大手私鉄

Sunday, July 12, 2026

DOGEな猿真似も見苦しい日本のTACO

国会終盤の空転解消で動き出した国会ですが、熟議とは程遠い強引さはTACO(Takaichi Always Charenges Official)*1そのもの。人の話を聞かず答弁を勝手に変える高市首相を国会に出したくない与党は結局数の力で強引に一転突破するしかないわけです。あれこれ突っ込みどころ満載ですが、ここでは2点だけ指摘します。

まずは皇室典範改正ですが、憲法で定義された国民統合の象徴からかけ離れた議論で決着しました*2。産経を除く新聞各紙は審議を尽くさない国会運営に苦言を呈します。これ事実上の憲法解釈の変更ですからね。世論もその点は政権に逆風です。にも拘らず付帯決議で歯止めを狙った中道改革連合が与党に突っぱねられたにもかかわらず賛成に回ったことは禍根を残します。逆に与党の強引な国会運営を批判するチャンスだし、立件と公明の3党合流で大きな塊を作って政権交代を目指すんじゃなかったのか?

あと個人情報保護法改正案ですが、専門家も警告を発しています*3。経済界からのAI学習のデータ活用で、個人データの利用に本人同意が必要で、匿名化も含めて手間とコストがかかることから規制緩和が求められたものですが、政府はそれに対して情報類型を増やして対応した結果、対応が寧ろ複雑化しますし、漏洩の心配から利用が忌避されることもあります。KDDIのメールアカウント不正アクセスとパスワード漏洩のように*4外部からのアタックや、そもそも企業の法令順守がいい加減だったりということもありますし、仮に漏洩したり利用目的を逸脱しても、個人レベルでは察知できませんし、AIで容易に名寄せされてしまうことになります*5。規制緩和を求めた企業も戸惑っています。

拙速な政権運営は例えばこんなところにも表れてます*6。官僚の言うことを聞かないTACO政権ですが、寧ろ易々と官僚に操られている実態があります。熟議を経て対立を乗り越えた一致点という意思決定の正当性がないからこういうことになる訳です。正当性で官僚を抑えられない。それが如実に表れたのが骨太ショックですが*7。同エントリーで取り上げた京成電鉄の新型特急の続報です*8。京成はスカイアクセス線の部分線増も予定しており、千葉ニュータウン中央~印旛日本医大間で並行する成田新幹線の路盤活用でスカイライナーなど有料特急を160km/hで走らせることで、スピードアップと増発を図るものです。

てことで成田新幹線の遺構の活用となります。元々都心から遠い成田空港のアクセスに新幹線を建設する国策だったもので、成田闘争で遅れた成田空港の建設に併せて成田線分岐点の土屋~成田空港間の路盤とトンネルと空港第2ビル、成田空港の駅部は作られていたわけですが、その煽りで京成電鉄の成田空港線はルートが被るといういことで現在の東成田駅からバス連絡でターミナルビルへ向かうという形で建設され開業しました。しかしせっかく作られた成田新幹線の遺構を活用すべきじゃないかということで、国鉄と京成で争った結果、当時の石原慎太郎運輸相の裁定で単線並列で双方がシェアする形に落ち着きました。

それとは別に成田新幹線の都心側ルートを活用したルート案も提案され、現行京葉線都心ルートから都市計画8号分岐線新(有楽町北進線)ルートで押上に至り、押上線から北総ルートで成田空港へ向かうというものでした。結局実現はしなかったものの成田新幹線の遺構活用は模索されて、のちに成田スカイアクセス線として実現した訳です。国家プロジェクトに依拠しながら実現しかかった部分を乗っ取った形です。報道では京成の成田湯川からの新線は高架で新ターミナルに乗り入れる形のようですが、結果的にかつて成田空港駅を名乗った東成田既に近接します。この辺の詳細はまだ報じられておりませんが、芝山鉄道がどうなるかなど絡みます。

そして千葉県と関連9自治体には課題ものしかかります。成田空港拡張で土地収用制度活用で成田エアポート(NAA)に同意しました。県も自治体も成田闘争の記憶から及び腰でしたが、国策ということで渋々同意したものです。用地買収交渉は県と自治体が担うわけです。高齢化や代替わりで穏健化しているとはいえ、国との戦い方の経験値が高い地権者との交渉は簡単ではないでしょう。となると地元への見返りの位置づけの芝山鉄道に何か動きが出る可能性はあります。九十九里延伸までは無理でも若干の路線延長や増発はあるかもしれません。いずれにしても強引なやり方では話は進まなくなるということは言えます。TACOじゃダメなんです。

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Saturday, July 04, 2026

骨太ショックで複雑骨折

前エントリー*1のタイトルで「正体」のつもりで「招待」に誤変換^_^;。しかし内容と齟齬がないのでこのままで訂正はしません。ポピュリズムを呼び込む政治状況は日本に留まらずBrexitやトランプ現象も同様です。結局政治のエンタメ化で絡めとられるどうしようもない現実だけは続きます。

てことで本題に入る前にBusRama最新刊(216号)で和田編集長がEVMJ問題でコメントを載せてます*2。ザックリ言えば地獄への道*3で述べた中国EVのアジャイル開発の波に吞まれて、工業製品につきものの初期不良対策ができていなかったということです。一方でネットで炎上した中国製で詐欺だとか選定プロセスの疑義などは踏み込まない慎重さで好感が持てます。特にブレーキホース損傷などのリコール案件は、修理すれば使用可能だった車もあったはずですが、自動運転社会実験用40台を含む全190台の減損処分には疑義を呈していて大手メディアにはない視点を提供しています。大阪では議会で突き上げられており、まるで証拠隠滅でもするような全車処分はむしろ意思決定過程を不透明にします。少なくとも失敗を認めて教訓を後世に残す姿勢ではありません。これサナエトークンやt中傷動画問題と似ています。

てことで本題ですが、経済財政諮問会議の骨太の方針が発表されました。予想通りの積極財政路線ですが、市場は早速反応しています*4。3日の債券市場で長期金利の指標となる10年物国債金利が一時2.81%をつけて3%をうかがわせる動きとなりました。また金利上昇観測から2日に2.7%で実施された国際入札は不調で、原因は政府が日銀の利上げに消極的なことで円安が進むと市場が見た結果です。利上げしても円安といっても、欧米の金利水準よりかなり低い上にインフレ補正の実質金利は相変わらずのマイナス圏ですから、日本国債を積極的に買う理由がない訳です。

