都市交通

Sunday, April 02, 2017

JR30周年で国鉄は遠く

JR30周年となったわけですが、つまり国鉄を知らない世代が既に社会人になっているというわけで、そもそも国鉄改革とは何だったのかを知らない人が増えているということでもあります。しかもその30年はスタートがバブル期に重なって好調だった一方、バブル崩壊後の経済停滞で社会はすっかり様変わりしておりますが、上場を果たした本州3社とJR九州に対して、JR北海道は存続の危機とも言える状況に直面しており、JR四国も時間の問題という現状です。

その一方でJR貨物の黒字化で上場が視野に入るという、なんともわかりにくい状況ですが、JR発足以後の日本経済の激変を考えれば、これまでの30年の延長上に未来は描けないのはある意味自明です。加えて言えばバブル期以降の日本を特徴づけるのは低金利ってことです。これ上場して資金調達力を増した本州3社にとっては追い風の一方、経営安定基金の運用益で赤字穴埋めという枠組みの三島会社にとっては逆風になるわけで、その中でJR九州だけが上場にこぎつけた最大の理由は、JR発足後に完成し引き渡された青函トンネルと瀬戸大橋を抱えるJR北海道とJR四国に対して、追加的な負債が発生しなかったってこともあります。

リース料負担のある整備新幹線としての九州新幹線も、経営安定基金取り崩しで一括支払いしており、短期的な負担が北海道や四国より軽いことが指摘できます。ただし長崎ルートは需要面からもお荷物になる可能性があります。加えて経営安定基金の残りで上場前の減損処理で資産圧縮してますから、今後の鉄道事業の設備投資の原資は細くなっており、人口減少でJR北海道と同じ問題はJR九州でも起こり得ます。

本州3社についてもそれぞれリスクを抱えています。業績好調でリニア建設に入れ込むJR東海は、そのリニアがリスク要因です。過去にも何度の指摘しておりますが、リニア単体では赤字の投資であり、しかも人口減少で人手不足が顕在化する中で、労働需給による事業費の上振れは避けられないところですし、加えて南アルプスを青函トンネルより長い長大トンネルで抜ける難工事です。トンネル工事で地下水脈にぶち当たれば国鉄時代の上越新幹線中山トンネルや福岡市営地下鉄七隈線のような水没事故も起こりかねません。

JR東日本や西日本にとっても人口減少による地方線区の維持の困難さは今後も拡大するでしょう。JR東日本では仙石線や常磐線のほか、水害で橋梁が流された只見線や土砂崩れの山田線など災害復旧で課題を抱えています。JR東海の名松線の復旧とJR可部線の廃止区間の一部復活などはありますが、前者は三重県と津市の治山治水事業の進捗に合わせての復活ですし、後者は市街化が進んでいたものの、廃止時点で非電化だったために、電化工事までして残す選択肢は事実上なかったわけで、住民運動が広島市を動かし、それに呼応して鉄道用地の原状回復や売却を留まったJR西日本の間で建設的な対話が実現したことによります。その意味で窮地に立つJR北海道に対する道庁や関連自治体の対応はちょっと残念です。

それでもJR北海道に関しては、JR九州が先鞭をつけた経営安定9基金取り崩しという奥の手は残っています。ただし使途は重要で、要員不足で保守が困難な状況を脱するには、省力化投資が欠かせませんが、JR北海道の経営力強化の意味で、現状の鉄路をそっくり残すことはあきらめるしかないでしょう。具体的には保守負担の大きいディーゼル車を減らすための電化と、保守負担を減らすための軌道強化などですが、JR北海道が自前で残す区間に限定すべきでしょう。そうすれば経営安定基金を取り崩しても償却資産が増える分、キャッシュフローの改善につながりますから、JR九州の新幹線リース料一括支払いより筋の良い取り崩し方になります。JR九州で認めた以上認めないわけにはいきますまい。とすれば石勝線・根室本線の南千歳―帯広間が電化されて、保守が容易な電気車両への置き換えが進むことになります。そしてこの手は将来JR四国の経営が行き詰ったときにも使える手でもあります。

で、残りの区間に関しては自治体出資で線路保有を肩代わりするか、受け皿三セクへの譲渡とするか、あるいは地元バス事業者を巻き込んだバス転換かといった対策を路線や区間毎に自治体と話し合って決めていくしかないでしょう。受け皿三セクに関しては、輸送量次第で肥薩オレンジ鉄道のようにJR貨物の出資もあり得ます。宗谷本線に関してはロシア政府が興味を持つかもwwwww。いずれにしても自治体の対応次第です。名松線も可部線も自治体が動いて復活を果たしたわけですから。逆に自治体との協議を重ね社会実験までして廃止止む無しとなった三江線の例も珍しいものとは言えなくなるでしょう。

ま、いずれにしても人口減少の影響は今は好調な本州3社も安泰ではないわけで、北陸新幹線に入れ込むJR西日本は正直大丈夫か?とも思います。この点は」JR東日本が絡む整備新幹線計画がほぼ完成し、JR東日本のとっては成長分野となったのとは異なります。元々JR東日本も整備新幹線区間単体よりも、既存区間である根本部分の需要増が狙いだったわけで、わざわざ線路を曲げてまで小浜、京田辺経由で新幹線を作るのは意味不明です。加えてJR西日本には新たなリスクの種も。

なにわ筋線30年開通 JR・南海運行、新駅以北は阪急交え協議  :日本経済新聞
なにわ筋線に関しては、大阪維新の目玉政策としての関西空港重視の文脈で、関西財界も乗り気なようですが、今回は阪急も事業参加を申し出て、よくわからない状況になっております。

元々阪急はなにわ筋連絡線構想として十三―梅田北新駅間の路線構想を持っておりましたし、古くから新大阪連絡線として淡路―新大阪―十三間と新大阪―神崎川間の免許を取得し、新大阪駅隣接地に駅用地としてとちをしゅとくしていて、高速バスターミナルや路線バス操車場として使ってたわけですが、紆余曲折を経て十三―新大阪間を除いて免許失効しており、十三―新大阪間も、四つ橋線の十三延伸線と相互直通が計画されていましたが、大阪市営地下鉄の民営化が決まって民営化後に負担となる追加投資が頓挫したことが影響しているようです。てことで大阪部、。大阪市、JR西日本、南海電気鉄道に加えて阪急電鉄も加わる五者協議が始まるそうですが、元々JRと南海の呉越同舟に加えて唯我独尊の阪急が加わるとなると、協議がすんなり進むとは考えにくいところです。

なにわ筋線に関しては、中之島で連絡する京阪電気鉄道も期待しているようです。肝心の大阪維新ですが森友学園問題でもちぐはぐな対応が見られますし、四つ橋線延伸計画を反故にするなど本気度には疑問符が付きます。とはいえJR西日本の単独事業とするには投資額が大きいわけで、新幹線のみならず、コアコンピタンスと見做せる関西アーバンネットワークでの私鉄との相乗りは、JR西日本の難しい立ち位置を示しているとも言えます。

てことで、めでたいようなめでたくないようなJR30周年ではあります。

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Saturday, January 07, 2017

タックス・ウォーが始まる

トランプ劇場は年を越えて続いておりますが、就任前からこれほど楽しませてくれる、もとい^_^;話題の多い米大統領は稀有の存在です。ま、歳も改まりましたし、今年の展墓ぷらしきことを書いとくか。まずはこれ。

初夢トランプ占い(5)税制 法人税下げ競争 再燃 規制緩和は国内優先か :日本経済新聞
天下の日経新聞が良くもこんな恥ずかしい記事を載せるなあ。トランプ税制に関して幾つか断片的な情報は耳に入りますが、それを理解してイメージを構成する力量が日経に記者にはないようです。簡単に言えば予告されている法人税減税の中身が、単なる税率下げではないってことです。いやこれアメリカに限らず、欧州やアジアで法人税減税を競い合うような状況はあるんですが、自国の税収を減らすことが簡単にできないことぐらいわかりそうなもの。税収中立の原則に従って税制そのものを見直しているんですが、日経を含め日本のメディアではその部分がすっぽり抜けていて、税率だけを比べるような表層的な報道ばかりです。

アメリカでも直近の歴代政権はほぼ例外なく法人税減税の論点整理をしており、子ブッシュ政権時代にはスウェーデンなどの法人付加価値税まで俎上に載せられましたが、主に議会のねじれがあり、また保守、リベラルを問わず議員がロビー活動に晒される中、結局実現しませんでした。しかし論点の掘り下げ作業そのものは行われているので、トランプ氏のようなぽっと出の大統領でもまともなプランをまとめられるし、議会を説得できれば実現可能性はそれなりにあります。幸いというか、大統領選と同時に行われた議会選挙で共和党が上下両院で過半数を占めており、加えて中身次第で民主党議員の賛同も得られる可能性のあるプランならば議会を通る公算はあります。

で、トランプ氏のこれまでの主張から敷衍して、トランプ氏が狙うのは国内産業の復活であって、ある意味わかりやすいですし、加えてアップルやスターバックスで問題になったアメリカ企業の租税回避策をやめさせることです。ブッシュ政権時代の対テロ戦争で資金源を断つ目的で規制強化して、例えばマカオのバンコ・デルタ・アジアの北朝鮮関連の預金を封鎖して金正日政権に打撃を与えたりしたわけですが、その流れでマネーロンダリングの拠点としてのタックスヘイブンの金融機関にアメリカ国籍の個人と企業の口座情報開示を迫り、見える化されたことで、アップルやスタバの租税回避まで明るみに出たわけです。あと例のパナマ文書のリークですが、これがいろいろ謎な部分がありまして、中国接近を狙うイギリスへの牽制のほか、プーチンや習近平の身内や知人、アイスランドの現職首相などの個人名が晒されましたが、いずれも当時のオバマ政権と対立したり意に添わなかったりする人物ばかりというところに政治的な意図が見え隠れします。ただしこれが英国民にBrexitを決断させた可能性もありますが。

