都市間高速鉄道

Sunday, September 02, 2018

社畜の国の人工知能

暑さも峠を越したようですが、この暑さが今年だけのことで終わりそうにないのがつらいところ。ただでさえ高温多湿な日本で40℃は厚い風呂に入っているのと同じです。佇むだけで体力を消耗するレベル。ホントに2020年にオリンピックやるのか?死人出るぞ。

温暖化の影響は指摘されますが、現象はやや複雑で、温暖化による北極海の海氷減少で太陽輻射熱の反射が減って海水温が上昇し、その影響で偏西風が蛇行した結果、大陸のチベット高気圧が居座る一方、太平洋高気圧が押し上げられてチベット高気圧と合体。高気圧が上下に重なる形となり、強烈な下降気流が地表にぶつかる断熱圧縮という現象が起きて、気体の性質上圧力が増すと温度が上がる訳ですから、あの異常な暑さになった訳です。ディーゼルエンジンの原理ですな。多湿の日本だから山火事は起きにくいけど、積乱雲の発生で大雨は起きやすい訳で、利水優先の日本のダム治水の欠点も露呈しました。これ2015年の鬼怒川の決壊のときにも指摘された問題ですが、スルーされた結果の西日本洪水と見れば、人災と考えられます。

2年前のエントリーでお盆に家に帰るご先祖様と社畜についてですが、観念の産物であるご先祖様と違って物理的実体である社畜は、お盆シーズンの混雑や渋滞という外部不経済を引き起こす存在でもあります。ただ固定費負担の大きい鉄道事業者にとっては、長期休暇でビジネス利用が減る部分を帰省客が埋めてくれるありがたい存在でもあります。

新幹線は言うに及ばず、殆ど印刷代ぐらいしかコスト負担の無い青春18キップも、休校シーズンの普通列車の穴埋めになることから、周遊券など国鉄時代から続く企画商品が悉く廃止や見直しがされる中で存続しています。ただし2020年のオリンピックを睨むとこれが大きな障害になりかねないってことで、混雑対策が問題になってきます。まさか2020年夏の青春18は利用規制されるかも。社畜受難の東京五輪かも。

てな状況も生産年齢人口の減少で求人難となってくると、いつまでも社畜に頼る日本経済の持続可能性に疑問符が付くようになります。そこで慌てて子育て支援や外国人労働者の拡大を打ち出すものの、何度の指摘してますが、前者は支援に必要なマンパワーを取られて求人難が酷くなりますし、後者は移民受け入れを伴わない形で労働ビザの発給条件を緩和するものの、5年で国へ帰れってことになると単純労働しかできないし、労働力人口として定着できませんから、結局求人難の緩和にはつながりません。求人難で汲々とするような仕事は海外へアウトソースして付加価値の高い仕事が国内に残るような産業政策で人口が減っても1人当たりGDPの水準を維持するような政策へのシフトが必要です。とはいえこれが難題です。日経の連載コラムでこんなのがあります。

(モネータ 女神の警告)それぞれのジレンマ(2)41兆ドル、年金の自縄自縛 運用難、逃げ水の利回り :日本経済新聞
公的年金のジレンマを扱った記事です。これアメリカの話ですが、公的年金に共通するジレンマを表します。これも以前指摘しましたが、高金利時代に制度設計されて見直されないまま規模が拡張した結果、池のクジラとなって債券市場と株式仕様の双方で相場を持ち上げた結果、運用利回りが低下して運用難に陥っている訳です。米FRBが利上げしても長期金利が上がらないのは、ちょっと金利が上がると年金の買いが入って金利が下がってしまう訳です。その結果長短金利差が圧縮され金融仲介機能を低下させているって話です。株式の場合も株価収益率(PER)の低下が顕著ですから、基本的に同じ原理が働いています。

マイナス金利を導入した日本と結果的に似たような状況が出てきている訳ですが、年金の持続可能性への懸念は日本だけの問題じゃないってことです。日本の場合は少子高齢化による年金会計のストレスと解説されがちですが、日本でも大元の原理は同じです。とかく言われる日本の年金制度は賦課方式だからってフレーズに騙されちゃいけません。年金関連法のどこにも賦課方式なんてフレーズはありません。単純に高金利時代の設計で運用利回りを過大に設定した結果、積み立て不足が起きたってことで、アメリカと同じなんです。日本の場合低金利が長期間続いたこともあり、運用利回り自体は見直されてますが、それでも4.1%ですから、日銀の金融政策もあって長期金利が0%程度の現状では逆ザヤは無くなりません。

で、GPIFの国内株式や外国証券投資というリスク資産運用を余儀なくされるわけですが、当然相伴逆回転による損失の可能性がありますし、少しばかり積立金が増えたところで給付が増える可能性はないってことも押さえておきましょう。現状積立金は制度存続のためのバッファとsての資本勘定として機能しているわけですから、無理に積み立て不足を解消しようとせず、寧ろ報酬比例部分の支給上限を設けることで基礎年金部分を保全するのが現実的です。積立金は既に取り崩しが行われており、換金が容易な日本国債はともかく、国内株式や外国証券などは市況によって損失が出ることは避けられません。まして投資規模から言ってもGPIFの売りは相場を押し下げて損卒を拡大します。運用利回りを現実的なレベルに下げることでリスク投資を減らすことが必要です。こういう本質的な議論を避けて年金改革は実現しません。

少子高齢化問題と年金問題のリンクを外せば解決策が見えてきますが、労働力不足の解消をどうするかって話でAIに飛び付く議論が安易になされる現状はやはり問題です。次の2つの記事をご覧ください。

自動運転の波、公共交通に 日の丸交通とZMPが実験  :日本経済新聞
JAL、想定超すAI効果 新システム躍進 今期一転増益も :日本経済新聞
東京で自動運転タクシーの実証実験が始まったって話ですが、バス・タクシーなど公共交通も求人難が深刻化してますが、同時にウーバーやリフトはどのライドシェア対策という側面もあります。個人的ンはギグエコノミーで雇用を圧迫するライドシェアには否定的な立場ですが、いずれ規制緩和で認められるなら先回りってことでしょうけど、この思惑は失敗確実でしょう。

自動運転でも2地点間の単純なシャトル運行ならば、現在の技術水準でも可能なんで、実際大手町―六本木間を4往復というものです。一応ドライバーは乗車していて緊急対応する形ですが、なんでいきなり東京のような大都会でこれやるかなあ。大都市の道路事情は複雑で、アイコンタクトが使えない無人自動運転には不向きです。加えて光源が多くセンサーがノイズを拾いやすい環境でもあります。欧州で実施されている6人乗り自動運転コーチを特定ゾーンで走らせるって方向性が正解なんです。これなら現行の技術で無理なく可能だし、より深刻な過疎地の公共交通問題への対応につながります。

他方ライドシェアは有償運行の記録データが大量に発生することが注目され、トヨタをはじめ世界の有力自動車メーカーが提携に走るわけです。実走行のデータが大量に得られれば、それを解析することで、様々な状況に対応した自動運転ソフトが組めるわけです。世界に技術トレンドを読み間違えているわけです。

もう1つのJALのニュースが示唆するのは、AIの活用法の在り方が示されていることです。破綻後の社内改革で運航部門が各便の予約状況に応じて機材の入れ替えを機動的に行い、空席を減らしつつ機械ロスを最小化する取り組みの結果、機材繰りの最適化という航空会社にとって重要なレベニューマネジメントの基礎データの蓄積がったから、死すt無効親なわせてAIを導入したら、需要の予約精度が上がって搭乗率が向上し収益を改善したものです。しかも座席単価の高いビジネスクラスを減らしてエコノミークラスを増やしたにも拘らず、安売りチケットを減らして増収につながったものです。AIの活用は元データの質に左右されるっている身も蓋もない話ですが、アメーバ経営の浸透故の成果と言えるでしょう。

加えてAIに限らず機械化全般当てはまりますが、並行処理によるマルチタスクの実現が、労働生産性の向上に寄与して1人当たりGDPの水準維持に有効です。そのためにはマルチタスクを可能にする環境整備、IT投資に留まらず、ビジネスプロセス全体の見直しが必要なんですが、日本のマネジメント層はこの分野は無能です。

てことでAIは社畜の置き換えにはならないし、PCやスマホと同じくITリテラシーの有無で差がつくって話です。もっと言えば処理速度で見れば低性能な自分の生身の脳の活用すらできていないでAI活用なんて夢のまた夢。日はまた沈むな。

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Sunday, August 05, 2018

変節黒田節

黒田如水の話じゃなくて、黒田は黒田でもこっちね。

日銀、金融緩和運用柔軟に 長期金利の変動容認  :日本経済新聞
2%の物価目標を掲げた日銀にとっては事実上の敗北宣言ですが、緩和終結とか出口とかは言えないから、フォワードガイダンスとしての緩和継続にコミットしつつ、副作用に配慮して、長期金利の変動幅の拡大容認とETF購入の見直しに言及したものですが、いかにも苦しい言い訳です。

