経済・政治・国際

Monday, September 17, 2018

冗長性を高めて強靭化どころか脆弱化まっしぐら

今年は災害の当たり年なのでしょうか。近畿地震、西日本豪雨、猛暑、逆行台風、超大型台風に北海道の地震と息つく暇もありません。トピックはいろいろありますが、直近の2つに絞り込んで、関空の冠水と連絡橋損壊問題と、北海道電力の全系統停電(ブラックアウト)問題に絞ります。というわけでまずは関空から。

猛烈な南風 高潮を増幅 台風21号で関空が冠水 :日本経済新聞
強力な台風で中心気圧が低く海面を持ち上げている上、強い南西の風の影響で海面が寄せ上げられるために、記録的な高潮となった訳ですが、大阪湾は丁度南西に開いた地形ですから、南西風の影響を受けやすく、関空の位置はもろに高波を被る位置にある訳です。台風21号に関して言えば大阪市で3m29㎝、神戸市で2m33㎝を記録してますが、それだけ高波の影響を受けやすい位置に関空が立地していたことは指摘できます。

加えて埋立造成工事のときにも問題となった軟弱地盤問題による地盤沈下ですが、A滑走路で3m40㎝程度の沈下があり、一番低いところで海面から1m40㎝程度しかなく、高潮対策で堰堤の嵩上げはしているものの、航空法の制約もありいずれ限界に達します。不等沈下対策としてターミナルビル他の建屋の基礎にオイルジャッキが組み込まれていて地盤沈下に合わせて高さ調整されていることも知られています。

関空の構想段階で神戸沖案が有力だったことが思い出されます。実際に神戸市に打診されたものの、神戸市は大型船舶の航行に支障するという理由で断っております。その結果、都心から離れていてアクセスに課題がある上、漁業権の買収が必要な泉州沖に決まった経緯があります。加えて埋立工事中から軟弱地盤による地盤沈下に悩まされた訳です。南海トラフ地震の津波に対しても脆弱性があることは明らかです。

あくまでも結果論ですが、当時国際港湾として鳴らしていた神戸港も、釜山港などアジアのライバルの台頭で空洞化し、阪神大震災後、復興に必要として神戸空港建設を強引に進めた訳ですから、最初から関空を神戸沖に作っていればと思いたくなりますが、阪神大震災でポートアイランドなど神戸の埋立地で液状化現象がみられたように、震災で液状化して使えなかった可能性もあった訳で、良し悪しは簡単には決まりません。

寧ろ神戸空港ができたおかげで、連絡橋損傷の影響もあって全面復旧に時間がかかる関空の機能の一部代替が可能になります。関西3空港はコンセッション方式で運営会社が同じなのも幸いです。問題は国際線と貨物ですが、連絡橋の復旧までは貨物の扱い量は制限せざるを得ません。

連絡橋の損傷に関しては、8,000人もの人が取り残され孤立状態になったことが報じられました。神戸港の海上ルートと連絡橋の非損傷側の対面通行で対応したものの時間がかかりました。問題は足止めされた人たちの中に少なからず外国人がいたことです。彼らが帰国後にこの体験を周囲に語る訳で、中身次第で関空が忌避される可能性があります。LCCによってインバウンド需要を大阪にもたらした状況に変化をもたらす可能性はあります。

で、言いたいのは、この機に乗じてインフラの冗長性を言い立てる声があることです。無駄だとしてインフラ投資を抑制すれば、災害に対して脆弱になる、重複を厭わず新幹線も高速道路も空港も作って冗長性を高めるべきだって言うんですが、関空の現実を見ればそもそも大枚ははいて作った海上空港が脆弱だったってことの問題ウィスルーしてます。それと全国に張り巡らされた高速道路がJR在来線に与えたインパクトはかなり大きく、北海道や四国では会社存亡の危機にすら追い込まれてますが、それに留まらず東関東道の、アクアライン、館山道などの影響で房総地区の特急が淘汰された現実を見ると、首都圏と言えども影響大です。

これ他の要因として既存市街地に立地する特急停車駅周辺がシャッター通りになる一方、バイパスやインター周辺の商業集積が出現していて、高速バスはそうした郊外型のSCや道の駅に立ち寄って需要を拾っているという側面もあります。無秩序化インフラ投資の結果、地域の構造変化が起きて鉄道が取り残されてるわけです。やはりインフラ投資は過剰と評価せざるを得ません。

同時にインフラ投資は取捨選択が重要なんで、選択的投資によって相互補完を図ることは重要です。無駄な重複投資の抑制という観点から言えば、民主党政権が打ち出した高速道路無料化は評価されるべきです。北海道のブラックアウト問題でそれが見えてきます。

ブラックアウト3つの謎、問われる北電の説明責任  :日本経済新聞
3つの謎とは①苫東厚真2,4号機の停止後、一部地域王電を遮断して需給を調整する負荷遮断を行う筈。事実厚真町その他いくつかの地域で停電が報告されてますが、適切に行えばブラックアウトは防げた筈.。②2,4号機停止後、北本連携線を通じて本州から送電が開始されたにも拘らずブラックアウトを防げなかった。③苫東厚真2,4号機停止後17分間1号機の運転は続いたがブラックアウトと同時に停止。故に 1号機停止がブラックアウトの原因なのか結果なのかが不明。ということです。つまりブラックアウトの原因そのものは不明ってことです。

これもネットで泊原発が動いていれば防げたとか、安定供給のために再稼働すべきだという声がネットで吹き上がりましたが、そもそもブラックアウトの原因は不明ですし、ブラックアウト自体は電力需給のバラン頭が崩れて発電機に負荷がかかって50hzの安定したを辞できなくなり、それどころか発電機の損傷もあるので、安全装置が働いて停止したものですから、発電量の不足が原因じゃないってことが理解されてません。

加えて泊原発は活断層の存在が疑われて規制委の審査が滞っていて再稼働できない状況にあり、再稼働させるとすれば超法規的な政治判断が必要ですが、現政権にはリスクとなる判断です。寧ろ負荷遮断が中途半端だった原因として泊原発の外部電源喪失を過度に意識して中途半端な対応をした可能性すら疑われます。結果的に外部電源喪失で非常電源に切り替えられたわけで、余計な忖度でトラブルを拡大したのかもしれません。この辺は事実関係に基づく原因究明を徹底するしかありません。

仮に泊原発が動いていて、苫東厚真も1号機を休止していたとすれば、泊の2000万kwと苫東厚真2,4号機の130万kwで合計330万kwで、地震のあった夜間の需要が300万kw程度として、苫東厚真が自身で停止した状況を想定すると、過剰な30万kwは揚水発電所の揚水ポンプを動かして消化していたと思われますから、不足が100万kwで北本連携線からの給電が60万kwですから、苫東厚真1号機の35万kwと揚水発電所の発電開始でぎりぎりブラックアウトが回避された可能性はありますが、繰り返しますがブラックアウトの原因が不明である以上、断定はできません。泊原発稼働中のブラックアウトだとシビアアクシデントの危険すらあるわけです。

寧ろ昔から言われていたのが集中電源方式の送電システムの脆弱性でして、原発であれ大規模火力であれ、基幹電源としてフル稼働で効率性を追求し、出力調整は小規模火力や揚水発電で補うという考え方故に、その基幹電源が停止した時のリカバリーが困難になるわけです。これ電力会社にとっては利益の最大化になるわけですが、ライフラインを担う公益事業としてはあまりにリスキーです。欧州で自然エネルギーがブームになっている理由の1つは小規模発電を集成した分散電源方式の方が脆弱性が低いという考え方が浸透してきたこともあります。

加えて日本では日本では日本では欧州では国境を超えた広域連携が確立しており、電力の輸出入は日常的に行われています。日本では電力会社間の連携もあまりなく、北本連携線の容量も60万kwですから、泊にしろ苫東厚真にしろ基幹電源が停止した時のバックアップとしては心許ない限りです。これも直s津収益を生まないから後回しにされてきたからですが、この辺民営化後合理化で益出しに励んだJR北海道と共通の背景がありますね。

結局やみくもにインフラ投資をしても脆弱なインフラを増やすだけならば、寧ろ災害に弱い国土になるってことです。レジリエンスどころかフラジャイルになるわけです。インフラも分散投資と相互連携が問われます。

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Sunday, September 02, 2018

社畜の国の人工知能

暑さも峠を越したようですが、この暑さが今年だけのことで終わりそうにないのがつらいところ。ただでさえ高温多湿な日本で40℃は厚い風呂に入っているのと同じです。佇むだけで体力を消耗するレベル。ホントに2020年にオリンピックやるのか?死人出るぞ。

温暖化の影響は指摘されますが、現象はやや複雑で、温暖化による北極海の海氷減少で太陽輻射熱の反射が減って海水温が上昇し、その影響で偏西風が蛇行した結果、大陸のチベット高気圧が居座る一方、太平洋高気圧が押し上げられてチベット高気圧と合体。高気圧が上下に重なる形となり、強烈な下降気流が地表にぶつかる断熱圧縮という現象が起きて、気体の性質上圧力が増すと温度が上がる訳ですから、あの異常な暑さになった訳です。ディーゼルエンジンの原理ですな。多湿の日本だから山火事は起きにくいけど、積乱雲の発生で大雨は起きやすい訳で、利水優先の日本のダム治水の欠点も露呈しました。これ2015年の鬼怒川の決壊のときにも指摘された問題ですが、スルーされた結果の西日本洪水と見れば、人災と考えられます。

2年前のエントリーでお盆に家に帰るご先祖様と社畜についてですが、観念の産物であるご先祖様と違って物理的実体である社畜は、お盆シーズンの混雑や渋滞という外部不経済を引き起こす存在でもあります。ただ固定費負担の大きい鉄道事業者にとっては、長期休暇でビジネス利用が減る部分を帰省客が埋めてくれるありがたい存在でもあります。

