鉄道貨物

Saturday, March 22, 2025

答え合わせあれこれ part2

答え合わせあれこれの続編です。

関税がアメリカの農家直撃、綿花4年ぶり安値 トランプ氏「我慢を」 - 日本経済新聞
カナダ次期首相カーニー氏 トランプ氏に挑む「危機の男」 - 日本経済新聞
トランプ関税を巡る対決姿勢を中国とカナダが見せていることですが、トランプ大統領が単純に対米黒字の多い国を標的にした結果、敵対国のみならず同盟国も敵に回しました。そしてともに対決姿勢です。元々制裁関税が課されている中国の場合は追加関税なのでより負担が大きいし、問答無用で適用されるのに対して、同盟国のカナダには猶予期間を与えて交渉余地を残してはいますが、相応の見返りを求めてきます。それに対するカナダ政府の対応は英イングランド銀行総裁を務めた実務家のカーニー氏を首相に指名して報復関税も辞さずの姿勢を見せています。

EUと日本はそこまでの姿勢は見せていませんが、EUの場合はウクライナ問題が絡みますし、中国の輸出攻勢で域内産業が窮地にある点はアメリカと同じということもあり曖昧な対応ですが、バイデン時代の非課税枠を持ち出して例外扱いを狙う日本の姿勢は大甘です。とはいえ中国の米農最物報復関税では米農家が損失を受けると反発し、自動車や鉄鋼アルミの一律関税はテスラを含む米自動車メーカーも損失を被りますが、トランプ大統領は意に介さずです。

堅調米景気、関税で暗雲 トランプ氏「過渡期」発言波紋 - 日本経済新聞
トランプ関税で不利益を被るのは過度期の一時的な現象で我慢しろということですが、これで株価が下がったことも確かです。しかも従来米株価と連動していた欧州や日本の株価が逆に上がったりしています。明らかに黒字国から還流していたドル資金の動きが変化しています。またDeepSeekショックの後、低コストの蒸留方式の生成AIも先端半導体との組み合わせでパフォーマンスを高められるなら米国優位は揺るがないというロジックで買い戻されたエヌビディアなどの米テック株もここへきて変調、更にDOGEトップでやりたい放題のマスク氏への反発からテスラ車のボイコットによる販売不振や販売店への放火事件でテスラ株ダダ下がり。その結果がこのニュース。
テスラのマスク氏、放火や不買運動は「理不尽で異常」 - 日本経済新聞
放火などのテロ行為は問題ですが、それだけ恨みを買っていた結果です。しかし発言の趣旨は株を持っている従業員や投資家に向けた「株を売るな」という謂わば口先介入。part1 の「トランププット」が図らずも実現した形です。同時に米経済を痛めて何がやりたいのかという疑問も湧きます。まるでアリババの金融部門のアントの上場停止を命じ、ゼロコロナ政策で国内経済を困窮させた中国習近平政権と同じです。違いがあるとすれば中国は国有企業優先で民間企業を圧迫する一方、今のアメリカは民間の巨大企業が政府を乗っ取った形ですが、その結果民間経済を強権で圧迫しているのは同じです。世界を荒野に変えてそれでも俺らがチャンピオンと威張るつもりでしょうか。
北海道新幹線延伸遅れ JR北海道へ膨らむ政府支援、自立遠く - 日本経済新聞
最後に国内鉄ネタですが、JR北海道が掲げていた2031年度の単年度黒字転換の再建計画が北海道新幹線の工事遅れで狂いが生じています。在来線の存続困難路線と新幹線の並行在来線切り離しで身軽になって出直す筈が、並行在来線の切り離しが遅れる訳で、それを前提とした車両置き換え計画が見直しを余儀なくされますから、事実上仕切り直しを迫られますし、それを前提とした国の支援策も狂います。金利上昇で政府財政も厳しくなる一方、経営安定基金の運用益は増えることが期待できますが、それでどうにかなる問題でもありません。課題の並行在来線貨物問題も解決先送りは可能になりますが、人口減少が続く中で現状維持すら困難な中での再建計画見直しです。、民間任せでは解決困難な問題をどうするか。トランプ騒動を対岸の火事と見ずに他山の石として政府の役割を見直す機会です。

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Saturday, January 25, 2025

石橋を叩いて渡る石破氏と植田氏

波乱の8月で触れたように、株価下落を「植田ショック」とまで言われた結果、年内と見られていた追加利上げを年を越してから決定いたしました。

[社説]日銀はより精緻な利上げの戦略と対話を - 日本経済新聞
日経の社説とは裏腹に、利上げを遅らせて米政権移行に伴う市場の反応を見極め、しかも副総裁と総裁が揃って事前に利上げを示唆する発言をして市場に織り込ませた対応は慎重そのものです。決定会合後の記者会見で中立金利までの長い道のりに言及して、追加利上げは今後も続くことを市場に問いかけています。利上げ観測の為替の円高もわずかで、寧ろ未だインフレ補正の実質金利はマイナス圏ですから当然といえば当然なんですが、円安修正はまだ先ということです。
石破茂首相「令和の列島改造」実現へ5本柱 施政方針演説 - 日本経済新聞
こちらもいろいろ言われてますが、とりあえずは安全運転の姿勢です。いやツッコミどころは満載で早速楽しい日本とか曖昧という批判もあります。そして令和の列島改造と称して五本柱を示しています。①若者や女性にも選ばれる地方②産官学の地方移転と創生③地方イノベーション創生構想④新時代のインフラ整備⑤都道府県を越えた広域連携の枠組みの推進の5つです。

田中角栄内閣で打ち出した日本列島改造論は新幹線や高速道路の整備を通じて国土の均衡ある発展を狙うというものでしたが、是非はともかく具体的だったのに対して、確かに抽象的で曖昧ですが、反主流派だったから具体化するスタッフがいなかっただろうし、また具体策を示せば身内の与党から背中に矢が飛んでくるということもあるでしょう。つまり石破首相としては最大限の安全策ということです。

田中角栄版列島改造当時は鉄道貨物のシェアは今より高く、地方の港湾や工業団地も鉄道アクセスが当然視されていた時代ですから、新幹線に都市間旅客輸送が移行した後の在来線は貨物インフラとして活用することが含意されていました。当時貨物は大赤字でしたが、そもそも田中角栄氏は国鉄の赤字は国民福祉の観点から意に介していなかったし、組合のスト権付与にも理解があったようです。翻ってJR化後の地方ローカル線の窮状を見ると、こうした考え方も一理あるとも言えます。短期間に高速鉄道網を整備したものの大赤字にあえぐ中国は実は列島改造を実践しているかも。鉄ちゃん宰相の石破氏にそこまで踏み込むことの困難な現実はあります。

外交でもトランプ政権発足前の会談を敢えて行わず様子見する一方、対米カードとしての対中融和などの仕込みもしてますし、安倍政権以降の歴代政権よりバランス感覚がありそうです。但し全体的には曖昧にせざるを得ない現状もあり、具体化の過程で野党に攻められるのみならず、身内のからの矢もかわさなきゃならない一方、さりとて与党内にポスト石破候補がいない中で、逆に野党に助けられる場面もありそうです。これ石破氏を褒めてるんじゃなくて、いずれ明らかになる具体策へのツッコミはしっかりやろうと思います。

