都市交通

Saturday, March 28, 2020

感染路は続くよ何処までも

海越え街越え時越えて遥かな世界へ僕たちの見えない未来をつないでる~♪
元歌はアメリカの労働歌で、大陸横断鉄道の建設工事に駆り出された建設労働者が、来る日も来る日も人里離れた荒野でツルハシを振るい、時にはインディアンの襲撃にさらされる命がけの終わりの見えない過酷な労働への恨み節でした。その歌にNHKが旅へのあこがれを表す日本語の歌詞をつけてみんなのうたて紹介したため、日本では全く異なった印象で受け止められてますが、皮肉にも元歌に近い現実に直面する私たちです。

武漢から始まったCOVID-19の感染が世界に拡大し、遂にアメリカの感染者数が中国を抜いて収拾がつかない状況です。COVID-19のような感染力の強い感染症は大都市で感染拡大するのはある意味当然で、中国でも人口1,100万人の武漢市で爆発的感染拡大に見舞われましたし、イタリアでも7ミラノなどの大都市に集中しています。日本でも札幌市がそうでしたし、感染拡大が見られる大阪府や兵庫県、それに東京都もですが、明らかに爆発的感染拡大の兆候が見られます。感染症は指数関数的に感染拡大する訳ですから、いつかはこうなる訳ですが、厚労省の報告書を思い切り誤読して阪神間の往来自粛を呼び掛けたり、唐突に首都閉鎖も有り得ると脅しをかけたりしてパニックを煽る知事たちにうんざりです。

新型コロナ感染者、米は10万人突破 全世界の17%に:日本経済新聞
アメリカの感染者が10万人を超えて中国を抜き世界一となった訳ですが、アメリカでも4割は大都市を抱えるニューヨーク州に集中しており、大変な状況ですが、クオモ州知事の州民向けの演説が評判を呼んでいます。自身が対応に疲れたことを告白するとともに、自分以上に最前線で対応し疲れている人がいることに言及し、非常事態への対応への協力を求めたものですが、病院ベッドの不足や人工呼吸器の不足などの具体的な問題点を明らかにして、パニックにならないように冷静な対応を求めたものです。この演説に好感して株式市場も一時的に上げたぐらいですから、人々に与えた安心感は相当なものでしょう。

翻って小池知事美首都閉鎖発言はインパクトは大きいけれど基本的に脅しですから、それに反応して多くの人がスーパーに殺到して買いだめに走る訳で、SNSに蔓延るデマと変わりません。情報攪乱が市場経済を機能不全に陥れることは前エントリーで指摘した通りです。しかもタイミングが東京五輪の1年延期が決まった後ということで憶測を呼んでいます。まあ五輪に限らず様々なスポーツイベントが中止または延期が相次ぐ中で、今年予定通りに開催できる訳はないんで、見直しは当然ですし、スケジュールが狂った各競技団体にしてもどのみちスケジュールの見直しは必要ですから、調整自体は不可能ではないでしょう。しかし問題は1年後に沈静化しているかどうか不明ということです。

[FT]英の新型コロナ対策、「最善願い最悪に備える」:日本経済新聞
英国ジョンソン首相が集団免疫を打ち出して批判を浴びて引っ込めたという風に報じられていますが、国民の大多数が感染して免疫を獲得すれば、新規感染者が減ってCOVID-19も普通の風邪の1つになり落ち着く訳で、国民の60%が免疫獲得が目安となるということで、それまでの長い道のりを乗り越えるよう国民に協力を呼び掛けたもので、既に市中感染が見られ水際作戦での封じ込めが不可能という現実を示したものです。結果批判を浴びたものの、飲食店等の休業補償や納税猶予や国民への現金配布などの対策を打って理解を求めました。

何だか国も地方も出鱈目なのは日本だけと落ち込みたくなりますが、ここで注目すべきは60%という集団免疫の目安です。既に欧米アジアから南米やアフリカまで感染拡大が見られる現状からすれば、今さら封じ込めは現実的ではない訳で、いずれ世界各地で順繰りに爆発的感染を経験しながら世界全体が終息に向かうのに1年で済むのか?ということです。世界のどこかで感染拡大の混乱が続く限り、公正な世界大会なんか開けない訳で、そう考えると1年後の仕切り直しで突っ走るのはどうかと思います。そもそも人命が関わる問題でスポーツどころじゃないだろうって訳ですが、商業イベント化したオリンピックは簡単に中止できないのもまた現実です。問題の軽重を取り違えてないかってことですね。

それととりあえず3,000億円と試算される延期に伴う追加負担の問題ですが、現状10Cと都と国で押し付け合いしている現状です。これも実際はいくらかかるか想像もつかないのが実際で、事態の進捗に伴って隠れたコストが明らかになることは覚悟しといた方が良いでしょう。この辺福島第一原発の廃炉問題や汚染水問題でも見せられている現実です。こういった計算違いは正常化バイアスが働く以上必然的に生じます。所謂希望的観測に流される訳です。仮に上記のように1年後にも終息していなければ、延期のために負担したコストは無駄になり更に追加負担を覚悟しなきゃならないとなると、五輪の経済効果とは何だったのか?って話になります。

それよりも当面の経済的な落ち込みをどうするかですが、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリアなど欧米諸国に加えて韓国や香港でも国民への現金配布が行われる一方、日本では所得の落ち込んだ世帯に限りというような制限を課すようですが、それをどのように判定するつもりなんでしょうか。しかも時期は5月になるとか言ってる訳ですが、コロナショックによる自粛で職を失ったり所得を失った人はとても待てませんし、消費の落ち込みは更に経済を冷やす訳で、条件付けずに全員に配布する方がコストもかからず迅速に実行できます。

財源は震災復興増税のように事後的に増税して回収すれば良いですし、所得税に税率を上乗せすれば高額納税者ほど負担する訳で結果的に回収されますから所得制限は不要です。一部で言われる消費税減税ですが、そのために法改正して鉄道運賃など公共料金の改定でシステム変更のコストもかかりますから、緊急対応としては不適格です。加えて地方消費税も減る訳ですから、住民サービスを担う自治体が干上がることも忘れてます。それも含めて制度としての消費税の是非や適切な税率の議論は平時に行うべきであり、どさくさ紛れにやるべきではありません。そして与党内の議論で和牛商品券やお魚券といったトンデモ議論があるようですが、非常事態に利権漁りとはお下劣です。ま、こんな連中を選ぶ国民も大概ですが。

それでも流石に公共事業の積み増しは出てこないようです。人手不足による入札不調で執行が約1年遅れの現状では、公共事業を積み増しても経済効果が出ないことが明らかなので、持ち出しにくいんでしょう。その一方で結果的に建設費の相場が上がって民間工事も割高になって所謂民間活用も難しくなり、加えて五輪を睨みインバウンドを睨み活況にあったホテル建設が一転不良債権の山になりそうな中で、ゼネコンは請け負う工事を選別してます。

このコンテクストで今公判中のリニア談合事件でゼネコン各社の暴露合戦が繰り広げられています。既に分離公判で有罪が確定している大林組がJR東海幹部の指示で星取表と呼ばれる工区ごとの予算と受注企業の一覧をExcelで作成したことを暴露しており、談合の物証になると共に被害者である筈のJR東海の関与が明らかになりました。これ鈍器法定で指摘したように、事業費の上限が決まっている中で、ゼネコン各社の過酷な値下げ要求をした挙句のゼネコン同士の仲間割れって構図です。この辺無罪を主張する大成建設も技術的な相談に乗ったつもりが企業秘密の開示につながったことを認めています。

大林組は地元のうめきたやなにわ筋線などもあるし大阪万博も控えているしで、もうけがショボいリニアに過度に付き合うつもりはない一方、五輪関連の受注をほぼ独占してきた大成建設にとってはポスト五輪でリニアは外せなかったという構図です。なにわ無くとも五輪の大成とその逆の大林組という対立構図があからさまで与党の集票マシンだったゼネコンの仲間割れは与党の公共事業への関心も醒めさせたかもしれません。加えてリニア談合事件の影響で各社入札停止処分も受けておりますし。ま、ある意味無駄な公共事業が出来にくくなったとは言えますが。

