都市交通

Sunday, May 13, 2018

国敗れて鉄路なし?

加入権維持で今どき意地でADSLでやせ我慢してたら通信障害ですが、NTTも最早メタル回線のメンテナンスをまともにやる気がないらしく、渋々ひかり電話へ切り替えましたが、新年度で引っ越しシーズンってことで工事スケジュールが混み合ってて1箇月を超える空白期間を余儀なくされました。そんな中でスマホのフリック入力でアップした前エントリーの見通し通り、北朝鮮を巡る情勢が急展開しております。南北首脳の本気とノーベル平和賞期待のトランプ大統領の色気が妙にかみ合ってきております。

慌てたのは日本政府。何しろ日米安保体制の前提となる朝鮮戦争の終結につながる話なんで困ってます。朝鮮戦争は現在休戦中ですが、韓国は休戦協定に参加しておらず、頭越しに米朝で休戦というねじれた状況です。元々は北朝鮮の南進に対して安保理決議で朝鮮国連軍が組成され、在日米軍に総司令部を置く形だったのですが、現在の休戦ラインに押し返すのがやっとで、国連軍参加国の撤退が相次いで今の形になった訳ですが、当時の韓国政府が休戦を認めず協定に参加しなかったわけです。

にも拘らず総司令部を米軍が抑えているから韓国軍が独自の軍事行動はできないわけで、事実上韓国軍は米軍の下請け機関のような扱いになっておりました。故にベトナム戦争への参戦も強要されましたし、韓国の世論の不満も大きく、停戦となれば韓国軍はその呪縛から解放されることになります。文在寅大統領への世論の支持はこういう背景があるわけですね。

シンガポールで行われる米朝首脳会談でどこまで踏み込むかはわかりませんが、共同宣言が出されて停戦協定と平和条約の締結のための実務者協議が始まるというあたりが落としどころでしょう。実務者協議がすんなり進むかどうかはともかく、枠組みとして不可逆な形になるということで、停滞はあっても逆戻りは無いという見立ては成り立ちます。

そうなると在韓米軍と在日米軍のの扱いが問題になるのですが、韓国として在韓米軍の全面撤退までは望んでないでしょうけど、朝鮮半島の非核化というのは、核保有国であるアメリカの核持ち込みも無くすってことも含みますから、どういう妥協点を見いだせるかはこれからの話です。

厄介なのが在日米軍でして、朝鮮国連軍総司令部がある三沢基地のほか、在日米軍の相当部分が朝鮮国連軍としての駐留なんで、縮小することになるんでしょうけど、在日米軍の任務は非公開で、どこまでが朝鮮国連軍としての任務なのかはわからないわけです。日本政府がきちんとアメリカと交渉する必要がありますが、黙っていれば事実上アメリカのフリーハンドになりますし、場合によっては北朝鮮のミサイルの標的になるリスクもあります。

一方でアメリカはイラン核合意からの離脱を決めました。今のところ他の5カ国が踏み止まっていて、アメリカの追加制裁も発動までの猶予期間があるということで、市場は安ど感に包まれておりますが、火種であることに変わりはありません。というわけで、市場は膠着し、円高予想はやや肩透かしですが、これドル高が相殺してるだけですね。FRBの利上げとレバトリ税制(米企業の海外留保益金の税制優遇)で資金還流が起きている状況を反映したものですが、マイナス金利にまで踏み込んだ日銀に追加策がないことに変わりはありません。為替水準の予想はあまり意味はありませんけど。

北朝鮮の問題では日本政府の出遅れは明らかですが、ロシアはどうかと言えば、まあ様子見でしょう。中国の出方次第ですが、朝鮮戦争停戦はロシアが以前から狙っていた北朝鮮を介した韓国との鉄道連絡のチャンスでして、中国が中央アジア経由のチャイナランドブリッジを売り込んでますが、バム鉄道とシベリア鉄道を介した欧州連絡ルートができれば強力なライバルになります。そうなるとロシアがオファーしてきたサハリン経由の日ロの鉄道連携は可能性が絶たれます。ここでも日本は後れを取るわけですね。安倍政権の外交政策は悉く裏食ってます。

かように地政学の変化に鉄道も無縁じゃないわけですが、サイドバーの直近の2冊の本を読んで気づいたことがありまして、JR7社の経営トップが国鉄OBで占められていることです。歴代でもJR東日本の初代社長の住田正二氏が運輸省OBで、大臣と対立して退官していた結果スカウトされたのが唯一の例外です。JR九州初代社長の石井幸幸孝氏の本では人口密度と鉄道の収支の関連をグラフで示していて興味深いのですが、人口減少で収支の悪化が避けられない中で、関連事業の強化で鉄道事業のウエートを下げたJR九州の自慢話こそ具体的な一方、新幹線物流などの提言は国鉄OBの思考の枠組みから出られていないと感じます。

一方川辺謙一氏の本は、日本の鉄道の特徴として利用客の多さを国際比較の中で明らかにし、要因として人口密度の高さと共に鉄道万能主義の存在を指摘してより客観的に日本の鉄道を見ています。例えばニューヨーク地下鉄の24時間運行について、港湾労働者の通勤の足として始まったことを指摘しています。よくニューヨークでできてなぜ東京でできないか?ということが言われますが、これ謂わば港湾都市としてのニューヨークのレガシーでありそのまま東京に持ち込むことはできません。

他にもいろいろありますが、超電導リニアとハイパーループの比較を取り上げます。旧国鉄時代から半世紀に亘って開発が続けられ、着工にこぎつけたリニアですが、人手不足や談合事件の影響で事業の遅れや事業費の拡大は避けられないところ。一方アイデアとしては古くからあるハイパーループが世界的に注目されてます。

きっかけは2013年にテスラやスペースXのCEOのイーロン・マスク氏の提唱で開発が始まり、2017年には実物大モックアップによる試験運行が始まるという風に急ピッチで開発が進んでいます。元々はサンフランシスコ―ロスアンジェルス間のカリフォルニア高速鉄道プロジェクトの対案として提案されたもので、同区間での事業化が目論まれております。

原理は中を真空近くに減圧した鋼管チューブの中を28人乗り程度のカプセルを搬送させるもので、当初空気浮上の計画を永久磁石による磁気浮上に改め、時速760マイル(1,220km/h)を目指すってことで、音速域でジェット旅客機の1.5倍の速さです。若干の勾配への対応は考えられておりますが、曲線走行は不得手ってことで、日本のように平地が狭く山がちな地形では導入が難しいのですが、広い平野部にまばらな人口密度の大陸国にとっては、これぐらいのスピードで航空客すら取り込むようなものでなければ事業化が難しいという側面はあります。

カリフォルニア高速鉄道の事業費は800億ドルに達すると言われますが、需要面を考慮すれば公的支援抜きの事業化は不可能で、州民の理解も得にくい訳ですが、ハイパーループは高速道路に併設することで100億ドル程度の事業費で実現可能としており、開発費も含めてクラウドファンディングで資金集めをしており、投資家の関心も集めているということで、いかにもアメリカらしい話ですが、欧州の鉄道事業者やサウジアラビアなどの産油国も興味を示していて大化けの気配があります。鉄軌道の高速鉄道よりもコストのかかる超電導リニアのマッチョな時代錯誤ぶりに疑問を感じない石井氏もやはり国鉄OBなんだなあと。

そうそうイランと言えば共和制だったのにアメリカの秘密工作でパーレビ国王という傀儡を立てて親米政策に舵を切った結果、イスラム革命を呼び込んだんですが、そのパーレビ時代にイランに新幹線を作りたいとオファーがあって当時の国鉄は大乗り気だったようですが、イスラム革命でご破算になりました。他方アメリカ製兵器の購入で代金を支払った後でイスラム革命が起きて引き渡しが行われなかった結果、イランによる代金返却が求められ、核合意に関連して返却されたようですが、その一部が北朝鮮に流れたという観測があります。核実験やミサイル実験を繰り返してた資金はイランから?ま、国鉄は実害がなくて結果的には良かったんですが。

あと例えば自動運転車の登場に危機感を口にするJR首脳はいますが、欧州では鉄道事業者が自動運転バスの実証実験に取り組んでたりしてて、やはり周回遅れ感が否めません。自動運転車に関しては法制度の問題の方が大きく、現状でも適切なゾーニングができれば導入できるところはそれなりにあると思いますが、そういった議論は進みませんね。

てなわけで、JR経営陣が国鉄OBで占められている現状に危うさを感じます。いずれJRプロパーのトップが登場するかもしれませんが、幹部社員の学歴面で見ると旧帝大卒中心だった国鉄時代とは様変わりしており、JRのような大組織を動かせる人材が出てくるかどうか。というか国鉄OBの覚え目出度い社員が出世して次世代リーダーになるとすると、申し訳ないけどJRの将来は暗いと感じます。

議論を拡張して今や失敗確実のMRJの何が問題だったのかにも触れておきます。ボーイングとエアバスの2大メーカーのラインナップから外れる100人乗り以下の小型機でボンバルディアとエンブラエルが争う中に割り込もうとしたわけですが、新興国の経済成長と共に低燃費の小型機の需要は確実に拡大すると見込まれますから、狙いはわかりますが、安直じゃないかと。

小型機メーカー2社は母国のカナダもブラジルも国土が広く国内に小型機の巨大市場がある訳で、鉄道のシェアが高く国内市場が当てにできない日本で開発する意味を問うたのか?って疑問が湧きます。開発直後にジェット時代になって時代遅れになったYS11ですら、当時国内ローカル空港のジェット化は夢物語だった時代で、ある程度国内で消化できる見込みがあった訳ですが、それすら怪しいプロジェクトがうまくいくと考えていたとすれば大甘ですね。

一方エアバスではバッテリー駆動のモータープレーンを開発中で、フィンランドその他で導入の検討がされてます。現状バッテリー性能の制約から航続距離は数百km程度ですが、国内線で使うには十分だし再生可能エネルギーの活用で石油輸入を減らせるしCO2排出量も減らせるということでのチャレンジです。MRJもこれぐらいのチャレンジがあっても良かったのでは?

