都市交通

Sunday, April 14, 2019

ガラクタ>ポンコツ

鏡の国の未来の話です。まずこれ。

総人口1億2644万3000人、減少率0.21% 18年10月時点  :日本経済新聞
2008年から日本の総人口は減少に転じてますが、度々指摘してますが、より重要なのは1997年から始まった生産年齢人口の減少の方です。生産年齢人口の減少はつまり雇用者の減少ですから、その分世帯の所得の減少となります。実際GDPの分配面を見れば、雇用者報酬は一貫して減少してます。当然消費が減少しますから、価格抑制の力学が働いて、巷間言われるデフレが生じる訳です。貨幣現象じゃないから金融緩和しても解決しない訳です。

生産年齢人口の減少はかように経済を縮小させるインパクトがある訳ですが、これも度々指摘してますが、高齢化に伴うリタイア人口の増加が原因であって、このタイミングで少子化対策しても、生産年齢人口は増えない訳で、保育の無償化などの少子化対策はやるだけ無駄どころか財政再建に回す筈の消費税の増税分を充てるってことは、事実上国債発行と同じ負担の先送りにしかならず、却って将来の負担を増やします。

結果的に高齢者と女性の労働力率が高まって雇用者人口は増えてますが、少なくとも推計方法変更前の2015年までのGDPは増えてないので、労働力の投入量が増えたにも拘らず付加価値は増えてない訳ですから、その分労働生産性が低下した訳です。詳細に見ると高齢者の嘱託や主婦のパートなど非正規雇用が増えた訳で、雇用の劣化を伴っている訳ですから、毎月勤労統計で誤魔化しても隠しようのない現実です。少子化対策したくても、保育士も不足しますし、保育士を増やせばその分他のセクターの雇用が圧迫されますから、どのみち社会は回らない訳です。これ働き方改革も無駄ってことでもあります。

そうは言っても労働力不足は賃金を押し上げますから、低賃金セクターほど人が集まらず人手不足倒産も有り得るってことで、ヤマト運輸の労使協議で料金値上げと荷受け縮小を決めて、それを原資にして賃上げと労働時間圧縮を図った結果、寧ろ人が集まって荷受けも増やすことが出来てと好循環になりました。働き方改革のためにはホント労組大事。労組潰ししたJR東日本のスットコドッコイの将来が不安です。

で、賃金を上げられない不人気業種では、人手不足倒産が現実問題となる訳で、後は外国人に頼るって流れです。これも外食やコンビニでは既に留学生アルバイト抜きには回らない状況ですが、実はバブル期から兆候はあったものの、バブル崩壊による経済減速に助けられて、不良債権処理の借り手側の過剰債務対策で人件費カットを余儀なくされて新卒採用の手控えが起きて、所謂ロスジェネ問題で一息ついたのが実態でしたが、若年人口の減少で逆に新卒の有効求人倍率が高まった結果、頼みの若いフリーターの補充が効かなくなり、その穴を留学生が埋める流れです。

しかしそれも限界でいよいよ賃金上昇が現実に起きると、外食では営業時間の短縮が始まりますが、24時間営業のコンビニではそうはいかず、遂に見直しを迫られることになりました。ただしコンビニでは既に弁当の3便配送をはじめ、24時間営業を前提とした店舗オペレーションでシステム化されてますので、人が集まらないから営業時間を短縮するという訳にはいかず、とりあえず実験で検証する段階です。高度に効率化されたが故に、無人レジなどのストアオートメーションによる省力化の余地も少なく、寧ろ自社競合によるオーバーストアの地域もあることから、単なる営業時間短縮よりも店舗閉鎖が進む可能性があります。

そしてやはり不人気業種の建設業ですが、元々現場仕事は10年程度の見習い期間が必要で育成に時間がかかるにも拘らず、若手の補充が滞ってますから、平均年齢の上昇著しく、いずれ回らなくなります。ここでは技能実習生が頼みでしたが、仕事教えても3年や5年で帰国されると結局戦力にならないということで、入管法改正による新在留資格を要望することになり、この4月から実現しましたが、狙いは実際に現場にいる実習生を帰国させないためでしかありません。

それなら本人の希望に合わせて永住権や国籍の取得ができる移民制度にすればいいのですが、国内の反対論に配慮して移民じゃないと言い張ってますが問題です。外国人を労働力として受け入れることの落とし穴は、労働者が消費者でもあることを見落としてるんですね。労働力の補充よりも消費者として国内消費市場を支え、税や社会保障の担い手として迎え入れるという視点が必要です。これつまり移民そのものです。そして技能実習生制度の烈悪なバージョンアップでは労組への加入なども考慮されてませんので、長時間労働や賃金ピンハネなどの不正の温床にもなります。差別による治安悪化と隣り合わせですね。

内緒ですけど^_^;、新在留資格でも5-10年の在留期間が終われば帰国する訳ですから、結局建設業の人手不足は解消されません。それ以前に今でも年間50万人規模で生産年齢人口が減っているときに5年で35万人とか算数できないのか?wwwwwそういう中で鏡の国で指摘したように古い利権構造で地元への利益誘導で公共事業引っ張って来るってのは、それだけ建設業にストレスを与えますから、様々な矛盾をもたらします。そんなニュースがこれ。

豊洲市場、くすぶる「民営化」  :日本経済新聞
産地直送やBtoCのEコマースの拡大などで元々築地時代から年々取扱額は減っていましたが、豊洲移転でますますその傾向が強まっております。築地市場の豊洲移転はそもそも築地の施設の老朽化と手狭さが理由とされてましたが、大枚はたいて巨大ハコモノ作ったらそっぽ向かれた形です。そして軟弱地盤や土壌汚染問題でコストもハネ上がっていて赤字確実と言われてた中での低迷ですから、それだけ東京都の財政を圧迫します。

そうなると公設市場法の改正もあって民営化の議論が出かねません。これ東急世田谷線レベルの輸送規模でキロ100億円の地下鉄を作るぐらい頭おかしい話です。老朽インフラと新設インフラの関係で見れば下関北九州道路代とも通底しますが、後先考えず巨大インフラ投資を決めて責任は取らずあとは野となれってことですね。

そしてタイトルの意味ですが、ガラクタもポンコツも役に立たないものという共通の意味がある一方、ポンコツは語源である拳でコツンと殴るが転じてハンマーで叩いて解体するものである一方、ガラクタは見方を変えれば価値が見いだせるものという意味で希望があります。故に不等式でつないだんですが、つまりコンバージョンってことですね。新しいもの作って古いもの壊す繰り返しは結局健在を疲弊させますから、知恵を絞ってガラクタを活かすことこそが、人口減の日本にとっては有益です。

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Sunday, April 07, 2019

鏡の国のアベノミクス

不思議の国の続編はやっぱ鏡の国でしょ。ってことで、あれこれ始めます。

塚田前国交副大臣の発言「でも私は忖度」→「おわびする」  :日本経済新聞
渦中の副大臣が忖度したかどうかは些末なことでして、11年前、福田政権時代に費用対効果が不十分として却下された下関北九州道路の事業が国の直轄事業として調査費が計上されたことの不透明さが本質です。現状R2関門国道トンネルと高速道の関門橋の2ルートがありますが、老朽化で国道トンネルは10年に1度の大修繕による通行止めが毎年行われるようになっていて、国土強靭化による災害対策のための二重化という議論があるのですが、そのために2,000億円をかけることが妥当かどうか冷静な判断が必要です。

ルートの二重化はメンテナンスの負担増を意味します。相応の経済効果があるならば良いのですが、関門橋の通行量も予定の半分の水準で、国道トンネルの通行止めの影響を吸収可能な現状からすれば、大した経済効果は見込めません。そうなるとメンテナンス費用のかかる国道トンネルの閉鎖も視野に入り、唐戸水産市場のある下関市東部の経済的な地盤沈下をもたらす可能性もあります。それでもやるのかってあたりの議論がきちんとされてるようには見えないんですよね。

この手の話は日本中にありまして、東日本大震災の津波被害を受けた地域でも、大規模防潮堤建設の是非が議論になった結果、人の住んでないところばかり工事が進んでしまい、いったい誰を守る防潮堤なのかって現状があります。福島第一原発事故関連でもいい加減な除染作業で復興予算が食いつぶされたり、がれき処理を広域処理と称して持ち出した結果、焼却工場を木質バイオマス発電につなげようという地元の構想が頓挫したりとか、土建屋ベースで物事が進む現状がそこかしこにあります。

