大手私鉄

Sunday, April 14, 2019

ガラクタ>ポンコツ

鏡の国の未来の話です。まずこれ。

総人口1億2644万3000人、減少率0.21% 18年10月時点  :日本経済新聞
2008年から日本の総人口は減少に転じてますが、度々指摘してますが、より重要なのは1997年から始まった生産年齢人口の減少の方です。生産年齢人口の減少はつまり雇用者の減少ですから、その分世帯の所得の減少となります。実際GDPの分配面を見れば、雇用者報酬は一貫して減少してます。当然消費が減少しますから、価格抑制の力学が働いて、巷間言われるデフレが生じる訳です。貨幣現象じゃないから金融緩和しても解決しない訳です。

生産年齢人口の減少はかように経済を縮小させるインパクトがある訳ですが、これも度々指摘してますが、高齢化に伴うリタイア人口の増加が原因であって、このタイミングで少子化対策しても、生産年齢人口は増えない訳で、保育の無償化などの少子化対策はやるだけ無駄どころか財政再建に回す筈の消費税の増税分を充てるってことは、事実上国債発行と同じ負担の先送りにしかならず、却って将来の負担を増やします。

結果的に高齢者と女性の労働力率が高まって雇用者人口は増えてますが、少なくとも推計方法変更前の2015年までのGDPは増えてないので、労働力の投入量が増えたにも拘らず付加価値は増えてない訳ですから、その分労働生産性が低下した訳です。詳細に見ると高齢者の嘱託や主婦のパートなど非正規雇用が増えた訳で、雇用の劣化を伴っている訳ですから、毎月勤労統計で誤魔化しても隠しようのない現実です。少子化対策したくても、保育士も不足しますし、保育士を増やせばその分他のセクターの雇用が圧迫されますから、どのみち社会は回らない訳です。これ働き方改革も無駄ってことでもあります。

そうは言っても労働力不足は賃金を押し上げますから、低賃金セクターほど人が集まらず人手不足倒産も有り得るってことで、ヤマト運輸の労使協議で料金値上げと荷受け縮小を決めて、それを原資にして賃上げと労働時間圧縮を図った結果、寧ろ人が集まって荷受けも増やすことが出来てと好循環になりました。働き方改革のためにはホント労組大事。労組潰ししたJR東日本のスットコドッコイの将来が不安です。

で、賃金を上げられない不人気業種では、人手不足倒産が現実問題となる訳で、後は外国人に頼るって流れです。これも外食やコンビニでは既に留学生アルバイト抜きには回らない状況ですが、実はバブル期から兆候はあったものの、バブル崩壊による経済減速に助けられて、不良債権処理の借り手側の過剰債務対策で人件費カットを余儀なくされて新卒採用の手控えが起きて、所謂ロスジェネ問題で一息ついたのが実態でしたが、若年人口の減少で逆に新卒の有効求人倍率が高まった結果、頼みの若いフリーターの補充が効かなくなり、その穴を留学生が埋める流れです。

しかしそれも限界でいよいよ賃金上昇が現実に起きると、外食では営業時間の短縮が始まりますが、24時間営業のコンビニではそうはいかず、遂に見直しを迫られることになりました。ただしコンビニでは既に弁当の3便配送をはじめ、24時間営業を前提とした店舗オペレーションでシステム化されてますので、人が集まらないから営業時間を短縮するという訳にはいかず、とりあえず実験で検証する段階です。高度に効率化されたが故に、無人レジなどのストアオートメーションによる省力化の余地も少なく、寧ろ自社競合によるオーバーストアの地域もあることから、単なる営業時間短縮よりも店舗閉鎖が進む可能性があります。

そしてやはり不人気業種の建設業ですが、元々現場仕事は10年程度の見習い期間が必要で育成に時間がかかるにも拘らず、若手の補充が滞ってますから、平均年齢の上昇著しく、いずれ回らなくなります。ここでは技能実習生が頼みでしたが、仕事教えても3年や5年で帰国されると結局戦力にならないということで、入管法改正による新在留資格を要望することになり、この4月から実現しましたが、狙いは実際に現場にいる実習生を帰国させないためでしかありません。

それなら本人の希望に合わせて永住権や国籍の取得ができる移民制度にすればいいのですが、国内の反対論に配慮して移民じゃないと言い張ってますが問題です。外国人を労働力として受け入れることの落とし穴は、労働者が消費者でもあることを見落としてるんですね。労働力の補充よりも消費者として国内消費市場を支え、税や社会保障の担い手として迎え入れるという視点が必要です。これつまり移民そのものです。そして技能実習生制度の烈悪なバージョンアップでは労組への加入なども考慮されてませんので、長時間労働や賃金ピンハネなどの不正の温床にもなります。差別による治安悪化と隣り合わせですね。

内緒ですけど^_^;、新在留資格でも5-10年の在留期間が終われば帰国する訳ですから、結局建設業の人手不足は解消されません。それ以前に今でも年間50万人規模で生産年齢人口が減っているときに5年で35万人とか算数できないのか?wwwwwそういう中で鏡の国で指摘したように古い利権構造で地元への利益誘導で公共事業引っ張って来るってのは、それだけ建設業にストレスを与えますから、様々な矛盾をもたらします。そんなニュースがこれ。

豊洲市場、くすぶる「民営化」  :日本経済新聞
産地直送やBtoCのEコマースの拡大などで元々築地時代から年々取扱額は減っていましたが、豊洲移転でますますその傾向が強まっております。築地市場の豊洲移転はそもそも築地の施設の老朽化と手狭さが理由とされてましたが、大枚はたいて巨大ハコモノ作ったらそっぽ向かれた形です。そして軟弱地盤や土壌汚染問題でコストもハネ上がっていて赤字確実と言われてた中での低迷ですから、それだけ東京都の財政を圧迫します。

そうなると公設市場法の改正もあって民営化の議論が出かねません。これ東急世田谷線レベルの輸送規模でキロ100億円の地下鉄を作るぐらい頭おかしい話です。老朽インフラと新設インフラの関係で見れば下関北九州道路代とも通底しますが、後先考えず巨大インフラ投資を決めて責任は取らずあとは野となれってことですね。

そしてタイトルの意味ですが、ガラクタもポンコツも役に立たないものという共通の意味がある一方、ポンコツは語源である拳でコツンと殴るが転じてハンマーで叩いて解体するものである一方、ガラクタは見方を変えれば価値が見いだせるものという意味で希望があります。故に不等式でつないだんですが、つまりコンバージョンってことですね。新しいもの作って古いもの壊す繰り返しは結局健在を疲弊させますから、知恵を絞ってガラクタを活かすことこそが、人口減の日本にとっては有益です。

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Sunday, April 07, 2019

鏡の国のアベノミクス

不思議の国の続編はやっぱ鏡の国でしょ。ってことで、あれこれ始めます。

塚田前国交副大臣の発言「でも私は忖度」→「おわびする」  :日本経済新聞
渦中の副大臣が忖度したかどうかは些末なことでして、11年前、福田政権時代に費用対効果が不十分として却下された下関北九州道路の事業が国の直轄事業として調査費が計上されたことの不透明さが本質です。現状R2関門国道トンネルと高速道の関門橋の2ルートがありますが、老朽化で国道トンネルは10年に1度の大修繕による通行止めが毎年行われるようになっていて、国土強靭化による災害対策のための二重化という議論があるのですが、そのために2,000億円をかけることが妥当かどうか冷静な判断が必要です。

ルートの二重化はメンテナンスの負担増を意味します。相応の経済効果があるならば良いのですが、関門橋の通行量も予定の半分の水準で、国道トンネルの通行止めの影響を吸収可能な現状からすれば、大した経済効果は見込めません。そうなるとメンテナンス費用のかかる国道トンネルの閉鎖も視野に入り、唐戸水産市場のある下関市東部の経済的な地盤沈下をもたらす可能性もあります。それでもやるのかってあたりの議論がきちんとされてるようには見えないんですよね。

この手の話は日本中にありまして、東日本大震災の津波被害を受けた地域でも、大規模防潮堤建設の是非が議論になった結果、人の住んでないところばかり工事が進んでしまい、いったい誰を守る防潮堤なのかって現状があります。福島第一原発事故関連でもいい加減な除染作業で復興予算が食いつぶされたり、がれき処理を広域処理と称して持ち出した結果、焼却工場を木質バイオマス発電につなげようという地元の構想が頓挫したりとか、土建屋ベースで物事が進む現状がそこかしこにあります。