てなわけで、魚と大組織は頭から腐るって同じ結論です^_^;。

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Sunday, March 04, 2018

トランプ円上昇法^h^h炎上商法とアベノミグルシイ

見苦しいタイトルで失礼いたします^_^;。その前に前エントリーで取り上げた岡山の後日談。

バス、収益路線参入に抗議 両備「赤字路線維持できぬ」  :日本経済新聞
八晃運輸、「健全な競争」強調 バス路線参入で説明文  :日本経済新聞
八晃運輸の認可前に両備Gが呼び掛けて実現しなかった地域公共交通協議会が開催されることになりましたが、あくまでも両備Gの路線廃止だけが課題で八晃運輸は呼ばれておりません。つまりぶっちゃけ認可しちゃった八晃運輸抜きで両備Gの路線廃止対策つまり自治体が路線維持に幾ら出すかってフレームです。行政の不作為の結果、望ましくない形になった訳です。

これ前エントリーでも触れましたが、需給調整規制の撤廃は良いんですが、許認可権限を国が握ったまま故の矛盾ですね。確かに事業者同士不仲が言われ、行政が及び腰なのでしょうけど、許認可権限が県若しくは複数県の広域連合に移譲されていれば、許認可権限を梃子に事前調整できた可能性はあります。もちろんダークサイドに流れれば国会議員より口利きが容易な地方議員の不適切な関与を呼び込む可能性は否定できませんが、逆に地域の問題で地方議員がどう動いたかは見えやすいわけで、住民チェックは働きやすくなります。地方創生よりも地方分権ってこういうことなんですね。

国レベルでは裁量労働制が厚労省データの捏造がバレて頓挫。しかしマル生エントリーで指摘したように真の狙いは残業代カットであり3段階の仕掛けがされているわけです。これ第一次安倍内閣で打ち出して引っ込めたホワイトカラーエグゼンプションの焼き直しで、その分巧妙に仕掛けられたレトリックになっているわけです。

つまり長時間労働規制の導入に見せかけて、それを骨抜きにする仕組みて、高度プロフェッショナル制度は見せ球で撥ねられても、裁量労働制の拡大が実現すれば良しという見通しだったんじゃないかと。ところが落し処と見ていた裁量労働制が否定されて財界からは「残念」の声が上がりながら高プロは引っ込めないってますます無理筋になってます。高プロ制度も業種が限定されていて年収1,075万円以上で本人の承諾が必要とされてますが、業種も年収要件も省令で定めることになってますから、通してしまえばいくらでも書き換えられますし、本人承諾も就業規則の片隅にこっそり書き込んで入社時に就業規則遵守の誓約書に署名させれば承諾したことになるとかって逃げ道があります。働き方改革関連法丸ごとの撤回しかあり得ません。

新幹線初の重大インシデントとされた台車枠の亀裂問題でも進展がありました。

のぞみ台車製造に川重の不備 140台超、薄く削る  :日本経済新聞
川崎重工業の製造現場のミスが明らかになった訳ですが、削り過ぎた140台超の台車の中には溶接段階で生じた亀裂が成長したと見られるものもあり、JR西日本の検査で発見できなかった訳で、検査体制にも問題がありそうです。

加えて設計の瑕疵の指摘もあります。問題の台車枠は鋼板をプレスで曲げてコの字型にして最中状に溶接して箱型にしたもので、荷重を支える軸バネ座を二番溶接する底面に丁度側構の最中溶接の合わせ目があるわけで、平面を取るために削る必要がある設計仕様です。尤もこれは現在標準的な工法であって、これ自体が危険と言えるかは微妙ですが、事実としてJR東日本の新幹線車両では用いられていませんし、JR東海/西日本のN700Aでも平面の底面板にコの字型プレス鋼板を被せる形のものに変更されてます。設計段階で瑕疵が認識されていた可能性は否定できません。

リニア談合でも大きな動きがありました。

リニア談合、鹿島幹部と大成元幹部逮捕 東京地検  :日本経済新聞
これまでの捜査でJR東海の提示価格が厳しすぎるので、仕事を分け合うために談合したというストーリーですが、大成と鹿島は談合を認めておらず、結果キーマンの身柄拘束という荒業となりました。

しかし談合の挙証は難しく、実際大成、鹿島両社は難工事の技術的な意見交換として談合の意識はなかったと思います。逆に大林組は「品川を譲るから名古屋から手を引いてほしい」と自覚的に動いたから談合の意識があったのでしょう。この辺が談合事件の難しさなんですが、かつての官製談合と違うのは、発注者のJR東海はコストを切り詰める方向で動いており、談合の問題点とされる高値受注なのか?ってところが微妙です。例えば東京都による豊洲新市場の受注率90%超とか、談合が疑われる事例は他にもありますし、リニアでjは寧ろJR東海の優越的地位利用の方が独禁法に抵触する可能性があります。東京地検特捜部は功を焦ったかも。

そしてグローバルプリズンから抜け出せない日本にとっては災難なニュースがこれ。

鉄鋼・アルミ関税、すべての国対象と示唆 米商務長官 (写真=ロイター) :日本経済新聞
まさかここまでやるとは、というのが正直なところですが、これがトランプ流なんでしょう。狙いはあくまでも過剰生産が言われる中国の鉄鋼とアルミなんですが、第三国経由の輸入にも網をかけようってことですね。こうなると日本の鉄鋼メーカーに留まらず米国内の製造拠点を拡充している日本の自動車メーカーもとばっちりを受けます。実際この発表で世界の株価は下げました。

二国間貿易交渉を重視するトランプ政権で貿易が二国間で完結しないと認めた矛盾は置いとくとしても、これまでレーガン政権をtレースするようなトランプ政権がこれだけはある意味レーガン政権を超えた対応をしています。適温経済と言われてトランプ大統領自身が勝ち誇ったように言及していた株高が否定されたわけですから、その迷走ぶりは間違いなく大ニュースです。

以下新聞などではあまり触れられない視点からの解説になりますが、そもそも適温経済とは何だったのか?ですが、これFRBの3次に亘る量的緩和(QE)という環境下でのレーガン流双子の赤字政策として見れば腑に落ちます。つまり大規模減税と財政出動の組み合わせを経常赤字国のアメリカが採用した結果、財政赤字が拡大する一方、その穴埋めを輸入に頼らざるを得ないから経常赤字が拡大して両者がリンクする訳ですが、その結果輸入が増えて物価上昇を抑えるから低金利でも利ザヤが取れるから適温ですし、低金利且つ緩和による資金過剰で配当利回りが債券よりはマシな水準まで株価を押し上げた結果の安定だった訳です。

しかし流石に失業率が歴史的低水準にある中での財政出動は労働需給を逼迫させますから、インフレ圧力を生みます。それに加えての今回の鋼材アルミの関税による輸入制限ですから、結果的にこれも物価押し上げ要因になり、既に緩和縮小から利上げに動いているFRBも利上げ加速をせざるを得ません。つまり投資家目線からFRBのタカ派的利上げが心配されていたんですが、今回トランプ政権自ら適温経済を破壊してタカ派に与したって話です。

話はそれだけでは終わらない。アメリカがインフレ傾向を強める中、QQEでも2%のインフレ目標を達成できない日本は取り残され円高になります。既に手段が出尽くした日銀は打つ手なし。財務省による為替介入はトランプ政権に献花売るようなもので無理。見守るしかないわけです。貯蓄投資バランスが崩れて余剰資金が海外へ向かい、所得収支の黒字で経常黒字基調にある日本に打つ手があるとすれば、賃上げや社会保障の充実による個人消費拡大を通じた輸入増ぐらいですが、安倍政権がここに踏み込む気配なし。寧ろ働き方改革と称して官製ベアと引き換えに残業代カットを画策するように、名目賃金が増えても手取りは増えず、増税で可処分所得を減らそうと画策してるのが現実。

加えて適温相場の調整でボラティリティが高まっており、今後も調整が続きますから、投資家心理は悪化しリスクオフになります。これも円高要因です。最悪の財政赤字を垂れ流す日本がなぜリスクオフで円高になるかと言えば、財政赤字を経常黒字の裏にある過剰貯蓄でファイナンスしているからなんですが、加えて外国人投資家も低金利の円資金を調達して投資してますから、投資の縮小は円資金の還流となるわけで、円高へということですね。

おまけで言えば出国税や森林税などの新税導入の目的は消費税10%へアップするときの軽減税率の財源って話です。インボイス導入無しの複数税率は混乱と不正の温床になること確実ですが、見直しはなさそうです。

てなわけで結論。アベノミクス完敗。

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Monday, February 12, 2018

バスは毎日やって来る?

