三つ子の赤字
この話題から入ります。
【ノーベル平和賞2024に日本被団協】「核廃絶に弾み」被爆者ら喜びの声 - 日本経済新聞核拡散防止条約(NPT)体制では結局赫々酸を阻止できず、宣言こそしていないものの、イスラエルとイランは事実上の核保有国と見做せますが、両国が今一触即発の状態にあります。反撃に慎重だったイランがミサイル攻撃を仕掛けたことで情勢が混とんとしてますが、イランはあくまでもイスラエルの軍事資質を標的にした弾道ミサイル攻撃で、国際法に則った行動ですが、寧ろイスラエルはヒズボラ掃討を口実にレバノンへの攻撃を続け、遂に国連平和維持軍まで攻撃するという無茶苦茶な事やってます。そのイスラエルをアメリカは擁護し武器供与もしている訳で、対ロシアとのダブルスタンダードで国際世論を敵に回してます。そんな中で日本の被爆者団体のノーベル平和賞受賞がもたらすメッセージは明白で、核の抑止力での平和維持はきっかえさえあればエスカレーションを止められないってことです。集団抑止とか言っている某国も自覚しろってことです。この話題はここまで。
ドイツ、2年連続でマイナス成長へ 「欧州の病人」再び - 日本経済新聞ドイツ経済の不調ですが、原因はいろいろあります。ロシアのウクライナ侵攻で安価なロシア産原油や天然ガスが利用できなくなったことと、中国の国内景気の悪化が主な理由ですが、前者は中国やインドなどがロシア産原油の買い手となることで、原油や天然ガスの価格は落ち着いてきたので、影響は軽微と見られますが、中国の変調はドイツを直撃します。
EVを戦略分野と知る中国の政策で中国産EVは急成長を遂げましたが、人口が多く経済成長で資本蓄積が進んだ結果、参入企業多数で過当競争となり、政府の補助金支給が止まった途端に国内市場の販売不振となり、輸出シフトがかかった結果、中国産の安価なEVが欧州に大量に流入し、EVシフトを進める欧州メーカーを追い込んでいます。VWが国内工場閉鎖を発表して揉めてますが、それに留まらず世界の完成車メーカーを顧客とするボッシュやコンチネンタルといったメガサプライヤーも劣勢です、このままいくと産業空洞化に至る可能性もあります。
80年代のアメリカ、2000年以降の日本に続いて先進工業国の宿命かもしれません。他国に先駆けて工業化して安価で高品質ま工業製品を世界に売って外需で経済を潤してきたものの、新興工業国の台頭で次第に優越的な地位を失う訳ですが、80年代のアメリカでは国内産業の空洞化で輸入が増える一方、主に産油国のオイルダラー還流で金融所得を増やしてきました。加えてレーガノミクスに代表される減税中心の財政出動もあって貿易と財政の双子の赤字で旺盛な国内消費を支えた訳で、供給能力を超えた消費が続いた訳です。
それが90年代になると冷戦終結によるグローバリゼーションによって中国を含む新興国の工業化への資金提供で金融所得を拡大する一方、パソコンとインターネットの融合によるIT部門で世界をリードした結果、貿易も財政も慢性赤字なのに経済成長を維持しました。日本の場合は97年の金融危機の影響で企業の投資が委縮した一方、金融自由化で海外投資に傾斜した結果、国内の産業空洞化を進めてしまい、投資不測の結果貿易収支は悪化し続け、貿易赤字も珍しくない状況になり、コロナとウクライナ紛争の影響もあって貿易赤字は慢性化します。加えて金融危機後の景気対策として財政出動が慢性化した結果、80年代のアメリカ同様双子の赤字状態になりました。
さらに元々赤字基調だったサービス収支にも変化があり、インバウンドで旅行収支が黒字化した一方、ライセンス料やクラウドサービスなどのデジタル収支赤字が帳消しにしています。インフレでも利上げできない金融政策の歪みもあって金融所得収支も赤字ですから、トータルのサービス収支は赤字ですし、観光公害が言われ人手不足で受け入れ拡大も難しいことから―サービス収支が改善する見込みはありません。つまり今の日本は80年代のアメリカを凌ぐ三つ子の赤字を抱えている訳です。
そこへドイツが仲間入りですが、ドイツの事情はまた異なります。1つは共通通貨ユーロの存在がドイツを助けている点です。とりあえずユーロ圏内への輸出では優位に働きますから、そういうバッファのない日本よりは幾らかマイルドです。加えてIoTや様々なライセンス収入があります。円安でつくばとねり的ライトなリスク で指摘したように、新潟トランシスのGTシリーズや広電グリーンムーバMAXの駆動装置のライセンス料は支払われています。日本で海外からライセンス料が取れる技術は果たしてあるかどうか。これもプラスになるかどうか。
米テキサス新幹線、連邦政府が調査費 鉄道公社も協力 - 日本経済新聞現地事業会社の資金調達が進杏遅れに遅れたテキサス新幹線にJR東海が日立などの日本企業と共同で出資し、バイデン政権のインフラ投資法事業としてちょすあひがついたというニュースですが、大統領選次第でお蔵入りもあり得ますし、既存技術の積み重ねで且つアメリカの保安基準をロビー活動で変えさせるという形で資金を使っていて今更撤退できないってことでしょうけど、新幹線技術自体にはライセンス料をとれる要素は少なく、結局開業後の営業成績次第ですから、投資案件としては不確実です。JR東海は北東回廊リニアを狙ってリニア技術を無償提供していることもあり、北米事業が利益を生むかどうかは不確実です。国鉄時代のメーカーライセンス開示強制の影響もあり、日本の鉄道技術でライセンス料を稼ぐのは難しいのが現実です。ドル建て名目値とはいえ経済不振のドイツに抜かれるのも無理はないです。
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