都市間高速鉄道

Sunday, February 21, 2021

地震、雷、火事、親父

昔は怖いものとして言い慣わされておりました。かくいう私も親父にはよく𠮟られてました。家父長制の傾向が強かったかつての日本ですが、核家族化して「元気で留守がいい」と言われちゃうぐらいにはマイルドにはなりましたが、ジェンダー問題や選択的夫婦別姓問題など相変わらずではあります。

夫婦別姓問題を「日本の伝統に反する」とか「家族制度が崩壊する」とかで反対する人たちは、今や核家族どころか単身世帯が増えて核家族すら典型的と言えない現実が見えていないようです。加えて言えば公家、武士、豪農、豪商を除けば大多数の日本人が姓を名乗るようになったのは明治以降の話ですし、例えば北条政子は源頼朝に嫁いでも北条政子のまま、源姓を名乗っておりません。昔は夫婦別姓だったんですね。

そんな家父長的パターナリズムの権化みたいな人が炎上して公職を去りましたが、どう見てもその影響下にあるとしか見えない元アスリートの現役閣僚が後任だそうで、伝えられるところでは本人は固辞したそうですが「あなたしかいない」と周りから言われて火中の栗を拾ったらしいと言われております。親父が差別発言で批判され逆切れカミナリで炎上。地震以外全部キタ—―――――――^_^;。結局組織委が森前会長から橋本新会長に変わっても、開催の方針は変わらない訳です。

文化放送の有森裕子氏のインタビューで「オリンピックはチャンピオンシップではない」という言葉が刺さります。元々オリンピックはスポーツを通じた国際交流を目的とした平和の祭典で、古代ギリシャで宿敵のアテナイとスパルタもこの時は戦いを休んでスポーツに興じた故事から20世紀にフランスのクーベルタン男爵が提唱して始まったものです。コロナ禍でIOCも無観客若しくは国内観客限定の開催に傾き、大会組織機もその前提で動いているのが現状でしょうけど、それってオリンピック精神に反すると声を上げた訳です。FIFAワールドカップや世界陸上のようなアスリート同士で勝敗を競うチャンピオンシップなら無観客も有り得るけどオリンピックにはなじまないという訳です。更に地方からも声が上がりました。

島根県、五輪聖火リレー中止を検討 知事が表明:日本経済新聞
島根県の丸山達也知事は旧自治省、総務省でキャリアを重ねた元官僚で地方出向を重ねた地方自治のエキスパートですが、2018年に退職し2019年の島根県知事選に無所属で出馬し、自民党と共産党の候補を破って当選した実力派知事です。地方自治の専門家らしく五輪関連の法令や通達を熟読して県の判断で聖火リレーを中止できることを確認した上での発言で、国や都のコロナ対策の下では聖火リレーはできないという趣旨です。

そもそもコロナ終息後の経済浮揚策だった筈の Go To トラベルの見切り発車、特に10月1日の東京都の Go To トラベル除外解除によって地方への観光旅行が増えた結果、コロナ感染がジワジワ全国に広がり11月以降は明らかに指数関数的増加が見られ、一部都府県で医療に負荷がかかりました。コロナ病棟で陽性者を受け入れると最低2週間の経過観察が必要ですから、指数関数的に新規感染者が増えれば早晩破綻する訳で、そのために病床を空けるために他の傷病者の退院や転院、手術の延期や救急搬送のたらい回し頻発など医療崩壊と言える状況が出現しています。

暮れの12月28日の Go To トラベル停止と帰省初詣の自粛要請、東京都などの飲食店時短営業要請、1月7日の緊急事態宣言発出で新規感染者が減ってきてはいますが、重症化しやすい高齢者の新規感染が増えており,死亡者も高水準でとても終息に向かっているとは言えない状況が続きますが、地方では Go To トラベルを巡る混乱で振り回され、緊急事態宣言対象外で営業自粛に対する補償金もない中、ただただ貧乏くじを引かされ続けていることへの不満が渦巻いている訳です。丸山島根県知事の発言はそれを代弁している訳で、隣県の知事たちも理解を示しています
が、この人はそうじゃない。

自民・竹下氏「島根県知事を注意する」 聖火リレー発言:日本経済新聞
国とは別法人の地方自治体の首庁に国会議員が注意する権限はもとよりありませんが、2019年の知事選で自民候補を応援した当事者ですから、政局絡みの恨み節ですね。言外に「あんな知事選ぶからこうなる」という有権者への当てつけですね。こんな奴次の選挙で落としましょう。

また竹下氏は橋本組織委新会長を「男みたいな性格、ハグ当たり前」と発言して炎上。二階幹事長も森氏用語発言といい自爆テロ級の火に油ですし与党議員の夜遊びといい管首相長男の総務省接待疑惑といい、炎上を競い合っているとしか見えませんね^_^;。

てな冗長な前振りはここまでで^_^;、本当に怖いのはもちろん自然災害です。先日の福島県沖地震は10年前の東日本大震災を思い起こさせましたが、プレート型地震の東日本大震災に対して「スラブ内地震」と呼ばれるもので、平たいプレートをスラブと呼び、地中の圧力によるひずみでスラブにひび割れが生じることでおきます。阪神大震災のような内陸型地震はほぼこれで、浅い震源ならば地上に断層が出来たり津波の原因になったりしますが、今回は地下53kmという深い震源だったので、津波も起きず震度6強とマグニチュードの割には弱い揺れになりました。但しその分広範囲に長時間揺れたことで思わぬ被害が出ました。

鉄道耐震化間に合わず 東北新幹線、電柱など損傷:日本経済新聞
東北新幹線は高架橋にスラブ軌道という構造の区間が多いのですが、これが災いしたようです。ちなみにスラブ軌道は上述の平たいプレートを表すスラブと同じ意味です。土の路盤のわきに基礎を打って立てる在来線の架線柱と違ってコンクリート構造物の高架橋に建植された架線柱は共振しやすく、今回のような長い揺れで傾いたり折れたりした訳です。東日本大震災の時にも見られ、鋼板を巻いたり鉄芯を入れたりする補強工事が施工中ですが、とにかく数が多いから工事は進まず、終了は2,028年頃の見込みということで、実際未施工区間で被害が出ています。

そういうこともあってJR東日本はひたちの仙台延伸や在来線の臨時快速運行などでカバーしましたが、輸送力の差はありますから完全にはカバーできないですが、迅速な緊急対応という意味でレジリエンスを示しました。加えてJRバス東北や福島交通の高速バス増便や定期便のない羽田から福島、仙台、花巻へ臨時便を出したANAとJALの対応といい、震災の体験が活きているようです。コロナ禍で需要が減っていたことや、特に航空は大量減便で機材も人員も余力があり、ネックとなる羽田空港も空いていたなどの要因もありますが、こうした迅速な動きは評価すべきでしょう。どっかの国の政府とは大違いです。

加えて言えば鉄道のネットワーク効果は大事だということを改めで感じます。阪神大震災の時に被災した京阪神地区を迂回する貨物ルートが無かったことが混乱を拡大しましたし、東日本大震災の時は逆に貨物列車の設定が無い磐越西線を利用した燃料輸送で代替ルートを確保したなんてこともありました。レジリエンスってこういったことの積み重ねなんですね。

ってことで、国土強靭化はその意味で明後日の方向の対策にしかならないと改めて思います。津波対策で防潮堤が整備されたものの、寧ろ海が見えない方が危険ということで、人が住んでいるところほど反対に遭って整備が進まず、無人地帯の巨大防潮堤が飛び飛びに整備されており、だれを守るものか曖昧です.寧ろ市町村役場などの公共施設を高層化して高層階に比内所を兼ねた集会場施設を作るとかする方が現実的です。

東北新幹線の架線柱損傷に見られるように、高速鉄道は元々レジリエンスが弱い存在だってことも覚えておきましょう。逆に盛土にバラスト軌道の東海道新幹線の方が頑丈に作られた山陽新幹線や東北新幹線よりレジリエンス面で優位ということも言えます。但しその分メンテナンスにコストがかかる訳で、東名阪をカバーする東海道新幹線でしか成り立たない可能性はあります。その意味で高速鉄道の二重化を唱えて中央リニアや北陸新幹線の大阪延伸が必要とする主張にも疑問を禁じ得ません。特にリニアは地震など自然災害時の安全性に関して未知な訳で、東海地震に備えた代替路線という位置づけも疑問を禁じ得ません。

加えて整備新幹線の並行在来線問題でも、頼みの新幹線が長期運休になった場合のリカバリーを考えれば維持する方が良いのは言うまでもありません。北海道新幹線の並行在来線で貨物列車のない長万部―小樽間の山線区間の存続はかなり厳しく、受け皿三セクの経営が成り立つ可能性は低いと言えます。こうしたコストも込みで整備新幹線が有利な投資なのかどうか、きちんと見極める必要があります。

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Sunday, February 14, 2021

しんきろうで2020五輪霧中

五輪組織委森会長の辞任問題が尾を引いております。

不透明プロセス、世論の離反招く 五輪組織委会長の選考:日本経済新聞
密室の謀議で首相になった人が公職を去る時も7密室でって、らしいと言えばらしいけど、流石に通りませんでした。森氏が指名した川淵三郎氏は過去の発言に問題いありとIOCからダメ指しされたようですが、そもそも辞任する森会長に後継指名の権利はありませんし、川淵氏も就任後に森氏を相談役に指名するということまで決めていたとか、もうドロドロ。個人商店じゃあるまいし。ちなみに森氏を慰留した武藤敏郎事務局長は、大蔵省ノーパンしゃぶしゃぶ事件当時の官房長で引責辞任した人物です。ポンコツ同士の身内意識なのか?