新幹線は言うに及ばず、殆ど印刷代ぐらいしかコスト負担の無い青春18キップも、休校シーズンの普通列車の穴埋めになることから、周遊券など国鉄時代から続く企画商品が悉く廃止や見直しがされる中で存続しています。ただし2020年のオリンピックを睨むとこれが大きな障害になりかねないってことで、混雑対策が問題になってきます。まさか2020年夏の青春18は利用規制されるかも。社畜受難の東京五輪かも。

てな状況も生産年齢人口の減少で求人難となってくると、いつまでも社畜に頼る日本経済の持続可能性に疑問符が付くようになります。そこで慌てて子育て支援や外国人労働者の拡大を打ち出すものの、何度の指摘してますが、前者は支援に必要なマンパワーを取られて求人難が酷くなりますし、後者は移民受け入れを伴わない形で労働ビザの発給条件を緩和するものの、5年で国へ帰れってことになると単純労働しかできないし、労働力人口として定着できませんから、結局求人難の緩和にはつながりません。求人難で汲々とするような仕事は海外へアウトソースして付加価値の高い仕事が国内に残るような産業政策で人口が減っても1人当たりGDPの水準を維持するような政策へのシフトが必要です。とはいえこれが難題です。日経の連載コラムでこんなのがあります。

(モネータ 女神の警告)それぞれのジレンマ(2)41兆ドル、年金の自縄自縛 運用難、逃げ水の利回り :日本経済新聞
公的年金のジレンマを扱った記事です。これアメリカの話ですが、公的年金に共通するジレンマを表します。これも以前指摘しましたが、高金利時代に制度設計されて見直されないまま規模が拡張した結果、池のクジラとなって債券市場と株式仕様の双方で相場を持ち上げた結果、運用利回りが低下して運用難に陥っている訳です。米FRBが利上げしても長期金利が上がらないのは、ちょっと金利が上がると年金の買いが入って金利が下がってしまう訳です。その結果長短金利差が圧縮され金融仲介機能を低下させているって話です。株式の場合も株価収益率(PER)の低下が顕著ですから、基本的に同じ原理が働いています。

マイナス金利を導入した日本と結果的に似たような状況が出てきている訳ですが、年金の持続可能性への懸念は日本だけの問題じゃないってことです。日本の場合は少子高齢化による年金会計のストレスと解説されがちですが、日本でも大元の原理は同じです。とかく言われる日本の年金制度は賦課方式だからってフレーズに騙されちゃいけません。年金関連法のどこにも賦課方式なんてフレーズはありません。単純に高金利時代の設計で運用利回りを過大に設定した結果、積み立て不足が起きたってことで、アメリカと同じなんです。日本の場合低金利が長期間続いたこともあり、運用利回り自体は見直されてますが、それでも4.1%ですから、日銀の金融政策もあって長期金利が0%程度の現状では逆ザヤは無くなりません。

で、GPIFの国内株式や外国証券投資というリスク資産運用を余儀なくされるわけですが、当然相伴逆回転による損失の可能性がありますし、少しばかり積立金が増えたところで給付が増える可能性はないってことも押さえておきましょう。現状積立金は制度存続のためのバッファとsての資本勘定として機能しているわけですから、無理に積み立て不足を解消しようとせず、寧ろ報酬比例部分の支給上限を設けることで基礎年金部分を保全するのが現実的です。積立金は既に取り崩しが行われており、換金が容易な日本国債はともかく、国内株式や外国証券などは市況によって損失が出ることは避けられません。まして投資規模から言ってもGPIFの売りは相場を押し下げて損卒を拡大します。運用利回りを現実的なレベルに下げることでリスク投資を減らすことが必要です。こういう本質的な議論を避けて年金改革は実現しません。

少子高齢化問題と年金問題のリンクを外せば解決策が見えてきますが、労働力不足の解消をどうするかって話でAIに飛び付く議論が安易になされる現状はやはり問題です。次の2つの記事をご覧ください。

自動運転の波、公共交通に 日の丸交通とZMPが実験  :日本経済新聞
JAL、想定超すAI効果 新システム躍進 今期一転増益も :日本経済新聞
東京で自動運転タクシーの実証実験が始まったって話ですが、バス・タクシーなど公共交通も求人難が深刻化してますが、同時にウーバーやリフトはどのライドシェア対策という側面もあります。個人的ンはギグエコノミーで雇用を圧迫するライドシェアには否定的な立場ですが、いずれ規制緩和で認められるなら先回りってことでしょうけど、この思惑は失敗確実でしょう。

自動運転でも2地点間の単純なシャトル運行ならば、現在の技術水準でも可能なんで、実際大手町―六本木間を4往復というものです。一応ドライバーは乗車していて緊急対応する形ですが、なんでいきなり東京のような大都会でこれやるかなあ。大都市の道路事情は複雑で、アイコンタクトが使えない無人自動運転には不向きです。加えて光源が多くセンサーがノイズを拾いやすい環境でもあります。欧州で実施されている6人乗り自動運転コーチを特定ゾーンで走らせるって方向性が正解なんです。これなら現行の技術で無理なく可能だし、より深刻な過疎地の公共交通問題への対応につながります。

他方ライドシェアは有償運行の記録データが大量に発生することが注目され、トヨタをはじめ世界の有力自動車メーカーが提携に走るわけです。実走行のデータが大量に得られれば、それを解析することで、様々な状況に対応した自動運転ソフトが組めるわけです。世界に技術トレンドを読み間違えているわけです。

もう1つのJALのニュースが示唆するのは、AIの活用法の在り方が示されていることです。破綻後の社内改革で運航部門が各便の予約状況に応じて機材の入れ替えを機動的に行い、空席を減らしつつ機械ロスを最小化する取り組みの結果、機材繰りの最適化という航空会社にとって重要なレベニューマネジメントの基礎データの蓄積がったから、死すt無効親なわせてAIを導入したら、需要の予約精度が上がって搭乗率が向上し収益を改善したものです。しかも座席単価の高いビジネスクラスを減らしてエコノミークラスを増やしたにも拘らず、安売りチケットを減らして増収につながったものです。AIの活用は元データの質に左右されるっている身も蓋もない話ですが、アメーバ経営の浸透故の成果と言えるでしょう。

加えてAIに限らず機械化全般当てはまりますが、並行処理によるマルチタスクの実現が、労働生産性の向上に寄与して1人当たりGDPの水準維持に有効です。そのためにはマルチタスクを可能にする環境整備、IT投資に留まらず、ビジネスプロセス全体の見直しが必要なんですが、日本のマネジメント層はこの分野は無能です。

てことでAIは社畜の置き換えにはならないし、PCやスマホと同じくITリテラシーの有無で差がつくって話です。もっと言えば処理速度で見れば低性能な自分の生身の脳の活用すらできていないでAI活用なんて夢のまた夢。日はまた沈むな。

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Sunday, August 05, 2018

変節黒田節

黒田如水の話じゃなくて、黒田は黒田でもこっちね。

日銀、金融緩和運用柔軟に 長期金利の変動容認  :日本経済新聞
2%の物価目標を掲げた日銀にとっては事実上の敗北宣言ですが、緩和終結とか出口とかは言えないから、フォワードガイダンスとしての緩和継続にコミットしつつ、副作用に配慮して、長期金利の変動幅の拡大容認とETF購入の見直しに言及したものですが、いかにも苦しい言い訳です。

具体的にはイールドカーブコントロールと称して長短金利差を0%̟±0.1%の誘導目標を変動幅0.2%まで容認することと、従来日経平均連動ETFを主体に実施してきたETF購入も、大手企業の多くで日銀が筆頭株主になるという珍事が起きて、市場の歪みが無視できない状況になってきたことから、購入額を減らした上でTOPIX連動ETFにシフトするって話です。

後者は単なる株価維持策と批判されてましたし、実際国債と違って償還がないからいつかは売らなきゃならない訳で、このままのペースでの購入は無理ってことです。いずれも事前に市場関係者の予想の範囲で、その意味ではサプライズはないんですが、既に緩和縮小から利上げへ向かう米FRBと英BOE、マイナス金利のまま緩和縮小を打ち出した欧州ECBに続いて日銀も政策転換と見られて世界で一斉に金利上昇が見られる状況となりました。

流れとしては短期決戦だった筈の異次元緩和でも物価上昇は見られず、マイナス金利にまで踏み込んでも却って円高になったりと当初の目論見がくじれてきている中で、寧ろ副作用への批判を受けるるばかりで、しかも想定外の長期の緩和で出口が難しくなるということで、日銀事務方で検討が進められ、黒田総裁もその方向へ立ち位置をシフトしたってことのようです。ただし若田部副総裁、原田委員、片岡委員の3人のリフレ派が納得せず、フォワードガイダンスとしての緩和継続を言うことでまとめたってことです。

リフレ派に言わせればまだまだ追加緩和の余地はあるそうですが、その割には具体策の提案はない訳で、ザックリ言えば実務上やむを得ない判断なんだけど、対案も出さない反対派を懐柔するための表現と見るべきでしょう。実際の物価の動きは2014年4月の消費税増税時を除いて顕著な動きはなく、金融政策で物価目標を達成すること自体が無理というのは既に結果が出ているのですが、リフレ派に言わせれば、消費税増税で消費が腰折れしたせいだってことになってます。実際は14年4月前後で駆け込み消費とその反動としての落ち込みは見られますが、均せばフラットなトレンドは変わらず、単に需要を先食いしただけで、増税による消費腰折れは事実に反します。

