鉄道

Sunday, May 17, 2020

マスク、マスク、マスク

私自身はマスクする習慣は無いし、感染を防ぐ効果が乏しいので、マスク無しで通そうと思っておりましたが、取引先でマスク着用を要請されて已む無く入手した布マスクを着用し、毎日手洗いしております。あーメンドクさ。ちなみにアベノマスクではありません。届いてないし。

医療品、海外依存度高く 感染爆発の備えに不安:日本経済新
マスク問題はコロナゲートウエイでも取り上げました。その際に情報の攪乱によるナッシュ均衡(囚人のジレンマ)で説明いたしましたが、yamanotesenさんのコメントで「合成の誤謬じゃないか」というツッコミもいただきました。まあ双方の要素がある訳で、現実の事象ではこうしたことは珍しくありません。

合成の誤謬の典型的な事例は貯蓄投資バランスの問題で見られます。社会の構成員が全員貯蓄に励むと、借り手不在でリターンを期待できない一方、全員が貯蓄を取り崩して借金に頼ると、貸し手不在で金利が跳ね上がり経済を冷やす訳で、日本でデフレと称された現象は前者に該当します。故にアベノミクスや黒田バズーカでデフレ脱却という議論は寧ろ逆効果で如何にバカバカしいかがわかります。

マスクに悲してはグローバル化に伴うサプライチェーンの拡大による国際分業の影響が背景にあります。医療品は元々輸入超過状態で、医薬品は国内メーカーの有力特許失効と多額の開発費を費やした海外メーカーの高額医薬品の差がある一方、マスクや防護服などの消耗品は中国を中心に海外生産が定着していた訳ですが、その中国の武漢で爆発的感染が起きて国内需要が爆発的に増えた結果、日本向けに生産されたものも中国港内で消費され日本に回らなくなりました。何のことはない生産の中国依存の必然的結果なんです。

加えて一部は東南アジアなどへ生産拠点を移す分散化も進んではいたものの、規模は小さく、加えて遅れて感染拡大しいてやはりマスク輸出が差し止められる事態になり、結局品薄の解消には至りませんでした。とはいえ中国を含むアジア地域の感染は落ち着いてきており、また内外で増産がかけられた結果、徐々に供給量が増えて入手可能になってきました。結局需給の均衡によってしか解消しない問題です。

その意味で「布マスク配布を決めたから、マスクバブルが弾けて転売ヤーが涙の投げ売り」というストーリーを語る人々の頓珍漢ぶりも指摘できます。未だ5%しか配布されていないアベノマスクを過大評価したいだけの妄言です。そういや安倍首相も国会答弁で言ってたな。おまけですが、多くの日本人にとっては未経験の、夏のマスク地獄が待ち受けています。くれぐれも熱中症には注意しましょう。ことほど左様に国民生活と乖離した政府の姿勢は困ったものです。

マイナンバー、10万円給付で注目だが… 活用で海外と差  税財政エディター 小滝麻理子:日本経済新聞
マイナンバーカードを用いた電子申請がスタートした結果、自治体窓口に人が殺到して密状態という笑えないことが起きています。政府としては10万円の特別支給を梃子に20%しかないマイナンバーカードの発行を増やそうとしたものの、当然これを機にマイナンバーカードを作ろうとする人が自治体窓口に殺到する訳ですが、それに留まらずオンライン申請手続きがうまくいかなくて問い合わせが殺到しているという状況です。

1つは意外なことにマイナンバーを発行した人の年齢層が高齢者に偏っていてITスキルが必ずしも高くなく、二重パスワード認証などの仕組みを理解できていないとか、専用カードリーダー若しくは対応スマホが必要だけど、ガラケーのみでPCすら持っていないとか、マイナンバーカードを巡るお寒い現実の壁に直面している訳です。

三蜜で即身成仏で指摘したように自治体の課税台帳使えばマイナンバーカードは要りません。個人または勤務先の何れかで申告納税していれば漏れはないですし、扶養家族などの情報も把握されてますから、あとは通信事務で世帯全員の氏名と指定振り込み口座を通知してもらうだけで非接触で手続きできます。既存の制度インフラを使い尽くせってことですね。

マイナンバーカードに関しては、国による個人情報取得への拒否感が国民側にありますから、何故必要なのかを本質的なところで説明する必要がありますが、これまで国の説明ではワンストップでコンビニで手続きできて便利といった枝葉の部分が強調されており、国民の納得を得られておりません。この辺古くは納税者カード(グリーンカード)や住基カードの失敗の総括が出来ていないってことでもあります。

グリーンカードに関しては資産課税を含む総合課税のインフラになるとして当時の大蔵省と社会党がタッグを組んで推進し、専用コンピューターセンターまで作られましたが、結局法案成立に至らず実現しませんでした。住基カードは記憶に新しいですが、マイナンバーカードとの重複で無意味化しています。

何故こうなるかというと、結局アベノマスクやアベノコラボが側近の官邸官僚の提案だったように、現場を知らない人間の思い付きでことを進めている結果だってことでしょう。そして普及率の上がらないマイナンバーカードの普及促進という雑音に流されて現場はパニックってことですね。そういう意味で密かに注目しているニュースがあります。

JR四国、コロナで業績悪化 4月の損失「残り11カ月で補えない」:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたJR四国の資金繰りが悪化し6月にもアウトという状況です。交通政策基本法の定めるところにより事業者と自治体の協議を経て国に助けを求める手続きとなりますが、現実はそこまで持たないほどひっ迫しています。加えて忘れてならないのはJR四国はJR北海道やJR貨物と同様国全額出資の根拠法に基づく特殊会社であるため、勝手に全業廃業したり解散したりできない立場ってことですね。国は株主として資本注入なり融資なり債務保証なり何らかの姿勢を示す必要があります。こういった法律の建付けを政府は理解しているかどうか。検察官の定年を勝手に延長するような遵法精神欠如が見られる現政権ではまともな対応は期待できないかも。
#検察庁法改正案に抗議します
検察庁法改正案の強行採決に反対します

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Tuesday, May 05, 2020

出口が見えないアベノ自粛

予想されたこととはいえ、緊急事態宣言の延長が決まりました。そしてプロンプター読んでるんだけの「台本営発表」とも謂われる首相記者会見で、緊急事態宣言の解除の基準は語られませんでした。8日を8月に読み違えたみたいですが^_^;。出口が見えないという意味でアベノミクスと同じです。加えて検査体制の拡充が未だに実現できていないために、そもそも出口を判断できるデータがないという現実もあります。

この辺統計135°の歪みで指摘した統計不正問題に通じますが、現状を正しく把握できないから緊急事態宣言解除のような責任のかかる決断が出来ない訳です。あと内緒ですが伝染ルンですアベノミクスで指摘した消費指標を家計調査ではなく商業統計に切り替えてインバウンド消費が二重計上されていた疑惑ですが、コロナ禍でこっそり見直されてます。嘘が下手な嘘つきの典型的対応です。

あと「新しい生活様式」とかいう大きなお世話を専門家会議が発表しましたが、これ政府の諮問に基づいた助言機関がなぜ国民向けにこんな発表するのかですが、助言に基づいて責任を負うべき側に責任を負う姿勢が見えず、専門家会議に丸投げしている状況が透けて見えます。政府への助言が暖簾に腕押しでは、国民に語り掛けて協力を得るしか手段がない訳で、余計なことをさせられている訳です。当然専門家会議としては責任を負えず安全側へ判断が偏りますから、出口の判断はますます遅れます。

てことで巣篭りは長引きそうです。そうなるとリモートワークの範囲が拡大することになります。既に通勤定期券の払い戻しが増えており、加えて年度替わりで買い替えが多い4月もおよそ3割減ということで社畜の国で指摘した企業の通勤手当支給見直しがさらに進むことになります。その結果鉄道事業者が苦境に陥ております。

記者の目 JR東、コロナで見えた鉄道の盲点 3割減収なら利益ゼロ  証券部 堤健太郎:日本経済新聞
JR東日本だけの問題じゃないんですが、大都市圏の通勤需要で支えられている事業者にとっては、割引とはいえ前払いで収益を現金化できる定期券売上は経営安定のキモであり、経営の基礎体力をもたらします。記事で指摘されている固定費のかなりの部分を定期券売上でカバーし昼間や土休日の定期外客で上乗せすることで利益の最大化を図る訳ですが、こちらも外出自粛で激減している訳ですから、JR東日本と言えども1-3月期に赤字転落してますし、現状では4-6月はもっと悲惨です。

