都市交通

Sunday, June 18, 2017

空飛ぶクルマ

共謀罪が成立しました。国会論戦で一般人には適用されないとされてますが、問題なのは乱用の歯止めがないこと。前エントリーでも指摘したように、前文科省次官の前川氏に対する個人攻撃のように、政権に不都合な人物を狙い撃ちすることができてしまうわけです。この点は戦前の治安維持法と変わりません。ちなみに治安維持法の逮捕者第1号は仲間内でヨタ飛ばし合ってた大学生達で、冤罪だったけど取り調べ中に拷問死だそうで、これリベラル陣営から見れば逮捕上等、逮捕は名誉と考えるべきでしょう。歴史に名を遺すチャンスです^_^;。てことで共謀したいんだけど、1人じゃできない。仲間がいない。

******急募!一緒に共謀する仲間!******
価値観を逆転させれば怖くはありません。ヤクザかい!てことでヨタ飛ばし続けます^_^;。

先週末愛知県の東名高速で事故がありました。

バスに車衝突、45人けが 運転の男性死亡 愛知の東名高速  :日本経済新聞
北朝鮮の脅威が言われ、各地でミサイル防空訓練が行われたというニュースと並べると、現実的には空飛ぶクルマの方が怖いよなと。そもそもミサイル飛んできたは数分のうちに着弾してしまうから意味ねー。続報では反対車線を走っていた乗用車が左側ガードレールに接触してコントロールを失い、右へ寄って中央分離帯の法面に乗り上げてジャンプしたそうですが、時速100㎞程度ということで、道路構造の欠陥も指摘されてます。

一方ぶつけられた観光バスの方は、バスドライバーが咄嗟に左に避けてエンジンブレーキで減速しながら左側のガードレールや側壁に接触させて安全に停止させ、その冷静な対応に賞賛が寄せられています。また観光バス事業者の東神観光バスは安全性の高い新車を導入しており、軽井沢のツアーバス事故では車体強度に問題のある中古バスだったこともあって、この面でも賞賛されてますが、いや待て、そもそも空飛ぶクルマのガードレール接触が事故原因だったわけで、同じガードレール接触で車の挙動がここまで違うってことは指摘しておきます。

種明かしすれば車両重量の問題でして、乗員1名の乗用車の重量は1t前後に対して、フル装備の大型観光バスで定員乗車なら20t近くになります。これだけ重量が違えば運動エネルギーの量も大違い、大型観光バスを安全に停止できる側方ガードレールも乗用車には強すぎて弾みでコントロールを失うことはあり得るということですね。もちろん入射角の問題や乗用車のドライバーの心身喪失の可能性など、報道ではわからない問題もありますが、道路構造に注目すれば、問題点は見えてきます。1t未満の軽から40tの大型トレーラーまで同じ道路を通行するわけですから、安全対策に根源的な不可能性があるわけです。

中央分離帯や側方ガードレールの設計は大型車の重量を受け止めて衝撃を分散しなが安全に停止させることを狙っているわけで、乗用車にとっての最適設計ではないことは確かです。中央分離帯も大型車が突破できないようにタイトな法面を採用すれば、軽量な乗用車にとってはジャンプ台になりかねないわけです。道路の混合交通故の矛盾ですが、そもそも高速道路は大型車を想定した作りであって、乗用車で利用するときにはドライバーがリスクを意識して自衛するぐらいしか対策はなさそうです。余談ですが、都内の高速道路整備で東名より先に中央道が着手され、しかも分岐線である富士五湖線が優先されたのは、治安対策で山梨の陸自基地から戦車を速やかに都内へ向かわせるためとか。時あたかも新左翼運動が盛んな60年代後半でした。

大型車と小型車をゾーニングで棲み分けられない限りついて回る問題ですが、首都高で湾岸線の大型車ETC割引で利用を誘導しているぐらいです。外環道や圏央道が整備されたときに、大型車の環状ルートへの誘導策は考えられますが、厳格な分離は困難です。

てなタイミングで日経ビジネスが「「空飛ぶクルマ」の衝撃」という特集組んだのが何というか^_^;、道路を走る限り渋滞を避けられない中で、「空を飛ぶ」という発想そのものは突飛とは言い切れないにしても、クルマの未来に見えるある種のカオスを感じます。中身は玉石混交で、さまざまなアプローチがありますが、プレイヤーがアマゾンやウーバーのようなIT企業にトヨタ自動車、航空機のエアバスまであり、ドローンの大型版や1-2人乗りのパーソナルプレーンなど、方向性も定まっていません。

空は飛ばないまでも自動運転は実用化を射程に入れており、未来の自動車産業の激変を示唆するのですが、上記のような現実の事故を目の当たりにして、ここに自動運転車が加わることに関してどう考えるべきか、今のうちに考えておくべき問題があります。既に自動運転車としてレベル2と定義される高速道路で車線キープと車間距離を保った自動追尾は市販車レベルで実用化されてますし、これに車間通信を組み合わせて衝突を回避しながら車間を保って運行する技術なども実用化目前ながら、いずれもドライバーが乗って緊急時の危険回避を行う仕様で、今回のような事故を防げるのかというと、むしろヒューマンエラーを誘発する可能性もあり問題を複雑にします。

その先の完全自動運転は事故時の責任分担の問題が絡み、現状では不可能となります。実際大型車に偏った日本の高速道路の安全対策を前提とすれば、事実上完全自動運転は無理です。本気で実用化を考えるならば、エリアを限定して速度を抑制した形で交通システムとして導入するというアプローチになると考えられます。実際グーグル改めアルファベットの自動運転車開発会社ウェイモが2座の小型自動運転車を米カリフォルニア州フェニックスで実証実験してますが、日本でもウーバーのシステムで自家用車有償運行を行う京丹後市など、まずは公共交通が維持困難な地方の特定エリアで試験導入が現実的でしょう。

京丹後市では道路運送法78条の自家用自動車の有償運行の特例で認可されたんですが、そのために営業車に準じた事故補償を求められてボランティアのドライバーに高額の保険加入が義務付けられており、元が取れる状況にないこともあり、ドライバーのなり手の確保が難しい現実があります。未来志向で特区制度を活用するというならば、ウェイものシステムを導入した方が良かったんじゃないでしょうか。加えて鉄道貨物の強化で高速道路の大型車を減らしすということも考えて、貨物鉄道と競合するルートを小型車向けにゾーニングというアプローチも考えられます。

第2次安倍政権の成長戦略の目玉とされる国家戦略特区ですが、今治の加計学園獣医学科問題にとどまらず、どこに未来志向があるのか疑問です。仮に獣医師が足りないとしても、既存の獣医学科の定員増で対応できれば初期投資分の負担が軽減されるわけで、敢えて新設の大学で行う理由は明らかではありません。しかも獣医学科新設に意欲を見せた京都産業大学は却下したうえで、空白地帯に限るという事実上再申請を封じる決定までされているわけですから、加計学園への便宜供与が疑われても仕方ありません。

てなわけで、共謀しようぜwwwwwwww。

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Sunday, June 04, 2017

ハケンからシュケンへ

トランプ大統領のパリ協定離脱が波紋を呼んでいます。

パリ協定離脱を正式表明「米国に不利益」  :日本経済新聞
離脱といっても手続き上は4年間は離脱できない仕組みですが、パリ協定自体が参加国が自主目標を持ち寄って相互検証などの国際ルールを決めるっていうユルユルな枠組みですから、実質的にはオバマ大統領時代に約束した緑の気候基金への30億ドル拠出の中止と国際会議への不参加ってことで、TPPと違ってパリ協定自体が漂流することはなさそうです。

この辺過去エントリーで繰り返し述べてきたことですが、トランプ大統領の政策は、ザックリ言えばアメリカが覇権国家から降りて強い主権国家になるというコンテクストの話であって、この観点から見れば、何の意外性もないニュースです。資金の拠出や国際会議への参加などの法的義務は負わないということですね。加えて大統領選当時から反オバマ政権の主張を繰り返して当選したわけですから、オバマ大統領のレガシーの否定に意図的に舵を切ったという意味でもあります。どのみち予想されたことです。

ただ日本にとってはちょっと痛いところがあります。京都議定書でも子ブッシュ大統領の離脱があって、危機感を抱いた欧州が、それまでとかく対立しがちだった日本に譲歩して森林のCO2吸収を認め、森林認証の仕組みなどを決めたことです。ある意味日本は漁夫の利を得て実際2008-2013年の実績でマイナス6%の目標を達成しています。それでもポスト京都の枠組みが決まらず期間延長が濃厚になると、震災による原発停止を口実に離脱した訳で、その結果ロシアなどの追随もあり、欧州主導で機能していた排出権売買市場を枯らしてしまうなどして不信を買いました。

パリ協定でも米中両国の積極姿勢と裏腹に様子見を決め込んで出遅れた上に、今回の米離脱宣言で、石炭火力と原子力に頼る日本のエネルギー政策をアメリカが援護射撃する構図は見込めなくなりました。加えて今回はBrexitの影響で揺れる欧州で、ドイツのメルケル首相が敢えて米英を頼れないという発言でEUの求心力を高める意図を明らかにしております。中国インドその他途上国も含めた枠組みですから、仮に日本が抜けても大勢に影響なし。日本のプレゼンスは下がりっぱなしです。

アメリカにしてみればシェール革命で資源国の側面が強くなっており、自国第一で考えれば敢えて国際協調は必要ないって点も見逃せません。トランプ流最強の主権国家の枠組みってことですね。シリアや北朝鮮の問題も、シリアにトマホークを打ち込んだのは直積反撃する能力がないからで、北朝鮮への圧力も意図してはいますが、反撃能力があるかもしれない、少なくともそれを目指してミサイル開発を続ける北朝鮮への直接攻撃は避けたわけです。トランプ大統領自身「同盟国への重大な脅威」とコメントし、対北朝鮮では戦争当時国なのに当事者意識は皆無。寧ろ日本政府が焚きつけた面もあります。