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Saturday, November 23, 2024

オールドメディアの不作為

兵庫県知事選の結果が世間を騒がせてます。地方首長の選挙であり、現地の事情を知る立場にありませんが、ポリティカル・マーケティングに繋がる選挙の裏が可視化された出来事です。

SNSの功罪映した兵庫県知事選挙 斎藤元彦氏が「主戦場」制す - 日本経済新聞
斎藤元彦知事のパワハラ内部告発に始まった一連の報道で県議会の全員一致で辞職勧告による失職を受けての県知事選という流れは全国でニュースになっていた訳で、内部告発者保護法に反して第三者委による事実確認もせずに告発者を特定し個人情報を晒そうとして内部告発者を自死に至らしめたということは知られていただけに、意外なニュースと受け止められましたが、県議会が立ち上げた100条委員会も継続中で第三者委員会設置の話もあったけれど、ローカルニュースや政見放送に触れることにできない他の地方の人にとっては、何が起きていたかわからない状況で、何故か選挙戦終盤で斎藤前知事の支持が盛り返して当選し、立花N国党党首のアシストがあったことなどは選挙後に知ることになりました。

その間斎藤氏や立花氏はSNSの動画投稿でパワハラは捏造という根拠のない情報を垂れ流し、それに多くの有権者が反応した結果らしいということすが、斎藤氏のネット戦略を担当した民間企業トップが自慢げにブログ投降して公職選挙法で禁止されている買収に当たると指摘されて炎上中ということで、都知事選の時よりも裏方が表へ出たという意味でも注目の選挙となりました。

斎藤知事支持者と見られる人たちはウソばかりのオールドメディアに真実を突き付けたネットメディアの勝利と湧いてますが、寧ろ公職選挙法や放送法で謳われる公正中立を狭く解釈して自主規制したオールドメディアの不作為による不戦敗と言えます。少なくとも裏付けのないネットメディアの情報拡散をファクトチェックで検証するとか、刑事事件の可能性があるパワハラ疑惑を事件報道として取り上げるなど、やれることは多数あったし、ネット上ではそうした投稿も見られたけれど、ネット社会とはいえ社会的な影響力はマスメディアが勝る訳で、今後の検証報道をきちんとやってほしいところです。

米大統領選のトランプ現象とパラレルに語られる部分もありますが、元々マスメディアが旗幟鮮明にしているアメリカと、事なかれ主義で踏み込んだ報道ができない日本とではメディア事情はかなり異なります。アメリカでも民主党系メディアほど大接戦と報じてましたから、トランプ支持者の実態に対する見落としはあったと思われますが、メディアの独立性はずっと強いので同一視できません。トランプ支持でも同床異夢の部分はあり、今後それが米国内政局を動かすことになるでしょう。そもそも他所の国の民主主義の危機を心配するよりも足元の日本の選挙のお寒い事情を心配すべきだろ!

てことで心配なニュース2件。

東京・町田の民家で水と気泡、リニア工事中断 JR東海 - 日本経済新聞
大井川の水問題だけじゃないリニアの不都合な真実。岐阜県瑞浪市の地下水枯渇に続いて東京都町田市小野路地区で水と気泡が地上へ出てリニア工事の影響が疑われて工事中断中ということで、掘れば出てくるトラブル多数。また残土処理もめどが立っていないなど、見切り発車で問題抱えてます。
JR北海道、約220踏切でレール再検証 貨物列車脱線受け - 日本経済新聞
今月16日に起きた函館本線森~石倉間の貨物列車打線事故で、レール腹部の腐食による破断が原因らしいということで、緊急点検となりました。超音波探傷で強度を弱める表面のキズは確認できますが、腹部の腐食は盲点ということで、鉄道総研の協力を得て対応するということです。考えられるののは梅雨がないと謂われる北海道でも夏の雨量が増えていることで、踏切部の履工で湿潤状態のまま冬の土壌凍結で水分が保持されて春に溶けてもまた雨といった気候変動の影響があるかもしれません。加えて重量のある貨物列車の運行で傷んだ線路の目視や打音点検や補修が人手不足で追いついていないといった事情も考えられます。ともあれ貨物幹線の維持が困難となれば北海道経済には打撃です。

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Saturday, September 21, 2024

赤字3Kの掟?

JRの掟?の続きのニュース。

東北新幹線、走行中に連結外れる 国交省が原因究明指示 - 日本経済新聞
300km/h超で総胸中の列車分離という重大事故です。連結器には損傷がなく、システムj上5km/h以下でしか作動しない筈の連結器開放テコが動いたとしか考えられない事故です。新幹線でも通常の電連付き密着連結器が使用されていて、開放テコは運転席からの遠隔操作で自動化されてますが、走行中はロックされている訳で誤操作の可能性もほぼ無い訳ですが、1974年9月12日の新幹線品川事故で当時の品川運転所部機器部でATC建屋内に車両洗浄機用のトランスが置かれていて、電磁誘導で信号電流類似の異常電流が流れて信号が乱れたもので、言ってみれば偶然発生したノイズ電流がキャンセルされずにシステムが信号電流と認識した事故が思い出されます。

列車分離後は非常ブレーキで停止してけが人は出なかったのですが、JR東日本によると分離した編成の非常ブレーキの方が強く作動するようになっていて、300m離れて停止したということで、フェイルセーフが働いたとは言えます。災害の備えと憂いの東海道新幹線の保守車両事故のところで説明した自動ブレーキというのは、圧搾空気を封入した加圧管を編成全体に引き通し、列車分離すると圧力が下がってブレーキシリンダ―が動いて停止するという仕組みですが、電気指令式になっても同様の仕組みは組み込まれております。しかし高速走行中であり、誤作動の可能性があることが分かった訳ですから、原因究明が大事なのは言うまでもありません。そして輪軸組立でも新展開です。

京王電鉄系「京王重機整備」、車軸1786本の数値改ざん 京王・都営で使用 - 日本経済新聞
JR貨物で発覚した輪軸組立工程のデータ改ざん問題が私鉄にも飛び火してます。東京メトロで傘下企業の不正が発表され、東京都からも都営地下鉄で発表がありましたが、都営地下鉄の輪軸組立は京王電鉄系列の京王重機整備に委託していて、更に関東を中心に多くの中小私鉄からも委託されていて大ごとになってきています。そして京王重機は特装車の製造や戦車を含む自衛隊車両のメンテナンスなども請け負っており、東京特殊車体名義のオーダーメードバスではとバスなどの事業者に納入されております。

鉄道のメンテナンス部門は言うまでもなくコストセンターで、固定費の重い鉄道事業にとってはコスト削減が重要なのですが、規模の小さい中小私鉄にとっては重荷ですが、大手私鉄でも中規模の京王電鉄でもやはり重荷です。そこで他社のメンテナンスや車両改造、更新修理などを請負って規模を確保した上で委託事業者から受け取る委託料も入るという訳で、京王グループにとっては欠かせない事業ですが、それ故にコスト削減圧力も強かった可能性があります。加えて言えば輪軸組立の圧力データの関するルールも曖昧なところがあって、基準値を超えても超音波探傷などの非破壊検査で不具合は確認できるということでスルーされやすいというか、結果オーライで済ます傾向はあるかもしれません。民間事業では赤字は悪という意識は強いですし。

