都市交通

Thursday, October 17, 2019

かがやきを失った北陸新幹線

台風19号凄かったですね。いろいろトピックスがあって整理がつかないまま更新が遅れてますが、タイトルの北陸新幹線をはじめ鉄道にも大きな爪痕を残し、復旧のめどが立たない路線もあります。また台風の進路の関係もあってより広域に被害が出た点、特に連続雨量が記録的で、各地で堤防の決壊や浸水の被害も出ました。

その一方、台風15号の学習効果で鉄道が早めの計画運休に踏み切ったことや、それに付随してイベントの中止や店舗の営業見合わせ、宅配などサービスの停止など、被害を減らし混乱を回避する動きが広がったことは評価すべきでしょう。その一方でネットでは相変わらずデマが拡散されてます。その中で特に目立ったのがダム関連ですが、「民主党政権が中止した八ッ場ダムが安倍政権で復活して利根川水系を洪水から救った」ってのがあります。民主党政権は確かに八ッ場ダムの見直しに着手し、事業を停止しましたが、一方で第三者委員会を立ち上げて事業の在り方を再検討した結果、野田政権時に復活させてます。その是非はともかく、事実関係にウソを交えるのは悪質です。加えてこれ。

八ツ場ダム、試験湛水を開始:日本経済新聞
10月初めに試験湛水を始めたばかりで空っぽだった訳で、本稼働すれば一定の貯水量を確保しなければならない訳ですから、今回のように水を受けきれなかった可能性が高いですし、寧ろ緊急放流すらあり得た訳です。今回神奈川県の城山ダムの緊急放流の情報がメディアで流れましたが、城山ダムに限らず事前放流をしたところはなかったとか。去年の西日本豪雨で下流の大洲市に洪水被害をもたらしたとされる肱川の教訓は活かされませんでした。

肱川の場合、市街地に接する下流域で堤防未整備のところがあって、上流2ケ所のダムの運用で治水対策は名目上考慮されていたのですが、連続雨量の想定を超えればどうにもならない訳で、治水対策ならばダムを造るお金で下流域の堤防整備すれば良さそうなものですが、用地費がかかる割に土木工事量はダムより少なく、有体に言えば儲からないから後回しにされたのでしょう。そういう意味でダム治水は問題大有りです。今回の八ッ場ダムでも、大量の水と共に土砂も流入していて、一説によれば推定堆積量は通常の100年分とか。これその分貯水量が減ってダムの寿命を100年縮めたことを意味します。

ただ多くの自治体では財政に余裕がなく堤防や調整池の整備が進まない現実もあります。やはりネットで称賛された東京都の地下調整池も長い期間をかけて整備されたもので、一朝一夕にできたものではありません。税収が多く財政余力の高い東京都だから可能だったとも言えます。今後人口減少もあり、地方の財政余力はますますタイトになると予想されますから、財政余力のある自治体への人口集中は続くことになります。現実的には治水対策上、居住を諦める地域も出てきます。

他方で人口密集地域故の問題点もあります。

台風19号、首都圏に浸水もたらす 想定上回る雨で:日本経済新聞
武蔵小杉に限らず、高津区でも同様の浸水があり、死亡者も出ましたが、元々周りより低い地域にマンションが林立した結果、連続雨量の増加で排水設備の能力を超えてしまった結果です。武蔵小杉では地下室の配電盤が浸水して電気が止まり、水道が使えずトイレも流せないなどの深刻な被害が出ました。また横須賀線武蔵小杉駅も同様に電気設備が浸水して自動改札が水を被り、運転再開後も通過扱いが続き、自動改札は復旧したものの、エスカレーターとエレベーターは使えず、平日朝には30分待ちと言われる改札規制の列が伸びているとか。スペースの都合とはいえ電気設備を地下に置くことのリスクを示しました。

武蔵小杉に関しては限界都市川崎で指摘した問題を思い出していただきたいんですが、浸水リスクのある低い土地に林立するマンション群の資産価格が維持可能かどうかですね。価格が下がれば転売が困難になって流動性が低下しますから、武蔵小杉マンション民の多くはここでそのまま老いを迎えることになり、限界都市となります。川崎市は企業のリストラで工場跡地の再開発が課題なのは理解できますが、居住地としてのクウォリティを維持できない過剰な開発に歯止めをかけることを考えないと、将来廃墟になるリスクを負います。

ただ川崎市も一応ハザードマップで浸水リスクは明示していたのですが、多摩川の決壊を想定したものだった訳で、想定と異なる事態での被災ではあります。せめて浸水リスクのあるエリアだけでも開発抑制すれば良さそうですが、そうすると工場をたたむ企業が跡地を高く売れなくなるから再開発が進まなくなるってことですね。こうして目先の利益という見えざる手に導かれて、廃墟化することになります。

そして北陸新幹線ですが、千曲川の決壊でJR東日本の長野新幹線車両センターに浸水しE7/W7系10編成120両が被災しました。全30編成中の2/3が使えない状況で、長野―上越妙高間を除いて運転再開はしたものの、本数は限られています。北陸新幹線はかがやきの電源問題で東北・上越新幹線から車両を回せないという制約があります。元々2電源だった200系もあさま用のE2系n編成も既に配車済みです。余談ですが、糸魚川駅は新幹線50hz在来線60hzと捩れてます^_^;。

ここも長野市のハザードマップに記載されていて、JR東日本も把握していたにも拘らず,車両の疎開はしなかった結果の被災です。高くついた痛恨の判断ミスですね。かなり深く水没してますから、床下機器の交換だけでは多分済まないで、廃車も視野に入ります。その場合上越新幹線のE4系の代替でE7系投球が決まっているので、当面E4系を延命して新製E7系を北陸新幹線に回すってことになると思いますが、車両yメーカーの能力の制約もありますから、車両不足による間引き運転は不通区間の長野―上越妙高間が復旧しても続くことになります。そうなると各駅の乗車機会確保が優先されますから、速達列車のかがやきは当分お預けになるでしょう。かがやきを失った北陸新幹線は当分続きます。

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Sunday, October 06, 2019

痺れて関電

関電役員の金品受け取り問題が連日報道されてますが、受け手としてリテラシーの問われるニュースです。というのも、発覚の経緯がかなり特異であることです。その意味で注目すべき記事はこれです。

税務調査後に1.6億円返却  受領額の半額 関電、元助役側に:日本経済新聞
高浜町の吉田開発という建設会社に金沢税務署の強制税務調査が入ったのが18年1月。その直後に高浜町元助役の森山氏に受領した金品の返却が集中している訳です。これ森山氏と吉田開発の関係を知っていて受領した金品の出どころもわかってたからですね。つまり発覚を恐れて証拠隠滅に動いたわけで、総額3.2億円の半額相当の1.6億円がこの時に返却されている訳です。加えてこれ。
関電監査役会、金品受領を昨秋把握  監視機能働かず 工事の7割、元助役に情報:日本経済新聞
ちょうど1年前の18年秋、税務調査の半年後には関電の監査役会も事実を把握しながら、取締役会に諮らなかったんですね。つまりこの時点では世間には知られていなかった訳で、スルーして見て見ぬふりしたわけです。ガバナンスが働かなかった訳で、これ自体も問題ですが、結局思わぬところから外部へ洩れます。

今年3月に森山氏が死去し、遺族による遺産相続の過程で故人のメモが出てきて、関電幹部の名前と金額が出てきてしまい、隠しきれなくなって今に至る訳です。発覚の発端となった金沢税務署の税務調査から1年半を経過していた訳で、既に多くの証拠は散逸していると見るべきでしょう。ですからチラホラ名前の取りざたされる政治家もいますが、身に覚えのある者は既に処置済みで高みの見物でしょう。モリカケ問題で学習してますから。

こうなるとあからさまな自己保身に走る関電幹部がヒール役を一手に引き受けてくれますから、世論に迎合して一緒に叩いて涼しい顔してる巨悪がいるってことですね。とにかく地元負担でローカル線の小浜線を電化しちゃうぐらいの資金力が原子力界隈にはありますから、3億なんて氷山の一角のはした金です。小物を血祭りにあげてガス抜きまでできちゃうからたまりませんね。

閑話休題、関西電力といえば2018年まで鉄道事業者でした。長野県大町市の扇沢と黒部ダムを結ぶ関電トンネルのトロリーバスは関電の直営で鉄道事業法準拠の第一種鉄道でしたが、バッテリー電気バスに置き換えられて終焉しました。資本規模で言えばおそらく日本最大の鉄道会社だった?トロッコ電車でお馴染みの黒部渓谷鉄道は関西電力100%出資の子会社ですが直営ではありません。

関電の黒部川水系の水利権は、戦前の日本電力から戦時統合の国策会社日本発送電を経て1951年に関西電力に移管されたものですが、地域分割で9大電力に再編された中で、需要地である関西向けに豊富な北陸の水力資源の一部を持たせた訳ですね。黒部川沿いの日電歩道の名前に名残があります。似たようなことは中部電力エリアの長野県の高瀬川の水利権を得た東電が首都圏向けに電源開発を行いましたが、これは戦後の話で、戦前からの歴史を引き継ぐ関電の黒部川とは異なります。最近は寧ろ福島第一第二や柏崎刈羽など原発の域外立地が目立ちます。

