大手私鉄

Saturday, February 11, 2023

怪運国債市場の蓋

怪運国債依存症の続編のウンコクサイ話です。

日銀ピボットで株高の死角 共担オペに「追い証」リスク NQN編集委員 永井洋一:日本経済新聞
「毒まんじゅう」とは穏やかではありませんが、取り上げられている共通担保資金供給オペ、略して共担オペを取り上げております。これは12月の日銀のYYCの上限見直し後も10年ものだけ金利が低い屈曲イールドカーブを批判されて10年もの以外の金利も下げるため、民間銀行が保有する国債の担保差し入れで日銀が低利融資するというもので、日銀だけではすべての残存年数国債の買い付けすることには限界があるので、民間銀行に代わりをさせるものです。つまり金利の高い国債を保有したまま低利融資することで利ザヤが稼げる訳で、銀行保有国債の売りを阻止しようということです。

こうすれば金利上昇を睨んだ投機筋カラ売りに必要な国債の現物が市場に出なくなってカラ売りが困難になることを狙ったもので、残存年限によっては市場が干上がっているケースもあり、また日銀自身も2年もの5年もの20年もののなど買い散りオペでイールドカーブ全体を下げる狙いです。その結果多くの銀行が共担オペに入札し恩恵を受ける一方、投機筋の打ち手を封じることになりますが、同時に投機筋は空売りに必要な国債現物を日銀を含む銀行から借り入れていた訳で、当の日銀が投機筋を助けていたという笑えない構図があります。国債の高値買い取りと当座預金の一部にかかる0.1%の利息を稼ぐ必要がある訳です。

結果的に日銀の国債買い取りは過去最高になっており、民間銀行の共担オペ入札で国債市場はほぼ流動性を失った訳ですが、これも痛し痒しで、逆に規模の小さい市場ほど少ない手持ち資金で市場を動かしやすくなりますから、日銀による国債爆買い以上の効果は見込めませんし、銀行も金利上昇による追証追加を迫られるリスクを負う訳で、やり過ぎが銀行を追い込むことになり、それが民間融資を圧迫する可能性もあります。ただでさえゼロゼロ融資の期限で通常融資への借り換えのタイミングでの民間融資圧迫は愚策ですし、既に多くの銀行で貸倒引当金を積み増している状況です。企業倒産が増えることは間違いありません。

日銀の異次元緩和はこうした瑕をもたらす結果を見ればわかる通り大失敗なんですが、さりとて利上げに動けば国債金利の上昇で銀行の信用不安や国債利払いの増加で財政を圧迫したりすることから、急激にシフトという訳にもいかず、とりあえずYYC見直しから徐々に手掛けて市場にショックを与えない配慮が欠かせません。そんな難題を残して黒田日銀総裁は4月8日に任期満了で退任する予定ですが、後継総裁選びは難航してこうなりました。

日銀新総裁に植田和男氏を起用へ 初の学者、元審議委員:日本経済新聞
日銀プロパーで歴代総裁に仕えて陰で支えた本命とされた雨宮正佳副総裁の辞退で人選は難航し、結果的に民間人の学者として初の総裁ということで植田和男氏が浮かんできました。1998年から2005年まで日銀審議委員を務めており、金融政策に明るいとはいえ速水総裁時代のゼロ金利解除で反対票を投じるなどしており、異次元緩和の見直しがどれだけ進むかはわかりませんが、日銀も財務省も後始末の困難さはわかっているので引き受け手がいないというのが実際のところです。学者先生に弾除けになってもらいたいというのが本音でしょう。でも財政拡張は続きます。
経済力こそ国防の基盤 財政政策と国債増発の行方 鎮目雅人・早稲田大学教授:日本経済新聞
防衛費の財源問題が与党内で論争となっておりますが、税であれ国債であれ国内の経済資源を費消することに変わりはない訳で、国民に我慢を強いることにまります。それなのに防衛費増の必要性に関して腑に落ちる説明はなされておりません。はっきり言いますが、アメリカの歴代政権が日本に求めてきて日本の歴代政権がぬらりくらりかわしてきた宿題に対する満額回答をした訳です。

アメリカの国内世論の分断で支持が盤石とは言えないバイデン大統領にとっては外交成果となる一方、日本には財政負担のみならず、例えば島嶼部防衛の名目で南西諸島の陸自配備を決めたら米海兵隊がついてきたということで話が違うと現地は大騒ぎになっていますが、財政以外でも国民に我慢を強いる訳で、どっち向いて政治やってるんだって話です。そもそも台湾は日本もアメリカも国家承認していないので、中台で紛争が勃発しても内戦ですから集団的自衛権の対象にはなりません。この辺のウクライナとの事情の違いを無視しての軍備増強は少なくとも日本にとっては何のメリットもありません。敢えて言えば日米同盟増強による核抑止力の恩恵ぐらいです。

またウクライナでNATO軍が参戦しないように、敵が核保有国の場合アメリカとしては参戦が躊躇される訳で、核保有国の中国と直接交戦は避ける筈です。そうなると反撃能力として日本に配備したトマホークはインテリジェンスをアメリカに依存する限りアメリカの都合で発射ボタンを押される可能性はある訳で、アメリカの参戦は議会が決めることで大統領は助言するにとどまりますから、議会のせいにして中国に対しては日本がやったことにして参戦をためらうことになれば自国兵士を傷つけることなく中国を叩くことができる訳です。そうならないと確約できるのか。日本の自衛隊の指揮命令権が事実として機能しない可能性を否定できない現実があります。

という訳で経済力が落ち目に日本は防衛力強化の前にやるべきことがる筈ですが、デタラメばかりです。例えばこれ。

大阪万博、背を向けるゼネコン 採算低下で入札不成立:日本経済新聞
公共事業の不調は今に始まった話ではありませんが、再来年開催予定の大阪万博に暗雲が漂います。というのも資材費の高騰に加え台湾半導体メーカーTSMC熊本工場建設で熊本県菊陽町が大騒ぎになっており、関連企業を含め企業の投資意欲が旺盛でゼネコンにとってはおいしい状況にある一方、慢性的な人手不足、更に働き方改革の猶予期間が終わる2024年問題、五輪の費用膨張に対する国民の怒りで予算増額ままならず、夢洲の軟弱地盤も,、翻翻、ハネた~_~;。

なにわ無くとも江戸村先五輪ですよから巡り巡って大阪万博のパビリオン建設が進まず工期が迫れば尚のこと入札は難しくなります。うめきた新駅は来月開業しますが、乗り入れ予定のなにわ筋線は未だに事業着手もされず「なにわ無くとも大阪万博」どころか大阪府、大阪市の見通しの甘さからゼネコンにそっぽを向かれている状況です。府や市は国が何とかしてくれることを期待しているようですが、五輪の躓きが行く手を阻みます。

五輪談合、組織委元次長ら4人を逮捕 独禁法違反容疑で:日本経済新聞
コロナ禍の五輪で無茶やったから国も動きにくいし、防衛増税の議論で万博どころじゃないというところでしょう。いや忘れた頃にこっそりやらかす可能性はありますので、国民として開始は怠れません。ホントいい加減にせい!

| | | Comments (0)

Saturday, January 21, 2023

バスの細道

鉄道以上にコロナ禍による乗客減に加えてドライバー不足も深刻なバス事業ですが、ホリデーイールドマネジメントで取り上げた関越道ツアーバス事故から10年の節目の年です。当時は旅行会社がツアー募集の形で毎日運行する乗合類似行為として、公共交通である高速乗合バスに寄せる形で競争政策として新規参入を認めつつ、安全対策は乗合バス並みの厳格さを求め、抜き打ち監査などを実施して事業者のレベルアップが図られた筈ですが、実態は事業者毎に問題を抱えているケースがあることはドルは我々の通貨だがで取り上げた2件のバス事故で問題が顕在化しています。あおい交通は乗合新免事業者として空港連絡バスを運行中の事故で、以前から運転が粗いと言われていましたし、実際事故後の監査で不備が見つかっています。

クラブツーリズムは乗合バスではなくツアーバスですが、7年前の碓氷峠スキーバス事故と類似の不慣れなドライバーによる事故という意味で、教訓が生かされておりません。ツアーのスケジュールがタイトすぎる点が指摘されており、旅行会社の添乗員が若いドライバーに急ぐようプレッシャーをかけていたということです。しかも有料の富士スバルラインを避けたコース設定でもあり、その面でも疑問を禁じ得ません。最近のバスのシフトレバーの標準でもあるフィンガーコントロールは高速ではロックされてシフトチェンジできず、この事故では下り坂でニュートラルのまま暴走してフットブレーキ多用でフェード現象を起こしたということですから、ツアー会社の責任は重大です。

そんな中で首都圏のバスのドライバー不足で減便が相次いでますし、コロナ禍の乗客減で高速バス事業から大手事業者が撤退する流れから、相対的に安全性に疑念のある新免事業者の比重が増しているのは困った問題です。いずれ鉄道同様に運賃値上げもあり得る状況でしょう。実際空港連絡バスの運賃は値上げ改定が相次いでいます。

そんな中で逆に値下げされた事例があります。京急バスの船50大船駅桔梗山線で、ポニー号の愛称で呼ばれ、デマンド運行区間を有する特徴的な路線でしたが、デマンド区間を通常運行に切り替え、関連設備を撤去して割増運賃を無くしたもので、初乗り200円が180円に値下げされております。デマンド関連設備自体は国の補助金を得て設置されたものですが、経年による設備更新を省いたものと考えられます。しかしそれ以上に割増運賃時代と様変わりした乗客の少なさが見て取れます。コロナ禍による利用減が値下げをもたらした可能性はあります。

