バス

Sunday, June 29, 2008

自動車メーカーの脱クルマ戦略

前の記事に関連しますが、国内自動車市場の縮小に直面する自動車メーカーの話題です。

20世紀はザックリ言って自動車の世紀という言い方が可能でしょう。自動車は工業化社会の象徴ですし、特に20世紀初頭、T型フォードのオートメーション生産がもたらしたイノベーションは、以後の100年を規定するほどの大きな意味がありました。

それまで自動車は町工場で馬車職人の手作りという形で作られていたもので、馬の代わりに内燃機関で動力を得て走らせるということで、馬車の構造を引きずっておりました。オーナーは馬車のキャビンに似た屋根付後部座席に乗車し、御者代わりのドライバー席は屋根なしの雨ざらしということで、オーナードライバー中心の現在のクルマ社会とは違います。それがT型フォードの生産と市場投入で変わったわけです。

気難しい職人に仕事をしてもらうには、報酬を弾むしかないですから、そもそも専属ドライバーを雇える富裕層しか自動車は変えなかったわけですが、それをオートメーション生産で、複数の単能工によるライン生産に切り替えた結果、生産性を高めて価格を劇的に下げる価格革命が可能になったわけです。加えて工場で働く単能工には、いわゆる単純労働ながら相場より高めの賃金を渡すことで、フォードは自社の商品の最初の購買者を育てることにも成功します。実はこれこそが大衆消費社会を切り拓く端緒となったのです。

それを横目に、この仕組みをより効率化しようという動きが現れました。アルフレッド・スローン率いるゼネラルモーターズ(GM)の革新的ビジネスモデルが登場します。町工場中心の前期工業化社会では、所詮家内工業の域を出なかったのですが、生産と管理を分離し、事業に必要な資金調達、売れる商品を生み出すマーケティング、工場の工程管理など、直接生産に携わらない多くの専門家を組織して、多数の傘下工場を稼動させ、規模の経済を追及するというものです。その結果、馬車スタイルが抜け切らない無骨やT型フォードと一線を画す、薄板をプレス加工してフェンダー一体型の滑らかなボディを与えたスタイリッシュな自動車を次々と生み出し、自動車を大衆消費財にしたのでした。

巧みなのは、古くなった工場の生産設備の交換に合わせて、ボディスタイルを見直し、旧モデルを陳腐に見せて買い替えを促す、いわゆるモデルチェンジを行って業績を高め、かくして世界一の自動車メーカーの地保を固め、以後世界に君臨しました。

こうして、常に大衆受けする新しい車が生み出され、市場が刺激され、自動車がリーディングインダストリーとなってアメリカは繁栄し、そればかりか、その見かけ上の豊かさは、世界に憧れをばら撒きました。大衆消費財としての自動車は、頻繁な買い替えが前提ですから、必ずしも高品質である必要はなく、適度に壊れてくれた方が、結果的に買い替えが促進されますし、買い手のユーザーはオーナードライバーであることにステイタスを感じてますから、故障などのトラブルはむしろ地位にあるものの悩みとして受け入れてくれます。かくして最強のビジネスモデルが完成することとなります。

しかしこのビジネスモデルは、石油や鉄などの資源を際限なく浪費することになりますので、アメリカ1国だけであれば成り立つかもしれませんが、他の地域へ拡大すれば、たちどころに資源制約が世界を襲うことになります。70年代のオイルショックは、石油輸出国による価格カルテルの試みだったのですが、日本などで省エネの取組みを誘発し、結果的には不発に終わります。しかし同時に、日本や欧州で資源浪費的でトラブルの多い自動車の燃費改善と品質向上の取組みが始まり、メーカー間の競争環境もあって、自動車は燃費性能を改善し、品質も向上し、故障の確率は劇的に下がりました。そしてアメリカのメーカーはその流れに乗れず、手っ取り早く利益を稼げる車しか作らなくなります。

フォードマスタングは、売れ行きの悪かったコンパクトカー「ファルコン」のシャーシにスポーティなボディを与えただけのチープな車でしたが、若者が飛びつき大ヒットしました。これに味を占めた米自動車メーカーは、その後もライトトラックのシャーシにオフロードカーに似せたボディを与えたSUV、同じくトラックシャーシに大柄のバンボディを与えて、大勢乗れる、たくさん積めるミニバンを開発し、大いに稼いだのです。しかし好事魔多し、すぐさま日欧メーカーの後追いに遭います。

トヨタセリカ、日産シルビア、ホンダプレリュードなどのスペシャルティカーが、量販車のコンポーネントで作られ、同じくSUVも量販車ベースでオフロードカーに似せたなんちゃってオフローダーに、量販車ベースで大柄なバンボディを与えたなんちゃってミニバンなど、ベースが乗用車だけに、トラックベースの米メーカー車とは素性が違いますから、ユーザーは日欧メーカー車に群がります。と同時に日欧メーカーも実は袋小路にはまります。

ユーザーを飽きさせないための新しいクルマの提案が相次いだ結果、かえってユーザーを飽きさせてしまったフシがあります。加えて昨今の原油価格上昇、鉄鋼価格上昇で、メーカーも値上げせざるを得ない状況で消費マインドを冷やします。また皮肉なことに品質向上が極限に達し、故障しなくなったことで、買い替えにブレーキがかかります。

さらに90年代から始まった非正規雇用の拡大、2002年春闘のベアゼロで正規社員も収入が伸びず、ユーザーの購買力を奪います。国内市場は冷え込むばかりです。おそらく簡単には抜け出せないでしょう。しかしこういった逆境こそ、逆転の発想で乗り切るチャンスでもあります。そんな中でのこんなニュースです。

JR北海道のDMV開発、トヨタ・日野が参加
青森県内レンタカー6社、新青森駅に共同基地 新幹線開業時に
まずはDMVからですが、以前の記事でも取り上げました。ベース車は日産シビリアンなんですが、この車、主要コンポーネントをいすゞから調達し、日産車体で組み立てて、日産系、いすゞ系ディーラーへシビリアン/ジャーニーとして供給されているという成り立ちです。特徴としてラダーフレームにキャブオーバーのボデイを架装したフロントエンジン・リアドライブ(FR)レイアウトで、構造単純で軽量、堅牢であるがゆえに、重量物である鉄車輪を装備してレール上を走行可能になります。

しかし昨今のディーゼル排ガス規制や安全装備などで重量が増え、そのためにDMV試作車では乗車定員を減らして総重量を道路運送法の規制値に収める必要があります。それに対してJR北海道は日産に共同開発を申し入れますが、成り立ちの特異性もあり、数が売れる保証もないDMVの開発には慎重姿勢でした。

それに対してトヨタが日野と共同で開発に協力することになったのです。トヨタは世界一の量販バスであるコースターをラインナップしているものの、小型バスでは珍しいモノコック構造で、そのままでは鉄車輪の装備は不可能です。そこで日野のトラックシャーシの活用を考えたものと思いますが、数が読めないニッチな市場へアプローチするトヨタの苦悩が見えます。軽量化で25人以上の乗車定員確保が開発目標となりますが、開発段階で相当数のバックオーダーを得なければ難しいだけに、トヨタの取組みは注目されます。

東北新幹線新青森駅にレンタカー基地というのも、なかなか興味深いニュースです。なにしろ新青森駅は市街地から3km以上離れた郊外の低層住居地域で、市街地とのアクセスに課題がある上、駅前の開発にも制約があるわけですから、そこへレンタカー基地を設けることで、利便性を確保しようということです。同時にやはり、メーカーのニッチ市場攻略という側面もあります。

というわけで、ここまでしないとクルマが売れない日本のメーカーの苦悩は続きます。

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Sunday, May 11, 2008

設備投資を加速させる京王電鉄

京王電鉄の2008年度経営計画が発表されました。

オフィシャルサイトのプレスリリース(PDF)
冒頭の基本方針に
「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」を目指し、
「鉄道事業の安全性の向上」と「沿線価値向上への取組み」に
注力してまいります。
とあります。鉄道事業への投資額549億円(対前年20%増)、うち安全性向上には433億円(対前年14%増)ということで、これは2010年に予告されている調布市内連続立体化事業にあわせてATC導入と所属車両省エネ化(VVVF化)を加速させるものです。

具体的には相模原線のATC地上設備の設置を完了させ、車両改造を進めるほか、京王線60両井の頭線25両の車両代替と在来車改造を含めて117両のVVVFインバータ制御車を登場させることになります。そのほか地下駅の火災対策強化や駅のバリアフリー対応工事を進めるとしております。