加えて昨夜の地震。震災の余震だそうですが、10年経っても大きな余震が続く現実は重いですね。家屋被災で負傷者が出てますし、発電所の停止で大規模な停電が起き、水道の被災で水道が止まるなどライフライン被害も出ています。東北新幹線は河川中が傾いて復旧に10日以上貨化kる見込みですし、常磐道も被災しています。復興五輪を標榜していた東京オリパラにとっては最悪のタイミングです。

震災復興にとってはオリパラ関連の公共投資でヒトモノカネが取られますから、寧ろ復興を遅らせるだけというのはこれまでも指摘してきましたが、震災復興も道半ば、コロナ禍で無観客も有り得る五輪開催の意義が見出しにくい上に、大会組織委のガバナンスにクレームがつく事態で、流石に延期で追加負担を求められた企業スポンサーも不満爆発となりました。実はこれが効いたようで、国民世論の勝利と言いにくいところですが。

そんな中で小池都知事は奇妙な立ち回りを見せています。来現つに予定されているI4者会談不参加を表明しましたが、そもそも日程も決まっていない中での点数稼ぎと見る向きもあります。五輪前に行われる都議選で対立する都議会自民党への圧力ですね。実は森首相の辞任も都議会自民党の意向が働いたと言われており、総裁選で小泉政権誕生をもたらした訳ですが、自民党がゴタゴタすれば小池知事自身の国政復帰が見えてくるという訳ですね。五輪開催都市としてのダメージを国に付け替えて政局を有利にする思惑が見え隠れします。

てことで都知事としては大した実績を残せている訳ではありませんが、自分が有利になる立ち振る舞いは得意ということですね。築地市場の豊洲移転問題でも「豊洲は活かす築地は残す」という発言にも現れてますが、食のテーマパークというコンセプトは示したものの、豊洲市場の活性化のために整備予定だった観光施設は権利を落札した民間企業が反発して降りてしまいました。

タワマンたわわエントリーで取り上げた8号豊住線(豊洲―住吉)荷動きが出てきました。

膠着の有楽町線延伸問題、国交省委員会で議論進むか:日本経済新聞
東京メトロは株式上場を控えて大規模投資となる新線建設を打ち止めとする方針ですが、一方で混雑の激しい東西線の東陽町駅の改良(構内線増)や九段下の折り返し線拡張などの大規模改良工事を手掛けている訳ですが、タワマンで人口が急増した江東区では、東西線、総武線の混雑緩和のために比較的空いている有楽町線へ誘導するために豊住線建設を要望していて、豊洲問題のバーターで豊住線建設を江東区に約束したものの、東京メトロはこれを拒否している訳です。

ややこしいのは東京メトロ自身の株式上場問題が絡んでいて、国(財務省)53%都47%の株主構成で国が株式を手放しても都が手放さなければメトロに対する支配権が国から都へ移行する訳で、すが、経営的に重荷となる新線建設を回避したい東京メトロに都が圧力をかければ利益相反が生じる訳で、そうなれば投資家が東京メトロ株の保有を躊躇することになるので、より高く売り出したい財務省としてはそれは認められないということで膠着状態になっている訳ですが、国交省が委員会を立ち上げて妥協点を探ろうと動いた訳です。

整理すると豊洲移転を巡るゴタゴタで都が江東区にいい加減な口約束をしたものの、株式上場問題も絡んで東京メトロは建設を渋り株式を高く売りたい財務省が後ろ盾になっているという構図です。政治家のいい加減な発言が事態をここまで拗らせてしまった訳ですが、小池知事は政局で国政復帰を模索しているからあとは野となれなんですね。同委はしませんが地下鉄一元化を打ち出した猪瀬氏はまだしも理念がありましたが。委員会を立ち上げた国交省にとっては難題ですが、どうするつもりなんでしょうか。

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Sunday, January 17, 2021

電気が足りない訳じゃない

緊急事態宣言の中いかがお過ごしでしょうか。しかしアメリカやイギリスに比べれば2桁少ない感染者数で医療崩壊が叫ばれる日本の現状はどうしたものか。要因はいろいろありますが、医療機関に占める公立病院比率が2割程度で残りは民間という日本の医療体制が災いしているようです。

政府は各病院にコロナ病床の設定を要請していますが、風評を恐れる民間病院は申し訳程度の病床数でお茶を濁し、公立病院にしわ寄せがされている状況です。民間病院では1桁の病床数しか用意されていないtころが多いですが、そのために呼吸器感染症専門医や看護師、保健師張り付かせる訳ですから、勢力場分散して非効率になる訳です。加えて経営の要請で病床を空けておくわけにはいかず、他の疾病の患者を入院させるなどしていざというときに使言えなかったりしますし、また救急車が電話で受け入れ病院を探すシステムが災いしてコロナが疑われる救急患者の受け入れ拒否も頻発している状況です。

ならば公立病院に専門医、看護師、保健師を応援に出して集中的に対応した方が効率よく受け入れられそうなものですが、その公立病院が赤字体質をたたかれて予算が縮減されてやはり対応を困難にしているという面もあります。例えば民間病院にコロナ受け入れの免除の見返りとして医師、看護師、保健師の人的支援を求めるといった対策が取られれば良いのですが、国の支援が無ければこれも難しいということで、医療制度改革で疲弊した医療体制が災いしている訳です。

公立病院の比率や状況はそれでも地域差がありますし、専門スタッフ偏在している状況ですから、そもそも国が差配するのは難しい訳ですが、ならば緊急事態宣言の発出は都道府県知事の権限として必要な予算は国が提供する制度が望ましい訳で、法制度の問題です。また当初から言われ続けてきた検査体制の問題も「医療崩壊を防ぐために検査を絞る」という謎理論で抑制されてきましたが、これも未症状や軽症の人向けの隔離施設として地域のホテルを借り上げて食事提供と医療チーム派遣で対応することでホテルの支援にもなりGo To で無理くり需要を作り感染拡大で蒸発という混乱を考えたら遥かにマシは支援策です。

Go To に関しても緊急事態宣言で県境を越えた移動を制限しても、状況が許せば県内 Go To といった形で対応するなど地方の実情に合わせた対応が可能なのに、そうした建付けになっておらず、結果的に国の迷走に振り回されてしまう訳です。政府は国民を不幸にするばかりです。

ついでながら予想通りイギリス、南アフリカ以外の地域からもコロナ変異種が見つかりました。元々不安定なRNAウイルスですから、世界規模で感染拡大すれば多数の変異種が顕れることは必然です。変異は全方位に出現しますが、生き残るのは免疫迂回などでより感染力を増した変異種となりますから、更に警戒を強める必要があります。一方弱毒化の証拠は見当たらず、今後も未知の変異種の出現を見込む必要があります。世界から人を呼ぶ五輪を止めないというのは、商業イベントの方が国民の命より大事ってことになりますが-_-;。

で、コロナも怖いけど寒さも怖いということで、先日の大雪以外にも問題山積です。

新電力、料金2倍に高騰も 需給逼迫で卸価格が急上昇:日本経済新聞
世界規模の大寒波で天然ガスの需要が上振れしており、特にLNGの調達が困難になっている結果、燃料不足で発電量が制約された結果、卸電力取引所(JPEX)の価格が高騰し、自前電源を持たない新電力の料金が跳ね上がっています。元々大手電力が余剰電力を出し惜しみしていて、市場規模が小さいため、燃料需給のひっ迫で価格が跳ね上がってしまうという構造的欠陥が明らかになったものです。

とはいえ大手電力各社は節電要請は出しておりません。その一方で企業保有の向上などの自家発電設備からの電力買い取りを進め、また地域間の連携線で大手同士の電力融通は行われており、結果的に電力不足は起きていない訳です。加えて石炭火力の重油併燃で出力アップして凌ぐなどしており、脱炭素に逆行しています。これは電力自由化に逆行する行為です。2020年実施の電力自由化で大手電力の送電部門の法的分離が実現した訳ですが、これ単なる分社ですから、親会社の大手電力のガバナンスに委ねられている訳です。

加えて先発券が認められており、稼働していない原発の容量枠は空いていますし、本来原発のバックアップ電源の筈の石炭火力の容量まで上乗せされていたりしていて、言ってみれば既得権の塊となっております。そんな中で新電力が再生可能エネルギー電源の託送を求まる場合、必要な容量アップのための送電線増強投資は原因者たる新電力に求められる訳ですから、資本力の劣る新電力は担いきれず、送電線はがら空きなのに利用できないという不条理がある訳です。