収益構造から言えば、運輸収入の依存度の高いJRの方が関連事業収入が多い大手私鉄より厳しい訳です。例外的に関連事業比率の高いJR九州は安泰かと言えば、ライバルの西鉄と比べれば生活関連事業で沿線にドミナント形成という水準には達しておらず、営業エリアが広すぎるから仕方ないんですが、トータルな経営体力では苦しいところです。

加えて整備新幹線が重荷になります。整備新幹線は30年リースで負債を計上している訳で、特に整備新幹線区間が長いJR東日本には重荷でしょう。救いは水害で水没した北陸新幹線E7系廃車に伴って延命されたE4系を廃車して減便することである程度出費を防げますが、リース料は固定費としてのしかかります。鉄道・運輸機構による債務繰り延べの可能性は、リース料が北海道新幹線などのの整備費用として見込まれており整備を止めることになりますから、難しいでしょう。

それでも莫大な減価償却費があり、JR東日本でおよそ2,000億円規模ですから、投資の抑制によってキャッシュアウトを防ぐことは可能ですが、ホームドア設置やバリアフリー化などは減らせませんから、車両更新や新線建設が抑制されると考えられます。航空業界の逆風もありますから、羽田空港アクセス線は幻の新線計画になる公算大でしょう。

この流れで言えば関空アクセス輸送を睨んだ大阪のなにわ筋線もヤバいかも。泉北線と市営地下鉄の売却益で府市共に財源確保してメトロの稼ぎ頭の御堂筋線のライバル路線を作るという倒錯が起きる訳ですから。

JR東海も稼ぎ頭の東海道新幹線で8割減ですから、長引けばリニアを諦めることになりそうです。名古屋リニヤだがや以来疑問を指摘してきた中央リニアも幻になる訳です。それでも財務体質の強いJR東海はある程度持ち堪えるでしょう。JR西日本は赤字ローカル線の整理に活路を見出すと考えられます。中国地方の路線網はかなり整理されそうです。JR九州は上場時に経営安定基金を取り崩して資産の減損処理と整備新幹線リース料の前倒し支払いで負担を減らしてますが、やはり赤字ローカル線整理に踏み込むことになるでしょう。本州3社と比べて財務体質の弱さは否めません。そしてJR四国ですが。

JR四国に国が改善指導 自立経営阻む2つの「老い」:日本経済新聞
コロナショックで真っ先に連想されるのはJR北海道でしょうけど、札幌都市圏への経営資源集中を前提とした再建策で先が読めるJR北海道に対して、エリアに大都市圏が存在せず、過疎化と高齢化が止まらないJR四国の方がより深刻です。とはいえ関係の深いJR西日本に助けを求めたくてもその余裕はなく、そこへ外出自粛が重なる訳ですから、出口が見当たりません。四国だけ三蜜解禁してお遍路さん呼び込むか?

鉄道として残すならば何らかの財政支援が必要ですが、JR北海道でも見られるように、結局交通政策基本法で謳われた地元自治体の関与が無いから国が動かないという倒錯が起きる可能性があります。JRでこれですから、過疎地の地方ローカル私鉄で持ち堪えられないところはちらほら出てくるでしょう。アベノ自粛は公共交通を枯れさせる可能性大です。

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Sunday, April 26, 2020

不要不急の黄金律

Zoomを200mと空目して、ソーシャル・ディスタンシングってそこまで離れないといけないの?と勘違いした人もしなかった人も、お元気でしょうかwwww。私はと言えば、元々引きこもりのボッチですから、あまり変化ありませんが、流石に接触機会が増える乗り鉄は自粛してます。

しかし不要不急が叫ばれるけど、何を以て不要なのか不急なのかは曖昧です。例えばパチンコ規制ですが、開店前の行列に始まり、店内の密集度も高いし、換気が十分かどうかも不明で、しかもプレイ時間もそれなりに長い訳ですから、入場制限や間隔を空けるなどは必要かもしれませんが、補償無しの自粛要請には無理があります。そして自粛に応じなければ店名公表するとして大阪市などでは公表されましたが、これ逆に人を集める効果があるので、あまり意味がありませんし寧ろ逆効果です。欧米のように休業補償を条件に強制力を持たせるべきところです。

現行憲法でも強制力を持たせること自体は可能ですが、補償したくないから曖昧にしている訳です。旧憲法下で国家総動員法などと共に成立した陸上交通事業調整法で、東京の私鉄統合が行われたのは空飛ぶ都営交通でも取り上げましたが、東武野田線の柏以南は京成エリアですし、東上線は西武エリアですが、路線移管は行われず、中央線以南の西南部が東急に統合されたに留まりますが、西武に統合された多磨鉄道はそのままだし、実際は資本の論理による乗っ取り(京浜)や電力国家管理による独立維持の放棄(小田急、京王)の結果ですし、南武、鶴見臨港は国有化だし相鉄は相模線の国有化で東急への経営委託はしたものの旧神中線のみで独立存続してます。

地方でも1県1事業者を模索されましたが、ほぼ実現した富山と福岡は、事業者同士の自主的な統合の結果ですし、富山では県営鉄道や富山市電まで富山地方鉄道へ統合する徹底ぶりでしたが、一方で県内の交通統合の音頭を取った熊本では、熊本電気鉄道と熊延(ゆうえん)鉄道(後の熊本バス)が応じず中途半端になりました。近畿圏でも関西急行鉄道と南海鉄道が統合して近畿日本鉄道が成立した一方、南海傍系の高野山電気鉄道は独立を維持して戦後の南海電気鉄道の分離独立の受け皿となりましたし、力業の統合の阪神急行電鉄と京阪電気鉄道は、やはり旧京阪が分離独立してますが、新京阪線は阪急に残り京都線になるなど混乱しました。コロナ対応がうまくいかないのは憲法は関係ありません。

そして国家総動員体制下で鉄道事業者に求められたのが不要不急線の休廃止と資材の供出でしたが、こちらは国鉄白棚線(白河―磐城棚倉)をはじめ全国の多くの鉄軌道で行われ、軍需品増産や兵員輸送に必要な路線建設に回されたり、金属類は兵器生産に回されたケースもあるようです。という訳で鉄ちゃん的にはこれを連想してしまいますが、基本的に未補償でした。国鉄白棚線は路盤を専用道にして国鉄バス路線として存続しただけマシではありました。戦時BRTですね。

てことでコロナ問題での政府の対応は大いに不満のあるところです。炎上したアベノマスクにしろアベノコラボにしろ、官邸の1人の経産省出身秘書官の発案だそうで、いずれも内閣支持率の低下に焦って提案したものだそうですが、検査を増やすとか衛生用品の増産などの実質的な対策ではなく人気取りに走るところが国民から見透かされている訳です。また1世帯30万円給付も無条件に1人10万円に変更されましたが、これ公明党がが意地を見せた訳じゃなくて支持母体の創価学会からの突き上げで仕方なくって話で、単なる自己保身です。こんな連中が言う不要不急には違和感しかありません。今一番の不要不急は五輪だろ。その一方で感染爆発した欧米は次のフェーズへ進みます。

米欧のコロナ感染、公表値の10倍も 抗体検査で判明  人口6割で「集団免疫」 まだ遠く 精度向上に課題
PCR検査に精度の問題があることは確かですが、とにかく感染の実態を把握するには検査を増やすしかない一方、出口となる集団免疫の獲得進行度を見る意味もあり、遺伝子検査であるPCR検査に留まらず血液を採って抗体の有無を調べる抗体検査へと進み、疫学データを拡充しています。結果はPCR検査の陽性反応で確認された感染者数を大幅に上回る感染率であることが分かった一方、集団免疫獲得と言える60%には全く届かないということで、終息にはまだまだ時間がかかることが明らかになりました。また1度回復して再発症するケースも報告されており、その場合重症化するケースが多いということもあり、免疫の暴走が疑われています。つまり集団免疫獲得が本当に出口になるかどうかもわからないってことですね。

加えて国内感染が終息しつつある中国では帰国者を原因とする感染拡大が見られるなど、今後第2波第3波の感染拡大も警戒する必要があります。しかもそのタイミングが国毎にズレてますから、一旦落ち着いても油断できない状況は続く訳です。1年後に五輪開催できると考えるのはあまりに楽観的です。