やや長くなりますが、日本経済の複雑骨折ぶりがあぶりだされました。先月の日銀の利上げは予想通りだったけど、政府は難色を示していました。上田総裁は政権の圧にやや弱気だったようですが、病気の治療を理由に異例の政策決定会合欠席となりましたが、審議委員5名が利上げ賛成を表明していましたから利上げは既定路線だったといえます。そして政府は盛んに為替介入をにおわせて市場けん制を試みましたが、ドル円162円台をつけても動かなかったように、実際には原資となるドル預金を4~5月に11.7兆円も使って155円台に戻したものの効果は1月で剥落しさらに円安が進みました。市場は介入警戒ムードで小刻みな動きでしたが、結局介入はないと見てより利回りの良いアメリカ国債やAIブームに沸く株式投資の原資になるドルが買われてじりじりと円安が進みました。政府は意に染まぬ日銀の利上げを今回は為替介入が困難だから容認したという背景が透けて見えます。その裏には為替介入のために保有米国債を売られることをアメリカが嫌っているという事情もあります。

そんな中で明らかにされた骨太の方針が予想されたとはいえ財政出動のオンパレードで、財源としてインフレによる税収上振れを当てにしています*5。2025年度に2.6兆円の剰余金が発生したことから、税収上振れ3兆円を見込んで国債発行を抑えるとしてますが、つまりインフレが進行することを前提にしているわけで、その分国民生活が圧迫されることには向き合わず、単なる帳尻合わせをしている訳ですが、インフレが進めば遅れて金利上昇は避けられないから、国債の利払い費の負担も増すことは考慮されてません。日銀に圧をかければ低金利が続くというアベノミクスの劣化コピー版の経済見通しを打ち出したことで複雑骨折と表現すべき状況です。

そうは言うけど日経平均株価は上がってるじゃないかともいわれますが、これアメリカのAIブームの流れで半導体関連が買われている結果の株高で、半導体以外はほぼ横ばいです。株価以外全部沈没をご参照ください*6。ちなみに同エントリーで取り上げた京成電鉄の押上発着の有料空港連絡列車の続報です*7。現在成田空港ではB滑走路の1,000m延長と3,500m級の新滑走路整で大型機発着が可能な3,500m級滑走路2本として、分散しているターミナルも統合するというもので、実現すれば1.5倍の発着枠拡大が実現しますが、そうなると鉄道アクセスの輸送力不足が問題になります。現状でもスカイライナーやN'EXは満席が多く、アクセス特急や快速エアポート成田も時間帯によって混雑する状況です。

京成電鉄は2027年運転開始を予定する押上発着の湯量特急を30年代に都営浅草線と京急に直通させて羽田空港と成田空港を結ぶ構想で、成田新幹線の遺構を単線並列でJRとシェアする成田湯川~成田空港間を複線高架の別線で建設し新駅を設置し、JRは京成が新線移行後に線路を改築して複線化し、京成は有料特急毎時6本、アクセス特急毎時3本と倍増し、JRもN'EXを毎時4本と倍増する計画です。統合新ターミナルへの移行が前提となりますから、具体的な時期は明示されておりませんが、新滑走路整備を含めて用地買収が難航しており、遅れることは確実です。加えて供用時間拡大問題でも地元の同意が必要で、こちらも流動的です。資金問題は国や県などと協議されるようですが、京成本線ルートや東成田駅、芝山鉄道の扱いなどは報道にはありません。

あとJRは羽田空港アクセス戦を活用した羽田成田連絡輸送を目論んでおり、おそらくりんかい線を介した京葉ルートでの実現を狙っていると思われますが、その場合京葉線から総武快速線への渡り線整備が欠かせません。候補としては高谷支線活用の西船橋ルートと千葉みなと~本千葉を結ぶ連絡線新設などが考えられますが、どちらも実現のハードルは高いといえます。加えて軽京成新線の整備後の複線化と実現時期も京成の後になるという意味で苦しいところです。そしてインバウンドの拡大が前提ですから、円安が進んで国民生活はさらに窮乏すると考えると、手放しで喜べないところです。確かに便利にはなりますが、果たして国民を幸せにするものかどうかは微妙です。

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Sunday, June 28, 2026

ポピュリズムの招待

EVMJ製の万博EVバス150台*1と府内自治体の自動運転バス向け40台の計190台が減損処理されました*2。万博のほろ苦い後始末です。加えて南河内地区で予定されていた自動運転バスは日野のディーゼルバスで行うことになりました*3。有権者の歓心を買って票につなげることしか頭にない維新の雑な政策運営がもたらしたトラブルです。しかしそれに引っかかる有権者ってのもどうなんだか。

マルクスが面白いことを言っていて、同じように貧困の淵にあっても賃労働に雇われた労働者と雇われていない物乞いなどの違いとして、後者は簡単にブルジョワジーに買収されてプロレタリアートに敵対する存在というう意味で「ルンペンプロレタリアート」と呼びました。団結を台無しにする存在として警戒したわけです。同様のことは日本の吉本隆明が大衆について述べたことと通底します。大衆は保守的で目先の利害しか見ないからインテリがいくらアジっても動かず、彼らが動くのは自らの生存に危険が迫った時だけということです。例えば右派インテリの三島由紀夫の檄に反応して武装蜂起しなかった自衛隊員という構図です。

マルクスはまた公娼制度についてもプロレタリアートを懐柔する娯楽と指摘します。娯楽の少なかった初期資本主義社会ではセックスの娯楽としての意味は大きく、故に所謂貧乏人の子沢山で世代を超えた労働力の再生産も安定していましたが、逆に扶養人口の増加は貧困をもたらすので、生殖から切り離されたセックスの必要性もあった訳です。但し資本主義の進化の過程で映画やテレビなどの娯楽が登場してそちらに関心が移ることで、公娼制度のニーズは低下します。更に進めばアイドルやアニメなど作り物のバーチャルな娯楽が登場して消費者としての個人に分断が進みますから、生殖を伴うセックスのようなメンドクサイ娯楽はむしろ敬遠されます。少子化は必然と言えます。

そうなると労働力の補充ができなくなって徐々に経済成長を押し下げますから、資本家が上前を撥ねるのが難しくなります。だから欧米では早くから移民で労働力を増やす政策が採られました。最初は主に植民地住民の本国への移転だったものが、戦後植民地の独立後も移転を受け入れ続けた結果、移民による労働力の補充が続きました。故に移民の多くは旧植民地から旧宗主国へという流れが主流でした。しかし日本は戦前は同じ帝国臣民と言いながら、戦後朝鮮半島出身者などを国民とは認めず、所謂在日問題となっています。だから原因は戦後の日本政府が作ったもので、彼らへの差別は全く正当性がありません。