中東でも似た構図があって、G7へ向かう中で立ち寄った中東ではサウジアラビアと急接近して反イランの立場を鮮明にしています。おそらく米国内のシェール産業との協調がこれから始まるでしょう。技術革新でコスト競争力をつけたシェールオイルですが、ここへきて米国内の雇用がタイトになってコストアップに転じてきているので、原油価格上昇を狙ってOPECとの協調はリアルに可能性があります。その文脈で言えばロシアとの和解は既定路線ってことになりますが。自由貿易を標榜してきたアメリカが石油カルテルに参加って、時代は変わったな。アメリカが消費国から資源国へシフトってことは、消費国である日本のアメリカ追随は国益的にはマイナスです。

そんな四面楚歌の中、国内では森加計問題がくすぶっています。世界史的な地政学的大変動期にあって、日本政府の絶望的な頭の悪さには眩暈がします。てなわけで、この話題。

「今回はプロセスに問題」 前川前次官インタビュー  :日本経済新聞
規制緩和は結構なんですが、意思決定のプロセスの透明性が問題です。前川氏が言うように、獣医学科の新設を必要とする農水省のデータは示されず、首相案件として進められた実態が語られてます。そもそも獣医学科は設置校でも定員60名が最大で、全国合計でも1,000名程度のところに、160名定員の獣医学科新設の申請ですから、需要面の根拠が示されないままの申請はあり得ません。

これ法の支配を標榜して法曹人口を増やすという名目で始まった法科大学院と構図が似ています。結果どうなったかと言えば、法科大学院新設の申請が殺到し、実際始まってみれば力量のある教員の確保がままならず、対応する新司法試験で合格率が低迷し、合格ラインを下げるという議論に対して各地の弁護士会から反丹が相次ぎました。そりゃそうです。数を充足させるために質を担保しないというのは本末転倒です。結局華々しくスタートした法科大学院も学生が集まらず廃止が相次ぐ事態となりました。

その意味でj地場で畜産が盛んなわけでもない今治に160名定員の獣医学科設置は普通に考えて無理です。大学誘致を望んでいる今治市にしても、卒業生が地元に留まらない学科の新設は定住人口の増加にもつながりません。加えて獣医師は医師のように大病院の勤務医でとりあえず実務に就けるわけでもなく、個人で開業もハードルが高いなど、受け皿もない。一応輸出競争力のある畜産のためというお題目のようですが、実際日本では畜産業は廃業オンパレードで規模の縮小が続いている状況で、関税の縮小撤廃で劣勢にあるのが現実です。少なくとも獣医師が足りないから輸出競争力が高まらないってのは、論理的につながらないですよね。

また特区制度の問題もいろいろあるんですが、元々小泉政権で始まった構造改革特区の精度は、地域の特徴を引き出して地方の自立を促す意味で、全国一律の規制が邪魔になるなら、地域限定で規制緩和しましょうという制度で、狙いとしては地域限定の一国二制度状況を作って規制改革につなげようということだったようですが、そのための検証を厳格に行えば、規制が原因で成長できないという事例はさほど多くないので、結局規制改革につながる事例は殆どないのが現実です。

てことで、政府主導でトップダウンの形で進める国家戦略特区制度が第2次安倍政権で始まったんですが、実は加計学園の獣医学科新設問題は構造改革特区時代に何度も申請され、検討段階で却下が続いた案件でした。それが安倍政権になって急転直下前進したわけですから、これを正当とするなら、よほど納得感のある説明が必要ですが、政府からはむしろ内部通報者となった前川前文科省次官の個人攻撃を公然とやってます。文科省天下り斡旋問題での引責辞任だったこともあり、私怨による仕返しと取ったようです。

また出会い系バー通いが読売新聞と週刊新潮で報道されましたが、前川氏に助けられたという女性の証言が週刊文集に載るなどしています。読売や新潮の報道はおそらく官邸のリークでしょうけど、それを裏も取らずに貴人してしまうメディアの無節操ぶりに呆れます。加えて個人的なことが報道される怖さというか、官僚の弱みを握るための身体検査の結果でしょうけど、共謀罪が成立すれば対象は一般国民に拡大します。頭悪い癖に悪知恵だけは長けているわけです。

規制と経済成長との関係は単純ではないってのは度々取り上げておりますが、こんな過去エントリーが参考になります。

特区の昔の24時間
百鬼夜行の公共性
ミザリーハロウイン
これ政府の規制改革会議で公共交通の終夜運行が提案され、それを受けて当時の猪瀬都知事が渋谷駅―六本木間で終夜運行を開始したものの、都知事選のときに徳洲会から5,000億円の資金供与を受けて政治資金収支報告主へ記載しなかったという疑惑で辞任し、後任の舛添都知事によって都営バスの終夜運行が止められました。公選の行政長が前任者を否定したがるのはトランプ大統領と共通です。

皮肉なことに運行最終日はハロウインで仮装した一般客が殺到して時ならぬ混雑になりました。これつまりスタートは政府の規制改革会議だったわけですが、別に日本の法律で終夜運行は規制されているわけではなく、単純に収支に合うだけの需要がなかったってのが結論です。もちろん多少の赤字ならアジェンダ実現のためのコストと割り切ることは可能ですが、その際に問われる公共性の説明ができていなかったから、都知事の交代であっさり葬り去られたわけです。

この辺既視感ありますが、例えば川崎市の市営地下鉄構想と、それに連動した京急大師線の地下化が市長の後退でとん挫したのですが、旧いすゞ自動車工場跡地を中心に先端産業集積地として再開発が進む殿町プロジェクトとの関連で、産業道路の踏切解消のために末端区間だけの地下化工事が進捗してます。加えて一旦沙汰止みになった羽田空港神奈川口計画の橋建設工事が始まっていて、環八から国際線ターミナルへの分岐付近に接着する予定ですが、アジェンダが曖昧なために時間を浪費した事例です。宇都宮市のLRT計画にも同じ匂いがするのは気のせいかな?

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Saturday, May 06, 2017

こどもの日本

北朝鮮のミサイル発射で始まった今年のゴールデンウイークですが、東京メトロの運行見合わせが議論を呼んでいます。報道によれば北朝鮮情勢の緊迫化で4月中旬にミサイル発射の情報があった場合に運行を止めると決めたばかりで、当日テレビニュースを受けて全列車に最寄り駅で運行停止を指令し、その後着弾の事実がないということで運行再開し10分ほどの運行停止でした。そのほかメトロからの連絡で東武鉄道も同様に運行停止したほか、JR西日本が北陸新幹線で一部列車を止めたものの、JR東日本やJR東海は特段の対応はとらなかったということで判断が分かれました。

結果的に過剰反応だったわけで、東京メトロでは、以後Jアラート受信の場合のみの対応とすることを決めています。東京メトロにしてみれば、ミサイル着弾で地上の人が地下鉄駅へ避難すればパニックもあって危険ということで危険回避のためではあるのですが、テレビニュースでの判断は早計だったことを認めた形です。それ以前に冷戦時代に核戦争を想定して地下深くにトンネルを掘り、広い地下空間を確保している東側諸国の地下鉄と日本の地下鉄や地下街とは設計思想が別物なんで、ミサイル飛んできたら地下へ逃げろとか危機感を煽った日本政府が悪いんですけどね。

余談ですが2回続けての北朝鮮のミサイル発射失敗には、2通りの解釈がありまして、1つはアメリカの情報当局が既に北朝鮮のミサイルシステムにマルウエアを仕込んで遠隔操作で失敗させたというもので、もう1つは韓国配備のTHAADなどのミサイル迎撃システムの穴探しのために北朝鮮側がわざと失敗させたというもの。いずれにしても直接日本を狙ったものではないわけで、日本政府の過剰反応は異常です。THAADに関してはコスト負担を巡って米韓で摩擦がある一方、中国を刺激して対韓経済制裁で韓国経済を圧迫していることもあり、北朝鮮を刺激するアメリカに物言える大統領をということで、革新派の文氏支持が拡大している状況で、日本より遥かに冷静です。

別に東京メトロの肩を持つ気はありませんが、首都圏という人口ボリュームゾーンの事業者故の判断という意味では、混乱回避のバイアスはやむを得ないところかもしれません。何しろ東京の満員電車は世界的に知られていて訪日外国人の体験乗車で混雑は飛んで来る状況なんですから^_^;。

5月1日にはJR東日本の豪華クルーズ列車トランスイート四季島の一番列車が上野駅13番線から出発しましたが、13番線は乗客と報道関係者以外は立ち入り禁止で所謂撮り鉄がネットで不満を言えば撮り鉄が悪いの大合唱。クルーズ列車自体はJR九州のななつぼしの成功でJR東日本とJR西日本が追随したとされますが、JR東日本は定期運行を廃止したカシオペアによるツアーや寝台特急あけぼののリバイバル運行などである程度実績があります。

またこの手のクルーズ列車運行はななつぼしもそうですけど。自社沿線の観光活性化が一番の狙いで、観光業の活性化策として富裕層の掘り起こしによるシャワー効果というのはセオリー通りではあります。大人の富裕層がリピーターとなることで一般客が憧れるという構図です。その意味で憧れを拡散するギャラリーの存在は重要なんですが、九州フランチャイズのななつぼしと違って人口ボリュームゾーンの首都圏では、ギャラリーの数が多すぎるから規制せざるを得ないというわけで、クルーズ列車のビジネスモデルはJR東日本にとって最適解だったのだろうかという疑問もあります。例えば若桜鉄道のSL運行のように、過疎地のローカル線で撮り鉄向けのお立ち台を有料提供するアイデアは、首都圏を抱えるJR東日本では難しいわけで、鉄道事業者は立地条件を選べない以上、所与の立地条件の中でビジネスを最適化させるしかないということは言えます。

