鉄道事故

Sunday, March 01, 2026

政治の失敗を帝国主義と呼ぶ

前エントリー*1の続きですが、末尾の「民主主義か独裁主義かという二項対立はクソの役にも立たない論点です。」の部分の表現にモヤってました。寧ろ「自由主義か権威主義か」ではなかったか。自由主義の盟主である筈のアメリカの暴走が止まらずトランプ政権の権威主義的な在り方にドライブがかかっている現実があります。そしてついにやっちまいました*2。新年早々のベネズエラ侵攻*3を思い起こさせますが、イランに関しては事前準備もあったし脅し発言も続いていた訳ですが、イラン国内の政情不安から「イラン政府の独裁から国民を解放する」と言っていたらイラン政府が鎮圧してしまったので、核開発断念を迫ってイラン政府も交渉に応じる姿勢を見せていたにも拘らずの軍事攻撃です。ハメネイ師の死亡も報じられており、イランも引けない状況故に戦闘が長引くことが危惧されます。既にホルムズ海峡の封鎖も起きており、石油の中東依存率が高い日本にも打撃があります。ガソリン代上がるぞ!

結果的にはイランと対立するイスラエルのネタニヤフ首相がアメリカを巻き込んでイランを叩く思惑通りの展開です。イスラエルも一応自由主義陣営ですが、ネタニヤフ首相の統治は権威主義的ですしトランプ大統領とも仲が良いしで共振しちゃった訳です。アメリカから見ればベネズエラ侵攻で狙っていた石油利権が、油井や製油所の設備老朽化で生産能力が劣化していて、補修だけで1000億ドル以上の資金と10年以上の時間がかかるということで計算違いだったこともあり、イランを叩けば原油相場の値上がりを通じてアメリカ国内の石油生産を後押しできると見た可能性があります。結局ベネズエラの見込み違いがこうした軍事行動をもたらした訳です。こうしたことは戦前の所謂帝国主義の復活として捉えることができます。重商主義の行き着く先であり資本主義の市場の失敗の矛盾が昂じて帝国主義に至る構図で、これをもたらしたのはアメリカのトランプ政権です。古くは大英帝国の重商主義を経済学の祖とされるアダム・スミスが国富論で批判してアメリカ独立戦争を支持し、リカードが精緻化した古典派経済学のロジックを用いて資本主義の究極に帝国主義があるとマルクスが見抜いたことが再現されています。

トランプ政権の失敗は事欠かないですが、相互関税を巡る最高裁違憲判決で確実に窮地に追い込まれています。最高裁は関税の還付までは踏み込みませんでしたが、既に民間企業による還付請求訴訟が始まっています*4。同時に結審後の還付では資金繰りが厳しい中小企業では還付金権利の転売が始まっています*5。割引率6割でも取引成立ということですから窮状が偲ばれます。そして24日に発効した150日間の10%の代替関税も最高裁判決が違憲と認めた大統領権限の逸脱に違いはなく、同様に訴訟が起こされるのは確実ですし、議会の延長承認もほぼ可能性はありません。秋の中間選挙前に失点を重ねており世論の関心を外へ向けさせることで支持を取り戻そうとしている訳です。

以下は答え合わせ。まずはTACOのプロデューサー*6。やはりレートチェックはベッセント財務長官が仕掛けたものでした*7。突然の解散総選挙で日本の政治空白が為替変動を誘発することを危惧した結果で、高市首相が余計なことをしたから最悪日米協調介入までオプションしていたとか。流石にダボスで片山財務相が怒られたから日本も要求できなかったようですが、そこまで危機感を抱いたのは世界的に主要国の財政状況が悪化していることがあります*7。アメリカは関税を当てにした無理な減税で、ロシアは戦時経済で、その脅威を受ける欧州は軍事支出増で、中国は国内不況で、それぞれ財政拡大中なのに、過去の財政拡大で突出する日本の野放図な積極財政は看過できなかった訳です。財政面で言えばロシアと欧州は既に戦時財政の体を示してます。

それなのに高市政権は危機感まるでなし。日銀理事人事でよりによってリフレ派の人選です*8。植田日銀の利上げ継続路線に水を注すものということで、流石に日経新聞も疑問を呈しています。上述のとおりロシアと欧州は戦時経済の様相ですが、中国はあくまでも短期的な景気対策の範疇で政策的な失敗の度合いは低く、故に台湾への軍事侵攻はとりあえずなさそうです。逆に言えばいざとなれば軍事支出を増やせる潜在力がある訳で、逆に財政が突出して悪い日本で高市首相の不用意な台湾有事発言は本当に国益を害します。既に決定とされる防衛費増も財源が明示されておらず増税不可避ながら、それを明言せずに積極財政に舵を切ることは、それだけ有事の財政出動の余地を狭めますから、高市首相の言う継戦能力を低下させます。それとも国民に玉砕を求めるのか?逆に言えばここで財政規律を取り戻し日銀の利上げをサポートすれば財政拡大基調の主要国に対するアドバンスとなり、円安反転でインフレ抑制と国民の購買力拡大ができるチャンスでもあります。どっちが良い?

最後に前エントリーの中で触れたE5系E6系の走行中列車分離問題の続報です*9。電磁弁を動かす制御基板の耐用年数10年を越えて使いまわしていた結果の経年劣化の可能性が出てきました。メーカーは2回目の分離事故直後にJR東日本に指摘したものの事故調への報告はなかったみたいです。やはり根本的な組織統治に問題ありです。電子部品は経年劣化しても見た目では確認できず、トラブルが起きれば交換するしかない訳ですが、JR東日本に限らず耐用年数を超えても不具合が出なければ継続使用される傾向はあります。また交換部品を過剰に抱える訳にもいかない中で、メーカーで生産終了となって交換部品が手に入らなくなることもあります。例えば京浜東北線で晩年トラブル続きだった209系0番台がそうですが*10、中央快速線に始まる新標準車E233系の常磐緩行線向け2000番台を後回しにして*11京浜東北線に1000番台を、更にE217系の電装品換装の予備車として東海道線に3000番台を投入などが優先されました。そんな経験をしながらここまで原因究明が迷走しているのはやはり問題ですね。

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Saturday, February 21, 2026

市場の失敗政治の失敗

まずビッグニュースです。タリフマン敗訴です*1。民主党系知事などが原告となって国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠法として議会の承認なしに発出した相互関税を、法の趣旨を逸脱し関税に関する大統領権限を否定するものとする最高裁判決が出されました。自動車や鉄鋼など分野別関税は別の根拠法なので当面続きますし、とりあえず1974年通商法を根拠とする10%関税を全ての国に150日間課す代替策を発動するとしています。こちらは15%以内で150日間という制限があり、延長は議会の承認が必要となります。早速市場は反応し、企業負担減期待から株高になる一方、財政問題から国債は売られ債券安になりました*2。