一方で公共部門でかつて赤字3Kと呼ばれた事業があります。国鉄、健保、国民年金の頭文字Kをとって呼ばれたものですが、国鉄はそれを理由に分割民営化されてJRになり、健保、正確には中小零細企業対象の政府管掌健保ですが、47都道府県の広域連合としての健康保険協会を立ち上げて保険者が政府から協会へシフトして、謂わば体よく地方に押し付け、国民年金は今も制度としては存続してますが、1985年の年金改革で基礎年金が制度化され、財政規模が大きく余裕のある厚生年金からの会計間扶助で悪名高い第3号被保険者制度が作られ、今に至るもそのままです。以後5年ごとの財政検証が行われ、2004年には100年安心プランが打ち出され、現在に至ります。今年も財政検証が行われましたが、詳細は別の機会に取り上げます。

国鉄の赤字は赤字ローカル線のせいだということで、国鉄時代に赤字83線区廃止が打ち出され実行されたものの国鉄の赤字は解消するどころか累積し、次いで特定地方交通線切り離しでバス転換、私鉄、三セク鉄道引き受けなどが進められ、民営化後も続きました。そしてJR北海道と四国の慢性的赤字やJR東海を除くJR旅客会社の線区別営業係数公表などで地方ローカル線の存続問題が出てきていますが、厄介なのは特に上場3社の場合は全行黒字故に公的支援を受けられないことです。地方中小私鉄や地法交通線転換三セクは公的補助を受けやすいし、JR北海道や四国も鉄道・運輸機構への預託による利子補給や基盤整備補助などで事実上の公的補助を受けています。それでも出口の見えない厳しい状況は続きます。

JR北海道の4〜6月、札幌圏が黒字転換 新幹線は赤字縮小 - 日本経済新聞
唯一黒字転換の可能性のある札幌圏の黒字転換と北海道新幹線を含む赤字縮小で全体的には収支が改善したものの、札幌圏の内部補助で全体を支えることは不可能です。北海道新幹線の札幌延伸も遅れているし収支完全効果もどの程度か?並行在来線の切り離しで改善はするでしょうけど、鉄道ネットワークを維持するには至らないでしょう。加えて老朽車両取り換えで新車を多数投入してますが、その減価償却費が重荷となります。公共部門の赤字を理由とした民営化の限界は確実に見えています。

一方でかつての食糧管理制度の赤字は問題視されることなく、減反に伴う添削補助金や資料米その他の食用米との差額補助はされてコメ不足でも備蓄米は出さずと、国民生活をないがしろにしながら国民生活を支える公的な赤字は許さない、そんな政府は変えたいですね。

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Sunday, September 15, 2024

JRの掟?

不正を生む会社の掟は鉄道業界も例外ではなかった?

JR貨物が列車運行停止 ヤマトや佐川など配送に遅れ - 日本経済新聞
7月24日に起きた新山口駅構内での貨物列車脱線事故の調査過程でJR貨物広島車両所の輪軸組立工程での不正が社員の証言で明らかになりました。車軸の左右に車輪を嵌める輪軸組立工程で、基準値を超える圧力をかけると亀裂により強度が低下する可能性があることから、基準値を超えた場合は作業を止めて輪軸を点検して亀裂の有無を確認する決まりですが、圧力データを改ざんしていたというもの。荷重を支える輪軸の強度低下は大事故の恐れがあるだけに重大です。

しかも広島以外に関東の川崎と北海道の輪西の車両所でも不正の可能性が明らかになり、また全国で広域運用されていることから、今月11日に全列車を停止して調査した結果、630両の不正が発覚しました。運転停止は1日で済みましたが、ヤマトや佐川などの宅配便に一部遅れが出てしまいました。輸送シェア1%の鉄道貨物ですが、長距離輸送に優位性があり、特に24年問題でトラックドライバーの働き方改革で長距離ほど制約を受けるトラック輸送の鉄道代替はそれなりに進んでいた訳で、影響は大きかった訳です。加えて国交省で鉄道各社に輪軸組立工程の見直しを指導した結果、こんなニュースも。

JR東海、在来線10車両を使用停止 11部品で圧力超過 - 日本経済新聞
会社の掟エントリーで自動車メーカー全社が不正してたように、鉄道各社に広がる気配もあります。但しJR東海によれば新幹線車両に該当はなく、在来線車両で11例が確認され一部車両を運用から外して対応ということです。JR東海の場合は基準値ではなく目安値としてオーバーした場合の対応もマニュアル化されてはおらずアバウトなところがあります。新幹線は流石にちゃんとしているようですが、在来線では言い方は悪いですが手抜き公認だったとも言えます。災害の備えと憂いで取り上げた新幹線保守車両の衝突事故のように乗客の安全に直接関わらない保守車両の手抜き疑惑もありますし。

会社の掟エントリーではJR東日本関連会社による横浜みなとみらい地区の新歩道橋の設計ミスといったこともありますし、安心してくださいで指摘した組合潰し以来同エントリーで取り上げたE3系つばさの500mオーバーランとか不可解なことが起きていますし、見直されたとはいえみどりの窓口縮小など、現場を疲弊させるような意思決定が続いております。今字は年1回に後退した3か月ごとの労使協議を当たり前にこなし、現場の声を経営に反映させてきたJR東日本の様変わりには不安を覚えます。労組対立を背景に尼崎事故を起こしたJR西日本や上場を急いで鉄道サービスの劣化が進むJR九州や経営難のJR北海道JR四国など、民営化して益出しのためにコストダウンに励んだ結果であるとすれば、深刻な問題です。これがJRの掟?

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Sunday, September 08, 2024

試練の9月

波乱の8月に乱高下した株価も落ち着きましたが一進一退のさえない値動きが続きます。独り勝ち状態で絶好調のアメリカで景気減速のサインが出てきて、FRBの利下げ確実と言われる除隊ですから無理もないところ。連れて動く日本株がさえないのも当然です。また米大統領選に絡む政治の先行きの不透明感も経済を押し下げます。日本でも自民党総裁選と立憲民主党代表選が同時並行で進行中ですが、令和のコメ騒動関連でこんなニュースも。

1〜7月のコメ輸出最高 国内不足も海外用の転用に壁 - 日本経済新聞
国内のコメ不足にもかかわらず海外の日本食ブームでコメ輸出が増加しているという違和感ですが、輸出米は補助金を受けているから国内に出荷できないというオチです。つまりコメの国内価格維持のために資料米や加工米と同様に差額を補助金で埋めている訳ですが、そのために流通市場を窮屈にして今回のようなコメ具足をもたらした訳です。どうせ補助金出すなら農家の個別所得表をしつつ市況を見ながら自由に流通できる体制であればコメ不足は起きなかった訳です。与党の票田の農協を温存したいがために起きたコメ騒動です。補助金はWTOが禁止する輸出補助金の疑いがあります。

という訳で自民党も立憲民主党も立候補者が増えて見通しにくい状況ですが、これだけ候補者が乱立すると目立たないと埋没するという訳で、出馬表明時に他の候補との違いを演出しなければならないから総裁選大喜利状態です。笑えるかどうかは知らんけど^_^;。目についたのは河野太郎の言いたい放題と小泉進次郎の意外なしたたかさです。河野太郎はおそらく最後は麻生派の後押しで優位にあるというおごりが見えますが、一方トートロジーばかりの進次郎構文と揶揄されてましたが、そうした批判もさわやかに受け止めつつ、付箋だらけのカンペを笑顔で読み上げる役者ぶりは親譲りかも。侮れません。但し河野太郎のコレは注目に値します。