国土強靭化の名の下に経済効果が十分検討されない公共事業がそこら中で復活したり新たに立ち上がったりしてますが、そのための予算が赤字国債発行を前提にしているわけで、アベノミクスの第2の矢として機動的な財政出動が謳われてもおりますが、経済効果のない公共事業をやる余裕が日本の政府財政にはありません。90年代の財政出動で赤字を累積していて政府予算の最大費目が国債費でその半分は借換債ですから、過去の赤字の清算ができていないのに赤字を重ねる訳ですね。しかも既にケインズの言う乗数効果も1倍即ち有効需要を生まない水準なのは政府も認めています。

加えてここへ来て深刻な人手不足で折角予算が付いた公共工事も人が集まらず未執行となり財政出動不発となる現状があり、2020年の東京オリパラ関連で人手が取られて震災復興も遅れている状況です。五輪関連は元々旧国立競技場の改修をはじめ既存施設を活用し半径8㎞以内で実施という計画だったものが、招致が決まった途端に新競技施設の建設が次々に決まり、加えて築地市場の豊洲移転と環状2号線の整備が強行されました。これも都知事選で争点化した後に迷走し、結局環状2号線は仮設状態でつながったものの、晴海の選手村からの移動がネックになるのは確実です。ここを京成バスが受託した環2BRTが走るらしいですが、混乱は確実です。加えて五輪後の地下鉄計画も。

銀座から臨海部へ都が地下鉄、羽田直結目指す : 国内 : 読売新聞オンライン
これTBSのメトロ都営統合報道を思い出させる観測気球ですね。実態はこれから検討という段階ですが、一方で豊洲移転の遅れで政治路線化したマジ卍な豊住線はメトロが作るのが望ましいとしていますが、1日13万人の利用を見込む豊住線よりこの臨海部地下鉄を都としては優先するってことです。5㎞で1日5万人ってザックリ言って東急世田谷線レベルの輸送規模ですが、それに2,500億円、キロ500億円の事業費を見込むってのは採算性は関係ないって頭おかしいレベルです。

この臨海部地下鉄構想ですが、言い出しっぺは中央区で、当初環2LRTが五輪輸送を睨んだ暫定BRTとして上記のように京成バスの受託に至ったんですが、一方で2020年五輪招致が決まったところで地下鉄構想を唐突に主張し、交通政策審議会の2016年答申に滑り込ませた経緯があります。明らかに五輪絡みの利権漁りの気配があります。

直通運転が示唆されるつくばエクスプレスについては、沿線開発が急過ぎて混雑緩和対策に追われた結果、懸案の東京駅延伸の事業費1,000億円をねん出できない状況ですが、更に銀座まで伸ばすとすれば同じぐらいの事業費が上乗せされますから、ほぼ不可能でしょう。羽田直通はJR東日本によるりんかい線引き受け問題との絡みで、可能性はあると言えばありますが、地下駅の国際展示場駅をジャンクションに改造するのは相当な事業費の上振れの覚悟が要りますので、やはり実現可能性は薄いでしょう。しかも都営地下鉄として整備とは言っていません。つくばエクスプレスかJR東日本に丸投げのつもりでしょう。

政治家にとっては公共事業による利益誘導はわかりやすい有権者へのアピールになるんでしょうけど、それに留まらず土建屋の集票能力への依存の意味なんでしょう。採算性が問われる鉄道事業でさえ採算度外視の計画が動いてしまう危うさは要注意ですが、別の面から言えば、それだけ土建業会は労働集約産業としての性格が強いってことでもあります。そこで気づいたんですが、公共事業の乗数効果の低下はこれが原因じゃないかと思い当たります。

つまり公共事業に依存しなければ存続が難しいゾンビ的な土建業に栄養を与え続ければ、そこへ雇用が張り付いて国全体の生産性を下げてしまうという点です。日本の低生産性は公共事業依存の結果なのかも。しかも人口減少で人手不足は若年労働力の確保が難しくなりますから、外国人を入れないと回らないってことで、入管法改正を急いだわけですね。加えてこのニュース。

ジャパンディスプレイ株が急伸 台中勢傘下で再建進展の期待  :日本経済新聞
政府系ファンドによる国内企業の救済策は死屍累々で外資に売り渡した途端に株価が上がるって、これ公的資金でゾンビ企業を延命させている結果と見れば、公共事業と同じように日本の生産性を低下させる元凶と言えるでしょう。結局ゾンビ退治ができないから生産性が下がって成長できないけれど、それがバレると選挙で勝てないから統計弄って誤魔化すことになります。その結果アベノミクスは迷走しっぱなし。鏡の国の迷宮に迷い込んだアリスの如しです。

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Saturday, March 30, 2019

不思議の国のアベノミクス

アセット・バブル・エコノミクスの頃から指摘している通り、うまくいかないしやめられなくなると言い続けてきたアベノミクスですが、予想通り迷走しております。当初2年で2%のインフレ率達成を目標としたQQEも度々目標達成を先送りして現在に至りますが、出口が見えない中で景気の谷が近づいているのに動けない日銀です。 今囁かれているのがマイナス金利融資という奇策ですが、現在のマイナス金利が日銀当座預金に銀行が追加で預け入れした分に適用されるのですが、その原資は国債の日銀への売却代金ですから、僅かながら利子が付く国債を売って日銀当座預金が増えれば銀行にとっては損失になりますが、逆に融資の形で日銀が銀行に貸し付ければ、銀行がその資金を利の薄い銀行間取引や債券投資に振り向けることで、僅かながら利ザヤが生まれます。つまり体の良い銀行補助金って訳ですが、これなら銀行から批判を浴びた日銀預託分のマイナス金利付利に対し、銀行懐柔に使えるって訳ですね。銀行の中の銀行も地に堕ちたもんです。 元々QQEは金融圧迫にしかならないと言い続けてきました。QQEによる国債爆買いは国債市場を圧迫して市場金利を歪めたことに留まらず、市場で売買される現物が減って銀行が運用難に陥る訳ですが、当初「ポートフォリオ・リバランス」と称して国債投資に偏った銀行のポートフォリオ見直しを示唆しました。これぶっちゃけ外債投資を促したわけですね。というのは日銀が直接外債を買うと為替介入と見做されて国際的に非難を浴びるので、銀行の余剰資金を振り向けさせるという訳です。 その結果外債投資に傾斜した銀行各行ですが、米FRBの緩和縮小と利上げで状況が変わり、保有外債が金利上昇で含み損を抱える状況で持続可能ではなくなりつつあります。ちなみに今季6,800億円の減損処理を発表したみずほ銀行ですが、内1,800億円は外債含み損の減損処理で、他行に先駆けてはおりますが、これで打ち止めという保証はありません。外債投資が無理で行き場を失った資金は国内社債投資にシフトしているようですが、ハイリターンを狙ってハイリスクな劣後債に集中しているようで、景気の谷を迎えるこれからを考えると不安です。 そもそも銀行の一番の収益源となる筈の融資ですが、企業の国内設備投資が冷え込んだままですから融資が伸びない。そんな中で数少ない融資先として不動産融資に傾斜した結果、地価が上昇している訳ですが、これも選別が激しくなり、今や駅近7分以内以外は見向きもされない状況です。バブル崩壊後の地価下落と再開発絡みの容積率緩和で人口の都心回帰が進みましたが、地価上昇でマンションの価格が押し上げられ、売れ行きにブレーキがかかり始め、ここへきて異変が起きてきています。 インバウンド需要の拡大でホテル不足から都心の好立地はホテルに買い負けるようになり、より地価の安い郊外の駅近へ、そして地方都市へという流れで、宇都宮や高崎にまでタワーマンションが建つ状況です。誰が買うんだか。あと交通結節点のマンション人気は強く、武蔵小杉に続いて海老名の人気が高まり、開発が加速しております。そしてこのニュース。