車両面では85両の新造というのが目立ちます。京王線の60両は9000系30番台10連6本と考えられ、これで10連14本が揃いますので、都営線直通運用を9000系だけで賄える数がそろいます。当然6000系は代替廃車が進むことになります。5扉車や2連など、一部残る可能性はありますが、JR常磐緩行線203系と双璧の窓のバタつく電車の過去帳入りは近いですね。そういえばJR東日本も本年からE233系2000番台による置換えが始まりますね。

名車の誉れ高い5000系の後継車でありながら、京王新線の呪縛でコストダウンを余儀なくされた粗製乱造車の6000系ですが、それだけに時代を映す車だったといえます。この苦境があればこそ、バブルに踊らず線増ではなく長編成化で混雑緩和に取り組み、大手私鉄随一の財務体質を獲得したわけですから、感慨深いものがあります。かつて冷房化に抵抗し続けた^_^;2010系などの"グリーン車"と蔑称された旧型車の途をなぞるようですが、"アイボリー車"とでも呼べばよいでしょうか。

一方の井の頭線でも1000系の久々の増備となりますが、これでやはり昼間に関しては完全に1000系で統一でき、3000系はラッシュ専用となりそうです。ここでも"グリーン車"現象^_^;が進みます。同時に3000系でも増備の都度改良が重ねられてきた歴史に倣えば、どんな仕様で登場するかも注目です。京王線9000系が日車ブロック工法で小田急3000系京成新3000系と一派を築いていますが、1000系のすそ絞りスタイルは対応できない可能性があります。となると小田急の千代田線直通車に倣って東急車輛製のツーシート工法へのシフトも考えられ、"走ルンです京王"^_^;が登場するかもしれませんね。注目です。

あと関連事業では、京王電鉄の新たな沿線活性化策で取り上げましたが、移住・住みかえ支援機構(JTI)を活用した、沿線の高齢者を都心の賃貸マンションに誘導し、持ち家を子育て若年世代へ賃貸することで、沿線の若年人口増加への取組みを進めるほか、学生マンションや企業向け独身寮事業などで、一味違った沿線活性化策が謳われております。計画書にはありませんが、高幡不動駅前の子育て支援マンションの成果も興味深いですね。

人口減少で、鉄道事業を核として沿線開発で不動産部門で利益を得る従来型の私鉄経営のビジネスモデルが行き詰まりを見せる中、いち早く次の時代を睨んだ事業を展開しているわけで、その成果が注目されます。

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Sunday, January 06, 2008

今年はいい年? 悪い年?

や、年越し論争で新年のごあいさつも未だしですが^_^;、本当は株価が気になって記事どころじゃなかったらしい^_^;。なにしろ新年早々こんなトップニュースですから。

日経平均、終値616円安の1万4691円・昨年来安値に
いや、別に株が下げて損したわけじゃなくて、PER(株価収益率)が16倍を割って、理論上割安といえる水準にある日本株の買い時を探っているんですが、これがなかなか難しいんです。なにしろこんなニュースが続くんですから。
米国発株安、年明け後も日欧市場揺さぶる
週明けに一段の値下げ必至の状況で、いかに理論上割安であっても、買うに買えないというところです。というわけで、私自身は株安には動じておりませんで、買いの好機と見ているんですが、なけなしの資金ですから、ふんぎりがつかないんですね^_^;。

でも、買えない理由はそれだけじゃなくて、為替相場との関連をバーゲンエコノミーで述べましたが、年末にOECD加盟国中1人当たりGDPで日本が18位になったというニュースが流れ、かつて世界一豊かだった日本もいよいよ並みの豊かな国に成り下がったわけで、悲しい予想の的中と相成りました。そんな状況に斉藤東証社長も危機感を募らせます。

「東京市場、魅力失いつつある」・斉藤東証社長が年頭あいさつ
国際競争力を維持するために、賃カツ、リストラ、サービス残業、非正規雇用で凌いでいたはずなのに、ただただ国民をビンボにしただけでした(怒)。購買力を失った国民は節約を心がけりゃ,モノが売れないデフレだと騒ぎ、低金利で国民から利子所得すら奪い、円安と相まって企業はぼろ儲けしていたのに、税金払いたくないから法人税まけろの大合唱、財源確保で消費税増税とは、どこまでも虫の好い日本企業です。

でもだからといって儲けを株主に配当などで還元する気はさらさらなく、ひたすら蓄財に余念がないのでした。今回の株価下落で配当利回りが1.6%と、久々に10年物国債の利回りを上回ったそうですが、日本企業の配当性向の低さは絶句です。そりゃ外国人投資家には魅力がないわQ-o-フッ。というわけで、なかなか買いのタイミングがつかめないのでした。

鉄ちゃん的には、今年は新線開業の当たり年ということで、3月の横浜市営地下鉄グリーンラインと都営新交通日暮里舎人ライナー(ベタなネーミングだ^_^;)、6月の東京メトロ副都心線渋谷開業に東急目黒線日吉延伸と、首都圏だけで4線ということになります。んが、よく考えたらグリーンラインと日暮里舎人ライナーは公営交通だし、東京メトロは株式会社化されたとはいえ、未だ国と東京都が出資する特殊会社で上場もこれからです。唯一民間路線である東急目黒線ですが、東横線の線増扱いとなりますので、営業キロは変化なしというわけで、うーむ、よく考えたら日本経済並みに上げ底だったりして^_^;。

横浜市営地下鉄は民営化されるはずだったのですが、中田市長の選挙違反疑惑などで話が進んでいる形跡はなし、同時に民営化が答申された市営バスは民営化見送りで、路線ごとの切り売りでリストラ進行中。分社化でもめた相鉄のバス部門共々横浜のバス事情は波乱含みですね。そもそも全体の営業規模も大きくない横浜市営地下鉄で、規格の異なる新線というのは、どう考えても愚策です。

むしろ関西のJRおおさか東線と京阪中之島線に期待がかかりますが、いずれも三セク方式の上下分離路線でやっぱ上げ底か^_^;。とケチばかりつけていても仕方ないのですが、大阪のような大都市圏での鉄道整備は公的助成なしには進まないのも現実です。かといって第三セクター方式は問題のある方式であることも次第に明らかになりつつあり、地方版産業再生機構がターゲットにしていると噂されます。困ったときの三セク頼みは通用しなくなります。ま、それでも近鉄の逆上下分離よりはましか。

というわけで、とりとめがなくなってまいりましたが、本年もよろしくお願いいたします。m_ _m

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Tuesday, December 18, 2007

相鉄のバス路線売却で労使の泥仕合

暮れの押し迫ったこの時期に、スト含みの労使紛争ネタです-_-;。

相模鉄道、バス不採算路線撤退・売却を決定
ネット版の記事では省略されてますが、以前にも取り上げた相鉄のバス部門を巡る労使対立は根深く、24日からの96時間ストを機関決定しています。
労組が24日からスト計画、バスと鉄道で一日42万人影響/相模鉄道
ストの主眼はバス事業分社化を巡る労使対立であるわけで、暮れのこの時期に異例のスト突入の恐れが出てきました。

以前にも指摘したとおりですが、バス事業を巡る労働環境は激変しておりまして、かつては高給取りが多かったバス運転士ですが、事業者にとっては8割が人件費というコスト構造の中で、マイカーの普及によるバス離れと渋滞など走行環境の悪化に伴なう定時運行維持の困難さでさらにバス離れが助長される中、人件費の圧縮はやむをえない選択ではあります。実際、大手私鉄各社を見回しても、かつて小田急、西武、阪急、京阪の3社を除いて鉄道直営だったバス事業を分社化して給与体系を本体から切り離す分社化の流れは続いております。当然相鉄経営陣も、そういった他社の情勢を見て追随しているだけという認識なんでしょう。しかし他社でうまくいった手法が、なぜに相鉄では労組の理解を得られず頓挫しているのか、そこに何かありそうです。

首都圏では京王帝都電鉄(現京王電鉄)による京王バス(現京王バスイースト)の分社が嚆矢ですが、全国で見れば、福岡県の西鉄による地域子会社分社や、バス専業ですが奈良交通による子会社エヌシーバス分社などが先行します。いずれもバス事業の規模が大きく、会社単位では全業黒字ではあるものの、それゆえに認可運賃が低額に抑えられる一方、大所帯ゆえに労組の力が強く賃金レベルも高いため、特に末端の非採算路線の維持が年々困難になる中で、運賃や給与水準を本体から切り離すことで収支均衡を図る目的で始められました。

ただしいずれの場合も、単純な人件費の抑制策であれば、やはり労組の反対にあっていたはずですが、地域の実情に合った運賃水準と給与水準を実現することで、増発や新路線開設など攻めの対策が取れるようになるなど、事業そのものの見直しにつながるものだった点が特筆されます。西鉄ではマツダパークウエーやいすゞエルフ改の小型ワンステップバスの開発導入を行うなどしてますし、エヌシーバスでも日産シビリアンやいすゞDBR→MRなどのフロントエンジンワンマンバスで狭隘路のフィーダー路線を開拓するなど、かなり先進的な取組みが行われました。