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Saturday, March 14, 2020

コロナゲートウエイ

「マスクが消えた」と言われる現在の日本ですが、外出すると会う人のマスク率の高さに驚かされます。元々マスク習慣がないし、ウイルス感染予防に役に立たないことを知っておりますので、私自身はマスクをしませんが、結局マスクをする人が増えてマスクを一斉に買った結果、店からマスクが消えただけじゃないかと。それを証明するような報道がありました。

日用品、SNS誤情報で買いだめ 店頭で紙製品が品薄:日本経済新聞
ざっくり言えばSNSで発信された誤情報で人々が買いに走り、店の棚が空っぽになったけど、現在POSシステムで単品毎の需要動向が把握されていて、季節や天候などの要因まで加味した予測精度が高まった分、店頭も含めて流通在庫が圧縮されていて、しかも消費者もそれに慣れていて不必要に物を持たなくなった結果、今回のような誤情報による需要の上振れでこうなったってことです。一部で言われているような転売ヤーの買占めは、部分的にはあったかもしれまっせんが、個人の資金でできる買占めはたかが知れてます。

ジャストインタイムの流通システムで基礎的定常的な需要は把握されており、花粉症など季節や天候要因による変数も把握されていて微調整される、そんな精緻なシステムがIT技術の深化で更に磨きがかかりますが、今回のような感染症リスクの顕在化までは予測できませんから需要を満たせず、結果的に店の棚が空になれば買い損ねた人が次の入荷日を確認して集まりますから、入荷しても棚に置く暇もなく瞬間で売り切れとなり、更に次の入荷日を確認してと無限ループが続く訳ですね。そうして不安を煽られた人々は余分に買ってストックしようとしますから、ますます品薄になって無限ループは簡単には途切れません。

これ高度情報化社会の脆弱性と捉えるべき事象ではないかと思います。そもそもは人々の不安を煽るような誤情報が流通したことが起点なんで、よく考えたら金融市場のコロナショックも同じなんですね。こちらは需要のいきなりの消滅がもたらしたものですが、元々金融市場は金融緩和の金余りで行き場を失ったマネーが敢えて好材料を見つけて資金を投じる流れが続いていた訳ですから、想定外のリスクに晒されて逃げ出した訳です。しかもアルゴリズム取引などの機械取引が増えた結果、市場の振れ幅が大きくなって予測不能な混乱が続いている訳で、マスクやトイレットペーパーの騒動と変わらない背景があります。

こうして見ると今回の新型肺炎問題は新自由主義やグローバル経済の転換点になると見るべき要素が散りばめられています。例えばアメリカでの感染拡大でも、元々マスクの習慣がないアメリカでもトイレットペーパーが店頭から消えたりしていますし、欧州も含めてイベントの中止や学校の閉鎖が相次いでいます。何れも初動の遅れが響いている結果と見ることができます。

結果論ですが、中国では武漢でこそ爆発的な感染拡大が起きたものの、恐らく民主国家ではできないような武漢封鎖などの力業で、武漢を含む湖北省以外の地域では感染が下火になりつつあるようです。致死率で見ると武漢だけが突出しているようで、武漢では混乱が見られる一方結果的にン国全体では封じ込めが成功しつつあるようです。同様に致死率で比較すると感染者数が多い韓国では致死率1%に満たない一方、日本の致死率は3%と高めなのは、検査数が少ないことが影響していると見られます。

もう少し突っ込んだ見方をすると、台湾も封じ込めに成功している訳ですが、韓国も台湾も選挙で選ばれたリーダーがきっちり仕事していることに注目すべきでしょう。中国の場合習近平体制で権力の集中が起きた結果、新型ウイルス発見に寄与した医師をデマ拡散で処分した武漢市当局のように現場官吏の判断がブレるんですね。同様に政権に忖度しないと冷や飯食わされる現状の日本では、初動が遅れて封じ込めに失敗しましたし、独善的な大統領を頂くアメリカも同様です。そして大声じゃ言えませんが、民主的な選挙で選ばれていないEU官吏も動けなかった。まして欧州はシェンゲン協定で国境封鎖が事実上不可能ですし。そうするとBrexitは正しいことになりますが^_^;。その英国でも日用品不足は見られますが。

つまるとこと情報の流通に問題があるとうまくいかないということで、これよく考えたらナッシュ均衡と呼ばれるゲーム理論の考え方で解ける問題です。所謂囚人のジレンマ問題で、情報が分断されていると正確な判断が出来ずに誰もが不利益を被る均衡点が存在するというアレですね。それを防ぐには情報開示を徹底するしかなく、将に韓国や台湾が実践したことです。逆に情報開示が不十分だと誤情報やデマがSNSで拡散されて混乱を招く訳です。実は新型肺炎が思わぬ民主主義のリトマス試験紙になったってことでしょうか。

で、臨時休校、イベント中止、テレワーク推進などで人が外出しなくなり経済が回らなくなる中で、3.14ダイヤ改正を迎えたJR各社ですが、JR東海は改正の目玉ののぞみ1時間12本体制も、利用客減少で当面間引きを余儀なくされ、福島第一原発事故の影響で復旧が遅れていた常磐線が完全復旧したものの、未だ住民の帰還は困難で祝賀ムードとは程遠くと異例ずくめの中で、山手線30番目の駅として開業した高輪ゲートウエイ駅では開業一番乗りや記念切符・入場券を求める人が集まり、最大3時間待ちとか、クラスター感染が心配されることが起きています。流石に開業式典は中止されましたが、思わぬクラスターが形成されました。コロナゲートウエイにならないことを祈りましょう。

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Sunday, March 08, 2020

グローバルコロナショック

アジア中心だった新型肺炎COVID-19が欧米に飛び火しています。欧州ではイタリアで感染拡大し、徐々に他国へ広がっていますし、アメリカでも感染が拡大し、世界規模の感染症となった感があります。

世界史的には感染症が歴史を変えた事例は多数あり、中世欧州のペスト禍はもちろん、スペインの新大陸植民地化では旧大陸住民には免疫があった天然痘の新大陸住民への感染拡大がもたらしたと言われます。とすると湖北省を除いて感染者の減少が見られ、免疫獲得が推定されるる中国が勝者になるのかなあ?

そんな河北省を除く中国を韓国と共に新たに入国制限を課した日本の対応はズレまくりです。しかも第三国経由は本人の自己申告で制限という意味のない水際作戦で、喜ぶのはネトウヨぐらいのもんです。これも臨時休校要請と共にエビデンスに基づかない官邸の独断だってことで、どこまでアホなんだ。

大変なのは主婦でして、臨時休校の子供とテレワークで在宅勤務になったダンナの世話をしなきゃならなくなって大忙し。専業主婦ならまだしも看護師、介護士、保育士などで出勤が難しくなって病院や介護施設や保育園が人手不足で回らなくなったり、また学校は休みだけど学童保育は実施されていて、しかも放課後限定から全日となり人手が足りないと学校の先生も駆り出される事態になり、こうなると休校とはいえ授業をやらないだけで、しかも特定の教室にすし詰めで濃厚接触を助長するという笑えない事態になっています。

病院での院内感染防止は確かに大きな課題ですが、それを理由に検査体制の拡大に反対するってのはどうかしてます。受付や病室を分けるとか受付時間や診察時間をずらすなどの可能な対応を取った上で、街のクリニックでも検査できるようにするなど可能なことはあります。また介護士の人手不足は高齢者の多い介護現場での感染拡大を助長する恐れがあります。施設に預けた高齢者を引き取って一家で感染とかあり得ます。