当ブログでは当初から異次元緩和を批判し続けてきましたが、こうなることは目に見えてたわけで、正直アーアとしか思いません。リフレ派を中心に異次元緩和してもハイパーインフレは起きてないじゃないかと言われますが、長期的にハイパーインフレの可能性はありますが、当ブログで言及してきたのは、異次元緩和にしろマイナス金利にしろ、金融圧迫にしかならないってことを言い続けてきました。実際銀行の利ザヤが圧縮されて地方銀行では赤字決算も散見される状況です。

その一方で金融庁による地方銀行改革の掛け声も空しく、ビジネスモデルの見直しは進みません。その意味でシェアハウス融資で実績を積み上げて地銀の優等生と持て囃されたスルガ銀行が不正融資だったというオチですが、そうでもしないと借り手が見つからない現実があります。

一方で融資先を見つけられずに、新発国債を引き受けて日銀に高値で買ってもらう所謂日銀トレードはメガバンクや信託や証券の牙城で地銀の出る幕無し、イールドカーブコントロールで国債トレードそのものが利ザヤを得られなくなる中、外債投資に手を出したりしてますが、これもFRBの利上げで金利上昇の洗礼を受けて時価下落で損失を計上するような状況です。しかも為替ヘッジ無しのところもあるようで、今後為替が円高に振れれば差損が発生します。ファンダメンタルズを見る限り、インフレ率の差で円高へ触れるのは間違いないところです。

てな具合にハイパーインフレのずっと手前のTころで問題山積でして、今後日本発の金融危機の可能性が高まっているというのが実際のところです。米中貿易戦争の展開如何で日本の金融危機に飛び火することを覚悟しといた方が良いでしょう。五輪の前か後かはわかりませんが。

米中の貿易戦争はアメリカがかなりガチにやってますね。思えば北朝鮮問題も中国の衛星国である北朝鮮を中国から切り離す目的だったとすれば全て解けます。北朝鮮との和平プロセスはベトナムを意識したもので、ベトナムは戦争終結後、中国との対立を経てASEANに加盟し、ドイモイ政策で改革開放を掲げ、今やASEANきっての親米国です。加えて分断国家の韓国が性急な統合を望まず南北の緩い連合というアイデアを出してきたので、これに乗っかったってことですね。南北連合はASEANがお手本になります。政治体制の違いを踏まえて経済交流を深化させることで当面は良しとしており、経済支援で米企業の出番も期待できるってことですね。つまりアメリカにとっては中朝分断がテーマで核問題は脇へってことです。

しかし米朝首脳会談の前後で中朝が急接近したことが誤算だったのでしょう。和解ムードも漂っていた米中摩擦がアメリカの一方的な制裁で急展開したのはそのためでしょう。中国も対抗策を打ち出すものの、米ドル基軸通貨体制の下では資本逃避の心配もあり、いずれ折れるしかないでしょう。その時に習近平指導部が国内世論を納得させられる理屈を編み出せるかは結構微妙です。

ニクソンショックで金の裏付けを失った米ドルがなぜ強いかですが、戦略物資である石油貿易を米ドル建てにすることに成功したことによります。ブレトンウッズ体制下では米ドルのみが兌換券で主要国通貨は米ドルとの固定相場だったわけですが、金融の歴史を紐解くとわかりますが、そもそも金本位制の歴史は意外に浅く、18世紀に英イングランド銀行(BOE)の兌換券発行が始まりです。その前にフランスのルイ15世に仕えた経済顧問ジョン・ローの兌換券がありましたが、不換紙幣発行のよるリフレ政策の失敗でフランス革命を呼び込んだのは有名な話です。リフレ政策は既に歴史上失敗が記録されてるんですね。

で、ジョン・ローはフランスを出国して難を逃れたんですが、一説によればBOEの設立に関わったそうです。つまりフランスでの失敗を踏まえて、中央銀行自身が金を大量保有して貨幣の信用の裏付けとした訳です。これに続いて周辺国も中央銀行制度を導入し、複数の国で金を保有していたわけですから、金本位制採用国同士の取引の円滑化にも寄与し、欧州経済が世界をリードすることになりました。

つまり金本位制は実は中銀の金保有を通じた金価格の安定によって機能したわけで、銀本位制のスペインや中国の没落が新大陸と日本の銀山増産による銀価格下落による経済混乱だったことからすれば、クレバーな方法です。ちなみに黄金の国ジパングと言われた日本が金本位制を導入したのは明治期にイギリスを手本にしたもので、黄金の国が自国資源を活かせなかったほろ苦い歴史です。江戸時代の日本でば米が事実上の信用の源泉でした。

そういう意味でたとえ経済的に強大であっても、アメリカ1国の金本位制は持続可能ではなかった訳ですが、石油取引を米ドル建てにする縛りはある意味石油本位制とも言うべき信用の裏付けになっているわけです。多くの国は石油の輸入の必要から米ドルを外貨準備として保有することになりますし、オイルショックで価格変動のリスクもあるから、多くの国で石油は戦略備蓄されるわけです。

丁度金本位制時代の金の役割を石油が肩代わりした形ですから、ある意味アメリカだけの金本位制よりも安定している訳です。これ石油だから備蓄が可能なんで、天然ガスはLNGにすれば冷却しなきゃならないし、気体のガスでは体積が大き過ぎてやはり保有コストがバカにならない訳で、石油だからこその特性です。この観点から言えば燃料電池を駆動する水素社会はもっと難しい訳ですが。

今のアメリカはそのドルの強みを活かし、敵対国の企業等に米銀取引禁止の制裁を科すことで、事実上国際経済から締め出すことが可能ですし、そもそも銀行の取引記録から不正な取引を炙り出せるという意味もあり、これマカオのバンコデルタアジアの北朝鮮関連資産の凍結で北朝鮮にダメージを与えたことが思い出されます。思えばこれで金正日総書記の信用を失った金正男氏が失脚したんだとすると、金正恩の北朝鮮はアメリカが生み出した鬼子ってことかもしれません。

だから持っていても使えない金食い虫の核兵器よりも、金融制裁の方が相手国に深刻なダメージを与えられるってことを事実を以て体験しているアメリカが、北朝鮮の核問題を脇へやれる理由でもあります。トランプ政権侮るなかれです。

そんな日本の暗い近未来に思いを馳せながらこのニュースです。

次世代新幹線 飛行機の牙城崩せ JR東日本  :日本経済新聞
記事中にもありますが、盛岡以北の整備新幹線区間でのスピードアップが課題ですが、祖日報で秋田新幹線の在来線区間の長大トンネルによる短絡が検討されてますし、大宮以南の最高速110km/hを防音壁の改良で130km/hにスピードアップすることは発表済みです。

これJR東日本が自社保有する資産だから、改良投資が可能だし、動産部分は減価償却できるので、スピードアップによる受益を減価償却費で控除することで内部留保できますが、鉄道・運輸機構が保有する整備新幹線区間の追加投資はそうはいきません。特に縦曲線の緩和は路盤を作り直すに等しい費用がかかりますから、何らかの国の支援策無しには不可能でしょう。まして140㎢/h制限の青函トンネル貨物供用区間は尚更です。ま、金融危機が起きればそれどころじゃなくなるけど。

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Sunday, July 29, 2018

タワマンたわわで8号豊住線建設マジ卍?

台風一過、暑さが戻った日曜日ですが、連日の暑さから2年後の東京オリンピックの危険性も指摘され、また鉄道や塘路の混雑も予想される中、2年後の予定された災害の声すら聞こえる東京のスットコドッコイです。

地下鉄有楽町線の延伸論、再び熱 豊洲移転に配慮  :日本経済新聞
有楽町分岐線とか北進線とか言われていて、地元江東区ががかねてより建設を希望していた都市計画8号線豊洲―住吉間の建設が動き出したのですが、これが難問だらけで迷走が予想されています。記事のタイトルにある通り築地市場の豊洲移転を巡る迷走で都と対立した江東区への配慮ってことで、きな臭さ漂います。

豊洲市場移転は二転三転して遅れに遅れたわけですが、長くなるのでそこへは立ち入らないことにします。問題は豊洲移転を巡るゴタゴタの結果、都が江東区に対して配慮せざるを得なくなった結果、8号豊住線の建設が決まるという完全な政治路線となることです。江東区としてはタワーマンションが乱立して人口が膨張する湾岸地域を抱え、小学校が足りないなどの弊害が顕在化する一方、洲崎(東陽)や錦糸町といった伝統的繁華街が取り残されており、バランス上南北方向の交通インフラ整備は切実な問題ではあります。

加えて小田急小田原線の複々線化完成で小田急のみならず広域で並行する東急田園都市線などの混雑も緩和され、混雑率ワーストとして東京メトロ東西線、JR総武線、JR京葉線が並ぶ状況で、8号豊住線による分散効果を期待しているわけですが、東京メトロは既に新たな新線建設を行わないと宣言しており、事業者が同意しない限り建設は不可能なわけです。

そこで都が何らかのスキームで建設を行う検討を約束した訳ですが、江東区のレポートによれば、第三セクターが整備主体となって路線を建設し東京メトロが営業主体となって運行を行うことが想定されているようです。都市鉄道利便増進事業費補助制度を用いた受益活用型上下分離ですが、その場合建設費1,420億円を整備主体’三セク)と国と地方がそれぞれ1//3を負担する形で、営業主体の東京メトロの受益が整備主体の必要施設使用料を下回り事業収支が成立しません。

地下鉄補助を適用した場合は整備主体の収支は30年以内に黒字化するものの、営業主体のその他の路線での減収の調整が必要ということで、こちらも営業主体の東京メトロの同意が得られる可能性はありません。整備費用だけで1,400奥苑を超えるのに乗車人員27万人の需要予想ですから、基本的な収支構造から言って、整備スキームを弄ってどうにかなるレベルではありません。

