鉄道事故

Sunday, November 29, 2020

飛べないジョナサン

まずは地を這う話題です。

台車亀裂で溶接部に欠陥 南海ラピート、安全委報告:日本経済新聞
南海ラピートの台車枠亀裂問題で運輸安全委員会の報告書が出ました。報告書によると2005年にメーカーの住友金属(現日本製鉄)が実施した台車枠の補強で溶接不良があってそれが亀裂の原因というものです。これ結構深刻な問題じゃないでしょうか。

台車は鉄道車両の荷重を支え安定走行を支える重要パーツであり、当然強度を求められる一方、重量が嵩むため、軽量化の要請も大きく、実際かつてのボルスタ台車からボルスタレス台車への変化もありますし、阪急や東京メトロなどのボルスタ台車も、車体直結の上揺れ枕と台車枠へ荷重を伝える下揺れ枕で心皿と左右の側受の3点支持で下揺れ枕と台車枠の間に枕ばねを置くものではなく、車体と上揺れ枕の間に枕ばねを置いて下揺れ枕と台車枠を一体化して水平方向の偏倚を拘束するボルスタアンカーと呼ばれるリンク装置を備えたものになっており、軽量化が図られています。

そのため台車枠にかかる応力も複雑化している訳で、何らかの理由で補強が必要になったとしても、ユーザー施工は難しく、メーカー施工にならざるを得ないのですが、その頼みのメーカー施工で補強プレートの溶接が原因で亀裂が生じた訳ですからユーザーである鉄道会社としてはどう捨て良いのかって話ですね。溶接熱による歪みが残って金属疲労が生じたと考えられます。これつまりユーザーから見たプロダクツのブラックボックス化の中で、頼みのメーカーの技術に疑問符が付くことを意味します。しかし企業経営者にその認識があるかどうか。7現場力に頼って無茶ぶりして凌いできた企業ほど根深い問題です。その文脈でこのニュース。

三菱重工、国内3000人配置転換 国産ジェット事実上凍結:日本経済新聞
コロナ禍で透明航空機需要の回復が見込めないということで、MRJ改めMSJの開発を凍結し社員の配置転換を行うというニュースですが、重要ン阿野は中止ではなく凍結ということです。国産ジェット旅客機の開発は国家プロジェクトとして国の資金も拠出しているため、国(経産省)が許さないということで、プロジェクトは継続されますが、開発の遅れの間にブラジルのエンブラエルの旅客既部門をボーイングが買収することが発表され、ボーイングの販売網を当てにしていた三菱重工を慌てさせました。737MAXの墜落事故とコロナ禍でそれどころじゃなくなって見直されましたが、コロナ後の需要回復も見通せませんし、中国が国産ジェット旅客機の開発を先行しており、コスト面で対抗は難しいと見られます。

しかも開発の遅れは米GE製の新型エンジンで省燃費を売りにする予定が遅れたため、ライバルのエンブラエルやボンバルディアに燃費性能で追いつかれており、市場環境も厳しさを増しています。そして米FAAの型式証明の取得が躓きの石となりました。日本企業にとっては初めてのことで対応が後手後手になった訳ですが、そのため外国人技術者を大量採用して開発現場に投入したら、現場で飛び交う言語が英語に変わり、日本人技術者を困惑させ、現場のコミュニケーションを破壊して更に遅れを増長しました。

これ長崎造船所のダイヤモンドプリンセス号建造の時の混乱と同じ轍を踏んだ訳です。経験のない豪華クルーズ船の建造を請け負ったものの、不慣れな作業で遅れたため、外国人技術者を投入してスピードアップを図った結果、建造中の火災事故を引き起こすというトラブルで、結局納期を守れず追加のコスト負担もあって結果的に赤字受注となった訳です。頭痛くなってきた。

てことで飛べない国産ジェット旅客機の顛末ですが、長崎と言えば前エントリーで軽く触れた飛べないかもめもありますね^_^:。22年秋頃に九州新幹線長崎ルートの武雄温泉―長崎間が暫定開業しますが、和製英語のフリーゲートレインと呼ばれる軌間可変車(GCT)の採用断念をJR九州が決めたことで、フル規格の孤立線として暫定開業を迎えます。

長崎新幹線の問題は散々取り上げましたが、おさらいすると元を質せば鹿児島ルートで佐賀県域を通過することから負担を求められ、当初予定されていなかった新鳥栖駅の設置を滑り込ませる苦肉の策で対応したものの、この時点から佐賀県の不信感はありました。加えて長崎ルートは当初スーパー特急案で進んでいたこともあり、佐賀県の負担は軽微でした。この点はGCT採用でも基本的には変わらなかったのですが、一方で肥前山口―諫早間が並行在来線として切り離し対象となったことに鹿嶋市など切り離し区間の沿線自治体が反対して揉めて、結果的には上下分離でJR線として維持することで決着しました。

という具合にトラブルが絶えませんでした。加えて元々有明海沿いの軟弱地盤問題があって、費用負担が大きくなる危惧があり、また福岡都市圏で必ずしも新幹線を必要としていない立地条件もあり、GCT導入で在来線を維持する条件で同意したという経緯があったのに、JR九州のGCTっ導入見直しでフル規格化を言われても同意できない訳です。そもそもGCTは技術的には無理があり、実現不可能と考えておりましたので、JR九州の対応も国(鉄道・運輸機構)の甘言に乗せられたとも言えますが、南海ラピートの台車枠の亀裂問題に見るように、足回りの無理な限界設計は安全に直結する問題を孕みます。とはいえ佐賀県から見ればご都合主義もいいところで、態度を変えることは難しいでしょう。

ってことで飛べないかもめのジョナサンは神になり損ねた?また並行在来線問題は大村―諫早―長崎間でも不確定で、上下分離となれば自治体負担が出てきます。まだまだ揉める要素は残っている訳ですね。

おまけ、大村市内に新設予定の新駅が新幹線併設の新大村ともう1つ大村車両基地だそうで、後者h駅前に県ろう学校があるところで、一瞬五方面作戦の闇で取り上げた常磐線北柏や天王台のように車両基地建設のバーターかと頭をよぎりましたが、建設費は大村市が負担ということで、通常の請願駅でした。とはいえ駅前は県立ろう学校という立地で特に開発計画がある場所でもなさそうですし、そもそも駅名にふさわしいランドマークが無いから大村車両基地を駅名にせざるを得なかったということのようです。

新大村駅を含めて市の北側に位置し、新幹線駅と長崎空港が至近ということもあり、開発の重点を北へずらすことは考えられている可能性はあります。とはいえ孤立線のフル規格新幹線とコロナ禍で激減した航空需要と視界不良の現実が立ちはだかりますが。

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Sunday, November 15, 2020

厳冬に向かって Go To コロナ

寒冷化で人の免疫力が低下する一方、乾燥でエアロゾル化して長く空中をウイルスが浮遊する季節になり、感染拡大が続きます。

新型コロナの感染拡大が続きます。国内感染 過去最多の1700人超 新型コロナ:日本経済新聞
とはいえ政府の動きは鈍いままです。国内では第3波と言われますが、第1波と第2波は、緊急事態宣言による自粛期間がありましたから、ひと連なりと見て良いでしょう。欧米も厳しいロックダウンを経て規制解除と経済活動解禁を進めた結果の感染再拡大ですし、欧米で猛威を振るう第2波と同時進行と見る方が実態に近いと考え、ここでは第2波の表現に統一します。

