民営化

Sunday, April 11, 2021

バス特ヤメ得ダレ納得

コロナ感染がジワジワ増えてます。大阪など3府県6市に続いて東京、京都、沖縄の3都県でもまん延等防止重点措置の発出が決まりました。緊急事態宣言解除から大阪で3週間、東京で2週間で感染拡大となり自粛要請ということで、感染予防の先回りではなく後追いになっている訳ですから、こういうのを「いたちごっこ」って呼びます。

去年の緊急事態宣言発出は、専門家会議西浦教授の接触8割減の提言に基づいて、感染実態も治療法もわからない状態では、とりあえず人々の接触機会を8割減らす行動変容を求めるという意味だった訳ですが、結果的に感染拡大を阻止することが出来て、感染拡大が止まり結果オーライでうまくいったという評価となったようですが、GWの自粛生活で運輸、宿泊など旅行関連の需要大収縮となって、これが夏の Go to 解禁に繋がったようですが、結果的に今年のGWも自粛を余儀なくされております。

本当は自粛による人々の行動変容の間に検査体制の拡充やICUを含む病床確保、人工呼吸器やエクモのオペレーター確保など、やるべきことがたくさんあったのに、何も手を打たず秋冬の感染拡大で再度の緊急事態宣言となった訳ですから、このままだと自粛と緩和の繰り返しでいつまでも感染拡大が止まらない悪循環となります。変異種に関しても去年から指摘されてきたことで、変異を防ぐには感染拡大を抑えるしか方法はありません。

一方人々の馴れで行動変容もうまくいかなくなってきており、このままでは自粛のストレスばかりで先が見えない状況が続きます。何かに似てるなと思ったら、97-98年の金融危機の時もこうでした。バブル崩壊で企業の過剰債務と裏にある銀行の不良債権が見えない中で、取引先がいつ飛ぶかわからない疑心暗鬼の中で経済が冷えていったものです。当時の小渕政権は有効な対策を打ち出せず、当時の民主党案を丸呑みして長銀、日債銀の2行の破綻処理を行うというあたり、与党議員の夜遊びで特措法改正で野党案丸呑みした管政権も似ています。

会う人が陽性者かもしれない中での人々の疑心暗鬼が解消されなければ Go To でバラマキしても効果は限られます。結局金融検査マニュアルに基づく厳格な銀行の資産査定と企業の過剰債務の処理が進んでやっと出口に向かったのは小泉政権になってからです。不良債権も感染症も検査と隔離が大事ですね。奇策はありません。

コロナ禍で打撃を受けた運輸業界ですが、2月28日に国際興業バスがPASMOのバス特典サービスの停止を実施し、首都圏のバス事業者が続々追随しています。PASMOの普及・促進のためのバス特典が所期の目的を達成したことを理由としていますが、もちろん本音は運輸収入減少に伴うコスト圧縮でしょう。停止されるのは引落額1,000円毎にバスチケット付与を停止するもので、バスチケットの利用は10年間有効としています。

国際興業バスでは金額式定期券サービスを行っており、そちらへの移行を促しています。バス特は元々首都圏共通バスカードのプレミアムに変わるサービスとして導入された経緯がありますから、元々経過措置だったということのようです。更に遡れば都区内共通回数券に行きつき、先払い特典としての歴史は古い訳です。

但し何故今かということに、コロナ禍が無関係とは言い切れないでしょう。そして国際興業が口火を切る形で西東京バス、伊豆箱根バスと五月雨式に同様の発表が相次ぎ、4月に入って継続している事業者は都営バス、東急バス、京成バスなど少数にとどまりますし、京成バスは4月25日にやはり停止を発表しており、ます。千葉や茨城の事業者までは把握しきれませんが、おそらく今後も追随する事業者が相次ぐと思います。

おまけとして東急世田谷線も4月末に停止ということですが、こちらは「せたまる」という専用ICカード乗車券を先行導入し、10回乗車で1回分のチケットを付与するサービスを実施して回数券を廃止し、PASMO導入で一時2種類のカードリーダーを搭載していましたが、汎用性のない「せたまる」はユーザーの減少で廃止された経緯があります。結果的にプレミアム廃止ですね。東急バスに関しては今のところアナウンスはないようです。

都営バスの対応も注目です。元々都区内運賃が他社より10円安い210円で、加えて90分ルールといって、初乗車後90分以内に再度乗車した場合、100円引きとなるサービスで、折り返しでも別系統でも有効という都営バスの独自サービスですが、やはり今のところバス特停止はアナウンスされておりません。公営交通の都営バスが民間よりも踏み込んだサービスというのは面白いところですが、黒字転換したとはいえ長年赤字を続けた都営地下鉄とのシナジーが期待できないからバス事業の独立性が高いってことでしょうか。東京メトロとの角逐も影響しているのでしょう。PASMOを共通プラットフォームと捉えた独自サービスという意味では都営バスは一歩抜きんでた存在ではあります。

公営交通は元々地方公営事業として独立採算が求められているため、例えば大阪市営バスが大阪シティバスとして民営化されたように、民営化自体は制度上可能なんですが、それが唯一の解ではないことは注意が必要です。尼崎市のように阪神バスへの業務委託で存続したり、姫路市営や岐阜市営のように撤退したケースもあり、地域の実情によりさまざまです。

てことで前エントリーで取り上げた台鉄の事故に絡めて「公営だから問題、民営化すべき」という議論がありますが、台鉄はその歴史過程も含めて特殊の事例です。正式には台湾鉄道管理局と称し、元は日本統治時代の台湾総督府鉄道を引き継いだものですが、国民党政府の独裁体制の中で強い権限を有しており、それが民主化後も継続している訳で、公社化以前の現業機関としての国鉄に匹敵する強い権限を持ち労組も強く、一方で民主化後の改革路線で新自由主義的な政策で国内交通の鉄道独占は崩されております。

加えて台湾高速鉄道も民間資本による別会社の運営で連携が無く、実態としてはJR九州から九州新幹線を除いた存在ってことですね。台湾高鉄も九州新幹線のように山陽新幹線直通需要を拾えないので経営は苦しく、仮に統合しても採算性が改善する見込みは薄いと言えます。つまり仮に民営化しても採算性の見込みは立たない訳で、政府の関与は必要になります。公営は悪民営は善という単純な話ではない訳です。

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Sunday, March 07, 2021

帰らざる人

みずほ銀行のシステム障害って毎度感ありますが、その深層には深い闇があるようです。

みずほATM障害、危うい月末処理 必然の「パンク」:日本経済新聞
うるう年ではない2月末の日曜日という特異日にシステム弄ることに対しては他行からも疑問の声が漏れてきます。通常の月末処理では4年に一度の2月29日の分が月末処理から漏れてしまうので、2月28日ははうるう年かどうかを問い、Noならば29日分を拾って併せて月末処理をするという処理をする訳で、その分データ処理量が多くなる特異日なんですね。

しかも今回のシステム改修はデジタル口座化と称してますが、ぶっちゃけ通帳発行の有料化を目論んだものですが、先送り必至となりました。疑問なのは作業指示を出した側の認識不足はあったとしても、指示を受けた側から異論が出なかったのか?ってことですね。同様の認識不足だったとすればそれ自体問題ですが、もう1つわかってたけど言い出せなかったというケースもあり得ます。どちらなのかは外からはわかりませんが、忖度した結果とすればより深刻な事態ではあります。

てことで官僚の忖度だけが問題じゃないということですが、総務省を巡って中年ロン毛ドラ息子接待疑惑以上の問題が発覚しました。

総務審議官、NTTと会食認める「3回あった」:日本経済新聞
通信の巨人たるNTTからの供応となると東北新社どころじゃない問題ですね。ハイブリッド・シビル・ウォーで取り上げたNTTによるドコモ統合という出来事があった訳で、国が議決権の34%を保有し競争政策の観点から敢えてグループ協業を規制されていたNTTの意思決定を国がすんなり認めたように、NTT側には供応の動機があった訳です。政権が目玉とする通信料金値下げ政策とも絡み、結局利権でしか動かない政府の意思決定に疑義が生じる訳です。

前エントリーで取り上げた吉川元農水相とアキタフーズ元代表との会食に同席した農水官僚の問題も、背景には経済動物に対するアニマルウェルネス問題があり、日本の養鶏場の密集飼育がやり玉に挙げられている問題で、現状維持を求める鶏卵業界の代表としてアキタフーズ元代表が動いていた訳です。所謂レントシーキングですが、レントシーキングでしか政治的な意思決定ができないのかという病巣が見えてきます。

