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Monday, January 11, 2021

トランピスト総動員の後始末

アメリカが大変なことになりました。

トランプ支持者、議会占拠 大統領選出が一時中断:日本経済新聞
米議会へのトランプは野乱入で混乱し、景観を含む5人の死者を出す騒ぎとなりました。しかもトランプ大統領自らSNSで扇動した結果ということで、事態は重大です。

1月5日に上院で行われる選挙人投票の集計結果を認定して新大統領制出を確定する手続きに対して、上院で議長を務めるペンス副大統領に圧力をかけて阻止しようとしたものの、当然ながらペンス氏は従わず手続きに入ったことで裏切り者呼ばわりされた一方、最後の手段として支持者へ実力行使を訴えた結果の出来事ですが、SNS各社は大統領のアカウントを凍結するなどしたものの、Qアノンなどの陰謀論者やネオナチなどの極右を中心に武装して乱入したものです。

トランプ大統領自身はイデオロギーに基づいてというより、単純に負ければ在任中の数々の不法行為が訴追の対象になることを回避するための行動で合理的エゴイストたるレントシーカーに過ぎない訳ですが、不満を抱えた国民の分断を利用した暴挙ではあります。

しかし密な支持者集会を繰り返し自らコロナに感染し風邪と共に去るかに見えたものの、ステロイド剤服用までしてドラッグで大復活してますます支持者を喜ばせた訳で、ハイブリッド・シビル・ウォーの現実が顕れたと見ることができます。問題なのは狂信的な支持者ほどバイデン新大統領が不正によって選ばれた正当性のない大統領という見解を持つ訳で、国民の文題は今後も続き、バイデン氏の政策実現は難しくなります。

但し議事堂乱入はある意味建国以来の国体を傷つける行為で、日本で喩えれば天皇に不敬を働いたに等しい行為として糾弾されますから、かなり徹底した訴追と掃討が行われると見られ、寧ろ現場での実力行使を封じる方向へ変化するとも見られます。ジョージア州の上院選再投票でも民主党が2議席確保で結果的に伯仲しながらでもトリプルブルーともブルーウエーブとも呼ばれる大統領と上下院の民主党独占が成った訳で、バイデン氏にとってはやり易い形ではあります。

但し対中制裁の見直しなどは当面行わず、香港やウイグルなどの中国の人権問題への厳しい対応も考えられ、交渉カードとして温存されると考えられます。中国は経済的なライバルであり安全保障面でも無視できないけれど、是々非々の対応で成果を導き出そうとするでしょう。また経済界などが期待するTPP復帰も、国内の労働者への配慮から見送られるでしょうし、既に貿易協定ではTPPと同等の権利を得ているから今のままでしょう。寧ろ米議会がオバマ政権時に議決した為替条項盛り込みの要求がありますから逆にヤブヘビの可能性もあります。

てことで表面上は平静を取り戻すものの、対立の構図は深く潜航する訳で、特に狂信的な支持者はたとえ訴追され罰を受けても独自の世界観を捨てずにバイデン政権の不当性を信じ続けるでしょう。つまり広く国民に共有される正史とは異なるアナザーヒストリーの誕生となって対立がイデオロギー的にロックインされる訳で前途多難です。

一方でトランプ現象と並び称されたBrexitですが、こちらは土壇場で英EUFTA合意が成立し、明けて1月1日から発効しています。一説によれば年末のコロナ変異種が英国内で発見されEU側が緊急に国境を閉じた結果物流が滞り、Brexitの予行演習^_^;になったと言われております。結果的にイギリスはEUの関税同盟に留まりながら独立を勝ち取った形ですが、大幅譲歩を余儀なくされております。北アイルランド問題では当面EUルール適用としたほか、英EEZ内の漁業権問題でも譲歩を迫られました。これは主にフランス漁船の操業継続に対して経過措置を設けて当面維持するもので、当初案の漁獲割り当てをイギリスが一方的に決められるルールから譲歩したものです。

最後まで揉めたEU規制の英国内適用問題は、関税同盟に残るのであれば競争条件を揃えるイコールフッティングの主張ですが、本音はロンドンの金融機能の代替の狙いと言われます。ダブリン、フランクフルト、アムステルダム、ルクセンブルク、パリなどが名乗りを上げていましたが、何れもロンドンの機能を代替するには規模の点で劣り実現可能性はほとんど無いと言えます。この辺香港の代替を狙う東京と同様で、政治的思惑では進まないところです。

関税同盟に留まったとはいえ通関手続きは始まった訳で、これが原因の物流の滞貨が生じていて現場は混乱していますが、これは主にイギリス側のインフラ整備の遅れに起因しますので、いずれ解消へ向かうと思われます。思えばBrexitに注文付けていたのは主にEU内の拠点としてイギリスに生産拠点を置いた日本企業が中心だった訳ですが、Brexitの結果日英EPAの締結に至りBrexit後も関税同盟に留まって一安心でしょうが、別の問題も起きています。

これはEPAの原産国証明の問題で、自動車で7年の経過措置を得たものの、従来のように日本から部品を輸出して現地で組み立てる形は見直しを迫られます。加えて2030年のEV規制でガソリン車ディーゼル車の新車販売が出来なくなり、日本メーカーもEVシフトを迫られる中でのことですから、下手すればサプライチェーンをそっくり現地化せざるを得ないことも視野に入れるべきです。イギリスの交渉上手の伝統は生きているようですが、裏を返せば日本の交渉下手でもある訳です。

ただ指摘しておきたいのは、トランプ現象もBrexitも背景として労働者の反乱の産物という点で共通しています。Brexitは保守党キャメロン政権の緊縮財政への拒否感から出てきたものですし、トランプ現象も所謂ラストベルトの白人労働者の支持があったこと「は見落とせません。これは元々労働者の支持を得ていた左派陣営の変質に由来するもので、アメリカで言えばクリントン政権の経済重視や英ブレア政権の第三の道で置き去りにされたと労働者が感じたことが起点です。

サッチャーやレーガンに始まった新自由主義とグローバル化の流れを去派指導者が追認し経済成長に軸足を置いた結果、支持層の国内労働者が置き去りにされた構図です。この面では独シュレーダー政権の労働市場改革も同じ文脈に属します。その結果東西統合が経済の重石となっていてEUのお荷物だったドイツは一転EUの優等生に変身し豊かにはなりましたが、そこまで踏み込めない他国の労働市場を圧迫し、ギリシャ危機を初めとする経済危機を呼び起こした訳で、Brexitもその帰結の1つと見ることができますし、東欧のポピュリズム政治もそうですね。

これ結局左派がエリート主義を脱却できないことに由来すると考えられます。左派のエリート主義の起点は2つありまして、1つはレーニンのボルシェビキですね。マルクスの言うプロレタリア革命はパリコミューンの住民自治にヒントを得た労働者による自覚的な解放運動ですが、レーニンはロシアの後進性から労働者bの自覚を待てないことから、意識の高い職業革命家による扇動で大衆を分極化し騒乱の中で政権を奪取することを構想し実現した訳ですが、これが左派の成功体験として広く共有された結果、エリート主義が肯定された訳です。

もう1つはケインズのハーベイロードの賢人主義とも言うべきもので、もろにエリート主義を肯定しています。結果広い意味で左派とされるマルクス主義者もケインズ主義者もエリート主義に毒されてしまった訳です。余談ですが、日本は元々保守派もエリート主義に凝り固まっていて、40年代の革新官僚による国家総動員体制で戦争へ突き進んだ訳ですが、同時に戦前非合法だった日本共産党もボルシェビズムを受け入れて中央の指導への従順さを求めており、この点は今も変わりません。とはいえ格差拡大でネトウヨの出現など大衆の分極化が見られる日本の現状で美装闘争を仕掛けないから武装闘争放棄は本気でしょうが、日本の労働者に寄り添っているのかは疑問を禁じ得ません。

最後にこの話題。北陸道など一時1200台動けず 富山・福井が災害派遣要請:日本経済新聞年末の関越道の混乱と同じことが北陸道でも起きました。元々寒波で日本海側の広い範囲で豪雪の予想があったわ訳ですが、通行止めの判断が遅れた訳です。今回は高度な雪対策がされた筈の北陸新幹線まで止まるぐらいですから、より大きな災害ということになりますが、高速道路会社にとっては通行料収入を失う通行止めの判断は出しにくいと考えられます。高速道路民営化が私たちを幸せにしたのでしょうか?