実はこのビジネスモデルは日本電力がもたらしたもので、北陸の豊富な水力資源を利用して遠距離高圧送電で東名阪の需要地に安い電気を売り込もうという目論見で関西地盤の宇治川電気の子会社として発足した会社ですが、庄川水系の電力を中京圏で販売して東邦電力と競合し、電力兼営の小田原電気鉄道を買収して電力部門を残して7ヶ月後に箱根登山鉄道として分離し、残った信濃川水系の電力を首都圏で販売して東京電灯と競合し、果ては親会社の宇治川電気が大同電力の電力供給を受けていたために関西エリアで親子バトルまでしてしまうという破天荒な存在で、後に過当競争を理由とした電力国家管理の扉を開くことになります。

第一次大戦と第二次大戦の戦間期は日本の工業化が進んだ時代でもあり、工業化と共に電力需要の拡大が見込まれたことで、それまでは需要地の近くに小規模な火力発電所を構えて限られたエリアに配電していた電灯電力事業を、現代に通じる大規模電源と遠距離高圧送電で効率性を追求した系統電力事業に進化させたイノベーション期だった訳です。ところが昭和恐慌で一転需要が縮小し、余剰電力の処理に困った事業者は、熾烈な競争に巻き込まれていきます。その過程で大口需要者として電気鉄道の存在が意識されます。

例えば宇治川電気は兵庫電気軌道と神戸姫路電気鉄道を傘下に収め、両者の直通運転で神戸姫路間の電気鉄道を実現します。後の山陽電気鉄道ですが、その際に車両限界の小さい兵庫電軌に車両サイズを合わせた関係で、神姫電鉄の1型がお役御免となりましたが、滋賀県のローカル私鉄の近江鉄道を傘下に収めて電化してそちらへ回します。関東でも東京市電気局に電力供給していた鬼怒川水力電気が小田原急行鉄道と帝都電鉄を開業させて事業拡大と販路確保をしたりという動きもありましたし、逆に京王電気軌道のように電力事業の方が寧ろ収益性が高かったなんて事例もあります。電気鉄道もイノベーションの一翼を担っていた訳です。

しかし直流き電で電力変換が必要なうえ、負荷変動が激しく安定しない電気鉄道は、地域分割で地域独占企業となった戦後の9大電力時代には寧ろ嫌われます。系統電力は工業用の電力供給が主たる目的ですから、電力の安定が最優先ということで、大口需要者向けの安い料金は適用されず、割高な電力料金を負担してきました。ま、これがサイリスタチョッパ制御やVVVF制御などの省電力技術へのインセンティブとなり、連敗続きの日本の半導体でパワー半導体では世界をリードする存在になっているのかもしれません。大口電力需要者である国鉄が直営の信濃川発電所を持っていたことは東電を助けていたかも。

そして時代は進み、再生可能エネルギーの利用の観点からマイクログリッドが求められる時代になると、系統電力網は下手すればサンクコスト(埋め込み費用)の塊になりかねないのですが、分散電源のタイムリーなマッチングう意味でスマートグリッドを実現することで生き残る可能性はありますが、そのためには原発のような大規模電源が寧ろ邪魔になります。分散電源ならば電源のトラブルは多数の別電源でカバーできますから、寧ろ安定します。その意味で原発をこれ以上引っ張るのは得策とは言えませんね。

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Sunday, September 29, 2019

トランプ・ポリティカル・プロブレム

略してTPP^_^;。トランプ大統領が就任後真っ先に取り組んだのが12ヶ国で合意したTPPからの離脱でした。慌てたのが日本政府です。何故ならばTPP交渉ではアメリカとの合意を最優先し、農産品で大幅譲歩する一方、一番の目玉の筈の自動車関税の撤廃は25年かけてという結果ながら、発効すれば強制力が出ますから、一応成果はあったと強弁できる結果だったのに、それが白紙に戻った訳ですから、頭真っ白になったと察します。

しかし捨てる神あれば拾う神あり、残る11ヶ国で折角合意したんだから、それを活かすべきだという声が上がり、TPP11に仕切り直しされて合意しました。その結果対米向けに譲歩した日本の農産品輸入に関しては、TPP水準を維持したまま対米非関税輸入枠の配分まで受けた、オーストラリアやニュージーランドにワインで売り出すチリなどが恩恵を受ける一方、見返りの減った日本は貧乏くじでした。それでも日本の農産品輸入でアメリカ産が減ればアメリカが音をあげて再度TPPに復帰する筈という、都合の良い展望を掲げた結果、こうなりました。

日本、農産品7800億円分の関税下げ 肉類など:日本経済新聞
つまり農産品はTPP水準+αの譲歩を呑んだ一方、自動車関税の撤廃は25%の報復関税で脅された結果、現状維持がやっとですから、寧ろ防衛ラインが下がりました。TPPの一番の目玉だった筈の自動車関税の撤廃は無くなった訳です。TPP11締結国相手では日本に対抗しうる自動車生産国は見当たりませんから、大局を見失った日本の敗戦です。都営バスが導入したフルフラットバスが豪ボルグレン社製というツッコミはご容赦を^_^;。

しかもこれで終わりじゃなくて、今後医薬品、保険、サービスなどの個別交渉は残ってますし、米議会が求める為替条項も消えた訳じゃありません。為替に関しては米国内法で為替操作国指定をすれば、相手国に通告無しに為替介入ができますから、そのリスクは残ります。既に中国に対しては為替操作国指定をしており、アメリカでは中央銀行に当たるFRBと財務省の外貨準備基金で対応しますが、FRBが同意しなくても基金の運用は政府の判断で可能なので、いずれドル売り元買い介入をするんじゃないかという憶測は絶えません。但しこれやると混乱が予想されますので、簡単には踏み切れないでしょうけど、交渉の脅しには使えます。

米中対立に関しては中国側が長期戦モードで対応してますから、簡単には動じないでしょうけど、同じことやられたら日本は簡単に折れちゃうでしょう。実際農産品関税で成功体験を得たアメリカは、他の分野でも同様のことを仕掛けてくると見るべきでしょう。加えてTPP11でISDS条項を盛り込んでますから、日米での紛争解決手段としてのISDS条項は既に準備されてます。かくして大後悔時代の大企業による主権国家支配が現実のものとなります。既に種子法廃止や水道事業民営化法で準備は整ってますが-_-;。まだまだ毟られます。

トランプ大統領の立ち位置は、グローバル経済の現実の中での国益追及ですが、あくまでも選挙に勝つための短期的利益の追求なので、中国のように長期戦に持ち込まれると対抗できない訳で、同様に目先の選挙しか見えていない日本の政治家は与しやすい相手ですが、中国や原理原則にシビアなEUに対しては厳しいところです。だからBrexitはトランプ的には大歓迎でしょう。他方中国Huaweiの排除では米アップルやクアルコムよりも、ノキアやエリクソンなどの北欧勢が恩恵を受けるなど、必ずしも自国企業や有権者に恩恵が及ばないという実態もありますが、今さら止められない訳です。

一方サウジアラビアの石油施設がドローン攻撃で破壊された事件で世界に衝撃が走りました。イエメンの反政府勢力フーシ派が犯行声明を出しましたが、アメリカとサウジはイランから飛んできたとして混乱してます。真相は藪の中ですが、対イラン経済制裁問題でアメリカとイランの首脳会談実現が言われていた状況に水を差しました。それでもトランプ大統領は軍事行動を控えています。これ殺傷力の高まった兵器性能に加えて先進国の兵士が傷つくことへの世論の反発が強まり、戦争のコストが高くなったことが背景にあります。

対して紛争地域では残念なことですが自爆テロも辞さずといった人命のコストが相対的に低い上に、ドローンなどより低コストで敵に打撃を与えられる手段が登場しています。これ戦争のダウンサイジングと捉えるとわかりやすいんですが、テクノロジーの進化は戦争も無縁ではありません。明らかに時代は変わってきています。中国や北朝鮮のサイバー攻撃やロシアのフェイクニュースによる世論誘導などもこの範疇に入ります。

寧ろバンコデルタアジア銀行の北朝鮮関連口座の凍結が効果的だったことから、金融制裁がアメリカの武器になりつつあります。対イランでは制裁破りした国や企業に対して米国内銀行との取引禁止とすることで、イランから原油を買ってドルで支払った場合、受け取ったイランは自国通貨に両替することも輸出代金支払いに充てることもできないから干上がる訳ですね。イランにとっては死活問題です。逆に言えばイランが首脳会談の可能性を自ら閉ざすような行動に出るとは考え難い一方、アメリカとイランの対立で漁夫の利を得る第三国は多数あります。

他方フーシ派はサウジが支援するイエメン政府と対立し、政府軍を追い込んで実効支配エリアを拡大する一方、サウジは軍事介入でフーシ派攻撃をしてますから、犯行声明を出しているフーシ派の犯行と捉えるのが一番素直な見方ですが、フーシ派はイランが支援していることもあり、フーシ派の犯行で追い込まれる図は何とも皮肉ではあります。ただこの状況で軍事介入を控えている米トランプ政権は歴代政権とは良くも悪くも一線を画します。

