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Sunday, October 18, 2020

デカップリングで謝謝トランプ

風邪と共に去るかと思ったトランプ大統領が巻き返しに躍起になっています。バイデン氏に対して劣勢なのは否めませんが、強力なステロイド剤まで処方して回復して意気軒高ですが、異常なテンションの高さは副作用の可能性もあります。ドラッグでの復活劇ですが、あたかもキリストの復活になぞらえるような展開はキリスト教右派の心を掴むストーリーとしてアピールポイントにもなります。ある意味アメリカらしいですが。

てことでどう転んでも接戦が予想される米大統領選ですが。今心配されているのは、仮にトランプ大統領が敗れても、ホワイトハウスを明け渡さない可能性があることで混乱が心配されてます。特に過激派によるテロの心配が言われ、実際民主党系のミシガン州知事拉致未遂事件でFBIが6名の身柄を拘束したという事件が起きました。下手すりゃ南北戦争以来の内戦すら心配する声まであります。

こうなってくるとトランプ推しと見られていた経済界の対応が微妙になってきてまして、どうせならバイデン氏に圧勝してもらって、加えて上下両院も民主党が多数派となって民主党のシンボルカラーにちなんだブルーウエーブ(民主党による連邦政府上下院独占)を望むようになりつつあります。議会で共和党が多数派を占める捩れ現象が起きると何も決められない政治が実現し、経済政策が滞ることを寧ろ危惧している訳です。一方一般国民はコロナ問題に関心が高く、経済政策は主要な争点にならないという珍しい展開です。

米大統領選「経済重視」最低水準の9% コロナは25% 関心集中:日本経済新聞
てことで経済よりもコロナ対策を巡る国民の分断の深刻さが可視化されていて、アメリカの混乱は長引きそうです。その経済政策で不都合なことが起きています。
中国の対米貿易黒字が最高に 7~9月、医療品など輸出増:日本経済新聞
偉大なアメリカを目指すトランプ大統領にとっては悲報です。医薬品その他のy対米輸出が増えた一方、ハイテク品の半導体関連の輸入が減って対米貿易黒字が拡大した訳です。つまりコロナ禍で需要が拡大した医薬品はアメリカの国内調達が間に合わず輸入依存に追い込まれた一方、Huawei排除などのハイテク品制裁の影響でアメリカからの輸出が減った訳で、自業自得になっている訳です。

またアメリカの経済指標で消費が強い数字を示しますが、一方で14%を超える最悪の失業率が示すように、雇用は戻っていない訳で、加えて貯蓄率も上がっているという謎な動きですが、給付金の影響と見れば腑に落ちます。つまり派手な財政出動で経済の落ち込みを防ぐことはある程度実現できたものの、生産は戻らずその分輸入依存が進んだ訳です。つまりアメリカの国内消費のお陰で中国の製造業yが一息ついた訳です。

これには2つの意味があります。1つは中国叩きのデカップリング政策はうまくいかず弊害ばかりということと、2つ目は元々アメリカに限らずグローバル化で製造業が低賃金の新興国へ移転した結果、先進国ほど製造業の比重が低下し、サービス業比率が高まったことによります。サービスは基本的に生産と消費が同時進行するから輸入で調達できない上に、製造業に比べて労働生産性が低く低賃金の傾向があります。つまり生産性の高い製造業が海外へ流出して生産性の低いサービス業が残ったところへコロナ禍がサービス業を直撃した訳です。

程度の差こそあれこの傾向は先進国全般に見られる傾向で、格差社会の原因とされています。中にはドイツのように製造業ウェートが高い国もありますが、主にEU圏向けの輸出で調整している訳で、製造業を維持するためには、生産能力を活かせるだけの外需に依存せざるを得ない訳です。但しそれは輸出相手国の工業生産を圧迫する要因になり、国際的な摩擦に晒されることでもあります。ドイツの場合ユーロ導入で為替変動から解放された結果可能になった訳で、対米輸出依存が突出していた80年代の日本では円高阻止のために低金利政策を続けた結果バブルを発生させ弾けて長期停滞に至った訳です。その反省が活かされない異次元緩和は論外ですね。

てことで、つまり製造業を国内に呼び込めた新興国がコロナショックからいち早く立ち直るのは当然な訳で、中国はますます強くなる訳です。但し中国も問題だらけで、改革開放路線で製造業を呼び込んだものの、過剰生産能力を持て余すレベルとなり、外需依存せざるを得ない状況にある訳です。その結果としての一帯一路であり、あくまでも国内の過剰生産能力を活用するためであって、相手国を借金漬けにして軍事拠点を得るためというのは違います。ただ融資審査が出鱈目だから通常ならば借入できないような国が群がった結果ですね。

そう考えるとそもそも対中強硬策は現実的には難しいし、新冷戦として中国包囲網を構築とかは、ただの妄想でしかないですし、中国には確かにいろいろ問題はありますが、うまく付き合いつつ、徐々に変化をもたらすしか選択肢はないですね。またこれこそが西欧の啓蒙思想の本来の姿ですが、非西欧世界では簡単には受け入れられないかもしれませんが、だからこそ強硬策は愚策と心得るべきです。

例えばイスラエルは中東に出現した西欧圏の国と見れば、存在自体が摩擦を生むものであると知れます。イスラエル建国以前はイスラム教徒が多数派だったものの、ユダヤ教徒や少数キリスト教のコブト教徒が共存していた訳で、イスラエル建国は主に西欧のユダヤ人が迫害され続け、シオニズムでアイデンティティ確立を目指したものの、ナチスの迫害を受けた結果、西欧の贖罪意識から建国を認めざるを得なかったことに由来しますし、それ以来紛争が絶えないという困難を呼び込んだ訳です。

加えてソビエト末期に連邦を形成する共和国の1つであるアゼルバイジャンで少数派のユダヤ人と多数派のトルコ系イスラムのアゼルバイジャン人の紛争が起きたことから、手を焼いたソビエト政府がユダヤ人のイスラエル移民を認めた結果、入植地が必要になってヨルダン川西岸などに入植地を作ったことでパレスチナ人を圧迫することになりました。ただしコーカサス地方のユダヤ人は西欧のそれとは別物で、元々古代ヘブライ時代からの遊牧民の末裔と言われます。アゼルバイジャンは産油国としても知られており、またロシア人やアルメニア人も少数存在するなどややこしいところで、紛争が絶えない訳です。

その意味では中東産油国も欧米石油メジャーの関与で国際社会に組み込まれた結果、経済中心に西欧化が進んだものの、政治体制は部族社会を維持したまま分断されている訳で、これ戦国時代の明、スペイン、ポルトガルが関わりながら戦国大名が相争う日本の戦国時代をイメージすると理解しやすいでしょう。当時日本は石見銀山、生野銀山など鉱物資源に恵まれていた資源国で、戦国大名は戦費調達のために鉱山開発を推進していましたし、南蛮貿易もそれ故に活発だった訳です。

その意味で中国から見れば香港や台湾は中東のイスラエルと同じような存在に見える訳で、西欧=侵略者という過去の歴史もありますし、簡単にはいかないでしょうけど、拗らせればますます解決困難になります。てことで対中強硬論や新冷戦やデカップリング論は現実的には不可能です。また辛亥革命で西欧流民主国家になる筈の中華民国が軍閥の跋扈で混乱し、蒋介石の独裁国家になったことも影響しています。ただ台湾の民主化のように中国人も理解すれば民主化に舵を切る可能性はあります。

話を戻しますが、経済のサービス化は日本でも進んでいる訳ですが、アメリカとの違いはバブル崩壊で投資が減速した結果、IT関連でアメリカが劇的に生産性を高めているときに停滞していたことが決定的ですね。気が付けば国内製造業の競争力は低下し、新興国に太刀打ちできなくなった一方、IT革命の波にも乗れず失われた30年とか言われている訳です。

結果的にアメリカのハイテク企業は技術革新の恩恵で生産性を劇的に改善しました。特にデジタル経済はコピーが容易なので、追加的な増産のコストである限界費用が限りなくゼロに近い訳です。所謂知財ですが、オリジナルの権利を確保すればほぼゼロコストで増産して市場を席捲できる訳で、それによってGAFAのような巨大デジタル企業が形成され他業種まで圧迫する存在になった訳ですね。

GAFAなどのハイテク企業の従業員は故に高額報酬を得ている訳で、製造業に従事するブルーカラーを圧倒するに留まらず、製造業の衰退でサービス業に転じた多くの人を取り残すことになりました。なまじ巨大ハイテク企業が出現したばかりに、格差が拡大して国民が分断されている訳です。その結果シリコンバレーに本社を置くグーグルが従業員送迎バスのドライバーを高給で募集した結果、公共の乗り合いバスがドライバー不足で休止に追い込まれるという事態に至っています。格差拡大が公共サービスを圧迫している訳です。

