都市交通

Monday, February 24, 2020

伝染ルンですアベノミクス

予想はしてましたが、新型肺炎問題がオオゴトになっております。特に横浜港のダイヤモンドプリンセスで防疫体制の弱さを露呈したことで世界から非難されてます。最早感染拡大を遅らせるしか打つ手が無くなった訳ですが、専門家の意見も聞かずに水際作戦に拘った政府の対応がひどいとはいえ、通常の風邪やインフルエンザと同様にうがい手洗いの徹底で感染を防げる可能性が高いのは既に指摘しております。

DMATの一員として参加した岩田健太郎神戸大教授の告発動画が物議を醸してますが「守秘義務違反」と「勇気ある内部告発」と評価が分かれております。とはいえ船内の酷い実体を知らしめて事態を動かしたという意味では後者の評価が妥当でしょう。酷い実態を秘密にすることの方が犯罪的です。まあ情報が錯綜してますし、医療面は素人がこれ以上首突っ込む話でもありませんが、経済への影響はかなり深刻です。

「有事の円買い」の終わり 円安呼ぶ日本の不安  編集委員 小栗太:日本経済新聞
これ簡単に言えば日米金利差で円安誘導の結果、低金利通貨として円建てで資金調達してアメリカなど外国資産への投資を行う流れから、投資家がリスクを取れば円は売られ円安になり、逆にリスク回避に動けば円が買い戻されて円高になるということで、リスクオンの円安リスクオフの円高というのが昨今の相場感でした。

それが米FRBの低金利政策で金利差が縮まり、インフレ補正すればほぼドル円の金利差が消滅した一方、ECBのマイナス金利政策の長期化でユーロがキャリートレードの主役となったことで構図が崩れました。加えて今回の新型肺炎問題では、日本は完全に当事国の扱いとなりますから、外国人投資家の資金引き揚げは避けられないところとなる訳です。こうなるとアベノミクスの初期からあった円暴落シナリオが現実味を増す訳で、深刻な事態です。加えてこれ。

GDP年率6.3%減 5四半期ぶりマイナス 10~12月:日本経済新聞
これ前期(10-12月期)の数値であり、消費税増税の影響は当然ある訳ですが、マイナス4%程度とされた民間予想を下回る悪い数値が出た訳です。これも裏がありまして、成長率の分母はあくまでも前四半期の数値が分母になる訳ですが統計135°で指摘した統計不正で目一杯それを膨らましたもんで、マイナス幅が大きくなったと見られます。加えて各四半期の日数の違いを季節調整と称して調整しますから、日数の多い10-12月期の数値は下方修正されますし、更に四半期ベースの数値を年率換算する訳で、見かけ上の数値を大きく見せてしまいます。

そして鉱工業生産指数、機械受注など製造業関連の一次推計の数値が弱い一方、何故か消費関連は好調だったんですが、これも家計調査の推計値から正確性が高いという理由で商業統計の推計値が採用されてますが、これインバウンド消費が含まれている可能性があり、そうなると国際収支に含まれる旅行収支の推計値と二重計上されている可能性があります。それが日韓事変で韓国からの訪日客が減少した影響が出て、なまじ二重計上されているからマイナス幅も大きくなる訳です。故に見かけほどマイナス幅は大きくないと見ておりますが、そんな事情は知ったこっちゃない外国勢から見れば悪い数字だけが見られる訳です。誤魔化しの果てのオウンゴールです。

そして新型肺炎で中国人の訪日客が激減しており、国慶節需要も空振りですから、1-3月期も悲惨な数字を覚悟する必要があります。更にマスク不足で日本のアパレル各社の下請けの中国縫製工場がマスク生産でアパレル品後回しという状況で春物商戦に暗雲が漂います。そして相次ぐイベントの中止や延期もあり、オリパラもロンドンが代理開催に名乗りを上げる状況で本当に開催が危ぶまれています。

鉄道業界でも既にミシュラン三ツ星の高尾山を擁する京王電鉄が通期見込みを下方修正しており、東海道新幹線も目に見えて利用客が減少しております。新型肺炎の終息は恐らく1年以上かかるでしょうから、今年はホントにヤバい年になりそうです。やってるふりのパフォーマンスばかりで実体を伴わず、バレそうになると公文書を隠したり破棄したり改ざんしたり、統計を細工したりの嘘八百はモリカケや桜と変わらずですが、人命がかかる感染症問題で国民を危険にさらした訳で、アベノミクスに感染した日本には地獄が待ってます。

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Sunday, February 16, 2020

貧テック鈍テック

新型肺炎問題での日本政府の対応に内外から疑問が突き付けられております。無意味な水際作戦は所詮政権のパフォーマンスに過ぎず、結果的に国内感染がジワジワ拡がっていて死者まで出ています。しかも該当の神奈川県の80代女性は不調を訴えながら渡航歴がないことを理由にウイルス検査は行われていなかったとか・国立感染症研究所の人手と予算の制約から1日300人しか検査できないそうですが嘘っぱちです。SARSの時のように民間製薬会社提供の検査キットを配布して対応すれば簡単に能力を増やせるのに、金の出し惜しみをしているんですね。

前エントリーの時点より多くの情報が明らかになり、政府の対応に内外から批判の声が上がっております。既に日本は感染地域とされて渡航制限を課す国も現れましたし、ダイヤモンドプリンセス号の対応の迷走に業を煮やしたアメリカは、乗船中のアメリカ人の帰国のためにチャーター便を仕立てており、流石に日本政府も対応を見直さざるを得なくなりました。感染症対策はれっきとした安全保障問題であり、グローバル化でいつ起きてもおかしくない状況なのに、まともな対応ができないってのは、これまでも山梨の豪雪、熊本地震、西日本豪雨、昨年の台風などいずれも初動の失敗で対応が後手に回った訳ですが、安倍政権はよほど危機管理が苦手らしいです。これ非常時のロジステイックス問題ですから、9条を改正して軍隊を持っても、まともに動かせず負け戦必至です。

東京オリパラに関してはおそらくIOCが中止を判断することはないでしょうけど、感染が収束しなければ無観客試合となる可能性はあります。米NOBCの放映軽量が入ればIOCは潤いますが、開催コストを負担する東京都は大赤字で何のためのオリパラか?それがどうも変な感じに。

新潟・南魚沼で少雪、五輪の暑さ対策ピンチ:日本経済新聞
問題視される東京オリパラの暑さ対策として豪雪地帯の南魚沼の雪を使う計画が暖冬による雪不足で狂いが生じています。何だかどんどん漫画チックになっているような気が\_^;。

一方前エントリーで指摘したように、中国では既にウイーチャットを用いた遠隔診断が行われているとか。これを実現するためにはおびただしい数の画像サンプルをAIに学習させる必要がありますが、医師会の反対で電子カルテによる診療データ共有すらできない日本のなんと遅れていることか。新型肺炎のような感染症診断は特に感染者と医師の接触が避けられるだけに重要です。これガラパゴス・スモールブラザーズに加えたいですね。加えて後れを取っているのは対中国だけじゃありません。

英フィンテック、手数料変革迫る 送金・外貨両替で:日本経済新聞
英国がBrexitで強気な理由の1つがこれです。元々大手銀行の寡占で手数料がバカ高かった英国では、国の法律で銀行にフィンテック企業へのAPI公開を義務付けたことで、フィンテックで世界をリードしています。API公開とは、銀行が保有する決済などのシステムへのアクセス制限を課しているため、フィンテック企業はユーザーの委託で口座へアクセスするのにユーザーからパスワードの通知を受けて行う訳ですが、当然セキュリティが甘いとハックされて外部流出して結果的に不正アクセスにつながる訳ですが、フィンテック企業に直接アクセス権を与えて限定的にユーザーの代理人としての権限を与えれば、問題を回避できます。ユーザーは銀行窓口へ出向くことなく振り込みや海外送金などのサービスを受けられ、競争環境で手数料も割安になるということになります。

ただしこれマイナス金利で青息吐息の日本の銀行はなかなかAPI公開を認めず、国内フィンテック企業が育ちません。そこへ英国フィンテック企業が黒船として襲来するって話です。ただしガラパゴス・スモールブラザーズで指摘したNTTデータの通信網の独占問題が絡みますので、簡単ではありませんが、公正取引委員会が調査を始めており、結果如何では風穴が開く可能性はあります。