新神瀬が止まるぐらいですから、鉄道は全滅、一般道も使えないで、結局交通は全滅状態です。これも気候変動による海水温の上昇が原因と考えられます。前エントリーのカーボンニュートラルで経済成長は無理でも、こうして経済損失を被ることを考えると、経済成長以上の経済損失が発生して台無しということは考えられます。経済成長に結びつくかどうかに関わらずカーボンニュートラルは進める必要があります。

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Sunday, December 27, 2020

円高株高消費低迷の謎

日経平均株価が上昇基調で年内3万円台に乗せる期待が持たれていますが、ちょっと値上がりすると含み損抱えた投資家から売りが出て戻すことを繰り返していて2万7千円付近で膠着しています。但し上げ基調にはあり、年内は無理でもいずれは実現すると見られます。

とはいえ Go To 停止もあって消費は冷え込んでおり、実体経済との関係では整合性が見られないこの相場をどう見るべきでしょうか。種明かしすれば先月頃からの外国人買いの増加が寄与したものですが、世界の投資家が注目するのは米NY市場などから見て放置されて割安感が出てきたことによります。米ハイテク株中心に値上がりが続くNY市場ですが、3万ドル突破でここまで高値になると投資の旨みがなくなってしまうことがあります。

株式投資は配当狙いのインカムゲインと値上がり期待のキャピタルゲインの両方の狙いがある訳ですが、共に値上がりすれば旨みが薄れるのは当然ですし、また売り相場になった時の値下がりリスクもある訳です。基本は安値で仕込んで高値で売ることですから、相場如何では逆食らう可能性もある訳です。だからこれ以上NY株式は買えない水準に達したってことです。加えて米国債金利に上昇圧力がかかっていることもあり、株式と国債の裁定が働きにくくなっていることも指摘できます。

米大統領選でバイデン氏勝利が確実になり、グリーンニューディールや老朽化した公共インフラへの投資などで財政拡大を打ち出すバイデン次期政権ですが、議会選では苦戦し、特に上院は年明けの再投票で決着するジョージア州の2議席を民主党が取っても50:50の同数になるだけで、財源として法人税と富裕層課税の強化を見込むものの実現可能性は低く、財政赤字拡大が避けられないことから嫌気されたものです。

となると日米金利差で円安になりそうなものですが、アメリカの国内消費は堅調で、国債金利上昇は寧ろインフレ懸念をもたらします。しかもFRBはインフレ目標2%達成後も安定的に継続するまで量的緩和を続けるとコミットしており、インフレが放置されるということで、インフレ率で補正した実質金利ベースでは日米金利差は寧ろ円高方向へブレるということで、日本株高と円高が共存する相場になっている訳です。円高は外国勢から見れば日本株の低リターンをカバーし、米インフレをヘッジするという意味で、米国債の代替の役割も持ったということですね。

外国勢から注目されたからといって、東京が国際金融都市に近づいた訳ではありません。この関連で優秀なアナリストやトレーダーの所得税減免が議論されてますが、彼らは市場規模の大きなところの方が稼げる訳で、またそうした大規模市場は競争も激しく、その中で実績を上げ続けることの難しさはステータスでもある訳で、税金オマケするから来てね、に釣られて来るのは競争劣位の二流でしかありません。そして東証システム障害の後始末のニュースです。

東証、統治及ばず「引責」 システム障害で辞任、「必要なし」から一転 官邸の空気察し自ら決断:日本経済新聞
風邪と共に去りぬで指摘しましたが、システム障害自体はある意味避けられないところですが、東証は証券各社へのヒアリングを徹底し混乱回避に尽力した訳で、その結果の終日取引停止だったのですが、官邸がそれを咎める空気があり忖度してトップ辞任に至った訳です。繰り返しになりますが、大証を除く地方市場が東証のシステムに乗っかっていたことと、民間市場(PTS)が規模の小ささから代替を果たせなかったことが終日停止已む無しの判断に繋がった訳で、東証の責任を問うのはお門違いです。これ日本学術介護問題にも通底する事実上の人事介入です。また代替市場が機能しないのは国の規制の結果なんで、政府が規制緩和を打ち出すならまずここからだろ。

ってことで、円高は結局日米のインフレ期待の差がもたらしたもので、それ程日本の消費は冷え込んでいる訳ですが、注意が必要なのは、これコロナ禍による不安が原因であって需要不足が原因ではない点です。繰り返しになりますが、コロナの克服こそが最大の経済政策だってことです。実際安倍政権で実施された特別給付金はその多くが貯蓄に回っていて消費には寄与していないと見られています。但しだから無駄だった訳ではなく、助けられた人も多数存在したことは確かです。その意味で一部で言われる消費税減税は無意味だし、需要喚起策としての Go To も結果的に感染拡大を招いた分マイナスの方が大きいと言える訳です。実際街にクリスマスソングは流れず規制や初詣も自粛で消費は落ち込んでます。

ひとつ謎なのがコロナ禍がより過酷なアメリカの方が消費が活発という点ですが、おそらくアメリカの方が格差拡大が深刻で、給付金などの政府支援が消費に回りやすい可能性があります。コロナ感染者の爆発的拡大も、一応国民皆保険で医療にアクセスしやすい日本に対して、オバマケアも実現できず医療へのアクセスができない人が多いことも影響していると考えられますが断定は避けておきます。

もう一点指摘しておきたいのが、日米に留まらず世界的に公的債務が膨張傾向にあり、特にドイツの反対で実現できなかったEU共同債の発行が決まったこともあり、公的債務拡大は当面続くことは確実ですが、一方で需要が消滅したエアラインなど多くの企業で資金繰りのために借り入れを増やしている訳で、官民共に債務拡大が続いている訳ですが、アメリカで国債金利上昇が見られるものの、それでも低金利が続いていることです。

これ各国中央銀行の金融政策が緩和的だから緩和マネーが溢れていることで説明できますが、それに留まらず日本に典型的に見られる貯蓄の増加が寄与していると考えられます。とすると上記の日米の消費性向の差が為替を円高方向に向かわせていると言える訳で、いろいろと説明がつくことにはなりますが。

ネット通販拡大の恩恵を受ける宅配便を例外として、エアラインに限らず運輸事業の逆風は厳しいところですが、日本のエアラインの大手2社ANAとJALは共に当面自力更生を模索しており世界で見られる政府による救済はなさそうです。竹中平蔵氏が国際線の1社体制をぶち上げて話題となりましたが、ANAもJALもその気はないと見て良いでしょう。何れもグループ内にLCCを抱えており、採算性の低い路線を傘下のLCCに肩代わりさせて高採算のビジネス路線を温存する方向性を打ち出しています。ただ長引けば耐え切れなくなることは考えられます。その際には拡大路線にまい進したANAの方が苦しい訳で、それを見越したANA養護が真意かと思います。とにかく裏の多い人物ですので真に受けない方が良いでしょう。

そして苦しいのは鉄道も同じで小規模な地方私鉄は資金繰りに知恵を絞りますが、規模の大きいJRは当然必要資金の規模も大きい訳で、もっと抜本的な対策が必要です。特に元々経営基盤の弱いJR北海道とJR四国においてはなおさらです。<

a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF2510G0V21C20A2000000" target="_blank">JR北海道・四国への支援拡大を発表、コロナで旅客急減:日本経済新聞
JR北海道は3年で1,302億円、JR四国は5年で1,025億円の資金支援ということです。但し債務の株式化や利子補給を含むということで、真水は少ないとっ考えられます。前者は2020年までに設備更新や省力化投資の資金としてJR北海道へ2年間で400億円、JR四国へ2011年以来512億円を支援しておりますが、鉄道・運輸機構からの融資分を株式化するってことだと思います。つまり国有企業としての両社を国は潰さないという意思表示ではあります。

但しJR北海道で問題になっている大幅な路線存廃の議論は別ということで、沿線自治体と道庁の支援策が無ければ大幅な路線縮小が避けられないのは今までと変わりません。国としては債務の株式化に踏み込んでも最終的に経常黒字を安定させて株式上場すれば取り戻せる訳です。但し国策として株式保有を続ける可能性はありますが。というかNTTもJTも国の持ち分は残っている訳ですし郵政関連も同様で、JR本州3社の持ち分全放出による完全民営化の方が少数派です。

あとは経営安定基金の積み増しも考えられますが、今のところ言及はありません。実際は鉄道・運輸機構への預託により相場より高い利回りを保証して事実上の補助金としている一方、JR九州上場時に取り崩したように、追加の設備投資で発生する減価償却費を上場時に減損処理して減らす原資になる訳で、基本は株式上場がゴールという立場を維持しているようです。つまり国鉄改革時の基本方針は変えない訳で、自治体への負担を求めるということですね。あとついでにこれも取り上げておきます。

北陸新幹線、敦賀延伸1年遅れ 地元負担増を懸念:日本経済新聞
元々生産年齢人口の減少で人手の確保が困難になる中で、震災その他の災害復興と五輪関連で取り合いになりますから、工事の遅れは当然起きる訳で、遅れれば当初見込みの事業費は膨張する一方、JRが負担するリース料は受益の範囲で確定していますから、地元負担が増えることになります。また開業が遅れれば整備新幹線財源として開業後の整備新幹線リース料が当てにされている訳で、当然2030年開業予定の北海道新幹線札幌延伸が遅れることも視野に入ります。JR北海道にとっては頼みの綱の北海道新幹線延伸ですが、狂いが生じることになります。整備新幹線スキームも限界に達したと言える状況です。果たして上場のゴールに辿り着くでしょうか。

