民営化

Sunday, December 27, 2020

円高株高消費低迷の謎

日経平均株価が上昇基調で年内3万円台に乗せる期待が持たれていますが、ちょっと値上がりすると含み損抱えた投資家から売りが出て戻すことを繰り返していて2万7千円付近で膠着しています。但し上げ基調にはあり、年内は無理でもいずれは実現すると見られます。

とはいえ Go To 停止もあって消費は冷え込んでおり、実体経済との関係では整合性が見られないこの相場をどう見るべきでしょうか。種明かしすれば先月頃からの外国人買いの増加が寄与したものですが、世界の投資家が注目するのは米NY市場などから見て放置されて割安感が出てきたことによります。米ハイテク株中心に値上がりが続くNY市場ですが、3万ドル突破でここまで高値になると投資の旨みがなくなってしまうことがあります。

株式投資は配当狙いのインカムゲインと値上がり期待のキャピタルゲインの両方の狙いがある訳ですが、共に値上がりすれば旨みが薄れるのは当然ですし、また売り相場になった時の値下がりリスクもある訳です。基本は安値で仕込んで高値で売ることですから、相場如何では逆食らう可能性もある訳です。だからこれ以上NY株式は買えない水準に達したってことです。加えて米国債金利に上昇圧力がかかっていることもあり、株式と国債の裁定が働きにくくなっていることも指摘できます。

米大統領選でバイデン氏勝利が確実になり、グリーンニューディールや老朽化した公共インフラへの投資などで財政拡大を打ち出すバイデン次期政権ですが、議会選では苦戦し、特に上院は年明けの再投票で決着するジョージア州の2議席を民主党が取っても50:50の同数になるだけで、財源として法人税と富裕層課税の強化を見込むものの実現可能性は低く、財政赤字拡大が避けられないことから嫌気されたものです。

となると日米金利差で円安になりそうなものですが、アメリカの国内消費は堅調で、国債金利上昇は寧ろインフレ懸念をもたらします。しかもFRBはインフレ目標2%達成後も安定的に継続するまで量的緩和を続けるとコミットしており、インフレが放置されるということで、インフレ率で補正した実質金利ベースでは日米金利差は寧ろ円高方向へブレるということで、日本株高と円高が共存する相場になっている訳です。円高は外国勢から見れば日本株の低リターンをカバーし、米インフレをヘッジするという意味で、米国債の代替の役割も持ったということですね。

外国勢から注目されたからといって、東京が国際金融都市に近づいた訳ではありません。この関連で優秀なアナリストやトレーダーの所得税減免が議論されてますが、彼らは市場規模の大きなところの方が稼げる訳で、またそうした大規模市場は競争も激しく、その中で実績を上げ続けることの難しさはステータスでもある訳で、税金オマケするから来てね、に釣られて来るのは競争劣位の二流でしかありません。そして東証システム障害の後始末のニュースです。

東証、統治及ばず「引責」 システム障害で辞任、「必要なし」から一転 官邸の空気察し自ら決断:日本経済新聞
風邪と共に去りぬで指摘しましたが、システム障害自体はある意味避けられないところですが、東証は証券各社へのヒアリングを徹底し混乱回避に尽力した訳で、その結果の終日取引停止だったのですが、官邸がそれを咎める空気があり忖度してトップ辞任に至った訳です。繰り返しになりますが、大証を除く地方市場が東証のシステムに乗っかっていたことと、民間市場(PTS)が規模の小ささから代替を果たせなかったことが終日停止已む無しの判断に繋がった訳で、東証の責任を問うのはお門違いです。これ日本学術介護問題にも通底する事実上の人事介入です。また代替市場が機能しないのは国の規制の結果なんで、政府が規制緩和を打ち出すならまずここからだろ。

ってことで、円高は結局日米のインフレ期待の差がもたらしたもので、それ程日本の消費は冷え込んでいる訳ですが、注意が必要なのは、これコロナ禍による不安が原因であって需要不足が原因ではない点です。繰り返しになりますが、コロナの克服こそが最大の経済政策だってことです。実際安倍政権で実施された特別給付金はその多くが貯蓄に回っていて消費には寄与していないと見られています。但しだから無駄だった訳ではなく、助けられた人も多数存在したことは確かです。その意味で一部で言われる消費税減税は無意味だし、需要喚起策としての Go To も結果的に感染拡大を招いた分マイナスの方が大きいと言える訳です。実際街にクリスマスソングは流れず規制や初詣も自粛で消費は落ち込んでます。

ひとつ謎なのがコロナ禍がより過酷なアメリカの方が消費が活発という点ですが、おそらくアメリカの方が格差拡大が深刻で、給付金などの政府支援が消費に回りやすい可能性があります。コロナ感染者の爆発的拡大も、一応国民皆保険で医療にアクセスしやすい日本に対して、オバマケアも実現できず医療へのアクセスができない人が多いことも影響していると考えられますが断定は避けておきます。

もう一点指摘しておきたいのが、日米に留まらず世界的に公的債務が膨張傾向にあり、特にドイツの反対で実現できなかったEU共同債の発行が決まったこともあり、公的債務拡大は当面続くことは確実ですが、一方で需要が消滅したエアラインなど多くの企業で資金繰りのために借り入れを増やしている訳で、官民共に債務拡大が続いている訳ですが、アメリカで国債金利上昇が見られるものの、それでも低金利が続いていることです。

これ各国中央銀行の金融政策が緩和的だから緩和マネーが溢れていることで説明できますが、それに留まらず日本に典型的に見られる貯蓄の増加が寄与していると考えられます。とすると上記の日米の消費性向の差が為替を円高方向に向かわせていると言える訳で、いろいろと説明がつくことにはなりますが。

ネット通販拡大の恩恵を受ける宅配便を例外として、エアラインに限らず運輸事業の逆風は厳しいところですが、日本のエアラインの大手2社ANAとJALは共に当面自力更生を模索しており世界で見られる政府による救済はなさそうです。竹中平蔵氏が国際線の1社体制をぶち上げて話題となりましたが、ANAもJALもその気はないと見て良いでしょう。何れもグループ内にLCCを抱えており、採算性の低い路線を傘下のLCCに肩代わりさせて高採算のビジネス路線を温存する方向性を打ち出しています。ただ長引けば耐え切れなくなることは考えられます。その際には拡大路線にまい進したANAの方が苦しい訳で、それを見越したANA養護が真意かと思います。とにかく裏の多い人物ですので真に受けない方が良いでしょう。

そして苦しいのは鉄道も同じで小規模な地方私鉄は資金繰りに知恵を絞りますが、規模の大きいJRは当然必要資金の規模も大きい訳で、もっと抜本的な対策が必要です。特に元々経営基盤の弱いJR北海道とJR四国においてはなおさらです。<

a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF2510G0V21C20A2000000" target="_blank">JR北海道・四国への支援拡大を発表、コロナで旅客急減:日本経済新聞
JR北海道は3年で1,302億円、JR四国は5年で1,025億円の資金支援ということです。但し債務の株式化や利子補給を含むということで、真水は少ないとっ考えられます。前者は2020年までに設備更新や省力化投資の資金としてJR北海道へ2年間で400億円、JR四国へ2011年以来512億円を支援しておりますが、鉄道・運輸機構からの融資分を株式化するってことだと思います。つまり国有企業としての両社を国は潰さないという意思表示ではあります。

但しJR北海道で問題になっている大幅な路線存廃の議論は別ということで、沿線自治体と道庁の支援策が無ければ大幅な路線縮小が避けられないのは今までと変わりません。国としては債務の株式化に踏み込んでも最終的に経常黒字を安定させて株式上場すれば取り戻せる訳です。但し国策として株式保有を続ける可能性はありますが。というかNTTもJTも国の持ち分は残っている訳ですし郵政関連も同様で、JR本州3社の持ち分全放出による完全民営化の方が少数派です。

あとは経営安定基金の積み増しも考えられますが、今のところ言及はありません。実際は鉄道・運輸機構への預託により相場より高い利回りを保証して事実上の補助金としている一方、JR九州上場時に取り崩したように、追加の設備投資で発生する減価償却費を上場時に減損処理して減らす原資になる訳で、基本は株式上場がゴールという立場を維持しているようです。つまり国鉄改革時の基本方針は変えない訳で、自治体への負担を求めるということですね。あとついでにこれも取り上げておきます。

北陸新幹線、敦賀延伸1年遅れ 地元負担増を懸念:日本経済新聞
元々生産年齢人口の減少で人手の確保が困難になる中で、震災その他の災害復興と五輪関連で取り合いになりますから、工事の遅れは当然起きる訳で、遅れれば当初見込みの事業費は膨張する一方、JRが負担するリース料は受益の範囲で確定していますから、地元負担が増えることになります。また開業が遅れれば整備新幹線財源として開業後の整備新幹線リース料が当てにされている訳で、当然2030年開業予定の北海道新幹線札幌延伸が遅れることも視野に入ります。JR北海道にとっては頼みの綱の北海道新幹線延伸ですが、狂いが生じることになります。整備新幹線スキームも限界に達したと言える状況です。果たして上場のゴールに辿り着くでしょうか。

