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Saturday, May 18, 2024

裏金のウラ

裏金のウラでこどもの疲弊は高まりそうです。

離婚後も父母で育児 共同親権、「子の幸せ」双方に責任 - 日本経済新聞
結局ろくな国会論戦を経ずに成立した共同親権を認める民法改正ですが、意味不明です。親権は子供を育てる義務を負う権利ですが、子持ち世帯で離婚が発生した場合、経済力のない妻側が親権を取り。経済力のある夫側が養育費を支払うことで離婚を成立させるケースが多い訳ですが、養育費はしばしば支払われないとか、夫の父親としての面会権は法的に担保されているのに誤魔化してそれを梃子に進めたりしてます。加えて既に離婚したカップルにも遡及されるというのも法の非遡及原則に反します。

DV夫の問題などは言われますが、子供のパスポートの取得や受験、手術などに共同親権者の同意が必要になり手続きも煩雑ですし、悪用されれば養育費不払いの口実や児童手当の折半や最悪「イッパツやらせろ」もあり得ます。加えて子連れ再婚も難しくなるし、既に子連れ再婚している場合も生みの親の権利として割り込んでくるとか、寧ろ子育てのコストを高めます。これのどこが子育て支援であり少子化対策なのか?寧ろ婚外子を含むひとり親世帯の子育てを直接支援する方が少子化対策になるのではないでしょうか。

これ以外にも採らぬ狸の戦争の配当で触れたセキュリティクリアランス法や戦争は経営でできているの農業基本法改正などのトンデモ立法が国会をスイスイ通過している現状があります。にも拘らずニュースでは政治資金規正法改正の話題ばかりで、更にNTT法改正や緊急事態対応で政府が地方に命令できる地方自治法改正などのトンデモ立法予備軍が目白押しです。裏金問題が目晦ましになっている訳です。とはいえ裏金問題はこれはこれで無視できない問題だけに、政治が機能せずに政府の暴走が止まらないということでもあります。これ繰り返し述べてますが、戦前の政治不信の果てに戦争へ進んだ歴史に酷似します。

この辺は帝都電鉄物語でも論じてますが、政治不信が行政の統制強化を誘い戦争へといざなった歴史を繰り返すことは避けなければなりません。といった堅い話とは別に、このエントリーで示した戦前のマネーゲームの異常さはこんなことでも見えてきます。

消える新京成電鉄の社名 歴史が生んだ「くねくね路線」 ググっと首都圏 - 日本経済新聞
映画「戦場にかける橋」で有名な泰緬鉄道の建設にも関わった旧陸軍鉄道連隊の演習線跡地の払い下げで誕生した新京成電鉄ですが、軍事施設故にGHQに摂取された旧鉄道連隊跡地を巡っては西武鉄道も動いていたと言われます。裏でどのような動きがあったかは定かではありませんが、当時高田馬場馬起点だった西武線の新宿延伸と引き替えに京成への払い下げが決まったと言われております。戦後早々の利権漁りはGHQから始まりました。

当時は無人の原野だった北総台地ですが、東京に近い立地の良さに加えて地盤が安定していたこともあり、松戸市の常盤平団地を皮切りに、沿線で大規模な宅地開発が続き、輸送力増強に追われながらも親会社の京成電鉄の旧型車の支援もあって経営は好調で、子会社ながら株式上場して投資家から資金を集める独自経営が可能になります。地域的に京成との棲み分けも可能だったこともありますし、都営地下鉄との相互直通運転対応で4ft6in(1,372mm)から4ft8ub1/2(1,435mm)への改軌や1号線規格の新車増備などで資金面で厳しかった京成にとっては子会社上場で身軽になるし、用途廃止の旧型車の引受先としても重宝だったという面もあります。

ところがバブル崩壊後の株式持ち合いが問題視され、親子上場は特に狙い撃ちされやすいということもあります。同時にそれは三井不動産との合弁事業としてスタートしたオリエンタルランドの好業績も狙い撃ちされることになります。そこへコロナ禍で空港輸送激減で京成本体が直撃され、オリエンタルランド(OLC)も不振ですが、地域輸送に特化した新京成は好業績を維持しました。そしてコロナ明けで京成本体とOLCが業績回復すると、投資家からのアタックが強まります。

京成電鉄はOLCの好業績高配当のお陰で利益水準が下駄を履いた状況だった訳ですが、それが無ければ株価収益率(PBR)0.5という資本効率の低さは笑う鬼退治でも指摘しました。京成のOLC保有株の時価が京成自身の時価総額の1.6倍にもなり、一部売却でも大きな資金を手にすることが可能ですが、京成自身は空港輸送というもう一方の金の生る木を抱えていて新たな投資案件が見当たらないということもあり、自社株買いによる株主還元の原資にせよという圧力とも見えます。

それに対して京成が示した回答が新京成電鉄の子会社化による上場廃止と経営統合によるシナジー効果獲得ということで、既にOLC株売却で500億円の営業外収益を得ており、新京成の経営統合の資金に充てるという画を描いた訳です。鉄道事業だけを見れば例えば運賃の一元化は成田空港線運賃やちはら線運賃までは無理だし、京成線と新京成線だけの一元化はさほど意味がないので、寧ろ独自に展開された両社のバス事業や不動産事業の統合に狙いがあると見られます。投資家に迫られて追い込まれてという点は戦前の帝都電鉄に似てますが、統治の透明性が求められる時代故に変なことはできないという訳ですね。ピンクの電車もいずれ過去帳入りするかもしれません。それにつけてもで出口の目見えない裏金問題です。

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Sunday, February 11, 2024

滑って転んで壺ッター大草原

元狼グループの爆弾犯として指名手配中だった桐島聡容疑者が末期がんで鎌倉市内の病院に入院中に告白して話題になりました。直ぐに連想したのがオウム逃亡犯の3人との比較ですが、オウム逃亡犯が17年間の逃亡の末、1人は自首2人は通報で逮捕された一方、桐島容疑者は50年間の逃亡生活ですからオウム犯の3倍近い逃亡生活をしていた訳で、神奈川県内の工務店で住み込みで働いて、アシがつかないように銀行口座も作らず給料も現金という徹底ぶりで、他人の住民票を利用してなりすましていたオウム犯との違いというか、逃亡生活の徹底ぶりに驚きます。

ネットでは他人の保険証で治療を受けていたに違いない、マイナ保険証はテロ犯をも逃さないために必要といった言説が溢れてましたが、社会保険未加入で保険証も作らずにいて自由診療で医療サービスを受けるハードルが高かったから、末期がんで救急搬送されるまで放置していたということですね。逆に言えばそこまでの覚悟があれば逃亡犯の生存空間のスキマはあるということです。

公安にとっては桐島容疑者の確保で支援者がいればそこから組織犯として芋づるを想定していたようですが、当てが外れたという声が聞こえます。オウム逃亡犯のこともありますし、インフレは続くよの大川原化工機事件もそうですが、捜査当局が想定するストーリーが間違っているからチョンボするってことが透けて見えます。

先週の雪で高速道路が軒並み閉鎖されたせいか、クルマ利用が減ったようで道路交通に関しては大きな混乱はなかったようですが、一方で歩行者が足を滑らせての救急搬送は多かったように、雪に不慣れな首都圏のリアルは相変わらずです。クルマでも雪道経験の乏しい首都圏のドライバーは雪道走行のイロハがわかってないから、それなりに事故は起きていたようです。

雪道ではタイヤのトラクションが低下しますから、とにかく滑らないようにする必要があります。故に急加速、急停止、急ハンドルは絶対にしないようにする必要があります。故にゆっくり発進、ゆっくり加速、エンジンブレーキを活用しつつフェザータッチのブレーキ操作、ステアリング時は十分な減速が必要な訳で、故にスピードも控える必要があります。しかしそんなことお構いなしにグイグイ加速して車間を詰めてくるアホがいるので、事故起こすよりはマシなのでハザード点滅させて減速して脇へ寄せて停止して先に行かせます。だから雪の首都圏ではクルマ使いたくなくなります。

故に雪道走行では駆動輪に過剰なトルクをかけないようJにセカンドやサードで発進するとか、減速、停止もシフトダウンしてエンジンブレーキを利かせる一方、急なトルク変動もスピンの原因になりますから、ダブルクラッチで回転数を合せて繋ぎ、フットブレーキはあくまでも補助的にポンピングでチョンチョンといった感じです。オートマ車の場合はひたすらフェザータッチのアクセルワークとポンピングブレーキでユルユル走ることになります。

