都市交通

Saturday, September 19, 2020

コロぶナ大阪トト

忘れかけてた大阪都構想が再起動した模様です。大阪府議会と大阪市議会が大阪都構想の賛否を問う条例を可決成立させて、再度住民投票が実施されることになりました。10月12日公示11月1日投票で、賛成多数なら2025年1月1日から新制度へ移行するというスケジュールです。大阪都構想自体は2015年5月17日の住民投票で格差で否決されましたが、今回は公明党が賛成に回っており、支持母体の有権者が動く可能性が高く、可決成立の可能性が高いと言われております。

立場を明確にする意味で、先に見解を述べておきますが、大阪都構想は天下の愚策です。地方自治法で大きな権限を与えられている政令指定都市を廃止して、権限が限定される4つの特別区にするという話ですから、普通に言えば大阪市域の住民サービスは劣化します。但し住民税などの税源は都に移行する訳ですから、府改め都は財政規模を拡大できる訳で、それが狙いと仮定すれば推進派の正体がわかります。大阪都構想は大阪市を廃止して権限を取り上げる構想ってことですね。

東京都との比較で言えば、東京都の人口1,400万人の内、区部が凡そ840万人で7割ですから、単独の市としては規模が大きすぎますし、昼間人口は区部だけで1,500万人を越えますから、単独の自治体として上下水道などのライフラインの維持管理だけでも大変な負担になりますので、広域自治体として都が肩代わりする意味はあります。

一方大阪府の人口は凡そ900万人で大阪市が275万人ですから約3割と東京とは真逆の人口分布です。勿論大阪市も昼間人口が多いとは言えますが、その規模は東京よりずっと小さく354万人と横浜市よりやや多い程度で、広域自治体としての都が肩代わりする必要性は乏しいと言えます。二重行政云々は従来も府市協議会で調整されてきましたし、人口82万人の政令指定都市堺市が抜けていて行政の一体化は最初から穴あきです。

てことで冷静に考えれば大阪都構想は否決されるべきですが、全国区のニュースになりにくい一方で、在阪メディアは大きく取り上げながらネガティブな情報には触れないということで、可決成立の可能性が高まっている訳です。これ安倍首相辞任から始まる謎な内閣支持率上昇と同じ構図ですね。国会も開かず記者会見も開かず巣篭りしていてメディア露出が減っていたところでの辞任報道でメディア露出が一気に増えた結果、安倍内閣の支持率が跳ね上がり、また早々管官房長官の後継が取り沙汰されやはりメディアを賑わせた結果、やはり新内閣は高い支持率となってます。いろいろ言われますが、オールドメディアの影響力は大きい訳です。

でも未だにコロナ禍が収まらず、大阪府だけでも60-70人規模の感染者が毎日報告されている中での住民投票です。普通に考えればコロナ対策を優先すべきところを、敢えて住民投票を行うというのはリスクもあります。実際コロナ禍で大阪市の財政赤字は拡大しています。自粛による税収減だけで500億円規模に加えて、市営地下鉄民営化で誕生した大阪市100%出資の大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)のコロナ禍による赤字転落で、見込んでいた配当金64億円の税外収入もなくなる一方、コロナ対策で歳出が拡大している状況です。

にも拘らず2025年からの大阪都の財政見通しを黒字として、その根拠として大阪メトロの配当金を挙げている訳で、矛盾だらけです。しかも大阪メトロ社長には知らされておらず、記者会見で記者からの質問で知って逆に赤字転落なのでとりあえず今期の配当は無理とした上で、2025年以降の収支を前提とした議論だから、今はわからないと逃げるのが精いっぱいだったというギャグのような話になってます。

これアベノ自粛エントリーで指摘したことですが、大阪府は大阪府都市開発(OTK)の事業の一部だった泉北高速鉄道を売却し、大阪市は地下鉄とバスの市営交通の民営化で得た資金を投じてなにわ筋線の事業費を負担することで、大阪メトロの稼ぎ頭の御堂筋線のライバルを整備するという倒錯したことをしている訳で、2025年以降の安定配当の見込みはかなり怪しい訳です。

大阪市交通局の民営化も、地下鉄事業に関しては2003年に単年度黒字を達成し、2010年には累積赤字も一掃して多額の利益剰余金を市財政にもたらした一方、フェスティバルゲートやオスカードリームなどの関連事業の不振とバス事業の赤字転落で苦しんでいたことは確かですし、何らかの見直しは必要ではありした。オスカードリームについては市有地の財産信託事業を受託したみずほ信託銀行から提訴され裁判で敗れて受託金支払いを命じられました。

交通局に留まらず咲洲地区のコスモスクエア地区でワールドトレードセンタービル(WTC)やアジア太平洋トレードセンタービル(ATC)など第三セクター方式によるビル建設でテナントが埋まらず赤字を垂れ流すなどしていて、それらを批判して台頭したのが大阪維新の会でした。同様に泉佐野市のりんくうゲートタワービルが同時期に建てられ、やはり大赤字となって泉佐野市の財政悪化の原因となりましたが、維新系の市長によるふるさと納税制度の高額返礼品問題に見るように、バブル後の大規模開発の失敗に乗じて台頭した維新の性格がよくわかります。

とはいえ例えば万博会場とされる夢洲への地下鉄中央線延伸のような投資案件を抱え、加えて仮称夢洲駅にはタワービルを建てる計画まで発表してます。財政を悪化させた大阪市の轍を踏もうとしている訳ですね。違いは大阪メトロは株式会社ですから、タワービル事業がコケても株主の有限責任原則で大阪市改め大阪都が直接被ることは無いってことですね。勿論それじゃすまないでしょうけど、あとは野となれで逃げるが勝ちと、アベノミクスそっくりの構図が見えます。

しかしコロナ禍で様子が変わってきております。特に維新をバックアップしてきた関西財界にさざ波が立ち始めております。関西財界をのまとめ役とされる関西経済連合会(関経連)の副会長職にある近鉄と阪急の両トップが腰が引け始めています。前エントリーでも触れましたが、大阪市進出を表明していた米カジノ事業者MGMがコロナ禍で自国の本業にブレーキがかかって白紙撤回した結果、大阪万博の実現可能性を巡って悲観論が出てきていることによります。

地下鉄延伸もタワービル構想もIR誘致を巡ってMGMに事業費負担を打診していたものが消えた訳ですから、その分の負担が関経連企業に奉加帳方式で負担が来ることを危惧する声が出てきている訳です。特に阪急と近鉄は1970年の大阪万博を利用して経営基盤を強化した成功体験があるだけに前のめりでしたが、流石に今回はヤバいと思い始めているようです。

阪急は大阪市域外への延伸だった御堂筋線の江坂以北の区間を阪急主導の三セクで北大阪急行電鉄を設立し、大阪中央環状線と同時整備されつつ未開通だった中国自動車道の本線車道に線路を敷いて会場線として万博中央口へのメインルートを押さえる一方、千里線の万博西口ゲート近くに臨時駅を設置して万博関連の鉄道輸送をほぼ独占し投資回収に励む一方、万博後不要となった北急の余剰車を市交に売却して資産圧縮して超優良企業になりましたし、近鉄は万博関連事業で訪日外国人の広域観光推進で補助金を得て近鉄難波線と鳥羽線を建設し、志摩線の改軌で大阪と伊勢志摩を結ぶ観光ルートを確立しました。

てことで、実は住民投票の裏で関西財界の微妙な対応で万博開催もどうなるかわからない状況ですが、それを悟られないためのイベントとしての住民投票というのはうがった見方でしょうか?しかもメディアはそこを突かないから裏の動きはほとんど気づかれていない訳です。ある意味大博打の住民投票なんで、言ってみれば大阪トトとでも呼びたいところです。それでもベットしますかね?

