鉄道

Sunday, July 21, 2024

突然喰らうド障害

世界を揺るがしたシステム障害がありました。

世界の大規模システム障害、復旧へ 米国など影響なお - 日本経済新聞
世界中Windows系OSシステムで障害が起きて航空鵜予約システムや店舗のPOSレジなどが使えなくなり、復旧は進んでますが、未だ障害が続いているところもあるということです。原因はWindowsクラウド向けのクラウドストライク社製セキュリティソフトの19日未明の一斉更新にバグがあり、修正版が配布されたものの、ユーザー側で補正作業が必要なため、復旧に時間がかかったとされております。しかし同じシステムベンダー製予約システムを用いながら、JAL系のジェットスタージャパンで障害が起きた一方ANA系は障害なしとか不可解なこともあり、本当の原因はわかっておりません。

みずほのシステム書具合とか、最近では三菱UFJ銀行の障害などもありますが、銀行の勘定系などはメイフレーム時代にCobolという言語で記述された基幹業務システムで、Cobolが使えるエンジニアの退職で年々メンテナンスが負担になっている一方でFintechでAPI公開とかやっていて、システムが複雑になり過ぎた面があります。故にセキュリティ面は強固なんですが、メンテナンスコストは高くなり、維持が難しくなっている面があります。

一方でクラウドはネット上で仮想的に複数のサーバーを束ねて処理する分散型で、ユーザーから見ればセキュリティも含めて使用料を支払って使うという意味で初期投資もランニングコストも安価ということで普及し、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどの大手が注力してユーザーを増やしてきました。ユーザーから見れば自社システムの維持費やセキュリティ費用を気にせずシステム構築できて、最新のセキュリティ環境が提供されるから安全性も高いという触れ込みでしたか、今回は裏目に出ました。

ふと思い出したのが木から落ちたサルで取り上げたJR東日本のSuicaシステムのクラウド移行ですが、各駅にステーションコントローラーを置いて分散処理することで処理速度を高める自前の分散処理システムをクラウド上の仮想センターサーバーに移行するという話題です。コスト削減になる一方、処理速度の問題は残る訳ですが、5Gなど通信環境の進化で遅延が縮小していることや計画中のQRコード乗車券システム導入との整合性を考えると正常進化とは言えるかもしれません。但し今回のようなトラブルに巻き込まれるリスクはある訳ですが。

その一方で楽天銀行との提携でJREバンクと呼ばれるBaaS事業への参入もあり、QRコード乗車券の決済をJREバンクの口座を使うとすれば、寧ろSuicaシステムの存在理由が希薄化する可能性もありますし、下手するとハウスカードのVIEWカードも楽天カードに置き換えられる可能性もあります。現時点でVIEWカードがJR東日本の経営資源としての貢献度がいかほどかはわかりませんが、JR東日本の金融事業が楽天グループと接近することは避けられないでしょう。そしてそれは別の面でSuicaの将来を左右します。

栗鼠殺し?で取り上げたオープンループが国内でも徐々に拡大しており、大手私鉄では南海電気鉄道がいち早く導入したほか、東急が続き、その他地方の公営交通やバスを中心に導入が続いております。特に東急ではVISA限定ではなく他社カードも受け入れておりますが、それに関連するかどうかわかりませんが、こんなニュースもあります。

VISAに公正取引委員会が立ち入り検査 他社の信用システム使用制限か - 日本経済新聞
東急のケースが該当するかどうかはわかりまっせんが、VISA以外のカード会社がVISAのシステムが使用されているとすると、VISAへの手数料の支払いが発生する訳で、独禁法違反の恐れがあるということになります。特にインバウンド需要の取り込みで外国人の利用が見込まれるオープンループでVISAが優越的地位を乱用したと見られれば、他社カードの相乗りが進んで結果的に楽天カードが相乗りとなると、ますますSuicaの存在意義は薄れます。今後は見通しにくいですが、ソニーのFelicaシステムが国際規格のNFCに置き換わることを意味します。ソニーとJR東日本がタッグを組んでEDYとSuicaが一本化されて導入コストを下げることが出来ていればまた違ったのでしょうが、日本企業発の規格が国際規格に駆逐されてまたひとつ日本の敗戦確定です。そういやEDYも楽天が買ったけど放置されております。何故こうなる?

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Sunday, July 14, 2024

ポリティカル・マーケティング

鉄路的連結列車の都知事選が終わりました。意外な結果と言われますが、結局組織票を固めた小池氏が当選して無党派票イーターの石丸氏が2位ということで、連合の離反で組合票が分散し蓮舫氏は惨敗となりました。その結果、選挙の裏の動きが可視化された面もあります。

そもそも都知事選は昔から所謂泡沫候補の立候補が多く、美濃部時代に美濃ナンチャラというおっさんが出馬して、政見放送で何故か美濃部氏の政見放送の前にそのおっさんが美濃部知事と都政に罵詈雑言なんてことが普通にありました。投票時の書き間違いと悪評発散を狙った今風に言えば刺客候補という訳ですが、成功した試しはありません。それに対して石丸氏は公示前からいち早く都知事選出馬を公言し、公示2日前の都庁記者クラブ主催の候補者討論会に出席しており、他の多数の泡沫候補と扱いが違いました。

加えて選挙期間中も1分程度のショートムービーで断定口調の発言を繰り返し、新しい選挙スタイルとしてテレビで露出されるなど、かなり特別扱いされていました。案の定裏に自民党系の選挙参謀と統一教会系のスタッフがつき、電通が支えていました。美濃ナンチャラのおっさんの嫌がらせレベルの刺客候補とは比べものにならない程システマティックに票を奪う刺客選挙だった訳です。あんな中二病のコミュ障に票が集まる巧妙さ。特に若い人が騙されたようですが、次回は注意しましょう。

一方世界は動いてますが、いろいろあります。

英国14年ぶり労働党政権 総選挙、スターマー氏勝利宣言 - 日本経済新聞
14年間の保守党政権で英国は大きく揺さぶられました。キャメロン首相時代にEU離脱を主張する保守派のガス抜きを狙った国民投票でまさかの離脱が多数派となり、その後短期間に首相交代を繰り返しながら迷走し、Brexxitの影響で経済も変調で大混乱したあげくの政権交代です。

スターマー新首相は親EUと言われておりますが、流石にEU復帰は無理としても、新協定で関係修復と安定を目指すとしております。EUから見れば通貨ユーロにも参加せず労働力移動の自由を定めたシェンゲン協定も批准せず、特別扱いが多い英国ですが、逆に市場拡大を狙ったEUの東方拡大は英国が主張し、その結果東欧の労働者が西欧に大量流入して、一部は英国にも来た訳ですが、それを理由に保守派がEU離脱を言いBrexitになった訳で、英国の身勝手故にEUから見れば再加入はあり得ないとはいえ、英EUの安定した関係構築は望むところではあります。そしてBrexitの失敗は加盟国の右派の離脱論を牽制する意味もあり、イタリアのように政権に就いて離脱論を封印したりしています。

フランス下院選、左派が逆転勝利 与党の年金改革に国民反発 - 日本経済新聞
やはり右派台頭に悩むフランスでは、マクロン大統領の国民議会解散による総選挙が行われ、マクロン派は左派連合と出馬調整して右派封じ込めを狙った結果、左派の逆転勝利となりました。年金給付開始年齢を2年繰り下げる年金改革で国民に嫌われた結果でもありますが、右派の台頭を止めることはできました。Brexitの失敗もあって右派国民戦線(RN)もEU離脱は謂わなくなっておりますし、伝統的右派と違って社会保障の充実を主張して中間層取り込みに励みましたが、右派の唱える社会保障は排外主義的社会保障で、移民や外国人は排除されるなど問題があり、国民はそこは冷静に判断したと言えます。英仏共に有権者は健全ということです。日本の有権者はどこ行き?

