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Saturday, July 04, 2026

骨太ショックで複雑骨折

前エントリー*1のタイトルで「正体」のつもりで「招待」に誤変換^_^;。しかし内容と齟齬がないのでこのままで訂正はしません。ポピュリズムを呼び込む政治状況は日本に留まらずBrexitやトランプ現象も同様です。結局政治のエンタメ化で絡めとられるどうしようもない現実だけは続きます。

てことで本題に入る前にBusRama最新刊(216号)で和田編集長がEVMJ問題でコメントを載せてます*2。ザックリ言えば地獄への道*3で述べた中国EVのアジャイル開発の波に吞まれて、工業製品につきものの初期不良対策ができていなかったということです。一方でネットで炎上した中国製で詐欺だとか選定プロセスの疑義などは踏み込まない慎重さで好感が持てます。特にブレーキホース損傷などのリコール案件は、修理すれば使用可能だった車もあったはずですが、自動運転社会実験用40台を含む全190台の減損処分には疑義を呈していて大手メディアにはない視点を提供しています。大阪では議会で突き上げられており、まるで証拠隠滅でもするような全車処分はむしろ意思決定過程を不透明にします。少なくとも失敗を認めて教訓を後世に残す姿勢ではありません。これサナエトークンやt中傷動画問題と似ています。

てことで本題ですが、経済財政諮問会議の骨太の方針が発表されました。予想通りの積極財政路線ですが、市場は早速反応しています*4。3日の債券市場で長期金利の指標となる10年物国債金利が一時2.81%をつけて3%をうかがわせる動きとなりました。また金利上昇観測から2日に2.7%で実施された国際入札は不調で、原因は政府が日銀の利上げに消極的なことで円安が進むと市場が見た結果です。利上げしても円安といっても、欧米の金利水準よりかなり低い上にインフレ補正の実質金利は相変わらずのマイナス圏ですから、日本国債を積極的に買う理由がない訳です。

やや長くなりますが、日本経済の複雑骨折ぶりがあぶりだされました。先月の日銀の利上げは予想通りだったけど、政府は難色を示していました。上田総裁は政権の圧にやや弱気だったようですが、病気の治療を理由に異例の政策決定会合欠席となりましたが、審議委員5名が利上げ賛成を表明していましたから利上げは既定路線だったといえます。そして政府は盛んに為替介入をにおわせて市場けん制を試みましたが、ドル円162円台をつけても動かなかったように、実際には原資となるドル預金を4~5月に11.7兆円も使って155円台に戻したものの効果は1月で剥落しさらに円安が進みました。市場は介入警戒ムードで小刻みな動きでしたが、結局介入はないと見てより利回りの良いアメリカ国債やAIブームに沸く株式投資の原資になるドルが買われてじりじりと円安が進みました。政府は意に染まぬ日銀の利上げを今回は為替介入が困難だから容認したという背景が透けて見えます。その裏には為替介入のために保有米国債を売られることをアメリカが嫌っているという事情もあります。

そんな中で明らかにされた骨太の方針が予想されたとはいえ財政出動のオンパレードで、財源としてインフレによる税収上振れを当てにしています*5。2025年度に2.6兆円の剰余金が発生したことから、税収上振れ3兆円を見込んで国債発行を抑えるとしてますが、つまりインフレが進行することを前提にしているわけで、その分国民生活が圧迫されることには向き合わず、単なる帳尻合わせをしている訳ですが、インフレが進めば遅れて金利上昇は避けられないから、国債の利払い費の負担も増すことは考慮されてません。日銀に圧をかければ低金利が続くというアベノミクスの劣化コピー版の経済見通しを打ち出したことで複雑骨折と表現すべき状況です。

そうは言うけど日経平均株価は上がってるじゃないかともいわれますが、これアメリカのAIブームの流れで半導体関連が買われている結果の株高で、半導体以外はほぼ横ばいです。株価以外全部沈没をご参照ください*6。ちなみに同エントリーで取り上げた京成電鉄の押上発着の有料空港連絡列車の続報です*7。現在成田空港ではB滑走路の1,000m延長と3,500m級の新滑走路整で大型機発着が可能な3,500m級滑走路2本として、分散しているターミナルも統合するというもので、実現すれば1.5倍の発着枠拡大が実現しますが、そうなると鉄道アクセスの輸送力不足が問題になります。現状でもスカイライナーやN'EXは満席が多く、アクセス特急や快速エアポート成田も時間帯によって混雑する状況です。

京成電鉄は2027年運転開始を予定する押上発着の湯量特急を30年代に都営浅草線と京急に直通させて羽田空港と成田空港を結ぶ構想で、成田新幹線の遺構を単線並列でJRとシェアする成田湯川~成田空港間を複線高架の別線で建設し新駅を設置し、JRは京成が新線移行後に線路を改築して複線化し、京成は有料特急毎時6本、アクセス特急毎時3本と倍増し、JRもN'EXを毎時4本と倍増する計画です。統合新ターミナルへの移行が前提となりますから、具体的な時期は明示されておりませんが、新滑走路整備を含めて用地買収が難航しており、遅れることは確実です。加えて供用時間拡大問題でも地元の同意が必要で、こちらも流動的です。資金問題は国や県などと協議されるようですが、京成本線ルートや東成田駅、芝山鉄道の扱いなどは報道にはありません。

あとJRは羽田空港アクセス戦を活用した羽田成田連絡輸送を目論んでおり、おそらくりんかい線を介した京葉ルートでの実現を狙っていると思われますが、その場合京葉線から総武快速線への渡り線整備が欠かせません。候補としては高谷支線活用の西船橋ルートと千葉みなと~本千葉を結ぶ連絡線新設などが考えられますが、どちらも実現のハードルは高いといえます。加えて軽京成新線の整備後の複線化と実現時期も京成の後になるという意味で苦しいところです。そしてインバウンドの拡大が前提ですから、円安が進んで国民生活はさらに窮乏すると考えると、手放しで喜べないところです。確かに便利にはなりますが、果たして国民を幸せにするものかどうかは微妙です。

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Sunday, June 14, 2026

AIの投資考

裏・壺・族と暗号資産*1のサナエトークン絡みで英常駐の高市首相です*2。やや込み入ってますが、元々サナエトークン問題は週刊現代が追っていたネタですが、週刊文春が総裁選と総選挙の中傷動画問題を取り上げて国会でも質問通告されてますが、当初「週刊誌ネタ」を理由にまともに答えず「秘書を信じる」と啖呵切ったりしてましたが、週刊文春は中傷動画作成者に直接話を聞いて公設第一秘書とやり取りしていた証拠を突きつけているのにまともに答えませんでした。

しかし製作者に共同通信がインタビューして配信したことで、新聞テレビにも取り上げられて逃げ道をふさがれつつあります。しかも動画制作者はサナエトークンの制作者でもあって、文春が入手したzoom音声がサナエトークンの打ち合わせだったということで、現代と文春が別個に追いかけたネタがつながりました。大まかに言えば総裁選ライバルの中傷と総選挙の小選挙区で競合する中道の大物候補者の動画をネットから拾ってAIで編集したもので、製作費は製作者が負担したものだから公職選挙法上の買収には当たりませんが、政治家やタレントの人気を利用したミームコイン発行で大儲けできるわけで、利害誘導罪には問える問題で、買収と同様当事者の罪状が確定すれば連座制で議員辞職と公職追放という処分を受けます。今回のスキャンダルはその可能性が大いにあるということです。

