鉄道

Sunday, July 12, 2026

DOGEな猿真似も見苦しい日本のTACO

国会終盤の空転解消で動き出した国会ですが、熟議とは程遠い強引さはTACO(Takaichi Always Charenges Official)*1そのもの。人の話を聞かず答弁を勝手に変える高市首相を国会に出したくない与党は結局数の力で強引に一転突破するしかないわけです。あれこれ突っ込みどころ満載ですが、ここでは2点だけ指摘します。

まずは皇室典範改正ですが、憲法で定義された国民統合の象徴からかけ離れた議論で決着しました*2。産経を除く新聞各紙は審議を尽くさない国会運営に苦言を呈します。これ事実上の憲法解釈の変更ですからね。世論もその点は政権に逆風です。にも拘らず付帯決議で歯止めを狙った中道改革連合が与党に突っぱねられたにもかかわらず賛成に回ったことは禍根を残します。逆に与党の強引な国会運営を批判するチャンスだし、立件と公明の3党合流で大きな塊を作って政権交代を目指すんじゃなかったのか?

あと個人情報保護法改正案ですが、専門家も警告を発しています*3。経済界からのAI学習のデータ活用で、個人データの利用に本人同意が必要で、匿名化も含めて手間とコストがかかることから規制緩和が求められたものですが、政府はそれに対して情報類型を増やして対応した結果、対応が寧ろ複雑化しますし、漏洩の心配から利用が忌避されることもあります。KDDIのメールアカウント不正アクセスとパスワード漏洩のように*4外部からのアタックや、そもそも企業の法令順守がいい加減だったりということもありますし、仮に漏洩したり利用目的を逸脱しても、個人レベルでは察知できませんし、AIで容易に名寄せされてしまうことになります*5。規制緩和を求めた企業も戸惑っています。

拙速な政権運営は例えばこんなところにも表れてます*6。官僚の言うことを聞かないTACO政権ですが、寧ろ易々と官僚に操られている実態があります。熟議を経て対立を乗り越えた一致点という意思決定の正当性がないからこういうことになる訳です。正当性で官僚を抑えられない。それが如実に表れたのが骨太ショックですが*7。同エントリーで取り上げた京成電鉄の新型特急の続報です*8。京成はスカイアクセス線の部分線増も予定しており、千葉ニュータウン中央~印旛日本医大間で並行する成田新幹線の路盤活用でスカイライナーなど有料特急を160km/hで走らせることで、スピードアップと増発を図るものです。

てことで成田新幹線の遺構の活用となります。元々都心から遠い成田空港のアクセスに新幹線を建設する国策だったもので、成田闘争で遅れた成田空港の建設に併せて成田線分岐点の土屋~成田空港間の路盤とトンネルと空港第2ビル、成田空港の駅部は作られていたわけですが、その煽りで京成電鉄の成田空港線はルートが被るといういことで現在の東成田駅からバス連絡でターミナルビルへ向かうという形で建設され開業しました。しかしせっかく作られた成田新幹線の遺構を活用すべきじゃないかということで、国鉄と京成で争った結果、当時の石原慎太郎運輸相の裁定で単線並列で双方がシェアする形に落ち着きました。

それとは別に成田新幹線の都心側ルートを活用したルート案も提案され、現行京葉線都心ルートから都市計画8号分岐線新(有楽町北進線)ルートで押上に至り、押上線から北総ルートで成田空港へ向かうというものでした。結局実現はしなかったものの成田新幹線の遺構活用は模索されて、のちに成田スカイアクセス線として実現した訳です。国家プロジェクトに依拠しながら実現しかかった部分を乗っ取った形です。報道では京成の成田湯川からの新線は高架で新ターミナルに乗り入れる形のようですが、結果的にかつて成田空港駅を名乗った東成田既に近接します。この辺の詳細はまだ報じられておりませんが、芝山鉄道がどうなるかなど絡みます。

そして千葉県と関連9自治体には課題ものしかかります。成田空港拡張で土地収用制度活用で成田エアポート(NAA)に同意しました。県も自治体も成田闘争の記憶から及び腰でしたが、国策ということで渋々同意したものです。用地買収交渉は県と自治体が担うわけです。高齢化や代替わりで穏健化しているとはいえ、国との戦い方の経験値が高い地権者との交渉は簡単ではないでしょう。となると地元への見返りの位置づけの芝山鉄道に何か動きが出る可能性はあります。九十九里延伸までは無理でも若干の路線延長や増発はあるかもしれません。いずれにしても強引なやり方では話は進まなくなるということは言えます。TACOじゃダメなんです。

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Saturday, July 04, 2026

骨太ショックで複雑骨折

前エントリー*1のタイトルで「正体」のつもりで「招待」に誤変換^_^;。しかし内容と齟齬がないのでこのままで訂正はしません。ポピュリズムを呼び込む政治状況は日本に留まらずBrexitやトランプ現象も同様です。結局政治のエンタメ化で絡めとられるどうしようもない現実だけは続きます。

てことで本題に入る前にBusRama最新刊(216号)で和田編集長がEVMJ問題でコメントを載せてます*2。ザックリ言えば地獄への道*3で述べた中国EVのアジャイル開発の波に吞まれて、工業製品につきものの初期不良対策ができていなかったということです。一方でネットで炎上した中国製で詐欺だとか選定プロセスの疑義などは踏み込まない慎重さで好感が持てます。特にブレーキホース損傷などのリコール案件は、修理すれば使用可能だった車もあったはずですが、自動運転社会実験用40台を含む全190台の減損処分には疑義を呈していて大手メディアにはない視点を提供しています。大阪では議会で突き上げられており、まるで証拠隠滅でもするような全車処分はむしろ意思決定過程を不透明にします。少なくとも失敗を認めて教訓を後世に残す姿勢ではありません。これサナエトークンやt中傷動画問題と似ています。

てことで本題ですが、経済財政諮問会議の骨太の方針が発表されました。予想通りの積極財政路線ですが、市場は早速反応しています*4。3日の債券市場で長期金利の指標となる10年物国債金利が一時2.81%をつけて3%をうかがわせる動きとなりました。また金利上昇観測から2日に2.7%で実施された国際入札は不調で、原因は政府が日銀の利上げに消極的なことで円安が進むと市場が見た結果です。利上げしても円安といっても、欧米の金利水準よりかなり低い上にインフレ補正の実質金利は相変わらずのマイナス圏ですから、日本国債を積極的に買う理由がない訳です。