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Saturday, September 05, 2020

アベノミクスは終わらない

終わらせろと書いといて何ですが^_^:、より正確に言えば終われないんですよね。てのは効果のない無意味なアベノミクスを続けた結果、身動きが取れなくなっているのが実際だからです。だから誰が後継総理になっても、あるいは極端に言えば与野党で政権交代が起きても、打てる手は限られてしまうという地獄のような現状だからです。

始まる前からのアベノミクス批判に留まらず、不思議の国鏡の国でも指摘したように、効果がないばかりか副作用ばかりで、結果的にウソノミクス統計135°のように統計数字を誤魔化すし、森加計問題のように公文書の改ざんも平気ということで、後継者と目される管官房長官のスガノミクスが注目されたりしてますが、結局アベノミクス継承で国民を騙し続けるってことです。

余談ですが、不思議の国の相鉄JR直通列車は利用が伸びず、結果的に武蔵小杉民の乗車機会を拡大しているのが皮肉です。おそらく東急との直通で品川東京方面へシフトが考えられますが、そうなるとグリーン車組み込み15連で付属4連羽沢落としG車込み11連で相鉄へということも考えられます。延伸不能な田浦駅対策で横須賀線の基本編成は1両ドアカット機能がありますから不可能ではありません。ついでにグリー料金のおまけも。相鉄12000系はATACS搭載を活かして朝に新宿以北へ送り込んで埼京線で終日運用して夜帰還する運用で車両走行キロ調整に供するってところでしょうか。

鏡の国の公共事業が実はゾンビ企業温存にしかならない点は指摘しましたが、加えてGoTo トラブルで示した恒等式GDP=消費+投資+政府支出+輸出-輸入
を思い出していただきたいんですが、これ生産の指標であるGDPを所得の面から見たもので、所得=消費+貯蓄と同義です。つまりGDPの式の右辺の第2項以降の合計が貯蓄とイコールなんです。てことで橋本政権の金融ビッグバン以来の「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズは無意味なんですね。経路はいろいろあるけど、所得から消費を引いた残余が貯蓄で、投資と政府支出と輸出から輸入を引いた純輸出に振り向けられるって意味です。貯蓄と投資は裏表の関係でしかない訳です。

ただし貯蓄=投資ではない訳で、政府支出のファイナンスと余剰生産品の輸出で調整される訳です。てことは、政府の財政赤字と輸出依存が続く限り投資に資金が向かわない訳で、これアベノミクスの第一の矢は為替の円安シフトで輸出を促し、第2の矢は財政出動でいずれもGDPを押し上げはするけれど、経済成長に欠かせない企業の投資行動を抑制することになる訳ですね。

また両者は本来政府財政の悪化に伴い上昇する筈の市場金利を異次元緩和で抑え込んでいて、特に銀行の融資による利ザヤが圧縮されますから、信用創造の基本である銀行融資の拡大が見込めず、銀行は余剰資金を株や債券で運用せざるを得ません。株式は5%の保有制限がありますから、勢い債券運用に偏りますが、そうなると安全資産とされる国債運用に偏ります。

それが日銀の異次元緩和で爆買いされている訳ですから、社債や外債へシフトせざるを得ません。特に後者はポーt-フォリオリバランスと称して日銀が意図的に民間資金を外債投資に振り向ける結果、為替相場が動いて円安になるって理屈です。しかし米FRBもゼロ金利に復帰したように世界の主要国中銀が金融緩和で足並みを揃えてくると、結果的にどこへ投資しても金利を生まないから、結果的に為替も膠着して動かなくなりますし、信用力の劣るジャンク債への投資も増えます。

あとコロナ禍もあって劣後債の起債が増えてますが、これ債券ながら元本返済の義務が無く、その分高めの金利を払い続けることで会計上資本勘定に算入できるということで、言ってみれば議決権のない株式に近いですが、ややこしいのは優先株のような種類株ではないんですね。優先株はあくまで株式で、議決権を返上する代わりに優先配当の権利を得るもので、金融危機の時の銀行の公的資金注入で使われた手法ですが、優先株は期限を切って普通株に転換する条件が設定されていたりして、期限内に注入された資金を活用して不良債権処理を進め正常化したら買い取って消却するという前提で発行されたものですから、微妙に異なります。

あと株高の意味も考える必要があります。日経平均に限らずTOPIXも上がって取引高も増えているという点でアベノミクスを成功と評する向きもありますが、今や東京株式市場の主要プレイヤーは外国人投資家であって、外国人が買えば上がり売れば下がる状況です。外国人投資家は東京市場をドル建てで見ていて、為替が円安になれば買い円高になれば売る訳です。しかも資金は日本国内で調達しますから、日本の過剰流動性を利用してほぼ為替フリーで投資できる訳で、国民が積み上げた厚い貯蓄を利用して利ザヤを稼いでいる訳です。そして株価上昇は株式市場への資金流入の結果ですから、国民の貯蓄が空回りしているとも言える訳です。

そして株価が高止まりすると時価で見た配当利回りは低下しますから、株価が上がれば上がるほど、長期投資の資金を遠ざけることになり、この面からも債券投資への傾斜が起きる訳です。そうしてジャンク債や劣後債のブーム?って珍事になる訳です。つまりほぼ金利負担なしに資金調達できるけれど、リターンが見込める投資先が見当たらない訳です。その点からすると一時のユニコーンブームや昨今のGAFA等ハイテク企業一人勝ち状態のアメリカでは、ベンチャーキャピタルなどを通じて企業のアニマルスピリットが発現している訳ですが、そのアメリカも財政赤字が深刻化しており、日本化の可能性はあります。

てことでいいとこなしのアベノミクスですが、だからといっていきなり利上げしたり財政を圧縮したりできる訳じゃないところが悩みどころです。財政規律を取り戻すにしても時間をかけて徐々にしかできませんし、過剰流動性相場だからと株価を冷やすことの副作用もある訳で、アベノミクスの失敗は明らかでも出口対策は実は難しい。結局目先の数字を整えるためにこれからの経済政策の選択肢を事実上失わせたことが、アベノミクス最大の副作用って訳ですね。

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Sunday, August 02, 2020

北へ届かなかったひかり

両親ともに見送った身ですが、父は誤嚥性肺炎による心肺停止、母は老衰による多臓器不全で、ともに天寿を全うしたとは言えますが、最後は苦しそうで、眠るように安らかとはいかない現実を見てきました。特に母は食物の経口摂取が困難な状況で、医師から胃ろうを勧められたのですが、当時あまりに不自然な延命処置としか思えず断りました。

冷静に考えれば既に食べる行為そのものが本人にとっては苦痛だったかもしれず、緩和ケアとして捉えられなかったのではないか?これって健常者の発想でしかなかったのではないか?という疑問が残ります。既に後の祭りですが、その想いを生き残った者として抱いていくしかありません。生きる苦しみは終末期の高齢者や難病患者だけの問題ではありませんが、せめて近親者が気持ちに寄り添うしかありません。本人が「死にたい」と漏らすのはそんな過酷な生の現実こそが問題なんであって、QOL問題と整理できます。「死にたいなら楽に死なせてあげましょう」は解決策ではない訳です。

医師による嘱託殺人事件の問題は、死後の本人に「死んでよかったか」を問うことができない不可逆性にある訳で、故に倫理にもとることなんです。それを「これをきっかけに安楽死、尊厳死の議論を深めよう」という政治家が現れる不快な現実があります。こんな奴ら次の選挙で落としましょう。生きることにこそひかりが届くことが大事です。リモートよで触れたスウェーデンの社会的トリアージと言える高齢者への医療制限は広範な社会的合意の産物であって、安楽死や尊厳死乗り\議論とは別物ですので念のため。

てな重いテーマは置いといて、東京駅新幹線ホームの内、東海道新幹線用の第7ホームが東北新幹線に寄り添うように北へ向かってカーブしていることから始めます。第7ホームは元々東海道線の長距離列車の発車ホームとして新幹線開業前の特急、急行の乗客が大きな鞄を持って乗車待ちしていたところですが、新幹線開業後も残った急行列車や夜行ブルートレインが使い続けていて、独特の雰囲気がありました。

一方、全国新幹線鉄道整備法に基づく東北、上越、成田の3新幹線が1971年に基本計画線として公示され翌年整備計画線に昇格し、東北新幹線は国鉄が、上越、成田新幹線は鉄道建設公団が建設を担当することになり、整備計画が策定されますが、当初計画では起点は東京駅、終点は盛岡駅で既存駅併設とされ、東京駅に関しては首都圏五方面作戦で横須賀線横須賀線分離で空く6番ホームと新幹線の利用拡大でいずれ不要となる7番ホームを新幹線用に転用することが計画されました。

結果的に東海道新幹線に2面4線、東北新幹線に2面4線を割り当てると同時に、南側は東海道新幹線に繋いで4面8線中5線を東海道と東北を直通できる構造として新大阪のようにスルー運転する計画でした。直通客を当てにするというよりは、折り返し運転で避けられないホーム在線時間の短縮が狙いということで、故にAC25kv50hzの東北新幹線ですが、東京駅北方にデッドセクションを設けて東海道新幹線の60hzと電源切替するとして、車両側も2電源対応とする計画でした。実際200系は2電源でした。

早速事業着手した国鉄の当時のキャッチフレーズは「ひかりは北へ」でした。また当初東京の次の駅は大宮で、上野は駅設置を計画されていませんでした。また大宮以南は新宿起点とされた上越新幹線の大宮以南の事業化を先送りすることで、当面大宮以南は東北と上越の共用とされました。つまり山陽新幹線と同様に東海道新幹線の延長線として計画された訳です。

