大手私鉄

Sunday, November 04, 2018

社畜の国の移民政策

韓国徴用工の新日鉄住金に対する賠償問題ですが、これ日韓条約で政府間の賠償問題は解決積みとされた訳ですが、この訴訟は個人としての韓国人徴用工の日本企業に対する賠償請求というところがミソでして、私人同士の賠償請求権が政府間の条約によって無効にできるのかが問われていたのですが、下級審で認められ、今回は上告審ですから、余程の訴訟手続き上の瑕疵がない限りこうなるのは当然です。

新日鉄住金は韓国ビジネスへの影響を考慮して和解を模索していたようですが、日本政府が和解に応じないよう圧力をかけたそうで、結果確定判決に至った訳で、和解しとけばそれで終わった話。これで戦時徴用に関連した70社超の日本企業が訴訟リスクにさらされるわけで、私人同士の問題に政治介入した結果のオウンゴールです。賠償を韓国政府に肩代わりさせると息巻いてますが、これ逆に元々関心が薄かった韓国の国内世論に火をつける可能性があり、困ってるのは寧ろ韓国政府です。

台湾プユマ号に関してメーカーの日車がATP解除した場合に自動的に指令に連絡する回線が接続されていなかったと発表しました。事故との関連は不明ですが、一定時間指令がATP解除を把握していなかった可能性はあります。当局の発表が二転三転したのはそのせいかも。いずれにしても日車のミスが明らかになった訳で、ややこしくなってきました。

このところ日産やスバルの無視覚検査や神鋼のデータ改ざんに始まり、川重の新幹線台車枠亀裂やKYBの免震、制震ダンパーのデータ改ざんに至る様々な不祥事が明るみに出ている日本企業ですが、いずれも経営陣が把握していなかったらしいという共通点があります。経営陣が現場を把握できていないガバナンスの問題と捉えるべきでしょう。日産やKYBのケースは政府規制の妥当性に疑義があるという見方もできますが。

てな具合に官民共にガバナンスがボロボロの日本ですが、政府の無能ぶりは言い疲れたwwwwわけぢゃないけど置いといて、生産年齢人口の減少が日本企業の現場を追い込んでるんじゃないかという問題意識で考えてみます。で、このニュース。

単純労働 外国人受け入れ 入国管理政策を転換 法案閣議決定、国会論戦へ :日本経済新聞
この臨時故国会で通して来年4月から施行というスケジュールも無茶ですが、事実上の移民受け入れとなるのに、国の在り方を変える議論には程遠いと言えます。

問題はいろいろあるんですが、基本在留期間5年ですから、あまり込み入った複雑な仕事は任せられませんから、単純労働を担うことになります。特定業種1級と2級に分けて一応生産性向上や高齢者や女性の労働力率上昇でも尚足りない業種に限定し、具体的な業種は3年毎に見直し充足されれば指定を外すとしてますが、生産年齢人口の減少は男女問わず進みますし、働ける高齢者の増加も減ってきますから、結局いつまで経っても充足されず、寧ろ他の業種でも足りないとなって業界の陳情合戦になって政治介入の余地を与えます。

冷静に考えて、生産年齢人口の減少が毎年50万人として、減少分を外国人労働者受け入れで埋めたとしても、5年で帰国するんですから、以後は足りなくなる訳で、帰国者分の受け入れを増やし続けない限り実効性は無い訳です。しかもスキルを磨いて高度な技能を習得するインセンティブもない訳で、果たして現場のモラルが維持できるのか?疑問です。現状日本人で構成された職場でさえ不祥事ボロボロなのに、外国人労働者を受け入れてまともなマネジメントができると考えているとすれば認識が甘すぎます。戦時徴用工の二の舞の悪寒。

結局社畜の代わりはAIでも外国人でもできないんです。人手不足を前提とした事業の見直しができなければ沈みゆくばかりです。そんな現実を踏まえてこのニュースをご紹介します。

東急、鉄道分社がもたらした27年ぶり高値  :日本経済新聞
東急の鉄道分社ですが、沿線再開発やビル賃貸などの事業は本体へ残すそうで、ある意味鉄道の専門性故の分社ということですが、このところの停電トラブルなど鉄道事業でのトラブル多発が背景にあります。その原因として電気技術者などの求人案があることは上記日産の無視覚検査と共にグローバルプリズンのエントリーで取り上げました。

東急にとってはルーツとなる田園都市株式会社が荏原電気鉄道や武蔵電気鉄道の免許線を利用して目黒鎌田電鉄を立ち上げた過去への先祖返りの形ですが、今や主力は渋谷など都内愛開発が中心で、かつて注力した多摩田園都市は高齢化で曲がり角を迎えています。いずれ多摩田園都市でも駅を中心とした再開発が必要ですが、そのためには鉄道がきちんと機能し信頼回復を図るための分社ということで、腐っても東急というか^_^;、現場問題をマネジメントの問題と捉える意識が見えます。勿論吉と出るか凶と出るかはわかりませんが。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, July 29, 2018

タワマンたわわで8号豊住線建設マジ卍?

台風一過、暑さが戻った日曜日ですが、連日の暑さから2年後の東京オリンピックの危険性も指摘され、また鉄道や塘路の混雑も予想される中、2年後の予定された災害の声すら聞こえる東京のスットコドッコイです。

地下鉄有楽町線の延伸論、再び熱 豊洲移転に配慮  :日本経済新聞
有楽町分岐線とか北進線とか言われていて、地元江東区ががかねてより建設を希望していた都市計画8号線豊洲―住吉間の建設が動き出したのですが、これが難問だらけで迷走が予想されています。記事のタイトルにある通り築地市場の豊洲移転を巡る迷走で都と対立した江東区への配慮ってことで、きな臭さ漂います。

豊洲市場移転は二転三転して遅れに遅れたわけですが、長くなるのでそこへは立ち入らないことにします。問題は豊洲移転を巡るゴタゴタの結果、都が江東区に対して配慮せざるを得なくなった結果、8号豊住線の建設が決まるという完全な政治路線となることです。江東区としてはタワーマンションが乱立して人口が膨張する湾岸地域を抱え、小学校が足りないなどの弊害が顕在化する一方、洲崎(東陽)や錦糸町といった伝統的繁華街が取り残されており、バランス上南北方向の交通インフラ整備は切実な問題ではあります。

加えて小田急小田原線の複々線化完成で小田急のみならず広域で並行する東急田園都市線などの混雑も緩和され、混雑率ワーストとして東京メトロ東西線、JR総武線、JR京葉線が並ぶ状況で、8号豊住線による分散効果を期待しているわけですが、東京メトロは既に新たな新線建設を行わないと宣言しており、事業者が同意しない限り建設は不可能なわけです。

そこで都が何らかのスキームで建設を行う検討を約束した訳ですが、江東区のレポートによれば、第三セクターが整備主体となって路線を建設し東京メトロが営業主体となって運行を行うことが想定されているようです。都市鉄道利便増進事業費補助制度を用いた受益活用型上下分離ですが、その場合建設費1,420億円を整備主体’三セク)と国と地方がそれぞれ1//3を負担する形で、営業主体の東京メトロの受益が整備主体の必要施設使用料を下回り事業収支が成立しません。

地下鉄補助を適用した場合は整備主体の収支は30年以内に黒字化するものの、営業主体のその他の路線での減収の調整が必要ということで、こちらも営業主体の東京メトロの同意が得られる可能性はありません。整備費用だけで1,400奥苑を超えるのに乗車人員27万人の需要予想ですから、基本的な収支構造から言って、整備スキームを弄ってどうにかなるレベルではありません。

江東区は以前同区間を6連のワンマン列車で折り返し運転し、改札分離して割増運賃を取ることで収支均衡を狙った計画も出したことありますが、それだと果たして利用者がいるかどうかという問題もあります。ぶっちゃけ改札分離が可能なら、都営地下鉄として建設すれば問題はクリアできますが、ネットワーク効果による東西線などの混雑緩和は期待できません。鉄ちゃん的蛇足ですが、車両は三田線と共用で、高島平―元住吉―市ヶ谷―豊洲のルートで回送することは一応可能です。

ウルトラCがあるとすれば、メトロと都営の統一運賃が実現可能ならば、こういった問題はクリアされますが、その場合メトロ都営双方で減収がある程度発生すると考えられますから、その保障措置をどうするかとかややこしい議論になります。個人的見解としては思い切って初乗り200円程度で最高額500円程度に値上げしてプール精算する仕組みを作り、車両営業走行キロなどの代理変数で配分するなどでしょうか。まあそこまでやる気はメトロにも都営にも無いでしょうけど。

利便性だけを考えれば、いっそゆりかもめの延伸で対応するのも手です。その場合当然運賃も割高になりますし、輸送力も落ちますが、例えば新駅構想として豊洲―東陽町間の新駅(枝川?)のJR京葉線潮見駅接続の希望が現状では難しいですが、AGTのゆりかもめならルートの自由度も高まりますから、双方に駅設置ということも可能です。

