経済・政治・国際

Sunday, April 18, 2021

台湾海峡は波高しか?

本題に入る前にJR来宮駅での電動車いすを巡るネット炎上問題を取り上げます。事実関係の詳細を把握していないので、あくまでも一般論ですが、車いす生活者に限らず障碍者は健常者に対して少数であることがあまり意識されていない感じですね。多数派である健常者が自らの意思で自由に移動ができる一方、介助者を必要とする障碍者の移動はそれだけ制約が多い訳ですが、バリアフリーが叫ばれ、障碍者でも可能な限りの移動の自由を実現することは重要です。

しかし現実は健常者目線での対策ばかりで、当事者である障碍者にとっては使い勝手が悪いケースは散見されます。それに対して注文を付けることは当然ある訳で、それを受け止める社会の側が注文を拒否することは、意識するとしないとに拘わらず差別に当たるってことは指摘しておきます。

大事なのはあくまでも個人の自由意志の実現なんで、勿論実現のハードルが高い現実はありますが、それを話し合って社会的合意を導き出す必要はあります。参議院に重度障碍者2人を送り込んだれいわ新鮮組のお陰で国会議事堂の改装が実現したように、声を挙げなければ無視される現実があることに対しては意識を持つべきです。れいわの主張には同意できないことが多いですが、この点だけは認めます。

で、本題ですが、既に中国デカップリングのエントリーでも指摘しましたが、日米の首脳が詰めで話し合った結果、52年ぶりに日米共同声明で台湾が言及されたことは、予想されたこととはいえ大きな出来事です。

日米声明「台湾海峡」明記 初の会談、中国の威圧に反対:日本経済新聞
アメリカは日本に対して軍事的にどこまで出来るかを確認した筈です。北朝鮮核開発に対して軍事行動を考え日本に協力を求めたクリントン大統領に当時の細川首相が当時の憲法解釈に則って「出来ません」と答えたけど、政府はそれを伏せてい日米
通商協議の問題にすり替えて半導体協議の決裂を発表して取り繕いました。コロナ禍の中でわざわざの膝詰め会談ですから、当然今回も同様の話が出た筈ですが,管首相はどう答えたかは今後の推移から類推するしかありません。

アメリカは元々日本の安倍政権が提案したインド太平洋クワッドとして日米豪印4か国の連携を進め、おそらく北大西洋条約機構(NATO)のような集団安保体制の構築を狙っていると思われますが、これは安倍政権が解釈変更した集団的自衛権の行使より踏み込んだ話になりますし、国内世論の拒否感が強いので、即答できる問題ではないと思いますが、いずれ何らかのアクションが出てくるでしょう。

ただ心配なのは中国の国内世論の行方でして、香港やウイグルの問題を含めて習近平政権は中国の国内世論の支持を得ているという頭の痛い問題があります。この点は国民に銃口を向けるミャンマー国軍とは大違いってことです。これ喩えれば戦前の軍部の暴走を招いた日本の高揚したナショナリズムによる世論の沸騰に近い訳で、ABCDラインによる経済制裁の締め付けに寧ろ国民は怒り、主戦論を唱える皇道派が慎重な国際派を抑えて勢いを得た結果を招いた訳です。

注意が必要なのは中国が核保有国であり、しかも旧ソビエト時代からの核軍縮交渉が継続するロシアとは違って核軍縮の交渉の枠組みも存在しない中で、米中の軍事的対峙は核戦争の脅威を増すことにあります。そうなれば人類滅亡の扉を開くことになりますから、それだけは回避する必要があります。中国政府は日本の軍部よりは理性的でしょうから、いきなりそうなるという訳ではありませんが、国内世論の動向次第ではどうなるかわかりません。その意味で一方的な締め付けには慎重になる必要があります。

更にアメリカは台湾の国家承認による1つの中国政策からの離脱まで考えている可能性があります。その場合日本や欧州は共同行動を求められますが、当然中国は断交で対抗することになり、現実的に可能かといえば微妙です。特に欧州の足並みが揃わない可能性があります。中国は経済的に困窮する中東欧やギリシャなどへ接近しており、アメリカの意に反して共同行動をとらない可能性があります。

ただし実現可能ならば中国が主張する第一列島線以西の領有権は根拠を失う訳で、中国の海洋進出を抑制することが可能になります。戦前日本の国際連盟委任統治領だった南シナ海の島嶼群は、日本政府が台湾に属する行政区分としていたものが、サンフランシスコ講和条約と同時に発効した日華平和条約で台湾の領有権を放棄した一方、中国の国連加盟で中華民国が地位を失い、南シナ海が空白地帯になったことで、ベトナムやフィリピンなどの沿岸国が一部の島を占拠して既成事実づくりに動いた後で、日本統治時代の行政区分を盾に中国が海洋進出の足掛かりにしようとしたことで拗れた訳で、元を質せば戦後処理のバグのようなものです。

仮にそこまで考えたアメリカの戦略があるとしても、経済的に深く繋がった現在のサプライチェーンを前提にする限り、米中の軍事賞衝突は経済を大混乱させるだけになりかねません。故に経済的なデカップリングをアメリカは日本を含む同盟国に求めるでしょう。加えて自国の基幹産業の立て直しをその中で図ることになりますから、軍事面に限らずコスト負担を求めてくるでしょう。どこまで付き合うかは難しい判断になります。アフガン撤退は戦力の集中の為とすればアメリカの本気を伺わせますが。

実際はもっと手前でコロナ禍への対応で中国に後れを取っている現実がある訳ですが、ワクチン接種が進むアメリカに対しても後れを取る日本政府の無能ぶりは際立ちます。前エントリーで指摘したように自粛による人々の行動変容以外に対策を打たないでコロナを克服できる訳ないんで。実際まん延防止等重点措置がまん延しつつあります^_^;。今年も自粛で我慢のGW確実ですね。これがどれだけ経済を痛めているか。コロナか経済かという二択じゃないんです。

ワクチン接種も医療従事者への接種が終わらないうちに一般高齢者への接種が始まりましたが、これつまりワクチン接種を受けていない医師による一般人へのワクチン接種というクラスター発生原因になりかねない愚策で、限られたワクチンをどう配分するかの戦略不在です。こういった広義のロジスティックスがデタラメじゃ、中国との軍事的対峙なんて現実的に無理です。そしてこんなデタラメも。

多重委託、無責任の連鎖 COCOA不具合の重い教訓:日本経済新聞
デタラメトランスフォーメーションの深い闇が可視化されました。これ発注者の厚生労働省の問題であると同時に受注側の問題も浮き彫りにしました。巷間IT土方とも謂われる土建業界も真っ青な多重下請け体制で公金がピンハネされ責任は曖昧ということですね。コスト意識が希薄で言い値で受注できるからこういうことが起きる訳で、構図は公共事業と同じです。

減耗する固定資本エントリーで指摘したように、公共事業不要論ではなく、公共投資を積み重ねて見かけ上のGDPをかさ上げしても、資本の維持費である固定資本減耗の増加で財政が圧迫され経済厚生を低下させることが問題なんです。まして生産年齢人口の減少で現役世代の負担が高まる訳ですから、公共インフラを増やし過ぎないことは大事です。加えて生産年齢人口減少は労働力減少を意味しますから、事業の遅れによる負担増も見る必要があります。ただでさえ乗数効果の見込めないコスパの悪い事業を無理に進めることは経済の足を引っ張ります。

その意味で整備新幹線やリニアにも慎重であるべきで、実際北陸新幹線の工事の遅れや静岡県との対立と関係のないリニアの工事遅れもあります。あと宇都宮ライトレールも用地買収と工事の遅れから開業んが1年延期で23年3月となり、事業費も1.5倍に膨らんでます。北海道新幹線も工事が足踏みしており、開業延期もありそうです。それでも公共事業を求める声が大きいのは、それで潤っているノイジーマイノリティがいるからということですね。

こうした土建国家体質が実はDXをも阻害している訳です。DX関連ではマイナンバーカードの普及が進まないのは、こうしたいい加減な政府の姿勢が国民に見透かされているからです。しかもマイクロソフトのインターネットエクスプローラーのプラグイン機能を利用して様々な紐付けを試みている訳ですが、IEのプラグイン機能の脆弱性が明らかにされてマイクロソフトがエッジという新ブラウザに切り替えを推奨しているのに、古いテクノロジーで開発されたマイナンバーカードの安全性に疑問符が付くことには無頓着では、なるほど国民の信頼は得られない訳です。一事が万事の日本政府はどこへ向かうのでしょうか?