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Sunday, December 20, 2020

スベってコロナで大痛い政権

結局 Gp To t中止で年末年始の稼ぎ時を逸した観光関連の混乱が起こり、キャンセル料補償を余儀なくされた政府ですが、既に年末年始に備えて人を雇ったり食材等を仕入れたりしている訳で、Go To を当てにしていた事業者を振り回す結果となりました。愚かです。加えて寒波襲来で関越道が大変なことになりました。

関越道 最大2100台立ち往生 相次ぐ雪害まひ 教訓生かせず 週末再び大雪警戒:日本経済新聞
元々海水温が上昇していたところへ寒波が来て温度差で大量の水蒸気を抱えた状態で上越国境の山々で雪雲を形成したため、経験則で測りきれない大量の降雪があり被害を大きくした訳で、気候変動の影響を見て取れます。

雪国では寒さから降った雪が解けずに根雪となって春まで残るので、冬の間にドライバーの雪道スキルが向上することで日常生活が成り立ちますが、シーズン初めの初雪では半年間の乾いた路面でスキルを失ったドライバーがそこら中でスベりまくります。よく言われると「東京ではちょっとの雪で混乱すする」というのは、実は雪国でも初雪では同じです。その状態での大量降雪ですから、無事な方が奇跡ってことになります。

ぶっちゃけ1台がスベって横向きになって道路を塞ぐと、後続車は停止を余儀なくされますが、降雪量が多いと停止中の車が雪に埋もれて動けなくなりますから、状況が文字通り雪ダルマ式に悪化します。そうなると先頭の横向きの車を撤去しただけでは復旧せず、除雪を強いられますが、当然除雪車は使えませんから、スコップで人海戦術の除雪作業になり、前の車から順繰りに進路を確保して動かすという作業を延々と続けるしかありません。故に多数の車が長時間閉じ込められる事態となった訳ですね。

一方JRの上越新幹線は何事もなかったように平常運行してますし、在来線も遅延はしたものの、運行はされていました。勿論このことが鉄道一般が雪に強いことを示す訳ではありません。上越新幹線はトンネル区間が多く、明かり区間も雪対策がされているので運行に支障がなかった訳ですが、在来線。はそうでもない訳です。在来線規格の北越急行ほくほく線は新設時に雪対策をしていたので雪に強く、年間運休日の少なさから過疎地に関わらず沿線需要を掘り起こすことに成功しています。要は備えがあるかどうかで変わってくる訳です。

とはいえ占有空間が巨大な高速道路で例えばスノーシェルターで覆うとかは現実的に難しいですし、降雪量が多いと除雪も間に合わないとなると、結局状況に応じてチェーン等のすべり止め規制をしたり事前告知して通行止めにするかしか手段はありません。今回も東日本高速道路が除雪で対応可能とした判断が甘く事前告知の通行止め措置を取らなかったことがこの事態を招いたと言うことはできます。その東日本高速道路はこちらでもトラブルを抱えます。

東京・調布の陥没、工事との因果関係認める 東日本高速:日本経済新聞
調布の外環道工事と陥没の因果関係を結局認めてこれから補償交渉となります。専門家からは、1つは切羽のドリルが岩盤層に当たって振動が生じた結果の砂礫層の液状化と、直径15mのトンネル躯体が地下水脈を遮って地下水位のバランスが崩れて隆起と沈下が起こったという2点が指摘されています。後者は工事個所を境に広範に隆起と沈下が認められる衛星観測の結果とも一致しており、共に蓋然性が高いということで認めざるを得なかったという流れです。

つまり鉄道に比べて高速道路の占有空間の巨大さが災いしたとも言える訳で、その分道路整備は巨額の費用が掛かる訳ですが、実際道路と鉄道では財源にも大きな開きがあります。これ風邪と共に去りぬでも指摘しましたが、災害復旧でも予算規模の差を見せつけられる結果となっています。道路の負荷を抑える意味で道路予算を鉄道投資に回すことは合理性がありますが、日本では全く顧みられません。前エントリーで指摘したようにEV普及のみならずモーダルシフトも視野に入れなければ温室効果ガス排出削減も難しいですし。

一方密を避けるということで車利用は増える傾向にありますが、関越道のマヒもその影響が出た可能性はあります。そして年末年始の帰省シーズンですが、自粛の掛け声の一方、お盆も帰らなかったからと車帰省へのシフトも考えられます。但しそれでも無症状の陽性者が実家の高齢の両親に感染させるリスクはある訳で、慎重に対応すべきと考えます。てことで私も正月の親族の集まりは自粛です。

しかし政府の無策ぶりはどうしたものか。「Go TO 止めない」と言っていた前言を翻したりニコ動で「ガースーです」と言ってみたり5人以上の会食自粛を言いながら8人の会食をしかもハシゴとかスベりまくってます。スベり芸なのか?笑えないけど-_-;。

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Sunday, December 13, 2020

コロナ禍に対峙するローカル私鉄のキャッシュフロー経営

湧く珍ラリーエントリーで取り上げた島原鉄道の赤字ボールペン販売ですが、他社でもいろいろな取り組みが見られます。

地域鉄道「資源」フル活用 車両にファン宿泊/踏切音を配信/手すり販売、人口減・コロナ禍で活路:日本経済新聞
車掌スイッチや手すりの販売など部品即売イベントは昔からありましたが、オンライン販売が今風且つコロナ禍らしいところ。踏切警報音のオンライン配信も時流でしょうか。中でも出色なのが岳南電車の電車内宿泊でしょうか。サービス電源確保やセキュリティ対策などは必要ですが、追加費用は僅かで、手持ちのリソースを活かして現金収入が得られるという意味でアイデア賞ものです。

過疎化とコロナ禍のダブルのマイナス要因で追い込まれる地方のローカル私鉄ですが、日々の現金売上の減少は資金繰りに直結するだけに苦しいところです。千葉県の銚子電気鉄道のタイ焼きや濡れせんべいは有名ですが、逆に言えば規模の小さいローカル私鉄ではその程度の現金収入で維持費を稼げるということでもあります。それでもレール交換や踏切保安装置の更新などでは寄付を募って乗り切るなど苦しい状況は続きます。設備が古く減価償却が終わっているから、ギリギリ経営は維持できる一方、減価償却で生まれるキャッシュフローは当てにできないジレンマもあります。

てことで、元々固定費の高い鉄道の維持は困難な課題ではありますが、維持する上で重要なのは最終損益の黒字赤字よりも日々の資金繰りにあるということですね。実はこの点で言えばローカル私鉄は昔から似たようなことをしていましたし、今でも様々なキャッシュフロー獲得作戦が展開されています。

例えば国鉄時代の連絡運輸で、私鉄駅発の国鉄連絡運賃の収受というのがああります。これつまり買掛金になる訳で、一定期間手元に残る資金ですから、小規模な私鉄にとってはバカになりません。北海道の運炭鉄道はこのお陰でキャッシュリッチ経営だったことから、最盛期には税金対策で儲からない旅客輸送用の新型ディーゼルカーをバンバン投入するようなことも行われておました。埼玉県の秩父鉄道のように大手私鉄に先駆けてWNドライブの高性能電車を投入したのもこの流れですね。

同様のことはニシン漁に沸いた北海道の寿都鉄道やミカン輸送の送り出しで稼いだ和歌山県の有田鉄道、山口県の運炭鉄道の舟木鉄道などもあります。もっと新しい事例としては成田空港ジェット燃料輸送を担った鹿島臨海鉄道で神栖線の旅客営業を手掛けたことがありましたが、流石に利用が伸びず後に廃止されます。しかしその経験があったから、建設線の大洗鹿島線の引き受けという大きな決断に繋がったとは言えます。

後日談としてニシンの不漁で火が消えた寿都鉄道は廃業して恐らく意図的な国鉄運賃預り金の踏み倒しをしてますし、舟木鉄道ではやはり意図的な精算遅延で手元資金を厚くしていたなんてこともありました。個々には金額は少なかったとしても、国鉄の赤字体質にはこんな裏事情もあった訳です。

整備新幹線の並行在来線三セクや伊豆急など国鉄/JRと関係の深い路線のマルス設置による指定券販売ってのもこの類型ですが、伊豆急のようにSuicaの委託販売とバーターでシステム整備など新たな関係も見られます。また全国の臨海鉄道で見られるJR貨物の構内入替の受託など国鉄改革後も様々なことが行われております。鉄道貨物の今後次第ではJ貨物列車の運行受託などもあり得ます。

えちぜん鉄道や岳南電車では電力託送事業に取り組んでおりますが、風力、太陽光、コ・ジェネ電力など再生可能エネルギーを利用したマイクログリッド事業は新たな収入源となる可能性があります。大規模電源を前提とする系統電力系の送電線が稼働していない原発や非効率な石炭火力の利用枠で押さえられていて再生可能エネルギーの利用が進まない中で、地域に根差した新たなビジネスの可能性があるだけに期待したいところです。但し電力設備を持つ電気鉄道限定ですが、ビジネスモデルが進化すれば非電化路線の電化まで視野に入るかもしれません。