最後にちょっと臭い話。鉄道を巡る戦時体制で特筆すべきは戦時下の食糧増産計画でして、人口密集地の東京では住民の糞便が大量に出ることに注目した当局が、郊外の営農地帯への堆肥供給のために鉄道各社に汚わい輸送を要請したものの、乗客の評判を気にして各社尻込みする中で、唯一要請に応じたのが西武鉄道ですが、戦時体制でただでさえ要員が徴用されて人手不足の中、御大堤康次郎の陣頭指揮で大混乱に陥ったという逸話があります。所謂西武鉄道黄金列車伝説です^_^;。

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Sunday, April 12, 2020

三蜜で即身成仏

何だか耳慣れない言葉が飛び交う緊急事態宣言下ですが、クラスター、オーバーシュート、ロックダウン、ソーシャルデイスタンス等々横文字が多いのも気になりますが、その中で「三蜜」が異彩を放っています^_^:。

三蜜とは、身密(しんみつ)、口密(くみつ)、意密(いみつ)の三つで、ご本尊様の身体(身蜜)、言葉(口密)、精神(意密)を修行を通じて体現し即身成仏すべしという密教の教えですが、日本独自の山岳信仰と結びついた修験者の修行を若き日の空海が行ったことから、お大師様の足跡を辿る修行に転じて、時代が下り四国八十八箇所の霊場を巡礼することが庶民にも広がりました。所謂お遍路さんですね。なるほどお遍路さんに代表される宗教聖地巡礼はウイルス拡散に繋がりますから「三蜜は避けよ」は正しい(違)。

日本でも7都府県を対象とした緊急事態宣言が発出されましたが、都が同時に予定していた飲食店や遊戯施設の休業要請に国が待ったをかけて結局72時間遅れで中身も後退したものになりました。既存の新型インフルエンザ等特措法を強引に改正してまでして特措法を成立させて法的根拠を持たせた筈が、生煮えのドタバタとなりました。そもそも発出以前によくわからない根回しに忙殺される図は滑稽でもありました。これ感染症じゃなくてミサイルだったら根回しの猶予もない訳で、緊急事態にご執心な筈の安倍政権でこれですからね。

気になるのが「自粛状況を2週間様子を見てから」という国の言い分ですが、これ福島第一原発事故の時も問題になりましたが、リスクを抑え込むためには最悪を想定して当初強力な規制をかけておいて、様子を見てから徐々に解除するのが危機管理のセオリーですが、今回の緊急事態宣言はそうではないってことですね。早い話が強面の自粛要請でしかないですし、そういう法の建付けなので、端から休業補償は眼中にないし、早期に終息するという正常性バイアスに囚われてV字回復のための景気浮揚策に意識が向かうからお肉券やお魚券のようなトンデモ案が出てくるし、手続きの煩雑な条件を付けてドヤ顔になる訳ですね。

繰り返しになりますが、国民全員にとりあえず1人10万円配ることですね。自治体の課税台帳で対応すれば手続きも簡単ですし課税所得とすれば高額所得者は税金で国庫に戻されますから、所得制限も不要です。何なら臨時課税で取り戻しても良いし。通常の所得税率は超過累進課税で税率5%~45%ですが、課税所得の中央値を300万円程度とすれば税率20%で10兆円の歳出に対して2兆円の納税となりますから、8兆円の予算で実現可能ってことです。臨時課税で更に2兆円取り戻せば、政府の緊急経済対策で1世帯30万円支給で6兆円と見込む予算内に収めることも可能です。あくまでも休業要請をサポートするための家計の資金繰り支援と割り切れば良い訳です。

これも繰り返しになりますが、危機管理のキモはロジスティクスに尽きます。前線へのヒトモノカネの補給を迅速に滞りなく行うことです。そのための家計の資金繰り支援だし、医療崩壊を防ぐために医療に負荷をかけない検査体制の構築であり、マスクやアルコール消毒液などの衛生用品の流通量確保であり、休業を余儀なくされる企業や店舗の資金繰り支援なんですよね。どれも出来ていないですが-_-:。これつまり補給を無視して無謀な作戦を強行したインパール作戦並の愚策です。しかも相手が感染症じゃ撤退も出来ない地獄です。

ジャレド・ダイヤモンドの「銃・伝染病・鉄」で指摘されたように、そもそも感染症は食糧生産を始めた農耕牧畜民が余剰生産で豊かになった一方、家畜を飼うことで動物から貰った病気が人間に特化した結果発生したもので、人類文明に適応しながら共進化してきたものであり、人類が抱える宿痾でもあります。つまり人類のクラスター形成が感染症ウイルスにとっては繁殖の苗床となりますが、一方で人類の体内ではリンパ球の働きによる免疫の獲得があり、スペインの新大陸制覇に見られるように感染症(この場合天然痘)の免疫獲得の有無が作用したり、逆にアジアではマラリアなどの感染症に阻まれて苦戦したりしてます。大航海時代に日本が植民地化を免れたのは、日本に到達したときにはスペインもポルトガルも疲弊していた可能性があります。

そうした視点から見ると、日本で一部の人が好んで使う「武漢肺炎」「中国肺炎」という言い方は適切ではありません。グローバル化で大都市の集積度が上がる一方、ぐ国際分業の深化で人々の移動、交流が盛んになっている状況に適応したウイルスが出現したこと自体は必然と言えます。確かに中国当局の初動に問題があったことは確かですが、グローバル化が進んだ現代において、どこで発生しても爆発的感染が起きても不思議ではありませんし、例えば日本やアメリカが発生源になっていたとして、それを早期発見して迅速な初動が出来たと言える根拠はありません。勿論終息が見えてきた中国が得意げに克服を吹聴するのはおかしいですが。

これが日本だけの問題じゃなくて、アメリカでも損害賠償で中国当局を提訴する動きが活発化しており、民間主体に留まらず、ホワイトハウスも議会も歩調を合わせるように動いていることです。グローバル化がもたらした災難なんで、その克服にはグローバルな連帯が必要なんで、この点は気候変動や廃プラ問題とも共通しますが、覇権国のアメリカでこうした動きが出てきたことを危惧します。議会筋では野党の民主党も同調しており、仮にトランプ大統領が再選されずにバイデン大統領が誕生しても、オバマ大統領時代のような国際協調路線への復帰は見込めないってことです。米中対立は決定的となり、他国は双方から踏み絵を迫られます。

しかしコロナ禍で米中両国とも世界のリーダーとしての資質が疑われる現実が露呈した訳ですから、多くの国は結局両国を都合よく天秤にかけることはあっても、一定の距離を置く対応になると思います。例えばサウジアラビアはロシアとの減産協議決裂後に破壊的増産をかけてアメリカのシェール潰しに走り、慌てたロシアが結局減産で合意するといったジグザグな対応を取るなど不安定化が顕在化してます。そしてサウジは今、王族を含む多数の感染者が出て石油生産が続けられなくなり、結果的にロシアが漁夫の利を得る流れです。

南北対立で揺れるEUでは、流石に加盟国の結束が叫ばれ、財政規律派のドイツすら財政赤字容認に転換したものの、財政力格差を埋める共同債発行には至らず、寧ろ水面下の対立は深刻になっています。構図としてはナポレオン戦争で神聖ローマ帝国解体後、戦後処理のウイーン体制で関税同盟としてのドイツ連邦となった中で力を蓄えたプロイセン主導でオーストリア抜きのドイツ帝国が成立した流れとそっくりです。力を蓄えたドイツは他国を助ける気更々なしです。また移動の自由を謳ったシェンゲン協定も停止され国境封鎖が行われています。

またアフリカへの感染拡大は医療支援を通じた中国の影響力拡大は避けられません。グローバル経済の最後のフロンティアへの中国の影響力拡大はアメリカの覇権の綻びを拡大します。加えて気になるこのニュース。

米軍、空母4隻でコロナ感染者、即応体制に揺らぎも:日本経済新聞
つまりアメリカの覇権を支える海の支配に綻びが出ているってことで、これ海洋進出を狙う中国にとってはまたとないチャンスですし、またこのところミサイル発射を再開した北朝鮮も、今ならアメリカが動けないことを利用しているものです。さて、日本は守ってもらえるでしょうか?

