バス

Sunday, April 07, 2019

鏡の国のアベノミクス

不思議の国の続編はやっぱ鏡の国でしょ。ってことで、あれこれ始めます。

塚田前国交副大臣の発言「でも私は忖度」→「おわびする」  :日本経済新聞
渦中の副大臣が忖度したかどうかは些末なことでして、11年前、福田政権時代に費用対効果が不十分として却下された下関北九州道路の事業が国の直轄事業として調査費が計上されたことの不透明さが本質です。現状R2関門国道トンネルと高速道の関門橋の2ルートがありますが、老朽化で国道トンネルは10年に1度の大修繕による通行止めが毎年行われるようになっていて、国土強靭化による災害対策のための二重化という議論があるのですが、そのために2,000億円をかけることが妥当かどうか冷静な判断が必要です。

ルートの二重化はメンテナンスの負担増を意味します。相応の経済効果があるならば良いのですが、関門橋の通行量も予定の半分の水準で、国道トンネルの通行止めの影響を吸収可能な現状からすれば、大した経済効果は見込めません。そうなるとメンテナンス費用のかかる国道トンネルの閉鎖も視野に入り、唐戸水産市場のある下関市東部の経済的な地盤沈下をもたらす可能性もあります。それでもやるのかってあたりの議論がきちんとされてるようには見えないんですよね。

この手の話は日本中にありまして、東日本大震災の津波被害を受けた地域でも、大規模防潮堤建設の是非が議論になった結果、人の住んでないところばかり工事が進んでしまい、いったい誰を守る防潮堤なのかって現状があります。福島第一原発事故関連でもいい加減な除染作業で復興予算が食いつぶされたり、がれき処理を広域処理と称して持ち出した結果、焼却工場を木質バイオマス発電につなげようという地元の構想が頓挫したりとか、土建屋ベースで物事が進む現状がそこかしこにあります。

国土強靭化の名の下に経済効果が十分検討されない公共事業がそこら中で復活したり新たに立ち上がったりしてますが、そのための予算が赤字国債発行を前提にしているわけで、アベノミクスの第2の矢として機動的な財政出動が謳われてもおりますが、経済効果のない公共事業をやる余裕が日本の政府財政にはありません。90年代の財政出動で赤字を累積していて政府予算の最大費目が国債費でその半分は借換債ですから、過去の赤字の清算ができていないのに赤字を重ねる訳ですね。しかも既にケインズの言う乗数効果も1倍即ち有効需要を生まない水準なのは政府も認めています。

加えてここへ来て深刻な人手不足で折角予算が付いた公共工事も人が集まらず未執行となり財政出動不発となる現状があり、2020年の東京オリパラ関連で人手が取られて震災復興も遅れている状況です。五輪関連は元々旧国立競技場の改修をはじめ既存施設を活用し半径8㎞以内で実施という計画だったものが、招致が決まった途端に新競技施設の建設が次々に決まり、加えて築地市場の豊洲移転と環状2号線の整備が強行されました。これも都知事選で争点化した後に迷走し、結局環状2号線は仮設状態でつながったものの、晴海の選手村からの移動がネックになるのは確実です。ここを京成バスが受託した環2BRTが走るらしいですが、混乱は確実です。加えて五輪後の地下鉄計画も。

銀座から臨海部へ都が地下鉄、羽田直結目指す : 国内 : 読売新聞オンライン
これTBSのメトロ都営統合報道を思い出させる観測気球ですね。実態はこれから検討という段階ですが、一方で豊洲移転の遅れで政治路線化したマジ卍な豊住線はメトロが作るのが望ましいとしていますが、1日13万人の利用を見込む豊住線よりこの臨海部地下鉄を都としては優先するってことです。5㎞で1日5万人ってザックリ言って東急世田谷線レベルの輸送規模ですが、それに2,500億円、キロ500億円の事業費を見込むってのは採算性は関係ないって頭おかしいレベルです。

この臨海部地下鉄構想ですが、言い出しっぺは中央区で、当初環2LRTが五輪輸送を睨んだ暫定BRTとして上記のように京成バスの受託に至ったんですが、一方で2020年五輪招致が決まったところで地下鉄構想を唐突に主張し、交通政策審議会の2016年答申に滑り込ませた経緯があります。明らかに五輪絡みの利権漁りの気配があります。

直通運転が示唆されるつくばエクスプレスについては、沿線開発が急過ぎて混雑緩和対策に追われた結果、懸案の東京駅延伸の事業費1,000億円をねん出できない状況ですが、更に銀座まで伸ばすとすれば同じぐらいの事業費が上乗せされますから、ほぼ不可能でしょう。羽田直通はJR東日本によるりんかい線引き受け問題との絡みで、可能性はあると言えばありますが、地下駅の国際展示場駅をジャンクションに改造するのは相当な事業費の上振れの覚悟が要りますので、やはり実現可能性は薄いでしょう。しかも都営地下鉄として整備とは言っていません。つくばエクスプレスかJR東日本に丸投げのつもりでしょう。

政治家にとっては公共事業による利益誘導はわかりやすい有権者へのアピールになるんでしょうけど、それに留まらず土建屋の集票能力への依存の意味なんでしょう。採算性が問われる鉄道事業でさえ採算度外視の計画が動いてしまう危うさは要注意ですが、別の面から言えば、それだけ土建業会は労働集約産業としての性格が強いってことでもあります。そこで気づいたんですが、公共事業の乗数効果の低下はこれが原因じゃないかと思い当たります。

つまり公共事業に依存しなければ存続が難しいゾンビ的な土建業に栄養を与え続ければ、そこへ雇用が張り付いて国全体の生産性を下げてしまうという点です。日本の低生産性は公共事業依存の結果なのかも。しかも人口減少で人手不足は若年労働力の確保が難しくなりますから、外国人を入れないと回らないってことで、入管法改正を急いだわけですね。加えてこのニュース。

ジャパンディスプレイ株が急伸 台中勢傘下で再建進展の期待  :日本経済新聞
政府系ファンドによる国内企業の救済策は死屍累々で外資に売り渡した途端に株価が上がるって、これ公的資金でゾンビ企業を延命させている結果と見れば、公共事業と同じように日本の生産性を低下させる元凶と言えるでしょう。結局ゾンビ退治ができないから生産性が下がって成長できないけれど、それがバレると選挙で勝てないから統計弄って誤魔化すことになります。その結果アベノミクスは迷走しっぱなし。鏡の国の迷宮に迷い込んだアリスの如しです。

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Sunday, March 24, 2019

ブレブレBrexit

 


前エントリーからまたブレてるBrexitの話題を続けます。

 



 


とりあえず今月29日の離脱期限を4月12日まで延期するから、その間に英議会で離脱合意案を可決させれば更に期限を5月12日まで延期し、翌23日から始まるEU議会選挙にイギリスが参加するなら、期限を無期限延期するという条件が示されました。とりあえず条件付きで短期の離脱延期を認めた形です。


しかしイギリスは離脱を前提に負担金の発生するEU議会選不参加を表明しております。つまりEU案を受け入れれば、結局事実上離脱は棚上げになってしまう訳で、英議会の賛成議決が得られる筈もありません。事実上限りなく残留に近い延期か強制離脱化の二択となる訳で、これ議会のみならずすでに悪化しているイギリス国民の対EU感情の悪化も招きます。仮に国民投票のやり直しをしても離脱が選ばれる可能性が高いという訳です。これ強制離脱が現実味を帯びてきたってことです。


この辺の条件設定はおそらくEU官僚の手になるものでしょうけど、主権ねた共同体のEUの性格が出ています。以前にも指摘しましたが、EUは主権国家の上位組織としての官僚機構という意味で、中国共産党と同じ性格があります。違うのは中国共産党は中華人民共和国という単一国家の上部機構なのに対し、EUは複数の主権国家により構成されている点です。故に憲法に当たる基本条約と修正条約としてのリスボン条約を加盟各国が批准することで法的地位を得ている点で、人民解放軍をはじめ強制力を持った実力部隊を動かせる中国共産党に対し、あくまでもEUの強制力は加盟各国に属するってことです。ただ国民から遠い存在という点では同じです。


だからこのようなイギリスの国民感情を逆なでするようなアイデアが出てきてしまう訳で、これでイギリス国民が強制離脱止む無しと考えるようになれば、結果的に火に油を注いだ形になります。ただし強制離脱となっても宗教対立解消のために締結されたベルファスト協定がある限り北アイルランドとアイルランドの間に国境を作る訳にもいかず問題は解決しません。


冷静に考えれば強制離脱といっても当面船便を止めたり積み荷を港で留め置いて引き渡しを止めるぐらいしかできることがないわけで、いずれEU加盟国の足並みが乱れてグダグダになるんじゃないかと予想しております。この辺複数の主権国家で構成されるEUの弱点ですが、EUの統制がガタガタになったときの加盟各国の反応は一枚岩には程遠いものにはなるでしょう。ロールスロイスとミニと一部エンジン工場を抱え英独でバリューチェーンを持つBMWでは当面の策として在庫積み増しを図っておりますが、後は様子見しかないということで悩みは尽きません。


そして日本ですが、ホンダの工場撤退に留まらず、トヨタや日産もイギリスでの生産見直しを表明していてやはりイギリス国民から日本は冷たいと言われている状況です。おそらく日米FTAの輸出数量制限がかけられると考えられますから、アメリカ国内での生産を強化する方向へ動かざるを得ないから、ルノーとのアライアンスがある日産はともかく、トヨタとホンダは欧州から遠ざかると考えられます。その割に今年からラ1参戦に復帰したホンダの行動はチグハグですが、今後EVシフトが進むと考えられる欧州でアピールするなら日産のようにフォーミュラE参戦愛のかな?時代の変化に疎い日本企業ホントにヤバいぞ。