久々の更新ですが、若干の前フリ。

韓国大統領、安倍首相に不快感 五輪後の米韓演習要請  :日本経済新聞
幹部の粛清で既存の対話チャンネルが悉く潰された金正恩政権に対して確実な対話チャンネルを開いた文在寅大統領に対して軍事圧力強化を迫って内政干渉とたしなめられる安倍首相、みっともねー。

さて本題。そんな国際情勢とは無関係に路線バスの新規参入を巡る紛争が岡山で勃発しました。元々岡山はバス事業者が多数併存していて、紛争が絶えない印象があります。岡山空港連絡バスを巡る中鉄バス(中鉄)と岡山電気軌道(岡電)、下津井電鉄(下電)との対立や、県、市、後楽園、市民団体が絡む後楽園バスへの宇野自動車の参入を巡るモヤモヤとかですが、今回の震源地は岡山市内でタクシー事業を営み、小型循環バス「めぐりん」でバス事業に参入した八晃運輸の新路線の申請が両備グループ(両備G)の中核エリアへ伸びたことです。両備Gはこう対応しました。

両備グループ、不採算31路線で廃止届 バス主力路線の他社参入に反発  :日本経済新聞
一部メディアでは「規制緩和に反発」との見出しを打ちましたが、本質は違います。これ典型的なクリームスキミング(いいとこ取り)ですね。元々両備Gのルーツである西大寺鉄道以来のエリアであり、鉄道事業者並みにエリアに開発投資をして地域作りをしてきたエリアです。

西大寺鉄道は後楽園―西大寺間を結ぶ3ft(914㎜)特殊狭軌線の非電化鉄道でしたが、都市近郊路線であると同時に西大寺会陽(裸祭り)輸送で高収益でした。それが国鉄の新線建設で存続を否定され、しかも戦前に行われた国家買収もなく、無補償での廃業となり、以後国と係争します。この辺は井笠まさかのエントリーもご参照ください。

元々鉄道事業から発展してきた日本の交通事業は、鉄道の国家独占という前提の下で、民間の参入は国鉄の事業計画と競合しないことが求められ、事前審査でそれを確認して免許を交付するもので、且つ国が求めるときには買収に応じなければならない条件が付されてました。当時は鉄道省時代で直営の現業部門を抱えつつ許認可権限も持つ強力な官庁だったわけです。中鉄のルーツである中国鉄道も、津山線、吉備線が戦時買収の対象となった結果、本業を失いバス事業者に転換した歴史があります。それでも買収ですから対価は支払われた訳ですが。

それが戦後GHQの命令で公共企業体として別法人になった国鉄ですが、鉄道の国家独占の権限は維持され、国鉄は国会報告の義務を負うものの、国鉄の意思で事業展開できる環境は維持されました。一方許認可権は現業を失った運輸省に引き継がれますが、国鉄の事業をコントロールする権限は持たず、対象は民間事業者に限られました。この辺の制度のねじれが話をややこしくするんですが、。ざっくり言えば国鉄は勝手に赤穂線を建設したけど並行する民間事業者の面倒は見なくてよいわけで、西大寺鉄道はそんな制度のエアーポケットに嵌まったわけです。

西大寺鉄道は子会社の両備バスを併合してバス事業者として商号を両備バス(両備B)に改めてバス専業事業者となりましたが、国との係争は続きます。結果的に和解はしたものの、国鉄の事業拡大に伴う民間事業者への補償として、鉄道用地の買収を以て補償に変えるという流れができます。例えば湖西線建設で江若鉄道に対してや阿佐線(土佐くろしお鉄道ごめんなはり線として開業)建設で土佐電気鉄道安芸線に対してなどです。

これがバス事業になるとさらにねじれます。国鉄に限らず鉄道開業に伴うバス路線の縮小は普通にあるわけですが、通常は鉄道事業者の直営乃至系列のバスであるケースがほとんどですから問題が表面化することはあまりないんですが、例えば東京都区内で地下鉄は営団、路面電車とバスは都営ということで、路線再編に伴う配置転換が滞ることが、都が地下鉄事業へ進出した理由です。まして国鉄の新線建設に伴う路線バスの再編はほぼ無補償です。そして悩ましい国鉄バスの存在。

一応の線引きとして国鉄バスの事業領域は民業圧迫回避のために国鉄の鉄道網の補完に限定とされ、(1)先行(2)代替(3)短絡(4)培養のいずれかに該当することが条件づけられていました。具体的には(1)は岡多線(愛知県)や坂本線(奈良県)(2)は白棚線(福島県)(3)は松山高知急行線(4)は十和田湖線(青森県)が典型です。

そこへ一石を投じたのが名神高速道路の開業に伴う高速バス事業への国鉄バスの参入方針が示され、それ以前に民間13社の出願で競願状態で収拾がつかない中で火に油。歴史に残る大炎上公聴会の開催に至りました。結局運輸省の調整で民間事業者は日本急行バスと日本高速自動車の合弁2社とローカル便の京阪バスと近江バスの2社に集約した上で国鉄バスの参入も認めました。国鉄バスと民間合弁2社は便数を揃えて競争条件を整えるなどイコールフッテイングに配慮した落としどころとなりましたが、名古屋と大阪のターミナルが別になるなど利用者にはわかりにくい部分が残りました。しかし当時の運輸省は積極的に調整に動いたわけで、こういった歴史を振り返ると、八晃運輸への認可は慎重に進めるべきでしょうけど、中国運輸局の対応はこれです。

岡山市内のバス新路線、競合に認可、両備は反発  :日本経済新聞
少なくとも岡山県、岡山市、八晃運輸、両備Gの意見聴取ぐらいやってから認可するならともかく、両備Gの路線廃止申請があったその日に、申請者の八晃運輸も驚くスピード認可には疑問が残ります。ネットの噂ですが八晃運輸は政治献金に熱心な一方、ただでさえ政治とは距離を置く両備Gのある意味挑戦的な路線廃止申請に運輸局がキレたってことかもしれませんが、この辺の不透明さは是非国会で取り上げていただきたいところです。

でもってネットで見られる規制緩和の議論にも注文つけときます。そもそも論として上述のようにねじれまくってる国の許認可体制の下で、県や市などの自治体は無力だってことが今回のキモでしょう。交通政策基本法が制定され、地域公共交通活性化再生法で自治体が地域交通にコミットできるようになったとはいえ、許認可権限を手放さない国の対応如何で無力化されてしまう状況です。

これが例えば許認可権限の地方への移譲がされていれば、もっとシンプルに地域の交通問題として自治体が関与できたんじゃないかと思います。議論をもう少し拡張すると、例えば公共交通の発達した日本の大都市では難しいライドシェアも、バスドライバー不足で減便が現実化している過疎地の交通政策としてはあり得ます。しかも道路運送法第78条、第79条で自家用自動車の有償運行が一定要件で認められているわけで、日本の現行の法体系で可能なんですが、現状京丹後市に続く事例は出てきておりません。

てなことで、着地点の見えない現状ですが、両備Gの対応へのネットの評価は好意的なものが多いですが、今のままなら両備Bと岡電の最大31路線の廃止はいずれリアルな問題になります。現行法では廃止手続きで6か月間の猶予期間中の自治体との協議が求められますが、賛同が得られなくても廃止できる見切り条項がある以上、自治体の対応は結局補助金や支援策などの条件闘争に留まるわけです。この時点で八晃運輸に路線認可を与えた運輸局を恨んでも遅い訳です。

あと両備Gの立場から見れば、仮に自治体協議が不調で見切り廃止となっても、ドライバー不足で路線維持が難しい状況だけに、結果の路線縮小はむしろ内部補助の縮小で収益性も高める効果もあり、八晃運輸の挑戦も跳ね返せるという見立てが可能です。この辺小嶋会長の企業家の冷徹さはあります。また廃止路線は主に末端区間や他社との競合路線が多いと報じられておりますが、これある意味エリアの選択と集中でもあるわけで、今後人口減少とドライバー不足で困難が予想される地方バス事業者の未来を示唆するものでもあります。有体に言えばユニバーサルサービスからの撤退です。行政もそれを踏まえた地域の開発計画の見直しが必要になるでしょう。あとおまけ。

健康格差を考える(下) 経済格差と連動性強まる  :日本経済新聞
個人の自覚を促す生活習慣の見直しには限界があり、個人の生活習慣は社会環境に依存するってことなんですが、例えば公共空間での禁煙が定着したことで受動吃件が減ったこととか、経済格差で個人の栄養状態に差が出るとか、結構身も蓋もない話ですが、その中で公共交通の発達した大都市圏との比較で1日当たりの歩数が最低の鳥取県では大都市圏より千歩以上少なく、ドアツードアの車社会より徒歩移動を余儀なくされる大都市圏の方が健康寿命を延ばす社会環境があるってことです。もちろん車移動を規制するわけにはいかないでしょうけど、公共交通の整備エリアの明示して住民に選択肢を示すってことは重要じゃないかと思います。

てなわけで最後に大いに歩こうぜ^_^;。

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Sunday, January 14, 2018

マル生運動の悪夢

アベノミクスも5年目を迎え、輸出大企業を中心に企業業績は上向き、株価も高値更新を続けます。失業率や有効求人倍率などの数値も景気が上向きと取れる動きですが、生活実感が伴わない状況が続きます。当ブログでは世間が言い出す前からアベノミクスの問題点を指摘してきたわけですが、実際その通りの結果で、未だにデフレ脱却できずに成果の乏しい状況が続きます。

そもそもこれだけ労働需給が締まってきたら金融緩和も財政出動も効かないわけで、金融緩和は出口へ向かわざる鵜を得ないし、財政政策はそもそも求人難で事業が滞り予算通り執行できていない状況ですから、むしろ財政再建の好機なんですが、そんな気はサラサラないようです。むしろ成長戦略として規制緩和をぶち上げたり、TPPを口実に農業を補助金漬けにしたり、モリカケスパコンで怪しげな便宜供与をしたりしてますが、今年は働き方改革だそうで、生産性革命をやるとか。まるでマル生運動で労使関係を疲弊させ、解体へ向かった旧国鉄の失敗をなぞるようなこと言い出してます。こりゃ救われんわ。

日本企業の生産性の低さは以前から指摘されてきましたが、長時間労働の解消という美名のもと,働き方改革と称して労基法が改悪されようとしていることは社畜ネタのエントリー希望のエントリーでも取り上げました。わかりやすくまとめると以下の通りです。

1.脱時間給として労働時間でなく成果で評価する高度プロフェッショナル制度(残業なし)
2.裁量労働制の業種の拡大とテレワークによる勤務時間の曖昧化(残業請求は可能だけどやりにくい)
3.労基法条文に残業時間上限を明記しつつ業種や繁忙期の例外扱いも可能に(事実上残業し放題+未払い残業訴訟時の賠償額の上限になる)
これ残業代を圧縮するためで、それが3%賃上げの原資と財界は胸算用してます。政府は必ず通常国会でこれを通すでしょう。野党がまとまらないのが心配ですが、これも以前のエントリーで心配したことが実現するということですね。

