バス

Sunday, March 31, 2024

もしトラよりもしドラ、鬼さんこちら

米大統領選でトランプが勝ったら?という要らぬ心配から、もしトラだのほぼトラだのと言われてますが、詳細は省きますが、2016年当時よりもトランプの勝つ確率は低いと見られます。もちろん当選の可能性はゼロとまでは言えませんが。それより日本が直面するもしもドライバーがいなくなったら?を心配した方が良いでしょう。

鬼が笑う2024年笑う鬼退治もうすぐ笑わなくなる鬼その他のエントリーで取り上げた2024年問題がいよいよ明日から本番です。さまざまな変化が既に出てきていますが、一番身近な変化はバスの減便でしょう。サイドバーで紹介した週刊東洋経済 2024年3/2号(ドライバーが消える日)[雑誌] 雑誌 – 2024/2/26の特集に詳しいのですが、トラック、バス、タクシー何れもドライバー不足は変わらないのですが、それぞれ事情は異なります。

トラックは荷主に対しての立場の弱さから運賃値上げがままならないことに留まらず、荷主側の都合で発地着地双方で待機時間が求められたり荷役時間に制限があったり、それでいて機械荷役のできない手積みを求められたりとか、とかく注文が多く無理難題オンパレードだったりします。その結果公道上での待機が発生して交通の障害になったりもします。それでも勤務時間に占める荷役時間は少なく、最大は運転時間ですが、待機時間が多数を占め、生産性を低下させています。

それ故残業時間が長くなるのですが、逆に残業手当があるから低賃金でもそこそこ稼げたりする訳です。この点はバスドライバーと共通ですが、結局残業代が生活給に組み込まれている訳で、そこへ働き方改革で残業時間に上限が設けられると手取りが減って生活できなくなるということになり、それが離職を促すという悪循環が予想されます。故に諸人こぞりて苦しむイブで取り上げた高速道のトラック速度規制を80km/hから90km/hに緩和しても待機時間が減らなければ焼け石に水ですし、事故の多発に繋がりかねません。ドライバーの賃上げを含む待遇改善が必要です。当然運賃値上げが必要になりますし、拘束時間の長くなる長距離輸送が困難になります。

そして運賃値上げはトラック輸送の優位性を損なうことになります。実はここに大きなヒントがあるんですが、海運や鉄道によるモーダルシフトの余地があるということでもあります。特に鉄道貨物は高速道の整備に伴うトラックによる長距離輸送の拡大の影響を受けてきて700㎞以上でないと競争力を発揮できないと言われてきましたが、これが500㎞程度まで下がれば鉄道貨物のシェア拡大が可能になります。つまり需要規模の大きい首都圏と近畿圏の輸送需要を取り込める可能性がある訳です。

震災でわかったJR貨物の実力で取り上げた被災地へのガソリン輸送で磐越西線に臨時貨物列車を走らせて対応したのがこれに当たりますが、非電化区間がある磐越西線でDD51重連で500t列車で効果があった訳ですから1,300t列車が設定できる東海道線の輸送力を活用すれば有効なドライバー不足対策は可能です。但しそのためにはJR貨物にひときわ厳しい態度のJR東海の壁を何とかする必要がありますが。

バスの場合は需給調整規制の緩和で新規参入が増えた結果、底辺への競争でドライバーの賃金が削られて、公務員の身分故にその流れに乗れなかった公営バスが次々に撤退を余儀なくされ、特に収益性の高い高速バスや貸切バスへの新規参入増で大手事業者ほど収支が厳しくなる一方、ドライバーの拘束時間の長くなる長距離の高速バスほど維持が困難になって一般路線維持のために収益部門を縮小するという悪循環に陥っています。故に賃上げも困難でトラックと比べても低賃金レベルにあります。大都市圏でも大阪府富田林市に本社のある金剛自動車の事業撤退など維持困難になっております。

加えてトラックとも共通ですが、待機時間の縮小で実働時間に対して長めの拘束時間を設定して営業所で待機させて、状況に応じた臨時便運行や事故や病欠の代理乗務なども制約されることから、通勤通学時間帯のラッシュ輸送にフォーカスして人を配置する都合から、早朝深夜の運行を見直さざるを得なくなり特に終車の繰り上げが繰り返されていて、都区内でも22時台、近郊では21時台だったり土休日は20時台とどんどん使いにくくなっております。

