鉄道事故

Saturday, November 23, 2024

オールドメディアの不作為

兵庫県知事選の結果が世間を騒がせてます。地方首長の選挙であり、現地の事情を知る立場にありませんが、ポリティカル・マーケティングに繋がる選挙の裏が可視化された出来事です。

SNSの功罪映した兵庫県知事選挙 斎藤元彦氏が「主戦場」制す - 日本経済新聞
斎藤元彦知事のパワハラ内部告発に始まった一連の報道で県議会の全員一致で辞職勧告による失職を受けての県知事選という流れは全国でニュースになっていた訳で、内部告発者保護法に反して第三者委による事実確認もせずに告発者を特定し個人情報を晒そうとして内部告発者を自死に至らしめたということは知られていただけに、意外なニュースと受け止められましたが、県議会が立ち上げた100条委員会も継続中で第三者委員会設置の話もあったけれど、ローカルニュースや政見放送に触れることにできない他の地方の人にとっては、何が起きていたかわからない状況で、何故か選挙戦終盤で斎藤前知事の支持が盛り返して当選し、立花N国党党首のアシストがあったことなどは選挙後に知ることになりました。

その間斎藤氏や立花氏はSNSの動画投稿でパワハラは捏造という根拠のない情報を垂れ流し、それに多くの有権者が反応した結果らしいということすが、斎藤氏のネット戦略を担当した民間企業トップが自慢げにブログ投降して公職選挙法で禁止されている買収に当たると指摘されて炎上中ということで、都知事選の時よりも裏方が表へ出たという意味でも注目の選挙となりました。

斎藤知事支持者と見られる人たちはウソばかりのオールドメディアに真実を突き付けたネットメディアの勝利と湧いてますが、寧ろ公職選挙法や放送法で謳われる公正中立を狭く解釈して自主規制したオールドメディアの不作為による不戦敗と言えます。少なくとも裏付けのないネットメディアの情報拡散をファクトチェックで検証するとか、刑事事件の可能性があるパワハラ疑惑を事件報道として取り上げるなど、やれることは多数あったし、ネット上ではそうした投稿も見られたけれど、ネット社会とはいえ社会的な影響力はマスメディアが勝る訳で、今後の検証報道をきちんとやってほしいところです。

米大統領選のトランプ現象とパラレルに語られる部分もありますが、元々マスメディアが旗幟鮮明にしているアメリカと、事なかれ主義で踏み込んだ報道ができない日本とではメディア事情はかなり異なります。アメリカでも民主党系メディアほど大接戦と報じてましたから、トランプ支持者の実態に対する見落としはあったと思われますが、メディアの独立性はずっと強いので同一視できません。トランプ支持でも同床異夢の部分はあり、今後それが米国内政局を動かすことになるでしょう。そもそも他所の国の民主主義の危機を心配するよりも足元の日本の選挙のお寒い事情を心配すべきだろ!

てことで心配なニュース2件。

東京・町田の民家で水と気泡、リニア工事中断 JR東海 - 日本経済新聞
大井川の水問題だけじゃないリニアの不都合な真実。岐阜県瑞浪市の地下水枯渇に続いて東京都町田市小野路地区で水と気泡が地上へ出てリニア工事の影響が疑われて工事中断中ということで、掘れば出てくるトラブル多数。また残土処理もめどが立っていないなど、見Kり発車で問題抱えてます。
JR北海道、約220踏切でレール再検証 貨物列車脱線受け - 日本経済新聞
今月16日に起きた函館本線森~石倉間の貨物列車打線事故で、レール腹部の腐食による破断が原因らしいということで、緊急点検となりました。超音波探傷で強度を弱める表面のキズは超音波探傷で確認できますが、腹部の腐食は盲点ということで、鉄道総研の享禄を得て対応するということです。考えられるののは梅雨がない謂われる北海道でも夏の雨量が増えていることで、踏切部の履工で湿潤状態のまま冬の土壌凍結で水分が保持されて春に溶けてもまた雨といった気候変動の影響があるかもしれません。加えて重量のある貨物列車の運行で傷んだ線路の目視や打音点検や補修が人手不足で追いついていないといった事情も考えられます。ともあれ貨物幹線の維持が困難となれば北海道経済には打撃です。

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Saturday, October 05, 2024

地方は創生できない

いしばしをたたいてわたるライブ実演中。

金融政策、揺れる石破首相発言 「火消し」にも市場反応 - 日本経済新聞
総裁選後の為替変動や週明けの株価下落を一部で「石破ショック」と呼んでいるようですが、為替は逆に円安になり一時149円をつけましたし、株価もやや戻しました。乱高下しやすい市場環境のなせる業で、日本の首相選びが影響した訳ではないということは申し上げておきます。

市場の波乱要因としては寧ろイスラエルのヒズボラ掃討軍事行動やイランによる報復としてのミサイル攻撃など、中東情勢の悪化による地政学リスクでエネルギー価格が上昇したり、米港湾ストもあってサプライチェーンの攪乱といったリスクオフ要因に反応したものでしょうし、日本株に関しては一時的な円高の影響と新NISAで資金流入した結果の過剰流動性相場と見ればほぼ説明がつきます。ただインフレ基調なので株価はインフレをヘッジして値上がりするトレンドはありますから、時間はかかるかもしれませんがいずれ回復します。

それよりも本人の発言がブレブレで、修正発言に対しても市場が反応するということで、結局経済政策に大きな変更はないことが明らかになり、いずれ落ち着きでしょう。それよりも地方重視の目玉が地方創生交付金の倍増というのですから呆れます。結局中央の大手コンサルの助言で要らない事業がなされ、コンサルにさや抜きされただけ。地方に必要なのは自治に必要な財源と権限です。つまり地方創生ではなく地方分権こそが必要なんですが、与党国会議員が裏金で地方議員を操って与党の地位を維持する体制が崩れるからできない訳です。その結果が能登半島の惨状や再稼働で揺れる原発立地自治体です。これ返礼品競争でコンサルやまとめサイトにさや取りされたふるさと納税に似てません?企業版ふるさと納税ではこんなことまで起きてます。

福島県国見町にみる「企業版ふるさと納税」の課題 日経グローカル 地方自治を考える - 日本経済新聞
人口減少で救急搬送体制維持が困難な地方で、近隣自治体への救急車派遣事業を資金提供を約束したコンサルの提案で着手し、事業者の入札をしたけど入札は1件だけで、しかもコンサルの関連会社だったということが同町議会の100条委員会で明らかになりました。入札条件が多岐に亘り、事実上コンサル関連会社しか参加できないものだったことや、入札前に救急車の製造に着手されていた事実まで明らかになっています。事業はとん挫し、コンサルが提供した資金で関連会社に金を落とす形で自治愛を食い物にした悪質な事例です。