例えば上述のBMWは自動運転でライバルのベンツと協力するという驚くべきニュースもありますが、目先の不透明感と裏腹に確実に長期戦略を進める欧州企業のしたたかさは見倣うべきでしょう。具体的にはメルセデスベンツ・アメリカがカリフォルニア州サンディエゴで始めたCar2Goというカーシェアサービスへの相乗りですが、2シーター小型EVの分単位課金の時間貸しサービスで乗り捨て自由しかも格安です。現状自動化されてませんが、ベンツもこの分野から自動化をやろうってことです。


これの何が凄いかっていうと、ベンツは当面EVを売ることを考えていないってことです。まずは乗ってもらって魅力を理解してもらって、満を持して大型セダンやSUVを売るつもりでしょう。というのは、CASEのエントリーで指摘したように、いずれクルマは売れなくなることを見越しているってことです。その時にそれでも個人で車を買う人ってのは乗馬を楽しむ感覚と同じ富裕層のホビーになる。そうなればブランドの確立したプレミアムメーカーの方が有利って訳です。とすれば都市内で利用される小型EVは寧ろコモディティ化を進めて数の正義を振りかざす量販メーカーを蹴散らすチャンスでもある訳です。


一方のトヨタはKINTOと呼ばれるカーリース事業でレクサスブランド6車種を自由に乗り換えられるプランを発表しました。所謂定額制サービス(サブスクリプション)ですが、これが恐ろしく高いし中途解約で懲罰的な違約金がかかるという供給側の論理まる出しの時代錯誤です。アイデア段階から勝負あったってことです。

 


CASEとMaaSの関係で言えば、ベンツのアプローチの方がMaaSを明らかに意識してます。それと同時に車自体のコモディティ化は避けられないとしても、プレミアムブランド中心にホビー化の流れもあって両者は同時並行で進むってことまで視野に入っています。この辺自動車氏を紐解けば、元々馬車から発展したショーファードリブンカーの伝統が強い欧州に対し、量販メーカーの登場でオーナーカーの性格が強いアメリカの両者が影響し合いながら並行して発展してきたことを体現する最古の自動車メーカーらしいものの見方です。自動運転車はさしずめデータドリブンカー?

 


日本のメーカーも元々オーナーカーよりも社用車やタクシーで台数を稼いできたので、ショーファードリブンカーの需要は一定にあります。ある意味それがウーバーに始まるライドシェアの事業化にブレーキになっている面があります。日系メーカーでも日産はロンドンタクシーやニューヨークのイエローキャブへの参入で海外販路まで開拓したために、ライドシェアの影響でイエローキャブが打撃を受けるなどしてますが、逆にベンツやBMWはプレミアムカーらしくライドシェアのドライバー向けに高級セダンを売るなどして潤ってたりします。この辺ドライバーに高額のカーローンを組ませるなどギグエコノミー的問題点も指摘されてますが、いかに日系メーカーが時流に乗れていないかは明らかです。


サンディエゴのCar2Goも市街地の渋滞緩和のソリューションとして提案されたもので、モータリゼーションの極致たるカリフォルニアでこういうものが出現するってのもまた、連邦政府はパリ協定離脱でCO2削減に背を向けるけど、民間レベルでの環境対応が進んでいるアメリカの現状を映しています。何だか日本だけが取り残されてガラパゴス化しているように見えますね。

一方で乗務員確保が滞ってバスの減便や宅配クライシスに直面する日本ですが、こういった国内の課題に応える動きが少なくとも自動車メーカ^からないのが気になります。寧ろ京急のゴルフカート活用など、事業者の関心は高いようですが。

 

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Sunday, February 24, 2019

限界都市川崎

別に川崎に悪意がある訳じゃないんですが^_^;、サイドバーの書籍からお題を頂きました。同じくサイドバーの週刊東洋経済の通勤電車特集から、最強の通勤電車ランキング32路線中32位のワーストに選ばれた横須賀線のE217系の置き換えにE235系投入が発表され、普通車がオールロングシートになることがネット上で話題になりましたが、横須賀線のワーストの理由が混雑率の悪化ってことで、実は武蔵小杉のタワーマンション群に原因があるのでした。

ご存じの通り横須賀線は湘南新宿ラインと線路を共用しており、旧蛇窪信号場の平面交差もあって増発が困難なことが原因なんですが、加えて相鉄都心プロジェクトで今年度下期には相鉄からの乗り入れも始まりますから、その枠も確保しなきゃならない訳です。こちらも埼京線との相互直通ですから、品川東京方面への増発は当面見込めません。となれば当然車両レベルで収容力を高める必要がある訳で、オールロングシートにするしか手がない訳です。

長期的には蛇窪の立体交差化が課題ですが、直ぐには実現できません。とにかく朝ラッシュ時には改札入場待ちの列が伸びて危険ってことで臨時改札を設けたけれど、今度はホームが混雑して危険ということで、ホームの増設を決めましたが、完成は2023年で、未だ建設中のマンソンも多く、当面改善は見込めません。大江戸線勝どき駅の二の舞ですね。加えて若い子育て世代の流入で待機児童は増える一方。タワマンたわわな江東区を再現しています。当然小学校、中学校と順繰りに生徒数の増加に悩まされるわけです。

都市部で依然 待機児童多く  :日本経済新聞
待機児童問題は煎じ詰めると都市部固有の問題で、再開発で同じ世代の人口が急増することで起きる訳ですが、それでも都市再開発の流れは止まらず、寧ろ開発を促すために容積率の緩和が行われる状況です。そして世代の多様性がないから将来はそっくり高齢化して空き家候補になる訳です。将に限界都市まっしぐらです。

川崎というと工業都市のイメージが強いのですが、新興財閥の浅野財閥による川崎鶴見の埋立地開発に遡ります。元々多摩川の砂利輸送を意図した南武鉄道と奥多摩地区の石灰石採掘から派生した青梅鉄道(後に青梅電気鉄道)、五日市鉄道が立川で繋がったことで、京浜運河沿いの埋立地に浅野セメントが工場を作り、奥多摩からセメント工場への一気通貫の輸送体系を形作ります。加えて隣接する鶴見の埋立地が造成され工場が建ち、原材料や製品の輸送を担う鶴見臨港鉄道が開業し、当初貨物専業でしたが、工場が増えて従業員輸送の要請から旅客営業を始めます。何れも戦時買収で国鉄に編入され青梅線、五日市線、南武線、鶴見線になります。東京や横浜の港湾は政府の手によるものですが、埋立から民間資本で形成されたのが京浜工業地帯の特徴です。

蛇足ですが、南武鉄道のバス部門が小田急グループの立川バス、青梅電気鉄道のバス部門は奥多摩振興から京王グループの西東京バスへ併合、鶴見臨港鉄道は川崎鶴見臨港バスとなり京急グループに属します。歴史にIFは禁物ですが、戦時買収が無ければ大東急の一員となって小田急、京王、京急に分割されたか、相模鉄道のように東急に経営委託しながら独立を維持したかなど興味をそそられます。

加えて戦時体制で南武線沿線には通信機器などの軍需工場が立地し発展しました。大師参拝輸送からインターアーバンに進化した京浜電気鉄道や省電時代のスター京浜線は目いっぱい恩恵を受けた訳です。特に省電京浜線は東京本社の幹部による工場視察の便宜を図って二等車(現グリーン車に相当)が連結されていました。モータリゼーション夜明け前の当時、二等車は社用車の役割を担っておりました。

しかしそれ故に環境悪化で住宅地としては不人気でしたが、グローバル化で工場の海外移転や競争激化による撤退もあり、広大な工場跡地が残されます。これが種地となって再開発が進み、特に横須賀線武蔵小杉駅の開業で利便性を高めた武蔵小杉は人気エリアとしてタワマンが多数つくられて人口急増した訳です。

これは川崎市にとってもJR東日本にとっても計算外だったと思われますが、東京の大江戸線沿線やAGTの新堀舎人ライナー沿線など、交通インフラの整備に伴って開発が過熱して需要が想定を上回る事態が続きます。しかも多様な業務都市が画一的な住宅都市へ変貌することで矛盾を抱え込んでしまうことになります。この観点から二荒山神社の隣にタワマンが建って景観を損なうなど物議を醸す宇都宮市ですが、LRTで沿線開発が誘発されると、寧ろ都市のスプロール化か進み限界都市化という懸念があることは指摘しておきます。一方明るい話題もあります。

横浜地下鉄の延伸予定区間を歩く 住宅地に募る期待  :日本経済新聞
同じ川崎市でも多摩丘陵の住宅地に地下鉄ができるって話です。横浜市営地下鉄ブルーラインの新百合ヶ丘延伸ですが、自前の地下鉄に拘り事業認可まで受けながら、財政事情から断念した川崎市が、横浜市と協定を結んで実現したところが新しいところです。

公営地下鉄の越境自体は都営新宿線の本八幡(千葉県市川市)、大阪市営御堂筋線の江坂(吹田市)となかもず(堺市)の例がありますが、政令市同士の協定というのは前例がありません。尚、御堂筋線のなかもず延伸は1987年で堺市の政令指定都市化は2006年ですし、堺市は中百舌鳥堺線の構想はあったものの具体化はされず寧ろ阪堺電軌を軸とした公共交通活性化に取り組むなどしていて、川崎市とは事情が異なります。

川崎市内のルートが未定で、駅設置と絡んで3ルートが提案されてますが、最も新百合ヶ丘から距離があり、周辺バスの本数や乗車率の高い東ルートのヨネッティ王禅寺案が有力です。ヨネッティ王禅寺はゴミ焼却工場に併設された市営スポーツ施設で市民の人気スポットであると共に、近くに田園調布学園のキャンパスがあり通学需要も見込めます。そしておそらく自前の地下鉄構想が尻手黒川道路ルートだったことから、断念された地下鉄計画でも駅設置が考えられていたと考えられます。

