都市間高速鉄道

Tuesday, May 05, 2026

大人の事情でNoと言えないこどもの日本

こどもの日本Part3です*1。両エントリー共にミサイルネタですが、関連する話題がイラン戦争関連で英エコノミスト誌のコラムで取り上げられてます*2。戦争状態のホルムズ海峡周辺の衛星写真は西側企業に対しては軍事的理由でシャッターコントロールと呼ばれる規制がされます。撮影場所や解像度を制限することで軍事機密を保持するためです。しかしSNS上には中国企業による鮮明な衛星写真が多数リリースされてます。そしてそれがイランによる湾岸諸国の米軍事施設や石油施設、LNG施設へのミサイルやドローンによる打撃を可能にしている現実があります。中国の衛星画像技術はほぼアメリカと遜色ないレベルということです。

てことは日本の防衛力強化で反撃能力としてミサイル配備が進む状況ってのは無効じゃないかってことですね。仮に存立危機事態になったとしてもミサイル基地は先に潰される可能性が高い訳です。また湾岸の米軍基地が攻撃されたように、日米安保による国内米軍基地も攻撃対象になることを示します。こどもでもわかる話ですね。しかし大人の事情でそれを指摘する話はメディアにもほとんど載りません。しかし1973年の第一次オイルショックでは事情が違いました。当時の田中角栄首相がキッシンジャーに「文句あるならアメリカの石油を寄越せ」(意訳)と言い放ったことは指摘されてます*3。親イスラエルのニクソン政権にアラブ寄りの外交姿勢を懸念されてのやり取りですが、当時の田中首相は緊急事態の認識から危機対応としてこういう舵取りをしたもので、政敵の福田赳夫氏を大蔵大臣に任命し、持論の日本列島改造論を封印して総需要抑制策を認め、経済分野の全権委任をしたものです。以後公共事業の抑制や東北、上越新幹線の建設凍結などで狂乱物価を収め、国民に省エネ自粛を呼び掛けました。

田中氏にとっては不本意な意思決定でしたが、状況に応じたプランBという意味で今こそ参照されるべきですが高市政権は景気腰折れ懸念を公言して対応しません。高市首相は19年前に科学技術庁長官時代に「イノベーション25」と呼ばれる文書に記述した技術力に対する強いこだわりを反映した危機管理を成長につなげる方針として展開されてます*4。

ここで思い出されるのが石原慎太郎氏と盛田昭夫氏の共著[Noと言える日本」*5で盛田氏が指摘した日本の半導体なしにアメリカのハイテク兵器は造れないというくだりです。時は日米半導体摩擦の最中で日本の半導体産業が世界をリードしていましたが、その後失速して今に至ります。その現実をアップデートできていないのでしょう。危機管理を安保防衛と狭く認識して日本抜きでアメリカの兵器産業も成り立たないと二重に現実とズレた認識だから、1973年の第一次オイルショック以上の今そこにある危機を認識できず*6、安保防衛で成長という妄想に取りつかれているとしか思えません*7。こんな高市首相が目指す憲法改正での緊急事態条項が如何なるものか。防衛を口実にした独裁にしかならないのは言うまでもありません。

石原氏はその後都知事になって金融危機対応として都出資の新銀行を設立して銀行の貸し渋り対策を打ち出しましたが、素人判断の甘い融資審査で不良債権の山を築き負の遺産を残しました。その新銀行東京の資産を継承したきらぼし銀行が都出資の優先株400億円の年内返済を発表しました*8。これも日銀の利上げで金利復活したから融資の利幅が増えて実現したことでもあり、低金利政策が終わったことも影響してます。リーダーの思い込みの後始末が如何に厄介かを示します。

そして高市首相ですが、一方で明らかに現実認識が変なところが見られます。成長17分野を巡る民間との認識のずれがあります*9。南海フェリーの代替新造船はコスト高で断念されるけど*10防衛関連で政府が買う艦船建造は取り上げられている一方で、自動車は除外されて業界から驚きの声、EVの壁*11はガン無視。食糧安保上重要なコメ増産は見直すのに高く売れるイチゴは注力とかチグハグ過ぎて眩暈がします。

てことで最後に鉄分補給^_^;。難工事で遅れている北海道新幹線の事業費膨張で財政審議会がB/C比を見直した結果「中止すべき水準」と*12。但し便益(分子のB)はそのままに費用(分母のC)だけを見直した結果ですが、重金属残土の処理や硬い岩石層で切羽の破損とかトンネル工事に伴う不確実性から更に費用は膨張する可能性がある一方、インフレによる上振れでJR北海道の受益に基づく線路使用料の増額がどこまで可能かとか、外部経済効果の上振れとかは計算されていないので、片手落ちの議論とは言えますが、現在の整備新幹線スキームでは解決困難なことも確かです。例えば燃油高騰で苦境にあるエアラインのコードシェアを解禁してJR北海道以外からの線路使用料収受と共に、経営悪化確実なエアラインの救済策を便益に加えるというような工夫が必要と考えます。

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Sunday, April 26, 2026

EVの壁

製造業の壁*1冒頭の日経平均4万円の壁から1年4か月弱、最高値をつけたものの6万円の壁が立ちはだかります*2。しかも半導体関連が上昇した一方その他株は低調です。ホルムズ海峡封鎖が続く中で先行するNYダウは下げてます*3。週明けの東京市場も下げると見られます。イラン戦争の影響が長引くことを市場が織り込んでいるということです。株価の上昇自体は円安とインフレの結果ですから手放しで喜べませんが。

しかし危機感の薄いわ―くにの政府。日本船籍の船がペルシャ湾に40隻以上足止めされていて、その分輸送力が減っている上に、米国産原油その他の輸送を喜望峰ルートやパナマ運河ルートで迂回輸送することで長い船旅となり輸送効率を下げますから、運航頻度が下がって結果的に輸送力不足になります。実際タンカーや輸送船の争奪戦で運賃が高騰し、パナマ運河通航料も高騰してます。故にアメリカ・カナダ・メキシコ産の原油を代替調達しても輸送コストが上昇してますから、石油関連品の値上がりは避けられません。これインバウンドで混雑が常態化した江ノ電で、12分ヘッドのネットダイヤを維持できずに14分ヘッドに伸びた結果、所要時間が片道4分増えて運行頻度を下げて結果的に輸送力14%減で混雑を助長し、繁忙期には乗車待ちの長い列ができる状況に似ています。輸送路の目詰まりはサプライチェーンの機能を低下させます。

早速こんなニュースも*4。幸いというかバス事業者はドライバー不足で減便が相次いでいてバス自体は余っている状況で、塗装面積の広いバスの生産調整はやり易いとはいえ、現状が続けば自動車生産にも重大な影響が出るということになります。バス・トラックのディーぜルエンジンの排ガス浄化装置尿素SCRに使うアドブルーも不足してますが、これもドライバー不足が救いでも、肥料原料との取り合いは起こります。こうなると追浜と湘南の2工場閉鎖を決めた日産がEVの開発生産を中国に移しますが*5、これが正解になる可能性は指摘しておきます。

製造業の壁でも指摘したようにテスラと中国のEVメーカー以外の自動車メーカーはガラケーメーカー化していますが、それを最も実感しているのがリーフで量産EVの先陣を切った日産ということですね。特に中国のモーターやインバーターやバッテリーの進化は、中国政府の産業政策もあって爆発的なイノベーションを引き起こし、テスラも中国製造拠点でその恩恵に預かった結果、伝統的自動車社メーカーを後塵に追いやった訳です。そのキモは早すぎる技術革新に尽きます。最先端の技術を取り込むには新車開発を短期間に行う必要がある一方、市場投入後により新しい技術を纏って後追いするライバルが出る訳ですから、必然的に陳腐化が早まり中古車のリセールバリューを低下させます。それを防ぐ為にはソフトウエアでアップグレードできるようにする必要があり、CASEと言われた自動車産業の変化がSDV(Software Defind Vehicle)へと必然的に進化せざるを得なくなったということです。わかりやすく言えばパソコンやスマホのように進化が早い一方でソフトウエアの更新で性能アップすることで、ハードとしてのEV販売後の収益機会をメーカーにもたらすことになります。クルマ作りのアーキテクチャーの根本的な変化です。対応するには新車開発を短期間で行うと同時に統合車載ソフトの拡張性を持たせることが必要ということです。

