鉄道事故

Sunday, April 28, 2019

人間だもの

10連休が始まりました。個人的には仕入れ先も取引先も休むんで、一緒に休みますが、どこ行っても混んでるんで、家に籠って粛々と休みを消化する予定です。てことで取り上げるのはこれ。

接触事故後に急加速、気が動転か 池袋暴走 (写真=共同) :日本経済新聞
赤信号で進入か 運転操作を捜査、神戸バス死傷事故 (写真=共同) :日本経済新聞
何れもオートマ車の暴走事故で2日連続の惨事となりました。前者は87歳の元通産官僚、後者は64歳のバスドライバーですが、共に現行犯逮捕案件なのに対応が分かれました。それ故に忖度が働いたんじゃないかとネットで話題になりました。前者は加害者自身も負傷入院中だから逃亡の恐れがないという指摘もありましたが、日本の警察の過去の対応を見る限り、負傷入院中でも容赦なく逮捕している訳で、違う対応になっていること自体は確かです。

それと高齢ドライバーの問題として取り上げられてますが、オートマ車の操作ミスによる暴走事故自体は年齢に関係なく起きている訳で、寧ろマンマシンインターフェースのヒューマンファクター系のトラブルじゃないかと考えております。端的に言えばマニュアル車ならばアクセルとブレーキを間違える操作系ミスはエンストで止まりますし、そもそもクラッチやシフトレバーを含む一連の動作でミス自体起こりにくいってことがあります。

加えて昔のオートマ車は非力なエンジンに前進2段とか3段とかのシンプルなもので、アクセル踏み込んでもスムーズに変速して加速するような代物じゃありませんでした。これ元々アメリカで普及したトルコンATシステムを移植した結果ですが、5-7リッターのトルクフルなエンジンでトルクコンバーターを介してトルク変動を吸収してメカ部分をシンプルにする設計思想から来てますから、昔の日本車の非力なエンジンじゃうまく機能せず、タイムラグを伴うレスポンスの悪さとなります。加えてトルク変動による駆動輪の回転モーメントによるリアの沈み込みもありますから、暴走する前にミスに気付きますし、暴走するほどの力もなかったと^_^;。

それに比べてHVのプリウスも含めてオートマ車のアクセルのレスポンスは著しく進化していて、殆どストレスなく加速するようになっていることが影響しているんじゃないかってことを言いたい訳です。つまりミスに気付きにくくなり、結果的にダメージを大きくしているんじゃないかってことです。高齢者の免許証取り上げれば解決する問題じゃないってことです。

加えて最近の車は総じて乗員の安全確保が進化しており、よほどの事故じゃなければ乗員のダメージは少ないってこともあります。だからカジュアルに煽り運転ができてしまうってことも指摘しておきます。実際車間を詰めて煽ってくる車の多さは日常的に実感しておりますし、事件化して報道される事例もある訳ですね。車の性能や安全性が向上したことが、皮肉にもこの手の事故を誘発してるんじゃないかってことです。

ヒューマンファクターといえば14年前の25日に起きたJR西日本福知山線尼崎脱線転覆事故でも指摘されました。余裕時分を削り込んだタイトなダイヤでオーバーランと停止位置修正で後れが生じたことを気にした運転士が引き起こした事故ということで、JR西日本は批判にさらされました。加えて当該の運転士が過去にもオーバーランによる遅延で日勤教育と称する懲罰的処分を受けていて、ミスを重ねると乗務から外されることを気にしていたことも指摘されました。

日勤教育自体は国鉄時代から行われていて、JR西日本以外のJR各社でもほぼ同じように行われておりました。その中でJR東日本だけは日勤教育の名称は残しながら、実際は変更や確認事項の現場への連絡手段に変化していました。安全面では明らかに一歩リードしていた訳です。それもこれも1988年12月5日の東中野駅列車追突事故で運転士が死亡するということがあって、安全問題が見直されたものです。

事故は余裕時分の見直しによるダイヤ改正が行われた翌日というタイミングで起きたもので、当時の中央総武緩行線は201系と103系が混在していた中で起きており、201系では余裕のある新ダイヤも103系ではいっぱいいっぱいで、実際遅れていた停車中の103系の先行列車に201系の後続列車が追突した事故でした。遅れにより司令との交信に気を取られた後続列車の運転士のミスと判定されました。

その結果JR東労組がヒューマンファクターの見直しを本社に申し入れ、ATS-Pの設置スケジュールが前倒しされ、安全教育のための研修センターが福島県白河市に設置されるなど、目に見える改善がされました。また老朽車両の取り換えも積極化され92年の901系(後の209系試作車)投入につながったと見ることもできます。強面の労組が機能した事例です。同じ労組でも中核系の千葉動労は103系の取り換えに最後まで反対してますから、同じ労組でも違うもんです。尤もJR東日本は愚かにもJR東労組を潰しにかかりました。将来が心配です。

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Sunday, February 17, 2019

鈍器法定

統計不正問題がいよいよ森加計問題と酷似してきました。これ統計法違反という明らかな違法行為なんですが、捜査当局は動く気配なし。そして関与した上級官吏は口をそろえてゴマカシや答弁拒否。一方実行部隊の下級官吏からはリーク続々。アベノミクスの成果を良く見せる改編が行われたと考えてほぼ間違いありませんが、ウソノミクス統計135°でさわりは明らかにしてますので、ここでは踏み込まず別の話題。

大林組、増収増益  :日本経済新聞
「受注企業JR東海が差配」 大成と鹿島、無罪を主張 リニア談合初公判 他2社と認否真っ二つ :日本経済新聞
元々大林組が公取委に申告して発覚したものですが、談合を認め処分を軽減した大林組、清水建設に対して、争う姿勢を見せる大成建設、鹿島建設という構図で公判も分離されてますが、主張は真っ向対立してます。

既に分離公判で有罪が確定している大林組ですが、120日間の民間土木工事中止の処分も受けてますが、実は増収増益。つまりリニアは儲からないから逃げ出したってことですね。加えて2025年の大阪万博開催が決まり、関西地盤の大林組は竹中工務店と共に受注が増えることが見込まれます。つまり大手ゼネコンが仕事を選ぶようになったってことです。

これJR東海にとっては痛い話です。というのは、そもそもリニア建設着手は国鉄民営化時に新幹線保有機構からリースする形で、リース料に旧国鉄債務の一部を乗っけたスキームから、JR東日本の上場審査の過程で主たる収益資産が自己保有でないことのリスクを指摘され、同じ立場のJR東海、JR西日本と共に国に譲渡を申し入れたことで、譲渡代金のローンが始まり、それが2017年にほぼ完済されたことから生じる資金余剰があってこその自前整備ですから、逆に言えば予算上限は厳しく管理する必要があります。

それでも当初名古屋まで5.1兆円と言っていた事業費が膨らみ5.4兆円となっているように、ジワジワと膨張しているわけです。当然利益を削られるゼネコンにとっては旨味が少ないのですが、それでも五輪後を睨めば無下にできない訳で、特に五輪関連や豊洲市場など東京都が絡む事業に深く食い込んでいる大成建設や鉄道会社との関係を気にする鹿島建設は断れない。そしてこうなるってことですね。これだけなら民間同士の話ですから、談合事件で公取委が動くことにはならないのですが。

しかし大阪への早期延伸を望む声が与党議員から出てきて財投債で9兆円の融資を決めたことで、公共性ありと判断されて事件化されるんですから、何がどう転ぶかわかりません。それでも談合事件の立件は難しいところ。大林組の申告が渡りに船だったのでしょう。政府が関与するといろいろ不都合が生じるのは森加計問題や統計不正問題ばかりではありません。

JR東日本の整備新幹線区間への追加投資に絡んで、整備新幹線の法定速度って話題がネットに出てきて「法定速度を超えると線路使用料が上がる」などの妄言も見られますが、これ根拠法の全国新幹線鉄道整備法で定義されている設計最高速度が法定速度と誤って理解されているのが実際です。そもそも東海道新幹線の設計最高速度は210km/hですが285km/hで営業運転されてます。東海道新幹線の建設時には整備法は無かったので超法規的に独自規格で作られたもの。その結果を踏まえて全国新幹線網整備に当たって将来の技術革新によるスピードアップを先取りする形で定められた基準がそのまま見直されずに来たというのが実際です。

