が約束した貿易不均衡是正策として、BSE問題で禁止されていた米国産牛肉の輸入再開を発表したところ、米国産牛肉の値上がりを予想した日本の牛丼チェーンなどの外食企業が保存の効く米国産冷凍牛肉を大量買い付けし、更に干ばつで値上がりした豪州産牛肉の需要シフトもあって輸入枠を突破したということで、日本政府は緊急セーフガードを発動したわけです。

形式上ルールに則ってはいますが、元々WTOルールの趣旨として、急な輸入増で打撃を受ける国内産業の緊急保護策なんですが、今回は国内飲食チェーンの行動がトリガーになったもので、国内畜産業の保護には全く無関係です。麻生財務相曰く「EPA締結済みのオーストラリアには発動されない。アメリカもTPPに復帰すれば対象外になる」ということで、TPP離脱を決めたアメリカへの当てつけでしかないわけです。高関税が課されれば、先買いに走った国内飲食チェーンもいずれ値上りの影響を被るわけで、誰も得しない愚策です。

そんなこんなですが、よく考えれば政府が国民のために働いたことってあるだろうかと^_^;。破たんしたエルピーダメモリ―や経営悪化したジャパンディスプレイへの出資しかり、原発輸出推進で東芝にWHを買わせたことしかり。逆に政府が手を出さなかったシャープは鴻海傘下でV字回復と、十指に余る愚策の数々。おそらく2020年のオリパラも先行き不透明です。オリパラ関連では小池都知事の豹変ぶり。結局築地は更地豊洲は民間払い下げが本音だったわけです。こうなると無理を重ねた都市計画の進捗に誰も責任を取らないと。インパール作戦もかくやという無責任のツケは下っ端の兵士(ここでは仲卸)に払わせる。環状2号線を走る国産FCV連接バスは夢と消えるかも。

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Sunday, August 13, 2017

1億総社畜化社会

米朝間で子供の喧嘩みたいな罵り合いが展開されており、市場はリスクオフに振れて株価を下げたりしてますが、こういう時は落ち着きましょう。そもそもホワイトハウスの行政官ポストを埋め切れず身動きが取れていないトランプ政権に戦争準備ができているわけないですし、北朝鮮にしても核実験由来の放射性物質は1回目以外検出されていませんし、ICBM実験も高高度で発射して飛距離のポテンシャルを示してはいるものの、難しい大気圏再突入性能は検証されておりません。もちろんだからと言って核やミサイルの開発が進んでいないとまでは言えませんが、騒ぎ過ぎです。

てなことは置いといて、1年前のエントリーで取り上げた社畜ネタです。今年は例年にも増して高速道路の渋滞が酷いですが、お盆に一斉に実家へ帰るからこうなるんで、時期をずらすとか考えないと、3年後は丁度オリンピック期間とバッティングしますからどうなることやら。猛暑による熱中症問題がやっと認識され始めましたが、新国立競技場をはじめとする関連工事も人手不足出遅れが心配されてますし、その新国立競技場の工事作業員の過労自殺が報じられるなど、本当に大丈夫かいと心配になります。

ロングバケーション当たり前の欧州では、企業が従業員に有給休暇取得時期を割り振って分散しながら長い休暇を楽しむのに、短い盆休みを一斉に取って大移動する日本のビジネスマンの働き方の異常さが世界へ発信されるおぞましい2020年になりそうです。その働き方改革を巡って混乱もあります。

連合、「脱時間給」容認を撤回 政労使合意は見送り  :日本経済新聞
日経の記事は問題だらけなんですが、連合の逢見事務局長が独断で政権とやり取りして進めていた話で、神津会長は長時間労働の歯止めが認められるならば、政労使協議に応じても良いとしたものの、あくまでも年収1,075万円以上の特定職種を対象とした高度プロフェッショナル制度の話であって、脱時間給は関係ありません。

そもそも裁量労働制も成果主義賃金も現行法で違法ではないんですが、要件として募集や採用の時点で説明がされ雇用契約書にも明記されている必要がありますし、そもそもこのような雇用形態は労使間で合意が必要なんですが、御用組合をでっち上げて協定書の書面を作っても、未払い残業代請求訴訟では実体のない名ばかり組合では労働者の代表と認められず会社側が敗訴する事例が重なり、経済界から要件緩和の要求が出ていたもので、労働側から見れば当然認められません。

あと限定職種の高度プロフェッショナルにしても、高給取りで直接雇用が難しいんですから、むしろアウトソースして相対取引で条件を決めれば良いんで、労基法に盛り込む積極的な意味はありません。当然の如く連合の傘下組合から反対の声が上がって連合は撤回に追い込まれ、次期会長含みだった逢見事務局長を副会長に棚上げして神津氏の会長留任を決めて収めたって話です。早い話企業は残業代を払いたくないってのが本音です。

2020年のオリンピックと盆帰省のバッティング問題でも指摘しましたが、欧州企業では仕事の繁閑を有給休暇の分散取得消化で対応しており、そのため使用者側に有給休暇の完全消化の義務と共に取得時期調整の権利が与えられています。国によっては年度初めに従業員の有給休暇取得計画書を当局に提出する義務まで負わせているわけで、残業で繁閑調整をしている日本とは根本の考え方が違います。結局残業が日常化して長時間労働が当たり前になり、過労自殺も後を絶たないし、長時間労働で作業効率も落ちるから労働生産性が高まらず、利益率が低くなるという悪循環です。解決策は簡単で、最繁忙期に合わせて増員して有給休暇を分散取得させることです。

あと人手不足でAIへの期待が高まっておりますが、AIに限らず機械による労働の代替自体は昔から繰り返されてきたこととはいえ、単純な代替を考えているならお門違いです。AIは人間になれませんし、むしろAIが能力を発揮するための仕事の手順や環境を人が整えてやらなければならないですから、AIで人手不足解消は不可能です。これオフィスオートメーションが言われ始めた時代やコンビニのPOSシステム導入のときも言われたんですが、システムの導入に伴って業務の見直しがちゃんとできて初めて、少ない人数で多くの産出高を稼ぐことで労働生産性が向上するんで、その分を賃金に反映させて家計の購買力を底上げして初めて、経済成長につながるんですが、現実はどうも違う方向へ進みそうです。

実はこれを端的に説明するツールはマルクスが提供しておりまして、G--W--G'で表しております。Gは資本、Wは商品を意味します。ここで言う資本はぶっちゃけお金のことで、生産手段としての工場や機械に投資して、従業員を集め原材料を仕入れて生産した商品を市場へ投入して代金G'を得ることになります。このときにG<G'となるように仕組みを整えるわけです。工業化で工業製品が大量に生産され市場投入される産業資本主義過程はこれが繰り返されるわけです。