そのときに力を持った英国勢に国内フィンテック企業た太刀打ちできるかって問題はあります。またやむを得ない部分ですが、COBOLで記述された基幹業務システムを維持改良しながらセキュリティ対策を取る銀行システムの維持費が高止まりしていることも問題なんですが、さりとてコストダウンのためにクラウドに乗り換えることが簡単にできない悩みもありますし、みずほのシステム統合でトラブったように、特に経営統合機運が強まる地方銀行にとっては頭の痛い問題です。で、基幹業務システム問題は実はJRにも頭の痛い問題でもあります。

タッチしやすい改札機 JR東、新宿駅などで実証実験:日本経済新聞
JR東日本が首都圏で自動改札機を本格導入したのが1990年ですが、この時点でSuicaの開発計画が進行中だったこともあり、10年後をめどにSuica対応機が開発され予定通り更新されました。2010年にはマイナーチェンジ版の現行モデルに交換されてはや10年。次世代モデルを新宿と高輪ゲートウエイ駅で試験導入してテストを行うというものです。

目玉はQRコード読み取り装置を装備してQRコード決済のテストを行うものですが、Felicaシステムはコイルによる電磁誘導の仕組みを使って無電源で瞬時に読み取りが可能なのに対し、QRコードは光学的に読み取って変換する関係で動作に遅延が生じるため、特に混雑する首都圏の駅では動作に問題がないかどうかを慎重に見極める必要があります。加えてユーザーがスマホを操作してアプリを立ち上げる必要があり、混雑する駅で混乱しないかも見極める必要があります。ただしSuicaであれQRコードであれ、固有のID番号を読み取って処理する部分に違いはありません。

とするとQRコード導入の意図は何かってことになりますが、1つは将来的に磁気券の廃止を視野に入れているのでしょう。既に航空の搭乗口では搭乗券をスマホへダウンルードするか紙にQRコードを印刷してゲートの読み取り口にかざす形になっており磁気券の搭乗券は過去のものになっています。となると駅の自動券売機が空港の自動チェックイン機のような形になってユーザーのスマホにダウンロードされる形が考えられます。メリットとしては情報量を盛り込めますから新幹線を含む特急券などとのセット券も簡単に対応できますから、Suicaより汎用性が高まります。

2つ目はローカル線のチケットレス化が低コストで可能になる点でしょうか。ローカル線の場合首都圏のような混雑はあまり考える必要がなく、また読み取り機とクラウドで簡単にシステムが構築できるなどコスト面で有利ということもあります。ただしこれはSuicaの裏側で動く鉄道の基幹業務システムとは異質のシステムなので、ローカル私鉄が単独で導入するならともかく、JRが導入する場合は現行の基幹業務システムとの整合性が問われることになります。JRにとっては構築してきた基幹業務システムを簡単に変更できないだけに、悩みの種になるでしょう。

一方、MaaSを視野に入れると、戸口から駅、駅から戸口のラストマイル輸送との連携でSuica対応はコスト面で課題がありますから、それを睨むとQRコードシステムに優位性がある訳で、両者をどう繋ぐかは大きな課題です。銀行とフィンテックの関係に似た構図が見えてきます。

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Sunday, December 08, 2019

AI→上を、ククッ

桜を見る会問題、政府与党は逃げ切ったと考えているようですが、寧ろ疑惑を増してます。さっさと名簿提出して幕引きすりゃ済むところを、公文書廃棄など証拠隠滅を疑わせることすりゃ寧ろ疑われるってことですね。ホントつけるクスリ無いわ。始まる前から批判してきた現政権がなかなか終わらないのは支えるサクラがいるからってことで、サクラを可視化したという意味では名は体を表してるwww。# そういうこと言わない

デジタル公文書の扱い課題 「桜を見る会」で浮上:日本経済新聞
シンクライアントって結局サーバーにデータは残るしバックアップも取られてるから簡単に消去もできないんだけど、苦し紛れに「バックアップデータは公文書に非ず」という珍説まで出てくる始末。こりゃ日本がハイテク分野で米中韓に後れを取るの無理もないわ。で、これ。
日本の15歳「読解力」15位に後退 デジタル活用進まず:日本経済新聞
「教育改革」と称して散々制度を弄り倒してこの結果ですが、読解力って、自然言語の処理能力と見れば最も人工知能(AI)が苦手な分野であり、AI時代に最も必要とされるスキルなのにこれですから、日本の未来は大丈夫か?SNSの普及で本や新聞を読まない若者が増えていると言われますが,まあ政府がこんなじゃ無理もないか。

AIに関しては様々な誤解があるようですが、単に取得したデータを基にパラメータを書き換えるプログラムってだけの話で、以前なら時間がかかって使えないレベルだったのが、ムーアの法則でハードの性能が著しく改善された結果可能になったってだけの話です。これ人間が行うトライ&エラーを機械にやらせようって話ですから、コンピュータは間違えないという前提が無くなるってことでもあります。

昔は手書きの表で縦計横計を電卓叩いて検算してたけど、エクセルで作った表でそれやる人はいません。AIって間違えるコンピュータって乱暴な整理も可能です^_^;。そんなAIに付き合う人間は、文脈に沿ってツッコミを入れられるか?という能力が問われる訳で、そこを鍛えないと将来確実にAIに仕事を奪われる側になるってことです。AIの上を行くアイウエオが大事^_^;。この観点から言えばドライバレスの自動運転は簡単ではないってことがわかります。JR東日本が山手線で実現を目指してますが、鉄道の場合少なくとも障害物の線路内侵入を防ぐ物理的対策が別途必要でしょう。

あと現在のコンピュータは基本的に複雑な計算も足し算引き算で対応している訳で、2掛ける3は2+2+2と計算する訳ですが、人間の脳の処理能力より早いのでこれで問題ないんですが、当然複雑な計算になるとそれなりに時間がかかります。人間は処理能力を節約するために九九という形で掛け算のデータベースを保持して対応している訳で、更に複雑な計算に対応するために様々なツールを場合場合で使い分けることで対応している訳です。こう考えるとコンピュータって案外バカってことです。これは人間がそういう特性を知った上でうまく使いこなすことが重要ってことです。

つまり教育の基本は読み書き算盤。アイウエオと九九が基本ってことです。

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Saturday, November 30, 2019

ガラパゴス・スモールブラザーズ

ただでさえ忙しい月末の新線開業ですが、結構な人が出てました。そして羽沢横浜国大駅に難民多数wwwww。人が住んでる羽沢団地からも横浜国大からも遠く、JR羽沢貨物駅と横浜環状2号線に挟まれていて、民家も疎らな新駅に大勢の人がいたのには笑いました。直近コンビニ1km、既存路線の最寄り駅は相鉄上星川と市営地下鉄三ツ沢上町ですが、どちらもろくな道がない。そして毎時2本の列車本数ですから、試しに降りたはいいけれど、やることなくてホームで電車待ちを余儀なくされた人多数ってことですね。

新たな都心ルートを得て沿線活性化につなげたい相鉄はこれからが正念場ですが、JR東日本との相互直通は貨物幹線の東海道貨物線の線路容量の制約から本数増は見込めず、22年に予定される新横浜経由の東急東横線・目黒線との直通が始まれば列車本数は増えますが、都心側が3ルートに分かれますから、個々のルートの本数の少なさは大きな制約条件になりそうです。面白いのは親会社の相鉄HDの筆頭株主の小田急電鉄とは競合することですね。日本の鉄道会社って必ずしも資本の論理で動いていません。

そんな日本でこんな経営統合が発表されました。

ヤフーとLINE統合 「米中に次ぐ第三極に」:日本経済新聞
いや第三極は無理。時価総額100億円超のGAFAやBATを向こうに回してせいぜい時価総額3兆円の企業連合で何ができるのか?まともな勝負にはなりません。唯一可能性があるのは国内のガリバーになることです。何しろ最強の非関税障壁(笑)、日本語がありますから^_^;。つまり楽天やメルカリからは頭1つ抜け出せるとしてもそこまでです。これビッグブラザーならぬスモールブラザーにはなれるかもしれないってことです。但し英語が公用語にならないことが前提ですが。

