鉄道貨物

Sunday, March 28, 2021

モダンマネーセオリープラクティス

アンカレッジの外交ショーに世界が釘付けになりました。

米中、ぶつかる国家観 経済から対立軸移る:日本経済新聞
通常の外交交渉は冒頭の2分ほどで報道陣を退出させて専門家同士で秘密会談をする訳ですが、SNSの時代にはどうせ漏れて世界に拡散されるリスクはある訳で、それなら思い切ってショーアップして世論喚起してしまえということですね。これ米中両国ともに自国民及び世界へのアピールで世論を味方につけようという意図が見えます。本チャンの交渉はいたって冷静に進んだらしいです。

外交交渉に限らず国防や情報当局のブリーフィング内容をツイッターで暴露するトランプ大統領の得意技がヒントになった可能性があります。報道界隈ではトランプ大統領時代に情報開示が進んだという笑い話まで囁かれています。その意味でバイデン政権としては良いアピールになったでしょうけど、同時に中国国内のSNSの反応で、義和団の乱と北京議定書が持ち出されたことで、米中対立の深刻さは逆に鮮明になりました。

1901年、義和団を名乗る扶清滅洋を唱える民衆の排外運動の蜂起があり、それに乗っかって清朝が支持し宣戦布告したために対外戦争となり、日本を含む8か国連合が2か月で平定したもので、北京議定書という不平等条約を呑まされた結果、清朝の弱体化に至ったもので、中国の屈辱の近代史を決定づけた事件でした。つまり同盟国を動員して対決を迫るバイデン政権に対する中国国民の率直な反応と見て良いでしょう。対立が国民レベルに浸透した訳で、中国との関係を簡単に見直せない日本を含むアジア諸国にとっては、対応が難しくなります。唯一喜んでいるのは、米中対立激化で中国の支援が期待できる北朝鮮ぐらいですね。

その一方で気候変動などでは協力を期待しており、対立一辺倒ではない訳ですが、これがかなりの難題です。そもそもグリーンニューディールはオバマ政権で打ち出されたものですが、リーマンショック後の中国の大規模財政種痘もあって需給がひっ迫して原油高になった結果、確かに風力などの再生可能エネルギーへのシフトは一定に起きましたが、それ以上にコスト面で無理があったシェール層の天然ガス採掘の技術革新が起き、その応用でタイト層のオイル採掘が可能となり、所謂シェール革命が起きたことで原油価格が下がったため、寧ろ再エネ投資はとん挫しました。

今回はOPECとロシアの減産で価格を押し上げていることもあり、再エネ関連やCO2貯蔵(CCS)や再利用(CCUS)などへの投資拡大が起きる可能性はあります。スエズ運河の座礁事故も復旧が長引けば原油高止まりの可能性もあります。但しCCSにしろCCUSにしろ、CO2分離や液化、固化の過程でのエネルギー消費がありますから、それを再エネで賄えなければ効果が減殺されることになります。

この点アメリカは油田に戻すことで原油の絞り出しに使えるということもあり、原油価格が高い状態を前提にすれば技術革新が進む可能性はあります。但しそれが経済成長を促すかどうかはわかりませんが。加えてCCSやCCUSは北海油田を抱えるイギリスやノールウェーでも可能性がある一方、油田のない日本ではハードルが高い訳ですが。やっぱりグレタさんに叱られる?

一方バイデン大統領が打ち出し議会で承認された総額200兆円の財政出動で景気回復することで長期金利が上がり株価が下がるなどの市場の反応が見られますが、法人税と富裕層所得税の増税も打ち出しており、当面は経済回復を優先して増税は後回しになると見られますが、これが重石となって結局長期金利も株価も落ち着きを取り戻しつつあります。つまり増税予告付き財政出動という訳で、これ主流派経済学者からトンデモ理論と言われた現代貨幣理論(MMT)の実践と捉えることも可能です。

日本ではリフレ派が節操なく飛びついたMMTですが、彼らが見落としているのは増税オプション付きという部分でして、元々は貨幣を負債と捉え、政府と中央銀行を連結した統合政府としての政策対応というもので、くしくもイエレン財務長官がFRB議長時代に持論として唱えた高圧経済論とも通じるるもので、後任のパウエルFRB議長も承知の上とすれば、それなりに整合性のある政策にはなります。但しインフレ対応が必要になった時には財政緊縮と金融引き締めを同時に行うことになる点が難点と言えば難点ですが、イエレン財務著菅は当面その心配はないと見立てているようです。

何故かと言えば中立金利の低下が背景にあるからで、結局アメリカの潜在成長力がそれだけ低下した現実が見えているのかもしれません。経済を過熱させるような過度な景気浮揚は望めないことに気付いているんじゃないかと思います。逆に主流派にどっぷり浸かったサマーズ氏には理解できず、インフレ懸念から批判した訳です。で、上記のグリーンニューディールが進むと仮定すると、その果実は成長よりも温暖化を遅らせるという公益の形でもたらされる可能性が高く、コスト負担で成長が相殺されてしまう可能性が高い訳です。温暖化が進めば別のコスト負担が増えますから、よりマシな未来はどちらかは自明ですが。

加えて言えばこれまで移民の受け入れで労働力を補充してきた移民国家のアメリカですが、コロナ禍でその持続可能性に疑問符が付きます。これは欧州も同様ですが、技能実習生などで「移民ではない」と強弁しつつ外国人で労働力を補充しようとしている日本はどうなるでしょうか。寧ろ増税を予告して財政出動するアメリカをこそ見習うべきではないかと思います。

日本も含めてですが、先進諸国の低金利が、コロナ禍では政策余地をもたらしていることも確かです。緊急の低利融資や劣後ローンに加え、公募増資もやり易い市場環境なので、業績面では厳しくてもつなぎ資金は豊富という状況です。そして中国デカップリングで指摘したように、途上国のワクチン供給が見通せない状況では、感染拡大に伴う変異種の侵入で先進国も感染再拡大を繰り返すとすると、移民に頼った労働力補充は難しい訳です。それ以前に国内雇用が戻らなければ移民受け入れの余地も狭まりますし。

長くなりましたが、整理すればグリーンニューディールによる成長は見込めない一方、成長余地のある中国は成長の結果としての温暖化ガス排出増が避けられないと見れば、グリーンニューディールに別の意味が見えてくるということですね。つまり中国に協力を呼び掛けながらコスト負担のプレッシャーをかけることが可能ってことです。但しそのためにはアメリカ自身が本気で温暖化ガス排出削減に取り組む必要がある訳ですが、この辺のは一時米中軍事演習を敢えて行い、実力差を見せつけた流れと同じ狙いがあると言えそうです。

ということを踏まえると、日米同盟強化は軍事面に留まらずこの面でも同盟国の協力を求めることになるということですね。中国をさし置いて日本が排出拡大する訳にはいかなくなるってことです。再エネで出遅れている日本にとっては厳しい話になるでしょう。生産年齢人口減少が急な日本では、マイナス成長も覚悟する必要があると見込まれます。鉄道関連で言えば北陸新幹線や北海道新幹線の工事遅れに見られるように、作業員が集まらない現実があります。その北韓同新幹線関連でJR貨物が危機感を持っています。

JR貨物社長の期待と懸念、「第2青函」具体化後押し:日本経済新聞
第2青函トンネル問題は脇へ置きます。実現可能性も含めて現時点で論じるに値しないからですが、それより以前に北海道内の貨物ルートの分断の可能性に危機感を表したインタビューです。背景には七飯町と長万部町が鉄道に拘らない姿勢を示し、長万部以南の函館本線が廃止の可能性が出てきたことによります。愛なき成長戦略でも触れましたが、仮に廃止となれば青函トンネル経由で運行する貨物列車が存続の危機に直面します。船やトラックによる代替輸送となれば積み替えによるコスト増もあり、消費者に負担をかけることになりかねないということですね。仮に貨物列車を廃止するするとなると、貨物調整金で存続しているIGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道、道南いさり火鉄道が一蓮托生で危機に瀕することになります。ネット通販の普及で北海道向け貨物も好調で、北海道発の農産品輸送と相まって双方向の需要が旺盛なだけに、JR貨物としても捨て置けない問題ですが、逆に言えばそんな重大問題を七飯町や長万部町レベルの自治体の判断に委ねるというのが異常でもあります。はっきり言って国の出番です。鉄道貨物に関してはアメリカではこんなニュースがあります。
カナダ貨物大手、米社買収 3兆円 メキシコまで鉄道網:日本経済新聞
大陸国のアメリカでは貨物鉄道は有力な投資先と見られており、環境負荷が低いということでグリーンニューディール銘柄でもあります。3か国の新たな貿易協定(USMCA)発効やサプライチェーン見直しも追い風で、買収額290億ドル、日本円で3兆円余りを民間資金で賄えているのですが、日本の鉄道貨物の置かれた状況とは大きく異なります。とはいえリニアに財投資金3兆円出せるなら、貨物ルート維持に資金提供は問題なく可能な筈ですね。貨物は選挙の票にならないから放置されるでしょうけど-_-;。

