都市交通

Tuesday, December 08, 2009

踏切番、高架不幸か立体化

踏切番は俗称で、踏切警手が正しい呼び方なんでしょうけど、高密度運転を強いられる首都圏の通勤鉄道では重要な役割を担っております。2005年に東武伊勢崎線竹ノ塚の踏切で、警手の判断ミスで横断中に4人が死傷した事故がありましたが、それを機にいわゆる"開かずの踏切"問題が注目され、都内で遮断時間が長く、街を分断している踏切の解消の機運が生まれました。そんな中で先月、京王線代田橋―仙川間の立体化線増事業の都市計画変更素案が住民説明会で明らかにされました。中身に入る前に思い出を語ります。

以前通勤で下高井戸で京王線から世田谷線に乗り継ぐルートを利用していたことがありますが、当時まだ橋上駅舎化されておらず、上り下りの各ホームに独立に改札があったのですが、京王線の上り各停で最後尾車が定位置でした。下高井戸に着くと目の前が改札口で、ダッシュで抜けて直ぐ踏切を渡るんですが、その時点ではまだ各停が客扱い中で後方に急行/通快が信号で抑止されているのが見えます。そして下り列車がないことを警手が確認して遮断機を上げて通行人を通すのですが、その手際よさに感心するとともに、こうでもしないと捌けないラッシュ輸送の現実を目の当たりにしたものでした。

現在は橋上駅舎が完成し、踏切は自動化されて遮断竿が下りる形態になっておりますが、おそらく遮断時間は増えたものと思われます。橋上駅舎が出来たために目の前の世田谷線に乗り換えるのに階段の上り下りを強いられ、以前よりも時間をロスします。加えて大改良で車両が新しくなり、ホーム嵩上げで段差も解消され、保安装置も装備されながら、車両の収容力を減らしスピードダウン、三軒茶屋も乗換動線が延びたというよくわからない"改良"がされた世田谷線では、当時の勤務先に遅刻しそうです^_^;。

それだけに立体化が具体化することは喜ばしいことですが、その一方で一体に進める計画だった線増は、代田橋付近から地下へ潜り、つつじヶ丘で現在線に合流する形となり、その間明大前も含めて駅が背地されない計画素案となっておりますので、当面着手予定のない線増計画を切り離したというのが正しい見方です。その一方で明大前と千歳烏山では副本線を設置して構内4線の待避駅とする計画が素案に盛り込まれております。立体化事業自体は道路の事業で、鉄道事業者の負担は14%となりますが、あくまでも現在線の立体化に係わる部分だけで、副本線設置やホーム延伸・拡幅など鉄道側の設備改善分は全て事業者の負担となります。

この辺は運賃問題も含めて2006年時点で展望した中で最も保守的な想定に沿った内容といえます。その意味では明大前と千歳烏山の改良は踏み込んだものと評価してよいでしょう。具体的な運転計画は不明ながら、両駅ではラッシュ時の2線交互発着で客扱いで生じる遅延を吸収できるようになるので、「よく遅れる」といわれる京王線の朝ラッシュ輸送もいくらか改善されます。ま、これもかつての殺人的ラッシュの時代よりも混雑率が低下し(169%)、駅の改良も進んで駆け込み乗車の余地が生まれたことで却って客扱い時間が延びるという皮肉な事態ですから、やはり抜本的な解決には程遠いものではあります。

今後のスケジュールとしては、都市計画素案を詳細に詰めて行き、環境アセスメント評価などを経て数年かけて都市計画決定し、工事実施計画を策定の後に着工、用地買収などがスムーズに進んだとしてもそれから更に10年程度かかるわけですから、気の長い話ですし、その間は当然線増計画は凍結されるわけです。このあたりの評価は難しいところです。

前の記事でも指摘したように、2050年までは高齢化の進捗による人口減が続くわけですから、線増のような大規模投資に慎重になるのは私企業として当然のことで、仮に実施する場合、相応の公的支援が得られるということでもない限り、難しいところです。ただ京王に関しては運賃水準の低さが、追加投資の余地を生む原資になりうるし、また私鉄随一の自己資本の厚み(30%超)もあり、投資余力は京王自身も自覚しているようです。とはいえ日常的に利用する沿線住民の理解を得るのは容易ではないところです。ましてラッシュの輸送改善ですから、朝のピークタイム以外の時間帯には過剰設備となって生産性を下げるものでもありますから、高齢化でラッシュ利用の機会が減る沿線住民の理解を得るのはますます困難になります。

方法があるとすれば、クレジット機能付PASMOでポイント還元を前提に、普通運賃を値上げした上で、カード所持者にピーク外の時間帯と土休日に追加ポイントを付与するなどで事実上のピークロード運賃を制度化することでしょうか。ラッシュ時間帯は定期券利用者が多いですから、被用者の場合定期代は雇用主負担となるケースが多いですから、ラッシュの解消に企業の支援を得る形にもなります。そろそろそういったことを検討しても良いのではないでしょうか。

元々大都市部のインフラ整備は地価の上昇が阻害要因となって進まないものです。それを踏まえた都市計画がされなかったのが残念です。例えば首都高のような都市高速道路は日本では普通ですが、都市景観にうるさい欧州では見られません。その分環状道路が充実していて、通過車両を減らすことで渋滞対策としております。仮に東京でも首都高の整備に先立って外環道や圏央道整備に着手していれば、当時の土地利用状況からとっくに完成していて機能していたでしょう。それを首都高整備を先行させてそれが渋滞するから今から環状道路をというのは、順序が逆です。インフラ整備は時間がかかるだけに将来を見据えて実行しなければならないものです。

鉄道に話題を戻しますと、12/6に中央線三鷹―国分寺間が高架化され、13ヶ所の踏切が除去されました。こちらも難産でしたし、線増線を地下とする計画も京王線とそっくりです。中央線の場合混雑率は京王よりも高く、改善の要請は強いわけですが、JR東日本は踏み込みませんでした。やはり現状では輸送力増強のインセンティブは働かないのです。それどころか高架化工事で上り線が仮線移設されたために、踏切を渡りきれずに列車にはねられるという痛ましい事故まで起こるという皮肉な出来事まで起こります。

この地下急行線というアイデアは、西武新宿線の新宿―上石神井間の輸送力増強策として出されたもので、上乗せ運賃積立ての特特法事業として認定されながら、実現しませんでした。公式には人口の都心回帰で混雑が緩和したため、事業の必要性を見直した結果とされてますが、素直に飲み込めない話です。

西武鉄道は踏切立体化は道路の事業として冷淡な態度を取り続けてきたため、環八井荻踏切のような重要踏切放置されていた一方で、地下急行線で線増を計画するというある意味身勝手な対応に、行政側が快く思わなかったふしがあります。具体的には1列車1,000~3,000人乗車の複数列車がトンネル内を走行するのに、計画では避難路や通風孔となる竪坑が少ないという指摘を受け、計画を断念したようです。竪坑を設けるには地上に用地を確保しなければなりませんので、経済的とは言えなくなってしまいます。ちなみに地下鉄では平均1km~1.5km毎に駅があり、駅間に列車風対策の排気ダクトがありますので、0.5km~0.75km毎に竪坑がある形になり、問題なしとなるわけです。この観点からすると大深度地下利用を想定する中央リニアも実現は難しいことになります。

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Wednesday, November 25, 2009

京急油壺延長は波高し

京急久里浜線の油壺延長が、2005年に事業廃止届提出で免許返上となり、見直しされることになったことは以前の記事で取り上げましたが、地元の方からコメントをいただき、動きがあるようなので、現地を見てきました。前回記事時点では、何か驚くべき新しい開発計画を打ち出すのではないかと期待をこめておりましたが、どうも逆の意味で驚くべき計画になりそうです。というのは、かなり陳腐な宅地開発計画になりそうなのです。しかも無理スジです。波静かな油壺とは真逆のようです。

