第三セクター鉄道

Saturday, March 22, 2025

答え合わせあれこれ part2

答え合わせあれこれの続編です。

関税がアメリカの農家直撃、綿花4年ぶり安値 トランプ氏「我慢を」 - 日本経済新聞
カナダ次期首相カーニー氏 トランプ氏に挑む「危機の男」 - 日本経済新聞
トランプ関税を巡る対決姿勢を中国とカナダが見せていることですが、トランプ大統領が単純に対米黒字の多い国を標的にした結果、敵対国のみならず同盟国も敵に回しました。そしてともに対決姿勢です。元々制裁関税が課されている中国の場合は追加関税なのでより負担が大きいし、問答無用で適用されるのに対して、同盟国のカナダには猶予期間を与えて交渉余地を残してはいますが、相応の見返りを求めてきます。それに対するカナダ政府の対応は英イングランド銀行総裁を務めた実務家のカーニー氏を首相に指名して報復関税も辞さずの姿勢を見せています。

EUと日本はそこまでの姿勢は見せていませんが、EUの場合はウクライナ問題が絡みますし、中国の輸出攻勢で域内産業が窮地にある点はアメリカと同じということもあり曖昧な対応ですが、バイデン時代の非課税枠を持ち出して例外扱いを狙う日本の姿勢は大甘です。とはいえ中国の米農最物報復関税では米農家が損失を受けると反発し、自動車や鉄鋼アルミの一律関税はテスラを含む米自動車メーカーも損失を被りますが、トランプ大統領は意に介さずです。

堅調米景気、関税で暗雲 トランプ氏「過渡期」発言波紋 - 日本経済新聞
トランプ関税で不利益を被るのは過度期の一時的な現象で我慢しろということですが、これで株価が下がったことも確かです。しかも従来米株価と連動していた欧州や日本の株価が逆に上がったりしています。明らかに黒字国から還流していたドル資金の動きが変化しています。またDeepSeekショックの後、低コストの蒸留方式の生成AIも先端半導体との組み合わせでパフォーマンスを高められるなら米国優位は揺るがないというロジックで買い戻されたエヌビディアなどの米テック株もここへきて変調、更にDOGEトップでやりたい放題のマスク氏への反発からテスラ車のボイコットによる販売不振や販売店への放火事件でテスラ株ダダ下がり。その結果がこのニュース。
テスラのマスク氏、放火や不買運動は「理不尽で異常」 - 日本経済新聞
放火などのテロ行為は問題ですが、それだけ恨みを買っていた結果です。しかし発言の趣旨は株を持っている従業員や投資家に向けた「株を売るな」という謂わば口先介入。part1 の「トランププット」が図らずも実現した形です。同時に米経済を痛めて何がやりたいのかという疑問も湧きます。まるでアリババの金融部門のアントの上場停止を命じ、ゼロコロナ政策で国内経済を困窮させた中国習近平政権と同じです。違いがあるとすれば中国は国有企業優先で民間企業を圧迫する一方、今のアメリカは民間の巨大企業が政府を乗っ取った形ですが、その結果民間経済を強権で圧迫しているのは同じです。世界を荒野に変えてそれでも俺らがチャンピオンと威張るつもりでしょうか。
北海道新幹線延伸遅れ JR北海道へ膨らむ政府支援、自立遠く - 日本経済新聞
最後に国内鉄ネタですが、JR北海道が掲げていた2031年度の単年度黒字転換の再建計画が北海道新幹線の工事遅れで狂いが生じています。在来線の存続困難路線と新幹線の並行在来線切り離しで身軽になって出直す筈が、並行在来線の切り離しが遅れる訳で、それを前提とした車両置き換え計画が見直しを余儀なくされますから、事実上仕切り直しを迫られますし、それを前提とした国の支援策も狂います。金利上昇で政府財政も厳しくなる一方、経営安定基金の運用益は増えることが期待できますが、それでどうにかなる問題でもありません。課題の並行在来線貨物問題も解決先送りは可能になりますが、人口減少が続く中で現状維持すら困難な中での再建計画見直しです。、民間任せでは解決困難な問題をどうするか。トランプ騒動を対岸の火事と見ずに他山の石として政府の役割を見直す機会です。

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Sunday, December 29, 2024

青春18アップデートの不可避

今年冬からの青春18きっぷの改変に一部鉄ちゃんがイチャモンつけてます。JRを弁護する気は更々ありませんが、これも時代かなとは思います。訃報がありましたがJR東海初代社長の須田寛氏が国鉄営業局長時代に1982年のフルムーングリーパスという企画商品をヒットさせた成功体験に基づき、年代別の企画商品として1983年に中年女性向けのナイスミディパス、そして1982年に若者向けの青春18のびのびきっぷとして発売されたものが形を変えて民営化後も存続してきたものです。

国鉄時代には乗車券だけで乗れる長距離普通列車が多数走っていて、その多くは旧型客車を連ねた機関車牽引の客車列車でした。客車は動力を持たないし、当時は寝台車やグリーン車を除いて冷房もなく、客用扉は手動の開戸でドアエンジン不要、照明は車軸発電機電源ですから引き通し線も要らないし自動ブレーキ管と暖房スチーム管を繋ぐだけで組成できるというシンプルな作り故にメンテナンスが容易なこともありますし、機関車は貨物と併用で済ませますから、料金を取れない普通列車には多く使用されていました。また長距離を走りますからラッシュ時間帯にかかる区間もあり、その需要に応える意味で長編成で運用されますから、メンテナンス負担が少ないことは寧ろメリットでもありました。また夜行普通列車も多数存在し、山陰線経由京都―下関間や鹿児島長崎佐世保大村線経由門司港―長崎間の夜行風通は寝台車が組み込まれていて、マルス収容のために「山陰」「ながさき」の愛称名までついていました。

これらの列車の多くは民営化後のJR各社の合理化策で縮小、廃止されましたが、青春18きっぷは春夏冬の休校期間の通学列車の余剰輸送力対策として存続することになります。加えて国鉄時代に関越高速バス運行開始に対抗して安価な夜行列車として新宿―新潟間に座席指定快速ムーンライトえちごが設定され、EF64牽引の14系客車で運行開始され、JR化後も車両の変化はあるものの定期列車として存続し、東海道線の通称大垣夜行もJR化後にムーンライトながらとなる流れとなります。当時はまだJR東海も唯我独尊ではなかったようです。また北海道の函館―札幌間快速ミッドナイトも定期運行されてJR化後も残りましたし、JR化後特にJR西日本を中心に臨時快速ムーンライトを青春18シーズンに運行するなどしてJR各社の連携でユーザーを掘り起こしたという意味はありました。しかし定期夜行快速は青春18シーズン以外の乗車率の悪化で季節臨に格下げされ、臨時ムーライトも含めて廃止に至ります。

しかし時は流れ若者向けとはいえ特に年齢制限のない青春18きっぷのユーザーも歳を取り、若者は割安な夜行バスに流れて当初の若者向け企画商品としての性格は失われていきます。11年前のエントリーですが、青春18還暦鉄の時点で、既に青春18きっぷの役割は変わり、青春を懐かしむ老いらくの旅の傾向が強まっていました。また同エントリーでも述べましたが、ムーンライト車内での検札でかなりの手間をかけていることや、自動改札化が進んでも磁気券ではないので有人改札に人が列をなすなどJRの現場への負担も大きくなってますし、整備新幹線開業に伴う並行在来線三セク化によるJR路線の分断もあり、ユーザーの使い勝手も悪くなっています。そういう意味で見直しは避けられなかったということはできます。加えてそもそも地方の人口減少で通学生も減って通学列車の余剰輸送力活用という前提も崩れてきています。そしてコロナ禍がJR各社の余力を奪ったことも。