江東区は以前同区間を6連のワンマン列車で折り返し運転し、改札分離して割増運賃を取ることで収支均衡を狙った計画も出したことありますが、それだと果たして利用者がいるかどうかという問題もあります。ぶっちゃけ改札分離が可能なら、都営地下鉄として建設すれば問題はクリアできますが、ネットワーク効果による東西線などの混雑緩和は期待できません。鉄ちゃん的蛇足ですが、車両は三田線と共用で、高島平―元住吉―市ヶ谷―豊洲のルートで回送することは一応可能です。

ウルトラCがあるとすれば、メトロと都営の統一運賃が実現可能ならば、こういった問題はクリアされますが、その場合メトロ都営双方で減収がある程度発生すると考えられますから、その保障措置をどうするかとかややこしい議論になります。個人的見解としては思い切って初乗り200円程度で最高額500円程度に値上げしてプール精算する仕組みを作り、車両営業走行キロなどの代理変数で配分するなどでしょうか。まあそこまでやる気はメトロにも都営にも無いでしょうけど。

利便性だけを考えれば、いっそゆりかもめの延伸で対応するのも手です。その場合当然運賃も割高になりますし、輸送力も落ちますが、例えば新駅構想として豊洲―東陽町間の新駅(枝川?)のJR京葉線潮見駅接続の希望が現状では難しいですが、AGTのゆりかもめならルートの自由度も高まりますから、双方に駅設置ということも可能です。

その他にJR小名木川貨物線のLRT化構想ってのもありまして、やはり鉄道空白地帯の小名木川周辺の再開発狙いで遊休貨物線を活用し、明治通りに沿って新木場まで伸ばし、亀戸へアクセスする計画ですが、こちらは具体化していないようです。事業費の圧縮を考えるなら有力な案ではありますが。

築地市場の豊洲移転を巡っては、築地市場跡地は当面オリンピック対策としてバスプールに使われ、事後に食のテーマパークとして再開発するという構想ですが、これ今のところ口約束だけで何の裏付けもありませんが、こちらも中央区が希望する環状2号線ルートの銀座―有明間の地下鉄を実現するという話になっているようです。こちらは豊住線の半分程度の13万人の乗車人員見込みですから、普通ならまず実現可能性はありませんが、市場移転を巡るずさんな計画の結果、政治路線として建設されるとすれば、今は地方交付税不交付団体の東京都も将来は怪しくなります。

そもそも論として都心再開発花盛りですが、これ90年代頃から続く容積率規制の段階的緩和の結果です。その結果特に湾岸地域に多数のタワーマンションが建って人口が急増したわけですが、タワーマンションの建設にはいろいろ問題もあります。マンションの高層化は地価の高い都心エリアに安価に住宅を提供できる結果、所謂職住近接による交通ラッシュの解消などの狙いはある訳ですが、眺望を売りにできる人気の高層階は高単価な上に軽量化の狙いもあって区分所有面積も広いため高額であり、安価な低層階の住民との断絶がしんぱいされます。

これ管理組合の意見集約が難しいわけで、10年程度で実施する大修繕の費用負担の問題や将来の建て替えの問題で必ず揉めます。つまり人口が増えて税収増で自治体もハッピーとはいかないわけで、一体感の無い分断された地域社会でトラブルだけが頻発するってことです。しかも所得階層の上下はあるけど建設時期による年齢層は近接しており、それが小学校の不足などの特定年齢層増加に伴う問題を引き起こすわけです。

加えて新築志向が強く中古住宅流通が貧弱な日本の住宅市場でjは、年齢の近接した住民がそのまま高年齢化するわけで、小学校の次は中学校、そして高校と不足の連鎖が生じますし、就職や結婚で独立して親元を離れっれば、残るのは高齢の親世代だけとなり、社会保障負担がのしかかる訳です。だから新線を作って新たな再開発を手掛けて人口流入を続けるしかない訳ですが、今や人口減少で全国の住宅の1/3は空き家という状況です。これ以上の人口流入は郊外や地方の人口流出を促すだけで、地方を疲弊させます。こんなことは続けられません。

最後に一言、マジ卍?

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Sunday, July 22, 2018

西のスットコドッコイ

北の次は西ですが、スト労組繋がりで八晃運輸の強豪参入に身構える両備バスのストの顛末が興味深いものです。小嶋社長のローカル路線廃止発言に反応して八晃運輸の参入反対を掲げて労微バス労組がスト通告したもので、両備側から見れば自業自得のような展開ですが、拳を振り上げた労組側も簡単に引き下がれず膠着したところ、交通系NPOのリーダーの発案で集改札ストに落ち着いたという顛末です。

集改札ストはかつて京王帝都電鉄労組が、都内で並行する小田急電鉄労組のスト不参加に対応して始めたものですが、戦術的にインパクトが後退するとして行われなくなりましたが、運行を止める本格ストのノウハウを失った現在の労組からすれば、集改札ストは有効な戦術かもしれません。要は労組が使用者側を話し合いに引っ張り出す手段なんですから、昔ながらのストに拘るのも変です。労働三権として法令でも保護されている権利なのに、使えないなら無いのと同じです。高プロ制度が成立した中で、労組が労働者を守れなければブラック企業が蔓延る結果になります。

で、この話題はここまで。スットコドッコイの本題はこちらです。

長崎新幹線、整備方式の議論長期化へ 決定先送りで  :日本経済新聞
これ何度も話題にしてますが、結局軌間可変車の採用をJR九州が断念し、孤立する九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)をフル規格で整備しちゃったからさあ大変。全区間フル規格を求める声の一方、佐賀県が強硬に反対しているのが現状です。佐賀県にしてみれば軌間可変車の採用を前提に賛成したのに話が違う津尾いうわけです。

佐賀県の言い分は、整備区間が軟弱地盤地帯なので、事業費が上振れして負担増となることを嫌っているのですが、佐賀県の態度には市bン鳥栖駅のゴタゴタも絡みます。元々予定の無かった新鳥栖駅が設置された経緯は、県域をかすめるだけの九州新幹線鹿児島ルートで負担を求められ、ならば駅を作れという条件闘争の結果なんですが、冷静に考えれば県域がほぼ福岡都市圏に属する佐賀県にとっては、鹿児島ルートの完成で在来線の線路容量が空けば増発余地が出るわけですから、そうれで十分でもあります。軌間可変車は当初大阪直通が謳われていたこともあり、これも条件闘争として賛同したものです。

しかし過去に何度も指摘しましたが、軌間可変のメカニズムは車軸の重量増となるわけですから、線路を痛めるバネ下重量の増加となる一方、車体サイズは在来線レベルですから、線路を痛めるのに輸送力の劣る厄介者なわけで、しかも最高速を270km/hとしたため、その後の新幹線高速化には対応できず、山陽新幹線を所有するJR西日本にとっては迷惑な存在というわけで、国交省も大阪直通は無理として九州内運用を言い出す始末。そうなると高価な軌間可変車を入れるメリットはJR九州にはない訳ですから、採用断念は当然です。加えて鹿児島ルートでも山陽新幹線直通のみずほやさくらは好調な一方、九州内を走るつばめは冴えない状況です。

元々高速バスが高頻度に走る中で、新幹線開業前のつばめや有明はほぼ普通運賃並みの格安回数券で乗客を繋ぎ止めていたのが実態です。新幹線の高額な料金を負担してまでの利用は少なく、在来線特急の廃止で寧ろ高速バスの利用が増えている現状ですし、それどころか新幹線と接点のない西鉄天神大牟田線が好調ということで、部分開業の長崎新幹線の悲惨な未来を暗示します。余談ですが、やはり高速バスが好調な北海道でも、北海道新幹線の札幌延伸は悲惨な結果が予想されます。

加えて仮にフル規格/ミニ新幹線の何れかで整備が決まってもという博多南線問題という難関があります。博多―博多総合車両所間はJR西日本の所有で、博多南線はJR西日本の路線として営業しているわけで、長崎sん幹線が繋がっても増発余地は限られます。博多南駅は那珂川町にとっては生命線の路線で、廃止は無理です。近くに西鉄バス中川営業所がありますが、47系統大橋駅経由博多駅・天神行きのバスで1時間の道のりですから、廃止すれば人口流出、地価下落は避けられません。

新幹線欲しさに地域の事情を顧みずに強引に進めた結果、深刻な地域の分断に直面している訳で、スットコドッコイも極まれりです。

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Monday, July 16, 2018

北のスットコドッコイ

前エントリーの続きです。本題に入る前にこのニュース。

人口、最大の37万人減 生産年齢人口は6割切る  :日本経済新聞
死亡数と出生数の差の自然減が39万人で海外との転出入を加えて37万人の減少ってことです。当然ながら15-64歳の生産年齢人口の減少はもっと多いわけです。都道府県別では東京、埼玉、千葉、神奈川、の首都圏4都県と愛知県と沖縄県のみ増加ですが、そのうち自然増は沖縄県だけで、他の5都県は転入超過による社会増ですから、その分地方の人口減の勾配もきついわけです。

あと外国人の増加が16万人ってことですが、いろいろ問題が指摘される外国人技能実習生だけでも25万人を受け入れていて、その他留学生や高度スキルの就労ビザ対象者もいるわけですから、純増が16万人ってことは相当数の帰国外国人がいるってことです。移民や永住権取得が難しいからこうなるわけで、人手が足りないから外国人就労を拡大といっても、現実の生産年齢人口の減少には追い付かないわけです。人口減という現実を受け入れるしかないわけです。

この状況を踏まえて以下をお読みいただきたいんですが、事故や不祥事が重なって先行きが危ぶまれているJR北海道に未来はあるか?っていう話です。JR北海道もJR総連系のJR北海道労組が組織率8割を超える中で、JR東日本と明らかに異なる労使関係があるわけです。