国土強靭化の名の下に経済効果が十分検討されない公共事業がそこら中で復活したり新たに立ち上がったりしてますが、そのための予算が赤字国債発行を前提にしているわけで、アベノミクスの第2の矢として機動的な財政出動が謳われてもおりますが、経済効果のない公共事業をやる余裕が日本の政府財政にはありません。90年代の財政出動で赤字を累積していて政府予算の最大費目が国債費でその半分は借換債ですから、過去の赤字の清算ができていないのに赤字を重ねる訳ですね。しかも既にケインズの言う乗数効果も1倍即ち有効需要を生まない水準なのは政府も認めています。

加えてここへ来て深刻な人手不足で折角予算が付いた公共工事も人が集まらず未執行となり財政出動不発となる現状があり、2020年の東京オリパラ関連で人手が取られて震災復興も遅れている状況です。五輪関連は元々旧国立競技場の改修をはじめ既存施設を活用し半径8㎞以内で実施という計画だったものが、招致が決まった途端に新競技施設の建設が次々に決まり、加えて築地市場の豊洲移転と環状2号線の整備が強行されました。これも都知事選で争点化した後に迷走し、結局環状2号線は仮設状態でつながったものの、晴海の選手村からの移動がネックになるのは確実です。ここを京成バスが受託した環2BRTが走るらしいですが、混乱は確実です。加えて五輪後の地下鉄計画も。

銀座から臨海部へ都が地下鉄、羽田直結目指す : 国内 : 読売新聞オンライン
これTBSのメトロ都営統合報道を思い出させる観測気球ですね。実態はこれから検討という段階ですが、一方で豊洲移転の遅れで政治路線化したマジ卍な豊住線はメトロが作るのが望ましいとしていますが、1日13万人の利用を見込む豊住線よりこの臨海部地下鉄を都としては優先するってことです。5㎞で1日5万人ってザックリ言って東急世田谷線レベルの輸送規模ですが、それに2,500億円、キロ500億円の事業費を見込むってのは採算性は関係ないって頭おかしいレベルです。

この臨海部地下鉄構想ですが、言い出しっぺは中央区で、当初環2LRTが五輪輸送を睨んだ暫定BRTとして上記のように京成バスの受託に至ったんですが、一方で2020年五輪招致が決まったところで地下鉄構想を唐突に主張し、交通政策審議会の2016年答申に滑り込ませた経緯があります。明らかに五輪絡みの利権漁りの気配があります。

直通運転が示唆されるつくばエクスプレスについては、沿線開発が急過ぎて混雑緩和対策に追われた結果、懸案の東京駅延伸の事業費1,000億円をねん出できない状況ですが、更に銀座まで伸ばすとすれば同じぐらいの事業費が上乗せされますから、ほぼ不可能でしょう。羽田直通はJR東日本によるりんかい線引き受け問題との絡みで、可能性はあると言えばありますが、地下駅の国際展示場駅をジャンクションに改造するのは相当な事業費の上振れの覚悟が要りますので、やはり実現可能性は薄いでしょう。しかも都営地下鉄として整備とは言っていません。つくばエクスプレスかJR東日本に丸投げのつもりでしょう。

政治家にとっては公共事業による利益誘導はわかりやすい有権者へのアピールになるんでしょうけど、それに留まらず土建屋の集票能力への依存の意味なんでしょう。採算性が問われる鉄道事業でさえ採算度外視の計画が動いてしまう危うさは要注意ですが、別の面から言えば、それだけ土建業会は労働集約産業としての性格が強いってことでもあります。そこで気づいたんですが、公共事業の乗数効果の低下はこれが原因じゃないかと思い当たります。

つまり公共事業に依存しなければ存続が難しいゾンビ的な土建業に栄養を与え続ければ、そこへ雇用が張り付いて国全体の生産性を下げてしまうという点です。日本の低生産性は公共事業依存の結果なのかも。しかも人口減少で人手不足は若年労働力の確保が難しくなりますから、外国人を入れないと回らないってことで、入管法改正を急いだわけですね。加えてこのニュース。

ジャパンディスプレイ株が急伸 台中勢傘下で再建進展の期待  :日本経済新聞
政府系ファンドによる国内企業の救済策は死屍累々で外資に売り渡した途端に株価が上がるって、これ公的資金でゾンビ企業を延命させている結果と見れば、公共事業と同じように日本の生産性を低下させる元凶と言えるでしょう。結局ゾンビ退治ができないから生産性が下がって成長できないけれど、それがバレると選挙で勝てないから統計弄って誤魔化すことになります。その結果アベノミクスは迷走しっぱなし。鏡の国の迷宮に迷い込んだアリスの如しです。

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Saturday, March 30, 2019

不思議の国のアベノミクス

アセット・バブル・エコノミクスの頃から指摘している通り、うまくいかないしやめられなくなると言い続けてきたアベノミクスですが、予想通り迷走しております。当初2年で2%のインフレ率達成を目標としたQQEも度々目標達成を先送りして現在に至りますが、出口が見えない中で景気の谷が近づいているのに動けない日銀です。 今囁かれているのがマイナス金利融資という奇策ですが、現在のマイナス金利が日銀当座預金に銀行が追加で預け入れした分に適用されるのですが、その原資は国債の日銀への売却代金ですから、僅かながら利子が付く国債を売って日銀当座預金が増えれば銀行にとっては損失になりますが、逆に融資の形で日銀が銀行に貸し付ければ、銀行がその資金を利の薄い銀行間取引や債券投資に振り向けることで、僅かながら利ザヤが生まれます。つまり体の良い銀行補助金って訳ですが、これなら銀行から批判を浴びた日銀預託分のマイナス金利付利に対し、銀行懐柔に使えるって訳ですね。銀行の中の銀行も地に堕ちたもんです。 元々QQEは金融圧迫にしかならないと言い続けてきました。QQEによる国債爆買いは国債市場を圧迫して市場金利を歪めたことに留まらず、市場で売買される現物が減って銀行が運用難に陥る訳ですが、当初「ポートフォリオ・リバランス」と称して国債投資に偏った銀行のポートフォリオ見直しを示唆しました。これぶっちゃけ外債投資を促したわけですね。というのは日銀が直接外債を買うと為替介入と見做されて国際的に非難を浴びるので、銀行の余剰資金を振り向けさせるという訳です。 その結果外債投資に傾斜した銀行各行ですが、米FRBの緩和縮小と利上げで状況が変わり、保有外債が金利上昇で含み損を抱える状況で持続可能ではなくなりつつあります。ちなみに今季6,800億円の減損処理を発表したみずほ銀行ですが、内1,800億円は外債含み損の減損処理で、他行に先駆けてはおりますが、これで打ち止めという保証はありません。外債投資が無理で行き場を失った資金は国内社債投資にシフトしているようですが、ハイリターンを狙ってハイリスクな劣後債に集中しているようで、景気の谷を迎えるこれからを考えると不安です。 そもそも銀行の一番の収益源となる筈の融資ですが、企業の国内設備投資が冷え込んだままですから融資が伸びない。そんな中で数少ない融資先として不動産融資に傾斜した結果、地価が上昇している訳ですが、これも選別が激しくなり、今や駅近7分以内以外は見向きもされない状況です。バブル崩壊後の地価下落と再開発絡みの容積率緩和で人口の都心回帰が進みましたが、地価上昇でマンションの価格が押し上げられ、売れ行きにブレーキがかかり始め、ここへきて異変が起きてきています。 インバウンド需要の拡大でホテル不足から都心の好立地はホテルに買い負けるようになり、より地価の安い郊外の駅近へ、そして地方都市へという流れで、宇都宮や高崎にまでタワーマンションが建つ状況です。誰が買うんだか。あと交通結節点のマンション人気は強く、武蔵小杉に続いて海老名の人気が高まり、開発が加速しております。そしてこのニュース。

