航空

Sunday, April 13, 2008

未来へ翔る新型スカイライナー

N'EXの車両更新を取り上げた以上、こちらも取り上げないとバランスが悪いですね。E259系がが2009年登場ですから、ある意味2010年の成田空港新アクセス完成によるニュースカイライナーを迎え撃つためということも言えます。両者は現状でも棲み分けられてはいるのですが、スカイライナーのてこ入れで、勢力図が変わる可能性は十分あります。

まずは現状ですが、JR東の253系は、3連及び6連合計111両で30分ヘッド、スカイライナーはAE100形8連7本でピーク時30分ヘッドですから、JRは新宿や横浜など広域に運行して集客しているのに対し、京成スカイライナーはひたすら上野、日暮里と成田空港を往復するだけですので、半分以下の車両数で対応できているわけです。編成定員も400名超でその意味で意外と生産性は高いかもしれません。ただしターミナル立地の劣勢は拭えず、JRやリムジンバスの後塵を拝する結果となっています。

一方で京成グループとしては、ちはら線を直営化した後、北総線が悩みの種でした。千葉ニュータウン計画自体、北総線のほか、千葉県営鉄道北千葉線(仮称)、成田新幹線を通し、それをテコに大規模開発を目論んでいたのですが、北千葉線については結局県営鉄道としては実現せず、北総と重複しない小室以東の区間が紆余曲折を経て京成の子会社である千葉ニュータウン鉄道を第三種事業者とする北総鉄道の第二種事業区間として現在に至ります。またオイルショックを契機とする政府の総需要抑制策によって、建設が内示されていた成田新幹線は凍結され、2度と復活することはありませんでした。

千葉ニュータウンについては、誇大と思われる開発計画から逆算されたのでしょうけど、北総鉄道は初期投資が過大となり、それが運賃へ跳ね返って首都圏通勤鉄道の常識を超える高運賃ゆえに、沿線開発は一向に進まず、累積赤字を垂れ流す結果となりました。昨今ようやく沿線に大規模商業施設がオープンするなど、開発が徐々に進み、単年度で黒字を出すには至ったものの、累損一掃には程遠い状況です。一方で成田新幹線ですが、構想線は土屋(信)~成田空港間が成田空港高速鉄道としてJR成田線と京成線が乗り入れる形で実現し、東京~西船橋間は京葉線都心ルートとして実現しているのですが、千葉ニュータウンを通過する区間は当然実現しておりません。ですが都心から遠い成田空港の鉄道アクセスに利用しようという構想は度々浮かんでは消えしました。中には京葉線都心ルートで実現した区間と、着工の目途が立たない有楽町分岐線(亀有ルート)とをつなぎ、押上から京成線、高砂から北総線を通り、印旛松虫(仮称、現印旛日本医大)から成田新幹線ルートを通って成田空港へ至るものなどもありました。当然、京葉線都心ルートと成田空港高速鉄道が実現して、構想は消えたわけですが。

その意味で成田新幹線ルートを用いた成田空港アクセス鉄道のアイデア自体には、それほど新しい要素はないのですが、今回の北総ルート活用では、山手線上のターミナル(日暮里)から30分台という具体的な目標を掲げて練られた計画であるという点に新しさがあります。併せて北総線のてこ入れ策でもあるという点も見逃せません。
詳しくは新型スカイライナーwebサイトをご参照ください。またニュースリリース(PDF)もご参照ください。

現状と比べ、15分の時間短縮とピーク時20分ヘッド運行がアナウンスされてます。つまりは時間短縮と折り返し間合いの見直しで、現行の最大運用数で対応できるわけで、ここがキモです。つまり成田新幹線の落とし児である北総ルートを活用することで、生産性を劇的に高められるわけです。スピードアップによる集客増とともに、おそらく現行と同等の運賃料金でサービスレベルを高められるわけですね。加えて同じ北総ルートで一般車両によるアクセス列車を20分ヘッドで設定でき、既存の京成線ルートからも20分ヘッドで併せて1時間最大9本の列車設定が可能になるわけです。あと裏技ですが、第1.第2ターミナルの中間に位置する東成田駅を活用すれば、さらに上乗せが可能なわけですから、盆暮れ春秋連休などの需要期への対応力も高まるわけで、京成としては力が入りますね。実際新型スカイライナーは8連8本を投入予定ということで、おそらく高速運転で走行距離を稼いでしまうことから、検査予備を余分に見込んでいるものと思われます。

となると、あとの興味として一般車両によるアクセス列車がどういったものになるかですが、いわゆるエアポート快特が京成線内快速に格下げされ、佐倉止まりになるなど、成田―羽田連絡の実態を失っている状況ですが、北総ルートによる復活があるかどうか、興味は尽きません。ただし一般車両使用ですと、最高速160km/hというわけにはいかないでしょうから、成田―羽田間、直通1時間には程遠いといえます。それでもダイヤ上の制約は減ります。

いわゆるインフラ投資で、前の記事でも指摘しましたが、新線効果が長続きしない状況にあるわけですが、人口減少が始まっている以上、避けられない問題です。その一方で成田空港新アクセスのような事業では、既存ストックに付加価値をつけることができるわけで、今後のインフラ整備のあり方を示すものといえましょう。元々成田闘争という負の歴史を背負っている千葉県ですが、高度成長が去った今、改めて身近な資源を有効活用していく知恵が求められます。

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Saturday, February 09, 2008

NEXT N'EX E259系

久々の更新です。これほど更新頻度の低い当ブログですが、毎日コンスタントに500ヒットペースを維持しているのは、私自身驚いております。どうもはてブほかのオンラインブックマークに多数登録されているらしく、古いエントリーも満遍なく読まれているということで、完全保存版品質が要求されているというプレッシャーを感じます。というわけで、更新はなかなか億劫になります。以上言い訳でした^_^;。

というわけで、成田エクスプレス(N'EX)用253系の2009年秋の置換えがJR東日本から公式にリリースされました。当ブログとしては、速報性は追わずに、長期間購読に耐える視点の提供を心がけることにしたいと思います。

そもそも253系が登場した1991年ですが、前年の不動産融資総量規制の影響でバブル景気にかげりが見えていたものの、未だ好調な消費に支えられていた時代といえます。日経トレンディのヒット商品ランキングトップがカルピスウォーターですが、20位にN'EXがランクインしております。先発の京成スカイライナーより割高ながら、ゆったりした室内が好評という評価になっておりますが、JRにとっては国鉄時代を通じて未経験だった空港連絡輸送への参入だったわけで、マーケティングに腐心した跡が見られます。