マイクログリッド事業に関しては、脱炭素を打ち出した政府が補助金を付けることが期待されますが、現政権の本音は原発の新設やリプレースかもしれません。既存原発の再稼働と違って鉄子コンクリートの塊となる原発の新設は、鉄やセメントの製造工程でのCO2排出もありますし、鉄の熱処理やセメントの凝固過程での化学反応でもCO2を排出します。ライフサイクルアセスメントに注目すれば脱炭素に逆行します。再生エネ活用が王道と知るべきです。

おまけで燃料電池活用も期待されてますが、現時点で供給される水素は化石燃料由来です。再生エネ電力で水を電気分解することで得られるカーボンフリー水素でなければ意味がありません。加えてEV普及も後押しするようですが、石炭火力に依存する日本の現状ではCO2排出削減効果は限られます。寧ろEV普及は電力需要を押し上げるので、需要増をカーボンフリー電源で賄うのでなければ、寧ろ排出を増やす可能性があります。

てことで管政権が打ち出したカーボンフリー宣言は具体策で必ず躓くと言えます。寧ろ車社会を見直してモーダルシフトを推進する方が排出削減効果が大きいということは指摘しておきます。最後はやや脱線気味でした^_^:。

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Sunday, November 22, 2020

米大統領選よりコロナで沸く珍ラリー

やっと政府も Go To 見直しですが、3連休前ならともかく、人の移動を抑える効果は限られます。結果的に来月になって感染拡大が進んで忘年会全滅から年末年始の帰省や初詣も自粛で消費低迷は目に見えてます。目先の経済を回すことに拘るあまり、大局を見失っている現状は Go To コロナ不可避です。社畜は正月も帰らないかも。

てことで実体経済グダグダが避けられない中で、株価の好調が目立ちます。特に米市場の好調が世界を牽引している訳ですが、あれほど揉めた米大統領選に対しては、結果的に大して反応しなかった一方、米ファイザーとモデルナが相次いで開発中のワクチンの有効性の高さを発表した結果、市場は沸いて所謂ワクチンラリー状態になったことが大きいです。

ワクチンはウイルスを意図的に投与して免疫を働かせて抗体を形成することで予防や軽症化の効果を得るものですが、当然発症のリスクもある訳で、そのため生ワクチンではなく病原性を弱めた不活化ワクチンが主流ですが、そもそもウイルスの分離、培養に時間がかある上に、不活化も複雑な処理を要するため、とにかく開発にも製造にも時間がかかりますし、量産による供給体制の構築もにも時間と費用が掛かります。また安全性の検証のための治験を経なければ認証を得られず、実際の供給開始には数年かかるのが通常です。

しかし米2社のワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)を利用する新技術が使われており、この点でも注目されるものです。遺伝子の本体であるDNAが細胞核の中で折り畳まれていて門外不出で温存されている訳ですが、タンパク質の設計図である遺伝子が実際にタンパク質を生成するには、長いDNAの一部を状況に応じて転写して細胞液に放出します。RNA転写と呼ばれるものですが、こうして放出されたRNAがmRNAと呼ばれ、複数のアミノ酸をつないでタンパク質を生成する際の触媒となり、役割を終えれば解体されます。

そこでCovid19ウイルスの表面タンパク質を解析して対応するmRNAの塩基配列を調べれば、RNA自体は人工的に生成できるので、そうして生成されたmRNAを投与することで、ウイルスの表面タンパク質が生成され、免疫反応で抗体が作られる結果、免疫獲得につながる訳です。そして治験の結果良好な有効性が証明されたということで市場が湧いた訳です。ウイルスの培養や不活化のプロセスも不要なので、量産体制も組みやすいこともあり、市場が好感した訳です。

しかし問題もあり、特にファイザーのワクチンは摂氏マイナス70度で保管しないと有効性が保てないということで、輸送や医療機関での保管体制の構築に時間がかかるとすると、普及までに時間を要することになります。加えて抗体を増やすと免疫の暴走を招く可能性もあります。これ不要不急の臭い話で指摘したコロナの重症化が免疫の暴走の可能性とつながってきます。つまりワクチン投与が重症化のトリガーになる可能性がある訳で、安全性の判定が難しくなります。特に既に抗体を獲得した既発症者への投与は危険を伴うことが考えられます。てことは事前に抗体検査が必要かもしれない訳です。その抗体検査の精度の問題もあり、実際の使用には慎重さが求められます。

とはいえ今の株式市場は悪い材料はスルーして良い材料を模索する傾向が顕著なので、とりあえず株価上昇のエンジンとしては十分という評価になる訳です。米大塔陽陵泉書き部下に影響しなかったのも、バイデン優勢ならトランプ以上の財政出動が期待されるからで、ブルーウエーブの実現が今のところ未定ですが、議会選が意外と接戦となったことで、金融規制やハイテク規制もマイルドになるという期待が注目されましたし、またコロナがどう転ぼうが今後も大規模な財政出動が避けられない中、FRBが金利上昇抑制に動くから、結果的に金融市場を支える余剰マネーの供給が続くと見られ、実はこれが一番の要因だったりします。国のマクロ経済政策が予想可能というのが、市場にとっては一番の安心材料ってことですね。

ただこれは同時に投資のリターンの減少を招くことでもあり、実物経済で言われる投資収益逓減の法則が金融投資にも及んだと見れば、これ長期的には投資資金を溶かし続けるプロセスを意味します。日本のバブル崩壊後の経済低迷が示すのは、オイルショックを乗り越えて実物経済のチャンピオンの地位に上り詰めた日本が、潤沢な資金をITなど次世代技術への投資に回さず財テクと称するマネーゲームに興じた結果が示します。今の日本は過去の栄光で得た蓄えを溶かし続けている訳です。世界がそれに追いついてきた訳です。

その一方で新興国のキャッチアップは続く訳ですが、とりわけ規模の大きい中国の台頭が典型的ですが、ITで従来の新興工業国がの成長プロセスを単純になぞるのではなく、途中段階を飛び越えて成長することで、寧ろ世界最先端はどっちだかわからない状況が出現している訳です。それを伺わせるのがハイブリッド・シビル・ウォーで取り上げたアントフィナンシャルグループの上場中止ですが、続報が出ました。

アリババ創業者、共産党と根深い対立 アント上場、習氏が反対:日本経済新聞
香港と上海の市場への上場を目指し手続きを終えて上場審査をクリアした後での急な上場中止ですが、習近平氏の反対があったようです。アントはアリババのEC市場出店事業者向けに資金調達を支援する事業で成長した訳ですが、実態は銀行との仲介が中心で、アント自身のバランスシートに融資資産がほとんど計上されておらず、主にECデータによる信用スコアを利用した信用補完が中心ですが、決済サービスとしてのアリペイの存在がその下敷きになっている訳で、リスクを銀行に取らせて仲介手数料はしっかり取るというビジネスモデルで、言ってみれば良いとこ取りな訳です。

ただ実際問題としてアリババに出店する零細事業者は銀行融資を受けにくい現実がある訳で、銀行システムの未熟さが背景にあります。故に創業者の馬雲(ジャック・マー)氏から見れば、当局の銀行規制の不合理が見える訳で、それを公言したことで当局批判と取られたということで、習近平氏が怒ったtってことのようです。

但し注意が必要なのは、中国は人民元の国際化を推進しており、IMFの助言に従って人民元の流動性を高め、管理変動相場制への移行などを着々と進めている訳で、米ドルの基軸通貨体制下では国富がアメリカに流出することを避けられない現実を悟ったからですが、その足許で金融規制を巡る当局批判と取られる発言が問題視されたってことですね。これ実はフェイスブックの暗号通貨リブラを巡る西側諸国のブロックと通底する問題です。

ビットコインがトランザクションへの計算能力を提供するマイナーへの成功報酬として発行され実物資産の裏付けが無い一方、リブラは米ドルなど主要5通貨を保有してその通貨バスケットを裏付けとして発行されるので、法定通貨と紐付けされたという意味でステープルコインと言われますが、かつての金本位制時代にも各国金融当局は裏付け資産以上の通貨発行をしていましたし、ブロックチェーンを用いるシステム自体に信用創造の機能があることから、リブラの事業領域は伝統的な銀行業と被ることになります。

故にリブラに銀行業免許を求めるなどして事実上阻止した訳ですが、アントの顛末はある意味その中国版と見ることができます。ブロックチェーンは用いないけど、ECや決済システムの運用で得られた信用スコアを用いるアントのビジネスモデルは、既存の銀行業の領域を侵犯する可能性がある訳です。と見ると、アントの上場中止は単なる独裁体制の弊害とばかり言えない訳です。勿論武漢封鎖と同様にトップの鶴の一声で事態が動くトップダウンの仕組みは中国らしいと言えばらしいところですが。

翻って日本では低金利による銀行の収益悪化で地方銀行が特に窮地に陥り、地銀再編が言われますが、さっぱり事態は進みません。寧ろコロナ禍での緊急融資もあって様々な支援スキームはあるものの、例えば経産省の信用保証制度は単なる銀行融資の付け替えによる融資行のリスク回避に使われ、企業が破綻すれば国民負担という理不尽な仕組みですし、日銀が打ち出した無利子無担保の緊急融資も間もなく満期を迎えますが、融資先の状況は改善からほど遠く、銀行は借り換えを躊躇している状況です。倒産ラッシュはこれから本番と言われるゆえんです。