元を質せば現在日本郵政社長の増田達也氏が「消滅可能性自治体」をリストアップして自治体の危機案を煽ったことが始まりで、ふるさと農政制度も都市部に偏在する税源を地方へ振り向ける目的だった筈ですが、あっという間にコンサルの悪知恵で返礼品競争になり,返礼品手配やまとめサイト掲載などのパッケージ提供の見返りに多額の手数料がさや抜きされていて、実際には寄付額の半分も自治体に入らない現実があります。元々寄付税制で寄付額kから2,000円を引いた額の50%(国税40%地方税10%)が税額控除されていたので、その活用を告知するだけでよかった筈ですし、自治体クラウドファンディングとして国が無償掲載できるサイトを立ち上げるとかすればよかった筈です。ふるさと納税も地方創生も地方が民間に食い物にされる手垢のついた愚策です。話題を変えます。

鉄道輪軸データ改ざん、50事業者の車両で確認 国交省 - 日本経済新聞
JRの掟?の続報ですが、国交省の調査では鉄道事業者50事業者でデータ改ざんが確認され、全て総合車両製作所(JREC)か京王重機整備(以下京王重機)に輪軸組立を委託していたもので、結局データ改ざんはJTRECと京王重機で実施されていたということです。JTRECは東急車輛製造時代からだと思いますが、京王重機共々関東を中心に他社の輪軸組立を請負ってきた訳です。つまり輪軸組立という鉄道独自の保守作業ですが、規模の大きいJRはともかく各社が自前で設備と人員を保有するよりも、外注してアセットライトな経営で資本コストを下げたい誘因はある訳で、逆に受託側は規模の経済で効率性を高められますから、受託手数料を取っても委託側から見れば安上がりということになります。まるで国見町の救急車肺炎事業のような構図ですが、民間同士ならば契約に基づいて行うだけでそれ自体は問題にはなりません。

但しそもそも輪軸組立時のデータの上限値と下限値はJIS規格で定められているようですが、元々現場の経験や勘に支えられてきた職人芸的なスキルを継承する若手が減ってきている一方、報道で見る限り、調査した輪軸の中にはデータのないものも多数あり、つまりデータ保存が始まったのは結構最近のことで、おそらくベテラン職人は経験的な属人的スキルで対応してきたものの、若手の育成にはデータの活用が欠かせないとなり、データを取ってみると外れ値が意外と多いけど、ベテランの経験則でスルーしても安全と見ることができるグレーゾーンが存在しているということでしょう。その一方で収益化されることで歩留まりを高めないと利益が出ないという別の問題もある訳で、安全に問題ないレベルの外れ値は改ざんでクリアすることが行われるようになったと推測されます。とするとかなり根深い問題です。

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Saturday, September 28, 2024

いしばしをたたいてわたる

海外からは殆ど注目されない日本の選挙、しかも自民党総裁選という党内のリーダー選びですが、今回は珍しく注目されました。

自民党新総裁に石破茂氏 1回目と決選投票の結果詳報 自民党総裁選2024 投開票速報 - 日本経済新聞
1回目投票で高市氏トップが報じられると、アベノミクス継承で金融緩和と積極財政ということで為替が円安に振れた一方、決選投票で石破氏当選が報じられると円高に揺り戻すという形で市場が反応しました。日本の選挙ではほぼ見られなかったことですが、主に海外勢による経済政策変更の有無に反応したと見られております。加えて今回は米金融筋の資産運用立国政策が継承されるのかとか、岸田政権で進んだ日米同盟強化がどうなるかで米政府高官の発言があったりしています。正直言いますと高市氏にしろ石破氏にしろ先行き不透明という本音が漏れたということでしょう。

市場の反応に関しては新NISAの影響とみています。新NISAで日本の家計貯蓄2,000兆円の一部が株式市場に流れ込み、オールカントリー(略称オルカン)と呼ばれるパッシブ型株式投信に流入した結果、日米ともに株式市場が好調ながら、逆にパッシブ投信故に相場の僅かな変化を拾って過剰反応してしまうということですね。8月相場はそれですし、9月も変動幅こそ小さくなりましたが、上げ下げが続く落ち着かない相場になっています。加えて日米ともに国債金利が上昇傾向にあります。利上げした日本に留まらず積極財政の続くアメリカでも長期金利は上昇しており、市場金利は日米ともに上昇傾向ですから、一部の投資家は株式から債券に乗り換えるという動きもあり、こうした資金シフトも株価を不安定にします。

そして普通なら個人的には無視する政局ですが、流石に石破氏の当選は意外感があり、不人気な森首相の辞任を受けた後継に小泉純一郎氏が選ばれたことが言われてますが、今回その役割は小泉進次郎氏に託されていた筈で、元々が解散総選挙を睨んだポスター映えのする総裁を選びたかったけど、巧みにプロデュースされていながらボロを出して「進次郎じゃだめだ」となって保守層に人気のある高市氏が票を集めたけれど、流石に右派過ぎて推せないことと、裏金議員が推してるしインフレに苦しむ国民にもアベノミクスの副作用の認識が広がったといったことも影響したと見られます。何より有権者は変化を求めている訳で、高市氏では戦えないというのが本音でしょう。その意味ではロッキード事件で逮捕され失職した田中角栄氏の後継に三木武夫氏が指名されたことの方が類似性がtあるといえます。変化を見せる自民党流疑似政権交代の演出という目晦ましです。

例えば裏金議員の公認問題という踏み絵が待ち受けます。厳しくすれば党内から不満が出て三木おろしならぬ石破おろしが動きますし、甘くすれば野党から突っ込まれます。どっちに転んでも叩かれる訳です。加えてインフレ対策や能登半島豪雨の復旧などの課題が待ち受けますが、石破氏自身がインフレ対策で補正予算を組むと述べる一方、能登南東豪雨関連は予備費で対応としています。言い分としては補正予算を組むより素早く動けるそうですが、1月の能登半島地震の復旧が進まなかったのは、予備費なら閣議決定だけで支出を決められるとしておりますが、その結果個別に財務省の査定で削られて道路も堤防も仮復旧で震災瓦礫も片付かない状態で豪雨で二次被害を出している訳です。

ちなみに内閣の方針で予算の使い残しや税収上振れによる次年度繰越金の一部を防衛費に充てることが法律で定められ、25年度プライマリーバランス黒字化も堅持する方針が示されている以上、財務省が予備費の使い残しを増やそうとするのは当然のことですから財務省悪玉論は見当違いです。予算化することで各省庁の執行権限が確定する訳ですから、財源は予備費でも補正予算組んで動きやすくすることは重要です。被災者よりもアメリカ製の旧式兵器を買うことを優先した内閣の方針の犠牲ということです。一方で選挙を睨んだ経済政策は党内バランスでバラマキ色が強く実効性が乏しい傾向があります。こんなところに選挙管理内閣の限界がある訳です。という訳で川柳。

石破氏を叩いて渡る自民党
お粗末www。
東北新幹線はやぶさ・こまちの車両分離、金属片でスイッチ誤作動と推定 - 日本経済新聞
赤字3Kの掟?の東北新幹線列車分離事故の続報です。調査の結果こまち編成E3系の運転台にある連結器開放スイッチの接点部分に金属片が張り付いていて、回路短絡でスイッチが作動したらしいと推定います。スイッチは連結がうまくいかなかったときの為の開放スイッチで、通常は使わないバックアップシステムですが、他の編成も緊急点検した結果、同様の金属片が複数の編成から見つかったことも報告されてます。

メーカーのヒアリングで金属片は製造時の金属クズ由来ではないかと言われ、同システムの使用を停止してバックアップは手動対応とするということですが、バックアップシステムを含む自動化の難しさでもあります。人手不足で省力化は避けられませんが、非常時には人勧製術を取らざるを得ないとすると、トラブルの回復に時間がかかることを意味します。悩ましいところですが、フェイルセーフ原則順守の鉄道としては石橋を叩いて渡る対応をとらざるを得ないことは忘れてほしくないところです。

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Saturday, September 21, 2024

赤字3Kの掟?