その為にはモジュール単位の電子制御ユニット(EPU)を統合して最終的には高性能EPUで全体を制御するという形まで視野に入れる必要があり、単独でそこまで出来るのは日本ではトヨタがギリギリというところでしょう。その意味では結構重要かもしれないニュースはこれです*6。デンソーは既にEPUやインバーター向けパワー半導体を生産してますが、EV化を睨んでのM&A提案をロームに断られました。尚、ロームとのパワー半導体統合を目指す東芝は阪急電鉄、三菱電機は大阪市交という鉄道のローンチカスタマーに育てられたパワー半導体大手です。これがトヨタの電動化に影響する可能性はあります。一方一時は日産救済の期待を背負ったホンダは大変なことになってます*7、ソニーとの合弁解消で自動運転も遅れを取ることになります。こうなったのは実は2輪車の不振が影響しています。元々4輪車は赤字体質だったけど2輪車の世界王者故の趙あk利潤で穴埋めされていたから競争力を維持できていたのが、アジアの新興勢が電動化で躍進して市場を奪われて狂いが生じました。50㏄原付規制に護られて対応が遅れたことも影響していると言えます。

中国の産業政策を補助金漬けと見るのは間違いで、実は計画経済の流れで政府が産業の方向性にコミットして民間企業を動員するというソビエト型から進化した市場型功利主義的計画経済と言えるもので、実はお手本は高度経済成長時代の日本です。当時ブレトンウッズ体制で1ドル360円の固定相場に護られ、安価な原材料資源を輸入して国内で加工して付加価値をつけて輸出するという加工貿易立国の前提で、主要輸出先はアメリカだから太平洋ベルト地帯に生産拠点を集め港湾を整備するという方向性は明らかでした。故に国鉄が東海道新幹線の建設を決断できました。そして実は産業政策の担い手は日銀でした。当時の金融政策は固定相場維持の必要から国内景気が過熱したら直ちに公定歩合を上げて民間融資による信用創造を抑制し、景気が冷えれば下げて融資を促進するというシンプルなものでした。その日銀が窓口規制という銀行の融資指導も行っていて、当時の通産省の助言に沿って優先融資先を産業単位で示すということをやっていました。それに沿って民間銀行が個別企業に競って融資する形で、鉄鋼、機械、自動車、石油精製、化学などの製造業を後押ししていて、丁度中国の功利主義的計画経済とそっくりでした。

政府が後押すする産業分野に優先的に融資された結果、銀行預金主体の家計貯蓄をリスクマネーに変換するという金融の基本が機能していた訳です。だから「貯蓄から投資へ」なんて誰も言わないし銀行融資による現物投資のリターンは利息の形で預金者にも還元されていました。故に中国は米ドルの通貨覇権に対抗すべく人民元の国際化を模索してますが、IMF-SDR的な通貨バスケット連動には踏み込んだけど変動相場制への移行は足踏みしている訳です。その突破口として中央銀行仮想通貨(CBDC)のデジタル人民元による貿易拡大を狙い、ウクライナ戦争で窮地のロシアやイラン戦争関連もイラン産石油取引やホルムズ海峡通行料もデジタル人民元を推していると言われています。

こういう状況ですから地獄への道のEVMJ*8が生産委託した新興企業には怪しげなものがあっても不思議ではありません。EVMJに見る目がなかっただけです。幸い地元の江ノ電バスは実績のあるBYDの大型と小型を導入しており、その完成度の高さは実車で実感しております。たかがEVされどEV。目利き力って大事です。

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Sunday, April 05, 2026

甘くないサプライチェーン攪乱

前エントリーの続きですが*1、イラン侵攻でアメリカに対抗するホルムズ海峡封鎖ですが、ボチボチ通過船舶が見られます*2。船毎に個別にイラン政府と交渉している模様です。狭い場所で33㎞のホルムズ海峡ですが、一応国連の国際海峡に指定されているものの、沿岸国のイラン、UAE、オマーンの各国は認めておらず、各国の領海に跨る航路が設定されております。喫水線下が深いタンカーが通れる航路は限られており、中央が深いスエズ運河に似ています*3。故にイランによる航行船舶の管理も容易で、機雷を撒かなくても封鎖が可能で原油高に苦しむアメリカのチョークポイントになる一方、中国船などは通すという風に選択的に対応できる訳です。攻撃用ドローンという兵器の進化も関わりますが。

とはいえ通過船舶は少なくペルシャ湾で足止めの船舶もまだ多数ある上、イランの反撃で石油施設やLNG施設も破壊されていますから、中東産原油やLNGその他の資源の搬出量は減少します。その影響は多岐に亘り、アジアを中心にサプライチェーンを攪乱させます。既にベトナムやフィリピンなどではガソリンの品切れや停電などの影響が出ていますが、ガソリン高を補助金で抑え込むわーくにの危機感のなさ。しかしさすがに遅ればせながら動きが見られます*4。とりあえず石油関連に偏ってますが、LNG不足は電力危機に繋がるし、尿素やアンモニアは化学肥料の供給難で農業も影響します。またヘリウムショックも*5。医療機器のMRIで使われAI半導体製造にも欠かせないヘリウムですが、天然ガス精製過程の副産物でアメリカ、ロシア、カタールが生産国ですが、そのうちの1つが戦火で供給停止となれば世界で取り合いになります。リニアの実現可能性も低下します。

てことで今までも災害その他でサプライチェーン攪乱はありましたが、今回は異次元と言えるものがあります。例えば中越沖地震でエンジンのピストンリングのトップメーカーのリケンの被災で川下の自動車メーカーは直ちに生産停止して各社からリケンの復旧の応援に人員を派遣して1週間で復旧させました。見事な危機管理ですが、生産停止期間には売り上げは立たない訳ですが、その損失を考慮してもサプライチェーンの回復に集中した方が被害が少ないという判断です。ホルムズ海峡封鎖でさまざまな産業に支障が出る中で、政府の対応は適切かは問われます。なのにこんなことばっかり*6。ペルシャ湾で足止めされている船舶の安全通航をイラン政府と交渉することや需要抑制のための省エネ自粛ではなく公務員を予備自衛官にする法案作りって、どこまでチグハグなのか?戦争したいの?他国は現実的な対応に動いてます*7。加えて日本の自動車メーカーには悲報です*8。トランプ政権のEV補助金停止で関税のマイナスを打ち消したのも束の間、ガソリン高でEVシフトを求められています。遅れている日本メーカーには負担です。

そしてEVつながりでこれも取り上げます*9。大阪関西万博輸送で万博協会が購入し万博輸送に供して終了後大阪メトロ傘下の大阪バスが引き取る予定の150台がリコールで動かせずにいるというもの。元々国産EVバスをということでエルガEVを開発中だったいすゞに打診しましたが、試作段階で量産は無理ということで、大量受注可能で国内でも採用実績のある中国BYDのEVバスに決まりかかったところで当時の西村経産相からEVモータースジャパン(EVMJ)が推されたという経緯があるようです。EVMJは北九州市に本社のある国内企業ですが、生産は中国の新興企業に外注して販売とアフターサービスを国内で行うということで起業し、一部で納入されたもののサプライチェーンは確立しておらず、150台の大量受注ができるだけの実態は備わっていませんでした。外注先の中国新興企業も生産実績のない企業で中国の型式認証も得られず、輸出向けだからと中国当局の規制をすり抜け、日本の国交省も万博に間に合わせる為に手抜きしてという日中当局の不作為もありました。お陰でブレーキホースが露出していて小石を撥ねた程度で傷がついてエアが抜けるレベルの雑な作りでした。それでいてBYDのバスより割高で大阪府などが40億円の補助金を支出しており返還交渉中です。EVMJはおそらく潰れるでしょう。EV後進国という現実を無視した愚かな顛末です。