それはそれとしてAIがこうしたところで使われて世論を歪めてしまうことは問題です。こうした世論誘導を外国政府のエージェントが行えば事実上主権侵害となる問題で、デジタルチンピラにシノギを与える隙があったという意味で、高市首相の対応は危機管理の観点からも問題です。経済安保で諜報機関を作ったりしてますが、足許が心許ないじゃシャレになりません。また悪意を以て政権を乗っ取ろうとする動きは国内どころか与党からさえ出てきます。例えばこれです*3。これ故高松宮寛仁親王の信子夫人が麻生副総裁の妹で、政略結婚が疑われて寛仁親王没後離婚しています。そんな麻生氏の肝いりで降って湧いたのが「両院議員の総意」として提出された皇室典範改正議論です。麻生氏の息のかかった旧宮家男子を養子で押し込めば皇室乗っ取りすらできてしまいます。流石に利害のある問題なので徳仁天皇は皇太子時代のお世継ぎ質問に人権発言で答えコロナ禍の五輪名誉総裁としての開会宣言を宮内庁を通して断った人です*4。マジキレです。まあ道鏡の轍を踏む旧宮家男子が現れる可能性は低いですが。

てことで本題ですが、AI規制に慎重だった米トランプ政権が突然ミュトス級AIの外国人利用に規制をかけました。一応アンソロピックの提言をG7財務省中銀総裁会合で取り上げられたこともあり、それを受けての米政府の規制とも考えられますが*5、実際にはそうれを口実にした米政府のアンソロピックいじめです。軍事利用を理由に国防総省への提供を断ったことの報復です。ただアンソロピックも株式IPOを申請しており、政府との対立もその為のマーケティングじゃないかという疑いも持たれています*6。

今年はスペースXを皮切りにアンソロピック、オープンAIと大型IPOが続きます。但しイラン戦争の影響でインフレが昂進しており、既にECBは利上げを決めたほか、上田総裁欠席ながらも日銀も利上げに動くとみられており*7、米FRBも新議長の下でも利下げどころか年内利上げの観測すらあります。ガソリン価格高騰のみならず雇用統計の強さも利上げを示唆します。そんな中で集中する大型IPOを支える余剰資金の不足が心配されており、インフレに伴う長期金利上昇と連動して売られる債権市場からのシフトだけでは間に合わず、AI半導体関連以外の既存株の倍棄却が起きています。株式ETFでも投資ポートフォリオの見直しで既存株を売ってIPOに備える動きがあります。

これアメリカだけの話じゃなくて日本にも波及してます*8。立役者はきおくしあです。不正会計で破綻した東芝の再建のために売られたメモリー半導体大手ですが、AIデータセンター投資に伴うメモリー需要でAI銘柄とみられて東証の時価総額トップの座をトヨタから奪いました。ただ日本の場合にあキオクシアを外れ値と見れば既存企業の株価は業績好調にも拘らず上げたり下げたりでほぼ横ばい。寧ろスペースXのIPO資金捻出とみられる売りすら見られます。円安ですから日本勢は余分に資金をねん出しないと競り負けます。てことでAI投資に関しては日本にはほぼ勝ち筋が見えません。但しAIがどんな素晴らしい未来を約束するかといえば、冒頭の中傷動画みたいな即物的な錬金術に使われて人々を不幸にするだけではどうしようもありません。新しい価値を生みだす道筋は見えません。まして余剰資金の海外流出は国内投資をますます困難にします。
羽田空港D滑走路で航空機のタイヤパンク事故が2件続いて、その原因が滑走路の破損ではないかと言われています。検証はこれからですが、多摩川河口の水流を邪魔しないために桟橋方式で造成され、試験を繰り返して強度や耐久性に問題がないことは確認されましたが、問題は河口にかからない部分は従来通りの埋立方式で造成されていて、その境界部のジョイントがめくれているのが確認されているということです。これを単純な経年劣化と見て良いのかということです。強度や耐久性に問題がなくても、沈下の可能性がる埋立造成との併用で、ジョイント部がどのように作られているかはわかりませんが、ウイークポイントになる可能性はあります。強度や耐久性に問題がないのなら、全面桟橋方式の造成でも良かったのに、埋立と塀用となった経緯が問題になります。おそらくコスト面の問題と土木工事で発生する残土処理の都合が重なったというあたりでしょうけど、日本の玄関口となる重要インフラがご都合主義で作られたとすると問題です。

上述のキオクシア以外の株価停滞の典型は運輸株ですが、ANAとJAlは頃中から回復して業績好調にも拘らず株価がさえないのはホルムズ封鎖に伴う航空燃料の高騰で早くも27年3月期の業績見通しに暗雲で、特にANAが厳しい状況です。意外ですがJALは不採算路線の整理で単価の高い北米路線のウェートが高いことと、やはり北米路線中心の国際線LCCジップエアの連結業績も寄与してます。また中国路線は例の戦狼外交で中国エアラインの運休*10で寧ろ搭乗客が増えていたりします。それでも航空燃料高騰で燃油サーチャージがシャレにならない水準になっております。それでも非運輸事業へのシフトで先んじるJALのほうが有利と言われます。JALはすでにJR東日本との提携を発表してますが、JR北海道や九州など三島会社との提携には可能性がありそうです。工事の遅れで開業が見通せずB/C比悪化で事業そのものの在り方も問われている北海道新幹線を当てにするだけが能じゃないかも。ちなみに工事を巡る談合事件でも揺れてます*11。限られた財源で進める工事は談合で益出しするしか受けられないという意味でリニア談合に通じる問題です*12。

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Sunday, May 17, 2026

AIの物語が終わるとき

近頃対立が目立ち共同声明がまとまらないG7サミットですが、18~19日の財務相・中央銀行総裁会議では久々にまとまりそうです。主要議題は「ミュトス問題」です*1。ミュトスとは米アンソロピックが開発したAIで、システムの脆弱性を素早く発見する能力が優れていることから、悪用されればシステムへの侵入やウイルス攻撃などに使われる可能性があり、特に金融システムが狙われる危険からアンソロピック自身がリリース先を絞った上で当局に申し出たものです。英語表記で Cloud Mythos でギリシャ語の神話、物語などの口述伝承を意味する名前です*2。

1民間企業が開発した製品で異例の対応ですが、金融システムの安全性が損なわれれば大混乱は確実な訳で、元々AI規制に前向きだった欧州に対して、自国に最先端企業を複数抱え世界をリードするアメリカはそんな欧州を批判していましたし、政府向けリリースに消極的なアンソロピックを政府調達から外したりしてましたが、そんなことを言ってられない事態と認識した訳です。尤も欧州もDeepSeekショック*3を契機に後発国にもチャンスがあると認識して規制を緩める動きを見せていますが。変わらないのがそういう認識すら持たない規制ユルユルの日本です*4。AI悪用のサイバー攻撃はGoogleも報告種を発表しています*5。ロシア、北朝鮮に渡ればシャレにならない事態です。

しかし一方で北京の米中首脳会談ではこんな動きも*6。NVIDEAのファンCEOが突如トランプ大統領に同行しました。目的は当然商談ですが、AI分野でアメリカを猛追する中国にNVIDEAのGPUを売るのは敵に塩か?一説によれば半導体製造でも猛追する中国に対して、最先端品開発で陳腐化した型落ち品を売ることで、中国の対米依存を敢えて誘導するという思惑があるとか。海軍能力がほぼ無かった中国に対して敢えて米軍が合同演習して力の差を見せつけると同時に軍事支出を誘導して経済負担を狙うアメリカの高等戦術ですが、結果裏目になっている現状ではあります。

米中がAI派遣で譲らないのは当然ながら軍事目的がある訳で、アメリカは分厚い金融市場で潤沢な資金を手当てできる環境と共に、政府や金融機関という金離れの良いユーザーがいることが優位性をもたらしている一方、中国式計画経済はそんなアメリカへのキャッチアップに政府が資金を提供するに留まらず、ユーザーに利用を促していて勢いを保つと共に、競争で勝ち残った企業に集約することで標準化を図ることでユーザーにもメリットが生まれるという高度な産業政策を進めています。こんなことできるのは中国の経済規模と人口と更新が進まない先進国より新しい生産設備があればこそですが。