とはいえ鉄道屋にとっては豪華クルーズ列車ってのは夢でもあるでしょう。トランスイート四季島は10連のEDCで交直流しかも青函区間のAC25kv対応プラス非電化区間用に発電用ディーゼルエンジンまで搭載し、保安装置もATS-P、ATS-Sn、青函ATCまで搭載している一方、寝台やヒノキ風呂などの車内設備も乗っかるわけですから、E5系より重い軸重16tという代物で、一点ものの豪華クルーズトレインでなければあり得ないスペックでもあります。この辺ローカル線向けのリゾートトレインがハイブリッド化されてその技術が仙石東北ラインのHB-E210系に活かされるといったことにはならないわけで、ある意味採算度外視だからできるチャレンジでもあります。JR東日本の規模から言えば許容範囲の道楽という側面も。

その意味ではJR東日本のレゾンデートルと言える次世代通勤車のE235系がやっと量産開始となりましたが、ここに至るまでトラブル続きで、慎重なテストランを繰り返してやっと量産にこぎつけたわけですが、JR東日本のコアコンピタンスとしての大量輸送だからこそ、小さなトラブルも潰しておく必要があります。四季島のような道楽は許されないわけですね。E235系のトラブルも、物見高い首都圏の鉄ちゃんがダメ出ししたとも言えますが^_^;。

てなわけで、生産年齢人口の減少が止まらない日本ですが、だからといって少子化対策ってのは短絡的です。なぜならば万が一出生率が上がって子どもが増えても、労働力化するには凡そ20年のタイムラグがあり、従属人口が増えて現役世代の負担を増すだけだからです。そのせいか急激に教育無償化の機運が高まっているようで、憲法の議論にも飛び火しています。

憲法施行から70年(4)維新、教育テコに首相に加勢 自民と水面下で連携着々 :日本経済新聞
そもそも憲法で教育無償化は禁止事項ではありませんから、憲法改正は無意味です。実際民主党政権で高校無償化は実現しましたが、第2次安倍政権で廃止されました。制約条件は憲法より財源なんですが、財源については建設国債に準じた教育国債の発行が言われておりますが、これ教育を受けた世代が現役世代になってから返済するって意味ですから、現在の現役世代の負担を将来世代にトバすだけの意味しかありません。

一部で相続税の強化も言われてますが、既に民主党政権で強化された結果、大都市圏の親の住宅が評価額から相続税対象となり、改正前はほぼ富裕層限定だった相続税が実質庶民税になった現実がありますが、これがさらに課税強化されれば、遺産相続そのものがほぼ不可能になる一方、富裕層は法人登記して会社を作って資産を委譲し、代表者を世襲することで負担を逃れることができます。結局庶民を食い物にするだけです。政治資金も相続税の対象外ですから、政治家の懐も痛みません。

加えて小泉進次郎議員を中心に自民党若手で議論されている子ども保険ですが、介護保険同様の社会保険制度を作って年金受給者を含む国民全員で広く薄く負担ということですが、待ってほしい。扶養控除の廃止で財源をねん出してスタートした子ども手当が、民主から自公への政権移行のドサクサで減額された上に所得制限付きの児童手当となり、これだけでも実質増税ですが、それに加えて保険料負担ですから、上乗せの増税負担でしかありません。結局負担は国民付け回す子ども騙しです。寧ろ逆進性のある社会保険料負担の緩和のために給付t気税額控除の導入の方が現役世代の負担緩和には効果的です。

安倍政権はこの手のレトリックを多用してあからさまに国民を騙そうとしているわけですが、騙しの手口は経済でも同様です。

日本経済、5期連続プラス成長へ アジア輸出けん引  :日本経済新聞
これ2015年度末の今年1-3月期からGDPの推計方法が変更されて、従来費用に計上されていた研究開発費を投資に計上するようになり、統計の連続性を担保するために遡って数値が改訂されたんですが、その結果改定前はゼロ前後でデコボコだったGDPの数値が、趨勢的に増え続けている研究開発費が乗っかって書き換えられた結果、数値上は5期連続のプラス成長になったわけで、経済実態は変わっていません。経済専門紙である日経は百も承知でこんな記事を載せるんですから、確信犯の政権広報紙ですね。てことで、こどもの日に思う、大人になろうぜ。

p.s.教育無償化の憲法改正はひょっとしたら教育への政治介入の口実になると考えているかもしれません。つまり日本全国みんな森友学園とか。とすれば森友問題をいい加減に終わらせるとまずいですね。

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Sunday, April 02, 2017

JR30周年で国鉄は遠く

JR30周年となったわけですが、つまり国鉄を知らない世代が既に社会人になっているというわけで、そもそも国鉄改革とは何だったのかを知らない人が増えているということでもあります。しかもその30年はスタートがバブル期に重なって好調だった一方、バブル崩壊後の経済停滞で社会はすっかり様変わりしておりますが、上場を果たした本州3社とJR九州に対して、JR北海道は存続の危機とも言える状況に直面しており、JR四国も時間の問題という現状です。

その一方でJR貨物の黒字化で上場が視野に入るという、なんともわかりにくい状況ですが、JR発足以後の日本経済の激変を考えれば、これまでの30年の延長上に未来は描けないのはある意味自明です。加えて言えばバブル期以降の日本を特徴づけるのは低金利ってことです。これ上場して資金調達力を増した本州3社にとっては追い風の一方、経営安定基金の運用益で赤字穴埋めという枠組みの三島会社にとっては逆風になるわけで、その中でJR九州だけが上場にこぎつけた最大の理由は、JR発足後に完成し引き渡された青函トンネルと瀬戸大橋を抱えるJR北海道とJR四国に対して、追加的な負債が発生しなかったってこともあります。

リース料負担のある整備新幹線としての九州新幹線も、経営安定基金取り崩しで一括支払いしており、短期的な負担が北海道や四国より軽いことが指摘できます。ただし長崎ルートは需要面からもお荷物になる可能性があります。加えて経営安定基金の残りで上場前の減損処理で資産圧縮してますから、今後の鉄道事業の設備投資の原資は細くなっており、人口減少でJR北海道と同じ問題はJR九州でも起こり得ます。

本州3社についてもそれぞれリスクを抱えています。業績好調でリニア建設に入れ込むJR東海は、そのリニアがリスク要因です。過去にも何度の指摘しておりますが、リニア単体では赤字の投資であり、しかも人口減少で人手不足が顕在化する中で、労働需給による事業費の上振れは避けられないところですし、加えて南アルプスを青函トンネルより長い長大トンネルで抜ける難工事です。トンネル工事で地下水脈にぶち当たれば国鉄時代の上越新幹線中山トンネルや福岡市営地下鉄七隈線のような水没事故も起こりかねません。

JR東日本や西日本にとっても人口減少による地方線区の維持の困難さは今後も拡大するでしょう。JR東日本では仙石線や常磐線のほか、水害で橋梁が流された只見線や土砂崩れの山田線など災害復旧で課題を抱えています。JR東海の名松線の復旧とJR可部線の廃止区間の一部復活などはありますが、前者は三重県と津市の治山治水事業の進捗に合わせての復活ですし、後者は市街化が進んでいたものの、廃止時点で非電化だったために、電化工事までして残す選択肢は事実上なかったわけで、住民運動が広島市を動かし、それに呼応して鉄道用地の原状回復や売却を留まったJR西日本の間で建設的な対話が実現したことによります。その意味で窮地に立つJR北海道に対する道庁や関連自治体の対応はちょっと残念です。

それでもJR北海道に関しては、JR九州が先鞭をつけた経営安定9基金取り崩しという奥の手は残っています。ただし使途は重要で、要員不足で保守が困難な状況を脱するには、省力化投資が欠かせませんが、JR北海道の経営力強化の意味で、現状の鉄路をそっくり残すことはあきらめるしかないでしょう。具体的には保守負担の大きいディーゼル車を減らすための電化と、保守負担を減らすための軌道強化などですが、JR北海道が自前で残す区間に限定すべきでしょう。そうすれば経営安定基金を取り崩しても償却資産が増える分、キャッシュフローの改善につながりますから、JR九州の新幹線リース料一括支払いより筋の良い取り崩し方になります。JR九州で認めた以上認めないわけにはいきますまい。とすれば石勝線・根室本線の南千歳―帯広間が電化されて、保守が容易な電気車両への置き換えが進むことになります。そしてこの手は将来JR四国の経営が行き詰ったときにも使える手でもあります。

で、残りの区間に関しては自治体出資で線路保有を肩代わりするか、受け皿三セクへの譲渡とするか、あるいは地元バス事業者を巻き込んだバス転換かといった対策を路線や区間毎に自治体と話し合って決めていくしかないでしょう。受け皿三セクに関しては、輸送量次第で肥薩オレンジ鉄道のようにJR貨物の出資もあり得ます。宗谷本線に関してはロシア政府が興味を持つかもwwwww。いずれにしても自治体の対応次第です。名松線も可部線も自治体が動いて復活を果たしたわけですから。逆に自治体との協議を重ね社会実験までして廃止止む無しとなった三江線の例も珍しいものとは言えなくなるでしょう。

