鉄道事故

Saturday, March 18, 2023

田代の水は山をも越すが水に流せぬ大井川

箱根馬子唄ならぬリニア迷子唄^_^;。リニア60年のウヨ曲折の続編です。

リニア工事中の水量減解消、JR東海が静岡自治体に説明へ:日本経済新聞
上記エントリーでも取り上げた大井川の水問題での東電田代ダムの取水量調整でJR東海が東電と協議することを前提とした説明をするということですが、すんなり進むとは思えません。田代ダムは大井川最上流の田代にダムを作って導水管で山梨県の冨士川系の早川へ落として水力発電を行うという目論見で建設され1928年に完成した大井川水系では初の本格的ダムです。つまり元々田代ダムの水は古くから山梨県に送水されていた訳ですが、これが後年大井川で水利権争いの種になります。

早川電力は後に東京電灯に吸収され、更に電力国家管理で日本発送電に摂取され、戦後GHQ の日本発送電の解散命令で後に東京電力となる関東配電に引き継がれ今に至ります。こうした歴史過程もあって大井川水系では田代ダムのみが東電で他は中部電力という形になり、水力の一河川一社の原則から外れております。大井川水系は多数のダムが作られました。余談ですが大井川鉄道は元々電源開発のための鉄道として電力資本で作られたから、ローカル私鉄としては重厚な設備で整備されており、SL列車の運行が可能なのもそのお陰です。

そんな事情からダムの取水で大井川の渇水が問題視され、特に1955年に田代ダムの取水量が当初の毎秒2.92トンから4.99トンに増やすよう東電が静岡県に申請し、静岡県は流域自治体の同意を得ずに認可したために流域住民が反発し、東電や中部電力に河川維持放流を求める運動に発展し、住民の座り込みなど実力行使にまで発展する騒ぎになりました。特に山梨県で発電事業を営む東電の態度は頑なだったようです。1997年の河川法改正で河川環境の維持が義務化されたのを受けて2006年委解決しましたが、水利権問題の解決は半世紀を越えました。

といった係争の歴史を踏まえると、JR東海は将に地雷を踏んだ訳ですが、同時に東電も過去の係争の経緯から流域関係者の了承を前提に協議するとしており、静岡県は東電の協力の確約を求めているということで、JR東海が話をまとめるハードルは高いと言えます。そもそも東電が今償却前収支の赤字、つまりキャッシュフローの欠損という深刻な事態に直面しており、取水制限にすんなり応じられる状況にはありません。という訳ですから、まだまだもめます。

という訳で視界不良な中央リニア事業ですが、河川法改正が大井川の水利権問題の解決を後押ししたように、法律的に打開する可能性は考える余地があります。但しその前にそもそも中央リニア事業の法的位置づけがどうなっているのかについて、あまり取り上げられることはありませんが、問題を多数含みます。

事業の根拠法機は全国新幹線鉄道整備法(全幹法)ですが、元々国鉄が事業主体となる前提で作られた法律で、基本計画線の公示や整備計画策定のための調査指示、分割民営化後に見直され、所謂整備新幹線スキームと呼ばれ、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設主体となって建設費を国と地方が負担し、事業者は受益の範囲リース料を30年間支払うこと公的負担を軽減する形ですが、中央新幹線に限ってはJR東海が建設主体となっており、公費の投入はない形ですが、そのことがJR東海に地元軽視姿勢をもたらした可能性はあります。

元々1970年に成立した全幹法は高速道路整備と並ぶ国土総合開発計画と連動した国土軸形成のための法律であり、地域開発に資することを目標としている訳で、その観点から見ればリニアのメリットを受けず大井川の水問題に留まらず環境破壊や事故災害時の乗客救援の責任まで負わされる静岡県が反対するもの無理もない話なんですが、死去した葛西名誉会長を筆頭に幹部の国鉄OBが国鉄時代のノリで事業を進めようとして静岡県で躓いたという見方は可能です。とはいえ現実的に静岡県内にリニアの中間駅を設置するのは無理ですし、国鉄流バーター主義では対応できない訳ですね。

加えて言えばそもそも中央新幹線は2011年にJR東海の発議で整備計画線に昇格したように、元々基本計画線の中でも優先順位の低い路線だった訳です。JR東海としては稼ぎ頭の東海道新幹線と競合する路線をJR東日本や西日本といった他社に参入されたくなかったという動機付けが強かったと思いますし、それ以上に一定のシェアを維持する東阪間の航空のシェアを奪って独占したかったということがあります。つまり全幹法を利用した輸送シェア独占を目論んだってことですね。

よく言われる国土強靭化策としての二重化の機能は北陸新幹線に託されており、また東海地震対策という意味ではリニアのルートはほぼ想定震災域に被っており、敢えて中央新幹線を急いで作る必要性は乏しい中で、リニアという技術革新を売りに国に認めされたという意味で、全幹法の趣旨をかなり逸脱した存在であるということになります。

東海道新幹線の輸送逼迫もJR東海ののぞみ増強や品川新駅開業などJR東海自身の追加投資によるもので、実際90年代には輸送量の伸びが止まって一度シェアを落としています。余談ですが日本の上場企業のPBR1倍以下、つまり解散価値以下企業の中にJR東海がリストアップされています。意外ですがPERの水準は高いので東海道新幹線へのてこ入れで資産価値が高まった結果、時価総額を上回ったってことでしょうけど皮肉な結果です。

二重化の観点から言えば来年敦賀まで開通する北陸新幹線の関西アクセスルートで揉めてますが、二重化の観点からは米原ルート一択です。特に難工事が予想される小浜京都ルートは事業費もかかるし整備期間も長くなるし、公費負担分の費用便益比(B/C比)が1を割ると予想される一方、距離が短く建設費も低廉でB/C比も2近く、また並行在来線の湖西線問題でも地元滋賀県との協議の可能性が高まります。三日月知事が唱える交通税も、近江鉄道支援に留まらず湖西線問題に備える意味があるとすれば、納税者に負担を求める滋賀県にメリットのない小浜京都ルートでは論外ですね。JR西日本はJR東海のリニアの躓きを学んでいませんね。

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Sunday, February 19, 2023

気球の地政学

トルコ・シリア国境地帯の地震はその規模の大きさも破格ですが、建物の倒壊が酷い状況です。災害は忘れた頃にやってきます。建物被害の原因がトルコでは賄賂が横行して耐震帰省が守られていなかったことが指摘されています。日本でも耐震強度偽造事件がありました。所謂姉歯事件ですが、大臣認証強度計算ソフトのコピペによるデータ改ざんで、デジタルオンチな日本の官僚のバグですが、五輪不正などでは日本もヤバいかも。

一方のシリアですが、被災地が反政府勢力の支配地域で政府軍による空爆で建物が破壊され、壁や天井の穴を天幕で補修して人が住んでいる状況故、耐震強度云々以前の弱さが災いしております。戦闘の激烈さにおいてはウクライナ以上かもしれませんが、内戦であり欧州から離れていることもあって報道が少なくその悲惨さはあまり認識されておりません。

反政府軍の中の自由シリア軍はアメリカをはじめ西側諸国の支援を得ていますが、必ずしもシリア国民の支持を得ている訳ではありませんし、また内戦故に怪運国債市場の蓋で示したように大っぴらに支援しにくいということもあります。故にアメリカは日本の防衛増強で防波堤になってほしいのが本音なんです。国民にとっては迷惑な話です。

そんな中で中国発の気球が物議を醸しておりますが、思い出されるのが通信傍受でワシントン混線さすで取り上げたスノーデン事件です。米NSCの下請け企業のITエンジニアだったスノーデン氏が米諜報活動の手口や実態を暴露して世界中が大騒ぎした事件です。米国内に留まらず各国から非難の嵐で当時のオバマ大統領は苦境に立たされました。