逆にアメリカは技術革新の早さが天井感をもたらしてもいます。実際今のところ確実に利益を出しているのはNVIDEAぐらいで、オープンAIやアンソロピックなどの新興AI企業はNVIDEAの出資を得てAIデータセンターに投資してNVIDEAののGPUを買っている訳で、循環取引が疑われます。加えてGoogleやAmazonなどテック企業がAI企業に出資していて、増益の7割が保有株の評価益という実態もあります。日本のバブル期と似た構図です*7。そしてS&P500などの株式も、AIと金融以外の株式はあまり上げておらず、AIへの警戒感から上がれば利益確定売りが出て下がるということを繰り返してます。

株の上値が重い理由は債券市場にあります。米30年債が売られて利回り5.1%と市場では天井をつけたと認識されて株が売られた流れです*8。債券の評価損を株の益出しでカバーする動きですが、同様の動きは東証市場にも見られます。債券売りは関税裁判で米政府が再度敗訴して財政悪化が止まらないことと*9、ホルムズ海峡封鎖に伴うインフレでFRBが利下げどころか利上げすら視野に入る状況になったことで、金利が押し上げられている状況です。FRBウォーシュ新議長いきなりの受難です*10。とはいえ生産設備の老朽化は如何ともし難く、金融とITの癒着マネーゲームをマクロ調整だけで乗り切ろうとする矛盾が付きまといます。

というわけで、AIを巡って紡ぎ出される物語(Mythos)は国家が絡むから簡単には弾けないだけで、人々を幸福に導く道筋も見えないものです。インフレ防止法(IRA)でバイデン政権が目指した高速鉄道などのインフラ整備の方がマシだった可能性はあります。てことで日本も他人事じゃないんですが、大人の事情で財務省からダメ出しされた北海道新幹線*11にも絡む話ですが、整備新幹線の貸付料を巡る国交省とJRの対立が起きています*12。30年とされた貸付期間終了後国交省は30年延長案を提示したものですが、JR東日本は特に猛反対しています。

30年経過すれば経年劣化で設備の更新もしなきゃならない。自社保有ならば減価償却資金を充てれば良いが国(鉄道・運輸機構)保有で減価償却はないし、特に東北新幹線延伸部のように貨物調整金まで負担してほぼ儲け無しでは鼻血も出ない訳で、実際に減額を示唆する文書もあるということで揉めてます*13。整備新幹線も人手不足とインフレで工事費用が嵩み、事業が進まない中で国交省は財源確保を狙ったんでしょうけど、そうするとJR東日本が予定している盛岡以北の高速化の費用が出ない。そしてJR貨物の経営改善を待って行われる筈の線路使用料の見直しも未だ実現していない中で、貨物調整金も存続せざるを得ないということになります。

勿論運賃や料金の値上げで対応することは考えられますが、動力費その他の値上がりもあって劇的な増収に繋がる訳でもないということで、JR東日本は引けないということですね。尤も北海道新幹線ですらB/C比の悪化で黄信号なのに、今後も新規着工できる区間があるかといえば難しいです。整備新幹線は票になるという政治家の我田引鉄がありますが、燃油代上昇で苦しい国内航空のコードシェアを認めるなどの新たな制度的枠組みを考えるべきでしょう。整備新幹線の物語も終わりに近づいています。長くなりましたのでここまでにします。

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Tuesday, May 05, 2026

大人の事情でNoと言えないこどもの日本

こどもの日本Part3です*1。両エントリー共にミサイルネタですが、関連する話題がイラン戦争関連で英エコノミスト誌のコラムで取り上げられてます*2。戦争状態のホルムズ海峡周辺の衛星写真は西側企業に対しては軍事的理由でシャッターコントロールと呼ばれる規制がされます。撮影場所や解像度を制限することで軍事機密を保持するためです。しかしSNS上には中国企業による鮮明な衛星写真が多数リリースされてます。そしてそれがイランによる湾岸諸国の米軍事施設や石油施設、LNG施設へのミサイルやドローンによる打撃を可能にしている現実があります。中国の衛星画像技術はほぼアメリカと遜色ないレベルということです。

てことは日本の防衛力強化で反撃能力としてミサイル配備が進む状況ってのは無効じゃないかってことですね。仮に存立危機事態になったとしてもミサイル基地は先に潰される可能性が高い訳です。また湾岸の米軍基地が攻撃されたように、日米安保による国内米軍基地も攻撃対象になることを示します。こどもでもわかる話ですね。しかし大人の事情でそれを指摘する話はメディアにもほとんど載りません。しかし1973年の第一次オイルショックでは事情が違いました。当時の田中角栄首相がキッシンジャーに「文句あるならアメリカの石油を寄越せ」(意訳)と言い放ったことは指摘されてます*3。親イスラエルのニクソン政権にアラブ寄りの外交姿勢を懸念されてのやり取りですが、当時の田中首相は緊急事態の認識から危機対応としてこういう舵取りをしたもので、政敵の福田赳夫氏を大蔵大臣に任命し、持論の日本列島改造論を封印して総需要抑制策を認め、経済分野の全権委任をしたものです。以後公共事業の抑制や東北、上越新幹線の建設凍結などで狂乱物価を収め、国民に省エネ自粛を呼び掛けました。

田中氏にとっては不本意な意思決定でしたが、状況に応じたプランBという意味で今こそ参照されるべきですが高市政権は景気腰折れ懸念を公言して対応しません。高市首相は19年前に科学技術庁長官時代に「イノベーション25」と呼ばれる文書に記述した技術力に対する強いこだわりを反映した危機管理を成長につなげる方針として展開されてます*4。

ここで思い出されるのが石原慎太郎氏と盛田昭夫氏の共著[Noと言える日本」*5で盛田氏が指摘した日本の半導体なしにアメリカのハイテク兵器は造れないというくだりです。時は日米半導体摩擦の最中で日本の半導体産業が世界をリードしていましたが、その後失速して今に至ります。その現実をアップデートできていないのでしょう。危機管理を安保防衛と狭く認識して日本抜きでアメリカの兵器産業も成り立たないと二重に現実とズレた認識だから、1973年の第一次オイルショック以上の今そこにある危機を認識できず*6、安保防衛で成長という妄想に取りつかれているとしか思えません*7。こんな高市首相が目指す憲法改正での緊急事態条項が如何なるものか。防衛を口実にした独裁にしかならないのは言うまでもありません。

石原氏はその後都知事になって金融危機対応として都出資の新銀行を設立して銀行の貸し渋り対策を打ち出しましたが、素人判断の甘い融資審査で不良債権の山を築き負の遺産を残しました。その新銀行東京の資産を継承したきらぼし銀行が都出資の優先株400億円の年内返済を発表しました*8。これも日銀の利上げで金利復活したから融資の利幅が増えて実現したことでもあり、低金利政策が終わったことも影響してます。リーダーの思い込みの後始末が如何に厄介かを示します。

そして高市首相ですが、一方で明らかに現実認識が変なところが見られます。成長17分野を巡る民間との認識のずれがあります*9。南海フェリーの代替新造船はコスト高で断念されるけど*10防衛関連で政府が買う艦船建造は取り上げられている一方で、自動車は除外されて業界から驚きの声、EVの壁*11はガン無視。食糧安保上重要なコメ増産は見直すのに高く売れるイチゴは注力とかチグハグ過ぎて眩暈がします。

てことで最後に鉄分補給^_^;。難工事で遅れている北海道新幹線の事業費膨張で財政審議会がB/C比を見直した結果「中止すべき水準」と*12。但し便益(分子のB)はそのままに費用(分母のC)だけを見直した結果ですが、重金属残土の処理や硬い岩石層で切羽の破損とかトンネル工事に伴う不確実性から更に費用は膨張する可能性がある一方、インフレによる上振れでJR北海道の受益に基づく線路使用料の増額がどこまで可能かとか、外部経済効果の上振れとかは計算されていないので、片手落ちの議論とは言えますが、現在の整備新幹線スキームでは解決困難なことも確かです。例えば燃油高騰で苦境にあるエアラインのコードシェアを解禁してJR北海道以外からの線路使用料収受と共に、経営悪化確実なエアラインの救済策を便益に加えるというような工夫が必要と考えます。