ま、いずれにしても人口減少の影響は今は好調な本州3社も安泰ではないわけで、北陸新幹線に入れ込むJR西日本は正直大丈夫か?とも思います。この点は」JR東日本が絡む整備新幹線計画がほぼ完成し、JR東日本のとっては成長分野となったのとは異なります。元々JR東日本も整備新幹線区間単体よりも、既存区間である根本部分の需要増が狙いだったわけで、わざわざ線路を曲げてまで小浜、京田辺経由で新幹線を作るのは意味不明です。加えてJR西日本には新たなリスクの種も。

なにわ筋線30年開通 JR・南海運行、新駅以北は阪急交え協議  :日本経済新聞
なにわ筋線に関しては、大阪維新の目玉政策としての関西空港重視の文脈で、関西財界も乗り気なようですが、今回は阪急も事業参加を申し出て、よくわからない状況になっております。

元々阪急はなにわ筋連絡線構想として十三―梅田北新駅間の路線構想を持っておりましたし、古くから新大阪連絡線として淡路―新大阪―十三間と新大阪―神崎川間の免許を取得し、新大阪駅隣接地に駅用地としてとちをしゅとくしていて、高速バスターミナルや路線バス操車場として使ってたわけですが、紆余曲折を経て十三―新大阪間を除いて免許失効しており、十三―新大阪間も、四つ橋線の十三延伸線と相互直通が計画されていましたが、大阪市営地下鉄の民営化が決まって民営化後に負担となる追加投資が頓挫したことが影響しているようです。てことで大阪部、。大阪市、JR西日本、南海電気鉄道に加えて阪急電鉄も加わる五者協議が始まるそうですが、元々JRと南海の呉越同舟に加えて唯我独尊の阪急が加わるとなると、協議がすんなり進むとは考えにくいところです。

なにわ筋線に関しては、中之島で連絡する京阪電気鉄道も期待しているようです。肝心の大阪維新ですが森友学園問題でもちぐはぐな対応が見られますし、四つ橋線延伸計画を反故にするなど本気度には疑問符が付きます。とはいえJR西日本の単独事業とするには投資額が大きいわけで、新幹線のみならず、コアコンピタンスと見做せる関西アーバンネットワークでの私鉄との相乗りは、JR西日本の難しい立ち位置を示しているとも言えます。

てことで、めでたいようなめでたくないようなJR30周年ではあります。

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Saturday, January 07, 2017

タックス・ウォーが始まる

トランプ劇場は年を越えて続いておりますが、就任前からこれほど楽しませてくれる、もとい^_^;話題の多い米大統領は稀有の存在です。ま、歳も改まりましたし、今年の展墓ぷらしきことを書いとくか。まずはこれ。

初夢トランプ占い(5)税制 法人税下げ競争 再燃 規制緩和は国内優先か :日本経済新聞
天下の日経新聞が良くもこんな恥ずかしい記事を載せるなあ。トランプ税制に関して幾つか断片的な情報は耳に入りますが、それを理解してイメージを構成する力量が日経に記者にはないようです。簡単に言えば予告されている法人税減税の中身が、単なる税率下げではないってことです。いやこれアメリカに限らず、欧州やアジアで法人税減税を競い合うような状況はあるんですが、自国の税収を減らすことが簡単にできないことぐらいわかりそうなもの。税収中立の原則に従って税制そのものを見直しているんですが、日経を含め日本のメディアではその部分がすっぽり抜けていて、税率だけを比べるような表層的な報道ばかりです。

アメリカでも直近の歴代政権はほぼ例外なく法人税減税の論点整理をしており、子ブッシュ政権時代にはスウェーデンなどの法人付加価値税まで俎上に載せられましたが、主に議会のねじれがあり、また保守、リベラルを問わず議員がロビー活動に晒される中、結局実現しませんでした。しかし論点の掘り下げ作業そのものは行われているので、トランプ氏のようなぽっと出の大統領でもまともなプランをまとめられるし、議会を説得できれば実現可能性はそれなりにあります。幸いというか、大統領選と同時に行われた議会選挙で共和党が上下両院で過半数を占めており、加えて中身次第で民主党議員の賛同も得られる可能性のあるプランならば議会を通る公算はあります。

で、トランプ氏のこれまでの主張から敷衍して、トランプ氏が狙うのは国内産業の復活であって、ある意味わかりやすいですし、加えてアップルやスターバックスで問題になったアメリカ企業の租税回避策をやめさせることです。ブッシュ政権時代の対テロ戦争で資金源を断つ目的で規制強化して、例えばマカオのバンコ・デルタ・アジアの北朝鮮関連の預金を封鎖して金正日政権に打撃を与えたりしたわけですが、その流れでマネーロンダリングの拠点としてのタックスヘイブンの金融機関にアメリカ国籍の個人と企業の口座情報開示を迫り、見える化されたことで、アップルやスタバの租税回避まで明るみに出たわけです。あと例のパナマ文書のリークですが、これがいろいろ謎な部分がありまして、中国接近を狙うイギリスへの牽制のほか、プーチンや習近平の身内や知人、アイスランドの現職首相などの個人名が晒されましたが、いずれも当時のオバマ政権と対立したり意に添わなかったりする人物ばかりというところに政治的な意図が見え隠れします。ただしこれが英国民にBrexitを決断させた可能性もありますが。

てなドロドロの状況で、漏れ聞こえるトランプ税制では、法人税率が35%から20%になるとか、キャッシュフロー課税になるとか、輸出分の売り上げを除外できるとか、逆に輸入は海外現地法人が立地国に支払った税金の還付を認めないとか、いずれも断片情報としては聞こえてきます。はっきり申し上げますが、この程度の断片情報からトランプ税制の枠組みを再構成することは、アメリカを含む世界で進む税制に関する議論をフォローできていれば可能です。上記の日経記事が恥ずかしいというのはそういう意味です。

法人税率を下げるために課税ベースの拡大は世界の常識で、日本でも民主党政権時代に、虫食い状に課税ベースを蝕んでいる租税特措法減税の見直しが議論されましたが、当時の経団連とメディアが叩いて阻止されました。租税特措法減税は例えば設備投資減税にしろ研究開発減税にしろ、企業の申告によっていますから、実態が見えにくく、当局も当該企業も国民の批判に晒されることのない聖域だったわけですが、そこを踏んだ民主党政権がバッシングされたわけです。しかし世界の常識とはかけ離れた話です。加えて法人減税は海外からの投資を呼び込む意図もあるわけで、その意味では日本のように租税特措法で当局と阿吽の呼吸が取れる国内企業に有利な仕組みの見直しは避けて通れません。

でトランプ税制で法人税率を20%に下げるのも、課税ベースの拡大によって行われるわけですが、その際にキャッシュフロー課税が導入されるんじゃないかという観測がされてます。これ簡単に言えば減価償却による無税の資金留保は認めない代わりにキャッシュアウトを伴う設備投資は奨励されるから、設備投資が活性化して国内産業の復活を後押しするというわけです。

あと輸出の売上計上除外は事実上輸出分の法人税減免になり、日本の消費税に相当する付加価値課税がなく輸出還付金がないアメリカにとっては、言ってみれば貿易のイコールフッテイング税制となるわけで、高関税を課せばWTOに提訴されて敗ける可能性もあり、現実的には難しいですが、国内税制を弄って同等の効果を狙うのはあり得ます。仮にこれがWTOに提訴されても、そのときは付加価値税の輸出還付を行っている国を逆提訴して対抗するつもりでしょう。当然日本も対象になります。

そして輸入課税ですが、これアップルやスタバなど海外で資金留保している多くの米多国籍企業にとっては、海外生産を見直さざるを得なくなる上、米連邦政府にとっても、莫大な税収増をもたらす可能性があります。これを原資に老朽化が進むインフラ投資を積極化するというシナリオにリアリティが出てくるわけです。そんな背景を日本のパワーエリート達は理解できているのでしょうか。

トランプ氏介入、トヨタにも メキシコ投資に「あり得ない!」  :日本経済新聞
これ日本財界の賀詞交歓会でトランプ景気でイケイケムードの中、豊田章男社長がそれでもメキシコ工場への投資は予定通り行うと述べた直後のツイートだったってこともあり、一転財界人を慌てさせたようですが、上記の背景が見えていれば、フォードがメキシコへの工場移転を撤回した理由と共に、違った反応になったはずです。とりあえずトヨタはトランプ氏にアメリカ経済のメンバーと認められたとも取れ、ある意味メキシコに工場作ると損するぞという忠告と受け取ることも可能です。「メキシコに工場を作っても米国内の雇用は減らない」といった反論をしてますが、トランプ氏はそんなこと聞いてないんで、アメリカ国内に投資を呼び込もうということです。ある意味そのための法人税減税でもあるわけです。はっきり申し上げて、日本以外のグローバルエリートにとって自明のことすら、日本のパワーエリート達は理解していないということがバレちゃったわけです。企業の租税回避は各国とも悩みの種だけど、こうして自国に税収を引っ張ろうとしている状況はあるわけで、これ恥ずかしいを通り越して日本の未来が危ないぞ。

ただ誤解のないように申し上げておきますが、私自身はトランプ支持でも何でもないですし、おそらくトランプ改革は失敗するんじゃないかと踏んでます。特にインフラ投資に関しては、既に完全雇用に近い現在のアメリカで、財政出動で公共工事を積み増しても、震災後の日本と同じように深刻な人手不足に見舞われるだけの可能性があります。ただしアメリカは従来移民受け入れで人手不足をクリアしてきたわけですから、移民排斥を公言するトランプ氏はわざわざそれを難しくしているわけです。公共事業拡大の必要性と難しさを示すこんな報道も。