あと中国武漢のハードなロックダウンはハイテクを駆使して強制的に個人の行動変容を求めた結果の封じ込めであったことも忘れてはいけません。冒頭の個人のセルフコントロールによる自由意志の実現が大事なんで、行政の効率化のためのマイナンバーカードでは見向きもされないということを理解すべきです。

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Sunday, April 11, 2021

バス特ヤメ得ダレ納得

コロナ感染がジワジワ増えてます。大阪など3府県6市に続いて東京、京都、沖縄の3都県でもまん延等防止重点措置の発出が決まりました。緊急事態宣言解除から大阪で3週間、東京で2週間で感染拡大となり自粛要請ということで、感染予防の先回りではなく後追いになっている訳ですから、こういうのを「いたちごっこ」って呼びます。

去年の緊急事態宣言発出は、専門家会議西浦教授の接触8割減の提言に基づいて、感染実態も治療法もわからない状態では、とりあえず人々の接触機会を8割減らす行動変容を求めるという意味だった訳ですが、結果的に感染拡大を阻止することが出来て、感染拡大が止まり結果オーライでうまくいったという評価となったようですが、GWの自粛生活で運輸、宿泊など旅行関連の需要大収縮となって、これが夏の Go to 解禁に繋がったようですが、結果的に今年のGWも自粛を余儀なくされております。

本当は自粛による人々の行動変容の間に検査体制の拡充やICUを含む病床確保、人工呼吸器やエクモのオペレーター確保など、やるべきことがたくさんあったのに、何も手を打たず秋冬の感染拡大で再度の緊急事態宣言となった訳ですから、このままだと自粛と緩和の繰り返しでいつまでも感染拡大が止まらない悪循環となります。変異種に関しても去年から指摘されてきたことで、変異を防ぐには感染拡大を抑えるしか方法はありません。

一方人々の馴れで行動変容もうまくいかなくなってきており、このままでは自粛のストレスばかりで先が見えない状況が続きます。何かに似てるなと思ったら、97-98年の金融危機の時もこうでした。バブル崩壊で企業の過剰債務と裏にある銀行の不良債権が見えない中で、取引先がいつ飛ぶかわからない疑心暗鬼の中で経済が冷えていったものです。当時の小渕政権は有効な対策を打ち出せず、当時の民主党案を丸呑みして長銀、日債銀の2行の破綻処理を行うというあたり、与党議員の夜遊びで特措法改正で野党案丸呑みした管政権も似ています。

会う人が陽性者かもしれない中での人々の疑心暗鬼が解消されなければ Go To でバラマキしても効果は限られます。結局金融検査マニュアルに基づく厳格な銀行の資産査定と企業の過剰債務の処理が進んでやっと出口に向かったのは小泉政権になってからです。不良債権も感染症も検査と隔離が大事ですね。奇策はありません。

コロナ禍で打撃を受けた運輸業界ですが、2月28日に国際興業バスがPASMOのバス特典サービスの停止を実施し、首都圏のバス事業者が続々追随しています。PASMOの普及・促進のためのバス特典が所期の目的を達成したことを理由としていますが、もちろん本音は運輸収入減少に伴うコスト圧縮でしょう。停止されるのは引落額1,000円毎にバスチケット付与を停止するもので、バスチケットの利用は10年間有効としています。

国際興業バスでは金額式定期券サービスを行っており、そちらへの移行を促しています。バス特は元々首都圏共通バスカードのプレミアムに変わるサービスとして導入された経緯がありますから、元々経過措置だったということのようです。更に遡れば都区内共通回数券に行きつき、先払い特典としての歴史は古い訳です。

但し何故今かということに、コロナ禍が無関係とは言い切れないでしょう。そして国際興業が口火を切る形で西東京バス、伊豆箱根バスと五月雨式に同様の発表が相次ぎ、4月に入って継続している事業者は都営バス、東急バス、京成バスなど少数にとどまりますし、京成バスは4月25日にやはり停止を発表しており、ます。千葉や茨城の事業者までは把握しきれませんが、おそらく今後も追随する事業者が相次ぐと思います。

おまけとして東急世田谷線も4月末に停止ということですが、こちらは「せたまる」という専用ICカード乗車券を先行導入し、10回乗車で1回分のチケットを付与するサービスを実施して回数券を廃止し、PASMO導入で一時2種類のカードリーダーを搭載していましたが、汎用性のない「せたまる」はユーザーの減少で廃止された経緯があります。結果的にプレミアム廃止ですね。東急バスに関しては今のところアナウンスはないようです。

都営バスの対応も注目です。元々都区内運賃が他社より10円安い210円で、加えて90分ルールといって、初乗車後90分以内に再度乗車した場合、100円引きとなるサービスで、折り返しでも別系統でも有効という都営バスの独自サービスですが、やはり今のところバス特停止はアナウンスされておりません。公営交通の都営バスが民間よりも踏み込んだサービスというのは面白いところですが、黒字転換したとはいえ長年赤字を続けた都営地下鉄とのシナジーが期待できないからバス事業の独立性が高いってことでしょうか。東京メトロとの角逐も影響しているのでしょう。PASMOを共通プラットフォームと捉えた独自サービスという意味では都営バスは一歩抜きんでた存在ではあります。

公営交通は元々地方公営事業として独立採算が求められているため、例えば大阪市営バスが大阪シティバスとして民営化されたように、民営化自体は制度上可能なんですが、それが唯一の解ではないことは注意が必要です。尼崎市のように阪神バスへの業務委託で存続したり、姫路市営や岐阜市営のように撤退したケースもあり、地域の実情によりさまざまです。

てことで前エントリーで取り上げた台鉄の事故に絡めて「公営だから問題、民営化すべき」という議論がありますが、台鉄はその歴史過程も含めて特殊の事例です。正式には台湾鉄道管理局と称し、元は日本統治時代の台湾総督府鉄道を引き継いだものですが、国民党政府の独裁体制の中で強い権限を有しており、それが民主化後も継続している訳で、公社化以前の現業機関としての国鉄に匹敵する強い権限を持ち労組も強く、一方で民主化後の改革路線で新自由主義的な政策で国内交通の鉄道独占は崩されております。

加えて台湾高速鉄道も民間資本による別会社の運営で連携が無く、実態としてはJR九州から九州新幹線を除いた存在ってことですね。台湾高鉄も九州新幹線のように山陽新幹線直通需要を拾えないので経営は苦しく、仮に統合しても採算性が改善する見込みは薄いと言えます。つまり仮に民営化しても採算性の見込みは立たない訳で、政府の関与は必要になります。公営は悪民営は善という単純な話ではない訳です。

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Sunday, April 04, 2021

鉄路的ニュースの蛇足

徒然なるままに勧めます。

ルネサス火災「生産再開1カ月」 車メーカー追加減産も:日本経済新聞
車用半導体不足に悲報です。自動車メーカーは追加減産を迫られますが、車の制御にいまや必需品となる半導体はTier2以下の下請け企業からの調達であり、規模の経済のバイイングパワーで買い叩いてばかりいたら,いざというときに足りないということになりました。元々自動車用は数世代前のもので、半導体メーカーとしては古い生産設備で対応可能な一方、その分買い叩かれるからスマホ用など極限的に微細化したものを高く売るために短期間で設備投資を繰り返さないとついていけない厳しい競争環境にあります。

その結果ルネサスもそういった先端分野は台湾などのファウンドリー企業への外注で対応し国内工場は自動車向けなど旧世代向けの古い設備を温存してコストを抑えてきた訳ですが、逆に同じ製造装置が手に入らないなどそれが裏目になりました。今や産業のコメと言われる半導体も、気が付けば海外生産が当たり前になっていた結果、いざというときに手に入らなくなるという意味では昨年のマスク騒動に通じますが、同時に京浜東北線の209系末期のトラブルも思い出されます。パワー半導体の世代交代で交換部品の調達が困難になって京浜東北線にE233系1000番台を投入し常磐緩行線の2000番台を後回しにした訳です。209系は電装品を交換して千葉地区へ転用されましたが。

公示地価6年ぶり下落 訪日客減や外出自粛が打撃:日本経済新聞
コロナの影響がくっきり出てます。大都市商業地が軒並み下落し、特にインバウンドに支えられてきた大阪市の下落が大きい一方、同じインバウンド依存でもに北海道ニセコ地区が逆に上昇しております。雪質の良さで海外富裕層のスキーリゾートとして評価が定着し、彼らはセカンドハウスとして土地建物を購入するからこうなる訳ですが、その結果スキーリゾートで働く地元の人たちは中心の倶知安町内に住めない現実に直面しています。更に1杯3,000円のラーメンなど富裕層相場の飲食価格の上昇もあり、住みにくい街になりました。富裕層はプライベートジェットと車移動ですから、北海道新幹線が出来ても使われない可能性が高く、寧ろ俗化を嫌って離れる可能性もあります。
首都圏で「空き家バンク」利用活況 供給不足に課題も:日本経済新聞
関連しますが、首都圏近郊で空き家売買が活発になっています。リモートワークしてみたら狭隘な住宅事情がネックに。ならば郊外の広めの家に転居という流れですね。公示地価ニュースでも例えば長野県軽井沢町が上昇していたりします。東京都の転出超過がニュースになりましたが、結局近郊への転出であって、東京一極集中の是正ではありません。軽井沢町の地価上昇はJR東日本と西武HDの提携の追い風でもあります。北陸新幹線はかがやきよりもあさまが大事?東海道線の特急湘南や飯能市の移住CMなど両社の提携は時流に乗っているかも。JR東海もこだま売り出しのチャンスです。リニアよりも将来性あるかも。
大動脈スエズ運河遮断、供給網リスク一段と 大型船座礁:日本経済新聞
これルネサス工場火災と同様のサプライチェーン危機ですが、とりあえず復旧しました。賠償問題はこれからが本番ですが、保険会社は戦々恐々ですね。個々のニュースの注目点はそもそも全長400mもの巨大輸送船の存在です。400mというのは東海道新幹線のぞみ16両編成の長さですね。グローバル化で海運需要が増えた結果、輸送船の大型化が進んだ訳ですが、総重量の大きい船舶は操船が難しく、直ぐに動かないし舵を切っても直ぐに曲がらないしスクリュー反転させても直ぐに止まらないし横風に弱いしということで、ある意味起こるべくして起きた事故と見ることもできます。その400mの船が幅300mの運河で横向きになった訳ですから大変です。