ということで、中間層を取り込まないと選挙では勝てないということは洋の東西を問わないようですが、そのために政治家がマーケティング手法で票を集める傾向が見えてきました。これアメリカのトランプ現象も同じです。合理的エゴイストで排外主義を隠しもしないトランプ氏が支持されるのは、中間層に拡がる反移民感情を掘り起こしている訳で、マーケティングで票集めという訳です。加えて企業経営者などの富裕層は自らの事業にプラスかマイナスかで支持を決め多額の選挙資金を寄付する訳です。もはや選挙制度は民主主義の証といえるのかどうか?

プーチンのロシアもメディア介入でウクライナの戦況の劣勢を隠し、少なくともモスクワやサンクトペテルブルグなどの都市中間層に負担が及ばないようにされており、言ってみれば戦争継続のための戦争マーケテイングをやっている訳です。大統領選でも野党系候補は出馬すらできず、知名度の劣る泡沫候補と競って選出されている訳ですから、何だか都知事選の構図とそっくりです。故にウクライナ戦争を民主主義対権威主義の構図で見ることはできません。言ってみれば古典的な領土戦争と変わりません。最高位ではないとはいえ改革派の大統領を選んだイランの方が国民意識は健全といえます。

てことで、実は日本の自民党の裏金問題もマーケティングとして見れば巧妙な訳ですね。企業に寄り添い企業献金やパーティ券で資金提供を受けて裏金化して、それを選挙で配ってまた裏金で回収するという形でシステム化されている訳ですから、簡単に放棄できない訳です。加えて多額の献金をくれる大企業の言いなりになる訳ですね。その結果円安で企業は潤いインフレで国民は困窮している訳で、流れを変えないと国民はただただ貧乏まっしぐらです。でこのニュース。

賃上げ効果の消失に危機感 政府・日銀に再び為替介入観測 - 日本経済新聞
春闘の大幅賃上げと定額減税効果で実質賃金マイナス解消という政府の期待を裏切って実質賃金マイナスが続いた結果、円安を止めないとまずいという判断が働いたようです。アメリカの同意を得られていないのであくまでも覆面介入観測ですが、どうであれ円売りポジションを採る投資家に一時的にでも損失を与えることで市場を牽制しようということですが、繰り返しますが無意味です。

円安で外貨準備には含み益が生じてますから、その範囲内での介入はほぼ負担ゼロですが、今回も3兆円とか言われる介入規模では100倍以上の為替相場に影響を与えることは不可能です。円安を止めるには金融政策を見直すしかないし、その結果低金利依存の財政政策も変更を余儀なくされる訳ですが、積極財政派の雑音でそこを曖昧にしているから円安が止まらないですし、寧ろ助長することになります。例えばこれ。

航空燃料不足、官民の対策 タンカー確保・韓国から輸入 - 日本経済新聞
これ昨今の石油元売りの製油所統廃合の結果、タンクローリーの輸送距離が増えた一方、2024年問題によるドライバー不足が助長して輸送力を落とした結果です。特にインバウンドに期待する地方空港ほど深刻です。製油所統廃合は人口減に備えたリストラ策ですが、一気に進んだのは物価対策としてのガソリン補助金を世紀湯元売りに支出した結果、それをリストラ費用に充てて遅々として進まなかった製油所統廃合を加速した結果です。津杏里大企業を支援してツケを地方に回す工事です。タンカー手配もいいけど、東日本大震災の時のようにJR貨物を活用してタンクローリーの輸送距離を短くするという知恵が出ないのが不思議です。繰り返しになりますが、こういうことの積み重ねで生産性を高めるイノベーションの可能性を政府が潰していて生産性が停滞し実質賃金がプラスにならない訳です。政権交代しないと現状は変えられないでしょう。

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Sunday, July 07, 2024

イノベーションの可能性

イノベーションを阻むものばかりが目に付くのですが、こんなニュースも。

金融庁が三菱UFJ銀行など処分、銀証連携の規制緩和に影 - 日本経済新聞
型式指定検査の不合理の見直しに消極的だったトヨタとは逆に、銀証分離のファイアーウォール規制見直しを政府に求めてきたメガバンクトップの不正です。利益相反が起きやすい銀行と証券の顧客情報共有は原則禁止されてますが、三菱UFJは傘下証券2社の顧客企業情報を同意なしに銀行と共有していたもので、例えば顧客企業が社債を発行する場合の幹事社選任で銀行が圧力をかけるなどしていた訳で、銀行の優越的地位の乱用が問題視されました。つまりファイアーウォール規制緩和で何がやりたいのかをばらしちゃった訳です。身勝手にも程があります。他方こんなニュースも。
ASEANの再生可能エネルギー広域送電網を支援 首相、中国関与にらみ - 日本経済新聞
供給地と需要地が地理的に離れる再エネ電力の活用には送電網の強化が欠かせません。特に限界費用ほぼゼロの太陽光の活用に道を開く訳で、意義ある投資ですが、わかってるなら国内先にやれよって話です。国内でやれば電気料金が下がるしグリーン電力比率が上がって国内投資の呼び水になります。つまり国内でやればイノベーションになることなのに、地域分割体制で再エネ電力の増加が自社発電所の稼働率低下につながり独占利益を損なうからやらない訳です。そしてこうなります。
1〜3月期GDP、実質2.9%減に修正 建設統計の改定反映 - 日本経済新聞
下方修正の原因は建設総合統計が実態より高く計上されていたのを遡って修正した結果、公共投資の減額や住宅リフォームの減額が反映されたものですが、従来景気対策とされた公共投資と住宅政策が景気対策として効かなくなっていることを意味します。積極財政が無意味なことを示した訳です。そしてそこには構造要因があります。