河野太郎氏、全納税者が確定申告案「税の使い道に厳しい目を」 自民党総裁選 - 日本経済新聞
欧米では当たり前の全員確定申告ですが、日本では年末調整で雇用主に代理させている訳で、その結果給与所得者の納税者の自覚が高まらないから政府の財政運営に厳しい目が向かないということですね。河野氏は寧ろ企業の事務負担を問題視しているようですが、政府が副業を推奨していて2つ以上の雇い主から給与を受け取る人も増えてますし、また社保改革で短時間労働者の厚生年金加入が増えていることもあります。その是非はとりあえず横に置きますが、自民党の裏金問題が炎上したのはインボイス始めましたで指摘したように消費税のインボイス制度導入で国民の意識が変わったことが大きいんですよね。総裁選を派閥頼みで闘う河野氏は気付いていない?^_^;

実は全員確定申告は税務上は国民の資金フローを国税庁が把握する度合いが増えますから、マイナンバーに頼らない納税者の名寄せが可能になります。逆に言えば納税者としては健康保険証その他の個人情報をマイナンバーに紐付けすることは国に丸裸にされるリスクを負う訳で、国民から見たマイナカードの存在意義を低下させます。是非やってくれ!それから金融課税強化は石破氏が打ち出してひっこめましたが、NISAで非課税枠が設定されたんですから、累進課税は難しくても税率を高める手はあります。本業が低所得の場合は総合課税を選択すればよいですから、殆どの個人投資家は回避策がある訳です。加えて企業の保有株の課税免除も見直せば良いです。

あと解雇規制緩和を複数の候補者が発言してますが、いったいどの法律で規制され、それをどう変えるのかに踏み込んだ発言はありません。当然なんですが、労働基準法による不当解雇の禁止は謳われてますが、どう変えれば規制緩和になるのでしょうか。実際は日本企業の所謂メンバーシップ型雇用による企業の過大な人事権を前提にした裁判所の判例の積み重ねが企業の解雇を阻んでいる訳で、司法判断の積み重ねですから、それを変えるには新法を作らなきゃいけません。そうなると解雇を正当とする条件を条文に書き込まなきゃいけないくなりますが、そんな縛りを企業は嫌う筈です。言ってみただけ以上の意味はないですね。政治が絡むとこういうことは往々にして起こります。例えばアメリカでも。

米クリフス、日本製鉄による買収失敗なら「USスチールの資産買収」 - 日本経済新聞
日鉄の買収提案の前に米同業のクリフスが買収を検討したものの市場占有率から反トラスト法違反の疑いがあるということで沙汰止みあった経緯があり、日本企業の日鉄による買収提案は経営陣にとっては渡りに船だったんですが、労組の同意が得られず、それ故にトランプ氏がソシエを打ち出し、対抗上ハリス氏も懸念を表明し、バイデン大統領も任期中の阻止を打ち出すという連鎖になっております。劇先週のペンシルベニア州に立地する故に政治イシューになってしまったのですが、そうなるとUSスチール経営陣は製鉄所閉鎖を示唆して牽制する訳ですが、それによって閉鎖される製鉄所などの資産をクリフスが引き受ける形で漁夫の利を得ようという訳ですね。政治が絡むと経済原則通りには運ばない訳で、日本のコメ問題にも通じます。話を日本に戻します。
公益通報制度、機能せず 兵庫県知事は告発者捜し優先 - 日本経済新聞
おねだり知事などとワイドショーで面白おかしく取り上げられてますが、問題の本質は公益通報者保護法で通報された当事者である知事が通報者を探してもみ消しを図った法令違反問題です。公益通報でも悪い噂を集めた誹謗中傷の可能性が皆無ではありませんが、それを判断するのは当事者ではなく第三者であり、そのための手続きが決められているのにそれを無視した訳です。

こうした制度が重要なのは官公署や企業の不祥事が絶えないことがあります。鹿児島県警の内部告発事件もそうですし、BIGモーターの不祥事や三菱電機の検査不正、不正を生む会社の掟の三菱自動車燃費不正から始まりほぼ全メーカーを巻き込んだ自動車の検査不正や小林製薬の紅麹サプリ問題など、公益通補制度が機能していれば回避できた可能性のある出来事が目白押しです。意味するところは発言の安全性が担保されていない現場が多いってことです。不祥事が絶えない訳です。こうした中で日本経済を浮揚させるのは正直難しいでしょう。加えてこれから人手不足本番ですから、賃金は上昇圧力がかかる訳ですが、それを喜べない現実があります。

7月の実質賃金プラス、ボーナス増が寄与 基本給はなお物価上昇率を下回る - 日本経済新聞
6月に続き7月も実質賃金プラスとなりましたが、6月は公務員一部企業、7月は殆どの企業のボーナス月で、しかも円安効果で業績が上振れした企業が成果給として支給している訳ですから、基本給で見ればマイナスということで、賃金ホントに上がってる?
成田空港、トラック負担減に知恵 鉄道代替や時間予約 - 日本経済新聞
第三滑走路整備で貨物便受け入れが増えることを見越した国際貨物拠点整備がトラックのドライバー不足で視界不良ということで、鉄道貨物代替を検討しているというニュースです。成田空港周辺には航空貨物フォワーダーの事業所が多いですが、ドライバー不足と共にコロナ明けでネット通販利用が一服したこともあり、業績が良くない中でドラーバーの待遇改善は進まず、こうした動きになる訳です。成田空港に関しては石油元売りのリストラでタンクローリーが不足して航空燃料調達が滞っているということもあり、航空燃料輸送の復活もあるかも。いずれにしても試練の中での新たな動きです。ドライバーの待遇改善が進むかどうか。

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Sunday, July 14, 2024

ポリティカル・マーケティング

鉄路的連結列車の都知事選が終わりました。意外な結果と言われますが、結局組織票を固めた小池氏が当選して無党派票イーターの石丸氏が2位ということで、連合の離反で組合票が分散し蓮舫氏は惨敗となりました。その結果、選挙の裏の動きが可視化された面もあります。

そもそも都知事選は昔から所謂泡沫候補の立候補が多く、美濃部時代に美濃ナンチャラというおっさんが出馬して、政見放送で何故か美濃部氏の政見放送の前にそのおっさんが美濃部知事と都政に罵詈雑言なんてことが普通にありました。投票時の書き間違いと悪評発散を狙った今風に言えば刺客候補という訳ですが、成功した試しはありません。それに対して石丸氏は公示前からいち早く都知事選出馬を公言し、公示2日前の都庁記者クラブ主催の候補者討論会に出席しており、他の多数の泡沫候補と扱いが違いました。

加えて選挙期間中も1分程度のショートムービーで断定口調の発言を繰り返し、新しい選挙スタイルとしてテレビで露出されるなど、かなり特別扱いされていました。案の定裏に自民党系の選挙参謀と統一教会系のスタッフがつき、電通が支えていました。美濃ナンチャラのおっさんの嫌がらせレベルの刺客候補とは比べものにならない程システマティックに票を奪う刺客選挙だった訳です。あんな中二病のコミュ障に票が集まる巧妙さ。特に若い人が騙されたようですが、次回は注意しましょう。