これだと長時間労働はステルス化して事実上長時間労働は温存ざれ生産性も上がらないってことになります。そもそも生産性を現場の努力で持ち上げようってのが間違いなんで、本来は設備投資によって資本で労働を代替することや、M&Aなどで事業の見直しをして規模の経済とシナジー効果で生産性を高めるのが王道です。例えばドイツの名門企業シーメンスが鉄道部門を仏アルストムに売却して重電部門に特化したのが典型ですが、中国北車と中国南車を国策で合併させて中国中車としたことで、かつて加ボンバルディアと並ぶ鉄道ビッグ3の地位が脅かされる中での大胆な経営判断です。生産性向上ってこうやるってことです。

日本の場合労働需給が締まってきたことは上記のとおりですが、中身が問題で、就労者数は確かに増えているんですが、総労働時間は横ばいで、つまり非正規の短時間労働者が増えただけってのが実態です。深刻なのはその間GDPもほぼ横ばいですから、労働力の投入量と生産量が変化していない、つまり生産性も横ばいってことです。GDPが横ばいでも総労働時間が減っていれば生産性は上がっていることになるわけで、これなら無理なく労働者の報酬である賃金を上げられますし、労働時間の減少はつまり余暇時間の増加となりますから、その分消費者余剰が拡大して有効需要を生み出します。また人口減少の中で求人難も緩和するわけですから、現在の人口動態に整合的です。てことでこれ貼っときます。

生産性向上 経営者こそ主役   :日本経済新聞
これ企業だけの問題でもないんで、水道事業の民営化を打ち出した東京都の事例が面白いんですが、東京都水道局は23区の水道事業を担う地方公営企業で、基本独立採算制なんですが、多摩地区では各市町が直営事業で手掛けているケースが多く、独自水源として井戸を持っていたりしますが、地域開発で水需要が増えると対応できなくなり、都水道局に水源を依存するケースがあり、加えて小規模な直営事業では合理化も難しいってことで事業委託しているところもあるわけですが、そのために都水道局は増員したくても公務員定員の壁でできないってことで、民営化してそのくびきを外そうってことです。水道のようなインフラ事業は希望の経済が働くわけで、多摩地区に留まらず埼玉県の自治体の受託の需要も取り込めるわけで、伸びしろがあるわけです。

これ営団→メトロに事業領域を侵食されてきた都交通局と大きく異なる事業環境だからこそです。都営交通の民営化はメトロの株式上場絡みで都の保有株式の扱いが問題になるので実現可能性はほぼありません。

こういう観点から国鉄民営化を見直すと、国鉄末期から営業路線の廃止、切り離しが相次いで事業規模を縮小したJR北海道と、元々の規模が小さいJR四国が苦しむのはある意味必然です。むしろ全国1社体制でギリギリ規模を確保したJR貨物が黒字化で上場が検討されるってのも、不思議ではありません。JR貨物の場合旅客会社へ支払う線路使用料問題という爆弾を抱えてはいますが、これ旅客6社と同様地域分割していたらこうはいかなかったでしょう。

てことで30年も経つと変化は避けられないところです。見直しは必要でしょう。おまけ。

除雪車出動に遅れ JR信越線大雪で立ち往生  :日本経済新聞
そもそも異常な積雪でダイヤが乱れに乱れ、運転士が雪かきしながら進路を確保しつつ運行していたものの力尽きたわけで、4両編成に乗客430人という状態で、不安を抱える乗客に乗務員が丁寧に対峙したからパニックにもならずに済んだわけです。もちろん早い段階でも運転抑止の判断もあり得ましたが、時は夕刻ラッシュ時間帯で、帰宅の足にとJRを当てにして駅に乗客が集まっている状況で必死に運行を確保した結果です。首都圏ならば振り替え輸送で他社線へ誘導で済みますが、大雪でバスも動かない中での出来事です。本当に頭が下がります。新幹線の好調にブイブイ言わせながら殿様商売の某JRと大違いですね。

も一つおまけ。そもそもこの冬の寒冷化と大雪は温暖化の影響と見られています。理由は北極の海氷の減少で氷ならば反射される太陽輻射熱を海水が吸収して海水温が上昇し、水蒸気が発生視野sくなっている一方、海水温の変化に伴い偏西風が蛇行し、大陸の寒気が南下したこと。その結果高めの海水温と寒気の温度差で雪雲が発達し以下略。偏西風の蛇行は北米、欧州、東アジアで特に顕著で、いずれも化石燃料の消費が多い地域です。とりわけ日本は低コストを理由に石炭火力への依存が強く孤立気味。電力会社の経営の都合で電車が足止めって考えると怒りが沸いてきます。

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Sunday, December 31, 2017

台車枠の亀裂

今年もあとわずかですが、このニュースはやはり取り上げるべきだろうと思いまして、こんなタイミングでのアップとなります。

亀裂、あと3センチで破断 新幹線のぞみ台車  :日本経済新聞
「あと3センチで断裂」というきわどい重大インシデントとなりました。最初に疑問に思ったのが、異音を確認しながら3時間も運行を続けたことで、実際JR西日本は非難を浴びましたが、その後岡山から添乗したJR西日本社員が東京指令所の司令員に新大阪駅での床下点検を提案したものの、司令員が上司の指示を受けたていたために聞き逃し、運行を継続した経緯が明らかになります。結構ありふれたヒューマンエラーがあったわけです。

とはいえ司令員の責任を問うのは難しいところで、そもそも頑丈に作られていて入念な点検を受けている台車に亀裂が見つからなかったから出庫して運用されたわけで、目視が困難な程度の亀裂で直ちにに断裂することがないように安全マージンを大きくとっています。点検時点で見つからなかった瑕が台車枠の断裂に至るようなことは想像すらできなかったはずです。現時点で原因は不明ですが、専門家の見方はこれです。

新幹線の「亀裂」はなぜ発見できなかったのか | 新幹線 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
記事の著者の見立てでは、側バリの軸箱近傍の溶接部付近で起きた典型的な疲労破壊ということで、突然発生したものではなく、長時間に亀裂が伸長したものということです。ということで、現時点でも入念に行われている検査体制で発見できなかったわけですから、検査体制の見直しは避けられません。

既にJR東海は従来台車枠では行っていなかった超音波探傷(非破壊検査)を検討すると発表しました。わずかの傷でも重大事故につながる車軸では行われていたものの、台車枠ではそこまでは必要ないということで、通常は目視検査で済ませていたようです。それでこれまで特段のトラブルはなかったわけで、このこと自体は問題ではないんですが、逆にめったに見られない台車枠の亀裂を見る機会そのものが少ないと、特に若い検査員は育たないというジレンマもあります。

この辺日産の完成検査問題で若手の見習い工にわざと不具合を仕込んだ個体を検査させて発見できれば一人統制前といった現場ルールを思い起こさせますが、上記記事で「航空機は故障率が高いので、ダイヤ統制部門は整備士の意見を最重視する」そうですが、元々過大な安全マージンを取っている鉄道の場合、指令員の判断も運行継続に傾きやすいということもあるでしょう。加えて岡山で添乗したJR西日本社員と東京指令所のJR東海の指令員という会社跨りの問題もあるわけで、実際新大阪で引継ぎを受けて添乗したJR東海社員の判断で名古屋で運行を打ち切ったわけで、流れでJR西日本の不始末のように見えてしまったということも指摘すべきでしょう。

似たような問題は東急田園都市線で東武鉄道の車両トラブルで架線事故が発生したってのもありました。こちらは新幹線のように車両の仕様が統一されているわけではありませんから、より問題が複雑です。

加えてもっと気になるのが上記記事でも指摘されている溶接後の熱処理が適切に行われているのかという問題と、記事ではあえて触れられておりませんが、神戸製鋼の品質データ改ざん問題で明るみに出た鋼材の品質問題の可能性も視野に入れておく必要があります。特に両者の合わせ技で、あるはずの過大な安全マージンがほとんどなかったってこともあり得ます。実際台車枠に亀裂が絡むこんな事故がありました。

東武東上線「脱線事故」は、なぜ起きたのか | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
東武東上線中板橋付近での脱線事故で、30年選手の10000系初期車の事故ですが、台車の亀裂が確認されてます。尤もこの事故では亀裂が事故原因なのか脱線の結果台車に亀裂が生じたのかは不明ですが、鉄道特有の過大な安全マージンが、検査の形骸化を生んでいた可能性もあるわけで、今回の新幹線事故との比較は必要でしょう。

また神戸製鋼の品質データ改ざん問題に代表される素材メーカーの不祥事も、商慣習として定着しJIS法でも認められている特採が言い訳に使われたように、要求品質自体が安全マージンを過大に見積もっていた可能性もあります。ってことで、台車枠の鋼材で勝手特採やられて且つ溶接後の熱処理が不適切だと、結果的に要求性能は大幅に低下します。何が言いたいかというと、川下の素材メーカーから中間の加工メーカーを経て組み立てメーカーへ納入される一連の中で、各社が独自にコスト削減には減むと会社単位での部分最適が追及されて全体最適を失う合成の誤謬が発生する可能性を否定できないってことです。

これユーザーである鉄道事業者自身も技術革新と品質の向上で検査周期の延長を当局に求めているわけですが、川下側の劣化を見過ごして延長が認可されれば、日本の鉄道が自慢とする安全が砂上の楼閣になる危険性があるわけです。この辺自動車の完成検査問題もそうですけど、規制当局である国土交通省がそこまで目利きできるのかということでもあります。規制改革の難しさは実に奥深いところです。

