経済・政治・国際

Saturday, June 22, 2019

地方の地雷

物騒なタイトルですが、最早地雷を抱えたと言っても過言ではない日本の地方について考えます。その前に前エントリーの香港の逃亡犯引き渡し条例改正ですが、100万人デモでG20前の揉め事を回避したい当局が折れました。勿論お手本の日本で第一次安倍政権で批判を浴びて撤回されたホワイトカラーエグゼンプション制度が高度プロフェッショナル制度に名前を変えて復活し成立したことを忘れちゃいけませんね。

そもそも香港の行政制度はイギリス統治時代を踏襲していて、宗主国がイギリスから中国に変わった形ですが、逃亡犯引き渡し条例でイギリスなどへの引き渡しは既に制度化されている訳で、本国で犯罪を犯して植民地へ逃亡するってのは昔からあって問題だった訳ですから、中国国内で犯罪を犯しても香港へ逃げればセーフってのは、中国サイドから見れば問題ではあります。

とかく独裁体制を批判され、法治ではなく人治だと言われてきた中国ですが、習近平政権の反腐敗運動もあって、法整備が進み、法の支配が確立しつつあるのも確かなので、香港の存在は犯罪者を助けるセキュリティホールになるという意味で、穴をふさぐ必要はありますが、香港市民は言論の自由がなくなることへの危機感があります。確かに政治犯弾圧に使えるツールですが。

そういう意味で落としどころが非常に難しいのですが、元々イギリス統治時代からの植民地型統治を見直して、大幅な自治権を認めることとのバーターは考えられます。そうするとウイグル、内モンゴル、チワワン、チベットの4自治区との釣り合いが取れなくなるから、4自治区の自治権の拡大も課題になるなど、困難が伴います。

個人的には自治区に留まらず、省や独立都市も含めて地方政府の自治権拡大を通じて、中国自体をEUのような連邦共同体に変化させるぐらいしか出口は無いと考えます。そうなればそこへ台湾が参加する流れも可能になります。人口大国で世界最大の民主国家と言われるインドの混乱と停滞が示すように、通常の国民国家型の民主主義体制は人口大国ではそもそも無理じゃないかと考えております。中国は日本よりEUを見倣うべし。

その意味でBrexitやイタリアの財政問題や右傾化など、EUも問題を抱えて苦しんでますが、例えばデンマークはEUに加盟しながら独自通貨を発行し、自治領のグリーンランドとフェロー諸島はEU非加盟ですし、EU非加盟で独自通貨発行しながらシェンゲン協定には加盟しているスイスやノルウェーとか、EUにもシェンゲン協定にも非加盟なのに通貨はユーロというモナコ公国など、欧州の多様性は複雑怪奇ですが、それでもまとまっているところを見せることで、中国に好影響を与えることが期待できます。その意味でBrexitやイタリアの財政問題でもう少し柔軟な対応をしても良いと思いますが。そもそもリスボン条約で定義された補完性原理に反する気がします。

そんなEUの補完性原理を見倣って欲しいのは、中央集権の強い日本です。できれば憲法の地方自治条項へ追加して欲しいです。地方の時代が言われながら、逆に地方自治が停滞若しくは後退している現実はひとえに溜息です。そうれを象徴するこのニュース。

ふるさと納税の矛盾 「人気自治体」二重取りに賛否  :日本経済新聞
ふるさと納税は制度としては寄付税制なので、ふるさと納税は税収にカウントされず、地方交付税は減額されません。一方、税収を失う自治体は東京23区をはじめ税収の多い不交付団体が主であり、取られ損ですし、高額納税者ほど控除を受けられますから、税収減の影響は大きい訳です。加えて交付団体の税収減は地方交付税でカバーされますから、トータルでは公費が増えることになります。

だから高額返礼品が可能になり、それが過熱して寄付額の3割までという規制の導入に至りました。そもそも同じ税源を奪い合う仕組みですから、問題のある制度です。寄付文化の乏しい日本に寄付文化を定着させる意図もあるようですが、寄付先進国と言われるアメリカでは、富裕層子女入学とバーターで大学に寄付というような、半ば公認賄賂制度となっている現実もあります。

税収制約から自治体が対応できない問題を解決するにしても、意義をアピールしてクラウドファンディングで資金集めすることなら、法律変えなくても可能です。自治体の本気度という意味からもその方が望ましいところです。法律変えるなら国の権限と税源を移譲することこそが地方分権の王道です。

例えば国の出先機関の地方局を都道府県への移譲を行うことが以前から指摘され、名鉄岐阜地区の廃止問題の論考の過去エントリーでも指摘しましたが、実現してませんし、交通政策基本法で公共部門の責任が定義されたものの、あくまでも地方と事業者の話し合いで問題解決することが求められ、それを前提に国の予算が投入されるって立て付けでして、税源も財源も国が握っています。岐阜市は名鉄線の存続を望み競合する市営バスを廃止したりしている訳ですが、権限も財源もない中で成す術がなかった訳です。

例えばJR北海道の問題で「国が悪い、JRが悪い」と言って協議に応じない北海道庁ですが、使える税源があって許認可の権限が国から渡されていれば、もっと主体的に動けるんじゃないかと思いますし、自家用車によるライドシェアを導入した京丹後市のケースでも、当初特区申請がされましたが、道路運送事業法の特例を使って自家用自動車の有償運行事業として認可されました。これも地域の実情に詳しい京都府に許認可権限があれば、特区申請のようなメンドクサイことしなくても済んだ訳で、加計学園問題で噴出した国家戦略特区の諸問題を考えると、国家戦略特区なんて制度も直ちにやめて、地方への権限移譲こそ取り組むべきです。

京丹後市のケースのように、人口減少でタクシー配車ゼロという地域が現実に起きています。それに留まらずそもそも地方に就職先がないから若者の流出が止まらないし、銀行の不良債権処理を通じて再編されたメガバンクを尻目に温存された地方銀行が日銀の異次元緩和とマイナス金利政策の影響で収益悪化が止まらず、地元の融資先が衰退する中、越境営業で低利融資競争の地獄となっていて、最早地元の有料就職先とは言えない状況です。

地方銀行の優等生スルガ銀行も、元々米ウエルスファーゴを手本に個人向けリテールバンクとして業態転換を図り、企業融資で低利に泣く他行を尻目に高金利融資を実現した結果、他行の低利借り換え営業のターゲットになり、新たな収益事業としてアパートローンに進出したものの、やはり低利借り換え営業の餌食になり、追い込まれて融資書類捏造へ走った訳で、地方銀行の整理を先送りしたツケが来ています。フィンテックも未だ形にならず、袋小路の金融事情は地方の疲弊を助長します。スルガ銀行問題の真の原因はオーバーバンキングにある訳です。とはいえ地銀の統合は独禁法に抵触する押しレがあり、判断が難しいところですが、都道府県レベルで地域の実情を踏まえて判断できれば望ましいですね。

加えて最低賃金問題も地雷です。

最低賃金引き上げ、世界で論争(真相深層)  :日本経済新聞
元々英ブレア政権のマニフェストで採用され経済界の反対を押し切って実行されましたが、雇用が減るという批判は当たらず、寧ろ賃金上昇を好感して労働市場への参入が増えた結果、経済の活性化に寄与したことで、アメリカでもオバマ政権で目指され、州レベルでは実施されているところもチラホラあります。一方、韓国では文在寅政権で大幅アップされたものの、人件費増加で企業倒産や廃業が相次ぎ失敗と評価されています。

実証研究で分かれ目は賃金中央値の60%らしいということが分かってきました。イギリスは下回り韓国は上回った結果という訳です。日本はというと、現状が40%程度であり、最低賃金上昇の効果は間違いなく見込めます。ザック立憲民主党が提唱する1,300円あたりの水準と考えられます。但し問題もありまして、元々地方の賃金相場は概して低く、全国一律に上げると地域によっては60%の水準を超える可能性があります。別途賃金の地域差を縮小する策を講じないと、最低賃金上昇が地方の地雷になる恐れがあります。