相鉄、悲願の東京都心直結へ 11月末からJRと直通  :日本経済新聞
武蔵小杉のタワマン群のお陰で横須賀線の混雑が助長されていることは限界都市川崎で述べた通りですが、始発で座れる海老名のタワマン族が利用するとすれば、JRと相鉄の直通で列車本数が増えても武蔵小杉に着く前に満員とタワマン族が被る状況もあり得ます。相鉄としてもいずみ野線に残る保有地のマネタイズとバランスの取れた街づくりがしたいところでしょうけど、目論見が外れる可能性があります。 加えて五輪後の不動産市況の変化も見逃せません。東京都心エリアではJR東日本の高輪ゲートウエーの開発進捗があり、また晴海の五輪選手村も改装して分譲マンションとして売り出されますが、その辺のタイミングで東京も人口減少へ転じると予想されております。需要が減って供給が増える訳ですから、値崩れは確実でしょう。ホントアベノミクスいいとこなし。 居や国内はともかく外交特に通商交渉ではTPP11や日欧EPAでをまとめたじゃないかと言われますが、TPPを離脱したアメリカの復帰を狙って農産物で大幅譲歩した結果、異変が起きています。
農産品輸入、米国離れ 牛肉・豚肉のシェア低下  :日本経済新聞
オーストラリアとカナダ産の牛豚肉のシェアが拡大して米国産を圧迫している状況です。これから始まる日米通商交渉はさぞや地獄でしょう。浅はかです。 てな訳で、トランプの兵隊に追い詰められた不思議の国のアリスですが、アベノミクスも同じぢゃん^_^;。

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Sunday, March 24, 2019

ブレブレBrexit

 


前エントリーからまたブレてるBrexitの話題を続けます。

 



 


とりあえず今月29日の離脱期限を4月12日まで延期するから、その間に英議会で離脱合意案を可決させれば更に期限を5月12日まで延期し、翌23日から始まるEU議会選挙にイギリスが参加するなら、期限を無期限延期するという条件が示されました。とりあえず条件付きで短期の離脱延期を認めた形です。


しかしイギリスは離脱を前提に負担金の発生するEU議会選不参加を表明しております。つまりEU案を受け入れれば、結局事実上離脱は棚上げになってしまう訳で、英議会の賛成議決が得られる筈もありません。事実上限りなく残留に近い延期か強制離脱化の二択となる訳で、これ議会のみならずすでに悪化しているイギリス国民の対EU感情の悪化も招きます。仮に国民投票のやり直しをしても離脱が選ばれる可能性が高いという訳です。これ強制離脱が現実味を帯びてきたってことです。


この辺の条件設定はおそらくEU官僚の手になるものでしょうけど、主権ねた共同体のEUの性格が出ています。以前にも指摘しましたが、EUは主権国家の上位組織としての官僚機構という意味で、中国共産党と同じ性格があります。違うのは中国共産党は中華人民共和国という単一国家の上部機構なのに対し、EUは複数の主権国家により構成されている点です。故に憲法に当たる基本条約と修正条約としてのリスボン条約を加盟各国が批准することで法的地位を得ている点で、人民解放軍をはじめ強制力を持った実力部隊を動かせる中国共産党に対し、あくまでもEUの強制力は加盟各国に属するってことです。ただ国民から遠い存在という点では同じです。


だからこのようなイギリスの国民感情を逆なでするようなアイデアが出てきてしまう訳で、これでイギリス国民が強制離脱止む無しと考えるようになれば、結果的に火に油を注いだ形になります。ただし強制離脱となっても宗教対立解消のために締結されたベルファスト協定がある限り北アイルランドとアイルランドの間に国境を作る訳にもいかず問題は解決しません。


冷静に考えれば強制離脱といっても当面船便を止めたり積み荷を港で留め置いて引き渡しを止めるぐらいしかできることがないわけで、いずれEU加盟国の足並みが乱れてグダグダになるんじゃないかと予想しております。この辺複数の主権国家で構成されるEUの弱点ですが、EUの統制がガタガタになったときの加盟各国の反応は一枚岩には程遠いものにはなるでしょう。ロールスロイスとミニと一部エンジン工場を抱え英独でバリューチェーンを持つBMWでは当面の策として在庫積み増しを図っておりますが、後は様子見しかないということで悩みは尽きません。


そして日本ですが、ホンダの工場撤退に留まらず、トヨタや日産もイギリスでの生産見直しを表明していてやはりイギリス国民から日本は冷たいと言われている状況です。おそらく日米FTAの輸出数量制限がかけられると考えられますから、アメリカ国内での生産を強化する方向へ動かざるを得ないから、ルノーとのアライアンスがある日産はともかく、トヨタとホンダは欧州から遠ざかると考えられます。その割に今年からラ1参戦に復帰したホンダの行動はチグハグですが、今後EVシフトが進むと考えられる欧州でアピールするなら日産のようにフォーミュラE参戦愛のかな?時代の変化に疎い日本企業ホントにヤバいぞ。


例えば上述のBMWは自動運転でライバルのベンツと協力するという驚くべきニュースもありますが、目先の不透明感と裏腹に確実に長期戦略を進める欧州企業のしたたかさは見倣うべきでしょう。具体的にはメルセデスベンツ・アメリカがカリフォルニア州サンディエゴで始めたCar2Goというカーシェアサービスへの相乗りですが、2シーター小型EVの分単位課金の時間貸しサービスで乗り捨て自由しかも格安です。現状自動化されてませんが、ベンツもこの分野から自動化をやろうってことです。


これの何が凄いかっていうと、ベンツは当面EVを売ることを考えていないってことです。まずは乗ってもらって魅力を理解してもらって、満を持して大型セダンやSUVを売るつもりでしょう。というのは、CASEのエントリーで指摘したように、いずれクルマは売れなくなることを見越しているってことです。その時にそれでも個人で車を買う人ってのは乗馬を楽しむ感覚と同じ富裕層のホビーになる。そうなればブランドの確立したプレミアムメーカーの方が有利って訳です。とすれば都市内で利用される小型EVは寧ろコモディティ化を進めて数の正義を振りかざす量販メーカーを蹴散らすチャンスでもある訳です。


一方のトヨタはKINTOと呼ばれるカーリース事業でレクサスブランド6車種を自由に乗り換えられるプランを発表しました。所謂定額制サービス(サブスクリプション)ですが、これが恐ろしく高いし中途解約で懲罰的な違約金がかかるという供給側の論理まる出しの時代錯誤です。アイデア段階から勝負あったってことです。

 


CASEとMaaSの関係で言えば、ベンツのアプローチの方がMaaSを明らかに意識してます。それと同時に車自体のコモディティ化は避けられないとしても、プレミアムブランド中心にホビー化の流れもあって両者は同時並行で進むってことまで視野に入っています。この辺自動車氏を紐解けば、元々馬車から発展したショーファードリブンカーの伝統が強い欧州に対し、量販メーカーの登場でオーナーカーの性格が強いアメリカの両者が影響し合いながら並行して発展してきたことを体現する最古の自動車メーカーらしいものの見方です。自動運転車はさしずめデータドリブンカー?

 


日本のメーカーも元々オーナーカーよりも社用車やタクシーで台数を稼いできたので、ショーファードリブンカーの需要は一定にあります。ある意味それがウーバーに始まるライドシェアの事業化にブレーキになっている面があります。日系メーカーでも日産はロンドンタクシーやニューヨークのイエローキャブへの参入で海外販路まで開拓したために、ライドシェアの影響でイエローキャブが打撃を受けるなどしてますが、逆にベンツやBMWはプレミアムカーらしくライドシェアのドライバー向けに高級セダンを売るなどして潤ってたりします。この辺ドライバーに高額のカーローンを組ませるなどギグエコノミー的問題点も指摘されてますが、いかに日系メーカーが時流に乗れていないかは明らかです。


サンディエゴのCar2Goも市街地の渋滞緩和のソリューションとして提案されたもので、モータリゼーションの極致たるカリフォルニアでこういうものが出現するってのもまた、連邦政府はパリ協定離脱でCO2削減に背を向けるけど、民間レベルでの環境対応が進んでいるアメリカの現状を映しています。何だか日本だけが取り残されてガラパゴス化しているように見えますね。

一方で乗務員確保が滞ってバスの減便や宅配クライシスに直面する日本ですが、こういった国内の課題に応える動きが少なくとも自動車メーカ^からないのが気になります。寧ろ京急のゴルフカート活用など、事業者の関心は高いようですが。

 

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Sunday, March 17, 2019

思い出されるBrexit

Brexitが迷走しているように見えますが、私はほぼ想定内のプロセスを踏んでいると見ます。そして追い込まれているかに見えるイギリスのメイ政権ですが、強硬離脱反対の下院議決を得たことで、寧ろEU側が追い込まれたと見ています。理由は簡単で、強硬離脱を避けたいのはEUも同じ、対立が解けない英国内世論の中で、強硬離脱だけは避けたいという意思が示された訳ですから、メイ首相はこれを対EUの交渉のカードに利用すると考えられます。

あと国内経済が好調なのも追い風です。これBrexitのゴタゴタでEU圏からの移住者が減って失業率が歴史的低水準にあり、消費が堅調なことによります。EUに加盟しながら移動の自由を保障するシェンゲン協定未加入というイギリスですが、市場統合が進み、特に東欧圏へ拡大した結果、相対的に貧しい東欧圏の住民が流入して労働市場を圧迫してきたことがBrexitの議論の背景にあります。元々移民受け入れに寛容なイギリスで単純な反移民という訳ではありません。その流入が減って経済が上向いたんですからこれゴタゴタのお陰?