ここでやや脱線しますが^_^;、連日報道されるいわゆるサブプライム問題ですが、本質は日本のバブル崩壊と同じで、アメリカの場合はNAFTA(北米自由貿易協定)の影響で、主にメキシコからの移民が増加していたわけですが、いわゆるヒスパニック系移民への持ち家推奨のために考え出されたのがサブプライムローンであり、当初は「移民にアメリカンドリームを」というキャッチフレーズで好意的に捉えられていたのですが、その結果として住宅ブームが起き、住宅価格が上昇を続けたのですが、ローンが滞り始めて、逆に担保差押えで主を失った中古住宅が大量に出て不動産市況が悪化し、それがさらに住宅の値下がりを助長し値上がりを想定した無理なローンの延滞を生み出す負のスパイラルになっているので、不動産融資総量規制後の日本とそっくりです。ただし事後の対応の素早さは全く異なります。また拡大EU27カ国で労働力移動規制が撤廃されたことにより、やはりイギリスやスペインで移民向け住宅を中心にバブルが発生しており、遠からずはじけると考えられます。

思えばバブル時代の日本は、ある意味世界のトップランナーだったわけですが、その自覚がないままにバブルを生成しはじけさせ、敗戦処理を先送りし続けた結果の失われた90年代だったのです。そのころアメリカから銀行の不良債権処理や内需拡大の矢の催促に辟易していた日本が、今度はそれ見たことかとばなりに、G7で日本の経験を語るというのですが、間違っちゃいけないのは、日本はバブル経済で世界をリードしながら、処理を誤って貧乏まっしぐらへ向かっているのであって、そんな日本の失敗は、欧米各国は既にわかっています。そしてサブプライムが対岸の火事であるはずの日本で、国内要因で景気後退が現実のものになりそうなのです。

当時のJR東日本にとって、成田空港鉄道アクセスを京成との単線並列によってシェアすることの意味は重かったと考えられます。なにしろ末端のバス連絡はあるものの、京成は成田開港以来の実績があるわけですし、JRにとっては根古屋信号場までの長い単線区間に2本の着発線という物理的制約を課されることでもあるわけですから、列車設定の自由度は遥かに見劣りする状況だったわけです。

その中で、単純に輸送力を考えれば、総武快速線列車の成田空港直通を中心に据える輸送計画が、最もオーソドックスな解だったでしょうし、おそらく国鉄が民営化されていなければ、そうなった可能性は高かったと考えられます。その意味でノンストップ運転の特急列車で尚且つ全車座席指定の完全定員制列車というN'EXのコンセプトは革新的なものでした。

またスカイライナー以上に手強いライバルとして、箱崎のTCATから頻発運転されるリムジンバスの存在もあります。上野起点のスカイライナーに対して、東京都心からのアクセスタイムで優位に立ち、運賃もスカイライナーの運賃料金よりも高額ながら、輸送実績では上回っていたわけですから、そこへ通勤輸送用の113系の快速で参入しても、場違い感があります。

また当時はまだバブルを引きずっていた時期ですし、そもそもバブルの前提として国際化の進捗で東京が国際金融都市になるという期待があったわけですから、国際線空港である成田の鉄道アクセスに求められるものは、国内の送り出しと海外からの入り込み双方共に、エグゼクティブクラスの利用者を想定することができるわけで、量の競争では実績のあるリムジンバスやスカイライナーに譲るとしても、客単価を高めて効率輸送に徹する路はありうるわけです。逆に列車設定に制約があるからこそ、また競合市場で棲み分けが可能であるからこそ、N'EXのような革新的なコンセプトが実現したと考えられますし、253系はそれを具現化したものと捉えることが可能です。

とはいえJRにとっては未知の分野であり、単純な東京と成田空港とのシャトル輸送だけで集客する自信も乏しく、ならばJRの路線網を活かして複数ターミナルからの集客をしようということになったと考えられます。そこで新宿と横浜から来た列車を品川で併合して東京を経て成田空港へ至るという運行形態が考えられ、また需要がつかみきれなかったから、3連単位で増結できるようにして、需要変動に対応しようという考え方をとったのでしょう。これが国鉄時代ならば特急型=ボンネットスタイルの高運転台という既成概念で難しかったと思われますし、当時保安装置にATCを採用していた横総線トンネル区間では、トンネルの規格は山岳トンネル準拠ながら、国鉄時代に自主規制で地下鉄並みの不燃化A-A基準準拠の縛りを課したために、全編成貫通とする必要があり、貫通ホロまで自動化した自動解結装置を装備することと相成りました。実際は鉄道事業法の下では鉄道車両構造規則でそこまでは規制されていなかったのですが、3連単位で多数ユニットの併結という運用の実態からすれば、中間ユニットの非常時の避難路確保の必要性は高かったので、これはこれで意味があったといえます。

で、置換え用のE259系ですが、イメージバースではJR北海道の789系に似ているように見えます。貫通路の有無までは不明ですが、6連基本で2編成併結ならば省略も可能でしょうから、特殊装備の253系に比べてコストダウン要因となります。またE233系のように電気機器や保安装置の二重化するということで、VVVF制御ながら4M2T編成となり、冗長性を持たせたものとなっています。両数も132両で253系111両を置き換えるわけですから、固定編成長の変更はあるものの、現在よりも余裕のある運用が可能になると考えられ、オフピーク時の集中保守作業により盆暮れや春秋連休の海外旅行ピーク時には、予備車まで動員してより広範囲に集客するということも考えられます。

一方退場する253系ですが、かなり特殊な造りの車両ですし、2002年登場の200番台を除けば走行距離も稼いでおり、車体にヤレが目立つこともありますので、このまま廃車となる公算が高いと考えられます。これも好調なN'EXゆえと考えれば、やはり稼いでナンボ、長期低落傾向のレガシー特急(笑)踊り子に普通電車より遅い185系を使い続ける悩みは深いですね。