建設業界の構造変化が進み、ゼネコンと呼ばれる総合建設業からサブコンと呼ばれる型枠工や鉄筋工その他の専門領域を持つ会社に下請けに出す業界慣行が崩れてきています。サブコンを支える職人の不足からゼネコンから下請けされる仕事をサブコンが選んでいるというのがザックリとしたところで、サブコンに断られた案件は公共工事であっても期日までに執行できずに遅れるということが起きている訳です。そこへ2024年問題の働き方改革が重なって専門職人の人手不足を助長している訳です。怪運国債市場の蓋で万博工事の遅れの原因の1つとしてTSMC熊本工場建設を上げましたが、政府の補助金もあって潤沢な資金で金払いの良いTSMC関連に人手を取られた結果、万博工事は進まないという構図ですね。

この構図は事業費がJR東海の資金繰りに依存するリニア工事にも当てはまります。またトンネル工事が多いから残土搬出や最終処分などの問題も未解決のまま見切り発車しているため、今後も遅れが見込まれます。人手不足によるサブコン優位が続けば工期の管理は事実上不可能ですから、いつまで経っても終わらない工事で資金を溶かし続けることになります。東海道新幹線の儲けをつぎ込んで終わらない工事を続けるなら、財投資金3兆円の借金のカタにリニアを放棄するというのも選択肢になります。国にとってはドライバー不足対策としてリニアトンネルを活用した物流施設整備に活用することが可能です。例えば梶ヶ谷貨物ターミナルと名古屋貨物ターミナルを結ぶ貨物専用鉄道整備へ転用とかです。40/1,000の勾配がネックですが、1軸1,000kwのH級機で8,000kwとすればEF210重連相当の出力で1,000t列車牽引なら可能性はあります。そして貨物幹線の東海道本線の貨物列車は1.300t列車を残して新貨物線に回せばJR東海が不満を持つ静岡地区のダイヤ編成の自由度が増しますから、地域密着サービスで静岡工区着工のバーターになり得ます。

あと鈴木知事が設置を希望する静岡空港新駅ですが、掛川駅と近すぎる問題はこだまは通過扱いで一部のぞみを停車させるという解決策はあり得ます。元々首都圏第三空港狙いですから、それで不都合はありませんし、静岡県内のぞみ停車の要望にも応えたことになります。まあこの辺は話し合い次第でしょうけど、不可能ではないということは言えます。こうした積み重ねが実はイノベーションの実践なんです。この点は強調しておきたいと思います。

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Saturday, June 29, 2024

鉄路的連結列車はどこ行き?

怪運国債市場の蓋でYCC末期の悪足搔きから黒田日銀の後継総裁に植田氏の名が挙がったことに加えて、大阪万博の工事遅れで開催が危ぶまれていることを指摘しましたが、案の定万博関連のトラブルは絶えません。

大阪万博はうっすらウンコ臭い? “腐った卵”硫化水素が流出も「対策これから」の体たらく―日刊ゲンダイ
ゴミ埋め立て地の夢洲故に地中で発生したメタンガスが爆発してトイレが吹っ飛んだ事故を受けて、地中にパイプを挿してガス抜き対策がされてますが、その結果硫化水素が検出されてリアルにウンコクサイことに^_^;。比重の大きい硫化水素はガス抜きしても拡散せず地面近くに滞留します。高濃度だと死に至る毒性があるだけに追加の対策が必要ですが何も決まっていないとか。そんなところに人集めて大規模イベントの狂気。いっそ東京五輪に倣ってネット中継で無観客開催したらwww。東京五輪の落とし物で取り上げた神宮外苑再開発はゲートシティ開発で発掘された高輪築堤に続いて2年連続イコモスからクレーム。そしてその続きがこれ。
北九州の「初代門司駅」鉄道遺構保存を イコモスが緊急要請の発出検討 - 日本経済新聞
世界遺産登録に積極的な一方、タイ政府が申請する泰緬鉄道クワイ川鉄橋は裏金のウラで見たように反対して歴史戦を気取る国交省ですが、おひざ元の国内で門司港駅周辺の再開発絡みでイコモスが懸念を示し、3年連続のヘリテージ・アラート発出という不名誉の可能性も。再開発優先で文化遺産保護が置き去りにされています。そしてこれも国交省が関わります。
インフラ海外展開の官民ファンド 累計損失が955億円に - 日本経済新聞
アベノミクスの成長戦略としてインフラ輸出が掲げられ、促進のためにJOINという官民ファンドが立ちあげられましたが大赤字。テキサス高速鉄道のように米政府のインフラ投資法事業として補助金が決まったにもかかわらず事業者となる現地企業が債務不履行に陥り停滞しています。ちなみにJR東海が関与していて安倍元首相との親密さは知られているところです。8連で国際規格準拠のN700Iがデビューする筈だったのですが、人件費が高くコロナ後も人手不足が続くアメリカでは難しいかも。もしトラなら補助金自体キャンセルの可能性も。
角川歴彦前会長、国を提訴 「人質司法で精神的苦痛」 - 日本経済新聞
一連の五輪不正疑惑で訴追された大物ですが、黒幕視される森元首相に代わる当て馬の疑惑があります。公判が楽しみです。裏金問題も森元首相の関与が確実視されているにも拘らずこちらも今のところお咎めなしです。厚労省村木事件や大川原化工J機事件に留まらず長期勾留で長時間の取り調べで言質を取る人質司法の闇が明らかになる可能性があります。
黒川弘務元東京高検検事長の定年延長文書、一部開示認める 大阪地裁 - 日本経済新聞
地裁レベルですが、司法にも変化の兆しはあります。黒川東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定の関連公文書家事を拒否した国を訴えた裁判ですが、全面開示を命じています。当時森友学園、加計学園にさくらを見る会疑惑と追い込まれていた当時の安倍首相が、権力に甘いと言われる黒川氏を検事総長にするための定年延長と言われました。結果的に黒川氏の賭けマージャン暴露で辞任に追い込まれ実現しませんでしたが、裏金問題の対応で今でも甘い検察の態度が更に甘くなった可能性はあります。裏金問題に関しては安倍元首相はやめようとしたけどやめられなかった経緯がありますが、自身の疑惑で手一杯で派閥議員を掌握できていなかったのでしょう。他方でこれ。
東京大学・安田講堂に学生侵入 警備員けが、周辺で集会 - 日本経済新聞
学費値上げを発表した東京大学の安田講堂前の芝生植え込みで東大生がキャンプを張って反対運動しているもので、警備員とのもみ合いはあったようですが、警備員がケガした事実は確認されておりません。大学当局が警察を呼んだものですが、さしずめいちご白書を東大もということか。学術会議指名拒否や科研費削除など大学の自治権を削る政府の姿勢が学生をないがしろにするということです。国内ではまともな学びが受けられないとなればこの国はどうなることやら。