具体的にはイールドカーブコントロールと称して長短金利差を0%̟±0.1%の誘導目標を変動幅0.2%まで容認することと、従来日経平均連動ETFを主体に実施してきたETF購入も、大手企業の多くで日銀が筆頭株主になるという珍事が起きて、市場の歪みが無視できない状況になってきたことから、購入額を減らした上でTOPIX連動ETFにシフトするって話です。

後者は単なる株価維持策と批判されてましたし、実際国債と違って償還がないからいつかは売らなきゃならない訳で、このままのペースでの購入は無理ってことです。いずれも事前に市場関係者の予想の範囲で、その意味ではサプライズはないんですが、既に緩和縮小から利上げへ向かう米FRBと英BOE、マイナス金利のまま緩和縮小を打ち出した欧州ECBに続いて日銀も政策転換と見られて世界で一斉に金利上昇が見られる状況となりました。

流れとしては短期決戦だった筈の異次元緩和でも物価上昇は見られず、マイナス金利にまで踏み込んでも却って円高になったりと当初の目論見がくじれてきている中で、寧ろ副作用への批判を受けるるばかりで、しかも想定外の長期の緩和で出口が難しくなるということで、日銀事務方で検討が進められ、黒田総裁もその方向へ立ち位置をシフトしたってことのようです。ただし若田部副総裁、原田委員、片岡委員の3人のリフレ派が納得せず、フォワードガイダンスとしての緩和継続を言うことでまとめたってことです。

リフレ派に言わせればまだまだ追加緩和の余地はあるそうですが、その割には具体策の提案はない訳で、ザックリ言えば実務上やむを得ない判断なんだけど、対案も出さない反対派を懐柔するための表現と見るべきでしょう。実際の物価の動きは2014年4月の消費税増税時を除いて顕著な動きはなく、金融政策で物価目標を達成すること自体が無理というのは既に結果が出ているのですが、リフレ派に言わせれば、消費税増税で消費が腰折れしたせいだってことになってます。実際は14年4月前後で駆け込み消費とその反動としての落ち込みは見られますが、均せばフラットなトレンドは変わらず、単に需要を先食いしただけで、増税による消費腰折れは事実に反します。

当ブログでは当初から異次元緩和を批判し続けてきましたが、こうなることは目に見えてたわけで、正直アーアとしか思いません。リフレ派を中心に異次元緩和してもハイパーインフレは起きてないじゃないかと言われますが、長期的にハイパーインフレの可能性はありますが、当ブログで言及してきたのは、異次元緩和にしろマイナス金利にしろ、金融圧迫にしかならないってことを言い続けてきました。実際銀行の利ザヤが圧縮されて地方銀行では赤字決算も散見される状況です。

その一方で金融庁による地方銀行改革の掛け声も空しく、ビジネスモデルの見直しは進みません。その意味でシェアハウス融資で実績を積み上げて地銀の優等生と持て囃されたスルガ銀行が不正融資だったというオチですが、そうでもしないと借り手が見つからない現実があります。

一方で融資先を見つけられずに、新発国債を引き受けて日銀に高値で買ってもらう所謂日銀トレードはメガバンクや信託や証券の牙城で地銀の出る幕無し、イールドカーブコントロールで国債トレードそのものが利ザヤを得られなくなる中、外債投資に手を出したりしてますが、これもFRBの利上げで金利上昇の洗礼を受けて時価下落で損失を計上するような状況です。しかも為替ヘッジ無しのところもあるようで、今後為替が円高に振れれば差損が発生します。ファンダメンタルズを見る限り、インフレ率の差で円高へ触れるのは間違いないところです。

てな具合にハイパーインフレのずっと手前のTころで問題山積でして、今後日本発の金融危機の可能性が高まっているというのが実際のところです。米中貿易戦争の展開如何で日本の金融危機に飛び火することを覚悟しといた方が良いでしょう。五輪の前か後かはわかりませんが。

米中の貿易戦争はアメリカがかなりガチにやってますね。思えば北朝鮮問題も中国の衛星国である北朝鮮を中国から切り離す目的だったとすれば全て解けます。北朝鮮との和平プロセスはベトナムを意識したもので、ベトナムは戦争終結後、中国との対立を経てASEANに加盟し、ドイモイ政策で改革開放を掲げ、今やASEANきっての親米国です。加えて分断国家の韓国が性急な統合を望まず南北の緩い連合というアイデアを出してきたので、これに乗っかったってことですね。南北連合はASEANがお手本になります。政治体制の違いを踏まえて経済交流を深化させることで当面は良しとしており、経済支援で米企業の出番も期待できるってことですね。つまりアメリカにとっては中朝分断がテーマで核問題は脇へってことです。

しかし米朝首脳会談の前後で中朝が急接近したことが誤算だったのでしょう。和解ムードも漂っていた米中摩擦がアメリカの一方的な制裁で急展開したのはそのためでしょう。中国も対抗策を打ち出すものの、米ドル基軸通貨体制の下では資本逃避の心配もあり、いずれ折れるしかないでしょう。その時に習近平指導部が国内世論を納得させられる理屈を編み出せるかは結構微妙です。

ニクソンショックで金の裏付けを失った米ドルがなぜ強いかですが、戦略物資である石油貿易を米ドル建てにすることに成功したことによります。ブレトンウッズ体制下では米ドルのみが兌換券で主要国通貨は米ドルとの固定相場だったわけですが、金融の歴史を紐解くとわかりますが、そもそも金本位制の歴史は意外に浅く、18世紀に英イングランド銀行(BOE)の兌換券発行が始まりです。その前にフランスのルイ15世に仕えた経済顧問ジョン・ローの兌換券がありましたが、不換紙幣発行のよるリフレ政策の失敗でフランス革命を呼び込んだのは有名な話です。リフレ政策は既に歴史上失敗が記録されてるんですね。

で、ジョン・ローはフランスを出国して難を逃れたんですが、一説によればBOEの設立に関わったそうです。つまりフランスでの失敗を踏まえて、中央銀行自身が金を大量保有して貨幣の信用の裏付けとした訳です。これに続いて周辺国も中央銀行制度を導入し、複数の国で金を保有していたわけですから、金本位制採用国同士の取引の円滑化にも寄与し、欧州経済が世界をリードすることになりました。

つまり金本位制は実は中銀の金保有を通じた金価格の安定によって機能したわけで、銀本位制のスペインや中国の没落が新大陸と日本の銀山増産による銀価格下落による経済混乱だったことからすれば、クレバーな方法です。ちなみに黄金の国ジパングと言われた日本が金本位制を導入したのは明治期にイギリスを手本にしたもので、黄金の国が自国資源を活かせなかったほろ苦い歴史です。江戸時代の日本でば米が事実上の信用の源泉でした。

そういう意味でたとえ経済的に強大であっても、アメリカ1国の金本位制は持続可能ではなかった訳ですが、石油取引を米ドル建てにする縛りはある意味石油本位制とも言うべき信用の裏付けになっているわけです。多くの国は石油の輸入の必要から米ドルを外貨準備として保有することになりますし、オイルショックで価格変動のリスクもあるから、多くの国で石油は戦略備蓄されるわけです。

丁度金本位制時代の金の役割を石油が肩代わりした形ですから、ある意味アメリカだけの金本位制よりも安定している訳です。これ石油だから備蓄が可能なんで、天然ガスはLNGにすれば冷却しなきゃならないし、気体のガスでは体積が大き過ぎてやはり保有コストがバカにならない訳で、石油だからこその特性です。この観点から言えば燃料電池を駆動する水素社会はもっと難しい訳ですが。

今のアメリカはそのドルの強みを活かし、敵対国の企業等に米銀取引禁止の制裁を科すことで、事実上国際経済から締め出すことが可能ですし、そもそも銀行の取引記録から不正な取引を炙り出せるという意味もあり、これマカオのバンコデルタアジアの北朝鮮関連資産の凍結で北朝鮮にダメージを与えたことが思い出されます。思えばこれで金正日総書記の信用を失った金正男氏が失脚したんだとすると、金正恩の北朝鮮はアメリカが生み出した鬼子ってことかもしれません。

だから持っていても使えない金食い虫の核兵器よりも、金融制裁の方が相手国に深刻なダメージを与えられるってことを事実を以て体験しているアメリカが、北朝鮮の核問題を脇へやれる理由でもあります。トランプ政権侮るなかれです。

そんな日本の暗い近未来に思いを馳せながらこのニュースです。

次世代新幹線 飛行機の牙城崩せ JR東日本  :日本経済新聞
記事中にもありますが、盛岡以北の整備新幹線区間でのスピードアップが課題ですが、祖日報で秋田新幹線の在来線区間の長大トンネルによる短絡が検討されてますし、大宮以南の最高速110km/hを防音壁の改良で130km/hにスピードアップすることは発表済みです。

これJR東日本が自社保有する資産だから、改良投資が可能だし、動産部分は減価償却できるので、スピードアップによる受益を減価償却費で控除することで内部留保できますが、鉄道・運輸機構が保有する整備新幹線区間の追加投資はそうはいきません。特に縦曲線の緩和は路盤を作り直すに等しい費用がかかりますから、何らかの国の支援策無しには不可能でしょう。まして140㎢/h制限の青函トンネル貨物供用区間は尚更です。ま、金融危機が起きればそれどころじゃなくなるけど。