京王電鉄のバス分社化にしても、当初はメーカーに依頼して開発した7m級リアエンジンワンステップバスの日産ディーゼルRNを用い、輸送単位を小さくして増便するなど、人件費抑制により可能な攻めの施策を打ち出して注目されました。その後バス事業は再々編されて事情は変わりましたが、新路線の開拓や、高採算部門である高速バスへの集中など、攻めの姿勢は今に至るも変わりません。また東急の場合でいえば、一旦東急バスへバス事業を分離した後、子会社(電鉄から見て孫会社)の東急トランセを立ち上げて、路線移管や新路線開拓などバス事業再編を進め、競争激化の貸切バス事業と小規模な高速バス事業からの撤退など、やはり得意分野に絞り込んでの事業再編を進めて今日に至ります。この辺が相鉄のケースでは希薄な印象があります。

実際のところ京王バスでは賃金を抑え込みすぎて社員の定着率が悪いなどの弊害も報告されているわけで、全面的に成功したと評することはできませんが、それでもバス事業に関して攻めの再編を仕掛けることはできたわけで、功罪に関して見方は分かれます。ただ、事業環境の変化が著しい中で、座して衰退のスパイラルに陥ることは、どのみち避けられないことではあります。

というわけで、予断を許さない状況の中で、労使双方が歩み寄れるかどうかが問われているということかと思います。今回会社側が打ち出した7路線売却案ですが、不採算路線だから切るということですが、そんな路線が他社へ売却できるとすれば、それはやはり相鉄のバス部門の給与水準の高さに由来するとはいえるわけで、こうして結果的に規模の縮小を呑まざるを得ない労組側にも弱みはあるわけです。かくして不毛な労使対立の構図は、誰も喜ばないものということはできます。

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Tuesday, November 20, 2007

新宿駅南口に高速バスターミナル

えー、巷では、夜行列車廃止報道が話題になっているようです。問題の記事はこちらです。

消えゆく東京駅発ブルトレ 「銀河」来春に引退
当ブログでは、過去にこの問題を夜行列車の生きる道“さくら”散る2005年の春で述べたとおりで、特段のサプライズはありません。付け加えれば、東北縦貫線(東京~上野間列車線)の完成を待って品川客躁や田町電車区などの車両基地跡地開発が予定され、尾久への集約が謳われてますが、神田の新幹線との2層高架部前後の勾配区間で回送とはいえ客車列車の運行は事実上難しいですから、既に命運は決していたといえます。

その一方で夜行高速バスは相変わらず盛況なようですが、実際は旅行会社の主催旅行形態で貸切バスで運行されるツアーバスとの競争にさらされていて、決して楽ではありません。免許上乗合路線バスとして公共交通の一翼を担う高速バスでは、安全運行のためのさまざまな規制があり、また極端に言えば予約ゼロでも運行しなければならない義務を負うのに対し、100%ネットでの事前予約制で、集客状況に応じて運行したりしなかったりの自由度があり、安全管理も請け負う貸切事業者に丸投げできるツアーバスは、そもそもコスト構造が違います。加えて車両も中古車で安く調達したりしてます。この辺はそもそも走行距離を稼ぎすぎる高速バス事業者から車齢の浅い中古車が放出されており、いわば敵に塩を送る状況は痛し痒しです。ま、それだけ安全運行には疑義があるわけで、事実大阪をはじめ、ツアーバスの事故は珍しくない状況になっており、さすがに国交省も監視を強めようとしています。

それでも4列シートで付加サービスを見直した青春ドリーム号や、つくば線から転用した15m級ダブルデッカーのメガライナーを使ったメガドリーム号などで、コストを抑えつつツアーバスに対抗したり、逆に+1,300円で3列独立シートの3.5倍のスペースとプライバシーが確保されるプレミアムシートなど、可能な限りのサービスの多様化も進めております。このあたりはバスならではでして、制約の多い鉄道では太刀打ちは難しいところです。

とまぁ前置きが長くなりましたが、特に東京など大都市圏では、高速バスの発展に対し、明らかにターミナルの容量不足が顕在化してきており、特に新宿駅周辺では、多客時の台数運行でターミナルに収まりきらず、広場に面した臨時バス停に乗客を誘導する光景もしばしば見かけます。そしてライバルのツアーバスの配車場所は、西口広場から西へ向かう街路上だったりしますので、両者の利用客が輻輳し喧騒状態といこともしばしば見られます。ツアーバスに関しては、バス停ではない公道上での客扱いですので、ターミナル負担がないこともまた、コスト低減につながります。

こんな状況ですから、手狭な上に事業者ごとに場所の異なる現行の高速バス乗り場を集約しようという機運は以前からありましたが、事業者の利害調整はなかなか難しいものがありました。しかしターミナルの整備は、公道上で客扱いを行うツアーバスに対するアドバンスにもなるわけで、特に乗客の多くが鉄道利用でターミナルに集まることを考えると、鉄道駅と一体化したバスターミナルというのは、集客上も魅力的です。というわけでこんな記事が出てきます。

新宿南口に「バスの駅」・線路上に人工地盤、16年春メド
記事にもあるとおり、そもそもは老朽化した甲州街道の陸橋の架け替えと耐震補強工事に付随して、JR新宿駅の改良工事が行われており、東口への地下道延伸や新駅ビル建設などと連動し、周辺の回遊性を高める狙いもあります。

地価の高い東京では、大規模なバスターミナルは難しいところですが、鉄道用地の上空を利用することで、スペースを生み出すわけですね。ま、夜行列車廃止は鉄ちゃんにはつらいニュースかもしれませんが、適材適所、そもそもニッチな需要である夜行需要はバスに任せて、ターミナルの集客力をビジネスに活かして鉄道の強みを追求することが理に適っているということは申し上げておきます。

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Friday, April 13, 2007

PASMO品切れの深層

いやはや意外な展開です。

パスモの発行、12日から定期券に限定――人気で在庫不足
PASMOのシステムがソニーのFericaと呼ぶシステムソリューションに乗っかったアプリケーションであることは、先行したSuicaと同様ですが、予想を超える発行が続いてアプリを乗せるカード自体が不足するというのは嬉しい悲鳴といえるのかどうか微妙です。以下に論考していきます。

PASMO運営会社では、早速追加発注をしたようですが、メーカーがソニー1社ですから、その生産能力に依存するのは仕方ないところです。ま、ソニーとしてはICカードのインテルになれるチャンスなはずですが、ソニー自身が出資するビットワレット社のEdyと交通系のSuica/PASMO陣営とは、電子マネー分野でライバル関係でもありますし、系列のソニークレジットでポストペイドのerioというネット決済専用カードを発行しているわけで、Suica/PASMO陣営の膨張は痛し痒しの側面もあります。カードの増産自体は、結果的にコストダウンが進みFericaシステムの普及、浸透に追い風ですから、ソニーは対応してくれるでしょうけど、ソリューションを1社に頼るシステムの弱点に対する認識は、少なくともPASMOに関しては甘かったと言われても仕方ないところです。

ただそうはいっても、首都圏私鉄、地下鉄、バス各社が参加するPASMOの場合、参加各社の温度差があったことも否めないところで、合議制でリーダーシップ不在だったこともまたやむをえないところかもしれません。そもそもPASMOは出自からいってSuicaとは別物だったのですが、日本鉄道サイバネティックス協議会でICカード乗車券の仕様が定められ、それに準じてSuicaが先行していた状況で、PASMOがSuicaと仕様を合わせること自体は合理的な選択ではあります。特にPASMOの場合は、膨大な処理を必要とするサーバーを持たず、Suicaのサーバーを借りてシステムを構築したように、コスト面から踏み込んだビジネスモデルにできなかったのですから、その流れから、発行枚数の予想を読み誤ってカードの在庫を十分に持たなかったのも、やはりコストを意識した結果であったと思われます。逆に予想よりもカードが売れなかった場合、おそらく担当者は加盟各社から叩かれたであろうと考えられますから、慎重になるのも無理もないところです。