一方世界は動いてますが、いろいろあります。

英国14年ぶり労働党政権 総選挙、スターマー氏勝利宣言 - 日本経済新聞
14年間の保守党政権で英国は大きく揺さぶられました。キャメロン首相時代にEU離脱を主張する保守派のガス抜きを狙った国民投票でまさかの離脱が多数派となり、その後短期間に首相交代を繰り返しながら迷走し、Brexxitの影響で経済も変調で大混乱したあげくの政権交代です。

スターマー新首相は親EUと言われておりますが、流石にEU復帰は無理としても、新協定で関係修復と安定を目指すとしております。EUから見れば通貨ユーロにも参加せず労働力移動の自由を定めたシェンゲン協定も批准せず、特別扱いが多い英国ですが、逆に市場拡大を狙ったEUの東方拡大は英国が主張し、その結果東欧の労働者が西欧に大量流入して、一部は英国にも来た訳ですが、それを理由に保守派がEU離脱を言いBrexitになった訳で、英国の身勝手故にEUから見れば再加入はあり得ないとはいえ、英EUの安定した関係構築は望むところではあります。そしてBrexitの失敗は加盟国の右派の離脱論を牽制する意味もあり、イタリアのように政権に就いて離脱論を封印したりしています。

フランス下院選、左派が逆転勝利 与党の年金改革に国民反発 - 日本経済新聞
やはり右派台頭に悩むフランスでは、マクロン大統領の国民議会解散による総選挙が行われ、マクロン派は左派連合と出馬調整して右派封じ込めを狙った結果、左派の逆転勝利となりました。年金給付開始年齢を2年繰り下げる年金改革で国民に嫌われた結果でもありますが、右派の台頭を止めることはできました。Brexitの失敗もあって右派国民戦線(RN)もEU離脱は言わなくなっておりますし、伝統的右派と違って社会保障の充実を主張して中間層取り込みに励みましたが、右派の唱える社会保障は排外主義的社会保障で、移民や外国人は排除されるなど問題があり、国民はそこは冷静に判断したと言えます。英仏共に有権者は健全ということです。日本の有権者はどこ行き?

ということで、中間層を取り込まないと選挙では勝てないということは洋の東西を問わないようですが、そのために政治家がマーケティング手法で票を集める傾向が見えてきました。これアメリカのトランプ現象も同じです。合理的エゴイストで排外主義を隠しもしないトランプ氏が支持されるのは、中間層に拡がる反移民感情を掘り起こしている訳で、マーケティングで票集めという訳です。加えて企業経営者などの富裕層は自らの事業にプラスかマイナスかで支持を決め多額の選挙資金を寄付する訳です。もはや選挙制度は民主主義の証といえるのかどうか?

プーチンのロシアもメディア介入でウクライナの戦況の劣勢を隠し、少なくともモスクワやサンクトペテルブルグなどの都市中間層に負担が及ばないようにされており、言ってみれば戦争継続のための戦争マーケテイングをやっている訳です。大統領選でも野党系候補は出馬すらできず、知名度の劣る泡沫候補と競って選出されている訳ですから、何だか都知事選の構図とそっくりです。故にウクライナ戦争を民主主義対権威主義の構図で見ることはできません。言ってみれば古典的な領土戦争と変わりません。最高位ではないとはいえ改革派の大統領を選んだイランの方が国民意識は健全といえます。

てことで、実は日本の自民党の裏金問題もマーケティングとして見れば巧妙な訳ですね。企業に寄り添い企業献金やパーティ券で資金提供を受けて裏金化して、それを選挙で配ってまた裏金で回収するという形でシステム化されている訳ですから、簡単に放棄できない訳です。加えて多額の献金をくれる大企業の言いなりになる訳ですね。その結果円安で企業は潤いインフレで国民は困窮している訳で、流れを変えないと国民はただただ貧乏まっしぐらです。でこのニュース。

賃上げ効果の消失に危機感 政府・日銀に再び為替介入観測 - 日本経済新聞
春闘の大幅賃上げと定額減税効果で実質賃金マイナス解消という政府の期待を裏切って実質賃金マイナスが続いた結果、円安を止めないとまずいという判断が働いたようです。アメリカの同意を得られていないのであくまでも覆面介入観測ですが、どうであれ円売りポジションを採る投資家に一時的にでも損失を与えることで市場を牽制しようということですが、繰り返しますが無意味です。

円安で外貨準備には含み益が生じてますから、その範囲内での介入はほぼ負担ゼロですが、今回も3兆円とか言われる介入規模では100倍以上の為替相場に影響を与えることは不可能です。円安を止めるには金融政策を見直すしかないし、その結果低金利依存の財政政策も変更を余儀なくされる訳ですが、積極財政派の雑音でそこを曖昧にしているから円安が止まらないですし、寧ろ助長することになります。例えばこれ。

航空燃料不足、官民の対策 タンカー確保・韓国から輸入 - 日本経済新聞
これ昨今の石油元売りの製油所統廃合の結果、タンクローリーの輸送距離が増えた一方、2024年問題によるドライバー不足が助長して輸送力を落とした結果です。特にインバウンドに期待する地方空港ほど深刻です。製油所統廃合は人口減に備えたリストラ策ですが、一気に進んだのは物価対策としてのガソリン補助金を石油元売りに支出した結果、それをリストラ費用に充てて遅々として進まなかった製油所統廃合を加速した結果です。つまり大企業を支援してツケを地方に回す構図です。タンカー手配もいいけど、東日本大震災の時のようにJR貨物を活用してタンクローリーの輸送距離を短くするという知恵が出ないのが不思議です。繰り返しになりますが、こういうことの積み重ねで生産性を高めるイノベーションの可能性を政府が潰していて生産性が停滞し実質賃金がプラスにならない訳です。政権交代しないと現状は変えられないでしょう。

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Sunday, July 07, 2024

イノベーションの可能性

イノベーションを阻むものばかりが目に付くのですが、こんなニュースも。

金融庁が三菱UFJ銀行など処分、銀証連携の規制緩和に影 - 日本経済新聞
型式指定検査の不合理の見直しに消極的だったトヨタとは逆に、銀証分離のファイアーウォール規制見直しを政府に求めてきたメガバンクトップの不正です。利益相反が起きやすい銀行と証券の顧客情報共有は原則禁止されてますが、三菱UFJは傘下証券2社の顧客企業情報を同意なしに銀行と共有していたもので、例えば顧客企業が社債を発行する場合の幹事社選任で銀行が圧力をかけるなどしていた訳で、銀行の優越的地位の乱用が問題視されました。つまりファイアーウォール規制緩和で何がやりたいのかをばらしちゃった訳です。身勝手にも程があります。他方こんなニュースも。
ASEANの再生可能エネルギー広域送電網を支援 首相、中国関与にらみ - 日本経済新聞
供給地と需要地が地理的に離れる再エネ電力の活用には送電網の強化が欠かせません。特に限界費用ほぼゼロの太陽光の活用に道を開く訳で、意義ある投資ですが、わかってるなら国内先にやれよって話です。国内でやれば電気料金が下がるしグリーン電力比率が上がって国内投資の呼び水になります。つまり国内でやればイノベーションになることなのに、地域分割体制で再エネ電力の増加が自社発電所の稼働率低下につながり独占利益を損なうからやらない訳です。そしてこうなります。
1〜3月期GDP、実質2.9%減に修正 建設統計の改定反映 - 日本経済新聞
下方修正の原因は建設総合統計が実態より高く計上されていたのを遡って修正した結果、公共投資の減額や住宅リフォームの減額が反映されたものですが、従来景気対策とされた公共投資と住宅政策が景気対策として効かなくなっていることを意味します。積極財政が無意味なことを示した訳です。そしてそこには構造要因があります。