てなドロドロの状況で、漏れ聞こえるトランプ税制では、法人税率が35%から20%になるとか、キャッシュフロー課税になるとか、輸出分の売り上げを除外できるとか、逆に輸入は海外現地法人が立地国に支払った税金の還付を認めないとか、いずれも断片情報としては聞こえてきます。はっきり申し上げますが、この程度の断片情報からトランプ税制の枠組みを再構成することは、アメリカを含む世界で進む税制に関する議論をフォローできていれば可能です。上記の日経記事が恥ずかしいというのはそういう意味です。

法人税率を下げるために課税ベースの拡大は世界の常識で、日本でも民主党政権時代に、虫食い状に課税ベースを蝕んでいる租税特措法減税の見直しが議論されましたが、当時の経団連とメディアが叩いて阻止されました。租税特措法減税は例えば設備投資減税にしろ研究開発減税にしろ、企業の申告によっていますから、実態が見えにくく、当局も当該企業も国民の批判に晒されることのない聖域だったわけですが、そこを踏んだ民主党政権がバッシングされたわけです。しかし世界の常識とはかけ離れた話です。加えて法人減税は海外からの投資を呼び込む意図もあるわけで、その意味では日本のように租税特措法で当局と阿吽の呼吸が取れる国内企業に有利な仕組みの見直しは避けて通れません。

でトランプ税制で法人税率を20%に下げるのも、課税ベースの拡大によって行われるわけですが、その際にキャッシュフロー課税が導入されるんじゃないかという観測がされてます。これ簡単に言えば減価償却による無税の資金留保は認めない代わりにキャッシュアウトを伴う設備投資は奨励されるから、設備投資が活性化して国内産業の復活を後押しするというわけです。

あと輸出の売上計上除外は事実上輸出分の法人税減免になり、日本の消費税に相当する付加価値課税がなく輸出還付金がないアメリカにとっては、言ってみれば貿易のイコールフッテイング税制となるわけで、高関税を課せばWTOに提訴されて敗ける可能性もあり、現実的には難しいですが、国内税制を弄って同等の効果を狙うのはあり得ます。仮にこれがWTOに提訴されても、そのときは付加価値税の輸出還付を行っている国を逆提訴して対抗するつもりでしょう。当然日本も対象になります。

そして輸入課税ですが、これアップルやスタバなど海外で資金留保している多くの米多国籍企業にとっては、海外生産を見直さざるを得なくなる上、米連邦政府にとっても、莫大な税収増をもたらす可能性があります。これを原資に老朽化が進むインフラ投資を積極化するというシナリオにリアリティが出てくるわけです。そんな背景を日本のパワーエリート達は理解できているのでしょうか。

トランプ氏介入、トヨタにも メキシコ投資に「あり得ない!」  :日本経済新聞
これ日本財界の賀詞交歓会でトランプ景気でイケイケムードの中、豊田章男社長がそれでもメキシコ工場への投資は予定通り行うと述べた直後のツイートだったってこともあり、一転財界人を慌てさせたようですが、上記の背景が見えていれば、フォードがメキシコへの工場移転を撤回した理由と共に、違った反応になったはずです。とりあえずトヨタはトランプ氏にアメリカ経済のメンバーと認められたとも取れ、ある意味メキシコに工場作ると損するぞという忠告と受け取ることも可能です。「メキシコに工場を作っても米国内の雇用は減らない」といった反論をしてますが、トランプ氏はそんなこと聞いてないんで、アメリカ国内に投資を呼び込もうということです。ある意味そのための法人税減税でもあるわけです。はっきり申し上げて、日本以外のグローバルエリートにとって自明のことすら、日本のパワーエリート達は理解していないということがバレちゃったわけです。企業の租税回避は各国とも悩みの種だけど、こうして自国に税収を引っ張ろうとしている状況はあるわけで、これ恥ずかしいを通り越して日本の未来が危ないぞ。

ただ誤解のないように申し上げておきますが、私自身はトランプ支持でも何でもないですし、おそらくトランプ改革は失敗するんじゃないかと踏んでます。特にインフラ投資に関しては、既に完全雇用に近い現在のアメリカで、財政出動で公共工事を積み増しても、震災後の日本と同じように深刻な人手不足に見舞われるだけの可能性があります。ただしアメリカは従来移民受け入れで人手不足をクリアしてきたわけですから、移民排斥を公言するトランプ氏はわざわざそれを難しくしているわけです。公共事業拡大の必要性と難しさを示すこんな報道も。

NYで列車脱線、100人超負傷 大半が軽傷か  :日本経済新聞
NYメトロノース傘下のロングアイランド鉄道は昨年10月にも事故を起こしておりまして、しかも今回と似たようなターミナル駅での暴走事故で、日本のATSに相当する保安装置があれば防げた可能性がありますが、収益に結びつかないということで鉄道会社は投資に及び腰です。連邦政府の補助が必要ではないでしょうか。一方でこんな話題も。
「幻の地下鉄」に学ぶインフラ投資の試練  :日本経済新聞
100年前に構想されたNY地下鉄セカンド・アベニュー線ですが、大恐慌やww2で計画が中断。戦後も市財政の破綻で事業化が遅れに遅れてやっと2007年に着工されたものの、人手不足で工事はべた遅れ。クォモ市長が発破をかけて昼夜突貫工事の末、異例の元旦開業となり、試乗したニューヨーカーたちも驚きとともに喜びを分かち合ったということですが、これだけならいい話で終わりですが、既に人手不足は顕在化していて、今後公共事業の拡大の困難さを示してもいるわけで、喜びも半ばということになります。こんなことも踏まえながら、トランプのアメリカがどうなっていくか、興味は尽きません。

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Sunday, December 25, 2016

死ななきゃ治らないナントカ

クリスマスです。ハロウインのときのエントリーで指摘したように、日ロ首脳会談での領土交渉の進展はありませんでした。これロシア側からのサインが出てましたが、予備交渉の過程で引き渡し後の領土に米軍基地が置かれる可能性を問われて有り得るとした返答で態度を硬化したとされますが、ソビエト時代から言われていたことの確認に過ぎませんし、沖縄の普天間基地の移転先の辺野古の反対運動や北部訓練場変換に関連した高江ヘリパッドの建設強行に対する反対運動に対して、日本政府が強行している姿勢を見て、日本への主権の引き渡しは無理と判断されたというのが実際のところです。日ロ関係は日米関係に規定されるのが現実です。

加えて言えば択捉島へのミサイル配備問題ですが、これ地対艦ミサイルってところがミソです。つまり標的はあくまでもオホーツク海での外国軍用船の軍事行動をけん制するためで、ロシアの核戦略と関連します。ロシアは保有する核弾頭の数を保持しつつSLBMへの転換を発表しております。オホーツク海にはSLBM搭載原潜を潜ませており、その太平洋側の出口ということですね。これがあるからシリアでのロシア軍の軍事行動に対してアメリカも文句を言えないわけで、核抑止力を効かせながら局地戦を睨んだロシア軍の部隊編成の小規模化とも連動します。そして支援を得たシリア政府軍による反政府勢力の制圧は時間の問題というところまで来ています。正邪の判断を横に置けば、ロシア軍改革は大成功といえます。

あと鉄ちゃん的蛇足ですが、津軽海峡を国際海峡とするためにここだけ領海3カイリに設定しているのは津軽海峡を潜航航行するソビエトの核搭載原潜の通過を現実的に阻止できないことから便宜的にそうしているわけで、現在もロシア原潜の日本海から東シナ海への航路として機能させることが、海洋進出を進める中国へのけん制になるので、維持されています。青函トンネルは日本の鉄道で唯一施政権外エリアを通過する存在としての意味があるわけですが、有事の輸送路となるインフラのメンテナンスを経営不振なJR北海道へ丸投げってのも危ういところです。

こういうことが頭に入っていれば、今回の日ロ交渉で領土問題が1ミリも動かないのは自明というわけです。期待をにじませるメディア報道はおそらく官邸からのリークでしょうけど、逆に領土問題の解決困難を国民に印象付けたわけで、結果的に領土抜きの経済連携となりました。クリミア編入を巡る対ロ経済制裁を一部緩和した形ですが、全面解除ではないからロシアから見ても不満の残る結果であり、大盤振る舞いした割には成果の少ないものになりました。

誤解のないように申し上げますが、私自身はそれでも極東やシベリアの開発を巡る日ロの連携はやるべきだという立場です。できれば日ロ間のガスパイプラインや電力連携線の整備は、日本のエネルギー政策に革新をもたらします。是非やるべきです。むしろ今回のことで領土領土とうるさいめんどくさいウヨどもを黙らせることができれば成果あったと言えます。あれ、安倍政権褒めてるwwwwwww。

一方混迷を深める南スーダンを巡って異変が。

南スーダンへの武器禁輸決議案、安保理で否決  :日本経済新聞
南スーダン情勢の緊迫化で大量虐殺の可能性ありとする武器禁輸の安保理決議で中ロと共に日本が棄権に回り、8ヶ国の棄権で必要な得票数に届かず秘訣されました。アメリカからは棄権しないよう働きかけがあったにも関わらずですから、アメリカからは非難されてます。日本政府の言い分は武器禁輸で南スーダン政府を刺激する方が危険というロジックですが、自衛隊をPKO派遣しているからということですね。

しかしそもそもPKO法では戦闘地域への派遣は禁止事項ですし、現地情勢次第で撤退を決断しなければならない局面なのに、国連が派遣する文民を警護するという変な理屈で所謂駆け付け警護(意味不明な用語ですが)を新たな任務とするという逆の対応を取っています。同じくPKO部隊を派遣する中国に対するライバル心からか、既成事実の積み上げか意図は不明ですが、現地で起きているのは石油利権のイスラム勢力との分離を狙ってアメリカが後押しした謂わば傀儡政権の南スーダン政府の暴走の結果であり、アメリカの尻拭いを中国と共同で日本の自衛隊が担うって構図はどう考えてもおかしいわけで、頭壊れてないか?