現地の状況は
航空写真"でご覧ください。場所的には三崎口駅から1km程度の距離で、深い谷戸の地形で、底は湿地になっているようです(既に囲いがあって中には入れません)。計画ではここを発生土処分場として湿地を埋め立て、7年半後に土地区画整理事業を行うという計画になっているそうです。以下寄せられたコメントから明らかなことをまとめますと、

1.39年前の計画時点より地価は半減し三浦市の人口も減少が予想される中新駅設置で商業地への指定がえで付加価値をつける必要がある。
2.そもそもこの地域は第一種低層住宅専用地域であり、本来は発生土処理施設など作れる場所ではない。
3.元々1995年に県と市と京急で1駅延進して駅周辺を商業地域に指定換えすることが合意されていた。
4.しかし2005年に京急が事業免許を返上してしまった。
5.ゆえに商業地域にすることはできず宅地開発の前提となる発生土処分場はできない。
6.そうすると宅地開発と一体の鉄道延伸のための事業認可再申請はできない。
とまぁ堂々巡りになってしまうわけです。とはいえ発生土処理は始まっており、鉄道延伸への道すじがついているのかどうか、現時点では不明ですが、単なる既成事実の積み上げであるならば、あまりにも馬鹿馬鹿しい話です。つまり宅地開発も鉄道延伸も実現せず、環境破壊だけが行われるという愚かな可能性があるわけですね。

航空地図のスケールで確認していただければ明らかですが、場所は三崎口駅から1km程度で、徒歩でも10-20分程度の距離です。おそらく戸建て住宅中心でしょうから、完売されたとしても1,000戸程度、人口4,000人規模といったところでしょうか。都心からの距離を考えるとこれでもかなり高いハードルだと思いますが。常識的にはバスで十分、そこへ鉄道を通して駅を作るというんですから、まともに考えたら事業認可の可能性は限りなくゼロに近いと思うのですが、京急のこの行動は謎です。

2005年の免許返上も、国の強力な指導によるらしいのですが、詳細は不明です。既に工事実施計画まで認可され、着工されていた事業ですが、用地買収難と環境保護を求める反対運動で工事が進まず、三崎口から先は着手されておりませんでした。

その間に1999年の鉄道事業法改正があり、需給調整規制が撤廃され、従来の免許制度が認可制度に緩和されたのですが、旧制度で未着手のまま期間延長を続けていた油壺延長線を国が整理しようとしたのだと思います。というのは、そもそも免許制度は鉄道事業の国家独占を根拠とし、民間や自治体など国以外の主体が事業に参入するのに、国による当面の整備計画がない路線、区間で、国が求めたときには買収に応じるなどの条件を基に、事業の独占権を与える性格のものですから、権利制、財産制があると見られるわけです。ですから実現しなくても延長手続きを繰り返す限りは、免許路線、区間への他社の参入はないわけです。いわゆる免許維持というやつですが、おそらく国としては旧法による免許で未実現のものがある限り、事務手続きの窓口は残さなければなからないわけですから、京急1社のためにそんなことはできないという判断があったのかもしれません。

とはいえ免許廃止を願い出た事業で再度認可を得るハードルは高いと思うのですが、京急はそうは考えず、規制緩和で事業の採算性だけで判断されるならば、一旦取り下げて再申請した方が手っ取り早いと考えたのだと思います。とはいえ開発規模からいえば採算性にも疑問符がつきます。鉄道事業全体で採算が合えばよいのかもしれませんが、その辺の国の判断基準は必ずしも明確ではありません。

そもそも鉄道の独占性は道路整備その他、交通機関の多様な発展によって事実上失われております。だから資本費負担が大きくリスクの高い鉄道事業への新規参入は難しいわけで、それを補うために整備新幹線や京阪中之島線、阪神なんば線などで採用された償還型上下分離方式などで、公的な支援が制度化されたわけですが、この場合は国交大臣の事業認定が必要です。ただし実績として大都市中心部の鉄道整備など、公共性が明らかで整備費用が民間の負担に耐えられない水準にある事業でしか認められる可能性はないでしょうから、油壺延長線への適用は考えにくいところです。

日本の人口は2005年にピークアウトしたことは知られておりますが、その先の人口が底を打って増加に転じるのが何時になるかはあまり意識されていないように思います。結論から言えば、現在の人口減少は高齢化によって死亡年齢に達する人が増えたことによりますから、今後も高齢化の進捗と共に人口減少は続くわけです。

しかも出産年齢の女性人口も年々減少してますから、多少出生率が上向いても誤差範囲でしかなく、人口減少は相当長期間続くことになります。ザックリ言って人口の多い団塊ジュニア世代が死亡年齢に達する2050年ごろまではこの傾向は続きます。当面の出生率はその後の回復スピードに多少影響する程度ということで、実は少子化対策はほとんど無意味なんです。

加えて人口減少で労働力不足を心配し、移民を受け入れるべきという議論もありますが、人口統計に影響するレベルということで、仮に20代若者に限り1,000万人単位で移民を受け入れたとして、40年後には高齢者にプラスされるので、高齢化のピークアウトを遅らせ、人口減の底打ちを遅らせるだけです。一方その1,000万人に日本語、文化、法制度など社会生活に必要な最低限の教育が必要ですが、そのコストを誰が負担するのでしょうか。所詮安い労働力を欲しがる企業の我が儘です。

というわけで、都心から離れた三浦市で鉄道と一体で整備されるような大規模ニュータウンを開発したところで、誰が住むのかというところです。金をドブに捨てるようなものですから、仮に事業認可の目途があるとしてもやるべきじゃないですね。無理をすればおJALへの道^_^;へ迷い込みます。

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Saturday, November 14, 2009

メトロポリタン・アンダーグラウンド

タイトルで地下鉄問題と直感した方、正解です。東京地下鉄株式会社(通称東京メトロ)の中間決算発表会見のニュースで、メディアによってこんなに違います。

東京メトロ、都営地下鉄と統合協議 メトロ社長が言及
東京メトロ社長「09年度中の上場は困難」
東京メトロと都営地下鉄、経営統合で協議
同じ日の同じ会見で、メディアのよってこんなに着眼点が違うことに注目してください。ニュースソースは同じはずなのに全く異なった印象を受けます。

事実関係としては、11日に中間決算発表の会見を開き、その席で09年度中の株式上場が難しいこと、都営地下鉄との経営統合問題を課題として都と協議はしていることを明らかにしたというだけの話です。東京の地下鉄一元化の協議は、営団時代から行われていたことで、特に目新しいことでもありませんし、当時から営団と都の職員の待遇の違いや、都営地下鉄の巨額の累積債務問題が障害となり、協議は前進しませんでした。

そして営団は政府の民営化方針に従って政府と東京都が株式を保有する形態の特殊会社へと改組され、政府は保有株を売却して完全民営化に舵を切ろうとしているのですが、東京都が邪魔しているのは既に述べましたし、メトロ株を狙う法人企業の話もしました。付け加えるならば、三菱地所、三井不動産他の不動産大手や、銀行など、メトロ株に色気を出している法人企業は多数あると考えた方がよいでしょう。

というわけで、上場が難しい理由として、リーマンショック後の株式市場の低迷と主幹事証券の選定遅れを挙げておりますが、公式見解でしかありません。リーマン前の株価水準がグローバルバブルで下駄を履いていただけですから、内需関連で実力勝負できるはずのメトロ株の売却が困難とは考えられません。あと主幹事問題ですが、記憶違いでなければ、営団時代に発行していた地下鉄債券では日興証券が主幹事だったと思いますが、法人部門の日興コーディアル証券の三井住友FGによる買収もあり、主幹事の座をめぐる大手証券の争奪戦があったのかもしれません。この部分はとばっちりといえるかもしれませんが。