NYで列車脱線、100人超負傷 大半が軽傷か  :日本経済新聞
NYメトロノース傘下のロングアイランド鉄道は昨年10月にも事故を起こしておりまして、しかも今回と似たようなターミナル駅での暴走事故で、日本のATSに相当する保安装置があれば防げた可能性がありますが、収益に結びつかないということで鉄道会社は投資に及び腰です。連邦政府の補助が必要ではないでしょうか。一方でこんな話題も。
「幻の地下鉄」に学ぶインフラ投資の試練  :日本経済新聞
100年前に構想されたNY地下鉄セカンド・アベニュー線ですが、大恐慌やww2で計画が中断。戦後も市財政の破綻で事業化が遅れに遅れてやっと2007年に着工されたものの、人手不足で工事はべた遅れ。クォモ市長が発破をかけて昼夜突貫工事の末、異例の元旦開業となり、試乗したニューヨーカーたちも驚きとともに喜びを分かち合ったということですが、これだけならいい話で終わりですが、既に人手不足は顕在化していて、今後公共事業の拡大の困難さを示してもいるわけで、喜びも半ばということになります。こんなことも踏まえながら、トランプのアメリカがどうなっていくか、興味は尽きません。

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Sunday, December 25, 2016

死ななきゃ治らないナントカ

クリスマスです。ハロウインのときのエントリーで指摘したように、日ロ首脳会談での領土交渉の進展はありませんでした。これロシア側からのサインが出てましたが、予備交渉の過程で引き渡し後の領土に米軍基地が置かれる可能性を問われて有り得るとした返答で態度を硬化したとされますが、ソビエト時代から言われていたことの確認に過ぎませんし、沖縄の普天間基地の移転先の辺野古の反対運動や北部訓練場変換に関連した高江ヘリパッドの建設強行に対する反対運動に対して、日本政府が強行している姿勢を見て、日本への主権の引き渡しは無理と判断されたというのが実際のところです。日ロ関係は日米関係に規定されるのが現実です。

加えて言えば択捉島へのミサイル配備問題ですが、これ地対艦ミサイルってところがミソです。つまり標的はあくまでもオホーツク海での外国軍用船の軍事行動をけん制するためで、ロシアの核戦略と関連します。ロシアは保有する核弾頭の数を保持しつつSLBMへの転換を発表しております。オホーツク海にはSLBM搭載原潜を潜ませており、その太平洋側の出口ということですね。これがあるからシリアでのロシア軍の軍事行動に対してアメリカも文句を言えないわけで、核抑止力を効かせながら局地戦を睨んだロシア軍の部隊編成の小規模化とも連動します。そして支援を得たシリア政府軍による反政府勢力の制圧は時間の問題というところまで来ています。正邪の判断を横に置けば、ロシア軍改革は大成功といえます。

あと鉄ちゃん的蛇足ですが、津軽海峡を国際海峡とするためにここだけ領海3カイリに設定しているのは津軽海峡を潜航航行するソビエトの核搭載原潜の通過を現実的に阻止できないことから便宜的にそうしているわけで、現在もロシア原潜の日本海から東シナ海への航路として機能させることが、海洋進出を進める中国へのけん制になるので、維持されています。青函トンネルは日本の鉄道で唯一施政権外エリアを通過する存在としての意味があるわけですが、有事の輸送路となるインフラのメンテナンスを経営不振なJR北海道へ丸投げってのも危ういところです。

こういうことが頭に入っていれば、今回の日ロ交渉で領土問題が1ミリも動かないのは自明というわけです。期待をにじませるメディア報道はおそらく官邸からのリークでしょうけど、逆に領土問題の解決困難を国民に印象付けたわけで、結果的に領土抜きの経済連携となりました。クリミア編入を巡る対ロ経済制裁を一部緩和した形ですが、全面解除ではないからロシアから見ても不満の残る結果であり、大盤振る舞いした割には成果の少ないものになりました。

誤解のないように申し上げますが、私自身はそれでも極東やシベリアの開発を巡る日ロの連携はやるべきだという立場です。できれば日ロ間のガスパイプラインや電力連携線の整備は、日本のエネルギー政策に革新をもたらします。是非やるべきです。むしろ今回のことで領土領土とうるさいめんどくさいウヨどもを黙らせることができれば成果あったと言えます。あれ、安倍政権褒めてるwwwwwww。

一方混迷を深める南スーダンを巡って異変が。

南スーダンへの武器禁輸決議案、安保理で否決  :日本経済新聞
南スーダン情勢の緊迫化で大量虐殺の可能性ありとする武器禁輸の安保理決議で中ロと共に日本が棄権に回り、8ヶ国の棄権で必要な得票数に届かず秘訣されました。アメリカからは棄権しないよう働きかけがあったにも関わらずですから、アメリカからは非難されてます。日本政府の言い分は武器禁輸で南スーダン政府を刺激する方が危険というロジックですが、自衛隊をPKO派遣しているからということですね。

しかしそもそもPKO法では戦闘地域への派遣は禁止事項ですし、現地情勢次第で撤退を決断しなければならない局面なのに、国連が派遣する文民を警護するという変な理屈で所謂駆け付け警護(意味不明な用語ですが)を新たな任務とするという逆の対応を取っています。同じくPKO部隊を派遣する中国に対するライバル心からか、既成事実の積み上げか意図は不明ですが、現地で起きているのは石油利権のイスラム勢力との分離を狙ってアメリカが後押しした謂わば傀儡政権の南スーダン政府の暴走の結果であり、アメリカの尻拭いを中国と共同で日本の自衛隊が担うって構図はどう考えてもおかしいわけで、頭壊れてないか?

この構図は欧米が関与した紛争の多くで見られるもので、ジョージア(グルジア)紛争といいウクライナ紛争といい、親欧米派の裏に米保守派議員やCIAの関与が指摘されてます。またアラブの春に乗じたリビアの反政府勢力への英仏の支援で結果的にカダフィ政権を排除し、シリアでも反政府勢力へのCIAによる支援はもはや公然の秘密で、資金や兵器がダーイシュ(イスラム国)に流れて混乱しているわけです。大量破壊兵器のウソが暴かれたイラク戦争もですが、こういうろくでもないことを繰り返してきた欧米流リベラリズムへの懐疑が、Brexitやトランプ大統領を生んだわけで、大手メディアによる反Brexitや反トランプキャンペーンもこの文脈で見ると読み解けます。加えて欧米諸国のこの手の工作は昨今必ずしもうまくいっていないことも。時代は確実に変わりつつあります。

あと原発関連でいくつかありますが、これを取り上げます。

三菱重工と原燃、アレバに出資で最終調整  :日本経済新聞
福一事故を受けて安全対策の強化が求められて原発事業の採算性が悪化した結果、こういう妙なことが起きます。儲からないからといってやめられない。確かに廃炉や廃棄物処分などでやめられちゃ困るんだけど、コスト面で原発が事業として成り立たなくなってきています。もんじゅの廃炉も決まりましたが、高速炉は廃棄物を減らせる可能性があるということで開発は続けるというのですが、日本が大量のプルトニウムを保有する理由がなくなるという方が大きいのでしょう。もう一つこれ。
東電の原子力事業、再編相手公募へ 経産省有識者会議が提言  :日本経済新聞
f福島の賠償と廃炉で青息吐息の東電と組むメリットはほぼ皆無です。天然ガスなどの燃料調達のために東電と合弁でJERAを設立した中部電力からして東電と組んだことを死ぬほど後悔してるってのに、公募で再編相手が見つかると考える有識者とやらの眠たい議論を続けるのは、東電を破綻処理しなかった結果です。あーうましか。

一方でこんなニュースも。

鉄道が送電会社になる日 電線そのまま活用  :日本経済新聞
実は以前、このエントリーでJRの直流送電網を利用した電力託送事業の可能性を指摘したことがあります。記事はえちぜん鉄道の事例で、沿線の過疎化で収益確保が困難なTローカル私鉄の新たな収益源としての取り組みですが、うまくいけば大手私鉄やJRへ波及することも期待できます。

背景として元々鉄道は負荷変動が大きいがゆえに、電力会社から嫌われ不利な契約条件を余儀なくされているのですが、加えて技術革新で回生ブレーキが常用されるようになり、古い饋電システムではむしろ負荷変動を助長することもあり、固定買い取り制度(FIT)でも鉄道の回生電力は除外されました。そんな中で大手私鉄は変電所にNAS電池やキャパシタなどの蓄電装置を置いて負荷の平準化をしたりしてますが、ローカル私鉄ではそういった設備投資も単独では難しい中で、送電事業で託送料徴収して収益源とすることでクリアしようということです。ささやかなチャレンジですが、直流送電の特徴を生かして直流発電となる太陽光の電力を受け入れるなどして量の確保ができれば、結構使えるビジネスモデルになります。

九電ショックで売り先を失った太陽光発電の受け皿となれば、萎んだ太陽光発電の再活性化の可能性もあります。そして大手やJRにまで波及すればですが、原発の廃炉費用を託送料へ上乗せしようという経産省と電力会社のゴマカシを阻止できる可能性もあります。加えて隠れたメリットも。

電力回生ブレーキでせっかく省エネを実現しても、それを活かせない現在の直流饋電システムですが、例えば3,000Vの高圧直流で饋電してDC-DCコンバータで降圧して架線に供給する直流版AT饋電のようなシステムが可能ならば、変電所の集約と複数の機電区分への電力供給によって、負荷変動自体を平準化するシステムの可能性です。設備の合理化メリットと共に、大電力故に制御が難しくエアーセクション事故のような饋電系トラブルが増えている首都圏のJRにおいて、防止策になるということが期待できるんじゃないかということです。饋電系トラブルの多いJR東日本がチャレンジしてくれないかな。

