バス

Sunday, August 30, 2020

アベノミクスを終わらせろ

健康上の理由による突然の辞任ですが、腑に落ちないのが代理を立てて直ちに静養しないことです。来月の自民党総裁選で後継者が決まるまで執務を続けるのは、責任の取り方としておかしいです。当然国会召集も新総裁に丸投げとなる訳です。自分の任期中に後継者を競わせることで、影響力を維持したいってことでしょうけど。

それはそれとして、アベノミクスの総括がどうなるのかが興味深いところです。成果として株価の上昇と雇用環境の改善が取り上げられますが、いずれもアベノミクスの成果ではありません。株価といっても日経平均株価ばかりが取り上げられますが、これ225の優良銘柄の平均値ですから、上がらない方がおかしいんです。ま、バブル崩壊で実際下がった訳で、38,000円台を付けた最高値に未だに届いていない訳です。

この225銘柄は定期的に入れ替えられますし、合併や上場廃止などで銘柄数が減れば補充されます。謂わば日本のチャンピオン企業を集めた指標ですから、上がらないってことは日本経済の成長力の劣化を意味する訳ですし、実際バブル崩壊以来下がりっぱなしだった訳で、下がった水準から少し戻したことを以て成果とするのはおかしい訳です。

あと雇用に関しては、完全失業率の低下や有効求人倍率の改善が言われますが、非正規雇用が4割を占める質の劣化は問題です。これも90年代後半から生産年齢人口の減少が始まり、2007年以降には団塊世代の大量退職もあった訳ですから雇用情勢が売り手市場になるのは必然ですが、一方で企業の求人難に対しては非正規雇用の拡大で穴埋めされた訳で、その結果高齢者と女性の労働力率は高まりましたが、見方を変えれば、その間GDPはほとんど伸びていない訳で、労働生産性が低いまま労働力の投入量を増やしてGDPを維持したというのが実際です。

これ前エントリーで指摘したように政府の成長戦略で経済成長する訳じゃなくて、企業の成長力が結局経済成長をもたらすという当たり前のことを申し上げておきます。その意味で示唆に富むのがこれ。

角栄メモは今も問う ポスト安倍の金融センター構想は 本社コメンテーター 梶原誠:日本経済新聞
コラムでは今度こそ東京をアジアの金乳センターにすべしという希望的観測が語られてますが、1974年に東証理事長に就任した谷村裕氏に当時の田中首相がメモを渡して株式市場の抜本改革を求めたことが、国際金融都市東京の出発点ということです。

その「角栄メモ」の中身は「エクイティファイナンスは利払いがなく低コスト」とする日本企業のあり方を根本的に見直すべきことが綴られていたそうで、株主価値の向上と株主還元に重きを置くものだったということです。所謂コーポレートガバナンス問題ですが、株式持ち合いで安定株主対策を取りながら、株主に煩わされることなく意思決定していた日本企業の姿がその後どう変わったかは問われます。

リーマンショックで株主資本主義の弊害が指摘されましたが、それ以前に株主という外部の目を排除して独善的に意思決定してきたことが、バブル期に財テクと称して土地や株へ投資資金を振り向け、次の成長に繋がる投資を怠った結果、バブル崩壊で競争力を失った訳で、基本的に日本経済は当時の失敗を乗り越えられていない訳です。

かつて電子立国と言われ世界の半導体市場を席巻した日本の電機産業が典型的です。バブルに踊りIT革命の波に乗り損なった間に、ムーアの法則に則って大規模投資を継続した米インテルや、後発ながら積極投資でグローバルプレイヤーに成長した韓国サムスンやLGの後塵を拝する結果となった訳です。

余談ですが日韓事変の後日談ですが、日本の化成品輸入が滞った結果、サムスンもLGも製造工程を見直し、例えばディプレイパネルなど精度を要求されない工程で韓国産化成品を使う一方、日本の化成品メーカーが現地進出することで、同等品の入手も可能になり、今後製造技術の移転で韓国メーカーもキャッチアップが期待されるという状況になり、財閥企業と中小企業のギャップ解消が進んだことで、韓国から「安倍さんありがとう」の声が上がってます。これをアベノミクスの成果と呼ぶかどうかは微妙ですが^_^;。

バブル崩壊で沈んだ日本の電機産業ですが、コロナ禍で沈むとすれば自動車産業でしょうか。自動車メーカー本体は何とか持ちこたえるとしても、部品メーカーから悲鳴が上がっています。1台3万点と言われる自動車部品の供給がコロナショックで止まり、感染防止の観点からも国内メーカーの操業停止が相次ぎ、結果的に国内部品メーカーも操業を止めざるを得なくなりました。その結果資金繰りが悪化しており、いずれ廃業も出てくるでしょう。そうすると結果的に国内サプライチェーンが弱体化し、生産再開が早かった中国依存が短期的には強まる可能性があります。そうなると危機対応で国内回帰が叫ばれるのと逆の動きとなって、国内サプライチェーンが立ち枯れていく可能性があります。

元受けの大手メーカーが資本を入れるとかすれば何とかなるかもしれませんが、CASEなど100年に一度の変革期を迎える自動車産業で、在来型のガソリン車の部品供給が滞ればEVシフトが進む可能性も視野に入れる必要があります。逆に大手メーカーにはある意味チャンスかもしれませんが、それは多数のサプライヤーを犠牲にしての生き残りということになる訳で、そこまで腹の座った経営者が果たして現れるかどうか?

そしてEVシフトはある意味自動車メーカーの強みを失うことにもつながります。内燃機関をコントロールしてて適切に動力を取り出し駆動する技術はアナログなチューニングの塊であり、それが参入障壁にもなっていた訳ですが、その強みが失われれば、新規参入者との競争を覚悟しなければなりません。

生産台数では劣るテスラがトヨタを時価総額で上回るってのはそれなんですね。部品メーカーとのしがらみのないテスラは、オンラインでバージョンアップしながら性能を高めるというスマホのような繋がるクルマを実現してますが、これが既存メーカーには高いバリアなんです。自動車の世界も電子化自体は進んでますが、それは主にロッドやワイヤーを電子回路に置き換えることが中心で、機能的にひと塊のユニットを組み立てるモジュール化とも関連します。個々のモジュールに制御用のプロセッサーが組み込まれており、独自OSで動いている訳で、モジュールに不具合があればモジュール単位で交換するという形でブラックボックス化しており、これがコネクテッドカーへの進化を阻んでいる訳です。

てことで、心配なのが政府による自動車産業への介入なんですが、実際窮地にある日産をホンダに救済合併させようとして双方から断られたなんて話もあります。仮に構造変化でつぶれる自動車メーカーが出るとしても、それは市場の正常な作用であって、政府が手を突っ込むような問題ではありません。

逆に気になるのが密を避けるという意味で公共交通忌避に乗じて自動車を売ろうという方向へ進む可能性もあります。公共交通の独立採算原則の下では放っといても公共交通は立ち枯れるから車を売るチャンスという訳ですね。国民の移動の権利が規定されていない交通政策基本法の下ではそうなります。

同じ公共交通でも、鉄道やバスは換気に配慮して対応してますが、それが出来ないのが航空でして、空気の薄い成層圏を飛ぶ以上、気密性も保持が優先されます。実際航空機の前後の席での感染が報告されてますし、航空産業にとっては逆風は続きます。ある意味フリュグスカム(飛び恥)実現のチャンスでもある訳ですが、恐らく政府は航空の救済に向かうでしょう。

あと気になる動きとしてはJR東日本が時間帯別運賃の導入を検討するというにゅーすですが、これ運賃制度へのダイナミックプライシング導入が意図されています。その問題点はデジタル経済はビッグブラザーの夢を見る? で指摘した消費者余剰の搾取を意味します。届け出制の特急料金やグリーン料金では既に繁忙期と閑散期あるいは事前購入か車内購入かで格差をつけてますが、これわかりやすく言えば客の足元を見て高く取れるところから取るという話であり値上げの口実です。つまりSuica甘いかエントリーで指摘したように、仮に消費税減税が実現しても交通運賃の値下げは無いってことです。