この辺古代の曽我氏と物部氏の争いに始まり、天皇の地位を争った壬申の乱や平安末期の源平合戦、鎌倉幕府に対する朝廷の巻き返しを図った承久の乱、室町初期の南北朝、天下分け目の関ヶ原の戦いなど、世界とは無関係に国内で争った歴史を繰り返しているようで興味深いところです。いにしえの東夷の小帝国と現代の極東の先進国。世界の端っこだからという地政学的な特徴なんでしょう。

ただしそんな日本も世界の影響は受けてるし、逆に世界に影響を与えてもいるのですが、その点に無自覚なのも昔から変わらないようです。そんなニュースを幾つか。

外資規制強化、株1%以上に届け出義務 外為法改正へ:日本経済新聞

欧米ではやっていると説明されてますが、外資の出資事前規制はほぼ例がありません。加えて出資比率1%は有価証券報告書提出義務のラインなので、欧米の投資ファンドが締め出されるか?と反応してます。株式市場の7割は外国勢という東京市場ですから、当然の反応ですね。外資が引き揚げたら株価下がるぞ。
キャッシュレス、少額・コンビニ中心 政策目的とずれ  ポイント還元制度1万人調査 :日本経済新聞
消費税増税に絡めてポイント還元を政府が支援することでキャッシュレス決済を中小零細事業者に普及させようとしたところ、実際の利用はコンビニ中心という結果です。これ予想してたんですが、日本でキャッシュレス決済が普及しない最大の理由は店が負担する手数料の高さなんですが、これアメリカなどではクレジット会社が直接展開している決済ネットワークを日本ではほぼNTTデータが独占的に供給していて、高い手数料を利用企業に課していることが根底にあります。

上記のヤフーとラインの経営統合でQRコード決済サービスの統合も噂されますが、結局根元の部分の利権に切り込まなきゃ解決しません。アリババのアリペイの場合、元々中国国内の中小零細企業向けのECサービスを展開していたアリババが、参加企業の利便性向上のために開発したものが、使い勝手の良さで爆発的に普及したもので、政府の関与がほとんどないからできたこと。逆に国策会社の利権が温存されてる日本ではそうならない訳です。この場合NTTデータもスモールブラザーと言えるかもしれません。そしてこれ。

再生エネ、送電網使えず 東日本で5割「空きなし」:日本経済新聞
関電問題のエントリーで指摘しましたが、原発のような大規模電源を保有する電力会社に送電網を管理させれば、大規模電源はダウンした時のバックアップ電源を必要としますから、それを大出力火力で充てている体制では、結局双方の電力の合計が先発枠として抑えられてますから、利用率50%といった非効率な事が起きる訳です。分散電源ならば一部が停止しても全体でバックアップ可能なんで、送電線の容量に無駄が無くなる訳ですね。世界の趨勢は完全にこれです。いやーガラパゴスなスモールブラザー達です-_-;。おまけ。
手数料ゼロが招く歪み 証券会社と高速取引業者の蜜月:日本経済新聞
個人投資家の注文情報が株式の高速取引業者(HFT)に漏れてたって問題です。何が問題かと言えば、個人の指値注文を見て先回りができるから、個人投資家にとっては利益を横取りされることになる訳です。ネット証券の普及で手数料の値引き合戦で証券会社は収入が取れないから、HFTに情報を売っていたってことです。個人投資家がおかしいと声をあげて発覚しました。何ともセコいディストピア。スモールブラザーズの末席に置いときます。

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Sunday, November 17, 2019

空飛ぶ都営交通

つーてもドローンじゃなくてこっちね。

日本最古のモノレール休止、11月から 上野動物園:日本経済新聞
上野と言えば桜の名所として有名ですが、今なんだか桜を見る会を巡って政治スキャンダルになってますね。舞台は新宿御苑ですが、公私混同極まれりですね。安倍政権のサクラを釣る会よろしく不都合な事実が明るみに出て、また下手な言い訳するからドツボにはまりつつあります。これモリカケとかと違ってわかりやすいし、何より食い物の恨みでバスティーユ襲撃からフランス革命がおっ始まったように、国民の怒りを買ってますね。いよいよ安倍政権もおしまいかな。

おっと本題^_^;。1957開業の上野公園モノレールですが、戦後のモータリゼーションで自動車が増えて渋滞が日常化し、路面交通の都電や都バスを運行する都交通局がその対策として、当時世界で唯一営業運行されていた西ドイツ、ブッパータール市の懸垂電車に注目したのが始まりです。ブッパータールの懸垂電車はランゲン式と称する懸垂式モノレールで、ブッパー川に沿う狭隘な市街地の都市交通として川の上空に建設されたものです。

鉄製トラス桁の上面にレールを固定し、両フランジの鉄車輪で支持、駆動、案内するシステムで、片側側面からアームを出して車体を吊る左右非対称の珍しい構造です。アームは台車にピンで固定され曲線通過時に自然に傾斜して遠心力を吸収する振り子構造になっており、スムーズな曲線走行が可能などの利点があります。

一方片持ち式の懸垂システムですから、走行桁の支柱はアームの反対側にしか作れないため、複線で中央に支柱を置いて左右に走行桁を配する形になり、折り返しはループが必要ですし、分岐は桁を平行移動させる大掛かりなものになりますから、複雑な路線ネットワークの構築には向かないですが、戦後地下鉄建設が交通営団によって再開され、いずれ地下鉄網が出来るとしても、地下鉄が必要なほどの需要が見込めないところを補完する輸送システムとして都は考えていました。今なら舎人ライナーのようなAGTの役割ですね。

都は都電の製造で縁があった日本車両製造と共同開発で、ランゲン式をベースに軌道桁を箱型鋼材とし、騒音対策で上面走行輪をゴムタイヤにして桁を挟み込む水平の案内輪で案内するシステムを開発しました。一方上野動物園の拡張が決まり中央通りから不忍通りへ抜ける都電の新設軌道を越えたところに西園を作ることになり、東縁と西園を結ぶ公共交通機関として実現されたものです。僅か300mの短距離で車体は小ぶりですが、走り装置は本格的で力の入ったものでした。

東京都がここまで本気になった理由は都交通局が置かれていた状況からみると理解できます。1938年施行の陸上交通事業統制法で東京市と周辺地域が指定地域となり、大まかには旧東京市域の路面交通は東京市、地下鉄は別途設立の帝都高速度交通営団、郊外は常磐線、東北線、中央線を境とする4ブロックに分けて統合するという方針が示されました。その結果東京地下鉄道と東京高速鉄道の2社は地下鉄を営団に現物出資する一方、東京地下鉄道傘下の円太郎バスと城東電気軌道は東京市へ譲渡されて、円太郎バスは市営の青バスと統合され、城東電軌は市電のネットワークに組み込まれます。

同法で東京横浜電鉄は既に傘下に収めていた京浜電気鉄道と小田急電鉄を統合して東京急行電鉄とし、遅れて京王電気鉄道を統合して所謂大東急を形成しますが、戦後トップの五島慶太が公職追放されると、被統合各社から分離独立の機運が生まれ、京王帝都電鉄、小田急電鉄、京浜急行電鉄が分離独立を果たします。

一方東京の地下鉄は営団による独占が維持されます。営団は財政投融資資金の受け皿として潤沢な資金を得て、丸ノ内線に始まる戦後の地下鉄建設を担いますが、大東急分離に見られるように、陸上交通事業統制法を戦時立法として見直すべきという機運が生まれ、私鉄各社は都心直通線の免許申請を一斉に行います。

東武鉄道:北千住―新橋
京成電鉄:押上―有楽町(後に八重洲通へ変更)
京王帝都電鉄:新宿―両国、神楽坂―京成上野、新宿―富士見ヶ丘
小田急電鉄:南新宿(後に参宮橋に変更)―東京
東京急行電鉄:中目黒―東京、目黒―広尾、渋谷―新宿
京浜急行電鉄:品川―八重洲通
他方東京都は独自に都市高速鉄道5路線を都市計画決定し、都交通局の地下鉄参入の要望を出します。
1号線:西馬込/品川―押上
2号線:祐天寺―北千住
3号線:大橋―浅草
4号線:富士見町―向原
5号線:中野―東陽町、下板橋―神田橋
事態を収拾するために当時の運輸省は有識者を集めて都市交通審議会を立ち上げ、その1号答申が1956年に出されます。その中で都の都市計画を追認する一方、地下鉄と郊外電鉄との相互直通を示唆し、1号線は京成、京急と、2号線は東急、東武との相互直通が想定されました。また地下鉄の事業主体として営団以外の参入を認め、1号線を東京都、2,4号線を営団という当面の分担を示唆します。