おそらく山陽区間のwひかり、Aひかり、Bひかりのように、主にひかりを延長するイメージだったようです。Wひかり相当の速達列車はNひかりだったかも。故に速達列車が必ず停まる仙台、盛岡と上越の新潟を除く各駅は通過線を持っていました。Nひかり(仮)の停車駅は東北は仙台のみ、上越はノンストップで、Aひかりは東北が大宮、宇都宮、郡山、仙台以遠各駅、上越が大宮、高崎、越後湯沢、長岡、燕三条、Bひかりは全駅停車として東北は仙台止まりとして段落としで輸送力調整というところでしょうか。

ところが誤算だらけで、73年のオイルショックによる不況で総需要抑制策による工事自粛による遅れと、所謂狂乱物価と呼ばれた物価上昇で事業費の膨張という逆風を受けます。加えて東海道新幹線名古屋騒音訴訟問題で新幹線の騒音問題が意識され、東北新幹線沿線各地で反対運動が展開されます。故に人口密集地の荒川北岸から大宮駅までは地下トンネルで計画されたものの、軟弱地盤で地盤沈下の恐れありと反対され、別ルートの高架案で通勤新線併設として埼玉県に提案しますが、埼玉県は認めず、工事の遅れが膨らみます。

一方で東海道新幹線の需要が堅調で東京駅の処理能力が限界に達したため、東北新幹線用に考えられていた7番ホームの東海道新幹線転用により、東北新幹線の受け入れ余地が狭まります。そのため国鉄は計画を変更して上野に2面4線の地下駅を設置してサブターミナルとするための工事実施計画変更が1977年に行われます。大宮以南の計画が大きく変わった訳です。

他方首都圏五方面作戦の誤算もあり、反対運動で遅れた東海道貨物線の建設による横須賀線の分離運転は1980年にやっと実現しますが、東北方面は大宮以南の客貨分離と電車線列車線分離は実現したものの、大宮以北の中電区間の開発が活発な一方、東北、高崎両瀬が合流する大宮以南の線路容量の限界で混雑が年々激化し、1973年3月に上尾事件が起きるなど深刻化しておりました。

その中で一旦県が却下した東北新幹線併設の通勤新線に期待が集まり、新幹線の騒音振動対策の強化と引き換えに高架案を県が認めるに至ります。但しルートは人口密集地を避けるため600Rなどの曲線が連続し、元々110km.h制限がかかる上、線路沿いに緩衝帯を設けたり防音壁を設置したりとコストのかかる構造になりましたが、逆にだから通勤新線の併設も容易ではありました。

後に埼京線として開業する通勤新線ですが、当初上尾事件の影響もあって高崎線宮原まで建設し高崎線の都心ルートとする構想で、武蔵浦和付近に車両基地を建設する計画が、用地買収難で断念され、代わって都市近郊の非電化線で残っていて開発余地が大きいと見なされた川越線の電化とセットで同線南古谷駅に車両基地が作られました。結果的に宮原延長は断念され、埼京線は川越線と直通することになった訳です。中電の都心ルートとしては貨物線を利用した赤羽折り返し列車の設定に始まり湘南新宿ラインとして実現することになります。

こうして大宮以南の工事は特に遅れた訳ですが、大宮以北の工事進捗で1982年に大宮起点で暫定開業し、上野―大宮間に185系200番台の新幹線リレー号で繋ぐというツギハギだらけのスタートでした。上野開業は1985年で埼京線っも同時開業しましたが、103系が轟音を轟かせていて新幹線の騒音対策の筈が新幹線より五月蠅いという笑えないオチも。

この状態で1987年の国鉄分割民営化を迎えますが、新たな問題の出現でもあります。開業済みの各新幹線は新幹線鉄道保有機構に移管され、東海道をJR東海、山陽をJR西日本、東北、上越をJR東日本にリースし、リース料に旧国鉄債務を一部乗っけて債務圧縮を図ることになりました。この時点で工事中だった東北新幹線の東京延長は機構に継承されて継続されたものの、上記の東京駅の利用区分問題が浮上します。

JR東日本としては当初計画に則って6番ホームの新幹線移転と同時に、東海道新幹線で使われていた7番ホームの移管を主張したものの、JR東海はこれを拒否します。また両新幹線の直通運転もJR東海の反対で実現せず、現状のように双方が折り返し乗客が乗り換えるという利便性を損なうものになりました。同時に折り返しによる在線時間の長さは地価の高いターミナル駅の有効利用の観点からも問題ですが、両社の主張は平行線のまま、別々の道を歩むことになります。ひかりは北へ届かなかった訳です。

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Saturday, July 25, 2020

五方面作戦の闇

やや大げさですが水に流せない過去で触れたJRの国鉄体質の復活の懸念を感じております。場合によっては国鉄改革の成果を台無しにしかねない問題です。

国鉄の前身は鉄道省という行政機関だった訳で、現業としての鉄道事業と鉄道を含む民間交通事業者に対する監督官庁という後の運輸省の役割を併せ持つ存在でした。理屈としては鉄道事業の国家独占の考え方で、国が鉄道を建設し運営する分には権限の行使だけど、民間事業者が参入する場合は国に申請して免許の交付を受けることが義務付けられるとともに、国の判断で買収を要請された場合には拒否できないという法体系でした。

故にその権限は強大でしたし、またそれ故に政治の介入を受けやすい存在でした。戦前期の立憲政友会と民政党の疑似二大政党制時代に両党が競い合うように選挙区の地方路線の建設を押し付け、広軌論や電化推進などの幹線の改良を潰してきました。根拠法として鉄道施設法が制定され、基本計画線、整備計画線、工事線を示す別表が添付され、その内容は毎年のように更新されておりました。

その後国家総動員法の施行で戦時体制に突入すると、中央省庁も大規模な改変がされて鉄道省も商工省を経て運輸逓信省となり、郵便事業も管轄する大組織となりましたが、戦後GHQの命令で郵政の分離と共に、鉄道と付帯する自動車や船舶事業などの現業部門を公社として分離し、独立採算制で経営自主権を持たせることになり、公社としての日本国有鉄道が発足します。しかし鉄道の国家独占原則はそのままで、国鉄は国に免許申請することなく事業展開できる存在になった訳です。

そのことは東海道新幹線の実現には貢献したものの、鉄道施設法は存続していて、相変わらず政治家の圧力で地方路線の建設を強要されましたが、独立採算制が盾になっていたというと意外感がありそうですね。故に1964年に鉄道建設公団を発足させ、主に地方線区の建設し、完成後国鉄に無償貸与若しくは無償譲渡するという形で切り離されました。またそれ故に鉄道施設法の別表の更新も続いた訳です。あとお気づきかと思いますが、全国新幹線鉄道整備法に基づく新幹線建設も、基本計画線、整備計画線、工事線を示す別表が添付されており、戦前からの古いスタイルを踏襲しています。

この辺は東京都交通局などの地方公営交通や帝都高速度交通営団のような特殊法人と国鉄の違いとして重要です。都交にしろ営団にしろ法的には民間に準じた事業者として国に申請して免許の交付を受けなければ事業ができない存在です。それ故空飛ぶ都営交通で取り上げた都市交通審議会1号答申で都の都市計画高速鉄道5路線の内1-4号線までは事業者名まで明示していましたが、5号線は未定としていました。混雑が激しい中央快速線の混雑緩和を狙ったバイパス線という性格から、国鉄による事業化の可能性があったから触れなかった訳です。

実際は首都圏五方面作戦の走りとなる中央線複々線化事業との関連で営団が地下鉄として整備し、国鉄の線増線と相互直通とされました。それと共に都の都市計画高速鉄道も改訂され10路線が新たに制定され、5号分岐線は6号線として分離され1号線西馬込系統と統合され西馬込―志村(仮)間となりました。同時に7号線(目黒―岩渕町、ルート変更の上営団南北線として実現)、8号線(喜多見―日暮里、一旦キャンセル後区間、ルート見直し後9号線として復活、営団千代田線として実現)、9号線(芦花公園―麻布、キャンセル)、10号線(中村橋―両国、8,9号線キャンセルで8号線に繰り上がるもキャンセル)が答申されました。

当時まだ首都圏五方面作戦とは言われておりませんでしたが、東京一極州通で混雑が激しくなる一方で、国鉄としても線増を進めて輸送力増強を図ることが避けられない状況でした。その時に国家機関としての権限を保持していた国鉄は、都を格下と見て都市計画は無視する一方、出資者として営団とは良好な関係を持っていました。