この構図は欧米が関与した紛争の多くで見られるもので、ジョージア(グルジア)紛争といいウクライナ紛争といい、親欧米派の裏に米保守派議員やCIAの関与が指摘されてます。またアラブの春に乗じたリビアの反政府勢力への英仏の支援で結果的にカダフィ政権を排除し、シリアでも反政府勢力へのCIAによる支援はもはや公然の秘密で、資金や兵器がダーイシュ(イスラム国)に流れて混乱しているわけです。大量破壊兵器のウソが暴かれたイラク戦争もですが、こういうろくでもないことを繰り返してきた欧米流リベラリズムへの懐疑が、Brexitやトランプ大統領を生んだわけで、大手メディアによる反Brexitや反トランプキャンペーンもこの文脈で見ると読み解けます。加えて欧米諸国のこの手の工作は昨今必ずしもうまくいっていないことも。時代は確実に変わりつつあります。

あと原発関連でいくつかありますが、これを取り上げます。

三菱重工と原燃、アレバに出資で最終調整  :日本経済新聞
福一事故を受けて安全対策の強化が求められて原発事業の採算性が悪化した結果、こういう妙なことが起きます。儲からないからといってやめられない。確かに廃炉や廃棄物処分などでやめられちゃ困るんだけど、コスト面で原発が事業として成り立たなくなってきています。もんじゅの廃炉も決まりましたが、高速炉は廃棄物を減らせる可能性があるということで開発は続けるというのですが、日本が大量のプルトニウムを保有する理由がなくなるという方が大きいのでしょう。もう一つこれ。
東電の原子力事業、再編相手公募へ 経産省有識者会議が提言  :日本経済新聞
f福島の賠償と廃炉で青息吐息の東電と組むメリットはほぼ皆無です。天然ガスなどの燃料調達のために東電と合弁でJERAを設立した中部電力からして東電と組んだことを死ぬほど後悔してるってのに、公募で再編相手が見つかると考える有識者とやらの眠たい議論を続けるのは、東電を破綻処理しなかった結果です。あーうましか。

一方でこんなニュースも。

鉄道が送電会社になる日 電線そのまま活用  :日本経済新聞
実は以前、このエントリーでJRの直流送電網を利用した電力託送事業の可能性を指摘したことがあります。記事はえちぜん鉄道の事例で、沿線の過疎化で収益確保が困難なTローカル私鉄の新たな収益源としての取り組みですが、うまくいけば大手私鉄やJRへ波及することも期待できます。

背景として元々鉄道は負荷変動が大きいがゆえに、電力会社から嫌われ不利な契約条件を余儀なくされているのですが、加えて技術革新で回生ブレーキが常用されるようになり、古い饋電システムではむしろ負荷変動を助長することもあり、固定買い取り制度(FIT)でも鉄道の回生電力は除外されました。そんな中で大手私鉄は変電所にNAS電池やキャパシタなどの蓄電装置を置いて負荷の平準化をしたりしてますが、ローカル私鉄ではそういった設備投資も単独では難しい中で、送電事業で託送料徴収して収益源とすることでクリアしようということです。ささやかなチャレンジですが、直流送電の特徴を生かして直流発電となる太陽光の電力を受け入れるなどして量の確保ができれば、結構使えるビジネスモデルになります。

九電ショックで売り先を失った太陽光発電の受け皿となれば、萎んだ太陽光発電の再活性化の可能性もあります。そして大手やJRにまで波及すればですが、原発の廃炉費用を託送料へ上乗せしようという経産省と電力会社のゴマカシを阻止できる可能性もあります。加えて隠れたメリットも。

電力回生ブレーキでせっかく省エネを実現しても、それを活かせない現在の直流饋電システムですが、例えば3,000Vの高圧直流で饋電してDC-DCコンバータで降圧して架線に供給する直流版AT饋電のようなシステムが可能ならば、変電所の集約と複数の機電区分への電力供給によって、負荷変動自体を平準化するシステムの可能性です。設備の合理化メリットと共に、大電力故に制御が難しくエアーセクション事故のような饋電系トラブルが増えている首都圏のJRにおいて、防止策になるということが期待できるんじゃないかということです。饋電系トラブルの多いJR東日本がチャレンジしてくれないかな。

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Sunday, November 13, 2016

トランプ・ポリティカル・パートナーシップ

いや米大統領選面白かった。何が面白いって、米大手メディアはほとんどクリントン優勢と伝え、日本のメディアもほとんど追跡取材なしにそれをうのみにした結果、慌てているってところです。日本のメディアコントロール問題はある意味わかりやすく、政治的な圧力に対して忖度して勝手に自主規制するから、その辺が良く見えますが、アメリカは?というと、政権がどうこうよりもより大きなエスタブリッシュメントが黒子として存在しているってことですね。ある意味日本より巧妙ですが、今回その一端が見えたわけです。

具体的にはトランプ氏のトンデモ発言ばかりが露出していたり、特に10年以上前のセクハラスキャンダルをわざわざ掘り起こして報じるなど、最近日本でも目につくネットデマゴーグばりのことをNYTみたいな大手紙が報じるあたりに垣間見えます。加えて民主党議員のセクハラメール事件で押収したパソコンからクリントン氏の公式アカウントから発信された大量の私用メールが見つかってFBIが再捜査に乗り出したのに対して、報道では現れませんが、オバマ大統領二任命されたFBI長官におそらく圧力がかかって立件見送りとなった経緯など、日本みたいな-_-;展開が見られたあたり、ほんとアメリカかい?とさえ思いました。

てなわけですから、報道以上にトランプ氏の支持は広がっていると見てましたし、一方でバイアスのかかったメディア報道もありますから、どちらで決着するにせよ相当な接戦となると見ていたわけです。案の定有権者の得票数では勝っていたクリントン氏に対して、間接選挙の特殊なルールで獲得選挙人数でトランプ氏が勝利したわけです。正確には来月の選挙人投票で決まるわけで、不誠実な選挙人が心変わりするって可能性は皆無ではありませんが、そんな報道が出てくるぐらい不都合なトランプ氏の当選だったってことで、現実的には無いでしょう。

ま、ある意味アメリカ国民の本音が出たわけですが、前代未聞の候補者同士の誹謗中傷合戦の罵り合いも、意図的だったとしたら(私はそう思ってますが)トランプ氏の術中にはまったってことです。日本でも「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉劇場があったぢゃないですか。もう少し遡ればアメリカでもB級ハリウッドスターで泡沫候補と見做されていたロナルド・レーガンが現職のカーター大統領を破って政権の座についたことがあります。このとき政策スタッフとしてシカゴ大学経済学部を中心とする保守派の経済学者が関わって、それまでのケインズ主義的なマクロ経済運営を新自由主義的な方向へシフトしたわけです。トランプ大統領の出現はその意味でエポックメークな出来事となる可能性があります。

一言で言えばパクス・アメリカーナの終焉といいますか、アメリカが唯一の覇権国として国際社会を取り仕切る意思と能力を放棄するってことで、これからはアメリカの国益第一の本音の外交をするぞってことです。ですが、既にオバマ政権下でもシリア内戦への勘よに慎重だったり、南シナ海で中国と握って対立を演出したりしているわけで、外交面では今までとあまり変わらないと見るべきでしょう。TPPに関しても、とりあえず大統領選と同時に行われた議員選挙で共和党が多数派を維持したことから、オバマのレガシー作りに協力する必要はないってことです。トランプ大統領就任後どうなるかはわかりません。

ただし気になるのが、昨年の大筋合意自体が日米両国の強引に決めたことですし、日米間では詰まっている、といっても医療や農業で日本が譲歩した一方、自動車などアメリカの譲歩項目は時間的猶予が与えられるなど非対称なものですが、一方ニュージーランドが提案した乳製品の貿易ルールに関する動議は決着を見ないままですから、どのみち再交渉は避けられないわけですから、今批准を急ぐことは、アメリカの背中を押すというよりは、アメリカに足許を見られる結果になる可能性の方が高いといえます。特に「FTAは二国間で」とするトランプドクトリン?が公言されているわけで、TPPの日米交渉でアメリカに押し込まれた条件が再交渉で更に押し込まれることは覚悟した方が良いです。アメリカが本音で通商交渉に臨めば

米:日本はTPPでの約束を守れよな。
日:アメリカも約束守ってください。
米:よく聴こえないが?
てなことになりますわな。てことで Trump's Political Partnership でTPP成立ってあれ?

大統領選報道の一方で、日本では大事故が起きました。

博多駅前で道路陥没=地下鉄延伸工事が原因-空港などで停電も・福岡:時事ドットコム
現場は福岡市営地下鉄七隈線延伸工事の現場で、早朝、現場作業員からの110番通報があり、警察が迅速に道路閉鎖した結果、これだけの規模の陥没事故で死傷者ゼロと不幸中の幸いに。加えて福岡市の情報開示の徹底もあって、混乱はかなり防げたのですが、いろいろと課題も見えました。原因は地下水の流入による岩盤の崩落ということで、事前の地質調査が十分だったのかなどが問われますが、岩盤が粘土質で地下水で軟化していたとか、地震で岩盤が動いたとか、いろいろと言われておりますが、現時点では詳細は不明です。

ただ地下工事での道路陥没って結構な頻度で起きてはいます。東京でも常磐新線(つくばエクスプレス)工事でJR御徒町駅近くで大規模な陥没事故を起こしてますし、他都市でも少なからず起きてます。今回現場責任者の対応が早かったから結果的に死傷者ゼロで済んだものの、地下工事の危険性を認識させる事故ではあります。これ横浜の傾きマンション事件とも関連しますが、土木工事って、結局掘ってみないとわからないというのが実際で、その場合設計変更が欠かせないところ。