JRの掟?の続きのニュース。

東北新幹線、走行中に連結外れる 国交省が原因究明指示 - 日本経済新聞
300km/h超で総胸中の列車分離という重大事故です。連結器には損傷がなく、システムj上5km/k以下でしか作動しない筈の連結器開放テコが動いたとしか考えられない事故です。新幹線でも通常の電連付き密着連結器が使用されていて、開放テコは運転席からの遠隔操作で自動化されてますが、走行中はロックされている訳で誤操作の可能性もほぼ無い訳ですが、1974年9月12日の新幹線品川事故で当時の品川運転所部機器部でATC建屋内に車両洗浄機用のトランスが置かれていて、電磁誘導で信号電流類似の異常電流が流れて信号が乱れたもので、言ってみれば偶然発生したノイズ電流がキャンセルされずにシステムが信号電流と認識した事故が思い出されます。

列車分離後は非常ブレーキで停止してけが人は出なかったのですが、JR東日本によると分離した編成の非常ブレーキの方が強く作動するようになっていて、300m離れて停止したということで、フェイルセーフが働いたとは言えます。災害の備えと憂いの東海道新幹線の保守車両事故のところで説明した自動ブレーキというのは、圧搾空気を封入した加圧管を編成全体に引き通し、列車分離すると圧力が下がってブレーキシリンダ―が動いて停止するという仕組みですが、電気指令式になっても同様の仕組みは組み込まれております。しかし高速走行中であり、誤作動の可能性があることが分かった訳ですから、原因究明が大事なのは言うまでもありません。そして輪軸組立でも新展開です。

京王電鉄系「京王重機整備」、車軸1786本の数値改ざん 京王・都営で使用 - 日本経済新聞
JR貨物で発覚した輪軸組立工程のデータ改ざん問題が私鉄にも飛び火してます。東京メトロで傘下企業の不正が発表され、東京都からも都営地下鉄で発表がありましたが、都営地下鉄の輪軸組立は京王電鉄系列の京王重機整備に委託していて、更に関東を中心に多くの中小私鉄からも委託されていて大ごとになってきています。そして京王重機は特装車の製造や戦車を含む自衛隊車両のメンテナンスなども請け負っており、東京特殊車体名義のオーダーメードバスではとバスなどの事業者に納入されております。

鉄道のメンテナンス部門は言うまでもなくコストセンターで、固定費の重い鉄道事業にとってはコスト削減が重要なのですが、規模の小さい中小私鉄にとっては重荷ですが、大手私鉄でも中規模の京王電鉄でもやはり重荷です。そこで他社のメンテナンスや車両改造、後進修理などを請負って規模を確保した上で委託事業者から受け取る委託料も入るという訳で、京王グループにとっては欠かせない事業ですが、それ故にコスト削減圧力も強かった可能性があります。加えて言えば輪軸組立の圧力データの関するルールも曖昧なところがあって、基準値を超えても超音波探傷などの非破壊検査で不具合は確認できるということでスルーされやすいというか、結果オーライで済ます傾向はあるかもしれません。民間事業では赤字は悪という意識は強いですし。

一方で公共部門でかつて赤字3Kと呼ばれた事業があります。国鉄、健保、国民年金の頭文字Kをとって呼ばれたものですが、国鉄はそれを理由に分割民営化されてJRになり、健保、正確には中小零細企業対象の政府管掌健保ですが、47都道府県の広域連合としての健康保険協会を立ち上げて保険者が政府から協会へシフトして、謂わば体よく地方に押し付け、国民年金は今も制度としては存続してますが、1985年の年金改革で基礎年金が制度化され、財政規模が大きく余裕のある厚生年金からの会計間扶助で悪名高い第3号被保険者制度が作られ、今に至るもそのままです。以後5年ごとの財政検証が行われ、2004年には100年安心プランが打ち出され、現在に至ります。今年も財政検証が行われましたが、詳細は別の機会に取り上げます。

国鉄の赤字は赤字ローカル線のせいだということで、国鉄時代に赤字83線区廃止が打ち出され実行されたものの国鉄の赤字は解消するどころか累積し、次いで特定地方交通線切り離しでバス転換、私鉄、三セク鉄道引き受けなどが進められ、民営化後も続きました。そしてJR北海道と四国の慢性的赤字やJR東海を除くJR旅客会社の線区別営業係数公表などで地方ローカル線の存続問題が出てきていますが、厄介なのは特に上場3社の場合は全行黒字故に公的支援を受けられないことです。地方中小私鉄や地法交通線転換三セクは公的補助を受けやすいし、JR北海道や四国も鉄道・運輸機構への預託による利子補給や基盤整備補助などで事実上の公的補助を受けています。それでも出口の見えない厳しい状況は続きます。

JR北海道の4〜6月、札幌圏が黒字転換 新幹線は赤字縮小 - 日本経済新聞
唯一黒字転換の可能性のある札幌圏の黒字転換と北海道新幹線を含む赤字縮小で全体的には収支が改善したものの、札幌圏の内部補助で全体を支えることは不可能です。北海道新幹線の札幌延伸も遅れているし収支完全効果もどの程度か?並行在来線の切り離しで改善はするでしょうけど、鉄道ネットワークを維持するには至らないでしょう。加えて老朽車両取り換えで新車を多数投入してますが、その減価償却費が重荷となります。公共部門の赤字を理由とした民営化の限界は確実に見えています。

一方でかつての食糧管理制度の赤字は問題視されることなく、減反に伴う添削補助金や資料米その他の食用米との差額補助はされてコメ不足でも備蓄米は出さずと、国民生活をないがしろにしながら国民生活を支える公的な赤字は許さない、そんな政府は変えたいですね。

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Sunday, September 15, 2024

JRの掟?

不正を生む会社の掟は鉄道業界も例外ではなかった?