同じ時に日本ではバスドライバーの賃金が目に見えて低下した一方、震災復興などによる需要増で多くのバスドライバーがダンプドライバーに転職した結果、地方に留まらず大都市圏のバスまで減便や休廃止が相次ぐ状況になっております。違いは日本では国がわざわざ公共事業を進めて国費で公共交通を圧迫している訳で、愚かすぎます。そこへコロナ禍で鉄道、バス、航空が明日をも知れない逆風に陥っている訳ですが、公的支援の議論は見られません。ましてこれね。

GoToトラベル、急ごしらえ設計に穴 予算を追加配分:日本経済新聞Go To トラブルは続きます。指摘したように旅行会社救済が狙いだった訳で、それどころか大手旅行会社で予算配分を決めていたことが、予算消化の結果発覚したというお粗末な顛末です。コロナで需要が蒸発したホテルや遊戯施設の支援ならば、国が感染症対策の認証施設を決めて、認証施設の利用時に割り引いて割引分を国が補填するといったシンプルな仕組みにすれば何も問題ないし、両行会社や旅行サイト経由で対象商品を予約しないと使えないというのでは、万人が利用可能でもないし不公平感は残ります。

さらに踏み込めばコロナが終息した訳でもない中で旅行に補助金を出すってのもおかしいし、医療や介護、保育などのケア労働への補助とか、経営が苦しい公共交通への支援とか、より緊急度の高い問題は山積しているなかでのことですから怒りが湧いてきます。特に固定費の高い鉄道事業者にとっては大変です。終電繰り上げや通勤定期運賃値上げなど自衛策がボチボチ出始めてますが、いずれ大幅な運賃値上げや減便に留まらず、路線の廃止も避けられない場面が来るでしょう。携帯料金よりこっちをどうにかしてくれ!

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Saturday, October 10, 2020

行政DXでは生まれないデジタルバリュー

去年の池袋暴走事故の公判が始まりました。

池袋暴走、元院長が無罪主張 「車に異常」地裁初公判:日本経済新聞
1ヵ月前の定期点検では異常は見当たらなかったことと、車の操作記録でブレーキ操作が無かったことやアクセルが踏まれていたことなど検察側の証拠固めが進んでおりますが、去年の人間だものエントリー背取り上げたマンマシン系のヒューマンエラーの可能性はあります。飯塚被告の操作ミスは動かないとしても、操作ミスをリカバリーするシステムは組み込まれていなかった訳で、公判を通じてその辺の議論に進むことは有用です。

暴走事故自体は高齢者特有とは言い切れませんし、ほぼ同時に起きた神戸市営バスの暴走事故のように、プロドライバーでもミスする現実が一方である訳で、高齢者の免許返上とか自動ブレーキや操作ミス防止システムを組み込んだサポかーの普及だけで解決する問題じゃないということは指摘しておきます。

加えて飯塚被告の無罪主張に批判が集まってますが、被告の権利ですからとやかく言うことじゃありません。対立があるから弁論を通じて解決策を探るという弁証法の原理は民主主義の基礎の基礎です。裁判はそのためのものです。しかし自動車がデジタル化された結果、ログを調べることでいろいろわかるってのも新たな事態ですね。

その一方で政権は暴走を始めました。日本学術会議の会員任命問題で早速やらかしました。これ学問の自由云々の問題というよりも、特別職公務員の選任を巡る法律問題というのが本質です。日本学術会議の推薦を受けて、内閣総理大臣が任命するという風に根拠法に記載されており、法改正時の1983年の国会答弁でも、それまで自主的な選挙で選任されていた会員を総理の任命とする変更を「形式的なもの」と答弁されております。

つまり政権側に拒否権は無い訳で、仮に拒否せざるを得ない事情があったと仮定しても、その理由は開示されるべきですし、それ以前に法改正の議論が先にある筈です。それぐらい重要な法律問題なんですが、政府の回答は見事なはぐらかしです。

政府、法解釈変更を否定 学術会議人事巡り衆院内閣委:日本経済新聞
政府は解釈変更はないとして、根拠に憲法15条の特別職公務員の選任に関する事項を取り上げております。意味するところは「国民が選んだ内閣の代表者が任命に責任を持つのは当然」ということのようです。これ解釈変更そのものですね。

特に行政法は法の執行イコール公権力の行使となる訳ですから、個別具体法で記述された通りの執行が求められる訳で、それを変えるには法改正が必要ですが、時として法が想定しない事態が発生して判断を迫られることはあり得ます。今回の場合任命されなかった6名が例えば重大な刑事事件の被告人であるとか、国際テロ組織との関係を示す証拠が見つかったとかぐらいの異常事態なら、法改正が間に合わないから法解釈を変更したという理屈は成り立ちますし、その場合に遡って憲法を参照することはあり得ます。但し今回の憲法解釈は間違ってますが。

明らかに内閣総理大臣の権能を持たない問題に介入した訳で、法律違反の越権行為ですが、処罰規定が法律になければ居直ってやり過ごすことは可能です。しかも説明を拒否している訳で、これは言い換えれば「察しろよ!」と言外に匂わせている訳で、凄みを演出することになります。これ反社、無頼漢、不逞の輩やDV夫のやり方です。執行機関である行政のトップが「法律?関係ねぇ!」と言っているに等しい訳です。これじゃデジタルバリューは生まれません。同じDVでも大違いです^_^;。

そして批判されると今更ながら「これも行政改革の対象」と逆切れ気味にあり方の議論をするって完全に順序が逆ですね。マスク、マスク、マスクで取り上げた黒川高検検事長の法令無視の定年延長を批判されて検察庁法改正をやろうとした安倍政権と同じですね。さて長い前振りになりましたが、こんな政権が打ち出す行政改革、行政のデジタル化が如何なるものになるかはわかりますね。新政権は日本を地獄に連れて行きそうです。

行政のデジタル化でハンコ廃止が俎上に上っておりますが、本人確認をどうするかは難題です。認証システムを強固にすると利用しにくくなりますから、ある程度簡便性も考慮する必要がありますが、簡便性に偏りすぎるとこんなことが頻発する押れがあります。

持続化給付金、簡略申請突かれる 800人以上分の不正計画?:日本経済新聞
持続化給付金は指南役がいて個人事業主を装って、且つ単月で5割以上の売上減を示す帳簿を偽造して若者に広がった不正受給ですが、Go To イートでグルメサイト予約によるポイント還元策の錬金術にも通底しますが、若者はシステムのバグに乗じた裏技利用に躊躇が無いですね。しかし不正受給は指南役に手数料を支払っているそうで、発覚すれば延滞金込みで公金返還を迫られますから、結果的に大損となります。高い授業料でした。

またこうしたテクニカルなハードルに留まらず、そもそも明治以来の文書主義を継続性を担保しつつ再定義する必要あありますが、そうなると原本とコピーの関係をどう定義するか、偽造防止をどうするかといった問題もあります。テクニカルな解決策としてはブロックチェーンを使うことで解決可能ですが、モリカケサクラで公文書の廃棄や原本の改ざんまでするような政府が、公開台帳であるブロックチェーン方式を積極的に採用するとも思えません。テクニカル以前のところに問題があります。

ブロックチェーンに関してはデジタル人民元に対抗して日銀デジタル通貨の実験をやるそうですが、気を付けたいのは、中銀デジタル通貨は使いようによっては公開台帳でお金の流れが追えることから、個人や法人の財布の中身が見えてしまう問題があります。デジタル人民元では中銀から商業銀行を介して流通させる二段階方式で通貨の匿名性を担保するとしていますが、不透明な中国当局の姿勢からうまくいかないじゃないかと言われております。日本はどうでしょうか?