実はこうしたバスの苦境はタクシーにとってはビジネスチャンスでもあります。タクシードライバーは基本フルコミッションの給与体系ですから、需給調整規制の緩和で都市部の増車が認められた結果手取りが減っていた訳ですが、コロナ禍で外出規制が課されるといよいよ稼げなくなって離職者が増えた結果、クルマはあるのにドライバーがいないという状況に陥っていました。それがコロナ5類化で利用が戻った結果、タクシーが捕まらないという状況を生み出した訳ですが、バスの減便や運行時間帯の短縮で寧ろ稼げる職業となりつつあり、離れたドライバーが都市部では徐々に戻りつつあるのが現状です。そうした中でのライドシェア解禁はタクシー業界にとっては寝耳に水だった訳です。ですからライドシェア推進派が言う既得権益の主張というのとはちょっと違います。

元々規制だらけのタクシー業界では、例えば首都圏では白タクは普通に存在していて規制の抜け穴は元からあった訳ですが、捕まるのは大抵通報によるもので特段の取り締まりは行われていませんでした。特にバブル期の終電後の駅ではあからさまな客引きまでしていました。当時は企業も官庁も残業で終電後の帰宅揉めず粗しくなかったし、その場合の帰りのタクシー代も気前よく経費精算されました。故に稼ぎたいタクシードライバーは深夜を狙って営業してましたし、運よく長距離客を乗せればその日の稼ぎが一発でということもあり、この時代の企業タクシードライバーは厚生年金の標準報酬月額の膨張で手厚い老後資金を得て悠々自適してます。白タクはそのおこぼれを得ていた訳で、ある意味共存していたとも言えます。コロナ禍で痛めつけられた今のタクシー業過にとっては当面は損を取り返すのが精一杯の現状です。

特に二種免許の問題は寧ろタクシー業界から要件緩和の要求が以前からあって、故にライドシェア解禁の見返りとして認められたということになります。加えて当面は地域と時間帯を限定してタクシー事業者がドライバーの指導とクルマのメンテナンスと保険に責任を負う形での解禁となりました。但しこれらは都市部での話で、地方の過疎地では以前から自家用自動車の有償運行で最後の足を確保することは行われておりました。それを日本版ライドシェアと呼ぶかどうかは別として、地方ごとの特殊事情から現行制度下での工夫の積み重ねは既に行われております。という具合にタクシーを巡る事情は地域ごとに特殊で、ライドシェアの完全解禁に問題があることは明らかです。

地方ではバスの減便や廃止は以前から進み、オンデマンドバスや乗合タクシーなどの形でバスとタクシーの境界が曖昧になっている現状があります。但しこうしたささやかな取り組みも自治体の補助金で維持されているのが実態ですが、都市部のバス減便はタクシーの出番を増やすことになり、地方で起きているバスとタクシーの境界の曖昧化が波及する可能性はあります。そうするとタクシー主導のライドシェア解禁はバス事業の圧迫という別の問題を引き起こす可能性も含んでいることは指摘しておきます。こうしたことをちゃんと議論せずに拙速に導入して本当に大丈夫なのか?

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Saturday, March 02, 2024

円安でつくばとねり的ライトなリスク

来年度予算の年度内成立が確定しました。

2024年度予算案が衆院通過、年度内成立へ 総額112兆円 - 日本経済新聞
憲法の規定で予算案は衆院優越で衆院で可決成立すれば30日後に自然成立となることから、年度内成立が確定した訳ですが、23年度本予算と補正予算で予備費を大量に積み増して使い残している現状からすれば、予算成立が遅れても執行に影響することはなく、能登半島地震の復旧復興などへの影響はほぼありません。寧ろボランティアに制限をかけたりして足を引っ張っているのは国と石川県です。やるべきことをやらない責任は政府と県にあります。

寧ろ新年度予算の審議が生煮えで成立させたことの方が問題です。それでも強行採決に及んだのは岸田首相の意向が強かったようです。政治とカネ問題で炎上中で、予算審議を質に取っての追求は野党として当然の戦術ですが、衆院成立後に送致される参院の予算委でも追及されることを嫌った模様です。その為の岸田首相の政治倫理審査会への出席だった訳で、早くこの問題に蓋をしたいのが本音です。しかしあれほどキックバックとな還付金とか言っていたのに首相が裏金発言をしたから寧ろ火に油。しかも故安倍元首相が「やめよう」といっていたのに復活した経緯もかなり解像度が上がりました。やめようとしたのは法令違反の認識があったと考えられますし、それが覆った経緯が不透明で寧ろ疑惑を深めました。もはやトカゲのしっぽ切りでは済まなくなりました。