元々赤字基調だからってことで経営安定基金が与えられ、その運用益で赤字を補填するスキームだったわけですが、90年代半ば以降の低金利によって赤字補填が果たせなくなり、基金の積み増しをした上で現状(独)鉄道建設運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)への預託で高金利運用という事実上の利子補給による補助金でどうにか最終赤字を回避している状況です。

加えて事故の原因となった老朽設備の更新も国の支援を得ながら進めている状況なのですが、事故や不祥事の背景として、JR北海道は益出しのために努力してきたんですが、その結果必要な人手確保がままならなくなり、それが事故の遠因となったり、データの錯誤に見られる不祥事につながったわけですね。その意味で強面の労組は役割を果たせなかった訳です。

JR北海道で起きていたのはおそらく労使の癒着だったと思われます。それ故現場の人手不足もゴマカシがまかり通る状況だったと考えられます。そんな状況を変えようとしたのが自殺した中島社長って話がここへきて出てきています。

そのために島田現社長を総務部長に据えて労組との交渉窓口の一本化を狙ったものの、JR北海道労組は反発して険悪になった状況で、事故や不祥事が重なって国交省の立ち入り検査を受けることになり、JR北海道労組も協力を約束していたものの、直後に札幌労基署による本社社員の36協定違反の摘発があり、労組側が態度を硬化して島田総務部長の関連会社出向を余儀なくされたという経緯がありました。それで追い詰められての自殺ではないかという見立てです。

本社社員もJR北海道労組に所属していたのだから、労組側が知らなかった筈はないと言われてますが、おそらくこれ本社社員だけの問題じゃなかったんじゃないでしょうか。各現場で人手不足が起きていて、36協定順守ところじゃなかったとすれば、そりゃ事故や不祥事も起きるし、労組側からの改善要求もあったはずです。しかし増収とコストカットに励む経営陣を動かせなかったという意味で、労組側からすればスルー出来ない問題ではあります。労使の癒着自体は日本の大企業で結構見られますが。

というわけで、国主導で島田氏の社長指名と設備更新補助金の交付が決まったものの、覆水盆に返らず、労使関係は険悪なまま、後ろ盾のない島田社長は指導力発揮もままならない中で、自力での維持が困難な線区を発表し、自治体にボールを投げたのが現状です。ただ現実的には冒頭の人口減のニュースに見られるように、北海道で言えば札幌都市圏以外の地域の人口減少は今後も続くと見るべきですから、その中でJR北海道が必要な人手を確保して現在の規模を維持できると考えるのは現実的ではありません。人口動態に合わせて身を縮めるのはほぼ唯一の現実解でしょう。

自治体にとっては青天の霹靂でしょう。元々人口減少が止まらず、財政再建団体に指定された夕張市はいち早く廃止を受け入れ、JR社員の出向など条件闘争で実を取った形ですが、夕張支線のように単一自治体だからという面もあります。廃止若しくは公的支援を求めるエリアは広大で、広域自治体としての北海道の対応が待たれますが、高橋知事は経済や人口の状況が分割民営化時と著しく変化していることを理由に国に対応を求めています。財政負担を警戒してという側面はあるものの、経営安定基金による赤字補填もままならず、沿線人口の減少も収まらない中で、交通政策基本法を盾に対応を迫られても受け入れられないってのは正論です。

加えて国絡みの問題も多数あります。例えば北海道新幹線の札幌延伸問題も、JR北海道は自治体との合意を得て国に要望してきたものの、時期の問題が見通せないまま、札幌駅の新幹線駅スペースと見込まれていた駅南の用地に駅ビル(JRタワー)を建てたことで、道庁などから非難されましたが、商業スペースとして価値の高い遊休地の有効活用は当然の話ですし、建設時点で札幌延伸は決まっていませんでした。

その結果新幹線札幌駅の位置問題が二転三転して大東案に決まったのは最近のことです。北海道新幹線の札幌延伸が前進して2030年開業が決まったものの、駅をどうするかで迷走したわけです。当初北口側に新ホームを作って順繰りに振って1,2番線を新幹線用に転用する案が提案されたものの、既に北口の開発が進んで支障する建物が多数あると断念され、西案、東案、地下駅案が検討されたものの何れも却下され、修正東案として1番線南にギリギリ設置可能な1線分のスペースを新幹線上りに充て、1番線を新幹線下りに転用した上で東へ延伸して在来線とずらして設置する修正東案に落ち着いたものの、これも東日本大震災を受けて耐震補強が必要となり、結局在来線駅から離れた元の東案を大東案として決まったものです。位置的には札幌市営パーキングがあるということで、新幹線ターミナル駅設置のスペースも十分な上、駅前に新たな再開発ビル建設の可能性もあり、JR北海道の経営にもプラスと評価されますが、地権者の札幌市の意向は現時点で不明です。

あとJR貨物問題もあります。北海道の農産物を消費地の首都圏や近畿圏に輸送する上でJR貨物の役割は大きいのですが、それが結果的に線路を痛める原因にもなっております。加えてJR貨物は国の支援を得て設備強化投資をした結果、ドライバー不足によるトラック輸送からの移転もあって黒字転換が見込まれる状況ですから、格安な線路使用料を強いられてきたJR北海道には見逃せない問題です。まして株式上場まで取り沙汰されてますから尚更です。

温暖化の影響もあって北海道が稲作適地になりつつある現状もあり、競争力のある農業が叫ばれる中、その競争力を維持する意味で市場アクセスに欠かせないインフラとしての貨物鉄道という視点から、国の関与を強める余地はあります。貨物輸送のためにJR北海道の路線の一部を国の所有としてJR貨物やJR北海道に留まらず、自治体出資の三セクが第二種事業者としてローカル輸送に参入する余地を持たせるあたりに着地点があると思いますが、国が動く気配はありませんね。

加えて訪日外国人が増えている中、北海道観光人気で新千歳空港の利用が増えており、千歳線支線(南千歳―新千歳空港)が単線で空港駅も1面2線のため、対応しきれていない状況にあります。そこで新千歳空港駅を移転して3面4線とし、外側2線を千歳線につなげ、途中で単線を分岐して石勝線につなげる改良案が提案され、2022年の完成を目指すとされてますが、事業費は1,000億円規模になるということで、費用負担を巡ってひと悶着ありそうです。

実現すれば複線のまま空港新駅へ入れるだけでなく、苫小牧方面や帯広方面からも直接アクセスできるようになり、輸送力面に留まらず利便性も改善されますが、よく考えたら自衛隊と共用時代の千歳空港ターミナルビルとこ線橋で直結だった千歳空港駅(現南千歳駅)の機能を取り戻すだけであり、民間空港分離で誕生した新千歳空港のターミナルビルが離れた位置に作られたから仕方なく単線の空港支線を作った訳で、ここでも国の政策に翻弄された現実があります。しかも費用負担の問題でおそらく国の支援制度活用となるでしょうけど、JR北海道の事業縮小構想もあり自治体との調整は微妙です。また滑走路下のトンネル工事など難工事も予想されます。

あとこの問題は思わぬところへ飛び火しております。コメントを頂いたはまださんにご指摘いただいた日本ハムファイターズの北広島ボールパーク構想です。ダルビッシュや大谷をメジャーリーグへ送り出しながら若手の育成で実力を維持し、人気球団となったファイターズですが、不自由な札幌ドームに不満を抱いていたわけですが、ポスティングの補償金を得てそれを活かしたボールパーク構想を発表し、自治体向けに誘致コンペを行うというスキームを打ち出したところ、応札して勝ち抜いたのが北広島市です。

元々市民運動公園整備を構想し広い用地を確保していたところへ、ファイタースのコンペでボールパークをコア施設としてアクセスも千歳線に新駅を作って直結というもので、JR北海道にとっては増収策になるから大歓迎かといえば、空港輸送で線路容量に余裕のない状況では、寧ろ負担になりかねないということでご議論を呼んでいます。竣工予定は2023年3月ですが、空港新駅がそれまでに完成している確率はかなり低いと言えます。

さて、一番のスットコドッコイは誰?

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Sunday, July 01, 2018

ストでスベってスットコドッコイ

FIFAワールドカップで日本がGL突破しましたが、ポーランド戦の戦い方で賛否が分かれてます。

賭けた「負け残り」 西野監督の戦略と野心: 日本経済新聞
この「勝ち残り」作戦ですが、余力を残して決勝トーナメントへ望める訳ですから正解です。選手の能力を活かしてパフォーマンスを最大化するのが監督の役割ですから、非難される謂われはありません。

これが所謂マネジメントって奴でして、結果的に選手の能力を最大限引き出せるわけですね。GL突破で全力を尽くせば決勝トーナメントを戦う力は残らない訳ですね。これ企業のマネジメントも同じで、とにかく全力を求める所謂ブラック企業が駄目な理由でもあります。そんな中で高度プロフェッショナル制度が国会を通過しました。どう言い繕おうが日本企業が90分をうまく戦った西野ジャパンのようなマネジメントをやる気はサラサラないってことですね。

その裏で気になる動きがありました。JRグループ最大労組のJR東労組で大量脱退が起きているのですが、これどうもJR東日本の経営側が仕掛けたみたいなんです。詳しくは週刊東洋経済の集中連載に詳しいんですが、わかりやすく言えば経営側が労組を追い込んだってことのようです。JR東労組は所謂JR総連系の労組で、左翼セクトの革マル派が浸透していると言われていて公安からもマークされていて、2020年の東京五輪を控えて政権からも対応を迫られたようです。