いずれにしても、メトロと都営地下鉄の統合は五里霧中と考えるのが正しい見方でしょう。メトロの社長会見では本音は言えないでしょうけど、東京都の株式保有継続の意向が、株式上場の最大の障害であることは明らかです。実際こんなニュースもあります。

石原知事、東京メトロ株「都は売らない」
政権交代でどうなるかと思いきや、前原国交相は株式売却を都に働きかけているということで、予算編成で財源探しに苦労している民主党政権としては、株式売却益は喉から手が出るほど欲しいところでしょう。とはいえ都が株式を持ち続け、経営に影響力を行使する姿勢を見せている限り、話は進みません。

完全民営化されたはずのJALでさえ、政府、与党議員、自治体の圧力に屈して現在の惨状になっているのですから、メトロに都の影響力を残す選択肢はあり得ません。それよりも東京都自身が株式売却益で都営地下鉄の累積債務を繰り上げ償還することを考える方が正解です。そうすれば地下鉄統合の障害の一つが消えますし、運賃をメトロと同水準に下げることも可能でしょう。その上で都が職員の新規採用を停止し、段階的にメトロに業務委託していく形が、おそらく考えられる地下鉄統合の唯一現実的な解です。都営バスでは既に一部民間委託は行われていて、都も出資するはとバスの派遣乗務員が一部路線で乗務しています。これがホントの派都バスなんちゃって<^o^;>。

あと地下鉄統合がなぜ必要かも考えてみましょう。よく言われるのが、乗り継ぎの場合の初乗り運賃二重払い問題で、旧運輸省時代から国の指導もあって、乗り継ぎ割引が制度化されていて、現在は打ち切り合算した運賃から70円引きが乗り継ぎ1回限り適用されるようになっておりますが、特に1駅同士の乗り継ぎなど短距離で割高となります。

実は運賃制度の問題は、経営統合しなくても解決可能なんです。そもそも初乗り運賃が距離比例でない割高水準になっている理由ですが、駅で乗車券を発行し、改札、集札でチェックするために、駅には人を配置し、設備を整えないといけないので、その部分の固定費という考え方です。現在はさらに自動改札やICカード乗車券など営業設備面で初期投資額が大きくなっているので、この傾向は増しています。一方で閑散路線の無人駅はどうなるというご指摘もあるでしょうけど、これは合理化の結果ですし、そもそも運賃取りっぱぐれのリスクがありますから、そのための上乗せとも解釈できますが、後付け感は否めません。

ですが、例えばJRの会社間またがり利用の場合は、運賃が通算されるのはご存じの通りです。三島会社のように賃率の異なる場合には、擬制キロまたは上乗せ運賃で対応し、運賃通算自体は維持されてます。乗車距離の違いや利用者数の違いなどはもちろんありますが、JR同士で可能なことが、首都圏など大都市圏の事業者同士でできない道理はないわけで、その意味で運賃通算のための地下鉄統合という理由付けは、必ずしも妥当とはいえません。

例えばPASMO導入時に改札分離したJR/メトロ西船橋駅の事例など、事業者の都合が優先されましたが、その結果固定費を増やしているとすれば、何のための打ち切り合算、初乗り二重払いなのか疑問です。適切な事業者間の運賃分配が可能ならば、これでもかとばかりの物々しい自動改札ゲートを減らせるわけで、その分コストダウンできますから、運賃を下げて乗客に還元することも考えて欲しいところです。

特に地下鉄統合で見落とされがちな議論ですが、経営統合と運賃共通化を切り離せば、JRや私鉄との運賃共通化のような、世界の大都市では当たり前になりつつある方向へ向かうことも考えられます。具体的には運賃収入を都や事業者が出資する精算機関に集め、SuicaやPASMOの乗車履歴の集合から推定される乗車実績比率で事業者へ分配するなどの方法が考えられますが、事業者の自主性に任せても実現は難しいだけに、行政機関である東京都がイニシアチブをとって行動する必要があります。

というわけで、東京都は完全に立場というか役割を間違っています。ひょっとしたら事業仕分けが必要なのは東京都かもしれません。とはいえ銀行税問題で二審まで敗訴し、銀行に多額の和解金を支払ったり、公金を投入しながら乱脈融資でどぶに捨てたり、意義が不明確なままオリンピック招致に失敗したりしている石頭都知事じゃ無理か-_-;。

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Wednesday, July 01, 2009

となりのメトロ

メトロと都営地下鉄の一元化というニュースがTBSで流れましたが、他メディアは追随せず、ガセ確定のようですね。そもそも東京都の言い分を裏も取らずに流すとは、報道のTBSも地に落ちました。

当ブログの読者の皆様は、既にメトロ上場の最大の障害が東京都だということも、大人の事情で遅れていることもお分かりでしょう。実はTBS自身が続報しているように、上場後も国・都が出資維持と報じておりますが、この報道に今回のTBSの迷走の鍵があります。

元々東京メトロの上場を巡っては、丁度英ファンドTCIによるJパワー株買い増し問題があり、公益企業の株式大量保有が問題視されておりました。ですから大量保有規制は外資対策とも見えますが、WTOメンバーで資本移動の自由化を受け入れている日本としては、公式に外資規制はできないんで、政府サイドが外資規制と取られかねない発言をするはずありませんから、都からのヒアリングで記事を起こしていることは明らかです。

で、20%という保有比率は、大量保有規制の上限値として考えられている値で、外資に限らず東京都やJRその他内外ファンドも含めての規制であって、少なくとも公式には外資をターゲットにはできません。いわゆる公平性原則というやつでして、政府のしかるべき立場の人がうっかり喋っちゃえば、海外から叩かれます。

で、都がそんな風だから、今は国が少し保有株が多いから、都の頭を抑えて勝手なことさせないようにしているわけで、その国が株式放出するためには、同程度の都の株式放出を同時にやらなければならないわけですから、その形で株式を放出して都が20%保有となった段階で、国が23%程度の保有となるわけで、都としては20%でも保有を続けてメトロへの影響力を保持したいとすれば、国もそれ以上株式放出できなくなる水準です。当然国の着地点は完全民営化で、保有株式完全放出ですから、この段階で都が足踏みすれば、それ以上は株式を放出できなくなるわけです。おそらく国と都の協議の過程でこういった話は出ているはずですから、それを都の希望を下敷きに解釈すれば報道のようになるという話に過ぎないわけですね。

一方、隠れ鉄雑誌(笑)の週刊東洋経済2009年7月4日号で、東京メトロ上場の想定株価の記事が出ております。

東京メトロ―最強”私鉄”が上場したら、株価はいくら?《鉄道進化論》
というわけで、株価資産倍率(PBR)2倍として1,050円、株式数を掛けて時価総額6,112億円、株価収益率(PER)15.0倍といったところになります。ただし都営地下鉄との統合は考慮せず、都営地下鉄の4,500億円の有利子負債を引き受けない前提での数値です。ということは、都が取るべき態度は明確です。全株売却で都も3,000億円程度の株式売却益が得られますから、これで都営地下鉄の累積債務の繰上げ返済をして、高いと言われる運賃水準をメトロ並みに下げることだろうということです。そこまでやってやっと統合の交渉の余地ができるというものです。