9.11後に成立した愛国者法で令状なしで通信傍受が可能になり、民間人に紛れるテロリストをあぶり出すためと言われたものの、実態は同盟国を含む各国首脳の通話まで傍受されていたということで、当時の独メルケル首相が不快感を露にするなどのことがありました。そして各国はそうれに反応して様々なことをする訳ですが、ロシアはサイバー攻撃やSNSを通じた米大統領選への介入などで「反撃」しており、トランプ政権誕生を後押ししてある意味わかりやすい反応です。

欧州は人権侵害を重視してEUがGDPR規制をかけています。個人情報の収集と利用を原則本人の承認を経なければならないとする原則に従って加盟各国で国内法制定が相次いでいます。EUは国際ルールとすることを主張し、民間企業の帰省を嫌うアメリカと対立してますが、アメリカも国内法で同等の規制をかける検討は進んでいます。

中国はスノーデン事件にショックを受けると共に,アメリカがそこまでやるならとばかりにデジタル技術を駆使した監視システムを構築し、チベットやウイグルを含む国内ではほぼ完成させたことはコロナ禍による暴力的規制の画像が世界に拡散して周知の事実となっております。一方でゼロコロナに対する抗議運動が全国で同時多発的に発生すると情報量によるバグで修正を余儀なくされました。アメリカの情報機関のようなプロファイリングの技術は持ち合わせていなかった訳ですが、事後的なデータ解析で獲得する可能性はあります。中国の民主化は遠い。

その一方でトランプ政権による経済制裁で特に5G技術を擁するHuqweiの通信機器の使用が多くの国で禁止されたことで、おそらく中国政府が想定していたHuaweiの通信機器へのバックドア設置がブロックされ、更にバイデン政権による先端半導体の輸出規制でより困難な状況から、気球を飛ばして情報収集することにしたってことでしょう。バイデン大統領がオバマ政権で副大統領だったことから、中国への容赦のない締め付けに躊躇はないのでしょう。

中国も複数の静止衛星を打ち上げていて当然偵察に使われていると思いますが、情報解析のためには別ルートの情報も欲しい訳で、バックドアによる通信傍受がダメなら別の方法でということでしょう。そして戦時中の日本の風船爆弾を彷彿させる偵察気球に行き着いたという仮説は成り立ちます。実際中国はアメリカの爆撃の対応に反応してますし、結構正直です^_^;。とはいえ失敗ではありますが。

米中、高まる偶発リスク 米軍が中国偵察気球を撃墜:日本経済新聞
ワシントンポストの記事が紹介されてますが、それによると気球は海南島で打ち上げられ、偏西風に乗ってグアムなど太平洋島嶼部の米軍基地の情報収集を狙ったものの、偏西風の蛇行で針路が北へずれてアリューシャン列島から米航空鵜識別圏入りしたもので、狙いを外した訳です。

偏西風の蛇行は気候変動で説明されており、CO2排出量の多い北米、欧州、東アジアの3カ所で気温差から大きく南へずれており、逆にCO2排出が少なく吸収源でもある海洋部分で押されて北へずれるということで、図らずも偏西風の蛇行を実証して見せた訳です。折しもシベリアの寒気で東アジアを寒波が襲うタイミングとも符合します。温暖化で寒波?という懐疑派の疑問への回答にもなります。ってことで、気候変動という人類全体の危機にあって戦争やってる場合かいという感想を持ちます。

中国「エネルギー消費」再起動 世界のインフレ左右 チャートは語る:日本経済新聞
エネルギー地政学から言えばミサイル買うより再エネによる地産地消体制構築こそ喫緊の課題の筈です。原発再稼働は手続き上直ぐには無理ですし、60年超の稼働を認めても安全対策投資が嵩んで寧ろ不経済ですが、サンクコストを損切出来ない電力会社の都合が優先されてます。サンク苦労すのプレゼント要らね。事故も災害も忘れた頃にやってくることを肝に銘ずるべきです。
舎人ライナー事故、地震で側面車輪浮き脱線 運輸安全委:日本経済新聞
コロぶナ日本で取り上げた日暮里舎人ライナーの脱線事故の運輸安全委の報告です。地震の揺れで案内輪がガイドレールから外れて脱線ということで、防ぎようのない事故だったようです。新幹線のように売れを検知したら自動停止するぐらいの対策が必要でしょうけど、無人運転によるコスト削減を狙ったAGTとしては追加コスト負担はつらいところです。まして戻らない混雑で示したように混雑対策でによる出費で赤字脱却できないとなれば尚更です。地方も含めて日本の官僚にはバグが多い。

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Saturday, January 28, 2023

災害は忘れた頃に

バスの細道で取り上げた人口減少時代の資本装備問題のケーススタディにしたい事例です。

最強寒波 ポイント凍結で列車立ち往生、JR西見通し甘く:日本経済新聞
台風直撃予報で計画運休を業界に先駆けて実施したJR西日本にとっては痛恨の判断ミスですが、積雪10㎝を判断基準としていて気象会社の予報が積雪8㎝だったからということのようですが、当然予報は予報で上下にブレるのは普通のことです。せめて予防的にポイント融雪器に火を入れて間引き運転していたら、ここまでは混乱しなかっただけに判断の甘さは問われます。

但し融雪器といっても要は下に仕込んだカンテラに灯油を注して点火するという作業が必要になり、それを始発前の時間帯に行う必要がありますが、保線作業員の募集は年々困難になっており、雪だからと動員かけても集まらなという事情もあります。故に早めの決断が必要だったにも拘らずできなかったということですね。

特に構内配線が複雑な京都駅や湖西線分岐駅の山科駅、車両基地のある向日町駅などでの作業量は膨大ですし、当然コストもかかります。同じJR西日本でも豪雪地帯の北陸や山陰では電気融雪器でスイッチonだけで済みますが、降雪自体の少ない近畿圏ではコスト面からカンテラ融雪器で対応している訳ですが、少なくとも京都駅など運行上の急所となるところの電気融雪器設置は考える余地はあります。

加えて間引き運転もしていなかったので、15本もの駅間立ち往生が発生し、しかも1時間後には乗客を線路に降りして徒歩誘導するという内規がありながら積雪した線路の乗客誘導の困難さを嫌ったのか、運転再開に拘って乗客を長時間閉じ込めたことも重大な判断ミスです。結果的に少なくとも16名が気分が悪くなって救急搬送されることになりました。初動のミスは尾を引きます。

雪といえば東海道新幹線の関ヶ原も難所として有名で、開業後の運転障害の多くが関ヶ原の雪が原因ということで、当時の国鉄は現地の地下水の水利権を買ってそれを水源としたスプリンクラーを設置して融雪するという方法で対応しており、今回も1時間半ほどの遅れで運転は継続されています。2時間以内の遅れなので特急券払い戻しはなく、JR東海としては想定内の出来事だった訳ですが、国鉄時代の遺産に助けられているだけながら、備えの大切さは教えてくれます。

東海道新幹線では2000年豪雨で大失態をやらかしてまして、台風直撃で天白川などの都市河川の氾濫で線路の冠水などで運行が困難になる中、当時の葛西敬之社長の判断で列車運行継続の指令が出された結果、多数の列車が立ち往生して列車内で夜明かしという事態になりました。鉄道会社としては列車を停める判断はしにくいでしょうけど、ある意味民営化のマイナス面という見方もできます。

東海道新幹線の関ヶ原ルートの裏話として岐阜羽島駅と大物政治家大野伴穆の関係などが言われますが、実際は関ヶ原ルートは国鉄が決めたもので、比較ルートは旧東海道に沿った名古屋―京都直結ルートでしたが、鈴鹿山地越えの土被り1,000mの長大トンネル工事を回避するためと、北陸連絡で米原を通すことなどの判断で、現行ルートが選ばれ、関ヶ原の雪対策として手前に駅を設置して運転抑止時の列車収容を狙ったのが岐阜羽島駅ということで、下り副本線が2線になっているのはそのためです。同様に米原駅では上り副本線が2線になっていて、ある程度雪対策は考えられていたものの、開業してみれば運転障害の原因として問題視されてスプリンクラーが後付けされた訳です。JR西日本が今回の失敗をどう総括するかは目を離せません。