一方EU側はイギリスに厳しい態度を取り続けてきましたが、その狙いはイギリスを離脱撤回に追い込むことです。何しろBrexitのゴタゴタでイギリスを忌避した東欧諸国の労働者がその分大陸諸国に押し寄せてますし、加えてシリア難民の受け入れ問題も重なって大混乱し、移民排斥の機運が高まっている訳です。その結果反EU勢力が支持め加盟国で議席を確保し、無視できない存在になっております。EUとしてはこの面でもイギリスに甘い顔ができない訳で、着地点としてイギリスの離脱撤回がベストシナリオになる訳です。

それがイギリス下院の強制離脱反対決議と翌日の離脱延期決議によって、EUも延期承認の決断が求められることになります。延期については全加盟国の承認が必要ですが、承認されずに強制離脱に追い込まれることは避けたい訳ですから、EU側としては延期承認でまとめるしか選択肢はありません。しかもここへきてユーロ圏の経済が足踏み状態となり、ECBによる緩和縮小も当面見送られる状況ですから、強制離脱でより深傷を負うのはEU側ということになります。

このイギリスの政治的混乱は理解しにくいことも確かです。しかしイギリスがコモンセンスの慣習法の国であり、主要国で唯一成文憲法を持たない国という点から見れば、不思議でも何でもありません。そんな国の議会に付与された立法権というのは、つまるところ時代の変化で不具合が出てきた慣習法の修正に力点が置かれます。故に現実にどんな不具合があるかが出発点になります。

所謂立法事実が問われ、議会で成案を得ればそれがそのまま法律として発効する訳で、成文憲法に照らした違憲立法という概念すらないが故に、文字通り熟議を経て必要な修正を加えて可決成立に至る訳で、某日本国みたいにろくな議論も無しに数の優位で押し切られるのとは違います。Brexit関連では、そもそもキャメロン政権が行った国民投票も、日本ならば憲法改正の要件として国民投票が憲法に明記されてますし(第96条)、辺野古埋立問題で実施された県民投票も法的拘束力はないと説明されてますが、憲法第95条で国会での不利益立法の禁止が定められています。

イギリスの国民投票が取扱注意なのは、例えば結果を無視して政府が離脱撤回したり、あるいは違う結果を得るために国民投票のやり直しをして異なる結果を得た場合などはそれが慣例となってしまうということになります。故に政府としては不都合であれ何であれ、国民投票で示された民意を尊重しつつ議論を重ねるしかない訳です。その辺を踏まえずに直接民主制の弊害やポピュリズムを指摘する議論はインチキってことがわかります。

ある意味イギリスはこういった混乱を重ねながら歴史を刻んでまして、例えばメージャー政権で手掛けた鉄道改革を巡る混乱は政治に翻弄された英国鉄道改革鉄道書評、民営化で誰が得をするのかで取り上げましたが、一方ブレア政権での見直しで高速新線(STRL)High-Speed1が建設されユーロスターのスピードアップとドーバーまでの近郊輸送が劇的に改善しロンドンオリンピック輸送にも貢献したことは近郊型消滅? suburban首都圏品質で取り上げました。当初の混乱が見直しで改善されたことは、Step by Stepで議論を重ねるイギリス流ってことですね。

尚、このHigh-Speed1ですが、ユーロスター単独では採算性に疑問符が付くところ、ロンドンの近郊輸送の改善と抱き合わせたところがミソ。日立製のClass395"Javellin"がMax225km/hで走りドーバーがロンドンの衛星都市になるという変化も生まれてます。これ国鉄の通勤新幹線構想そのままです。この構想は実現しませんでしたが、新幹線網を全国展開する上でネックとなる首都圏のアプローチ区間を通勤新幹線として先行整備して短期的には首都圏の通勤輸送改善を狙った意欲的なものでした。公社時代の国鉄ではこうした柔軟な発想は実現できなかったんですね。

ふと思うのは整備新幹線を巡る我田引鉄ぶりやJR北海道の経営を巡る混乱を見ると、結果的に上下分離とフランチャイズ制による参入障壁の撤廃で活性化された英国鉄道の方が今となっては優れていると言えるかも知れません。逆に成文憲法を持つ日本の場合は、民主党政権で閣議決定されながら震災の影響で断念された交通基本法が、自公政権で交通政策基本法として成立したものの、移動権を憲法の基本的人権に紐付けて国、自治体、事業者の役割を規定した部分が省かれた結果が、国の責任ばかりを言い立てて具体策を出さない北海道庁や関連自治体の態度になっているのではないかと思います。

Brexitに話を戻しますが、北アイルランド問題がネックになっている訳ですが、現実的な落としどころとしては北アイルランドをEU圏に残して1国2制度にするぐらいしかないでしょうけど、それだと英国内に実質的な国境ができることになります。故にメイ首相がEUと取り交わした離脱案では北アイルランドの国境問題の恒久的な解決策が見つかるまでEU圏に残留させるという表現になっておりますが、これが実質EU残留の恒久化につながるとして強硬離脱派からも残留派からも反対されている訳です。

その対立は解けないままですから、離脱延期しても同じことを繰り返すだけで、結局延期を繰り返してゴタゴタが続くことになりますが、ある意味根競べというか、いずれ諦めから政府案に収斂されるってところでしょうか。とはいえ時間をかけることは民間企業に判断の余地を与えるので、それを織り込んだ動きで強制離脱のショックもマイルドになるという面もあります。そんな中でのこのニュース。

ホンダ社長、英での生産終了21年中に トルコでも休止  :日本経済新聞
Brexitは無関係と明言された社長会見ですが、勿論無関係ではありませんが、背景としてホンダの欧州での販売不振があり、スウィンドン工場出荷分の大半は北米向け輸出に回っていて、欧州に生産拠点を置く意味が薄れたので、モデルチェンジのタイミングで生産拠点を見直すのが主眼です。北米では売れているホンダですが、欧州で認められて一流という意識から古くからF1参戦してきたものの、果たせず撤退ってことです。欧州で認められたという意味で日系企業では日産が先行しており、ホンダは及ばなかったってことです。これある意味不振企業の撤退を促している訳で、ゾンビ企業を温存して低迷する日本ンとは大違いです。

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Sunday, February 24, 2019

限界都市川崎

別に川崎に悪意がある訳じゃないんですが^_^;、サイドバーの書籍からお題を頂きました。同じくサイドバーの週刊東洋経済の通勤電車特集から、最強の通勤電車ランキング32路線中32位のワーストに選ばれた横須賀線のE217系の置き換えにE235系投入が発表され、普通車がオールロングシートになることがネット上で話題になりましたが、横須賀線のワーストの理由が混雑率の悪化ってことで、実は武蔵小杉のタワーマンション群に原因があるのでした。

ご存じの通り横須賀線は湘南新宿ラインと線路を共用しており、旧蛇窪信号場の平面交差もあって増発が困難なことが原因なんですが、加えて相鉄都心プロジェクトで今年度下期には相鉄からの乗り入れも始まりますから、その枠も確保しなきゃならない訳です。こちらも埼京線との相互直通ですから、品川東京方面への増発は当面見込めません。となれば当然車両レベルで収容力を高める必要がある訳で、オールロングシートにするしか手がない訳です。