書きたいことはまだありますが、長くなりましたので一旦終わります。アベノミクスには終わってほしいけど。

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Sunday, August 23, 2020

コロナの後遺症

covid-19の感染拡大が続いていますが、日本の場合検査が少なすぎて、感染拡大の実態が見えないまま、国民の疑心暗鬼ばかりが拡大します。故に大学ラグビー部の寮でクラスター感染が確認されたら。ラグビー部と無関係の教育実習生受け入れが断られたりという差別的なことが起きてしまいます。相変わらず保健所の窓口能力がボトルネックになっていて改善は見られません。

東京都や大阪府の知事がメディア露出で政治利用している実態もあり、国民に寄り添う政治姿勢は見られません。一方で世界中からコロナ感染者が回復後も心臓や肺に延焼が見られるなど後遺症が指摘されており、とてもじゃないけど普通の風邪レベルの話じゃありませんし、感染力の強いウイルスの生存戦略としての弱毒化も見られません。確実に長引くコロナ禍の中で、出来ることを積み重ねるしかありません。

そしてまともなコロナ対策を打ち出せない政府の無能に批判が集まるようになりました。アベノミクスが始まる前から批判していた身としては、ここへ来ての内閣支持率低下に今更感しかありませんが、歴代政権の実質GDP成長率の比較を見ても、大規模財政出動で経済を下支えした小渕・橋本政権で1.0%、規制緩和中心に新自由主義的な構造改革路線の小泉政権で1.0%、何だかよくわからなかった民主党政権で1.6%、大規模金融緩和の2019年までの安倍政権で1.2%です。しかも安倍政権にはオマケがついてます。

日米欧GDP戦後最悪、4~6月 日本はデジタル化カギ:日本経済新聞
統計不正などのインチキで数字を作ってきた安倍政権ですが、コロナで吹っ飛びました。しかも19年10-12月期、20年1-3月期に続く3期連続の下落ですから、ザックリ元の水準から1割減ってところです。しかもコロナ禍が長引くから回復には3-4年程度あるいはそれ以上の相当の時間がかかると見るべきでしょう。安倍政権下の成長率はさらに下がる訳です。

歴代政権の比較で何だかよくわからなかった民主党政権時代が最も高いってのは意外ですが、これ東日本大震災の復興による部分もありますから、やや下駄を履いた数字ではあります。しかし大災害に対して汗かいて国民に寄り添って努力したことは認めて良いと思います。つまり成長戦略ぶち上げて景気の良い話を煽った自民党系政権に対して、目先の課題に取り組んだ結果、経済が反発した訳です。ここ重要です。

てことでまともなコロナ対策も打ち出せずに国会も開かずに逃げている限り、安倍政権の評価は下がらざるを得ない訳です。そもそも財政政策や金融政策を成長戦略とするのは疑問です。マクロ経済政策を理論化したケインズが、報道記者に成長理論を問われて「アニマルスピリット」と答えた逸話が有名です。ケインズの理論は経済成長過程で生じる景気変動を平準化する理論であって、実際の成長は企業家のアニマルスピリットに依存するという意味です。つまり自らの経済理論に成長理論は無いと認めた訳です。

政府が打ち出す成長戦略は当てにならない訳です。結局企業がリスクを取って投資することが成長に繋がる訳で、その意味で成長できないのは政府のせいだという新自由主義者の主張も要注意です。例えば民主党政権で実現した高速乗合バスの規制緩和も、ツアーバス事業者からすれば規制強化なんですが、規制をクリアして乗合免許を取得した所謂新免事業者が輸送市場の活性化に寄与したように、ルールの変更は重要ですが、岩盤規制があるから成長できないなんてほざく経営者は、無能を晒しているに等しい訳です。運輸省や郵政省と戦ったヤマト運輸の事例を挙げるだけで十分でしょう。

ただ悲観すべきではないのは、GDPは付加価値の合計であって、例えば外出自粛や飲食店の営業自粛で必然的に自宅で食事をとる機会が増える訳ですが、飲食店の原価率が3割程度で元々付加価値が高かった一方、スーパーで食材を買って自宅で調理すれば、飲食店が生み出す付加価値は消える訳ですから、生存には問題がない訳です。付加価値って選択的消費の結果生じる訳ですから、早くコロナ感染を封じ込めて、手間のかかる自宅調理より外食を楽しめる環境を作ることが大事ってことです。

心配なのは雇用でして、既に多くの企業が来年度の新規採用を見直していて、JALやANAは既に採用停止を打ち出しておりますし、JR西日本も新規採用抑制を打ち出しております。JR各社は国鉄末期の採用停止で空白の世代があり、今後国鉄OBの社員の大量退職が見込まれるため、計画的に新規採用を拡大してきたのですが、コロナ禍による運輸収入の減少でそれどころじゃなくなりつつあります。

一方でネット通販の利用拡大で宅配便のドライバーは増えてますが、急激な拡大には正社員主義のヤマト運輸も追いつかず、利益を減らすとして減少傾向にあった外部委託に頼らざるを得ないですし、更に外食の宅配でウーバーイーツなどの拡大が見られますが、これも飲食店の営業自粛でアルバイト先を失った学生、フリーター、外国人留学生などが更に不安定なギグワーカーに転落したとも取れる訳で、雇用の劣化は止まりません。ただでさえ低下著しい日本の労働分配率はさらに低下し消費を冷やすことは間違いありません。

そして新卒の正規雇用減少はいつか来た道ですね。90年代後半のロズジェネ世代の再現となり、多くの若者が社会人としてのキャリアの始まりで躓く訳です。とはいえベンチャーキャピタルの弱い日本では起業もままならずですし、コロナ禍が収まるまでは海外渡航もリスクがあります。ある意味ロスジェネ世代より過酷な現実に直面しているとも言えます。

そして現役世代の賃金低下は年金や医療保険など社会保障にストレスを与えます。年金給付の減額や診療の自己負担増で対応すれば、寧ろ老後不安から現役世代の貯蓄性向を高めますから、これも消費を冷やします。そしてロスジェネ再現以上に問題なのが、学校教育の遅れです。学校の閉鎖でカリキュラムの消化が遅れていて、夏休みを極端に短縮しながら密を避けで授業を行う教育現場のストレスは相当高いですが、問題は小中高大と幅広い世代に影響が及んでいることで、将来「ゆとり世代」ならぬ「コロナ世代」が長期に亘って経済にマイナスインパクトを与えかねません。安直に学校閉鎖を決めたツケが重くのしかかります。

てことできりがないのでこの辺にしておきますが、この状況で公共交通の逆風をどう乗り切るかは重大です。おそらく独立採算原則を見直さない限り、立ち枯れていく未来が見えますが、民主党世間が提案した交通基本法を自公政権で交通権部分を省いた交通政策基本法として成立させたことがネックになりそうです。憲法に紐付けされた交通権を盾にしないと、結局自治体は金を出し渋り事業者は撤退せざるを得なくなることになりかねません。

また欧州で見られる交通税のようなものを導入する手はありますが、これも恐らく課税対処になる沿線住民や企業の反対で潰されるのがオチになりそうです。あるいは揮発油税など燃料税を事業者への補助金に使うとか、国税レベルで炭素税のような新税を導入して補助財源にするとか、公的サポートを考えないと持続可能性を損なうことになります。

てことで経済社会にも深刻な後遺症を残しそうなコロナ禍です。国会召集早よ!

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Sunday, August 09, 2020

帰らざる社畜

お盆に家に帰るのはご先祖様と社畜で、家から居なくなるのがアニオタと鉄ちゃんと書いた社畜人ヤプーから4年。コロナ禍で様変わりしました。バーチャルなご先祖様はコロナ禍に無縁ですが、感染拡大の心配から帰省を自粛する社畜たちは、せめてネット動画で孫の姿を両親に見せるリモート帰省がせいぜいです。お盆に限りませんが、両親の介助と妊婦の安心感から選択される帰省出産もままならず、少子化は促進されるでしょう。もはや日本では消費をリードする中間層の再生産が成り立たなくなりつつあります。

コミケの中止はやむを得ないとしても、コロナ禍が無くてもオリパラで東京ビッグサイトが使えないから、アニオタは巣篭りしてネット動画チェックで本来のオタク道に回帰するから家から居なくならないけど、鉄ちゃんは相変わらず全国に散っています。帰省ラッシュ消滅でラッキーですらあります。臨時快速ムーンライトは走らないけど。

てことでご先祖様と鉄ちゃんは変わらないってことで、共に尊い?(笑) 社畜とアニオタは共に巣篭りだけど前者は強制後者は自発と中身は大違いで、ニューノーマル(新常態)での社畜人ヤプーの幸福はいずこ?