横浜のケースでも2人の杭打ち工事責任者のうち1人はこまめに異常報告して設計変更したわけですが、当然工期も伸びるし予算も膨張するということで、スルーされることもあって、竣工後に不具合が発覚することも珍しくはありません。それでも適切にメンテナンスされていれば、事後的に補強その他不具合を除去する手立てもありますが、問題は工事にしろメンテナンスにしろ、職人芸的な属人的なスキルに頼っている点です。しかもゼロ年代の建設不況でスキルの継承は断絶しており、今後少子化で若手の育成も難しく、日本のように不安定な地盤の土地ではロボットなどで対応するのも難しいところです。

私が公共工事の拡大に疑問なのも、また中央リニアに懐疑的なのも、1つにはこの問題があります。例えば2週に亘って渋谷駅の線路切り替え工事で週末区間運休の東京メトロ銀座線ですが、営業線の切り替えで困難な工事ではありますが、線路切り替えなどの大規模工事は結局人海戦術で対応せざるを得ないけれど、最近は人集めに苦労する状況で、コスト面もあって運休して工事間合い時間を取らざるを得ないようになってきたって面もあります。幸い東京のように成熟した大都市では、一部運休してもう回路はいくらでもありますから、事前告知で混乱は避けられますが、リニアにしろ整備新幹線にしろ、これから作るものに関しては、メンテナンスも含めて破綻の可能性もあり慎重な対応が必要です。

最後は閑話休題。銀座線の区間運休ですが、渡り線の関係で浅草―溜池山王間と青山一丁目―表参道間の区間運転という方法がとられました。後者に関してはA線(浅草→渋谷)は青山一丁目から表参道まで営業運転して回送で折り返し、B線(渋谷→浅草)では逆に表参道から青山一丁目まで営業運転して折り返し回送という運行形態を採っています。所謂指導式(腕章を付けた指導員添乗を条件に運行)の代用閉そくですが、すべての駅が相対式ホームで乗客案内上逆線走行の営業運転の混乱を避けたと思われます。そのため12分ヘッドと運転間隔が開いており、神宮外苑下車駅の外苑前は週末イベント等も多く、結構な混雑ぶりでした。島式ホームなら逆線営業運転で運転間隔を詰められたかもしれません。その神宮外苑では木製ジャングルジム火災で子供1人死亡という痛ましい事故も-_-;。中を明るく照らそうとした学生の機転が裏目に出たわけですが「常識的にわかりそうなこと」という前にナレッジの共有と継承はかくもということも指摘できます。

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Thursday, September 22, 2016

日米金融あっち向いてホイ

本題に入る前に豊洲新市場問題。

豊洲盛り土問題、都庁の統治不備露呈  :日本経済新聞
迷走を重ねてますが、都庁のガバナンス問題に発展してややこしくなってます。汚染度封じ込めのはずの盛土がされてなかっただけでなく、その意思決定がいかに行われたかも説明が二転三転。これじゃ移転はいつになるやら。環状2号線着工はその分遅れます。たまった水の水質検査の結果、基準値を下回るヒ素やシアン化鉱物が検出されました。一部で基準値以下だから移転すべきという議論もありますが、汚染物質が汚染土由来である以上、現況のままなら汚染物質が染み出してくる証明でもあるわけですから、追加的な有効な封じ込め策は必要です。

蓮舫民進党代表の二重国籍問題ですが、これ法的には何の瑕疵もないないのに、味方から「説明しっかりしろ」って後ろから弾が飛ぶ状況で、民進党のグダグダぶりにうんざりします。二重国籍問題を言うならアルベルト・フジモリ氏の件も見るべきでしょう。2000年に自らの金銭疑惑による訴追を逃れるため、ブルネイのAPEC会議の帰路に立ち寄った日本で訴追逃れで大統領辞任を表明し留まり、日本政府はフジモリ氏の日本国籍を認め庇いました。2001年にペルー司法省が殺人罪で起訴。2003年にはICPOを通じて身柄引き渡し要求も日本政府は拒否。にも拘らず2005年には翌年の大統領選出馬返り咲きを目論んでチリに亘って当局に拘束され収監されました。この状態で2007年には日本の参院選の比例候補として国民新党から立候補ですから、どこまで節操がないのか。蓮舫氏がこれより悪質とはとても言えませんが、両親そろって日本人のフジモリ氏は許容できても、父親が台湾人の蓮舫氏は許せないということなんでしょうか。だとすれば純血ヘイト主義言説でしかありません。

ンで本題。メンドクサイから2つ並べます。

日銀総裁、利回り曲線の操作「十分出来る」  :日本経済新聞
米FRB、年内利上げへ「新たな証拠待つ」  :日本経済新聞
日米の金融政策決定会合が同日というのも珍しいですが、祝日の影響でしょうか。時差の関係で日本の日銀が先に決定しなければならないから後出しじゃんけん戦術は使えなかったんですが、整理すると日米ともに結果的には現状維持ながら、日銀は政策目標を利回り曲線に変えて国債購入目標を流動化するということで、マイナス金利の結果生じた長期金利がマイナス圏にならないようにして金融機関の収益圧迫という副作用を回避しようということですが、事実上国債購入を絞るテーパリングを意味しますから、年内利上げを強く示唆しながら動かなかった米FRBに先駆けて緩和見直しとなったわけで、「あっち向いてホイ」状態になったわけです。その結果為Fが動きました。
NY円、続伸 1ドル=100円30~40銭、日銀会合・FOMC受け1カ月ぶり高値  :日本経済新聞
日銀の「総括」で期待された外債購入は流石に踏み込めず、公式の為替介入はアメリカが反対している以上できないというわけで、円高の進行は今後も続くことになります。円高は輸入物価の下落を通じて家計にはプラスですが、そもそも異次元緩和の裏の目的が円安誘導だったわけですから、日銀は完全に打つ手を封じ込められたことになります。国債購入の減少は、マイナス金利と並び立たないことと、購入する国債自体が減って買い進めなくなるのは時間の問題ですから、長期で緩和を継続するには金利操作の方がやりやすいというわけですね。でもテーパリングじゃないよと強弁するのは、前回7月の政策決定会合で株式ETFの買い付け額を3.3兆円から6兆円に増額したことと併せて読むと、結局国債を買う代わりにETFを買うって話です。その結果株式市場でも異変が起きています。

以前から日銀のETF購入は「池のクジラ」と揶揄されてましたが、最近は購入枠拡大もあって、市況への影響がかな目立つようになりました。具体的には9時の開始後下げて始まるとなぜか10時以降急上昇してチャートが水面から顔を出したクジラのシルエットになるということで、ホエールウォッチングが市場のトレンドですwwwww。その結果安値で拾いたい個人投資家が安めの指値で注文を入れても拾えずに個人投資家が株式市場から遠ざかるという笑えない現実が。「貯蓄から投資へ」じゃなかったのか。株式のクラウディングアウトってあんまり聞かないけど、民間を圧迫しているんですよね。それに加えて不動産市場に不穏な動きが。

基準地価、商業地9年ぶり上昇 訪日客けん引  :日本経済新聞
基準地価の発表で地方も含めて商業地の値上がりが目立つ一方、住宅地は停滞し全用途ではマイナスです。しかし最近の日経は思い込みが強いというか、偏った報道姿勢が目立ちますが、訪日外国人増加の影響よりも、不動産投資信託(REIT)の影響でしょう。大都市のオフィスビルや賃貸マンションに加えて、ショッピングモールや高速道インター近接の物流センターなどREIT物件は増えています。REITは大きな資金を要する不動産投資を小口証券化して賃貸収益を投資家に還元するというもので、リスク分散と流動性確保が狙いです。

その結果確かに不動産投資が活性化されましたし、収益性に疑義が生じれば売られてしまうということで、不動産バブルの抑止にもなっているのですが、問題は低金利でして、元々ミドルリスクミドルリターンの金融商品という性格で予定利回り5%程度を見込んでいたのですが、リターンの水準がそのままでも低金利で相対評価が高くなれば当然投資資金が入ってREITも値上りしてリターン率は下がるわけです。その結果、土地の評価額が高くなるわけで、5%のリターンが1%になれば価格は5倍になるわけで、それが土地評価額へ反映された結果と見るべきでしょう。

しかし日銀の利回り曲線目標へのシフトで長期債の金利が上がれば、REITにも値下げ圧力がかかるわけで、地価水準も今がピークと見るべきでしょう。加えて長期金利の上昇は住宅ローン金利の上昇で住宅投資にマイナスですし、増えている売れ残りマンションも、低金利だからデベロッパーがやせ我慢で在庫している状況が変われば安値で換金売りが出るでしょうから、土地の値下がりが避けられない状況になります。2020年のオリンピックを待たずに土地失速が迫ります。

てな状況ですが、住宅投資に関しては人口減少に直面する日本にとってはむしろ歓迎すべきことです。更に言えば不動産投資もより選別されたものだけが残ると考えるべきで、その意味ではショッピングモールよりもネット通販の拡大が見込まれる物流センター投資以外は減ってくると見るべきでしょう。物流センター投資はアマゾンなどのネット通販事業者の自社配送と宅配便と中小企業ののネット通販を助けるサードパーティロジスティックス(3PL)がオーバーラップしながらサービスを競っている状況ですから、当分は投資が続くと見られます。その宅配便関連でこんなニュースが。

地下鉄、宅配の足に 東京メトロ・ヤマトが実証実験  :日本経済新聞
宅配便もネット通販の増加で利用は増えているものの、運賃は低く抑えられていてく苦しいところですが、輪をかけてドライバー不足が顕在化してきました。昔と違ってドライバーに高給を約束できない状況の中、ヤマトでは長距離の鉄道利用や航空便利用も併用しながら、物流業界の言うラストマイルと呼ばれる地域の集配網にマンパワーを集約する必要があります。その意味で近接地域の荷物の営業拠点間の横持ち便を過疎地の岩手県では以前から定期乗合バスに乗せて運ぶことが行われ、京都市では京福電気鉄道嵐山線で同様の取り組みが為されましたが、圧倒的に荷物量の多い首都圏では多数の横持ち便をさ知らせている状況があるわけで、それを地下鉄など通勤鉄道の余剰輸送力を活用してクリアできれば画期的です。