スエズ運河は砂漠の中の運河で底面がV字状になっていて中央部の水深の深いところしか船舶の航行はできません。故に航行する船は船団を組んでエジプト人パイロットの指示の下で航行する必要があります。鉄道で言えば単線のシステムなんですね。これ鉄道では指導式閉そくと言われる運行管理システムと同じです。高架化等で線路切替の時に腕章を付けた指導員添乗を条件に単線扱いで運行するという形で使われたりしますが、言ってみれば人間通票って訳ですね。

「京急」社員たちが悲痛告白、低賃金と重労働の驚きの実態とは | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン
京急の神奈川新町事故をきっかけに疑問を持った鉄道ジャーナリストのレポートですが、驚きの実態が綴られております。精神論が横行しヒヤリハット報告もままならず、現場にストレスがかかる状況は問題です。
台湾で特急脱線、50人死亡 工事車両と衝突か:日本経済新聞
台湾花蓮県で台鉄タロコ号の事故です。斜面に停止いていた工事車両が無人で滑落してたまたま通りかかった列車に衝突して脱線したままトンネルに嫁級して大破という悪いことの連鎖で大事故となりました。台鉄といえば2018年のプユマ号事故が思い出されますが、今回は鉄道側の有責事故ではないらしいことがせめてもです。但し同エントリーでも指摘しましたが、公営で元々赤字体質な一方、高速道路や空港の整備で高速バスや国内航空との競争が激しく、加えて台湾高速鉄道の別法人での開業など、厳しい競争条件の中でアグレッシブな設備投資を続けた一方、コスト削減要求で現場にストレスがかかる構造問題を抱えております。ある意味台湾政府の新自由主義政策の矛盾の現れと見ることもできます。

プユマ号事故エントリーでも取り上げましたが、在来線高速化の技術的解決策としての制御付き振り子システムは線路に負荷を与えるものであり、JR北海道のトラブル頻発の原因の1つでもあります。JR東日本E351系の失敗に見られるように必ずしも最適解ではないことは知るべきです。一方の車体傾斜システムは比較的汎用性はあるとはいえ、やはり地上側の事情で例えばJR四国2600系では空気ばねへの圧搾空気供給が間に合わず土讃線向け2700系では制御付き振り子に戻した事例もあり、結局適材適所を心掛けるしかない訳ですね。

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Sunday, March 28, 2021

モダンマネーセオリープラクティス

アンカレッジの外交ショーに世界が釘付けになりました。

米中、ぶつかる国家観 経済から対立軸移る:日本経済新聞
通常の外交交渉は冒頭の2分ほどで報道陣を退出させて専門家同士で秘密会談をする訳ですが、SNSの時代にはどうせ漏れて世界に拡散されるリスクはある訳で、それなら思い切ってショーアップして世論喚起してしまえということですね。これ米中両国ともに自国民及び世界へのアピールで世論を味方につけようという意図が見えます。本チャンの交渉はいたって冷静に進んだらしいです。

外交交渉に限らず国防や情報当局のブリーフィング内容をツイッターで暴露するトランプ大統領の得意技がヒントになった可能性があります。報道界隈ではトランプ大統領時代に情報開示が進んだという笑い話まで囁かれています。その意味でバイデン政権としては良いアピールになったでしょうけど、同時に中国国内のSNSの反応で、義和団の乱と北京議定書が持ち出されたことで、米中対立の深刻さは逆に鮮明になりました。

1901年、義和団を名乗る扶清滅洋を唱える民衆の排外運動の蜂起があり、それに乗っかって清朝が支持し宣戦布告したために対外戦争となり、日本を含む8か国連合が2か月で平定したもので、北京議定書という不平等条約を呑まされた結果、清朝の弱体化に至ったもので、中国の屈辱の近代史を決定づけた事件でした。つまり同盟国を動員して対決を迫るバイデン政権に対する中国国民の率直な反応と見て良いでしょう。対立が国民レベルに浸透した訳で、中国との関係を簡単に見直せない日本を含むアジア諸国にとっては、対応が難しくなります。唯一喜んでいるのは、米中対立激化で中国の支援が期待できる北朝鮮ぐらいですね。

その一方で気候変動などでは協力を期待しており、対立一辺倒ではない訳ですが、これがかなりの難題です。そもそもグリーンニューディールはオバマ政権で打ち出されたものですが、リーマンショック後の中国の大規模財政種痘もあって需給がひっ迫して原油高になった結果、確かに風力などの再生可能エネルギーへのシフトは一定に起きましたが、それ以上にコスト面で無理があったシェール層の天然ガス採掘の技術革新が起き、その応用でタイト層のオイル採掘が可能となり、所謂シェール革命が起きたことで原油価格が下がったため、寧ろ再エネ投資はとん挫しました。

今回はOPECとロシアの減産で価格を押し上げていることもあり、再エネ関連やCO2貯蔵(CCS)や再利用(CCUS)などへの投資拡大が起きる可能性はあります。スエズ運河の座礁事故も復旧が長引けば原油高止まりの可能性もあります。但しCCSにしろCCUSにしろ、CO2分離や液化、固化の過程でのエネルギー消費がありますから、それを再エネで賄えなければ効果が減殺されることになります。

この点アメリカは油田に戻すことで原油の絞り出しに使えるということもあり、原油価格が高い状態を前提にすれば技術革新が進む可能性はあります。但しそれが経済成長を促すかどうかはわかりませんが。加えてCCSやCCUSは北海油田を抱えるイギリスやノールウェーでも可能性がある一方、油田のない日本ではハードルが高い訳ですが。やっぱりグレタさんに叱られる?

一方バイデン大統領が打ち出し議会で承認された総額200兆円の財政出動で景気回復することで長期金利が上がり株価が下がるなどの市場の反応が見られますが、法人税と富裕層所得税の増税も打ち出しており、当面は経済回復を優先して増税は後回しになると見られますが、これが重石となって結局長期金利も株価も落ち着きを取り戻しつつあります。つまり増税予告付き財政出動という訳で、これ主流派経済学者からトンデモ理論と言われた現代貨幣理論(MMT)の実践と捉えることも可能です。

日本ではリフレ派が節操なく飛びついたMMTですが、彼らが見落としているのは増税オプション付きという部分でして、元々は貨幣を負債と捉え、政府と中央銀行を連結した統合政府としての政策対応というもので、くしくもイエレン財務長官がFRB議長時代に持論として唱えた高圧経済論とも通じるるもので、後任のパウエルFRB議長も承知の上とすれば、それなりに整合性のある政策にはなります。但しインフレ対応が必要になった時には財政緊縮と金融引き締めを同時に行うことになる点が難点と言えば難点ですが、イエレン財務著菅は当面その心配はないと見立てているようです。

何故かと言えば中立金利の低下が背景にあるからで、結局アメリカの潜在成長力がそれだけ低下した現実が見えているのかもしれません。経済を過熱させるような過度な景気浮揚は望めないことに気付いているんじゃないかと思います。逆に主流派にどっぷり浸かったサマーズ氏には理解できず、インフレ懸念から批判した訳です。で、上記のグリーンニューディールが進むと仮定すると、その果実は成長よりも温暖化を遅らせるという公益の形でもたらされる可能性が高く、コスト負担で成長が相殺されてしまう可能性が高い訳です。温暖化が進めば別のコスト負担が増えますから、よりマシな未来はどちらかは自明ですが。

加えて言えばこれまで移民の受け入れで労働力を補充してきた移民国家のアメリカですが、コロナ禍でその持続可能性に疑問符が付きます。これは欧州も同様ですが、技能実習生などで「移民ではない」と強弁しつつ外国人で労働力を補充しようとしている日本はどうなるでしょうか。寧ろ増税を予告して財政出動するアメリカをこそ見習うべきではないかと思います。