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Sunday, February 21, 2021

地震、雷、火事、親父

昔は怖いものとして言い慣わされておりました。かくいう私も親父にはよく𠮟られてました。家父長制の傾向が強かったかつての日本ですが、核家族化して「元気で留守がいい」と言われちゃうぐらいにはマイルドにはなりましたが、ジェンダー問題や選択的夫婦別姓問題など相変わらずではあります。

夫婦別姓問題を「日本の伝統に反する」とか「家族制度が崩壊する」とかで反対する人たちは、今や核家族どころか単身世帯が増えて核家族すら典型的と言えない現実が見えていないようです。加えて言えば公家、武士、豪農、豪商を除けば大多数の日本人が姓を名乗るようになったのは明治以降の話ですし、例えば北条政子は源頼朝に嫁いでも北条政子のまま、源姓を名乗っておりません。昔は夫婦別姓だったんですね。

そんな家父長的パターナリズムの権化みたいな人が炎上して公職を去りましたが、どう見てもその影響下にあるとしか見えない元アスリートの現役閣僚が後任だそうで、伝えられるところでは本人は固辞したそうですが「あなたしかいない」と周りから言われて火中の栗を拾ったらしいと言われております。親父が差別発言で批判され逆切れカミナリで炎上。地震以外全部キタ—―――――――^_^;。結局組織委が森前会長から橋本新会長に変わっても、開催の方針は変わらない訳です。

文化放送の有森裕子氏のインタビューで「オリンピックはチャンピオンシップではない」という言葉が刺さります。元々オリンピックはスポーツを通じた国際交流を目的とした平和の祭典で、古代ギリシャで宿敵のアテナイとスパルタもこの時は戦いを休んでスポーツに興じた故事から20世紀にフランスのクーベルタン男爵が提唱して始まったものです。コロナ禍でIOCも無観客若しくは国内観客限定の開催に傾き、大会組織機もその前提で動いているのが現状でしょうけど、それってオリンピック精神に反すると声を上げた訳です。FIFAワールドカップや世界陸上のようなアスリート同士で勝敗を競うチャンピオンシップなら無観客も有り得るけどオリンピックにはなじまないという訳です。更に地方からも声が上がりました。

島根県、五輪聖火リレー中止を検討 知事が表明:日本経済新聞
島根県の丸山達也知事は旧自治省、総務省でキャリアを重ねた元官僚で地方出向を重ねた地方自治のエキスパートですが、2018年に退職し2019年の島根県知事選に無所属で出馬し、自民党と共産党の候補を破って当選した実力派知事です。地方自治の専門家らしく五輪関連の法令や通達を熟読して県の判断で聖火リレーを中止できることを確認した上での発言で、国や都のコロナ対策の下では聖火リレーはできないという趣旨です。

そもそもコロナ終息後の経済浮揚策だった筈の Go To トラベルの見切り発車、特に10月1日の東京都の Go To トラベル除外解除によって地方への観光旅行が増えた結果、コロナ感染がジワジワ全国に広がり11月以降は明らかに指数関数的増加が見られ、一部都府県で医療に負荷がかかりました。コロナ病棟で陽性者を受け入れると最低2週間の経過観察が必要ですから、指数関数的に新規感染者が増えれば早晩破綻する訳で、そのために病床を空けるために他の傷病者の退院や転院、手術の延期や救急搬送のたらい回し頻発など医療崩壊と言える状況が出現しています。

暮れの12月28日の Go To トラベル停止と帰省初詣の自粛要請、東京都などの飲食店時短営業要請、1月7日の緊急事態宣言発出で新規感染者が減ってきてはいますが、重症化しやすい高齢者の新規感染が増えており,死亡者も高水準でとても終息に向かっているとは言えない状況が続きますが、地方では Go To トラベルを巡る混乱で振り回され、緊急事態宣言対象外で営業自粛に対する補償金もない中、ただただ貧乏くじを引かされ続けていることへの不満が渦巻いている訳です。丸山島根県知事の発言はそれを代弁している訳で、隣県の知事たちも理解を示しています
が、この人はそうじゃない。

自民・竹下氏「島根県知事を注意する」 聖火リレー発言:日本経済新聞
国とは別法人の地方自治体の首庁に国会議員が注意する権限はもとよりありませんが、2019年の知事選で自民候補を応援した当事者ですから、政局絡みの恨み節ですね。言外に「あんな知事選ぶからこうなる」という有権者への当てつけですね。こんな奴次の選挙で落としましょう。

また竹下氏は橋本組織委新会長を「男みたいな性格、ハグ当たり前」と発言して炎上。二階幹事長も森氏用語発言といい自爆テロ級の火に油ですし与党議員の夜遊びといい管首相長男の総務省接待疑惑といい、炎上を競い合っているとしか見えませんね^_^;。

てな冗長な前振りはここまでで^_^;、本当に怖いのはもちろん自然災害です。先日の福島県沖地震は10年前の東日本大震災を思い起こさせましたが、プレート型地震の東日本大震災に対して「スラブ内地震」と呼ばれるもので、平たいプレートをスラブと呼び、地中の圧力によるひずみでスラブにひび割れが生じることでおきます。阪神大震災のような内陸型地震はほぼこれで、浅い震源ならば地上に断層が出来たり津波の原因になったりしますが、今回は地下53kmという深い震源だったので、津波も起きず震度6強とマグニチュードの割には弱い揺れになりました。但しその分広範囲に長時間揺れたことで思わぬ被害が出ました。

鉄道耐震化間に合わず 東北新幹線、電柱など損傷:日本経済新聞
東北新幹線は高架橋にスラブ軌道という構造の区間が多いのですが、これが災いしたようです。ちなみにスラブ軌道は上述の平たいプレートを表すスラブと同じ意味です。土の路盤のわきに基礎を打って立てる在来線の架線柱と違ってコンクリート構造物の高架橋に建植された架線柱は共振しやすく、今回のような長い揺れで傾いたり折れたりした訳です。東日本大震災の時にも見られ、鋼板を巻いたり鉄芯を入れたりする補強工事が施工中ですが、とにかく数が多いから工事は進まず、終了は2,028年頃の見込みということで、実際未施工区間で被害が出ています。

そういうこともあってJR東日本はひたちの仙台延伸や在来線の臨時快速運行などでカバーしましたが、輸送力の差はありますから完全にはカバーできないですが、迅速な緊急対応という意味でレジリエンスを示しました。加えてJRバス東北や福島交通の高速バス増便や定期便のない羽田から福島、仙台、花巻へ臨時便を出したANAとJALの対応といい、震災の体験が活きているようです。コロナ禍で需要が減っていたことや、特に航空は大量減便で機材も人員も余力があり、ネックとなる羽田空港も空いていたなどの要因もありますが、こうした迅速な動きは評価すべきでしょう。どっかの国の政府とは大違いです。

加えて言えば鉄道のネットワーク効果は大事だということを改めで感じます。阪神大震災の時に被災した京阪神地区を迂回する貨物ルートが無かったことが混乱を拡大しましたし、東日本大震災の時は逆に貨物列車の設定が無い磐越西線を利用した燃料輸送で代替ルートを確保したなんてこともありました。レジリエンスってこういったことの積み重ねなんですね。

ってことで、国土強靭化はその意味で明後日の方向の対策にしかならないと改めて思います。津波対策で防潮堤が整備されたものの、寧ろ海が見えない方が危険ということで、人が住んでいるところほど反対に遭って整備が進まず、無人地帯の巨大防潮堤が飛び飛びに整備されており、だれを守るものか曖昧です.寧ろ市町村役場などの公共施設を高層化して高層階に比内所を兼ねた集会場施設を作るとかする方が現実的です。

東北新幹線の架線柱損傷に見られるように、高速鉄道は元々レジリエンスが弱い存在だってことも覚えておきましょう。逆に盛土にバラスト軌道の東海道新幹線の方が頑丈に作られた山陽新幹線や東北新幹線よりレジリエンス面で優位ということも言えます。但しその分メンテナンスにコストがかかる訳で、東名阪をカバーする東海道新幹線でしか成り立たない可能性はあります。その意味で高速鉄道の二重化を唱えて中央リニアや北陸新幹線の大阪延伸が必要とする主張にも疑問を禁じ得ません。特にリニアは地震など自然災害時の安全性に関して未知な訳で、東海地震に備えた代替路線という位置づけも疑問を禁じ得ません。

加えて整備新幹線の並行在来線問題でも、頼みの新幹線が長期運休になった場合のリカバリーを考えれば維持する方が良いのは言うまでもありません。北海道新幹線の並行在来線で貨物列車のない長万部―小樽間の山線区間の存続はかなり厳しく、受け皿三セクの経営が成り立つ可能性は低いと言えます。こうしたコストも込みで整備新幹線が有利な投資なのかどうか、きちんと見極める必要があります。

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Sunday, January 31, 2021

見えざる手のたそがれ

与党議員の銀座の夜遊びのお陰で特措法改正案が野党案丸呑みになり、過料の額が減額されました。グッジョブd^_^wwwww。前エントリーで指摘した国家権力を飼い馴らす観点が機能しました。一方アメリカでは思わぬところに火の手が上がりました。