その一方で大スキャンダルが発覚します。ウクライナ疑惑です。

米民主、もろ刃の弾劾攻勢 ウクライナ疑惑で:日本経済新聞
ロシア疑惑は大統領選を争う中でロシアの偽ニュースによる選挙介入でクリントン候補への攻撃に利用したのではないかというものですが、結局訴追に至らず、議会民主党も弾劾に慎重でしたが、次期大統領候補のバイデン氏の息子が絡む現職大統領の不正行為として見過ごせないことから、今回は弾劾に本気です。但し/大統領弾劾は下院で成立しても上院の2/3以上の賛成がなければならず、可能性は低いことと、バイデン氏が絡む疑惑なので民主党に跳ね返る要素もあり痛し痒し。

結果法人税増税など反ビジネス的なウォーレン候補が有力視される可能性からNYダウが下落したりとひと騒動ありました。何だかんだ言って無茶苦茶でもトランプは親ビジネスという一点で経済界は親トランプに傾いてるんですね。日本の自動車関税問題のように必ずしも経済界にプラスの働きをしていない安倍政権を経団連がバックアップする図と同じです。

てなわけで、世界の揉め事でトランプが絡まないのはインドとパキスタンのカシミール紛争ぐらいか?環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱した結果、トランプ絡みの政治紛争(TPP)は世界へ拡散しましたwwwwwwwwww。おまけ。

リニア、わずか9キロの壁 静岡知事が工事認めず:日本経済新聞
JR東海がリニア建設に意欲を燃やす理由の1つかアメリカへの売り込みですが、そのためには名古屋までの開業はクリアしなければならないのに、静岡県の川勝知事の反対で僅か9㎞の区間の工事着手ができないというニュースです。

これ前から揉めてた事案ですし、既に山梨実験線の工事でも井戸が枯れたなどの報告がされてます。静岡県工区は大井川の源流の水源を断つ可能性が高く、それに対するJR東海の回答がいい加減ということで川勝知事を怒らせてます。駅ができないことに対する条件闘争か?という見方がある一方、川勝知事はあくまでも環境問題として譲歩の姿勢がありません。そして工期が遅れて開業が先延ばしされれば資金計画に狂いが生じて大阪延伸も微妙になりますし、ましてアメリカ輸出は夢のまた夢となります。

アメリカ北東回廊はAMTRAKのメトロライナーの時代から都市間輸送の有望エリアとされ、現在仏アルストム製のプッシュプル編成による"アセラ”が好調で、エアライン合同のワシントン―ニューヨーク間のシャトル便を廃止にするなどアメリカでは珍しく鉄道優位の地域です。そこへリニアを売り込もうって話ですから、まずは日本で開業して現物を見せて、アメリカに買ってもらおうって都合の良いシナリオを描いてますが、あれ?日米貿易交渉と似てないか?

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Sunday, September 15, 2019

台風と共に去ったメディアの公共性

台風15号の直撃で鎌倉市内だけでも土砂崩れや倒木で1万戸以上の停電や一部通行止めなど甚大な被害がありました。横浜市では金沢区の臨海工業地帯で高波被害があり、少なからぬ企業の操業停止が続いています。これだけでも凄いことだけど、千葉県の被災状況は輪をかけてます。未だに13万戸の停電があり、完全復旧に2週間かかるという惨状です。あと成田空港の陸の孤島化。関西空港の台風被害は洋上空港故と言えますが、内陸の空港もこうなるということですね。

これらの情報はメディアの報道で知るのですが、タイミングとしてはかなり遅いんですよね。台風一過のメディアを賑わせていたのは、専ら韓国の政界スキャンダルと内閣改造でした。ここまで甚大な被害があるにも拘らず、メディアのこの反応はどうしたことでしょうか。大雪被害のときはゴルフ三昧だったり関西の台風直撃中の赤坂で飲み会とか、安倍政権の過去の対応を見ると、国民に冷たいのは相変わらずですが、そうであればこそ、メディアがタイムリーに伝えて政府に初動を促すことが何故できなかったのか?

京急の踏切事故ではSNSで流言が流れる中、取材力を発揮して正確な情報を提供したのに、政治絡みだとこの体たらくってのは何なんでしょうか。災害時には流言が拡散され易く、ましてSNSでデマの拡散力が増しているときに、関東大震災時の朝鮮人虐殺という悲しい歴史を踏まえた報道姿勢を見せられないのは何故なんでしょうか。メディアが報道の公共性を自ら否定する愚を質さないと、メディアの居場所がなくなるぞ。

メディアを巡っては京都アニメの事件でも被害者の実名公表を巡って議論がありました。これは基本遠隔地の知人や縁者に知らせるという意味で公共性がありますから、実名公表自体は必要です。まして京アニ自体が世界的にクリエーター集団として名を成しているんですから尚更です。但し遺族のプライバシー問題もあるので、時間を置いての全員公表はとりあえず妥当な着地点でしょう。遺族に対するメディアスクラム問題がSNSで拡散されてましたが、真偽を判定する情報が乏しく、判定不能です。

そんな中で取り上げたいニュースがこちらです。

「辞めろと言われるとは」 日産社長に取締役会引導  :日本経済新聞
株価連動報酬(SAR)の基準日を動かして約4,700億円を過剰に受け取っていたことを暴露されての解任ですが、思い出していただきたいのは、ゴーン氏の最初の逮捕容疑が退任後に受け取る予定の報酬を有価証券報告書に記載しなかったとする金融商品取引法違反容疑でした。つまりまだ受け取っていないし、実際の支払いはその時点の取締役会の議決が必要な報酬ですから、債務として確定していないにも拘らず形式犯として身柄を拘束したんですよね。これ地検の検事が会計の知識が無いことを暴露したようなもんですが、まともに考えれば無罪です。

一方の西川氏は億単位ではないものの、実質的に会社の金を横領している訳で、より悪質ですが、これをお咎めなしってのはバランスを欠きます。とはいえ度重なる金銭スキャンダルに対する日産社内の拒否反応もあり、またゴーン氏の側近だった西川氏の責任を問う声もくすぶっていた中で、解任を決めた日産には一分の良心が残っているのかもしれません。

この解任劇で唯1人解任に反対したのが経産省出身の社外取締役の豊田正和氏なんですが、この豊田氏は何故かルノーとの交渉役に指名されているんですよね。何か急にキナ臭くなりますが、もう少し続けますと、ゴーン氏の暴走を止められなかったのはガバナンス改革が不十分だったという理屈で6月の株主総会議決を経て指名委員会設置会社に移行した日産ですが、指名委員会の委員長も豊田氏なんですよ。明らかに豊田氏に権限が集中しているんですよね。

てことでゴーン氏逮捕のときから政府絡みの国策操作じゃないのかって見方はありましたが、わかり易過ぎるぐらい状況証拠は整ってます。ガバナンス改革は安倍政権の目玉政策だった訳で、その旗振り役は経産省でした。フランス政府の圧力でルノーからの経営統合圧力が増す中で、日産を管理下に置きたいって思惑が透けて見えます。表面上はガバナンス改革の外観を装いながら、政府が実質支配体制を敷くってことですね。

しかもゴーン氏の側近だった西川氏への批判がくすぶる中で、敢えて西川氏を残した気配もあります。東京地検の捜査では司法取引が行われ、ゴーン氏とケリー氏以外の関係者の免責が約束されているらしいですが、中身は不明です。おそらく西川氏が該当するんだと思いますが、その弱みを政府に握られて豊田氏の権限拡大のために定款変更で指名委員会設置会社に移行し、そのバーターで豊田氏は一応解任反対はしたけれど、元々西川氏を使い捨てるつもりだったとしたら、西川氏は哀れなパペットだったってことになります。こんなトップじゃ業績ダダ下がりも無理もない-_-;。

ルノーとの関係云々よりも、今の日産に必要なのは、ユーザーに支持される魅力的な車を作って市場に投入することの筈です。ノートe-Power以来ヒットが出ていない現実を直視して、次の魅力的な新車を開発することです。例えばルノーの人気車カングーに日産バッジをつけて当座を凌ぐでも良いし、三菱アウトランダーPHVの日産バージョンでも良いですが、今使えるリソースを動員して市場に問うことはやるべきです。何れも失敗しても直ぐ止められますし。

そうして時間稼ぎしながら本格的な新車開発を行うことでしょうか。具体的にはe-Powerの横展開でしょう。ノートではマーチの3気筒エンジンで間に合わせましたが、本来は発電専用の高効率エンジンを開発したいところです。元々リーフの電動パワートレインが使われていてパワフルですから、プリウスやアクアよりもキビキビした走りは楽しめますし、ユーザーへのアピール度は高いと言えます。その意味で日産社内が政治絡みで委縮しないかが心配です。誤算だらけで指摘したゴーン改革を台無しにする政府の対応には怒りを禁じ得ません。

そんな政府の介入で迷走している企業は日産だけではありません。

東電、送電投資の抑制響く 停電復旧13日以降に  :日本経済新聞
1992年には9千億円規模だった送配電投資が2015年には2千億円規模にまで縮小していたという驚くべき事実です。