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Sunday, December 06, 2020

Go To 地獄

Go To コロナで指摘した通りの展開になっています。

GoTo自粛で企業逆風 リクルート、200億円減収も:日本経済新聞
旅行サイトや運輸、宿泊などの救済と経済を回す目的で、結局感染拡大させて振り回している構図です。愚か。しかも自粛はあくまでも高齢者や既往症持ちに対してですが、元々アクティビティの低い高齢者を自粛させても軽症や無症状の若者がウイルスをばら撒けば感染は拡大する訳で意味がありません。実際高齢者の感染が増えていて、連動して重症者が増えて医療崩壊の危機にあります。タイミング的には三連休から2週間ですから、せめて三連休前に止めていればまだましだったとは言えます。

艇温度低湿度の冬に感染拡大することは予想されていたにもかかわらず、ICUなどの医療への支援は行われず、相変わらず検査体制の脆弱なままですし、看護師の退職でマンパワーも落ちている訳で、忘年会シーズンも棒に振るしクリスマスや年末年始も推して知るべしという状況です。このままいくとコロナ自体よりも医療崩壊のあおりでコロナ以外の患者への医療が滞り、コロナの死者にカウントされない死者が出る事態も覚悟する必要があります。経済回さないと自殺者が増えるとして経済を回した結果です。

リクルートやじゃらんなどの旅行サイトもですが、実t物資産を抱える運輸や宿泊セクターはもっと大変です。以前にも指摘しましたが、30年償還のリース資産である整備新幹線区間の距離が長いJR東日本はJRグループの中ではとりわけ苦しい立場ですし、大手私鉄ではホテル業の比重が高い西武、東急が苦しい訳です。それでも五輪は別腹らしい。

東京五輪、外国客を大規模受け入れ アプリで感染対策 政府、移動の自由を重視:日本経済新聞
五輪はいいよいよ開催自体が難しくなってきています。欧米の感染拡大に加えて開催国の日本もということで、いよいよヤバくなってきてます。IOCのバッハ会長が中止を否定したことを根拠に中止は無いと考えるのは浅はかです。

開催国の日本と開催都市の東京都がやると言っている以上、IOC側から中止を言う訳がありません。米NBCの放映権料問題も、保険で補填可能なのでIOXCは痛くも痒くもない一方、政府や東京都が決断できないでいるのが実際です。また出場選手も安全性に疑義があるワクチン接種を義務付けられたりすることから辞退する選手も出てくるでしょうし、そもそもコロナ禍で十分な練習もできない可能性もあります。NBPパリーグ終盤のロッテのように選手自身が感染する可能性もあり、そうなると軽症でも練習できない事態もある訳です。それらの問題を飲み込んでも、本気で五輪開催したいなら、今コロナを封じ込めないでどうするつもりでしょうか。大局が見えなくなっているとしか思えません。愚かすぎます。

同じエントリーで触れた携帯料金問題ですが、やはり予想通りNTTによるドコモ子会社化は連動した動きだったようです。上場企業のドコモを子会社化することで、株主に支払う配当金と自社株買い費用はまるまる手元に残り、その規模は推定2,000億円ほどで、値下げの原資になる訳です。加えてNTTは政府34%株式保有で重要事項の拒否権を政府が握っている訳で、政府の意向に沿うしかない訳です。それを梃子に他の大手キャリア2社に値下げを迫るという構図ですね。

まるで中国共産党みたいなやり方ですが、これ逆に1940年代の日本の国家総動員体制への先祖返りにも見えます。というか日本のやり方を中国がパクった結果中国が躍進した一方、落ち目の日本も先祖返りで対抗という図式に見えます。ただ大手キャリアを圧迫しても、次世代通信の5G投資が遅れることは見えていない模様です。

但しNTTへのNECの出資が意味深ですが、5Gの技術的な遅れをNTTとNECが組んでキャッチアップしようという意図も読み取れます。旧電電ファミリー復活の狼煙です.与党内にGAFAやBATHに匹敵するハイテク企業に日本に表れないことへの焦りがあるということですね。しかしGAFAもBATHも国有企業ではない純民間企業が成長したもので、アントの上場中止に見られるように、時に公権力と対立することすらあることは見えていないんですね。

この辺の構図は地方銀行の再編問題でもそうですが、元々日銀のゼロ金利やマイナス金利政策で利ザヤが取れなくなっていることが原因です。確かに小泉政権下の竹中プランでも大手銀行が再編された一方、地方銀行は猶予された経緯はありますが、その一方で地方銀行と事業領域が競合する郵便貯金は別途民営化された一方、銀行のペイオフに合わせた1,000万円の預入限度額を郵政族議員の圧力で1,300万円に拡大するなどしている訳で、再編を言うならゆうちょ銀行も含めた議論をしなければおかしいですが、全く聞こえてきません。こんな状況で地方銀行の自主的な取り組みを期待するのは無理です。

その意味で日銀が打ち出した再編を後押しする日銀口座への0.1%の付利は実質的な再編支援策となりますが、これある意味日銀のマイナス金利政策のも¥見直しでもある訳で、失敗を認めたくないから地銀再編の機運に乗じて既成事実づくりという側面もあります。ただ実際の基準ははっきりしませんし、単なる銀行補助金になる可能性もあります。となると体力の弱いところが生き残ってゾンビ化となるとはて、再編はどうなる?

てことで国民の命よりも統制経済まっしぐらというディストピアです。読者の皆さん、ご自愛ください。

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Sunday, November 08, 2020

ハイブリッド・シビル・ウォー

開票が進みやっと大勢が決まった米大統領選です。

「分断ではなく結束」 バイデン氏が勝利宣言:日本経済新聞
バイデン氏が勝利宣言をしましたが、トランプ氏は敗北宣言をしておらず。法廷闘争に持ち込む姿勢を見せており、すんなり政権移行するかどうかは微妙ですが、既に欧州首脳は祝意を表明しています。トランプ政権で悪化した外交関係の修復に対する期待でもあります。

英国ジョンソン首相も防衛機交渉や気候変動問題での連携に期待しており、EUと足並みがそろっております。バイデン氏の同盟重視の姿勢に対する期待ですが、アジアの某日本国は微妙です。安倍政権でトランプべったりだったことで、同盟重視があまりピンと来ていないこともありますが、バイデン氏が復帰を明言したパリ協定の目標が低すぎるとか石炭火力に依存しているなどで非難されたから、トランプ政権は居心地が良かったとも言えます。それに日本学術会議問題の国会答弁で炎上中でそれどころじゃないかも。また任命拒否した6名は反政府運動に関わっているという政府関係者の証言が報じられております。中国かよ!

しかしトランプ大統領は敗北宣言をしておらず、法廷闘争に持ち込む算段をしています。但し現時点ではトランプ陣営からの不正の訴えは裁判所に退けられており、また欧州から派遣された選挙監視団も今のところ不正の証拠はないとしております。但し州によって手続きが異なるため、提訴を受け付ける州も出てくる可能性はあります。

また既にSNSでフェイクニュースが拡散されており、何故か日本でも翻訳されたツイートが拡散されてますが、そのほとんどはファクトチェックされてフェイクとされております。寧ろトランプ陣営の立会人のあからさまな開票妨害が見られ、また両陣営のデモも起きており、下手すると両者の衝突もあり得ます。これ既に内戦状態と見て良いかもしれません。

ザ・シビル・ウォーで取り上げた南北戦争も元はと言えば大統領選でリンカーンが勝利して奴隷解放を進めたことに対する南部諸州の離反によりますが、当時リンカーンが所属する共和党は保護主義と工業化推進の立場で、逆に民主党は国際貿易重視で有力な輸出品だった綿花栽培農家の利害を代表していたため、安い労働力としての奴隷制度維持の立場で、今とは立場が逆だったのが面白いところです。時代が変われば立場も主張も変わる訳です。

てことでバイデン氏は同盟重視、国際協調の立場ですが、一方でバイ・アメリカンで国内工業重視の姿勢も見せており、経済下支えのための大規模公共事業も公言しています。しかし既にトランプ減税の大盤振る舞いとコロナ対策で財政赤字拡大が続いており、法人税増税を打ち出してはいるものの、上院がで民主党が多数派を取れなければ実現可能性に疑問符が付きます。そうなるとFRBが金融緩和で支えざるを得なくなり、金利の低下でドル安基調で円高が進むと言われております。

実際円は対ドルでジリジリ上げておりますし、欧州のコロナ第2波でユーロ圏もマイナス金利で円独歩高の様相です。しかし異次元緩和で手詰まりな日銀は打つ手がありませんし、政府の為替介入も現実的には不可能です。この面からもバイデン氏に祝意を表しにくい某日本国です。残る手は欧米並みにコロナ第2波で経済失速か。ひょっとして Go To って-_-;