話を変えますが、菅首相が重視している筈のコロナ対策をどうするのかが見えません。これから乾季になり手洗いやマスクが効かないエアロゾル感染が増えると見込まれますし、季節性インフルエンザへの警戒も必要な中、相変わらず検査が増えません。その一方で Go To トラベルの東京エリア解禁に踏み込むなどチグハグです。東京の感染者数は安定しているものの高止まり傾向があり、Go To 解禁で全国への拡散が心配されます。その結果新幹線は乗客が戻りつつあるようですが、航空の厳しい状況は変わらないようです。

ANA、希望退職を募集 賃金カットで年収3割減に:日本経済新聞
コロナ禍では単価の高い国際線が壊滅状態にある上、国内線も乗客減少で大幅減便された航空各社ですが、大手2社のANAとJALでは財務状況に開きがあります。ANAも世界的に見れば財務は健全な方ですが、破綻処理を経て再生したJALはひたすら健全経営で財務体質を強化した一方、拡大路線を目指したANAで明暗を分けました。

この辺は同じANAANAと鶴など過去エントリーで繰り返し述べてきましたが、特にANAが自公両党に政権交代以前からロビーイングしていたJALの公的救済に対する競争条件を定めた通称810ペーパーという行政文書によって、2012年―2016年の間のJALの新規投資が抑制されたことで、その間に特に国際線中心に自前路線を拡充してきました。自前化は政権による羽田国際線発着枠の傾斜配分もあってやむを得ないところではありましたが。

一方枷をはめられたJALは専ら財務改善に注力し、規模で勝るANAの2倍の利益計上するに至りました。新規投資が抑制されたこともあって、路線拡充は専らエアライン同士のアライアンスに依存した結果、コストを抑えながら路線拡充を図った訳です。これ破綻以前のJALとANAの逆転現象ですが、同時にコロナショックで先が見えない中で潤沢な手元資金を残して踏みとどまっております。とはいえ減便で余剰人員を抱えているのは同じで、Go To トラベルの受け皿となる観光地のホテルなどへ人員を派遣してしのいでいる状況です。大手エアラインが実質人材派遣業をやっている訳です。

ネットではJAL破綻時でも言われた大手1社体制の話もあり、与党の一部でも動きはありますが、大手2社も国交省も全くその気なしですが、結果的にJALの公的救済で競争環境を維持したことが好結果を生んだことも間違いありませんし、それ以上にANAの政治頼みでやり過ぎたため、1社体制になれば両社の遺恨が顕在化しかねないということで、健全な競争環境維持が共通理解になっている模様です。

前エントリーで指摘した地銀に限らず乗合バス事業者や中小企業の再編に前のめりと言われますが、バス会社は鉄道事業者の転身組を含みますし、地方中小企業tも再編対象は地場の有力企業でしょうから、つまるとこと地方のエリート企業の再編ってことですが、ここは魑魅魍魎の巣喰う世界でANAとJALどころじゃない遺恨を抱えていたりします。政府方針だけで進む話じゃありませんね。

行政改革を標榜する政権ならば、寧ろ鉄道と航空鵜の縦割りに中串を入れて鉄道による航空便のコードシェアを進める方が理にかなってます。実際コロナ禍で打撃を受けたエールフランスに対するフランス政府の救済条件に短距離便の鉄道代替を条件にしております。破綻以前から鉄道によるコードシェアを実施していた独ルフトハンザは破綻処理で国の支援を受けますが、鉄道コードシェアの拡大は確実でしょう。果たして新政権はどうするでしょうか?

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Sunday, August 30, 2020

アベノミクスを終わらせろ

健康上の理由による突然の辞任ですが、腑に落ちないのが代理を立てて直ちに静養しないことです。来月の自民党総裁選で後継者が決まるまで執務を続けるのは、責任の取り方としておかしいです。当然国会召集も新総裁に丸投げとなる訳です。自分の任期中に後継者を競わせることで、影響力を維持したいってことでしょうけど。

それはそれとして、アベノミクスの総括がどうなるのかが興味深いところです。成果として株価の上昇と雇用環境の改善が取り上げられますが、いずれもアベノミクスの成果ではありません。株価といっても日経平均株価ばかりが取り上げられますが、これ225の優良銘柄の平均値ですから、上がらない方がおかしいんです。ま、バブル崩壊で実際下がった訳で、38,000円台を付けた最高値に未だに届いていない訳です。

この225銘柄は定期的に入れ替えられますし、合併や上場廃止などで銘柄数が減れば補充されます。謂わば日本のチャンピオン企業を集めた指標ですから、上がらないってことは日本経済の成長力の劣化を意味する訳ですし、実際バブル崩壊以来下がりっぱなしだった訳で、下がった水準から少し戻したことを以て成果とするのはおかしい訳です。

あと雇用に関しては、完全失業率の低下や有効求人倍率の改善が言われますが、非正規雇用が4割を占める質の劣化は問題です。これも90年代後半から生産年齢人口の減少が始まり、2007年以降には団塊世代の大量退職もあった訳ですから雇用情勢が売り手市場になるのは必然ですが、一方で企業の求人難に対しては非正規雇用の拡大で穴埋めされた訳で、その結果高齢者と女性の労働力率は高まりましたが、見方を変えれば、その間GDPはほとんど伸びていない訳で、労働生産性が低いまま労働力の投入量を増やしてGDPを維持したというのが実際です。

これ前エントリーで指摘したように政府の成長戦略で経済成長する訳じゃなくて、企業の成長力が結局経済成長をもたらすという当たり前のことを申し上げておきます。その意味で示唆に富むのがこれ。

角栄メモは今も問う ポスト安倍の金融センター構想は 本社コメンテーター 梶原誠:日本経済新聞
コラムでは今度こそ東京をアジアの金乳センターにすべしという希望的観測が語られてますが、1974年に東証理事長に就任した谷村裕氏に当時の田中首相がメモを渡して株式市場の抜本改革を求めたことが、国際金融都市東京の出発点ということです。

その「角栄メモ」の中身は「エクイティファイナンスは利払いがなく低コスト」とする日本企業のあり方を根本的に見直すべきことが綴られていたそうで、株主価値の向上と株主還元に重きを置くものだったということです。所謂コーポレートガバナンス問題ですが、株式持ち合いで安定株主対策を取りながら、株主に煩わされることなく意思決定していた日本企業の姿がその後どう変わったかは問われます。

リーマンショックで株主資本主義の弊害が指摘されましたが、それ以前に株主という外部の目を排除して独善的に意思決定してきたことが、バブル期に財テクと称して土地や株へ投資資金を振り向け、次の成長に繋がる投資を怠った結果、バブル崩壊で競争力を失った訳で、基本的に日本経済は当時の失敗を乗り越えられていない訳です。

かつて電子立国と言われ世界の半導体市場を席巻した日本の電機産業が典型的です。バブルに踊りIT革命の波に乗り損なった間に、ムーアの法則に則って大規模投資を継続した米インテルや、後発ながら積極投資でグローバルプレイヤーに成長した韓国サムスンやLGの後塵を拝する結果となった訳です。

余談ですが日韓事変の後日談ですが、日本の化成品輸入が滞った結果、サムスンもLGも製造工程を見直し、例えばディプレイパネルなど精度を要求されない工程で韓国産化成品を使う一方、日本の化成品メーカーが現地進出することで、同等品の入手も可能になり、今後製造技術の移転で韓国メーカーもキャッチアップが期待されるという状況になり、財閥企業と中小企業のギャップ解消が進んだことで、韓国から「安倍さんありがとう」の声が上がってます。これをアベノミクスの成果と呼ぶかどうかは微妙ですが^_^;。

バブル崩壊で沈んだ日本の電機産業ですが、コロナ禍で沈むとすれば自動車産業でしょうか。自動車メーカー本体は何とか持ちこたえるとしても、部品メーカーから悲鳴が上がっています。1台3万点と言われる自動車部品の供給がコロナショックで止まり、感染防止の観点からも国内メーカーの操業停止が相次ぎ、結果的に国内部品メーカーも操業を止めざるを得なくなりました。その結果資金繰りが悪化しており、いずれ廃業も出てくるでしょう。そうすると結果的に国内サプライチェーンが弱体化し、生産再開が早かった中国依存が短期的には強まる可能性があります。そうなると危機対応で国内回帰が叫ばれるのと逆の動きとなって、国内サプライチェーンが立ち枯れていく可能性があります。

元受けの大手メーカーが資本を入れるとかすれば何とかなるかもしれませんが、CASEなど100年に一度の変革期を迎える自動車産業で、在来型のガソリン車の部品供給が滞ればEVシフトが進む可能性も視野に入れる必要があります。逆に大手メーカーにはある意味チャンスかもしれませんが、それは多数のサプライヤーを犠牲にしての生き残りということになる訳で、そこまで腹の座った経営者が果たして現れるかどうか?