地方私鉄で特に観光輸送に依存するところはコロナ禍で苦しんでますが、それでも日銭が稼げる鉄道業はそれなりに耐性はあります。但しいつまで持つかという問題もありますが、そんな中でこんなニュースを見つけました。

自虐的?赤字の島原鉄道「赤字ボールペン」発売 珠玉の一本、目指すは黒字:毎日新聞
長崎と言えば長崎新幹線問題がホットですが、現状の整備新幹線の枠組みでは佐賀県の態度が変わらない限り武雄温泉―長崎間の離れ小島で赤字必至の飛べないかもめになりそうですが、インバウンド消滅で窮地にある島原鉄道は自虐ネタで勝負ってことですね。鉄道を支えるにはキャッシュフローが大事なんで、銚子電鉄の濡れせんべいのような奇跡を起こすかどうか、注目しましょう。

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Sunday, October 04, 2020

風邪と共に去りぬ

予想外の展開です。

米政権・議員に感染者複数 ホワイトハウスで拡大か:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたギンズバーグ判事死去に伴う最高裁新判事候補の披露イベント時のクラスター感染が疑われています。自業自得というか、ミイラ取りがミイラというか-_-;。

当然大統領選どころじゃなくなりますし、病状次第では執務不能となることもあり得ます。その場合の代理第1位は副大統領、第2位は下院議長となっており、政治的混乱は避けられません。特に共和党にとっては痛手でしょう。今更別の大統領候補を選ぶのもままならず、副大統領候補が横滑りという訳にも行かず、政治的混乱は避けられません。それ以上にコロナ禍の終息がますます見通せなくなり、国民の消費自粛ムードを高めます。

加えてただでさえ財政の崖問題で追加経済対策が打ち出せない中で、雇用情勢は悪化の一途を辿っています。てことは、アメリカの経済回復は遅れる訳ですから、世界中が様子見モードの米中摩擦の行方も微妙になります。確実に経済を回復させている中国を排除して対米追従すれば自国の経済回復も遅れる訳ですから、日本を含め、多くの国の迷いを誘う事態です。まあ日本はそれどころじゃないあれこれがありますが。

東証「バックアップへ切り替えできず」 機器故障が原因:日本経済新聞
下期初日の10月1日に東証がシステム障害で終日取引停止になりました。原因は記憶装置の不具合ですが、バックアップディスクへの切り替えがうまくいかず、混乱を避ける為に已む無くということですが、問題は代替市場が機能しなかったことです。

欧米では地方市場や私設市場が併存していて、相互にバックアップされる自律分散システムとなっているので機器の不具合による取引停止は避けられるんですが、取引の薄い地方市場では独自のシステム構築の費用が出せず、東証のシステムに相乗りしていたし、私設市場(PTS)は金融庁の規制で規模が拡大すると東証の上場銘柄が扱えなくなるなどで、小規模PTSが複数併存していて、ネット証券が東証を含む複数市場で最も有利な市場で取引するSORという仕組みがありますが、最大規模の東証のシステムダウンでバグが出る可能性があるということで、ネット証券各社はSORを止めたため機能しなかったというもの。

株式市場も東京一極集中の弊害が明らかになった訳で、香港に代わる国際金融都市など無理ですね。金融分野では3行合併でスタートしたみずほ銀行のシステム障害がありましたが、大きけりゃいい訳じゃないってことですね。それを忘れたかのような地方銀行の経営統合を含む再編に前のめりな管政権ですが、同様の問題が起きるとは思わないのでしょうか?

それと気になるのが、同時に経営が苦しい地方乗合バス事業者や地方中小企業の再編も同じノリで進めようとしているんですが、これ1938年の陸上交通事業統制法の時代に逆行させる気でしょうか?今更な国家総動員体制を目指しているとしか思えません。そんな中でのNTT再編ですが、稼ぎ頭のドコモが他社乗り換えでユーザーを減らし、気が付けば3位ということで、もはやガリバー企業としてのNTTグループの協業規制が意味を失ったということです。

加えてNECへの出資になった訳で、気が付けば旧電電ファミリーの復活劇ということですが、5Gの出遅れを取り戻したいってことですね。そしてHuawei対策として国産通信インフラの復権を狙ったものと言えましょう。NTTの筆頭株主は34%を保有する財務大臣つまり国なんですが、上場企業が実は国営企業という中国みたいな現実もあります。何だか国家総動員体制下の電力国家管理に酷似します。携帯料金値下げはこれを誘導する為だったのかな?

このノリで民営化JRに手を突っ込んでくる可能性もあります。経営不振のJR北海道はJR東日本に、JR四国はJR西日本に強引に面倒を見させるとかやりかねないですね。JR九州を含む上場4社は完全民営化されているので、抵抗力は一定にあると思いますが、例えば災害復旧にかこつけて介入する可能性はあります。

例えば熊本地震と大雨で大規模な山崩れで不通となった豊肥本線は3年半かけてやっと復旧しましたが、復旧費用は50億円で半部は国と地方の折版で補助されてます。一方同時に被災した並行する国道57号線は、ルート変更で北側復旧ルートと称する3.6kmのトンネルで外輪山を超える形で復旧し、費用は800億円と言われ、全額公費です。道路予算と鉄道予算にはこんなに開きがあるってのがショックですが、それでも復旧に公費を当てにせざるを得ないJRは、ある意味旧国鉄時代のような政治圧力を受ける存在になりかねない訳です。これはいつか来た道です・

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Saturday, September 12, 2020

愛なき成長戦略

愛ある成長戦略の秋元司議員が保釈中に偽証依頼で再逮捕されました。呆れてものが言えませんが、秋元議員は二階派所属ですが、時期総理と目される菅義偉官房長官が進めていたIRでの汚職ということで注目されます。

そのIRですが、中心となるカジノは元々クラスター効果で集積を創る効果が期待されていた訳ですが、コロナ禍で見直しは避けられません。実際日本進出を狙っていた米カジノ事業者は本国の事業失速でそれどころじゃなくなり撤退を表明しています。一方で無観客開催が続くJRAの競馬は勝ち馬投票券の売上が過去最高となっています。場外馬券売り場の再開とネット投票の増加が寄与したものですが、これ他のプロスポーツでも参考になります。

カジノを誘致するぐらいなら、ブックメーカーを公認する方がリモートの時代にはふさわしいし、現実的に欧州ブックメーカーのサイトを利用する日本人ユーザーが少なからず存在する現実を見れば、国内ブックメーカーの存在は資金流出を抑止する効果もありますし、逆に海外ユーザーの取り込みも期待できます。だけど新政権はカジノを捨てないだろうなあ。

また管氏はアベノミクスの継承を公言してますが、前エントリーの続きですが、三本の矢の三本目の成長戦略を今度こそと期待する向きもありますが、それは不可能です。一本目と二本目の矢で日本の潜在成長力はむしろ低下してますし、止めを刺せば下手に成長軌道に乗れば資金需要の逼迫で金利が跳ね上がり、それを呼び水にハイパーインフレを呼び込む可能性もありますし、それ以前に利払いの増加で政府財政が急速に悪化すます。ギリシャショックと同じ構図です。

日本の場合国内の貯蓄過剰がありますから、やや事情は違いますが、金利上昇を強引に抑え込む日銀の異次元緩和を続けざるを得ませんから、結局それが成長の足を引っ張り低成長に甘んじることになります。加えて日本の大企業がこぞって銀行の融資枠を設定してもらったり、社債発行が相次いでいるように、低金利故に可能な資金繰りが金利上昇で一転阿鼻叫喚地獄になる訳で、過剰債務は銀行にとっては不良債権になる訳ですから、バブル崩壊後の金融危機に逆戻りです。意地悪い見方をすればバブル崩壊当時はまだ日本の成長力は健在だったからバブル崩壊につながったとも言えます。アベノミクスの一本目二本目の矢も低成長だったから可能だったとも言えます。

管氏の発言からは成長戦略へのコミットを強める姿勢が見えますが、そのために官僚への締め付けは強まるでしょうし、秋元議員に留まらず河合夫妻の疑惑解明も進まないと見るべきでしょう。検察や司法がどこまで迫れるかは未知数ですが、河合夫妻の事件では収賄側の地方議員等100名ほどが全員不起訴となっています。ゴーン事件同様司法取引を悪用した可能性があり、がさ入れまでした自民党本部も訴追されず、河合夫妻だけを断罪する構図は違和感を拭えません。

てことでDXを中心に生産性向上を図るってのが中心になりそうですが、早速冷水を浴びせる事件が発覚しました。

ドコモ口座、全35行で新規登録停止 異業種連携に穴:日本経済新聞
これセブンペイの不正と同じ構図で、消費増税を機にキャッシュレス決済を普及させようと政府が旗振りした結果、セキュリティがガバガバなシステムが出来上がった訳です。しかも既に同じ手口でりそな銀行の不正引き出しが発覚していたにも関わらずNTTドコモはシステムを見直さず、本人確認が緩いまま被害を拡大しました。