そもそも新幹線の事業主体は国であり、国の鉄道事業を体現する国鉄がその任に当たるという前提で作られた法律ですから、国の事業である以上恣意的な解釈で骨抜きにすることは許されないということから、設計最高速度やそれに付帯する最急勾配や最小回転半径などの基準が定められたのが実際。それが国鉄分割民営化で事業主体が消滅すると当時の与党議員が騒いで事業主体となる国のところを各旅客会社に読み替えることで延命させた結果です。

しかも財源がないからあの手この手で財源をひねり出すために、並行在来線の切り離しなどでJRに負担をかけないことや、受益者となる地方の負担も定めるなどされたものです。結局整備計画の延命のために恣意的解釈をした訳ですが。尚、最急勾配は九州新幹線や北陸新幹線では事業費圧縮の要請から一部基準を超える急勾配があり、将来のスピードアップの可能性を狭めています。

JR東海も当初は中央リニアを整備新幹線の枠組みで考えていたようですが、現実に存在しないリニア新幹線は基準に適合しないってことで当時の運輸省はほぼ門前払いに近い扱いをしていたようです。当時は所謂整備5線(東北新幹線延伸部、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線鹿児島ルート、同長崎ルート)の扱いすら決まっていない状態で、そちらを優先しないと地元選出議員からクレームがつく状態でしたから、中央リニアの整備新幹線化は実現可能性が無かったと言えます。

それが新幹線譲渡に絡んで譲渡代金の産出に時価法の一種である再取得価格法が適用されました。これは現在時点で同等の資産を新たに取得する場合に想定される価格ってことで、地価や建設費などの相場を反映したものですが、仮定の置き方で数値は変わり得るものでもあります。当時の運輸省はこれを利用して資産の非償却部分となる土地やトンネルなどのインフラ部分の数値を嵩上げし、嵩上げ分を新設の鉄道整備基金に持たせて整備新幹線の財源に利用することで財源論に道筋をつけました。数値を操作して財源をねん出した訳で、こういったことがあるから統計不正にリアリティが出てきます。

その結果JR本州3社はローン負担を負う訳ですが、同時に整備新幹線事業の推進力を得ることとなりました。加えて新幹線が自社保有となり、膨大な減価償却費が発生し無税で利益控除できますから、これで得たキャッシュフローで設備投資に弾みを付けます。その結果JR東海は品川新駅開業によるのぞみ中心のダイヤ編成で増収を図り、自己資本による東名間先行の整備計画をぶち上げることになる訳です。

で、JR東海をリニア建設に向かわせた新幹線譲渡代金ローンの終了はJR東日本やJR西日本も同様で、規模の違いはありますが、それぞれ異なった動きを見せています。ウソノミクスでも触れたように一つは東北新幹線盛岡以北の高速化に向けた設備増強ですが、もう一つ大きなプロジェクトも動き出しました。

JR東 都心と羽田空港結ぶ新線、29年度にも開業  :日本経済新聞
羽田空港の国際化と発着枠拡大で今後とも利用Y差は増えると見込んでいる訳ですが、同時に成田スカイアクセスとローコストリムジンバスに食われて劣勢の成田空港輸送の挽回の意図もありそうです。

整備区間の北半分は休止中で遊休化している東海道貨物線の浜松町―東京貨物ターミナル間の線路を活用し、東海道線に合流させて上野東京ラインで埼玉や北関東のアクセスを図るというもの。加えてりんかい線経由で山手西ルートから中央線や埼京線方面、と京葉線や武蔵野線方面の3方向の列車設定を想定しています。千葉県や千葉市が要求する京葉線から総武線への連絡線が実現すれば、羽田空港と成田空港を直結することもあのうになりますから、将来的には成田空港輸送のてこ入れにもなるという訳です。

既存施設を活用するプロジェクトですから、資金手当てが見通せれば実現可能性は高いですが、一つネックとなるのがりんかい線の扱いでしょうか。東京都はJR東日本に東京臨海高速鉄道の引き受けを以前から打診してますが、これが動く可能性はあります。都市興津に関わる新線計画ですから、国と地方に応分の負担を求めることになると思いますが、東京都の負担分を東京臨海高速鉄道の株式で行い、事実上のりんかい線引き受けにつなげる可能性はあります。ただしJR東日本の営業規則上、東京近郊区間に組み込まれることになれば、現在の認可運賃から大幅減額となりますから、それによる減収の評価をどうするか。株式評価を下げて都が実質補償するか、あるいは東京近郊区間から外して現行認可運賃を存続させる形にするか、交渉次第でしょうけど注目されます。

おまけ。リニアで散財するJR東海と対照的に経営基盤強化に資するプロジェクトに選択的に投資するJR東日本ですが、JR西日本はといえば、尼崎事故以後の安全投資優先の影響もあって遅れている老朽車両の更新に回るものと見られます。だから広島に錆びない電車が登場し、大阪環状線もリニューアルされると。

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Sunday, November 04, 2018

社畜の国の移民政策

韓国徴用工の新日鉄住金に対する賠償問題ですが、これ日韓条約で政府間の賠償問題は解決積みとされた訳ですが、この訴訟は個人としての韓国人徴用工の日本企業に対する賠償請求というところがミソでして、私人同士の賠償請求権が政府間の条約によって無効にできるのかが問われていたのですが、下級審で認められ、今回は上告審ですから、余程の訴訟手続き上の瑕疵がない限りこうなるのは当然です。

新日鉄住金は韓国ビジネスへの影響を考慮して和解を模索していたようですが、日本政府が和解に応じないよう圧力をかけたそうで、結果確定判決に至った訳で、和解しとけばそれで終わった話。これで戦時徴用に関連した70社超の日本企業が訴訟リスクにさらされるわけで、私人同士の問題に政治介入した結果のオウンゴールです。賠償を韓国政府に肩代わりさせると息巻いてますが、これ逆に元々関心が薄かった韓国の国内世論に火をつける可能性があり、困ってるのは寧ろ韓国政府です。

台湾プユマ号に関してメーカーの日車がATP解除した場合に自動的に指令に連絡する回線が接続されていなかったと発表しました。事故との関連は不明ですが、一定時間指令がATP解除を把握していなかった可能性はあります。当局の発表が二転三転したのはそのせいかも。いずれにしても日車のミスが明らかになった訳で、ややこしくなってきました。

このところ日産やスバルの無視覚検査や神鋼のデータ改ざんに始まり、川重の新幹線台車枠亀裂やKYBの免震、制震ダンパーのデータ改ざんに至る様々な不祥事が明るみに出ている日本企業ですが、いずれも経営陣が把握していなかったらしいという共通点があります。経営陣が現場を把握できていないガバナンスの問題と捉えるべきでしょう。日産やKYBのケースは政府規制の妥当性に疑義があるという見方もできますが。

てな具合に官民共にガバナンスがボロボロの日本ですが、政府の無能ぶりは言い疲れたwwwwわけぢゃないけど置いといて、生産年齢人口の減少が日本企業の現場を追い込んでるんじゃないかという問題意識で考えてみます。で、このニュース。

単純労働 外国人受け入れ 入国管理政策を転換 法案閣議決定、国会論戦へ :日本経済新聞
この臨時故国会で通して来年4月から施行というスケジュールも無茶ですが、事実上の移民受け入れとなるのに、国の在り方を変える議論には程遠いと言えます。

問題はいろいろあるんですが、基本在留期間5年ですから、あまり込み入った複雑な仕事は任せられませんから、単純労働を担うことになります。特定業種1級と2級に分けて一応生産性向上や高齢者や女性の労働力率上昇でも尚足りない業種に限定し、具体的な業種は3年毎に見直し充足されれば指定を外すとしてますが、生産年齢人口の減少は男女問わず進みますし、働ける高齢者の増加も減ってきますから、結局いつまで経っても充足されず、寧ろ他の業種でも足りないとなって業界の陳情合戦になって政治介入の余地を与えます。