それで気づいたんですが、雪道の自動運転車の振舞いはどうなんだろうか?って疑問が湧きます。AIで学習させるにしても、雪道の学習の機会は多くなありませんから、レベル2のハンズオフの運転支援レベルでも、強すぎる急制動や急ハンドルをかける可能性がありますし、レベル3のアイズオフ、レベル4のブレーンオフ、レベル5の完全自動運転にも同様の問題が付きまといます。レベル4対応を考えると、積雪時の高速道路閉鎖はデフォルトで考えるべきかもしれません。

そうなるとトラックに依存する物流も、たとえ自動運転でドライバレスが実現しても雪で機能しなくなるということも睨んでおく必要があります。となると自動運転は物流改革の解決策としては心許ない訳です。そうなると海運や鉄道貨物へのモーダルシフトこそがドライバー不足対策の解決策ということになります。但し海運のRORO荷役や貨物駅のコンテナ積み替えの自動化などは可能でしょうから、自動運転システムの開発が無駄になることはないですが。

あと雪でマイカー利用を諦めてタクシー呼んだら1時間待ちとかでここでもドライバー不足が顕在化してますが、だからといってライドシェア解禁して一般ドライバーに命を預けますか?って話にもなります。結局有効な雪対策は積雪時にはクルマに乗らない、可能ならば出かけないってことになります。出かける必要があるなら可能な限り公共交通利用で且つ十分な余裕時間を見込むってことですかね。

雪は航空便の欠航などの影響もありますが、それ以上にコロナ禍からの回復が鉄道に比べて遅く、特に単価の高い国際線の需要回復が足踏みしてます。1つは中国経済の不振で中国人観光客が減っていることですが、国慶節で中国国内旅行は活況のようですから、日本が選ばれなくなっただけかもしれません。加えて別のボトルネックも顕在化してきています。

観光立国、空港が足かせ 地上勤務のグランドハンドリング人材戻らず - 日本経済新聞
人手不足はドライバーだけじゃない現実です。特に地方空港では海外エアラインの受け入れが困難になりつつありますし、新滑走路建設で発着枠拡大が見込まれる成田空港でさえ、その能力を活かせない状況です。コロナ禍での減便に合わせて人員削減した結果、コロナ後に人が戻らず窮地に陥っているという現状です。

グラハンと言われる地上職員は航空会社や空港に直接雇用ではなく中小業者に委託されているので、雇用維持ができなかったってことで、タクシードライバーと似た構図ですが、よほどの好待遇を打ち出さない限り今後事態が好転する可能性は無い訳で、部分的な自動化の可能性はあるにしても、インバウンド受け入れにブレーキとなる可能性があります。まあ円安でインバウンドに頼った経済ってのは国民にとっては不幸ですが。

尤も国民を不幸にしているのは裏金問題で右往左往する与党政治家を許してしまっていることですが、二階幹事長のように3,500万円の書籍購入を明らかにして、公共図書館4館分の年間予算相当とナイスなツッコミで噓バレバレです。一般書籍なら物理的に過大な収納スペースが必要ですし、高価な専門書でも事情は大差ないです。あと考えられるのは法外な価格付けがされた本を購入した形での著者への贈与か特定の主張の書籍を大量購入して支援者に配りまくったか?いずれにしてもまともな使い方じゃないことだけは確かです。

という具合にこの裏金問題ですが、辻褄合わせで追加記載すれば使途が問われ、使途が不適切ならば突っ込まれ、使途不明にすれば事実上の雑収入だから、確定申告シーズンってことも手伝って申告納税せよと言われ、尻拭いに動けば動くほど国民から叩かれるって構図です。まして裏金を有権者や地方議員に配っていれば公職選挙法違反にも問われ河合克行元法相のように訴追される可能性もある訳で、何も語れない動けない状況に追い込まれております。

加えて壺問題。盛山文科相が旧統一教会との関係を暴露されて迷走してますが、これ宗教法人の解散命令請求の権限を握る文科相に対する旧統一教会のリークで発覚したようです。ならば更迭して別の文科相を任命すれば良さそうなものですが、岸田首相が任命責任を問われることを嫌っているとか。こうしてドツボに嵌ってしまいました。壺だけにwwwww^_^;。

ネギ背負ったカモで指摘したように無免許ノーヘルの電動キックボード解禁も壺議員の悪行の1つですが、雪の日の電動キックボードの利用状況や事故状況がどうだったのかは知りたいところです。あるいは事業者が貸出しを制限するなどの対応をしていたかどうかなども興味があります。まあ彼らからすれば壺議員さまさまでしょうけど、こうした利益誘導の問題はもっと注目されてよいところです。

これだけ裏金問題が吹き荒れて体制派と目される日経新聞すら苦言を呈する状況で、お金の出し手の財界は沈黙を守っています。企業献金にしろパーティ券購入にしろ、営利を目的とする企業が見返り無しに資金を出すことは考えにくい訳で、相応の見返りが期待されるから出している訳です。逆にそうでなければ株主利益の毀損となる訳ですから、株主代表訴訟モノの問題です。今年の株主総会は荒れるかも。

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Saturday, January 06, 2024

正月早々の躓き

根拠なき楽観論の時点では予想できなかった波乱の正月になりました。同エントリーで取り上げた辺野古の新基地建設で公費を蕩尽する一方、能登半島地震の被災地の惨状に心が痛みます。当然ながら安全保障とは国民の生命財産を守ることなんですが、群発地震が続いていた能登半島を守ることが出来なかった事実は重いと言えます。

辺野古の新基地にしろトマホークにしろ直接国民を守る訳ではないですし、あまつさえ米国のライセンス生産のパトリオットミサイルのウクライナへの供与もそうですが、軍事装備の増強よりも災害時に迅速に被災地支援が可能な災害救助隊のようなものが、自衛隊、警察、消防のどこに属するかは別として存在しない中で、自らも被災者の被災自治体の職員が対応し、救援を求めるという建付けでは初動が遅くなるのですが、阪神でも東日本でも熊本でも繰り返されております。軍隊が災害救援するのは世界的には普通のことですが、それはロジスティクスの専門家で道なき道を拓き前線に物資を補給する機能を応用したものです。当然ミサイルは役に立ちません。

正月期間中で自治体職員の動員も簡単ではなかったと思いますが、逆に大都市からの帰省者が少なからずいたことは、当事者にとっては過酷ですが、ある意味高齢者しかいない過疎地の災害としては動ける人がいるという意味でプラス面もあります。雇い主の企業が有給休暇扱いで復旧支援すればなお良いですが。逆に道路、通信、ライフラインの遮断で窮地にある訳で、道路が寸断され隆起で港が使えず、能登空港も被災して使えずと陸海空全ての補給路が遮断されていて水さえ届けられない命の危機にもさらされている訳です。

加えて北厘電力の火力発電所の被災で停電が発生しており、電力事情も悪化しております。電気がなければ無事な水道や光回線や携帯基地局も使えなくなる訳です。休止中の志賀原発が動いていればシビアアクシデントの可能性もあった今回の地震で、いち早く「異常なし」と報じられましたが、休止中で使用済み燃料プールの水温が低かったことが幸いしてます。しかしそのプールから汚染水がこぼれてますし、外部電源用の変圧器のオイル漏れで火が出てます。今のところ非常用電源は生きているということで、大事には至らないでしょうけど、地震でモニタリングポストも埋まったか電源喪失で放射線測定が出来ない状況で「異常なし」なのでしょうか。寧ろ被害を過小に見せる情報開示に後ろ向きな姿勢こそ問題です。

その意味では羽田空港の衝突炎上事故は、不幸な出来事ながら乗客乗員を全員無事に避難させたJALクルーの練度の高さや乗客もパニックを起こさずに冷静に指示に従って避難したことなどが報じられてホッとします。加えて事故後の情報開示にも見るべきものがあります。

【羽田空港事故】海保機、滑走路で40秒停止か、JAL機側視認できず - 日本経済新聞
今回異例なのは管制の交信記録が開示されていることで、事故の状況がかなり明らかになりました。管制官は海保機に滑走路手前のランプウエー待機を命じJAL機に着陸を命じたものの、海保機の勘違いなのかはわかりませんが、C滑走路に進入していて、管制官もJAL機も海保機の進入を認識できていなかったということです。典型的なヒューマンエラーですが、大事なのは再発防止であって犯人探しではないということです。