加えて2号線の東急との接点を中目黒に変更し、実質銀座線の延伸となる渋谷以西の3号線は東急が渋谷―二子玉川園間に銀座線規格の新線を建設し相互直通するとされました。また1号線の泉岳寺―品川間は都に対して京急が自前整備を希望し押し切りました。地下鉄建設は大きな資金と時間を要するため、営団単独では整備が進まないことから導き出された解ですが、東京の地下鉄の骨格が決まった訳です。

懸案の地下鉄参入が認められた東京都ですが、本当は大東急解体に倣って戦時体制見直しで営団を解体して東京都が引き継ぐことを想定していたのですが、そうはなりませんでした。これ戦前やはり東京市が都市計画に基づいて地下鉄整備を打ち出し、免許取得までしながら関東大震災の復興などで財政難から断念し、民間の東京高速鉄道(東横電鉄系とは別法人で後に小田原急行鉄道に化ける会社)へ免許譲渡してしまう一方、純民間資金で東京地下鉄道が開業したことで、東京市→東京都に対する不信感を当時の運輸省は持っていたと見られます。

さてそうなると、地下鉄建設のための自前資金を捻出しなければなりませんから、メーカーと共同で開発したモノレールの整備は後回しにせざるを得ませんし、それに留まらず保有資産の売却も余儀なくされます。その結果車庫や変電所などの固定施設を多数保有する都電を廃止してバスに代替するのが最も手っ取り早い訳です。つまり都営地下鉄の参入が決まったことで、都電の廃止は避けられなくなったってことです。

加えて上野公園モノレールは折角のシステム開発が活かされず取り残されます。そして設備の老朽化で車両を含む更新を繰り返しながら生き延びますが、運休機関の東園と西園の往来の便宜のために、モノレールに沿って恒久施設としての歩道橋が整備され、実質的な存在意義を失いますが、手軽な園内アトラクションとしての人気に支えられ、更新を重ね車両も4代目になりましたが、老朽化で突発的な運休もあり、日本車両製造に更新費用の見積りを依頼したところ、18億円となり、とても無理ってことで、休止が決まりました。量産に至らなかった究極の一点もので補充部品も特注じゃ維持は困難です。

尚、東京の地下鉄整備の歴史過程の影響で未だにメトロと都営の並立は続いている訳ですが、例えば美濃部都政時代にも都営による地下鉄一元化論が言われ、その時期の整備された都営新宿線と半蔵門線の九段下のバカの壁問題には工事を請け負った東京都の先走りの意図が見えます。

時代は下ってTBSによる地下鉄一元化報道東京メトロの上場を巡る都と国の駆け引きにも尾を引きます。ユーザー視点で言えば欧州で一般的な運輸連合方式による運賃共通化が出来れば良いんで、いい加減この枠組みから脱却してほしいところです。ちなみにやはり2事業体に分かれていた韓国ソウルの地下鉄では運賃統合を実現しています。東京はソウル以下ですね。

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Sunday, November 03, 2019

デジタル経済はビッグブラザーの夢を見る?

FCAとPSAが経営統合することになりました。車メーカーの合従連衡は続きますが、FCAは元々ルノーとの統合を希望してました。欧州では強いけど北米南米で弱いルノーにとっては渡りに船ですが、FCAは口には出さないけど量産EVを持つ日産とのアライアンスも睨んでいたことは間違いないでしょう。加えて弱いアジア市場の相互補完もあるし。

しかしルノーに対するフランス政府の干渉に辟易して断念。加えて日産が経営統合のルノー取締役会の評決を棄権したことも断念の理由となりました。日産はこれをルノーとの資本関係見直しのための交渉カードにしようとしました。おそらく元経産審議官の豊田正和氏が描いたシナリオでしょうけど、無駄になりました。つまり政府の干渉を受けたルノーと日産の双方が袖にされたってことです。また新経営陣もルノーとの関係が深いけどゴーン氏の息がかかっていない顔ぶれで、結局ルノーの意向に沿ったものになりました。そんな中で西川前社長が毎日出勤してあれこれ意見して院政を敷こうとしているとか。豊田氏が後押ししているようです。こんなこっちゃ日産は東芝の轍を踏むでしょうね。残念だけど。

自動車と共に変化の予兆があるのがIT関連企業です。特にGAFAと言われる巨大プラットホーム企業への逆風が吹き始めてます。元々個人情報保護に厳しいEUはGDPRで規制の網をかけましたし、アメリカでも独占の弊害が認識され分割論まで出てきている現状です。おそらく大恐慌時代にグラス・スティーガル法で商業銀行と投資銀行を分離してJPモルガンとモルガン・スタンレーが分離したような変化が始まる可能性はあります、元々自由度の高かった金融が規制業種になった経緯をなぞる可能性はあります。

笑い話なんですが、トランプ大統領がリーマンショックを受けてオバマ政権で規制強化された金融部門の規制緩和をぶち上げたら、金融企業幹部たちは「アマゾンが参入するからやめてくれ」と言ったとか言わないとか。今や大銀行よりも力を得た巨大IT企業の現実があります。銀行も低金利で利ザヤが稼げないから弱っている訳ですが。

例えばアマゾンのレコメンデーション・システムではユーザーの購買履歴を分析して推奨品を提案しますが、マッチングが重視されるので、提案される価格がユーザーごとに異なっていてもわからないです。つまりこのユーザーならこのジャンルの商品が高くても購買につながるという形でプレミアムを付けていてもわからないシステムです。これの意味するところは消費者余剰の搾取なんですよね。

標準的なミクロ経済理論では、価格と効用で説明されますが、効用は需要側がその商品に支払っても良いと考える価格と言い換えられます。それが実際の市場価格との比較で購買につながったりつながらなかったりする訳です。商品に高い値付けをするユーザーは少数で多数派は安い価格を望みますから、需要曲線は右肩下がりになる訳です。

一方供給曲線は売れる価格が高いほど供給側にインセンティブが働いて市場投入量を増やしますから供給曲線は右肩上がりになり、両者の好転が市場の均衡価格となります。そして市場の条件が同じなら均衡価格は一意に決まりますから一物一価が成り立つわけです。市場が開かれていて情報の非対称性が存在しないことを前提にすれば、ユーザーが均衡点以上の効用を認める限り、所謂お値打ち感を味わい顧客満足が得られます。逆に均衡点以下の効用しか認めないユーザーは購買しないから不満はない訳です。

しかしレコメンデーションでプレミアムがつけられていれば、この消費者余剰は売り手の超過利潤に化けるわけですね。つまり公開市場ならより安価に購買できた商品が割高になる訳で、それだけ売り手は儲けが大きくなる訳です。つまりシステムをブラックボックス化することで、情報の非対称性を作り出し、市場の失敗を実現する訳です。更にIoTで商品自体がオーダーメードになると、ますます公開市場の均衡価格が曖昧になり、情報の非対称性は拡大します。一方売り手は注文を受けてから商品を手配すれば良いから、在庫を持たずに済みますから、低リスクで超過利潤を得られます。この辺気付いている人はまだ少ないと思いますが。見方を変えればデジタル計画経済じゃないかと。AI”ビッグブラザー”が統治するディストピアかも。

実は交通の世界でも航空や都市間バスの分野ではダイナミックプライシングと呼ばれて実装が始まってます。利用日の相当前から予約を受け付け、予約の入込を見ながら価格を変動させるものですが、逆に予約を誘発するための大胆な割引運賃で訴求して選に漏れた人にやや高い価格ならまだ空きがありますと誘導したりといったことも可能になります。つまり安値狙いのバーゲンハンターを釣ってサクラにするというと言い過ぎかもしれませんが、輸送キャリアがその中身を公開することはないですからわかりません。その辺を踏まえてのこのニュース。