相鉄、悲願の東京都心直結へ 11月末からJRと直通  :日本経済新聞
武蔵小杉のタワマン群のお陰で横須賀線の混雑が助長されていることは限界都市川崎で述べた通りですが、始発で座れる海老名のタワマン族が利用するとすれば、JRと相鉄の直通で列車本数が増えても武蔵小杉に着く前に満員とタワマン族が被る状況もあり得ます。相鉄としてもいずみ野線に残る保有地のマネタイズとバランスの取れた街づくりがしたいところでしょうけど、目論見が外れる可能性があります。 加えて五輪後の不動産市況の変化も見逃せません。東京都心エリアではJR東日本の高輪ゲートウエーの開発進捗があり、また晴海の五輪選手村も改装して分譲マンションとして売り出されますが、その辺のタイミングで東京も人口減少へ転じると予想されております。需要が減って供給が増える訳ですから、値崩れは確実でしょう。ホントアベノミクスいいとこなし。 居や国内はともかく外交特に通商交渉ではTPP11や日欧EPAでをまとめたじゃないかと言われますが、TPPを離脱したアメリカの復帰を狙って農産物で大幅譲歩した結果、異変が起きています。
農産品輸入、米国離れ 牛肉・豚肉のシェア低下  :日本経済新聞
オーストラリアとカナダ産の牛豚肉のシェアが拡大して米国産を圧迫している状況です。これから始まる日米通商交渉はさぞや地獄でしょう。浅はかです。 てな訳で、トランプの兵隊に追い詰められた不思議の国のアリスですが、アベノミクスも同じぢゃん^_^;。

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Sunday, February 24, 2019

限界都市川崎

別に川崎に悪意がある訳じゃないんですが^_^;、サイドバーの書籍からお題を頂きました。同じくサイドバーの週刊東洋経済の通勤電車特集から、最強の通勤電車ランキング32路線中32位のワーストに選ばれた横須賀線のE217系の置き換えにE235系投入が発表され、普通車がオールロングシートになることがネット上で話題になりましたが、横須賀線のワーストの理由が混雑率の悪化ってことで、実は武蔵小杉のタワーマンション群に原因があるのでした。

ご存じの通り横須賀線は湘南新宿ラインと線路を共用しており、旧蛇窪信号場の平面交差もあって増発が困難なことが原因なんですが、加えて相鉄都心プロジェクトで今年度下期には相鉄からの乗り入れも始まりますから、その枠も確保しなきゃならない訳です。こちらも埼京線との相互直通ですから、品川東京方面への増発は当面見込めません。となれば当然車両レベルで収容力を高める必要がある訳で、オールロングシートにするしか手がない訳です。

長期的には蛇窪の立体交差化が課題ですが、直ぐには実現できません。とにかく朝ラッシュ時には改札入場待ちの列が伸びて危険ってことで臨時改札を設けたけれど、今度はホームが混雑して危険ということで、ホームの増設を決めましたが、完成は2023年で、未だ建設中のマンソンも多く、当面改善は見込めません。大江戸線勝どき駅の二の舞ですね。加えて若い子育て世代の流入で待機児童は増える一方。タワマンたわわな江東区を再現しています。当然小学校、中学校と順繰りに生徒数の増加に悩まされるわけです。

都市部で依然 待機児童多く  :日本経済新聞
待機児童問題は煎じ詰めると都市部固有の問題で、再開発で同じ世代の人口が急増することで起きる訳ですが、それでも都市再開発の流れは止まらず、寧ろ開発を促すために容積率の緩和が行われる状況です。そして世代の多様性がないから将来はそっくり高齢化して空き家候補になる訳です。将に限界都市まっしぐらです。

川崎というと工業都市のイメージが強いのですが、新興財閥の浅野財閥による川崎鶴見の埋立地開発に遡ります。元々多摩川の砂利輸送を意図した南武鉄道と奥多摩地区の石灰石採掘から派生した青梅鉄道(後に青梅電気鉄道)、五日市鉄道が立川で繋がったことで、京浜運河沿いの埋立地に浅野セメントが工場を作り、奥多摩からセメント工場への一気通貫の輸送体系を形作ります。加えて隣接する鶴見の埋立地が造成され工場が建ち、原材料や製品の輸送を担う鶴見臨港鉄道が開業し、当初貨物専業でしたが、工場が増えて従業員輸送の要請から旅客営業を始めます。何れも戦時買収で国鉄に編入され青梅線、五日市線、南武線、鶴見線になります。東京や横浜の港湾は政府の手によるものですが、埋立から民間資本で形成されたのが京浜工業地帯の特徴です。

蛇足ですが、南武鉄道のバス部門が小田急グループの立川バス、青梅電気鉄道のバス部門は奥多摩振興から京王グループの西東京バスへ併合、鶴見臨港鉄道は川崎鶴見臨港バスとなり京急グループに属します。歴史にIFは禁物ですが、戦時買収が無ければ大東急の一員となって小田急、京王、京急に分割されたか、相模鉄道のように東急に経営委託しながら独立を維持したかなど興味をそそられます。

加えて戦時体制で南武線沿線には通信機器などの軍需工場が立地し発展しました。大師参拝輸送からインターアーバンに進化した京浜電気鉄道や省電時代のスター京浜線は目いっぱい恩恵を受けた訳です。特に省電京浜線は東京本社の幹部による工場視察の便宜を図って二等車(現グリーン車に相当)が連結されていました。モータリゼーション夜明け前の当時、二等車は社用車の役割を担っておりました。

しかしそれ故に環境悪化で住宅地としては不人気でしたが、グローバル化で工場の海外移転や競争激化による撤退もあり、広大な工場跡地が残されます。これが種地となって再開発が進み、特に横須賀線武蔵小杉駅の開業で利便性を高めた武蔵小杉は人気エリアとしてタワマンが多数つくられて人口急増した訳です。

これは川崎市にとってもJR東日本にとっても計算外だったと思われますが、東京の大江戸線沿線やAGTの新堀舎人ライナー沿線など、交通インフラの整備に伴って開発が過熱して需要が想定を上回る事態が続きます。しかも多様な業務都市が画一的な住宅都市へ変貌することで矛盾を抱え込んでしまうことになります。この観点から二荒山神社の隣にタワマンが建って景観を損なうなど物議を醸す宇都宮市ですが、LRTで沿線開発が誘発されると、寧ろ都市のスプロール化か進み限界都市化という懸念があることは指摘しておきます。一方明るい話題もあります。

横浜地下鉄の延伸予定区間を歩く 住宅地に募る期待  :日本経済新聞
同じ川崎市でも多摩丘陵の住宅地に地下鉄ができるって話です。横浜市営地下鉄ブルーラインの新百合ヶ丘延伸ですが、自前の地下鉄に拘り事業認可まで受けながら、財政事情から断念した川崎市が、横浜市と協定を結んで実現したところが新しいところです。

公営地下鉄の越境自体は都営新宿線の本八幡(千葉県市川市)、大阪市営御堂筋線の江坂(吹田市)となかもず(堺市)の例がありますが、政令市同士の協定というのは前例がありません。尚、御堂筋線のなかもず延伸は1987年で堺市の政令指定都市化は2006年ですし、堺市は中百舌鳥堺線の構想はあったものの具体化はされず寧ろ阪堺電軌を軸とした公共交通活性化に取り組むなどしていて、川崎市とは事情が異なります。

川崎市内のルートが未定で、駅設置と絡んで3ルートが提案されてますが、最も新百合ヶ丘から距離があり、周辺バスの本数や乗車率の高い東ルートのヨネッティ王禅寺案が有力です。ヨネッティ王禅寺はゴミ焼却工場に併設された市営スポーツ施設で市民の人気スポットであると共に、近くに田園調布学園のキャンパスがあり通学需要も見込めます。そしておそらく自前の地下鉄構想が尻手黒川道路ルートだったことから、断念された地下鉄計画でも駅設置が考えられていたと考えられます。

そして横浜市内の剣山は戸建て中心の住宅地に付随する商業集積があり、すすきのはすすきの団地最寄りで隣接する川崎市域の虹ヶ丘団地も駅勢圏で、既に成熟した街で開発余地はあまりありませんが、その方が武蔵小杉のような想定外の事態を招くこともなさそうです。

川崎市の地下鉄構想は元々武蔵野南線の旅客化とセットで構想され、川崎―武蔵小杉間と梶ケ谷貨物ターミナル―新百合ヶ丘間を建設するというものだったのですが、武蔵野南線の旅客化は具体化せず、尻手黒川道路ルートで自前建設を目指し、横須賀線武蔵小杉駅開業で武蔵小杉経由に変更して事業認可を受けて断念という経過を辿るんですが、川崎市でもう一つ具体化した京急大師線の地下化による連続立体化事業が大いに振り回されました。川崎駅で地下鉄と大師線は繋がる形の構想が描かれてましたが、この辺が曖昧で、一方新百合ヶ丘で小田急線との乗り入れも検討されという具合に軸が定まっていなかったので、結局実現は無理だったでしょう。