そんな政治の混乱をよそに、日銀のマイナス金利解除は確度を上げています。IMFでも好感を示すレポートが出され、同レポートで政府の財政支出頼みの姿勢は寧ろ批判されています。加えてここへ来ての日本株の好調が、日銀に思わぬ追い風をもたらします。異次元緩和機に大量購入された株式ETFの含み益が拡大しており、異次元緩和で国債市場が機能を失って利ザヤが消失している一方で、ETF売却で益出しできる環境が整った訳です。つまり仮に緩和見直しで保有国債に含み損が出ても、国債ならば期間をかけて償還を待てますが、売れば値を下げる株式ETFの売却問題は日銀にとっては重い宿題でしたが、高すぎる米株式に対して割安感のある日本株への海外マネーの流入は日銀にとってはチャンスな訳です。

あと日本株ETFを大量保有するGPIFも含み益拡大で投資ポートフォリオ見直し売りで益出ししますから、当面日本株は日銀とGPIFという大量保有機関投資家が売りポジションをとる訳で、新NISAで日本株投資を考えている人は、日銀とGPIFを助けたい人以外は考え直した方が良いでしょう。令和の秩禄処分の地雷です。とはいえ日銀の緩和姿勢は簡単には解消されないことも確かで、当面この構図は続くと考えられます。故に円安反転で円高は現時点では心配することではないでしょう。しかし円安の影響は意外なところにも現れています。

栃木の宇都宮LRT、車両追加へ価格7割高の衝撃 増発・検査視野 - 日本経済新聞
現在宇都宮ライトレールが保有する車両HU300形は17編成あり、昼間ダイヤで3編成が休んでいる状況ですが、4月に予定されるスピードアップで13編成で回せるようになる見込みで、利用が好調なこともあり、増発も視野に入ります。しかし問題は開業時に竣工した17編成は2027年に一斉に重要部検査の期限を迎えるため、期限前に一部編成を前倒しで検査入場させて輪番検査の体制を作る必要があり、その為に予備車確保で2編成の増備となった訳ですが、問題は増備車の価格です。新潟トランシス製のGTシリーズはアルストム傘下のドイツ企業のライセンス生産で、そのライセンス料と輸入部品代が円安で高騰し、実に7割高となった訳です。当然ながら今後の増発や西側延伸への対応が難しくなります。また検査時の部品交換も割高となることもあります。そこで国産メーカーで対応できないかということになります。
宇都宮LRT 福井鉄道フクラムライナー・広島電鉄グリーンムーバー改良型導入も一考の余地 - 日本経済新聞
フクラムライナーは阪急阪神グループのアルナ車両製のリトルダンサーと呼ばれる部分低床車、グリーンムーバーマックスは近畿車両、三菱重工、東洋電k製造、広島電鉄の4社共同開発の完全低床車ですが、純国産のリトルダンサーと異なり弾性車輪や駆動装置などドイツのシーメンス製部品が一部使われていて、やはり円安の影響は受けます。

宇都宮ライトレールに関しては開業に至る過程で紆余曲折があり、県と市が対立して足踏みしましたし、地場のバス大手関東自動車の反対もありましたし、自動車交通の阻害や財政支出を巡る市民グループの反対もありました。関東自動車は経営悪化でみちのりHDグループ入りし賛成に転じたものの、工事の遅れや見直しで費用便益比(B/C比)が当初の1.1から0.7へ悪化したことなども問題視されております。そうした市民の不満に対して立憲民主党と共産党が後押ししてますが、あくまでも市民グループの声を掬い上げる議会野党の役割ということで、新年度予算を質に裏金問題を追及することと同じで、国会の新年度予算強行採決の轍を踏まないで議論を重ねることが大事です。

それはさておき、元々宇都宮市の東西軸交通に新交通システム導入を検討したことから始まったLRT事業ですから、西側延伸で東武宇都宮駅に接続することが求められていて、検討過程でモノレールやAGTなどの高架式新交通システムでは事業費が高すぎるということでLRTになった経緯があります。しかし西側延伸の為にはJR宇都宮駅北側の陸橋に軌道を整備して駅西側に至り、メインストリートの大通りを通って東武宇都宮駅前から桜通十文字付近までの事業化が進められております。