所定外給与24.6%減 6月、過去2番目の下げ幅:日本経済新聞
これ正規雇用者の残業の減少とボーナスの削減が原因ですが、非正規雇用者の雇い止めやアルバイト・パートの時間短縮を反映しておりませんから、消費へのマイナスインパクトはより大きい訳です。そんな中でのGo To トラベル強行はそもそも消費喚起効果が限られます。正規雇用者の残業減少も、不況による調整の意味に留まらず在宅ワークによる残業代ゴマカシも含まれますし、通信費や水道光熱費の負担増による消費のマイナスも考慮する必要があります。

結局旅行業界のロビーイングの成果なんでしょう。JTB、HIS、KNT、日旅の旅行業大手4社の5月の取扱高前年比が軒並み1-3%という惨憺たる状況です。これ前年比ですからね。しかも旅行業者は旅客と運輸、宿泊その他の事業者との仲介で手数料率は10%程度ですから、もはや社員の給料の支払いさえ覚束ない逆風です。

旅行業界では所謂団体扱いってのがありまして、国鉄→JRをはじめ運輸、宿泊、その他施設でも団体利用の割引料金が存在します。実際に日本人の旅行形態は戦後長らく団体旅行が主流でしたし、個人旅行のニーズ自体は60年代後半にやっと顕在化するといったレベルでした。しかも個人旅行の発生手配は手間ばかりで僅かなマージンしか得られないから旅行会社には歓迎されないものです。

ただ旅行業法で旅行会社は主催旅行を催行できることから、団体扱いで運輸や宿泊を割引料金で仕入れて、それを組み合わせて個人向けに販売するパック旅行という旅行商品を企画販売できます。しかも大手ほどバイイングパワーを駆使して相対取引で値下げを要求できますから、仕入れを安くして利益を乗せて個人向けには個別手配と同等若しくはやや割安程度でもワンストップで申し込めて旅客側の手間が省けますし、加えて一部の史跡や施設で団体のみの見学客受け入れというところを組み込めれば、付加価値としてアピールできます。

勘の良い人はお気づきでしょうけど、ツアーバスの仕組みがこれなんですね。旅行会社が団体旅行のオフシーズンに当たる盆暮れに貸切バスを割引価格で仕入れて、主催旅行として個人客を募集し運行する形です。しかも旅行業法で最少催行人数以下の場合は催行中止が出来ますからノーリスクな訳で、乗合免許で旅客の有無に関わらず運行する義務を負う高速乗合バス事業者から不公正と是正を求められ、関越道の事故で注目を集めました。

本題に戻しますが、加えて旅行会社は旅客から前払いで代金を収受し、乗車券や航空券など大手キャリア向けの仕入れに一部使いますが、宿泊などは事後精算となりますから、国の支援を梃子にパックツアーが売れるなら、資金繰りの助けにはなります。Go To トラベルの場合、個人で支援条件を見極めて個別手配するのは手間がかかりますが、条件を踏まえた旅行商品を組むのは旅行会社にとってはお手のものですから、結局旅行会社のパックツアー利用に誘導されます。ワンストップが活かせるわけです。

その一方で宿泊を提供する旅館やホテルは感染防止策が求められ、館内消毒や従業員の手指消毒に留まらず、大部屋での食事提供やバイキングとはいかず、個室配膳となると手間が増えますしで、追加費用も発生します。いくら国が支援するとはいえ、儲けにつながるかは微妙で、実際Go To 便乗値上げのような動きも見られます。

てことで旅行会社にはメリットがあるかもしれませんが、そもそも消費の前提となる雇用者報酬が縮んでいるんだから効果は知れてますし、運輸や宿泊に留まらず裾野が広いから経済効果が大きいとのたまう経済学者がいますが、現場を知らないにも程があります。

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Saturday, May 30, 2020

マイクロオフィス365

緊急事態宣言が解除され、揺り戻しか一部で渋滞や密集が見られますが、COVID-19を克服した訳じゃないので、引き続き警戒は必要です。故に乗り鉄どころか駅前に出るバスも自粛してますが、ネタ探しできないのが悩みです^_^;。そういや鉄道ジャーナル最新号の列車追跡シリーズはリバイバル掲載と趣味誌も苦しんでます。てなどーでもいい話が吹っ飛ぶえらいことが起きてます。

中国、香港に「国家安全法」導入方針決定 全人代閉幕:日本経済新聞
これ三蜜で即身成仏で指摘したコロナ禍による米中対立の不可逆的な悪化の結果です。貿易摩擦なら妥協を伴うとはいえ外交的解決の可能性がありましたが、最早その段階を超えたと中国当局が認識した結果です。元々一国二制度は台湾の復帰を睨んだ中国側のアピールでもあった訳ですが、コロナ禍で初動を失敗したことで中国政府は批判を浴び、更にマイナス成長で統治の正当性に疑義が向けられる中で、国内向けに強硬な対応を取らざるを得ない状況ということで、習近平体制が言われるほど盤石ではない結果です。

加えて1億人ほどいると言われる先進国レベルの所得層の政治的影響力が増した結果、香港を思うように統治できないことに対する中国国内の世論の不満もあります。一方、そうした高所得層は自由度の高い香港への移住が進み、狭い香港で不動産価格の高騰をもたらした結果、元々の香港人が家を買えない事態に陥り、大陸からの移住者への反発が強まっていました。故に雨傘運動から始まり逃亡犯引き渡し条例撤回などのデモは主に将来に不安を抱える学生主体で進み、大人たちが支援する構図となりました。これ60年安保闘争当時の日本が、安全保障の米軍依存への不安を学生が先導して多くの国民を巻き込んだ構図とそっくりです。

一方のアメリカもトランプ政権の初動ミスでCOVID-19の感染拡大で大統領選の再選が怪しくなったトランプ大統領は、中国に責任転嫁して乗り切ろうとしています。こうなるともう話し合いで落としどころを探るどころじゃなくなり、既に香港優遇の見直しに突き進んでますが、更に金融制裁を課して米銀との取引を制限する可能性もありますが、北朝鮮やベネズエラと違って世界第2位の経済大国ですから、簡単には従わないでしょうし、世界を巻き込んだ報復合戦となると、世界中が振り回されます。コロナ後のV字回復はなさそうです。

寧ろニューノーマル(新常態)を考えるべきです。各国ともロックダウンなどで経済にブレーキをかけざるを得ない中で、国民生活や雇用の支援などで財政出動を余儀なくされてますが、財政出動に合わせて中央銀行の金融緩和で金利上昇を抑制する流れもある訳で、例えば米FRBのゼロ金利尾が典型ですが、財政出動で増発される国債を買いオペで支えて中長期の金利を抑制するということを始めた訳で、これ黒田日銀のイールドカーブコントロール(YCC)をFRBが取り入れたに等しい訳です。その結果金利が人為的に抑え込まれて低金利が続く一方、それ故にリスクマネーが拡大して株式に資金が流れ込む訳です。故に説明のつかない株高が実現している訳です。

つまり金融緩和で資金は潤沢だけれども、それを活かす借り手の不在という合成の誤謬が起きている訳で、実はコロナ禍をきっかけに世界が日本に追いついてきたってのが新常態の本質です。つまり世界デフレが進行するってことです。経済を支えるための財政出動はやめられないし、それを支える金融緩和もやめられない結果、金利が消滅してタンス預金が合理的選択になる世界ってことです。これは個人も企業も同じで、ある意味日本企業が内部留保を積み増してきたことは正しかったのか?