そしてこれだけ巨大なシステムの導入に、明確なリーダーシップが不在だったことのツケは結構あちこちに散見されます。そもそもICカード乗車券というのは、カード個々にIDナンバーが振られて個別管理されているわけですから、生のパーソントリップのデータを取得できるわけで、それが輸送計画や企画商品などの立案に役立つのみならず、電子マネー機能で消費の実態もデータ化されて取得可能なわけで、丁度コンビニエンスストアのPOSシステムと同様に、鉄道事業のビジネスモデルを激変させる可能性を秘めたものなんですが、旧い営業規則の縛りから抜け出せずに、特に連絡運輸関連の複雑怪奇な営業規則の骨格をそのままに、経路特定に関するルールを少しだけいじって実施した結果、既に指摘したような同一改札間で2種類の運賃というけったいなことが起きてしまいます。また特にJRと他社のノーラッチ接続駅の改札分離も進み、中にはICカード限定のチェック用タッチセンサーが登場したり、構内に自動改札のゲート閉鎖のチャイムが鳴り響く^_^;など、自動改札のメンテナンスフリーの効果を削ぐ事態すら起きています。また、磁気券では処理不能な3社線連絡定期券はSuica/PASMOでも不可ですから、現状でもやむなく2枚定期券で利用している人は少なからず存在しますし、また小田急町田とJR町田のように公式に連絡運輸が行われていないところもそのままで、当初予想ではSuicaとPASMOの重複利用は少ないと見られていたようですが、下記の囲い込み戦略も絡んで重複利用が多くなったようで、何ともばかげた話です。

一方で一部大手私鉄では、オートチャージを餌に自社系列のハウスカードを大量発行したり、独自ポイントで航空会社のマイレージのような囲い込み戦略に出たりと、エゴ丸出しの対応をした会社がありますが、逆に言えばそれだけICカード乗車券によるメンテナンスフリー効果で超過利潤を得られるからこそ可能なサービスなんですが、これを原資とした乗継割引の拡大やゾーン制などのわかりやすい運賃制度への移行へは進まなかったわけで、再開発ブームで勝ち組地域に位置する立地の優位にどっぷり浸かっていると言われても仕方がありません。今後人口減少が首都圏でも顕在化したとき、それは遠い未来の話ではないのですが、気がつけば沿線がまるごと空洞化していないという自信があるのでしょうか。何とも心許ない限りです。

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Saturday, November 18, 2006

民営化が見送られた横浜市営バス

横浜市では、中田市長の諮問機関の諮問によって、市営地下鉄と市営バスの民営化方針が答申されましたが、そのうちバス事業について決着を見ました。結論は市営のまま維持されることになりました。

横浜市バス、再編問題が“決着”13路線を暫定運行
以前に横浜市交通局の決算に関する記事をアップしておりますが、横浜市の場合地下鉄とみなとみらい線の開業による乗客減少で低落傾向にある中で、関連民間事業者との調整による路線再編で縮小した上で、完全民営化するという方針が示されました(参考:横浜市営バス事業のあり方に関する答申)。

答申自体はなかなかしっかりした検討がなされ、横浜市の交通政策との整合性に配慮されているものではあるのですが、完全民営化という目標は、かなり挑戦的なものといえます。地方公営交通は、事業体としては自治体の一般会計から分離された独立採算の事業体で、公共企業体とも呼ばれ、法人格こそありませんが、元々株式会社に改組すること自体はさほど難しくありません。いわゆる民営化を狭く解釈すれば、株式会社化すればいいわけですが、横浜市は完全民営化まで踏み込みました。

その可否はともかくとして、公営交通のまま補助金を頼みに事業を続けても、将来の盛業が見込めるわけではありませんので、自ら資金調達して自らの責任で事業を行える事業体へ移行できるのであれば、たとえば需要に見合った事業の縮小局面をより効率的に実行できるという意味で望ましい姿ではあります。問題はどうすればそうなれるかなんですが、ザックリ3通りの方法が考えられます。

1.交通局のバス部門を切り出して株式会社化する。
2.路線または営業所単位で既存の民間事業者へ事業を譲渡する。
3.市営バスの枠組みを残したまま、路線または営業所単位で民間事業者に運営委託する。
横浜市としては、1.を目指したようですが、結果的に市営形態は維持される形で決着しました。

無理もない話でして、市の一般会計からの補助金を得て維持されている現状ですから、株式会社化して新規に民間事業者となっても、それだけで収支が好転するわけではありません。また、既に民間に譲渡された岐阜市営や荒尾市営と比べると、事業規模が大きすぎて、既存事業者による引き受けも、引き受ける事業者の負担が大きくなるので難しいということで、結果的に消去法で市営維持となったわけです。また民間への事業譲渡の際に、市債の一括償還が必要になることも、一時的に市の財政を圧迫するので無理という事情もあったようです。

よく言われますが、公営だから非効率というのは、既に過去のものになっておりまして、余剰人員の削減や超過勤務の解消や一部給与の」見直しにまで踏み込んで、人件費の圧縮が進められており、かつてとは様変わりしているのですが、それでも収支が好転しないのが現実なんです。この辺が公営交通の直面する現実なんですが、元々人件費比率が高いバス事業では、一旦赤字転落した事業を黒字転換させることは、公営民営の別を問わず困難なんですが、それでも民間事業者ならば、採算性重視で路線再編も機動的に行えますし、最近では地域子会社への分社化など、株式会社ならではの事業見直しも可能になっており、法制度の制約を受ける公共企業体では真似のできない部分です。また関連事業でシナジー効果を狙うとか、採算性に優れる高速バス事業へ参入するなどで、全体としての収支をバランスさせるといったことも行われておりますが、法制度の制約もあって公営交通では難しいことが多いのです。

あと民間事業者は最初から利潤動機に基づく営利事業であるのに対し、公営交通は、独立採算は求められるものの、営利を目的としない事業であることが、問題を複雑にします。仮に利益が出た場合、議会の承認を得て一般会計の歳入とすることはできますが、多額の利益が出るようならば、適正運賃への値下げその他の還元策が求められるために、結果的に利益を出せないという変なことになってしまいます。民間事業者でも利益の中から税金を納めるわけですから、制度上の違いはありますが、お金の流れ自体はあまり違わないのですが、事業に対する姿勢の違いが、路線の改廃や人事労務管理などで判断の差を生んでしまうわけです。ですからけっして怠けているわけでもサボっているわけでもないのに、収支が悪くなってしまうわけで、制度上の限界といえます。

というわけで、規模こそ縮小されるものの、市営で維持される横浜市バスの悩みは尽きないわけです。ただし民間事業者と異なった判断で路線を運行するということは、民間営利事業では採算性の点でサービスが供給されにくい路線があるということで、そういった路線が実際の市民生活に不可欠なものであるならば、民間事業者の事業を補完する事業としての可能性はあるわけですから、むしろ市営ならではの路線などで、需要を掘り起こし、採算ベースに乗るならば民間へ移譲するなど、民間事業者とは異なった事業のアプローチとして前向きに生かす方向性もあるわけで、言ってみればNPO的な活用法は考えられます。公営バスとしては比較的収支は良い方である横浜市営バスだけに、単純な事業縮小、撤退へと向かうのではなく、ひと味違う将来図を期待したと思います。

参考:

市営バス路線の再編成の概要
市営バスの廃止路線に対する暫定運行措置について

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Tuesday, November 15, 2005

数合わせ?の政府系金融機関改革

まずは新聞報道から拾います。

政府系金融機関、中川政調会長「一つに」 月内再編方針
2005年11月15日15時25分(朝日新聞)
(11/15)政府系金融改革、今月下旬に改革案(日本経済新聞)
ホント改革のフリも大変ですが^_^;、数合わせに終始する議論の中身を見ていて、何を改革しようとしているのかわかりません。

そもそも政府系金融機関の役割とは何なのかですが、基本的には民間銀行では対応しにくい社会資本インフラや産業基盤としての中小企業の設備改善など、回収期間の長い長期投資を、政府保証によって補完するためのもので、大企業並の優遇金利で長期固定金利とすることで、リスク回避をはかるものだったはずです。

しかし現在のような超低金利のときには、むしろリスク要因となります。既にこれ以上下がりようがない金利水準では、将来の金利上昇が避けられませんので、固定金利だと4%台の金利となり、むしろリスクを抱え込んでしまうわけです。その結果政府系金融機関の融資を受けると、却って金利負担が増してしまうという妙なことが起きてしまいます。その結果例えば横浜市交通局決算速報を読むで指摘しました地方公営交通の利払いが原因の赤字が発生するわけです。民間ではないから非効率で赤字というわけではないんですね。

また、戦後復興が終わり、社会資本も産業基盤も水準以上に整備された現在、その役割は大幅に縮小せざるを得ないのは自明です。それはそれで良いんですが、しからば何故完全廃止ではなく統合して一つにするという議論なのか、あるいは機能別に再編を主張する政治家がいるのは何故かということになります。まぁ各省庁及びそれを代弁する閣僚や族議員を抵抗勢力と見立てられる構図は創り出されたわけで、小泉劇場の始まりではあります。あんまし見たくありませんが^_^;。