そして横浜市内の剣山は戸建て中心の住宅地に付随する商業集積があり、すすきのはすすきの団地最寄りで隣接する川崎市域の虹ヶ丘団地も駅勢圏で、既に成熟した街で開発余地はあまりありませんが、その方が武蔵小杉のような想定外の事態を招くこともなさそうです。

川崎市の地下鉄構想は元々武蔵野南線の旅客化とセットで構想され、川崎―武蔵小杉間と梶ケ谷貨物ターミナル―新百合ヶ丘間を建設するというものだったのですが、武蔵野南線の旅客化は具体化せず、尻手黒川道路ルートで自前建設を目指し、横須賀線武蔵小杉駅開業で武蔵小杉経由に変更して事業認可を受けて断念という経過を辿るんですが、川崎市でもう一つ具体化した京急大師線の地下化による連続立体化事業が大いに振り回されました。川崎駅で地下鉄と大師線は繋がる形の構想が描かれてましたが、この辺が曖昧で、一方新百合ヶ丘で小田急線との乗り入れも検討されという具合に軸が定まっていなかったので、結局実現は無理だったでしょう。

京急大師線の地下化は市役所通り地下を東へ進み(仮)宮前を経て川崎競馬場地下でS字カーブしてR409に合流する地点に港町駅を設置して川崎大師駅で現在線ルートに合流し産業道路東側で地上へ出て地上駅の小島新田に至るというルートですが、地下鉄との関係が詰められないから工事が度々延期される一方、アクアラインの開通で浮島へ向かうルートを支障する産業道路の踏切は解消されず、また旧いすゞ自動車工場跡地を中心に羽田空港へ渡る橋とセットで先端企業誘致の再開発となる殿町プロジェクトの具体化もあって仕方なく東門前―小島新田間を先行着手することになりました。尚、京急川崎―川崎大師間の地上線は回送線として残りますが、地下鉄計画がなくなった結果、地下化に伴うルート変更の意味も問われます。

川崎市は例えば神奈川臨海鉄道浮島線の旅客化や南武支線の川崎駅連絡線や東海道貨物線を利用した羽田空港アクセスなどいろいろ構想を思い付きのように発信しておりますが、実現に向かって具体化はしておりません。産業構造の変化に翻弄される苦しさはありますが、もう少ししっかりしたビジョンを持つべきでしょう。自前の地下鉄を断念したんですから、次はJR東日本と協定を結んで区画整理事業と連動した南武線の立体化や長編成化など、現実的な都市開発を模索する方が良いように思います。以上非住民の外野のたわごとかもしれませんが。

 

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Sunday, February 17, 2019

鈍器法定

統計不正問題がいよいよ森加計問題と酷似してきました。これ統計法違反という明らかな違法行為なんですが、捜査当局は動く気配なし。そして関与した上級官吏は口をそろえてゴマカシや答弁拒否。一方実行部隊の下級官吏からはリーク続々。アベノミクスの成果を良く見せる改編が行われたと考えてほぼ間違いありませんが、ウソノミクス統計135°でさわりは明らかにしてますので、ここでは踏み込まず別の話題。

大林組、増収増益  :日本経済新聞
「受注企業JR東海が差配」 大成と鹿島、無罪を主張 リニア談合初公判 他2社と認否真っ二つ :日本経済新聞
元々大林組が公取委に申告して発覚したものですが、談合を認め処分を軽減した大林組、清水建設に対して、争う姿勢を見せる大成建設、鹿島建設という構図で公判も分離されてますが、主張は真っ向対立してます。

既に分離公判で有罪が確定している大林組ですが、120日間の民間土木工事中止の処分も受けてますが、実は増収増益。つまりリニアは儲からないから逃げ出したってことですね。加えて2025年の大阪万博開催が決まり、関西地盤の大林組は竹中工務店と共に受注が増えることが見込まれます。つまり大手ゼネコンが仕事を選ぶようになったってことです。

これJR東海にとっては痛い話です。というのは、そもそもリニア建設着手は国鉄民営化時に新幹線保有機構からリースする形で、リース料に旧国鉄債務の一部を乗っけたスキームから、JR東日本の上場審査の過程で主たる収益資産が自己保有でないことのリスクを指摘され、同じ立場のJR東海、JR西日本と共に国に譲渡を申し入れたことで、譲渡代金のローンが始まり、それが2017年にほぼ完済されたことから生じる資金余剰があってこその自前整備ですから、逆に言えば予算上限は厳しく管理する必要があります。

それでも当初名古屋まで5.1兆円と言っていた事業費が膨らみ5.4兆円となっているように、ジワジワと膨張しているわけです。当然利益を削られるゼネコンにとっては旨味が少ないのですが、それでも五輪後を睨めば無下にできない訳で、特に五輪関連や豊洲市場など東京都が絡む事業に深く食い込んでいる大成建設や鉄道会社との関係を気にする鹿島建設は断れない。そしてこうなるってことですね。これだけなら民間同士の話ですから、談合事件で公取委が動くことにはならないのですが。

しかし大阪への早期延伸を望む声が与党議員から出てきて財投債で9兆円の融資を決めたことで、公共性ありと判断されて事件化されるんですから、何がどう転ぶかわかりません。それでも談合事件の立件は難しいところ。大林組の申告が渡りに船だったのでしょう。政府が関与するといろいろ不都合が生じるのは森加計問題や統計不正問題ばかりではありません。

JR東日本の整備新幹線区間への追加投資に絡んで、整備新幹線の法定速度って話題がネットに出てきて「法定速度を超えると線路使用料が上がる」などの妄言も見られますが、これ根拠法の全国新幹線鉄道整備法で定義されている設計最高速度が法定速度と誤って理解されているのが実際です。そもそも東海道新幹線の設計最高速度は210km/hですが285km/hで営業運転されてます。東海道新幹線の建設時には整備法は無かったので超法規的に独自規格で作られたもの。その結果を踏まえて全国新幹線網整備に当たって将来の技術革新によるスピードアップを先取りする形で定められた基準がそのまま見直されずに来たというのが実際です。

そもそも新幹線の事業主体は国であり、国の鉄道事業を体現する国鉄がその任に当たるという前提で作られた法律ですから、国の事業である以上恣意的な解釈で骨抜きにすることは許されないということから、設計最高速度やそれに付帯する最急勾配や最小回転半径などの基準が定められたのが実際。それが国鉄分割民営化で事業主体が消滅すると当時の与党議員が騒いで事業主体となる国のところを各旅客会社に読み替えることで延命させた結果です。

しかも財源がないからあの手この手で財源をひねり出すために、並行在来線の切り離しなどでJRに負担をかけないことや、受益者となる地方の負担も定めるなどされたものです。結局整備計画の延命のために恣意的解釈をした訳ですが。尚、最急勾配は九州新幹線や北陸新幹線では事業費圧縮の要請から一部基準を超える急勾配があり、将来のスピードアップの可能性を狭めています。

JR東海も当初は中央リニアを整備新幹線の枠組みで考えていたようですが、現実に存在しないリニア新幹線は基準に適合しないってことで当時の運輸省はほぼ門前払いに近い扱いをしていたようです。当時は所謂整備5線(東北新幹線延伸部、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線鹿児島ルート、同長崎ルート)の扱いすら決まっていない状態で、そちらを優先しないと地元選出議員からクレームがつく状態でしたから、中央リニアの整備新幹線化は実現可能性が無かったと言えます。

それが新幹線譲渡に絡んで譲渡代金の産出に時価法の一種である再取得価格法が適用されました。これは現在時点で同等の資産を新たに取得する場合に想定される価格ってことで、地価や建設費などの相場を反映したものですが、仮定の置き方で数値は変わり得るものでもあります。当時の運輸省はこれを利用して資産の非償却部分となる土地やトンネルなどのインフラ部分の数値を嵩上げし、嵩上げ分を新設の鉄道整備基金に持たせて整備新幹線の財源に利用することで財源論に道筋をつけました。数値を操作して財源をねん出した訳で、こういったことがあるから統計不正にリアリティが出てきます。

その結果JR本州3社はローン負担を負う訳ですが、同時に整備新幹線事業の推進力を得ることとなりました。加えて新幹線が自社保有となり、膨大な減価償却費が発生し無税で利益控除できますから、これで得たキャッシュフローで設備投資に弾みを付けます。その結果JR東海は品川新駅開業によるのぞみ中心のダイヤ編成で増収を図り、自己資本による東名間先行の整備計画をぶち上げることになる訳です。

で、JR東海をリニア建設に向かわせた新幹線譲渡代金ローンの終了はJR東日本やJR西日本も同様で、規模の違いはありますが、それぞれ異なった動きを見せています。ウソノミクスでも触れたように一つは東北新幹線盛岡以北の高速化に向けた設備増強ですが、もう一つ大きなプロジェクトも動き出しました。

JR東 都心と羽田空港結ぶ新線、29年度にも開業  :日本経済新聞
羽田空港の国際化と発着枠拡大で今後とも利用Y差は増えると見込んでいる訳ですが、同時に成田スカイアクセスとローコストリムジンバスに食われて劣勢の成田空港輸送の挽回の意図もありそうです。

整備区間の北半分は休止中で遊休化している東海道貨物線の浜松町―東京貨物ターミナル間の線路を活用し、東海道線に合流させて上野東京ラインで埼玉や北関東のアクセスを図るというもの。加えてりんかい線経由で山手西ルートから中央線や埼京線方面、と京葉線や武蔵野線方面の3方向の列車設定を想定しています。千葉県や千葉市が要求する京葉線から総武線への連絡線が実現すれば、羽田空港と成田空港を直結することもあのうになりますから、将来的には成田空港輸送のてこ入れにもなるという訳です。