米株式市場にも分断の影 個人投資家SNS、ファンド標的:日本経済新聞
構図が複雑なんですが、個人投資家向けに売買手終了を無料にして躍進したネット証券のロビンフッドに、コロナ対策で連邦政府が配布した給付金を手にした個人投資家が殺到し、米株価上昇を支えていたのですが、一方ロビンフッドは個人投資家の売買注文データを大手ヘッジファンドなどマーケットメーカーに販売して収益を確保していました。ガラパゴス・スモールブラザーズで指摘した日本のネット証券とHFT投信の癒着と同じことがメリカでも起きていた訳です。

但しアメリカの個人投資家の対応は、ロビンフッドにデータを取得しているシトロンなどの空売りファンドを標的にした逆張りで対抗するというもの。ある意味アメリカらしいカウンターカルチャー炸裂となっているのが面白いところです。空売り勢は時価総額が大きくない中小型株に空売りを仕掛け、値下がりしたところで買い戻して借株を返却して手仕舞い、値下がり分のサヤ取りをする訳ですが、リスクヘッジで先物コール(買い注文)を仕込んでおく訳です。つまり先物市場の動きでヘッジファンドの意図がある程度見えることで、レディットというSNSののウォール・ストリート・ベッツ)WSB)という掲示板で情報を共有し、逆張りの買い注文を出すことでファンドに損失を与えることができる訳です。

勿論共謀しての株価操作は刑事罰を伴う犯罪ですが、個人のSNSによる呼びかけがこれに当たるかどうかは微妙なところです。今回ゲーム店を展開するゲームストップ株などが標的にされ、みるみる株価が上昇していった訳ですが、株価上昇に伴って売買注文の決済に責任を負うロビンフッドの準備金の積み立てが必要になり、資金繰りがタイトになってゲームストップ株その他の売買制限をかけたのですが、これが混乱に拍車をかけ、ロビンフッドが批判にさらされ、制限解除を余儀なくされました。その結果ゲームストップ株は値上がりを続けましたが、個人投資家には不信感が残り、SNS上で訴訟騒ぎにまで発展しました。

話はここで終わらず、大統領候補にもなった民主党オカシオコルテス下院議員が個人投資家に損害を与えたとロビンフッドを批判、また上院ウォーレン議員はSECに書簡を送り問題提起をしました。そのSECの次期委員長にバイデン政権は規制派のゲンズラー氏を指名する予定ということで、金融市場の規制強化の動きにつながりそうな気配になっています。トリプルブルーのアメリカが動き出した訳です。

ただ冷静に眺めると、各プレイヤーは合理的に行動している訳で、何が問題なのかは見えにくいのですが、市場経済の矛盾が見えたという意味で重要ということです。ヘッジファンドが金融テクニックを駆使してリターンを得る行為は、ネット証券の個人投資家の売買注文データを用いた先回りでもある訳で、同じことを個人投資家の共闘で仕掛けられたとも言える訳で、ある意味どっちもどっちなんですが、これを古典的な市場競争の枠組みで捉えることが適切なのかどうかってことですね。また売買の場を提供するネット証券にも言い分はある訳です。

本来は市場競争を通じて超過利潤(レント)がゼロに収束すると言われており、それ故に独占禁止などの競争政策が重要と言われてきた訳ですが、株式市場の実態は寧ろマージャンの点棒の取り合いに近い訳で、本来の企業の投資行動を支える機能は薄まっているのが実情です。特にアメリカが世界へ拡散させた株主資本主義は、結果的にこの傾向を強めました。昨今の企業の自社株買いでは、企業の余剰資金が投資家に還元されている訳で、本来は将来に備えた投資の原資を得るための、公募増資による資金調達の手段である筈の株式市場が逆方向へ動いている訳です。

同じような市場の混乱は日本の電力でも生じたのは電気が足りない訳じゃないエントリーでも取り上げましたが、報道が進むにつれていろいろなことが明らかになっています。元々コロナの影響で電力需要が低下し、卸電力市場(JPEX)の価格はキロワット5円程度まで下がっていて、新電力にとっては顧客拡大のチャンスでした。加えて在宅時間が増えて家庭の電力費が増える傾向も追い風となった訳ですが、それが何時でも簡単に余剰電力を調達できると逆に油断を生んでしまいました。

大手電力も4割を占めるLNG火力への依存が強く、やはりコロナの影響で電力需要が低下したことを受けて、またアジアのLNGスポット価格も低迷し、余剰分の転売も損失につながるので、安定供給で中東カタールからの長期契約の調達を減らしていました。そこへ暮れからの寒波がアジアを直撃し、また中国の経済回復もあってLNGスポット価格が跳ね上がり、電力需要も上ブレした結果、LNGの在庫不足となって企業の自家発電電力の買取などで凌いだわけですが、その結果JPEXへの売り物が減少して相場が跳ね上がり、顧客獲得に走った新電力が裏喰った訳です。

但し新電力の供給不足は結果的に大手電力が融通するので電力不足にはなりませんが、その転売価格はJPEX連動が原則なので、今月分が決済される3月末が地獄と言われております。これも新電力も大手電力も合理的に判断して行動した結果であり、見えざる手は機能しなかった訳です。こうして仕組みが複雑になると、市場原理が本来の働きを期待できず、コロナや寒波のようなブラックスワンの出現で混乱する訳です。

その意味では民間企業でも事実上中国共産党の指導下にあって、議決権が有名無実化している中国株が本来の姿に一番近いという皮肉な現実があります。株主は黙って金出して配当貰って満足すべしってことですね。アントの上場廃止とジャック・マー氏の消息不明は未だに謎ですが、最強の規制当局としての中国という視点で見ると、金融規制やデジタル規制に踏み込もうとするトリプルブルーのアメリカや、主権国家の上位機関として加盟国に義務を課すEUと何が違うのか?説明はなかなか困難です。

見えざる手は機能せず、中国のような見えるけど見ちゃいけない手^_^;が機能するということですが、これが可能なのは経済成長で国民が豊かになった実感があるからで、そうでなければ国民の不満が爆発します。ある意味中国のような国家資本主義体制は効率的で成長経済の推進はやり易い訳ですが、そうなると当然LNGスポット価格の高騰に見られるように資源消費が拡大してCO2排出量が増える訳で、実は中国のような成長経済にとってはここがウイークポイントになります。

自動車の電動化で中国が先を行こうとしていますが、現状EV生産や廃車後の廃棄処分家庭まで含めたライフサイクルアセスメントで見ればガソリン車よりCO2排出量は多いと言われます。特に石炭火力依存度の高い中国においては尚更ですね。てことで巷間謂われる中国封じ込めは経済制裁や軍事的圧力よりも、資源消費低減を突き付ける方が効果的ではあります。とはいえ巨大市場となった中国国内市場へのアクセスを失いたくないのが先進国の本音でもあります。だから中国封じ込めは確実に失敗すると見ておきましょう。

てことで、自動車の電動化よりも公共交通へのてこ入れによる脱クルマ社会を目指すのが実は最善手かもしれません。その意味ではネット通販の拡大による宅配便需要の増大が実は深刻だったりします。その意味ではフリュグスカムで取り上げた夜行列車の復活よりも、鉄道貨物の拡大が優先度が高いと言えます。今後も続く生産年齢人口の減少でドライバー不足は続きますから、この面からも必要です。

ってことで、アメリカやEUも見えざる手に変わって見える手の活用に舵を切る流れですが、日本でも国民目線での公正な見える手にシフトすることが、結局中国封じ込めにもつながる訳です。鉄道のような枯れた技術の活用で資源節約社会を目指す方が、大規模な研究開発を伴う技術革新に頼るよりも確実ですし。

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Sunday, January 17, 2021

電気が足りない訳じゃない

緊急事態宣言の中いかがお過ごしでしょうか。しかしアメリカやイギリスに比べれば2桁少ない感染者数で医療崩壊が叫ばれる日本の現状はどうしたものか。要因はいろいろありますが、医療機関に占める公立病院比率が2割程度で残りは民間という日本の医療体制が災いしているようです。

政府は各病院にコロナ病床の設定を要請していますが、風評を恐れる民間病院は申し訳程度の病床数でお茶を濁し、公立病院にしわ寄せがされている状況です。民間病院では1桁の病床数しか用意されていないtころが多いですが、そのために呼吸器感染症専門医や看護師、保健師張り付かせる訳ですから、勢力場分散して非効率になる訳です。加えて経営の要請で病床を空けておくわけにはいかず、他の疾病の患者を入院させるなどしていざというときに使言えなかったりしますし、また救急車が電話で受け入れ病院を探すシステムが災いしてコロナが疑われる救急患者の受け入れ拒否も頻発している状況です。

ならば公立病院に専門医、看護師、保健師を応援に出して集中的に対応した方が効率よく受け入れられそうなものですが、その公立病院が赤字体質をたたかれて予算が縮減されてやはり対応を困難にしているという面もあります。例えば民間病院にコロナ受け入れの免除の見返りとして医師、看護師、保健師の人的支援を求めるといった対策が取られれば良いのですが、国の支援が無ければこれも難しいということで、医療制度改革で疲弊した医療体制が災いしている訳です。