日本も含めてですが、先進諸国の低金利が、コロナ禍では政策余地をもたらしていることも確かです。緊急の低利融資や劣後ローンに加え、公募増資もやり易い市場環境なので、業績面では厳しくてもつなぎ資金は豊富という状況です。そして中国デカップリングで指摘したように、途上国のワクチン供給が見通せない状況では、感染拡大に伴う変異種の侵入で先進国も感染再拡大を繰り返すとすると、移民に頼った労働力補充は難しい訳です。それ以前に国内雇用が戻らなければ移民受け入れの余地も狭まりますし。

長くなりましたが、整理すればグリーンニューディールによる成長は見込めない一方、成長余地のある中国は成長の結果としての温暖化ガス排出増が避けられないと見れば、グリーンニューディールに別の意味が見えてくるということですね。つまり中国に協力を呼び掛けながらコスト負担のプレッシャーをかけることが可能ってことです。但しそのためにはアメリカ自身が本気で温暖化ガス排出削減に取り組む必要がある訳ですが、この辺のは一時米中軍事演習を敢えて行い、実力差を見せつけた流れと同じ狙いがあると言えそうです。

ということを踏まえると、日米同盟強化は軍事面に留まらずこの面でも同盟国の協力を求めることになるということですね。中国をさし置いて日本が排出拡大する訳にはいかなくなるってことです。再エネで出遅れている日本にとっては厳しい話になるでしょう。生産年齢人口減少が急な日本では、マイナス成長も覚悟する必要があると見込まれます。鉄道関連で言えば北陸新幹線や北海道新幹線の工事遅れに見られるように、作業員が集まらない現実があります。その北韓同新幹線関連でJR貨物が危機感を持っています。

JR貨物社長の期待と懸念、「第2青函」具体化後押し:日本経済新聞
第2青函トンネル問題は脇へ置きます。実現可能性も含めて現時点で論じるに値しないからですが、それより以前に北海道内の貨物ルートの分断の可能性に危機感を表したインタビューです。背景には七飯町と長万部町が鉄道に拘らない姿勢を示し、長万部以南の函館本線が廃止の可能性が出てきたことによります。愛なき成長戦略でも触れましたが、仮に廃止となれば青函トンネル経由で運行する貨物列車が存続の危機に直面します。船やトラックによる代替輸送となれば積み替えによるコスト増もあり、消費者に負担をかけることになりかねないということですね。仮に貨物列車を廃止するするとなると、貨物調整金で存続しているIGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道、道南いさり火鉄道が一蓮托生で危機に瀕することになります。ネット通販の普及で北海道向け貨物も好調で、北海道発の農産品輸送と相まって双方向の需要が旺盛なだけに、JR貨物としても捨て置けない問題ですが、逆に言えばそんな重大問題を七飯町や長万部町レベルの自治体の判断に委ねるというのが異常でもあります。はっきり言って国の出番です。鉄道貨物に関してはアメリカではこんなニュースがあります。
カナダ貨物大手、米社買収 3兆円 メキシコまで鉄道網:日本経済新聞
大陸国のアメリカでは貨物鉄道は有力な投資先と見られており、環境負荷が低いということでグリーンニューディール銘柄でもあります。3か国の新たな貿易協定(USMCA)発効やサプライチェーン見直しも追い風で、買収額290億ドル、日本円で3兆円余りを民間資金で賄えているのですが、日本の鉄道貨物の置かれた状況とは大きく異なります。とはいえリニアに財投資金3兆円出せるなら、貨物ルート維持に資金提供は問題なく可能な筈ですね。貨物は選挙の票にならないから放置されるでしょうけど-_-;。

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Saturday, March 20, 2021

みずほLINEにゆうせい楽天的なドコモかしこ

そういえばLINE銀行なんて話もありました。

LINE新銀行、開業を最大2年延期 120億円追加出資:日本経済新聞

開業延期は主にセキュリティに関するみずほFGとLINEの認識の違いから作業が遅れていて、当初の想定よりも開発費が上振れしていることのようですが、みずほFG傘下のみずほ銀行に続いてLINEもやらかしちゃいました。そもそも会員の個人情報の管理がIT企業なのに甘いってのはいただけませんが、みずほに言われちゃおしまいだよな。一方こんなニュースも。
楽天、郵政と資本提携 2400億円調達 テンセントも出資、携帯・EC協業拡大:日本経済新聞
何故か株式市場では好感されたニュースなんですが、これ安直に参入したものの基地局投資が追い付かず投資拡大が避けられない楽天が日本郵政の出資で資金調達しようって話ですね。年寄り騙して不必要な保険契約させた全国の郵便局員にスマホ売らせようって話ですね。ずうぇったい契約したくない-_-;。テンセントは一応楽天の提携関係があるからということですが、政府出資の特殊会社と中国企業の呉越同舟もシュールです^_^:。

管政権の目玉政策である通信料金値下げですが、このエントリーで取り上げたNTTのドコモ完全子会社化と共に、値下げの先鋒役が国の資本ってわかりやすいところで、結果的にauとソフトバンクもそれに合わせた値下げを発表してとりあえず手打ちってところも日本的ですが、その結果競争政策で誕生したMVNO事業者による格安スマホ勢は居場所を失います。これJPEXの機能不全で混乱した電力小売りと同じ構図ですね。

よく見ると通信も光ケーブルの基幹通信網はNTT東西が保有していて各通信事業者が利用する構図で、送電網を大手電力の別会社が保有する電力業界とよく似ています。ある意味通信事業者はNTT東西の通信網に対して使用料を支払っている訳で、競争市場での利益相反を防ぐ為に,NTTのグループ協業は規制されている訳ですが、そんな中でのNTTによるドコモ子会社化で国は拒否権を行使せずに認めた訳です。加えてNECへの出資も決めた訳で、かつての電電ファミリーの再構築を疑われる動きです。NECは傘下のビッグローブモバイルをドコモのサブブランドと見れば、民間2社に準じた体制を得たと言えます。総務省のNTT接待疑惑が真っ黒な状況証拠は揃っています。一方東北新社関連ではこのニュースに注目しました。

総務省、東北新社からの報告「記憶にない」 外資規制違反 衆院予算委、食い違い変わらず:日本経済新聞
東北新社側は不祥事として社内記録に残っていたものを述べただけですが、官僚は記憶を失っています。面談記録は残っている訳ですから、規制官庁として業界関係者との面談で内容を文書で残していないとすればそれ自体問題ですが、出せない理由がある訳ですね。モリカケと同じです。こんな子供だましで誤魔化せると見ているとすれば、国民はなめられたものです。そこを指摘しない新聞報道もおかしいですが。

まるで中国を思わせる国有企業頼みですが、その中国でアリババのEC取扱高が首位陥落しています。アマゾンが攻略し損ねたのはアリババのせいとまで言われたのが、政府に睨まれて規制でがんじがらめにされて没落とは気の毒ですが、同じことが日本で起きても不思議ではないことは指摘しておきます。通信を巡るNTTと郵政の動きもそうですが、コロナ禍で逆境にある民間企業の大手航空2社統合が与党でささやかれているように、ことあるごとに市場介入しようという動きdが出てきます。しかも「国際競争に勝てない」という理由付けがされます。通信やITでも日本のGAFA狙いをてらいなく騙るから始末が悪いです。

ということで上記の日本企業のポンコツぶりを再度見てみましょう。みずほとLINEが組んでフィンテック?冗談でしょ。郵便局員にスマホ販売のノルマ課すのか?やめてくれ。NTT統合で市場競争を抑制してどーすんの?それで世界で戦える訳ないじゃん.株式全数放出で完全民営化したJR3社は例外中の例外で、民営化と言えどもNTTとJTは国の出資が続きます。JTは専売制維持の観点から国の関与をあえて残すという意味がありますが、NTTはあえて言えば基幹通信網を保有する東西2社以外は完全民営化しない理由が見えません。JR東日本と西武HDの包括提携も完全民営化だからこその話です。

一方風邪ひかない人たちで危惧を述べたJR各社の株式持ち合いですが、コロナ禍でも協業の機運は見られず国鉄一家復活はなさそうです。というよりは各社間で温度差が大きくて手を合わせて乗り切ろうという機運は見られません。財務状況の違いがありすぎることが背景のようです。東海道新幹線依存の強いJR東海は10-12月期に黒字を計上しているように、財務の強さが際立っている一方、多数のローカル線を抱えるJR西日本や無理めの上場で財務の弱さを抱えたJR九州には湯裕が乏しく苦しい訳です。

加えて災害復旧や飛べないジョナサンの長崎新幹線の開業は現状重荷以外の何物でもありません。なまじ上場したがために国に泣きつくこともできませんし、コロナ禍で当面インバウンドも当てにできません。一方駅の無人化やみどりの窓口の縮小などで自治体との関係も微妙になっており、結構四面楚歌状態ですね。ビートル用の新造高速船も今は博多港に停泊中でこれも痛いところです。コロナが収まって韓国との往来が活発化する展望は開けません。今や韓国の1人当たりGDPは日本を上回っており、韓国の助けが必要になってしまいました。これもアベノミクスのお陰です-_-;。

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Sunday, March 14, 2021

復興は不幸の始まり?

