旅行・地域

Sunday, August 26, 2007

もう一つの九州新幹線

これはあくまでも未確認情報でして、裏を取ったわけではありませんので、そのつもりでお読みください。DJ誌の最新号でも整備の進捗が取り上げられている九州新幹線ですが、ここに至るまでに紆余曲折があったのは、ご存じの方も多いと思います。

そもそも総延長260kmほどの新線建設を、起点側でなく終点側の新八代~西鹿児島(→鹿児島中央)から着手したことに、ある種の政治的意図があったのだと思います。諸説ありますが、需要のある博多~熊本間を先行させると、採算性に劣る以遠の区間の整備が着手されない可能性があるということがまことしやかに言われたりもしますが、真偽のほどは不明です。また整備新幹線建設スキームに"スーパー特急方式"が取り上げられたことも、当該区間の建設を念頭に置かれたものという見方もあります。ま、いずれにしても整備新幹線自体が、国鉄分割民営化で計画の中断を恐れた複数の政治家の押し込みによるものであることは既に指摘したとおりです。

本来は根拠となっている全国新幹線整備促進法で想定されていなかった事態ですので、計画そのものをゼロベースで見直すべきだったのですが、そのような議論は為されませんでした。「新幹線は票になる」というだけの理由で、苦し紛れの整備促進に向かったのです。それ故に、気がつけば次々と新規着工が進み、スーパー特急やミニ新幹線で計画された区間も、いつのまにかフル規格に化けるということを繰り返し、JR東海を激怒させた既存新幹線買い取り代金への上乗せで無理矢理捻出した鉄道整備基金も2007年で枯渇することとなり、財源の当てもなく漂流する整備新幹線問題は、実にさまざまな問題を抱えながら進められることとなります。

そんな中で、九州新幹線鹿児島ルートに関しては、未確認ながら興味深い情報があります。スーパー特急方式で終点側から整備が始まったことで、西日本鉄道が、整備新幹線事業への参入をほのめかしたことがあるようです。詳細は不明ですが、考えられるところとしては、第二期の船小屋温泉~新八代間の計画を一部変更して大牟田で西鉄大牟田線(→現天神大牟田線)につなげて、鹿児島までの都市間輸送に参入することは考えられます。鹿児島中央までの建設キロは200km程度で、仮に最高速度160km/h、表定速度130km/h程度とすれば、大牟田~鹿児島中央間1時間半程度ですので、福岡(天神)~鹿児島中央間2時間半ということで、十分競争力を発揮できます。となればJR九州にとっては手強いライバルとなるわけで、このことでJR九州は整備新幹線事業に前のめりにならざるを得ない状況になったのではないかと考えられます。ある意味スーパー特急方式の裏をかいた話ではあります。

ま、この辺は無理して延命させた整備計画の隙を突く行動ということになりますが、元々整備新幹線の事業主体となるはずだった国鉄は解体されたわけですから、整備新幹線の事業主体に関しては、元々あいまいなところがあったわけです。一応並行在来線の切り離しを条件づける形で、在来線を管轄する事業者が事業主体となることが想定されていたんでしょうけど、無理して延命させた計画だけに、あいまいさが残ったわけですね。思えば北陸新幹線長野~上越間の着工時に、当時のJR東日本松田社長が、金沢までの一括着工に言及して物議を醸しましたが、その結果北陸新幹線の整備に消極的だったJR西日本の背中を押す形になったことと似ています。

今となっては真相は藪の中、あるいは九州選出の政治家が西鉄に騙らせただけなのかもしれませんが、実は真相はどうあれ、JR九州の立地条件のよさを感じます。西鉄という手強いライバルがいることが、JR九州にとっては重要なんです。元々九州は、北九州と福岡という2つの政令指定都市を抱え、かつ50万クラスの熊本、鹿児島から大中小さまざまな規模の都市が適度の分散していて、鉄道事業にとっては好立地ではあります。その点では札幌一極集中で、必然的に末端の過疎化が進行する北海道や、そもそも大都市が存在しない四国と比べれな、遥かに恵まれた立地ではあります。

が、このことは同時にライバルの存在が不可避であるということでもあります。条件の悪い北海道や四国でJRに挑戦する者が現れる可能性は低いですが、九州では昔から輸送市場が競争的でして、西鉄の前身の九州電気軌道(→北九州線)からして、阪神に倣ってインターアーバン(都市間電車)を目指し、1日数本の汽車ダイヤに、頻繁運転の電車で挑み乗客を奪い繁栄した会社です。また九軌系列の九州鉄道(2代目→天神大牟田線)も、同様に複線電化の高速鉄道に電車を頻発運転し、久留米までの乗客を奪い取った歴史があります。

そういった競争的DNAを持つ西鉄ですが、高速バス事業でも攻勢をかけ、福北ラインの3系統合計10分ヘッドをはじめ、とにかく運行頻度の高さが西鉄流で、スピードで勝る鉄道から客を奪っている状況があります。それゆえにJR九州は競争市場で経営に緊張感を持たざるを得ないわけです。

逆に福岡都市圏輸送では、筑豊本線と篠栗線の電化で福北ゆたか線と称して輸送改善したり、天神大牟田線との並行区間に新駅を作って西鉄の営業基盤を切り崩すような動きもあります。両者切磋琢磨して輸送の質を高めることが、結果的に乗客の利便性を高めているとも言えるわけです。そういう意味では、台湾鉄道当局が関与しなかったためにライバル関係となった台湾高速鉄道の事例に似ています。ま、台湾では高速バスも航空も全てライバルですから、コンペティター(競争者)が増えたところで大勢に影響ないのかもしれませんが。

鉄道事業は地域独占であるといわれますが、現実にはマイカーの普及で完全独占は不可能な状況です。それでも市場占有率が一定以上あれば、独占性が発揮できるんです。一般論では市場占有率40%を超えると独占事業といえるようです。その意味で例えば新幹線の開業と引き換えに航空が撤退するような区間では、本来新幹線の必要性自体に疑問があります。新幹線の対航空の優位性は1にも2にもその卓越した輸送力にあって、航空では代替不能なんですが、逆に航空のような需要に応じた柔軟な輸送サービスは苦手であるわけで、元々需要が旺盛な東名阪を結ぶルートで鉄道と航空が並存しているのは、その結果として乗客のトータルな利便性は高まるんです。そのことを忘れて航空を市場から締め出すためにリニアを建設すべしというのはスジが違うわけです。多様性こそ市場経済の特徴であり尊重されるべき視点です。

とはいえJR九州の経営はけっして楽ではない状況で、立地のよさと3島会社に渡された経営安定基金の存在を根拠に、九州新幹線全通のあかつきには、株式上場を果たして本州会社を凌ぐ優良銘柄になると期待する向きもあるようですが、既に3島会社の株式上場は財務省サイドで諦めているようです。整備新幹線では事業者であるJRの受益のほとんどは、線路使用料として鉄道建設・運輸施設整備支援機構に徴収されてしまうので、新幹線単体での利益貢献の度合いは低いということを押さえておく必要はあります。

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Tuesday, August 14, 2007

鉄道書評、線路にバスを走らせろ

夏休みシーズンで、鉄道関連ブログにも訪問記や旅行記が多数アップされている中で、当ブログ管理人はPC熱と闘いながら(笑)、書斎派鉄の道をまい進しております(苦笑)。

線路にバスを走らせろ 「北の車両屋」奮闘記(朝日新書 56) (朝日新書 56)
国鉄末期からの地方交通線転換によって、多くの営業路線を失い、事業規模を縮小した北海道の鉄道ですが、それでも残った路線の状況は厳しく、営業キロ2,500km中6割はローカル線という状況です。当然存廃が問われる路線も多く、JR北海道発足後にも、池北線の三セク転換と深名線のバス転換が実施されました。赤字路線の分離は、それ自身は経営面で必要なことには違いないのですが、同時に事業規模の縮小を余儀なくされるわけですから、JR北海道にとっては痛し痒しの部分です。

また90年代の金融危機のときに、北海道拓殖銀行が突然の経営破たんに見舞われたように、北海道では地場産業の衰退に直面している実情もあり、鉄道事業の撤退は、地域の衰退に拍車をかけることにもなります。また元々鉄道と共に開拓が進んだ北海道では、鉄道事業そのものもが産業集積として地域雇用を支えていた現実もあります。先日20年越しで和解、決着した旧国鉄職員のJR各社への採用を巡る労使対立も、元をただせば北海道の鉄道事業縮小に伴なう余剰人員の北海道以外の各社への受け入れを巡って、人選に所属労組による差別があったかどうかが争われたものです。