この問題は結局地域が生み出す付加価値の増加しか解決策はありませんから、大胆な権限移譲で地方に自主的判断を促すことでしか出口は見えません。例えばインバウンドでも北海道ニセコ町のように雪質の良さでスキーリゾートとして世界に知られる存在になったように、一見マイナス要因でも、見方を変えればプラスに転じます。そんな地方の自主的な取り組みを促すことこそが本来の意味での地方の時代です。地雷は御免ですよね。

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Saturday, June 15, 2019

高齢者の資産取り崩しの意味するところ

何だかよくわからないニュースが多い今日この頃です。1つはイランを巡る緊迫ですが、安倍首相がイランを訪問し最高指導者ハメネイ氏にトランプ大統領の「会談しようぜ」のメッセージを伝えて断られてます。ガキの使いか!同じ日にホルムズ海峡で民間商船2隻が砲撃を受けるという事件が起きて、アメリカはイランの責任を言い、イランはそれを否定という構図ですが、謎の多い事件です。

安倍首相のイラン訪問を意識した可能性はあるとしても、意図が分からない。単純に混乱を演出するということか。アメリカはイラン革命防衛隊所属線による機雷回収の映像を公開してますが、被害船の1隻を保有する国華産業という日本の海運会社は、飛来物目撃の船員の証言を明らかにしていて矛盾します。結果的にトランプ大統領も「会談は時期尚早」と態度を変えたわけで、謎の攻撃主体が混乱拡大を意図したとすれば、それは成功したということになります。真相はどうあれ原油価格の上昇は避けられないところです。

香港では逃亡犯条例制定に反対する市民の大規模デモが起きて欧米諸国から人権配慮の意見が寄せられております。今のところ日本政府は態度を明らかにしておりませんが、多分スルーでしょう。天安門事件の時と同じ構図です。実は日本のこういうところを中国政府はよく見ています。というよりも、もっと有体に言えば参考にしているとさえ言えます。

天安門事件は中国政府にとっては未だにトラウマになっていてます。鄧小平の改革開放路線に舵を切って経済成長を目指したのは、勿論清吾日本の奇跡の復興を参考にしてますが、同時に経済成長は民主化をもたらすという欧米中心に見られる見方への対応も日本を参考にしているのです。経済成長と民主化の関係で言えば、韓国やインドネシアなど開発独裁で経済成長した後に民主化で独裁者を倒す事例が多数見られますが、当然中国もそれを分かっていて、実際天安門事件では胡耀邦総書記のように天安門に集った若者に共感を示して更迭された幹部もいます。

にも拘らず軍隊に当たる人民解放軍を投入して鎮圧したのは、経済成長しても長期政権が続く日本の自民党を見倣えば良いという判断ですね。60年安保闘争のデモ隊鎮圧を見倣った訳です。ただし1つ誤算があって、軍隊を動かしたことでハンガリー動乱やプラハの春でソ連軍が動いたことの連想で欧米が拒否感を示したことです。だから今回はそれを踏まえて人民解放軍の投入はしない。訳です。警察権力による鎮圧ならばセーフって感覚ですね。

余談ですが、97年総選挙での政権交代による民主党政権誕生は、中国政府にとっても誤算だったわけで、実際尖閣問題などで却って関係がぎくしゃくしました。野党時代には双方で交流があったから、寧ろ中国政府にとっては尖閣問題での民主党政権の筋論はショックを大きくしたとも言えます。逆に民主党政権が安定していれば、中国の民主化は進んだかも。同時に今のままなら中国はいずれ日本が躓いた問題に躓き行き詰ることになります。米中摩擦は将にそれです。

で、やっと本題。日本の行き詰まりを示すこんなニュース。

「老後資産2000万円」問題、私的年金の議論に冷や水  :日本経済新聞

金融審議会ワーキンググループによる報告書を巡って炎上してます。56pの報告書は人口減少と高齢化で金融事業の環境変化を論じていますが、まあツッコミどころ満載で、炎上すべくして炎上していると言えます。ワーキンググループに名を連ねる多数の識者たちにしても意に沿わない纏め方じゃないかと思いますが、結局事務局が描いたシナリオが先にあるのがこの手の審議会の常ですし、委員も名が売れて謝礼が出るから意に介さないかもしれませんが、これは恥だぞ。

問題になっているのは厚労省提供の年金生活の高齢者世帯の実態調査で、年金受給額プラス5万円の生活費というところから、65歳時点で95歳まで生きると仮定した場合に、資産取り崩しで充当される5万円を賄うためには2,000万円の資産形成が必要と結論付けて、iDeCoやNISAなどで若いうちから資産形成すべきと結論付けております。これまんま出来の悪い証券マンのセールストークそのものです。事務局の官僚の劣化甚だしいところです。

そもそも厚労省が示したデータは夫婦2人世帯のものですから、厚生年金や共済年金といった被用者年金加入世帯が対象で、高齢者全世帯ではないですし、既に資産形成に成功した世帯とそうでない世帯を含みますから、少数の資産残高の高い世帯ほど取り崩し額が大きく、平均値を押し上げている訳です。平均値で見るべきでないデータを平均値で丸めて単純計算したら2,000万円って話です。統計学の基礎の基礎ができてない。せいぜい言えるのは、資産残高の高い世帯ほど資産を取り崩すってことぐらいです。つまり老後も贅沢したきゃ金貯めろってことですね。これを承認した審議会メンバーも恥ずかしいけど、1度は公表を認めた麻生大臣も恥ずかしい。ま、恥を自覚する知性がないだけかもしれませんがwww。

ですから論旨としては公的年金の問題を取り上げた訳ではないんですが、公的年金の支給減額の見通しを随所で記述しており、減額があたかも既成事実のように扱われているというのはありますが、野党の追及も含めて寧ろそちらに力点が移っているようですが、主たる論点ではありません。

年金に関してはあくまでも保険ですから、損得を言えば長生きすればたくさん支給されるし、支給年齢前に不慮の死を遂げれば貰えないってことで、保険の原理で動いているので、本質的な問題は4.1%という割引率の高さです。割引率が高ければ少ない保険料で大きな給付が受けられますから、お得感を演出できますが、実現するために株式などのリスク資産への投資を余儀なくされる訳で、本来は元本保証のある国債投資に限定すべきです。この誤魔化しを是正するところからが、本来の年金改革です。

付け加えれば、公的年金制度の安定性は現役世代の実質所得に依存しますから、実質賃金が上昇していれば問題ないんですが、国がデータを公表できないほど悪化している
訳ですから、見通しが暗いのは間違いありませんが-_-;。

金融審議会の報告書ですから、そこへ触れないのは仕方ないとしても、悪質なのは公的年金の不安を煽ってiDeCoなどの私的年金へ誘導しようとする意図見え見えな点です。この辺が上記の「出来の悪い証券マンのセールストーク」たるゆえんです。つまり議論を取りまとめた事務局の官僚たちによる金融業界への利益誘導ってことですね。これこそが問題なんですが、またそのレベルが低すぎるというか、こんな証券マンに騙される人はそもそも投資には向きません。やめた方が良い。これがかつて優秀とされた日本の官僚なのか?

もう1つ言えば、マクロ経済的にはライフサイクル仮説ってのがありまして、若年時には将来に備えて貯蓄する一方、リタイア後はその貯蓄を取り崩すってのがありまして、日本の高度経済成長は若年人口の厚み故に国内貯蓄で企業が容易に投資資金を調達できたことで説明できますが、高齢化に伴う金融環境の変化を言うなら、高齢世帯の資産取り崩しは当然のことであると共に、若年世代の貯蓄性向を緩和するような方向性、つまり公的年金制度の安定性こそが重要なんで、その意味からもトンチンカンな報告書ってことですね。

つまりこのニュースが示すのは日本の政府統治の劣化ぶりを何重にも露わにしたってことです。付言しますがこのレポートを真に受けて消費を売政商とすれば、所謂合成の誤謬で経済はさらに冷え込みます。こんな日本をお手本にする中国を脅威論で警戒することの無意味さも指摘しておきます。本来は課題先進国として中国も見倣うような将来を見せることの方が大事です。