但しこの区間は利用が見込める一方、バス路線が集中する区間でもあり、東側同様に並行バス路線をバッサリ切ることの難易度ははるかに高いと言えます。実際宇都宮大学陽東キャンパス、清原地区市民センター前、芳賀町工業団地管理センターの3カ所でアクセスバスとの乗り継ぎが図られ、ローカルIC乗車券のtotraで乗継割引サービスが導入されてますが、昼間12分ヘッドのライトレールに対して1時間1本のバスへの乗り継ぎははかばかしくないようです。利便性の乏しいアクセスバスよりもマイカーで停留所付近の駐車場に停めて乗り継ぐ方が利便性は高い訳で、西側の時のように関東自動車がバス路線再編に協力してくれるかどうかはわかりません。当然乗り継ぎによるバスの利便性低下は客離れを起こす可能性もあります。また資材費の高騰や建設2024年問題による人手不足もあり、すんなり進むとは限りません。

一方で宇都宮ライトレールの営業成績は上々で、開業半年の乗客数が予想の200万人を超える220万人に達し、月間の乗客数も開業景気が落ち着いて直近では37,000人程度で、これも想定の31,000人程度から2割増しですから上出来ですが、これが素直に喜べないのは、タイトルのつくばとねり的リスクってことです。つくばエクスプレス(TX)が好業績ながら沿線開発が急すぎて輸送力増強に追われ、車両増備、ダイヤ見直し、座席のロングシート化による収容力強化に追われて、構想にある東京駅延伸がいつまでたっても果たせず、寧ろ8連化に伴うホーム延伸や車両入れ替えで追加投資を余儀なくされてます。

また都営日暮里舎人ライナーも、やはり沿線開発が急で輸送力増強に追われこちらは収容力の大きいロングシートの新車への入れ替えで凌いでおり、既に限界に達し、コロナ禍で通勤ラッシュが緩和傾向にある中で混雑率ワーストとなったことは戻らない混雑で指摘した通りです。日暮里舎人ライナーは沿線にめぼしい集客施設がなく片輸送の非効率もあって2023年度の黒字転換予定が果たせずにいます。

TXも舎人ライナーも車両増備だけでは足らず車両のロングシート化で収容力を高めて対応するところまで追い込まれ、舎人ライナーではゴムタイヤの荷重制限から軽量化した新形車に入れ替えるという追加費用をかけた結果の収支見通しの悪化ですが、これ宇都宮ライトレールのHU300形がタイヤハウスの位置にボックスシートの背もたれを配置する構造からロングシート化は不可能ですから、車両の収容力強化のための入れ替えすらあり得るということですね。TX、舎人ライナー、ライトラインの豊作貧乏トリオになりかねないリスクはある訳です。業績の好調をただ喜んではいられないってことですね。

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Sunday, January 14, 2024

ガバナンス不在の政治

諸人こぞりて苦しむイブの続きですが、悪夢は続きます。

自民党安倍派「裏金」、幹部聴取は週内に終結 立件見送り公算 - 日本経済新聞
まあ予想通りの展開ですが、政治資金規正法で不記載は会計責任者の責任と定義されていて、公職選挙法で「秘書がやった」の穴を塞ぐ連座制のような規定がない以上、会計責任者の在宅起訴で幕引きとなることはやむを得ない部分があります。

一方インフレは続くよどこまでもの大川原化工機事件のように、証拠を捏造してまで冤罪事件を起こしたのも検察ですから、検察のダブルスタンダードですが、あまりここを突っ込みすぎると選挙で選ばれた議員を同様に追い込んでよいということにもなりかねず問題があります。政治資金規正法の改正で穴を塞ぐ立法府の出番ということで、26日召集の通常国会が注目されますが、能登半島地震の対応も含めて政権にとっては茨の道になりそうです。加えて検察の立件空振りで国民の怒りが収まらない状態で選挙はしたくないでしょうから、解散風を吹かせて政局をコントロールすることもままなりません。どうするキッシー?