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Sunday, November 26, 2017

グローバルプリズン

久々の更新。単にサボってただけなんだけど^_^;。

かつて新車を買うと「暫くは慣らし運転を」と販売店で言われたもんです。工作精度と品質管理の兼ね合いで、新車は摺動部がなじんでなくて、摩耗で鉄粉が出るから、早めにエンジンオイルを交換しなきゃならなかったし、下手に吹かし込むと瑕になるとかありました。今は工作精度も高まり、品質管理も高度化してるんで、買ったばかりの新車だからって、敢えて慣らし運転は必要なくなりました。そんな時代の古臭い制度が自動車メーカーの地雷になったのはニュースになりました。

日産の不正検査、「コスト優先」で拡大 報告書で監督責任を指摘  :日本経済新聞
これ法令違反には違いありませんが、国家資格でない社内資格の有資格者による完成検査ってことで、会社によって資格付与条件が異なっており、実態は各社とも完成検査は見習工の仕事というのが実態ですが、日産とスバルの資格付与条件が厳しすぎたってことです。

検査の実態は道路運送法で定められた車検の初回分に相当します。1950年に始まった制度で、完成車を都度車検場に持ち込むのは煩雑で、国産メーカーが量産体制を整える中車検場側の業務負担も大きいということで、国産車の量産体制を助ける趣旨ですが、当時は確かに公道上に出す前の水際検査の面もありましたが、上記のように製造工程の工作精度の向上と品質管理の厳格化で比重が低下しており、むしろ検査マニュアルの習熟と瑕疵を発見する目利きのテストの意味もあり、見習工の仕事へと変化しました。こうなると有資格者の位置づけが曖昧になります。

本来は見直されるべき制度ですが、輸入車にも適用されるため、外国メーカーが日本国内で車を売る場合、国内に検査体制を組む必要があり、コストアップ要因になります。つまり非関税障壁になっている訳です。故に見直しが進まず形骸化した制度が残ったわけです。実際日産もスバルも出荷停止は国内向けのみで、輸出は通常通り出荷が続いています。形骸化を放置した結果、寧ろ国内メーカーにとってもコスト要因となり、コスト削減圧力で現場のカイゼンの結果、地雷を踏んじゃった訳です。アホ―!

やれ構造改革特区だ岩盤規制にドリルで穴だのと宣うより、こうした時代に適合しない制度や規制の見直しこそが構造改革の本丸の筈ですが、安倍政権が打ち出す改革では全く取り上げられません。構造改革特区は結果的に加計学園問題に見られるように、単なる権力の私物化の方便でしたありませんし、TPPもアメリカが抜けてアメリカ絡みの譲歩項目を凍結したTPP11の協議が進みますが、アメリカを呼び戻したい日本と、NAFTAでアメリカと対峙するカナダとメキシコでは温度差があり「大筋合意」の見出しが躍るけれど、実態は合意しきれないまま手続きを進めただけです。

これ日欧EPAでも「大枠合意」とされますが、こちらはBrexitのおかげで交渉は進捗したものの、紛争解決でTPPに準じてISDS条項を押し込もうとする日本に対して、専門機関設置を主張するEUの溝は埋まる気配はありません。ドイツの政局流動化もあり、まとまらない可能性大ですね。

そもそもメガFTAは問題ありで。以前にも取り上げた通り、狙いは外圧を国内改革の梃子にしようということでして、本当に改革したいなら、日本では農業部門に高関税品目が集中しているわけですから、メガFTAに頼るまでもなく国内の農業改革の進捗に合わせて関税率を下げていけば良いだけの話ですが、コメのように関税率を維持するために輸入義務となるミニマムアクセスを増やすということをしていて、まるで改革の意思なしです。むしろメガFTAを口実に新たな農業補助金をバラ撒く始末で改革やる気なしが鮮明です。

結局アベノミクスの実態は日銀の異次元緩和(QQE)が全てであり、第二の矢とされる公共事業による財政出動も、災害復興とオリンピック関連と大都市圏の再開発のバッティングで人手不足が深刻化しており、予算執行自体が滞っている現状です。人手不足を前提にすれば、災害復興を優先すべきなのは言うまでもありません。で関連してこのニュース。

東急田園都市線停電、送電線がショート 点検見直しも  :日本経済新聞
東急に限らないんですが、最近首都圏の鉄道で電気系統のトラブルが多発しております。これ電気技術者の人材難の影響と見られております。元々1列車3,000Aもの大電流を扱う電気設備のメンテナンスは大変ですが、電気技師資格者にとっては、公共工事その他鉄道より割りの良い仕事が多数ある現状で、下請けの電設会社が人集めに苦労していて、不慣れな技術者も使わざるを得ないわけです。

そんな現状を日銀は「人手不足で賃上げが現実味を帯びてきた。インフレ目標達成まであと一息」とかノー天気。電気技術者は育成に10年はかかるんで、労働市場の実態を無視した脳内フローラにやれやれです。そもそもは賃金上昇の結果としてのインフレはありますが、インフレが賃金上昇をもたらすってのは因果が逆です。高度成長期を含めて賃金上昇を起点にインフレで名目賃金上昇率の一部が相殺されて、結果的に労働分配率が低下するってのが景気循環上の好景気の連鎖なんですが、デフレ状況で労働分配率が低下しているわけですから、このこと自体が異常事態です。もう少し言うと、大企業に限って労働分配率は顕著な低下傾向を見せておりますが、人手不足の現場である中小零細企業では労働分配率が高止まりしていて、これ以上打つ手無しが実態です。鉄道の現場トラブルもそのあおりかも。

ですが日銀は緩和の出口に関して口を閉ざしたままです。米FRBは既に利上げに動き、欧州ECBも緩和の出口を模索し始めた中で、日銀だけが取り残されている構図です。この状態でリーマン級の経済ショックがあれば、最も深刻なダメージを受けるのが、追加緩和の余地がない日本です。日本だけが「囚人のジレンマ」に囚われてる?

この辺微妙な問題も含んでまして、FRBやECBが緩和解除に動くのは金融政策の正常化で次のリセッションの備える意味の外に、日本のQQEのお陰で、緩和縮小に動いても流動性は維持されて市場が動揺しないという読みもあります。特に新興国からの資金流出に日本がアンカーとなって歯止めが効くという読みがあります。つまり新興国からの批判も回避できるということです。

で、日本ですが、大都市圏の地価上昇、特に近畿圏の一部で首都圏を上回る上昇が見られるなど、明らかにおかしな動きはありますが、大阪や京都などインバウンドの恩恵を得ている現状からすると、最早日本は製造業よりも観光業などサービス業へのシフトが後戻りできないところまできたってことでしょう。そうなると製造設備増強で労働生産性を高められる製造業から、構造的に労働生産性の低いサービス業へのシフトでますます成長力が低下した結果とも言えます。バブルを起こすにも成長力が必要なんで、実は低金利は日銀の政策だけの問題にとどまらず、日本の稼ぐ力の低下を反映しているだけとも言えます。それを象徴するようなこんなニュース。

中国人専用 白タク横行 訪日客送迎 ネットで集客・支払い 摘発難しく :日本経済新聞
中国人による中国人向けのライドシェアサービスってことですが、中国の企業が提供するサービスに日本在住の中国人ドライバーが登録していて、取引はweb上で完結するため、摘発どころか実態もつかめていないわけです。これ民泊も同様ですが、中国人オーナーのマンションで中国人が民泊サービスを受けるのも普通のことのようで、ライドシェアや民泊を認める認めないの議論をよそに実態が先行しているわけです。もちろんだから早く認めろって議論は乱暴ですが、政権がまともな改革に取り組まない限り、日本はただ取り残されるだけです。

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Sunday, September 17, 2017

下から裏からグローバル

前日のミサイル騒動と台風の襲来で台無しの三連休をいかがお過ごしでしょうか?今回もJアラートが鳴って新幹線が止まったりしたわけですが、今回は最高高度800㎞。前回も最高高度550㎞でいずれも主権の及ばない宇宙空間を通過したわけですから「日本上空を通過」はミスリードです。政府自ら脅威を煽る姿勢は問題ですが、一方で解散風が吹いてます。

早期解散強まる 首相、10月衆院選を模索か  :日本経済新聞
政府が言うように軍事的脅威が増したのなら、政治空白を作ることはできないはず。政府自ら脅威はないと白状したも同然です。しかも民進党の離島ドミノを見て勝てると見ているわけですね。政局だけで大義名分の無い解散総選挙とはある意味安倍政権らしいところ。

一方で核シェルター整備に補助金てな話も飛び出してますが、Jアラート鳴らしたけど、どこへ逃げたらいいんだという声が無視できなかったんでしょう。以前にも指摘しましたが日本の地下鉄は東側諸国の深いトンネルに広い地下空間を確保して核シェルター機能を持たせた地下鉄とは設計思想が異なります。それどころか列車風対策で強力な排気扇で空気を抜いて減圧してますから、着弾して地上に充満する放射能ブルームや毒ガスが流れ込みます。安全な逃げ場所とは言い難いですね。

北朝鮮危機に乗じて核保有論が日本と韓国で囁かれてますが、これ以前からアメリカの保守派の一部で議論されていたものです。日本の場合非核三原則で核兵器の国内持ち込みは建前上禁止事項で、日米安保の事前協議対象ということですが、持ち込みは黙認され、海外配備の核兵器の維持費が嵩むということで米軍は撤収していて、公開文書に記載されてます。つまり維持費を日本に肩代わりさせようって話です。同様に朝鮮戦争総司令部が米軍に属している韓国も同様です。ま、これは中国やロシアを刺激して北朝鮮問題への協力が得にくくなりますから、実現はしないでしょうけど。何しろ国連安保理の制裁決議も難航しましたし。