前エントリーでは福島に偏ったい記述となりましたが、ちょっと補足すると、再生エネ電力を使った野菜工場のプロジェクトも複数立ち上がったものの、殆ど実現しておりません。その理由は野菜工場は分類上工場となるので農地には作れないという規制が邪魔した結果です。住宅地域も不可ですから、作るとすれば工業用地乃至準じる地域か、山林を切り開くかしかない訳ですが、そうするとコスト面で引き合わない訳で、結局産業振興による被災地の自立的復興は規制に阻まれた訳です。

三陸地方に伸びる巨大防潮堤ですが、海が見えなくなるという指摘は当時からあったものの、事業は進み海が煮えないことへの不満が住民からも上がっております。この辺10年前のエントリーでも指摘してますが、悪い予想ほど当たるもんです。加えて言えばこれで将来の巨大津波が防げるかというと疑問があります。

世界が脱炭素に舵を切る中、それだけ気候変動問題が深刻な訳ですが、忘れちゃいけないのが温暖化による海水面の上昇です。極地氷や陸生氷河の融解により嵩が増すことと共に、案外見落とされているのが海水温の上昇による熱膨張の影響です。今後温暖化が加速すれば、現在十分な高さであっても、将来は安泰ではない訳です。寧ろ海が見える状態で迅速な高台避難を心掛ける方が望ましいと言えます。また巨大コンクリート建造物は作る過程で大量の二酸化炭素を排出しますし。この観点から鉄とセメントの塊となる原子力発電所の新設は温暖化対策としては不適当な訳ですが。

集落の高台移転も法令変えずに区画整理事業として行った結果、地権者は減歩を強いられる一方、造成に時間も費用もかかりますから、道路やライフラインまで整った時には、避難先で職を得て戻るに戻れない状況となりました。加えてコンパクトシティということで中心市街地に商業集積を狙ったところ、逆に居住地から遠くなって使いにくくなり、人気のない中心街になったりしています。これは元々人口減少が始まっていたにも拘らず,人口増加を見込んだ復興計画を立てた結果こうなってしまった訳です。現地には売地、貸地の立看板が乱立する状況になっております。

加えてこんな問題も起きております。

被災地で弱る「住民の足」 バス事業、自治体の重荷に 国の補助金終了、14市で負担増す:日本経済新聞
高台移転はしたものの、住民の足となるバスが整備されたところはありますが、復興支援事業としての補助金が打ち切られることで、路線の存続に暗雲が漂っていたり、造成を急いだ結果移転先の高地にバスが走れる広い道路は無く、住民は30分歩いて低地のバス停を利用するとか、いろいろあります。

加えて地域の人口減少でバス事業そのものも苦戦しており、またドライバー不足から賃金を上げて経営を圧迫したり、そこへコロナ禍で外出自粛が重なります。感染を恐れてバス利用からマイカーへシフトした人も少なからずいますが、歳とって運転ができなくなればバスに頼らざるを得ない訳で、そうなると住み続けられずに地域を離れ都市部へ移転する人が出てくれば、ますます人口減に拍車がかかる訳です。加えて人口減は自治体の体力を奪いますから、国の補助金の肩代わりも困難となれば、地域の衰退を止める手立てがない訳です。

そんな中での三陸鉄道の奮闘は称賛に値します。JR山脱線引受区間を除く旧北リアス線南リアス線区間は、鉄道公団施工の高規格だったことから、元々道路事情が良くなかった三陸地域での高速輸送機関として機能したことが幸いしたのですが、BRT化された気仙沼線と大船渡線気仙沼―盛間が失われたことで、大都市の仙台へのアクセスを失ったのは残念です。

これは復興加速の観点から三陸縦貫道の整備が行われたことと関わりますが、特に大船渡線区間の線形の悪さもあり、ローカル線規格で貨物輸送も困難ということもあり、復興工事や物流の観点から三陸道の整備は避けられなかった事情は分かります。しかしレールが繋がっていればまた違った結果になった可能性はありますが、当時の宮城県は鉄道で残す意思を示しませんでした。このあたりは同じ被災地でも岩手県との温度差はあります。

BRTの呼称に関してはイチャモン付けてる専門家がいるようですが、それでも一般道路より高規格で渋滞の心配がないという意味での相対的高速度(RAPID)はある訳で、路面電車に対する高速電車のような用例もありますから、そんな原理主義的な議論は不毛です。加えて九州の日田彦山線の復旧など他の災害復旧への波及を考えれば、それなりに意義を認めても良いと思います。アイデア自体は戦時中の不要不急路線として廃止された白棚線に遡りますが、災害f復旧のメニューに追加されたことは意味があります。

あとつけ加えれば、震災復旧で全国の自治体が支援人員を出した結果、災害復旧の問題点や急所を学び、熊本地震や西日本豪雨などで活かされたという意味では悪いことばかりじゃなかったと言えるのは救いですね。

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Sunday, March 07, 2021

帰らざる人

みずほ銀行のシステム障害って毎度感ありますが、その深層には深い闇があるようです。

みずほATM障害、危うい月末処理 必然の「パンク」:日本経済新聞
うるう年ではない2月末の日曜日という特異日にシステム弄ることに対しては他行からも疑問の声が漏れてきます。通常の月末処理では4年に一度の2月29日の分が月末処理から漏れてしまうので、2月28日ははうるう年かどうかを問い、Noならば29日分を拾って併せて月末処理をするという処理をする訳で、その分データ処理量が多くなる特異日なんですね。

しかも今回のシステム改修はデジタル口座化と称してますが、ぶっちゃけ通帳発行の有料化を目論んだものですが、先送り必至となりました。疑問なのは作業指示を出した側の認識不足はあったとしても、指示を受けた側から異論が出なかったのか?ってことですね。同様の認識不足だったとすればそれ自体問題ですが、もう1つわかってたけど言い出せなかったというケースもあり得ます。どちらなのかは外からはわかりませんが、忖度した結果とすればより深刻な事態ではあります。

てことで官僚の忖度だけが問題じゃないということですが、総務省を巡って中年ロン毛ドラ息子接待疑惑以上の問題が発覚しました。

総務審議官、NTTと会食認める「3回あった」:日本経済新聞
通信の巨人たるNTTからの供応となると東北新社どころじゃない問題ですね。ハイブリッド・シビル・ウォーで取り上げたNTTによるドコモ統合という出来事があった訳で、国が議決権の34%を保有し競争政策の観点から敢えてグループ協業を規制されていたNTTの意思決定を国がすんなり認めたように、NTT側には供応の動機があった訳です。政権が目玉とする通信料金値下げ政策とも絡み、結局利権でしか動かない政府の意思決定に疑義が生じる訳です。

前エントリーで取り上げた吉川元農水相とアキタフーズ元代表との会食に同席した農水官僚の問題も、背景には経済動物に対するアニマルウェルネス問題があり、日本の養鶏場の密集飼育がやり玉に挙げられている問題で、現状維持を求める鶏卵業界の代表としてアキタフーズ元代表が動いていた訳です。所謂レントシーキングですが、レントシーキングでしか政治的な意思決定ができないのかという病巣が見えてきます。

そんな文脈で迎える震災後10年の現実を見たとき、ため息を禁じ得ません。復興が進みきれいに造成された被災地に人がいない現実があります。被災地の多くが過疎地であることから、当時の民主党政権が打ち出した創造的復興の方針の下、新産業を興し人が戻ることに重点を置いた訳ですが、現実はハードの復興は進んだのに人は戻っていない訳です。特に原発事故の影響をもろに受けた福島県の惨状です。

当時の菅政権が打ち出した再生可能エネルギー政策で、福島県ではメガソーラーへの期待が高まり、相馬市にはテスラCEOイーロン・マスク氏からソーラーシステムを寄贈されたのに、公共施設への限定的な給電に留まっています。農地としての復興が難しい汚染地域をメガソーラーでよみがえらせる構想や風力発電の民間プロジェクトが多数立ち上がったものの、結果的には電力会社による接続拒否によってことごとく頓挫してしまいました。

連合の有力単産の電力労連の圧力を民主党政権は突破できなかった訳ですが、政権交代後の自公政権でも電力会社の既得権益に配慮した電力自由化で徹底的に骨抜きにされました。発送電分離と言いながら形式的な分社化しか求めない法的分離に留まり、また菅政権による差し止めで浜岡原発が止まった中部電力と東電の発電部門を統合してJERAとして切り出したのも、原発事故の当事者である東電の救済策の色彩が濃いものです。原発停止で火力発電依存が強まり、LNG火力への依存を強める中で、規模を拡大してバイイングパワーを発揮するという目論見でしたが、この冬の寒波で需給逼迫の原因になりました。