京急大師線の地下化は市役所通り地下を東へ進み(仮)宮前を経て川崎競馬場地下でS字カーブしてR409に合流する地点に港町駅を設置して川崎大師駅で現在線ルートに合流し産業道路東側で地上へ出て地上駅の小島新田に至るというルートですが、地下鉄との関係が詰められないから工事が度々延期される一方、アクアラインの開通で浮島へ向かうルートを支障する産業道路の踏切は解消されず、また旧いすゞ自動車工場跡地を中心に羽田空港へ渡る橋とセットで先端企業誘致の再開発となる殿町プロジェクトの具体化もあって仕方なく東門前―小島新田間を先行着手することになりました。尚、京急川崎―川崎大師間の地上線は回送線として残りますが、地下鉄計画がなくなった結果、地下化に伴うルート変更の意味も問われます。

川崎市は例えば神奈川臨海鉄道浮島線の旅客化や南武支線の川崎駅連絡線や東海道貨物線を利用した羽田空港アクセスなどいろいろ構想を思い付きのように発信しておりますが、実現に向かって具体化はしておりません。産業構造の変化に翻弄される苦しさはありますが、もう少ししっかりしたビジョンを持つべきでしょう。自前の地下鉄を断念したんですから、次はJR東日本と協定を結んで区画整理事業と連動した南武線の立体化や長編成化など、現実的な都市開発を模索する方が良いように思います。以上非住民の外野のたわごとかもしれませんが。

 

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Sunday, December 16, 2018

COCOMしてますか?

華為技術(Huawei)を巡るニュースが連日報じられてますが、1987年の東芝機械COCOM規制違反事件と似ています。時あたかも日米貿易摩擦真っ盛りですし、安全保障問題を梃子にしている点も似ています。

東芝子会社の東芝機械がノルウェー企業と組んでソビエト向けに輸出した工作機械と制御ソフトが、冷戦期の対共産圏輸出規制委員会(COCOM)の規制に違反したとして問題になった事件です。規制品目は軍需品、高度工業製品、原子力関連品などとされ、東芝機械のこの取引が原因でソビエトの原子力潜水艦のスクリュー音が静かになり、アメリカの脅威が増したとされ、政治家による東芝製TVやラジカセのハンマー打ち壊しなどのパフォーマンスが大々的に行われました。

COCOM自体は正式な条約ではなく法的拘束力はありませんが、加盟各国は国内法で輸出規制の根拠法を制定し対応しており、日本では外国為替管理法で規制されてました。そのためアメリカの指摘を受けて日本で外為法違反で訴追され有罪判決を受け、親会社の東芝の会長と社長のトップ2人も辞任します。また議会へのロビー活動を活発に行いどうにか収集しましたが、肝心のソビエト原潜の静粛化に関する証拠開示は行われず、当時の日米貿易摩擦のネタにされたのではないかとの見方も根強くあり真相は藪の中です。

日本がCOCOMに加盟したのは1952年ですが、この年都営トロリーバス101系統今井線(上野公園―今井)が開業しました。開業時に登場した50型が実は中国天津市向けの輸出品がCOCOM規制により差し止められた結果、注文流れで東京都交通局が買うことになります。右側通行の中国向けを左側通行の国内向けに改造するという荒業ですが、朝鮮戦争の勃発もあり、何らかの政治力学が働いたのでしょう。

Huaweiに関してはいろいろと噂されてますが、少なくとも中国製だからセキュリティに問題があるということはありません。ネットや携帯やスマホにバックドアが仕掛けられていることは、スノーデン氏のリークで明らかにされてますが、あくまでもアメリカ政府の話。だから中国も同じこと考えるってことでしょうし、実際その可能性は否定しませんが、これらはソフトのバグを利用したハッキングが中心で、どこの国の製品であれ多かれ少なかれバグはありますから、敢えて言えば中国企業製品はアメリカ製品とはハッキングの勝手が違うってことはあるでしょう。それ以上でも以下でもない。つまり殆ど言いがかりです。ハッキング合戦となればマンパワーの投入量の違いがものを言う訳で、人口大国中国をアメリカが脅威と感じる訳です。

この辺のロジックは例えば中距離核戦力(INF)撤廃条約を巡るロシアの違反を理由としたアメリカの脱退にも見えますが、ロシアは核装備の近代化の一環で言いがかりと反論してます。これも実は中国や北朝鮮の中距離ミサイルが実戦配備されている現状から、ロシアの違反を口実に中国をターゲットにしていると見ることができます。延長線上には日本国内への核ミサイル配備もあり得ます。その時「事前協議」で日本が拒否権を発動できるでしょうか?アメリカに一言「COCOMしてますか?」www

ただHuaweiが対イラン経済制裁をすり抜けて通信機器を提供してきたことは子ブッシュ政権当時から指摘されていましたから、制裁を科したアメリカの国内法には抵触するということで、司法当局が動きましたが、トランプ政権の政治介入の動きに対しては牽制されました。こういうところは腐ってもアメリカです。

つまり一皮めくれば現在進行中の米中貿易摩擦は80年代の日中貿易摩擦とさほど変わらない訳で、当時の日本が唯唯諾諾譲歩したのに対し、中国政府は対決姿勢を見せてますが、いずれ折れないとアメリカの強硬姿勢は変わらないでしょう。中国にとっては痛手ですが、人口大国であることによるネットワーク効果が国内だけでも働くということを考えると、寧ろ中国が力を付けるきっかけになる可能性は否定できません。ただし日の出の勢いだった高度成長は終わり、日本と同様の長期停滞に陥る可能性は高いですが。

アメリカは冷戦でソビエトに勝利し、日米摩擦で日本を停滞させという風に、これまでのところ戦略は成功しており、その成功体験があるから対中国の強硬姿勢も続くと考えられます。しかも今回は軍事面で同盟国の負担増を要請しながら、Huawei排除では同盟国の協力を呼びかけるというご都合主義してるわけで、逆に言えばアメリカと言えども中国を追い込むには単独では難しいってことなんですね。で、中国の停滞の影響はアメリカよりも元々関係の深い日本やEUが被る訳で、日本にとっては損なディールです。矛先が中国に向いてるうちは日本は安泰なんて浅はかです。日本の長期停滞は続きます。

喧伝される中国異質論ですが、これも早い話80年代の日本異質論の焼き直しです。相手が異形の大国であれば、アメリカはあらゆる選択肢を否定しないというスタンスになるわけです。中国の陰で日本が相手にされないのは、日本のプレゼンスが低下したからってことですね。てことで、日本としては本当は鬼の居ぬ間の洗濯のチャンスなんですが、政府はどっち向いてんだか。

いつまでも対米輸出で経済成長を目指そうとするから大変なんで、もっと国内の再分配を進めて個人消費拡大を通じた内需拡大策へシフトするべき局面です。そうせずに消費税を10%に上げようとするから、所得効果でマイナス1.8%の消費縮小がある訳で、一時的なバラマキで平準化は無意味です。逆にたったマイナス1.8%なんです。その分の賃上げ、所得向上が見通せれば消費は増えるのにそうしないからまたデフレへ逆戻りになる訳です。

基本的な考え方は2005年元旦のエントリーから変わっておりません。もう少し解説すると、国際収支の黒字は国内貯蓄によるものです。生産されて消費されなかった分が国外で消費されて国際収支の黒字になる訳ですから、国内に貯蓄過剰を抱える訳です。貯蓄過剰状態ではいくら金融緩和しても消費も投資も伸びない訳です。

ゼロ年代以降のベアゼロ春闘や小泉改革で拡大された非正規雇用によって所得格差が拡大してますが、高所得層ほど貯蓄性向が高く消費しないので、格差拡大が貯蓄過剰をもたらしているわけです。所得再分配で消費性向の高い低所得層へ所得移転することが、消費拡大には必要になります。まして生産年齢人口が減少過程にある訳ですから、年金など社会保障の削減は高齢富裕層の貯蓄性向を助長する一方、低所得者も消費抑制を余儀なくされますから、貯蓄過剰を助長します。故に税金の使い道は所得再分配重視で公共投資は既存ストックを活用した投資効率の高いものに絞る必要がある訳です。で、上記過去エントリーで取り上げた相鉄都心プロジェクトに動きが出ました。

相鉄・東急接続路線「新横浜線」に  :日本経済新聞
相鉄、東急双方共に「新横浜線」の線区名で統一したのは、案内上の問題もありますが、東急が目黒線の延長と位置付けていないことも意味があります。直通は東横線と目黒線の両睨みってことですね。相鉄が直通車20000系を10連で登場させたことも、東横線直通を想定したものですし、加えて保安装置をソフトで読み替えてメトロ、東武、西武にも対応するものになっており、秩父や森林公園まで走れる訳です。

ただ困ったことに2018年のJRとの直通開始時点では相鉄新横浜線は新横浜には行かないので、案内上混乱が予想されます。おそらくJRと共通の路線系統愛称をつけると思われますが、E電以来ネーミング地獄のJR東日本うからねえwwwwwwww。「相鉄新宿ライン」かな?