第2波の影響で為替市場がドル安ユーロ安にシフトする中、円高回避の手が無い日本もコロナ禍で打開という与太が冗談と言い切れない現実があります。緊急事態宣言時も医療崩壊阻止が言われ、それを理由にPCR検査を増やさないという謎理論がまことしやかに語られたことは忘れちゃいけません。その結果、確かに医療崩壊は防げたかもしれませんが、解除後に感染拡大が起き、所謂国内第2波と言われた訳ですが、その後の感染高止まりもあって消費の戻りは遅く、Go To も当初東京都が除外されたこともあり、最初はボチボチな感じでしたが、先月の東京都解禁で明らかに様子は変わりました。

観光地は久しぶりに人があふれ活気が戻っていますが、それと共にジワジワ感染が微増傾向を見せ、感染拡大局面に至ったとすれば、新型コロナの発症に至るタイムラグにほぼ符合します。また寒冷地の北海道の感染拡大にも注目すべきです。緯度的に欧米と同緯度であり、欧米の感染拡大とほぼ同じタイミングで感染拡大が見られている状況です。本来ならばとりあえず北海道のGo To は除外をすべき局面ですが、結局除外は見送られました。経済優先の結果感染拡大すれば、結局経済が冷えるという当たり前のことが見えていないようです。風邪ひかない人たちに政権を委ねた結果です。

コロナ対策こそ最優先課題の筈ですが、行政DXや携帯料金値下げには熱心な一方、コロナ対策には消極的です。第2波感染拡大は避けられない状況です。政府が当てにできない状況ですから、政府に言われるまでもなく、自助で身を守るしかありません。ヤレヤレ。

結局非常事態宣言による医療崩壊を回避できたとはいえ感染を封じ込めた訳ではないので、自粛を解除し規制を緩め Go To で人の移動を促せばこうなる訳です。せめて自粛期間中に検査と隔離の拡大や医療分野への支援でICU拡大が為されているならばともかく、それもありません。尚、一部で病院は暇でベッドも空いていると主張されていますが、隔離病棟は感染防止のため気密減圧が必要ですし、人工呼吸器や人工心肺も扱える医療スタッフを揃えないと使えない訳ですが、そのためのマンパワーを整えるのは簡単ではありません。しかも負荷のかかる病院は一般診療の減少で収入が減っていてボーナスカットなどで退職者まで出ている状況です。Go To よりもこちらに予算を配分すべきですが放置されてます。

ホント何やってんだかって話ですが、16日に7-9月期GDP速報値の発表があります。予想では年率18%を超える高い伸び率ですが、これ前回の27%減の数字に対するもので、しかも年率換算ですから高い数字になりますが、落ち込んだ分の半分程度の戻りに過ぎません。財政出動で下支えしてもこんなもんなんですから、元には戻らないと見るべきでしょう。今後の感染状況によっては今後さらに下がる可能性もあります。そんな中で鉄道各社の上期中間決算が出そろいました。

鉄道18社、全社が最終赤字 今期計1.2兆円 減収は32% 固定費削減急ぐ:日本経済新聞
各社でそれぞれ事情が異なりますが、JR3社では運輸収入比率の高いJR東海が売り上げの落ち込みが大きい一方、利益率の高い新幹線の陰で赤字幅は相対的に小さくなります。私鉄大手は各社各様ですが、長距離輸送や観光輸送の比率が高い近鉄が厳しい他,成田空港輸送の蒸発した京成、関連事業のホテル業の不振で西武HDが落ち込みが大きいのが目立ちます。一方定期券比率が高く安定している小田急、京王は株価が上昇に転じるなど各社ごとに事情が異なります。

JR東日本は成田s空港輸送の不振のほかに、整備新幹線リース料として課されている負債を抱えてますから、JR3社の中では特に苦しい立場です。故に7終電繰り上げや通勤定期値上げなどをいち早く打ち出しましたが、コロナ後の需要回復は8割と見ていることが前提です。安定収入に寄与する筈の通勤定期売上はリモートワークで減少してますし、夜のクラスター対策で終電近くの乗車率が下がったことが終電繰り上げにつながる訳で、経営環境を反映した事業の見直しは避けられません。

JR東日本の特急踊り子のE257系置き換えに伴い、185系の現役引退が発表され、それに伴って朝夕の湘南ライナーも特急湘南となり、踊り子の自由席廃止と相まって実質値上げとの恨み節も見られます。自由席の廃止自体は常磐線のひたち/ときわ、高崎線のゆけむり/草津/あかぎ、中央線のあずさ/かいじで先行しており、座席予約状況を示すLEDランプで車内検察を省略する合理化の一環で、車両更新に合わせて踊り子・湘南にも適用されたってことですが、ライナー列車を廃止して特急化ですから、値上げの要素はあります。

タイミング的にはコロナ禍と被っている訳で、湘南ライナーの特急化は需要低下の中での増収策の気配はあります。逆に密を避けるという意味で受け入れられる可能性もありますし、特にとかいなかリモートワークという新たなトレンドの創出につながる可能性もありますので、企業としてのJR東日本としてはチャレンジしたいところでしょう。逆にインバウンドの蒸発で苦しむ他社でも、着席サービスの積極的展開はあり得ます。需要が元に戻らないとすれば、客単価を上げて増収を図ることは増えてくると考えられます。問題はそれが容易ではない地方では難しいってことです。

逆に気になるのが自動運転への傾斜です。山手線では既に試験が始まっていますが、東北新幹線でもE5系で試験を粉うと発表されてます。JR東日本が目指すのはドライバレスということで、車掌相当の保安要員を添乗させるけど運転業務は行わないことを想定しており、現状の地下鉄などのATOの先を狙っているんですが、心配なのは異常時に確実に列車を止められるのかですね。福知山線の事故でも運転士の異常を車掌が止められなかったように、事態の把握と対応が適切に行えるかどうかは未知の問題です。

組合が強ければ会社側に慎重な対応を申し入れることでけん制が働きますが、JR東労組大量脱退が起きたことが懸念材料です。鉄道の場合乗務員が事故の責任を問われる立場ですが、裁判の支援も含めて組合の支援があることで、過重な責任追及を回避できますし、会社側と保安装置の仕様や運転規則の見直しなどを交渉して組合員を守ることで、会社側の行き過ぎた合理化をけん制できるんですが、それが難しい中で、しかも経営に逆風が吹く中で、適切なシステム開発や運用が可能かどうかは危ういところです。

ドライバレス関連で言えば、中央リニアも基本ドライバレスになります。これは従来の鉄道と違って地上コイルへの給電で列車を制御するシステムですから、ドライバーは不要ですが、その分地上側からの遠隔操作になります。これケーブルカーなどでは当たり前ですが、2列車の釣瓶運行という単純な仕組みならともかく300kmを超える距離を複数列車で運行する訳ですから、AIレベルの運行管理システムを構築して監視するようなシステムになる訳で、異常時の緊急停止や乗客の安全な避難誘導が可能なのかどうかは未知数です。このレベルの実証実験は40kmほどの実験線だけでは不可能ですから、建設後の全線試運転での走り込みをして熟成させるしかありません。開業を急ぐJR東海の姿勢には疑問符が付きます。