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Sunday, March 22, 2026

ネオ油売りに媚びる汗っかき

ゾンビ*1の次は汗っかきと油売り*2のニューバージョンです。まずは答え合わせ*3。ガソリンの店頭価格を下げるために元売りへ19日から30円の補助金を復活させました。結果は店頭価格で20円程度下げてますが、またしてもさや抜きされてます。つまりゾンビを生かすだけ。しかしゾンビの弊害はそれに留まりません。日米首脳会談で日本政府が打診したアラスカ原油増産による輸入拡大を巡る問題です*4。アラスカ産石油の増産はアメリカの歴代政権で検討が続けられてきましたが、積出港へ至るパイプライン整備がコスト面でネックとなっており、特にパイプライン建設には根強い反対論があって簡単ではありません。また大型タンカーが接岸できる港湾もなくタンカー輸送の非効率を克服するには港湾整備も必要で、コスト面の課題が山積しています。加えて国内製油所の統廃合で中東産重質油に特化している中で、アラスカ産中質油に対応させるチューニングにもコストがかかります。それ以前にアメリカ政府が戦略物資としている原油の輸出拡大に応じるかどうかもわかりません。

一つ可能性がある突破口としては、ウクライナ問題でロシア上空を飛べない日欧間の航空便で、今回のイラン紛争で中継ハブとして機能していたドバイ国際空港が使えない状況で、かつての北回りルートのハブだったアラスカのアンカレッジのハブ復活が可能ならば、航空燃料の給油需要を賄うには使える可能性はあります。つまり航空燃料の給油拠点をドバイからアンカレッジに移すということですが、これも大掛かりな設備投資を伴います。その費用を日本が負担するかどうかという話にでもならないと前に進まないんじゃないかと。中国系エアラインは現状でもロシア上空を飛んでますから、ANAやJALへの支援という形になりますが、経産省と国交省という日本の縦割り官僚機構の下ではよほど政治家がリードしないと実現はできないでしょう。その意味で無能な働き者と言える高市首相*4には荷が重いか。台湾有事発言*5でアメリカからも懸念された*6もののとりあえず無難に首脳会談をこなしました*7。実は首脳会談の2時間前に日欧でホルムズ海峡を巡る合意が成立していたので、日本への圧が下がった可能性はあります*8。官僚の事前根回しに助けられたとは言えます。シェール革命で産油国となったアメリカには逆らわず媚を売る悪い汗っかき路線です。

台湾有事関連ではアメリカのシンクタンクが面白いレポートを出しています*9。アメリカが求める台湾の防衛費増が足踏みしているのは親中的な国民党の反対のせいという俗説を否定するもので、財源の壁が原因としています。そもそも財政規模が対GDP比14%程度の台湾政府にとって防衛費5%は財政資金の4割を突っ込む話ですから無理があります。財政拡大には増税か行政サービスの縮小かということになり実現可能性はほぼゼロですし、未承認国家故にIMF非加盟で財政赤字拡大は重大なリスクとなります。仮に財政破綻となれば北京政府が支援に乗り出して以下略、ということになる訳です。ホルムズ海峡封鎖でも中国はこんなこと言ってます*10。中国船は海峡封鎖の影響を受けていないことと共に、台湾の窮地は中国に非軍事的な介入の口実を与えることになり、その場合は有事ではないからアメリカは手を出せないことになります。かつて大戦後の国共内戦でもソビエトの支援を受けていた共産党に対して、日中戦争の戦費調達で財政を悪化させていた国民党政府は為す術なく敗北した歴史もレポートでは触れており、健全財政はマストであるということです。これ財政悪化が止まらない日本にとっても耳が痛い話ですが。

そして日本は首脳会談のお土産として対米直接投資第2段を打ち出しました*11。第1弾と合わせて17兆円超と他国に対して突出したもので、新型原発の小型モジュール炉(SMR)やデータセンター併設のガス火力発電などで、エネルギー関連です。SMRに関してはロシア北極圏で商業発電が始まっていますが、日米共に未知の技術で、ネックは燃料ウランは軽水炉の低濃縮ウランではなく高濃縮ウランが必要で、現状商業生産できているのはロシアだけで、安全面も加味した技術開発に難問が残ります。データセンター併設のガス火力発電はAIで上振れする電力需要を緩和する目的で系統電力に依存しない電源とすることで、老朽化したアメリカの系統電力網の負荷を下げて電力料金の値上げを抑える目的です。何れも受益者はアメリカ国民で、投資資金を出す日本のメリットは限られますし、採算性にも疑問があります。これは第1弾でも同様ですが。そして投資資金が国内に落ちないことで「強い経済」が実現できると考えているのでしょうか?

そもそも成長17分野が総花的で絞り込みが足りないとは言われてますが、安保や国土強靭化に偏っていて、AIその他新産業創出に繋がり中長期で供給力を高めるものが弱い点も指摘されてます*12。悪い汗っかき路線です。そして対米投資を断れない理由としてはホンダの赤字決算に象徴される日本の製造業の最後の砦と言える自動車産業の窮状です*13。ホンダと日産の経営統合*14は結果不調に終わりましたが、日本の自動車メーカーの再編に進めなかったのは残念なところ。ホンダのEV戦略撤回はトランプ政権による補助金停止のトバッチリとは言えますが、単独で闘えると過信していた経営判断のミスでもあります。今や生き残れるのはトヨタ1社とさえ言われる状況です。4社あった商用車メーカーは2陣営に整理されて既に全て外資の傘下にあり、乗用車メーカーも中国を含むアジアと欧州で中国メーカーの攻勢に晒されて市場を失い、国内は軽しか売れないしで、今や北米市場が生命線という状況でアメリカの無茶振りを断れないということです。これ電機メーカーが陥ったガラパゴス化の構図と同じです。

中国のBYDは既に世界を席巻する勢いですし、乗用車のみならず大型トラックやバスまでラインナップしていて、特にEVバスは日本でも多数採用されています。国内メーカーではいすゞがエルガEVとして市販を開始しましたが、大量生産には至らないし定員が少なく使いにくく、とてもライバルと言える水準にはありません。三菱ふそうが鴻海と合弁でバス製造に乗り出すとしてますが、市場投入はまだ先です。そしてなんちゃって国産バスとして大阪万博で売り込んだEVモーターズジャパン(EVMJ)のトンデモ顛末もあります*15。公費を食い物にした問題ですがここでは踏み込みません。

とまあネガティブな話が続きましたが、最後に鉄ネタ。JR貨物が石油輸送に臨時列車を走らせました*16。東日本大震災でも輸送路を寸断された被災地への石油輸送で貨物列車の設定のない磐越西線に臨時貨物列車を走らせたことがありますが*17、その時より難易度は低いもののこうした利用法があることこそ国土強靭化の実践でもあります。新しいインフラを作るのではなく、既存インフラを柔軟に運用することで機能を高めていく。人口減少が続く日本だからこそ、こうしたところにこそ成長戦略の重点が見出せるのではないかということは言えます。

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Sunday, March 15, 2026

ゾンビの性(SAGA)

アメリカとイスラエルのイラン攻撃から2週間。どんどん悪い方へ動いています。ベネズエラもそうですが*1、中間選挙を控えて止まらないインフレや雇用統計の悪化*2もあり、トランプ大統領には明らかに焦りがあります。イラン攻撃もハメネイ師を殺害したもののイランの体制崩壊どころか寧ろ革命防衛隊の発言力が強まり、また急遽選ばれたハメネイ師の次男モジタバ氏は寧ろ革命防衛隊に近い強硬派で徹底抗戦を宣言するなど泥沼化しています。加えて頭の痛い戦闘のコスト*3。推定5500万円のイラン製ドローンを6億円のミサイルで迎撃する非対称戦でアメリカはミサイルを消費して在韓米軍のTHAADの一部を中東に移転させた模様です*4。国内の矛盾を外部へ向けて力を誇示する帝国主義戦争*5でです。