無線による交信で当事者間の情報共有を図るという意味で人の注意力に依存するシステムですが、航空便の増加で地上の事故やインシデントは世界的に増えている傾向にあります。日本でも2015年に那覇空港で自衛隊ヘリが滑走路を横切り離陸準備中のANA機が離陸中止に追い込まれたという重大インシデントが起きています。ヒューマンエラー対策として誤進入防止システムが開発され羽田のC滑走路にも設置されていましたが、マニュアルにより異常な視界不良時に限った運用とされていました。

このこと自体は国際ルールと整合的ですが、日暮れ時で必ずしも視界が良好とは言えない事故時は、日常であって非常時ではないという解釈で使われていませんでした。また管制官に対しては滑走路の誤進入をモニターに表示するシステムがありましたが、管制官は見落としていました。音による警告が必要かもしれません。但し誤進入に対する管制官の責任は問われない法律の建付けになっており、警視庁が進める業務上過失致死傷の立件は行為者と見做される海保機の機長になりそうです。

海保機も能登半島地震の救援物資輸送という臨時の任務を遂行中だった訳で、地震がもたらした事故とも言える側面はあります。元々海難救助を目的とする海保機にとってはイレギュラーな任務ですし、管制官にとっては扱いの難しい航空便です。とはいえボンバルディアDHC8という小型機体で短い滑走距離で離陸が可能なこともあって、滑走路の占有時間は短いですから、大型機の離着陸の隙間にうまくはめ込むことで支障を少なくするという管制官の心理もあったと思います。

故に管制官は滑走路手前のランプウエー待機を命じたと考えられますが、一方海保機は馴れない救援物資輸送で管制官の意図が読み取れずに勘違いした可能性はあります。そうしたすれ違いを回避するには機械的に止める手段をシステムに持たせるのが有効です。鉄道で言うATSやATCのような保安装置の必要性が認識されシステムの運用を含めた見直しは欠かせません。JR西日本の尼崎脱線事故もそうしたヒューマンエラーの積み重ねで起きており、ミスを糾弾し処罰することは却って情報の隠ぺいに繋がります。原発を巡る電力会社の対応にその匂いが感じられます。故にシビアアクシデントが繰り返される危険性はあるということです。

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Saturday, November 04, 2023

笑う鬼退治

鬼が笑う2024年で取り上げたインボイス問題のニュースです。

インボイス導入1カ月「想定以上に負担」 混乱続く企業:日本経済新聞
サラリーマンの経費精算でインボイスの有無の確認作業で現場負担があることは国税庁も認識していて1万円以下の取引でインボイスが省略できる経過措置を決めたりしましたが、ネット取引での登録ナンバー確認など次々に面倒な問題が湧いて出てますし、ドライバー不足なのに運送大手が委託先の多重下請けが仇となって委託先の登録の有無を把握しきれないなどの問題も起きています。独禁法違反が疑われる委託切りも見られるなど混乱しています。

これらはインボイス自体の問題というよりも説明不足や日本的な商慣習故の問題だったりしますが、ただでさえ働き方改革の2024年問題でドライバー不足が言われる中で、タイミングが悪かったとは言えますが、欧州付加価値税制度では機能している制度が日本ではこうなってしまうというのは、日本社会が抱える問題と見るべきでしょう。欧州でも当てない民主政治で損くらってますで取り上げたギリシャショックのようにヤミ営業でインボイス発行しない脱税が横行していたなんて例もありますから、明示された法令も社会の受容次第で機能を失うことは同じではありますが。

ギリシャショックは同時に財政破綻のリアルを示しており世界最悪の日本財政の反省材料にもなります。長期金利が7%になると財政が持続可能でなくなることを明らかにしました。今の日本の減税議論に違和感しかありません。それも所得減税に拘ったために実現は来年6月という役に立たないものですし、1年限りなら後に増税が待っている訳で、リカードの中立定理が働く故に減税くそメガネになります。減税うそメガネとも言われているようですが^_^;。だからといって恒久減税は論外ですが。

別の視点ですが今回の減税は税収の上振れ分の還元を謳っている訳ですが、その根拠となるのが22年度の10兆円超の税収上振れでして、円安による企業業績の上昇による法人税収とインフレによる消費税収が主なもので、7:3の割合です。昨年円相場が激しく動いた結果ですが、今年は150円前後で膠着しており、去年のような上振れが起きるとは言えませんし、インフレは税収増をもたらすと同時に政府支出も増やします。今年度の予算は当然インフレを踏まえて連動する社会保障費は拡大しますし、人件費や資材費の上昇は公共事業費も上振れさせますから、年度をまたいだ歳出増で消化されます。故に減税財源にはならない訳です。

日銀、長期金利1%超容認 植田総裁「大幅に上回らず」:日本経済新聞
日銀がYCC見直しに動きましたが、1%変動枠に長期金利が近づいて維持困難と判断して限度からめどへと表現を変え1%超の金利を容認する姿勢を見せました。但し急激な変動は抑えるということで緩和継続を謳っておりますが、実態は市場の圧力に押されての判断ということですね。それでも不十分ということで為替は円安に振れて150円のバリアを突破しており円安傾向は続きます。

とはいえ変動幅は小さいですから、上述のように法人税収の上振れ効果は限られます。但しインフレ要因ですから消費税収の上振れはある程度発生しますが、政府支出増を上回る水準になるかどうかは微妙です。ということは税収上振れを見込んだ減税は財源的には微妙ってことです。増税メガネと悪口言われたから減税を打ち出すとか、思いつきで政治をやるなということですね。

岸田政権の打ち出す政策は。例えば少子化対策と称して児童手当の拡充を打ち出し高校生も対象に加えてますが、一方で自民税調で高校生の扶養控除圧縮が議論されているという具合に目先を誤魔化す姿勢が見られます。基本的に国民をなめているとしか思えません。手当拡充よりより高校無償化の方が効果的ですし予算も少なくて済みます。という具合に目につくところをやったフリで乗り切って選挙の票稼ぎというあざとい姿勢は国民に見透かされてます。桃太郎よろしく鬼退治しても宝は得られません。桃太郎は岡山だけど。

2024年の働き方改革で人手不足が言われている中で少子化対策でバラまくというのは本当の問題解決にはならないばかりか、仮に出生率が上がって子供が増えたところで家庭内のケア労働を増やして特に女性の就労を圧迫しますから、人手不足は悪化します。持続可能な賃上げを打ち出して法人減税をしても法人税を払っていない赤字企業は蚊帳の外ですし、仮に賃上げが定着しても企業の人件費上昇は価格転嫁に繋がりますから賃金インフレで結局実質賃金は伸びないですし、新NISAで家計貯蓄を資産運用へという画を描いても、今の市場環境では国内株式に資金が回る保証はありません。日銀のETF購入で下駄を履かせた官製市場の現在の株価では個人投資家が得られる利益は限られます。一方でそれでも株価が上がらない日本企業はアクティビストの草刈り場です。

京成電鉄、ディズニーでゆがむPBR 実態は「1倍割れ」 - 日本経済新聞
お業績好調なオリエンタルランド株の保有分の時価が1.6兆円と自身の時価総額を上回る水準にあり、OLC株を除いた本体のPBRは0.5倍程度と見積もられ、英アクティビストファンドから一部売却を迫られております。京成電鉄の場合コロナ禍で空港輸送が大打撃を受けた不運はありますが、逆に空港輸送の1本足打法の脆弱性が露呈した訳で、オリエンタルランドのような優良企業を連結対象にしていることがリスク要因となっている訳です。

京成電鉄には新京成電鉄という優良企業をグループ内に抱えており地域輸送に特化した事業環境もあってコロナ禍の影響も軽微だった訳ですが、その結果コロナに勝てない国で取り上げたように完全子会社化して元々の保有分の含み益由来の負ののれんで益出しするなどしてきましたが、そんな一過性のことでは事態は改善せず次のステップを踏みます。

京成電鉄が傘下・新京成を吸収合併へ 25年4月 - 日本経済新聞
継続的に利益を計上して株価を上げるには、経営統合して運営面で規模の経済を狙うしかない訳ですが、悩ましいのは運賃の共通化問題です。共通化して運賃通算すると初乗り運賃の二重取りが無くなり乗客にはメリットがありますが、運賃収入の減少は避けられず寧ろネガティブな評価になりかねません。故に当面現行運賃を維持するということになりました。