これは鉄道事業者側から見ても、ラッシュ対応の余剰輸送力の収益化になるわけで、人口減少で利用客減が見込まれる中での新たな増収策になります。加えてピーク対応の輸送力が昼間は余剰となり車両の半分は車庫で休んでいる現状から、収益機会の拡大で、さらにピークタイムの混雑緩和投資に結び付けば、鉄道側の設備投資を誘発する効果も期待できます。これらの動きが主に民間同士のコラボレーションで起きていることに注目すべきでしょう。財政や金融で強引に現金をばら撒き、公共工事を積み上げても使えるかどうかわならない豊洲新市場のようなものしかできないならば、政府はよけなことするなと言いたいところです。

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Sunday, September 04, 2016

ガラクタ経済列島

略してガラケー列島-_-;。やっとメディアも注目し始めた築地市場の豊洲移転問題ですが、数箇月の延期では済まない事情があるようです。

豊洲新市場、移転延期でも解決できない根本的欠陥|Close Up|ダイヤモンド・オンライン
土壌汚染の問題や店舗が狭隘といった問題点に留まらず、既に姿を現している建物躯体そのものの問題があるという指摘です。

1つは動線計画が滅茶苦茶。生鮮品の荷卸しはスピードが勝負なのに側面荷降ろしではなく後面荷降ろし前提のトラックバースとか、5層に分かれるフロア間の移動用リフトの不足とか、フォークリフトやターレットの通路の不備など。もう1つは床面荷重が700㎏/m^2で4tのフォークや2tのターレを支えられるかという問題。フォークを使う場合1.5tの耐荷重が普通なのにその半分にも満たず、使えるのか?という問題。他の問題がクリアになっても、工事が進んでいる現状で今更手直しもできないと。

原因は現場のニーズを無視して日建設計にプロポーサル契約で丸投げした結果だというのですから、お粗末すぎます。日建設計といえば新国立競技場デザインコンペでザハ事務所の下請けで協力し、再コンペで隈研吾氏の下請けに横滑りした会社です。お粗末な顛末も含めて新国立競技場問題と似ています。横浜の傾斜マンション問題も含め、この辺設計事務所も含めて業界の劣化が疑われるところです。

元々移転問題も二転三転の歴史がありまして、築地た手狭であることと、アスベスト問題もあって改築工事が困難ということもありますが、移転すれば移転先の工事と跡地の再開発で工事が発生するわけですから、公共事業の削減で干上がっていたゼネコンがメディアの監視が緩い東京都に都議を通じてアプローチしたとしても不思議ではありません。

それ以前にチェーンストアや通販などで産地直送販売が増えてきて、築地のような公設市場のシェアは低下してきた流れがあり、ネット通販の拡大もあり、公設市場の位置づけそのものが問われている現状もあります。もちろんだから簡単に廃止はできないわけですが、民営化やIT活用など市場そのものの改革も問われる中で、ハードの議論ばかりが先行した結果、使えない新市場ができたんだとすれば、笑えない話です。公共事業の増加や都市再開発の増加で有卦に入ってバブル越えのゼネコン業界ですが、中身の劣化は如何ともし難く、このままでは全国にガラクタの山を築くんじゃないかと危惧します。

東京都の悪口ばかりでは何ですから、神奈川関連も取り上げます。

都と川崎市、羽田跡地と殿町を「特定再生地域」に指定申請  :日本経済新聞
10年前に「神奈川口構想」の名で計画が浮上した羽田連絡道路が、紆余曲折を経て実現というと、喜ばしいところですが、神奈川県や川崎市の上滑りで対岸の大田区側の同意を得られずお蔵入りしたものですが、丁度羽田空港国際線ターミナルの対岸に位置する殿町地区の再開発を諦められない中で国家戦略特区の指定を受けたことで流れが変わってきたということですが、R357の整備より優先度が高いのかという疑問は大田区側にはあるようです。
羽田連絡道路の行方は 神奈川口構想から10年/川崎|カナロ …
にしても事業費の半分を国の補助金でってのがどうなのか。川崎市は市営地下鉄構想やそれに関連した京急大師線の地下化や、南武支線の川崎駅連絡線構想や浮島の再開発計画など空振りが多いのですが、企業のリストラで空洞化が進む中、税収確保に四苦八苦しているのが見て取れます。浮島再開発では手塚治虫ワールド誘致を掲げて実現せず「手つかずワールド」と揶揄されたりと散々です。大師線地下化も産業道路大踏切除去を優先して産業道路―小島新田間の末端の地下化が先行する形で進んでますが、あとは未定というていたらくです。というか、現状ここに橋がかかっても使いにくいのが正直なところ。殿町地区限定では空港アクセスの利便性は勝るけど川崎市中心部からは利用しにくいというヘンテコな計画です。それ以前に日本の空の空洞化が心配なところ。
デルタが東京~NY線撤退、成田空港離れが加速中|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
日米航空協定はデルタ航空の成田空洞化の懸念から遅れていましたが、今年になって、利用しにくい深夜早朝枠の昼間への移行プラス日米1便ずつの増枠で決着し、日本はANAへ、アメリカはユナイテッドへの配分となったわけですが、その結果デルタ2便に対してJAL+アメリカンが3便ANA+ユナイテッドが4便と劣勢になり、且つANAが羽田―ニューヨーク線を開設する一方、デルタが競争力低下を嫌って東京(成田)-ニューヨーク線から撤退というもの。以遠権のある成田はデルタにとってアジアのハブだったはずなのに、日本を飛び越してアジア各地へ直行便を飛ばす形で戦略転嫁してきたわけです。長距離を飛べる中型機の登場でハブ空港の見直しが始まったわけですが、同時にそれは太平洋路線における日本のプレゼンスの低下でもあるわけです。思えばスカイマークがデルタ陣営に入っていれば、違ってたかも。

この辺JAL憎し外資憎しの偏狭な日本の航空行政の結果とも言えるわけで、つくづく政治家も官僚も先を見る目が無いんだなと思い知らされます。それでいて公共事業をドッカンドッカンの大盤振る舞いであとはお構いなしというわけで、首都圏に限らず日本全国ガラクタの山を築いて国力を低下させるディストピア。ホントしょーもなー。

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Sunday, August 28, 2016

都政の義理

2代続けて辞任に追い込まれた東京都知事ですが、健さん流に「とせいの義理だ、死んでもらいます」とばかりに公職を追われた不可解さですが、実は11年前の2005年にも、公職を追われた人がいます。石原都政を実質的に牛耳っていた浜渦武生副知事です。発端はある福祉系学校法人の認可を巡る不正の可能性から、都議会民主党議員が質問し、浜渦副知事が肯定する答弁をしたところ、自民公明の都議たちから「やらせ質問だ!」の声が上がり紛糾。100条委員会に諮られ、当事者でもある都議会民主党は自らに累が及ぶのを嫌って欠席する中、「やらせ質問ではない」との浜渦氏の答弁を偽証と決めつけ、石原知事が渋々更迭を決めたもの。実はこれ以来石原知事と都議会与党との力関係が逆転し、やる気をなくした石原知事は後に辞任するわけですが、それはかなり後の話です。

ま、浜渦氏自身が名の知れた右翼武闘派の活動家で、国会議員だった石原氏の秘書として仕えてのし上がった人物で、とかく独断専行で都議からも都職員からも疎まれていたことは間違いないですが、問題は学校法人の認可を巡る不正の疑惑のはずで、本来都議会で行政監査請求をすべき案件ですが、それを潰したわけです。経緯から察するに元々自民党都議に情報を流して質問をさせようとしたところ、いつまでも動かないから民主党に話を持ち込んだらしいのですが、仮にそうだとしても、手続き上都議会の監査請求が必要だから情報を流すことはあり得るわけで「やらせ質問」は本来あり得ないし、そういう反応が逆に利権の存在を浮き彫りにします。ちなみに当時から自民党都議団のトップは昨今週刊誌でも叩かれている内田茂都議で、ゼネコンに顔が利くところから、都職員自体が相談者に先に根回しをお願いするというズブズブの関係だとか。都知事選で敵と名指しして抵抗勢力と演出した小池氏はクレバーでした。

とはいえ保守派同士で、舛添前知事による韓国学校補助問題への反対では一致しており、いつ「てへぺろ」和解するかもわからないのですが、世論の関心が集まっている間はファイティングポーズを取らざるを得ませんから、引き続きメディアが情報を流し都民がそれに関心を持ち続けるしかないのですが。その意味で築地市場の豊洲移転問題はリトマス試験紙になります。

2011年の都知事選ではあまり話題にならなかったものの、食品を扱う場所として問題は深刻です。都の公式見解としては「基準値以下だから安全」ということですが、それならば安全宣言を出して風評被害が出ないようにすべきですが、それはなし。また仲卸の入居ブースの間口が1.5mしかなく冷機を置いたら奥へ入れないとか、電源が貧弱で電動ターレットの充電ができないとか、そもそも賃料も未定なのに11月7日の移転日だけが決まっていて仲卸への説明会は紛糾して見通しが立たない状況ですが、小池都知事は見直しに積極的ということで、どうなるか見物です。

この問題は築地市場跡地を更地化しないと環状2号線の湾岸延伸工事が着工できず、沿道には晴海の選手村と室内競技場のメイン会場になるビッグサイトがあり、2020年に間に合わせるのは至上命令ですが、見直せば当然着工が遅れ2020年に間に合わないということになります。それでも突っ張り通すことができるか。小池知事の正念場です。それと交通インフラの問題も指摘されていて、豊洲新市場は公共交通としてゆりかもめしかありません。都バスが補完するとは思いますが、現状メトロ日比谷線と都営大江戸線の地下鉄2線に加え、JR新橋駅からのバス便も使える築地市場の足場の良さに比べると、りんかい線開業前はイベントのたびに度々重量制限から改札止めという事態が起きていたゆりかもめが、イベントではなく日常でパンクする可能性があります。この問題はそのまま2020年五輪にも当てはまります。故に中央区が銀座―有明間の臨海地下鉄構想をぶち上げたわけですが、当然どう転んでも2020年には間に合いません。