都市計画で追加された路線は結局キャンセルが多く、実現した路線もルートや区間が変更されていますが、これには国鉄が微妙に絡んでおります。8号線は喜多見で小田急線との相互直通し小田急は喜多見分岐の多摩ニュータウン新線を計画していました。一方日暮里では国鉄常磐線の複々線化を睨んで相互直通を意図しておりました。

8号線に反応して営団は喜多見駅北方の野川河川敷に広大な土地を先買いして車両基地用地を確保しましたが、小田急が都区内区間で並行する8号線計画に難色を示します。一方1964年から赤字転落した国鉄ですが、幹線区間の電化や複線化に加えて首都圏五方面作戦で大規模投資目白押し状態でした。特に総武線の複々線化で快速線を東海道と分離後の横須賀線とつないで直通する構想を進めた結果、常磐線に予算が回らなくなり、特に下町の密集地帯で用地賠償が難しい上、墨田川と荒川に橋をかけなければならないことから、事業費圧縮のために接続点をできるだけ都心から離れたところにしたいということから消極姿勢でした。

恐らくそれらを忖度して小田急に対しては代々木上原接続で喜多見までの小田急線複々線化工事を都市計画に取り込み。喜多見の土地は経堂電車区の移転先として小田急に譲渡し、代わりに綾瀬に車両基地を建設するということで荒川の鉄橋を営団が作り,国鉄は綾瀬以遠に複々線化区間を圧縮するという調整を経て9号線として都市計画路線に組み込んだ結果、千代田線として実現したと見ることができます。国鉄も営団の言い分は聞く訳です。

一方米軍グランドハイツ返還後の跡地開発で西武豊島線の延伸を想定した都は10号線→8号線で西武との相互直通を想定し、他方両国では総武線複々線化による線増線との相互直通を想定していましたが、都の働きかけに対して西武は動かず、加えて国鉄は都の都市計画を無視するように総武快速線の事業に着手します。8号線→9号線と違って放置プレーでキャンセルに追い込まれた訳です。

そして総武快速線の事業は都心の地下トンネル工事という国鉄にとっても未知の事業であり、地上構造物の基礎の仮受や地下埋葬物との競合回避などで事業費は膨らみ遅れもあり、総武線の混雑は酷くなる一方だったことから、東西線の東陽町―西船橋間の延伸を営団に要請し、営団もそれに応じます。関連して東武野田線方面への延伸も示唆され、新船橋接続が検討されましたが、実現しませんでした。営団としても総武快速線完成までのつなぎと分かっていたので、その後を意識していた訳です。

千代田線の相互直通で営団6000系と国鉄103系1000番台都の電力消費量の差額を会計検査院に指摘され、国鉄と営団で差額精算が行われるようになったことも、国鉄と営団の特殊な関係を語るときに忘れることはできません。これは小田急9000系にも適用されトバッチリを受けた訳ですが、それ故に国鉄は203系を開発し投入したものの、予算制約から剛性不足の柔なアルミ車体が災いして轟音を振りまくノイジーな電車になりました。また小田急がVVVF制御車1000系の開発を急ぎ、用途を失った9000系は早期に引退しました。

常磐線に関しては複々線化で新駅が2つ誕生しています。北柏と天王台ですが、それぞれに経緯があります。北柏は緩行線にしかホームがありませんが、快速線にも折り返し線があって取手発着の中電の折り返しに使われてますが、元々は貨物駅でした。松戸―我孫子間の複々線化では各駅の貨物扱いを集約して用地を確保しましたが、そのために貨物駅として北柏が作られ、後に緩行線に旅客ホームを追加して旅客扱いを始めた一方、車扱い貨物の廃止で北柏の貨物扱いが無くなった結果が現状です。旅客駅化は地元対策だった模様です。

天王台は松戸電車区の支所として快速線用の電留線が作られましたが、用地取得のために駅設置を約束したと言われております。この辺北柏と共に地元の不利益を打ち消す思惑が見られます。同様に線増工事関連で貨物線と貨物駅が作られることになった横浜羽沢では住民の強硬な反対に遭って大幅に遅れ、横須賀線の分離が遅れたことが知られております。相鉄の都心プロジェクトで羽沢横浜国大駅が旅客駅として開業しましたが、当時は旅客液化など想定もされてなかった訳で、歴史の綾を感じますね。同時にリニア静岡工区を巡るJR東海と静岡県の対立を見るにつけ、国鉄時代のこうした独善性とバーター主義が垣間見えます。

てことで、h現時点では杞憂かもしれませんが、国鉄を出自とするJR上場4社の株式持ち合いは国鉄体質の復活おw警戒する必要があります。特にコロナ禍で売り上げを落とし、株価も下がった各社が株式持ち合いでもたれあいする可能性は高いと思います。一方鉄道業界では西武と京急、小田急と相鉄、京成と小湊などで伝統的に株式持ち合いが続いていますが、民間事業者同士として問題を引き起こす可能性は低い訳です。JRの持ち合いとは意味が違います。

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Saturday, July 04, 2020

リモートよ

マイクロオフィスで取り上げた香港国家安全維持法の成立し施行され、早速大量の逮捕者が出ています。これに対して国際社会は有効な対抗策を出せずにいます。それどころか例えば英ジョンソン首相は香港市民に市民権付与を示唆してますが、あくまでも金融やITなどの優秀な人材獲得が目当てで、希望者をすべて受け入れる訳ではありません。同様の議論は日本でもあって、それどころかこれを機に東京を香港に変わる国際金融都市にしようという不謹慎な議論すらあります。

バブル期から繰り返し唱えられてきた東京の国際金融都市構想が他人の不幸に乗じて出てくるのは論外ですが、そもそも何故東京が国際金融都市になれないかというと、元々金融は規制業種で国毎に違いがありますし、金融界の慣例やバーゼルの国際決済銀行(BIS)規制や国際条約など様々な法源によって規定されている訳です。

そんな中でニューヨークやロンドンの金融街が特別な地位を得ている理由がそれぞれある訳で、ニューヨークは米ドルが基軸通貨として貿易決済に使われることに由来しますし、ロンドンは女王陛下と言えども事前に許可を得なければ入れない程の自治権があって、国の干渉を受けにくいことからオフショア市場が形成しやすい訳で、所謂比較優位で金融業が集積している訳です。翻って東京には特段の比較優位はありません。

香港に関してはロンドン同様の強固な自治権の存在は指摘できますが、同時に以前から西側からの中国アクセスの窓口の機能があり、その中国が目覚ましい経済成長を遂げた今も、香港経由の国際取引は大きなウエートを持っている訳で、中国は恐らく前者が棄損しても後者の機能で香港の国際金融都市としての機能は損なわれないと考えたと思います。いずれにしても東京の出る幕はない訳ですが。

それよりも気になる東京の感染拡大のニュースですが、検査数が増えて特に夜の館加害の重点化で増えていると説明されてます。恐らく都知事選絡みの小池知事のメディア戦略なんだと思いますが、感染者の増加に留まらず感染経路不明が多いことが問題なんで、東京に限っては自粛解除が早かった可能性は指摘できます。とはいえ再度の自粛要請は抵抗感も強く補償の財源も当てがないから難しいところです。

確かに自粛で経済を窒息させるのも問題ですが、早すぎる解除は寧ろ感染拡大で経済を棄損します。アメリカが今まさにそんな状況ですし、100年前のスペイン風邪のときに厳しい規制をかけた州ほど終息後の経済回復が早かったという実証研究もあります。経済回復をアピールしたい政治的判断で前のめりになると寧ろ逆効果ってことですね。

その意味でロックダウンも学校閉鎖もしなかったスウェーデンが注目されますが、老人介護施設で感染拡大が見られ死亡者が増えたという問題は起きました。しかし政権の支持率は寧ろ上がっているというのが不思議ですが、実はスウェーデンはデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいて、リモートワーク可能な雇用者は全体の44%いて、政府の自粛要請を受けて可能な人はリモートワークで外出自粛した結果、市中感染の拡大は防げましたが、濃厚接触が必要な介護などのケアサービス部門でクラスター感染が起きた結果、高齢者の死亡が増えた訳です。

それでも元々医療制度で高齢者の受け入れが制限されていて、日本のような院内感染は起きていません。これは有限な医療リソースを未来ある若者に割り当てるというスウェーデン独自の考え方が反映されていることによりますから、日本では反発されるかもしれませんが、社会保障費の膨張に悩む先進的な福祉国家故に国民的合意ができたんでしょうけど、高齢化の進む日本でもこういった議論は必要でしょう。