そしてEVシフトはある意味自動車メーカーの強みを失うことにもつながります。内燃機関をコントロールしてて適切に動力を取り出し駆動する技術はアナログなチューニングの塊であり、それが参入障壁にもなっていた訳ですが、その強みが失われれば、新規参入者との競争を覚悟しなければなりません。

生産台数では劣るテスラがトヨタを時価総額で上回るってのはそれなんですね。部品メーカーとのしがらみのないテスラは、オンラインでバージョンアップしながら性能を高めるというスマホのような繋がるクルマを実現してますが、これが既存メーカーには高いバリアなんです。自動車の世界も電子化自体は進んでますが、それは主にロッドやワイヤーを電子回路に置き換えることが中心で、機能的にひと塊のユニットを組み立てるモジュール化とも関連します。個々のモジュールに制御用のプロセッサーが組み込まれており、独自OSで動いている訳で、モジュールに不具合があればモジュール単位で交換するという形でブラックボックス化しており、これがコネクテッドカーへの進化を阻んでいる訳です。

てことで、心配なのが政府による自動車産業への介入なんですが、実際窮地にある日産をホンダに救済合併させようとして双方から断られたなんて話もあります。仮に構造変化でつぶれる自動車メーカーが出るとしても、それは市場の正常な作用であって、政府が手を突っ込むような問題ではありません。

逆に気になるのが密を避けるという意味で公共交通忌避に乗じて自動車を売ろうという方向へ進む可能性もあります。公共交通の独立採算原則の下では放っといても公共交通は立ち枯れるから車を売るチャンスという訳ですね。国民の移動の権利が規定されていない交通政策基本法の下ではそうなります。

同じ公共交通でも、鉄道やバスは換気に配慮して対応してますが、それが出来ないのが航空でして、空気の薄い成層圏を飛ぶ以上、気密性も保持が優先されます。実際航空機の前後の席での感染が報告されてますし、航空産業にとっては逆風は続きます。ある意味フリュグスカム(飛び恥)実現のチャンスでもある訳ですが、恐らく政府は航空の救済に向かうでしょう。

あと気になる動きとしてはJR東日本が時間帯別運賃の導入を検討するというにゅーすですが、これ運賃制度へのダイナミックプライシング導入が意図されています。その問題点はデジタル経済はビッグブラザーの夢を見る? で指摘した消費者余剰の搾取を意味します。届け出制の特急料金やグリーン料金では既に繁忙期と閑散期あるいは事前購入か車内購入かで格差をつけてますが、これわかりやすく言えば客の足元を見て高く取れるところから取るという話であり値上げの口実です。つまりSuica甘いかエントリーで指摘したように、仮に消費税減税が実現しても交通運賃の値下げは無いってことです。

書きたいことはまだありますが、長くなりましたので一旦終わります。アベノミクスには終わってほしいけど。

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Sunday, August 23, 2020

コロナの後遺症

covid-19の感染拡大が続いていますが、日本の場合検査が少なすぎて、感染拡大の実態が見えないまま、国民の疑心暗鬼ばかりが拡大します。故に大学ラグビー部の寮でクラスター感染が確認されたら。ラグビー部と無関係の教育実習生受け入れが断られたりという差別的なことが起きてしまいます。相変わらず保健所の窓口能力がボトルネックになっていて改善は見られません。

東京都や大阪府の知事がメディア露出で政治利用している実態もあり、国民に寄り添う政治姿勢は見られません。一方で世界中からコロナ感染者が回復後も心臓や肺に延焼が見られるなど後遺症が指摘されており、とてもじゃないけど普通の風邪レベルの話じゃありませんし、感染力の強いウイルスの生存戦略としての弱毒化も見られません。確実に長引くコロナ禍の中で、出来ることを積み重ねるしかありません。

そしてまともなコロナ対策を打ち出せない政府の無能に批判が集まるようになりました。アベノミクスが始まる前から批判していた身としては、ここへ来ての内閣支持率低下に今更感しかありませんが、歴代政権の実質GDP成長率の比較を見ても、大規模財政出動で経済を下支えした小渕・橋本政権で1.0%、規制緩和中心に新自由主義的な構造改革路線の小泉政権で1.0%、何だかよくわからなかった民主党政権で1.6%、大規模金融緩和の2019年までの安倍政権で1.2%です。しかも安倍政権にはオマケがついてます。

日米欧GDP戦後最悪、4~6月 日本はデジタル化カギ:日本経済新聞
統計不正などのインチキで数字を作ってきた安倍政権ですが、コロナで吹っ飛びました。しかも19年10-12月期、20年1-3月期に続く3期連続の下落ですから、ザックリ元の水準から1割減ってところです。しかもコロナ禍が長引くから回復には3-4年程度あるいはそれ以上の相当の時間がかかると見るべきでしょう。安倍政権下の成長率はさらに下がる訳です。

歴代政権の比較で何だかよくわからなかった民主党政権時代が最も高いってのは意外ですが、これ東日本大震災の復興による部分もありますから、やや下駄を履いた数字ではあります。しかし大災害に対して汗かいて国民に寄り添って努力したことは認めて良いと思います。つまり成長戦略ぶち上げて景気の良い話を煽った自民党系政権に対して、目先の課題に取り組んだ結果、経済が反発した訳です。ここ重要です。

てことでまともなコロナ対策も打ち出せずに国会も開かずに逃げている限り、安倍政権の評価は下がらざるを得ない訳です。そもそも財政政策や金融政策を成長戦略とするのは疑問です。マクロ経済政策を理論化したケインズが、報道記者に成長理論を問われて「アニマルスピリット」と答えた逸話が有名です。ケインズの理論は経済成長過程で生じる景気変動を平準化する理論であって、実際の成長は企業家のアニマルスピリットに依存するという意味です。つまり自らの経済理論に成長理論は無いと認めた訳です。

政府が打ち出す成長戦略は当てにならない訳です。結局企業がリスクを取って投資することが成長に繋がる訳で、その意味で成長できないのは政府のせいだという新自由主義者の主張も要注意です。例えば民主党政権で実現した高速乗合バスの規制緩和も、ツアーバス事業者からすれば規制強化なんですが、規制をクリアして乗合免許を取得した所謂新免事業者が輸送市場の活性化に寄与したように、ルールの変更は重要ですが、岩盤規制があるから成長できないなんてほざく経営者は、無能を晒しているに等しい訳です。運輸省や郵政省と戦ったヤマト運輸の事例を挙げるだけで十分でしょう。

ただ悲観すべきではないのは、GDPは付加価値の合計であって、例えば外出自粛や飲食店の営業自粛で必然的に自宅で食事をとる機会が増える訳ですが、飲食店の原価率が3割程度で元々付加価値が高かった一方、スーパーで食材を買って自宅で調理すれば、飲食店が生み出す付加価値は消える訳ですから、生存には問題がない訳です。付加価値って選択的消費の結果生じる訳ですから、早くコロナ感染を封じ込めて、手間のかかる自宅調理より外食を楽しめる環境を作ることが大事ってことです。

心配なのは雇用でして、既に多くの企業が来年度の新規採用を見直していて、JALやANAは既に採用停止を打ち出しておりますし、JR西日本も新規採用抑制を打ち出しております。JR各社は国鉄末期の採用停止で空白の世代があり、今後国鉄OBの社員の大量退職が見込まれるため、計画的に新規採用を拡大してきたのですが、コロナ禍による運輸収入の減少でそれどころじゃなくなりつつあります。

一方でネット通販の利用拡大で宅配便のドライバーは増えてますが、急激な拡大には正社員主義のヤマト運輸も追いつかず、利益を減らすとして減少傾向にあった外部委託に頼らざるを得ないですし、更に外食の宅配でウーバーイーツなどの拡大が見られますが、これも飲食店の営業自粛でアルバイト先を失った学生、フリーター、外国人留学生などが更に不安定なギグワーカーに転落したとも取れる訳で、雇用の劣化は止まりません。ただでさえ低下著しい日本の労働分配率はさらに低下し消費を冷やすことは間違いありません。

そして新卒の正規雇用減少はいつか来た道ですね。90年代後半のロズジェネ世代の再現となり、多くの若者が社会人としてのキャリアの始まりで躓く訳です。とはいえベンチャーキャピタルの弱い日本では起業もままならずですし、コロナ禍が収まるまでは海外渡航もリスクがあります。ある意味ロスジェネ世代より過酷な現実に直面しているとも言えます。

そして現役世代の賃金低下は年金や医療保険など社会保障にストレスを与えます。年金給付の減額や診療の自己負担増で対応すれば、寧ろ老後不安から現役世代の貯蓄性向を高めますから、これも消費を冷やします。そしてロスジェネ再現以上に問題なのが、学校教育の遅れです。学校の閉鎖でカリキュラムの消化が遅れていて、夏休みを極端に短縮しながら密を避けで授業を行う教育現場のストレスは相当高いですが、問題は小中高大と幅広い世代に影響が及んでいることで、将来「ゆとり世代」ならぬ「コロナ世代」が長期に亘って経済にマイナスインパクトを与えかねません。安直に学校閉鎖を決めたツケが重くのしかかります。

てことできりがないのでこの辺にしておきますが、この状況で公共交通の逆風をどう乗り切るかは重大です。おそらく独立採算原則を見直さない限り、立ち枯れていく未来が見えますが、民主党世間が提案した交通基本法を自公政権で交通権部分を省いた交通政策基本法として成立させたことがネックになりそうです。憲法に紐付けされた交通権を盾にしないと、結局自治体は金を出し渋り事業者は撤退せざるを得なくなることになりかねません。

また欧州で見られる交通税のようなものを導入する手はありますが、これも恐らく課税対処になる沿線住民や企業の反対で潰されるのがオチになりそうです。あるいは揮発油税など燃料税を事業者への補助金に使うとか、国税レベルで炭素税のような新税を導入して補助財源にするとか、公的サポートを考えないと持続可能性を損なうことになります。

てことで経済社会にも深刻な後遺症を残しそうなコロナ禍です。国会召集早よ!