工期を意識したのは1964年の東京オリンピックに間に合わせて開業させるという世界銀行の融資条件から工期が5年しかなかったことが決定的だった結果の判断ということで、当時の国鉄は事業の実現可能性を高める現実的な判断をしたことになります。その意味で難工事が予想されていたJR東海の中央リニア南アルプスルートの選択は敢えてリスクを取ったとは言えますが、資金繰りの都合で2017年名古屋開業を目指すなら難易度の低い伊那谷ルートを選ばなかった判断の妥当性には疑問符がつきます。加えて東海地震等に備えて二重化による強靭化対策という面でも疑問符がつくニュースがこちらです。

寒波覆う、新名神の立ち往生解消 北日本で局地的大雪か
積雪予想で中日本高速道路は迷信の通行止めを決めたものの、その結果新名神にクルマが殺到してこちらも積雪で動けなくなった訳で、二重化による強靭化が如何に無意味かってことですね。つまりJR東海にとっての中央リニアは他社の参入を防ぐ以上の意味があるのかという疑問がが湧きます。

リニア60年のウヨ曲折で取り上げた金丸信の鶴の一声の乗った山梨リニア引受の結果、後戻りできなくなっただけとも言えます。加えて難工事の南アルプスルートを選んでしまった失敗は重大です。岐阜羽島のような駅も設置できないから静岡県を黙らせるネタもないし、一部で言われる静岡空港新駅は掛川駅と近すぎて事実上不可能ですしね。寧ろ国鉄の都合で決めた岐阜羽島駅設置を大野伴穆代議士の手柄として花をもたせた国鉄の方が柔軟な対応をしたとも言えます

同様の問題は北陸新幹線延伸問題でも起きていますが、実現可能性の低い小浜京都ルートで恩恵のない滋賀県の湖西線が並行在来線として切り離し対象となっているというのは、どう見ても滋賀県の同意は得られませんし、やはり長大トンネルや京都市街の大深度地下工事など難工事だらけで費用便益比(B/C比)にも疑問が残るしで、JR西日本も自社の権益を最大化したいだけという意図が見えます。国鉄分割民営化の弊害が色々見えてくる現状です。

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Saturday, December 17, 2022

勝てないのはコロナだけじゃない

コロナに勝てない国の過酷な現実を示すニュースです。

コロナワクチン接種後死亡で 愛知医師会「体制に問題」:日本経済新聞
愛知県愛西市で起きた40代女性のワクチン接種後の死亡事案の検証の結果、集団接種会場でアナフィラキシー発症時の体制が出来ていなかったという結果となりました。アナフィラキシー自体はmRNAワクチンのリスクとして当初からアナウンスされており、アナフィラキシー・ショックは最悪死亡に至ることもありますが、その場で適切な処置をすれば回復するものでもあり、集団接種会場でその準備が出来ていなかったことが明らかになったものです。ワクチン接種が自己目的化されてリスク対応がお留守というありがちな日本品質です。

会場には問診や接種を行う医師や看護師が大勢いたにも拘らずですから深刻です。医師も看護師もコロナ禍で診療忌避で暇だから、その意味で集団接種はいいアルバイトなんでしょうけど、あらかじめアナフィラキシー対策の研修を受けるとかしていないと対応できないこと自体はやむを得ない部分があります。コロナ対策という課題解決がワクチン接種推進という目的のすり替えが起きた訳で、この手の話は日本の政治や行政では珍しくもないことですが深刻です。加えてオミクロン株派生ウィルスに既存のワクチンの有効性が低下しているという論文も出されました。

コロナ「BQ.1.1」「XBB」、従来ワクチンの予防効果低く:日本経済新聞
コロナに関しては様々な知見が蓄積されてきておりますが、新株にワクチンが効かないとすれば、現在の第8波で置き換えが起きて感染収束が見通しにくく長引くなることを意味します。ただでさえ乾燥で感染拡大しやすい状況が続く訳です。旅行支援や年末の帰省による感染拡大も注意が必要です。役に立たない政府を持つと国民は苦労します。
安保政策転換、問われる優先度 防衛3文書に映る課題:日本経済新聞
これも前エントリーの続きですが、反撃能力や財源論がメディアに踊る中で、国会閉会後の閣議決定でこれです。そりゃツッコミどころ満載だから年末年始を挟んで来年の通常国会の頃には国民も忘れてくれるとでも思っているのでしょう。サイバーや宇宙などこれでもかとばかりにメニューが並んでますが、省庁横断という点がミソですね。つまり国交省管轄の海上保安庁の巡視船新造とか、農水省関連で食糧安保のための自給率アップとか、経産省関連で防衛産業活性化とか、軍事研究を餌に科研費配分を増やすといった文科省関連とかですね。これで有事も安心か?

そもそも防衛費倍増が先に示されて、後付けで各省庁が予算分捕り合戦をしている構図です。税制改革が絡む財源論はある意味目晦ましです。課題解決ならばまず現状の課題を抽出して足りないピースが何かを明らかにした上で、実現可能な対策を検討するというプロセスを経ていませんから鉄火場になっている訳です。これでまともなものが出てくるとは思えません。ぶっちゃけ政治家も官僚も課題解決よりも我田引水に忙しいって訳で、国民は置き去りです。

カルテル「申告制」の威力 処分減免、関電は課徴金ゼロ:日本経済新聞
電力大手のカルテル事件ですが、元々呼び掛けた関電はリーニエンシーで自己申告し捜査協力したということで課徴金が免除され、捜査協力にも消極的だった中国電力は過去最高額の707億円の課徴金となり、折からの燃料費高騰もあって3月期決算で2千億円超の赤字予想となりました。課徴金は競争回避によって生じた超過利益の推定額から割り出されますから、免除された関電が課されたであろうか長期は1千億円ぐらいになると推定されています。

言い出しっぺがお咎めなしという何とも変な決着ですが、元々痺れて関電の高浜町助役との贈収賄事件の発覚を受けてコンプライアンス委員会を立ち上げて見直した結果、カルテルの事実が出てきて公取委へ申告した結果ですから、関電としては狙ったものではないとはいえ、痺れる話です。6基の原発再稼働で燃料費負担に喘ぐ他社をしり目に、電力自由化で越境延慶の余力がある関電ですが、製造業立地の多いエリアだけに他社の参入は避けたい一方、越境営業のメリットは薄く攻め込まれる立場で恫喝まがいのカルテルを仕掛けた訳です。

リーニエンシー制度は鈍器法定で取り上げたリニア談合事件でも採用され、大林組と清水建設は営業停止などの処分は受けたものの課徴金は免除されています。ただ構図として違うのは、大林組はJR東海の厳しすぎる予算管理の中での利益配分狙いでしたが、JR東海の姿勢は変わらず、大林組はJR東海に見切りをつけたと見られます。これ台車枠の亀裂の重大インシデントでJR東海が川崎重工を出入り禁止にしたこととも通底しますが、JR東海はとにかくコスト管理が厳し過ぎて、業者に無理難題を吹っ掛けると言われます。この辺は停滞するリニア問題と絡めて改めて別エントリーで取り上げる予定です。

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Sunday, November 20, 2022

底抜け脱線ゲーム

京成高砂駅の脱線事故による長時間運休を取り上げます。

京成高砂駅で回送電車脱線 けが人なし、内規違反か:日本経済新聞
回送電車の入庫で運転士が指令の指示と異なる番線に進入したことで、後進した結果、8両目がポイント部でr脱線したということで、内規違反が原因とされてますが、運転士は異線親友に気付いた時点で停止して指令に通知し判断を仰ぐのが正しい対応です。しかしそんな初歩的なミスがなぜ起きたのかは現時点ではわかりません。