2年前に死去した松嵜委員長は元革マルNo.2で、国鉄の動力車労働組合(動労)の指導者になり、国鉄民営化に関して反対から賛成へと態度を変えて国労と袂を別ったことで、国鉄民営化を後押ししたことも知られております。国労が主導したスト権ストで国民の支持が離反したこともあり、寧ろ民営化で公労法で違法とされていたスト権を取り戻せると考えたようです。

しかし実際には90年代にJR総連でスト権確立の動きを見せたもののうまくいかず、結果的に傘下労組の多くが総連を脱退してJR連合を結成し、以後総連との対立が続きます。そうはいってもJR東労組はJRグループでは最大規模であり、組織率8割に達する巨大組織ですし、革マル派の浸透に経営側も及び腰だったこともあって最強の労組でもありました。

スト権確立には失敗したものの、事業所単位で締結される労使間の36協定を3か月単位で締結する体制を敷いて、その分労使の話し合いの機会が多かったので、ストを打つ理由もなかったわけです。スト権はあくまでも経営側を協議の場に引き出すためのものですから、頻繁に協議が行われる体制ではストを打つ理由は無いわけです。

革マル派自体は反帝国主義反スターリン主義を標榜してますし、暴力革命を否定してもいませんが、故松嵜委員長の対応から察せられるように、中核派などと違って柔軟な対応ができる分マシな存在ですが、経営陣にとっては緊張を強いられる存在ではあったでしょう。ある意味JR東日本の経営がJR他社と比べて幾らかマシなのはこの緊張感のなせる業でしょうし、特に東中野事故後の対応など安全対策でJR他社より踏み込んだ対応を取ってきたのも、頻繁な労使協議のお陰と見ることができます。

一応誤解の無いよう断っておきますが、反スターリニズムを標榜しながら、その源流のボルシェビキ流の前衛主義から抜け出せないという意味で中核派共々ダメな存在ではあります。彼らが頼みとする大衆の蜂起は前衛である自分たちが指導して実現するってフィクションから抜け出せないんですから、革命なんて出来っこありません。この辺日本共産党も同じなんですけどね。それでもJR東日本経営陣に緊張感を与え、安全対策の強化に寄与したという部分では評価いたします。

今回の騒動は経営側がまず運転区と車掌区を統合して運輸区とする組織改編で運転士と車掌を同一組織に纏めたことから始まります。動労母体のJR東労組ですが、旧動労系組合員の多い運転士とそれ以外の穏健派が多い車掌との温度差で現場の足並みを乱れさせるところからスタートし、ベースアップの配分を巡って若手に手厚い経営側の提案に一律ベアで対抗し、これが引き金になってスト通告に至ったのですが、その後組合員の大量脱退が起きており、この過程で経営側による若手を中心とする組合員の引き剥がしに動いたようです。これ下手すると国鉄時代のマル生運動にかこつけた労組選別の不当労働行為になりかねないという意味で、経営側もリスクを負ってますが、大きく異なるのが若手の組合への不満が大量脱退を後押ししたってことですね。

ストを打つと言っても、経営側を協議に引き出すのが目的ですから、事前通告に始まって一連の手続きを踏む必要がありますし、経営側が協議に応じればストを解除しなければなりませんから、組合員にはあらかじめ決まった場所に待機させる必要もあります。加えてスト期間中は賃金の支払いが止められますから、組合員の生活補助のための日当を支払う必要もあります。これら一連の作業を行うには大変なノウハウが必要なんで、既にストをしなくなって久しいJR労組にとっては、急に「ストやります」といっても組合員は戸惑うばかりです。執行部の命令一つで事態が動く状況はとっくに失われていたわけです。

と、ここまでだとJR東労組のスットコドッコイぶりが目立ちますが、今後は経営側が立ち上げた社友会と称する親睦組織との間で36協定の話し合いが行われ、しかも年1回ということですが、労組ならざる組織で安全に関わる様々な意思決定がされることになれば、今までよりもヌルい労使関係で緊張感が失われることが心配です。それは場合によっては安全上の問題を引き起こす可能性も否定できません。JR東日本のように事業所が多数分散している大組織で、組合をスルーして上手く回せるのかは疑問です。西野ジャパンで後半終了間際に長谷部を投入してメッセージを伝えたアレの重要性に類似した問題です。

実際国鉄時代から続いていて福知山線尼崎事故の遠因と指摘された日勤教育の見直しはJR東日本が先行し、他社の見直しは尼崎事故後ですし、山陽新幹線の台車枠亀裂問題や車内犯罪やトンネル内人身事故などを見ると、JR東日本が同じレバルに堕する危険性は排除できません。となると経営側もスットコドッコイかも。やれやれ。

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Sunday, June 10, 2018

ポピュリズムで仕方ネーション

G7サミットを前に制裁関税を打ち出した米トランプ台帳料ですが、制裁対象となったカナダやEUが猛反発。報復合戦の様相を見せてますが、冷静に見ればこれアメリカに有利な喧嘩なんですよね。報復対象国は何れも対米貿易黒字国ばかりで、制裁関税に報復関税を課しても、より経済的に打撃を受けるのは経済規模が相対的に小さい黒字国側なんで、ある意味アメリカは負けない喧嘩を仕掛けているわけです。

しかも米経済はとりあえず好調です。それもトランプが仕掛けた税制改革の結果が効いているわけで、自信の裏付けにもなってるわけです。そのトランプ税制ですが、従来居住地課税だったアメリカの法人税を源泉地課税にシフトした大改革なんですが、仕向け地課税をぶち上げて引っ込めたこともあり、その一方で盛り込まれたレバトリエーション税制(レバトリ税)と共に、日本の報道では扱いが小さいものの、現在のアメリカの経済好調に寄与していることは間違いありません。住宅バブルに沸いていたリーマン前と似た構図で、実際オートローンなどでバブルの気配はあるものの、単体ではより小粒で、それ自体で経済ショックに至る可能性は低いとは言えます。

リーマン前と大きく異なるのが石油価格でして、リーマン後の中国の財政出動をはじめ先進国の落ち込みを新興国が支える構図から、原油先物が買われて原油高が実現したわけですが、それがアメリカのシェール革命につながって、従来コスト面で採掘が難しいとされたアメリカの国内油田開発に火が付き、生産量でサウジアラビアやロシアと肩を並べるレベルまで生産量を増やしました。その結果OPECとロシア・メキシコなど非OPEC諸国の協調減産により安値で増えた消費国の備蓄を減らし、今は奇妙な均衡を保っています。加えて気候変動対策としてのCO2排出削減の動きで再生エネルギーの技術革新による価格破壊が起きて、原油価格の上昇は末端の消費を冷え込ませるまでに石油依存を減らしたことも寄与します。

その結果ドル高と原油高の共存という「今までにないパターンが出現しています。一番割を食うのは原発事故の影響もあってCO2排出を増やしている日本だったりします。ドル円はあまり動きが見られませんが、これはドル高と連動して円が上昇しているからで、ドル以外の通貨に対しては円高が進んでおり、一方原油をはじめ輸入に頼る資源の輸入決済はドル建てですから、日本企業は原料高と円高に苦しむということですね。唯一対米輸出だけは例外ですが、すでに鉄鋼アルミで制裁関税を課され、いずれ自動車も対象になりそうですが、アメリカに物言えぬ日本政府です。例えばこれ。

トランプ氏、拉致問題の提起を明言 米朝首脳会談で (写真=AP) :日本経済新聞
北朝鮮に拘束されていた3人の米国人の救出にCIAが秘密交渉に動いて取り戻した一方、圧力一辺倒で直接交渉してこなかった日本はアメリカに「お願い」するしか手はないんですが、当然ディールのバーターで二国間協議を迫られております。加えて米朝協議で朝鮮戦争終結となれば、北朝鮮の復興資金として日本の戦後補償が求められるのは必然ですから、トランプ政権との距離の取り方を間違えると、負担ばかり押し付けられる結果となります。この辺意図的に進めているとすれば、トランプ大統領はかなりの曲者です。

そもそもトランプ大統領は選挙で自分を勝たせてくれた有権者に対しては約束を守ろうとしております。移民排斥もTPP離脱もパリ協定離脱も公約通りですし、イラン核合意離脱やイスラエルの米大使館エルサレム移転もそうですが、ある意味愚直に取り組んでおります。米朝会談もオバマ大統領の戦略的無視政策を転換した結果と喧伝できる状況にあり、トランプ大統領自身が前のめりになっている状況です。ことほど左様に従来のエスタブリッシュメント層に支持された政治エリートの逆張りという意味では一貫しているわけで、こういう大統領を選んだアメリカ国民の声を反映しているわけです。だから旧来の政治エリートが好んで使うポピュリズム批判は寧ろ国民の喝采の対象になるわけですね。ポピュリズムの裏に約束を果たさない政治エリートへの失望があるわけで、これ先進国の多くで見られる現象です。その1つがBrexitだったりするわけですが、ある意味欧州はポピュリズム先進国でもあります。

イタリア、一転コンテ内閣発足へ 3カ月の政治空白に幕  :日本経済新聞
総選挙から3か月の空白を経てやっと新政権が成立したイタリアですが、単独過半数を獲得した党はなく、比較第一党の五つ星運動の連立協議に同盟が乗って新政権発足となったのですが、主に南部の低所得層を支持基盤とする五つ星運動と元々北部同盟と称して工業地帯で富裕な北部の分離独立を主張してきた同盟とは主張がかなり異なります。喩えて言えば日本の立憲民主党と維新の会が連立組むようなあり得ない組み合わせですが、反EUの一点で共闘しようというものです。