この間に何があったかというと、90年代はバブル崩壊で企業の設備投資が減速し、それに伴い伸び続けていた電力需要が頭打ちになります。ゼロ年代には欧米に遅れて政府が電力改革に着手したものの、発想電一体の地域独占体という業態を維持したまま、異業種の限定的な発電事業への参入解禁と電力会社同士の限定的な越境営業が認められただけです。

電力会社にとっては発電事業こそ付加価値の源泉ですし、規模の経済で異業種の参入にコストの壁がある一方、送配電部門はコストしか産まない部門ですから、需要が伸びない中で必要な更新投資を先送りして益出しするインセンティブが働きます。また越境営業といっても電力会社間の連係線の容量不足で制約されますから自由化は画に描いた餅です。

その一方で2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止し、需給が逼迫する事態となり、他電力から連係線容量一杯の受電で凌いだものの、独占を阻害する連係線強化には踏み込みませんでした。そして2011年の東日本大震災で福島第一原発のメルトダウン事故と福島第二の全停止となる訳ですが、その結果石炭火力の稼働で凌ぐ関係で燃料費が嵩み、またやむを得ず連係線を強化して他電力からの受電受電で凌ぐなどしましたが、当然コスト増となりますし、福島第一の廃炉費用と賠償費用もねん出しなければならない訳で、老朽設備の更新投資はますます先送りされることになります。つまり国策に振り回されたあげくの台風被害ってことで、将に減耗する固定資本に沈む夕陽となった訳です。

おそらく東電に関しては小売り部門の東京電力パワーグリッドの身売りで凌ぐことになると思います。つまり実質的な東電解体となる訳ですが、震災の時に破綻処理を避けた結果、回り回って解体の憂き目にあう訳です。発電部門も柏崎刈羽6,7号機の再稼働が見通せず、建設中の東通原発も中部電力などと合弁での対応を余儀なくされ、原発の代替電源として過酷な稼働を続ける火力発電所もボロボロです。破綻処理して蘇ったJALとは対照的ですね。

台風関連では計画運休で大事を取ったまでは良かったものの、運転再開が大幅に遅れたJRも批判されましたが、これ台風の速度が急減速して時間が後ずれしたことの影響が大きいと言えます。あと観測史上最強の台風が直撃ですから、想像以上に被害が大きかったってこともあります。自然相手ですからこういうことはあり得ますが、朝8時には平常運転されるようなイメージを持たせた事前告知の問題はあります。

台風通過後線路点検だけでも2-3時間はかかりますし、異常が発見されて復旧工事を手配しても、作業員が現場に到着するまでのタイムラグもあります。まして土砂崩れや倒木の影響で道路の通行止めが多数あった状況ですし、また被害の程度に対して動員できた人数も少なかったかもしれません。これは正常化バイアスの問題のみならず、そもそも生産年齢人口が減少している中で公共事業の大盤振る舞いしている影響もあるでしょう。つまり政府が余計なことをしたってことです(怒)。だから未だに震災復興も道半ばで、北海道、熊本、岡山、関西の地震や豪雨被害も中途半端。国敗れて山河無しじゃシャレにならんぞ!

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Sunday, September 08, 2019

京急の先頭電動車は安全のため?

シーサイドラインの逆走事故に始まって横浜市営地下鉄の2度の事故に続いて横浜でまた事故です。但し今度は京急ですが。

トラック、踏切内で数十秒立ち往生 京急衝突脱線 (写真=共同) :日本経済新聞
ネット上では様々な憶測が語られていましたが、今回は放送や新聞などの伝統的報道機関の報道がしっかりしていました。ファクトをきちんと押さえてます。

流れとしては中央市場で積み荷を積んで千葉方面へ向かう12tトラックが、おそらく第一京浜から第二京浜へ向かうために東神奈川交差点を左折したものの、東神奈川地下道の2.8mの高さ制限に気付いて慌てて仲木戸の右折レーンを右折して迷い込んだものと考えられます。結果論ですが、仲木戸で右折せずに東神奈川の駅前ロータリーで転回して第一京浜に戻っていれば、少し東京方面に向かって新子安手前の入江橋で左折して京急とJRのガードをくぐれば問題なかったんですが、件の仲木戸の右折レーンは大型車進入禁止の規制もなく、以前にも迷い込んだ大型車が長い距離をバックしたことがあったと住民が証言してます。とりあえずここへの注意喚起策は緊急に必要でしょう。

京急の対応もたまたま休憩中の社員が左折のためのバック誘導を依頼された挙句、ドライバーが左折を諦めたとして右折を強行し踏切に進入したことから、非常ボタンを押して現場を離れてますが、これは問題ないでしょう。一方踏切にはセンサーによる障害物検知装置が設置されており、こちらは正常に作動して信号を明滅させて電車の運転士に異常を知らせており、非常制動距離の600m地点で確認できる作りになっていて、運転士も非常ブレーキを作動させたけれど間に合わなかったということで、運転士が非常制動をどの時点で作動させたかがカギとなります。

この点は非常信号と非常ブレーキが連動していなかったことを問題視する意見もありますが、京急は運転士の判断に任せる形にしていました。これも評価が難しいんですが、2年前の小田急線参宮橋―代々木八幡間のボクシングジム火災で警官が非常ボタンを押して電車を止めた為に電車に延焼するという事故がありました。京急の言い分にも一理ある訳です。

それとネットで気になったのが、京急の先頭電動車ポリシーで転覆しにくい車両構造だったから、他社だったら転覆して被害を大きくしたというのがありますが、今回に限って言えば、先頭車は転覆はしなかったものの大きく傾いて上り線を支障した訳で、対向する上り列車が来なかったことが幸いしたというのが実際です。傾いたのはトラックが電車と線路脇の防音壁に挟まれたからという指摘もありますが、防音壁が無ければトラックが線路外へ飛ばされて民家に被害が出た可能性もある訳で、この辺も評価が難しいところです。

日本では衝突安全に関する国家レベルの統一されて規制は無いものの、特に踏切事故の多さもあって各社それぞれ工夫が見られます。例えば名鉄パノラマカーと小田急NSE車は先頭客室の安全性に配慮して衝撃吸収ダンパーを内蔵していましたし、旧国鉄を中心に高運転台も対策の1つとされました。

運転士の視認性の改善の狙いと同時に、乗務員の安全確保を狙ったものですが、92年9月14日の成田線久住―滑河間の大菅踏切で起きた過積載ダンプカーの踏切冒進に下り佐原行き113系4連が衝突して前面が潰れて運転士が死亡する悲惨な事故があり、113系や115系の前面にステンレス板を貼る強化工事を緊急に実施。当初無塗装で出場したこともあって鉄仮面と通称されました。また閉じ込められた運転士の救出が遅れたこともあり、209系以降のの新系列で乗務員室仕切りに緊急時壁を抜ける構造にしたレスキュー口が設置され、E217系では運転台後方部分の強度を敢えて弱めてクラッシャブルゾーンとする仕様にして安全対策を強化してます。

という具合に各社各様の安全対策は取られている訳で、敢えて京急の先頭電動車の安全性を持ち上げることは、暗に他社をdisることになるという点は意識しておきたいところです。

加えて京急の先頭電動車方式は安全対策なのか?って疑問もあります。というのは、京急自身が公式に認めているのは、信号回路のレスポンスの違いなんですよね。鉄道信号は左右のレールに信号電流を加圧しておいて、車輪で左右を短絡することで列車の在線を検知して信号を切り替えるシステムですが、京急のように標準機で軌間が広くカーブの多い路線では、レールと車輪フランジの接触が多くなるので、油で潤滑して摩耗を防ぐようになっておりますが、これに埃や粉塵が負Y託すると絶縁状態になったりします。

吊り掛け駆動の電動車ならば自重と振動の影響で簡単に取れるレールの汚れが制御車だと取れにくく、その分信号の切り替わりが遅れるという現象を経験則として得ていた可能性はあります。というのは、そもそも京急では制御車は戦後に絞ってみても戦災復旧車のクハ280、クハ550、クハ650とデハ600に電装品取られたクハ420と例外的な存在ですし、クハ280は本線運用ではほぼ中間に封じ込められて運用されてましたし、クハ550はサハ化され、その他は400番台に集約される過程で電装又は中間車化されてます。地上設備の制約からタイトなダイヤを余儀なくされる京急では、先頭制御車による僅かなタイムラグも許容できなかった可能性があります。

カルダン駆動時代になると都営地下鉄との直通運転で性能条件をクリアするには全電動車にならざるを得なかったのですが、京成電鉄がコスト削減のために6M車を投入したことで微妙になります。6M車というのは、モハ3200型の3221以降で採用された6M1Cユニットで。端子電圧500vの特殊定格モーターで3S2P制御とし、先頭台車を無動力としたものですが、当時京急線への直通運用は少なかったとはいえ1号線規格に準拠するから拒否もできないってことで、転覆事故防止という分かりやすい理由が後付けされた可能性は指摘しておきます。別に間違いではないですし。但し転覆しにくさってのは標準軌だからって理由の方が大きい気はしますが。