公立病院の比率や状況はそれでも地域差がありますし、専門スタッフ偏在している状況ですから、そもそも国が差配するのは難しい訳ですが、ならば緊急事態宣言の発出は都道府県知事の権限として必要な予算は国が提供する制度が望ましい訳で、法制度の問題です。また当初から言われ続けてきた検査体制の問題も「医療崩壊を防ぐために検査を絞る」という謎理論で抑制されてきましたが、これも未症状や軽症の人向けの隔離施設として地域のホテルを借り上げて食事提供と医療チーム派遣で対応することでホテルの支援にもなりGo To で無理くり需要を作り感染拡大で蒸発という混乱を考えたら遥かにマシは支援策です。

Go To に関しても緊急事態宣言で県境を越えた移動を制限しても、状況が許せば県内 Go To といった形で対応するなど地方の実情に合わせた対応が可能なのに、そうした建付けになっておらず、結果的に国の迷走に振り回されてしまう訳です。政府は国民を不幸にするばかりです。

ついでながら予想通りイギリス、南アフリカ以外の地域からもコロナ変異種が見つかりました。元々不安定なRNAウイルスですから、世界規模で感染拡大すれば多数の変異種が顕れることは必然です。変異は全方位に出現しますが、生き残るのは免疫迂回などでより感染力を増した変異種となりますから、更に警戒を強める必要があります。一方弱毒化の証拠は見当たらず、今後も未知の変異種の出現を見込む必要があります。世界から人を呼ぶ五輪を止めないというのは、商業イベントの方が国民の命より大事ってことになりますが-_-;。

で、コロナも怖いけど寒さも怖いということで、先日の大雪以外にも問題山積です。

新電力、料金2倍に高騰も 需給逼迫で卸価格が急上昇:日本経済新聞
世界規模の大寒波で天然ガスの需要が上振れしており、特にLNGの調達が困難になっている結果、燃料不足で発電量が制約された結果、卸電力取引所(JPEX)の価格が高騰し、自前電源を持たない新電力の料金が跳ね上がっています。元々大手電力が余剰電力を出し惜しみしていて、市場規模が小さいため、燃料需給のひっ迫で価格が跳ね上がってしまうという構造的欠陥が明らかになったものです。

とはいえ大手電力各社は節電要請は出しておりません。その一方で企業保有の向上などの自家発電設備からの電力買い取りを進め、また地域間の連携線で大手同士の電力融通は行われており、結果的に電力不足は起きていない訳です。加えて石炭火力の重油併燃で出力アップして凌ぐなどしており、脱炭素に逆行しています。これは電力自由化に逆行する行為です。2020年実施の電力自由化で大手電力の送電部門の法的分離が実現した訳ですが、これ単なる分社ですから、親会社の大手電力のガバナンスに委ねられている訳です。

加えて先発券が認められており、稼働していない原発の容量枠は空いていますし、本来原発のバックアップ電源の筈の石炭火力の容量まで上乗せされていたりしていて、言ってみれば既得権の塊となっております。そんな中で新電力が再生可能エネルギー電源の託送を求まる場合、必要な容量アップのための送電線増強投資は原因者たる新電力に求められる訳ですから、資本力の劣る新電力は担いきれず、送電線はがら空きなのに利用できないという不条理がある訳です。

一方大手電力同士の連携線を通じた電力融通には好都合な訳で、これで電力自由化とは笑わせます。結局大手電力の既得権を守り新電力の参入障壁となっている訳です。大手電力が涼しい顔して節電要請を見送るのはこういうからくりなんですね。あと公式な連携線とは別に、東電と東北電力のエリア間には未使用の送電線が休眠しています。福島と柏崎刈羽から首都圏へ向けての送電線です。発送電分離を前倒しした東京d燃力パワーグリッドに東北電力の送電網を移管する話が進んでいるそうで、巨大送電網となりそうです。

裏には完成間近で3.11以後止まっている東通原発の完成推進の狙いがあると言われており、これに関電の美浜3号と高浜1,2号機の40年超の再稼働の条件として福井県から使用積み燃料増やさないことが条件づけられ、この関連で青森県むつ市の中間貯蔵施設への移管受け入れの決定があると言われております。裏には原発事業集約の狙いがあり、それに反発する関電に貸しを作るためとか。東電は実質国有化状態にあり、電力自由化の陰で政府の影響力を拡大する意図が透けて見えます。

新たな電力国家管理と見ることもできますが、政府は沈黙しており、実際は単なる行き当たりばったりでしょう。未だにエネルギー基本計画も明らかにされない中でトップダウンでカーボンニュートラルの方針が示されたことから、原発利権が動き出したとも言えます。リソースの集約の観点から原発集約自体は反対はしませんが、この辺は注意深く見ていく必要があります。

そしてもう1つ、カーボンニュートラルに反応したニュースがこちらです。

日本郵船、鉄道で車を大規模輸送 CO2排出半減【イブニングスクープ】:日本経済新聞
中国から中央アジアを経て中東から欧州へと通じる鉄路のちゃにあランドブリッジを利用した自動車輸送ですが。日本郵船が実施というところがミソです。

船会社にとって頭が痛いのは燃費の悪い老朽船の代替問題ですが、アンモニアや水素などの燃料動力にシフトする必要がある一方、技術開発はこれからで船舶も燃料も当面高価なのは避けられないことから、輸送の一部を鉄道に振り替えることで、老朽船を廃船して資産を圧縮しながらCO2削減を図る繋ぎの施策ということですね。カーボンニュートラルには程遠いけど、とりあえずできることからってことですね。同様に国内の鉄道貨物の見直しが進めばJR貨物にとっては老舗ですし、JR東日本やJR北海道が計画するカーゴ新幹線も有望ってことにはなります。

但しE5系ベースの10連で積載量は70t程度ということで、コキ20連の標準的な1,000t貨物列車で12ftコンテナ5t換算での積載量500tの1/7に過ぎず、運賃が高くなることは避けられません。つまり在来線貨物の代替にはなりませんが、元々積載量の少ない航空貨物に対しては競争力があると見られます。貨物もフリュグスカムの時代を拓くかもしれません。

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Sunday, December 13, 2020

コロナ禍に対峙するローカル私鉄のキャッシュフロー経営

湧く珍ラリーエントリーで取り上げた島原鉄道の赤字ボールペン販売ですが、他社でもいろいろな取り組みが見られます。

地域鉄道「資源」フル活用 車両にファン宿泊/踏切音を配信/手すり販売、人口減・コロナ禍で活路:日本経済新聞
車掌スイッチや手すりの販売など部品即売イベントは昔からありましたが、オンライン販売が今風且つコロナ禍らしいところ。踏切警報音のオンライン配信も時流でしょうか。中でも出色なのが岳南電車の電車内宿泊でしょうか。サービス電源確保やセキュリティ対策などは必要ですが、追加費用は僅かで、手持ちのリソースを活かして現金収入が得られるという意味でアイデア賞ものです。

過疎化とコロナ禍のダブルのマイナス要因で追い込まれる地方のローカル私鉄ですが、日々の現金売上の減少は資金繰りに直結するだけに苦しいところです。千葉県の銚子電気鉄道のタイ焼きや濡れせんべいは有名ですが、逆に言えば規模の小さいローカル私鉄ではその程度の現金収入で維持費を稼げるということでもあります。それでもレール交換や踏切保安装置の更新などでは寄付を募って乗り切るなど苦しい状況は続きます。設備が古く減価償却が終わっているから、ギリギリ経営は維持できる一方、減価償却で生まれるキャッシュフローは当てにできないジレンマもあります。

てことで、元々固定費の高い鉄道の維持は困難な課題ではありますが、維持する上で重要なのは最終損益の黒字赤字よりも日々の資金繰りにあるということですね。実はこの点で言えばローカル私鉄は昔から似たようなことをしていましたし、今でも様々なキャッシュフロー獲得作戦が展開されています。

例えば国鉄時代の連絡運輸で、私鉄駅発の国鉄連絡運賃の収受というのがああります。これつまり買掛金になる訳で、一定期間手元に残る資金ですから、小規模な私鉄にとってはバカになりません。北海道の運炭鉄道はこのお陰でキャッシュリッチ経営だったことから、最盛期には税金対策で儲からない旅客輸送用の新型ディーゼルカーをバンバン投入するようなことも行われておました。埼玉県の秩父鉄道のように大手私鉄に先駆けてWNドライブの高性能電車を投入したのもこの流れですね。

同様のことはニシン漁に沸いた北海道の寿都鉄道やミカン輸送の送り出しで稼いだ和歌山県の有田鉄道、山口県の運炭鉄道の舟木鉄道などもあります。もっと新しい事例としては成田空港ジェット燃料輸送を担った鹿島臨海鉄道で神栖線の旅客営業を手掛けたことがありましたが、流石に利用が伸びず後に廃止されます。しかしその経験があったから、建設線の大洗鹿島線の引き受けという大きな決断に繋がったとは言えます。