にしても切ないのはスウェーデンがDX先進国だから、国民は負担を感じずに自粛生活にシフトできたってところですね。コロナ禍を機にリモートという泥縄の日本では、自粛解除した途端にリモートやめて出社という企業が多く、以前よりはましとはいえ密になる通勤ラッシュが復活してます。こういうのを周回遅れと言います。コロナ後のDXが如何にのんきな話かですね。

あと企業の本気度が疑われる事例があることは指摘しておきます。例えばこれです。

「ジョブ型」に労働規制の壁 コロナ下の改革機運に水:日本経済新聞
これ記事遺体が労働規制緩和の必要性に結び付けれれていてミスリードですが、PCやスマホのタイムスタンプで労働時間管理するから、就業時間をちょっと超えたためにメールも送れないってのは、寧ろその会社のリモート環境がおかしいです。リモートでの在宅勤務で何故フレックスタイム制を併用しないのか?アホとしか言いようがありません。フレックスタイム制ならば自己申告となりますが、残業が発生すれば残業代の支払いも発生します。雇用がジョブ型じゃないから在宅ワークがうまくいかないってことはない訳です。あとこれね。
マイナンバー 普及へ試練 「10万円」給付で混乱:日本経済新聞
企業というよりも、日本では企業組織のロールモデルとして参照されてきた公共部門の混乱です。例の特別給付金を巡る自治体の混乱ですが、マイナポータル経由の電子申請でも住民基本台帳との突合が必要だから紙に出力して手作業で突合した結果ってことです。

ただでさえ財政規律を求められギリギリの人数しかいない自治体の行政事務のDXが進んでいなかったというオチですが、自治体に限らず日本の公共部門の多くは、NTTデータ、日本IBM、NEC、富士通といった大手ITベンダーに個別に発注していて統一が取れていないばかりか、一旦導入したシステムを後生大事に修正して使ってきた結果、パッチワークだらけの複雑怪奇なシステムとなり効率も悪いし新たなシステムの導入を阻む壁にもなっています。

加えてセキュリティ上デリケートな個人情報の扱いから、マイナンバーカードのシステムは例えば住基ネットなど他の公的なネットワークとの相互接続が敢えて取られていないから、結局手作業の確認が必要になる訳です。はっきり言いますが、国や自治体がこのレベルでは、民間企業のDXが進む訳がありません。あとこれ。

リニア工事「対話遅れ、JR東海に責任」 静岡副知事:日本経済新聞
前エントリーのリニアの続報ですが、副知事会見で明らかにされたのは、小規模な宿舎蛍雪を認められているから、付帯工事として17haの作業ヤードも認めてくれってのがJR東海の言い分らしいですが、これ副知事の言い分が正しければ、大規模な開発行為を細切れにして環境影響が小さいとするレトリックですね。行政手続きとして認める訳にはいかないですよね。

しかし気になるのが、そもそもDXでリモート会議が手軽にできるならば、例えば名古屋本社の東京勤務の人が会議を理由にいちいち名古屋まで出かけなくてよくなる訳です。そう考えると、開業してもどれだけ利用されるのかはわかりません。それとも将来にわたって日本のDXは進まないという展望を持っているのかな?別の意味でヤバいと思うが。

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Sunday, June 21, 2020

Suica甘いか消費税のウヨ曲説

県境越えの移動自粛解除で迎えた初の週末ですが、電車は以前と比べれば空いています。一方駅へ向かうバスは渋滞にはまってましたから、密を避けてマイカーで出かけた人が相対的に多かったってことでしょう。公共交通にとっては逆風です。東京都では2桁の感染者が出てますし、決して終息した訳じゃありませんから、警戒は続けざるを得ませんが、電車に乗るのにマスク必須となるとは夢にも思いませんでした。

てことで疫病退散祈願のために鎌ヶ谷大仏を訪ねて手を合わせてきました。慎ましくコンパクトな大仏様でした。元々仏教は日本では呪術として天皇家を含む支配層に浸透したものですから、本来の在り方ではあります。三蜜エントリーで取り上げた密教は典型的です。鎌ヶ谷市内高架化した新京成線探訪はついでです^_^;。しかし立派な高架橋も初富駅前後の急カーブで減速を強いられる一方、鎌ヶ谷大仏に向かって高架橋を地上へ駆け下りた途端に動揺が始まったのはご愛敬。安定した自然路盤上をゆっくり走るから敢えて高規格化する必要がない訳ですね。

かくして高架下のプレハブ然とした新京成線新鎌ヶ谷駅も高架上で隣りの北総線/成田スカイアクセス線と肩を並べましたが、大きく立派な割に人が疎らな北総線/スカイアクセス線よりも新京成線の方が人の出入りが多い現実があります。実は新京成電鉄は京成グループ随一の優良企業なんですね。本体がコロナ禍による国際線航空の蒸発で減収著しい一方、地域密着で安定した利用があります。加えて沿線地域のバス事業の寄与も大きく、鎌ヶ谷大仏はバスの拠点にもなっています。

そして乗っていて感じるのが短距離利用が多い点です。松戸、八柱、新鎌ヶ谷。北習志野、新津田沼、京成津田沼で他社線と接続していますから、所謂フィーダー輸送中心で賃率の高い短距離利用が多く、しかも利用が分散されますから、効率よく稼げる構造になっています。地味ながら侮れない実力者です。

北総線との関係で言えば、北初富―小室間の一次開業時、地上駅の北初富で平面分岐して北総二期区間の高架橋を潜って上り勾配で当時の新鎌ヶ谷信号場で合流するルートで、新京成と当時の北総開発鉄道が相互直通で松戸―小室間を結んでおりました。北総は1号線規格で冷房車の7000系に対して新京成は非冷房の吊り掛け車というアンバランスで、北総二期開業(京成高砂―新鎌ヶ谷間)で解消するまで続きました。北総線は高運賃で利用が伸びず、成田スカイアクセスはある意味北総線のてこ入れでもありました。コロナ禍で先が見えなくなりましたが。

で、本題。れいわ新鮮組の山本太郎氏が都知事選に立候補しましたが、何でも持論の消費税5%を打ち出さない宇都宮けんじ氏への不満かららしいとか、自分が立つから降りてくれと告げて宇都宮氏を激怒させたとか聞こえてきます。真相はわかりませんが、都知事選に立つと言っても勝算がある訳ではなく、次の国政選挙を睨んだ話題作りなんですよね。

元々東京都は転入人口が多く、特に大学生や新卒会社員など若い世代の転入が多いため、彼らへのアピールという意味では知名度が決定的に重要な選挙になります。故に青島幸雄に始まってタレントの立候補が続いています。一応政治家としてキャリアを積んだ小池知事をタレント呼ばわりはどうかなとは思いますが、テレビキャスター出身でメディア露出が巧みな小池氏はやはり政治家としては特異な存在です。コロナ禍の初動の失敗を悟らせずにメディアで発信しているあたり、本当に巧みです。褒めてませんけど。

逆に言えば地方の首長選としては異例ながら全国区でメディアが取り上げますし、知名度を上げるにはうってつけ。300万円の供託金払えば公共の電波使った政見放送で言いたい放題言えるという訳で、今回も22人の立候補者が立ちました。しかもコロナ禍で集会などはやりにくいけど、テレビやネットでうまくアピールすれば、在宅ワークの有権者への露出はそれなりに可能ってこともあります。尚、このところの内閣支持率がダダ下がりなのは、在宅でネットの国会中継を視聴する機会が増えたからと言われてます。安倍政権の化けの皮がはがれてきてる訳です。

そんな中での山本太郎氏の立候補ですから、端から勝つ気はないでしょう。それより消費税下げろと主張して有権者にアピールしたいのが本音ですね。この点で山本氏は評価できません。消費税減税論者が見落としているか意図的にスルーしている問題があるからです。例えばSuica甘いか消費税で取り上げた鉄道運賃の改定に伴うシステムの改修問題です。

消費税が下がれば鉄道運賃の値下げはは期待されるでしょうけど、コストかけて値下げする義務が鉄道事業者にあるかどうかは微妙です。勿論世論の圧力で値下げの可能性は皆無ではありませんが、コロナ禍で密を避ける人々の行動で利用者が減る中で、寧ろ負担増の要因もありますから、それを理由に値上げも考える局面でもあります。となると消費税減税で負担が減った分で値上げ回避という理屈が成り立ちます。この辺政府がどう判断するかにもよります。