そんな文脈で迎える震災後10年の現実を見たとき、ため息を禁じ得ません。復興が進みきれいに造成された被災地に人がいない現実があります。被災地の多くが過疎地であることから、当時の民主党政権が打ち出した創造的復興の方針の下、新産業を興し人が戻ることに重点を置いた訳ですが、現実はハードの復興は進んだのに人は戻っていない訳です。特に原発事故の影響をもろに受けた福島県の惨状です。

当時の菅政権が打ち出した再生可能エネルギー政策で、福島県ではメガソーラーへの期待が高まり、相馬市にはテスラCEOイーロン・マスク氏からソーラーシステムを寄贈されたのに、公共施設への限定的な給電に留まっています。農地としての復興が難しい汚染地域をメガソーラーでよみがえらせる構想や風力発電の民間プロジェクトが多数立ち上がったものの、結果的には電力会社による接続拒否によってことごとく頓挫してしまいました。

連合の有力単産の電力労連の圧力を民主党政権は突破できなかった訳ですが、政権交代後の自公政権でも電力会社の既得権益に配慮した電力自由化で徹底的に骨抜きにされました。発送電分離と言いながら形式的な分社化しか求めない法的分離に留まり、また菅政権による差し止めで浜岡原発が止まった中部電力と東電の発電部門を統合してJERAとして切り出したのも、原発事故の当事者である東電の救済策の色彩が濃いものです。原発停止で火力発電依存が強まり、LNG火力への依存を強める中で、規模を拡大してバイイングパワーを発揮するという目論見でしたが、この冬の寒波で需給逼迫の原因になりました。

ちなみに米テキサス州の停電は、寒波による需給逼迫は同じですが、評議会のよる需要予測が低かったことと、寒波による天然ガスパイプラインの凍結や発電所のトラブルが重なったもので、加えてテキサス州は全米に拡がる州間連携線に繋がらないスタンドアローンだったことで、復旧が遅れました。同州は電力自由化の先進地を任じておりましたが、その結果300を超える小売事業者がひしめき合い、価格競争が劇最多結果、電力料金でカバーしきれない発電設備や送電設備の更新投資が滞り、加えて予備電力確保のための容量市場がなかったことから、評議会の需要予測ギリギリの発電量しか供給されないという問題もあります。規制緩和に名を借りた完全な人災です。

こうした経緯から、現管政権の(ややこしいな^_^:)カーボンニュートラル政策は鼻白むものがあります。再生可能エネルギーの普及に弾みを付けられた可能性のある震災復興計画を既得権擁護で潰していながら、どの口で言うのかって話ですね。福島の再生可能エネルギーに関しては、福島第一第二の廃炉で首都圏向けの送電線が空いている訳ですから、東電に開放させればすぐにでも可能な事なんですねどね。

勿論震災当時の菅政権(ややこしー^_^:)が打ち出した再生可能エネルギー買取制度(FIT)で当初高額な買取価格としたことから、申請して得た認可を権利として転売する事業者が後を絶たず、結果的にメガソーラー発電所が作られずに放置されたケースも多数あります。加えて高額買取は国内のソーラーパネルメーカーの企業努力のインセンティブを奪う一方、寧ろ中国や欧州のメーカーの台頭を許す結果となった訳で、再生可能エネルギー後進国として置いてけぼりになってしまいました。この辺は官民共に認識の甘さがあります。

最後に取り上げたいのがこのニュース。

電車、再生エネで運行 JR東、30年度に使用電力の2割に:日本経済新聞
首都圏の輸送時用に対応するために国鉄時代に直営発電所を持っていた訳ですが、それを継承したJR東日本が再生可能エネルギーに切り替えるということですが、直営6割買電4割ですから、直営の1/3相当ってことですね。目標としてはちょっとぬるいんじゃないかと思います。勿論コストとの見合いなんでしょうけど、せっかく発電所を持っているんだから、余剰電力の外販まで視野に入れてコスト回収まで考えることが出来なかったのかが疑問です。

これは同時にコロナ禍で明らかになった運輸事業収入依存の経営の危うさから収益源の多様化を図る意味があります。加えて巨大電気鉄道でもあるJR東日本には、中小私鉄のマイクログリッド事業と桁違いのビジネスチャンスがあると考えられます。JR東日本とJR東海限定ですが、直流電化区間が東日本の50hzエリアと西日本の60hzエリアに跨っている訳ですが、この周波数の異なるエリア間の連携線の容量不足は以前から指摘されていたところです。

しかし技術革新で直流高圧送電が可能になり、津軽海峡の海底ケーブル連携線で使われたりしている訳ですが、電気鉄道の直流き電線を高圧直流化してDC-DCコンバータ―で降圧して架線給電するシステムにすれば、変電所の集約が出来てコストダウンなる上電力託送の事業化で収益を得られる訳です。特にリニア関連で超電導技術に強いJR東海ですが、超電導送電線で技術が活用できるチャンスでもあります。国鉄OBの経営陣では出てこない発想なのかな。

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Sunday, February 28, 2021

中国デカップリングの同床異夢

管首相長男の総務省接待に留まらず、贈収賄事件で訴追された吉川元農水相と秋田フーズ代表との会食に同席した農水官僚も処分されました。気の毒なのは農水省の場合閣僚の不正に巻き込まれた感がある点ですが、これ森友学園疑惑での安倍前首相の「議員もやめる」発言を受けて財務官僚が公文書改ざんに手を染めたいおうに、元を質せば政治家の利益誘導が火元な訳ですし、総務省接待も首相の長男だったから断れなかった可能性が高いという意味で火元は政治家と言えます。火元を消さないと解決できません。

栃木県足利市の山林火災が続いておりますが、オーストラリアやカリフォルニアの山火事は遠い海外の出来事だったけど、身近で起きたことで認識を改めさせられます。山林は広大な空間に樹木が密集していて、一旦火が出て延焼すると、消火活動が困難なんですね。そもそも消火栓から延ばす消防ホースが届かないし、都市や田園と違って延焼の緩衝帯となる道路や田畑などの空間が無いところへ、乾燥と強風に煽られてれば近づくことすらかなわない訳で、ヘリで水を落とすぐらいしかできない訳です。

しかも火が強ければ低空からの水投下は難しいですから、高高度からの投下となり、水は塊から飛沫化してバラバラ落ちる訳ですし、雨のように連続で投下できる訳じゃないしで、消火は困難を極めます。火元に近づけないという意味で官僚接待問題と似ているような。ちなみに公務員倫理規程のきっかけとなった大蔵省過剰接待事件とは当時の武藤敏郎官房長がクビになったノーパンしゃぶしゃぶ事件のことです。森友事件の佐川理財局長が国税庁長官に出世したり、武藤氏が五輪組織委に再就職したりと、政治家の覚えめでたいといいことあるという現実を変えない限りどうにもなりません。火元が大事。

そんな中で世界は動いています。取り上げたいのはこの2つのニュースです。

米が基幹産業で脱中国 半導体など、同盟国と連携模索:日本経済新聞
米大手銀が中国シフト 成長余地大きく関係緊密:日本経済新聞
アメリカの矛盾に満ちた現状を伝えます。コロナ禍で傷ついたアメリカにとって、医療品や半導体などの中国依存が進んでいた実情を明らかにしました。一方、香港やウイグル問題で強硬策をとる中国への圧力の意味もあり、中国デカップリングに舵を切る姿勢を鮮明にしました。経済と安保を連動させる姿勢が鮮明になった訳です。これはこれで歓迎すべきことですが、同盟国に協調を求める姿勢も鮮明になり、日本にもあれこれ注文を付けるってことですね。

対中安保と言えば尖閣問題としか言わない日本ですが、尖閣の防衛に踏み込んだと喜ぶべきことというよりも、中国海警法が国際海洋法で定める航行の自由の原則に反するというところに注目すれば、領土問題不介入の原則をアメリカが見直したんじゃなくて、中国の国際法違反への対応に焦点を当てたもので、アメリカの姿勢は変わっていないと見るべきです。主戦場は台湾海峡と南シナ海であり、尖閣はついでのリップサービスです。狙いは現状維持であり、その意味で台湾独立派への牽制もしています。

もう少し踏み込めば、中国が海洋主権に対して明らかな誤解をしていて、陸上の国土のような主権を海洋にももたらそうとしていることは、ある意味中国を責めるポイントになり、国際世論を味方につけられるということでもあります。ホワイトハウスに外交のプロが戻った結果、中国にとっては寧ろ手強い相手になったということです。但しタフな外交交渉を強いられる訳で、同盟国である日本が抜け駆け的な対応を取ること、例えば尖閣上陸とかの政治パフォーマンスには圧力をかけて対応すると見て良いでしょう。