別運賃自体は現行制度で禁止されておりませんし、京成自身もちはら線と成田空港線(スカイアクセス)は別運賃です。それぞれ歴史的事情があって、ちはら線は元々小湊鉄道が東京直通を狙って京成千葉(現千葉中央)―海土有木間の地方鉄道免許を申請して交付されたことに始まります。京成線を通じて東京進出を図った訳ですが、4ft8in1/2(1,435㎜)電化の京成と3ft6in(1,067㎜)非電化の小湊では直通はできない訳で、長らく免許更新を続けながら棚ざらしになっておりました。京成との合弁で千葉急行電鉄を設立して事業化を模索したものの進まず、沿線予定地の宅地開発が具体化して途中の千原台(仮)までの事業化が動き出し実現しました。しかしバブル期の仇花で宅地分譲は遅々として進まず、業績が上がらずに京成が救済合併して京成ちはら線となりましたが別運賃は維持されました。故に対都心でJRに乗り換える場合には千葉中央と京成千葉の間の京成線運賃の合算が重荷になりますが、赤字路線を引き受けた京成としては簡単に運賃を弄れないわけです。

成田空港線は元々三セクの北総開発鉄道(現北総鉄道)の路線を利用していて、小室以東は千葉県営鉄道由来の宅地開発公団線として別運賃だったこともあり、高運賃で利用が低迷しました。宅開公団は小泉改革の特殊法人改革で統廃合や名称変更の結果、鉄道事業を切り離すことになって京成が引き受け第三種事業者の千葉ニュータウン鉄道となり北総が第二種事業者となって一体化されたものの高運賃は改善されず、住民訴訟にまで発展しました。結果的には成田新幹線ルートを利用した北総ルート(成田スカイアクセス)が整備され北総線の運賃の見直しをすることで和解しましたが、それ故に北総線と共通化された成田空港線運賃も安易に動かせない政治性を帯びた訳で、やはり解消は困難です。

という訳で、新鎌ヶ谷で接続する新京成線と成田空港線の運賃統合はやはり無理となると、京成津田沼での京成本線・千葉線との運賃通算に限られる訳ですが、これも新京成線が新津田沼でJRと乗換可能で船橋乗換からシフトすることになると京成にとっては減収要因になります。船橋乗換の場合も東京メトロ東西線に向かう場合はJR線を挟んで初乗り運賃の重複負担となりますが、東京メトロの低運賃に助けられています。京成西船に優等列車を停めないのはJRに気を遣っているのかも^_^;。

ということで、当面車両の共通化や乗務員も含めた運営の柔軟化などで地道に益出ししたり、それぞれが抱えるバス事業の再編などで合理化を進めるぐらいしか打つ手はない訳で、アクティビストの納得を得るハードルは高いといえます。こうした問題を抱えて身動きが取れない日本企業は数多くあり、海外投資家を通じた国富の流出を助けるだけです。鬼たちも大爆笑-_-;。

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Saturday, October 28, 2023

ドイツの後塵

まず減税くそメガネlで取り上げた無人タクシーの残念なニュースです。

米加州、GM傘下の無人タクシー運行停止 人身事故巡り:日本経済新聞
隣を走っていた別のクルマが撥ねて倒れた歩行者の女性を巻き込んで6m走って停止したという事故で、クルーズの無人タクシーの有責事故ではないんですが、問題は自動運転車が事故を認識して路肩へ寄せた結果、被害者のダメージを高めてしまったことです。しかもそのことを当局に対して隠ぺいしたということで運行停止となったものです。

グーグル関連会社ウェイモに始まる無人タクシーの実験運行ですが、結果的に複数企業が米国内各地で実験運行を始めた結果、事故の報告が増えています。搭載AIが学習途上ってことでしょうけど、主に画像解析に依存していて、変化の激しい道路の交通状況に対応しきれていないということのようですが、それならば尚更情報隠蔽は問題解決から遠ざかる訳で問題です。恐らくショッキングな映像で世論の反発を恐れた結果かもしれませんが、企業姿勢としては問題です。加えて画像以外の事故回避システムの必要性も示唆します。

こうした社会実験を認める米州当局の在り方ですが、合意形成が難しい連邦政府ではなく州政府への企業のロビー活動が盛んな結果がこうした事態を招いている面もあります。インフレは続くよどこまでもで取り上げた全米自動車労連(UAW)のストでも南部の共和党ステートの労働者保護の不備を問題視しており、それにバイデン大統領が連帯を示したことでややこしくなっております。その中でフォードが大幅賃上げを含むUAWの要求を呑んで和解した一方、GMやストランティスではストが続いており、労働者の権利拡大という面で言えば日本の国鉄で起きたスト権ストに近い性格で、GMは無人タクシー事故も重なって苦境にあります。という訳でウクライナやガザの紛争を抱え内憂外患に苦しむアメリカです。

とはいえ現状経済的には先進国で独り勝ち状態にあるのですが、こうしたことが重なり、且つコロナ給付金で生じた過剰貯蓄が枯渇しつつある米経済の先行きは明るくはありません。それでも相対評価でドル独歩高が続く為替市場ですが、円が主要通貨に対してほぼ値下がりしている結果、こんなことが起こる訳です。

日本のGDP、ドイツに抜かれ世界4位に IMF予測:日本経済新聞
日本が中国に抜かれて3位転落したのが2010年で、いずれインドにも抜かれるとは言われておりました。どちらも新興国で経済成長が目覚ましく、中国は既に日本の3倍近くと経済成長を続けております。それに引き替え先進国で低成長のドイツは、エネルギーのロシア依存が仇となって高インフレに苦しみ、中国依存が対中デリスキングで見直しを余儀なくされていて苦しんでいる訳ですが、あくまでもドル建て名目値での逆転であり、日独のインフレ率の差と為替変動の結果であり問題なしと解説する人もいますが、大間違いです。

ドイツが日本以上にインフレ率が高く苦しんでいるのはその通りですが、ECBの利上げでユーロの対ドルでの下落率が日本円と差がある訳ですが、日銀が利上げに動けないのは金利高による日本国債の暴落リスクがある為で、財政の健全性が仇となっていて動くに動けない結果です。異次元緩和を10年も続けた結果こうなった訳で、過去の政策が仇となっていて予想外の逆転をもたらしたという意味で深刻です。加えて人口8,300万人と日本の2/3ですから1人当たりGDPは1.5倍で、それだけ日本国民の購買力が低下した訳です。つまり新興国の成長の結果の逆転ではなく日本の衰退の結果の逆転ということで、深刻に受け止めるべきニュースです。

それなのに日本の国会では無意味な減税の議論ばかりしていて、更に財政を悪化させようとしているのですから救われません。加えて政府の打ち出す政策が悉く的外れという救いようのない状況です。所得税減税では納税者の6割が最低税率の5#課税で定額減税の恩恵が得られません。この中には年金受給者の嘱託雇用や主婦パートなどを含みますが貧困ひとり親世帯が多数含まれており、少子化対策と矛盾します。また賃上げを狙った法人税減税も問題があります。

賃上げ減税、中小6割が対象外 赤字体質の脱却重要に チャートは語る:日本経済新聞
法人税は欠損の最大10年の損失繰越という税法の仕組みで、資金繰りを図りながら敢えて欠損を出して繰越繰越で課税を逃れることは可能です。そうした企業は賃上げしても減税の恩恵は受けられませんから意味のない減税です。寧ろ基準を見直して課税強化した方が賃上げを促します。あと年金に関する2つのニュースです。企業の年金負担22年度6兆円減 金利上昇で業績押し上げ【イブニングスクープ】:日本経済新聞JAL再建会社更生法適用が決まるで解説した確定給付型企業年金(DB)が高度経済成長期には企業にとっても従業員にとってもメリットがあり、公的年金の貧弱さをカバーしてきた訳ですが、バブル崩壊後の低成長期にも見直されずに企業による拠出金でDOBに給付してきた訳で、所謂レガシーコストと呼ばれ、これが90年代の事業縮小や新卒採用手控えで所謂ロスジェネ世代を生み出しました。その後日本版401kと呼ばれる企業型確定拠出年金(DC)の制度かで乗り換える企業が出た一方、OBの顔色を窺って企業業績に躓いたJALのような企業も出た訳です。利回りを見直すなどして制度を維持した企業も昨今の金利上昇で利回りが改善してメデタシなんですが、その結果生じる剰余金を賃上げの原資にするならともかく、内部留保される可能性もあります。こうした資金を賃上げに回せるように背中を押すことが出来れば持続可能な賃上げも不可能ではないでしょうけど、同時に保有資産の減価による損失との見合いとなりますが、例えば内部留保課税のような形で賃上げに回るような制度的工夫はあり得ます。
国民年金、給付水準の低下抑制 保険料納付5年延長案も:日本経済新聞
年金制度の持続可能性を高める検討は必要ですし、労働市場の実態や長寿命化の実態から見ても納付期間延長や給付年齢繰上げはいずれ避けられないでしょうけど、第3号被保険者制度を廃止して専業主婦から保険料を納付することが抜けてます。保険料負担が無いから主婦パートの年収の壁問題が生じる訳で、厚生年金に加入すれば保険料負担が無くなる上に老齢年金の増額や妊婦給付など保証範囲も広がる訳で、受け入れやすくなります。但し雇用主の負担は変わらず雇用側の都合でシフト減らしの可能性は排除できませんが、そうした雇用主は従業員を確保できずに淘汰されるとすれば、被雇用者側にとってはメリットです。