JR貨物が列車運行停止 ヤマトや佐川など配送に遅れ - 日本経済新聞
7月24日に起きた新山口駅構内での貨物列車脱線事故の調査過程でJR貨物広島車両所の輪軸組立工程での不正が社員の証言で明らかになりました。車軸の左右に車輪を嵌める輪軸組立工程で、基準値を超える圧力をかけると亀裂により強度が低下する可能性があることから、基準値を超えた場合は作業を止めて輪軸を点検して亀裂の有無を確認する決まりですが、圧力データを改ざんしていたというもの。荷重を支える輪軸の強度低下は大事故の恐れがあるだけに重大です。

しかも広島以外に関東の川崎と北海道の輪西の車両所でも不正の可能性が明らかになり、また全国で広域運用されていることから、今月11日に全列車を停止して調査した結果、630両の不正が発覚しました。運転停止は1日で済みましたが、ヤマトや佐川などの宅配便に一部遅れが出てしまいました。輸送シェア1%の鉄道貨物ですが、長距離輸送に優位性があり、特に24年問題でトラックドライバーの働き方改革で長距離ほど制約を受けるトラック輸送の鉄道代替はそれなりに進んでいた訳で、影響は大きかった訳です。加えて国交省で鉄道各社に輪軸組立工程の見直しを指導した結果、こんなニュースも。

JR東海、在来線10車両を使用停止 11部品で圧力超過 - 日本経済新聞
会社の掟エントリーで自動車メーカー全社が不正してたように、鉄道各社に広がる気配もあります。但しJR東海によれば新幹線車両に該当はなく、在来線車両で11例が確認され一部車両を運用から外して対応ということです。JR東海の場合は基準値ではなく目安値としてオーバーした場合の対応もマニュアル化されてはおらずアバウトなところがあります。新幹線は流石にちゃんとしているようですが、在来線では言い方は悪いですが手抜き公認だったとも言えます。災害の備えと憂いで取り上げた新幹線保守車両の衝突事故のように乗客の安全に直接関わらない保守車両の手抜き疑惑もありますし。

会社の掟エントリーではJR東日本関連会社による横浜みなとみらい地区の新歩道橋の設計ミスといったこともありますし、安心してくださいで指摘した組合潰し以来同エントリーで取り上げたE3系つばさの500mオーバーランとか不可解なことが起きていますし、見直されたとはいえみどりの窓口縮小など、現場を疲弊させるような意思決定が続いております。今字は年1回に後退した3か月ごとの労使協議を当たり前にこなし、現場の声を経営に反映させてきたJR東日本の様変わりには不安を覚えます。労組対立を背景に尼崎事故を起こしたJR西日本や上場を急いで鉄道サービスの劣化が進むJR九州や経営難のJR北海道JR四国など、民営化して益出しのためにコストダウンに励んだ結果であるとすれば、深刻な問題です。これがJRの掟?

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Sunday, August 18, 2024

災害の備えと憂い

バイデン不出馬のプランBで大統領選を混戦に持ち込んだ米民主党に倣った訳ではないでしょうけど、キッシーも総裁選不出馬を決めました。早速出馬に名乗りを上げる自民党議員が複数出てきてメディアはそれらしく報じてますが、騙されちゃいけません。プランBエントリーでも指摘したように、公職選挙法の縛りがなく実弾飛び交う自民党総裁選がまともな選挙になる筈がありません。派閥が解散しても派閥資金は宙に浮いている訳で、これがどう動くかで決まるだけの目晦ましです。寧ろ出馬に必要な推薦人20人の顔ぶれや唯一解散していない麻生派の動きに注目です。

検証 政治とカネ (岩波新書 新赤版 2021) 新書 – 2024/7/22 上脇 博之 (著)で詳しく解説されてますが、自民党の裏金問題はそもそも法の不備で抜け穴だらけで、通常国会で成立した改正政治資金規正法もザル法で意味がないことが国民にバレているのに、岸田では選挙に勝てないとばかりに顔を変えれば勝てると勘違いしているのが今の自民党という訳です。どうしようもない政治的茶番劇です。

その一方で正月の能登半島地震の復興は進まず、先日の日向灘地震が南海トラフ地震の震源域に当たるということで注意情報が出されて一部で海水浴場閉鎖などの措置が取られたりした中で、台風7号の直撃予報で東海道新幹線の16日終日運休を決めました。結果的に進路が東へ逸れて直撃はなく、一部で終日運休が批判されてますが、余地が困難な地震と違って予報の精度が高まっている天候の異変に先回りすることは、結果的に空振りに終わったとしても咎められるべきことではありません。

去年も本気の気候変動対策のように東亜気道新幹線が豪雨被害で運休となり、除却が駅に溢れ変更や払い戻しでみどりの窓口に長蛇の列ができて混乱しました。JR西日本はいち早く計画運休を決めていたことから判断を遅らせ情報提供も不十分だったJR東海は批判されました。その意味では今回のJR東海の判断は妥当なものと言えます。予知の困難な地震と違って予報精度の高い天候の異変に対しては、事前対策で災害の被害を減らすタイムライン防災の考え方が定着してきたということです。ましてJR東海は災害は忘れた頃にで取り上げた2000年水害の失態もありますから、よくぞ決断したと褒めたい気分です。

勿論JRにとっては稼ぎ時のお盆シーズンの終日運休は収益面ではマイナスですが、動かすことによる被害を回避することで余分なコストを減らす意味もあります。というか、そう考えざるを得ない程気候変動の影響が大きくなっているということでもあります。コストを言い訳に脱炭素をサボってきた結果でもあり、愚かです。

JR東海はプランBエントリーで取り上げた保守車両事故による運休もありました。このときはJR東日本が北陸新幹線に臨時列車を増発したり、ANAが臨時便を飛ばしたりしましたが、今回は北陸新幹線も列車を間引き、羽田成田発着便を中心に航空便も運休が相次ぎ、代替手段がなく前後の日に変更したり諦める人が殆どだったようです。関空連絡橋のタンカー衝突事故を受けて大型船舶の東京湾入湾規制まで実施されたぐらいですから、今回は仕方がないと言えます。一方保守車両事故の続報です。

衝突の新幹線保守用車、ブレーキ機能低下 点検に甘さ - 日本経済新聞
当該保守車両の一部に点検の不備が見つかりました。鉄道の世界で自動ブレーキと言われるもので、コンプレッサーで作った圧縮空気を空気溜めに溜めてホースで各車両に渡した加圧空気管でブレーキシリンダを緩め位置に保持し、ブレーキレバーで加圧管の空気を抜いてブレーキシリンダを込め位置に動かしてロッドで繋がったブレーキシューを車輪に押し付けて摩擦で止めるという仕組みですが、一部の保守車両で圧力不足でブレーキシューが込め位置のまま動かしていて過剰摩耗でスキマができていたということです。

営業車両では電気指令式が主流となっている中で、圧搾空気を用いる自動ブレーキが保守車両では残っていた訳で、また非営業で車籍のない保守車両故に点検に甘さがあった可能性はあります。技術の進化が不均衡なことを思い知らされますが、同時に盛土路盤にバラスト道床の東海道新幹線の特殊性があります。盛土路盤は豪雨時の緩みもありますから、保守精度を求められる高速鉄道の路盤として維持管理が負担になるんじゃないかとも思います。営業車両の一部へのセンサー搭載で2025年にドクターイエローの退役が発表されており、より多くのデータ収集が可能になるとしても、実際の保守作業が旧態依然ではこれがネックになる可能性もあります。