今回の不正は更に複数の銀行で過去に口座情報が漏洩していた点も問題です。口座名と名義人がわかれば4桁のキャッシュカード暗証番号を解明することで本人に成りすますことができます。実際今回被害に遭った人はドコモユーザーは少なかった訳で、逆にだから発覚が遅れたとも言えます。こんなんでフィンテックのオープンAPIなんて無茶な話です。貧テック鈍テックな低成長国家に甘んじる現実が見えてしまいました。

それと気になるのが高給取りと言われる銀行マンもご多分に漏れず非正規化が進んでいて、非正規行員には待遇への不満も蓄積していると見られます。加えて見なし正社員ルールを盾に雇用期間も細切れとなれば、不満を理由に銀行の口座情報を外部へ漏らす退職者が現れても不思議ではありません。ただでさえ低金利にあえいでいる銀行で、行員のモラルが低下すればどうなるかということですね。これアルバイトのバカッター騒ぎや東京女子医大病院のボーナス不支給を巡る看護師の大量退職騒動などと同様、人件費を削るとろくなことが起きないってことでもあります。

その観点から言えば、JR北海道やJR四国の置かれている状況も似ています。特に厳寒で路盤を支える土壌も弱いJR北海道の場合、幹線でも線路等級が低く軌道負担力が弱いため、例えば大型蒸機C62の北海道転属の時にボイラー交換して軸重を下げたなんてことまでしてます。有名なスワローエンジェル©622号機もオリジナルではない訳です。

そんな調子ですから、北海道の鉄道マンの苦労は大変なもので、それでも長年の熟練で何とか対応してきたものの、国鉄分割民営化以前にローカル線の廃止も進みJR北海道へ継承された路線は規模を縮小し、熟練社員の多くは余剰人員として国鉄を去った一方、残った社員も高齢化で退職し、一方補充の若手は少なく、技術の継承が困難になりました。その結果保守が行き届かず度重なるトラブルにつながった訳です。

更に言えば国鉄からの資産継承時に資産価格を低く査定した結果、減価償却費の減少で利益は出やすくなりますが、設備更新は進まず脆弱な線路を振り子式高速ディーゼル車が走って線路を痛め、更にJR貨物のDF200型投入も線路を痛める原因になっている訳で、早晩行き詰ることは避けられなかった訳です。なるほどJR北海道自身が北海道新幹線に熱心だったのは、並行在来線切り離しで負担が減ることへの期待もあったのでしょう。

新幹線札幌延伸まで10年 並行在来線に3つのポイント:日本経済新聞
JR北海道にとっては整備新幹線のスキームで国と地方の資金を得ながら設備更新して重荷となる並行在来線を切り離せますから、効率追求の建前からも北海道新幹線は必須だったのでしょう。しかし切り離される並行在来線の厳しい現実も明らかになりました。函館―長万部間は道南いさり火鉄道を受け皿に議論が進んでますが、これはJR貨物の免許区間でJR貨物調整金が当てにできることが前提にあります。

この調整金は東北新幹線盛岡以北でJR貨物の指摘で問題になったJR貨物の格安な線路使用料の維持と並行在来線引き受け三セクの費用負担のギャップを鉄道・運輸機構\が差額補助するもので、原資は整備新幹線の貸付料に上乗せしてJR旅客会社が負担するものですが、逆に言えばそれぐらいしか並行在来線三セクを支える原資は無いってことです。一方の長万部―小樽間は貨物調整金が無く沿線人口も少ないことから、鉄道としての維持は困難と見られます。加えて言えば青函トンネル区間の速度制限解除のために貨物の船便シフトの計画が国交省で練られてますが、実現すれば函館―長万部間の鉄道維持も困難になる訳で、実現は困難です。

しかし心配なのが新政権で効率優先を旗印に政府が干渉する可能性があり、地元の調整を頭越しに無視する可能性も指摘できます。そうった強権主義の片鱗は例えば地方銀行の数が多すぎると合併促進に言及したりする姿勢にも見えます。加えて鉄道維持にビタ1銭出し惜しみをする北海道庁の姿勢もあり、愛なき決着の可能性を高めています。油断できませんね。

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Saturday, July 25, 2020

五方面作戦の闇

やや大げさですが水に流せない過去で触れたJRの国鉄体質の復活の懸念を感じております。場合によっては国鉄改革の成果を台無しにしかねない問題です。

国鉄の前身は鉄道省という行政機関だった訳で、現業としての鉄道事業と鉄道を含む民間交通事業者に対する監督官庁という後の運輸省の役割を併せ持つ存在でした。理屈としては鉄道事業の国家独占の考え方で、国が鉄道を建設し運営する分には権限の行使だけど、民間事業者が参入する場合は国に申請して免許の交付を受けることが義務付けられるとともに、国の判断で買収を要請された場合には拒否できないという法体系でした。

故にその権限は強大でしたし、またそれ故に政治の介入を受けやすい存在でした。戦前期の立憲政友会と民政党の疑似二大政党制時代に両党が競い合うように選挙区の地方路線の建設を押し付け、広軌論や電化推進などの幹線の改良を潰してきました。根拠法として鉄道施設法が制定され、基本計画線、整備計画線、工事線を示す別表が添付され、その内容は毎年のように更新されておりました。

その後国家総動員法の施行で戦時体制に突入すると、中央省庁も大規模な改変がされて鉄道省も商工省を経て運輸逓信省となり、郵便事業も管轄する大組織となりましたが、戦後GHQの命令で郵政の分離と共に、鉄道と付帯する自動車や船舶事業などの現業部門を公社として分離し、独立採算制で経営自主権を持たせることになり、公社としての日本国有鉄道が発足します。しかし鉄道の国家独占原則はそのままで、国鉄は国に免許申請することなく事業展開できる存在になった訳です。

そのことは東海道新幹線の実現には貢献したものの、鉄道施設法は存続していて、相変わらず政治家の圧力で地方路線の建設を強要されましたが、独立採算制が盾になっていたというと意外感がありそうですね。故に1964年に鉄道建設公団を発足させ、主に地方線区の建設し、完成後国鉄に無償貸与若しくは無償譲渡するという形で切り離されました。またそれ故に鉄道施設法の別表の更新も続いた訳です。あとお気づきかと思いますが、全国新幹線鉄道整備法に基づく新幹線建設も、基本計画線、整備計画線、工事線を示す別表が添付されており、戦前からの古いスタイルを踏襲しています。

この辺は東京都交通局などの地方公営交通や帝都高速度交通営団のような特殊法人と国鉄の違いとして重要です。都交にしろ営団にしろ法的には民間に準じた事業者として国に申請して免許の交付を受けなければ事業ができない存在です。それ故空飛ぶ都営交通で取り上げた都市交通審議会1号答申で都の都市計画高速鉄道5路線の内1-4号線までは事業者名まで明示していましたが、5号線は未定としていました。混雑が激しい中央快速線の混雑緩和を狙ったバイパス線という性格から、国鉄による事業化の可能性があったから触れなかった訳です。

実際は首都圏五方面作戦の走りとなる中央線複々線化事業との関連で営団が地下鉄として整備し、国鉄の線増線と相互直通とされました。それと共に都の都市計画高速鉄道も改訂され10路線が新たに制定され、5号分岐線は6号線として分離され1号線西馬込系統と統合され西馬込―志村(仮)間となりました。同時に7号線(目黒―岩渕町、ルート変更の上営団南北線として実現)、8号線(喜多見―日暮里、一旦キャンセル後区間、ルート見直し後9号線として復活、営団千代田線として実現)、9号線(芦花公園―麻布、キャンセル)、10号線(中村橋―両国、8,9号線キャンセルで8号線に繰り上がるもキャンセル)が答申されました。

当時まだ首都圏五方面作戦とは言われておりませんでしたが、東京一極州通で混雑が激しくなる一方で、国鉄としても線増を進めて輸送力増強を図ることが避けられない状況でした。その時に国家機関としての権限を保持していた国鉄は、都を格下と見て都市計画は無視する一方、出資者として営団とは良好な関係を持っていました。

都市計画で追加された路線は結局キャンセルが多く、実現した路線もルートや区間が変更されていますが、これには国鉄が微妙に絡んでおります。8号線は喜多見で小田急線との相互直通し小田急は喜多見分岐の多摩ニュータウン新線を計画していました。一方日暮里では国鉄常磐線の複々線化を睨んで相互直通を意図しておりました。

8号線に反応して営団は喜多見駅北方の野川河川敷に広大な土地を先買いして車両基地用地を確保しましたが、小田急が都区内区間で並行する8号線計画に難色を示します。一方1964年から赤字転落した国鉄ですが、幹線区間の電化や複線化に加えて首都圏五方面作戦で大規模投資目白押し状態でした。特に総武線の複々線化で快速線を東海道と分離後の横須賀線とつないで直通する構想を進めた結果、常磐線に予算が回らなくなり、特に下町の密集地帯で用地賠償が難しい上、墨田川と荒川に橋をかけなければならないことから、事業費圧縮のために接続点をできるだけ都心から離れたところにしたいということから消極姿勢でした。