やや長くなりますが、日本経済の複雑骨折ぶりがあぶりだされました。先月の日銀の利上げは予想通りだったけど、政府は難色を示していました。上田総裁は政権の圧にやや弱気だったようですが、病気の治療を理由に異例の政策決定会合欠席となりましたが、審議委員5名が利上げ賛成を表明していましたから利上げは既定路線だったといえます。そして政府は盛んに為替介入をにおわせて市場けん制を試みましたが、ドル円162円台をつけても動かなかったように、実際には原資となるドル預金を4~5月に11.7兆円も使って155円台に戻したものの効果は1月で剥落しさらに円安が進みました。市場は介入警戒ムードで小刻みな動きでしたが、結局介入はないと見てより利回りの良いアメリカ国債やAIブームに沸く株式投資の原資になるドルが買われてじりじりと円安が進みました。政府は意に染まぬ日銀の利上げを今回は為替介入が困難だから容認したという背景が透けて見えます。その裏には為替介入のために保有米国債を売られることをアメリカが嫌っているという事情もあります。

そんな中で明らかにされた骨太の方針が予想されたとはいえ財政出動のオンパレードで、財源としてインフレによる税収上振れを当てにしています*5。2025年度に2.6兆円の剰余金が発生したことから、税収上振れ3兆円を見込んで国債発行を抑えるとしてますが、つまりインフレが進行することを前提にしているわけで、その分国民生活が圧迫されることには向き合わず、単なる帳尻合わせをしている訳ですが、インフレが進めば遅れて金利上昇は避けられないから、国債の利払い費の負担も増すことは考慮されてません。日銀に圧をかければ低金利が続くというアベノミクスの劣化コピー版の経済見通しを打ち出したことで複雑骨折と表現すべき状況です。

そうは言うけど日経平均株価は上がってるじゃないかともいわれますが、これアメリカのAIブームの流れで半導体関連が買われている結果の株高で、半導体以外はほぼ横ばいです。株価以外全部沈没をご参照ください*6。ちなみに同エントリーで取り上げた京成電鉄の押上発着の有料空港連絡列車の続報です*7。現在成田空港ではB滑走路の1,000m延長と3,500m級の新滑走路整で大型機発着が可能な3,500m級滑走路2本として、分散しているターミナルも統合するというもので、実現すれば1.5倍の発着枠拡大が実現しますが、そうなると鉄道アクセスの輸送力不足が問題になります。現状でもスカイライナーやN'EXは満席が多く、アクセス特急や快速エアポート成田も時間帯によって混雑する状況です。

京成電鉄は2027年運転開始を予定する押上発着の湯量特急を30年代に都営浅草線と京急に直通させて羽田空港と成田空港を結ぶ構想で、成田新幹線の遺構を単線並列でJRとシェアする成田湯川~成田空港間を複線高架の別線で建設し新駅を設置し、JRは京成が新線移行後に線路を改築して複線化し、京成は有料特急毎時6本、アクセス特急毎時3本と倍増し、JRもN'EXを毎時4本と倍増する計画です。統合新ターミナルへの移行が前提となりますから、具体的な時期は明示されておりませんが、新滑走路整備を含めて用地買収が難航しており、遅れることは確実です。加えて供用時間拡大問題でも地元の同意が必要で、こちらも流動的です。資金問題は国や県などと協議されるようですが、京成本線ルートや東成田駅、芝山鉄道の扱いなどは報道にはありません。

あとJRは羽田空港アクセス戦を活用した羽田成田連絡輸送を目論んでおり、おそらくりんかい線を介した京葉ルートでの実現を狙っていると思われますが、その場合京葉線から総武快速線への渡り線整備が欠かせません。候補としては高谷支線活用の西船橋ルートと千葉みなと~本千葉を結ぶ連絡線新設などが考えられますが、どちらも実現のハードルは高いといえます。加えて軽京成新線の整備後の複線化と実現時期も京成の後になるという意味で苦しいところです。そしてインバウンドの拡大が前提ですから、円安が進んで国民生活はさらに窮乏すると考えると、手放しで喜べないところです。確かに便利にはなりますが、果たして国民を幸せにするものかどうかは微妙です。

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Sunday, June 28, 2026

ポピュリズムの招待

EVMJ製の万博EVバス150台*1と府内自治体の自動運転バス向け40台の計190台が減損処理されました*2。万博のほろ苦い後始末です。加えて南河内地区で予定されていた自動運転バスは日野のディーゼルバスで行うことになりました*3。有権者の歓心を買って票につなげることしか頭にない維新の雑な政策運営がもたらしたトラブルです。しかしそれに引っかかる有権者ってのもどうなんだか。

マルクスが面白いことを言っていて、同じように貧困の淵にあっても賃労働に雇われた労働者と雇われていない物乞いなどの違いとして、後者は簡単にブルジョワジーに買収されてプロレタリアートに敵対する存在というう意味で「ルンペンプロレタリアート」と呼びました。団結を台無しにする存在として警戒したわけです。同様のことは日本の吉本隆明が大衆について述べたことと通底します。大衆は保守的で目先の利害しか見ないからインテリがいくらアジっても動かず、彼らが動くのは自らの生存に危険が迫った時だけということです。例えば右派インテリの三島由紀夫の檄に反応して武装蜂起しなかった自衛隊員という構図です。

マルクスはまた公娼制度についてもプロレタリアートを懐柔する娯楽と指摘します。娯楽の少なかった初期資本主義社会ではセックスの娯楽としての意味は大きく、故に所謂貧乏人の子沢山で世代を超えた労働力の再生産も安定していましたが、逆に扶養人口の増加は貧困をもたらすので、生殖から切り離されたセックスの必要性もあった訳です。但し資本主義の進化の過程で映画やテレビなどの娯楽が登場してそちらに関心が移ることで、公娼制度のニーズは低下します。更に進めばアイドルやアニメなど作り物のバーチャルな娯楽が登場して消費者としての個人に分断が進みますから、生殖を伴うセックスのようなメンドクサイ娯楽はむしろ敬遠されます。少子化は必然と言えます。

そうなると労働力の補充ができなくなって徐々に経済成長を押し下げますから、資本家が上前を撥ねるのが難しくなります。だから欧米では早くから移民で労働力を増やす政策が採られました。最初は主に植民地住民の本国への移転だったものが、戦後植民地の独立後も移転を受け入れ続けた結果、移民による労働力の補充が続きました。故に移民の多くは旧植民地から旧宗主国へという流れが主流でした。しかし日本は戦前は同じ帝国臣民と言いながら、戦後朝鮮半島出身者などを国民とは認めず、所謂在日問題となっています。だから原因は戦後の日本政府が作ったもので、彼らへの差別は全く正当性がありません。