ということで、今回の改変は事実上別の企画商品への変更となりますが、現場負担軽減のための磁気券化というのが一番の狙いでしょう。その結果期間中の任意の日の利用や2人以上の同時利用は制限せざるを得なくなりますし、出発日指定はおそらく磁気定期券のシステムを流用したってことでしょう。それ故に連続使用しかできなくなりますが、割引企画商品のために大規模なシステム改修を行うのは本末転倒ですし、寧ろ3日券という新たな選択肢を用意して購入しやすくする工夫も見られます。そうまでして残したこと自体は評価しておきます。

とはいえやっと磁気券になった段階ですが、栗鼠殺し?木から落ちたサルで取り上げたように、既にJR東日本では磁気券を無くしてQRコード乗車券を導入する検討を始めてますし、またVISAカードで始まったオープンループというNFCタッチ決済システムが関西私鉄や関東でも東急や東京メトロ、一部のバスやタクシーで導入が進み、Felicaシステム前提の全国共通ICカード乗車券から熊本の5事業者が離脱したことは壁は成長する?でも取り上げました。これらの変化を加味して未来の青春18きっぷをイメージできるかというところを考えてみたいのですが、結論から言えばあまり期待できないと考えられます。

JR東日本では半導体不足の影響で相変わらず無記名式Suicaの新規発行を停止中ですが、その代わりにモバイルSuicaを推奨しています。手持ちのスマホでネットで会員登録すれば即利用可能で500円のデポジットも不要で乗車ポイントをカードの場合の200円毎から50円毎と優遇して誘導しています。しかし事実上無記名でのSuica購入はできなくなるということですから、個人情報をJR東日本に預けることになります。それを受け入れたくない人も一定数いる訳ですから、一部利用者の排除となる可能性があります。TOIKAの壁ならぬSuicaの壁という訳ですね。加えてこのニュース。

JR東、スイカ大幅刷新 上限2万円から上げ コード決済 - 日本経済新聞
半導体不足でFelicaチップが入手困難になったこともあり、Suicaをスマホアプリ化して発行コストを下げると共にユーザー情報も取得し、更にJREバンクとも連携して予約、決済、乗車のみならず日常の買い物から旅先の宿泊や食事などまで含め、更に個人信用情報に基づくポストペイシステムまで実装してスーパーアプリ化というところまで見据えていると考えられます。これユーザーから見れば便利かもしれないけど、JR東海のスマートEXが東海道新幹線への利用誘導に使われるような形で、結局技術革新が壁を成長させるジレンマを予感させます。そうなると青春18きっぷなんぞ過去の遺物として排除される未来もあり得ます。草ならぬ壁生えるわwall-AI。

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Sunday, December 15, 2024

壁―Nイノセ氏の誤算、Yコイケ氏の悪事、Yタマキ氏の欺瞞

韓流ふてほどの尹大統領の弾劾訴追決議案が可決し失職。憲法裁判所で罷免の是非が審理されます。但し最大180日と時間がかかりますが、罷免後30日以内の大統領選で新大統領が選出され就任するまでは韓首相が職務を代行します。というわけで特に外交面での政治空白を心配する日本政府ですが、オウンゴールの国自BANG!の徴用工問題にしても、文在寅政権でも官民で設立した財団で日本企業の賠償金を肩代わりする提案がされたものの当時の安倍政権がガン無視していたものですから、これがチャラにされるということはないでしょう。元々政治問題化したのは日本の方なんですから。

一方尹大統領は告発を受けて内乱罪の被疑者にもなっている訳で、こちらは国とソウル市の警察庁長官が逮捕されるなど外堀が埋められつつあります。内乱罪は大統領の不逮捕特権の例外で、最高刑は死刑という過酷なものです。一部で軍や警察の服務規程があるから大統領の命令を断れないので法治主義上問題とする議論がありますが、それを言えば憲法まで変えて権限拡大したロシアのプーチン大統領も肯定される訳で、最高権力者といえども法に服する法の支配の原則が韓国では生きているということです。法治主義と法の支配の違いです。

てことで「ふてほど」の後で今年の漢字「金」が発表され、オリンピックイヤーの恒例で5回目ということが言われてますが、清水寺で発表された字が草書体で将棋の金将の駒の裏の表記ということで、裏金を表すという漢字検定協会のエスプリです。そんなこんなでこのニュースです。

都議会自民も収入不記載か パーティー券、経緯調査 - 日本経済新聞
政治資金規正法は地方の首長や地方議員も対象ですから、当然不記載は違法ですし、それによって裏金を手にすれば、それを国会議員、首長、地方議員で遣り取りしてもわからない訳で、裏でどんな利益誘導がされていたのかわかったもんじゃない訳です。当然これは都だけの話ではなく全国で行われていると見られますが、都の予算規模から言えば他の地方より大きな金額が動いていることは間違いないでしょう。五輪霧中の神宮外苑再開発事業や晴海フラッグの転売差益や築地市場跡の再開発その他多数の再開発事業で三井不動産などの大手デベロッパーが名を連ね、小池知事や自民都連や都内選出国会議員のパーティ券購入に勤しんでいるという構図が見えてきます。そんな中で千代田線北綾瀬支線の北綾瀬駅前の再開発でも三井不動産の名前が出てますし、おそらくタワマンたわわで8号豊住線建設マジ卍?にも絡んでいるでしょう。豊洲市場もそうですし、埋立地開発は三井不動産が得意とするところですが、公有水面埋立の認可権限は都道府県が握っている訳で、知事や地方議会へのアプローチは欠かせない訳です。しかし政府や国会と比べればメディア露出も少なく、こっそりと進められるというおいしさもある訳です。晴海フラッグ絡みでなこんなニュースも。
晴海フラッグ「謎のキーボックス」 内覧競い業者取り付け - 日本経済新聞
上記エントリー時点では豊住線は第三セクターが建設して東京メトロが運営受託というスキームが考えられていたようですが、結局東京メトロが南北線品川延伸と共に自ら建設することで決着しました。高圧経済のワナで指摘したように、東京メトロ株の売り出しを50%に制限し、国と都の持ち分比率を維持したまま支配株主の立場を維持したことで、都が国に要請して地下鉄補助金を出すことを条件にしたことで、建設を渋っていた東京メトロとしては逆らえない状況になったってことです。東京メトロ株の上値が重い訳です。

さてそうすると、美濃部都政時代から都が要請していてバカの壁、壁が取れても残るバカの猪瀬知事の地下鉄統合問題は脇に置かれたことになります。元々猪瀬案の地下鉄統合は東京メトロと都営地下鉄の財務状況から無理筋だったのですが、株式売却益を都営地下鉄の財務改善に使うならともかく、小池知事はどうやらその気はなさそうです。故に豊住線や南北線延伸に留まらず懸案湾岸地下鉄と再開発の原資として株式売却益を使うつもりでしょう。バカの壁に拘った猪瀬ン都さんはまだ都民を見ていましたが、みどりのたぬきの悪だくみは都民不在です。そして壁いろいろ。