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Friday, November 23, 2007

成田―羽田間、直通1時間

成田―羽田間、直通1時間で・国交省検討、鉄道網整備
11/22の日経夕刊のトップ記事です。日経平均下げの記事をトップにしたくなかったのか(笑)。

サブプライム問題を巡る報道には、どう見てもお門違いなものが多数あります。最たるものは、いわゆる格付け機関による格付けにイチャモンつける手のものですが、そもそも格付けの意味するところは、信用リスクの恣意的な序列に過ぎないのです。国債など信用度が明らかな債券に対して、何ランク上か下かみたいな話に過ぎないんで、1ランクを裏付ける客観数値はそもそも存在しないんです。それでも投資家の投資判断を助ける役割はあるわけで、その限りにおいて有効性はあるのですが、BIS新規制(バーゼル2)で日本代表が押し込んだ格付けに基づく資産リスク評価のルールはそもそも根拠がなかったのです。けれどリスクテイクこそ金融機関の利益の源泉ですから、欧米を中心に数多くの金融機関がサブプライム関連の証券化商品に投資したことそのものは、責められる筋合いのものではありません。悪いのは「国益」の名の下に悪しきルールを押し込んだ日本代表の役人です。しかも本人は責任を感じるどころか、交渉の「成功」を土産に出世してるか天下りしてるかですからたまりませんね(怒)。

話を本題に戻しますが、報道された範囲では、成田―羽田間現行1時間45分程度のところを1時間を目標に具体策を検討するということで、具体的にはこれから詰める話なんです。一応北総ルートでの成田空港新アクセス計画が進行中ですので、これと連動して主に都営地下鉄区間の待避線又はバイパス線整備で目標達成を考えているようです。実際のところ北総ルートでスカイライナーの20分程度の短縮は既にアナウンスされてますが、北総ルートでの160km/h運転を前提としており、現行で定員制列車でない羽田空港連絡列車でどこまで時間短縮が可能なのか、いまひとつはっきりしません。記事によれば1-2年かけて検討を重ねるということですから、現時点でとやかくいうのは時期尚早なのかもしれません。

ただしいくつかの疑問点がありまして、まず財源ですが、ネット版では省略されてますが、成田空港会社株式売却益の一部を充てることが考えられているようです。何かデジャビュな話なんですが、NTT株売却益の一部がJR東西線(建設線名片福連絡線)の整備財源として突然明らかになったり、旧国鉄債務の財投資金分の高金利問題で郵貯特別会計の剰余金を補填財源に用いられたりと、突然降って沸いたような財源が現れる話に通じます。つまるところ成田空港の民営化で発生する株式売却益の一部をへそくりしますという話なんですね。つまり本来は全額赤字国債償還に充てられるはずの資金の一部をこっそりプールして、予算請求しても通らない公共事業の財源に充てようという話です。絶対に許すべきではありません。

それと、これは一応安倍政権時代に打ち出されたアジアゲートウエー構想の一環なんだそうで、国際線中心の成田と国内線中心の羽田の棲み分けを前提に、両空港の連携を強化し、国際競争力を高めようという話です。先日米国とEUがオープンスカイ協定で合意し、米国が以前から主張していたIATAの国際航空協定運賃を価格カルテルと見なすという流れに一歩近づいたわけで、相変わらずIATA運賃堅持を前提に2国間協議で乗り切ろうとする日本の航空政策のまぁ何ともアナクロなことか@_@。世界の趨勢に乗るならば、空港発着枠に余裕のある地方空港へ積極的に国際線を誘致することこそが今求められているのに、相変わらず地方の利用者は国内線で羽田へ向かい、成田へ移動して国際線を使えということですから、地方は不便なままで良いということです。

こんなだから日本は取り残されるんです。株価下落もその流れの渦中にあると考えれば当然の帰結です。アホな政府はつくづく高くつきますねQ-o-タメイキ。

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Wednesday, May 30, 2007

飛んで飛んでまわってまわって国有化でおJAL

当ブログのリニア論争のコメントの応酬で少し触れましたが、日本航空(JAL)の前途が不透明です。

日航、資本支援を要請・主力行に2000億-4000億円
JALでは一応否定しているようですが、日本政策投資銀行とメガバンク3行(三菱UFJ,みずほコーポ,三井住友)へ資本支援を要請しているもようです。いわゆるデッドエクイティスワップ(DES)と呼ばれる手法で、JALが議決権のない優先株を発行し銀行が引き受け、それを当該銀行の債務返済に充てるもので、債務の株式化とも言われる手法です。

正直なところ、JALがここまで追い詰められていたのが驚きですが、更にDESによる資本支援の規模が2,000億~4,000億円という金額も驚きです。特に政府系金融機関である日本政策投資銀行の債務残高が3,000億円で、第2位のみずほコーポレート銀行が400億円ぐらいですから、何のことはありません、郵貯、簡保、年金などのいわゆる財投資金が大量に投入されていたのですね。

政策投資銀の資金自体は、JR各社や私鉄、地下鉄の新線工事などにも投入されていますし、政府系金融機関改革で、民営化方針も出されているわけではありますが、やはり債務残高が突出している点で異様です。実際に民間銀行ではJALから資金を引揚げる動きも見られ、中央三井信託銀行は60億円程度あった債務を投資ファンドへ売却したようですし、りそな銀行や地銀各行も追随しそうです。元々民間銀行の多くは、政策投資銀の融資につきあっていたふしがありますが、JALの経営改善がさっぱり進まず、金融庁の銀行への検査で、JAL向け債権の格付けを破綻懸念先へ変更するよう指導されたことで、追加融資が事実上不可能になったと考えてよいでしょう。加えて政策投資銀も民営化に先行して金融庁の検査を受けることになっていますので、事実上銀行融資なしに資金繰りをしなければならない状況ということになります。そこで事実上DESしか選択肢がない状況となったわけですね。

一応民営化予定とはいえ、政策投資銀がDESに応じて債務を株式化した場合、議決権こそありませんが、事実上の半国有化ということになるわけで、87年の完全民営化から20年の節目の急旋回は皮肉です。もっとも政策投資銀を仲介して財投資金が注入されていたと見れば、民営化自体が虚妄だったという見方もまた可能ではあります。JALは難局を乗り切るには、リストラを強化して銀行の資本支援に向けてのアピールが必要となり、かくして関連事業の整理に向かうことになったようです。