結局のところ、政府系金融機関は、政策手段として手許に残しておけば、政治的に利用可能な権力の行使手段となるわけで、一本化して内閣府直属とすれば、時の政権の求心力を高めることになります。一方権益を手放したくない官庁とそれを代弁する閣僚や甘い汁を期待する族議員という権力争いの構図なんですね。彼らの言う改革も、一皮むけばこんなもんです。というわけで選挙が終わればロイヤルウエディングにメディアジャック状態で、権力の監視を果たさないメディアは既に報道機関とは呼べません。

中小企業金融などは重要ではないかという議論もありますが、例えば98年の金融危機で貸し渋り対策として実施された信用保証協会の20兆円の特別保証枠が実際どう使われたかを見ると、とても賛同できません。つかみ金としてばら撒かれ、政治家の口利きが横行し、中には融資銀行が融資先の中小企業に借りさせて自行向け債務を返済させる例まであって、貸しはがしのツールにすら使われた現実を考えると、こんな制度はない方が良いといえます。

んで鉄道関連でいえば、上記の公営企業融資を担当する公営企業金融公庫と日本政策投資銀行の二つが馴染み深いですが、いずれも事業体に過度の金利負担を負わせるだけの存在といえます。ない方がよいでしょう。公共性を主張するならば、金融的な支援よりも実効性のある補助制度を工夫すべきでしょう。長期資金が必要な鉄道事業においては、単純な欠損補助よりも、例えば公設民営の上下分離などを制度化して資本費負担を軽減することなどを考える方が理に適っているといえます。

加えて2007年10月には郵貯銀行という巨大銀行が参入して、民営化推進派が言うように融資能力の供給が大幅に増えて融資先を取り合うこととなれば、政府保証などの信用補完の必要性自体が低下するはずです。そのための郵政改革だったはずです。というわけで今日も不毛な議論は続き、国民には説明不十分なまま、改革だか何だかわからない猿芝居が続きます-_-;。

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Friday, August 12, 2005

公共交通の安全に新組織(共同通信)

リンク: @nifty:NEWS@nifty:公共交通の安全に新組織(共同通信).
こちらにも記事があります。
公共交通の安全を一元監視、国交省が専門部署新設(読売新聞)
局長級をトップとする組織で、業界ごとに縦割りとなっている現行組織に対して横断的に監視できる組織とするところに特長があります。
 監視内容は経営トップが安全対策に積極的に関与しているかどうかとか、危機発生時のマニュアル整備などで、日航のトラブルやJR西日本の事故を踏まえて整備されるもので、これはこれで必要なことなのは間違いありません。特に経営トップへの意識付けという意味は大きいといえます。
 問題は実際に機能する仕組みとなるかどうかという点です。例えば貸切バスを利用した格安ツアーバスのような路線バス類似行為を放置し、現場の安全管理に問題が指摘されている状況を改善できるのかどうかとか、航空、船舶、鉄道、自動車それぞれに異なる事故率を正しく評価して交通政策に反映されるのかどうかなど、不明な点は多数あります。
 あと前の記事で触れたようなデジタル機器のソフトバグ問題など、鉄道では各社バラバラに技術開発されていて、ユーザーインターフェースもまちまちなど、やや混乱した状況がありますが、できれば標準規格を策定して、安全監視に資すると同時に、標準化によるコストダウンを図って地方中小私鉄の負担を軽減するなども考える必要があります。
 なお、別の記事で
170メートル前で常用ブレーキ=マンションとの距離特定-JR福知山線脱線事故(時事通信)
というのがありますが、異種併結によるソフトバグの可能性を指摘した川島本の仮説に説得力を与えます。事故当日、宝塚駅、伊丹駅と立て続けにオーバーランした上に、事故地点のカーブでブレーキ遅れというのは、運転士の未熟だけでは説明がつきません。ソフトバグによって、例えば先行編成と後続編成のブレーキタイミングに微妙なブレが生じていたとすれば、運転士の意志に反して減速しなかったという可能性があるわけです。またブレーキ操作監視のモニター存置は後続編成の1000番台車のものであることも指摘しておきます。

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Wednesday, July 13, 2005

相鉄自動車、空港リムジンへ参入

相鉄自動車、沿線から初の羽田行き高速バス運行(日本経済新聞)
 というわけで、二俣川駅~羽田空港間のリムジンバスを7/20より京急バスと相鉄自動車の共同運行で運行開始となります。相鉄沿線からの空港路線は初めてです。
 で、このニュースのニュースバリューはというと、赤字のバス部門の分社化を巡って労使対立が続く相模鉄道で、タクシーと貸切バスの相鉄自動車による路線開設という点にあります。しかも河口湖線も申請中ということで、高速バス用大型バスを6台導入して対応します。当然バス分社を巡る労使交渉にも影響するものとなるでしょう。
 労組の切り崩しと言ってしまえばミもフタもない話なんですが、グループ連結経営を標榜する以上、バス部門の赤字を放置できず、分社して給与体系を鉄道本体から切り離すことは、避けられない話ではあります。実際分社化されて相鉄バスに移行し独自の給与体系となった綾瀬営業所は、単独黒字を達成しています。
 労組にとっては悩ましい話なんですが、鉄道直営である限り、鉄道の黒字でバスの赤字が穴埋めされてしまう状況で収支均衡が可能かどうかという問題は直視する必要があります。鉄道との収支通算を前提に現在の待遇が決まっているときに、それを与件としてバス事業の収支均衡を図ろうとすれば、路線の縮小や減便など縮小均衡へ向かい、結局スケールメリットが効かないレベルまで縮小して長期的には事業廃止しか道がなくなるわけです。
 これに対して現役乗務員の自然退職をあえて補充しない形で徐々に鉄道直営のバス事業を縮小させていく方法はあり得ます。しかし京王電鉄などで試みられたこの方法は、結局時間がかかりすぎて、その間に経済情勢が変化して計画に狂いが出るなどの問題をクリアできず、結局労使対立の中待遇切り下げを伴って直営バス部門の切り離しが行われました。結果としてバス事業の収支均衡は達成されましたが、社員の定着率の低下は見られたようですので、安全運行のために望ましい長期雇用への回帰が次の課題ですが、外科手術を避けて縮小均衡へ向かうのとどちらが正解だったのかは、かなり悩ましい問題です。
 いろいろ背景はあるんですが、そもそも鉄道直営のバス部門の意義というのは、日本の行政の縦割り体質に根拠があります。60~70年代の公共料金抑制政策で鉄道運賃は意図的に低く抑えられ、5%程度のインフレと相まって大手私鉄といえども運賃改定後3年もすれば利益が無くなってしまう状況で、運賃改定周期が異なり改定の査定基準も異なるバス事業を直営で持つことの意味は大きかったといえます。現在から見ると考えられないような話ですが、縦割り行政の実態はあまり変わっていない気がします^_^;。
 現実にはマイカーの増加で利用客が減少し道路渋滞で定時運行が阻害され、更に客離れが続く路線バス事業を鉄道直営では持ちきれなくなってきてます。また80年代後半からブームとなって、一般路線に比べて生産性が高く高収益な高速バス事業で一息ついたのもつかの間、90年代には需給調整規制撤廃の流れを受けてダブルトラック、トリプルトラックなど競争激化で価格破壊へと向かい、一方で人件費が高止まりする中、利益確保が難しくなってきています。
 あと頭の痛い問題は、貸切バスによる格安ツアー運行という路線バス類似行為の横行で、取り締まる法規もなく野放しとなっている問題があります。実はこれ例えば北海道で始まって当時の運輸省の指導で貸切ツアーバスへ追認的に路線免許を交付して、安全運行などの面で縛りを課すなどが過去に行われたんですが、当時と比べても価格競争で過酷な乗務員の勤務実態や車両の整備不良などがあるにも関わらず競争促進の見地からか放置されております。
 本来は安全の見地から国が規制に乗り出すべきですが、路線バスと貸切バスは別物という縦割りの論理が優先するようです。そんな中で浸食される路線バスの側が労使対立していては、ますます事態が悪化するだけになりかねません。これだけ経済情勢が変化している中での鉄道直営バス部門の乗務員の待遇維持は、諦めざるを得ないのではないかと思います。むしろ長期雇用を軸に安全をアピールできる体制づくりに労使が取り組み、悪質な格安ツアーバスの駆逐に動いて国を動かして欲しいと思います。