年金と国鉄の意外な関係で解説したように元々国家総動員体制の一環として会社員が転職で不利になる上、保険料を徴収して戦費に充てる狙いもあってスタートした厚生年金保険制度ですが、時代が変わればアップデートが必要な訳で、そうした議論が進まない中で年金財源が枯渇することで、結局被害を受けるのは今の現役世代と姿なき将来世代なんです。世代間の対立を煽って議論をやりにくくする昨今の風潮は問題があります。

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Sunday, May 14, 2023

帰省緩和のゴールデンウィーク

ゴールデンウィークの国内旅行は盛況でした。

GWの国内旅行、コロナ前並みに回復 近場より遠方に:日本経済新聞
JR各社で18年比9割超まで回復しており、それを踏まえてかJR各社の株価も上昇局面にあります。新幹線の混雑が報じられた一方、箱根や江の島などの近場は減っているという対照的な動きが見られ、長距離シフトが鮮明です。

コロナで自粛されていた帰省がトレンドだったようで、長距離利用が増えれば流動が輻輳しますから混雑に繋がりますし、JRにとっては客単価の高い利用客が多かったという意味でホクホクでしょう。一方で近場の観光地は振るわず、在来線特急の利用は伸び悩みました。例外は成田エクスプレスですが、航空需要のJ回復の結果ですから、長距離シフトのトレンドの範疇です。

その一方で高速道路はまれにみる大渋滞で、例えば関越道で練馬から藤岡まで渋滞が繋がったという前代未聞のことまで起きました。原油価格が下がって政府補助金の効果もあってガソリン価格がやや下がった結果、需要がマイカーに流れたと考えられます。ただ平日のビジネス需要の戻りは鈍く、GWの混雑を東海道新幹線の輸送力逼迫に結びつけるリニア待望論は根拠がありません。GXに逆行したGW^_^;。

米地銀パックウエスト株2割安 預金1割流出で警戒:日本経済新聞
米地銀を巡る金融不安は続きます。カリフォルニア州地銀パックウエストに市場の関心が集まります。IT集積地故に個人も企業もキャッシュリッチで預金が集まりやすいが故に、資産規模が膨張しがちで運用先に苦労するのはSVBやFRCと同じです。故に市場の不安は消えず、預金保険でカバーされる限度額を超えた口座が多く、snsで噂が拡散されやすく、加えてネットバンキングもITリテラシーの高い預金者が多いから、預金流出が早く進むということもあります。政府の預金全額保護もどこまで可能かが試されます。
バイデン大統領、G7サミット「オンライン出席の可能性」:日本経済新聞
地銀破綻以上に混乱の種となる米財政の崖問題ですが、米政府は公式に否定したものの、こういう報道が出てくること自体が、デフォルト回避の協議が膠着していることを示します。そりゃサミットどころじゃないわな。
岸田文雄首相、タイム誌表紙に 「日本の選択」テーマ:日本経済新聞
怪運国債市場の蓋で指摘したように、日本の防衛三文書でアメリカの拡大抑止方針に満額回答してバイデン大統領の外交成果を示した訳ですから、サミットには参加したい筈ですが、一方で日本の方針転換に違和感を持つ報道がアメリカでもされているということですね。外務省がクレームを入れてタイトルは変わったみたいですが、日本が後戻りできないことにコミットしたことに変わりはありません。
富士通系サービスに障害 コンビニで他人の住民票発行:日本経済新聞
マイナ保険証、別人情報とひも付け事例 「入力時ミス」:日本経済新聞
国内ではマイナンバーカードを巡るニュースが立て続けです。栗鼠殺し?で取り上げたマイナンバーカードの問題点がそのまんま出てきました。コンビニでの証明書発行のトラブルはシステム自体の問題ですし、マイナ保険証の紐付けで入力ミスってことは手入力してたってことですが、システムの最大のセキュリティホールは人という常識に反します。

マイナンバー自体を個人情報の物理的アクセスキーにするだけなら、シンプルで安全なものになるのに、わざわざ金かけて複雑で使いにくくセキュリティも問題という出来損ないを作っちゃったってことです。加えて他人になりすましてマイナンバーカードを取得した事例も報じられております。マイナンバーを示すバーコードだけのカードを本人が携帯して管理するシステムなら、番号のハッキングに注意するだけでなりすましも防げます。いいとこなしのマイナンバーカードです。

ま、そもそも政府が本気でDX進めたいなら、まずは各省庁の公開データの見直しからやるべきでしょう。「神エクセル」とかpdf公開とか、見栄えを整えることに腐心するよりも、汎用性の高いcsvファイルで公開してくれれば、ダウンロードも短時間で済むしエクセルに限らずアクセスその他のデータベースソフトにユーザーが直接読み込ませることで、様々な分析に使えるようにすることで、行政データを所謂ビッグデータとして活用できるようになる訳です。

コロナのHERSYSYでも言えますが、入力項目が多過ぎて保健所作業の手間が拡大して実数の把握には役立たなかったなどの問題もあります。COCOAの不始末もありました。つまり日本政府はDXに関してやることなすこと的外ればかりということです。

平成金融危機出口へ SBI、「新生銀行」を非上場化 瑕疵担保のツケ解消へ一歩:日本経済新聞
日本長期信用銀行と日本債券信用銀行の救済に行き詰った小渕政権で、当時の民主党が提案した金融再生法っを丸呑みして長銀と日債銀の破綻処理が行われました。長銀は米ファンドのリップルウッドHDが引き受けて新生銀行となり、日債銀はソフトバンクが引き受けてあおぞら銀行になりましたが、リップルウッドとの契約で二次損失対応として瑕疵担保特約を入れたことで国会が紛糾しました。

金融再生法で7兆円の公的資金が用意され長銀と日債銀の破綻処理に使われましたが、破綻処理過程で二次損失が発生した場合の損失補償を民法の瑕疵担保条項を準用した結果、リップルウッドはリスク負担なしに長銀を手に入れて利益確定の末に再上場で売り抜けて大儲け。一方優先株として投入された公的資金の返済は進まず今に至った訳ですが、紆余曲折の末筆頭株主となったSBIが新生銀行をTOBで完全子会社化することで、利益剰余金を配当に回さずに優先株消却しようということですね。

そもそも長銀の資産査定が厳格ならば二次損失は無視できた筈ですし、リップルウッドの要求を却下できた筈です。手詰まりを野党提案で突破した小渕政権の柔軟さは評価できますが、執行段階で骨抜きにして後始末に30年以上かかってしまったことに、所謂失われた30年の病巣が見えます。DXの不始末も同じ世界線の出来事に見えます。リニアも同じかな。

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Saturday, May 06, 2023

失敗に学ばない国のGW

今年のゴールデンウィークも終盤ですが、今年は人が出てますね。新幹線の混雑が報じられてますが、それでも18年比8割程度で、やはり完全に元に戻ることはなさそうです。逆にこれだけ人が動き密状態が多発しており、事後のコロナ感染拡大が心配されます。GW前に規制を緩めてGWで感染拡大という昨年一昨年のトレンドを踏襲する可能性はあります。