しかし大量の工業製品が市場へ投入され続けた結果、工業製品の価格は低下しますし、またスマートフォンのような汎用多機能デバイスの登場でむしろ集約が進む結果、G<G'の関係の維持が難しくなります。一方PCやスマホのような汎用デバイスはソフトウエアのバージョンアップで機能強化が進み、思いがけない用途が開発されていきますから、開発に携わるプログラマーやSEなどのIT人材が重要な生産手段となり、その調達囲い込みのために高額報酬が約束されるようになります。結果的にITデジタル技術を軸とした生産手段の組み換えが起きてデジタルブルジョワジーとデジタルプロレタリアートに分離する現実が出現したわけです。伝統的工業の衰退とIT産業の台頭で米トランプ政権誕生の背景でもあります。

困ったことにあらゆる労働がデジタル技術で代替可能なわけではなく、元々低賃金の単純労働はいつまでも機械化されずに残るどころか、かつてはノウハウの塊だった事務職や販売職も作業内容が単純化されていきますから、低賃金の単純労働はむしろ増えるわけです。つまりマルクスがプロレタリアートと命名した時間の切り売りでしか生活の糧を得る手段を持たない階層が新たに出現したと見れば、世界的にみられる格差拡大が容易ならざる事態であることがわかります。この観点からすれば労基法改正で政府が盛り込もうとする高度プロフェッショナルは保護すべき対象ではないわけです。

さらにもっと困ったことに、高給で優遇される高プロ人材の育成は困難だってこともあります。何となれば人に教える暇があるなら自ら働いて稼いだ方が良いし、人に教えてライバルを増やせば自らの市場価値を下げることになります。加えて技術革新のスピードが速くなってますから、市場価値が落ちたところで教える側に回る頃には次の新技術が出現して手持ちのスキルが陳腐化しているわけですから、教えるニーズもなくなるわけで、ある意味旬の内に稼いでセミリタイアというキャリアプランを取らざるを得なくなります。かくして技術の分断が今以上に深刻になるわけです。

また高額報酬の職業ほど資本代替のニーズが強く、高額の研究開発投資に見合うリターンが期待できますから、いずれ稼げる職業は減っていくというディストピアになりかねません。自分で自分の首を絞めることになるわけです。高プロじゃないですが、例えばかつて高給取りだったバスドライバーやトラックドライバーの賃金低下も、運送業の参入規制撤廃で進んだわけですし、タクシーに対するウーバーなどのライドシェアの挑戦も同様の文脈で理解できます。規制緩和は善として拙速に認めるのは問題です。

その先の自動運転も、当面は地域限定の交通システムとしての実現を目指すのが妥当です。トラックドライバー不足を自動運転で凌ぐのも問題です。荷物の積み降ろしや検収、場合によっては代金決済もあるわけで、その部分は自動化できないので、結局ドライバーに運転させる方が労働生産性を高めることになります。寧ろ鉄道や船舶との連携による複合一貫輸送のシステムを構築することが大事です。この辺の誤解はかなり根深いですね。

その鉄道も自動運転車の実用化で変化を迫られます。ただし道路輸送では実現不可能な大量輸送の能力が結局鉄道のレゾンデートルになるという意味で、地方のローカル線の維持はますます困難になります。また線路保守など労働集約産業の側面は残り、JRでさえ外注化で凌いでいる状況ですが、その結果日常の列車運行に支障が出るほど保守レベルが荒廃したJR北海道の問題など、解決すべき問題があります。そんな中で取り上げたいのがこれ。

JR東など、英鉄道運営を落札 12月から運行  :日本経済新聞
英国鉄道のオープンアクセス制にフランチャイズ(運行会社)として参入するというもので、遅延の多いミッドランド鉄道の定時運行率の向上をアピールして落札したということで、結構ハードルは高いと思いますが、例えばJR北海道の問題の解決策として、線路保有の国策会社を設立してフランチャイズを募集するといった事態も考えられますから、国内の鉄道事業へのフィードバックも期待できます。この辺新幹線システムの一括受注しか念頭にないJR東海の連戦連敗に対して、確実に経験値を高めるJR東日本の行き方は賢明です。

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Sunday, July 30, 2017

守ってくれない

いや、ひでーな。南スーダンPKOの日誌問題のすったもんだで、稲田防衛相が辞任だそうです。

稲田氏が辞任表明 PKO日報監察「幹部が隠蔽」  :日本経済新聞
ザックリいって、陸自の判断で日誌の非公開を決め、廃棄を促す指示を出したけど、今年に入ってからデータが残っていることが判明し、黒江次官が非公開の方針を決めたという流れで、稲田防衛相への報告に関しては曖昧という画に描いたような責任逃れです。

岡部陸幕長と黒江次官も辞任ということで、一見痛み分けに見えますが、閣僚を辞めても議員を辞めない稲田氏は失職するわけじゃなし、加えて重大な問題が欠落しています。日誌の非公開を決め廃棄を促した陸自の判断は文民統制に反します。当然事務方を通じて大臣にも報告されている筈ですが、特別監察の結果が正しいとすれば、稲田防衛相は何をしていたんだって話です。現場の判断が原因でも大臣の了承なしにやれば文民統制違反ですから、普通は考えられない。あり得る可能性は報告を受けた稲田防衛相は意味を理解せず言葉が右から左へスルーして生返事、または国会答弁のことだけしか考えず、答弁書作成を丸投げしたってあたりでしょうか。稲田氏の答弁能力の低さを考えると、この辺でしょう。

これはつまり稲田防衛相が組織を掌握できていないことを意味します。つまり戦えない自衛隊ってことです。これで敵国が攻めてきたときに戦えるのか?疑問は尽きません。加えて北朝鮮のミサイル発射がこのタイミングでおきましたが、これ偵察衛星で発射確実という情報が流れていたわけで、このタイミングでの防衛相辞任はそれ自体無責任ですが、メディアの扱いは違うようです。

日本、試された「安保空白」 北朝鮮ICBM発射  :日本経済新聞
別に北朝鮮は日本の隙を狙ったわけじゃないですね。天候不順で深夜の打ち上げになりましたが、北朝鮮にとってはあくまでも予定の行動に過ぎません。こうなると悪質な世論誘導です。そもそも北朝鮮の狙いはアメリカ本土を射程に入れることで、日本が被害を受けるとすれば、米朝間の休戦が終わって戦争状態になったときですが、トランプ大統領が「中国のせいだ!」と他人事ですから、その可能性はほぼありません。アメリカは北朝鮮と取引のある中国企業をターゲットに経済制裁を仕掛けるでしょうけど、国有企業ならば政府の意向で事業を他社に振ることなど造作もないことですから、経済制裁は結局効きません。

で、中国はと言えば、北朝鮮の狙いはアメリカとの直接交渉なんだから、アメリカが応じるべだと。少なくとも金正恩は中国の言うことを聞かない以上、打つ手はないわけです。むしろ北朝鮮のせいで韓国へのTHAAD配備など余計な緊張を強いられるから、中国としても何とかしたいはずですができないわけです。