その他にJR小名木川貨物線のLRT化構想ってのもありまして、やはり鉄道空白地帯の小名木川周辺の再開発狙いで遊休貨物線を活用し、明治通りに沿って新木場まで伸ばし、亀戸へアクセスする計画ですが、こちらは具体化していないようです。事業費の圧縮を考えるなら有力な案ではありますが。

築地市場の豊洲移転を巡っては、築地市場跡地は当面オリンピック対策としてバスプールに使われ、事後に食のテーマパークとして再開発するという構想ですが、これ今のところ口約束だけで何の裏付けもありませんが、こちらも中央区が希望する環状2号線ルートの銀座―有明間の地下鉄を実現するという話になっているようです。こちらは豊住線の半分程度の13万人の乗車人員見込みですから、普通ならまず実現可能性はありませんが、市場移転を巡るずさんな計画の結果、政治路線として建設されるとすれば、今は地方交付税不交付団体の東京都も将来は怪しくなります。

そもそも論として都心再開発花盛りですが、これ90年代頃から続く容積率規制の段階的緩和の結果です。その結果特に湾岸地域に多数のタワーマンションが建って人口が急増したわけですが、タワーマンションの建設にはいろいろ問題もあります。マンションの高層化は地価の高い都心エリアに安価に住宅を提供できる結果、所謂職住近接による交通ラッシュの解消などの狙いはある訳ですが、眺望を売りにできる人気の高層階は高単価な上に軽量化の狙いもあって区分所有面積も広いため高額であり、安価な低層階の住民との断絶がしんぱいされます。

これ管理組合の意見集約が難しいわけで、10年程度で実施する大修繕の費用負担の問題や将来の建て替えの問題で必ず揉めます。つまり人口が増えて税収増で自治体もハッピーとはいかないわけで、一体感の無い分断された地域社会でトラブルだけが頻発するってことです。しかも所得階層の上下はあるけど建設時期による年齢層は近接しており、それが小学校の不足などの特定年齢層増加に伴う問題を引き起こすわけです。

加えて新築志向が強く中古住宅流通が貧弱な日本の住宅市場でjは、年齢の近接した住民がそのまま高年齢化するわけで、小学校の次は中学校、そして高校と不足の連鎖が生じますし、就職や結婚で独立して親元を離れっれば、残るのは高齢の親世代だけとなり、社会保障負担がのしかかる訳です。だから新線を作って新たな再開発を手掛けて人口流入を続けるしかない訳ですが、今や人口減少で全国の住宅の1/3は空き家という状況です。これ以上の人口流入は郊外や地方の人口流出を促すだけで、地方を疲弊させます。こんなことは続けられません。

最後に一言、マジ卍?

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, January 14, 2018

マル生運動の悪夢

アベノミクスも5年目を迎え、輸出大企業を中心に企業業績は上向き、株価も高値更新を続けます。失業率や有効求人倍率などの数値も景気が上向きと取れる動きですが、生活実感が伴わない状況が続きます。当ブログでは世間が言い出す前からアベノミクスの問題点を指摘してきたわけですが、実際その通りの結果で、未だにデフレ脱却できずに成果の乏しい状況が続きます。

そもそもこれだけ労働需給が締まってきたら金融緩和も財政出動も効かないわけで、金融緩和は出口へ向かわざる鵜を得ないし、財政政策はそもそも求人難で事業が滞り予算通り執行できていない状況ですから、むしろ財政再建の好機なんですが、そんな気はサラサラないようです。むしろ成長戦略として規制緩和をぶち上げたり、TPPを口実に農業を補助金漬けにしたり、モリカケスパコンで怪しげな便宜供与をしたりしてますが、今年は働き方改革だそうで、生産性革命をやるとか。まるでマル生運動で労使関係を疲弊させ、解体へ向かった旧国鉄の失敗をなぞるようなこと言い出してます。こりゃ救われんわ。

日本企業の生産性の低さは以前から指摘されてきましたが、長時間労働の解消という美名のもと,働き方改革と称して労基法が改悪されようとしていることは社畜ネタのエントリー希望のエントリーでも取り上げました。わかりやすくまとめると以下の通りです。

1.脱時間給として労働時間でなく成果で評価する高度プロフェッショナル制度(残業なし)
2.裁量労働制の業種の拡大とテレワークによる勤務時間の曖昧化(残業請求は可能だけどやりにくい)
3.労基法条文に残業時間上限を明記しつつ業種や繁忙期の例外扱いも可能に(事実上残業し放題+未払い残業訴訟時の賠償額の上限になる)
これ残業代を圧縮するためで、それが3%賃上げの原資と財界は胸算用してます。政府は必ず通常国会でこれを通すでしょう。野党がまとまらないのが心配ですが、これも以前のエントリーで心配したことが実現するということですね。

これだと長時間労働はステルス化して事実上長時間労働は温存ざれ生産性も上がらないってことになります。そもそも生産性を現場の努力で持ち上げようってのが間違いなんで、本来は設備投資によって資本で労働を代替することや、M&Aなどで事業の見直しをして規模の経済とシナジー効果で生産性を高めるのが王道です。例えばドイツの名門企業シーメンスが鉄道部門を仏アルストムに売却して重電部門に特化したのが典型ですが、中国北車と中国南車を国策で合併させて中国中車としたことで、かつて加ボンバルディアと並ぶ鉄道ビッグ3の地位が脅かされる中での大胆な経営判断です。生産性向上ってこうやるってことです。

日本の場合労働需給が締まってきたことは上記のとおりですが、中身が問題で、就労者数は確かに増えているんですが、総労働時間は横ばいで、つまり非正規の短時間労働者が増えただけってのが実態です。深刻なのはその間GDPもほぼ横ばいですから、労働力の投入量と生産量が変化していない、つまり生産性も横ばいってことです。GDPが横ばいでも総労働時間が減っていれば生産性は上がっていることになるわけで、これなら無理なく労働者の報酬である賃金を上げられますし、労働時間の減少はつまり余暇時間の増加となりますから、その分消費者余剰が拡大して有効需要を生み出します。また人口減少の中で求人難も緩和するわけですから、現在の人口動態に整合的です。てことでこれ貼っときます。

生産性向上 経営者こそ主役   :日本経済新聞
これ企業だけの問題でもないんで、水道事業の民営化を打ち出した東京都の事例が面白いんですが、東京都水道局は23区の水道事業を担う地方公営企業で、基本独立採算制なんですが、多摩地区では各市町が直営事業で手掛けているケースが多く、独自水源として井戸を持っていたりしますが、地域開発で水需要が増えると対応できなくなり、都水道局に水源を依存するケースがあり、加えて小規模な直営事業では合理化も難しいってことで事業委託しているところもあるわけですが、そのために都水道局は増員したくても公務員定員の壁でできないってことで、民営化してそのくびきを外そうってことです。水道のようなインフラ事業は希望の経済が働くわけで、多摩地区に留まらず埼玉県の自治体の受託の需要も取り込めるわけで、伸びしろがあるわけです。

これ営団→メトロに事業領域を侵食されてきた都交通局と大きく異なる事業環境だからこそです。都営交通の民営化はメトロの株式上場絡みで都の保有株式の扱いが問題になるので実現可能性はほぼありません。

こういう観点から国鉄民営化を見直すと、国鉄末期から営業路線の廃止、切り離しが相次いで事業規模を縮小したJR北海道と、元々の規模が小さいJR四国が苦しむのはある意味必然です。むしろ全国1社体制でギリギリ規模を確保したJR貨物が黒字化で上場が検討されるってのも、不思議ではありません。JR貨物の場合旅客会社へ支払う線路使用料問題という爆弾を抱えてはいますが、これ旅客6社と同様地域分割していたらこうはいかなかったでしょう。

てことで30年も経つと変化は避けられないところです。見直しは必要でしょう。おまけ。

除雪車出動に遅れ JR信越線大雪で立ち往生  :日本経済新聞
そもそも異常な積雪でダイヤが乱れに乱れ、運転士が雪かきしながら進路を確保しつつ運行していたものの力尽きたわけで、4両編成に乗客430人という状態で、不安を抱える乗客に乗務員が丁寧に対峙したからパニックにもならずに済んだわけです。もちろん早い段階でも運転抑止の判断もあり得ましたが、時は夕刻ラッシュ時間帯で、帰宅の足にとJRを当てにして駅に乗客が集まっている状況で必死に運行を確保した結果です。首都圏ならば振り替え輸送で他社線へ誘導で済みますが、大雪でバスも動かない中での出来事です。本当に頭が下がります。新幹線の好調にブイブイ言わせながら殿様商売の某JRと大違いですね。