米、採択へ戦略的譲歩 北朝鮮へ圧力再強化視野に (写真=ロイター) :日本経済新聞
「戦略的譲歩」ってのは北朝鮮の態度を見て追加制裁の余地を残したって意味ですが、石油禁輸には踏み込めず、中ロの顔を立てた形です。実際15日のミサイル発射に対しては報道声明だけで具体的な追加策は出てきませんでした。そもそも制裁が効いていないことをどう考えるべきなんでしょうか。

実は西側先進国中心に制裁を実行しても世界経済に占めるシェアの低下で効かなくなっているという現実があります。その一方でその分の取引が中国に片寄せされるわけですが、リーマン後の経済成長率が西側諸国がせいぜい年率1%程度なのに中国は6-8%で成長しているわけですから、北朝鮮が寧ろ恩恵を受けているわけです。経済制裁で圧力って作戦自体が成り立たないわけです。あと内緒ですが、日米欧の金融緩和で世界的に金回りが良かったことも影響してます。

元々経済制裁は対象国の外貨獲得を抑制することで、核開発などの資金源を断つことはもちろんですが、それによって国内経済を圧迫して国民による政府への不信任を喚起するもので、人口が多く石油輸出に依存していたイランには効いて、若年層を中心に経済停滞で強硬派のアフマニデジャド大統領から穏健派のロウハ二大統領へ政権交代が実現したわけですが、同じことが側近の粛清で恐怖政治をしている北朝鮮で起こるはずがありません。

てことで、基本的にはアメリカと北朝鮮が直接交渉して朝鮮戦争和平を実現するしか出口はないわけです。ただアメリカはやらないでしょう。何故ならば北朝鮮のおかげで日本はイージスアショアの導入を表明し、韓国のTHAADの追加配備を表明したわけで、これ何れもアメリカから買うわけです。バノン氏の退任で軍産複合体に乗っ取られたトランプ政権に思わぬプレゼントです。アメリカは和平交渉に応じない方が儲かるわけです。

加えて言えば、北朝鮮の強気の裏にはグローバル闇市場の存在があります。この辺かなり複雑なんですが、ウクライナが親欧米政権化したことで、中東など紛争地域の国にとっては、ソビエト時代に軍需産業が集積していたウクライナからの兵器の買い付けはしにくくなっているのですが、そのウクライナから闇市場経由で流出したらしいロケットエンジンが北朝鮮のミサイルの性能改善に寄与したらしいと言われております。ウクライナ政府は否定してますが。

旧ソビエト製兵器のヘビーユーザーにはイランやシリアなどの中東の国がいるわけで、ウクライナに代わる調達先として北朝鮮が浮上しているという構図です。ミサイル開発の資金も回収可能という目論見が成り立てば目先の経済制裁はスルー出来る見通しが立つわけです。加えて相手は産油国でOPECの減産に唯唯諾諾従っている状況ですから、石油禁輸の保険にもなります。裏のグローバリゼーションが北朝鮮を支えるわけです。

加えて中国の深圳にはアフリカ向けの格安スマホその他の電子デバイスが溢れかえっており、ミサイル誘導装置などのハイ的技術も格安で手に入る環境があります。偽パスポートで国籍を偽れば先端部品が安く手に入るわけで、ここまで規制するのは至難の業です。中国をハブとする貧困国ネットワークが味方するわけです。

ま、というわけで北朝鮮問題は結局打つ手無く推移することになります。一部で言われる軍事オプションですが、限定的な軍事力行使が成功した事例は歴史的にはほぼ皆無で、日本の真珠湾攻撃しかり、ベトナム戦争しかり、旧ソ連のアフガン侵攻しかり、アフガン戦争しかりイラク戦争しかり。後の2つは未だに撤収もままならず長期化しています。

グローバリゼーションには裏も下もあるってこってすな。

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Sunday, August 20, 2017

宴の終わり

バージニア州シャーロッツビルのの白人至上主義者の集会でカウンターとの衝突が起きてカウンター側の女性1人が死亡したニュースを巡るトランプ大統領の発言で大炎上。遂にバノン上級顧問の退任に追い込まれました。ま、元々クシュナー氏などとの確執が言われていましたから、意外感はありません。保守分裂がトランプ大統領誕生の原動力であり、アメリカが覇権国家を降りる地政学的変化の具現化であることに変わりはありません。本人の意図は知らんけど。

大統領選当時からポリコレ疲れなど、日本の一部の人たちが喧伝してましたが、彼らは多民族の移民国家であり、イギリスの多文化主義も継承しているアメリカを理解しておらず、元々多様化レベルが日本の比じゃないわけで、ダイバーシティの深度が高い社会です。その中での現実的な知恵としてポリティカルコネクトネスが言われるようになり、差別発言は社会的に圧迫される状況は元々ありました。

またデジタル経済で前エントリーで指摘した人の能力が生産手段(主流派経済学では資本と呼ぶ)となって高額報酬で獲得合戦が激化している状況で、アメリカの白人男性だけでは優秀な頭脳を確保できない現実もあります。人種差別なんかしてた日にゃ競争力を維持できない企業の現実があるわけです。人口規模がアメリカの4倍もある中国の存在も圧力となります。その中国の1/10の人口規模の日本では俗にIT土方と言われるデジタル人材の多重下請け構造でスキルを腐らせてます。あーしょーもなー。

でまあ同じく前エントリーで指摘した米朝関係の緊迫も、予想通りアメリカが折れて収束しました。それでも圧力外交は手放さず、中国企業への圧力や米韓合同軍事演習は続けます。元々今回はトランプ大統領のツイートが始まりだったわけですが、金正恩氏の胆力が勝ったってことですね。アメリカは核開発、ミサイル開発の凍結を直接交渉の条件から事実上外したわけです。

にも拘らず紛争当事国でない日本の対応は明らかに緊張を煽るものです。いくら森加計問題で支持率を下げているとはいえ、ひどすぎます。北朝鮮の問題を複雑にしているのは、アメリカが紛争当事国であることです。北朝鮮の南進を阻止すべく国連軍を組成して対応した結果です。今と違って常任理事国の中国は台湾の中華民国でしたし、ソビエトは棄権に回ったので国連軍の組成が実現したんですが、PKF同様参加国は交戦権を国連に預け、国連はアメリカに委託したわけで、朝鮮戦争が休戦中であるために、この構図が残ってしまったわけです。ですから韓国国内では、自国の頭越しにアメリカが軍事オプションを行使することに根強い反対論もあり、米韓が一枚岩になれない状況があります。軍事オプションは最初から無理なんです。

米朝緊迫で有事の円買いが起こり、円高株安に振れたのはある意味アベノミクスへの巨大ブーメランです。元々経常黒字が累積350兆円にも及ぶ日本ですから、それだけ国内貯蓄が国内投資で消化しきれず海外へ流出していたわけです。具体的には企業による海外M&Aや製造拠点整備などの直接投資に加えて、投資家による外国の金融資産への投資が増えていたわけですから、特に後者は有事に日本へ還流して為替を円高方向へ動かすわけで、所謂リスクオフと呼ばれる現象ですが、今回それに留まらない原因が退任した日銀審議委員から指摘されてます。

北朝鮮問題で浮かぶ 金利操作の矛盾  :日本経済新聞
これ日銀がイールドカーブコントロールと呼ぶ長期金利をゼロ近辺にピン留めする政策の副作用の指摘です。米FRBや欧州ECBは長期金利自体は市場に任せているので、危機で長期金利が低下し、連動するローン金利の低下で景気を下支えするわけですが、日本ではそのメカニズムが働かないから、危機による経済の萎縮がより強く現れます。加えて内外金利差で円買いが強まりますから、輪をかけて円高が進むわけです。ホントつける薬ないなあ。

安倍政権の失敗はまだまだあります。例えば高度プロフェッショナル制度の導入を長時間労働の解消をネタに連合を切り崩そうとしたこと。同時に民進党の支持基盤の切り崩しを狙ったんでしょうけど、事態は逆方向へ進んでいます。蓮舫代表の辞任の伴う民進党代表選で前原氏と枝野氏が立候補を表明してますが、手を突っ込まれた連合が高プロ制度反対に回り、民進党に反対するよう要請したわけですが、その流れで連合は前原氏支持を鮮明にしています。

安倍政権にとっては、旧民主党時代から党中枢にいて党勢弱体化にコミットしてきた枝野氏の方が与しやすい一方、前原氏は脱組合その他の過去の態度を見直す姿勢を見せており、特に自由党の小沢氏との和解は大きいと言えます。小沢氏は社民党や共産党との野党共闘に前向きで、ウイングを広げた所謂オリーブの樹構想の実現可能性が高まります。一方枝野氏はあくまでも選挙区ごとの選挙協力レベルでの野党共闘ですから、安倍政権にとってどちらが嫌かは明らかですね。国会議員票が前原氏優勢なのはそういうことですが、連合の支持となれば党員サポーター票も見込めます。ある意味余計なことをして寝た子を起こしちゃったわけです。

もう少し続けますが、日銀が異次元緩和で2%の物価上昇目標がいつまで経っても達成できない中で、自信満々だった黒田総裁は、物価目標の達成と引き換えに消費税増税を含む財政再建を政府に迫るつもりだったようですが、目標未達で政府に頭が上がらない一方、目標未達で緩和が続く状況は、財政赤字を垂れ流す政府にとっては居心地が良いわけで、事実上レームダック化した黒田総裁の再任は本人が間違いなく固辞します。後任選びはとっ散らかった金融政策の正常化という難題を押し付けられるわけですから難航必至です。

そんな中でECBのドラギ総裁が日銀に注目しているとか。例のマイナス金利イールドカーブコントロール導入時に、政策目標を量から金利にシフトして目先を変えた結果、国債買い入れ高を実質的に減らしたわけで、それがECBがこれから取り組もうとしてる金融政策正常化のための量的緩和縮小を先取りしているということらしいです。実は日銀は出口に向かっている?