対北朝鮮で軍事オプションが可能だとすれば、中国が北朝鮮へ軍事行動を起こし、それに呼応してアメリカが動いて挟み撃ちにするぐらいですが、とてもそれが可能な状況ではありません。そもそも中国は軍事オプションを使いたくない。何故ならば、歴史を紐解けばわかりますが、ソ連との国境紛争にしろカンボジアを巡るベトナムとの紛争にしろ、対外戦連戦連敗の戦えない軍隊という自覚があります。

だからこそ胡錦涛時代から取り組んできた軍隊改革を習近平も踏襲しており、幹部の更迭と装備の近代化で、経済大国となった中国にふさわしい軍事力の刷新に動いているわけですね。だから経済成長と共に軍事費が拡大しているんですが、それは別に他国を侵略するとか、派遣を求めてってことじゃなくて、抗日戦争時代の古い意識のままの人民解放軍を戦える普通の軍隊にすることです。習近平政権で中国が急に強硬になった訳ではないです。もちろんその結果周辺国への軍事圧力が増すことは確かですが、同時に中国は周辺国との善隣外交に力を入れていることも確かで、例えばASEAN諸国との関係も対立と協調の重層構造で、敵味方を単純化したがる日本とは異なります。

加えて国力に見合った国際貢献を重視する姿勢を打ち出しています。ん?聞いたようなフレーズですね。将に日本の自衛隊の海外派遣で語られるロジックと同じです。これ仕掛けたのは結局アメリカです。アメリカだけが世界の警察として強大な軍事力を持つ構図から脱却するには、経済力をつけた国が応分の負担をすべきだってのは、アメリカがずっと言い続けてきたことでもあります。南スーダンPKOが典型ですが、石油利権と宗教対立で内戦の絶えなかったスーダンの紛争解決のために、油田が立地しキリスト教徒の多い南部をアメリカの後ろ盾で独立させれば紛争が収まるというロジックで南スーダンを独立させたのはオバマ政権のときです。そして治安回復のために国連PKOに丸投げ。そこへ資源外交に熱心な中国が乗っかって、PKO部隊の主力になるという構図です。

南スーダンPKOは実際は参加国が交戦権を国連に預ける形のPKFなので、憲法で交戦権を放棄している日本は本来参加できないんですが、道路補修など戦後復興事業への参加でクリアしてるわけです。だから自衛隊の国際法上の身分は軍属の民間人ってことで、仮に戦闘に巻き込まれた場合でも正当防衛以外での武器使用は通常の刑法犯として扱われます。その意味で日報の非開示までして加えた「駆け付け警護」の新任務は全く空疎な議論だったわけです。安倍政権の政策論はこの手があまりにも多く不誠実です。陸自の造反も無理もない。文民統制違反には変わりありませんが。おそらく中国が主力部隊を派遣する南スーダンに国際貢献でアメリカに恩を売るつもりなのでしょう。

同時に日本と中国の軍備増強は両者の対立を誘発しますから、第三国同士を競わせて結果アメリカが軍備を減らした上でライバルを経済的に疲弊させて力をそぐ一石三鳥。これオフショアバランシングという戦略論の基本ですね。日本も中国もまんまと嵌ってますが。つまりアメリカは露ほども恩を感じません。蒸し返しになりますが、首都ジュバでの政府軍の分裂による戦闘が起きた時点で、情勢が変わったんだから撤収するってのが、本来の文民統制の在り方です。現場から離れた場所で引いて見るから的確な判断ができるわけです。

てなことで、情勢変化に対応できていないのは、迷走する東芝なども同じですが、日本人って一度始めたらやめられない病なんだろうか?それを疑わせるこんなニュースです。

長崎新幹線に暗雲 新型車両に国が不具合報告  :日本経済新聞
日本ではフリーゲージトレイン(FGT)と言われる軌間可変車両の開発可能性は無いと以前から申し上げておりましたが、結局コスト面で無理とJR九州が白旗をあげたものです。株式上場したために、株主に説明できない投資はできにくくなるわけで、株式上場の数少ないメリットではあります。しかし既にフル規格で着工した武雄温泉―長崎間をどうするかを巡って議論がまとまりません。

JR九州では全線フル規格化を求め釣ろしており、長崎県も賛同してますが、問題は元々軟弱地盤で事業費の膨張を懸念した佐賀県が反対姿勢ですし、そもそもフル規格での新規着工には財源がなく、北陸新幹線の小浜京都ルートが2030年以降の事業化で進んでいる状況では優先順位は更にその後ですから話が進まない。その間に着工した武雄温泉―長崎間の2022年の竣工が迫っています。当面武雄温泉で乗り換えるリレー方式の開業が見込まれますが、そうすると僅か66㎢の孤立したフル規格路線ができてしまいます。これ最悪の選択です。

66㎞で2駅の整備区間で片道20分程度の運行ですが、毎時1-2本として予備編成も含めて4編成配置するとして、検査体制をどうするかという問題に直面します。そのために要員を配置するのか、毎回陸送で例えば博多車両所へ運ぶのか?どちらにしてもコストがかかります。加えて武雄温泉での乗り換えの解消は現時点で見通せないとなると、大元の計画に戻ってスーパー特急方式とするのがベストでしょう。

最高速160km/hでも整備区間ではほぼ速度制限なしですから、30分程度での運行は可能です。リレー方式で乗り換えに3-5分とすれば、実質5-7分差で乗り換えなしになります。速度差による保守精度の違いと車両の検査体制問題を考慮すれば、ランニングコストはほぼ半分ですから、全線フル規格化は財源から10年以上先の着工でもあり、スーパー特急化に伴う追加コストは楽にカバーできます。状況が変われば柔軟に判断する。それができないのは不幸です。

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Sunday, July 09, 2017

見えざる手の穢れ

いやはや、秋葉原の安倍辞めろ、安倍帰れコールは大変な騒ぎでした。これがなくても都議選での自民党の敗北は自明でしたが、都民ファーストの勝利ってのはちょっと違います。公明党が小池知事側についたことと、築地市場の豊洲移転問題を選挙前に方針を示して争点から外したことで勝負ありです。小池知事には特にシンパシーはありませんが、こんがらがった現状を起点に考える限りはこれしかない落としどころです。

気になるのが投票率の低さで、これだけ注目された選挙なのに、前回は上回ったもののやっと5割の水準です。こうなると組織票頼みの公明党や共産党が有利になる一方、浮動票を都民ファーストの会がさらって、国政レベルの2大政党の自民党と民進党は激減。寧ろ民進の方がダメージが大きく、敢えて言えばフランスの総選挙と似た構図です。既存政治勢力に対する不信感が表面化したわけで、深刻な問題です。