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Sunday, March 29, 2026

戦争で沈む日本経済

総選挙直前のエントリーで選挙戦で語られない戦争と社会保障を取り上げましたが*1、まさかのアメリカとイスラエルのイラン攻撃で現実が追いつくとは思いもよりませんでした。そして高市政権の危険性も明らかになってきました。例えば自衛官の不祥事です*2。相前後して婦女暴行や全裸俳諧などもありましたが、国際法で治外法権を持つ外交官に対する現役制服自衛官のテロ未遂事件という超ド級の不祥事です。しかし政府もメディアも反応が弱いのが気になります。閣僚の遺憾発言で済ましてますが、本来公式に謝罪すべき事案を「残念]で済ませている訳です*3。大事に至らなかったとはいえ大使に危害が加えられればただ事では済まなかった筈です。サラエボ事件が第一次大戦の契機となったことを学ばなかったのか?中国も今の日本政府がまともな謝罪をしないことも計算済みでしょう。実際には情報戦を仕掛けています*4。国内向けの渡航自粛勧告ですが、これがニュースとして世界へ流れれば、日本への国際社会の見方に影響します。所謂戦狼外交*5ですが、台湾有事発言と同様に日本が何らかの譲歩を示せば終わる話でもあります。

てことで戦争を選んじゃった日本の有権者にとってはイランを巡る紛争の長期化で危機的状況なのですが、政府に危機感は乏しく、原油の戦略備蓄放出や補助金支給による目先の価格圧縮ばかりで、70年代の石油危機時のような省エネ自粛や総需要抑制策には踏み込みません。その結果円安が進み原油高と相まって国民生活を苦しめます*6。それなのにアメリカにホルムズ海峡の機雷掃海を約束したりしてますが、停戦が先だろ!今や安全保障上の最大のリスクはアメリカであり、ミドルパワー国の団結が叫ばれ、また力をつけてきたグローバルサウスとの連携を考えればアメリカべったりはリスクです。

今回の円安は有事のドル買いの反映でもあり、動きは小刻みでもかなりしぶとく続くと考えられます。その理由は複数ありますが、1つは原油高によるアメリカのインフレ再燃でFRBの利下げ観測が終わり、寧ろ金利上昇局面になっていること、株式でAI相場が堅調ながら実際に利益を出しているのがエヌビディアだけで先行きに疑問が持たれており、一方SaaSの死と言われるソフトウエア企業の淘汰の可能性とか、逆にキャタピラーや電力会社などがAIデータセンター関連で買われたりと、様々なトピックスに反応していて落ち着きません。加えて債券が売られ有事なのに高止まりした金が利益確定で売られて買い戻されたりとか、プライベートクレジットと呼ばれる低格付け債券ファンドから主に個人の資金が流出したりで金融市場が落ち着かずボラティリティが高い状態が続いています。投資家には動きやすさから手元資金を厚くする動きが見られ、日本株に流入していた海外勢が資金を引き揚げた結果日本株が売られ、リスクヘッジの為替予約のポジションを手仕舞いして円が売られということですね。

てことですでに手遅れかもしれませんが、国民生活を強く豊かにするどころか窮乏化が止まらない状況が加速しそうです。そんな中で社会保障国民会議で税と社会保障の改革の議論が始まりましたが、議論の流れとしては消費税減税よりも給付付き税額控除にウエイトが移っています。議論の前提となる国民所得の動きで看過できない傾向が見られます*7。給与所得で見ると過去30年に亘って中央値も90%点も99%点もほぼ変化がなく、このデータからだけでは巷間謂われる格差拡大はなく、ジニ係数も変わらないということになります。給与所得だけの結果ですから全数とは言えませんが、より範囲の広い税務申告個票データで見ても同様の傾向が見られます*8。つまり傾向から言えば日本は全所得層が円安を通じて購買力を低下させているということになります。但し税務個票データでも農業、不動産、金融所得などの分離課税があり、例えば富裕層が多く保有していると見られる金融資産所得は源泉分離課税で個票データに反映されていない点は注意が必要です。結論から言えば国全体が貧しくなったということです。市場の失敗を克服できず、企業のアニマルスピリットを引き出せなかった政治の失敗です*9。社会保障の充実のためには富裕層課税はほぼ無意味で社会保障財源としての消費税の減税は消費額の多い富裕層ほど利得があり問題で、給付付き税額控除が望ましいということになります。加えて企業経営者の競争による価値創造や教育や就労の機会の平等の確保が求められます。

経営者の競争という観点からJR東日本とJR東海を取り上げてみます。目先の業績で見ればコロナ明けの回復が早かったJR東海に対して稼ぎ頭の首都圏輸送で需要が戻らず民営化後初の運賃値上げに踏み込んだJR東日本*10では差は歴然ですが、実は東京~熱海間で在来線運賃が新幹線運賃より高くなるという珍事が起きています。故に従来どちらにも乗れた普通乗車券が分離された訳です。しかも100km超の東京山手線内発着や200㎞超の東京都区内、横浜市内発着の特例はそのままですから、新幹線特急料金はかかるものの新幹線利用がお得という逆転が起きています。

ならばJR東海も同じ幅で値上げすればといってもゾンビエントリーで説明したように、JR東日本は向こう3年平均の欠損の可能性を示して認可を得ました。鉄道運賃の基本はコスト積み上げ方式に2%の標準報酬率を乗せた総括原価の認可を受けるのに凡そ2年を擁しているように直ちに追随はできない仕組みです。逆にヤードスティック規制で同等と見做されるJR旅客会社同士で他社と比べて合理化努力が不十分と見做されれば値上げ幅を圧縮されるのですが、その点は逆に無線式クルージングイン保安装置のATACS導入*11やドライバレス自動運転への挑戦などで人口減少による省力化と共に需要減少に対する間引きなど輸送品質の劣化を防ぐという攻めの姿勢が認められ、その為の投資で借入金が増える一方でインフレによる金利の復活で利払いが増えるという合理化努力の枠外の不可抗力もあります。加えて国鉄時代から続く通勤定期運賃や通学定期運賃の割引率の適正化が認められるなどしていて、ピーク時間帯の定期客比率が高い一方でそれに合わせた輸送力増強投資が迫られる一方で閑散時間帯の過剰設備遊休化という構造的な問題に対する主張が認められました。つまり需要抑制のための運賃改定に道筋をつけた訳です。

ところが新幹線のぞみ増強で絶好調なJR東海は欠損可能性を証明できないから運賃値上げ申請自体が困難で経営陣から「努力した者が報われない」の恨み節ですが、困難な行政手続きで自社の主張を認めさせてリスクを取って借入金で投資を重ねるJR東日本に対して、リニア工事の遅れをいいことにリニア向けの低利の財投資金3兆円を流用してマッチョなのぞみ増強で増収を達成したJR東海*12のどちらがリスクを取ったと言えるのかというのは微妙です。そしてその観点から言えば微妙なニュースとしてリニア静岡工区も話題があります*13。あくまでも県の容認方針というだけで、各自治体の承認を得ている訳ではありませんが、大井川の水問題が典型ですが*14、大井川の渇水など工事の影響を心配する自治体の指摘に対して全量戻しを約束しながら後に工事が終わったらとテヘペロして自治体を怒らせた強引で不誠実な対応が原因の未着工だった訳で、自治体との協議が進んで目途が立ったという県の方針ですが、協議自体が決着した訳ではありません。加えて他の工区でもトラブル多数な上人件費や資材費の高騰で事業費の膨張も止まらないし、ホルムズ海峡封鎖でカタール産ヘリウムの供給不安もありと前途多難。寧ろ勇気ある撤退も考える必要があります。まあ無理でしょうけど。

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Sunday, March 15, 2026

ゾンビの性(SAGA)