長期的には蛇窪の立体交差化が課題ですが、直ぐには実現できません。とにかく朝ラッシュ時には改札入場待ちの列が伸びて危険ってことで臨時改札を設けたけれど、今度はホームが混雑して危険ということで、ホームの増設を決めましたが、完成は2023年で、未だ建設中のマンソンも多く、当面改善は見込めません。大江戸線勝どき駅の二の舞ですね。加えて若い子育て世代の流入で待機児童は増える一方。タワマンたわわな江東区を再現しています。当然小学校、中学校と順繰りに生徒数の増加に悩まされるわけです。

都市部で依然 待機児童多く  :日本経済新聞
待機児童問題は煎じ詰めると都市部固有の問題で、再開発で同じ世代の人口が急増することで起きる訳ですが、それでも都市再開発の流れは止まらず、寧ろ開発を促すために容積率の緩和が行われる状況です。そして世代の多様性がないから将来はそっくり高齢化して空き家候補になる訳です。将に限界都市まっしぐらです。

川崎というと工業都市のイメージが強いのですが、新興財閥の浅野財閥による川崎鶴見の埋立地開発に遡ります。元々多摩川の砂利輸送を意図した南武鉄道と奥多摩地区の石灰石採掘から派生した青梅鉄道(後に青梅電気鉄道)、五日市鉄道が立川で繋がったことで、京浜運河沿いの埋立地に浅野セメントが工場を作り、奥多摩からセメント工場への一気通貫の輸送体系を形作ります。加えて隣接する鶴見の埋立地が造成され工場が建ち、原材料や製品の輸送を担う鶴見臨港鉄道が開業し、当初貨物専業でしたが、工場が増えて従業員輸送の要請から旅客営業を始めます。何れも戦時買収で国鉄に編入され青梅線、五日市線、南武線、鶴見線になります。東京や横浜の港湾は政府の手によるものですが、埋立から民間資本で形成されたのが京浜工業地帯の特徴です。

蛇足ですが、南武鉄道のバス部門が小田急グループの立川バス、青梅電気鉄道のバス部門は奥多摩振興から京王グループの西東京バスへ併合、鶴見臨港鉄道は川崎鶴見臨港バスとなり京急グループに属します。歴史にIFは禁物ですが、戦時買収が無ければ大東急の一員となって小田急、京王、京急に分割されたか、相模鉄道のように東急に経営委託しながら独立を維持したかなど興味をそそられます。

加えて戦時体制で南武線沿線には通信機器などの軍需工場が立地し発展しました。大師参拝輸送からインターアーバンに進化した京浜電気鉄道や省電時代のスター京浜線は目いっぱい恩恵を受けた訳です。特に省電京浜線は東京本社の幹部による工場視察の便宜を図って二等車(現グリーン車に相当)が連結されていました。モータリゼーション夜明け前の当時、二等車は社用車の役割を担っておりました。

しかしそれ故に環境悪化で住宅地としては不人気でしたが、グローバル化で工場の海外移転や競争激化による撤退もあり、広大な工場跡地が残されます。これが種地となって再開発が進み、特に横須賀線武蔵小杉駅の開業で利便性を高めた武蔵小杉は人気エリアとしてタワマンが多数つくられて人口急増した訳です。

これは川崎市にとってもJR東日本にとっても計算外だったと思われますが、東京の大江戸線沿線やAGTの新堀舎人ライナー沿線など、交通インフラの整備に伴って開発が過熱して需要が想定を上回る事態が続きます。しかも多様な業務都市が画一的な住宅都市へ変貌することで矛盾を抱え込んでしまうことになります。この観点から二荒山神社の隣にタワマンが建って景観を損なうなど物議を醸す宇都宮市ですが、LRTで沿線開発が誘発されると、寧ろ都市のスプロール化か進み限界都市化という懸念があることは指摘しておきます。一方明るい話題もあります。

横浜地下鉄の延伸予定区間を歩く 住宅地に募る期待  :日本経済新聞
同じ川崎市でも多摩丘陵の住宅地に地下鉄ができるって話です。横浜市営地下鉄ブルーラインの新百合ヶ丘延伸ですが、自前の地下鉄に拘り事業認可まで受けながら、財政事情から断念した川崎市が、横浜市と協定を結んで実現したところが新しいところです。

公営地下鉄の越境自体は都営新宿線の本八幡(千葉県市川市)、大阪市営御堂筋線の江坂(吹田市)となかもず(堺市)の例がありますが、政令市同士の協定というのは前例がありません。尚、御堂筋線のなかもず延伸は1987年で堺市の政令指定都市化は2006年ですし、堺市は中百舌鳥堺線の構想はあったものの具体化はされず寧ろ阪堺電軌を軸とした公共交通活性化に取り組むなどしていて、川崎市とは事情が異なります。

川崎市内のルートが未定で、駅設置と絡んで3ルートが提案されてますが、最も新百合ヶ丘から距離があり、周辺バスの本数や乗車率の高い東ルートのヨネッティ王禅寺案が有力です。ヨネッティ王禅寺はゴミ焼却工場に併設された市営スポーツ施設で市民の人気スポットであると共に、近くに田園調布学園のキャンパスがあり通学需要も見込めます。そしておそらく自前の地下鉄構想が尻手黒川道路ルートだったことから、断念された地下鉄計画でも駅設置が考えられていたと考えられます。

そして横浜市内の剣山は戸建て中心の住宅地に付随する商業集積があり、すすきのはすすきの団地最寄りで隣接する川崎市域の虹ヶ丘団地も駅勢圏で、既に成熟した街で開発余地はあまりありませんが、その方が武蔵小杉のような想定外の事態を招くこともなさそうです。

川崎市の地下鉄構想は元々武蔵野南線の旅客化とセットで構想され、川崎―武蔵小杉間と梶ケ谷貨物ターミナル―新百合ヶ丘間を建設するというものだったのですが、武蔵野南線の旅客化は具体化せず、尻手黒川道路ルートで自前建設を目指し、横須賀線武蔵小杉駅開業で武蔵小杉経由に変更して事業認可を受けて断念という経過を辿るんですが、川崎市でもう一つ具体化した京急大師線の地下化による連続立体化事業が大いに振り回されました。川崎駅で地下鉄と大師線は繋がる形の構想が描かれてましたが、この辺が曖昧で、一方新百合ヶ丘で小田急線との乗り入れも検討されという具合に軸が定まっていなかったので、結局実現は無理だったでしょう。

京急大師線の地下化は市役所通り地下を東へ進み(仮)宮前を経て川崎競馬場地下でS字カーブしてR409に合流する地点に港町駅を設置して川崎大師駅で現在線ルートに合流し産業道路東側で地上へ出て地上駅の小島新田に至るというルートですが、地下鉄との関係が詰められないから工事が度々延期される一方、アクアラインの開通で浮島へ向かうルートを支障する産業道路の踏切は解消されず、また旧いすゞ自動車工場跡地を中心に羽田空港へ渡る橋とセットで先端企業誘致の再開発となる殿町プロジェクトの具体化もあって仕方なく東門前―小島新田間を先行着手することになりました。尚、京急川崎―川崎大師間の地上線は回送線として残りますが、地下鉄計画がなくなった結果、地下化に伴うルート変更の意味も問われます。

川崎市は例えば神奈川臨海鉄道浮島線の旅客化や南武支線の川崎駅連絡線や東海道貨物線を利用した羽田空港アクセスなどいろいろ構想を思い付きのように発信しておりますが、実現に向かって具体化はしておりません。産業構造の変化に翻弄される苦しさはありますが、もう少ししっかりしたビジョンを持つべきでしょう。自前の地下鉄を断念したんですから、次はJR東日本と協定を結んで区画整理事業と連動した南武線の立体化や長編成化など、現実的な都市開発を模索する方が良いように思います。以上非住民の外野のたわごとかもしれませんが。

 

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Sunday, February 17, 2019

鈍器法定

統計不正問題がいよいよ森加計問題と酷似してきました。これ統計法違反という明らかな違法行為なんですが、捜査当局は動く気配なし。そして関与した上級官吏は口をそろえてゴマカシや答弁拒否。一方実行部隊の下級官吏からはリーク続々。アベノミクスの成果を良く見せる改編が行われたと考えてほぼ間違いありませんが、ウソノミクス統計135°でさわりは明らかにしてますので、ここでは踏み込まず別の話題。