そして原油価格上昇で市場は混乱してますが、それでもアメリカは強気を維持していてイランに海兵隊覇権を決めた模様です*6。イギリスが国内米軍基地からのイラン出撃停止をアメリカに通告しましたが、日本政府にはできない相談のようです。アメリカの狙いはイランのドローン基地の打撃と石油施設の掌握ということで、イランのホルムズ海峡封鎖を無力化する狙いのようですが、うまくいくかどうか?イランの海峡封鎖も間歇的なドローン攻撃によるもので、タンカーやコンテナ船にに被害は出ていますが、中国船は対象外。完全封鎖しなくても攻撃される可能性があれば航行を躊躇しますし保険料爆上がりあるいは引受拒否となればリスクとコストの見合いで船を動かせないってことで、イランはリーズナブルな戦い方をしています。中国船も誤爆の可能性はありますが、チャイナランドブリッジと呼ばれる中央アジア経由の鉄路で繋がっており*7、迂回路も確保されています。

てことで海峡封鎖の影響を最も受けるのは中国を除くアジア各国であり、特に中東原油依存度9割超の日本にとっては大惨事です。また有事のドル買いで円安が進んでいて原油高とダブルパンチになっております。暫定税率廃止で20円ほど安くなったガソリン価格は一気に30円ほど値上げりしていて減税効果を相殺どころか突破しています。これ変でしょ?減税効果は僅かな一方、先物価格の原油値上がりにはあっという間に織り込まれてます。現物は安く仕入れた物なのに。実はこれ減税以前に元売りに支給された補助金が廃止されたことによります*8。

70年代の石油ショックの時にはドル円の調整でショックが緩和されていましたが、それでも狂乱物価で10%超のインフレに見舞われ、スーパーの棚からトイレットペーパーが消えるパニックは今でも言及されていますが、当時の原油価格は1バレル数ドルから30ドル程度に上昇したものですが、今回もWTI60ドル台から90ドル台に爆上がりで石油ショック再来と言って良いインパクトです。第一次石油ショック時点での日本の中東依存度は8割弱で調達先分散の結果6割程度まで一旦下がったのですが、冷戦終結後のグローバル化の時代に寧ろ安価な中東原油依存は拡大します。さらにトヨタプリウスに始まるHEVの登場やエンジン車も燃焼効率の改善で自動車の燃費が改善した結果、ガソリンの需要は減る一方で国内石油元売りの経営を圧迫し価格競争でガソリン価格も抑えられていました。それがリーマンショックによる原油価格上昇で元売りの経営を直撃し、その結果元売りの合従連衡で3社に絞られて製油所の統廃合も進みやっと需給が締まったところでロシアのウクライナ侵攻があり、供給不安から原油価格は上昇しガソリン価格も上昇しました。しかしこの時点で日本の産業構造は激変していて、国内製造業の空洞化で貿易赤字が常態化して実需の円安が定着します*9。故に原油高のダメージをより強く受けるようになっていた訳です。

この間の石油元売りは市場に翻弄されながら、それでも為替の円高に助けられて薄利を得ていたものの、アベノミクスの円安誘導で厳しい事業環境は続いていた訳で、しかも自動車の燃費改善もあってガソリン需要は減る一方で合従連衡と製油所統廃合で凌いでいたところのウクライナ侵攻で青息吐息だった訳です。こんな調子だし脱炭素のトレンドから製油所の設備更新もリスクが大きく、古い設備を使い回して凌いでいたのが現実です。故にウクライナ侵攻を契機とする原油価格の上昇にも対応できず、原材料を輸入に頼るが故に円安も逆風となっていた訳で、政府補助金で食いつないできたのが現実でした。だから暫定税率廃止でも価格をあまり下げられないし、また古い製油所設備は中東原油対応なので、アメリカやロシア産の軽質油に対応できず、ズルズルと中東依存が続いた訳です。だから暫定税率廃止による値下げは補助金廃止とセットなので店頭価格は下げないとクレームになる一方、降って湧いた原油高を好機とばかりに値上げに走った訳です。老朽化したポンコツ設備を維持する費用に補助金が充てられていた訳です。

他方意外な影響が顕在化してます。エチレンの生産調整です*10。出光興産がエチレン生産停止の可能性を納入先に通知したことから始まって石油化学各社が一斉に生産停止や減産を通知するということが起きています。エチレンはナフサが原料でプラスチックや合成繊維の原材料となりますが、国内製油所が中東産から離れられなかったのは、不純物の多い中東産の重質油だから精製過程で多くの副産物を生み、国内石油化学産業を支えていた訳ですが、ガソリンの需要減でナフサの国内調達が困難になる一方、中国や東南アジア産のエチレンプラントが立ち上がったこともあり、競争力を失ってやはり系列を超えた合従連衡が進んだ業界で、既に国内調達は4割まで下がり、残りは輸入に頼る状況でした。つまり石油元売りと同様に縮小均衡を迫られたゾンビ業界だった訳です。そして国内のナフサ備蓄量はせいぜい2か月分程度であり、ガソリンより早く枯渇すると言われています。政府は原油高対策で元売り補助金の復活を打ち出してますが*11、これゾンビ化した石油元売りを助けることにはなりますが、ガソリン価格が下がるかどうかは微妙です。

G7を中心に原油の戦略備蓄放出が話し合われてますが、ちょっと頭痛いのは国際協調を待たずに日本が単独に動いている点です*12。G7で協調放出を話し合われている中、時間がかかるから日本単独で放出しようってことですが、為替のレートチェック*13を思い出していただきたいんですが、ベッセント国務長官がレートチェックを仕掛けてすわ協調介入か?と市場が反応したように、単独では市場インパクトは弱く、協調することで市場にメッセージを送ることで反応させるという経路がある訳です。ホントなんも考えてないわ。

結局近視眼的な補助金でポンコツサプライチェーンを維持して今に至る訳で、ポンコツゾンビには雇用がぶら下がり成長分野への労働力移転を阻害することになります。裏・壺・族は国を亡ぼす*15。同様のことは例えば原発でも起きていて、柏崎刈羽6号機でまたも警報が鳴って発電を止めました*14。14年間停止していた間にも老朽化は進んでいた訳で、今回は漏電の警報ということで、20%稼働で炉は止めずに発電を停止して原因究明ということです。ポンコツ無理に動かそうとするからトラブルが絶えない現実があります。とはいえ廃炉して新型炉にリプレースする資金も無いから無理して動かそうとしている訳です。原発も補助金漬けでどうにかしようとしてますが、安全対策のコストを賄えない中で元を取ろうとしている訳です。東電は福島の廃炉費用の負担もありますし、電力自由化で小売部門の東電離れで経営は苦しい中、送電網の維持に総括原価方式が保持された結果、新電力に高額の託送料を負担させて維持している現実があります。尚電力の総括原価で認められた報酬率は3%で鉄道の2%より優遇されてます。加えてエネルギー価格の変動に対応したサーチャージ制度も組み込まれています。

てことで昨日(3/14)JR東日本、西武鉄道、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)の運賃値上げが実施されました*16。鉄道運賃には電力や航空で認められているサーチャージ制度はなく、JRや大手私鉄、大都市地下鉄など大規模事業者には3年間の収支レートベースが値上げの根拠として求められられますから、今回の値上げで3年間は検証期間として値上げできないし、3年後に次の値上げを準備しても認可までの時間を考えるとおおむね5年間は運賃を弄れないことになります。その間にもエネルギー価格の上昇は見込まれますから、収支改善への寄与がどの程度になるかは見通せません。