同時にアメリカで失われた国内製造業の修復再生への支援も求められます。つまり日本企業の製造拠点の誘致や老朽インフラの補修やリプレースに対する資金拠出などが求められるでしょう。テキサス高速鉄道に意欲を燃やすJR東海にとってはチャンスかも。但し米銀はそんな政府の姿勢に関わらず高金利で手数料収入も多い中国シフトを鮮明にしています。とすると日本企業のアメリカ進出は米銀に頼らずに自前でファイナスする必要がある訳で、邦銀のドル調達プレミアム(上乗せ金利)負担を強いられる訳です。なかなか難易度高いですね。

ぶっちゃけ金融は規模の経済の世界ですが、アメリカを含む先進国の低金利では規模だけではどうにもならない訳で、だからこそ成長力があり高金利な新興国へ資金がシフトしてきた訳です。中国の経済成長もこうした資金シフトに支えられてきたものですし、巨大化しても尚成長余地があり金利も高いし、特に米ドルの通貨覇権を背景にフィーを稼げる米銀の立場は強い訳です。バイデン政権が経済と安保の連動で基幹産業の国内回帰やインフラ整備を打ち出しても、米銀にとってはさほどおいしい話ではない訳です。

加えて言えばそもそも製造業の新興国シフトは先進国の賃金の高止まりが促したもので、中国も例外ではありません。高くなったとはいえそれでも中国の賃金水準は先進国から見れば魅力な訳ですし、加えて国内富裕層の拡大で国内消費市場の魅力が増している訳で、この観点から中国との関係を断つのは容易ではありません。日本もそうですが、韓国、ドイツなど中国内需依存の強い国がアメリカのデカップリング政策に協力できる余地は限られます。そもそもアメリカのGMも中国で売上を作ってますし。

加えてコロナ禍が中国に追い風となっている現実もあります。何だかんだで主要国の中でコロナを克服して経済成長を実現した国は中国だけで、2020年も主要国で唯一プラス成長を実現している一方、変異種の脅威にさらされている先進各国は終息のめどは未だ立ちません。厄介なのはRNAウイルスであるコロナウイルスは当たり前に変異しますし、変異はランダムに全方位に起こる訳で、結果的に免疫迂回など感染拡大に有利なウイルスが生き残りますから、感染力を更に高める可能性が高く、いずれ現時点で有効とされるワクチンの無効化も視野に入ります。

その意味で現在先進国で展開されているワクチン争奪戦は事態をさらに悪化させる可能性があります。元々医療や衛生環境が脆弱な途上国へのワクチン供給はハードルが多く、国際協調で秩序立てて行う必要があります。それに対してアメリカでは自国民優先で国内生産分のワクチンの国外供給を止めてますし、いち早くワクチン接種に踏み切ったイギリスでは、コロナ対策で苦境に立ったジョンソン首相の「Brexitのお陰で早期承認が出来た」とのプロパガンダに政治利用されている状況で、EUは加盟国の調整で身動きできない状況ではありますが、全加盟国の公平性と加盟国の薬事承認の歩調を合わせるという難易度の高い調整を強いられている状況です。日本は単純に出遅れただけですけどね。

つまりワクチン接種の遅れで途上国の感染拡大が今後とも続くとすれば、途上国発の変異種による感染再拡大が何度でも起こり得ることを意味します。とすると中国デカップリングで途上国への生産シフトをしたくても出来ないことが現実化する訳で、ますます中国デカップリングを困難にさせます。ついでに言えば未知の変異種が繰り返し出現するような状況で五輪開催ができると考える楽観論はこうした現実を見ていない訳です。

最後にテキサス高速鉄道のかの可能性が開けるかもしれないJR東海の悲報です。

JR東海、2340億円赤字 今期最終、新幹線低迷が痛手:日本経済新聞
今期4,500億円の赤字を見込むJR東日本と比べれば約半分の数字ですが、2020年3月期に4,000億円近い黒字計上だったことから6,000億円以上の減益となる訳で、そのほとんどの原因が新幹線の不振ということですから、新幹線依存度の高さが浮き彫りになります。

更に順調に債務を減らしてきたところでのコロナショックですが、ザックリ発足時5兆円規模だった長期債務を3兆円まで減らした訳で、大体JR東日本と同等の経営の成果は出ている訳ですが、問題はリニアに偏った投資姿勢にあります。コロナ禍でリニア工事現場でのクラスター感染で工事が止まったり、静岡県との対立による工事着手遅れで2027年の開業は絶望的です。

同じように長期債務を減らしたJR東日本は、老朽車両の置き換えやハイブリッド気動車や蓄電池車ACCUMの開発、無線閉そくATACSの開発と埼京線で実用化、Suicaシステムの開発と導入など鉄道事業全般の強化策を講じる一方、駅の改修や駅ビル、駅ナカビジネスの強化など多様な投資を行って事業環境の変化に備えてきたことから、コロナ禍で更に投資を加速させ、山手線や京浜東北線のワンマン運行の前倒しなどを打ち出しております。ワンマン運行に関してはドライバレスの目標を掲げてますが、おそらくメトロのような通常のATOによるワンマン運行をとりあえず実行ということになるかもしれませんが、余剰資金をほぼリニアにつぎ込んだJR東海よりも事態に柔軟に対応できる状況にはあります。コロナ禍が長引くとすると、この差は今後大きくなると考えられます。

加えてJR東日本と西武HDの包括提携にも触れておきます。共同記者会見では具体像が明らかとは言い難いですが、当面JR東日本のシェアオフィス会員による軽井沢プリンスホテルのリモートワーク利用など限定的ですが、新幹線とプリンスホテルとのコラボと見ると、結構応用範囲が広がりそうです。当面資本提携は無いとしても、資材調達などでの鉄道事業での協業もあり得ますし、例えばバス事業やホテル事業など両社の事業横断的な提携もあり得ます。唯我独尊なJR東海が名鉄や近鉄との提携ができるかと考えると、この差も結構大きいと言えます。

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Sunday, February 14, 2021

しんきろうで2020五輪霧中

五輪組織委森会長の辞任問題が尾を引いております。

不透明プロセス、世論の離反招く 五輪組織委会長の選考:日本経済新聞
密室の謀議で首相になった人が公職を去る時も7密室でって、らしいと言えばらしいけど、流石に通りませんでした。森氏が指名した川淵三郎氏は過去の発言に問題いありとIOCからダメ指しされたようですが、そもそも辞任する森会長に後継指名の権利はありませんし、川淵氏も就任後に森氏を相談役に指名するということまで決めていたとか、もうドロドロ。個人商店じゃあるまいし。ちなみに森氏を慰留した武藤敏郎事務局長は、大蔵省ノーパンしゃぶしゃぶ事件当時の官房長で引責辞任した人物です。ポンコツ同士の身内意識なのか?

加えて昨夜の地震。震災の余震だそうですが、10年経っても大きな余震が続く現実は重いですね。家屋被災で負傷者が出てますし、発電所の停止で大規模な停電が起き、水道の被災で水道が止まるなどライフライン被害も出ています。東北新幹線は架線柱が傾いて復旧に10日以上貨化kる見込みですし、常磐道も被災しています。復興五輪を標榜していた東京オリパラにとっては最悪のタイミングです。

震災復興にとってはオリパラ関連の公共投資でヒトモノカネが取られますから、寧ろ復興を遅らせるだけというのはこれまでも指摘してきましたが、震災復興も道半ば、コロナ禍で無観客も有り得る五輪開催の意義が見出しにくい上に、大会組織委のガバナンスにクレームがつく事態で、流石に延期で追加負担を求められた企業スポンサーも不満爆発となりました。実はこれが効いたようで、国民世論の勝利と言いにくいところですが。

そんな中で小池都知事は奇妙な立ち回りを見せています。来現つに予定されているI4者会談不参加を表明しましたが、そもそも日程も決まっていない中での点数稼ぎと見る向きもあります。五輪前に行われる都議選で対立する都議会自民党への圧力ですね。実は森首相の辞任も都議会自民党の意向が働いたと言われており、総裁選で小泉政権誕生をもたらした訳ですが、自民党がゴタゴタすれば小池知事自身の国政復帰が見えてくるという訳ですね。五輪開催都市としてのダメージを国に付け替えて政局を有利にする思惑が見え隠れします。

