鉄道事故

Saturday, January 31, 2026

日米TACOのプロデューサー

疑惑の停電事故*1がまたしても起きました*2。何故か金曜日に起きるのは偶然か?半年前のエントリーでも山手線の架線事故を取り上げて*3、電気系統のトラブルが多いことを指摘しましたが、今回の断線の直接の原因は現時点で未発表です。しかし作業上の所謂ケアレスミスが続いている点は重大です。しかも首都圏JRは元々大電流の弱点を抱えていて10連から15連の複数列車に給電するから1変電所で6,000A~10,000Aという大電流故に、地絡などの異常電流の検知がしにくいという問題を抱えています。そんな中での作業ミス連発は大問題です。

という訳で本題はTACOの方なんですが^_^;、TACO踊りが週中から週末に起こります*4。かつて英ポンドの空売りを仕掛けてイングランド銀行を屈服させた伝説の為替トレーダーの過去を持つベッセント財務長官が何故か日銀を救った形ですが、裏には日本の財政悪化懸念でアメリカ国債が売られて長期金利が上昇する地合いにブチ切れて、どうやらダボス会議で片山財務相に怒りをぶつけた模様です。盛んに円安けん制の口先介入をしていたものの市場は止まらず、一方で与野党で減税を競い合うクレージーな総選挙やってて危機感まるでなし。ということで日本ではなくアメリカの通貨当局がレートチェックに動いて協調介入を演出することで、市場の動きを止めたものです。為替ディーラーの裏をかくベッセント氏の作戦です*5。それを裏付ける為替報告書が出されています*6。日銀に利上げを求めても政府財政がガバガバでは日銀は動けないことを認識した訳です。

てことでその後の動きも興味深いんですが、一時的にドルが安値をつけますが*6、これが後述のFRB人事の伏線だった可能性があります。日本の財務省も結果的に介入はなかったことを発表します*7。日米当局の動きはベッセント氏のシナリオ通りに動いた訳です。そして片山財務相は選挙を睨んで国内向けに負け惜しみの弁明をします*8。釈尊の掌に上で踊る孫悟空もかくや。更にFRB新議長人事がトランプ大統領から発表されて線が繋がりました*9。結果的には4人の候補の中では一番のタカ派で過去に量的緩和御批判したことのあるウォーシュ氏を指名してドルの信認は守られたと好感した市場は反応します*10。金融の世界では週末に何かが起きるのは定番ですが、レートチェックによる一時的なドル安はトランプ氏にこの人事を呑ませるには好都合だったでしょう。計算づくだとすればトランプ政権はベッセント氏がプロデュースしていると見ることも可能です。思い起こせば理不尽な相互関税を止めたのもベッセント氏でした*11。デタラメに見えてしぶといトランプ政権下のアメリカ経済恐るべし。

それにひきかえアメリカから離れられずに貧乏くじ引きまくりのわーくには;_;*12。レートチェック相場に翻弄された今週の出来事を無かったことのように勇ましい発言。台湾有事発言*13と変わりません。さらに無知丸出しの問題発言が続きます*14。外為特会の元金は政府短期証券を発行して民間から借り入れたもので、毎年度決算して返済されます。上振れ分の剰余金の国庫編入は認められてますが、基本ドル建てでアメリカ国債を中心に運用されていて、利回り分を売ると為替介入と見做される可能性があるから売らずに再投資されているのが現実です。つまり売るに売れないものが増えたからって国民の腹は満たせません。こうした基本的な事を分かっていないのは結局官僚のレクチャーを聞かずに勝手に解釈するからで、文字通り日本版TACO(Takaichi alwayus Challenjes Oofficials=高市はいつも官僚に挑戦する(但しすぐ日和る))ということですね。

一方でこんなニュースもあります*15。秋の臨時国会で13兆円もの大型補正予算を成立させて税収の上振れ分の「へそくり」をほとんど大放出した結果、新年度予算の想定金利2%を越える長期金利の上昇で利払い費が足りなくなる異常事態が現実味を帯びてきています。はっきり言いますが、与党が勝利しても問題は解決せず、予算の年度内成立が遅れれば状況は悪化して、修正を余儀なくされることになります。そうなれば各党が減税を競い合っても実現可能性は無いってことです。

以下余談。消費減税で競う各党ですが、財源は自民党が企業向け租特法減税の見直しなど、中道が仮称ジャパンファンドのソブリンうウェルスファンド(SWF)で政府基金余剰金運用益で5兆円、他党は法人税や富裕層所得税増税や社会保障給付見直しなどで、具体的に金額まで示しているのは中道改革連合のみですが、一方で食品消費税ゼロに関しては経済効果を疑うレポートもあります*16。つまり食品消費税ゼロで2.1%のインフレ抑制効果は認められるけど効果は1年のみということ。可処分所得が増えれば食品以外の需要を喚起してインフレになるということですね。中道のジャパンファンドの5兆円を恒久減税財源にするより社会保障給付の維持に使うなど議論の余地があります。加えてSWFはグリーランド問題でデンマークのSWFがトランプの暴走を止めたように外交のカードにもなります。さて誰に投票したもんか?

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Sunday, January 25, 2026

日米共演の市場TACO踊り

新年から続くウヨ曲折*1が欧州へ飛び火しました。グリーンランドを巡るトランプ発言が発端です*2。早速デンマーク政府は拒否します*3。EUも呼応して交渉拒否を表明し、軍隊派遣も示唆します*4。世論調査でも住民は反対姿勢です*5。そしてグリーランド自治政府で議会選挙が行われ*6、ニセ情報に翻弄されながら*7、デンマーク重視の民主派と段階的独立派の連立の形で新政権が発足します*8。そしてニールセン首相はアメリカの領有を拒否します*9。グリーンランド自治政府は以前から経済的自立を前提としたデンマーク王国からの独立を模索してますが、NATOの最大拠点で漁業主体という産業構成から難しく、デンマークの寛容な統治姿勢でEUの漁業規制が及ばないように同じく自治領のフェロー諸島と共にEU加盟エリアから敢えて外されています。BrexitのイギリスでスコットランドがEU加盟を希望したリアルな逆バージョンと喩えられます。

別の観点から言えば同じく基地の島の沖縄とも共通しており、住民は基地とデンマーク政府という二重の統治の下にあるわけで、こうして引き寄せて見れば複雑な立地の理解が可能です。まあ沖縄住民に比べれば自治権が強く寛容で包摂的なデンマーク政府の方が遥かにマシですが。トランプ氏の意図はいろいろ言われますが、温暖化による北極海航路の戦略性の高まりで、このままでは中国とロシアに恩恵が偏ることや、豊富なグリーランドの地下資源開発の思惑もあるでしょう。それ以上にウクライナ問題で厄介な局面にあるNATO解体も視野に入っている可能性があります*10。