とすると日本をはじめ二国間交渉が何だったんだってことになります。ラトちゃんアカちゃんの関税交渉で決まった5,500億ドルの対米投資*3の360億ドル相当の1号案件が承認されましたが*4、激戦州のオハイオのガス火力発電、テキサスの石油積出港、半導体製造に欠かせない人工ダイヤモンドの3件です。日本は20社程度の企業が参加するということですが、中間選挙を睨み、且つ関税を巡る最高裁判決が出る前の滑り込みで、トランプ政権の焦りを滲ませます。ガス火力はAIデータセンター向けで電力需要が上がって料金が急上昇していることから有望とされ、テキサスの石油積出港はアメリカのシェールオイルの欧州向け輸出でロシア産石油の代替とする狙いで、人工ダイヤモンドは中国産が世界を席巻している中での戦略物資ということで政治臭プンプンの案件です。当然リスクはあります。

てことで日本に限らず世界中の国がアメリカを怒らせないように気を遣う中で、中国やロシアはアッケラカンとアメリカに異を唱えて軟化させてます。台湾問題を巡る高市発言もアメリカはネタにして中国からレアアース輸入規制延期を取り付け、アメリカ産大豆の輸入規制も撤廃してもらってホクホクなのがトランプ政権の本音で、中国はアメリカがレアアースの売り先になるから日本向け輸出を絞っても困らない状況です。中国もそこを見越して日本にだけ厳しい態度を取っています*5。その一方でオーストラリアやカナダのレアアース開発に加えて日本の南鳥島周辺海底泥精製のようにコスト的に厳しい資源開発もやらなきゃならない訳で、日本だけがリスクを負う不都合ですが、言ってみればアメリカの都合を日本に押し付けるロビー活動のレントシーキングということができて、国民そっちのけの利益誘導ですが高市政権は前のめりです。ヤレヤレ。

てことで市場と政府の関係がやや複雑怪奇になってます。近代経済学の核心にある功利主義で資源配分を市場に委ねるのが最も効率的な分配方法であるという前提をケインズが覆して市場は必ずしも万能とは言えず、政府による介入が必要な場合があるということを明らかにしました。これ単なる不況期の財政出動だけの話ではなく、そもそも市場は不完全で売り手と買い手の間には情報の非対称性があるから、往々にして売り手有利による格差の拡大などで市場が必ずしも効率的とは言えないということを含意しています。故に積極財政で不況脱出は可能だけど経済成長に資することはないとしており、経済成長は企業家のアニマルスピリットによるもので、市場が機能するためには起業家のアニマルスピリットを引き出す公正なルールの整備が必要になります。

しかし日本もそうですが、アメリカでも企業に雇われたロビイストによるロビー活動で恣意的に規制が課されたり緩和されたりして市場をかく乱しています。その結果アメリカで顕著なのがAIで世界をリードしながら自動車も船も作れないし兵器も輸入資源への依存度が高まっている状況があります。これ日本も例えばコロナ禍で露呈したマスクや医薬品の輸入依存問題*6や令和のコメ騒動*7で主食のコメすら自給がままならない現実を見せました。だからアメリカは世界中の国にレントシーキングを仕掛けている訳で、特に同盟国が被害を受ける構図となります。但し企業による政府へのロビーではなく政府間の力関係によるロビーですから敵対国よりも同盟国の方が被害が大きくなる訳です。政府間のロビーはつまるところ重商主義による近隣窮乏化政策ですから、従米言いなりでは日本はますます貧乏になります。

アメリカでも資本はAI開発に熱狂する一方で消費者が求める安くて壊れないクルマは造れないとか、それどころかアメリカンドリームの象徴とも言える持ち家も不動産価格の上昇で手に入らないし、病気になればバカ高い医療費で破産するしという状況ですし、日本でもローカル鉄道の存続危機とかドライバー不足によるバス減便廃止が大都市圏にも波及する事態です。将に国民生活に密着したところで持続可能性に疑義が生じる事態です。そんな中で低解像度社会*8の続報です*9。やや長い引用をします。J

R東によると、切れたのは茨城県の古河駅と栃木県の野木駅間の架線。2023年4月に架線を検査した際に摩耗を確認したため張り替えを計画した。同じ図面を使った打ち合わせをしなかったことなどから社員間で認識の違いが生じて別の架線を張り替えたため、今回切れた架線はそのままになっていた。
また、専用車両にカメラやレーダーを搭載して架線の異常を検知するシステムを24年4月から導入し、画像上やデータ上は摩耗していることは判別できたが、データを確認する社員が見落としていた。
23年4月に架線の損傷を確認して工事手配したけど別の架線を交換してたとか、24年4月から導入した検査システムでデータ上は確認できたが社員が見落としていたとか、何だか組織として終わっているというか、検査を含めてシステムも新しくなっているのに確認ミスが起きたということで、職人的な属人的スキルで支えられてきたものが継承されていない現実を露呈しました。

それだけではなく赤字3Kの掟?*10で取り上げたはやぶさ/こまちの走行中分離事故にも続報があります*11。これ当初はこまちE6系の連結開放テコスイッチに製造時に出る金属片が張り付いて短絡した誤作動と説明されていたものが、その後分離事故が繰り返され謎の誘導電流による誤作動と訂正されたものの、E6系のテコスイッチが頻繁に不規則に動いていた証拠が見つかって、国の事故調査委員会で原因究明が滞っているという報道です。疑われるのがJR東日本が提示したデータの信ぴょう性です。つまり事故調への非協力的対応の可能性を疑わせます。JR東日本の企業組織としてのガバナンスの問題を示しているようで不気味です。

国鉄分割民営化の是非は未だに蒸し返されますが、民営化自体は終わった話で今さら元には戻せませんが、東海道新幹線の好調や整備新幹線の開業による国内線航空への圧迫や立地条件の違いによるJR各社の格差拡大など、お世辞にも市場の失敗を政府がフォローできているとは言い難い現実があります。そして心配なのがこうした不都合が中国のせい、インバウンド外国人のせい、あるいは少子高齢化による世代間対立のせいと他責的に対立が煽られている点です。1930年代の大恐慌が経済の国際化を阻みブロック化して各国が競って重商主義的になって近隣窮乏化が進んだ結果の第二次大戦というプロセスをトレースしている点です。問題は政治なのに政治の失敗が戦争に至るのが歴史の教訓です。民主主義か独裁主義かという二項対立はクソの役にも立たない論点です。

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Saturday, February 14, 2026

低解像度社会

怒涛のような衆院選が終わり、有権者の選択は社会保障より戦争でした*1。与党の高市首相を前面に出したエモーショナルな広告を新聞、テレビ、ラジオ、ネットとあらゆるメディアに慮出させて有権者を引き付けたことと、逆に中道革新連合の立憲出身のベテランに対するネガティブキャンペーン動画の拡散もあり、まさかの落選で死屍累々。比例に回った公明出身議員は逆に全員当選と明暗で野田、斎藤両共同代表が辞任し、立憲出身の階猛氏と小川純也氏の2人が代表選に出馬して小川氏が勝利しました*2。