後日談としてニシンの不漁で火が消えた寿都鉄道は廃業して恐らく意図的な国鉄運賃預り金の踏み倒しをしてますし、舟木鉄道ではやはり意図的な精算遅延で手元資金を厚くしていたなんてこともありました。個々には金額は少なかったとしても、国鉄の赤字体質にはこんな裏事情もあった訳です。

整備新幹線の並行在来線三セクや伊豆急など国鉄/JRと関係の深い路線のマルス設置による指定券販売ってのもこの類型ですが、伊豆急のようにSuicaの委託販売とバーターでシステム整備など新たな関係も見られます。また全国の臨海鉄道で見られるJR貨物の構内入替の受託など国鉄改革後も様々なことが行われております。鉄道貨物の今後次第ではJ貨物列車の運行受託などもあり得ます。

えちぜん鉄道や岳南電車では電力託送事業に取り組んでおりますが、風力、太陽光、コ・ジェネ電力など再生可能エネルギーを利用したマイクログリッド事業は新たな収入源となる可能性があります。大規模電源を前提とする系統電力系の送電線が稼働していない原発や非効率な石炭火力の利用枠で押さえられていて再生可能エネルギーの利用が進まない中で、地域に根差した新たなビジネスの可能性があるだけに期待したいところです。但し電力設備を持つ電気鉄道限定ですが、ビジネスモデルが進化すれば非電化路線の電化まで視野に入るかもしれません。

マイクログリッド事業に関しては、脱炭素を打ち出した政府が補助金を付けることが期待されますが、現政権の本音は原発の新設やリプレースかもしれません。既存原発の再稼働と違って鉄子コンクリートの塊となる原発の新設は、鉄やセメントの製造工程でのCO2排出もありますし、鉄の熱処理やセメントの凝固過程での化学反応でもCO2を排出します。ライフサイクルアセスメントに注目すれば脱炭素に逆行します。再生エネ活用が王道と知るべきです。

おまけで燃料電池活用も期待されてますが、現時点で供給される水素は化石燃料由来です。再生エネ電力で水を電気分解することで得られるカーボンフリー水素でなければ意味がありません。加えてEV普及も後押しするようですが、石炭火力に依存する日本の現状ではCO2排出削減効果は限られます。寧ろEV普及は電力需要を押し上げるので、需要増をカーボンフリー電源で賄うのでなければ、寧ろ排出を増やす可能性があります。

てことで管政権が打ち出したカーボンフリー宣言は具体策で必ず躓くと言えます。寧ろ車社会を見直してモーダルシフトを推進する方が排出削減効果が大きいということは指摘しておきます。最後はやや脱線気味でした^_^:。

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Saturday, September 12, 2020

愛なき成長戦略

愛ある成長戦略の秋元司議員が保釈中に偽証依頼で再逮捕されました。呆れてものが言えませんが、秋元議員は二階派所属ですが、時期総理と目される菅義偉官房長官が進めていたIRでの汚職ということで注目されます。

そのIRですが、中心となるカジノは元々クラスター効果で集積を創る効果が期待されていた訳ですが、コロナ禍で見直しは避けられません。実際日本進出を狙っていた米カジノ事業者は本国の事業失速でそれどころじゃなくなり撤退を表明しています。一方で無観客開催が続くJRAの競馬は勝ち馬投票券の売上が過去最高となっています。場外馬券売り場の再開とネット投票の増加が寄与したものですが、これ他のプロスポーツでも参考になります。

カジノを誘致するぐらいなら、ブックメーカーを公認する方がリモートの時代にはふさわしいし、現実的に欧州ブックメーカーのサイトを利用する日本人ユーザーが少なからず存在する現実を見れば、国内ブックメーカーの存在は資金流出を抑止する効果もありますし、逆に海外ユーザーの取り込みも期待できます。だけど新政権はカジノを捨てないだろうなあ。

また管氏はアベノミクスの継承を公言してますが、前エントリーの続きですが、三本の矢の三本目の成長戦略を今度こそと期待する向きもありますが、それは不可能です。一本目と二本目の矢で日本の潜在成長力はむしろ低下してますし、止めを刺せば下手に成長軌道に乗れば資金需要の逼迫で金利が跳ね上がり、それを呼び水にハイパーインフレを呼び込む可能性もありますし、それ以前に利払いの増加で政府財政が急速に悪化すます。ギリシャショックと同じ構図です。

日本の場合国内の貯蓄過剰がありますから、やや事情は違いますが、金利上昇を強引に抑え込む日銀の異次元緩和を続けざるを得ませんから、結局それが成長の足を引っ張り低成長に甘んじることになります。加えて日本の大企業がこぞって銀行の融資枠を設定してもらったり、社債発行が相次いでいるように、低金利故に可能な資金繰りが金利上昇で一転阿鼻叫喚地獄になる訳で、過剰債務は銀行にとっては不良債権になる訳ですから、バブル崩壊後の金融危機に逆戻りです。意地悪い見方をすればバブル崩壊当時はまだ日本の成長力は健在だったからバブル崩壊につながったとも言えます。アベノミクスの一本目二本目の矢も低成長だったから可能だったとも言えます。

管氏の発言からは成長戦略へのコミットを強める姿勢が見えますが、そのために官僚への締め付けは強まるでしょうし、秋元議員に留まらず河合夫妻の疑惑解明も進まないと見るべきでしょう。検察や司法がどこまで迫れるかは未知数ですが、河合夫妻の事件では収賄側の地方議員等100名ほどが全員不起訴となっています。ゴーン事件同様司法取引を悪用した可能性があり、がさ入れまでした自民党本部も訴追されず、河合夫妻だけを断罪する構図は違和感を拭えません。

てことでDXを中心に生産性向上を図るってのが中心になりそうですが、早速冷水を浴びせる事件が発覚しました。

ドコモ口座、全35行で新規登録停止 異業種連携に穴:日本経済新聞
これセブンペイの不正と同じ構図で、消費増税を機にキャッシュレス決済を普及させようと政府が旗振りした結果、セキュリティがガバガバなシステムが出来上がった訳です。しかも既に同じ手口でりそな銀行の不正引き出しが発覚していたにも関わらずNTTドコモはシステムを見直さず、本人確認が緩いまま被害を拡大しました。

今回の不正は更に複数の銀行で過去に口座情報が漏洩していた点も問題です。口座名と名義人がわかれば4桁のキャッシュカード暗証番号を解明することで本人に成りすますことができます。実際今回被害に遭った人はドコモユーザーは少なかった訳で、逆にだから発覚が遅れたとも言えます。こんなんでフィンテックのオープンAPIなんて無茶な話です。貧テック鈍テックな低成長国家に甘んじる現実が見えてしまいました。

それと気になるのが高給取りと言われる銀行マンもご多分に漏れず非正規化が進んでいて、非正規行員には待遇への不満も蓄積していると見られます。加えて見なし正社員ルールを盾に雇用期間も細切れとなれば、不満を理由に銀行の口座情報を外部へ漏らす退職者が現れても不思議ではありません。ただでさえ低金利にあえいでいる銀行で、行員のモラルが低下すればどうなるかということですね。これアルバイトのバカッター騒ぎや東京女子医大病院のボーナス不支給を巡る看護師の大量退職騒動などと同様、人件費を削るとろくなことが起きないってことでもあります。

その観点から言えば、JR北海道やJR四国の置かれている状況も似ています。特に厳寒で路盤を支える土壌も弱いJR北海道の場合、幹線でも線路等級が低く軌道負担力が弱いため、例えば大型蒸機C62の北海道転属の時にボイラー交換して軸重を下げたなんてことまでしてます。有名なスワローエンジェル©622号機もオリジナルではない訳です。

そんな調子ですから、北海道の鉄道マンの苦労は大変なもので、それでも長年の熟練で何とか対応してきたものの、国鉄分割民営化以前にローカル線の廃止も進みJR北海道へ継承された路線は規模を縮小し、熟練社員の多くは余剰人員として国鉄を去った一方、残った社員も高齢化で退職し、一方補充の若手は少なく、技術の継承が困難になりました。その結果保守が行き届かず度重なるトラブルにつながった訳です。

更に言えば国鉄からの資産継承時に資産価格を低く査定した結果、減価償却費の減少で利益は出やすくなりますが、設備更新は進まず脆弱な線路を振り子式高速ディーゼル車が走って線路を痛め、更にJR貨物のDF200型投入も線路を痛める原因になっている訳で、早晩行き詰ることは避けられなかった訳です。なるほどJR北海道自身が北海道新幹線に熱心だったのは、並行在来線切り離しで負担が減ることへの期待もあったのでしょう。

新幹線札幌延伸まで10年 並行在来線に3つのポイント:日本経済新聞
JR北海道にとっては整備新幹線のスキームで国と地方の資金を得ながら設備更新して重荷となる並行在来線を切り離せますから、効率追求の建前からも北海道新幹線は必須だったのでしょう。しかし切り離される並行在来線の厳しい現実も明らかになりました。函館―長万部間は道南いさり火鉄道を受け皿に議論が進んでますが、これはJR貨物の免許区間でJR貨物調整金が当てにできることが前提にあります。