てことでロシアは歓迎してます*11。クリミアを引き合いにアメリカに「理解」を示した訳で、NATO弱体化でウクライナ停戦協議も優位に立てます。当然ながら欧州は反発しますがアメリカは制裁関税で脅しをかけますが、これが思わぬ市場の反応を呼び込みます*12。AI関連中心に好調な株式市場が暴落してトリプル安となり、TACO発動*13で市場がストップをかけた形です。流石にアメリカも軌道修正を迫られ、軍事介入を否定して*14制裁関税も取り下げ*15、EUも報復関税を取り下げました*16。早速市場は反応し、まず長期債が反発し*17、株式市場も反発して*18TACOトレードが完成します。市場がTACO踊りした訳です^_^;。

転機はダボス会議でのデンマーク年金基金の米国債売却発言に端を発する米国債売りでした*19。ドルの信認低下はドル覇権の棄損に繋がるので脅しに屈した訳です。その一方でアメリカのベッセント財務長官は日本に注文をつけます*20。実はほぼアメリカ市場と連動した形で日本市場もトリプル安に見舞われました*21。債券安による保有債券評価損から銀行や生保が売られた結果で、単純にグリーンランドを巡る地政学リスクというより日本の国内事情によります。それがアメリカにも波及したという発言は言いがかりにも聞こえますが、金融マン出身のベッセント氏から見れば日本の財政破綻が世界経済に波及するリスクに神経質になっているという本音を見せました。

実際債券市場の見方は厳しいものがあります*22。要約すると人口減少による労働力投入量の減少でGDPの延びが抑えられる中での債務拡大は信用リスクを増す結果、円安債券安ということです。こうした日本の危うい状況をアメリカのみならず世界が意識し始めたってことです。高市政権の財政運営のまずさが意識されているということです。しかも解散総選挙に打って出た現状で、消費税減税で野党と足並みを揃えていることもネガティブな評価になっています。

既に一部では高市首相を日本版TACOとさえ言われています*23。総裁選当時は高市トレードを期待する意味があったのですが、そのココロは「Takaichi Always Charenges Officials = 高市はいつも官僚に挑戦する」ということで、規制緩和が進んで日本経済が復活する希望が語られていましたが、実際は官僚の言うことを聞かず午前3時の答弁書作成の甲斐もなく失言かまして*24撤回はしないものの渋々従来の政府見解踏襲に至ります*25。つまり挑戦に期待してもすぐ日和るという意味でアメリカのTACOと共振している訳です^_^;。

てことで長くなりましたので、取ってつけた鉄ネタです^_^;。疑惑の停電事故*26の続報です。JR東日本は16日未明の停電事故の原因を感電防止の安全装置である検電接地装置を切り忘れた状態で通電を開始したことによるトラブルということですが、気になるのが昨年12月に東北線白岡駅の夜間工事で同じミスで停電事故を起こしている点です。同じミスyが繰り返されるというのは単純な現場ミスで済ませて良い話ではなく、ヒューマンファクターの視点からミスの発生を防ぐことや万が一ミスしても大事に至らないといったシステム的な見直しが必要です。今後労働力減少による人手不足が見込まれる中、ミスを防ぐシステム的な対応は避けられません。

JR東労組が健在だった時代にはヒューマンファクター重視でATS-P設置前倒しなどを労使協議を通じて進めてきました。労働組合は賃上げ要求だけではなく、鉄道など運輸業では死傷事故を起こした場合の当該組合員の業務上過失致死傷による刑事訴追に対する裁判支援や家族保護などの役割もあります。故に事故が起こらないようにする動機がある訳ですね。これが会社の安全管理にもプラスになる訳ですが、そうした労使間の良い意味での緊張関係が失われていることを危惧します。本当に大丈夫か?

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Saturday, January 17, 2026

疑惑の停電事故

前エントリー*1で取り上げた読売が報じた通常国会冒頭解散がリアルに動き始めました*2。予算審議を棚上げしての解散総選挙に大義はあるのか?はメディアで取り上げられてますが、敢えて言えば公明党の連立離脱と日本維新の会の連立合流という重大な変化があったんですから、その信を問うことは大義になり得ます。但しそれなら昨年の臨時国会で何故解散しなかったか?遅くとも補正予算成立後に信を問わなきゃおかしい訳です。

そして高校無償化や基礎控除見直しも予算化されていないだけではなく裏付け法がない状況で宙に浮いてます*3。つまり仮に大急ぎで予算を通せたとしても根拠法が通らなければ予算そのものが宙に浮く訳で、これじゃ省庁も自治体も執行に動けない。加えて5年ごとの特例国際法の改定*4もあり、日本版フィスカルクリフ(財政の崖)問題でアメリカのような政府終了もあり得ます。敢えて政治空白を作るのは高市氏が党内基盤が弱いからですから、過半数を取って勝利すれば与党内を抑えられるってことですね。だから誰にも相談せずに決めて与党内からも違和感が出ています。

しかも意表を突いたつもりの解散総選挙ですが、立憲民主党と公明党が合流して新党を作るということで、ぶっちゃけ自民党を助けていた公明票が野党に流れる訳で、過半数獲得は困難です*5。しかも国民民主党は与党入りを連合に止められていて当てにできないですし。また高市政権発足の動きに連動して水面下で協議はされていて、ぶっちゃけ高市じゃダメだってことです*6。そして両党の党内手続きを経て新党結成が決まりました*7。「党名が微妙だ」という声もあるようですが、限られた時間の中で目の前の総選挙を睨んで立ち位置を明確にしたという意味で悪くない命名です。

中道というのは右でも左でもないという意味ですが、国民の中では圧倒的なボリュームゾーンであり、所謂無党派層と呼ばれる人々が該当し、従来自民公明の与党も票を得ていたから与党でいられた訳ですが、自民党の裏金問題と旧統一教会問題で信用を失ったから石破政権下の選挙でも負けたし、高市政権で右派色タカ派色を強く打ち出した結果、公明党が離脱した訳で、実は有権者の中の最大のボリュームゾーンの変化で、そこへリーチをかけたということです。結果がどう出るかはわかりませんが、対立を煽って他党との違いを訴求する流れで多党化したと言われる中で、最大多数の最大幸福を模索するという民主主義の原点を示したという意味で興味深い動きです。同様の動きはドイツのキリスト教民主同盟と社会民主党の連立などでも見られますが、極端に左右に振れないで目の前の課題に取り組むなら歓迎すべき動きです。

例えば食品消費税ゼロの基本政策ですが、私は以前から消費減税に懐疑的な立場ですが、100年殺しのアベノミクスvoL.2*8で指摘したように、価格弾力性が低いために一般物価以上に値上がりしていて国民生活を圧迫する食品消費税のゼロ減税は8%まるッと下がらないまでも国民生活の支援になる要素はあるので、期間限定で財源を示して行うのであれば反対しません。逆に新NISAで非課税枠を作った金融所得課税は強化しても良いですし、所得税の累進性を高めて高額所得者の課税強化の手もあります。無党派層が望むのもこうしたことです。