東京繋がりですが町田は東京都 です。この巨大な公設掲示板ジャックが話題ですが、選挙のマネタイズという意味で不快感を表す見解が見られますが、選挙でばら撒き裏金で回収する自民党の方が悪質ですね。選挙そのものがイベント化してメディアもおこぼれ頂戴している現状で、法改正の議論には違和感があります。逆に公職選挙法で発言や表現が保護されているから、300万円の供託金払えばやりたい放題ですが、選挙以外の日常の政治活動や社会活動は世間の目とやらで自主規制される現状のおかしさこそが問題です。

そういえば表現の自由を謳ってヌードポスターを公設掲示板に張った候補もいましたが、表現の自由が実はエロ解禁で、ポスターは東京都迷惑防止条例違反の疑いがあるということで警察が注意して外されました。これを警察の選挙妨害というのは無理があります。条例アッ法律を越えられない減速がありますから、当該候補者がそれを公選法の自由妨害として拒否する可能性もあったでしょうけど、そうしなかった程度の主張だったとは言えます。但し公選法でも表現の自由が公序良俗に反しない限りという但し書きはありますが。

てことで行先の分からない列車に乗っているようなこの国の現状です。鉄路的リンク(連結)集でした。

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Saturday, June 22, 2024

イノベーションを阻むもの

不正を生む会社の掟の自動車検査不正ですが、豊田彰男トヨタ会長の記者会見での検査基準の不合理性に言及したことが不評です。三部ホンダ社長が法令違反の不正を率直に謝罪したことに対して、何だか言い訳がましいということです。もちろん現場を庇いたかったということでしょうけど、謝罪会見でのこの差は意味深です。というのは元々2015年に発覚した三菱やスズキの燃費不正の構造と酷似しているからです。

三菱とスズキは共に当時のJC08モードという日本独自の燃費基準に則った試験ではなく三菱はアメリカ基準、スズキは欧州基準の検査方法を採用していて、惰行法と呼ばれるクルマの走行抵抗を実測して試験ローラーを踏ませるという手間のかかる方法でしたが、テストコースの立地条件や天候次第で実測データのばらつきが大きくなる不都合があり、より厳しい海外基準に準拠した形で試験していたものです。そして海外基準に比べると緩い基準だったこともあり、2016年に見直され燃費基準は国際基準に準じたものに改められました。つまり今回の型式指定検査と同じ構図で既に見直されていた訳ですが、燃費以外の日本独自基準は一部に残って放置されていた訳です。

つまり自動車工業会的には日本基準の不合理性はある程度共有されていたのですが、国に改善を求めるでもなく放置されました。そして基準見直しに最も後ろ向きだったのがトヨタです。検査が不合理で余分なコストがかかると生産台数が少ないメーカーほど負担が大きくなるからトップメーカーのトヨタには有利ですし、まして輸入車にも同じ検査を義務付けられている訳ですから、非関税障壁でもある訳です。国内シェアトップのトヨタとしてはやりたくない訳です。つまり謝罪会見での豊田会長の発言は身勝手ですし、一方海外市場に強いホンダの三部社長は日本基準の見直しは求めるけど、それを言うのはここじゃないという自覚があったということですね。国内市場に対する両社のスタンスの違いが出た訳です。

その国内市場も人口減少で縮小は避けられないから、トヨタも海外進出は活発に行ってはいますが、国内の強さが土台になっており、そこを明け渡す気はないってことですね。また完成車メーカーが乱立して競争が激しかったかつての日本と違って今やダイハツ、日野、スバル、スズキ、マツダとも資本関係を持つ巨大企業グループとなり、かつてのライバルの日産は落ち目、世界のホンダも国内で売れるのは軽ばかり、政府も御用聞きに来ると我が世の春を謳歌するトヨタ。現状を変えたくないイノベーションのジレンマを地で行く存在になっているということですね。これかつてのビッグ3時代のGMの立ち位置に酷似します。

そしてそのアメリカでバイデン政権肝いりの反インフレ法(IRA法)でEV普及促進をしているけど、売れるのはテスラばかりで多数のEVスタートアップは現れては消えで定着せず、そのテスラもEVの普及が進んで市場独占が進んだ結果足踏みしています。そこへ中国メーカーが参入を狙ってメキシコに工場を建ててアメリカ輸出を目論みますが、バイデンでもトランプでも関税がかけられること確実と見られています。とはいえテスラの1/3の価格の新型小型EVなら仮に200%関税かけられても競争力はある訳で、EVの世界でも早くもイノベーションのジレンマが起きつつある状況です。

中国の強さはBYDに留まらず多数のメーカーがしのぎを削る過当競争状態で、かつての日本市場を凌ぐ国内競争市場で鍛えられた競争力は、すでに東南アジアでは存在感を増し、例えばいすゞのピックアップトラックが席巻するタイ市場でも異変が起きています。日本でも大型中型小型のラインナップを揃えた中国製EVバスが増えており、乗用車でもBYDが既に国内ディーラーを立ち上げています。中国は今不動産バブル崩壊や習近平体制で民間企業を圧迫するなどして経済は順調とは言えませんが、EVブームでイノベーションを先導しています。欧州で中国製EVの補助金によるダンピング輸出の認定も、それだけ中国製EVが売れている結果の市場防衛であって、右派の台頭もあってEUとしても動かざるを得なかったものですが、イノベーションの波に乗れていない訳です。、

とはいえ中国も既に人口減少が始まっており、日本を含む先進国と同じ成長力の低下に直面している訳ですが、それでも人口規模が大きく、農民工などの廉価な労働力のボリュームがあり、加えて海外企業との合弁による技術移転もあって最新技術+廉価な労働力という強みは健在です。そしてネックの先端半導体分野でも独自技術でキャッチアップに動いており、台湾や韓国にはかなわないかもしれませんが、日本よりは強くなると見られます。もちろん製造装置その他日本の強い分野はありますが、逆に中国デカップリングが進めばその日本の強みも薄まります。

という訳でマクロ経済的には経済減速が見込まれる中国が強いのは、国内市場規模が大きくそこへ多数の事業者が参入して熾烈な競争を展開しているからで、その中で例えばBYDのような企業が勝ち上がって世界を目指すというかつての日本の自動車産業のようなミクロの競争環境があり、それがイノベーションを生んでいる訳です。イノベーションを唱えたシュムぺーーターもイノベーションはあくまでミクロの現象であり既存のリソースの組み合わせによる新結合による価値創造としており、日本でイメージされる技術革新とはニュアンスが異なります。寧ろ国のマクロ経済政策に経済成長の要素はなく、経済成長は企業家のアニマルスピリットと述べたケインズと同じことを言っています。故に補助金でTSMC誘致とかラピダス支援とか、その他スタートアップ支援とかしても意味はない訳です。