乗合バス事業者はそれでも例えば環境定期券のような柔軟なサービスで需要の掘り起こしを続けており、また国際興業を皮切りに導入された金額式IC定期券のようなサービスもあります。これは購入すると手持ちのSuicaやPASMOなどに情報を書き込んで金額区間内で繰り返し乗車でき、金額オーバーの場合は差額を引き落とすというもので、都区内などはプラス100円の一律となるというサービスですが、定期券制度を活用したサブスクリプションサービスという見方も可能であり、鉄道の定期券制度より柔軟な運用となっております。この辺は鉄道も見習ってほしいところです。

一方で空港連絡バスなど取れるところでは取る姿勢もあり、メリハリが効いています。この辺はJR西日本のAシート拡充やJR東日本の在来線特急強化と同じ流れですが、JR東日本の場合、湘南ライナーを廃止して特急湘南に置き換えるという実質値上げが乗客の支持を得たという判断のようです。

JR東日本の場合、座席予約システムと連動したLED表示を利用して車内改札を省略するなどしており、相応の資本装備をして実現している点は怪運国債依存症で示した資本装備増強に当たります。京急ぴにー号の値下げで設備撤去でコストダウンを狙ったのとは逆ですが、鉄道にしろバスにしろまだまだ打つ手はある訳です。

| | | Comments (0)

Tuesday, January 03, 2023

戻らない混雑

コロナ禍で初の行動制限のない年末年始ですが、銀座や梅田の人出はコロナ前の2割減と元には戻りません。実際感染者数も死者数も増え、救急搬送の滞りが報じられる中では無理もありません。コロナを克服できていない現実です。そして生産年齢人口の減少で通勤客も減る傾向はありますから、コロナ禍が収束してもこれが新常態ぐらいに考えておくべきでしょう。そんな中で都市通勤鉄道の混雑率に異変が起きています。

日暮里・舎人ライナー、混雑率トップで赤字 東京都に誤算:日本経済新聞
混雑率1位は日暮里舎人ライナー(赤土小学校―西日暮里)144%、2位は西鉄貝塚線(名島―貝塚)140%、3位JR武蔵野線Z((東浦和―南浦和)137%、4位JR埼京線(板橋―池袋)131.8%、5位JR可部線(可部―広島)131.6%と様変わり。常連だった東京メトロ東西線も東急田園都市線も出てきません。コロナ禍がもたらした大異変を実感します。

ゴムタイヤ駆動のAGTで荷重制限のある日暮里舎人ライナーの144%はおそらく改札制限を伴う水準と考えられます。その結果車両増備や座席のロングシート化などの輸送力増強に追われ、当初計画の2023年度単年度黒字化は実現できない状況で、加えて初期車両の更新時期になり費用の負担で当面黒字転換は見込めない状況です。事業者の東京都交通局にとっては大誤算です。

都交通局は地下鉄都営大江戸線の勝どき駅の予想外の混雑が思い出されますが、沿線に集客スポットを複数抱える大江戸線と比べると、沿線にこれといった集客スポットがなく、専ら日暮里や西日暮里でJRや地下鉄に乗り継ぐ片輸送の通勤客ばかりで所謂集中率の高い非効率な路線という点でも不利な条件です。寧ろこの点は旧国鉄香椎操車場跡地開発で潤った西鉄貝塚線にも見劣りります。

その西鉄貝塚線も宮地岳線と呼ばれていた時代の香椎ヤード再開発で、都市計画による連続立体化事業での150億円の自己負担が重いということで、市営地下鉄秋塚線との相互直通を示唆されながら、追加負担を回避して相互直通を諦めたのですが、単線で増発が困難なこともあり、他線が混雑率を下げた中で残ったってことでしょう。混雑路線として名高い埼京線が辛うじて残ったものの、時代の変化を実感します。

そんな中で地方の崩壊で取り上げたように都市鉄道整備計画が目白押しなのが気になります。これから整備される路線は元を取るのが困難になると見込まれます。その中で今年3月開業の東急/相鉄新横浜線の動向は注目されます。新横浜線の場合は集客拠点としての新横浜がありますから、ある程度の営業成績は残せると思いますが、同エントリーで取り上げた豊住線や南北線延伸、湾岸地下鉄などは厳しい現実が待ち受けます。一方で関西の動きです。

JR西日本、奈良線増便や着座サービス拡大 23年春から:日本経済新聞
奈良線複線化による増発と梅田貨物駅跡地開発のうめきた2期で新地下駅開業となり、うめきた新駅は大阪駅と地下通路で繋がり、特急はるかやくろしおが停車する外、おおさか東線が新大阪から延長して折り返すことなど、運行体制が大きく変化します。他にも快速電車の有料着席サービス拡大などもあり、増収を睨んだ攻めも部分もありますが、全体としては微減というメリハリ型のダイヤ改正です。

これはJR西日本に留まらずJR東日本でも在来線特急の拡充などが見られ、明らかに客単価アップを狙ったものですが、乗客減が明らかな中では民間企業としてこの方向性は納得できます。加えてコロナ減便でリソースに余裕があるということでもあります。運輸業の収支好転が見込みにくい中で攻めているとは言えますが、同時に減便もしている訳で、この傾向は今後も続くと考えられます。

気になるのがうめきた新駅はなにわ筋線が乗り入れる予定なんですが、JRと南海の協議が続いており、2018年に環境アセスメント手続きが始まりましたが、事業着手はまだ先ですから、当然2025年の大阪万博には間に合いません。それどころかトンネル躯体が完成済みと言われる大阪メトロ中央線の夢洲延伸も怪しい雲行きです。

というのも予算が限られていてゼネコン各社が及び腰になっていることと、CGで示された構想図に基づいて具体化されたため、細かな詰めが出来ておらず、施工困難な部分も多数あるという状況です。加えて生産年齢人口の減少による作業員確保の問題もあり、万博パビリオンもできるのかどうか危ぶまれております。大阪地盤の大林組と竹中工務店が積極的ではないようで、万博関連で入札不調が相次いでいます。ど素人のお絵かきには付き合いきれないってことですね。

そして気になるのがなにわ筋線は大阪メトロの稼ぎ頭である御堂筋線と競合することです。只でさえ乗客が減少する中で、競合路線の開業は下手すれば赤字転落もあり得る訳で、大阪市の地下鉄民営化と大阪府の泉北高速鉄道売却で得た資金が投入されることを考えると、明るい展望を描けません。生産年齢人口の減少は輸送需要の低下のみならず、インフラ投資を困難にするという両面で経済を下押しします。

この辺リニア60年のウヨ曲折の工事の遅れも同じ背景ですし、それ以上に完成後の輸送需要の見込み違いもある訳です。人口減少下では労働力の減少を資本装備でカバーして生産性を高め賃金を上げる必要がありますが、資本装備強化のための投資は主に省力化が中心となります。新たなインフラを作ってもメンテナンスする人がいなければ経済を寧ろ冷やします。

| | | Comments (0)

Saturday, December 10, 2022

コロナに勝てない国

コロナに敗けた国に続いて勝てない国の話です。過去形ではなく現在形なのがミソです。

中国の武漢で新型コロナウイルスによる肺炎が確認された時点では、世界を覆うパンデミックに発展することは見通すことは困難だったとは思いますが、1人の医師が新型ウイルスを発見し学術査読誌に投降したことで世界が知ることとなりましたが、その時点での中国政府の動きは鈍く、あきらかに初動に失敗した訳ですが、それを取り返すようにコロナ封じ込めに国ぐるみで取り組んで沈静化させました。国内から医師など医療関係者が集まり、足りない薬品や医療品を持ち寄り、更に日本を含む国際社会もこれに協力してマスクを送ったりワクチン製造技術の問い合わせに応えたりした訳ですが、この時点ではコロナという共通の敵と戦う姿勢が明確でした。

その結果中国国内では感染が収束した一方、初動の失敗で世界にばらまかれたウィルスは欧米で感染拡大し、欧米由来の変異株が生まれ、武漢株に置き換わりました。その結果波状に感染拡大が続き、その度に新しいい変異株との置き換えが起きており、また一部交雑もあると言われており、現在オミクロンの変異株としてBQ,1,1やXBBが世界で拡大しています。日本でも水際対策の緩和で侵入していると見られ、第8波はこれらではないかと言われております。

間を飛ばしましたが、中国では早々に武漢株を封じ込めた一方、外国との厳格な渡航制限を続けた結果、いち早くコロナ禍を脱して経済再開を果たした訳ですが、それに留まらず台湾、韓国、オーストpラリア、ニュージーランドなどでも初期にゼロコロナに近い強い規制をかけて感染を封じ込めました。日本では緊急事態宣言と称しながら強制力を伴わない自粛勧告だった訳ですが、その結果欧米で拡大した変異株の侵入を許し、夏冬の感染拡大を繰り返しました。

ザックリ言えば日本のコロナ感染周期はほぼ欧米の後追いの形だったと総括できます。加えて初期にゼロコロナで封じ込めた台湾やオーストラリアも、中国のように厳格な規制を続けずに徐々に緩めていった結果、やはり変異株の侵入を防げず感染拡大しています。そして日本のコロナ対策は当初感染者数も死者数も少なく優秀と言われはしましたが、交流の多い近隣の国でそろってゼロコロナやった恩恵と見ることもf出来ます。