てことで都知事としては大した実績を残せている訳ではありませんが、自分が有利になる立ち振る舞いは得意ということですね。築地市場の豊洲移転問題でも「豊洲は活かす築地は残す」という発言にも現れてますが、食のテーマパークというコンセプトは示したものの、豊洲市場の活性化のために整備予定だった観光施設は権利を落札した民間企業が反発して降りてしまいました。

タワマンたわわエントリーで取り上げた8号豊住線(豊洲―住吉)荷動きが出てきました。

膠着の有楽町線延伸問題、国交省委員会で議論進むか:日本経済新聞
東京メトロは株式上場を控えて大規模投資となる新線建設を打ち止めとする方針ですが、一方で混雑の激しい東西線の東陽町駅の改良(構内線増)や九段下の折り返し線拡張などの大規模改良工事を手掛けている訳ですが、タワマンで人口が急増した江東区では、東西線、総武線の混雑緩和のために比較的空いている有楽町線へ誘導するために豊住線建設を要望していて、豊洲問題のバーターで豊住線建設を江東区に約束したものの、東京メトロはこれを拒否している訳です。

ややこしいのは東京メトロ自身の株式上場問題が絡んでいて、国(財務省)53%都47%の株主構成で国が株式を手放しても都が手放さなければメトロに対する支配権が国から都へ移行する訳ですが、経営的に重荷となる新線建設を回避したい東京メトロに都が圧力をかければ利益相反が生じる訳で、そうなれば投資家が東京メトロ株の保有を躊躇することになるので、より高く売り出したい財務省としてはそれは認められないということで膠着状態になっている訳ですが、国交省が委員会を立ち上げて妥協点を探ろうと動いた訳です。

整理すると豊洲移転を巡るゴタゴタで都が江東区にいい加減な口約束をしたものの、株式上場問題も絡んで東京メトロは建設を渋り株式を高く売りたい財務省が後ろ盾になっているという構図です。政治家のいい加減な発言が事態をここまで拗らせてしまった訳ですが、小池知事は政局で国政復帰を模索しているからあとは野となれなんですね。同委はしませんが地下鉄一元化を打ち出した猪瀬氏はまだしも理念がありましたが。委員会を立ち上げた国交省にとっては難題ですが、どうするつもりなんでしょうか。

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Sunday, December 27, 2020

円高株高消費低迷の謎

日経平均株価が上昇基調で年内3万円台に乗せる期待が持たれていますが、ちょっと値上がりすると含み損抱えた投資家から売りが出て戻すことを繰り返していて2万7千円付近で膠着しています。但し上げ基調にはあり、年内は無理でもいずれは実現すると見られます。

とはいえ Go To 停止もあって消費は冷え込んでおり、実体経済との関係では整合性が見られないこの相場をどう見るべきでしょうか。種明かしすれば先月頃からの外国人買いの増加が寄与したものですが、世界の投資家が注目するのは米NY市場などから見て放置されて割安感が出てきたことによります。米ハイテク株中心に値上がりが続くNY市場ですが、3万ドル突破でここまで高値になると投資の旨みがなくなってしまうことがあります。

株式投資は配当狙いのインカムゲインと値上がり期待のキャピタルゲインの両方の狙いがある訳ですが、共に値上がりすれば旨みが薄れるのは当然ですし、また売り相場になった時の値下がりリスクもある訳です。基本は安値で仕込んで高値で売ることですから、相場如何では逆食らう可能性もある訳です。だからこれ以上NY株式は買えない水準に達したってことです。加えて米国債金利に上昇圧力がかかっていることもあり、株式と国債の裁定が働きにくくなっていることも指摘できます。

米大統領選でバイデン氏勝利が確実になり、グリーンニューディールや老朽化した公共インフラへの投資などで財政拡大を打ち出すバイデン次期政権ですが、議会選では苦戦し、特に上院は年明けの再投票で決着するジョージア州の2議席を民主党が取っても50:50の同数になるだけで、財源として法人税と富裕層課税の強化を見込むものの実現可能性は低く、財政赤字拡大が避けられないことから嫌気されたものです。

となると日米金利差で円安になりそうなものですが、アメリカの国内消費は堅調で、国債金利上昇は寧ろインフレ懸念をもたらします。しかもFRBはインフレ目標2%達成後も安定的に継続するまで量的緩和を続けるとコミットしており、インフレが放置されるということで、インフレ率で補正した実質金利ベースでは日米金利差は寧ろ円高方向へブレるということで、日本株高と円高が共存する相場になっている訳です。円高は外国勢から見れば日本株の低リターンをカバーし、米インフレをヘッジするという意味で、米国債の代替の役割も持ったということですね。

外国勢から注目されたからといって、東京が国際金融都市に近づいた訳ではありません。この関連で優秀なアナリストやトレーダーの所得税減免が議論されてますが、彼らは市場規模の大きなところの方が稼げる訳で、またそうした大規模市場は競争も激しく、その中で実績を上げ続けることの難しさはステータスでもある訳で、税金オマケするから来てね、に釣られて来るのは競争劣位の二流でしかありません。そして東証システム障害の後始末のニュースです。

東証、統治及ばず「引責」 システム障害で辞任、「必要なし」から一転 官邸の空気察し自ら決断:日本経済新聞
風邪と共に去りぬで指摘しましたが、システム障害自体はある意味避けられないところですが、東証は証券各社へのヒアリングを徹底し混乱回避に尽力した訳で、その結果の終日取引停止だったのですが、官邸がそれを咎める空気があり忖度してトップ辞任に至った訳です。繰り返しになりますが、大証を除く地方市場が東証のシステムに乗っかっていたことと、民間市場(PTS)が規模の小ささから代替を果たせなかったことが終日停止已む無しの判断に繋がった訳で、東証の責任を問うのはお門違いです。これ日本学術介護問題にも通底する事実上の人事介入です。また代替市場が機能しないのは国の規制の結果なんで、政府が規制緩和を打ち出すならまずここからだろ。

ってことで、円高は結局日米のインフレ期待の差がもたらしたもので、それ程日本の消費は冷え込んでいる訳ですが、注意が必要なのは、これコロナ禍による不安が原因であって需要不足が原因ではない点です。繰り返しになりますが、コロナの克服こそが最大の経済政策だってことです。実際安倍政権で実施された特別給付金はその多くが貯蓄に回っていて消費には寄与していないと見られています。但しだから無駄だった訳ではなく、助けられた人も多数存在したことは確かです。その意味で一部で言われる消費税減税は無意味だし、需要喚起策としての Go To も結果的に感染拡大を招いた分マイナスの方が大きいと言える訳です。実際街にクリスマスソングは流れず規制や初詣も自粛で消費は落ち込んでます。

ひとつ謎なのがコロナ禍がより過酷なアメリカの方が消費が活発という点ですが、おそらくアメリカの方が格差拡大が深刻で、給付金などの政府支援が消費に回りやすい可能性があります。コロナ感染者の爆発的拡大も、一応国民皆保険で医療にアクセスしやすい日本に対して、オバマケアも実現できず医療へのアクセスができない人が多いことも影響していると考えられますが断定は避けておきます。

もう一点指摘しておきたいのが、日米に留まらず世界的に公的債務が膨張傾向にあり、特にドイツの反対で実現できなかったEU共同債の発行が決まったこともあり、公的債務拡大は当面続くことは確実ですが、一方で需要が消滅したエアラインなど多くの企業で資金繰りのために借り入れを増やしている訳で、官民共に債務拡大が続いている訳ですが、アメリカで国債金利上昇が見られるものの、それでも低金利が続いていることです。

これ各国中央銀行の金融政策が緩和的だから緩和マネーが溢れていることで説明できますが、それに留まらず日本に典型的に見られる貯蓄の増加が寄与していると考えられます。とすると上記の日米の消費性向の差が為替を円高方向に向かわせていると言える訳で、いろいろと説明がつくことにはなりますが。

ネット通販拡大の恩恵を受ける宅配便を例外として、エアラインに限らず運輸事業の逆風は厳しいところですが、日本のエアラインの大手2社ANAとJALは共に当面自力更生を模索しており世界で見られる政府による救済はなさそうです。竹中平蔵氏が国際線の1社体制をぶち上げて話題となりましたが、ANAもJALもその気はないと見て良いでしょう。何れもグループ内にLCCを抱えており、採算性の低い路線を傘下のLCCに肩代わりさせて高採算のビジネス路線を温存する方向性を打ち出しています。ただ長引けば耐え切れなくなることは考えられます。その際には拡大路線にまい進したANAの方が苦しい訳で、それを見越したANA養護が真意かと思います。とにかく裏の多い人物ですので真に受けない方が良いでしょう。