一方で日銀によるETF購入は問題を抱えています。年間6億という規模から、特にETF組み込みの多い値嵩株で日銀の保有比率が高まって、筆頭株主は日銀という状態になるなど歪みを生んでいます。その結果実質的な流動株比率が上場基準に抵触の恐れが出てきています。一応投信で流動株にカウントされるとはいえ、余剰資金で自社株買いをして株主還元っがやりにくくなっており、実際上場企業の自社株買いは減っています。株価の上昇で企業が自社株を割安と評価できないという面もありますが、企業行動を制約していることは間違いありません。

加えていずれ期限が来て償還される債券と違って、株式はいずれ売らなくちゃならないことも問題です。日銀がこれだけ高いポジションを取ると、売るときに株価を押し下げてしまうということがありますから、市場を混乱させますし、日銀自身も残存持ち高の評価損になります。資本勘定としてその分の引当金を計上するか、資本金を取り崩すしかありませんが、金利上昇による国債の値下がりにも備えなければなりませんkら、下手すれば債務超過の危険性もあります。発券銀行だから破綻はないと言うなかれ、結局国庫補填となれば国民の税金が使われます。そこまでしても上がらない物価にもう一つハードルが。

物価抑える格安スマホ 一家に複数台、影響大きく  :日本経済新聞

消費がさえないから物価が上がらない。消費がさえないのは携帯キャリアの通信料金が高いからだとばかりに政府が介入して通信料金が下がったら、消費者は2台目3台目の購入に動いたって話ですが、価格が下がって消費者余剰が拡大したら需要が増えたってミクロ経済学の教科書通りのことが起きちゃったわけです。加えて家計の通信費支出の比率が高まってインフレ率を押し下げてしまうわけで、思いつきでインフレ目標をブロックしたわけです。経済優先が呆れます。こんなんもあります。
(真相深層)日本、牛肉買い負け懸念 輸入制限、時代に合った戦略か 発動の裏に米中対話 :日本経済新聞
ちょっとややこしいんだけど、そもそもは米中首脳会談で習近平が約束した貿易不均衡是正策として、BSE問題で禁止されていた米国産牛肉の輸入再開を発表したところ、米国産牛肉の値上がりを予想した日本の牛丼チェーンなどの外食企業が保存の効く米国産冷凍牛肉を大量買い付けし、更に干ばつで値上がりした豪州産牛肉の需要シフトもあって輸入枠を突破したということで、日本政府は緊急セーフガードを発動したわけです。

形式上ルールに則ってはいますが、元々WTOルールの趣旨として、急な輸入増で打撃を受ける国内産業の緊急保護策なんですが、今回は国内飲食チェーンの行動がトリガーになったもので、国内畜産業の保護には全く無関係です。麻生財務相曰く「EPA締結済みのオーストラリアには発動されない。アメリカもTPPに復帰すれば対象外になる」ということで、TPP離脱を決めたアメリカへの当てつけでしかないわけです。高関税が課されれば、先買いに走った国内飲食チェーンもいずれ値上りの影響を被るわけで、誰も得しない愚策です。

そんなこんなですが、よく考えれば政府が国民のために働いたことってあるだろうかと^_^;。破たんしたエルピーダメモリ―や経営悪化したジャパンディスプレイへの出資しかり、原発輸出推進で東芝にWHを買わせたことしかり。逆に政府が手を出さなかったシャープは鴻海傘下でV字回復と、十指に余る愚策の数々。おそらく2020年のオリパラも先行き不透明です。オリパラ関連では小池都知事の豹変ぶり。結局築地は更地豊洲は民間払い下げが本音だったわけです。こうなると無理を重ねた都市計画の進捗に誰も責任を取らないと。インパール作戦もかくやという無責任のツケは下っ端の兵士(ここでは仲卸)に払わせる。環状2号線を走る国産FCV連接バスは夢と消えるかも。

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Sunday, August 13, 2017

1億総社畜化社会

米朝間で子供の喧嘩みたいな罵り合いが展開されており、市場はリスクオフに振れて株価を下げたりしてますが、こういう時は落ち着きましょう。そもそもホワイトハウスの行政官ポストを埋め切れず身動きが取れていないトランプ政権に戦争準備ができているわけないですし、北朝鮮にしても核実験由来の放射性物質は1回目以外検出されていませんし、ICBM実験も高高度で発射して飛距離のポテンシャルを示してはいるものの、難しい大気圏再突入性能は検証されておりません。もちろんだからと言って核やミサイルの開発が進んでいないとまでは言えませんが、騒ぎ過ぎです。

てなことは置いといて、1年前のエントリーで取り上げた社畜ネタです。今年は例年にも増して高速道路の渋滞が酷いですが、お盆に一斉に実家へ帰るからこうなるんで、時期をずらすとか考えないと、3年後は丁度オリンピック期間とバッティングしますからどうなることやら。猛暑による熱中症問題がやっと認識され始めましたが、新国立競技場をはじめとする関連工事も人手不足出遅れが心配されてますし、その新国立競技場の工事作業員の過労自殺が報じられるなど、本当に大丈夫かいと心配になります。

ロングバケーション当たり前の欧州では、企業が従業員に有給休暇取得時期を割り振って分散しながら長い休暇を楽しむのに、短い盆休みを一斉に取って大移動する日本のビジネスマンの働き方の異常さが世界へ発信されるおぞましい2020年になりそうです。その働き方改革を巡って混乱もあります。

連合、「脱時間給」容認を撤回 政労使合意は見送り  :日本経済新聞
日経の記事は問題だらけなんですが、連合の逢見事務局長が独断で政権とやり取りして進めていた話で、神津会長は長時間労働の歯止めが認められるならば、政労使協議に応じても良いとしたものの、あくまでも年収1,075万円以上の特定職種を対象とした高度プロフェッショナル制度の話であって、脱時間給は関係ありません。

そもそも裁量労働制も成果主義賃金も現行法で違法ではないんですが、要件として募集や採用の時点で説明がされ雇用契約書にも明記されている必要がありますし、そもそもこのような雇用形態は労使間で合意が必要なんですが、御用組合をでっち上げて協定書の書面を作っても、未払い残業代請求訴訟では実体のない名ばかり組合では労働者の代表と認められず会社側が敗訴する事例が重なり、経済界から要件緩和の要求が出ていたもので、労働側から見れば当然認められません。

あと限定職種の高度プロフェッショナルにしても、高給取りで直接雇用が難しいんですから、むしろアウトソースして相対取引で条件を決めれば良いんで、労基法に盛り込む積極的な意味はありません。当然の如く連合の傘下組合から反対の声が上がって連合は撤回に追い込まれ、次期会長含みだった逢見事務局長を副会長に棚上げして神津氏の会長留任を決めて収めたって話です。早い話企業は残業代を払いたくないってのが本音です。

2020年のオリンピックと盆帰省のバッティング問題でも指摘しましたが、欧州企業では仕事の繁閑を有給休暇の分散取得消化で対応しており、そのため使用者側に有給休暇の完全消化の義務と共に取得時期調整の権利が与えられています。国によっては年度初めに従業員の有給休暇取得計画書を当局に提出する義務まで負わせているわけで、残業で繁閑調整をしている日本とは根本の考え方が違います。結局残業が日常化して長時間労働が当たり前になり、過労自殺も後を絶たないし、長時間労働で作業効率も落ちるから労働生産性が高まらず、利益率が低くなるという悪循環です。解決策は簡単で、最繁忙期に合わせて増員して有給休暇を分散取得させることです。

あと人手不足でAIへの期待が高まっておりますが、AIに限らず機械による労働の代替自体は昔から繰り返されてきたこととはいえ、単純な代替を考えているならお門違いです。AIは人間になれませんし、むしろAIが能力を発揮するための仕事の手順や環境を人が整えてやらなければならないですから、AIで人手不足解消は不可能です。これオフィスオートメーションが言われ始めた時代やコンビニのPOSシステム導入のときも言われたんですが、システムの導入に伴って業務の見直しがちゃんとできて初めて、少ない人数で多くの産出高を稼ぐことで労働生産性が向上するんで、その分を賃金に反映させて家計の購買力を底上げして初めて、経済成長につながるんですが、現実はどうも違う方向へ進みそうです。

実はこれを端的に説明するツールはマルクスが提供しておりまして、G--W--G'で表しております。Gは資本、Wは商品を意味します。ここで言う資本はぶっちゃけお金のことで、生産手段としての工場や機械に投資して、従業員を集め原材料を仕入れて生産した商品を市場へ投入して代金G'を得ることになります。このときにG<G'となるように仕組みを整えるわけです。工業化で工業製品が大量に生産され市場投入される産業資本主義過程はこれが繰り返されるわけです。

しかし大量の工業製品が市場へ投入され続けた結果、工業製品の価格は低下しますし、またスマートフォンのような汎用多機能デバイスの登場でむしろ集約が進む結果、G<G'の関係の維持が難しくなります。一方PCやスマホのような汎用デバイスはソフトウエアのバージョンアップで機能強化が進み、思いがけない用途が開発されていきますから、開発に携わるプログラマーやSEなどのIT人材が重要な生産手段となり、その調達囲い込みのために高額報酬が約束されるようになります。結果的にITデジタル技術を軸とした生産手段の組み換えが起きてデジタルブルジョワジーとデジタルプロレタリアートに分離する現実が出現したわけです。伝統的工業の衰退とIT産業の台頭で米トランプ政権誕生の背景でもあります。

困ったことにあらゆる労働がデジタル技術で代替可能なわけではなく、元々低賃金の単純労働はいつまでも機械化されずに残るどころか、かつてはノウハウの塊だった事務職や販売職も作業内容が単純化されていきますから、低賃金の単純労働はむしろ増えるわけです。つまりマルクスがプロレタリアートと命名した時間の切り売りでしか生活の糧を得る手段を持たない階層が新たに出現したと見れば、世界的にみられる格差拡大が容易ならざる事態であることがわかります。この観点からすれば労基法改正で政府が盛り込もうとする高度プロフェッショナルは保護すべき対象ではないわけです。