JR東日本、首都圏で年内にもMaaS導入へ:日本経済新聞
詳細は不明なので、現時点での評価は難しいですが、恐らく地域限定でタクシーやレンタサイクルと連携したサービスを始めるということでしょう。おそらくサブスクリプションのイメージなんでしょうけど、定額で一定回数のサービスが受けられるというものから始めて、定着してきたら内容に多様性を持たせユーザーに選択させるという形になるんじゃないかと思います。

サービス内容と価格の見合いになりますが、ユーザー獲得のために戦略的な低価格を提示する可能性はあります。一番の狙いはユーザーの利用履歴の取得じゃないかと睨んでおります。というのも、JR東日本はSuicaの利用履歴データをユーザーに無断で外販して提供していたことが発覚し、謝罪に追い込まれたことがあります。2013年7月25日に謝罪と共にユーザーに除外手続きを呼びかけましたが、これも関連会社経由の受付で不透明と批判を浴び、利用履歴データの活用は足踏みしています。MaaSで新たに会員募集するなら、利用規約に履歴の活用の許諾を条件にすることで、これを突破しようと考えても不思議ではありません。

もちろんそれだけあ理由ではなく、東京でもドライバー不足でフィーダー輸送を担うバスの減便が始まっており、また20年代には東京も人口減少に転じると見られており、鉄道事業者もラストマイルの集客を自前でやらなければならない時代が訪れる訳です。この面でも先手を打とうということでしょう。

しかし他社が追随した時にサービスが輻輳してますます複雑になり、ユーザー側から見て情報の非対称性が拡大する可能性はあります。それが複数事業者間の健全な競争となって整理淘汰を経て落ち着くなら悪くはありませんが、逆に鉄道各社の関連事業を絡めて複雑化が進む可能性もあります。この辺ユーザー側の目利きも問われます。

MaaS先進地域は圧倒的に欧州ですが、これは都市圏の運輸連合による共通運賃制が下敷きになっており、地域限定のプラットフォーマーの役割をしていることが大きいと言えます。この場合運賃自体は市場価格ではありませんが、公定価格がサービスの良否を図る公開情報として機能しているから、不透明感を持たれず実行できるってことなんでしょう。そう考えると事業者単位のMaaSより前に共通運賃制の実現があった方がユーザーには望ましいと言えますが、メトロと都営地下鉄の運賃共通化すらままならない現状では望み薄ですね。

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Thursday, October 17, 2019

かがやきを失った北陸新幹線

台風19号凄かったですね。いろいろトピックスがあって整理がつかないまま更新が遅れてますが、タイトルの北陸新幹線をはじめ鉄道にも大きな爪痕を残し、復旧のめどが立たない路線もあります。また台風の進路の関係もあってより広域に被害が出た点、特に連続雨量が記録的で、各地で堤防の決壊や浸水の被害も出ました。

その一方、台風15号の学習効果で鉄道が早めの計画運休に踏み切ったことや、それに付随してイベントの中止や店舗の営業見合わせ、宅配などサービスの停止など、被害を減らし混乱を回避する動きが広がったことは評価すべきでしょう。その一方でネットでは相変わらずデマが拡散されてます。その中で特に目立ったのがダム関連ですが、「民主党政権が中止した八ッ場ダムが安倍政権で復活して利根川水系を洪水から救った」ってのがあります。民主党政権は確かに八ッ場ダムの見直しに着手し、事業を停止しましたが、一方で第三者委員会を立ち上げて事業の在り方を再検討した結果、野田政権時に復活させてます。その是非はともかく、事実関係にウソを交えるのは悪質です。加えてこれ。

八ツ場ダム、試験湛水を開始:日本経済新聞
10月初めに試験湛水を始めたばかりで空っぽだった訳で、本稼働すれば一定の貯水量を確保しなければならない訳ですから、今回のように水を受けきれなかった可能性が高いですし、寧ろ緊急放流すらあり得た訳です。今回神奈川県の城山ダムの緊急放流の情報がメディアで流れましたが、城山ダムに限らず事前放流をしたところはなかったとか。去年の西日本豪雨で下流の大洲市に洪水被害をもたらしたとされる肱川の教訓は活かされませんでした。

肱川の場合、市街地に接する下流域で堤防未整備のところがあって、上流2ケ所のダムの運用で治水対策は名目上考慮されていたのですが、連続雨量の想定を超えればどうにもならない訳で、治水対策ならばダムを造るお金で下流域の堤防整備すれば良さそうなものですが、用地費がかかる割に土木工事量はダムより少なく、有体に言えば儲からないから後回しにされたのでしょう。そういう意味でダム治水は問題大有りです。今回の八ッ場ダムでも、大量の水と共に土砂も流入していて、一説によれば推定堆積量は通常の100年分とか。これその分貯水量が減ってダムの寿命を100年縮めたことを意味します。

ただ多くの自治体では財政に余裕がなく堤防や調整池の整備が進まない現実もあります。やはりネットで称賛された東京都の地下調整池も長い期間をかけて整備されたもので、一朝一夕にできたものではありません。税収が多く財政余力の高い東京都だから可能だったとも言えます。今後人口減少もあり、地方の財政余力はますますタイトになると予想されますから、財政余力のある自治体への人口集中は続くことになります。現実的には治水対策上、居住を諦める地域も出てきます。

他方で人口密集地域故の問題点もあります。

台風19号、首都圏に浸水もたらす 想定上回る雨で:日本経済新聞
武蔵小杉に限らず、高津区でも同様の浸水があり、死亡者も出ましたが、元々周りより低い地域にマンションが林立した結果、連続雨量の増加で排水設備の能力を超えてしまった結果です。武蔵小杉では地下室の配電盤が浸水して電気が止まり、水道が使えずトイレも流せないなどの深刻な被害が出ました。また横須賀線武蔵小杉駅も同様に電気設備が浸水して自動改札が水を被り、運転再開後も通過扱いが続き、自動改札は復旧したものの、エスカレーターとエレベーターは使えず、平日朝には30分待ちと言われる改札規制の列が伸びているとか。スペースの都合とはいえ電気設備を地下に置くことのリスクを示しました。

武蔵小杉に関しては限界都市川崎で指摘した問題を思い出していただきたいんですが、浸水リスクのある低い土地に林立するマンション群の資産価格が維持可能かどうかですね。価格が下がれば転売が困難になって流動性が低下しますから、武蔵小杉マンション民の多くはここでそのまま老いを迎えることになり、限界都市となります。川崎市は企業のリストラで工場跡地の再開発が課題なのは理解できますが、居住地としてのクウォリティを維持できない過剰な開発に歯止めをかけることを考えないと、将来廃墟になるリスクを負います。

ただ川崎市も一応ハザードマップで浸水リスクは明示していたのですが、多摩川の決壊を想定したものだった訳で、想定と異なる事態での被災ではあります。せめて浸水リスクのあるエリアだけでも開発抑制すれば良さそうですが、そうすると工場をたたむ企業が跡地を高く売れなくなるから再開発が進まなくなるってことですね。こうして目先の利益という見えざる手に導かれて、廃墟化することになります。

そして北陸新幹線ですが、千曲川の決壊でJR東日本の長野新幹線車両センターに浸水しE7/W7系10編成120両が被災しました。全30編成中の2/3が使えない状況で、長野―上越妙高間を除いて運転再開はしたものの、本数は限られています。北陸新幹線はかがやきの電源問題で東北・上越新幹線から車両を回せないという制約があります。元々2電源だった200系もあさま用のE2系n編成も既に配車済みです。余談ですが、糸魚川駅は新幹線50hz在来線60hzと捩れてます^_^;。

ここも長野市のハザードマップに記載されていて、JR東日本も把握していたにも拘らず,車両の疎開はしなかった結果の被災です。高くついた痛恨の判断ミスですね。かなり深く水没してますから、床下機器の交換だけでは多分済まないで、廃車も視野に入ります。その場合上越新幹線のE4系の代替でE7系投球が決まっているので、当面E4系を延命して新製E7系を北陸新幹線に回すってことになると思いますが、車両yメーカーの能力の制約もありますから、車両不足による間引き運転は不通区間の長野―上越妙高間が復旧しても続くことになります。そうなると各駅の乗車機会確保が優先されますから、速達列車のかがやきは当分お預けになるでしょう。かがやきを失った北陸新幹線は当分続きます。