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Sunday, August 09, 2020

帰らざる社畜

お盆に家に帰るのはご先祖様と社畜で、家から居なくなるのがアニオタと鉄ちゃんと書いた社畜人ヤプーから4年。コロナ禍で様変わりしました。バーチャルなご先祖様はコロナ禍に無縁ですが、感染拡大の心配から帰省を自粛する社畜たちは、せめてネット動画で孫の姿を両親に見せるリモート帰省がせいぜいです。お盆に限りませんが、両親の介助と妊婦の安心感から選択される帰省出産もままならず、少子化は促進されるでしょう。もはや日本では消費をリードする中間層の再生産が成り立たなくなりつつあります。

コミケの中止はやむを得ないとしても、コロナ禍が無くてもオリパラで東京ビッグサイトが使えないから、アニオタは巣篭りしてネット動画チェックで本来のオタク道に回帰するから家から居なくならないけど、鉄ちゃんは相変わらず全国に散っています。帰省ラッシュ消滅でラッキーですらあります。臨時快速ムーンライトは走らないけど。

てことでご先祖様と鉄ちゃんは変わらないってことで、共に尊い?(笑) 社畜とアニオタは共に巣篭りだけど前者は強制後者は自発と中身は大違いで、ニューノーマル(新常態)での社畜人ヤプーの幸福はいずこ?

所定外給与24.6%減 6月、過去2番目の下げ幅:日本経済新聞
これ正規雇用者の残業の減少とボーナスの削減が原因ですが、非正規雇用者の雇い止めやアルバイト・パートの時間短縮を反映しておりませんから、消費へのマイナスインパクトはより大きい訳です。そんな中でのGo To トラベル強行はそもそも消費喚起効果が限られます。正規雇用者の残業減少も、不況による調整の意味に留まらず在宅ワークによる残業代ゴマカシも含まれますし、通信費や水道光熱費の負担増による消費のマイナスも考慮する必要があります。

結局旅行業界のロビーイングの成果なんでしょう。JTB、HIS、KNT、日旅の旅行業大手4社の5月の取扱高前年比が軒並み1-3%という惨憺たる状況です。これ前年比ですからね。しかも旅行業者は旅客と運輸、宿泊その他の事業者との仲介で手数料率は10%程度ですから、もはや社員の給料の支払いさえ覚束ない逆風です。

旅行業界では所謂団体扱いってのがありまして、国鉄→JRをはじめ運輸、宿泊、その他施設でも団体利用の割引料金が存在します。実際に日本人の旅行形態は戦後長らく団体旅行が主流でしたし、個人旅行のニーズ自体は60年代後半にやっと顕在化するといったレベルでした。しかも個人旅行の発生手配は手間ばかりで僅かなマージンしか得られないから旅行会社には歓迎されないものです。

ただ旅行業法で旅行会社は主催旅行を催行できることから、団体扱いで運輸や宿泊を割引料金で仕入れて、それを組み合わせて個人向けに販売するパック旅行という旅行商品を企画販売できます。しかも大手ほどバイイングパワーを駆使して相対取引で値下げを要求できますから、仕入れを安くして利益を乗せて個人向けには個別手配と同等若しくはやや割安程度でもワンストップで申し込めて旅客側の手間が省けますし、加えて一部の史跡や施設で団体のみの見学客受け入れというところを組み込めれば、付加価値としてアピールできます。

勘の良い人はお気づきでしょうけど、ツアーバスの仕組みがこれなんですね。旅行会社が団体旅行のオフシーズンに当たる盆暮れに貸切バスを割引価格で仕入れて、主催旅行として個人客を募集し運行する形です。しかも旅行業法で最少催行人数以下の場合は催行中止が出来ますからノーリスクな訳で、乗合免許で旅客の有無に関わらず運行する義務を負う高速乗合バス事業者から不公正と是正を求められ、関越道の事故で注目を集めました。

本題に戻しますが、加えて旅行会社は旅客から前払いで代金を収受し、乗車券や航空券など大手キャリア向けの仕入れに一部使いますが、宿泊などは事後精算となりますから、国の支援を梃子にパックツアーが売れるなら、資金繰りの助けにはなります。Go To トラベルの場合、個人で支援条件を見極めて個別手配するのは手間がかかりますが、条件を踏まえた旅行商品を組むのは旅行会社にとってはお手のものですから、結局旅行会社のパックツアー利用に誘導されます。ワンストップが活かせるわけです。

その一方で宿泊を提供する旅館やホテルは感染防止策が求められ、館内消毒や従業員の手指消毒に留まらず、大部屋での食事提供やバイキングとはいかず、個室配膳となると手間が増えますしで、追加費用も発生します。いくら国が支援するとはいえ、儲けにつながるかは微妙で、実際Go To 便乗値上げのような動きも見られます。

てことで旅行会社にはメリットがあるかもしれませんが、そもそも消費の前提となる雇用者報酬が縮んでいるんだから効果は知れてますし、運輸や宿泊に留まらず裾野が広いから経済効果が大きいとのたまう経済学者がいますが、現場を知らないにも程があります。

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Sunday, July 19, 2020

Go To トラブル

Go To トラベルを巡る迷走が止まりません。

「GoTo」旅行補助、7月22日開始 予約済み分も対象に:日本経済新聞
一次補正で予算化され、コロナ終息を睨んで8月ぐらいに立ち上げるとしていた Go To キャンペーンの旅行補助を7/22に先行実施するということですが、アベノマスクやアベノコラボ同様、現場を知らない人たちの思いつきに現場が振り回されている構図です。これGWとオリパラで儲け損なった旅行業界向けに五輪延期で意味を失った4連休まで機会損失となることを回避したいということですね。コロナと経済の両睨みを狙ったんでしょうけど、折悪しく東京で感染拡大が続いており、とても観光旅行どころじゃない現実があります。それなのに国と都は責任のなすり合い。
国と都、感染急増に戦略見えず、13日も都で100人超:日本経済新聞
需要地としても観光地としても巨大な東京を外せばショボいものにしかなりませんが、それでも強行しようってあたりに、経済の回復が進まない政権の焦りが見えますが、感染拡大すればまたステイホームに逆戻りになりかねません。以下ちょっとお遊び^_^;。

Go To サンセットクルーズ感染経路の多様化で職場内、家庭内クラスターなどが可視化されつつありますが、有効な手が打てないのはダイヤモンドプリンセンス号と変わりません。横浜市のIR構想もとん挫して京急の野望も挫け、更に羽田空港輸送も低迷と踏んだり蹴ったり。

Go To 三蜜で即身成仏密教の修行の結果の即身成仏が別の意味に見えてしまいますwwwww。普天間の米軍クラスター感染の話題もありますが、首都圏にも基地は多いし、三沢、岩国、佐世保なども要注意。元々日米地位協定で米軍関係者は基地経由で日本国内に検疫無しに入国できますから、そっちをどうにかすべきです。とても旅行せよと言える状況ではありません。

Go To 不要不急の黄金律緊急事態宣言に逆戻りしても、不要不急というあいまいな判断基準では実効性に疑問。そもそも一度緩めた自粛要請が再度有効かと言えば疑問。国民の政府への不信感を募らせるばかりでしょう。唯唯諾々従う国民は最後にウンコ運ばされる?

Go To マイクロオフィス365結局ニューノーマル(新常態)を前提に経済を回すしかない訳で、例えば地方のホテルでリモートワークといったプランを進めるならわかりますが、4連休に間に合わせるという発想自体が何もわかっていない。風邪ひかない人たちにコロナ対応させちゃダメです。

以下ちょっと堅い話。Go To キャンペーンの筋の悪さはそれに留まりません。一次補正で1.7兆円を予算化した事業ですが、執行されなければGDPの押し上げ効果は無い訳で、故に前倒しという発想なんでしょう。GDPの定義式に当たる恒等式は

GDP=消費+投資+政府支出+輸出―輸入
となります。政府支出は執行されて初めて実体化される訳で予算化の段階では見せ金に過ぎない訳ですね。しかし東京中心に感染拡大が見られ、東京都を除外してますし、国民の慎重な姿勢もありますし、結局予算を消化できずに終わると考えられます。GDPの恒等式からは、例えばイージスアショアなどの防衛装備品の調達を輸入に頼ると政府支出と輸入で相殺されて経済効果無しとなるなどもわかります。

てことで、フレーズとしての Go To の汎用性を発見できました^_^;。尚、電通などのピンハネ疑惑は情報が少なく評価を保留します。

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Sunday, June 21, 2020

Suica甘いか消費税のウヨ曲説

県境越えの移動自粛解除で迎えた初の週末ですが、電車は以前と比べれば空いています。一方駅へ向かうバスは渋滞にはまってましたから、密を避けてマイカーで出かけた人が相対的に多かったってことでしょう。公共交通にとっては逆風です。東京都では2桁の感染者が出てますし、決して終息した訳じゃありませんから、警戒は続けざるを得ませんが、電車に乗るのにマスク必須となるとは夢にも思いませんでした。