しかも日米地位協定で米軍基地経由で米軍人軍属は通関や検疫を経ずに日本に入国できますから、米軍由来の感染拡大も当然あると考えるべきでしょう。PCR検査増やすとバレるから増やさないのか?てことで日米同盟が明らかなリスクとなっている現実があります。コロナ後の地政学的変化を考えないとヤバいですね。

てことで、思い出されるのがJR東海のテキサス州高速鉄道計画ですが、ただでさえ採算に疑問を持たれているプロジェクトで、コロナ禍で投資家マインドが冷えれば資金調達がとん挫する可能性大です。それ以上にコロナ禍が収まらないと稼ぎ頭の東海道新幹線の収益も当てにできなくなります。これ当然中央リニアの計画にも支障となるでしょう。コロナ後のV字回復とか夢見ない方が良いでしょう。

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Sunday, April 05, 2020

社畜の国のリモートワーク

予想通り東京がえらいことになっております。前エントリーで指摘した指数関数的な感染拡大が現実となってきています。流石にヤバいんで、私も自粛して渋谷の銀座線ホーム見物や高輪ゲートウエイ駅訪問やアーバンパークライン全線急行乗車や発着枠増加に関連してターミナルを刷新した羽田空港見に行ったりは断じてしておりません(汗)。

首都圏 鉄道利用7割減 小池知事「爆発的な感染増への岐路」:日本経済新聞
先週末は小池知事の脅しと寒さや雪など悪天候も手伝って人手は大幅に落ちたようです。平日はどうなのかは鉄道通勤をしない立場になって久しい私の知るところではありませんが、リモートワークの拡大で減ってはいるようです。てことで今回はリモートワークを取り上げますが、その前にアベノマスク(笑)。

これ経産省系の官邸官僚の進言を受け入れたものらしいんですが、「国民に喜ばれる」という言葉を真に受けたものらしい。人気取りのつもりが炎上案件となった訳ですが、この唐突な思い付きを誰も止めなかったというのが現政権の病巣を示します。最早官邸には国民の気持ちを理解できている者がいない訳で、なるほど、これじゃ私権制限を伴う緊急事態宣言なんか出しようがない訳です。

とはいえ法的拘束力は限られていて医療機関に対して指定医療機関に指名するなどの権限が生じる一方、外出制限などは要請の域を出ない訳ですが、既に医療部門に負荷がかかっていて医療従事者の感染も見られますし、そうなると濃厚接触者も含めて自宅待機となって逼迫したマンパワーを更に追い込む悪循環です。故に厳しい現実に直面する医療関係者から「緊急事態宣言を出すべき」の声が上がってますが、そんな現状認識も出来てないってことです。という訳で今週末は不本意ながら本気の乗り鉄自粛です。

ただこの状況でも中国をはじめ感染症診療の有効性が実証された遠隔診療は医師会が難色を示して厚労省が反対している現状です。勿論対面診療と同等とはいきませんが、命に係わる重症者以外は自宅で経過観察とすることで、医療現場での感染拡大が防げて医療崩壊を防げる訳で、既に医療部門が悲鳴を上げているのに医師会トップが渋い顔って構図です。

これ貧テック鈍テックでも指摘しましたが、日本では遠隔診療どころか医療機関横断で共有可能な電子カルテも未導入ですし、電子処方箋も無いし処方箋薬のネット購入も限定的にしか認められない現状ですが、その結果どういうことが起きているかというと、同一人物が異なった医療機関を受診し同じ薬を処方されて飲みきれないほどの薬を抱える現実があります。医療のフリーアクセスが原則の日本ではこれ防ぎようがありません。

そして処方箋の期限を迎えて追加の薬欲しさに受診して処方箋を受け取りのエンドレスですが、特に高齢者で回復の見込みがない人ほどこういう行動に陥りがちな一方、医師が継続して処方箋を出さなければ別の医療機関に行って同じ薬の処方を受けますから、所謂薬漬け状態に陥る訳で、保険診療の負荷を高めている一方、薬の処方箋欲しさに通院するから院内感染のリスクを知らずに負っている訳で、医療情報が共有されていないから生じる無駄ですし、当人にとっても無駄な通院を誘発し想定外のリスクを負っている訳ですね。これ結局医療機関にとっては保険点数稼ぎになりますから放置しても困らない訳で、改革の動機づけが乏しい訳です。

今回のような感染症に対してこういった日本の医療体制が脆弱なのが問題なんですが、感染の実態を知るための検査すら「医療崩壊につながる」と反対の声が上がるって、結局現状維持したいだけだろって話です。その結果医療崩壊が避けられない事態になって緊急事態宣言をおねだりするってのも大概です。しかし事態は確実に切迫してきています。

てことで本題ですが、リモートワークにもいろいろ落とし穴がありまして、例えば会社印が必要な契約は結局押印のために出社する必要がありますし、その会社印を管理する部門も当然出社していなければなりません。こうしたリモートワーク不可能な事務仕事ってのは意外とありまして、結局リモートワークは一部に限る訳です。しかも契約を扱う営業社員は書類づくりは自宅で出来ても、こうして節目節目で出社しなければならない訳ですから、場合によっては寧ろ負担が増える場合もあります。

にも拘らず自宅勤務はタイムカードなど勤務時間を客観的に示す証拠が得にくい訳で、社印押印のための出社にかかる移動時間は通勤時間と見做されて勤務時間にカウントされず、結果的にリモートワークで残業カットという会社にとっては美味しい事態が生じますから、コロナ禍が去ってもリモートワークは続く可能性はあります。社畜の国あるあるですね^_^:。

それと社内会議のビデオ会議化にも落とし穴がありまして、パソコンやスマホの画面を見ながらのやり取りで会議を行うこと自体は可能であっても、特に利害対立のある面倒な案件で腹落ちする落としどころを探して確実なアウトプットを得ることが可能かどうかは微妙です。ツールとしてはスカイプやズームなど手軽に使えるものが出てきてますが、ただでさえ空気に流されやすいと言われる日本人が果たしてモニター越しに本音をぶつけ合えるでしょうか。特におっかない上司に対して。この辺は会議の進行役となるファシリテーターの実力次第ではありますが、こういった訓練を重ねた人材がどれだけ居るかというとお寒いですね。

加えて社外秘の扱いやセキュリティがデリケートな問題を孕みます。そもそも会社支給のPCを自宅に持ち帰ることを認めるかどうか?あるいは社員の私物のPCで会社のネットワークへの接続を認めるかどうか?そしてビデオ会議も含めてそもそも社員の自宅のネット環境のセキュリティが適切かどうか?またビデオ会議の発言が外部へ洩れないか?他にも考えられますが、この辺の問題をクリアするのは結構ハードルが高いと言えます。しかし確実い言えるのは、万が一情報漏洩があればリモートワークに励む社員に責任転嫁されるだろうということです。

そして微妙だなと思うのが通勤手当の扱いです。これも最悪の想定をすれば、リモートワークを理由に通勤手当の支給を渋る企業が出てくる可能性はあります。その場合社印押印などで出社した時の交通費精算をその都度行うならば問題ないですが、それをシステムがカバーしているとは限らない訳で、下手すると経費の自己申告のために出社せよってばかげた話もあり得ます。今は非常時ってことでどさくさ紛れに始めた会社ほど、この辺は要注意です。

てことで先週末の乗客減だけで7割減ったと即断はできませんが、コロナ禍が終わってもリモートワークが続く可能性は、会社にとっての好都合である限り一定に存在します。仮に7割減までには至らずとも5割減ぐらいになれば首都圏でも快適通勤が実現する可能性はありますが、その場合現在の輸送力水準が維持される前提でって話になりますから、当然鉄道事業者にとっては逆風です。あまり想像したくはありませんが、通勤手当不支給が広がれば割引運賃ながら先払いの安定収入となる定期券の売上減少は鉄道事業者の経営にボディーブローのように効きます。そうなると現行の輸送力水準の維持が難しくなる訳で、輸送力の減量に踏み込む可能性はあります。

それを防ぐための増収策があれば現状維持はある程度可能でしょうけど、例えば通勤ライナーのような着席サービスは、混雑が緩和されたときにどこまで有効かという問題を抱えます。あとMaaSによるラストマイル輸送との連携で付加価値を生む方向性は考えられますが、欧州でのMaaSの実現例は都市圏の運輸連合方式による共通運賃制度がプラットホームの役割を果たしていることから、事業者が多くそれぞれ沿線の囲い込みに余念がない日本でうまく機能するかどうかの疑問は残ります。あるいは戦後ほとんど見られなかった事業者の合従連衡に進む可能性も指摘できますが、阪急阪神の経営統合で大騒ぎしたぐらいですから、簡単ではありません。

あとは東京メトロなどで社会実験が行われた宅配便荷物の客貨混載が進む可能性はあります。ドライバー不足が背景にある一方、感染症対策としてのECの拡大に対応する必要から宅配事業者側の都合で実現する可能性が高まるという点もあります。その反面鉄道沿線の商業施設の利用が忌避されるとすれば儲けの大きい定期外客を減らすことと裏腹となりますので、プラスマイナスは微妙です。