話を戻しますが、フェイクニュースや開票妨害などはある意味現代的な実力行使でもある訳で、ハイブリッド戦争ならぬハイブリッド内戦と言えるかもしれません。ハイブリッド戦争または非対称戦争と呼ばれるのは、主権国家同士の実力紛争を意味する通常の戦争に対して、例えばテロのように民間人に紛れて攻撃を仕掛けたり、あるいは軍事的衝突は伴わないけどサイバーセキュリティの弱点を突くハッキングや攪乱とか、フェイクニュースの流布とか、武力行使を伴わない妨害行為など、紛争関係が非対称で見えにくいものを指します。

典型的なのは9.11とその後の対テロ戦争だったり、ウクライナ紛争のように明らかにロシア軍が実態の義勇軍とか、その他もろもろの紛争形態の総称です。政権移行のために連邦軍がホワイトハウスからトランプ氏をエスコートといった事態もあり得ますし、仮にそうなると遺恨が残りバイデン氏の政策遂行の現場で様々な妨害工作が行われることも視野に入れておく必要があります。となると同盟重視で国際社会へのコミットを公言するバイデン氏ですが、国内問題に忙殺されて国際協調に手が届かない事態もあり得ます。かくして頼りにならないアメリカは継続し、中国、ロシア、トルコなどの権威主義国家がますます勝手に動くことになります。トランプ時代に負けず劣らず国際秩序は混乱すると見るべきでしょう。

となるとヤルタ・ポツダム体制下で惰眠を貪る日本も、アメリカを当てにできないことを自覚すべきでしょう。日本が提唱しアメリカが乗っかっている開かれたインド太平洋という防衛構想も、当てにはできないと考えた方が良いでしょう。結局米中のパワーバランスの中でポジションを模索するしかないのが日本の立場です。しかも日本の経済的プレゼンスはダダ下がりの中での話です。そんな中で気になるのがこのニュース。

アント、香港・上海上場を延期 中国当局が創業者ら聴取:日本経済新聞
アリババグループの金融サービス会社のアント・フィナンシャルグループが上場直前に創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の発言を問題視して聴取したことで、上場が遅れたというニュースです。マー氏は当局の規制が時代に適合していないと政府批判ととれる発言をしたことが問題視されたようです。

アリペイによりQRコード決済システムでテンセントのウイチャットペイと市場を分ける巨人ですが、更に踏み込んでECでアリババに出店する事業者の資金支援サービスまで手掛ける結果、銀行の領域に迫る訳ですが、それ故当局の干渉は大きいのでしょう。それに対する不満を述べたことが当局の知るところとなっての事態ってことらしいですが、この辺中国の国有企業と民間企業の二重構造が表面化したと見ることができます。

ITの巨人として米GAFAと中国BATHという言い方があります。GAFAは省略しますが、BATHはバイドゥ、アリババ、テンセント,ファーウエイの頭文字です。この中に国有企業は無く、全て新興の民間企業なんですね。中国と言えば規模ばかり大きく非効率な国有企業のイメージが強く、実際そのような企業は多いですし、政府も雇用の観点から国有企業の保護の姿勢は見られますが、実際に中国の経済成長を支えてきたのはBATHに代表される新興民間企業です。但し競争を勝ち抜いて大企業に成長すると政府の干渉が強まるというジレンマが中国社会でも見られる訳です。これどこかの国と似ています。

NTT再編と政府による通信料金値下げにキナ臭い関係が噂されます。稼ぎ頭のNTTドコモが他社の攻勢でシェアを落として3位となった結果、優越的地位による規制が現実にそぐわなくなってきていることは確かですが、ドコモに留まらず東西やコミュニケーションズ、ITベンダーのデータまで統合してNTT再編が目論まれていますが、政府が34%の議決権を保有する特殊会社ですから、根拠法の改正は避けられないところですが、おそらく政府も法改正などの支援を内々に示唆しているのでしょう。上場したJRが完全民営化されたのとは異なります。

具体的には°ドコモの完全子会社化で、株主配当は不要になり、それがドコモにとっては値下げの原資になります。となるとauとソフトバンクも追随せざるを得なくなり、政府が目論む値下げが実現するという見取り図ですね。またsuもソフトバンクもUQモバイルやYモバイルといったサブブランドを活用してMVNO事業に進出し、安値志向の顧客をドコモから奪って囲い込む戦略でシェアを伸ばしてきましたが、このビジネスモデルはNTT法の縛りでドコモはできません。ですから見方を変えればドコモの子会社化でやっと追いついたという見方も可能です。

実際auもソフトバンクも本体は高機能端末でバリバリ通信するヘビーユーザーを囲い込んで高い料金を取っている訳ですが、ここに落とし穴があります。つまり高額通信料を承知で利用するユーザ―のお陰で基地局などの投資の原資を得ている訳で、それがドコモの値下げで利益が圧迫されるとやりにくくなります。折しも5G投資がは事案るタイミングでの話ですから、日本の5G投資は遅れることが心配されます。

今のところ専用基地局を増やすより既存の4G基地局をソフトエミュレートで疑似5G化する形でサービスを始めて5G端末を売って投資原資を得る形が考えられているようですが、これつまり通信速度は速くならないなんちゃって5Gってことで、5Gならではのサービスが起こる可能性を狭めます。アントの上場延期じゃないけれど、政府による民間介入はろくな結果にならないってことだけは言えそうです。

この調子で地方銀行や地方バス会社の統廃合とかやる気でしょうか?やめてくれ!

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Saturday, October 24, 2020

仲良きことは美しき哉かな?

京王線を下って仙川の掘割を抜けると視界が開けるところがあります。仙川は台地の上の高地なのですが、入間川とはいっても埼玉のそれとは異なる野川の支流の都市中小河川が谷を刻み河川敷状の低地が広がる地形に繋がります。故にこの間下り勾配で、高松吉太郎氏がここを疾走するダブルポールの四輪単車の写真を残しております。大正期の貴重な記録ですが、当時と佇まいがほとんど変わっていないある意味貴重な場所です。そんな場所での出来事です。

住宅街の道路陥没、東京・調布 付近でトンネル工事:日本経済新聞
調布市は10年ほど住んでたことがありまして、土地勘のあるところです。入間川を挟んで東つつじが丘と若葉町が隣接しておりますが、若葉町は武者小路実篤が晩年居を構えていたところで、旧居は実篤公園・記念館として一般公開されております。居宅は重要文化財に指定されています。

白樺派の重鎮で日本における空想社会主義者としても知られる文豪ですが、宗旨替えして戦争礼賛に転じ、政府に協力したということで、戦後公職追放の憂き目にも遭っております。そんな文豪が愛した武蔵野の面影も今は昔、入間川沿いの低地も宅地開発されていますが、今回の出来事はそんな場所で起きた訳です。地下では東日本高速道路会社による東京外環自動車道の建設工事が進行中で、所謂大深度地下にシールドトンネルを掘り進めていた場所でもあります。今のところ因果関係は不明ですが、川沿いの低地で地盤が弱いと考えられますから、無関係ではないでしょう。当然ながら外環道の工事は凍結されました。

都市部の地下トンネルは、ビルの基礎杭などと競合するため、地権者の同意を必要とします。・ややこしいですが地下トンネルを掘るために地上権を設定し地権者に金銭補償をする必要がある訳で、例えば地下鉄半蔵門線の九段地区では地権者の同意がなかなか得られずに開業が大幅に遅れたりしました。調布市でも外環道の構想に対して多くの場所に「外環道絶対反対」の看板が掲げられておりました。元々掘れば水が出るほど保水量の多い地域ですし、地下を通すにしても揉めることは確実だった訳です。

それが法改正でビルの基礎杭も届かない地下40mi以上の大深度地下層は山岳トンネルに準じて地権者の権利が及ばないように改正され、外環道も将に大深度地下層にシールドトンネルで通すことで決着した訳です。但し危惧する声が無かった訳ではありません。というのも、山岳トンネルでも過去にトラブルが発生しており、例えば丹奈トンネルの工事で水源を絶たれた地上部分では灌漑用水が得られなくなってますが、国家総動員体制の中で反対の声は上げられませんでした。

上越新幹線でも中山トンネルの大湧水でルート変更を余儀なくされましたし、大清水トンネルの湧水が原因と考えられる水上温泉や越後湯沢温泉の源泉の一部枯渇問題などが起きています。補償装置は講じられましたがトンネル湧水は続いており、大清水(おおしみず)ブランドの飲料販売で活用されてます。この辺は民営化でやり易くなったとは言えます。

ということで外環道の工事も遅れそうですが、思い出されるのがリニア静岡工区のJR東海と静岡県の対立です。一部報道で河川管理を静岡県から政令市の静岡市へ移譲されれば解決するという観測もありますが、仮にそうなっても大井川下流域の自治体との調整は必要で、静岡県が動くことになります。また静岡県もリニア工事に伴う道路整備には奥大井の観光開発の思惑から理解し期待する部分もある訳で、静岡県がリニア工事の邪魔をしているという理解は現実とは異なります。上記の丹奈トンネル工事の経緯もあり、静岡県は条例で厳しい環境アセスメントを求めている一方、JR東海は基準を満たすデータを出さないから膠着していることは指摘しておきます。