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Sunday, July 22, 2018

西のスットコドッコイ

北の次は西ですが、スト労組繋がりで八晃運輸の強豪参入に身構える両備バスのストの顛末が興味深いものです。小嶋社長のローカル路線廃止発言に反応して八晃運輸の参入反対を掲げて労微バス労組がスト通告したもので、両備側から見れば自業自得のような展開ですが、拳を振り上げた労組側も簡単に引き下がれず膠着したところ、交通系NPOのリーダーの発案で集改札ストに落ち着いたという顛末です。

集改札ストはかつて京王帝都電鉄労組が、都内で並行する小田急電鉄労組のスト不参加に対応して始めたものですが、戦術的にインパクトが後退するとして行われなくなりましたが、運行を止める本格ストのノウハウを失った現在の労組からすれば、集改札ストは有効な戦術かもしれません。要は労組が使用者側を話し合いに引っ張り出す手段なんですから、昔ながらのストに拘るのも変です。労働三権として法令でも保護されている権利なのに、使えないなら無いのと同じです。高プロ制度が成立した中で、労組が労働者を守れなければブラック企業が蔓延る結果になります。

で、この話題はここまで。スットコドッコイの本題はこちらです。

長崎新幹線、整備方式の議論長期化へ 決定先送りで  :日本経済新聞
これ何度も話題にしてますが、結局軌間可変車の採用をJR九州が断念し、孤立する九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)をフル規格で整備しちゃったからさあ大変。全区間フル規格を求める声の一方、佐賀県が強硬に反対しているのが現状です。佐賀県にしてみれば軌間可変車の採用を前提に賛成したのに話が違う津尾いうわけです。

佐賀県の言い分は、整備区間が軟弱地盤地帯なので、事業費が上振れして負担増となることを嫌っているのですが、佐賀県の態度には市bン鳥栖駅のゴタゴタも絡みます。元々予定の無かった新鳥栖駅が設置された経緯は、県域をかすめるだけの九州新幹線鹿児島ルートで負担を求められ、ならば駅を作れという条件闘争の結果なんですが、冷静に考えれば県域がほぼ福岡都市圏に属する佐賀県にとっては、鹿児島ルートの完成で在来線の線路容量が空けば増発余地が出るわけですから、そうれで十分でもあります。軌間可変車は当初大阪直通が謳われていたこともあり、これも条件闘争として賛同したものです。

しかし過去に何度も指摘しましたが、軌間可変のメカニズムは車軸の重量増となるわけですから、線路を痛めるバネ下重量の増加となる一方、車体サイズは在来線レベルですから、線路を痛めるのに輸送力の劣る厄介者なわけで、しかも最高速を270km/hとしたため、その後の新幹線高速化には対応できず、山陽新幹線を所有するJR西日本にとっては迷惑な存在というわけで、国交省も大阪直通は無理として九州内運用を言い出す始末。そうなると高価な軌間可変車を入れるメリットはJR九州にはない訳ですから、採用断念は当然です。加えて鹿児島ルートでも山陽新幹線直通のみずほやさくらは好調な一方、九州内を走るつばめは冴えない状況です。

元々高速バスが高頻度に走る中で、新幹線開業前のつばめや有明はほぼ普通運賃並みの格安回数券で乗客を繋ぎ止めていたのが実態です。新幹線の高額な料金を負担してまでの利用は少なく、在来線特急の廃止で寧ろ高速バスの利用が増えている現状ですし、それどころか新幹線と接点のない西鉄天神大牟田線が好調ということで、部分開業の長崎新幹線の悲惨な未来を暗示します。余談ですが、やはり高速バスが好調な北海道でも、北海道新幹線の札幌延伸は悲惨な結果が予想されます。

加えて仮にフル規格/ミニ新幹線の何れかで整備が決まってもという博多南線問題という難関があります。博多―博多総合車両所間はJR西日本の所有で、博多南線はJR西日本の路線として営業しているわけで、長崎sん幹線が繋がっても増発余地は限られます。博多南駅は那珂川町にとっては生命線の路線で、廃止は無理です。近くに西鉄バス中川営業所がありますが、47系統大橋駅経由博多駅・天神行きのバスで1時間の道のりですから、廃止すれば人口流出、地価下落は避けられません。

新幹線欲しさに地域の事情を顧みずに強引に進めた結果、深刻な地域の分断に直面している訳で、スットコドッコイも極まれりです。

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Monday, July 16, 2018

北のスットコドッコイ

前エントリーの続きです。本題に入る前にこのニュース。

人口、最大の37万人減 生産年齢人口は6割切る  :日本経済新聞
死亡数と出生数の差の自然減が39万人で海外との転出入を加えて37万人の減少ってことです。当然ながら15-64歳の生産年齢人口の減少はもっと多いわけです。都道府県別では東京、埼玉、千葉、神奈川、の首都圏4都県と愛知県と沖縄県のみ増加ですが、そのうち自然増は沖縄県だけで、他の5都県は転入超過による社会増ですから、その分地方の人口減の勾配もきついわけです。

あと外国人の増加が16万人ってことですが、いろいろ問題が指摘される外国人技能実習生だけでも25万人を受け入れていて、その他留学生や高度スキルの就労ビザ対象者もいるわけですから、純増が16万人ってことは相当数の帰国外国人がいるってことです。移民や永住権取得が難しいからこうなるわけで、人手が足りないから外国人就労を拡大といっても、現実の生産年齢人口の減少には追い付かないわけです。人口減という現実を受け入れるしかないわけです。

この状況を踏まえて以下をお読みいただきたいんですが、事故や不祥事が重なって先行きが危ぶまれているJR北海道に未来はあるか?っていう話です。JR北海道もJR総連系のJR北海道労組が組織率8割を超える中で、JR東日本と明らかに異なる労使関係があるわけです。

元々赤字基調だからってことで経営安定基金が与えられ、その運用益で赤字を補填するスキームだったわけですが、90年代半ば以降の低金利によって赤字補填が果たせなくなり、基金の積み増しをした上で現状(独)鉄道建設運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)への預託で高金利運用という事実上の利子補給による補助金でどうにか最終赤字を回避している状況です。

加えて事故の原因となった老朽設備の更新も国の支援を得ながら進めている状況なのですが、事故や不祥事の背景として、JR北海道は益出しのために努力してきたんですが、その結果必要な人手確保がままならなくなり、それが事故の遠因となったり、データの錯誤に見られる不祥事につながったわけですね。その意味で強面の労組は役割を果たせなかった訳です。

JR北海道で起きていたのはおそらく労使の癒着だったと思われます。それ故現場の人手不足もゴマカシがまかり通る状況だったと考えられます。そんな状況を変えようとしたのが自殺した中島社長って話がここへきて出てきています。

そのために島田現社長を総務部長に据えて労組との交渉窓口の一本化を狙ったものの、JR北海道労組は反発して険悪になった状況で、事故や不祥事が重なって国交省の立ち入り検査を受けることになり、JR北海道労組も協力を約束していたものの、直後に札幌労基署による本社社員の36協定違反の摘発があり、労組側が態度を硬化して島田総務部長の関連会社出向を余儀なくされたという経緯がありました。それで追い詰められての自殺ではないかという見立てです。

本社社員もJR北海道労組に所属していたのだから、労組側が知らなかった筈はないと言われてますが、おそらくこれ本社社員だけの問題じゃなかったんじゃないでしょうか。各現場で人手不足が起きていて、36協定順守ところじゃなかったとすれば、そりゃ事故や不祥事も起きるし、労組側からの改善要求もあったはずです。しかし増収とコストカットに励む経営陣を動かせなかったという意味で、労組側からすればスルー出来ない問題ではあります。労使の癒着自体は日本の大企業で結構見られますが。

というわけで、国主導で島田氏の社長指名と設備更新補助金の交付が決まったものの、覆水盆に返らず、労使関係は険悪なまま、後ろ盾のない島田社長は指導力発揮もままならない中で、自力での維持が困難な線区を発表し、自治体にボールを投げたのが現状です。ただ現実的には冒頭の人口減のニュースに見られるように、北海道で言えば札幌都市圏以外の地域の人口減少は今後も続くと見るべきですから、その中でJR北海道が必要な人手を確保して現在の規模を維持できると考えるのは現実的ではありません。人口動態に合わせて身を縮めるのはほぼ唯一の現実解でしょう。

自治体にとっては青天の霹靂でしょう。元々人口減少が止まらず、財政再建団体に指定された夕張市はいち早く廃止を受け入れ、JR社員の出向など条件闘争で実を取った形ですが、夕張支線のように単一自治体だからという面もあります。廃止若しくは公的支援を求めるエリアは広大で、広域自治体としての北海道の対応が待たれますが、高橋知事は経済や人口の状況が分割民営化時と著しく変化していることを理由に国に対応を求めています。財政負担を警戒してという側面はあるものの、経営安定基金による赤字補填もままならず、沿線人口の減少も収まらない中で、交通政策基本法を盾に対応を迫られても受け入れられないってのは正論です。