建設業界の構造変化が進み、ゼネコンと呼ばれる総合建設業からサブコンと呼ばれる型枠工や鉄筋工その他の専門領域を持つ会社に下請けに出す業界慣行が崩れてきています。サブコンを支える職人の不足からゼネコンから下請けされる仕事をサブコンが選んでいるというのがザックリとしたところで、サブコンに断られた案件は公共工事であっても期日までに執行できずに遅れるということが起きている訳です。そこへ2024年問題の働き方改革が重なって専門職人の人手不足を助長している訳です。怪運国債市場の蓋で万博工事の遅れの原因の1つとしてTSMC熊本工場建設を上げましたが、政府の補助金もあって潤沢な資金で金払いの良いTSMC関連に人手を取られた結果、万博工事は進まないという構図ですね。

この構図は事業費がJR東海の資金繰りに依存するリニア工事にも当てはまります。またトンネル工事が多いから残土搬出や最終処分などの問題も未解決のまま見切り発車しているため、今後も遅れが見込まれます。人手不足によるサブコン優位が続けば工期の管理は事実上不可能ですから、いつまで経っても終わらない工事で資金を溶かし続けることになります。東海道新幹線の儲けをつぎ込んで終わらない工事を続けるなら、財投資金3兆円の借金のカタにリニアを放棄するというのも選択肢になります。国にとってはドライバー不足対策としてリニアトンネルを活用した物流施設整備に活用することが可能です。例えば梶ヶ谷貨物ターミナルと名古屋貨物ターミナルを結ぶ貨物専用鉄道整備へ転用とかです。40/1,000の勾配がネックですが、1軸1,000kwのH級機で8,000kwとすればEF210重連相当の出力で1,000t列車牽引なら可能性はあります。そして貨物幹線の東海道本線の貨物列車は1.300t列車を残して新貨物線に回せばJR東海が不満を持つ静岡地区のダイヤ編成の自由度が増しますから、地域密着サービスで静岡工区着工のバーターになり得ます。

あと鈴木知事が設置を希望する静岡空港新駅ですが、掛川駅と近すぎる問題はこだまは通過扱いで一部のぞみを停車させるという解決策はあり得ます。元々首都圏第三空港狙いですから、それで不都合はありませんし、静岡県内のぞみ停車の要望にも応えたことになります。まあこの辺は話し合い次第でしょうけど、不可能ではないということは言えます。こうした積み重ねが実はイノベーションの実践なんです。この点は強調しておきたいと思います。

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Sunday, May 05, 2024

こどもの疲弊

本題の前に為替の話題です。

NY円相場、続伸 1ドル=152円90銭〜153円00銭 予想下回る米雇用統計受け - 日本経済新聞
インフレ定着が意味するところの時点で158円だったドル円相場が152~3円と下がりましたが、これを介入の効果と見るのは早計です。元々日銀政策決定会合で金融政策維持が決まったことで円安に動き、米雇用統計が予想を下回ったことで円高に動いただけで、何れも金融関連のイベントに反応しただけの結果です。29日や2日の乱高下は日本の祝日や早朝という薄商いで相場が動きやすい状況だったタイミングでの介入でブレが大きくなっただけです。故に円安インフレの終息が見通せる状況とは程遠いってことです。

一部に円安を阻止した神田財務官は植田日銀総裁より優秀じゃないかと言われたり、FXトレーダーだったら大儲けじゃないかといった声がありますが、いずれのタイミングによるたまたまですし、第一神田財務官はFXトレーダーじゃないし、国家は憲法でできている で指摘したように為替差益は実現しません。これもう少し説明すると、外貨準備として政府が保有するドルは日銀の預託されている訳ですから、その一部を引き出した形になり口座残高が減るだけです。それがドル売り円買い介入の実態です。当然政府はFXトレーダーなら手にする為替差益を得ることはできない訳です。信用創造の逆が起きる訳です。

そんな中で防衛費と共に財源確保が難題の子育て支援の財源問題ですが、これもデタラメです。「異次元の少子化対策」を謳ってますが、少子化自体は先進国共通の問題ですし、最近は新興国でも工業化の進展と共に少子化が進んでますから、少子化自体を政策的に止めることはできないと見るべきでしょう。但し子育て環境によって少子化のスピードを遅らせることは可能ですから、子育て支援が無意味とは言いませんが、どう転んでも子育て中の現役世代の負担増になるということは踏まえて制度設計しないと、結局負担感は増す一方で効果は見えないということになります。

それに対して高齢者ばかり優遇されるという議論がありますが、これも高齢化と共に避けられない負担な訳で、簡単には減らせません。ということは高齢化による負担増と子育て支援の負担がダブルで現役世代にのしかかることを意味します。これを回避し現役世代の過重負担を抑制するとすれば消費税を財源にすることで、避けられない負担を社会全体でシェアする形しか広範な合意を得ることは困難です。

それに対して政府は不人気な消費税増税を封印して社会保険改革で財源を生み出すということを言っている訳です。具体的には国保、協会健保、組合健保、後期高齢者健保といった健保勘定の保険料に子育て支援金を上乗せする形ですが、現役世代中心で年齢層が低く資金も潤沢な組合健保の負担が多くなることは避けられませんから、結局現役世代の負担を増やすことにしかなりません。加えて後期高齢者の自己負担増などで給付を減らすというのが「社会保険改革」ってことで、目先のゴマカシです。これじゃ寧ろ少子化を加速します。

そして現金給付で対応しようとしていることも問題です。少子化の原因が経済要因なのはそのとおりなんですが、現金配れば解決するかといえばそうではなく、主に教育費負担がネックになっています。にも拘らず政府は文教予算を削ってばかりで、国公立大学の独立行政法人化や「選択と集中」と称する科研費の減額などでG7はおろかOECD加盟国中で見ても教育の公的負担は最低レベルで,その分家計が負担している訳です。そして教育内容も複雑化しており、今や小学生から塾通いが当たり前という状況です。これじゃ子どもを持ちたくても持てません。

逆に言えばこの部分の公的負担を増やせば効果は期待できます。例えば給食費や教材費の無償化や高等教育の無償化といったことですが、これらは消費税にして2%程度の負担で実現可能ですし、少子化による労働人口の減少を補う意味での生産性向上を目指すならば、結果的に将来のリターンが見込めますから負担が軽くなるということですね。現金給付だけならそれが教育資金に回るとは限りませんし、共同親権問題とも絡みますが、給付欲しさに離婚カップルの親権争いという醜い現実をもたらすことは避けられないでしょう。子どもの為には教育という現物給付が望ましいということです。