一方予知が困難と言われる地震も知見が増えており、日本列島はすごい-水・森林・黄金を生んだ大地 (中公新書 2800) 新書 – 2024/4/22 伊藤 孝 (著)で詳しく解説されてますが、大陸プレートと海洋プレートのぶつかり合う周縁部で比重の差から海洋プレートが沈み込み、その際に境界部が動いて地震が起きるし、また海水が地層に取り込まれて圧力の不均衡からマグマだまりができやすく火山が多数あり、温帯地域の大陸東端の多雨地帯であることもマグマだまりを形成するという不安定な日本列島で人工工作物の大井大都市の集積のリスクと共に、それ故に豊かな自然にはぐくまれた日本列島の特性を生かし切れていない現状からすると、集積を加速するリニアは不要だし建設は困難というリアルを直視すべきですね。故にリニアはプランBになり得ません。

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Sunday, July 28, 2024

プランB

ここへ来て為替が円高に動いています。きっかけはトランプ銃撃事件からの一連でもしトラがほぼトラじゃないかという観測から始まった所謂トランプラリーらしいのですが、加えて今月末の日銀政策決定会合での利上げ観測と、同時に行われる米FOMC関連で9月会合での利下げ観測を示唆する発言が出るかどうかあたりから、日米金利差が縮まるかもしれないという見方です。加えて言えば8月の円高傾向という経験則もあります。これは米財務省債の償還が8月に集中することから、受け取ったドルを売って円に替える傾向があると言われています。そして長く見られなかった日本時間の昼間の円買いが増えていることも指摘できます。つまりこれまで海外で稼いだドルを海外法人に内部留保していた日本企業が、円高が進行する前にドルを売って益出ししている結果です。円安インフレに苦しむ国民のをよそに利益追求に勤しむ日本企業の頭隠して尻丸出しの姿勢によるものです。

そして突然喰らうド障害でシステム復旧が遅れた企業が多数あり、その中には自動化が進んだテスラのEV工場も。DXだのIOTだのといっても、こうした大規模障害の可能性までは考慮されておらず、プランBが存在しなかった訳です。経済安保を謳ってもロシアなどのサイバー攻撃で機能不全に案る可能性はある訳でプランBは重要です。そしてAIブームもあって絶好調だったテック系企業の株価が調整局面に入ったこともあります。

大統領選に関してはインフレ定着が意味するところでいずれにしろ対日本では誰がなっても「金出せ!」に変わりはないですが、パレスチナ政策ではイスラエルに厳しいと見られるハリス氏に期待します。バイデン大統領の出馬辞退を受けてのことですが、トランプ氏銃撃事件から共和党大会で副大統領候補にバンス氏指名とメディア露出の増える局面での民主党の作戦勝ちのハリス旋風でトランプ氏有利を少なくともほぼ互角まで切り返しました。これを狙っていたという説もありますが、高齢のバイデン大統領の健康問題は以前からわかっていたことですから、最初から狙っていた訳ではなくあくまでもプランBのシナリオと見るべきでしょう。それにひきかえ日本では。

堀井学衆議院議員、香典「違法性を認識」供述 地検聴取に - 日本経済新聞
裏金議員の橋本聖子議員の子分で小物ですが、元スポーツ選手で地元に地盤のない落下傘候補故に有権者の慶弔事への祝金や香典は大事だけど、本人持参という法の縛りがある一方、高齢化で弔事が増えて議員本人が動けないから家族や秘書が代理でということで、本人も違法性を認識していたということで万事休す。こういうところに裏金が使われていたのでしょう。但し香典だけで千万単位にはならない訳で、大口裏金議員は何に使っていたのでしょうか?

小泉劇場で新自由主義に舵を切り福祉切り捨てに走ったことで離反した自民党員が多く、党員が支払う党費が減ったことで裏金の重要性が高まりました。特に派閥資金は公職選挙法の対象にならない自民党総裁選で飛び交う実弾の原資となります。今回は派閥解散が相次ぎましたが、派閥が管理する政治資金は残っている訳で、実弾飛び交う総裁選が展開されます。故に国民的には人気の高い石破氏や小泉氏には可能性はない訳で、あとは不人気な岸田氏に代わる若手が出るかどうかですが、いずれにしてもカネまみれの総裁選で事態を打開できると考えているなら甘いですね。プランBはなさそうです。故に野党の出番ですが、野党同士の足の引っ張り合いが続いており、政権交代もすんなりとは進まない感じです。プランBはあるか?そして日本でもリアルなトラブルが。

東海道新幹線が運転見合わせ、再開は夜以降 保守車脱線 - 日本経済新聞
22日未明に東海道新幹線豊橋―三河安城間で粗酒車両の脱線という第一報だったのですが、詳細がわかると保守車両同士の衝突事故で双方動けない状態で復旧に時間がかかることが次第に明らかになりました。これ福島の原発事故のように、当初は過小な事故のように報じて徐々に大事になるという情報開示姿勢の悪しき慣習ですが、実際はバラスト散布車編成とバラスト突き固めのマルチブルタイタンパー、通称マルタイの衝突事故で、チオ国マルタイの損傷がひどくて現地解体を余儀なくされたことが復旧を遅らせた原因ですが、幾つかの疑問があります。

バラスト軌道は新幹線では東海道新幹線のみで、山陽以降の全幹法準拠の新幹線とは軌道構造が異なります。山陽以降の新幹線は高架橋主体でコンクリートスラブと称する鉄筋コンクリート板をコンクリート路盤に防振ゴムを介して固定する構造でメンテナンスフリーなんですが、盛土区間が多く不等沈下があるので、微調整が可能なバラスト軌道にせざるを得ない上、16連285km/hの高速列車が3~4分間隔で走る訳ですから、軌道破壊の修復を高頻度で行う必要があります。しかも0時~6時の保守間合いの間に行う必要があります。現場作業はかなりタイトになる訳です。故にバラスト散布車両とマルタイが同じ線路上で作業ということになるんでしょうけど、信号回路はoffで基本目視確認ですが、夜間作業でもあり、保守車両にはGPS連動のブレーキが装備され、また当該乗務員もブレーキ操作をしたにもかかわらず止まれなかったということで、原因はわかりませんが、作業員の確保も含めて保守作業が困難になっている可能性はあります。スラブ軌道は無理でも何らかのメンテナンスフリー対策を考える必要があるように思います。ぶっちゃけのぞみ増発で無理をしている可能性はありそうです。回避の為のプランBは開業時期が見えないリニア?