それやこれやで問題を抱えるJR北海道ですが、同時にリゾート列車や高速振り子列車などなど、実に多くの技術開発を行って、鉄道の活性化に取り組んでいるのは、あとがない崖っぷちゆえでしょうけど、ある意味地域分割のプラス面とも評価できます。最果ての大地で鉄路を維持することの意義を考えさせます。

以前、北海道旅行で、日高から襟裳岬を通って十勝へ抜けるルートを取ったときに、札幌からの鉄路乗継は飽きそうだから(笑)、道南バスの直通高速バスで浦河へ向かったのですが、浦河ターミナルで降りて最寄の東町駅へ行って驚いたのは、列車の少なさでした。襟裳岬方面へはどのみち様似でバスに乗り継ぐわけですが、並行する国道のJRバスのバス停を見ると、ほぼ1時間に1本のバスが走っているのですが、「学休日運休」の注意書きがあります。つまりは事実上の通学バスと化しているのですが、そうすると列車は何のために走っているのだろうかと疑問が出てきました。そう、線路がある以上、列車を走らせるしかないのです。

一応襟裳岬へ向かう観光周遊ルートには組み込まれており、様似から襟裳岬方面へのバスは。列車に接続をとっているわけですから、両者が棲み分けているわけです。しかし同じJR北海道同士で、両者の連携がないのは、ただでさえ少ない旅客を分けあう分、収支面では不利になります。北海道には鉄路と並行する整備された道路という似たロケーションのところは多数あります。DMVはそんな北海道では割と自然な発想の産物なのかもしれません。

そういった背景で、DMV開発に着手したわけですが、歴史を紐解けば、同様の発想で何度もトライされ、死屍累々の失敗を積み重ねてきたキワモノでもあるわけです。それを幼稚園の送迎用園児バスを見て「そのまま線路に乗せられそうだ」と発想するところが見事です。しかも軽量で線路を傷めないし、GPSなどの位置情報システムを利用すれば軌道回路を用いた閉そく信号も省略できるとか、行き違いも片方が線路を外れればよいとか、必要に応じて線路から外れた集落などへ運行できるとか、万が一の災害のときにも、線路と道路の復旧している部分を自在に行き来して運行を確保できるなどなど、発想が広がります。そう、DMVは最果てのLRTと考えれば理解が深まりますね。

基本的に引き算による技術革新ということです。鉄道は「金を失う道」といわれるように、線路を設置し維持するのに多額の費用がかかるわけで、需要が見込めないところで成立させるのは難しいわけですが、容赦のない過疎化の進行で乗客が減り続ける最果ての鉄路を残すには、現状に何かを付け足すのではなく、要らないものを削ぎ落として本体を維持するという発想なんですね。JR西日本の富山港線が富山ライトレールとして再生されたのに似ています。整備新幹線事業の着手に関連した富山市の都市計画で富山駅周辺の高架化事業が行われるときに、ローカル線である富山港線を新しい高架駅へ乗り入れさせるには多額に費用が発生するわけですが、アプローチ部分を都市計画道路上の併用軌道とすることで、ローカル線を都市交通に取り込んだわけです。足し算ではなく引き算で成功した事例ですね。そう、ヘビーレールから余分なものを割り引いてライトレールにするのであって、例えば元々低規格で放置されていた東急世田谷線が、軌道回路を用いた閉そく信号機と、連動する旧国鉄ATS-B相当の車内警報装置や列車無線を装備し、冷房付の新車に置き換え、ホーム嵩上げでバリアフリー化するなど、多額の費用をかけて列車定員を減少させ駅での客扱い時間を伸ばしスピードダウンした現実を見ると、技術革新の方向性が誤っていると言わざるを得ません。

大量輸送こそ鉄道の使命ですが、一方で過疎化の進捗で公共交通の維持が難しい地域も多数あり、居住放棄につながる限界集落が増えていると言われます。このままでは国土が荒れ果て、経済的パフォーマンスを低下させる要因にもなりかねない中で、公共交通を維持するソリューションの必要性は高いといいえます。その意味で身の丈にあったイノベーションとして、DMVの行く末を見ていきたいと思います。

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Sunday, July 01, 2007

越美北線と高千穂鉄道の間

日本の原風景を代表する中山間地の2つの鉄道で明暗を分けたニュースです。

JR越美北線が全線開通・3年ぶり
宮崎県の第3セクター高千穂鉄道、全線廃止へ
越美北線は2004年7月の越前豪雨で被災、高千穂鉄道は2005年9月の台風14号による被害です。路線立地の似た両線の明暗を分けたのは、特定地方交通線廃止に揺れた国鉄末期、国鉄に残ってJRへ移行した線区と第三セクター鉄道に転換された線区の明暗という整理は可能です。鉄道事業はスケールメリットがものをいうのは確かです。

しかし決定的に異なるのは、やはり行政の対応でしょうか。過疎化の進む越美北線沿線ですが、その中で沿線の大野市が、以前から住民の定期券購入者に補助金を支給してきたことが効いているのではないかと思います。これもそもそもは、かつて大野市へ達していた京福電気鉄道(現えちぜん鉄道)越前本線の勝山―大野間廃止の苦い経験からきているものです。

大野市はかつて県都福井市へ2本の鉄道が通じていたわけで、地方都市としては破格の好条件でした。私鉄である京福の方が、運転頻度も高く、利便性に勝っていたのが、沿線の過疎化とモータリゼーションとともに経営が苦しくなり、度重なる運賃改定で高くなる一方、国鉄時代の全国一律運賃制度のもと、低廉な運賃が維持された越美北線に、沿線利用者が流れるようになります。結局京福は、生き残りのために勝山から先の区間を廃止して、残る区間の運行に経営資源を集中させる選択をします。私企業としては当然の選択です。

これによって越美北線が唯一の鉄道となった大野市では、特定地方交通線問題で結果的に国鉄に残った越美北線の廃止問題に危機感を持つようになります。で、単なる陳情では廃止は阻止できないという判断があったのでしょう。前記の定期券購入補助を行って、利用者を補助する形で支えていきました。そのことがあったからこそ、越美北線の復旧費用40億円の一部を県が負担することに道がひらけたのでしょう。実際被災当初は県は負担を嫌ってJR単独復旧に言及しておりましたが、結果的に一部負担することになりました。

その間に県レベルでもいろいろありまして、1992年に京福電気鉄道が福井支社管内の鉄道線全廃を打ち出したのに対し、97年に県と沿線市町村で対策協議会を発足させ、行政支援を含む活性化の模索があ始まります。このとき既に京福の廃止表明から5年経過しており、当時の行政の危機感の希薄さが読み取れます。と同時に、需給調整規制撤廃を盛り込んだ改正鉄道事業法の施行で、廃止に際して地元との協議で不調でも1年後に廃止できるいわゆる見切り発車条項が盛り込まれたことで、自治体側が対応せざるを得なくなったというのが本当のところでしょう。

京福も見切り発車に踏み込まず、地元との協議を続けたわけですが、これには整備新幹線の北陸新幹線計画が絡む福井駅付近の連続立体化事業事業をめぐる問題がさらに絡んできたものと思われます。JR北陸本線の高架化にあわせて、京福も高架で福井駅へ乗り入れる形で福井市で都市計画決定されていたこで、路線の存廃が都市計画を不確定にしてしまうという珍しい現象が起きたんですね。またいつになるかわからないけれど、新幹線が福井へくれば、フィーダー輸送で京福の鉄道線が息を吹き返す可能性もあるだけに、特に自治体側が粘ったのでしょう。けれど事態は意外な展開となります。

2000年12月17日に越前本線志比境―東古市間で列車正面衝突、さらに2001年6月24日に保田―発坂間で再度の列車正面衝突事故と、半時に2回の重大事故で全面運休に追い込まれ、復旧のめどがたたない中で、2002年に第三セクターのえちぜん鉄道を発足させて、翌年2月に京福から鉄道資産を譲り受け、同年8月に三国芦原線。10月に越前本線改め永平寺勝山線が営業運転を始めます。福井県は地域として公共交通の危機に直面し、それとともに議論も活発化、福井駅高架化に対しても、既に名鉄から岐阜市内線の中古車を導入してLRT化を指向する福井鉄道との直結を踏まえた高架駅乗り入れ中止へと舵を切ることとなります。