個人的には金融出身の階氏に期待しましたが、いずれ劣らぬ論客で、またベテランの落選で幹部が一気に若返った訳で、茨の道とは思いますが、仕切り直して捲土重来を期待したいと思います。野合とか選挙互助会とか言われますが、与党を勝たせ過ぎればやりたい放題になる以上、野党に大きな塊を作って対峙して政権交代の受け皿を作ることが大事なので頑張ってほしいところです。というか、高市首相があれだけ失言連発して体制派と見られる日経新聞まで批判していた財政拡大路線をきちんと批判してオルタナティブを示すチャンスなのに、他党の消費税減税議論の土俵に乗ってしまいました*3。野田代表のこの判断が減税ポピュリズムの土俵に乗る形で政権批判を鈍らせた戦略的失敗です。代表辞任は当然です。そして与党圧勝で政治が安定すれば減税議論が収まると判断した市場は寧ろ好感して円が反転しています*4。また選挙戦で語られない防衛予算増も取り上げています*5。しかも実態としてゴマカシを重ねた防衛費を使い残しています*6。ツッコミどころ満載の高市政権なのに立民旧幹部は恥を知れ!

同時にそうした幹部に意見するでもなく大量落選した立憲出身議員の恨み節も「今さら言うなよ」って話です。現実は厳しいけど逆に地方組織が貧弱だった立憲民主党と地方組織が強靭な公明党の合流は相互補完の要素もあり、こうした立憲が抱えていた組織統治の弱点を補って幹部の間違った判断を抑止する可能性もあります。てことで個人的にはいろいろ不満はあったけどTACOプロデューサー時点*7で中道以外の選択肢は事実上ないと考えていました。とりあえずは大量得票した与党の暴走を止めるミッションを果たしつつ頑張っていただきたいところです。

TACOエントリー絡みですがJR東日本のやらかしが止まりません。投票日夜の宇都宮線でまたしても架線事故です*8。古河~野木間で架線切断による停電で列車2本が駅間停止し、復旧は遅れ翌日午後4時まで運休となりました。400mに渡って列車が走りながら架線を100カ所以上破損させたそうで、さぞかし派手なスパークが飛んだことでしょう。続報では架線の摩耗で太さが半分以下になっていたそうで*9、昨年9月時点の検査では要検査水準だったと見られ、単なる見落としなのか故意のサボタージュなのかなどはこれからの調査を待つことになります。いずれにしても経営陣の現場に対する解像度の低さはどうしたものか?3日に国交省から運行トラブルの原因究明指示を受けた矢先でした*10。当然企業統治問題として市場も反応しました*11。民間では統治の不信が市場に反映される現実があります。政治の世界も解像度を上げないとまずいよ。

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Saturday, January 31, 2026

日米TACOのプロデューサー

疑惑の停電事故*1がまたしても起きました*2。何故か金曜日に起きるのは偶然か?半年前のエントリーでも山手線の架線事故を取り上げて*3、電気系統のトラブルが多いことを指摘しましたが、今回の断線の直接の原因は現時点で未発表です。しかし作業上の所謂ケアレスミスが続いている点は重大です。しかも首都圏JRは元々大電流の弱点を抱えていて10連から15連の複数列車に給電するから1変電所で6,000A~10,000Aという大電流故に、地絡などの異常電流の検知がしにくいという問題を抱えています。そんな中での作業ミス連発は大問題です。

という訳で本題はTACOの方なんですが^_^;、TACO踊りが週中から週末に起こります*4。かつて英ポンドの空売りを仕掛けてイングランド銀行を屈服させた伝説の為替トレーダーの過去を持つベッセント財務長官が何故か日銀を救った形ですが、裏には日本の財政悪化懸念でアメリカ国債が売られて長期金利が上昇する地合いにブチ切れて、どうやらダボス会議で片山財務相に怒りをぶつけた模様です。盛んに円安けん制の口先介入をしていたものの市場は止まらず、一方で与野党で減税を競い合うクレージーな総選挙やってて危機感まるでなし。ということで日本ではなくアメリカの通貨当局がレートチェックに動いて協調介入を演出することで、市場の動きを止めたものです。為替ディーラーの裏をかくベッセント氏の作戦です*5。それを裏付ける為替報告書が出されています*6。日銀に利上げを求めても政府財政がガバガバでは日銀は動けないことを認識した訳です。

てことでその後の動きも興味深いんですが、一時的にドルが安値をつけますが*6、これが後述のFRB人事の伏線だった可能性があります。日本の財務省も結果的に介入はなかったことを発表します*7。日米当局の動きはベッセント氏のシナリオ通りに動いた訳です。そして片山財務相は選挙を睨んで国内向けに負け惜しみの弁明をします*8。釈尊の掌に上で踊る孫悟空もかくや。更にFRB新議長人事がトランプ大統領から発表されて線が繋がりました*9。結果的には4人の候補の中では一番のタカ派で過去に量的緩和御批判したことのあるウォーシュ氏を指名してドルの信認は守られたと好感した市場は反応します*10。金融の世界では週末に何かが起きるのは定番ですが、レートチェックによる一時的なドル安はトランプ氏にこの人事を呑ませるには好都合だったでしょう。計算づくだとすればトランプ政権はベッセント氏がプロデュースしていると見ることも可能です。思い起こせば理不尽な相互関税を止めたのもベッセント氏でした*11。デタラメに見えてしぶといトランプ政権下のアメリカ経済恐るべし。

それにひきかえアメリカから離れられずに貧乏くじ引きまくりのわーくには;_;*12。レートチェック相場に翻弄された今週の出来事を無かったことのように勇ましい発言。台湾有事発言*13と変わりません。さらに無知丸出しの問題発言が続きます*14。外為特会の元金は政府短期証券を発行して民間から借り入れたもので、毎年度決算して返済されます。上振れ分の剰余金の国庫編入は認められてますが、基本ドル建てでアメリカ国債を中心に運用されていて、利回り分を売ると為替介入と見做される可能性があるから売らずに再投資されているのが現実です。つまり売るに売れないものが増えたからって国民の腹は満たせません。こうした基本的な事を分かっていないのは結局官僚のレクチャーを聞かずに勝手に解釈するからで、文字通り日本版TACO(Takaichi alwayus Challenjes Officials=高市はいつも官僚に挑戦する(但しすぐ日和る))ということですね。