テレワークがまた問題でして、今までは掛け声だけで進んでいなかっただけに、急にテレワークが増えてビデオ会議やろうとしたらトラフィックの急増で繋がらないトラブルが多発という笑えない現実があります。何事も準備が大事なのは政府に限らずです。一方、ビデオ会議アプリの米ズームはコロナショックによる株安の中で株価を上げてますし、物事は備えが大事だと改めて気づかされます。そして政府は余計なことはせず必要な資金を予算化するのが最大の役割です。その意味で注目するのがこのニュースです。

公共事業、人手不足で滞る 入札不成立4年連続増へ:日本経済新聞
人手不足で公共事業の執行が滞っていて、現在18年度補正予算の執行に目途がついて19年度本予算上期分の入札が始まったものの入札不調続きで執行が滞る流れですが、つまり予算の計上と執行がほぼ1年ズレている訳です。これつまり予算上の事業年度を執行の実態に合わせてズラせばほぼ1年分の資金が捻出できる訳で、その規模は6兆円超となります。これ全部でなくても、民間検査機関や大学まで動員してPCR検査の拡大の体制を作ることは可能でしょう。ま、地元に公共事業引っ張って有権者にアピールするのが仕事と勘違いしている政治家はやりたくないでしょうけど。

こんな状況で東京五輪が重荷になっていることは度々指摘してきましたが、その五輪にも暗雲が漂います。COVID-19の世界への拡大は当然五輪開催の可否を左右します。既にIOCとWTOのビデオ会議で東京五輪の無観客開催が議論されたそうで、貧テック貪テックで予想したような事態になってきてます。そうなると臨時休校要請やイベント自粛要請までして開催にまい進する日本政府は、非常事態宣言を可能とする新特措法と相まって、国民を押さえつけて戒厳令下の五輪という歴史に汚点を残しそうです。

マーケットも異変が起きています。株価の下落に対しては、日によって戻したりはしてますが、乱高下で下げ基調という荒れた状況ですが、これまで金融当局の緩和期待で起きていた低金利下の株高が変調を来してFRBの緊急利下げにもほとんど反応しませんでした。所謂適温相場が終わった訳で、リーマンショックを上回る経済ショックはいよいよ現実のものになりそうです。

しかもコロナショックでは主に航空や自動車などの下げが主体ですが、裏にもっと重大な問題が潜んでいます。それを示すのがこのニュース。

OPECプラス決裂、背後にサウジ皇太子の指令? 客員編集委員 脇祐三:日本経済新聞
これ当面原油安が続くってことですが、この点がリーマンショックの時と大違いなんですね。

リーマンショックの時はアメリカを起点にショックが波及しましたが、成長途上にあった中国を筆頭とする新興国経済は好調だった訳で、石油需要の先高観から原油価格は一時1バレル140ドルまで上がりました。それが結果的に欧米のエネルギー関連企業の株価を下支えし、米株式の早い回復を実現した訳ですが、今回はその中国経済にブレーキがかかって原油価格も60ドル前後から40ドル近くまで下がった訳ですから、事情が異なります。

中国に限らず例えば中東の産油国でも石油精製や石油化学工業の国内立地が進んでます。つまり工業立地の世界への拡散が進んで新たなフロンティアが見当たらない状況にある訳です。加えて欧州中心に再生可能エネルギーの普及もあって、基礎的な需要の将来的な縮小が見込まれる一方、米シェール革命で供給力は増えているという四面楚歌状況ってことです。謂わば逆オイルショックってことですね。余談ですが150万バレルの減産目標の内50万バレルをロシアに割り当てると独断で決めてロシアの怒りを買ったサウジ皇太子ですが、どっかの国の愚鈍なリーダーと似ています。

そしてグローバリゼーションと共に世界に拡散した新自由主義ですが、その流れに逆行するような動きが日本で起きました。

北神急行線と市営地下鉄との一体的運行(市営化)について:神戸市交通局
北神急行電鉄の経営不振は以前にも取り上げましたが、2008年時点では高運賃対策として上下分離して神戸高速鉄道を第三種事業者として北神は第二種事業者となって資産圧縮を図り、神戸高速が当時三セクだったこともあって固定資産全減免対象だったので、線路使用料負担を軽くした上で、神戸市と兵庫県の補助金で運賃を430円から350円に下げた訳ですが、それでも三宮へは市営地下鉄との運賃合算となり550円となる訳で、割高であることに変わりはありませんでした。

更に状況は変わり第三種事業者の神戸高速鉄道の神戸市の持ち分が圧縮され阪急阪神HDに譲渡されて関連会社となったことで上下分離の意義が薄れたこともあり、北神は阪急阪神HDのお荷物であり続けました。そこへ神戸市が2018年に北神の運賃低廉化の検討について協議を開始し、翌19年に資産譲渡の申し入れを行い、阪急阪神HDも三宮地区の活性化に資するとして応じたものです。しかも北神の認可運賃を捨てて神戸市営地下鉄と一体の運賃制度とすることで、三宮まで280円とほぼ半減の水準まで下げます。

加えてバス乗り継ぎの定期券割引制度を拡充し、谷上駅―神戸北町間に市バス路線を新設するということですから、従来新神戸トンネル経由で運行されていた三宮駅―神戸北町間の路線の見直しということですね。ドライバー不足で都市部でも減便を余儀なくされる路線バスの合理化も併せて行うということのようです。

三セクですらない純民間事業者の北神急行電鉄を市営地下鉄と一体化するという珍しい動きですが、一方で大ゴケの海岸線を抱える神戸市としては苦しいところでしょうけど、震災を機に国際港湾としての評価を失った神戸市としては中心部の活性化は待ったなしの課題なんでしょう。カジノ誘致で迷走する横浜市より遥かに誠実です。

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Sunday, March 01, 2020

日出ずる国のサンセットクルーズ

アベノミクスを感染症に喩えたら重症化しちゃいました。

首相、感染連鎖阻止へ異例の要請 小中高の臨時休校:日本経済新聞
北海道で小児の感染が出て札幌市を除く公立学校の臨時休校を決めたことに倣ったんだと思いますが、検査件数が相対的に多く、クラスター感染が疑われる状況から判断されたものですが、検査体制が不十分なまま全国に拡大することにエビデンスは示されておりません。北海道でも休校の影響で看護師が勤務できなくなって休業する医療機関が出て逆効果だったりという副作用が現れてますが、国民に不利益を強いる一方、感染拡大に繋がる公共交通機関の混雑は放置されたまま。無意味なパフォーマンスでやってるふりはアベノミクスの文脈そのものですが、今回は流石に国民から大ブーイングを受けてます。

ネットに溢れる検査の精度問題ですが、確かに偽陰性や擬陽性で正確な診断が難しいのですが、それでも感染拡大の可視化という意味で検査データを集める意味はあります。実際北海道ではさっぽろ雪まつりの直後に感染拡大が確認され、所謂クラスター感染の可能性が見えたことで、イベントの自粛や公立学校の臨時休校の判断につながった訳で、傾向を掴んで対策を打つ意味では検査体制の拡充こそ最優先事項である筈です。加えて国民の不安に寄り添う意味もあります。

後者は無発症や軽症で自分が気付かずにウイルスをばら撒いている可能性もある訳で、その不安からマスクを求める仮需要が爆発して店頭からマスクが消えた訳ですが、検査で陰性ならマスクはとりあえず必要ないと判断できる訳で、検査を行うこと自体が情報公開の一環でもある訳です。情報が伏せられれば7デマに惑わされて必要以上にマスクを買い占めたりする行動を助長する訳ですから、マスクが消えたような混乱は情報開示の不備からくると纏められます。

そして検査体制の拡充が遅れた理由としては、国立感染症研究所の処理能力に限界があり、しかも安倍政権で予算削減が行われていたこととか、今回の新型コロナウイルスの検査試薬が未承認だったり、感染研が試薬を独自開発する一方、独自開発されtたロシュの試薬に使用をためらったこととか、様々なことが言われてますが、水際作戦にかまけて検査体制の拡充を後回しにしたことは間違いありません。政治的に重大な判断ミスです。それが顕著に表れたのがクルーズ船ダイヤモンドプリンセスの検疫の不始末です。