えちぜん鉄道、一部LRT化・福井県が計画変更へ
かくして福井では、公共交通の廃止議論が地域の危機感を強め、鉄道の存続に行政が大きくコミットすることとなりました。ただし越美北線は一部運休の影響もあるでしょうけど、徐々に利用者を減らしている現実があるわけで、とりあえずの復旧、存続ではあります。

高千穂鉄道については、まずは行政が全く腰が引けている状況ですから、存続はそもそも無理筋ではありました。それでもとりあえず観光鉄道としての復旧をめざし、神話高千穂トロッコ鉄道という新会社を発足させ、寄付を募ってきたわけですが、寄付金は予定額を大きく下回り、新会社への資産継承のために休止扱いを続けてきた高千穂鉄道がいつまでも会社清算ができないということで、鉄道資産は新会社に継承されることなく廃止されたわけです。これでほぼ復活の可能性は絶たれました。

善意の寄付による鉄道存続といえば、関東の銚子電鉄の事例が直近で話題となりましたが、首都圏に立地し、関連事業のぬれ煎餅のネット直販サイトがアクセス急増で急遽受付中止となるなどが話題となって、メディアへ露出したことが大きかったですね。こういったことがなければ、善意の寄付だけで必要な資金を集めようというのは、自ずと限界があります。福井でも決して当初から行政は積極的だったわけではなく、地域の存亡にかかわる事態から危機感が生まれ、行政や住民に共有された結果でもあります。悲しいかな目に見えるシンボリックな出来事にしか人々は反応しないわけです。

関連記事:

高千穂鉄道復旧は成るか?
高千穂鉄道復旧は成るか?Part2
高千穂鉄道復旧実質断念、地域経済の袋小路
高千穂鉄道部分復旧の模索は続く

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Monday, January 22, 2007

地下鉄談合、名古屋バブルかもしれない

ホントしょーもないニュースです。

名古屋地下鉄談合、刑事告発へ最終調整・公取委
名古屋市地下鉄談合、一両日中に本格捜査・地検
大林組や鹿島、清水建設など一斉捜索・名古屋市地下鉄談合
名古屋市営地下鉄桜通線の野並~徳重間の地下鉄工事を巡る談合事件でゼネコンが捜索されました。刑法の談合罪適用を視野に入れているそうで、ゼネコンへの適用は初となるそうです。

工事区間ですが、名古屋市南東の郊外で、名鉄本線と地下鉄鶴舞線の双方から離れた鉄道空白地で、丘陵地帯の新興住宅地の風情がgooglemapからも読み取れます。一昨年の中部国際空港の開港や愛知万博の開催もあって、絶好調の名古屋経済のフロントエンドともいうべきエリアのようですね。

名古屋駅前にトヨタ本社ビルができて、名古屋で空前の不動産ブームに沸いているようですが、特に首都圏エリアのデベロッパーの進出が相次いでおり、マンションも戸建ても好調なようです。好調なトヨタのフトコロを当てにしたわけですね。

そのことに対して地元ではやや違和感をもって見られているようですが、それでも住宅が好調であれば地域経済へのインパクトも強いわけでして、桜通線の延伸の意思決定も、そういった意味では必要に迫られてのものだったと考えられます。そして談合決別を宣言した大手ゼネコンによって工事が受注されたわけですが、そこで大規模な談合が行われていたというのは、悪い冗談では済まされない話ではあります。

たぶん本社での談合決別宣言が、地方の支社にまで徹底されていなかったのでしょうけど、一部で談合発覚を誤魔化すために工事区間の振り替えまで行う念の入れようからすると、悪質性は高いといえます。以下は個人的な推測であることをお断り申し上げておきます。

好調な名古屋経済を背景とした不動産ブームという状況で、競合が激しくて低値受注が多い民間工事を、公共工事の談合で益出ししてつないできたゼネコンの経営からすると、口で言うほど談合決別は簡単ではないはずです。特に元請となることが多い大手ゼネコンの場合、下請けに泣いてもらってやりくりしている状況で、たまにはいい顔がしたいはずです。そんな状況で好調な名古屋で地下鉄工事となれば、多少おこぼれにあずかってもバチはあたるまいと考えたとしても不思議ではありません。そう、ある種バブルの熱狂がそうさせたのかもしれません。

というわけで、名古屋ひとり勝ちがもたらした談合事件ではないかと愚考いたします。関わった大手ゼネコンは東京と関西の会社ばかりで、名古屋からすればよそ者ばかりです。うーん、やっぱりバブルが忘れられないか-_-;。

こうなるとトヨタの好調も罪作りではありますが、かつてそこら中にいたマーク2三兄弟で大儲けしたトヨタが、やはりアメリカでブレークしたレクサスブランドの国内投入で上級車への買い替えを狙ったのですが、中流意識を反映したマーク2等からの買い替えは、上級シフトはベンツなど輸入車へ流れ、原油高とユーザーのリタイアメントの影響で大半はコンパクトや軽に乗り換えられという具合に、海外の好調を打ち消す体たらくに苦しんでおります。トヨタ神話も絶対ではないのです。

やや気になるのが、トヨタが最近中央リニアに積極姿勢を見せているそうで、曰く「東京~名古屋間40分なら相互に通勤圏になる」そうで、三河から全国へ分散した系列を含めた事業所間の連携強化に期待しているようですが、んなもんビジネスジェット使えよな! JR東海がJR総研から技術者を受け入れ、山梨実験線の延伸を決めるなど、前のめりになっているのも、トヨタの後押しに期待しての行動とすれば合点がいきます。あわれバブルのあだ花となるか(合掌)。

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Sunday, August 13, 2006

神奈川東部方面線で横浜市のフライング

相鉄とJR東日本の相互直通構想が横浜市の横槍で、神奈川東部方面線の構想と合体したのは既報のとおりですが、神奈川県議会の6月定例会の代表質問で、興味深いやりとりがありました。

http://www.pref.kanagawa.jp/gikai/pg/107/d_q.htm
民主党平本さとし議員の質問で取りあげられておりますが、事業費の自治体負担分について自治体間で協議中にかかわらず、横浜市は本年度負担分6億4千万円の2/3相当の額を予算計上することで、フライングしております。

県側は一応理解は示すものの、困惑気味ですね。事業そのものは横浜市域内で完結しますが、大和市や藤沢市なども受益がありますので、県を含めて負担割合を決めなければならないのですが、協議中に決め撃ちで予算措置をするというのは、行政手続き上は強引なやり方と言わざるを得ません。そうまでして新横浜に新線を通したいのはわかりますがね。

新横浜地区のオフィスビルの空室率は確かに高いですし、ラーメン博物館のようなテーマパーク型アミューズメントが成り立つのも、賃料の安さの反映でもあるわけです。また商業施設に関しては、ほとんど何もない状況ですが、開業時点から40年以上新幹線駅があって、なおかつのぞみ停車駅であるにもかかわらずですから、結構お寒い現状といえます。MM線の開業でブームが起きたみなとみらい地区とは大違いです。横浜市の現実として見ておく必要があります。

4日の総務省の発表で人口減が住民台帳上でも確認されましたが、その中で9都道府県では人口増、神奈川県は増加して、やはり増加した大阪府を抜いて人口2位となり、市町村では横浜市がトップという具合に、人口減少の中で勝ち組地域ではあるんですが、いうまでもなく東京のサテライト(衛星都市)としての発展であることは押さえておく必要があります。ちなみに南びわこ駅問題で揺れる滋賀県も人口増となっております。

そういった点を踏まえてみると、自前の市営地下鉄を建設、運営し、4本の環状道路を整備するなど、横浜市の開発スタンスは独立都市を目指すフルセット型の特徴があります。実はそれが実情にあっていないということは言えるのではないかと思います。地下鉄にしても、例えば神戸市が神戸高速鉄道によって既存の鉄道事業者との連携で路線網を強化したのに対し、第三軌条集電の独自規格で1,3号線(ブルーライン)を整備したばかりか、横浜環状鉄道(4号線=グリーンライン)は規格の異なる小断面リニア地下鉄として建設するなど、自前主義で高コスト体質になってしまっている点も気になります。ひとことで言えば戦略性が欠如しているということです。

みなとみらいのブームは、渋谷から直通で30分程度という時間距離がミソです。日産の本社移転も、ビジネスの足場として銀座との比較ですから、地価が安く、湾岸道経由で羽田、成田の両空港へのアクセスにも有利で、誘致企業優遇策を利用できるみなとみらい地区の選択には合理性があります。のぞみが止まるからといって新横浜は選択されないわけです。