社畜の国のリモートワークは、よく考えたら労働法改悪で取り上げられ断念された裁量労働制の拡大が図らずも実現し、残業代カットも実際行われているようですから、恐らく多少の問題ああっても企業は進めようとするでしょう。とはいえ問題山積で、特にセキュリティ面の問題は相当な重荷になりそうです。暗号化による公衆回線上の仮想イントラネットとも言うべきVPNの導入で特需が起きているようですが、暗号化と復号で遅延が生じますから、リモート会議には不向きですが、Zoomは手軽だけどセキュリティが弱点になるなど、課題はいろいろあります。加えてこんな問題も。

在宅ワークの費用、だれが負担する? 就業規則で明確に:日本経済新聞
在宅ワークに伴って生じる通信費や光熱費の増加を家計で負担することになれば実質賃下げと一緒ですが、おそらく就業規則でこの辺を明確にしている企業は少数派でしょう。特にコロナ禍で必要に迫られて始めた会社は、この辺を曖昧にしてやり過ごそうとするでしょう。労組を通じてものが言える会社も多数派とは言い難いところです。

加えてウサギ小屋とも揶揄される日本の住宅事情では、必ずしも個室が用意されているとも限りませんし、下手すれば夫婦共働きで場所取りを争い、更に子供のリモート学習まで対応するってことになると、どれだけの大邸宅が必要なことになるでしょうか。その結果通勤時間の節約はあっても寧ろ非効率になったりストレス抱えたりして脱落する人が増えるとすれば、ワークライフバランスどころじゃなくなる訳で、「働き方改革」の掛け声が如何に空疎だったかってことです。在宅のマイクロオフィスはブラックな毎日になりかねません。

加えて通勤電車の混雑は緩和されるかもしれないけれど、独立採算前提の日本の交通事業では、結局採算が取れなくなって減便や撤退が相次ぐ可能性も指摘できます。既に上尾市の丸健自動車が民事再生手続きで事実上破綻しましたが、問題は救済合併や資金支援をする側に余裕が無くなっていることです。丸健自動車もM&Aを打診していたけれど成立しなかったってことで、事業を継続できずに憤死する事業者が出てくる可能性があります。そのとき自治体が救済に動けるでしょうか?唯でさえコロナ禍で疲弊している中で、その余力は乏しいと言わざるを得ません。

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Sunday, April 26, 2020

不要不急の黄金律

Zoomを200mと空目して、ソーシャル・ディスタンシングってそこまで離れないといけないの?と勘違いした人もしなかった人も、お元気でしょうかwwww。私はと言えば、元々引きこもりのボッチですから、あまり変化ありませんが、流石に接触機会が増える乗り鉄は自粛してます。

しかし不要不急が叫ばれるけど、何を以て不要なのか不急なのかは曖昧です。例えばパチンコ規制ですが、開店前の行列に始まり、店内の密集度も高いし、換気が十分かどうかも不明で、しかもプレイ時間もそれなりに長い訳ですから、入場制限や間隔を空けるなどは必要かもしれませんが、補償無しの自粛要請には無理があります。そして自粛に応じなければ店名公表するとして大阪市などでは公表されましたが、これ逆に人を集める効果があるので、あまり意味がありませんし寧ろ逆効果です。欧米のように休業補償を条件に強制力を持たせるべきところです。

現行憲法でも強制力を持たせること自体は可能ですが、補償したくないから曖昧にしている訳です。旧憲法下で国家総動員法などと共に成立した陸上交通事業調整法で、東京の私鉄統合が行われたのは空飛ぶ都営交通でも取り上げましたが、東武野田線の柏以南は京成エリアですし、東上線は西武エリアですが、路線移管は行われず、中央線以南の西南部が東急に統合されたに留まりますが、西武に統合された多磨鉄道はそのままだし、実際は資本の論理による乗っ取り(京浜)や電力国家管理による独立維持の放棄(小田急、京王)の結果ですし、南武、鶴見臨港は国有化だし相鉄は相模線の国有化で東急への経営委託はしたものの旧神中線のみで独立存続してます。

地方でも1県1事業者を模索されましたが、ほぼ実現した富山と福岡は、事業者同士の自主的な統合の結果ですし、富山では県営鉄道や富山市電まで富山地方鉄道へ統合する徹底ぶりでしたが、一方で県内の交通統合の音頭を取った熊本では、熊本電気鉄道と熊延(ゆうえん)鉄道(後の熊本バス)が応じず中途半端になりました。近畿圏でも関西急行鉄道と南海鉄道が統合して近畿日本鉄道が成立した一方、南海傍系の高野山電気鉄道は独立を維持して戦後の南海電気鉄道の分離独立の受け皿となりましたし、力業の統合の阪神急行電鉄と京阪電気鉄道は、やはり旧京阪が分離独立してますが、新京阪線は阪急に残り京都線になるなど混乱しました。コロナ対応がうまくいかないのは憲法は関係ありません。

そして国家総動員体制下で鉄道事業者に求められたのが不要不急線の休廃止と資材の供出でしたが、こちらは国鉄白棚線(白河―磐城棚倉)をはじめ全国の多くの鉄軌道で行われ、軍需品増産や兵員輸送に必要な路線建設に回されたり、金属類は兵器生産に回されたケースもあるようです。という訳で鉄ちゃん的にはこれを連想してしまいますが、基本的に未補償でした。国鉄白棚線は路盤を専用道にして国鉄バス路線として存続しただけマシではありました。戦時BRTですね。

てことでコロナ問題での政府の対応は大いに不満のあるところです。炎上したアベノマスクにしろアベノコラボにしろ、官邸の1人の経産省出身秘書官の発案だそうで、いずれも内閣支持率の低下に焦って提案したものだそうですが、検査を増やすとか衛生用品の増産などの実質的な対策ではなく人気取りに走るところが国民から見透かされている訳です。また1世帯30万円給付も無条件に1人10万円に変更されましたが、これ公明党がが意地を見せた訳じゃなくて支持母体の創価学会からの突き上げで仕方なくって話で、単なる自己保身です。こんな連中が言う不要不急には違和感しかありません。今一番の不要不急は五輪だろ。その一方で感染爆発した欧米は次のフェーズへ進みます。

米欧のコロナ感染、公表値の10倍も 抗体検査で判明  人口6割で「集団免疫」 まだ遠く 精度向上に課題
PCR検査に精度の問題があることは確かですが、とにかく感染の実態を把握するには検査を増やすしかない一方、出口となる集団免疫の獲得進行度を見る意味もあり、遺伝子検査であるPCR検査に留まらず血液を採って抗体の有無を調べる抗体検査へと進み、疫学データを拡充しています。結果はPCR検査の陽性反応で確認された感染者数を大幅に上回る感染率であることが分かった一方、集団免疫獲得と言える60%には全く届かないということで、終息にはまだまだ時間がかかることが明らかになりました。また1度回復して再発症するケースも報告されており、その場合重症化するケースが多いということもあり、免疫の暴走が疑われています。つまり集団免疫獲得が本当に出口になるかどうかもわからないってことですね。

加えて国内感染が終息しつつある中国では帰国者を原因とする感染拡大が見られるなど、今後第2波第3波の感染拡大も警戒する必要があります。しかもそのタイミングが国毎にズレてますから、一旦落ち着いても油断できない状況は続く訳です。1年後に五輪開催できると考えるのはあまりに楽観的です。

最後にちょっと臭い話。鉄道を巡る戦時体制で特筆すべきは戦時下の食糧増産計画でして、人口密集地の東京では住民の糞便が大量に出ることに注目した当局が、郊外の営農地帯への堆肥供給のために鉄道各社に汚わい輸送を要請したものの、乗客の評判を気にして各社尻込みする中で、唯一要請に応じたのが西武鉄道ですが、戦時体制でただでさえ要員が徴用されて人手不足の中、御大堤康次郎の陣頭指揮で大混乱に陥ったという逸話があります。所謂西武鉄道黄金列車伝説です^_^;。

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Sunday, March 08, 2020

グローバルコロナショック

アジア中心だった新型肺炎COVID-19が欧米に飛び火しています。欧州ではイタリアで感染拡大し、徐々に他国へ広がっていますし、アメリカでも感染が拡大し、世界規模の感染症となった感があります。

世界史的には感染症が歴史を変えた事例は多数あり、中世欧州のペスト禍はもちろん、スペインの新大陸植民地化では旧大陸住民には免疫があった天然痘の新大陸住民への感染拡大がもたらしたと言われます。とすると湖北省を除いて感染者の減少が見られ、免疫獲得が推定されるる中国が勝者になるのかなあ?