加えて国絡みの問題も多数あります。例えば北海道新幹線の札幌延伸問題も、JR北海道は自治体との合意を得て国に要望してきたものの、時期の問題が見通せないまま、札幌駅の新幹線駅スペースと見込まれていた駅南の用地に駅ビル(JRタワー)を建てたことで、道庁などから非難されましたが、商業スペースとして価値の高い遊休地の有効活用は当然の話ですし、建設時点で札幌延伸は決まっていませんでした。

その結果新幹線札幌駅の位置問題が二転三転して大東案に決まったのは最近のことです。北海道新幹線の札幌延伸が前進して2030年開業が決まったものの、駅をどうするかで迷走したわけです。当初北口側に新ホームを作って順繰りに振って1,2番線を新幹線用に転用する案が提案されたものの、既に北口の開発が進んで支障する建物が多数あると断念され、西案、東案、地下駅案が検討されたものの何れも却下され、修正東案として1番線南にギリギリ設置可能な1線分のスペースを新幹線上りに充て、1番線を新幹線下りに転用した上で東へ延伸して在来線とずらして設置する修正東案に落ち着いたものの、これも東日本大震災を受けて耐震補強が必要となり、結局在来線駅から離れた元の東案を大東案として決まったものです。位置的には札幌市営パーキングがあるということで、新幹線ターミナル駅設置のスペースも十分な上、駅前に新たな再開発ビル建設の可能性もあり、JR北海道の経営にもプラスと評価されますが、地権者の札幌市の意向は現時点で不明です。

あとJR貨物問題もあります。北海道の農産物を消費地の首都圏や近畿圏に輸送する上でJR貨物の役割は大きいのですが、それが結果的に線路を痛める原因にもなっております。加えてJR貨物は国の支援を得て設備強化投資をした結果、ドライバー不足によるトラック輸送からの移転もあって黒字転換が見込まれる状況ですから、格安な線路使用料を強いられてきたJR北海道には見逃せない問題です。まして株式上場まで取り沙汰されてますから尚更です。

温暖化の影響もあって北海道が稲作適地になりつつある現状もあり、競争力のある農業が叫ばれる中、その競争力を維持する意味で市場アクセスに欠かせないインフラとしての貨物鉄道という視点から、国の関与を強める余地はあります。貨物輸送のためにJR北海道の路線の一部を国の所有としてJR貨物やJR北海道に留まらず、自治体出資の三セクが第二種事業者としてローカル輸送に参入する余地を持たせるあたりに着地点があると思いますが、国が動く気配はありませんね。

加えて訪日外国人が増えている中、北海道観光人気で新千歳空港の利用が増えており、千歳線支線(南千歳―新千歳空港)が単線で空港駅も1面2線のため、対応しきれていない状況にあります。そこで新千歳空港駅を移転して3面4線とし、外側2線を千歳線につなげ、途中で単線を分岐して石勝線につなげる改良案が提案され、2022年の完成を目指すとされてますが、事業費は1,000億円規模になるということで、費用負担を巡ってひと悶着ありそうです。

実現すれば複線のまま空港新駅へ入れるだけでなく、苫小牧方面や帯広方面からも直接アクセスできるようになり、輸送力面に留まらず利便性も改善されますが、よく考えたら自衛隊と共用時代の千歳空港ターミナルビルとこ線橋で直結だった千歳空港駅(現南千歳駅)の機能を取り戻すだけであり、民間空港分離で誕生した新千歳空港のターミナルビルが離れた位置に作られたから仕方なく単線の空港支線を作った訳で、ここでも国の政策に翻弄された現実があります。しかも費用負担の問題でおそらく国の支援制度活用となるでしょうけど、JR北海道の事業縮小構想もあり自治体との調整は微妙です。また滑走路下のトンネル工事など難工事も予想されます。

あとこの問題は思わぬところへ飛び火しております。コメントを頂いたはまださんにご指摘いただいた日本ハムファイターズの北広島ボールパーク構想です。ダルビッシュや大谷をメジャーリーグへ送り出しながら若手の育成で実力を維持し、人気球団となったファイターズですが、不自由な札幌ドームに不満を抱いていたわけですが、ポスティングの補償金を得てそれを活かしたボールパーク構想を発表し、自治体向けに誘致コンペを行うというスキームを打ち出したところ、応札して勝ち抜いたのが北広島市です。

元々市民運動公園整備を構想し広い用地を確保していたところへ、ファイタースのコンペでボールパークをコア施設としてアクセスも千歳線に新駅を作って直結というもので、JR北海道にとっては増収策になるから大歓迎かといえば、空港輸送で線路容量に余裕のない状況では、寧ろ負担になりかねないということでご議論を呼んでいます。竣工予定は2023年3月ですが、空港新駅がそれまでに完成している確率はかなり低いと言えます。

さて、一番のスットコドッコイは誰?

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Sunday, June 10, 2018

ポピュリズムで仕方ネーション

G7サミットを前に制裁関税を打ち出した米トランプ台帳料ですが、制裁対象となったカナダやEUが猛反発。報復合戦の様相を見せてますが、冷静に見ればこれアメリカに有利な喧嘩なんですよね。報復対象国は何れも対米貿易黒字国ばかりで、制裁関税に報復関税を課しても、より経済的に打撃を受けるのは経済規模が相対的に小さい黒字国側なんで、ある意味アメリカは負けない喧嘩を仕掛けているわけです。

しかも米経済はとりあえず好調です。それもトランプが仕掛けた税制改革の結果が効いているわけで、自信の裏付けにもなってるわけです。そのトランプ税制ですが、従来居住地課税だったアメリカの法人税を源泉地課税にシフトした大改革なんですが、仕向け地課税をぶち上げて引っ込めたこともあり、その一方で盛り込まれたレバトリエーション税制(レバトリ税)と共に、日本の報道では扱いが小さいものの、現在のアメリカの経済好調に寄与していることは間違いありません。住宅バブルに沸いていたリーマン前と似た構図で、実際オートローンなどでバブルの気配はあるものの、単体ではより小粒で、それ自体で経済ショックに至る可能性は低いとは言えます。

リーマン前と大きく異なるのが石油価格でして、リーマン後の中国の財政出動をはじめ先進国の落ち込みを新興国が支える構図から、原油先物が買われて原油高が実現したわけですが、それがアメリカのシェール革命につながって、従来コスト面で採掘が難しいとされたアメリカの国内油田開発に火が付き、生産量でサウジアラビアやロシアと肩を並べるレベルまで生産量を増やしました。その結果OPECとロシア・メキシコなど非OPEC諸国の協調減産により安値で増えた消費国の備蓄を減らし、今は奇妙な均衡を保っています。加えて気候変動対策としてのCO2排出削減の動きで再生エネルギーの技術革新による価格破壊が起きて、原油価格の上昇は末端の消費を冷え込ませるまでに石油依存を減らしたことも寄与します。

その結果ドル高と原油高の共存という「今までにないパターンが出現しています。一番割を食うのは原発事故の影響もあってCO2排出を増やしている日本だったりします。ドル円はあまり動きが見られませんが、これはドル高と連動して円が上昇しているからで、ドル以外の通貨に対しては円高が進んでおり、一方原油をはじめ輸入に頼る資源の輸入決済はドル建てですから、日本企業は原料高と円高に苦しむということですね。唯一対米輸出だけは例外ですが、すでに鉄鋼アルミで制裁関税を課され、いずれ自動車も対象になりそうですが、アメリカに物言えぬ日本政府です。例えばこれ。

トランプ氏、拉致問題の提起を明言 米朝首脳会談で (写真=AP) :日本経済新聞
北朝鮮に拘束されていた3人の米国人の救出にCIAが秘密交渉に動いて取り戻した一方、圧力一辺倒で直接交渉してこなかった日本はアメリカに「お願い」するしか手はないんですが、当然ディールのバーターで二国間協議を迫られております。加えて米朝協議で朝鮮戦争終結となれば、北朝鮮の復興資金として日本の戦後補償が求められるのは必然ですから、トランプ政権との距離の取り方を間違えると、負担ばかり押し付けられる結果となります。この辺意図的に進めているとすれば、トランプ大統領はかなりの曲者です。

そもそもトランプ大統領は選挙で自分を勝たせてくれた有権者に対しては約束を守ろうとしております。移民排斥もTPP離脱もパリ協定離脱も公約通りですし、イラン核合意離脱やイスラエルの米大使館エルサレム移転もそうですが、ある意味愚直に取り組んでおります。米朝会談もオバマ大統領の戦略的無視政策を転換した結果と喧伝できる状況にあり、トランプ大統領自身が前のめりになっている状況です。ことほど左様に従来のエスタブリッシュメント層に支持された政治エリートの逆張りという意味では一貫しているわけで、こういう大統領を選んだアメリカ国民の声を反映しているわけです。だから旧来の政治エリートが好んで使うポピュリズム批判は寧ろ国民の喝采の対象になるわけですね。ポピュリズムの裏に約束を果たさない政治エリートへの失望があるわけで、これ先進国の多くで見られる現象です。その1つがBrexitだったりするわけですが、ある意味欧州はポピュリズム先進国でもあります。