冷静に考えて、生産年齢人口の減少が毎年50万人として、減少分を外国人労働者受け入れで埋めたとしても、5年で帰国するんですから、以後は足りなくなる訳で、帰国者分の受け入れを増やし続けない限り実効性は無い訳です。しかもスキルを磨いて高度な技能を習得するインセンティブもない訳で、果たして現場のモラルが維持できるのか?疑問です。現状日本人で構成された職場でさえ不祥事ボロボロなのに、外国人労働者を受け入れてまともなマネジメントができると考えているとすれば認識が甘すぎます。戦時徴用工の二の舞の悪寒。

結局社畜の代わりはAIでも外国人でもできないんです。人手不足を前提とした事業の見直しができなければ沈みゆくばかりです。そんな現実を踏まえてこのニュースをご紹介します。

東急、鉄道分社がもたらした27年ぶり高値  :日本経済新聞
東急の鉄道分社ですが、沿線再開発やビル賃貸などの事業は本体へ残すそうで、ある意味鉄道の専門性故の分社ということですが、このところの停電トラブルなど鉄道事業でのトラブル多発が背景にあります。その原因として電気技術者などの求人案があることは上記日産の無視覚検査と共にグローバルプリズンのエントリーで取り上げました。

東急にとってはルーツとなる田園都市株式会社が荏原電気鉄道や武蔵電気鉄道の免許線を利用して目黒鎌田電鉄を立ち上げた過去への先祖返りの形ですが、今や主力は渋谷など都内愛開発が中心で、かつて注力した多摩田園都市は高齢化で曲がり角を迎えています。いずれ多摩田園都市でも駅を中心とした再開発が必要ですが、そのためには鉄道がきちんと機能し信頼回復を図るための分社ということで、腐っても東急というか^_^;、現場問題をマネジメントの問題と捉える意識が見えます。勿論吉と出るか凶と出るかはわかりませんが。

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Sunday, October 28, 2018

傾く台鉄

本題に入る前に、シリアで反政府ゲリラに拘束されていたジャーナリストの安田純平氏が解放され無事帰国しましたが、自己責任を言い立てる書き込みが多いことが信じられません。同胞が無事帰ってきたことを何故喜べないのか?政府の制止を聞かずに渡航したことや、政府に批判的な言動があるとしても、それ思想信条の自由、言論の自由の範囲内だろ。思想信条や言論を理由に助ける助けないという議論自体の選別のヤバさを理解できないでしょうか?

加えてカタール政府が支払ったと報じられた3億円の身請け金を理由に「テロリストに資金が渡った」と沸いてますが、事実そうだとしても、それはカタール政府とテロリストの関係だし、日本政府が単純に肩代わりできるものでもありません。ただしサウジアラビアとの対立で経済制裁を受けているカタールとしては、貴重な外交カードを得たことは間違いない訳で、ODAなどの形で着地点を模索するのは政府間の話し合いになるだけの話。国民としては専門家としての外交官に付託すべき問題で、首突っ込むようなことじゃありません。

一方で「政府は何もしてないのに」という批判が反対陣営から出てますが、仮に事実そうであったとしても、同胞の帰還を喜べないのか?という疑問が拭えません。悪いけど自称リベラルな皆さんも火種を撒いているとしか見えません。同胞の無事を喜びましょう。

で、本題。台湾で大事故が起きました。

台湾で特急脱線、18人死亡 負傷者160人超、日本人の被害なし :日本経済新聞
8両編成の特急プユマ号が脱線し、5両が転覆して死傷者多数となりました。一応日本人の被害は確認されておりませんが、日本人に人気の観光地でもあり、日本人が乗っていても不思議ではありません。

その後の当局の発表が二転三転しました。事故の30分前に運転士から車両の異常が指令に伝えられていたということで、製造メーカーの日本車両製造(日車)株が売られます。この日はNY市場の株安を受けて東証でも値を下げたタイミングですから、事故の影響がどこまでかは定かではありませんが。

その後脱線は速度超過が原因とされ、更に運転士が日本のATSに相当する保安装置のATPを切っていたことも台湾鉄路管理局(台鉄)から発表され、運転ミスということで日車は少し値を戻します。しかしその後対話政府の事故調査チームが運転士のATP解除が指令に報告されていたことが発表され、事故調査チームが台鉄の発表に不信感を明らかにします。加えて気になるこのニュース。

台湾脱線事故 2年で7回 赤字続く公営 安全意識足りず :日本経済新聞
公営で赤字体質の台鉄では、脱線事故が繰り返されていたということです。被害が軽微だったとしてきちんとした事故調査も行われ繰り返さてこなかった上に、赤字体質でメンテナンスが手薄だったことが窺われます。


で、事故を起こしたプユマ号用車両TEMU2000型電車ですが、カーブの多い台鉄向けに車体傾斜システムを採用しました。日本のJR四国8600型やJR東日本のE353系に搭載されているシステムです。台鉄ではプユマ号の前にJR九州885系に似た制御付き振り子車タロコ号TEMU1000型を投入していましたが、プユマ号はその後継です。制御付き振り子はJR四国2000型気動車と8000型電車で採用され、それぞれ後継に8600型電車と2600型気動車が登場して同じ運転時間で運用されてます。JR東日本のE353系もやはり制御付き振り子のE351系を置き換えています。

車体傾斜システムは振り子ではなく枕ばねに使われる空気ばねの空気圧を制御するもので、JR北海道キハ201系で採用され、特急車キハ261系が続きますが、201系では早い段階で車体傾斜制御を「やめ、昨今の事故続きで261系でも使用を止めています。元々制御付き振り子よりも安価なシステムとして「導入されたものの、制御の難しさやメンテナンスの問題から使用を諦めたようです。それだけ難しいシステムだってことです。

JR東日本でもE353系量産先行車を製作して暫く走り込みをしてましたが、車体を傾けるタイミングの最適化のみならず、圧搾空気を消費するシステムなので、過度に使用してコンプレッサー回しっぱなしでも追いつかないこともあり得るわけですから、その辺の見極めもあります。実際JR四国では高徳線に投入した2600型をカーブの多い土讃線への投入を断念してます。そういう意味でユーザーの使いこなしのスキルが求められる車両ということになります。

で、台鉄ですが、お世辞にもスキルが高いと言えなさそうですし、運転士と指令のやり取りから類推すると、おそらく何らかの理由で圧搾空気の消費が激しく、ブレーキ梃子を動かす元空気溜め菅の空気圧が低下して、ブレーキが込め位から緩めに戻らないブレーキ不緩解が起きた可能性は指摘できます。車体制御システムに原因があるかどうかはわかりませんが、ブレーキ込め状態で力行すれば所定の性能は出ない訳で、列車の遅れを気にして何とかしようとした結果のATP解除ではないかと考えられます。通常ならば停止してブレーキテストで異常なしを確認するという手順になると思いますし、乗客の証言として停車駅以外のところで停止した李再度走り出したりということですから、あり得ます。

それでも直らないならその場で停止したまま救援を待つのが正しい対応ですが、運行を続けたままでATP解除が運転士と指令で共有されていたってことは、信じられないほどの安全意識の欠如と言えます。台鉄の組織的な問題もありそうです。

思えば過去エントリーでも指摘しましたが、公社時代の国鉄は運輸省の指導下になかったという恐ろしい状況だったんですね。元々政府直営の現業部門で日本では軍部に次いで強い組織だった鉄道省が戦時の商工省や逓信省との統合の後、戦後現業部門を公社化して日本国有鉄道として、行政事務方が運輸省となった経緯から、公営私営の事業者は免許事業として運輸省の指導を受けていた一方、国鉄は公社化後も国の現業機関時代からの慣習を引き継いで自らの意志で事業を展開できる存在でした。その結果世論の反対を押し切って東海道新幹線を実現できたという面はありますが、行政の適切な指導の外にある状況だったわけです。