そんな河北省を除く中国を韓国と共に新たに入国制限を課した日本の対応はズレまくりです。しかも第三国経由は本人の自己申告で制限という意味のない水際作戦で、喜ぶのはネトウヨぐらいのもんです。これも臨時休校要請と共にエビデンスに基づかない官邸の独断だってことで、どこまでアホなんだ。

大変なのは主婦でして、臨時休校の子供とテレワークで在宅勤務になったダンナの世話をしなきゃならなくなって大忙し。専業主婦ならまだしも看護師、介護士、保育士などで出勤が難しくなって病院や介護施設や保育園が人手不足で回らなくなったり、また学校は休みだけど学童保育は実施されていて、しかも放課後限定から全日となり人手が足りないと学校の先生も駆り出される事態になり、こうなると休校とはいえ授業をやらないだけで、しかも特定の教室にすし詰めで濃厚接触を助長するという笑えない事態になっています。

病院での院内感染防止は確かに大きな課題ですが、それを理由に検査体制の拡大に反対するってのはどうかしてます。受付や病室を分けるとか受付時間や診察時間をずらすなどの可能な対応を取った上で、街のクリニックでも検査できるようにするなど可能なことはあります。また介護士の人手不足は高齢者の多い介護現場での感染拡大を助長する恐れがあります。施設に預けた高齢者を引き取って一家で感染とかあり得ます。

テレワークがまた問題でして、今までは掛け声だけで進んでいなかっただけに、急にテレワークが増えてビデオ会議やろうとしたらトラフィックの急増で繋がらないトラブルが多発という笑えない現実があります。何事も準備が大事なのは政府に限らずです。一方、ビデオ会議アプリの米ズームはコロナショックによる株安の中で株価を上げてますし、物事は備えが大事だと改めて気づかされます。そして政府は余計なことはせず必要な資金を予算化するのが最大の役割です。その意味で注目するのがこのニュースです。

公共事業、人手不足で滞る 入札不成立4年連続増へ:日本経済新聞
人手不足で公共事業の執行が滞っていて、現在18年度補正予算の執行に目途がついて19年度本予算上期分の入札が始まったものの入札不調続きで執行が滞る流れですが、つまり予算の計上と執行がほぼ1年ズレている訳です。これつまり予算上の事業年度を執行の実態に合わせてズラせばほぼ1年分の資金が捻出できる訳で、その規模は6兆円超となります。これ全部でなくても、民間検査機関や大学まで動員してPCR検査の拡大の体制を作ることは可能でしょう。ま、地元に公共事業引っ張って有権者にアピールするのが仕事と勘違いしている政治家はやりたくないでしょうけど。

こんな状況で東京五輪が重荷になっていることは度々指摘してきましたが、その五輪にも暗雲が漂います。COVID-19の世界への拡大は当然五輪開催の可否を左右します。既にIOCとWTOのビデオ会議で東京五輪の無観客開催が議論されたそうで、貧テック貪テックで予想したような事態になってきてます。そうなると臨時休校要請やイベント自粛要請までして開催にまい進する日本政府は、非常事態宣言を可能とする新特措法と相まって、国民を押さえつけて戒厳令下の五輪という歴史に汚点を残しそうです。

マーケットも異変が起きています。株価の下落に対しては、日によって戻したりはしてますが、乱高下で下げ基調という荒れた状況ですが、これまで金融当局の緩和期待で起きていた低金利下の株高が変調を来してFRBの緊急利下げにもほとんど反応しませんでした。所謂適温相場が終わった訳で、リーマンショックを上回る経済ショックはいよいよ現実のものになりそうです。

しかもコロナショックでは主に航空や自動車などの下げが主体ですが、裏にもっと重大な問題が潜んでいます。それを示すのがこのニュース。

OPECプラス決裂、背後にサウジ皇太子の指令? 客員編集委員 脇祐三:日本経済新聞
これ当面原油安が続くってことですが、この点がリーマンショックの時と大違いなんですね。

リーマンショックの時はアメリカを起点にショックが波及しましたが、成長途上にあった中国を筆頭とする新興国経済は好調だった訳で、石油需要の先高観から原油価格は一時1バレル140ドルまで上がりました。それが結果的に欧米のエネルギー関連企業の株価を下支えし、米株式の早い回復を実現した訳ですが、今回はその中国経済にブレーキがかかって原油価格も60ドル前後から40ドル近くまで下がった訳ですから、事情が異なります。

中国に限らず例えば中東の産油国でも石油精製や石油化学工業の国内立地が進んでます。つまり工業立地の世界への拡散が進んで新たなフロンティアが見当たらない状況にある訳です。加えて欧州中心に再生可能エネルギーの普及もあって、基礎的な需要の将来的な縮小が見込まれる一方、米シェール革命で供給力は増えているという四面楚歌状況ってことです。謂わば逆オイルショックってことですね。余談ですが150万バレルの減産目標の内50万バレルをロシアに割り当てると独断で決めてロシアの怒りを買ったサウジ皇太子ですが、どっかの国の愚鈍なリーダーと似ています。

そしてグローバリゼーションと共に世界に拡散した新自由主義ですが、その流れに逆行するような動きが日本で起きました。

北神急行線と市営地下鉄との一体的運行(市営化)について:神戸市交通局
北神急行電鉄の経営不振は以前にも取り上げましたが、2008年時点では高運賃対策として上下分離して神戸高速鉄道を第三種事業者として北神は第二種事業者となって資産圧縮を図り、神戸高速が当時三セクだったこともあって固定資産全減免対象だったので、線路使用料負担を軽くした上で、神戸市と兵庫県の補助金で運賃を430円から350円に下げた訳ですが、それでも三宮へは市営地下鉄との運賃合算となり550円となる訳で、割高であることに変わりはありませんでした。

更に状況は変わり第三種事業者の神戸高速鉄道の神戸市の持ち分が圧縮され阪急阪神HDに譲渡されて関連会社となったことで上下分離の意義が薄れたこともあり、北神は阪急阪神HDのお荷物であり続けました。そこへ神戸市が2018年に北神の運賃低廉化の検討について協議を開始し、翌19年に資産譲渡の申し入れを行い、阪急阪神HDも三宮地区の活性化に資するとして応じたものです。しかも北神の認可運賃を捨てて神戸市営地下鉄と一体の運賃制度とすることで、三宮まで280円とほぼ半減の水準まで下げます。

加えてバス乗り継ぎの定期券割引制度を拡充し、谷上駅―神戸北町間に市バス路線を新設するということですから、従来新神戸トンネル経由で運行されていた三宮駅―神戸北町間の路線の見直しということですね。ドライバー不足で都市部でも減便を余儀なくされる路線バスの合理化も併せて行うということのようです。

三セクですらない純民間事業者の北神急行電鉄を市営地下鉄と一体化するという珍しい動きですが、一方で大ゴケの海岸線を抱える神戸市としては苦しいところでしょうけど、震災を機に国際港湾としての評価を失った神戸市としては中心部の活性化は待ったなしの課題なんでしょう。カジノ誘致で迷走する横浜市より遥かに誠実です。

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Sunday, January 12, 2020

赤恥のアホかい

飛び恥逃げ恥の後は赤恥でした。ゴーン氏がプレゼンテーション能力を見せつけた会見で日本の人質司法を非難して世界に拡散した一方、森法相が異例の早朝会見で反論したものの、「ゴーン氏は日本の法廷で潔白を証明すべき」とした発言に外国人記者が「日本の司法制度は推定無罪が無いのか」と突っ込まれて炎上しました。

日本の人質司法問題はかねてより弁護士会が問題視してましたし、国連からも指摘されてましたが、日本の司法制度の正当性を言い立てるばかりの会見の異常さは、寧ろ日本はやはりおかしいと見られてしまいます。被告に潔白の証明は必要なく、検察に挙証責任があるのは刑事司法の常識です。弁護士資格のある現役の法相が知らないとすれば恥ずかしいし、知っていて意図的に世論誘導を意図したとすれば悪質です。しかも突っ込まれて炎上って恥の上塗り。閣僚がこれで日本大丈夫か?