ちなみに消費税に当たる付加価値税減税を打ち出したドイツですが、欧州の付加価値税は日本の消費税と違って税額票(インボイス)を用いていて複数税率に対応可能な上、価格表示が総額表示ですから、税率を下げても事業者は値下げの義務を負いません。勿論値下げしても良いですが、全て事業者の判断に委ねられます。今回のコロナ禍では寧ろ事業者への補助金の意味合いが強いと言えます。

それと日本の消費税制度は社会保障財源として紐付けされてますから、消費税減税は社会保障財源の縮小を意味し、それを口実に社会保障給付を減らされることもあります。実際そうして年金も医療保険も給付を削られ逆に保険料を値上げされているのが実際です。消費税を下げればますますこの傾向は強まる訳です。

加えて地方消費税のことも語らないですよね。間違いだらけの消費税で指摘した通り、税収比22%相当は地方消費税として自治体に配分されます。つまり消費税減税すると地方税収が減るという不都合がありますが、減税論者はこの点もスルーしてます。

翻って東京都は財政的には恵まれた存在ですが、それ故に地方交付税不交付な一方、ふるさと納税制度で税源が流出する一方、地方税の法人事業税の一部の地方配分を強要されるなど、このところ税源の棄損が目立つ一方、五輪でコスト負担もあり、今に至っては開催でも中止でも都の負担は避けられませんし、コロナ禍に伴う営業自粛の協力金などで積立金を取り崩しており,更に第2派の感染拡大でもあればどうなるかわかりません。故に次期都知事はどのみち敗戦処理しかない訳です。それなのに地方消費税減らしてよいというのは暴論です。

勿論今消費税を上げる議論は論外ですが、法改正して多大なコストをかけてまでやるべきことか?ってのは冷静に考えればわかります。寧ろ緩んだ財政規律を考えれば、事後的な増税も視野に入ります。消費税と共に基幹税とされる所得税と法人税の増税と累進課税の強化が王道ですが、法人税の租税特例の見直しや炭素税やデジタル税の導入など、議論すべき問題は寧ろそちらです。

そして最後に、消費税減税論者は藤井聡京大教授など保守派の論客が好んで仕掛けております。上記の社会保障の圧縮の口実になる点を踏まえると、実は何でも減税の保守派の議論なんです。てことでウヨ曲説に騙されるな!と申し上げたいです。

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Sunday, June 14, 2020

DXでは解決しないコロナ後

デジタルトランスフォーメーション(DX)がコロナを機に進むという見立てがあります。

コロナが招く「金利の死」 1%未満の国、5割  チャートは語る:日本経済新聞
前エントリーで取り上げた金利の死ですが、金融の新常態(ニューノーマル)は確実に進んでいます。少し補足しますと、金利の消滅は異なる資産を交換する金融市場が意味を失うということです。例えば日銀が国債を爆買いして金利上昇を抑えてますが、本来金利のある国債と金利のない貨幣との交換によって、金利水準が微調整されて長短金利差が生じるから、短期資金を集めて長期資金を融資する銀行のビジネスモデルが意味を持つ訳です。

融資先企業は利払いを意識して最終利益の最大化を図りますから、イノベーションが進んで経済を成長させる訳ですが、融資の金利が下がると、本来退場すべきゾンビ企業が延命して成長企業への資金の流れを阻害しイノベーションを足踏みさせる訳です。将に90年代の金融危機以降、日本で起きたことがこれですが、それが世界規模に拡大したという訳です。

日経の記事ではコロナ禍をきっかけにDXが進むことで長期停滞から抜け出す楽観シナリオで結ばれてますが、実際にはリモートワークは進んだものの、医療や流通、公共交通など国民生活に欠かせない業種ではリモートワークの導入は難しい上、人との接触が避けられず感染リスクも高いという問題を抱えています。海外でエッセンシャルワーカーと呼び、国のトップがエールを送るなどしてモチベーション維持に配慮する訳です。マスクも検査も特別給付金も現場へ丸投げでリスペクトしない某日本国の首相とは大違いです。

で、前エントリーのおさらいになりますが、国民の行動が制限され経済が収縮する中で、彼らへ支払われる賃金の原資は縮小を余儀なくされるわけで、何時まで持ちこたえられるかは心許ないところです。コロナ禍では医療問題に注目が行きやすいですが、国民生活の基盤が侵食されている中で「DXで明るい未来」なんてノー天気なことは言ってられません。

そして気になるのが生産現場の問題です。今のところ深刻なクラスター感染はないようですが、密を避けるために床にシールで間隔を空ける目安にしたり、ラインの配置を見直して密を避けるなどの工夫が行われているようですが、フル稼働には程遠い状況で、需要が冷えてるから何とかなっているという皮肉な状況です。ドイツのようにIoTが進んでおらず、生産現場の密解消は程遠い状況です。

そして気がかりな事故が起きてしまいました。

京成電鉄青砥駅で脱線事故が発生 脱線の原因は台車の亀裂で確定か?
台車枠の亀裂による変形が脱線の原因のようですが、過去に取り上げた台車枠の亀裂の中で触れた東武東上線上板橋駅での10000系の脱線事故と日韓事変で取り上げた南海電気鉄道ラピートと共に、住友金属工業(現日本’製鉄)製SUミンデン台車という共通点があります。私鉄を中心にユーザー多数だけに、仮に構造的欠陥があるとすれば一大事です。

一方でユーザーでる鉄道事業者から見れば、台車枠の経年劣化による亀裂は検査で発見できれば修理して問題なく使える訳で、見落としが無かったかが問われます。このことは全般検査8年重要部検査4年という検査周期の延長を国に求めていただけに、微妙な問題となります。事業者によっては超音波による非破壊検査を実施して発見に努める一方、ハンマーによる打音検査も広く行われてますが、後者ではスキルを身につけた若手が育っていない可能性があります。台車の構造的欠陥にしろ検査の見落としにしろ、日本企業の現場力の劣化を疑う事態ではあります。

これDXの阻害要因になります。ITと呼ぼうがデジタル化と呼ぼうがDXと呼ぼうが、つまるところ現場で積み上がった暗黙知を形式知に変換することが出来ていないことに他なりません。この辺日本企業の多くであまりうまくいっていないところです。これ企業だけの問題じゃないことではありますが。

PCR検査が少なすぎる問題にしろアベノマスクにしろ、トップの無茶ぶりで現場に負荷をかけているのは国からしてそうなんです。特別給付金ではマイナンバーカードでオンライン申請すれば早いという無責任なデマが政治家から発せられて自治体窓口が混乱しましたが、そもそも発行が伸びず行政実務との紐付けが進まない中では絵空事ですし、もっと手前の問題として自治体の行政事務のデジタル化が進んでいないから、紐付けしようがないです。自治体の窓口業務こそリモートで対応出来れば良いですが、文書主義ハンコ主義がそれを阻害しています。

てことで、見えない明日に向かって今できることを積み上げるしかない訳で、DXでトランスフォーメーション(変換)と未来展望を語るのは無責任です。

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Sunday, June 07, 2020

ウィズコロナ・ウィズデジタル・ウィズグローバル

緊急事態宣言解除で予想されたこととはいえ、感染者は増えています。但しこれを第2波と見るべきではないでしょう。自粛で経済にブレーキをかけて感染拡大を止めた結果感染者が減っただけですから、克服できている訳じゃありません。単に爆発的感染のピークを後ずれさせただけですから、今後も感染者は一定ボリュームで発生しますし、それ故に警戒は続ける必要があります。コロナ克服を意味するアフターコロナではなくコロナと共生するウィズコロナってことですね。そんな中で気になるニュースがこれ。

新型コロナ、病院経営を直撃 「第2波来たら持たない」:日本経済新聞
地味ながら「神奈川モデル」と呼ばれる医療体制を構築し「ダイヤモンドプリンセス号の教訓を活かした」と評価される神奈川県ですら現状がギリギリ。救急搬送のたらい回しが複数報じられた東京都や大阪府の脆弱さは推して知るべし。院内感染もチラホラ見られ、濃厚接触者として医療スタッフが2週間の経過観察で戦線離脱という悪循環もあって、医療体制は万全とは言い難いのが現実です。見方によってはソフトな医療崩壊という辛辣な評価もあり得ます。この状態で第2波の備えが万全と言えるのか?国民経済の犠牲にして時間稼ぎをしている間にやるべきことがあったんじゃないかという点は指摘しておきます。

ウィズコロナで盛んに言われる新常態(ニューノーマル)ですが、経済関連では以前から使われてきた言葉で、しかも幾つかの国の立場の異なる人から発せられているのですが、日本ではコロナ禍に対する「新しい生活様式」と結びつけられております。しかし経済、金融の世界ではコロナ禍のずっと以前からニューノーマルが言われていました。その議論の前提としてジャパニフィケーションとリバーサルレート論があります。

