鉄道貨物

Sunday, August 13, 2017

1億総社畜化社会

米朝間で子供の喧嘩みたいな罵り合いが展開されており、市場はリスクオフに振れて株価を下げたりしてますが、こういう時は落ち着きましょう。そもそもホワイトハウスの行政官ポストを埋め切れず身動きが取れていないトランプ政権に戦争準備ができているわけないですし、北朝鮮にしても核実験由来の放射性物質は1回目以外検出されていませんし、ICBM実験も高高度で発射して飛距離のポテンシャルを示してはいるものの、難しい大気圏再突入性能は検証されておりません。もちろんだからと言って核やミサイルの開発が進んでいないとまでは言えませんが、騒ぎ過ぎです。

てなことは置いといて、1年前のエントリーで取り上げた社畜ネタです。今年は例年にも増して高速道路の渋滞が酷いですが、お盆に一斉に実家へ帰るからこうなるんで、時期をずらすとか考えないと、3年後は丁度オリンピック期間とバッティングしますからどうなることやら。猛暑による熱中症問題がやっと認識され始めましたが、新国立競技場をはじめとする関連工事も人手不足出遅れが心配されてますし、その新国立競技場の工事作業員の過労自殺が報じられるなど、本当に大丈夫かいと心配になります。

ロングバケーション当たり前の欧州では、企業が従業員に有給休暇取得時期を割り振って分散しながら長い休暇を楽しむのに、短い盆休みを一斉に取って大移動する日本のビジネスマンの働き方の異常さが世界へ発信されるおぞましい2020年になりそうです。その働き方改革を巡って混乱もあります。

連合、「脱時間給」容認を撤回 政労使合意は見送り  :日本経済新聞
日経の記事は問題だらけなんですが、連合の逢見事務局長が独断で政権とやり取りして進めていた話で、神津会長は長時間労働の歯止めが認められるならば、政労使協議に応じても良いとしたものの、あくまでも年収1,075万円以上の特定職種を対象とした高度プロフェッショナル制度の話であって、脱時間給は関係ありません。

そもそも裁量労働制も成果主義賃金も現行法で違法ではないんですが、要件として募集や採用の時点で説明がされ雇用契約書にも明記されている必要がありますし、そもそもこのような雇用形態は労使間で合意が必要なんですが、御用組合をでっち上げて協定書の書面を作っても、未払い残業代請求訴訟では実体のない名ばかり組合では労働者の代表と認められず会社側が敗訴する事例が重なり、経済界から要件緩和の要求が出ていたもので、労働側から見れば当然認められません。

あと限定職種の高度プロフェッショナルにしても、高給取りで直接雇用が難しいんですから、むしろアウトソースして相対取引で条件を決めれば良いんで、労基法に盛り込む積極的な意味はありません。当然の如く連合の傘下組合から反対の声が上がって連合は撤回に追い込まれ、次期会長含みだった逢見事務局長を副会長に棚上げして神津氏の会長留任を決めて収めたって話です。早い話企業は残業代を払いたくないってのが本音です。

2020年のオリンピックと盆帰省のバッティング問題でも指摘しましたが、欧州企業では仕事の繁閑を有給休暇の分散取得消化で対応しており、そのため使用者側に有給休暇の完全消化の義務と共に取得時期調整の権利が与えられています。国によっては年度初めに従業員の有給休暇取得計画書を当局に提出する義務まで負わせているわけで、残業で繁閑調整をしている日本とは根本の考え方が違います。結局残業が日常化して長時間労働が当たり前になり、過労自殺も後を絶たないし、長時間労働で作業効率も落ちるから労働生産性が高まらず、利益率が低くなるという悪循環です。解決策は簡単で、最繁忙期に合わせて増員して有給休暇を分散取得させることです。

あと人手不足でAIへの期待が高まっておりますが、AIに限らず機械による労働の代替自体は昔から繰り返されてきたこととはいえ、単純な代替を考えているならお門違いです。AIは人間になれませんし、むしろAIが能力を発揮するための仕事の手順や環境を人が整えてやらなければならないですから、AIで人手不足解消は不可能です。これオフィスオートメーションが言われ始めた時代やコンビニのPOSシステム導入のときも言われたんですが、システムの導入に伴って業務の見直しがちゃんとできて初めて、少ない人数で多くの産出高を稼ぐことで労働生産性が向上するんで、その分を賃金に反映させて家計の購買力を底上げして初めて、経済成長につながるんですが、現実はどうも違う方向へ進みそうです。

実はこれを端的に説明するツールはマルクスが提供しておりまして、G-W-G'で表しております。Gは資本、Wは商品を意味します。ここで言う資本はぶっちゃけお金のことで、生産手段としての工場や機械に投資して、従業員を集め原材料を仕入れて生産した商品を市場へ投入して代金G'を得ることになります。このときにG<G'となるように仕組みを整えるわけです。工業化で工業製品が大量に生産され市場投入される産業資本主義過程はこれが繰り返されるわけです。

しかし大量の工業製品が市場へ投入され続けた結果、工業製品の価格は低下しますし、またスマートフォンのような汎用多機能デバイスの登場でむしろ集約が進む結果、G<G'の関係の維持が難しくなります。一方PCやスマホのような汎用デバイスはソフトウエアのバージョンアップで機能強化が進み、思いがけない用途が開発されていきますから、開発に携わるプログラマーやSEなどのIT人材が重要な生産手段となり、その調達囲い込みのために高額報酬が約束されるようになります。結果的にITデジタル技術を軸とした生産手段の組み換えが起きてデジタルブルジョワジーとデジタルプロレタリアートに分離する現実が出現したわけです。伝統的工業の衰退とIT産業の台頭で米トランプ政権誕生の背景でもあります。

困ったことにあらゆる労働がデジタル技術で代替可能なわけではなく、元々低賃金の単純労働はいつまでも機械化されずに残るどころか、かつてはノウハウの塊だった事務職や販売職も作業内容が単純化されていきますから、低賃金の単純労働はむしろ増えるわけです。つまりマルクスがプロレタリアートと命名した時間の切り売りでしか生活の糧を得る手段を持たない階層が新たに出現したと見れば、世界的にみられる格差拡大が容易ならざる事態であることがわかります。この観点からすれば労基法改正で政府が盛り込もうとする高度プロフェッショナルは保護すべき対象ではないわけです。

さらにもっと困ったことに、高給で優遇される高プロ人材の育成は困難だってこともあります。何となれば人に教える暇があるなら自ら働いて稼いだ方が良いし、人に教えてライバルを増やせば自らの市場価値を下げることになります。加えて技術革新のスピードが速くなってますから、市場価値が落ちたところで教える側に回る頃には次の新技術が出現して手持ちのスキルが陳腐化しているわけですから、教えるニーズもなくなるわけで、ある意味旬の内に稼いでセミリタイアというキャリアプランを取らざるを得なくなります。かくして技術の分断が今以上に深刻になるわけです。

また高額報酬の職業ほど資本代替のニーズが強く、高額の研究開発投資に見合うリターンが期待できますから、いずれ稼げる職業は減っていくというディストピアになりかねません。自分で自分の首を絞めることになるわけです。高プロじゃないですが、例えばかつて高給取りだったバスドライバーやトラックドライバーの賃金低下も、運送業の参入規制撤廃で進んだわけですし、タクシーに対するウーバーなどのライドシェアの挑戦も同様の文脈で理解できます。規制緩和は善として拙速に認めるのは問題です。

その先の自動運転も、当面は地域限定の交通システムとしての実現を目指すのが妥当です。トラックドライバー不足を自動運転で凌ぐのも問題です。荷物の積み降ろしや検収、場合によっては代金決済もあるわけで、その部分は自動化できないので、結局ドライバーに運転させる方が労働生産性を高めることになります。寧ろ鉄道や船舶との連携による複合一貫輸送のシステムを構築することが大事です。この辺の誤解はかなり根深いですね。

その鉄道も自動運転車の実用化で変化を迫られます。ただし道路輸送では実現不可能な大量輸送の能力が結局鉄道のレゾンデートルになるという意味で、地方のローカル線の維持はますます困難になります。また線路保守など労働集約産業の側面は残り、JRでさえ外注化で凌いでいる状況ですが、その結果日常の列車運行に支障が出るほど保守レベルが荒廃したJR北海道の問題など、解決すべき問題があります。そんな中で取り上げたいのがこれ。

JR東など、英鉄道運営を落札 12月から運行  :日本経済新聞
英国鉄道のオープンアクセス制にフランチャイズ(運行会社)として参入するというもので、遅延の多いミッドランド鉄道の定時運行率の向上をアピールして落札したということで、結構ハードルは高いと思いますが、例えばJR北海道の問題の解決策として、線路保有の国策会社を設立してフランチャイズを募集するといった事態も考えられますから、国内の鉄道事業へのフィードバックも期待できます。この辺新幹線システムの一括受注しか念頭にないJR東海の連戦連敗に対して、確実に経験値を高めるJR東日本の行き方は賢明です。

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Sunday, June 18, 2017

空飛ぶクルマ

共謀罪が成立しました。国会論戦で一般人には適用されないとされてますが、問題なのは乱用の歯止めがないこと。前エントリーでも指摘したように、前文科省次官の前川氏に対する個人攻撃のように、政権に不都合な人物を狙い撃ちすることができてしまうわけです。この点は戦前の治安維持法と変わりません。ちなみに治安維持法の逮捕者第1号は仲間内でヨタ飛ばし合ってた大学生達で、冤罪だったけど取り調べ中に拷問死だそうで、これリベラル陣営から見れば逮捕上等、逮捕は名誉と考えるべきでしょう。歴史に名を遺すチャンスです^_^;。てことで共謀したいんだけど、1人じゃできない。仲間がいない。

******急募!一緒に共謀する仲間!******
価値観を逆転させれば怖くはありません。ヤクザかい!てことでヨタ飛ばし続けます^_^;。

先週末愛知県の東名高速で事故がありました。

バスに車衝突、45人けが 運転の男性死亡 愛知の東名高速  :日本経済新聞
北朝鮮の脅威が言われ、各地でミサイル防空訓練が行われたというニュースと並べると、現実的には空飛ぶクルマの方が怖いよなと。そもそもミサイル飛んできたは数分のうちに着弾してしまうから意味ねー。続報では反対車線を走っていた乗用車が左側ガードレールに接触してコントロールを失い、右へ寄って中央分離帯の法面に乗り上げてジャンプしたそうですが、時速100㎞程度ということで、道路構造の欠陥も指摘されてます。