そして欧米ではワクチンの普及や治療薬の開発でウィズコロナへの移行の条件が整い、規制を緩めている訳ですが、日本が同じようにできないのは、ひとえにデータ不足でエビデンスに基づいた判断が出来ないことに由来します。謎のPCR検査忌避や保健所の処理能力などのネックで」有意な疫学データを取得できておらず、様子を見ながら徐々に緩めて次の感染拡大の波を呼び込むということを繰り返している訳です。

一方欧米の後追いなので欧米の状況を見ながら意思決定できる立場でもありますが、例えば感染症法上の5類相当への緩和の議論などは、現時点で一般医療機関がコロナ患者を受け入れられる体制があるかどうかが判断基準になる筈ですが、北海道など地方の感染拡大が顕著なように、医療体制の格差が背景にあると考えられます。この状況で緩和できるかどうかを判断するのは困難です。

中国の失敗は外国との交流を減らして変異株の侵入を防いだのは良いとして、逆に変異株に対する免疫が弱点となって遅れて感染拡大して手が付けられなくなり「白衛兵」と呼ばれる防護服マスク姿の官憲による市民への暴力で抑え込んで「白紙抗議」を呼び込む失態となりました。未知の感染症との闘いは一筋縄ではいきません。但しその結果中国は戦略ミスに気付き修正に動いている訳ですが、そうした意識の乏しい日本はというと、相変わらずエビデンスのないままに外国の状況を見ながら恐る恐るということになる訳ですね。ぶっちゃけ戦略不在で修正もままならず勝ちに行けないという意味で現在形ということです。しかしこれコロナだけじゃないところが頭痛いところです。

例えば防衛費増額の議論を見ていて思うのは、財源論ばかりで、実際日本の防衛に足りないピースは何で、それをどう実現するかといった議論は脇に置かれている訳です。ウクライナ戦争で台湾有事もあり得るということは言われますし、特に反撃能力に関しては要注意です。元々的基地攻撃能力と言っていたのを言い換えた訳ですが、敵国のミサイル発射が確認された時点での反撃であれば先制攻撃と見做されかねないですし、その判断は結局アメリカのインテリジェンスに基づくものとなる訳です。

ウクライナでは戦争の指揮命令権はゼレンスキー大統領が握っており、アメリカを含むNATO諸国はあくまでも兵器の供与など補給面の支援に徹しております。その中でウクライナが希望する兵器を全て供給するのではなく、状況を見ながら判断している訳で、その中でウクライナはロシアのミサイル攻撃に対して半数以上を迎撃して善戦しています。しかも迎撃砲は旧ソ連時代の対戦闘機砲を改良してGPSと連動させて精度を上げているという風に、使える兵器を工夫して使っている状況です。

まあロシアのポンコツミサイルだからという可能性ははあると思います。中国や北朝鮮で開発中の巡航ミサイルや超音速飛翔体では現在のミサイル防衛では対応できないということは言われておりますが、そもそもこの辺の議論は北朝鮮のICBM開発で米本土が射程に入ってきたことに対するアメリカの危機感がある訳で、逆にとっくに射程に入っている日本がミサイル攻撃されないのは、現時点で抑止力が働いているからで、それは日米安保条約5条で日本の施政権下のエリアへの攻撃に米軍が反撃することが記されているからですね。つまり現状で日本がミサイルの標的になる可能性はほぼ無いと見て良いでしょう。

ということはアメリカのインテリジェンスに頼る場合、その情報がどれだけ正確なのかを検証できないと、事実上の指揮命令権をアメリカに渡すことになる訳です。言葉は悪いですが、米軍の下請けの鉄砲玉に使われる可能性はある訳です。そしてそれは日本に対する反撃の口実を相手に与える訳で、日本国民を寧ろ危険に晒すことにもなります。それをこうして防ぐという明確な担保がなければ安易に同意できません。アメリカが鉾、日本が盾というこれまでの関係を変更することにもなります。矛盾ですwwwww。

この辺は日本の失われた30年もそうですし、異次元緩和と財政の緩みで身動きが取れない日本のマクロ経済政策もそうですし、目先ばかりで戦略性のない国ですから、衰退はある意味必然なんでしょう。尚防衛費の財源論で言えば、平時の防衛費は恒久財源で担保されていないと、有事に現在のウクライナが置かれているような状況で兵器や弾薬の補給が必要な時には国債等での調達はやむを得ないですが、それが可能なのは熊でも平時の財政規律が確立していればこそです。平時の防衛費を国債でという議論はそもそも論外です。故に国民負担を納得できる説明が必要なんですが。

京成の23年3月期、純利益上振れ 負ののれん発生益で:日本経済新聞
なかなか微妙なニュースなんですが、訪日外国人の制限解除の遅れで業績回復が遅れている京成電鉄が親子上場解消で新京成電鉄を株式交換で完全子会社化した結果、新京成の純資産時価総額より評価額が低い負ののれん代が発生し、それを特別利益として計上したというちょっとわかりにくいニュースですが、株式市場は一応評価しています。但しこうしたテクニカルな益出しに頼らざるを得ないことも確かで、それだけ本体の運輸業や小売りなど関連事業も含めて不振が続いている訳ですが、意思決定権を強化することで乗り切ろうというのは納得できます。個別企業ではこうした判断が働くのに、国全体で見るとうまくいかないのは何故なんでしょうか?

| | | Comments (0)

Sunday, November 20, 2022

底抜け脱線ゲーム

京成高砂駅の脱線事故による長時間運休を取り上げます。

京成高砂駅で回送電車脱線 けが人なし、内規違反か:日本経済新聞
回送電車の入庫で運転士が指令の指示と異なる番線に進入したことで、後進した結果、8両目がポイント部でr脱線したということで、内規違反が原因とされてますが、運転士は異線親友に気付いた時点で停止して指令に通知し判断を仰ぐのが正しい対応です。しかしそんな初歩的なミスがなぜ起きたのかは現時点ではわかりません。

真っ先に連想したのは1973年2月21日の東海道新幹線大阪運転所脱線事故です。こちらは大阪運転所から本線へ出庫する新幹線車両の脱線事故で、本線上を高速走行中の営業列車が迫っていてあわや大惨事の可能性のある重大事故です。概要は新大阪へ向かう回送列車が出庫線から本線へ出る時にATCの停止信号を無視して冒進して本線進入し、運転士の判断で400m離れた後方運転台に移動して戻ろうとしてポイント欠損部で脱線したものです。ノーズ可動式の本線合流ポイントが災いしたものです。

信号冒進の原因ははっきりしませんが、出庫戦の曲線部に設置された軌条塗油器の影響が指摘されました。レールと車輪フランジの接触による走行抵抗軽減と摩耗防止のために列車通過時にスポイトでレールとフランジの間に油を飛ばして車輪の回転で潤滑させるものですが、塗油器の油でレールが湿潤状態になっていたことで、スリップで停止できなかったのではないかと言われておりますが未だに原因ははっきりしません。本線進入の結果本線のATC信号は絶対停止の00信号に切り替わって迫っていた営業列車が緊急停止した結果、衝突は免れましたが、停止位置は437m手前というきわどい位置でした。

加えて高架上の勾配区間という足場の悪さで復旧に時間がかかり長時間運休を余儀なくされたという点でも京成高砂事故と似ています。京成の場合復線作業に手間取っていて、事故対応のまずさも指摘されています。その観点から注目したいのがこのニュースです。

鉄道車両分解して検査、組み立て 京王電鉄若葉台基地 探訪 ググッと首都圏:日本経済新聞
京王電鉄若葉台車両基地では、年に1回脱線車両の復線作業などの非常時対応訓練を行うもので、事故そのものは防げない可能性はある訳で、それに備えて訓練を行うというものです。決めつけはできませんが、京成電鉄の事故対応がどうだったかは検証の必要があります。そしてこんなニュースも。
LRT試運転中に脱線 宇都宮市、けが人なし:日本経済新聞
宇都宮LRTで採用された新潟トランシス製ブレーメンタイプの低床車両ですが、ボンバルディアのライセンス生産で熊本市電や岡山電気鉄道、万葉線、富山地方鉄道軌道線、福井鉄道、えちぜん鉄道で採用され、前後車体の台車が連接部の円盤とリンクで結ばれていて、前後台車と円盤の相対位置で車体が連接する構造で、挙動が不安定化しやすいという特性はあります。

ドイツなど海外のLRTでは高規格で軌道狂いの少ない線路を走行する前提ですので問題は起きにくいのですが、40km/hの速度制限があり軌道構造も簡易なものが多い日本の場合は問題が顕在化するリスクがある訳です。快速運転や将来のスピードアップを視野に入れていると言われる宇都宮LRTにとっては座視できないトラブルです。カーブの緩和曲線不足見直しや気道狂いの許容度の見直しなどで事業採算性に影響する可能性もあります。ただでさえ工事の遅れで事業費が膨張しているだけに見逃せません。

話変わって米中間選挙のニュースです。

米中間選挙、下院は共和が多数派奪還 ねじれ議会に:日本経済新聞
トランプ政権時の18年中間選挙でもねじれは起きている訳で、ある意味米政治の年中行事みたいなもんですが、バイデン人気の低迷でレッドウェーブと称する共和党の地滑り的勝利は幻に終わりました。妊娠中絶問題を争点化した民主党の作戦勝ちですが、同時にトランプ氏の大統領選出馬観測が中間層の危機感をもたらし若者を中心に中間選挙としては異例の投票率となったとも言われます。

