骨太ショックで複雑骨折
前エントリー*1のタイトルで「正体」のつもりで「招待」に誤変換^_^;。しかし内容と齟齬がないのでこのままで訂正はしません。ポピュリズムを呼び込む政治状況は日本に留まらずBrexitやトランプ現象も同様です。結局政治のエンタメ化で絡めとられるどうしようもない現実だけは続きます。
てことで本題に入る前にBusRama最新刊(216号)で和田編集長がEVMJ問題でコメントを載せてます*2。ザックリ言えば地獄への道*3で述べた中国EVのアジャイル開発の波に吞まれて、工業製品につきものの初期不良対策ができていなかったということです。一方でネットで炎上した中国製で詐欺だとか選定プロセスの疑義などは踏み込まない慎重さで好感が持てます。特にブレーキホース損傷などのリコール案件は、修理すれば使用可能だった車もあったはずですが、自動運転社会実験用40台を含む全190台の減損処分には疑義を呈していて大手メディアにはない視点を提供しています。大阪では議会で突き上げられており、まるで証拠隠滅でもするような全車処分はむしろ意思決定過程を不透明にします。少なくとも失敗を認めて教訓を後世に残す姿勢ではありません。これサナエトークンやt中傷動画問題と似ています。
てことで本題ですが、経済財政諮問会議の骨太の方針が発表されました。予想通りの積極財政路線ですが、市場は早速反応しています*4。3日の債券市場で長期金利の指標となる10年物国債金利が一時2.81%をつけて3%をうかがわせる動きとなりました。また金利上昇観測から2日に2.7%で実施された国際入札は不調で、原因は政府が日銀の利上げに消極的なことで円安が進むと市場が見た結果です。利上げしても円安といっても、欧米の金利水準よりかなり低い上にインフレ補正の実質金利は相変わらずのマイナス圏ですから、日本国債を積極的に買う理由がない訳です。
やや長くなりますが、日本経済の複雑骨折ぶりがあぶりだされました。先月の日銀の利上げは予想通りだったけど、政府は難色を示していました。上田総裁は政権の圧にやや弱気だったようですが、病気の治療を理由に異例の政策決定会合欠席となりましたが、審議委員5名が利上げ賛成を表明していましたから利上げは既定路線だったといえます。そして政府は盛んに為替介入をにおわせて市場けん制を試みましたが、ドル円162円台をつけても動かなかったように、実際には原資となるドル預金を4~5月に11.7兆円も使って155円台に戻したものの効果は1月で剥落しさらに円安が進みました。市場は介入警戒ムードで小刻みな動きでしたが、結局介入はないと見てより利回りの良いアメリカ国債やAIブームに沸く株式投資の原資になるドルが買われてじりじりと円安が進みました。政府は意に染まぬ日銀の利上げを今回は為替介入が困難だから容認したという背景が透けて見えます。その裏には為替介入のために保有米国債を売られることをアメリカが嫌っているという事情もあります。
そんな中で明らかにされた骨太の方針が予想されたとはいえ財政出動のオンパレードで、財源としてインフレによる税収上振れを当てにしています*5。2025年度に2.6兆円の剰余金が発生したことから、税収上振れ3兆円を見込んで国債発行を抑えるとしてますが、つまりインフレが進行することを前提にしているわけで、その分国民生活が圧迫されることには向き合わず、単なる帳尻合わせをしている訳ですが、インフレが進めば遅れて金利上昇は避けられないから、国債の利払い費の負担も増すことは考慮されてません。日銀に圧をかければ低金利が続くというアベノミクスの劣化コピー版の経済見通しを打ち出したことで複雑骨折と表現すべき状況です。
そうは言うけど日経平均株価は上がってるじゃないかともいわれますが、これアメリカのAIブームの流れで半導体関連が買われている結果の株高で、半導体以外はほぼ横ばいです。株価以外全部沈没をご参照ください*6。ちなみに同エントリーで取り上げた京成電鉄の押上発着の有料空港連絡列車の続報です*7。現在成田空港ではB滑走路の1,000m延長と3,500m級の新滑走路整で大型機発着が可能な3,500m級滑走路2本として、分散しているターミナルも統合するというもので、実現すれば1.5倍の発着枠拡大が実現しますが、そうなると鉄道アクセスの輸送力不足が問題になります。現状でもスカイライナーやN'EXは満席が多く、アクセス特急や快速エアポート成田も時間帯によって混雑する状況です。
京成電鉄は2027年運転開始を予定する押上発着の湯量特急を30年代に都営浅草線と京急に直通させて羽田空港と成田空港を結ぶ構想で、成田新幹線の遺構を単線並列でJRとシェアする成田湯川~成田空港間を複線高架の別線で建設し新駅を設置し、JRは京成が新線移行後に線路を改築して複線化し、京成は有料特急毎時6本、アクセス特急毎時3本と倍増し、JRもN'EXを毎時4本と倍増する計画です。統合新ターミナルへの移行が前提となりますから、具体的な時期は明示されておりませんが、新滑走路整備を含めて用地買収が難航しており、遅れることは確実です。加えて供用時間拡大問題でも地元の同意が必要で、こちらも流動的です。資金問題は国や県などと協議されるようですが、京成本線ルートや東成田駅、芝山鉄道の扱いなどは報道にはありません。
あとJRは羽田空港アクセス戦を活用した羽田成田連絡輸送を目論んでおり、おそらくりんかい線を介した京葉ルートでの実現を狙っていると思われますが、その場合京葉線から総武快速線への渡り線整備が欠かせません。候補としては高谷支線活用の西船橋ルートと千葉みなと~本千葉を結ぶ連絡線新設などが考えられますが、どちらも実現のハードルは高いといえます。加えて軽京成新線の整備後の複線化と実現時期も京成の後になるという意味で苦しいところです。そしてインバウンドの拡大が前提ですから、円安が進んで国民生活はさらに窮乏すると考えると、手放しで喜べないところです。確かに便利にはなりますが、果たして国民を幸せにするものかどうかは微妙です。
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