そしてあとは賃上げですが、人手不足で賃金は今後も上がるでしょうけど、問題はそもそも生産年齢人口の減少で働き手が減っている以上、求人難から賃上げは今後も続くでしょうけど、それ以上にインフレが進めば本当の年収の壁*9は越えられません。そして一方では企業による省力化投資も進むと思いますが、懸念されるのが賃金抑制による労働力の劣化です。そしてそれを疑わせる事故がありました*10。

JR東日本が進める羽田空港アクセス線の東山手ルートで、休止中の東海道貨物線田町~東京貨物ターミナル間を復活の上東海道線に合流させる工事で、合流場所の既存線乗り越しのスペースを空けるために田町駅の折返し線を撤去して線路移設する夜間工事で、DC1,500vの架線の送電を停止して作業員の安全確保する訳ですが、間違って送電しても感電事故をしないために検電接地装置という安全装置が使われます。これは架線にフックで吊り下げて下端をレールに接触させて、万が一誤送電しても地絡してブレーカーが落ちるから安全ということですが、工事終了後この検電接地装置を切らずに指令に通知して送電開始した結果、地絡でいきJなり大電流が流れて変電所の機器などが損傷したものということで、マニュアルに反したミスがあったものです。所謂ヒューマンエラーですが、工事自体は外注されていて必ずしも熟練した作業員とは限らず、当然施工管理の責任はJR東日本にある訳です。

似たような事故は2年前に東北新幹線の埼京線並走区間でも起きていますが*11、このときもやはりマニュアルに反したミスがあって、作業員を感電させるという深刻な事故でした。同エントリーでも指摘しましたが、あからさまな組合潰しをしたJR東日本で昨今トラブルが絶えないのも確かです。そして外注工事は今後も作業員の確保が難しく、JR東日本も手掛ける都市再開発も滞っている中で*12、今後も作業員確保がネックとなることは確実です。これ整備新幹線や中央リニアの工事の遅れにも当然影響します。背景に人手不足で作業員集めが困難になった結果、下請けの所謂サブコンが引き受けてくれないから元請けのゼネコンと力関係が逆転してしまい、同様に元請けとなるJRも作業員確保が困難になる訳です。

てことで建設現場の省力化が必要ですが、ノウハウのあるサブコンに省力化投資の余力は乏しく、ゼネコンはサブコンの面倒を見る余裕を失い、悪循環になっている訳です。その一方で地価上昇と低金利で都市再開発は活発だし、五輪や万博などのイベント対応で人手が取られ、毎年のように起きる災害の復旧工事や老朽インフラの補修もあるとなると、そりゃ工事は進みません。加えて万博パビリオン工事を巡る代金未払い問題のようなトラブルが起きて、生命線のサブコンを痛めつけるようなことをしている訳です。大阪関西万博を大成功という維新の不誠実さに腹が立ちます。

一方でJR東日本が進める首都圏路線のワンマン化は進んでいて、既に常磐緩行線、南武線、相模線などで実施されてますが、3月改正で横浜線及び京浜東北・根岸線の東神奈川~大船間の横浜線車両でのワンマン運転を開始します。更に京浜東北線、山手線、中央総武緩行線へと拡大する予定です。しかしAIが壊す社畜エスカレーター*13で取り上げた南武線ワンマン化後の混雑時の遅延問題ですが、ホームドアの連動システムを見直して秒単位で時間を切り詰めて遅延防止を図っています。乗客の多い混雑路線でのワンマン化は未知の問題があります。

その時に懸念されるのが16日のトラブルによる長時間運休で、京浜東北線の2列車が駅間で停止して線路上を乗客誘導したような事例で、ワンマン運転の場合の乗務員の負担が大きくなりますし、乗客の疲弊も心配されます。更にJR東日本はドライバレス自動運転まで視野に入れており、その場合動力車運転免許非保持の保安要員が運転士並みの責任を負うということにもなりかねません。国家資格の専門職が要らないから人件費を削れるというのは短絡的です。現場社員を守るまともな組合がない状況で、果たして今後も安全を維持できるのかどうか?

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Sunday, December 21, 2025

熊くまクマ

鹿*1じゃなかった今年の漢字*2。クマ被害とパンダ返還が理由という何とも評価しずらい理由の並びですが、鹿のその後を先に*3。オフレコ報道に対する批判もありますが、内容次第で報道すべきとしたメディアの判断に問題はなく、寧ろNPT体制を理解できていない官邸スタッフがいることが問題でアメリカからもクギを刺されてます*4。

で本題ですが、クマ関連の過去エントリーは2件あります。1つは奈良県上北山村の東の川簡易郵便局*5。故人のレールウエイライター氏が広めた旅行貯金というのがありまして、郵便貯金通帳に旅行先で入金して局名の入ったスタンプを捺してもらうというもので、ダム建設関連で移転後残った8世帯の為の簡易郵便局が、当該世帯も移転して無人集落となった後も存続し、クマやイノシシの出没するところで平日5日間の交番勤務でイノチガケで維持されていたというもの。流石に2005年4月1日に廃止されました。

上北山村はかつて林業が支えでしたが、林業の衰退で観光業が主要産業となっていて、無人地帯の簡易局も簡単に廃止できなかった事情はあるにせよ、過疎地の過酷さを示します。そんな上北山村のアクセスはほぼ国道169号線に限られ、かつては奈良交通熊野線が担っていた公共交通は、今は大淀町・吉野町・川上村・上北山村・下北山村の5町村を結ぶ南部地域連携コミュニティバス(R169ゆうゆうバス)が奈良交通が受託して福神駅(近鉄吉野線:大淀町)~下桑原(下北山村)間を1日1往復でほぼ日帰り不可能と観光立地も劣悪です。大都市圏でも廃止減便が続くバスの過疎地の過酷な現実です。

そんな紀伊半島は面積9,900㎞^2でほとんどが森林ですが、林業が盛んだったことからスギやヒノキなど針葉樹の人工林が多く、クマの生息に適したコナラなどの広葉樹林は僅かです。故にツキノワグマは絶滅危惧種として保護されていて400頭を下回らないことが基準とされていますが、推定個体数が増えて管理にシフトすることが決まりました*5。紀伊半島全域で推定個体数467頭ということで和歌山県と奈良県で保護政策を見直します。上北山村は面積276.22km^2に2025年11月1日現在推定人口376人という過疎地ですが、クマの個体数密度はさらに低い訳で、そもそも遭遇機会は低いものの、被害の酷さは尋常ではありません。童謡の森のくまさんは「お嬢さんお逃げなさい」と促して生息域の外へ誘導する優しさがありますが、現実の猛獣とはエリア分けが必要です。