既存施設を活用するプロジェクトですから、資金手当てが見通せれば実現可能性は高いですが、一つネックとなるのがりんかい線の扱いでしょうか。東京都はJR東日本に東京臨海高速鉄道の引き受けを以前から打診してますが、これが動く可能性はあります。都市興津に関わる新線計画ですから、国と地方に応分の負担を求めることになると思いますが、東京都の負担分を東京臨海高速鉄道の株式で行い、事実上のりんかい線引き受けにつなげる可能性はあります。ただしJR東日本の営業規則上、東京近郊区間に組み込まれることになれば、現在の認可運賃から大幅減額となりますから、それによる減収の評価をどうするか。株式評価を下げて都が実質補償するか、あるいは東京近郊区間から外して現行認可運賃を存続させる形にするか、交渉次第でしょうけど注目されます。

おまけ。リニアで散財するJR東海と対照的に経営基盤強化に資するプロジェクトに選択的に投資するJR東日本ですが、JR西日本はといえば、尼崎事故以後の安全投資優先の影響もあって遅れている老朽車両の更新に回るものと見られます。だから広島に錆びない電車が登場し、大阪環状線もリニューアルされると。

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Sunday, December 09, 2018

CASE by MaaS

前エントリーの続きですが、フランスのマクロン政権がデモの影響で燃料税増税を断念しました。東名ルノー日産問題でフランス政府の干渉は防げそうですが、日産には別の問題が持ち上がっています。

自動車産業の激変が予想される中、日産の検査不正が新たに発覚しました。今回はブレーキなど安全に関わる部分の不正という重大なもので、ゴーン氏の報酬チョロマカシよりもガバナンス上の問題は大きいですし、ゴーン体制に責任を負わせるわけにはいきません。

完成検査の無視覚検査は、法令違反とは言え悪質性の程度は低かったし、そもそも制度自体が曖昧で非関税障壁の疑いもあるものでしたが、今回は国交省の業務改善命令を受けて現場調査する中で発覚したもので、検査不正は相当広範囲に行われていた模様です。ルノーとのアライアンスで海外製造拠点への投資が優先された事情から、その分国内製造拠点への投資や人員配置が手薄になったのは否めませんが、こうした製造現場の実態を把握できていなかった日産経営陣の責任は重大です。

検査不正の背景に。検査場の狭さとか検査員の不足といった事情があったようで、その中で増産体制が組まれた結果、検査部門がボトルネックとなり、検査で引っかかるとたちまち検査品で検査場が埋め尽くされてしまうため、右から左に流すしかなかったというような事情があったようです。それに対してスペースや人員の拡充を求める現場の声は経営陣に届かず放置された結果ということで、役員報酬を巡る金商法違反などより重大なガバナンスの欠如と言えます。必要な投資が行われなかったという意味で、経営陣の責任は重大です。

それはさておき、自動車産業を巡る変化予想でCASEというキーワードが語られます。繋がる(Connected)、自動化(Autonomy)、共有化(Shareing)、電動化(Electrical)です。これ相互に関連があって、車をスマホのようにネットにつなぐことで、付加的なサービスや機能が提供されるに留まらず、自動運転との関連で車間通信で衝突回避しますし、自動運転が実現すれば、稼働率の低いマイカーという保有形態が見直され、必要な時だけスマホで呼び出して使うことが可能になりますし、電動化は自動運転との相性が良く、また部品点数も減って特にエンジンのような作り込みも要らないから価格低下が予想され、自動車メーカーの優位性がなくなると言われます。

そのため自動車各社は優位性を維持するための投資を求められますが、例えば自動運転に関してはグーグル系列のウェイモが先行していて後追いになっている現状があります。電動化に関してもトヨタがハイブリッドシステムで世界をリードしたものの、特許で囲い込んだために追随するメーカーが現れず、米カリフォルニア州のZEV規制からも外されて焦っております。トヨタとしては究極のエコカーとして燃料電池車(FCV)を想定し、ハイブリッド車はつなぎという位置づけだったのですが、本命のFCVも水素供給網の整備が進まず、他方バッテリーEV向けの急速充電器の設置は進んでおり、またVWのディーゼル不正問題もあって自動車各社のEVシフトが鮮明になる中、トヨタは梯子を外された格好です。

EVに関しては日産が先行してますが、ビジネス的には大成功には至らず、新興企業の米テスラモーターズの先行を許しています。テスラモーターズ自体は典型的なガレージメーカーからスタートしたもので、ZEV規制が示すように環境意識の高いカリフォルニアでマイカーを電動化するガレージメーカーは多数存在しましたが、その中でイギリスのライトウエートスポーツ車のロータスエリートのプラットフォームを利用して、ノートPC用のリチウムイオン電池など汎用部品を使って世界初の量産EVとなるロードスターを世に問い成功を収めます。

バッテリーの搭載量で性能が規定されるEVです。とはいえ重量の嵩むバッテリーを大量に搭載すれば良いとはいきません。その意味で実用的なセダンではなく2シーターのロードスターならばパッケージしやすいし、趣味性故に高く売れるわけですね。こうして投資資金を上手に回収しながら技術を磨き、高級セダンのタイプSやクロスオーバーSUVのタイプXへと展開した戦略は見事です。加えてソーラー発電や家庭用バッテリーなどの事業化でシナジーを追求してEVのバリューを高めます。日本でも日産リーフが同様の訴求をしてますが、普及には至っておりません。

そして量産型セダンのタイプ3では製造ラインの自動化でコスト圧縮に挑みます。これは必ずしもうまくいかなかったのですが、マスク氏は製造現場との徹底した対話で解決策を見出し軌道に乗せます。この辺は日産幹部にとっては耳の痛い話でしょう。同時に自動車産業の雇用創出力という観点からは、従来通りとはいかない厳しい現実を示してもいるわけです。

とはいえテスラの成功はあくまでも所得水準の高い先進国の話でして、新興国への波及はむしろシェアリングが中心になると考えられます。そのときのキーワードがMaaSです。Mobility as a Serviceの略で、クラウド上のソフトウエアを利用するSoftware as a Serviceのもじりでもあります。言い換えれば移動(mobility)のサービス化でもあります。これ喩えればPCからスマホへの変化に相当します。これつまりハードとしての自動車のコモディティ化を意味します。

ただしMaaS技術的ハードルは決して低くはないので、先進国で先行して新興国へ波及する流れもスマホと同じと考えられます。そうすると自動車メーカーはまず利益の取れる先進国市場の劣化を余儀なくされるわけで、先進国にとっては雇用の縮小と共に格差拡大を覚悟しなきゃならないってことでもあります。

逆に言えば輸送サービスを提供する運送業にとっては劇的な生産性向上のチャンスでもあり、生産性格差で人手不足を余儀なくされる現状を良い方向へ転換できるチャンスではあります。但しあくまでもチャンスであって、AI自動運転で人手不足が解消するという発想では未来は開けません。

例えば自動運転が実現すれば移動中に仕事するとか就寝中に移動するとかが可能になるわけで、これある意味交通機関に求めらR3エルスピードの概念が変わることを意味します。朝の懐疑に間に合わせるために早起きして始発に乗るとか、前泊するとかが必要なくなるわけですから、この観点から言えばスピードを訴求するリニアは無用の長物になる可能性があります。公共交通にも変化をもたらす訳です。

そんな中で京浜急行が富岡地区の住宅地でゴルフ用電動カートを用いた興味深い社会実験を行いました。

「電動カート」は郊外住宅地の新交通になるか | ローカル線・公共交通 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
ゴルフ場用の電動カートを用いた輸送サービスの実験です。京急沿線には丘陵地帯を切り開いた住宅地が多数存在しますが、道路が狭く勾配も急ということで、バス路線の設定が難しく、高齢化で居住を諦めたり相続放棄で放置されたりして空き家が増えている訳ですが、20km/h以下の低速ながら勾配に強い電動カートを用いて最寄りのバス停やスーパーまでの輸送サービスを行ったものです。

面白いのはスマホアプリの京急バスナビに連動させることで、モードの異なる交通システムをシームレスにつないだ点で、システム開発には横浜国大やベンチャー企業も関与する形で、謂わばオープン化が実現している点です。住宅地内のラストマイルの交通手段ですが、MaaSの要素が揃っています。京急にとっては高齢化が進む沿線住宅地のてこ入れではありますが、鉄道がラストマイルの戸口輸送にアプローチする流れは東急田園都市線や江ノ島電鉄などでも無人運転バスの実証実験の事例があり今後活発化すると見られます。

この観点から注目なのがJR東日本の品川新駅です。先日「高縄ゲートウェイ」の駅名決定を発表しネット上ではいろいろ言われてますが、これかつて東海道上にあった高輪大木戸と呼ばれる簡易関所に因んだ名前だそうです。そうなら駅名は「高縄大木戸」にして英語名をTakanawaGatewayと案内すれば特に外国人の混乱するカタカナ駅名を避けられたし、地域の歴史文化を踏まえた新しい街づくりとしての重厚感も演出できたはず。JR東日本のネーミングセンスはホント酷いです。

これE電騒動以来繰り返されてますが、もう少し何とかならなかったかと思います。ただしゲートウェイに込めた玄関口の意味は分かります。先進的な職住近接開発を目論んでいる訳ですが、新駅を起点にしたMaaSを考えているとすれば、JR東日本の思い入れが偲ばれます。そこは理解できるけど、ネーミングセンスは残念過ぎます。

MaaSと直接関係はありませんが、東武鉄道のTJライナーやリバティ、西武鉄道のSトレイン、京王電鉄のけ京王ライナー、意外性の東急Qシートと有料続いています。JR東日本は元々グリーン車や通勤ライナーのサービスを行っていましたが、これ首都圏だけの話ではなく、京阪電気鉄道のプレミアムカーのように関西でも見られます。