そしてプランBとしてがぜん注目されたのが、先日敦賀まで開業した北陸新幹線ですが、東海道からシフトした乗客は全車指定のかがやきではなく自由席のあるはくたかに集中した結果、通路まで埋まる大混雑となりました。こうなると敦賀乗換が恨めしい。中途半端な敦賀開業を急ぐより当面乗換でもいいから米原まで開業していれば混乱はある程度緩和されたでしょう。レジリエンスを叫ぶ某京大教授が整備に時間のかかる小浜京都ルートを押してますが、画に描いたプランBでは意味がありません。

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Sunday, May 05, 2024

こどもの疲弊

本題の前に為替の話題です。

NY円相場、続伸 1ドル=152円90銭〜153円00銭 予想下回る米雇用統計受け - 日本経済新聞
インフレ定着が意味するところの時点で158円だったドル円相場が152~3円と下がりましたが、これを介入の効果と見るのは早計です。元々日銀政策決定会合で金融政策維持が決まったことで円安に動き、米雇用統計が予想を下回ったことで円高に動いただけで、何れも金融関連のイベントに反応しただけの結果です。29日や2日の乱高下は日本の祝日や早朝という薄商いで相場が動きやすい状況だったタイミングでの介入でブレが大きくなっただけです。故に円安インフレの終息が見通せる状況とは程遠いってことです。

一部に円安を阻止した神田財務官は植田日銀総裁より優秀じゃないかと言われたり、FXトレーダーだったら大儲けじゃないかといった声がありますが、いずれのタイミングによるたまたまですし、第一神田財務官はFXトレーダーじゃないし、国家は憲法でできている で指摘したように為替差益は実現しません。これもう少し説明すると、外貨準備として政府が保有するドルは日銀の預託されている訳ですから、その一部を引き出した形になり口座残高が減るだけです。それがドル売り円買い介入の実態です。当然政府はFXトレーダーなら手にする為替差益を得ることはできない訳です。信用創造の逆が起きる訳です。

そんな中で防衛費と共に財源確保が難題の子育て支援の財源問題ですが、これもデタラメです。「異次元の少子化対策」を謳ってますが、少子化自体は先進国共通の問題ですし、最近は新興国でも工業化の進展と共に少子化が進んでますから、少子化自体を政策的に止めることはできないと見るべきでしょう。但し子育て環境によって少子化のスピードを遅らせることは可能ですから、子育て支援が無意味とは言いませんが、どう転んでも子育て中の現役世代の負担増になるということは踏まえて制度設計しないと、結局負担感は増す一方で効果は見えないということになります。

それに対して高齢者ばかり優遇されるという議論がありますが、これも高齢化と共に避けられない負担な訳で、簡単には減らせません。ということは高齢化による負担増と子育て支援の負担がダブルで現役世代にのしかかることを意味します。これを回避し現役世代の過重負担を抑制するとすれば消費税を財源にすることで、避けられない負担を社会全体でシェアする形しか広範な合意を得ることは困難です。

それに対して政府は不人気な消費税増税を封印して社会保険改革で財源を生み出すということを言っている訳です。具体的には国保、協会健保、組合健保、後期高齢者健保といった健保勘定の保険料に子育て支援金を上乗せする形ですが、現役世代中心で年齢層が低く資金も潤沢な組合健保の負担が多くなることは避けられませんから、結局現役世代の負担を増やすことにしかなりません。加えて後期高齢者の自己負担増などで給付を減らすというのが「社会保険改革」ってことで、目先のゴマカシです。これじゃ寧ろ少子化を加速します。

そして現金給付で対応しようとしていることも問題です。少子化の原因が経済要因なのはそのとおりなんですが、現金配れば解決するかといえばそうではなく、主に教育費負担がネックになっています。にも拘らず政府は文教予算を削ってばかりで、国公立大学の独立行政法人化や「選択と集中」と称する科研費の減額などでG7はおろかOECD加盟国中で見ても教育の公的負担は最低レベルで,その分家計が負担している訳です。そして教育内容も複雑化しており、今や小学生から塾通いが当たり前という状況です。これじゃ子どもを持ちたくても持てません。

逆に言えばこの部分の公的負担を増やせば効果は期待できます。例えば給食費や教材費の無償化や高等教育の無償化といったことですが、これらは消費税にして2%程度の負担で実現可能ですし、少子化による労働人口の減少を補う意味での生産性向上を目指すならば、結果的に将来のリターンが見込めますから負担が軽くなるということですね。現金給付だけならそれが教育資金に回るとは限りませんし、共同親権問題とも絡みますが、給付欲しさに離婚カップルの親権争いという醜い現実をもたらすことは避けられないでしょう。子どもの為には教育という現物給付が望ましいということです。

あと負担の公平性を考えるなら金融所得課税も必要ですし、その意味で新NISAは負担の公平性に逆行します。特に若い人に申し上げたいのですが、資産形成をまじめに考えるならば、無理のない範囲でのコツコツ形の積立投資で福利効果を狙って時間を味方につけることをお勧めします。その意味で積立NISAならば検討の余地はありますが、元々分離課税で税負担の軽い金融所得課税をケチるよりもiDeCoを先に考えた方が良いです。被雇用者でも加入が可能になってますから、月々の余剰資金をiDeCoで運用して、拠出限度額を超える資金があるならその超えた分を積立NISAに回すという形にしましょう。

iDeCoの良いところは積立金が公的年金に準じた税法上の扱いになり所得控除が可能になりますから所得税減税になります。所得税は超過累進課税ですから、所得額の税区分が下方に移行すればより大きな減税効果がありNISAにはできない芸当です。また勤め先の企業年金が確定拠出型年金](DC)の場合、転職や退職時に手続きすれば積み立て分をiDeCoに移行できますし、フリーランスでも続けられますから無駄になりません。

但し払い戻しは満60歳まで出来ず、死亡や中途解約の場合は払い戻し放棄となりますので老後資金には向きますが、子供の教育資金やマイホーム資金などには不向きです。それでも払い戻し時には一時金あるいは年金として受け取り方法を選べ、年金方式の場合公的年金との合算で税優遇が受けられます。政府は盛んに新NISAを勧めますが、自分に適したプランは冷静に考えましょう。

しかし子供たちの置かれた状況の過酷さは本当に頭の痛い問題で、中学生時代に学習塾の塾長を怒らせてクビになった^_^;私なんぞ、今に生まれてれば落ちこぼれ間違いなしですね。また離婚が増えている現状でひとり親世帯が増えている現状では、家庭の事情で進学を諦めるるといったリアルがある訳で、こうした家庭で育つと自衛隊に入るかブラックバイトで凶悪犯罪の実行犯になるかといった未来が待っているということになりかねません。加えて気候変動で自然災害が増えたり農産物の収量が不安定になったりしているのに大人の事情で脱炭素は進まないし。当然紛争が増えることになります。子どもたちにこんな未来しか約束できない大人たちの不作為が原因です。

その一方で公金バラまいて原発再稼働やリプレースに前のめりだったり日の丸半導体復権に補助金出したりはしている訳で、財源がないってのは嘘だってことです。特に半導体の復権は台湾TSMCの熊本工場にしろIBMライセンスの先端半導体メーカーに名乗りを上げたラピダスにしろ、外資の下請けに甘んじて半導体の復権もないもんです。しかもラピダスにはこんな障害も。

ラピダスの物流に落とし穴 ガスが青函トンネル通れない - 日本経済新聞
半導体生産に欠かせないエッチング剤や洗浄剤には確かに危険物がありますし、青函トンネルのような長大トンネル通過は問題です。2024年問題によるドライバー不足で鉄道輸送に頼りたいところです。さてどうすべきか。

もしトラよりもしドラでも取り上げましたが、物流問題は明らかに日本のアキレス腱になりつつあります。本当は新幹線やリニアより緊急性が高く優先順位を上げるべきですが、そうした議論は見られません。しかも北海道新幹線は工事が遅れて30年度末開業の延期が決まりました。これも元々33年度開業を与党議員が強引に前倒しさせたものの、トンネル残土からヒ素やカドミウムといった有害物質が検出されて残土処理が滞っているということで足踏みしているのですから、今後の展開は見通せません。