やはり森加計問題がボディブローのように効いている。安倍首相自身は外遊に逃げて意味のない閉会中審査が招集されましたが、ミエミエのアリバイ作り。政権側は成長戦略としての規制緩和で正当な手続きを邪魔する文科省を抵抗勢力に仕立てようとするでしょうけど、森友、加計を導いた見えざる手が穢れていたんじゃないかという疑惑ですから、国家統治の根幹にかかわる問題です。

これアメリカでも一部の経済学者が問題視してますが、所謂レントシーキングと呼ばれるもので、大企業や富裕層や政府高官の縁故者等による利益誘導全般ですが、近頃は例えば法人減税のように各国が競い合って減税するような状況が見られるようになり、主権国家の根幹を侵食する問題と捉えられております。規制緩和や減税など、所謂新自由主義的な政策の帰結として、格差拡大が各国で問題になっておりますが、少数の富裕層や大企業が自分たちに有利な政策を金で買う結果、ますます格差拡大が進むということで、ピケティが示した累進課税の強化ぐらいしか打つ手がない状況です。一部で成長がないから格差が拡大したという風に誤読されてますが、成長が処方箋にはなり得ないのが現実です。

それを端的に示すのが、米FRBの利上げに拘らず物価上昇が鈍い問題ですが、欧州も似たり寄ったりで、いよいよ日本のように成長率がゼロ近くになり、ピケティが謎としてきた日本の低金利が米欧双方で見られるようになっています。正確には欧州では国によりけりですが、ドイツのように長期金利がマイナス圏に沈んでいる国と信用不安が抜けないギリシャやイタリアのように厳しい状況の国が同居してますが、イタリアの大手銀行モンテパスキの国有化で株式や劣後債を保有する個人の保護を欧州委が認めるなど、銀行同盟の進捗を足踏みさせる状況にあります。こんなじゃドイツが慎重姿勢を崩さない財政統合は夢のまた夢。Brexitで結束を呼び掛けてもEUの統合は進まないと見るべきでしょう。

そんな中でイギリスとフランスで行われた総選挙の結果が興味深いところです。イギリスのメイ首相にとっては手痛い敗けですが、経済より移民制限を優先するハードブレグジット路線は修正を迫られます。ただし伸びたのは2大政党の片方の労働党であり、Brexitに反対の中道の自由民主党や地域政党のスコットランド国民党は議席を減らしており、Brexit自体は信任されたと見て良いでしょう。ただし下院の安定多数を握って対EUで交渉力を高める戦略は否定されました。ま、ある意味時間切れ強制離脱ならば究極のハードブレグジットではありますが、だれも望まないですね。

とはいえ投票率が66%と大幅に高くなり、特に若者の投票率が高まってその票が労働党へ流れた結果というのが面白いですね。Brexitを問う去年の国民投票のときには経済が好調だったことで、ある意味国民の大胆な判断ができたんでしょうけど、その後のポンド安による輸入物価上昇が国民生活を圧迫し、特に失業率の高い若年層が、鉄道の再国有化や大学授業料無償化などを訴える労働党コービン党首を支持した結果です。ある意味アメリカのサンダース現象が再現した形ですが、同じ2大政党制でも、エスタブリッシュメントと見做されたクリントンとそれを攻撃するトランプというねじれた構図と異なって、ある意味イギリスの民主主義はバランス感覚を保つ健全さがあるのだなと感心します。

それにひきかえフランスの総選挙は投票率44%と国政選挙では信じられないような低投票率で、マクロン大統領率いるアン・マルシェ(共和国前進)の大勝という都議選に似た結果で、社会党、共和党という2大政党は議席を減らしています。つまり政治不信の結果であり、浮動票が消えた結果新しい政治運動である共和国前進や共産党など組織票を動員した勢力が浮上した構図です。ちなみにマクロン氏と大統領選を争った国民戦線ルペン党首が初めて議席を得ているのもその表れです。

マクロン氏のスタンスはEU統合強化で、そのために規制緩和や労働市場改革をしてドイツに寄り添おうということですが、これサルコジ政権で大失敗した路線なんですよね。で、反動で社会党オランド政権が誕生したわけですが、絶好調のドイツに経済で後れを取り成す術なく停滞し、またリビアやシリアへの軍事介入で成果を得られずむしろテロの標的になるなどしており、このままではフランスがEUのお荷物になりかねない状況でマクロン政権が誕生したわけですが、国民の不信感の払しょくは難しいでしょう。ドイツにしても、EU統合強化を謳うマクロン政権を手放しで歓迎はしないでしょう。

そうなるとBrexitに対して強面で対応してEUの結束を図るということになりますが、これ第1次大戦後のヴェルサイユ条約での対ドイツ強硬姿勢を再現する危険性があります。イギリスに対して強硬姿勢を示すことで、世論の支持を保とうとするんじゃないかと思います。ある意味国民戦線ルペン党首とEUに対するスタンスの違いはあっても、大衆迎合的になる可能性は高いでしょう。となるとBrexitは波高し?

一応お断りしておきますが、私はBrexitショックの株安で、欲しかったけど高くて買えなかった株を拾うことができたんで、イギリスに対して見方が甘くなっている可能性は否定しませんが^_^;、基本的にBrexitはまあうまくいくんじゃないかと思っております。総選挙で示された国民の意思も明確ですし、変えるべきを変え守るべきを守る本来の保守主義が機能していると見ているんで、元々EU内で特権的な地位にあったイギリスにとっては、EUの統合強化にどこまで付き合うかは、いずれ問題になるところです。

加えてEUの強面に対してはいくつかの強力なカードがあります。その1つが英領ジブラルタルの帰属問題でして、仮にスペインへの返還を持ち出せば、EUの態度を変えさせることは可能でしょう。それどころか紛争を抱えるキプロス問題も解決できず、旧ユーゴの和平交渉の失敗でNATO軍の軍事介入に頼らざるを得なかったなど、EUの紛争解決能力の低さから言って、イギリスとの決定的な対立は結局プラスにならないということで軟化する可能性は一定に存在します。ましてトランプ政権でアメリカが当てにできないしウクライナを巡るロシアとの対立もあるしということで、どっかの時点でイギリスとEUは和解するしかないでしょう。

てなこと言ってる間に北朝鮮のICBM発射実験成功の発表があり、レッドラインを超えたとするアメリカの軍事オプションに関心が集まりましたが、トランプ大統領の他人事ツイートで軍事オプションは早々に消えました。冷静に考えて、アメリカが軍事オプションを行使できる状況は、中国が中朝国境で軍事行動を起こし、それに呼応してアメリカが動くというシナリオでしょう。ただしそれをやるには韓国の同意は当然として、ロシアの黙認も取り付ける必要があります。北に融和的な文ジェイン政権誕生の韓国の同意もロシアゲート問題を抱える中でのロシアの同意もハードルが高いでしょう。せめてということで、北朝鮮と取引のある中国企業を制裁対象にして揺さぶりますが、習近平主席は動じない。そもそも中国の制裁が甘いというのは、勝手な思い込みでもあります。