一方ぶつけられた観光バスの方は、バスドライバーが咄嗟に左に避けてエンジンブレーキで減速しながら左側のガードレールや側壁に接触させて安全に停止させ、その冷静な対応に賞賛が寄せられています。また観光バス事業者の東神観光バスは安全性の高い新車を導入しており、軽井沢のツアーバス事故では車体強度に問題のある中古バスだったこともあって、この面でも賞賛されてますが、いや待て、そもそも空飛ぶクルマのガードレール接触が事故原因だったわけで、同じガードレール接触で車の挙動がここまで違うってことは指摘しておきます。

種明かしすれば車両重量の問題でして、乗員1名の乗用車の重量は1t前後に対して、フル装備の大型観光バスで定員乗車なら20t近くになります。これだけ重量が違えば運動エネルギーの量も大違い、大型観光バスを安全に停止できる側方ガードレールも乗用車には強すぎて弾みでコントロールを失うことはあり得るということですね。もちろん入射角の問題や乗用車のドライバーの心身喪失の可能性など、報道ではわからない問題もありますが、道路構造に注目すれば、問題点は見えてきます。1t未満の軽から40tの大型トレーラーまで同じ道路を通行するわけですから、安全対策に根源的な不可能性があるわけです。

中央分離帯や側方ガードレールの設計は大型車の重量を受け止めて衝撃を分散しなが安全に停止させることを狙っているわけで、乗用車にとっての最適設計ではないことは確かです。中央分離帯も大型車が突破できないようにタイトな法面を採用すれば、軽量な乗用車にとってはジャンプ台になりかねないわけです。道路の混合交通故の矛盾ですが、そもそも高速道路は大型車を想定した作りであって、乗用車で利用するときにはドライバーがリスクを意識して自衛するぐらいしか対策はなさそうです。余談ですが、都内の高速道路整備で東名より先に中央道が着手され、しかも分岐線である富士五湖線が優先されたのは、治安対策で山梨の陸自基地から戦車を速やかに都内へ向かわせるためとか。時あたかも新左翼運動が盛んな60年代後半でした。

大型車と小型車をゾーニングで棲み分けられない限りついて回る問題ですが、首都高で湾岸線の大型車ETC割引で利用を誘導しているぐらいです。外環道や圏央道が整備されたときに、大型車の環状ルートへの誘導策は考えられますが、厳格な分離は困難です。

てなタイミングで日経ビジネスが「「空飛ぶクルマ」の衝撃」という特集組んだのが何というか^_^;、道路を走る限り渋滞を避けられない中で、「空を飛ぶ」という発想そのものは突飛とは言い切れないにしても、クルマの未来に見えるある種のカオスを感じます。中身は玉石混交で、さまざまなアプローチがありますが、プレイヤーがアマゾンやウーバーのようなIT企業にトヨタ自動車、航空機のエアバスまであり、ドローンの大型版や1-2人乗りのパーソナルプレーンなど、方向性も定まっていません。

空は飛ばないまでも自動運転は実用化を射程に入れており、未来の自動車産業の激変を示唆するのですが、上記のような現実の事故を目の当たりにして、ここに自動運転車が加わることに関してどう考えるべきか、今のうちに考えておくべき問題があります。既に自動運転車としてレベル2と定義される高速道路で車線キープと車間距離を保った自動追尾は市販車レベルで実用化されてますし、これに車間通信を組み合わせて衝突を回避しながら車間を保って運行する技術なども実用化目前ながら、いずれもドライバーが乗って緊急時の危険回避を行う仕様で、今回のような事故を防げるのかというと、むしろヒューマンエラーを誘発する可能性もあり問題を複雑にします。

その先の完全自動運転は事故時の責任分担の問題が絡み、現状では不可能となります。実際大型車に偏った日本の高速道路の安全対策を前提とすれば、事実上完全自動運転は無理です。本気で実用化を考えるならば、エリアを限定して速度を抑制した形で交通システムとして導入するというアプローチになると考えられます。実際グーグル改めアルファベットの自動運転車開発会社ウェイモが2座の小型自動運転車を米カリフォルニア州フェニックスで実証実験してますが、日本でもウーバーのシステムで自家用車有償運行を行う京丹後市など、まずは公共交通が維持困難な地方の特定エリアで試験導入が現実的でしょう。

京丹後市では道路運送法78条の自家用自動車の有償運行の特例で認可されたんですが、そのために営業車に準じた事故補償を求められてボランティアのドライバーに高額の保険加入が義務付けられており、元が取れる状況にないこともあり、ドライバーのなり手の確保が難しい現実があります。未来志向で特区制度を活用するというならば、ウェイモのシステムを導入した方が良かったんじゃないでしょうか。加えて鉄道貨物の強化で高速道路の大型車を減らしすということも考えて、貨物鉄道と競合するルートを小型車向けにゾーニングというアプローチも考えられます。

第2次安倍政権の成長戦略の目玉とされる国家戦略特区ですが、今治の加計学園獣医学科問題にとどまらず、どこに未来志向があるのか疑問です。仮に獣医師が足りないとしても、既存の獣医学科の定員増で対応できれば初期投資分の負担が軽減されるわけで、敢えて新設の大学で行う理由は明らかではありません。しかも獣医学科新設に意欲を見せた京都産業大学は却下したうえで、空白地帯に限るという事実上再申請を封じる決定までされているわけですから、加計学園への便宜供与が疑われても仕方ありません。

てなわけで、共謀しようぜwwwwwwww。

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Sunday, April 09, 2017

トランプ・クリティーク

柄谷行人氏の著書に似せたわけぢゃないんですが^_^;。トランス・クリティークは名著です。

シリア情勢が大きく動きました。4日にシリア政府軍の空爆後に、サリンに似た中毒症状が見られたことで、化学兵器の使用が疑われたことを受けての懲罰ってことのようですが、疑惑段階での軍事行動は問題です。子ブッシュ大統領がイラクが大量破壊兵器を開発中という嘘の情報で開戦したことを思い起こさせます。当時は独仏両国が反対に回ったのに対し、今回西側諸国はこれを歓迎したわけですが、いち早く支持を表明した日本の立場は微妙です。

米中首脳会談が行われている中でのミサイル攻撃ということで、北朝鮮問題に対する警告の意味を指摘されてますが、その割にロシアなどへ行われた事前通告が日本には為されなかったわけで、日本政府の希望的観測の域を出ません。むしろ国連安保理でロシアと連携することが多い中国が口出ししにくい米中首脳会談のタイミングを利用したってのが実際でしょう。実はここにトランプ政権の性格を示す鍵があります。

レーガン大統領に比較されることが多いトランプ大統領ですが、就任後の政権運営を見ると、むしろニクソン大統領に近いと言えます。今回のシリアへのミサイル攻撃で言えば、ジョンソン大統領時代に泥沼化したベトナム戦争を終結させる過程で北爆を強行したりカンボジアへ戦線を拡大したりした迷走あたりと似た対応です。

実際は欧州諸国が主張するアサド政権排除とは一線を画し、深入りを避けています。どうもアサド政権の化学兵器使用に関する官僚のプレゼンに義憤を感じたということのようです。そしてホワイトハウスの政治任用ポストのなり手が見つからず、議会承認も遅れていて空席が多いことが影響してるようです。だから逆にトランプ大統領の脊髄反応的な対応が表へ出たってことのようです。

日本としてはむしろシリア情勢を他山の石として、朝鮮半島有事で米軍の北朝鮮攻撃が起きた時の混乱をシミュレーションする機会でもあります。おそらく韓国国内の反応で賛否が分かれ、日米韓一枚岩の対応は無理でしょう。当然在日米軍基地への北朝鮮からの報復攻撃も起こりますから、日本国内も混乱して収拾がつかなくなることになります。軍事オプションは慎重であるべきですし、対北朝鮮でアメリカが強硬策に出ることは止めないといけません。

思い起こせば大統領選勝利宣言の場でTPP永久離脱を表明したのも、オバマ大統領の任期中に批准できなかったことで、NAFTA再交渉よりもハードルが低いですし、大統領就任後の大統領令連発も、大統領令は問題があれば議会が無効法案を成立させて無効化したり司法が差し止めたりできるので、実効性よりも有権者へのアピールの性格が強いと見ることができます。それが証拠にオバマケア修正法案に関しては議会との調整の果てに撤回しておりますが、これも単純にオバマケアを葬り去りたいのであれば、廃止法案ならば議会多数派の共和党の賛成ですんなり通っただろうに、、修正法案としたために、共和党保守派の賛同が得られず撤回に追い込まれたんですが、その結果、オバマケア継続が決まり、歳出が確定したことで、予算審議はむしろやりやすくなってます。トランプ大統領ってホントは隠れリベラル?

この辺はビジネスマンらしく難易度を意識したリアリズムなんでしょう。同時に従来の保守とリベラルの対立構図の中で経路依存的な議論しかできない政治家たちを戸惑わせているとも見ることができます。ニクソン大統領が米ドルの金交換停止や頭越しの電撃訪中で、オイルショックに始まる産油国カルテルをオイルダラー還流の枠組みで実効支配し、中ソ対立に乗じて一つの中国政策でソビエトとの分断を進め、現在に通じる地政学のフレームを作ったわけですね。日本にとっても沖縄返還交渉関連の密約で深く関わりますし、アメリカ側が沖縄返還のバーターと考えていた日米繊維交渉の約束を破った日本への不信感が、その後80年代以降のジャパンバッシングへとつながったとすれば、当時の佐藤政権の不始末でもあり、その意味で従来の対米追従路線を離れられない日本の安倍政権のしょーもなさにはため息しか出ません。

改革の本丸と目される税制改革ですが、これイギリスのシンクタンクが提案する法人税の仕向け地課税制度が踏襲されると見られますが、これに関してあまり正しく認識されていないようです。法人税の課税方法には大きく分けて居住地課税と源泉地価税の2つがあり、前者は企業の本社所在地での一括課税でアメリカはこれですが、多くの国は付加価値を生み出した地域で課税する後者となります。問題は違う制度が併存する中で企業の多国籍化が進んでいることで、居住地課税国の企業が源泉地価税国に生産拠点を置いて本国へ逆輸入するケースでは二重課税になりますし、逆のケースでは課税逃れにもなり得ます。そこで国境調整として、前者であれば源泉地価税分を控除した差額が居住地で課税されるという形になります。後者に関して源泉地国企業が居住地国に現地法人を置くことで課税逃れを防ぐ必要があります。

更に問題をややこしくしているのが各国の課税ベースの違いと税率の違いで、これらを組み合わせることで、パナマ文書で問題となったタックスヘイブン問題が生じるわけです。タックスヘイブンの場合は付加価値を生み出さない金融取引を利用して低税率国や地域へ富を退避させるわけで、一方で新興国やEUの周縁国などで外資誘致のために法人税減税が競争的に起きていることもあって、各国の税収の空洞化が進んでいます。その結果米企業に生産拠点の海外移転のインセンティブを与える結果となりますし、残る企業も課税特例による政策減税をロビーイングして税の軽減を画策するという複数ルートで税の空洞化が進み、税の所得再配分機能が失われていく現実があります。