その一方で北海道新幹線の函館駅乗り入れが新市長の選挙公約として実現を探ってますが、JJR北海道は取り合いません。現実的には新函館北斗からスイッチバックして函館駅に至るという計画は実現可能性は低いと言えます。唯一可能性があるとすればは在来線特急で4時間以上かかる函館―札幌間のミニ新幹線というところですが、安心してくださいのつばさオーバーラン問題を考えると解決策といえるのか微妙です。かくして自己保身と思いつきの果てにグチャグチャな現在と未来を子どもたちに残すとするとため息しか出ません。

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Saturday, March 16, 2024

安心してください、ゲタ履いてますよ

パンツは知らんけど^_^;。漂流する世界と日本で展望した日銀の3月マイナス金利解除が現実になりそうです。

日銀、マイナス金利解除へ 賃上げ拡大で17年ぶり利上げ - 日本経済新聞
決定会合前のリーク記事の是非は横に置きますが、既に日銀自身のオペレーションで市場に織り込まれています。政策金利の指標とされる1日ものの銀行間市場金利はマイナス圏ながらほぼゼロ近傍に誘導されていて、実際は日銀当座預金の一部に課されたマイナス金利をなくすだけですから、市場に大きなショックは起きない訳です。加えて今週の東京株式市場の4日続落でもETF購入に動かず、異次元緩和からの正常化を進める姿勢を見せております。加えて春闘集中回答日の満額回答目白押しですから、既に既定路線といえます。その日銀保有ETFにも動きがあります。
日銀ETFの含み益34兆円 株高で過去最大、活用策を議論 - 日本経済新聞
簿価で36兆円が株高で70兆円の評価額となり34兆円の含み益となっていますがここからが難問です。市場で売れば株価を下げることになるため、とりあえず配当収入を金利上昇による保有国債の含み損対策の引当金にすることを財務省と折衝中ですが、色良いい返事はないようです。日銀は当面の緩和的な政策を維持するとしていますが、国債評価損の引当金を積めば逆に国債売却に踏み込む可能性もありますから財務省は警戒しているのでしょう。日銀としては更に踏み込んで初期に購入した低簿価のETFを少数売って益出ししたい筈ですが、そうなると株式市場への影響もある訳で認めにくい訳です。逆に言えば償還期限のない株式ETFの処分の難しさは課題として残ることになりますが。異次元緩和の暗愚な破壊力は尾を引きます。

為替がやや円高に動いて、これを日銀の政策変更と結びつける議論がありますが、150円台から147円程度になっただけで輸出企業の想定為替レートが130円台が主流ですから企業業績への影響は軽微ですし、米FRBの利下げ観測が後退して日米金利差もあまり動かずで海外勢の買い越し姿勢もあまり変化はないし、寧ろ米商業用不動産ローンの不良債権化で米地銀の経営への影響が心配されてNY株も調整されて寧ろ日本株の割安感が注目される地合いですし、何より日銀がETFを簡単に処分できないことが、日本株の下支え要因として歓迎されてさえいます。為替や金利差と共に海外勢から見れば三重に下駄を履いたおいしい状況です。これはまた人件費を削って配当や自社株買いで株主に報いる姿勢の日本企業から富が海外へ流出することをも意味します。国民が貧しくなる訳です。鉄道業界でも気になる動きがあります。

東北新幹線が一時運転見合わせ オーバーラン影響で - 日本経済新聞
昨今不祥事が目立つ日本企業ですが、ビッグモーターのような新興企業はいざ知らず、日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機などのトヨタ系列各社や、遡れば東芝や三菱電機などの老舗企業の名が目白押しです。疑問なのは老舗企業で組合が一定の役割を持つはずなのに、何をやっていたのか?ってことです。

結果から言えばバブル後の日本企業は過剰投資で債務を抱えて銀行の不良債権処理で融資を絞られたことから、新規の設備投資を抑制した訳です。それがはっきり表れているのがゼロ年代で、GDPの名目値もほとんど変化しなかった時代ですが、この期間の固定資本減耗が凡そ107兆円でほぼ変化しなかった一方、給与や社会保険料で構成される雇用者報酬は減ってその分株主と経営者の取り分となる営業余剰が増えています。日本企業は投資を抑制しつつ株主の取り分を増やし続けたってことです。

民間企業の減価償却費に当たる資本の維持費の固定資本減耗は成長経済では徐々に増えて資本装備を増やして生産性を高めて経済成長に繋がる訳ですが、それを怠って人件費に相当する雇用者報酬を削って株主に帰属する営業余剰を増やすということを続けた訳です。失われた30年は謂わば必然です。それに対して組合は既存の組合員の雇用維持を重視して組織率の低い若手を派遣労働者など非正規雇用で受け入れることを認めました。その結果現場の規律が維持できなくなった可能性があります。

そして過剰な内部留保を抱えてそれを海外に投資した訳ですが、裏を返せば国内に投資するよりリターンが見込めるからそうした訳で、その結果国内生産は細り貿易赤字が常態化する一方、それを埋めて余りある第1次所得収支を得ているというのが日本の現状ですが、鉄道事業者など内需関連企業はその流れには乗れない訳です。

その中でJR東日本は少子化による人手不足を先取りした省力化投資や安全投資に積極的でした。その背後にはJR総連系のJR東労組の存在があったことは以前にも指摘しましたが、気になるのはストでスベってスットコドッコイ疑惑の感電事故で指摘した組合潰しとトップ交代の影響ではないかと心配しています。昨今トラブルが多いことは確かです。

記事では単独運転のつばさ号の郡山駅での500mのオーバーラン事故後の点検が長引いて東北新幹線東京―盛岡間が運転見合わせされたものですが、現存のE3系は1000番台以降の山形新幹線向け編成ですが、同様に事故は過去にもあってやはりつばさ単独運転列車の事故だったということで、JR東日本は急遽E2系やまびこ編成を回送扱いで併結して対応しています。以下は推論を含みますがおつきあいください。

E3系つばさ編成は1999年~2007年にかけて製造されていてザックリ20年選手ですが、新幹線車両はおおむね20年程度で取り換えと言われますから、晩年期ではあります。しかしE2系やまびこ編成とほぼ同じ経年でE3系単独運行列車でトラブルが重なったのはおそらくE3系特有の事情があると考えられます。特にATCのブレーキ指令で所定位置の範囲内に停止できる筈ができなかった点から、何らかの制動力不足が生じたということになります。

考えられるのは1両あたり400系より2t軽量化されており、軽量化によってレールと車輪の粘着性脳に微妙な低下があったとすれば、当時積雪の影響もあって滑りやすい状況下でのATCによる常用最大ブレーキが空走をもたらして、停まりきれずにオーバーランというのはあり得ます。あるいは在来線走行向けにE2系より小ぶりなE3系の台車構造が車輪とブレーキシューの間の雪詰まりを起こしやすいとか、あるいはモーターの架装空間や駆動装置の雪詰まりとかですが、故にE2系との併結運転では生じなかったという説明は可能でしょう。