台鉄は戦前の台湾総督府鉄道がルーツで、所謂植民地鉄道だったわけですが、戦後中華民国政府に摂取されます。以来台北政府の現業部門として継続してますが、公社化を通して民営化する計画もあり、丁度日本の鉄道省時代に近い統治システムです。故に地形が険しく不便な東部幹線の建設や電化、重軌条化を進めるなど、設備投資も活発ですが、それだけ資産規模の拡大で収益がついてこない。加えて台湾高速鉄道や高速バス、国内線航空との競争にもさらされており、収支が厳しいわけです。

しかし投資に積極的な一方、赤字体質でコスト圧縮も求められるわけですから、現場にかなりストレスがある状況と考えられます。この観点から言えば、日本の国鉄民営化は「一応成功と言えるわけです。JR北海道の問題は、地方の容赦ない過疎化の結果でもあり、事業者としてのJR北海道に責任がある訳ではありません。問題は分割民営化の前提がこれだけ変化しているのに、見直しに動かない政府にあります。

あとおまけ。JR東日本のE351系は中央線高速化プロジェクトを睨んで投入されましたが、振り子車運行を想定していない中央東線で振り子を作動させたときのパンタグラフと架線の偏移の問題があり、台車枠から櫓を立ててパンタグラフを乗せるという無理目の仕様とした結果、これがトラブルの元となって所定の性能を発揮できなかった失敗作ではあります。加えて凝ったギミックを詰め込むためにコスト面から車体をスチール製としたために振り子車なのに重心が高いし線路も炒めるし、加えて高速化対応で最高速160km/hとした結果、加速が鈍くなりダイヤがタイトだという乗務員の指摘もあって歯車比の見直しで性能を下げました。技術力がるはずのJRでもこういう失敗はある訳で、使いこなせるかどうか分からない最新システムに飛び付くのは慎重であるべきです。

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Monday, July 16, 2018

北のスットコドッコイ

前エントリーの続きです。本題に入る前にこのニュース。

人口、最大の37万人減 生産年齢人口は6割切る  :日本経済新聞
死亡数と出生数の差の自然減が39万人で海外との転出入を加えて37万人の減少ってことです。当然ながら15-64歳の生産年齢人口の減少はもっと多いわけです。都道府県別では東京、埼玉、千葉、神奈川、の首都圏4都県と愛知県と沖縄県のみ増加ですが、そのうち自然増は沖縄県だけで、他の5都県は転入超過による社会増ですから、その分地方の人口減の勾配もきついわけです。

あと外国人の増加が16万人ってことですが、いろいろ問題が指摘される外国人技能実習生だけでも25万人を受け入れていて、その他留学生や高度スキルの就労ビザ対象者もいるわけですから、純増が16万人ってことは相当数の帰国外国人がいるってことです。移民や永住権取得が難しいからこうなるわけで、人手が足りないから外国人就労を拡大といっても、現実の生産年齢人口の減少には追い付かないわけです。人口減という現実を受け入れるしかないわけです。

この状況を踏まえて以下をお読みいただきたいんですが、事故や不祥事が重なって先行きが危ぶまれているJR北海道に未来はあるか?っていう話です。JR北海道もJR総連系のJR北海道労組が組織率8割を超える中で、JR東日本と明らかに異なる労使関係があるわけです。

元々赤字基調だからってことで経営安定基金が与えられ、その運用益で赤字を補填するスキームだったわけですが、90年代半ば以降の低金利によって赤字補填が果たせなくなり、基金の積み増しをした上で現状(独)鉄道建設運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)への預託で高金利運用という事実上の利子補給による補助金でどうにか最終赤字を回避している状況です。

加えて事故の原因となった老朽設備の更新も国の支援を得ながら進めている状況なのですが、事故や不祥事の背景として、JR北海道は益出しのために努力してきたんですが、その結果必要な人手確保がままならなくなり、それが事故の遠因となったり、データの錯誤に見られる不祥事につながったわけですね。その意味で強面の労組は役割を果たせなかった訳です。

JR北海道で起きていたのはおそらく労使の癒着だったと思われます。それ故現場の人手不足もゴマカシがまかり通る状況だったと考えられます。そんな状況を変えようとしたのが自殺した中島社長って話がここへきて出てきています。

そのために島田現社長を総務部長に据えて労組との交渉窓口の一本化を狙ったものの、JR北海道労組は反発して険悪になった状況で、事故や不祥事が重なって国交省の立ち入り検査を受けることになり、JR北海道労組も協力を約束していたものの、直後に札幌労基署による本社社員の36協定違反の摘発があり、労組側が態度を硬化して島田総務部長の関連会社出向を余儀なくされたという経緯がありました。それで追い詰められての自殺ではないかという見立てです。

本社社員もJR北海道労組に所属していたのだから、労組側が知らなかった筈はないと言われてますが、おそらくこれ本社社員だけの問題じゃなかったんじゃないでしょうか。各現場で人手不足が起きていて、36協定順守ところじゃなかったとすれば、そりゃ事故や不祥事も起きるし、労組側からの改善要求もあったはずです。しかし増収とコストカットに励む経営陣を動かせなかったという意味で、労組側からすればスルー出来ない問題ではあります。労使の癒着自体は日本の大企業で結構見られますが。

というわけで、国主導で島田氏の社長指名と設備更新補助金の交付が決まったものの、覆水盆に返らず、労使関係は険悪なまま、後ろ盾のない島田社長は指導力発揮もままならない中で、自力での維持が困難な線区を発表し、自治体にボールを投げたのが現状です。ただ現実的には冒頭の人口減のニュースに見られるように、北海道で言えば札幌都市圏以外の地域の人口減少は今後も続くと見るべきですから、その中でJR北海道が必要な人手を確保して現在の規模を維持できると考えるのは現実的ではありません。人口動態に合わせて身を縮めるのはほぼ唯一の現実解でしょう。

自治体にとっては青天の霹靂でしょう。元々人口減少が止まらず、財政再建団体に指定された夕張市はいち早く廃止を受け入れ、JR社員の出向など条件闘争で実を取った形ですが、夕張支線のように単一自治体だからという面もあります。廃止若しくは公的支援を求めるエリアは広大で、広域自治体としての北海道の対応が待たれますが、高橋知事は経済や人口の状況が分割民営化時と著しく変化していることを理由に国に対応を求めています。財政負担を警戒してという側面はあるものの、経営安定基金による赤字補填もままならず、沿線人口の減少も収まらない中で、交通政策基本法を盾に対応を迫られても受け入れられないってのは正論です。

加えて国絡みの問題も多数あります。例えば北海道新幹線の札幌延伸問題も、JR北海道は自治体との合意を得て国に要望してきたものの、時期の問題が見通せないまま、札幌駅の新幹線駅スペースと見込まれていた駅南の用地に駅ビル(JRタワー)を建てたことで、道庁などから非難されましたが、商業スペースとして価値の高い遊休地の有効活用は当然の話ですし、建設時点で札幌延伸は決まっていませんでした。

その結果新幹線札幌駅の位置問題が二転三転して大東案に決まったのは最近のことです。北海道新幹線の札幌延伸が前進して2030年開業が決まったものの、駅をどうするかで迷走したわけです。当初北口側に新ホームを作って順繰りに振って1,2番線を新幹線用に転用する案が提案されたものの、既に北口の開発が進んで支障する建物が多数あると断念され、西案、東案、地下駅案が検討されたものの何れも却下され、修正東案として1番線南にギリギリ設置可能な1線分のスペースを新幹線上りに充て、1番線を新幹線下りに転用した上で東へ延伸して在来線とずらして設置する修正東案に落ち着いたものの、これも東日本大震災を受けて耐震補強が必要となり、結局在来線駅から離れた元の東案を大東案として決まったものです。位置的には札幌市営パーキングがあるということで、新幹線ターミナル駅設置のスペースも十分な上、駅前に新たな再開発ビル建設の可能性もあり、JR北海道の経営にもプラスと評価されますが、地権者の札幌市の意向は現時点で不明です。