イタリア、一転コンテ内閣発足へ 3カ月の政治空白に幕  :日本経済新聞
総選挙から3か月の空白を経てやっと新政権が成立したイタリアですが、単独過半数を獲得した党はなく、比較第一党の五つ星運動の連立協議に同盟が乗って新政権発足となったのですが、主に南部の低所得層を支持基盤とする五つ星運動と元々北部同盟と称して工業地帯で富裕な北部の分離独立を主張してきた同盟とは主張がかなり異なります。喩えて言えば日本の立憲民主党と維新の会が連立組むようなあり得ない組み合わせですが、反EUの一点で共闘しようというものです。

EUは元々アルザス地方の資源争奪戦で紛争が絶えなかったドイツとフランスの紛争解決のために独仏とベネルクス3国で締結された欧州石炭鉄鋼同盟(ECSC)が前進で、その後加盟国を増やしながら市場統合を目指し関税同盟から通貨同盟へと進化してきたもので、欧州共同の家といった理念を掲げ、加盟国の主権の一部を肩代わりしつつ機能を拡大してきたんですが、結果的に欧州の政治エリートによる官僚組織としての性格が強まってきました。これ穿った見方ですが、27省4独立市2特別行政区の上位に君臨する官僚組織たる中国共産党との相似形になっているわけです。

特にユーロ導入の矛盾が噴出したのがギリシャショックだったわけですが、今回のイタリア新政権にはその時の負のイメージが付きまといます。元々ユーロ圏全体の経常収支はほぼ均衡ラインにありましたが、ギリシャショック後黒字基調に転換しております。これつまりユーロの為替レートが割安な結果と見ることができますが、その安いユーロのメリットを享受するのがドイツなど一部の国に偏っており、フランスですら赤字基調から抜け出せない状況にあります。

南欧諸国は元々地政学上のリスクを抱えておりまして、例えばギリシャは冷戦期に東欧圏に属していたバルカン諸国やイスラム諸国との境界の位置にあり、NATOのメンバーとして過大な軍事費負担を強いられてきました。つまり元々財政が窮屈だったのに、EUに加盟して厳しい財政運営を迫られた結果ですから、ある意味ギリシャショックは必然だったと言えます。

その意味で冷戦終結もありNATOメンバーでありEUへの加盟を希望してきたトルコがEU加盟を果たせば状況は改善するかもしれませんが、キプロス問題がネックで足踏みする結果になっております。キプロスはギリシャ系住民主体のキプロス共和国(南キプロス)とトルコ系住民主体のキプロス連邦(北キプロス)で対立が続く分断国家ですが、EUは南キプロスの加盟を認めております。分断国家の片方だけの加盟ということ自体が状況を複雑にしておりますし、スコットランドやカタルーニャの独立を認めないEUの姿勢からしても違和感のある対応です。その南キプロス国民の多数がギリシャ国債を保有していたことで、ギリシャショックでパニックに陥り、ビットコインへの資本逃避が起きたことも知られております。南欧地域のEUに対する不信感は根深いのです。

その意味でイタリアの新政権がどんな政策を打ち出してくるかは注目されますが、EU離脱を模索するときに避けて通れないユーロ離脱に道筋をつける可能性のあるミニBOTと呼ばれる政府保証債券発行が検討されているところに注目しております。政府保障債券とは財政資金の資金繰りのために政府が発行する短期の無利子国債のことですが、それを小口化して流通させることを考えているようです。つまり政府紙幣の発行ということですね。

実際には流通のためのインフラがなければ機能しないわけですが、フィンテックを活用して電子決済システムを構築するなどすれば、リアリティが出てきます。実際新政権がどこまで本気かわかりませんが、二重通貨状態を意図的に作り出してユーロ離脱のショックに備える意味もあります。加えて一定量が決済手段として流通すれば、その分の信用創造によって財政運営が楽になるわけですね。五つ星運動が目指す所得移転政策がやりやすくなるわけです。

ただしリスクもあります。元々放漫財政と見做される政府が発行する債券ですから、信用度を維持できるのか?ってことですね。当面ユーロベックで発行量を慎重に管理するとしても、財政需要を満たすレベルまで発行量を増やせるのか?財政の都合で過剰発行されないか?といった疑念が付きまといます。日本のQQEが財政規律を失わせたようなことがあり得るわけです。


イタリアはシリア難民が押し寄せる位置にあることも大きく、元々英仏両国の石油権益保護のために泥沼化したシリアから押し寄せる難民の受け皿という損な役回りをいつまでも引き受けたくないわけです。難民の定住は非熟練労働市場に供給過剰をもたらしますから、貧困層ほど影響を受けます。こういった現実に国民国家(ネイション)をリードしてきた政治エリートが解決策を提示できないことが、有権者の反乱を招いたわけです。ポピュリズムを安易な大衆迎合主義と見ることでは解決につながらない訳です。

この辺のことがEUの鉄道政策にも影響している可能性があります。TGVに始まる高速鉄道の整備ですが、一時EU統合の象徴的な事業として熱狂的に進められましたが、事故が起きたり寧ろ地域間格差を拡大した疑いが持たれたりして見直されております。結果的に鉄道ビッグ3の一角に数えられたシーメンスが鉄道部門をライバルのアルストムに売却した訳です。中国が国策で中国北車と中国南車を統合して中国中車として世界一の規模を実現したことへの対抗策という見方も可能ですが、シーメンスにしてみれば、IoTなど元々強みがあり、ドイツ政府のインダストリー4.0政策とも整合的なところへの選択と集中をを狙ったと見るべきでしょう。ある意味欧州の鉄道事業は最先端ではないという見切りと見ることができます。

翻って日本では相変わらず中途半端な整備新幹線に入れ込んでますが、北海道新幹線の不振を直視すべきですね。仮に札幌延伸が実現しても青函トンネル区間の貨物との共用がネックで本数も増やせないしスピードアップもできないわけで、いい加減目を覚ませと言いたいところです。

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Sunday, May 13, 2018

国敗れて鉄路なし?

加入権維持で今どき意地でADSLでやせ我慢してたら通信障害ですが、NTTも最早メタル回線のメンテナンスをまともにやる気がないらしく、渋々ひかり電話へ切り替えましたが、新年度で引っ越しシーズンってことで工事スケジュールが混み合ってて1箇月を超える空白期間を余儀なくされました。そんな中でスマホのフリック入力でアップした前エントリーの見通し通り、北朝鮮を巡る情勢が急展開しております。南北首脳の本気とノーベル平和賞期待のトランプ大統領の色気が妙にかみ合ってきております。

慌てたのは日本政府。何しろ日米安保体制の前提となる朝鮮戦争の終結につながる話なんで困ってます。朝鮮戦争は現在休戦中ですが、韓国は休戦協定に参加しておらず、頭越しに米朝で休戦というねじれた状況です。元々は北朝鮮の南進に対して安保理決議で朝鮮国連軍が組成され、在日米軍に総司令部を置く形だったのですが、現在の休戦ラインに押し返すのがやっとで、国連軍参加国の撤退が相次いで今の形になった訳ですが、当時の韓国政府が休戦を認めず協定に参加しなかったわけです。

にも拘らず総司令部を米軍が抑えているから韓国軍が独自の軍事行動はできないわけで、事実上韓国軍は米軍の下請け機関のような扱いになっておりました。故にベトナム戦争への参戦も強要されましたし、韓国の世論の不満も大きく、停戦となれば韓国軍はその呪縛から解放されることになります。文在寅大統領への世論の支持はこういう背景があるわけですね。

シンガポールで行われる米朝首脳会談でどこまで踏み込むかはわかりませんが、共同宣言が出されて停戦協定と平和条約の締結のための実務者協議が始まるというあたりが落としどころでしょう。実務者協議がすんなり進むかどうかはともかく、枠組みとして不可逆な形になるということで、停滞はあっても逆戻りは無いという見立ては成り立ちます。

そうなると在韓米軍と在日米軍のの扱いが問題になるのですが、韓国として在韓米軍の全面撤退までは望んでないでしょうけど、朝鮮半島の非核化というのは、核保有国であるアメリカの核持ち込みも無くすってことも含みますから、どういう妥協点を見いだせるかはこれからの話です。

厄介なのが在日米軍でして、朝鮮国連軍総司令部がある三沢基地のほか、在日米軍の相当部分が朝鮮国連軍としての駐留なんで、縮小することになるんでしょうけど、在日米軍の任務は非公開で、どこまでが朝鮮国連軍としての任務なのかはわからないわけです。日本政府がきちんとアメリカと交渉する必要がありますが、黙っていれば事実上アメリカのフリーハンドになりますし、場合によっては北朝鮮のミサイルの標的になるリスクもあります。

一方でアメリカはイラン核合意からの離脱を決めました。今のところ他の5カ国が踏み止まっていて、アメリカの追加制裁も発動までの猶予期間があるということで、市場は安ど感に包まれておりますが、火種であることに変わりはありません。というわけで、市場は膠着し、円高予想はやや肩透かしですが、これドル高が相殺してるだけですね。FRBの利上げとレバトリ税制(米企業の海外留保益金の税制優遇)で資金還流が起きている状況を反映したものですが、マイナス金利にまで踏み込んだ日銀に追加策がないことに変わりはありません。為替水準の予想はあまり意味はありませんけど。