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Sunday, November 13, 2016

トランプ・ポリティカル・パートナーシップ

いや米大統領選面白かった。何が面白いって、米大手メディアはほとんどクリントン優勢と伝え、日本のメディアもほとんど追跡取材なしにそれをうのみにした結果、慌てているってところです。日本のメディアコントロール問題はある意味わかりやすく、政治的な圧力に対して忖度して勝手に自主規制するから、その辺が良く見えますが、アメリカは?というと、政権がどうこうよりもより大きなエスタブリッシュメントが黒子として存在しているってことですね。ある意味日本より巧妙ですが、今回その一端が見えたわけです。

具体的にはトランプ氏のトンデモ発言ばかりが露出していたり、特に10年以上前のセクハラスキャンダルをわざわざ掘り起こして報じるなど、最近日本でも目につくネットデマゴーグばりのことをNYTみたいな大手紙が報じるあたりに垣間見えます。加えて民主党議員のセクハラメール事件で押収したパソコンからクリントン氏の公式アカウントから発信された大量の私用メールが見つかってFBIが再捜査に乗り出したのに対して、報道では現れませんが、オバマ大統領二任命されたFBI長官におそらく圧力がかかって立件見送りとなった経緯など、日本みたいな-_-;展開が見られたあたり、ほんとアメリカかい?とさえ思いました。

てなわけですから、報道以上にトランプ氏の支持は広がっていると見てましたし、一方でバイアスのかかったメディア報道もありますから、どちらで決着するにせよ相当な接戦となると見ていたわけです。案の定有権者の得票数では勝っていたクリントン氏に対して、間接選挙の特殊なルールで獲得選挙人数でトランプ氏が勝利したわけです。正確には来月の選挙人投票で決まるわけで、不誠実な選挙人が心変わりするって可能性は皆無ではありませんが、そんな報道が出てくるぐらい不都合なトランプ氏の当選だったってことで、現実的には無いでしょう。

ま、ある意味アメリカ国民の本音が出たわけですが、前代未聞の候補者同士の誹謗中傷合戦の罵り合いも、意図的だったとしたら(私はそう思ってますが)トランプ氏の術中にはまったってことです。日本でも「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉劇場があったぢゃないですか。もう少し遡ればアメリカでもB級ハリウッドスターで泡沫候補と見做されていたロナルド・レーガンが現職のカーター大統領を破って政権の座についたことがあります。このとき政策スタッフとしてシカゴ大学経済学部を中心とする保守派の経済学者が関わって、それまでのケインズ主義的なマクロ経済運営を新自由主義的な方向へシフトしたわけです。トランプ大統領の出現はその意味でエポックメークな出来事となる可能性があります。

一言で言えばパクス・アメリカーナの終焉といいますか、アメリカが唯一の覇権国として国際社会を取り仕切る意思と能力を放棄するってことで、これからはアメリカの国益第一の本音の外交をするぞってことです。ですが、既にオバマ政権下でもシリア内戦への勘よに慎重だったり、南シナ海で中国と握って対立を演出したりしているわけで、外交面では今までとあまり変わらないと見るべきでしょう。TPPに関しても、とりあえず大統領選と同時に行われた議員選挙で共和党が多数派を維持したことから、オバマのレガシー作りに協力する必要はないってことです。トランプ大統領就任後どうなるかはわかりません。

ただし気になるのが、昨年の大筋合意自体が日米両国の強引に決めたことですし、日米間では詰まっている、といっても医療や農業で日本が譲歩した一方、自動車などアメリカの譲歩項目は時間的猶予が与えられるなど非対称なものですが、一方ニュージーランドが提案した乳製品の貿易ルールに関する動議は決着を見ないままですから、どのみち再交渉は避けられないわけですから、今批准を急ぐことは、アメリカの背中を押すというよりは、アメリカに足許を見られる結果になる可能性の方が高いといえます。特に「FTAは二国間で」とするトランプドクトリン?が公言されているわけで、TPPの日米交渉でアメリカに押し込まれた条件が再交渉で更に押し込まれることは覚悟した方が良いです。アメリカが本音で通商交渉に臨めば

米:日本はTPPでの約束を守れよな。
日:アメリカも約束守ってください。
米:よく聴こえないが?
てなことになりますわな。てことで Trump's Political Partnership でTPP成立ってあれ?

大統領選報道の一方で、日本では大事故が起きました。

博多駅前で道路陥没=地下鉄延伸工事が原因-空港などで停電も・福岡:時事ドットコム
現場は福岡市営地下鉄七隈線延伸工事の現場で、早朝、現場作業員からの110番通報があり、警察が迅速に道路閉鎖した結果、これだけの規模の陥没事故で死傷者ゼロと不幸中の幸いに。加えて福岡市の情報開示の徹底もあって、混乱はかなり防げたのですが、いろいろと課題も見えました。原因は地下水の流入による岩盤の崩落ということで、事前の地質調査が十分だったのかなどが問われますが、岩盤が粘土質で地下水で軟化していたとか、地震で岩盤が動いたとか、いろいろと言われておりますが、現時点では詳細は不明です。

ただ地下工事での道路陥没って結構な頻度で起きてはいます。東京でも常磐新線(つくばエクスプレス)工事でJR御徒町駅近くで大規模な陥没事故を起こしてますし、他都市でも少なからず起きてます。今回現場責任者の対応が早かったから結果的に死傷者ゼロで済んだものの、地下工事の危険性を認識させる事故ではあります。これ横浜の傾きマンション事件とも関連しますが、土木工事って、結局掘ってみないとわからないというのが実際で、その場合設計変更が欠かせないところ。

横浜のケースでも2人の杭打ち工事責任者のうち1人はこまめに異常報告して設計変更したわけですが、当然工期も伸びるし予算も膨張するということで、スルーされることもあって、竣工後に不具合が発覚することも珍しくはありません。それでも適切にメンテナンスされていれば、事後的に補強その他不具合を除去する手立てもありますが、問題は工事にしろメンテナンスにしろ、職人芸的な属人的なスキルに頼っている点です。しかもゼロ年代の建設不況でスキルの継承は断絶しており、今後少子化で若手の育成も難しく、日本のように不安定な地盤の土地ではロボットなどで対応するのも難しいところです。

私が公共工事の拡大に疑問なのも、また中央リニアに懐疑的なのも、1つにはこの問題があります。例えば2週に亘って渋谷駅の線路切り替え工事で週末区間運休の東京メトロ銀座線ですが、営業線の切り替えで困難な工事ではありますが、線路切り替えなどの大規模工事は結局人海戦術で対応せざるを得ないけれど、最近は人集めに苦労する状況で、コスト面もあって運休して工事間合い時間を取らざるを得ないようになってきたって面もあります。幸い東京のように成熟した大都市では、一部運休してもう回路はいくらでもありますから、事前告知で混乱は避けられますが、リニアにしろ整備新幹線にしろ、これから作るものに関しては、メンテナンスも含めて破綻の可能性もあり慎重な対応が必要です。

最後は閑話休題。銀座線の区間運休ですが、渡り線の関係で浅草―溜池山王間と青山一丁目―表参道間の区間運転という方法がとられました。後者に関してはA線(浅草→渋谷)は青山一丁目から表参道まで営業運転して回送で折り返し、B線(渋谷→浅草)では逆に表参道から青山一丁目まで営業運転して折り返し回送という運行形態を採っています。所謂指導式(腕章を付けた指導員添乗を条件に運行)の代用閉そくですが、すべての駅が相対式ホームで乗客案内上逆線走行の営業運転の混乱を避けたと思われます。そのため12分ヘッドと運転間隔が開いており、神宮外苑下車駅の外苑前は週末イベント等も多く、結構な混雑ぶりでした。島式ホームなら逆線営業運転で運転間隔を詰められたかもしれません。その神宮外苑では木製ジャングルジム火災で子供1人死亡という痛ましい事故も-_-;。中を明るく照らそうとした学生の機転が裏目に出たわけですが「常識的にわかりそうなこと」という前にナレッジの共有と継承はかくもということも指摘できます。

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Thursday, September 22, 2016

日米金融あっち向いてホイ

本題に入る前に豊洲新市場問題。

豊洲盛り土問題、都庁の統治不備露呈  :日本経済新聞
迷走を重ねてますが、都庁のガバナンス問題に発展してややこしくなってます。汚染度封じ込めのはずの盛土がされてなかっただけでなく、その意思決定がいかに行われたかも説明が二転三転。これじゃ移転はいつになるやら。環状2号線着工はその分遅れます。たまった水の水質検査の結果、基準値を下回るヒ素やシアン化鉱物が検出されました。一部で基準値以下だから移転すべきという議論もありますが、汚染物質が汚染土由来である以上、現況のままなら汚染物質が染み出してくる証明でもあるわけですから、追加的な有効な封じ込め策は必要です。

蓮舫民進党代表の二重国籍問題ですが、これ法的には何の瑕疵もないないのに、味方から「説明しっかりしろ」って後ろから弾が飛ぶ状況で、民進党のグダグダぶりにうんざりします。二重国籍問題を言うならアルベルト・フジモリ氏の件も見るべきでしょう。2000年に自らの金銭疑惑による訴追を逃れるため、ブルネイのAPEC会議の帰路に立ち寄った日本で訴追逃れで大統領辞任を表明し留まり、日本政府はフジモリ氏の日本国籍を認め庇いました。2001年にペルー司法省が殺人罪で起訴。2003年にはICPOを通じて身柄引き渡し要求も日本政府は拒否。にも拘らず2005年には翌年の大統領選出馬返り咲きを目論んでチリに亘って当局に拘束され収監されました。この状態で2007年には日本の参院選の比例候補として国民新党から立候補ですから、どこまで節操がないのか。蓮舫氏がこれより悪質とはとても言えませんが、両親そろって日本人のフジモリ氏は許容できても、父親が台湾人の蓮舫氏は許せないということなんでしょうか。だとすれば純血ヘイト主義言説でしかありません。