分断が言われ民主主義の危機さえ言われるアメリカですが、ギリギリ踏ん張ったってことでしょう。しかし妊娠中絶のような価値観の衝突問題で冷静な判断を示した米中間層ですが、対して同性婚や選択的府不別姓問題二賛成する若者が、それを認めない自民党に投票する日本の方が病んでいるのかもしれません。民主主義の脱線は日本の方が深刻かも。ある意味底が抜けてます。

| | | Comments (0)

Saturday, October 22, 2022

ドルは我々の通貨だが

1971年の米ドルの金交換停止、つまり米ドルが金の裏付けを失うニクソンショックの混乱で世界から批判を浴びたニクソン政権のコナリー財務長官がタイトルのような返答をしたと言われています。米ドルはアメリカの通貨だからどうしようが勝手、それで影響を受けるというのはその国の経済政策に問題がるからだ、ということですね。

昨今のドル高に対する批判を受けて、バイデン大統領や政府高官の発言が、ドル高容認、問題はその国の経済政策と異口同音に発せられており、ドル安の起点となったニクソンショックとは逆の局面で同じニュアンスなのが何とも。という訳で円安の不都合な真実を逆の視点で見てみようということです。

「多くの通貨、大きく変動」 G20財務相会議が議長総括:日本経済新聞
12~13日にワシントンで開かれたG20財務相会議で議長国のインドネシアが名指しは避けつつも、ドル高の影響が世界に拡散していることに言及したものです。というのも97年のアジア通貨危機の記憶があるからですね。

当時工業化で投資が活発だったアジア各国はドル建て債務を膨らましていた中で、クリントン政権のルービン財務長官の進言で強いドルは国益とするドル高政策が採られた結果、債務膨張して返済に窮した経緯があります。このときの経験から日本主導で外貨準備を融通し合うチェンマイイニシアティブという通貨スワップ協定が作られますが、アメリカに振り回された記憶は生々しく残っている訳です。ジャカルタ―バンドン間の高速鉄道プロジェクトが中国勢が落札し日本勢が敗れたなんてこともありましたが、日本勢がドル建ての資金計画を提案していたとすればそれが嫌われた可能性はあります。大国に振り回された歴史故に大国間のバランスを重視する姿勢なのかもしれません。

中国に関しては一帯一路の債務のわなが言われ、スリランカがz財政破綻に追い込まれたことがr取り上げられてますが、実際は債務に占める中国のシェアは10%程で、元々放漫な財政運営だったってこともありますし、元々一帯一路は国内消費が低調な中国で現高による余剰資金の活用策としての海外投資という側面が強かったので、新興国にとっては元高が債務を重くした側面もあります。そう考えると今のドル高とどう違うのかは微妙です。

加えて今回のドル高は資源高と連動しているので、資源輸入国には特に過酷ということもできます。原油価格こそ下がりましたが、石炭や天然ガスは高止まりしており、コバルト、ニッケルなどのレアメタルや肥料原料のリンなども値上がりしています。70年代の2度の石油ショックでは米ドルの下落がバッファとなっていたこととは様変わりです。特にウクライナ紛争のあおりで欧州のガス価格が急騰しており、逆にアジアは中国がロシア産LNGの輸入でアジア市場の需給は緩和してますから、欧州により過酷ということも言えます。ドル高放置はアジア危機以上の経済ショックを引き起こす可能性がある訳です。そんなアメリカに不満も言えない日本はといえばステルス介入のようです。

政府・日銀が円買い介入 7円急騰、151円台から144円に:日本経済新聞
前回と異なり今回は予告なしですが、政府としては投機の動きをけん制したいということでしょう。限られた外貨準備の中ではできることも限られますが、前回同様元に戻るのか確実ですから、逆に投機筋は介入の逆張りで円売りドル買いを仕掛ければ確実に儲かります。介入は寧ろ投機筋を呼び込むことになります。加えて介入資金として米財務省債を売れば米長期金利の上昇で日米の金利差が開きますから円安を助長します。
貿易赤字、4~9月過去最大の11兆円 資源高・円安響く:日本経済新聞
資源高をきっかけに貿易赤字転落ですが、その結果の円安が貿易収支をさらに悪化させ、9月の貿易赤字2兆円は所得収支黒字を相殺する水準で経常収支赤字まであと一歩の水準です。つまり実需に基づくファンダメンタルズを反映した円安ですから、介入は無意味です。打つ手があるとすれば日本企業の海外法人が抱える海外内部留保を国内送金して円買いを促すぐらいでしょうか。その為には国内で成長の種を見つける必要がありますが、栗鼠殺し?で指摘した行政DXのデタラメぶりを見ると無理かなと^_^;。

マイナンバーカードの問題点で言えば、マイナンバーを公的部門が管理する個人データへアクセスする為のキーとして紐付けすれば、各省庁や自治体などの個々のシステム自体はスタンドアローンで良い訳で、その方が特定個人のデータを不正に集める手間が増えてそれがセキュリティを高めます。それを本人が手元で管理することで、いちいち同意を得る手間が省けますし、仮に紛失してもマイナンバーの紐付けを停止して新たに発行したカード番号に紐付ければよい訳です。子供や高齢者も携帯するとすれば、これぐらいシンプルなシステムの方が使い易いしランニングコストも低い訳です。こういうシンプルな発想が出来ずに下手に高機能を狙って淘汰された国産携帯電話などなどこの手の話は枚挙に暇がありません。

どうすれば日本人の賃金は上がるのか (日経プレミアシリーズ)で著者の野口教授は日本ではイノベーションが起きず生産性が上がらないから経済成長できず、結果的に賃金が上がらないと容赦がありません。その原因の多くは制度に由来する市場機能の祖語にあるということです。ひょとしたら日本企業自身がそれを知っていて海外収益を国内投資に回せないという判断をしているとすれば、円安をもたらすファンダメンタルズの改善は絶望的に困難ってことですね。

思い当たるのは例えば東芝ですが、国内事業で利益が出ないから原発輸出で巻き返そうとしてウエスティングハウスを買収したら財務ボロボロだったとか、三菱電機や日野自動車の検査不正のようにコストセンターの検査部門に圧をかけて利益確保に動いたとか、まだいろいろありますが、国内事業で行き詰っていたことは間違いないでしょう。海外展開する製造業大手でこれですから、内需関連企業はさらに苦しいのかと思えば、実は電力、ガス、通信などの参入障壁のある規制業種の特に男性正社員の平均賃金が高いという分析があります。

これ交通事業もかつては地域独占を保証されておりましたが、鉄道は自動車や航空との競争環境で独占が崩れております。それでも動力車運転士のような免許業種では高賃金ですが、整備や保線などは必ずしも当てはまらず、それが例えばJR北海道や富山地方鉄道のような事故を繰り返す事業者を生み出すことに繋がるのでしょう。ちなみに富山地方鉄道は鉄道営業キロ100km余でほぼ東急と同等です。

段階的に参入規制が緩められたバス事業では90年代半ばからバスドライバーの賃金が顕著に低下しております。その結果ドライバー不足を助長し、大都市部を含めて減便や廃止が相次いでいます。また新免事業者の中には運行管理に問題を抱える事業者も見られます。そんな現状を示すニュース2つです。

長時間労働認める、処分へ 愛知の炎上バス運行会社:日本経済新聞
静岡バス横転、ブレーキ多用で過熱か 急勾配の「難所」:日本経済新聞
三位一体で原罪侵攻系で取り上げた名古屋のあおい交通の炎上事故で、長時間勤務を認め、運行管理に問題があったとして処分必至の状況となりました。クラブツーリズムの下請けの美杉観光の事故ではフットブレーキ多用によるフェード現象が原因ではないかと言われています。ドライバーが26歳と若く、このコースの乗務は初めてということで、経験不足が言われています。

下り勾配でのフットブレーキ多用の危険性はドライバーとして常識に属しますし。大型ディーゼルバスですからエンジンブレーキも強力ですし、補助ブレーキ装置として排気リターダも装備されている筈ですが、不慣れで活用できなかった可能性があります。需給調整規制の緩和で競争環境が生まれたことは悪いことではありませんが、そのしわ寄せがこういう形で起きるとすれば、交通事業の規制緩和は慎重であるべきでしょう。同時にMaaSなどで自動運転に期待がかかりますが、安全を担保するハードルは高いと言えます。世界的には交通事業への公的支援は半ば常識でもあり、独立採算の見直しも視野に入れる必要があります。

| | | Comments (0)

Sunday, October 09, 2022

円安の不都合な真実

北朝鮮ミサイルというとこどもの日本 で東京メトロがテレビニュースで運行停止指令を出して、東武鉄道が追随したのですが、過剰反応と批判を浴びました。東京メトロとしては人々の地下鉄駅への避難での混乱を避けるための措置だったのですが、以後Jアラート受信の場合のみの対応に改めました。その北朝鮮がミサイルを連発してます。

北朝鮮ミサイル、国際社会の隙つく挑発 グアムが射程に 5年ぶり日本上空通過:日本経済新聞
Jアラートの誤発信もあって批判を浴びましたが、同時に「逃げる場所がない」という声もありました。下から裏からグローバルでも同じこと言われていた訳で、5年間何してたんだよって話です。敵基地攻撃能力よりも核シェルターなど国民の命を守る対策が先でしょう。

尚、日本の地下鉄や地下道は、狭い空間に多人数を収容するために強力な換気装置を備えており、特に地下鉄は列車風対策もあってトンネル内が減圧されているため、駅部分から外気が吹き込みますから、核シェルターにするためには駅エントランスを塞がなければなりません。タイミングによっては地上に残される人がいて見殺しにするといったこともあり得ます。