それを変え得る課税方法として、仕向け地課税が提案されていて、米共和党で実現の模索がされているものです。WTOルールでEUの付加価値税や日本の消費税など間接税に例外的に認められている税の国境調整の仕組みを法人税に盛り込み、グローバル化に対応して輸出に対しては税の還付を、輸入に対しては公助抜きの課税とすることで国境調整を図る税制で、少なくとも国内で製造可能な製品の海外移転不利にします。加えてキャッシュフロー課税とすることで、形式上直接税となりWTOルール違反の可能性があるという提訴に対して利益課税でなく間接税だと主張できるという目論見です。

キャッシュフロー課税はそれに留まらず、複数年に分けて焼却される減価償却の一括償却と同じ意味になりますし、有形資産に留まらず知財やのれんなどの無形資産も同様ですから、投資全般を阻害しないという意味もあります。加えて人件費も控除対象で、この点が付加価値税と大きく違う点で、つまり低賃金国への生産移転は不利になるという意味で、国内雇用も守るという大統領選の公約と整合性があります。

また国境調整の結果仮にWTO提訴や報復課税がされたとしても、結局有効な報復手段は同じ仕向け地課税を導入するぐらいしかないわけで、それはむしろ望むところ。移転税制で税収確保に苦しむ多くの主権国家にとって問題解決の道になるというわけですね。EUにしろNAFTAにしろ主権国家の上位組織を置くという意味では主権制限の要素があるわけですし、各国の税の空洞化問題も含めて、ある意味クリティカル共同体としての主権国家の復権ということになりますから、反グローバル化という批判も当たりません。

加えてアップルやスターバックスで問題になった税逃れに関しても、未来分は新法人税で捕捉される一方、過去分を10%の軽減税率でみなし課税するリバトリエーション税を課す法案を用意しており、新法人税の前座として議会に諮って成立を目指してます。こちらはオバマケア修正法案で反対に回った共和党保守派も賛成に回ると見られており、トランプ税制改革の成否を占うことになりそうです。

問題はこうして相当額の税収増が見込めるわけですが、それを原資に減税やインフラ投資の財源とする目論見ですが、大統領選で訴えた法人税15%までは届きそうにないということ。共和党案の20%も苦しく、25%程度がせいぜいではないかと言われております。加えてリバトリエーション税で利益の海外留保が無意味化しますから、米企業が一斉に留保資金を本国送金すると、為替がドル高に振れてしまうという点ですが、むしろ新税制で輸入物価にかかる上昇圧力を緩和するとすれば、国民生活的には問題ないということになりそうです。

それと3月に利上げし、年内3回の利上げを示唆して緩和の出口を探るFRBの動き如何では、ドル高が進む可能背もありますが、その根拠となる米景気の回復基調にやや異変が。

米市場の変調、自動車業績に重荷 販売減速・膨らむ奨励金  :日本経済新聞
以前から指摘されていた問題ですが、サブプライム自動車ローンと販売奨励金で新車販売に下駄を履かせた状態が続いた結果、中古市場に車が溢れて値崩れして、元々リセールバリュー頼みのローン利用者にとっては、転売、買い替えのサイクルが停滞するわけですから、それが新車販売に跳ね返っている状態で、丁度不動産サブプライムローンと同じ構図です。ただ規模は小さく、金融危機には至らないと見られていますが、新車販売の停滞は生産の縮小を通じて米景気後退のトリガーにはなり得るわけです。ただしそうなればFRBの利上げスタンスは見直されるでしょうし、むしろ低すぎる失業率でインフラ投資が滞ると言われる中、景気後退は悪い面ばかりではありません。

そうなるとテキサス新幹線や北東回廊リニアの建設を目指すJR東海にチャンス到来?とはいかないのが現実です。トランプ税制では結局建設でも車両製造や保守でも現地調達を基本にしなければなりませんが、高速鉄道の建設や運営をこなせるサプライチェーンを立ち上げるのは困難を伴います。実質貨物鉄道で欧州以上に衝突安全の基準が厳しいアメリカですが、逆に言えば日本式の繊細な構造の高速鉄道の建設は未体験ゾーンとなるわけで、日本のリソースを使うと課税される新税制では不利になるわけです。インフラ輸出に前のめりな日本ですが、そうそううまい話は転がってはいないわけです。東芝が買収したWHの誤算もスリーマイル事故で原発建設が停止した結果、サプライチェーンが崩壊してコストを膨らませたことにあります。無理しても同じ運命が待っているだけでしょう。

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Sunday, March 19, 2017

曲がり角の整備新幹線

森友問題が予想以上に盛り上がっております。どうせメディアが動かないだろうと思っていたら、籠池理事長夫妻のキャラの立ちっぷりや安倍昭恵夫人のノー天気な行動力と随行する官僚の公務か否かとか、総理夫人を私人と閣議決定とか、なんば花月かい!草生えるわ。

てことで数字が取れるとメディアが動いた結果、23日に鍵池理事長の国会証人喚問が決まりましたが、問題の本質は国有地払い下げを巡る値引き問題と教育基本法違反が疑われる私立小学校の認可を巡る大阪府の規制緩和を含む便宜供与問題の2つ。国会に呼ぶべきは当時理財局長だった迫田国税庁長官と松井大阪府知事です。

第一次安倍政権当時の姉歯事件が、永田議員偽メール事件でとん挫して、改ざんを許した大臣認証構造計算ソフト問題、民間検査機関による検査業務とそれに関連して不自然に米国基準を接ぎ木した規制改革などはスルーされ、1建築士の犯罪に矮小化され検査の厳格化だけに終わった轍を踏む可能性があります。籠池氏の証人喚問に何かの仕込みがあるか要警戒です。多分贈収賄事件というよりは、官僚による政権への忖度だろうとは思いますが、だから許されるって話ではありませんね。

この手の忖度は歴史を紐解けば結構あります。古くは東海道新幹線の岐阜羽島駅を巡る問題で、岐阜県選出の大野伴穆代議士の関与が噂されましたが、当時新幹線建設に懐疑的な世論もあり、政治家の関心は高くなかったのですが、反対されると面倒ということで、国鉄側が忖度したものです。

元々東海道新幹線は最高速250km/hで東京―大阪2時間半という目標を掲げて計画がスタートしてます。当時既に民間航空の台頭とモータリゼーションの進捗で挟み撃ちに逢っていた鉄道は、世界的には斜陽産業と見做され、フランス国鉄で331km/hの記録を出しており、枯れた既存技術で200km/h-250km/h程度の営業運転は可能と見られてはいましたが、そのための追加投資に及び腰で、当時の高速列車は最高速160km/h止まりでした。

日本でも民間航空とモータリゼーションは欧米に遅れながら進んでいたのですが、その一方で戦後復興が軌道に乗って旺盛な需要拡大で、特に東海道本線は早晩輸送力増強が必要な状況でしたが、航空とクルマに対して鉄道のシェアを維持するために、世界最高峰の高速鉄道の建設を意思決定します。戦前の弾丸列車計画である程度用地が確保されていたことも背中を押したのでしょう。

そのため可能な限り直線的なルートで計画され、名古屋から米原へは、当初鈴鹿山地をトンネルで抜けて直行するルートで検討されましたが、当時の土木技術水準では長大トンネルは建設費を増大させるということで、計画が具体化する中で、現在の関ヶ原ルートに落ち着きますが、そうなると岐阜県をかすめることになり、駅を造らないで反対されるリスクを回避するため、岐阜羽島駅の設置が決まった経緯があります。余談ですが鈴鹿山地ルートならば関ヶ原の雪に悩まされずに済んだ可能性はあります。

これだけが原因ではありませんが、計画を具体化する過程で妥協を迫られた結果、最高速は巡航速度200km/hプラス10km/hの210km/hとなり、東京―大阪3時間へ。そして京都駅への速達列車停車で3時間10分となります。加えて盛土の安定のために開業時は盛土区間の徐行で4時間となり、1年1か月後に徐行解除という対応が採られました。枯れた技術の集大成とはいえ、世界初の速度域の営業運転ということで、慎重を期したわけです。

結果的に東海道新幹線は沿線の人口と産業の集積を進め、事業としても大成功だったわけですが、一方で会計規則の変更で民間企業並みに減価償却を義務付けられたこともあり、皮肉なことに国鉄は新幹線開業年の1964年から赤字転落し、以後累積赤字を重ねて解体、分割民営化へ進むことになります。東海道新幹線単体で見れば職客後も大幅黒字ですが、電化、ディーゼル化による動力近代化と需要が旺盛な幹線ルートの複線化に、首都圏通勤五方面作戦もあって、償却資産を増やし続けたことで、赤字は拡大の一途をたどります。巷間言われる赤字ローカル線問題はむしろ無償貸与または譲渡で減価償却が発生しませんので、経営への重荷という意味では主たる原因とは言い難いところです。

この頃の国鉄幹部の経営能力はかなり低かったようで、赤字解消のために生産性を上げようとして所謂マル生運動を仕掛けて労組と破局的な対立をしたり、東海道新幹線の好調ぶりに「新幹線なら何とかなるかも」と全国新幹線網を構想して、整備法が国会で成立するのを受けて、とりあえず輸送力が逼迫しつつあった山陽本線の救済名目で山陽新幹線を着工し、岡山開業、博多開業の2段階で事業を進めましたが、この頃には大型機の就航もあって長距離では航空のシェアを切り崩すには至りませんでした。

その一方、整備法の縛りもあって新規着工の新幹線は最高速260km/hで最小曲線半径も東海道の2,500mから4,000mに、軌道中心間隔4.2mから4.3mとグレードアップされましたし、加えて高度経済成長期の年率5%に及ぶインフレもあって、東海道新幹線より減価償却費の負担が重くのしかかる一方、輸送量は東海道の凡そ1/3に留まり、単体で辛うじて黒字も、並行する在来線の赤字転落もあって、国鉄全体の収支改善にはほとんど寄与しませんでした。寧ろ減価償却費の増大はフリーキャッシュフローを生み出しますから、会計上赤字でも現金は潤沢で、身の丈に合わない過剰投資は加速し収支悪化が止まらないわけです。

こうして国鉄解体、分割民営化へと進むわけですが、民営化でJR各社が軒並み収支改善された秘密の1つは、JR各社の国鉄継承資産の圧縮記帳です。旧国鉄勘定で資産の減損処理をして、新会社へは例えば貨物コンテナ1個1円とかで継承し、バランスシートが身軽な状態でスタートしたことによります。ただし本州3社に継承された新幹線だけは例外で、営業権こそJR各社に帰属しますが、資産としては新幹線保有機構という特殊法人に継承させて、JR各社から線路使用料を徴収する形にして、旧国鉄債務の一部として負担させたわけです。しかしこれは見直されます。