てことで疫病退散祈願のために鎌ヶ谷大仏を訪ねて手を合わせてきました。慎ましくコンパクトな大仏様でした。元々仏教は日本では呪術として天皇家を含む支配層に浸透したものですから、本来の在り方ではあります。三蜜エントリーで取り上げた密教は典型的です。鎌ヶ谷市内高架化した新京成線探訪はついでです^_^;。しかし立派な高架橋も初富駅前後の急カーブで減速を強いられる一方、鎌ヶ谷大仏に向かって高架橋を地上へ駆け下りた途端に動揺が始まったのはご愛敬。安定した自然路盤上をゆっくり走るから敢えて高規格化する必要がない訳ですね。

かくして高架下のプレハブ然とした新京成線新鎌ヶ谷駅も高架上で隣りの北総線/成田スカイアクセス線と肩を並べましたが、大きく立派な割に人が疎らな北総線/スカイアクセス線よりも新京成線の方が人の出入りが多い現実があります。実は新京成電鉄は京成グループ随一の優良企業なんですね。本体がコロナ禍による国際線航空の蒸発で減収著しい一方、地域密着で安定した利用があります。加えて沿線地域のバス事業の寄与も大きく、鎌ヶ谷大仏はバスの拠点にもなっています。

そして乗っていて感じるのが短距離利用が多い点です。松戸、八柱、新鎌ヶ谷。北習志野、新津田沼、京成津田沼で他社線と接続していますから、所謂フィーダー輸送中心で賃率の高い短距離利用が多く、しかも利用が分散されますから、効率よく稼げる構造になっています。地味ながら侮れない実力者です。

北総線との関係で言えば、北初富―小室間の一次開業時、地上駅の北初富で平面分岐して北総二期区間の高架橋を潜って上り勾配で当時の新鎌ヶ谷信号場で合流するルートで、新京成と当時の北総開発鉄道が相互直通で松戸―小室間を結んでおりました。北総は1号線規格で冷房車の7000系に対して新京成は非冷房の吊り掛け車というアンバランスで、北総二期開業(京成高砂―新鎌ヶ谷間)で解消するまで続きました。北総線は高運賃で利用が伸びず、成田スカイアクセスはある意味北総線のてこ入れでもありました。コロナ禍で先が見えなくなりましたが。

で、本題。れいわ新鮮組の山本太郎氏が都知事選に立候補しましたが、何でも持論の消費税5%を打ち出さない宇都宮けんじ氏への不満かららしいとか、自分が立つから降りてくれと告げて宇都宮氏を激怒させたとか聞こえてきます。真相はわかりませんが、都知事選に立つと言っても勝算がある訳ではなく、次の国政選挙を睨んだ話題作りなんですよね。

元々東京都は転入人口が多く、特に大学生や新卒会社員など若い世代の転入が多いため、彼らへのアピールという意味では知名度が決定的に重要な選挙になります。故に青島幸雄に始まってタレントの立候補が続いています。一応政治家としてキャリアを積んだ小池知事をタレント呼ばわりはどうかなとは思いますが、テレビキャスター出身でメディア露出が巧みな小池氏はやはり政治家としては特異な存在です。コロナ禍の初動の失敗を悟らせずにメディアで発信しているあたり、本当に巧みです。褒めてませんけど。

逆に言えば地方の首長選としては異例ながら全国区でメディアが取り上げますし、知名度を上げるにはうってつけ。300万円の供託金払えば公共の電波使った政見放送で言いたい放題言えるという訳で、今回も22人の立候補者が立ちました。しかもコロナ禍で集会などはやりにくいけど、テレビやネットでうまくアピールすれば、在宅ワークの有権者への露出はそれなりに可能ってこともあります。尚、このところの内閣支持率がダダ下がりなのは、在宅でネットの国会中継を視聴する機会が増えたからと言われてます。安倍政権の化けの皮がはがれてきてる訳です。

そんな中での山本太郎氏の立候補ですから、端から勝つ気はないでしょう。それより消費税下げろと主張して有権者にアピールしたいのが本音ですね。この点で山本氏は評価できません。消費税減税論者が見落としているか意図的にスルーしている問題があるからです。例えばSuica甘いか消費税で取り上げた鉄道運賃の改定に伴うシステムの改修問題です。

消費税が下がれば鉄道運賃の値下げはは期待されるでしょうけど、コストかけて値下げする義務が鉄道事業者にあるかどうかは微妙です。勿論世論の圧力で値下げの可能性は皆無ではありませんが、コロナ禍で密を避ける人々の行動で利用者が減る中で、寧ろ負担増の要因もありますから、それを理由に値上げも考える局面でもあります。となると消費税減税で負担が減った分で値上げ回避という理屈が成り立ちます。この辺政府がどう判断するかにもよります。

ちなみに消費税に当たる付加価値税減税を打ち出したドイツですが、欧州の付加価値税は日本の消費税と違って税額票(インボイス)を用いていて複数税率に対応可能な上、価格表示が総額表示ですから、税率を下げても事業者は値下げの義務を負いません。勿論値下げしても良いですが、全て事業者の判断に委ねられます。今回のコロナ禍では寧ろ事業者への補助金の意味合いが強いと言えます。

それと日本の消費税制度は社会保障財源として紐付けされてますから、消費税減税は社会保障財源の縮小を意味し、それを口実に社会保障給付を減らされることもあります。実際そうして年金も医療保険も給付を削られ逆に保険料を値上げされているのが実際です。消費税を下げればますますこの傾向は強まる訳です。

加えて地方消費税のことも語らないですよね。間違いだらけの消費税で指摘した通り、税収比22%相当は地方消費税として自治体に配分されます。つまり消費税減税すると地方税収が減るという不都合がありますが、減税論者はこの点もスルーしてます。

翻って東京都は財政的には恵まれた存在ですが、それ故に地方交付税不交付な一方、ふるさと納税制度で税源が流出する一方、地方税の法人事業税の一部の地方配分を強要されるなど、このところ税源の棄損が目立つ一方、五輪でコスト負担もあり、今に至っては開催でも中止でも都の負担は避けられませんし、コロナ禍に伴う営業自粛の協力金などで積立金を取り崩しており,更に第2派の感染拡大でもあればどうなるかわかりません。故に次期都知事はどのみち敗戦処理しかない訳です。それなのに地方消費税減らしてよいというのは暴論です。

勿論今消費税を上げる議論は論外ですが、法改正して多大なコストをかけてまでやるべきことか?ってのは冷静に考えればわかります。寧ろ緩んだ財政規律を考えれば、事後的な増税も視野に入ります。消費税と共に基幹税とされる所得税と法人税の増税と累進課税の強化が王道ですが、法人税の租税特例の見直しや炭素税やデジタル税の導入など、議論すべき問題は寧ろそちらです。

そして最後に、消費税減税論者は藤井聡京大教授など保守派の論客が好んで仕掛けております。上記の社会保障の圧縮の口実になる点を踏まえると、実は何でも減税の保守派の議論なんです。てことでウヨ曲説に騙されるな!と申し上げたいです。

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Tuesday, May 05, 2020

出口が見えないアベノ自粛

予想されたこととはいえ、緊急事態宣言の延長が決まりました。そしてプロンプター読んでるんだけの「台本営発表」とも謂われる首相記者会見で、緊急事態宣言の解除の基準は語られませんでした。8日を8月に読み違えたみたいですが^_^;。出口が見えないという意味でアベノミクスと同じです。加えて検査体制の拡充が未だに実現できていないために、そもそも出口を判断できるデータがないという現実もあります。

この辺統計135°の歪みで指摘した統計不正問題に通じますが、現状を正しく把握できないから緊急事態宣言解除のような責任のかかる決断が出来ない訳です。あと内緒ですが伝染ルンですアベノミクスで指摘した消費指標を家計調査ではなく商業統計に切り替えてインバウンド消費が二重計上されていた疑惑ですが、コロナ禍でこっそり見直されてます。嘘が下手な嘘つきの典型的対応です。

あと「新しい生活様式」とかいう大きなお世話を専門家会議が発表しましたが、これ政府の諮問に基づいた助言機関がなぜ国民向けにこんな発表するのかですが、助言に基づいて責任を負うべき側に責任を負う姿勢が見えず、専門家会議に丸投げしている状況が透けて見えます。政府への助言が暖簾に腕押しでは、国民に語り掛けて協力を得るしか手段がない訳で、余計なことをさせられている訳です。当然専門家会議としては責任を負えず安全側へ判断が偏りますから、出口の判断はますます遅れます。

てことで巣篭りは長引きそうです。そうなるとリモートワークの範囲が拡大することになります。既に通勤定期券の払い戻しが増えており、加えて年度替わりで買い替えが多い4月もおよそ3割減ということで社畜の国で指摘した企業の通勤手当支給見直しがさらに進むことになります。その結果鉄道事業者が苦境に陥ております。