人口減少社会への移行によって、人口動態は従来の常識では測れない状況になりつつありますが、滋賀県の場合もそうですが、地域開発には戦略性が問われる時代になってきたといえます。本当に必要な事業をきちんと見極めるとともに、コストパフォーマンスを高めることが問われるわけです。事業者の言い値で事業費を決定することも要注意というわけですね。

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Sunday, July 09, 2006

滋賀県知事選で南びわこ駅凍結

何かニュースがミサイル一色になっている感がありますが、そんなことに関係なく社会保険庁の不正は留まらず、福井さんは辞めないし、米国産牛肉は輸入されるしと、何だか騒々しい日々が続きます。スッキリ梅雨明けとはまいりません。「余人をもって替えがたい」福井さんって、どっかの国の将軍様みたいなもんでしょうか^_^;。

話題としては今さらながらなんですが、正直なところ全国区レベルではニュースとしての露出度が低くて実態が見えにくい滋賀県知事選で南びわこ駅を含む公共事業凍結を訴える新人がまさかの勝利、三選をめざす現職がまさかの敗退ということで、特に5月に着工されたばかりの南びわこ駅に関しましては、正直なところよくわかっておりませんでした。とりあえず経緯は朝日新聞地域版の特集に詳しいようです。

【秒読み新駅着工】
「新都心」に視線熱く(上)
【秒読み新駅着工】
右肩上がり強気の試算(中)
【秒読み新駅着工】
是か非か、三者三様 (下)
ここに至る過程で(仮)湖東駅と栗東新駅(南びわこ駅)の2駅設置やびわこ空港構想など、なんともバブリーな計画があったことなどを考えると、今回の選挙結果は、県民の良識が働いた結果と評価できそうです。

慌てたのはJR東海でしょう。記事中にもありますが、元々請願駅として計画され、駅設置費用246億円のうち240億円を地元自治体が分担して負担するのですが、これはあくまでも駅部分だけの話で、周辺の区画整理事業その他の整備事業をあわせて650億円、かつJR草津線に設置予定の連絡駅に関してはJR西日本との協議はこれからの話ということで、どう見ても無理スジに見えます。それでもJR東海にとっては、のぞみのスピードアップのためにはこの位置に退避可能駅を作りたかったはずです。

東海道山陽新幹線をめぐるJR東海とJR西日本の軋轢は以前から指摘されておりますが、昨今輸送シェアがじりじり低下している状況に注目しておきましょう。無駄を指摘された神戸空港の意外な健闘は、実はJR海と西の連携の悪さに起因するニッチな需要の掘り起こしに成功したものと見ることができます。神戸市にとってはJR東海さまさまです^_^;。

で、のぞみの新神戸停車を増やすなど、やっとここへきてJR西日本との連携の必要性を認識したようですが、そのためには京都の手前のこの位置に退避駅がほしいところです。少なくとも京阪神へ向かうのぞみが手前で先行列車に頭を抑えられる状況は解消したいはずです。特にN700系のスピードアップ効果を活かす意味はありますので。

ならばJR東海が自腹で駅を作ればよさそうなものですが、それをすると悪しき前例となって、ほかの駅設置希望地域からの突き上げを受けてしまうのでできないわけです。例えば相模新駅などですが、こちらは地元自治体がまとまる気配がありませんが、南びわこ駅がJR東海単独事業で実現してしまえば、こちらにもという話になるでしょうから、JR東海としてはおいそれと呑めない話になるわけですね。

あと駅予定地が盛土区間であるために、迂回路を作って盛土を撤去し、高架橋を設置するという手順となるために、山陽新幹線厚狭駅や上越新幹線本庄早稲田駅に比べて割高な工事費となっている点にも注意が必要です。東海道新幹線で多い盛土区間ですが、高架橋へ改築されるとすれば、料金上乗せ分を積み立てて行う東海道新幹線の設備更新工事の先取り的な要素もあるわけですが、そうなると請願駅だからということで工事費のほとんどを地元で負担させられる根拠が弱くなる気がします。駅が欲しい人たちには見えない部分かもしれませんが。

ま、ただあくまでも凍結であって、中止ではないわけですから、選挙結果を受けて県議会などで議論されるはずです。ま、どうせオール野党で袋叩き状態でしょうから、まだどう転ぶかはわかりませんが、議会解散などなどの泥仕合に発展すれば、ますます知事派に風が吹くことになりそうですから、結構後々にひびく選挙結果かもしれません。今後も注目してまいりましょう。

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Saturday, June 10, 2006

相鉄とJR東日本の相互直通大臣認定

というわけで、前回記事(東急相鉄相互直通、横浜市の横暴相鉄の涙)の続きを新規にアップします。相鉄とJR東日本の相互直通に関して、9日、大臣認定を受けたことで、手続きが前へ進みます。とりあえず西谷-横浜羽沢間2.7kmについての認定ですから、JRとの直通を先行させる形での決着となりました。

http://www.sotetsu-group.co.jp/news_release/archives/PDF/060609_01.pdf
東急との相互直通に関しては、継続して協議中と考えられます。

同時に瀬谷駅の下り待避線設置による構内4線化を行い、横浜海老名間5分程度短縮となる特急運転構想も動き出すこととなります。この結果横浜駅のターミナル集客力を維持し、空洞化を防ぐ狙いがあるものと思われます。この辺も前回記事で触れたとおりの狙いがあると考えられます。とりあえず渋谷行きの電車が自社線を走り出す(東急との直通)前に、特急運転で横浜の地盤沈下を防ごうというわけです。

あと開業時期の問題も重要でして、当面JRとの直通が2015年ですから、保有車両の更新を当面はJR直通可能車(10000形又はその後継?)で進め、予定数がそろったところで東急直通対応の縮小限界、ATOホームドア対応車に切り替えるといった時間差対応が可能となります。“走ルンです”ブラザーズ、東急5000系の色違いで対応となれば、前回記事のSATOさんのご指摘のように、追加費用は許容範囲かもしれません。7000形の6M2T8連への組み直しなど、6000形末期を思わせる変化が見られる状況ですから、これらの置き換えと考えれば、確かに無理のない車両計画になりそうです。

相鉄の本音は、東京都心直通は、とりあえずJRとの直通で達成可能なので、ここで可能な限りの投資リターンを回収し、東急との直通は収支トントンでいこうという意図があると思われます。構想の運転本数の少なさですが、いざとなれば横浜羽沢で5両増結の15連という裏技の可能性は指摘しておきます。東急との直通が始まるまでの短期間限定であれば、増結の5連を別建てで横浜羽沢まで走らせる手が使えます。ついでにグリーン車連結でもすれば、増収効果も高くなりますね。

というわけで、意外にしたたかな相鉄の姿勢ということが言えそうです。大手私鉄中最も小規模なグループに属する同社ですが、規模の点で類似の西の阪神が、例の一件ですっかり評価が地に落ちた一方で、他社との協業で未来を拓こうとする姿勢は見るべきものがあります。結局阪急との経営統合へ進む阪神との対比はこの点でも際立ちますね。

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業績好調でも意外と難しいつくばエクスプレスの次の一手

つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道が9日に3月期決算を発表しました。

つくばエクスプレス、営業収益140億円・当初予想上回る
記事にもあるとおり、想定を12%も上回る好調な客足に支えられて、とりあえず好スタートを切った形です。開業が昨年8月ですから、通期の実績は2007年3月期を待たなければなりませんが、償却前黒字ならば現金の流出はありませんから、全くの新規の鉄道としては、文句なしの実績です。営業損益で29億円の赤字ですから、旧国鉄流にいえば営業係数120程度ということで、巨額の減価償却費も年度が進めば減額されてきますから、間違いなく将来の黒字は約束されたことになります。それでも単年度黒字は20年後の見通しですが。

こうなると自治体主導三セクの弱いところで、沿線自治体から東京乗り入れやつくばから先への延伸などの要望が出される可能性がありますが、当面は現状のまま沿線開発を深度化することが重要です。仮に何らかの新規投資をするとしても、沿線開発に資するものに限定すべきです。

といったことを踏まえて公式サイトを覗いて見ますと、秋葉原で駅ビル事業を行うそうで、当面は秋葉原のターミナルとしての補強を考えているということで安心です。それにしてもTXは用地提供だけで、事業主体は阪急電鉄とは驚きです。

参考:

(仮称)TX秋葉原駅開発ビル
餅は餅屋ということでしょうか。

鉄道施設に関しては、新幹線並みの贅沢なインフラですから、当面はメンテナンスも楽でしょうし、これといって問題点は見当たりませんが、逆にそのことが東京駅乗り入れにしろつくばから先への延伸にしろ、難しくしている点は否めません。また黒字化が見込まれる20年後には、設備の老朽化への備えも必要となりますが、贅沢なインフラは更新も出費を覚悟する必要があります。

さらに茨城県内では、TX沿線への開発の集中が、逆にそれ以外の地域の衰退を伴っている点を忘れるべきではないでしょう。鹿島鉄道の廃止問題は、直接的には自衛隊百里基地のジェット燃料輸送のトラックへの切り替えによるものですが、TX開業でつくば線の高速バス減収などで影響を受けた関東鉄道が支援を打ち切る意向によるものである点は見逃せません。全線は無理でも乗客の多い常陸小川までの存続を県が支援するなどの対策は望ましいのですが。

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Saturday, May 27, 2006

東急相鉄相互直通、横浜市の横暴相鉄の涙

かねてより話題の東急と相鉄の相互直通が決まりました。

相鉄と東急、相互乗り入れを申請
詳しくは記事にあるとおりですが、少し目新しい部分は、都市鉄道等利便増進法の枠組みを活用した事業ということで、上下分離を前提とした整備の枠組みなんですが、従来の第三セクターによる線路保有とは別の手法でして、整備新幹線の都市鉄道版とでもいえばピッタリくるものです。これを公設民営と呼ぶかどうかは判断に迷いますが。

基本的に整備事業費を国、自治体、鉄道・運輸機構(旧鉄道建設公団の資産管理部門を引き継いだ独立行政法人)で1/3ずつ負担し、そのうち鉄道・運輸機構支出分を事業者がリース料を支払うことで間接的に負担する仕組みですが、リース期間の定めなどがどうなっているかなど、やや不透明な部分があり、仮に将来事業者が買い取りを希望した場合の取り扱いなどが不明です。JRによる既存新幹線買い取りの場合を前例とすれば、再取得価格(同等の施設を譲渡時点で再度新たに調達すると仮定した場合の時価)ということになりますが、裁量の余地が大き過ぎて、実際整備新幹線建設費捻出のために鉄道整備基金に拠出する目的で約2兆円の上乗せがされて、なおかつその約半分をJR東海が負担させられ、しかも地価の上乗せで処理されたことから、減価償却できずにJR東海の資金繰りを縛ってしまったためにヘソ曲げられちゃいました^_^;。

とまぁことほど左様にあいまいな仕組みで問題があるんですが、元々地価が高いために整備が進まない大都市圏での鉄道整備を促進する意味で、事業者からみれば魅力的な仕組みではあるわけで、2004年8月に相鉄とJR東日本による相互直通計画が発表されたとき、おそらく相鉄関係者は悲願の東京都心直通を少ない負担で実現できるグッドアイデアと胸を張っていたものと推察されます。しかし皮肉なことにこの枠組みを利用するがゆえにハードルが生じてしまいました。

JR・相鉄両者合同の記者会見が予定されながら、横浜市の横槍で突如会見が中止となり、それ以降今日まで関係者の調整が続いてきたわけです。つまり1/3を負担する自治体のうち、神奈川県は当初から賛成表明をしていたわけですが、横浜市が業務地区として開発を進めてきた新横浜を素通りする計画に反発したわけです。

元々神奈川東部方面線の名称で、東横線日吉-大倉山間の線増と大倉山-新横浜-鶴ヶ峰ー二俣川間の新線建設構想は古くからあり、横浜市を中心に協議会を発足させるなどしてきたいきさつがありますが、協議会のメンバーでもある相鉄がJR直通構想を打ち出したことで、事実上神奈川東部方面線の計画は棚上げ状態になってしまいます。それを横浜市が嫌い、一方で東急も新横浜進出を希望していたこともあって、横浜市が東急を抱き込んで相鉄に圧力をかけたというのが、今回のニュースの真相と考えてよいようです。

相鉄は自社沿線特に新線であるいずみ野線沿線の開発の進捗が芳しくないことから、東京直通を希望してはおりましたが、同時に横浜駅西口の駅ビル事業(髙島屋へ賃貸とジョイナス)、地下街(ダイヤモンド地下街)、レジャー事業(ムービル=撤退)など、一連の不動産を管理する立場でもあり、東部方面線が実現した場合の横浜駅のターミナルの空洞化は避けたいのが本音でした。ですから東横線との直通は、商業地区として強力なライバルの渋谷への顧客流出を促すおそれがあるわけで、おいそれと乗れない話ではあります。

一方のJR東日本との直通ですが、横須賀線、湘南新宿ラインへの直通で、ラッシュ時最大4本程度ということで、スピード面も加味して東京直通の恩恵は十分得られて、逆にターミナルとしての横浜の分担率も一定に保てる計画だったわけで、なおかつ相鉄サイドから見れば新線建設区間は2.7kmと少なくて済み、投下資本の少なさと効果の大きさのバランスが絶妙だったわけです。

かつ東横線直通の難点として、東急の車両限界の小ささから、専用の直通車を用意しなければならない点もコストアップ要因ですし、相鉄の最大編成10連に対して東横線8連、噂される目黒線直通の場合は6連ですから、この点でも相鉄側で列車設定に制約が生じてしまうなど、正直なところあまりありがたくない話です。

それでも横浜市が協議に参加してくれないことには、JRへの直通も実現できない以上、相鉄にとっては苦渋の選択だったと考えてよいでしょう。かくして渋々東急との直通計画を呑んだと考えられます。救いは西谷-横浜羽沢間を2015年まで先行開業しJRとの直通を先行させる点でして、横浜羽沢-新横浜-日吉間は2019年開業予定と時間差がある点でして、県や市の財政事情によっては後半はキャンセルもしくは先送りされる可能性がある分、時間差によるリスクヘッジの可能性があるわけです。その間に本線に特急を走らせて海老名での小田急との継送のパイプを太くして、横浜対小田急沿線で需要を掘り起こして横浜のターミナルとしての吸引力を維持する時間も稼げる可能性があります。

というわけで、JRと相鉄のいかにも民間らしい投資効率の良い計画を横浜市が台無しにしたという評価をせざるを得ません。地元企業を大切にしないで地域活性化もないもんですよね。

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Thursday, January 05, 2006
相鉄と東急、新横浜経由直通報道の読み方

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Sunday, May 14, 2006

神話高千穂トロッコ鉄道へ県が支援?

復旧が模索されている高千穂鉄道ですが、こんなニュースが入ってきました。

高千穂鉄道の新社への財政支援、宮崎県知事も「助成検討」
記事によれば、高千穂鉄道の鉄道資産を譲り受けて運行を予定する神話高千穂トロッコ鉄道(以下神話トロッコ鉄道と記す)への資産無償譲渡の可能性について言及したということです。意味するところは、支援ではなく助成というところがポイントです。

つまり直接的な財政支援を必ずしも意味しないと読むべきなんでしょう。県の立場として、運休中の高千穂鉄道の出資者の一員として、神話トロッコ鉄道から高千穂鉄道へ要請されている問題について、鉄道事業法で求められている事業の基本計画書などが判断材料となるわけで、特段目新しい内容でもないんですが、事業の継続性など、将来の全線復旧を含めた事業の見通しを示すというハードルを明らかにしたとおいうことです。というわけで、復旧への一里塚ではありますが、状況が好転したと考えるのは早計です。

神話トロッコ鉄道による復旧の取り組みの困難さは宮崎日日新聞の特集にまとめられておりますが、たとえばJR北海道が開発中のデュアルモードビークル(DMV)に期待するなど、実現性に疑問を持たざるを得ない部分もあります。

DMVに関してですが、道路走行を前提とした車両にとって本来不要な鉄道走行装置を搭載する結果、道路運送法に定められた重量制限をクリアする必要と、鉄道車両としての安全性の両立という難しい課題があり、簡単に実用化とはいかないでしょう。DMVがマイクロバスサイズとなった理由は重量問題からですし、背中合わせの2連となったのは、輸送力を持たせる意味と片側にしか客用扉のないバスボディの流用を前提とした苦肉の策でもあります。そもそもヤナセやコマツが鉄道会社に納入した保線用軌陸車の車検証記載重量の偽装問題で明らかになったように、業務用で低速運転前提の保線用軌陸車でさえ重量問題のクリアに苦慮している現実を見ると、旅客を乗せて安全に運ぶ営業用DMVの開発のハードルはきわめて高いといえます。