日航、JALカード株売却へ・追加リストラ着手
記事にもありますが、JALカードは非上場ながら時価総額1,000億円規模と見られ、特に会員に富裕層が多いということで、早速カード各社の争奪戦が始まっているようです。JALカードはSuica提携カードも発行しており、JR東日本も動くかもしれませんね。

元々政府出資の特殊会社だったJALの民営化20年は、ある意味JRの先行事例という意味合いもあったわけで、旅客6社貨物1社の特殊会社でスタートし、10年をめどに株式上場、政府保有株放出で完全民営化のシナリオを、JALは先取りしていたわけです。

ただし航空事業を取り巻く状況は様変わりでして、JALの不振も変化に対応できなかったということができます。87年当時は、いわゆる航空憲法による3社体制が健在で、JALが国際線と国内幹線、全日空(ANA)が国内幹線と国内ローカル線、東亜国内航空(TDA,後の日本エアシステム(JAS))が国内ローカル線で、幹線以外ではダブルトラックもなく、ほぼ完全に棲み分けがされておりました。

JALは国内線ではANAと競合してはいたものの、85年のプラザ合意以来の円高にも拘らず、国内販売の航空券はそれ以前の250円/ドル程度の固定相場で発行され、内外価格差による為替差益を得ておりましたので、国内線は赤字でも構わなかったのです。そういう意味で完全民営化とはいえ、民間企業としての自覚がどの程度あったかは疑問が残ります。

加えて航空事業は安全保障と直結するということで、国際線に関しては、二国間の政府間交渉で運行する航空会社まで決めるという国際ルールがあり、運賃も方面別の協定運賃ですから、国際線は完全な独占市場だったわけです。

このことは同時に政治の干渉を受けやすい企業体質でもあったわけで、国内線初のジェット機のコンベア880以来、歴代の機種選定にも政治の影が付きまといますし、就航予定のない機材を買わされてテキサスの砂漠の中の格納庫に放置したりもしてます。

あとHSSTの開発もJALが突然始めたのですが、成田や千歳などの都心から遠い空港の機能向上を謳い文句としながら、なぜJALが手がけるのかは明らかではありません。結局50億円以上の開発費を投入し、その一部は独シーメンスのトランスラピートのライセンス使用料としてかなり高額の支払がされていたりで、この辺は国会でも問題視されたことがありますが、あげくに中部エイチエスエスティ開発に1.5億円で叩き売ったんですからあきれます。そして技術はリニモに結実し、飛んでまわって空気を運ぶ-_-;。JR東海にとってはリニアのライバルに塩を送ったわけで、ただでさえ航空を目の敵の同社は何を思うでしょうか^_^;。

この辺の政治力のなさを裏付ける最近のニュースにこんなのがあります。

日本航空、松本―札幌線を存続
記事中にもあるように、リストラの一環として不採算路線10路線の休止を決めたのですが、疑惑の復活と相成りました。ホントJALはいいようにむしり取られ続けたわけです。20年前と違って格安航空会社がアジア太平洋地域でも興隆している現在、国際線の方が競争激化しており、今はむしろ国内線の方が独占領域となっている中で、不採算路線からの撤退でANAに後れをとる余裕はないはずです。一般の事業会社ならば外資ファンドの餌食になるところでしょうけど、航空業法で議決権30%を上限とする外資規制がむしろ邪魔をして、再建の道すじは全く五里霧中です。

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Friday, March 16, 2007

ボルト脱落が原因、ボンバルディア機

えーと、鉄ネタじゃないんですが^_^;、事故報道のあり方として取り上げます。

前輪格納扉の開閉部のボルト脱落・全日空機の胴体着陸
国の航空機・鉄道事故調査委員会(以下「事故調」と略記)から早々に発表がありまして、ボルト1本の脱落が原因と特定されました。これでとりあえず再発防止策を講じることができますので、本来グッドニュースなんですが、メディアの捕え方はどうも変です。

ま、確かにボンバルディアのこの機体は、トラブルが多いということで、国交省も注目してましたし、暗にメーカーの責任を問いたいという空気が感じられるのですが、現時点では製造、整備のどちらに問題があったのかについては不明です。メーカーのボンバルディアも協力を約束してますし、今後明らかになるものと思います。着陸時の尻餅事故の補修が適切だったかどうかを明らかにしなかった日航ジャンボ機事故のときのボーイングよりも適切な対応が期待できます。

むしろ心配なのが全日空の方なんですが、仮に整備上の瑕疵があったとして、はたして全日空はそれを認めるだろうかという点に一抹の不安を覚えます。

元々ボンバルディアのこの機体は、昨年退役した国産機YS-11の後継機として国内デビューし、数を増やしているのですが、売りは何と言っても経済性で、数百キロレベルの中距離路線ならばジェット機と同等のフライト時間で飛べて、燃費は3割向上、滑走路も1,000mあればOKという、ローカル路線の救世主のような優秀な機体なんですが、開発費の高い民間航空機の主戦場から外れていて、ボーイング、エアバスのビッグ2のラインナップから欠落しています。ま、儲からないわけですね。

逆にだからこそ、総合輸送機器メーカーとしては大規模でも、航空機部門は小規模なボンバルディアにとっては、業界大手とガチンコ勝負しなくて良いマーケットという意味で重要なセグメントなんですね。このクラスで他社の追随を許さない経済性に優れた機体を低価格で提供できれば、市場を独占できるわけです。逆にこのようなマーケティング発想がなかったがゆえに、売れない=コスト回収できないがゆえに製造が打ち切られたYS-11の失敗とは対照的です。

というわけで、かなり革新的なコンセプトで登場したわけです。プロペラ機とはいえ6枚羽ですし、車輪の格納メカも独特のもので、整備面ではかなり特殊な扱いを強いられる面もあるでしょう。それもこれもローコストを実現するためですから、相当な技術的チャレンジはあったものと思います。またボンバルディアは本社こそカナダにありますが、欧米の輸送機器メーカーのM&Aを通じて発展した会社でもあり、航空機部門は元々英デハビランドの流れを汲む欧州系メーカーと考えた方が良いでしょう。当然設計思想も米系メーカーとはかなり異なります。