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Friday, June 24, 2005

横浜市交通局決算速報を読む

地方分権と交通政策の記事でも触れました地方公営交通の問題ですが、横浜市交通局の自動車事業と高速鉄道(地下鉄)事業の決算速報が出ましたので、ケーススタディとして見てみたいと思います。
 大まかなところですが、バスでは老人パス見直しによる分担金(自動車事業では収益の一部)減少とみなとみらい線開業の影響で営業収益が減少する一方、賃金切り下げなどのコスト削減で営業損失を前期より2億円減少させました。経常収支では一般会計からの補助金減少も利払いの減少が寄与し、また保有する土地の売却益で特別利益を計上して、純損益17.5億円の黒字となり、累積損失を21億円→3億円と大幅減少となりました。営業収入や補助金の減少を民間流のリストラで凌いで最終利益を計上するに至った姿は、ひところ言われた公営ゆえの非効率が過去の話になりつつある現状を表します。
 地下鉄ではみなとみらい線開業による都心部の利用減少を北新横浜~あざみ野間と踊場~湘南台間の利用増加がカバーし、収益増にバス同様のコスト削減効果もあって営業黒字13億円増の34億円を計上したものの、利払いが嵩んで70億円の経常赤字となりました。累積債務も70億円増、新線建設(4号線日吉~中山間)とホーム柵設置準備など設備投資資金の調達で借入金が増えたこともあり、次年度以降も営業黒字を継続したとしても経常赤字、累積損失増の傾向は続くものとみられます。
 どちらも借入金利の負担が経営を圧迫している現状が読みとれます。特にバスはリストラ効果とともに借入金利の減少が純利益を生み出しているわけで、逆に新線建設と設備の維持更新が必要な地下鉄では、むしろ金利負担が増えていることから見ても、実は地方公営交通の収支は金利負担で決まる傾向が読みとれます。
 昨今は地方債の発行が盛んで、横浜市は自治体としては東京都に次ぐ高格付けを得て低利で債権を発行できますが、それでも事業としての収益性に疑問のある地下鉄の新線建設では、必ずしもそれを活かせないのでしょう。
 あと過去の債務の大半が財政投融資である点に注意が必要です。特に横浜市では金利4%台のもので、制度として低利資金に借り換えることができない硬直的な仕組みが災いしております。97年に例外的に処理された旧国鉄債務問題に通じる話ですが、公営交通の経営上の最大の重荷は、国でやってる高利貸しの金利負担ということになります。そしてそれはやはり高利を約束して国民から集めた郵貯の利息を支払うための仕組みです。公営交通の赤字は郵貯の金利に化けているわけです。
 リスクテイクしない公的金融に潜む本質的な矛盾は解消されるべきですが、理念のかけらもない現在の郵政改革の政府案では、ユニバーサルサービスを盾に過疎地に局を設置しなければならないわけですが、それを可能にするには、現在の郵貯と簡保のように収益性の高い事業から内部補助して支えるしかないわけで、現状の収益性を維持するためには、発行事業体の信用でリスクプレミアムが変動する結果、金利が変動するはずの地方債や財投機関債の自主運用で、国の信用で決められた固定金利の債権と同様の収支を実現することが可能でなければならないわけで、暗黙の政府保証以外に実現可能性は限りなくゼロに近いといって過言ではありません。
 もちろん理論上は地方債にせよ財投機関債にせよ、プロジェクトファイナンス的な性格から民間や外国人投資家の引き受けの可能性はありますが、国債や政府保証債に次ぐ高格付けに見合う事業の収益性がなければ画に描いた餅となり、結局郵貯銀行と郵便保険の自主運用で塩漬けされ、やはり公営交通の赤字で金利を払う事態は変わらないのかも-_-;。

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Wednesday, June 15, 2005

三井物産元室長ら逮捕=5700万円詐欺容疑-排ガスデータねつ造事件・警視庁(時事通信)

リンク: @nifty:NEWS@nifty:三井物産元室長ら逮捕=5700万円詐欺容疑-排ガスデータねつ造事件・警視庁(時事通信).
 昨日流れたニュースですが、環境規制のあり方に関して考えさせられます。そもそもは東京都のディーゼル排ガス規制が始まりなんですが、DPF(ディーゼル粒子状物質除去装置)の装着でクリア可能との判断から行われた規制であり、三井物産をはじめ技術開発競争が起こって意図した結果が得られたと思いきや、商品化を急ぐあまりのデータねつ造となったわけです。何か三菱ふそうのリコール隠し事件と共通するものを感じます。
 そもそも日本の排ガス規制は、ディーゼルに関しては甘いところがあったのは確かですが、光化学スモッグ事件もあってNOx規制に比重がかけられていた結果、原理的に排出のトレードオフ関係にあるPM(粒子状物質)に関しては甘い規制となっていたわけで、東京都の規制はその流れに一石を投じたものとして評価できろものではあります。
 しかし実際はリーダーの無理解による安易さが、かかる結果を生んだといえます。空燃比の制御が難しいディーゼルエンジンで、低負荷時の希薄燃焼と高負荷時の不完全燃焼という相反する要素を後付装置で解決することの難しさをリーダー自身が理解せず、民間の尻をたたけばこういうことになるということです。所詮検査に立ち会う役人には技術を評価する能力なんかないんですから。
 特に大型車に関しては、中小型車では有効なコモンレールなどの燃焼技術でクリアすることが難しく、国の長期規制でも猶予がされている現状です。基本的には欧米のように燃料軽油の精製度を高めて粒子状物質の排出を抑えることも考えるしかありませんが、国内の石油精製プラントの更新に費用と時間がかかる現状を放置もできない中で、当局の規制の判断は窮屈なものにならざるを得ません。これまでの産業優先政策の延長線上では解決困難な問題といえます。
 ただDPFの有効性そのものは慎重な判断が必要ですが、現時点では否定的な観測をせざるを得ません。というのは、元々フィルターでの粒子状物質の除去は、常にフィルターの目詰まり対策という厄介な問題を抱えており、フィルターの目が粗いと本当に有害なミクロン単位の粒子を透過させてしまいますし、かといって目を細かくすれば、それだけ詰まりやすくなるわけで、排気管に蓋をしたような状況ではパワーロスも出ますし高熱にもなります。三井物産のDPFではバイパスと称する抜け道をわざと用意していたので、結局フィルターを通らない排気をまき散らしていたわけです。
 この問題への解決策は容易ではありません。製品によっては軽油に不純物として含まれる硫黄成分を潤滑剤として見込んだ仕様のものもあり、その場合精製度の高い軽油では使えないという悩ましい代物になります。
 となるとほかに有効な解決策はあるかどうかですが、今のところ日産ディーゼルで開発された尿素水噴霧方式ぐらいしかないわけです。今のところ日産ディーゼルと三菱ふそうが今年10月からの長期規制実施に合わせて採用を予定しており、DPFで対応を予定する日野といすゞに対してアドバンスを得た形です。ひょっとしたら勝ち組と負け組の組み替えが起こるかもしれません。