真っ先に連想したのは1973年2月21日の東海道新幹線大阪運転所脱線事故です。こちらは大阪運転所から本線へ出庫する新幹線車両の脱線事故で、本線上を高速走行中の営業列車が迫っていてあわや大惨事の可能性のある重大事故です。概要は新大阪へ向かう回送列車が出庫線から本線へ出る時にATCの停止信号を無視して冒進して本線進入し、運転士の判断で400m離れた後方運転台に移動して戻ろうとしてポイント欠損部で脱線したものです。ノーズ可動式の本線合流ポイントが災いしたものです。

信号冒進の原因ははっきりしませんが、出庫戦の曲線部に設置された軌条塗油器の影響が指摘されました。レールと車輪フランジの接触による走行抵抗軽減と摩耗防止のために列車通過時にスポイトでレールとフランジの間に油を飛ばして車輪の回転で潤滑させるものですが、塗油器の油でレールが湿潤状態になっていたことで、スリップで停止できなかったのではないかと言われておりますが未だに原因ははっきりしません。本線進入の結果本線のATC信号は絶対停止の00信号に切り替わって迫っていた営業列車が緊急停止した結果、衝突は免れましたが、停止位置は437m手前というきわどい位置でした。

加えて高架上の勾配区間という足場の悪さで復旧に時間がかかり長時間運休を余儀なくされたという点でも京成高砂事故と似ています。京成の場合復線作業に手間取っていて、事故対応のまずさも指摘されています。その観点から注目したいのがこのニュースです。

鉄道車両分解して検査、組み立て 京王電鉄若葉台基地 探訪 ググッと首都圏:日本経済新聞
京王電鉄若葉台車両基地では、年に1回脱線車両の復線作業などの非常時対応訓練を行うもので、事故そのものは防げない可能性はある訳で、それに備えて訓練を行うというものです。決めつけはできませんが、京成電鉄の事故対応がどうだったかは検証の必要があります。そしてこんなニュースも。
LRT試運転中に脱線 宇都宮市、けが人なし:日本経済新聞
宇都宮LRTで採用された新潟トランシス製ブレーメンタイプの低床車両ですが、ボンバルディアのライセンス生産で熊本市電や岡山電気鉄道、万葉線、富山地方鉄道軌道線、福井鉄道、えちぜん鉄道で採用され、前後車体の台車が連接部の円盤とリンクで結ばれていて、前後台車と円盤の相対位置で車体が連接する構造で、挙動が不安定化しやすいという特性はあります。

ドイツなど海外のLRTでは高規格で軌道狂いの少ない線路を走行する前提ですので問題は起きにくいのですが、40km/hの速度制限があり軌道構造も簡易なものが多い日本の場合は問題が顕在化するリスクがある訳です。快速運転や将来のスピードアップを視野に入れていると言われる宇都宮LRTにとっては座視できないトラブルです。カーブの緩和曲線不足見直しや気道狂いの許容度の見直しなどで事業採算性に影響する可能性もあります。ただでさえ工事の遅れで事業費が膨張しているだけに見逃せません。

話変わって米中間選挙のニュースです。

米中間選挙、下院は共和が多数派奪還 ねじれ議会に:日本経済新聞
トランプ政権時の18年中間選挙でもねじれは起きている訳で、ある意味米政治の年中行事みたいなもんですが、バイデン人気の低迷でレッドウェーブと称する共和党の地滑り的勝利は幻に終わりました。妊娠中絶問題を争点化した民主党の作戦勝ちですが、同時にトランプ氏の大統領選出馬観測が中間層の危機感をもたらし若者を中心に中間選挙としては異例の投票率となったとも言われます。

分断が言われ民主主義の危機さえ言われるアメリカですが、ギリギリ踏ん張ったってことでしょう。しかし妊娠中絶のような価値観の衝突問題で冷静な判断を示した米中間層ですが、対して同性婚や選択的府不別姓問題二賛成する若者が、それを認めない自民党に投票する日本の方が病んでいるのかもしれません。民主主義の脱線は日本の方が深刻かも。ある意味底が抜けてます。

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Sunday, April 24, 2022

異次元円安が止まらない

円安が止まりません。日本経済はこのまま底割れに向かいそうです。

2年ぶり貿易赤字、2021年度5兆3748億円 資源高響く:日本経済新聞
2021年度の貿易統計で赤字転落です。これまでの年度ベースの貿易赤字はありましたが、例えば原発稼働が落ち込んで化石燃料輸入が増えた2014年度と異なり、原油輸入で言えば数量ベースで4.6%増が金額ベースで97.6%増ということで、原油高と円安の影響をもろに受けた訳です。ウクライナ戦争の影響で原油価格の高止まりは当面続くとして、円安が続けばさらに赤字拡大となります。つまり構造的な赤字転落の可能性が高い訳ですが、その意味で悲報です。
円安誘う「真の日米金利差」 実質で米国が日本を上回る 金融政策・市場エディター 大塚節雄:日本経済新聞
円安要因とされる日米金利差といってもインフレを加味した実質金利はアメリカの方が低かったのですが、今年3月で逆転しました。つまり終わらないコロナで指摘した実質金利による円安回避要因が外れたことを意味しますから、さらに円安が進むと考えられます。日銀の異次元緩和が続く限りこの流れには抗えません。それなのに長期金利上昇抑制のための国債指値オペまでやっている訳ですから、利上げシフトの米FRBと真逆で投機筋がポジションを取りやすい環境にあります。しかも金融の財政追従は別の問題も引き起こします。
コロナ予備費12兆円、使途9割追えず 透明性課題【イブニングスクープ】:日本経済新聞
コロナ対策を口実に予備費を積み増した結果、使途を負いきれず透明性を低下させています。これコロナ対策費に限らず、例えばガソリン価格抑制策として元売りへの補助金が野放図に積み増しされていることなどを可能にしている訳です。そして法改正と財源措置が必要なガソリン税のトリガー条項解除には踏み込まないことで国会をスルーしている訳です。こうした政府の放漫財政も長期金利が上昇すれば持続可能ではなくなりますから、日銀の国債指値オペで長期金利を抑え込むことで歯止めが無くなりますし、同時に円安が進んでガソリン高対策にジャブジャブ公金をつぎ込むことが如何に愚かな事かということですね。短期的変化への対応で一時的に補助金に頼ることはあり得ますが、原油の輸入価格が上昇する構造的変化には無力です。
「電力難民」企業4000件超 新電力撤退で大手保障に殺到:日本経済新聞
原油に限らず天然ガスも値上がりが止まらない中、電力需給の悪化が懸念されてますが、これ原発動かせば良いという単純な話ではないことは電気が足りない言い訳じゃないで述べた通りです。再エネによる小口分散電源中心の電力系統へのシフトがエネルギー地政学上急務なんですが、それに目をつぶり原発利権を温存しようとして迷走した結果の現状です。梯子外された法人ユーザーの電力難民を生む結果となった訳です。
東京電力、水素の生産増減で再生エネを出力調整:日本経済新
その意味で東電のこの動きは評価されるべきですが、遅きに失した感はあります。燃料電池はその名の通り本来は電力貯蔵システムとして考案されたものです。余剰電力で水素を製造して貯蔵して、必要に応じて電力として取り出すという形で電力系統内に出力調整機能を持たせることは、欧州では既に行われています。その副産物として燃料電池バスや鉄道車両への応用が先行している訳で、自動車の動力源という固定観念に凝り固まった日本の水素政策がうまくいかないのはこの辺なんです。
変圧器内ショートか 21年変電所火災、JR東日本原因発表:日本経済新
分配の経済的な意味で取り上げたJR東日本蕨変電所の火災事故で、変圧器のショートが原因と発表されました。3日前の地震の影響については断定はしていないものの可能性は示唆しています。考えられるのは地震の揺れて被覆が傷ついてショートということですが、僅かな傷で電流値が異常値を示さなかった結果ブレーカーが働かなかったとすれば五輪霧中で取り上げた高崎線籠原駅構内の漏電事故と同様、通常電流でも10,000Aに達する大電流が災いした事故という見方が出来ます。首都圏JRの饋電システムに潜む脆弱性ですが、例えば高圧直流き電線を張り巡らして各電路区分毎にDC-DCコンバータで降圧して饋電する直流版AT饋電などの新システムを考えるべきじゃないかと思います。