対航空で競争力を高めたいJR東海は300系で270㎢/h運転を実現しますが、稼ぎ頭の東海道新幹線でリース料の負担が重い一方、減価償却費が得られず投資の停滞を余儀なくされます。また他社に先駆けて株式上場を目指すJR東日本は、東京証券取引所の助言で、主たる事業資産である新幹線が自己保有ではない状況では、減価償却費による継続投資ができないから、事業継続に疑義があり上場は難しいと指摘されたことを受け、国に新幹線買い取りを提案。東海と西日本も同意して買い取りが決まります。

この時の価格査定で時価法の1種である再取得価格法によります。簡単に言えば同等の資産を現時点で再取得する際にかかる費用ですが、非償却部分の地価部分が膨張しているわけですから、車両更新を進めて対航空の競争力を高めたいJR東海にとっては不満の残る査定となりました。そして後にこれでは東海道新幹線の設備更新が滞ると国に不満をぶつけて、のぞみ料金の上乗せ部分を非課税積み立てして設備更新に備える新幹線版特特法のような仕組みを勝ち取ります。その後工法の見直しで設備更新費用は圧縮され、JR東海は舌出してます。JR東海がリニアに傾斜するのは、それだけ余剰資金が潤沢だということでもありますが、そのリニアでも大阪開業前倒しで利子補給を取り付けるなど、国を騙して利益を得るその手法は、ある意味森友学園よりも悪辣かも。

一方国鉄が事業主体となる前提の新幹線網整備法も有名無実化する可能性があったわけですが、分割民営化時点で既に基本計画から整備計画へ昇格していた5路線の整備スキームが検討され、現在の所謂整備新幹線スキームになるわけです。元々国鉄の存在を前提とした法律を民営化JRに担わせるために、国と地方が2:1の比率で助成し、JRの負担も30年リースで償還するというもので、事業費圧縮のためにフル規格の他にミニ新幹線とスーパー特急という3メニューを用意して、国、地方、JRの3者の合意に基づいて着工という手順が決まりました。その際並行在来線はJRの経営から分離することと、分離に伴う貨物やローカル輸送由来の赤字負担がなくなる部分も加えたJRの受益分がリース料の算定基準とされました。

これJR東日本の上場時の東証の助言から言えば、九州新幹線を抱えるJR九州の上場はやや違和感があるわけですが、JR九州の場合不動産や流通など関連事業の好調で鉄道事業の比率がJR各社中最低の49%ということもありますが、鉄道事業でも経営安定基金を取り崩して新幹線リース料の一括支払いとその他の鉄道資産の減損処理を上場前に済ませて、上場後の負担を軽くしたわけで、JR発足時の圧縮記帳を繰り返したわけで、ルール上はかなりきわどいことをやってます。

一方赤字圧縮のために大幅な路線廃止を打ち出したJR北海道にとっての北海道新幹線は、貨物との共用の制約もあって共用区間の最高速140km/hで並行在来線切り離しは函館本線函館―新函館北斗と江差線五稜郭―木古内で受益が少ない上、函館本線に関しては電化して新車まで入れて三セクに渡すという追加費用も発生してますし、共用区間は並行在来線ではないので、JR貨物の割安な線路使用料はそのままということで、実態として経営改善にはほとんど寄与していないですし、むしろ青函トンネル自体の老朽化もあって保守費用の負担は今後も増えると見込まれます。上場どころか事業継続の危機ともいうべき状況です。

JR北海道は北海道新幹線の札幌延伸に期待を繋いでいるようですが、東京から5時間超では上記の4時間の壁問題で航空からの移転は期待できません。それでも並行在来線切り離しの受益は見込めますが、人口の希薄な北海道では北陸新幹線つるぎのような近距離利用も期待薄です。整備新幹線自体がリース資産で減価償却がありませんから、スピードアップのための追加投資の原資が得られないわけで、この点は一括支払いを済ませた九州新幹線にも当てはまります。こうして見ると整備新幹線は未来のない中途半端な存在ということができます。加えて政治性が機能の低下を後押しします。

北陸新幹線の全ルート確定 敦賀以西31年着工  :日本経済新聞
小浜―京都ルートも驚きですが、京田辺市(学園都市線松井山手付近)経由の南回りルートとこちらもう回路です。京阪間で料金不要の新快速よりも遅いわけで、何のための新幹線なんでしょうか。小浜―京都ルートに関しては、京都と若狭地区の繋がりの深さを指摘する向きもありますが、そういうローカルな需要はバスの若江線(近江今津―上中)の在来線鉄道建設で満たせるはずで、新幹線である必要はありません。事業性を考えたら米原ルート一択だった筈。しかも北海道新幹線札幌延伸後の2031年まで財源なしですし、そもそも並行在来線をどうするのか。まさか湖西線を切り離すじゃ受益のない滋賀県が同意するはずもないですし。政治に忖度して岐阜羽島駅を作った東海道新幹線のツケがこういう形で跳ね返るとは。つくづく日本の統治システムの醜怪さに眩暈がします。

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Sunday, February 19, 2017

ワールド・アナザー・ヒストリー

21世紀の世界で暗殺事件?いやはや驚きです。実行犯の女性2人と男性1人に加え、北朝鮮籍の男性1人も逮捕され、北朝鮮からは遺体引き渡しが矢の催促で、状況証拠から北朝鮮工作員の犯行は間違いないでしょう。それでも北朝鮮と国交のあるマレーシア政府は慎重姿勢です。通常ならば暗殺のような手段を取った北朝鮮に対して、アメリカを中心とする西側陣営は報復として金正恩の暗殺を仕掛ける可能性が高いですが、どうも足並みが揃ってません。トランプ劇場でアメリカ国内の混乱が続いてます。むしろ中国とロシアがこの問題に強く反応を見せております。

大統領令を乱発するトランプ政権ですが、イスラム圏7カ国の入国制限令は現在司法によって差し止められています。大統領側近のバノン氏の意向で進められました。

トランプ氏側近・バノン氏に発言力 政策を左右、省庁も無視 (写真=ロイター) :日本経済新聞
この7カ国は2015年11月のパリ同時多発テロを受けてビザ免除38カ国の国民を含め渡航歴のある人に特別ビザの取得を求めた法律のテロ懸念国7カ国が対象ですが、司法省に事前審査も発効前の告知期間もなかったために混乱しました。司法省の事前審査があれば7カ国の渡航歴のある人の入国制限との関係が問われるでしょうから、そうなると大統領令に手を入れられてしまうため、それを嫌った可能性があります。

推測ですが、オバマ政権時代に連邦議会が決めたテロ懸念国7カ国からの入国を制限することで、テロ防止の水際作戦を演出したかったんでしょう。結果いきなり現場にペーパーだけ降りてきて、現場毎の解釈の違いもあって混乱に拍車をかけたようです。確かに問題のあるやり方ですが、一方で差別批判がIT企業から吹き上がります。

「テロ懸念国」の入国禁止、米IT業界が懸念強める  :日本経済新聞
米IT企業の多くは、トップを含めて多数の移民が働いていて、入国制限は直接的に業務に支障が出るということですが、暗に差別主義批判といった政治的メッセージが含意されてます。ただしこれを以て「アメリカの民主主義は健在」とは思わない方が良いでしょう。アメリカが移民を受け入れるから一流の人材が集まるとはよく言われますが、これ移民の中のひと握り、せいぜい1%で、残りはサービス業など低賃金労働に就業するワーキングプア層ということで、移民かどうかに拘らず進む格差拡大の結果と変わりません。ってことで、移民受け入れを善とする所謂リベラル派の言説はこうしたゴマカシを内包しているわけで、クリントンが大統領選で負けたのも頷けますし、一方で移民を止めても問題は解決しないってことでもあります。格差拡大は移民やグローバル化よりもIT化による機械化、自動化、省力化の影響と見るべきでしょう。

続いて国家安全保障担当のフリン補佐官の辞任も痛手です。

「ロシア」米政権を揺るがす フリン氏辞任 (写真=ロイター) :日本経済新聞
昨年12月に駐米ロシア大使と電話で接触したということですが、政権移行前で問題ってことなんで、移行後に新政権の意向を受けて接触する分には問題ないわけで、トランプ氏が関与していたかどうかなど不明の点もありますが、むしろ駐米外交官との接触自体はパイプ作りという意味合いもありますし、結局対ロシア経済制裁解除など中身の問題です。それより情報源が米情報機関からメディアへのリークのようで、これ日本では政治家や官僚の観測気球として結構利用されているやり方ですが、アメリカでもと思うと複雑な心境です。むしろトランプ政権と情報機関の間に不信感があると見られることが不気味です。
トランプ氏、情報機関と亀裂広がる 組織のあり方検討へ  :日本経済新聞
アメリカの歴代大統領は4人暗殺されてますし、メディアに不正を暴かれて辞任したニクソン大統領の例もありますし、情報機関とメディアとの敵対はこういった連想を想起します。金正男の次はトランプ?

北朝鮮の情報機関が一般人を巻き込んだと見られるマレーシアの事件ですが、アメリカの情報機関が本気になればこれ以上のアナザー・ヒストリーを演出することは可能でしょう。何しろスノーデン氏が暴露したように、政治犯に限らず個人情報を集めまくっていて、日本でもNSAから日本人の個人情報を集めたいと申し出があり、日本政府が法令違反で無理と断ったら、違反にならない法律を作れと返したということで、それが今国会審議中の共謀罪なんですね。こんなもん通したら一般市民が米情報機関の演出するアナザー・ストーリーに巻き込まれる可能性があります。で情報機関と対立しているトランプ政権でこの法律を通しても、トランプ政権に恩を売ることにはならないことに注目すべきです。ついでに言えばオバマ政権が種まいた南スーダンPKOも今なら撤退してもアメリカの顔を潰すことにはならないんですが。

てなわけで、日米会談を大成功と自画自賛する安倍政権ですが、日米経済対話でFTAを封印したつもりになっていると痛い目を見ます。為替問題という爆弾を抱えていることは日本政府もわかっているでしょうけど、日米会談で言及がなくむしろドイツや中国に矛先が向かうと考えると大間違いです。

(羅針盤)通貨安批判、同意のドイツ  :日本経済新聞
ドイツにしてみれば、金融緩和がECBがやっていることで、ドイツ自身は南欧諸国の財政規律が緩むからと反対し続けているわけで、金融緩和で為替操作と言われても「は?」てな話です。その点日本の過剰反応ぶりはむしろ心配です。
財務相、異例の為替水準言及 円安ラインは120円?  :日本経済新聞
G20為替ルールに抵触する可能性のある財務相発言ですが、それだけ為替問題が敏感な問題ということです。トランプ政権との通商交渉では譲歩を引き出すネタにされること間違いないでしょう。