年収103万円の壁、25年から引き上げ 自公国が合意 - 日本経済新聞
補正予算正るつの為に自公が折れた形ではありますが、その後能登半島復興予算を予備費から1千億円付け替える立憲民主党の修正案に自公が乗る形で成立した訳で、国民民主党との約束アh事実上空手形となりました。103万円の壁見直し来年からは実現するにしても、来年の通常国会の税法改正が前提ですから、そうなると少数野党の国民民主の出番は減ります。
厚生年金、年収「106万円の壁」要件は撤廃へ 厚労省調整 - 日本経済新聞
実際の年収の壁として過酷な厚生年金の加入要件から年収要件を撤廃することで壁撤廃ですが、加えて労使協議の同意を条件に雇用主負担を増やすことで年収減を回避する厚労省案が出されています。但しこれは雇用主との力関係で殆ど実効性は無いでしょう。寧ろ社会保険料冨tなんで生じる手取り減を国庫で補填する立憲民主党案で概算7千億英程度の予算措置で可能ということで実現可能性はあります。というか、玉木氏の年収の壁問題は聞けば聞くほど雇用主の立場を代弁しているとしか見えません。

最後に年末4万円超が期待された東証日経平均株価ですが、年内の4万円の壁突破は困難と見られています。コーポレートガバナンス改革期待もむなしく海外投資家が消極的な一方、新NISAで増えた日本の個人投資家はオルカンやS&P500などの海外株式投信に流れていて日本株への流入は限られています。資産運用立国の掛け声で貯蓄をリスクマネーに振り向けても日本株に向かわない現実に日本が直面する壁があるということですね。壁でまとめてみました^_^;。

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Saturday, November 16, 2024

高圧経済のワナ

インフレ下の政治混乱は続きます。

ドイツのショルツ連立政権が瓦解、景気不安が導火線 早期総選挙へ - 日本経済新聞
ドイツのシュルツ首相が自由民主党(FDP)党首のリントナー財務相を解任したことでFDPが連立を離脱して一転少数与党となったことで、来年2月の総選挙と総選挙前のショルツ首相の信任投票が行われる運びとなりました。ウクライナ戦争で安価なロシア産天然ガスが利用できなくなったこと、アメリカが消極的なウクライナへの兵器支援、中国の内需失速による自動車メーカーの販売不振、加えて中国EVメーカーの欧州攻勢でEU域内販売も不振と悪条件が重なる中で、財政による経済の下支えをしたいシュルツ首相と健全財政の原則を譲らないリントナー財務省の対立の結果ですが、一時10%を超えたインフレによる国民の不満が背景にあります。
アメリカ、下院も共和党が多数派 トランプ新政権「トリプルレッド」に - 日本経済新聞
元々伯仲していた上院の逆転は予想されていましたが、下院も共和党が多数派となりトリプルレッドとなりました。とはいえ議会共和党はトランプ派一辺倒ではないので、移行後の政権運営の追い風となるかどうかはわかりませんが、インフレで国民の怒りを買った民主党は完全な敗戦です。イエレン財務長官がFRB議長時代からの持論だった高圧経済論がインフレを助長したことは間違いありませんから、共和党のネガキャンのせいとは一概に言えないところがあります。具体的にはインフラ投資法やインフレ抑制法(IRA法)の撤廃までは難しいとしても予算の圧迫は避けられないところ。三つ子の赤字でテキサス新幹線の連邦政府の調査費がついたものの真っ先にキャンセルされそうです。JR東海の北米事業は今のところ成果なしとなりそうです。高圧経済のワナに嵌った訳です。

但しトランプ氏の関税強化や富裕層減税はインフレをもたらしますから、結局米国民は引き続きインフレに苦しめられますから、2年後の中間選挙で逆転の可能性はあります。となると米FRBはインフレ抑止のために再利上げに追い込まれますし、財政負担が増すことで長期金利も上昇しますから、金利差で円安が進むことになります。今週の円安はその辺を先取りした動きですし、北米市場依存の強い日本の自動車メーカーも高関税の逆風を受けます。そうなると円安だから儲かるという図式が変わってきます。ドイツなど欧州勢もこの点は同じですが。

という訳で、大統領選前からトランプトレードということで株が上がったりしてますが、日本株はこれまでのような連れ高とはいかのいようです。逆に円安で割安感の出た日本企業はM&Aやアクティビストの標的になりやすいということもあります。例えば西武そごうの売却を巡って労組と対立してストまで打たれたセブン’アンドアイHDですが、経営の迷走が続いてアクティビストに狙われるの留まらず、同業のカナダ社アリマンタシオン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けるに至りました。国内最大手の小売りグループが海外企業から買収提案を受けるのは円安の影響といえます。セブンは対応策として祖業のイトーヨーカドーなどスーパー事業を中間持ち株会社化して外部資本を入れて上場させるとしていましたが、親子上場復活は悪手ですし、ACTはスーパー込みでの買収提案ですから対抗策としては弱いということで、創業家等の資金によるMBOで非上場化というところまで追い込まれました。とはいえ資金が集まる可能性は低いと思いますが。

中間持ち株会社といえば小田急電鉄が箱根地区の事業を統括する小田急箱根HDを立ち上げて箱根塗材鉄道、箱根登山バス、箱根ロープウエー、箱根観光船他の事業会社を子会社とする形で実現してますし、やはりアクティビストにオリエンタルランド株売却を迫られて新京成電鉄の子会社化と傘下バス事業者を京成電鉄バスHDという中間持ち株会社傘下で再編したり、関東鉄道を子会社化して京成電鉄茨木HDとして事業会社としての関東鉄道と関鉄バスその他のバス事業再編に進んでいます。規模を膨らませて外資のアタックを避けようってことですね。

で、インフレ下の政治混乱の自粛解禁wwwで東京メトロを取り上げますが、売り出し価格1,200円に対して1,630円をつけ、その後も買い優勢で一時時価層が置く1兆円越えという幸先の良いスタートとなったものの、その後の足踏みが続いています。立地条件の良さから鉄道企業としては収益性抜群で、高配当や株主優待の期待があって個人中心に幅広く買われ、新NISA後初の大型上場でもあり、買われた理由ははっきりしてますが、成長戦略が見えないことは指摘しておきます。有楽町北進線や南北線品川延伸で運輸収入が増える要素はありますが、関連事業で成長を目指すという成長戦略は具体性がありません。

通常の鉄道会社なら郊外の開発で開発利益を生む田園都市線方式や国鉄分割民営化で誕生したJRなら高輪ゲートシティのように鉄道用地の余剰を活用した再開発事業を自ら手掛ける余地がありますし、JR東日本では開発後にファンドへ売却して得た資金を次の不動産開発に充てる形で事業を成長させるというビジネスモデルが可能ですが、鉄道用地の余剰が殆どない地下鉄では同じ手は使えません。保有物件は主に地上出口や通風口などと若干の保守ヤードぐらいで、単独での開発事業の余地はほぼ無く、大手デベロッパーとの協業か相互直通社の沿線開発など限られております。