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Sunday, October 06, 2019

痺れて関電

関電役員の金品受け取り問題が連日報道されてますが、受け手としてリテラシーの問われるニュースです。というのも、発覚の経緯がかなり特異であることです。その意味で注目すべき記事はこれです。

税務調査後に1.6億円返却  受領額の半額 関電、元助役側に:日本経済新聞
高浜町の吉田開発という建設会社に金沢税務署の強制税務調査が入ったのが18年1月。その直後に高浜町元助役の森山氏に受領した金品の返却が集中している訳です。これ森山氏と吉田開発の関係を知っていて受領した金品の出どころもわかってたからですね。つまり発覚を恐れて証拠隠滅に動いたわけで、総額3.2億円の半額相当の1.6億円がこの時に返却されている訳です。加えてこれ。
関電監査役会、金品受領を昨秋把握  監視機能働かず 工事の7割、元助役に情報:日本経済新聞
ちょうど1年前の18年秋、税務調査の半年後には関電の監査役会も事実を把握しながら、取締役会に諮らなかったんですね。つまりこの時点では世間には知られていなかった訳で、スルーして見て見ぬふりしたわけです。ガバナンスが働かなかった訳で、これ自体も問題ですが、結局思わぬところから外部へ洩れます。

今年3月に森山氏が死去し、遺族による遺産相続の過程で故人のメモが出てきて、関電幹部の名前と金額が出てきてしまい、隠しきれなくなって今に至る訳です。発覚の発端となった金沢税務署の税務調査から1年半を経過していた訳で、既に多くの証拠は散逸していると見るべきでしょう。ですからチラホラ名前の取りざたされる政治家もいますが、身に覚えのある者は既に処置済みで高みの見物でしょう。モリカケ問題で学習してますから。

こうなるとあからさまな自己保身に走る関電幹部がヒール役を一手に引き受けてくれますから、世論に迎合して一緒に叩いて涼しい顔してる巨悪がいるってことですね。とにかく地元負担でローカル線の小浜線を電化しちゃうぐらいの資金力が原子力界隈にはありますから、3億なんて氷山の一角のはした金です。小物を血祭りにあげてガス抜きまでできちゃうからたまりませんね。

閑話休題、関西電力といえば2018年まで鉄道事業者でした。長野県大町市の扇沢と黒部ダムを結ぶ関電トンネルのトロリーバスは関電の直営で鉄道事業法準拠の第一種鉄道でしたが、バッテリー電気バスに置き換えられて終焉しました。資本規模で言えばおそらく日本最大の鉄道会社だった?トロッコ電車でお馴染みの黒部渓谷鉄道は関西電力100%出資の子会社ですが直営ではありません。

関電の黒部川水系の水利権は、戦前の日本電力から戦時統合の国策会社日本発送電を経て1951年に関西電力に移管されたものですが、地域分割で9大電力に再編された中で、需要地である関西向けに豊富な北陸の水力資源の一部を持たせた訳ですね。黒部川沿いの日電歩道の名前に名残があります。似たようなことは中部電力エリアの長野県の高瀬川の水利権を得た東電が首都圏向けに電源開発を行いましたが、これは戦後の話で、戦前からの歴史を引き継ぐ関電の黒部川とは異なります。最近は寧ろ福島第一第二や柏崎刈羽など原発の域外立地が目立ちます。

実はこのビジネスモデルは日本電力がもたらしたもので、北陸の豊富な水力資源を利用して遠距離高圧送電で東名阪の需要地に安い電気を売り込もうという目論見で関西地盤の宇治川電気の子会社として発足した会社ですが、庄川水系の電力を中京圏で販売して東邦電力と競合し、電力兼営の小田原電気鉄道を買収して電力部門を残して7ヶ月後に箱根登山鉄道として分離し、残った信濃川水系の電力を首都圏で販売して東京電灯と競合し、果ては親会社の宇治川電気が大同電力の電力供給を受けていたために関西エリアで親子バトルまでしてしまうという破天荒な存在で、後に過当競争を理由とした電力国家管理の扉を開くことになります。

第一次大戦と第二次大戦の戦間期は日本の工業化が進んだ時代でもあり、工業化と共に電力需要の拡大が見込まれたことで、それまでは需要地の近くに小規模な火力発電所を構えて限られたエリアに配電していた電灯電力事業を、現代に通じる大規模電源と遠距離高圧送電で効率性を追求した系統電力事業に進化させたイノベーション期だった訳です。ところが昭和恐慌で一転需要が縮小し、余剰電力の処理に困った事業者は、熾烈な競争に巻き込まれていきます。その過程で大口需要者として電気鉄道の存在が意識されます。

例えば宇治川電気は兵庫電気軌道と神戸姫路電気鉄道を傘下に収め、両者の直通運転で神戸姫路間の電気鉄道を実現します。後の山陽電気鉄道ですが、その際に車両限界の小さい兵庫電軌に車両サイズを合わせた関係で、神姫電鉄の1型がお役御免となりましたが、滋賀県のローカル私鉄の近江鉄道を傘下に収めて電化してそちらへ回します。関東でも東京市電気局に電力供給していた鬼怒川水力電気が小田原急行鉄道と帝都電鉄を開業させて事業拡大と販路確保をしたりという動きもありましたし、逆に京王電気軌道のように電力事業の方が寧ろ収益性が高かったなんて事例もあります。電気鉄道もイノベーションの一翼を担っていた訳です。

しかし直流き電で電力変換が必要なうえ、負荷変動が激しく安定しない電気鉄道は、地域分割で地域独占企業となった戦後の9大電力時代には寧ろ嫌われます。系統電力は工業用の電力供給が主たる目的ですから、電力の安定が最優先ということで、大口需要者向けの安い料金は適用されず、割高な電力料金を負担してきました。ま、これがサイリスタチョッパ制御やVVVF制御などの省電力技術へのインセンティブとなり、連敗続きの日本の半導体でパワー半導体では世界をリードする存在になっているのかもしれません。大口電力需要者である国鉄が直営の信濃川発電所を持っていたことは東電を助けていたかも。

そして時代は進み、再生可能エネルギーの利用の観点からマイクログリッドが求められる時代になると、系統電力網は下手すればサンクコスト(埋め込み費用)の塊になりかねないのですが、分散電源のタイムリーなマッチングう意味でスマートグリッドを実現することで生き残る可能性はありますが、そのためには原発のような大規模電源が寧ろ邪魔になります。分散電源ならば電源のトラブルは多数の別電源でカバーできますから、寧ろ安定します。その意味で原発をこれ以上引っ張るのは得策とは言えませんね。

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Sunday, September 29, 2019

トランプ・ポリティカル・プロブレム

略してTPP^_^;。トランプ大統領が就任後真っ先に取り組んだのが12ヶ国で合意したTPPからの離脱でした。慌てたのが日本政府です。何故ならばTPP交渉ではアメリカとの合意を最優先し、農産品で大幅譲歩する一方、一番の目玉の筈の自動車関税の撤廃は25年かけてという結果ながら、発効すれば強制力が出ますから、一応成果はあったと強弁できる結果だったのに、それが白紙に戻った訳ですから、頭真っ白になったと察します。

しかし捨てる神あれば拾う神あり、残る11ヶ国で折角合意したんだから、それを活かすべきだという声が上がり、TPP11に仕切り直しされて合意しました。その結果対米向けに譲歩した日本の農産品輸入に関しては、TPP水準を維持したまま対米非関税輸入枠の配分まで受けた、オーストラリアやニュージーランドにワインで売り出すチリなどが恩恵を受ける一方、見返りの減った日本は貧乏くじでした。それでも日本の農産品輸入でアメリカ産が減ればアメリカが音をあげて再度TPPに復帰する筈という、都合の良い展望を掲げた結果、こうなりました。

日本、農産品7800億円分の関税下げ 肉類など:日本経済新聞
つまり農産品はTPP水準+αの譲歩を呑んだ一方、自動車関税の撤廃は25%の報復関税で脅された結果、現状維持がやっとですから、寧ろ防衛ラインが下がりました。TPPの一番の目玉だった筈の自動車関税の撤廃は無くなった訳です。TPP11締結国相手では日本に対抗しうる自動車生産国は見当たりませんから、大局を見失った日本の敗戦です。都営バスが導入したフルフラットバスが豪ボルグレン社製というツッコミはご容赦を^_^;。