アメリカとイスラエルのイラン攻撃から2週間。どんどん悪い方へ動いています。ベネズエラもそうですが*1、中間選挙を控えて止まらないインフレや雇用統計の悪化*2もあり、トランプ大統領には明らかに焦りがあります。イラン攻撃もハメネイ師を殺害したもののイランの体制崩壊どころか寧ろ革命防衛隊の発言力が強まり、また急遽選ばれたハメネイ師の次男モジタバ氏は寧ろ革命防衛隊に近い強硬派で徹底抗戦を宣言するなど泥沼化しています。加えて頭の痛い戦闘のコスト*3。推定5500万円のイラン製ドローンを6億円のミサイルで迎撃する非対称戦でアメリカはミサイルを消費して在韓米軍のTHAADの一部を中東に移転させた模様です*4。国内の矛盾を外部へ向けて力を誇示する帝国主義戦争*5でです。

そして原油価格上昇で市場は混乱してますが、それでもアメリカは強気を維持していてイランに海兵隊覇権を決めた模様です*6。イギリスが国内米軍基地からのイラン出撃停止をアメリカに通告しましたが、日本政府にはできない相談のようです。アメリカの狙いはイランのドローン基地の打撃と石油施設の掌握ということで、イランのホルムズ海峡封鎖を無力化する狙いのようですが、うまくいくかどうか?イランの海峡封鎖も間歇的なドローン攻撃によるもので、タンカーやコンテナ船にに被害は出ていますが、中国船は対象外。完全封鎖しなくても攻撃される可能性があれば航行を躊躇しますし保険料爆上がりあるいは引受拒否となればリスクとコストの見合いで船を動かせないってことで、イランはリーズナブルな戦い方をしています。中国船も誤爆の可能性はありますが、チャイナランドブリッジと呼ばれる中央アジア経由の鉄路で繋がっており*7、迂回路も確保されています。

てことで海峡封鎖の影響を最も受けるのは中国を除くアジア各国であり、特に中東原油依存度9割超の日本にとっては大惨事です。また有事のドル買いで円安が進んでいて原油高とダブルパンチになっております。暫定税率廃止で20円ほど安くなったガソリン価格は一気に30円ほど値上げりしていて減税効果を相殺どころか突破しています。これ変でしょ?減税効果は僅かな一方、先物価格の原油値上がりにはあっという間に織り込まれてます。現物は安く仕入れた物なのに。実はこれ減税以前に元売りに支給された補助金が廃止されたことによります*8。

70年代の石油ショックの時にはドル円の調整でショックが緩和されていましたが、それでも狂乱物価で10%超のインフレに見舞われ、スーパーの棚からトイレットペーパーが消えるパニックは今でも言及されていますが、当時の原油価格は1バレル数ドルから30ドル程度に上昇したものですが、今回もWTI60ドル台から90ドル台に爆上がりで石油ショック再来と言って良いインパクトです。第一次石油ショック時点での日本の中東依存度は8割弱で調達先分散の結果6割程度まで一旦下がったのですが、冷戦終結後のグローバル化の時代に寧ろ安価な中東原油依存は拡大します。さらにトヨタプリウスに始まるHEVの登場やエンジン車も燃焼効率の改善で自動車の燃費が改善した結果、ガソリンの需要は減る一方で国内石油元売りの経営を圧迫し価格競争でガソリン価格も抑えられていました。それがリーマンショックによる原油価格上昇で元売りの経営を直撃し、その結果元売りの合従連衡で3社に絞られて製油所の統廃合も進みやっと需給が締まったところでロシアのウクライナ侵攻があり、供給不安から原油価格は上昇しガソリン価格も上昇しました。しかしこの時点で日本の産業構造は激変していて、国内製造業の空洞化で貿易赤字が常態化して実需の円安が定着します*9。故に原油高のダメージをより強く受けるようになっていた訳です。

この間の石油元売りは市場に翻弄されながら、それでも為替の円高に助けられて薄利を得ていたものの、アベノミクスの円安誘導で厳しい事業環境は続いていた訳で、しかも自動車の燃費改善もあってガソリン需要は減る一方で合従連衡と製油所統廃合で凌いでいたところのウクライナ侵攻で青息吐息だった訳です。こんな調子だし脱炭素のトレンドから製油所の設備更新もリスクが大きく、古い設備を使い回して凌いでいたのが現実です。故にウクライナ侵攻を契機とする原油価格の上昇にも対応できず、原材料を輸入に頼るが故に円安も逆風となっていた訳で、政府補助金で食いつないできたのが現実でした。だから暫定税率廃止でも価格をあまり下げられないし、また古い製油所設備は中東原油対応なので、アメリカやロシア産の軽質油に対応できず、ズルズルと中東依存が続いた訳です。だから暫定税率廃止による値下げは補助金廃止とセットなので店頭価格は下げないとクレームになる一方、降って湧いた原油高を好機とばかりに値上げに走った訳です。老朽化したポンコツ設備を維持する費用に補助金が充てられていた訳です。

他方意外な影響が顕在化してます。エチレンの生産調整です*10。出光興産がエチレン生産停止の可能性を納入先に通知したことから始まって石油化学各社が一斉に生産停止や減産を通知するということが起きています。エチレンはナフサが原料でプラスチックや合成繊維の原材料となりますが、国内製油所が中東産から離れられなかったのは、不純物の多い中東産の重質油だから精製過程で多くの副産物を生み、国内石油化学産業を支えていた訳ですが、ガソリンの需要減でナフサの国内調達が困難になる一方、中国や東南アジア産のエチレンプラントが立ち上がったこともあり、競争力を失ってやはり系列を超えた合従連衡が進んだ業界で、既に国内調達は4割まで下がり、残りは輸入に頼る状況でした。つまり石油元売りと同様に縮小均衡を迫られたゾンビ業界だった訳です。そして国内のナフサ備蓄量はせいぜい2か月分程度であり、ガソリンより早く枯渇すると言われています。政府は原油高対策で元売り補助金の復活を打ち出してますが*11、これゾンビ化した石油元売りを助けることにはなりますが、ガソリン価格が下がるかどうかは微妙です。

G7を中心に原油の戦略備蓄放出が話し合われてますが、ちょっと頭痛いのは国際協調を待たずに日本が単独に動いている点です*12。G7で協調放出を話し合われている中、時間がかかるから日本単独で放出しようってことですが、為替のレートチェック*13を思い出していただきたいんですが、ベッセント国務長官がレートチェックを仕掛けてすわ協調介入か?と市場が反応したように、単独では市場インパクトは弱く、協調することで市場にメッセージを送ることで反応させるという経路がある訳です。ホントなんも考えてないわ。

結局近視眼的な補助金でポンコツサプライチェーンを維持して今に至る訳で、ポンコツゾンビには雇用がぶら下がり成長分野への労働力移転を阻害することになります。裏・壺・族は国を亡ぼす*15。同様のことは例えば原発でも起きていて、柏崎刈羽6号機でまたも警報が鳴って発電を止めました*14。14年間停止していた間にも老朽化は進んでいた訳で、今回は漏電の警報ということで、20%稼働で炉は止めずに発電を停止して原因究明ということです。ポンコツ無理に動かそうとするからトラブルが絶えない現実があります。とはいえ廃炉して新型炉にリプレースする資金も無いから無理して動かそうとしている訳です。原発も補助金漬けでどうにかしようとしてますが、安全対策のコストを賄えない中で元を取ろうとしている訳です。東電は福島の廃炉費用の負担もありますし、電力自由化で小売部門の東電離れで経営は苦しい中、送電網の維持に総括原価方式が保持された結果、新電力に高額の託送料を負担させて維持している現実があります。尚電力の総括原価で認められた報酬率は3%で鉄道の2%より優遇されてます。加えてエネルギー価格の変動に対応したサーチャージ制度も組み込まれています。