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Tuesday, June 14, 2005

地方分権と交通政策

ちょっとつかみどころのないタイトルですが、最近思うところが多い論点でもありますので、考えをまとめておきたいと思います。当ブログの悪い癖ではありますが^_^;、少々ややこしい論点に立ち入りますので、長文必至ですがよろしくおつきあいください(笑)。
 4/1付で廃止された名鉄岐阜地区600V線区と日立電鉄ですが、その後代替バスの利用者が大幅に減少したり、岐阜に至っては大野町などで岐阜市へ向かう代替バスよりもJR穂積駅へ向かう路線バスに乗客が流出し、岐阜市の空洞化が深刻化するなどの影響が出ているのですが、行政の対応は後手を踏むばかりか、問題点の把握すらできていないていたらくとなっております。市民生活に大きな影響が出ている現実に自治体が責任を負えないというおかしな現実をどう考えるべきなのでしょうか。
 岐阜といえば市民による廃止反対運動やLRT特区申請、仏コネックス社による買収提案など話題豊富だったんですが、終わってみれば最悪の結末となりました。市当局が結局問題を把握できなかったのか、その市当局の仲介がなければ買収交渉に応じないとした名鉄のかたくなな態度が問題だったのか、いろいろ見方はありましょう。しかし現行制度のもとではこれがたぶん精一杯だったのではないかと思います。
 岐阜市では同じ4/1付で、2003年度から岐阜バスへの移管が進められていた市営バスの移管も終了し、くしくも同日に岐阜市の交通体系はほぼ岐阜バスに一本化される形になったわけです。結局名鉄の岐阜地区からの撤退と地方財政の悪化による地方公営交通の縮小の2つが同時進行で起きたという点に、岐阜の特長が表れています。平たく言えば市営バスの撤退方針が実行段階にある岐阜市は、いかに市民が廃止反対を叫ぼうが名鉄の撤退問題で既に当事者能力を喪失していたといえます。
 地方公営交通の問題点は、結構複雑なんですが、昨今は全国的に見直しの動きが活発で、岐阜市と同日に熊本県荒尾市でも市営バスの民間事業者(産交バス)への移管完了で姿を消してますし、免許上は公営でも業務委託されたケースは東京都や京都市などの大都市にさえ顕れています。公営という経営形態ゆえの非効率が言われ、例えば乗務員の高給問題などが語られることが多いんですが、確かにある時期同一地域の民間事業者に比べて年収ベースで100万円高いということはあったようで、市民による指摘もされたわけですが、その後は賃金の切り下げや嘱託職員の採用などで人件費抑制はかなりの程度進んでいます。ただ同時期に民間事業者でも同等の動きがあった関係で、官民格差是正に至っていないケースが見られることもあります。
 それでも相変わらず公営ゆえの非効率で語られるケースが見られますが、現実はかなり変わってきています。蛇足ながら浜渦副知事更迭問題で揺れる東京都の石原知事も、就任当初都営交通の民営化方針を打ち出しましたが、その後の労使協議で一部営業所を東京都も出資する一応民間事業者のはとバスへ委託したにとどまります。公営では赤字でも民営ならば納税までするということも言われますが、公営でも余剰金を一般会計に繰り入れれば同じですから、経営形態が問題の本質ではないということは、郵政問題と同じです^_^;。
 むしろ公営特有の問題は、鉄軌道事業において顕著な問題です。例えば国家資格である動力車運転免許ですが、三セクを含む民間事業者では必須ですが、公営鉄軌道事業者では免除されます。明治期に確立したいわゆる鉄道事業の国有化原則の残滓なんですが、本来国の専管事項である鉄道事業を行おうとする民間事業者の場合は、国の事業としての鉄道事業と競合することなく補完することが求められ、そのことの認定を受けた証しとして事業免許が交付されるという法体系となっております。加えて実務においても営利を優先して安全無視をしないように動力車の運転を国が認める有資格者に制限し、事業年度ごとの収支報告を国に対して行うなどの細かい規制を行ったわけです。日本初のインターアーバンの阪神電気鉄道が路線の一部が道路併設の併用軌道だったことを隠れ蓑に官営鉄道の並行路線の認可を軌道事業として受けたのは有名な話です。当時軌道は道路交通の一部と見なされ、鉄道と比べて規制が緩かったのです。
 地方公営交通は、基本的に都市内の軌道事業がほとんどで、官営鉄道との競合は考えられず、むしろ鉄道利用者を駅に運ぶフィーダー輸送の担い手として相互補完関係にあるものと見なされました。また民間同様に事業免許の交付を義務づけられ一般財源と切り離した特別会計による収支報告を求められたものの、公営ゆえに民間事業者のように営利優先の安全無視も心配ないということで、現在に至る動力車運転免許の免除は生き続けたわけです。この辺は尼崎事故の制度的側面の記事でも触れましたが、時代の変化に取り残された制度的な抜け穴として指摘しておきます。
 バス事業は当然民間同様の規制を受けるわけですが、岐阜市のように鉄軌道事業を手がけたことのない自治体においても、財政事情が許すならば民間事業者の買収などで鉄軌道事業への参入をうかがったことはあると考えて良いでしょう。実際名古屋市も民間である名古屋電気鉄道(名電)の事業を買収したものでしたし、名電も買収を見込んで郊外線を建設し買収後はそちらを中心に事業を継承し(第一次)名古屋鉄道となる歴史を踏んでいます。公営交通事業は都市のステータスと考えられていたわけです。
 時代は下り、今や全国の自治体は財政悪化に歯止めがかからない状況で、その原因は別途いろいろあるんですが、そうなると赤字を一般財源で補填する公営交通事業がやり玉にあげられることになってしまいます。前述のように人件費の見直しなどはかなり進んではいるのですが、一方でモータリゼーションの進展による中心街の空洞化、いわゆるスプロール現象によって中心部に路線が偏在する公営バスは大きな影響を受けます。同時にバスゆえに増加するマイカーによる道路渋滞で定時運行もままならず、乗客からも見放されることにもなります。
 かつて都市のステータスとして参入した市営バスを維持できない岐阜市に名鉄の撤退はあまりに荷が重い問題だったといって良いでしょう。そればかりか電車優先運行への無配慮やノーガード電停の放置など、市内交通の利便性向上にはついぞ目が向かなかった行政の無能力ぶりに驚かされます。
 また市営バスの廃止と併せて考えると、市内の電車とバスの事業の独占権を要求したコネックス社の主張にも違った意味が見いだせます。彼らは日本の制度は良く知らなかったかもしれませんが、結果的に岐阜バスが市内交通全ての受け皿となる実態を意外にも正確に把握していた可能性はあります。少なくとも岐阜バスよりも自分たちの方がうまくやれると考えていた可能性はあります。
 ま、それでも提案に乗れなかった岐阜市には、そもそも権限がなかったわけです。バス事業も含めて交通事業の免許の交付は国の専管事項であって、岐阜市どころか岐阜県も手が出せない問題ですから仕方ないところです。
 既に廃止された岐阜の名鉄線ですが、生活圏の交通のあり方をその地域で自己決定できない現実は何を意味するんでしょうか。以前にも指摘したことがありますが、そろそろ国の権限で行われる交通事業の免許制度を見直し、地域交通については自治体レベルに権限を委譲してはどうかと思います。免許制度がそもそも鉄道事業の国家独占の産物ならば、地方分権で地域の交通に関して地域で自己決定できるようにすることは、先の見えない三位一体改革よりも実効性のある改革だと思うんですがね。

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Saturday, June 04, 2005

人口減少時代の公共交通

最近、少子化が盛んに言われ、出生率の低下が大問題とする論調がメディアをにぎわせていますが、当ブログでは関空二期工事関連で人口減少問題を取り上げて人口減少社会と公共事業人口減少社会と公共事業その2、関西3空港の命運人口減少社会と公共事業その3、それでも豊かな明るい未来で問題点を指摘しております。
 特に申し上げたいのは、既に高齢化が進捗し、2007年から始まる団塊世代の大量リタイアで労働人口が減少へ向かう現実に直面して、新生児が実際に労働力となるのは約20年後であることを忘れて、出生率を高めなければならないと言うのは、何の解決にもならないどころか教育費負担の分だけ経済を収縮させる悪手だということです。人口減少、労働力減少の現実を受け入れて、国全体として労働生産性を高めていくことこそが重要ということは申し上げておきます。
 大まかなイメージとしては、生産に携わらない高齢者をいかにうまく支え、それによって高齢者に偏っている貯蓄を若年世代へスムーズに移転させるかが問題となります。細かな論点に立ち入ると煩雑になりますので、交通の観点に絞りますと、高齢者はいつまでもマイカーで移動できるわけではないので、マイカー利用を前提とした道路整備やインフラ整備はいずれ行き詰まることとなります。
 高齢者が増えれば介護サービスの需要が増えますが、介護サービス関連の事業者にとっては、在宅介護であっても施設入所であっても、サービスを受ける高齢者が適度な密度で分布していることが、低料金で高品質なサービスを提供できる前提となります。その意味で人口密度の低い過疎地ほどサービス単価が高くなる傾向は否定できないわけです。つまりは高齢化社会こそスケールメリットが生きる都市の集積の便益が大きい社会といえます。
 しかし現実的には過疎に悩む地方ほど高齢化が進んでいて、必要な介護サービスを受けることが難しいわけですが、三宅島の火山噴火や中越地震での旧山古志村の孤立など、自然災害時のことまで睨むと、かなり背筋の寒い現実があるわけです。こういった地域に住む高齢者は、先祖伝来の土地を離れられない事情に縛られているわけですが、農地であれば転用や転売に農業委員会の承認を要する現在の農地政策の犠牲者と見ることもできます。農業分野への株式会社参入が広く認められるならば、保有する農地を現物出資して株主として配当を得るという形で土地資源を有効利用できて、大型農業機械の導入などで劇的に生産性を高めて、ものによっては輸出すら可能なほど競争力を高められるはずです。若者は地方に、高齢者こそ都会にという形こそが望ましいわけです。
 ただし、これは東名阪の三大都市圏への人口集中を必ずしも意味しません。むしろ三大都市圏は大型船舶の接岸が可能な水深の深い港湾が比較優位の条件となって発展してきたもので、人口減少下で内需中心の経済を想定する場合、暮らしやすい都市のサイズについての尺度は変化すると考えられます。特に高齢者にとっては、介護サービスの供給がスムーズに行えるという条件からいえば、道路渋滞を避けられない大都市よりも、中小都市に優位性があるということになります。きちんとした裏付けを取ったわけではありませんが、経験的に人口10万~30万人程度の都市が望ましいサイズということになりそうです。
 しかしこのサイズの都市というのは、実はモータリゼーションの影響を強く受けている都市でもあります。中心市街地の空洞化に歯止めがかからず、都市機能を低下させている都市が多いという現実があります。そういった中で、この4月に関東の日立電鉄が廃止され、代替バスに置き換えられて、なおかつ乗客が7割減というショッキングなニュースが流れました。曲がりなりにも首都圏の外縁部に位置する企業城下町で、産業集積も申し分ないところで、過疎地とはいえない場所だけにショックです。
 高齢化を前提に考えると、無人駅であっても安全なプラットホームで電車を待つのと、道路脇のバス停ポールで排ガスと粉じんを浴びながらバスを待つのとでは、ユーザーインターフェースに大きな開きがありますし、公共の道路を走るバスは、マイカーの増加による道路渋滞の影響を受けやすく、安心感に開きがあります。わかっていたことかもしれませんが、こうなるとバスで代替可能な輸送需要しかないからバス化することの正しさが問われます。あとテクニカルな問題ではありますが、鉄道とバスでは、準拠法規の違いから、同一事業者であっても別の認可運賃となる点も、代替バスへのスムーズな移行を阻害する要因といえます。
 ただし日立電鉄のように単行運転でワンマン化された路線では、実質的な労働生産性にバスとの有意差がなく、事業者サイドから見ればバス化による資産圧縮のインセンティブが働いてしまうという問題もあって、結局ローカル鉄道のバス化が避けられない流れとなっている現実もあります。最近は地方運輸局の判断で2連程度までワンマン運転を認めるケースもありますが、パッセンジャーフローを前提に乗務員による運賃収受を行うことでワンマン化による生産性向上をスポイルしてしまうという問題も避けられません。欧米標準のセルフ方式への移行がなければ、結局バス並の生産性に甘んじるローカル鉄道に明日はないことになります。欧米標準のLRTが日本で実現しない理由はかなりはっきりしていますし、この点をクリアしてこそ、省力化産業としてのLRTでありローカル鉄道という形で明日を拓くことが可能になると考えます。また高齢化、人口減少の中での交通政策という意味で、経済の外部性を発揮できるわけで、こうして適度な集積の中で高齢者介護サービスを最適化することが、社会保障負担の増大を防ぐ意味でも重要と考えます。