一方トヨタがNTTと組んで静岡県裾野市に建設するスマートシティ構想を推進すると発表しています。つまりこれ自動車メーカーのトヨタがまちづくりを事業化するって話なんですが、CASEの繋がる、自動化、シェア、電動化のいずれも開発費負担が重くて利益見通しが持てない中で、トヨタ流のMaaSを実現して付加価値を得ようって話です。ある意味日本では大手私鉄の専売特許に近かったまちづくり事業への参入となる訳で、トヨタ自身にも迷いがあると思われるので、直ちに手強いライバルになるとは限りませんが、鉄道事業者の連携や合従連衡無しに太刀打ちできるとも思えません。

そして高輪ゲートウエー駅開業でまちづくりに乗り出したJR東日本ですが、安中榛名や喜連川の宅地開発分譲でコケたJR東日本にとっては、まちづくりは未踏の分野です。しかもグローバル化を前提とした職住近接の国際都市というコンセプトも、コロナ後を睨むと見直した方が良いと思います。特に最近の地価上昇をけん引してきたホテル関連がコロナ禍でブレーキになると、緩和マネーで膨らんだ土地バブルも終わる可能性が高まります。まちづくりの経験豊富な東急やこの地域に根を張る京急や西武との連携を図る方が賢明ですが、果たしてそういう判断ができるでしょうか。COVID-19の後始末は簡単ではないでしょう。

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Saturday, March 28, 2020

感染路は続くよ何処までも

海越え街越え時越えて遥かな世界へ僕たちの見えない未来をつないでる~♪
元歌はアメリカの労働歌で、大陸横断鉄道の建設工事に駆り出された建設労働者が、来る日も来る日も人里離れた荒野でツルハシを振るい、時にはインディアンの襲撃にさらされる命がけの終わりの見えない過酷な労働への恨み節でした。その歌にNHKが旅へのあこがれを表す日本語の歌詞をつけてみんなのうたて紹介したため、日本では全く異なった印象で受け止められてますが、皮肉にも元歌に近い現実に直面する私たちです。

武漢から始まったCOVID-19の感染が世界に拡大し、遂にアメリカの感染者数が中国を抜いて収拾がつかない状況です。COVID-19のような感染力の強い感染症は大都市で感染拡大するのはある意味当然で、中国でも人口1,100万人の武漢市で爆発的感染拡大に見舞われましたし、イタリアでも7ミラノなどの大都市に集中しています。日本でも札幌市がそうでしたし、感染拡大が見られる大阪府や兵庫県、それに東京都もですが、明らかに爆発的感染拡大の兆候が見られます。感染症は指数関数的に感染拡大する訳ですから、いつかはこうなる訳ですが、厚労省の報告書を思い切り誤読して阪神間の往来自粛を呼び掛けたり、唐突に首都閉鎖も有り得ると脅しをかけたりしてパニックを煽る知事たちにうんざりです。

新型コロナ感染者、米は10万人突破 全世界の17%に:日本経済新聞
アメリカの感染者が10万人を超えて中国を抜き世界一となった訳ですが、アメリカでも4割は大都市を抱えるニューヨーク州に集中しており、大変な状況ですが、クオモ州知事の州民向けの演説が評判を呼んでいます。自身が対応に疲れたことを告白するとともに、自分以上に最前線で対応し疲れている人がいることに言及し、非常事態への対応への協力を求めたものですが、病院ベッドの不足や人工呼吸器の不足などの具体的な問題点を明らかにして、パニックにならないように冷静な対応を求めたものです。この演説に好感して株式市場も一時的に上げたぐらいですから、人々に与えた安心感は相当なものでしょう。

翻って小池知事美首都閉鎖発言はインパクトは大きいけれど基本的に脅しですから、それに反応して多くの人がスーパーに殺到して買いだめに走る訳で、SNSに蔓延るデマと変わりません。情報攪乱が市場経済を機能不全に陥れることは前エントリーで指摘した通りです。しかもタイミングが東京五輪の1年延期が決まった後ということで憶測を呼んでいます。まあ五輪に限らず様々なスポーツイベントが中止または延期が相次ぐ中で、今年予定通りに開催できる訳はないんで、見直しは当然ですし、スケジュールが狂った各競技団体にしてもどのみちスケジュールの見直しは必要ですから、調整自体は不可能ではないでしょう。しかし問題は1年後に沈静化しているかどうか不明ということです。

[FT]英の新型コロナ対策、「最善願い最悪に備える」:日本経済新聞
英国ジョンソン首相が集団免疫を打ち出して批判を浴びて引っ込めたという風に報じられていますが、国民の大多数が感染して免疫を獲得すれば、新規感染者が減ってCOVID-19も普通の風邪の1つになり落ち着く訳で、国民の60%が免疫獲得が目安となるということで、それまでの長い道のりを乗り越えるよう国民に協力を呼び掛けたもので、既に市中感染が見られ水際作戦での封じ込めが不可能という現実を示したものです。結果批判を浴びたものの、飲食店等の休業補償や納税猶予や国民への現金配布などの対策を打って理解を求めました。

何だか国も地方も出鱈目なのは日本だけと落ち込みたくなりますが、ここで注目すべきは60%という集団免疫の目安です。既に欧米アジアから南米やアフリカまで感染拡大が見られる現状からすれば、今さら封じ込めは現実的ではない訳で、いずれ世界各地で順繰りに爆発的感染を経験しながら世界全体が終息に向かうのに1年で済むのか?ということです。世界のどこかで感染拡大の混乱が続く限り、公正な世界大会なんか開けない訳で、そう考えると1年後の仕切り直しで突っ走るのはどうかと思います。そもそも人命が関わる問題でスポーツどころじゃないだろうって訳ですが、商業イベント化したオリンピックは簡単に中止できないのもまた現実です。問題の軽重を取り違えてないかってことですね。

それととりあえず3,000億円と試算される延期に伴う追加負担の問題ですが、現状10Cと都と国で押し付け合いしている現状です。これも実際はいくらかかるか想像もつかないのが実際で、事態の進捗に伴って隠れたコストが明らかになることは覚悟しといた方が良いでしょう。この辺福島第一原発の廃炉問題や汚染水問題でも見せられている現実です。こういった計算違いは正常化バイアスが働く以上必然的に生じます。所謂希望的観測に流される訳です。仮に上記のように1年後にも終息していなければ、延期のために負担したコストは無駄になり更に追加負担を覚悟しなきゃならないとなると、五輪の経済効果とは何だったのか?って話になります。

それよりも当面の経済的な落ち込みをどうするかですが、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリアなど欧米諸国に加えて韓国や香港でも国民への現金配布が行われる一方、日本では所得の落ち込んだ世帯に限りというような制限を課すようですが、それをどのように判定するつもりなんでしょうか。しかも時期は5月になるとか言ってる訳ですが、コロナショックによる自粛で職を失ったり所得を失った人はとても待てませんし、消費の落ち込みは更に経済を冷やす訳で、条件付けずに全員に配布する方がコストもかからず迅速に実行できます。

財源は震災復興増税のように事後的に増税して回収すれば良いですし、所得税に税率を上乗せすれば高額納税者ほど負担する訳で結果的に回収されますから所得制限は不要です。一部で言われる消費税減税ですが、そのために法改正して鉄道運賃など公共料金の改定でシステム変更のコストもかかりますから、緊急対応としては不適格です。加えて地方消費税も減る訳ですから、住民サービスを担う自治体が干上がることも忘れてます。それも含めて制度としての消費税の是非や適切な税率の議論は平時に行うべきであり、どさくさ紛れにやるべきではありません。そして与党内の議論で和牛商品券やお魚券といったトンデモ議論があるようですが、非常事態に利権漁りとはお下劣です。ま、こんな連中を選ぶ国民も大概ですが。

それでも流石に公共事業の積み増しは出てこないようです。人手不足による入札不調で執行が約1年遅れの現状では、公共事業を積み増しても経済効果が出ないことが明らかなので、持ち出しにくいんでしょう。その一方で結果的に建設費の相場が上がって民間工事も割高になって所謂民間活用も難しくなり、加えて五輪を睨みインバウンドを睨み活況にあったホテル建設が一転不良債権の山になりそうな中で、ゼネコンは請け負う工事を選別してます。