一方JR普通運賃は私鉄や高速バスなどの運賃水準を決めるベンチマークの役割もあり、例えば京王電鉄では運賃差による安さの訴求をしてますし、今回の値上げで品川~横浜間でJRと京急の運賃逆転が起きたりしてます。また他社も値上げに追随しやすくなるという意味で、今後の値上げドミノが起きる可能性は指摘しておきます。

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Saturday, March 07, 2026

裏・壺・族と暗号資産

資本主義の矛盾が溜まって帝国主義に至り近隣窮乏化で紛争が避けられなくなる前エントリー*1の続きですが、戦闘の長期化は避けられず、ホルムズ海峡の実質封鎖状態で石油価格が跳ね上がり*2、NY株ダダ下がりで世界へ波及し*3、国債も売られて資金はコモディティ投資へ向かい原油高は止まらず*4、有事のドル買いで円は売られ*5、日本のインフレはもっと酷くなること確定です。イランは中東の石油施設も攻撃しており、減産も避けられません。それ以上にカタールが備蓄の効かないLNG生産を止めたことからスポット価格が上昇しており、電力やガス料金も確実に上がります。そこへ高市政権の積極財政ですから、国民生活はより苦しくなります。

それなのに総選挙で大勝ちした高市政権の危機感は希薄で、石破政権時代の総選挙で公認を外され落選した裏金議員や壺議員に鈴木農相に代表される業界の利害を背負った族議員も続々復活。つまり有権者が期待した改革路線とは真逆の既得権政治が復活することになります*6。加えてSANAE TOKEN疑惑です*7。本人が関与を否定して価格が暴落しましたが、どうやら側近が暗号資産取引事業者の届け出をせずにやったみたいで、本人の関与は不透明ですが、これトランプコインと同じ構図ですね。政治的裏付けを詐称したとも言えますが、トランプのように公式に関与を認めたとしても、高値がつけば事実上の賄賂性を持つものでもあり、かつてのリクルート事件で問題視された公開前のリクルートコスモス株配布と同じような不正な錬金術となります。故に法的手続きの不備とだけ言うことはできません。これが認められれば新手の裏金問題となります。

一方旧統一教会の宗教法人解散命令で地裁判断を支持した東京高裁の判断が出て解散手続きが開始されます*8。しかし政治家は一部を除いてほとんど訴追されておりません。解散命令は出たものの教団の資産隠しを暴くだけでも大変な労力を伴いますが、政治家がわが身かわいさから邪魔するケースもあり得ます。被害弁済が進む可能かはこれからです。同時に韓国で公開されたTM報告書という新たな情報もあるのに自民党も再調査しないし検察も再捜査はしないので、三権分立は成り立っていません。

てことで当面国民生活はかなり悲惨な状況になりそうです。そんな今ですが、品川駅大改造が着手され、八ツ山橋がかけ替えられました*9。京急線品川駅が地上に降りて北品川駅を地下化して新馬場へ向かう高架に接続する形で立体化され、構内4線化でダイヤ編成の自由度が増して羽田空港アクセス輸送の改善に繋がります。京成との協議が始まった羽田空港~成田空港間の有料特急の現実味も増します。一方航空輸送は石油高や円安のマイナスが直撃しますが、羽田空港の一極集中で発着枠割り当てを失いたくない航空各社は搭乗率が低くても定期運航を続けている状況ですから、空港連絡輸送はまだ伸びしろがある状況と言えます。需要的にどうかと思われたJR東日本の羽田空港アクセス線も一極集中が続く限りは妥当な投資となる可能性は高いですが、原油高騰による経営圧迫やサーチャージの高騰で需要を冷やす可能性もありますし、そもそもこれだけ紛争だらけの世界でインバウンドの増加が続くのかとか、不確定要素も多数あります。戦争より平和の方が経済にとっても良いということは敢えて申し上げます。

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Saturday, February 21, 2026

市場の失敗政治の失敗

まずビッグニュースです。タリフマン敗訴です*1。民主党系知事などが原告となって国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠法として議会の承認なしに発出した相互関税を、法の趣旨を逸脱し関税に関する大統領権限を否定するものとする最高裁判決が出されました。自動車や鉄鋼など分野別関税は別の根拠法なので当面続きますし、とりあえず1974年通商法を根拠とする10%関税を全ての国に150日間課す代替策を発動するとしています。こちらは15%以内で150日間という制限があり、延長は議会の承認が必要となります。早速市場は反応し、企業負担減期待から株高になる一方、財政問題から国債は売られ債券安になりました*2。

とすると日本をはじめ二国間交渉が何だったんだってことになります。ラトちゃんアカちゃんの関税交渉で決まった5,500億ドルの対米投資*3の360億ドル相当の1号案件が承認されましたが*4、激戦州のオハイオのガス火力発電、テキサスの石油積出港、半導体製造に欠かせない人工ダイヤモンドの3件です。日本は20社程度の企業が参加するということですが、中間選挙を睨み、且つ関税を巡る最高裁判決が出る前の滑り込みで、トランプ政権の焦りを滲ませます。ガス火力はAIデータセンター向けで電力需要が上がって料金が急上昇していることから有望とされ、テキサスの石油積出港はアメリカのシェールオイルの欧州向け輸出でロシア産石油の代替とする狙いで、人工ダイヤモンドは中国産が世界を席巻している中での戦略物資ということで政治臭プンプンの案件です。当然リスクはあります。

てことで日本に限らず世界中の国がアメリカを怒らせないように気を遣う中で、中国やロシアはアッケラカンとアメリカに異を唱えて軟化させてます。台湾問題を巡る高市発言もアメリカはネタにして中国からレアアース輸入規制延期を取り付け、アメリカ産大豆の輸入規制も撤廃してもらってホクホクなのがトランプ政権の本音で、中国はアメリカがレアアースの売り先になるから日本向け輸出を絞っても困らない状況です。中国もそこを見越して日本にだけ厳しい態度を取っています*5。その一方でオーストラリアやカナダのレアアース開発に加えて日本の南鳥島周辺海底泥精製のようにコスト的に厳しい資源開発もやらなきゃならない訳で、日本だけがリスクを負う不都合ですが、言ってみればアメリカの都合を日本に押し付けるロビー活動のレントシーキングということができて、国民そっちのけの利益誘導ですが高市政権は前のめりです。ヤレヤレ。

てことで市場と政府の関係がやや複雑怪奇になってます。近代経済学の核心にある功利主義で資源配分を市場に委ねるのが最も効率的な分配方法であるという前提をケインズが覆して市場は必ずしも万能とは言えず、政府による介入が必要な場合があるということを明らかにしました。これ単なる不況期の財政出動だけの話ではなく、そもそも市場は不完全で売り手と買い手の間には情報の非対称性があるから、往々にして売り手有利による格差の拡大などで市場が必ずしも効率的とは言えないということを含意しています。故に積極財政で不況脱出は可能だけど経済成長に資することはないとしており、経済成長は企業家のアニマルスピリットによるもので、市場が機能するためには起業家のアニマルスピリットを引き出す公正なルールの整備が必要になります。

しかし日本もそうですが、アメリカでも企業に雇われたロビイストによるロビー活動で恣意的に規制が課されたり緩和されたりして市場をかく乱しています。その結果アメリカで顕著なのがAIで世界をリードしながら自動車も船も作れないし兵器も輸入資源への依存度が高まっている状況があります。これ日本も例えばコロナ禍で露呈したマスクや医薬品の輸入依存問題*6や令和のコメ騒動*7で主食のコメすら自給がままならない現実を見せました。だからアメリカは世界中の国にレントシーキングを仕掛けている訳で、特に同盟国が被害を受ける構図となります。但し企業による政府へのロビーではなく政府間の力関係によるロビーですから敵対国よりも同盟国の方が被害が大きくなる訳です。政府間のロビーはつまるところ重商主義による近隣窮乏化政策ですから、従米言いなりでは日本はますます貧乏になります。