これらはリーマン後のトレンドですが、所謂日本化は、元々長期停滞論としてアメリカなどで議論されたもので、人口減少と高齢化によって人口ボーナスが消滅し逆転する結果の低成長が言われるようになり、実際米FRBは3次に亘る量的緩和(QE)として日本の非伝統的金融政策を模倣し、ECBもこれに続きます。欧州ではギリシャショックをきっかけとする危機で財政力の弱い加盟国の国債を買い支える必要もありました。いずれも日本のようにデフレに陥ることを回避しようとしましたが、効果は限定的で、結果緩和の長期化による副作用も意識され、金融政策の正常化が模索されましたが、市場の反応や政治圧力もあって長期化を余儀なくされました。

一方欧州のスイスや北欧など非ユーロ諸国ではECBの緩和政策で通貨高圧力に晒された結果、マイナス金利政策へ踏み込みます。これがきっかけとなりECBや日銀もマイナス金利に踏み込むことになりますが、その結果長短金利差が消滅して銀行が貸し出しを絞る結果、緩和効果を失う水準としてリバーサルレートが意識されるようになりました。現在ECBがマイナス0.5%、日銀がマイナス0.1%で動けないのはこのためです。

つまり人口減少と高齢化によって金融政策による景気浮揚効果が失われ、長期停滞による低成長が常態化したのがニューノーマル論という訳です。アベノミクスや黒田バズーカが有効ではないことが世界規模で証明された訳ですが、ニューノーマル論には続きがありまして、非伝統的緩和策で世界をリードする日本で^_^;、2016年9月に導入されたイールドカーブコントロール(YCC)で長期金利を誘導目標とした訳ですが、FRBの利上げにも拘らず米国債金利の低迷が続き、アメリカでも長短金利差が消滅している現実があります。

元々積極財政で赤字拡大基調の上、コロナ禍で財政への負担が増す中で、FRBは米国債を買い支えて長期金利を抑え込まざるを得なくなりました。これ意図せざるYCCと言えます。日本と事情が異なるのは、米国債は外貨準備として世界各国で保有されている訳で、金利上昇=価格下落は米国債投げ売りを誘い米ドルの信認を脅かすため、FRBは買い支えせざるを得ない訳です。ECBが加盟国の国債購入をやめられないことと同様の事態になった訳です。ザックリ言えば日米欧の主要通貨の長期金利がほぼゼロ近辺の水準で膠着し、為替相場も膠着させている訳です。

てことで、各国の財政赤字拡大が続き、金利上昇圧力を抑え込むために金融緩和もやめられず、結果主要国通貨間の金利差が消滅して為替市場も動かなくなるというのがグローバル経済の現実です。コロナ禍が終息してV字回復があり得ない訳で、その中で経済を冷やさずに国民生活を守るためには、国民の不安に寄り添う政府の働きかけが大事ですが、現政権にその意識はなさそうです。

但し悲観する必要はありません。90年代後半の金融危機をきっかけに始まった日本のデフレですが、ゼロ年代以降のベアゼロ春闘による賃上げの低迷に加えて非正規労働の解禁による労働者の非正規化もあって賃金が下がってきた中で、物価下落のお陰で快適な生活を維持しつつ貯蓄を増やすことができたのが日本の現実です。それに世界が追い付いてきた訳です。グローバルデフレが始まる訳です。

補足すれば先進国ではGDPの6割は個人消費が占めますが、個人消費は生存的消費と選択的消費に分けられます。前者は削れないけど後者は削れる謂わば不要不急の部分で、所得水準によりますが先進国ではおよそ半分は後者の選択的消費となります。てことで緊急事態宣言が出た4-6月期のGDPは年率換算でマイナス20%程度と予想されてます。マクロには余裕があると見なせますが、所得階層によっては厳しい訳で、特別給付金の迅速な給付が必要なのは言うまでもありません。

てことで、当面のウィズコロナ時代でキモになるのがリモートワークなどのデジタル技術を活用した社会的距離の確保策ですが、前エントリーで指摘した日本の住宅事情がネックになる可能性があります。逆に言えば、この問題を解決できるビジネスモデルを生み出せれば、そこにビジネスチャンスがあるということでもあります。その点から首都圏の各社で始まったシェアオフィス事業が化ける可能性は指摘できます。

シェアオフィスといっても主にスタートアップ向けの共用スペースをシェアするタイプではなく、パーティションで仕切られた1-2人用ブースを駅構内に複数設置するタイプのもので、セキュリティ対策された高速ネット環境で、出来ればユーザーの所属企業のVPNとの接続が可能な仕様で、例えば午前中はシェアオフィスでリモート勤務して午後出社といった使い方が出来れば、朝のピークタイムをヘッジする効果もありますから、鉄道会社にもメリットがあります。

更にIT系中心に続いてきたオフィス増床で都心オフィスの賃料が高止まりしていることもあり、企業にとってもサテライト型シェアオフィスの活用で都心オフィスの縮小などでコスト削減の可能性が出てきます。浮いたコストでシェアオフィス会費を含むリモート勤務で生じる従業員の負担を手当てでカバーするなどすれば、様々な問題解決につながります。

あと医療分野の遠隔診療やカルテ電子化とか、教育分野のリモート学習など、デジタル技術による問題解決の可能性は多岐に亘りますが、医療も教育もそれを阻む障害が多い現実があります。日本ではウィズデジタルが最も困難かも。

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Saturday, May 30, 2020

マイクロオフィス365

緊急事態宣言が解除され、揺り戻しか一部で渋滞や密集が見られますが、COVID-19を克服した訳じゃないので、引き続き警戒は必要です。故に乗り鉄どころか駅前に出るバスも自粛してますが、ネタ探しできないのが悩みです^_^;。そういや鉄道ジャーナル最新号の列車追跡シリーズはリバイバル掲載と趣味誌も苦しんでます。てなどーでもいい話が吹っ飛ぶえらいことが起きてます。

中国、香港に「国家安全法」導入方針決定 全人代閉幕:日本経済新聞
これ三蜜で即身成仏で指摘したコロナ禍による米中対立の不可逆的な悪化の結果です。貿易摩擦なら妥協を伴うとはいえ外交的解決の可能性がありましたが、最早その段階を超えたと中国当局が認識した結果です。元々一国二制度は台湾の復帰を睨んだ中国側のアピールでもあった訳ですが、コロナ禍で初動を失敗したことで中国政府は批判を浴び、更にマイナス成長で統治の正当性に疑義が向けられる中で、国内向けに強硬な対応を取らざるを得ない状況ということで、習近平体制が言われるほど盤石ではない結果です。

加えて1億人ほどいると言われる先進国レベルの所得層の政治的影響力が増した結果、香港を思うように統治できないことに対する中国国内の世論の不満もあります。一方、そうした高所得層は自由度の高い香港への移住が進み、狭い香港で不動産価格の高騰をもたらした結果、元々の香港人が家を買えない事態に陥り、大陸からの移住者への反発が強まっていました。故に雨傘運動から始まり逃亡犯引き渡し条例撤回などのデモは主に将来に不安を抱える学生主体で進み、大人たちが支援する構図となりました。これ60年安保闘争当時の日本が、安全保障の米軍依存への不安を学生が先導して多くの国民を巻き込んだ構図とそっくりです。

一方のアメリカもトランプ政権の初動ミスでCOVID-19の感染拡大で大統領選の再選が怪しくなったトランプ大統領は、中国に責任転嫁して乗り切ろうとしています。こうなるともう話し合いで落としどころを探るどころじゃなくなり、既に香港優遇の見直しに突き進んでますが、更に金融制裁を課して米銀との取引を制限する可能性もありますが、北朝鮮やベネズエラと違って世界第2位の経済大国ですから、簡単には従わないでしょうし、世界を巻き込んだ報復合戦となると、世界中が振り回されます。コロナ後のV字回復はなさそうです。

寧ろニューノーマル(新常態)を考えるべきです。各国ともロックダウンなどで経済にブレーキをかけざるを得ない中で、国民生活や雇用の支援などで財政出動を余儀なくされてますが、財政出動に合わせて中央銀行の金融緩和で金利上昇を抑制する流れもある訳で、例えば米FRBのゼロ金利尾が典型ですが、財政出動で増発される国債を買いオペで支えて中長期の金利を抑制するということを始めた訳で、これ黒田日銀のイールドカーブコントロール(YCC)をFRBが取り入れたに等しい訳です。その結果金利が人為的に抑え込まれて低金利が続く一方、それ故にリスクマネーが拡大して株式に資金が流れ込む訳です。故に説明のつかない株高が実現している訳です。

つまり金融緩和で資金は潤沢だけれども、それを活かす借り手の不在という合成の誤謬が起きている訳で、実はコロナ禍をきっかけに世界が日本に追いついてきたってのが新常態の本質です。つまり世界デフレが進行するってことです。経済を支えるための財政出動はやめられないし、それを支える金融緩和もやめられない結果、金利が消滅してタンス預金が合理的選択になる世界ってことです。これは個人も企業も同じで、ある意味日本企業が内部留保を積み増してきたことは正しかったのか?