ダイヤモンドプリンセスに関しては、国際海洋法の旗国主義の制約で日本政府が十分な対応が出来なかったという議論があります。確かにダイヤモンドプリンセスは英国船籍で運航会社はアメリカだけど専ら日本を含む東アジアでクルーズ航海をしているけど、管轄権のある英政府はこの問題では何もしていないという訳です。

しかし国際海運の世界では、船員の人件費や税制などで維持費の低い国で船籍を取ることは昔から行われてまして、日本の船会社の所有船がリベリア船籍だったりしますし、旗国主義は実際には空洞化しています。また実際問題として旗国から遠いエリアを航行する船舶に管轄権を行使することは困難です。故に今回の感染症検疫のような非常事態への対応として沿岸国が管轄権を行使することは普通に行われてますし、貧困国や途上国ならいざ知らず、豊かな先進国である日本が対応できて当たり前、できなきゃ恥ずかしいというのが通り相場です。

故にダイヤモンドプリンセスの船内足止め問題は国際的に批判を浴びた訳です。とにかく1日300件のキャパしかない検査体制で乗客乗員3,700名のウイルス検査じゃ、足止めされている間に船内で感染が蔓延するのは素人でもわかる道理です。結果的に3,700名中700名の感染確認がされて5人に1人以上の感染という結果を招いた訳ですから日本政府の責任は重いと言えます。

ダイヤモンドプリンセスは元々日本の顧客開拓の期待もあって三菱重工長崎造船所に発注された船で、乗客乗員に多数の日本人が乗船していた絵ですし、またインバウンドを国家戦略として謳ってた日本政府としては大失態と言える訳です。とはいえ受注した三菱重工はクルーズ船の敬遠が乏しく、特にホテル並みに複雑な船内設備に苦労して、挙句に建造中に火災事故を起こして納期を遅らせるなど散々な結果となり大赤字で、折角のチャンスを活かせませんでした。そして挙句にこれです。

横浜港 クルーズ船の寄港取りやめ相次ぐ:NHK NEWS WEB
これ横浜港に限らずクルーズ船寄港地として日本が忌避されている現実があります。贔屓目に見ても感染の終息が見込めないうちはクルーズ船が戻ってくることはないでしょう。しかも日本政府は相変わらずエビデンス無視のやってるふりで迷走してますから、当分この傾向は続くと見るべきでしょう。20202オリパラも最悪中止もあり得ます。

そして愛ある成長戦略でカジノを含むIR誘致も微妙になります。IR誘致に関しては、ハマのドンが猛反対とも伝えられてますが、横浜市は目のめりで、昨年秋にみなとみらいに本社を移転した京浜急行電鉄もIR誘致に期待感用命しております。裏付けのない噂レベルの話なんですが,横浜市がIR誘致を予定する山下ふ頭へ京急が新線建設を構想しているということで、これがハマのドンの怒りを買ったと言われております。

みなとみらいへの本社移転は日産グローバル本社の場合でも横浜市による便宜供与を含む強力な誘致活動があったと言われておりますが、京急に対しては山下ふ頭へのIR誘致を早い段階で知らせていたとしても不思議ではありません。そして京急はこれまでも支線の活性化に熱心なところがあります。過去エントリーでも取り上げましたが、空港線の羽田空港ターミナル延伸が大成功を収めた京急ならあり得る話です。そしてIR新線が京急誘致のエサになったとすると、東京からいきなり来た新参者が利権をさらう構図としてハマのドンの怒りを買ったというストーリーはあり得ます。

京急としては当面は羽田空港の発着枠拡大への対応と対岸の川崎殿町プロジェクトの最寄り駅として小島新田が変貌を遂げる可能性がある訳ですから、支線による活性化の成功体験を積み重ねる環境委にあります。逆に言えば元々開発地が少なく人口の高齢化や産業構造の転換もあって本線筋の成長余地がないだけに、横浜市が示したエサに食いついた可能性はあります。単純に山下ふ頭に鉄道通したいなら、みなとみらい線を伸ばす方が簡単なはずですが、それじゃ京急にメリットがない訳です。

というようなインサイドストーリーがありそうな横浜市のIR誘致ですが、今回のダイヤモンドプリンセスの失態で遠のいたと見て良いでしょう。日本国をサンセットクルーズにいざなうアベノミクスいいとこなしです。

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Monday, February 24, 2020

伝染ルンですアベノミクス

予想はしてましたが、新型肺炎問題がオオゴトになっております。特に横浜港のダイヤモンドプリンセスで防疫体制の弱さを露呈したことで世界から非難されてます。最早感染拡大を遅らせるしか打つ手が無くなった訳ですが、専門家の意見も聞かずに水際作戦に拘った政府の対応がひどいとはいえ、通常の風邪やインフルエンザと同様にうがい手洗いの徹底で感染を防げる可能性が高いのは既に指摘しております。

DMATの一員として参加した岩田健太郎神戸大教授の告発動画が物議を醸してますが「守秘義務違反」と「勇気ある内部告発」と評価が分かれております。とはいえ船内の酷い実体を知らしめて事態を動かしたという意味では後者の評価が妥当でしょう。酷い実態を秘密にすることの方が犯罪的です。まあ情報が錯綜してますし、医療面は素人がこれ以上首突っ込む話でもありませんが、経済への影響はかなり深刻です。

「有事の円買い」の終わり 円安呼ぶ日本の不安  編集委員 小栗太:日本経済新聞
これ簡単に言えば日米金利差で円安誘導の結果、低金利通貨として円建てで資金調達してアメリカなど外国資産への投資を行う流れから、投資家がリスクを取れば円は売られ円安になり、逆にリスク回避に動けば円が買い戻されて円高になるということで、リスクオンの円安リスクオフの円高というのが昨今の相場感でした。

それが米FRBの低金利政策で金利差が縮まり、インフレ補正すればほぼドル円の金利差が消滅した一方、ECBのマイナス金利政策の長期化でユーロがキャリートレードの主役となったことで構図が崩れました。加えて今回の新型肺炎問題では、日本は完全に当事国の扱いとなりますから、外国人投資家の資金引き揚げは避けられないところとなる訳です。こうなるとアベノミクスの初期からあった円暴落シナリオが現実味を増す訳で、深刻な事態です。加えてこれ。

GDP年率6.3%減 5四半期ぶりマイナス 10~12月:日本経済新聞
これ前期(10-12月期)の数値であり、消費税増税の影響は当然ある訳ですが、マイナス4%程度とされた民間予想を下回る悪い数値が出た訳です。これも裏がありまして、成長率の分母はあくまでも前四半期の数値が分母になる訳ですが統計135°で指摘した統計不正で目一杯それを膨らましたもんで、マイナス幅が大きくなったと見られます。加えて各四半期の日数の違いを季節調整と称して調整しますから、日数の多い10-12月期の数値は下方修正されますし、更に四半期ベースの数値を年率換算する訳で、見かけ上の数値を大きく見せてしまいます。

そして鉱工業生産指数、機械受注など製造業関連の一次推計の数値が弱い一方、何故か消費関連は好調だったんですが、これも家計調査の推計値から正確性が高いという理由で商業統計の推計値が採用されてますが、これインバウンド消費が含まれている可能性があり、そうなると国際収支に含まれる旅行収支の推計値と二重計上されている可能性があります。それが日韓事変で韓国からの訪日客が減少した影響が出て、なまじ二重計上されているからマイナス幅も大きくなる訳です。故に見かけほどマイナス幅は大きくないと見ておりますが、そんな事情は知ったこっちゃない外国勢から見れば悪い数字だけが見られる訳です。誤魔化しの果てのオウンゴールです。