一方でこんなニュースもあります*15。秋の臨時国会で13兆円もの大型補正予算を成立させて税収の上振れ分の「へそくり」をほとんど大放出した結果、新年度予算の想定金利2%を越える長期金利の上昇で利払い費が足りなくなる異常事態が現実味を帯びてきています。はっきり言いますが、与党が勝利しても問題は解決せず、予算の年度内成立が遅れれば状況は悪化して、修正を余儀なくされることになります。そうなれば各党が減税を競い合っても実現可能性は無いってことです。

以下余談。消費減税で競う各党ですが、財源は自民党が企業向け租特法減税の見直しなど、中道が仮称ジャパンファンドのソブリンウェルスファンド(SWF)で政府基金余剰金運用益で5兆円、他党は法人税や富裕層所得税増税や社会保障給付見直しなどで、具体的に金額まで示しているのは中道改革連合のみですが、一方で食品消費税ゼロに関しては経済効果を疑うレポートもあります*16。つまり食品消費税ゼロで2.1%のインフレ抑制効果は認められるけど効果は1年のみということ。可処分所得が増えれば食品以外の需要を喚起してインフレになるということですね。中道のジャパンファンドの5兆円を恒久減税財源にするより社会保障給付の維持に使うなど議論の余地があります。加えてSWFはグリーランド問題でデンマークのSWFがトランプの暴走を止めたように外交のカードにもなります。さて誰に投票したもんか?

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Sunday, January 25, 2026

日米共演の市場TACO踊り

新年から続くウヨ曲折*1が欧州へ飛び火しました。グリーンランドを巡るトランプ発言が発端です*2。早速デンマーク政府は拒否します*3。EUも呼応して交渉拒否を表明し、軍隊派遣も示唆します*4。世論調査でも住民は反対姿勢です*5。そしてグリーランド自治政府で議会選挙が行われ*6、ニセ情報に翻弄されながら*7、デンマーク重視の民主派と段階的独立派の連立の形で新政権が発足します*8。そしてニールセン首相はアメリカの領有を拒否します*9。グリーンランド自治政府は以前から経済的自立を前提としたデンマーク王国からの独立を模索してますが、NATOの最大拠点で漁業主体という産業構成から難しく、デンマークの寛容な統治姿勢でEUの漁業規制が及ばないように同じく自治領のフェロー諸島と共にEU加盟エリアから敢えて外されています。BrexitのイギリスでスコットランドがEU加盟を希望したリアルな逆バージョンと喩えられます。

別の観点から言えば同じく基地の島の沖縄とも共通しており、住民は基地とデンマーク政府という二重の統治の下にあるわけで、こうして引き寄せて見れば複雑な立地の理解が可能です。まあ沖縄住民に比べれば自治権が強く寛容で包摂的なデンマーク政府の方が遥かにマシですが。トランプ氏の意図はいろいろ言われますが、温暖化による北極海航路の戦略性の高まりで、このままでは中国とロシアに恩恵が偏ることや、豊富なグリーランドの地下資源開発の思惑もあるでしょう。それ以上にウクライナ問題で厄介な局面にあるNATO解体も視野に入っている可能性があります*10。

てことでロシアは歓迎してます*11。クリミアを引き合いにアメリカに「理解」を示した訳で、NATO弱体化でウクライナ停戦協議も優位に立てます。当然ながら欧州は反発しますがアメリカは制裁関税で脅しをかけますが、これが思わぬ市場の反応を呼び込みます*12。AI関連中心に好調な株式市場が暴落してトリプル安となり、TACO発動*13で市場がストップをかけた形です。流石にアメリカも軌道修正を迫られ、軍事介入を否定して*14制裁関税も取り下げ*15、EUも報復関税を取り下げました*16。早速市場は反応し、まず長期債が反発し*17、株式市場も反発して*18TACOトレードが完成します。市場がTACO踊りした訳です^_^;。

転機はダボス会議でのデンマーク年金基金の米国債売却発言に端を発する米国債売りでした*19。ドルの信認低下はドル覇権の棄損に繋がるので脅しに屈した訳です。その一方でアメリカのベッセント財務長官は日本に注文をつけます*20。実はほぼアメリカ市場と連動した形で日本市場もトリプル安に見舞われました*21。債券安による保有債券評価損から銀行や生保が売られた結果で、単純にグリーンランドを巡る地政学リスクというより日本の国内事情によります。それがアメリカにも波及したという発言は言いがかりにも聞こえますが、金融マン出身のベッセント氏から見れば日本の財政破綻が世界経済に波及するリスクに神経質になっているという本音を見せました。

実際債券市場の見方は厳しいものがあります*22。要約すると人口減少による労働力投入量の減少でGDPの延びが抑えられる中での債務拡大は信用リスクを増す結果、円安債券安ということです。こうした日本の危うい状況をアメリカのみならず世界が意識し始めたってことです。高市政権の財政運営のまずさが意識されているということです。しかも解散総選挙に打って出た現状で、消費税減税で野党と足並みを揃えていることもネガティブな評価になっています。

既に一部では高市首相を日本版TACOとさえ言われています*23。総裁選当時は高市トレードを期待する意味があったのですが、そのココロは「Takaichi Always Charenges Officials = 高市はいつも官僚に挑戦する」ということで、規制緩和が進んで日本経済が復活する希望が語られていましたが、実際は官僚の言うことを聞かず午前3時の答弁書作成の甲斐もなく失言かまして*24撤回はしないものの渋々従来の政府見解踏襲に至ります*25。つまり挑戦に期待してもすぐ日和るという意味でアメリカのTACOと共振している訳です^_^;。

てことで長くなりましたので、取ってつけた鉄ネタです^_^;。疑惑の停電事故*26の続報です。JR東日本は16日未明の停電事故の原因を感電防止の安全装置である検電接地装置を切り忘れた状態で通電を開始したことによるトラブルということですが、気になるのが昨年12月に東北線白岡駅の夜間工事で同じミスで停電事故を起こしている点です。同じミスyが繰り返されるというのは単純な現場ミスで済ませて良い話ではなく、ヒューマンファクターの視点からミスの発生を防ぐことや万が一ミスしても大事に至らないといったシステム的な見直しが必要です。今後労働力減少による人手不足が見込まれる中、ミスを防ぐシステム的な対応は避けられません。

JR東労組が健在だった時代にはヒューマンファクター重視でATS-P設置前倒しなどを労使協議を通じて進めてきました。労働組合は賃上げ要求だけではなく、鉄道など運輸業では死傷事故を起こした場合の当該組合員の業務上過失致死傷による刑事訴追に対する裁判支援や家族保護などの役割もあります。故に事故が起こらないようにする動機がある訳ですね。これが会社の安全管理にもプラスになる訳ですが、そうした労使間の良い意味での緊張関係が失われていることを危惧します。本当に大丈夫か?