東日本大震災の復興資金にするとされた株式売却益も東京都の意向で国と都の保有比率を維持した形で50%だけの売り出しですから、国庫に入った資金は半分になった訳ですし、国と都が支配株主として残る形で一般株主は個人中心となるとまともなコーポレートガバナンスが働かない可能性があります。上場後のの新線建設は将にそれで、恩恵を受けるのは地権者とデベロッパーばかりで東京メトロのメリットは見えません。そして今少数株主となる一般株主は高配当と株主優待で満足しろという形になる訳です。そしてアクティビストも手を出しにくい訳ですが、その辺を睨むと今の株価水準はあまり上がり目がないということになります。

東京メトロでは都市鉄道の運営受託の事業化も考えているようですが、日本の鉄道事業者の高品質だけど高コストで参入は簡単ではありません。但し円安は若干プラスかもしれませんが、海外事業に熱心なJR東日本でも成長分野というには至っておりません。都市鉄道分野では香港地下鉄が東京メトロ以外では唯一の民間事業者で同様の事業を展開してますが、実績のない中での後追いはかなりしんどい道のりと覚悟すべきです。

あと株式売却益の東京都分が何に使われるかが不透明です。単年度黒字を実現したものの累積債務返済に喘ぐ都営地下鉄の債務償還に使うなら、将来の地下鉄統合へ向けた前向きな話になりますが、東京都は東京-有明間の湾岸地下鉄の実現に回す可能性があります。その為に事業主体とされる東京臨海高速鉄道の増資に回すということか?そうするとJR東日本が希望するりんかい線編入が微妙になる訳で簡単ではありません。いずれにしてもこれらの事業は開発主体となる三井不動産などの民間デベロッパーにいいとこ取りされる訳で、三井不動産は小池知事や都議会自民党議員や萩生田光一議員などのパーティ券購入で助けている訳で、神宮外苑再開発に見られるように都民から見れば明らかな利益相反です。裏金議員を許しちゃいけない理由はこういうところです。

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Saturday, October 19, 2024

Suica甘いか消費税のインプレゾンビ

ウヨ曲説がインプレゾンビに進化(退化?)して、総選挙で立憲民主党を除く野党の消費税減税公約に釘を刺しておきたいと思います。ウヨ曲説エントリーで示した鉄道運賃の事例がわかりやすいと思いますが、消費税が下がったからといって事業者が国から認可を受けた上限運賃は変わりません。同様に一般商品も総額表示の場合は税率が下がって消費税額が減るだけで、その分事業者の取り分が増えるだけです。つまりインフレ対策としてはほとんど意味がない訳です。

何故そうなるかといえば、間接税は担税者と納税義務者が分離していて、納税義務者である事業者は裁量の範囲で値決めできるのが原則ですから、消費税減税で物価が下がる余地はほぼ無く、単に税収が減るだけとなる訳です。そしてそれは社会保障財源を棄損して社会保障の圧縮や社会保険料値上げの口実にされるだけで国民には何もメリットはありません。また国債発行など財政赤字でファイナンスすると三つ子の赤字 の影響でインフレがますます進みます。

その意味では国民民主党が主張するガソリン税の暫定税率を免除するトリガー条項にも同様の問題はありますが、少し異なるのは納税義務者は川上の石油元売りで、トリガー条項発動で卸値を下げることはありますが、販売店であるガソリンスタンドには高く仕入れた在庫がある訳で、トリガー条項発動しても直ちに値下げできる訳ではありません。店舗の競争環境次第では仕入れの値下がりを先取りする形で値下げするGSはあるでしょうけど、結局将来の値上げ圧力を緩和する程度の効果しかありません。

但し納税義務者である石油元売りにインフレ対策として値下げ補助金を支出している訳ですから話は微妙になります。トリガー条項を発動してもGSへ卸す卸値を下げる義務はない訳ですが、補助金も同様です。実際元売り各社は補助金を製油所の統廃合などのリストラ資金に流用していて、値下げまではタイムラグがありました。政府がトリガー条項を発動すると価格が乱高下して混乱すると説明してますが、補助金すら流用される現実を見れば大ウソってことですね。筋から言えば元売りに補助金を出すお金があるならトリガー条項でも問題なかった筈です。また補助金であれ減税であれその財源が国債なら結局財政インフレの形で国民生活に跳ね返ってきます。一旦インフレが始まると価格転嫁の連鎖でスパイラルが生じて止まらなくなります。インフレがいつまでも収まらないインフレゾンビ?^_^;

てことで裏金問題で与党にお灸を据えたいからといって、消費税減税を公約にするような野党への投票は考えものです。但し選挙区事情がありますから、各自しっかり考えて投票してください。そういえば来週日曜日が投票日なのにまだ投票券も選挙公報も届いてないけど総選挙ホントにやるんだよな?

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Saturday, October 12, 2024

三つ子の赤字

この話題から入ります。

【ノーベル平和賞2024に日本被団協】「核廃絶に弾み」被爆者ら喜びの声 - 日本経済新聞
核拡散防止条約(NPT)体制では結局赫々酸を阻止できず、宣言こそしていないものの、イスラエルとイランは事実上の核保有国と見做せますが、両国が今一触即発の状態にあります。反撃に慎重だったイランがミサイル攻撃を仕掛けたことで情勢が混とんとしてますが、イランはあくまでもイスラエルの軍事資質を標的にした弾道ミサイル攻撃で、国際法に則った行動ですが、寧ろイスラエルはヒズボラ掃討を口実にレバノンへの攻撃を続け、遂に国連平和維持軍まで攻撃するという無茶苦茶な事やってます。そのイスラエルをアメリカは擁護し武器供与もしている訳で、対ロシアとのダブルスタンダードで国際世論を敵に回してます。そんな中で日本の被爆者団体のノーベル平和賞受賞がもたらすメッセージは明白で、核の抑止力での平和維持はきっかけさえあればエスカレーションを止められないってことです。集団抑止とか言っている某国も自覚しろってことです。この話題はここまで。
ドイツ、2年連続でマイナス成長へ 「欧州の病人」再び - 日本経済新聞
ドイツ経済の不調ですが、原因はいろいろあります。ロシアのウクライナ侵攻で安価なロシア産原油や天然ガスが利用できなくなったことと、中国の国内景気の悪化が主な理由ですが、前者は中国やインドなどがロシア産原油の買い手となることで、原油や天然ガスの価格は落ち着いてきたので、影響は軽微と見られますが、中国の変調はドイツを直撃します。

EVを戦略分野とする中国の政策で中国産EVは急成長を遂げましたが、人口が多く経済成長で資本蓄積が進んだ結果、参入企業多数で過当競争となり、政府の補助金支給が止まった途端に国内市場の販売不振となり、輸出シフトがかかった結果、中国産の安価なEVが欧州に大量に流入し、EVシフトを進める欧州メーカーを追い込んでいます。VWが国内工場閉鎖を発表して揉めてますが、それに留まらず世界の完成車メーカーを顧客とするボッシュやコンチネンタルといったメガサプライヤーも劣勢です、このままいくと産業空洞化に至る可能性もあります。