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Sunday, June 14, 2020

DXでは解決しないコロナ後

デジタルトランスフォーメーション(DX)がコロナを機に進むという見立てがあります。

コロナが招く「金利の死」 1%未満の国、5割  チャートは語る:日本経済新聞
前エントリーで取り上げた金利の死ですが、金融の新常態(ニューノーマル)は確実に進んでいます。少し補足しますと、金利の消滅は異なる資産を交換する金融市場が意味を失うということです。例えば日銀が国債を爆買いして金利上昇を抑えてますが、本来金利のある国債と金利のない貨幣との交換によって、金利水準が微調整されて長短金利差が生じるから、短期資金を集めて長期資金を融資する銀行のビジネスモデルが意味を持つ訳です。

融資先企業は利払いを意識して最終利益の最大化を図りますから、イノベーションが進んで経済を成長させる訳ですが、融資の金利が下がると、本来退場すべきゾンビ企業が延命して成長企業への資金の流れを阻害しイノベーションを足踏みさせる訳です。将に90年代の金融危機以降、日本で起きたことがこれですが、それが世界規模に拡大したという訳です。

日経の記事ではコロナ禍をきっかけにDXが進むことで長期停滞から抜け出す楽観シナリオで結ばれてますが、実際にはリモートワークは進んだものの、医療や流通、公共交通など国民生活に欠かせない業種ではリモートワークの導入は難しい上、人との接触が避けられず感染リスクも高いという問題を抱えています。海外でエッセンシャルワーカーと呼び、国のトップがエールを送るなどしてモチベーション維持に配慮する訳です。マスクも検査も特別給付金も現場へ丸投げでリスペクトしない某日本国の首相とは大違いです。

で、前エントリーのおさらいになりますが、国民の行動が制限され経済が収縮する中で、彼らへ支払われる賃金の原資は縮小を余儀なくされるわけで、何時まで持ちこたえられるかは心許ないところです。コロナ禍では医療問題に注目が行きやすいですが、国民生活の基盤が侵食されている中で「DXで明るい未来」なんてノー天気なことは言ってられません。

そして気になるのが生産現場の問題です。今のところ深刻なクラスター感染はないようですが、密を避けるために床にシールで間隔を空ける目安にしたり、ラインの配置を見直して密を避けるなどの工夫が行われているようですが、フル稼働には程遠い状況で、需要が冷えてるから何とかなっているという皮肉な状況です。ドイツのようにIoTが進んでおらず、生産現場の密解消は程遠い状況です。

そして気がかりな事故が起きてしまいました。

京成電鉄青砥駅で脱線事故が発生 脱線の原因は台車の亀裂で確定か?
台車枠の亀裂による変形が脱線の原因のようですが、過去に取り上げた台車枠の亀裂の中で触れた東武東上線上板橋駅での10000系の脱線事故と日韓事変で取り上げた南海電気鉄道ラピートと共に、住友金属工業(現日本’製鉄)製SUミンデン台車という共通点があります。私鉄を中心にユーザー多数だけに、仮に構造的欠陥があるとすれば一大事です。

一方でユーザーである鉄道事業者から見れば、台車枠の経年劣化による亀裂は検査で発見できれば修理して問題なく使える訳で、見落としが無かったかが問われます。このことは全般検査8年重要部検査4年という検査周期の延長を国に求めていただけに、微妙な問題となります。事業者によっては超音波による非破壊検査を実施して発見に努める一方、ハンマーによる打音検査も広く行われてますが、後者ではスキルを身につけた若手が育っていない可能性があります。台車の構造的欠陥にしろ検査の見落としにしろ、日本企業の現場力の劣化を疑う事態ではあります。

これDXの阻害要因になります。ITと呼ぼうがデジタル化と呼ぼうがDXと呼ぼうが、つまるところ現場で積み上がった暗黙知を形式知に変換することが出来ていないことに他なりません。この辺日本企業の多くであまりうまくいっていないところです。これ企業だけの問題じゃないことではありますが。

PCR検査が少なすぎる問題にしろアベノマスクにしろ、トップの無茶ぶりで現場に負荷をかけているのは国からしてそうなんです。特別給付金ではマイナンバーカードでオンライン申請すれば早いという無責任なデマが政治家から発せられて自治体窓口が混乱しましたが、そもそも発行が伸びず行政実務との紐付けが進まない中では絵空事ですし、もっと手前の問題として自治体の行政事務のデジタル化が進んでいないから、紐付けしようがないです。自治体の窓口業務こそリモートで対応出来れば良いですが、文書主義ハンコ主義がそれを阻害しています。

てことで、見えない明日に向かって今できることを積み上げるしかない訳で、DXでトランスフォーメーション(変換)と未来展望を語るのは無責任です。

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Thursday, November 14, 2019

京急の安全対策は疑問だらけ

京急の神奈川新町の踏切事故で大きな動きがありました。600m手前で視認可能としていた踏切障害物の発光信号が見えなかったと京急が説明を覆しました。

600メートル手前で信号見えず 踏切事故、京急の説明一転:日本経済新聞
これだけでも大ニュースですが、続きがあります。
京急事故の背景に「安全意識のマズさ」、再発防止策からも浮き彫りに:ダイヤモンドオンライン
日経の記事では論点が見えませんが、ダイヤモンドオンラインの記事で明らかになります。京急の当初の説明では踏切の異常を知らせる発光信号機の最遠方のものが340m手前で600m手前から視認可能としていたのですが、実は390mの地点に設置されていて、視認可能な距離は570mになることが明らかになり、当初の説明と食い違います。

京急は120km/h時の非常制動距離を520m弱としており停止可能ではあるけど余裕が少ないことは問題です。詳しくは記事に譲りますが、実はこれ最高速105Km/h時代の基準に沿って設置されたもので、95年の最高速120km/hへのスピードアップの時も見直されていないということです。つまり安全対策の見落としの可能性が示唆されます。

もう1つの論点のブレーキ操作問題ですが、これちょっと信じ難いところです。法令上の問題以上に、鉄道事業者としての安全意識の問題として
どうなのかってことです。鉄道は鉄車輪と鉄レールの転がり摩擦の少なさを活かして、少ないエネルギーで重量物を高速に動かすことができる特徴がある訳ですが、それ故に走行中の列車の運動エネルギーは甚大で、制動距離も伸びるし事故のダメージも大きくなる訳です。

だから線路という専用空間を確保して線路上に支障物がないことを確認して運行する訳です。仮に線路上に何らかの支障物があることを確認したら、とにかく止めて衝突を回避すべきだし、仮に衝突しても速度が下がっていればダメージも小さくなる訳で、そのために非常ブレーキが装備されているという構造になっている訳です。

ところが非常ブレーキは停止するまで緩解できないから頻繁に使えばダイヤが乱れる可能性がある訳です。緩解できないというのはメカ的な面の他、運転規則で禁止されている場合もあります。非常ブレーキを引くような事態に対しては安全確認後にしか動かせない決まりという訳ですね。京急では発光信号を確認した場合には、常用ブレーキで停止し、止まり切れない時だけ非常ブレーキを使うという内規が存在していて、事故後見直され直ちに非常ブレーキを使うと改められたそうです。

京急に関しては先頭電動車主義に疑問を呈しましたし、折角ATSをアップグレードしたのに、踏切障害物検知装置との連動を取っていないおかしさは指摘してきました。ATSとの連動は他社では普通にやっていることであり、遅まきながら京急でも検討を始めるということですが、どこまでカバーされるかはわかりません。