このコンテクストで今公判中のリニア談合事件でゼネコン各社の暴露合戦が繰り広げられています。既に分離公判で有罪が確定している大林組がJR東海幹部の指示で星取表と呼ばれる工区ごとの予算と受注企業の一覧をExcelで作成したことを暴露しており、談合の物証になると共に被害者である筈のJR東海の関与が明らかになりました。これ鈍器法定で指摘したように、事業費の上限が決まっている中で、ゼネコン各社の過酷な値下げ要求をした挙句のゼネコン同士の仲間割れって構図です。この辺無罪を主張する大成建設も技術的な相談に乗ったつもりが企業秘密の開示につながったことを認めています。

大林組は地元のうめきたやなにわ筋線などもあるし大阪万博も控えているしで、もうけがショボいリニアに過度に付き合うつもりはない一方、五輪関連の受注をほぼ独占してきた大成建設にとってはポスト五輪でリニアは外せなかったという構図です。なにわ無くとも五輪の大成とその逆の大林組という対立構図があからさまで与党の集票マシンだったゼネコンの仲間割れは与党の公共事業への関心も醒めさせたかもしれません。加えてリニア談合事件の影響で各社入札停止処分も受けておりますし。ま、ある意味無駄な公共事業が出来にくくなったとは言えますが。

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Saturday, March 14, 2020

コロナゲートウエイ

「マスクが消えた」と言われる現在の日本ですが、外出すると会う人のマスク率の高さに驚かされます。元々マスク習慣がないし、ウイルス感染予防に役に立たないことを知っておりますので、私自身はマスクをしませんが、結局マスクをする人が増えてマスクを一斉に買った結果、店からマスクが消えただけじゃないかと。それを証明するような報道がありました。

日用品、SNS誤情報で買いだめ 店頭で紙製品が品薄:日本経済新聞
ざっくり言えばSNSで発信された誤情報で人々が買いに走り、店の棚が空っぽになったけど、現在POSシステムで単品毎の需要動向が把握されていて、季節や天候などの要因まで加味した予測精度が高まった分、店頭も含めて流通在庫が圧縮されていて、しかも消費者もそれに慣れていて不必要に物を持たなくなった結果、今回のような誤情報による需要の上振れでこうなったってことです。一部で言われているような転売ヤーの買占めは、部分的にはあったかもしれまっせんが、個人の資金でできる買占めはたかが知れてます。

ジャストインタイムの流通システムで基礎的定常的な需要は把握されており、花粉症など季節や天候要因による変数も把握されていて微調整される、そんな精緻なシステムがIT技術の深化で更に磨きがかかりますが、今回のような感染症リスクの顕在化までは予測できませんから需要を満たせず、結果的に店の棚が空になれば買い損ねた人が次の入荷日を確認して集まりますから、入荷しても棚に置く暇もなく瞬間で売り切れとなり、更に次の入荷日を確認してと無限ループが続く訳ですね。そうして不安を煽られた人々は余分に買ってストックしようとしますから、ますます品薄になって無限ループは簡単には途切れません。

これ高度情報化社会の脆弱性と捉えるべき事象ではないかと思います。そもそもは人々の不安を煽るような誤情報が流通したことが起点なんで、よく考えたら金融市場のコロナショックも同じなんですね。こちらは需要のいきなりの消滅がもたらしたものですが、元々金融市場は金融緩和の金余りで行き場を失ったマネーが敢えて好材料を見つけて資金を投じる流れが続いていた訳ですから、想定外のリスクに晒されて逃げ出した訳です。しかもアルゴリズム取引などの機械取引が増えた結果、市場の振れ幅が大きくなって予測不能な混乱が続いている訳で、マスクやトイレットペーパーの騒動と変わらない背景があります。

こうして見ると今回の新型肺炎問題は新自由主義やグローバル経済の転換点になると見るべき要素が散りばめられています。例えばアメリカでの感染拡大でも、元々マスクの習慣がないアメリカでもトイレットペーパーが店頭から消えたりしていますし、欧州も含めてイベントの中止や学校の閉鎖が相次いでいます。何れも初動の遅れが響いている結果と見ることができます。

結果論ですが、中国では武漢でこそ爆発的な感染拡大が起きたものの、恐らく民主国家ではできないような武漢封鎖などの力業で、武漢を含む湖北省以外の地域では感染が下火になりつつあるようです。致死率で見ると武漢だけが突出しているようで、武漢では混乱が見られる一方結果的にン国全体では封じ込めが成功しつつあるようです。同様に致死率で比較すると感染者数が多い韓国では致死率1%に満たない一方、日本の致死率は3%と高めなのは、検査数が少ないことが影響していると見られます。

もう少し突っ込んだ見方をすると、台湾も封じ込めに成功している訳ですが、韓国も台湾も選挙で選ばれたリーダーがきっちり仕事していることに注目すべきでしょう。中国の場合習近平体制で権力の集中が起きた結果、新型ウイルス発見に寄与した医師をデマ拡散で処分した武漢市当局のように現場官吏の判断がブレるんですね。同様に政権に忖度しないと冷や飯食わされる現状の日本では、初動が遅れて封じ込めに失敗しましたし、独善的な大統領を頂くアメリカも同様です。そして大声じゃ言えませんが、民主的な選挙で選ばれていないEU官吏も動けなかった。まして欧州はシェンゲン協定で国境封鎖が事実上不可能ですし。そうするとBrexitは正しいことになりますが^_^;。その英国でも日用品不足は見られますが。

つまるとこと情報の流通に問題があるとうまくいかないということで、これよく考えたらナッシュ均衡と呼ばれるゲーム理論の考え方で解ける問題です。所謂囚人のジレンマ問題で、情報が分断されていると正確な判断が出来ずに誰もが不利益を被る均衡点が存在するというアレですね。それを防ぐには情報開示を徹底するしかなく、将に韓国や台湾が実践したことです。逆に情報開示が不十分だと誤情報やデマがSNSで拡散されて混乱を招く訳です。実は新型肺炎が思わぬ民主主義のリトマス試験紙になったってことでしょうか。

で、臨時休校、イベント中止、テレワーク推進などで人が外出しなくなり経済が回らなくなる中で、3.14ダイヤ改正を迎えたJR各社ですが、JR東海は改正の目玉ののぞみ1時間12本体制も、利用客減少で当面間引きを余儀なくされ、福島第一原発事故の影響で復旧が遅れていた常磐線が完全復旧したものの、未だ住民の帰還は困難で祝賀ムードとは程遠くと異例ずくめの中で、山手線30番目の駅として開業した高輪ゲートウエイ駅では開業一番乗りや記念切符・入場券を求める人が集まり、最大3時間待ちとか、クラスター感染が心配されることが起きています。流石に開業式典は中止されましたが、思わぬクラスターが形成されました。コロナゲートウエイにならないことを祈りましょう。

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Sunday, March 08, 2020

グローバルコロナショック

アジア中心だった新型肺炎COVID-19が欧米に飛び火しています。欧州ではイタリアで感染拡大し、徐々に他国へ広がっていますし、アメリカでも感染が拡大し、世界規模の感染症となった感があります。

世界史的には感染症が歴史を変えた事例は多数あり、中世欧州のペスト禍はもちろん、スペインの新大陸植民地化では旧大陸住民には免疫があった天然痘の新大陸住民への感染拡大がもたらしたと言われます。とすると湖北省を除いて感染者の減少が見られ、免疫獲得が推定されるる中国が勝者になるのかなあ?