恐らくそれらを忖度して小田急に対しては代々木上原接続で喜多見までの小田急線複々線化工事を都市計画に取り込み。喜多見の土地は経堂電車区の移転先として小田急に譲渡し、代わりに綾瀬に車両基地を建設するということで荒川の鉄橋を営団が作り,国鉄は綾瀬以遠に複々線化区間を圧縮するという調整を経て9号線として都市計画路線に組み込んだ結果、千代田線として実現したと見ることができます。国鉄も営団の言い分は聞く訳です。

一方米軍グランドハイツ返還後の跡地開発で西武豊島線の延伸を想定した都は10号線→8号線で西武との相互直通を想定し、他方両国では総武線複々線化による線増線との相互直通を想定していましたが、都の働きかけに対して西武は動かず、加えて国鉄は都の都市計画を無視するように総武快速線の事業に着手します。8号線→9号線と違って放置プレーでキャンセルに追い込まれた訳です。

そして総武快速線の事業は都心の地下トンネル工事という国鉄にとっても未知の事業であり、地上構造物の基礎の仮受や地下埋葬物との競合回避などで事業費は膨らみ遅れもあり、総武線の混雑は酷くなる一方だったことから、東西線の東陽町―西船橋間の延伸を営団に要請し、営団もそれに応じます。関連して東武野田線方面への延伸も示唆され、新船橋接続が検討されましたが、実現しませんでした。営団としても総武快速線完成までのつなぎと分かっていたので、その後を意識していた訳です。

千代田線の相互直通で営団6000系と国鉄103系1000番台都の電力消費量の差額を会計検査院に指摘され、国鉄と営団で差額精算が行われるようになったことも、国鉄と営団の特殊な関係を語るときに忘れることはできません。これは小田急9000系にも適用されトバッチリを受けた訳ですが、それ故に国鉄は203系を開発し投入したものの、予算制約から剛性不足の柔なアルミ車体が災いして轟音を振りまくノイジーな電車になりました。また小田急がVVVF制御車1000系の開発を急ぎ、用途を失った9000系は早期に引退しました。

常磐線に関しては複々線化で新駅が2つ誕生しています。北柏と天王台ですが、それぞれに経緯があります。北柏は緩行線にしかホームがありませんが、快速線にも折り返し線があって取手発着の中電の折り返しに使われてますが、元々は貨物駅でした。松戸―我孫子間の複々線化では各駅の貨物扱いを集約して用地を確保しましたが、そのために貨物駅として北柏が作られ、後に緩行線に旅客ホームを追加して旅客扱いを始めた一方、車扱い貨物の廃止で北柏の貨物扱いが無くなった結果が現状です。旅客駅化は地元対策だった模様です。

天王台は松戸電車区の支所として快速線用の電留線が作られましたが、用地取得のために駅設置を約束したと言われております。この辺北柏と共に地元の不利益を打ち消す思惑が見られます。同様に線増工事関連で貨物線と貨物駅が作られることになった横浜羽沢では住民の強硬な反対に遭って大幅に遅れ、横須賀線の分離が遅れたことが知られております。相鉄の都心プロジェクトで羽沢横浜国大駅が旅客駅として開業しましたが、当時は旅客液化など想定もされてなかった訳で、歴史の綾を感じますね。同時にリニア静岡工区を巡るJR東海と静岡県の対立を見るにつけ、国鉄時代のこうした独善性とバーター主義が垣間見えます。

てことで、現時点では杞憂かもしれませんが、国鉄を出自とするJR上場4社の株式持ち合いは国鉄体質の復活おw警戒する必要があります。特にコロナ禍で売り上げを落とし、株価も下がった各社が株式持ち合いでもたれあいする可能性は高いと思います。一方鉄道業界では西武と京急、小田急と相鉄、京成と小湊などで伝統的に株式持ち合いが続いていますが、民間事業者同士として問題を引き起こす可能性は低い訳です。JRの持ち合いとは意味が違います。

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Saturday, July 11, 2020

水に流せない過去

豪雨被害で大変なことになっておりますが、おそらく出てくるんじゃないかと予想していた川辺川ダムお化けが現れました。特にSuica甘いかの最後に登場した京大教授氏曰く「7割出来てた川辺川ダム中止したから人が死んだ。人殺し!」とかもう狂ってるとしか言いようがないですね。

巨大ダム建設は順調に進んでも50年はかかると言われます。水没エリアに集落があると集落ごとの移転が必要ですし、営農地であれば耕作地の移転先も必要になります。移転先は表土の厚みのある肥沃な土地で且つ道路アクセスと水利も備えなければなりませんから、なかなか困難です。加えて集落内の学校などの公共施設の移転も必要ですから、相当時間をかけて準備しなければなりません。当然費用もかかります。

そして道路の付け替えや作業用道路、作業ヤード、宿舎などを準備してやっと本体工事です。当然工事の進捗に合わせて作業員の確保やセメントその他の資材の調達なども絡みますから、長い時間と費用が掛かる訳ですが、出来ているとされる7割の根拠は不明です。時間軸で捉えて7割なのか予算の消化率が7割なのか、モノサシを示さない議論は学者としてどうなのか?ですね。仮に時間軸で7割なら中止が決まった2012年時点からあと15年かかりますから、今回の豪雨には間に合わない訳ですね。

八ッ場ダムでも問題になりましたが、元々水資開発を目論んだ事業が時の経過で低成長期になり水需要が増えないということで利水から治水へ看板をかけ替えて事業を継続というありがちなパターンです。加えて補償金弾んで反対意見を封じ込めるから、それが地元住民の分断を生み禍根を残すという地域にとって不幸な展開が見られます。その中で当時の熊本県民の意思として川辺川ダムへの反対が大勢を占めていて、それを踏まえて蒲島知事が国に中止を申し入れ、当時の前原国交相が中止を決断した訳です。

当時の熊本県民は球磨川の自然保護と共に、堤防や調整池整備、河床の掘り下げなどの流域対策で対応すべきという声が多かった訳ですが、当時はまだ線状降水帯なんて言葉もなかった時代で、今のような異常な気象現象は見られませんでした。加えて流域対策に国はろくに予算をつけてこななかった訳で、そういった経緯から言えば「ダムを止めた人殺し」発言は政治的意図の有無に関わらず暴言です。またダム治水は運用次第なのは昨年の台風19号豪雨での肱川ダムの事例で明らかですし、肱川の場合上流にダムがあることを理由に市街地の堤防整備が進まなかったという倒錯した事情もありました。

線状降水帯は海水温の上昇による水蒸気の発生の増加と大氣温の上昇で水蒸気の飽和点が上昇した結果、水蒸気濃度が高くなった一方、地形や梅雨前線に沿って水蒸気を含んだ大気が上昇気流に乗って放射冷却で雲を発生させるメカニズムが連続的に起こることの結果ですから、温暖化の影響と考えて間違いありません。その意味では低コストだからと石炭火力依存を続ける大手電力会社こそ「人殺し」にふさわしいと言えましょう。

という具合に時間がかかる大規模土木工事は一旦始まると止めるのが困難なんですが、ダムじゃありませんが、やはり時間がかかる山岳トンネルも、準備工事に多大な時間と費用がかかります。てことでリニア静岡工区の続報です。

リニア準備工事、再開容認を 国交省が静岡県に要請:日本経済新聞
これ唖然とさせるニュースですが、そもそもJR東海と静岡県の対立は、静岡県条例で開発面積5ha以上は県自然環境保護条例に定められた自然環境保護協定が必要というのが県の言い分です。既に許可された宿舎工事は申請の開発面積4.9haだから許可したけれど、宿舎に付帯する作業ヤードは17haあり県条例の求める協定締結が必要として許可を保留している訳です。

そして協定にはJR東海が採るべき環境保全措置を記載した計画書の添付が必要だけど、県専門部会で決定していないから協定を結べないし、本体工事に関わる国の有識者会議の検討を経て問題点をクリアにしなければ手続きが進まないというのが静岡県の言い分ですが、それがまったく顧みられずJR東海の言い分をなぞっただけの調停案ですから、案の定10日の知事と国交次官の面会で川勝知事に否定されました。

結局JR東海は7年前から大井川の水源遮断問題にまともに答えず、準備工事だから認めてくれという主張を繰り返すばかりで、実質的な対策を取ってこなかった訳です。宿舎工事の開発面積4.9haというのは、JR東海自身が県条例を承知していたことを物語りますし、それに付帯する準備工事であって本体工事ではないという理屈で押すことしかしてこなかった結果です。まあ駅のできる他県ならば魚心あれば水心で不問に付されたかもしれませんが、駅のない静岡県ではそれが通じない訳です。さりとて奥大井の山岳地帯のトンネル部分に駅を作るって言っても相手にはされないでしょうけど。

これ結局JR東海の国鉄体質なんですね。元々国の機関として強大な権限を有していた国鉄は、全体的な事業計画や予算及び決算報告を国会に対して行うことが義務付けられてはいるものの、個別事業は国鉄の裁量で実施されてきた訳で、それ故に往々にして国の機関として自治体を下に見る傾向がありその意識が抜けないのかもしれません。若い人にはわかりにくいでしょうけど、例えば首都圏五方面作戦でも表に出にくい黒歴史がありまして、特に常磐線にはいろいろなエピソードが集中しておりますが、別の機会に譲ります。