てな訳の分かんないニュースが溢れる中で、わかりやすいニュースを1つ。

横浜市営地下鉄で脱線 撤去忘れの装置に乗り上げか (写真=共同) :日本経済新聞
シーサイドラインに続いて横浜市の出来事ですが、保線車両を収納庫から出して本線レールに乗せる横取り装置と呼ばれるアダプターの撤去忘れってことで、他社でも同様の事故はそれなりに起きてますし、その結果撤去忘れ防止のための警報装置が装備されたりもしてますが、横浜市営地下鉄では装備されていなかったし、手順書への記載もなかったってことで、交通局は見直しを宣言してます。

鉄道の世界では起きた事故や重大インシデントに対しては時に過剰な対応を取る一方、起きていないけど可能性のある問題はスルーされやすいう傾向があります。今回が将にそれです。加えて事故現場に脱線車両を復線させる十分なスペースが不足していて復旧に手間取ったってこともあります。この辺も見直しが必要ですが、時間とコストがかかります。

おまけですが、復旧作業にはJR東日本と東急の支援があったそうで、こうした鉄道事業者同士の横の繋がりはそれなりにある訳ですが、事故の予防にも活かして欲しいところです。

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Saturday, May 25, 2019

佐賀と滋賀で「詐欺だ!」

Brexitが迷走しております。

メイ英首相、辞任を表明 EU離脱混迷で引責 (写真=ロイター) :日本経済新聞
EUと合意した離脱案が議会で承認されず、残留派が求める国民投票の再実施を、盛り込んだ離脱案を議会に提出したことで、与党からそっぽ向かれた結果です。残留派の多い自民党や労働党との譲歩を狙ったけど、寧ろ与党陣営から不信感を持たれたってことですね。

とはいえ与党の離脱派に戦略があるという訳ではなく、強制離脱しても大丈夫という楽観論以上のアイデアはないようです。強硬姿勢のEUから譲歩を引き出せなかったことで弱腰外交と言われ、強硬論に勢いを与えてしまいました。よく見ればEUでも強硬論を唱えるのは専らマクロン仏大統領で、他国は寧ろ強硬離脱のダメージを心配しているのが実際です。フランスはWW1の戦後処理でドイツに法外な戦後賠償を課してナチスの台頭をもたらした歴史がありますが、同じ愚を繰り返すのか?ここまでボタンの掛け違いが起きると、解決は困難になります。

てな世界の動きと比べっるとずっと小さなスケールでのボタンの掛け違いが起きているのが我が日本です。フリーゲージトレイン(FGT)という和製英語で呼ばれる軌間可変車(GCT)の開発を当てにして当初狭軌のスーパー特急方式で整備を予定していた長崎新幹線がGCTの開発断念で、全線フル規格化を求めるJR九州と長崎県に対して、佐賀県がNoを突きつけた結果佐賀県バッシングが起きているという小さな話です。国家主権に関わるスケールのBrexitに比べると、ローカルな綱引きで揉めてるってのはある意味日本らしいですが。

整備新幹線としての九州新幹線は当初スーパー特急方式を前提に鹿児島ルートの八代市―鹿児島市間が先行整備されましたが、整備途上で度々見直され、八代以南の工事途上で船小屋温泉―八代間の工事着手が決まり、更に博多―船小屋温泉間も着手し、しかもフル規格に変更されました。その際、当初駅設置予定の無かった佐賀県にも建設キロ案分で負担を求められ、佐賀県は抵抗したものの押し切られ、せめて駅を作ってくれということで、当初予定されていなかった新鳥栖駅の設置が決まった経緯があります。

一方の長崎ルートは武雄温泉―諫早間のスーパー特急方式のまま着工順位待ち状態だったところ、鹿児島ルートの全線フル規格化で長崎県が熊本に後れを取りたくないとフル規格化と早期着手を求めるようになりましたが、有明海の堆積土で軟弱地盤の佐賀県が、事業費膨張による負担を嫌って反対します。

加えてルートから外れる鹿島市など3市町で反対の声が上がり、反対派首長が選出される事態となりました。並行在来線として肥前山口ー諫早間が切り離されることになりますから当然の声ですね。その中で国が開発中だったGCTの採用で佐賀県に配慮することになり、また並行在来線も県が線路保有してJRが第2種事業者として当面営業し、博多―肥前鹿島間の特急を走らせるなどの譲歩の結果、整備区間のフル規格化と諫早―長崎間の追加整備も決まり、工事着手されて2022年開業予定となっております。見果てぬ夢
が曲りなりに動き出した訳です。

しかしGCTの開発は無理と踏んで車輪の下で論じましたが、案の定GCTの開発はました。GCTは車軸に沿って車輪をスライドさせストッパーで所定の位置に固定する仕組みですが、その分余分な部品が必要で重量増となりますし、しかも高速走行で振動に晒されるバネ下重量の増加ですから、その分線路を痛めます。加えて相当な強度を求められますから、それも重量増の要因となり、実用レベルのものにするのは困難な訳です。バネ下重量が大きいためにモーター筐体や歯車装置がゴツくなる吊り掛け駆動が淘汰されたのと同じ問題です。

加えて山陽新幹線に乗り入れて新大阪まで走る前提ということで、当時のぞみで主力の300系に合わせて270km/hで安定走行の開発目標だったのですが、その後500系が300km/h、700系が285km/hとスピードアップされたため、270km/hの目標をクリアしても山陽新幹線を走れないということになります。とはいえ元々バランスの難しいGCTでは簡単にスピードアップはできません。加えてGCTならではの欠点も明らかになります。

1つは新幹線での高速走行を前提とするが故に、在来線に比べてホームが高く、それに合わせて床を高くしなければならないことになります。これは高速走行のための大出力モーターの架装の必要性もある訳ですが、そうすると車輪径を大きくするとかもバネ下重量増の要因になりますし、同時に台車軸距を伸ばさないと狭軌の車輪間に納める大出力モーターの架装が難しくなります。

この点は標準軌のミニ新幹線とは異なる訳で、JR東日本の400系、E3系、E6系ではヨーダンパを二重化して短軸距で高速安定性を担保しながらカーブの多い在来線区間の滑らかな走行を両立させてますが、GCTでは軸距を伸ばさざるを得ず、台車枠が大柄になってこれも重量増の要因になりますし、在来線区間での滑らかな走行を望むべくもなく、それどころかフランジとレールにかかる横圧が大きくなり線路を痛めます。故にGCT走行区間の在来線は軌道強化を余儀なくされますし、曲線通過速度も10km/hから30km/h程度の減速を余儀なくされます。余談ですが解決策として炭素繊維車輪なんてもんが開発され、熊本電気鉄道で採用されてますが、軌道が弱いローカル私鉄にとっては光明でも、購買力を考えると開発費の回収は難しいでしょう。

そして軌間可変部分の部品の劣化で頻繁な交換が必要ということが明らかになり、メンテナンスコストを押し上げます。結局これが決め手となり、JR九州が採用見送りを決め、全線フル規格化を要求することになります。GCT開発に入れ込む国(鉄道・運輸機構)に対しては民主党政権時代の事業仕分けにかけられ、あわや開発中止の可能性もありましたが押し切られました。ここで引導を渡していれば、少なくとも拗れることはなかったかもしれません。国の問題もありますが、鉄道のプロとしてのJR九州の不見識も問題です。

そもそも佐賀県は地方創生の成功例と言われる福岡都市圏に木菟する訳で、新幹線の直接的な恩恵はあまりありません。この辺東海道新幹線の南びわこ駅問題でJR東海にNoを突きつけた滋賀県と似ています。滋賀県は元々近畿圏アーバンネットワークの勝ち組で、転入人口増で潤っている訳で、財政負担してまで新幹線駅を作る必要はない訳です。北陸新幹線の延伸問題で滋賀県を避けたルートが取り沙汰される一方で、並行在来線として湖西線の切り離しなんて話が出てきて滋賀県は態度を硬化させてます。佐賀共々こう叫びたいでしょう。「詐欺だ!」関連してこんな記事を紹介しましょう。

隣の大都市と補完 山形・大津・佐賀市の活性化策  :日本経済新聞
奇しくも大津と佐賀の事例が出てますが、隣接大都市との補完関係を築くことで活性化が図れるってことです。地域活性化のための新幹線って、結局並行在来線の引き受けまで視野に入れると、地域に負担がのしかかることも忘れてはいけません。そしてこれ。
九州・北陸新幹線、建設中の区間で「投資効果<費用」  :日本経済新聞
人件費の上昇で費用対効果比が悪化しているって話です。長崎ルートに関してはGCT開発失敗の影響もありますが、現状ではJR九州が引き受けを渋っています。勿論全線フル規格着工に誘導するための条件闘争でしょうけど、GCTも代共々JR九州の見識を疑います。