だから規制を緩めるべきでないということではなく、コロナの危険性はあるとしても、その性質は知られており、注意点も共有されてきてますから、普通の病気としてウィルスと共生する段階にはあると思います。その意味で感染症法上の5類相当への移行は良いのですが、取扱経験のない医療機関での院内感染のリスクは寧ろ増えるということも注意点です。病院に行くときはマスクはマストと考えるべきでしょう。一方で災害です。

石川地震の被害確認急ぐ 相次ぐ揺れ計51回に:日本経済新聞
石川県珠洲市で震度6強、マグニチュード6.5という地震ですが、余震が続いており、熊本地震のように余震の方が強いケースもあり得ますし、地盤が緩んでいる上に、雨の予報が出ていて地滑りなどの恐れもあります。警戒を怠れません。

能登半島の群発地震は昨今目立ちますが、そんな場所に珠洲原発の計画があって、地元の反対でとん挫しましたが、結果的に良かったと言えます。能登半島には志賀原発1,2号機もありますが、こちらも3・11前に1号機はトラブルによる運転停止、2号機は定期点検中だったことで、以後再稼働の為に規制委の審査を受けていますが、敷地内に活断層の疑いがある亀裂が見つかり、審査が通らず運転停止が継続されていたことは幸いです。てことで失敗に学ばない国の続編です。尚、GWはグリーンウォッシュの略で、政府が打ち出すGX戦略はXの手前のWに留まるということです。

活断層ならば1号機はアウト、2号機も耐震強化が必要ですが、地盤の亀裂が活断層ではない証明は所謂悪魔の証明ですから、規制委も門前払いすれば良いものを継続審査している訳です。これ成長しないこどもの日本で取り上げた高浜4号機や敦賀第二、やはり審査が滞っている柏崎刈羽と同じ構図で、再稼働を認めたいのが本音と見ることができます。ならば電力会社としては誤魔化してでも審査をクリアすれば良いとなる訳ですね。

という訳で閣議決定されたGX基本方針で打ち出された原発稼働期間40年の規制緩和で、特に運転停止中の期間をカウントしないことになりますが、これ何らかの理由で審査が滞っている原発ほど長期間稼働となる訳で、危険極まりないものです。加えて言えばそもそも原発が動いているのは関電、中国電、四国電、九電の4社にのみで、他の5社は原発が動いていないけれど、需要を満たしている訳で、例えば東電エリアでは太陽光などの再エネ電力を揚水発電で出力調整して対応している訳で、原発が動いていないから可能な方法です。同じく原発が動いていない中部電ですが、ちょっとした異変がありました。

中部電力が出力制御を実施 三大都市圏で初:日本経済新聞
製造業の空洞化が進む東電エリアと違って一大製造業集積のある中部電エリアでも電力が余って再エネ電力の受け入れを制限しました。ま、考えてみれば北陸電エリアも電力消費の多いアルミ関連産業の集積地ですし、元々水力資源の豊富な地域でもありますし、電力不足を理由に原発動かすという理屈は成り立ちません。燃料費の高騰による採算悪化が本音です。

加えて言えば欧州のGXの本命は省電力であり、広域送電網と蓄電池や水素を利用した出力調整であり、ウクライナ問題に絡むロシア産原油やガスが利用できない現状をそれで乗り切ろうとしています。フランスが原発見直しを打ち出してますが、これも50基ほどある既存原発の老朽化でトラブルが多発し、電力の安定供給が厳しくなっていることによるもので、日本で言われるリプレースを進めるという話です。故に再エネに頼るドイツに回せる余力も乏しくなっており「ドイツはフランスから原発の電力を買っている」というのはウソです。

本気でGXに取り組むなら燃料高対策で石油元売りに補助金を出すことを止めてガソリン価格の上昇を容認することで、鉄道など公共交通へシフトさせる方が効果がありますし、実際石油ショックの時にはそうしたシフトが起きています。またそもそも製造業の海外シフトで需要そのものが減っている状況ですから、無理して原発を動かす必要性は乏しいのが実際です。中部電で言えば再エネ制限して浜岡原発を動かすのはおかしい訳です。

省エネという意味では鉄軌道式の3倍と言われるリニアの電力消費は問題です。ただでさえ人口減少で需要の先行きが不透明なんですから、無理に作る意味は乏しいということになります。それから敦賀以西の北陸新幹線も、建設距離の短い米原ルートが省エネの観点からもベストです。東海道新幹線との保安装置の違いは、ソフトで読み替えることで解決可能ですし、東海道新幹線のダイヤの余力も、名古屋以西は余裕がありますし、場合によってはこだまを名古屋止まりにして開けるとか、ボトルネックとなる大阪運転所(鳥飼)―新大阪間の線増などで対応可能です。またJR西日本の営業キロが短く不利というのは、整備新幹線の場合受益の範囲でのリース料負担というルールで実質変わりません。整備区間の距離が短いことで公金の投入を減らせる効果はありますが。

フランスでは鉄道と重複する国内線航空に規制をかけるなどして鉄道シフトを進めています。こうした実質的な対策を積み重ねて対応することこそ重要なんで、その意味でGXは本来鉄道には追い風になる筈ですがね。

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Saturday, March 18, 2023

田代の水は山をも越すが水に流せぬ大井川

箱根馬子唄ならぬリニア迷子唄^_^;。リニア60年のウヨ曲折の続編です。

リニア工事中の水量減解消、JR東海が静岡自治体に説明へ:日本経済新聞
上記エントリーでも取り上げた大井川の水問題での東電田代ダムの取水量調整でJR東海が東電と協議することを前提とした説明をするということですが、すんなり進むとは思えません。田代ダムは大井川最上流の田代にダムを作って導水管で山梨県の冨士川系の早川へ落として水力発電を行うという目論見で建設され1928年に完成した大井川水系では初の本格的ダムです。つまり元々田代ダムの水は古くから山梨県に送水されていた訳ですが、これが後年大井川で水利権争いの種になります。

早川電力は後に東京電灯に吸収され、更に電力国家管理で日本発送電に摂取され、戦後GHQ の日本発送電の解散命令で後に東京電力となる関東配電に引き継がれ今に至ります。こうした歴史過程もあって大井川水系では田代ダムのみが東電で他は中部電力という形になり、水力の一河川一社の原則から外れております。大井川水系は多数のダムが作られました。余談ですが大井川鉄道は元々電源開発のための鉄道として電力資本で作られたから、ローカル私鉄としては重厚な設備で整備されており、SL列車の運行が可能なのもそのお陰です。

そんな事情からダムの取水で大井川の渇水が問題視され、特に1955年に田代ダムの取水量が当初の毎秒2.92トンから4.99トンに増やすよう東電が静岡県に申請し、静岡県は流域自治体の同意を得ずに認可したために流域住民が反発し、東電や中部電力に河川維持放流を求める運動に発展し、住民の座り込みなど実力行使にまで発展する騒ぎになりました。特に山梨県で発電事業を営む東電の態度は頑なだったようです。1997年の河川法改正で河川環境の維持が義務化されたのを受けて2006年委解決しましたが、水利権問題の解決は半世紀を越えました。

といった係争の歴史を踏まえると、JR東海は将に地雷を踏んだ訳ですが、同時に東電も過去の係争の経緯から流域関係者の了承を前提に協議するとしており、静岡県は東電の協力の確約を求めているということで、JR東海が話をまとめるハードルは高いと言えます。そもそも東電が今償却前収支の赤字、つまりキャッシュフローの欠損という深刻な事態に直面しており、取水制限にすんなり応じられる状況にはありません。という訳ですから、まだまだもめます。

という訳で視界不良な中央リニア事業ですが、河川法改正が大井川の水利権問題の解決を後押ししたように、法律的に打開する可能性は考える余地があります。但しその前にそもそも中央リニア事業の法的位置づけがどうなっているのかについて、あまり取り上げられることはありませんが、問題を多数含みます。

事業の根拠法機は全国新幹線鉄道整備法(全幹法)ですが、元々国鉄が事業主体となる前提で作られた法律で、基本計画線の公示や整備計画策定のための調査指示、分割民営化後に見直され、所謂整備新幹線スキームと呼ばれ、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設主体となって建設費を国と地方が負担し、事業者は受益の範囲リース料を30年間支払うこと公的負担を軽減する形ですが、中央新幹線に限ってはJR東海が建設主体となっており、公費の投入はない形ですが、そのことがJR東海に地元軽視姿勢をもたらした可能性はあります。