ンで本題。メンドクサイから2つ並べます。

日銀総裁、利回り曲線の操作「十分出来る」  :日本経済新聞
米FRB、年内利上げへ「新たな証拠待つ」  :日本経済新聞
日米の金融政策決定会合が同日というのも珍しいですが、祝日の影響でしょうか。時差の関係で日本の日銀が先に決定しなければならないから後出しじゃんけん戦術は使えなかったんですが、整理すると日米ともに結果的には現状維持ながら、日銀は政策目標を利回り曲線に変えて国債購入目標を流動化するということで、マイナス金利の結果生じた長期金利がマイナス圏にならないようにして金融機関の収益圧迫という副作用を回避しようということですが、事実上国債購入を絞るテーパリングを意味しますから、年内利上げを強く示唆しながら動かなかった米FRBに先駆けて緩和見直しとなったわけで、「あっち向いてホイ」状態になったわけです。その結果為Fが動きました。
NY円、続伸 1ドル=100円30~40銭、日銀会合・FOMC受け1カ月ぶり高値  :日本経済新聞
日銀の「総括」で期待された外債購入は流石に踏み込めず、公式の為替介入はアメリカが反対している以上できないというわけで、円高の進行は今後も続くことになります。円高は輸入物価の下落を通じて家計にはプラスですが、そもそも異次元緩和の裏の目的が円安誘導だったわけですから、日銀は完全に打つ手を封じ込められたことになります。国債購入の減少は、マイナス金利と並び立たないことと、購入する国債自体が減って買い進めなくなるのは時間の問題ですから、長期で緩和を継続するには金利操作の方がやりやすいというわけですね。でもテーパリングじゃないよと強弁するのは、前回7月の政策決定会合で株式ETFの買い付け額を3.3兆円から6兆円に増額したことと併せて読むと、結局国債を買う代わりにETFを買うって話です。その結果株式市場でも異変が起きています。

以前から日銀のETF購入は「池のクジラ」と揶揄されてましたが、最近は購入枠拡大もあって、市況への影響がかな目立つようになりました。具体的には9時の開始後下げて始まるとなぜか10時以降急上昇してチャートが水面から顔を出したクジラのシルエットになるということで、ホエールウォッチングが市場のトレンドですwwwww。その結果安値で拾いたい個人投資家が安めの指値で注文を入れても拾えずに個人投資家が株式市場から遠ざかるという笑えない現実が。「貯蓄から投資へ」じゃなかったのか。株式のクラウディングアウトってあんまり聞かないけど、民間を圧迫しているんですよね。それに加えて不動産市場に不穏な動きが。

基準地価、商業地9年ぶり上昇 訪日客けん引  :日本経済新聞
基準地価の発表で地方も含めて商業地の値上がりが目立つ一方、住宅地は停滞し全用途ではマイナスです。しかし最近の日経は思い込みが強いというか、偏った報道姿勢が目立ちますが、訪日外国人増加の影響よりも、不動産投資信託(REIT)の影響でしょう。大都市のオフィスビルや賃貸マンションに加えて、ショッピングモールや高速道インター近接の物流センターなどREIT物件は増えています。REITは大きな資金を要する不動産投資を小口証券化して賃貸収益を投資家に還元するというもので、リスク分散と流動性確保が狙いです。

その結果確かに不動産投資が活性化されましたし、収益性に疑義が生じれば売られてしまうということで、不動産バブルの抑止にもなっているのですが、問題は低金利でして、元々ミドルリスクミドルリターンの金融商品という性格で予定利回り5%程度を見込んでいたのですが、リターンの水準がそのままでも低金利で相対評価が高くなれば当然投資資金が入ってREITも値上りしてリターン率は下がるわけです。その結果、土地の評価額が高くなるわけで、5%のリターンが1%になれば価格は5倍になるわけで、それが土地評価額へ反映された結果と見るべきでしょう。

しかし日銀の利回り曲線目標へのシフトで長期債の金利が上がれば、REITにも値下げ圧力がかかるわけで、地価水準も今がピークと見るべきでしょう。加えて長期金利の上昇は住宅ローン金利の上昇で住宅投資にマイナスですし、増えている売れ残りマンションも、低金利だからデベロッパーがやせ我慢で在庫している状況が変われば安値で換金売りが出るでしょうから、土地の値下がりが避けられない状況になります。2020年のオリンピックを待たずに土地失速が迫ります。

てな状況ですが、住宅投資に関しては人口減少に直面する日本にとってはむしろ歓迎すべきことです。更に言えば不動産投資もより選別されたものだけが残ると考えるべきで、その意味ではショッピングモールよりもネット通販の拡大が見込まれる物流センター投資以外は減ってくると見るべきでしょう。物流センター投資はアマゾンなどのネット通販事業者の自社配送と宅配便と中小企業ののネット通販を助けるサードパーティロジスティックス(3PL)がオーバーラップしながらサービスを競っている状況ですから、当分は投資が続くと見られます。その宅配便関連でこんなニュースが。

地下鉄、宅配の足に 東京メトロ・ヤマトが実証実験  :日本経済新聞
宅配便もネット通販の増加で利用は増えているものの、運賃は低く抑えられていてく苦しいところですが、輪をかけてドライバー不足が顕在化してきました。昔と違ってドライバーに高給を約束できない状況の中、ヤマトでは長距離の鉄道利用や航空便利用も併用しながら、物流業界の言うラストマイルと呼ばれる地域の集配網にマンパワーを集約する必要があります。その意味で近接地域の荷物の営業拠点間の横持ち便を過疎地の岩手県では以前から定期乗合バスに乗せて運ぶことが行われ、京都市では京福電気鉄道嵐山線で同様の取り組みが為されましたが、圧倒的に荷物量の多い首都圏では多数の横持ち便をさ知らせている状況があるわけで、それを地下鉄など通勤鉄道の余剰輸送力を活用してクリアできれば画期的です。

これは鉄道事業者側から見ても、ラッシュ対応の余剰輸送力の収益化になるわけで、人口減少で利用客減が見込まれる中での新たな増収策になります。加えてピーク対応の輸送力が昼間は余剰となり車両の半分は車庫で休んでいる現状から、収益機会の拡大で、さらにピークタイムの混雑緩和投資に結び付けば、鉄道側の設備投資を誘発する効果も期待できます。これらの動きが主に民間同士のコラボレーションで起きていることに注目すべきでしょう。財政や金融で強引に現金をばら撒き、公共工事を積み上げても使えるかどうかわならない豊洲新市場のようなものしかできないならば、政府はよけなことするなと言いたいところです。

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Sunday, September 04, 2016

ガラクタ経済列島

略してガラケー列島-_-;。やっとメディアも注目し始めた築地市場の豊洲移転問題ですが、数箇月の延期では済まない事情があるようです。

豊洲新市場、移転延期でも解決できない根本的欠陥|Close Up|ダイヤモンド・オンライン
土壌汚染の問題や店舗が狭隘といった問題点に留まらず、既に姿を現している建物躯体そのものの問題があるという指摘です。

1つは動線計画が滅茶苦茶。生鮮品の荷卸しはスピードが勝負なのに側面荷降ろしではなく後面荷降ろし前提のトラックバースとか、5層に分かれるフロア間の移動用リフトの不足とか、フォークリフトやターレットの通路の不備など。もう1つは床面荷重が700㎏/m^2で4tのフォークや2tのターレを支えられるかという問題。フォークを使う場合1.5tの耐荷重が普通なのにその半分にも満たず、使えるのか?という問題。他の問題がクリアになっても、工事が進んでいる現状で今更手直しもできないと。

原因は現場のニーズを無視して日建設計にプロポーサル契約で丸投げした結果だというのですから、お粗末すぎます。日建設計といえば新国立競技場デザインコンペでザハ事務所の下請けで協力し、再コンペで隈研吾氏の下請けに横滑りした会社です。お粗末な顛末も含めて新国立競技場問題と似ています。横浜の傾斜マンション問題も含め、この辺設計事務所も含めて業界の劣化が疑われるところです。

元々移転問題も二転三転の歴史がありまして、築地た手狭であることと、アスベスト問題もあって改築工事が困難ということもありますが、移転すれば移転先の工事と跡地の再開発で工事が発生するわけですから、公共事業の削減で干上がっていたゼネコンがメディアの監視が緩い東京都に都議を通じてアプローチしたとしても不思議ではありません。

それ以前にチェーンストアや通販などで産地直送販売が増えてきて、築地のような公設市場のシェアは低下してきた流れがあり、ネット通販の拡大もあり、公設市場の位置づけそのものが問われている現状もあります。もちろんだから簡単に廃止はできないわけですが、民営化やIT活用など市場そのものの改革も問われる中で、ハードの議論ばかりが先行した結果、使えない新市場ができたんだとすれば、笑えない話です。公共事業の増加や都市再開発の増加で有卦に入ってバブル越えのゼネコン業界ですが、中身の劣化は如何ともし難く、このままでは全国にガラクタの山を築くんじゃないかと危惧します。