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Saturday, January 17, 2026

疑惑の停電事故

前エントリー*1で取り上げた読売が報じた通常国会冒頭解散がリアルに動き始めました*2。予算審議を棚上げしての解散総選挙に大義はあるのか?はメディアで取り上げられてますが、敢えて言えば公明党の連立離脱と日本維新の会の連立合流という重大な変化があったんですから、その信を問うことは大義になり得ます。但しそれなら昨年の臨時国会で何故解散しなかったか?遅くとも補正予算成立後に信を問わなきゃおかしい訳です。

そして高校無償化や基礎控除見直しも予算化されていないだけではなく裏付け法がない状況で宙に浮いてます*3。つまり仮に大急ぎで予算を通せたとしても根拠法が通らなければ予算そのものが宙に浮く訳で、これじゃ省庁も自治体も執行に動けない。加えて5年ごとの特例国際法の改定*4もあり、日本版フィスカルクリフ(財政の崖)問題でアメリカのような政府終了もあり得ます。敢えて政治空白を作るのは高市氏が党内基盤が弱いからですから、過半数を取って勝利すれば与党内を抑えられるってことですね。だから誰にも相談せずに決めて与党内からも違和感が出ています。

しかも意表を突いたつもりの解散総選挙ですが、立憲民主党と公明党が合流して新党を作るということで、ぶっちゃけ自民党を助けていた公明票が野党に流れる訳で、過半数獲得は困難です*5。しかも国民民主党は与党入りを連合に止められていて当てにできないですし。また高市政権発足の動きに連動して水面下で協議はされていて、ぶっちゃけ高市じゃダメだってことです*6。そして両党の党内手続きを経て新党結成が決まりました*7。「党名が微妙だ」という声もあるようですが、限られた時間の中で目の前の総選挙を睨んで立ち位置を明確にしたという意味で悪くない命名です。

中道というのは右でも左でもないという意味ですが、国民の中では圧倒的なボリュームゾーンであり、所謂無党派層と呼ばれる人々が該当し、従来自民公明の与党も票を得ていたから与党でいられた訳ですが、自民党の裏金問題と旧統一教会問題で信用を失ったから石破政権下の選挙でも負けたし、高市政権で右派色タカ派色を強く打ち出した結果、公明党が離脱した訳で、実は有権者の中の最大のボリュームゾーンの変化で、そこへリーチをかけたということです。結果がどう出るかはわかりませんが、対立を煽って他党との違いを訴求する流れで多党化したと言われる中で、最大多数の最大幸福を模索するという民主主義の原点を示したという意味で興味深い動きです。同様の動きはドイツのキリスト教民主同盟と社会民主党の連立などでも見られますが、極端に左右に振れないで目の前の課題に取り組むなら歓迎すべき動きです。

例えば食品消費税ゼロの基本政策ですが、私は以前から消費減税に懐疑的な立場ですが、100年殺しのアベノミクスvoL.2*8で指摘したように、価格弾力性が低いために一般物価以上に値上がりしていて国民生活を圧迫する食品消費税のゼロ減税は8%まるッと下がらないまでも国民生活の支援になる要素はあるので、期間限定で財源を示して行うのであれば反対しません。逆に新NISAで非課税枠を作った金融所得課税は強化しても良いですし、所得税の累進性を高めて高額所得者の課税強化の手もあります。無党派層が望むのもこうしたことです。

そしてあとは賃上げですが、人手不足で賃金は今後も上がるでしょうけど、問題はそもそも生産年齢人口の減少で働き手が減っている以上、求人難から賃上げは今後も続くでしょうけど、それ以上にインフレが進めば本当の年収の壁*9は越えられません。そして一方では企業による省力化投資も進むと思いますが、懸念されるのが賃金抑制による労働力の劣化です。そしてそれを疑わせる事故がありました*10。

JR東日本が進める羽田空港アクセス線の東山手ルートで、休止中の東海道貨物線田町~東京貨物ターミナル間を復活の上東海道線に合流させる工事で、合流場所の既存線乗り越しのスペースを空けるために田町駅の折返し線を撤去して線路移設する夜間工事で、DC1,500vの架線の送電を停止して作業員の安全確保する訳ですが、間違って送電しても感電事故をしないために検電接地装置という安全装置が使われます。これは架線にフックで吊り下げて下端をレールに接触させて、万が一誤送電しても地絡してブレーカーが落ちるから安全ということですが、工事終了後この検電接地装置を切らずに指令に通知して送電開始した結果、地絡でいきJなり大電流が流れて変電所の機器などが損傷したものということで、マニュアルに反したミスがあったものです。所謂ヒューマンエラーですが、工事自体は外注されていて必ずしも熟練した作業員とは限らず、当然施工管理の責任はJR東日本にある訳です。

似たような事故は2年前に東北新幹線の埼京線並走区間でも起きていますが*11、このときもやはりマニュアルに反したミスがあって、作業員を感電させるという深刻な事故でした。同エントリーでも指摘しましたが、あからさまな組合潰しをしたJR東日本で昨今トラブルが絶えないのも確かです。そして外注工事は今後も作業員の確保が難しく、JR東日本も手掛ける都市再開発も滞っている中で*12、今後も作業員確保がネックとなることは確実です。これ整備新幹線や中央リニアの工事の遅れにも当然影響します。背景に人手不足で作業員集めが困難になった結果、下請けの所謂サブコンが引き受けてくれないから元請けのゼネコンと力関係が逆転してしまい、同様に元請けとなるJRも作業員確保が困難になる訳です。

てことで建設現場の省力化が必要ですが、ノウハウのあるサブコンに省力化投資の余力は乏しく、ゼネコンはサブコンの面倒を見る余裕を失い、悪循環になっている訳です。その一方で地価上昇と低金利で都市再開発は活発だし、五輪や万博などのイベント対応で人手が取られ、毎年のように起きる災害の復旧工事や老朽インフラの補修もあるとなると、そりゃ工事は進みません。加えて万博パビリオン工事を巡る代金未払い問題のようなトラブルが起きて、生命線のサブコンを痛めつけるようなことをしている訳です。大阪関西万博を大成功という維新の不誠実さに腹が立ちます。

一方でJR東日本が進める首都圏路線のワンマン化は進んでいて、既に常磐緩行線、南武線、相模線などで実施されてますが、3月改正で横浜線及び京浜東北・根岸線の東神奈川~大船間の横浜線車両でのワンマン運転を開始します。更に京浜東北線、山手線、中央総武緩行線へと拡大する予定です。しかしAIが壊す社畜エスカレーター*13で取り上げた南武線ワンマン化後の混雑時の遅延問題ですが、ホームドアの連動システムを見直して秒単位で時間を切り詰めて遅延防止を図っています。乗客の多い混雑路線でのワンマン化は未知の問題があります。

その時に懸念されるのが16日のトラブルによる長時間運休で、京浜東北線の2列車が駅間で停止して線路上を乗客誘導したような事例で、ワンマン運転の場合の乗務員の負担が大きくなりますし、乗客の疲弊も心配されます。更にJR東日本はドライバレス自動運転まで視野に入れており、その場合動力車運転免許非保持の保安要員が運転士並みの責任を負うということにもなりかねません。国家資格の専門職が要らないから人件費を削れるというのは短絡的です。現場社員を守るまともな組合がない状況で、果たして今後も安全を維持できるのかどうか?