社畜の国のリモートワークは、よく考えたら労働法改悪で取り上げられ断念された裁量労働制の拡大が図らずも実現し、残業代カットも実際行われているようですから、恐らく多少の問題ああっても企業は進めようとするでしょう。とはいえ問題山積で、特にセキュリティ面の問題は相当な重荷になりそうです。暗号化による公衆回線上の仮想イントラネットとも言うべきVPNの導入で特需が起きているようですが、暗号化と復号で遅延が生じますから、リモート会議には不向きですが、Zoomは手軽だけどセキュリティが弱点になるなど、課題はいろいろあります。加えてこんな問題も。

在宅ワークの費用、だれが負担する? 就業規則で明確に:日本経済新聞
在宅ワークに伴って生じる通信費や光熱費の増加を家計で負担することになれば実質賃下げと一緒ですが、おそらく就業規則でこの辺を明確にしている企業は少数派でしょう。特にコロナ禍で必要に迫られて始めた会社は、この辺を曖昧にしてやり過ごそうとするでしょう。労組を通じてものが言える会社も多数派とは言い難いところです。

加えてウサギ小屋とも揶揄される日本の住宅事情では、必ずしも個室が用意されているとも限りませんし、下手すれば夫婦共働きで場所取りを争い、更に子供のリモート学習まで対応するってことになると、どれだけの大邸宅が必要なことになるでしょうか。その結果通勤時間の節約はあっても寧ろ非効率になったりストレス抱えたりして脱落する人が増えるとすれば、ワークライフバランスどころじゃなくなる訳で、「働き方改革」の掛け声が如何に空疎だったかってことです。在宅のマイクロオフィスはブラックな毎日になりかねません。

加えて通勤電車の混雑は緩和されるかもしれないけれど、独立採算前提の日本の交通事業では、結局採算が取れなくなって減便や撤退が相次ぐ可能性も指摘できます。既に上尾市の丸健自動車が民事再生手続きで事実上破綻しましたが、問題は救済合併や資金支援をする側に余裕が無くなっていることです。丸健自動車もM&Aを打診していたけれど成立しなかったってことで、事業を継続できずに憤死する事業者が出てくる可能性があります。そのとき自治体が救済に動けるでしょうか?唯でさえコロナ禍で疲弊している中で、その余力は乏しいと言わざるを得ません。

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Tuesday, May 05, 2020

出口が見えないアベノ自粛

予想されたこととはいえ、緊急事態宣言の延長が決まりました。そしてプロンプター読んでるんだけの「台本営発表」とも謂われる首相記者会見で、緊急事態宣言の解除の基準は語られませんでした。8日を8月に読み違えたみたいですが^_^;。出口が見えないという意味でアベノミクスと同じです。加えて検査体制の拡充が未だに実現できていないために、そもそも出口を判断できるデータがないという現実もあります。

この辺統計135°の歪みで指摘した統計不正問題に通じますが、現状を正しく把握できないから緊急事態宣言解除のような責任のかかる決断が出来ない訳です。あと内緒ですが伝染ルンですアベノミクスで指摘した消費指標を家計調査ではなく商業統計に切り替えてインバウンド消費が二重計上されていた疑惑ですが、コロナ禍でこっそり見直されてます。嘘が下手な嘘つきの典型的対応です。

あと「新しい生活様式」とかいう大きなお世話を専門家会議が発表しましたが、これ政府の諮問に基づいた助言機関がなぜ国民向けにこんな発表するのかですが、助言に基づいて責任を負うべき側に責任を負う姿勢が見えず、専門家会議に丸投げしている状況が透けて見えます。政府への助言が暖簾に腕押しでは、国民に語り掛けて協力を得るしか手段がない訳で、余計なことをさせられている訳です。当然専門家会議としては責任を負えず安全側へ判断が偏りますから、出口の判断はますます遅れます。

てことで巣篭りは長引きそうです。そうなるとリモートワークの範囲が拡大することになります。既に通勤定期券の払い戻しが増えており、加えて年度替わりで買い替えが多い4月もおよそ3割減ということで社畜の国で指摘した企業の通勤手当支給見直しがさらに進むことになります。その結果鉄道事業者が苦境に陥ております。

記者の目 JR東、コロナで見えた鉄道の盲点 3割減収なら利益ゼロ  証券部 堤健太郎:日本経済新聞
JR東日本だけの問題じゃないんですが、大都市圏の通勤需要で支えられている事業者にとっては、割引とはいえ前払いで収益を現金化できる定期券売上は経営安定のキモであり、経営の基礎体力をもたらします。記事で指摘されている固定費のかなりの部分を定期券売上でカバーし昼間や土休日の定期外客で上乗せすることで利益の最大化を図る訳ですが、こちらも外出自粛で激減している訳ですから、JR東日本と言えども1-3月期に赤字転落してますし、現状では4-6月はもっと悲惨です。

収益構造から言えば、運輸収入の依存度の高いJRの方が関連事業収入が多い大手私鉄より厳しい訳です。例外的に関連事業比率の高いJR九州は安泰かと言えば、ライバルの西鉄と比べれば生活関連事業で沿線にドミナント形成という水準には達しておらず、営業エリアが広すぎるから仕方ないんですが、トータルな経営体力では苦しいところです。

加えて整備新幹線が重荷になります。整備新幹線は30年リースで負債を計上している訳で、特に整備新幹線区間が長いJR東日本には重荷でしょう。救いは水害で水没した北陸新幹線E7系廃車に伴って延命されたE4系を廃車して減便することである程度出費を防げますが、リース料は固定費としてのしかかります。鉄道・運輸機構による債務繰り延べの可能性は、リース料が北海道新幹線などのの整備費用として見込まれており整備を止めることになりますから、難しいでしょう。

それでも莫大な減価償却費があり、JR東日本でおよそ2,000億円規模ですから、投資の抑制によってキャッシュアウトを防ぐことは可能ですが、ホームドア設置やバリアフリー化などは減らせませんから、車両更新や新線建設が抑制されると考えられます。航空業界の逆風もありますから、羽田空港アクセス線は幻の新線計画になる公算大でしょう。

この流れで言えば関空アクセス輸送を睨んだ大阪のなにわ筋線もヤバいかも。泉北線と市営地下鉄の売却益で府市共に財源確保してメトロの稼ぎ頭の御堂筋線のライバル路線を作るという倒錯が起きる訳ですから。

JR東海も稼ぎ頭の東海道新幹線で8割減ですから、長引けばリニアを諦めることになりそうです。名古屋リニヤだがや以来疑問を指摘してきた中央リニアも幻になる訳です。それでも財務体質の強いJR東海はある程度持ち堪えるでしょう。JR西日本は赤字ローカル線の整理に活路を見出すと考えられます。中国地方の路線網はかなり整理されそうです。JR九州は上場時に経営安定基金を取り崩して資産の減損処理と整備新幹線リース料の前倒し支払いで負担を減らしてますが、やはり赤字ローカル線整理に踏み込むことになるでしょう。本州3社と比べて財務体質の弱さは否めません。そしてJR四国ですが。

JR四国に国が改善指導 自立経営阻む2つの「老い」:日本経済新聞
コロナショックで真っ先に連想されるのはJR北海道でしょうけど、札幌都市圏への経営資源集中を前提とした再建策で先が読めるJR北海道に対して、エリアに大都市圏が存在せず、過疎化と高齢化が止まらないJR四国の方がより深刻です。とはいえ関係の深いJR西日本に助けを求めたくてもその余裕はなく、そこへ外出自粛が重なる訳ですから、出口が見当たりません。四国だけ三蜜解禁してお遍路さん呼び込むか?

鉄道として残すならば何らかの財政支援が必要ですが、JR北海道でも見られるように、結局交通政策基本法で謳われた地元自治体の関与が無いから国が動かないという倒錯が起きる可能性があります。JRでこれですから、過疎地の地方ローカル私鉄で持ち堪えられないところはちらほら出てくるでしょう。アベノ自粛は公共交通を枯れさせる可能性大です。

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