そんな河北省を除く中国を韓国と共に新たに入国制限を課した日本の対応はズレまくりです。しかも第三国経由は本人の自己申告で制限という意味のない水際作戦で、喜ぶのはネトウヨぐらいのもんです。これも臨時休校要請と共にエビデンスに基づかない官邸の独断だってことで、どこまでアホなんだ。

大変なのは主婦でして、臨時休校の子供とテレワークで在宅勤務になったダンナの世話をしなきゃならなくなって大忙し。専業主婦ならまだしも看護師、介護士、保育士などで出勤が難しくなって病院や介護施設や保育園が人手不足で回らなくなったり、また学校は休みだけど学童保育は実施されていて、しかも放課後限定から全日となり人手が足りないと学校の先生も駆り出される事態になり、こうなると休校とはいえ授業をやらないだけで、しかも特定の教室にすし詰めで濃厚接触を助長するという笑えない事態になっています。

病院での院内感染防止は確かに大きな課題ですが、それを理由に検査体制の拡大に反対するってのはどうかしてます。受付や病室を分けるとか受付時間や診察時間をずらすなどの可能な対応を取った上で、街のクリニックでも検査できるようにするなど可能なことはあります。また介護士の人手不足は高齢者の多い介護現場での感染拡大を助長する恐れがあります。施設に預けた高齢者を引き取って一家で感染とかあり得ます。

テレワークがまた問題でして、今までは掛け声だけで進んでいなかっただけに、急にテレワークが増えてビデオ会議やろうとしたらトラフィックの急増で繋がらないトラブルが多発という笑えない現実があります。何事も準備が大事なのは政府に限らずです。一方、ビデオ会議アプリの米ズームはコロナショックによる株安の中で株価を上げてますし、物事は備えが大事だと改めて気づかされます。そして政府は余計なことはせず必要な資金を予算化するのが最大の役割です。その意味で注目するのがこのニュースです。

公共事業、人手不足で滞る 入札不成立4年連続増へ:日本経済新聞
人手不足で公共事業の執行が滞っていて、現在18年度補正予算の執行に目途がついて19年度本予算上期分の入札が始まったものの入札不調続きで執行が滞る流れですが、つまり予算の計上と執行がほぼ1年ズレている訳です。これつまり予算上の事業年度を執行の実態に合わせてズラせばほぼ1年分の資金が捻出できる訳で、その規模は6兆円超となります。これ全部でなくても、民間検査機関や大学まで動員してPCR検査の拡大の体制を作ることは可能でしょう。ま、地元に公共事業引っ張って有権者にアピールするのが仕事と勘違いしている政治家はやりたくないでしょうけど。

こんな状況で東京五輪が重荷になっていることは度々指摘してきましたが、その五輪にも暗雲が漂います。COVID-19の世界への拡大は当然五輪開催の可否を左右します。既にIOCとWTOのビデオ会議で東京五輪の無観客開催が議論されたそうで、貧テック貪テックで予想したような事態になってきてます。そうなると臨時休校要請やイベント自粛要請までして開催にまい進する日本政府は、非常事態宣言を可能とする新特措法と相まって、国民を押さえつけて戒厳令下の五輪という歴史に汚点を残しそうです。

マーケットも異変が起きています。株価の下落に対しては、日によって戻したりはしてますが、乱高下で下げ基調という荒れた状況ですが、これまで金融当局の緩和期待で起きていた低金利下の株高が変調を来してFRBの緊急利下げにもほとんど反応しませんでした。所謂適温相場が終わった訳で、リーマンショックを上回る経済ショックはいよいよ現実のものになりそうです。

しかもコロナショックでは主に航空や自動車などの下げが主体ですが、裏にもっと重大な問題が潜んでいます。それを示すのがこのニュース。

OPECプラス決裂、背後にサウジ皇太子の指令? 客員編集委員 脇祐三:日本経済新聞
これ当面原油安が続くってことですが、この点がリーマンショックの時と大違いなんですね。

リーマンショックの時はアメリカを起点にショックが波及しましたが、成長途上にあった中国を筆頭とする新興国経済は好調だった訳で、石油需要の先高観から原油価格は一時1バレル140ドルまで上がりました。それが結果的に欧米のエネルギー関連企業の株価を下支えし、米株式の早い回復を実現した訳ですが、今回はその中国経済にブレーキがかかって原油価格も60ドル前後から40ドル近くまで下がった訳ですから、事情が異なります。

中国に限らず例えば中東の産油国でも石油精製や石油化学工業の国内立地が進んでます。つまり工業立地の世界への拡散が進んで新たなフロンティアが見当たらない状況にある訳です。加えて欧州中心に再生可能エネルギーの普及もあって、基礎的な需要の将来的な縮小が見込まれる一方、米シェール革命で供給力は増えているという四面楚歌状況ってことです。謂わば逆オイルショックってことですね。余談ですが150万バレルの減産目標の内50万バレルをロシアに割り当てると独断で決めてロシアの怒りを買ったサウジ皇太子ですが、どっかの国の愚鈍なリーダーと似ています。

そしてグローバリゼーションと共に世界に拡散した新自由主義ですが、その流れに逆行するような動きが日本で起きました。

北神急行線と市営地下鉄との一体的運行(市営化)について:神戸市交通局
北神急行電鉄の経営不振は以前にも取り上げましたが、2008年時点では高運賃対策として上下分離して神戸高速鉄道を第三種事業者として北神は第二種事業者となって資産圧縮を図り、神戸高速が当時三セクだったこともあって固定資産全減免対象だったので、線路使用料負担を軽くした上で、神戸市と兵庫県の補助金で運賃を430円から350円に下げた訳ですが、それでも三宮へは市営地下鉄との運賃合算となり550円となる訳で、割高であることに変わりはありませんでした。

更に状況は変わり第三種事業者の神戸高速鉄道の神戸市の持ち分が圧縮され阪急阪神HDに譲渡されて関連会社となったことで上下分離の意義が薄れたこともあり、北神は阪急阪神HDのお荷物であり続けました。そこへ神戸市が2018年に北神の運賃低廉化の検討について協議を開始し、翌19年に資産譲渡の申し入れを行い、阪急阪神HDも三宮地区の活性化に資するとして応じたものです。しかも北神の認可運賃を捨てて神戸市営地下鉄と一体の運賃制度とすることで、三宮まで280円とほぼ半減の水準まで下げます。

加えてバス乗り継ぎの定期券割引制度を拡充し、谷上駅―神戸北町間に市バス路線を新設するということですから、従来新神戸トンネル経由で運行されていた三宮駅―神戸北町間の路線の見直しということですね。ドライバー不足で都市部でも減便を余儀なくされる路線バスの合理化も併せて行うということのようです。

三セクですらない純民間事業者の北神急行電鉄を市営地下鉄と一体化するという珍しい動きですが、一方で大ゴケの海岸線を抱える神戸市としては苦しいところでしょうけど、震災を機に国際港湾としての評価を失った神戸市としては中心部の活性化は待ったなしの課題なんでしょう。カジノ誘致で迷走する横浜市より遥かに誠実です。

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Sunday, March 01, 2020

日出ずる国のサンセットクルーズ

アベノミクスを感染症に喩えたら重症化しちゃいました。

首相、感染連鎖阻止へ異例の要請 小中高の臨時休校:日本経済新聞
北海道で小児の感染が出て札幌市を除く公立学校の臨時休校を決めたことに倣ったんだと思いますが、検査件数が相対的に多く、クラスター感染が疑われる状況から判断されたものですが、検査体制が不十分なまま全国に拡大することにエビデンスは示されておりません。北海道でも休校の影響で看護師が勤務できなくなって休業する医療機関が出て逆効果だったりという副作用が現れてますが、国民に不利益を強いる一方、感染拡大に繋がる公共交通機関の混雑は放置されたまま。無意味なパフォーマンスでやってるふりはアベノミクスの文脈そのものですが、今回は流石に国民から大ブーイングを受けてます。

ネットに溢れる検査の精度問題ですが、確かに偽陰性や擬陽性で正確な診断が難しいのですが、それでも感染拡大の可視化という意味で検査データを集める意味はあります。実際北海道ではさっぽろ雪まつりの直後に感染拡大が確認され、所謂クラスター感染の可能性が見えたことで、イベントの自粛や公立学校の臨時休校の判断につながった訳で、傾向を掴んで対策を打つ意味では検査体制の拡充こそ最優先事項である筈です。加えて国民の不安に寄り添う意味もあります。

後者は無発症や軽症で自分が気付かずにウイルスをばら撒いている可能性もある訳で、その不安からマスクを求める仮需要が爆発して店頭からマスクが消えた訳ですが、検査で陰性ならマスクはとりあえず必要ないと判断できる訳で、検査を行うこと自体が情報公開の一環でもある訳です。情報が伏せられれば7デマに惑わされて必要以上にマスクを買い占めたりする行動を助長する訳ですから、マスクが消えたような混乱は情報開示の不備からくると纏められます。

そして検査体制の拡充が遅れた理由としては、国立感染症研究所の処理能力に限界があり、しかも安倍政権で予算削減が行われていたこととか、今回の新型コロナウイルスの検査試薬が未承認だったり、感染研が試薬を独自開発する一方、独自開発されtたロシュの試薬に使用をためらったこととか、様々なことが言われてますが、水際作戦にかまけて検査体制の拡充を後回しにしたことは間違いありません。政治的に重大な判断ミスです。それが顕著に表れたのがクルーズ船ダイヤモンドプリンセスの検疫の不始末です。

ダイヤモンドプリンセスに関しては、国際海洋法の旗国主義の制約で日本政府が十分な対応が出来なかったという議論があります。確かにダイヤモンドプリンセスは英国船籍で運航会社はアメリカだけど専ら日本を含む東アジアでクルーズ航海をしているけど、管轄権のある英政府はこの問題では何もしていないという訳です。