やや遠回りしましたが、嫌韓嫌中やクルド人問題などのヘイトクライムも娯楽化していることが問題ですが、インフレに苦しむ国民の関心を逸らす意味はあります。国民をシカトして*4やりたいことしかやらないうましか宰相*5が下がったとはいえ高支持率なのも、政治が娯楽化した結果です。文春砲の中傷動画問題はそんな現実を暴いています。しかしその裏で日本の国富は食われています*6。5500億ドルの対米投資で国際協力銀行(JBIC)とメガバンクの協調融資で手当てされますが、メガバンクが音を上げています。ドル建て融資となるけどドル預金は少なく、市場で調達すれば円安が進みますます調達困難になるから難易度は上がります。対策として日銀のドル供給オペや外為特会活用などが言われてますが、日銀オペは経済ショックなどに備えたものだし、外為特会活用は米国債売却につながるとアメリカを刺激するしで打つ手なし。限られた民間銀行の融資余力を減らせば国内を含む民間投資を阻害するしで、基本的に打つ手はありません。てことでアメリカに貢ぐ姿勢は相変わらずですが。

銀行の融資余力の減少は金利上昇を通じて公共投資も民間投資も下押ししますから、政府が掲げる戦略17分野の成長戦略も動かすのが困難です。日銀利上げで銀行は日銀当座預金の超過準備に1%の利子がつく一方、預金金利は1年定期でも0.4%とかって水準ですから、融資余力を拡大するには預金集めが重要ですが、「貯蓄から預金へ」の掛け声で新NISAに家計貯蓄が流れてますから預金獲得のハードルも高くなってます。てことでカネ余りなのに銀行がピーピーいっているという摩訶不思議。まともな経済政策とは程遠い現状です。前エントリーで取り上げた阪急のなにわ筋連絡線や新大阪連絡線も着手できるかどうか。

また阪急の計画の前提のなにわ筋線にも異変が起きています*7。幹となるなにわ筋線の事業費が倍増しています。三セクおおさか高速鉄道が府と市に3200億円の追加出資を要請したものです。大阪府は泉北高速鉄道の売却益で、大阪市は市営地下鉄と市営バスの民営化で手当てした資金では足りず*8、追加出資をすることになるわけですが、万博で見せた泥縄*9は維新しぐさかい!尚、五輪、万博、ワールドカップなどの国際イベントも娯楽として消費されますし、ナショナリズムを鼓舞するから支配層にはおいしい話になります。また副首都や都構想も大阪人の首都東京へのナイーブな対抗心をくすぐり票につなげてます。

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Sunday, June 21, 2026

食われる公共

AIの投資考*1の中傷度が問題で公開された動画の一部に総裁選前の画像が確認されたということで、文春と共同通信が動画公開を見合わせました*!。高市シンパをぬか喜びさせたネタですが、週刊文春今週号記事で種明かしされてます。疑惑の動画20本中4本以外は問題はなく、疑惑は微塵もゆるぎないものです。またサナエトークンの無許可販売は明確な違法行為であり、金融庁がどう動くかはわかりませんが、動画制作者とされる松尾氏が週刊現代の取材には応じず文春に持ち込んだのもサナエトークンでの訴追を逃れるための目くらましの可能性があります。首相案件だけに金融庁は動きにくいとしてもデジタルチンピラのマネタイズに利用された脇の甘さは指摘できます。

そんな中で郵政事業をめぐるこんなニュースもあります*4。郵政民営化の後退というよりも、郵政を支えてきた金融事業の利権切り出しの結果、郵政事業の赤字体質が顕在化したってことです。とはいえ郵便条約で公的に維持する必要があるから公金を投入するというわけですね。こうなることはわかってましたが。結局新自由主義的な民営化路線は、公共部門の事業を民間が儲かるように切り出して食い物にするだけです。そして五輪や万博のような国際イベントも、公共部門が音頭を取って民間に儲けさせるだけってことです。経済成長の結果、投資収益逓減の法則で利益率が傾向的に低下して儲からなくなる一方、新興国の工業化で追いあげられる中で、税金その他で公共部門に集まる公金を狙ったビジネスにシフトしていくという構図です。

これ国鉄分割民営化でも同様のことが起きています。リニアひろば*5の都市計画道路音大のように民営化JRに自治体が便宜を図るような倒錯が起きるわけです。そもそもJR東海の単独事業だったはずのリニア中央新幹線ですが、財投資金3兆円投入も30年低利据え置き後の返済という民間融資ではありえない優遇です。その結果最高益更新という好調ぶりですが、これにはカラクリがあります。ダイヤモンドオンラインで記事になってますが*5、細かい説明は省きますが、静岡工区を含む工事の遅れで余ったお金を金銭信託して資金繰りしていることが明らかになっています。B/Sの右の負債の中に財投資金3兆円が含まれる一方、工事の進捗で支払われる代金は左の資産の部では建設仮勘定で計上されてます。固定資産の一部ですが、当面利益を生まないものとして処理されており、既に財投資金3兆円の一部が充当されています。一方工事遅れによる余剰資金は金銭信託として運用されて配当を得ているわけで、低利の財投資金との利ザヤを稼げるわけですね。静岡工区未着工のおかげでかなりまとまった金額になっているわけです。故に本音は「川勝前知事アザース」となります^_^;。

話変わって整備新幹線問題ですが、北陸新幹線の敦賀~新大阪間のルート問題で国土交通省が新たな資産を与党に示しました*6。紙面に載った表を見て絶句したんですが、一体評価と個別評価を並べて示しており、後者でB/C比0.5の小浜京都ルートが前者では1.1となっていてます。一体評価というのは東京~新大阪間を一体としてみた場合ということですが、つまり従来は事業化される区間だけの評価だったものを、既開業区間を含めた評価ということです。つまり既開業区間の受益を乗っけた結果ってことですが、分母にあたる費用は事業区間の範囲で負担されるわけですから、全くのインチキです。とはいえ京都市の水問題などで反対されてますし、これでまとまる可能性はほぼ皆無です。

そしてリニアと北陸新幹線双方に絡むややこしい問題もあります。2031年開業予定のなにわ筋線関連で阪急が計画するなにわ筋連絡線と新大阪連絡線の事業化が動き出しました*7。阪急としては関空及び新幹線と自社沿線を結ぶ意図ですが、同時に十三の再開発の狙いもあります。しかしリニアと北陸新幹線の新大阪駅の位置が決まらないから新大阪連絡線に関しては駅位置未定のままの見切り発車です。つまりリニアと北陸新幹線が足踏みする限り、手を付けられないってことです。それでも十三の再開発で資金回収は可能という判断なんでしょう。

一方リニアの残土処理でもめる岐阜県御嵩町で結局名鉄広見線の廃止が決まりました*8。みなし上下分離というのは所有権移転せず固定資産税収を線路保守などの費用に充てること上下分離と同等の効果を狙ったもので、並行在来線三セクのIGRいわて銀河鉄道でさ採用されてます。他方文字通りの上下分離で黒字転換したのが近江鉄道です*9。ローカル線存続に関しては民間への利益供与よりも住民の利便性維持が狙いですが、結果的に自治体次第ということです。企業を救うか住民を救うかには大きな違いがあります。