実は北朝鮮は経済成長しているんじゃないかという見方がアメリカなどで出ており、ニューヨークタイムズによれば1-5%程度の経済成長の可能性を報じています。一応2008年時点でのGDPが米ドルベースで262億ドルで人口が2,500万人ですから、1人当りGDPは1,000ドル程度でベトナムbなどと同じぐらいですが、北朝鮮は石炭やレアアースなどの鉱物資源の豊富な資源国でもあります。そして2008年といえばリーマンショックの年で先進国がこぞって打撃を受けた一方、中国が大胆な財政出動で経済を浮揚させて所謂デカップリングで世界経済の失速を踏みとどまらせたのですが、その結果原油など資源価格が高騰した時期でもあります。中国の電力需要拡大や鉄鋼生産の拡大で石炭需要が増したわけですから、北朝鮮がその恩恵を得ても不思議ではありません。仮に5%成長が続いたとすれば、凡そ1.5倍強の400億ドル程度になっていても不思議ではありません。つまり昨今のミサイル実験の繰り返しは、金回りが良くなった結果であり、その原因を作ったのは他でもないアメリカだってことです。

てなわけで北朝鮮問題は決め手がないまま推移すると思いますが、その中国経済が明らかに成長鈍化しており、皮肉ですがそれが北朝鮮にとっては一番のとばっちりになるでしょう。尤も中国の経済減速は世界も返り血を浴びることになりますが。

てな状況で例えば東芝メモリーの売却先を巡って技術流出を心配する政府のバカさ加減に呆れます。毎年3,000億円から4,000億円を投資して技術の陳腐化を防がなきゃならない半導体で技術流出を心配するってほとんど冗談みたいな話です。そんな風だから日本や欧州の技術を導入して世界最大の高速鉄道網を構築した中国を「パクリだ!」とかdisってる暇があったら、整備新幹線の中途半端なハードの見直しを真剣に考えるべきです。そんな中でこのニュース。

時速360キロの新型新幹線 JR東日本、30年度投入へ  :日本経済新聞
FASTECH360(E954系)で目指した速度を再度新しい試験車で目指すわけですが、E954系の成果として320㎢/hのE5系とE6系が登場したわけですが、320km/h運転区間は宇都宮―盛岡間に留まり、宇都宮以南240km/h、大宮以南110km/h、盛岡以北260kom/h、青函トンネル内140km/hの速度制限を受けています。2030年の札幌k開業を睨んでと言っても、ほぼ全区間で360km/h運転ができなければ、東京―札幌間で4時間の壁は切れないわけで、対航空で優位に立つことはできません。それもこれも財源ねん出を優先して中途半端なハードを作ったツケでして、相当な追加投資が必要ですが、JR東日本単独では難しいし、パートナーのJR北海道には頼れないしということで、試験車で速度制限区間のスピードアップがどこまで可能なのかは未知数です。特に大宮以南と青函トンネル内の制限解除は殆ど不可能と言ってよいでしょう。経営面の不透明さも指摘される中国高速鉄道ですが、今更ながら差をつけられてしまいました。一方こんなニュースも。
JR東、英国の鉄道営業権を応札へ 事前審査通過  :日本経済新聞
イギリスのフランチャイズ制に基づく鉄道営業権を取得しようということで、これが記事にあるように成長エンジンになるかどうかは微妙ですが、いつまでも内弁慶のドメスティック企業ではだめだということで世界へ出ることは良いことです。この経験を活かして国内にフィードバックして、新しい公設民営鉄道の在り方を提案できれば面白いかなと思っております。

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Sunday, June 18, 2017

空飛ぶクルマ

共謀罪が成立しました。国会論戦で一般人には適用されないとされてますが、問題なのは乱用の歯止めがないこと。前エントリーでも指摘したように、前文科省次官の前川氏に対する個人攻撃のように、政権に不都合な人物を狙い撃ちすることができてしまうわけです。この点は戦前の治安維持法と変わりません。ちなみに治安維持法の逮捕者第1号は仲間内でヨタ飛ばし合ってた大学生達で、冤罪だったけど取り調べ中に拷問死だそうで、これリベラル陣営から見れば逮捕上等、逮捕は名誉と考えるべきでしょう。歴史に名を遺すチャンスです^_^;。てことで共謀したいんだけど、1人じゃできない。仲間がいない。

******急募!一緒に共謀する仲間!******
価値観を逆転させれば怖くはありません。ヤクザかい!てことでヨタ飛ばし続けます^_^;。

先週末愛知県の東名高速で事故がありました。

バスに車衝突、45人けが 運転の男性死亡 愛知の東名高速  :日本経済新聞
北朝鮮の脅威が言われ、各地でミサイル防空訓練が行われたというニュースと並べると、現実的には空飛ぶクルマの方が怖いよなと。そもそもミサイル飛んできたは数分のうちに着弾してしまうから意味ねー。続報では反対車線を走っていた乗用車が左側ガードレールに接触してコントロールを失い、右へ寄って中央分離帯の法面に乗り上げてジャンプしたそうですが、時速100㎞程度ということで、道路構造の欠陥も指摘されてます。

一方ぶつけられた観光バスの方は、バスドライバーが咄嗟に左に避けてエンジンブレーキで減速しながら左側のガードレールや側壁に接触させて安全に停止させ、その冷静な対応に賞賛が寄せられています。また観光バス事業者の東神観光バスは安全性の高い新車を導入しており、軽井沢のツアーバス事故では車体強度に問題のある中古バスだったこともあって、この面でも賞賛されてますが、いや待て、そもそも空飛ぶクルマのガードレール接触が事故原因だったわけで、同じガードレール接触で車の挙動がここまで違うってことは指摘しておきます。

種明かしすれば車両重量の問題でして、乗員1名の乗用車の重量は1t前後に対して、フル装備の大型観光バスで定員乗車なら20t近くになります。これだけ重量が違えば運動エネルギーの量も大違い、大型観光バスを安全に停止できる側方ガードレールも乗用車には強すぎて弾みでコントロールを失うことはあり得るということですね。もちろん入射角の問題や乗用車のドライバーの心身喪失の可能性など、報道ではわからない問題もありますが、道路構造に注目すれば、問題点は見えてきます。1t未満の軽から40tの大型トレーラーまで同じ道路を通行するわけですから、安全対策に根源的な不可能性があるわけです。

中央分離帯や側方ガードレールの設計は大型車の重量を受け止めて衝撃を分散しなが安全に停止させることを狙っているわけで、乗用車にとっての最適設計ではないことは確かです。中央分離帯も大型車が突破できないようにタイトな法面を採用すれば、軽量な乗用車にとってはジャンプ台になりかねないわけです。道路の混合交通故の矛盾ですが、そもそも高速道路は大型車を想定した作りであって、乗用車で利用するときにはドライバーがリスクを意識して自衛するぐらいしか対策はなさそうです。余談ですが、都内の高速道路整備で東名より先に中央道が着手され、しかも分岐線である富士五湖線が優先されたのは、治安対策で山梨の陸自基地から戦車を速やかに都内へ向かわせるためとか。時あたかも新左翼運動が盛んな60年代後半でした。