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Sunday, December 21, 2025

熊くまクマ

鹿*1じゃなかった今年の漢字*2。クマ被害とパンダ返還が理由という何とも評価しずらい理由の並びですが、鹿のその後を先に*3。オフレコ報道に対する批判もありますが、内容次第で報道すべきとしたメディアの判断に問題はなく、寧ろNPT体制を理解できていない官邸スタッフがいることが問題でアメリカからもクギを刺されてます*4。

で本題ですが、クマ関連の過去エントリーは2件あります。1つは奈良県上北山村の東の川簡易郵便局*5。故人のレールウエイライター氏が広めた旅行貯金というのがありまして、郵便貯金通帳に旅行先で入金して局名の入ったスタンプを捺してもらうというもので、ダム建設関連で移転後残った8世帯の為の簡易郵便局が、当該世帯も移転して無人集落となった後も存続し、クマやイノシシの出没するところで平日5日間の交番勤務でイノチガケで維持されていたというもの。流石に2005年4月1日に廃止されました。

上北山村はかつて林業が支えでしたが、林業の衰退で観光業が主要産業となっていて、無人地帯の簡易局も簡単に廃止できなかった事情はあるにせよ、過疎地の過酷さを示します。そんな上北山村のアクセスはほぼ国道169号線に限られ、かつては奈良交通熊野線が担っていた公共交通は、今は大淀町・吉野町・川上村・上北山村・下北山村の5町村を結ぶ南部地域連携コミュニティバス(R169ゆうゆうバス)が奈良交通が受託して福神駅(近鉄吉野線:大淀町)~下桑原(下北山村)間を1日1往復でほぼ日帰り不可能と観光立地も劣悪です。大都市圏でも廃止減便が続くバスの過疎地の過酷な現実です。

そんな紀伊半島は面積9,900㎞^2でほとんどが森林ですが、林業が盛んだったことからスギやヒノキなど針葉樹の人工林が多く、クマの生息に適したコナラなどの広葉樹林は僅かです。故にツキノワグマは絶滅危惧種として保護されていて400頭を下回らないことが基準とされていますが、推定個体数が増えて管理にシフトすることが決まりました*5。紀伊半島全域で推定個体数467頭ということで和歌山県と奈良県で保護政策を見直します。上北山村は面積276.22km^2に2025年11月1日現在推定人口376人という過疎地ですが、クマの個体数密度はさらに低い訳で、そもそも遭遇機会は低いものの、被害の酷さは尋常ではありません。童謡の森のくまさんは「お嬢さんお逃げなさい」と促して生息域の外へ誘導する優しさがありますが、現実の猛獣とはエリア分けが必要です。

クマから見れば人間が勝手に山に入って食料の乏しい針葉樹の人工林で林業を営んだ結果、生息域が狭められたということでもありますが、紀伊半島以外でも主に近世の新田開発で平地の少ない日本では森林との境界域の棚田などが開墾され、生産性の低さを補うために山に入り、燃料の薪や肥料の落ち葉、キノコや山菜の採取などが行われて所謂里山を形成することで、クマの生息域は圧迫される一方、ヒトとクマの遭遇もあり、自衛の意味もあって狩猟も行われるようになります。クマの狩猟は鉄砲伝来以降の話ですが、それがクマのヒトへの警戒心をもたらして緩衝地帯を形成する訳です。それが過疎化で耕作放棄地が増えた結果、棚田は樹木が生えて森になり、ヒトも入らないから結果的に生息域を拡大している訳です。故に個体数密度が低く繁殖力の弱いクマでさえ個体数が増える訳です。ヒトとクマの共進化の歴史です。しかも気候変動による気温上昇で冬眠しないクマが現れ、食料が手に入る都市部へ下りる機会も増えます*6。

岩手県盛岡市のホームセンターDCM盛南店ではクマ対策マニュアルがあって、店舗スタッフがそれに従った結果ヒトの被害はありませんでした。そして過去エントリーの2件目でそんなマニュアルがある新幹線駅を取り上げました*7。長野新幹線として開業した安中榛名駅は当時人里離れた山の中でクマ出没に悩まされ、駅員と乗客の安全を図るためのマニュアルが用意され、駅員は指令に通知して列車通過扱いにして駅を閉鎖し、構内のヒトを守るというものでした。クマの生息域に新幹線駅作っちゃったってことですが、そんな立地でも新幹線通勤を想定した宅地造成をして売り出したものの売れず、2区画合筆して農園付き別荘としてやっと売れたという黒歴史があり、結果的にクマの生息域を侵食しました。

紀伊半島など西日本では針葉樹の人工林が多く、元々個体数が少ない上に紀伊半島のように絶滅危惧種として個体数の把握が行われていた一方、東日本はコナラなどの広葉樹林が多く生態系の多様性が維持されていたこともあり、クマの個体数把握は行われていません。故に生息域の拡大で都市部にも出現するようになった訳です。ヒトとクマの共進化も東日本では異なった展開です。故にハンターは趣味で猟銃免許を取得した一般人でクマ相手だと反撃のリスクもあり、猟友会頼みの対策では追い付かなくなっているという風に事情が異なります。秋田や岩手のクマ被害はこうして起きている訳で、地域に応じた対策が必要です。失われた過疎地の里山の復活は難しいですが、例えば境界域の樹木を伐採してソーラーパネルを設置するのも一法です。さらにその電源で地場ビジネスを起こせればヒトが住む緩衝地帯になり得ます*8。ちなみに秋田新幹線こまちもクマ原因の輸送障害が複数回起きています*9。

ということ北海道に話を移すと、こちらにはより大型のヒグマが生息していて生態系も異なりますし、また被害も多岐に亘ります。そんな中で鉄道被害も深刻です*10。シカとの接触と異なり、クマの場合外へ出て排除するのは危険なので、指令を通じて救援が来るまで待機せざるを得ないということで、長時間の運休を余儀なくされます。鉄道貨物の依存度が高い北海道故に深刻です。地域によってクマ対策も一律にはいかない複雑な問題ってことです。政府も外交で揉めてる場合じゃないぞ!