JR東日本にとっては安定収益源として経営を支える大黒柱と言える東京近郊区間ですが、国鉄継承の設備を改良しながら使い続けることにも限界があります。コロナ禍で収益減に苦しむ中ではありますが、車両の更新は進んだけれど電力システムは古いままで回生電力も生かし切れずという現状を考えると見直しは避けられないかと思います。

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Sunday, March 20, 2022

新幹線は万能ではない

ロシアの悪口ばかりでは何なんで国内に目を向けます。

年金者ら給付金、首相「物価みて検討」 野党「愚策」:日本経済新聞
公的年金にかかる税金は元々猶予枠が大きく、住民税では65歳以上で年金所得330万円以下の場合の基礎控除110万円で住民税非課税となり、多くが先日の住民税非課税世帯向け給付金10万円の対象となっております。それを除外して5,000円の給付って、つまり税金払った年金受給者に税還付して4月からの年金減額を誤魔化そうって話ですね。元々投票率の高い高齢者に対する選挙対策以外の意味はあるのでしょうか?
政府オープンデータ「開店休業」、2割にアクセス不備 チャートは語る:日本経済新聞
国交省の統計不正と同様、統計やデータ公開にかかる人員は政府の自治体も不足しており、対応が追い付かない現実があります。政府がDXの旗降っても実効性が伴わないのはこういう現実があるからですね。

てことで疫病や戦争でガタガタの世界ですが、日本ではまたもや地震です。しかも東北で震災の恐怖が再現されました。関東でも揺れました。その結果交通インフラも被災しました。

東北新幹線脱線、影響長期化も 宮城・福島で震度6強:日本経済新聞
新幹線の脱線といえば中越地震のときの上越新幹線では直下型地震で脱線した訳ですが、その対策としてレールの沿って脱線ガードが設置され、安全性は高まったのですが、JR東日本では逆L字のアングル材を設置して脱線は許容するけど車輪をガードで受け止めて転覆はさせない対応を取っておりました。結果的には17両編成中16両の脱線となりました。

今回の地震は近い震源地の2つの地震が短時間に起きたものということで、1回目の地震でユレダスが働いて電源カットされ減速し、2回目の地震で脱線したものと見られております。詳細は続報を待つとして特異な揺れの結果らしいということは指摘しておきます。故に一部報道にあるように地震対策の不備ということではありません。事実死傷者はいなかった訳ですし。

それより78人の乗客の避難に5時間かかったことの方が問題かもしれません。夜間だったことでバス手配に時間がかかったことや道路の被災もあって到着が遅れたということもあるでしょうけど、3人の乗務員で対応しなければならない現場では乗客の不安払拭ぐらいしかやりようがなかったってことですね。乗客が多かったらどうなっていたか。省力化の負の側面もあります。

また今回は架線柱が傾いたり高架橋の支柱のコンクリート剥落など施設の損傷もあります。ただでさえ高架橋上で重機が入りにくいところでの16両の脱線車両を順次レールに乗せて復線させてから移動する必要がありますし、施設の補修もありますから、復旧には時間がかかります。こういうところは地上を走る在来線と異なるところで、ある意味新幹線の脆弱性として認識しておく必要はあります。当面は在来線を用いた代替輸送で凌ぐしかありません。

さてそうなると、整備新幹線で問題になる並行在来線問題を改めて考えると、並行在来線を切り離すことは脆弱性を高めることを意味する訳で、まだ三セク引き受けで鉄道で残るならば良いですが、北海道新幹線関連での函館本線長万部―余市間の廃止問題のような現実があります。

並行在来線問題に関しては少しおさらいしておいます。国鉄分割民営化で全国新幹線鉄道整備法(全幹法)の事業主体が国とされたため、実質主体となる国鉄の解体で整備計画が進められない状況に対して、国鉄改革で誕生したJR各社を国に代わる事業主体と読み替えて、言ってみれば全幹法の改正ではなく解釈変更で対応した結果です。

一方で財源問題もネックとなり、公共事業方式による財政資金投入も議論されましたが、例えば揮発油税などの道路財源の流用などの議論ならば交通インフラ全般の公共投資の見直しにつながる議論になった可能性もありますが、それも行われず、財源問題は迷走します。転機は89年の新幹線保有機構からのリースとされた新幹線のJR各社による買い取りでして、元々JR東日本が東証への株式上場を準備する過程で主たる事業用資産である新幹線が自己保有ではなくリースである点が資産査定上不利になるという指摘を受けてJR東海、西日本へ呼び掛けて買い取りを国にに要請したことで議論が進みます。

要請を受けた当時の運輸省は、JRの株式上場による完全民営化を推進する立場からこれを認めた一方、時価法の一種である再取得価格による資産再評価を実施して簿価買い取りを否定しました。その結果特に用地にかかる地価相当部分の評価額が拡大し、特に高地価エリアを沿線に持つJR東海が不満を持つ結果となったのですが、それに加えて整備新幹線財源を滑り込ませて評価額を上乗せし、その上乗せ部分を鉄道整備基金として整備新幹線を含む鉄道整備財源に充ていることになりました。

更に整備新幹線の整備スキームとして、並行在来線のJRからの切り離しを前提にそれを含むJRの受益分を30年リースでJRが負担する一方、残りを国と地方が2:1で負担し、鉄道整備基金出資分は国の負担分と読み替えてリース料で償還するという形で、三者が合意する前提で着工という手順が示されました。また限られた財源の有効利用の観点からより経済効果の大きい路線、区間への重点配分が決められました。これが後々様々な問題を引き起こす原点です。

その結果88年にJOCによって招致が決定した長野オリンピック対応で北陸新幹線高崎―長野間に優先配分されることとなり、当初は高崎―軽井沢間フル規格、軽井沢―長野間ミニ新幹線でスタートしたものの、その後91年のIOC総会で開催決定されそれを受けて全区間フル規格化の議論が起きて当初はなかった並行在来線引き受け問題が生じます。その結果は軽井沢―篠ノ井間は三セクしなの鉄道が引き受ける一方、横川―軽/、井沢間は県境で群馬県が三セク出資を渋り、また66.7/1,000の急勾配区間で専用補機を用いた特殊な区間だったことから維持費がかかるということもネックとなり、廃止されました。並行在来線廃止第1号です。上記函館本線山線は第2号となります。

実はこの重点配分はいろいろな問題を引き起こしますが、一つが東北新幹線延伸部の盛岡―新青森間でして、当初沼宮内―八戸間フル規格、盛岡―沼宮内間と八戸―青森間ミニ新幹線とした結果、沿線から反発を受けます。その際に用いられたロジックは青函トンネルを通じて他移動新幹線に繋がる区間に速度の遅い区間があることはおかしいという議論で、結果的になし崩しで全線フル規格化され終点も新青森となり青森市街地から遠くなりました。

また東北新幹線延伸部に関しては並行在来線の在り方を巡ってJR貨物から貨物幹線である当該区間が三セク化された後の線路使用料問題が提起されました。所謂アボイダブルコスト問題でして、元々重量が嵩み速度も高い貨物列車の線路破壊量は大きく線路保守費がかさみますが、国鉄分割時の申し合わせで当面赤字見込みのJR貨物救済策として格安な線路使用料が設定されていて、JR貨物の収支改善を待って旅客各社との交渉で値上げするというスキームだったのですが、並行在来線の三セク引き受けで前提が変わり、しかもローカル輸送に特化した三セクでは複線電化の高規格な線路を維持するインセンティブがない訳ですから、高規格維持の費用込みのフルコスト負担をJR貨物に求めることになります。