一方大手電力同士の連携線を通じた電力融通には好都合な訳で、これで電力自由化とは笑わせます。結局大手電力の既得権を守り新電力の参入障壁となっている訳です。大手電力が涼しい顔して節電要請を見送るのはこういうからくりなんですね。あと公式な連携線とは別に、東電と東北電力のエリア間には未使用の送電線が休眠しています。福島と柏崎刈羽から首都圏へ向けての送電線です。発送電分離を前倒しした東京d燃力パワーグリッドに東北電力の送電網を移管する話が進んでいるそうで、巨大送電網となりそうです。

裏には完成間近で3.11以後止まっている東通原発の完成推進の狙いがあると言われており、これに関電の美浜3号と高浜1,2号機の40年超の再稼働の条件として福井県から使用積み燃料増やさないことが条件づけられ、この関連で青森県むつ市の中間貯蔵施設への移管受け入れの決定があると言われております。裏には原発事業集約の狙いがあり、それに反発する関電に貸しを作るためとか。東電は実質国有化状態にあり、電力自由化の陰で政府の影響力を拡大する意図が透けて見えます。

新たな電力国家管理と見ることもできますが、政府は沈黙しており、実際は単なる行き当たりばったりでしょう。未だにエネルギー基本計画も明らかにされない中でトップダウンでカーボンニュートラルの方針が示されたことから、原発利権が動き出したとも言えます。リソースの集約の観点から原発集約自体は反対はしませんが、この辺は注意深く見ていく必要があります。

そしてもう1つ、カーボンニュートラルに反応したニュースがこちらです。

日本郵船、鉄道で車を大規模輸送 CO2排出半減【イブニングスクープ】:日本経済新聞
中国から中央アジアを経て中東から欧州へと通じる鉄路のちゃにあランドブリッジを利用した自動車輸送ですが。日本郵船が実施というところがミソです。

船会社にとって頭が痛いのは燃費の悪い老朽船の代替問題ですが、アンモニアや水素などの燃料動力にシフトする必要がある一方、技術開発はこれからで船舶も燃料も当面高価なのは避けられないことから、輸送の一部を鉄道に振り替えることで、老朽船を廃船して資産を圧縮しながらCO2削減を図る繋ぎの施策ということですね。カーボンニュートラルには程遠いけど、とりあえずできることからってことですね。同様に国内の鉄道貨物の見直しが進めばJR貨物にとっては老舗ですし、JR東日本やJR北海道が計画するカーゴ新幹線も有望ってことにはなります。

但しE5系ベースの10連で積載量は70t程度ということで、コキ20連の標準的な1,000t貨物列車で12ftコンテナ5t換算での積載量500tの1/7に過ぎず、運賃が高くなることは避けられません。つまり在来線貨物の代替にはなりませんが、元々積載量の少ない航空貨物に対しては競争力があると見られます。貨物もフリュグスカムの時代を拓くかもしれません。

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Monday, January 11, 2021

トランピスト総動員の後始末

アメリカが大変なことになりました。

トランプ支持者、議会占拠 大統領選出が一時中断:日本経済新聞
米議会へのトランプは野乱入で混乱し、景観を含む5人の死者を出す騒ぎとなりました。しかもトランプ大統領自らSNSで扇動した結果ということで、事態は重大です。

1月5日に上院で行われる選挙人投票の集計結果を認定して新大統領制出を確定する手続きに対して、上院で議長を務めるペンス副大統領に圧力をかけて阻止しようとしたものの、当然ながらペンス氏は従わず手続きに入ったことで裏切り者呼ばわりされた一方、最後の手段として支持者へ実力行使を訴えた結果の出来事ですが、SNS各社は大統領のアカウントを凍結するなどしたものの、Qアノンなどの陰謀論者やネオナチなどの極右を中心に武装して乱入したものです。

トランプ大統領自身はイデオロギーに基づいてというより、単純に負ければ在任中の数々の不法行為が訴追の対象になることを回避するための行動で合理的エゴイストたるレントシーカーに過ぎない訳ですが、不満を抱えた国民の分断を利用した暴挙ではあります。

しかし密な支持者集会を繰り返し自らコロナに感染し風邪と共に去るかに見えたものの、ステロイド剤服用までしてドラッグで大復活してますます支持者を喜ばせた訳で、ハイブリッド・シビル・ウォーの現実が顕れたと見ることができます。問題なのは狂信的な支持者ほどバイデン新大統領が不正によって選ばれた正当性のない大統領という見解を持つ訳で、国民の文題は今後も続き、バイデン氏の政策実現は難しくなります。

但し議事堂乱入はある意味建国以来の国体を傷つける行為で、日本で喩えれば天皇に不敬を働いたに等しい行為として糾弾されますから、かなり徹底した訴追と掃討が行われると見られ、寧ろ現場での実力行使を封じる方向へ変化するとも見られます。ジョージア州の上院選再投票でも民主党が2議席確保で結果的に伯仲しながらでもトリプルブルーともブルーウエーブとも呼ばれる大統領と上下院の民主党独占が成った訳で、バイデン氏にとってはやり易い形ではあります。

但し対中制裁の見直しなどは当面行わず、香港やウイグルなどの中国の人権問題への厳しい対応も考えられ、交渉カードとして温存されると考えられます。中国は経済的なライバルであり安全保障面でも無視できないけれど、是々非々の対応で成果を導き出そうとするでしょう。また経済界などが期待するTPP復帰も、国内の労働者への配慮から見送られるでしょうし、既に貿易協定ではTPPと同等の権利を得ているから今のままでしょう。寧ろ米議会がオバマ政権時に議決した為替条項盛り込みの要求がありますから逆にヤブヘビの可能性もあります。

てことで表面上は平静を取り戻すものの、対立の構図は深く潜航する訳で、特に狂信的な支持者はたとえ訴追され罰を受けても独自の世界観を捨てずにバイデン政権の不当性を信じ続けるでしょう。つまり広く国民に共有される正史とは異なるアナザーヒストリーの誕生となって対立がイデオロギー的にロックインされる訳で前途多難です。

一方でトランプ現象と並び称されたBrexitですが、こちらは土壇場で英EUFTA合意が成立し、明けて1月1日から発効しています。一説によれば年末のコロナ変異種が英国内で発見されEU側が緊急に国境を閉じた結果物流が滞り、Brexitの予行演習^_^;になったと言われております。結果的にイギリスはEUの関税同盟に留まりながら独立を勝ち取った形ですが、大幅譲歩を余儀なくされております。北アイルランド問題では当面EUルール適用としたほか、英EEZ内の漁業権問題でも譲歩を迫られました。これは主にフランス漁船の操業継続に対して経過措置を設けて当面維持するもので、当初案の漁獲割り当てをイギリスが一方的に決められるルールから譲歩したものです。

最後まで揉めたEU規制の英国内適用問題は、関税同盟に残るのであれば競争条件を揃えるイコールフッティングの主張ですが、本音はロンドンの金融機能の代替の狙いと言われます。ダブリン、フランクフルト、アムステルダム、ルクセンブルク、パリなどが名乗りを上げていましたが、何れもロンドンの機能を代替するには規模の点で劣り実現可能性はほとんど無いと言えます。この辺香港の代替を狙う東京と同様で、政治的思惑では進まないところです。

関税同盟に留まったとはいえ通関手続きは始まった訳で、これが原因の物流の滞貨が生じていて現場は混乱していますが、これは主にイギリス側のインフラ整備の遅れに起因しますので、いずれ解消へ向かうと思われます。思えばBrexitに注文付けていたのは主にEU内の拠点としてイギリスに生産拠点を置いた日本企業が中心だった訳ですが、Brexitの結果日英EPAの締結に至りBrexit後も関税同盟に留まって一安心でしょうが、別の問題も起きています。

これはEPAの原産国証明の問題で、自動車で7年の経過措置を得たものの、従来のように日本から部品を輸出して現地で組み立てる形は見直しを迫られます。加えて2030年のEV規制でガソリン車ディーゼル車の新車販売が出来なくなり、日本メーカーもEVシフトを迫られる中でのことですから、下手すればサプライチェーンをそっくり現地化せざるを得ないことも視野に入れるべきです。イギリスの交渉上手の伝統は生きているようですが、裏を返せば日本の交渉下手でもある訳です。

ただ指摘しておきたいのは、トランプ現象もBrexitも背景として労働者の反乱の産物という点で共通しています。Brexitは保守党キャメロン政権の緊縮財政への拒否感から出てきたものですし、トランプ現象も所謂ラストベルトの白人労働者の支持があったこと「は見落とせません。これは元々労働者の支持を得ていた左派陣営の変質に由来するもので、アメリカで言えばクリントン政権の経済重視や英ブレア政権の第三の道で置き去りにされたと労働者が感じたことが起点です。