あとJR貨物問題もあります。北海道の農産物を消費地の首都圏や近畿圏に輸送する上でJR貨物の役割は大きいのですが、それが結果的に線路を痛める原因にもなっております。加えてJR貨物は国の支援を得て設備強化投資をした結果、ドライバー不足によるトラック輸送からの移転もあって黒字転換が見込まれる状況ですから、格安な線路使用料を強いられてきたJR北海道には見逃せない問題です。まして株式上場まで取り沙汰されてますから尚更です。

温暖化の影響もあって北海道が稲作適地になりつつある現状もあり、競争力のある農業が叫ばれる中、その競争力を維持する意味で市場アクセスに欠かせないインフラとしての貨物鉄道という視点から、国の関与を強める余地はあります。貨物輸送のためにJR北海道の路線の一部を国の所有としてJR貨物やJR北海道に留まらず、自治体出資の三セクが第二種事業者としてローカル輸送に参入する余地を持たせるあたりに着地点があると思いますが、国が動く気配はありませんね。

加えて訪日外国人が増えている中、北海道観光人気で新千歳空港の利用が増えており、千歳線支線(南千歳―新千歳空港)が単線で空港駅も1面2線のため、対応しきれていない状況にあります。そこで新千歳空港駅を移転して3面4線とし、外側2線を千歳線につなげ、途中で単線を分岐して石勝線につなげる改良案が提案され、2022年の完成を目指すとされてますが、事業費は1,000億円規模になるということで、費用負担を巡ってひと悶着ありそうです。

実現すれば複線のまま空港新駅へ入れるだけでなく、苫小牧方面や帯広方面からも直接アクセスできるようになり、輸送力面に留まらず利便性も改善されますが、よく考えたら自衛隊と共用時代の千歳空港ターミナルビルとこ線橋で直結だった千歳空港駅(現南千歳駅)の機能を取り戻すだけであり、民間空港分離で誕生した新千歳空港のターミナルビルが離れた位置に作られたから仕方なく単線の空港支線を作った訳で、ここでも国の政策に翻弄された現実があります。しかも費用負担の問題でおそらく国の支援制度活用となるでしょうけど、JR北海道の事業縮小構想もあり自治体との調整は微妙です。また滑走路下のトンネル工事など難工事も予想されます。

あとこの問題は思わぬところへ飛び火しております。コメントを頂いたはまださんにご指摘いただいた日本ハムファイターズの北広島ボールパーク構想です。ダルビッシュや大谷をメジャーリーグへ送り出しながら若手の育成で実力を維持し、人気球団となったファイターズですが、不自由な札幌ドームに不満を抱いていたわけですが、ポスティングの補償金を得てそれを活かしたボールパーク構想を発表し、自治体向けに誘致コンペを行うというスキームを打ち出したところ、応札して勝ち抜いたのが北広島市です。

元々市民運動公園整備を構想し広い用地を確保していたところへ、ファイタースのコンペでボールパークをコア施設としてアクセスも千歳線に新駅を作って直結というもので、JR北海道にとっては増収策になるから大歓迎かといえば、空港輸送で線路容量に余裕のない状況では、寧ろ負担になりかねないということでご議論を呼んでいます。竣工予定は2023年3月ですが、空港新駅がそれまでに完成している確率はかなり低いと言えます。

さて、一番のスットコドッコイは誰?

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Sunday, July 01, 2018

ストでスベってスットコドッコイ

FIFAワールドカップで日本がGL突破しましたが、ポーランド戦の戦い方で賛否が分かれてます。

賭けた「負け残り」 西野監督の戦略と野心: 日本経済新聞
この「勝ち残り」作戦ですが、余力を残して決勝トーナメントへ望める訳ですから正解です。選手の能力を活かしてパフォーマンスを最大化するのが監督の役割ですから、非難される謂われはありません。

これが所謂マネジメントって奴でして、結果的に選手の能力を最大限引き出せるわけですね。GL突破で全力を尽くせば決勝トーナメントを戦う力は残らない訳ですね。これ企業のマネジメントも同じで、とにかく全力を求める所謂ブラック企業が駄目な理由でもあります。そんな中で高度プロフェッショナル制度が国会を通過しました。どう言い繕おうが日本企業が90分をうまく戦った西野ジャパンのようなマネジメントをやる気はサラサラないってことですね。

その裏で気になる動きがありました。JRグループ最大労組のJR東労組で大量脱退が起きているのですが、これどうもJR東日本の経営側が仕掛けたみたいなんです。詳しくは週刊東洋経済の集中連載に詳しいんですが、わかりやすく言えば経営側が労組を追い込んだってことのようです。JR東労組は所謂JR総連系の労組で、左翼セクトの革マル派が浸透していると言われていて公安からもマークされていて、2020年の東京五輪を控えて政権からも対応を迫られたようです。

2年前に死去した松嵜委員長は元革マルNo.2で、国鉄の動力車労働組合(動労)の指導者になり、国鉄民営化に関して反対から賛成へと態度を変えて国労と袂を別ったことで、国鉄民営化を後押ししたことも知られております。国労が主導したスト権ストで国民の支持が離反したこともあり、寧ろ民営化で公労法で違法とされていたスト権を取り戻せると考えたようです。

しかし実際には90年代にJR総連でスト権確立の動きを見せたもののうまくいかず、結果的に傘下労組の多くが総連を脱退してJR連合を結成し、以後総連との対立が続きます。そうはいってもJR東労組はJRグループでは最大規模であり、組織率8割に達する巨大組織ですし、革マル派の浸透に経営側も及び腰だったこともあって最強の労組でもありました。

スト権確立には失敗したものの、事業所単位で締結される労使間の36協定を3か月単位で締結する体制を敷いて、その分労使の話し合いの機会が多かったので、ストを打つ理由もなかったわけです。スト権はあくまでも経営側を協議の場に引き出すためのものですから、頻繁に協議が行われる体制ではストを打つ理由は無いわけです。

革マル派自体は反帝国主義反スターリン主義を標榜してますし、暴力革命を否定してもいませんが、故松嵜委員長の対応から察せられるように、中核派などと違って柔軟な対応ができる分マシな存在ですが、経営陣にとっては緊張を強いられる存在ではあったでしょう。ある意味JR東日本の経営がJR他社と比べて幾らかマシなのはこの緊張感のなせる業でしょうし、特に東中野事故後の対応など安全対策でJR他社より踏み込んだ対応を取ってきたのも、頻繁な労使協議のお陰と見ることができます。

一応誤解の無いよう断っておきますが、反スターリニズムを標榜しながら、その源流のボルシェビキ流の前衛主義から抜け出せないという意味で中核派共々ダメな存在ではあります。彼らが頼みとする大衆の蜂起は前衛である自分たちが指導して実現するってフィクションから抜け出せないんですから、革命なんて出来っこありません。この辺日本共産党も同じなんですけどね。それでもJR東日本経営陣に緊張感を与え、安全対策の強化に寄与したという部分では評価いたします。

今回の騒動は経営側がまず運転区と車掌区を統合して運輸区とする組織改編で運転士と車掌を同一組織に纏めたことから始まります。動労母体のJR東労組ですが、旧動労系組合員の多い運転士とそれ以外の穏健派が多い車掌との温度差で現場の足並みを乱れさせるところからスタートし、ベースアップの配分を巡って若手に手厚い経営側の提案に一律ベアで対抗し、これが引き金になってスト通告に至ったのですが、その後組合員の大量脱退が起きており、この過程で経営側による若手を中心とする組合員の引き剥がしに動いたようです。これ下手すると国鉄時代のマル生運動にかこつけた労組選別の不当労働行為になりかねないという意味で、経営側もリスクを負ってますが、大きく異なるのが若手の組合への不満が大量脱退を後押ししたってことですね。