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Wednesday, May 04, 2005

ユーザーのふそう離れ? 気になる近所のバス

久々のバスネタです。
 神奈中の舞岡営業所に日野ブルーリボンシティが登場しました。小型限定路線用のリエッセを除けば、大型バスとしては久々の日野車の登場となります。舞岡もリエッセ以外はオール三菱ふそう車の陣容だっただけに、日野車の登場はニュースバリューのある話題かと思います。神奈中全社で見ても、おそらく日野車の新車はモノコック時代まで遡る話になると思いますから、かれこれ20年ぶりぐらいでしょうか。しかもCNG車ですから、排ガス規制の影響で三菱ふそうバスの新車発売ができなかった影響は直接無関係だと思います。ま、単に日野のディーラーがうまくセールスしただけかもしれませんが。
 と思いきや、やはり三菱ふそうが圧倒的に多数派である江ノ電バス鎌倉営業所(平島)でも、いすゞエルガの新車が登場しております。標準尺のワンステップのようです。ま、江ノ電の場合は、少数派とはいえいすゞ車は元からおりました。ただ富士重ボディなんでぱっと見わかりにくいんですが、特に鎌倉には7EボディのLV324の長尺車がいまして、全国区でも結構な珍車だと思います。ということで、ひょっとしてタイトルのような事態(ユーザーのふそう離れ)が起きているのではないかと思った次第です。
 実際問題として新車の型式認証問題で国土交通省から待ったをかけられていたので、セールスの空白期間があったかもしれませんし、全国のユーザーを見たわけではないんで、即断は禁物ということにしておきましょう。しかしそれぐらい神奈中の日野車デビューは椿事といえます。
 ただこれも繰り返しになりますが、型式認証問題でも触れましたが、元々90年頃と比べれば新車登録台数が半減に近い需要の冷え込みを、ディーゼル排ガス規制による買い換え需要で無理に押し上げているからかろうじて維持されている大型メーカー4社体制ですが、逆に排ガス規制対策で開発費用が嵩張った結果が、メーカーの収益を悪化させている現実も見ておく必要があります。その結果ユーザーは買い換えによる出費を強いられ、メーカーは車は売れるものの、3年ごとに新規制に合わせた新エンジンの開発費で利益を食いつぶし、経営が疲弊しているときに、メーカーの負担となるリコールを内々に処理しようという誘因が働かないといえば嘘でしょう。実際は制度面で無理を重ねているといえます。
 そうはいっても他の3社はリコール隠しを少なくとも表面的にはやらずに凌いでいるわけですから、三菱ふそうの責任は免れないのは言うまでもありません。何が三菱ふそうをそうさせたんでしょうか?
 “零戦の三菱”として名高い名門企業三菱重工の自動車部門が分離独立した三菱自動車の大型車部門を分社した三菱ふそうというややこしい位置づけですが、リコール隠し問題で販売不振となった三菱自動車から役員を引き揚げ距離を取り始めたダイムラーが、三菱ふそうには社長を送り込んでまで守ろうとしているわけですが、リコール隠しの中身は主に分離前の大型車部門が中心だったわけですから、何か奇妙な気がします。逆に言えば三菱は大型車こそ国内トップの地位にあり、国際的にも知られた存在だったので、ダイムラーとしては今さら手放すわけにはいかないわけです。分離後の三菱自動車こそいい面の皮だったわけです。
 三菱ふそうも当初はダイムラーのライバルのボルボに身売りされたのですが、ボルボの撤退と共にダイムラーの傘下におさまるわけですが、この辺の不透明な経過は、結局自らを高く身売りするための分社だった疑いがあります。つき合わされたダイムラーは散財を余儀なくされたわけですね。
 そこまで権謀術策を弄してまでも存続に意欲を燃やす三菱自動車と三菱ふそうなんですが、元々乗用車部門はパジェロなどの人気車はあったものの、他社に対して劣勢は否めなかったんですから、選択と集中で強い大型車部門に経営資源を集中させていれば、リコール隠しのような“ずる”をするまでもなく地位を築き、外資へ身売りも防げたように思いますが、名門意識がフルラインメーカーへのこだわりを捨てきれないまま、ずるずると来てしまったのでしょう。
 同様に「トヨタ、日産と肩を並べる名門」と自負するいすゞが、それでもジェミニやアスカの自社生産は早々にあきらめながら、SUVのビッグホーンの生産継続にこだわって経営悪化した図に酷似します。さらに欧州の乗用車市場を中心に小型ディーゼルエンジンの需要が増しており、実際欧州のエンジン工場は好調なんですが、こういう好調部門をGMに手渡し、利益の出ていない国内生産部門を自前で残すなどチグハグが目立ちます。最終組立を諦めてエンジンメーカーとして集中すれば、おそらくアイシンやデンソーに匹敵するワールドワイドなコンポーネントメーカーになれたかもしれません。90年代にリコール隠しで存亡の危機に立ったやはり名門の富士重工が、レガシイをはじめとしたプレミアムカーメーカーに特化し、バスボディや鉄道車両から撤退して業績を高めたのとは対照的です。
 いすゞは大型車メーカーとしても劣勢は否めず、日野との経営統合も両者の業績の乖離もあってまとまらず、やっとバス最終組立のJバス設立に至ったものの、未だメルファ/ガーラミオの中型観光車の統合に留まり、両者のラインナップの穴埋めに一部車種の相互供給に留まっている現状は、先行きの厳しさを暗示します。一方の当事者の日野は、中型路線車のレインボーHRがノンステップ専用車台だったために継続生産されていたレインボーRJ/RRをエルガミオのOEMのレインボーIIに切り替え、ちゃっかり合理化してトヨタグループらしい抜け目なさを発揮してます。
 日産ディーゼルは中型用エンジンを日野から供給を受けることで、経営資源を大型車の開発に集中した結果、国内メーカーで唯一黒字決算を重ねて経営再建に成功し、遅れていた排ガス対策も尿素触媒技術で一気に優位に立ち、リコール隠し問題で出遅れた三菱ふそうへの技術供与まで決まって地位を築いたことと考え合わせると、企業の盛衰の妙を感じます。

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Sunday, March 06, 2005

藤沢市“ツインライナー”の可能性Part2

前の記事で書ききれなかった部分の補足です。主に車両にスポットを当てます。
 まずは運行会社の神奈中の公式ページでリリースを見てみましょう。車両はネオプランN4421というノンステップ連接バスで、全長18mで定員130人とほぼ通勤電車1両分の輸送能力を持ち、MAN製エンジンを最後部に搭載したリアエンジンレイアウトで、国内初の採用となります。
 連接バスといえば、つくば万博シャトルバスに採用されたボルボB10Mというミッドシップレイアウトのアンダーフロアエンジンバスベースの連接バスが国内初で、富士重工がボディ架装をしたことでも話題となりました。この車の一部は東京空港交通でTCAT~成田空港間のリムジンバスとして運行された