サッチャーやレーガンに始まった新自由主義とグローバル化の流れを去派指導者が追認し経済成長に軸足を置いた結果、支持層の国内労働者が置き去りにされた構図です。この面では独シュレーダー政権の労働市場改革も同じ文脈に属します。その結果東西統合が経済の重石となっていてEUのお荷物だったドイツは一転EUの優等生に変身し豊かにはなりましたが、そこまで踏み込めない他国の労働市場を圧迫し、ギリシャ危機を初めとする経済危機を呼び起こした訳で、Brexitもその帰結の1つと見ることができますし、東欧のポピュリズム政治もそうですね。

これ結局左派がエリート主義を脱却できないことに由来すると考えられます。左派のエリート主義の起点は2つありまして、1つはレーニンのボルシェビキですね。マルクスの言うプロレタリア革命はパリコミューンの住民自治にヒントを得た労働者による自覚的な解放運動ですが、レーニンはロシアの後進性から労働者bの自覚を待てないことから、意識の高い職業革命家による扇動で大衆を分極化し騒乱の中で政権を奪取することを構想し実現した訳ですが、これが左派の成功体験として広く共有された結果、エリート主義が肯定された訳です。

もう1つはケインズのハーベイロードの賢人主義とも言うべきもので、もろにエリート主義を肯定しています。結果広い意味で左派とされるマルクス主義者もケインズ主義者もエリート主義に毒されてしまった訳です。余談ですが、日本は元々保守派もエリート主義に凝り固まっていて、40年代の革新官僚による国家総動員体制で戦争へ突き進んだ訳ですが、同時に戦前非合法だった日本共産党もボルシェビズムを受け入れて中央の指導への従順さを求めており、この点は今も変わりません。とはいえ格差拡大でネトウヨの出現など大衆の分極化が見られる日本の現状で美装闘争を仕掛けないから武装闘争放棄は本気でしょうが、日本の労働者に寄り添っているのかは疑問を禁じ得ません。

最後にこの話題。北陸道など一時1200台動けず 富山・福井が災害派遣要請:日本経済新聞年末の関越道の混乱と同じことが北陸道でも起きました。元々寒波で日本海側の広い範囲で豪雪の予想があったわ訳ですが、通行止めの判断が遅れた訳です。今回は高度な雪対策がされた筈の北陸新幹線まで止まるぐらいですから、より大きな災害ということになりますが、高速道路会社にとっては通行料収入を失う通行止めの判断は出しにくいと考えられます。高速道路民営化が私たちを幸せにしたのでしょうか?

新神瀬が止まるぐらいですから、鉄道は全滅、一般道も使えないで、結局交通は全滅状態です。これも気候変動による海水温の上昇が原因と考えられます。前エントリーのカーボンニュートラルで経済成長は無理でも、こうして経済損失を被ることを考えると、経済成長以上の経済損失が発生して台無しということは考えられます。経済成長に結びつくかどうかに関わらずカーボンニュートラルは進める必要があります。

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Sunday, December 27, 2020

円高株高消費低迷の謎

日経平均株価が上昇基調で年内3万円台に乗せる期待が持たれていますが、ちょっと値上がりすると含み損抱えた投資家から売りが出て戻すことを繰り返していて2万7千円付近で膠着しています。但し上げ基調にはあり、年内は無理でもいずれは実現すると見られます。

とはいえ Go To 停止もあって消費は冷え込んでおり、実体経済との関係では整合性が見られないこの相場をどう見るべきでしょうか。種明かしすれば先月頃からの外国人買いの増加が寄与したものですが、世界の投資家が注目するのは米NY市場などから見て放置されて割安感が出てきたことによります。米ハイテク株中心に値上がりが続くNY市場ですが、3万ドル突破でここまで高値になると投資の旨みがなくなってしまうことがあります。

株式投資は配当狙いのインカムゲインと値上がり期待のキャピタルゲインの両方の狙いがある訳ですが、共に値上がりすれば旨みが薄れるのは当然ですし、また売り相場になった時の値下がりリスクもある訳です。基本は安値で仕込んで高値で売ることですから、相場如何では逆食らう可能性もある訳です。だからこれ以上NY株式は買えない水準に達したってことです。加えて米国債金利に上昇圧力がかかっていることもあり、株式と国債の裁定が働きにくくなっていることも指摘できます。

米大統領選でバイデン氏勝利が確実になり、グリーンニューディールや老朽化した公共インフラへの投資などで財政拡大を打ち出すバイデン次期政権ですが、議会選では苦戦し、特に上院は年明けの再投票で決着するジョージア州の2議席を民主党が取っても50:50の同数になるだけで、財源として法人税と富裕層課税の強化を見込むものの実現可能性は低く、財政赤字拡大が避けられないことから嫌気されたものです。

となると日米金利差で円安になりそうなものですが、アメリカの国内消費は堅調で、国債金利上昇は寧ろインフレ懸念をもたらします。しかもFRBはインフレ目標2%達成後も安定的に継続するまで量的緩和を続けるとコミットしており、インフレが放置されるということで、インフレ率で補正した実質金利ベースでは日米金利差は寧ろ円高方向へブレるということで、日本株高と円高が共存する相場になっている訳です。円高は外国勢から見れば日本株の低リターンをカバーし、米インフレをヘッジするという意味で、米国債の代替の役割も持ったということですね。

外国勢から注目されたからといって、東京が国際金融都市に近づいた訳ではありません。この関連で優秀なアナリストやトレーダーの所得税減免が議論されてますが、彼らは市場規模の大きなところの方が稼げる訳で、またそうした大規模市場は競争も激しく、その中で実績を上げ続けることの難しさはステータスでもある訳で、税金オマケするから来てね、に釣られて来るのは競争劣位の二流でしかありません。そして東証システム障害の後始末のニュースです。

東証、統治及ばず「引責」 システム障害で辞任、「必要なし」から一転 官邸の空気察し自ら決断:日本経済新聞
風邪と共に去りぬで指摘しましたが、システム障害自体はある意味避けられないところですが、東証は証券各社へのヒアリングを徹底し混乱回避に尽力した訳で、その結果の終日取引停止だったのですが、官邸がそれを咎める空気があり忖度してトップ辞任に至った訳です。繰り返しになりますが、大証を除く地方市場が東証のシステムに乗っかっていたことと、民間市場(PTS)が規模の小ささから代替を果たせなかったことが終日停止已む無しの判断に繋がった訳で、東証の責任を問うのはお門違いです。これ日本学術介護問題にも通底する事実上の人事介入です。また代替市場が機能しないのは国の規制の結果なんで、政府が規制緩和を打ち出すならまずここからだろ。

ってことで、円高は結局日米のインフレ期待の差がもたらしたもので、それ程日本の消費は冷え込んでいる訳ですが、注意が必要なのは、これコロナ禍による不安が原因であって需要不足が原因ではない点です。繰り返しになりますが、コロナの克服こそが最大の経済政策だってことです。実際安倍政権で実施された特別給付金はその多くが貯蓄に回っていて消費には寄与していないと見られています。但しだから無駄だった訳ではなく、助けられた人も多数存在したことは確かです。その意味で一部で言われる消費税減税は無意味だし、需要喚起策としての Go To も結果的に感染拡大を招いた分マイナスの方が大きいと言える訳です。実際街にクリスマスソングは流れず規制や初詣も自粛で消費は落ち込んでます。

ひとつ謎なのがコロナ禍がより過酷なアメリカの方が消費が活発という点ですが、おそらくアメリカの方が格差拡大が深刻で、給付金などの政府支援が消費に回りやすい可能性があります。コロナ感染者の爆発的拡大も、一応国民皆保険で医療にアクセスしやすい日本に対して、オバマケアも実現できず医療へのアクセスができない人が多いことも影響していると考えられますが断定は避けておきます。

もう一点指摘しておきたいのが、日米に留まらず世界的に公的債務が膨張傾向にあり、特にドイツの反対で実現できなかったEU共同債の発行が決まったこともあり、公的債務拡大は当面続くことは確実ですが、一方で需要が消滅したエアラインなど多くの企業で資金繰りのために借り入れを増やしている訳で、官民共に債務拡大が続いている訳ですが、アメリカで国債金利上昇が見られるものの、それでも低金利が続いていることです。

これ各国中央銀行の金融政策が緩和的だから緩和マネーが溢れていることで説明できますが、それに留まらず日本に典型的に見られる貯蓄の増加が寄与していると考えられます。とすると上記の日米の消費性向の差が為替を円高方向に向かわせていると言える訳で、いろいろと説明がつくことにはなりますが。

ネット通販拡大の恩恵を受ける宅配便を例外として、エアラインに限らず運輸事業の逆風は厳しいところですが、日本のエアラインの大手2社ANAとJALは共に当面自力更生を模索しており世界で見られる政府による救済はなさそうです。竹中平蔵氏が国際線の1社体制をぶち上げて話題となりましたが、ANAもJALもその気はないと見て良いでしょう。何れもグループ内にLCCを抱えており、採算性の低い路線を傘下のLCCに肩代わりさせて高採算のビジネス路線を温存する方向性を打ち出しています。ただ長引けば耐え切れなくなることは考えられます。その際には拡大路線にまい進したANAの方が苦しい訳で、それを見越したANA養護が真意かと思います。とにかく裏の多い人物ですので真に受けない方が良いでしょう。