京阪の合インバウンドで特急列車の混雑が常態化しており、着席サービスの導入を求める声があったようですが、この辺大量輸送を得意としながら過去の投資不足もあって混雑解消が進まない中で、公共交通と言えども将来安泰とは言えない時代を迎えるということで、選択的優良着席サービスは輸送の質を求めるユーザーを取りこぼさず増収機会も得られ、駅から先のラストマイル輸送との一貫性を持たせる意味も考えられます。そう見ると興味深い動きではあります。

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Sunday, December 02, 2018

大後悔時代そしてインド

日産ゴーン逮捕その後。

報酬先送り文書、効力巡り攻防 ゴーン元会長と特捜部  :日本経済新聞
逮捕容疑の有価証券報告書虚偽記載が退任後に受け取る株価連動報酬で、それを記載した報酬文書が日産の秘書櫃の秘密の金庫に保管されてたそうで、その記載内容によっては報酬を約した契約文書と見做され、未記載は違法性があるということらしい。つまりまだ受け取っていない報酬の約束が未記載ってことで、概算年10億円でその内5年分が逮捕容疑の50億円とか。

これやっぱ無理筋です。もちろんゴーン氏が隠そうとしたことは間違いないとしても、報酬文書の解釈問題という微妙な問題でいきなり逮捕ですから、やはりバランスが悪い。おそらく特別背任罪を視野に入れてるんでしょうけど、2兆円企業の日産にとっての50億円です。会社ぐるみで数千億円規模の粉飾をした東芝とは2桁違うし、会社の利益を棄損する意思が証明されなければ特別背任罪に問えません。やはり森友問題で籠池夫妻を長期拘留した時と同じような不透明感が漂います。

一方韓国では、三菱重工業の徴用工訴訟の判決が確定しました。先日の新日鉄住金の訴訟と同様、2012年に原告敗訴とした下級審の判断の見直しを迫り大審院が差し戻した差し戻し審の上告審ですから、よほどのことがない限り、覆る可能性は無かった訳で,和解すれば終わった話です。2012年は大統領選で李明博大統領から朴朴槿恵大統領に保守同士で政権交代した年で、文在寅現大統領は大統領候補として戦って敗れた訳で、韓国司法の判断は一貫しており、一部報道で見られる進歩派政権に忖度した判決ではありません。

加えて言えば昨今の国際公法と国際私法の関係に関する考え方の変化も見逃せません。例えばナチス占領下のアウシュビッツ輸送に協力したとしてオランダ国鉄が賠償に応じるなど、政府間の条約や協定と私人同士の債務債券関係は別とする考え方が広がっています。政府間の協定である1968年の日韓請求権協定は私人同士の請求権を含まないという韓国司法の判断は妥当です。

あとおまけ。「韓国と戦争だ!」と叫ぶ威勢の良いこと言う人いますが、日韓共にアメリカと軍事同盟を結んでますが、仮に日韓で紛争が勃発したとしたらアメリカはどう動くか?答えは国連憲章第53条第1項後段の「敵国条項」により、アメリカは国連安保理に通告することなく日本を攻撃します。北朝鮮問題で連携が必要なのに何やってんだか。そんな日本の首相に米中の仲裁の期待が語られるって何の冗談?

そのG30もトランプ旋風が話題ですが、皮相的な対立は本質ではありません。このニュース。

トランプ関税、米製造業に跳ね返る GMが北米5工場停止 (写真=共同) :日本経済新聞
トランプ大統領の意図に反してアメリカの製造メーカーが国内工場のリストラを発表したもの。特にGMは中国市場のウエートが高く、またEVやコネクテッドか―などへの投資のために売れないセダン工場を閉じるというもの。輸入原料や部品の関税による値上げで利幅が圧迫される中、EVやコネクテッドカーなど100年に1度と言われるイノベーションに鎬を削る自動車メーカーとしては、儲からない製造拠点を維持する理由はありません。これ日産ルノー問題にも通底しますが、企業が国を選ぶ時代が顕在化したってことです。

この構造が何かに似てると薄ス感じてましたが、これ英東インド会社のビジネスモデルですね。大英帝国のベルエポックを画した会社ですが、世界各国の貿易に関与して利益を上げていた点は日本の商社のようでもありますが、決定的に異なるのが武装の特権を得ていて、場合によっては略奪行為も辞さない存在でした。昂じてインドの植民地経営を仕切る存在となりましたが、インド各地を統治するマハラジャを賄賂で篭絡して有利な条件で交易をした、所謂分割統治の主体でした。

つまり、昨今謂われるグローバリゼーションの正体は、巨大化した多国籍企業が主権国家をインドのマハラジャよろしく選別し有利な条件を引き出すことと見れば解けます。これが例えば諸国間の法人税減税競争だったりFTAやEPAなど自由貿易を促進すると言われる国際協定だったりします。当然TPPや日欧EPAも含みますし、アジアのRCEPも同様です。いずれも主権国家の主権を制限する協定という点で、企業に有利に働きます。

日本ではあまり報道されませんが、通商を巡る国際協定ではほとんど最恵国条項が盛り込まれています。これ締約国、加盟国の1国が示した通商交易条件の最も低い水準が他国にも波及するってことでして、例えばTPP加盟国でもあり個別FTAも結ぶチリのワイン関税はTPP加盟各国に留まらず日欧EPAで欧州産にも波及するし、逆に欧州に譲歩した乳製品に関してはTPP加盟国にも波及するという関係になります。こうしてFTAやEPAのネットワークを通じて関税や障壁がどんどん押し下げられていくって話です。このコンテクストで種子法廃止や水道民営化法、農業や漁業への企業参入の自由化など、今将に国会で揉めている数々の法案の成立を政府が急ぐ理由でもあります。いずれもTPPや日欧EPAの関連法ってことですね。

この観点から言えば、例えばBrexitはイギリスの主権回復の主張から出てきた話ではありますが、イギリス自身がスコットランドの独立問題やBrexitの障害になっている北アイルランドの扱いなどで言ってみればバラバラでして、それに留まらず例えば女王陛下がロンドンシティに足を入れる場合には市長の事前承認が必要だったり、一方オートレースで有名なマン島は王族領(王族の私有財産)とされ治外法権扱いとなっていますし、加えて英連邦に所属するインド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど一応独立した主権国家ながら女王陛下を元首とするコモンウェルス(共和国)があり、その他に未だに存在する植民地や自治領が世界にあり、ある意味本国も含めて分割統治されていたようなものです。この複雑怪奇さがBrexitをもたらしたとも見えます。

更にトランプ現象ですが、アメリカも東海岸と中西部、南部と西海岸とそれぞれ別の国のように住民意識が異なります。前2者は共和党、後2社は民主党の地盤ということで、かなりはっきりとした分断が見られる中で、トランプ大統領が誕生しました。元々州政府の権限が強いアメリカでは、連邦政府のみならず州政府へのロビーイングが盛んです。その結果州政府にロビーして通した政策が企業を利すると、他州も倣ったり連邦政府も結果的に動いたりしますから、ある意味企業にとっては天国のような国です。だからトランプの強面は企業にとってはちっとも怖くない訳で、ここに注目すると裏で起きている企業による主権国家の無力化に目が行かなくなります。

で、日本にいると気が付きにくいんですが、分割統治はイギリスやアメリカだけの問題じゃないんで、Brexitの一方の当事者であるEUも、加盟する主権国家の上部組織として定義されており、やはり主権を制限するという意味でイギリスやアメリカの分割統治システムと似たフラクタル構造にあります。ユーロの番人であるECBは米FRBを手本にしてますし、関税同盟、通貨同盟に加えて移動の自由を保障するシェンゲン協定で労働力の国境を越えた移動を可能としてます。

結果的にEUと加盟国の関係がアメリカの連邦政府と州政府の関係と酷似することになります。ギリシャやイタリアの南欧問題とか、近ごろ民族主義の台頭著しい東欧問題とか、統合によって分断が顕在化しており、アメリカとの相似相が見られます。幸いなのはEUはまだ米連邦政府ほどの力を持たないからトランプが出現しませんが、汎西欧主義を謳うフランスのマクロン大統領が打ち出したEUによる安全保障構想はEUの統治機能強化とセットですから、ある意味隠れたトランプかも。日産ルノー問題で対峙する日本政府は頼りない。あと内緒ですが、地方政府に北京政府=共産党が君臨する中国も相似相ですね。

国鉄分割民営化で鉄道改革で世界をリードしたと言われますが、欧州の鉄道改革で手本とされたのは、むしろアメリカです。1970年のペン・セントラル鉄道の破綻後、紆余曲折を経て国有化され、鉄道資産保有公社のコンレールとなり、経営悪化の鉄道会社の多くもコンレールに合流し、上下分離して鉄道会社は線路使用料を払って鉄道運営する存在になり、州をまたぐ長距離列車は連邦運輸公社(AMTRAK)へ移管されました。

アメリカでは民間での再建に失敗し国有化して、再度民間に売却したり、規制緩和で路線の改廃再編が行われたりと紆余曲折はありましたが、欧州では元々国ごとに地域分割されていて国境をまたぐ国際列車も多数運行されていたこともあり、アメリカの上下分離を取り入れてオープンアクセスで新規参入を促す形になりました。貨物を除いて上下一体の日本の国鉄改革は参考にならなかった訳ですが、寧ろJR北海道問題に見るように、日本が上下分離をせざるを得ない現状では寧ろ日本が欧州を手本にせざるを得ません。