その意味ではJR東海の中央リニアへの挑戦はアニマルスピリットと言えなくもないですが、本音は東名阪の三大都市圏の都市間輸送の市場独占に狙いがあります。だから東海道新幹線の二重化による東海地震対応とか東海道新幹線の老朽施設更新のための長期運休の必要性とか、もっともらしい理由を並べますが、既に東海道新神瀬はのぞみ大増発で対航空で優位に立っています。航空便は便数こそ維持してますが、機材の小型化で提供座席数を減らしていますし、さらに国際線のコードシェアで座席を埋めるとかしている訳で既に勝負はついています。加えて二重化ならば東海道新幹線と共通の徹軌道方式の方が合理的ですし、中央リニアのルートも東海地震警戒エリアが被ってます。東海地震対策ならば地震減の異なる北陸新幹線の大阪延伸こそ本命の筈です。

加えて言えば国土の均衡ある開発という全幹法の趣旨から言えば新幹線ネットワークの形成こそ求められる訳で、取ってつけたような小浜京都ルートではなく米原ルートこそ本命です。何故ならば距離が短く少ない事業費で短期間に整備が可能であり、既に関西広域連合で合意されており、費用便益比(B/C比)2.2と優秀です。

それに対して東海道新幹線の過密ダイヤに乗り入れは不可能とか、米原駅周辺の土木工事の困難さや保安装置の違いや脱線防止システムの違いといった重箱の隅つつきがされてますが、全て解決可能です。そもそも米原ルートもとりあえず米原乗換をベースにB/C比を算出しており、それでもこれだけの経済効果が見込めるという意味ですし、乗入れの為の米原駅の構造とかはJR東海を含めた協議を経なければ決定できませんし、その場合B/Cは悪化するでしょうけど。それでも1.8程度には収まるでしょう。東海道新幹線の過密ダイヤといってもこだまの退避で列車間隔が空くところへ滑り込ませれば可能です。この場合事故や悪天候時の運転整理が複雑にはなりますが、不可能ではありません。あと保安装置や脱線防護システムの違いを言い訳にするのは笑っちゃいます。初代ユーロスターはDC660v,1.5kv,3kv,AC16+2/3hz15kv,50hz25kvの5電源で架線集電とサードレール集電両対応、英仏ベルギーで異なる信号装置やホーム寸法に対応した可動ステップなどのギミックてんこ盛りでした。全幹法で規格が決められている新幹線同士の直通運転はそれよりはるかに容易です。技術的課題を回避する姿勢はイノベーションを阻害します。

まあとかく孤立主義のJR東海との協議をJR西日本が嫌った可能性はあります。例えば北へ届かなかったひかりで取り上げた東北新幹線の東京延伸に伴うJR東日本の東海道新幹線直通要請をJR東海は断りました。国鉄時代の計画では東北新幹線開業時に6番ホーム(12,13番線)を在来線から転用するほか、7番ホーム(14,15番線)を東北新幹線と繋げて東京をスルーする運転形態が考えられていた訳ですが、J国鉄分割民営化時に財産区分として7番ホームはJR東日本と東海の共用とすることになっていたものをJR東海が拒んだ形です。こうした前科があるからJR西日本がJR東海との協議を嫌った可能性はあります。それもこれも国鉄分割民営化に合わせて全幹法を見直さず、法を読み替えて対応した結果、国の事業なのにJRにイニシアチブを握られるという不都合が生じた訳です。こうしたことをきちんと見直さないから、後になって揉める訳ですね。ああイノベーションはいずこに?

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Saturday, June 15, 2024

これからも失われ続ける日本

円安が止まりません。原因はこれ。

日銀政策決定会合、量的引き締めへ転換 国債購入減額「相応の規模」 - 日本経済新聞
国債買い入れ減額による量的引締めの予告ですが、利上げと共に次回の議題ということで今回は現状維持ということで円安圧力は続きます。日銀の慎重姿勢は金利の大きな変動の悪影響は為替変動の比ではない混乱をもたらしますから動くに動けないのが本音。赤字が常態化した拡張的な財政運営を日銀の実質国債引き受けでファイナンスして為替の円安誘導したものの、国内企業の製造拠点海外移転で輸出は増えず、逆に資源高で貿易赤字が定着したため、財政と貿易の双子の赤字状況になっております。アメリカの80年代を見ればわかる通り、国力の低下による構造的な変化なので、米FRBの利下げで一気に反転する状況にはありません。

賃金ホントに上がってる?で金利を名目で見る短期の投機筋の動きは直ぐに止みますが、日本が未だマイナス圏にある実質金利に反応するのはより期間の長い中期資金ですから、目先のイベントに反応するより腰の入った投資ポジションを採ります。故にこれを反転させるためには米利下げと日本の利上げが複数回続くぐらいのことがなければ実現しません。故にインフレは今後も続きますし財政赤字は財政インフレとなって国民生活を圧迫し続けます。そんな局面での「バターより大砲」の防衛費増額はさらに国民を苦しめます。

産業政策としての半導体ですが、台湾TSMC熊本工場の影響で関連企業の投資も呼び込んでますが、政府の補助金大盤振る舞いが功を奏してるものの、日本企業はあくまでわき役ですし、電力と水を大量消費する半導体産業の成長の持続可能性はいかほどか。AIブームで時価総額が一時アップルを抜いたエヌビディアのGPUの電力消費の大きさから、気候変動問題がAIで解決可能になるか寧ろエネルギー消費を増やして気候変動の原因になるかという議論が既に始まっており、著作権やフェイク問題、さらに労働市場への悪影響など不確定な問題が山積しております。国や財界は円安メリットとしての製造業復権に期待があるようですが、生産年齢人口の減少が立ちはだかります。そこで政府は技能実習生に代わる育成就労を制度化して外国人労働者を増やそうとしてますが、そもそも円安で稼げなくなった日本にわざわざ来る外国人がどれだけいるのか。本当に現実が見えていませんね。こんなニュースも。

企業物価指数、5月2.4%上昇 4カ月連続で伸び率拡大 - 日本経済新聞
消費者物価の先行指標とされる企業物価指数の上昇が続いており、転嫁が進めば消費者物価に波及することは確実です。「物価と賃金の好循環」が如何に空疎かということです。加えてこれは日本だけではありませんが、企業の価格転嫁が便乗値上げの疑いが指摘されております。これはマクロデータのGDPデフレーターに見られるGDPの名目値と実質値の乖離が欧米も含めて大きく、名目値はプラスなのに実質値はマイナスという状況が続いています。つまり企業の強欲が国民を苦しめている訳です。こうした企業にとって心地よい状況を続けるには企業献金やパーティ券購入で政治家に裏金作らせて見返りを求めることは続けたい訳です。

とはいえ労働力不足は簡単には解消できず、特にサービス業の人手不足は深刻で、2024年問題による働き方改革も影響します。特例で長い待機時間を認められていた運輸業も規制対象となります。故により多くの人手を確保しないとサービスを維持できない訳で、運賃値上げの要件緩和もあってJR東日本をはじめ各社が値上げに動いています。DXブームに乗ってみどりの窓口を減らしたり営業時間を短縮したりしたものの、ネット予約や指定席券売機のユーザーインターフェースの使いにくさもあってJR東日本は見直しを宣言しました。複雑な運賃料金制度やマルスシステムの縛りもあってうまくいきません。故に省力化も足踏みとなる訳ですが、そうなると例えば豪雨被害で長期運休中の肥薩線のように、道路予算や河川予算を投入してJR九州の負担を軽減しても、JR九州が渋っているために復旧が手つかずとなってますが、仮に復旧しても赤字路線だし、そこに人手が取られれば全社的にマイナスという判断になる訳です。