ただこうした重箱の隅つつきのような議論は、そもそも首都圏の踏切の多さという根本問題を逸らす効果がある訳で、踏切立体化が進まない現状こそが問題なんですが、地権者の権利が過大なために立体化事業が進みにくいし多額の予算を必要とすることもあって進まないという速目はあります。立体化事業自体は道路側の事業で鉄道側の負担は原則1割程度と言われますが、例えば京急蒲田駅周辺の連続立体化事業で言えば、空港線増強のネックとなる京急蒲田駅の平面交差解消に合わせて京急が追加負担をしたから事業化されたって側面があります。小田急線などの複々線化事業も同様ですね。

特に地価の高い首都圏では今後もあまり進捗は見込めません。とりあえず京王線代田橋―仙川間の立体化が手続き中ですが、危険な踏切の解消は遠いと言わざるを得ません。横浜市もIR誘致なんかよりこっちに予算使って欲しいですね。

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Sunday, August 25, 2019

誤算だらけ

イトーヨーカドー創業者の伊藤正敏氏が思い付きで「セブンイレブン各店に銀行ATMを置けば便利で喜ばれるんじゃないか」と言ったことを耳にしたセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)トップの鈴木敏文氏は、俄かに険しい表情になり「そんな強盗を呼び寄せるようなことをやりたければ、俺を頸にしてからにしろ!」と凄んだというエピソードがあります。

若い人には違和感があるでしょうけど、後にセブン銀行で銀行業に参入しセブンイレブン各店にATMを置いた訳で、しかも銀行業参入は社内で猛反対されながら鈴木氏が強行したんですから、宗旨替え?まさか中の人が入れ替わった?(笑)という疑問は当然ですね。種明かしすればかつて護送船団行政で事実上新規参入が不可能だったのが、バブル期に積み上げた不良債権の処理が進まず拓銀破綻などの金融危機を招いたことと、大蔵省の不祥事もあって財金分離で銀行行政が金融監督庁(後の金融庁)に切り出され、競争促進の意味もあって参入規制が緩和されたことによります。加えて店舗のセキュリティ体制が強化されたこともあります。

鈴木氏はSEJの事業を「変化対応業」述べておりましたが、将にそれを実践レベルでやってのけた訳です。故にヨーカドーの子会社でスタートした時から、固定観念を持ったグループからの人材を受け入れず、中途採用者も流通以外の他業種から選考し、新しい事業として育成してきた訳です。その中でPOSシステムの導入やタブレット型ハンディターミナル電子発注システムなど、他社にまで波及した様々なものの先鞭をつけた訳です。

銀行業については、護送船団時代はATMは銀行の資産で店舗はスペースを提供して賃料を得るだけでしたし、他行カードの共通利用も限られていたし、そもそも利用実績が問われますから、簡単に設置できる代物ではなかった訳です。それが自前で銀行業に参入して、しかも規制緩和で事業の自由度が増したこともあり、他行口座の入出金で銀行間の手数料収入を柱にするという新しいビジネスモデルを作り上げました。フルセットの銀行機能を持たないナローバンクであり、加えて加盟店の売上金送金に利用することで、現金補充を減らせますから、コストのかかる現金輸送を減らせる訳です。

7payの蹉跌を見ると、こうした鈴木氏の強烈なビジネスマインドは継承されていないことが見て取れます。実際SEJ社員の中には今回の件を「ホールディングスの問題でしょ」と他人事だったりします。こんなニュースがそれを裏付けます。

「また余計な仕事が」 嘆きのセブン加盟店(ルポ迫真)  :日本経済新聞
7payの終了を知らせるチラシを加盟店のマルチコピー機に通信で送って、それを店舗で印刷して掲示するという手際の良い対応をした訳ですが、そもそも「余計な仕事」だった訳で、IT化システム化して余計なことしているってのは、他の日本企業にも多数見られます。残念ながら。生産性が上がらない訳です。

ゴーン氏を追い出してグダグダになってる日産自動車も同様ですね。ゴーン氏は新興国市場の成長性を取り込むために、世界規模で生産拠点を配置して体制を固めたんですが、日本とアメリカの市場が他の国産メーカーと比べて弱く、販売奨励金頼みから抜け出せなかったんですが、様々な証言からゴーン氏がルノーのCEOに就任してからの変化が大きかったと言います。

ゴーン氏が日産にもたらしたものとして日経ビジネスの記事で取り上げたのが、クロスファンクショナルチーム、コミットメント、ダイバーシティであり、また新車開発責任者としてプログラムダイレクター(PD)という職制を設けたことなどを指摘しましたが、これ実は全て会議体の改革として一連のものです。

日産リバイバルプランで各セクションから代表者を集めて問題点を抽出したクロスファンクショナルチームでは、ファシリテーターを置いて中立的な議事進行を行うことで、安心して問題点を出し合うことが可能になり、お互いの誤解も解けて解決策が共有されました。それに伴って各セクションに降ろす数値目標も共有された訳で、これがコミットメント(数値目標)ですが、トップダウンの数値目標ではなく、チームのメンバーで共有された共通のゴールイメージでした。そしてダイバーシティはセクションの代表者を選ぶ時に、男性女性や年齢、社歴など、可能な限り多様性を持たせることで、ありがちな中年男性社員だけの会議にしない工夫だったってことです。

日産リバイバルプランでの実績に基づいて、大胆な会議体改革が行われた訳で、その結果、例えば新車開発であれば、従来は商品企画部門だ稟議書を起こしてハンコ集めしていたという非効率な仕組みで、しかも回議過程で回議者の追加意見が積み上がって、当初のコンセプトがぼやけてよくわからない車に仕上がるという悪弊を脱せずにいましたが、新車開発プロセスに責任を負うPDを指名し、開発コンセプトやアジェンダを決めて関連セクションから集めたチームで議論するスタイルに変わりました。その際に指名されたファシリテーターが中立の立場で会議を進行
し意思決定賢者のPDは離籍するという日産スタイルを確立します。つまりゴーン改革は日産の潜在力を引き出すためにロジカルに組み立てられたものだったんですね。

しかしゴーン氏がルノーCEOに就任した頃から、フランス政府との摩擦に直面し、ゴーン氏の日産へのコミットが薄まります。そのゴーン氏に指名された志賀氏にしろ西川氏にしろ、ゴーン氏ほどの強靭なビジネスマインドを持ち合わせていなかったようで、結局実績を上げられず日産を低迷させます。気の毒なのは系列ディーラーですが、今や三菱自動車から供給される軽自動車の販売で繋いでいる状況で、これも三菱自動車の買収を電撃的に決めたゴーン氏の決断が助けている訳です。ルノーからの圧力に対抗する日産のルノー株買い増しなどを盛り込んでフランス政府から日産を守ったのもゴーン氏です。

てな訳で、中興の祖とも言うべきトップを追い出したという意味で7%iと日産は共通してますが、販売不振が止まらない日産は99%減益の体たらくで、製造拠点の見直しを余儀なくされますが、整理対象は主に人件費の安い新興国中心で、人件費の高い日米拠点は温存されます。つまりリストラしても日産リバイバルプランのときのようなV字回復は望めないでしょう。加えて米中摩擦で中国市場が冷え込んできている上、アメリカ景気も失速気味。日本も消費税増税を控えながら駆け込みが起きていないなど逆風です。ノートe-POWERのような車を生み出せる力のある日差の潜在力を活かせずに沈むのは悲しいですね。

その日産自動車グローバル本社のある横浜で騒ぎが起きました。

横浜市がIR誘致へ 山下ふ頭を候補地に  :日本経済新聞
市民の反対が根強いカジノ誘致を選挙のときには「白紙」として言及せず、今になってこうして有権者を裏切るって、辺野古移転反対を掲げて当選して一転容認した沖縄県の仲井間知事をはじめ枚挙に暇がありませんが、そもそもカジノが儲かると考えている時点で愚かです。一応富裕層のインバウンド需要狙いとされてますが、カジノがあれば富裕層が来てくれる訳じゃないのは、世界の富裕層が集まるスイスのサンモリッツにカジノが無いことで明らかでしょう。

カジノの経済効果って結局限られたエリアで解禁されるから人が集まり集積ができるってもので、その結果周辺のヒトモノカネを引き寄せて周辺を窮乏化させるものですし、加えて治安の悪化という外部不経済をもたらします。つまり周辺を含めた地域に根付いた市民生活や文化を破壊するだけです。

また本当に経済効果があるのなら、寧ろ人口密集地から距離を置いた場所に置いて地域活性化するならまだわかりますが、既に人口密集地である首都圏に立地する意味はこの面からもありません。その意味では長崎(ハウステンボス)に置く方が合理的です。クルーズ船も寄港できますし。ただしクルーズ船の乗客が爆買いしている中国人だったりしますから、本当に富裕層が来てくれる保証はありませんが。