長くなりましたが、今後MaaSの時代には鉄道と自動車産業の境界も曖昧になり、ハイブリッドな産業進化が見込まれます。一方で人手不足で都営バスにまで減便の波が押し寄せる現状でもあります。3万点の部品を集成するアセンブリ―産業ですそ野が広く雇用創出力の高い自動車産業の変化は片方で雇用不安を呼び起こす一方、生産性向上に制約のある運輸などのサービス産業は人手不足に悩まされ、産業間の労働力移転も困難です。結局この問題を解決しない限り、社会の分断は無くならない訳です。規制緩和すれば良しとはいきません。グローバル時代の後の大後悔時代は暫く続きそうです。

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Sunday, November 25, 2018

お水の都大阪

カルロス・ゴーン会長逮捕に始まり、大阪万博開催決定に至る騒がしい1週間でした。一方で問題だらけの入管難民法改正案や水道民営化法案の審議が始まりましたが、こちらのメディアでの扱いは小さく、しかも的外れなものが多く、困ったものです。そんな目晦ましに惑わされず、事実関係を掘り起こすことは大事です。

ゴーン氏逮捕の報に拭えない違和感があります。罪状は有価証券報告書虚偽記載で、ゴーン氏自身の役員報酬を50億円過少申告したとして金融商品取引法違反を問われております。実は有価証券報告書の虚偽記載自体はありふれた事件で、例えば西武鉄道を上場廃止に追い込んだ株式名義貸し事件で、堤義明会長を失い迷走した西武鉄道の事件などは日産の今後に対して示唆に富むものですが、それより気になるのは、虚偽記載と言っても粉飾とは言えない今回の事件でいきなり逮捕っていうのがよくわからないところです。

上場企業の通信簿である有価証券報告書の虚偽記載は確かに許されることではありませんが、粉飾ではないということは指摘しておくべきでしょう。報酬を誤魔化したとはいえ、別の費目に付け替えているから、決算数字自体は変わらない訳です。この辺会長派中心の日本人取締役達による粉飾決算を告発しようとした外国人社長を解任したオリンパスの事例でも、原子力事業を巡る損失隠しで粉飾した東芝の事例でも、逮捕者は出ていない訳で、いきなりの逮捕という今回の事件がこれらより悪質性が高いとはとても言えません。

それどころか公判を維持できるのかという疑問があります。例えばより重罪の特別背任に問うとすると、ゴーン氏が会社に損害を与える意図をもって虚偽記載したことを挙証しなければなりませんが、報道された投資名目の付け替えや自宅購入、成果インセンティブなどは、投資は成果が出るまでにタイムラグがありますし、自宅などの不動産購入も、転売目的の投資で、値が下がったから使っていたという釈明が可能ですから、それを崩すのは容易ではありません。何だかリニア談合事件のような地検特捜部の勇み足の気配があります。

しかも司法取引が行われたということで、日産の取締役が対象だそうですが、両罰規定による法人としての日産も免訴されるとすれば、西川社長は会見で否定したものの、事実上のクーデターと見做すことができます。そして限られた拘留期間で取り調べがどこまでできるのか。保釈交渉で住所をどうするなど難題山積です。加えてゴーン氏の会長職解任はできたけど、西川氏の後任会長人事はルノー系取締役の反対で決められず、取締役の補充すら流動的です。

ましてこの体制で、刑事罰は免訴されても、株主代表素養など民事の訴訟は免訴されませんから、片肺飛行状態で対応を迫られることになります。加えてフランス政府肝いりのルノーとの経営統合問題への対応もありますし、クーデター説に説得力はあるものの、脇が甘いと言いますか、本当にこの経営陣で難局を乗り切れるのか、疑問は尽きません。

そして与野党対決法案の入管難民法改正案の審議入りと継続審議の水道民営化法の国会審議の報道露出の少なさを考えると、政治介入の疑惑が頭をもたげます。内部告発の内偵段階はともかく、ゴーン氏逮捕の報が事前に官邸にもたらされていた可能性はあるのではないでしょうか。

あるいはルノーとの経営統合問題でフランス政府と対峙を迫られる決断を、ゴーン氏の悪だくみを見逃し司法取引でも民事は別と考えが及ばない現経営陣がこんな重大な決断ができたのは何故か?例えば日産株43%を保有するルノーの議決権を無効化するために日産のルノー株補修比率を15%から25%に買い増すための資金供与を日本の政策金融を動員するといった裏の約束があったとすれば、日産経営陣の背中を押すことになるんじゃないかとか。裏で画を描いた奴が居る気がします。

それはさておき、問題だらけの水道民営化問題ですが、何が問題かというと、様々ある民営亜手法の中で、敢えてコンセッション方式を推奨し、補助金付けて誘導している点です。立法事実として人口減少による料金収入減少で設備の維持が困難になっている点、故に老朽化が進んで漏水などが増えている点、また地震対策として耐震菅への交換が進んでいないこと等から、自治体毎の事業を広域化する必要があるけれど、それがなかなか進まないことから、民間活力を活用して問題解決しようということで、一見よさそうな話に見えますが、問題大ありです。

まずコンセッション方式とは、設備の所有権の公共部門に残して長期に亘る運営権を民間に売却するって仕組みですが、日本では民主党政権時代の2011年6月のPFI法改正で取り入れられ、関空など関西3空港の民営化で採用された手法です。思い出していただきたいのは今年の台風24号の上陸で関空が冠水し船舶の衝突で連絡橋が破損し、8,000人もの人が取り残されたことです。インフラ保有部門と運営する民間部門の連携のまずさが露呈したものですが、コンセッション方式にはこの手の問題があるということは押さえておきましょう。

水道事業は現在地方公営企業が担っていますが、基本的に料金収入で設備投資から運営、保守、設備更新までも一貫して行い、原則税金の投入はありません。事業が黒字の場合は剰余金が自治体の歳入に繰り入れられ、赤字の場合は欠損が自治体から補助されるので、地方議会のチェックは受けるものの、民間に準じた複数年度会計で減価償却も行われますから、結果的に市民の共有財産のような形になっています。

ただし職員は地方公務員の身分なので、条例で定員が定められていたりして、広域化の妨げとなってもいます。素直に考えれば地方公営企業をそのまま株式会社化できれば、複数自治体で事業を統合して自治体が株式を持ち合う形にできれば広域化は問題ないはずで、敢えてコンセッション方式を推奨し、補助金で誘導する理由はありません。で、水道事業民営化で先行したフランス、パリ市は、コンセッション方式は問題が多いとして再公有化されましたし、世界的にも見直しの機運が高まっており、日本は完全に周回遅れです。このタイミングでの水道民営化は再公営化で事業機会を失ったフランスのヴェオリア、スエズ両社を助ける意味しかありません。はて、そうすると政府は日産をルノーに売り渡すつもりかも。

で、地方公営企業繋がりで、公営交通の民営化も留まるところがありません。元々高待遇の地方公務員の身分故に高給取りになったバス運転士への批判が起きたことと、一方で民間事業者では分社化により組合の強い本体から切り離した新規採用者の賃金圧縮が進んだ結果、高賃金で赤字体質の公営交通に批判が集まり、路線の民間移譲、株式会社化、運営の民間委託など手法は様々ながら実質的な公営交通縮小が進みました。万博開催が決まった大阪市の地下鉄やバスの民営化は記憶に新しいところです。その大阪市でこのニュース。

自治体の貯金、大阪市が最多2400億円 2位は江戸川区  :日本経済新聞
橋下市政時代から、とにかく金が無い金が無いの連呼で学校給食を安物弁当に変えたり文楽協会への補助金削ったりしてた大阪市ですが、」実はたっぷり貯金してます。これ剰余金を基金として積み立てているんですが、よく考えたら歳入不足で地方交付税の交付を受けている大阪市が蓄財するっておかしい訳で、これ大阪市に限らず多くの自治体で同じようなことやってます。何故かと言えば人口減少で税収が伸びない中、夕張市のように破綻して財政再建団体になれば大変だという恐怖心からです。夕張市への国の対応が厳しすぎたってことです。

加えて大阪市では地下鉄とバスの民営化で資産売却益が得られたことで、基金が膨らみました。そこへ2025年の万博開催決定の報ですから要注意です。会場の夢洲への地下鉄整備その他の万博関連事業で基金が蒸発すること間違い無し。市民サービスを犠牲にして得た基金が蒸発するのを市民は指をくわえて見なきゃならない。訳です。ですから万博開催をおめでとうと祝う言葉は言いません。ご愁傷さま。

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Monday, September 17, 2018

冗長性を高めて強靭化どころか脆弱化まっしぐら

今年は災害の当たり年なのでしょうか。近畿地震、西日本豪雨、猛暑、逆行台風、超大型台風に北海道の地震と息つく暇もありません。トピックはいろいろありますが、直近の2つに絞り込んで、関空の冠水と連絡橋損壊問題と、北海道電力の全系統停電(ブラックアウト)問題に絞ります。というわけでまずは関空から。

猛烈な南風 高潮を増幅 台風21号で関空が冠水 :日本経済新聞
強力な台風で中心気圧が低く海面を持ち上げている上、強い南西の風の影響で海面が寄せ上げられるために、記録的な高潮となった訳ですが、大阪湾は丁度南西に開いた地形ですから、南西風の影響を受けやすく、関空の位置はもろに高波を被る位置にある訳です。台風21号に関して言えば大阪市で3m29㎝、神戸市で2m33㎝を記録してますが、それだけ高波の影響を受けやすい位置に関空が立地していたことは指摘できます。

加えて埋立造成工事のときにも問題となった軟弱地盤問題による地盤沈下ですが、A滑走路で3m40㎝程度の沈下があり、一番低いところで海面から1m40㎝程度しかなく、高潮対策で堰堤の嵩上げはしているものの、航空法の制約もありいずれ限界に達します。不等沈下対策としてターミナルビル他の建屋の基礎にオイルジャッキが組み込まれていて地盤沈下に合わせて高さ調整されていることも知られています。