そして苦しいのは鉄道も同じで小規模な地方私鉄は資金繰りに知恵を絞りますが、規模の大きいJRは当然必要資金の規模も大きい訳で、もっと抜本的な対策が必要です。特に元々経営基盤の弱いJR北海道とJR四国においてはなおさらです。<

a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF2510G0V21C20A2000000" target="_blank">JR北海道・四国への支援拡大を発表、コロナで旅客急減:日本経済新聞
JR北海道は3年で1,302億円、JR四国は5年で1,025億円の資金支援ということです。但し債務の株式化や利子補給を含むということで、真水は少ないとっ考えられます。前者は2020年までに設備更新や省力化投資の資金としてJR北海道へ2年間で400億円、JR四国へ2011年以来512億円を支援しておりますが、鉄道・運輸機構からの融資分を株式化するってことだと思います。つまり国有企業としての両社を国は潰さないという意思表示ではあります。

但しJR北海道で問題になっている大幅な路線存廃の議論は別ということで、沿線自治体と道庁の支援策が無ければ大幅な路線縮小が避けられないのは今までと変わりません。国としては債務の株式化に踏み込んでも最終的に経常黒字を安定させて株式上場すれば取り戻せる訳です。但し国策として株式保有を続ける可能性はありますが。というかNTTもJTも国の持ち分は残っている訳ですし郵政関連も同様で、JR本州3社の持ち分全放出による完全民営化の方が少数派です。

あとは経営安定基金の積み増しも考えられますが、今のところ言及はありません。実際は鉄道・運輸機構への預託により相場より高い利回りを保証して事実上の補助金としている一方、JR九州上場時に取り崩したように、追加の設備投資で発生する減価償却費を上場時に減損処理して減らす原資になる訳で、基本は株式上場がゴールという立場を維持しているようです。つまり国鉄改革時の基本方針は変えない訳で、自治体への負担を求めるということですね。あとついでにこれも取り上げておきます。

北陸新幹線、敦賀延伸1年遅れ 地元負担増を懸念:日本経済新聞
元々生産年齢人口の減少で人手の確保が困難になる中で、震災その他の災害復興と五輪関連で取り合いになりますから、工事の遅れは当然起きる訳で、遅れれば当初見込みの事業費は膨張する一方、JRが負担するリース料は受益の範囲で確定していますから、地元負担が増えることになります。また開業が遅れれば整備新幹線財源として開業後の整備新幹線リース料が当てにされている訳で、当然2030年開業予定の北海道新幹線札幌延伸が遅れることも視野に入ります。JR北海道にとっては頼みの綱の北海道新幹線延伸ですが、狂いが生じることになります。整備新幹線スキームも限界に達したと言える状況です。果たして上場のゴールに辿り着くでしょうか。

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Sunday, December 06, 2020

Go To 地獄

Go To コロナで指摘した通りの展開になっています。

GoTo自粛で企業逆風 リクルート、200億円減収も:日本経済新聞
旅行サイトや運輸、宿泊などの救済と経済を回す目的で、結局感染拡大させて振り回している構図です。愚か。しかも自粛はあくまでも高齢者や既往症持ちに対してですが、元々アクティビティの低い高齢者を自粛させても軽症や無症状の若者がウイルスをばら撒けば感染は拡大する訳で意味がありません。実際高齢者の感染が増えていて、連動して重症者が増えて医療崩壊の危機にあります。タイミング的には三連休から2週間ですから、せめて三連休前に止めていればまだましだったとは言えます。

艇温度低湿度の冬に感染拡大することは予想されていたにもかかわらず、ICUなどの医療への支援は行われず、相変わらず検査体制の脆弱なままですし、看護師の退職でマンパワーも落ちている訳で、忘年会シーズンも棒に振るしクリスマスや年末年始も推して知るべしという状況です。このままいくとコロナ自体よりも医療崩壊のあおりでコロナ以外の患者への医療が滞り、コロナの死者にカウントされない死者が出る事態も覚悟する必要があります。経済回さないと自殺者が増えるとして経済を回した結果です。

リクルートやじゃらんなどの旅行サイトもですが、実物資産を抱える運輸や宿泊セクターはもっと大変です。以前にも指摘しましたが、30年償還のリース資産である整備新幹線区間の距離が長いJR東日本はJRグループの中ではとりわけ苦しい立場ですし、大手私鉄ではホテル業の比重が高い西武、東急が苦しい訳です。それでも五輪は別腹らしい。

東京五輪、外国客を大規模受け入れ アプリで感染対策 政府、移動の自由を重視:日本経済新聞
五輪はいいよいよ開催自体が難しくなってきています。欧米の感染拡大に加えて開催国の日本もということで、いよいよヤバくなってきてます。IOCのバッハ会長が中止を否定したことを根拠に中止は無いと考えるのは浅はかです。

開催国の日本と開催都市の東京都がやると言っている以上、IOC側から中止を言う訳がありません。米NBCの放映権料問題も、保険で補填可能なのでIOXCは痛くも痒くもない一方、政府や東京都が決断できないでいるのが実際です。また出場選手も安全性に疑義があるワクチン接種を義務付けられたりすることから辞退する選手も出てくるでしょうし、そもそもコロナ禍で十分な練習もできない可能性もあります。NBPパリーグ終盤のロッテのように選手自身が感染する可能性もあり、そうなると軽症でも練習できない事態もある訳です。それらの問題を飲み込んでも、本気で五輪開催したいなら、今コロナを封じ込めないでどうするつもりでしょうか。大局が見えなくなっているとしか思えません。愚かすぎます。

同じエントリーで触れた携帯料金問題ですが、やはり予想通りNTTによるドコモ子会社化は連動した動きだったようです。上場企業のドコモを子会社化することで、株主に支払う配当金と自社株買い費用はまるまる手元に残り、その規模は推定2,000億円ほどで、値下げの原資になる訳です。加えてNTTは政府34%株式保有で重要事項の拒否権を政府が握っている訳で、政府の意向に沿うしかない訳です。それを梃子に他の大手キャリア2社に値下げを迫るという構図ですね。

まるで中国共産党みたいなやり方ですが、これ逆に1940年代の日本の国家総動員体制への先祖返りにも見えます。というか日本のやり方を中国がパクった結果中国が躍進した一方、落ち目の日本も先祖返りで対抗という図式に見えます。ただ大手キャリアを圧迫しても、次世代通信の5G投資が遅れることは見えていない模様です。

但しNTTへのNECの出資が意味深ですが、5Gの技術的な遅れをNTTとNECが組んでキャッチアップしようという意図も読み取れます。旧電電ファミリー復活の狼煙です.与党内にGAFAやBATHに匹敵するハイテク企業に日本に表れないことへの焦りがあるということですね。しかしGAFAもBATHも国有企業ではない純民間企業が成長したもので、アントの上場中止に見られるように、時に公権力と対立することすらあることは見えていないんですね。

この辺の構図は地方銀行の再編問題でもそうですが、元々日銀のゼロ金利やマイナス金利政策で利ザヤが取れなくなっていることが原因です。確かに小泉政権下の竹中プランでも大手銀行が再編された一方、地方銀行は猶予された経緯はありますが、その一方で地方銀行と事業領域が競合する郵便貯金は別途民営化された一方、銀行のペイオフに合わせた1,000万円の預入限度額を郵政族議員の圧力で1,300万円に拡大するなどしている訳で、再編を言うならゆうちょ銀行も含めた議論をしなければおかしいですが、全く聞こえてきません。こんな状況で地方銀行の自主的な取り組みを期待するのは無理です。

その意味で日銀が打ち出した再編を後押しする日銀口座への0.1%の付利は実質的な再編支援策となりますが、これある意味日銀のマイナス金利政策のも¥見直しでもある訳で、失敗を認めたくないから地銀再編の機運に乗じて既成事実づくりという側面もあります。ただ実際の基準ははっきりしませんし、単なる銀行補助金になる可能性もあります。となると体力の弱いところが生き残ってゾンビ化となるとはて、再編はどうなる?