元々投資収益逓減の法則で、後発案件ほど費用対効果比は悪化するんですが、整備新幹線もご多分に漏れずってことです。元々需要の旺盛なところから事業着手される一方、完成後の経済活性化で需要の弱いところの経済効果が厳しくなります。元々新幹線売却代金に上乗せされて発足した鉄道整備基金ですが、鉄道・運輸機構に引き継がれてますが、別に新幹線財源に限定したものではなく、つくばエクスプレスの建設でも使われています。基金ですから基本は低利融資なんで、完成引き渡し後30年で償還される前提ですが、それじゃ足りないと与党サイドの声を反映して財務省が償還期間を50年に延ばそうとしてますが、整備新幹線の受益の範囲の負担というルールを無視してます。

寧ろ例えばJR北海道の体質改善投資など、より必要性の高い投資にシフトすることが望ましいところですが、肝心の道知事が鉄道廃止上等のスタンスなのが残念です。

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Saturday, May 11, 2019

セコCOCOM

5月4日、令和を祝うように祝砲が上がった東アジア。ホリエモンロケットと北朝鮮の飛翔体。同じロケットでも政治が絡むと呼称が変わります。敢えてミサイルと呼ばないのは、アメリカも和平プロセスそのものは維持したいからです。対中国、対イランでガチ勝負だから北朝鮮どころじゃない訳です。ホリエモンロケットならぬキムエモンロケット^_^;。

そしてアメリカの突然の対中国制裁発動ショックが連休明けの株式市場を襲います。礼は要らんどころかCOCOMしちゃった訳です。対中強硬策は80年代のジャパンバッシングと酷似は昨年末のエントリーで指摘した通りですし、基本的な枠組みは昨年末と何も変わっておりませんが、年が明けて米FRBが利上げ停止を宣言したのが大きく異なります。昨年中から市場関係者のFRBの利上げ姿勢への批判は絶えず、その声に押されるようにトランプ大統領も圧力発言を繰り返しておりましたが、利下げ停止を好感して市場は持ち直しました。そうなると元々史上最低水準の失業率に加えて緩和的な金融環境でアメリカの国内景気は堅調に推移します。FRBの利上げ警戒感で対中強硬策を採りにくい状況が変わって、強硬策を打っても国内景気への反動は弱いという判断が働いた結果です。

貿易摩擦、痛みは中国に 安定物価が米政権強気支える: 日本経済新聞
いや機を見るに敏というか、基本ビジネスマンのトランプ大統領らしいとは言えます。ここで強硬に出てもコストは許容範囲ってことですね。ビジネスマンのコスト感覚というか、基本セコいんです^_^;。

という訳でかつての冷戦に対して新冷戦という見方もされてますが、アメリカが問題視するのは軍事力よりも技術力の脅威であり、その様相はかなり異なります。故にかつてのCOCOMでは軍事転用可能な輸出品の規制だったのが、通信やハイテク分野での封じ込めが意図されてます。例えばCOCOM未加入で永世中立国を宣言していたスウェーデンのアゼア社(後にスイスのブラウンボベリー社と統合してABBを構成)がCOCOM規制で動けない欧米勢を尻目にユーゴスラビアなど東欧諸国への鉄道車両輸出を重ねます。それでもAMTRAKメトロライナー用電気機関車を輸出するしれっとしたところがありました。永世中立国って便利です。

ところが5G通信を巡る技術では、米クァルコムが気を吐いているものの、中国頼みの本音もあり、通信機器を含むトータル技術では中国HUAWEIとノキアやエリクソンといった北欧勢が中心で、アップルが頼みとしていたインテルさえ蚊帳の外。ましてNECや富士通、韓国サムスンやLGも国内だけのローカルブランドに成り下がっています。それでも韓国は5G一番乗りを宣言し、後にアメリカの前倒しで逆転されますが、日本勢は声も出ません。で、同盟国と呼ぶには微妙な立ち位置の北欧勢を頼みとする訳で、まして韓国勢とも微妙な距離感で、ある意味アメリカの焦りはよくわかります。その分同盟国への圧力は厳しくなる訳です。

しかもイギリスやドイツはHUAWEIを排除しない姿勢で同盟国をまとめ切れていない中で、アメリカの本気を見せる必要に迫られていたということは言えます。てことで、この事態は想定しておくべきだったということが言えます。そして中国の出方次第では膠着状態になることが予想されます。となると成果を出したいトランプ大統領は日本をターゲットにしてくるでしょう。不思議の国ののトランプの兵隊の足音が^_^;。

おまけ。

二俣川―新宿760円 相鉄のJR直通線の運賃が認可  :日本経済新聞
COCOMエントリーで取り上げた相鉄JR直通運転の運賃認可のニュースです。記事では合算額のみの記述ですが、相鉄新線の西谷―羽沢横浜国大間の営業キロ2.1㎞でおそらくJRは鶴見―横浜羽沢間の営業キロ8.8㎞を適用し、相鉄新線に30円の加算運賃という構成ですね。横浜乗換の現行運賃よりやや割高ですが、列車本数が限られる中、乗客の転移が増えすぎても困るという微妙なとk路が垣間見えます。ハイテクを巡る米中のせめぎ合い同様複雑な構図です。

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Thursday, May 02, 2019

平静装い礼は要らん

10連休をいかがお過ごしでしょうか。元号フィーバーで浮かれるメディアのお陰で世界で起きていることの扱いが軽くなっていると感じられるところですが、元号が変わっても時代は1ミリも動かない一方、世界を揺るがすニュースはあります。

ベネズエラ、「クーデター」不発か 野党、大規模デモ再び呼びかけ (写真=AP) :日本経済新聞
米、イラン原油禁輸で適用除外を撤廃 中国は反発、輸入継続も (写真=ロイター) :日本経済新聞
内政が不安定化しているベネズエラでクーデター未遂ですが、ロシアがマドゥロ政権の支援を打ち出していて、丁度シリアと同じ構図になっています。違うのはアメリカがかなりあからさまに手を突っ込んでいる点です。

チャペス政権時代に油田を強引に国有化したことで外資が引き揚げた結果、油田の設備更新が滞り生産量が減っているのは確かですが、それに留まらず米銀との取引を制限する経済制裁により国内経済が壊滅的な打撃を受けたものです。原油取引が米ドル建てである故に、米銀との取引制限は事実上の輸出規制と同じです。石油輸出しか外貨獲得手段のないベネズエラにとっては致命的です。で、アメリカのメディア報道をなぞるだけの日本のメディア報道は最初から偏ってますから、それを踏まえて見ていく必要があります。その観点から、反政府勢力は軍隊を掌握できなかったってことですね。この辺も欧米が支援する自由シリア軍が劣勢なシリアと似ています。

そしてイラン制裁で日本を含む8ヶ国で猶予していたイラン原油輸入規制の猶予が2日で終了しました。日本はサウジやUAEからの輸入を増やしてイラン原油から切り替えましたが、中国は継続を表明し、インドやトルコも対応は不明です。加えてロシアもイランを後押ししてます。その結果ベネズエラ問題と相まって原油相場を押し上げると見られており、日本国内でもガソリン価格がジリジリ値上がりしています。ガソリン価格上昇は米トランプ政権にとってもマイナスなので、サウジなどOPEC諸国に増産を求めてますが、原油価格を上げたいOPEC諸国はイラン輸出分の肩代わりを超える増産はしたくない一方、非OPECのロシアなども減産方向で協調しているという石油を巡るねじれが起きています。

で、日本ですが、原油価格上昇は輸入物価上昇でただでさえさえない国内消費を確実に冷やします。しかも上がるのはガソリンだけじゃないってことですね。電気ガスなどのエネルギー価格はもちろん、工業製品全般にとってコストアップ要因ですし、農業もハウス栽培物のコストを上げますし、漁業も燃油価格上昇で確実にコストアップになります。これで10月の消費税増税が待ち受けるんですから、どう転んでも経済は停滞に向かいます。