てことで昨日(3/14)JR東日本、西武鉄道、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)の運賃値上げが実施されました*16。鉄道運賃には電力や航空で認められているサーチャージ制度はなく、JRや大手私鉄、大都市地下鉄など大規模事業者には3年間の収支レートベースが値上げの根拠として求められられますから、今回の値上げで3年間は検証期間として値上げできないし、3年後に次の値上げを準備しても認可までの時間を考えるとおおむね5年間は運賃を弄れないことになります。その間にもエネルギー価格の上昇は見込まれますから、収支改善への寄与がどの程度になるかは見通せません。

一方JR普通運賃は私鉄や高速バスなどの運賃水準を決めるベンチマークの役割もあり、例えば京王電鉄では運賃差による安さの訴求をしてますし、今回の値上げで品川~横浜間でJRと京急の運賃逆転が起きたりしてます。また他社も値上げに追随しやすくなるという意味で、今後の値上げドミノが起きる可能性は指摘しておきます。

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Sunday, March 01, 2026

政治の失敗を帝国主義と呼ぶ

前エントリー*1の続きですが、末尾の「民主主義か独裁主義かという二項対立はクソの役にも立たない論点です。」の部分の表現にモヤってました。寧ろ「自由主義か権威主義か」ではなかったか。自由主義の盟主である筈のアメリカの暴走が止まらずトランプ政権の権威主義的な在り方にドライブがかかっている現実があります。そしてついにやっちまいました*2。新年早々のベネズエラ侵攻*3を思い起こさせますが、イランに関しては事前準備もあったし脅し発言も続いていた訳ですが、イラン国内の政情不安から「イラン政府の独裁から国民を解放する」と言っていたらイラン政府が鎮圧してしまったので、核開発断念を迫ってイラン政府も交渉に応じる姿勢を見せていたにも拘らずの軍事攻撃です。ハメネイ師の死亡も報じられており、イランも引けない状況故に戦闘が長引くことが危惧されます。既にホルムズ海峡の封鎖も起きており、石油の中東依存率が高い日本にも打撃があります。ガソリン代上がるぞ!

結果的にはイランと対立するイスラエルのネタニヤフ首相がアメリカを巻き込んでイランを叩く思惑通りの展開です。イスラエルも一応自由主義陣営ですが、ネタニヤフ首相の統治は権威主義的ですしトランプ大統領とも仲が良いしで共振しちゃった訳です。アメリカから見ればベネズエラ侵攻で狙っていた石油利権が、油井や製油所の設備老朽化で生産能力が劣化していて、補修だけで1000億ドル以上の資金と10年以上の時間がかかるということで計算違いだったこともあり、イランを叩けば原油相場の値上がりを通じてアメリカ国内の石油生産を後押しできると見た可能性があります。結局ベネズエラの見込み違いがこうした軍事行動をもたらした訳です。こうしたことは戦前の所謂帝国主義の復活として捉えることができます。重商主義の行き着く先であり資本主義の市場の失敗の矛盾が昂じて帝国主義に至る構図で、これをもたらしたのはアメリカのトランプ政権です。古くは大英帝国の重商主義を経済学の祖とされるアダム・スミスが国富論で批判してアメリカ独立戦争を支持し、リカードが精緻化した古典派経済学のロジックを用いて資本主義の究極に帝国主義があるとマルクスが見抜いたことが再現されています。

トランプ政権の失敗は事欠かないですが、相互関税を巡る最高裁違憲判決で確実に窮地に追い込まれています。最高裁は関税の還付までは踏み込みませんでしたが、既に民間企業による還付請求訴訟が始まっています*4。同時に結審後の還付では資金繰りが厳しい中小企業では還付金権利の転売が始まっています*5。割引率6割でも取引成立ということですから窮状が偲ばれます。そして24日に発効した150日間の10%の代替関税も最高裁判決が違憲と認めた大統領権限の逸脱に違いはなく、同様に訴訟が起こされるのは確実ですし、議会の延長承認もほぼ可能性はありません。秋の中間選挙前に失点を重ねており世論の関心を外へ向けさせることで支持を取り戻そうとしている訳です。

以下は答え合わせ。まずはTACOのプロデューサー*6。やはりレートチェックはベッセント財務長官が仕掛けたものでした*7。突然の解散総選挙で日本の政治空白が為替変動を誘発することを危惧した結果で、高市首相が余計なことをしたから最悪日米協調介入までオプションしていたとか。流石にダボスで片山財務相が怒られたから日本も要求できなかったようですが、そこまで危機感を抱いたのは世界的に主要国の財政状況が悪化していることがあります*7。アメリカは関税を当てにした無理な減税で、ロシアは戦時経済で、その脅威を受ける欧州は軍事支出増で、中国は国内不況で、それぞれ財政拡大中なのに、過去の財政拡大で突出する日本の野放図な積極財政は看過できなかった訳です。財政面で言えばロシアと欧州は既に戦時財政の体を示してます。

それなのに高市政権は危機感まるでなし。日銀理事人事でよりによってリフレ派の人選です*8。植田日銀の利上げ継続路線に水を注すものということで、流石に日経新聞も疑問を呈しています。上述のとおりロシアと欧州は戦時経済の様相ですが、中国はあくまでも短期的な景気対策の範疇で政策的な失敗の度合いは低く、故に台湾への軍事侵攻はとりあえずなさそうです。逆に言えばいざとなれば軍事支出を増やせる潜在力がある訳で、逆に財政が突出して悪い日本で高市首相の不用意な台湾有事発言は本当に国益を害します。既に決定とされる防衛費増も財源が明示されておらず増税不可避ながら、それを明言せずに積極財政に舵を切ることは、それだけ有事の財政出動の余地を狭めますから、高市首相の言う継戦能力を低下させます。それとも国民に玉砕を求めるのか?逆に言えばここで財政規律を取り戻し日銀の利上げをサポートすれば財政拡大基調の主要国に対するアドバンスとなり、円安反転でインフレ抑制と国民の購買力拡大ができるチャンスでもあります。どっちが良い?

最後に前エントリーの中で触れたE5系E6系の走行中列車分離問題の続報です*9。電磁弁を動かす制御基板の耐用年数10年を越えて使いまわしていた結果の経年劣化の可能性が出てきました。メーカーは2回目の分離事故直後にJR東日本に指摘したものの事故調への報告はなかったみたいです。やはり根本的な組織統治に問題ありです。電子部品は経年劣化しても見た目では確認できず、トラブルが起きれば交換するしかない訳ですが、JR東日本に限らず耐用年数を超えても不具合が出なければ継続使用される傾向はあります。また交換部品を過剰に抱える訳にもいかない中で、メーカーで生産終了となって交換部品が手に入らなくなることもあります。例えば京浜東北線で晩年トラブル続きだった209系0番台がそうですが*10、中央快速線に始まる新標準車E233系の常磐緩行線向け2000番台を後回しにして*11京浜東北線に1000番台を、更にE217系の電装品換装の予備車として東海道線に3000番台を投入などが優先されました。そんな経験をしながらここまで原因究明が迷走しているのはやはり問題ですね。

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Saturday, February 21, 2026

市場の失敗政治の失敗

まずビッグニュースです。タリフマン敗訴です*1。民主党系知事などが原告となって国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠法として議会の承認なしに発出した相互関税を、法の趣旨を逸脱し関税に関する大統領権限を否定するものとする最高裁判決が出されました。自動車や鉄鋼など分野別関税は別の根拠法なので当面続きますし、とりあえず1974年通商法を根拠とする10%関税を全ての国に150日間課す代替策を発動するとしています。こちらは15%以内で150日間という制限があり、延長は議会の承認が必要となります。早速市場は反応し、企業負担減期待から株高になる一方、財政問題から国債は売られ債券安になりました*2。

とすると日本をはじめ二国間交渉が何だったんだってことになります。ラトちゃんアカちゃんの関税交渉で決まった5,500億ドルの対米投資*3の360億ドル相当の1号案件が承認されましたが*4、激戦州のオハイオのガス火力発電、テキサスの石油積出港、半導体製造に欠かせない人工ダイヤモンドの3件です。日本は20社程度の企業が参加するということですが、中間選挙を睨み、且つ関税を巡る最高裁判決が出る前の滑り込みで、トランプ政権の焦りを滲ませます。ガス火力はAIデータセンター向けで電力需要が上がって料金が急上昇していることから有望とされ、テキサスの石油積出港はアメリカのシェールオイルの欧州向け輸出でロシア産石油の代替とする狙いで、人工ダイヤモンドは中国産が世界を席巻している中での戦略物資ということで政治臭プンプンの案件です。当然リスクはあります。