やや遠回りしましたが、嫌韓嫌中やクルド人問題などのヘイトクライムも娯楽化していることが問題ですが、インフレに苦しむ国民の関心を逸らす意味はあります。国民をシカトして*4やりたいことしかやらないうましか宰相*5が下がったとはいえ高支持率なのも、政治が娯楽化した結果です。文春砲の中傷動画問題はそんな現実を暴いています。しかしその裏で日本の国富は食われています*6。5500億ドルの対米投資で国際協力銀行(JBIC)とメガバンクの協調融資で手当てされますが、メガバンクが音を上げています。ドル建て融資となるけどドル預金は少なく、市場で調達すれば円安が進みますます調達困難になるから難易度は上がります。対策として日銀のドル供給オペや外為特会活用などが言われてますが、日銀オペは経済ショックなどに備えたものだし、外為特会活用は米国債売却につながるとアメリカを刺激するしで打つ手なし。限られた民間銀行の融資余力を減らせば国内を含む民間投資を阻害するしで、基本的に打つ手はありません。てことでアメリカに貢ぐ姿勢は相変わらずですが。

銀行の融資余力の減少は金利上昇を通じて公共投資も民間投資も下押ししますから、政府が掲げる戦略17分野の成長戦略も動かすのが困難です。日銀利上げで銀行は日銀当座預金の超過準備に1%の利子がつく一方、預金金利は1年定期でも0.4%とかって水準ですから、融資余力を拡大するには預金集めが重要ですが、「貯蓄から預金へ」の掛け声で新NISAに家計貯蓄が流れてますから預金獲得のハードルも高くなってます。てことでカネ余りなのに銀行がピーピーいっているという摩訶不思議。まともな経済政策とは程遠い現状です。前エントリーで取り上げた阪急のなにわ筋連絡線や新大阪連絡線も着手できるかどうか。

また阪急の計画の前提のなにわ筋線にも異変が起きています*7。幹となるなにわ筋線の事業費が倍増しています。三セクおおさか高速鉄道が府と市に3200億円の追加出資を要請したものです。大阪府は泉北高速鉄道の売却益で、大阪市は市営地下鉄と市営バスの民営化で手当てした資金では足りず*8、追加出資をすることになるわけですが、万博で見せた泥縄*9は維新しぐさかい!尚、五輪、万博、ワールドカップなどの国際イベントも娯楽として消費されますし、ナショナリズムを鼓舞するから支配層にはおいしい話になります。また副首都や都構想も大阪人の首都東京へのナイーブな対抗心をくすぐり票につなげてます。

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Sunday, June 21, 2026

食われる公共

AIの投資考*1の中傷度が問題で公開された動画の一部に総裁選前の画像が確認されたということで、文春と共同通信が動画公開を見合わせました*!。高市シンパをぬか喜びさせたネタですが、週刊文春今週号記事で種明かしされてます。疑惑の動画20本中4本以外は問題はなく、疑惑は微塵もゆるぎないものです。またサナエトークンの無許可販売は明確な違法行為であり、金融庁がどう動くかはわかりませんが、動画制作者とされる松尾氏が週刊現代の取材には応じず文春に持ち込んだのもサナエトークンでの訴追を逃れるための目くらましの可能性があります。首相案件だけに金融庁は動きにくいとしてもデジタルチンピラのマネタイズに利用された脇の甘さは指摘できます。

そんな中で郵政事業をめぐるこんなニュースもあります*4。郵政民営化の後退というよりも、郵政を支えてきた金融事業の利権切り出しの結果、郵政事業の赤字体質が顕在化したってことです。とはいえ郵便条約で公的に維持する必要があるから公金を投入するというわけですね。こうなることはわかってましたが。結局新自由主義的な民営化路線は、公共部門の事業を民間が儲かるように切り出して食い物にするだけです。そして五輪や万博のような国際イベントも、公共部門が音頭を取って民間に儲けさせるだけってことです。経済成長の結果、投資収益逓減の法則で利益率が傾向的に低下して儲からなくなる一方、新興国の工業化で追いあげられる中で、税金その他で公共部門に集まる公金を狙ったビジネスにシフトしていくという構図です。

これ国鉄分割民営化でも同様のことが起きています。リニアひろば*5の都市計画道路音大のように民営化JRに自治体が便宜を図るような倒錯が起きるわけです。そもそもJR東海の単独事業だったはずのリニア中央新幹線ですが、財投資金3兆円投入も30年低利据え置き後の返済という民間融資ではありえない優遇です。その結果最高益更新という好調ぶりですが、これにはカラクリがあります。ダイヤモンドオンラインで記事になってますが*5、細かい説明は省きますが、静岡工区を含む工事の遅れで余ったお金を金銭信託して資金繰りしていることが明らかになっています。B/Sの右の負債の中に財投資金3兆円が含まれる一方、工事の進捗で支払われる代金は左の資産の部では建設仮勘定で計上されてます。固定資産の一部ですが、当面利益を生まないものとして処理されており、既に財投資金3兆円の一部が充当されています。一方工事遅れによる余剰資金は金銭信託として運用されて配当を得ているわけで、低利の財投資金との利ザヤを稼げるわけですね。静岡工区未着工のおかげでかなりまとまった金額になっているわけです。故に本音は「川勝前知事アザース」となります^_^;。

話変わって整備新幹線問題ですが、北陸新幹線の敦賀~新大阪間のルート問題で国土交通省が新たな資産を与党に示しました*6。紙面に載った表を見て絶句したんですが、一体評価と個別評価を並べて示しており、後者でB/C比0.5の小浜京都ルートが前者では1.1となっていてます。一体評価というのは東京~新大阪間を一体としてみた場合ということですが、つまり従来は事業化される区間だけの評価だったものを、既開業区間を含めた評価ということです。つまり既開業区間の受益を乗っけた結果ってことですが、分母にあたる費用は事業区間の範囲で負担されるわけですから、全くのインチキです。とはいえ京都市の水問題などで反対されてますし、これでまとまる可能性はほぼ皆無です。

そしてリニアと北陸新幹線双方に絡むややこしい問題もあります。2031年開業予定のなにわ筋線関連で阪急が計画するなにわ筋連絡線と新大阪連絡線の事業化が動き出しました*7。阪急としては関空及び新幹線と自社沿線を結ぶ意図ですが、同時に十三の再開発の狙いもあります。しかしリニアと北陸新幹線の新大阪駅の位置が決まらないから新大阪連絡線に関しては駅位置未定のままの見切り発車です。つまりリニアと北陸新幹線が足踏みする限り、手を付けられないってことです。それでも十三の再開発で資金回収は可能という判断なんでしょう。

一方リニアの残土処理でもめる岐阜県御嵩町で結局名鉄広見線の廃止が決まりました*8。みなし上下分離というのは所有権移転せず固定資産税収を線路保守などの費用に充てること上下分離と同等の効果を狙ったもので、並行在来線三セクのIGRいわて銀河鉄道でさ採用されてます。他方文字通りの上下分離で黒字転換したのが近江鉄道です*9。ローカル線存続に関しては民間への利益供与よりも住民の利便性維持が狙いですが、結果的に自治体次第ということです。企業を救うか住民を救うかには大きな違いがあります。