てことで国民の命よりも統制経済まっしぐらというディストピアです。読者の皆さん、ご自愛ください。

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Sunday, November 08, 2020

ハイブリッド・シビル・ウォー

開票が進みやっと大勢が決まった米大統領選です。

「分断ではなく結束」 バイデン氏が勝利宣言:日本経済新聞
バイデン氏が勝利宣言をしましたが、トランプ氏は敗北宣言をしておらず。法廷闘争に持ち込む姿勢を見せており、すんなり政権移行するかどうかは微妙ですが、既に欧州首脳は祝意を表明しています。トランプ政権で悪化した外交関係の修復に対する期待でもあります。

英国ジョンソン首相も貿易交渉や気候変動問題での連携に期待しており、EUと足並みがそろっております。バイデン氏の同盟重視の姿勢に対する期待ですが、アジアの某日本国は微妙です。安倍政権でトランプべったりだったことで、同盟重視があまりピンと来ていないこともありますが、バイデン氏が復帰を明言したパリ協定の目標が低すぎるとか石炭火力に依存しているなどで非難されたから、トランプ政権は居心地が良かったとも言えます。それに日本学術会議問題の国会答弁で炎上中でそれどころじゃないかも。また任命拒否した6名は反政府運動に関わっているという政府関係者の証言が報じられております。中国かよ!

しかしトランプ大統領は敗北宣言をしておらず、法廷闘争に持ち込む算段をしています。但し現時点ではトランプ陣営からの不正の訴えは裁判所に退けられており、また欧州から派遣された選挙監視団も今のところ不正の証拠はないとしております。但し州によって手続きが異なるため、提訴を受け付ける州も出てくる可能性はあります。

また既にSNSでフェイクニュースが拡散されており、何故か日本でも翻訳されたツイートが拡散されてますが、そのほとんどはファクトチェックされてフェイクとされております。寧ろトランプ陣営の立会人のあからさまな開票妨害が見られ、また両陣営のデモも起きており、下手すると両者の衝突もあり得ます。これ既に内戦状態と見て良いかもしれません。

ザ・シビル・ウォーで取り上げた南北戦争も元はと言えば大統領選でリンカーンが勝利して奴隷解放を進めたことに対する南部諸州の離反によりますが、当時リンカーンが所属する共和党は保護主義と工業化推進の立場で、逆に民主党は国際貿易重視で有力な輸出品だった綿花栽培農家の利害を代表していたため、安い労働力としての奴隷制度維持の立場で、今とは立場が逆だったのが面白いところです。時代が変われば立場も主張も変わる訳です。

てことでバイデン氏は同盟重視、国際協調の立場ですが、一方でバイ・アメリカンで国内工業重視の姿勢も見せており、経済下支えのための大規模公共事業も公言しています。しかし既にトランプ減税の大盤振る舞いとコロナ対策で財政赤字拡大が続いており、法人税増税を打ち出してはいるものの、上院がで民主党が多数派を取れなければ実現可能性に疑問符が付きます。そうなるとFRBが金融緩和で支えざるを得なくなり、金利の低下でドル安基調で円高が進むと言われております。

実際円は対ドルでジリジリ上げておりますし、欧州のコロナ第2波でユーロ圏もマイナス金利で円独歩高の様相です。しかし異次元緩和で手詰まりな日銀は打つ手がありませんし、政府の為替介入も現実的には不可能です。この面からもバイデン氏に祝意を表しにくい某日本国です。残る手は欧米並みにコロナ第2波で経済失速か。ひょっとして Go To って-_-;

話を戻しますが、フェイクニュースや開票妨害などはある意味現代的な実力行使でもある訳で、ハイブリッド戦争ならぬハイブリッド内戦と言えるかもしれません。ハイブリッド戦争または非対称戦争と呼ばれるのは、主権国家同士の実力紛争を意味する通常の戦争に対して、例えばテロのように民間人に紛れて攻撃を仕掛けたり、あるいは軍事的衝突は伴わないけどサイバーセキュリティの弱点を突くハッキングや攪乱とか、フェイクニュースの流布とか、武力行使を伴わない妨害行為など、紛争関係が非対称で見えにくいものを指します。

典型的なのは9.11とその後の対テロ戦争だったり、ウクライナ紛争のように明らかにロシア軍が実態の義勇軍とか、その他もろもろの紛争形態の総称です。政権移行のために連邦軍がホワイトハウスからトランプ氏をエスコートといった事態もあり得ますし、仮にそうなると遺恨が残りバイデン氏の政策遂行の現場で様々な妨害工作が行われることも視野に入れておく必要があります。となると同盟重視で国際社会へのコミットを公言するバイデン氏ですが、国内問題に忙殺されて国際協調に手が届かない事態もあり得ます。かくして頼りにならないアメリカは継続し、中国、ロシア、トルコなどの権威主義国家がますます勝手に動くことになります。トランプ時代に負けず劣らず国際秩序は混乱すると見るべきでしょう。

となるとヤルタ・ポツダム体制下で惰眠を貪る日本も、アメリカを当てにできないことを自覚すべきでしょう。日本が提唱しアメリカが乗っかっている開かれたインド太平洋という防衛構想も、当てにはできないと考えた方が良いでしょう。結局米中のパワーバランスの中でポジションを模索するしかないのが日本の立場です。しかも日本の経済的プレゼンスはダダ下がりの中での話です。そんな中で気になるのがこのニュース。

アント、香港・上海上場を延期 中国当局が創業者ら聴取:日本経済新聞
アリババグループの金融サービス会社のアント・フィナンシャルグループが上場直前に創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の発言を問題視して聴取したことで、上場が遅れたというニュースです。マー氏は当局の規制が時代に適合していないと政府批判ととれる発言をしたことが問題視されたようです。

アリペイによりQRコード決済システムでテンセントのウイチャットペイと市場を分ける巨人ですが、更に踏み込んでECでアリババに出店する事業者の資金支援サービスまで手掛ける結果、銀行の領域に迫る訳ですが、それ故当局の干渉は大きいのでしょう。それに対する不満を述べたことが当局の知るところとなっての事態ってことらしいですが、この辺中国の国有企業と民間企業の二重構造が表面化したと見ることができます。

ITの巨人として米GAFAと中国BATHという言い方があります。GAFAは省略しますが、BATHはバイドゥ、アリババ、テンセント,ファーウエイの頭文字です。この中に国有企業は無く、全て新興の民間企業なんですね。中国と言えば規模ばかり大きく非効率な国有企業のイメージが強く、実際そのような企業は多いですし、政府も雇用の観点から国有企業の保護の姿勢は見られますが、実際に中国の経済成長を支えてきたのはBATHに代表される新興民間企業です。但し競争を勝ち抜いて大企業に成長すると政府の干渉が強まるというジレンマが中国社会でも見られる訳です。これどこかの国と似ています。

NTT再編と政府による通信料金値下げにキナ臭い関係が噂されます。稼ぎ頭のNTTドコモが他社の攻勢でシェアを落として3位となった結果、優越的地位による規制が現実にそぐわなくなってきていることは確かですが、ドコモに留まらず東西やコミュニケーションズ、ITベンダーのデータまで統合してNTT再編が目論まれていますが、政府が34%の議決権を保有する特殊会社ですから、根拠法の改正は避けられないところですが、おそらく政府も法改正などの支援を内々に示唆しているのでしょう。上場したJRが完全民営化されたのとは異なります。

具体的には°ドコモの完全子会社化で、株主配当は不要になり、それがドコモにとっては値下げの原資になります。となるとauとソフトバンクも追随せざるを得なくなり、政府が目論む値下げが実現するという見取り図ですね。またsuもソフトバンクもUQモバイルやYモバイルといったサブブランドを活用してMVNO事業に進出し、安値志向の顧客をドコモから奪って囲い込む戦略でシェアを伸ばしてきましたが、このビジネスモデルはNTT法の縛りでドコモはできません。ですから見方を変えればドコモの子会社化でやっと追いついたという見方も可能です。

実際auもソフトバンクも本体は高機能端末でバリバリ通信するヘビーユーザーを囲い込んで高い料金を取っている訳ですが、ここに落とし穴があります。つまり高額通信料を承知で利用するユーザ―のお陰で基地局などの投資の原資を得ている訳で、それがドコモの値下げで利益が圧迫されるとやりにくくなります。折しも5G投資がは事案るタイミングでの話ですから、日本の5G投資は遅れることが心配されます。

今のところ専用基地局を増やすより既存の4G基地局をソフトエミュレートで疑似5G化する形でサービスを始めて5G端末を売って投資原資を得る形が考えられているようですが、これつまり通信速度は速くならないなんちゃって5Gってことで、5Gならではのサービスが起こる可能性を狭めます。アントの上場延期じゃないけれど、政府による民間介入はろくな結果にならないってことだけは言えそうです。

この調子で地方銀行や地方バス会社の統廃合とかやる気でしょうか?やめてくれ!

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Saturday, October 24, 2020

仲良きことは美しき哉かな?