この辺のJR東海の姿勢は五方面作戦エントリーで指摘した国鉄時代からの独善性とバーター主義で相手を黙らせる流儀を疑わせます。そしてこのことはリニア談合事件でも垣間見えます。

リニア談合、大成・鹿島が無罪主張で結審 判決は21年3月:日本経済新聞
既に大林組と清水建設の2社は分離公判でtyy材はk熱dが出され、罰金と課徴金も確定していますが、無罪を主張する大成建設と鹿島は公判が続いているのですが、動機法定で指摘したように、分離公判で大林組はJR東海の要請を受けて作成した「星取表」と呼ばれる工区別の予算と受注会社を記したエクセルワークシートという動かぬ証拠を提出してバラしちゃった訳で、有罪判決は動かないでしょう。同時に被害者である筈のJR東海が談合を実質的に差配していたことも明らかになりました。

そのリニア工事も大深度地下トンネル区間があります。元を質せば事業費圧縮を求めるJR東海の姿勢が談合の原因でもある訳で、それだけ儲けの少ない工事を請け負うゼネコン各社がギリギリの見積りを立てている訳で、トラブルが無いとは言い切れなません。てことでゼネコン同士の暴露合戦と化したリニア談合裁判ですが、業界の亀裂は簡単には修復できないでしょう。

仲良き事は美しき哉

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Sunday, October 04, 2020

風邪と共に去りぬ

予想外の展開です。

米政権・議員に感染者複数 ホワイトハウスで拡大か:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたギンズバーグ判事死去に伴う最高裁新判事候補の披露イベント時のクラスター感染が疑われています。自業自得というか、ミイラ取りがミイラというか-_-;。

当然大統領選どころじゃなくなりますし、病状次第では執務不能となることもあり得ます。その場合の代理第1位は副大統領、第2位は下院議長となっており、政治的混乱は避けられません。特に共和党にとっては痛手でしょう。今更別の大統領候補を選ぶのもままならず、副大統領候補が横滑りという訳にも行かず、政治的混乱は避けられません。それ以上にコロナ禍の終息がますます見通せなくなり、国民の消費自粛ムードを高めます。

加えてただでさえ財政の崖問題で追加経済対策が打ち出せない中で、雇用情勢は悪化の一途を辿っています。てことは、アメリカの経済回復は遅れる訳ですから、世界中が様子見モードの米中摩擦の行方も微妙になります。確実に経済を回復させている中国を排除して対米追従すれば自国の経済回復も遅れる訳ですから、日本を含め、多くの国の迷いを誘う事態です。まあ日本はそれどころじゃないあれこれがありますが。

東証「バックアップへ切り替えできず」 機器故障が原因:日本経済新聞
下期初日の10月1日に東証がシステム障害で終日取引停止になりました。原因は記憶装置の不具合ですが、バックアップディスクへの切り替えがうまくいかず、混乱を避ける為に已む無くということですが、問題は代替市場が機能しなかったことです。

欧米では地方市場や私設市場が併存していて、相互にバックアップされる自律分散システムとなっているので機器の不具合による取引停止は避けられるんですが、取引の薄い地方市場では独自のシステム構築の費用が出せず、東証のシステムに相乗りしていたし、私設市場(PTS)は金融庁の規制で規模が拡大すると東証の上場銘柄が扱えなくなるなどで、小規模PTSが複数併存していて、ネット証券が東証を含む複数市場で最も有利な市場で取引するSORという仕組みがありますが、最大規模の東証のシステムダウンでバグが出る可能性があるということで、ネット証券各社はSORを止めたため機能しなかったというもの。

株式市場も東京一極集中の弊害が明らかになった訳で、香港に代わる国際金融都市など無理ですね。金融分野では3行合併でスタートしたみずほ銀行のシステム障害がありましたが、大きけりゃいい訳じゃないってことですね。それを忘れたかのような地方銀行の経営統合を含む再編に前のめりな管政権ですが、同様の問題が起きるとは思わないのでしょうか?

それと気になるのが、同時に経営が苦しい地方乗合バス事業者や地方中小企業の再編も同じノリで進めようとしているんですが、これ1938年の陸上交通事業統制法の時代に逆行させる気でしょうか?今更な国家総動員体制を目指しているとしか思えません。そんな中でのNTT再編ですが、稼ぎ頭のドコモが他社乗り換えでユーザーを減らし、気が付けば3位ということで、もはやガリバー企業としてのNTTグループの協業規制が意味を失ったということです。

加えてNECへの出資になった訳で、気が付けば旧電電ファミリーの復活劇ということですが、5Gの出遅れを取り戻したいってことですね。そしてHuawei対策として国産通信インフラの復権を狙ったものと言えましょう。NTTの筆頭株主は34%を保有する財務大臣つまり国なんですが、上場企業が実は国営企業という中国みたいな現実もあります。何だか国家総動員体制下の電力国家管理に酷似します。携帯料金値下げはこれを誘導する為だったのかな?

このノリで民営化JRに手を突っ込んでくる可能性もあります。経営不振のJR北海道はJR東日本に、JR四国はJR西日本に強引に面倒を見させるとかやりかねないですね。JR九州を含む上場4社は完全民営化されているので、抵抗力は一定にあると思いますが、例えば災害復旧にかこつけて介入する可能性はあります。

例えば熊本地震と大雨で大規模な山崩れで不通となった豊肥本線は3年半かけてやっと復旧しましたが、復旧費用は50億円で半部は国と地方の折版で補助されてます。一方同時に被災した並行する国道57号線は、ルート変更で北側復旧ルートと称する3.6kmのトンネルで外輪山を超える形で復旧し、費用は800億円と言われ、全額公費です。道路予算と鉄道予算にはこんなに開きがあるってのがショックですが、それでも復旧に公費を当てにせざるを得ないJRは、ある意味旧国鉄時代のような政治圧力を受ける存在になりかねない訳です。これはいつか来た道です・

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Saturday, September 19, 2020

コロぶナ大阪トト

忘れかけてた大阪都構想が再起動した模様です。大阪府議会と大阪市議会が大阪都構想の賛否を問う条例を可決成立させて、再度住民投票が実施されることになりました。10月12日公示11月1日投票で、賛成多数なら2025年1月1日から新制度へ移行するというスケジュールです。大阪都構想自体は2015年5月17日の住民投票で格差で否決されましたが、今回は公明党が賛成に回っており、支持母体の有権者が動く可能性が高く、可決成立の可能性が高いと言われております。

立場を明確にする意味で、先に見解を述べておきますが、大阪都構想は天下の愚策です。地方自治法で大きな権限を与えられている政令指定都市を廃止して、権限が限定される4つの特別区にするという話ですから、普通に言えば大阪市域の住民サービスは劣化します。但し住民税などの税源は都に移行する訳ですから、府改め都は財政規模を拡大できる訳で、それが狙いと仮定すれば推進派の正体がわかります。大阪都構想は大阪市を廃止して権限を取り上げる構想ってことですね。

東京都との比較で言えば、東京都の人口1,400万人の内、区部が凡そ840万人で7割ですから、単独の市としては規模が大きすぎますし、昼間人口は区部だけで1,500万人を越えますから、単独の自治体として上下水道などのライフラインの維持管理だけでも大変な負担になりますので、広域自治体として都が肩代わりする意味はあります。

一方大阪府の人口は凡そ900万人で大阪市が275万人ですから約3割と東京とは真逆の人口分布です。勿論大阪市も昼間人口が多いとは言えますが、その規模は東京よりずっと小さく354万人と横浜市よりやや多い程度で、広域自治体としての都が肩代わりする必要性は乏しいと言えます。二重行政云々は従来も府市協議会で調整されてきましたし、人口82万人の政令指定都市堺市が抜けていて行政の一体化は最初から穴あきです。

てことで冷静に考えれば大阪都構想は否決されるべきですが、全国区のニュースになりにくい一方で、在阪メディアは大きく取り上げながらネガティブな情報には触れないということで、可決成立の可能性が高まっている訳です。これ安倍首相辞任から始まる謎な内閣支持率上昇と同じ構図ですね。国会も開かず記者会見も開かず巣篭りしていてメディア露出が減っていたところでの辞任報道でメディア露出が一気に増えた結果、安倍内閣の支持率が跳ね上がり、また早々管官房長官の後継が取り沙汰されやはりメディアを賑わせた結果、やはり新内閣は高い支持率となってます。いろいろ言われますが、オールドメディアの影響力は大きい訳です。

でも未だにコロナ禍が収まらず、大阪府だけでも60-70人規模の感染者が毎日報告されている中での住民投票です。普通に考えればコロナ対策を優先すべきところを、敢えて住民投票を行うというのはリスクもあります。実際コロナ禍で大阪市の財政赤字は拡大しています。自粛による税収減だけで500億円規模に加えて、市営地下鉄民営化で誕生した大阪市100%出資の大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)のコロナ禍による赤字転落で、見込んでいた配当金64億円の税外収入もなくなる一方、コロナ対策で歳出が拡大している状況です。