ま、この辺も浅薄な日本のメディアは、すぐに「資本の論理で安全をないがしろに……」のような短絡思考へ走ルンです^H^H^H走るんですが^_^;;;、そうやって不安を煽っていることはお構いなしという姿勢はほとほと呆れます。とりあえず原因が特定されたことは、グッドニュースなんです。この機体は今日も乗客を乗せて飛んでます。原因不明のまま飛ばなきゃならないことから比べて、どれだけ救われた人がいるでしょう。この機体がダメとなれば、撤退しなきゃならない路線も多数あります。そうして地方空港が寂れたらどーすんだ(怒)。

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Saturday, October 22, 2005

郵政公社と全日空提携でインテグレーターの夢成るか

同床異夢でさまざまな利害が絡む郵政民営化ですが、またまた改革の正体が見えるニュースです。

(10/20)郵政公社と全日空、国際物流で提携・貨物機で新会社(日本経済新聞)
というわけで、当ブログでも郵便ポストが赤いのは、国民欺くウソのせい?という記事で、郵政を核とするメガインテグレーター(大手国際物流)への進化を目論んでいる点を指摘いたしました。ですからやっぱりというのが正直なところです。

当面は10機程度の貨物専用機で、中国、東南アジア、北米中心に06年度より輸送を行うということで、3大インテグレーターのFedEx,UPS,ドイツポストに比べれば、ささやかな規模ではあります。目論見としては中国関連の需要が旺盛な状況が今後も続くことを見込んで、中国の成長力を利用して事業拡大を意図するものと考えられます。4大インテグレーターの一角を占めるには、ドイツポストが行ったような、世界中の物流企業相手に買収合戦を仕掛ける必要があるのですが、その資金は07年民営化予定の郵貯銀行の融資でという捕らぬ狸の皮算用もされてるのでしょう。さて、郵政ファミリーの身内のマネーゲームへの融資を、金融庁はどのように判定するでしょうかね。

何か郵政民営化法案の可決成立を待っていたようなタイミングですから、本当はもっと早くやりたかったんでしょう。にしても06年に新会社を発足させるのは良いんですが、郵貯銀行の開業が07年ですから、当初は現在の民間銀行からの融資で事業を立ち上げる必要がありますが、既に三井住友銀行が融資に手を挙げております。更にゴールドマンサックスも名乗りをあげておりまして、私は与するつもりはありませんが、民営化反対派が言っていた

米資本に郵貯を売り渡すのか
という主張にリアリティを与えます。でもこの辺がいかにも官僚の作文らしく、インテグレーター事業の立ち上げと郵貯銀行の設立、融資開始のタイミングがずれているし、10年かけて完全民営化というのも、その間ライバルの3大インテグレーターが眠ってくれてでも居ない限り、追いつくのは無理だと思うんですけど^_^;。

そして郵貯銀行の融資が焦げ付いて、文字通り大き過ぎて潰せないですから、公的資金を注入して再生となると、はて、いつか来た道のような。でも大き過ぎて買い手が現れないときは、改めて国有銀行として再出発となると、何のための民営化なのか、ますますわからなくなります。でも日本の有権者はこんなもんにGOサイン出しちゃったんだよな-o-ハァッ。

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Friday, August 12, 2005

公共交通の安全に新組織(共同通信)

リンク: @nifty:NEWS@nifty:公共交通の安全に新組織(共同通信).
こちらにも記事があります。
公共交通の安全を一元監視、国交省が専門部署新設(読売新聞)
局長級をトップとする組織で、業界ごとに縦割りとなっている現行組織に対して横断的に監視できる組織とするところに特長があります。
 監視内容は経営トップが安全対策に積極的に関与しているかどうかとか、危機発生時のマニュアル整備などで、日航のトラブルやJR西日本の事故を踏まえて整備されるもので、これはこれで必要なことなのは間違いありません。特に経営トップへの意識付けという意味は大きいといえます。
 問題は実際に機能する仕組みとなるかどうかという点です。例えば貸切バスを利用した格安ツアーバスのような路線バス類似行為を放置し、現場の安全管理に問題が指摘されている状況を改善できるのかどうかとか、航空、船舶、鉄道、自動車それぞれに異なる事故率を正しく評価して交通政策に反映されるのかどうかなど、不明な点は多数あります。
 あと前の記事で触れたようなデジタル機器のソフトバグ問題など、鉄道では各社バラバラに技術開発されていて、ユーザーインターフェースもまちまちなど、やや混乱した状況がありますが、できれば標準規格を策定して、安全監視に資すると同時に、標準化によるコストダウンを図って地方中小私鉄の負担を軽減するなども考える必要があります。
 なお、別の記事で
170メートル前で常用ブレーキ=マンションとの距離特定-JR福知山線脱線事故(時事通信)
というのがありますが、異種併結によるソフトバグの可能性を指摘した川島本の仮説に説得力を与えます。事故当日、宝塚駅、伊丹駅と立て続けにオーバーランした上に、事故地点のカーブでブレーキ遅れというのは、運転士の未熟だけでは説明がつきません。ソフトバグによって、例えば先行編成と後続編成のブレーキタイミングに微妙なブレが生じていたとすれば、運転士の意志に反して減速しなかったという可能性があるわけです。またブレーキ操作監視のモニター存置は後続編成の1000番台車のものであることも指摘しておきます。