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Sunday, June 14, 2026

AIの投資考

裏・壺・族と暗号資産*1のサナエトークン絡みで英常駐の高市首相です*2。やや込み入ってますが、元々サナエトークン問題は週刊現代が追っていたネタですが、週刊文春が総裁選と総選挙の中傷動画問題を取り上げて国会でも質問通告されてますが、当初「週刊誌ネタ」を理由にまともに答えず「秘書を信じる」と啖呵切ったりしてましたが、週刊文春は中傷動画作成者に直接話を聞いて公設第一秘書とやり取りしていた証拠を突きつけているのにまともに答えませんでした。

しかし製作者に共同通信がインタビューして配信したことで、新聞テレビにも取り上げられて逃げ道をふさがれつつあります。しかも動画制作者はサナエトークンの制作者でもあって、文春が入手したzoom音声がサナエトークンの打ち合わせだったということで、現代と文春が別個に追いかけたネタがつながりました。大まかに言えば総裁選ライバルの中傷と総選挙の小選挙区で競合する中道の大物候補者の動画をネットから拾ってAIで編集したもので、製作費は製作者が負担したものだから公職選挙法上の買収には当たりませんが、政治家やタレントの人気を利用したミームコイン発行で大儲けできるわけで、利害誘導罪には問える問題で、買収と同様当事者の罪状が確定すれば連座制で議員辞職と公職追放という処分を受けます。今回のスキャンダルはその可能性が大いにあるということです。

それはそれとしてAIがこうしたところで使われて世論を歪めてしまうことは問題です。こうした世論誘導を外国政府のエージェントが行えば事実上主権侵害となる問題で、デジタルチンピラにシノギを与える隙があったという意味で、高市首相の対応は危機管理の観点からも問題です。経済安保で諜報機関を作ったりしてますが、足許が心許ないじゃシャレになりません。また悪意を以て政権を乗っ取ろうとする動きは国内どころか与党からさえ出てきます。例えばこれです*3。これ故高松宮寛仁親王の信子夫人が麻生副総裁の妹で、政略結婚が疑われて寛仁親王没後離婚しています。そんな麻生氏の肝いりで降って湧いたのが「両院議員の総意」として提出された皇室典範改正議論です。麻生氏の息のかかった旧宮家男子を養子で押し込めば皇室乗っ取りすらできてしまいます。流石に利害のある問題なので徳仁天皇は皇太子時代のお世継ぎ質問に人権発言で答えコロナ禍の五輪名誉総裁としての開会宣言を宮内庁を通して断った人です*4。マジキレです。まあ道鏡の轍を踏む旧宮家男子が現れる可能性は低いですが。

てことで本題ですが、AI規制に慎重だった米トランプ政権が突然ミュトス級AIの外国人利用に規制をかけました。一応アンソロピックの提言をG7財務省中銀総裁会合で取り上げられたこともあり、それを受けての米政府の規制とも考えられますが*5、実際にはそうれを口実にした米政府のアンソロピックいじめです。軍事利用を理由に国防総省への提供を断ったことの報復です。ただアンソロピックも株式IPOを申請しており、政府との対立もその為のマーケティングじゃないかという疑いも持たれています*6。

今年はスペースXを皮切りにアンソロピック、オープンAIと大型IPOが続きます。但しイラン戦争の影響でインフレが昂進しており、既にECBは利上げを決めたほか、上田総裁欠席ながらも日銀も利上げに動くとみられており*7、米FRBも新議長の下でも利下げどころか年内利上げの観測すらあります。ガソリン価格高騰のみならず雇用統計の強さも利上げを示唆します。そんな中で集中する大型IPOを支える余剰資金の不足が心配されており、インフレに伴う長期金利上昇と連動して売られる債権市場からのシフトだけでは間に合わず、AI半導体関連以外の既存株の倍棄却が起きています。株式ETFでも投資ポートフォリオの見直しで既存株を売ってIPOに備える動きがあります。

これアメリカだけの話じゃなくて日本にも波及してます*8。立役者はきおくしあです。不正会計で破綻した東芝の再建のために売られたメモリー半導体大手ですが、AIデータセンター投資に伴うメモリー需要でAI銘柄とみられて東証の時価総額トップの座をトヨタから奪いました。ただ日本の場合にあキオクシアを外れ値と見れば既存企業の株価は業績好調にも拘らず上げたり下げたりでほぼ横ばい。寧ろスペースXのIPO資金捻出とみられる売りすら見られます。円安ですから日本勢は余分に資金をねん出しないと競り負けます。てことでAI投資に関しては日本にはほぼ勝ち筋が見えません。但しAIがどんな素晴らしい未来を約束するかといえば、冒頭の中傷動画みたいな即物的な錬金術に使われて人々を不幸にするだけではどうしようもありません。新しい価値を生みだす道筋は見えません。まして余剰資金の海外流出は国内投資をますます困難にします。
羽田空港D滑走路で航空機のタイヤパンク事故が2件続いて、その原因が滑走路の破損ではないかと言われています。検証はこれからですが、多摩川河口の水流を邪魔しないために桟橋方式で造成され、試験を繰り返して強度や耐久性に問題がないことは確認されましたが、問題は河口にかからない部分は従来通りの埋立方式で造成されていて、その境界部のジョイントがめくれているのが確認されているということです。これを単純な経年劣化と見て良いのかということです。強度や耐久性に問題がなくても、沈下の可能性がる埋立造成との併用で、ジョイント部がどのように作られているかはわかりませんが、ウイークポイントになる可能性はあります。強度や耐久性に問題がないのなら、全面桟橋方式の造成でも良かったのに、埋立と塀用となった経緯が問題になります。おそらくコスト面の問題と土木工事で発生する残土処理の都合が重なったというあたりでしょうけど、日本の玄関口となる重要インフラがご都合主義で作られたとすると問題です。

上述のキオクシア以外の株価停滞の典型は運輸株ですが、ANAとJAlは頃中から回復して業績好調にも拘らず株価がさえないのはホルムズ封鎖に伴う航空燃料の高騰で早くも27年3月期の業績見通しに暗雲で、特にANAが厳しい状況です。意外ですがJALは不採算路線の整理で単価の高い北米路線のウェートが高いことと、やはり北米路線中心の国際線LCCジップエアの連結業績も寄与してます。また中国路線は例の戦狼外交で中国エアラインの運休*10で寧ろ搭乗客が増えていたりします。それでも航空燃料高騰で燃油サーチャージがシャレにならない水準になっております。それでも非運輸事業へのシフトで先んじるJALのほうが有利と言われます。JALはすでにJR東日本との提携を発表してますが、JR北海道や九州など三島会社との提携には可能性がありそうです。工事の遅れで開業が見通せずB/C比悪化で事業そのものの在り方も問われている北海道新幹線を当てにするだけが能じゃないかも。ちなみに工事を巡る談合事件でも揺れてます*11。限られた財源で進める工事は談合で益出しするしか受けられないという意味でリニア談合に通じる問題です*12。