北朝鮮の問題では日本政府の出遅れは明らかですが、ロシアはどうかと言えば、まあ様子見でしょう。中国の出方次第ですが、朝鮮戦争停戦はロシアが以前から狙っていた北朝鮮を介した韓国との鉄道連絡のチャンスでして、中国が中央アジア経由のチャイナランドブリッジを売り込んでますが、バム鉄道とシベリア鉄道を介した欧州連絡ルートができれば強力なライバルになります。そうなるとロシアがオファーしてきたサハリン経由の日ロの鉄道連携は可能性が絶たれます。ここでも日本は後れを取るわけですね。安倍政権の外交政策は悉く裏食ってます。

かように地政学の変化に鉄道も無縁じゃないわけですが、サイドバーの直近の2冊の本を読んで気づいたことがありまして、JR7社の経営トップが国鉄OBで占められていることです。歴代でもJR東日本の初代社長の住田正二氏が運輸省OBで、大臣と対立して退官していた結果スカウトされたのが唯一の例外です。JR九州初代社長の石井幸幸孝氏の本では人口密度と鉄道の収支の関連をグラフで示していて興味深いのですが、人口減少で収支の悪化が避けられない中で、関連事業の強化で鉄道事業のウエートを下げたJR九州の自慢話こそ具体的な一方、新幹線物流などの提言は国鉄OBの思考の枠組みから出られていないと感じます。

一方川辺謙一氏の本は、日本の鉄道の特徴として利用客の多さを国際比較の中で明らかにし、要因として人口密度の高さと共に鉄道万能主義の存在を指摘してより客観的に日本の鉄道を見ています。例えばニューヨーク地下鉄の24時間運行について、港湾労働者の通勤の足として始まったことを指摘しています。よくニューヨークでできてなぜ東京でできないか?ということが言われますが、これ謂わば港湾都市としてのニューヨークのレガシーでありそのまま東京に持ち込むことはできません。

他にもいろいろありますが、超電導リニアとハイパーループの比較を取り上げます。旧国鉄時代から半世紀に亘って開発が続けられ、着工にこぎつけたリニアですが、人手不足や談合事件の影響で事業の遅れや事業費の拡大は避けられないところ。一方アイデアとしては古くからあるハイパーループが世界的に注目されてます。

きっかけは2013年にテスラやスペースXのCEOのイーロン・マスク氏の提唱で開発が始まり、2017年には実物大モックアップによる試験運行が始まるという風に急ピッチで開発が進んでいます。元々はサンフランシスコ―ロスアンジェルス間のカリフォルニア高速鉄道プロジェクトの対案として提案されたもので、同区間での事業化が目論まれております。

原理は中を真空近くに減圧した鋼管チューブの中を28人乗り程度のカプセルを搬送させるもので、当初空気浮上の計画を永久磁石による磁気浮上に改め、時速760マイル(1,220km/h)を目指すってことで、音速域でジェット旅客機の1.5倍の速さです。若干の勾配への対応は考えられておりますが、曲線走行は不得手ってことで、日本のように平地が狭く山がちな地形では導入が難しいのですが、広い平野部にまばらな人口密度の大陸国にとっては、これぐらいのスピードで航空客すら取り込むようなものでなければ事業化が難しいという側面はあります。

カリフォルニア高速鉄道の事業費は800億ドルに達すると言われますが、需要面を考慮すれば公的支援抜きの事業化は不可能で、州民の理解も得にくい訳ですが、ハイパーループは高速道路に併設することで100億ドル程度の事業費で実現可能としており、開発費も含めてクラウドファンディングで資金集めをしており、投資家の関心も集めているということで、いかにもアメリカらしい話ですが、欧州の鉄道事業者やサウジアラビアなどの産油国も興味を示していて大化けの気配があります。鉄軌道の高速鉄道よりもコストのかかる超電導リニアのマッチョな時代錯誤ぶりに疑問を感じない石井氏もやはり国鉄OBなんだなあと。

そうそうイランと言えば共和制だったのにアメリカの秘密工作でパーレビ国王という傀儡を立てて親米政策に舵を切った結果、イスラム革命を呼び込んだんですが、そのパーレビ時代にイランに新幹線を作りたいとオファーがあって当時の国鉄は大乗り気だったようですが、イスラム革命でご破算になりました。他方アメリカ製兵器の購入で代金を支払った後でイスラム革命が起きて引き渡しが行われなかった結果、イランによる代金返却が求められ、核合意に関連して返却されたようですが、その一部が北朝鮮に流れたという観測があります。核実験やミサイル実験を繰り返してた資金はイランから?ま、国鉄は実害がなくて結果的には良かったんですが。

あと例えば自動運転車の登場に危機感を口にするJR首脳はいますが、欧州では鉄道事業者が自動運転バスの実証実験に取り組んでたりしてて、やはり周回遅れ感が否めません。自動運転車に関しては法制度の問題の方が大きく、現状でも適切なゾーニングができれば導入できるところはそれなりにあると思いますが、そういった議論は進みませんね。

てなわけで、JR経営陣が国鉄OBで占められている現状に危うさを感じます。いずれJRプロパーのトップが登場するかもしれませんが、幹部社員の学歴面で見ると旧帝大卒中心だった国鉄時代とは様変わりしており、JRのような大組織を動かせる人材が出てくるかどうか。というか国鉄OBの覚え目出度い社員が出世して次世代リーダーになるとすると、申し訳ないけどJRの将来は暗いと感じます。

議論を拡張して今や失敗確実のMRJの何が問題だったのかにも触れておきます。ボーイングとエアバスの2大メーカーのラインナップから外れる100人乗り以下の小型機でボンバルディアとエンブラエルが争う中に割り込もうとしたわけですが、新興国の経済成長と共に低燃費の小型機の需要は確実に拡大すると見込まれますから、狙いはわかりますが、安直じゃないかと。

小型機メーカー2社は母国のカナダもブラジルも国土が広く国内に小型機の巨大市場がある訳で、鉄道のシェアが高く国内市場が当てにできない日本で開発する意味を問うたのか?って疑問が湧きます。開発直後にジェット時代になって時代遅れになったYS11ですら、当時国内ローカル空港のジェット化は夢物語だった時代で、ある程度国内で消化できる見込みがあった訳ですが、それすら怪しいプロジェクトがうまくいくと考えていたとすれば大甘ですね。

一方エアバスではバッテリー駆動のモータープレーンを開発中で、フィンランドその他で導入の検討がされてます。現状バッテリー性能の制約から航続距離は数百km程度ですが、国内線で使うには十分だし再生可能エネルギーの活用で石油輸入を減らせるしCO2排出量も減らせるということでのチャレンジです。MRJもこれぐらいのチャレンジがあっても良かったのでは?

てなわけで、魚と大組織は頭から腐るって同じ結論です^_^;。

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Sunday, April 15, 2018

クサレアタマでかわせ円高

米英仏のシリア攻撃ですが、鉄道員の賃下げ法案で不人気のマクロン大統領とBrexitで指導力不足を露呈するメイ首相が正当化の為にアメリカを巻き込んだものですね。

メイ首相にはロシアを悪者にしてEUとの一体感を煽る動機もあります。トランプ大統領もイランと北朝鮮の両睨みの思惑があり、三者三様の呉越同舟、同床異夢。現時点で確実に言えるのはシリア情勢はますます混沌とすることぐらいです。

逆にアメリカの中東へのコミットは北朝鮮との開戦の可能性の低下を意味しますから、米朝首脳会談が注目されます。恐らく米本土を射程に収める長距離弾道ミサイルの開発凍結あたりが当面の落しどころでしょうか。経済制裁も韓国や中国に限っての一部緩和あたりでしょうか。

この辺北朝鮮は周到に事を進めてます。不仲が言われた中国との関係修復も北朝鮮が中国の核の傘に入ると見れば基本アメリカを同盟国とする韓国や日本と対等になるってことですね。

北朝鮮は核弾頭搭載可能な中距離ミサイルを配備してるんだから云々を言う人居ますが、核保有国ではない日本や韓国を北朝鮮が核攻撃するとすれば、米軍が核兵器を持ち込んだ場合だけです。逆にここに反応すれば核持ち込みを疑わせることになります。そっちの方がヤバいだろ。

寧ろ梯子を外されかけて慌ててセッティングした日米会談がシリア攻撃で無意味化したことの方が深刻です。日本政府の外交音痴ぶりは目眩がします。

一応トランプ大統領がTPP復帰を指示したそうで、話すことはあるにしても、TPP再交渉か日米FTAの何れかの選択を迫られます。前者は他の加盟国が認めないでしょうから後者一択で為替条項が盛り込まれるシナリオですね。その意味で米韓FTAで盛り込まれたことが重石になります。

