戦狼は続くよどこまでも
前エントリー*1の続きですが中国の戦狼外交が日本に向いてます。戦狼外交で中国の嫌がらせを受けたのは日本が初めてではなく、例えば株価以外全部沈没*2で取り上げたネクスペリアを巡る中国とオランダの対立が、結局オランダが折れて解決しました*3。似たような話はバルト3国のリトアニアでも起きていて、中国の人権問題に不信を抱くリトアニア政府は台湾との関係重視に舵を切り、2021年7月に首都ビリニュスに駐リトアニア台湾代表処が開設されたことを受けて中国は駐リトアニア大使召還、北京のリトアニア外交官の外交官特権剝奪、リトアニア産品の禁輸などさまざまな嫌がらせを繰り出しましたが、2023年11月27日にリトアニア外相が中国による制裁が解除されたと発表して終結しました。経緯はわかりませんが、中国に対して何らかの譲歩をしたと考えられます。
つまり日本に対してもいずれ制裁解除はすると思われますが、譲歩を引き出すまではやめないということでもあります。そして日本渡航自粛や留学自粛に続いて石破政権で外交交渉で日本産海産物禁輸の解除が撤回されました*4。更に交渉中の牛肉禁輸解除も見通せず、細かいところでは中国国内の日本関連イベントや興行が軒並み中止になっていたりします。おそらくこれらは具体的に指示されてということではなく、トップの意向を忖度した動きと考えられますから、結局習近平氏が納得するかどうかということになると考えられます。高市政権で習近平氏にリーチできる人材はおそらくいないので、長引くことは避けられません。
今や中国にとっての日本のウエートは欧州の小国レベルということです。またこうした経緯があったので、欧州各国の首脳がこの問題に関心を持ってみているというのも興味深いところですが、トランプが「台湾有事はない」と断言したアメリカよりも、似た経験を共有する欧州との連携に活路があるように思います。戦狼外交とおどろおどろしいネーミングですが、要するに経済的な圧力をかけて相手を威圧するということです。ということは中国依存を低めれば解決可能に見えますが、実はそこに落とし穴があります。
戦狼外交は鄧小平時代の韜光養晦(とうこうようかい=能ある鷹は爪を隠す意)政策が外交の基本方針だったものが、2020年頃にシフトしたと言われますが、韜光養晦はつまり力を得るまではネコを被れということでもあり、世界ナンバー2の経済大国となった今の中国がこうなるのはある意味必然です。そしてその布石を着々と打ってきて今に至ります。ただの泥であるレアアーズの戦略物資化などは典型ですが、資源としてはありふれていても精製して純度を高めるには技術がいるし放射性元素などの副産物の処理が困難で規制に厳しい先進国では事実上無理ですし、さりとて途上国では技術がないということで、精製技術を磨いて中国以外から産出された泥も結局中国へ持ち込まないと使えないということで、いつの間にか世界市場を席巻していたというもの。それ故アメリカさえも譲歩を迫られる外交上の武器になっている訳です。日米で南鳥島のレアアース開発が俎上に載ってっますが、正直実現可能性はかなり低い金食い虫になりそうです。
これEVや半導体も同様で、国を挙げて取り組んでいつの間にか世界一のポジションを獲得する流れです。実は日本も太陽光パネルで世界をリードしながら中国の安値攻勢に敗れてサプライチェーン構築に至らなかった苦い経験があります。その結果実はアジア随一の再エネ大国は今や中国で、日本ではあまりニュースにならないブラジルのCOP30でも中国主導で進み、途上国支援を渋る先進国をしり目に中国の存在感が大きくなっています*4。それに対して日本はと言えば柏崎刈羽原発6号機再稼働で脱炭素を謳うおめでたさ*5。実は原子力産業も例えばアメリカは核燃料をロシアから調達してますし、日本も主にオーストラリアからの調達ですが、やはり先行きの安定供給は見通せません。下手すると原子力産業はロシアと中国がツートップになる可能性もあります。環境規制の厳しい先進国では無理な話です。
こうした話は枚挙に暇がないんですが、例えば高速鉄道での中国の躍進は目覚ましいものがありますが、これ日本の国鉄分割民営化が影響しているんです*6。京滬高速鉄道の開業で「日本の新幹線のパクりだ」の声がありました。確かに中国は技術移転を求めていてドイツのシーメンスやフランスのアルストムは特許で対抗した一方、日本では国鉄末期の車両メーカーの特許強制公開があり、その後の分割民営化で国鉄が無くなって権利関係が曖昧になって対抗できなかった結果ですが、当時の日本では知財の意識が希薄だったことも影響してます。何だか太陽光パネルと似ているような。日本人の学習能力ってこんなもんか?
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