80年代のアメリカ、2000年以降の日本に続いて先進工業国の宿命かもしれません。他国に先駆けて工業化して安価で高品質な工業製品を世界に売って外需で経済を潤してきたものの、新興工業国の台頭で次第に優越的な地位を失う訳ですが、80年代のアメリカでは国内産業の空洞化で輸入が増える一方、主に産油国のオイルダラー還流で金融所得を増やしてきました。加えてレーガノミクスに代表される減税中心の財政出動もあって貿易と財政の双子の赤字で旺盛な国内消費を支えた訳で、供給能力を超えた消費が続いた訳です。

それが90年代になると冷戦終結によるグローバリゼーションによって中国を含む新興国の工業化への資金提供で金融所得を拡大する一方、パソコンとインターネットの融合によるIT部門で世界をリードした結果、貿易も財政も慢性赤字なのに経済成長を維持しました。日本の場合は97年の金融危機の影響で企業の投資が委縮した一方、金融自由化で海外投資に傾斜した結果、国内の産業空洞化を進めてしまい、投資不足の結果貿易収支は悪化し続け、貿易赤字も珍しくない状況になり、コロナとウクライナ紛争の影響もあって貿易赤字は慢性化します。加えて金融危機後の景気対策として財政出動が慢性化した結果、80年代のアメリカ同様双子の赤字状態になりました。

さらに元々赤字基調だったサービス収支にも変化があり、インバウンドで旅行収支が黒字化した一方、ライセンス料やクラウドサービスなどのデジタル収支赤字が帳消しにしています。インフレでも利上げできない金融政策の歪みもあって金融サービス収支も赤字ですから、トータルのサービス収支は赤字ですし、観光公害が言われ人手不足で受け入れ拡大も難しいことから―サービス収支が改善する見込みはありません。つまり今の日本は80年代のアメリカを凌ぐ三つ子の赤字を抱えている訳です。

そこへドイツが仲間入りですが、ドイツの事情はまた異なります。1つは共通通貨ユーロの存在がドイツを助けている点です。とりあえずユーロ圏内への輸出では優位に働きますから、そういうバッファのない日本よりは幾らかマイルドです。加えてIoTや様々なライセンス収入があります。円安でつくばとねり的ライトなリスク で指摘したように、新潟トランシスのGTシリーズや広電グリーンムーバMAXの駆動装置のライセンス料は支払われています。日本で海外からライセンス料が取れる技術は果たしてあるかどうか。これもプラスになるかどうか。

米テキサス新幹線、連邦政府が調査費 鉄道公社も協力 - 日本経済新聞
現地事業会社の資金調達が進杏遅れに遅れたテキサス新幹線にJR東海が日立などの日本企業と共同で出資し、バイデン政権のインフラ投資法事業として調査費がついたというニュースですが、大統領選次第でお蔵入りもあり得ますし、既存技術の積み重ねで且つアメリカの保安基準をロビー活動で変えさせるという形で資金を使っていて今更撤退できないってことでしょうけど、新幹線技術自体にはライセンス料をとれる要素は少なく、結局開業後の営業成績次第ですから、投資案件としては不確実です。JR東海は北東回廊リニアを狙ってリニア技術を無償提供していることもあり、北米事業が利益を生むかどうかは不確実です。国鉄時代のメーカーライセンス開示強制の影響もあり、日本の鉄道技術でライセンス料を稼ぐのは難しいのが現実です。ドル建て名目値とはいえ経済不振のドイツに抜かれるのも無理はないです。

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Friday, May 03, 2024

国家は憲法でできている

本題に入る前にインフレ定着の続きです。

【ドル円相場】円再び下落、介入観測後も157円台後半 強い米物価警戒 - 日本経済新聞
先月29日の乱高下で日本政府の覆面介入があったと見られます。更に今月2日早朝にも同様の介入と見られる動きがあり、29日に5兆円、2日に3兆円規模の介入と見られています。なんでそんなことがわかるかといえば、日銀当座預金の残高が相当額減少したからです。

政府の為替介入の原資は円売りドル買いの場合は日銀が米NY連銀に持つ口座を利用してドル買いする訳で、円の供給量が増えるので事後的に政府短期証券と呼ばれる短期国債を発行して民間から資金を集めて戻して日銀の金融政策への影響を相殺するという手順となりますが、ドル売り円買いの場合は外貨準備のドルを取り崩して円を買いますから、日銀が買い取った円は消滅し、その分当座預金残高が減る訳です。

日本の外貨準備は凡そ1.3兆ドル、円換算で200兆円程度で日銀に預託されていてほとんどはアメリカ国債で運用されています。介入資金は国債以外のドル建て現預金を用い、その規模は円換算で50兆円程度と見られ、今回その一部が使われた形です。故に介入資金はまだあり、今後も介入の可能性はありますが、結局事後的に相場は戻してしまいます。故に無駄なことしてる訳ですが、円安対策としてやったフリはできる訳です。

尚、巷間謂われる円安による外貨準備の含み益は上述のように日銀が円を買えば消滅する訳ですから、含み益は実現せずそれを防衛費などの財源にという議論は成り立ちません。確かに外貨準備でアメリカ国債などで運用された分についての利子分の歳入はあり年度ごとの決算で剰余金として計上されますが、法律により一部は外貨準備に繰り入れられた上で一般財源に拠出されますが、円安による含み益はその時点で発生するもので、その規模も防衛費を賄うレベルには遠く及びません。「含み益を財源にしろ」という経済専門家は無知か噓つきかのどちらかです。

一方で投機筋は安心してくださいで指摘した3重の下駄ばき状態でたっぷり含み益を抱えてますから、一時的な相場の乱高下でも慌てる必要はなくあまり動揺していません。そもそも投機筋の動員する資金は政府の介入資金の2桁上で勝負になりません。勝てない戦を仕掛けて抜けられないってアレ?先の大戦と同じじゃん。

という訳で憲法記念日恒例の護憲改憲論争ですが、議論は全く深まりません。何故かといえば議論がとっ散らかっているからで、例えば9条の見直しで安倍政権時代に自衛隊明記の方針を打ち出した訳ですが、これが議論を複雑にしています。主権国家に備わる自衛権の為の実力組織である自衛隊は軍隊じゃないとして戦力放棄に抵触しないというのがこれまでの標準的な憲法解釈だったのですが、憲法に敢えて自衛隊を明記するとすれば自衛権に関わる条文も足さないと整合性が取れません。そしてその場合自衛権の範囲を自国の領土と国民の防衛に限定する個別的自衛権とするのか、同盟国の防衛も含めた集団的自衛権とするのかという点が問題になります。

そうすると厄介なのは現行憲法の解釈変更で集団的自衛権を限定的に容認した安保法制との整合性も問われることになります。憲法で個別的自衛権に限定されれば安保法制は違憲立法として無効になりますし、憲法で集団的自衛権を認めたとしても、国会が発議して国民投票に問うと安保法制込みの国民投票となる訳で、国民の賛同は得にくくなりますし、万が一否決されれば安保法制の在り方が再度議論になり与党にとっては都合が悪いことになります。つまり安倍元首相の憲法理解が浅すぎて議論を混乱させているのが現状ってことです。改憲議論に地雷が埋まってしまった訳です。

遡ればそもそも明治政府が憲法制定に汗かいたのは、幕末の混乱の中で列強から押し付けられた不平等条約の解消の為だった訳で、故に天皇を頂く立憲君主国として自国を定義する狙いでしたが、所謂皇道派の横やりで天皇親政的な解釈に幅を持たせた妥協の産物でもありました。こんなだから昭和の政治不信と改革官僚や軍部の専横で国を戦争に追い込んでしまった訳です。その流れで敗戦後の新憲法制定も自主的にできずGHQ原案が押し込まれた訳ですが、そのことから押し付け憲法論で改憲が必要という理路となる訳ですが、その結果中身の議論がお粗末になってしまった訳です。この辺をクリアにした改憲議論は長い人生で一度も見たことがありません。

よく言われる条文が少なく具体性がないとか理念ばかりで実効性がないとかも、そもそも国の基本法である憲法は最低限の国の在り方を定義したもので、具体性や実効性は個別具体法で定義するってのが立憲主義憲法なんですから、この手の批判も的外れです。そして具体性や実効性を伴う法律を作るのが立法府であり「国権の最高機関」たる国会です。その国会議員の憲法改正議論がこの体たらくですから日本国憲法は100年経っても変わらないでしょう。憲法改正よりちゃんとした法律作れ!