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Sunday, December 09, 2018

CASE by MaaS

前エントリーの続きですが、フランスのマクロン政権がデモの影響で燃料税増税を断念しました。東名ルノー日産問題でフランス政府の干渉は防げそうですが、日産には別の問題が持ち上がっています。

自動車産業の激変が予想される中、日産の検査不正が新たに発覚しました。今回はブレーキなど安全に関わる部分の不正という重大なもので、ゴーン氏の報酬チョロマカシよりもガバナンス上の問題は大きいですし、ゴーン体制に責任を負わせるわけにはいきません。

完成検査の無視覚検査は、法令違反とは言え悪質性の程度は低かったし、そもそも制度自体が曖昧で非関税障壁の疑いもあるものでしたが、今回は国交省の業務改善命令を受けて現場調査する中で発覚したもので、検査不正は相当広範囲に行われていた模様です。ルノーとのアライアンスで海外製造拠点への投資が優先された事情から、その分国内製造拠点への投資や人員配置が手薄になったのは否めませんが、こうした製造現場の実態を把握できていなかった日産経営陣の責任は重大です。

検査不正の背景に。検査場の狭さとか検査員の不足といった事情があったようで、その中で増産体制が組まれた結果、検査部門がボトルネックとなり、検査で引っかかるとたちまち検査品で検査場が埋め尽くされてしまうため、右から左に流すしかなかったというような事情があったようです。それに対してスペースや人員の拡充を求める現場の声は経営陣に届かず放置された結果ということで、役員報酬を巡る金商法違反などより重大なガバナンスの欠如と言えます。必要な投資が行われなかったという意味で、経営陣の責任は重大です。

それはさておき、自動車産業を巡る変化予想でCASEというキーワードが語られます。繋がる(Connected)、自動化(Autonomy)、共有化(Shareing)、電動化(Electrical)です。これ相互に関連があって、車をスマホのようにネットにつなぐことで、付加的なサービスや機能が提供されるに留まらず、自動運転との関連で車間通信で衝突回避しますし、自動運転が実現すれば、稼働率の低いマイカーという保有形態が見直され、必要な時だけスマホで呼び出して使うことが可能になりますし、電動化は自動運転との相性が良く、また部品点数も減って特にエンジンのような作り込みも要らないから価格低下が予想され、自動車メーカーの優位性がなくなると言われます。

そのため自動車各社は優位性を維持するための投資を求められますが、例えば自動運転に関してはグーグル系列のウェイモが先行していて後追いになっている現状があります。電動化に関してもトヨタがハイブリッドシステムで世界をリードしたものの、特許で囲い込んだために追随するメーカーが現れず、米カリフォルニア州のZEV規制からも外されて焦っております。トヨタとしては究極のエコカーとして燃料電池車(FCV)を想定し、ハイブリッド車はつなぎという位置づけだったのですが、本命のFCVも水素供給網の整備が進まず、他方バッテリーEV向けの急速充電器の設置は進んでおり、またVWのディーゼル不正問題もあって自動車各社のEVシフトが鮮明になる中、トヨタは梯子を外された格好です。

EVに関しては日産が先行してますが、ビジネス的には大成功には至らず、新興企業の米テスラモーターズの先行を許しています。テスラモーターズ自体は典型的なガレージメーカーからスタートしたもので、ZEV規制が示すように環境意識の高いカリフォルニアでマイカーを電動化するガレージメーカーは多数存在しましたが、その中でイギリスのライトウエートスポーツ車のロータスエリートのプラットフォームを利用して、ノートPC用のリチウムイオン電池など汎用部品を使って世界初の量産EVとなるロードスターを世に問い成功を収めます。

バッテリーの搭載量で性能が規定されるEVです。とはいえ重量の嵩むバッテリーを大量に搭載すれば良いとはいきません。その意味で実用的なセダンではなく2シーターのロードスターならばパッケージしやすいし、趣味性故に高く売れるわけですね。こうして投資資金を上手に回収しながら技術を磨き、高級セダンのタイプSやクロスオーバーSUVのタイプXへと展開した戦略は見事です。加えてソーラー発電や家庭用バッテリーなどの事業化でシナジーを追求してEVのバリューを高めます。日本でも日産リーフが同様の訴求をしてますが、普及には至っておりません。

そして量産型セダンのタイプ3では製造ラインの自動化でコスト圧縮に挑みます。これは必ずしもうまくいかなかったのですが、マスク氏は製造現場との徹底した対話で解決策を見出し軌道に乗せます。この辺は日産幹部にとっては耳の痛い話でしょう。同時に自動車産業の雇用創出力という観点からは、従来通りとはいかない厳しい現実を示してもいるわけです。

とはいえテスラの成功はあくまでも所得水準の高い先進国の話でして、新興国への波及はむしろシェアリングが中心になると考えられます。そのときのキーワードがMaaSです。Mobility as a Serviceの略で、クラウド上のソフトウエアを利用するSoftware as a Serviceのもじりでもあります。言い換えれば移動(mobility)のサービス化でもあります。これ喩えればPCからスマホへの変化に相当します。これつまりハードとしての自動車のコモディティ化を意味します。

ただしMaaS技術的ハードルは決して低くはないので、先進国で先行して新興国へ波及する流れもスマホと同じと考えられます。そうすると自動車メーカーはまず利益の取れる先進国市場の劣化を余儀なくされるわけで、先進国にとっては雇用の縮小と共に格差拡大を覚悟しなきゃならないってことでもあります。

逆に言えば輸送サービスを提供する運送業にとっては劇的な生産性向上のチャンスでもあり、生産性格差で人手不足を余儀なくされる現状を良い方向へ転換できるチャンスではあります。但しあくまでもチャンスであって、AI自動運転で人手不足が解消するという発想では未来は開けません。

例えば自動運転が実現すれば移動中に仕事するとか就寝中に移動するとかが可能になるわけで、これある意味交通機関に求めらR3エルスピードの概念が変わることを意味します。朝の懐疑に間に合わせるために早起きして始発に乗るとか、前泊するとかが必要なくなるわけですから、この観点から言えばスピードを訴求するリニアは無用の長物になる可能性があります。公共交通にも変化をもたらす訳です。

そんな中で京浜急行が富岡地区の住宅地でゴルフ用電動カートを用いた興味深い社会実験を行いました。

「電動カート」は郊外住宅地の新交通になるか | ローカル線・公共交通 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
ゴルフ場用の電動カートを用いた輸送サービスの実験です。京急沿線には丘陵地帯を切り開いた住宅地が多数存在しますが、道路が狭く勾配も急ということで、バス路線の設定が難しく、高齢化で居住を諦めたり相続放棄で放置されたりして空き家が増えている訳ですが、20km/h以下の低速ながら勾配に強い電動カートを用いて最寄りのバス停やスーパーまでの輸送サービスを行ったものです。

面白いのはスマホアプリの京急バスナビに連動させることで、モードの異なる交通システムをシームレスにつないだ点で、システム開発には横浜国大やベンチャー企業も関与する形で、謂わばオープン化が実現している点です。住宅地内のラストマイルの交通手段ですが、MaaSの要素が揃っています。京急にとっては高齢化が進む沿線住宅地のてこ入れではありますが、鉄道がラストマイルの戸口輸送にアプローチする流れは東急田園都市線や江ノ島電鉄などでも無人運転バスの実証実験の事例があり今後活発化すると見られます。