しかも日銀の異次元緩和が続いている現状では追加緩和の余地は殆どありません。つまり経済が停滞しても打つ手がない訳ですね。この辺次の経済停滞を睨んで資産圧縮と利上げを粛々と進めてきた米FRBとは大違いです。そのFRBもトランプ大統領からのあからさまな圧力がかかってきてます。しかしパウエル議長は毅然としてます。

パウエルFRB議長、政治の意向「考慮せず」 (写真=ロイター) :日本経済新聞
この問題は市場関係者もトランプ大統領と同調していて、会見後に株式は失望売りを浴びせられましたが、パウエル議長は意に介してません。あくまでも中央銀行の独立性を維持する姿勢です。実はFRBの利上げで日米金利差から円安を期待していた日銀が一番困ってるとか。円安誘導という隠れミッションのために金融政策の自由度を失った訳で、金融のトリレンマから当然こうなるんですが。

それに留まらず日銀は株価指数連動投信(ETF)と不動産投信(REIT)の購入も大規模に行っており、遂にGPIFの保有高をも上回る水準が見えてきました。

日銀、日本株の最大株主に 来年末にも  :日本経済新聞
ETFは指数連動となるので値がさ株ほど多く組み入れられますから、個別企業で見れば既に日銀が筆頭株主になっていたりします。これつまり元々個人が買いにくい値がさ株が更に個人が買いにくくなるということで、寧ろ個人の株式投資を遠ざけます。加えて上場ETFの7-8割が日銀とGPIFの保有ですから、手数料が安く個人向けと言われるETFが却って個人の買い難さをもたらすという矛盾もあります。

ここで若い人にヒントですが、iDeCoや積立NISAで金融機関からETFを勧められたら、日銀やGPIFが保有してるかどうか尋ねて、回避しましょう。そしてETFに組み込まれていないバリュー株を見つけて投資しましょう。日銀やGPIFが保有するETFは将来売りに出されて必ず値下がりします。みすみす損するとわかっているものには手を出さないことが大事です。逆にETFに組み込まれていない銘柄はかなり高い確率で安値で放置されてますから、事業内容を見極めて投資する妙味があります。但し自分の知識としてその業界に関する詳細な情報が得られていることが大事です。分からないものには手を出さない慎重さは投資家として必須の資質です。鉄ちゃんならば鉄道株はありでしょう。

とはいえ昨今のインバウンド景気で既に値上がりしていると見られますので、鉄道株に関しては今が買い時かと言えばやや疑問です。加えてMaaSで将来も見通しにくいところがあります。MaaSに関しては欧州で既に始まってますが、欧州の場合都市交通分野で運輸連合方式による共通運賃制が実現していることで、運輸連合がそのままMaaSのプラットフォームに使える状況があることが指摘できます。この点は日本は全くと言っていいほど遅れています。せめて東京の2つの地下鉄の共通運賃化ぐらいはすぐにでも検討を始めるべきでしょう。

てなわけで平成の枠組みから1歩も抜け出せない令和にいきなりイラン原油輸入が止まり原油価格上昇で国内消費を冷やす訳です。タイトルはダジャレでわない(汗)。

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Sunday, April 28, 2019

人間だもの

10連休が始まりました。個人的には仕入れ先も取引先も休むんで、一緒に休みますが、どこ行っても混んでるんで、家に籠って粛々と休みを消化する予定です。てことで取り上げるのはこれ。

接触事故後に急加速、気が動転か 池袋暴走 (写真=共同) :日本経済新聞
赤信号で進入か 運転操作を捜査、神戸バス死傷事故 (写真=共同) :日本経済新聞
何れもオートマ車の暴走事故で2日連続の惨事となりました。前者は87歳の元通産官僚、後者は64歳のバスドライバーですが、共に現行犯逮捕案件なのに対応が分かれました。それ故に忖度が働いたんじゃないかとネットで話題になりました。前者は加害者自身も負傷入院中だから逃亡の恐れがないという指摘もありましたが、日本の警察の過去の対応を見る限り、負傷入院中でも容赦なく逮捕している訳で、違う対応になっていること自体は確かです。

それと高齢ドライバーの問題として取り上げられてますが、オートマ車の操作ミスによる暴走事故自体は年齢に関係なく起きている訳で、寧ろマンマシンインターフェースのヒューマンファクター系のトラブルじゃないかと考えております。端的に言えばマニュアル車ならばアクセルとブレーキを間違える操作系ミスはエンストで止まりますし、そもそもクラッチやシフトレバーを含む一連の動作でミス自体起こりにくいってことがあります。

加えて昔のオートマ車は非力なエンジンに前進2段とか3段とかのシンプルなもので、アクセル踏み込んでもスムーズに変速して加速するような代物じゃありませんでした。これ元々アメリカで普及したトルコンATシステムを移植した結果ですが、5-7リッターのトルクフルなエンジンでトルクコンバーターを介してトルク変動を吸収してメカ部分をシンプルにする設計思想から来てますから、昔の日本車の非力なエンジンじゃうまく機能せず、タイムラグを伴うレスポンスの悪さとなります。加えてトルク変動による駆動輪の回転モーメントによるリアの沈み込みもありますから、暴走する前にミスに気付きますし、暴走するほどの力もなかったと^_^;。

それに比べてHVのプリウスも含めてオートマ車のアクセルのレスポンスは著しく進化していて、殆どストレスなく加速するようになっていることが影響しているんじゃないかってことを言いたい訳です。つまりミスに気付きにくくなり、結果的にダメージを大きくしているんじゃないかってことです。高齢者の免許証取り上げれば解決する問題じゃないってことです。

加えて最近の車は総じて乗員の安全確保が進化しており、よほどの事故じゃなければ乗員のダメージは少ないってこともあります。だからカジュアルに煽り運転ができてしまうってことも指摘しておきます。実際車間を詰めて煽ってくる車の多さは日常的に実感しておりますし、事件化して報道される事例もある訳ですね。車の性能や安全性が向上したことが、皮肉にもこの手の事故を誘発してるんじゃないかってことです。

ヒューマンファクターといえば14年前の25日に起きたJR西日本福知山線尼崎脱線転覆事故でも指摘されました。余裕時分を削り込んだタイトなダイヤでオーバーランと停止位置修正で後れが生じたことを気にした運転士が引き起こした事故ということで、JR西日本は批判にさらされました。加えて当該の運転士が過去にもオーバーランによる遅延で日勤教育と称する懲罰的処分を受けていて、ミスを重ねると乗務から外されることを気にしていたことも指摘されました。

日勤教育自体は国鉄時代から行われていて、JR西日本以外のJR各社でもほぼ同じように行われておりました。その中でJR東日本だけは日勤教育の名称は残しながら、実際は変更や確認事項の現場への連絡手段に変化していました。安全面では明らかに一歩リードしていた訳です。それもこれも1988年12月5日の東中野駅列車追突事故で運転士が死亡するということがあって、安全問題が見直されたものです。

事故は余裕時分の見直しによるダイヤ改正が行われた翌日というタイミングで起きたもので、当時の中央総武緩行線は201系と103系が混在していた中で起きており、201系では余裕のある新ダイヤも103系ではいっぱいいっぱいで、実際遅れていた停車中の103系の先行列車に201系の後続列車が追突した事故でした。遅れにより司令との交信に気を取られた後続列車の運転士のミスと判定されました。

その結果JR東労組がヒューマンファクターの見直しを本社に申し入れ、ATS-Pの設置スケジュールが前倒しされ、安全教育のための研修センターが福島県白河市に設置されるなど、目に見える改善がされました。また老朽車両の取り換えも積極化され92年の901系(後の209系試作車)投入につながったと見ることもできます。強面の労組が機能した事例です。同じ労組でも中核系の千葉動労は103系の取り換えに最後まで反対してますから、同じ労組でも違うもんです。尤もJR東日本は愚かにもJR東労組を潰しにかかりました。将来が心配です。