大型車と小型車をゾーニングで棲み分けられない限りついて回る問題ですが、首都高で湾岸線の大型車ETC割引で利用を誘導しているぐらいです。外環道や圏央道が整備されたときに、大型車の環状ルートへの誘導策は考えられますが、厳格な分離は困難です。

てなタイミングで日経ビジネスが「「空飛ぶクルマ」の衝撃」という特集組んだのが何というか^_^;、道路を走る限り渋滞を避けられない中で、「空を飛ぶ」という発想そのものは突飛とは言い切れないにしても、クルマの未来に見えるある種のカオスを感じます。中身は玉石混交で、さまざまなアプローチがありますが、プレイヤーがアマゾンやウーバーのようなIT企業にトヨタ自動車、航空機のエアバスまであり、ドローンの大型版や1-2人乗りのパーソナルプレーンなど、方向性も定まっていません。

空は飛ばないまでも自動運転は実用化を射程に入れており、未来の自動車産業の激変を示唆するのですが、上記のような現実の事故を目の当たりにして、ここに自動運転車が加わることに関してどう考えるべきか、今のうちに考えておくべき問題があります。既に自動運転車としてレベル2と定義される高速道路で車線キープと車間距離を保った自動追尾は市販車レベルで実用化されてますし、これに車間通信を組み合わせて衝突を回避しながら車間を保って運行する技術なども実用化目前ながら、いずれもドライバーが乗って緊急時の危険回避を行う仕様で、今回のような事故を防げるのかというと、むしろヒューマンエラーを誘発する可能性もあり問題を複雑にします。

その先の完全自動運転は事故時の責任分担の問題が絡み、現状では不可能となります。実際大型車に偏った日本の高速道路の安全対策を前提とすれば、事実上完全自動運転は無理です。本気で実用化を考えるならば、エリアを限定して速度を抑制した形で交通システムとして導入するというアプローチになると考えられます。実際グーグル改めアルファベットの自動運転車開発会社ウェイモが2座の小型自動運転車を米アリゾナ州フェニックスで実証実験してますが、日本でもウーバーのシステムで自家用車有償運行を行う京丹後市など、まずは公共交通が維持困難な地方の特定エリアで試験導入が現実的でしょう。

京丹後市では道路運送法78条の自家用自動車の有償運行の特例で認可されたんですが、そのために営業車に準じた事故補償を求められてボランティアのドライバーに高額の保険加入が義務付けられており、元が取れる状況にないこともあり、ドライバーのなり手の確保が難しい現実があります。未来志向で特区制度を活用するというならば、ウェイモのシステムを導入した方が良かったんじゃないでしょうか。加えて鉄道貨物の強化で高速道路の大型車を減らしすということも考えて、貨物鉄道と競合するルートを小型車向けにゾーニングというアプローチも考えられます。

第2次安倍政権の成長戦略の目玉とされる国家戦略特区ですが、今治の加計学園獣医学科問題にとどまらず、どこに未来志向があるのか疑問です。仮に獣医師が足りないとしても、既存の獣医学科の定員増で対応できれば初期投資分の負担が軽減されるわけで、敢えて新設の大学で行う理由は明らかではありません。しかも獣医学科新設に意欲を見せた京都産業大学は却下したうえで、空白地帯に限るという事実上再申請を封じる決定までされているわけですから、加計学園への便宜供与が疑われても仕方ありません。

てなわけで、共謀しようぜwwwwwwww。

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Sunday, June 04, 2017

ハケンからシュケンへ

トランプ大統領のパリ協定離脱が波紋を呼んでいます。

パリ協定離脱を正式表明「米国に不利益」  :日本経済新聞
離脱といっても手続き上は4年間は離脱できない仕組みですが、パリ協定自体が参加国が自主目標を持ち寄って相互検証などの国際ルールを決めるっていうユルユルな枠組みですから、実質的にはオバマ大統領時代に約束した緑の気候基金への30億ドル拠出の中止と国際会議への不参加ってことで、TPPと違ってパリ協定自体が漂流することはなさそうです。

この辺過去エントリーで繰り返し述べてきたことですが、トランプ大統領の政策は、ザックリ言えばアメリカが覇権国家から降りて強い主権国家になるというコンテクストの話であって、この観点から見れば、何の意外性もないニュースです。資金の拠出や国際会議への参加などの法的義務は負わないということですね。加えて大統領選当時から反オバマ政権の主張を繰り返して当選したわけですから、オバマ大統領のレガシーの否定に意図的に舵を切ったという意味でもあります。どのみち予想されたことです。

ただ日本にとってはちょっと痛いところがあります。京都議定書でも子ブッシュ大統領の離脱があって、危機感を抱いた欧州が、それまでとかく対立しがちだった日本に譲歩して森林のCO2吸収を認め、森林認証の仕組みなどを決めたことです。ある意味日本は漁夫の利を得て実際2008-2013年の実績でマイナス6%の目標を達成しています。それでもポスト京都の枠組みが決まらず期間延長が濃厚になると、震災による原発停止を口実に離脱した訳で、その結果ロシアなどの追随もあり、欧州主導で機能していた排出権売買市場を枯らしてしまうなどして不信を買いました。

パリ協定でも米中両国の積極姿勢と裏腹に様子見を決め込んで出遅れた上に、今回の米離脱宣言で、石炭火力と原子力に頼る日本のエネルギー政策をアメリカが援護射撃する構図は見込めなくなりました。加えて今回はBrexitの影響で揺れる欧州で、ドイツのメルケル首相が敢えて米英を頼れないという発言でEUの求心力を高める意図を明らかにしております。中国インドその他途上国も含めた枠組みですから、仮に日本が抜けても大勢に影響なし。日本のプレゼンスは下がりっぱなしです。

アメリカにしてみればシェール革命で資源国の側面が強くなっており、自国第一で考えれば敢えて国際協調は必要ないって点も見逃せません。トランプ流最強の主権国家の枠組みってことですね。シリアや北朝鮮の問題も、シリアにトマホークを打ち込んだのは直積反撃する能力がないからで、北朝鮮への圧力も意図してはいますが、反撃能力があるかもしれない、少なくともそれを目指してミサイル開発を続ける北朝鮮への直接攻撃は避けたわけです。トランプ大統領自身「同盟国への重大な脅威」とコメントし、対北朝鮮では戦争当時国なのに当事者意識は皆無。寧ろ日本政府が焚きつけた面もあります。