しかし国際海運の世界では、船員の人件費や税制などで維持費の低い国で船籍を取ることは昔から行われてまして、日本の船会社の所有船がリベリア船籍だったりしますし、旗国主義は実際には空洞化しています。また実際問題として旗国から遠いエリアを航行する船舶に管轄権を行使することは困難です。故に今回の感染症検疫のような非常事態への対応として沿岸国が管轄権を行使することは普通に行われてますし、貧困国や途上国ならいざ知らず、豊かな先進国である日本が対応できて当たり前、できなきゃ恥ずかしいというのが通り相場です。

故にダイヤモンドプリンセスの船内足止め問題は国際的に批判を浴びた訳です。とにかく1日300件のキャパしかない検査体制で乗客乗員3,700名のウイルス検査じゃ、足止めされている間に船内で感染が蔓延するのは素人でもわかる道理です。結果的に3,700名中700名の感染確認がされて5人に1人以上の感染という結果を招いた訳ですから日本政府の責任は重いと言えます。

ダイヤモンドプリンセスは元々日本の顧客開拓の期待もあって三菱重工長崎造船所に発注された船で、乗客乗員に多数の日本人が乗船していた絵ですし、またインバウンドを国家戦略として謳ってた日本政府としては大失態と言える訳です。とはいえ受注した三菱重工はクルーズ船の敬遠が乏しく、特にホテル並みに複雑な船内設備に苦労して、挙句に建造中に火災事故を起こして納期を遅らせるなど散々な結果となり大赤字で、折角のチャンスを活かせませんでした。そして挙句にこれです。

横浜港 クルーズ船の寄港取りやめ相次ぐ:NHK NEWS WEB
これ横浜港に限らずクルーズ船寄港地として日本が忌避されている現実があります。贔屓目に見ても感染の終息が見込めないうちはクルーズ船が戻ってくることはないでしょう。しかも日本政府は相変わらずエビデンス無視のやってるふりで迷走してますから、当分この傾向は続くと見るべきでしょう。20202オリパラも最悪中止もあり得ます。

そして愛ある成長戦略でカジノを含むIR誘致も微妙になります。IR誘致に関しては、ハマのドンが猛反対とも伝えられてますが、横浜市は目のめりで、昨年秋にみなとみらいに本社を移転した京浜急行電鉄もIR誘致に期待感用命しております。裏付けのない噂レベルの話なんですが,横浜市がIR誘致を予定する山下ふ頭へ京急が新線建設を構想しているということで、これがハマのドンの怒りを買ったと言われております。

みなとみらいへの本社移転は日産グローバル本社の場合でも横浜市による便宜供与を含む強力な誘致活動があったと言われておりますが、京急に対しては山下ふ頭へのIR誘致を早い段階で知らせていたとしても不思議ではありません。そして京急はこれまでも支線の活性化に熱心なところがあります。過去エントリーでも取り上げましたが、空港線の羽田空港ターミナル延伸が大成功を収めた京急ならあり得る話です。そしてIR新線が京急誘致のエサになったとすると、東京からいきなり来た新参者が利権をさらう構図としてハマのドンの怒りを買ったというストーリーはあり得ます。

京急としては当面は羽田空港の発着枠拡大への対応と対岸の川崎殿町プロジェクトの最寄り駅として小島新田が変貌を遂げる可能性がある訳ですから、支線による活性化の成功体験を積み重ねる環境委にあります。逆に言えば元々開発地が少なく人口の高齢化や産業構造の転換もあって本線筋の成長余地がないだけに、横浜市が示したエサに食いついた可能性はあります。単純に山下ふ頭に鉄道通したいなら、みなとみらい線を伸ばす方が簡単なはずですが、それじゃ京急にメリットがない訳です。

というようなインサイドストーリーがありそうな横浜市のIR誘致ですが、今回のダイヤモンドプリンセスの失態で遠のいたと見て良いでしょう。日本国をサンセットクルーズにいざなうアベノミクスいいとこなしです。

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Monday, February 24, 2020

伝染ルンですアベノミクス

予想はしてましたが、新型肺炎問題がオオゴトになっております。特に横浜港のダイヤモンドプリンセスで防疫体制の弱さを露呈したことで世界から非難されてます。最早感染拡大を遅らせるしか打つ手が無くなった訳ですが、専門家の意見も聞かずに水際作戦に拘った政府の対応がひどいとはいえ、通常の風邪やインフルエンザと同様にうがい手洗いの徹底で感染を防げる可能性が高いのは既に指摘しております。

DMATの一員として参加した岩田健太郎神戸大教授の告発動画が物議を醸してますが「守秘義務違反」と「勇気ある内部告発」と評価が分かれております。とはいえ船内の酷い実体を知らしめて事態を動かしたという意味では後者の評価が妥当でしょう。酷い実態を秘密にすることの方が犯罪的です。まあ情報が錯綜してますし、医療面は素人がこれ以上首突っ込む話でもありませんが、経済への影響はかなり深刻です。

「有事の円買い」の終わり 円安呼ぶ日本の不安  編集委員 小栗太:日本経済新聞
これ簡単に言えば日米金利差で円安誘導の結果、低金利通貨として円建てで資金調達してアメリカなど外国資産への投資を行う流れから、投資家がリスクを取れば円は売られ円安になり、逆にリスク回避に動けば円が買い戻されて円高になるということで、リスクオンの円安リスクオフの円高というのが昨今の相場感でした。

それが米FRBの低金利政策で金利差が縮まり、インフレ補正すればほぼドル円の金利差が消滅した一方、ECBのマイナス金利政策の長期化でユーロがキャリートレードの主役となったことで構図が崩れました。加えて今回の新型肺炎問題では、日本は完全に当事国の扱いとなりますから、外国人投資家の資金引き揚げは避けられないところとなる訳です。こうなるとアベノミクスの初期からあった円暴落シナリオが現実味を増す訳で、深刻な事態です。加えてこれ。

GDP年率6.3%減 5四半期ぶりマイナス 10~12月:日本経済新聞
これ前期(10-12月期)の数値であり、消費税増税の影響は当然ある訳ですが、マイナス4%程度とされた民間予想を下回る悪い数値が出た訳です。これも裏がありまして、成長率の分母はあくまでも前四半期の数値が分母になる訳ですが統計135°で指摘した統計不正で目一杯それを膨らましたもんで、マイナス幅が大きくなったと見られます。加えて各四半期の日数の違いを季節調整と称して調整しますから、日数の多い10-12月期の数値は下方修正されますし、更に四半期ベースの数値を年率換算する訳で、見かけ上の数値を大きく見せてしまいます。

そして鉱工業生産指数、機械受注など製造業関連の一次推計の数値が弱い一方、何故か消費関連は好調だったんですが、これも家計調査の推計値から正確性が高いという理由で商業統計の推計値が採用されてますが、これインバウンド消費が含まれている可能性があり、そうなると国際収支に含まれる旅行収支の推計値と二重計上されている可能性があります。それが日韓事変で韓国からの訪日客が減少した影響が出て、なまじ二重計上されているからマイナス幅も大きくなる訳です。故に見かけほどマイナス幅は大きくないと見ておりますが、そんな事情は知ったこっちゃない外国勢から見れば悪い数字だけが見られる訳です。誤魔化しの果てのオウンゴールです。

そして新型肺炎で中国人の訪日客が激減しており、国慶節需要も空振りですから、1-3月期も悲惨な数字を覚悟する必要があります。更にマスク不足で日本のアパレル各社の下請けの中国縫製工場がマスク生産でアパレル品後回しという状況で春物商戦に暗雲が漂います。そして相次ぐイベントの中止や延期もあり、オリパラもロンドンが代理開催に名乗りを上げる状況で本当に開催が危ぶまれています。

鉄道業界でも既にミシュラン三ツ星の高尾山を擁する京王電鉄が通期見込みを下方修正しており、東海道新幹線も目に見えて利用客が減少しております。新型肺炎の終息は恐らく1年以上かかるでしょうから、今年はホントにヤバい年になりそうです。やってるふりのパフォーマンスばかりで実体を伴わず、バレそうになると公文書を隠したり破棄したり改ざんしたり、統計を細工したりの嘘八百はモリカケや桜と変わらずですが、人命がかかる感染症問題で国民を危険にさらした訳で、アベノミクスに感染した日本には地獄が待ってます。

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