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Saturday, June 06, 2026

リニアひろばと謎の都市計画道路

相模原市の話題です。リニア神奈川県駅脳工事が始まりましたが、橋本駅南口に盛土の高台が出現しています*1。上はリニアひろばと称する神奈川県駅の工事現場を見下ろす公共空間として開放されています*2。平成の大合併で政令市の仲間入りした相模原市ですが、市役所のあるJR相模原駅と交通の結節点と言える小田急相模大野駅とJRと京王の橋本駅いずれも政令市としての集積度は低く、相模大野は町田の商圏に飲み込まれてますし、橋本は製造工場の集積はあるものの集客施設は乏しいところですから、リニア神奈川県駅の設置は相模原市にとっては地域活性化のチャンスともいえる訳で力が入ってます。元々人口が多かった合併前の相模原市ですが、市域を国道16号線が縦断していて基本的に自動車社会なので人の集まる集積地はできにくく、製造業の立地は多いけど閉鎖して商業施設や住宅団地になるところもあり、都市計画の困難な地域ではあります。 そんな相模原市で都市計画道路をめぐる市と住民の対立が起きています。大西大通り線と呼ばれる新たな都市計画道路ですが、1㎞程の区間に住宅100棟他の民有地を通ることから住民との対立が起きています*3。住民が反対する理由は2年前に突然の都市計画道路整備であり、市の説明では圏央道相模原ICとリニア駅のアクセス改善と周辺道路の渋滞緩和ということですが、物流幹線としてトラックの通行が多い圏央道と旅客輸送のリニアをつなぐ意味がよくわからないですし、ICに繋がる道路の起点の橋本五差路の混冊は日常化してますが、事実上行き止まりの橋本駅に通じる道路で混雑緩和に資するとも思えません。ただルートが中央リニアルートのほぼ直上ということで、なるほど民有地下の都市トンネルならば避けられない地上権設定による地代の発生を回避する狙いが透けて見えます。 リニアの事業主体はJR東海ですが、建設工事に必要な用地買収は各自治体に委託されています。特に中間駅設置自治体にとっては地域活性化のチャンスとばかりに都市計画を策定して事業に協力するのはわかりますが、このケースで謎なのは同じ用地買収でも地上権設定と立ち退きを伴う道路整備とでは難易度が違うことで、相模原市はわざわざ面倒なことをしているように見えることです。公共道路下ならば地代は発生しませんから結果的にJR東海に便宜を図る形になります。例えば市職員OBの天下り斡旋のような癒着があるかもしれません。そもそもJR東海には事業費圧縮の動機があります。 中央リニアに関しては2008年委にR東海が東京~名古屋間を自前での整備を打ち出して、その際の事業費を5.1兆円と見積もっていました。この金額は奇しくも市感染買い取り代金の総額と同じで、2017年に終わるローンの終了によるキャッシュフローの余剰をあてにしたものとみられます*4。その際に最短距離の南アルプスを頂戴トンネルで抜ける直行ルートで1件駅の原則を掲げるとともに、中間駅は請願駅ルールで地元負担を求めていましたが、後に方針変更して中間駅設置費用もjr等買い持ちとなりました。おそらく東海道新幹線南びわこ駅凍結を踏まえたものでしょう*5。自治体のちゃぶ台返しを封じたかったか。 結果的に事業費は5.3兆円に膨張した一方、中間駅は予約したアプリチケット所持者しか入場できない無人駅として駅位置もJR東海の都合で決めることにしました。その結果例えば地元はJR飯田駅併設を希望していたのに隣の高森町の市田柿農家の散在する田園地帯に変更されっました*6。飯田市はJR飯田駅貨物扱所の廃止に伴う跡地を将来のリニア駅用地としてバブル期の高値掴みで購入し、市営パーキングにして準備していたのに裏切られた形ですが押し切られました。飯田市より地価の高い相模原市ではその比ではないわけで、実際神奈川県駅の具体化には時間がかかりましたが、相模原市の積極関与で公共施設の統廃合などで用地をひねり出して着工に至りました。駅西側のルート上の民有地通貨もおそらく大深度地下トンネルとして地上権設定せずに施行した調布市の陥没事故*7や品川区の隆起、町田市の地下水噴出、瑞浪市の陥没などトンネルルート上のトラブルが相次いだことから、文句を言われないための都市計画道路整備と見ることができます。しかも相模原市の都市計画道路ですから矢面に立つのは市であってJR東海は関与せずの立場が取れるわけです。 それでも当初5.1兆円だった事業費は5.3兆円からコロナ禍による工事遅延や働き方改革の24年問題などで膨張一途で5.5兆円から一気に11兆円と倍増し、しかも2027年の開業断念どころか今後も人件費と資材費の高騰でいつになるかわからない。ましてや大阪延伸はほぼ無理というところまで来ています。静岡工区では動きがみられますが、県知事の容認姿勢とは裏腹に市長村レベルとの話し合いはいまだ続いていて終わりが見えないし、何よりトンネル残土の処理もめどが立たず、特に岐阜県御嵩町では重金属を含む要管理残土による湿地の汚染問題で反対運動が起きています。御嵩町といえば名鉄広見線の新可児~御嵩間の廃止問題もあり、特に可児市の塩対応で御嵩町が割を食うという問題も起きています。メガロポリス集中の害悪をダブルで受けているわけです。こんなことで地方創生なんか出来っこありませんね。

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Saturday, May 30, 2026

AIするチャッピー

運転再開*1。結局PC買い替えましたが、ソフトとデータの移行に手間取っています。AIが仕事を奪う未来とは異なるニュースですが、一部でそう見られているの草*2。巨人阿部監督が長女に暴行し、長女がChotGPTに相談して児童相談所に連絡し、それを受けて児相が警察に通報し、暴行罪容疑で現行犯逮捕されたということです。5時間の取り調べの後魁皇されており事件化されませんでしたが、有名人ということで話題になりました。

先に申し上げておきますが、誰であれ暴力は許されません。特に家庭内暴力でも特に父親による配偶者や子に対する暴力は、往々にして被害者が口を閉じたりむしろ父親を擁護したりもします。扶養関係で経済的な依存がある場合は特にそうです。その意味で直ちに警察へ通報した児相の判断は正しいし、すぐに動いた警察も正しい対応です。記者会見で代理人弁護士が代読した長女の手紙と称する文書を代読して、その中で長女が「大ごとになって反省している」とあることにも表れてます。この手紙も本物かどうかもわかりませんし、仮に本物でも当事者間の親書を公開の場で読み上げることの違和感もあります。結果的に長女はSNS上でバッシングされてます。結局加害者の阿部元監督は釈明のために長女をダシにしてますし、しかも謝罪相手は迷惑をかけた球団と関係者やファンに対してのものです。ますは長女に謝れ!