そして新型肺炎で中国人の訪日客が激減しており、国慶節需要も空振りですから、1-3月期も悲惨な数字を覚悟する必要があります。更にマスク不足で日本のアパレル各社の下請けの中国縫製工場がマスク生産でアパレル品後回しという状況で春物商戦に暗雲が漂います。そして相次ぐイベントの中止や延期もあり、オリパラもロンドンが代理開催に名乗りを上げる状況で本当に開催が危ぶまれています。

鉄道業界でも既にミシュラン三ツ星の高尾山を擁する京王電鉄が通期見込みを下方修正しており、東海道新幹線も目に見えて利用客が減少しております。新型肺炎の終息は恐らく1年以上かかるでしょうから、今年はホントにヤバい年になりそうです。やってるふりのパフォーマンスばかりで実体を伴わず、バレそうになると公文書を隠したり破棄したり改ざんしたり、統計を細工したりの嘘八百はモリカケや桜と変わらずですが、人命がかかる感染症問題で国民を危険にさらした訳で、アベノミクスに感染した日本には地獄が待ってます。

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Sunday, February 16, 2020

貧テック鈍テック

新型肺炎問題での日本政府の対応に内外から疑問が突き付けられております。無意味な水際作戦は所詮政権のパフォーマンスに過ぎず、結果的に国内感染がジワジワ拡がっていて死者まで出ています。しかも該当の神奈川県の80代女性は不調を訴えながら渡航歴がないことを理由にウイルス検査は行われていなかったとか・国立感染症研究所の人手と予算の制約から1日300人しか検査できないそうですが嘘っぱちです。SARSの時のように民間製薬会社提供の検査キットを配布して対応すれば簡単に能力を増やせるのに、金の出し惜しみをしているんですね。

前エントリーの時点より多くの情報が明らかになり、政府の対応に内外から批判の声が上がっております。既に日本は感染地域とされて渡航制限を課す国も現れましたし、ダイヤモンドプリンセス号の対応の迷走に業を煮やしたアメリカは、乗船中のアメリカ人の帰国のためにチャーター便を仕立てており、流石に日本政府も対応を見直さざるを得なくなりました。感染症対策はれっきとした安全保障問題であり、グローバル化でいつ起きてもおかしくない状況なのに、まともな対応ができないってのは、これまでも山梨の豪雪、熊本地震、西日本豪雨、昨年の台風などいずれも初動の失敗で対応が後手に回った訳ですが、安倍政権はよほど危機管理が苦手らしいです。これ非常時のロジステイックス問題ですから、9条を改正して軍隊を持っても、まともに動かせず負け戦必至です。

東京オリパラに関してはおそらくIOCが中止を判断することはないでしょうけど、感染が収束しなければ無観客試合となる可能性はあります。米NOBCの放映軽量が入ればIOCは潤いますが、開催コストを負担する東京都は大赤字で何のためのオリパラか?それがどうも変な感じに。

新潟・南魚沼で少雪、五輪の暑さ対策ピンチ:日本経済新聞
問題視される東京オリパラの暑さ対策として豪雪地帯の南魚沼の雪を使う計画が暖冬による雪不足で狂いが生じています。何だかどんどん漫画チックになっているような気が\_^;。

一方前エントリーで指摘したように、中国では既にウイーチャットを用いた遠隔診断が行われているとか。これを実現するためにはおびただしい数の画像サンプルをAIに学習させる必要がありますが、医師会の反対で電子カルテによる診療データ共有すらできない日本のなんと遅れていることか。新型肺炎のような感染症診断は特に感染者と医師の接触が避けられるだけに重要です。これガラパゴス・スモールブラザーズに加えたいですね。加えて後れを取っているのは対中国だけじゃありません。

英フィンテック、手数料変革迫る 送金・外貨両替で:日本経済新聞
英国がBrexitで強気な理由の1つがこれです。元々大手銀行の寡占で手数料がバカ高かった英国では、国の法律で銀行にフィンテック企業へのAPI公開を義務付けたことで、フィンテックで世界をリードしています。API公開とは、銀行が保有する決済などのシステムへのアクセス制限を課しているため、フィンテック企業はユーザーの委託で口座へアクセスするのにユーザーからパスワードの通知を受けて行う訳ですが、当然セキュリティが甘いとハックされて外部流出して結果的に不正アクセスにつながる訳ですが、フィンテック企業に直接アクセス権を与えて限定的にユーザーの代理人としての権限を与えれば、問題を回避できます。ユーザーは銀行窓口へ出向くことなく振り込みや海外送金などのサービスを受けられ、競争環境で手数料も割安になるということになります。

ただしこれマイナス金利で青息吐息の日本の銀行はなかなかAPI公開を認めず、国内フィンテック企業が育ちません。そこへ英国フィンテック企業が黒船として襲来するって話です。ただしガラパゴス・スモールブラザーズで指摘したNTTデータの通信網の独占問題が絡みますので、簡単ではありませんが、公正取引委員会が調査を始めており、結果如何では風穴が開く可能性はあります。

そのときに力を持った英国勢に国内フィンテック企業た太刀打ちできるかって問題はあります。またやむを得ない部分ですが、COBOLで記述された基幹業務システムを維持改良しながらセキュリティ対策を取る銀行システムの維持費が高止まりしていることも問題なんですが、さりとてコストダウンのためにクラウドに乗り換えることが簡単にできない悩みもありますし、みずほのシステム統合でトラブったように、特に経営統合機運が強まる地方銀行にとっては頭の痛い問題です。で、基幹業務システム問題は実はJRにも頭の痛い問題でもあります。

タッチしやすい改札機 JR東、新宿駅などで実証実験:日本経済新聞
JR東日本が首都圏で自動改札機を本格導入したのが1990年ですが、この時点でSuicaの開発計画が進行中だったこともあり、10年後をめどにSuica対応機が開発され予定通り更新されました。2010年にはマイナーチェンジ版の現行モデルに交換されてはや10年。次世代モデルを新宿と高輪ゲートウエイ駅で試験導入してテストを行うというものです。

目玉はQRコード読み取り装置を装備してQRコード決済のテストを行うものですが、Felicaシステムはコイルによる電磁誘導の仕組みを使って無電源で瞬時に読み取りが可能なのに対し、QRコードは光学的に読み取って変換する関係で動作に遅延が生じるため、特に混雑する首都圏の駅では動作に問題がないかどうかを慎重に見極める必要があります。加えてユーザーがスマホを操作してアプリを立ち上げる必要があり、混雑する駅で混乱しないかも見極める必要があります。ただしSuicaであれQRコードであれ、固有のID番号を読み取って処理する部分に違いはありません。

とするとQRコード導入の意図は何かってことになりますが、1つは将来的に磁気券の廃止を視野に入れているのでしょう。既に航空の搭乗口では搭乗券をスマホへダウンルードするか紙にQRコードを印刷してゲートの読み取り口にかざす形になっており磁気券の搭乗券は過去のものになっています。となると駅の自動券売機が空港の自動チェックイン機のような形になってユーザーのスマホにダウンロードされる形が考えられます。メリットとしては情報量を盛り込めますから新幹線を含む特急券などとのセット券も簡単に対応できますから、Suicaより汎用性が高まります。

2つ目はローカル線のチケットレス化が低コストで可能になる点でしょうか。ローカル線の場合首都圏のような混雑はあまり考える必要がなく、また読み取り機とクラウドで簡単にシステムが構築できるなどコスト面で有利ということもあります。ただしこれはSuicaの裏側で動く鉄道の基幹業務システムとは異質のシステムなので、ローカル私鉄が単独で導入するならともかく、JRが導入する場合は現行の基幹業務システムとの整合性が問われることになります。JRにとっては構築してきた基幹業務システムを簡単に変更できないだけに、悩みの種になるでしょう。

一方、MaaSを視野に入れると、戸口から駅、駅から戸口のラストマイル輸送との連携でSuica対応はコスト面で課題がありますから、それを睨むとQRコードシステムに優位性がある訳で、両者をどう繋ぐかは大きな課題です。銀行とフィンテックの関係に似た構図が見えてきます。