米イラン対立はイランの報復がありましたが、事前通告の上人のいないところを狙ったもので、イランもアメリカとの全面対決は望まないし、人的被害がなかったとしてトランプ大統領も予告していた反撃を自重しました。国家間の軍事衝突のコストが高くなった結果、双方寸止めはとりあえず安堵ですが、イラン革命防衛隊によるウクライナ機の撃墜という不幸な出来事が起こりました。当初アメリカが指摘しイランは否定していたものの、一転認めて謝罪という異例の展開ですが、対立構図だけは残ります。

思えば冷戦時代にはソビエトによる大韓航空機撃墜とかありましたし、最近でもマレーシア航空機のロシア軍の誤射と見られる撃墜とか、トルコ軍によるロシア軍機撃墜などがありますが、軍事的対立の結果起きた訳で、こういったトバッチリは今後も起こり得ます。アラブに派遣される自衛隊艦船大丈夫か?内緒ですが、日米安保条約第5条の定めるところにより、日本の施政権下にあるエリアへの攻撃以外では米軍の防衛義務はありませんから、米軍は助けてくれません。

話題を戻しますが、ゴーン氏問題に関連してこのニュース。

IRインフラで企業側に助言 秋元議員、収賄容疑再逮捕へ:日本経済新聞
愛ある成長戦略で取り上げた秋元元国交副大臣が現在進行形で日本の人質司法にはまってます。特捜の狙いはわかりませんが、とりあえず微罪で身柄を確保し勾留期限が来たら別件で再逮捕と容疑を細切れ小出しにして、結果的に先進国ではありえない長期勾留になります。

罪を否認したり黙秘したりすれば延々と勾留が続き、保釈請求も認めないという姿勢ですが、これ被告に認められた法的権利なんですがお構いなし。検察が考えるストーリーに沿った自白を強要されます。それでも認めないと証拠の捏造までしてしまうことが、2009年の障碍者郵便制度悪用事件で逮捕された厚労省局長の村木厚子氏の冤罪事件で明らかになりました。奇しくも弁護士はゴーン氏と同じ弘中惇一郎弁護士でした。

もう一つゴーン氏の事件で特筆すべきは日本版司法取引の適用2例目という点です。1例目は三菱日立パワーシステムズ(MHPS)のタイ火力発電事業を巡る幹部3人の外国公務員贈賄事件で、法人としてのMHPSが告発し3人は在宅起訴で有罪になる一方、MHPSは起訴猶予となったものですが、会社のために働いた幹部社員を刺したという意味で腑に落ちない事件です。また司法取引導入の本来の目的である企業犯罪や組織犯罪で末端の行為者の罪を軽減することで証言を得て組織罰に迫ることが想定されていた筈なのに、逆に企業を守るために適用されたという意味で、法の趣旨に反します。

ゴーン氏の事件では日本での公判が事実上不可能になったことから、捜査段階での司法取引の実態は不明なままですが、MHPSの事例から類推すると、ゴーン氏に罪を被せる構図はあり得ます。特にルノーとの経営統合に拒否感を示していた日産幹部からすれば、フランス政府の圧力でマーチの欧州版マイクラの製造をインドで行う予定をフランス政府の圧力でフランス国内のルノーの工場に変更されたことがありました。

加えて長期保有株主の議決権を2倍にするフロランジェ法を成立させて、フランス政府のルノーの議決権を15%から30%に倍増させたこともあり、ルノーCEO兼務となったゴーン氏はフランス政府とのやり取りに忙殺されていた訳ですが、ある時点でルノーと日産の経営統合を口にするようになり、裏切られたと感じた日産幹部によるクーデターの可能性は排除できません。

しかし実際にはゴーン氏はフランス政府の日産への直接関与を阻止し、日産によるルノー株を通告なしで15%から25%に買い増すことを認めさせるなど、日産を守ろうとしていたように見えます。しかも日産保有のルノー株式も一部フロランジェ法が適用されますから、実質22%相当の議決権を保有していて、僅か3%の調達でルノーの日産に対する議決権を消せる訳です。ある意味日産を守った恩人なのですが。同時に周辺をイエスマンで固めて強引に事を進める姿勢もあって、その恐怖心からゴーン氏パージに動いた可能性はあります。

しかし冷静に考えれば新たに選任された3トップの内2人はルノー人脈でゴーン氏と無縁。残る生え抜きエースの関氏は日本電産にスカウトされて日産を去ることになりました。人事面では寧ろルノー支配が強まっていて、しかもフランス政府に楯突いたゴーン氏はいないって、フランス政府の思惑通りの展開です。ただしこのゴタゴタで業績は下がる一方。3社連合のシナジーどころか主導権争いで消耗するのは目に見えてます。クーデター説が正しいとすれば、目先しか見えてない日産幹部のガバナンス能力の絶望的な欠如ですね。

一方日本が誇るトヨタですが、CASEの時代で明らかに出遅れています。ハイブリッド車の成功の一方、関連特許をガチガチに固めたために外国勢を含めハイブリッド車にそっぽを向かれ、仲間づくりに失敗します。一方日産は量産EVのリーフを出して電動化で先んじており、自動運転技術でも過去からの研究の蓄積があって他社に先行してます。加えて米ウェイモとの提携も発表しており、CASEのS(シェア)以外で先行している状況です。

この構図はかつてブルーバードとコロナのBC戦争やサニーとカローラのSC戦争と同じ構図なんですね。技術的に日産が先行し資金力のあるトヨタが後追いする形で日本のモータリゼーションが活性化されたのですが、日産が元気を失えばトヨタは海外勢との競争になりますが、実はトヨタ車が売れている地域は日本と北米に限定されていて、欧州では劣勢ですし、アジアでもシェアを伸ばしているとはいえ、価格帯が高く普及は限られているという中で苦戦を強いられています。そしてトヨタの迷いを示すこのニュース。

トヨタ、街づくり実験を静岡で:日本経済新聞
いかに資金力のあるトヨタとはいえ、100年に1度と言われる自動車の変革期の技術革新を自前で展開するのは大変なことですが、ハイブリッド車の失敗が示すように仲間づくりの下手な企業体質でもありますし、トヨタと釣り合う戦略パートナーは得難い現実もあり、トヨタ自身で結果を出すしかない訳です。しかしそのコストは膨大でマネタイズに自信が持てない。一方閉鎖した裾野市の工場跡地の有効利用にもなり研究開発減税の恩恵もある訳で、この辺のトヨタの抜け目なさは健在です。

そして実物を作って不具合を徹底的にダメ出しして、お得意のカイゼンプロセスで収益化の展望を得ようってことですから、トヨタとしては大きな賭けでもありますし、過去の成功体験から離れられない面もあるという訳です。何かに似ている気がしますが、JR東海の中央リニアが単体での収益性に疑問がある中で、実物がないと本命のアメリカへの売り込みが出来ないと巨額投資に走る構図と似ています。どちらも名古屋の会社ですが、メンタリティが似てるのかな。

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Monday, December 30, 2019

フリュグスカム

2019年を表すキーワードはやっぱ飛び恥でしょう。世界的には英語のフライトシェイム(flight shame)ですが、ムーブメントの起点となったスウェーデン語のフリュグスカム(Flygskam)で記します。実際この言葉がSNSを通じて世界に拡散しており、知っておいて損はありません。

たった1人のストライキで注目を集めたグレタ・トゥンベリさんの飛行機移動批判が始まりらしいんですが、ちょっと疑問に思ってます。というのもスウェーデン国民の環境意識の高さという背景が見えにくくなるからです。実際複数の著名人が言及し、グレタさんを含む共同署名記事で飛行機ボイコットを呼び掛け、Flygskemと名付けたのが始まりですが、元々機運があったからこその署名記事であり、また実際広く受け入れられ、1-3月のスウェーデン国内の航空利用が15%減った一方、鉄道利用は12%増となり、スカンジナビア航空(SAS)の幹部が不快感を表明するほどになっています。

影響はスウェーデン国内に留まらず、また観光旅行に留まらずビジネス利用でも広がっていて、飛行機ならば日帰り可能なフランクフルトなどへの出張でも24時間かけて鉄道移動が選択されるという状況にまでなっています。勿論欧州では国際夜行列車が未だに健在で選択肢が存在していたゆえに可能なことであり、サンライズを除いて定期夜行列車が淘汰された日本ではこうはいきませんが。

またKLMオランダ航空ではアムステルダム―ブリュッセル便1便をTGVタリスと提携して列車に振り替えており、更に振替を進めるとしており、エールフランスも同様に一部便をタリス振替している状況です。これから始まるBrexitで触れた列車による航空便コードシェアは既に実現している訳です。

欧州の国際夜行列車というと、オリエントエクスプレスのような豪華寝台列車を連想しますが、昨今は2等扱いのクシェット(簡易寝台)や座席車も併結し、座席車は貧乏旅行のバッグパッカー御用達で、日本の夜行高速バスのような役割も担っています。歴史過程の違いもあるので一概には言えませんが、日本ではブルートレインの相次ぐ廃止があり、まさかの北斗星とカシオペアまで廃止された訳ですが、開放寝台主体だった日本では個室化と共に料金も高くなり、また定員減で鉄道の強みである大量輸送の機能もスポイルしている訳で、客単価アップを狙った戦略ミスの可能性は指摘できます。