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Saturday, June 06, 2026

リニアひろばと謎の都市計画道路

相模原市の話題です。リニア神奈川県駅脳工事が始まりましたが、橋本駅南口に盛土の高台が出現しています*1。上はリニアひろばと称する神奈川県駅の工事現場を見下ろす公共空間として開放されています*2。平成の大合併で政令市の仲間入りした相模原市ですが、市役所のあるJR相模原駅と交通の結節点と言える小田急相模大野駅とJRと京王の橋本駅いずれも政令市としての集積度は低く、相模大野は町田の商圏に飲み込まれてますし、橋本は製造工場の集積はあるものの集客施設は乏しいところですから、リニア神奈川県駅の設置は相模原市にとっては地域活性化のチャンスともいえる訳で力が入ってます。元々人口が多かった合併前の相模原市ですが、市域を国道16号線が縦断していて基本的に自動車社会なので人の集まる集積地はできにくく、製造業の立地は多いけど閉鎖して商業施設や住宅団地になるところもあり、都市計画の困難な地域ではあります。 そんな相模原市で都市計画道路をめぐる市と住民の対立が起きています。大西大通り線と呼ばれる新たな都市計画道路ですが、1㎞程の区間に住宅100棟他の民有地を通ることから住民との対立が起きています*3。住民が反対する理由は2年前に突然の都市計画道路整備であり、市の説明では圏央道相模原ICとリニア駅のアクセス改善と周辺道路の渋滞緩和ということですが、物流幹線としてトラックの通行が多い圏央道と旅客輸送のリニアをつなぐ意味がよくわからないですし、ICに繋がる道路の起点の橋本五差路の混冊は日常化してますが、事実上行き止まりの橋本駅に通じる道路で混雑緩和に資するとも思えません。ただルートが中央リニアルートのほぼ直上ということで、なるほど民有地下の都市トンネルならば避けられない地上権設定による地代の発生を回避する狙いが透けて見えます。 リニアの事業主体はJR東海ですが、建設工事に必要な用地買収は各自治体に委託されています。特に中間駅設置自治体にとっては地域活性化のチャンスとばかりに都市計画を策定して事業に協力するのはわかりますが、このケースで謎なのは同じ用地買収でも地上権設定と立ち退きを伴う道路整備とでは難易度が違うことで、相模原市はわざわざ面倒なことをしているように見えることです。公共道路下ならば地代は発生しませんから結果的にJR東海に便宜を図る形になります。例えば市職員OBの天下り斡旋のような癒着があるかもしれません。そもそもJR東海には事業費圧縮の動機があります。 中央リニアに関しては2008年委にR東海が東京~名古屋間を自前での整備を打ち出して、その際の事業費を5.1兆円と見積もっていました。この金額は奇しくも市感染買い取り代金の総額と同じで、2017年に終わるローンの終了によるキャッシュフローの余剰をあてにしたものとみられます*4。その際に最短距離の南アルプスを頂戴トンネルで抜ける直行ルートで1件駅の原則を掲げるとともに、中間駅は請願駅ルールで地元負担を求めていましたが、後に方針変更して中間駅設置費用もjr等買い持ちとなりました。おそらく東海道新幹線南びわこ駅凍結を踏まえたものでしょう*5。自治体のちゃぶ台返しを封じたかったか。 結果的に事業費は5.3兆円に膨張した一方、中間駅は予約したアプリチケット所持者しか入場できない無人駅として駅位置もJR東海の都合で決めることにしました。その結果例えば地元はJR飯田駅併設を希望していたのに隣の高森町の市田柿農家の散在する田園地帯に変更されっました*6。飯田市はJR飯田駅貨物扱所の廃止に伴う跡地を将来のリニア駅用地としてバブル期の高値掴みで購入し、市営パーキングにして準備していたのに裏切られた形ですが押し切られました。飯田市より地価の高い相模原市ではその比ではないわけで、実際神奈川県駅の具体化には時間がかかりましたが、相模原市の積極関与で公共施設の統廃合などで用地をひねり出して着工に至りました。駅西側のルート上の民有地通貨もおそらく大深度地下トンネルとして地上権設定せずに施行した調布市の陥没事故*7や品川区の隆起、町田市の地下水噴出、瑞浪市の陥没などトンネルルート上のトラブルが相次いだことから、文句を言われないための都市計画道路整備と見ることができます。しかも相模原市の都市計画道路ですから矢面に立つのは市であってJR東海は関与せずの立場が取れるわけです。 それでも当初5.1兆円だった事業費は5.3兆円からコロナ禍による工事遅延や働き方改革の24年問題などで膨張一途で5.5兆円から一気に11兆円と倍増し、しかも2027年の開業断念どころか今後も人件費と資材費の高騰でいつになるかわからない。ましてや大阪延伸はほぼ無理というところまで来ています。静岡工区では動きがみられますが、県知事の容認姿勢とは裏腹に市長村レベルとの話し合いはいまだ続いていて終わりが見えないし、何よりトンネル残土の処理もめどが立たず、特に岐阜県御嵩町では重金属を含む要管理残土による湿地の汚染問題で反対運動が起きています。御嵩町といえば名鉄広見線の新可児~御嵩間の廃止問題もあり、特に可児市の塩対応で御嵩町が割を食うという問題も起きています。メガロポリス集中の害悪をダブルで受けているわけです。こんなことで地方創生なんか出来っこありませんね。

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Saturday, May 30, 2026

AIするチャッピー

運転再開*1。結局PC買い替えましたが、ソフトとデータの移行に手間取っています。AIが仕事を奪う未来とは異なるニュースですが、一部でそう見られているの草*2。巨人阿部監督が長女に暴行し、長女がChotGPTに相談して児童相談所に連絡し、それを受けて児相が警察に通報し、暴行罪容疑で現行犯逮捕されたということです。5時間の取り調べの後魁皇されており事件化されませんでしたが、有名人ということで話題になりました。

先に申し上げておきますが、誰であれ暴力は許されません。特に家庭内暴力でも特に父親による配偶者や子に対する暴力は、往々にして被害者が口を閉じたりむしろ父親を擁護したりもします。扶養関係で経済的な依存がある場合は特にそうです。その意味で直ちに警察へ通報した児相の判断は正しいし、すぐに動いた警察も正しい対応です。記者会見で代理人弁護士が代読した長女の手紙と称する文書を代読して、その中で長女が「大ごとになって反省している」とあることにも表れてます。この手紙も本物かどうかもわかりませんし、仮に本物でも当事者間の親書を公開の場で読み上げることの違和感もあります。結果的に長女はSNS上でバッシングされてます。結局加害者の阿部元監督は釈明のために長女をダシにしてますし、しかも謝罪相手は迷惑をかけた球団と関係者やファンに対してのものです。ますは長女に謝れ!