しかもこれで終わりじゃなくて、今後医薬品、保険、サービスなどの個別交渉は残ってますし、米議会が求める為替条項も消えた訳じゃありません。為替に関しては米国内法で為替操作国指定をすれば、相手国に通告無しに為替介入ができますから、そのリスクは残ります。既に中国に対しては為替操作国指定をしており、アメリカでは中央銀行に当たるFRBと財務省の外貨準備基金で対応しますが、FRBが同意しなくても基金の運用は政府の判断で可能なので、いずれドル売り元買い介入をするんじゃないかという憶測は絶えません。但しこれやると混乱が予想されますので、簡単には踏み切れないでしょうけど、交渉の脅しには使えます。

米中対立に関しては中国側が長期戦モードで対応してますから、簡単には動じないでしょうけど、同じことやられたら日本は簡単に折れちゃうでしょう。実際農産品関税で成功体験を得たアメリカは、他の分野でも同様のことを仕掛けてくると見るべきでしょう。加えてTPP11でISDS条項を盛り込んでますから、日米での紛争解決手段としてのISDS条項は既に準備されてます。かくして大後悔時代の大企業による主権国家支配が現実のものとなります。既に種子法廃止や水道事業民営化法で準備は整ってますが-_-;。まだまだ毟られます。

トランプ大統領の立ち位置は、グローバル経済の現実の中での国益追及ですが、あくまでも選挙に勝つための短期的利益の追求なので、中国のように長期戦に持ち込まれると対抗できない訳で、同様に目先の選挙しか見えていない日本の政治家は与しやすい相手ですが、中国や原理原則にシビアなEUに対しては厳しいところです。だからBrexitはトランプ的には大歓迎でしょう。他方中国Huaweiの排除では米アップルやクアルコムよりも、ノキアやエリクソンなどの北欧勢が恩恵を受けるなど、必ずしも自国企業や有権者に恩恵が及ばないという実態もありますが、今さら止められない訳です。

一方サウジアラビアの石油施設がドローン攻撃で破壊された事件で世界に衝撃が走りました。イエメンの反政府勢力フーシ派が犯行声明を出しましたが、アメリカとサウジはイランから飛んできたとして混乱してます。真相は藪の中ですが、対イラン経済制裁問題でアメリカとイランの首脳会談実現が言われていた状況に水を差しました。それでもトランプ大統領は軍事行動を控えています。これ殺傷力の高まった兵器性能に加えて先進国の兵士が傷つくことへの世論の反発が強まり、戦争のコストが高くなったことが背景にあります。

対して紛争地域では残念なことですが自爆テロも辞さずといった人命のコストが相対的に低い上に、ドローンなどより低コストで敵に打撃を与えられる手段が登場しています。これ戦争のダウンサイジングと捉えるとわかりやすいんですが、テクノロジーの進化は戦争も無縁ではありません。明らかに時代は変わってきています。中国や北朝鮮のサイバー攻撃やロシアのフェイクニュースによる世論誘導などもこの範疇に入ります。

寧ろバンコデルタアジア銀行の北朝鮮関連口座の凍結が効果的だったことから、金融制裁がアメリカの武器になりつつあります。対イランでは制裁破りした国や企業に対して米国内銀行との取引禁止とすることで、イランから原油を買ってドルで支払った場合、受け取ったイランは自国通貨に両替することも輸出代金支払いに充てることもできないから干上がる訳ですね。イランにとっては死活問題です。逆に言えばイランが首脳会談の可能性を自ら閉ざすような行動に出るとは考え難い一方、アメリカとイランの対立で漁夫の利を得る第三国は多数あります。

他方フーシ派はサウジが支援するイエメン政府と対立し、政府軍を追い込んで実効支配エリアを拡大する一方、サウジは軍事介入でフーシ派攻撃をしてますから、犯行声明を出しているフーシ派の犯行と捉えるのが一番素直な見方ですが、フーシ派はイランが支援していることもあり、フーシ派の犯行で追い込まれる図は何とも皮肉ではあります。ただこの状況で軍事介入を控えている米トランプ政権は歴代政権とは良くも悪くも一線を画します。

その一方で大スキャンダルが発覚します。ウクライナ疑惑です。

米民主、もろ刃の弾劾攻勢 ウクライナ疑惑で:日本経済新聞
ロシア疑惑は大統領選を争う中でロシアの偽ニュースによる選挙介入でクリントン候補への攻撃に利用したのではないかというものですが、結局訴追に至らず、議会民主党も弾劾に慎重でしたが、次期大統領候補のバイデン氏の息子が絡む現職大統領の不正行為として見過ごせないことから、今回は弾劾に本気です。但し/大統領弾劾は下院で成立しても上院の2/3以上の賛成がなければならず、可能性は低いことと、バイデン氏が絡む疑惑なので民主党に跳ね返る要素もあり痛し痒し。

結果法人税増税など反ビジネス的なウォーレン候補が有力視される可能性からNYダウが下落したりとひと騒動ありました。何だかんだ言って無茶苦茶でもトランプは親ビジネスという一点で経済界は親トランプに傾いてるんですね。日本の自動車関税問題のように必ずしも経済界にプラスの働きをしていない安倍政権を経団連がバックアップする図と同じです。

てなわけで、世界の揉め事でトランプが絡まないのはインドとパキスタンのカシミール紛争ぐらいか?環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱した結果、トランプ絡みの政治紛争(TPP)は世界へ拡散しましたwwwwwwwwww。おまけ。

リニア、わずか9キロの壁 静岡知事が工事認めず:日本経済新聞
JR東海がリニア建設に意欲を燃やす理由の1つかアメリカへの売り込みですが、そのためには名古屋までの開業はクリアしなければならないのに、静岡県の川勝知事の反対で僅か9㎞の区間の工事着手ができないというニュースです。

これ前から揉めてた事案ですし、既に山梨実験線の工事でも井戸が枯れたなどの報告がされてます。静岡県工区は大井川の源流の水源を断つ可能性が高く、それに対するJR東海の回答がいい加減ということで川勝知事を怒らせてます。駅ができないことに対する条件闘争か?という見方がある一方、川勝知事はあくまでも環境問題として譲歩の姿勢がありません。そして工期が遅れて開業が先延ばしされれば資金計画に狂いが生じて大阪延伸も微妙になりますし、ましてアメリカ輸出は夢のまた夢となります。

アメリカ北東回廊はAMTRAKのメトロライナーの時代から都市間輸送の有望エリアとされ、現在仏アルストム製のプッシュプル編成による"アセラ”が好調で、エアライン合同のワシントン―ニューヨーク間のシャトル便を廃止にするなどアメリカでは珍しく鉄道優位の地域です。そこへリニアを売り込もうって話ですから、まずは日本で開業して現物を見せて、アメリカに買ってもらおうって都合の良いシナリオを描いてますが、あれ?日米貿易交渉と似てないか?

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Sunday, September 15, 2019

台風と共に去ったメディアの公共性

台風15号の直撃で鎌倉市内だけでも土砂崩れや倒木で1万戸以上の停電や一部通行止めなど甚大な被害がありました。横浜市では金沢区の臨海工業地帯で高波被害があり、少なからぬ企業の操業停止が続いています。これだけでも凄いことだけど、千葉県の被災状況は輪をかけてます。未だに13万戸の停電があり、完全復旧に2週間かかるという惨状です。あと成田空港の陸の孤島化。関西空港の台風被害は洋上空港故と言えますが、内陸の空港もこうなるということですね。

これらの情報はメディアの報道で知るのですが、タイミングとしてはかなり遅いんですよね。台風一過のメディアを賑わせていたのは、専ら韓国の政界スキャンダルと内閣改造でした。ここまで甚大な被害があるにも拘らず、メディアのこの反応はどうしたことでしょうか。大雪被害のときはゴルフ三昧だったり関西の台風直撃中の赤坂で飲み会とか、安倍政権の過去の対応を見ると、国民に冷たいのは相変わらずですが、そうであればこそ、メディアがタイムリーに伝えて政府に初動を促すことが何故できなかったのか?