元々1970年に成立した全幹法は高速道路整備と並ぶ国土総合開発計画と連動した国土軸形成のための法律であり、地域開発に資することを目標としている訳で、その観点から見ればリニアのメリットを受けず大井川の水問題に留まらず環境破壊や事故災害時の乗客救援の責任まで負わされる静岡県が反対するもの無理もない話なんですが、死去した葛西名誉会長を筆頭に幹部の国鉄OBが国鉄時代のノリで事業を進めようとして静岡県で躓いたという見方は可能です。とはいえ現実的に静岡県内にリニアの中間駅を設置するのは無理ですし、国鉄流バーター主義では対応できない訳ですね。

加えて言えばそもそも中央新幹線は2011年にJR東海の発議で整備計画線に昇格したように、元々基本計画線の中でも優先順位の低い路線だった訳です。JR東海としては稼ぎ頭の東海道新幹線と競合する路線をJR東日本や西日本といった他社に参入されたくなかったという動機付けが強かったと思いますし、それ以上に一定のシェアを維持する東阪間の航空のシェアを奪って独占したかったということがあります。つまり全幹法を利用した輸送シェア独占を目論んだってことですね。

よく言われる国土強靭化策としての二重化の機能は北陸新幹線に託されており、また東海地震対策という意味ではリニアのルートはほぼ想定震災域に被っており、敢えて中央新幹線を急いで作る必要性は乏しい中で、リニアという技術革新を売りに国に認めされたという意味で、全幹法の趣旨をかなり逸脱した存在であるということになります。

東海道新幹線の輸送逼迫もJR東海ののぞみ増強や品川新駅開業などJR東海自身の追加投資によるもので、実際90年代には輸送量の伸びが止まって一度シェアを落としています。余談ですが日本の上場企業のPBR1倍以下、つまり解散価値以下企業の中にJR東海がリストアップされています。意外ですがPERの水準は高いので東海道新幹線へのてこ入れで資産価値が高まった結果、時価総額を上回ったってことでしょうけど皮肉な結果です。

二重化の観点から言えば来年敦賀まで開通する北陸新幹線の関西アクセスルートで揉めてますが、二重化の観点からは米原ルート一択です。特に難工事が予想される小浜京都ルートは事業費もかかるし整備期間も長くなるし、公費負担分の費用便益比(B/C比)が1を割ると予想される一方、距離が短く建設費も低廉でB/C比も2近く、また並行在来線の湖西線問題でも地元滋賀県との協議の可能性が高まります。三日月知事が唱える交通税も、近江鉄道支援に留まらず湖西線問題に備える意味があるとすれば、納税者に負担を求める滋賀県にメリットのない小浜京都ルートでは論外ですね。JR西日本はJR東海のリニアの躓きを学んでいませんね。

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Saturday, February 25, 2023

宇宙戦争は終わらない

ロシアのウクライナ侵攻直前の宇宙禍族露貧損で緊迫した状況を思い出しますが、結局戦争は始まり未だに続きている状況で、アメリカのインテリジェンス情報の正確さと共に、兵器供与の一方でNATOの参戦には至らない宙ぶらりんな状況は続きます。基本的にロシアが諦めるまで続くと考えられますが、可能性は低いと言えます。

プーチン氏、核戦力増強表明 ICBMや極超音速ミサイル:日本経済新聞
これつまりロシアが米本土に届く核ミサイルなどで戦略核戦力を増強するということで「大きな北朝鮮になる」宣言です。つまり核エスカレーションも辞さずということです。核共有されているNATOエリアも標的になる訳で、こうなると日米核共有を唱えた政治家の不見識が改めて問われます。

これが重大なのはロシアがソビエト時代に核の増強のためにウラン濃縮に励んで大量の未使用濃縮ウランを現時点で保有している事実があるからです。つまり気球騒動の中国が時間をかけて核増強しているより速いスピードで実現可能ということです。共に実現可能性は低いと思いますが、台湾有事より手前の時間軸の問題ということは押さえておきましょう。こうなると日本のサハリン2などロシアのLNG権益も見直しを迫られるかもしれません。

主権国家であるウクライナへ侵攻したロシアが問題なのは言うまでもありませんが、この戦争は穀倉地帯で天然資源にも恵まれ工業化も進みハイテク産業も優位なウクライナを巡る市場争奪戦という意味では帝国主義戦争と何ら変わらない訳で、ロシアを非難するだけでは問題は解決しません。一方ロシア軍の弱さも露呈しており、通常戦力だけで見ればNATOがもし参戦すれば数日で決着するレベルでしょう。

それが出来ないのはロシアの核の脅しが効いているということで、米バイデン政権は「第三次世界大戦にするつもりはない」と言い、ウクライナを支援しながらやり過ぎないように慎重に進めている訳で、核抑止力のリアルを示しています。それに引き換え日本の安全保障の事象専門家たちの「抑止力」の言葉の軽さは眩暈がします。

帝国主義戦争であるということは、所謂グローバルサウスと呼ばれる途上国の賛同は得にくい訳で、実際国連決議でも棄権などで中立を保つ国が多いのは致し方ないことですし、民主国家の普遍価値を唱えても、彼らから見ればグローバル市場で劣位に置かれ不利な交易条件を押し付けられるという意味では西側諸国も中国やロシアも変わらない訳で、どちらか一方を選べという踏み絵のような態度は寧ろ嫌われます。これは冷戦期の第三世界とも違う現実で、世界はバラバラになっているということです。

加えてリーマンショック後の世界的な金融緩和の結果インフレが止まらなくなり、先進国は日本を除いて利上げに動いている状況ですが、資源高やサービス価格上昇に伴う国内労働市場の逼迫でインフレが止まらす、とりあえず好調なアメリカでさえ賃上げが物価上昇に追いつかず実質賃金がマイナスになっている状況です。金融緩和のやり過ぎが原因ですから、当面景気悪化も避けられず、下手すればマイナス成長ということですね。

独裁強化で露呈した中国の成長の限界は失われた中国の始まりでも取り上げましたが、中国の成長が減速する以上に先進諸国のマイナス成長が米中逆転をもたらす可能性も視野に入れる必要があります。とすると軍事力は経済力で規定される以上、アメリカのプレゼンスも相対的に弱くなるということですが、防衛費増でアメリカに恭順の意を表せば安泰という構図も変わってきます。そして当のアメリカはといえば。

米中貿易、4年ぶり過去最高 日用品・食品など依存高く:日本経済新聞
気球の地政学でも取り上げましたがアメリカが問題視するのは中国による通信のバックドア設置であり、各種ハイテク兵器の性能向上でありという訳で、そのチョークポイントとなる先端半導体を渡さないことは重要ですが、一方で廉価な日用品の調達には製造拠点としての中国が欠かせないし、一方経済成長で国民の肉食嗜好が強まった結果、飼料用穀物は安価なアメリカ産抜きには成り立たないという双方の事情があって貿易拡大に至った訳です。

という訳で日米韓台のチップ4と呼ばれる半導体連合で日の丸半導体復活をぶち上げる日本ですが、アメリカが求めているのは中国への半導体関連の輸出を内外を問わず米当局に申請して許可を得ることであって、認められれば輸出は可能です。そして半導体製造に欠かせない露光装置の世界大手ASMLに立地するオランダも巻き込んでおります。しかもEUに諮らずオランダ政府と協定を結ぶ形になっております。これは先端半導体に欠かせない深紫外線(DUV)露光装置はASMLが独占しているからです。

というぐらいにエグイ対応をしていますが、大乗り気の台湾TSMLは最先端分野は台湾に残し中程度の製品を米独日に建設中の拠点へ移して最先端技術は手元に残しつつ各国の補助金はしっかり受け取るといういいとこ取りをしている一方、台湾有事には疎開先として活用することも見越して米アリゾナやドイツの工場は大規模なものになっておりますが、熊本県菊陽町のTSML熊本工場は小規模で主に近くのソニーセミコンダクタの画像センサー用のチップ製造への便宜で選ばれた立地で、半導体関連企業が我先に進出を競った結果地価3割アップで建設工事受注でゼネコンがお祭り状態で大阪万博パビリオン建設が進まないのは怪運国債市場の蓋でも取り上げました。というぐらい確かに半導体で盛り上がっておりますが、不便な熊本空港を巡って高規格の都市高速道整備とともに鉄道整備も動き出しております。