横浜繋がりでこのニュースを取り上げます。

相鉄・JR東、直通運転の概要発表 全列車新宿方面に  :日本経済新聞
11月1日開業予定の相鉄都心直通線の運航計画の概要が発表されました。具体的なダイヤは未定ですが、今わかっている範囲では新宿―海老名間が基本で朝ラッシュ時の一部列車は大宮方面へ直通。1日46往復92本で朝ラッシュ時上りは1時間4本。種別は特急と各停。分岐駅の西谷は新たに特急と快速が停車。漁ラッシュ時各停のみだったいずみ野線で新たに通勤特急を設定し二俣川で新宿方面の直通列車と接続といったところです。

相鉄12000系はJR東日本E233系7000番台と同性能でJR東日本もE233系7000番台を1本増備しており、新宿折り返し基本となるから運用増ってことだと思います。但し朝ラッシュ時は新宿駅の在線時間を通りれないってことでしょう。故に相鉄12000系も埼京線の無線式保安装置ATACSを搭載されてます。

東急との直通時には1時間最大10本で、東横線へ4本巡路線へ6本の配分となり、目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線は編成を8連に増強されるということで、個別ルート毎の本数は少ないものの、特に海老名は始発駅でY着席狙いが可能なので、既に海老名駅周辺の地価は20%程度上がっているようです。限界都市川崎で指摘した通り、折角の直通列車増発でも、武蔵小杉には満員でやってきます。武蔵小杉駅利用者には誤算ですね。

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Sunday, August 18, 2019

困難なインフラのトリアージ

2030年の北海道新幹線札幌延伸に伴う並行在来線問題の検討が前倒しされました。

北海道新幹線の並行在来線、「存廃判断」5年前→前倒し  :日本経済新聞
対象区間は沿線人口が少なく、財政力の弱い町村が連なるだけに、調整は相当手間取りそうです。バス化も含めた検討ですから、廃止も有り得る訳ですが、貨物列車をどうするかが悩ましいところです。

JR貨物の問題は東北新幹線延伸のときに並行在来線を三セクで引き受ける時に、ローカル輸送対応ならば複線電化の東北本線の設備は明らかにオーバースペックとなりますから、JR貨物が貨物列車を維持することが困難と発議されました。その際JR貨物が負担する線路使用料がタダ同然の格安だったことから、並行在来線引き受け三セクにとっては負担ばかりになるということで揉めました。結果的にはJR貨物が支払う線路使用料と三セクが受け取るコスト見合いの線路使用料の差額をJR東日本の負担で補填することで決着しました。加えて北斗星やカシオペアの運行に伴う運賃料金収入もあり、それで経営の屋台骨を支えることで決着しました。貨物幹線だけに貨物廃止は無理だった訳です。

JR東日本にとっては整備区間より手前の根元区間の受益があるので、貨物輸送に伴う負担増は受け入れ可能だった訳ですが、同様の問題に直面した九州新幹線の八代―川内間ではこの手は使えず、並行在来線三セクの肥薩オレンジ鉄道にJR貨物が出資することで、貨物列車向けの電化設備等を維持するという方法が採られました。肥薩オレンジ鉄道のローカル列車は軽量ディーゼル車によるワンマン列車です。

北陸のIRいしかわ鉄道とあいの風富山鐡道では、当初検討されたサンダーバードの富山乗り入れは結局JR貨物とのコスト分担問題で実現しませんでした。IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道が客単価の高い寝台特急の収入を当てにしたのとは対照的です。という具合に並行在来線貨物問題は統一的なスキームはなく個別対応に終始しました。言い換えれば行き当たりばったりだった訳です。

北海道新幹線に関しては、経営危機にあるJR北海道に追加負担を求めるのはそもそも無理ですし、これまで以上に沿線人口が少なく、財政力の弱い町村に負担を強いることになります。貨物廃止してバス転換もあり得る訳ですが、青函トンネル開通で天候に左右されない輸送手段として特に農産物輸送で優位性を発揮する貨物の廃止は、北海道経済に大きな打撃を与えるだけに、簡単にはいきません。

青函トンネルの新幹線と貨物の供用区間が速度と列車本数の制約条件になっていることから、国交省の本音は貨物廃止に傾いているようで、実際船舶へのシフトが検討されてますが、輸送量から言えば可能でも、天候の影響は避けられず、鉄道による安定輸送が北海道産農産品の競争力となっている現実から無理筋でしょう。

加えて東北新幹線の並行在来線三セクであるIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道にとっては、寝台特急の廃止で旅客収入を減らした上に、JR貨物の線路使用料収入まで減れば、存続が危うくなります。こうなると北海道の都合だけで決めることもできず、着地点が見えなくなります。あとJR貨物自身も国の支援で基盤強化投資を行った結果、黒字転換して株式上場も視野に入る中で、その基盤を国に潰されることになる訳です。この点も将に行き当たりばったりです。

山線区間を除く長万部以南の区間はJR貨物が出資するということも考えられますが、北海道経済に関わる問題だけに、北海道庁が動かなければまとまらない可能性があります。とするとJR北海道に冷たい道庁の対応から見て期待できそうにありませんね。これインフラの積み増しによる維持費拡大問題として指摘しましたが、こうして過剰インフラを抱えると、その廃止も簡単ではないってことで、寧ろ問題を複雑にして解決を困難にします。

一方九州でも問題が起きています。

JR九州「自社株買い」株主総会で否決、青柳社長「今後も対話」  :日本経済新聞
株式上場したばかりに、株主となった投資ファンドからの圧力を受けている訳ですが、同時に豪雨被害で不通の日田彦山線の復旧を巡って関連自治体との間で困難な話し合いが行われています。日田彦山線自体は現状既に都市間輸送も貨物輸送も担っていない純然たるローカル線で、企業経営的には災害復旧するよりバス転換する方が合理的ではあります。

しかし忘れてはいけないのは、JR九州が株式上場に当たって上場基準クリアのために行った経営安定基金を取り崩して新幹線リース料の一括納付と償却資産の減損処理の結果、減価償却費を圧縮して本業の赤字体質を改善した一方、減価償却費の減少は同時にフリーキャッシュフローの減少を意味しますから、災害復旧の資金捻出を困難にしているという側面もあります。言い方は悪いですが、株式上場したために災害復旧もままならなくなったってことです。日経記事では複数のステークホルダーへの対応の困難さと纏めてますが、覚悟がないなら上場なんかするなって言いたいところです。

というわけで公共インフラの民営化は万能薬でも何でもない訳で、例えば大阪メトロや大阪シティバスの民営化の意義は今もって理解に苦しみますが、とりあえずここでは踏み込みません。しかし過剰インフラの淘汰を資本の論理に委ねて良いのかってところはあまり議論されてません。そんな中で北越急行ほくほく線の生き残り策は示唆に富みます。

元々スーパー特急方式を想定していたJR西日本区間の北陸新幹線は、ほくほく線経由で越後湯沢で上越新幹線に乗り継ぐ形が想定されていて、それを前提に北越急行では線路の高速化と共にJR西日本の681/683系を導入し、段階的にスピードアップして160km/hの営業運転を実現した訳ですが、北陸新幹線のフル規格化で梯子を外された形になりました。

そこで利益の一部を基金として内部留保して将来の減収に備える一方、特急廃止でお役御免となる681/683系をJR西日本に売却しローカル輸送に特化します。減収にはなりますが、特急車両の譲渡収入が得られる一方、通過車両キロの減少で保守負担が減少しますから、そこで収支をバランスさせることで存続を図ります。超快速スノーラビットで都市間輸送を維持しつつ、鈍速列車スノータートルという企画列車を走らせるなどして増収に励む一方、2018年12月1日には運賃値上げして収支改善を図ります。万博輸送対応の車両を大阪市に譲渡した北大阪急行と同じ手ですね。

幸いなことに高速化で高規格な線路故にメンテナンスフリーなのと、積雪対策により運休が少ないということで、ローカルな利用者の信頼を得ていることで、安定した収支を実現しています。てことでJR北海道もJR九州の前例を梃子に電化や線路強化や積雪対策などで将来のメンテナンスコストを圧縮することと、運賃改定を併せて収支改善を図るのが、道庁が当てにならない以上必要ではないかと。利子補給されているとはいえ低金利で運用益が期待できない経営安定基金ですが、現物投資は優先順位を間違わなければ本業でのハイリターンが可能です。

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Sunday, August 04, 2019

リアル自爆炎上の恐怖

京都アニメ―ション放火事件という死者35名もの大事件がありました。40Lものガソリンを撒いて火をつけりゃこうなるってのは、ひょっとしたら容疑者自身が巻き添えになる可能性の認識が無かったのでしょう。

2003年の韓国大邱市の地下鉄放火事件では、ペットボトル1本分のガソリンで当局の対応のまずさもあって192名の死者を出してますし、2015年の東海道新幹線ののぞみ225号焼身自殺事件では、巻き添えの女性1名の死亡の他乗客乗員28名が重軽傷になるなど、身近な危険物としてのガソリンの危険性の認識が甘いんじゃないかと思います。学園や街頭で火炎瓶飛び交う時代を経験した私ら世代から見ると、昔はホントガバガバだったし、実際ガソリン放火事件は多数ありました。例えば1980年の新宿西口バス放火事件が思い出されます。