そして苦しいのは鉄道も同じで小規模な地方私鉄は資金繰りに知恵を絞りますが、規模の大きいJRは当然必要資金の規模も大きい訳で、もっと抜本的な対策が必要です。特に元々経営基盤の弱いJR北海道とJR四国においてはなおさらです。<

a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF2510G0V21C20A2000000" target="_blank">JR北海道・四国への支援拡大を発表、コロナで旅客急減:日本経済新聞
JR北海道は3年で1,302億円、JR四国は5年で1,025億円の資金支援ということです。但し債務の株式化や利子補給を含むということで、真水は少ないとっ考えられます。前者は2020年までに設備更新や省力化投資の資金としてJR北海道へ2年間で400億円、JR四国へ2011年以来512億円を支援しておりますが、鉄道・運輸機構からの融資分を株式化するってことだと思います。つまり国有企業としての両社を国は潰さないという意思表示ではあります。

但しJR北海道で問題になっている大幅な路線存廃の議論は別ということで、沿線自治体と道庁の支援策が無ければ大幅な路線縮小が避けられないのは今までと変わりません。国としては債務の株式化に踏み込んでも最終的に経常黒字を安定させて株式上場すれば取り戻せる訳です。但し国策として株式保有を続ける可能性はありますが。というかNTTもJTも国の持ち分は残っている訳ですし郵政関連も同様で、JR本州3社の持ち分全放出による完全民営化の方が少数派です。

あとは経営安定基金の積み増しも考えられますが、今のところ言及はありません。実際は鉄道・運輸機構への預託により相場より高い利回りを保証して事実上の補助金としている一方、JR九州上場時に取り崩したように、追加の設備投資で発生する減価償却費を上場時に減損処理して減らす原資になる訳で、基本は株式上場がゴールという立場を維持しているようです。つまり国鉄改革時の基本方針は変えない訳で、自治体への負担を求めるということですね。あとついでにこれも取り上げておきます。

北陸新幹線、敦賀延伸1年遅れ 地元負担増を懸念:日本経済新聞
元々生産年齢人口の減少で人手の確保が困難になる中で、震災その他の災害復興と五輪関連で取り合いになりますから、工事の遅れは当然起きる訳で、遅れれば当初見込みの事業費は膨張する一方、JRが負担するリース料は受益の範囲で確定していますから、地元負担が増えることになります。また開業が遅れれば整備新幹線財源として開業後の整備新幹線リース料が当てにされている訳で、当然2030年開業予定の北海道新幹線札幌延伸が遅れることも視野に入ります。JR北海道にとっては頼みの綱の北海道新幹線延伸ですが、狂いが生じることになります。整備新幹線スキームも限界に達したと言える状況です。果たして上場のゴールに辿り着くでしょうか。

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Sunday, December 20, 2020

スベってコロナで大痛い政権

結局 Gp To t中止で年末年始の稼ぎ時を逸した観光関連の混乱が起こり、キャンセル料補償を余儀なくされた政府ですが、既に年末年始に備えて人を雇ったり食材等を仕入れたりしている訳で、Go To を当てにしていた事業者を振り回す結果となりました。愚かです。加えて寒波襲来で関越道が大変なことになりました。

関越道 最大2100台立ち往生 相次ぐ雪害まひ 教訓生かせず 週末再び大雪警戒:日本経済新聞
元々海水温が上昇していたところへ寒波が来て温度差で大量の水蒸気を抱えた状態で上越国境の山々で雪雲を形成したため、経験則で測りきれない大量の降雪があり被害を大きくした訳で、気候変動の影響を見て取れます。

雪国では寒さから降った雪が解けずに根雪となって春まで残るので、冬の間にドライバーの雪道スキルが向上することで日常生活が成り立ちますが、シーズン初めの初雪では半年間の乾いた路面でスキルを失ったドライバーがそこら中でスベりまくります。よく言われると「東京ではちょっとの雪で混乱すする」というのは、実は雪国でも初雪では同じです。その状態での大量降雪ですから、無事な方が奇跡ってことになります。

ぶっちゃけ1台がスベって横向きになって道路を塞ぐと、後続車は停止を余儀なくされますが、降雪量が多いと停止中の車が雪に埋もれて動けなくなりますから、状況が文字通り雪ダルマ式に悪化します。そうなると先頭の横向きの車を撤去しただけでは復旧せず、除雪を強いられますが、当然除雪車は使えませんから、スコップで人海戦術の除雪作業になり、前の車から順繰りに進路を確保して動かすという作業を延々と続けるしかありません。故に多数の車が長時間閉じ込められる事態となった訳ですね。

一方JRの上越新幹線は何事もなかったように平常運行してますし、在来線も遅延はしたものの、運行はされていました。勿論このことが鉄道一般が雪に強いことを示す訳ではありません。上越新幹線はトンネル区間が多く、明かり区間も雪対策がされているので運行に支障がなかった訳ですが、在来線。はそうでもない訳です。在来線規格の北越急行ほくほく線は新設時に雪対策をしていたので雪に強く、年間運休日の少なさから過疎地に関わらず沿線需要を掘り起こすことに成功しています。要は備えがあるかどうかで変わってくる訳です。

とはいえ占有空間が巨大な高速道路で例えばスノーシェルターで覆うとかは現実的に難しいですし、降雪量が多いと除雪も間に合わないとなると、結局状況に応じてチェーン等のすべり止め規制をしたり事前告知して通行止めにするかしか手段はありません。今回も東日本高速道路が除雪で対応可能とした判断が甘く事前告知の通行止め措置を取らなかったことがこの事態を招いたと言うことはできます。その東日本高速道路はこちらでもトラブルを抱えます。

東京・調布の陥没、工事との因果関係認める 東日本高速:日本経済新聞
調布の外環道工事と陥没の因果関係を結局認めてこれから補償交渉となります。専門家からは、1つは切羽のドリルが岩盤層に当たって振動が生じた結果の砂礫層の液状化と、直径15mのトンネル躯体が地下水脈を遮って地下水位のバランスが崩れて隆起と沈下が起こったという2点が指摘されています。後者は工事個所を境に広範に隆起と沈下が認められる衛星観測の結果とも一致しており、共に蓋然性が高いということで認めざるを得なかったという流れです。

つまり鉄道に比べて高速道路の占有空間の巨大さが災いしたとも言える訳で、その分道路整備は巨額の費用が掛かる訳ですが、実際道路と鉄道では財源にも大きな開きがあります。これ風邪と共に去りぬでも指摘しましたが、災害復旧でも予算規模の差を見せつけられる結果となっています。道路の負荷を抑える意味で道路予算を鉄道投資に回すことは合理性がありますが、日本では全く顧みられません。前エントリーで指摘したようにEV普及のみならずモーダルシフトも視野に入れなければ温室効果ガス排出削減も難しいですし。

一方密を避けるということで車利用は増える傾向にありますが、関越道のマヒもその影響が出た可能性はあります。そして年末年始の帰省シーズンですが、自粛の掛け声の一方、お盆も帰らなかったからと車帰省へのシフトも考えられます。但しそれでも無症状の陽性者が実家の高齢の両親に感染させるリスクはある訳で、慎重に対応すべきと考えます。てことで私も正月の親族の集まりは自粛です。

しかし政府の無策ぶりはどうしたものか。「Go TO 止めない」と言っていた前言を翻したりニコ動で「ガースーです」と言ってみたり5人以上の会食自粛を言いながら8人の会食をしかもハシゴとかスベりまくってます。スベり芸なのか?笑えないけど-_-;。

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Sunday, November 29, 2020

飛べないジョナサン

まずは地を這う話題です。

台車亀裂で溶接部に欠陥 南海ラピート、安全委報告:日本経済新聞
南海ラピートの台車枠亀裂問題で運輸安全委員会の報告書が出ました。報告書によると2005年にメーカーの住友金属(現日本製鉄)が実施した台車枠の補強で溶接不良があってそれが亀裂の原因というものです。これ結構深刻な問題じゃないでしょうか。

台車は鉄道車両の荷重を支え安定走行を支える重要パーツであり、当然強度を求められる一方、重量が嵩むため、軽量化の要請も大きく、実際かつてのボルスタ台車からボルスタレス台車への変化もありますし、阪急や東京メトロなどのボルスタ台車も、車体直結の上揺れ枕と台車枠へ荷重を伝える下揺れ枕で心皿と左右の側受の3点支持で下揺れ枕と台車枠の間に枕ばねを置くものではなく、車体と上揺れ枕の間に枕ばねを置いて下揺れ枕と台車枠を一体化して水平方向の偏倚を拘束するボルスタアンカーと呼ばれるリンク装置を備えたものになっており、軽量化が図られています。