てことで日本に限らず世界中の国がアメリカを怒らせないように気を遣う中で、中国やロシアはアッケラカンとアメリカに異を唱えて軟化させてます。台湾問題を巡る高市発言もアメリカはネタにして中国からレアアース輸入規制延期を取り付け、アメリカ産大豆の輸入規制も撤廃してもらってホクホクなのがトランプ政権の本音で、中国はアメリカがレアアースの売り先になるから日本向け輸出を絞っても困らない状況です。中国もそこを見越して日本にだけ厳しい態度を取っています*5。その一方でオーストラリアやカナダのレアアース開発に加えて日本の南鳥島周辺海底泥精製のようにコスト的に厳しい資源開発もやらなきゃならない訳で、日本だけがリスクを負う不都合ですが、言ってみればアメリカの都合を日本に押し付けるロビー活動のレントシーキングということができて、国民そっちのけの利益誘導ですが高市政権は前のめりです。ヤレヤレ。

てことで市場と政府の関係がやや複雑怪奇になってます。近代経済学の核心にある功利主義で資源配分を市場に委ねるのが最も効率的な分配方法であるという前提をケインズが覆して市場は必ずしも万能とは言えず、政府による介入が必要な場合があるということを明らかにしました。これ単なる不況期の財政出動だけの話ではなく、そもそも市場は不完全で売り手と買い手の間には情報の非対称性があるから、往々にして売り手有利による格差の拡大などで市場が必ずしも効率的とは言えないということを含意しています。故に積極財政で不況脱出は可能だけど経済成長に資することはないとしており、経済成長は企業家のアニマルスピリットによるもので、市場が機能するためには起業家のアニマルスピリットを引き出す公正なルールの整備が必要になります。

しかし日本もそうですが、アメリカでも企業に雇われたロビイストによるロビー活動で恣意的に規制が課されたり緩和されたりして市場をかく乱しています。その結果アメリカで顕著なのがAIで世界をリードしながら自動車も船も作れないし兵器も輸入資源への依存度が高まっている状況があります。これ日本も例えばコロナ禍で露呈したマスクや医薬品の輸入依存問題*6や令和のコメ騒動*7で主食のコメすら自給がままならない現実を見せました。だからアメリカは世界中の国にレントシーキングを仕掛けている訳で、特に同盟国が被害を受ける構図となります。但し企業による政府へのロビーではなく政府間の力関係によるロビーですから敵対国よりも同盟国の方が被害が大きくなる訳です。政府間のロビーはつまるところ重商主義による近隣窮乏化政策ですから、従米言いなりでは日本はますます貧乏になります。

アメリカでも資本はAI開発に熱狂する一方で消費者が求める安くて壊れないクルマは造れないとか、それどころかアメリカンドリームの象徴とも言える持ち家も不動産価格の上昇で手に入らないし、病気になればバカ高い医療費で破産するしという状況ですし、日本でもローカル鉄道の存続危機とかドライバー不足によるバス減便廃止が大都市圏にも波及する事態です。将に国民生活に密着したところで持続可能性に疑義が生じる事態です。そんな中で低解像度社会*8の続報です*9。やや長い引用をします。J

R東によると、切れたのは茨城県の古河駅と栃木県の野木駅間の架線。2023年4月に架線を検査した際に摩耗を確認したため張り替えを計画した。同じ図面を使った打ち合わせをしなかったことなどから社員間で認識の違いが生じて別の架線を張り替えたため、今回切れた架線はそのままになっていた。
また、専用車両にカメラやレーダーを搭載して架線の異常を検知するシステムを24年4月から導入し、画像上やデータ上は摩耗していることは判別できたが、データを確認する社員が見落としていた。
23年4月に架線の損傷を確認して工事手配したけど別の架線を交換してたとか、24年4月から導入した検査システムでデータ上は確認できたが社員が見落としていたとか、何だか組織として終わっているというか、検査を含めてシステムも新しくなっているのに確認ミスが起きたということで、職人的な属人的スキルで支えられてきたものが継承されていない現実を露呈しました。

それだけではなく赤字3Kの掟?*10で取り上げたはやぶさ/こまちの走行中分離事故にも続報があります*11。これ当初はこまちE6系の連結開放テコスイッチに製造時に出る金属片が張り付いて短絡した誤作動と説明されていたものが、その後分離事故が繰り返され謎の誘導電流による誤作動と訂正されたものの、E6系のテコスイッチが頻繁に不規則に動いていた証拠が見つかって、国の事故調査委員会で原因究明が滞っているという報道です。疑われるのがJR東日本が提示したデータの信ぴょう性です。つまり事故調への非協力的対応の可能性を疑わせます。JR東日本の企業組織としてのガバナンスの問題を示しているようで不気味です。

国鉄分割民営化の是非は未だに蒸し返されますが、民営化自体は終わった話で今さら元には戻せませんが、東海道新幹線の好調や整備新幹線の開業による国内線航空への圧迫や立地条件の違いによるJR各社の格差拡大など、お世辞にも市場の失敗を政府がフォローできているとは言い難い現実があります。そして心配なのがこうした不都合が中国のせい、インバウンド外国人のせい、あるいは少子高齢化による世代間対立のせいと他責的に対立が煽られている点です。1930年代の大恐慌が経済の国際化を阻みブロック化して各国が競って重商主義的になって近隣窮乏化が進んだ結果の第二次大戦というプロセスをトレースしている点です。問題は政治なのに政治の失敗が戦争に至るのが歴史の教訓です。民主主義か独裁主義かという二項対立はクソの役にも立たない論点です。

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Sunday, February 08, 2026

まとめて鉄分補給^_^;

鉄分抜き*1ではクラクラするので補給します^_^;。どうせ雪で外出もままならないし。期日前投票済ませといてよかった。

JR東日本とJALの旅行協定のニュースです*2。コロナ禍が明けてからのJR東日本の回復の遅さが明らかになっております。JR東日本では以前に岩手県北自動車との提携*3や西武HDとの包括提携*4などもありますが、遂にJALとの提携に踏み込んだ訳です。旅行商品の共同開発やコードシェアなどが検討されており、日本でも遂に鉄道と航空のアライアンスが実現するかもしれません。両社を動かしたのはコロナ明けの業績不振。リモート革命によるビジネス客の減少は共通ですが、JR東日本は稼ぎ頭の首都圏輸送の戻りが遅く、製造業比率の高い中京圏や近畿圏と違ってリモートワークの影響を強く受けていることと、人口減少が厳しくインバウンドの恩恵も少ない東北地方を抱える影響もあります。その結果既にバリアフリー対応と特定区間見直しによる2度の運賃値上げをしたものの、地方ローカル線を抱え災害復旧による負担増もあって3月に本州JR初の幹線運賃と地方交通線運賃の値上げを実施します。

一方でビジネス客の減少をインバウンドでカバーして絶好調のJR東海ではいち早くコロナ明けの黒字化を達成し*5、また渡航制限解除によるインバウンド需要の取り込みもあって絶好調の結果お得なきっぷの見直しを発表します*6。ビジネス需要の減少を補って余りあるインバウンド需要の影響で、従来ガラ空きだったこだままで混雑するようになって、短区間利用対象の割引を無くす結果となりました。その裏にはのぞみ増発の影響で利用が増えてもこだまの増発は寧ろ制限される訳で、割引の意味が失われた訳です。