あと五輪関連では新国立競技場も着工準備中ですが、間に合うかどうかは神のみぞ知る状態。それ以前に陸上競技場としてサブトラックを備えておらず、別に作るサブトラック計画自体が流動的ということで、この問題も決着は容易ではありません。加えて晴海の選手村も、大会終了後にマンションとして分譲される計画で民間事業者の応募を募っているのですが、開発事業者は及び腰。底地を低価格で提供されるとはいえ建設費は自前で、しかも当面バス以外の公共交通は無しですから、当然鉄道駅に近い臨海部の他の物件より不利で高く売れる保証はないですから、リスクが大きすぎるわけです。中央区が臨海地下鉄のような大風呂敷を広げたのも無理もないところです。しかも五輪後は人口減少もあって都心のマンションブームも終わると言われています。

この点は現状異次元緩和(QQE)で不動産価格が上がっている現状ですが、都心部の億ションも売れ行きが止まってきています。元々中国やシンガポールなどの富裕層が投資用に購入するケースが増えていましたが、今年に入ってからの円高で風向きが変わりました。しかし再開発ブームでマンションの供給は増えていますから、五輪を待たずに値崩れする可能性もあります。こうなると選手村もできないで五輪危うしとさえ言えます。難題山積の中で小池知事がファイティングポーズを続けられるか。しっかり見ていきましょう。

都民でもないので地元神奈川の話題ですが、やはりこれですね。

相鉄、JR・東急との直通延期 一部で着工遅れ  :日本経済新聞
理由は用地買収の遅れによる着工遅れですが、東海道貨物線にしろ相鉄本線にしろ列車本数の多い営業線の近接工事で、限られた作業時間で作業を完了させる必要から、人海戦術を取らざるを得ないわけで、要員が集まらないことも遠因と考えて良いでしょう。加えて住宅密集地で地形も複雑で、地盤が脆いところは薬液注入で地盤改良も必要だし、住宅地で夜間工事も限定されるなど、悪条件はいろいろありそうです。その結果相鉄が沿線で展開中の再開発にも暗雲が。
相鉄、JR・東急との直通運転再延期、沿線再開発に影響  :日本経済新聞
元々相鉄はJRとの直通を優先したのですが、横浜市の横やりで東急との直通もとなって事業規模が拡大したわけですから、既にと新直通を見込んで沿線再開発に着手した相鉄にとって工事の遅れは痛手です。JRとの直通の場合の当初事業費は総額700億円だったものが、東急との直通で一部東急負担とはいえ2,700億円にまで膨らんだ事業費が工事の遅れで4,000億円規模にまで拡大したわけですから、当初案のJR直通のみなら遅れて事業費が倍増しても1,400億円ですから、相鉄のダメージは計り知れません。尚、記事中の五輪輸送問題は、元々日産スタジアムの最寄駅は小机ですし、20020年の日韓W杯当時は現状と同じ体制で乗り切っていますから、あまり関係はないですが、横浜市にとっては相鉄沿線再開発による税収増の期待はあるわけで、自らまいた種がブーメランです。また公共事業でも選択と集中が大事という教訓でもあります。

06年から始まった生産年齢人口の減少が、人手不足で公共事業のスケジュールが成り立たなくなってきています。公共事業でインフラ整備頼みの経済政策は明らかに限界が見えています。いい加減見直すべきですね。

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Sunday, August 14, 2016

戦争を知らない大人たち

本題に入る前に天皇の生前退位問題。

象徴 その心(3) 天皇に「私」はないのか 人権巡り国会で議論 :日本経済新聞
いろいろ言われますが、論点はこれです。すでに戦後の帝国議会で新皇室典範の審議で三笠宮殿下が意見を述べてます。つまり天皇の人権問題が本質なんですが、伝統ガーな人たちの反対で積み残したまま現在に至るわけです。これ女帝問題や女系宮家問題も同様なんですが、戦前の帝国憲法を前提とする旧皇室典範に対して新憲法とのすり合わせげ十分に行われてこなかったってことですね。

そして先日の天皇のビデオレターでの意見表明ですが、憲法が求める象徴天皇として初の皇位継承者となった明仁天皇が指摘したのは、終身制を前提とする限り、服喪と即位の同時進行というある種のカオスをもたらすという点。これ皇位継承の経験者故の視点と言えます。だから特例法での対応は望んでいないわけです。同時に憲法第2条〔皇位の継承}で「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とある通り、皇室典範の改正以外でこの問題を対処できないと憲法で規定されています。女帝や女系宮家に議論が及ぶと、小泉政権時代から反対し続けてきた安倍晋三にとっては面白くないってことで、この問題を安倍政権はどう扱うか、注目されます。おまけ。

SMAP、年末に解散 事務所が発表  :日本経済新聞
SMAPは1月にも解散騒動があって、その後テレビでLIVE謝罪というセレモニーを経て沈静化されたものの、水面下ではやり取りがあったようです。ただしプロダクションの移動は無しということで、本人の意思が通しにくい芸能人の人権問題に天皇の人権問題が道しるべになるとすれば、結構重要な意味があります。

ついでに言えば伝統ガーな人たちはそもそも人権がお嫌いなようで、天賦人権説をキリスト教的な価値観をベースとしていて日本の伝統的な価値観に合わないと批判しているようですが、一夫一婦制もキリスト教的価値観に依拠していて、しかもお金持ちは公然と妾を囲っていて、西武鉄道二代目の堤義明が妾腹なのはつとに有名なように、明らかに日本の伝統的価値観に合わないですがね。冗談はさておいて、天賦人権説が王権神授説の対抗言論ということを知っていれば、キリスト教的価値観を捨象して国家主権の対抗概念としての人権という風に普遍化できます。つまり主権国家が主権国家たるためには人権を前提にするから国民の負託を得られるわけです。

で、改憲論者の小池都知事がいろいろぶち上げてくれてますが、まずはこれ。

小池新知事は新国立のサブトラック問題を解決できるか|inside|ダイヤモンド・オンライン
元々陸上競技場であるはずの国立競技場ですから、国際大会開催基準としてサブトラックの設置は当然だったところ、サッカー協会やラグビー協会からワールドカップ級の国際大会の開催基準を満たす8万人収容スタンドが要請され、サブトラックは外に作るとしてザハ案に見られる巨大スタンドとして結実し、その後コスト問題で白紙撤回されて再コンペで隈研吾案で決着したのは五輪霧中で指摘したように、風致地区第1号で15mの高さ制限が課せられてた神宮の森の高さ制限撤廃の露払いとしてザハ案の新国立競技場という点で、地権者とサッカー協会、ラグビー協会の共犯関係がある一方、サブトラック問題が生じたわけで、陸連にとっては寝耳に水というわけで、軟式野球場へ仮説する方向ですが、数億円かかるので常設にできないかという意見がある一方、地権者は稼働率の高い軟式野球場がなくなるのは困るというわけです。そこで秩父宮ラグビー場への併設案があるものの、ラグビー協会が反対とはいえ、元々大スタンドをごり押しした手前もありと、エゴのぶつかり合いが解決を困難にしています。環状2号線の湾岸延伸着工とスケジュールが絡む築地市場の豊洲移転問題もあり、難題山積。憲法改正どころじゃない現実です。あとこれ。
都知事公約「満員電車ゼロ」は、こう実現する | 通勤電車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
岐阜にも関わったトンデモ鉄道コンサル氏でツッコミどころ満載ですが、余裕時分を削った結果、ダイヤ改正翌日に東中野事故を起こしたJR東日本や尼崎で脱線転覆事故を起こしたJR西日本が、その後保安装置の強化などの安全投資を深化させたプロセスを無視してます。別に都が財政支援するわけでもなさそうですから、事業者の自助努力を促すってだけ。小池知事の政策スタンスをよく示してます。

前置きが長くなりましたが、サイドバーの「戦争の社会学」ですが、改めて戦争とは?平和とは?ということを考える上で戦争の歴史や意味をを体系的に説明した格好の入門書です。紹介コメントでも書きましたが、奇妙な日本軍に関して章1つを当てて考察してますが、そのトンデモぶりに驚きます。例えばクラウゼヴィッツの戦争論では兵力と兵站の重要性を説いている一方、精神面の重要性を指摘してますが、これを兵力で劣っても精神力で跳ね返すと曲解したり、真珠湾攻撃のような奇襲は短期決戦で迅速に敵国と和平交渉に入るのがセオリーながら和平交渉が準備されておらず、長期戦になって力尽きたわけです。日本は戦争の仕方を知らなかったと。そんな歴史を彷彿とさせる出来事が現在進行中です。

マイナス金利、効果道半ば 導入半年  :日本経済新聞
思い出していただきたいんですが、13年4月の黒田バズーカは、2年で21&のインフレ目標達成のための短期決戦だったはず。ところが一向に物価は上がらず、ズルズルと目標年次の先延ばしと追加策という戦力の逐次投入を繰り返すばかり。そもそも出口論も議論せずというスタンスで、日米開戦時の日本軍と何と似ていることか。それどころか今年に入ってマイナス金利政策を導入し長期金利の低下は目論見通りとしても、円高を防げず、それどころか銀行の離反を招くなど散々です。
マイナス金利で減益3000億円 日銀に懸念伝達  :日本経済新聞
遂には金融庁のツッコミも。足並みも乱れさしずめミッドウエー海戦の様相でしょうか。一応9月の日銀政策決定会合でマイナス金利政策の検証を約束したものの、言い訳を重ねるだけなのは目に見えてます。

マイナス金利の成果として住宅着工の増加が指摘されてますが、これ中身は賃貸アパートの建設ラッシュなんで、マイナス金利の恩恵はあるかもしれませんが、むしろ実家の相続対策としてのアパート建設と見るべきです。所謂空き家対策法の施行で空き家になった実家を放置できなくなったことと、アパートの課税特例で固定資産税1/6、都市計画税1/3でトータルで1/5ほどに負担減となることから、親が生きていても実家をアパートに建て替えて負担減を目羅うというものですが、その結果民間賃貸空宅の空室率が高くなっています。結果家賃が下落し、持ち家の帰属家賃を含めれば消費者物価指数の2割ほどのウエート付けがされているわけですから、そら物価は上がりませんわ。不都合な真実ですが日銀は認めるでしょうか。