にも拘らず2025年からの大阪都の財政見通しを黒字として、その根拠として大阪メトロの配当金を挙げている訳で、矛盾だらけです。しかも大阪メトロ社長には知らされておらず、記者会見で記者からの質問で知って逆に赤字転落なのでとりあえず今期の配当は無理とした上で、2025年以降の収支を前提とした議論だから、今はわからないと逃げるのが精いっぱいだったというギャグのような話になってます。

これアベノ自粛エントリーで指摘したことですが、大阪府は大阪府都市開発(OTK)の事業の一部だった泉北高速鉄道を売却し、大阪市は地下鉄とバスの市営交通の民営化で得た資金を投じてなにわ筋線の事業費を負担することで、大阪メトロの稼ぎ頭の御堂筋線のライバルを整備するという倒錯したことをしている訳で、2025年以降の安定配当の見込みはかなり怪しい訳です。

大阪市交通局の民営化も、地下鉄事業に関しては2003年に単年度黒字を達成し、2010年には累積赤字も一掃して多額の利益剰余金を市財政にもたらした一方、フェスティバルゲートやオスカードリームなどの関連事業の不振とバス事業の赤字転落で苦しんでいたことは確かですし、何らかの見直しは必要ではありました。オスカードリームについては市有地の財産信託事業を受託したみずほ信託銀行から提訴され裁判で敗れて受託金支払いを命じられました。

交通局に留まらず咲洲地区のコスモスクエア地区でワールドトレードセンタービル(WTC)やアジア太平洋トレードセンタービル(ATC)など第三セクター方式によるビル建設でテナントが埋まらず赤字を垂れ流すなどしていて、それらを批判して台頭したのが大阪維新の会でした。同様に泉佐野市のりんくうゲートタワービルが同時期に建てられ、やはり大赤字となって泉佐野市の財政悪化の原因となりましたが、維新系の市長によるふるさと納税制度の高額返礼品問題に見るように、バブル後の大規模開発の失敗に乗じて台頭した維新の性格がよくわかります。

とはいえ例えば万博会場とされる夢洲への地下鉄中央線延伸のような投資案件を抱え、加えて仮称夢洲駅にはタワービルを建てる計画まで発表してます。財政を悪化させた大阪市の轍を踏もうとしている訳ですね。違いは大阪メトロは株式会社ですから、タワービル事業がコケても株主の有限責任原則で大阪市改め大阪都が直接被ることは無いってことですね。勿論それじゃすまないでしょうけど、あとは野となれで逃げるが勝ちと、アベノミクスそっくりの構図が見えます。

しかしコロナ禍で様子が変わってきております。特に維新をバックアップしてきた関西財界にさざ波が立ち始めております。関西財界をのまとめ役とされる関西経済連合会(関経連)の副会長職にある近鉄と阪急の両トップが腰が引け始めています。前エントリーでも触れましたが、大阪市進出を表明していた米カジノ事業者MGMがコロナ禍で自国の本業にブレーキがかかって白紙撤回した結果、大阪万博の実現可能性を巡って悲観論が出てきていることによります。

地下鉄延伸もタワービル構想もIR誘致を巡ってMGMに事業費負担を打診していたものが消えた訳ですから、その分の負担が関経連企業に奉加帳方式で負担が来ることを危惧する声が出てきている訳です。特に阪急と近鉄は1970年の大阪万博を利用して経営基盤を強化した成功体験があるだけに前のめりでしたが、流石に今回はヤバいと思い始めているようです。

阪急は大阪市域外への延伸だった御堂筋線の江坂以北の区間を阪急主導の三セクで北大阪急行電鉄を設立し、大阪中央環状線と同時整備されつつ未開通だった中国自動車道の本線車道に線路を敷いて会場線として万博中央口へのメインルートを押さえる一方、千里線の万博西口ゲート近くに臨時駅を設置して万博関連の鉄道輸送をほぼ独占し投資回収に励む一方、万博後不要となった北急の余剰車を市交に売却して資産圧縮して超優良企業になりましたし、近鉄は万博関連事業で訪日外国人の広域観光推進で補助金を得て近鉄難波線と鳥羽線を建設し、志摩線の改軌で大阪と伊勢志摩を結ぶ観光ルートを確立しました。

てことで、実は住民投票の裏で関西財界の微妙な対応で万博開催もどうなるかわからない状況ですが、それを悟られないためのイベントとしての住民投票というのはうがった見方でしょうか?しかもメディアはそこを突かないから裏の動きはほとんど気づかれていない訳です。ある意味大博打の住民投票なんで、言ってみれば大阪トトとでも呼びたいところです。それでもベットしますかね?

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Saturday, September 12, 2020

愛なき成長戦略

愛ある成長戦略の秋元司議員が保釈中に偽証依頼で再逮捕されました。呆れてものが言えませんが、秋元議員は二階派所属ですが、時期総理と目される菅義偉官房長官が進めていたIRでの汚職ということで注目されます。

そのIRですが、中心となるカジノは元々クラスター効果で集積を創る効果が期待されていた訳ですが、コロナ禍で見直しは避けられません。実際日本進出を狙っていた米カジノ事業者は本国の事業失速でそれどころじゃなくなり撤退を表明しています。一方で無観客開催が続くJRAの競馬は勝ち馬投票券の売上が過去最高となっています。場外馬券売り場の再開とネット投票の増加が寄与したものですが、これ他のプロスポーツでも参考になります。

カジノを誘致するぐらいなら、ブックメーカーを公認する方がリモートの時代にはふさわしいし、現実的に欧州ブックメーカーのサイトを利用する日本人ユーザーが少なからず存在する現実を見れば、国内ブックメーカーの存在は資金流出を抑止する効果もありますし、逆に海外ユーザーの取り込みも期待できます。だけど新政権はカジノを捨てないだろうなあ。

また管氏はアベノミクスの継承を公言してますが、前エントリーの続きですが、三本の矢の三本目の成長戦略を今度こそと期待する向きもありますが、それは不可能です。一本目と二本目の矢で日本の潜在成長力はむしろ低下してますし、止めを刺せば下手に成長軌道に乗れば資金需要の逼迫で金利が跳ね上がり、それを呼び水にハイパーインフレを呼び込む可能性もありますし、それ以前に利払いの増加で政府財政が急速に悪化すます。ギリシャショックと同じ構図です。

日本の場合国内の貯蓄過剰がありますから、やや事情は違いますが、金利上昇を強引に抑え込む日銀の異次元緩和を続けざるを得ませんから、結局それが成長の足を引っ張り低成長に甘んじることになります。加えて日本の大企業がこぞって銀行の融資枠を設定してもらったり、社債発行が相次いでいるように、低金利故に可能な資金繰りが金利上昇で一転阿鼻叫喚地獄になる訳で、過剰債務は銀行にとっては不良債権になる訳ですから、バブル崩壊後の金融危機に逆戻りです。意地悪い見方をすればバブル崩壊当時はまだ日本の成長力は健在だったからバブル崩壊につながったとも言えます。アベノミクスの一本目二本目の矢も低成長だったから可能だったとも言えます。

管氏の発言からは成長戦略へのコミットを強める姿勢が見えますが、そのために官僚への締め付けは強まるでしょうし、秋元議員に留まらず河合夫妻の疑惑解明も進まないと見るべきでしょう。検察や司法がどこまで迫れるかは未知数ですが、河合夫妻の事件では収賄側の地方議員等100名ほどが全員不起訴となっています。ゴーン事件同様司法取引を悪用した可能性があり、がさ入れまでした自民党本部も訴追されず、河合夫妻だけを断罪する構図は違和感を拭えません。

てことでDXを中心に生産性向上を図るってのが中心になりそうですが、早速冷水を浴びせる事件が発覚しました。

ドコモ口座、全35行で新規登録停止 異業種連携に穴:日本経済新聞
これセブンペイの不正と同じ構図で、消費増税を機にキャッシュレス決済を普及させようと政府が旗振りした結果、セキュリティがガバガバなシステムが出来上がった訳です。しかも既に同じ手口でりそな銀行の不正引き出しが発覚していたにも関わらずNTTドコモはシステムを見直さず、本人確認が緩いまま被害を拡大しました。

今回の不正は更に複数の銀行で過去に口座情報が漏洩していた点も問題です。口座名と名義人がわかれば4桁のキャッシュカード暗証番号を解明することで本人に成りすますことができます。実際今回被害に遭った人はドコモユーザーは少なかった訳で、逆にだから発覚が遅れたとも言えます。こんなんでフィンテックのオープンAPIなんて無茶な話です。貧テック鈍テックな低成長国家に甘んじる現実が見えてしまいました。

それと気になるのが高給取りと言われる銀行マンもご多分に漏れず非正規化が進んでいて、非正規行員には待遇への不満も蓄積していると見られます。加えて見なし正社員ルールを盾に雇用期間も細切れとなれば、不満を理由に銀行の口座情報を外部へ漏らす退職者が現れても不思議ではありません。ただでさえ低金利にあえいでいる銀行で、行員のモラルが低下すればどうなるかということですね。これアルバイトのバカッター騒ぎや東京女子医大病院のボーナス不支給を巡る看護師の大量退職騒動などと同様、人件費を削るとろくなことが起きないってことでもあります。