この観点から注目なのがJR東日本の品川新駅です。先日「高縄ゲートウェイ」の駅名決定を発表しネット上ではいろいろ言われてますが、これかつて東海道上にあった高輪大木戸と呼ばれる簡易関所に因んだ名前だそうです。そうなら駅名は「高縄大木戸」にして英語名をTakanawaGatewayと案内すれば特に外国人の混乱するカタカナ駅名を避けられたし、地域の歴史文化を踏まえた新しい街づくりとしての重厚感も演出できたはず。JR東日本のネーミングセンスはホント酷いです。

これE電騒動以来繰り返されてますが、もう少し何とかならなかったかと思います。ただしゲートウェイに込めた玄関口の意味は分かります。先進的な職住近接開発を目論んでいる訳ですが、新駅を起点にしたMaaSを考えているとすれば、JR東日本の思い入れが偲ばれます。そこは理解できるけど、ネーミングセンスは残念過ぎます。

MaaSと直接関係はありませんが、東武鉄道のTJライナーやリバティ、西武鉄道のSトレイン、京王電鉄のけ京王ライナー、意外性の東急Qシートと有料続いています。JR東日本は元々グリーン車や通勤ライナーのサービスを行っていましたが、これ首都圏だけの話ではなく、京阪電気鉄道のプレミアムカーのように関西でも見られます。

京阪の合インバウンドで特急列車の混雑が常態化しており、着席サービスの導入を求める声があったようですが、この辺大量輸送を得意としながら過去の投資不足もあって混雑解消が進まない中で、公共交通と言えども将来安泰とは言えない時代を迎えるということで、選択的優良着席サービスは輸送の質を求めるユーザーを取りこぼさず増収機会も得られ、駅から先のラストマイル輸送との一貫性を持たせる意味も考えられます。そう見ると興味深い動きではあります。

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Sunday, November 04, 2018

社畜の国の移民政策

韓国徴用工の新日鉄住金に対する賠償問題ですが、これ日韓条約で政府間の賠償問題は解決積みとされた訳ですが、この訴訟は個人としての韓国人徴用工の日本企業に対する賠償請求というところがミソでして、私人同士の賠償請求権が政府間の条約によって無効にできるのかが問われていたのですが、下級審で認められ、今回は上告審ですから、余程の訴訟手続き上の瑕疵がない限りこうなるのは当然です。

新日鉄住金は韓国ビジネスへの影響を考慮して和解を模索していたようですが、日本政府が和解に応じないよう圧力をかけたそうで、結果確定判決に至った訳で、和解しとけばそれで終わった話。これで戦時徴用に関連した70社超の日本企業が訴訟リスクにさらされるわけで、私人同士の問題に政治介入した結果のオウンゴールです。賠償を韓国政府に肩代わりさせると息巻いてますが、これ逆に元々関心が薄かった韓国の国内世論に火をつける可能性があり、困ってるのは寧ろ韓国政府です。

台湾プユマ号に関してメーカーの日車がATP解除した場合に自動的に指令に連絡する回線が接続されていなかったと発表しました。事故との関連は不明ですが、一定時間指令がATP解除を把握していなかった可能性はあります。当局の発表が二転三転したのはそのせいかも。いずれにしても日車のミスが明らかになった訳で、ややこしくなってきました。

このところ日産やスバルの無視覚検査や神鋼のデータ改ざんに始まり、川重の新幹線台車枠亀裂やKYBの免震、制震ダンパーのデータ改ざんに至る様々な不祥事が明るみに出ている日本企業ですが、いずれも経営陣が把握していなかったらしいという共通点があります。経営陣が現場を把握できていないガバナンスの問題と捉えるべきでしょう。日産やKYBのケースは政府規制の妥当性に疑義があるという見方もできますが。

てな具合に官民共にガバナンスがボロボロの日本ですが、政府の無能ぶりは言い疲れたwwwwわけぢゃないけど置いといて、生産年齢人口の減少が日本企業の現場を追い込んでるんじゃないかという問題意識で考えてみます。で、このニュース。

単純労働 外国人受け入れ 入国管理政策を転換 法案閣議決定、国会論戦へ :日本経済新聞
この臨時故国会で通して来年4月から施行というスケジュールも無茶ですが、事実上の移民受け入れとなるのに、国の在り方を変える議論には程遠いと言えます。

問題はいろいろあるんですが、基本在留期間5年ですから、あまり込み入った複雑な仕事は任せられませんから、単純労働を担うことになります。特定業種1級と2級に分けて一応生産性向上や高齢者や女性の労働力率上昇でも尚足りない業種に限定し、具体的な業種は3年毎に見直し充足されれば指定を外すとしてますが、生産年齢人口の減少は男女問わず進みますし、働ける高齢者の増加も減ってきますから、結局いつまで経っても充足されず、寧ろ他の業種でも足りないとなって業界の陳情合戦になって政治介入の余地を与えます。

冷静に考えて、生産年齢人口の減少が毎年50万人として、減少分を外国人労働者受け入れで埋めたとしても、5年で帰国するんですから、以後は足りなくなる訳で、帰国者分の受け入れを増やし続けない限り実効性は無い訳です。しかもスキルを磨いて高度な技能を習得するインセンティブもない訳で、果たして現場のモラルが維持できるのか?疑問です。現状日本人で構成された職場でさえ不祥事ボロボロなのに、外国人労働者を受け入れてまともなマネジメントができると考えているとすれば認識が甘すぎます。戦時徴用工の二の舞の悪寒。

結局社畜の代わりはAIでも外国人でもできないんです。人手不足を前提とした事業の見直しができなければ沈みゆくばかりです。そんな現実を踏まえてこのニュースをご紹介します。

東急、鉄道分社がもたらした27年ぶり高値  :日本経済新聞
東急の鉄道分社ですが、沿線再開発やビル賃貸などの事業は本体へ残すそうで、ある意味鉄道の専門性故の分社ということですが、このところの停電トラブルなど鉄道事業でのトラブル多発が背景にあります。その原因として電気技術者などの求人案があることは上記日産の無視覚検査と共にグローバルプリズンのエントリーで取り上げました。

東急にとってはルーツとなる田園都市株式会社が荏原電気鉄道や武蔵電気鉄道の免許線を利用して目黒鎌田電鉄を立ち上げた過去への先祖返りの形ですが、今や主力は渋谷など都内愛開発が中心で、かつて注力した多摩田園都市は高齢化で曲がり角を迎えています。いずれ多摩田園都市でも駅を中心とした再開発が必要ですが、そのためには鉄道がきちんと機能し信頼回復を図るための分社ということで、腐っても東急というか^_^;、現場問題をマネジメントの問題と捉える意識が見えます。勿論吉と出るか凶と出るかはわかりませんが。

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Sunday, July 29, 2018

タワマンたわわで8号豊住線建設マジ卍?

台風一過、暑さが戻った日曜日ですが、連日の暑さから2年後の東京オリンピックの危険性も指摘され、また鉄道や塘路の混雑も予想される中、2年後の予定された災害の声すら聞こえる東京のスットコドッコイです。

地下鉄有楽町線の延伸論、再び熱 豊洲移転に配慮  :日本経済新聞
有楽町分岐線とか北進線とか言われていて、地元江東区ががかねてより建設を希望していた都市計画8号線豊洲―住吉間の建設が動き出したのですが、これが難問だらけで迷走が予想されています。記事のタイトルにある通り築地市場の豊洲移転を巡る迷走で都と対立した江東区への配慮ってことで、きな臭さ漂います。

豊洲市場移転は二転三転して遅れに遅れたわけですが、長くなるのでそこへは立ち入らないことにします。問題は豊洲移転を巡るゴタゴタの結果、都が江東区に対して配慮せざるを得なくなった結果、8号豊住線の建設が決まるという完全な政治路線となることです。江東区としてはタワーマンションが乱立して人口が膨張する湾岸地域を抱え、小学校が足りないなどの弊害が顕在化する一方、洲崎(東陽)や錦糸町といった伝統的繁華街が取り残されており、バランス上南北方向の交通インフラ整備は切実な問題ではあります。

加えて小田急小田原線の複々線化完成で小田急のみならず広域で並行する東急田園都市線などの混雑も緩和され、混雑率ワーストとして東京メトロ東西線、JR総武線、JR京葉線が並ぶ状況で、8号豊住線による分散効果を期待しているわけですが、東京メトロは既に新たな新線建設を行わないと宣言しており、事業者が同意しない限り建設は不可能なわけです。