日本では4時間の壁が言われ、鉄道対航空の構図で語られることが多いですが、正直なところ航空各社はさほど意識しておらず、鉄道側の自意識過剰じゃないかと見ております。実際東海道新幹線が大量輸送の威力を示す東京―大阪間でも毎日片道60便以上の航空便が定期運航されてます。正規運賃は割高ですが、web予約を通じたダイナミックプライシングで搭乗率を高めて高収益をあげてます。寧ろ国内線へのビジネスクラス導入や快適な空港ラウンジ整備などで差別化しており、固定客を掴んでいます。

こういう現実を見ると、JR東海の中央リニアエクスプレスは対航空の切り札にならないでしょう。そもそも名古屋開業時点では航空側に影響ないですし、大阪まで開業しても、総額9,1兆円超の事業費の償還をしながら、現行新幹線の3倍の電力消費を負担する訳ですから、航空側から見ればわざわざコスト負担を増やしている訳ですから、価格競争を仕掛けられる心配がなくなる訳で、差別化に磨きをかけることで対応すると見られます。

これ北陸新幹線開業まで航空の独壇場だった東京対北陸の航空輸送でも見られますが、ANAの富山便こそ1便減便されましたが、福井からもアクセスのあるJALの小松便は機材の小型化で便数は維持しています。寧ろ機材の小型化は燃費の向上と搭乗率の改善もあって、売り上げは減ったけど収益性は高まっており、元々航空利用が定着していたこともあり、固定客を繋ぎ止めています。あと新幹線のない山陰は航空のドル箱で、運賃も高めに設定されています。ライバルのサンライズ出雲の輸送力と料金水準によるある種殿様商売です。

そういう意味では航空各社にとっては整備新幹線やリニアよりも、飛び恥が怖い筈。ムーブメントが日本に波及すれば、バスのドライバー不足問題もありますし、インバウンド需要によるホテル不足で宿泊料金高騰もあり、夜行列車復権の目もあり得ます。寧ろ新幹線に留まらず、効率性を追求するあまり、サービスの選択肢を狭めている感も否めず、そうなるとコスト優先で儲からないサービスはどんどん切られて鉄道の魅力を削いでいる可能性もあります。飛び恥を波及させるためには、相応の魅力ある選択肢を鉄道が示せるかどうかにかかっています。

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Saturday, December 14, 2019

これから始まるBrexit

米中雪解けと英総選挙での保守党単独過半数を好感して世界的に株価が上昇してます。これ冷静に見ればアメリカが勝手にいちゃもんつけて喧嘩売っといて「今のなし」って話ですから、単なる材料にされてるだけです。そんな中で中国でのiPhone販売不振のアップルと737MAXの安全問題で中国の緊急輸入の恩恵を受けられないボーイングは蚊帳の外。香港人権法の大統領署名で揉めるんじゃないかと言われましたが、実際は運用次第であって、抜かずの伝家の宝刀の意味です。中国も面子上内政干渉を言い立てますが、通商交渉で実を取るのは既定路線。つまり株高はご祝儀相場以上の意味はありません。

一方のBrexitはこれからが本番。EUの譲歩を引き出したジョンソン首相の思惑通りの展開ですが、関連法を成立させなければ1月末の強硬離脱の可能性は残っています。加えで北アイルランドの扱いは今後の対EU通商交渉と4年毎の北アイルランド住民の意思確認に委ねられますから、具体策はこれから決めるって話です。この辺資本主義と民主主義エントリーで指摘しましたが、メイ前首相が火だるまになりながら取りまとめたEU離脱案を下敷きにしながらの課題解決という、ある意味歩きながら考える英国流の民主主義が機能した結果です。

こうなることは予想してましたが、最大の理由は英国の政府や議会が本気で課題解決に取り組んだ一方、EU側は英国への厳しい態度を示す一方、Brexit撤回を期待するなど、英国民から見れば責任逃れにしか見えない態度に終始しました。だからとにかく前へ進もうというジョンソン首相の呼びかけが効いた訳です。ここまでの混乱で英国民も経済的には厳しい状況を理解していると思いますが、ある意味EUに愛想をつかした訳です。

こうなると英EU通商交渉も英国が強気に出られる一方、強硬派の仏マクロン大統領に対してドイツは醒めてるし、イタリアその他多くの国で反EUの世論が抑えきれない現状では、EUがまともに対応できるとも思えません。EU各国にはギリシャ危機のときの生々しい記憶もあり、まとまりを欠いたまま交渉に臨む訳ですから、かなり高い確率で英国に押し込まれると見ます。

一方スコットランドの独立問題などで英国が連合王国の現体制を維持できずに解体されるんじゃないかという人がいますが、元々英国は国内バラバラで、スコットランドは昔からイングランドへの対抗心が強いし、イングランドでもロンドンの金融街シティはエリザベス女王も許可を得なければ入れないという独立性の強いエリアで、丁度中国と香港の関係のような断絶があり、イングランドのはずれの田舎では、ロンドンは嫌悪や蔑みの対象ですらあります。

仮にスコットランドが独立してEUに加盟するとすれば、スコットランドとイングランドとの間に国境線を引く必要があるため、結局これアイルランドと北アイルランドの関係をブリテン島に持ち込むだけで、混乱に輪をかけるだけですね。実現可能性はほぼ皆無でしょう。様々な矛盾を抱えながら前へ進む英国流民主主義は強固です。

それより深刻なのは日本です。例えばこのニュース。

増税後の景気見通せず 10~12月は下げ公算:日本経済新聞
統計の胡麻化しなんかするから、今景気が良いのか悪いのか判断できなくなってます。実態は相当悪いんですが、昨年秋ごろにはピークアウトしていたと見れば、統計を化粧してよく見せていたけど、誤魔化し切れなくなったってのが現実です。特に貿易統計で顕著に表れてますが、ここのところ輸出が減少してますが、それ以上に輸入が減って結果の貿易黒字を計上してますが、輸入の減少は内需の弱さの証拠で誤魔化しようがありません。これ消費増税の前後とも変わらぬトレンドです。貿本主義も民主主義もダメなニッポン-_-;。更にダメダメなこのニュース。
与党税制改正大綱の要旨:日本経済新聞
ベンチャーを騙る反社会的勢力が企業を食い物にする税制、展望なき5G投資、そもそもこれらが何故デフレ脱却になるのか?OECDでデジタル課税が話し合われている現状で、どこ向いてんだか。ま、標的とされるグローバル企業に日本企業が入っていないから他人事なんでしょう。私的年金やNISAの見直しも結構なんだけど、これ結局公的年金への国民の不安の解消とセットでなければ意味がない。納税手続きの電子化ってマイナンバーカードの強制を含む普及促進ですが、セキュリティへの不安解消が前提です。ま、細部はいろいろありますが、これで経済成長できる根拠がわかりません。

加えて言えば、水害に見舞われた今年、温暖化の影響は明らかなのに、炭素税の導入などは議論されず、欧米との意識のギャップは救いがたいところ。3度目の化石賞と相成りました。これ繰り返しになりますが、原発と石炭火力を前提とした大規模電源主義を見直せない以上仕方ないところです。グレタ・トゥンベリさんに叱ってもらいましょう^_^;。

そのグレタさんが流行らせた「飛び恥」。これうまく使えば鉄道復権につながるんだけど。例えばJR北海道問題ですが、丘珠発着便を廃止して鉄道輸送に切り替えるのに使えそうです。JR北海道の都市間列車を北海道エアシステム(HAC)のコードシェア便として運行するといった方法を何故北海道は考えないのか?あるいは都市間バスの運行事業者とコードシェアするとかですが、そのための環境整備として道と関連自治体が出資して線路保有機関を設置するとかですね。

JR北海道には鉄道施設を現物出資させてオフバランス化して経営の負担を軽減する一方、低金利でほとんど機能しない経営安定基金は線路保有機関への国(鉄道・運輸機構)の出資分として保守と設備更新と投資の基金にするといったことですが、鈴木道知事は利用促進以外での自治体負担を求めないとしてiいます。やっぱりJR北海道潰して経営安定基金を長崎新幹線に回すつもり?英国流オープンアクセスを試すなら北海道なんですがね。