関空の構想段階で神戸沖案が有力だったことが思い出されます。実際に神戸市に打診されたものの、神戸市は大型船舶の航行に支障するという理由で断っております。その結果、都心から離れていてアクセスに課題がある上、漁業権の買収が必要な泉州沖に決まった経緯があります。加えて埋立工事中から軟弱地盤による地盤沈下に悩まされた訳です。南海トラフ地震の津波に対しても脆弱性があることは明らかです。

あくまでも結果論ですが、当時国際港湾として鳴らしていた神戸港も、釜山港などアジアのライバルの台頭で空洞化し、阪神大震災後、復興に必要として神戸空港建設を強引に進めた訳ですから、最初から関空を神戸沖に作っていればと思いたくなりますが、阪神大震災でポートアイランドなど神戸の埋立地で液状化現象がみられたように、震災で液状化して使えなかった可能性もあった訳で、良し悪しは簡単には決まりません。

寧ろ神戸空港ができたおかげで、連絡橋損傷の影響もあって全面復旧に時間がかかる関空の機能の一部代替が可能になります。関西3空港はコンセッション方式で運営会社が同じなのも幸いです。問題は国際線と貨物ですが、連絡橋の復旧までは貨物の扱い量は制限せざるを得ません。

連絡橋の損傷に関しては、8,000人もの人が取り残され孤立状態になったことが報じられました。神戸港の海上ルートと連絡橋の非損傷側の対面通行で対応したものの時間がかかりました。問題は足止めされた人たちの中に少なからず外国人がいたことです。彼らが帰国後にこの体験を周囲に語る訳で、中身次第で関空が忌避される可能性があります。LCCによってインバウンド需要を大阪にもたらした状況に変化をもたらす可能性はあります。

で、言いたいのは、この機に乗じてインフラの冗長性を言い立てる声があることです。無駄だとしてインフラ投資を抑制すれば、災害に対して脆弱になる、重複を厭わず新幹線も高速道路も空港も作って冗長性を高めるべきだって言うんですが、関空の現実を見ればそもそも大枚ははいて作った海上空港が脆弱だったってことの問題ウィスルーしてます。それと全国に張り巡らされた高速道路がJR在来線に与えたインパクトはかなり大きく、北海道や四国では会社存亡の危機にすら追い込まれてますが、それに留まらず東関東道の、アクアライン、館山道などの影響で房総地区の特急が淘汰された現実を見ると、首都圏と言えども影響大です。

これ他の要因として既存市街地に立地する特急停車駅周辺がシャッター通りになる一方、バイパスやインター周辺の商業集積が出現していて、高速バスはそうした郊外型のSCや道の駅に立ち寄って需要を拾っているという側面もあります。無秩序化インフラ投資の結果、地域の構造変化が起きて鉄道が取り残されてるわけです。やはりインフラ投資は過剰と評価せざるを得ません。

同時にインフラ投資は取捨選択が重要なんで、選択的投資によって相互補完を図ることは重要です。無駄な重複投資の抑制という観点から言えば、民主党政権が打ち出した高速道路無料化は評価されるべきです。北海道のブラックアウト問題でそれが見えてきます。

ブラックアウト3つの謎、問われる北電の説明責任  :日本経済新聞
3つの謎とは①苫東厚真2,4号機の停止後、一部地域王電を遮断して需給を調整する負荷遮断を行う筈。事実厚真町その他いくつかの地域で停電が報告されてますが、適切に行えばブラックアウトは防げた筈.。②2,4号機停止後、北本連携線を通じて本州から送電が開始されたにも拘らずブラックアウトを防げなかった。③苫東厚真2,4号機停止後17分間1号機の運転は続いたがブラックアウトと同時に停止。故に 1号機停止がブラックアウトの原因なのか結果なのかが不明。ということです。つまりブラックアウトの原因そのものは不明ってことです。

これもネットで泊原発が動いていれば防げたとか、安定供給のために再稼働すべきだという声がネットで吹き上がりましたが、そもそもブラックアウトの原因は不明ですし、ブラックアウト自体は電力需給のバラン頭が崩れて発電機に負荷がかかって50hzの安定したを辞できなくなり、それどころか発電機の損傷もあるので、安全装置が働いて停止したものですから、発電量の不足が原因じゃないってことが理解されてません。

加えて泊原発は活断層の存在が疑われて規制委の審査が滞っていて再稼働できない状況にあり、再稼働させるとすれば超法規的な政治判断が必要ですが、現政権にはリスクとなる判断です。寧ろ負荷遮断が中途半端だった原因として泊原発の外部電源喪失を過度に意識して中途半端な対応をした可能性すら疑われます。結果的に外部電源喪失で非常電源に切り替えられたわけで、余計な忖度でトラブルを拡大したのかもしれません。この辺は事実関係に基づく原因究明を徹底するしかありません。

仮に泊原発が動いていて、苫東厚真も1号機を休止していたとすれば、泊の2000万kwと苫東厚真2,4号機の130万kwで合計330万kwで、地震のあった夜間の需要が300万kw程度として、苫東厚真が自身で停止した状況を想定すると、過剰な30万kwは揚水発電所の揚水ポンプを動かして消化していたと思われますから、不足が100万kwで北本連携線からの給電が60万kwですから、苫東厚真1号機の35万kwと揚水発電所の発電開始でぎりぎりブラックアウトが回避された可能性はありますが、繰り返しますがブラックアウトの原因が不明である以上、断定はできません。泊原発稼働中のブラックアウトだとシビアアクシデントの危険すらあるわけです。

寧ろ昔から言われていたのが集中電源方式の送電システムの脆弱性でして、原発であれ大規模火力であれ、基幹電源としてフル稼働で効率性を追求し、出力調整は小規模火力や揚水発電で補うという考え方故に、その基幹電源が停止した時のリカバリーが困難になるわけです。これ電力会社にとっては利益の最大化になるわけですが、ライフラインを担う公益事業としてはあまりにリスキーです。欧州で自然エネルギーがブームになっている理由の1つは小規模発電を集成した分散電源方式の方が脆弱性が低いという考え方が浸透してきたこともあります。

加えて日本では日本では日本では欧州では国境を超えた広域連携が確立しており、電力の輸出入は日常的に行われています。日本では電力会社間の連携もあまりなく、北本連携線の容量も60万kwですから、泊にしろ苫東厚真にしろ基幹電源が停止した時のバックアップとしては心許ない限りです。これも直s津収益を生まないから後回しにされてきたからですが、この辺民営化後合理化で益出しに励んだJR北海道と共通の背景がありますね。

結局やみくもにインフラ投資をしても脆弱なインフラを増やすだけならば、寧ろ災害に弱い国土になるってことです。レジリエンスどころかフラジャイルになるわけです。インフラも分散投資と相互連携が問われます。

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Sunday, September 02, 2018

社畜の国の人工知能

暑さも峠を越したようですが、この暑さが今年だけのことで終わりそうにないのがつらいところ。ただでさえ高温多湿な日本で40℃は厚い風呂に入っているのと同じです。佇むだけで体力を消耗するレベル。ホントに2020年にオリンピックやるのか?死人出るぞ。

温暖化の影響は指摘されますが、現象はやや複雑で、温暖化による北極海の海氷減少で太陽輻射熱の反射が減って海水温が上昇し、その影響で偏西風が蛇行した結果、大陸のチベット高気圧が居座る一方、太平洋高気圧が押し上げられてチベット高気圧と合体。高気圧が上下に重なる形となり、強烈な下降気流が地表にぶつかる断熱圧縮という現象が起きて、気体の性質上圧力が増すと温度が上がる訳ですから、あの異常な暑さになった訳です。ディーゼルエンジンの原理ですな。多湿の日本だから山火事は起きにくいけど、積乱雲の発生で大雨は起きやすい訳で、利水優先の日本のダム治水の欠点も露呈しました。これ2015年の鬼怒川の決壊のときにも指摘された問題ですが、スルーされた結果の西日本洪水と見れば、人災と考えられます。

2年前のエントリーでお盆に家に帰るご先祖様と社畜についてですが、観念の産物であるご先祖様と違って物理的実体である社畜は、お盆シーズンの混雑や渋滞という外部不経済を引き起こす存在でもあります。ただ固定費負担の大きい鉄道事業者にとっては、長期休暇でビジネス利用が減る部分を帰省客が埋めてくれるありがたい存在でもあります。

新幹線は言うに及ばず、殆ど印刷代ぐらいしかコスト負担の無い青春18キップも、休校シーズンの普通列車の穴埋めになることから、周遊券など国鉄時代から続く企画商品が悉く廃止や見直しがされる中で存続しています。ただし2020年のオリンピックを睨むとこれが大きな障害になりかねないってことで、混雑対策が問題になってきます。まさか2020年夏の青春18は利用規制されるかも。社畜受難の東京五輪かも。

てな状況も生産年齢人口の減少で求人難となってくると、いつまでも社畜に頼る日本経済の持続可能性に疑問符が付くようになります。そこで慌てて子育て支援や外国人労働者の拡大を打ち出すものの、何度の指摘してますが、前者は支援に必要なマンパワーを取られて求人難が酷くなりますし、後者は移民受け入れを伴わない形で労働ビザの発給条件を緩和するものの、5年で国へ帰れってことになると単純労働しかできないし、労働力人口として定着できませんから、結局求人難の緩和にはつながりません。求人難で汲々とするような仕事は海外へアウトソースして付加価値の高い仕事が国内に残るような産業政策で人口が減っても1人当たりGDPの水準を維持するような政策へのシフトが必要です。とはいえこれが難題です。日経の連載コラムでこんなのがあります。