東京都の悪口ばかりでは何ですから、神奈川関連も取り上げます。

都と川崎市、羽田跡地と殿町を「特定再生地域」に指定申請  :日本経済新聞
10年前に「神奈川口構想」の名で計画が浮上した羽田連絡道路が、紆余曲折を経て実現というと、喜ばしいところですが、神奈川県や川崎市の上滑りで対岸の大田区側の同意を得られずお蔵入りしたものですが、丁度羽田空港国際線ターミナルの対岸に位置する殿町地区の再開発を諦められない中で国家戦略特区の指定を受けたことで流れが変わってきたということですが、R357の整備より優先度が高いのかという疑問は大田区側にはあるようです。
羽田連絡道路の行方は 神奈川口構想から10年/川崎|カナロ …
にしても事業費の半分を国の補助金でってのがどうなのか。川崎市は市営地下鉄構想やそれに関連した京急大師線の地下化や、南武支線の川崎駅連絡線構想や浮島の再開発計画など空振りが多いのですが、企業のリストラで空洞化が進む中、税収確保に四苦八苦しているのが見て取れます。浮島再開発では手塚治虫ワールド誘致を掲げて実現せず「手つかずワールド」と揶揄されたりと散々です。大師線地下化も産業道路大踏切除去を優先して産業道路―小島新田間の末端の地下化が先行する形で進んでますが、あとは未定というていたらくです。というか、現状ここに橋がかかっても使いにくいのが正直なところ。殿町地区限定では空港アクセスの利便性は勝るけど川崎市中心部からは利用しにくいというヘンテコな計画です。それ以前に日本の空の空洞化が心配なところ。
デルタが東京~NY線撤退、成田空港離れが加速中|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
日米航空協定はデルタ航空の成田空洞化の懸念から遅れていましたが、今年になって、利用しにくい深夜早朝枠の昼間への移行プラス日米1便ずつの増枠で決着し、日本はANAへ、アメリカはユナイテッドへの配分となったわけですが、その結果デルタ2便に対してJAL+アメリカンが3便ANA+ユナイテッドが4便と劣勢になり、且つANAが羽田―ニューヨーク線を開設する一方、デルタが競争力低下を嫌って東京(成田)-ニューヨーク線から撤退というもの。以遠権のある成田はデルタにとってアジアのハブだったはずなのに、日本を飛び越してアジア各地へ直行便を飛ばす形で戦略転嫁してきたわけです。長距離を飛べる中型機の登場でハブ空港の見直しが始まったわけですが、同時にそれは太平洋路線における日本のプレゼンスの低下でもあるわけです。思えばスカイマークがデルタ陣営に入っていれば、違ってたかも。

この辺JAL憎し外資憎しの偏狭な日本の航空行政の結果とも言えるわけで、つくづく政治家も官僚も先を見る目が無いんだなと思い知らされます。それでいて公共事業をドッカンドッカンの大盤振る舞いであとはお構いなしというわけで、首都圏に限らず日本全国ガラクタの山を築いて国力を低下させるディストピア。ホントしょーもなー。

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Sunday, August 28, 2016

都政の義理

2代続けて辞任に追い込まれた東京都知事ですが、健さん流に「とせいの義理だ、死んでもらいます」とばかりに公職を追われた不可解さですが、実は11年前の2005年にも、公職を追われた人がいます。石原都政を実質的に牛耳っていた浜渦武生副知事です。発端はある福祉系学校法人の認可を巡る不正の可能性から、都議会民主党議員が質問し、浜渦副知事が肯定する答弁をしたところ、自民公明の都議たちから「やらせ質問だ!」の声が上がり紛糾。100条委員会に諮られ、当事者でもある都議会民主党は自らに累が及ぶのを嫌って欠席する中、「やらせ質問ではない」との浜渦氏の答弁を偽証と決めつけ、石原知事が渋々更迭を決めたもの。実はこれ以来石原知事と都議会与党との力関係が逆転し、やる気をなくした石原知事は後に辞任するわけですが、それはかなり後の話です。

ま、浜渦氏自身が名の知れた右翼武闘派の活動家で、国会議員だった石原氏の秘書として仕えてのし上がった人物で、とかく独断専行で都議からも都職員からも疎まれていたことは間違いないですが、問題は学校法人の認可を巡る不正の疑惑のはずで、本来都議会で行政監査請求をすべき案件ですが、それを潰したわけです。経緯から察するに元々自民党都議に情報を流して質問をさせようとしたところ、いつまでも動かないから民主党に話を持ち込んだらしいのですが、仮にそうだとしても、手続き上都議会の監査請求が必要だから情報を流すことはあり得るわけで「やらせ質問」は本来あり得ないし、そういう反応が逆に利権の存在を浮き彫りにします。ちなみに当時から自民党都議団のトップは昨今週刊誌でも叩かれている内田茂都議で、ゼネコンに顔が利くところから、都職員自体が相談者に先に根回しをお願いするというズブズブの関係だとか。都知事選で敵と名指しして抵抗勢力と演出した小池氏はクレバーでした。

とはいえ保守派同士で、舛添前知事による韓国学校補助問題への反対では一致しており、いつ「てへぺろ」和解するかもわからないのですが、世論の関心が集まっている間はファイティングポーズを取らざるを得ませんから、引き続きメディアが情報を流し都民がそれに関心を持ち続けるしかないのですが。その意味で築地市場の豊洲移転問題はリトマス試験紙になります。

2011年の都知事選ではあまり話題にならなかったものの、食品を扱う場所として問題は深刻です。都の公式見解としては「基準値以下だから安全」ということですが、それならば安全宣言を出して風評被害が出ないようにすべきですが、それはなし。また仲卸の入居ブースの間口が1.5mしかなく冷機を置いたら奥へ入れないとか、電源が貧弱で電動ターレットの充電ができないとか、そもそも賃料も未定なのに11月7日の移転日だけが決まっていて仲卸への説明会は紛糾して見通しが立たない状況ですが、小池都知事は見直しに積極的ということで、どうなるか見物です。

この問題は築地市場跡地を更地化しないと環状2号線の湾岸延伸工事が着工できず、沿道には晴海の選手村と室内競技場のメイン会場になるビッグサイトがあり、2020年に間に合わせるのは至上命令ですが、見直せば当然着工が遅れ2020年に間に合わないということになります。それでも突っ張り通すことができるか。小池知事の正念場です。それと交通インフラの問題も指摘されていて、豊洲新市場は公共交通としてゆりかもめしかありません。都バスが補完するとは思いますが、現状メトロ日比谷線と都営大江戸線の地下鉄2線に加え、JR新橋駅からのバス便も使える築地市場の足場の良さに比べると、りんかい線開業前はイベントのたびに度々重量制限から改札止めという事態が起きていたゆりかもめが、イベントではなく日常でパンクする可能性があります。この問題はそのまま2020年五輪にも当てはまります。故に中央区が銀座―有明間の臨海地下鉄構想をぶち上げたわけですが、当然どう転んでも2020年には間に合いません。

あと五輪関連では新国立競技場も着工準備中ですが、間に合うかどうかは神のみぞ知る状態。それ以前に陸上競技場としてサブトラックを備えておらず、別に作るサブトラック計画自体が流動的ということで、この問題も決着は容易ではありません。加えて晴海の選手村も、大会終了後にマンションとして分譲される計画で民間事業者の応募を募っているのですが、開発事業者は及び腰。底地を低価格で提供されるとはいえ建設費は自前で、しかも当面バス以外の公共交通は無しですから、当然鉄道駅に近い臨海部の他の物件より不利で高く売れる保証はないですから、リスクが大きすぎるわけです。中央区が臨海地下鉄のような大風呂敷を広げたのも無理もないところです。しかも五輪後は人口減少もあって都心のマンションブームも終わると言われています。

この点は現状異次元緩和(QQE)で不動産価格が上がっている現状ですが、都心部の億ションも売れ行きが止まってきています。元々中国やシンガポールなどの富裕層が投資用に購入するケースが増えていましたが、今年に入ってからの円高で風向きが変わりました。しかし再開発ブームでマンションの供給は増えていますから、五輪を待たずに値崩れする可能性もあります。こうなると選手村もできないで五輪危うしとさえ言えます。難題山積の中で小池知事がファイティングポーズを続けられるか。しっかり見ていきましょう。

都民でもないので地元神奈川の話題ですが、やはりこれですね。

相鉄、JR・東急との直通延期 一部で着工遅れ  :日本経済新聞
理由は用地買収の遅れによる着工遅れですが、東海道貨物線にしろ相鉄本線にしろ列車本数の多い営業線の近接工事で、限られた作業時間で作業を完了させる必要から、人海戦術を取らざるを得ないわけで、要員が集まらないことも遠因と考えて良いでしょう。加えて住宅密集地で地形も複雑で、地盤が脆いところは薬液注入で地盤改良も必要だし、住宅地で夜間工事も限定されるなど、悪条件はいろいろありそうです。その結果相鉄が沿線で展開中の再開発にも暗雲が。
相鉄、JR・東急との直通運転再延期、沿線再開発に影響  :日本経済新聞
元々相鉄はJRとの直通を優先したのですが、横浜市の横やりで東急との直通もとなって事業規模が拡大したわけですから、既にと新直通を見込んで沿線再開発に着手した相鉄にとって工事の遅れは痛手です。JRとの直通の場合の当初事業費は総額700億円だったものが、東急との直通で一部東急負担とはいえ2,700億円にまで膨らんだ事業費が工事の遅れで4,000億円規模にまで拡大したわけですから、当初案のJR直通のみなら遅れて事業費が倍増しても1,400億円ですから、相鉄のダメージは計り知れません。尚、記事中の五輪輸送問題は、元々日産スタジアムの最寄駅は小机ですし、20020年の日韓W杯当時は現状と同じ体制で乗り切っていますから、あまり関係はないですが、横浜市にとっては相鉄沿線再開発による税収増の期待はあるわけで、自らまいた種がブーメランです。また公共事業でも選択と集中が大事という教訓でもあります。

06年から始まった生産年齢人口の減少が、人手不足で公共事業のスケジュールが成り立たなくなってきています。公共事業でインフラ整備頼みの経済政策は明らかに限界が見えています。いい加減見直すべきですね。

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