この問題の解決に例えば国の負担で高規格維持するのではなく、JR貨物が負担する差額を国が補助し、財源はJR東日本が支払う新幹線リース料に上乗せする形で対応することとしました。ここでも鉄道貨物維持のための本質的な議論を避けて決着しました。その結果同様の問題を抱える九州新幹線の並行在来線として切り離し対象となった八代―川内間は、三セクの旅客列車が軽量ディーゼル車によるワンマン列車である一方、電化設備維持のために三セクの肥薩おれんじ鉄道へJR貨物が出資する形を取っておりますし、北陸新幹線開業に伴う三セク各社との線路使用料負担問題で、結果的にJR西日本の特急サンダーバードの富山乗り入れが打ち止めとなり、新幹線につるぎという区間列車が設定される形となりました。現場合わせのバラバラな対応です。

九州新幹線の迷走も度々ありました。当初鹿児島ルートは八代―西鹿児島(現鹿児島中央)間で狭軌のスーパー特急方式による整備を前提にしており、しかも実績のない狭軌200km/h営業運転を前提とした計画として経済効果に下駄を履かせて重点配分の地位を得ました。それを念頭にJR九州は787系特急車を走行安定性の観点から敢えて普通鋼製で重量を与え、電動車比率を高めて高速走行を狙う設計となりました。とはいえ200km/h走行は無理で160km/h走行がせいぜいでしょう。お陰でローカル特急転用では制御車、付随車を増やして短編成化されるという意図せざる利点ももたらしました。

しかしその後船小屋(現船小屋温泉)―八代間、続いて博多―船小屋間の事業化で山陽新幹線直通のためフル規格化されることとなり、結局スーパー特急方式は当て馬に終わりました。この辺はさらばスーパー特急で記述しましたので繰り返しませんが、北陸新幹線もJR西日本区間も当初スーパー特急方式で事業化され、581系特急車は160km/h運転を前提に開発され683系共々ほくほく線内での160km/h運転を支えました。あくまでも結果論ですが、スーパー特急方式が実現していれば、条件の整った在来線区間での160km/h運転の横展開はあり得たでしょうし、在来線の高速化はもっと進んだ可能性もあります。

余談ですが、当初のスーパー特急方式に触発されて西鉄が大牟田線の延伸で九州新幹線事業への参入を狙ったとも言われ、もう一つの九州新幹線lで取り上げましたが、詳細は不明ながら八代以北の並行在来線を敢えて切り離さなかったのは並行私鉄の西鉄への牽制とすると、西鉄は非公式な打診ぐらいはしたんじゃないかと考えられます。

実際には京成電鉄の成田スカイアクセス線での160km/h運転が唯一の存在となりましたが、例えばJR東日本が中央線高速化を狙って投入したE351系は最高速160km/hで設計されましたが線路改良が進まず、加えて鋼製車体で重量が嵩んだこともあり、所定の性能を発揮できないまま車体傾斜式の後継車E353系に置き換えられた経緯は傾く台鉄で取り上げました。

加えて秋には飛べないジョナサン西九州新幹線が開業します。上記の重点配分の結果、距離が短いこともあって全線フル規格の場合の経済効果が薄く、当初よりスーパー特急方式が適切とされておりましたが、軌間可変車両の開発を前提としたフル規格化で孤立線になって「飛べない」かもめが走り出す訳です。本質的な議論を避けて現場合わせで適当に対応して無残な結果となっております。

元々高速大量輸送に特化した新幹線システムは汎用性に乏しく、維持費も高く闇雲に増やすのは賢明とは言えません。整備新幹線はそろそろ打ち止めにして、在来線高速化やドライバー不足に対応した鉄道貨物インフラの最適化などに資金を振り向けるべきということを申し上げたいところです。

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Sunday, December 12, 2021

ウィズコロナの鉄道の未来

オミクロン株が世界で拡散されてます。アフリカ南部で発生し、南アフリカで発見されましたが大元はわからず、結局医療体制の整った国で見つかったということですね。医療体制の脆弱な途上国では感染拡大を抑えられず、それだけ変異が起きやすくなる訳で、途上国ワクチン支援の重要性が叫ばれますが、医療の脆弱さ故に進まないのもまた事実です。その隙間を突いてウィルスはより巧妙に変異します。

コロナ、変異繰り返し「盾」獲得か 感染力長く保つ恐れ:日本経済新聞
スパイクタンパクの変異で正の電荷を持つ一方、肺などの粘膜に含まれるムチンと呼ばれる成分は負の電荷を持ち、両社が結合することで、飛沫の乾燥でエアロゾル化したときに空気や光の影響を防ぐ盾の役割を果たし、それだけ長時間空気中を浮遊するというメカニズムが明らかになりました。折悪しく北半球は冬を迎え乾燥シーズンでエアロゾルの延命が起きやすい状況で警戒が欠かせません。

その感染力の強さは麻疹並とも言われます。デルタ株が水痘並みと言われましたが、それを越えるもので、電車1車両に1人感染者が居れば乗り合わせたほぼ全員が感染するレベル、あるいは病院の空調ダクトを通して院内感染が広がるレベルということで、患者を収容する病床は陰圧室にしないとまずい訳で、補助金出して病床数を確保するだけでは感染拡大を防げない訳です。相変わらず政府の危機管理は穴だらけです。水際対策が言われますが、こちらのも大穴があります。

水際「抜け穴」の恐れ 空港検疫、経由国など申告頼み:日本経済新聞
国内で確認された1人目のオミクロン株感染者はナミビアからの渡航者ということですが、直行便がないので当然乗り継ぎで成田に到着した訳ですが、現状乗り継ぎの有無は空港検疫でのヒアリングでの確認しか手段がなく自己申告に依存しております。加えてこのケースでは空港での抗原検査をすり抜けて一旦入国した後に発熱し、検査の結果コロナ感染が分かり、また結果が出るまで数日かかるゲノム検査でやっとオミクロン株感染が分かった訳で、その間にどれだけの人と接触しているかを考えると震えます。精度の高いPCR検査なら発見されたかもしれませんし、また遺伝子検査故にオミクロン株のような変異株対応も可能で、実際海外では対応検査キットが開発されています。水際強化するなら当然やるべきことが行われていない訳です。

オミクロン株に関しては重症化の報告が少なく、故に問題ないとする議論もありますが、ワクチン接種が進んだ結果重症化していないだけの可能性もありますし、感染拡大すれば感染力を維持したまま強毒化する変異が起きる可能性もある訳で油断できません。当然ながら Go To トラベル再開などもってのほかです。という訳で、緊急事態宣言解除で戻りつつある国内旅行ですが、昨年秋冬の Go To で密になったことの反省からも慎重であるべきです。というかどのみちウィズコロナで旅行需要が元に戻らない前提で、補助金ディスカウントでしか生き残れない観光施設はこの機に淘汰されるべきです。

という訳でJR各社の逆風は当面続くと見るべきですが、各社の対応に違いが出てきていることが興味深いところです。JR西日本の公募増資はリニア撤退エントリーで取り上げましたが、今のところ希望退職など雇用に切り込む事業者は出てきておりません。鉄道の場合事業の専門性から社内での育成にコストを費やしており、簡単に切れないということはありますが、それでも一時帰休には踏み込んでおり、苦しい台所事情がうかがえます。

加えて国鉄分割民営化で誕生したJRの場合、元々発足時点から旧国鉄職員の継承を絞った経緯があり、特に国鉄末期の新規採用停止の影響もあってスタート時点から身軽だったという事情はありますが、それでも民営化後に各社で新卒採用を積極的に行っておりますから、それなりの大所帯にはなっております。加えて余剰人員引受問題もあり、特にローカル線廃止で規模が縮小した北海道では深刻な雇用難があり、国鉄清算事業団が本州3社に余剰人員受け入れを要請し各社が対応した訳ですが、余剰人員として選別された国鉄OBは国労組合員が多く、それ故にひと悶着ありまして、JR東日本は所属組合差別として不当労働行為の中労委裁定を受けております。