そしてこうなると運転士だけに刑事責任を問うことの問題が浮上します。鉄道では伝統的に組合の団結が強く、組合員を擁護する姿勢からこういったケースで組合が会社に様々な提案を行いますし、それ以前に現場から上がる危険個所の是正やシステムや規定の見直しを申し入れることは珍しくありません。例えば東中野事故の時のJR東労組のケースですが、そのJR東労組を含め、労組の切り崩しが見られる現状で、鉄道の安全はどうなるでしょうか。

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Monday, September 23, 2019

組織罰のない日本の刑事司法

近所の至る所に倒木があって、通れないところがまだまだ残っています。一部路線バスも迂回運行でバス停3ケ所が休止中と台風の傷跡の大きさを実感します。神奈川でこれですから、より広域に被害の出た千葉の状況の深刻さはいかばかりでしょうか。内閣改造の政治ショーそれ自体もとんでもないけど、それに付き合ったメディアの責任はやはり重いですね。災害への備えは重要です。災害といえば東電の強制基礎の判決が19日に出ました。

東京電力旧経営陣に無罪 東京地裁の判決要旨:日本経済新聞
日本の刑事司法では行為者への処罰は厳格な一方、企業など組織が犯した犯罪行為への処罰に抜け穴があるのは、尼崎事故のJR西日本のケースが典型ですが、特に予見可能性が争点となる場合、予見可能性を狭く解釈する傾向が見られます。

その意味で今回の無罪判決自体に驚きはないんですが、あらゆる可能性を考慮して必要な措置を義務付ければ原発は動かせないことを認めた点は驚きです。そして当時の法令では絶対的安全性までは求められていなかったと結論付けてます。これつまり現行法または将来の法改正の下では違う判断が有り得るってことで、司法としての判断の限界を示している訳です。結局立法府がちゃんと法律作ることで対応すべき問題です。特に法人格を持つ企業に関しては、組織罰の概念を盛り込んだ法改正は必要でしょう。

逆に控訴審ではこの辺を足場に攻める手があります。原発は事故を起こす可能性があると判断された一方、法令の制約で処罰できないとされた訳ですから、そこを重点的に攻める手でしょうね。無罪の判断が覆らないまでも、法令の穴は明確化されますから、世論が喚起されて原発再稼働の実質的ハードルは高くなります。原子力規制委員会の判断にも影響するでしょう。

災害ではないですが、京急の神奈川新町踏切事故で踏切障害物検知装置と保安装置の連動がなかった件ですが、C-ATSの過去エントリーで取り上げたATSの過走防止機能は実装されていたそうで、事故現場は神奈川新町駅下り側に近接した踏切ですから、停車列車が停止できずに過走した場合の防護策は採られていた訳です。

どういうことかといえば、列車種別の多い京急では、列車選別装置が装備されていて、停車列車と通過列車では踏切鳴動のスイッチとなる検知点が異なる訳です。停車列車は通過列車より踏切に近い地点で列車を検知しますが、停車駅が複雑なため乗務員の勘違いによる冒進の可能性がある訳です。その場合に備えて速度照査して照査速度を超えて接近してきた場合にATSを作動させて踏切手前で止まるようになっていました。

その一方で障害物検知装置との連動は採られていなかった訳で、結果的により高速で接近する通過列車に対する防護措置に穴が開いていたことになります。京急の言い分としては防護措置を講じて停止を自動化した結果、沿線火災の近接地へ停止するなど、より危険な状況が想定されるので、乗務員の判断に任せていたということで、住宅密集地を沿線に抱える京急としては一理ある理屈ですし、実際小田急線のボクシングジム火災で列車を止めたために延焼するという事故がありました。

しかし考えてみればこういったことはレアケースですし、小田急のケースでも車両の難燃化で被害は限られてますし、乗務員の判断にゆだねる結果、寧ろ判断ミスを誘う可能性もあります。今回の事故に引き寄せて言えば、踏切障害を示す発光信号は機能していて乗務員も状況を把握できていた筈なのに,結果的に停止措置が間に合わなかった訳です。120km/h走行中でも600mの停止距離で停止は可能だった一方、発光信号は1㎞手前の通過列車検知点を通過した時点で発光しており、600m手前でブレーキ操作することは可能だった筈ですが、現場は神奈川新町駅の先の踏切ですから、あるいは視認性に難があった可能性はあります。

さてそうなると、事故列車に乗務していた運転士の刑事責任は問えるでしょうか?あるいは問うべきでしょうか?寧ろ事故防護策に穴があった京急自身の責任は問われなくて良いのでしょうか?この辺が日本の法令では曖昧になります。組織を動かす監理監督者の責任が曖昧な一方、行為者への処罰が過酷なものになりがちな日本の刑事司法では、運転士の責任が強く問われる事態となりがちです。それで良いんだろうか?

この場合、運転士が所属する組合が盾になって守るケースがほとんどでしょう。指定弁護士を紹介したりカンパを募って経済的に支援したりする一方、同様の事故を防止するために改善策を会社側に申し入れ実行を迫るなどですね。スト打って賃上げを獲得するだけが組合の仕事じゃない訳です。ただしその時に労使協調を盾に労組の要求をはねつける会社は少なからずあります。京急がどうかはこの際置いときますが。

その点東中野駅追突事故や成田線大菅踏切事故に対して安全対策を迫ったJR東労組は役割を果たしたと言えます。そのJR東労組はスットコドッコイな出来事で組合員の大量離脱が起きていて、経営陣に物申す機会が失われないか心配です。東電の原発事故に関しては、電力労連の影響力で当時の民主党政権も腰砕けになりました。現場から経営陣に物言う回路がいかに大事かってことですね。

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Sunday, September 15, 2019

台風と共に去ったメディアの公共性

台風15号の直撃で鎌倉市内だけでも土砂崩れや倒木で1万戸以上の停電や一部通行止めなど甚大な被害がありました。横浜市では金沢区の臨海工業地帯で高波被害があり、少なからぬ企業の操業停止が続いています。これだけでも凄いことだけど、千葉県の被災状況は輪をかけてます。未だに13万戸の停電があり、完全復旧に2週間かかるという惨状です。あと成田空港の陸の孤島化。関西空港の台風被害は洋上空港故と言えますが、内陸の空港もこうなるということですね。

これらの情報はメディアの報道で知るのですが、タイミングとしてはかなり遅いんですよね。台風一過のメディアを賑わせていたのは、専ら韓国の政界スキャンダルと内閣改造でした。ここまで甚大な被害があるにも拘らず、メディアのこの反応はどうしたことでしょうか。大雪被害のときはゴルフ三昧だったり関西の台風直撃中の赤坂で飲み会とか、安倍政権の過去の対応を見ると、国民に冷たいのは相変わらずですが、そうであればこそ、メディアがタイムリーに伝えて政府に初動を促すことが何故できなかったのか?