で、アメリカに日本の資金で新幹線やリニアをという話にあんるんですが、そんな金あればJR北海道を何とかせいと言いたいところです。それに関連してこんなニュース。

トラック人手不足追い風 JR貨物、初の鉄道黒字  :日本経済新聞
JR貨物に関しては、温暖化対策もあって(独法)鉄道建設・運輸施設整備支援機構から融資を受けて経営基盤強化の途上にあり、2018年度の黒字化を公約していたので、2年前倒しの達成となり、株式上場が視野に入ってきます。ただし線路使用料問題がネックになります。

JR貨物の線路使用料は貨物列車運行にかかる追加費用プラス1%のインセンティブを基本ルールとし、具体的な金額は線路を保有する旅客会社との相対交渉で決めることになっておりますが、JR発足当時、赤字基調が確実視されていたこともあり、機関車1両あたりの単価を設定するという便法で大幅値引きされています。それもあって機関車の重連運用を単機運用に置き換える目的でDD51重連→DF200単機、ED79重連→EH500単機、EF64重連→EH200単機といった形で新型機に置換を進めてきたわけですが、特に北海道のDD51重連からDF200単機への置き換えは、軸重が14tから16tに増えたこともあり、JR北海道の線路保守の負担になっていることは間違いありません。黒字化なら当然線路使用料の値上げが打診されるはずですが、そうなるとJR貨物の黒字を維持できるのかという問題になるわけで、うまくいきません。

そこで別の方法として、北海道では線路を痛めない軽軸重の小型機関車での小単位輸送という方法で保守費用の負担を軽減することも考えたいところです。これ震災関連でリージョナルカーゴトレインの可能性について言及したことがありますが、今ならハイブリッド技術を用いて構内入替をバッテリー駆動で行い、本線上を高速走行するときはディーゼル発電でバックアップすることで、例えば臨海鉄道のような三セク貨物鉄道を立ち上げて担わせるといった応用が可能ではないかと思います。JR貨物にとってはリスク分散になり、出資自治体にとっては貨物鉄道を保持することで大規模農業を含む産業立地に助けになり、国の温暖化対策事業の補助金も使えるわけで、旅客鉄道としての存続が難しい北海道の路線の存続策になり得るんじゃないかと愚考します。

これヒントはアメリカが貨物鉄道大国で、アムトラックなどの旅客鉄道が線路を借りて営業しているという日本と逆の形ですが、貨物鉄道のインフラ保持が実現できれば、軽量のローカル旅客列車の存続は容易になります。これ地域の産業政策と抱き合わせで道庁が動くしかないですが、今に至る道庁のスタンスでは実現可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。

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Sunday, December 11, 2016

トランプラリーが終わるとき

更新サボってましたが、トランプラリーと呼ばれる謎のリスクオン相場のおかげで安定したPVが続いております。選挙前はトランプショックとさえ言われ、実際一時的に相場は下げましたが、当選後のコメントが意外とまとも^_^;ってことで、むしろ減税や公共事業拡大を好感されてということのようですが、ま、スタート台が低いから普通のこと言えば評価されるってイリュージョンですね。就任後は当然期待が剥がれますから、下げは覚悟しといた方が良いです。

それと不安材料もチラホラ。FRBの今月の利上げはほぼ確実視されてますが、それぐらい今のアメリカの経済は好調ですが、既にピークアウトした疑いがあり、2017年には景気の谷が来る可能性があります。それでもFRBはむしろそうなったときの政策余地を確保する意味でも利上げをすると考えられますが、来年の利上げは微妙になります。というのは、トランプ政権下で成長が鈍化すればFRBの利上げのせいにされてトランプ大統領があからさまな圧力発言をする可能性があり、FRBの独立性が損なわれる可能性があります。丁度第二次安倍政権発足のときに当時の白川日銀総裁を読んであからさまな圧力をかけたことがアメリカで起こるってことです。てことで、基本的にトランプの政策運営はアベノミクスをなぞる形になると思います。格差拡大を批判して大統領になったトランプが格差を助長するってことです。

元々製剤成長率が4%あると言われたアメリカ経済ですが、直近で成長の裏付けとなる生産性向上が停滞し始めており、日本と似た状況になりつつあります。こういう状況で大規模な財政出動をしても、インフレになるだけの話です。加えて移民政策の見直しが行われれば、公共事業を拡大しても人手が集まらず、人件費だけが高騰するという震災後の日本と同じ状況になるだけです。加えて金利差によるドル高がマイナスです。おそらく対米大幅黒字国の日本と中国に為替操作国と非難を浴びせ、外貨準備で積み上げたドルを売るように迫ると思います。その時日本政府はどーする?

一方火種は欧州にもあります。

イタリア首相が辞意 国民投票で改憲否決  :日本経済新聞
これ反EUとか反グローバリズムや保護主義といった問題と見るべきではないんで、イタリアはレンツィ首相の下経済改革を進めてきていたのですが、議会の上院と下院が同党の権限を持つために反対派の抵抗が大きかったということで、上院の権限を縮小する憲法改正案を発議し国民投票にかけたところ、これを否決されレンツィ首相が辞意表明ということですが、今のところ与党出身のマッタレッラ大統領が待った^_^;ってことで足踏み状態ですが、最大の懸案はイタリアの銀行第3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナの公的資金による救済問題ですが、政治の空白で緊迫した状況です。そこに立ちはだかるECB。
欧州中銀、イタリア3位銀行の増資延期認めず ロイター報道  :日本経済新聞
モンテパスキの増資引受先が見つからず自主再建が難しくなったのですが、公的資金注入にはペイルインというハードルがあります。仮にも税金で民間銀行を救済するなら、株主や銀行劣後債購入者などの投資家に一部損失負担をさせるというルールですが、この銀行債が問題で、イタリアでは国民に広く保有されており、ペイルインを適用すれば多くの国民が損失を被るということで、政治的には困難な課題です。憲法改正否決もこれが影響したのでしょう。銀行の不良債権問題は元々リーマンショックの後始末の積み残しでもあり、モンテパスキだけの問題ともイタリアだけの問題とも言えないところがあり、仮に破たんすれば欧州全域に連鎖破たんが広がる可能性があります。とはいえ合議の上決めた銀行同盟の中心的なルールだけに、例外を認めにくいということもあり、多分来年には何か目に見えた危機が顕在化すると見るべきでしょう。

というわけで、問題だらけの世界ですが、なぜか日本は好調ですが、陰りも見えます。

GDP1.3%増に下方修正 7~9月、設備投資減で  :日本経済新聞
一応3四半期連続のプラスですが、下方修正の要因が先行指標である設備投資の下方修正ですから、ピークアウトの兆しです。一方で住宅着工と公共工事は好調ですが、中身は相続対応の賃貸アパートが中心で、大都市圏でも今後人口減少が見込まれる中、空き家を増やすことになります。また公共工事もオリンピック関連など事業費の膨張が問題になっているように、増えたことを素直に評価できるものではありません。加えてこんなニュースも。
都市農地、覆う2022年問題
宅地転用で空き家増加?: NIKKEI STYLE
1992年にスタートした生産緑地制度ですが、主に大都市圏で地価対策として農地の宅地並み課税が施行された一方、営農を希望する農家に営農継続を条件に30年間の特例で低税率とした制度ですが、30年後に自治体に農地の買い取りを申請できるとしたものの、自治体も財政難でこれを渋っており、多くの生産緑地が農地指定を外れて宅地などに転用されると見られております。そうなれば宅地の地価は下がりますから、低金利が続くとして住宅着工ブームが訪れ価格破壊デスマーチになると見られます。大都市圏にも農地を残し地産地消でというきれいごとも吹っ飛び、単なる価格破壊に留まらず、マイナス成長の真正デフレに陥るんじゃないかと。日銀の金融政策じゃ回避できないどころか助長します。

そもそも競争力のある大規模圃場を物理的に確保可能な平地はほぼ大都市圏に限られる日本では、農地より宅地等に転用した方が地価が上がりますから、関東平野などで見られる水田地帯に散在する住宅や工場が建ち、小規模農家も土地の転用を夢見て手放さないから大規模化が進まずで、競争力のある農業の可能性は東北の一部と北海道に限られます。TPP対策費で補助金ばら撒いても大規模化は進みません。そもそもトランプ氏のTPP離脱宣言で発効の可能性のないTPPの関連法を強引に成立させるって、意味ねー。その北海道の農業にも暗雲が。

JR北海道、全路線の半分「維持困難」  :日本経済新聞
農業の競争力で大規模化はよく言われますが、それと共に市場アクセスの優位性も重要で、北海道の場合青函トンネルの開通で鉄路で首都圏に直送できるようになったことの影響が大きく、それゆえ北海道新幹線の青函トンネル貨物共用問題でも貨物の撤退は議論から外され経緯があります。農業へのダメージが大きすぎるというわけです。でこれ。
JR貨物、「上場準備へ」 経常益100億円達成見通しで  :日本経済新聞
JR北海道の経営危機を尻目にJR貨物が上場準備ってわかりにくいニュースですが、JR北海道の線路保守の劣化はJR北海道自身による高速化のほか、JR貨物が軸重14tのDD51重連を軸重16tのDF200に置き換えたことの影響もあります。JR貨物は線路を旅客会社から借りて列車運行していて、所謂アボイダブルコスト方式といって、貨物列車運行によって発生する限界費用のみの負担で良いという仕組みで、一応限界費用+1%のインセンティブを原則とし、実際は旅客会社との相対で金額を決めるということになっており、元々縮小均衡前提だったこともあり、実際は機関車の両数を代理変数とするタダ同然の格安水準でスタートしたわけですから、重連を単機に置き換えればむしろ線路使用料は下がるわけです。それでも設立以来赤字続きで旅客会社も値上げを言える状況ではなかったわけで、特に貨物輸送比率の高いJR北海道にとっては重荷だったわけです。そんな事情でEF64重連置換用のEH200はJR東海が入線を拒否しています。

それが鉄道・運輸機構の融資もあり、競争力強化投資とCO2削減やドライバー不足で企業荷主の鉄道回帰もあって、輸送量が下げ止まり、鉄道・運輸機構の融資条件である2018年黒字転換が見通せるようになったということで、上場という話になるわけですが、今まで赤字だったから値引きされていた線路使用料が現在の水準のままとなれば旅客会社から文句も出るわけで、とりわけJR北海道には死活問題でしょう。鉄道の廃止を巡っては自治体の反発や道庁の不作為もありますが、国として農業インフラとしての鉄道という視点での援助は必要ではないかと思います。ま、安倍政権じゃどうせやらないだろうけど。