当然ながら仕事を失ったのは加害者本人の問題であってAIのせいじゃない。しかし若い年代ほど悩みや困りごとをAIに尋ねることもまた確かで、ChatGPTをチャッピーの愛称で呼んだりしていて、それだけ相談できる頼りになる大人が身近にいないってことなんでしょう。声のデカいオヤジには尻のすわりの悪い話かもしれませんが、AIに仕事を奪われるのは高学歴文系事務職などの労働代替の話です。でも高学歴文系事務職はブルシットジョブをシレっと編み出したりします。例えばAIの未来を吹聴したりAIの使い方やプロンプト作法とか有象無象が早速表れてます。わからないことをカネで解決しようとすればこうなるわけで、管理部門が肥大化して価値創造の現場が搾取される資本主義社会の宿痾です。

一方で株式市場はAI一色で、AIの物語*3に深く反応してます。ニューヨークのみならず東響も高値更新です*4。10社程度の半導体関連企業が相場を押し上げており、その他の一般株は下げているものも多数という状況です。そして取引高も更新されていて、海外勢による買いが集まっています。これは」ニューヨークの相場が上がりすぎたことによるリスク分散の意味もありますが、AI関連が牽引する構図は同じです。イノベーションで異次元の効率化による生産性向上の思惑からAI関連に資金が集まりやすい状況ながら、同時にAI相場への疑問もあり一進一退のボラティリティの高い相場となっています。ボラティリティの高さには別の要因もありますが*5。AIを用いた株式投資が増えて、AIは合理的に同じ判断をして相場を動かすから動きが大きくなるという弊害をもたらします。元々市場は参加者の異なった思惑が交差する中で相場が形成されるものですが、AIはそんな無駄なことはしないからこうなる訳で、AIは実は市場経済と相性が悪いんです。これ内緒^_^;。

AIの」危険性を示したアンソロピックですが,システムの脆弱性発見の能力の高さが悪用の危険を示唆するのは確かでも、限定ユーザーにしか公開されないから実態はわからず、寧ろ米トランプ政権との対立を解消した上で持論のAI規制を飲ませる狙いがあった可能性はあります。実際時価総額ではオープンAIを超えています。いずれにしてもソースコード非公開なので検証の手段はありません。実はAIの一番の問題はここれでしょう。若者が依存するように、ユーザーを依存させて囲い込み、データで丸裸にして心地よい消費を促すデジタルペットとして飼われる存在になります。まるで家畜人ヤプーのディストピアです。

てことで最後にやや野球ネタ。新秋津の連絡船を介した観光列車直通で提携するjr東日本年と西武HDですが*6、TELと秩父のほか狭山のベルーナドームや東海道線の小田原もターゲットとか。小田原は伊豆箱根鉄道のバスの拠点でもあり、小田急と箱根山の因縁はあるものの、今は和解して共同企画キップを売り出す関係ですが、セパ交流戦で西武がヤクルトに2勝1分けは勝ちすぎ?国鉄由来のスワローズをやっつけちゃったけど提携関係大丈夫かwwww。車両はラ・ビュー登場で秩父特急から退いたニューレッドアロー10000系ということで小田原では小田急ロマンスカーとの並びが実現するかもしれません。

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Saturday, May 02, 2026

債務の壁

日銀の4月利上げは確実視されてましたが、結局見送られました*1。行間を読ませる良記事です。本当は利上げしたかったけど大人の事情で見送りを決めたと読めます。政権の牽制発言もですが、国債の買い手不在という現実が重くのしかかります*2。債券市場はインフレ警戒モードなのにお構いなしに財政拡大で国債発行を増やすから、日銀が動けない状況です。つまり米FRBや欧州ECBのように量的引締め(QT)でベースマネーを減らしてから利上げという手順を踏めないから、未だに減らしてはいるものの日銀の国債買い入れを続けざるを得ない状況があります。ベースマネーは民間銀行が口座を持つ日銀当座預金に積み上がっており、政策金利の指標となる銀行間の短期市場が機能せず、超過準備に付利することでしか金利操作ができず、日銀の収支悪化で債務超過さえ起こしかねない状況です。

しかも政府は財政拡大基調を変える気さらさらなし。例えばこのニュースです*3。防衛費増強も消費減税もガソリン補助金も問い欲張っている訳ですが、既にガソリン補助金が巨額になって予備費を食い尽くす勢いです*4。ホルムズ海峡封鎖は長引きそうですし、仮に解除されても石油施設やLNG施設の破壊もあり、歳出量は減りますし、現状足止めされている船舶が目的地で荷降ろししてまた戻るという行程は相応の時間を要します。その間に備蓄が尽きたりすれば打つ手を失います。その時には補正予算となってますます財政拡大となり、国債消化が厳しくなって長期金利上昇となります。よりタイトな化成品は中国からの輸入が増えております*5。コロナの時のマスクを彷彿させますが、安価な中国製品の輸入は国産メーカーの市場を奪う可能性があり、レアアースのようなチョークポイントにもなり得ます。尚、中国はこの状況でも備蓄放出を行わず寧ろ増やしています。

そして伝家の宝刀の為替介入が行われました*6。160円70銭まで進んだ円安が一気に155円台まで戻し、投機筋にダメージを与えた模様ですが、これで留飲を下げてるのは問題です。日本国債の消化で海外投資家へのセールスが行われていて徐々に増えているのですが、彼らにとっては弱い日本円の投資は為替ヘッジとセットであり、実は投機筋の正体は彼らだったりする訳ですが、為替介入で噂させたら彼らも国債買わなくなりますよね。愚かです。国内勢は日銀をはじめ銀行は過去の大量買いが災いして特に地方銀行で金利上昇による評価損を抱えている状況で、買い増しは厳しいですし、生保なども同じような状況でとても買い増しは無理です。買い手の居ない公債を発行し続ければ長期金利はさらに上がります。そうすると国債の利払い費が上昇して更に財政を圧迫します。八方ふさがりになる訳です。

これ思い当たるニュースがありまして、東葉高速鉄道の債務危機問題です*7。営業収支は黒字ながら2000億円の債務を抱えており、金利上昇で利払い費が増えれば資金が枯渇して所謂黒字倒産状態になります。回避策は東京地下鉄、京成電鉄と沿線自治体による資本増強と運賃値上げですが、後者は元々高運賃で寧ろ値下げを求められており*8、これ以上上げれば今でさえ見有られる利用忌避が進んで逆効果ですから、結局資金支援となりますが、自治体出資の三セク鉄道故に協議がまとまるかどうかは微妙です。それでいて船橋市に請願駅が建設中*9。請願駅ですから船橋市が負担する100億円は別枠ですが、支援を求められる各自治体の協議を複雑にする可能性はあります。