も一つおまけ。そもそもこの冬の寒冷化と大雪は温暖化の影響と見られています。理由は北極の海氷の減少で氷ならば反射される太陽輻射熱を海水が吸収して海水温が上昇し、水蒸気が発生視野sくなっている一方、海水温の変化に伴い偏西風が蛇行し、大陸の寒気が南下したこと。その結果高めの海水温と寒気の温度差で雪雲が発達し以下略。偏西風の蛇行は北米、欧州、東アジアで特に顕著で、いずれも化石燃料の消費が多い地域です。とりわけ日本は低コストを理由に石炭火力への依存が強く孤立気味。電力会社の経営の都合で電車が足止めって考えると怒りが沸いてきます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, December 31, 2017

台車枠の亀裂

今年もあとわずかですが、このニュースはやはり取り上げるべきだろうと思いまして、こんなタイミングでのアップとなります。

亀裂、あと3センチで破断 新幹線のぞみ台車  :日本経済新聞
「あと3センチで断裂」というきわどい重大インシデントとなりました。最初に疑問に思ったのが、異音を確認しながら3時間も運行を続けたことで、実際JR西日本は非難を浴びましたが、その後岡山から添乗したJR西日本社員が東京指令所の司令員に新大阪駅での床下点検を提案したものの、司令員が上司の指示を受けたていたために聞き逃し、運行を継続した経緯が明らかになります。結構ありふれたヒューマンエラーがあったわけです。

とはいえ司令員の責任を問うのは難しいところで、そもそも頑丈に作られていて入念な点検を受けている台車に亀裂が見つからなかったから出庫して運用されたわけで、目視が困難な程度の亀裂で直ちにに断裂することがないように安全マージンを大きくとっています。点検時点で見つからなかった瑕が台車枠の断裂に至るようなことは想像すらできなかったはずです。現時点で原因は不明ですが、専門家の見方はこれです。

新幹線の「亀裂」はなぜ発見できなかったのか | 新幹線 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
記事の著者の見立てでは、側バリの軸箱近傍の溶接部付近で起きた典型的な疲労破壊ということで、突然発生したものではなく、長時間に亀裂が伸長したものということです。ということで、現時点でも入念に行われている検査体制で発見できなかったわけですから、検査体制の見直しは避けられません。

既にJR東海は従来台車枠では行っていなかった超音波探傷(非破壊検査)を検討すると発表しました。わずかの傷でも重大事故につながる車軸では行われていたものの、台車枠ではそこまでは必要ないということで、通常は目視検査で済ませていたようです。それでこれまで特段のトラブルはなかったわけで、このこと自体は問題ではないんですが、逆にめったに見られない台車枠の亀裂を見る機会そのものが少ないと、特に若い検査員は育たないというジレンマもあります。

この辺日産の完成検査問題で若手の見習い工にわざと不具合を仕込んだ個体を検査させて発見できれば一人統制前といった現場ルールを思い起こさせますが、上記記事で「航空機は故障率が高いので、ダイヤ統制部門は整備士の意見を最重視する」そうですが、元々過大な安全マージンを取っている鉄道の場合、指令員の判断も運行継続に傾きやすいということもあるでしょう。加えて岡山で添乗したJR西日本社員と東京指令所のJR東海の指令員という会社跨りの問題もあるわけで、実際新大阪で引継ぎを受けて添乗したJR東海社員の判断で名古屋で運行を打ち切ったわけで、流れでJR西日本の不始末のように見えてしまったということも指摘すべきでしょう。

似たような問題は東急田園都市線で東武鉄道の車両トラブルで架線事故が発生したってのもありました。こちらは新幹線のように車両の仕様が統一されているわけではありませんから、より問題が複雑です。

加えてもっと気になるのが上記記事でも指摘されている溶接後の熱処理が適切に行われているのかという問題と、記事ではあえて触れられておりませんが、神戸製鋼の品質データ改ざん問題で明るみに出た鋼材の品質問題の可能性も視野に入れておく必要があります。特に両者の合わせ技で、あるはずの過大な安全マージンがほとんどなかったってこともあり得ます。実際台車枠に亀裂が絡むこんな事故がありました。

東武東上線「脱線事故」は、なぜ起きたのか | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
東武東上線中板橋付近での脱線事故で、30年選手の10000系初期車の事故ですが、台車の亀裂が確認されてます。尤もこの事故では亀裂が事故原因なのか脱線の結果台車に亀裂が生じたのかは不明ですが、鉄道特有の過大な安全マージンが、検査の形骸化を生んでいた可能性もあるわけで、今回の新幹線事故との比較は必要でしょう。

また神戸製鋼の品質データ改ざん問題に代表される素材メーカーの不祥事も、商慣習として定着しJIS法でも認められている特採が言い訳に使われたように、要求品質自体が安全マージンを過大に見積もっていた可能性もあります。ってことで、台車枠の鋼材で勝手特採やられて且つ溶接後の熱処理が不適切だと、結果的に要求性能は大幅に低下します。何が言いたいかというと、川下の素材メーカーから中間の加工メーカーを経て組み立てメーカーへ納入される一連の中で、各社が独自にコスト削減には減むと会社単位での部分最適が追及されて全体最適を失う合成の誤謬が発生する可能性を否定できないってことです。

これユーザーである鉄道事業者自身も技術革新と品質の向上で検査周期の延長を当局に求めているわけですが、川下側の劣化を見過ごして延長が認可されれば、日本の鉄道が自慢とする安全が砂上の楼閣になる危険性があるわけです。この辺自動車の完成検査問題もそうですけど、規制当局である国土交通省がそこまで目利きできるのかということでもあります。規制改革の難しさは実に奥深いところです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, November 26, 2017

グローバルプリズン

久々の更新。単にサボってただけなんだけど^_^;。

かつて新車を買うと「暫くは慣らし運転を」と販売店で言われたもんです。工作精度と品質管理の兼ね合いで、新車は摺動部がなじんでなくて、摩耗で鉄粉が出るから、早めにエンジンオイルを交換しなきゃならなかったし、下手に吹かし込むと瑕になるとかありました。今は工作精度も高まり、品質管理も高度化してるんで、買ったばかりの新車だからって、敢えて慣らし運転は必要なくなりました。そんな時代の古臭い制度が自動車メーカーの地雷になったのはニュースになりました。

日産の不正検査、「コスト優先」で拡大 報告書で監督責任を指摘  :日本経済新聞
これ法令違反には違いありませんが、国家資格でない社内資格の有資格者による完成検査ってことで、会社によって資格付与条件が異なっており、実態は各社とも完成検査は見習工の仕事というのが実態ですが、日産とスバルの資格付与条件が厳しすぎたってことです。

検査の実態は道路運送法で定められた車検の初回分に相当します。1950年に始まった制度で、完成車を都度車検場に持ち込むのは煩雑で、国産メーカーが量産体制を整える中車検場側の業務負担も大きいということで、国産車の量産体制を助ける趣旨ですが、当時は確かに公道上に出す前の水際検査の面もありましたが、上記のように製造工程の工作精度の向上と品質管理の厳格化で比重が低下しており、むしろ検査マニュアルの習熟と瑕疵を発見する目利きのテストの意味もあり、見習工の仕事へと変化しました。こうなると有資格者の位置づけが曖昧になります。

本来は見直されるべき制度ですが、輸入車にも適用されるため、外国メーカーが日本国内で車を売る場合、国内に検査体制を組む必要があり、コストアップ要因になります。つまり非関税障壁になっている訳です。故に見直しが進まず形骸化した制度が残ったわけです。実際日産もスバルも出荷停止は国内向けのみで、輸出は通常通り出荷が続いています。形骸化を放置した結果、寧ろ国内メーカーにとってもコスト要因となり、コスト削減圧力で現場のカイゼンの結果、地雷を踏んじゃった訳です。アホ―!

やれ構造改革特区だ岩盤規制にドリルで穴だのと宣うより、こうした時代に適合しない制度や規制の見直しこそが構造改革の本丸の筈ですが、安倍政権が打ち出す改革では全く取り上げられません。構造改革特区は結果的に加計学園問題に見られるように、単なる権力の私物化の方便でしたありませんし、TPPもアメリカが抜けてアメリカ絡みの譲歩項目を凍結したTPP11の協議が進みますが、アメリカを呼び戻したい日本と、NAFTAでアメリカと対峙するカナダとメキシコでは温度差があり「大筋合意」の見出しが躍るけれど、実態は合意しきれないまま手続きを進めただけです。

これ日欧EPAでも「大枠合意」とされますが、こちらはBrexitのおかげで交渉は進捗したものの、紛争解決でTPPに準じてISDS条項を押し込もうとする日本に対して、専門機関設置を主張するEUの溝は埋まる気配はありません。ドイツの政局流動化もあり、まとまらない可能性大ですね。

そもそもメガFTAは問題ありで。以前にも取り上げた通り、狙いは外圧を国内改革の梃子にしようということでして、本当に改革したいなら、日本では農業部門に高関税品目が集中しているわけですから、メガFTAに頼るまでもなく国内の農業改革の進捗に合わせて関税率を下げていけば良いだけの話ですが、コメのように関税率を維持するために輸入義務となるミニマムアクセスを増やすということをしていて、まるで改革の意思なしです。むしろメガFTAを口実に新たな農業補助金をバラ撒く始末で改革やる気なしが鮮明です。