追記ですが、都が議決権を握った状態のメトロとは、新銀行東京になるリスクと背中合わせでもあります。そんな株を買おうという奇特な投資家は少ないでしょう。

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Sunday, June 21, 2009

東へ向かうおけいはんの心変わり

皇女和宮といえば孝明天皇の異母妹で、公武合体派の策略で有栖川宮との婚約を破棄されて14代将軍家茂に嫁がされた政略結婚の悲劇のヒロインとして語り継がれておりますが、それゆえ江戸へ向かうお輿入れの旅では反対派の奪還を恐れて中山道を辿りました。そして山道を辿り夕暮れにある宿場へ到着し、投宿しようとして宿場の名を尋ねれば「沓掛」ということで「畏れ多くも宮様を足蹴になさるか」と言ったかどうかはわかりませんが、急遽1つ先の宿場を目指したそうです。その1つ先の宿場とは、後に高級リゾート地となる軽井沢です。このエピソードがどれぐらい軽井沢ブランドの成立に寄与したかは定かではありませんが、おそらく意識的にあるいは無意識に利用されたことは間違いないでしょう。

一方で「宮様を足蹴になさった」沓掛に注目し、汚名を濯いだのが後に西武王国を築く堤康次郎です。山林を造成し「中軽井沢」の名を与えて売り出し、ただ同然の土地を金のなる木に変えたわけです。言ってみれば隣接地ブランドのパクリですが^_^;、軽井沢にとってもブランド力の強化となり共に栄えたのですから、土地ブランドとは不可思議です。

戸越銀座を皮切りに、全国の「銀座商店街」が増殖した結果、商業地の中の商業地の地位を得た銀座と似ています。尤も銀座の場合、戦後占領下に日比谷のGHQ本部から夜な夜な繰り出す米軍の将兵に命懸けで堂々と銀座価格の請求をしたことが、「世界のGINZA」というステータスを与えたものでしょうから、パクリだけで成り立つほどブランドはやわではないということでしょう。美術品は贋作が出て真作の評価が上がるにしても、真作に相応のクオリティがなければ話にならないわけです。

枕はこの辺にして本題に入ります。まずはこの報道からです。

京阪電鉄、首都圏で賃貸ビル取得 最大1000億円投資
記事中にもあるとおり、既に大手町のオフィスビル1棟を取得していて、今後3年間で最大1,000億円規模の投資を行う予定です。不動産不況で空室率が上昇傾向にあるオフィスビルを安値で買えるチャンスとみているようです。しかも投資対象は千代田、中央、港の中央3区に限定するということで、相対的な空室率低下=賃料下落が少ないことに注目したものです。

加えて都内でビジネスホテルの開業も予定するなど、従来首都圏での事業展開のなかった京阪電気鉄道にとっては、大きな決断といえます。なぜかといえば、理由は至ってシンプル、既に人口減少が始まり、鉄道事業に行き詰まり感がある中で、中核事業の鉄道事業以外の収益事業を見つけなければならない中で、不動産事業はやはり柱となります。特にオフィスビルを中心とした賃貸事業は、収益の安定性という観点から、鉄道事業との親和性も高いのですが、地元の近畿圏では有力なオフィス立地は限られ、売り物も少ないのが現状ですから、オフィス需要の底堅い首都圏の中央3区への進出となったわけです。

というわけで関西私鉄にとってはなかなか悩ましい決断だったと思われます。ゆえにこんな解説記事もあります。

ほろ苦い関西企業の首都圏買い
言ってみれば自社のフランチャイズエリアの空洞化を半ば受け入れたということでもあります。とはいえ営業エリアを選択できない鉄道会社にとっては、それだけ生き残り条件がシビアであるということです。京阪にとっては沿線有力企業2社(パナソニックとサンヨー)の経営統合でリストラ必至ですから、将来的に輸送需要が下降線を辿ることは避けられないでしょう。産業構造の変革が待ったなしの現状で、かつて炭鉱地帯に多数あった運炭鉄道がことごとく廃止されたような逆風が、私鉄王国の関西にも吹き荒れる可能性があるわけですね。

また京阪単独の事情としては、中之島線の苦戦も影響しているものと思われます。ただし中之島地区の再開発は着手されたばかりで、成果が現れるのは暫く先になりそうです。更に現在の不動産不況は逆に神風になる可能性もあります。

というのは、近接して梅田北ヤード跡地という超大型再開発案件が控えているものの、バブル崩壊で先行き不透明になっている点を指摘しておきます。丁度バブル崩壊で開発が10年凍結された東京汐留の再開発とあまりにもタイミングが似ています。それでも人口増基調の首都圏だから、10年寝かせて何とか形になりましたが、空洞化、人口減少が現実化している関西では、100年ぐらい寝かせないと厳しいかもしれません。加えて再開発の目玉とも言うべき三越伊勢丹の進出は、当の三越伊勢丹の業績悪化もありますし、あべの近鉄や梅田阪急の改装などで大阪地区の百貨店は明らかなオーバーストア状態で、実際心斎橋そごうは撤退を決めておりますが、大丸が店舗買取りを決めており、床面積ベースでは縮小されるわけではないことから、三越伊勢丹の大阪進出は厳しい状況が続きます。

となると相対的に再開発規模の小さい中之島には有利に働く可能性があるわけです。梅田北ヤード地区は順調にいっても5年10年の開発期間がかかりますが、その前に中之島地区の再開発が実現することで、逆に梅田北ヤード地区の再開発にはブレーキがかかる可能性があるわけです。また枕話の地域ブランドという観点からも、大阪のまちづくりの基点となった中之島地区のブランド力は相対的に高いと考えてよいでしょう。日銀大阪支店や大阪市役所を始め、移転の可能性はほぼ皆無で、空洞化を心配する必要はないので、再開発による上乗せ分は純増となるわけですね。というわけで、京阪の執念は実るのでしょうか。

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Tuesday, April 21, 2009

第三セクターは救うな

えーと、未来を感じる明るいニュースがある一方で残念なニュースから。

無人車両、下り坂を8キロ走行 JR名松線、運転士離れ
突然アクセスが増えて、しかも3年前の同様の事故を起こした記事が閲覧されるという椿事が起きまして、そのとき現場社員のモチベーションの低下を心配したのですが、今回もケアレスミスですから、職場にミスを誘発するファクターがあると考える方が自然です。こんなんじゃリニアどころじゃないだろうに。

で、本題に入る前にもうひとつ。政府は15兆円超の追加経済対策を打ち出しましたが、驚くことにそのほとんどが予算シーリングで削られた案件が並びます。つまり予算枠が増えたから一度は否定された優先度の低いものを復活させたわけです。これで景気回復は絶対無理ですが、バカ殿宰相は自信満々なようですね。何も考えない暗愚なリーダーは恐ろしい。

そもそも今回の経済危機ですが、サブプライムショックに始まりリーマンショックで一気に底が抜けた展開ゆえに、日本ではどこか他人事のところがありますが、その海外バブルに乗っかって、低金利の支えもあって、設備投資を拡大した自動車や電機などの製造業各社が、危機に直面して短期間に生産調整に走ったことで、危機を増幅しています。そして調整は進み、漸く出口が見えてきたというのが現状ですが、問題は海外バブルに乗っかって設備も人員も膨らませてしまったわけですから、少なくとも元の水準(2002年水準が目安)まで設備の廃棄と人員の整理をする必要があるわけで、今から失われた90年代を再現すると考える必要があります。つまり正規雇用者の早期退職や新卒採用の手控えは当分続き、第二就職氷河期となるわけです。

ゆえに欧米と比較しても日本が飛び抜けて経済のマイナス幅が大きいわけで、GDPはザックリ10%縮む計算です。というわけで、たかがGDP比2%の財政出動に効果があるわけがありません。また健全といわれた日本の金融ですが、株式持合いが災いして銀行の自己資本が毀損する事態となっておりますし、事業会社でも急速な業績悪化で税効果会計による繰り延べ税金資産の資本計上分が取り崩しとなる可能性が高まっており、これから発表される上場企業の決算はかなり悲惨なものになりそうです。それはまた株価を押し下げ、銀行の資本を毀損します。