その能登半島地震ですが、これまでにも増してデマ情報がSNSで拡散されていて問題ですが、そもそも正確な情報が少なく、被害の程度が酷いものだということが後になって明らかになる傾向から憶測を呼ぶことになると考えられます。典型的なのがれいわ新鮮組の山本太郎議員の被災地入りを巡るバッシングですが、被災地入りした政治家は山本議員だけではなく、複数の議員が被災地入りしており、政府発表やニュースでは伝えられない情報を発信していて、これによって情報の解像度が上がる訳で、叩く理由はありません。その中で山本議員1人だけを叩くというのはおかしなことです。

一方北陸電力志賀原発を巡る放射能漏れ疑惑のような言説も流布しておりますが、政府がドローン飛行禁止を打ち出したり、モニタリグポストの機能していないことを以て、重大な事態を隠しているんじゃないかという疑惑がエスカレートしているようですが、現時点で放射能漏れが起きているという事実は確認されておりません。とはいえ地震直後に「異常なし」の発表があった後にトラブルが発覚するという福島第一原発事故を彷彿させる情報隠蔽姿勢がこうした流言を生み出したとも言えます。

志賀原発が過去様々なトラブルを重ねて運転停止を繰り返し、情報開示も問題だらけという点も憶測を生んだ原因でしょう。以下wikiからざっと拾ってみます。

1993年2月に能登半島沖地震発生、7月に1号機運転開始
1997年には配管溶接部のトラブルと使用済み燃料輸送容器に関するデータ不正が発覚
1998年1月に復水器細管漏洩で手動停止
19999年6月に非常用ディーゼル発電機のクランク軸ひび割れ、更に定期点検中の臨界事故でデータ改ざん、対外報告を怠り8年間隠蔽、原子炉自動停止後の必要な措置を行わないなどの不正
2000年1月にy2kでシステム障害
2003年6月に定期検査中に配管の水があふれて作業員が浴びる事故
2004年6月に廃棄物処理施設洗浄中に水漏れで160万ベクレルの放射線漏れ
2005年3月に国の地震調査委員会が建設中の2号機炉心近くの断層の危険性を指摘、4月に地滑りで送電線鉄塔倒壊
2006年1月には試運転中の2号機で原子炉隔離冷却系の開閉試験で全閉できず運転停止、3月それでも2号機営業運転開始、直後に金沢地裁が運転差し止め請求訴訟で差し止め命令、6月に原子力安全・保安院が中部電力浜岡原発5号機ののタービン羽損傷を受けて同型の志賀原発2号機の点検を指示し7月に運転停止して点検の結果ひび割れが確認され、9月に2号機高圧タービン室に粒状金属発見、11月に1号機定期点検中に発電機付属装置の冷却ファンに記録用紙が吸い込まれ一部が残り運転監視中に異常振動で手動停止、同月2号機の耐震裕度向上工事着手
2007年3月に能登半島地震で1号機の使用済み燃料貯蔵プールで45リットルの水飛散、放射線量約750万ベクレル、7月に新潟県中越沖地震発生で志賀原発でも震度4でも1,2号機とも運転停止中
2008年に2号機の再起動も気体廃棄物の水素濃度上昇で出力低下で手動停止の後再起動、7月に1号機の耐震裕度向上工事着手
2003月3月に大阪高裁金沢支部が2号機運転差し止め請求を棄却、1号機の再起動を申し入れ起動、4月に気体廃棄物処理系でキセノン133が通常の10倍も監視運転継続して好感度オフガスモニタの異常値で通常の約200倍で出力を下げて漏洩燃料の範囲特定作業、石川県と志賀町も立ち入り検査、11月に調整運転中の2号機の非常用ディーゼル発電機で潤滑油洩れ、12月にも再度の潤滑油洩れ
2010年10月に2号機運転差し止め訴訟で最高裁により住民側の敗訴確定
2011年1月に2号機の原発格納容器内の冷却器凝縮水量が低下して手動停止、2月に1号機の原子炉再循環軸封部の第2段シール圧力増加で部品交換のため運転停止、3月の東日本大震災時には2号機の定期点検で1,2号機とも運転停止中、4月に福島第一原発級の緊急時対応訓練実施、8月に北陸電力が破砕帯周辺の地殻変動と地震発生状況の報告書提出
2012年6月に石川県と富山県の住民から1,2号機の運転差し止め請求訴訟で金沢地裁に提訴、7月に原子力安全・保安院が破砕帯の調査計画提出を命じる
2013年5月に1号機の低圧タービンにひび割れを確認7月に新しい規制基準が施行、12月に前年い保安院から指示された破砕帯調査の最終報告書提出
2014年8月に原資慮億規制委員会に2号機の適合性審査を申請
2015年3月に原子力規制委の有識者調査団が敷地内断層が活断層の可能性を指摘、9月に2号機建屋内に雨水侵入
22019年7月に構内の防災敷材倉庫付近で電源車火災が発生し自主消火
2021年8月に2号機安全装置不具合を発表、主蒸気隔離弁の基板故障で7月に警報を確認していた
2022年6月に能登半島で地震発生、令和6年地震に連なる群発地震の始まり
2023年3月に原子力規制委が2号機の敷地内断層を活断層でないとする北陸電力の主張を妥当と判断、5月に能登地方で地震
2024年1月に令和6年能登半島地震発生
今回の地震の原因と見られているのは地層の流体上昇圧力によるものと見られております。太平洋プレートがユーラシアプレートの下に潜り込むときに一定量の海水も取り込み、地価の高温高圧に晒されることで上昇圧力がかかるもので、その結果タイル状に並ぶ隣接地殻を繋ぎ止める目地が壊れて地震になる訳で、今回は能登半島北部の未知の断層が動いたものとされております。当然ながら近隣の断層にストレスがたまりますから、今後も余震が続くということになる訳です。