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Sunday, December 08, 2019

AI→上を、ククッ

桜を見る会問題、政府与党は逃げ切ったと考えているようですが、寧ろ疑惑を増してます。さっさと名簿提出して幕引きすりゃ済むところを、公文書廃棄など証拠隠滅を疑わせることすりゃ寧ろ疑われるってことですね。ホントつけるクスリ無いわ。始まる前から批判してきた現政権がなかなか終わらないのは支えるサクラがいるからってことで、サクラを可視化したという意味では名は体を表してるwww。# そういうこと言わない

デジタル公文書の扱い課題 「桜を見る会」で浮上:日本経済新聞
シンクライアントって結局サーバーにデータは残るしバックアップも取られてるから簡単に消去もできないんだけど、苦し紛れに「バックアップデータは公文書に非ず」という珍説まで出てくる始末。こりゃ日本がハイテク分野で米中韓に後れを取るの無理もないわ。で、これ。
日本の15歳「読解力」15位に後退 デジタル活用進まず:日本経済新聞
「教育改革」と称して散々制度を弄り倒してこの結果ですが、読解力って、自然言語の処理能力と見れば最も人工知能(AI)が苦手な分野であり、AI時代に最も必要とされるスキルなのにこれですから、日本の未来は大丈夫か?SNSの普及で本や新聞を読まない若者が増えていると言われますが,まあ政府がこんなじゃ無理もないか。

AIに関しては様々な誤解があるようですが、単に取得したデータを基にパラメータを書き換えるプログラムってだけの話で、以前なら時間がかかって使えないレベルだったのが、ムーアの法則でハードの性能が著しく改善された結果可能になったってだけの話です。これ人間が行うトライ&エラーを機械にやらせようって話ですから、コンピュータは間違えないという前提が無くなるってことでもあります。

昔は手書きの表で縦計横計を電卓叩いて検算してたけど、エクセルで作った表でそれやる人はいません。AIって間違えるコンピュータって乱暴な整理も可能です^_^;。そんなAIに付き合う人間は、文脈に沿ってツッコミを入れられるか?という能力が問われる訳で、そこを鍛えないと将来確実にAIに仕事を奪われる側になるってことです。AIの上を行くアイウエオが大事^_^;。この観点から言えばドライバレスの自動運転は簡単ではないってことがわかります。JR東日本が山手線で実現を目指してますが、鉄道の場合少なくとも障害物の線路内侵入を防ぐ物理的対策が別途必要でしょう。

あと現在のコンピュータは基本的に複雑な計算も足し算引き算で対応している訳で、2掛ける3は2+2+2と計算する訳ですが、人間の脳の処理能力より早いのでこれで問題ないんですが、当然複雑な計算になるとそれなりに時間がかかります。人間は処理能力を節約するために九九という形で掛け算のデータベースを保持して対応している訳で、更に複雑な計算に対応するために様々なツールを場合場合で使い分けることで対応している訳です。こう考えるとコンピュータって案外バカってことです。これは人間がそういう特性を知った上でうまく使いこなすことが重要ってことです。

つまり教育の基本は読み書き算盤。アイウエオと九九が基本ってことです。

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Saturday, November 30, 2019

ガラパゴス・スモールブラザーズ

ただでさえ忙しい月末の新線開業ですが、結構な人が出てました。そして羽沢横浜国大駅に難民多数wwwww。人が住んでる羽沢団地からも横浜国大からも遠く、JR羽沢貨物駅と横浜環状2号線に挟まれていて、民家も疎らな新駅に大勢の人がいたのには笑いました。直近コンビニ1km、既存路線の最寄り駅は相鉄上星川と市営地下鉄三ツ沢上町ですが、どちらもろくな道がない。そして毎時2本の列車本数ですから、試しに降りたはいいけれど、やることなくてホームで電車待ちを余儀なくされた人多数ってことですね。

新たな都心ルートを得て沿線活性化につなげたい相鉄はこれからが正念場ですが、JR東日本との相互直通は貨物幹線の東海道貨物線の線路容量の制約から本数増は見込めず、22年に予定される新横浜経由の東急東横線・目黒線との直通が始まれば列車本数は増えますが、都心側が3ルートに分かれますから、個々のルートの本数の少なさは大きな制約条件になりそうです。面白いのは親会社の相鉄HDの筆頭株主の小田急電鉄とは競合することですね。日本の鉄道会社って必ずしも資本の論理で動いていません。

そんな日本でこんな経営統合が発表されました。

ヤフーとLINE統合 「米中に次ぐ第三極に」:日本経済新聞
いや第三極は無理。時価総額100億円超のGAFAやBATを向こうに回してせいぜい時価総額3兆円の企業連合で何ができるのか?まともな勝負にはなりません。唯一可能性があるのは国内のガリバーになることです。何しろ最強の非関税障壁(笑)、日本語がありますから^_^;。つまり楽天やメルカリからは頭1つ抜け出せるとしてもそこまでです。これビッグブラザーならぬスモールブラザーにはなれるかもしれないってことです。但し英語が公用語にならないことが前提ですが。

この辺古代の曽我氏と物部氏の争いに始まり、天皇の地位を争った壬申の乱や平安末期の源平合戦、鎌倉幕府に対する朝廷の巻き返しを図った承久の乱、室町初期の南北朝、天下分け目の関ヶ原の戦いなど、世界とは無関係に国内で争った歴史を繰り返しているようで興味深いところです。いにしえの東夷の小帝国と現代の極東の先進国。世界の端っこだからという地政学的な特徴なんでしょう。

ただしそんな日本も世界の影響は受けてるし、逆に世界に影響を与えてもいるのですが、その点に無自覚なのも昔から変わらないようです。そんなニュースを幾つか。

外資規制強化、株1%以上に届け出義務 外為法改正へ:日本経済新聞

欧米ではやっていると説明されてますが、外資の出資事前規制はほぼ例がありません。加えて出資比率1%は有価証券報告書提出義務のラインなので、欧米の投資ファンドが締め出されるか?と反応してます。株式市場の7割は外国勢という東京市場ですから、当然の反応ですね。外資が引き揚げたら株価下がるぞ。
キャッシュレス、少額・コンビニ中心 政策目的とずれ  ポイント還元制度1万人調査 :日本経済新聞
消費税増税に絡めてポイント還元を政府が支援することでキャッシュレス決済を中小零細事業者に普及させようとしたところ、実際の利用はコンビニ中心という結果です。これ予想してたんですが、日本でキャッシュレス決済が普及しない最大の理由は店が負担する手数料の高さなんですが、これアメリカなどではクレジット会社が直接展開している決済ネットワークを日本ではほぼNTTデータが独占的に供給していて、高い手数料を利用企業に課していることが根底にあります。

上記のヤフーとラインの経営統合でQRコード決済サービスの統合も噂されますが、結局根元の部分の利権に切り込まなきゃ解決しません。アリババのアリペイの場合、元々中国国内の中小零細企業向けのECサービスを展開していたアリババが、参加企業の利便性向上のために開発したものが、使い勝手の良さで爆発的に普及したもので、政府の関与がほとんどないからできたこと。逆に国策会社の利権が温存されてる日本ではそうならない訳です。この場合NTTデータもスモールブラザーと言えるかもしれません。そしてこれ。

再生エネ、送電網使えず 東日本で5割「空きなし」:日本経済新聞
関電問題のエントリーで指摘しましたが、原発のような大規模電源を保有する電力会社に送電網を管理させれば、大規模電源はダウンした時のバックアップ電源を必要としますから、それを大出力火力で充てている体制では、結局双方の電力の合計が先発枠として抑えられてますから、利用率50%といった非効率な事が起きる訳です。分散電源ならば一部が停止しても全体でバックアップ可能なんで、送電線の容量に無駄が無くなる訳ですね。世界の趨勢は完全にこれです。いやーガラパゴスなスモールブラザー達です-_-;。おまけ。
手数料ゼロが招く歪み 証券会社と高速取引業者の蜜月:日本経済新聞
個人投資家の注文情報が株式の高速取引業者(HFT)に漏れてたって問題です。何が問題かと言えば、個人の指値注文を見て先回りができるから、個人投資家にとっては利益を横取りされることになる訳です。ネット証券の普及で手数料の値引き合戦で証券会社は収入が取れないから、HFTに情報を売っていたってことです。個人投資家がおかしいと声をあげて発覚しました。何ともセコいディストピア。スモールブラザーズの末席に置いときます。