加えて大手銀行こそ資本増強もあって何とか持ちこたえるかもしれませんが、いわゆる竹中プランでも手付かずだった地方銀行には、存続が難しい所も出てきそうです。そもそもリーマンショック以前には、金融庁では多すぎる地方銀行を整理するために、ペイオフまで検討されていたようですが、今回の危機で吹っ飛び、むしろBIS規制の及ばない国内行の自己資本比率4%を守らせるために保有株式の時価評価を緩めてしまいました。こうなると情報の適切な開示が遠のくわけで、再び金融が経済の足かせになる可能性も出てきます。

というわけで、元々オーバーバンキングと言われた日本の銀行で、郵政民営化でゆうちょ銀行という巨大な新規参入者を受け入れ、且つ銀行業免許こそないものの、日本政策投資銀行や日本政策金融公庫などのいわゆる政府系金融の民営化で、企業融資はますます供給過剰となりますから、銀行は儲からないから政策金利を下げて支えるしかなく、預金者の受取利息は削られます。たかが2兆円の定額給付金で仕事した気になるな(怒)。

元々竹中プランでも、大手行と地方銀行を同じ基準で律するのは無理ということで猶予された地方銀行の整理ですが、地方銀行には融資先の地場企業がぶら下がっていて、簡単に整理できないということで、地方版産業再生機構を創設する構想は安倍政権時代からあったわけですが、その後の政権の迷走で棚上げされ続け、そうこうするうちに今回の経済危機で、地方企業の窮状は待ったなしの状況となりました。

また2007年3月の夕張市の財政破綻により自治体財政の早期是正措置が決まり、自治体の出資する第三セクターまで連結対象とされる一方、自治体と微妙な関係にある地方銀行にとっては、三セクへの出資や融資はお荷物だった上に、破綻となれば損失を被るということで、産業再生機構の地方版として(仮)地域力再生機構の創設はこの面がらも期待されておりました。

というわけで、政局の迷走で棚上げされていた問題が動き出したようですが、三セクは対象外となりそうです。

地域力再生機構、地方中堅企業支援に軸足 三セクは対象外に
考えてみれば甘い見通しで事業着手した三セクの後始末を預金保険機構半額出資の機関が面倒見るのも変な話で、自治体の不始末を預金者の負担で救うことには問題があります。三セク処理は地方政治のガバナンスで対応する、つまり地方の納税者の判断に委ねる方が理に適っております。

とすると困った問題として、整備新幹線の並行在来線問題が絡んできます。地方ローカル線に比べて事業規模は大きいけれど、新幹線に都市間需要が移行した後のローカルな需要を満たすのに本線規格の立派な線路を維持しなきゃならないわけで、負担ばかりで将来展望はなし、加えて多数の自治体が関与しますから、足の引っ張り合いも起こりえます。例えばIGRいわて銀河鉄道では、旅客輸送は赤字で、国の補填でJR貨物が支払う線路使用料で辛うじて黒字という状況にある上に、高額の料金収入が得られる夜行列車が、北海道新幹線青函トンネル区間の工事間合い確保のために北斗星1往復が運休となって収入減という皮肉な結果となっております。なまじ新青森までフル規格化したために、新函館延伸の影響を受けてしまったわけですから、出資自治体にとっては辛い話です。

こういった現実が見えてくると、整備新幹線に地域がNOをつきつけるということも考えられます。元々整備新幹線は地方にとっては負担ばかりの話ですが、直轄国道などと同様、元々地方の請願、陳情によって事業化された経緯もありますので、事業をやるために地方負担を一時棚上げが考えられているようですが、一時しのぎで問題を先送りするだけです。基本的には税源委譲で地方に判断を委ねるべきでしょう。

というわけで、メディアの政局報道では見えてきませんが、各論では与野党の歩み寄りも見られる状況です。ただ懸念されるのは、小沢民主党代表の西松献金問題で風向きが変わったことで、折角の歩み寄りがまた棚上げされる可能性もあります。この献金問題にしても、小沢代表は「適法に処理している。(違法と言うなら)公判で決着をつけよう」と言っているわけで、これ以上公明正大な説明はないんですが、「説明責任を果たせ」というメディアの論調は何を意味するのでしょうか。代表を辞任して見えないところで検察と手打ちしなさいというわけでもあるまいに。あるいは政治ショーとして「腹切って見せろ」ということなのか。現実的に公判となればマンパワーの面で小沢氏が代表に留まるのは難しいと思いますが、検察とガチンコの姿勢をとる事で、今まで曖昧に処理されていた迂回献金による実質企業献金に拘束力のある判例が出るわけで、国民としてはそれこそが望ましいことではないでしょうか。最後はやや脱線でした^_^;。

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Sunday, April 12, 2009

KANSAIスルッと箱根越え

先月25日ですから、ニュースとしてはやや旧聞に属しますが、ニュースバリューありと判断し、遅まきながら記事を起こします。

西武と小田急、関西の私鉄と資材共同購入 4月から
西武鉄道、小田急電鉄、箱根登山鉄道の3社がスルッとKANSAI協議会と鉄道事業関係の資材調達の共同化を決め、4月から実施されます。しかも関東3社の取引先も共同購入の斡旋がされるということで、相互性のある提携関係というところがポイントです。スルッとKANSAI協議会のリリース(PDF)(西武、小田急、箱根登山鉄道と連名)もご参照ください。

というわけで、かなり評価の難しいニュースです。というのも、JR東日本のSuicaが提携先を順調に増やしているのに対し、ローカルカード化が心配されるPASMOという構図が隠れているからです。PASMOは元々寄り合い所帯で加盟社局間の連携が不十分という点に関し、当ブログでも度々指摘してまいりました。一例はPASMO品切れバスで取りすぎなどの記事で述べているとおりなんですが、そもそも何のためのICカード乗車券だったのかがはっきりしない中で、サーバをSuicaに依存し、提携ハウスカードで乗客を囲い込むことには熱心でも、システムとしての全体最適は置き去りにされている状況で、加盟予定社局の足並みが揃わない中でのこのニュースですから、つい深読みしたくなるというものです。

元々乗車券カードの共通化に関しては、JR西日本の攻勢にさらされていた関西私鉄各社の取組みが早かったのですが、カードの共通化に留まらず、今回関東3社が加わる資材の共同購入などにも守備範囲を広げ、調達コストを約2割削減するなど成果をあげております。おそらく今回参加した関東3社も、PASMOで同様の取組みが行われていれば、違った対応をしていた可能性がありますが、元々寄せ集め感の強いPASMO参加社局間で足並みが揃うのを待てなかったということなんだろうと思います。特に名義株問題で堤前会長が刑事訴追を受け、東証の内規により上場廃止されて経営再建中の西武鉄道には切実でしょうし、また複々線化の進捗に伴ない減価償却負担が重い小田急電鉄、箱根観光の空洞化に苦しむ箱根登山鉄道ではなおさらでしょう。

ただしPASMOに関しても、Suicaの提携範囲を拡大するJR東日本の前に、PASMOが関東限定のローカルカードになるという危機感はあるようですが、一方で過大な初期投資を要求される中小事業者にとっては、加盟のハードルが高まるエリア拡大には慎重姿勢が強く、加盟社局間の意思統一には至っていない状況です。そんな状況でとてもじゃないけど守備範囲拡大となる資材の共同購入なんて話が割り込む余地はないということですね。