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Saturday, April 09, 2005

名古屋が中心! と愛知で叫ぶ

首都圏にいますと、報道量が少なくて状況がわかりにくいですが、愛・地球博の入場者数が伸び悩んでいるようです。そもそも何のための万博だったのか、コンパクトにまとめた裏ガイドブック(笑)がありますが、知っておくと愛・地球博を256倍楽しめます^_^;。一般書店では入手が難しいようですから、Booksアフィリエイトで注文してくださいましm(_ _)m。
 ライバルはセントレアだそうで^_^;、高い入場料より見学だけはタダ、冷凍マンモスよりもお風呂、弁当持参でも取り上げられないなどなど(笑)、「花より団子」状態の愛知の春であります。
 さて、何でこうなってしまったんでしょうか。セントレア開港時の記事でも書きましたが、セントレア自体の優位性は単なる後出しじゃんけんの強みであって、間違っても中部が日本の中心になるという話ではありません。名古屋空港の代替で国内線が充実しているのは当然として、国際線の誘致はこれからというところでして、万博開催には間に合ったものの、実際にセントレアを窓口として世界から愛知へ万博見学に人が来るというイメージとはほど遠い現実が横たわります。
 セントレアの売りは、確かに充実した国内線ですし、国際線と国内線の乗り継ぎが便利なコンパクトさなんですが、それが成田や関空や、最拡張で国際化を睨む羽田に対して持つ優位性は限定的であることを自覚すべきでしょう。確かにトヨタにとっては使い勝手が良いかもしれませんが、人口も企業立地も群を抜いて多い首都圏からは利用しにくいですし、近畿圏からの距離感も微妙です。貨物分野も同様で、結局のところは立地面の優位性は相対評価であって、地域の経済活動の反映としての優位性に過ぎないんです。
 翻って、確かに現在中部経済は好調です。特に毎期増益記録を更新するトヨタの強さは盤石に見えます。ですが、逆に言えばトヨタの好調がそのまま地域経済の好調へと反映されてしまう程度の規模というのが、中部経済の実像だともいえます。日産自動車の好調ぐらいでは持ち上げられない首都圏経済や松下の好調ぐらいでは浮揚しない関西経済とは比較のしようがないんです。逆に言えばトヨタ依存の強すぎる中部経済は脆弱であるともいえます。ただし電子化の進む自動車でトヨタ系列のアイシンやデンソーがキーデバイスを握って他社へも供給を拡げている状況ですから、万が一トヨタの販売不振が起きたとしても、それぐらいでは中部自体が沈む心配は薄いことは申し上げておきます。
 それよりもトヨタを筆頭に輸出企業に偏った産業構成の方がリスク要因と考えられます。輸出企業の好調は、あくまでも現行の為替水準だからこそ実現しているのであって、特にアメリカの利上げでややドル高に振れている現状は、輸出企業にとっては増益要因となります。トヨタでも利益の7割は北米市場で得ている一方で、国内販売の不振は止まらず、競争の激しい欧州ではユーロ高に関わらず未だ利益を得るに至っていないんで、アメリカのくしゃみでどうにかなってしまう脆弱さ(中部に留まらず日本全体がそうですが-_-;)は自覚しておいた方が良いでしょう。
 あと中部企業の無借金経営の伝統が強さの秘密とよく言われますが、トヨタグループほか大手企業では確かにその傾向は見られます。その結果大手都市銀行の存在感の弱さが伝統的にあって、故に中部を地盤とする旧東海銀行は地元で貸し出し実績を延ばせずに首都圏や近畿圏に無理スジで出ていって、バブルにまみれてしまいました。結果的に三和銀行と経営統合されてUFJ銀行となったんですが経営規模の拡大は一層の中部離れを引き起こし、その結果中部圏は大手メガバンクの手薄な地域として地方銀行が元気付くことになります。このことで金融危機で全国的に貸し渋りが起きた97~98年頃でも中小企業向け融資が機能した結果、他地域よりも良好なパフォーマンスを得ることができたわけです。巡り合わせが良かったわけです。
 ただし将来にわたって良い巡り合わせが続くとは限りません。記事の冒頭の愛・地球博の収支次第では重荷を負うことになりますし、日本一の借金企業JR東海の存在が重石となると考えられます。実際に中京圏近郊輸送でのJR東海の攻勢が、名鉄を苦しめて岐阜地区600v線区を廃止に追いやったといえますし、JR名古屋高島屋の好調は名古屋中心部の商業的な地盤沈下のきっかけになりかねない危うさを秘めています。
 というわけで、まだ結末はわかりませんが、宴の後に“せかちゅう”同様“なごちゅう”が泣ける話になりますかどうか^_^;、見守ってまいりましょう。

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Saturday, February 19, 2005

中部国際空港(セントレア)開港で変わる?日本の空

2月17日、中部国際空港(以下愛称のセントレアと表記)が開港しました。成田、関空に次ぐ第3の国際拠点空港だそうですが、3空港それぞれに課題を抱える現実が、これから始まるわけです。言い換えれば3つの欠陥空港^_^;の時代が始まるわけです。
 セントレアの特長は、国内線の発着路線数、便数共に成田、関空を上回っている点ですが、既存の名古屋空港の代替ということで、在来路線、便を引き継いだ結果でもあるわけで、伊丹の代替で計画されながら伊丹を閉鎖しなかったためにその伊丹に国内便を取られた関空と違いを見せます。しかも名古屋空港が自衛隊小牧基地に同居していたので、緊急着陸先としては引き続き小牧も使えるわけですから、使い勝手の良さは抜群です。その一方で国際線の便数が少なく、誘致が今後の課題です。
 ターミナルをT字型に配置して両翼を国内線と国際線で使い分けるレイアウトで、テナントをそろえてショッピングその他で乗り継ぎ時間をつぶせるなど、国内線と国際線の乗り継ぎに配慮した作りですが、羽田と成田の乗り継ぎに鉄道やリムジンバスを使わなければならない現状に対してアドバンスを訴えています。この辺は後にできた空港だけに、最初から空港間競争を前提として差別化をはかっているあたり、民間主導で整備された空港らしいところを見せます。
 この辺が世界市場で競争にもまれ続けるトヨタらしさですが、競争には何か相手より少しでも勝っているところがあれば有利になるわけで、それを最初から意識している分、セントレアは成田や関空に対して優位といえます。いわば後出しじゃんけんのうま味があるわけです。
 でもこれって、成田や関空で政府が失敗したことが、ベースにあるわけです。成田は羽田の拡張と比較されたあげくに事業化が突然決定されて、今も続く歴史的反対運動を引き起こし、そのために羽田の拡張によって現実味を増した国際化がすんなり行えない事情を作り出しているんですから、最初から羽田の拡張で進めば、もっとスムーズに進んだのではないかという可能性を否定できません。同様に関空も伊丹の閉鎖が行われないまま宙ぶらりん状態では、国内線と国際線の乗り継ぎを想定した国際ハブ空港になれるわけがありません。
 空港整備で選択と集中ができなかったために、中途半端な空港が複数できて、図らずも役割分担をせざるを得なかった現実が、逆に民間事業として空港事業を成り立たせる隙間をつくったといえます。そういったところで事業を行うトヨタ自動車という会社は、なかなか目先の利いた利に賢い企業といえます。本業の自動車も、日本で組み立ててアメリカで売る車で全体の利益の7割を稼ぎ出しているように、現在の為替水準に適合したビジネスモデルが強さの秘密であって、そういった流れに乗るうまさのたまものといえるかと思います。しかしそんなことができるのも、国を管理しているつもりの政府の愚かさがあればこそ、活躍の場ができるんですから、国民にとっては迷惑であっても、トヨタにとってはすばらしい政府なんですね-_-;。「セントレアで銭湯」なんてさぶいギャグとばしてる場合だろうか。