例えば全国新幹線整備法という法律がありまして、新幹線は万能ではないでも取り上げましたが、元々新幹線鉄道は国の事業とされていて、制定当時は公社化された国鉄という実体があり、しかも独立採算制故に国の財政資金を使わないで国土開発に資する目的が定義されていました。その前提が崩れたのが国鉄分割民営化です。

本来ならばこの時点で見直して法改正すればよかったのですが、そうせずに法解釈で対応しました。それが一定の条件の下で条文の「国」を分割後の各旅客会社に読み替えるというもので、民営化された旅客会社に過重な負担をさせないために並行在来線を旅客会社から切り離すことと、それを踏まえた地元の合意が得られることと、国の事業としての広域国土開発に資することという形でJR、地方、国の3者が合意することが求められました。加えて資金の手当てで92年のJR本州3社による買い取り代金の査定額に上乗せして拠出した鉄道整備基金で整備し、JRが受益の範囲で30年リースで負担した残りについて国と地方が2:1の割合で分担するという整備新幹線スキームが作られました。国の事業と言いながら財政資金が投入されない事業故に整備資金スキームを苦労してひねり出した訳です。

この辺も法改正して財政資金投入ではなく事業ごとに毎年度の必要額を査定して予算請求するスタイルなので潤沢な資金がある訳ではなく、結局JRと地方の合意を待って予算化されるということになります。そんな予算のやり繰りがあるので費用便益(B/C)比を重視して高い経済効果のある事業への優先傾斜配分という運用がされていて、第1号事業は長野五輪対応もあってJR東日本を事業者とする北陸新幹線高崎―長野間とされた訳です。

但しB/Cの算出は簡単ではなく幾つもの仮定を置きますから正確無比とも言えず、ある種恣意性が入り込む余地はあります。その結果例えば当初フーパ―特急方式で整備が予定されていた九州新幹線鹿児島ルートでは、実績のない狭軌200km/h営業運転での経済効果を謳って優先順位を上げてましたし、当初沼宮内―八戸間フル規格で間をミニ新幹線でつなぐ計画だった東北新幹線延伸部も全区間フル規格でスピードアップ効果を評価してB/C比を高く見せ、更に当時事業化されていなかった北海道新幹線が事業化された場合の培養効果とか、鉛筆ナメナメ数字を作ってなし崩しでフル規格化が進んだりとデタラメな運用がされてきました。

その結果何が起きたかと言えば佐賀と滋賀で「詐欺だ!」でありやもめのジョナサン でありということですね。そして北陸新幹線敦賀開業での新在乗継レース^_^;という乗客無視に等しい失敗が起きている訳です。にも拘らず敦賀から新大阪までのルートは五里霧中です。上記整備新幹線スキームに従えばB/C比2倍で事業費も少なくて済む米原ルートが選択される筈なんですが、与党PTの横やりで小浜京都ルートという実現可能性の低いルートが地元合意を経ずに調査費が計上されるという脱法的な手続きが行われております。法改正どころか運用ルールも守れない与党議員とは醜悪です。

更に整備新幹線スキームに属さない中央リニア事業も全幹法に基づく国の事業ですが、JR東海の自己資金事業ということで地元合意もなく進められ、3兆円の財投資金投入で政府が支援というのは法的には説明のつかないところです。憲法以前に法律を守れない裏金議員の好き勝手は許すべきではありません。憲法改正以前に立憲主義憲法が空洞化していることこそ問題であって憲法改正があっても無くても問題は何も解決できないということです。

という具合に個別具体法の適時改正もできない与党に改憲発議ができるとは思えません。一説によれば岸田政権は改憲発議を急いでそれを争点に会期末解散を狙っていると言われます。壺や裏金で支持率ガタガタの起死回生の憲法改正だとすると動機が不純すぎますね。

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Saturday, March 23, 2024

インボイス始めました

確定申告が終わって一息つきました。やはりというか、物価上昇の影響で経費が膨張して課税所得は激減です。インフレが憎い-_-;。また昨年10月1日付で適格請求書発行事業者に登録されて消費税の納税義務も負いましたから、所得税と消費税の2回の確定申告となりました。消費税に関しては1-9月の非課税事業者期間と10-12月の課税事業者期間があって区分経理で仕分けがメンド臭かったけれど、インボイスの電子帳票保存などは経過措置で紙で良いということになりましたので、当面紙で対応して電帳対応はゆっくりやればよいということで助かってます。

とはいえインボイス対応は零細企業や個人事業主の事務負担を高めたことも確かで、自民党の裏金問題に厳しい目を向けられるのはタイミングですね。昨年末の発覚時は安倍派中心でその影響力を受ける岸田政権にとってはチャンスでもあったのですが、他派へ波及し、特に岸田派の会計責任者の訴追で捨て身の派閥解散でサプライズを演出するも、世論の逆風が収まらなかったのは確定申告の時期に当たったこともあるでしょう。好事魔多しですね。

米ドジャースの大谷選手の専属通訳水原氏の事件は意外でしたが、野球も賭博対象となるアメリカでプロ選手が違法賭博に関わったってのは、本人の関与の有無に関わらず重大事件になります。ドジャース移籍でプロアスリート世界最高年俸を得て結婚し、公私にわたって絶好調だっただけに痛いところです。日本の国税庁にあたる内国歳入庁(IRS)とFBIが捜査に動き、MLBも本人から聴取するということで最悪身柄拘束もあり得ます。

てなことに関係なく円安株高は続きます。日銀政策決定会合の後で米FOMCで利下げ示唆があって米国株が値上がりした流れで日本株も上げてますが、日銀はマイナス金利解除でも緩和的と言いFRBは利下げするけどまだ先と言い、結局枠組みは変わらないということで安心してくださいで指摘した通りの展開です。但し日本株はともかく米株はバブルの水準ですから、この相場がいつまでも持続する訳ではありません。外国人相場の日本株もいつ資金が引き上げられるかはわかりません。円安相場では利益確定の売り逃げで終わると見るべきでしょう。

てことで特に新NISA出で株始めた人は要注意。損切りで売却損が出た場合、普通口座や特定口座なら確定申告で配当所得との損益通算ができますし、本業が低所得なら総合課税を選ぶことで配当控除が使えます。非課税のNISA口座ではできません。また配当所得は年20万円以下は課税免除となります。故に非課税だからといった理由ではなく、自分に合った投資スタイルを見つけることが大事です。基本的に資金力の乏しい個人投資家は株を長く持って配当を受け取ったり株主優待を受けたりしてメリットを得るといった狙いで良いでしょう。その意味では明らかに高値の現状で株を仕込むのは悪手でお勧めできません。