結局アベノミクスの実態は日銀の異次元緩和(QQE)が全てであり、第二の矢とされる公共事業による財政出動も、災害復興とオリンピック関連と大都市圏の再開発のバッティングで人手不足が深刻化しており、予算執行自体が滞っている現状です。人手不足を前提にすれば、災害復興を優先すべきなのは言うまでもありません。で関連してこのニュース。

東急田園都市線停電、送電線がショート 点検見直しも  :日本経済新聞
東急に限らないんですが、最近首都圏の鉄道で電気系統のトラブルが多発しております。これ電気技術者の人材難の影響と見られております。元々1列車3,000Aもの大電流を扱う電気設備のメンテナンスは大変ですが、電気技師資格者にとっては、公共工事その他鉄道より割りの良い仕事が多数ある現状で、下請けの電設会社が人集めに苦労していて、不慣れな技術者も使わざるを得ないわけです。

そんな現状を日銀は「人手不足で賃上げが現実味を帯びてきた。インフレ目標達成まであと一息」とかノー天気。電気技術者は育成に10年はかかるんで、労働市場の実態を無視した脳内フローラにやれやれです。そもそもは賃金上昇の結果としてのインフレはありますが、インフレが賃金上昇をもたらすってのは因果が逆です。高度成長期を含めて賃金上昇を起点にインフレで名目賃金上昇率の一部が相殺されて、結果的に労働分配率が低下するってのが景気循環上の好景気の連鎖なんですが、デフレ状況で労働分配率が低下しているわけですから、このこと自体が異常事態です。もう少し言うと、大企業に限って労働分配率は顕著な低下傾向を見せておりますが、人手不足の現場である中小零細企業では労働分配率が高止まりしていて、これ以上打つ手無しが実態です。鉄道の現場トラブルもそのあおりかも。

ですが日銀は緩和の出口に関して口を閉ざしたままです。米FRBは既に利上げに動き、欧州ECBも緩和の出口を模索し始めた中で、日銀だけが取り残されている構図です。この状態でリーマン級の経済ショックがあれば、最も深刻なダメージを受けるのが、追加緩和の余地がない日本です。日本だけが「囚人のジレンマ」に囚われてる?

この辺微妙な問題も含んでまして、FRBやECBが緩和解除に動くのは金融政策の正常化で次のリセッションの備える意味の外に、日本のQQEのお陰で、緩和縮小に動いても流動性は維持されて市場が動揺しないという読みもあります。特に新興国からの資金流出に日本がアンカーとなって歯止めが効くという読みがあります。つまり新興国からの批判も回避できるということです。

で、日本ですが、大都市圏の地価上昇、特に近畿圏の一部で首都圏を上回る上昇が見られるなど、明らかにおかしな動きはありますが、大阪や京都などインバウンドの恩恵を得ている現状からすると、最早日本は製造業よりも観光業などサービス業へのシフトが後戻りできないところまできたってことでしょう。そうなると製造設備増強で労働生産性を高められる製造業から、構造的に労働生産性の低いサービス業へのシフトでますます成長力が低下した結果とも言えます。バブルを起こすにも成長力が必要なんで、実は低金利は日銀の政策だけの問題にとどまらず、日本の稼ぐ力の低下を反映しているだけとも言えます。それを象徴するようなこんなニュース。

中国人専用 白タク横行 訪日客送迎 ネットで集客・支払い 摘発難しく :日本経済新聞
中国人による中国人向けのライドシェアサービスってことですが、中国の企業が提供するサービスに日本在住の中国人ドライバーが登録していて、取引はweb上で完結するため、摘発どころか実態もつかめていないわけです。これ民泊も同様ですが、中国人オーナーのマンションで中国人が民泊サービスを受けるのも普通のことのようで、ライドシェアや民泊を認める認めないの議論をよそに実態が先行しているわけです。もちろんだから早く認めろって議論は乱暴ですが、政権がまともな改革に取り組まない限り、日本はただ取り残されるだけです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, June 04, 2017

ハケンからシュケンへ

トランプ大統領のパリ協定離脱が波紋を呼んでいます。

パリ協定離脱を正式表明「米国に不利益」  :日本経済新聞
離脱といっても手続き上は4年間は離脱できない仕組みですが、パリ協定自体が参加国が自主目標を持ち寄って相互検証などの国際ルールを決めるっていうユルユルな枠組みですから、実質的にはオバマ大統領時代に約束した緑の気候基金への30億ドル拠出の中止と国際会議への不参加ってことで、TPPと違ってパリ協定自体が漂流することはなさそうです。

この辺過去エントリーで繰り返し述べてきたことですが、トランプ大統領の政策は、ザックリ言えばアメリカが覇権国家から降りて強い主権国家になるというコンテクストの話であって、この観点から見れば、何の意外性もないニュースです。資金の拠出や国際会議への参加などの法的義務は負わないということですね。加えて大統領選当時から反オバマ政権の主張を繰り返して当選したわけですから、オバマ大統領のレガシーの否定に意図的に舵を切ったという意味でもあります。どのみち予想されたことです。

ただ日本にとってはちょっと痛いところがあります。京都議定書でも子ブッシュ大統領の離脱があって、危機感を抱いた欧州が、それまでとかく対立しがちだった日本に譲歩して森林のCO2吸収を認め、森林認証の仕組みなどを決めたことです。ある意味日本は漁夫の利を得て実際2008-2013年の実績でマイナス6%の目標を達成しています。それでもポスト京都の枠組みが決まらず期間延長が濃厚になると、震災による原発停止を口実に離脱した訳で、その結果ロシアなどの追随もあり、欧州主導で機能していた排出権売買市場を枯らしてしまうなどして不信を買いました。

パリ協定でも米中両国の積極姿勢と裏腹に様子見を決め込んで出遅れた上に、今回の米離脱宣言で、石炭火力と原子力に頼る日本のエネルギー政策をアメリカが援護射撃する構図は見込めなくなりました。加えて今回はBrexitの影響で揺れる欧州で、ドイツのメルケル首相が敢えて米英を頼れないという発言でEUの求心力を高める意図を明らかにしております。中国インドその他途上国も含めた枠組みですから、仮に日本が抜けても大勢に影響なし。日本のプレゼンスは下がりっぱなしです。

アメリカにしてみればシェール革命で資源国の側面が強くなっており、自国第一で考えれば敢えて国際協調は必要ないって点も見逃せません。トランプ流最強の主権国家の枠組みってことですね。シリアや北朝鮮の問題も、シリアにトマホークを打ち込んだのは直積反撃する能力がないからで、北朝鮮への圧力も意図してはいますが、反撃能力があるかもしれない、少なくともそれを目指してミサイル開発を続ける北朝鮮への直接攻撃は避けたわけです。トランプ大統領自身「同盟国への重大な脅威」とコメントし、対北朝鮮では戦争当時国なのに当事者意識は皆無。寧ろ日本政府が焚きつけた面もあります。

中東でも似た構図があって、G7へ向かう中で立ち寄った中東ではサウジアラビアと急接近して反イランの立場を鮮明にしています。おそらく米国内のシェール産業との協調がこれから始まるでしょう。技術革新でコスト競争力をつけたシェールオイルですが、ここへきて米国内の雇用がタイトになってコストアップに転じてきているので、原油価格上昇を狙ってOPECとの協調はリアルに可能性があります。その文脈で言えばロシアとの和解は既定路線ってことになりますが。自由貿易を標榜してきたアメリカが石油カルテルに参加って、時代は変わったな。アメリカが消費国から資源国へシフトってことは、消費国である日本のアメリカ追随は国益的にはマイナスです。

そんな四面楚歌の中、国内では森加計問題がくすぶっています。世界史的な地政学的大変動期にあって、日本政府の絶望的な頭の悪さには眩暈がします。てなわけで、この話題。

「今回はプロセスに問題」 前川前次官インタビュー  :日本経済新聞
規制緩和は結構なんですが、意思決定のプロセスの透明性が問題です。前川氏が言うように、獣医学科の新設を必要とする農水省のデータは示されず、首相案件として進められた実態が語られてます。そもそも獣医学科は設置校でも定員60名が最大で、全国合計でも1,000名程度のところに、160名定員の獣医学科新設の申請ですから、需要面の根拠が示されないままの申請はあり得ません。

これ法の支配を標榜して法曹人口を増やすという名目で始まった法科大学院と構図が似ています。結果どうなったかと言えば、法科大学院新設の申請が殺到し、実際始まってみれば力量のある教員の確保がままならず、対応する新司法試験で合格率が低迷し、合格ラインを下げるという議論に対して各地の弁護士会から反丹が相次ぎました。そりゃそうです。数を充足させるために質を担保しないというのは本末転倒です。結局華々しくスタートした法科大学院も学生が集まらず廃止が相次ぐ事態となりました。