クマから見れば人間が勝手に山に入って食料の乏しい針葉樹の人工林で林業を営んだ結果、生息域が狭められたということでもありますが、紀伊半島以外でも主に近世の新田開発で平地の少ない日本では森林との境界域の棚田などが開墾され、生産性の低さを補うために山に入り、燃料の薪や肥料の落ち葉、キノコや山菜の採取などが行われて所謂里山を形成することで、クマの生息域は圧迫される一方、ヒトとクマの遭遇もあり、自衛の意味もあって狩猟も行われるようになります。クマの狩猟は鉄砲伝来以降の話ですが、それがクマのヒトへの警戒心をもたらして緩衝地帯を形成する訳です。それが過疎化で耕作放棄地が増えた結果、棚田は樹木が生えて森になり、ヒトも入らないから結果的に生息域を拡大している訳です。故に個体数密度が低く繁殖力の弱いクマでさえ個体数が増える訳です。ヒトとクマの共進化の歴史です。しかも気候変動による気温上昇で冬眠しないクマが現れ、食料が手に入る都市部へ下りる機会も増えます*6。

岩手県盛岡市のホームセンターDCM盛南店ではクマ対策マニュアルがあって、店舗スタッフがそれに従った結果ヒトの被害はありませんでした。そして過去エントリーの2件目でそんなマニュアルがある新幹線駅を取り上げました*7。長野新幹線として開業した安中榛名駅は当時人里離れた山の中でクマ出没に悩まされ、駅員と乗客の安全を図るためのマニュアルが用意され、駅員は指令に通知して列車通過扱いにして駅を閉鎖し、構内のヒトを守るというものでした。クマの生息域に新幹線駅作っちゃったってことですが、そんな立地でも新幹線通勤を想定した宅地造成をして売り出したものの売れず、2区画合筆して農園付き別荘としてやっと売れたという黒歴史があり、結果的にクマの生息域を侵食しました。

紀伊半島など西日本では針葉樹の人工林が多く、元々個体数が少ない上に紀伊半島のように絶滅危惧種として個体数の把握が行われていた一方、東日本はコナラなどの広葉樹林が多く生態系の多様性が維持されていたこともあり、クマの個体数把握は行われていません。故に生息域の拡大で都市部にも出現するようになった訳です。ヒトとクマの共進化も東日本では異なった展開です。故にハンターは趣味で猟銃免許を取得した一般人でクマ相手だと反撃のリスクもあり、猟友会頼みの対策では追い付かなくなっているという風に事情が異なります。秋田や岩手のクマ被害はこうして起きている訳で、地域に応じた対策が必要です。失われた過疎地の里山の復活は難しいですが、例えば境界域の樹木を伐採してソーラーパネルを設置するのも一法です。さらにその電源で地場ビジネスを起こせればヒトが住む緩衝地帯になり得ます*8。ちなみに秋田新幹線こまちもクマ原因の輸送障害が複数回起きています*9。

ということ北海道に話を移すと、こちらにはより大型のヒグマが生息していて生態系も異なりますし、また被害も多岐に亘ります。そんな中で鉄道被害も深刻です*10。シカとの接触と異なり、クマの場合外へ出て排除するのは危険なので、指令を通じて救援が来るまで待機せざるを得ないということで、長時間の運休を余儀なくされます。鉄道貨物の依存度が高い北海道故に深刻です。地域によってクマ対策も一律にはいかない複雑な問題ってことです。政府も外交で揉めてる場合じゃないぞ!

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Sunday, November 16, 2025

鹿の敵討ち

高市首相が国会答弁でやらかしました*1。国際問題化してます*2。「能力のない頑張り屋はただただ迷惑*3」という予想が残念ながら当たりました。問題は歴代政権のあいまい戦略を無視して手の内を晒したこと。台湾有事への自衛隊の対応は公然の秘密であってもとぼけてれば相手が勝手に疑心暗鬼になる心理戦こそ抑止力なのに、よりによって国会答弁で、しかも質問通告に沿って官僚が無難な答弁書を用意しながら、無視して勝手に発言した結果、秘密が取れて公然になった訳です^_^;。

スパイ防止法の必要性を主張しながらの体たらく。元々国家公務員法や地方公務員法で守秘義務違反は刑事犯罪と定義され、トクリュウへの捜査情報漏洩で警視庁警部補が逮捕されてます*4。国家公務員の場合はさらに特定秘密保護法もあり、民間人もセキュリティクリアランス法の指定を受ければ同様です。それに加えて屋上屋を架す立法事実が存在するのでしょうか?特別公務員の議員や首長が外国のカルト宗教に便宜を図るエージェント行為、所謂壺議員を放置していることから、法律の不備より刑事司法の不作為の問題では?それよりコメ安くしてくれ!

中国の姿勢も今回は強硬ですが、幾つかか理由が考えられます。10月30日に韓国で行われた米中首脳会談で合意した関税と対抗措置の延期です*5。とりあえず米中の対立が一時休戦となった訳ですが、先に仕掛けたアメリカに対してひるまずレアアース輸出規制や米国産大豆輸入制限で対抗した結果、アメリカの方が音を上げてクリンチに逃れたのが実態です。つまりアメリカを屈服させた中国の外交的勝利ということになりますが、副産物として日本の存在感は隅に押しやられた訳です。その自信が日本への強硬姿勢をもたらしたと言えます。

加えて四中全会で党幹部の欠席者多数という事態があります*6。反腐敗運動で処分されたり拘束されたりした幹部多数で、ほとんどが習近平体制で登用された幹部ということで、イエスマンで固めた独裁体制の綻びを示します。泣いて馬謖を切った結果、反主流派のウエートが高まり、習近平総書記に逆風が見られました。それが戦狼外交へのシフトとなって現れ、日本叩きで反主流派のガス抜きを狙ったと考えられます。そして日本への渡航自粛の呼びかけとなったと考えられます。

但しあくまでも渡航禁止ではなく自粛要請ということで、実質的にどの程度の影響が出るかは何とも言えないところ。厳しい態度を見せつつ中国も落としどころを探っているとは言えます。これで中国人観光客が減れば京都などの観光公害も緩和されますし、奈良の鹿虐待も減るかもwww。まさか狙いは鹿の敵討ち?へずまりゅうレベルの愚か者だわ*8。

最後はAIのフーガ*9のフーガ(輪唱)wwwww。田園都市線梶が谷駅事故で国交省が全国の鉄道事業者に連動装置の点検を指示した結果、10事業者15駅で見つかりました。人間のやることには見落としが付きもの。ヒューマンエラーを前提とした対策が必要です。高市発言もヒューマンエラー?