よく引き合いに出されるJR東日本只見線では福島県と沿線市町村で54億円を負担して線路を普及した上県が第三種事業者となって第二種免許を受けたJR東日本が運行する上下分離形態で復旧したものの、福島県包括外部監査ではバス転換の方が地域活性化できた可能性があると指摘されるなどしており、これが今後のローカル線維持のロールモデルになるかどうかも不明です。やはり災害で長期運休中の津軽線中小国―三厩間もバス転換が決まりました、但し人手不足が深刻なバスによる転換も今後は困難が予想されます。という訳で政治家や企業のやりたい放題を放置した結果、ドン詰まりの未来しか見えないのが現状です。

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Saturday, June 08, 2024

不正を生む会社の掟

自動車メーカーの検査不正でほぼ全メーカーで不正が発覚し、トヨタ会長が謝罪会見するに至りましたが、そこでより厳しい基準で行われた検査結果を理由に「安全に問題はない」とされたことに問題の本質が滲みなす。

「三菱自動車」に学んだのか 型式指定、企業任せの功罪 認証不正 日本品質のおごり㊦ - 日本経済新聞
2016年に発覚した三菱自動車の燃費不正問題では、検査方法の異なる欧州基準のデータを流用したことが問われてますが、トヨタのケースでもエアバッグの作動で日本機銃よりも厳しい基準だったから安全に問題はないと言っている訳ですが、国が定めた検査方法と異なった検査だったから法令違反ではあります。つまり法令の独自解釈が広く行われていた結果、それが表沙汰になった訳です。つまり当事者である検査担当社員に不正の意図はなかった訳です。

クルマのというプロダクツが技術革新で複雑性を増していて内燃エンジン車でもペダルやギアレバーもワイヤーやロッドでつないでいる訳ではなく、センサーで感知して電子回路で伝達する電子制御が当たり前ですし、更に自動ブレーキやハイブリッドやEVも登場し、検査に時間がかかる一方、収益部門ではなく人員の補充のない中で、新車開発期間の短縮が要請され、検査で不合格を出す訳にもいかず、現場レベルの知恵として行われていたという実体があります。今回のトヨタ等の不正発覚も、日野、ダイハツ、豊田自動織機などの珪検査不正を受けて内部調査した結果出てきたもので、ある意味内部告発で発覚した三菱自動車やダイハツよりも深刻ということも言えます。

そしてこうした検査を巡る不合理の是正は今後の議論となるでしょうけど、もう一つ言えば日本より厳しいと言われるユーロ基準準拠の輸入車に対しても同じ検査方法で型式認証を求めている訳ですから、公正な競争の観点からも問題です。さらにいえば、こうした検査部門の現場の問題を経営陣が把握できていなかったことは深刻です。政治献金やパーティ券購入で国の予算取りや減税や補助金や規制緩和の働きかけには熱心なのに、足許の製造現場の声を聴いて業界団体から監督官庁(今回は国交省)へ働き掛けて法改正という正規ルートが機能していないこともまた可視化されました。その結果一部車種の生産停止等で社員やサプライヤーに迷惑をかける訳です。

一方政治資金規正法改正案は自公案に維新が乗っかる形で衆院通過して参院に送致されました。議員立法ですから各党各会派が提出した独自案それぞれについて趣旨説明と質疑が行われた後に委員会採決を経て本会議採決となりますから時間がかかりますし予算案のような衆院優越もありません。それでも自公維案は穴だらけで透明化とは逆行してます。そのココロは資金の出し手の名前が出ないようにしないとお金が集まらないからですが、ここを見直さないと検査不正のような問題は解決しません。現場を知らない政治頼みのけいえいしゃばかりじゃ日本は衰退するばかりです。

似たようなことは他業界でもあって例えば三菱電機の鉄道車両用エアコンの不正なども同じ構図です。現場では正しいことをやっっているつもりで不正を働く訳ですから、悪意がない分深刻でもあります。そしてこんなニュースもありますが、果たして悪意ありやなしや?

「Kアリーナ横浜」結ぶ歩道橋に設計ミス、必要な鉄筋量を満たさず強度不足-日経XTECH
アイドルイベントなどで歩行者の混雑が問題視されて混雑解消を目的とした横浜みなとみらい地区の新歩道橋が設計ミスで開通前日の5月31日に開通延期されました。支柱に大きなひび割れが確認されて発注主体の横浜市からの問い合わせに当初「問題ない」と回答していたJR東日本コンサルタンツが直前に設計ミスを知らせた結果ですが、構造計算の結果必要な鉄筋が不足していたということで、これから原因究明されるのでしょうが、JR東日本のグループ企業としての信用失墜は避けられません。構造計算のミスがどうして起きたのか、同社が手掛けた他の構造物に問題はないかなど続報を待ちたいですが、鉄道関連の構造物を手掛けているだけに問題が尾を引く可能性もあります。近頃おかしなJR東日本ですが、別の機会に深掘りしたいと思います。

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Sunday, June 02, 2024

終わらない後始末

アベノミクスの後始末関連で幾つか。小林製薬紅麹サプリの健康被害で青かびによるプベルル酸原因説の蓋然性が高まり、紅麹培養過程で青かびが混入したらしいということで、小林製薬の衛生管理に問題があったのは間違いないですが、それに留まらず健康成分を凝縮したサプリメントで規制の緩い特定保健用食品というところに違和感があります。規制の緩さ故にメーカーのモニタリングが甘くなった可能性は指摘できます。特に健康成分を濃縮したサプリメントは過剰接収の弊害が見落とされがちで、この面からの運用見直しは必要です。そしてリニア問題で注目の静岡県知事選。

静岡県新知事に鈴木氏、「県中・東部でも仕事で信頼」 知事選2024 - 日本経済新聞
川勝氏の後継と目された鈴木氏の当選は順当で与野党対決の構図よりもリニア静岡工区の着工問題が注目されました。鈴木氏自身はリニア推進を掲げていますが7割は反対とされる県民のリニア着工を巡る世論もあり、選挙期間中に微妙に態度を変えています。そしてこのニュースがかなり影響したようです。
リニアトンネル工事で井戸水位低下か 岐阜県瑞浪市で14カ所 - 日本経済新聞
大井川だけじゃなかった水問題ですが、実は山梨実験線の建設段階から井戸の枯渇などはいくつも発生していたものの、金丸信氏の鶴の一声で決まった経緯からか政治的にナイーブな問題としてあまり報道されませんでしたし、トンネルの多いリニアのルート故に静岡県以外でも当然起こりうる問題ですが、おそらく大口広告主としてのJR東海への忖度や当事者への個別補償で表に出なかったりだったのでしょう。しかしリニアにメリットのない静岡県故に大井川の水問題は抑えられず、またJR東海は水を全量戻すと言いながらトンネル工事が終わってからと当事者の神経を逆なでしてきたことで県民感情を悪化させてきました。そして川勝知事の突然の辞職を受けての静岡県知事選というタイミングでの報道ですが、開業時期が見通せないリニアの神通力が働かなくなったのでしょう。当然ながら鈴木新知事もJR東海に説明を求めています。