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Sunday, April 14, 2019

ガラクタ>ポンコツ

鏡の国の未来の話です。まずこれ。

総人口1億2644万3000人、減少率0.21% 18年10月時点  :日本経済新聞
2008年から日本の総人口は減少に転じてますが、度々指摘してますが、より重要なのは1997年から始まった生産年齢人口の減少の方です。生産年齢人口の減少はつまり雇用者の減少ですから、その分世帯の所得の減少となります。実際GDPの分配面を見れば、雇用者報酬は一貫して減少してます。当然消費が減少しますから、価格抑制の力学が働いて、巷間言われるデフレが生じる訳です。貨幣現象じゃないから金融緩和しても解決しない訳です。

生産年齢人口の減少はかように経済を縮小させるインパクトがある訳ですが、これも度々指摘してますが、高齢化に伴うリタイア人口の増加が原因であって、このタイミングで少子化対策しても、生産年齢人口は増えない訳で、保育の無償化などの少子化対策はやるだけ無駄どころか財政再建に回す筈の消費税の増税分を充てるってことは、事実上国債発行と同じ負担の先送りにしかならず、却って将来の負担を増やします。

結果的に高齢者と女性の労働力率が高まって雇用者人口は増えてますが、少なくとも推計方法変更前の2015年までのGDPは増えてないので、労働力の投入量が増えたにも拘らず付加価値は増えてない訳ですから、その分労働生産性が低下した訳です。詳細に見ると高齢者の嘱託や主婦のパートなど非正規雇用が増えた訳で、雇用の劣化を伴っている訳ですから、毎月勤労統計で誤魔化しても隠しようのない現実です。少子化対策したくても、保育士も不足しますし、保育士を増やせばその分他のセクターの雇用が圧迫されますから、どのみち社会は回らない訳です。これ働き方改革も無駄ってことでもあります。

そうは言っても労働力不足は賃金を押し上げますから、低賃金セクターほど人が集まらず人手不足倒産も有り得るってことで、ヤマト運輸の労使協議で料金値上げと荷受け縮小を決めて、それを原資にして賃上げと労働時間圧縮を図った結果、寧ろ人が集まって荷受けも増やすことが出来てと好循環になりました。働き方改革のためにはホント労組大事。労組潰ししたJR東日本のスットコドッコイの将来が不安です。

で、賃金を上げられない不人気業種では、人手不足倒産が現実問題となる訳で、後は外国人に頼るって流れです。これも外食やコンビニでは既に留学生アルバイト抜きには回らない状況ですが、実はバブル期から兆候はあったものの、バブル崩壊による経済減速に助けられて、不良債権処理の借り手側の過剰債務対策で人件費カットを余儀なくされて新卒採用の手控えが起きて、所謂ロスジェネ問題で一息ついたのが実態でしたが、若年人口の減少で逆に新卒の有効求人倍率が高まった結果、頼みの若いフリーターの補充が効かなくなり、その穴を留学生が埋める流れです。

しかしそれも限界でいよいよ賃金上昇が現実に起きると、外食では営業時間の短縮が始まりますが、24時間営業のコンビニではそうはいかず、遂に見直しを迫られることになりました。ただしコンビニでは既に弁当の3便配送をはじめ、24時間営業を前提とした店舗オペレーションでシステム化されてますので、人が集まらないから営業時間を短縮するという訳にはいかず、とりあえず実験で検証する段階です。高度に効率化されたが故に、無人レジなどのストアオートメーションによる省力化の余地も少なく、寧ろ自社競合によるオーバーストアの地域もあることから、単なる営業時間短縮よりも店舗閉鎖が進む可能性があります。

そしてやはり不人気業種の建設業ですが、元々現場仕事は10年程度の見習い期間が必要で育成に時間がかかるにも拘らず、若手の補充が滞ってますから、平均年齢の上昇著しく、いずれ回らなくなります。ここでは技能実習生が頼みでしたが、仕事教えても3年や5年で帰国されると結局戦力にならないということで、入管法改正による新在留資格を要望することになり、この4月から実現しましたが、狙いは実際に現場にいる実習生を帰国させないためでしかありません。

それなら本人の希望に合わせて永住権や国籍の取得ができる移民制度にすればいいのですが、国内の反対論に配慮して移民じゃないと言い張ってますが問題です。外国人を労働力として受け入れることの落とし穴は、労働者が消費者でもあることを見落としてるんですね。労働力の補充よりも消費者として国内消費市場を支え、税や社会保障の担い手として迎え入れるという視点が必要です。これつまり移民そのものです。そして技能実習生制度の烈悪なバージョンアップでは労組への加入なども考慮されてませんので、長時間労働や賃金ピンハネなどの不正の温床にもなります。差別による治安悪化と隣り合わせですね。

内緒ですけど^_^;、新在留資格でも5-10年の在留期間が終われば帰国する訳ですから、結局建設業の人手不足は解消されません。それ以前に今でも年間50万人規模で生産年齢人口が減っているときに5年で35万人とか算数できないのか?wwwwwそういう中で鏡の国で指摘したように古い利権構造で地元への利益誘導で公共事業引っ張って来るってのは、それだけ建設業にストレスを与えますから、様々な矛盾をもたらします。そんなニュースがこれ。

豊洲市場、くすぶる「民営化」  :日本経済新聞
産地直送やBtoCのEコマースの拡大などで元々築地時代から年々取扱額は減っていましたが、豊洲移転でますますその傾向が強まっております。築地市場の豊洲移転はそもそも築地の施設の老朽化と手狭さが理由とされてましたが、大枚はたいて巨大ハコモノ作ったらそっぽ向かれた形です。そして軟弱地盤や土壌汚染問題でコストもハネ上がっていて赤字確実と言われてた中での低迷ですから、それだけ東京都の財政を圧迫します。

そうなると公設市場法の改正もあって民営化の議論が出かねません。これ東急世田谷線レベルの輸送規模でキロ100億円の地下鉄を作るぐらい頭おかしい話です。老朽インフラと新設インフラの関係で見れば下関北九州道路代とも通底しますが、後先考えず巨大インフラ投資を決めて責任は取らずあとは野となれってことですね。

そしてタイトルの意味ですが、ガラクタもポンコツも役に立たないものという共通の意味がある一方、ポンコツは語源である拳でコツンと殴るが転じてハンマーで叩いて解体するものである一方、ガラクタは見方を変えれば価値が見いだせるものという意味で希望があります。故に不等式でつないだんですが、つまりコンバージョンってことですね。新しいもの作って古いもの壊す繰り返しは結局健在を疲弊させますから、知恵を絞ってガラクタを活かすことこそが、人口減の日本にとっては有益です。

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Sunday, April 07, 2019

鏡の国のアベノミクス

不思議の国の続編はやっぱ鏡の国でしょ。ってことで、あれこれ始めます。

塚田前国交副大臣の発言「でも私は忖度」→「おわびする」  :日本経済新聞
渦中の副大臣が忖度したかどうかは些末なことでして、11年前、福田政権時代に費用対効果が不十分として却下された下関北九州道路の事業が国の直轄事業として調査費が計上されたことの不透明さが本質です。現状R2関門国道トンネルと高速道の関門橋の2ルートがありますが、老朽化で国道トンネルは10年に1度の大修繕による通行止めが毎年行われるようになっていて、国土強靭化による災害対策のための二重化という議論があるのですが、そのために2,000億円をかけることが妥当かどうか冷静な判断が必要です。

ルートの二重化はメンテナンスの負担増を意味します。相応の経済効果があるならば良いのですが、関門橋の通行量も予定の半分の水準で、国道トンネルの通行止めの影響を吸収可能な現状からすれば、大した経済効果は見込めません。そうなるとメンテナンス費用のかかる国道トンネルの閉鎖も視野に入り、唐戸水産市場のある下関市東部の経済的な地盤沈下をもたらす可能性もあります。それでもやるのかってあたりの議論がきちんとされてるようには見えないんですよね。

この手の話は日本中にありまして、東日本大震災の津波被害を受けた地域でも、大規模防潮堤建設の是非が議論になった結果、人の住んでないところばかり工事が進んでしまい、いったい誰を守る防潮堤なのかって現状があります。福島第一原発事故関連でもいい加減な除染作業で復興予算が食いつぶされたり、がれき処理を広域処理と称して持ち出した結果、焼却工場を木質バイオマス発電につなげようという地元の構想が頓挫したりとか、土建屋ベースで物事が進む現状がそこかしこにあります。