京急の踏切事故ではSNSで流言が流れる中、取材力を発揮して正確な情報を提供したのに、政治絡みだとこの体たらくってのは何なんでしょうか。災害時には流言が拡散され易く、ましてSNSでデマの拡散力が増しているときに、関東大震災時の朝鮮人虐殺という悲しい歴史を踏まえた報道姿勢を見せられないのは何故なんでしょうか。メディアが報道の公共性を自ら否定する愚を質さないと、メディアの居場所がなくなるぞ。

メディアを巡っては京都アニメの事件でも被害者の実名公表を巡って議論がありました。これは基本遠隔地の知人や縁者に知らせるという意味で公共性がありますから、実名公表自体は必要です。まして京アニ自体が世界的にクリエーター集団として名を成しているんですから尚更です。但し遺族のプライバシー問題もあるので、時間を置いての全員公表はとりあえず妥当な着地点でしょう。遺族に対するメディアスクラム問題がSNSで拡散されてましたが、真偽を判定する情報が乏しく、判定不能です。

そんな中で取り上げたいニュースがこちらです。

「辞めろと言われるとは」 日産社長に取締役会引導  :日本経済新聞
株価連動報酬(SAR)の基準日を動かして約4,700億円を過剰に受け取っていたことを暴露されての解任ですが、思い出していただきたいのは、ゴーン氏の最初の逮捕容疑が退任後に受け取る予定の報酬を有価証券報告書に記載しなかったとする金融商品取引法違反容疑でした。つまりまだ受け取っていないし、実際の支払いはその時点の取締役会の議決が必要な報酬ですから、債務として確定していないにも拘らず形式犯として身柄を拘束したんですよね。これ地検の検事が会計の知識が無いことを暴露したようなもんですが、まともに考えれば無罪です。

一方の西川氏は億単位ではないものの、実質的に会社の金を横領している訳で、より悪質ですが、これをお咎めなしってのはバランスを欠きます。とはいえ度重なる金銭スキャンダルに対する日産社内の拒否反応もあり、またゴーン氏の側近だった西川氏の責任を問う声もくすぶっていた中で、解任を決めた日産には一分の良心が残っているのかもしれません。

この解任劇で唯1人解任に反対したのが経産省出身の社外取締役の豊田正和氏なんですが、この豊田氏は何故かルノーとの交渉役に指名されているんですよね。何か急にキナ臭くなりますが、もう少し続けますと、ゴーン氏の暴走を止められなかったのはガバナンス改革が不十分だったという理屈で6月の株主総会議決を経て指名委員会設置会社に移行した日産ですが、指名委員会の委員長も豊田氏なんですよ。明らかに豊田氏に権限が集中しているんですよね。

てことでゴーン氏逮捕のときから政府絡みの国策捜査じゃないのかって見方はありましたが、わかり易過ぎるぐらい状況証拠は整ってます。ガバナンス改革は安倍政権の目玉政策だった訳で、その旗振り役は経産省でした。フランス政府の圧力でルノーからの経営統合圧力が増す中で、日産を管理下に置きたいって思惑が透けて見えます。表面上はガバナンス改革の外観を装いながら、政府が実質支配体制を敷くってことですね。

しかもゴーン氏の側近だった西川氏への批判がくすぶる中で、敢えて西川氏を残した気配もあります。東京地検の捜査では司法取引が行われ、ゴーン氏とケリー氏以外の関係者の免責が約束されているらしいですが、中身は不明です。おそらく西川氏が該当するんだと思いますが、その弱みを政府に握られて豊田氏の権限拡大のために定款変更で指名委員会設置会社に移行し、そのバーターで豊田氏は一応解任反対はしたけれど、元々西川氏を使い捨てるつもりだったとしたら、西川氏は哀れなパペットだったってことになります。こんなトップじゃ業績ダダ下がりも無理もない-_-;。

ルノーとの関係云々よりも、今の日産に必要なのは、ユーザーに支持される魅力的な車を作って市場に投入することの筈です。ノートe-Power以来ヒットが出ていない現実を直視して、次の魅力的な新車を開発することです。例えばルノーの人気車カングーに日産バッジをつけて当座を凌ぐでも良いし、三菱アウトランダーPHVの日産バージョンでも良いですが、今使えるリソースを動員して市場に問うことはやるべきです。何れも失敗しても直ぐ止められますし。

そうして時間稼ぎしながら本格的な新車開発を行うことでしょうか。具体的にはe-Powerの横展開でしょう。ノートではマーチの3気筒エンジンで間に合わせましたが、本来は発電専用の高効率エンジンを開発したいところです。元々リーフの電動パワートレインが使われていてパワフルですから、プリウスやアクアよりもキビキビした走りは楽しめますし、ユーザーへのアピール度は高いと言えます。その意味で日産社内が政治絡みで委縮しないかが心配です。誤算だらけで指摘したゴーン改革を台無しにする政府の対応には怒りを禁じ得ません。

そんな政府の介入で迷走している企業は日産だけではありません。

東電、送電投資の抑制響く 停電復旧13日以降に  :日本経済新聞
1992年には9千億円規模だった送配電投資が2015年には2千億円規模にまで縮小していたという驚くべき事実です。

この間に何があったかというと、90年代はバブル崩壊で企業の設備投資が減速し、それに伴い伸び続けていた電力需要が頭打ちになります。ゼロ年代には欧米に遅れて政府が電力改革に着手したものの、発想電一体の地域独占体という業態を維持したまま、異業種の限定的な発電事業への参入解禁と電力会社同士の限定的な越境営業が認められただけです。

電力会社にとっては発電事業こそ付加価値の源泉ですし、規模の経済で異業種の参入にコストの壁がある一方、送配電部門はコストしか産まない部門ですから、需要が伸びない中で必要な更新投資を先送りして益出しするインセンティブが働きます。また越境営業といっても電力会社間の連係線の容量不足で制約されますから自由化は画に描いた餅です。

その一方で2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止し、需給が逼迫する事態となり、他電力から連係線容量一杯の受電で凌いだものの、独占を阻害する連係線強化には踏み込みませんでした。そして2011年の東日本大震災で福島第一原発のメルトダウン事故と福島第二の全停止となる訳ですが、その結果石炭火力の稼働で凌ぐ関係で燃料費が嵩み、またやむを得ず連係線を強化して他電力からの受電受電で凌ぐなどしましたが、当然コスト増となりますし、福島第一の廃炉費用と賠償費用もねん出しなければならない訳で、老朽設備の更新投資はますます先送りされることになります。つまり国策に振り回されたあげくの台風被害ってことで、将に減耗する固定資本に沈む夕陽となった訳です。

おそらく東電に関しては小売り部門の東京電力パワーグリッドの身売りで凌ぐことになると思います。つまり実質的な東電解体となる訳ですが、震災の時に破綻処理を避けた結果、回り回って解体の憂き目にあう訳です。発電部門も柏崎刈羽6,7号機の再稼働が見通せず、建設中の東通原発も中部電力などと合弁での対応を余儀なくされ、原発の代替電源として過酷な稼働を続ける火力発電所もボロボロです。破綻処理して蘇ったJALとは対照的ですね。

台風関連では計画運休で大事を取ったまでは良かったものの、運転再開が大幅に遅れたJRも批判されましたが、これ台風の速度が急減速して時間が後ずれしたことの影響が大きいと言えます。あと観測史上最強の台風が直撃ですから、想像以上に被害が大きかったってこともあります。自然相手ですからこういうことはあり得ますが、朝8時には平常運転されるようなイメージを持たせた事前告知の問題はあります。

台風通過後線路点検だけでも2-3時間はかかりますし、異常が発見されて復旧工事を手配しても、作業員が現場に到着するまでのタイムラグもあります。まして土砂崩れや倒木の影響で道路の通行止めが多数あった状況ですし、また被害の程度に対して動員できた人数も少なかったかもしれません。これは正常化バイアスの問題のみならず、そもそも生産年齢人口が減少している中で公共事業の大盤振る舞いしている影響もあるでしょう。つまり政府が余計なことをしたってことです(怒)。だから未だに震災復興も道半ばで、北海道、熊本、岡山、関西の地震や豪雨被害も中途半端。国敗れて山河無しじゃシャレにならんぞ!