国策で進められているリニア事業が地方からストップがかかる構図はこれだけじゃなく、例えば佐賀県玄海町の各廃棄物最終処分場候補地の文献調査問題で山口知事が待ったをかけたりとか、辺野古の新基地建設を巡る沖縄県玉城知事の対応とか、国の動きに待ったをかけるという意味で地方首長選びは重要です。そんな中で都知事選への蓮舫氏の出馬表明がありました。五輪霧中などで繰り返し指摘してきた不正だらけの神宮外苑再開発が止められるかもしれません。そして国連も後押しします。

神宮外苑再開発「中止を」 ユネスコ諮問機関が会見 - 日本経済新聞
「文化遺産の不可逆的な破壊だ」というのは、元々明治天皇崩御を受けて地権者や国民の寄進で成立したメモリアルパークとしての神宮外苑の性格を踏まえたもので、私的所有を制限して成立した文化遺産を商業的に再開発することへの批判です。五輪関連の疑惑や不祥事は他にもいろいろありますが、とりあえず神宮外苑の再開発が止められるなら蓮舫氏だろってことですね。五輪の後始末も大事です。

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Saturday, May 25, 2024

賃金ホントに上がってる?

円安が止まりません。こどもの疲弊で指摘したように、3月の日銀政策決定会合でマイナス金利解除、YCC終了、ETF等の購入終了を決めた後、日銀は政策の現状維持を続けている一方、米FRBも現状維持ですから、金融政策に変わりはないのに、何故か為替は円安に動いています。4月決定会合の後の植田総裁の発言が円安容認と取られたと批判されてますが、米雇用統計の弱い数字で反転しました。その間日本政府の覆面介入があったと言われ、荒い値動きがありましたが、終わってみれば植田発言と米雇用統計という金融政策上のイベントに反応しただけでした。

しかし最近の円安進行でまたドル円157円まで進みました。米雇用統計の弱含みでFRB利下げ前倒しが起き、4月の植田発言を円安インフレの可能性を示唆した植田総裁の修正発言から、日米金利差が縮小して円安反転という展望が言われる中での出来事ですが、日米金利差を名目で見るか実質で見るかという視点で説明できます。指標とされる10年物国債金利で米4.5%に対して日本国債0.75からYCC終了で徐々に上がって1%を超える水準にありますから、名目値は微妙に差が縮まっていますが、ここへ来て米インフレ率の低下で実質金利差が寧ろ拡大しています。

名目値をインフレ補正して実質値が求められますから、米金利は実質プラスに対して日本は実質マイナスで、しかも米インフレも鎮静化が見られる一方、日本のインフレはしぶとく、特に6月に予定される電気料金値下げの補助金も止まって大幅値上げがアナウンスされてますから、実質値の先行きも金利差拡大が予想されます。4月の植田発言を実質金利がマイナス圏にあることから「緩和的」と表現したという意味では正直ではありますが、円安の戦犯扱いは気の毒です。とはいえ「好循環」と言われる賃上げに疑義のある分析も出てきています。

年金データで見る賃金動向 大企業の上昇率、中小に劣後 西村清彦・政策研究大学院大学客員教授、肥後雅博・東京大学教授 - 日本経済新聞
去年の23年春闘で大幅賃上げがアナウンスされてますが、それが公的統計の賃金構造基本統計調査と毎月勤労統計でどう反映されているかを見ると大きなズレがあるばかりか公的統計同士でも異なった動きである点から、同時点での厚生年金標準報酬月額から数値を拾って実態に迫ろうとした結果、思いがけない事実が浮かび上がってきます。

厚生年金の標準報酬月額は厚生年金保険制度の執行上の実数であり、サンプル調査の公的統計と異なる全数でもあり、また業態別や規模別など大企業対象の公的統計では把握できない情報も取れます。その結果「大企業の賃上げをいかに中小に波及させるか」という問いとは逆に、中小ほど人手不足から賃上げを迫られ、大企業ほど当事者発表のベースアップとは裏腹に平均賃金が低下している実態が見えてきます。

考えられるのは大企業ほど女性や高齢者の非正規採用を拡大して結果的に賃金を抑制しているけど、中小ではそもそも非正規では人が集まらないし、元々マンパワーが限られるから女性であれ高齢者であれ適材適所で処遇しないと回らないということもあるようです。加えて今や大企業ではほぼ当たり前になっている役職定年制度の影響もあるでしょう。50歳になったら部長や課長といった役職を外れて役職手当を受け取れなくなるばかりか平社員待遇で年下の役職者の部下になるなど過酷な対応がされてます。加えて賃上げの一方で希望退職募集で正社員を減らすなどもしていたり、非組合員の役職者は手当てはもらえるけどベースアップが抑えられたり、ジョブ型雇用の美名で事実上の固定残業制を呑まされたり、あるいは成果連動給込みだったりといったことが行われていると考えられます。つまりそもそも賃上げがウソだったかも。その一方でこんなニュースもあります。

地方のインフレ、観光・半導体が先導 賃上げ体力に格差 物価を考える 試される持続力(4) - 日本経済新聞
半導体やインバウンドで盛り上がっている地域でも人手不足は深刻で、地元企業の雇用維持のために自治体が補助金を出して雇用維持を図っています。元々若者は少ないから女性や高齢者の雇用機会が増えていると考えられますが、持続可能性はあるか、あるいは他業種の地場賃金相場を押し上げて悪影響はないか、対応できない自治体はどうなるかなど課題はあります。そして定額減税が実施されますがこれどーなの?
定額減税額、6月から給与明細に明記 企業に義務 - 日本経済新聞
3月期決算企業では決算事務や株主総会開催で超多忙な6月に余計なお仕事です。減税額を明細書に明示を義務付けるということが実務上どれだけ負担になるかはお構いなしですね。こんな資料があります。
給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分)
国税庁のホームページにある令和6年の源泉徴収月額表です。所得税の源泉徴収を義務付けられている企業の給与計算事務の円滑化のためのツールとして公開されているものですが、1人3万円の国税分の減税額を単月で控除できるのは扶養家族0人で社会保険料控除後503,000円以上からで、そこそこ高所得者ですが、更に扶養家族分だけ3万円の控除が積み増される訳ですから、殆どのサラリーマンでは単月控除は不可能で翌月以降に繰り越されます。給与額が低ければ毎月の控除だけでは間に合わず年間所得確定後の年末調整にまで持ち越されるケースも出てくるでしょう。つまり個人ごとに状況が異なりますが、大企業ほど給与計算が基幹業務システムに組み込まれている可能性が高く、そんなレガシーデジタル資産を抱えて個別対応の難易度は高くなります。加えて6月に限り地方税の控除差し止めも義務化されてますから自治体にも煩雑な事務作業が発生する訳です。こうした現実に無頓着で見た目を取り繕う姿勢では、マイナンバーカードを含めてDXがうまくいく訳がありません。当然人為ミスの発生も出てくるでしょう。当面給与明細をしっかり確認する必要があります。