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Sunday, October 30, 2016

波浪院莫頭迂迦居士

近所の小さなお社でハロウインやってて、笑っちゃいました。そういやクリスマスシーズンにはツリーにイルミネーションも。神仏耶蘇混仰は日本の伝統芸かもwww。タイトルの読みは「はろういんばずうかこじ」ってことで、ミザリーハロウィンから2年、物価は上がらず、リフレ派は息してる?って心配なんで、いい加減成仏して欲しいんで、戒名考えてみますた(笑)。

豊洲問題の迷走は留まるところを知らずですが、気になるのは犯人探しになっている点。重要なのは今後どうするかなんですが、盛土せずに地下ピットを設置した一方、液状化対策として基礎杭のズレを防ぐ地下梁を設置しなかったので、耐震強度が設計上の数値と異なり、結果的に耐荷重性能を低下させた疑いが出てきました。ややこしいんですが、盛土前提で耐震構造計算されていた設計図面を見直す過程で、本来盛土に乗っかっているはずの床のコンクリート層2㎝とか、砂利を含むコンクリート構造物としてあり得ない数値になっていて、現状は15㎝といった具合で設計図面と現物の違いが明らかになってきました。

コンクリート層が厚ければ建物自体の重量が設計図面の数値より増えるわけですから、構造強度を低く見積もらなければならないわけで、姉歯事件同様の耐震偽装の可能性が出てきたってことです。しかも設計事務所最大手の日建設計の手によってということになれば、同社が手掛けた他の建築物にも飛び火しかねないという深刻な事態です。仮にベンゼン等の安全基準をクリアできても豊洲新市場の建物を使うには上層階の減築が必要になるということでもあり、そもそも手狭で耐震補強も困難とされた築地市場の移転の必要性の議論から見ても皮肉です。ますます着地点が見通せない中、こんな動きも。

水産卸「さらば豊洲」 大田市場への入居急増  :日本経済新聞
元々羽田空港が近く、地方や海外に販路を求めるには好立地ということで、既に事実上水産棟の空きはない状況ですが、予定もはっきりしない次の募集に期待が集まっている状況です。豊洲の解決に時間がかかるならば、大田市場の増強も有力な代案ではありますが、ネックは道路の渋滞。東京港トンネルの一般道R357部分の台場→大井方向のみ開通して高速湾岸線の渋滞が緩和してますから、大井→台場方向の開通で改善の可能性はあります。それでも築地移転を前提とした環状2号線の着手の遅れを取り戻すのは困難ですが。オリンピックやめる?

話は変わりますが、JR九州の株式上場ですが、本業の鉄道事業が赤字ながら、不動産など関連事業の好調で上場にこぎつけました。その際経営安定基金を取り崩して九州新幹線の線路使用料一括支払いなどで強引に益出しするなど、問題のある対応をしてますが、ほとんど報道されておりません。加えて駅みどりの窓口の閉鎖や無人駅化など目先の収支改善も目につきます。繰り返しますが経営安定基金の原資は旧国鉄債務に加算されていて、JR本州3社の負担分を除いて国民負担となっているわけで、国民の財布をちょろまかして誤魔化しているわけです。

そして株式上場ですから、一般投資家への還元重視で所謂コーポレートガバナンスコードでROE8%ってことです。あの絶対王朝にも喩えられたセブンアンドアイの鈴木会長を解任したアレですが、米投資ファンドのサードポイントが求める百貨店と通販のニッセンの整理に続いて創業家が深く関わる祖業の総合スーパー(GMS)事業にメスが入れられるかで株価が上下してます。JR九州の祖業の鉄道事業も投資家の求めに応じて整理縮小されるのは自然の流れです。その時に交通政策基本法の趣旨に沿って地元自治体の支援などの対応を引き出せなければ廃止という流れになるわけで、JR北海道で今起きていることがJR九州で再現されるということです。

JR北海道も北海道新幹線が開業して観光客が増えたものの、地元の受け入れ態勢が整わず、新函館北斗駅から先の所謂二次交通の不備で手つかずの観光資源は生かされず、それどころか函館市内の湯の川温泉の旅館街では人手不足で宿泊客を断ったり、あるいは従業員不足でバタバタ状態でおもてなしもへったくれもなく、リピーター獲得もままならず、過疎化で地域のマンパワー不足でどうにもならない状況です。そういえば九州新幹線や北陸新幹線でも2年目は輸送人員が減少しており、観光面から言えば新幹線の恩恵は生かされていないと言えます。九州も北陸もビジネス利用が一定数見込めますからそれでもマシで、北海道新幹線の前途は多難です。

北海道といえば、日ロ間で交渉が進捗して、領土交渉のバーターで北海道の鉄道とシベリア鉄道を繋いて云々といった話も流れましたが、アホラシ。1,520㎜のロシアンゲージへの対応をどうするつもりなのか。繋ぐのは新幹線、在来線どっち?個人的には貨物輸送の連携は有望だろうけど、むしろ日本規格で低規格のサハリンの鉄道を1,067㎜時代から路盤強化、軌道強化を地道に続け、現在ロシアンゲージへの改軌を進行中と維持困難な過疎地寒冷地の鉄道を確実にグレードアップしているロシアの鉄道運営のノウハウを学ぶ意味でJR北海道へのロシアの出資をお願いした方が良いんじゃないかと。ついでに道内都市間輸送は仏アルストム製のロシアンペンドリーノでも導入すれば?

どうせ日米安保体制下では領土返還の可能性は皆無ですし、むしろ資本や人の相互交流を進めて実質的な国境を低くすることの方が重要です。ただしこれは日本には前科がありまして、サハリンの天然ガス開発で三井物産など日本の資本が投じられ、販路確保の意味でサハリン―東京間のガスパイプラインが構想されたんですが、中東カタールから割高なLNGを購入し、原発の低コストを喧伝していて、また熱源としてライバル関係にあるガス会社を利するということで、電事連が反対して流れました。ロシアからは以前から極東ロシアの余剰電力を連携線で北海道に供給したいという希望もありましたが、これも日本はスルーしてきました。原発村の面々は絶対同意しませんね。

関連しますが、米中がいち早く同意し、EUが加盟国の批准を待たずに批准を決めたことで、気候変動パリ協定の年内発効が確実な状況で、発行に伴う相互検証のルール作りで後手を踏む日本ですが、これも原発再稼働を前提としたエネルギー政策で、電力の20%と、休止している国内原発のほとんどすべてを再稼働しなければ不可能な数値を掲げているのに、再稼働は進まないので、日本は後回しにせざるを得なかったのが実態です。優先度で言えばTPP批准にょり上なのに、やってることは逆。米大統領候補が反対し、議会筋も反対派多数のTPPを日本が急いで批准する意味はないんですが「アメリカの背中を押す」という意味不明の理屈。それが通るなら日米安保の地位協定はとっくに見直されているはず。

その一方で笑えるのがJR東海が進める米ボルティモア―ワシントン間のリニア建設で、安倍首相はオバマ大統領に建設費の半分にあたる70億ドルの負担を3度提案するもスルー。そりゃ未だ営業運行の実績のないリニアを金出すから作ろうといっても、寝言言うなって話ですね。日ロ間とは逆の対応をされているわけです。

てな具合に21世紀の今の日本には怨霊がはびこっているようです。しかもお菓子目当てのいたずらならぬ利権目当ての屁理屈がまかり通る日本版ハロウイン。笑えないのが大阪万博構想。会場は夢洲って、幻の大阪五輪の亡霊ぢゃないか。成仏せえよ-人-チーン。

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Thursday, September 22, 2016

日米金融あっち向いてホイ

本題に入る前に豊洲新市場問題。

豊洲盛り土問題、都庁の統治不備露呈  :日本経済新聞
迷走を重ねてますが、都庁のガバナンス問題に発展してややこしくなってます。汚染度封じ込めのはずの盛土がされてなかっただけでなく、その意思決定がいかに行われたかも説明が二転三転。これじゃ移転はいつになるやら。環状2号線着工はその分遅れます。たまった水の水質検査の結果、基準値を下回るヒ素やシアン化鉱物が検出されました。一部で基準値以下だから移転すべきという議論もありますが、汚染物質が汚染土由来である以上、現況のままなら汚染物質が染み出してくる証明でもあるわけですから、追加的な有効な封じ込め策は必要です。

蓮舫民進党代表の二重国籍問題ですが、これ法的には何の瑕疵もないないのに、味方から「説明しっかりしろ」って後ろから弾が飛ぶ状況で、民進党のグダグダぶりにうんざりします。二重国籍問題を言うならアルベルト・フジモリ氏の件も見るべきでしょう。2000年に自らの金銭疑惑による訴追を逃れるため、ブルネイのAPEC会議の帰路に立ち寄った日本で訴追逃れで大統領辞任を表明し留まり、日本政府はフジモリ氏の日本国籍を認め庇いました。2001年にペルー司法省が殺人罪で起訴。2003年にはICPOを通じて身柄引き渡し要求も日本政府は拒否。にも拘らず2005年には翌年の大統領選出馬返り咲きを目論んでチリに亘って当局に拘束され収監されました。この状態で2007年には日本の参院選の比例候補として国民新党から立候補ですから、どこまで節操がないのか。蓮舫氏がこれより悪質とはとても言えませんが、両親そろって日本人のフジモリ氏は許容できても、父親が台湾人の蓮舫氏は許せないということなんでしょうか。だとすれば純血ヘイト主義言説でしかありません。

ンで本題。メンドクサイから2つ並べます。

日銀総裁、利回り曲線の操作「十分出来る」  :日本経済新聞
米FRB、年内利上げへ「新たな証拠待つ」  :日本経済新聞
日米の金融政策決定会合が同日というのも珍しいですが、祝日の影響でしょうか。時差の関係で日本の日銀が先に決定しなければならないから後出しじゃんけん戦術は使えなかったんですが、整理すると日米ともに結果的には現状維持ながら、日銀は政策目標を利回り曲線に変えて国債購入目標を流動化するということで、マイナス金利の結果生じた長期金利がマイナス圏にならないようにして金融機関の収益圧迫という副作用を回避しようということですが、事実上国債購入を絞るテーパリングを意味しますから、年内利上げを強く示唆しながら動かなかった米FRBに先駆けて緩和見直しとなったわけで、「あっち向いてホイ」状態になったわけです。その結果為Fが動きました。
NY円、続伸 1ドル=100円30~40銭、日銀会合・FOMC受け1カ月ぶり高値  :日本経済新聞
日銀の「総括」で期待された外債購入は流石に踏み込めず、公式の為替介入はアメリカが反対している以上できないというわけで、円高の進行は今後も続くことになります。円高は輸入物価の下落を通じて家計にはプラスですが、そもそも異次元緩和の裏の目的が円安誘導だったわけですから、日銀は完全に打つ手を封じ込められたことになります。国債購入の減少は、マイナス金利と並び立たないことと、購入する国債自体が減って買い進めなくなるのは時間の問題ですから、長期で緩和を継続するには金利操作の方がやりやすいというわけですね。でもテーパリングじゃないよと強弁するのは、前回7月の政策決定会合で株式ETFの買い付け額を3.3兆円から6兆円に増額したことと併せて読むと、結局国債を買う代わりにETFを買うって話です。その結果株式市場でも異変が起きています。