その意味でj地場で畜産が盛んなわけでもない今治に160名定員の獣医学科設置は普通に考えて無理です。大学誘致を望んでいる今治市にしても、卒業生が地元に留まらない学科の新設は定住人口の増加にもつながりません。加えて獣医師は医師のように大病院の勤務医でとりあえず実務に就けるわけでもなく、個人で開業もハードルが高いなど、受け皿もない。一応輸出競争力のある畜産のためというお題目のようですが、実際日本では畜産業は廃業オンパレードで規模の縮小が続いている状況で、関税の縮小撤廃で劣勢にあるのが現実です。少なくとも獣医師が足りないから輸出競争力が高まらないってのは、論理的につながらないですよね。

また特区制度の問題もいろいろあるんですが、元々小泉政権で始まった構造改革特区の精度は、地域の特徴を引き出して地方の自立を促す意味で、全国一律の規制が邪魔になるなら、地域限定で規制緩和しましょうという制度で、狙いとしては地域限定の一国二制度状況を作って規制改革につなげようということだったようですが、そのための検証を厳格に行えば、規制が原因で成長できないという事例はさほど多くないので、結局規制改革につながる事例は殆どないのが現実です。

てことで、政府主導でトップダウンの形で進める国家戦略特区制度が第2次安倍政権で始まったんですが、実は加計学園の獣医学科新設問題は構造改革特区時代に何度も申請され、検討段階で却下が続いた案件でした。それが安倍政権になって急転直下前進したわけですから、これを正当とするなら、よほど納得感のある説明が必要ですが、政府からはむしろ内部通報者となった前川前文科省次官の個人攻撃を公然とやってます。文科省天下り斡旋問題での引責辞任だったこともあり、私怨による仕返しと取ったようです。

また出会い系バー通いが読売新聞と週刊新潮で報道されましたが、前川氏に助けられたという女性の証言が週刊文集に載るなどしています。読売や新潮の報道はおそらく官邸のリークでしょうけど、それを裏も取らずに貴人してしまうメディアの無節操ぶりに呆れます。加えて個人的なことが報道される怖さというか、官僚の弱みを握るための身体検査の結果でしょうけど、共謀罪が成立すれば対象は一般国民に拡大します。頭悪い癖に悪知恵だけは長けているわけです。

規制と経済成長との関係は単純ではないってのは度々取り上げておりますが、こんな過去エントリーが参考になります。

特区の昔の24時間
百鬼夜行の公共性
ミザリーハロウイン
これ政府の規制改革会議で公共交通の終夜運行が提案され、それを受けて当時の猪瀬都知事が渋谷駅―六本木間で終夜運行を開始したものの、都知事選のときに徳洲会から5,000億円の資金供与を受けて政治資金収支報告主へ記載しなかったという疑惑で辞任し、後任の舛添都知事によって都営バスの終夜運行が止められました。公選の行政長が前任者を否定したがるのはトランプ大統領と共通です。

皮肉なことに運行最終日はハロウインで仮装した一般客が殺到して時ならぬ混雑になりました。これつまりスタートは政府の規制改革会議だったわけですが、別に日本の法律で終夜運行は規制されているわけではなく、単純に収支に合うだけの需要がなかったってのが結論です。もちろん多少の赤字ならアジェンダ実現のためのコストと割り切ることは可能ですが、その際に問われる公共性の説明ができていなかったから、都知事の交代であっさり葬り去られたわけです。

この辺既視感ありますが、例えば川崎市の市営地下鉄構想と、それに連動した京急大師線の地下化が市長の交代でとん挫したのですが、旧いすゞ自動車工場跡地を中心に先端産業集積地として再開発が進む殿町プロジェクトとの関連で、産業道路の踏切解消のために末端区間だけの地下化工事が進捗してます。加えて一旦沙汰止みになった羽田空港神奈川口計画の橋建設工事が始まっていて、環八から国際線ターミナルへの分岐付近に接着する予定ですが、アジェンダが曖昧なために時間を浪費した事例です。宇都宮市のLRT計画にも同じ匂いがするのは気のせいかな?

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Saturday, May 06, 2017

こどもの日本

北朝鮮のミサイル発射で始まった今年のゴールデンウイークですが、東京メトロの運行見合わせが議論を呼んでいます。報道によれば北朝鮮情勢の緊迫化で4月中旬にミサイル発射の情報があった場合に運行を止めると決めたばかりで、当日テレビニュースを受けて全列車に最寄り駅で運行停止を指令し、その後着弾の事実がないということで運行再開し10分ほどの運行停止でした。そのほかメトロからの連絡で東武鉄道も同様に運行停止したほか、JR西日本が北陸新幹線で一部列車を止めたものの、JR東日本やJR東海は特段の対応はとらなかったということで判断が分かれました。

結果的に過剰反応だったわけで、東京メトロでは、以後Jアラート受信の場合のみの対応とすることを決めています。東京メトロにしてみれば、ミサイル着弾で地上の人が地下鉄駅へ避難すればパニックもあって危険ということで危険回避のためではあるのですが、テレビニュースでの判断は早計だったことを認めた形です。それ以前に冷戦時代に核戦争を想定して地下深くにトンネルを掘り、広い地下空間を確保している東側諸国の地下鉄と日本の地下鉄や地下街とは設計思想が別物なんで、ミサイル飛んできたら地下へ逃げろとか危機感を煽った日本政府が悪いんですけどね。

余談ですが2回続けての北朝鮮のミサイル発射失敗には、2通りの解釈がありまして、1つはアメリカの情報当局が既に北朝鮮のミサイルシステムにマルウエアを仕込んで遠隔操作で失敗させたというもので、もう1つは韓国配備のTHAADなどのミサイル迎撃システムの穴探しのために北朝鮮側がわざと失敗させたというもの。いずれにしても直接日本を狙ったものではないわけで、日本政府の過剰反応は異常です。THAADに関してはコスト負担を巡って米韓で摩擦がある一方、中国を刺激して対韓経済制裁で韓国経済を圧迫していることもあり、北朝鮮を刺激するアメリカに物言える大統領をということで、革新派の文氏支持が拡大している状況で、日本より遥かに冷静です。

別に東京メトロの肩を持つ気はありませんが、首都圏という人口ボリュームゾーンの事業者故の判断という意味では、混乱回避のバイアスはやむを得ないところかもしれません。何しろ東京の満員電車は世界的に知られていて訪日外国人の体験乗車で混雑は飛んで来る状況なんですから^_^;。

5月1日にはJR東日本の豪華クルーズ列車トランスイート四季島の一番列車が上野駅13番線から出発しましたが、13番線は乗客と報道関係者以外は立ち入り禁止で所謂撮り鉄がネットで不満を言えば撮り鉄が悪いの大合唱。クルーズ列車自体はJR九州のななつぼしの成功でJR東日本とJR西日本が追随したとされますが、JR東日本は定期運行を廃止したカシオペアによるツアーや寝台特急あけぼののリバイバル運行などである程度実績があります。

またこの手のクルーズ列車運行はななつぼしもそうですけど。自社沿線の観光活性化が一番の狙いで、観光業の活性化策として富裕層の掘り起こしによるシャワー効果というのはセオリー通りではあります。大人の富裕層がリピーターとなることで一般客が憧れるという構図です。その意味で憧れを拡散するギャラリーの存在は重要なんですが、九州フランチャイズのななつぼしと違って人口ボリュームゾーンの首都圏では、ギャラリーの数が多すぎるから規制せざるを得ないというわけで、クルーズ列車のビジネスモデルはJR東日本にとって最適解だったのだろうかという疑問もあります。例えば若桜鉄道のSL運行のように、過疎地のローカル線で撮り鉄向けのお立ち台を有料提供するアイデアは、首都圏を抱えるJR東日本では難しいわけで、鉄道事業者は立地条件を選べない以上、所与の立地条件の中でビジネスを最適化させるしかないということは言えます。

とはいえ鉄道屋にとっては豪華クルーズ列車ってのは夢でもあるでしょう。トランスイート四季島は10連のEDCで交直流しかも青函区間のAC25kv対応プラス非電化区間用に発電用ディーゼルエンジンまで搭載し、保安装置もATS-P、ATS-Sn、青函ATCまで搭載している一方、寝台やヒノキ風呂などの車内設備も乗っかるわけですから、E5系より重い軸重16tという代物で、一点ものの豪華クルーズトレインでなければあり得ないスペックでもあります。この辺ローカル線向けのリゾートトレインがハイブリッド化されてその技術が仙石東北ラインのHB-E210系に活かされるといったことにはならないわけで、ある意味採算度外視だからできるチャレンジでもあります。JR東日本の規模から言えば許容範囲の道楽という側面も。

その意味ではJR東日本のレゾンデートルと言える次世代通勤車のE235系がやっと量産開始となりましたが、ここに至るまでトラブル続きで、慎重なテストランを繰り返してやっと量産にこぎつけたわけですが、JR東日本のコアコンピタンスとしての大量輸送だからこそ、小さなトラブルも潰しておく必要があります。四季島のような道楽は許されないわけですね。E235系のトラブルも、物見高い首都圏の鉄ちゃんがダメ出ししたとも言えますが^_^;。