以下蛇足。東葉高速鉄道の莫大な債務は工事時期がバブル期に当たり、用地買収難で事業費が膨らんだことが響いています。鉄道建設公団のP線工事という枠組みで、工事主体は鉄建公団ですが、実際には低利の資金提供で利子補給受けられるものの、実費である元本への支援はなく事業費の膨張がこの結果を生んだ訳です。債務の壁が立ちはだかる状況はわーくにの縮図です。

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Sunday, April 26, 2026

EVの壁

製造業の壁*1冒頭の日経平均4万円の壁から1年4か月弱、最高値をつけたものの6万円の壁が立ちはだかります*2。しかも半導体関連が上昇した一方その他株は低調です。ホルムズ海峡封鎖が続く中で先行するNYダウは下げてます*3。週明けの東京市場も下げると見られます。イラン戦争の影響が長引くことを市場が織り込んでいるということです。株価の上昇自体は円安とインフレの結果ですから手放しで喜べませんが。

しかし危機感の薄いわ―くにの政府。日本船籍の船がペルシャ湾に40隻以上足止めされていて、その分輸送力が減っている上に、米国産原油その他の輸送を喜望峰ルートやパナマ運河ルートで迂回輸送することで長い船旅となり輸送効率を下げますから、運航頻度が下がって結果的に輸送力不足になります。実際タンカーや輸送船の争奪戦で運賃が高騰し、パナマ運河通航料も高騰してます。故にアメリカ・カナダ・メキシコ産の原油を代替調達しても輸送コストが上昇してますから、石油関連品の値上がりは避けられません。これインバウンドで混雑が常態化した江ノ電で、12分ヘッドのネットダイヤを維持できずに14分ヘッドに伸びた結果、所要時間が片道4分増えて運行頻度を下げて結果的に輸送力14%減で混雑を助長し、繁忙期には乗車待ちの長い列ができる状況に似ています。輸送路の目詰まりはサプライチェーンの機能を低下させます。

早速こんなニュースも*4。幸いというかバス事業者はドライバー不足で減便が相次いでいてバス自体は余っている状況で、塗装面積の広いバスの生産調整はやり易いとはいえ、現状が続けば自動車生産にも重大な影響が出るということになります。バス・トラックのディーぜルエンジンの排ガス浄化装置尿素SCRに使うアドブルーも不足してますが、これもドライバー不足が救いでも、肥料原料との取り合いは起こります。こうなると追浜と湘南の2工場閉鎖を決めた日産がEVの開発生産を中国に移しますが*5、これが正解になる可能性は指摘しておきます。

製造業の壁でも指摘したようにテスラと中国のEVメーカー以外の自動車メーカーはガラケーメーカー化していますが、それを最も実感しているのがリーフで量産EVの先陣を切った日産ということですね。特に中国のモーターやインバーターやバッテリーの進化は、中国政府の産業政策もあって爆発的なイノベーションを引き起こし、テスラも中国製造拠点でその恩恵に預かった結果、伝統的自動車社メーカーを後塵に追いやった訳です。そのキモは早すぎる技術革新に尽きます。最先端の技術を取り込むには新車開発を短期間に行う必要がある一方、市場投入後により新しい技術を纏って後追いするライバルが出る訳ですから、必然的に陳腐化が早まり中古車のリセールバリューを低下させます。それを防ぐ為にはソフトウエアでアップグレードできるようにする必要があり、CASEと言われた自動車産業の変化がSDV(Software Defind Vehicle)へと必然的に進化せざるを得なくなったということです。わかりやすく言えばパソコンやスマホのように進化が早い一方でソフトウエアの更新で性能アップすることで、ハードとしてのEV販売後の収益機会をメーカーにもたらすことになります。クルマ作りのアーキテクチャーの根本的な変化です。対応するには新車開発を短期間で行うと同時に統合車載ソフトの拡張性を持たせることが必要ということです。

その為にはモジュール単位の電子制御ユニット(ECU)を統合して最終的には高性能ECUで全体を制御するという形まで視野に入れる必要があり、単独でそこまで出来るのは日本ではトヨタがギリギリというところでしょう。その意味では結構重要かもしれないニュースはこれです*6。デンソーは既にECUやインバーター向けパワー半導体を生産してますが、EV化を睨んでのM&A提案をロームに断られました。尚、ロームとのパワー半導体統合を目指す東芝は阪急電鉄、三菱電機は大阪市交という鉄道のローンチカスタマーに育てられたパワー半導体大手です。これがトヨタの電動化に影響する可能性はあります。一方一時は日産救済の期待を背負ったホンダは大変なことになってます*7、ソニーとの合弁解消で自動運転も遅れを取ることになります。こうなったのは実は2輪車の不振が影響しています。元々4輪車は赤字体質だったけど2輪車の世界王者故の超過利潤で穴埋めされていたから競争力を維持できていたのが、アジアの新興勢が電動化で躍進して市場を奪われて狂いが生じました。50㏄原付規制に護られて対応が遅れたことも影響していると言えます。

中国の産業政策を補助金漬けと見るのは間違いで、実は計画経済の流れで政府が産業の方向性にコミットして民間企業を動員するというソビエト型から進化した市場型功利主義的計画経済と言えるもので、実はお手本は高度経済成長時代の日本です。当時ブレトンウッズ体制で1ドル360円の固定相場に護られ、安価な原材料資源を輸入して国内で加工して付加価値をつけて輸出するという加工貿易立国の前提で、主要輸出先はアメリカだから太平洋ベルト地帯に生産拠点を集め港湾を整備するという方向性は明らかでした。故に国鉄が東海道新幹線の建設を決断できました。そして実は産業政策の担い手は日銀でした。当時の金融政策は固定相場維持の必要から国内景気が過熱したら直ちに公定歩合を上げて民間融資による信用創造を抑制し、景気が冷えれば下げて融資を促進するというシンプルなものでした。その日銀が窓口規制という銀行の融資指導も行っていて、当時の通産省の助言に沿って優先融資先を産業単位で示すということをやっていました。それに沿って民間銀行が個別企業に競って融資する形で、鉄鋼、機械、自動車、石油精製、化学などの製造業を後押ししていて、丁度中国の功利主義的計画経済とそっくりでした。

政府が後押すする産業分野に優先的に融資された結果、銀行預金主体の家計貯蓄をリスクマネーに変換するという金融の基本が機能していた訳です。だから「貯蓄から投資へ」なんて誰も言わないし銀行融資による現物投資のリターンは利息の形で預金者にも還元されていました。故に中国は米ドルの通貨覇権に対抗すべく人民元の国際化を模索してますが、IMF-SDR的な通貨バスケット連動には踏み込んだけど変動相場制への移行は足踏みしている訳です。その突破口として中央銀行仮想通貨(CBDC)のデジタル人民元による貿易拡大を狙い、ウクライナ戦争で窮地のロシアやイラン戦争関連もイラン産石油取引やホルムズ海峡通行料もデジタル人民元を推していると言われています。