あと蛇足的ニュース。

国際機関の拠出金、当初予算で未確保 円安が外交に影 - 日本経済新聞
当初予算の想定為替レートを超える円安で拠出額が不足してしまい、補正予算でカバーすることが検討されています。つまり税金の一部が海外へ流出することになる訳で、その分政府支出を圧迫し行政サービスを低下させる訳ですね。こうなるとただでさえ遅れが指摘される能登半島の復興が進まなくなるでしょう。それでいて武器購入や五厘や万博には景気良く税金を投入するのですから救われません。特に自衛隊の出動を怒らせたりボランティアの現地入り自粛を求めたりと疑問だらけの対応ばかりで政府によるプッシュ型支援打ち切りとかひどいことばかりです。

そんな中で被害の大きかったのと鉄道の能登中島―穴水間が4月6日に復旧し全線運行されるのは朗報です。ボランティアの現地入りもやり易くなります。但し未だに宿泊場所がないから、例えば金沢などからの通いで対応となり移動時間分だけ作業時間が圧迫される訳です。当然ながら観光客を受け入れる余裕はありません。その一方で北陸新幹線敦賀延伸開業で観光客を呼び込もうとしているなど、政府や県の対応はチグハグです。そもそも自衛隊の災害復旧というのは前線補給のロジスティクス能力の活用な訳で、それがうまくいっていないのは実際の戦闘能力に疑義があるってことでもあります。これで国を守れるのか?

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Sunday, March 10, 2024

徒然に大草原wwwwwwww

8日の大雪予想は外れてくれて助かりました。滑って転んでばかりはいられません。しかし滑りっぱなしの政権の迷走は続きます。例えば減税。

減税の事務負担、企業・自治体が反発 政権浮揚効果に影響 - 日本経済新聞
賃上げ時期の実施で手取りが増えて見える効果を狙ったもpのですが、その結果ただでさえ賃上げに伴う給与計算見直しの事務負担がある時期に減税までやらなきゃならないため、企業や自治体が悲鳴を上げています。ホント岸田政権は現場感覚皆無の思いつきばかりです。
経済安保情報、明確な基準を要求 関連法案で経団連提言 - 日本経済新聞
これザックリ言えば特定秘密保護法の民間版です。特定秘密は公務員が対象でしたが、経済安保情報は民間企業や個人が対象で、厳罰化の一方で基準が明確ではないため、第二第三の大川原化工機事件になりかねないだけに、財界が基準の明確化を政府に要請したってことです。民間に疑心暗鬼が広がればイノベーションを阻害することにもなります。中国の反スパイ法のように経済活動を抑制しかねません。
離婚後の「共同親権」導入、民法改正案を閣議決定 - 日本経済新聞
一緒に居られない、あるいは居たくない事情があって別れた両親が共同で子育てって現実的にあり得ません。子どもの養育費の未払いを防ぐ方法としては公正証書作成で縛りを入れることは可能ですし、公正証書作成を義務付けて違反した場合の厳罰化など実情に即した見直しの方法はありますし、親権を持たない側の面会権は現行法でも認められております。そして両親が共同して子育てや教育の方針を決められるならそもそも別れる必要もありません。子どもの教育方針で対立した場合や子連れ再婚の阻害要因にもなりかねず、これらの解決の困難さは結局子どもが被害者となる訳で、何一つメリットはありません。子育て支援にも逆行します。明らかな悪法です。おそらく母が親権を得ることが多いことを快く思わない壺系議員の父権パターナリズムを喜ばせるだけです。
少子化対策の支援金、負担額「月1000円超の可能性」 加藤こども相 - 日本経済新聞
その子育て支援の財源に健保などの社会保険料に上乗せして確保する訳ですが、これ子育て世代の負担が増えるってことです。でも賃上げと減税で実質負担はないというのが政府の説明です。つまり賃上げも減税も行って来いのお金で手元に残らないってことです。インフレ下では実質マイナスです。
<子育てとお金>大学資金、まず預金・国債で - 日本経済新聞
満18歳または高校卒業までの児童手当でカバーできない大学資金は結局貯蓄で賄うしかないのが現実です。大学の学費や教材費が高すぎるのがネックになっている訳で、大学の学費無償化や奨学金制度の見直しの方が子育て支援には有効です。
公共工事の費用対効果、5割で悪化 着工後も増額頻発 - 日本経済新聞
ライトなリスクでもライトラインの公費部分の費用便益比(B/C比)悪化が指摘されてますが、昨今の公共事業は押しなべてB/C比が悪化してます。R20八王寺南バイパスでは鉄道との立体交差部分での鉄道会社との調整不足で工事費が見直されたように事業費の見積りの甘さが指摘されてますし、R103奥入瀬バイパスでは3,200台/日の需要予測に対して実績が2,700台/日でB/C比が1.0から0.7に悪化したりと需要面の見積りの甘さが指摘されてます。インフレや人手不足で事業費が膨張する傾向はあるものの、簡単に増額を認めるのも問題です。経済効果マイナスの公共事業はマクロ経済にとってもマイナスです。
送電ロスなし「超電導」、伊豆箱根鉄道に 営業路線で世界初 - 日本経済新聞
最後ぐらいは草生えない話題・JR総研が伊豆箱根鉄道駿豆線大仁駅近くで13日から超電導送電の営業稼働を始めるというニュースです。ささやかな1歩ですが、送電ロス無しに直流電気を遠距離送電することが可能になしますし、電圧降下を防げますから、将来的には変電所の集約も可能になります。その結果1セクション内の列車数が増える訳で、力行と回生のマッチングも容易になり副次的な節電効果も期待できます。大電流に悩まされる首都圏の通勤路線で採用されれば効果絶大ですし、一方で地方路線では出力調整で余っている再エネ電力を利用した地産地消も可能になるなど可能性は広がります。リニアより汎用性の高い超電導技術の可能性が開けます。

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Saturday, March 02, 2024

円安でつくばとねり的ライトなリスク

来年度予算の年度内成立が確定しました。

2024年度予算案が衆院通過、年度内成立へ 総額112兆円 - 日本経済新聞
憲法の規定で予算案は衆院優越で衆院で可決成立すれば30日後に自然成立となることから、年度内成立が確定した訳ですが、23年度本予算と補正予算で予備費を大量に積み増して使い残している現状からすれば、予算成立が遅れても執行に影響することはなく、能登半島地震の復旧復興などへの影響はほぼありません。寧ろボランティアに制限をかけたりして足を引っ張っているのは国と石川県です。やるべきことをやらない責任は政府と県にあります。

寧ろ新年度予算の審議が生煮えで成立させたことの方が問題です。それでも強行採決に及んだのは岸田首相の意向が強かったようです。政治とカネ問題で炎上中で、予算審議を質に取っての追求は野党として当然の戦術ですが、衆院成立後に送致される参院の予算委でも追及されることを嫌った模様です。その為の岸田首相の政治倫理審査会への出席だった訳で、早くこの問題に蓋をしたいのが本音です。しかしあれほどキックバックとな還付金とか言っていたのに首相が裏金発言をしたから寧ろ火に油。しかも故安倍元首相が「やめよう」といっていたのに復活した経緯もかなり解像度が上がりました。やめようとしたのは法令違反の認識があったと考えられますし、それが覆った経緯が不透明で寧ろ疑惑を深めました。もはやトカゲのしっぽ切りでは済まなくなりました。