大林組、増収増益  :日本経済新聞
「受注企業JR東海が差配」 大成と鹿島、無罪を主張 リニア談合初公判 他2社と認否真っ二つ :日本経済新聞
元々大林組が公取委に申告して発覚したものですが、談合を認め処分を軽減した大林組、清水建設に対して、争う姿勢を見せる大成建設、鹿島建設という構図で公判も分離されてますが、主張は真っ向対立してます。

既に分離公判で有罪が確定している大林組ですが、120日間の民間土木工事中止の処分も受けてますが、実は増収増益。つまりリニアは儲からないから逃げ出したってことですね。加えて2025年の大阪万博開催が決まり、関西地盤の大林組は竹中工務店と共に受注が増えることが見込まれます。つまり大手ゼネコンが仕事を選ぶようになったってことです。

これJR東海にとっては痛い話です。というのは、そもそもリニア建設着手は国鉄民営化時に新幹線保有機構からリースする形で、リース料に旧国鉄債務の一部を乗っけたスキームから、JR東日本の上場審査の過程で主たる収益資産が自己保有でないことのリスクを指摘され、同じ立場のJR東海、JR西日本と共に国に譲渡を申し入れたことで、譲渡代金のローンが始まり、それが2017年にほぼ完済されたことから生じる資金余剰があってこその自前整備ですから、逆に言えば予算上限は厳しく管理する必要があります。

それでも当初名古屋まで5.1兆円と言っていた事業費が膨らみ5.4兆円となっているように、ジワジワと膨張しているわけです。当然利益を削られるゼネコンにとっては旨味が少ないのですが、それでも五輪後を睨めば無下にできない訳で、特に五輪関連や豊洲市場など東京都が絡む事業に深く食い込んでいる大成建設や鉄道会社との関係を気にする鹿島建設は断れない。そしてこうなるってことですね。これだけなら民間同士の話ですから、談合事件で公取委が動くことにはならないのですが。

しかし大阪への早期延伸を望む声が与党議員から出てきて財投債で9兆円の融資を決めたことで、公共性ありと判断されて事件化されるんですから、何がどう転ぶかわかりません。それでも談合事件の立件は難しいところ。大林組の申告が渡りに船だったのでしょう。政府が関与するといろいろ不都合が生じるのは森加計問題や統計不正問題ばかりではありません。

JR東日本の整備新幹線区間への追加投資に絡んで、整備新幹線の法定速度って話題がネットに出てきて「法定速度を超えると線路使用料が上がる」などの妄言も見られますが、これ根拠法の全国新幹線鉄道整備法で定義されている設計最高速度が法定速度と誤って理解されているのが実際です。そもそも東海道新幹線の設計最高速度は210km/hですが285km/hで営業運転されてます。東海道新幹線の建設時には整備法は無かったので超法規的に独自規格で作られたもの。その結果を踏まえて全国新幹線網整備に当たって将来の技術革新によるスピードアップを先取りする形で定められた基準がそのまま見直されずに来たというのが実際です。

そもそも新幹線の事業主体は国であり、国の鉄道事業を体現する国鉄がその任に当たるという前提で作られた法律ですから、国の事業である以上恣意的な解釈で骨抜きにすることは許されないということから、設計最高速度やそれに付帯する最急勾配や最小回転半径などの基準が定められたのが実際。それが国鉄分割民営化で事業主体が消滅すると当時の与党議員が騒いで事業主体となる国のところを各旅客会社に読み替えることで延命させた結果です。

しかも財源がないからあの手この手で財源をひねり出すために、並行在来線の切り離しなどでJRに負担をかけないことや、受益者となる地方の負担も定めるなどされたものです。結局整備計画の延命のために恣意的解釈をした訳ですが。尚、最急勾配は九州新幹線や北陸新幹線では事業費圧縮の要請から一部基準を超える急勾配があり、将来のスピードアップの可能性を狭めています。

JR東海も当初は中央リニアを整備新幹線の枠組みで考えていたようですが、現実に存在しないリニア新幹線は基準に適合しないってことで当時の運輸省はほぼ門前払いに近い扱いをしていたようです。当時は所謂整備5線(東北新幹線延伸部、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線鹿児島ルート、同長崎ルート)の扱いすら決まっていない状態で、そちらを優先しないと地元選出議員からクレームがつく状態でしたから、中央リニアの整備新幹線化は実現可能性が無かったと言えます。

それが新幹線譲渡に絡んで譲渡代金の産出に時価法の一種である再取得価格法が適用されました。これは現在時点で同等の資産を新たに取得する場合に想定される価格ってことで、地価や建設費などの相場を反映したものですが、仮定の置き方で数値は変わり得るものでもあります。当時の運輸省はこれを利用して資産の非償却部分となる土地やトンネルなどのインフラ部分の数値を嵩上げし、嵩上げ分を新設の鉄道整備基金に持たせて整備新幹線の財源に利用することで財源論に道筋をつけました。数値を操作して財源をねん出した訳で、こういったことがあるから統計不正にリアリティが出てきます。

その結果JR本州3社はローン負担を負う訳ですが、同時に整備新幹線事業の推進力を得ることとなりました。加えて新幹線が自社保有となり、膨大な減価償却費が発生し無税で利益控除できますから、これで得たキャッシュフローで設備投資に弾みを付けます。その結果JR東海は品川新駅開業によるのぞみ中心のダイヤ編成で増収を図り、自己資本による東名間先行の整備計画をぶち上げることになる訳です。

で、JR東海をリニア建設に向かわせた新幹線譲渡代金ローンの終了はJR東日本やJR西日本も同様で、規模の違いはありますが、それぞれ異なった動きを見せています。ウソノミクスでも触れたように一つは東北新幹線盛岡以北の高速化に向けた設備増強ですが、もう一つ大きなプロジェクトも動き出しました。

JR東 都心と羽田空港結ぶ新線、29年度にも開業  :日本経済新聞
羽田空港の国際化と発着枠拡大で今後とも利用Y差は増えると見込んでいる訳ですが、同時に成田スカイアクセスとローコストリムジンバスに食われて劣勢の成田空港輸送の挽回の意図もありそうです。

整備区間の北半分は休止中で遊休化している東海道貨物線の浜松町―東京貨物ターミナル間の線路を活用し、東海道線に合流させて上野東京ラインで埼玉や北関東のアクセスを図るというもの。加えてりんかい線経由で山手西ルートから中央線や埼京線方面、と京葉線や武蔵野線方面の3方向の列車設定を想定しています。千葉県や千葉市が要求する京葉線から総武線への連絡線が実現すれば、羽田空港と成田空港を直結することもあのうになりますから、将来的には成田空港輸送のてこ入れにもなるという訳です。

既存施設を活用するプロジェクトですから、資金手当てが見通せれば実現可能性は高いですが、一つネックとなるのがりんかい線の扱いでしょうか。東京都はJR東日本に東京臨海高速鉄道の引き受けを以前から打診してますが、これが動く可能性はあります。都市興津に関わる新線計画ですから、国と地方に応分の負担を求めることになると思いますが、東京都の負担分を東京臨海高速鉄道の株式で行い、事実上のりんかい線引き受けにつなげる可能性はあります。ただしJR東日本の営業規則上、東京近郊区間に組み込まれることになれば、現在の認可運賃から大幅減額となりますから、それによる減収の評価をどうするか。株式評価を下げて都が実質補償するか、あるいは東京近郊区間から外して現行認可運賃を存続させる形にするか、交渉次第でしょうけど注目されます。

おまけ。リニアで散財するJR東海と対照的に経営基盤強化に資するプロジェクトに選択的に投資するJR東日本ですが、JR西日本はといえば、尼崎事故以後の安全投資優先の影響もあって遅れている老朽車両の更新に回るものと見られます。だから広島に錆びない電車が登場し、大阪環状線もリニューアルされると。

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Sunday, February 03, 2019

円の切れ目

しつこいかもしれませんが、ゴーン逮捕劇から入ります。これ国際的に批判が高まっている長期拘留による人質司法問題と、日本企業の統治問題のエッセンスが詰まっていることなど、話題に事欠かないからです。尚、当ブログでは推定無罪原則に則っておりますので、別にゴーン氏を擁護しているわけではないことはお断りしておきます。その中で司法取引と長期拘留の関係を示唆する専門家の見解です。