さらにもっと困ったことに、高給で優遇される高プロ人材の育成は困難だってこともあります。何となれば人に教える暇があるなら自ら働いて稼いだ方が良いし、人に教えてライバルを増やせば自らの市場価値を下げることになります。加えて技術革新のスピードが速くなってますから、市場価値が落ちたところで教える側に回る頃には次の新技術が出現して手持ちのスキルが陳腐化しているわけですから、教えるニーズもなくなるわけで、ある意味旬の内に稼いでセミリタイアというキャリアプランを取らざるを得なくなります。かくして技術の分断が今以上に深刻になるわけです。

また高額報酬の職業ほど資本代替のニーズが強く、高額の研究開発投資に見合うリターンが期待できますから、いずれ稼げる職業は減っていくというディストピアになりかねません。自分で自分の首を絞めることになるわけです。高プロじゃないですが、例えばかつて高給取りだったバスドライバーやトラックドライバーの賃金低下も、運送業の参入規制撤廃で進んだわけですし、タクシーに対するウーバーなどのライドシェアの挑戦も同様の文脈で理解できます。規制緩和は善として拙速に認めるのは問題です。

その先の自動運転も、当面は地域限定の交通システムとしての実現を目指すのが妥当です。トラックドライバー不足を自動運転で凌ぐのも問題です。荷物の積み降ろしや検収、場合によっては代金決済もあるわけで、その部分は自動化できないので、結局ドライバーに運転させる方が労働生産性を高めることになります。寧ろ鉄道や船舶との連携による複合一貫輸送のシステムを構築することが大事です。この辺の誤解はかなり根深いですね。

その鉄道も自動運転車の実用化で変化を迫られます。ただし道路輸送では実現不可能な大量輸送の能力が結局鉄道のレゾンデートルになるという意味で、地方のローカル線の維持はますます困難になります。また線路保守など労働集約産業の側面は残り、JRでさえ外注化で凌いでいる状況ですが、その結果日常の列車運行に支障が出るほど保守レベルが荒廃したJR北海道の問題など、解決すべき問題があります。そんな中で取り上げたいのがこれ。

JR東など、英鉄道運営を落札 12月から運行  :日本経済新聞
英国鉄道のオープンアクセス制にフランチャイズ(運行会社)として参入するというもので、遅延の多いミッドランド鉄道の定時運行率の向上をアピールして落札したということで、結構ハードルは高いと思いますが、例えばJR北海道の問題の解決策として、線路保有の国策会社を設立してフランチャイズを募集するといった事態も考えられますから、国内の鉄道事業へのフィードバックも期待できます。この辺新幹線システムの一括受注しか念頭にないJR東海の連戦連敗に対して、確実に経験値を高めるJR東日本の行き方は賢明です。

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Sunday, June 18, 2017

空飛ぶクルマ

共謀罪が成立しました。国会論戦で一般人には適用されないとされてますが、問題なのは乱用の歯止めがないこと。前エントリーでも指摘したように、前文科省次官の前川氏に対する個人攻撃のように、政権に不都合な人物を狙い撃ちすることができてしまうわけです。この点は戦前の治安維持法と変わりません。ちなみに治安維持法の逮捕者第1号は仲間内でヨタ飛ばし合ってた大学生達で、冤罪だったけど取り調べ中に拷問死だそうで、これリベラル陣営から見れば逮捕上等、逮捕は名誉と考えるべきでしょう。歴史に名を遺すチャンスです^_^;。てことで共謀したいんだけど、1人じゃできない。仲間がいない。

******急募!一緒に共謀する仲間!******
価値観を逆転させれば怖くはありません。ヤクザかい!てことでヨタ飛ばし続けます^_^;。

先週末愛知県の東名高速で事故がありました。

バスに車衝突、45人けが 運転の男性死亡 愛知の東名高速  :日本経済新聞
北朝鮮の脅威が言われ、各地でミサイル防空訓練が行われたというニュースと並べると、現実的には空飛ぶクルマの方が怖いよなと。そもそもミサイル飛んできたは数分のうちに着弾してしまうから意味ねー。続報では反対車線を走っていた乗用車が左側ガードレールに接触してコントロールを失い、右へ寄って中央分離帯の法面に乗り上げてジャンプしたそうですが、時速100㎞程度ということで、道路構造の欠陥も指摘されてます。

一方ぶつけられた観光バスの方は、バスドライバーが咄嗟に左に避けてエンジンブレーキで減速しながら左側のガードレールや側壁に接触させて安全に停止させ、その冷静な対応に賞賛が寄せられています。また観光バス事業者の東神観光バスは安全性の高い新車を導入しており、軽井沢のツアーバス事故では車体強度に問題のある中古バスだったこともあって、この面でも賞賛されてますが、いや待て、そもそも空飛ぶクルマのガードレール接触が事故原因だったわけで、同じガードレール接触で車の挙動がここまで違うってことは指摘しておきます。

種明かしすれば車両重量の問題でして、乗員1名の乗用車の重量は1t前後に対して、フル装備の大型観光バスで定員乗車なら20t近くになります。これだけ重量が違えば運動エネルギーの量も大違い、大型観光バスを安全に停止できる側方ガードレールも乗用車には強すぎて弾みでコントロールを失うことはあり得るということですね。もちろん入射角の問題や乗用車のドライバーの心身喪失の可能性など、報道ではわからない問題もありますが、道路構造に注目すれば、問題点は見えてきます。1t未満の軽から40tの大型トレーラーまで同じ道路を通行するわけですから、安全対策に根源的な不可能性があるわけです。

中央分離帯や側方ガードレールの設計は大型車の重量を受け止めて衝撃を分散しなが安全に停止させることを狙っているわけで、乗用車にとっての最適設計ではないことは確かです。中央分離帯も大型車が突破できないようにタイトな法面を採用すれば、軽量な乗用車にとってはジャンプ台になりかねないわけです。道路の混合交通故の矛盾ですが、そもそも高速道路は大型車を想定した作りであって、乗用車で利用するときにはドライバーがリスクを意識して自衛するぐらいしか対策はなさそうです。余談ですが、都内の高速道路整備で東名より先に中央道が着手され、しかも分岐線である富士五湖線が優先されたのは、治安対策で山梨の陸自基地から戦車を速やかに都内へ向かわせるためとか。時あたかも新左翼運動が盛んな60年代後半でした。

大型車と小型車をゾーニングで棲み分けられない限りついて回る問題ですが、首都高で湾岸線の大型車ETC割引で利用を誘導しているぐらいです。外環道や圏央道が整備されたときに、大型車の環状ルートへの誘導策は考えられますが、厳格な分離は困難です。

てなタイミングで日経ビジネスが「「空飛ぶクルマ」の衝撃」という特集組んだのが何というか^_^;、道路を走る限り渋滞を避けられない中で、「空を飛ぶ」という発想そのものは突飛とは言い切れないにしても、クルマの未来に見えるある種のカオスを感じます。中身は玉石混交で、さまざまなアプローチがありますが、プレイヤーがアマゾンやウーバーのようなIT企業にトヨタ自動車、航空機のエアバスまであり、ドローンの大型版や1-2人乗りのパーソナルプレーンなど、方向性も定まっていません。

空は飛ばないまでも自動運転は実用化を射程に入れており、未来の自動車産業の激変を示唆するのですが、上記のような現実の事故を目の当たりにして、ここに自動運転車が加わることに関してどう考えるべきか、今のうちに考えておくべき問題があります。既に自動運転車としてレベル2と定義される高速道路で車線キープと車間距離を保った自動追尾は市販車レベルで実用化されてますし、これに車間通信を組み合わせて衝突を回避しながら車間を保って運行する技術なども実用化目前ながら、いずれもドライバーが乗って緊急時の危険回避を行う仕様で、今回のような事故を防げるのかというと、むしろヒューマンエラーを誘発する可能性もあり問題を複雑にします。

その先の完全自動運転は事故時の責任分担の問題が絡み、現状では不可能となります。実際大型車に偏った日本の高速道路の安全対策を前提とすれば、事実上完全自動運転は無理です。本気で実用化を考えるならば、エリアを限定して速度を抑制した形で交通システムとして導入するというアプローチになると考えられます。実際グーグル改めアルファベットの自動運転車開発会社ウェイモが2座の小型自動運転車を米アリゾナ州フェニックスで実証実験してますが、日本でもウーバーのシステムで自家用車有償運行を行う京丹後市など、まずは公共交通が維持困難な地方の特定エリアで試験導入が現実的でしょう。

京丹後市では道路運送法78条の自家用自動車の有償運行の特例で認可されたんですが、そのために営業車に準じた事故補償を求められてボランティアのドライバーに高額の保険加入が義務付けられており、元が取れる状況にないこともあり、ドライバーのなり手の確保が難しい現実があります。未来志向で特区制度を活用するというならば、ウェイモのシステムを導入した方が良かったんじゃないでしょうか。加えて鉄道貨物の強化で高速道路の大型車を減らしすということも考えて、貨物鉄道と競合するルートを小型車向けにゾーニングというアプローチも考えられます。

第2次安倍政権の成長戦略の目玉とされる国家戦略特区ですが、今治の加計学園獣医学科問題にとどまらず、どこに未来志向があるのか疑問です。仮に獣医師が足りないとしても、既存の獣医学科の定員増で対応できれば初期投資分の負担が軽減されるわけで、敢えて新設の大学で行う理由は明らかではありません。しかも獣医学科新設に意欲を見せた京都産業大学は却下したうえで、空白地帯に限るという事実上再申請を封じる決定までされているわけですから、加計学園への便宜供与が疑われても仕方ありません。

てなわけで、共謀しようぜwwwwwwww。

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