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Sunday, September 08, 2019

京急の先頭電動車は安全のため?

シーサイドラインの逆走事故に始まって横浜市営地下鉄の2度の事故に続いて横浜でまた事故です。但し今度は京急ですが。

トラック、踏切内で数十秒立ち往生 京急衝突脱線 (写真=共同) :日本経済新聞
ネット上では様々な憶測が語られていましたが、今回は放送や新聞などの伝統的報道機関の報道がしっかりしていました。ファクトをきちんと押さえてます。

流れとしては中央市場で積み荷を積んで千葉方面へ向かう12tトラックが、おそらく第一京浜から第二京浜へ向かうために東神奈川交差点を左折したものの、東神奈川地下道の2.8mの高さ制限に気付いて慌てて仲木戸の右折レーンを右折して迷い込んだものと考えられます。結果論ですが、仲木戸で右折せずに東神奈川の駅前ロータリーで転回して第一京浜に戻っていれば、少し東京方面に向かって新子安手前の入江橋で左折して京急とJRのガードをくぐれば問題なかったんですが、件の仲木戸の右折レーンは大型車進入禁止の規制もなく、以前にも迷い込んだ大型車が長い距離をバックしたことがあったと住民が証言してます。とりあえずここへの注意喚起策は緊急に必要でしょう。

京急の対応もたまたま休憩中の社員が左折のためのバック誘導を依頼された挙句、ドライバーが左折を諦めたとして右折を強行し踏切に進入したことから、非常ボタンを押して現場を離れてますが、これは問題ないでしょう。一方踏切にはセンサーによる障害物検知装置が設置されており、こちらは正常に作動して信号を明滅させて電車の運転士に異常を知らせており、非常制動距離の600m地点で確認できる作りになっていて、運転士も非常ブレーキを作動させたけれど間に合わなかったということで、運転士が非常制動をどの時点で作動させたかがカギとなります。

この点は非常信号と非常ブレーキが連動していなかったことを問題視する意見もありますが、京急は運転士の判断に任せる形にしていました。これも評価が難しいんですが、2年前の小田急線参宮橋―代々木八幡間のボクシングジム火災で警官が非常ボタンを押して電車を止めた為に電車に延焼するという事故がありました。京急の言い分にも一理ある訳です。

それとネットで気になったのが、京急の先頭電動車ポリシーで転覆しにくい車両構造だったから、他社だったら転覆して被害を大きくしたというのがありますが、今回に限って言えば、先頭車は転覆はしなかったものの大きく傾いて上り線を支障した訳で、対向する上り列車が来なかったことが幸いしたというのが実際です。傾いたのはトラックが電車と線路脇の防音壁に挟まれたからという指摘もありますが、防音壁が無ければトラックが線路外へ飛ばされて民家に被害が出た可能性もある訳で、この辺も評価が難しいところです。

日本では衝突安全に関する国家レベルの統一されて規制は無いものの、特に踏切事故の多さもあって各社それぞれ工夫が見られます。例えば名鉄パノラマカーと小田急NSE車は先頭客室の安全性に配慮して衝撃吸収ダンパーを内蔵していましたし、旧国鉄を中心に高運転台も対策の1つとされました。

運転士の視認性の改善の狙いと同時に、乗務員の安全確保を狙ったものですが、92年9月14日の成田線久住―滑河間の大菅踏切で起きた過積載ダンプカーの踏切冒進に下り佐原行き113系4連が衝突して前面が潰れて運転士が死亡する悲惨な事故があり、113系や115系の前面にステンレス板を貼る強化工事を緊急に実施。当初無塗装で出場したこともあって鉄仮面と通称されました。また閉じ込められた運転士の救出が遅れたこともあり、209系以降のの新系列で乗務員室仕切りに緊急時壁を抜ける構造にしたレスキュー口が設置され、E217系では運転台後方部分の強度を敢えて弱めてクラッシャブルゾーンとする仕様にして安全対策を強化してます。

という具合に各社各様の安全対策は取られている訳で、敢えて京急の先頭電動車の安全性を持ち上げることは、暗に他社をdisることになるという点は意識しておきたいところです。

加えて京急の先頭電動車方式は安全対策なのか?って疑問もあります。というのは、京急自身が公式に認めているのは、信号回路のレスポンスの違いなんですよね。鉄道信号は左右のレールに信号電流を加圧しておいて、車輪で左右を短絡することで列車の在線を検知して信号を切り替えるシステムですが、京急のように標準機で軌間が広くカーブの多い路線では、レールと車輪フランジの接触が多くなるので、油で潤滑して摩耗を防ぐようになっておりますが、これに埃や粉塵が負Y託すると絶縁状態になったりします。

吊り掛け駆動の電動車ならば自重と振動の影響で簡単に取れるレールの汚れが制御車だと取れにくく、その分信号の切り替わりが遅れるという現象を経験則として得ていた可能性はあります。というのは、そもそも京急では制御車は戦後に絞ってみても戦災復旧車のクハ280、クハ550、クハ650とデハ600に電装品取られたクハ420と例外的な存在ですし、クハ280は本線運用ではほぼ中間に封じ込められて運用されてましたし、クハ550はサハ化され、その他は400番台に集約される過程で電装又は中間車化されてます。地上設備の制約からタイトなダイヤを余儀なくされる京急では、先頭制御車による僅かなタイムラグも許容できなかった可能性があります。

カルダン駆動時代になると都営地下鉄との直通運転で性能条件をクリアするには全電動車にならざるを得なかったのですが、京成電鉄がコスト削減のために6M車を投入したことで微妙になります。6M車というのは、モハ3200型の3221以降で採用された6M1Cユニットで。端子電圧500vの特殊定格モーターで3S2P制御とし、先頭台車を無動力としたものですが、当時京急線への直通運用は少なかったとはいえ1号線規格に準拠するから拒否もできないってことで、転覆事故防止という分かりやすい理由が後付けされた可能性は指摘しておきます。別に間違いではないですし。但し転覆しにくさってのは標準軌だからって理由の方が大きい気はしますが。

ただこうした重箱の隅つつきのような議論は、そもそも首都圏の踏切の多さという根本問題を逸らす効果がある訳で、踏切立体化が進まない現状こそが問題なんですが、地権者の権利が過大なために立体化事業が進みにくいし多額の予算を必要とすることもあって進まないという速目はあります。立体化事業自体は道路側の事業で鉄道側の負担は原則1割程度と言われますが、例えば京急蒲田駅周辺の連続立体化事業で言えば、空港線増強のネックとなる京急蒲田駅の平面交差解消に合わせて京急が追加負担をしたから事業化されたって側面があります。小田急線などの複々線化事業も同様ですね。

特に地価の高い首都圏では今後もあまり進捗は見込めません。とりあえず京王線代田橋―仙川間の立体化が手続き中ですが、危険な踏切の解消は遠いと言わざるを得ません。横浜市もIR誘致なんかよりこっちに予算使って欲しいですね。