正月早々の躓きで見たように志賀原発のトラブルは多発しており、今後の群発地震の影響もありますから、補修計画も作りにくいですし、北陸電力が規制委から得た「活断層ではない」というお墨付きもチャラになり断層の調査はやり直しです。とにかく地殻が大きく動いて最大4m隆起し水平方向に1.2mズレた訳で、その結果海岸線の形が変わり、多数の港が接岸不能となって災害支援活動を支障している状況です。

しかも北陸電力は今回の震源地のほぼ真上に当たる珠洲に原発を作ろうとしていた訳で、仮に完成し稼働していたら、福島どころじゃないシビアアクシデントになっていた可能性もあります。加えて道路の寸断で避難計画の実効性もなかったことが明らかになりました。今後志賀原発の廃炉が議論の対象となることは避けられません。

当然ながら鉄道の被災も深刻で、JR七尾線と三セクののと鉄道も路盤のずれで線路が曲がり復旧が困難な状況が続いています。その中でのこのニュース。

【能登半島地震】JR七尾線、羽咋まで15日再開 七尾は22日以降 - 日本経済新聞
高松以北が運休となっていたJR七尾線は15日に羽咋まで復旧、七尾までは22日以降ですが、和倉温泉までは見通しが立っておりません。当然ながら線路を共有するのと鉄道も復旧の見通しが立っていない状況です。JR西日本とのと鉄道の資金力の差も気になりますが、一方で北陸新幹線敦賀延伸開業が3月に迫る中で、並行在来線絡みの動きもあります。
富山の城端・氷見線再構築案決定 北陸、残る4線が次の課題に - 日本経済新聞
並行在来線としての切り離しを免れた北陸のローカル線のうち城端線と氷見線をあいの風とやま鉄道が引き受ける形でJRから切り離されます。同様の問題は七尾線、高山本線、越美北線、小浜線でも浮上しております。小浜線の場合は孤立線ではないですが、新大阪延伸時の小浜京都ルートを想定した並行在来線となる訳ですが、小浜ルートに固執する福井県の対応が見ものです。

七尾線に関してはIRいしかわ鉄道の引受ですんなり決まりそうですが、七尾―和倉温泉間を共有するのと鉄道との調整をどうするかが難問です。加えてサンダーバードの和倉温泉直通もなくなる訳です。逆に言えばJR西日本は早く決着をつけたい筈です。しかし震災復興にはマイナスですし、ましてのと鉄道の存続も危ぶまれます。石川県の判断はどうなるでしょうか。

かつて水害で長期運休した越美北線も、当時は北陸新幹線の金沢以西が事業化の見通しすらなかった時代に、沿線自治体が住民の定期券購入補助を行うなどの条件で西日本JRバスの専用営業所を現地に設置して代替輸送を行うなどした路線ですから、ここへ来ての切り離しには当然抵抗があるでしょう。なまじフル規格で整備したために地域に難問がのしかかります。政治のガバナンス不在はこんなところにも影響している訳ですね。

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Sunday, December 10, 2023

後手後手の後出しジャンケン

ドイツの後塵に留まらず順調に衰退しています。

揺らぐ世界最大の債権国 日本円に2つの2024年問題 - 日本経済新聞
過去の経常収支黒字の累積としての債権国日本ですが、その世界一の地位もドイツに明け渡します。ユーロ圏のドイツと違って自前の通貨を発行する日本にとっては、通貨の信任を担保する要素が1つ減ることを意味します。これは円安要因です。