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Saturday, November 08, 2025

AIのフーガ

米株式市場を追いかけて縋りつくような日本株式ですが、今週興味深い動きが見られました。前エントリー*1で株価の上昇トレンドを取り上げましたが、5日に大幅に下げて終値は5万円を割りました*2。AIバブル崩壊の懸念からか一部ファンドがエヌビディアなどテック株に大量の空売りを仕掛けて値下がりした前日のNY市場の流れから日本市場でもAI関連の売りが出て下げたもので、ソフトバンクグループのような大型株が下げた結果ですが、面白いことに翌6日には相場が5万円台に戻ります*3。AI関連は軟調ですが、内需株その他好業績企業が物色された結果ですが、ザックリ言えば日本株に流入した資金は引き続き日本に留まっているということになります。

勿論これは円安インフレによるもので素直に喜べないのですが、傾向として輸出その他で外需依存が強く関税の影響で利益を減らす製造業よりも内需関連のサービス業が業績を伸ばしています*4。まあ万博の影響もあると思いますが。それでも資本効率が改善しない日本企業の何が問題なのかということで、面白いコラムを見つけました*5。自己資本利益率(ROE)は自己資本で純利益を割った比率ですが、業績好調で利益は増えても分母の自己資本が増えれば比率は改善しない訳で、特に海外法人の売上が大きい外需依存企業では利益の本社送金をせずに海外法人が内部留保していると、決算時に為替変動を反映した含み益含み損が連結決算で自己資本に算入される訳で、円安による含み益が分母を押し上げているとすれば、なるほどROEは改善しない訳です。しかも国内からの輸出分の関税も円安効果で負担が軽くなるから利益減も圧縮される訳です、つまり日本株は円安で押し上げられているということですね。円安が反転しインフレが収まらない限りこのトレンドは続きます。

その意味では高市政権の所信表明演説で積極財政を打ち出したことは、財政悪化で円安もインフレも止まらず、企業業績が良くてもそれが賃金に反映されない限り賃金がインフレに追いつかず、国民生活は窮乏化することになります。そしてアメリカではさらに気になる動きがあります。アメリカの政府閉鎖が続いて航空管制官が無給で働いているものの、このまま続ける訳にもいかず、連邦運輸省は管制官を休ませるために航空便の減便に踏み込みます*6。言ってみれば政府によるロックアウトのような状況で、当然航空券は入手困難になり出張やレジャーは自粛または片道レンタカーなどの自衛策となり国民生活に多大な影響が出ています。

そしてそのこと自体の経済的損失もさることながら、既に1ヵ月を越える政府閉鎖で予算執行が滞った結果、政府支出による通貨の流動性の低下に影響が出ていると見られることです。つまり日本とは逆に意図せざる歳出削減効果が働いてそれが金融市場の流動性を低下させている疑いがあるということです。暗号資産ビットコインの暴落がそれをよく表していますが、この流れから本当にAIバブル崩壊に至るシナリオもあり得ます。その場合は日本も無事でいられるかどうか。但し企業が外需依存をリスクと捉えて内需関連の投資が増えれば局面が変わる可能性はあります。但し高市政権下では逆方向の動きが気になります。

例えば経済安全保障重視で造船などの海外事業の支援ってのは結局造船能力を喪失したアメリカの艦船製造を支援するって話で外需依存なんですよね。海底ケーブル敷設なども日本のデジタル赤字を拡大させるだけならサービス収支悪化で円安になるだけだし、何より明らかに大砲とバターの大砲重視の姿勢は確実に国民生活を圧迫します*7。そして台湾有事への言及が寧ろ安全保障環境を悪化させる恐れもあります*8。台湾に関しては当事者である中国も台湾も現状維持を求めており、アメリカも動けない。加えて日米共に台湾を国家承認していないから集団的自衛権行使の対象にはならないし、国際法上は内戦となりそれに対する軍事介入は重大な主権侵害になります。つまり現状の法的枠組みでは動けないから歴代政権が曖昧にしてきたところへ踏み込んだ訳で、寧ろ事態を悪化させます。

ってことでいろいろ心配はありますが、鹿を指して馬と為す*9東急田園都市線梶が谷駅の事故で政府は鉄道各社にシステム点検を指示し*9、他社でも同じ問題がありました。JR西日本や阪急阪神HD、関東ではJR東日本と京急で見つかり、それぞれ対策を発表しています*10。システム設定のミスが見つかり、今までは事故に繋がったケースはないものの、新しいシステムを導入しても設定ミスの見落としは防げない訳で、東急の見習い運転士のささやかなミスが将来の事故の可能性を摘み取ったと見れば良かったということになります。天下国家を論じて大きな物語に酔うよりも、新しいものを確実に社会実装して役立てていくというこうしたことが、国民生活を豊かにするということは声を大にして言いたいところです。

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Saturday, October 11, 2025

鹿を指して馬と為す

自民党総裁選で高市総裁選出されました。

高市氏「馬車馬のように働いて働いて・・・・・・」
いやあんた馬車馬じゃなくて御者でしょ。臆病な馬車馬は視界に入る情報に過剰反応して立ち止まったり暴れたりするから、前しか見えないように遮眼角つけて御者の手綱の合図で進んだり止まったり向きを変えたりするもの。鹿虐待で掴んだ地位で*1馬になるって始皇帝没後の宦官超高の故事じゃあるまいし。あそうか御者は別にいるんだwwwwwwwwww*2。
高市「ワークライフバランス捨てる」*3
自民議員「いいぞいいぞ、働き方改革何するものぞ」
政府官僚「やめてくれ、議員のハッパで仕事増えてまうやないか」
自治体職員「コロナ給付金やマイナカードみたいに政府の無茶振り増えるやないか」
企業経営者「新リーダーえーこと言うなー」
社員「やめてくれ、ブラック企業に逆戻りじゃん」
無能なリーダーの頑張りはただただ迷惑です。

翌日夜、東急田園都市線梶が谷駅構内で衝突脱線事故が起こりました*4。

回送列車の見習い運転士「ありゃ、急に止まっちゃいました」
添乗の指導運転士「過走防止装置で停止したんだ、慌てず解除してゆっくり再力行しなさい」
上り渋谷駅各停運転士「ATC現示に従って運行していたら回送列車の進路支障を目視して非常制動かけたけど間に合わず衝突し防護無線を発報」
衝突
見習い運転士「防護無線受信して停止」
東京メトロ「ヤバい、復旧に時間がかかるぞ。鷺沼出庫できないと明日電車足らなくなるぞ」
鉄ちゃんたち「渋谷行きATCで何でとまれなかったん?」
恥ずかしながら当初下り副本線(2番線)から留置線に進入した回送列車が脱線して上り副本線(3番線)に進入する各停がぶつかったのかと思い、回送列車の急制動による荷重移動で輪重抜けしたのかと勘違いしてよほどの速度で留置線に侵入したのかと考えていました。実際は3番線から留置線への進入で速度超過があって装置解除して再力行していた時の衝突ということで、各停渋谷行きの防護無線が発砲してから回送列車が停止した結果、衝突のショックは緩和されていたかもしれません。死傷者が出なかったのは幸いです。またATCが作動しなかったことも勘違いを補強しました^_^;。
東急電鉄公式「10年前の連動装置改修の時に設定ミスがありました。全線の連動装置を緊急点検いたします」*5
東急電鉄公式「大井町線二子玉川駅構内1カ所、新横浜線新横浜駅行内2カ所で設定ミスが見つかりました。防護措置を講じた上で設定を改修します」*6
新横浜もヤバいけど区間運休で二子玉川折り返ししてた大井町線もヤバかった?おそらく軌道回路で制御する継電連動システムの応答速度改善で高密度運転のために電子連動へ改修して設定ミスしてしまったってことでしょう。