以前から日銀のETF購入は「池のクジラ」と揶揄されてましたが、最近は購入枠拡大もあって、市況への影響がかな目立つようになりました。具体的には9時の開始後下げて始まるとなぜか10時以降急上昇してチャートが水面から顔を出したクジラのシルエットになるということで、ホエールウォッチングが市場のトレンドですwwwww。その結果安値で拾いたい個人投資家が安めの指値で注文を入れても拾えずに個人投資家が株式市場から遠ざかるという笑えない現実が。「貯蓄から投資へ」じゃなかったのか。株式のクラウディングアウトってあんまり聞かないけど、民間を圧迫しているんですよね。それに加えて不動産市場に不穏な動きが。

基準地価、商業地9年ぶり上昇 訪日客けん引  :日本経済新聞
基準地価の発表で地方も含めて商業地の値上がりが目立つ一方、住宅地は停滞し全用途ではマイナスです。しかし最近の日経は思い込みが強いというか、偏った報道姿勢が目立ちますが、訪日外国人増加の影響よりも、不動産投資信託(REIT)の影響でしょう。大都市のオフィスビルや賃貸マンションに加えて、ショッピングモールや高速道インター近接の物流センターなどREIT物件は増えています。REITは大きな資金を要する不動産投資を小口証券化して賃貸収益を投資家に還元するというもので、リスク分散と流動性確保が狙いです。

その結果確かに不動産投資が活性化されましたし、収益性に疑義が生じれば売られてしまうということで、不動産バブルの抑止にもなっているのですが、問題は低金利でして、元々ミドルリスクミドルリターンの金融商品という性格で予定利回り5%程度を見込んでいたのですが、リターンの水準がそのままでも低金利で相対評価が高くなれば当然投資資金が入ってREITも値上りしてリターン率は下がるわけです。その結果、土地の評価額が高くなるわけで、5%のリターンが1%になれば価格は5倍になるわけで、それが土地評価額へ反映された結果と見るべきでしょう。

しかし日銀の利回り曲線目標へのシフトで長期債の金利が上がれば、REITにも値下げ圧力がかかるわけで、地価水準も今がピークと見るべきでしょう。加えて長期金利の上昇は住宅ローン金利の上昇で住宅投資にマイナスですし、増えている売れ残りマンションも、低金利だからデベロッパーがやせ我慢で在庫している状況が変われば安値で換金売りが出るでしょうから、土地の値下がりが避けられない状況になります。2020年のオリンピックを待たずに土地失速が迫ります。

てな状況ですが、住宅投資に関しては人口減少に直面する日本にとってはむしろ歓迎すべきことです。更に言えば不動産投資もより選別されたものだけが残ると考えるべきで、その意味ではショッピングモールよりもネット通販の拡大が見込まれる物流センター投資以外は減ってくると見るべきでしょう。物流センター投資はアマゾンなどのネット通販事業者の自社配送と宅配便と中小企業ののネット通販を助けるサードパーティロジスティックス(3PL)がオーバーラップしながらサービスを競っている状況ですから、当分は投資が続くと見られます。その宅配便関連でこんなニュースが。

地下鉄、宅配の足に 東京メトロ・ヤマトが実証実験  :日本経済新聞
宅配便もネット通販の増加で利用は増えているものの、運賃は低く抑えられていてく苦しいところですが、輪をかけてドライバー不足が顕在化してきました。昔と違ってドライバーに高給を約束できない状況の中、ヤマトでは長距離の鉄道利用や航空便利用も併用しながら、物流業界の言うラストマイルと呼ばれる地域の集配網にマンパワーを集約する必要があります。その意味で近接地域の荷物の営業拠点間の横持ち便を過疎地の岩手県では以前から定期乗合バスに乗せて運ぶことが行われ、京都市では京福電気鉄道嵐山線で同様の取り組みが為されましたが、圧倒的に荷物量の多い首都圏では多数の横持ち便をさ知らせている状況があるわけで、それを地下鉄など通勤鉄道の余剰輸送力を活用してクリアできれば画期的です。

これは鉄道事業者側から見ても、ラッシュ対応の余剰輸送力の収益化になるわけで、人口減少で利用客減が見込まれる中での新たな増収策になります。加えてピーク対応の輸送力が昼間は余剰となり車両の半分は車庫で休んでいる現状から、収益機会の拡大で、さらにピークタイムの混雑緩和投資に結び付けば、鉄道側の設備投資を誘発する効果も期待できます。これらの動きが主に民間同士のコラボレーションで起きていることに注目すべきでしょう。財政や金融で強引に現金をばら撒き、公共工事を積み上げても使えるかどうかわならない豊洲新市場のようなものしかできないならば、政府はよけなことするなと言いたいところです。

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Sunday, September 11, 2016

マクロまっくろ

北朝鮮の核実験がありました。南シナ海問題で中国包囲網をと粋がっていた日本もそれどころじゃない。安保理決議に拒否権を持つ中国次第ではあんまり中国を問叩けない。幸い今回は中国も同調してくれましたが。

ただ基本的に北朝鮮の核開発は誇張された部分があると思います。そもそも核の抑止力は敵対する国同士で敵国の核施設を叩けば少なくとも核による反撃は防げるわけで、冷戦時代の米ソでは軍事機密の壁もあって、複数存在する核ミサイル発射施設を完全に叩けないから、どちらも核攻撃ができない状況だったわけで、冷戦が終わった段階で、本来終わる話なんですが、中国の核開発で米中間は同様の関係ながら、中国は既に核先制不使用を宣言してますので、アメリカが同様の宣言を出せばやはり当面は問題がないのですが、アメリカ国内と同盟国の反対で潰されました。もうちょっと言えば日本政府がそれにコミットしたわけです。脅威を煽ったと見られても仕方ありません。

で、例えばイギリスの核装備は核弾頭搭載のSLBM装備の原潜を配備して、公海の深海に潜んで発射するから敵に直接叩かれないということで、ある意味弱者の戦略なんですが、ソ連解体で核装備を継承したものの、経済規模から重荷になっているロシアも、STARTで戦術核削減でアメリカと合意しながら、戦略核の規模は保持し、それをSLBM化して原潜に搭載するとしているわけで、ある意味ロシアも弱者の戦略を取るようになったという意味で、ロシアの立ち位置は、アメリカと力づくで対立はしないけどちょっかいは許さないというスタンスなわけです。てことで、北朝鮮はこれを見習ったわけです。

ただし核弾頭をSLBMに搭載可能とするためには、相当な小型化が必要で、今のところ北朝鮮にはそこまでの技術はないだろうという見立てですが、ミサイル発射と併せて立て続けに行うことで、見かけ上の核抑止力を演出することは可能という目論見かと思います。つまり当面は核搭載SLBMがアメリカ本土に着弾する可能性は低く、アメリカがその気になれば北朝鮮のミサイル発射施設を攻撃して核による反撃を封じることは可能と見ているいうことで、実際アメリカは北朝鮮の直接交渉要求を無視しています。てことで北朝鮮の挑発は今後も続くでしょうけど、騒げば術中にはまるだけ。騒ぎ過ぎないことが大事です。

てことでこの問題は脇へ置いといて、マクロ経済の問題についてが本題です。4-6月期のGDP改定値が発表されましたが、まさかの上方修正でした。

GDP年率0.7%増に上方修正 設備投資上振れ  :日本経済新聞
数値のずれ自体は珍しいことではなく、元々個別の推計値を集成する二次推計値となるGDPの数値ではよくあることです。加えて生産=所得=分配という定義上の関係もあり、季節調整や年度の数値集成などの要請もあって細かく動くわけです。集計が早い消費などの数値から速報値が推計され、そこへ設備投資や在庫増などの供給側の推計値が出てきたところで改定値に反映されるわけで、今回で言えば速報値段階で消費がプラスながら弱かった一方、改定値では設備投資と在庫増が予想より上振れしたことが要因とされます。

で、問題は設備投資と在庫増の関係なんですが、消費が好調で在庫不足から生産を強化して在庫を積み増したいけど、生産設備の制約から設備増強が必要になったということならば、両者の関係は明白で、強い消費に背中を押されて企業が積極的な投資を始めたということになりますが、消費は前期比プラスながら弱いわけで、これは当てはまりそうにないということで、考えられるのが1つはインバウンド消費の減少ではないかと。所謂爆買いが終わって、商品在庫が積み上がり、在庫増ということで、設備投資とは直接結びつかないということですね。

設備投資増はむしろ大都市圏の再開発ブームや相続対策の賃貸アパート着工の増加などが寄与したと見られます。ある意味低金利の影響ですが、地価で見ると局地的にバブル越え地点も見られるなど過熱気味。持続性はハテナです。ただし消費に関しては、前期(1-3月)がうるう年効果で上振れしており、それを前提に見れば、弱いと断定できるかどうかは微妙ですが、少なくとも設備投資や在庫増とは関係ないとは言えます。

そして2月以降の貿易収支の黒字化の影響が持続していることが指摘できます。貿易収支は15年度を通して赤字基調だったのが、円高になった2月に15,500億円、3月に1.1兆円の黒字を記録して以降、黒字基調で推移しています。円高と原油安で輸入金額が減ったことが寄与したものですが、少なくとも現物取引である貿易収支で見る限り、円安期に赤字、円高転換で黒字という現実があります。円安で所得収支黒字は減ってますが、経常収支の黒字は高水準で辞されており、円相場の変動は国内の所得配分を動かすだけの意味しかないわけです。てことでマクロまっくろなんですね。

つまり異次元緩和や大規模財政支出などのマクロ経済政策が必要な状況なのかという疑問があるわけです。日銀は今月、金融政策の検証をすると言ってますが、これを追加緩和のサインと見る向きが多いのに驚きます。経済は低位安定ながら一応巡航速度で動いているし、むしろ金利低下が不動産価格を押し上げてバブルの様相すら見せている中で、むしろ緩和の出口を明確にすることで、将来の出口ショックを緩和することが重要です。少なくとも日銀が掲げる2%物価上昇が実現すれば金利は上昇します。ギリシャショックで明らかのように、金利上昇は唐突に起こり経済を混乱させますから、そうなる前に財政再建を進めるべきなんですが、そんな気さらさらない政府の対応です。