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Sunday, September 01, 2019

日韓事変

オウンゴールの国がますます拗らせてます。徴用工裁判の報復を匂わせた韓国のホワイト国除外が大事になりつつあります。特に韓国のこの対応は想定外でしょう。

GSOMIAとは何か 軍事機密共有の「資格」  :日本経済新聞
GSOMIAというのは、軍事情報の共有の協定ですが、元々日本の自衛隊がイージスシステムの情報漏洩やらかしたことから、米軍の逆鱗に振れたたことから始まったもので、暗号レベルでの機密情報共有が特徴ですが、とりあえず米軍がハブになれば間接的には情報の共有は可能とはいえ、米軍に日韓と共有すべき情報の取捨選択という面倒な作業を強いることになるので、アメリカが怒った訳です。

アメリカの怒り自体は韓国にとっても想定外だったでしょうけど、突然のホワイト国除外を安全保障上の理由から韓国を信用できないとした訳ですから、ならば軍事機密共有なんて無理だよねってのが韓国の言い分でしょう。この辺の韓国政府の対応も問題ないとは言い難いですが、これを李明博政権末期のような人気取りの反日政策とする見方は違います。少なくとも2つの変化が韓国政府を揺さぶっているものと見られます。

1つは1人当たりGDPが3万ドルを超えて、低成長の日本との差が縮まったことで、韓国の国民意識が変化したことが挙げられます。かつての植民地支配のみならず、戦後復興で日本が先行した一方、日本の先行をもたらした朝鮮半島の南北分断もあって、韓国の国民意識としては日本からの自立の機運が強まっていることがあります。

漢江の奇跡と言われた高度成長を主導した韓国の歴代保守政権への信任が、朴槿恵大統領の贈収賄事件による弾劾もあって揺らいでいる一方、サムスンをはじめ世界的大企業を輩出しながら、日本のようにそれを支える層の厚い中小企業群は国内に乏しく、素材や工作機械など多くのものを日本企業に依存せざるを得ない状況からの脱却が出来ないでいる中で、今回のホワイト国除外措置が取られたことから、日本への反発が国民レベルで強まったことが挙げられます。

もう1つは経済成長の一方で深刻な少子化もあり、経済成長に陰りが見え始めたことです。日本の後追いをしてきた結果、日本のような長期停滞の入り口に立ってしまったってことです。元々人口規模で日本の半分以下ですから、国内市場は小さく、外需依存が強い韓国経済ですが、財閥と呼ばれる一部の大企業は日本企業を手本に世界へ飛躍して本家の日本企業を追い落としたものの、上記のように中小企業が手薄であることもあって、外需で稼いでいる大企業とそれに乗れない中小企業の格差が開く一方で、当然給与水準も開きが出ており、保守政権と癒着する財閥系大企業への批判が根強くあります。

朴槿恵大統領弾劾で誕生した文在寅政権は、財閥系と中小企業のギャップを埋めるべく最低賃金の大幅値上げを行ったんですが、これが逆に中小企業を苦しめる結果となってしまうなど、経済政策は必ずしもうまくいっておりません。その中でそれでも外需を稼ぐ財閥系企業への逆風となる日本によるホワイト国除外は韓国経済に大きなダメージを与えるものとなる訳で、豊かになった韓国国民は経済の失策を許さないから、文在寅政権としては対抗策を打たざるを得ないってことですね。ですから植民地支配への謝罪要求とかじゃない訳です。逆に言えばちゃんと話し合えば解決可能とも言えます。

韓国も日本同様構造的に長期停滞に差し掛かってきている中で、出口が見えない状況なんで、本当は両国の強みを合わせてwin-winの関係を築くことが大事だし、少子化など共通の課題を抱えていることもあるので、そういった面も含めて知恵を出し合って協力関係を築く方が得策です。対立が続けば誰も得をしない訳です。一連の経緯から出口を想定していたかどうかも怪しいところで、展望もなく戦線拡大した戦前の日本と変わらんぞ。

もうちょっと踏み込んで言えば、これ日本にも当てはまりますが、過度な外需依存はアメリカのトランプ旋風のような赤字国の反撃に遭えば打つ手がありませんし、リーマンショックでも日本が最もダメージを受けたように、経済ショックへの脆弱性も避けられません。

米中対立は確実に長期化しますから、寧ろ外需依存を減らして内需の深掘りをすることの方が望ましい訳ですが、内需拡大と言えば公共事業の拡大しかしない日本政府あるいは消費税増税にかこつけてポイントバックを餌にキャッシュレス決壊を普及させようとした結果、7pay終了という余計な仕事で生産性を落としてる日本政府ってどうなんだってことを申し上げたいですね。

ちょっと気になるのが、劣化しているのは政府だけなのか?ってことですが、例えば横浜市営地下鉄ブルーラインで30日に踊場駅の折り返し線で回送電車が車止めを突破して壁に激突した事故ですが、下飯田駅近くでの保線用乗り越しポイント撤去漏れによる脱線事故があったばかりでまたやらかしました。

同様の事故は営団時代の丸ノ内線新宿駅の折り返し線で回送電車が車止めに衝突したため、中野坂上駅の中線を使って折り返して当時の運輸省への報告を怠ったってのがありましたが、そりゃバレるわwww。横浜市でも当初の発表が二転三転して情報開示に問題があります。加えて当該の運転士の過酷な超過勤務が明らかになり、労務管理に問題を抱えている可能性があります。加えて過走防止対策が採られていなかったのかってことも疑問です。これ逆走した横浜シーサイドラインの問題とも共通する保安装置のバグの可能性も指摘できます。

そして南海電気鉄道の台車枠の亀裂問題です。

ラピート亀裂台車生産の日本製鉄、鉄道各社と調査検討 (写真=共同) :日本経済新聞
新日鐵住金改め日本製鉄ですが、鉄道車両用台車は旧住友金属工業が最大手で国内シェアの4割を占める存在です。台車枠の亀裂と言えば、新幹線のぞみの重大インシデントが思い出されますが、この時は川崎重工製の台車に不具合があったとされましたが、同時にJR東海では超音波非破壊検査が実施されておらず、また走行中に異音を確認しながら運転を継続したことなどの問題も指摘されました。

のぞみのケースは断裂寸前という深刻なものでしたが、メーカーの川崎重工のミスが発覚したことで議論が収束したものの、今回はシェア最大の最大手メーカーであることと、のぞみのケースとは部位が異なるものの、台車枠の溶接部で起きていることに加えて、南海電気鉄道で集中的に見つかったことなどで、少々厄介なことになっています。元々溶接部は溶接熱で歪みが生じやすく、応力で亀裂が生じること自体は起こり得ますし、実際多くの場合検査で発見されて補修される訳ですが、南海の検査体制に問題があった可能性もある訳です。

あとのぞみのケースでもあった異音を確認した時の指令の対応など、様々な要因があって原因究明を困難にしています。あるいはある種の馴れで見落としがあったとか、世代交代を経て熟練を要する打音検査のスキルが低下したとか、要員不足による超過勤務での注意力低下とか、あらゆる可能性があります。そのへんをどこまで明らかにできるのか?「想定外」で済ませて良い問題ではありませんね。

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Sunday, August 04, 2019

リアル自爆炎上の恐怖

京都アニメ―ション放火事件という死者35名もの大事件がありました。40Lものガソリンを撒いて火をつけりゃこうなるってのは、ひょっとしたら容疑者自身が巻き添えになる可能性の認識が無かったのでしょう。

2003年の韓国大邱市の地下鉄放火事件では、ペットボトル1本分のガソリンで当局の対応のまずさもあって192名の死者を出してますし、2015年の東海道新幹線ののぞみ225号焼身自殺事件では、巻き添えの女性1名の死亡の他乗客乗員28名が重軽傷になるなど、身近な危険物としてのガソリンの危険性の認識が甘いんじゃないかと思います。学園や街頭で火炎瓶飛び交う時代を経験した私ら世代から見ると、昔はホントガバガバだったし、実際ガソリン放火事件は多数ありました。例えば1980年の新宿西口バス放火事件が思い出されます。