気になるのがこのトラブルに関するJR東日本の情報開示の姿勢が不十分に感じられることもあり、組合員保護の立場から注文が多かった組合を潰した結果だとすれば、残念ながら今後もトラブルは続く可能性があります。そうでないことを祈りつつ「安心してください」と言ってほしいですね。

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Saturday, January 27, 2024

疑惑の感電事故

正月早々の躓き が続いているようなショックなニュースです。

東北・上越・北陸新幹線、24日始発から再開計画 - 日本経済新聞
1/23AM10時ごろ、大宮を出発した上りかがやきが並行する埼京線北戸田駅付近で垂れ下がった架線にパンタグラフを引っ掛けて破損した事故で終日運休となりました。翌日には始発から復旧したものの、車両運用の都合で一部運休が出ています。

原因は架線に張力を与える端部の錘を吊る棒の断裂によって架線が150mに渡って垂れ下がったものですが、同種の事故は例えば2005年の山手線でも起きており、饋電系トラブルはつきものとはいえ当該の吊り装置は通常30年程度で交換されるものが38年間交換されていなかったことが報じられております。架線検測はEASTI-iのような検測車を走らせてデータを取って摩耗や位置のずれなどを見ながら適宜交換されるところですが、錘の吊り装置までは守備範囲には入らないですから、結局巡回目視で異常を調べる形で補修されることになります。

この点は後述しますが、それ以上に問題なのは、復旧作業員の感電事故です。1人は全身やけどの重傷で助けようとしたもう1人は軽傷ながら2人が巻き込まれた事故です。AC25kvに直接触れた可能性があります。保守作業や事故復旧作業は作業員や機械を線路に入れる必要があるので、指令に通知して線路閉鎖と通電停止の措置が取られ、作業終了後点検の上指令に通知して解除されるというのがざっくりした流れです。加えてJR東日本では新幹線のCOSMOSや首都圏在来線のATOSという運行管理システムに現場責任者が端末で直接アクセスして措置する形で高度に自動化されています。故にシステム上は起こり得ない感電事故が起きたという意味で深刻な事態です。

システム自体はよくできていて、よほどのことがない限りヒューマンエラーの発生も考にくいという意味では羽田空港の衝突炎上事故と異なり当事者の注意力に依存する部分は少ない筈なんですが、現実に事故が起きている以上、何らかの手順ミスや勘違いがもたらした事態である可能性はあります。この点は明らかにされるべきです。

一方事故の直接の原因である架線の錘の吊り装置の断裂は、自動化の盲点のような場所で起きたという意味で、別の問題を想起させます。目視確認で劣化状況を確認して交換を手配するという属人的なシステムで、おそらく目視で異常を発見できるスキルが若手に継承されずに、あるいはそもそもなり手がいなくてベテランの雇用延長で対応しているかといった別の問題が存在すると考えられます。そうだとすれば今後もこのような事故が起きる確率は一定程度あると考えざるを得ません。

事故地点は大宮以南の130km/h区間で起きたもので、大宮以北の高速運転区間で起きればもっと大きなダメージになっていた可能性があります。省力化を前提にすれば何らかの監視システムの導入も考える必要があります。この辺が省力化投資の難しいところです。勤労感謝にAIは勝つ?でAIが高スキル労働者を失わせる可能性を指摘しましたが、人口減少に伴う省力化投資自体は避けられないとしても、やり方は慎重であるべきです。その観点から言えば、気になるのがこのニュースです。

JR東日本社長に喜勢陽一氏 JR後入社、JR東海に続き2人目 - 日本経済新聞
ストでスベってスットコドッコイで記述してますが、JRグループの最大労組のJR東労組を挑発してスト決行を宣言させて労働協約違反を言い立ててスト経験のない若手組合員の引き剝がしまでした当事者です。国鉄OBで占められていた経営トップにJRプロパー社員が就任するのはJR東海に次いで2例目ですが、組合潰しでのし上がったってのはJR東海の葛西氏に似ています。

国鉄改革派3課長と言われた井出氏、松田氏、葛西氏のうち、松田氏は国鉄時代から労組重視の労使協調路線を標榜していました。その松田氏がJR東日本所属となったことは、ひょっとしたら動労の松嵜委員長の所謂分割民営化賛成シフトに影響した可能性はあるかもしれません。分割民営化を受け入れた上でJR総連を企業横断型の欧州型産業別組合にして国鉄時代に果たせなかったスト権確立を狙ったと言われます。結果的には実現しませんでしたが、JR東日本とJR東労組の関係は良好で、36協定を含む労使協議を3か月毎に開いて様々な協議を行う体制を確立します。

その結果1988年12月の中央総武緩行線東中野駅の列車追突事故で車内警報レベルの国鉄型ATSから高度なATS-P設置が加速しました。JR東労組はヒューマンファクター重視で事故を未然に防ぐ対策強化を会社に求め、実現してきました。JR西日本は尼崎事故といった重大事故を起こしましたが、背景に総連系労組と連合系労組との対立が指摘されてます。

JR総連は松嵜氏が意図した会社横断労組の姿勢を重視していましたが、動労と共に分割民営化に協力した鉄労系組合員はついて行けず、そこにくさびを打ち込んで労組の分派を促したのがJR東海の葛西氏で、JR西日本他、東日本と北海道を除く各社が追随します。日本では以前から煩い組合を潰す目的で会社側が第二組合を作らせて、組合幹部経験者を管理職に登用するなどの組合潰しは結構見られましたが、分割民営化後のJRでも同様の動きがあった訳です。確かに松嵜氏の会社横断労組というエキセントリックな構想が分裂の直接的な要素ですが、JR東日本と北海道は総連系労組が主流に留まり、東日本に関しては機能していたと言えます。

しかし2020年の東京五輪を控えて政権からの組合対策の圧もあったと言われますが、組織改編で待遇の異なる運転士と車掌の所属を同じにして動労を出自とするJR東労組を挑発しスト通告に追い込むというのはエグい組合潰しではあります。且つ結果的に労組脱退で瓦解した東労組に代わって社友会という非労組の組織を立ち上げて労使協議も年1回に減らすという形で、労使協議を重視する姿勢をあからさまに反故にしました。こうした背景が今回の新幹線事故に影響している可能性はありますが、広告主であるJRにそこまで突っ込んだ報道はメディアには期待できないでしょうね。

運転士と車掌の配置統合はおそらく将来の自動運転を睨んだ動きでもあると思いますが、車掌に相当する保安要員を乗務させた形のドライバレスを目標と公言するJR東日本だけに、気になるのが乗務員の処遇です。ATOによる自動運転ならば運転操作は自動化されていても、非常時のマニュアル運転対応も含めた動力車運転免許という国家資格を持つ専門職で高待遇となる訳ですが、車掌級の保安要員が免許非保持者とすると、結果的に賃下げの口実になります。それでいて事故時には運転士並み刑事責任が生じるとすれば、そんな仕事を敢えてやりたい人がいるかどうか、上述のようにAIが高スキルの熟練労働者を淘汰するように免許保持者を淘汰するだけならば、大きな問題です。現実的には現行法上の制約もあり簡単には進まないでしょうけど、最大手のJR東日本が規制緩和を求めた時に国がその方向へ動く可能性は大いにあります。

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