あと負担の公平性を考えるなら金融所得課税も必要ですし、その意味で新NISAは負担の公平性に逆行します。特に若い人に申し上げたいのですが、資産形成をまじめに考えるならば、無理のない範囲でのコツコツ形の積立投資で福利効果を狙って時間を味方につけることをお勧めします。その意味で積立NISAならば検討の余地はありますが、元々分離課税で税負担の軽い金融所得課税をケチるよりもiDeCoを先に考えた方が良いです。被雇用者でも加入が可能になってますから、月々の余剰資金をiDeCoで運用して、拠出限度額を超える資金があるならその超えた分を積立NISAに回すという形にしましょう。

iDeCoの良いところは積立金が公的年金に準じた税法上の扱いになり所得控除が可能になりますから所得税減税になります。所得税は超過累進課税ですから、所得額の税区分が下方に移行すればより大きな減税効果がありNISAにはできない芸当です。また勤め先の企業年金が確定拠出型年金](DC)の場合、転職や退職時に手続きすれば積み立て分をiDeCoに移行できますし、フリーランスでも続けられますから無駄になりません。

但し払い戻しは満60歳まで出来ず、死亡や中途解約の場合は払い戻し放棄となりますので老後資金には向きますが、子供の教育資金やマイホーム資金などには不向きです。それでも払い戻し時には一時金あるいは年金として受け取り方法を選べ、年金方式の場合公的年金との合算で税優遇が受けられます。政府は盛んに新NISAを勧めますが、自分に適したプランは冷静に考えましょう。

しかし子供たちの置かれた状況の過酷さは本当に頭の痛い問題で、中学生時代に学習塾の塾長を怒らせてクビになった^_^;私なんぞ、今に生まれてれば落ちこぼれ間違いなしですね。また離婚が増えている現状でひとり親世帯が増えている現状では、家庭の事情で進学を諦めるるといったリアルがある訳で、こうした家庭で育つと自衛隊に入るかブラックバイトで凶悪犯罪の実行犯になるかといった未来が待っているということになりかねません。加えて気候変動で自然災害が増えたり農産物の収量が不安定になったりしているのに大人の事情で脱炭素は進まないし。当然紛争が増えることになります。子どもたちにこんな未来しか約束できない大人たちの不作為が原因です。

その一方で公金バラまいて原発再稼働やリプレースに前のめりだったり日の丸半導体復権に補助金出したりはしている訳で、財源がないってのは嘘だってことです。特に半導体の復権は台湾TSMCの熊本工場にしろIBMライセンスの先端半導体メーカーに名乗りを上げたラピダスにしろ、外資の下請けに甘んじて半導体の復権もないもんです。しかもラピダスにはこんな障害も。

ラピダスの物流に落とし穴 ガスが青函トンネル通れない - 日本経済新聞
半導体生産に欠かせないエッチング剤や洗浄剤には確かに危険物がありますし、青函トンネルのような長大トンネル通過は問題です。2024年問題によるドライバー不足で鉄道輸送に頼りたいところです。さてどうすべきか。

もしトラよりもしドラでも取り上げましたが、物流問題は明らかに日本のアキレス腱になりつつあります。本当は新幹線やリニアより緊急性が高く優先順位を上げるべきですが、そうした議論は見られません。しかも北海道新幹線は工事が遅れて30年度末開業の延期が決まりました。これも元々33年度開業を与党議員が強引に前倒しさせたものの、トンネル残土からヒ素やカドミウムといった有害物質が検出されて残土処理が滞っているということで足踏みしているのですから、今後の展開は見通せません。

その一方で北海道新幹線の函館駅乗り入れが新市長の選挙公約として実現を探ってますが、JJR北海道は取り合いません。現実的には新函館北斗からスイッチバックして函館駅に至るという計画は実現可能性は低いと言えます。唯一可能性があるとすればは在来線特急で4時間以上かかる函館―札幌間のミニ新幹線というところですが、安心してくださいのつばさオーバーラン問題を考えると解決策といえるのか微妙です。かくして自己保身と思いつきの果てにグチャグチャな現在と未来を子どもたちに残すとするとため息しか出ません。

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Saturday, April 20, 2024

戦争は経営でできている

サイドバーの世界は経営でできている (講談社現代新書)はお勧めです。というか、中東で起きている戦争が、将に有限な価値の奪い合いという意味で「経営の失敗」を体現していると見ることができます。というわけで採らぬ狸の続編です。

中東情勢で対話路線の日本、米欧はイラン追加制裁探る G7外相 - 日本経済新聞
そもそもシリアのダマスカスのイラン大使館を攻撃したのはイスラエルであり、今回のイランのイスラエル攻撃はその報復として事前通告して自衛権の範囲を主張し軍事施設限定の攻撃で、しかもミサイルや自爆ドローンを多数使ったもののイスラエルの鉄壁な防空システムで99%迎撃されて実害無しなのにG7各国はイランへの追加制裁を協議するっておかしな流れです。日本が簡単に乗れない話です。

結果的にイスラエルもささやかな報復攻撃をして体面を保ち、これで形として手打ちになりそうです。イランもイスラエルも交戦を望まない形の落としどころを探ったってことです。この出来事からいろいろなことが見えてきますが、欧米はイスラエル寄りに偏っています。ウクライナの戦況が悪化する中でもイスラエルへの兵器支援は継続するアメリカと、その結果天然ガス供給不安からガザ沖ガス田を横目にイスラエルに強く出られない欧州という構図が見えます。

蛇足ですが、イランの報復攻撃はイスラエルの防空システムを可視化したという意味でイラン側にも成果はあったし、寧ろそれだけの情報収集能力があることを見せつけたという側面もあります。主権国家間の戦争という意味では、現代の戦争は情報戦であり心理戦なのだというリアルが明らかになった訳で、まともな情報収集能力も持たずトマホーク配備でドヤ顔の日本の安全保障議論の底の浅さにため息が出ます。

加えて軍事力のある大国同士は戦わないけど、国家ではなく自衛権の無いガザには容赦なくジェノサイドレベルの攻撃さえしてしまうという非対称な現実がある訳です。これ台湾有事に多くの示唆を与えます。国家承認されていない台湾に対しては集団的自衛権は行使できないから国際法上は台湾はガザと同じ立場ってことです。もちろん台北政府の実効支配下でアメリカの支援もあって軍備を整えていますから直ちにガザのようになることはないとしても、1つの中国の原則から内戦扱いとなる中台の紛争への介入は国際法違反となります。

安保理、パレスチナの国連正式加盟を否決 米国が拒否権 - 日本経済新聞
日本やフランスを含む圧倒的多数が賛成しながらアメリカが時期尚早として拒否権を発動するというお約束の展開ですが、パレスチナが国連加盟して名実共に独立国となった場合、ハマスの軍事部門はパレスチナ国軍の地位を得る訳で、テロ組織として制圧できない存在になる訳ですし、今回のイランとイスラエルのせめぎ会いのように腹の探り合いしなきゃならないイスラエル側から見れば厄介な存在になるということです。

てことで中東情勢がきな臭くなると当然ながら原油価格の上昇で日欧は苦しくなりますが、今や原油生産大国となったアメリカは寧ろ追い風で、ドル高も手伝って大儲けのアメリカに対して、輸入依存に加えて通貨安で二重苦の日欧はインフレに苦しみます。当然株価も下がります。にも拘らず防衛費調達のためにNTT法を改正して外国人の株式保有を認めるというトチ狂ったことに留まらず、こんな法律まで強引に賭してしまいました。