アメリカでも資本はAI開発に熱狂する一方で消費者が求める安くて壊れないクルマは造れないとか、それどころかアメリカンドリームの象徴とも言える持ち家も不動産価格の上昇で手に入らないし、病気になればバカ高い医療費で破産するしという状況ですし、日本でもローカル鉄道の存続危機とかドライバー不足によるバス減便廃止が大都市圏にも波及する事態です。将に国民生活に密着したところで持続可能性に疑義が生じる事態です。そんな中で低解像度社会*8の続報です*9。やや長い引用をします。J

R東によると、切れたのは茨城県の古河駅と栃木県の野木駅間の架線。2023年4月に架線を検査した際に摩耗を確認したため張り替えを計画した。同じ図面を使った打ち合わせをしなかったことなどから社員間で認識の違いが生じて別の架線を張り替えたため、今回切れた架線はそのままになっていた。
また、専用車両にカメラやレーダーを搭載して架線の異常を検知するシステムを24年4月から導入し、画像上やデータ上は摩耗していることは判別できたが、データを確認する社員が見落としていた。
23年4月に架線の損傷を確認して工事手配したけど別の架線を交換してたとか、24年4月から導入した検査システムでデータ上は確認できたが社員が見落としていたとか、何だか組織として終わっているというか、検査を含めてシステムも新しくなっているのに確認ミスが起きたということで、職人的な属人的スキルで支えられてきたものが継承されていない現実を露呈しました。

それだけではなく赤字3Kの掟?*10で取り上げたはやぶさ/こまちの走行中分離事故にも続報があります*11。これ当初はこまちE6系の連結開放テコスイッチに製造時に出る金属片が張り付いて短絡した誤作動と説明されていたものが、その後分離事故が繰り返され謎の誘導電流による誤作動と訂正されたものの、E6系のテコスイッチが頻繁に不規則に動いていた証拠が見つかって、国の事故調査委員会で原因究明が滞っているという報道です。疑われるのがJR東日本が提示したデータの信ぴょう性です。つまり事故調への非協力的対応の可能性を疑わせます。JR東日本の企業組織としてのガバナンスの問題を示しているようで不気味です。

国鉄分割民営化の是非は未だに蒸し返されますが、民営化自体は終わった話で今さら元には戻せませんが、東海道新幹線の好調や整備新幹線の開業による国内線航空への圧迫や立地条件の違いによるJR各社の格差拡大など、お世辞にも市場の失敗を政府がフォローできているとは言い難い現実があります。そして心配なのがこうした不都合が中国のせい、インバウンド外国人のせい、あるいは少子高齢化による世代間対立のせいと他責的に対立が煽られている点です。1930年代の大恐慌が経済の国際化を阻みブロック化して各国が競って重商主義的になって近隣窮乏化が進んだ結果の第二次大戦というプロセスをトレースしている点です。問題は政治なのに政治の失敗が戦争に至るのが歴史の教訓です。民主主義か独裁主義かという二項対立はクソの役にも立たない論点です。

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Sunday, February 08, 2026

まとめて鉄分補給^_^;

鉄分抜き*1ではクラクラするので補給します^_^;。どうせ雪で外出もままならないし。期日前投票済ませといてよかった。

JR東日本とJALの旅行協定のニュースです*2。コロナ禍が明けてからのJR東日本の回復の遅さが明らかになっております。JR東日本では以前に岩手県北自動車との提携*3や西武HDとの包括提携*4などもありますが、遂にJALとの提携に踏み込んだ訳です。旅行商品の共同開発やコードシェアなどが検討されており、日本でも遂に鉄道と航空のアライアンスが実現するかもしれません。両社を動かしたのはコロナ明けの業績不振。リモート革命によるビジネス客の減少は共通ですが、JR東日本は稼ぎ頭の首都圏輸送の戻りが遅く、製造業比率の高い中京圏や近畿圏と違ってリモートワークの影響を強く受けていることと、人口減少が厳しくインバウンドの恩恵も少ない東北地方を抱える影響もあります。その結果既にバリアフリー対応と特定区間見直しによる2度の運賃値上げをしたものの、地方ローカル線を抱え災害復旧による負担増もあって3月に本州JR初の幹線運賃と地方交通線運賃の値上げを実施します。

一方でビジネス客の減少をインバウンドでカバーして絶好調のJR東海ではいち早くコロナ明けの黒字化を達成し*5、また渡航制限解除によるインバウンド需要の取り込みもあって絶好調の結果お得なきっぷの見直しを発表します*6。ビジネス需要の減少を補って余りあるインバウンド需要の影響で、従来ガラ空きだったこだままで混雑するようになって、短区間利用対象の割引を無くす結果となりました。その裏にはのぞみ増発の影響で利用が増えてもこだまの増発は寧ろ制限される訳で、割引の意味が失われた訳です。

実はJR東海の財務の強さはリニア工事の遅れが寄与していまして、ザックリ言えば2016年の財投資金3兆円投入で、無担保30年据え置きで金利0.8%程度の低利融資という破格の条件で資金を得ました。JR東海はそれを負債勘定で計上しているので、コロナ禍で苦しむ他社が社債発行や融資拡大で凌いでいた中で、リニア工事の遅れで使途を失った財投資金を流用できたことがあります。特に静岡工区の未着工に注目が集まったことで静岡県を悪者にしてリニア工事遅れの批判をかわしていた訳です。JR東海の本音は「川勝前知事ありがとう」です。

その結果700系の改良と保安装置の改良で積み上げたダイヤの余力をのぞみ増発に充ててピーク時1時間13本を実現した訳です。しかも繁忙期全車指定席でのぞみ料金がガッツリ稼げますからこだまの混雑はスルーどころか割引の見直しで制限するという具合です。さらに在来線の車両更新も進めて民営化初期に大量発注された211系と自社設計発注車311系を淘汰してJR初の全車VVVF制御車を達成するし、しなのやひだなどの特急車の置換えなどのカネ余りッぷりです。その結果逆に資本効率は低下し、JR唯一のPBR1倍割れ企業となる訳です。それでも自社株買いなどを求めるアクティビストの餌食にならないのは資本規模が大きいからで、JR九州の規模だと狙われて災害復旧もままならない現実があります。

そんな中で攻めの姿勢を見せるのがJR西日本です*7。サバ養殖や宇宙旅行など攻めの姿勢を見せていますが、スマホを用いた線路モニタリングシステムです*8。汎用システムを利用した線路保守への応用ですが、新幹線のみならずローカル線への応用も可能で、自社ローカル線への適用のみならず大手私鉄や経営の厳しい地方私鉄などへの外販も視野に入っている点に感心します。JR西日本はICOCAでも車載型端末の開発などでやはり外販攻勢をかけており*9、ICカード乗車券でも先行するSuicaを凌ぐ結果となっています。最近はQRコード決裁やクレジットカードによるタッチ決済も普及しており、JR東日本は乱立していたポイント事業の統合やBaaS事業のJREバンク参入などでSuica経済圏の囲い込みに余念がないものの、イノベーションの停滞に陥っている傾向はあります。

実はビジネス客の減少は鉄道より国内線航空への影響も大きく、JALもANAも渡航制限解除で国際線は好調ながら国内線が足を引っ張る状況です。ANAは国内線の減便や廃止の一方で国際線強化を打ち出してますが、JALは国内線の収支改善のためにライバルのANAとの連携やFDAとのコードシェアなどで国内線のてこ入れを模索します。しかし上客のビジネス客の減少は座席の安値販売に頼らざるを得ず、結果的にLCCがしわ寄せを受けます*10。JAL系LCCジェットスタージャパンの合弁相手の豪カンタスが保有株式全株を日本政策投資銀行へ譲渡して撤退を決めました。その結果ジェットスターのブランドが使えなくなり名称変更を余儀なくされます。一方ANA系のピーチは元気満点で嵐コンサートでホテル不足を防ぐ為に関空~千歳臨時便を運航するというもの。なるほどアイドルの追っかけ客はLCC向きと言えますから、ブランドの売り込みは有効策という訳ですね。