その観点から言えば、JR北海道やJR四国の置かれている状況も似ています。特に厳寒で路盤を支える土壌も弱いJR北海道の場合、幹線でも線路等級が低く軌道負担力が弱いため、例えば大型蒸機C62の北海道転属の時にボイラー交換して軸重を下げたなんてことまでしてます。有名なスワローエンジェル©622号機もオリジナルではない訳です。

そんな調子ですから、北海道の鉄道マンの苦労は大変なもので、それでも長年の熟練で何とか対応してきたものの、国鉄分割民営化以前にローカル線の廃止も進みJR北海道へ継承された路線は規模を縮小し、熟練社員の多くは余剰人員として国鉄を去った一方、残った社員も高齢化で退職し、一方補充の若手は少なく、技術の継承が困難になりました。その結果保守が行き届かず度重なるトラブルにつながった訳です。

更に言えば国鉄からの資産継承時に資産価格を低く査定した結果、減価償却費の減少で利益は出やすくなりますが、設備更新は進まず脆弱な線路を振り子式高速ディーゼル車が走って線路を痛め、更にJR貨物のDF200型投入も線路を痛める原因になっている訳で、早晩行き詰ることは避けられなかった訳です。なるほどJR北海道自身が北海道新幹線に熱心だったのは、並行在来線切り離しで負担が減ることへの期待もあったのでしょう。

新幹線札幌延伸まで10年 並行在来線に3つのポイント:日本経済新聞
JR北海道にとっては整備新幹線のスキームで国と地方の資金を得ながら設備更新して重荷となる並行在来線を切り離せますから、効率追求の建前からも北海道新幹線は必須だったのでしょう。しかし切り離される並行在来線の厳しい現実も明らかになりました。函館―長万部間は道南いさり火鉄道を受け皿に議論が進んでますが、これはJR貨物の免許区間でJR貨物調整金が当てにできることが前提にあります。

この調整金は東北新幹線盛岡以北でJR貨物の指摘で問題になったJR貨物の格安な線路使用料の維持と並行在来線引き受け三セクの費用負担のギャップを鉄道・運輸機構\が差額補助するもので、原資は整備新幹線の貸付料に上乗せしてJR旅客会社が負担するものですが、逆に言えばそれぐらいしか並行在来線三セクを支える原資は無いってことです。一方の長万部―小樽間は貨物調整金が無く沿線人口も少ないことから、鉄道としての維持は困難と見られます。加えて言えば青函トンネル区間の速度制限解除のために貨物の船便シフトの計画が国交省で練られてますが、実現すれば函館―長万部間の鉄道維持も困難になる訳で、実現は困難です。

しかし心配なのが新政権で効率優先を旗印に政府が干渉する可能性があり、地元の調整を頭越しに無視する可能性も指摘できます。そうった強権主義の片鱗は例えば地方銀行の数が多すぎると合併促進に言及したりする姿勢にも見えます。加えて鉄道維持にビタ1銭出し惜しみをする北海道庁の姿勢もあり、愛なき決着の可能性を高めています。油断できませんね。

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Sunday, August 23, 2020

コロナの後遺症

covid-19の感染拡大が続いていますが、日本の場合検査が少なすぎて、感染拡大の実態が見えないまま、国民の疑心暗鬼ばかりが拡大します。故に大学ラグビー部の寮でクラスター感染が確認されたら。ラグビー部と無関係の教育実習生受け入れが断られたりという差別的なことが起きてしまいます。相変わらず保健所の窓口能力がボトルネックになっていて改善は見られません。

東京都や大阪府の知事がメディア露出で政治利用している実態もあり、国民に寄り添う政治姿勢は見られません。一方で世界中からコロナ感染者が回復後も心臓や肺に延焼が見られるなど後遺症が指摘されており、とてもじゃないけど普通の風邪レベルの話じゃありませんし、感染力の強いウイルスの生存戦略としての弱毒化も見られません。確実に長引くコロナ禍の中で、出来ることを積み重ねるしかありません。

そしてまともなコロナ対策を打ち出せない政府の無能に批判が集まるようになりました。アベノミクスが始まる前から批判していた身としては、ここへ来ての内閣支持率低下に今更感しかありませんが、歴代政権の実質GDP成長率の比較を見ても、大規模財政出動で経済を下支えした小渕・橋本政権で1.0%、規制緩和中心に新自由主義的な構造改革路線の小泉政権で1.0%、何だかよくわからなかった民主党政権で1.6%、大規模金融緩和の2019年までの安倍政権で1.2%です。しかも安倍政権にはオマケがついてます。

日米欧GDP戦後最悪、4~6月 日本はデジタル化カギ:日本経済新聞
統計不正などのインチキで数字を作ってきた安倍政権ですが、コロナで吹っ飛びました。しかも19年10-12月期、20年1-3月期に続く3期連続の下落ですから、ザックリ元の水準から1割減ってところです。しかもコロナ禍が長引くから回復には3-4年程度あるいはそれ以上の相当の時間がかかると見るべきでしょう。安倍政権下の成長率はさらに下がる訳です。

歴代政権の比較で何だかよくわからなかった民主党政権時代が最も高いってのは意外ですが、これ東日本大震災の復興による部分もありますから、やや下駄を履いた数字ではあります。しかし大災害に対して汗かいて国民に寄り添って努力したことは認めて良いと思います。つまり成長戦略ぶち上げて景気の良い話を煽った自民党系政権に対して、目先の課題に取り組んだ結果、経済が反発した訳です。ここ重要です。

てことでまともなコロナ対策も打ち出せずに国会も開かずに逃げている限り、安倍政権の評価は下がらざるを得ない訳です。そもそも財政政策や金融政策を成長戦略とするのは疑問です。マクロ経済政策を理論化したケインズが、報道記者に成長理論を問われて「アニマルスピリット」と答えた逸話が有名です。ケインズの理論は経済成長過程で生じる景気変動を平準化する理論であって、実際の成長は企業家のアニマルスピリットに依存するという意味です。つまり自らの経済理論に成長理論は無いと認めた訳です。

政府が打ち出す成長戦略は当てにならない訳です。結局企業がリスクを取って投資することが成長に繋がる訳で、その意味で成長できないのは政府のせいだという新自由主義者の主張も要注意です。例えば民主党政権で実現した高速乗合バスの規制緩和も、ツアーバス事業者からすれば規制強化なんですが、規制をクリアして乗合免許を取得した所謂新免事業者が輸送市場の活性化に寄与したように、ルールの変更は重要ですが、岩盤規制があるから成長できないなんてほざく経営者は、無能を晒しているに等しい訳です。運輸省や郵政省と戦ったヤマト運輸の事例を挙げるだけで十分でしょう。

ただ悲観すべきではないのは、GDPは付加価値の合計であって、例えば外出自粛や飲食店の営業自粛で必然的に自宅で食事をとる機会が増える訳ですが、飲食店の原価率が3割程度で元々付加価値が高かった一方、スーパーで食材を買って自宅で調理すれば、飲食店が生み出す付加価値は消える訳ですから、生存には問題がない訳です。付加価値って選択的消費の結果生じる訳ですから、早くコロナ感染を封じ込めて、手間のかかる自宅調理より外食を楽しめる環境を作ることが大事ってことです。

心配なのは雇用でして、既に多くの企業が来年度の新規採用を見直していて、JALやANAは既に採用停止を打ち出しておりますし、JR西日本も新規採用抑制を打ち出しております。JR各社は国鉄末期の採用停止で空白の世代があり、今後国鉄OBの社員の大量退職が見込まれるため、計画的に新規採用を拡大してきたのですが、コロナ禍による運輸収入の減少でそれどころじゃなくなりつつあります。

一方でネット通販の利用拡大で宅配便のドライバーは増えてますが、急激な拡大には正社員主義のヤマト運輸も追いつかず、利益を減らすとして減少傾向にあった外部委託に頼らざるを得ないですし、更に外食の宅配でウーバーイーツなどの拡大が見られますが、これも飲食店の営業自粛でアルバイト先を失った学生、フリーター、外国人留学生などが更に不安定なギグワーカーに転落したとも取れる訳で、雇用の劣化は止まりません。ただでさえ低下著しい日本の労働分配率はさらに低下し消費を冷やすことは間違いありません。

そして新卒の正規雇用減少はいつか来た道ですね。90年代後半のロズジェネ世代の再現となり、多くの若者が社会人としてのキャリアの始まりで躓く訳です。とはいえベンチャーキャピタルの弱い日本では起業もままならずですし、コロナ禍が収まるまでは海外渡航もリスクがあります。ある意味ロスジェネ世代より過酷な現実に直面しているとも言えます。

そして現役世代の賃金低下は年金や医療保険など社会保障にストレスを与えます。年金給付の減額や診療の自己負担増で対応すれば、寧ろ老後不安から現役世代の貯蓄性向を高めますから、これも消費を冷やします。そしてロスジェネ再現以上に問題なのが、学校教育の遅れです。学校の閉鎖でカリキュラムの消化が遅れていて、夏休みを極端に短縮しながら密を避けで授業を行う教育現場のストレスは相当高いですが、問題は小中高大と幅広い世代に影響が及んでいることで、将来「ゆとり世代」ならぬ「コロナ世代」が長期に亘って経済にマイナスインパクトを与えかねません。安直に学校閉鎖を決めたツケが重くのしかかります。

てことできりがないのでこの辺にしておきますが、この状況で公共交通の逆風をどう乗り切るかは重大です。おそらく独立採算原則を見直さない限り、立ち枯れていく未来が見えますが、民主党世間が提案した交通基本法を自公政権で交通権部分を省いた交通政策基本法として成立させたことがネックになりそうです。憲法に紐付けされた交通権を盾にしないと、結局自治体は金を出し渋り事業者は撤退せざるを得なくなることになりかねません。

また欧州で見られる交通税のようなものを導入する手はありますが、これも恐らく課税対処になる沿線住民や企業の反対で潰されるのがオチになりそうです。あるいは揮発油税など燃料税を事業者への補助金に使うとか、国税レベルで炭素税のような新税を導入して補助財源にするとか、公的サポートを考えないと持続可能性を損なうことになります。

てことで経済社会にも深刻な後遺症を残しそうなコロナ禍です。国会召集早よ!