農業基本法改正案が衆院通過 与党・維新など賛成 - 日本経済新聞
食料安保を謳いながら平時の食糧自給率を高めるのではなく、有事に農家に作付けの変更を国が命令できるって戦時中に花き農家にイモの作付けを命令した愚を繰り返すってのは呆れてものが言えません。個別所得補償で農家にインセンティブを与えて自給率を高めるのではなく、非常事態を口実に国の統制を強めるというのは的外れもいいとこです。まして地域地域で土壌の性質も異なりますから、国が統制しても増産効果が得られる保証はありません。

民主主義対権威主義で指摘したように岸田政権は戦前の近衛文麿政権とそっくりのことをやって日本を戦争にいざなっています。それもこれも首相の指導力の欠如と政治の混乱で官僚がやりたい放題ってところがそっくりです。だからNTT法も農業基本法も官僚好みの統制的な内容になる訳で、政治における経営の失敗と見ることもできます。加えてこんなことも報じられております。

<独自>リニア新幹線全線開業「最速令和19年」と骨太の方針に明記へ 政府、目標時期を堅持
多分官僚のリーク記事でしょうけど、川勝静岡県知事の辞任でリニア工事が進むことを期待して、骨太方針で敢えて2037年の開業目標を明記するということなのでしょう。但し元々2037年は努力目標であって義務ではない訳で、狙いがわかりにくいんですが、JR東海へのプレッシャーを期待しているんでしょうか。今のところ他紙の後追い報道は見られませんし、名古屋開業も見通せない中で大阪延伸着工を早められる訳でもなく、ニュースバリューに疑問が湧きます。

但し奇しくもリニアが戦前の弾丸列車計画をなぞる相似相が見えてきています。国が弾丸列車計画へ傾斜したのは満州事変後に満州国が独立を宣言し日本国内との移動や輸送が増えたことで、東海道山陽線の輸送逼迫があり、輸送力増強の必要から南満州鉄道規格の新線を作って関釜連絡船を介して朝鮮統監府鉄道から満州の首都とされた新京まで直通させて輸送改善を図ることが意図されたのですが、盧溝橋事件を発端とする日華事変勃発で軍の補給も都なり、政府も前のめりとなります。それに留まらず大東亜共栄圏構想に沿って中国からインド中東を経て欧州に至る大陸横断超特急構想なんて妄想を膨らまし、シベリア鉄道に代わる輸送路確保まで考えられていましたが、敗戦でパアです。

とはいえ前線への補給のために軍が積極的に動き、用地の強制接取が行われ、その多くの部分が東海道新幹線の建設用地として転用され、また一部は名神高速道や第二神明、加古川バイパスなどの用地に転用されています。静岡県の日本坂トンネルは弾丸列車規格で作られて一時的に在来線が使用した後、東海道新幹線に再転用されてますし、新丹奈トンネルも工事は進んでいました。ある意味戦後の新幹線計画は弾丸列車計画のお陰で実現したとも言えます。

リニアに関しては民間事業なのに全幹法により国の関与がありますが、自己資金整備を打ち出したJR東海に安倍政権時代に3兆円の財投資金投入が決まったものの、開業時期はあくまでも最速の場合の努力目標で、それも名古屋開業後の着工という前提ですから、その名古屋開業が最速2034年ですから、どう逆立ちしても2037年大阪開業は無理なんですが、岸田政権お得意のやってるふりにはなるということなんでしょう。それよりももっと手前に問題山積ですが目立った動きはありません。

物流の弱点、人手不足以外にも 鉄道も海運も老い鮮明 物流クライシス㊦ - 日本経済新聞
ドライバー不足が言われますが、例えば高速道路の老朽化に伴う工事の増加で輸送時間が読みにくく、それに伴う人件費増加は運賃に転嫁しにくいということもあります。そしてインフラ維持の作業員確保も困難になっており、輸送インフラを単純い増やすだけでは解決しません。そして鉄道や海運へのモーダルシフトも、既に鉄道船舶共に輸送力が逼迫しており、新たな需要の受け入れは困難ですし、鉄道に関しては夜間保守間合いの増加による減便すらあり得るとなると、新たな対応を考えないといずれ破綻します。

その意味ではリニアの物流インフラとしての活用は選択肢になり得ます。40/1,000勾配がネックで貨物鉄道への転用は難しいかもしれませんが、リニモのような低速リニアでコンテナを運ぶぐらいはできそうです。貨物専用なら長大トンネルでの安全対策も軽減できますし、着工済みの工事が無駄になることもないです。例えば開業の見込みが立たないリニアを財投3兆円の借金のかたに国が接取する形でJR東海から切り離せば東海道新幹線のもうけを溶かさなくて済むから、JR東海にとってもメリットがあります。そのJR東海にでこんな動きがあります。

東海道新幹線「N700S」に完全個室席 2026年度に導入、1編成2室 - 日本経済新聞
これまでビジネス利用最優先でひたすら輸送力増強を続け、食堂車や個室も廃止したJR東海ですが、コロナ禍でビジネス客が戻りきらず、寧ろ週末や連休盆暮れの行楽や帰省利用のウエートが高まる一方、普通車の一部で3列シートのB列を潰してパーテーションで仕切ったビジネス席のようなことも始めており、これらのサービスはスペースに余裕のある鉄道ならではのサービスとして対航空との競争優位になり得るという気づきがあったのでしょう。当面は車内販売廃止で空いた業務用スペースの転用で需要を見極めるということでしょうが、いずれJR東日本のグランクラスのような3等級制移行も視野に入れて増収を図る方向性が見えてくるかもしれません。

もう一つオマケで北陸新幹線米原ルートを受け入れて東京対北陸の輸送に参入してJR東日本と競い合うという選択肢もあり得ます。その場合公費が投入され線路使用料で償還される、つまり儲からない整備新幹線区間はJR西日本が担当しますが、東名阪の3大都市圏アクセスを握っている訳ですから、整備区間から発生する需要の受け皿となる根元受益による増収効果もあります。リニアに拘らなければいろいろなビジネス展開が拓けます。JR東海も経営を取り戻せ。

能登半島地震から4か月以上経過して、未だに水道も復旧できないし。倒壊家屋やがれきの撤去も進まず、最近は報道すらされなくなっています。そしてボランティアが足りないと嘆く一方でボランティアを受け入れる宿泊施設は観光優先でそもそもボランティアの受け入れ態勢ができていないし、またボランティア加藤堂に対するバッシングもあって大っぴらにボランティア活動がやりにくく、地元の被災者もボランティアの援助を公言できないし、そもそもボランティアを集めるのは行政の仕事の筈なのに動きが鈍いしという状況です。

そして豊後水道のM6.6地震まで起きてやはり道路やインフラの弱さで支援が滞っております。そして四国電力伊方原発3号機で、地震後異常なしが素早く報じられた一方で細かなトラブルが後から明らかになるなどの原子力ムラ作法-_-;。最近の地震の多さから言えば、台湾有事より驚異の筈ですが、伊方3号機で深刻なのは稼働中でしかも地震による緊急停止が働かず、事後的に冷却電源が非常用に切り替わっていたことが明らかになるというなかなか深刻な状況です。大事に至らなかったとはいえ重大インシデントでは?経営の失敗は至る所で見られます。

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