同エントリーでも指摘しましたが、北朝鮮とウクライナの微妙な関係が今回も働いた訳ですが、北朝鮮とウクライナは兵器産業が主要産業となっていて、どちらも旧ソビエト時代からのものですが、ソビエト時代に政策的に東部ドンパス地方の工業化が進み、結果的に兵器産業も多数立地している訳ですが、現在戦地になっていて事実上機能していない訳で、兵器の損失が甚大なロシア軍は北朝鮮に依存せざるを得ない訳です。その結果北朝鮮は特需で潤い、ミサイル開発の資金が得られた訳です。加えて国連安保理が機能不全状態なのでやりたい放題という面もあります。

このことは同時に中国による軍事支援は行われてないことを意味します。ロシアのウクライナ侵攻を快く思っていないことと、西側諸国との対立を和らげたい思惑によるものです。インフレなんだよ愚か者でペロシ米下院議長の訪台を受けて大規模演習やったじゃないかと言われますが、元々米中で合同軍事演習までして米軍に倣って海軍強化を図ってきた中国では、装備は整っても世界を刺激する軍事演習の機会を伺っていました。特にトランプ政権の対中強硬策もあって数年前の予定していた軍事演習を控えていたという経緯もあり、ペロシ議長訪台は口実を与えたというのが本当のところです。

中国ウォッチャーに言わせれば不動産バブル崩壊やゼロコロナ政策で習近平総書記への風当たりが強まっており、国内向けのアピールの意味合いが強く、特に隠然たる力を持つ人民解放軍のストレス発散の意味合いも大きいということですね。米中共に国内しか見ていない訳です。その意味でウクライナ侵攻を台湾有事に結び付けて日本が騒ぐのは米中両国の世論暴走を招きかねず危険です。

てなわけで、軍事は経済と深く結びついている訳で、それを無視した議論は空論になりやすい訳です。明治政府が「富国強兵、殖産興業」を打ち出したのは将にこれで、兵を強くするには国を富ませることが重要で、その為に近代産業を興して富を生み出すことが重要ということですね。しかし現実の日本で起きていることは真逆です。

進む円安、細る外国労働力 ドル建て賃金4割減 チャートは語る:日本経済新聞
ドル建ての国内賃金が10年で4割減ということで、外国人労働者受け入れ拡大したものの来てくれないということですね。勿論これ外国人のみならず日本人労働者の実質購買力も下がっている訳で、結果「iPhoneが高くて買えない」「海外旅行が高くて行けない」「海外留学が難しくなった」などの弊害を生んでいる訳です。これアベノミクスの結果でもある訳で、確実に日本を貧しくしています。

政府は防衛費の拡大を打ち出してますが、国民負担を増やしても実質購買力が低下した日本が買える装備品は減る訳です。当然影響は多岐に亘り、建設現場の人手不足は都市再開発や公共事業の停滞も意味します。事実政府の公共事業費は4割未執行という状況です。加えて円安効果で外資による国内不動産取得が進み地価だけは上昇を続けます。この意味するところは土地の担保価値が上昇して資金調達がしやすく、低金利も手伝って民間の再開発投資を活発化させます。それだけ建設作業員の取り合いは強まり、公共事業はますます遅れるということですね。

公共事業ではありませんが当然整備新幹線やJR東海が進めるリニア工事も遅れることは間違いありません。一方地価上昇は不動産事業への追い風となりますから、JR各社にとっても関連事業としての不動産事業の拡充が重要になります。整備新幹線が成長分野というのは過去の話になるという訳です。例えば北海道新幹線の札幌延伸でもJR北海道の屋台骨を支えるほどの収益は見込めませんから、札幌駅周辺の再開発やニセコの観光開発などで新幹線の開発利益の内部化を図れるかどうかがJR北海道にとっての課題ということになります。

「円安は国益」とする黒田日銀ですが、実際は国内製造業の海外製造拠点整備で空洞化しています。貿易赤字転落しても所得収支の黒字で辛うじて経常収支は黒字を維持してますが、問題は所得収支の中身です。日本企業の海外拠点では稼いだ富を日本に送金せずに現地で内部留保されている現実があります。その内部留保資金が日本本社の連結決算で日本円に換算されて算入されますから利益を押し上げて、例えばトヨタなどで過去最高益を計上したりしている訳ですが、あくまでも帳簿上の話であって、国内では輸入部品の価格上昇を製品価格に転嫁できずに苦しんでいる訳です。故に賃上げもままならない訳です。

一方で日本の上場企業の配当性向は高まっており、自社株買いも含めて株主還元は進んでおり、その恩恵を受ける株主も、今や海外勢が多数派ですから、賃金が上がらない一方で株主還元を通じて国富が海外流出している現実があります。決算で高収益となれば株主還元圧力は増しますから、ますます搾り取られる訳ですね。文字通り搾取される訳です。アベノミクスがもたらしたものを評価すればこうなる訳ですね。

リニア工事を巡っては静岡県の反対ばかりが取り上げられますが、コロナ禍による工事中断や人件費、資材費の上昇による工事の遅れも租深刻ですし、都市部の大深度地下工事を巡る不透明な状況もあります。そんなニュースです。

リニアのシールド機が東京と愛知で損傷、本掘進は23年以降:日経XTECH
仲良きことの調布市の外環道陥没事故を受けて中止されていたリニアの大深度地下トンネル工事ですが、東京、愛知の東西両鉱区で300mの試掘シールド工事を行った結果、東京では50m進んだところでシールドマシン停止、愛知では建更の仮外壁コンクリート壁でシールドのカッターが損傷と東西でトラブルに見舞われております。東京工区では鉄道用地内なので停止位置前方のボーリングで泥水注入して動かす予定ですが、仮に住宅地など民有地で同様の事象が起きた場合の対応は困難を伴います。

主に地権者の権利制限の観点から議論され認められた大深度地下トンネルですが、外環道工事でも本来100m毎にボーリング調査すべきところを手抜きされていて砂礫層の存在を見落としていた訳ですが、工事を請負った鹿島の施工ミスということで幕引きが図られました。止まった工事を再開するために鹿島が泥を被った形での決着ですが、技術的に解決された訳ではありませんから、同様の事故は今後も起きる可能性はある訳です。この辺はゼネコンの談合体質を伺わせます。

トランプ炎上商法でリニア談合を取り上げましたが、元々JR東海が厳しい予算管理をゼネコンに押し付けた結果の事前調整だった訳で、工事を分け合って利益を配分する必要があった訳です。それが昨今の陣形日、資材費の高騰で苦しんでおります。その結果リニア工事も遅れますし、2025年の万博や万博後のIR計画に対してゼネコンは及び腰になっております。恐らくなにわ筋線も開業が遅れると考えられます。大阪メトロ中央線の夢洲延伸はトンネル部分の躯体が出来ているので辛うじて間に合うかもしれませんが。大阪万博は東京五輪以上に見込み違いが起きそうです。

| | | Comments (0)

Sunday, September 04, 2022

NISAホイサッサお猿の株屋

公式の感染者数が減少してやっと第7波終息の気配が見えてきましたが、なお高水準を維持しています。オミクロン株のの感染力の強さはデルタ株の1.5倍と言われますが、感染部位が上気道に移っていることや、スパイクタンパクの変異が多く免疫迂回しやすい点など、これまでの変異株と異なった特徴を持っております。

ウィルスの感染力は同時にウィルス被ばく量に比例しますから、第7波の感染は、空中を浮遊するウィルス量に左右されます。屋外ならば拡散して影響は限られますが、屋内や公共交通では換気が重要になります。これまで通勤電車やバスなど公共交通での感染は把握されておりませんし、混雑対策で元々換気能力が高めに設定されていて、加えて抗菌コーティングや定期消毒など事業者の対策もあって顕在化しなかった可能性はあります。感染力の強いオミクロン株で尚且つ規制がかからない中で混雑による密状態が増えてきている現状では、感染力が換気能力を超える可能性があり、寧ろ警戒した方が良いかもしれません。

という意味で問題を抱えたままの全数把握停止が進みそうです。コロナは万病の素らしいことを踏まえれば歓迎できない動きです。東京都などは現在の体制維持を表明しており、早くも地方の対応には乱れています。可能性としてはこのまま感染者数が高水準のまま感染爆発の危険性が高い冬の乾季に向かうことと、オーストラリアで起きているインフルエンザとのツインデミックで医療逼迫が起きることに警戒が必要です。

HERSYSのようなシステムを立ち上げながら、データ公開して衆知を集めれば様々なアイデアで事態を良い方向へ向かわせることは可能だと思いますが、全数把握を諦めればHERSYSデータの信頼性も損なわれます。厚労省の医系技官や医師会の非協力が壁になっていてオープンイノベーションを阻害している訳ですが、日本の保険医療体制がパンデミックに弱い体質であることが露呈した以上、ここを見直さない限りコロナ禍は終息しませんね。

こういう問題は保険医療に限らず日本にまん延していますが、その1つとして金融問題を取り上げます。マル優、特別マル優という制度をご存じの方は少ないと思いますが、現行制度では障碍者手帳交付を受けた者、遺族年金受給者、寡婦年金受給者、児童扶養手当受給者限定の少額貯蓄課税優遇制度のことで、マル優は350万円の元本に対する利息の課税が免除される制度で、特別マル優は国債や地方債などでやはり350万円の元本に対する利子課税が免除される制度です。何れもかつては国民全員が対象でそれぞれ元本300万円が限度額だった訳ですが、バブル期の1988年に、富裕層による家族名義や架空名義の口座に分散させて税逃れを図る行為が横行したことから批判を浴び、資格要件を限定して一般国民は除外されました。