中東でも似た構図があって、G7へ向かう中で立ち寄った中東ではサウジアラビアと急接近して反イランの立場を鮮明にしています。おそらく米国内のシェール産業との協調がこれから始まるでしょう。技術革新でコスト競争力をつけたシェールオイルですが、ここへきて米国内の雇用がタイトになってコストアップに転じてきているので、原油価格上昇を狙ってOPECとの協調はリアルに可能性があります。その文脈で言えばロシアとの和解は既定路線ってことになりますが。自由貿易を標榜してきたアメリカが石油カルテルに参加って、時代は変わったな。アメリカが消費国から資源国へシフトってことは、消費国である日本のアメリカ追随は国益的にはマイナスです。

そんな四面楚歌の中、国内では森加計問題がくすぶっています。世界史的な地政学的大変動期にあって、日本政府の絶望的な頭の悪さには眩暈がします。てなわけで、この話題。

「今回はプロセスに問題」 前川前次官インタビュー  :日本経済新聞
規制緩和は結構なんですが、意思決定のプロセスの透明性が問題です。前川氏が言うように、獣医学科の新設を必要とする農水省のデータは示されず、首相案件として進められた実態が語られてます。そもそも獣医学科は設置校でも定員60名が最大で、全国合計でも1,000名程度のところに、160名定員の獣医学科新設の申請ですから、需要面の根拠が示されないままの申請はあり得ません。

これ法の支配を標榜して法曹人口を増やすという名目で始まった法科大学院と構図が似ています。結果どうなったかと言えば、法科大学院新設の申請が殺到し、実際始まってみれば力量のある教員の確保がままならず、対応する新司法試験で合格率が低迷し、合格ラインを下げるという議論に対して各地の弁護士会から反丹が相次ぎました。そりゃそうです。数を充足させるために質を担保しないというのは本末転倒です。結局華々しくスタートした法科大学院も学生が集まらず廃止が相次ぐ事態となりました。

その意味でj地場で畜産が盛んなわけでもない今治に160名定員の獣医学科設置は普通に考えて無理です。大学誘致を望んでいる今治市にしても、卒業生が地元に留まらない学科の新設は定住人口の増加にもつながりません。加えて獣医師は医師のように大病院の勤務医でとりあえず実務に就けるわけでもなく、個人で開業もハードルが高いなど、受け皿もない。一応輸出競争力のある畜産のためというお題目のようですが、実際日本では畜産業は廃業オンパレードで規模の縮小が続いている状況で、関税の縮小撤廃で劣勢にあるのが現実です。少なくとも獣医師が足りないから輸出競争力が高まらないってのは、論理的につながらないですよね。

また特区制度の問題もいろいろあるんですが、元々小泉政権で始まった構造改革特区の精度は、地域の特徴を引き出して地方の自立を促す意味で、全国一律の規制が邪魔になるなら、地域限定で規制緩和しましょうという制度で、狙いとしては地域限定の一国二制度状況を作って規制改革につなげようということだったようですが、そのための検証を厳格に行えば、規制が原因で成長できないという事例はさほど多くないので、結局規制改革につながる事例は殆どないのが現実です。

てことで、政府主導でトップダウンの形で進める国家戦略特区制度が第2次安倍政権で始まったんですが、実は加計学園の獣医学科新設問題は構造改革特区時代に何度も申請され、検討段階で却下が続いた案件でした。それが安倍政権になって急転直下前進したわけですから、これを正当とするなら、よほど納得感のある説明が必要ですが、政府からはむしろ内部通報者となった前川前文科省次官の個人攻撃を公然とやってます。文科省天下り斡旋問題での引責辞任だったこともあり、私怨による仕返しと取ったようです。

また出会い系バー通いが読売新聞と週刊新潮で報道されましたが、前川氏に助けられたという女性の証言が週刊文集に載るなどしています。読売や新潮の報道はおそらく官邸のリークでしょうけど、それを裏も取らずに貴人してしまうメディアの無節操ぶりに呆れます。加えて個人的なことが報道される怖さというか、官僚の弱みを握るための身体検査の結果でしょうけど、共謀罪が成立すれば対象は一般国民に拡大します。頭悪い癖に悪知恵だけは長けているわけです。

規制と経済成長との関係は単純ではないってのは度々取り上げておりますが、こんな過去エントリーが参考になります。

特区の昔の24時間
百鬼夜行の公共性
ミザリーハロウイン
これ政府の規制改革会議で公共交通の終夜運行が提案され、それを受けて当時の猪瀬都知事が渋谷駅―六本木間で終夜運行を開始したものの、都知事選のときに徳洲会から5,000億円の資金供与を受けて政治資金収支報告主へ記載しなかったという疑惑で辞任し、後任の舛添都知事によって都営バスの終夜運行が止められました。公選の行政長が前任者を否定したがるのはトランプ大統領と共通です。

皮肉なことに運行最終日はハロウインで仮装した一般客が殺到して時ならぬ混雑になりました。これつまりスタートは政府の規制改革会議だったわけですが、別に日本の法律で終夜運行は規制されているわけではなく、単純に収支に合うだけの需要がなかったってのが結論です。もちろん多少の赤字ならアジェンダ実現のためのコストと割り切ることは可能ですが、その際に問われる公共性の説明ができていなかったから、都知事の交代であっさり葬り去られたわけです。

この辺既視感ありますが、例えば川崎市の市営地下鉄構想と、それに連動した京急大師線の地下化が市長の後退でとん挫したのですが、旧いすゞ自動車工場跡地を中心に先端産業集積地として再開発が進む殿町プロジェクトとの関連で、産業道路の踏切解消のために末端区間だけの地下化工事が進捗してます。加えて一旦沙汰止みになった羽田空港神奈川口計画の橋建設工事が始まっていて、環八から国際線ターミナルへの分岐付近に接着する予定ですが、アジェンダが曖昧なために時間を浪費した事例です。宇都宮市のLRT計画にも同じ匂いがするのは気のせいかな?

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Sunday, April 23, 2017

忖度弄すと引く大人かい!

世の中不思議いっぱいなんですが、そもそもシリアにアメリカがトマホーク59発も打ち込んだのに、ロシアがシリアに供与したとされる対空ミサイルシステムが働いた気配なし。トラブル?元々ザル?それとも事前通告を受けたロシアが敢えて止めた?