現実的なシナリオを考える必要があります。このときにネックとなるのは、鉄道資産の公的所有についての明確な定義がないことです。一応三陸鉄道で鉄道資産のインフラ部、具体的には線路、駅、信号装置などの建造物を取り除いた路盤、橋梁、高架橋などの部分について、公的保有とすることで、固定資産税負担を逃れていて、整備新幹線並行在来線の受け皿となった青い森鉄道でも踏襲されたいわゆる“公設民営”方式が実施されてますが、これは現行法の範囲内での負担軽減策として考えられたものの、元々鉄道資産の固定資産税は“公共性”を理由とし、また生産設備を構成するもので事業が継続する限り転売の可能性がないという理由で評価額を1/3に減免されているのですから、その中の素地部分についてだけ固定資産税負担をなくしたところで、負担減の程度は微々たるものといえます。

宮崎日日の特集にもありますが、とりあえずの復旧区間(槇峰-高千穂間)の無償譲渡を受けたとしても、被災区間である延岡-槇峰間を当面誰が管理するのかという問題は残るわけでして、仮に高千穂鉄道を清算するとなれば、何らかの処分をしなければならないわけで、たとえば道路用地として無償供出されるとしても、その時点で延岡側の復旧の可能性を閉ざしてしまうことになります。保留地として継続的に公的保有されることが望ましいのですが、現行法では難しいところです。本来は鉄道事業法などで公設民営の保有経営形態を定義できればすkっきりしますが。

公的助成といっても、場合によっては財政支出を必ずしも必要としないケースはありうるわけでして、制度を見直すだけで道が拓ける場合があるということを申し上げておきます。少なくとも高千穂鉄道の保有する鉄道用地は、転売できるような資産価値があるとは思えませんが、生きた鉄道として活かされる場合だけ、地域経済の下支え効果によって価値を生む性格のものといえます。地域の自立を制度面で支援することこそ、地方分権であり改革の名に値するものといえるのではないでしょうか。

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高千穂鉄道が問いかけるもの

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Wednesday, May 03, 2006

高千穂鉄道が問いかけるもの

ウォームビズといえば、クールビズの冬版として環境省が提唱した省エネ運動で、室温20℃以下で厚着をすることで省エネを図ろうということでしたが、実は落とし穴があります。六本木ヒルズなどの高層オフィスビルでは、元々蓄熱性の高いコンクリート躯体の体積が大きく、また省エネ設計ということで断熱性能も高いのですが、その結果、IT機器の発熱で躯体が暖められ、冬季夜間の暖房オフ時間の室温が27℃という現実がありまして、ウォームビズのために冬でも冷房をしなければならないという本末転倒な現実があります。土地の高度利用、効率的利用のためには高層化が欠かせないと考えがちですが、実はかように資源浪費的で、果たして経済効率を高められるのかどうかは微妙です。

それでも都市の集積度が高い大都市圏の中心部の局地的なオフィス需要を満たしつつ、周辺の開発を抑制して公園その他の公共空間を作り出す手法としての高層ビル建設自体は意味のあることでしょうし、六本木ヒルズの例で言えば、麻布十番あたりのマンションや商業地としての発展に寄与したという意味での評価は可能です。むしろ問題はどこもかしこも高層ビルを建ててしまうことで、資源浪費を助長することにあると考えます。

しかしここ数年、不動産の証券化による流動性向上や、空中権など条件つきながら容積率緩和などで、高層ビルが次々と建ちあがり、再開発ブームの様相を呈しておりますが、既に高度集積となっている首都圏地域の再開発の結果、集積度をさらに高めても、国全体として見れば首都圏地域の人の移動や物流を非効率なものにする結果、国全体としての経済的パフォーマンスは低下することになります。

こういった観点から高千穂鉄道問題を見ると、首都圏と対極に位置する農山村の現実が浮き彫りになります。大都市部で資源浪費の結果、C02排出量が増えて温暖化が進み、結果的に台風で被害を受けるのは、高千穂鉄道沿線のような末端部となるということです。首都圏地域の再開発による利益はもっぱら首都圏のビジネスパーソンが享受し、開発の結果生じたコストは遠く離れた農山村地域が負うという、ある種自然の搾取と呼ぶべき現実があるわけです。

高千穂鉄道の被害総額は26億円といわれておりますが、これはあくまでも原状回復を前提とする数字でして、同等の水害を想定した高規格化を行う場合は40億円といわれます。首都圏の再開発による開発利益からすれば、けっして大きな数字ではないんですが、それ以前に開業以来赤字基調で推移し、利子収入を期待して積んだ経営安定基金も、長期に亘る低金利で赤字補填を果たせずに取り崩し、被災直前には車両の更新時期を迎えながら財源が得られないということで存廃の議論が始まったいただけに、県による復旧断念は、残念ですが現実的に避けられなかったといえます。そもそも低金利は銀行の不良債権問題があったから長期化したもので、結果的に融資を受けてきた大手企業が救済され、銀行自身もなりふり構わず不良債権の償却を進めて危機を脱した反対側に、高千穂鉄道のようなローカル鉄道の経営難へとしわ寄せされたということがいえます。

格差社会がいわれる昨今、なかには怪しげな議論も多数あるんですが、少なくとも地域間格差の拡大は、間違いなくここ数年拡大しております。格差拡大は市場経済に原理的にビルドインされた仕組みの帰結でもあり、格差を是正する仕組みが機能しなければ、格差拡大は避けられないところです。結果的に農業漁業林業などの第一次産業が疲弊し、補助金漬けで存続させているのですから、格差拡大のコストはむしろ高くなるのですが、三位一体改革でその補助金すらカットしようというのですから、地方の疲弊は留まるはずもありません。少なくともこの部分に関しては、小泉改革の負の側面と断定して差し支えないでしょう。

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Monday, April 17, 2006

新幹線反対派市長当選、佐賀県鹿島市

長崎新幹線の続報です。

新幹線着工“反対派”市長当選 佐賀知事「今後も協議」
というわけで、佐賀県知事は協議を続けるそうですが、鹿島市長への切り崩しは熾烈なものになりそうです。

長崎新幹線問題ですが、武雄温泉-諫早間約45kmの新規着工に伴って、平行在来線区間の肥前山口-諫早間が経営分離されることに対して、平行在来千区間に立地する鹿島市が危機感を募らせるのは当然のことです。しかも長崎新幹線の今回着工区間には2,700億円の事業費がかかる一方、時間短縮効果は28分でしかなく、1分100億円弱という信じられない効率の悪い投資です。公共事業の問題点としてたびたび指摘される非効率な事業といえます。財政再建が議論されているそのときに、このような事業が新規着工されるとすれば、悪い冗談でしかないですし、それだけ中央政界での議論が地域の各論で否定されるのであれば、改革が名ばかりであることの証です。

公共事業であっても、投資効率の高い案件も当然存在しうるわけですが、長崎新幹線はとりわけひどい代物といえます。そもそも九州新幹線鹿児島ルートが実現すれば、ボトルネックとなっている博多-鳥栖間の輸送力増強は果たせるのであって、あえて作る必然性にとb惜しいのは自明です。推進派の説明としては、鹿児島ルートが博多まで開業すると、博多までの時間距離が逆転し、長崎が置き去りにされるというのですが、対博多で鹿児島と争うという志の低さに唖然とします。

元々徳川幕府の治世で、出島での大陸貿易の独占で栄えた長崎ですが、東シナ海の向こうには、東京より近くに上海があるという好立地なのに、それを活かす発想がないのが不思議です。まさか倒幕に動いた鹿児島への恨みだったりして^_^;。

あとフリーゲージトレインについてですが、長崎新幹線でも、新規着工区間をフル規格で建設し、フリーゲージトレインで新在直通すれば更に10分の時間短縮が可能というとらぬ狸な議論もされてますが、そもそもフリーゲージトレインは現在開発中であって、実用化のメドも立っていないということは忘れてはいけません。レールと車輪の関係に関わる基本技術に関わる技術開発ですから,開発要素が多く、実現のハードルは高いといえます。仮にはーd的には可能性が拓けたとしても、コストが高ければ営業運転には使えないわけですし、どちらかといえば、既存新幹線区間から末端の在来線への新在直通運転を地上線路の軌間変更なしに可能であるという点からすると、導入可能な場面は限られると考えるのが自然です。