当時はまだ口座開設時の本人確認がいい加減で、いくらでもこういうことができた訳ですが、元々は戦後復興で民間投資を奨励するために、国民の貯蓄を督励し、民間企業融資の原資となる銀行預金を増やすための政策で、実際国民は自身の資産形成の為もあって貯蓄に励み、池田内閣の所得倍増計画で高度経済成長を実現できた訳です。特別マル優はその公債版で、70年代のオイルショック対策で財政支出が膨らむ中で公債消化を助ける目的だった訳ですが、銀行預金対象のマル優と運命を共にして、現在は対象者を絞っております。

つまり財金分離以前の大蔵省マターとして実現した政策であり、当時普通預金でも3~5%の利息水準でしたから、口座開設時に当然のようにマル優枠の設定を窓口で聞かれ、300万円の枠を複数の個人口座に割り振るということをしていた訳です。低金利が長く続く今の日本では銀行も預金受け入れしても融資先が見当たらず、株式5%ルールもあって公債投資に傾斜せざるを得ない中で、家計貯蓄は積み上がり2,000兆円にも達します。ザックリ言えば個人が銀行に預けた預金は国債や地方債で運用されて雀の涙の利息の原資になっているというのが今の日本の金融事情です。

そうした家計の過剰貯蓄がリスマネーに向かわず投資が進まない所謂貯蓄投資バランス問題が起きて経済が停滞する訳で、過剰貯蓄を株式などのリスクマネーに向かわせることで株価を押し上げ企業の投資マインドを高めようということで「貯蓄から投資へ」が叫ばれる訳です。マクロ経済的には家計の株式購入はあくまでも貯蓄の1形態に過ぎない訳で、マクロ経済政策としては無意味なんですが、財金分離でスターt-した金融庁にとっては証券市場の活性化で東京を国際金融都市へとする政策としてアベノミクスで取り上げられ、英国1SAに倣って少額株式投資家全減免制度、通称NISAとして14年1月にスタートしました。

当初株式マル優制度という案もあったそうですが、ニーサという語感が国民に浸透しやすいのではということで採用され、年間120万円までの株式や株式投信の元本購入に対して5年間非課税とする制度として発足しました。つまり120万円*5年=600万円が最大拠出額で、5年かけて資産形成を促すという趣旨でしたが、かつてのマル優と同じ問題に直面します。年間120万円を5年間拠出できる個人は限られる訳で、富裕層ほどやり易く、またNISA専用口座での取引でマル優のような名寄せも必要のない仕組みとした上で,通常ならば損失の3年限度の次年度繰り越しも使えずですから、毎年益出しして非課税の恩恵を受ける必要があります。尚、金融教育の観点もあって未成年者対応のジュニアNISAが15年1月にスタートし、年間80万円、5年で400万円の限度額以外は成人対象のNISAと同じとしました。

とすると最も効率的な投資手法はレバレッジをかけた信用取引で毎年決算というプロ的な運用となる訳で、リスクを取れる富裕層向けとなり資産形成のための長期投資という個人の株式投資に求められる原則と大きく外れる訳で、長期投資へ誘導するためにつみたてNISAを18年1月にスタートさせます。年間40万円、20年で最大800万円までの非課税枠が利用できますが、投資対象は金融庁が認めたつみたてNISA専用商品からしか選べず、投資妙味は薄いということで不人気です。加えてNISAとつみたてNISAは年度単位でどちらかを選択する必要があり、併用できない仕組みです。

ということで、鳴り物入りでスタートしたNISAですが、結果は失敗と評価できます。英国のISAは恒久化された制度でいつ始めてもいつ終わらせても自由で、個人の資産形成に実際活用されてます。この制度も裏話としてはサッチャー政権で打ち出した国有企業の民営化方針に対して株式市場が大量の新株発行を消化できるかどうかが問われて導入され「国民の株主化で株主民主主義を実現する」という甘言がまぶされて国民は喜んで受け入れ、民営化株の消化を助けたけれど、株価がちょっと上がると売って換金するために上値が重くなる傾向がロンドン市場はあるようです。確定申告が当たり前の英国の制度ではそれでもそれなりに定着しましたが、日本で同じことをやろうとして大失敗した訳です。英国の猿真似で株屋が儲かる仕組みは実現しませんでした。

そんな手垢まみれのNISAを金融庁は岸田政権の資産所得倍増計画に乗って見直そうとしておりますが、笑えない現実のほころびがボロボロ出てきます。

税制改正要望、NISA恒久化 自動車・炭素税も焦点:日本経済新聞
複雑になったNISAの見直しで将来的には制度の1本化と恒久化、非課税枠の拡大を目指すとしております。金融庁が描く将来像としては3本ある制度の1本化と年齢制限の撤廃で、積み立てで年間60万円、一般で240万円で期限を設けず、両者併用で年間最大300万円とするゴールに向けて、24年スタートの親NISAでは年間20万円のつみたて枠を設定してそれを満たせば年間102万円の一般枠を認められるという分かりにくい制度となります。

ジュニアNISAは廃止し、年齢制限は無くなりますが、つみたてNISAは存続し、年度単位で新NISAとつみたてNISAを選択するという部分は残ります。NISAでは2万円だけ年間限度額は増えますが、20万円のつみたて部分マストなので、投資家にはわかりにくい仕組みです。税務当局の財務省との折衝の結果こうなったのでしょうけど、結局訳の分からない仕組みになりました。財金分離以前の大蔵省時代のマル優制度のようには進みません。意図としてはつみたてによる長期投資へ誘導したいのでしょうけど、つみたてNISAへ一本化すると折角認められた一般枠の非課税枠を失う訳で、省庁の壁による既得権保護の力学が働いた訳ですね。

はっきり言えるのは財務省も金融庁もユーザーである投資家目線はガン無視な訳で、これで家計貯蓄をリスク資産に振り向けられる訳がありません。アメリカのように先端技術や脱炭素向けの投資を政府が主導する形で民間投資を誘導することが重要です。つまり大きな政府へ舵を切るということです。但し政府方針に揺らぎがあれば民間はついてきません。制度がころころ変わるのは中国のコロナ対策やIT企業抑圧と同じで民間投資を抑制します。家計が株を買うかどうかは株式にそれだけの魅力が備われば実現する訳です。加えて円安に対する対応の不作為も指摘しておきます。

円140円台、24年ぶり安値 衰える景気浮揚力:日本経済新聞
ついにというかドル円140円台突入です。金融政策による日米金利差が課kづ愛する限りこの傾向アh続きます。日銀がスタンスを変えない限り恐らく140円台行はで150円を伺うレベルまでは行くんじゃないかと思います。つまりインフレは一時的ではなく今後も続くということです。ドル高の影響で新興国も含めて各国中央銀行は貨幣防衛の利上げを余儀なくされていますが、その逆を行っているのが日本円と中国人民元です。

かつて国内で垂直統合モデルのサプライチェーンを構築した日本企業の多くは、原材料の素材や部品の海外調達で国際競争力を維持してきましたが、その結果国内サプライヤーが枯れてしまい、円安だからと国内調達を強化しようにも時すでに遅し、円安で値上がりした外国産原材料を使わざるを得ません。結果製造原価を押し上げ輸出で得られる為替差益を相殺してしまいます。つまり円安による景気浮揚効果はすでに失われている訳ですね。国内サプライヤーを切り捨ててきたツケが回った訳です。」

てことで輸出企業も恩恵は薄く、輸入企業は価格転嫁に四苦八苦、インフレで家計防衛意識が高まり消費も冷えるし、コロナ禍でインバウンドも当面期待できない中で、低金利と円安のメリットが生きるのはドメスティックな不動産分野が中心です。故に西部のプリンスホテルや近鉄の都ホテルの不動産売却でホテル運営に特化するアセットライト戦略に走る訳です。特にプリンスホテルの売却代金は割安と言われますが、当然不動産オーナーへ地代の支払い分だけホテル事業の収益を圧迫する訳ですから、収益を損なわない範囲でも地代からぎゃk須庵下収益還元価格での取引と考えれば合理的です。そうでなくても円安で濃く兄不動産は海外勢からはお買い得感が増しており、不動産価格を押し上げることになります。

問題は売却で得た資金を何に投資するかですが、西武鉄道の場合意外ながら沿線開発で手付かずの地域が多く、所沢や飯能など、特に後者はリモート前提のとかいなか生活という意味でポテンシャルを持っています。これは大手私鉄に限らずJRでも同様の問題意識があります。その結果がこのニュースです。

JR東日本、鉄道人員4000人縮小へ 不動産などに再配置【イブニングスクープ】:日本経済新聞
山手線のワンマン化や営業列車による線路や河川のデータ収集と機械学習によるメンテナンスの省力化は既定路線ですが、その結果としてそれによって発生する運輸部門の余剰人員を成長分野としての不動産や流通事業へ配置転換するということで、ある意味鉄道事業の成長性に見切りをつけたとも言えます。JR東日本は整備新幹線事業に熱心で、成長分野と位置付けてきましたが、コロナ禍で需要蒸発の結果、長期債務となる新幹線リース料の負担で赤字転落した訳で、最早成長分野とは言えない状況です。それでも北海道新幹線札幌開業を睨んだ東北新幹線盛岡以北を含む高速化やミニ新幹線区間の山形新幹線の改良などをするとしておりますが、事業のメインストリームは関連事業への重心移動という方針を明確にした訳です。