戦争と金融政策は違うと言われるかもしれませんが、短期の作戦として始めた政策が未達で長期戦にずれ込んだ時点で戦略の練り直しが必要なのは同じです。勝てない戦争はしない。戦況が劣勢ならば速やかに退却するってのが戦争のセオリーですが、日銀は未だ出口論を封印しています。思えば東芝もシャープもこうして傷口を広げて立ち行かなくなったわけですし、日本の様々な組織にこうした撤退下手とでも言うべき病弊が蔓延しているようです。関連でこのニュース。

夕張市、JR北に地域振興の協力要請 路線廃止容認の条件に  :日本経済新聞
財政再建団体となった夕張市としては、」実際これしか選択肢はないと思います。加えて夕張支線の場合夕張市単独で意思決定できる稀有な条件もあったということです。他の路線は複数自治体に跨っていて自治体間の意思のすり合わせだけでひと仕事になります。実質道庁が動かなければ動かないでしょうけど、道庁は動く気配はありません。

あと青森方式というか、道が線路保有して自治体出資三セクに貸し付ける方式も、あくまでも整備新幹線の並行在来線だから、新幹線というインフラの見返りとして県単位で同意を得やすかったってこともありますから、路線の維持だけがテーマの北海道では無理な話です。おまけで言えば青森方式よりも、事業者のIGRいわて銀河鉄道による線路取得費を事後的に県が肩代わりし、沿線自治体に固定資産税を納めさせる一方、自治体側でその税収分を積み立てて保守費用に充てる基金とするというクレバーなやり方をしてます。実質公的な減価償却をやってるわけです。

というわけで、実際に協議が始まれば新たなアイデアが出てくる可能性はあります。ただ気になるのが夕張市長が自身のブログで示したコンパクトシティ構想です。正直言って県庁所在地の青森でさえ明らかに失敗したものが夕張で可能なのか、疑問を禁じ得ません。一応清水沢付近に都市機能を集約しようということのようですが、新たな玄関口となる新夕張駅からは離れてます。炭鉱の廃坑でどんづまりの旧市街をたたむのかどうかはわかりませんが、地理的にもほぼ発展の可能性は皆無ですから、基本的には撤退戦だということを肝に命ずるべきでしょう。

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Saturday, June 18, 2016

アベphoneで舛添トチり秋の河岸

先週末のフロリダの銃乱射事件ですわテロ事件?ところが容疑者自身がゲイでムスリムの父親の厳格さや家庭内暴力などで悩みを抱えていたらしい。というわけで銃社会アメリカの負の事件ということらしい。ここ20年で銃撃事件の犠牲者が毎年3万人以上と日本の自殺者に匹敵するという異常さですが、よく考えたら、病めるアメリカ社会の犠牲者と病める日本社会の犠牲者がほぼ同数って、他人を巻き込む度合いとか人口比で考えたら日本の方が深刻ってことかい。

そしてEU離脱を問う国民投票を控えるイギリスで、残留派の下院議員が凶弾に倒れ、それまでの過熱報道が自粛されるという事件がありました。政治的不寛容が顕在化したという意味でメディアの自粛もやむを得ないところかもしれませんが、国民投票の結果への影響など、例えば残留派が多数という結果に対して、離脱派がメディアの自粛で作られた結果だと異議が噴出するとか、政治的混迷が続く可能性があります。イギリスがウクライナ化するかも。

てなこと以上に個人的にはこのツイートでえらいことになりました。

直後足掛け3日で1,000RTで通知でほぼスマホがマナーモードのバイブが止まらず、出先でバッテリーがご臨終。慌ててモバイルバッテリー繋いだら道連れでご臨終-_-;。南ー無ー -人-。

リプライもいただきましたが、とても反応できる状況ではありませんでしたが、リプライに別の人がリプライしたりさらにRTしたりで、怒涛のような拡散ぶりです。リプライ返しする代わりに感想として、キモは首相が自治体の首長に辞任要求の電話という異常事態を、何の疑問も抱かずに報道するメディアの堕落ぶりを炙り出した点にありまして、その辺を読み取ったリプライもありましたが、日経の飛ばし記事だの電話だけで圧力呼ばわりだのナイーブな政権擁護論もありで、眺めるだけなら楽しめますが、日本の言論空間の異常さが見えて眩暈がします。政治対立で銃弾が飛ぶイギリスと比べるとメディアの緊張感もないし。

で、舛添都知事がいかなる法令に違反しているか、法的瑕疵があるかといえば、何もない。政治資金規正法で政治資金の使途に縛りはないわけですが、これが家族旅行での散財ではなく有権者への饗応であれば、買収にあたるとして公職選挙法で厳しい罰則が定められています。しかもこれ都知事になる前の参院議員時代の話です。都知事としての贅沢出張も石原知事時代にはあからさまな観光旅行まで都財政につけまわされてましたがお咎めなしで、都知事の公費基準がユルユルになったから、舛添知事はその基準に従っただけです。

公用車の私的利用や週末の他県の別荘滞在も、都職員や都議で知らない者はいなかったのに、文春が記事にしたとたんに手のひら返しをしたわけですし、もっと問題なのは都議会で集中審議までして文春の報道内容以上の新事実は何も出なかったってことです。こいつら月60万もの政務調査費を受け取ってるんだが。そして東京都以外の府県だと地元紙が日常的に首長や地方議会の動向を記事にしますし、全国紙の地方版でも取り上げられますが、東京都に関しては、特に都議会で何が起きているかはほとんど報道されません。報道で監視されていなければ政治は堕落するってことです。その意味では都政は国政を先取りしているところがあります。

で、都議会に関しては民進党や共産党などの野党陣営が特に何してたんだとのそしりを免れません。今回の結果的に舛添知事を追い込んだだけですが、よく考えてほしいのは、舛添知事は曲がりなりにも毎日登庁して様々な案件処理をしていたわけで、その結果オリンピック競技施設建設の見直しや新銀行東京の民間売却などの難題をこなしているわけで、自陣に取り込んでうまく働いてもらう方が良かったんじゃないかということです。

それどころかそのオリンピックの東京招致の贈収賄疑惑がとり沙汰される中、当然都知事への聴取もいずれ行われるわけですから、舛添おろしをした結果、誰が都知事になるかで、真相へ切り込めるかどうかが問われている事態で、特にオリンピックに反対していた共産党にとっては、舛添知事を味方につけられるかどうかは重要課題だった筈。目先のきれいごとに流されるとは情けない。これで世論の盛り上がりで言い出せなかったとか言うんなら、世論の沸騰で日米開戦回避を言い出せなかった近衛文麿と同じだぜっての。

で、これから問題になりそうなのが築地市場の豊洲移転問題です。11月移転は決まったものの、計画のずさんさでボロボロ。

11月移転に過半数が反対! 築地市場にうずまく不安 〈週刊朝日〉|dot.ドット 朝日新聞出版
舛添問題の裏で無責任すぎる都の対応…総事業費5800億円に膨れ上がっていた築地市場の豊洲移転がヤバい - Ameba News [アメーバニュース]
これいろいろとヤバい内容てんこ盛りなんですが、移転まで半年を切った現時点でさえ、新市場の中卸店舗の賃料すら明示されず、仲卸も移転準備のやりようがないとか。で、移転に関わる説明会が紛糾して座礁しているのですが、メディアではほとんど報道されてません。結局仲卸が抜けた巨大ハコモノは最初から廃墟になりそう。築地市場の移転で跡地再開発を狙う中央区は焦りまくり、また市場移転が遅れれば環状2号線(マッカーサー道路)の湾岸延伸も着手できずオリンピックに間に合わなくなるということで、一皮むけば五輪利権丸見え。そういえば話題の電通本社は環状2号の汐留、汐先橋交差点で何だか因縁めいています。

環状2号線はオリンピックで燃料電池連接バスでBRTシステムを導入し、観客輸送をする計画や将来は都心から有明までの地下鉄建設構想を中央区が発表し、国交省の交通政策審議会鉄道部会2016で一応取り上げられ、国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークとして次の8路線が取り上げられました。

<1>都心直結線の新設(押上~新東京~泉岳寺)
<2>JR羽田空港アクセス線の新設と、京葉線・りんかい線相互直通運転(田町・大井町・東京テレポート~東京貨物ターミナル~羽田空港、新木場)
<3>蒲蒲線の新設(矢口渡~蒲田~京急蒲田~大鳥居)
<4>京急空港線羽田空港国内線ターミナル駅引上線の新設
<5>つくぱエクスプレスの延伸(秋葉原~東京〔新東京〕)
<6>臨海地下鉄の新設と、つくぱエクスプレス延伸の一体整備(臨海部~銀座~東京)
<7>有楽町線の延伸(豊洲~住吉)
<8>品川地下鉄構想の新設(白金高輪~品川)

答申の内容としては事業性に疑義を呈するものが多く、盛り上がっているのは自治体ばかりで事業者は慎重ということで、臨海地下鉄に関してはつくばエクスプレス延伸の一体整備という合わせ技としたのは審議委員のサービス精神だろうと思いますが、それぐらい具体性を欠いた計画というわけです。いずれにしても目標年度は2030年でオリンピックには間に合わないんですが、今なら無理が通りそうという甘い見通しもあるのでしょう。好調を伝えられるつくばエクスプレスでさえも、2㎞程の延伸ができないほど債務の重圧に苦しんでいる事実を見ていないのですね。