昔は成人男性の多くが喫煙者でマッチやライターを普通に携行していて、ガソリン販売の規制も緩い状況でしたが、その後規制強化されてはいますが、未登録の農機やフォークリフト、小型発電機の給油というニッチな需要がある以上、販売時に店員が用途を尋ねても抑止効果は限られます。今回の事件では500mほど離れたセルフスタンドで購入したと報じられており、セルフスタンドでの携行缶販売は法令違反ですが、店員の質問をクリアして購入できている訳です。こうなると身分証提示など一段の規制強化は必要ではないでしょうか。そうしないと、この事件で明らかになったガソリンの威力が悪用される事態もあります。その結果がこれ。

慰安婦少女像の展示中止 愛知の国際芸術祭 (写真=共同) :日本経済新聞
大村愛知県知事は河村名古屋市長のクレームに対しては「行政が展示物に干渉すべきでない」として見識を示した一方、脅迫まがいの抗議電話やガソリン放火を予告するFAXまで送付され、職員の安全を図るため中止を決断せざるを得ない無念を示しています。

愛知県警に相談しても、FAXはネットで匿名化されているから遡及は無理という意味不明の理屈で断っている訳で、これ明らかに愛知県警のサボタージュです。令状取ればプロバーダーに通信ログ開示を指示できますし、匿名化までしての脅迫ですから、寧ろそのことが犯行の意志を示します。ま、時間がかかるしそれ以前に犯行阻止のために警備強化はしなければならず、面倒ってことですね。G20大阪サミットで見せたガチガチの過剰警備に見られるように政権肝いりでなければ面倒は受けたくないってことですね。逆に2020東京五輪は戒厳令並みの警備体制確定でしょう。典型的な恣意的な公権力の行使です。ヤレヤレ。公権力の行使は公平公正でなければならないってのは、国民国家の基本中の基本ですね。

そんな状況で開催されるオリパラですが、選手村や競技施設が集中する湾岸エリアでは東京港の処理能力を超えた貨物の集中で道路がパンク寸前なのに、オリパラ関係者の移動のための大規模な交通規制が敷かれます。物流が滞ることは間違いありません。あ、だから日韓関係拗らせて貿易減らす?まさかね。

一方現状でも朝の通勤ラッシュで混雑している通勤鉄道に世界から観戦客が押し寄せる訳ですから、相当な混乱は避けられません。上述ののぞみ225号の事件のときにも新幹線のセキュリティチェックが言われJR東海が無理と即座に否定しましたが、混雑する通勤鉄道はテロLリストから見れば格好のソフトターゲットになります。繰り返しますがペットボトル1本のガソリンで大惨事の大邱市の事件など、新幹線でも不可能な通勤鉄道のセキュリティチェックの困難性は言うまでもありません。

加えて各スタジアムで入場時に行われると考えられるセキュリティチェックの長い列が鉄道駅に伸びた時に何が起きるか?駅外の混雑で予想外の事故を誘発した2015年の事故のリンク貼っときます。

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Saturday, July 20, 2019

オウンゴールの国自BANG!―――黄金の国の誤変換

日韓関係が拗れまくってます。徴用工裁判問題と半導体材料の輸出審査美那雄祖問題が同時並行で進んでいて、日本政府の公式見解も別らしいですが、寒みー場外乱闘で指摘した通り、世耕経産相が徴用工裁判問題に言及してます。故に世界のメディアは徴用工裁判問題の報復として「日本もトランプ流」と報じました。実はそれがまずいことなんですね。

昨日も河野外相が駐日韓国大使を呼んで「無礼者」呼ばわりしましたが、徴用工裁判はあくまでも民事の紛争ですから、そもそも政府同士の約束である条約で無効にはできませんし、あくまでも訴えた国の裁判所がその国の法律に基づいて判断するものです。例えばトヨタの米現地法人の役員がセクハラで訴えられた裁判では、米国法で被告の経済力に応じた懲罰的賠償金が認められていますから、億単位の賠償命令を受けてますが、「それは不当だから撤回しろ」と日本政府が言えばおかしいですよね。そのおかしなことを日本政府は韓国政府に要求している訳です。日本政府は国際紛争処理機関への提訴を準備中らしいですが、相手国の韓国が無視すれば事態は動きません。

対して輸出手続きの見直し問題を日本政府の関係者は判で押したように「制裁ではない」と言ってますが、これ韓国がWTOに提訴すれば日本の意向に関わらず紛争解決パネルで判断が下されます。その際に世界のメディアが「日本もトランプ流」と報じて制裁扱いしていることが、日本の心象を悪くするってことで、徴用工裁判との関連を否定し、あくまでも手続きの見直しだと異口同音に発言している訳です。とはいえ世耕経産相の発言は記録として残ってますから、否定しようが何しようが事実は消えません。

加えて日本政府の言い分に様々な矛盾が見られる点も気になります。複数の政府高官が言う「不適切な事案があった」なら、韓国当局にその情報を伝えて摘発を促すならわかりますが、事件化できるほどの証拠はなく、単に疑わしいってだけなら物は言いようで後付けの理屈にも見えます。「安全保障上の問題」と言うならWTOではなく国連安保理に諮るべきじゃないのか?ってこともあります。少なくとも日韓で揉めて一番喜んでるのは間違いなく北朝鮮の金正恩氏でしょう。

問題の純度が高いとされる日本製フッ化水素ですが、既にサムスンなど韓国企業は代替品を探しており中国やロシアが調達先に浮上しているようですが、同等の純度のものが手に入るかどうかは微妙なようです。エッチング剤ですから、微小な回路を刻むのに純度は大事で、結果として半導体製造の歩留まりが改善して高品質と低コストが両立する訳です。純度が下がればそこがどうなるかは分からない訳で、確かに韓国企業は困るでしょう。だけど困るのはそれだけじゃないんですよね。

韓国の半導体メーカーが日本製化学製品で実現した高品質と低コストを何故日本企業が実現できなかったかというと、ムーアの法則に鍵があります。インテルの創業者の1人のゴードン・ムーア氏が提唱したICチップの搭載トランジスタ数が凡そ2年で2倍になるという経験則です。つまり技術革新が指数関数的に進むってことですが、これが意味するのは技術の陳腐化が早くて絶えざる技術革新の連続でしか競争力を維持できないってことでして、言い出しっぺのインテルはそれを根拠に日本製の高品質低コストの汎用メモリのDRAMへの台頭で撤退し、プロセッサに特化してIBM、マイクロソフトと組んで所謂ウィンテル連合でPC市場を席巻し、且つ研究開発を強化して市場をリードしてきた訳です。所謂選択と集中ですね。

その過程で汎用品しか作れない日本の半導体メーカーは価格のたたき合いで多くが自滅します。加えてバブル期の強気の設備投資が設備過剰となり、その後の技術革新に合わせたタイムリーな設備投資を阻害します。かくして台湾や韓国の半導体メーカーが入れ替わるように台頭し現在に至る訳ですが、日本製半導体の高品質低コストを支えた日本製化成品が支えになった訳で、逆に言えばこの入れ替わりがあったから、日本の化成品メーカーは顧客を失わずに済んだ訳です。早い話日本の半導体メーカーの戦略不在の結果ですね。

結果的には日韓企業の強みの組み合わせで世界に高品質で低コストの半導体が供給され、多くの危機に実装されて革新的な成否が多数市場に送り出されてきた訳ですが、その構造に余分なストレスを与えることに何の意味があるのか、日本政府は答えていません。何しろ徴用工裁判問題に対する制裁じゃないそうですから、韓国に何を求めているのかがわかりません。結果誰得だよってことですね。

喜んでるのは専ら日本国内のウヨ的な人たちばかりで、問題の着地点も見えません。ま、そもそも制裁じゃないし、だから交渉するつもりはないし、場合によっては品目を増やすことも有り得るそうですから、韓国国内では経済への影響を心配する声はあるものの打つ手はないし、日本と妥協的な保守派も含めて文在寅政権支持の世論が形成されてます。長期的には日本依存のリスクが意識され、調達先の多様化や国産化、あるいは韓国企業の製造拠点の海外移転などで、寧ろ日本の方が損失を被ることになりかねません。こうなるとメンヘラ自傷行為にしかなりませんね。バカなのか?

この辺の構図ですが、かつて指摘したICカードのソニーの失敗にも通じます。元々秘密保持を必要とする工場や事業所のセキュリティ対策として、センサーにタッチしてゲート開放や開錠する社員証やゲストカードとして開発されたFeliCaシステムに注目して交通系ICカード兼電子マネーに応用したのが香港の八達通'OctopusCard)で、その利便性と高機能を知ってソニー開発を要請したのがJR東日本のSuicaです。

そして開発過程でソニーが独自に開発したEdyのSuicaへの搭載をJR東日本は提案しますが、ソニーは断ってしまいます。JR東日本の狙いは決済システムは1つで良いし、センサー設置などを短期間で普及させるための機能統合としう戦略判断だったんですが、ソニーはそれを理解できず、Edyを独自に育てる選択をします。しかし所謂おサイフ携帯販売のために通信キャリアのNTTドコモに売り渡してしまいます。そのNTTドコモも持て余して楽天に転売してしまいます。かくして普及できないまま交通系カードにに電子マネー機能が追加され、nanacoなど流通系カードの参入もあってEdyは忘れられた存在になります。かくしてただでさえ高コストなFelicaシステムの各種カードが乱立してしまい、7payの蹉跌を生むことになる訳ですから、根深い問題です。

その7payの蹉跌も日本政府の消費税増税に伴うキャッシュバックなんてアホなことするから起きたことだし、そもそもバーコード決済も所謂二次元バーコード(QRコード)を開発して無償公開したのはデンソーですが、それを利用して決済システムを構築したのは中国のアリババや微博(Weibo)ってFeliCaと構図が似てます。そして電子決済を一気に普及させようとして混乱を招いている日本政府って-_-;。かくして黄金の国は誤変換の果てにオウンゴールの国になる?