京王線を下って仙川の掘割を抜けると視界が開けるところがあります。仙川は台地の上の高地なのですが、入間川とはいっても埼玉のそれとは異なる野川の支流の都市中小河川が谷を刻み河川敷状の低地が広がる地形に繋がります。故にこの間下り勾配で、高松吉太郎氏がここを疾走するダブルポールの四輪単車の写真を残しております。大正期の貴重な記録ですが、当時と佇まいがほとんど変わっていないある意味貴重な場所です。そんな場所での出来事です。

住宅街の道路陥没、東京・調布 付近でトンネル工事:日本経済新聞
調布市は10年ほど住んでたことがありまして、土地勘のあるところです。入間川を挟んで東つつじが丘と若葉町が隣接しておりますが、若葉町は武者小路実篤が晩年居を構えていたところで、旧居は実篤公園・記念館として一般公開されております。居宅は重要文化財に指定されています。

白樺派の重鎮で日本における空想社会主義者としても知られる文豪ですが、宗旨替えして戦争礼賛に転じ、政府に協力したということで、戦後公職追放の憂き目にも遭っております。そんな文豪が愛した武蔵野の面影も今は昔、入間川沿いの低地も宅地開発されていますが、今回の出来事はそんな場所で起きた訳です。地下では東日本高速道路会社による東京外環自動車道の建設工事が進行中で、所謂大深度地下にシールドトンネルを掘り進めていた場所でもあります。今のところ因果関係は不明ですが、川沿いの低地で地盤が弱いと考えられますから、無関係ではないでしょう。当然ながら外環道の工事は凍結されました。

都市部の地下トンネルは、ビルの基礎杭などと競合するため、地権者の同意を必要とします。ややこしいですが地下トンネルを掘るために地上権を設定し地権者に金銭補償をする必要がある訳で、例えば地下鉄半蔵門線の九段地区では地権者の同意がなかなか得られずに開業が大幅に遅れたりしました。調布市でも外環道の構想に対して多くの場所に「外環道絶対反対」の看板が掲げられておりました。元々掘れば水が出るほど保水量の多い地域ですし、地下を通すにしても揉めることは確実だった訳です。

それが法改正でビルの基礎杭も届かない地下40mi以上の大深度地下層は山岳トンネルに準じて地権者の権利が及ばないように改正され、外環道も将に大深度地下層にシールドトンネルで通すことで決着した訳です。但し危惧する声が無かった訳ではありません。というのも、山岳トンネルでも過去にトラブルが発生しており、例えば丹奈トンネルの工事で水源を絶たれた地上部分では灌漑用水が得られなくなってますが、国家総動員体制の中で反対の声は上げられませんでした。

上越新幹線でも中山トンネルの大湧水でルート変更を余儀なくされましたし、大清水トンネルの湧水が原因と考えられる水上温泉や越後湯沢温泉の源泉の一部枯渇問題などが起きています。補償装置は講じられましたがトンネル湧水は続いており、大清水(おおしみず)ブランドの飲料販売で活用されてます。この辺は民営化でやり易くなったとは言えます。

ということで外環道の工事も遅れそうですが、思い出されるのがリニア静岡工区のJR東海と静岡県の対立です。一部報道で河川管理を静岡県から政令市の静岡市へ移譲されれば解決するという観測もありますが、仮にそうなっても大井川下流域の自治体との調整は必要で、静岡県が動くことになります。また静岡県もリニア工事に伴う道路整備には奥大井の観光開発の思惑から理解し期待する部分もある訳で、静岡県がリニア工事の邪魔をしているという理解は現実とは異なります。上記の丹奈トンネル工事の経緯もあり、静岡県は条例で厳しい環境アセスメントを求めている一方、JR東海は基準を満たすデータを出さないから膠着していることは指摘しておきます。

この辺のJR東海の姿勢は五方面作戦エントリーで指摘した国鉄時代からの独善性とバーター主義で相手を黙らせる流儀を疑わせます。そしてこのことはリニア談合事件でも垣間見えます。

リニア談合、大成・鹿島が無罪主張で結審 判決は21年3月:日本経済新聞
既に大林組と清水建設の2社は分離公判で有罪判決が出され、罰金と課徴金も確定していますが、無罪を主張する大成建設と鹿島は公判が続いているのですが、鈍器法定で指摘したように、分離公判で大林組はJR東海の要請を受けて作成した「星取表」と呼ばれる工区別の予算と受注会社を記したエクセルワークシートという動かぬ証拠を提出してバラしちゃった訳で、有罪判決は動かないでしょう。同時に被害者である筈のJR東海が談合を実質的に差配していたことも明らかになりました。

そのリニア工事も大深度地下トンネル区間があります。元を質せば事業費圧縮を求めるJR東海の姿勢が談合の原因でもある訳で、それだけ儲けの少ない工事を請け負うゼネコン各社がギリギリの見積りを立てている訳で、トラブルが無いとは言い切れなません。てことでゼネコン同士の暴露合戦と化したリニア談合裁判ですが、業界の亀裂は簡単には修復できないでしょう。

仲良き事は美しき哉

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Sunday, October 04, 2020

風邪と共に去りぬ

予想外の展開です。

米政権・議員に感染者複数 ホワイトハウスで拡大か:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたギンズバーグ判事死去に伴う最高裁新判事候補の披露イベント時のクラスター感染が疑われています。自業自得というか、ミイラ取りがミイラというか-_-;。

当然大統領選どころじゃなくなりますし、病状次第では執務不能となることもあり得ます。その場合の代理第1位は副大統領、第2位は下院議長となっており、政治的混乱は避けられません。特に共和党にとっては痛手でしょう。今更別の大統領候補を選ぶのもままならず、副大統領候補が横滑りという訳にも行かず、政治的混乱は避けられません。それ以上にコロナ禍の終息がますます見通せなくなり、国民の消費自粛ムードを高めます。

加えてただでさえ財政の崖問題で追加経済対策が打ち出せない中で、雇用情勢は悪化の一途を辿っています。てことは、アメリカの経済回復は遅れる訳ですから、世界中が様子見モードの米中摩擦の行方も微妙になります。確実に経済を回復させている中国を排除して対米追従すれば自国の経済回復も遅れる訳ですから、日本を含め、多くの国の迷いを誘う事態です。まあ日本はそれどころじゃないあれこれがありますが。

東証「バックアップへ切り替えできず」 機器故障が原因:日本経済新聞
下期初日の10月1日に東証がシステム障害で終日取引停止になりました。原因は記憶装置の不具合ですが、バックアップディスクへの切り替えがうまくいかず、混乱を避ける為に已む無くということですが、問題は代替市場が機能しなかったことです。

欧米では地方市場や私設市場が併存していて、相互にバックアップされる自律分散システムとなっているので機器の不具合による取引停止は避けられるんですが、取引の薄い地方市場では独自のシステム構築の費用が出せず、東証のシステムに相乗りしていたし、私設市場(PTS)は金融庁の規制で規模が拡大すると東証の上場銘柄が扱えなくなるなどで、小規模PTSが複数併存していて、ネット証券が東証を含む複数市場で最も有利な市場で取引するSORという仕組みがありますが、最大規模の東証のシステムダウンでバグが出る可能性があるということで、ネット証券各社はSORを止めたため機能しなかったというもの。

株式市場も東京一極集中の弊害が明らかになった訳で、香港に代わる国際金融都市など無理ですね。金融分野では3行合併でスタートしたみずほ銀行のシステム障害がありましたが、大きけりゃいい訳じゃないってことですね。それを忘れたかのような地方銀行の経営統合を含む再編に前のめりな管政権ですが、同様の問題が起きるとは思わないのでしょうか?

それと気になるのが、同時に経営が苦しい地方乗合バス事業者や地方中小企業の再編も同じノリで進めようとしているんですが、これ1938年の陸上交通事業統制法の時代に逆行させる気でしょうか?今更な国家総動員体制を目指しているとしか思えません。そんな中でのNTT再編ですが、稼ぎ頭のドコモが他社乗り換えでユーザーを減らし、気が付けば3位ということで、もはやガリバー企業としてのNTTグループの協業規制が意味を失ったということです。

加えてNECへの出資になった訳で、気が付けば旧電電ファミリーの復活劇ということですが、5Gの出遅れを取り戻したいってことですね。そしてHuawei対策として国産通信インフラの復権を狙ったものと言えましょう。NTTの筆頭株主は34%を保有する財務大臣つまり国なんですが、上場企業が実は国営企業という中国みたいな現実もあります。何だか国家総動員体制下の電力国家管理に酷似します。携帯料金値下げはこれを誘導する為だったのかな?