不思議はまだいっぱい。シリア攻撃は北朝鮮への警告と米ペンス副大統領も認めて、シンガポールにいる空母カール・ビンソンを朝鮮半島近海へ派遣もなぜかインド洋へ。北朝鮮のミサイル発射は失敗。北朝鮮核実験場でバレーボール。一方日本の安倍首相は北朝鮮ミサイルにサリン搭載など危機を煽って韓国から不快感。そりゃそうだ。今韓国は大統領選真っ只中。誰が選ばれるかで北朝鮮に対するスタンスも変わるって時に日本国内向けの人気取りは不謹慎。しかも欧米メディアは変な憶測を働かせるし。逆に北朝鮮も大統領選が終わるまでは下手に挑発して敵対的な政権ができたら藪蛇だし。

でもトランプ大統領は喜んでます。なぜならば危機感煽ればリスクオフで円高ドル安になるわけだし。自らの口先介入を安倍首相が補強してくれたんだから感謝っておい!そもそも福一事故で米国民にいち早く退避勧告をした米政府が未だ韓国国内に軍属、非軍属含めて10万人はいる米国民に退避勧告出さずに軍事行動はあり得ません。シリアは直接反撃できないからミサイル打ち込んだけど、同じこと流石に北朝鮮には無理ってもの。トランプ大統領って素人的な危なっかしさはあるけれど、ある種の勘の良さはありそうです。計算通り?まさかね。

北朝鮮危機を煽る安倍首相ですが、森友問題は未だ決着せず。これぐらいのスキャンダルで政権が吹っ飛ばない今の日本の異常さ。森友学園が9億の国有地を8億値引きだけど、加計学園は36億円の土地を無償で入手しかも国家戦略特区を悪用して正規には認められない獣医学科新設というルール破りの権力私物化ですからね。

日米経済対話が始まったけど、日本側の意図に反して貿易問題が前面に出て事実上の日米FTA交渉に。そうならないように根回ししたはずが裏目に。こうなるとアメリカの要求は自動車と農業を中心としたTPP以上の譲歩とTPPでは盛り込まれなかった為替条項。ドル高是正のルール化が必ずテーマになります。

その一方で米中間ではドル高を是正したいアメリカと元安による資金流出を抑えたい中国の思惑が一致しており、両国間で為替協定を結ばれたら日本は手も足も出ないまま円高を受け入れることになります。原油価格も上昇基調にあり日本にとって円高は歓迎すべきなんですがね。G20財務省会合でも金融政策はデフレなど国内問題の解決のためのもので、為替誘導ではないと敢えて強弁しなきゃならないところに日本政府の苦しさが滲みます。

その一方で事実上とん挫したTPPは11カ国で新たな協定として発効させる方向性を打ち出したものの、アメリカを説得して迎え入れるという殆ど不可能なたわごとを言い始めました。アメリカ抜きなら日本に有利な交渉ができるとでも思っているようですが、12カ国の交渉でアメリカの立場を代弁するような対応を取った日本はむしろ警戒されていると見るべきです。農業分野でライバルのアメリカが抜けたことで、オーストラリアやニュージーランドは寧ろ攻勢を強めさえするでしょう。結果11カ国TPPでも農業分野は攻め込まれます。日米二国間と併せて日本は得るものなしです。

この日本政府の無能さですが、地方や民間企業も同じかも。地方でいえば存続の危機にあるJR北海道問題で北海道庁の対応のまずさ。最近やや柔軟化したようで、バス化も含めて協議に応じる姿勢は見せるものの、上下分離には否定的で、運賃値上げには理解を示すものの、JR貨物の線路使用料値上げや青函トンネル保守費用の低減を国に求めるということで、結局国と乗客に負担を求め、自らは負担しないって話です。虫が良すぎます。

民間はといえば東芝の迷走が相変わらずですが、実は買収した海外子会社の不祥事や損失で本体も傷ついたのは東芝に限らず、中国子会社の不正で損失を被ったLIXIL、人口減少で国内じり貧だからと買収したブラジル企業で躓いたキリンとか、成長分野を海外事業に求めてシナジーを得られなかった日本郵政とか。共通しているのは高値掴みしてのれん代償却が重荷になる一方、それっをカバーするシナジー効果は得られていないという同じ構図。日本の企業経営者はよほど無能なんだ。

同じ原発事業を抱える三菱重工と日立製作所ですが、海外案件がことごとく中止になって受注分のコスト上振れも低負担で切り抜けられたという意味で、ある意味運が良かったと。こうなればWHの破たん処理で原発事業から事実上撤退する東芝のおかげで国内の廃炉事業で出番が増える漁夫の利。実質国有化された東電の福一事故賠償を国が面倒を見る現在のスキームではコストの上振れは国が面倒見てくれるし電力料金への転嫁で国民につけ回しできるしで、ハイリスクの海外案件は無理に手出しする必要なし。国有企業をコントロールして構造改革を主導する手法は中国と同じです。いやむしろ習近平の反腐敗政策があれば森友や加計のような問題は起きないか^_^;。中国なら安倍晋三も問題閣僚も死刑かも。それはそれで問題だが。

てなことはいろいろあるんですが、こんなニュースに引っかかりました。

。ロボットと仕事競えますか 日本は5割代替、主要国最大  :日本経済新聞
これそもそも前提がおかしい。経済学では労働力の資本による代替を進めると資本収益力が逓減するという命題があります。実際求人難で賃金が高止まりしていたバブル期に、海外市場を睨んだ強気の判断もあって日本企業はこぞって設備投資に走り、過剰投資で資本収益力を低下させて、90年代半ばからは供給過剰の是正を雇用調整で行って益々資本収益力はじり貧になり、一方過剰設備投資のツケで設備の更新投資が滞り、外資の力を借りて最新設備を手に入れた新興国の台頭に伴い競争力を失ったわけです。

そこへもってきての人口減少です。生産年齢人口自体は90年代半ばから減少に転じたんですが、丁度日本企業が雇用調整を始めたタイミングと重なったこともあり、人手不足が顕在化するまでに凡そ20年かかったわけですが、今後人手不足は深刻化の一途をたどります。JR北海道問題に即していえば、そもそも地域の人口げ減っている中で、鉄路を維持するための要員が確保できないわけで、それを回避するためには、電化や軌道強化などの設備更新でメンテナンス負担を減らし、各種センサーを活用したインテリジェント化など相当な設備投資が必要なんで、その資金を地元で負担できないなら、鉄道廃止止む無しです。これ民間企業も同様なんですが、ロボットやAIはあくまでも労働生産性を高めるためのツールとして活用して、資本と労働の投入バランスを是正することで、付加価値創出力を高める必要があるわけです。

この観点から言えば政府が進める働き方改革も全く見当違いで、そもそも仕事の繁閑を残業で調整しようとするから無理が生じるんでAIを活用して短時間で成果が出る仕組みを作ることが必要なんで、その意味では現状の残業規制は緩すぎて企業に投資インセンティブをもたらさないと言えます。

折しもヤマト運輸のドライバー不足問題やセブンイレブンなどコンビニの人件費負担増などの問題が顕在化して、対策として無人自動運転の解禁が言われますが、実現するまで人手不足は待ってくれません。ヤマト運輸では運賃値上げや時間帯サービスの縮小や宅配ボックスの設置などを進める考えを示してますが、そういうことなんですね。単純衣労働力を資本であるロボットやAIに置き換えるんではなくて、新しいテクノロジーを取り入れながら、顧客から受け入れられるサービスの在り方を模索していく以外に出口はありません。良い子にプレゼントを運ぶサンタさんもそりを引くトナカイがいなけりゃ成り立ちません。てなわけで迂遠ながら季節外れのダジャレ完成^_^;。

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