EUは元々アルザス地方の資源争奪戦で紛争が絶えなかったドイツとフランスの紛争解決のために独仏とベネルクス3国で締結された欧州石炭鉄鋼同盟(ECSC)が前進で、その後加盟国を増やしながら市場統合を目指し関税同盟から通貨同盟へと進化してきたもので、欧州共同の家といった理念を掲げ、加盟国の主権の一部を肩代わりしつつ機能を拡大してきたんですが、結果的に欧州の政治エリートによる官僚組織としての性格が強まってきました。これ穿った見方ですが、27省4独立市2特別行政区の上位に君臨する官僚組織たる中国共産党との相似形になっているわけです。

特にユーロ導入の矛盾が噴出したのがギリシャショックだったわけですが、今回のイタリア新政権にはその時の負のイメージが付きまといます。元々ユーロ圏全体の経常収支はほぼ均衡ラインにありましたが、ギリシャショック後黒字基調に転換しております。これつまりユーロの為替レートが割安な結果と見ることができますが、その安いユーロのメリットを享受するのがドイツなど一部の国に偏っており、フランスですら赤字基調から抜け出せない状況にあります。

南欧諸国は元々地政学上のリスクを抱えておりまして、例えばギリシャは冷戦期に東欧圏に属していたバルカン諸国やイスラム諸国との境界の位置にあり、NATOのメンバーとして過大な軍事費負担を強いられてきました。つまり元々財政が窮屈だったのに、EUに加盟して厳しい財政運営を迫られた結果ですから、ある意味ギリシャショックは必然だったと言えます。

その意味で冷戦終結もありNATOメンバーでありEUへの加盟を希望してきたトルコがEU加盟を果たせば状況は改善するかもしれませんが、キプロス問題がネックで足踏みする結果になっております。キプロスはギリシャ系住民主体のキプロス共和国(南キプロス)とトルコ系住民主体のキプロス連邦(北キプロス)で対立が続く分断国家ですが、EUは南キプロスの加盟を認めております。分断国家の片方だけの加盟ということ自体が状況を複雑にしておりますし、スコットランドやカタルーニャの独立を認めないEUの姿勢からしても違和感のある対応です。その南キプロス国民の多数がギリシャ国債を保有していたことで、ギリシャショックでパニックに陥り、ビットコインへの資本逃避が起きたことも知られております。南欧地域のEUに対する不信感は根深いのです。

その意味でイタリアの新政権がどんな政策を打ち出してくるかは注目されますが、EU離脱を模索するときに避けて通れないユーロ離脱に道筋をつける可能性のあるミニBOTと呼ばれる政府保証債券発行が検討されているところに注目しております。政府保障債券とは財政資金の資金繰りのために政府が発行する短期の無利子国債のことですが、それを小口化して流通させることを考えているようです。つまり政府紙幣の発行ということですね。

実際には流通のためのインフラがなければ機能しないわけですが、フィンテックを活用して電子決済システムを構築するなどすれば、リアリティが出てきます。実際新政権がどこまで本気かわかりませんが、二重通貨状態を意図的に作り出してユーロ離脱のショックに備える意味もあります。加えて一定量が決済手段として流通すれば、その分の信用創造によって財政運営が楽になるわけですね。五つ星運動が目指す所得移転政策がやりやすくなるわけです。

ただしリスクもあります。元々放漫財政と見做される政府が発行する債券ですから、信用度を維持できるのか?ってことですね。当面ユーロベックで発行量を慎重に管理するとしても、財政需要を満たすレベルまで発行量を増やせるのか?財政の都合で過剰発行されないか?といった疑念が付きまといます。日本のQQEが財政規律を失わせたようなことがあり得るわけです。


イタリアはシリア難民が押し寄せる位置にあることも大きく、元々英仏両国の石油権益保護のために泥沼化したシリアから押し寄せる難民の受け皿という損な役回りをいつまでも引き受けたくないわけです。難民の定住は非熟練労働市場に供給過剰をもたらしますから、貧困層ほど影響を受けます。こういった現実に国民国家(ネイション)をリードしてきた政治エリートが解決策を提示できないことが、有権者の反乱を招いたわけです。ポピュリズムを安易な大衆迎合主義と見ることでは解決につながらない訳です。

この辺のことがEUの鉄道政策にも影響している可能性があります。TGVに始まる高速鉄道の整備ですが、一時EU統合の象徴的な事業として熱狂的に進められましたが、事故が起きたり寧ろ地域間格差を拡大した疑いが持たれたりして見直されております。結果的に鉄道ビッグ3の一角に数えられたシーメンスが鉄道部門をライバルのアルストムに売却した訳です。中国が国策で中国北車と中国南車を統合して中国中車として世界一の規模を実現したことへの対抗策という見方も可能ですが、シーメンスにしてみれば、IoTなど元々強みがあり、ドイツ政府のインダストリー4.0政策とも整合的なところへの選択と集中をを狙ったと見るべきでしょう。ある意味欧州の鉄道事業は最先端ではないという見切りと見ることができます。

翻って日本では相変わらず中途半端な整備新幹線に入れ込んでますが、北海道新幹線の不振を直視すべきですね。仮に札幌延伸が実現しても青函トンネル区間の貨物との共用がネックで本数も増やせないしスピードアップもできないわけで、いい加減目を覚ませと言いたいところです。

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Sunday, May 13, 2018

国敗れて鉄路なし?

加入権維持で今どき意地でADSLでやせ我慢してたら通信障害ですが、NTTも最早メタル回線のメンテナンスをまともにやる気がないらしく、渋々ひかり電話へ切り替えましたが、新年度で引っ越しシーズンってことで工事スケジュールが混み合ってて1箇月を超える空白期間を余儀なくされました。そんな中でスマホのフリック入力でアップした前エントリーの見通し通り、北朝鮮を巡る情勢が急展開しております。南北首脳の本気とノーベル平和賞期待のトランプ大統領の色気が妙にかみ合ってきております。

慌てたのは日本政府。何しろ日米安保体制の前提となる朝鮮戦争の終結につながる話なんで困ってます。朝鮮戦争は現在休戦中ですが、韓国は休戦協定に参加しておらず、頭越しに米朝で休戦というねじれた状況です。元々は北朝鮮の南進に対して安保理決議で朝鮮国連軍が組成され、在日米軍に総司令部を置く形だったのですが、現在の休戦ラインに押し返すのがやっとで、国連軍参加国の撤退が相次いで今の形になった訳ですが、当時の韓国政府が休戦を認めず協定に参加しなかったわけです。

にも拘らず総司令部を米軍が抑えているから韓国軍が独自の軍事行動はできないわけで、事実上韓国軍は米軍の下請け機関のような扱いになっておりました。故にベトナム戦争への参戦も強要されましたし、韓国の世論の不満も大きく、停戦となれば韓国軍はその呪縛から解放されることになります。文在寅大統領への世論の支持はこういう背景があるわけですね。

シンガポールで行われる米朝首脳会談でどこまで踏み込むかはわかりませんが、共同宣言が出されて停戦協定と平和条約の締結のための実務者協議が始まるというあたりが落としどころでしょう。実務者協議がすんなり進むかどうかはともかく、枠組みとして不可逆な形になるということで、停滞はあっても逆戻りは無いという見立ては成り立ちます。

そうなると在韓米軍と在日米軍のの扱いが問題になるのですが、韓国として在韓米軍の全面撤退までは望んでないでしょうけど、朝鮮半島の非核化というのは、核保有国であるアメリカの核持ち込みも無くすってことも含みますから、どういう妥協点を見いだせるかはこれからの話です。

厄介なのが在日米軍でして、朝鮮国連軍総司令部がある三沢基地のほか、在日米軍の相当部分が朝鮮国連軍としての駐留なんで、縮小することになるんでしょうけど、在日米軍の任務は非公開で、どこまでが朝鮮国連軍としての任務なのかはわからないわけです。日本政府がきちんとアメリカと交渉する必要がありますが、黙っていれば事実上アメリカのフリーハンドになりますし、場合によっては北朝鮮のミサイルの標的になるリスクもあります。

一方でアメリカはイラン核合意からの離脱を決めました。今のところ他の5カ国が踏み止まっていて、アメリカの追加制裁も発動までの猶予期間があるということで、市場は安ど感に包まれておりますが、火種であることに変わりはありません。というわけで、市場は膠着し、円高予想はやや肩透かしですが、これドル高が相殺してるだけですね。FRBの利上げとレバトリ税制(米企業の海外留保益金の税制優遇)で資金還流が起きている状況を反映したものですが、マイナス金利にまで踏み込んだ日銀に追加策がないことに変わりはありません。為替水準の予想はあまり意味はありませんけど。

北朝鮮の問題では日本政府の出遅れは明らかですが、ロシアはどうかと言えば、まあ様子見でしょう。中国の出方次第ですが、朝鮮戦争停戦はロシアが以前から狙っていた北朝鮮を介した韓国との鉄道連絡のチャンスでして、中国が中央アジア経由のチャイナランドブリッジを売り込んでますが、バム鉄道とシベリア鉄道を介した欧州連絡ルートができれば強力なライバルになります。そうなるとロシアがオファーしてきたサハリン経由の日ロの鉄道連携は可能性が絶たれます。ここでも日本は後れを取るわけですね。安倍政権の外交政策は悉く裏食ってます。

かように地政学の変化に鉄道も無縁じゃないわけですが、サイドバーの直近の2冊の本を読んで気づいたことがありまして、JR7社の経営トップが国鉄OBで占められていることです。歴代でもJR東日本の初代社長の住田正二氏が運輸省OBで、大臣と対立して退官していた結果スカウトされたのが唯一の例外です。JR九州初代社長の石井幸幸孝氏の本では人口密度と鉄道の収支の関連をグラフで示していて興味深いのですが、人口減少で収支の悪化が避けられない中で、関連事業の強化で鉄道事業のウエートを下げたJR九州の自慢話こそ具体的な一方、新幹線物流などの提言は国鉄OBの思考の枠組みから出られていないと感じます。