ちなみに米テキサス州の停電は、寒波による需給逼迫は同じですが、評議会のよる需要予測が低かったことと、寒波による天然ガスパイプラインの凍結や発電所のトラブルが重なったもので、加えてテキサス州は全米に拡がる州間連携線に繋がらないスタンドアローンだったことで、復旧が遅れました。同州は電力自由化の先進地を任じておりましたが、その結果300を超える小売事業者がひしめき合い、価格競争が劇最多結果、電力料金でカバーしきれない発電設備や送電設備の更新投資が滞り、加えて予備電力確保のための容量市場がなかったことから、評議会の需要予測ギリギリの発電量しか供給されないという問題もあります。規制緩和に名を借りた完全な人災です。

こうした経緯から、現管政権の(ややこしいな^_^:)カーボンニュートラル政策は鼻白むものがあります。再生可能エネルギーの普及に弾みを付けられた可能性のある震災復興計画を既得権擁護で潰していながら、どの口で言うのかって話ですね。福島の再生可能エネルギーに関しては、福島第一第二の廃炉で首都圏向けの送電線が空いている訳ですから、東電に開放させればすぐにでも可能な事なんですねどね。

勿論震災当時の菅政権(ややこしー^_^:)が打ち出した再生可能エネルギー買取制度(FIT)で当初高額な買取価格としたことから、申請して得た認可を権利として転売する事業者が後を絶たず、結果的にメガソーラー発電所が作られずに放置されたケースも多数あります。加えて高額買取は国内のソーラーパネルメーカーの企業努力のインセンティブを奪う一方、寧ろ中国や欧州のメーカーの台頭を許す結果となった訳で、再生可能エネルギー後進国として置いてけぼりになってしまいました。この辺は官民共に認識の甘さがあります。

最後に取り上げたいのがこのニュース。

電車、再生エネで運行 JR東、30年度に使用電力の2割に:日本経済新聞
首都圏の輸送時用に対応するために国鉄時代に直営発電所を持っていた訳ですが、それを継承したJR東日本が再生可能エネルギーに切り替えるということですが、直営6割買電4割ですから、直営の1/3相当ってことですね。目標としてはちょっとぬるいんじゃないかと思います。勿論コストとの見合いなんでしょうけど、せっかく発電所を持っているんだから、余剰電力の外販まで視野に入れてコスト回収まで考えることが出来なかったのかが疑問です。

これは同時にコロナ禍で明らかになった運輸事業収入依存の経営の危うさから収益源の多様化を図る意味があります。加えて巨大電気鉄道でもあるJR東日本には、中小私鉄のマイクログリッド事業と桁違いのビジネスチャンスがあると考えられます。JR東日本とJR東海限定ですが、直流電化区間が東日本の50hzエリアと西日本の60hzエリアに跨っている訳ですが、この周波数の異なるエリア間の連携線の容量不足は以前から指摘されていたところです。

しかし技術革新で直流高圧送電が可能になり、津軽海峡の海底ケーブル連携線で使われたりしている訳ですが、電気鉄道の直流き電線を高圧直流化してDC-DCコンバータ―で降圧して架線給電するシステムにすれば、変電所の集約が出来てコストダウンなる上電力託送の事業化で収益を得られる訳です。特にリニア関連で超電導技術に強いJR東海ですが、超電導送電線で技術が活用できるチャンスでもあります。国鉄OBの経営陣では出てこない発想なのかな。

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Sunday, February 28, 2021

中国デカップリングの同床異夢

管首相長男の総務省接待に留まらず、贈収賄事件で訴追された吉川元農水相と秋田フーズ代表との会食に同席した農水官僚も処分されました。気の毒なのは農水省の場合閣僚の不正に巻き込まれた感がある点ですが、これ森友学園疑惑での安倍前首相の「議員もやめる」発言を受けて財務官僚が公文書改ざんに手を染めたいおうに、元を質せば政治家の利益誘導が火元な訳ですし、総務省接待も首相の長男だったから断れなかった可能性が高いという意味で火元は政治家と言えます。火元を消さないと解決できません。

栃木県足利市の山林火災が続いておりますが、オーストラリアやカリフォルニアの山火事は遠い海外の出来事だったけど、身近で起きたことで認識を改めさせられます。山林は広大な空間に樹木が密集していて、一旦火が出て延焼すると、消火活動が困難なんですね。そもそも消火栓から延ばす消防ホースが届かないし、都市や田園と違って延焼の緩衝帯となる道路や田畑などの空間が無いところへ、乾燥と強風に煽られてれば近づくことすらかなわない訳で、ヘリで水を落とすぐらいしかできない訳です。

しかも火が強ければ低空からの水投下は難しいですから、高高度からの投下となり、水は塊から飛沫化してバラバラ落ちる訳ですし、雨のように連続で投下できる訳じゃないしで、消火は困難を極めます。火元に近づけないという意味で官僚接待問題と似ているような。ちなみに公務員倫理規程のきっかけとなった大蔵省過剰接待事件とは当時の武藤敏郎官房長がクビになったノーパンしゃぶしゃぶ事件のことです。森友事件の佐川理財局長が国税庁長官に出世したり、武藤氏が五輪組織委に再就職したりと、政治家の覚えめでたいといいことあるという現実を変えない限りどうにもなりません。火元が大事。

そんな中で世界は動いています。取り上げたいのはこの2つのニュースです。

米が基幹産業で脱中国 半導体など、同盟国と連携模索:日本経済新聞
米大手銀が中国シフト 成長余地大きく関係緊密:日本経済新聞
アメリカの矛盾に満ちた現状を伝えます。コロナ禍で傷ついたアメリカにとって、医療品や半導体などの中国依存が進んでいた実情を明らかにしました。一方、香港やウイグル問題で強硬策をとる中国への圧力の意味もあり、中国デカップリングに舵を切る姿勢を鮮明にしました。経済と安保を連動させる姿勢が鮮明になった訳です。これはこれで歓迎すべきことですが、同盟国に協調を求める姿勢も鮮明になり、日本にもあれこれ注文を付けるってことですね。

対中安保と言えば尖閣問題としか言わない日本ですが、尖閣の防衛に踏み込んだと喜ぶべきことというよりも、中国海警法が国際海洋法で定める航行の自由の原則に反するというところに注目すれば、領土問題不介入の原則をアメリカが見直したんじゃなくて、中国の国際法違反への対応に焦点を当てたもので、アメリカの姿勢は変わっていないと見るべきです。主戦場は台湾海峡と南シナ海であり、尖閣はついでのリップサービスです。狙いは現状維持であり、その意味で台湾独立派への牽制もしています。

もう少し踏み込めば、中国が海洋主権に対して明らかな誤解をしていて、陸上の国土のような主権を海洋にももたらそうとしていることは、ある意味中国を責めるポイントになり、国際世論を味方につけられるということでもあります。ホワイトハウスに外交のプロが戻った結果、中国にとっては寧ろ手強い相手になったということです。但しタフな外交交渉を強いられる訳で、同盟国である日本が抜け駆け的な対応を取ること、例えば尖閣上陸とかの政治パフォーマンスには圧力をかけて対応すると見て良いでしょう。

同時にアメリカで失われた国内製造業の修復再生への支援も求められます。つまり日本企業の製造拠点の誘致や老朽インフラの補修やリプレースに対する資金拠出などが求められるでしょう。テキサス高速鉄道に意欲を燃やすJR東海にとってはチャンスかも。但し米銀はそんな政府の姿勢に関わらず高金利で手数料収入も多い中国シフトを鮮明にしています。とすると日本企業のアメリカ進出は米銀に頼らずに自前でファイナスする必要がある訳で、邦銀のドル調達プレミアム(上乗せ金利)負担を強いられる訳です。なかなか難易度高いですね。

ぶっちゃけ金融は規模の経済の世界ですが、アメリカを含む先進国の低金利では規模だけではどうにもならない訳で、だからこそ成長力があり高金利な新興国へ資金がシフトしてきた訳です。中国の経済成長もこうした資金シフトに支えられてきたものですし、巨大化しても尚成長余地があり金利も高いし、特に米ドルの通貨覇権を背景にフィーを稼げる米銀の立場は強い訳です。バイデン政権が経済と安保の連動で基幹産業の国内回帰やインフラ整備を打ち出しても、米銀にとってはさほどおいしい話ではない訳です。

加えて言えばそもそも製造業の新興国シフトは先進国の賃金の高止まりが促したもので、中国も例外ではありません。高くなったとはいえそれでも中国の賃金水準は先進国から見れば魅力な訳ですし、加えて国内富裕層の拡大で国内消費市場の魅力が増している訳で、この観点から中国との関係を断つのは容易ではありません。日本もそうですが、韓国、ドイツなど中国内需依存の強い国がアメリカのデカップリング政策に協力できる余地は限られます。そもそもアメリカのGMも中国で売上を作ってますし。