結局JR東海ののぞみ攻勢で少ないビジネス客を奪われ、インバウンド狙いの国際線コードシェアで席を埋めている状況で航空側の打つ手は限られ、円安で燃油代などコストはドル建てなのに売り上げは円建てで利益は細るばかりで事実上白旗状態という訳です。JR東海のゴリゴリのマッチョなのぞみ増強がもたらした結果ですが、これ逆に言えばリニア要らないってことではあります。リニア工事の遅れで続くうたかたの春もいずれ見直しを迫られるかも。

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Saturday, January 17, 2026

疑惑の停電事故

前エントリー*1で取り上げた読売が報じた通常国会冒頭解散がリアルに動き始めました*2。予算審議を棚上げしての解散総選挙に大義はあるのか?はメディアで取り上げられてますが、敢えて言えば公明党の連立離脱と日本維新の会の連立合流という重大な変化があったんですから、その信を問うことは大義になり得ます。但しそれなら昨年の臨時国会で何故解散しなかったか?遅くとも補正予算成立後に信を問わなきゃおかしい訳です。

そして高校無償化や基礎控除見直しも予算化されていないだけではなく裏付け法がない状況で宙に浮いてます*3。つまり仮に大急ぎで予算を通せたとしても根拠法が通らなければ予算そのものが宙に浮く訳で、これじゃ省庁も自治体も執行に動けない。加えて5年ごとの特例国際法の改定*4もあり、日本版フィスカルクリフ(財政の崖)問題でアメリカのような政府終了もあり得ます。敢えて政治空白を作るのは高市氏が党内基盤が弱いからですから、過半数を取って勝利すれば与党内を抑えられるってことですね。だから誰にも相談せずに決めて与党内からも違和感が出ています。

しかも意表を突いたつもりの解散総選挙ですが、立憲民主党と公明党が合流して新党を作るということで、ぶっちゃけ自民党を助けていた公明票が野党に流れる訳で、過半数獲得は困難です*5。しかも国民民主党は与党入りを連合に止められていて当てにできないですし。また高市政権発足の動きに連動して水面下で協議はされていて、ぶっちゃけ高市じゃダメだってことです*6。そして両党の党内手続きを経て新党結成が決まりました*7。「党名が微妙だ」という声もあるようですが、限られた時間の中で目の前の総選挙を睨んで立ち位置を明確にしたという意味で悪くない命名です。

中道というのは右でも左でもないという意味ですが、国民の中では圧倒的なボリュームゾーンであり、所謂無党派層と呼ばれる人々が該当し、従来自民公明の与党も票を得ていたから与党でいられた訳ですが、自民党の裏金問題と旧統一教会問題で信用を失ったから石破政権下の選挙でも負けたし、高市政権で右派色タカ派色を強く打ち出した結果、公明党が離脱した訳で、実は有権者の中の最大のボリュームゾーンの変化で、そこへリーチをかけたということです。結果がどう出るかはわかりませんが、対立を煽って他党との違いを訴求する流れで多党化したと言われる中で、最大多数の最大幸福を模索するという民主主義の原点を示したという意味で興味深い動きです。同様の動きはドイツのキリスト教民主同盟と社会民主党の連立などでも見られますが、極端に左右に振れないで目の前の課題に取り組むなら歓迎すべき動きです。

例えば食品消費税ゼロの基本政策ですが、私は以前から消費減税に懐疑的な立場ですが、100年殺しのアベノミクスvoL.2*8で指摘したように、価格弾力性が低いために一般物価以上に値上がりしていて国民生活を圧迫する食品消費税のゼロ減税は8%まるッと下がらないまでも国民生活の支援になる要素はあるので、期間限定で財源を示して行うのであれば反対しません。逆に新NISAで非課税枠を作った金融所得課税は強化しても良いですし、所得税の累進性を高めて高額所得者の課税強化の手もあります。無党派層が望むのもこうしたことです。

そしてあとは賃上げですが、人手不足で賃金は今後も上がるでしょうけど、問題はそもそも生産年齢人口の減少で働き手が減っている以上、求人難から賃上げは今後も続くでしょうけど、それ以上にインフレが進めば本当の年収の壁*9は越えられません。そして一方では企業による省力化投資も進むと思いますが、懸念されるのが賃金抑制による労働力の劣化です。そしてそれを疑わせる事故がありました*10。

JR東日本が進める羽田空港アクセス線の東山手ルートで、休止中の東海道貨物線田町~東京貨物ターミナル間を復活の上東海道線に合流させる工事で、合流場所の既存線乗り越しのスペースを空けるために田町駅の折返し線を撤去して線路移設する夜間工事で、DC1,500vの架線の送電を停止して作業員の安全確保する訳ですが、間違って送電しても感電事故をしないために検電接地装置という安全装置が使われます。これは架線にフックで吊り下げて下端をレールに接触させて、万が一誤送電しても地絡してブレーカーが落ちるから安全ということですが、工事終了後この検電接地装置を切らずに指令に通知して送電開始した結果、地絡でいきJなり大電流が流れて変電所の機器などが損傷したものということで、マニュアルに反したミスがあったものです。所謂ヒューマンエラーですが、工事自体は外注されていて必ずしも熟練した作業員とは限らず、当然施工管理の責任はJR東日本にある訳です。

似たような事故は2年前に東北新幹線の埼京線並走区間でも起きていますが*11、このときもやはりマニュアルに反したミスがあって、作業員を感電させるという深刻な事故でした。同エントリーでも指摘しましたが、あからさまな組合潰しをしたJR東日本で昨今トラブルが絶えないのも確かです。そして外注工事は今後も作業員の確保が難しく、JR東日本も手掛ける都市再開発も滞っている中で*12、今後も作業員確保がネックとなることは確実です。これ整備新幹線や中央リニアの工事の遅れにも当然影響します。背景に人手不足で作業員集めが困難になった結果、下請けの所謂サブコンが引き受けてくれないから元請けのゼネコンと力関係が逆転してしまい、同様に元請けとなるJRも作業員確保が困難になる訳です。

てことで建設現場の省力化が必要ですが、ノウハウのあるサブコンに省力化投資の余力は乏しく、ゼネコンはサブコンの面倒を見る余裕を失い、悪循環になっている訳です。その一方で地価上昇と低金利で都市再開発は活発だし、五輪や万博などのイベント対応で人手が取られ、毎年のように起きる災害の復旧工事や老朽インフラの補修もあるとなると、そりゃ工事は進みません。加えて万博パビリオン工事を巡る代金未払い問題のようなトラブルが起きて、生命線のサブコンを痛めつけるようなことをしている訳です。大阪関西万博を大成功という維新の不誠実さに腹が立ちます。

一方でJR東日本が進める首都圏路線のワンマン化は進んでいて、既に常磐緩行線、南武線、相模線などで実施されてますが、3月改正で横浜線及び京浜東北・根岸線の東神奈川~大船間の横浜線車両でのワンマン運転を開始します。更に京浜東北線、山手線、中央総武緩行線へと拡大する予定です。しかしAIが壊す社畜エスカレーター*13で取り上げた南武線ワンマン化後の混雑時の遅延問題ですが、ホームドアの連動システムを見直して秒単位で時間を切り詰めて遅延防止を図っています。乗客の多い混雑路線でのワンマン化は未知の問題があります。

その時に懸念されるのが16日のトラブルによる長時間運休で、京浜東北線の2列車が駅間で停止して線路上を乗客誘導したような事例で、ワンマン運転の場合の乗務員の負担が大きくなりますし、乗客の疲弊も心配されます。更にJR東日本はドライバレス自動運転まで視野に入れており、その場合動力車運転免許非保持の保安要員が運転士並みの責任を負うということにもなりかねません。国家資格の専門職が要らないから人件費を削れるというのは短絡的です。現場社員を守るまともな組合がない状況で、果たして今後も安全を維持できるのかどうか?

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