この調整金は東北新幹線盛岡以北でJR貨物の指摘で問題になったJR貨物の格安な線路使用料の維持と並行在来線引き受け三セクの費用負担のギャップを鉄道・運輸機構\が差額補助するもので、原資は整備新幹線の貸付料に上乗せしてJR旅客会社が負担するものですが、逆に言えばそれぐらいしか並行在来線三セクを支える原資は無いってことです。一方の長万部―小樽間は貨物調整金が無く沿線人口も少ないことから、鉄道としての維持は困難と見られます。加えて言えば青函トンネル区間の速度制限解除のために貨物の船便シフトの計画が国交省で練られてますが、実現すれば函館―長万部間の鉄道維持も困難になる訳で、実現は困難です。

しかし心配なのが新政権で効率優先を旗印に政府が干渉する可能性があり、地元の調整を頭越しに無視する可能性も指摘できます。そういった強権主義の片鱗は例えば地方銀行の数が多すぎると合併促進に言及したりする姿勢にも見えます。加えて鉄道維持にビタ1銭出し惜しみをする北海道庁の姿勢もあり、愛なき決着の可能性を高めています。油断できませんね。

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Saturday, July 25, 2020

五方面作戦の闇

やや大げさですが水に流せない過去で触れたJRの国鉄体質の復活の懸念を感じております。場合によっては国鉄改革の成果を台無しにしかねない問題です。

国鉄の前身は鉄道省という行政機関だった訳で、現業としての鉄道事業と鉄道を含む民間交通事業者に対する監督官庁という後の運輸省の役割を併せ持つ存在でした。理屈としては鉄道事業の国家独占の考え方で、国が鉄道を建設し運営する分には権限の行使だけど、民間事業者が参入する場合は国に申請して免許の交付を受けることが義務付けられるとともに、国の判断で買収を要請された場合には拒否できないという法体系でした。

故にその権限は強大でしたし、またそれ故に政治の介入を受けやすい存在でした。戦前期の立憲政友会と民政党の疑似二大政党制時代に両党が競い合うように選挙区の地方路線の建設を押し付け、広軌論や電化推進などの幹線の改良を潰してきました。根拠法として鉄道施設法が制定され、基本計画線、整備計画線、工事線を示す別表が添付され、その内容は毎年のように更新されておりました。

その後国家総動員法の施行で戦時体制に突入すると、中央省庁も大規模な改変がされて鉄道省も商工省を経て運輸逓信省となり、郵便事業も管轄する大組織となりましたが、戦後GHQの命令で郵政の分離と共に、鉄道と付帯する自動車や船舶事業などの現業部門を公社として分離し、独立採算制で経営自主権を持たせることになり、公社としての日本国有鉄道が発足します。しかし鉄道の国家独占原則はそのままで、国鉄は国に免許申請することなく事業展開できる存在になった訳です。

そのことは東海道新幹線の実現には貢献したものの、鉄道施設法は存続していて、相変わらず政治家の圧力で地方路線の建設を強要されましたが、独立採算制が盾になっていたというと意外感がありそうですね。故に1964年に鉄道建設公団を発足させ、主に地方線区の建設し、完成後国鉄に無償貸与若しくは無償譲渡するという形で切り離されました。またそれ故に鉄道施設法の別表の更新も続いた訳です。あとお気づきかと思いますが、全国新幹線鉄道整備法に基づく新幹線建設も、基本計画線、整備計画線、工事線を示す別表が添付されており、戦前からの古いスタイルを踏襲しています。

この辺は東京都交通局などの地方公営交通や帝都高速度交通営団のような特殊法人と国鉄の違いとして重要です。都交にしろ営団にしろ法的には民間に準じた事業者として国に申請して免許の交付を受けなければ事業ができない存在です。それ故空飛ぶ都営交通で取り上げた都市交通審議会1号答申で都の都市計画高速鉄道5路線の内1-4号線までは事業者名まで明示していましたが、5号線は未定としていました。混雑が激しい中央快速線の混雑緩和を狙ったバイパス線という性格から、国鉄による事業化の可能性があったから触れなかった訳です。

実際は首都圏五方面作戦の走りとなる中央線複々線化事業との関連で営団が地下鉄として整備し、国鉄の線増線と相互直通とされました。それと共に都の都市計画高速鉄道も改訂され10路線が新たに制定され、5号分岐線は6号線として分離され1号線西馬込系統と統合され西馬込―志村(仮)間となりました。同時に7号線(目黒―岩渕町、ルート変更の上営団南北線として実現)、8号線(喜多見―日暮里、一旦キャンセル後区間、ルート見直し後9号線として復活、営団千代田線として実現)、9号線(芦花公園―麻布、キャンセル)、10号線(中村橋―両国、8,9号線キャンセルで8号線に繰り上がるもキャンセル)が答申されました。

当時まだ首都圏五方面作戦とは言われておりませんでしたが、東京一極州通で混雑が激しくなる一方で、国鉄としても線増を進めて輸送力増強を図ることが避けられない状況でした。その時に国家機関としての権限を保持していた国鉄は、都を格下と見て都市計画は無視する一方、出資者として営団とは良好な関係を持っていました。

都市計画で追加された路線は結局キャンセルが多く、実現した路線もルートや区間が変更されていますが、これには国鉄が微妙に絡んでおります。8号線は喜多見で小田急線との相互直通し小田急は喜多見分岐の多摩ニュータウン新線を計画していました。一方日暮里では国鉄常磐線の複々線化を睨んで相互直通を意図しておりました。

8号線に反応して営団は喜多見駅北方の野川河川敷に広大な土地を先買いして車両基地用地を確保しましたが、小田急が都区内区間で並行する8号線計画に難色を示します。一方1964年から赤字転落した国鉄ですが、幹線区間の電化や複線化に加えて首都圏五方面作戦で大規模投資目白押し状態でした。特に総武線の複々線化で快速線を東海道と分離後の横須賀線とつないで直通する構想を進めた結果、常磐線に予算が回らなくなり、特に下町の密集地帯で用地賠償が難しい上、墨田川と荒川に橋をかけなければならないことから、事業費圧縮のために接続点をできるだけ都心から離れたところにしたいということから消極姿勢でした。

恐らくそれらを忖度して小田急に対しては代々木上原接続で喜多見までの小田急線複々線化工事を都市計画に取り込み。喜多見の土地は経堂電車区の移転先として小田急に譲渡し、代わりに綾瀬に車両基地を建設するということで荒川の鉄橋を営団が作り,国鉄は綾瀬以遠に複々線化区間を圧縮するという調整を経て9号線として都市計画路線に組み込んだ結果、千代田線として実現したと見ることができます。国鉄も営団の言い分は聞く訳です。

一方米軍グランドハイツ返還後の跡地開発で西武豊島線の延伸を想定した都は10号線→8号線で西武との相互直通を想定し、他方両国では総武線複々線化による線増線との相互直通を想定していましたが、都の働きかけに対して西武は動かず、加えて国鉄は都の都市計画を無視するように総武快速線の事業に着手します。8号線→9号線と違って放置プレーでキャンセルに追い込まれた訳です。

そして総武快速線の事業は都心の地下トンネル工事という国鉄にとっても未知の事業であり、地上構造物の基礎の仮受や地下埋葬物との競合回避などで事業費は膨らみ遅れもあり、総武線の混雑は酷くなる一方だったことから、東西線の東陽町―西船橋間の延伸を営団に要請し、営団もそれに応じます。関連して東武野田線方面への延伸も示唆され、新船橋接続が検討されましたが、実現しませんでした。営団としても総武快速線完成までのつなぎと分かっていたので、その後を意識していた訳です。

千代田線の相互直通で営団6000系と国鉄103系1000番台都の電力消費量の差額を会計検査院に指摘され、国鉄と営団で差額精算が行われるようになったことも、国鉄と営団の特殊な関係を語るときに忘れることはできません。これは小田急9000系にも適用されトバッチリを受けた訳ですが、それ故に国鉄は203系を開発し投入したものの、予算制約から剛性不足の柔なアルミ車体が災いして轟音を振りまくノイジーな電車になりました。また小田急がVVVF制御車1000系の開発を急ぎ、用途を失った9000系は早期に引退しました。

常磐線に関しては複々線化で新駅が2つ誕生しています。北柏と天王台ですが、それぞれに経緯があります。北柏は緩行線にしかホームがありませんが、快速線にも折り返し線があって取手発着の中電の折り返しに使われてますが、元々は貨物駅でした。松戸―我孫子間の複々線化では各駅の貨物扱いを集約して用地を確保しましたが、そのために貨物駅として北柏が作られ、後に緩行線に旅客ホームを追加して旅客扱いを始めた一方、車扱い貨物の廃止で北柏の貨物扱いが無くなった結果が現状です。旅客駅化は地元対策だった模様です。