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Saturday, December 18, 2004

国鉄改革の置き土産? 運輸官僚は鉄道省事務方か

たった今届けられた日本経済新聞夕刊のトップ記事が「港湾再編」で、地方港湾の統廃合と重要港選別で追加投資する港湾60と既存施設活用の40に分類するというものです。
 早い話が公共港湾のリストラをやるということで、公共港湾投資の無駄は以前から指摘されていたところですが、実際は公共事業費3%削減の方針に対して整備新幹線や関空二期工事など削れない?投資を優先した結果、港湾事業にしわ寄せがきた形です。ま、選択と集中といえば聞こえは良いですが、周回遅れの感は否めません。
 既に整備新幹線新規着工、三位一体もなんのその結局やるの?関空二期工事などで指摘しました通り、前者は政治家の票集め、後者は事態の複雑さから結論先送りの結果としての支出であって、けっして前向きな投資ではないんで、それを活かすために別のところを削るという話です。何でこんな事になってしまうのでしょうか。
 旧運輸省という官庁は、元を辿れば戦前の鉄道省に行き着きます。鉄道省は言うまでもなく国有鉄道の建設と運営を担当する現業組織を持っていたのですが、同時に私鉄やバス、船舶や航空機などの輸送事業全般を監督する監督官庁の機能も有しておりました。基本的な考え方としては、明治期には鉄道は国有国営が原則とされ、殖産興業の基本となる公共インフラとして鉄道は重視されていました。鉄道建設は国の権限であって、国が建設運営する鉄道に関しては、国が自らの権限を行使するだけの話なので、事業免許の取得手続きは省略されていました。仮に国以外の主体(地方自治体や民間企業)が鉄道事業を行おうとするときには、国の権限を代行する意味で事業免許の取得を義務づけられましたし、国による買収を拒否できない制度になっておりました。工業化初期の日本においては、鉄道経営は国家経営と同義の重みがあったわけです。
 時代は下り戦後GHQの命令で官庁の再編がされたときに、現業機関としての国鉄は公社として国の支配から切り離されたわけですが、鉄道事業の国家独占の考え方は堅持され、国鉄による新線の建設は事業免許不要のまま可能だったわけで、実はこの点に政治家のタカリを許す制度的な瑕疵があったわけです。
 一方で現業部門が公社として独立した結果、旧鉄道省の事務方は、戦時体制で運輸逓信省を経て運輸省となって監督官庁の道を進みます。地方や民間に対しては監督官庁として振る舞うも、免許制度の埒外にある国鉄への支配権は、国鉄予算の国会承認を助けるなど間接的なものに留まり、監督官庁ながら他省庁に比べれば支配力が弱いといえます。おそらくこのことは歴代運輸官僚の間で認識されていたと思います。
 このあたりが端的に現れたのが成田空港問題です。東京国際空港の発着枠の制限から国際線専用空港を作ることが構想されたものの、候補地選びで二転三転し、一時は羽田空港の拡張で対応する方針が出されながら、下総御料牧場と小岩井農場が立地し、用地買収が容易との判断から唐突に決定された成田空港建設が、その後どのような推移を経たかは多言を要しないところです。なぜ新空港建設が強行されたかといえば、運輸省の権益拡大の意図があったからということになります。
 で、この失敗に懲りた運輸省は、大阪国際空港騒音訴訟では騒音対策費の名目で反対派を切り崩し、同時に関西国際空港の建設で権益拡大を目指します。その結果関空は開港したものの、伊丹の騒音対策費の負担も続き、財務省に見直しを迫られることになります。過去の失敗が失敗を呼び込む負の連鎖にはまり込んだわけです。
 新幹線に関しても、東海道新幹線は、誤解されてますが国鉄の単独事業であって、世界銀行から融資を受けるなどして実現したもので、運輸省が事業推進に関与した公共事業ではありません。結果は高い採算性によって融資の返済も順調に進み、一方で政治家に押しつけられた赤字ローカル線の赤字を経営的に支える優等生にすらなりました。そこで全国新幹線網整備特別措置法という法律を作って、当時の列島改造の気運に乗って事業計画や整備計画の策定や事業の実施命令などで権益を確保しようとしましたが、オイルショックによる公共事業凍結と国鉄財政の破綻による事業凍結で出口を失い、国鉄民営化で文字通り画餅に帰すところを並行在来線廃止や整備スキーム策定で生き返らせるなど、悪あがきは枚挙に暇がありません。
 ま、罪状はこれぐらいにしておきますが(笑)、明治大正期には国家経営の要だった鉄道省の事務方の子孫は、かくも国民そっちのけで来てしまったわけです。港湾整備の見直しも、京浜、伊勢湾、阪神の3拠点を重要港湾に位置づけて集中投資して国際競争力を発揮させようという発想は、予算削減に遭いながらも国家中枢という幻想に囚われtとしか言いようがありません。国内港湾の国際競争力はコスト高と夜間の機能停止など、主にソフト面の欠陥からくるもので、投資を集中させたからといって競争力が回復できるものではありません。こんな連中に財政資金を垂れ流す権限を与えてしまったことは、日本国民にとっては不幸なことです。
 私たちは鉄道をはじめ運輸事業が免許制度の下にあることに何の疑問も抱きませんが、そのルーツは明治期の鉄道事業の国家独占が根拠であり、これは国鉄改革を経た現在でも、制度上は明確な否定はされておりません。このことが運輸官僚をして自意識を肥大化させる原因なんだろうと思います。