というわけで、これから強烈な切り崩しに遭うであろう鹿島市の桑原市長と鹿島市民には、くれぐれも頑張ってほしいところです。

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10年で経年劣化?ゆりかもめの苦悩

というわけで、ゆりかもめの続報です。

「ゆりかもめ」タイヤ外れ、金属疲労が原因
通常の加速時に車軸にかかったトルクでねじ切れたものということですから、結構深刻です。前の記事を書いているときも頭をよぎりましたが、オーバーユースによる経年劣化の可能性を疑っていただけに、正直なところ、ホンマカイナという感じです。10年でハブが金属疲労破断するぐらい乗客を運んでやっと黒字ということだとすると、ゴムタイヤ駆動の軌道系システムは結構使えない代物ということになりかねません。

こんなんもありました。

ゆりかもめ、17日始発から運転再開 金属疲労が原因か
ハブの損傷をチェックする磁粉探傷検査を11月に導入しながら、事故車両はその前に検査入場していたので、検査の網にかからなかったということのようです。ま、悪いことが起きるときってこんな感じなんでしょうけど。

対策は検査体制を見直すとともに、早目の部品交換で対応ということになると思いますが、想定外の追加コストを負担するわけですから、既に黒字を重ねているゆりかもめは良いとして、現在工事中の日暮里舎人線などでジワリと影響が出るかもしれません。

愛知万博のときのリニモが混雑でストップしたときにも書きましたが、使い込まれていない新技術は、思わぬところに落とし穴があるもので、特に輸送力を問われる公共交通において、輸送力の上方弾力性が乏しいというのは、致命的な欠点と考えて良いでしょう。鉄車輪と鉄レールの成熟した鉄道技術が見直されることが望ましいと考えます。

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Saturday, April 15, 2006

ゆりかもめ、手痛い週末全面運休

ゆりかもめが動きません。

ゆりかもめ急停止、タイヤ外れる・午後8時から全線運休
ゆりかもめ、始発から全線運休・行楽客らの足に影響
ゆりかもめ、運転再開のめど立たず
ゆりかもめ、16日も始発から全線運休
というわけで、前代未聞の週末全面運休となり、行楽客で平日より1割増の稼ぎ時をフイにしてしまいました。

現時点では原因不明ですが、ハブの損傷といえば、三菱ふそうのリコール隠し事件発覚のきっかけとなった横浜市瀬谷区のトレーラー車輪脱落事故を連想させます。歩行者もいる公道の事故と専用の高架軌道上の事故の違いはありますが、死傷者がいなかったのは幸いです。また、非常発報装置が作動して緊急停止という報道を見る限り、無人運転のバックアップ装置が正常作動したということですから、無人運転がかえって安全に寄与したということになりそうです。

システム的には横浜の金沢シーサイドラインと同等の側方案内式ゴムタイヤ駆動新交通システムですが、公道上を走る自動車と違って、走行中のトラブルが許されない専用軌道上を走る新交通システムですから、タイヤもスチールラジアルですし、ホイールやハブの強度や耐久性も考慮されているはずですし、車両保守も作業平準化の目的もあって、計画保守体制が組まれているはずですから、通常ならば考えられない事故ということになります。しかし事故は起きてしまいました。

96年の開業以来好調が続き、02年のりんかい線全通で利用減はあったものの、黒字基調が続き今月豊洲延長もあって、三セク鉄道事業者としては例外的な存在といえるゆりjかもめですが、事故調の調査を優先させての運休ということで、先行き不透明感が漂います。鉄車輪と鉄軌道の通常鉄道であれば、ここまで大事を取る必要もなかったわけで、鉄道という成熟した技術の集積の信頼感の高さを痛感します。

ま、とりあえずはこれぐらいにして、事故調の発表を待ちましょう。

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Sunday, March 05, 2006

長崎新幹線の見果てぬ夢

最近更新が滞っておりますが^_^;、久しぶりの記事で少し動きが見られる長崎新幹線を取り上げます。ここで見えてくる問題は、日本の地方の現実が凝縮されています。ま、ちょっと佐賀県をめぐる問題は複雑なんですが、九州新幹線鹿児島ルート上に新鳥栖駅を設置することになったために、鹿児島ルートに財政負担を求められている一方で、長崎ルートでも当然負担を求められる立場にあるわけです。

長崎新幹線に関しては、長崎県が積極的なのに対して、今回の着工区間である武雄温泉-諫早間では、従来鉄道ルートから外れていた嬉野温泉にしか恩恵がない一方、整備新幹線スキームで、JRから切り離される平行在来線区間として、有明海沿いの肥前山口-諫早間が提示され、この区間の受け皿として自治体出資の第三セクター鉄道会社を立ち上げる必要があるわけですが、幹線ルートから外れて赤字必至となる同区間を抱えることで、負担ばかりが来ることになります。しかも鹿島市をはじめとした並行在来線ルート上の市町に関しては、新幹線の恩恵がないばかりか、事実上の切捨てとなってしまう事情があり、さすがにこれを無視して県として新幹線推進一辺倒ではまずいということなんでしょう。

長崎新幹線問題、在来線赤字JR全額負担
元々JR九州では、在来線ルートの救済策として5往復程度の直通特急を走らせるなどの妥協案を提示しておりましたが、さらに一歩進んで赤字補填まで打ち出したことで、事態が動くことになるのかどうか、注目されます。

元々鹿島特急構想も、JR九州が第三種事業として三セク会社に線路使用料を支払って運行することを念頭においており、事実上の赤字補填のスキームなんですが、ローカル輸送で赤字を出せば、線路そのものの存続に問題があり、反対を堅持する沿線3市町を説得できないということなんでしょう。にしてもそこまでして新幹線を作らなきゃならないのはなぜなんでしょうか。

この問題では、平成の大合併といわれる市町村合併が影響しております。沿線七市町のうち三市町が脱落、一町も議会が同意し町長が反対と又裂き状態にあるわけですが、市町村合併で状況変化があって結果的に切り崩されているというのが実態でして、ゆえに鹿島市は嬉野町と合併したら^_^;という笑えないジョークまで飛び出しております。さらに地方制度改革として道州制が打ち出されておりますが、市町村合併の現実を直視すれば、またしてもまがい物改革か、と気が重くなります。

少なくとも長崎新幹線問題では、一部市町の反対で前へ進めない佐賀県の立場は消滅するわけで、新幹線のような大型公共事業は進めやすくなるわけです。また中央省庁の地方局を道州へ移譲することで、行政組織がスリム化するという議論がありますが、つまりは国家公務員としてカウントされる公務員数を見かけ上減らすために地方へ押し付けるという話なんで、騙されちゃいけませんね。

長崎新幹線に関しては、元々時間短縮効果が少なく、過大な投資であるという指摘は以前からされてました。肥前山口以西が単線で、線形も悪く、いわゆる投資不足状態ではありますが、投資効果を考えれば、幹線鉄道活性化事業で対応すべきケースでしょう。それを何が何でも新幹線でというのは、結局のところ補助率が新幹線の方が高く、国からたくさん予算が下りてくるからなんです。都市交通分野でもモノレール等と比べて補助率が高かった地下鉄建設にバイアスが働いたために補助率を揃えたのですが、幹線鉄道に関しては、そうなっていないわけです。しかも整備新幹線自身が国の整備計画に基づいた事業ですから、ルートなど国の一存で決まるしそのために政治家の口利きが横行することになります。こういった構造を見直すことが先決ですね。

またJRにとっては、平行在来線経営切り離しが実においしい利権なんです。国と地方の財政負担で、収益部門である幹線都市間輸送分野の資本装備を増強して競争力を高められる上に、重荷となっているローカル輸送を合法的に切り離せんるんですから、平行在来線三セクの赤字補填ぐらいしても、まだお釣りがきます。ただし新幹線のストロー効果で大都市圏(九州では福岡)への一極集中が進めば、結局片輸送となって輸送効率をさげてしまいますから、長期的にはJRにとってもマイナスになると考えられます。特に経営の苦しい三島会社ならばなおさらで、札幌一極集中で苦しむJR北海道の姿に近づくのは得策とは思えませんが。

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Monday, January 16, 2006

特特法事業で輸送力増強後混雑率悪化で次の手が問われる京王線

耐震強度偽装事件絡みで京王プレッソインの記事を書きましたところ、京王線のラッシュ輸送の問題に関して複数のコメントをいただきました。お隣の小田急線が複々線化事業を推進中で、何かと比較される京王線ですが、2005年度新造予定の9000系10連の日車豊川からの甲種輸送が14日に行われ、おそらく週明けにも若葉台へ搬入されるなどの動きが出てまいりました。このタイミングで、京王線のこれからを考察しておくのも面白いと思います。