一方川辺謙一氏の本は、日本の鉄道の特徴として利用客の多さを国際比較の中で明らかにし、要因として人口密度の高さと共に鉄道万能主義の存在を指摘してより客観的に日本の鉄道を見ています。例えばニューヨーク地下鉄の24時間運行について、港湾労働者の通勤の足として始まったことを指摘しています。よくニューヨークでできてなぜ東京でできないか?ということが言われますが、これ謂わば港湾都市としてのニューヨークのレガシーでありそのまま東京に持ち込むことはできません。

他にもいろいろありますが、超電導リニアとハイパーループの比較を取り上げます。旧国鉄時代から半世紀に亘って開発が続けられ、着工にこぎつけたリニアですが、人手不足や談合事件の影響で事業の遅れや事業費の拡大は避けられないところ。一方アイデアとしては古くからあるハイパーループが世界的に注目されてます。

きっかけは2013年にテスラやスペースXのCEOのイーロン・マスク氏の提唱で開発が始まり、2017年には実物大モックアップによる試験運行が始まるという風に急ピッチで開発が進んでいます。元々はサンフランシスコ―ロスアンジェルス間のカリフォルニア高速鉄道プロジェクトの対案として提案されたもので、同区間での事業化が目論まれております。

原理は中を真空近くに減圧した鋼管チューブの中を28人乗り程度のカプセルを搬送させるもので、当初空気浮上の計画を永久磁石による磁気浮上に改め、時速760マイル(1,220km/h)を目指すってことで、音速域でジェット旅客機の1.5倍の速さです。若干の勾配への対応は考えられておりますが、曲線走行は不得手ってことで、日本のように平地が狭く山がちな地形では導入が難しいのですが、広い平野部にまばらな人口密度の大陸国にとっては、これぐらいのスピードで航空客すら取り込むようなものでなければ事業化が難しいという側面はあります。

カリフォルニア高速鉄道の事業費は800億ドルに達すると言われますが、需要面を考慮すれば公的支援抜きの事業化は不可能で、州民の理解も得にくい訳ですが、ハイパーループは高速道路に併設することで100億ドル程度の事業費で実現可能としており、開発費も含めてクラウドファンディングで資金集めをしており、投資家の関心も集めているということで、いかにもアメリカらしい話ですが、欧州の鉄道事業者やサウジアラビアなどの産油国も興味を示していて大化けの気配があります。鉄軌道の高速鉄道よりもコストのかかる超電導リニアのマッチョな時代錯誤ぶりに疑問を感じない石井氏もやはり国鉄OBなんだなあと。

そうそうイランと言えば共和制だったのにアメリカの秘密工作でパーレビ国王という傀儡を立てて親米政策に舵を切った結果、イスラム革命を呼び込んだんですが、そのパーレビ時代にイランに新幹線を作りたいとオファーがあって当時の国鉄は大乗り気だったようですが、イスラム革命でご破算になりました。他方アメリカ製兵器の購入で代金を支払った後でイスラム革命が起きて引き渡しが行われなかった結果、イランによる代金返却が求められ、核合意に関連して返却されたようですが、その一部が北朝鮮に流れたという観測があります。核実験やミサイル実験を繰り返してた資金はイランから?ま、国鉄は実害がなくて結果的には良かったんですが。

あと例えば自動運転車の登場に危機感を口にするJR首脳はいますが、欧州では鉄道事業者が自動運転バスの実証実験に取り組んでたりしてて、やはり周回遅れ感が否めません。自動運転車に関しては法制度の問題の方が大きく、現状でも適切なゾーニングができれば導入できるところはそれなりにあると思いますが、そういった議論は進みませんね。

てなわけで、JR経営陣が国鉄OBで占められている現状に危うさを感じます。いずれJRプロパーのトップが登場するかもしれませんが、幹部社員の学歴面で見ると旧帝大卒中心だった国鉄時代とは様変わりしており、JRのような大組織を動かせる人材が出てくるかどうか。というか国鉄OBの覚え目出度い社員が出世して次世代リーダーになるとすると、申し訳ないけどJRの将来は暗いと感じます。

議論を拡張して今や失敗確実のMRJの何が問題だったのかにも触れておきます。ボーイングとエアバスの2大メーカーのラインナップから外れる100人乗り以下の小型機でボンバルディアとエンブラエルが争う中に割り込もうとしたわけですが、新興国の経済成長と共に低燃費の小型機の需要は確実に拡大すると見込まれますから、狙いはわかりますが、安直じゃないかと。

小型機メーカー2社は母国のカナダもブラジルも国土が広く国内に小型機の巨大市場がある訳で、鉄道のシェアが高く国内市場が当てにできない日本で開発する意味を問うたのか?って疑問が湧きます。開発直後にジェット時代になって時代遅れになったYS11ですら、当時国内ローカル空港のジェット化は夢物語だった時代で、ある程度国内で消化できる見込みがあった訳ですが、それすら怪しいプロジェクトがうまくいくと考えていたとすれば大甘ですね。

一方エアバスではバッテリー駆動のモータープレーンを開発中で、フィンランドその他で導入の検討がされてます。現状バッテリー性能の制約から航続距離は数百km程度ですが、国内線で使うには十分だし再生可能エネルギーの活用で石油輸入を減らせるしCO2排出量も減らせるということでのチャレンジです。MRJもこれぐらいのチャレンジがあっても良かったのでは?

てなわけで、魚と大組織は頭から腐るって同じ結論です^_^;。

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Sunday, April 15, 2018

クサレアタマでかわせ円高

米英仏のシリア攻撃ですが、鉄道員の賃下げ法案で不人気のマクロン大統領とBrexitで指導力不足を露呈するメイ首相が正当化の為にアメリカを巻き込んだものですね。

メイ首相にはロシアを悪者にしてEUとの一体感を煽る動機もあります。トランプ大統領もイランと北朝鮮の両睨みの思惑があり、三者三様の呉越同舟、同床異夢。現時点で確実に言えるのはシリア情勢はますます混沌とすることぐらいです。

逆にアメリカの中東へのコミットは北朝鮮との開戦の可能性の低下を意味しますから、米朝首脳会談が注目されます。恐らく米本土を射程に収める長距離弾道ミサイルの開発凍結あたりが当面の落しどころでしょうか。経済制裁も韓国や中国に限っての一部緩和あたりでしょうか。

この辺北朝鮮は周到に事を進めてます。不仲が言われた中国との関係修復も北朝鮮が中国の核の傘に入ると見れば基本アメリカを同盟国とする韓国や日本と対等になるってことですね。

北朝鮮は核弾頭搭載可能な中距離ミサイルを配備してるんだから云々を言う人居ますが、核保有国ではない日本や韓国を北朝鮮が核攻撃するとすれば、米軍が核兵器を持ち込んだ場合だけです。逆にここに反応すれば核持ち込みを疑わせることになります。そっちの方がヤバいだろ。

寧ろ梯子を外されかけて慌ててセッティングした日米会談がシリア攻撃で無意味化したことの方が深刻です。日本政府の外交音痴ぶりは目眩がします。

一応トランプ大統領がTPP復帰を指示したそうで、話すことはあるにしても、TPP再交渉か日米FTAの何れかの選択を迫られます。前者は他の加盟国が認めないでしょうから後者一択で為替条項が盛り込まれるシナリオですね。その意味で米韓FTAで盛り込まれたことが重石になります。

これ自動車の輸入枠拡大と共に韓国の大幅譲歩ですが、米国製自動車の輸入を増やす訳じゃないところがミソでして、あくまでも関税の優遇枠拡大ですから、売れるかどうかは米国メーカー次第ですし、元々非公開の為替介入が疑われていた韓国ですが、リベラル派の文在寅大統領にとっては企業優遇のウォン安より国民生活にプラスのウォン高容認は寧ろ自らの考えに沿ったものでもあります。

南北融和で支持率低下が報じられてますが、元々70%あったものが少し落ちて60%半ばになった程度の話。度重なる不祥事で支持率落としまくりの某国首相とは比べ物にならないほど国民の支持を得ています。

北朝鮮も一連の核ミサイル開発の進捗で外交カードを得たと同時に、カリスマではない若い三代目リーダーとして権力掌握を終えたとすれば、南北対話は必然とも言えます。あとはアメリカとの首脳会談次第ですが、前述の中国の核の傘が保険になります。つまり今以上に事態が悪くなることはないってことです。

さてそうすると対北朝鮮で強硬一辺倒だった日本政府は四面楚歌。シリア攻撃の支持を表明してロシアとの関係も微妙になって、国内は不祥事が止まらない。日米FTAはアベノミクスの自己否定になるし、支持率ダダ下がりで憲法改正どころか政権維持も苦しくなる。

シリア攻撃で市場がリスクオフにシフトして円高は益々進みます。現在の心理的バリアの105円突破は時間の問題でこちらもアベノミクスにはマイナス。既にマイナス金利まで踏み込んだ日銀に追加策は見当たらず、寧ろ銀行の経営を圧迫して銀行危機すらあり得る展開です。リストラを発表したメガバンクよりも疲弊する地方銀行がヤバい。

よく魚は頭から腐ると言いますが、組織も同じでトップが腐ると組織に不祥事が蔓延る訳で、内閣人事局で人事で官僚を操る今のスタイルを維持する限り、今後も問題は起こる訳で、さっさと総辞職が一番傷つかないけど、それがわかる知性は持ち合わせてないようです。

公共事業も人手不足で進まない上にリニア談合事件で大手ゼネコンが指名停止食らって益々ですし、大手ゼネコンが仲間割れしたことが一番影響あるかも。当然リニア工事も進まなくなります。

てなわけでクサレアタマで迷走する日本の明日はどっちらけwww。

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