こういう状況ですから地獄への道のEVMJ*8が生産委託した新興企業には怪しげなものがあっても不思議ではありません。EVMJに見る目がなかっただけです。幸い地元の江ノ電バスは実績のあるBYDの大型と小型を導入しており、その完成度の高さは実車で実感しております。たかがEVされどEV。目利き力って大事です。

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Sunday, April 12, 2026

前門の虎mp後門のsen狼獅子身中のmushi

ゾンビの性*1のナフサ不足の影響は既にサプライチェーンに表れてます。まず答え合わせ*2。87年に67%まで低下した中東依存度はその後増えますが、官民の協力で中国やインドネシアからの輸入を増やしたものの、両国の経済成長で国内需要にシフトして輸出が減り、価格上昇し相対的に安価な中東産への依存度が上がります。加えて自動車の燃費改善でガソリン需要の低下があって輸入自体は減りますが、その結果石油元売りの合従連衡と製油所の統廃合でナフサの国内調達は4割に留まり、不足するナフサなどは中東やアジアからの輸入で補完して今に至ります。輸入ナフサも大半は中東由来なのでホルムズ海峡封鎖の影響を受けます。

石油由来の溶剤などが既に出荷制限がかかり始めています。影響は多岐に亘り、塗装、包装、洗剤その他に影響が出始めています。ホルムズ海峡封鎖が続く限り供給難は避けられず、そうなると取り合いで高く売れる分野、つまり価格転嫁が容易なものに流れて、逆に価格転嫁が難しいものほど不足して限界費用が高くなるということになります。既に建材の値上がりがあり*3、住宅メーカーが悲鳴を上げてますが、出荷側は先行き不透明だから値上げして出荷調整で需要抑制を図っている訳で、今後洗剤などの日用品の生産が止まる可能性があります。また医療関連は保健医療で事実上の公定価格故に市場で干される可能性が高いと言えます。それに留まらず塗料系の供給難から自動車生産が止まる可能性すらあります。なのに政府の危機感は希薄です*4。

てことでトランプにおべっか遣って自衛隊派遣などの無理難題を回避しても*5、台湾有事発言以来の中国との関係悪化は続き*6、前門の虎後門の狼ばりの泣きっ面に蜂。しかも週刊誌ネタですが自衛隊派遣に乗り気だった高市首相を今井内閣参与が止めたとか*7。与党議員や官僚から「人の話を聞かない」「答弁書も書き換える」「一人で決めたがる」という声が聞こえることのリアルです。こんな獅子身中の虫(無視?)がいたらまともな対応は期待できません。しかしJR貨物による石油輸送という民間対応は油売りに翻弄される汗っかきの在り方でもあります。

所謂2024年問題による物流ドライバー不足問題ですが、予想ほどの混乱は起きなかったという分析があります*8。要因は大きく2つ。1つはコロナ明けの需要減。外出自粛でオンライン取引が増えたものの自粛解除で鎮静化したこと。2つ目は出荷企業を中心に共同配送や待機時間短縮などの最適化が模索されたことですが、一方で荷受け企業側の対応は不十分で未だに待機時間を減らせていません。逆に言えばこの部分の最適化が進めば改善の可能性はあるものの、ドライバーの年齢構成が50代中心で若年層の参入が少ないことから、先行きは最大25%の輸送力不足が見込まれています。そして物流企業の対応として長時間勤務になりやすい長距離便からの撤退が進んでいることも寄与しています。これ長距離ほどコスト面で有利になるモーダルシフトによる鉄道貨物や内航海運へのシフトを政策誘導する余地があるということでもあります。

にも拘らずこういったニュースが流れます*9。南海電気鉄道伝統の四国連絡輸送を担う南海フェリーの撤退です。特急四国号→サザンとの継送と自動車航送で長らく続いたルートですが、本四連絡橋開通もあり、コロナ禍で利用低迷の結果欠損を出すようになり債務超過状態に加えて船舶の老朽化で新造船への置換えもコスト面で無理ということで撤退が決まったものです。これ国内造船業の高コスト故の問題でもあり、造船業からの大手の撤退で中国や韓国に敵わない現実もあります。アメリカではすでに造船業は枯れてしまいましたが、日本も同じ轍を踏んでいる訳です。造船は軍民デュアルユースの重要なピースの筈ですが、現実は厳しいものがあります。

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Sunday, March 15, 2026

ゾンビの性(SAGA)

アメリカとイスラエルのイラン攻撃から2週間。どんどん悪い方へ動いています。ベネズエラもそうですが*1、中間選挙を控えて止まらないインフレや雇用統計の悪化*2もあり、トランプ大統領には明らかに焦りがあります。イラン攻撃もハメネイ師を殺害したもののイランの体制崩壊どころか寧ろ革命防衛隊の発言力が強まり、また急遽選ばれたハメネイ師の次男モジタバ氏は寧ろ革命防衛隊に近い強硬派で徹底抗戦を宣言するなど泥沼化しています。加えて頭の痛い戦闘のコスト*3。推定5500万円のイラン製ドローンを6億円のミサイルで迎撃する非対称戦でアメリカはミサイルを消費して在韓米軍のTHAADの一部を中東に移転させた模様です*4。国内の矛盾を外部へ向けて力を誇示する帝国主義戦争*5でです。

そして原油価格上昇で市場は混乱してますが、それでもアメリカは強気を維持していてイランに海兵隊覇権を決めた模様です*6。イギリスが国内米軍基地からのイラン出撃停止をアメリカに通告しましたが、日本政府にはできない相談のようです。アメリカの狙いはイランのドローン基地の打撃と石油施設の掌握ということで、イランのホルムズ海峡封鎖を無力化する狙いのようですが、うまくいくかどうか?イランの海峡封鎖も間歇的なドローン攻撃によるもので、タンカーやコンテナ船にに被害は出ていますが、中国船は対象外。完全封鎖しなくても攻撃される可能性があれば航行を躊躇しますし保険料爆上がりあるいは引受拒否となればリスクとコストの見合いで船を動かせないってことで、イランはリーズナブルな戦い方をしています。中国船も誤爆の可能性はありますが、チャイナランドブリッジと呼ばれる中央アジア経由の鉄路で繋がっており*7、迂回路も確保されています。