このノリで民営化JRに手を突っ込んでくる可能性もあります。経営不振のJR北海道はJR東日本に、JR四国はJR西日本に強引に面倒を見させるとかやりかねないですね。JR九州を含む上場4社は完全民営化されているので、抵抗力は一定にあると思いますが、例えば災害復旧にかこつけて介入する可能性はあります。

例えば熊本地震と大雨で大規模な山崩れで不通となった豊肥本線は3年半かけてやっと復旧しましたが、復旧費用は50億円で半部は国と地方の折版で補助されてます。一方同時に被災した並行する国道57号線は、ルート変更で北側復旧ルートと称する3.6kmのトンネルで外輪山を超える形で復旧し、費用は800億円と言われ、全額公費です。道路予算と鉄道予算にはこんなに開きがあるってのがショックですが、それでも復旧に公費を当てにせざるを得ないJRは、ある意味旧国鉄時代のような政治圧力を受ける存在になりかねない訳です。これはいつか来た道です・

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Saturday, September 19, 2020

コロぶナ大阪トト

忘れかけてた大阪都構想が再起動した模様です。大阪府議会と大阪市議会が大阪都構想の賛否を問う条例を可決成立させて、再度住民投票が実施されることになりました。10月12日公示11月1日投票で、賛成多数なら2025年1月1日から新制度へ移行するというスケジュールです。大阪都構想自体は2015年5月17日の住民投票で格差で否決されましたが、今回は公明党が賛成に回っており、支持母体の有権者が動く可能性が高く、可決成立の可能性が高いと言われております。

立場を明確にする意味で、先に見解を述べておきますが、大阪都構想は天下の愚策です。地方自治法で大きな権限を与えられている政令指定都市を廃止して、権限が限定される4つの特別区にするという話ですから、普通に言えば大阪市域の住民サービスは劣化します。但し住民税などの税源は都に移行する訳ですから、府改め都は財政規模を拡大できる訳で、それが狙いと仮定すれば推進派の正体がわかります。大阪都構想は大阪市を廃止して権限を取り上げる構想ってことですね。

東京都との比較で言えば、東京都の人口1,400万人の内、区部が凡そ840万人で7割ですから、単独の市としては規模が大きすぎますし、昼間人口は区部だけで1,500万人を越えますから、単独の自治体として上下水道などのライフラインの維持管理だけでも大変な負担になりますので、広域自治体として都が肩代わりする意味はあります。

一方大阪府の人口は凡そ900万人で大阪市が275万人ですから約3割と東京とは真逆の人口分布です。勿論大阪市も昼間人口が多いとは言えますが、その規模は東京よりずっと小さく354万人と横浜市よりやや多い程度で、広域自治体としての都が肩代わりする必要性は乏しいと言えます。二重行政云々は従来も府市協議会で調整されてきましたし、人口82万人の政令指定都市堺市が抜けていて行政の一体化は最初から穴あきです。

てことで冷静に考えれば大阪都構想は否決されるべきですが、全国区のニュースになりにくい一方で、在阪メディアは大きく取り上げながらネガティブな情報には触れないということで、可決成立の可能性が高まっている訳です。これ安倍首相辞任から始まる謎な内閣支持率上昇と同じ構図ですね。国会も開かず記者会見も開かず巣篭りしていてメディア露出が減っていたところでの辞任報道でメディア露出が一気に増えた結果、安倍内閣の支持率が跳ね上がり、また早々管官房長官の後継が取り沙汰されやはりメディアを賑わせた結果、やはり新内閣は高い支持率となってます。いろいろ言われますが、オールドメディアの影響力は大きい訳です。

でも未だにコロナ禍が収まらず、大阪府だけでも60-70人規模の感染者が毎日報告されている中での住民投票です。普通に考えればコロナ対策を優先すべきところを、敢えて住民投票を行うというのはリスクもあります。実際コロナ禍で大阪市の財政赤字は拡大しています。自粛による税収減だけで500億円規模に加えて、市営地下鉄民営化で誕生した大阪市100%出資の大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)のコロナ禍による赤字転落で、見込んでいた配当金64億円の税外収入もなくなる一方、コロナ対策で歳出が拡大している状況です。

にも拘らず2025年からの大阪都の財政見通しを黒字として、その根拠として大阪メトロの配当金を挙げている訳で、矛盾だらけです。しかも大阪メトロ社長には知らされておらず、記者会見で記者からの質問で知って逆に赤字転落なのでとりあえず今期の配当は無理とした上で、2025年以降の収支を前提とした議論だから、今はわからないと逃げるのが精いっぱいだったというギャグのような話になってます。

これアベノ自粛エントリーで指摘したことですが、大阪府は大阪府都市開発(OTK)の事業の一部だった泉北高速鉄道を売却し、大阪市は地下鉄とバスの市営交通の民営化で得た資金を投じてなにわ筋線の事業費を負担することで、大阪メトロの稼ぎ頭の御堂筋線のライバルを整備するという倒錯したことをしている訳で、2025年以降の安定配当の見込みはかなり怪しい訳です。

大阪市交通局の民営化も、地下鉄事業に関しては2003年に単年度黒字を達成し、2010年には累積赤字も一掃して多額の利益剰余金を市財政にもたらした一方、フェスティバルゲートやオスカードリームなどの関連事業の不振とバス事業の赤字転落で苦しんでいたことは確かですし、何らかの見直しは必要ではありました。オスカードリームについては市有地の財産信託事業を受託したみずほ信託銀行から提訴され裁判で敗れて受託金支払いを命じられました。

交通局に留まらず咲洲地区のコスモスクエア地区でワールドトレードセンタービル(WTC)やアジア太平洋トレードセンタービル(ATC)など第三セクター方式によるビル建設でテナントが埋まらず赤字を垂れ流すなどしていて、それらを批判して台頭したのが大阪維新の会でした。同様に泉佐野市のりんくうゲートタワービルが同時期に建てられ、やはり大赤字となって泉佐野市の財政悪化の原因となりましたが、維新系の市長によるふるさと納税制度の高額返礼品問題に見るように、バブル後の大規模開発の失敗に乗じて台頭した維新の性格がよくわかります。

とはいえ例えば万博会場とされる夢洲への地下鉄中央線延伸のような投資案件を抱え、加えて仮称夢洲駅にはタワービルを建てる計画まで発表してます。財政を悪化させた大阪市の轍を踏もうとしている訳ですね。違いは大阪メトロは株式会社ですから、タワービル事業がコケても株主の有限責任原則で大阪市改め大阪都が直接被ることは無いってことですね。勿論それじゃすまないでしょうけど、あとは野となれで逃げるが勝ちと、アベノミクスそっくりの構図が見えます。

しかしコロナ禍で様子が変わってきております。特に維新をバックアップしてきた関西財界にさざ波が立ち始めております。関西財界をのまとめ役とされる関西経済連合会(関経連)の副会長職にある近鉄と阪急の両トップが腰が引け始めています。前エントリーでも触れましたが、大阪市進出を表明していた米カジノ事業者MGMがコロナ禍で自国の本業にブレーキがかかって白紙撤回した結果、大阪万博の実現可能性を巡って悲観論が出てきていることによります。

地下鉄延伸もタワービル構想もIR誘致を巡ってMGMに事業費負担を打診していたものが消えた訳ですから、その分の負担が関経連企業に奉加帳方式で負担が来ることを危惧する声が出てきている訳です。特に阪急と近鉄は1970年の大阪万博を利用して経営基盤を強化した成功体験があるだけに前のめりでしたが、流石に今回はヤバいと思い始めているようです。

阪急は大阪市域外への延伸だった御堂筋線の江坂以北の区間を阪急主導の三セクで北大阪急行電鉄を設立し、大阪中央環状線と同時整備されつつ未開通だった中国自動車道の本線車道に線路を敷いて会場線として万博中央口へのメインルートを押さえる一方、千里線の万博西口ゲート近くに臨時駅を設置して万博関連の鉄道輸送をほぼ独占し投資回収に励む一方、万博後不要となった北急の余剰車を市交に売却して資産圧縮して超優良企業になりましたし、近鉄は万博関連事業で訪日外国人の広域観光推進で補助金を得て近鉄難波線と鳥羽線を建設し、志摩線の改軌で大阪と伊勢志摩を結ぶ観光ルートを確立しました。

てことで、実は住民投票の裏で関西財界の微妙な対応で万博開催もどうなるかわからない状況ですが、それを悟られないためのイベントとしての住民投票というのはうがった見方でしょうか?しかもメディアはそこを突かないから裏の動きはほとんど気づかれていない訳です。ある意味大博打の住民投票なんで、言ってみれば大阪トトとでも呼びたいところです。それでもベットしますかね?

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