記者の目 JR東、コロナで見えた鉄道の盲点 3割減収なら利益ゼロ  証券部 堤健太郎:日本経済新聞
JR東日本だけの問題じゃないんですが、大都市圏の通勤需要で支えられている事業者にとっては、割引とはいえ前払いで収益を現金化できる定期券売上は経営安定のキモであり、経営の基礎体力をもたらします。記事で指摘されている固定費のかなりの部分を定期券売上でカバーし昼間や土休日の定期外客で上乗せすることで利益の最大化を図る訳ですが、こちらも外出自粛で激減している訳ですから、JR東日本と言えども1-3月期に赤字転落してますし、現状では4-6月はもっと悲惨です。

収益構造から言えば、運輸収入の依存度の高いJRの方が関連事業収入が多い大手私鉄より厳しい訳です。例外的に関連事業比率の高いJR九州は安泰かと言えば、ライバルの西鉄と比べれば生活関連事業で沿線にドミナント形成という水準には達しておらず、営業エリアが広すぎるから仕方ないんですが、トータルな経営体力では苦しいところです。

加えて整備新幹線が重荷になります。整備新幹線は30年リースで負債を計上している訳で、特に整備新幹線区間が長いJR東日本には重荷でしょう。救いは水害で水没した北陸新幹線E7系廃車に伴って延命されたE4系を廃車して減便することである程度出費を防げますが、リース料は固定費としてのしかかります。鉄道・運輸機構による債務繰り延べの可能性は、リース料が北海道新幹線などのの整備費用として見込まれており整備を止めることになりますから、難しいでしょう。

それでも莫大な減価償却費があり、JR東日本でおよそ2,000億円規模ですから、投資の抑制によってキャッシュアウトを防ぐことは可能ですが、ホームドア設置やバリアフリー化などは減らせませんから、車両更新や新線建設が抑制されると考えられます。航空業界の逆風もありますから、羽田空港アクセス線は幻の新線計画になる公算大でしょう。

この流れで言えば関空アクセス輸送を睨んだ大阪のなにわ筋線もヤバいかも。泉北線と市営地下鉄の売却益で府市共に財源確保してメトロの稼ぎ頭の御堂筋線のライバル路線を作るという倒錯が起きる訳ですから。

JR東海も稼ぎ頭の東海道新幹線で8割減ですから、長引けばリニアを諦めることになりそうです。名古屋リニヤだがや以来疑問を指摘してきた中央リニアも幻になる訳です。それでも財務体質の強いJR東海はある程度持ち堪えるでしょう。JR西日本は赤字ローカル線の整理に活路を見出すと考えられます。中国地方の路線網はかなり整理されそうです。JR九州は上場時に経営安定基金を取り崩して資産の減損処理と整備新幹線リース料の前倒し支払いで負担を減らしてますが、やはり赤字ローカル線整理に踏み込むことになるでしょう。本州3社と比べて財務体質の弱さは否めません。そしてJR四国ですが。

JR四国に国が改善指導 自立経営阻む2つの「老い」:日本経済新聞
コロナショックで真っ先に連想されるのはJR北海道でしょうけど、札幌都市圏への経営資源集中を前提とした再建策で先が読めるJR北海道に対して、エリアに大都市圏が存在せず、過疎化と高齢化が止まらないJR四国の方がより深刻です。とはいえ関係の深いJR西日本に助けを求めたくてもその余裕はなく、そこへ外出自粛が重なる訳ですから、出口が見当たりません。四国だけ三蜜解禁してお遍路さん呼び込むか?

鉄道として残すならば何らかの財政支援が必要ですが、JR北海道でも見られるように、結局交通政策基本法で謳われた地元自治体の関与が無いから国が動かないという倒錯が起きる可能性があります。JRでこれですから、過疎地の地方ローカル私鉄で持ち堪えられないところはちらほら出てくるでしょう。アベノ自粛は公共交通を枯れさせる可能性大です。

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Sunday, March 01, 2020

日出ずる国のサンセットクルーズ

アベノミクスを感染症に喩えたら重症化しちゃいました。

首相、感染連鎖阻止へ異例の要請 小中高の臨時休校:日本経済新聞
北海道で小児の感染が出て札幌市を除く公立学校の臨時休校を決めたことに倣ったんだと思いますが、検査件数が相対的に多く、クラスター感染が疑われる状況から判断されたものですが、検査体制が不十分なまま全国に拡大することにエビデンスは示されておりません。北海道でも休校の影響で看護師が勤務できなくなって休業する医療機関が出て逆効果だったりという副作用が現れてますが、国民に不利益を強いる一方、感染拡大に繋がる公共交通機関の混雑は放置されたまま。無意味なパフォーマンスでやってるふりはアベノミクスの文脈そのものですが、今回は流石に国民から大ブーイングを受けてます。

ネットに溢れる検査の精度問題ですが、確かに偽陰性や擬陽性で正確な診断が難しいのですが、それでも感染拡大の可視化という意味で検査データを集める意味はあります。実際北海道ではさっぽろ雪まつりの直後に感染拡大が確認され、所謂クラスター感染の可能性が見えたことで、イベントの自粛や公立学校の臨時休校の判断につながった訳で、傾向を掴んで対策を打つ意味では検査体制の拡充こそ最優先事項である筈です。加えて国民の不安に寄り添う意味もあります。

後者は無発症や軽症で自分が気付かずにウイルスをばら撒いている可能性もある訳で、その不安からマスクを求める仮需要が爆発して店頭からマスクが消えた訳ですが、検査で陰性ならマスクはとりあえず必要ないと判断できる訳で、検査を行うこと自体が情報公開の一環でもある訳です。情報が伏せられれば7デマに惑わされて必要以上にマスクを買い占めたりする行動を助長する訳ですから、マスクが消えたような混乱は情報開示の不備からくると纏められます。

そして検査体制の拡充が遅れた理由としては、国立感染症研究所の処理能力に限界があり、しかも安倍政権で予算削減が行われていたこととか、今回の新型コロナウイルスの検査試薬が未承認だったり、感染研が試薬を独自開発する一方、独自開発されtたロシュの試薬に使用をためらったこととか、様々なことが言われてますが、水際作戦にかまけて検査体制の拡充を後回しにしたことは間違いありません。政治的に重大な判断ミスです。それが顕著に表れたのがクルーズ船ダイヤモンドプリンセスの検疫の不始末です。

ダイヤモンドプリンセスに関しては、国際海洋法の旗国主義の制約で日本政府が十分な対応が出来なかったという議論があります。確かにダイヤモンドプリンセスは英国船籍で運航会社はアメリカだけど専ら日本を含む東アジアでクルーズ航海をしているけど、管轄権のある英政府はこの問題では何もしていないという訳です。

しかし国際海運の世界では、船員の人件費や税制などで維持費の低い国で船籍を取ることは昔から行われてまして、日本の船会社の所有船がリベリア船籍だったりしますし、旗国主義は実際には空洞化しています。また実際問題として旗国から遠いエリアを航行する船舶に管轄権を行使することは困難です。故に今回の感染症検疫のような非常事態への対応として沿岸国が管轄権を行使することは普通に行われてますし、貧困国や途上国ならいざ知らず、豊かな先進国である日本が対応できて当たり前、できなきゃ恥ずかしいというのが通り相場です。

故にダイヤモンドプリンセスの船内足止め問題は国際的に批判を浴びた訳です。とにかく1日300件のキャパしかない検査体制で乗客乗員3,700名のウイルス検査じゃ、足止めされている間に船内で感染が蔓延するのは素人でもわかる道理です。結果的に3,700名中700名の感染確認がされて5人に1人以上の感染という結果を招いた訳ですから日本政府の責任は重いと言えます。

ダイヤモンドプリンセスは元々日本の顧客開拓の期待もあって三菱重工長崎造船所に発注された船で、乗客乗員に多数の日本人が乗船していた絵ですし、またインバウンドを国家戦略として謳ってた日本政府としては大失態と言える訳です。とはいえ受注した三菱重工はクルーズ船の敬遠が乏しく、特にホテル並みに複雑な船内設備に苦労して、挙句に建造中に火災事故を起こして納期を遅らせるなど散々な結果となり大赤字で、折角のチャンスを活かせませんでした。そして挙句にこれです。

横浜港 クルーズ船の寄港取りやめ相次ぐ:NHK NEWS WEB
これ横浜港に限らずクルーズ船寄港地として日本が忌避されている現実があります。贔屓目に見ても感染の終息が見込めないうちはクルーズ船が戻ってくることはないでしょう。しかも日本政府は相変わらずエビデンス無視のやってるふりで迷走してますから、当分この傾向は続くと見るべきでしょう。20202オリパラも最悪中止もあり得ます。