当然ながら仕事を失ったのは加害者本人の問題であってAIのせいじゃない。しかし若い年代ほど悩みや困りごとをAIに尋ねることもまた確かで、ChatGPTをチャッピーの愛称で呼んだりしていて、それだけ相談できる頼りになる大人が身近にいないってことなんでしょう。声のデカいオヤジには尻のすわりの悪い話かもしれませんが、AIに仕事を奪われるのは高学歴文系事務職などの労働代替の話です。でも高学歴文系事務職はブルシットジョブをシレっと編み出したりします。例えばAIの未来を吹聴したりAIの使い方やプロンプト作法とか有象無象が早速表れてます。わからないことをカネで解決しようとすればこうなるわけで、管理部門が肥大化して価値創造の現場が搾取される資本主義社会の宿痾です。

一方で株式市場はAI一色で、AIの物語*3に深く反応してます。ニューヨークのみならず東響も高値更新です*4。10社程度の半導体関連企業が相場を押し上げており、その他の一般株は下げているものも多数という状況です。そして取引高も更新されていて、海外勢による買いが集まっています。これは」ニューヨークの相場が上がりすぎたことによるリスク分散の意味もありますが、AI関連が牽引する構図は同じです。イノベーションで異次元の効率化による生産性向上の思惑からAI関連に資金が集まりやすい状況ながら、同時にAI相場への疑問もあり一進一退のボラティリティの高い相場となっています。ボラティリティの高さには別の要因もありますが*5。AIを用いた株式投資が増えて、AIは合理的に同じ判断をして相場を動かすから動きが大きくなるという弊害をもたらします。元々市場は参加者の異なった思惑が交差する中で相場が形成されるものですが、AIはそんな無駄なことはしないからこうなる訳で、AIは実は市場経済と相性が悪いんです。これ内緒^_^;。

AIの」危険性を示したアンソロピックですが,システムの脆弱性発見の能力の高さが悪用の危険を示唆するのは確かでも、限定ユーザーにしか公開されないから実態はわからず、寧ろ米トランプ政権との対立を解消した上で持論のAI規制を飲ませる狙いがあった可能性はあります。実際時価総額ではオープンAIを超えています。いずれにしてもソースコード非公開なので検証の手段はありません。実はAIの一番の問題はここれでしょう。若者が依存するように、ユーザーを依存させて囲い込み、データで丸裸にして心地よい消費を促すデジタルペットとして飼われる存在になります。まるで家畜人ヤプーのディストピアです。

てことで最後にやや野球ネタ。新秋津の連絡船を介した観光列車直通で提携するjr東日本年と西武HDですが*6、TELと秩父のほか狭山のベルーナドームや東海道線の小田原もターゲットとか。小田原は伊豆箱根鉄道のバスの拠点でもあり、小田急と箱根山の因縁はあるものの、今は和解して共同企画キップを売り出す関係ですが、セパ交流戦で西武がヤクルトに2勝1分けは勝ちすぎ?国鉄由来のスワローズをやっつけちゃったけど提携関係大丈夫かwwww。車両はラ・ビュー登場で秩父特急から退いたニューレッドアロー10000系ということで小田原では小田急ロマンスカーとの並びが実現するかもしれません。

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Sunday, May 17, 2026

AIの物語が終わるとき

近頃対立が目立ち共同声明がまとまらないG7サミットですが、18~19日の財務相・中央銀行総裁会議では久々にまとまりそうです。主要議題は「ミュトス問題」です*1。ミュトスとは米アンソロピックが開発したAIで、システムの脆弱性を素早く発見する能力が優れていることから、悪用されればシステムへの侵入やウイルス攻撃などに使われる可能性があり、特に金融システムが狙われる危険からアンソロピック自身がリリース先を絞った上で当局に申し出たものです。英語表記で Cloud Mythos でギリシャ語の神話、物語などの口述伝承を意味する名前です*2。

1民間企業が開発した製品で異例の対応ですが、金融システムの安全性が損なわれれば大混乱は確実な訳で、元々AI規制に前向きだった欧州に対して、自国に最先端企業を複数抱え世界をリードするアメリカはそんな欧州を批判していましたし、政府向けリリースに消極的なアンソロピックを政府調達から外したりしてましたが、そんなことを言ってられない事態と認識した訳です。尤も欧州もDeepSeekショック*3を契機に後発国にもチャンスがあると認識して規制を緩める動きを見せていますが。変わらないのがそういう認識すら持たない規制ユルユルの日本です*4。AI悪用のサイバー攻撃はGoogleも報告種を発表しています*5。ロシア、北朝鮮に渡ればシャレにならない事態です。

しかし一方で北京の米中首脳会談ではこんな動きも*6。NVIDEAのファンCEOが突如トランプ大統領に同行しました。目的は当然商談ですが、AI分野でアメリカを猛追する中国にNVIDEAのGPUを売るのは敵に塩か?一説によれば半導体製造でも猛追する中国に対して、最先端品開発で陳腐化した型落ち品を売ることで、中国の対米依存を敢えて誘導するという思惑があるとか。海軍能力がほぼ無かった中国に対して敢えて米軍が合同演習して力の差を見せつけると同時に軍事支出を誘導して経済負担を狙うアメリカの高等戦術ですが、結果裏目になっている現状ではあります。

米中がAI派遣で譲らないのは当然ながら軍事目的がある訳で、アメリカは分厚い金融市場で潤沢な資金を手当てできる環境と共に、政府や金融機関という金離れの良いユーザーがいることが優位性をもたらしている一方、中国式計画経済はそんなアメリカへのキャッチアップに政府が資金を提供するに留まらず、ユーザーに利用を促していて勢いを保つと共に、競争で勝ち残った企業に集約することで標準化を図ることでユーザーにもメリットが生まれるという高度な産業政策を進めています。こんなことできるのは中国の経済規模と人口と更新が進まない先進国より新しい生産設備があればこそですが。

逆にアメリカは技術革新の早さが天井感をもたらしてもいます。実際今のところ確実に利益を出しているのはNVIDEAぐらいで、オープンAIやアンソロピックなどの新興AI企業はNVIDEAの出資を得てAIデータセンターに投資してNVIDEAののGPUを買っている訳で、循環取引が疑われます。加えてGoogleやAmazonなどテック企業がAI企業に出資していて、増益の7割が保有株の評価益という実態もあります。日本のバブル期と似た構図です*7。そしてS&P500などの株式も、AIと金融以外の株式はあまり上げておらず、AIへの警戒感から上がれば利益確定売りが出て下がるということを繰り返してます。