国土強靭化の名の下に経済効果が十分検討されない公共事業がそこら中で復活したり新たに立ち上がったりしてますが、そのための予算が赤字国債発行を前提にしているわけで、アベノミクスの第2の矢として機動的な財政出動が謳われてもおりますが、経済効果のない公共事業をやる余裕が日本の政府財政にはありません。90年代の財政出動で赤字を累積していて政府予算の最大費目が国債費でその半分は借換債ですから、過去の赤字の清算ができていないのに赤字を重ねる訳ですね。しかも既にケインズの言う乗数効果も1倍即ち有効需要を生まない水準なのは政府も認めています。

加えてここへ来て深刻な人手不足で折角予算が付いた公共工事も人が集まらず未執行となり財政出動不発となる現状があり、2020年の東京オリパラ関連で人手が取られて震災復興も遅れている状況です。五輪関連は元々旧国立競技場の改修をはじめ既存施設を活用し半径8㎞以内で実施という計画だったものが、招致が決まった途端に新競技施設の建設が次々に決まり、加えて築地市場の豊洲移転と環状2号線の整備が強行されました。これも都知事選で争点化した後に迷走し、結局環状2号線は仮設状態でつながったものの、晴海の選手村からの移動がネックになるのは確実です。ここを京成バスが受託した環2BRTが走るらしいですが、混乱は確実です。加えて五輪後の地下鉄計画も。

銀座から臨海部へ都が地下鉄、羽田直結目指す : 国内 : 読売新聞オンライン
これTBSのメトロ都営統合報道を思い出させる観測気球ですね。実態はこれから検討という段階ですが、一方で豊洲移転の遅れで政治路線化したマジ卍な豊住線はメトロが作るのが望ましいとしていますが、1日13万人の利用を見込む豊住線よりこの臨海部地下鉄を都としては優先するってことです。5㎞で1日5万人ってザックリ言って東急世田谷線レベルの輸送規模ですが、それに2,500億円、キロ500億円の事業費を見込むってのは採算性は関係ないって頭おかしいレベルです。

この臨海部地下鉄構想ですが、言い出しっぺは中央区で、当初環2LRTが五輪輸送を睨んだ暫定BRTとして上記のように京成バスの受託に至ったんですが、一方で2020年五輪招致が決まったところで地下鉄構想を唐突に主張し、交通政策審議会の2016年答申に滑り込ませた経緯があります。明らかに五輪絡みの利権漁りの気配があります。

直通運転が示唆されるつくばエクスプレスについては、沿線開発が急過ぎて混雑緩和対策に追われた結果、懸案の東京駅延伸の事業費1,000億円をねん出できない状況ですが、更に銀座まで伸ばすとすれば同じぐらいの事業費が上乗せされますから、ほぼ不可能でしょう。羽田直通はJR東日本によるりんかい線引き受け問題との絡みで、可能性はあると言えばありますが、地下駅の国際展示場駅をジャンクションに改造するのは相当な事業費の上振れの覚悟が要りますので、やはり実現可能性は薄いでしょう。しかも都営地下鉄として整備とは言っていません。つくばエクスプレスかJR東日本に丸投げのつもりでしょう。

政治家にとっては公共事業による利益誘導はわかりやすい有権者へのアピールになるんでしょうけど、それに留まらず土建屋の集票能力への依存の意味なんでしょう。採算性が問われる鉄道事業でさえ採算度外視の計画が動いてしまう危うさは要注意ですが、別の面から言えば、それだけ土建業会は労働集約産業としての性格が強いってことでもあります。そこで気づいたんですが、公共事業の乗数効果の低下はこれが原因じゃないかと思い当たります。

つまり公共事業に依存しなければ存続が難しいゾンビ的な土建業に栄養を与え続ければ、そこへ雇用が張り付いて国全体の生産性を下げてしまうという点です。日本の低生産性は公共事業依存の結果なのかも。しかも人口減少で人手不足は若年労働力の確保が難しくなりますから、外国人を入れないと回らないってことで、入管法改正を急いだわけですね。加えてこのニュース。

ジャパンディスプレイ株が急伸 台中勢傘下で再建進展の期待  :日本経済新聞
政府系ファンドによる国内企業の救済策は死屍累々で外資に売り渡した途端に株価が上がるって、これ公的資金でゾンビ企業を延命させている結果と見れば、公共事業と同じように日本の生産性を低下させる元凶と言えるでしょう。結局ゾンビ退治ができないから生産性が下がって成長できないけれど、それがバレると選挙で勝てないから統計弄って誤魔化すことになります。その結果アベノミクスは迷走しっぱなし。鏡の国の迷宮に迷い込んだアリスの如しです。

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Saturday, March 30, 2019

不思議の国のアベノミクス

アセット・バブル・エコノミクスの頃から指摘している通り、うまくいかないしやめられなくなると言い続けてきたアベノミクスですが、予想通り迷走しております。当初2年で2%のインフレ率達成を目標としたQQEも度々目標達成を先送りして現在に至りますが、出口が見えない中で景気の谷が近づいているのに動けない日銀です。 今囁かれているのがマイナス金利融資という奇策ですが、現在のマイナス金利が日銀当座預金に銀行が追加で預け入れした分に適用されるのですが、その原資は国債の日銀への売却代金ですから、僅かながら利子が付く国債を売って日銀当座預金が増えれば銀行にとっては損失になりますが、逆に融資の形で日銀が銀行に貸し付ければ、銀行がその資金を利の薄い銀行間取引や債券投資に振り向けることで、僅かながら利ザヤが生まれます。つまり体の良い銀行補助金って訳ですが、これなら銀行から批判を浴びた日銀預託分のマイナス金利付利に対し、銀行懐柔に使えるって訳ですね。銀行の中の銀行も地に堕ちたもんです。 元々QQEは金融圧迫にしかならないと言い続けてきました。QQEによる国債爆買いは国債市場を圧迫して市場金利を歪めたことに留まらず、市場で売買される現物が減って銀行が運用難に陥る訳ですが、当初「ポートフォリオ・リバランス」と称して国債投資に偏った銀行のポートフォリオ見直しを示唆しました。これぶっちゃけ外債投資を促したわけですね。というのは日銀が直接外債を買うと為替介入と見做されて国際的に非難を浴びるので、銀行の余剰資金を振り向けさせるという訳です。 その結果外債投資に傾斜した銀行各行ですが、米FRBの緩和縮小と利上げで状況が変わり、保有外債が金利上昇で含み損を抱える状況で持続可能ではなくなりつつあります。ちなみに今季6,800億円の減損処理を発表したみずほ銀行ですが、内1,800億円は外債含み損の減損処理で、他行に先駆けてはおりますが、これで打ち止めという保証はありません。外債投資が無理で行き場を失った資金は国内社債投資にシフトしているようですが、ハイリターンを狙ってハイリスクな劣後債に集中しているようで、景気の谷を迎えるこれからを考えると不安です。 そもそも銀行の一番の収益源となる筈の融資ですが、企業の国内設備投資が冷え込んだままですから融資が伸びない。そんな中で数少ない融資先として不動産融資に傾斜した結果、地価が上昇している訳ですが、これも選別が激しくなり、今や駅近7分以内以外は見向きもされない状況です。バブル崩壊後の地価下落と再開発絡みの容積率緩和で人口の都心回帰が進みましたが、地価上昇でマンションの価格が押し上げられ、売れ行きにブレーキがかかり始め、ここへきて異変が起きてきています。 インバウンド需要の拡大でホテル不足から都心の好立地はホテルに買い負けるようになり、より地価の安い郊外の駅近へ、そして地方都市へという流れで、宇都宮や高崎にまでタワーマンションが建つ状況です。誰が買うんだか。あと交通結節点のマンション人気は強く、武蔵小杉に続いて海老名の人気が高まり、開発が加速しております。そしてこのニュース。