ストを打つと言っても、経営側を協議に引き出すのが目的ですから、事前通告に始まって一連の手続きを踏む必要がありますし、経営側が協議に応じればストを解除しなければなりませんから、組合員にはあらかじめ決まった場所に待機させる必要もあります。加えてスト期間中は賃金の支払いが止められますから、組合員の生活補助のための日当を支払う必要もあります。これら一連の作業を行うには大変なノウハウが必要なんで、既にストをしなくなって久しいJR労組にとっては、急に「ストやります」といっても組合員は戸惑うばかりです。執行部の命令一つで事態が動く状況はとっくに失われていたわけです。

と、ここまでだとJR東労組のスットコドッコイぶりが目立ちますが、今後は経営側が立ち上げた社友会と称する親睦組織との間で36協定の話し合いが行われ、しかも年1回ということですが、労組ならざる組織で安全に関わる様々な意思決定がされることになれば、今までよりもヌルい労使関係で緊張感が失われることが心配です。それは場合によっては安全上の問題を引き起こす可能性も否定できません。JR東日本のように事業所が多数分散している大組織で、組合をスルーして上手く回せるのかは疑問です。西野ジャパンで後半終了間際に長谷部を投入してメッセージを伝えたアレの重要性に類似した問題です。

実際国鉄時代から続いていて福知山線尼崎事故の遠因と指摘された日勤教育の見直しはJR東日本が先行し、他社の見直しは尼崎事故後ですし、山陽新幹線の台車枠亀裂問題や車内犯罪やトンネル内人身事故などを見ると、JR東日本が同じレバルに堕する危険性は排除できません。となると経営側もスットコドッコイかも。やれやれ。

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Sunday, April 01, 2018

Noと言えるお役人の働き方改革

通信トラブルで更新が滞っております。このエントリーもスマホの小さな画面でフリップ入力ってことでメンドクサ。

しかしアベノミグルシイが続いたお陰でPVは下がらすに草生えます。てなわけで続きですwww。

佐川前理財局長の国会証人喚問が茶番で終わりましたが、これで解決ではないですね。森友問題を離れても、公文書改ざんは悪質な犯罪です。偽札事件に喩えられますが、小切手の金額書換えや手形の裏書き消去なども近いかも。何れも重大犯罪です。

実際佐川氏は訴追の恐れを理由に証言拒否してる訳で、法令違反の自覚があったという意味で犯罪の構成要件を満たします。謂わば白状したも同然です。

判っていてそこまでやる?って話なんですが、理財局の独自判断があり得ないのは自明です。政治家の関与無しにはあり得ません。

具体的な指示の有無は問題ではないんで、そうしなければ前川前文科次官のように退官させられたりするとすれば、意に沿った対応をせざるを得ない訳です。どこぞのブラック企業ではありふれた話ですね。

しかしその結果犯罪者にされてしまう悲しいお役人のあり方こそが問題ですね。頭痛いのは公務員は労働三権が制限されていることで、実質的に逆らえないことです。

これ公僕だからって理由のようですが、公僕なのは国会議員や裁判官などの特別公務員も同じどころか、より大きな責任を負うべきなのに、知人への利益誘導を平気でやる訳です。その結果の尻拭いまでやらされるお役人は本当に気の毒です。

なるほど、そんな政府の考える働き方改革がろくなもんじゃないのはある意味自明です。てなわけで、法令違反の恐れのある仕事はたとえ冷遇されても断るのが正解です。

思えば『チャレンジ」と称して粉飾させたり「歩留まり上げろ」と現場に指示してデータ改ざんさせた企業あれこれも同様の構図です。

台車枠の亀裂問題でも台車の設計が軸バネ座などの部材取付にあたって平面を出す為に削らなきゃならない仕様だったり検査で見落とされたり異音を確認しながらが指令が止めなかったりもありました。不祥事は官民問わず似ています。

岡山の両備Gのバス廃止問題も、前中国運輸局長時代には八晃運輸の申請を認可しない方針だったものが、人事異動で赴任した新任局長が聴取もせずに認可した訳で、地域住民にとっては預り知らぬ中央官庁人事で事態が動いた訳で、地域公共交通活性化再生法以前の問題です。裏でどんな政治力学が働いたのやら。

てなわけでアベノミグルシイはまだまだ続くか?

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Sunday, March 04, 2018

トランプ円上昇法^h^h炎上商法とアベノミグルシイ

見苦しいタイトルで失礼いたします^_^;。その前に前エントリーで取り上げた岡山の後日談。

バス、収益路線参入に抗議 両備「赤字路線維持できぬ」  :日本経済新聞
八晃運輸、「健全な競争」強調 バス路線参入で説明文  :日本経済新聞
八晃運輸の認可前に両備Gが呼び掛けて実現しなかった地域公共交通協議会が開催されることになりましたが、あくまでも両備Gの路線廃止だけが課題で八晃運輸は呼ばれておりません。つまりぶっちゃけ認可しちゃった八晃運輸抜きで両備Gの路線廃止対策つまり自治体が路線維持に幾ら出すかってフレームです。行政の不作為の結果、望ましくない形になった訳です。

これ前エントリーでも触れましたが、需給調整規制の撤廃は良いんですが、許認可権限を国が握ったまま故の矛盾ですね。確かに事業者同士不仲が言われ、行政が及び腰なのでしょうけど、許認可権限が県若しくは複数県の広域連合に移譲されていれば、許認可権限を梃子に事前調整できた可能性はあります。もちろんダークサイドに流れれば国会議員より口利きが容易な地方議員の不適切な関与を呼び込む可能性は否定できませんが、逆に地域の問題で地方議員がどう動いたかは見えやすいわけで、住民チェックは働きやすくなります。地方創生よりも地方分権ってこういうことなんですね。

国レベルでは裁量労働制が厚労省データの捏造がバレて頓挫。しかしマル生エントリーで指摘したように真の狙いは残業代カットであり3段階の仕掛けがされているわけです。これ第一次安倍内閣で打ち出して引っ込めたホワイトカラーエグゼンプションの焼き直しで、その分巧妙に仕掛けられたレトリックになっているわけです。

つまり長時間労働規制の導入に見せかけて、それを骨抜きにする仕組みて、高度プロフェッショナル制度は見せ球で撥ねられても、裁量労働制の拡大が実現すれば良しという見通しだったんじゃないかと。ところが落し処と見ていた裁量労働制が否定されて財界からは「残念」の声が上がりながら高プロは引っ込めないってますます無理筋になってます。高プロ制度も業種が限定されていて年収1,075万円以上で本人の承諾が必要とされてますが、業種も年収要件も省令で定めることになってますから、通してしまえばいくらでも書き換えられますし、本人承諾も就業規則の片隅にこっそり書き込んで入社時に就業規則遵守の誓約書に署名させれば承諾したことになるとかって逃げ道があります。働き方改革関連法丸ごとの撤回しかあり得ません。

新幹線初の重大インシデントとされた台車枠の亀裂問題でも進展がありました。

のぞみ台車製造に川重の不備 140台超、薄く削る  :日本経済新聞
川崎重工業の製造現場のミスが明らかになった訳ですが、削り過ぎた140台超の台車の中には溶接段階で生じた亀裂が成長したと見られるものもあり、JR西日本の検査で発見できなかった訳で、検査体制にも問題がありそうです。

加えて設計の瑕疵の指摘もあります。問題の台車枠は鋼板をプレスで曲げてコの字型にして最中状に溶接して箱型にしたもので、荷重を支える軸バネ座を二番溶接する底面に丁度側構の最中溶接の合わせ目があるわけで、平面を取るために削る必要がある設計仕様です。尤もこれは現在標準的な工法であって、これ自体が危険と言えるかは微妙ですが、事実としてJR東日本の新幹線車両では用いられていませんし、JR東海/西日本のN700Aでも平面の底面板にコの字型プレス鋼板を被せる形のものに変更されてます。設計段階で瑕疵が認識されていた可能性は否定できません。

リニア談合でも大きな動きがありました。

リニア談合、鹿島幹部と大成元幹部逮捕 東京地検  :日本経済新聞
これまでの捜査でJR東海の提示価格が厳しすぎるので、仕事を分け合うために談合したというストーリーですが、大成と鹿島は談合を認めておらず、結果キーマンの身柄拘束という荒業となりました。