加えてコロナ禍が中国に追い風となっている現実もあります。何だかんだで主要国の中でコロナを克服して経済成長を実現した国は中国だけで、2020年も主要国で唯一プラス成長を実現している一方、変異種の脅威にさらされている先進各国は終息のめどは未だ立ちません。厄介なのはRNAウイルスであるコロナウイルスは当たり前に変異しますし、変異はランダムに全方位に起こる訳で、結果的に免疫迂回など感染拡大に有利なウイルスが生き残りますから、感染力を更に高める可能性が高く、いずれ現時点で有効とされるワクチンの無効化も視野に入ります。

その意味で現在先進国で展開されているワクチン争奪戦は事態をさらに悪化させる可能性があります。元々医療や衛生環境が脆弱な途上国へのワクチン供給はハードルが多く、国際協調で秩序立てて行う必要があります。それに対してアメリカでは自国民優先で国内生産分のワクチンの国外供給を止めてますし、いち早くワクチン接種に踏み切ったイギリスでは、コロナ対策で苦境に立ったジョンソン首相の「Brexitのお陰で早期承認が出来た」とのプロパガンダに政治利用されている状況で、EUは加盟国の調整で身動きできない状況ではありますが、全加盟国の公平性と加盟国の薬事承認の歩調を合わせるという難易度の高い調整を強いられている状況です。日本は単純に出遅れただけですけどね。

つまりワクチン接種の遅れで途上国の感染拡大が今後とも続くとすれば、途上国発の変異種による感染再拡大が何度でも起こり得ることを意味します。とすると中国デカップリングで途上国への生産シフトをしたくても出来ないことが現実化する訳で、ますます中国デカップリングを困難にさせます。ついでに言えば未知の変異種が繰り返し出現するような状況で五輪開催ができると考える楽観論はこうした現実を見ていない訳です。

最後にテキサス高速鉄道のかの可能性が開けるかもしれないJR東海の悲報です。

JR東海、2340億円赤字 今期最終、新幹線低迷が痛手:日本経済新聞
今期4,500億円の赤字を見込むJR東日本と比べれば約半分の数字ですが、2020年3月期に4,000億円近い黒字計上だったことから6,000億円以上の減益となる訳で、そのほとんどの原因が新幹線の不振ということですから、新幹線依存度の高さが浮き彫りになります。

更に順調に債務を減らしてきたところでのコロナショックですが、ザックリ発足時5兆円規模だった長期債務を3兆円まで減らした訳で、大体JR東日本と同等の経営の成果は出ている訳ですが、問題はリニアに偏った投資姿勢にあります。コロナ禍でリニア工事現場でのクラスター感染で工事が止まったり、静岡県との対立による工事着手遅れで2027年の開業は絶望的です。

同じように長期債務を減らしたJR東日本は、老朽車両の置き換えやハイブリッド気動車や蓄電池車ACCUMの開発、無線閉そくATACSの開発と埼京線で実用化、Suicaシステムの開発と導入など鉄道事業全般の強化策を講じる一方、駅の改修や駅ビル、駅ナカビジネスの強化など多様な投資を行って事業環境の変化に備えてきたことから、コロナ禍で更に投資を加速させ、山手線や京浜東北線のワンマン運行の前倒しなどを打ち出しております。ワンマン運行に関してはドライバレスの目標を掲げてますが、おそらくメトロのような通常のATOによるワンマン運行をとりあえず実行ということになるかもしれませんが、余剰資金をほぼリニアにつぎ込んだJR東海よりも事態に柔軟に対応できる状況にはあります。コロナ禍が長引くとすると、この差は今後大きくなると考えられます。

加えてJR東日本と西武HDの包括提携にも触れておきます。共同記者会見では具体像が明らかとは言い難いですが、当面JR東日本のシェアオフィス会員による軽井沢プリンスホテルのリモートワーク利用など限定的ですが、新幹線とプリンスホテルとのコラボと見ると、結構応用範囲が広がりそうです。当面資本提携は無いとしても、資材調達などでの鉄道事業での協業もあり得ますし、例えばバス事業やホテル事業など両社の事業横断的な提携もあり得ます。唯我独尊なJR東海が名鉄や近鉄との提携ができるかと考えると、この差も結構大きいと言えます。

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Sunday, February 21, 2021

地震、雷、火事、親父

昔は怖いものとして言い慣わされておりました。かくいう私も親父にはよく𠮟られてました。家父長制の傾向が強かったかつての日本ですが、核家族化して「元気で留守がいい」と言われちゃうぐらいにはマイルドにはなりましたが、ジェンダー問題や選択的夫婦別姓問題など相変わらずではあります。

夫婦別姓問題を「日本の伝統に反する」とか「家族制度が崩壊する」とかで反対する人たちは、今や核家族どころか単身世帯が増えて核家族すら典型的と言えない現実が見えていないようです。加えて言えば公家、武士、豪農、豪商を除けば大多数の日本人が姓を名乗るようになったのは明治以降の話ですし、例えば北条政子は源頼朝に嫁いでも北条政子のまま、源姓を名乗っておりません。昔は夫婦別姓だったんですね。

そんな家父長的パターナリズムの権化みたいな人が炎上して公職を去りましたが、どう見てもその影響下にあるとしか見えない元アスリートの現役閣僚が後任だそうで、伝えられるところでは本人は固辞したそうですが「あなたしかいない」と周りから言われて火中の栗を拾ったらしいと言われております。親父が差別発言で批判され逆切れカミナリで炎上。地震以外全部キタ—―――――――^_^;。結局組織委が森前会長から橋本新会長に変わっても、開催の方針は変わらない訳です。

文化放送の有森裕子氏のインタビューで「オリンピックはチャンピオンシップではない」という言葉が刺さります。元々オリンピックはスポーツを通じた国際交流を目的とした平和の祭典で、古代ギリシャで宿敵のアテナイとスパルタもこの時は戦いを休んでスポーツに興じた故事から20世紀にフランスのクーベルタン男爵が提唱して始まったものです。コロナ禍でIOCも無観客若しくは国内観客限定の開催に傾き、大会組織機もその前提で動いているのが現状でしょうけど、それってオリンピック精神に反すると声を上げた訳です。FIFAワールドカップや世界陸上のようなアスリート同士で勝敗を競うチャンピオンシップなら無観客も有り得るけどオリンピックにはなじまないという訳です。更に地方からも声が上がりました。

島根県、五輪聖火リレー中止を検討 知事が表明:日本経済新聞
島根県の丸山達也知事は旧自治省、総務省でキャリアを重ねた元官僚で地方出向を重ねた地方自治のエキスパートですが、2018年に退職し2019年の島根県知事選に無所属で出馬し、自民党と共産党の候補を破って当選した実力派知事です。地方自治の専門家らしく五輪関連の法令や通達を熟読して県の判断で聖火リレーを中止できることを確認した上での発言で、国や都のコロナ対策の下では聖火リレーはできないという趣旨です。

そもそもコロナ終息後の経済浮揚策だった筈の Go To トラベルの見切り発車、特に10月1日の東京都の Go To トラベル除外解除によって地方への観光旅行が増えた結果、コロナ感染がジワジワ全国に広がり11月以降は明らかに指数関数的増加が見られ、一部都府県で医療に負荷がかかりました。コロナ病棟で陽性者を受け入れると最低2週間の経過観察が必要ですから、指数関数的に新規感染者が増えれば早晩破綻する訳で、そのために病床を空けるために他の傷病者の退院や転院、手術の延期や救急搬送のたらい回し頻発など医療崩壊と言える状況が出現しています。

暮れの12月28日の Go To トラベル停止と帰省初詣の自粛要請、東京都などの飲食店時短営業要請、1月7日の緊急事態宣言発出で新規感染者が減ってきてはいますが、重症化しやすい高齢者の新規感染が増えており,死亡者も高水準でとても終息に向かっているとは言えない状況が続きますが、地方では Go To トラベルを巡る混乱で振り回され、緊急事態宣言対象外で営業自粛に対する補償金もない中、ただただ貧乏くじを引かされ続けていることへの不満が渦巻いている訳です。丸山島根県知事の発言はそれを代弁している訳で、隣県の知事たちも理解を示しています
が、この人はそうじゃない。

自民・竹下氏「島根県知事を注意する」 聖火リレー発言:日本経済新聞
国とは別法人の地方自治体の首庁に国会議員が注意する権限はもとよりありませんが、2019年の知事選で自民候補を応援した当事者ですから、政局絡みの恨み節ですね。言外に「あんな知事選ぶからこうなる」という有権者への当てつけですね。こんな奴次の選挙で落としましょう。