てなわけで、生産年齢人口の減少が止まらない日本ですが、だからといって少子化対策ってのは短絡的です。なぜならば万が一出生率が上がって子どもが増えても、労働力化するには凡そ20年のタイムラグがあり、従属人口が増えて現役世代の負担を増すだけだからです。そのせいか急激に教育無償化の機運が高まっているようで、憲法の議論にも飛び火しています。

憲法施行から70年(4)維新、教育テコに首相に加勢 自民と水面下で連携着々 :日本経済新聞
そもそも憲法で教育無償化は禁止事項ではありませんから、憲法改正は無意味です。実際民主党政権で高校無償化は実現しましたが、第2次安倍政権で廃止されました。制約条件は憲法より財源なんですが、財源については建設国債に準じた教育国債の発行が言われておりますが、これ教育を受けた世代が現役世代になってから返済するって意味ですから、現在の現役世代の負担を将来世代にトバすだけの意味しかありません。

一部で相続税の強化も言われてますが、既に民主党政権で強化された結果、大都市圏の親の住宅が評価額から相続税対象となり、改正前はほぼ富裕層限定だった相続税が実質庶民税になった現実がありますが、これがさらに課税強化されれば、遺産相続そのものがほぼ不可能になる一方、富裕層は法人登記して会社を作って資産を委譲し、代表者を世襲することで負担を逃れることができます。結局庶民を食い物にするだけです。政治資金も相続税の対象外ですから、政治家の懐も痛みません。

加えて小泉進次郎議員を中心に自民党若手で議論されている子ども保険ですが、介護保険同様の社会保険制度を作って年金受給者を含む国民全員で広く薄く負担ということですが、待ってほしい。扶養控除の廃止で財源をねん出してスタートした子ども手当が、民主から自公への政権移行のドサクサで減額された上に所得制限付きの児童手当となり、これだけでも実質増税ですが、それに加えて保険料負担ですから、上乗せの増税負担でしかありません。結局負担は国民付け回す子ども騙しです。寧ろ逆進性のある社会保険料負担の緩和のために給付付き税額控除の導入の方が現役世代の負担緩和には効果的です。

安倍政権はこの手のレトリックを多用してあからさまに国民を騙そうとしているわけですが、騙しの手口は経済でも同様です。

日本経済、5期連続プラス成長へ アジア輸出けん引  :日本経済新聞
これ2015年度末の今年1-3月期からGDPの推計方法が変更されて、従来費用に計上されていた研究開発費を投資に計上するようになり、統計の連続性を担保するために遡って数値が改訂されたんですが、その結果改定前はゼロ前後でデコボコだったGDPの数値が、趨勢的に増え続けている研究開発費が乗っかって書き換えられた結果、数値上は5期連続のプラス成長になったわけで、経済実態は変わっていません。経済専門紙である日経は百も承知でこんな記事を載せるんですから、確信犯の政権広報紙ですね。てことで、こどもの日に思う、大人になろうぜ。

p.s.教育無償化の憲法改正はひょっとしたら教育への政治介入の口実になると考えているかもしれません。つまり日本全国みんな森友学園とか。とすれば森友問題をいい加減に終わらせるとまずいですね。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, April 02, 2017

JR30周年で国鉄は遠く

JR30周年となったわけですが、つまり国鉄を知らない世代が既に社会人になっているというわけで、そもそも国鉄改革とは何だったのかを知らない人が増えているということでもあります。しかもその30年はスタートがバブル期に重なって好調だった一方、バブル崩壊後の経済停滞で社会はすっかり様変わりしておりますが、上場を果たした本州3社とJR九州に対して、JR北海道は存続の危機とも言える状況に直面しており、JR四国も時間の問題という現状です。

その一方でJR貨物の黒字化で上場が視野に入るという、なんともわかりにくい状況ですが、JR発足以後の日本経済の激変を考えれば、これまでの30年の延長上に未来は描けないのはある意味自明です。加えて言えばバブル期以降の日本を特徴づけるのは低金利ってことです。これ上場して資金調達力を増した本州3社にとっては追い風の一方、経営安定基金の運用益で赤字穴埋めという枠組みの三島会社にとっては逆風になるわけで、その中でJR九州だけが上場にこぎつけた最大の理由は、JR発足後に完成し引き渡された青函トンネルと瀬戸大橋を抱えるJR北海道とJR四国に対して、追加的な負債が発生しなかったってこともあります。

リース料負担のある整備新幹線としての九州新幹線も、経営安定基金取り崩しで一括支払いしており、短期的な負担が北海道や四国より軽いことが指摘できます。ただし長崎ルートは需要面からもお荷物になる可能性があります。加えて経営安定基金の残りで上場前の減損処理で資産圧縮してますから、今後の鉄道事業の設備投資の原資は細くなっており、人口減少でJR北海道と同じ問題はJR九州でも起こり得ます。

本州3社についてもそれぞれリスクを抱えています。業績好調でリニア建設に入れ込むJR東海は、そのリニアがリスク要因です。過去にも何度の指摘しておりますが、リニア単体では赤字の投資であり、しかも人口減少で人手不足が顕在化する中で、労働需給による事業費の上振れは避けられないところですし、加えて南アルプスを青函トンネルより長い長大トンネルで抜ける難工事です。トンネル工事で地下水脈にぶち当たれば国鉄時代の上越新幹線中山トンネルや福岡市営地下鉄七隈線のような水没事故も起こりかねません。

JR東日本や西日本にとっても人口減少による地方線区の維持の困難さは今後も拡大するでしょう。JR東日本では仙石線や常磐線のほか、水害で橋梁が流された只見線や土砂崩れの山田線など災害復旧で課題を抱えています。JR東海の名松線の復旧とJR可部線の廃止区間の一部復活などはありますが、前者は三重県と津市の治山治水事業の進捗に合わせての復活ですし、後者は市街化が進んでいたものの、廃止時点で非電化だったために、電化工事までして残す選択肢は事実上なかったわけで、住民運動が広島市を動かし、それに呼応して鉄道用地の原状回復や売却を留まったJR西日本の間で建設的な対話が実現したことによります。その意味で窮地に立つJR北海道に対する道庁や関連自治体の対応はちょっと残念です。

それでもJR北海道に関しては、JR九州が先鞭をつけた経営安定9基金取り崩しという奥の手は残っています。ただし使途は重要で、要員不足で保守が困難な状況を脱するには、省力化投資が欠かせませんが、JR北海道の経営力強化の意味で、現状の鉄路をそっくり残すことはあきらめるしかないでしょう。具体的には保守負担の大きいディーゼル車を減らすための電化と、保守負担を減らすための軌道強化などですが、JR北海道が自前で残す区間に限定すべきでしょう。そうすれば経営安定基金を取り崩しても償却資産が増える分、キャッシュフローの改善につながりますから、JR九州の新幹線リース料一括支払いより筋の良い取り崩し方になります。JR九州で認めた以上認めないわけにはいきますまい。とすれば石勝線・根室本線の南千歳―帯広間が電化されて、保守が容易な電気車両への置き換えが進むことになります。そしてこの手は将来JR四国の経営が行き詰ったときにも使える手でもあります。

で、残りの区間に関しては自治体出資で線路保有を肩代わりするか、受け皿三セクへの譲渡とするか、あるいは地元バス事業者を巻き込んだバス転換かといった対策を路線や区間毎に自治体と話し合って決めていくしかないでしょう。受け皿三セクに関しては、輸送量次第で肥薩オレンジ鉄道のようにJR貨物の出資もあり得ます。宗谷本線に関してはロシア政府が興味を持つかもwwwww。いずれにしても自治体の対応次第です。名松線も可部線も自治体が動いて復活を果たしたわけですから。逆に自治体との協議を重ね社会実験までして廃止止む無しとなった三江線の例も珍しいものとは言えなくなるでしょう。

ま、いずれにしても人口減少の影響は今は好調な本州3社も安泰ではないわけで、北陸新幹線に入れ込むJR西日本は正直大丈夫か?とも思います。この点は」JR東日本が絡む整備新幹線計画がほぼ完成し、JR東日本のとっては成長分野となったのとは異なります。元々JR東日本も整備新幹線区間単体よりも、既存区間である根本部分の需要増が狙いだったわけで、わざわざ線路を曲げてまで小浜、京田辺経由で新幹線を作るのは意味不明です。加えてJR西日本には新たなリスクの種も。

なにわ筋線30年開通 JR・南海運行、新駅以北は阪急交え協議  :日本経済新聞
なにわ筋線に関しては、大阪維新の目玉政策としての関西空港重視の文脈で、関西財界も乗り気なようですが、今回は阪急も事業参加を申し出て、よくわからない状況になっております。