株の上値が重い理由は債券市場にあります。米30年債が売られて利回り5.1%と市場では天井をつけたと認識されて株が売られた流れです*8。債券の評価損を株の益出しでカバーする動きですが、同様の動きは東証市場にも見られます。債券売りは関税裁判で米政府が再度敗訴して財政悪化が止まらないことと*9、ホルムズ海峡封鎖に伴うインフレでFRBが利下げどころか利上げすら視野に入る状況になったことで、金利が押し上げられている状況です。FRBウォーシュ新議長いきなりの受難です*10。とはいえ生産設備の老朽化は如何ともし難く、金融とITの癒着マネーゲームをマクロ調整だけで乗り切ろうとする矛盾が付きまといます。

というわけで、AIを巡って紡ぎ出される物語(Mythos)は国家が絡むから簡単には弾けないだけで、人々を幸福に導く道筋も見えないものです。インフレ防止法(IRA)でバイデン政権が目指した高速鉄道などのインフラ整備の方がマシだった可能性はあります。てことで日本も他人事じゃないんですが、大人の事情で財務省からダメ出しされた北海道新幹線*11にも絡む話ですが、整備新幹線の貸付料を巡る国交省とJRの対立が起きています*12。30年とされた貸付期間終了後国交省は30年延長案を提示したものですが、JR東日本は特に猛反対しています。

30年経過すれば経年劣化で設備の更新もしなきゃならない。自社保有ならば減価償却資金を充てれば良いが国(鉄道・運輸機構)保有で減価償却はないし、特に東北新幹線延伸部のように貨物調整金まで負担してほぼ儲け無しでは鼻血も出ない訳で、実際に減額を示唆する文書もあるということで揉めてます*13。整備新幹線も人手不足とインフレで工事費用が嵩み、事業が進まない中で国交省は財源確保を狙ったんでしょうけど、そうするとJR東日本が予定している盛岡以北の高速化の費用が出ない。そしてJR貨物の経営改善を待って行われる筈の線路使用料の見直しも未だ実現していない中で、貨物調整金も存続せざるを得ないということになります。

勿論運賃や料金の値上げで対応することは考えられますが、動力費その他の値上がりもあって劇的な増収に繋がる訳でもないということで、JR東日本は引けないということですね。尤も北海道新幹線ですらB/C比の悪化で黄信号なのに、今後も新規着工できる区間があるかといえば難しいです。整備新幹線は票になるという政治家の我田引鉄がありますが、燃油代上昇で苦しい国内航空のコードシェアを認めるなどの新たな制度的枠組みを考えるべきでしょう。整備新幹線の物語も終わりに近づいています。長くなりましたのでここまでにします。

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Saturday, May 09, 2026

部活バスの闇

ゴールデンウィーク最終日の6日、磐越道でマイクロバスが事故を起こしました*1。ガードレールにぶつかってバス前部から後部へ貫通しているさまは2012年の関越道ツアーバス事故を思い出させます*2。当時のエントリーではツアーバスによる乗合類似行為問題として取り上げました。当時からレンタカーによるドラーバー付バスレンタルが貸切類似行為ながら、借り手の廉価志向から黙認状態だったこともあり、そうしたレンタカー会社に貸切バス免許を交付して正規の貸切バス事業者にすることで競争条件を整える規制改革が実施されました。その結果貸切バス事業者が増えて競争激化の結果、旅行会社がツアー募集の形で安値で仕入れた貸切バスを用いて催行するツアーバスが都市間運行で乗合バスである高速バスと競合することになり、両者の競争条件の違いから廉価なツアーバスへの批判もあって、高速乗合バスへ寄せる形の規制改革が進められていた時期でもあります。そして関越道でツアーバスが事故を起こしたことから議論が進み、所謂新免事業者による高速バス参入へと繋がりました。

今回の事故は新潟県のバス事業者である蒲原鉄道がレンタカーを手配したもので、学校側から予算を抑えたいとの要望があり、同社名義でレンタカーを手配したものです*3。レンタカーによる貸切類似行為という所謂白バス行為が疑われる案件ですが、幾つか疑問もあります。蒲原鉄道はオールド鉄ちゃんにはおなじみの五泉~村松~加茂を結ぶローカル私鉄が鉄道廃止後バス専業となった会社ですが、ご多分に漏れずのドラーバー不足もあり、自社貸切バスを値引きすることも難しい中で、レンタカー手配を選んだのでしょう。但しレンタカー会社には当該の営業担当者の免許証しか提示しておらず、手配したドライバーは知り合いの紹介で面識はなかったなど杜撰です。しかしレンタカー会社からすればバス事業者の手配だから、本来厳しくチェックされる筈のドライバーの免許証確認をスルーしたかもしれません。

実は部活関連のバス事故は結構起きています。21年悪神奈川県山北町でトレーラーに追突とか、鹿児島県では23年に横転事故を起こしたりということもあります。そして学校の部活では顧問教諭が部活のために大型免許を取得してハンドルを握ることもままあり、その場合はレンタカー利用は出費を抑えられるものの顧問教諭の責任は重くなります。また文科相の部活ガイドラインでも輸送中の安全に関しては記載がなく、この面からもグレーゾーンになっています。背景には文教予算の縮減による学校経営の困難があるかもしれません。

今回は北越高校軟式テニス部の遠征ということですが、名門ということで大会出場や対外試合の機会も多いでしょうから、果たして今回だけの特殊事情なのかもわかりません。少なくとも正規のバス事業者の貸切運賃を負担することは難しかったんじゃないかと思います。そうすると安価なレンタカーで済ませることが常態化していた可能性もあります。そしてバス事業者と学校との間で説明が食い違っていることも、双方の責任回避の姿勢が垣間見えます*4。書面も交わさず事業者は手数料も取らず、学校側も引率教員を添乗させていなかったなど双方に落ち度がありますし、ドライバーは二種免許保持者ではなく事故歴もあったなどいろいろ問題だらけですが、事故が起きて発覚しただけで学校の部活では常態化している可能性はあります。

似たような話として辺野古の転覆事故で修学旅行生に犠牲者が出た事故がありました。こちらはさらにややこしく、部活ではなく修学旅行中の平和教育の一環という学校側の説明があり、また事故船のは元々辺野古の抗議活動船ですが、NPO所有で有償運行ではないということで、その面でも法的にはグレーゾーンです。2022年悪知床半島沖観光船沈没事故を受けて制度化された船舶事業登録は既存事業者の3割止まり。有償運航を前提とした制度なのでそのまま適用は難しいところです。とはいえ死者が出ている以上このままとはいきません。そしてこちらは乗船は教員とNPOの個人的関係から出ているもので謝礼として5,000円支払ったという報道もありますが、儀礼的意味合いはあっても繰り返し集客して謝礼を取っていた訳でもありません。勿論だから安全をないがしろにして良い訳ではありませんし、今回の事故で同様の平和学習は禁止事項になってもやむを得ませんが、政治性からか修学旅行を手配した東武トラベルは無関係なのに一部で叩かれたりしてます。