これ自動車の輸入枠拡大と共に韓国の大幅譲歩ですが、米国製自動車の輸入を増やす訳じゃないところがミソでして、あくまでも関税の優遇枠拡大ですから、売れるかどうかは米国メーカー次第ですし、元々非公開の為替介入が疑われていた韓国ですが、リベラル派の文在寅大統領にとっては企業優遇のウォン安より国民生活にプラスのウォン高容認は寧ろ自らの考えに沿ったものでもあります。

南北融和で支持率低下が報じられてますが、元々70%あったものが少し落ちて60%半ばになった程度の話。度重なる不祥事で支持率落としまくりの某国首相とは比べ物にならないほど国民の支持を得ています。

北朝鮮も一連の核ミサイル開発の進捗で外交カードを得たと同時に、カリスマではない若い三代目リーダーとして権力掌握を終えたとすれば、南北対話は必然とも言えます。あとはアメリカとの首脳会談次第ですが、前述の中国の核の傘が保険になります。つまり今以上に事態が悪くなることはないってことです。

さてそうすると対北朝鮮で強硬一辺倒だった日本政府は四面楚歌。シリア攻撃の支持を表明してロシアとの関係も微妙になって、国内は不祥事が止まらない。日米FTAはアベノミクスの自己否定になるし、支持率ダダ下がりで憲法改正どころか政権維持も苦しくなる。

シリア攻撃で市場がリスクオフにシフトして円高は益々進みます。現在の心理的バリアの105円突破は時間の問題でこちらもアベノミクスにはマイナス。既にマイナス金利まで踏み込んだ日銀に追加策は見当たらず、寧ろ銀行の経営を圧迫して銀行危機すらあり得る展開です。リストラを発表したメガバンクよりも疲弊する地方銀行がヤバい。

よく魚は頭から腐ると言いますが、組織も同じでトップが腐ると組織に不祥事が蔓延る訳で、内閣人事局で人事で官僚を操る今のスタイルを維持する限り、今後も問題は起こる訳で、さっさと総辞職が一番傷つかないけど、それがわかる知性は持ち合わせてないようです。

公共事業も人手不足で進まない上にリニア談合事件で大手ゼネコンが指名停止食らって益々ですし、大手ゼネコンが仲間割れしたことが一番影響あるかも。当然リニア工事も進まなくなります。

てなわけでクサレアタマで迷走する日本の明日はどっちらけwww。

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Sunday, April 01, 2018

Noと言えるお役人の働き方改革

通信トラブルで更新が滞っております。このエントリーもスマホの小さな画面でフリップ入力ってことでメンドクサ。

しかしアベノミグルシイが続いたお陰でPVは下がらすに草生えます。てなわけで続きですwww。

佐川前理財局長の国会証人喚問が茶番で終わりましたが、これで解決ではないですね。森友問題を離れても、公文書改ざんは悪質な犯罪です。偽札事件に喩えられますが、小切手の金額書換えや手形の裏書き消去なども近いかも。何れも重大犯罪です。

実際佐川氏は訴追の恐れを理由に証言拒否してる訳で、法令違反の自覚があったという意味で犯罪の構成要件を満たします。謂わば白状したも同然です。

判っていてそこまでやる?って話なんですが、理財局の独自判断があり得ないのは自明です。政治家の関与無しにはあり得ません。

具体的な指示の有無は問題ではないんで、そうしなければ前川前文科次官のように退官させられたりするとすれば、意に沿った対応をせざるを得ない訳です。どこぞのブラック企業ではありふれた話ですね。

しかしその結果犯罪者にされてしまう悲しいお役人のあり方こそが問題ですね。頭痛いのは公務員は労働三権が制限されていることで、実質的に逆らえないことです。

これ公僕だからって理由のようですが、公僕なのは国会議員や裁判官などの特別公務員も同じどころか、より大きな責任を負うべきなのに、知人への利益誘導を平気でやる訳です。その結果の尻拭いまでやらされるお役人は本当に気の毒です。

なるほど、そんな政府の考える働き方改革がろくなもんじゃないのはある意味自明です。てなわけで、法令違反の恐れのある仕事はたとえ冷遇されても断るのが正解です。

思えば『チャレンジ」と称して粉飾させたり「歩留まり上げろ」と現場に指示してデータ改ざんさせた企業あれこれも同様の構図です。

台車枠の亀裂問題でも台車の設計が軸バネ座などの部材取付にあたって平面を出す為に削らなきゃならない仕様だったり検査で見落とされたり異音を確認しながらが指令が止めなかったりもありました。不祥事は官民問わず似ています。

岡山の両備Gのバス廃止問題も、前中国運輸局長時代には八晃運輸の申請を認可しない方針だったものが、人事異動で赴任した新任局長が聴取もせずに認可した訳で、地域住民にとっては預り知らぬ中央官庁人事で事態が動いた訳で、地域公共交通活性化再生法以前の問題です。裏でどんな政治力学が働いたのやら。

てなわけでアベノミグルシイはまだまだ続くか?

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Sunday, March 04, 2018

トランプ円上昇法^h^h炎上商法とアベノミグルシイ

見苦しいタイトルで失礼いたします^_^;。その前に前エントリーで取り上げた岡山の後日談。

バス、収益路線参入に抗議 両備「赤字路線維持できぬ」  :日本経済新聞
八晃運輸、「健全な競争」強調 バス路線参入で説明文  :日本経済新聞
八晃運輸の認可前に両備Gが呼び掛けて実現しなかった地域公共交通協議会が開催されることになりましたが、あくまでも両備Gの路線廃止だけが課題で八晃運輸は呼ばれておりません。つまりぶっちゃけ認可しちゃった八晃運輸抜きで両備Gの路線廃止対策つまり自治体が路線維持に幾ら出すかってフレームです。行政の不作為の結果、望ましくない形になった訳です。

これ前エントリーでも触れましたが、需給調整規制の撤廃は良いんですが、許認可権限を国が握ったまま故の矛盾ですね。確かに事業者同士不仲が言われ、行政が及び腰なのでしょうけど、許認可権限が県若しくは複数県の広域連合に移譲されていれば、許認可権限を梃子に事前調整できた可能性はあります。もちろんダークサイドに流れれば国会議員より口利きが容易な地方議員の不適切な関与を呼び込む可能性は否定できませんが、逆に地域の問題で地方議員がどう動いたかは見えやすいわけで、住民チェックは働きやすくなります。地方創生よりも地方分権ってこういうことなんですね。

国レベルでは裁量労働制が厚労省データの捏造がバレて頓挫。しかしマル生エントリーで指摘したように真の狙いは残業代カットであり3段階の仕掛けがされているわけです。これ第一次安倍内閣で打ち出して引っ込めたホワイトカラーエグゼンプションの焼き直しで、その分巧妙に仕掛けられたレトリックになっているわけです。

つまり長時間労働規制の導入に見せかけて、それを骨抜きにする仕組みて、高度プロフェッショナル制度は見せ球で撥ねられても、裁量労働制の拡大が実現すれば良しという見通しだったんじゃないかと。ところが落し処と見ていた裁量労働制が否定されて財界からは「残念」の声が上がりながら高プロは引っ込めないってますます無理筋になってます。高プロ制度も業種が限定されていて年収1,075万円以上で本人の承諾が必要とされてますが、業種も年収要件も省令で定めることになってますから、通してしまえばいくらでも書き換えられますし、本人承諾も就業規則の片隅にこっそり書き込んで入社時に就業規則遵守の誓約書に署名させれば承諾したことになるとかって逃げ道があります。働き方改革関連法丸ごとの撤回しかあり得ません。

新幹線初の重大インシデントとされた台車枠の亀裂問題でも進展がありました。

のぞみ台車製造に川重の不備 140台超、薄く削る  :日本経済新聞
川崎重工業の製造現場のミスが明らかになった訳ですが、削り過ぎた140台超の台車の中には溶接段階で生じた亀裂が成長したと見られるものもあり、JR西日本の検査で発見できなかった訳で、検査体制にも問題がありそうです。

加えて設計の瑕疵の指摘もあります。問題の台車枠は鋼板をプレスで曲げてコの字型にして最中状に溶接して箱型にしたもので、荷重を支える軸バネ座を二番溶接する底面に丁度側構の最中溶接の合わせ目があるわけで、平面を取るために削る必要がある設計仕様です。尤もこれは現在標準的な工法であって、これ自体が危険と言えるかは微妙ですが、事実としてJR東日本の新幹線車両では用いられていませんし、JR東海/西日本のN700Aでも平面の底面板にコの字型プレス鋼板を被せる形のものに変更されてます。設計段階で瑕疵が認識されていた可能性は否定できません。

リニア談合でも大きな動きがありました。

リニア談合、鹿島幹部と大成元幹部逮捕 東京地検  :日本経済新聞
これまでの捜査でJR東海の提示価格が厳しすぎるので、仕事を分け合うために談合したというストーリーですが、大成と鹿島は談合を認めておらず、結果キーマンの身柄拘束という荒業となりました。