熊本空港アクセス鉄道、肥後大津ルートに 県検討委判断:日本経済新聞
いやホントお祭り状態ですが、日の丸半導体復活は微妙でもゼネコンのお祭りは当分続きそうです。なにわ無くともくまモン半導体。将にオバケ、空騒ぎのおバカにならないことを祈りましょう。

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Saturday, December 31, 2022

リニア60年のウヨ曲折

2022年も間もなく終わります。国鉄が浮上式リニアの開発に公式に着手したのが1962年ですから、今年は60年の節目だったのですが、現実のリニアは暗礁に乗り上げております。サイドバーで紹介している国商 最後のフィクサー葛西敬之:森功著 講談社刊で要領よくまとめられておりますが、静岡県の反対で静岡工区未着工だけではないリニアへの逆風は複雑怪奇な様相を呈しております。詳しくは後述しますが、葛西敬之JR東海名誉会長の死と、安倍元首相の死で流動化している政治状況が先行きを不透明にしています。

葛西氏の政治との関わりは深く、第二次安倍政権以降、官邸官僚の人事を巡って管政権、岸田政権にも引き継がれています。更にNHK人事への介入を通じたメディア支配もあります。加えて大広告主として広告出稿を通じた新聞、雑誌の言論封殺で、リニアを巡る不都合な報道は殆ど見られませんが、コロナ禍によるリモートワーク定着もあってリニアが見込むビジネス需要に陰りが見られる一方、JR東海の強引な姿勢が実現可能性を下げている現実もあります。

例えば大井川の水問題ですが、南アルプストンネルの湧水を全量戻すことで静岡県とJR東海は合意している筈ですが、JR東海の言い分はあくまでも工事修了後の話で、トンネル掘削中の10か月ほどの期間は除外ということで「話が違う」となり静岡県が怒っている訳ですが、それをJR東海は「静岡県が無理難題を言う」として取り合いません。これは南アルプストンネルの構造からくる問題なんですが、山梨坑口から上り勾配で掘削すると、トンネル内の湧水は山梨県側へ流出する訳で、大井川へ戻すことは物理的に不可能ということです。

これは南アルプスルートでの建設を決めたことに由来する問題ですが、東西坑口を水平に結ぶと土被り3,000mにもなり、土圧でトンネル掘削自体が困難なため、東西両坑口から最大40/1,000の勾配をつけて最大土被り1,400mに抑える為です。山岳トンネルとしては大清水トンネルで1,300mの実績もあり、東海北陸道飛騨トンネルが1,000m以上の土被りの難工事の末2007年に貫通したことで、最短距離の南アルプスルートが選ばれたと言われています。しかし中央構造線をはじめ多数の活断層を横切る難工事が予想されていましたし、実際大井川の水問題もその1つではありますが、問題はそれだけに留まりません。

水問題については東電田代ダムで取水して山梨県側へ流す量が多く、その取水量を調整することで対応可能ではあり、実際JR東海からも提案されてますが、経産省の同意が必要で手続き上の難易度は高いです。加えて急岐な南アルプスの地形で大量のトンネル残土が出る訳で、それを運ぶダンプカーが通れる工事用道路の建設も、環境アセスメントをクリアするハードルは高く困難ということもあります。加えてJR東海の高飛車な態度が県民を怒らせてきたということもあります。

加えて都市部の大深度地下工事を巡る不透明さもあります。仲良きことは美しき哉かな?で取り上げた調布市の陥没事故の影響で都市部の鉱区も着工が遅れています。こちらも事業主体の東日本高速道路の不誠実な態度が住民を怒らせており、簡単に幕引き出来る状況ではありません。また岐阜県工区の斜坑の落盤事故で死者も出してますし、神奈川工区など他の工区でも工事は遅れています。実は静岡県の反対がフィルター効果となって報道されていないだけで、巷間謂われるように静岡県知事が代われば解決とはなりません。

国鉄時代から開発が続けられた磁気浮上リニアですが、延長7kmの宮崎実験線で繰り返し試験を続けてきて、次のステップとしてより長い実験線が必要として宮崎実験線の延伸も検討されながら、将来中央リニア新幹線に繋がるという理屈で山梨に実験線が作られた訳ですが、金丸信自民党幹事長の意向が働いたと言われています。

一方で自民党林喜朗議員の後押しで運輸省と日本航空がHSSTという常電導リニア計画を持ち上げました。ドイツのトランスラピートのライセンス契約で目標最高速300km/hで、羽田空港と成田空港を結んで国内線と国際線の乗り継ぎを狙ったものらしいですが、シーメンスへのライセンス料支払い問題は会計検査院に指摘され国会でも問題になりました。日航が政府全額出資の特殊会社だったことからこうなった訳です。

結局日航は事業化を諦め、ライセンスは三菱重工へ引き継がれ、愛知高速交通東部丘陵線(通称リニモ)で実用化されましたが、最高速100km/hに留まります。しかし愛知万博の会場となった海上の森の丘陵地帯を抜けるルートはアップダウンが激しく、通常鉄道では整備が難しかったかもしれません。ちなみに最大勾配は60/1,000であり、磁気浮上でレールと車輪の粘着限界に影響されないからですが、逆に言えば中央リニアも60/1,000の急こう配を取り入れれば難工事は幾らか緩和された可能性はあります。

これ金丸信氏の鶴の一声で決まった山梨実験線をJR東海が引き受けるにあたって、中央新幹線が全幹法の基本計画線であることから、技術開発途上のリニアの実現可能性から通常の徹軌道式での整備も視野に入れた結果、粘着駆動の通常鉄軌道方式でギリギリ許容できるのが40/1,000ということのようです。つまり当初必ずしもリニアには拘ってはいなかった訳で、寧ろ東海道新幹線のバイパス線としてJR東海が一体運営すべきということで中央新幹線の権利を確保する目的だったようです。整備新幹線としてならばJR東日本に持っていかれる可能性があったことをブロックした訳です。

高速試験車300X系は中央新幹線を350km/hで走行する前提で設計されたもので、リニアの実現性への保険だった訳です。その成果は700系以降の新系列車に引き継がれてはいますが、隠れた意図があった訳です。それがリニアに傾いたのは技術開発の進捗が想定以上だったということに留まらず、日本の技術力を世界に知らしめるという葛西氏の右派的な思想によって目的自体がシフトしたことも指摘できます。

東海道新幹線の過密ダイヤは度々話題になりますが、実際には関西国際空港の開港や夜行高速バスの充実で輸送量が停滞した時期がありました。それを突破したのは品川新駅開業とのぞみ大増発によるJR東海自身の需要掘り起こしの結果であり、その原資は新幹線買い取りによる減価償却費の拡大と、その買い取り価格への政府へのイチャモンで認められたのぞみ付加料金の設備更新費用としての無税積み立て金です。

後者は買い取り価格の査定が減価償却されない地価部分が多くなることで設備更新が滞るという理屈で、長期運休を想定した設備更新の費用に充てるとしていましたが、認められると一転、長期運休無しでも設備更新は可能としてテヘペロしたりしております。JR東海の強引さや不誠実さを示す事実は事欠きません。

最後に森功氏の前掲書で示された仮説が、葛西氏が6年前に間質性肺炎で余命5年を宣告された直後に3兆円の財投資金受け入れを決めたのではないかということです。財投資金投入自体は当時の安倍首相の提案で、アベノミクスで中身がないと言われてきた成長戦略の目玉としてリニア大阪延伸の前倒しが検討され、税制優遇、補助金、財投資金提供の3案が財務省内で検討され前2者は法改正を伴い特に黒字企業のJR東海が対象となると批判を浴びるとして財投案に落ち着いたということで、裏付け取材もされており、信ぴょう性は高いと言えます。お陰でJR東海がリニア事業を見直すことは困難になっております。

しかしこれが鈍器法定で取り上げたリニア談合事件のきっかけとなります。財投資金の投入で公共性ありと判断されて民間工事の談合事件として立件された訳です。当初立件は困難と言われましたが、リーニエンシー制度で大林組と清水建設が制裁を回避する一方、この2社と大成建設、鹿島建設とを分離公判で前2社を先に有罪化kていさせるという検察の公判テクニックで一審をクリアしております。とはいえそもそも難工事だらけのリニア事業でゼネコンも利益確保が難しく、こうした事件が発覚するのはある意味JR東海が見限られつつある結果とも言えます。日航HSSTの失敗とも通じます。

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