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Sunday, July 14, 2019

間違いだらけの消費税

3度目の正直な消費税で予想した通り、今年10月の消費税増税は動きませんでした。野党は増税撤回を掲げて争う姿勢ですが、大勢は与党有利と言われています。選挙が終われば「国民の信任を得た」として消費税増税は確実に実施されるでしょう。上記のエントリーでも指摘しましたが、消費税を巡る議論が生煮えで、単純に消費税増税、是か非か、といった議論は今更感があります。寧ろ準備が粛々と進んでいます。そんなこのニュース。

鉄道運賃、消費増税で2%上げ 山手線初乗り136円に  :日本経済新聞
国交省の指針で値上げ幅を消費税増税分の範囲内に納めることを求めており、JR東日本で平均1.852%で、他社もほぼ同水準とされております。一応便乗値上げはありませんが、民営化後30年以上、消費税転嫁分の転嫁を除く運賃値上げは実施されておりませんので、低インフレもありそれなりに超過利潤は増えていると見られますが、その見直しまでは無いってことですね。

加えて鉄道運賃は事業者をまたぐ連絡運輸もあり、IC乗車券のようなストアードフェアシステムが普及していることもあり、バックオフィスのシステム改修にはかなりのコストがかかると思われますから、合理化による増益分は多分大した足しにはならないのでしょう。その一方でJRのライナー列車や複数私鉄の有料着席サービスなど付加サービスのの料金は届出制で自由度がありますから、今後も拡大するんじゃないかと思います。逆に存亡の危機にあるJR北海道は収支改善のための値上げを消費税増税部込みで申請済みで、カツカツの厳しい状況は続きます。

他方運賃制度の自由度が高い航空やバスに関しては、予約時期や路線や便毎に柔軟な運賃設定が可能なので、こうして見ると鉄道運賃にも一定の柔軟性が認められても良い気がします。例えばJR北海道のケースでは札幌都市圏とそれ以外で別運賃にするとかですね。あるいはJRは都市間列車に特化して特急料金込みとし、ローカル輸送はイギリスのフランチャイズ制に倣って地元自治体やバス事業者の参入を促し運賃を別建てにするとかでしょうか。

消費税本体の話からややそれましたが、消費税転嫁の値上げは価格カルテルから除外するという独禁法の例外になっていることを述べたかったんですが、鉄道運賃のように元々が規制価格でネットワークの外部性が強く働く分野はともかく、それ以外の商品一般に関して、この例外扱いが妥当なんだろうか?ってことです。

だから鉄道のような規制業種に限らず一斉値上げになりやすく、駆け込み需要が発生しますし、規制業種以外では便乗値上げも見られますし、食品などで見られる内容量を減らしたステルス値上げも常態化している訳ですね。逆に言えば消費税増税に伴う価格の段差を無くすには、一斉値上げを防ぐシステムを考えれば良い訳で、プレミアム商品券やキャッシュレス決済でポイントバックみたいなことは、寧ろ混乱を助長することになります。

付加価値税率15%以上とされるEUではどうかと言えば、一斉値上げはほとんど見られず、事業者は税率アップを見越して事前値上げしたり、透明値上げを見送って値上げ先送りしたり、コスト削減で吸収したりと、様々な対応を取って税率改定前後の期間平均で収支を調整しています。ある意味価格据え置きはシェア拡大のチャンスでもある訳で、より戦略的な価格政策が定着している訳です。

またインボイスの導入によって税率が変わる前の仕入れ分の低税率は控除額も少ない訳で、中間事業者の節税策が無力化される効果もある訳で、増税による駆け込み需要対策ならインボイス導入こそやるべきことですし、中小零細事業者の対応のためのシステム補助なら1回こっきりのシンプルな補助制度になり、ポイント還元のような大掛かりな仕組みも不要です。しかも2022年をメドにインボイス導入の方針もある訳ですから、それを前倒しするならともかく、今回増税の影響w軽減するという名目で大規模なバラマキをすれば、これが悪しき前例となって今後機動的な税率改定が難しくなるという副作用もあります。全くいいとこ無しです。

前エントリーで取り上げた7pay不正アクセス問題も、コンビニなど大手チェーンの加盟店は2%還元となる一方、地方スーパーを中心に資本金を5,000万円以下に減資して5%還元の対象事業者になってシステム投資の補助金まで取ろうとする動きが目立っており、7-11は対抗上3%分を本部負担で加盟店支援をしようとした訳ですが、セキュリティの強固なFelicaベースのnanacoの高コストがネックで、一方オムニセブンから派生した7iDのシステムが宙に浮いていて、それを利用したセブンアプリというポイントシステムに衣替えして、更にそれを土台に決済システムを構築した結果、元の7iDのガバガバなセキュリティが災いしたということのようですね。ベンダーの尻叩いて安上がりに済まそうとした結果でもありますが、同日にスタートしたファミpayでは問題が起きたという報告はありませんから、手抜きが高くついたってことですね。お粗末。

そもそも消費税は高齢化に伴う社会保障費の膨張に対して、安定した財源であり、社会全体で広く薄く負担するってのが本来の意義だった筈ですが、その一方で年金も健保も保険料が値上げされている訳で、保険料の値上げは現役世代に負担が集中するので、負担と給付の見直しの中で利的な選択だった筈ですが、実際は97年の3%→5%の増税と同時に保険料も値上げされ、年金の100寝南進プランでも年金保険料の値上げとマクロ経済スライドによる実質給付の圧縮が図られ、健保も後期高齢者保健創設による国保、協会健保、組合健保などとも財政調整の結果H権料は毎年値上がりしている訳で、本来は消費税増税の代わりに保険料は固定するといった議論があってしかるべきですが、全くありません。

この辺の不誠実さが日本政治の現状です。その意味では税と社会保障の一体改革を打ち出して3党合意を纏めた野田政権はまだしも誠実だったとは言えます。その後解散総選挙d絵民意を問うて政権を失い戦犯扱いされてますが、とりあえず議論の俎上に載せたことは間違いありません。ただしここにもゴマカシがありまして、一つは地方消費税が5%時代はその内1%で税収額比20%だったものが、8%中1.7%で税収額比21.5%となりました。10%時には2.2%で税収額比22%になり、軽減税率8%に対しても1.76%(税収額比22%)と地方への配分が増えてます。

勿論社会保障負担が増えるのは地方も同じでよりシビアなので、これはこれで良しとすることは可能ですが、残る国税収入でも社会保障費に直接充当されるのは2割相当で残りは財政再建と政府消費による政府負担分の消費税負担増で消えるという笑えない話なんです。結局年金100年安心プランで約束しながら財源が見つからずに先送りされていた給付の国の負担割合を1/3→1/2の財源に充当されて終わりで、社会保障改革とは程遠い内容です。特に財政再建は過去の公共事業や減税などの財政出動の結果の財政悪化なんですから、素直に歳出削減と赤字国債圧縮を行うべきで、消費税で賄おうというのは筋悪です。

更に自公政権で導入が決まった軽減税率が問題でして、運用の混乱もさることながら、インボイス導入までは区分経理による帳簿管理とされており、錯誤や不正の温床になりますし、事務負担も増えます。インボイスが導入されれば複数税率への対応は容易ですが、それに留まらず、非課税とされる医療や一部の公共サービスを0%税率として申告に基づいて還付することも可能になりますから、制度としてはかなりスッキリします。また税率の変更も容易にになるのは上述の通りです。これを制度インフラとして適正な税率を国民目線で決めていくことが重要です。財政再建のためという増税議論なら国民の判断で止められる訳です。

あと消費税に合わせた所得税や法人税の見直しも必要です。制度の整合性を図るなら両税も付加価値型Hにすればスッキリします。所得税ならば1人当たりの給付付き税額控除額を決めて本人と扶養家族の人数分を税額控除し、税額が下回る場合は差額を給付することにすれば、仮に所得ゼロでも控除税額分の給付が受けられますから、社会保障費の圧縮が可能になります。法人税は人件費を含む付加価値を課税対象として、人件費に含まれる個人所得税と社会保険料を控除するという仕組みが考えられます。課税ベースが拡大しますから、税率は下げられます。低消費税率国との底辺への競争となる現在の法人減税の議論は必然的に財源を誤魔化すことになり、結果的に消費税収が充当されてましたってことも防げます。

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