一方で加盟社局間の絆が強いスルッとKANSAIですが、ICカード乗車券のPiTaPaに関してはポストペイというクセ球を投げてきております。いわば少額決済用の簡易クレジットカードとなるわけで、いちいちチャージが必要ない上に、記名式でポイントサービスを充実させやすいなどの特長があります。ゆえに発行に手間がかかる分発行枚数は少ないものの、サービスの充実ぶりは大したもので、回数券や定期券制度まで取り込んでおり、関西エリアのみならず、静岡地区(静岡鉄道)や岡山地区(岡山電気軌道)でも使える上、さらにエリア拡大を狙っているということで、加盟社局間の足並みも揃っており、いずれ首都圏にも攻めてきそうです^_^;。となるとPASMO陣営で個別にPiTaPa導入なんてことも視野に入っているかもしれません。

というわけで、これゲームの理論でよく用いられる囚人のジレンマを連想させます。共犯関係にある犯人同士を隔離して別々に取り調べ、証言すれば刑を免除すると持ちかけると、結局囚人同士全てを証言して揃って刑に服することになるわけですが、最適解は共に完全黙秘して証拠不十分で放免されるシナリオです。いわゆる協力ゲームとすることで利益が最大化するという昨今の行動経済学の基本的なスタンスですが、100年に1度の経済危機に、漢字が読めない首相と秘書逮捕で選挙の票が読めなくなった野党党首の足の引っ張り合いを見るにつけ、ちょっと考えさせるニュースです。

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Thursday, April 09, 2009

JR東日本仙石線でATACS導入決定

経済危機と高速道路1,000円乗り放題の影響で業績見通しを下げているJR各社ですが、明るいニュースです。

JR東日本、無線による列車制御システム(ATACS)の実用化計画を発表
ATACSに関しましては以前にも記事にしましたが、仙石線あおば通~東塩釜間で2011年春に実用化されます。一応同線同区間では以前から試験は行われていたのですが、一歩を踏み出すこととなりました。JR東日本からの公式発表はこちらです。
無線による列車制御システム(ATACS)の実用化について
重複しますが、ザックリ解説しますと、従来左右のレールを車輪で短絡することで列車の在線を検知し、信号を切り替えたりポイントなどの進路選定の連動関係を取るいわゆる閉そくと呼ばれるシステムを、GPSを利用したデジタル無線通信により、列車間隔や進路選定などをソフト的に制御するもので、従来のATS,ATC,CTC,ATOSなどの運行管理システムを一元的に制御するシステムです。

鉄道の保安装置の基礎となる閉そくですが、前の記事でも指摘したように、メンテナンスが厄介な上に、応答性にも弱点があり、列車間隔を詰めようとすれば先行列車の影響を受けるので、必然的に渋滞が起こり、ラッシュ時の速度低下は日常的に見られるとおりです。また列車間隔を詰めるために固定閉そく長を短くしようとすれば、動力用電力の帰線に使われるレールに脈流である信号電流の絶縁セクションを設けるため、インピーダンスポンドと呼ばれる特殊なコンデンサを用いますが、鉄道信号でしか使われない専用品で高価な上、風雨にさらされ経年劣化もありますので、コスト面で不利なものでもあります。

また高密度輸送を支える保安装置自体も高度化、複雑化の一途を辿り、その分トラブルが起きやすい環境になっているとも言えます。つい先日こんなニュースもありました。

朝の千代田線立ち往生 信号故障で一時7万8000人に影響
原因は、通常は自動制御されるATCを訓練のため手動に切り替えていたときに、係員の誤操作をシステムが異常と認識して停止信号を出したものだったわけで、典型的なヒューマンエラーで、誤操作で停止はシステムが正常な証しですから、安全性に疑義はないのですが、複雑さ故に不具合の発見も簡単ではないわけです。それに比べるとATACSのシステム構成はシンプルです。

あと今の時期にJR東日本がATACSの実用化に舵を切った理由ですが、こんなニュースを見ると見えてきます。

国際鉄道連合に初の日本人会長 JR東の石田氏が就任
JR東日本が鉄道関連の国際機関トップを出したタイミングですので、ひょっとするとJR東日本はATACSで世界標準を取りに行くつもりかもしれません。これ結構重要です。例えば台湾高速鉄道でのドタバタやICカード乗車券でFERICAシステムがISO認証を受けていないことに対する欧州からのクレームなど、日本が誇る鉄道システムも標準化の面で立ち遅れていたことは否めないところですが、まぁつい最近まで日本を代表する産業と目されていた自動車や電機でもそうだったんで、JR東日本がそのことに気づいて標準化に動いたとすれば、日本発の脱ガラパゴス戦略として注目されるところです。

とはいえATACSのようないわゆる移動閉そく(クロージング・イン)システムは、旧国鉄でも混雑激しい中央線への導入を計画していたぐらいで、アイデアは古くからあるにも係わらず、実現できていないように、かなり難易度の高い技術開発ではあります。旧国鉄時代の電気通信技術では、おそらく電算車1両増結して専用の信号線と常時接触などが必要だったかもしれません。当時中央快速線の最混雑時間帯の混雑率は300%超と言われ、東中野東方の神田川橋梁上で混雑でドアが破損し乗客が落下するという事故まで起きており、高加速のモハ90系(後の101系)とクロージング・インで1分間隔運転を実現することが大真面目に検討されておりました。実際は変電所要量不足で計画が頓挫したのは、以前の記事でも指摘いたしました。その意味ではデジタルIT技術の進化が、やっと積年の夢の実現を可能にしたということはできそうですが、課題もまたさまざまあります。安全に係わるだけに、システムとして破綻しないことが求められます。その難易度はおそらくリニアやテポドンにも引けを取らないでしょう。利用価値ははるかに高いですが(笑)。

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Wednesday, March 25, 2009

阪神なんば線開業で流動化する関西サバイバルマッチ

阪神なんば線が開業し、近鉄奈良線との相互直通運転が始まりました。車両サイズも編成両数も異なる両者の相互直通は、異例づくめです。

また京阪中之島線に続く大阪都心を東西方向に貫通する新線という意味でも、期待が寄せられている存在ですが、京阪中之島線が苦戦を強いられる中、先行きが注目されます。

本題に入る前に、関連ニュースです。

公示地価3年ぶり下落 3.5%、大都市中心で顕著
<表>下落率が大きかった地点
<表>上昇率が大きかった地点
2009年の公示地価が発表されました。国土交通省により1/1時点の全国の調査地点の地価を毎年発表し、主に公共事業の用地買収などで参照されるものです。

特に下落率上位と上昇率上位を注目していただきたいんですが、下落率上位の商業地では名古屋が、住宅地では東京都心がリストアップされてます。いずれも再開発ブームで地価上昇が急だった地域が並びます。つまり局地的バブルが弾けたわけで、今回の地価下落の大きな要因で、当ブログで再三指摘してきたところです。加えて上昇率上位では地方都市の再開発地域が並び、遅れてきたバブルの波といえますので、早晩下落に転じるでしょう。しかし住宅地の方はちょっと面白いんですが、北海道伊達市が上位に並びます。比較的温暖な気候で「北の湘南」をキャッチフレーズに高齢者の移住を促進した結果ですが、公共事業でインフラ整備して企業誘致するだけが地域活性化の解ではないですね。

といったあたりを踏まえて関西の未来を考えると、あまり明るい展望が開けない現状です。既に国レベルで人口減少が始まっていますが、都市集中とパラレルですから、地方の過疎化、空洞化が進行する中、三大都市圏で唯一人口減少に転じた関西圏の活性化は一筋縄ではいきません。