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Sunday, November 16, 2025

鹿の敵討ち

高市首相が国会答弁でやらかしました*1。国際問題化してます*2。「能力のない頑張り屋はただただ迷惑*3」という予想が残念ながら当たりました。問題は歴代政権のあいまい戦略を無視して手の内を晒したこと。台湾有事への自衛隊の対応は公然の秘密であってもとぼけてれば相手が勝手に疑心暗鬼になる心理戦こそ抑止力なのに、よりによって国会答弁で、しかも質問通告に沿って官僚が無難な答弁書を用意しながら、無視して勝手に発言した結果、秘密が取れて公然になった訳です^_^;。

スパイ防止法の必要性を主張しながらの体たらく。元々国家公務員法や地方公務員法で守秘義務違反は刑事犯罪と定義され、トクリュウへの捜査情報漏洩で警視庁警部補が逮捕されてます*4。国家公務員の場合はさらに特定秘密保護法もあり、民間人もセキュリティクリアランス法の指定を受ければ同様です。それに加えて屋上屋を架す立法事実が存在するのでしょうか?特別公務員の議員や首長が外国のカルト宗教に便宜を図るエージェント行為、所謂壺議員を放置していることから、法律の不備より刑事司法の不作為の問題では?それよりコメ安くしてくれ!

中国の姿勢も今回は強硬ですが、幾つかか理由が考えられます。10月30日に韓国で行われた米中首脳会談で合意した関税と対抗措置の延期です*5。とりあえず米中の対立が一時休戦となった訳ですが、先に仕掛けたアメリカに対してひるまずレアアース輸出規制や米国産大豆輸入制限で対抗した結果、アメリカの方が音を上げてクリンチに逃れたのが実態です。つまりアメリカを屈服させた中国の外交的勝利ということになりますが、副産物として日本の存在感は隅に押しやられた訳です。その自信が日本への強硬姿勢をもたらしたと言えます。

加えて四中全会で党幹部の欠席者多数という事態があります*6。反腐敗運動で処分されたり拘束されたりした幹部多数で、ほとんどが習近平体制で登用された幹部ということで、イエスマンで固めた独裁体制の綻びを示します。泣いて馬謖を切った結果、反主流派のウエートが高まり、習近平総書記に逆風が見られました。それが戦狼外交へのシフトとなって現れ、日本叩きで反主流派のガス抜きを狙ったと考えられます。そして日本への渡航自粛の呼びかけとなったと考えられます。

但しあくまでも渡航禁止ではなく自粛要請ということで、実質的にどの程度の影響が出るかは何とも言えないところ。厳しい態度を見せつつ中国も落としどころを探っているとは言えます。これで中国人観光客が減れば京都などの観光公害も緩和されますし、奈良の鹿虐待も減るかもwww。まさか狙いは鹿の敵討ち?へずまりゅうレベルの愚か者だわ*8。

最後はAIのフーガ*9のフーガ(輪唱)wwwww。田園都市線梶が谷駅事故で国交省が全国の鉄道事業者に連動装置の点検を指示した結果、10事業者15駅で見つかりました。人間のやることには見落としが付きもの。ヒューマンエラーを前提とした対策が必要です。高市発言もヒューマンエラー?

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Saturday, November 08, 2025

AIのフーガ

米株式市場を追いかけて縋りつくような日本株式ですが、今週興味深い動きが見られました。前エントリー*1で株価の上昇トレンドを取り上げましたが、5日に大幅に下げて終値は5万円を割りました*2。AIバブル崩壊の懸念からか一部ファンドがエヌビディアなどテック株に大量の空売りを仕掛けて値下がりした前日のNY市場の流れから日本市場でもAI関連の売りが出て下げたもので、ソフトバンクグループのような大型株が下げた結果ですが、面白いことに翌6日には相場が5万円台に戻ります*3。AI関連は軟調ですが、内需株その他好業績企業が物色された結果ですが、ザックリ言えば日本株に流入した資金は引き続き日本に留まっているということになります。

勿論これは円安インフレによるもので素直に喜べないのですが、傾向として輸出その他で外需依存が強く関税の影響で利益を減らす製造業よりも内需関連のサービス業が業績を伸ばしています*4。まあ万博の影響もあると思いますが。それでも資本効率が改善しない日本企業の何が問題なのかということで、面白いコラムを見つけました*5。自己資本利益率(ROE)は自己資本で純利益を割った比率ですが、業績好調で利益は増えても分母の自己資本が増えれば比率は改善しない訳で、特に海外法人の売上が大きい外需依存企業では利益の本社送金をせずに海外法人が内部留保していると、決算時に為替変動を反映した含み益含み損が連結決算で自己資本に算入される訳で、円安による含み益が分母を押し上げているとすれば、なるほどROEは改善しない訳です。しかも国内からの輸出分の関税も円安効果で負担が軽くなるから利益減も圧縮される訳です、つまり日本株は円安で押し上げられているということですね。円安が反転しインフレが収まらない限りこのトレンドは続きます。

その意味では高市政権の所信表明演説で積極財政を打ち出したことは、財政悪化で円安もインフレも止まらず、企業業績が良くてもそれが賃金に反映されない限り賃金がインフレに追いつかず、国民生活は窮乏化することになります。そしてアメリカではさらに気になる動きがあります。アメリカの政府閉鎖が続いて航空管制官が無給で働いているものの、このまま続ける訳にもいかず、連邦運輸省は管制官を休ませるために航空便の減便に踏み込みます*6。言ってみれば政府によるロックアウトのような状況で、当然航空券は入手困難になり出張やレジャーは自粛または片道レンタカーなどの自衛策となり国民生活に多大な影響が出ています。

そしてそのこと自体の経済的損失もさることながら、既に1ヵ月を越える政府閉鎖で予算執行が滞った結果、政府支出による通貨の流動性の低下に影響が出ていると見られることです。つまり日本とは逆に意図せざる歳出削減効果が働いてそれが金融市場の流動性を低下させている疑いがあるということです。暗号資産ビットコインの暴落がそれをよく表していますが、この流れから本当にAIバブル崩壊に至るシナリオもあり得ます。その場合は日本も無事でいられるかどうか。但し企業が外需依存をリスクと捉えて内需関連の投資が増えれば局面が変わる可能性はあります。但し高市政権下では逆方向の動きが気になります。

例えば経済安全保障重視で造船などの海外事業の支援ってのは結局造船能力を喪失したアメリカの艦船製造を支援するって話で外需依存なんですよね。海底ケーブル敷設なども日本のデジタル赤字を拡大させるだけならサービス収支悪化で円安になるだけだし、何より明らかに大砲とバターの大砲重視の姿勢は確実に国民生活を圧迫します*7。そして台湾有事への言及が寧ろ安全保障環境を悪化させる恐れもあります*8。台湾に関しては当事者である中国も台湾も現状維持を求めており、アメリカも動けない。加えて日米共に台湾を国家承認していないから集団的自衛権行使の対象にはならないし、国際法上は内戦となりそれに対する軍事介入は重大な主権侵害になります。つまり現状の法的枠組みでは動けないから歴代政権が曖昧にしてきたところへ踏み込んだ訳で、寧ろ事態を悪化させます。