事実上の処分を受けた訳ですが、元を質せばJR北海道の人選と事業団の対応にも問題があった訳ですが、そんなこともあり、また規模が大きく受け入れを強く要請されたこともあって引き受けます。その結果国鉄末期の採用停止期間もあって国鉄OBの高齢社員が多いのもまた確かです。ですから数年以内に定年を迎える55歳以上の社員が多く、新卒補充を調整して自然減を狙うことで、わざわざ組合を刺激するような雇用調整は必要ないということですね。特にウィズコロナで輸送需要が戻らないなら尚更です。その結果こうなります。

JR東日本、山手線などでワンマン運転 25~30年に導入:日本経済新聞定年による大量退職の補充を減らすには避けて通れない合理化ですが、短編成の地方線区ではなく大量輸送を行う大都市路線でのワンマン化というところにJR東日本の意図が明確です。大都市路線の合理化は地方線区のチマチマした合理化よりも省力化効果が大きく、また地方線区でもワンマン化となればそれなりの設備投資が必要になります。例えば伊東線来宮駅の電動車いす利用問題の解決困難さを見ればわかります。投資効率を考えた判断です。

報道では山手線を皮切りに京浜東北線、横浜線、南武線、常磐緩行線での導入を目指します。勿論ワンマン化のための環境整備としてはホームドア設置や保安装置の改修(ATOやTASC)、踏切の除去などいくつかのハードルがありますが、条件が整ったところからの導入ということになりそうです。ということでこのニュースと結びつきます。

駅バリアフリー化で運賃上乗せ 23年春から10円程度:日本経済新聞
バリアフリー化と言っても特に視覚障碍者のホーム転落事故が絶えない中でのホームドア設置推進が狙いですが、そのために特定都市鉄道整備促進特別措置法(特特法)と同様認可運賃に少額の上乗せを行いそれを無税積み立てして事業費に充てるという枠組みですね。既にJR東日本の深沢社長がインタビューで同法に基づいた運賃値上げを表明しており、JR東日本単独認可の電車特定区間運賃への上乗せということでJR3社共通道認可の幹線、地方交通線運賃には触らないということですね。バリアフリーを理由に利用者に運賃負担を求めた上で合理化につなげるということです。

心配なのは人身事故その他のトラブル発生時の対応で、当然マンパワーが減る訳ですから、復旧に時間がかかるとか別のところに影響が出る可能性もあります。その辺最大労組のJR東労租の大量脱退で組合が睨みを利かせる状況が失われていることが気がかりです。JR化後の入社社員はストの経験がなく組合指導者の高齢化もあって意思疎通がうまくいかない状況にはあったと思いますが、安全輸送で睨みを利かせた実績は指摘しておきます。それがない現状での大規模な合理化に不安がないとは言い切れません。

いずれにしても人件費の圧縮でウィズコロナを乗り切ろうということですが、これも元々少子化で社員の採用が困難になる事態を想定して以前から準備してきたことですから、コロナで前倒しされたこととバリアフリー値上げが可能になる制度改正がタイミングよく揃った訳です。その意味で尼崎事故で安全対策強化に舵を切ったJR西日本には逃げ場がなく、なにわ筋線の建設が決まり大阪万博対応もあり、この先の資金需要からも株価下落につながる公募増資を余儀なくされた訳ですね。

JR東海は東海道新幹線の利用が戻っているとはいえリモートワークの浸透もあり、リモートワーク対応のS Work 車両の設定とかしてもビジネス利用は元に戻らない前提で、観光利用の掘り起こしに舵を切ります。その結果お子様連れ専用車両の設定などで、明らかに家族連れを狙っております。その意味でGo To トラベル復活に期待したいところでしょう。

JR東海はリニア建設関連の人件費を建設仮勘定に計上して営業費用から除外しております。その額凡そ86億円ほどですが、この建設仮勘定というのは建設中の工事費などの支払いを固定資産として資産計上し、建設完了後の未来の利益から償却する仕組みで、人件費も建設に専念していることを証明すれば認められます。つまり本来営業費に計上すべき人件費を資産計上している訳で、その分開業後の減価償却費の負担が重くなりますが、コロナで赤字転落したJR東海にとっては目先の決算を整えることを優先したということです。その結果事業費は膨らみ開業後の収支見通しを不透明にしますが、それでもリニア事業を見直す気はなさそうです。

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Sunday, December 05, 2021

草生えるwww師走の徒然

徒然に師走になりました。

脱炭素へ私鉄加速 京急、まず1日400本の空港線 小田急、再エネのロマンスカー:日本経済新聞
京急はとりあえず空港線で、小田急はロマンスカーVSE2編成分で限定的ながら再エネ電力を導入し、東急では世田谷線で19年4月に導入済み、西武はAGTの山口線で来年4月からの予定と、限定的ながら鉄道事業者の再エネ電力によるCO2排出削減が動き出しました。これが拡大して再エネに消極的な電力会社を動かせるようになれば良いですが道のりは遠そうです。

一方でGAFAのカーボンゼロ宣言やトヨタの再エネ電力買収などの動きもあり、石炭火力依存の日本の電力ガラパゴス化が進行中です。規模の大きすぎるJRは更にハードルが高い訳で、自ら電力事業を立ち上げるとかしないと追いつかない可能性もあります。

日本の設備、停滞の20年 総量1割増どまり チャートは語る:日本経済新聞
分配問題で日本の固定資本減耗の微増と営業余剰の増加の一方、雇用者報酬が減少していることを裏付ける結果です。企業は辛うじてキャッシュフローの範囲内を少し超える設備投資はしているものの、生産性を改善するレベルには達せず、賃金の低迷を招いている訳です。というよりもゼロ年代のベアゼロ春闘かや非正規雇用の拡大で労働市場を圧迫し続けた結果、企業が国内設備投資のインセンティブを失ったという方が実態に近いと言えます。

つまり固定資本減耗を減らして営業余剰を増やした訳です。これを賃上げの原資にしなかったから国内消費市場が委縮してしまう訳です。あるいは再エネ電力など脱炭素投資の原資にするならばそこを起点に新たな雇用も生まれるものを、むざむざ経営者と株主で山分けした訳です。汗っかきと油売りのニューノーマルの時代でもあり脱炭素が産業競争力を規定する現実を見てコロぶナ日本変異ウイルス命名、中国に配慮? 米FOXニュース:日本経済新聞WHOが習さんに忖度?そんな声が聞こえること自体がWHOの命名判断に繋がった訳ですが、日本じゃ「尾身苦労」とか言われてます。尾身さんにも忖度しろってこと?www

中国「北京五輪、予定通り開催」 開幕まで2カ月:日本経済新聞
その中国の北京五輪が注目されています。オミクロン株の感染が世界に拡大する中で、東京のバブル方式を参考により厳格化して開催という算段ですが、その結果待機期間28日とかアスリートには致命的な拘束期間が設定されたりしています。フィギュアスケートのグランプリファイナル中止など選手選考元何処る中で実施できるのか?状況は東京大会以上に厳しいものがあります。それでも開催にこぎつけて感染対策も万全だったとなれば東京のバブル方式がザルだった証明になりますし、逆に感染拡大につながればやはり東京大会は中止すべきだったことの証明になります。

一方党幹部からの性暴力を暴露したテニス選手の安否を巡る問題もあり米主導で外交ボイコットが呼びかけられておりますが、IOCバッハ機長とのビデオ面談で寧ろ疑惑を深める四面楚歌です。バッハ会長の人望のなさもあるでしょうけど^_^;。気になるのが日本の政治家やメディアの人権問題への意識でして、中国に問題があることは確かなんですが、そもそも人権は人間が自然状態で自由であるというルソーの社会契約論からきている概念で、元々主権者は国民であり国民国家はその国民から社会液役によって負託を受けて主権を行使できる存在であり、主権行使が国民に害をなす場合はそれに対抗できるとする権力対抗概念です。