そんな政治の混乱をよそに、日銀のマイナス金利解除は確度を上げています。IMFでも好感を示すレポートが出され、同レポートで政府の財政支出頼みの姿勢は寧ろ批判されています。加えてここへ来ての日本株の好調が、日銀に思わぬ追い風をもたらします。異次元緩和機に大量購入された株式ETFの含み益が拡大しており、異次元緩和で国債市場が機能を失って利ザヤが消失している一方で、ETF売却で益出しできる環境が整った訳です。つまり仮に緩和見直しで保有国債に含み損が出ても、国債ならば期間をかけて償還を待てますが、売れば値を下げる株式ETFの売却問題は日銀にとっては重い宿題でしたが、高すぎる米株式に対して割安感のある日本株への海外マネーの流入は日銀にとってはチャンスな訳です。

あと日本株ETFを大量保有するGPIFも含み益拡大で投資ポートフォリオ見直し売りで益出ししますから、当面日本株は日銀とGPIFという大量保有機関投資家が売りポジションをとる訳で、新NISAで日本株投資を考えている人は、日銀とGPIFを助けたい人以外は考え直した方が良いでしょう。令和の秩禄処分の地雷です。とはいえ日銀の緩和姿勢は簡単には解消されないことも確かで、当面この構図は続くと考えられます。故に円安反転で円高は現時点では心配することではないでしょう。しかし円安の影響は意外なところにも現れています。

栃木の宇都宮LRT、車両追加へ価格7割高の衝撃 増発・検査視野 - 日本経済新聞
現在宇都宮ライトレールが保有する車両HU300形は17編成あり、昼間ダイヤで3編成が休んでいる状況ですが、4月に予定されるスピードアップで13編成で回せるようになる見込みで、利用が好調なこともあり、増発も視野に入ります。しかし問題は開業時に竣工した17編成は2027年に一斉に重要部検査の期限を迎えるため、期限前に一部編成を前倒しで検査入場させて輪番検査の体制を作る必要があり、その為に予備車確保で2編成の増備となった訳ですが、問題は増備車の価格です。新潟トランシス製のGTシリーズはアルストム傘下のドイツ企業のライセンス生産で、そのライセンス料と輸入部品代が円安で高騰し、実に7割高となった訳です。当然ながら今後の増発や西側延伸への対応が難しくなります。また検査時の部品交換も割高となることもあります。そこで国産メーカーで対応できないかということになります。
宇都宮LRT 福井鉄道フクラムライナー・広島電鉄グリーンムーバー改良型導入も一考の余地 - 日本経済新聞
フクラムライナーは阪急阪神グループのアルナ車両製のリトルダンサーと呼ばれる部分低床車、グリーンムーバーマックスは近畿車両、三菱重工、東洋電k製造、広島電鉄の4社共同開発の完全低床車ですが、純国産のリトルダンサーと異なり弾性車輪や駆動装置などドイツのシーメンス製部品が一部使われていて、やはり円安の影響は受けます。

宇都宮ライトレールに関しては開業に至る過程で紆余曲折があり、県と市が対立して足踏みしましたし、地場のバス大手関東自動車の反対もありましたし、自動車交通の阻害や財政支出を巡る市民グループの反対もありました。関東自動車は経営悪化でみちのりHDグループ入りし賛成に転じたものの、工事の遅れや見直しで費用便益比(B/C比)が当初の1.1から0.7へ悪化したことなども問題視されております。そうした市民の不満に対して立憲民主党と共産党が後押ししてますが、あくまでも市民グループの声を掬い上げる議会野党の役割ということで、新年度予算を質に裏金問題を追及することと同じで、国会の新年度予算強行採決の轍を踏まないで議論を重ねることが大事です。

それはさておき、元々宇都宮市の東西軸交通に新交通システム導入を検討したことから始まったLRT事業ですから、西側延伸で東武宇都宮駅に接続することが求められていて、検討過程でモノレールやAGTなどの高架式新交通システムでは事業費が高すぎるということでLRTになった経緯があります。しかし西側延伸の為にはJR宇都宮駅北側の陸橋に軌道を整備して駅西側に至り、メインストリートの大通りを通って東武宇都宮駅前から桜通十文字付近までの事業化が進められております。

但しこの区間は利用が見込める一方、バス路線が集中する区間でもあり、東側同様に並行バス路線をバッサリ切ることの難易度ははるかに高いと言えます。実際宇都宮大学陽東キャンパス、清原地区市民センター前、芳賀町工業団地管理センターの3カ所でアクセスバスとの乗り継ぎが図られ、ローカルIC乗車券のtotraで乗継割引サービスが導入されてますが、昼間12分ヘッドのライトレールに対して1時間1本のバスへの乗り継ぎははかばかしくないようです。利便性の乏しいアクセスバスよりもマイカーで停留所付近の駐車場に停めて乗り継ぐ方が利便性は高い訳で、西側の時のように関東自動車がバス路線再編に協力してくれるかどうかはわかりません。当然乗り継ぎによるバスの利便性低下は客離れを起こす可能性もあります。また資材費の高騰や建設2024年問題による人手不足もあり、すんなり進むとは限りません。

一方で宇都宮ライトレールの営業成績は上々で、開業半年の乗客数が予想の200万人を超える220万人に達し、月間の乗客数も開業景気が落ち着いて直近では37,000人程度で、これも想定の31,000人程度から2割増しですから上出来ですが、これが素直に喜べないのは、タイトルのつくばとねり的リスクってことです。つくばエクスプレス(TX)が好業績ながら沿線開発が急すぎて輸送力増強に追われ、車両増備、ダイヤ見直し、座席のロングシート化による収容力強化に追われて、構想にある東京駅延伸がいつまでたっても果たせず、寧ろ8連化に伴うホーム延伸や車両入れ替えで追加投資を余儀なくされてます。

また都営日暮里舎人ライナーも、やはり沿線開発が急で輸送力増強に追われこちらは収容力の大きいロングシートの新車への入れ替えで凌いでおり、既に限界に達し、コロナ禍で通勤ラッシュが緩和傾向にある中で混雑率ワーストとなったことは戻らない混雑で指摘した通りです。日暮里舎人ライナーは沿線にめぼしい集客施設がなく片輸送の非効率もあって2023年度の黒字転換予定が果たせずにいます。

TXも舎人ライナーも車両増備だけでは足らず車両のロングシート化で収容力を高めて対応するところまで追い込まれ、舎人ライナーではゴムタイヤの荷重制限から軽量化した新形車に入れ替えるという追加費用をかけた結果の収支見通しの悪化ですが、これ宇都宮ライトレールのHU300形がタイヤハウスの位置にボックスシートの背もたれを配置する構造からロングシート化は不可能ですから、車両の収容力強化のための入れ替えすらあり得るということですね。TX、舎人ライナー、ライトラインの豊作貧乏トリオになりかねないリスクはある訳です。業績の好調をただ喜んではいられないってことですね。

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