経常収支黒字は続いてますが、貿易収支は赤字と黒字の行き来するイーブンの水準に後退してます。電機産業の衰退で特にパソコンやスマホといったハイテク製品の輸入超過に加えて、コロナ禍の影響もあってワクチンや医薬品などの医療品の輸入超過で帳消しとなっております。加えてサービス収支の悪化もあります。これは主にクラウドサービスなどデジタル関連サービスの海外(主にアメリカ)依存の結果で、水準としてはインバウンドによる旅行収支黒字の倍の赤字です。国内企業や個人の海外資産の配当に当たる所得収支の黒字で辛うじて経常栗字を維持している状況です。つまり国内の稼ぐ力が減衰していて実需でも円安が定着していることを意味します。それを踏まえて見るべきニュースです。

円乱高下、一時141円台 4カ月ぶり高値 - 日本経済新聞
為替が円高に振れて円安の終了という見方がされてますが、円安の地合いは変わりません。相場が乱高下したのは米FRBの利上げ打ち止め観測によるドル高ポジションの修正と日銀の緩和修正先取りという投資家の2つの動きが重なった結果ですが、141円台まで円高が進んだ後144円台まで戻しているように、結果的に相場の修正は起きたものの、円安傾向を逆転するほどの話ではありません。超インフレでも経済成長しているトルコリラ以上に円の実質実効レートは下がっています。故にこうなります。
消費の再点火、成長持続の条件に 7〜9月期GDP下方修正 - 日本経済新聞
個人消費の弱さから下方修正されたものですが、円安によるインフレに賃上げが追い付かず実質賃金が下がっている状況では当然の結果です。しかもガソリン、電力、ガスの補助金や原油価格の下落があっての結果ですから深刻です。日銀政策変更は来年の春闘後と考えられますが、インフレ率を越えるとなれば5~6%程度の賃上げ水準が必要ですが、そうなると賃上げを原因とする供給制約によるコストプッシュインフレが起きます。2024年問題で人手不足が深刻化するとしても達成が困難な水準ですし、仮に達成されてもインフレは寧ろ進むことになります。つまりどのみち日銀は緩和修正を迫られます。

という訳で後出しジャンケンで後手を踏むドツボに嵌っているようにしか見えない状況は減税くそメガネで予想した通りで、世論を気にして所得減税を打ち出したら叩かれ、地方選挙の江東区長選でSNS広告打って選挙違反を問われ、更に派閥パーティを巡る裏金疑惑という決定的な問題で政権は迷走しています。

安倍派パーティー「裏金」数億円か 週内に捜査本格化 - 日本経済新聞
法的には派閥パーティのパーティ券の議員個人の販売ノルマを超えた分のキックバック自体は違法ではないのですが、それを個人の政治資金収支報告書に記載しなかったことが問題視され地検特捜部が捜査している状況です。パーティ券販売自体は野党議員もやっていることで、立憲安住議員の30万円の記載漏れも報じられましたが、安倍派議員の記載漏れの金額が数百万から一千万単位という数字で、仮に1千万円とすれば1人5万円のパーティ券を200人分余分に売ったことになりますから、1回のパーティでは無理な数字ですからうっかり記載漏れという言い訳は通用せず、何回も意図的に不記載を繰り返していたとしか考えられない訳で、その分が裏金となっている訳でかなり悪質です。

また法的にはパーティで政治資金を集めることは禁止されていませんが、まとまった額を得ようとすれば構成員の多い企業や団体に頼ることになりますから、政党向け以外は禁止されている企業団体献金の抜け穴になっている可能性もある訳で、そうして恩を売られた議員はパーティ券を引き受けた特定の企業団体に便宜を図ることになる訳で、利権政治の温床でもあります。故に真っ直ぐ問題解決に繋がらず、寧ろ特定利害を保護する骨抜きがされる訳です。例えば旧統一教会の解散命令前の財産保全を狙った法整備でもそうなりました。こうして既得権益が保護された結果の日本の停滞ならば、選挙で変えられるということでもあります。例えばこんなことも。

公共工事、物価高超す増額頻発 国発注の4割で計5.2兆円 - 日本経済新聞
資材高や人手不足で事業費が膨張すること自体はやむを得ないことですが、問題は過程が不透明なこと。事業ごとに相対で増額が決まるもので、物価スライドのようなルールに則ったものではありません。例えば辺野古の新基地建設や大阪関西万博関連などのようにどんどん予算が増額する一方、再三取り上げてますがローカル線の存続や都市部でも顕著なドライバー不足によるバス減便など、国民生活にリアルに支障が出ている問題に対しては予算がつかない現実があります。あるいは事故起こしたオスプレイには予算がつき意味のないトマホーク購入も予算化されようとしている訳です。流れを変えるには主権者たる国民が覚醒する必要があります。