更に言えば民間や地方には平気で負担を強いる半面、政治資金規正法改正では抜け穴づくりに余念がない訳ですから、政治不信はますますたかまります。減税アピールが寧ろ評判を下げる訳ですが、それ以上に気になるのが経団連や連合の談合で賃上げをアピールして反映される6月に定額減税を開始することで見た目の手取りが増える演出をしながら、一方で異次元の少子化対策の財源として社会保険料が値上げされるのも6月からですから単なる目晦ましですね。それが見え見えなのにそこを突っ込まないメディアも問題です。まるで戦前です。

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Saturday, May 18, 2024

裏金のウラ

裏金のウラでこどもの疲弊は高まりそうです。

離婚後も父母で育児 共同親権、「子の幸せ」双方に責任 - 日本経済新聞
結局ろくな国会論戦を経ずに成立した共同親権を認める民法改正ですが、意味不明です。親権は子供を育てる義務を負う権利ですが、子持ち世帯で離婚が発生した場合、経済力のない妻側が親権を取り。経済力のある夫側が養育費を支払うことで離婚を成立させるケースが多い訳ですが、養育費はしばしば支払われないとか、夫の父親としての面会権は法的に担保されているのに誤魔化してそれを梃子に進めたりしてます。加えて既に離婚したカップルにも遡及されるというのも法の非遡及原則に反します。

DV夫の問題などは言われますが、子供のパスポートの取得や受験、手術などに共同親権者の同意が必要になり手続きも煩雑ですし、悪用されれば養育費不払いの口実や児童手当の折半や最悪「イッパツやらせろ」もあり得ます。加えて子連れ再婚も難しくなるし、既に子連れ再婚している場合も生みの親の権利として割り込んでくるとか、寧ろ子育てのコストを高めます。これのどこが子育て支援であり少子化対策なのか?寧ろ婚外子を含むひとり親世帯の子育てを直接支援する方が少子化対策になるのではないでしょうか。

これ以外にも採らぬ狸の戦争の配当で触れたセキュリティクリアランス法や戦争は経営でできているの農業基本法改正などのトンデモ立法が国会をスイスイ通過している現状があります。にも拘らずニュースでは政治資金規正法改正の話題ばかりで、更にNTT法改正や緊急事態対応で政府が地方に命令できる地方自治法改正などのトンデモ立法予備軍が目白押しです。裏金問題が目晦ましになっている訳です。とはいえ裏金問題はこれはこれで無視できない問題だけに、政治が機能せずに政府の暴走が止まらないということでもあります。これ繰り返し述べてますが、戦前の政治不信の果てに戦争へ進んだ歴史に酷似します。

この辺は帝都電鉄物語でも論じてますが、政治不信が行政の統制強化を誘い戦争へといざなった歴史を繰り返すことは避けなければなりません。といった堅い話とは別に、このエントリーで示した戦前のマネーゲームの異常さはこんなことでも見えてきます。

消える新京成電鉄の社名 歴史が生んだ「くねくね路線」 ググっと首都圏 - 日本経済新聞
映画「戦場にかける橋」で有名な泰緬鉄道の建設にも関わった旧陸軍鉄道連隊の演習線跡地の払い下げで誕生した新京成電鉄ですが、軍事施設故にGHQに摂取された旧鉄道連隊跡地を巡っては西武鉄道も動いていたと言われます。裏でどのような動きがあったかは定かではありませんが、当時高田馬場馬起点だった西武線の新宿延伸と引き替えに京成への払い下げが決まったと言われております。戦後早々の利権漁りはGHQから始まりました。

当時は無人の原野だった北総台地ですが、東京に近い立地の良さに加えて地盤が安定していたこともあり、松戸市の常盤平団地を皮切りに、沿線で大規模な宅地開発が続き、輸送力増強に追われながらも親会社の京成電鉄の旧型車の支援もあって経営は好調で、子会社ながら株式上場して投資家から資金を集める独自経営が可能になります。地域的に京成との棲み分けも可能だったこともありますし、都営地下鉄との相互直通運転対応で4ft6in(1,372mm)から4ft8ub1/2(1,435mm)への改軌や1号線規格の新車増備などで資金面で厳しかった京成にとっては子会社上場で身軽になるし、用途廃止の旧型車の引受先としても重宝だったという面もあります。

ところがバブル崩壊後の株式持ち合いが問題視され、親子上場は特に狙い撃ちされやすいということもあります。同時にそれは三井不動産との合弁事業としてスタートしたオリエンタルランドの好業績も狙い撃ちされることになります。そこへコロナ禍で空港輸送激減で京成本体が直撃され、オリエンタルランド(OLC)も不振ですが、地域輸送に特化した新京成は好業績を維持しました。そしてコロナ明けで京成本体とOLCが業績回復すると、投資家からのアタックが強まります。

京成電鉄はOLCの好業績高配当のお陰で利益水準が下駄を履いた状況だった訳ですが、それが無ければ株価収益率(PBR)0.5という資本効率の低さは笑う鬼退治でも指摘しました。京成のOLC保有株の時価が京成自身の時価総額の1.6倍にもなり、一部売却でも大きな資金を手にすることが可能ですが、京成自身は空港輸送というもう一方の金の生る木を抱えていて新たな投資案件が見当たらないということもあり、自社株買いによる株主還元の原資にせよという圧力とも見えます。

それに対して京成が示した回答が新京成電鉄の子会社化による上場廃止と経営統合によるシナジー効果獲得ということで、既にOLC株売却で500億円の営業外収益を得ており、新京成の経営統合の資金に充てるという画を描いた訳です。鉄道事業だけを見れば例えば運賃の一元化は成田空港線運賃やちはら線運賃までは無理だし、京成線と新京成線だけの一元化はさほど意味がないので、寧ろ独自に展開された両社のバス事業や不動産事業の統合に狙いがあると見られます。投資家に迫られて追い込まれてという点は戦前の帝都電鉄に似てますが、統治の透明性が求められる時代故に変なことはできないという訳ですね。ピンクの電車もいずれ過去帳入りするかもしれません。それにつけてもで出口の目見えない裏金問題です。

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