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Sunday, November 17, 2019

空飛ぶ都営交通

つーてもドローンじゃなくてこっちね。

日本最古のモノレール休止、11月から 上野動物園:日本経済新聞
上野と言えば桜の名所として有名ですが、今なんだか桜を見る会を巡って政治スキャンダルになってますね。舞台は新宿御苑ですが、公私混同極まれりですね。安倍政権のサクラを釣る会よろしく不都合な事実が明るみに出て、また下手な言い訳するからドツボにはまりつつあります。これモリカケとかと違ってわかりやすいし、何より食い物の恨みでバスティーユ襲撃からフランス革命がおっ始まったように、国民の怒りを買ってますね。いよいよ安倍政権もおしまいかな。

おっと本題^_^;。1957開業の上野公園モノレールですが、戦後のモータリゼーションで自動車が増えて渋滞が日常化し、路面交通の都電や都バスを運行する都交通局がその対策として、当時世界で唯一営業運行されていた西ドイツ、ブッパータール市の懸垂電車に注目したのが始まりです。ブッパータールの懸垂電車はランゲン式と称する懸垂式モノレールで、ブッパー川に沿う狭隘な市街地の都市交通として川の上空に建設されたものです。

鉄製トラス桁の上面にレールを固定し、両フランジの鉄車輪で支持、駆動、案内するシステムで、片側側面からアームを出して車体を吊る左右非対称の珍しい構造です。アームは台車にピンで固定され曲線通過時に自然に傾斜して遠心力を吸収する振り子構造になっており、スムーズな曲線走行が可能などの利点があります。

一方片持ち式の懸垂システムですから、走行桁の支柱はアームの反対側にしか作れないため、複線で中央に支柱を置いて左右に走行桁を配する形になり、折り返しはループが必要ですし、分岐は桁を平行移動させる大掛かりなものになりますから、複雑な路線ネットワークの構築には向かないですが、戦後地下鉄建設が交通営団によって再開され、いずれ地下鉄網が出来るとしても、地下鉄が必要なほどの需要が見込めないところを補完する輸送システムとして都は考えていました。今なら舎人ライナーのようなAGTの役割ですね。

都は都電の製造で縁があった日本車両製造と共同開発で、ランゲン式をベースに軌道桁を箱型鋼材とし、騒音対策で上面走行輪をゴムタイヤにして桁を挟み込む水平の案内輪で案内するシステムを開発しました。一方上野動物園の拡張が決まり中央通りから不忍通りへ抜ける都電の新設軌道を越えたところに西園を作ることになり、東縁と西園を結ぶ公共交通機関として実現されたものです。僅か300mの短距離で車体は小ぶりですが、走り装置は本格的で力の入ったものでした。

東京都がここまで本気になった理由は都交通局が置かれていた状況からみると理解できます。1938年施行の陸上交通事業統制法で東京市と周辺地域が指定地域となり、大まかには旧東京市域の路面交通は東京市、地下鉄は別途設立の帝都高速度交通営団、郊外は常磐線、東北線、中央線を境とする4ブロックに分けて統合するという方針が示されました。その結果東京地下鉄道と東京高速鉄道の2社は地下鉄を営団に現物出資する一方、東京地下鉄道傘下の円太郎バスと城東電気軌道は東京市へ譲渡されて、円太郎バスは市営の青バスと統合され、城東電軌は市電のネットワークに組み込まれます。

同法で東京横浜電鉄は既に傘下に収めていた京浜電気鉄道と小田急電鉄を統合して東京急行電鉄とし、遅れて京王電気鉄道を統合して所謂大東急を形成しますが、戦後トップの五島慶太が公職追放されると、被統合各社から分離独立の機運が生まれ、京王帝都電鉄、小田急電鉄、京浜急行電鉄が分離独立を果たします。

一方東京の地下鉄は営団による独占が維持されます。営団は財政投融資資金の受け皿として潤沢な資金を得て、丸ノ内線に始まる戦後の地下鉄建設を担いますが、大東急分離に見られるように、陸上交通事業統制法を戦時立法として見直すべきという機運が生まれ、私鉄各社は都心直通線の免許申請を一斉に行います。

東武鉄道:北千住―新橋
京成電鉄:押上―有楽町(後に八重洲通へ変更)
京王帝都電鉄:新宿―両国、神楽坂―京成上野、新宿―富士見ヶ丘
小田急電鉄:南新宿(後に参宮橋に変更)―東京
東京急行電鉄:中目黒―東京、目黒―広尾、渋谷―新宿
京浜急行電鉄:品川―八重洲通
他方東京都は独自に都市高速鉄道5路線を都市計画決定し、都交通局の地下鉄参入の要望を出します。
1号線:西馬込/品川―押上
2号線:祐天寺―北千住
3号線:大橋―浅草
4号線:富士見町―向原
5号線:中野―東陽町、下板橋―神田橋
事態を収拾するために当時の運輸省は有識者を集めて都市交通審議会を立ち上げ、その1号答申が1956年に出されます。その中で都の都市計画を追認する一方、地下鉄と郊外電鉄との相互直通を示唆し、1号線は京成、京急と、2号線は東急、東武との相互直通が想定されました。また地下鉄の事業主体として営団以外の参入を認め、1号線を東京都、2,4号線を営団という当面の分担を示唆します。

加えて2号線の東急との接点を中目黒に変更し、実質銀座線の延伸となる渋谷以西の3号線は東急が渋谷―二子玉川園間に銀座線規格の新線を建設し相互直通するとされました。また1号線の泉岳寺―品川間は都に対して京急が自前整備を希望し押し切りました。地下鉄建設は大きな資金と時間を要するため、営団単独では整備が進まないことから導き出された解ですが、東京の地下鉄の骨格が決まった訳です。

懸案の地下鉄参入が認められた東京都ですが、本当は大東急解体に倣って戦時体制見直しで営団を解体して東京都が引き継ぐことを想定していたのですが、そうはなりませんでした。これ戦前やはり東京市が都市計画に基づいて地下鉄整備を打ち出し、免許取得までしながら関東大震災の復興などで財政難から断念し、民間の東京高速鉄道(東横電鉄系とは別法人で後に小田原急行鉄道に化ける会社)へ免許譲渡してしまう一方、純民間資金で東京地下鉄道が開業したことで、東京市→東京都に対する不信感を当時の運輸省は持っていたと見られます。

さてそうなると、地下鉄建設のための自前資金を捻出しなければなりませんから、メーカーと共同で開発したモノレールの整備は後回しにせざるを得ませんし、それに留まらず保有資産の売却も余儀なくされます。その結果車庫や変電所などの固定施設を多数保有する都電を廃止してバスに代替するのが最も手っ取り早い訳です。つまり都営地下鉄の参入が決まったことで、都電の廃止は避けられなくなったってことです。

加えて上野公園モノレールは折角のシステム開発が活かされず取り残されます。そして設備の老朽化で車両を含む更新を繰り返しながら生き延びますが、運休機関の東園と西園の往来の便宜のために、モノレールに沿って恒久施設としての歩道橋が整備され、実質的な存在意義を失いますが、手軽な園内アトラクションとしての人気に支えられ、更新を重ね車両も4代目になりましたが、老朽化で突発的な運休もあり、日本車両製造に更新費用の見積りを依頼したところ、18億円となり、とても無理ってことで、休止が決まりました。量産に至らなかった究極の一点もので補充部品も特注じゃ維持は困難です。

尚、東京の地下鉄整備の歴史過程の影響で未だにメトロと都営の並立は続いている訳ですが、例えば美濃部都政時代にも都営による地下鉄一元化論が言われ、その時期の整備された都営新宿線と半蔵門線の九段下のバカの壁問題には工事を請け負った東京都の先走りの意図が見えます。

時代は下ってTBSによる地下鉄一元化報道東京メトロの上場を巡る都と国の駆け引きにも尾を引きます。ユーザー視点で言えば欧州で一般的な運輸連合方式による運賃共通化が出来れば良いんで、いい加減この枠組みから脱却してほしいところです。ちなみにやはり2事業体に分かれていた韓国ソウルの地下鉄では運賃統合を実現しています。東京はソウル以下ですね。

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