そこで都が何らかのスキームで建設を行う検討を約束した訳ですが、江東区のレポートによれば、第三セクターが整備主体となって路線を建設し東京メトロが営業主体となって運行を行うことが想定されているようです。都市鉄道利便増進事業費補助制度を用いた受益活用型上下分離ですが、その場合建設費1,420億円を整備主体’三セク)と国と地方がそれぞれ1//3を負担する形で、営業主体の東京メトロの受益が整備主体の必要施設使用料を下回り事業収支が成立しません。

地下鉄補助を適用した場合は整備主体の収支は30年以内に黒字化するものの、営業主体のその他の路線での減収の調整が必要ということで、こちらも営業主体の東京メトロの同意が得られる可能性はありません。整備費用だけで1,400奥苑を超えるのに乗車人員27万人の需要予想ですから、基本的な収支構造から言って、整備スキームを弄ってどうにかなるレベルではありません。

江東区は以前同区間を6連のワンマン列車で折り返し運転し、改札分離して割増運賃を取ることで収支均衡を狙った計画も出したことありますが、それだと果たして利用者がいるかどうかという問題もあります。ぶっちゃけ改札分離が可能なら、都営地下鉄として建設すれば問題はクリアできますが、ネットワーク効果による東西線などの混雑緩和は期待できません。鉄ちゃん的蛇足ですが、車両は三田線と共用で、高島平―元住吉―市ヶ谷―豊洲のルートで回送することは一応可能です。

ウルトラCがあるとすれば、メトロと都営の統一運賃が実現可能ならば、こういった問題はクリアされますが、その場合メトロ都営双方で減収がある程度発生すると考えられますから、その保障措置をどうするかとかややこしい議論になります。個人的見解としては思い切って初乗り200円程度で最高額500円程度に値上げしてプール精算する仕組みを作り、車両営業走行キロなどの代理変数で配分するなどでしょうか。まあそこまでやる気はメトロにも都営にも無いでしょうけど。

利便性だけを考えれば、いっそゆりかもめの延伸で対応するのも手です。その場合当然運賃も割高になりますし、輸送力も落ちますが、例えば新駅構想として豊洲―東陽町間の新駅(枝川?)のJR京葉線潮見駅接続の希望が現状では難しいですが、AGTのゆりかもめならルートの自由度も高まりますから、双方に駅設置ということも可能です。

その他にJR小名木川貨物線のLRT化構想ってのもありまして、やはり鉄道空白地帯の小名木川周辺の再開発狙いで遊休貨物線を活用し、明治通りに沿って新木場まで伸ばし、亀戸へアクセスする計画ですが、こちらは具体化していないようです。事業費の圧縮を考えるなら有力な案ではありますが。

築地市場の豊洲移転を巡っては、築地市場跡地は当面オリンピック対策としてバスプールに使われ、事後に食のテーマパークとして再開発するという構想ですが、これ今のところ口約束だけで何の裏付けもありませんが、こちらも中央区が希望する環状2号線ルートの銀座―有明間の地下鉄を実現するという話になっているようです。こちらは豊住線の半分程度の13万人の乗車人員見込みですから、普通ならまず実現可能性はありませんが、市場移転を巡るずさんな計画の結果、政治路線として建設されるとすれば、今は地方交付税不交付団体の東京都も将来は怪しくなります。

そもそも論として都心再開発花盛りですが、これ90年代頃から続く容積率規制の段階的緩和の結果です。その結果特に湾岸地域に多数のタワーマンションが建って人口が急増したわけですが、タワーマンションの建設にはいろいろ問題もあります。マンションの高層化は地価の高い都心エリアに安価に住宅を提供できる結果、所謂職住近接による交通ラッシュの解消などの狙いはある訳ですが、眺望を売りにできる人気の高層階は高単価な上に軽量化の狙いもあって区分所有面積も広いため高額であり、安価な低層階の住民との断絶がしんぱいされます。

これ管理組合の意見集約が難しいわけで、10年程度で実施する大修繕の費用負担の問題や将来の建て替えの問題で必ず揉めます。つまり人口が増えて税収増で自治体もハッピーとはいかないわけで、一体感の無い分断された地域社会でトラブルだけが頻発するってことです。しかも所得階層の上下はあるけど建設時期による年齢層は近接しており、それが小学校の不足などの特定年齢層増加に伴う問題を引き起こすわけです。

加えて新築志向が強く中古住宅流通が貧弱な日本の住宅市場でjは、年齢の近接した住民がそのまま高年齢化するわけで、小学校の次は中学校、そして高校と不足の連鎖が生じますし、就職や結婚で独立して親元を離れっれば、残るのは高齢の親世代だけとなり、社会保障負担がのしかかる訳です。だから新線を作って新たな再開発を手掛けて人口流入を続けるしかない訳ですが、今や人口減少で全国の住宅の1/3は空き家という状況です。これ以上の人口流入は郊外や地方の人口流出を促すだけで、地方を疲弊させます。こんなことは続けられません。

最後に一言、マジ卍?

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Sunday, January 14, 2018

マル生運動の悪夢

アベノミクスも5年目を迎え、輸出大企業を中心に企業業績は上向き、株価も高値更新を続けます。失業率や有効求人倍率などの数値も景気が上向きと取れる動きですが、生活実感が伴わない状況が続きます。当ブログでは世間が言い出す前からアベノミクスの問題点を指摘してきたわけですが、実際その通りの結果で、未だにデフレ脱却できずに成果の乏しい状況が続きます。

そもそもこれだけ労働需給が締まってきたら金融緩和も財政出動も効かないわけで、金融緩和は出口へ向かわざる鵜を得ないし、財政政策はそもそも求人難で事業が滞り予算通り執行できていない状況ですから、むしろ財政再建の好機なんですが、そんな気はサラサラないようです。むしろ成長戦略として規制緩和をぶち上げたり、TPPを口実に農業を補助金漬けにしたり、モリカケスパコンで怪しげな便宜供与をしたりしてますが、今年は働き方改革だそうで、生産性革命をやるとか。まるでマル生運動で労使関係を疲弊させ、解体へ向かった旧国鉄の失敗をなぞるようなこと言い出してます。こりゃ救われんわ。

日本企業の生産性の低さは以前から指摘されてきましたが、長時間労働の解消という美名のもと,働き方改革と称して労基法が改悪されようとしていることは社畜ネタのエントリー希望のエントリーでも取り上げました。わかりやすくまとめると以下の通りです。

1.脱時間給として労働時間でなく成果で評価する高度プロフェッショナル制度(残業なし)
2.裁量労働制の業種の拡大とテレワークによる勤務時間の曖昧化(残業請求は可能だけどやりにくい)
3.労基法条文に残業時間上限を明記しつつ業種や繁忙期の例外扱いも可能に(事実上残業し放題+未払い残業訴訟時の賠償額の上限になる)
これ残業代を圧縮するためで、それが3%賃上げの原資と財界は胸算用してます。政府は必ず通常国会でこれを通すでしょう。野党がまとまらないのが心配ですが、これも以前のエントリーで心配したことが実現するということですね。

これだと長時間労働はステルス化して事実上長時間労働は温存ざれ生産性も上がらないってことになります。そもそも生産性を現場の努力で持ち上げようってのが間違いなんで、本来は設備投資によって資本で労働を代替することや、M&Aなどで事業の見直しをして規模の経済とシナジー効果で生産性を高めるのが王道です。例えばドイツの名門企業シーメンスが鉄道部門を仏アルストムに売却して重電部門に特化したのが典型ですが、中国北車と中国南車を国策で合併させて中国中車としたことで、かつて加ボンバルディアと並ぶ鉄道ビッグ3の地位が脅かされる中での大胆な経営判断です。生産性向上ってこうやるってことです。

日本の場合労働需給が締まってきたことは上記のとおりですが、中身が問題で、就労者数は確かに増えているんですが、総労働時間は横ばいで、つまり非正規の短時間労働者が増えただけってのが実態です。深刻なのはその間GDPもほぼ横ばいですから、労働力の投入量と生産量が変化していない、つまり生産性も横ばいってことです。GDPが横ばいでも総労働時間が減っていれば生産性は上がっていることになるわけで、これなら無理なく労働者の報酬である賃金を上げられますし、労働時間の減少はつまり余暇時間の増加となりますから、その分消費者余剰が拡大して有効需要を生み出します。また人口減少の中で求人難も緩和するわけですから、現在の人口動態に整合的です。てことでこれ貼っときます。