翌6日には高市政権発足を先取りして市場が動きました。高市トレードの始まりです。

外国人投資家「過去発言から積極財政派だから円安が進むぞ。割安な日本株は買い時だ。タカ派発言から防衛その他も買いだ」*7
国内投資家「値上がりは嬉しいけど続くかどうかわからんから適当に利益確定売りで益出ししとこう」
為替ディーラー「政治空白で為替介入も見込めず円安は当面続くぞ」*8
結局爆上がりした後の一進一退で株価は頭打ち感も米市場のAI相場を受けてソフトバンクグループの値上がりで終値最高値を更新しました*9。
日本国民「インフレで株価が上がってるだけでこっちには恩恵ないよな。寧ろ株の資産効果で消費が強まってインフレが酷くなるかも」
財務省「政治空白で政治の圧力は弱いけど、長期国債の売り先が見つからない」
実際長期金利は上がっています。ということは日銀その他の保有国債の含み損が増えていることでもあり、日銀の金融政策の選択肢を狭めます。インフレ基調は当面続く訳です。

そして輪をかけた政治空白が広がっています。

公明党「あんたらの裏金問題のトバッチリでうちの候補者も落選してもうたやないか。せめて企業団体献金を規制せいや!」*10
自民党「煩いこと言うなら国民民主取り込んで切っちまえ!」
国民民主党「さっさと国会開いて年収の壁引き上げとガソリン減税済ませたら連立入りしてもいいよ」*11
自民党「めんどくせえなあ。公明との連立協議済ませよう」
他方立憲民主党が野党共闘で新機軸。
立憲安住幹事長「野党でまとまれるな玉木首班でもいいよ」*12
そして自公の連立協議。
公明党「企業献金規制吞めや」
自民党「呑めるかい!」
公明党「グッドラック」*13
立憲民主党「公明党の連立離脱で政権交代の環境は整った。野党共闘の機は熟した」
国民民主党「やめてくれ、政権交代してまうやないか。首班指名されたら責任生じるやないか」*14
日本維新の会「玉木氏でまとまるなら立憲案に乗ってもいいよ」
国民民主党の正体がバレました。年収の壁のウソ*15の段階でわかっていましたが。

一方政治空白のお陰で邪魔されることなく戦後80年の所感*16を発表した石破首相。大きな論点は3つ。事前にまけることが分かっていた戦争を止められなかったことの問題意識から、政府も議会も軍部の暴走を止められず文民統制が機能しなかったこと。帝国憲法の統帥権の拡大解釈が横行して戦争遂行に向かったこと。メディアも戦争を煽ることで売上を伸ばして権力の監視役としての社会の木鐸の八鍬ろりを放棄したこと。安保環境が悪化する中、その反省を踏まえることなく平和を維持できないと結んでおり、強権外交でも謝罪外交でもなく評価できる内容です。そんなこんなで政局の流動化で臨時国会も開けず、外交日程は詰まっていて、自民党内や政府の一部から当面石破首相首相で良くね?の声も。トランプに会うのは誰かな?*17結局石破降ろしは何だったんだ?

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Sunday, August 31, 2025

インド太平洋大炎上

安倍政権時代のインド太平洋戦略でクワッドが始まり、インフラ輸出案件としてインドのムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道でJR東日本が受注し、開業に向けてインド人乗務員の訓練をJR東日本が請け負ったことが大炎上してますが、ホント10年程度の過去の話も忘れちゃうネトウヨって相当頭悪いし悪質な差別主義者でもあります。モディ首相訪日にホスト役の石破首相が気に入らないんでしょうけど*1。

インドを巡る国際情勢は複雑になってきていて、日本がインド太平洋を提唱したときには対中国包囲網の思惑があったものの、ウクライナ戦争の経済制裁にインドは参加せずロシア産原油を安値調達してアメリカを苛立たせましたが、トランプ政権で対ロ制裁としてロシア産原油・ガス輸入国への高関税を課すことで、インドに50%関税で対立が深まったことと、カシミール地方の国境紛争でアメリカがパキスタンに接近したことで決定的にアメリカへの怒りが強まり、クワッドの枠組みも機能しなくなる恐れがあります、実際トランプ大統領はクワッド会合の欠席を表明しています。インド独立の経緯とカシミール地方の国境画定が曖昧なままで、言ってみればアメリカはインドの虎の尾を踏んだ形になります。そしてインドはライバルの中国に接近してもいます。アメリカの外交戦略は台無しです。

しかしそうしたこととは関係なく、人口大国で平均年齢が若くIT先進地のインドとの関係を築くことは日本にとっては重要な外交戦略になります。関税で他国を脅し約束も守らないアメリカとの関係は無くせないまでもウェートを下げて成長が見込める新興国との関係を構築することは重要です。ITに強いインドですが、未だに農業人口が多く労働集約的な製造業が手薄な状況で、日本の高度経済成長期の経験は参考になりますし、また半導体の製造参加に意欲を見せているように、同じく国産化にまい進する中国に対抗する意味からも重要なパートナーとなります。

特に先端品ではない汎用品の製造拠点としては、国内需要の大きさもあって安定供給先になる可能性を秘めていて、コロナ禍で汎用半導体のサプライチェーンが止まって自動車メーカーが生産停止を迫られるといったことも防げる可能性が高まります。同時にインドの人口爆発は工業化による雇用創出がなければ社会不安の原因にもなりますし、日印双方のwin-winの関係になる訳です。また中国の国内景気の低迷で、製造能力を持て余した中国が輸出攻勢に出ることも間違いありませんから、インドに製造拠点を構えることでリスクヘッジが可能です。

そして暑いインドでの半導体生産は、別のメリットも考えられます。折れたつばさ*2のE8系トラブルが補助電源装置の熱暴走トラブルだったこと*3も明らかになりました。はらぶさ/こまち分離事故も複数回起きて*4接点御金属クズが原因と言われましたが、E5系単独運転でもトラブルが起きました*5。総胸中の分離事故と違って単独運行のE5系で、連結開放スイッチが単独から連結に切り替わり、異常 な誤作動を検知して非常ブレーキがかかったということで、辛うじてフェイルセーフが働いたと言えます。それに対してより深刻なのが東海道新幹線で主回路インバーターの故障と遮断機の故障が重なる火災事故が起きました*6。こちらは主回路インバーターの故障と回路を遮断するブレーカーの故障が重なったということで、大電流で発煙してしまったし、気付かなければ大惨事になりかねないトラブルです。何れも原因は不明ですが、高温による熱暴走の可能性は否定できません。暑いインドで生産される半導体は熱暴走の不具合を発見しやすいかも。