しかし談合の挙証は難しく、実際大成、鹿島両社は難工事の技術的な意見交換として談合の意識はなかったと思います。逆に大林組は「品川を譲るから名古屋から手を引いてほしい」と自覚的に動いたから談合の意識があったのでしょう。この辺が談合事件の難しさなんですが、かつての官製談合と違うのは、発注者のJR東海はコストを切り詰める方向で動いており、談合の問題点とされる高値受注なのか?ってところが微妙です。例えば東京都による豊洲新市場の受注率90%超とか、談合が疑われる事例は他にもありますし、リニアでjは寧ろJR東海の優越的地位利用の方が独禁法に抵触する可能性があります。東京地検特捜部は功を焦ったかも。

そしてグローバルプリズンから抜け出せない日本にとっては災難なニュースがこれ。

鉄鋼・アルミ関税、すべての国対象と示唆 米商務長官 (写真=ロイター) :日本経済新聞
まさかここまでやるとは、というのが正直なところですが、これがトランプ流なんでしょう。狙いはあくまでも過剰生産が言われる中国の鉄鋼とアルミなんですが、第三国経由の輸入にも網をかけようってことですね。こうなると日本の鉄鋼メーカーに留まらず米国内の製造拠点を拡充している日本の自動車メーカーもとばっちりを受けます。実際この発表で世界の株価は下げました。

二国間貿易交渉を重視するトランプ政権で貿易が二国間で完結しないと認めた矛盾は置いとくとしても、これまでレーガン政権をtレースするようなトランプ政権がこれだけはある意味レーガン政権を超えた対応をしています。適温経済と言われてトランプ大統領自身が勝ち誇ったように言及していた株高が否定されたわけですから、その迷走ぶりは間違いなく大ニュースです。

以下新聞などではあまり触れられない視点からの解説になりますが、そもそも適温経済とは何だったのか?ですが、これFRBの3次に亘る量的緩和(QE)という環境下でのレーガン流双子の赤字政策として見れば腑に落ちます。つまり大規模減税と財政出動の組み合わせを経常赤字国のアメリカが採用した結果、財政赤字が拡大する一方、その穴埋めを輸入に頼らざるを得ないから経常赤字が拡大して両者がリンクする訳ですが、その結果輸入が増えて物価上昇を抑えるから低金利でも利ザヤが取れるから適温ですし、低金利且つ緩和による資金過剰で配当利回りが債券よりはマシな水準まで株価を押し上げた結果の安定だった訳です。

しかし流石に失業率が歴史的低水準にある中での財政出動は労働需給を逼迫させますから、インフレ圧力を生みます。それに加えての今回の鋼材アルミの関税による輸入制限ですから、結果的にこれも物価押し上げ要因になり、既に緩和縮小から利上げに動いているFRBも利上げ加速をせざるを得ません。つまり投資家目線からFRBのタカ派的利上げが心配されていたんですが、今回トランプ政権自ら適温経済を破壊してタカ派に与したって話です。

話はそれだけでは終わらない。アメリカがインフレ傾向を強める中、QQEでも2%のインフレ目標を達成できない日本は取り残され円高になります。既に手段が出尽くした日銀は打つ手なし。財務省による為替介入はトランプ政権に献花売るようなもので無理。見守るしかないわけです。貯蓄投資バランスが崩れて余剰資金が海外へ向かい、所得収支の黒字で経常黒字基調にある日本に打つ手があるとすれば、賃上げや社会保障の充実による個人消費拡大を通じた輸入増ぐらいですが、安倍政権がここに踏み込む気配なし。寧ろ働き方改革と称して官製ベアと引き換えに残業代カットを画策するように、名目賃金が増えても手取りは増えず、増税で可処分所得を減らそうと画策してるのが現実。

加えて適温相場の調整でボラティリティが高まっており、今後も調整が続きますから、投資家心理は悪化しリスクオフになります。これも円高要因です。最悪の財政赤字を垂れ流す日本がなぜリスクオフで円高になるかと言えば、財政赤字を経常黒字の裏にある過剰貯蓄でファイナンスしているからなんですが、加えて外国人投資家も低金利の円資金を調達して投資してますから、投資の縮小は円資金の還流となるわけで、円高へということですね。

おまけで言えば出国税や森林税などの新税導入の目的は消費税10%へアップするときの軽減税率の財源って話です。インボイス導入無しの複数税率は混乱と不正の温床になること確実ですが、見直しはなさそうです。

てなわけで結論。アベノミクス完敗。

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Sunday, December 31, 2017

台車枠の亀裂

今年もあとわずかですが、このニュースはやはり取り上げるべきだろうと思いまして、こんなタイミングでのアップとなります。

亀裂、あと3センチで破断 新幹線のぞみ台車  :日本経済新聞
「あと3センチで断裂」というきわどい重大インシデントとなりました。最初に疑問に思ったのが、異音を確認しながら3時間も運行を続けたことで、実際JR西日本は非難を浴びましたが、その後岡山から添乗したJR西日本社員が東京指令所の司令員に新大阪駅での床下点検を提案したものの、司令員が上司の指示を受けたていたために聞き逃し、運行を継続した経緯が明らかになります。結構ありふれたヒューマンエラーがあったわけです。

とはいえ司令員の責任を問うのは難しいところで、そもそも頑丈に作られていて入念な点検を受けている台車に亀裂が見つからなかったから出庫して運用されたわけで、目視が困難な程度の亀裂で直ちにに断裂することがないように安全マージンを大きくとっています。点検時点で見つからなかった瑕が台車枠の断裂に至るようなことは想像すらできなかったはずです。現時点で原因は不明ですが、専門家の見方はこれです。

新幹線の「亀裂」はなぜ発見できなかったのか | 新幹線 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
記事の著者の見立てでは、側バリの軸箱近傍の溶接部付近で起きた典型的な疲労破壊ということで、突然発生したものではなく、長時間に亀裂が伸長したものということです。ということで、現時点でも入念に行われている検査体制で発見できなかったわけですから、検査体制の見直しは避けられません。

既にJR東海は従来台車枠では行っていなかった超音波探傷(非破壊検査)を検討すると発表しました。わずかの傷でも重大事故につながる車軸では行われていたものの、台車枠ではそこまでは必要ないということで、通常は目視検査で済ませていたようです。それでこれまで特段のトラブルはなかったわけで、このこと自体は問題ではないんですが、逆にめったに見られない台車枠の亀裂を見る機会そのものが少ないと、特に若い検査員は育たないというジレンマもあります。

この辺日産の完成検査問題で若手の見習い工にわざと不具合を仕込んだ個体を検査させて発見できれば一人統制前といった現場ルールを思い起こさせますが、上記記事で「航空機は故障率が高いので、ダイヤ統制部門は整備士の意見を最重視する」そうですが、元々過大な安全マージンを取っている鉄道の場合、指令員の判断も運行継続に傾きやすいということもあるでしょう。加えて岡山で添乗したJR西日本社員と東京指令所のJR東海の指令員という会社跨りの問題もあるわけで、実際新大阪で引継ぎを受けて添乗したJR東海社員の判断で名古屋で運行を打ち切ったわけで、流れでJR西日本の不始末のように見えてしまったということも指摘すべきでしょう。

似たような問題は東急田園都市線で東武鉄道の車両トラブルで架線事故が発生したってのもありました。こちらは新幹線のように車両の仕様が統一されているわけではありませんから、より問題が複雑です。

加えてもっと気になるのが上記記事でも指摘されている溶接後の熱処理が適切に行われているのかという問題と、記事ではあえて触れられておりませんが、神戸製鋼の品質データ改ざん問題で明るみに出た鋼材の品質問題の可能性も視野に入れておく必要があります。特に両者の合わせ技で、あるはずの過大な安全マージンがほとんどなかったってこともあり得ます。実際台車枠に亀裂が絡むこんな事故がありました。

東武東上線「脱線事故」は、なぜ起きたのか | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
東武東上線中板橋付近での脱線事故で、30年選手の10000系初期車の事故ですが、台車の亀裂が確認されてます。尤もこの事故では亀裂が事故原因なのか脱線の結果台車に亀裂が生じたのかは不明ですが、鉄道特有の過大な安全マージンが、検査の形骸化を生んでいた可能性もあるわけで、今回の新幹線事故との比較は必要でしょう。

また神戸製鋼の品質データ改ざん問題に代表される素材メーカーの不祥事も、商慣習として定着しJIS法でも認められている特採が言い訳に使われたように、要求品質自体が安全マージンを過大に見積もっていた可能性もあります。ってことで、台車枠の鋼材で勝手特採やられて且つ溶接後の熱処理が不適切だと、結果的に要求性能は大幅に低下します。何が言いたいかというと、川下の素材メーカーから中間の加工メーカーを経て組み立てメーカーへ納入される一連の中で、各社が独自にコスト削減には減むと会社単位での部分最適が追及されて全体最適を失う合成の誤謬が発生する可能性を否定できないってことです。

これユーザーである鉄道事業者自身も技術革新と品質の向上で検査周期の延長を当局に求めているわけですが、川下側の劣化を見過ごして延長が認可されれば、日本の鉄道が自慢とする安全が砂上の楼閣になる危険性があるわけです。この辺自動車の完成検査問題もそうですけど、規制当局である国土交通省がそこまで目利きできるのかということでもあります。規制改革の難しさは実に奥深いところです。

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