当面は高輪地区や浜松町地区の再開発に注力するものと思われんすが、中長期では東急と共同での渋谷再開発事業や京王百貨店とLUMINEを含む新宿の再開発事業などのネタがあります。日銀の金融政策が現状のままであれば、不動産事業の強化は合理的ですし、いずれは大手私鉄並みに運輸事業の比率を半分以下にまで下げる長期目標を掲げた意味は結構大きいと言えます。

さてそうなると心配なのがリニアに入れ込むJR東海と名古屋市の再開発ブームなんですが、繰り返しますが、リニアの実現可能性は静岡県の反対でかなり後退しました。加えてリモートワークの普及は移動のスピードを求める需要の減退をもたらします。40分かけて東京から名古屋へ行く暇あったらリモートでつないだ方が早い訳で、パラダイムシフトが起きている現実も見据える必要があります。

加えてJR東海自身も東海道新幹線のビジネス車両導入で、移動時間んに仕事してもらう方向へシフトしている訳です。そうなるとパソコンやタブレットで仕事ができる相応の車内環境こそが重要で、ペラペラの窮屈な座席に詰め込まれるリニアが評価される可能性はかなり低いと言えます。見直した方が良いのは言うまでまりません。

| | | Comments (0)

Sunday, August 28, 2022

三位一体で原罪侵攻系

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は一神教という共通点があります。考え方として人知を超えた超越的な存在としての神を定義することで、人間としての在り方を定義するという意味では共通ですが、その原点は原罪にあります。蛇にそそのかされて知恵の実を食べて神の怒りを買いエデンの園を追われたアダムとイブ(エバ)から人類の試練は始まり、神は様々な試練を与えますが、同時に救いの道を用意して人類を導き、導きに応じた者だけが生き残り、神を忘れた不届き者を一掃するということがこれでもかとばかりに繰り返されるのは聖書に記述された通りです。

しかしよく考えたら、困難に直面しても必ず救いの道はあるということになりますから、メンタルがタフになり逆境を跳ね返す力にもなる訳で、そうしたポジティブな評価が可能な一方、神に選ばれし民という選民意識、差別意識にもつながります。ある意味他民族の反感を買ってユダヤ人の迫害の歴史に繋がったという見方も可能です。

キリスト教とイスラム教はそうしたユダヤ教の教えを踏まえた上で、新たな物語を紡いだわけですが、キリスト教が神の子としてのイエス・キリストと精霊が三位一体の神の在り方という独自の見方を示します。故に神の子を処刑したことで原罪が重ねられ、試練は続きますが、精霊が生きている人に降臨して救いの道を示すことで導かれるという風に物語は展開します。歴史に名を遺す聖人はこの類という訳です。

しかし困ったことに精霊の降臨を示す証拠は示しようがない訳で、騙りの余地を生みます。統一教会開祖の文鮮明氏は言うに及ばず、中国の太平天国の洪秀全のように自らをキリストと同列の神の子とさえ名乗っていた事例もあります。余談ですが、太平天国はキリスト教の宣教師たちから異端扱いされて支えを失い清朝に滅ぼされますが、農民蜂起の闘争や移動しながら意表を突く戦いぶりなどが後の孫文の辛亥革命や毛沢東の長征などのロールモデルとなっています。

そうしたキリスト教の曖昧さはユダヤ教やイスラム教からは多神教的で堕落しているという批判もあり、クルアーンにも記述されてます。イスラム教では普通の人であるムハンマドが神託を受けてクルアーンを書き上げたとされており、神はアッラーだけという一神教の原点回帰をしています。故にムハンマドは神託を受けた神の代理人に過ぎず、死後は弟子たちの中から指導者を選びイスラム神学的な正しさを指針に指導するというイスラム帝国の体制が整備されます。スンニ派ではカリフという宗教指導者がスルターン(皇帝)を指名するということも初期には行われました。シーア派でもイマームと称する指導者を置きます。

そうしたキリスト教の多神教的曖昧さは、元々多神教の欧州では受け入れられやすかったということは言えます。ローマはオオカミの子孫を名乗る一族が建国した国で、国の発展と共に周辺の耕作地を拡大し、遊牧民の生息域を圧迫します。イソップの「オオカミが来た」という嘘つき少年の寓話はオオカミをローマの暗喩と読めば別の物語になる訳です。

そしてゲルマン民族大移動の混乱で国を立て直すためにキリスト教を認めた結果、侵略者のゲルマン人までキリスト教化された訳です。そうした融通無碍なところがキリスト教の特徴ですが、日本には大航海時代にスペインとポルトガルの宣教師が到達して布教をします。宗教改革で新教徒が勢力拡大する中、新大陸やアジアに布教先を求めた結果ですが、王を教化すれば国丸ごと布教できるということで抵抗したフィリピンは武力で支配下に置くなど強引なこともしていた訳ですが、幸か不幸か戦国時代に日本に辿り着いて王が誰かもわからないし長い戦乱で洗練された武力を持つ数多の戦国大名に武力で対抗も難しく、南蛮交易に興味を示す織田信長の保護を受けて布教を認められました。

元々寺社領を持ち力を蓄えていた仏教系各宗派に対するけん制の意味もあったと思いますが、そのあまりに強引な布教の姿勢故に秀吉の治世では一転布教を禁じられます。但し大名が帰依した所謂キリシタン大名の領地は例外で黙認されていました。そして以下略で明治維新で禁止が説かれ再度布教が始まる訳ですが、江戸時代に武家の統治思想としての朱子学に対抗して国学が興った流れで、天皇中心の統治へシフトする過程で、国家神道が形成されます。天皇は元々神話で神の子孫とされており、キリスト教の神の子という概念を借りて男系男子の万世一系の神の国の現人神という概念が作られます。これってカルト宗教と変わりませんね^_^;。

余談ですが、アジアの儒教文明という西洋から見たアジア観所謂オリエンタリズムですが、日本は例外で南宋儒教という革新的儒教としての朱子学の導入は徳川幕府による武家の統治思想というもので、長幼の序を重んじる古代の儒教とは異なり、西欧の啓蒙主義哲学思想家たちから「神なき秩序」として注目され参考にされました。しかし科学的知見の進む西欧では、結局変化の遅い儒教は時代遅れの思想として棄却されます。その一方で儒教圏の台湾でおそらくアジア一の民主主義が実現しているように、儒教のモダナイズで民主化の可能性はある訳で、中国の新儒教の思想もこの流れですが、大陸中国の民主化は足踏みしています。

そして原罪の知恵の実を食べたアダムとイブの物語ですが、蛇にそそのかされて先に林檎をかじったのがイブということで、実はミソジニーの思想も隠れている訳です。それは封建的な女性蔑視の風潮が残っていた明治時代ですから、国家神道にも反映されて女性の従属的地位が固定化される訳ですが、キリスト教圏の統一教会の開祖文鮮明も三位一体のキリスト教の教義から作られた宗教指導者ですが、こうした類似性が日本への浸透を助けたでしょう。つまり日本の保守思想に根付くミソジニーと統一教会の教義はシンクロしている訳です。故に支持率ダダ下がりでも統一教会と簡単に縁を切れない自民党がある訳です。

話は変わりますが、バスで重大事故が起きました。

名古屋高速でバス横転・炎上 2人死亡、7人けが:日本経済新聞
報道では手前から左右にふらついて不安定走行していたバスが中央分離帯に乗り上げて左に横転した単独事故で、前部オーバーハングの燃料タンクの燃料漏れが原因と思われる出火で炎上したもの。2人死亡7人ケガという事故ですが、明らかにドライバーが運転を継続できない異常事態が起きたと推測されます。

バスは名古屋市内から県営名古屋飛行場へ向かう乗合バスで、運行事業者はあおい交通という規制緩和後の新免事業者です。あおい交通に関しては地元では運転が荒っぽく急ハンドル急ブレーキや無理な割込みなどマナーも悪いと言われておりますが、それでも国交省の監査は通っております。当然ながら中小規模の新免事業者への監査はより念入りに行われると考えられますし。

そして4日後の26日未明には新東名下り線長篠設楽原PAで夜行高速バスがトラックに追突する事故が起きました。こちらもグレース観光という新免事業者ですが、乗り合いバス事業への参入規制緩和は民主党政権時代に実現しました。当時は所謂ツアーバス問題が取り沙汰されており、貸切バスによるツアー募集の形の乗合類似行為が問題視され。ホリデーイールドマネジメントで取り上げられた関越道のツアーバス事故もあって、安全管理を公共交通としての高速乗合バスに寄せる一方、貸切バス事業者への乗合免許付与を緩和した訳で、それ自体は時代の要請によるものでした。

ですから規制緩和が問題だった訳ではなく、実際新免事業者も含めて乗合バス事業者への国交省の監査は度々行われ、安全管理に問題がないか目を光らせてはいた訳です。しかし当時とはバス事業を巡る状況に大きな変化が見られます。元々既存乗合事業者にとっては短時間に距離を稼げる高速バス事業は採算性に優れていて、既に過疎化などの影響で一般路線の収益が悪化していたし、都市部の事業者も2年毎に排ガス規制が強化されるしバリアフリーでノンステップバスへの置き換えにも追われ、採算がとりにくい状況の中で採算部門の高速バス事業への参入は一般路線維持のための内部補助の原資確保の意味もありました。

故に乗合バス事業の参入規制緩和は既存事業者にとっては必ずしも歓迎されることではありませんでしたが、ツアーバスに営業基盤を侵食されるよりはマシな状況ではあります。また同じ土俵に乗れば運行面、営業面も含めて既存事業者には一日の長がある訳で、健全な競争環境の中で競い合うことは歓迎されました。