また竹下氏は橋本組織委新会長を「男みたいな性格、ハグ当たり前」と発言して炎上。二階幹事長も森氏用語発言といい自爆テロ級の火に油ですし与党議員の夜遊びといい管首相長男の総務省接待疑惑といい、炎上を競い合っているとしか見えませんね^_^;。

てな冗長な前振りはここまでで^_^;、本当に怖いのはもちろん自然災害です。先日の福島県沖地震は10年前の東日本大震災を思い起こさせましたが、プレート型地震の東日本大震災に対して「スラブ内地震」と呼ばれるもので、平たいプレートをスラブと呼び、地中の圧力によるひずみでスラブにひび割れが生じることでおきます。阪神大震災のような内陸型地震はほぼこれで、浅い震源ならば地上に断層が出来たり津波の原因になったりしますが、今回は地下53kmという深い震源だったので、津波も起きず震度6強とマグニチュードの割には弱い揺れになりました。但しその分広範囲に長時間揺れたことで思わぬ被害が出ました。

鉄道耐震化間に合わず 東北新幹線、電柱など損傷:日本経済新聞
東北新幹線は高架橋にスラブ軌道という構造の区間が多いのですが、これが災いしたようです。ちなみにスラブ軌道は上述の平たいプレートを表すスラブと同じ意味です。土の路盤のわきに基礎を打って立てる在来線の架線柱と違ってコンクリート構造物の高架橋に建植された架線柱は共振しやすく、今回のような長い揺れで傾いたり折れたりした訳です。東日本大震災の時にも見られ、鋼板を巻いたり鉄芯を入れたりする補強工事が施工中ですが、とにかく数が多いから工事は進まず、終了は2,028年頃の見込みということで、実際未施工区間で被害が出ています。

そういうこともあってJR東日本はひたちの仙台延伸や在来線の臨時快速運行などでカバーしましたが、輸送力の差はありますから完全にはカバーできないですが、迅速な緊急対応という意味でレジリエンスを示しました。加えてJRバス東北や福島交通の高速バス増便や定期便のない羽田から福島、仙台、花巻へ臨時便を出したANAとJALの対応といい、震災の体験が活きているようです。コロナ禍で需要が減っていたことや、特に航空は大量減便で機材も人員も余力があり、ネックとなる羽田空港も空いていたなどの要因もありますが、こうした迅速な動きは評価すべきでしょう。どっかの国の政府とは大違いです。

加えて言えば鉄道のネットワーク効果は大事だということを改めで感じます。阪神大震災の時に被災した京阪神地区を迂回する貨物ルートが無かったことが混乱を拡大しましたし、東日本大震災の時は逆に貨物列車の設定が無い磐越西線を利用した燃料輸送で代替ルートを確保したなんてこともありました。レジリエンスってこういったことの積み重ねなんですね。

ってことで、国土強靭化はその意味で明後日の方向の対策にしかならないと改めて思います。津波対策で防潮堤が整備されたものの、寧ろ海が見えない方が危険ということで、人が住んでいるところほど反対に遭って整備が進まず、無人地帯の巨大防潮堤が飛び飛びに整備されており、だれを守るものか曖昧です.寧ろ市町村役場などの公共施設を高層化して高層階に比内所を兼ねた集会場施設を作るとかする方が現実的です。

東北新幹線の架線柱損傷に見られるように、高速鉄道は元々レジリエンスが弱い存在だってことも覚えておきましょう。逆に盛土にバラスト軌道の東海道新幹線の方が頑丈に作られた山陽新幹線や東北新幹線よりレジリエンス面で優位ということも言えます。但しその分メンテナンスにコストがかかる訳で、東名阪をカバーする東海道新幹線でしか成り立たない可能性はあります。その意味で高速鉄道の二重化を唱えて中央リニアや北陸新幹線の大阪延伸が必要とする主張にも疑問を禁じ得ません。特にリニアは地震など自然災害時の安全性に関して未知な訳で、東海地震に備えた代替路線という位置づけも疑問を禁じ得ません。

加えて整備新幹線の並行在来線問題でも、頼みの新幹線が長期運休になった場合のリカバリーを考えれば維持する方が良いのは言うまでもありません。北海道新幹線の並行在来線で貨物列車のない長万部―小樽間の山線区間の存続はかなり厳しく、受け皿三セクの経営が成り立つ可能性は低いと言えます。こうしたコストも込みで整備新幹線が有利な投資なのかどうか、きちんと見極める必要があります。

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Sunday, February 14, 2021

しんきろうで2020五輪霧中

五輪組織委森会長の辞任問題が尾を引いております。

不透明プロセス、世論の離反招く 五輪組織委会長の選考:日本経済新聞
密室の謀議で首相になった人が公職を去る時も7密室でって、らしいと言えばらしいけど、流石に通りませんでした。森氏が指名した川淵三郎氏は過去の発言に問題いありとIOCからダメ指しされたようですが、そもそも辞任する森会長に後継指名の権利はありませんし、川淵氏も就任後に森氏を相談役に指名するということまで決めていたとか、もうドロドロ。個人商店じゃあるまいし。ちなみに森氏を慰留した武藤敏郎事務局長は、大蔵省ノーパンしゃぶしゃぶ事件当時の官房長で引責辞任した人物です。ポンコツ同士の身内意識なのか?

加えて昨夜の地震。震災の余震だそうですが、10年経っても大きな余震が続く現実は重いですね。家屋被災で負傷者が出てますし、発電所の停止で大規模な停電が起き、水道の被災で水道が止まるなどライフライン被害も出ています。東北新幹線は架線柱が傾いて復旧に10日以上貨化kる見込みですし、常磐道も被災しています。復興五輪を標榜していた東京オリパラにとっては最悪のタイミングです。

震災復興にとってはオリパラ関連の公共投資でヒトモノカネが取られますから、寧ろ復興を遅らせるだけというのはこれまでも指摘してきましたが、震災復興も道半ば、コロナ禍で無観客も有り得る五輪開催の意義が見出しにくい上に、大会組織委のガバナンスにクレームがつく事態で、流石に延期で追加負担を求められた企業スポンサーも不満爆発となりました。実はこれが効いたようで、国民世論の勝利と言いにくいところですが。

そんな中で小池都知事は奇妙な立ち回りを見せています。来現つに予定されているI4者会談不参加を表明しましたが、そもそも日程も決まっていない中での点数稼ぎと見る向きもあります。五輪前に行われる都議選で対立する都議会自民党への圧力ですね。実は森首相の辞任も都議会自民党の意向が働いたと言われており、総裁選で小泉政権誕生をもたらした訳ですが、自民党がゴタゴタすれば小池知事自身の国政復帰が見えてくるという訳ですね。五輪開催都市としてのダメージを国に付け替えて政局を有利にする思惑が見え隠れします。

てことで都知事としては大した実績を残せている訳ではありませんが、自分が有利になる立ち振る舞いは得意ということですね。築地市場の豊洲移転問題でも「豊洲は活かす築地は残す」という発言にも現れてますが、食のテーマパークというコンセプトは示したものの、豊洲市場の活性化のために整備予定だった観光施設は権利を落札した民間企業が反発して降りてしまいました。

タワマンたわわエントリーで取り上げた8号豊住線(豊洲―住吉)荷動きが出てきました。

膠着の有楽町線延伸問題、国交省委員会で議論進むか:日本経済新聞
東京メトロは株式上場を控えて大規模投資となる新線建設を打ち止めとする方針ですが、一方で混雑の激しい東西線の東陽町駅の改良(構内線増)や九段下の折り返し線拡張などの大規模改良工事を手掛けている訳ですが、タワマンで人口が急増した江東区では、東西線、総武線の混雑緩和のために比較的空いている有楽町線へ誘導するために豊住線建設を要望していて、豊洲問題のバーターで豊住線建設を江東区に約束したものの、東京メトロはこれを拒否している訳です。

ややこしいのは東京メトロ自身の株式上場問題が絡んでいて、国(財務省)53%都47%の株主構成で国が株式を手放しても都が手放さなければメトロに対する支配権が国から都へ移行する訳ですが、経営的に重荷となる新線建設を回避したい東京メトロに都が圧力をかければ利益相反が生じる訳で、そうなれば投資家が東京メトロ株の保有を躊躇することになるので、より高く売り出したい財務省としてはそれは認められないということで膠着状態になっている訳ですが、国交省が委員会を立ち上げて妥協点を探ろうと動いた訳です。

整理すると豊洲移転を巡るゴタゴタで都が江東区にいい加減な口約束をしたものの、株式上場問題も絡んで東京メトロは建設を渋り株式を高く売りたい財務省が後ろ盾になっているという構図です。政治家のいい加減な発言が事態をここまで拗らせてしまった訳ですが、小池知事は政局で国政復帰を模索しているからあとは野となれなんですね。同委はしませんが地下鉄一元化を打ち出した猪瀬氏はまだしも理念がありましたが。委員会を立ち上げた国交省にとっては難題ですが、どうするつもりなんでしょうか。

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