実はJR東海の財務の強さはリニア工事の遅れが寄与していまして、ザックリ言えば2016年の財投資金3兆円投入で、無担保30年据え置きで金利0.8%程度の低利融資という破格の条件で資金を得ました。JR東海はそれを負債勘定で計上しているので、コロナ禍で苦しむ他社が社債発行や融資拡大で凌いでいた中で、リニア工事の遅れで使途を失った財投資金を流用できたことがあります。特に静岡工区の未着工に注目が集まったことで静岡県を悪者にしてリニア工事遅れの批判をかわしていた訳です。JR東海の本音は「川勝前知事ありがとう」です。

その結果700系の改良と保安装置の改良で積み上げたダイヤの余力をのぞみ増発に充ててピーク時1時間13本を実現した訳です。しかも繁忙期全車指定席でのぞみ料金がガッツリ稼げますからこだまの混雑はスルーどころか割引の見直しで制限するという具合です。さらに在来線の車両更新も進めて民営化初期に大量発注された211系と自社設計発注車311系を淘汰してJR初の全車VVVF制御車を達成するし、しなのやひだなどの特急車の置換えなどのカネ余りッぷりです。その結果逆に資本効率は低下し、JR唯一のPBR1倍割れ企業となる訳です。それでも自社株買いなどを求めるアクティビストの餌食にならないのは資本規模が大きいからで、JR九州の規模だと狙われて災害復旧もままならない現実があります。

そんな中で攻めの姿勢を見せるのがJR西日本です*7。サバ養殖や宇宙旅行など攻めの姿勢を見せていますが、スマホを用いた線路モニタリングシステムです*8。汎用システムを利用した線路保守への応用ですが、新幹線のみならずローカル線への応用も可能で、自社ローカル線への適用のみならず大手私鉄や経営の厳しい地方私鉄などへの外販も視野に入っている点に感心します。JR西日本はICOCAでも車載型端末の開発などでやはり外販攻勢をかけており*9、ICカード乗車券でも先行するSuicaを凌ぐ結果となっています。最近はQRコード決裁やクレジットカードによるタッチ決済も普及しており、JR東日本は乱立していたポイント事業の統合やBaaS事業のJREバンク参入などでSuica経済圏の囲い込みに余念がないものの、イノベーションの停滞に陥っている傾向はあります。

実はビジネス客の減少は鉄道より国内線航空への影響も大きく、JALもANAも渡航制限解除で国際線は好調ながら国内線が足を引っ張る状況です。ANAは国内線の減便や廃止の一方で国際線強化を打ち出してますが、JALは国内線の収支改善のためにライバルのANAとの連携やFDAとのコードシェアなどで国内線のてこ入れを模索します。しかし上客のビジネス客の減少は座席の安値販売に頼らざるを得ず、結果的にLCCがしわ寄せを受けます*10。JAL系LCCジェットスタージャパンの合弁相手の豪カンタスが保有株式全株を日本政策投資銀行へ譲渡して撤退を決めました。その結果ジェットスターのブランドが使えなくなり名称変更を余儀なくされます。一方ANA系のピーチは元気満点で嵐コンサートでホテル不足を防ぐ為に関空~千歳臨時便を運航するというもの。なるほどアイドルの追っかけ客はLCC向きと言えますから、ブランドの売り込みは有効策という訳ですね。

結局JR東海ののぞみ攻勢で少ないビジネス客を奪われ、インバウンド狙いの国際線コードシェアで席を埋めている状況で航空側の打つ手は限られ、円安で燃油代などコストはドル建てなのに売り上げは円建てで利益は細るばかりで事実上白旗状態という訳です。JR東海のゴリゴリのマッチョなのぞみ増強がもたらした結果ですが、これ逆に言えばリニア要らないってことではあります。リニア工事の遅れで続くうたかたの春もいずれ見直しを迫られるかも。

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Sunday, January 11, 2026

日出る国の衰退一路

新年早々の騒がしさは続きます*1。米ミネソタ州で国境警備局(ICE)捜査官による講義市民への発砲事件で死者が出ました*2。府負傷と報じられてますが夫人は死亡しており動画も拡散されていて、事実上の射殺と見られておりますが、メディアは当局に忖度してか表現を弱めてます。射殺に至らないICEの銃撃事件は他の州でも起きています*3。オレゴン州では州知事が連邦レベルのもみ消しを危惧して、FBIの捜査を拒否して州警察に捜査を命じました。アメリカが壊れています。

他国の国家元首を拘束してアメリカの国内法で裁くのも大概ですが、父ブッシュ時代の1989年のパナマ侵攻で当時のノリエガ将軍を国内法で裁いており*4、前例を盾にトランプ政権は正当化しています。取ってつけたようなコカイン密輸疑惑は前例に倣ったものでしょう。しかし本当の狙いは石油なのは明らかです。設備投資不足で生産がが落ち込んでいるベネズエラの石油が中国へ渡っていることと、石油収入がキューバへの支援に回っていることを問題視していたようですが、それに留まらず別の意図もあるようです。

エクソンのトップがベネズエラへの投資に慎重な一方*5、シェブロンなどのアメリカ国内の古い製油所の活用が示唆されています*6。ベネズエラ産の原油は硫黄分の多いドロドロの重質油で、アメリカ国内の製油所も重質油向けの設備だったものが、シェール革命で生産される原油はガソリン成分の多い軽質油である意味性能の無駄遣いだったことと、昨今の原油安で新規のシェール開発が滞っている結果、国内の製油所の稼働率が低下していることから、ベネズエラ産原油の精製に活用するレガシー活用術ということです。つまり原油をカリブ海を挟んだアメリカ南部に運べばアメリカ国内にお金が落ちる訳です。裏返すとベネズエラは原油を搾り取られるだけで経済的メリットは薄くなりますが、汚職や腐敗がまん延するマドゥロ政権の残党なら賄賂で動かせるって計算ですね。故に反政府運動でアメリカが推してノーベル平和賞を受賞したマチャド氏ではなくロドリゲス暫定大統領との取引を選んだということです。エグい計算高さです。

そしてグリーンランドへの言及も、本音はレアアースなどの資源と考えられます。中国のレアアース輸出規制で懲りたのでしょう。レアアースを止められれば兵器も作れないということで、こんな動きもしてます*7。コンゴ民主共和国はリチウムやコバルトといった希少資源の宝庫で、中国が深く入り込んでますが、そこへアメリカが進出を目論んでます。隣国ルワンダとの紛争解決を仲介したのもそのためですが、やはり腐敗しきった政府機関への対応は困難で、中国を越える利権獲得は難しいと考えられます。また日本の南鳥島周辺の海底泥からのレアアース採取も日本の資金で進めようとしてますが、水深6.000mの海底泥採取も困難だし本土へ輸送して精錬するとコスト面で中国産に対抗できるかどうかも不明。しかも最低10年以上の時間が必要で、現実的に中国依存回避は困難です。

そんな日本に中国は戦狼外交第二弾を繰り出します*8。これ「デュアルユース」がミソで、第三国で加工されて日本に輸出されて軍需品になる可能性のあるものに投網をかけている訳で、個別品目は明示されていません。故に民間事業者や第三国政府が中国当局の顔色を窺いながら対応するしかないので、影響はかなり遅れてジワジワと真綿で締められるように出てくると考えられます。いやこれは民生用自動車向けだという言い訳も通らない可能性があり、回避策は中国国内で民生向けの最終製品に仕上げるしかないことになります。国産メーカーが中国産の輸入車を売る事態もあり得ます。それもこれも高市失言の影響です*9。

第一弾が日本への渡航自粛などで、日本への団体旅行催行中止や中国エアラインの日本路線運休などでしたが、実は羽田便は殆ど運休しておらず、ビジネス利用は減っていません。運休すると羽田の発着枠を失うこともありますが、経済関係はそれほど冷えていないことを示します。逆にLCC中心の関空は中国便大減便で影響をモロに受けており、その結果観光バス需要が消滅する事態が起きています*10。万博効果で事業者は潤っていたとしても、逆に万博対応で過剰な車両を抱えた状態で稼働率を下げることになれば、ドライバーの雇用にも影響します。ノー天気なウヨは中国人が来ないなら日本人で穴埋めすれば良いとお気楽ですが、インバウンドによる外貨獲得を国内消費で代替すればそれが円安要因となってインフレを招きます。インバウンドは国外インフレを国内に持ち込む面もありますから、どっちに転んでも国民経済は苦しくなります。アベノミクスの帰結となる弊害です。羽田便が生きていれば中国の個人観光客は羽田から関西へ移動できますから、東海道新幹線はあまり影響を受けないとしても、インバウンドで盛り上がっていた関西経済の先行きに暗雲が漂います。