阪神なんば線ですが、軌道法による特許取得が1948年ですので、実現に61年もかかっております。しかも前史があります。1946年に阪神野田~近鉄鶴橋間の高速鉄道計画を合弁で実施しようとして、大阪市の反対を受けます。いわゆる市営モンロー主義というやつで、市は同区間に軌道法による地下鉄建設の特許を取得、千日前線として実現しています。そこで作戦変更となり、第二阪神線の落とし児の伝法線を千鳥橋から西九条を経て難波まで延長、近鉄も上本町~難波間を建設して相互直通を行うように変更したものです。ですから梅田~福島~千鳥橋~尼崎~岩屋と結ぶ戦前の第二阪神線という前史もあるわけです。ちなみに阪神梅田駅進入部の4線構造の地下トンネルや大物~尼崎間の本支線並走や御影付近の高架電留線などは、この第二阪神線構想を見込んだものと言われております。

近鉄という会社は、東の東急と並んで、自社の勢力圏拡大に執念を燃やした会社です。発展段階で多くの同業者を併合し、営業エリアを拡大してきたのですが、国家権力を背景とした戦時統合に乗じた東急が、戦後多くの利権を失った一方、民間ベースで巨大コンツェルンを構築した近鉄は、戦後も巨大さを維持したばかりか、拡大路線を踏襲します。

近鉄が戦後併合した他社線ですが、大和鉄道、信貴生駒電気鉄道、奈良電気鉄道、三重電気鉄道の4社をかぞえます。このうち既に近鉄が資本の大半を握っていて車両も融通していた大和鉄道(現田原本線)の併合は、むしろ戦前のやり残しの感があり、例えば戦時統合で近鉄に併合された南海鉄道が戦後処理で、別会社だった高野山電気鉄道(高野下~高野山)に事業譲渡されたように、少数株主の抵抗で経営統合できなかった事例は関西には結構あります。また三重電気鉄道も、元々地元資本だった三重交通の鉄道線を、三重交通自身への出資の上、近鉄、三交合弁の三重電気鉄道を設立して鉄道事業を譲渡させた上で併合するなど、被併合企業側の抵抗を抑え込みながら拡大していきました。

残る2社はいずれも戦前に京阪との合弁事業として出資したものですが、前者は枚方市~私市間の北部線と生駒~王寺間の南部線につながりが無く、戦前既に北部線は京阪傘下の交野電気鉄道へ譲渡の上京阪に併合された残りで、やはり事実上近鉄の支線だったので、大和鉄道と似てますが、それでも株主の抵抗に遭っていたのでしょうか。近鉄の巨大さは畏怖の対象だったようです。

端的なのは奈良電気鉄道の事例ですが、1960年代に京都進出を目論んで近鉄が株式買収を仕掛け、京阪が応戦したものの、上場企業ゆえに買収合戦で株価が上昇、淀屋橋延伸などで資金に余裕の乏しかった京阪が後れを取り、結局近鉄が買収を成功させ、1963年に併合、近鉄京都線となります。

この辺は村上ファンドに買収を仕掛けられた阪神に重ね合わせると面白いのですが、当時近鉄を非難する声はありませんでしたし、日本でもかつて企業買収は普通のこととして行われていたのです。それが村上ファンドやスティール・パートナーズの買収があれほど世間を騒がせたのですから、いつの間にか日本は社会主義国に変質していたのかもしれません。いや怪しげな投資ファンドが仕掛けたのだからという声もありましょうが、ならば王子製紙による北越製紙の買収劇は何だったんでしょうか。買収は失敗したものの、「アメリカ的なむき出しの資本主義は日本には馴染まない」など、メディアの悲鳴に近い反応は異常でした。

ま、それはそれとして、結局阪急との経営統合へと進んだ阪神ですが、戦後の近鉄との合弁事業が陽の目を見ていたら、おそらく後日近鉄との争奪戦を演じることになったでしょうから、沿線の成熟化で利用が伸び悩んだ阪神は、その過程で近鉄に併合されていた可能性すら否定できません。その意味では大阪市の横槍は阪神を助けたかもしれません^_^;。

加えてどう見ても株の高値掴みとしか思えない阪急による阪神の経営権取得も、近鉄の進出を快く思わない阪急による防衛戦と考えれば、腑に落ちる部分があります。また相互直通にあたって車両規格の統一が行われなかったのも、ある意味阪神側の防衛意識が働いた可能性があります。というのも、阪神は既に近鉄の20m級車の乗り入れを早い時点で想定していた節がありまして、尼崎の電留線を20m級車10連対応としたり、三宮までの快特停車駅の20m級車6連対応や、公式には認めておりませんが、近鉄直通用の20m級車の新造まで考えていたりと、阪神自身は乗り気だった割には、近鉄側が譲歩したように見えます。

というわけで、ひところは血気盛んだった近鉄も、新幹線開業で名阪間の都市間輸送の主力の座を降り、伊勢志摩地区の観光開発と三重県伊賀地区の宅地開発に注力してきた中で、バブル崩壊と大阪の地盤沈下のあおりで体力をすり減らしてすっかりマイルドになりました。阪急阪神の経営統合も傍観せざるを得なかったのですから、近鉄の地位低下は否めません。逆にだからこそ阪神との相互直通など、他社との連携に将来を託す姿勢となったのでしょう。

ただ冒頭で述べたように大都市圏の地価下落は、高齢化と人口減少が背景にありますので、今後とも関西の各社は苦戦が続くと考えられます。折角の新線に水をさすつもりはありませんが、大阪の繁華街が北へ移動しているのが昨今の傾向で、難波地区も一本裏に入れば都心とは思えないうら寂しいところです。加えて心斎橋のそごう撤退などもあり、阪神なんば線の効用はあくまでも直通による需要掘り起こしにあるわけで、案外甲子園と京セラドームの野球観戦客が一番の上得意になる可能性もあります。となればカーネル・サンダースの呪いが解けたタイガースと、強力打線の破壊力で戦力を増したバッファローズで日本シリーズを戦うのが、最大の活性化策かもしれませんね(笑)。

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Saturday, March 14, 2009

京王アイボリー時代

京王のイメージカラーはアイボリーということになるんでしょうけど、実は間もなく終焉を迎えます。2010年度までに鋼製車の6000系が淘汰されますので、京王からアイボリーカラーが消える(?)ということになります。実際は7000~9000系の前面に残りますし、そもそも井の頭線では7色のレインボーカラーですから、アイボリーがコーポレートカラーと言えるのかどうかは微妙ですが、「あいぼりー」という広報誌を配布したりしてます。とまぁ曖昧な書き出しですが^_^;、間もなく終焉を迎える6000系に焦点を当てます。

6000系を語る上で、名車の誉れ高い5000系を取り上げないわけにはまいりません。5000系の登場が1963年ですから、6000系の終焉をもって消えるアイボリー時代は優に半世紀に迫ります。それ以前の緑色の旧型車(カルダン駆動車もいたのですが^_^;)とは一線を画す5000系のデビューは鮮烈でした。

1963年は京王線が大変化を遂げた年でした。4月に新宿地下駅が開業、それまでの甲州街道上の併用軌道区間といかにも仮設のバラック駅舎の新宿駅が地上から消え、暗渠化された玉川上水の下へトンネルを通してルートも変わり、新宿駅へ進入するR60の急カーブはR110に緩和され、後の車両大型化を支えることになります。新宿地下駅は階段部分でX型にクロスした柱で、後に建設される京王百貨店の基礎工事が準備されておりました。見慣れた風景には理由があるわけですね。

8月には架線電圧を600Vから1500Vへ昇圧、それまで主力だった京王電軌由来の14m級中型車はサハ化され、おしどりユニットで昇圧対応した2000系や2010系のユニット間に挟み込まれたサンドイッチ編成が幅を利かせる中で、昇圧後に登場した1500V専用車として5000系が登場しました。