そのため台車枠にかかる応力も複雑化している訳で、何らかの理由で補強が必要になったとしても、ユーザー施工は難しく、メーカー施工にならざるを得ないのですが、その頼みのメーカー施工で補強プレートの溶接が原因で亀裂が生じた訳ですからユーザーである鉄道会社としてはどう捨て良いのかって話ですね。溶接熱による歪みが残って金属疲労が生じたと考えられます。これつまりユーザーから見たプロダクツのブラックボックス化の中で、頼みのメーカーの技術に疑問符が付くことを意味します。しかし企業経営者にその認識があるかどうか。7現場力に頼って無茶ぶりして凌いできた企業ほど根深い問題です。その文脈でこのニュース。

三菱重工、国内3000人配置転換 国産ジェット事実上凍結:日本経済新聞
コロナ禍で透明航空機需要の回復が見込めないということで、MRJ改めMSJの開発を凍結し社員の配置転換を行うというニュースですが、重要ン阿野は中止ではなく凍結ということです。国産ジェット旅客機の開発は国家プロジェクトとして国の資金も拠出しているため、国(経産省)が許さないということで、プロジェクトは継続されますが、開発の遅れの間にブラジルのエンブラエルの旅客既部門をボーイングが買収することが発表され、ボーイングの販売網を当てにしていた三菱重工を慌てさせました。737MAXの墜落事故とコロナ禍でそれどころじゃなくなって見直されましたが、コロナ後の需要回復も見通せませんし、中国が国産ジェット旅客機の開発を先行しており、コスト面で対抗は難しいと見られます。

しかも開発の遅れは米GE製の新型エンジンで省燃費を売りにする予定が遅れたため、ライバルのエンブラエルやボンバルディアに燃費性能で追いつかれており、市場環境も厳しさを増しています。そして米FAAの型式証明の取得が躓きの石となりました。日本企業にとっては初めてのことで対応が後手後手になった訳ですが、そのため外国人技術者を大量採用して開発現場に投入したら、現場で飛び交う言語が英語に変わり、日本人技術者を困惑させ、現場のコミュニケーションを破壊して更に遅れを増長しました。

これ長崎造船所のダイヤモンドプリンセス号建造の時の混乱と同じ轍を踏んだ訳です。経験のない豪華クルーズ船の建造を請け負ったものの、不慣れな作業で遅れたため、外国人技術者を投入してスピードアップを図った結果、建造中の火災事故を引き起こすというトラブルで、結局納期を守れず追加のコスト負担もあって結果的に赤字受注となった訳です。頭痛くなってきた。

てことで飛べない国産ジェット旅客機の顛末ですが、長崎と言えば前エントリーで軽く触れた飛べないかもめもありますね^_^:。22年秋頃に九州新幹線長崎ルートの武雄温泉―長崎間が暫定開業しますが、和製英語のフリーゲートレインと呼ばれる軌間可変車(GCT)の採用断念をJR九州が決めたことで、フル規格の孤立線として暫定開業を迎えます。

長崎新幹線の問題は散々取り上げましたが、おさらいすると元を質せば鹿児島ルートで佐賀県域を通過することから負担を求められ、当初予定されていなかった新鳥栖駅の設置を滑り込ませる苦肉の策で対応したものの、この時点から佐賀県の不信感はありました。加えて長崎ルートは当初スーパー特急案で進んでいたこともあり、佐賀県の負担は軽微でした。この点はGCT採用でも基本的には変わらなかったのですが、一方で肥前山口―諫早間が並行在来線として切り離し対象となったことに鹿嶋市など切り離し区間の沿線自治体が反対して揉めて、結果的には上下分離でJR線として維持することで決着しました。

という具合にトラブルが絶えませんでした。加えて元々有明海沿いの軟弱地盤問題があって、費用負担が大きくなる危惧があり、また福岡都市圏で必ずしも新幹線を必要としていない立地条件もあり、GCT導入で在来線を維持する条件で同意したという経緯があったのに、JR九州のGCTっ導入見直しでフル規格化を言われても同意できない訳です。そもそもGCTは技術的には無理があり、実現不可能と考えておりましたので、JR九州の対応も国(鉄道・運輸機構)の甘言に乗せられたとも言えますが、南海ラピートの台車枠の亀裂問題に見るように、足回りの無理な限界設計は安全に直結する問題を孕みます。とはいえ佐賀県から見ればご都合主義もいいところで、態度を変えることは難しいでしょう。

ってことで飛べないかもめのジョナサンは神になり損ねた?また並行在来線問題は大村―諫早―長崎間でも不確定で、上下分離となれば自治体負担が出てきます。まだまだ揉める要素は残っている訳ですね。

おまけ、大村市内に新設予定の新駅が新幹線併設の新大村ともう1つ大村車両基地だそうで、後者h駅前に県ろう学校があるところで、一瞬五方面作戦の闇で取り上げた常磐線北柏や天王台のように車両基地建設のバーターかと頭をよぎりましたが、建設費は大村市が負担ということで、通常の請願駅でした。とはいえ駅前は県立ろう学校という立地で特に開発計画がある場所でもなさそうですし、そもそも駅名にふさわしいランドマークが無いから大村車両基地を駅名にせざるを得なかったということのようです。

新大村駅を含めて市の北側に位置し、新幹線駅と長崎空港が至近ということもあり、開発の重点を北へずらすことは考えられている可能性はあります。とはいえ孤立線のフル規格新幹線とコロナ禍で激減した航空需要と視界不良の現実が立ちはだかりますが。

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Sunday, November 22, 2020

米大統領選よりコロナで沸く珍ラリー

やっと政府も Go To 見直しですが、3連休前ならともかく、人の移動を抑える効果は限られます。結果的に来月になって感染拡大が進んで忘年会全滅から年末年始の帰省や初詣も自粛で消費低迷は目に見えてます。目先の経済を回すことに拘るあまり、大局を見失っている現状は Go To コロナ不可避です。社畜は正月も帰らないかも。

てことで実体経済グダグダが避けられない中で、株価の好調が目立ちます。特に米市場の好調が世界を牽引している訳ですが、あれほど揉めた米大統領選に対しては、結果的に大して反応しなかった一方、米ファイザーとモデルナが相次いで開発中のワクチンの有効性の高さを発表した結果、市場は沸いて所謂ワクチンラリー状態になったことが大きいです。

ワクチンはウイルスを意図的に投与して免疫を働かせて抗体を形成することで予防や軽症化の効果を得るものですが、当然発症のリスクもある訳で、そのため生ワクチンではなく病原性を弱めた不活化ワクチンが主流ですが、そもそもウイルスの分離、培養に時間がかある上に、不活化も複雑な処理を要するため、とにかく開発にも製造にも時間がかかりますし、量産による供給体制の構築もにも時間と費用が掛かります。また安全性の検証のための治験を経なければ認証を得られず、実際の供給開始には数年かかるのが通常です。

しかし米2社のワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)を利用する新技術が使われており、この点でも注目されるものです。遺伝子の本体であるDNAが細胞核の中で折り畳まれていて門外不出で温存されている訳ですが、タンパク質の設計図である遺伝子が実際にタンパク質を生成するには、長いDNAの一部を状況に応じて転写して細胞液に放出します。RNA転写と呼ばれるものですが、こうして放出されたRNAがmRNAと呼ばれ、複数のアミノ酸をつないでタンパク質を生成する際の触媒となり、役割を終えれば解体されます。

そこでCovid19ウイルスの表面タンパク質を解析して対応するmRNAの塩基配列を調べれば、RNA自体は人工的に生成できるので、そうして生成されたmRNAを投与することで、ウイルスの表面タンパク質が生成され、免疫反応で抗体が作られる結果、免疫獲得につながる訳です。そして治験の結果良好な有効性が証明されたということで市場が湧いた訳です。ウイルスの培養や不活化のプロセスも不要なので、量産体制も組みやすいこともあり、市場が好感した訳です。

しかし問題もあり、特にファイザーのワクチンは摂氏マイナス70度で保管しないと有効性が保てないということで、輸送や医療機関での保管体制の構築に時間がかかるとすると、普及までに時間を要することになります。加えて抗体を増やすと免疫の暴走を招く可能性もあります。これ不要不急の臭い話で指摘したコロナの重症化が免疫の暴走の可能性とつながってきます。つまりワクチン投与が重症化のトリガーになる可能性がある訳で、安全性の判定が難しくなります。特に既に抗体を獲得した既発症者への投与は危険を伴うことが考えられます。てことは事前に抗体検査が必要かもしれない訳です。その抗体検査の精度の問題もあり、実際の使用には慎重さが求められます。

とはいえ今の株式市場は悪い材料はスルーして良い材料を模索する傾向が顕著なので、とりあえず株価上昇のエンジンとしては十分という評価になる訳です。米大塔陽陵泉書き部下に影響しなかったのも、バイデン優勢ならトランプ以上の財政出動が期待されるからで、ブルーウエーブの実現が今のところ未定ですが、議会選が意外と接戦となったことで、金融規制やハイテク規制もマイルドになるという期待が注目されましたし、またコロナがどう転ぼうが今後も大規模な財政出動が避けられない中、FRBが金利上昇抑制に動くから、結果的に金融市場を支える余剰マネーの供給が続くと見られ、実はこれが一番の要因だったりします。国のマクロ経済政策が予想可能というのが、市場にとっては一番の安心材料ってことですね。

