未来へ翔る新型スカイライナー
N'EXの車両更新を取り上げた以上、こちらも取り上げないとバランスが悪いですね。E259系がが2009年登場ですから、ある意味2010年の成田空港新アクセス完成によるニュースカイライナーを迎え撃つためということも言えます。両者は現状でも棲み分けられてはいるのですが、スカイライナーのてこ入れで、勢力図が変わる可能性は十分あります。
まずは現状ですが、JR東の253系は、3連及び6連合計111両で30分ヘッド、スカイライナーはAE100形8連7本でピーク時30分ヘッドですから、JRは新宿や横浜など広域に運行して集客しているのに対し、京成スカイライナーはひたすら上野、日暮里と成田空港を往復するだけですので、半分以下の車両数で対応できているわけです。編成定員も400名超でその意味で意外と生産性は高いかもしれません。ただしターミナル立地の劣勢は拭えず、JRやリムジンバスの後塵を拝する結果となっています。
一方で京成グループとしては、ちはら線を直営化した後、北総線が悩みの種でした。千葉ニュータウン計画自体、北総線のほか、千葉県営鉄道北千葉線(仮称)、成田新幹線を通し、それをテコに大規模開発を目論んでいたのですが、北千葉線については結局県営鉄道としては実現せず、北総と重複しない小室以東の区間が紆余曲折を経て京成の子会社である千葉ニュータウン鉄道を第三種事業者とする北総鉄道の第二種事業区間として現在に至ります。またオイルショックを契機とする政府の総需要抑制策によって、建設が内示されていた成田新幹線は凍結され、2度と復活することはありませんでした。
千葉ニュータウンについては、誇大と思われる開発計画から逆算されたのでしょうけど、北総鉄道は初期投資が過大となり、それが運賃へ跳ね返って首都圏通勤鉄道の常識を超える高運賃ゆえに、沿線開発は一向に進まず、累積赤字を垂れ流す結果となりました。昨今ようやく沿線に大規模商業施設がオープンするなど、開発が徐々に進み、単年度で黒字を出すには至ったものの、累損一掃には程遠い状況です。一方で成田新幹線ですが、構想線は土屋(信)~成田空港間が成田空港高速鉄道としてJR成田線と京成線が乗り入れる形で実現し、東京~西船橋間は京葉線都心ルートとして実現しているのですが、千葉ニュータウンを通過する区間は当然実現しておりません。ですが都心から遠い成田空港の鉄道アクセスに利用しようという構想は度々浮かんでは消えしました。中には京葉線都心ルートで実現した区間と、着工の目途が立たない有楽町分岐線(亀有ルート)とをつなぎ、押上から京成線、高砂から北総線を通り、印旛松虫(仮称、現印旛日本医大)から成田新幹線ルートを通って成田空港へ至るものなどもありました。当然、京葉線都心ルートと成田空港高速鉄道が実現して、構想は消えたわけですが。
その意味で成田新幹線ルートを用いた成田空港アクセス鉄道のアイデア自体には、それほど新しい要素はないのですが、今回の北総ルート活用では、山手線上のターミナル(日暮里)から30分台という具体的な目標を掲げて練られた計画であるという点に新しさがあります。併せて北総線のてこ入れ策でもあるという点も見逃せません。
詳しくは新型スカイライナーwebサイトをご参照ください。またニュースリリース(PDF)もご参照ください。
現状と比べ、15分の時間短縮とピーク時20分ヘッド運行がアナウンスされてます。つまりは時間短縮と折り返し間合いの見直しで、現行の最大運用数で対応できるわけで、ここがキモです。つまり成田新幹線の落とし児である北総ルートを活用することで、生産性を劇的に高められるわけです。スピードアップによる集客増とともに、おそらく現行と同等の運賃料金でサービスレベルを高められるわけですね。加えて同じ北総ルートで一般車両によるアクセス列車を20分ヘッドで設定でき、既存の京成線ルートからも20分ヘッドで併せて1時間最大9本の列車設定が可能になるわけです。あと裏技ですが、第1.第2ターミナルの中間に位置する東成田駅を活用すれば、さらに上乗せが可能なわけですから、盆暮れ春秋連休などの需要期への対応力も高まるわけで、京成としては力が入りますね。実際新型スカイライナーは8連8本を投入予定ということで、おそらく高速運転で走行距離を稼いでしまうことから、検査予備を余分に見込んでいるものと思われます。
となると、あとの興味として一般車両によるアクセス列車がどういったものになるかですが、いわゆるエアポート快特が京成線内快速に格下げされ、佐倉止まりになるなど、成田―羽田連絡の実態を失っている状況ですが、北総ルートによる復活があるかどうか、興味は尽きません。ただし一般車両使用ですと、最高速160km/hというわけにはいかないでしょうから、成田―羽田間、直通1時間には程遠いといえます。それでもダイヤ上の制約は減ります。
いわゆるインフラ投資で、前の記事でも指摘しましたが、新線効果が長続きしない状況にあるわけですが、人口減少が始まっている以上、避けられない問題です。その一方で成田空港新アクセスのような事業では、既存ストックに付加価値をつけることができるわけで、今後のインフラ整備のあり方を示すものといえましょう。元々成田闘争という負の歴史を背負っている千葉県ですが、高度成長が去った今、改めて身近な資源を有効活用していく知恵が求められます。


















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