そのほか地域の発展のためのネットワークの拡充として既存路線の郊外延伸が取り上げられてますが、その中には豊洲―住吉間の延伸部にあたる押上―野田市間も取り上げられており、こちらは8号北上線の押上―亀有間をさらに八潮経由で野田市まで延伸するという、ほとんど鉄ちゃんの妄想レベルです。2020年代には首都圏も人口の移転超過が終わり減少に転ずるというのに、今借金してまでやるべきことか。冷静に考えれば子供でも分かりますね。その前に野田線、あ、アーパー線か^_^;、に急行走らせろっての。そのための設備投資計画を支援する方が先でしょう。

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Sunday, May 22, 2016

五輪霧中

2020年の東京オリンピックの雲行きが怪しくなってきております。特に2億円超の「コンサルタント料」問題は、下手すれば東京開催返上の可能性すらありますが、国内報道ではその辺の言及がなく、危機感が足りないかも。

そもそも発覚の仕方が異常で、元々ロシア陸連のドーピング疑惑を捜査中に、渦中のIOC幹部の息子の会社に2億2,000万円が振り込まれていて「これは何だ?」というのですから、笑えない。東京開催決定の前後2回に分けての振り込みは賄賂性を疑わせるということで、フランス捜査当局が本気になったものです。

パナマ文書で話題のタックスヘイブン問題が、それ自体では違法性を問えない一方、コンサル料を受け取った会社は、アジアのタックスヘイブンとして知られるシンガポールが所在地で、しかもすでに解散しているとか。裏金ではない証明はほぼ不可能でしょう。JOCが潔白を主張するなら、騙されたとして詐欺で訴えるならわかるけど、守秘義務を盾に解散した会社に操を立ててるっておかしいです。この辺説明付かないなら捜査の進展で返上を迫られる前に、東京開催を自ら取り下げる方が良いかも。オリンピック自体は代理開催でロンドンが有力らしいけど、開催されるなら、出場選手には場所が変わるだけの話です。

以前から気になっていたのですが、オリンピック関連で様々な利権がうごめいている印象はありましたが、生易しいものではないようです。例えば新国立競技場問題では、神宮の森の再開発問題とリンクしていて、ザハ案の迷走がそれをあぶりだしています。

新国立競技場、隈案に決定の裏に利権の闇|Close Up|ダイヤモンド・オンライン
ちょっと複雑なんですが、元々宗教法人明治神宮をはじめ三井不動産など民間地権者の所有地ながら、国内風致地区第1号に指定されて15mの高さ制限が課されていた神宮の森に3棟の高層ビル計画が持ち上がり、それを可能としたのがザハ案の新国立競技場で、それを露払いとして高さ制限が大幅に緩和された新たな都市計画が東京都によって策定され、新高層ビルの日陰となる都営霞ヶ丘アパートは公園化されることになり、住民の追い出しで揉めて裁判になっています。

公園化は再開発で必要になる公園スペースの確保の意味もあります。ところが露払い役のザハ案がコストがかかりすぎると批判を浴びて白紙撤回され、再コンペとなったわけですが、この先がややこしい。隈研吾氏と伊東豊雄氏の2案に絞り込まれ隈案で決着したのですが、隈案はザハ案でサポートした日建設計がサポートしており、データ流用を巡ってザハ氏から知的財産権侵害を指摘されるなど火種は残っております。問題になった聖火台はサブトラックと共にザハ案では別に作る計画だったので、隈案では反映されていなかったって、そうなるとパクり疑惑は深まるのか?-_-;

で、問題なのが伊東案の落選理由。伊東案ではコスト削減の別メニューとして人工地盤上の公園計画を省略した案を提示した結果、東京都側の委員が反発したとか。曰く「今更都市計画を変更できない」だそうな。これ神宮の森のトリプルタワー計画と読み合わせると腑に落ちます。高層ビル建設のためには所定の公園面積を確保しなければならないんですから。伊東氏にしてみればコスト削減のための別メニューの提示で撥ねられた格好で、良心を示したのにとかなりお怒りだとか。

もちろんこれらは状況証拠だけですが、そもそもザハ案自体が神宮の森の高さ制限緩和のダシに使われた可能性もあるわけで、オリンピックという夢の祭典はここまで食い物にされているのかと愕然とします。本来公共施設のデザインコンペでは、建設の目的や予算、立地場所の法規制などの建築与件を明示して行われるはずですが、新国立競技場ではそれがなかったようです。結果として径間500mを超える巨大キールアーチという物理法則に挑戦するようなザハ案が採用されたわけで、意図を感じざるを得ません。ザハ案に批判が集まって白紙撤回された一方で、旧国立競技場の解体を拙速に進めたのも、既成事実を作って後戻りできないようにしたと見えます。

それでもコスト面での世論の批判もあり、舛添都知事によって競技施設計画の一部が中止されるなどしたのですが、その舛添都知事が今批判を浴びています。

高額出張や公用車利用… 舛添都知事に「公私混同」批判  :日本経済新聞
批判の許が専ら与党の自民公明陣営からというのが匂います。何だか猪瀬前都知事のときのように、辞めるまでバッシングが続く感じです。しかも猪瀬氏は都知事選を控えて徳洲会から5,000万円を受け取ったわけで都知事としての責任を問われる構図だったのですが、舛添氏の政治資金絡みの問題は都知事になる前の話ですし、都の公金や公用車の使用に関しては、一応都の基準の範囲内です。ま、これも石原都知事時代の蕩尽で基準が緩くなっていたのかもしれませんが、当時一部で批判されたものの、今回のようなバッシングにはなっていません。早い話舛添氏は虎の尾を踏んじゃったのね。だから都議会も100条委員会を開きたくても公式には理由がないわけで、あとはひたすら叩いて辞めるのを待つってことじゃないでしょうか。てなわけで五輪霧中^_^;。

これらは公共事業では普通に行われてきた手法ではあります。だから時々揉めるわけで、最たるものは成田闘争ですが、辺野古の新基地でも同様のことが起きています。ほとんど報道されませんが。そんなときにこんなニュース。

沖縄女性遺棄 日米首脳会談で再発防止要請へ  :日本経済新聞
政府も抗議の姿勢は見せているものの、沖縄での世論の沸騰に広島訪問を決めたオバマ大統領や日米同盟の先行きを心配って変だろこれ。

えーと、正確には公共事業ではないんですが、先日市川市で住民の反対で保育園の建設断念のニュースがありましたが、報道が明らかなミスリードで、近隣住民が子供の声にうるさいと苦情といったニュアンスで報道されましたが、住民の言い分は、事業主体の社会福祉法人の説明が不十分で市川市も対応が悪いこと、特に前の道路が狭く、保育園ができて児童の送迎のマイカーが増えれば通行が困難になることが一番の問題ということで、そうなると道路の拡張など都市計画から見直さないと保育園一つ作れないというわけで、児童の歓声の苦情が事業者や行政の見直しの口実に使われたということのようです。神宮の森の再開発や辺野古の新基地とは逆の構図ですが、利権絡みでやらなければならないことは何が何でもやるけど、そうでもない案件は人のせいにしてやめる。自分たちは傷つかないというわけですね。

昨今、東芝の粉飾問題や三菱自工の燃費不正など、日本企業の劣化を示すニュースが続きますが、その流れの中で共通する問題は、リーダーの不作為や現場軽視に、優秀なはずの現場が疲弊しているのではないかという疑問です。オリンピックも元々既存施設の活用でローコストでエコな大会を目指していたはずが、予定になかった国立競技場の建て替えを皮切りに神宮の森の再開発とどんどん話が大きく膨らむ一方、人手不足で人件費はつりあがる一方、ゼロ年代のリストラで職人をリストラで社外へ出した結果、横浜の傾きマンション問題などが起きるわけですが、その時に指摘した技術者の高齢化と若者の減少による技術の伝承問題もあり、現場の能力低下も疑われます。

技術の伝承問題はそもそも国鉄改革で誕生したJRで指摘された問題で、国鉄末期の新規採用手控えとJR化後も余剰人員対策もあって採用手控えが続いた結果、40代の中堅社員が極端に少ない歪な年齢構成となっており、例えばJR福知山線事故のときの若過ぎる運転士が日勤教育などの懲罰的処分を恐れて指令への虚偽報告をしたりしたことが、事故の遠因となっていると指摘されてます。昨今特に気になるのが饋電系のトラブルで、3月にも高崎線籠原駅での碍子の経年劣化によりDC1,500v電流の地絡事故で連動装置などが焼損した事故では、復旧に2日半を要し影響甚大でした。碍子の経年劣化そのものは阻止できないので、劣化を早く見つけて交換するしか対策がないのですが、海岸沿いなど環境的に劣化の早い場所は現場で経験的に把握されていて、重点的に点検、交換が行われていました。籠原の現場がどうだったかは不明ですが、技術伝承がどうだったかなど、不明な問題は残ります。

き電系統の事故は復旧に時間を要するのは2015年8月の京浜東北根岸線桜木町事故でもありましたが、このときはエアセクション停止による前後き電区間の短絡による大電流で架線が溶断したものでした。京浜東北根岸線は保安装置がATCで、停止禁止のエアセクションには止まらない仕様だったのに、花火大会で駅の混雑対策でホームの混雑が引けてから次の電車を入線させるという確認運転をしていたことが仇となり、手動運転で停止禁止エアーセクションに留まってしまったものです。運転士はエアーセクションの停止禁止は把握しておらず、典型的なマン―マシン系トラブルとなりました。お金かけて高度な保安装置を入れればよいわけではないわけです。むしろシステムの構成が複雑化すると、事故対応も複雑化して想定外の結果を生むこともあるわけです。国鉄改革から間もなく30年を迎える中、JR各社は難しい段階にあるようです。

おまけですが、鉄道ジャーナル6月号の曽根悟教授の高崎線事故の解説が面白かったのですが、首都圏のJRでき電事故が目立つのは、日常的に大電流を扱っていることと関係がありそうです。供給電力が15連3列車が重なると10,000Aにもなるのでは、正常電流と異常電流の区別がつきにくく、自動遮断の精度を上げられないということですね。結果的に地絡事故が起きても回路の自動遮断ができずに大事故になるということで、難しい課題です。

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