相鉄、悲願の東京都心直結へ 11月末からJRと直通  :日本経済新聞
武蔵小杉のタワマン群のお陰で横須賀線の混雑が助長されていることは限界都市川崎で述べた通りですが、始発で座れる海老名のタワマン族が利用するとすれば、JRと相鉄の直通で列車本数が増えても武蔵小杉に着く前に満員とタワマン族が被る状況もあり得ます。相鉄としてもいずみ野線に残る保有地のマネタイズとバランスの取れた街づくりがしたいところでしょうけど、目論見が外れる可能性があります。 加えて五輪後の不動産市況の変化も見逃せません。東京都心エリアではJR東日本の高輪ゲートウエーの開発進捗があり、また晴海の五輪選手村も改装して分譲マンションとして売り出されますが、その辺のタイミングで東京も人口減少へ転じると予想されております。需要が減って供給が増える訳ですから、値崩れは確実でしょう。ホントアベノミクスいいとこなし。 居や国内はともかく外交特に通商交渉ではTPP11や日欧EPAでをまとめたじゃないかと言われますが、TPPを離脱したアメリカの復帰を狙って農産物で大幅譲歩した結果、異変が起きています。
農産品輸入、米国離れ 牛肉・豚肉のシェア低下  :日本経済新聞
オーストラリアとカナダ産の牛豚肉のシェアが拡大して米国産を圧迫している状況です。これから始まる日米通商交渉はさぞや地獄でしょう。浅はかです。 てな訳で、トランプの兵隊に追い詰められた不思議の国のアリスですが、アベノミクスも同じぢゃん^_^;。

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Sunday, March 24, 2019

ブレブレBrexit

 


前エントリーからまたブレてるBrexitの話題を続けます。

 



 


とりあえず今月29日の離脱期限を4月12日まで延期するから、その間に英議会で離脱合意案を可決させれば更に期限を5月12日まで延期し、翌23日から始まるEU議会選挙にイギリスが参加するなら、期限を無期限延期するという条件が示されました。とりあえず条件付きで短期の離脱延期を認めた形です。


しかしイギリスは離脱を前提に負担金の発生するEU議会選不参加を表明しております。つまりEU案を受け入れれば、結局事実上離脱は棚上げになってしまう訳で、英議会の賛成議決が得られる筈もありません。事実上限りなく残留に近い延期か強制離脱化の二択となる訳で、これ議会のみならずすでに悪化しているイギリス国民の対EU感情の悪化も招きます。仮に国民投票のやり直しをしても離脱が選ばれる可能性が高いという訳です。これ強制離脱が現実味を帯びてきたってことです。


この辺の条件設定はおそらくEU官僚の手になるものでしょうけど、主権ねた共同体のEUの性格が出ています。以前にも指摘しましたが、EUは主権国家の上位組織としての官僚機構という意味で、中国共産党と同じ性格があります。違うのは中国共産党は中華人民共和国という単一国家の上部機構なのに対し、EUは複数の主権国家により構成されている点です。故に憲法に当たる基本条約と修正条約としてのリスボン条約を加盟各国が批准することで法的地位を得ている点で、人民解放軍をはじめ強制力を持った実力部隊を動かせる中国共産党に対し、あくまでもEUの強制力は加盟各国に属するってことです。ただ国民から遠い存在という点では同じです。


だからこのようなイギリスの国民感情を逆なでするようなアイデアが出てきてしまう訳で、これでイギリス国民が強制離脱止む無しと考えるようになれば、結果的に火に油を注いだ形になります。ただし強制離脱となっても宗教対立解消のために締結されたベルファスト協定がある限り北アイルランドとアイルランドの間に国境を作る訳にもいかず問題は解決しません。


冷静に考えれば強制離脱といっても当面船便を止めたり積み荷を港で留め置いて引き渡しを止めるぐらいしかできることがないわけで、いずれEU加盟国の足並みが乱れてグダグダになるんじゃないかと予想しております。この辺複数の主権国家で構成されるEUの弱点ですが、EUの統制がガタガタになったときの加盟各国の反応は一枚岩には程遠いものにはなるでしょう。ロールスロイスとミニと一部エンジン工場を抱え英独でバリューチェーンを持つBMWでは当面の策として在庫積み増しを図っておりますが、後は様子見しかないということで悩みは尽きません。


そして日本ですが、ホンダの工場撤退に留まらず、トヨタや日産もイギリスでの生産見直しを表明していてやはりイギリス国民から日本は冷たいと言われている状況です。おそらく日米FTAの輸出数量制限がかけられると考えられますから、アメリカ国内での生産を強化する方向へ動かざるを得ないから、ルノーとのアライアンスがある日産はともかく、トヨタとホンダは欧州から遠ざかると考えられます。その割に今年からラ1参戦に復帰したホンダの行動はチグハグですが、今後EVシフトが進むと考えられる欧州でアピールするなら日産のようにフォーミュラE参戦愛のかな?時代の変化に疎い日本企業ホントにヤバいぞ。


例えば上述のBMWは自動運転でライバルのベンツと協力するという驚くべきニュースもありますが、目先の不透明感と裏腹に確実に長期戦略を進める欧州企業のしたたかさは見倣うべきでしょう。具体的にはメルセデスベンツ・アメリカがカリフォルニア州サンディエゴで始めたCar2Goというカーシェアサービスへの相乗りですが、2シーター小型EVの分単位課金の時間貸しサービスで乗り捨て自由しかも格安です。現状自動化されてませんが、ベンツもこの分野から自動化をやろうってことです。


これの何が凄いかっていうと、ベンツは当面EVを売ることを考えていないってことです。まずは乗ってもらって魅力を理解してもらって、満を持して大型セダンやSUVを売るつもりでしょう。というのは、CASEのエントリーで指摘したように、いずれクルマは売れなくなることを見越しているってことです。その時にそれでも個人で車を買う人ってのは乗馬を楽しむ感覚と同じ富裕層のホビーになる。そうなればブランドの確立したプレミアムメーカーの方が有利って訳です。とすれば都市内で利用される小型EVは寧ろコモディティ化を進めて数の正義を振りかざす量販メーカーを蹴散らすチャンスでもある訳です。


一方のトヨタはKINTOと呼ばれるカーリース事業でレクサスブランド6車種を自由に乗り換えられるプランを発表しました。所謂定額制サービス(サブスクリプション)ですが、これが恐ろしく高いし中途解約で懲罰的な違約金がかかるという供給側の論理まる出しの時代錯誤です。アイデア段階から勝負あったってことです。

 


CASEとMaaSの関係で言えば、ベンツのアプローチの方がMaaSを明らかに意識してます。それと同時に車自体のコモディティ化は避けられないとしても、プレミアムブランド中心にホビー化の流れもあって両者は同時並行で進むってことまで視野に入っています。この辺自動車氏を紐解けば、元々馬車から発展したショーファードリブンカーの伝統が強い欧州に対し、量販メーカーの登場でオーナーカーの性格が強いアメリカの両者が影響し合いながら並行して発展してきたことを体現する最古の自動車メーカーらしいものの見方です。自動運転車はさしずめデータドリブンカー?

 


日本のメーカーも元々オーナーカーよりも社用車やタクシーで台数を稼いできたので、ショーファードリブンカーの需要は一定にあります。ある意味それがウーバーに始まるライドシェアの事業化にブレーキになっている面があります。日系メーカーでも日産はロンドンタクシーやニューヨークのイエローキャブへの参入で海外販路まで開拓したために、ライドシェアの影響でイエローキャブが打撃を受けるなどしてますが、逆にベンツやBMWはプレミアムカーらしくライドシェアのドライバー向けに高級セダンを売るなどして潤ってたりします。この辺ドライバーに高額のカーローンを組ませるなどギグエコノミー的問題点も指摘されてますが、いかに日系メーカーが時流に乗れていないかは明らかです。


サンディエゴのCar2Goも市街地の渋滞緩和のソリューションとして提案されたもので、モータリゼーションの極致たるカリフォルニアでこういうものが出現するってのもまた、連邦政府はパリ協定離脱でCO2削減に背を向けるけど、民間レベルでの環境対応が進んでいるアメリカの現状を映しています。何だか日本だけが取り残されてガラパゴス化しているように見えますね。

一方で乗務員確保が滞ってバスの減便や宅配クライシスに直面する日本ですが、こういった国内の課題に応える動きが少なくとも自動車メーカ^からないのが気になります。寧ろ京急のゴルフカート活用など、事業者の関心は高いようですが。

 

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