生産性向上 経営者こそ主役   :日本経済新聞
これ企業だけの問題でもないんで、水道事業の民営化を打ち出した東京都の事例が面白いんですが、東京都水道局は23区の水道事業を担う地方公営企業で、基本独立採算制なんですが、多摩地区では各市町が直営事業で手掛けているケースが多く、独自水源として井戸を持っていたりしますが、地域開発で水需要が増えると対応できなくなり、都水道局に水源を依存するケースがあり、加えて小規模な直営事業では合理化も難しいってことで事業委託しているところもあるわけですが、そのために都水道局は増員したくても公務員定員の壁でできないってことで、民営化してそのくびきを外そうってことです。水道のようなインフラ事業は希望の経済が働くわけで、多摩地区に留まらず埼玉県の自治体の受託の需要も取り込めるわけで、伸びしろがあるわけです。

これ営団→メトロに事業領域を侵食されてきた都交通局と大きく異なる事業環境だからこそです。都営交通の民営化はメトロの株式上場絡みで都の保有株式の扱いが問題になるので実現可能性はほぼありません。

こういう観点から国鉄民営化を見直すと、国鉄末期から営業路線の廃止、切り離しが相次いで事業規模を縮小したJR北海道と、元々の規模が小さいJR四国が苦しむのはある意味必然です。むしろ全国1社体制でギリギリ規模を確保したJR貨物が黒字化で上場が検討されるってのも、不思議ではありません。JR貨物の場合旅客会社へ支払う線路使用料問題という爆弾を抱えてはいますが、これ旅客6社と同様地域分割していたらこうはいかなかったでしょう。

てことで30年も経つと変化は避けられないところです。見直しは必要でしょう。おまけ。

除雪車出動に遅れ JR信越線大雪で立ち往生  :日本経済新聞
そもそも異常な積雪でダイヤが乱れに乱れ、運転士が雪かきしながら進路を確保しつつ運行していたものの力尽きたわけで、4両編成に乗客430人という状態で、不安を抱える乗客に乗務員が丁寧に対峙したからパニックにもならずに済んだわけです。もちろん早い段階でも運転抑止の判断もあり得ましたが、時は夕刻ラッシュ時間帯で、帰宅の足にとJRを当てにして駅に乗客が集まっている状況で必死に運行を確保した結果です。首都圏ならば振り替え輸送で他社線へ誘導で済みますが、大雪でバスも動かない中での出来事です。本当に頭が下がります。新幹線の好調にブイブイ言わせながら殿様商売の某JRと大違いですね。

も一つおまけ。そもそもこの冬の寒冷化と大雪は温暖化の影響と見られています。理由は北極の海氷の減少で氷ならば反射される太陽輻射熱を海水が吸収して海水温が上昇し、水蒸気が発生視野sくなっている一方、海水温の変化に伴い偏西風が蛇行し、大陸の寒気が南下したこと。その結果高めの海水温と寒気の温度差で雪雲が発達し以下略。偏西風の蛇行は北米、欧州、東アジアで特に顕著で、いずれも化石燃料の消費が多い地域です。とりわけ日本は低コストを理由に石炭火力への依存が強く孤立気味。電力会社の経営の都合で電車が足止めって考えると怒りが沸いてきます。

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Sunday, December 31, 2017

台車枠の亀裂

今年もあとわずかですが、このニュースはやはり取り上げるべきだろうと思いまして、こんなタイミングでのアップとなります。

亀裂、あと3センチで破断 新幹線のぞみ台車  :日本経済新聞
「あと3センチで断裂」というきわどい重大インシデントとなりました。最初に疑問に思ったのが、異音を確認しながら3時間も運行を続けたことで、実際JR西日本は非難を浴びましたが、その後岡山から添乗したJR西日本社員が東京指令所の司令員に新大阪駅での床下点検を提案したものの、司令員が上司の指示を受けたていたために聞き逃し、運行を継続した経緯が明らかになります。結構ありふれたヒューマンエラーがあったわけです。

とはいえ司令員の責任を問うのは難しいところで、そもそも頑丈に作られていて入念な点検を受けている台車に亀裂が見つからなかったから出庫して運用されたわけで、目視が困難な程度の亀裂で直ちにに断裂することがないように安全マージンを大きくとっています。点検時点で見つからなかった瑕が台車枠の断裂に至るようなことは想像すらできなかったはずです。現時点で原因は不明ですが、専門家の見方はこれです。

新幹線の「亀裂」はなぜ発見できなかったのか | 新幹線 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
記事の著者の見立てでは、側バリの軸箱近傍の溶接部付近で起きた典型的な疲労破壊ということで、突然発生したものではなく、長時間に亀裂が伸長したものということです。ということで、現時点でも入念に行われている検査体制で発見できなかったわけですから、検査体制の見直しは避けられません。

既にJR東海は従来台車枠では行っていなかった超音波探傷(非破壊検査)を検討すると発表しました。わずかの傷でも重大事故につながる車軸では行われていたものの、台車枠ではそこまでは必要ないということで、通常は目視検査で済ませていたようです。それでこれまで特段のトラブルはなかったわけで、このこと自体は問題ではないんですが、逆にめったに見られない台車枠の亀裂を見る機会そのものが少ないと、特に若い検査員は育たないというジレンマもあります。

この辺日産の完成検査問題で若手の見習い工にわざと不具合を仕込んだ個体を検査させて発見できれば一人統制前といった現場ルールを思い起こさせますが、上記記事で「航空機は故障率が高いので、ダイヤ統制部門は整備士の意見を最重視する」そうですが、元々過大な安全マージンを取っている鉄道の場合、指令員の判断も運行継続に傾きやすいということもあるでしょう。加えて岡山で添乗したJR西日本社員と東京指令所のJR東海の指令員という会社跨りの問題もあるわけで、実際新大阪で引継ぎを受けて添乗したJR東海社員の判断で名古屋で運行を打ち切ったわけで、流れでJR西日本の不始末のように見えてしまったということも指摘すべきでしょう。

似たような問題は東急田園都市線で東武鉄道の車両トラブルで架線事故が発生したってのもありました。こちらは新幹線のように車両の仕様が統一されているわけではありませんから、より問題が複雑です。

加えてもっと気になるのが上記記事でも指摘されている溶接後の熱処理が適切に行われているのかという問題と、記事ではあえて触れられておりませんが、神戸製鋼の品質データ改ざん問題で明るみに出た鋼材の品質問題の可能性も視野に入れておく必要があります。特に両者の合わせ技で、あるはずの過大な安全マージンがほとんどなかったってこともあり得ます。実際台車枠に亀裂が絡むこんな事故がありました。

東武東上線「脱線事故」は、なぜ起きたのか | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
東武東上線中板橋付近での脱線事故で、30年選手の10000系初期車の事故ですが、台車の亀裂が確認されてます。尤もこの事故では亀裂が事故原因なのか脱線の結果台車に亀裂が生じたのかは不明ですが、鉄道特有の過大な安全マージンが、検査の形骸化を生んでいた可能性もあるわけで、今回の新幹線事故との比較は必要でしょう。

また神戸製鋼の品質データ改ざん問題に代表される素材メーカーの不祥事も、商慣習として定着しJIS法でも認められている特採が言い訳に使われたように、要求品質自体が安全マージンを過大に見積もっていた可能性もあります。ってことで、台車枠の鋼材で勝手特採やられて且つ溶接後の熱処理が不適切だと、結果的に要求性能は大幅に低下します。何が言いたいかというと、川下の素材メーカーから中間の加工メーカーを経て組み立てメーカーへ納入される一連の中で、各社が独自にコスト削減には減むと会社単位での部分最適が追及されて全体最適を失う合成の誤謬が発生する可能性を否定できないってことです。

これユーザーである鉄道事業者自身も技術革新と品質の向上で検査周期の延長を当局に求めているわけですが、川下側の劣化を見過ごして延長が認可されれば、日本の鉄道が自慢とする安全が砂上の楼閣になる危険性があるわけです。この辺自動車の完成検査問題もそうですけど、規制当局である国土交通省がそこまで目利きできるのかということでもあります。規制改革の難しさは実に奥深いところです。

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