その意味で人権問題がない国は無く「BLMやコロナ禍でアジア人虐待するアメリカに言う資格なし、単なる内政干渉」という中国の言い分にも一理ある訳です。但し国民国家を前提とする現在の国際社会では国を超えた普遍概念故に、その観点から中国を説得しなければならないんですが、対決姿勢を取ってしまうから説得にならないという悪循環に陥っております。オミクロン株命名に関する習さん忖度論と同根の問題があります。

鉄道車両の防犯カメラ、設置にばらつき 国が基準整備へ:日本経済新聞
予想された動きですが、防犯カメラと言っても位置や台数をどうするか?音声ありなし?指令への転送機能を持たせるか?費用負担はどうするなど論点多数でまとまるには時間がかかります。加えて画像は事後的な編集が可能なんで厚労省村木さん事件のような検察による証拠捏造による冤罪の可能性もある訳で、中途半端な議論では済みません。ハロウィンの魔物は簡単には退散しませんね。
日大理事長逮捕 マンモス大学トップ、利権構造解明へ:日本経済新聞
少子千万!国公立大学の法人化で学費が上がり私学との差が縮まっている一方、私学は補助金を得ながらもコロナ禍でも学費値上げをしており、そのために奨学金という借金を学生に背負わせ、親元離れてアパート暮らしで生活費はアルバイトで稼ぎ、そのアルバイトもコロナ禍でシフトが減らされと痛めつけられている学生を食い物にする私学の闇が問われます。背信行為での立件は難易度が高いと見て国税とタッグ組んで脱税で立件を目指しますが、文教予算を削り続けてきた政府の対応も問題です。思い切って膿を出して欲しいところです。
需要読めず負担重く 横浜市の「上瀬谷ライン」暗雲:日本経済新聞
最後は Go To リベンジ幻想で取り上げた上瀬谷ラインAGTの話題です。米軍上瀬谷通信施設跡地に巨大テーマパーク建設で相鉄が乗り出したもののコロナ禍で断念。その後三菱地所が開発事業者として検討を重ねるものの具体策が見えず、横浜市がAGT運営を依頼した横浜シーサイドラインが検討の結果降りることになり年内要諦の事業者選定が困難になりました。計画自体に無理があるし事業の見直しは避けられませんね。

つーことで師走も草生えるわ!

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Saturday, November 13, 2021

徒然に草生えるwwwwww

徒然に進めます。

首相看板政策で3会議新設 デジタル田園都市構想など:日本経済新聞
有識者会議に議論を投げつつ事務局案を承認させる手法は安倍、管政権と同じ手法です。加えて「分配重視」や「新自由主義脱却」を言いながらデジタル田園都市国家構想会議の委員に竹中変造を呼ぶわけです。デジタル田園都市って何?って、地方創生とDXとワーケーションを足して3で割って別の言葉で表現しますた-_-;。観光立国、インバウンドが見込めないから目新しさを装いましたってことですね。終わらないアベノミクスの不毛な総裁選が証明されました。

そもそもアベノミクスは日銀の異次元緩和以外は空手形連発でした。機動的な財政出動は公共事業転発で建設労働者の人手不足から軒並み失効遅延が相次ぎ、ほぼ1年遅れでしかもコロナ禍で工事現場のクラスター感染もあり更に遅れています。規制緩和は獣医学部新設を巡る加計学園への便宜供与に見られるように単なるレントシーキングでしたし、地方創生は単なるバラマキだし、1億総活躍は生産年齢人口の減少を低賃金の高齢者や女性の労働力率を高めて穴埋めし雇用を劣化させただけだし、以下略。しかも目玉の日銀の異次元緩和も先行き不透明です。

9月の経常黒字、前年比31%減 自動車減産・原油高で:日本経済新聞
原油高と円安と自動車輸出停滞で貿易収支は2,299億円の赤字となり貿易立国モデルが裏目に出ました。それで1兆円の経常黒字なのは所得収支黒字が大きく、穴埋めされた結果です。所得収支は日本企業の海外拠点の利益と金融配当によるものですが、何れも円安効果で円建ての数字が伸びた結果で実体経済を反映しておりません。

つまり日本は国ぐるみで貧乏になったのが実態です。こういうのを交易条件の悪化と言います。これ以上悪化させないためには緩和縮小や利上げを行うか円買い為替介入をして通貨防衛を図るしかありませんが日銀は「問題なし」と黒田総裁が表明しており危機感なし。物価はジワジワ上昇しており、スタグフレーションの入り口に立っている可能性があります。円安自体は米ドルが強すぎる結果であり、米景気のよさの反映ですが、それがロスアンジェルス港やロングビーチ港のコンテナ滞貨問題から供給制約を世界に広げている訳ですから、簡単に解消する見込みは立っておりません。経済の回復を急いだ結果です。掘ったイモ弄るな?こんな状況で上辺の株価を追うのも無意味です。

火力発電巡り日本に「化石賞」 環境NGOのCAN:日本経済新聞
米加豪ロ日と産油国が化石賞の常連ですが、期待通り^_^;今回も日本が受賞しました。COP26では石炭火力全面禁止を求める事務局に日本が抵抗したことが授賞理由です。実際合意文書には
排出削減対策のない石炭発電と化石燃料への非効率な補助金の段階的廃止」の下線部分を日本が合意文書に押し込もうとして紛糾し、12日の閉幕が延長された訳ですからCANの見立ては正しかった^_^;。

そもそもエネルギー消費国の日本がエネルギー生産国に与するっておかしくないか?COP26の中の嵐の予感的中です。立憲民主党も連合に頼らずに気候変動問題のように若者や将来世代に直接関わる気候変動問題を前面に出して投票率の低い若者の票を掘り起こすぐらいの姿勢を示すべきでしょう。政局というコップの中の嵐に囚われずコロぶナ。そもそも気候学者の真鍋敏郎氏が開発した気候モデルで温暖化がリスクとして明らかになったのに、それに背を向けるのが今の日本です。

半導体国内生産に補助、政府法整備 TSMC第1号認定へ:日本経済新聞
半導体補助金、既存工場にも 安定供給へ設備更新支援:日本経済新聞
TSMC誘致は経済安全保障の為ということで、それを明記した法整備をすることで韓国が検討中というWTO提訴を回避する狙いです。経済安全保障は結構なんですが、補助金を出すことで企業は潤いますが、TSMCで日本人エンジニアの雇用につながるかどうか?元々エンジニア不足の日本ですから必要なエンジニアの多くは台湾から連れてくることになるでしょう。つまり経済的にも社会的にも分配への寄与な小さいということです。加えて国内メーカーの既存工場の老朽化対策にも補助金出すんですよね。砂を噛む半導体争奪戦でも指摘したように最初から国内メーカーに補助すれば済むのに何でTSMC誘致するの?って話ですね。もっと言えばそもそも自動車メーカーなどが半導体市況に応じた値上げを受け入れれば補助金なしで自前の投資ができたんじゃないの?寧ろ生産能力の急拡大で半導体市況を悪化させかねません。頭悪ゥ。
ホームドア、避難の盲点 京王線刺傷から1週間:日本経済新聞
京王線刺傷事件の続報です。詳しい経過が明らかになり、非常通報装置は複数回押され、乗務員が応答したけど返答がなかったということで、考えられるのが駅の非常停止装置のように押せば止まると勘違いしたか、冷静に通報する余裕すらなかったか、おそらく両方でしょう。」故に乗務員は車内の状況を認識できず、乗客が乗務員室の窓を叩いて異常を察知して非常停止し、停止位置がズレたものの非常ドアコックが操作されたために位置修正が出来なかったということで、魔物(バグ)は細部に宿りますね。こうした後追い報道で非常時の対応が広く拡散されることは大事で「容疑者房はこんな奴」みたいな深堀りよりもメディア報道としては公共性もありニュースバリューの高い報道と言えます。

という訳で草生えるわ!

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