京急の踏切事故ではSNSで流言が流れる中、取材力を発揮して正確な情報を提供したのに、政治絡みだとこの体たらくってのは何なんでしょうか。災害時には流言が拡散され易く、ましてSNSでデマの拡散力が増しているときに、関東大震災時の朝鮮人虐殺という悲しい歴史を踏まえた報道姿勢を見せられないのは何故なんでしょうか。メディアが報道の公共性を自ら否定する愚を質さないと、メディアの居場所がなくなるぞ。

メディアを巡っては京都アニメの事件でも被害者の実名公表を巡って議論がありました。これは基本遠隔地の知人や縁者に知らせるという意味で公共性がありますから、実名公表自体は必要です。まして京アニ自体が世界的にクリエーター集団として名を成しているんですから尚更です。但し遺族のプライバシー問題もあるので、時間を置いての全員公表はとりあえず妥当な着地点でしょう。遺族に対するメディアスクラム問題がSNSで拡散されてましたが、真偽を判定する情報が乏しく、判定不能です。

そんな中で取り上げたいニュースがこちらです。

「辞めろと言われるとは」 日産社長に取締役会引導  :日本経済新聞
株価連動報酬(SAR)の基準日を動かして約4,700億円を過剰に受け取っていたことを暴露されての解任ですが、思い出していただきたいのは、ゴーン氏の最初の逮捕容疑が退任後に受け取る予定の報酬を有価証券報告書に記載しなかったとする金融商品取引法違反容疑でした。つまりまだ受け取っていないし、実際の支払いはその時点の取締役会の議決が必要な報酬ですから、債務として確定していないにも拘らず形式犯として身柄を拘束したんですよね。これ地検の検事が会計の知識が無いことを暴露したようなもんですが、まともに考えれば無罪です。

一方の西川氏は億単位ではないものの、実質的に会社の金を横領している訳で、より悪質ですが、これをお咎めなしってのはバランスを欠きます。とはいえ度重なる金銭スキャンダルに対する日産社内の拒否反応もあり、またゴーン氏の側近だった西川氏の責任を問う声もくすぶっていた中で、解任を決めた日産には一分の良心が残っているのかもしれません。

この解任劇で唯1人解任に反対したのが経産省出身の社外取締役の豊田正和氏なんですが、この豊田氏は何故かルノーとの交渉役に指名されているんですよね。何か急にキナ臭くなりますが、もう少し続けますと、ゴーン氏の暴走を止められなかったのはガバナンス改革が不十分だったという理屈で6月の株主総会議決を経て指名委員会設置会社に移行した日産ですが、指名委員会の委員長も豊田氏なんですよ。明らかに豊田氏に権限が集中しているんですよね。

てことでゴーン氏逮捕のときから政府絡みの国策捜査じゃないのかって見方はありましたが、わかり易過ぎるぐらい状況証拠は整ってます。ガバナンス改革は安倍政権の目玉政策だった訳で、その旗振り役は経産省でした。フランス政府の圧力でルノーからの経営統合圧力が増す中で、日産を管理下に置きたいって思惑が透けて見えます。表面上はガバナンス改革の外観を装いながら、政府が実質支配体制を敷くってことですね。

しかもゴーン氏の側近だった西川氏への批判がくすぶる中で、敢えて西川氏を残した気配もあります。東京地検の捜査では司法取引が行われ、ゴーン氏とケリー氏以外の関係者の免責が約束されているらしいですが、中身は不明です。おそらく西川氏が該当するんだと思いますが、その弱みを政府に握られて豊田氏の権限拡大のために定款変更で指名委員会設置会社に移行し、そのバーターで豊田氏は一応解任反対はしたけれど、元々西川氏を使い捨てるつもりだったとしたら、西川氏は哀れなパペットだったってことになります。こんなトップじゃ業績ダダ下がりも無理もない-_-;。

ルノーとの関係云々よりも、今の日産に必要なのは、ユーザーに支持される魅力的な車を作って市場に投入することの筈です。ノートe-Power以来ヒットが出ていない現実を直視して、次の魅力的な新車を開発することです。例えばルノーの人気車カングーに日産バッジをつけて当座を凌ぐでも良いし、三菱アウトランダーPHVの日産バージョンでも良いですが、今使えるリソースを動員して市場に問うことはやるべきです。何れも失敗しても直ぐ止められますし。

そうして時間稼ぎしながら本格的な新車開発を行うことでしょうか。具体的にはe-Powerの横展開でしょう。ノートではマーチの3気筒エンジンで間に合わせましたが、本来は発電専用の高効率エンジンを開発したいところです。元々リーフの電動パワートレインが使われていてパワフルですから、プリウスやアクアよりもキビキビした走りは楽しめますし、ユーザーへのアピール度は高いと言えます。その意味で日産社内が政治絡みで委縮しないかが心配です。誤算だらけで指摘したゴーン改革を台無しにする政府の対応には怒りを禁じ得ません。

そんな政府の介入で迷走している企業は日産だけではありません。

東電、送電投資の抑制響く 停電復旧13日以降に  :日本経済新聞
1992年には9千億円規模だった送配電投資が2015年には2千億円規模にまで縮小していたという驚くべき事実です。

この間に何があったかというと、90年代はバブル崩壊で企業の設備投資が減速し、それに伴い伸び続けていた電力需要が頭打ちになります。ゼロ年代には欧米に遅れて政府が電力改革に着手したものの、発想電一体の地域独占体という業態を維持したまま、異業種の限定的な発電事業への参入解禁と電力会社同士の限定的な越境営業が認められただけです。

電力会社にとっては発電事業こそ付加価値の源泉ですし、規模の経済で異業種の参入にコストの壁がある一方、送配電部門はコストしか産まない部門ですから、需要が伸びない中で必要な更新投資を先送りして益出しするインセンティブが働きます。また越境営業といっても電力会社間の連係線の容量不足で制約されますから自由化は画に描いた餅です。

その一方で2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止し、需給が逼迫する事態となり、他電力から連係線容量一杯の受電で凌いだものの、独占を阻害する連係線強化には踏み込みませんでした。そして2011年の東日本大震災で福島第一原発のメルトダウン事故と福島第二の全停止となる訳ですが、その結果石炭火力の稼働で凌ぐ関係で燃料費が嵩み、またやむを得ず連係線を強化して他電力からの受電受電で凌ぐなどしましたが、当然コスト増となりますし、福島第一の廃炉費用と賠償費用もねん出しなければならない訳で、老朽設備の更新投資はますます先送りされることになります。つまり国策に振り回されたあげくの台風被害ってことで、将に減耗する固定資本に沈む夕陽となった訳です。

おそらく東電に関しては小売り部門の東京電力パワーグリッドの身売りで凌ぐことになると思います。つまり実質的な東電解体となる訳ですが、震災の時に破綻処理を避けた結果、回り回って解体の憂き目にあう訳です。発電部門も柏崎刈羽6,7号機の再稼働が見通せず、建設中の東通原発も中部電力などと合弁での対応を余儀なくされ、原発の代替電源として過酷な稼働を続ける火力発電所もボロボロです。破綻処理して蘇ったJALとは対照的ですね。

台風関連では計画運休で大事を取ったまでは良かったものの、運転再開が大幅に遅れたJRも批判されましたが、これ台風の速度が急減速して時間が後ずれしたことの影響が大きいと言えます。あと観測史上最強の台風が直撃ですから、想像以上に被害が大きかったってこともあります。自然相手ですからこういうことはあり得ますが、朝8時には平常運転されるようなイメージを持たせた事前告知の問題はあります。

台風通過後線路点検だけでも2-3時間はかかりますし、異常が発見されて復旧工事を手配しても、作業員が現場に到着するまでのタイムラグもあります。まして土砂崩れや倒木の影響で道路の通行止めが多数あった状況ですし、また被害の程度に対して動員できた人数も少なかったかもしれません。これは正常化バイアスの問題のみならず、そもそも生産年齢人口が減少している中で公共事業の大盤振る舞いしている影響もあるでしょう。つまり政府が余計なことをしたってことです(怒)。だから未だに震災復興も道半ばで、北海道、熊本、岡山、関西の地震や豪雨被害も中途半端。国敗れて山河無しじゃシャレにならんぞ!

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