ってことでいろいろ心配はありますが、鹿を指して馬と為す*9東急田園都市線梶が谷駅の事故で政府は鉄道各社にシステム点検を指示し*9、他社でも同じ問題がありました。JR西日本や阪急阪神HD、関東ではJR東日本と京急で見つかり、それぞれ対策を発表しています*10。システム設定のミスが見つかり、今までは事故に繋がったケースはないものの、新しいシステムを導入しても設定ミスの見落としは防げない訳で、東急の見習い運転士のささやかなミスが将来の事故の可能性を摘み取ったと見れば良かったということになります。天下国家を論じて大きな物語に酔うよりも、新しいものを確実に社会実装して役立てていくというこうしたことが、国民生活を豊かにするということは声を大にして言いたいところです。

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Saturday, October 11, 2025

鹿を指して馬と為す

自民党総裁選で高市総裁選出されました。

高市氏「馬車馬のように働いて働いて・・・・・・」
いやあんた馬車馬じゃなくて御者でしょ。臆病な馬車馬は視界に入る情報に過剰反応して立ち止まったり暴れたりするから、前しか見えないように遮眼角つけて御者の手綱の合図で進んだり止まったり向きを変えたりするもの。鹿虐待で掴んだ地位で*1馬になるって始皇帝没後の宦官超高の故事じゃあるまいし。あそうか御者は別にいるんだwwwwwwwwww*2。
高市「ワークライフバランス捨てる」*3
自民議員「いいぞいいぞ、働き方改革何するものぞ」
政府官僚「やめてくれ、議員のハッパで仕事増えてまうやないか」
自治体職員「コロナ給付金やマイナカードみたいに政府の無茶振り増えるやないか」
企業経営者「新リーダーえーこと言うなー」
社員「やめてくれ、ブラック企業に逆戻りじゃん」
無能なリーダーの頑張りはただただ迷惑です。

翌日夜、東急田園都市線梶が谷駅構内で衝突脱線事故が起こりました*4。

回送列車の見習い運転士「ありゃ、急に止まっちゃいました」
添乗の指導運転士「過走防止装置で停止したんだ、慌てず解除してゆっくり再力行しなさい」
上り渋谷駅各停運転士「ATC現示に従って運行していたら回送列車の進路支障を目視して非常制動かけたけど間に合わず衝突し防護無線を発報」
衝突
見習い運転士「防護無線受信して停止」
東京メトロ「ヤバい、復旧に時間がかかるぞ。鷺沼出庫できないと明日電車足らなくなるぞ」
鉄ちゃんたち「渋谷行きATCで何でとまれなかったん?」
恥ずかしながら当初下り副本線(2番線)から留置線に進入した回送列車が脱線して上り副本線(3番線)に進入する各停がぶつかったのかと思い、回送列車の急制動による荷重移動で輪重抜けしたのかと勘違いしてよほどの速度で留置線に侵入したのかと考えていました。実際は3番線から留置線への進入で速度超過があって装置解除して再力行していた時の衝突ということで、各停渋谷行きの防護無線が発砲してから回送列車が停止した結果、衝突のショックは緩和されていたかもしれません。死傷者が出なかったのは幸いです。またATCが作動しなかったことも勘違いを補強しました^_^;。
東急電鉄公式「10年前の連動装置改修の時に設定ミスがありました。全線の連動装置を緊急点検いたします」*5
東急電鉄公式「大井町線二子玉川駅構内1カ所、新横浜線新横浜駅行内2カ所で設定ミスが見つかりました。防護措置を講じた上で設定を改修します」*6
新横浜もヤバいけど区間運休で二子玉川折り返ししてた大井町線もヤバかった?おそらく軌道回路で制御する継電連動システムの応答速度改善で高密度運転のために電子連動へ改修して設定ミスしてしまったってことでしょう。

翌6日には高市政権発足を先取りして市場が動きました。高市トレードの始まりです。

外国人投資家「過去発言から積極財政派だから円安が進むぞ。割安な日本株は買い時だ。タカ派発言から防衛その他も買いだ」*7
国内投資家「値上がりは嬉しいけど続くかどうかわからんから適当に利益確定売りで益出ししとこう」
為替ディーラー「政治空白で為替介入も見込めず円安は当面続くぞ」*8
結局爆上がりした後の一進一退で株価は頭打ち感も米市場のAI相場を受けてソフトバンクグループの値上がりで終値最高値を更新しました*9。
日本国民「インフレで株価が上がってるだけでこっちには恩恵ないよな。寧ろ株の資産効果で消費が強まってインフレが酷くなるかも」
財務省「政治空白で政治の圧力は弱いけど、長期国債の売り先が見つからない」
実際長期金利は上がっています。ということは日銀その他の保有国債の含み損が増えていることでもあり、日銀の金融政策の選択肢を狭めます。インフレ基調は当面続く訳です。

そして輪をかけた政治空白が広がっています。

公明党「あんたらの裏金問題のトバッチリでうちの候補者も落選してもうたやないか。せめて企業団体献金を規制せいや!」*10
自民党「煩いこと言うなら国民民主取り込んで切っちまえ!」
国民民主党「さっさと国会開いて年収の壁引き上げとガソリン減税済ませたら連立入りしてもいいよ」*11
自民党「めんどくせえなあ。公明との連立協議済ませよう」
他方立憲民主党が野党共闘で新機軸。
立憲安住幹事長「野党でまとまれるな玉木首班でもいいよ」*12
そして自公の連立協議。
公明党「企業献金規制吞めや」
自民党「呑めるかい!」
公明党「グッドラック」*13
立憲民主党「公明党の連立離脱で政権交代の環境は整った。野党共闘の機は熟した」
国民民主党「やめてくれ、政権交代してまうやないか。首班指名されたら責任生じるやないか」*14
日本維新の会「玉木氏でまとまるなら立憲案に乗ってもいいよ」
国民民主党の正体がバレました。年収の壁のウソ*15の段階でわかっていましたが。

一方政治空白のお陰で邪魔されることなく戦後80年の所感*16を発表した石破首相。大きな論点は3つ。事前にまけることが分かっていた戦争を止められなかったことの問題意識から、政府も議会も軍部の暴走を止められず文民統制が機能しなかったこと。帝国憲法の統帥権の拡大解釈が横行して戦争遂行に向かったこと。メディアも戦争を煽ることで売上を伸ばして権力の監視役としての社会の木鐸の八鍬ろりを放棄したこと。安保環境が悪化する中、その反省を踏まえることなく平和を維持できないと結んでおり、強権外交でも謝罪外交でもなく評価できる内容です。そんなこんなで政局の流動化で臨時国会も開けず、外交日程は詰まっていて、自民党内や政府の一部から当面石破首相首相で良くね?の声も。トランプに会うのは誰かな?*17結局石破降ろしは何だったんだ?

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