そしてさらに日本にとってはマイナスにしかならない残念なニュースです*11。第一報が読売ってことで観測気球の可能性濃厚ですが、党内基盤の弱い高市首相としては内閣支持率が高い裡に解散を打ちたいのが本音でしょう。但し公明党が連立離脱して維新との連立となったものの、参議院での過半数割れは解消せず、予算審議は難航が予想されます。加えて維新のゴリ押しに党内からも批判が上がっている状況ですから、おそらく連立相手を国民民主党に組み替えれば参院過半数も実現できるという計算はあると思います。但し国民民主党の連立与党入りは支持母体の連合の反対がありますから簡単ではありません。

逆に既に国民民主党は所得税の基礎控除引き上げとガソリン暫定税率の廃止を実現したことで、政府予算案に反対する理由が無くなっている訳で、ならば参議院の過半数割れもネックにはならない筈ですが、維新地方議員の国保逃れスキャンダル*12で社会保険改革の機運がしぼむことも避けられないということもあるでしょう。600人も理事がいる事業実態が不明な一般社団法人で定額報酬を得る形で社会保険に加入すれば、議員の高額報酬で課される国民健康保険の高い保険料を減らせるという意味で脱法行為ですが、あくまで維新の公式発表だけで第三者の検証はないので真実は不明です。こんな連中が高額療養費やOTC類似品価格に手をつけようとしている訳です。自身の統一教会関与も疑われている高市首相としては縁を切りたいかも。

しかし現実は冷徹です。このニュースに市場が反応しました*13。そのココロは解散総選挙を経ても自民党過半数割れは解消せず、野党の要求を呑んで財政規律を守れなくなるという読みです。勿論予算成立の遅れもリスクとして意識されていると考えられます。石破おろしの総裁選で国民生活そっちのけで9月を浪費したのに*14、またしても政局に時間を浪費する懲りない面々です。そしてさらに残念なニュース*15。財界きっての中国通として要人人脈も豊富で民間人初の駐中国大使になりながら、尖閣問題で翻弄されながら良好な関係を維持して中国からも惜しまれた丹羽宇一郎氏の訃報です。伊藤忠社長時代に種まきした中国事業は確実に伸びて商社トップに上り詰める礎を築きました。残念ながら今の財界人にはこういう人は見当たりません。

習近平体制で所謂内巻と呼ばれる内需不振を外需で埋めようとしている現代中国ですが、加えて世界の先を行く資源外交も、突き詰めれば一帯一路政策で国外輸送路を整備した結果と言えます。ここは長期停滞で先んじる日本と大きく違う部分で、このままでは国力は開く一方です。一帯一路ならぬ衰退一路の日本です。

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Sunday, January 04, 2026

新年早々ウヨ曲折

新年早々世界を揺るがす大事件です*1。これロシアのウクライナ侵攻と同じで、国連安保理決議を経ない主権国家への攻撃で国連憲章違反に加えて合衆国憲法に規定された議会の承認なしに連邦軍を動かしたことで、法の支配をぶち壊した暴挙です。ロシアに物申せなくなると共に、中国の台湾への軍事挑発にも物言えない状況です。なるほど暮れにこんなこと言ってました*2。逆にベネズエラへの攻撃を公言してましたから、トランプ大統領にとっては予定の行動だったのでしょう。しかもベネズエラのマドゥロ大統領がコカイン密輸に関わったという根拠も示されない罪状で逮捕して身柄拘束したから「戦争ではない」というのもロシアの「特別軍事作戦」や戦前日本の「満州事変」「日華事変」と同じロジックで自己正当化しています。まあアメリカの国際法無視は過去にも多数ありましたが、一例として40年前のイラン・コントラ事件貼っときます*3。対イラクで劣勢なアメリカがイスラム革命以来断交中のイランに対して兵器を秘密裏に売って、代金を裏金としてニカラグアの反政府ゲリラのコントラに援助したというスキャンダルです。但しアメリカの中南米への軍事介入や内政干渉はこれに留まらず多数ありますが。

トランプ大統領の狙いは単純に石油。とにかく埋蔵量世界一ながらチャペス政権時に外資メジャーを追い出して石油会社を国有化したことで、経済制裁を受けて老朽化した設備の更新もままならず、石油生産を減らしてきました。チャペス大統領の後継者のマドゥロ大統領を排除して親米政権に転換することで米石油メジャーに利権を渡し、増産して原油価格を下げてガソリン代高騰による米国民の政府批判を封じて、劣勢が予想される中間選挙の巻き返しを狙ったと見られます。原油価格が下がればウクライナ和平交渉で言うことを聞かないロシアへの圧力にもなります。但し中東産油国を敵に回しかねずガザ問題も絡んで批判を浴びるから、国内のの反政府デモを口実にイランへの圧力を強めてかわそうってことですね。ついでにイランが親米政権に転換できれば尚良しで、どこまでも利権絡みです。

こんなアメリカに日本の外務省は苦慮しているそうですが、既に幾つかの国は国名をぼかした上で国際法違反を咎めてます。しかし高市政権の動きは鈍く、寧ろ春の訪米を模索してすり寄る姿勢を見せています*4。一方韓国の李在明大統領は新年早々訪中して習近平主席と会談して対中関係修復に動いています*5。トランプ大統領にゴマすりしまくる一方で習近平主席にも顔つなぎして日本のお手付き*6を巧みに利用して国内世論も抑え込み、経済連携強化で実利を狙います。今やAI大国の米中両国を繋いでサムスンなどの先端半導体で捲土重来を後押しする外交巧者ぶりです。米IBMの技術支援で補助金入れても政府系ファンド以外の出資が集まらず、財界に泣きついて奉加帖方式で資本を整えるラピダスと大違い。日の丸半導体は夢に終わりそうです。

こんな日本企業の中でリニアに賭けるJR東海にも逆風が続きます。リニア60年の紆余曲折*7でザックリ説明してますが、解決が見えてきた大井川の水問題*8で静岡工区の年内着工が見えてきたものの、解決困難な問題が山積します*9。大井川の水問題に留まらず静岡工区以外の工区でも用地買収難や事故に伴うトラブルや事故が絶えず、例えばトンネル残土処理のめどが立っていないこと*10や国策を盾に自治体に用地買収や残土処分を押し付けて住民の反対に遭ったりするなどの問題もあります*11。また南アルプスの地質の問題はかなり深刻で、多数の断層が走り高温高圧の地下水を遮断する難工事は下手すれば山塊の崩落に至るリスクさえ孕みます*12。また東京と名古屋の市街地の大深度地下のシールドトンネルを巡るトラブルも解決困難です*13。あと超電導リニアの技術的リスクも多数あります*14。

JR東海としては名古屋までのリニアを早く開業して次のステップとして海外へのインフラ輸出を狙い、アメリカの北東回廊リニア実現のためにアメリカでロビー活動して技術ライセンス無償供与まで約束しながら、連邦政府の環境アセスメント停止で事実上失敗。代わってAmtrakアセラの代替更新車両を仏アルストムが受注しています。JR東海は他にヒューストン~ダラス間のテキサス高速鉄道計画にも絡んでますが、資金が集まらず停滞しています。それでも希望的観測のJR東海ですが*15。AI時代の電力不足の中で電力食いの金食い虫を買う国があるでしょうか?その間にJR東日本はムンバイ~アーメダバード間のインド高速鉄道を受注して実績を確実にしてます*16。高速鉄道商戦もウヨ曲折してますね^_^;。

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