そして愛ある成長戦略でカジノを含むIR誘致も微妙になります。IR誘致に関しては、ハマのドンが猛反対とも伝えられてますが、横浜市は目のめりで、昨年秋にみなとみらいに本社を移転した京浜急行電鉄もIR誘致に期待感用命しております。裏付けのない噂レベルの話なんですが,横浜市がIR誘致を予定する山下ふ頭へ京急が新線建設を構想しているということで、これがハマのドンの怒りを買ったと言われております。

みなとみらいへの本社移転は日産グローバル本社の場合でも横浜市による便宜供与を含む強力な誘致活動があったと言われておりますが、京急に対しては山下ふ頭へのIR誘致を早い段階で知らせていたとしても不思議ではありません。そして京急はこれまでも支線の活性化に熱心なところがあります。過去エントリーでも取り上げましたが、空港線の羽田空港ターミナル延伸が大成功を収めた京急ならあり得る話です。そしてIR新線が京急誘致のエサになったとすると、東京からいきなり来た新参者が利権をさらう構図としてハマのドンの怒りを買ったというストーリーはあり得ます。

京急としては当面は羽田空港の発着枠拡大への対応と対岸の川崎殿町プロジェクトの最寄り駅として小島新田が変貌を遂げる可能性がある訳ですから、支線による活性化の成功体験を積み重ねる環境にあります。逆に言えば元々開発地が少なく人口の高齢化や産業構造の転換もあって本線筋の成長余地がないだけに、横浜市が示したエサに食いついた可能性はあります。単純に山下ふ頭に鉄道通したいなら、みなとみらい線を伸ばす方が簡単なはずですが、それじゃ京急にメリットがない訳です。

というようなインサイドストーリーがありそうな横浜市のIR誘致ですが、今回のダイヤモンドプリンセスの失態で遠のいたと見て良いでしょう。日本国をサンセットクルーズにいざなうアベノミクスいいとこなしです。

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Sunday, February 16, 2020

貧テック鈍テック

新型肺炎問題での日本政府の対応に内外から疑問が突き付けられております。無意味な水際作戦は所詮政権のパフォーマンスに過ぎず、結果的に国内感染がジワジワ拡がっていて死者まで出ています。しかも該当の神奈川県の80代女性は不調を訴えながら渡航歴がないことを理由にウイルス検査は行われていなかったとか、国立感染症研究所の人手と予算の制約から1日300人しか検査できないそうですが嘘っぱちです。SARSの時のように民間製薬会社提供の検査キットを配布して対応すれば簡単に能力を増やせるのに、金の出し惜しみをしているんですね。

前エントリーの時点より多くの情報が明らかになり、政府の対応に内外から批判の声が上がっております。既に日本は感染地域とされて渡航制限を課す国も現れましたし、ダイヤモンドプリンセス号の対応の迷走に業を煮やしたアメリカは、乗船中のアメリカ人の帰国のためにチャーター便を仕立てており、流石に日本政府も対応を見直さざるを得なくなりました。感染症対策はれっきとした安全保障問題であり、グローバル化でいつ起きてもおかしくない状況なのに、まともな対応ができないってのは、これまでも山梨の豪雪、熊本地震、西日本豪雨、昨年の台風などいずれも初動の失敗で対応が後手に回った訳ですが、安倍政権はよほど危機管理が苦手らしいです。これ非常時のロジステイックス問題ですから、9条を改正して軍隊を持っても、まともに動かせず負け戦必至です。

東京オリパラに関してはおそらくIOCが中止を判断することはないでしょうけど、感染が収束しなければ無観客試合となる可能性はあります。米NOBCの放映軽量が入ればIOCは潤いますが、開催コストを負担する東京都は大赤字で何のためのオリパラか?それがどうも変な感じに。

新潟・南魚沼で少雪、五輪の暑さ対策ピンチ:日本経済新聞
問題視される東京オリパラの暑さ対策として豪雪地帯の南魚沼の雪を使う計画が暖冬による雪不足で狂いが生じています。何だかどんどん漫画チックになっているような気が\_^;。

一方前エントリーで指摘したように、中国では既にウイーチャットを用いた遠隔診療が行われているとか。これを実現するためにはおびただしい数の画像サンプルをAIに学習させる必要がありますが、医師会の反対で電子カルテによる診療データ共有すらできない日本のなんと遅れていることか。新型肺炎のような感染症診療は特に感染者と医師の接触が避けられるだけに重要です。これガラパゴス・スモールブラザーズに加えたいですね。加えて後れを取っているのは対中国だけじゃありません。

英フィンテック、手数料変革迫る 送金・外貨両替で:日本経済新聞
英国がBrexitで強気な理由の1つがこれです。元々大手銀行の寡占で手数料がバカ高かった英国では、国の法律で銀行にフィンテック企業へのAPI公開を義務付けたことで、フィンテックで世界をリードしています。API公開とは、銀行が保有する決済などのシステムへのアクセス制限を課しているため、フィンテック企業はユーザーの委託で口座へアクセスするのにユーザーからパスワードの通知を受けて行う訳ですが、当然セキュリティが甘いとハックされて外部流出して結果的に不正アクセスにつながる訳ですが、フィンテック企業に直接アクセス権を与えて限定的にユーザーの代理人としての権限を与えれば、問題を回避できます。ユーザーは銀行窓口へ出向くことなく振り込みや海外送金などのサービスを受けられ、競争環境で手数料も割安になるということになります。

ただしこれマイナス金利で青息吐息の日本の銀行はなかなかAPI公開を認めず、国内フィンテック企業が育ちません。そこへ英国フィンテック企業が黒船として襲来するって話です。ただしガラパゴス・スモールブラザーズで指摘したNTTデータの通信網の独占問題が絡みますので、簡単ではありませんが、公正取引委員会が調査を始めており、結果如何では風穴が開く可能性はあります。

そのときに力を持った英国勢に国内フィンテック企業た太刀打ちできるかって問題はあります。またやむを得ない部分ですが、COBOLで記述された基幹業務システムを維持改良しながらセキュリティ対策を取る銀行システムの維持費が高止まりしていることも問題なんですが、さりとてコストダウンのためにクラウドに乗り換えることが簡単にできない悩みもありますし、みずほのシステム統合でトラブったように、特に経営統合機運が強まる地方銀行にとっては頭の痛い問題です。で、基幹業務システム問題は実はJRにも頭の痛い問題でもあります。

タッチしやすい改札機 JR東、新宿駅などで実証実験:日本経済新聞
JR東日本が首都圏で自動改札機を本格導入したのが1990年ですが、この時点でSuicaの開発計画が進行中だったこともあり、10年後をめどにSuica対応機が開発され予定通り更新されました。2010年にはマイナーチェンジ版の現行モデルに交換されてはや10年。次世代モデルを新宿と高輪ゲートウエイ駅で試験導入してテストを行うというものです。

目玉はQRコード読み取り装置を装備してQRコード決済のテストを行うものですが、Felicaシステムはコイルによる電磁誘導の仕組みを使って無電源で瞬時に読み取りが可能なのに対し、QRコードは光学的に読み取って変換する関係で動作に遅延が生じるため、特に混雑する首都圏の駅では動作に問題がないかどうかを慎重に見極める必要があります。加えてユーザーがスマホを操作してアプリを立ち上げる必要があり、混雑する駅で混乱しないかも見極める必要があります。ただしSuicaであれQRコードであれ、固有のID番号を読み取って処理する部分に違いはありません。

とするとQRコード導入の意図は何かってことになりますが、1つは将来的に磁気券の廃止を視野に入れているのでしょう。既に航空の搭乗口では搭乗券をスマホへダウンルードするか紙にQRコードを印刷してゲートの読み取り口にかざす形になっており磁気券の搭乗券は過去のものになっています。となると駅の自動券売機が空港の自動チェックイン機のような形になってユーザーのスマホにダウンロードされる形が考えられます。メリットとしては情報量を盛り込めますから新幹線を含む特急券などとのセット券も簡単に対応できますから、Suicaより汎用性が高まります。

2つ目はローカル線のチケットレス化が低コストで可能になる点でしょうか。ローカル線の場合首都圏のような混雑はあまり考える必要がなく、また読み取り機とクラウドで簡単にシステムが構築できるなどコスト面で有利ということもあります。ただしこれはSuicaの裏側で動く鉄道の基幹業務システムとは異質のシステムなので、ローカル私鉄が単独で導入するならともかく、JRが導入する場合は現行の基幹業務システムとの整合性が問われることになります。JRにとっては構築してきた基幹業務システムを簡単に変更できないだけに、悩みの種になるでしょう。

一方、MaaSを視野に入れると、戸口から駅、駅から戸口のラストマイル輸送との連携でSuica対応はコスト面で課題がありますから、それを睨むとQRコードシステムに優位性がある訳で、両者をどう繋ぐかは大きな課題です。銀行とフィンテックの関係に似た構図が見えてきます。

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