昔は成人男性の多くが喫煙者でマッチやライターを普通に携行していて、ガソリン販売の規制も緩い状況でしたが、その後規制強化されてはいますが、未登録の農機やフォークリフト、小型発電機の給油というニッチな需要がある以上、販売時に店員が用途を尋ねても抑止効果は限られます。今回の事件では500mほど離れたセルフスタンドで購入したと報じられており、セルフスタンドでの携行缶販売は法令違反ですが、店員の質問をクリアして購入できている訳です。こうなると身分証提示など一段の規制強化は必要ではないでしょうか。そうしないと、この事件で明らかになったガソリンの威力が悪用される事態もあります。その結果がこれ。

慰安婦少女像の展示中止 愛知の国際芸術祭 (写真=共同) :日本経済新聞
大村愛知県知事は河村名古屋市長のクレームに対しては「行政が展示物に干渉すべきでない」として見識を示した一方、脅迫まがいの抗議電話やガソリン放火を予告するFAXまで送付され、職員の安全を図るため中止を決断せざるを得ない無念を示しています。

愛知県警に相談しても、FAXはネットで匿名化されているから遡及は無理という意味不明の理屈で断っている訳で、これ明らかに愛知県警のサボタージュです。令状取ればプロバーダーに通信ログ開示を指示できますし、匿名化までしての脅迫ですから、寧ろそのことが犯行の意志を示します。ま、時間がかかるしそれ以前に犯行阻止のために警備強化はしなければならず、面倒ってことですね。G20大阪サミットで見せたガチガチの過剰警備に見られるように政権肝いりでなければ面倒は受けたくないってことですね。逆に2020東京五輪は戒厳令並みの警備体制確定でしょう。典型的な恣意的な公権力の行使です。ヤレヤレ。公権力の行使は公平公正でなければならないってのは、国民国家の基本中の基本ですね。

そんな状況で開催されるオリパラですが、選手村や競技施設が集中する湾岸エリアでは東京港の処理能力を超えた貨物の集中で道路がパンク寸前なのに、オリパラ関係者の移動のための大規模な交通規制が敷かれます。物流が滞ることは間違いありません。あ、だから日韓関係拗らせて貿易減らす?まさかね。

一方現状でも朝の通勤ラッシュで混雑している通勤鉄道に世界から観戦客が押し寄せる訳ですから、相当な混乱は避けられません。上述ののぞみ225号の事件のときにも新幹線のセキュリティチェックが言われJR東海が無理と即座に否定しましたが、混雑する通勤鉄道はテロLリストから見れば格好のソフトターゲットになります。繰り返しますがペットボトル1本のガソリンで大惨事の大邱市の事件など、新幹線でも不可能な通勤鉄道のセキュリティチェックの困難性は言うまでもありません。

加えて各スタジアムで入場時に行われると考えられるセキュリティチェックの長い列が鉄道駅に伸びた時に何が起きるか?駅外の混雑で予想外の事故を誘発した2015年の事故のリンク貼っときます。

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Sunday, June 30, 2019

G20サミットで見えた2020東京の混乱

G20サミットでメディアジャック状態でしたが、さしたる成果が見えない中で、大阪での大規模規制の混乱ぶりが注目を集めました。

レガシーを次に生かせるか 厳戒のG20大阪サミット閉幕  :日本経済新聞
高速道の通行規制や高速バスの運休に渋滞による路線バスの遅れやニュートラムの中埠頭駅通過扱いなど、市民生活に大きなストレスをもたらしました。

成果が見えない一方で経済活動にストレスを与えてまでやる意味があるのかってのは、尤もな疑問ですが、首脳外交なんてそんなもんです。1814年のウィーン会議が典型ですが、参加国が多ければ利害がぶつかり合い会議\は踊ります。それでもナポレオン戦争の戦後処理を決めウィーン体制が始まったことに意味があります。

普仏戦争の敗北とプロイセンのビスマルクによるドイツ統一で事実上の降伏を余儀なくされたフランスは、紆余曲折を経て1871年のパリコミューン攻防戦で大量流血となりました。それを当時ライン新聞主筆だったカール・マルクスはパリ市民への連帯の意を表す一方、ウィーン体制下で統一し帝国を形成したドイツを「神聖同盟の下で眠りこけている」と酷評します。産業革命の進捗で新たに登場した近代的労働者階級を古代ローマの無産市民になぞらえてプロレタリアートと名付け、その解放は反動的な神聖同盟(ウィーン体制のこと)の元では不可能と見抜いたわけです。

現代に置き換えれば「神聖同盟」はヤルタ・ポツダム体制が該当ですが、曲がりなりにも正規の外交交渉で決められたウィーン体制と違ってヤルタ会議という秘密会議で決められたことが大きく異なります。その結果国連憲章で日本とドイツは敵国条項で封じ込められ、ドイツは東西分割統治によって、日本は日本国憲法による交戦権放棄によって、それぞれ無力化された訳です。ナポレオン戦争後のウィーン体制同様、戦勝国による敗戦国封じ込めは容赦がありません。

この体制も長く続けばいろいろ変化に晒される訳で、東西冷戦終結とドイツ統一でNATO軍としてドイツに駐留する米軍の地位協定が見直されますが、日本に関しては変化が無いばかりか、集団的自衛権行使容認や憲法改正で軍事同盟強化の方向性が示されてますが、大元のヤルタ・ポツダム体制の見直しはスルーされ、地位協定も変化無しです。その言い訳として朝鮮半島有事や台湾有事が取り沙汰されますが、台湾は経済面で中国と一体化が進み、米朝和平プロセスが始まった現状では、日本ばかりが「眠りこけている」状態です。

それでもこのような外交ショーがつつがなくできることが、秩序の健在を示す訳ですから、批判されようが経済を圧迫しようが、強権を以て「眠りこけている」ことは、政権にとっては重要な訳です。ただこれ来年のオリンピックではより長期間、広範な場所で再現されるわけですから、憂鬱な話です。休める人は休んで東京を脱出する方が良いでしょう。休めないまでも仕事の前倒しや先送りや時差出勤やテレワークで影響を回避する知恵は必要ですね。ヤレヤレ-o-💭。

通勤時間帯の鉄道の混雑もさることながら、物流の混乱は深刻です。

東京港、物流パンク寸前 トラック渋滞が慢性化  :日本経済新聞
現状が既にパンク寸前なのに、オリパラ期間中の交通規制で東京港は使えないということで、他港へシフトする動きが出ています。湾岸地域ではR356の東京港トンネル区間が供用開始したばかりですが、首都高に規制がかかればう回路として車が殺到するでしょうから、前後区間を含めて大渋滞が予想されます。

そんな状況で「混雑対策で船を活用」とか言ってる小池知事の牧歌的な認識はホントしょーもない。あと鉄道に関しても、地理不案内な外国人が多数殺到することも視野に入れる必要があります。混雑状況によっては改札規制がかかることもあるでしょうし、不慣れな人が増えて乗降に時間がかかったり、事故やトラブルも見込んでおく必要があります。企業も災難だと思ってBCP対策考えないとね。いやホント、地獄の五輪を覚悟せよって話ですね。

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