しかし地方の過疎化は止まらず、また少子化の影響でバスドライバーの確保が難しくなると、地方路線の減便や撤退が相次ぎバスの無い自治体も増える一方、大都市部でもドライバーの確保が難しいために減便を強いられるケースも出てきています。また高速バスも新規参入による競争激化で採算性が低下して撤退を迫られる路線もありますし、またコロナ禍で長距離移動需要が蒸発して多くの路線が休止に追い込まれ、京急など大手事業者の撤退表明もあり、休止路線の復活も微妙です。

そんな状況ですから相対的に小規模事業者が多い新免事業者ほど経営が苦しい状況は容易に想像できますし、ドライバー確保も綱渡りで過重労働を強いられている事例もあり得ます。その意味で新免事業者の事故が続いたことは偶然で片付けられない問題をはらみます。サイドバーで紹介した週刊エコノミスト2022年8月30日号の鉄道特集で面白い記述がありますが、日本一のバス会社^_^;西日本鉄道では鉄道の黒字復帰の一方、バス事業は赤字となっております。加えて西鉄は阪急阪神HDと並んで航空貨物フォワーダー事業で巣篭り需要のコロナ特需で潤った鉄道業界では珍しい存在でもあります。

一方国鉄のローカル線問題では自治体の硬直的な姿勢が目立ちますが、同時に国鉄時代の基準より厳しい乗車密度1,000人未満の路線のバス転換が現状のバス業界の状況を見る限り難しい現実もNationalRail幻想で指摘した通りです。実は鉄道よりバスの方が痛んでいる現実の中で、公共交通をいかに維持発展させていくのか、その見識が問われます。国葬なんかやってる場合かい!

| | | Comments (0)

Sunday, July 10, 2022

東京メトロのコロナ減便

安倍元首相が狙撃されて死亡しました。誰であれ人の命を奪う行為は許されないことは当然ですが、釘を刺しておきたいことが幾つかあります。報道によれば犯人は元自衛官で手製の銃器を使った犯行ということで、捜査当局のコメントとして政治的意図ではなく宗教団体と見られる特定団体への恨みということで、現時点では不明ですが噂レベルで統一教会の名前が取り沙汰されております。

オウム真理教事件を起こした日本ですが、それでもカルト宗教への対応はあまり見直されません。宗教が集票マシンとして有効なのと宗教活動にかこつけた政治活動として有効ということで、少なからぬ政治家が関わっている結果ですが、身内がカルト宗教に入信してトラブルを抱える家族は少なからず存在しており、今回もそうした問題からくる怨恨犯罪のようです。とすると政治的意図のテロではないし、民主主義への挑戦というのも当たりません。恨みを拗らせた結果の犯行ということですね。

あとSPを含む警察官の対応に疑問が寄せられております。1発目が外れた時点で警護対象者を押し倒し覆い被さって命を守るのが鉄則ですが、犯人確保に動いた結果、2発目の凶弾で犠牲になった訳で、警護の不備を言われても仕方ない状況です。当然宗教団体と繋がっている政治家にとっては居心地の悪さを感じるでしょう。ある意味警察の不始末が政治と宗教の不透明な関係を可視化する結果となるなら皮肉な話です。私自身は以前から宗教的背景のない候補にしか投票しておらず、今回も同様です。これだけは言っておきます。

さて梅雨明けの徒然大草原wwwの猛暑も落ち着いて寧ろ雲の多い天候ですが、予想通りコロナ感染者は増えています。恐らくこのまま第7波になるのでしょう。但し軽症者が多く自宅療養で対応できているので医療逼迫には至っておりませんが、油断はできません。ウィズコロナは茨の道です。そんなニュースがこれ。

銀座線・丸ノ内線など減便 東京メトロ、平日9時台2割減も:日本経済新聞
春ダイヤ改正で既に減便と終電繰上げによる運行時間帯の縮小は実施積みですが、ラッシュ時の乗客の戻りが予想以上に少なく、平日ラッシュ時を中心とした減便に踏み込みました。痛いのは各線で車両の置換え更新を進めてきたために、特に他線転属が不可能な銀座線と丸ノ内線は痛いところ。東西線は05系初期車を代替なしに廃車すれば済みますし、千代田線も当面保安装置更新の予備車確保が容易になるなどやりくりの余地はありますが、車両更新を精力的に進めた結果の余剰車両です。

まあ仮に乗客が戻れば増発は容易ですし、車両走行キロが減れば保守費用も削減されるし延命で次回の車両更新を先送りできるなどのプラス面もありますが、東京メトロにとっては痛い現実です。こうなったのは1つは90年代末からの人口の都心回帰がリモートワークの普及で郊外志向が強まったことと密防止でラッシュ時利用を避ける傾向の両方の影響があるようです。実際東京都区部の人口は転出超過に転じております。

但しあくまでも郊外移転であって、地方移転でないことは注意が必要です。首都圏の巨大集積は寧ろ維持強化されており、郊外でも全て転入超過になっている訳ではなく、選択的に斑模様になっている訳です。この傾向は首都圏で顕著ですが、近畿圏や中京圏ではあまり見られず、恐らく製造業比率の違いがもたらしていると見られます。つまりリモートワークがやり易い業種が多いってことですね。製造業立地の少ない東急線の乗客減が顕著なのも同様です。

とすると都心の再開発にブレーキがかかる可能性がある訳で、例えば高輪ゲートシティや五輪選手村を改装して売り出される晴海フラッグにも暗雲が漂います。これ銀座―有明管の湾岸地下鉄構想にも影響が出る可能性があります。そしてスポーツ施設建て替えと高層ビル建設が明らかになった神宮外苑の再開発にも影響が出る可能性があります。銀杏並木を含む樹木の伐採で反対の声が盛り上がっておりますが、構想自体は落選中の萩生田光一案が自民都議を通じて都職員から五輪招致委トップの森元首相にプレゼンして絶賛されたことが週刊ダイヤモンドの報道で明らかになっております。

利権のふえる訳ワカメちゃんでも取り上げましたが、五輪招致にかこつけて国立競技場の建て替えを口実に高さ制限を緩和している訳で、五輪をダシに利権を生み出した構図です。元々明治天皇をしのぶメモリアルパークとして構想され、地権者の協力や一般市民の寄進で造成された「神の領域」を再開発の名の下に蹂躙する事業で、且つ神社本庁の関与まで指摘されております。宗教と政治家の不透明な関係の1つとも言えますし、現人神とまで言われた天皇に対するリスペクトはそんなもんなの?とも思います。

銚子電鉄が6年ぶり黒字、純利益21万円 副業の物販好調:日本経済新聞
東京メトロとは真逆の話題です。6年ぶりの黒字ですが、副業の物販、つまり濡れせんべいの販売でカバーして黒字化したという訳です。これ地元の特産である醤油を活かした取り組みであるとともに、巨大な首都圏の人口の支えでもあり、存廃を問われるローカル線全般に当てはまる訳ではありませんが、銚電クラスのローカル私鉄はコロナ禍に対峙するローカル私鉄のキャッシュフロー経営でも指摘した通りです。

最後に鉄路的蛇足。銚子電気鉄道の前史は1914年12月に開業し1917年11月に廃止されたの銚子遊覧鉄道の線路施設一式を居抜きで取得して開業した銚子鉄道が後年電化で銚子電気鉄道となったというのは知る人ぞ知るところですが、元々需要が多い訳じゃない区間で、それでもその結果初期投資を圧縮できたことで存続に有利に働いたということは言えます。但し保守費用捻出に苦労して運休することもあり、東京陸運局の問題児ではあります。

似たような事例は実は結構ありまして、近鉄南大阪線の前身の2代目大阪鉄道の最初の開業区間は初代大阪鉄道(後の関西鉄道へ併合)の柏原―古市間を1898年委開業させた河陽鉄道が翌年営業不振で解散し、河南鉄道に再編され河内長野まで延伸されました。後に道明寺から大阪天王寺(現大阪阿部野橋)へ延伸して電化したもので、甲武鉄道の支線的存在の川越鉄道が高田馬場への電気鉄道延伸で姿を変えた旧西武鉄道と酷似します。

大沼公園―鹿部間の大沼電鉄は戦時中の函館本線の緩和勾配迂回線の砂原線の1945年6月の開業と引き替えに廃業しましたが、砂原線鹿部駅が鹿部市街から遠いということで、1948年に銚子口駅前―鹿部間を復活させております。大沼電鉄の事例では線路のみならず車両も残っていたことから、復活のハードルは低かったとは言えます。それでも道路整備の進捗と共に利用が減り1952年に2度目の廃業をしています。

直近の事例では2001年、半年に2度の衝突事故を起こして休止から廃止を余儀なくされた京福電気鉄道福井支社の越前本線富国粟原線を譲り受けて2003年に開業した三セク鉄道のえちぜん鉄道の事例があります。休廃止期間中はバス代行輸送が行われましたが、漸弱な沿線道路事情から渋滞が深刻化し鉄道復活の機運が高まったこともありますが、それでも東古市―永平寺間の永平寺線は譲渡されず復活しませんでした。えちぜん鉄道といえば再エネ電力託送事業でも注目されます。

という訳で都市鉄道よりも厳しい状況にあるローカル私鉄ですが、地元の取り組み次第で存続の可能性もあるということは言えます。その意味でhは滋賀県が近江鉄道の存続を期して県税として交通税導入を打ち出しておりますが、注目すべき動きです。「改革」と称してとかく減税の議論ばかり目立ちますが、社会的課題解決のための税制という視点は重要です。

| | | Comments (0)

より以前の記事一覧