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Sunday, August 02, 2020

北へ届かなかったひかり

両親ともに見送った身ですが、父は誤嚥性肺炎による心肺停止、母は老衰による多臓器不全で、ともに天寿を全うしたとは言えますが、最後は苦しそうで、眠るように安らかとはいかない現実を見てきました。特に母は食物の経口摂取が困難な状況で、医師から胃ろうを勧められたのですが、当時あまりに不自然な延命処置としか思えず断りました。

冷静に考えれば既に食べる行為そのものが本人にとっては苦痛だったかもしれず、緩和ケアとして捉えられなかったのではないか?これって健常者の発想でしかなかったのではないか?という疑問が残ります。既に後の祭りですが、その想いを生き残った者として抱いていくしかありません。生きる苦しみは終末期の高齢者や難病患者だけの問題ではありませんが、せめて近親者が気持ちに寄り添うしかありません。本人が「死にたい」と漏らすのはそんな過酷な生の現実こそが問題なんであって、QOL問題と整理できます。「死にたいなら楽に死なせてあげましょう」は解決策ではない訳です。

医師による嘱託殺人事件の問題は、死後の本人に「死んでよかったか」を問うことができない不可逆性にある訳で、故に倫理にもとることなんです。それを「これをきっかけに安楽死、尊厳死の議論を深めよう」という政治家が現れる不快な現実があります。こんな奴ら次の選挙で落としましょう。生きることにこそひかりが届くことが大事です。リモートよで触れたスウェーデンの社会的トリアージと言える高齢者への医療制限は広範な社会的合意の産物であって、安楽死や尊厳死乗り\議論とは別物ですので念のため。

てな重いテーマは置いといて、東京駅新幹線ホームの内、東海道新幹線用の第7ホームが東北新幹線に寄り添うように北へ向かってカーブしていることから始めます。第7ホームは元々東海道線の長距離列車の発車ホームとして新幹線開業前の特急、急行の乗客が大きな鞄を持って乗車待ちしていたところですが、新幹線開業後も残った急行列車や夜行ブルートレインが使い続けていて、独特の雰囲気がありました。

一方、全国新幹線鉄道整備法に基づく東北、上越、成田の3新幹線が1971年に基本計画線として公示され翌年整備計画線に昇格し、東北新幹線は国鉄が、上越、成田新幹線は鉄道建設公団が建設を担当することになり、整備計画が策定されますが、当初計画では起点は東京駅、終点は盛岡駅で既存駅併設とされ、東京駅に関しては首都圏五方面作戦で横須賀線横須賀線分離で空く6番ホームと新幹線の利用拡大でいずれ不要となる7番ホームを新幹線用に転用することが計画されました。

結果的に東海道新幹線に2面4線、東北新幹線に2面4線を割り当てると同時に、南側は東海道新幹線に繋いで4面8線中5線を東海道と東北を直通できる構造として新大阪のようにスルー運転する計画でした。直通客を当てにするというよりは、折り返し運転で避けられないホーム在線時間の短縮が狙いということで、故にAC25kv50hzの東北新幹線ですが、東京駅北方にデッドセクションを設けて東海道新幹線の60hzと電源切替するとして、車両側も2電源対応とする計画でした。実際200系は2電源でした。

早速事業着手した国鉄の当時のキャッチフレーズは「ひかりは北へ」でした。また当初東京の次の駅は大宮で、上野は駅設置を計画されていませんでした。また大宮以南は新宿起点とされた上越新幹線の大宮以南の事業化を先送りすることで、当面大宮以南は東北と上越の共用とされました。つまり山陽新幹線と同様に東海道新幹線の延長線として計画された訳です。

おそらく山陽区間のwひかり、Aひかり、Bひかりのように、主にひかりを延長するイメージだったようです。Wひかり相当の速達列車はNひかりだったかも。故に速達列車が必ず停まる仙台、盛岡と上越の新潟を除く各駅は通過線を持っていました。Nひかり(仮)の停車駅は東北は仙台のみ、上越はノンストップで、Aひかりは東北が大宮、宇都宮、郡山、仙台以遠各駅、上越が大宮、高崎、越後湯沢、長岡、燕三条、Bひかりは全駅停車として東北は仙台止まりとして段落としで輸送力調整というところでしょうか。

ところが誤算だらけで、73年のオイルショックによる不況で総需要抑制策による工事自粛による遅れと、所謂狂乱物価と呼ばれた物価上昇で事業費の膨張という逆風を受けます。加えて東海道新幹線名古屋騒音訴訟問題で新幹線の騒音問題が意識され、東北新幹線沿線各地で反対運動が展開されます。故に人口密集地の荒川北岸から大宮駅までは地下トンネルで計画されたものの、軟弱地盤で地盤沈下の恐れありと反対され、別ルートの高架案で通勤新線併設として埼玉県に提案しますが、埼玉県は認めず、工事の遅れが膨らみます。

一方で東海道新幹線の需要が堅調で東京駅の処理能力が限界に達したため、東北新幹線用に考えられていた7番ホームの東海道新幹線転用により、東北新幹線の受け入れ余地が狭まります。そのため国鉄は計画を変更して上野に2面4線の地下駅を設置してサブターミナルとするための工事実施計画変更が1977年に行われます。大宮以南の計画が大きく変わった訳です。

他方首都圏五方面作戦の誤算もあり、反対運動で遅れた東海道貨物線の建設による横須賀線の分離運転は1980年にやっと実現しますが、東北方面は大宮以南の客貨分離と電車線列車線分離は実現したものの、大宮以北の中電区間の開発が活発な一方、東北、高崎両瀬が合流する大宮以南の線路容量の限界で混雑が年々激化し、1973年3月に上尾事件が起きるなど深刻化しておりました。

その中で一旦県が却下した東北新幹線併設の通勤新線に期待が集まり、新幹線の騒音振動対策の強化と引き換えに高架案を県が認めるに至ります。但しルートは人口密集地を避けるため600Rなどの曲線が連続し、元々110km.h制限がかかる上、線路沿いに緩衝帯を設けたり防音壁を設置したりとコストのかかる構造になりましたが、逆にだから通勤新線の併設も容易ではありました。

後に埼京線として開業する通勤新線ですが、当初上尾事件の影響もあって高崎線宮原まで建設し高崎線の都心ルートとする構想で、武蔵浦和付近に車両基地を建設する計画が、用地買収難で断念され、代わって都市近郊の非電化線で残っていて開発余地が大きいと見なされた川越線の電化とセットで同線南古谷駅に車両基地が作られました。結果的に宮原延長は断念され、埼京線は川越線と直通することになった訳です。中電の都心ルートとしては貨物線を利用した赤羽折り返し列車の設定に始まり湘南新宿ラインとして実現することになります。

こうして大宮以南の工事は特に遅れた訳ですが、大宮以北の工事進捗で1982年に大宮起点で暫定開業し、上野―大宮間に185系200番台の新幹線リレー号で繋ぐというツギハギだらけのスタートでした。上野開業は1985年で埼京線っも同時開業しましたが、103系が轟音を轟かせていて新幹線の騒音対策の筈が新幹線より五月蠅いという笑えないオチも。

この状態で1987年の国鉄分割民営化を迎えますが、新たな問題の出現でもあります。開業済みの各新幹線は新幹線鉄道保有機構に移管され、東海道をJR東海、山陽をJR西日本、東北、上越をJR東日本にリースし、リース料に旧国鉄債務を一部乗っけて債務圧縮を図ることになりました。この時点で工事中だった東北新幹線の東京延長は機構に継承されて継続されたものの、上記の東京駅の利用区分問題が浮上します。

JR東日本としては当初計画に則って6番ホームの新幹線移転と同時に、東海道新幹線で使われていた7番ホームの移管を主張したものの、JR東海はこれを拒否します。また両新幹線の直通運転もJR東海の反対で実現せず、現状のように双方が折り返し乗客が乗り換えるという利便性を損なうものになりました。同時に折り返しによる在線時間の長さは地価の高いターミナル駅の有効利用の観点からも問題ですが、両社の主張は平行線のまま、別々の道を歩むことになります。ひかりは北へ届かなかった訳です。