てことで当事者の蒲原鉄道ですが、明治期の私設鉄道の北越鉄道(→信越本線)と岩越鉄道(→磐越西線)の双方から外れた蒲原地区の中心地村松に鉄道をということで難産の末1922年に免許取得し翌23年に建設着手され同年に磐越西線五泉~村松間を新潟県初の電気鉄道として開業したものの、昭和恐慌真っただ中で第二期線は足踏みの末村松~加茂間が1930年に開業したものの、元々の需要が少なく経営は苦しい状態が続きました。テコ入れ策として直営の冬鳥越スキー場を開設して誘客に努めたもののモータリゼーションで誘客には繋がらず、また貨物輸送も秋のコメ収穫期に偏った需要で経営の支えにならず、1984年には国鉄加茂駅の貨物取扱廃止で貨物営業終了。1985年には村松~加茂間を廃止し一時的には営業的には改善したものの、僅か4.2㎞の営業区間では自家用車やミニバイクへの転移が止まらず、1999年に廃止されバス専業となりました。しかし営業エリアは狭く集客の核も乏しく、昨今のドライバー不足も重荷です。しかしまあ地域密着を地で行くような会社ではあります。故にレンタカー手配も法令違反を承知の上でクライアントの要求に応えたという意味では、善意の対応だった可能性はありそうです。勿論だからといって法令違反が許される訳ではありませんが。

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Tuesday, May 05, 2026

大人の事情でNoと言えないこどもの日本

こどもの日本Part3です*1。両エントリー共にミサイルネタですが、関連する話題がイラン戦争関連で英エコノミスト誌のコラムで取り上げられてます*2。戦争状態のホルムズ海峡周辺の衛星写真は西側企業に対しては軍事的理由でシャッターコントロールと呼ばれる規制がされます。撮影場所や解像度を制限することで軍事機密を保持するためです。しかしSNS上には中国企業による鮮明な衛星写真が多数リリースされてます。そしてそれがイランによる湾岸諸国の米軍事施設や石油施設、LNG施設へのミサイルやドローンによる打撃を可能にしている現実があります。中国の衛星画像技術はほぼアメリカと遜色ないレベルということです。

てことは日本の防衛力強化で反撃能力としてミサイル配備が進む状況ってのは無効じゃないかってことですね。仮に存立危機事態になったとしてもミサイル基地は先に潰される可能性が高い訳です。また湾岸の米軍基地が攻撃されたように、日米安保による国内米軍基地も攻撃対象になることを示します。こどもでもわかる話ですね。しかし大人の事情でそれを指摘する話はメディアにもほとんど載りません。しかし1973年の第一次オイルショックでは事情が違いました。当時の田中角栄首相がキッシンジャーに「文句あるならアメリカの石油を寄越せ」(意訳)と言い放ったことは指摘されてます*3。親イスラエルのニクソン政権にアラブ寄りの外交姿勢を懸念されてのやり取りですが、当時の田中首相は緊急事態の認識から危機対応としてこういう舵取りをしたもので、政敵の福田赳夫氏を大蔵大臣に任命し、持論の日本列島改造論を封印して総需要抑制策を認め、経済分野の全権委任をしたものです。以後公共事業の抑制や東北、上越新幹線の建設凍結などで狂乱物価を収め、国民に省エネ自粛を呼び掛けました。

田中氏にとっては不本意な意思決定でしたが、状況に応じたプランBという意味で今こそ参照されるべきですが高市政権は景気腰折れ懸念を公言して対応しません。高市首相は19年前に科学技術庁長官時代に「イノベーション25」と呼ばれる文書に記述した技術力に対する強いこだわりを反映した危機管理を成長につなげる方針として展開されてます*4。

ここで思い出されるのが石原慎太郎氏と盛田昭夫氏の共著[Noと言える日本」*5で盛田氏が指摘した日本の半導体なしにアメリカのハイテク兵器は造れないというくだりです。時は日米半導体摩擦の最中で日本の半導体産業が世界をリードしていましたが、その後失速して今に至ります。その現実をアップデートできていないのでしょう。危機管理を安保防衛と狭く認識して日本抜きでアメリカの兵器産業も成り立たないと二重に現実とズレた認識だから、1973年の第一次オイルショック以上の今そこにある危機を認識できず*6、安保防衛で成長という妄想に取りつかれているとしか思えません*7。こんな高市首相が目指す憲法改正での緊急事態条項が如何なるものか。防衛を口実にした独裁にしかならないのは言うまでもありません。

石原氏はその後都知事になって金融危機対応として都出資の新銀行を設立して銀行の貸し渋り対策を打ち出しましたが、素人判断の甘い融資審査で不良債権の山を築き負の遺産を残しました。その新銀行東京の資産を継承したきらぼし銀行が都出資の優先株400億円の年内返済を発表しました*8。これも日銀の利上げで金利復活したから融資の利幅が増えて実現したことでもあり、低金利政策が終わったことも影響してます。リーダーの思い込みの後始末が如何に厄介かを示します。

そして高市首相ですが、一方で明らかに現実認識が変なところが見られます。成長17分野を巡る民間との認識のずれがあります*9。南海フェリーの代替新造船はコスト高で断念されるけど*10防衛関連で政府が買う艦船建造は取り上げられている一方で、自動車は除外されて業界から驚きの声、EVの壁*11はガン無視。食糧安保上重要なコメ増産は見直すのに高く売れるイチゴは注力とかチグハグ過ぎて眩暈がします。

てことで最後に鉄分補給^_^;。難工事で遅れている北海道新幹線の事業費膨張で財政審議会がB/C比を見直した結果「中止すべき水準」と*12。但し便益(分子のB)はそのままに費用(分母のC)だけを見直した結果ですが、重金属残土の処理や硬い岩石層で切羽の破損とかトンネル工事に伴う不確実性から更に費用は膨張する可能性がある一方、インフレによる上振れでJR北海道の受益に基づく線路使用料の増額がどこまで可能かとか、外部経済効果の上振れとかは計算されていないので、片手落ちの議論とは言えますが、現在の整備新幹線スキームでは解決困難なことも確かです。例えば燃油高騰で苦境にあるエアラインのコードシェアを解禁してJR北海道以外からの線路使用料収受と共に、経営悪化確実なエアラインの救済策を便益に加えるというような工夫が必要と考えます。

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