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Saturday, December 11, 2004

結局やるの?関空二期工事

予算折衝の時期ですので、整備新幹線ネタとともに空港整備ネタも新聞紙上をにぎわせます。関空二期工事についても、財務省は結局来年度施設整備費300億円(国費200億円)の計上を認めました。
 関空二期工事については、来年開港の神戸空港を含む3空港の役割分担など、不透明な部分が多いということで、財務省は難色を示しておりました。特に大阪国際空港(伊丹空港)の騒音対策費を78億円も計上している中で、国内線のみの二種空港への格下げを求めていたのですが、国土交通省も2007年度から検討する姿勢に転じたことで、計上が認められることになったようです。
 しかし何だか禅問答みたいな報道ですが、つまりは国内線しか就航していないけれど「国際空港」を冠する伊丹を実態に合わせて二種空港へ格下げすることについて、地元の反発を恐れて結論を先送りしたという風に翻訳できます^_^;。
 この辺はそもそも関空が計画された経緯が、伊丹の騒音問題の解消を目的とした代替空港であったことに由来します。詳しい経緯は省きますが、関空開港が迫る90年代初頭、開港と引き替えに閉鎖されるはずの伊丹空港の跡地再開発計画について、地元市町は当時の運輸省に再三申し入れを行ったにもかかわらずなしのつぶてで、複数市町にまたがる広大な国有地を払い下げられても、自治体単独で事業を行うには財政力が伴わず単なる空き地になりかねないために、当時既にばらまかれていた「騒音対策費」の効果?で地元でも一部で空港存続の声が出てきたことをよりどころとして、存続の苦渋の選択をさせられたというのが、巷間いわれた「エゴ丸出しの心変わり」の真相です。当時の運輸省は端から伊丹空港の閉鎖などはするつもりはなかったということです。
 しかし因果は巡ります。関西国際空港の計画段階で真っ先に候補として名前の挙がった神戸港沖は、当時の神戸市の「国際港湾であり大型船舶の航行に支障する」空港計画に反対し、第二の候補地であった泉州沖に現在の関空が作られることになりました。
 それが今になってなぜに神戸市は空港整備を言い出したかといえば、高コストで荷益、保税、通関の手続きに時間がかかる上に夜間は機能停止する神戸港では競争力を維持できず、釜山などに国際港湾の地位を奪われてしまった結果、「大型船舶の航行に支障する」心配がなくなったわけです^_^;。というか港湾に代わる新たな「米びつ」として空港誘致を言い出したわけで、時期的に開港後の関空の不振を見て勝機を見出したと考えられます。こっちの方がまさに「エゴ丸出しの心変わり」に見えますが-_-;。
 その結果関西には3空港が併存し、関空は最も遠くて着陸料が高い空港というポジションにあります。当然航空会社としてはあまり乗り入れたくないわけです。そいった中での二期工事ですから、3空港の関係を整理せよという財務省の言い分は当然といえます。少なくとも当初計画通りに伊丹が閉鎖されていれば、騒音対策費はいらなかったわけですから、二期工事をやるならこの辺をクリアにすべきではあります。しかし今となっては便利だから閉鎖するなの声が大きくなってしまって手がつけられなくなりました。そして神戸空港開港を迎えるわけですが、代わりに伊丹を閉鎖しようという声は聞こえません。伊丹空港を抱える地元市町にとっては、神戸市の自分勝手に振り回されたという思いがありますから「明日から神戸空港を利用してください」と言われてすんなり受け入れるわけにはいきません。かくして結論を得ることかなわず、先送りとなった次第です。
 一方年明け早々には中部国際空港の開港が控え、航空会社の目はそちらに向かっています。現在好調の中部経済へのアクセスを考えれば関空より魅力的な上に、コストダウンが利いて着陸料も関空より安いということで、関空の地盤沈下は避けられません。それでも需要が1.4倍になるといって関空二期工事を必要と言っているんですから、もうワケワカンナイ状態です。いったいどうすれば解決するんでしょうか。

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Saturday, September 04, 2004

能登空港、地域公共交通ニーズへの公的対応のケーススタディとして

やや長いタイトルですが^_^;、中身は薄いです^_^;;。
 えーと、例えば武蔵野市のムーバスの成功などに見られるように、交通問題は地域社会に固有の問題を抱えている場合が往々にしてあるんですが、従来のサプライサイドの対応ではニーズをつかみ切れないケースはままある話です。それに対して公共部門がどのような対応をとることができるかという観点からみれば、木村氏が言うように能登空港は貴重なケーススタディとなり得るものです。ただしムーバスを嚆矢とする地域コミュニティバスが他地域では必ずしも成功していないように、能登空港のケースが過疎地全般にとってのモデルとなり得るかどうかはまた別の話です。あくまでも地域のニーズに合致するかどうかで判断するしかありません。
 能登空港の搭乗率保証制度ですが、確かに日本では先例はないんですが、ミッテラン政権時代のフランスで行われた地方改革が示唆に富んでいます。大雑把にいえば憲法で保障された基本的人権の1つとしての移動の自由を
「交通権」という概念を法的に定義し、行政府にその実現のための具体的責任を負わせるものです。フランス国内の移動に関しては、株式会社形態の政府出資特殊会社であるフランス国鉄(SNCF)と自治体とが個別に契約を結んで、地域の交通サービスを自治体の補助金によって維持しようという考え方です。原理主義的自由経済論者は「社会主義的」と嫌うかもしれませんが、過疎化の進行の中で地域のコミュニティを守り生活を維持していく上で、財政支出が結果的に社会的コストを最小化するならば、住民の経済厚生は向上し結果的に地域の活性化にもなるという考え方ですね。例えば人口5000人の自治体で公立の総合病院を持つかその地方の中心都市の総合病院への通院手段を確保するかで、どちらが住民ニーズに合致し、結果の負担を減らせるかという判断になるわけですね。
 その意味では能登空港は、皆さんが指摘されるように、日本の空港整備特別会計で大都市空港の着陸料を政治力で引っ張ってきて整備されたもので、その部分への不満は当然あると思いますし、私もこの部分は同感なんですが、「悪法も法」、現行制度を利用してとりあえず作ったハードを、地元住民の負担で有効利用することに対してまで噛み付くのはどうかなと思います。むしろ公的資金の資本効率を高めることになるわけで、国民的には喜ばしいところではないでしょうか。かつての国鉄赤字ローカル線問題などで「作っても利用しない」ことに国民は怒ったのではないでしょうか。ローカル線も「廃止反対」ばかり言わずに村の公金で住民全員に定期券を買って支給するような知恵が何故に働かないのか不思議でしたが、大半のケースでは住民自身にとって他人事だったのでしょう。もちろんこのような地方財政による補助は、民主的な選挙で選ばれた首長や議員により住民ガバナンスが働く環境にあることが前提です。ま、この部分は日本の多くの地方の弱い部分ではありますが^_^;。

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