ゴーン退場こうみる〉司法取引、透明性が課題 成城大学教授 指宿信氏 :日本経済新聞

日本版司法取引が行われたことも大きな論点ですが、現時点で司法取引の内容は公開されておらず、司法取引で収集された証拠類は公判で明らかいされるのを待つ必要があります。

 

ただし日本の刑事司法では検察が被告に有利な証拠は開示しないことが慣例となっており、全体像は見えません。そういう中で行われた司法取引の正当性をどう担保するかは実は抜けているので、検察による架空うストーリーも可能になり冤罪を助長しかねない危うさがあることは指摘できます。その上で今回の事件ですが、司法取引によって日産が検察にもたらした証拠が不十分なことが長期拘留につながっている可能性が指摘されてます。これネットで話題のTカード情報が恋情なしで任意に公開されていたこととも通底しますが、捜査当局に都合の良いストーリーに沿って証拠収集がされることを意味しますから、幾らでも犯罪ストーリーを捏造できる訳です。つまり誰もが明日被疑者になるか判らないってことです。

 

企業統治で問題なのは、日産の他の取締役は何してたんだって話です。取締役の役割は経営トップの独走を阻止することにあります。ゴーン氏の問題でも誰も止められなかったってことは、取締役としての職務を果たせていない、、もっと有体に言えば取締役の無能の証明であって、司直の手を借りるまでもない問題です。これも司法取引の中身が不明ですので、これしか方法がなかったという言い逃れは裏付けが取れません。ゴーン氏を追放してもこんなリーダーの下で日産の行く末は危ういと言えます。いっそルノーと統合した方がマシかも。

 

あと昨今増えている日本企業の外国人取締役の処遇問題としても見逃せない問題があります。ゴーン氏の為替デリバティブ問題はそもそも報酬が円建てでしか支払えない内規から派生している訳で、家族が海外生活している状態では為替リスクを負わなければならない訳ですが、その為替リスクを個人で負わなければならないのか?という点が必ずしも明確ではありません。逆に為替リスクを負ってまで日本企業の経営に関わる外国人がどれだけ居るでしょうか。これ日本人経営者の身分保障になってないか?

 

もう少し踏み込んで言えば、倒産の危機を救ったゴーン氏が負う為替リスクを日産が肩代わりすることもあり得たのではないか?あるいはゴーン氏が独裁者なら取締役会で機関決定することもあり得たのではないか?そうしていないということは、寧ろゴーン氏はだれにも相談できずに追い込まれていた可能性が指摘できます。

 

ゴーン氏が購入した為替デリバティブは、例えばドル円115円のときに110円でドルと交換できる権利を設定し、円安ドル高が進んでドル円130円になると失効するといった仕組みで、逆に円高になっても110円の交換レートは変わらず損失が雪だるま式に拡大して追証を求められるというもので、銀行が中小企業相手に売り込みかけてきたものです。

 

大手の下請けの中小企業にとっては、元請けからの値下げ要求の過酷さもさることながら、円安による輸入物価の上昇による原材料費の膨張も悩みの種です。そこへ日銀の緩和策で融資の利ザヤ稼ぎが難しくなり、企業は債務返済を優先して新規融資を控えることで、企業講座に積み上がった預金の膨張に悲鳴を上げていた銀行が、言葉巧みに売り込んだものです。

 

為替リスクをヘッジするとはいえ、円安が進めが失効し、逆に円高になれば証拠金不足で追証を求められるという商品設計ですから、リーマンショック時には相当数の中小企業が苦しんだ筈です。それをゴーン氏は個人で購入し、しかも証拠金として日産株式を差し入れていたために追証が膨張したことは前エントリーでも指摘しました。独裁でイエスマンで周りを固めたと言われますが、このように追い込まれた状況で誰にも相談できなかったってことは、ゴーン氏への権力集中がどれほどのものだったのか?日本人取締役は内心ゴーン氏を煙たがり打ち解けず、イエスマンを装いながら面従腹背してコッソリあら捜しをしていたとすれば、報道で明らかになった事実関係と矛盾しないストーリーを描けます。

 

そして林檎が落ちると円高になる状況は変わらず、銀行は融資で稼げない分為替デリバティブのようなアコギな商売で益出しに励みますが、それすらできない地方銀行は不動産融資に傾斜してスルガ銀行に代表される不正融資に走るという具合にバブル期をなぞります。明らかにバブル崩壊を匂わせる過剰流動性リスクですが、それもこれもアベノミクスの帰結です。そのアベノミクスもこんなんですが。

基幹統計でまた不適切調査 小売物価統計 店舗訪問せず  :日本経済新聞

統計を統括する総務省の不正ってことで、統計不正は留まるところを知りません。しかもデフレ脱却はアベノミクスの一丁目一番地だったはず。政策のkン間にもウソが混じり6年間何やってたんだい!こんな状態でホントにオリンピックやるのかい?てな訳でそのオリンピックの混乱を予想させるこのニュース。

五輪期間、首都高料金上乗せ 500~3000円検討  :日本経済新聞

これ2020の迷惑イベントとして人々の記憶に残り負のレガシーになります。鉄道は鉄道で混雑の助長が予想されます。皇位継承で10連休するなら、オリパラ期間中の長期休暇こそ考えるべきです。それでも休めない人は休めないんだけど、せめて休める人は休んで東京を離れるべし。しかしそこまでしなきゃならない五輪なんてホントやめとけ。

 

 

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Sunday, January 27, 2019

統計135°の歪み

ゴーン被告の保釈請求が退けられ、長期恐竜が続いてますが、未だに罪状が理解できません。金商法違反に問われた報酬偽装も会社法違反の特別背任罪とされた為替デリバティブの会社立て替え問題にしろ、東芝の数千億円規模の粉飾決算で誰も逮捕起訴されていないことと比べると些事です。寧ろトップの長期拘留で生産計画の下請けへの通知などの実務が滞っている現状の方が、遥かに投資家の不利益ですし会社に損失を与えてます。どう見ても裏があるとしか思えません。日経のこのコラムが興味深いところ。

ゴーン元会長が落ちたわな 編集委員 滝田 洋一 :日本経済新聞
特別背任とされた16億円ですが、日産の内規で報酬を日本円でしか受け取れないことから、銀行が提供する為替デリバティブを購入してリスクヘッジしていたところをリーマンショックによる円高が襲い、担保不足で追証を求められたのですが、ゴーン氏の証言から元々日産株式を証拠金代わりに差し出していたのが、日産株自体の減価で金額が膨らんだのが16億円ということです。約定日の日産株式1,400円が一時400円まで減価していた訳ですから、成る程追証の金額が跳ね上がり、ゴーン氏の個人マネーでは対応できなかった訳で、これ会社に損失を与える目的とは違います。実際立て替え分は返して日産には損失を与えていない訳ですし。同様のデリバティブ購入は当時銀行各行が企業経営者に猛烈に営業かけて売りまくったものでもあります。ゴーン氏は被害者の側面もある訳です。

一方日ロ平和条約締結交渉の膠着が報道されてますが、不思議なのは領土問題に煩い保守派から「2島引き渡しは現実的な落としどころ」という声が上がる一方、リベラル派から「領土ガー」の大合唱という捻れが起きています。個人的には誰得の領土問題で述べた通り、2島周辺のコンブやウニの漁業権が確立できれば大成功。加えて国境線確定後の経済交流に道筋をつけ、例えばロシア極東地域と日本の北海道を相互にピザ無し渡航できるようにすれば、当面は大成功と言えます。そもそもヤルタ・ポツダム体制の下でロシアが領土を渡す訳が無いんで。

他方で日韓関係が微妙になっております。こちらは軍事機密に触れるので、日韓双方共に全ての情報を公開しているわけではありません。こちらもヤルタ・ポツダム体制で日本は朝鮮国連軍(他国の撤退で事実上米軍とイコール)への後方支援が求められ、休戦中とはいえ戦時下にある韓国軍は朝鮮国連軍の指揮下にあります。つまり日本の自衛隊は朝鮮半島有事には韓国軍を助ける立場なんですが、外交問題化したことで場外乱闘の風情となっております。あくまでもテクニカルな問題なんですから、双方の現場同士で話し合って手打ちすれば終わってた話。外交問題化したのは日本の方なんで、徴用工裁判問題同様、日本政府が余計なことして拗らせた話ですね。