しかし談合の挙証は難しく、実際大成、鹿島両社は難工事の技術的な意見交換として談合の意識はなかったと思います。逆に大林組は「品川を譲るから名古屋から手を引いてほしい」と自覚的に動いたから談合の意識があったのでしょう。この辺が談合事件の難しさなんですが、かつての官製談合と違うのは、発注者のJR東海はコストを切り詰める方向で動いており、談合の問題点とされる高値受注なのか?ってところが微妙です。例えば東京都による豊洲新市場の受注率90%超とか、談合が疑われる事例は他にもありますし、リニアでjは寧ろJR東海の優越的地位利用の方が独禁法に抵触する可能性があります。東京地検特捜部は功を焦ったかも。

そしてグローバルプリズンから抜け出せない日本にとっては災難なニュースがこれ。

鉄鋼・アルミ関税、すべての国対象と示唆 米商務長官 (写真=ロイター) :日本経済新聞
まさかここまでやるとは、というのが正直なところですが、これがトランプ流なんでしょう。狙いはあくまでも過剰生産が言われる中国の鉄鋼とアルミなんですが、第三国経由の輸入にも網をかけようってことですね。こうなると日本の鉄鋼メーカーに留まらず米国内の製造拠点を拡充している日本の自動車メーカーもとばっちりを受けます。実際この発表で世界の株価は下げました。

二国間貿易交渉を重視するトランプ政権で貿易が二国間で完結しないと認めた矛盾は置いとくとしても、これまでレーガン政権をtレースするようなトランプ政権がこれだけはある意味レーガン政権を超えた対応をしています。適温経済と言われてトランプ大統領自身が勝ち誇ったように言及していた株高が否定されたわけですから、その迷走ぶりは間違いなく大ニュースです。

以下新聞などではあまり触れられない視点からの解説になりますが、そもそも適温経済とは何だったのか?ですが、これFRBの3次に亘る量的緩和(QE)という環境下でのレーガン流双子の赤字政策として見れば腑に落ちます。つまり大規模減税と財政出動の組み合わせを経常赤字国のアメリカが採用した結果、財政赤字が拡大する一方、その穴埋めを輸入に頼らざるを得ないから経常赤字が拡大して両者がリンクする訳ですが、その結果輸入が増えて物価上昇を抑えるから低金利でも利ザヤが取れるから適温ですし、低金利且つ緩和による資金過剰で配当利回りが債券よりはマシな水準まで株価を押し上げた結果の安定だった訳です。

しかし流石に失業率が歴史的低水準にある中での財政出動は労働需給を逼迫させますから、インフレ圧力を生みます。それに加えての今回の鋼材アルミの関税による輸入制限ですから、結果的にこれも物価押し上げ要因になり、既に緩和縮小から利上げに動いているFRBも利上げ加速をせざるを得ません。つまり投資家目線からFRBのタカ派的利上げが心配されていたんですが、今回トランプ政権自ら適温経済を破壊してタカ派に与したって話です。

話はそれだけでは終わらない。アメリカがインフレ傾向を強める中、QQEでも2%のインフレ目標を達成できない日本は取り残され円高になります。既に手段が出尽くした日銀は打つ手なし。財務省による為替介入はトランプ政権に献花売るようなもので無理。見守るしかないわけです。貯蓄投資バランスが崩れて余剰資金が海外へ向かい、所得収支の黒字で経常黒字基調にある日本に打つ手があるとすれば、賃上げや社会保障の充実による個人消費拡大を通じた輸入増ぐらいですが、安倍政権がここに踏み込む気配なし。寧ろ働き方改革と称して官製ベアと引き換えに残業代カットを画策するように、名目賃金が増えても手取りは増えず、増税で可処分所得を減らそうと画策してるのが現実。

加えて適温相場の調整でボラティリティが高まっており、今後も調整が続きますから、投資家心理は悪化しリスクオフになります。これも円高要因です。最悪の財政赤字を垂れ流す日本がなぜリスクオフで円高になるかと言えば、財政赤字を経常黒字の裏にある過剰貯蓄でファイナンスしているからなんですが、加えて外国人投資家も低金利の円資金を調達して投資してますから、投資の縮小は円資金の還流となるわけで、円高へということですね。

おまけで言えば出国税や森林税などの新税導入の目的は消費税10%へアップするときの軽減税率の財源って話です。インボイス導入無しの複数税率は混乱と不正の温床になること確実ですが、見直しはなさそうです。

てなわけで結論。アベノミクス完敗。

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Sunday, January 14, 2018

マル生運動の悪夢

アベノミクスも5年目を迎え、輸出大企業を中心に企業業績は上向き、株価も高値更新を続けます。失業率や有効求人倍率などの数値も景気が上向きと取れる動きですが、生活実感が伴わない状況が続きます。当ブログでは世間が言い出す前からアベノミクスの問題点を指摘してきたわけですが、実際その通りの結果で、未だにデフレ脱却できずに成果の乏しい状況が続きます。

そもそもこれだけ労働需給が締まってきたら金融緩和も財政出動も効かないわけで、金融緩和は出口へ向かわざる鵜を得ないし、財政政策はそもそも求人難で事業が滞り予算通り執行できていない状況ですから、むしろ財政再建の好機なんですが、そんな気はサラサラないようです。むしろ成長戦略として規制緩和をぶち上げたり、TPPを口実に農業を補助金漬けにしたり、モリカケスパコンで怪しげな便宜供与をしたりしてますが、今年は働き方改革だそうで、生産性革命をやるとか。まるでマル生運動で労使関係を疲弊させ、解体へ向かった旧国鉄の失敗をなぞるようなこと言い出してます。こりゃ救われんわ。

日本企業の生産性の低さは以前から指摘されてきましたが、長時間労働の解消という美名のもと,働き方改革と称して労基法が改悪されようとしていることは社畜ネタのエントリー希望のエントリーでも取り上げました。わかりやすくまとめると以下の通りです。

1.脱時間給として労働時間でなく成果で評価する高度プロフェッショナル制度(残業なし)
2.裁量労働制の業種の拡大とテレワークによる勤務時間の曖昧化(残業請求は可能だけどやりにくい)
3.労基法条文に残業時間上限を明記しつつ業種や繁忙期の例外扱いも可能に(事実上残業し放題+未払い残業訴訟時の賠償額の上限になる)
これ残業代を圧縮するためで、それが3%賃上げの原資と財界は胸算用してます。政府は必ず通常国会でこれを通すでしょう。野党がまとまらないのが心配ですが、これも以前のエントリーで心配したことが実現するということですね。

これだと長時間労働はステルス化して事実上長時間労働は温存ざれ生産性も上がらないってことになります。そもそも生産性を現場の努力で持ち上げようってのが間違いなんで、本来は設備投資によって資本で労働を代替することや、M&Aなどで事業の見直しをして規模の経済とシナジー効果で生産性を高めるのが王道です。例えばドイツの名門企業シーメンスが鉄道部門を仏アルストムに売却して重電部門に特化したのが典型ですが、中国北車と中国南車を国策で合併させて中国中車としたことで、かつて加ボンバルディアと並ぶ鉄道ビッグ3の地位が脅かされる中での大胆な経営判断です。生産性向上ってこうやるってことです。

日本の場合労働需給が締まってきたことは上記のとおりですが、中身が問題で、就労者数は確かに増えているんですが、総労働時間は横ばいで、つまり非正規の短時間労働者が増えただけってのが実態です。深刻なのはその間GDPもほぼ横ばいですから、労働力の投入量と生産量が変化していない、つまり生産性も横ばいってことです。GDPが横ばいでも総労働時間が減っていれば生産性は上がっていることになるわけで、これなら無理なく労働者の報酬である賃金を上げられますし、労働時間の減少はつまり余暇時間の増加となりますから、その分消費者余剰が拡大して有効需要を生み出します。また人口減少の中で求人難も緩和するわけですから、現在の人口動態に整合的です。てことでこれ貼っときます。