天王台は松戸電車区の支所として快速線用の電留線が作られましたが、用地取得のために駅設置を約束したと言われております。この辺北柏と共に地元の不利益を打ち消す思惑が見られます。同様に線増工事関連で貨物線と貨物駅が作られることになった横浜羽沢では住民の強硬な反対に遭って大幅に遅れ、横須賀線の分離が遅れたことが知られております。相鉄の都心プロジェクトで羽沢横浜国大駅が旅客駅として開業しましたが、当時は旅客液化など想定もされてなかった訳で、歴史の綾を感じますね。同時にリニア静岡工区を巡るJR東海と静岡県の対立を見るにつけ、国鉄時代のこうした独善性とバーター主義が垣間見えます。

てことで、現時点では杞憂かもしれませんが、国鉄を出自とするJR上場4社の株式持ち合いは国鉄体質の復活おw警戒する必要があります。特にコロナ禍で売り上げを落とし、株価も下がった各社が株式持ち合いでもたれあいする可能性は高いと思います。一方鉄道業界では西武と京急、小田急と相鉄、京成と小湊などで伝統的に株式持ち合いが続いていますが、民間事業者同士として問題を引き起こす可能性は低い訳です。JRの持ち合いとは意味が違います。

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Sunday, April 26, 2020

不要不急の黄金律

Zoomを200mと空目して、ソーシャル・ディスタンシングってそこまで離れないといけないの?と勘違いした人もしなかった人も、お元気でしょうかwwww。私はと言えば、元々引きこもりのボッチですから、あまり変化ありませんが、流石に接触機会が増える乗り鉄は自粛してます。

しかし不要不急が叫ばれるけど、何を以て不要なのか不急なのかは曖昧です。例えばパチンコ規制ですが、開店前の行列に始まり、店内の密集度も高いし、換気が十分かどうかも不明で、しかもプレイ時間もそれなりに長い訳ですから、入場制限や間隔を空けるなどは必要かもしれませんが、補償無しの自粛要請には無理があります。そして自粛に応じなければ店名公表するとして大阪市などでは公表されましたが、これ逆に人を集める効果があるので、あまり意味がありませんし寧ろ逆効果です。欧米のように休業補償を条件に強制力を持たせるべきところです。

現行憲法でも強制力を持たせること自体は可能ですが、補償したくないから曖昧にしている訳です。旧憲法下で国家総動員法などと共に成立した陸上交通事業調整法で、東京の私鉄統合が行われたのは空飛ぶ都営交通でも取り上げましたが、東武野田線の柏以南は京成エリアですし、東上線は西武エリアですが、路線移管は行われず、中央線以南の西南部が東急に統合されたに留まりますが、西武に統合された多磨鉄道はそのままだし、実際は資本の論理による乗っ取り(京浜)や電力国家管理による独立維持の放棄(小田急、京王)の結果ですし、南武、鶴見臨港は国有化だし相鉄は相模線の国有化で東急への経営委託はしたものの旧神中線のみで独立存続してます。

地方でも1県1事業者を模索されましたが、ほぼ実現した富山と福岡は、事業者同士の自主的な統合の結果ですし、富山では県営鉄道や富山市電まで富山地方鉄道へ統合する徹底ぶりでしたが、一方で県内の交通統合の音頭を取った熊本では、熊本電気鉄道と熊延(ゆうえん)鉄道(後の熊本バス)が応じず中途半端になりました。近畿圏でも関西急行鉄道と南海鉄道が統合して近畿日本鉄道が成立した一方、南海傍系の高野山電気鉄道は独立を維持して戦後の南海電気鉄道の分離独立の受け皿となりましたし、力業の統合の阪神急行電鉄と京阪電気鉄道は、やはり旧京阪が分離独立してますが、新京阪線は阪急に残り京都線になるなど混乱しました。コロナ対応がうまくいかないのは憲法は関係ありません。

そして国家総動員体制下で鉄道事業者に求められたのが不要不急線の休廃止と資材の供出でしたが、こちらは国鉄白棚線(白河―磐城棚倉)をはじめ全国の多くの鉄軌道で行われ、軍需品増産や兵員輸送に必要な路線建設に回されたり、金属類は兵器生産に回されたケースもあるようです。という訳で鉄ちゃん的にはこれを連想してしまいますが、基本的に未補償でした。国鉄白棚線は路盤を専用道にして国鉄バス路線として存続しただけマシではありました。戦時BRTですね。

てことでコロナ問題での政府の対応は大いに不満のあるところです。炎上したアベノマスクにしろアベノコラボにしろ、官邸の1人の経産省出身秘書官の発案だそうで、いずれも内閣支持率の低下に焦って提案したものだそうですが、検査を増やすとか衛生用品の増産などの実質的な対策ではなく人気取りに走るところが国民から見透かされている訳です。また1世帯30万円給付も無条件に1人10万円に変更されましたが、これ公明党がが意地を見せた訳じゃなくて支持母体の創価学会からの突き上げで仕方なくって話で、単なる自己保身です。こんな連中が言う不要不急には違和感しかありません。今一番の不要不急は五輪だろ。その一方で感染爆発した欧米は次のフェーズへ進みます。

米欧のコロナ感染、公表値の10倍も 抗体検査で判明  人口6割で「集団免疫」 まだ遠く 精度向上に課題
PCR検査に精度の問題があることは確かですが、とにかく感染の実態を把握するには検査を増やすしかない一方、出口となる集団免疫の獲得進行度を見る意味もあり、遺伝子検査であるPCR検査に留まらず血液を採って抗体の有無を調べる抗体検査へと進み、疫学データを拡充しています。結果はPCR検査の陽性反応で確認された感染者数を大幅に上回る感染率であることが分かった一方、集団免疫獲得と言える60%には全く届かないということで、終息にはまだまだ時間がかかることが明らかになりました。また1度回復して再発症するケースも報告されており、その場合重症化するケースが多いということもあり、免疫の暴走が疑われています。つまり集団免疫獲得が本当に出口になるかどうかもわからないってことですね。

加えて国内感染が終息しつつある中国では帰国者を原因とする感染拡大が見られるなど、今後第2波第3波の感染拡大も警戒する必要があります。しかもそのタイミングが国毎にズレてますから、一旦落ち着いても油断できない状況は続く訳です。1年後に五輪開催できると考えるのはあまりに楽観的です。

最後にちょっと臭い話。鉄道を巡る戦時体制で特筆すべきは戦時下の食糧増産計画でして、人口密集地の東京では住民の糞便が大量に出ることに注目した当局が、郊外の営農地帯への堆肥供給のために鉄道各社に汚わい輸送を要請したものの、乗客の評判を気にして各社尻込みする中で、唯一要請に応じたのが西武鉄道ですが、戦時体制でただでさえ要員が徴用されて人手不足の中、御大堤康次郎の陣頭指揮で大混乱に陥ったという逸話があります。所謂西武鉄道黄金列車伝説です^_^;。

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Saturday, February 08, 2020

風邪は寝て治せ

新型コロナウイルスで世界が大騒ぎしてます。2003年のSARSのときのことが思い出されますが、当時世界のGDPの4%に過ぎなかった中国も今や16%のシェアとなり、しかも経済のグローバル化でグローバルバリューチェーンによる国際分業の深化もあり、将に中国が風邪ひくと世界が震える状況と言えます。例えばイラン情勢の悪化で跳ね上がった原油価格は中国経済の低迷を織り込んで下落し、1バレル50ドルを付けるなどしてます。シェール革命でアメリカが石油の純輸出国となった結果、世界最大の石油輸入国となった訳ですから、無理もない話です。

今回の新型肺炎の特徴は、感染力が強い一方、致死率は1%に満たないと見られていて、健康な若者では未症状や軽症で回復するなどしており、そもそも診断が難しく発見が困難なんです。但し持病持ちの高齢者などで重症化が見られ死者も出ている訳ですから、警戒は必要です。その意味で日本の対応は疑問だらけですが。

新型肺炎告発、中国の医師死去 処分から一転英雄扱い:日本経済新聞
いち早く警鐘を鳴らした中国人医師は「デマを拡散した」として武漢市の公安当局から処分を受けましたが、それでも混乱の中医療査読誌に論文を発表し世界に知らせた結果、北京政府やWTOを動かした訳です。結果的に2003年のSARSのときより的確な情報開示がされました。

驚いたのは中国ではSNSのウィーチャットで遠隔診療が可能になっていて、多くの肺炎患者は遠隔診療で対応されていることです。日本じゃ医師会の反対で実現できていませんが、日本に比べて広い国土と巨大な人口を抱え医療セクターが相対的に弱い中国では、それをハイテクで補うことが普通に行われていて、軽症者は自宅待機を命じられ、病院には来させないようにしているそうです。風邪は寝て治せって訳ですね。勿論重症者は命にかかわりますから対応されますが、日本のように医療へのフリーアクセスが当たり前だと、寧ろ元気な感染者が病院に集まって院内感染を助長する恐れがあります。

この辺の対応を単に強権的な監視社会といったステレオタイプな見方をしてしまうとおぞましく感じますが、極めて合理的な対応がされてます。それでも封じ込めに失敗している訳で、今回の新型肺炎の影響力は相当大きいと見るべきです。その意味で日本政府の対応は完全に後手に回ってます。それを象徴するこんなニュース。

船旅ならではの環境が要因か クルーズ船集団感染:日本経済新聞
横浜港のダイヤモンドプリンセス号ですが、クルーズ船という閉鎖空間で多くの乗客乗員が足止めされてますが、これ院内感染ならぬ船内感染を助長しているんじゃないかと思います。それが証拠に感染者が増え続けている訳で、乗船中の乗客乗員はさぞかし不安なことでしょう。

重症化しやすい高齢者も多数乗船していて、持病のクスリが切れそうだという声に応えて医薬品も搬入されてますが、量が足りないだけでなく、外国人から日本で未承認のクスリのリクエストもあり対応に困っているといいます。こういう人は指定病院の隔離病棟へ移した上で、未発症の人は暫くの自宅待機を条件に下船させ、船を消毒することで、逆に今後の発症者の隔離先にも使える訳ですね。ホテル三日月の洋上版です。しかしクルーズ船の受け入れ拒否が広がり,彷徨えるクルーズ船が行き場を失っております。これで船内感染を拡大させたら、だれが責任を取るのでしょうか?