ただこれは同時に投資のリターンの減少を招くことでもあり、実物経済で言われる投資収益逓減の法則が金融投資にも及んだと見れば、これ長期的には投資資金を溶かし続けるプロセスを意味します。日本のバブル崩壊後の経済低迷が示すのは、オイルショックを乗り越えて実物経済のチャンピオンの地位に上り詰めた日本が、潤沢な資金をITなど次世代技術への投資に回さず財テクと称するマネーゲームに興じた結果が示します。今の日本は過去の栄光で得た蓄えを溶かし続けている訳です。世界がそれに追いついてきた訳です。

その一方で新興国のキャッチアップは続く訳ですが、とりわけ規模の大きい中国の台頭が典型的ですが、ITで従来の新興工業国がの成長プロセスを単純になぞるのではなく、途中段階を飛び越えて成長することで、寧ろ世界最先端はどっちだかわからない状況が出現している訳です。それを伺わせるのがハイブリッド・シビル・ウォーで取り上げたアントフィナンシャルグループの上場中止ですが、続報が出ました。

アリババ創業者、共産党と根深い対立 アント上場、習氏が反対:日本経済新聞
香港と上海の市場への上場を目指し手続きを終えて上場審査をクリアした後での急な上場中止ですが、習近平氏の反対があったようです。アントはアリババのEC市場出店事業者向けに資金調達を支援する事業で成長した訳ですが、実態は銀行との仲介が中心で、アント自身のバランスシートに融資資産がほとんど計上されておらず、主にECデータによる信用スコアを利用した信用補完が中心ですが、決済サービスとしてのアリペイの存在がその下敷きになっている訳で、リスクを銀行に取らせて仲介手数料はしっかり取るというビジネスモデルで、言ってみれば良いとこ取りな訳です。

ただ実際問題としてアリババに出店する零細事業者は銀行融資を受けにくい現実がある訳で、銀行システムの未熟さが背景にあります。故に創業者の馬雲(ジャック・マー)氏から見れば、当局の銀行規制の不合理が見える訳で、それを公言したことで当局批判と取られたということで、習近平氏が怒ったtってことのようです。

但し注意が必要なのは、中国は人民元の国際化を推進しており、IMFの助言に従って人民元の流動性を高め、管理変動相場制への移行などを着々と進めている訳で、米ドルの基軸通貨体制下では国富がアメリカに流出することを避けられない現実を悟ったからですが、その足許で金融規制を巡る当局批判と取られる発言が問題視されたってことですね。これ実はフェイスブックの暗号通貨リブラを巡る西側諸国のブロックと通底する問題です。

ビットコインがトランザクションへの計算能力を提供するマイナーへの成功報酬として発行され実物資産の裏付けが無い一方、リブラは米ドルなど主要5通貨を保有してその通貨バスケットを裏付けとして発行されるので、法定通貨と紐付けされたという意味でステープルコインと言われますが、かつての金本位制時代にも各国金融当局は裏付け資産以上の通貨発行をしていましたし、ブロックチェーンを用いるシステム自体に信用創造の機能があることから、リブラの事業領域は伝統的な銀行業と被ることになります。

故にリブラに銀行業免許を求めるなどして事実上阻止した訳ですが、アントの顛末はある意味その中国版と見ることができます。ブロックチェーンは用いないけど、ECや決済システムの運用で得られた信用スコアを用いるアントのビジネスモデルは、既存の銀行業の領域を侵犯する可能性がある訳です。と見ると、アントの上場中止は単なる独裁体制の弊害とばかり言えない訳です。勿論武漢封鎖と同様にトップの鶴の一声で事態が動くトップダウンの仕組みは中国らしいと言えばらしいところですが。

翻って日本では低金利による銀行の収益悪化で地方銀行が特に窮地に陥り、地銀再編が言われますが、さっぱり事態は進みません。寧ろコロナ禍での緊急融資もあって様々な支援スキームはあるものの、例えば経産省の信用保証制度は単なる銀行融資の付け替えによる融資行のリスク回避に使われ、企業が破綻すれば国民負担という理不尽な仕組みですし、日銀が打ち出した無利子無担保の緊急融資も間もなく満期を迎えますが、融資先の状況は改善からほど遠く、銀行は借り換えを躊躇している状況です。倒産ラッシュはこれから本番と言われるゆえんです。

地方私鉄で特に観光輸送に依存するところはコロナ禍で苦しんでますが、それでも日銭が稼げる鉄道業はそれなりに耐性はあります。但しいつまで持つかという問題もありますが、そんな中でこんなニュースを見つけました。

自虐的?赤字の島原鉄道「赤字ボールペン」発売 珠玉の一本、目指すは黒字:毎日新聞
長崎と言えば長崎新幹線問題がホットですが、現状の整備新幹線の枠組みでは佐賀県の態度が変わらない限り武雄温泉―長崎間の離れ小島で赤字必至の飛べないかもめになりそうですが、インバウンド消滅で窮地にある島原鉄道は自虐ネタで勝負ってことですね。鉄道を支えるにはキャッシュフローが大事なんで、銚子電鉄の濡れせんべいのような奇跡を起こすかどうか、注目しましょう。

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Sunday, November 15, 2020

厳冬に向かって Go To コロナ

寒冷化で人の免疫力が低下する一方、乾燥でエアロゾル化して長く空中をウイルスが浮遊する季節になり、感染拡大が続きます。

新型コロナの感染拡大が続きます。国内感染 過去最多の1700人超 新型コロナ:日本経済新聞
とはいえ政府の動きは鈍いままです。国内では第3波と言われますが、第1波と第2波は、緊急事態宣言による自粛期間がありましたから、ひと連なりと見て良いでしょう。欧米も厳しいロックダウンを経て規制解除と経済活動解禁を進めた結果の感染再拡大ですし、欧米で猛威を振るう第2波と同時進行と見る方が実態に近いと考え、ここでは第2波の表現に統一します。

第2波の影響で為替市場がドル安ユーロ安にシフトする中、円高回避の手が無い日本もコロナ禍で打開という与太が冗談と言い切れない現実があります。緊急事態宣言時も医療崩壊阻止が言われ、それを理由にPCR検査を増やさないという謎理論がまことしやかに語られたことは忘れちゃいけません。その結果、確かに医療崩壊は防げたかもしれませんが、解除後に感染拡大が起き、所謂国内第2波と言われた訳ですが、その後の感染高止まりもあって消費の戻りは遅く、Go To も当初東京都が除外されたこともあり、最初はボチボチな感じでしたが、先月の東京都解禁で明らかに様子は変わりました。

観光地は久しぶりに人があふれ活気が戻っていますが、それと共にジワジワ感染が微増傾向を見せ、感染拡大局面に至ったとすれば、新型コロナの発症に至るタイムラグにほぼ符合します。また寒冷地の北海道の感染拡大にも注目すべきです。緯度的に欧米と同緯度であり、欧米の感染拡大とほぼ同じタイミングで感染拡大が見られている状況です。本来ならばとりあえず北海道のGo To は除外をすべき局面ですが、結局除外は見送られました。経済優先の結果感染拡大すれば、結局経済が冷えるという当たり前のことが見えていないようです。風邪ひかない人たちに政権を委ねた結果です。

コロナ対策こそ最優先課題の筈ですが、行政DXや携帯料金値下げには熱心な一方、コロナ対策には消極的です。第2波感染拡大は避けられない状況です。政府が当てにできない状況ですから、政府に言われるまでもなく、自助で身を守るしかありません。ヤレヤレ。

結局非常事態宣言による医療崩壊を回避できたとはいえ感染を封じ込めた訳ではないので、自粛を解除し規制を緩め Go To で人の移動を促せばこうなる訳です。せめて自粛期間中に検査と隔離の拡大や医療分野への支援でICU拡大が為されているならばともかく、それもありません。尚、一部で病院は暇でベッドも空いていると主張されていますが、隔離病棟は感染防止のため気密減圧が必要ですし、人工呼吸器や人工心肺も扱える医療スタッフを揃えないと使えない訳ですが、そのためのマンパワーを整えるのは簡単ではありません。しかも負荷のかかる病院は一般診療の減少で収入が減っていてボーナスカットなどで退職者まで出ている状況です。Go To よりもこちらに予算を配分すべきですが放置されてます。

ホント何やってんだかって話ですが、16日に7-9月期GDP速報値の発表があります。予想では年率18%を超える高い伸び率ですが、これ前回の27%減の数字に対するもので、しかも年率換算ですから高い数字になりますが、落ち込んだ分の半分程度の戻りに過ぎません。財政出動で下支えしてもこんなもんなんですから、元には戻らないと見るべきでしょう。今後の感染状況によっては今後さらに下がる可能性もあります。そんな中で鉄道各社の上期中間決算が出そろいました。