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Sunday, July 27, 2025

知恵熱の夏

いしばしをたたいてわたる*1ころから、いつかは起こると予想された石破おろしですが、頭悪りーと思うのは、総裁変えて臨む首班指名選挙で勝てるのかってことです。あるいは衆院解散含みなのかもしれませんが、解散総選挙で多数派に返り咲けると考えているとすれば有権者を舐めているとしか思えません。案の定石破さん辞めるなデモが起きていしばしをたたいてわたれ*2の流れが顕在化します。国民の方が一枚上。いしばしをたたいてわらう*3のはやはり国民。いしばしをたたいておわる自民党^_^;。

日米関税交渉でとりあえずアメリカの理不尽な要求を押し戻したし、共同文書がない口約束とか、5500億ドル(80兆円)の対米融資枠設定などでとんでもない約束をしたとか言われてますが、これ政府系金融による融資枠の設定で、リニアの3億円財投などの例外はありますが、基本的に民間銀行との協調融資となりますから、融資枠に民間資金が含まれるかどうかなど敢えて曖昧にしている部分もあり、日米双方で国内向けに都合の良い発表ができる建付けで、特にアメリカ側の方が焦っていたと言われます。どうもエブスタイン事件スキャンダル*4が影響しているらしい。

元々今回の参院選で自公の与党が敗けることは予想の範囲でした。自民党も公明党も支える自民党員と創価学会員の高齢化の一方、子の世代は継承せず、人数が減っていたという状況があります。議員には二世が多いのに支持者に二世は少なく、そのため自民党議員の公認要件となる党員獲得のために金ばら撒くしか能がないのが二世議員や安倍チルドレンで裏金に走り、それが暴かれて有権者の離反を招いた訳ですし、当然マンパワーで左右される組織力も低下して旧統一教会や日本会議のような宗教組織の動員力に頼る壺議員が増えるし。公明党も創価学会員が高齢化し二世信者は減るしで組織力が低下しています。実は野党でも共産党がやはり専従者や支持者の高齢化と二世の離反が起きており、特に専従者の解雇を巡る内紛もあって支持者の離反を招いております。敗けに不思議な敗けなしです。

つまり組織選挙の敗北ですが、立憲と国民に分かれる連合系候補者も苦戦しております。組織票がものを言う日本の選挙が変わってきて無党派層の存在感がが増しているということです。故にTIXY選挙*5で反応しやすい状況で、国民民主や参政党の躍進になりました。但しだからといってSNSの作戦ミスと矮小化できないのは、SNS選挙の走りと言えるれいわやN党の敗北、石丸新党の鳴かず飛ばずなどに見られるように、支持者が飽きて離反するし、SNSではないけれど関西メディアで人気を得た維新のように、メディア露出を演出するだけでは長続きしないってことです。

一方で有権者は意外と政策を見ていたという分析があります*6。投票先未定層は政策を見て決めているのですが、減税ドミノ*7に対抗して給付金支給を打ち出したり日本人ファーストに対抗して外国人規制強化を打ち出したりしたことが、寧ろ与党にマイナスに働いたことが見て取れます。同時に減税ドミノに乗っちゃった立憲民主党の横ばいも説明がつきます。まともな有権者を与党から引き剥がすことができなかった訳で、政権交代のマイルストーンとしての参院選の作戦ミスは明らかです。減税ドミノに乗らずに給付付き税額控除の有用性を訴求していれば、低所得層支援、子育て支援、制度設計次第では社会保険料負担を含む年収の壁問題の解決といった成果が期待できますし、カナダや欧州など複数国で導入されている点も訴求できた筈です。

もっと言えばそもそも有権者はインフレに不満を持っている訳で、その原因を作ったのは10年続いたアベノミクスの副作用でインフレが制御不能になっている点で、これ与党は取り上げにくい論点です。同様に岸田政権で打ち出した防衛費増額や原発活用、更に世界的な課題の気候変動対策としての脱炭素政策など、選挙で訴えるべき問題は多数あった訳で、有権者もそれを期待していた筈ですが、減税か給付金かといった形で論点が矮小化されてしまった訳です。選挙戦を通じた議論の深掘りはできませんでした。

脱炭素と原発活用はそもそも両立しません。関西電力が美浜の敷地内に新設を発表しました*8。データセンター増加による電力需要増を見越して安定電源の必要性からの判断ということですが、データセンターが増えているのはAIブームによる部分が大きく、そのAIの特性を理解してるのか?大雑把にまとめると、AIは大量のデータから有用性がある可能性のある組み合わせを見つけるために仮説推論の試行錯誤をサーバーにやらせる訳で、それ故に電力変動が大きく、安定電源である原発とは相性が悪いんだけど内緒です^_^;。現に関西以上にデータセンター需要が上振れしている東電*9では原発なしで省電力要請もせずに対応しています。どうも空梅雨で日照時間の長い6月の晴れの天気で太陽光発電が助けているようです*10。気候変動による亜熱帯化と東電管内の製造業撤退の結果です。そういえば日産も追浜工場閉鎖しますし。つまり出力が不安定と言われる太陽光発電が実際には基幹電力としての存在感を高めているようです。ならば最低20年かかる原発新設よりも需給調整のための系統電力用バッテリーに投資した方が早くて安上がりです。

気候変動の影響はそれに留まらず、頼みの原発も影響を受けます*11。欧州の熱波による水温上昇でフランスでは原発の冷却水不足から原発の出力調整や停止が相次いでいて、実は気候変動に弱い電源ということが明らかになっております。気候変動が進んだ20年後の新設の美浜原発がスペック通りの出力ができるのかはわかりません。経済が停滞する日本に必要な投資なのかは疑問です。加えて言えばAI向けデータセンターの電力消費はその全量が回路抵抗による抵抗熱に変換されますから、かなり大きな熱源です。加えてサイリスタ日照り*12に見られるように半導体は熱に弱い。故に自らの消費電力で出た抵抗熱を屋外に放出する強力な空調機が必要になり、そちらでも電力を消費しますから、かなりエグい熱源でもあります。つまりAIだデータセンターだ原発だという先の未来は灼熱地獄ってことです。人口減少下の日本で機械仕掛けの知恵熱を引き受けるのは愚策です。

そして折れたつばさ*13のE8系のトラブルの原因が明らかになりました*14。補助電源装置のパワー半導体制御基板の不具合で所定より高い電圧がかかり、抵抗熱で半導体が融解し、動力モーター冷却が止まって主回路が遮断されたという流れで、特に先月17日には5編成がほぼ同時に異なる場所で停止ということが起きました。おそらく気温の高さも影響していた結果、半導体溶融が起きやすい状況だったと考えられます。逆に言えば気温の高さが思わぬバグを顕在化させたと見ることもできます。スマホ家電自動車から工場の機械類まで、半導体はそこらじゅうで使われています。加えてリチウムイオン電池の熱の弱さも言われており、今月20日の山手線の乗客の鞄の中のモバイルバッテリーの発火事件で長時間運転抑止されました*15。思えばスマホ、ハンディファン、ゲーム機その他携帯する電子デバイスは多数あり、ハンディファンの発火事件も起きています。結構危ない日常の悪寒。