米FRBが利上げを宣言しタイミングを模索している状況ですが、日米で経済の基調にそれほど差があるわけではないのに、金融政策のスタンスが真逆ってのはかなり変です。同時に異次元緩和の出口にはかなり時間をかけざるを得ないわけですが、政権に近過ぎる今の日銀にそれが可能かと言われれば、無理かなと。政府の反対を押し切って量的緩和政策を終わらせて中央銀行の独立性を見せた福井総裁のような芸当は望み薄でしょう。

歴史を紐解くとフランスのルイ15世時代、摂政オルレアン公爵フィリップ1世に請われて経済顧問となったジョン・ローに行きつきます。ジョン・ローはスコットランド生まれの金融家で、若いころ貴族の娘を争って決斗で相手を死なせ、死刑判決を受けて収監されるも、友人の手引きで脱獄し大陸に渡り、アムステルダムを起点に金融家として頭角を現し、実績を買われたものです。

ローは兌換紙幣を発行し納税に使える法貨とし、市中に流通させると共に、フランス政府発行の国債の流通市場を整備してその売買を通じて紙幣の供給量を調整するなど、現代に通じる金融政策の基礎を築いたのですが、ルイ14世時代の浪費で財政赤字が深刻なフランスの財政再建は叶わず、フランス領ルイジアナの開発計画を発表してミシシッピ開発会社を立ち上げ、ロンドンで株式募集をかけるという奇策に出ます。その際配当原資として不換紙幣を発行してこれに充て、投資利回りを好感されて高値を付けました。一方フランスの政府財政は好転せず国債が暴落すると、フランス国債をミシシッピ開発会社の株券と交換するという奇策を重ね、フランス経済は好況に沸くことになります。

しかしバブルは続かず、銀行の取り付け騒ぎで支払い能力以上の現金が引き出され、それをきっかけに発券銀行を併合していたミシシッピ開発会社株が暴落しバブルがはじけました。ロー自身は職を辞しフランス国外へ逃亡し、この時の混乱が原因でのちのフランス革命の遠因となるというわけです。ちなみにミシシッピ開発計画の中心都市ニューオーリンズはオルレアン公爵に因んだ名前です。リフレ派の紡ぎだす物語の破局的な結末ですが、安倍と黒田は革命起こしたいのかwww。

日銀も株価連動投信(ETF)を年6兆円買い増すことを発表してますが、国債と違って償還の無い株式の保有ですから、ローの国債と株式の交換に匹敵する奇策です。国債80兆円に対してETF6兆円だから問題ないというのは間違い。新発債だけで毎年40兆円発行される国債に対し、IPOや増資で増える株式は兆円単位にも満たないので、株式市場を歪めているわけです。加えて国債は償還まで持ち続けることで時間はかかっても保有高を減らせますが、株式はいつの時点かで売らなきゃならないわけですし、あと特にETFの性格上ファストリテイリングのような値嵩株の買い付けが多くなるので、結果的に投信による間接保有ながら日銀が筆頭株主になるという矛盾もあります。これバブルと言われる中国国営企業の実態とどう違うのかって話です。

財政政策に関しては、東日本大震災のときにも指摘しましたが、公共工事の増大で資材費や人件費が高騰した結果、復興事業の進捗が阻まれたわけですが、台風3連発で大きな被害を受けた岩手県や北海道の復興が遅れることは避けられないところ。仕掛かり中の事業の一時停止をしてでもリソースを被災地に振り向けるべきなのは言うまでもないところです。そんな中でJR北海道がダメージを受けており、特に根室本線の復旧は年単位を要するところ。経営問題を抱えるJR北海道にとっては、公的支援を得ても自己負担分は確実に経営体力を奪うことになります。

気になるのは北海道産農産物の輸送が滞っていることで、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンなどの価格が高止まりしており、被災地以外の地域の食卓を圧迫します。ジャガイモに関してはわさビーフでお馴染みの山芳製菓が製造の一時休止を決めたりと経済に悪影響が出ています。災害復興のような必要不可欠な財政支出が阻害されるのでは、何のための財政政策なのかと問い詰めたいところです。

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Sunday, July 31, 2016

リオでじゃねえだろ!

都知事選当日で投票率が今までよりも高いらしい。関心が高まっているのは結構なんだけど、それだけ無党派層の票が結果あを左右するわけで、そうなると組織票頼みの増田、鳥越両氏の苦戦で小池知事の可能性が高いということになります。その場合ダメージが大きいのは鳥越氏の方ですね。ホント日本の左翼わぁ-_-;。

元々知名度で不利だった増田氏は落選しても都知事選に乗っかって名前を売った分だけ講演料アップでハッピー。弁護士の宇都宮氏を辞退させてまで野党統一候補に拘った結果、宇都宮氏の支持層まで離反というのは、米大統領選の民主党サンダース候補の辞退でやはり若い有権者が離反していることとパラレルですが、違いはサンダース氏が予備選を戦った結果、クリントン氏が主張をかなり修正せざるを得なかったこと。選挙戦は言論を闘わせることで有権者に判断の材料を提供するから意味があるんで、知名度で勝負がつく都知事選の不毛さはどうしようもないところです。

ま、誰が都知事になってもちゃんと都民のために働いてくれれば良いんですが、そもそも五輪霧中の中、競技施設整備の見直しに踏み込んだ舛添前知事が謎のバッシングを受けて辞任したのが今回の選挙なわけで、本来自公は選挙やりたくなかったんだけど、民進、共産両党が世論を煽って追い込んだ結果、掟破りの首相指示で辞任に追い込まれたものでした。その意味で都民のためにリスクを取って働いた舛添知事を辞めさせた以上、民進、共産両党は息のかかった都知事を当選させなければ二重の意味で都民を裏切ったことになります。民進が宇都宮氏に乗っかれば話が早かったんですが、共産が先に支持表明したことを嫌ったんですね。党派性まる出し。ホントしょーもなー。

あとは都知事として働いてもらうことですが、選挙戦で小池氏が対立を煽った都議会自民党は、法人税国税化で反対したにもかかわらず増田氏に乗っかったように変わり身が身上。小池氏も「てへぺろ」で和解となると、都議会野党が頑張らないと都民のために働いてくれいないでしょう。本来改憲派の小池氏が都政に関わることで改憲にタッチできなくなるなら護憲派としては歓迎すべきことですが、都知事選の勢いに乗じて小池新党という声も。中身はおおさか維新のカーボンコピーで、関西に比べて支持率の低い首都圏で改憲勢力を掘り起こしててなことをさせないためにも、都議の働きが重要ですが、舛添前知事のリオ行きを批判しながら都議団でリオ五輪視察がリークされて叩かれて中止じゃ、期待できんわな。リオでじゃねえだろ!

てな前置きとは無関係の北海道の話題です。まずはこれ。

「持続可能な交通体系のあり方」について
「持続可能な交通体系のあり方」について(PPT版)
JR北海道が自助では限界と地元自治体へ協議を訴えるプレスリリースですが、メディアも含めて地元の反応は冷ややか。そもそもJR北海道にお一連の不祥事がコストダウンの行き過ぎによるものなのに、一段のコストダウンを要求されても、死ねと言われてるようなもの。加えて重大な勘違いの可能性も。熊本地震で運休を余儀なくされた南阿蘇鉄道運転再開のニュースです。
南阿蘇鉄道が一部再開 地震で被災、3カ月半ぶり  :日本経済新聞
わずか7㎞ほどで本数も1/3というささやかなものですが、こうして自助の姿勢を示した上で出資者でもある自治体も支援して初めて、国による支援が検討されるという形で、自助、共助、公助の段階を踏むのが交通政策基本法の考え方です。北海道のように自治体がそっぽを向く限り、国の支援は出てこないわけです。この辺移動権という憲法の基本的人権と紐づけされた権利を定義した民主党案の交通基本法の内容を後退させた結果じゃないかと思います。考え方としての自助、共助、公助という部分は条文中に盛り込まれてはいるものの、元々理念法の性格が強いと言われる日本国憲法の規範性の強化という観点からは、憲法と紐づけされた立法というのは重要な視点です。

実は改憲を目指すとされる現政権ですが、例えば理念性の強い9条よりも、国会、内閣、裁判所などの権能を規定した規範法の部分で「原則として」の5文字を入れるだけで骨抜きにされます。そもそも憲法が原則を定めているのは当然だからあえて明記されていないだけで、例外事項は個別法で定義するのが立憲主義憲法のあり方なんで、それを骨抜きにするってことは、国権の最高機関であり立法府である国会の権能を否定することになります。事実上憲法破棄に等しいわけで、絶対乗ってはいけない議論です。

話を戻しますが、JR北海道では一応乗車密度2,000人以上が持続可能なラインと考えていて、札幌都市圏の例えば札沼線のように複線電化で乗客が増えている路線や区間もあるわけで、私企業である以上、こうした増収が見込める分野への選択的投資は欠かせないところですが、一連の安全対策投資の結果、投資の原資をひねり出す余裕もなくなってしまうわけです。みすみす収益機会を逃せば企業としての持続可能性は低下することになります。

あと貨物輸送との関係もJR北海道にとっては重要でして、青函トンネル区間の新幹線と貨物の線路共用で新幹線が140km/hの速度制限を受けているい上に、落下した金属片が三線軌条の信号回路を短絡させるトラブルもあり、メンテナンス上も負担となっていますが、そんな中で貨物撤退論が囁かれていました。

青函トンネル「貨物撤退」はなぜ封印されたか | ローカル線・公共交通 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
記事によると青函トンネルの貨物撤退の議論は国交省によって封じられたと。元々線路を痛める貨物列車の走行に対して旅客会社に支払う線路使用料が割安に設定されている一方、鉄道貨物のシェアそのものは高くないということで、フェリーの新造船投入で代替可能という議論ですが、貨物幹線であるJR貨物の経営の息の根を止める判断はできなかったのでしょう。そもそもJR北海道のトラブルの原因はJR北海道自身による列車の高速化と共に、軸重も重いDF200型ディーゼル機の投入による部分もあります。元々線路規格が低いまま民営化を迎えた北海道の鉄路にとっては負担ですが、今回のJR北海道のプレスリリースでは触れられておりません。

結局JR北海道の問題ははJR貨物をどうするかという問題ともリンクしていて、簡単に解決策を見いだせない状況に陥っております。ただ鉄道貨物の放棄はCO2削減策としてのモーダルシフト政策に反しますし、ドライバー不足のトラック業界の現状からも鉄道貨物の活用の可能性は大きいわけで、簡単には決められません。来られも含めて国が大方針を示す必要がありますが、リニアや整備新幹線と違って票にならないから政権の関心は低いまま。その一方でおそらくJR北海道より経営環境が厳しいと見られるロシアのサハリン州の鉄道がロシアンゲージの1,529㎜に改軌して本土と車両の共通化を図るという大改良をすると言います。領土としての北海道という観点からいえば、現状はあまりに冷たいというか。これじゃ北方四島の領土交渉でロシアが日本の本気度を疑うというものです。

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