てことで国交省は役に立たない調停案を示してその無能ぶりを明らかにしてしまいました。前身の運輸省も国鉄は許認可対象ではなかったので対国鉄の権限は限定的でしたし、整備新幹線でもJRの意向が重視されますし、まして国費投入のないリニアに関してはものが言えないってのが正直なところなのでしょう。その意味で風邪ひかない人たちで取り上げたJR上場4社の株式持ち合いに危惧を抱きます。

例えば今回の豪雨で肥薩線と久大本線が被災したJR九州ですが、株式上場時に経営安定基金を取り崩して資産の減損処理をして7減価償却費を圧縮して益出しした訳ですが、新幹線リース料の繰り上げ支払いと違って資産の減損処理はあくまでも帳簿上の評価替えでキャッシュアウトを伴いませんから、その分キャッシュリッチになっている訳です。故にアクティビストファンドに目を付けられ、720億円の自社株買いを迫られた訳です。

幸い株主提案による自社株買いは株主総会で否決され回避できましたが、結局アクティビストの圧力に屈して100億円の自社株買いを実施してます。その一方で18年の西日本豪雨で被災した日田彦山線は廃止された訳で、上場したがためにファンドに金を毟られる一方、交通政策基本法に則り災害復旧に自治体の関与が条件づけられた訳です。故に事業の継続よりも投資家に還元することが優先される体制ですが、国鉄OBの経営陣にとっては地元の反発よりも株主への対応が大事で、プライドも高い。故に株式持ち合いでアクティビストに対抗という構図が見えてきます。肥薩線や久大本線はどうなるでしょうか?

プライドの高さはまた別の問題にもつながります。

「富岳」使いやすさ探求 国産スパコン、世界一に返り咲き 「京」の反省生かし互換性高く:日本経済新聞
「2位じゃダメないですか?」の蓮舫氏の問いでお馴染みのスパコン「京」の後継機の「富岳」がスパコン世界一になったニュースですが、世界一を目指した「京」が純国産に拘って汎用性のない独自アーキテクチャーで使えるソフトが少なかったために活用されなかった反省に立ち、世界から汎用性の高いプロセッサーなどの部品を調達し、多くのソフトを走らせる使いやすさに拘った結果、図らずも世界一になったって話です。元々蓮舫氏の質問も世界一に拘って迷走することを危惧したものですが、結果的にそうなった訳です。

翻ってリニアですが、世界一に拘って汎用性の乏しいシステムにすることを考え直すべきだと思います。東海道新幹線は世界初の高速鉄道ですが、斜陽産業と言われ、ある意味技術的には枯れた鉄道技術に拘ることで、汎用性のあるシステムとして世界に提案できた訳で、仏TGVや独ICEをはじめ鉄道の復権に貢献できた訳ですが、汎用性に疑問のあるリニアに拘るのは何故なのか?世界一を目指すプライドの問題ならばくだらないからやめろって話です。

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Sunday, May 17, 2020

マスク、マスク、マスク

私自身はマスクする習慣は無いし、感染を防ぐ効果が乏しいので、マスク無しで通そうと思っておりましたが、取引先でマスク着用を要請されて已む無く入手した布マスクを着用し、毎日手洗いしております。あーメンドクさ。ちなみにアベノマスクではありません。届いてないし。

医療品、海外依存度高く 感染爆発の備えに不安:日本経済新
マスク問題はコロナゲートウエイでも取り上げました。その際に情報の攪乱によるナッシュ均衡(囚人のジレンマ)で説明いたしましたが、yamanotesenさんのコメントで「合成の誤謬じゃないか」というツッコミもいただきました。まあ双方の要素がある訳で、現実の事象ではこうしたことは珍しくありません。

合成の誤謬の典型的な事例は貯蓄投資バランスの問題で見られます。社会の構成員が全員貯蓄に励むと、借り手不在でリターンを期待できない一方、全員が貯蓄を取り崩して借金に頼ると、貸し手不在で金利が跳ね上がり経済を冷やす訳で、日本でデフレと称された現象は前者に該当します。故にアベノミクスや黒田バズーカでデフレ脱却という議論は寧ろ逆効果で如何にバカバカしいかがわかります。

マスクに関してはグローバル化に伴うサプライチェーンの拡大による国際分業の影響が背景にあります。医療品は元々輸入超過状態で、医薬品は国内メーカーの有力特許失効と多額の開発費を費やした海外メーカーの高額医薬品の差がある一方、マスクや防護服などの消耗品は中国を中心に海外生産が定着していた訳ですが、その中国の武漢で爆発的感染が起きて国内需要が爆発的に増えた結果、日本向けに生産されたものも中国港内で消費され日本に回らなくなりました。何のことはない生産の中国依存の必然的結果なんです。

加えて一部は東南アジアなどへ生産拠点を移す分散化も進んではいたものの、規模は小さく、加えて遅れて感染拡大しいてやはりマスク輸出が差し止められる事態になり、結局品薄の解消には至りませんでした。とはいえ中国を含むアジア地域の感染は落ち着いてきており、また内外で増産がかけられた結果、徐々に供給量が増えて入手可能になってきました。結局需給の均衡によってしか解消しない問題です。

その意味で「布マスク配布を決めたから、マスクバブルが弾けて転売ヤーが涙の投げ売り」というストーリーを語る人々の頓珍漢ぶりも指摘できます。未だ5%しか配布されていないアベノマスクを過大評価したいだけの妄言です。そういや安倍首相も国会答弁で言ってたな。おまけですが、多くの日本人にとっては未経験の、夏のマスク地獄が待ち受けています。くれぐれも熱中症には注意しましょう。ことほど左様に国民生活と乖離した政府の姿勢は困ったものです。

マイナンバー、10万円給付で注目だが… 活用で海外と差  税財政エディター 小滝麻理子:日本経済新聞
マイナンバーカードを用いた電子申請がスタートした結果、自治体窓口に人が殺到して密状態という笑えないことが起きています。政府としては10万円の特別支給を梃子に20%しかないマイナンバーカードの発行を増やそうとしたものの、当然これを機にマイナンバーカードを作ろうとする人が自治体窓口に殺到する訳ですが、それに留まらずオンライン申請手続きがうまくいかなくて問い合わせが殺到しているという状況です。

1つは意外なことにマイナンバーを発行した人の年齢層が高齢者に偏っていてITスキルが必ずしも高くなく、二重パスワード認証などの仕組みを理解できていないとか、専用カードリーダー若しくは対応スマホが必要だけど、ガラケーのみでPCすら持っていないとか、マイナンバーカードを巡るお寒い現実の壁に直面している訳です。

三蜜で即身成仏で指摘したように自治体の課税台帳使えばマイナンバーカードは要りません。個人または勤務先の何れかで申告納税していれば漏れはないですし、扶養家族などの情報も把握されてますから、あとは通信事務で世帯全員の氏名と指定振り込み口座を通知してもらうだけで非接触で手続きできます。既存の制度インフラを使い尽くせってことですね。

マイナンバーカードに関しては、国による個人情報取得への拒否感が国民側にありますから、何故必要なのかを本質的なところで説明する必要がありますが、これまで国の説明ではワンストップでコンビニで手続きできて便利といった枝葉の部分が強調されており、国民の納得を得られておりません。この辺古くは納税者カード(グリーンカード)や住基カードの失敗の総括が出来ていないってことでもあります。

グリーンカードに関しては資産課税を含む総合課税のインフラになるとして当時の大蔵省と社会党がタッグを組んで推進し、専用コンピューターセンターまで作られましたが、結局法案成立に至らず実現しませんでした。住基カードは記憶に新しいですが、マイナンバーカードとの重複で無意味化しています。

何故こうなるかというと、結局アベノマスクやアベノコラボが側近の官邸官僚の提案だったように、現場を知らない人間の思い付きでことを進めている結果だってことでしょう。そして普及率の上がらないマイナンバーカードの普及促進という雑音に流されて現場はパニックってことですね。そういう意味で密かに注目しているニュースがあります。

JR四国、コロナで業績悪化 4月の損失「残り11カ月で補えない」:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたJR四国の資金繰りが悪化し6月にもアウトという状況です。交通政策基本法の定めるところにより事業者と自治体の協議を経て国に助けを求める手続きとなりますが、現実はそこまで持たないほどひっ迫しています。加えて忘れてならないのはJR四国はJR北海道やJR貨物と同様国全額出資の根拠法に基づく特殊会社であるため、勝手に全業廃業したり解散したりできない立場ってことですね。国は株主として資本注入なり融資なり債務保証なり何らかの姿勢を示す必要があります。こういった法律の建付けを政府は理解しているかどうか。検察官の定年を勝手に延長するような遵法精神欠如が見られる現政権ではまともな対応は期待できないかも。
#検察庁法改正案に抗議します
検察庁法改正案の強行採決に反対します

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