大手私鉄中間決算の記事でも取り上げましたが、通期見込みで1.2%の利用増を見込む京王電鉄は、本業の好調さが目立ちますが、その一方で特特法事業で長編成化による輸送力増強を実現し、一旦は168%まで緩和された最混雑率の数字を170%に悪化させております。特特法による積立金の取り崩しによる運賃値下げと、久々のスピードアップを伴う準特急を登場させたダイヤ改正が功を奏して、沿線でマンション建設ラッシュが続き、ひところ減少に転じた沿線人口が再度増加するなど、好調な反面、複々線化を見合わせたために次の手が見えない状況にあります。

一方都営新宿線の新型ATC導入を期に都営新宿線で車両置き換えが進む中、6000系後継車両という位置づけの9000系20両登場が2005年度事業計画で発表され、タイミングからいって老朽化の進む6000系30番台直通車の置き換えになるのは間違いないところですが、10連で登場というのが10連固定編成とすれば、当面朝ラッシュ終了後に入庫することになりますから、運用面では制約のある状態になります。ただし中間運転台のなくなる分だけは乗客スペースが増えるわけですから、そうまでしなければならない京王線の苦しい状況を反映しているといえます。

小田急では複々線化事業を推進中も、ラッシュ輸送の改善が進まなかった結果、東急田園都市線や京王相模原線など他社線ルートへの乗客逸走が見られ、沿線人口が増加しながら利用減という事態に至り、大規模投資の元を取る意味で積極策に出て、千代田線直通の多摩急行の設定で多摩ニュータウンで競合する京王から乗客を奪うなどの事態となり、京王も都営線直通急行の設定で巻き返しをはかって対抗するなど、どちらかといえば競争的でないといわれた関東私鉄で競争が活性化された中で、京王線の劣勢が傾向として読みとれます。

大規模工事としては調布市内連続立体化事業を推進中で、国領、布田、調布の3駅が地下化され、特に調布駅の相模原線分岐部の平面交差が解消される予定なので、実現すればダイヤ白紙改正が考えられますが、調布での京王線と相模原線の下り方向への折り返しができなくなるなど、新たな制約事項が加わります。そんな中でどのように輸送改善されるのかは見えておりません。

車両面では7000系のVVVF改造が進捗中ですが、こうなると6000系の淘汰は加速せざるを得なくなると考えられます。同時にVVVF車が出揃った段階で現行の加速度2.5km/h/sを3.0km/h/s程度に見直して運転時分を見直すことは考えられます。また都営新宿線のデジタルATC化に関連して京王線のATC化もしくは現行の多変周点制御ATSを入力装置としたATCによるバックアップ(デジタルATCでパターン制御が可能になる)などで余裕時分を生み出すといった改良は考えられます。ここまで来れば地上線車と直通車の区分はなくなる可能性もあり、時間帯で8連と10連を使い分けるなどで柔軟な運用が可能になると考えられます。ただしピーク時の増発やスピードアップまでは難しいですから、余裕時分の増加で遅延防止になる程度でしょう。

やはり最終的には複々線化へと進まざるを得なくなる気がします。ただし投資の原資をどうひねり出すかは難しいところです。京王が有利なのは現行運賃の安さですが、設備投資のために運賃値上げを利用客に理解してもらうのは難しいところです。当面は現在の特特法による積立金取り崩しを原資とする運賃値下げの期限が2007年12月になり、値下げ分をなくした若干の運賃値上げが予告されてます。この時点で考えられる選択肢は次の通りです。

1.利用増による増収分を反映させて現行の値引き運賃を維持
2.予告通り上限運賃を値上げするが、当面は現行水準の値引きを維持
3.予定通り運賃値上げ
4.特特法事業を申請して上乗せ運賃で複々線化の原資を得る
といったところが考えられます。逆に言えばこの部分のアクションである程度方向性は見えてくるということもできます。

京王線の複々線化では、同時施工される連続立体化事業に実は問題が隠されておりまして、連続立体化事業の条件となる都市計画道路2箇所以上との立体化という条件を満たすのが難しいという問題があります。環七、環八、赤堤通りとは既に立体化されており、沿線の世田谷区や杉並区の都市計画道路整備が進まない状況下では事業化の目処すら立ちません。

一方東武線竹ノ塚の踏切事故で、いわゆる開かずの踏切問題がクローズアップされ、代田橋-仙川間が重点踏切立体化事業として認められる可能性はあります。そうなれば何らかの形で複々線化への道筋が示されるのではないかと思います。あるいは井の頭通りとの立体化で明大前駅周辺の区画整理事業に着手されれば、とりあえず現在ネックとなっている明大前の混雑解消のための構内線増など部分改良が実現する可能性はひらけるかもしれません。

というわけでファンの間では輸送力増強打ち止めと見られている京王線ですが、まだまだどうなるかわからないところかと思います。

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Friday, December 23, 2005

SuicaとPASMO相互利用でどう変わる?

遅ればせながら^_^;ビッグニュースを取り上げます。

ICカード:SuicaとPASMO、07年3月から相互利用OK
以前からパスネットとバス共通カードのIC化共通化と、JRSuikaとの相互利用に関してはアナウンスされていたわけですが、単なる磁気カードからICカードへの変更に留まらない注目すべき変化が読みとれます。

元々交通系の磁気カードとしては、券売機で乗車券と引き替えるタイプのプリペイドカードとしてJRのオレンジカードなどのプリペイドカードとしてスタートするわけですが、交通事業者にとっては先払いによる回転差資金を得られる利点があったものの、利用者にとってはあまりメリットはなく、ゆえに高額カードを中心にプレミアムをつけて割安感を訴求したのですが、単純な磁気カードゆえに偽造がはびこり、特に高額カードの偽造は事業者のリスクも大きくなるために急速に取扱いを縮小、廃止せざるを得ない現実に直面します。

一方で直接自動改札機に投入して乗車券として利用できるストアードフェアカードにすれば、乗客にとってもメリットがあるということで、阪急のラガールスルーを嚆矢としてJR東日本のイオカードなどで実現しますが、同じプリペイドカードでも乗車券タイプとするためには、発駅、経由地、着駅などルートを特定する機能が必要となり、書き込まれる磁気情報もそれだけ複雑化しますし、紙の乗車券のように検札なども困難で偽造防止の必要性からセキュリティレベルを高める必要があることもあって、鉄道事業者に高度な設備投資を強いることになります。

それゆえに複数社局で共通化することで、投資のスケールメリットを追求する必要があるわけです。技術革新を伴う設備投資ゆえに量産効果を働かせる必要があるわけです。それゆえにプレミアムは見送られ、また鉄道営業規則上の乗車券という扱いとなることから、事実上の割引となるプレミアムはつけられなかったという側面もあります。磁気カード乗車券が登場したこと自体が営業規則にとって想定外だったとはいえ、やや硬直的な感は否めません。また期待されたイオカードとパスネットとの共通化も、セキュリティレベルの違いから当面は見送られることとなり、次世代のICカードでの実現に向けて協議を重ねることとされたのですが、十分説明が尽くされたとは言い難いところでした。

一方でバス共通カードの方は元々紙の回数券を置き換える目的の回数券カードだったことから、回数券の割引に相当するプレミアムがつけられたのですが、バスの場合は元々回数券が金額式であったことと、車上で乗務員が運賃収受するシステムなので、磁気券への書き込みが鉄道の乗車券カードほど複雑ではないことと、現金扱いよりも客扱いが容易で営業所へ戻ってからの精算業務が簡単ということもあって、プレミアム付で磁気化され急速に共通化されたものの、今度は鉄道の乗車券カードとの共通化を難しくしてしまいました。

ICカード化することで、磁気カードよりも多くの情報を短時間で読み書きできることから、これらの課題をクリアしやすくなるわけですが、バスカードのプレミアム部分の扱いについては、現段階では明確ではありません。おそらく利用実績に応じたポイントを付与してチャージに回せるようにするなどの対応が取られるものと思います。

また乗車券としての決済機能を援用することで、電子マネーとしての機能を付与できるということもあって、今回のPASMOではSuicaの電子マネー機能も共通化されますが、既にSuicaと共通化されたピタパやICOCAなどが乗車券カードとしての共通化に留まっているよりも一歩踏み込んでます。

そのほか定期券機能、子どもカード、記名式カードなど応用範囲が広く、自動チャージ機能などクレジットカード並の信用取引も可能など、サービスも充実し利用者サイドから見れば多機能で使い勝手は良さそうです。この辺はICカードならではといえます。