鉄道18社、全社が最終赤字 今期計1.2兆円 減収は32% 固定費削減急ぐ:日本経済新聞
各社でそれぞれ事情が異なりますが、JR3社では運輸収入比率の高いJR東海が売り上げの落ち込みが大きい一方、利益率の高い新幹線の陰で赤字幅は相対的に小さくなります。私鉄大手は各社各様ですが、長距離輸送や観光輸送の比率が高い近鉄が厳しい他,成田空港輸送の蒸発した京成、関連事業のホテル業の不振で西武HDが落ち込みが大きいのが目立ちます。一方定期券比率が高く安定している小田急、京王は株価が上昇に転じるなど各社ごとに事情が異なります。

JR東日本は成田s空港輸送の不振のほかに、整備新幹線リース料として課されている負債を抱えてますから、JR3社の中では特に苦しい立場です。故に7終電繰り上げや通勤定期値上げなどをいち早く打ち出しましたが、コロナ後の需要回復は8割と見ていることが前提です。安定収入に寄与する筈の通勤定期売上はリモートワークで減少してますし、夜のクラスター対策で終電近くの乗車率が下がったことが終電繰り上げにつながる訳で、経営環境を反映した事業の見直しは避けられません。

JR東日本の特急踊り子のE257系置き換えに伴い、185系の現役引退が発表され、それに伴って朝夕の湘南ライナーも特急湘南となり、踊り子の自由席廃止と相まって実質値上げとの恨み節も見られます。自由席の廃止自体は常磐線のひたち/ときわ、高崎線のゆけむり/草津/あかぎ、中央線のあずさ/かいじで先行しており、座席予約状況を示すLEDランプで車内検察を省略する合理化の一環で、車両更新に合わせて踊り子・湘南にも適用されたってことですが、ライナー列車を廃止して特急化ですから、値上げの要素はあります。

タイミング的にはコロナ禍と被っている訳で、湘南ライナーの特急化は需要低下の中での増収策の気配はあります。逆に密を避けるという意味で受け入れられる可能性もありますし、特にとかいなかリモートワークという新たなトレンドの創出につながる可能性もありますので、企業としてのJR東日本としてはチャレンジしたいところでしょう。逆にインバウンドの蒸発で苦しむ他社でも、着席サービスの積極的展開はあり得ます。需要が元に戻らないとすれば、客単価を上げて増収を図ることは増えてくると考えられます。問題はそれが容易ではない地方では難しいってことです。

逆に気になるのが自動運転への傾斜です。山手線では既に試験が始まっていますが、東北新幹線でもE5系で試験を粉うと発表されてます。JR東日本が目指すのはドライバレスということで、車掌相当の保安要員を添乗させるけど運転業務は行わないことを想定しており、現状の地下鉄などのATOの先を狙っているんですが、心配なのは異常時に確実に列車を止められるのかですね。福知山線の事故でも運転士の異常を車掌が止められなかったように、事態の把握と対応が適切に行えるかどうかは未知の問題です。

組合が強ければ会社側に慎重な対応を申し入れることでけん制が働きますが、JR東労組大量脱退が起きたことが懸念材料です。鉄道の場合乗務員が事故の責任を問われる立場ですが、裁判の支援も含めて組合の支援があることで、過重な責任追及を回避できますし、会社側と保安装置の仕様や運転規則の見直しなどを交渉して組合員を守ることで、会社側の行き過ぎた合理化をけん制できるんですが、それが難しい中で、しかも経営に逆風が吹く中で、適切なシステム開発や運用が可能かどうかは危ういところです。

ドライバレス関連で言えば、中央リニアも基本ドライバレスになります。これは従来の鉄道と違って地上コイルへの給電で列車を制御するシステムですから、ドライバーは不要ですが、その分地上側からの遠隔操作になります。これケーブルカーなどでは当たり前ですが、2列車の釣瓶運行という単純な仕組みならともかく300kmを超える距離を複数列車で運行する訳ですから、AIレベルの運行管理システムを構築して監視するようなシステムになる訳で、異常時の緊急停止や乗客の安全な避難誘導が可能なのかどうかは未知数です。このレベルの実証実験は40kmほどの実験線だけでは不可能ですから、建設後の全線試運転での走り込みをして熟成させるしかありません。開業を急ぐJR東海の姿勢には疑問符が付きます。

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Saturday, October 24, 2020

仲良きことは美しき哉かな?

京王線を下って仙川の掘割を抜けると視界が開けるところがあります。仙川は台地の上の高地なのですが、入間川とはいっても埼玉のそれとは異なる野川の支流の都市中小河川が谷を刻み河川敷状の低地が広がる地形に繋がります。故にこの間下り勾配で、高松吉太郎氏がここを疾走するダブルポールの四輪単車の写真を残しております。大正期の貴重な記録ですが、当時と佇まいがほとんど変わっていないある意味貴重な場所です。そんな場所での出来事です。

住宅街の道路陥没、東京・調布 付近でトンネル工事:日本経済新聞
調布市は10年ほど住んでたことがありまして、土地勘のあるところです。入間川を挟んで東つつじが丘と若葉町が隣接しておりますが、若葉町は武者小路実篤が晩年居を構えていたところで、旧居は実篤公園・記念館として一般公開されております。居宅は重要文化財に指定されています。

白樺派の重鎮で日本における空想社会主義者としても知られる文豪ですが、宗旨替えして戦争礼賛に転じ、政府に協力したということで、戦後公職追放の憂き目にも遭っております。そんな文豪が愛した武蔵野の面影も今は昔、入間川沿いの低地も宅地開発されていますが、今回の出来事はそんな場所で起きた訳です。地下では東日本高速道路会社による東京外環自動車道の建設工事が進行中で、所謂大深度地下にシールドトンネルを掘り進めていた場所でもあります。今のところ因果関係は不明ですが、川沿いの低地で地盤が弱いと考えられますから、無関係ではないでしょう。当然ながら外環道の工事は凍結されました。

都市部の地下トンネルは、ビルの基礎杭などと競合するため、地権者の同意を必要とします。・ややこしいですが地下トンネルを掘るために地上権を設定し地権者に金銭補償をする必要がある訳で、例えば地下鉄半蔵門線の九段地区では地権者の同意がなかなか得られずに開業が大幅に遅れたりしました。調布市でも外環道の構想に対して多くの場所に「外環道絶対反対」の看板が掲げられておりました。元々掘れば水が出るほど保水量の多い地域ですし、地下を通すにしても揉めることは確実だった訳です。

それが法改正でビルの基礎杭も届かない地下40mi以上の大深度地下層は山岳トンネルに準じて地権者の権利が及ばないように改正され、外環道も将に大深度地下層にシールドトンネルで通すことで決着した訳です。但し危惧する声が無かった訳ではありません。というのも、山岳トンネルでも過去にトラブルが発生しており、例えば丹奈トンネルの工事で水源を絶たれた地上部分では灌漑用水が得られなくなってますが、国家総動員体制の中で反対の声は上げられませんでした。

上越新幹線でも中山トンネルの大湧水でルート変更を余儀なくされましたし、大清水トンネルの湧水が原因と考えられる水上温泉や越後湯沢温泉の源泉の一部枯渇問題などが起きています。補償装置は講じられましたがトンネル湧水は続いており、大清水(おおしみず)ブランドの飲料販売で活用されてます。この辺は民営化でやり易くなったとは言えます。

ということで外環道の工事も遅れそうですが、思い出されるのがリニア静岡工区のJR東海と静岡県の対立です。一部報道で河川管理を静岡県から政令市の静岡市へ移譲されれば解決するという観測もありますが、仮にそうなっても大井川下流域の自治体との調整は必要で、静岡県が動くことになります。また静岡県もリニア工事に伴う道路整備には奥大井の観光開発の思惑から理解し期待する部分もある訳で、静岡県がリニア工事の邪魔をしているという理解は現実とは異なります。上記の丹奈トンネル工事の経緯もあり、静岡県は条例で厳しい環境アセスメントを求めている一方、JR東海は基準を満たすデータを出さないから膠着していることは指摘しておきます。

この辺のJR東海の姿勢は五方面作戦エントリーで指摘した国鉄時代からの独善性とバーター主義で相手を黙らせる流儀を疑わせます。そしてこのことはリニア談合事件でも垣間見えます。

リニア談合、大成・鹿島が無罪主張で結審 判決は21年3月:日本経済新聞
既に大林組と清水建設の2社は分離公判でtyy材はk熱dが出され、罰金と課徴金も確定していますが、無罪を主張する大成建設と鹿島は公判が続いているのですが、動機法定で指摘したように、分離公判で大林組はJR東海の要請を受けて作成した「星取表」と呼ばれる工区別の予算と受注会社を記したエクセルワークシートという動かぬ証拠を提出してバラしちゃった訳で、有罪判決は動かないでしょう。同時に被害者である筈のJR東海が談合を実質的に差配していたことも明らかになりました。

そのリニア工事も大深度地下トンネル区間があります。元を質せば事業費圧縮を求めるJR東海の姿勢が談合の原因でもある訳で、それだけ儲けの少ない工事を請け負うゼネコン各社がギリギリの見積りを立てている訳で、トラブルが無いとは言い切れなません。てことでゼネコン同士の暴露合戦と化したリニア談合裁判ですが、業界の亀裂は簡単には修復できないでしょう。

仲良き事は美しき哉

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