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Sunday, July 20, 2025

折れたつばさ

参院選投票日当日ですが、ひどいTIXY選挙*1でした。政策よりも目先のアテンションで有権者アピールしてまともな政策論争もないまま過ぎました。それでも選挙報道姿勢を問われたオールドメディアは不十分ながらファクトチェックで姿勢を変えております。従来選挙運動を隠れ蓑に酷いヘイト発言し放題だったことに比べればマシにはなってますが、ヘイト発言に喝采する有権者はそもそもオールドメディアはウソだらけと信じ込んでますから響かない。故に従来投票したことがないような無関心層を動員して議席を得れば解散のない参院で6年の任期を得て少数与党に恩を売りながらうまい汁吸うことができちゃう訳です。

とはいえ政権選択選挙ではない参院選後には原則首班指名選挙は行われませんから、仮に与党が参院で少数転落しても、石破氏が自ら辞めない限り政局にはならないです。そして日米関税交渉の膠着が、アメリカ政府から見れば協議を重ねてきた石破政権が交代すると一からやり直しになるから、選挙が終わるまでは石破政権にマイナスにならないよう配慮してます。そして選挙後の赤沢経財相の8度目の訪米がアナウンスされています*2。つまり石破さん辞める気さらさらなしです。関税協議が政権延命の鍵という倒錯^_^;。とはいえ既に連邦歳入で法人税に次ぐ規模となった関税で税収が調達されている状況*3では交渉の余地は殆どありません。

それに背中を押されたのか日産が追浜、湘南の2工場の閉鎖を決めました*4。ブランド力の弱い日産としては関税の価格転嫁もままならず*5米国内工場を温存して他社製品の受託生産で量を確保する一方、国内工場は縮小せざるを得ない状況に追い込まれた訳です。財務状況が悪い日産としては関税分の値引きの原資がもたない訳です。立地から高く売れる可能性のある工場の閉鎖はそれだけ追い込まれているということです。そしておそらく高く売りたいから、工場ごと居ぬきで買える相手となると鴻海が有力候補になりそうです*6。鴻海はEV事業への本格参入を狙っており、乗用車に留まらずEVバスへの参入もアナウンスしております。国産EVバスはいすゞエルガEVのみで、BYDやヒュンデなど中国や韓国の輸入車頼み故に勝算ありと見たのでしょう。

そして前エントリー*7でも指摘しましたが、通貨当局が動けない中で日米両国のインフレ率の差が為替を動かすことを指摘しました。その結果為替はこう動きました*8。与野党のバラマキ合戦の影響もありますが、自動車を始め関税分を価格転嫁できていないことがアメリカのインフレ率を抑えている可能性も指摘できます。いずれ関税分の価格転嫁が進んで日米のインフレ率が逆転する可能性もあります。実際日本のインフレ率はコメの備蓄米放出やガソリン補助金で抑えられておりますが、それでも日本のインフレ率が高い結果です。今後も微妙な展開が予想されますが、政策的な価格抑制は財政の拡大で結局インフレを呼び込みます。この点はアメリカも似たり寄ったりなので、予想を難しくしています。まあ製造業での経済成長の可能性は日米共に殆どありませんが。

そんな折れたつばさを共有する両国ですが、それでも金融とITで稼げるアメリカに対して、自動車も袋小路でどうするということで半導体に注目が集まりますが、TSMC熊本工場で生産された半導体は殆どエヌビディアやアップルが買い手という現実が影を落とします。2ナノの試作品製造に成功した北海道千歳市のラピダスも同様の問題を抱えており、仮に先端品の営業出荷が可能になっても国内に買い手がいないという現実が待ち受けます*9。SuicaなどのIC乗車券や電子マネーに欠かせないFelicaシステムも今やソニーも見捨てたレガシー技術というぐらいイノベーションの周期が早い半導体のエコシステム構築は技術を磨くだけでは果たせず、寧ろアメリカのバイデン政権のスモールヤードハイフェンス政策で先端半導体が手に入らない現実を受け入れてレガシー技術を磨いて先端品と同等の性能を実現した中国の手堅さが、国内需要に押された結果という点は示唆に富みます。歩留まりが悪く採算が難しい先端品に拘る日本の在り方は、結局熊本の渋滞激化や豊肥本線混雑率ワースト*10という負のインパクトを地域にもたらしています。

そして半導体関連で山形新幹線つばさE8系のトラブルは原因究明が進まず、東京直通を止めて福島乗換で対応が続きます*11。報道では補助ん電源装置の半導体の不具合ということですが、思い出されるのが国鉄時代の中央快速線201系のサイリスタ日照り*12です。おさらいすると国鉄が中央快速線向けに開発した201系が、走行中に度々主回路がブラックアウトするトラブルに見舞われ、原因はサイリスタ素子の過熱と突き止められました。地下鉄では制御器の抵抗熱対策でサイリスタチョッパ制御が導入された一方、回生ブレーキ対策が必要な地上の鉄道では導入が進まない中で、国鉄一の高密度輸送輸送線区の中央快速線で回生電力の有効利用と量産効果によるサイリスタ素子の価格低減を狙ったものの、制御器は海側という抵抗制御時代の慣例で配置を決めた結果、東西に延びる中央線では日中直射日光を浴びて輻射熱の影響でサイリスタ素子が機能を失うことと、中野以西のベタ停車で加減速が頻繁で走行風による冷却効果も限られた結果でした。対策として制御器箱を白く塗って輻射熱を反射させるなどして安定させたものの、他線区への導入のブレーキになりました。例外は京阪神緩行線で駅間が長く高速走行で冷却効果があって同様のトラブルはありませんでした。

それでも国鉄がユーザーとしてメーカーを育てようとした結果の失敗ですから、その後のパワーエレクトロニクスの成長には貢献できたとは言えます。同様に常磐緩行線の207系900番台*13のセコい失敗もありますが^_^;、最強ユーザーとしての国鉄の存在感は大きなものでした。民営化後のJR各社は半導体も汎用品でコストダウンに励む方向へシフトしてメーカーとの結びつきが弱まったきらいがあります。例えば209系のVVVF制御器がトラブル続きで継続使用を断念して「寿命半分」が実現してしまうといったことですが、その流れでE8系のトラブルを見ると、トラブル発生日の気温が高かったことから、半導体が熱にやられた可能性はあると思います。厄介なのはかつてのパワー半導体と比べても回路構成が複雑化しており、チップ上に電流安定のためのセラミックコンデンサが組み込まれたりしていて、どこに不具合があるかが見えにくくなっていることはあります。また半導体製造のサプライチェーンは長く、その各段階に不具合が混入する機会は増えているということもあります。巨大化した米IT大手のようにサプライチェーンへの影響力を行使する力は弱まっていると考えられます。てことで原因究明は困難を極め、折れたつばさは当分続くと覚悟する必要があります。

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