更に南北融和で有事が遠のいたことも、韓国側から日本との関係を取り繕う動機が無いってことですね。面白いのは日ロ関係と真逆の保守派とリベラル派の反応というのも何ともはや。結局保守派は日米同盟堅持、リベラル派は9条を守れで平行線の戦後レジームだけは健在という変われない国日本の思考停止状態は続きます。

そんな中で内政は政府統計の不正問題で揺れています。その酷さは前エントリーでも取り上げましたが、厚労省だけの問題じゃない点は重ねて指摘しておきます。背景には予算削減の煽りで人員の補充やシステムの構築ができなかったということはあるようですが、それだけじゃない複雑な事情もあります。これ毎月勤労統計に留まらず、政府統計全般に言えるんですが、かつて高度成長期は統計の不備やミスはさほど大事にならなかったのですが、7-9%とか年度によっては2桁とかって成長率だと、統計に多少の不具合があっても表には出にくいですが、成長率が1%を割っている現状ではちょっとした誤差で結果が様変わりするようになりますから、それが発覚につながったということで、2004年以前は正常だったことを意味しない訳です。つまり昔からこんなもんだった可能性がある訳です。

実際総務省が設置した統計委員会の西村委員長は、元々日銀マンで白川総裁時代の副総裁を務めた人ですが、それ故に政府統計の正確性に疑問を呈し現職にある訳ですが、元々の問題意識は金融緩和でデフレ脱却ができないことに対して、統計が実態を反映していない可能性を探求することでして、特にデジタル経済では音楽配信やシェアリングエコノミーなど、政府統計で捉えにくくなっていることから、正確な統計を求める立場だったんですが、調査の網に引っかかったのが厚労省の毎勤統計の不正だったという笑えない結果になったものです。

不正に手を染めた上、誤魔化すために数値を3倍にして2018年に賃金が跳ね上がったのみならず事業所のサンプルの入れ替えまで行われていました。理由は統計数値の段差を解消するために本来は遡って過去の年度も併せて数値を改定すべきところ、それをやると年度によって賃金が下がる年が出現してしまうという不都合な状況が発生するためとか。つまり低成長下で数値のゴマカシやったために矛盾が生じた訳です。ま、ここまやっといて意図的ではないとか組織的関与はないは通用しません。

真実に少しウソを混ぜるだけで意味が様変わりする典型です。他の統計数値とあまりに違う振舞いがあるため、ウソが発覚した訳で、実は毎勤統計以外の統計数値でも同様の疑惑はいろいろ指摘されてます。いっそ全てウソで固めれば矛盾はないでしょうし、全てウソなら逆を取れば真実が見えます。180°ならぬ135°のズレでアサッテの方向へずれる時空の歪みを生んじゃうんですね、笑えないけど。

ウソとは言えないけどいい加減な計画でとん挫しそうなのがこちら。

人工島アクセス、視界不良 25年に大阪万博 鉄道・道路とも未整備 :日本経済新聞
夢洲というのは大阪湾の一番沖合の埋立地で、アクセスが弱点ですが、道路も地下鉄もこれから作ろうっていう泥縄ぶり。実は来場者が上振れした場合のシミュレーションもできてないとか、ツッコミどころ満載の計画です。加えて軟弱地盤で建設工事の難航も予想されてます。これ関空と同様高潮や津波のリスクも大きい立地ですし、万が一会期中に被災して人が取り残されるなんて事態も予想されます。防災計画とか大丈夫か?民営化された地下鉄を伸ばして新駅と高層ビル作るって言ってるけど、地下鉄会社の経営も心配です。

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Monday, December 31, 2018

日産ワンエイト(108)

大晦日です。企業不祥事テンコ盛りの2018年を終えて、ソフトバンクIPO失速やNY株安の連鎖で日経平均2万円割れなど、明らかに経済が失速に向かっております。日銀がETF買い増しで辛うじて終値の2万円割れは防げたものの、リスクオンからリスクオフへの資金シフトは明らかです。異次元緩和から始まったアベノミクスの逆回転が始まります。

始まる前からうまくいかないと指摘したアベノミクスですが、ゴマカシゴマカシで来た結果、いよいよ誤魔化しようがなくなってきました。変節黒田節時点では不明としましたが、五輪後までは持つと見られていた景気の失速は早そうです。その場合追加緩和の手段が限られるため、景気の失速に打つ手がない最悪の状態になるってことも指摘しておきます。況や万博をや(-人-)チーン。そしてこのニュース。

大阪知事・市長、出直し選へ 19年統一地方選と同日か  :日本経済新聞
大阪都構想の亡霊が出てきました。都構想のキモは府市統合で都道府県民税と市町村民税の双方を都が徴税するということです。つまりカネと権限の集中ですね。流石に権限を失うと気付いた堺市は離脱しましたが。そして民営化された地下鉄でも散在が。
大阪メトロ、万博会場の夢洲にタワービル 1000億円超  :日本経済新聞
内緒ですが、夢洲は軟弱地盤が指摘されてます。関空の高潮被害どこ吹く風です。ついでですが、沖縄県名護市辺野古の新基地建設でも、軟弱地盤が指摘されていて、県が認可した公有水面埋め立て申請の工法では土地造成ができないのに国が工事を強行していて、明らかに嫌がらせです。話を戻しますが、維新が拘る都構想は金目当てと断定できます。そしてこれね。
商業捕鯨、展望見えず IWC脱退へ 豪州など非難  :日本経済新聞
捕鯨産業の経済規模は70億円強で40億円は政府補助金です。つまりGDP比0.001%余りのほとんど終わった産業です。それを止められないのは利権絡みです。一般財団法人日本鯨類研究所がその中心なんですが、農水省の外郭団体なのに独立行政Dどころか公益法人の認可も得ていないところに税金が投入され官僚が天下りしているんですね。

研究所を名乗ってますが、査読対象となる論文などは発表しておらず、専ら商業捕鯨再開のためのプロパガンダやロビーイングばかりやってます。南極などの調査捕鯨発生品の鯨肉を売って活動費にしてますが、売れてないからどんどん在庫が連騰倉庫に積みあがっている状況で、皮肉ですがIWCを脱退して調査捕鯨ができなになっても当面在庫処分で凌げるという笑えない状況です。この利権には山口県選出の安倍首相や和歌山県選出の二階幹事長が絡んでます。森加計問題と通底します。

その結果日本に非難が集まっており、ゴーン氏逮捕と長期拘留の問題も絡めて五輪ボイコットの機運まで出てきています。2020年が幻になるか?

ゴーン氏の問題では当初有価証券報告書虚偽記載の5年分50億円で20日間拘留後、それ以外の年度分の40億円で再逮捕して10日後の拘留延長を地裁に却下された結果、おそらく本命事件の会社法違反の特別背任罪で再逮捕となりました。特別背任には関与していないケリー氏は一転保釈が認められました。そのケリー氏が取り調べで一貫して「取締役会の決議事項であり虚偽記載には当たらない」と供述していて、これ正論です。またゴーン氏の長期拘留に海外から批判の声が上がったこともあり、地裁の拘留延長を認めない判断はそれを忖度したわれてますが、それはそれで問題です。

加えて言えば、海外メディアの報道では推定無罪原則を踏まえた報道がされてますが、記者クラブ発表を垂れ流す日本のメディアの報道姿勢が国際標準並みになれば、地裁判断も変わる可能性もある訳で、モヤモヤします。

最後に、毀誉褒貶はあるものの、日産を立ち直らせたゴーン氏の手腕は評価されるべきです。おそらく轢断トップの誰よりも現場に足を運んで潜在力を引き出したことは間違いありません。その点後継の志賀前社長や西川現社長はやはり現場に足が向かなかったのか、徐々に日産の業績も頭打ちになり、そればかりか不祥事を見過ごしていたという訳です。今回の件も更迭を恐れた西川社長の個人的動機も指摘されています。ましてケリー氏が言うように、問題があれば取締役会で指摘することはできた筈。司法取引で公権力を使っての権力闘争はどう転んでも後味の悪さを払しょくできません。

てなわけで、煩悩に凝り固まった日産幹部の魂は除夜の鐘で浄められるか?ゴーン(-人-)WWWW

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