ここで5000系のザックリおさらいですが、4連の基本編成と2-3連の付属編成(+100番)があり、それぞれ最終的に4タイプに分類されます。以下にまとめます。

タイプA:5701F~5706F,5101F~5106F=最大幅2,744mm付属2連非冷房
タイプB:5707F~5710F,5107F~5112F=最大幅2,844mm付属2連非冷房
タイプC:5711F~5717F,5113F~5118F=最大幅2,844mm付属3連改造冷房車
タイプD:5718F~5723F,5119F~5125F=最大幅2,844mm付属3連新製冷房車
57xxが4連基本編成、51xxが2-3連付属編成で、4連のタイプA,Bが主電動機出力130kw*4、タイプC,Dが150kw*4、付属2連のタイプA,Bは上記サンドイッチ編成の中型車サハの置換えをデハ2700の改造で充当した結果発生したツリカケ駆動の足回り流用(110kw*4)、3連タイプCは主電動機出力130kw*4、3連タイプDは主電動機出力150kw*4という風に分類されます。タイプAの最大幅2,744mmは、地方鉄道法準拠の山岳トンネル規格で作られた新宿地下駅アクセス区間に合わせ、それまで京王電軌中型車由来の最大幅2,644mmより100mm拡幅されたため、すそ絞りスタイルとなりました。タイプB以降では側窓開口制限を条件に特認で100mm拡幅が認められ、混雑緩和に寄与します。車体幅は2,800mmで手すりの張出し部分が最大幅となるのですが、このことが6000系で重要な意味を持ちます。

6000系は1972年に一次車が登場しますが、既に都市計画10号線相互直通運転が決定していたことを受けて、10号線規格を先取りして、京王初の20m級4扉車として登場します。ただしなぜか10号線規格では最大幅2,800mmとなるため、せっかく5000系で特認を得た2,844mmは使えないということで、手すり取り付け部分に窪みをつけて最大幅2,800mmに収めます。また新宿駅進入部分のR110で20m級車体では偏倚による干渉もあって、車体幅は20mm縮めて2,780mmとしました。それでも室内有効幅を5000系広幅車と同じにするために、側構え厚を100mmから90mmに圧縮したために、後に剛性不足に悩まされることになります。そのために車体がゆるく、走る度に窓がバタつくことになり、常磐緩行線203系と並び称される騒音電車となります。一説によれば、元々ステンレス車として計画されていたのが、相模原線や京王新線の建設で多額の建設費を負担したため、予算不足で鋼製車となったとも言われますが、真偽のほどは定かではありません。そういえば203系も国鉄時代の予算不足が仇となったので似ています。

あと1次車に関しては、5000系最終増備車の足回りを基本的に踏襲し、ブレーキを電気指令式としたもので、発電ブレーキでした。しかも18m級7連を20m級6連で置換え、デハ4両をデハ3両としたわけですから、元々エコノミー設計だったとはいえます。しかしさすがにこのままでは地下鉄直通車としては不適格ということで、2次車以降は界磁チョッパ制御となり、マスコンキーで減流値を切り替えて高加速モードの運転を可能とするように改良されました。ゆえに1次車を組み替えて5+3連の分割編成とするときには、抵抗制御車と界磁チョッパ制御車の混結となることから、1,2次車混成の特別編成を組んで試運転を行い、特性を合わせたなんてこともありました。なお、マスコンキーで加速モードを変換すると同時に、京王ATSと都営ATC、列車無線チャンネルの変換も同時に行う仕様とし、9000系に至るまで踏襲されます。ただし都営車は加速モード変換がないので、都営車の京王線内運用はぬるい走りです(笑)。

6000系の淘汰によって、京王線の在籍車両はVVVF車で統一され、待望のATC化も実現するわけですが、その前に、高機能と言われる現在の京王ATSについて解説します。基本的に信号機直下の地上子による多変周信号式で、絶対停止okm/h、警戒25km/h、注意45km/h、減速75km/hで作動し、絶対停止では確認ボタンを押して15km/hで確認運転可能、その他の速度段ではATCのように速度計に制限速度が現示される仕組みで、それゆえ「ATC並み」と言われるのですが、一旦ATS信号で速度制限を受けると、前方進路が開通しても次のATS信号を受けるまで解除できない仕組みで、あくまでも運転士による信号機目視確認による先回り制御であって、絶対停止機能で運転士の目視ミスをバックアップするものですから、ATCと同等の機能があってもATSの範疇に留まります。ただし京王の10連2分ヘッドという究極の高密度運転を支えるために、閉そく割りを細かく設定していて、中には重要踏切の開時間確保のために敢えて踏切検知点外方に信号機を設置して列車を抑止するようなことまでやってますので、乗務員支援の目的で高機能化したと考えられます。

というわけで、ATSとしてはハイスペックで、京王では5000系から車上子が設置されました。高機能なので、動作の確実性がある電磁直通ブレーキ車が選ばれたわけですが、グリーンの在来車も電磁直通ブレーキに改造され、初期には改造車を5000系に合わせてアイボリー塗装され、主に急行系列車で運用されましたが、改造が進むにつれてグリーンに戻されました。番外で中型車に井の頭線の発生品で電装して昇圧後の支線運用に就いた220系もアイボリー塗装されましたが、こちらは単に動物園線で特急接続とする運用からイメージを合わせただけですね。

2010年には在籍車のVVVF化完了でATC化されます。最新のデジタルATCですので、停止または速度制限地点までの一段減速が可能になり、保安装置としてはさらに高機能化されるわけですが、同時にVVVF化でマスコンキーによる加速度切替の機能も意味を失うわけですから、京王線内での高加速運転が実現するものと考えられます。おそらく2012年の調布市内連続立体化事業の完成を待ってスピードアップが図られるでしょう。京王のチャレンジは続きます。

あとおまけですが、京王電鉄の新たな沿線活性化策で取り上げた高齢者の住みかえ支援による沿線活性化の仕組みですが、残念ながら現時点では大きな成果につながっていないようです。持ち家を賃貸して一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)が所得保障することで、都心のマンションや地方の別荘などを購入または賃借して移住することで、子育て世代を支援する仕組みですが、高齢者から見ても、持ち家を最後は担保に差し出すリバースモーゲージなどより使い勝手も良く、新たな住宅購入の場合でも、通常高齢者では不可能なローンが組めるわけですから、内需拡大策の目玉になりうるインパクトを秘めているのに、政府も銀行もサッパリ不熱心です。今後暫くはローンで購入することが前提となる高額品として、マイホーム、自動車、高級家電は売れなくなることは間違いないですから、高齢者の住宅ストックからフローを生み出すこの仕組みを有効活用することが望まれます。将にジャパン老いるマネー活用法です。

加えて多摩ニュータウンの初期の開発エリアである諏訪団地や永山団地で、5階建ての集合住宅の上層階を撤去して自重を減らし、それで得た耐震強度を利用して構造壁の一部撤去を行うことで、3階建てに改築する「減築」が取り組まれております。元々経年の集合住宅は、老朽化で不人気となり、居住者が減る傾向がありますが、これを逆手に取って総戸数を減らすことで低予算で住宅としての品質を高める取組みです。これなどは耐震強度に不安のある老朽マンションの建て替えの代案として、安全圏内まで自重を減らすという観点から魅力的です。高齢化、人口減少という現実の中で、総戸数が減ることは障害になりません。むしろ高価格な200年住宅などよりも、ずっと現実的な住宅政策といえます。

ニュースでは与謝野財務相がG20財務相会合で財政出動GDP比2%を約束しちゃったようですが、いよいよ小渕政権時代の総合経済対策の愚を繰り返す気でしょうか。対外公約を口実に無駄な公共事業が強行される方便には辟易します。

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