(モネータ 女神の警告)それぞれのジレンマ(2)41兆ドル、年金の自縄自縛 運用難、逃げ水の利回り :日本経済新聞
公的年金のジレンマを扱った記事です。これアメリカの話ですが、公的年金に共通するジレンマを表します。これも以前指摘しましたが、高金利時代に制度設計されて見直されないまま規模が拡張した結果、池のクジラとなって債券市場と株式仕様の双方で相場を持ち上げた結果、運用利回りが低下して運用難に陥っている訳です。米FRBが利上げしても長期金利が上がらないのは、ちょっと金利が上がると年金の買いが入って金利が下がってしまう訳です。その結果長短金利差が圧縮され金融仲介機能を低下させているって話です。株式の場合も株価収益率(PER)の低下が顕著ですから、基本的に同じ原理が働いています。

マイナス金利を導入した日本と結果的に似たような状況が出てきている訳ですが、年金の持続可能性への懸念は日本だけの問題じゃないってことです。日本の場合は少子高齢化による年金会計のストレスと解説されがちですが、日本でも大元の原理は同じです。とかく言われる日本の年金制度は賦課方式だからってフレーズに騙されちゃいけません。年金関連法のどこにも賦課方式なんてフレーズはありません。単純に高金利時代の設計で運用利回りを過大に設定した結果、積み立て不足が起きたってことで、アメリカと同じなんです。日本の場合低金利が長期間続いたこともあり、運用利回り自体は見直されてますが、それでも4.1%ですから、日銀の金融政策もあって長期金利が0%程度の現状では逆ザヤは無くなりません。

で、GPIFの国内株式や外国証券投資というリスク資産運用を余儀なくされるわけですが、当然相伴逆回転による損失の可能性がありますし、少しばかり積立金が増えたところで給付が増える可能性はないってことも押さえておきましょう。現状積立金は制度存続のためのバッファとsての資本勘定として機能しているわけですから、無理に積み立て不足を解消しようとせず、寧ろ報酬比例部分の支給上限を設けることで基礎年金部分を保全するのが現実的です。積立金は既に取り崩しが行われており、換金が容易な日本国債はともかく、国内株式や外国証券などは市況によって損失が出ることは避けられません。まして投資規模から言ってもGPIFの売りは相場を押し下げて損卒を拡大します。運用利回りを現実的なレベルに下げることでリスク投資を減らすことが必要です。こういう本質的な議論を避けて年金改革は実現しません。

少子高齢化問題と年金問題のリンクを外せば解決策が見えてきますが、労働力不足の解消をどうするかって話でAIに飛び付く議論が安易になされる現状はやはり問題です。次の2つの記事をご覧ください。

自動運転の波、公共交通に 日の丸交通とZMPが実験  :日本経済新聞
JAL、想定超すAI効果 新システム躍進 今期一転増益も :日本経済新聞
東京で自動運転タクシーの実証実験が始まったって話ですが、バス・タクシーなど公共交通も求人難が深刻化してますが、同時にウーバーやリフトはどのライドシェア対策という側面もあります。個人的ンはギグエコノミーで雇用を圧迫するライドシェアには否定的な立場ですが、いずれ規制緩和で認められるなら先回りってことでしょうけど、この思惑は失敗確実でしょう。

自動運転でも2地点間の単純なシャトル運行ならば、現在の技術水準でも可能なんで、実際大手町―六本木間を4往復というものです。一応ドライバーは乗車していて緊急対応する形ですが、なんでいきなり東京のような大都会でこれやるかなあ。大都市の道路事情は複雑で、アイコンタクトが使えない無人自動運転には不向きです。加えて光源が多くセンサーがノイズを拾いやすい環境でもあります。欧州で実施されている6人乗り自動運転コーチを特定ゾーンで走らせるって方向性が正解なんです。これなら現行の技術で無理なく可能だし、より深刻な過疎地の公共交通問題への対応につながります。

他方ライドシェアは有償運行の記録データが大量に発生することが注目され、トヨタをはじめ世界の有力自動車メーカーが提携に走るわけです。実走行のデータが大量に得られれば、それを解析することで、様々な状況に対応した自動運転ソフトが組めるわけです。世界に技術トレンドを読み間違えているわけです。

もう1つのJALのニュースが示唆するのは、AIの活用法の在り方が示されていることです。破綻後の社内改革で運航部門が各便の予約状況に応じて機材の入れ替えを機動的に行い、空席を減らしつつ機械ロスを最小化する取り組みの結果、機材繰りの最適化という航空会社にとって重要なレベニューマネジメントの基礎データの蓄積がったから、死すt無効親なわせてAIを導入したら、需要の予約精度が上がって搭乗率が向上し収益を改善したものです。しかも座席単価の高いビジネスクラスを減らしてエコノミークラスを増やしたにも拘らず、安売りチケットを減らして増収につながったものです。AIの活用は元データの質に左右されるっている身も蓋もない話ですが、アメーバ経営の浸透故の成果と言えるでしょう。

加えてAIに限らず機械化全般当てはまりますが、並行処理によるマルチタスクの実現が、労働生産性の向上に寄与して1人当たりGDPの水準維持に有効です。そのためにはマルチタスクを可能にする環境整備、IT投資に留まらず、ビジネスプロセス全体の見直しが必要なんですが、日本のマネジメント層はこの分野は無能です。

てことでAIは社畜の置き換えにはならないし、PCやスマホと同じくITリテラシーの有無で差がつくって話です。もっと言えば処理速度で見れば低性能な自分の生身の脳の活用すらできていないでAI活用なんて夢のまた夢。日はまた沈むな。

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Sunday, July 22, 2018

西のスットコドッコイ

北の次は西ですが、スト労組繋がりで八晃運輸の強豪参入に身構える両備バスのストの顛末が興味深いものです。小嶋社長のローカル路線廃止発言に反応して八晃運輸の参入反対を掲げて労微バス労組がスト通告したもので、両備側から見れば自業自得のような展開ですが、拳を振り上げた労組側も簡単に引き下がれず膠着したところ、交通系NPOのリーダーの発案で集改札ストに落ち着いたという顛末です。

集改札ストはかつて京王帝都電鉄労組が、都内で並行する小田急電鉄労組のスト不参加に対応して始めたものですが、戦術的にインパクトが後退するとして行われなくなりましたが、運行を止める本格ストのノウハウを失った現在の労組からすれば、集改札ストは有効な戦術かもしれません。要は労組が使用者側を話し合いに引っ張り出す手段なんですから、昔ながらのストに拘るのも変です。労働三権として法令でも保護されている権利なのに、使えないなら無いのと同じです。高プロ制度が成立した中で、労組が労働者を守れなければブラック企業が蔓延る結果になります。

で、この話題はここまで。スットコドッコイの本題はこちらです。

長崎新幹線、整備方式の議論長期化へ 決定先送りで  :日本経済新聞
これ何度も話題にしてますが、結局軌間可変車の採用をJR九州が断念し、孤立する九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)をフル規格で整備しちゃったからさあ大変。全区間フル規格を求める声の一方、佐賀県が強硬に反対しているのが現状です。佐賀県にしてみれば軌間可変車の採用を前提に賛成したのに話が違う津尾いうわけです。

佐賀県の言い分は、整備区間が軟弱地盤地帯なので、事業費が上振れして負担増となることを嫌っているのですが、佐賀県の態度には市bン鳥栖駅のゴタゴタも絡みます。元々予定の無かった新鳥栖駅が設置された経緯は、県域をかすめるだけの九州新幹線鹿児島ルートで負担を求められ、ならば駅を作れという条件闘争の結果なんですが、冷静に考えれば県域がほぼ福岡都市圏に属する佐賀県にとっては、鹿児島ルートの完成で在来線の線路容量が空けば増発余地が出るわけですから、そうれで十分でもあります。軌間可変車は当初大阪直通が謳われていたこともあり、これも条件闘争として賛同したものです。

しかし過去に何度も指摘しましたが、軌間可変のメカニズムは車軸の重量増となるわけですから、線路を痛めるバネ下重量の増加となる一方、車体サイズは在来線レベルですから、線路を痛めるのに輸送力の劣る厄介者なわけで、しかも最高速を270km/hとしたため、その後の新幹線高速化には対応できず、山陽新幹線を所有するJR西日本にとっては迷惑な存在というわけで、国交省も大阪直通は無理として九州内運用を言い出す始末。そうなると高価な軌間可変車を入れるメリットはJR九州にはない訳ですから、採用断念は当然です。加えて鹿児島ルートでも山陽新幹線直通のみずほやさくらは好調な一方、九州内を走るつばめは冴えない状況です。

元々高速バスが高頻度に走る中で、新幹線開業前のつばめや有明はほぼ普通運賃並みの格安回数券で乗客を繋ぎ止めていたのが実態です。新幹線の高額な料金を負担してまでの利用は少なく、在来線特急の廃止で寧ろ高速バスの利用が増えている現状ですし、それどころか新幹線と接点のない西鉄天神大牟田線が好調ということで、部分開業の長崎新幹線の悲惨な未来を暗示します。余談ですが、やはり高速バスが好調な北海道でも、北海道新幹線の札幌延伸は悲惨な結果が予想されます。

加えて仮にフル規格/ミニ新幹線の何れかで整備が決まってもという博多南線問題という難関があります。博多―博多総合車両所間はJR西日本の所有で、博多南線はJR西日本の路線として営業しているわけで、長崎sん幹線が繋がっても増発余地は限られます。博多南駅は那珂川町にとっては生命線の路線で、廃止は無理です。近くに西鉄バス中川営業所がありますが、47系統大橋駅経由博多駅・天神行きのバスで1時間の道のりですから、廃止すれば人口流出、地価下落は避けられません。

新幹線欲しさに地域の事情を顧みずに強引に進めた結果、深刻な地域の分断に直面している訳で、スットコドッコイも極まれりです。

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