てことで海峡封鎖の影響を最も受けるのは中国を除くアジア各国であり、特に中東原油依存度9割超の日本にとっては大惨事です。また有事のドル買いで円安が進んでいて原油高とダブルパンチになっております。暫定税率廃止で20円ほど安くなったガソリン価格は一気に30円ほど値上げりしていて減税効果を相殺どころか突破しています。これ変でしょ?減税効果は僅かな一方、先物価格の原油値上がりにはあっという間に織り込まれてます。現物は安く仕入れた物なのに。実はこれ減税以前に元売りに支給された補助金が廃止されたことによります*8。

70年代の石油ショックの時にはドル円の調整でショックが緩和されていましたが、それでも狂乱物価で10%超のインフレに見舞われ、スーパーの棚からトイレットペーパーが消えるパニックは今でも言及されていますが、当時の原油価格は1バレル数ドルから30ドル程度に上昇したものですが、今回もWTI60ドル台から90ドル台に爆上がりで石油ショック再来と言って良いインパクトです。第一次石油ショック時点での日本の中東依存度は8割弱で調達先分散の結果6割程度まで一旦下がったのですが、冷戦終結後のグローバル化の時代に寧ろ安価な中東原油依存は拡大します。さらにトヨタプリウスに始まるHEVの登場やエンジン車も燃焼効率の改善で自動車の燃費が改善した結果、ガソリンの需要は減る一方で国内石油元売りの経営を圧迫し価格競争でガソリン価格も抑えられていました。それがリーマンショックによる原油価格上昇で元売りの経営を直撃し、その結果元売りの合従連衡で3社に絞られて製油所の統廃合も進みやっと需給が締まったところでロシアのウクライナ侵攻があり、供給不安から原油価格は上昇しガソリン価格も上昇しました。しかしこの時点で日本の産業構造は激変していて、国内製造業の空洞化で貿易赤字が常態化して実需の円安が定着します*9。故に原油高のダメージをより強く受けるようになっていた訳です。

この間の石油元売りは市場に翻弄されながら、それでも為替の円高に助けられて薄利を得ていたものの、アベノミクスの円安誘導で厳しい事業環境は続いていた訳で、しかも自動車の燃費改善もあってガソリン需要は減る一方で合従連衡と製油所統廃合で凌いでいたところのウクライナ侵攻で青息吐息だった訳です。こんな調子だし脱炭素のトレンドから製油所の設備更新もリスクが大きく、古い設備を使い回して凌いでいたのが現実です。故にウクライナ侵攻を契機とする原油価格の上昇にも対応できず、原材料を輸入に頼るが故に円安も逆風となっていた訳で、政府補助金で食いつないできたのが現実でした。だから暫定税率廃止でも価格をあまり下げられないし、また古い製油所設備は中東原油対応なので、アメリカやロシア産の軽質油に対応できず、ズルズルと中東依存が続いた訳です。だから暫定税率廃止による値下げは補助金廃止とセットなので店頭価格は下げないとクレームになる一方、降って湧いた原油高を好機とばかりに値上げに走った訳です。老朽化したポンコツ設備を維持する費用に補助金が充てられていた訳です。

他方意外な影響が顕在化してます。エチレンの生産調整です*10。出光興産がエチレン生産停止の可能性を納入先に通知したことから始まって石油化学各社が一斉に生産停止や減産を通知するということが起きています。エチレンはナフサが原料でプラスチックや合成繊維の原材料となりますが、国内製油所が中東産から離れられなかったのは、不純物の多い中東産の重質油だから精製過程で多くの副産物を生み、国内石油化学産業を支えていた訳ですが、ガソリンの需要減でナフサの国内調達が困難になる一方、中国や東南アジア産のエチレンプラントが立ち上がったこともあり、競争力を失ってやはり系列を超えた合従連衡が進んだ業界で、既に国内調達は4割まで下がり、残りは輸入に頼る状況でした。つまり石油元売りと同様に縮小均衡を迫られたゾンビ業界だった訳です。そして国内のナフサ備蓄量はせいぜい2か月分程度であり、ガソリンより早く枯渇すると言われています。政府は原油高対策で元売り補助金の復活を打ち出してますが*11、これゾンビ化した石油元売りを助けることにはなりますが、ガソリン価格が下がるかどうかは微妙です。

G7を中心に原油の戦略備蓄放出が話し合われてますが、ちょっと頭痛いのは国際協調を待たずに日本が単独に動いている点です*12。G7で協調放出を話し合われている中、時間がかかるから日本単独で放出しようってことですが、為替のレートチェック*13を思い出していただきたいんですが、ベッセント国務長官がレートチェックを仕掛けてすわ協調介入か?と市場が反応したように、単独では市場インパクトは弱く、協調することで市場にメッセージを送ることで反応させるという経路がある訳です。ホントなんも考えてないわ。

結局近視眼的な補助金でポンコツサプライチェーンを維持して今に至る訳で、ポンコツゾンビには雇用がぶら下がり成長分野への労働力移転を阻害することになります。裏・壺・族は国を亡ぼす*15。同様のことは例えば原発でも起きていて、柏崎刈羽6号機でまたも警報が鳴って発電を止めました*14。14年間停止していた間にも老朽化は進んでいた訳で、今回は漏電の警報ということで、20%稼働で炉は止めずに発電を停止して原因究明ということです。ポンコツ無理に動かそうとするからトラブルが絶えない現実があります。とはいえ廃炉して新型炉にリプレースする資金も無いから無理して動かそうとしている訳です。原発も補助金漬けでどうにかしようとしてますが、安全対策のコストを賄えない中で元を取ろうとしている訳です。東電は福島の廃炉費用の負担もありますし、電力自由化で小売部門の東電離れで経営は苦しい中、送電網の維持に総括原価方式が保持された結果、新電力に高額の託送料を負担させて維持している現実があります。尚電力の総括原価で認められた報酬率は3%で鉄道の2%より優遇されてます。加えてエネルギー価格の変動に対応したサーチャージ制度も組み込まれています。

てことで昨日(3/14)JR東日本、西武鉄道、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)の運賃値上げが実施されました*16。鉄道運賃には電力や航空で認められているサーチャージ制度はなく、JRや大手私鉄、大都市地下鉄など大規模事業者には3年間の収支レートベースが値上げの根拠として求められられますから、今回の値上げで3年間は検証期間として値上げできないし、3年後に次の値上げを準備しても認可までの時間を考えるとおおむね5年間は運賃を弄れないことになります。その間にもエネルギー価格の上昇は見込まれますから、収支改善への寄与がどの程度になるかは見通せません。

一方JR普通運賃は私鉄や高速バスなどの運賃水準を決めるベンチマークの役割もあり、例えば京王電鉄では運賃差による安さの訴求をしてますし、今回の値上げで品川~横浜間でJRと京急の運賃逆転が起きたりしてます。また他社も値上げに追随しやすくなるという意味で、今後の値上げドミノが起きる可能性は指摘しておきます。

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