あと感染が疑われる外国人の入国拒否とか、水際作戦は無意味です。上述のように無症状や軽症で回復する人が多く、そもそも発見が困難である以上、ある程度の感染拡大は防ぎようがありません。しかし軽症者が多いってことは、通常の風邪やインフルエンザ程度の対応で、短期間の自宅待機などで感染拡大自体はある程度防げる訳で、死に至る可能性のある重症者へのケアを重点的に行うべきでしょう。軽症の感染者が病院に殺到して院内感染が拡大するようじゃ寧ろ事態は悪化します。

SARSのときは有効な治療法も確定しないまま8か月ほどで終息しましたが、今回の感染拡大の様子を見ると、それ以上の影響を覚悟する必要あります。場合によってはオリンピック、パラリンピックも中止を余儀なくされることも考えられます。逆に適切な対応で早めに終息する可能性もあります。中国のハイテク医療の実態はSARS当時と大違いです。

発生が確認されたのが武漢市というのも感染拡大を後押ししています。武漢市は長江中流域唯一のメガシティで人口1,000万人を超える大都市で、位置的には大陸中国のへそと呼べるところで、長江の水運があり、また北京―広州間と上海ー重慶間を結ぶ高速鉄道の交点に位置する交通の要衝です。つまり主要都市との移動が便利な場所ってことで客貨の往来が多く、自動車や電子部品など製造業の集積地となっています。喩えればアメリカのシカゴや日本の名古屋のような位置づけですが、人口は巨大です。肺炎封じ込めに失敗したと批判される武漢市当局ですが、1千万都市を封鎖するような決断はそりゃ国家主席クラスじゃなきゃ無理ってもんです。

そして製造業の操業停止が相次いでおり、再開のめどは立っておりません。長引けば中国経済の低迷を通じて世界経済の足を引っ張ります。既に中国人民銀行は利下げを決めており、軟着陸を模索しますが、気になるのは武漢市で死者が多いこと。これ致死率が同じとすれば、結局分母の感染者総数が把握しきれないほど多いことを示唆します。短期間の終息は期待薄でしょう。

中国の高速鉄道はある意味日本の新幹線のコンセプトに忠実で、高速鉄道を整備して旅客列車を移し、空いた在来線の貨物輸送を強化するというもので、かつて田中角栄氏が日本列島改造論で示した構想が実現している訳です。長江の水運と共に活発な貨物輸送を鉄道が支えている訳ですが、武漢市の製造業集積が止まれば貨物輸送も減る訳で、中国の実体経済の指標として李国境首相が唱えた所謂李国境指数でも貨物輸送量が取り上げられたほど、鉄道貨物の位置づけは大きなものです。翻って日本の整備新幹線は鉄道貨物にストレスばかり与えてますが^_^:。

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Saturday, November 30, 2019

ガラパゴス・スモールブラザーズ

ただでさえ忙しい月末の新線開業ですが、結構な人が出てました。そして羽沢横浜国大駅に難民多数wwwww。人が住んでる羽沢団地からも横浜国大からも遠く、JR羽沢貨物駅と横浜環状2号線に挟まれていて、民家も疎らな新駅に大勢の人がいたのには笑いました。直近コンビニ1km、既存路線の最寄り駅は相鉄上星川と市営地下鉄三ツ沢上町ですが、どちらもろくな道がない。そして毎時2本の列車本数ですから、試しに降りたはいいけれど、やることなくてホームで電車待ちを余儀なくされた人多数ってことですね。

新たな都心ルートを得て沿線活性化につなげたい相鉄はこれからが正念場ですが、JR東日本との相互直通は貨物幹線の東海道貨物線の線路容量の制約から本数増は見込めず、22年に予定される新横浜経由の東急東横線・目黒線との直通が始まれば列車本数は増えますが、都心側が3ルートに分かれますから、個々のルートの本数の少なさは大きな制約条件になりそうです。面白いのは親会社の相鉄HDの筆頭株主の小田急電鉄とは競合することですね。日本の鉄道会社って必ずしも資本の論理で動いていません。

そんな日本でこんな経営統合が発表されました。

ヤフーとLINE統合 「米中に次ぐ第三極に」:日本経済新聞
いや第三極は無理。時価総額100億円超のGAFAやBATを向こうに回してせいぜい時価総額3兆円の企業連合で何ができるのか?まともな勝負にはなりません。唯一可能性があるのは国内のガリバーになることです。何しろ最強の非関税障壁(笑)、日本語がありますから^_^;。つまり楽天やメルカリからは頭1つ抜け出せるとしてもそこまでです。これビッグブラザーならぬスモールブラザーにはなれるかもしれないってことです。但し英語が公用語にならないことが前提ですが。

この辺古代の曽我氏と物部氏の争いに始まり、天皇の地位を争った壬申の乱や平安末期の源平合戦、鎌倉幕府に対する朝廷の巻き返しを図った承久の乱、室町初期の南北朝、天下分け目の関ヶ原の戦いなど、世界とは無関係に国内で争った歴史を繰り返しているようで興味深いところです。いにしえの東夷の小帝国と現代の極東の先進国。世界の端っこだからという地政学的な特徴なんでしょう。

ただしそんな日本も世界の影響は受けてるし、逆に世界に影響を与えてもいるのですが、その点に無自覚なのも昔から変わらないようです。そんなニュースを幾つか。

外資規制強化、株1%以上に届け出義務 外為法改正へ:日本経済新聞

欧米ではやっていると説明されてますが、外資の出資事前規制はほぼ例がありません。加えて出資比率1%は有価証券報告書提出義務のラインなので、欧米の投資ファンドが締め出されるか?と反応してます。株式市場の7割は外国勢という東京市場ですから、当然の反応ですね。外資が引き揚げたら株価下がるぞ。
キャッシュレス、少額・コンビニ中心 政策目的とずれ  ポイント還元制度1万人調査 :日本経済新聞
消費税増税に絡めてポイント還元を政府が支援することでキャッシュレス決済を中小零細事業者に普及させようとしたところ、実際の利用はコンビニ中心という結果です。これ予想してたんですが、日本でキャッシュレス決済が普及しない最大の理由は店が負担する手数料の高さなんですが、これアメリカなどではクレジット会社が直接展開している決済ネットワークを日本ではほぼNTTデータが独占的に供給していて、高い手数料を利用企業に課していることが根底にあります。

上記のヤフーとラインの経営統合でQRコード決済サービスの統合も噂されますが、結局根元の部分の利権に切り込まなきゃ解決しません。アリババのアリペイの場合、元々中国国内の中小零細企業向けのECサービスを展開していたアリババが、参加企業の利便性向上のために開発したものが、使い勝手の良さで爆発的に普及したもので、政府の関与がほとんどないからできたこと。逆に国策会社の利権が温存されてる日本ではそうならない訳です。この場合NTTデータもスモールブラザーと言えるかもしれません。そしてこれ。

再生エネ、送電網使えず 東日本で5割「空きなし」:日本経済新聞
関電問題のエントリーで指摘しましたが、原発のような大規模電源を保有する電力会社に送電網を管理させれば、大規模電源はダウンした時のバックアップ電源を必要としますから、それを大出力火力で充てている体制では、結局双方の電力の合計が先発枠として抑えられてますから、利用率50%といった非効率な事が起きる訳です。分散電源ならば一部が停止しても全体でバックアップ可能なんで、送電線の容量に無駄が無くなる訳ですね。世界の趨勢は完全にこれです。いやーガラパゴスなスモールブラザー達です-_-;。おまけ。
手数料ゼロが招く歪み 証券会社と高速取引業者の蜜月:日本経済新聞
個人投資家の注文情報が株式の高速取引業者(HFT)に漏れてたって問題です。何が問題かと言えば、個人の指値注文を見て先回りができるから、個人投資家にとっては利益を横取りされることになる訳です。ネット証券の普及で手数料の値引き合戦で証券会社は収入が取れないから、HFTに情報を売っていたってことです。個人投資家がおかしいと声をあげて発覚しました。何ともセコいディストピア。スモールブラザーズの末席に置いときます。

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