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Sunday, November 17, 2019

空飛ぶ都営交通

つーてもドローンじゃなくてこっちね。

日本最古のモノレール休止、11月から 上野動物園:日本経済新聞
上野と言えば桜の名所として有名ですが、今なんだか桜を見る会を巡って政治スキャンダルになってますね。舞台は新宿御苑ですが、公私混同極まれりですね。安倍政権のサクラを釣る会よろしく不都合な事実が明るみに出て、また下手な言い訳するからドツボにはまりつつあります。これモリカケとかと違ってわかりやすいし、何より食い物の恨みでバスティーユ襲撃からフランス革命がおっ始まったように、国民の怒りを買ってますね。いよいよ安倍政権もおしまいかな。

おっと本題^_^;。1957開業の上野公園モノレールですが、戦後のモータリゼーションで自動車が増えて渋滞が日常化し、路面交通の都電や都バスを運行する都交通局がその対策として、当時世界で唯一営業運行されていた西ドイツ、ブッパータール市の懸垂電車に注目したのが始まりです。ブッパータールの懸垂電車はランゲン式と称する懸垂式モノレールで、ブッパー川に沿う狭隘な市街地の都市交通として川の上空に建設されたものです。

鉄製トラス桁の上面にレールを固定し、両フランジの鉄車輪で支持、駆動、案内するシステムで、片側側面からアームを出して車体を吊る左右非対称の珍しい構造です。アームは台車にピンで固定され曲線通過時に自然に傾斜して遠心力を吸収する振り子構造になっており、スムーズな曲線走行が可能などの利点があります。

一方片持ち式の懸垂システムですから、走行桁の支柱はアームの反対側にしか作れないため、複線で中央に支柱を置いて左右に走行桁を配する形になり、折り返しはループが必要ですし、分岐は桁を平行移動させる大掛かりなものになりますから、複雑な路線ネットワークの構築には向かないですが、戦後地下鉄建設が交通営団によって再開され、いずれ地下鉄網が出来るとしても、地下鉄が必要なほどの需要が見込めないところを補完する輸送システムとして都は考えていました。今なら舎人ライナーのようなAGTの役割ですね。

都は都電の製造で縁があった日本車両製造と共同開発で、ランゲン式をベースに軌道桁を箱型鋼材とし、騒音対策で上面走行輪をゴムタイヤにして桁を挟み込む水平の案内輪で案内するシステムを開発しました。一方上野動物園の拡張が決まり中央通りから不忍通りへ抜ける都電の新設軌道を越えたところに西園を作ることになり、東縁と西園を結ぶ公共交通機関として実現されたものです。僅か300mの短距離で車体は小ぶりですが、走り装置は本格的で力の入ったものでした。

東京都がここまで本気になった理由は都交通局が置かれていた状況からみると理解できます。1938年施行の陸上交通事業統制法で東京市と周辺地域が指定地域となり、大まかには旧東京市域の路面交通は東京市、地下鉄は別途設立の帝都高速度交通営団、郊外は常磐線、東北線、中央線を境とする4ブロックに分けて統合するという方針が示されました。その結果東京地下鉄道と東京高速鉄道の2社は地下鉄を営団に現物出資する一方、東京地下鉄道傘下の円太郎バスと城東電気軌道は東京市へ譲渡されて、円太郎バスは市営の青バスと統合され、城東電軌は市電のネットワークに組み込まれます。

同法で東京横浜電鉄は既に傘下に収めていた京浜電気鉄道と小田急電鉄を統合して東京急行電鉄とし、遅れて京王電気鉄道を統合して所謂大東急を形成しますが、戦後トップの五島慶太が公職追放されると、被統合各社から分離独立の機運が生まれ、京王帝都電鉄、小田急電鉄、京浜急行電鉄が分離独立を果たします。

一方東京の地下鉄は営団による独占が維持されます。営団は財政投融資資金の受け皿として潤沢な資金を得て、丸ノ内線に始まる戦後の地下鉄建設を担いますが、大東急分離に見られるように、陸上交通事業統制法を戦時立法として見直すべきという機運が生まれ、私鉄各社は都心直通線の免許申請を一斉に行います。

東武鉄道:北千住―新橋
京成電鉄:押上―有楽町(後に八重洲通へ変更)
京王帝都電鉄:新宿―両国、神楽坂―京成上野、新宿―富士見ヶ丘
小田急電鉄:南新宿(後に参宮橋に変更)―東京
東京急行電鉄:中目黒―東京、目黒―広尾、渋谷―新宿
京浜急行電鉄:品川―八重洲通
他方東京都は独自に都市高速鉄道5路線を都市計画決定し、都交通局の地下鉄参入の要望を出します。
1号線:西馬込/品川―押上
2号線:祐天寺―北千住
3号線:大橋―浅草
4号線:富士見町―向原
5号線:中野―東陽町、下板橋―神田橋
事態を収拾するために当時の運輸省は有識者を集めて都市交通審議会を立ち上げ、その1号答申が1956年に出されます。その中で都の都市計画を追認する一方、地下鉄と郊外電鉄との相互直通を示唆し、1号線は京成、京急と、2号線は東急、東武との相互直通が想定されました。また地下鉄の事業主体として営団以外の参入を認め、1号線を東京都、2,4号線を営団という当面の分担を示唆します。

加えて2号線の東急との接点を中目黒に変更し、実質銀座線の延伸となる渋谷以西の3号線は東急が渋谷―二子玉川園間に銀座線規格の新線を建設し相互直通するとされました。また1号線の泉岳寺―品川間は都に対して京急が自前整備を希望し押し切りました。地下鉄建設は大きな資金と時間を要するため、営団単独では整備が進まないことから導き出された解ですが、東京の地下鉄の骨格が決まった訳です。

懸案の地下鉄参入が認められた東京都ですが、本当は大東急解体に倣って戦時体制見直しで営団を解体して東京都が引き継ぐことを想定していたのですが、そうはなりませんでした。これ戦前やはり東京市が都市計画に基づいて地下鉄整備を打ち出し、免許取得までしながら関東大震災の復興などで財政難から断念し、民間の東京高速鉄道(東横電鉄系とは別法人で後に小田原急行鉄道に化ける会社)へ免許譲渡してしまう一方、純民間資金で東京地下鉄道が開業したことで、東京市→東京都に対する不信感を当時の運輸省は持っていたと見られます。

さてそうなると、地下鉄建設のための自前資金を捻出しなければなりませんから、メーカーと共同で開発したモノレールの整備は後回しにせざるを得ませんし、それに留まらず保有資産の売却も余儀なくされます。その結果車庫や変電所などの固定施設を多数保有する都電を廃止してバスに代替するのが最も手っ取り早い訳です。つまり都営地下鉄の参入が決まったことで、都電の廃止は避けられなくなったってことです。

加えて上野公園モノレールは折角のシステム開発が活かされず取り残されます。そして設備の老朽化で車両を含む更新を繰り返しながら生き延びますが、運休機関の東園と西園の往来の便宜のために、モノレールに沿って恒久施設としての歩道橋が整備され、実質的な存在意義を失いますが、手軽な園内アトラクションとしての人気に支えられ、更新を重ね車両も4代目になりましたが、老朽化で突発的な運休もあり、日本車両製造に更新費用の見積りを依頼したところ、18億円となり、とても無理ってことで、休止が決まりました。量産に至らなかった究極の一点もので補充部品も特注じゃ維持は困難です。

尚、東京の地下鉄整備の歴史過程の影響で未だにメトロと都営の並立は続いている訳ですが、例えば美濃部都政時代にも都営による地下鉄一元化論が言われ、その時期の整備された都営新宿線と半蔵門線の九段下のバカの壁問題には工事を請け負った東京都の先走りの意図が見えます。

時代は下ってTBSによる地下鉄一元化報道東京メトロの上場を巡る都と国の駆け引きにも尾を引きます。ユーザー視点で言えば欧州で一般的な運輸連合方式による運賃共通化が出来れば良いんで、いい加減この枠組みから脱却してほしいところです。ちなみにやはり2事業体に分かれていた韓国ソウルの地下鉄では運賃統合を実現しています。東京はソウル以下ですね。

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Sunday, November 03, 2019

デジタル経済はビッグブラザーの夢を見る?