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Saturday, July 25, 2020

五方面作戦の闇

やや大げさですが水に流せない過去で触れたJRの国鉄体質の復活の懸念を感じております。場合によっては国鉄改革の成果を台無しにしかねない問題です。

国鉄の前身は鉄道省という行政機関だった訳で、現業としての鉄道事業と鉄道を含む民間交通事業者に対する監督官庁という後の運輸省の役割を併せ持つ存在でした。理屈としては鉄道事業の国家独占の考え方で、国が鉄道を建設し運営する分には権限の行使だけど、民間事業者が参入する場合は国に申請して免許の交付を受けることが義務付けられるとともに、国の判断で買収を要請された場合には拒否できないという法体系でした。

故にその権限は強大でしたし、またそれ故に政治の介入を受けやすい存在でした。戦前期の立憲政友会と民政党の疑似二大政党制時代に両党が競い合うように選挙区の地方路線の建設を押し付け、広軌論や電化推進などの幹線の改良を潰してきました。根拠法として鉄道施設法が制定され、基本計画線、整備計画線、工事線を示す別表が添付され、その内容は毎年のように更新されておりました。

その後国家総動員法の施行で戦時体制に突入すると、中央省庁も大規模な改変がされて鉄道省も商工省を経て運輸逓信省となり、郵便事業も管轄する大組織となりましたが、戦後GHQの命令で郵政の分離と共に、鉄道と付帯する自動車や船舶事業などの現業部門を公社として分離し、独立採算制で経営自主権を持たせることになり、公社としての日本国有鉄道が発足します。しかし鉄道の国家独占原則はそのままで、国鉄は国に免許申請することなく事業展開できる存在になった訳です。

そのことは東海道新幹線の実現には貢献したものの、鉄道施設法は存続していて、相変わらず政治家の圧力で地方路線の建設を強要されましたが、独立採算制が盾になっていたというと意外感がありそうですね。故に1964年に鉄道建設公団を発足させ、主に地方線区の建設し、完成後国鉄に無償貸与若しくは無償譲渡するという形で切り離されました。またそれ故に鉄道施設法の別表の更新も続いた訳です。あとお気づきかと思いますが、全国新幹線鉄道整備法に基づく新幹線建設も、基本計画線、整備計画線、工事線を示す別表が添付されており、戦前からの古いスタイルを踏襲しています。

この辺は東京都交通局などの地方公営交通や帝都高速度交通営団のような特殊法人と国鉄の違いとして重要です。都交にしろ営団にしろ法的には民間に準じた事業者として国に申請して免許の交付を受けなければ事業ができない存在です。それ故空飛ぶ都営交通で取り上げた都市交通審議会1号答申で都の都市計画高速鉄道5路線の内1-4号線までは事業者名まで明示していましたが、5号線は未定としていました。混雑が激しい中央快速線の混雑緩和を狙ったバイパス線という性格から、国鉄による事業化の可能性があったから触れなかった訳です。

実際は首都圏五方面作戦の走りとなる中央線複々線化事業との関連で営団が地下鉄として整備し、国鉄の線増線と相互直通とされました。それと共に都の都市計画高速鉄道も改訂され10路線が新たに制定され、5号分岐線は6号線として分離され1号線西馬込系統と統合され西馬込―志村(仮)間となりました。同時に7号線(目黒―岩渕町、ルート変更の上営団南北線として実現)、8号線(喜多見―日暮里、一旦キャンセル後区間、ルート見直し後9号線として復活、営団千代田線として実現)、9号線(芦花公園―麻布、キャンセル)、10号線(中村橋―両国、8,9号線キャンセルで8号線に繰り上がるもキャンセル)が答申されました。

当時まだ首都圏五方面作戦とは言われておりませんでしたが、東京一極州通で混雑が激しくなる一方で、国鉄としても線増を進めて輸送力増強を図ることが避けられない状況でした。その時に国家機関としての権限を保持していた国鉄は、都を格下と見て都市計画は無視する一方、出資者として営団とは良好な関係を持っていました。

都市計画で追加された路線は結局キャンセルが多く、実現した路線もルートや区間が変更されていますが、これには国鉄が微妙に絡んでおります。8号線は喜多見で小田急線との相互直通し小田急は喜多見分岐の多摩ニュータウン新線を計画していました。一方日暮里では国鉄常磐線の複々線化を睨んで相互直通を意図しておりました。

8号線に反応して営団は喜多見駅北方の野川河川敷に広大な土地を先買いして車両基地用地を確保しましたが、小田急が都区内区間で並行する8号線計画に難色を示します。一方1964年から赤字転落した国鉄ですが、幹線区間の電化や複線化に加えて首都圏五方面作戦で大規模投資目白押し状態でした。特に総武線の複々線化で快速線を東海道と分離後の横須賀線とつないで直通する構想を進めた結果、常磐線に予算が回らなくなり、特に下町の密集地帯で用地賠償が難しい上、墨田川と荒川に橋をかけなければならないことから、事業費圧縮のために接続点をできるだけ都心から離れたところにしたいということから消極姿勢でした。

恐らくそれらを忖度して小田急に対しては代々木上原接続で喜多見までの小田急線複々線化工事を都市計画に取り込み。喜多見の土地は経堂電車区の移転先として小田急に譲渡し、代わりに綾瀬に車両基地を建設するということで荒川の鉄橋を営団が作り,国鉄は綾瀬以遠に複々線化区間を圧縮するという調整を経て9号線として都市計画路線に組み込んだ結果、千代田線として実現したと見ることができます。国鉄も営団の言い分は聞く訳です。

一方米軍グランドハイツ返還後の跡地開発で西武豊島線の延伸を想定した都は10号線→8号線で西武との相互直通を想定し、他方両国では総武線複々線化による線増線との相互直通を想定していましたが、都の働きかけに対して西武は動かず、加えて国鉄は都の都市計画を無視するように総武快速線の事業に着手します。8号線→9号線と違って放置プレーでキャンセルに追い込まれた訳です。

そして総武快速線の事業は都心の地下トンネル工事という国鉄にとっても未知の事業であり、地上構造物の基礎の仮受や地下埋葬物との競合回避などで事業費は膨らみ遅れもあり、総武線の混雑は酷くなる一方だったことから、東西線の東陽町―西船橋間の延伸を営団に要請し、営団もそれに応じます。関連して東武野田線方面への延伸も示唆され、新船橋接続が検討されましたが、実現しませんでした。営団としても総武快速線完成までのつなぎと分かっていたので、その後を意識していた訳です。

千代田線の相互直通で営団6000系と国鉄103系1000番台都の電力消費量の差額を会計検査院に指摘され、国鉄と営団で差額精算が行われるようになったことも、国鉄と営団の特殊な関係を語るときに忘れることはできません。これは小田急9000系にも適用されトバッチリを受けた訳ですが、それ故に国鉄は203系を開発し投入したものの、予算制約から剛性不足の柔なアルミ車体が災いして轟音を振りまくノイジーな電車になりました。また小田急がVVVF制御車1000系の開発を急ぎ、用途を失った9000系は早期に引退しました。

常磐線に関しては複々線化で新駅が2つ誕生しています。北柏と天王台ですが、それぞれに経緯があります。北柏は緩行線にしかホームがありませんが、快速線にも折り返し線があって取手発着の中電の折り返しに使われてますが、元々は貨物駅でした。松戸―我孫子間の複々線化では各駅の貨物扱いを集約して用地を確保しましたが、そのために貨物駅として北柏が作られ、後に緩行線に旅客ホームを追加して旅客扱いを始めた一方、車扱い貨物の廃止で北柏の貨物扱いが無くなった結果が現状です。旅客駅化は地元対策だった模様です。

天王台は松戸電車区の支所として快速線用の電留線が作られましたが、用地取得のために駅設置を約束したと言われております。この辺北柏と共に地元の不利益を打ち消す思惑が見られます。同様に線増工事関連で貨物線と貨物駅が作られることになった横浜羽沢では住民の強硬な反対に遭って大幅に遅れ、横須賀線の分離が遅れたことが知られております。相鉄の都心プロジェクトで羽沢横浜国大駅が旅客駅として開業しましたが、当時は旅客液化など想定もされてなかった訳で、歴史の綾を感じますね。同時にリニア静岡工区を巡るJR東海と静岡県の対立を見るにつけ、国鉄時代のこうした独善性とバーター主義が垣間見えます。

てことで、現時点では杞憂かもしれませんが、国鉄を出自とするJR上場4社の株式持ち合いは国鉄体質の復活おw警戒する必要があります。特にコロナ禍で売り上げを落とし、株価も下がった各社が株式持ち合いでもたれあいする可能性は高いと思います。一方鉄道業界では西武と京急、小田急と相鉄、京成と小湊などで伝統的に株式持ち合いが続いていますが、民間事業者同士として問題を引き起こす可能性は低い訳です。JRの持ち合いとは意味が違います。

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