元々阪急はなにわ筋連絡線構想として十三―梅田北新駅間の路線構想を持っておりましたし、古くから新大阪連絡線として淡路―新大阪―十三間と新大阪―神崎川間の免許を取得し、新大阪駅隣接地に駅用地としてとちをしゅとくしていて、高速バスターミナルや路線バス操車場として使ってたわけですが、紆余曲折を経て十三―新大阪間を除いて免許失効しており、十三―新大阪間も、四つ橋線の十三延伸線と相互直通が計画されていましたが、大阪市営地下鉄の民営化が決まって民営化後に負担となる追加投資が頓挫したことが影響しているようです。てことで大阪部、。大阪市、JR西日本、南海電気鉄道に加えて阪急電鉄も加わる五者協議が始まるそうですが、元々JRと南海の呉越同舟に加えて唯我独尊の阪急が加わるとなると、協議がすんなり進むとは考えにくいところです。

なにわ筋線に関しては、中之島で連絡する京阪電気鉄道も期待しているようです。肝心の大阪維新ですが森友学園問題でもちぐはぐな対応が見られますし、四つ橋線延伸計画を反故にするなど本気度には疑問符が付きます。とはいえJR西日本の単独事業とするには投資額が大きいわけで、新幹線のみならず、コアコンピタンスと見做せる関西アーバンネットワークでの私鉄との相乗りは、JR西日本の難しい立ち位置を示しているとも言えます。

てことで、めでたいようなめでたくないようなJR30周年ではあります。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, December 25, 2016

死ななきゃ治らないナントカ

クリスマスです。ハロウインのときのエントリーで指摘したように、日ロ首脳会談での領土交渉の進展はありませんでした。これロシア側からのサインが出てましたが、予備交渉の過程で引き渡し後の領土に米軍基地が置かれる可能性を問われて有り得るとした返答で態度を硬化したとされますが、ソビエト時代から言われていたことの確認に過ぎませんし、沖縄の普天間基地の移転先の辺野古の反対運動や北部訓練場変換に関連した高江ヘリパッドの建設強行に対する反対運動に対して、日本政府が強行している姿勢を見て、日本への主権の引き渡しは無理と判断されたというのが実際のところです。日ロ関係は日米関係に規定されるのが現実です。

加えて言えば択捉島へのミサイル配備問題ですが、これ地対艦ミサイルってところがミソです。つまり標的はあくまでもオホーツク海での外国軍用船の軍事行動をけん制するためで、ロシアの核戦略と関連します。ロシアは保有する核弾頭の数を保持しつつSLBMへの転換を発表しております。オホーツク海にはSLBM搭載原潜を潜ませており、その太平洋側の出口ということですね。これがあるからシリアでのロシア軍の軍事行動に対してアメリカも文句を言えないわけで、核抑止力を効かせながら局地戦を睨んだロシア軍の部隊編成の小規模化とも連動します。そして支援を得たシリア政府軍による反政府勢力の制圧は時間の問題というところまで来ています。正邪の判断を横に置けば、ロシア軍改革は大成功といえます。

あと鉄ちゃん的蛇足ですが、津軽海峡を国際海峡とするためにここだけ領海3カイリに設定しているのは津軽海峡を潜航航行するソビエトの核搭載原潜の通過を現実的に阻止できないことから便宜的にそうしているわけで、現在もロシア原潜の日本海から東シナ海への航路として機能させることが、海洋進出を進める中国へのけん制になるので、維持されています。青函トンネルは日本の鉄道で唯一施政権外エリアを通過する存在としての意味があるわけですが、有事の輸送路となるインフラのメンテナンスを経営不振なJR北海道へ丸投げってのも危ういところです。

こういうことが頭に入っていれば、今回の日ロ交渉で領土問題が1ミリも動かないのは自明というわけです。期待をにじませるメディア報道はおそらく官邸からのリークでしょうけど、逆に領土問題の解決困難を国民に印象付けたわけで、結果的に領土抜きの経済連携となりました。クリミア編入を巡る対ロ経済制裁を一部緩和した形ですが、全面解除ではないからロシアから見ても不満の残る結果であり、大盤振る舞いした割には成果の少ないものになりました。

誤解のないように申し上げますが、私自身はそれでも極東やシベリアの開発を巡る日ロの連携はやるべきだという立場です。できれば日ロ間のガスパイプラインや電力連携線の整備は、日本のエネルギー政策に革新をもたらします。是非やるべきです。むしろ今回のことで領土領土とうるさいめんどくさいウヨどもを黙らせることができれば成果あったと言えます。あれ、安倍政権褒めてるwwwwwww。

一方混迷を深める南スーダンを巡って異変が。

南スーダンへの武器禁輸決議案、安保理で否決  :日本経済新聞
南スーダン情勢の緊迫化で大量虐殺の可能性ありとする武器禁輸の安保理決議で中ロと共に日本が棄権に回り、8ヶ国の棄権で必要な得票数に届かず否決されました。アメリカからは棄権しないよう働きかけがあったにも関わらずですから、アメリカからは非難されてます。日本政府の言い分は武器禁輸で南スーダン政府を刺激する方が危険というロジックですが、自衛隊をPKO派遣しているからということですね。

しかしそもそもPKO法では戦闘地域への派遣は禁止事項ですし、現地情勢次第で撤退を決断しなければならない局面なのに、国連が派遣する文民を警護するという変な理屈で所謂駆け付け警護(意味不明な用語ですが)を新たな任務とするという逆の対応を取っています。同じくPKO部隊を派遣する中国に対するライバル心からか、既成事実の積み上げか意図は不明ですが、現地で起きているのは石油利権のイスラム勢力との分離を狙ってアメリカが後押しした謂わば傀儡政権の南スーダン政府の暴走の結果であり、アメリカの尻拭いを中国と共同で日本の自衛隊が担うって構図はどう考えてもおかしいわけで、頭壊れてないか?

この構図は欧米が関与した紛争の多くで見られるもので、ジョージア(グルジア)紛争といいウクライナ紛争といい、親欧米派の裏に米保守派議員やCIAの関与が指摘されてます。またアラブの春に乗じたリビアの反政府勢力への英仏の支援で結果的にカダフィ政権を排除し、シリアでも反政府勢力へのCIAによる支援はもはや公然の秘密で、資金や兵器がダーイシュ(イスラム国)に流れて混乱しているわけです。大量破壊兵器のウソが暴かれたイラク戦争もですが、こういうろくでもないことを繰り返してきた欧米流リベラリズムへの懐疑が、Brexitやトランプ大統領を生んだわけで、大手メディアによる反Brexitや反トランプキャンペーンもこの文脈で見ると読み解けます。加えて欧米諸国のこの手の工作は昨今必ずしもうまくいっていないことも。時代は確実に変わりつつあります。

あと原発関連でいくつかありますが、これを取り上げます。

三菱重工と原燃、アレバに出資で最終調整  :日本経済新聞
福一事故を受けて安全対策の強化が求められて原発事業の採算性が悪化した結果、こういう妙なことが起きます。儲からないからといってやめられない。確かに廃炉や廃棄物処分などでやめられちゃ困るんだけど、コスト面で原発が事業として成り立たなくなってきています。もんじゅの廃炉も決まりましたが、高速炉は廃棄物を減らせる可能性があるということで開発は続けるというのですが、日本が大量のプルトニウムを保有する理由がなくなるという方が大きいのでしょう。もう一つこれ。
東電の原子力事業、再編相手公募へ 経産省有識者会議が提言  :日本経済新聞
f福島の賠償と廃炉で青息吐息の東電と組むメリットはほぼ皆無です。天然ガスなどの燃料調達のために東電と合弁でJERAを設立した中部電力からして東電と組んだことを死ぬほど後悔してるってのに、公募で再編相手が見つかると考える有識者とやらの眠たい議論を続けるのは、東電を破綻処理しなかった結果です。あーうましか。

一方でこんなニュースも。

鉄道が送電会社になる日 電線そのまま活用  :日本経済新聞
実は以前、このエントリーでJRの直流送電網を利用した電力託送事業の可能性を指摘したことがあります。記事はえちぜん鉄道の事例で、沿線の過疎化で収益確保が困難なTローカル私鉄の新たな収益源としての取り組みですが、うまくいけば大手私鉄やJRへ波及することも期待できます。

背景として元々鉄道は負荷変動が大きいがゆえに、電力会社から嫌われ不利な契約条件を余儀なくされているのですが、加えて技術革新で回生ブレーキが常用されるようになり、古い饋電システムではむしろ負荷変動を助長することもあり、固定買い取り制度(FIT)でも鉄道の回生電力は除外されました。そんな中で大手私鉄は変電所にNAS電池やキャパシタなどの蓄電装置を置いて負荷の平準化をしたりしてますが、ローカル私鉄ではそういった設備投資も単独では難しい中で、送電事業で託送料徴収して収益源とすることでクリアしようということです。ささやかなチャレンジですが、直流送電の特徴を生かして直流発電となる太陽光の電力を受け入れるなどして量の確保ができれば、結構使えるビジネスモデルになります。