生産性向上 経営者こそ主役   :日本経済新聞
これ企業だけの問題でもないんで、水道事業の民営化を打ち出した東京都の事例が面白いんですが、東京都水道局は23区の水道事業を担う地方公営企業で、基本独立採算制なんですが、多摩地区では各市町が直営事業で手掛けているケースが多く、独自水源として井戸を持っていたりしますが、地域開発で水需要が増えると対応できなくなり、都水道局に水源を依存するケースがあり、加えて小規模な直営事業では合理化も難しいってことで事業委託しているところもあるわけですが、そのために都水道局は増員したくても公務員定員の壁でできないってことで、民営化してそのくびきを外そうってことです。水道のようなインフラ事業は希望の経済が働くわけで、多摩地区に留まらず埼玉県の自治体の受託の需要も取り込めるわけで、伸びしろがあるわけです。

これ営団→メトロに事業領域を侵食されてきた都交通局と大きく異なる事業環境だからこそです。都営交通の民営化はメトロの株式上場絡みで都の保有株式の扱いが問題になるので実現可能性はほぼありません。

こういう観点から国鉄民営化を見直すと、国鉄末期から営業路線の廃止、切り離しが相次いで事業規模を縮小したJR北海道と、元々の規模が小さいJR四国が苦しむのはある意味必然です。むしろ全国1社体制でギリギリ規模を確保したJR貨物が黒字化で上場が検討されるってのも、不思議ではありません。JR貨物の場合旅客会社へ支払う線路使用料問題という爆弾を抱えてはいますが、これ旅客6社と同様地域分割していたらこうはいかなかったでしょう。

てことで30年も経つと変化は避けられないところです。見直しは必要でしょう。おまけ。

除雪車出動に遅れ JR信越線大雪で立ち往生  :日本経済新聞
そもそも異常な積雪でダイヤが乱れに乱れ、運転士が雪かきしながら進路を確保しつつ運行していたものの力尽きたわけで、4両編成に乗客430人という状態で、不安を抱える乗客に乗務員が丁寧に対峙したからパニックにもならずに済んだわけです。もちろん早い段階でも運転抑止の判断もあり得ましたが、時は夕刻ラッシュ時間帯で、帰宅の足にとJRを当てにして駅に乗客が集まっている状況で必死に運行を確保した結果です。首都圏ならば振り替え輸送で他社線へ誘導で済みますが、大雪でバスも動かない中での出来事です。本当に頭が下がります。新幹線の好調にブイブイ言わせながら殿様商売の某JRと大違いですね。

も一つおまけ。そもそもこの冬の寒冷化と大雪は温暖化の影響と見られています。理由は北極の海氷の減少で氷ならば反射される太陽輻射熱を海水が吸収して海水温が上昇し、水蒸気が発生視野sくなっている一方、海水温の変化に伴い偏西風が蛇行し、大陸の寒気が南下したこと。その結果高めの海水温と寒気の温度差で雪雲が発達し以下略。偏西風の蛇行は北米、欧州、東アジアで特に顕著で、いずれも化石燃料の消費が多い地域です。とりわけ日本は低コストを理由に石炭火力への依存が強く孤立気味。電力会社の経営の都合で電車が足止めって考えると怒りが沸いてきます。

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Sunday, December 31, 2017

台車枠の亀裂

今年もあとわずかですが、このニュースはやはり取り上げるべきだろうと思いまして、こんなタイミングでのアップとなります。

亀裂、あと3センチで破断 新幹線のぞみ台車  :日本経済新聞
「あと3センチで断裂」というきわどい重大インシデントとなりました。最初に疑問に思ったのが、異音を確認しながら3時間も運行を続けたことで、実際JR西日本は非難を浴びましたが、その後岡山から添乗したJR西日本社員が東京指令所の司令員に新大阪駅での床下点検を提案したものの、司令員が上司の指示を受けたていたために聞き逃し、運行を継続した経緯が明らかになります。結構ありふれたヒューマンエラーがあったわけです。

とはいえ司令員の責任を問うのは難しいところで、そもそも頑丈に作られていて入念な点検を受けている台車に亀裂が見つからなかったから出庫して運用されたわけで、目視が困難な程度の亀裂で直ちにに断裂することがないように安全マージンを大きくとっています。点検時点で見つからなかった瑕が台車枠の断裂に至るようなことは想像すらできなかったはずです。現時点で原因は不明ですが、専門家の見方はこれです。

新幹線の「亀裂」はなぜ発見できなかったのか | 新幹線 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
記事の著者の見立てでは、側バリの軸箱近傍の溶接部付近で起きた典型的な疲労破壊ということで、突然発生したものではなく、長時間に亀裂が伸長したものということです。ということで、現時点でも入念に行われている検査体制で発見できなかったわけですから、検査体制の見直しは避けられません。

既にJR東海は従来台車枠では行っていなかった超音波探傷(非破壊検査)を検討すると発表しました。わずかの傷でも重大事故につながる車軸では行われていたものの、台車枠ではそこまでは必要ないということで、通常は目視検査で済ませていたようです。それでこれまで特段のトラブルはなかったわけで、このこと自体は問題ではないんですが、逆にめったに見られない台車枠の亀裂を見る機会そのものが少ないと、特に若い検査員は育たないというジレンマもあります。

この辺日産の完成検査問題で若手の見習い工にわざと不具合を仕込んだ個体を検査させて発見できれば一人統制前といった現場ルールを思い起こさせますが、上記記事で「航空機は故障率が高いので、ダイヤ統制部門は整備士の意見を最重視する」そうですが、元々過大な安全マージンを取っている鉄道の場合、指令員の判断も運行継続に傾きやすいということもあるでしょう。加えて岡山で添乗したJR西日本社員と東京指令所のJR東海の指令員という会社跨りの問題もあるわけで、実際新大阪で引継ぎを受けて添乗したJR東海社員の判断で名古屋で運行を打ち切ったわけで、流れでJR西日本の不始末のように見えてしまったということも指摘すべきでしょう。

似たような問題は東急田園都市線で東武鉄道の車両トラブルで架線事故が発生したってのもありました。こちらは新幹線のように車両の仕様が統一されているわけではありませんから、より問題が複雑です。

加えてもっと気になるのが上記記事でも指摘されている溶接後の熱処理が適切に行われているのかという問題と、記事ではあえて触れられておりませんが、神戸製鋼の品質データ改ざん問題で明るみに出た鋼材の品質問題の可能性も視野に入れておく必要があります。特に両者の合わせ技で、あるはずの過大な安全マージンがほとんどなかったってこともあり得ます。実際台車枠に亀裂が絡むこんな事故がありました。

東武東上線「脱線事故」は、なぜ起きたのか | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
東武東上線中板橋付近での脱線事故で、30年選手の10000系初期車の事故ですが、台車の亀裂が確認されてます。尤もこの事故では亀裂が事故原因なのか脱線の結果台車に亀裂が生じたのかは不明ですが、鉄道特有の過大な安全マージンが、検査の形骸化を生んでいた可能性もあるわけで、今回の新幹線事故との比較は必要でしょう。

また神戸製鋼の品質データ改ざん問題に代表される素材メーカーの不祥事も、商慣習として定着しJIS法でも認められている特採が言い訳に使われたように、要求品質自体が安全マージンを過大に見積もっていた可能性もあります。ってことで、台車枠の鋼材で勝手特採やられて且つ溶接後の熱処理が不適切だと、結果的に要求性能は大幅に低下します。何が言いたいかというと、川下の素材メーカーから中間の加工メーカーを経て組み立てメーカーへ納入される一連の中で、各社が独自にコスト削減には減むと会社単位での部分最適が追及されて全体最適を失う合成の誤謬が発生する可能性を否定できないってことです。

これユーザーである鉄道事業者自身も技術革新と品質の向上で検査周期の延長を当局に求めているわけですが、川下側の劣化を見過ごして延長が認可されれば、日本の鉄道が自慢とする安全が砂上の楼閣になる危険性があるわけです。この辺自動車の完成検査問題もそうですけど、規制当局である国土交通省がそこまで目利きできるのかということでもあります。規制改革の難しさは実に奥深いところです。

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