FCAとPSAが経営統合することになりました。車メーカーの合従連衡は続きますが、FCAは元々ルノーとの統合を希望してました。欧州では強いけど北米南米で弱いルノーにとっては渡りに船ですが、FCAは口には出さないけど量産EVを持つ日産とのアライアンスも睨んでいたことは間違いないでしょう。加えて弱いアジア市場の相互補完もあるし。

しかしルノーに対するフランス政府の干渉に辟易して断念。加えて日産が経営統合のルノー取締役会の評決を棄権したことも断念の理由となりました。日産はこれをルノーとの資本関係見直しのための交渉カードにしようとしました。おそらく元経産審議官の豊田正和氏が描いたシナリオでしょうけど、無駄になりました。つまり政府の干渉を受けたルノーと日産の双方が袖にされたってことです。また新経営陣もルノーとの関係が深いけどゴーン氏の息がかかっていない顔ぶれで、結局ルノーの意向に沿ったものになりました。そんな中で西川前社長が毎日出勤してあれこれ意見して院政を敷こうとしているとか。豊田氏が後押ししているようです。こんなこっちゃ日産は東芝の轍を踏むでしょうね。残念だけど。

自動車と共に変化の予兆があるのがIT関連企業です。特にGAFAと言われる巨大プラットホーム企業への逆風が吹き始めてます。元々個人情報保護に厳しいEUはGDPRで規制の網をかけましたし、アメリカでも独占の弊害が認識され分割論まで出てきている現状です。おそらく大恐慌時代にグラス・スティーガル法で商業銀行と投資銀行を分離してJPモルガンとモルガン・スタンレーが分離したような変化が始まる可能性はあります、元々自由度の高かった金融が規制業種になった経緯をなぞる可能性はあります。

笑い話なんですが、トランプ大統領がリーマンショックを受けてオバマ政権で規制強化された金融部門の規制緩和をぶち上げたら、金融企業幹部たちは「アマゾンが参入するからやめてくれ」と言ったとか言わないとか。今や大銀行よりも力を得た巨大IT企業の現実があります。銀行も低金利で利ザヤが稼げないから弱っている訳ですが。

例えばアマゾンのレコメンデーション・システムではユーザーの購買履歴を分析して推奨品を提案しますが、マッチングが重視されるので、提案される価格がユーザーごとに異なっていてもわからないです。つまりこのユーザーならこのジャンルの商品が高くても購買につながるという形でプレミアムを付けていてもわからないシステムです。これの意味するところは消費者余剰の搾取なんですよね。

標準的なミクロ経済理論では、価格と効用で説明されますが、効用は需要側がその商品に支払っても良いと考える価格と言い換えられます。それが実際の市場価格との比較で購買につながったりつながらなかったりする訳です。商品に高い値付けをするユーザーは少数で多数派は安い価格を望みますから、需要曲線は右肩下がりになる訳です。

一方供給曲線は売れる価格が高いほど供給側にインセンティブが働いて市場投入量を増やしますから供給曲線は右肩上がりになり、両者の好転が市場の均衡価格となります。そして市場の条件が同じなら均衡価格は一意に決まりますから一物一価が成り立つわけです。市場が開かれていて情報の非対称性が存在しないことを前提にすれば、ユーザーが均衡点以上の効用を認める限り、所謂お値打ち感を味わい顧客満足が得られます。逆に均衡点以下の効用しか認めないユーザーは購買しないから不満はない訳です。

しかしレコメンデーションでプレミアムがつけられていれば、この消費者余剰は売り手の超過利潤に化けるわけですね。つまり公開市場ならより安価に購買できた商品が割高になる訳で、それだけ売り手は儲けが大きくなる訳です。つまりシステムをブラックボックス化することで、情報の非対称性を作り出し、市場の失敗を実現する訳です。更にIoTで商品自体がオーダーメードになると、ますます公開市場の均衡価格が曖昧になり、情報の非対称性は拡大します。一方売り手は注文を受けてから商品を手配すれば良いから、在庫を持たずに済みますから、低リスクで超過利潤を得られます。この辺気付いている人はまだ少ないと思いますが。見方を変えればデジタル計画経済じゃないかと。AI”ビッグブラザー”が統治するディストピアかも。

実は交通の世界でも航空や都市間バスの分野ではダイナミックプライシングと呼ばれて実装が始まってます。利用日の相当前から予約を受け付け、予約の入込を見ながら価格を変動させるものですが、逆に予約を誘発するための大胆な割引運賃で訴求して選に漏れた人にやや高い価格ならまだ空きがありますと誘導したりといったことも可能になります。つまり安値狙いのバーゲンハンターを釣ってサクラにするというと言い過ぎかもしれませんが、輸送キャリアがその中身を公開することはないですからわかりません。その辺を踏まえてのこのニュース。

JR東日本、首都圏で年内にもMaaS導入へ:日本経済新聞
詳細は不明なので、現時点での評価は難しいですが、恐らく地域限定でタクシーやレンタサイクルと連携したサービスを始めるということでしょう。おそらくサブスクリプションのイメージなんでしょうけど、定額で一定回数のサービスが受けられるというものから始めて、定着してきたら内容に多様性を持たせユーザーに選択させるという形になるんじゃないかと思います。

サービス内容と価格の見合いになりますが、ユーザー獲得のために戦略的な低価格を提示する可能性はあります。一番の狙いはユーザーの利用履歴の取得じゃないかと睨んでおります。というのも、JR東日本はSuicaの利用履歴データをユーザーに無断で外販して提供していたことが発覚し、謝罪に追い込まれたことがあります。2013年7月25日に謝罪と共にユーザーに除外手続きを呼びかけましたが、これも関連会社経由の受付で不透明と批判を浴び、利用履歴データの活用は足踏みしています。MaaSで新たに会員募集するなら、利用規約に履歴の活用の許諾を条件にすることで、これを突破しようと考えても不思議ではありません。

もちろんそれだけあ理由ではなく、東京でもドライバー不足でフィーダー輸送を担うバスの減便が始まっており、また20年代には東京も人口減少に転じると見られており、鉄道事業者もラストマイルの集客を自前でやらなければならない時代が訪れる訳です。この面でも先手を打とうということでしょう。

しかし他社が追随した時にサービスが輻輳してますます複雑になり、ユーザー側から見て情報の非対称性が拡大する可能性はあります。それが複数事業者間の健全な競争となって整理淘汰を経て落ち着くなら悪くはありませんが、逆に鉄道各社の関連事業を絡めて複雑化が進む可能性もあります。この辺ユーザー側の目利きも問われます。

MaaS先進地域は圧倒的に欧州ですが、これは都市圏の運輸連合による共通運賃制が下敷きになっており、地域限定のプラットフォーマーの役割をしていることが大きいと言えます。この場合運賃自体は市場価格ではありませんが、公定価格がサービスの良否を図る公開情報として機能しているから、不透明感を持たれず実行できるってことなんでしょう。そう考えると事業者単位のMaaSより前に共通運賃制の実現があった方がユーザーには望ましいと言えますが、メトロと都営地下鉄の運賃共通化すらままならない現状では望み薄ですね。

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