九電ショックで売り先を失った太陽光発電の受け皿となれば、萎んだ太陽光発電の再活性化の可能性もあります。そして大手やJRにまで波及すればですが、原発の廃炉費用を託送料へ上乗せしようという経産省と電力会社のゴマカシを阻止できる可能性もあります。加えて隠れたメリットも。

電力回生ブレーキでせっかく省エネを実現しても、それを活かせない現在の直流饋電システムですが、例えば3,000Vの高圧直流で饋電してDC-DCコンバータで降圧して架線に供給する直流版AT饋電のようなシステムが可能ならば、変電所の集約と複数の機電区分への電力供給によって、負荷変動自体を平準化するシステムの可能性です。設備の合理化メリットと共に、大電力故に制御が難しくエアーセクション事故のような饋電系トラブルが増えている首都圏のJRにおいて、防止策になるということが期待できるんじゃないかということです。饋電系トラブルの多いJR東日本がチャレンジしてくれないかな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Sunday, November 13, 2016

トランプ・ポリティカル・パートナーシップ

いや米大統領選面白かった。何が面白いって、米大手メディアはほとんどクリントン優勢と伝え、日本のメディアもほとんど追跡取材なしにそれをうのみにした結果、慌てているってところです。日本のメディアコントロール問題はある意味わかりやすく、政治的な圧力に対して忖度して勝手に自主規制するから、その辺が良く見えますが、アメリカは?というと、政権がどうこうよりもより大きなエスタブリッシュメントが黒子として存在しているってことですね。ある意味日本より巧妙ですが、今回その一端が見えたわけです。

具体的にはトランプ氏のトンデモ発言ばかりが露出していたり、特に10年以上前のセクハラスキャンダルをわざわざ掘り起こして報じるなど、最近日本でも目につくネットデマゴーグばりのことをNYTみたいな大手紙が報じるあたりに垣間見えます。加えて民主党議員のセクハラメール事件で押収したパソコンからクリントン氏の公式アカウントから発信された大量の私用メールが見つかってFBIが再捜査に乗り出したのに対して、報道では現れませんが、オバマ大統領二任命されたFBI長官におそらく圧力がかかって立件見送りとなった経緯など、日本みたいな-_-;展開が見られたあたり、ほんとアメリカかい?とさえ思いました。

てなわけですから、報道以上にトランプ氏の支持は広がっていると見てましたし、一方でバイアスのかかったメディア報道もありますから、どちらで決着するにせよ相当な接戦となると見ていたわけです。案の定有権者の得票数では勝っていたクリントン氏に対して、間接選挙の特殊なルールで獲得選挙人数でトランプ氏が勝利したわけです。正確には来月の選挙人投票で決まるわけで、不誠実な選挙人が心変わりするって可能性は皆無ではありませんが、そんな報道が出てくるぐらい不都合なトランプ氏の当選だったってことで、現実的には無いでしょう。

ま、ある意味アメリカ国民の本音が出たわけですが、前代未聞の候補者同士の誹謗中傷合戦の罵り合いも、意図的だったとしたら(私はそう思ってますが)トランプ氏の術中にはまったってことです。日本でも「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉劇場があったぢゃないですか。もう少し遡ればアメリカでもB級ハリウッドスターで泡沫候補と見做されていたロナルド・レーガンが現職のカーター大統領を破って政権の座についたことがあります。このとき政策スタッフとしてシカゴ大学経済学部を中心とする保守派の経済学者が関わって、それまでのケインズ主義的なマクロ経済運営を新自由主義的な方向へシフトしたわけです。トランプ大統領の出現はその意味でエポックメークな出来事となる可能性があります。

一言で言えばパクス・アメリカーナの終焉といいますか、アメリカが唯一の覇権国として国際社会を取り仕切る意思と能力を放棄するってことで、これからはアメリカの国益第一の本音の外交をするぞってことです。ですが、既にオバマ政権下でもシリア内戦への勘よに慎重だったり、南シナ海で中国と握って対立を演出したりしているわけで、外交面では今までとあまり変わらないと見るべきでしょう。TPPに関しても、とりあえず大統領選と同時に行われた議員選挙で共和党が多数派を維持したことから、オバマのレガシー作りに協力する必要はないってことです。トランプ大統領就任後どうなるかはわかりません。

ただし気になるのが、昨年の大筋合意自体が日米両国の強引に決めたことですし、日米間では詰まっている、といっても医療や農業で日本が譲歩した一方、自動車などアメリカの譲歩項目は時間的猶予が与えられるなど非対称なものですが、一方ニュージーランドが提案した乳製品の貿易ルールに関する動議は決着を見ないままですから、どのみち再交渉は避けられないわけですから、今批准を急ぐことは、アメリカの背中を押すというよりは、アメリカに足許を見られる結果になる可能性の方が高いといえます。特に「FTAは二国間で」とするトランプドクトリン?が公言されているわけで、TPPの日米交渉でアメリカに押し込まれた条件が再交渉で更に押し込まれることは覚悟した方が良いです。アメリカが本音で通商交渉に臨めば

米:日本はTPPでの約束を守れよな。
日:アメリカも約束守ってください。
米:よく聴こえないが?
てなことになりますわな。てことで Trump's Political Partnership でTPP成立ってあれ?

大統領選報道の一方で、日本では大事故が起きました。

博多駅前で道路陥没=地下鉄延伸工事が原因-空港などで停電も・福岡:時事ドットコム
現場は福岡市営地下鉄七隈線延伸工事の現場で、早朝、現場作業員からの110番通報があり、警察が迅速に道路閉鎖した結果、これだけの規模の陥没事故で死傷者ゼロと不幸中の幸いに。加えて福岡市の情報開示の徹底もあって、混乱はかなり防げたのですが、いろいろと課題も見えました。原因は地下水の流入による岩盤の崩落ということで、事前の地質調査が十分だったのかなどが問われますが、岩盤が粘土質で地下水で軟化していたとか、地震で岩盤が動いたとか、いろいろと言われておりますが、現時点では詳細は不明です。

ただ地下工事での道路陥没って結構な頻度で起きてはいます。東京でも常磐新線(つくばエクスプレス)工事でJR御徒町駅近くで大規模な陥没事故を起こしてますし、他都市でも少なからず起きてます。今回現場責任者の対応が早かったから結果的に死傷者ゼロで済んだものの、地下工事の危険性を認識させる事故ではあります。これ横浜の傾きマンション事件とも関連しますが、土木工事って、結局掘ってみないとわからないというのが実際で、その場合設計変更が欠かせないところ。

横浜のケースでも2人の杭打ち工事責任者のうち1人はこまめに異常報告して設計変更したわけですが、当然工期も伸びるし予算も膨張するということで、スルーされることもあって、竣工後に不具合が発覚することも珍しくはありません。それでも適切にメンテナンスされていれば、事後的に補強その他不具合を除去する手立てもありますが、問題は工事にしろメンテナンスにしろ、職人芸的な属人的なスキルに頼っている点です。しかもゼロ年代の建設不況でスキルの継承は断絶しており、今後少子化で若手の育成も難しく、日本のように不安定な地盤の土地ではロボットなどで対応するのも難しいところです。

私が公共工事の拡大に疑問なのも、また中央リニアに懐疑的なのも、1つにはこの問題があります。例えば2週に亘って渋谷駅の線路切り替え工事で週末区間運休の東京メトロ銀座線ですが、営業線の切り替えで困難な工事ではありますが、線路切り替えなどの大規模工事は結局人海戦術で対応せざるを得ないけれど、最近は人集めに苦労する状況で、コスト面もあって運休して工事間合い時間を取らざるを得ないようになってきたって面もあります。幸い東京のように成熟した大都市では、一部運休してもう回路はいくらでもありますから、事前告知で混乱は避けられますが、リニアにしろ整備新幹線にしろ、これから作るものに関しては、メンテナンスも含めて破綻の可能性もあり慎重な対応が必要です。

最後は閑話休題。銀座線の区間運休ですが、渡り線の関係で浅草―溜池山王間と青山一丁目―表参道間の区間運転という方法がとられました。後者に関してはA線(浅草→渋谷)は青山一丁目から表参道まで営業運転して回送で折り返し、B線(渋谷→浅草)では逆に表参道から青山一丁目まで営業運転して折り返し回送という運行形態を採っています。所謂指導式(腕章を付けた指導員添乗を条件に運行)の代用閉そくですが、すべての駅が相対式ホームで乗客案内上逆線走行の営業運転の混乱を避けたと思われます。そのため12分ヘッドと運転間隔が開いており、神宮外苑下車駅の外苑前は週末イベント等も多く、結構な混雑ぶりでした。島式ホームなら逆線営業運転で運転間隔を詰められたかもしれません。その神宮外苑では木製ジャングルジム火災で子供1人死亡という痛ましい事故も-_-;。中を明るく照らそうとした学生の機転が裏目に出たわけですが「常識的にわかりそうなこと」という前にナレッジの共有と継承はかくもということも指摘できます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