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Sunday, December 03, 2023

遅れるのは万博だけじゃない

田代の水で取り上げた大井川の水問題が前進しました。

リニア新幹線、静岡県の川勝平太知事が「JR田代ダム案」賛意回答へ - 日本経済新聞
川勝静岡県知事も同意しており、一つ問題がクリアされたとは言えます。但しこれで着工とはいきません。南アルプストンネルの湧水量を調べるボーリング調査の結果如何では、湧水量が想定を超える可能性もあり、そうなると田代ダムを管理する東電の同意が微妙になります。故に静岡県は調査の継続をJR東海に求めて釘を刺しております。基本的な方向性が決まってもすんなり着工とはなりません。

加えて静岡工区以外の工事遅れの問題もあります。工事現場のコロナクラスター感染や仲良きことの調布市の外環道トンネル工事の陥没事故の影響で東京や名古屋の大深度地下トンネル区間の工事も止まりましたし、怪運国債市場の蓋のウンコクサイ万博工事と同じ2024年の働き方改革問題もあります。当然事業費の膨張もある訳で、当初名古屋まで5.1兆円大阪まで9.1兆円として見積もった事業費では足りず、大阪延伸前倒しのための財投資金3兆円にも手を付けてる状況です。大井川の水問題で遅れているというメディア報道とは裏腹に見通しの立たない状況に変わりはありません。

加えて東海道新幹線の乗客数がコロナ前の水準に戻らず、こうなるとリニアが本当に必要なのかすら問われます。私は元々人口減少下で将来の需要増は見込めず無駄になるという立場でしたが、コロナ禍で変化が前倒しされた形です。それでも週末の観光利用が好調で採算面の回復はあります。特に京都観光の外国人によるインバウンド需要は旺盛ですが、ジャパンレールパスによるのぞみ乗車を認めなかったことや予約の取り方などの不案内もあって、外国人は安くて空いてるこだま自由席の利用に流れています。ジャパンレールパスの制限は見直されたものの、この傾向は続いているようです。つまりビジネス利用が減ってスピードは必ずしも問われず、寧ろ車窓の変化が売りになる東海道新幹線の方が観光客にはうけるサービスってことです。明かり区間の少ないリニアでは取り込めない需要です。一方でJR東海以外のJR各社のローカル線問題が深刻度を増しており、今年もJR東日本と西日本で線区別乗車密度と営業係数が発表されました。

東北のJR東日本ローカル線、22年度も利用低迷 - 日本経済新聞
JR西日本の中国地方路線、経営依然厳しく 20〜22年度収支 - 日本経済新聞
何れも自治体との協議を模索しており、国も法改正して後押しっしておりますが、廃止ありきを警戒する自治体との協議は進んでおりません。そして国鉄時代のローカル線問題以上に厄介なのはバス事業の苦境です。
バス路線、都市に迫る崩壊の波 失われる「生活の足」 - 日本経済新聞
コロナ禍による乗客減に加えて燃料高やドライバー不足と四面楚歌状態で都市部でも減便が相次ぐ中で、過疎地の鉄道を廃止してバス転換することが困難な状況になっている訳です。特にバスドライバーは大型二種必須と資格条件が厳しい一方、年収ベースで全産業平均の2割安という賃金水準ですから人口減少は核より怖いでも取り上げたように若手が目指さないから新陳代謝が進まず高齢化で先細り確実という状況です。そうなると京都以外の観光地に観光客が行きたくても行けない状況となって地域の衰退を助長することにもなります。

観光の観点からは仮に開業すればリニアの体験乗車である程度需要は稼げるでしょうけど、それだったら現在の山梨実験線で営業すればプラチナチケットとして高く売れるでしょう。つまり現状でもマネタイズは可能となればリニアを完成させる意義はますます曖昧になります。人口減少の現実を踏まえればリニアは本当に必要か?という問いを発せざるを得ません。

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Sunday, November 26, 2023

人口減少は核より怖い

AIの生産性改善効果に疑問を示した勤労感謝にAIは勝つ?に関連したニュースです。

ハリウッド俳優組合、生成AI利用のルールや報酬で合意 - 日本経済新聞
ミッションインポシブルの公開が遅れたことで話題となったハリウッド俳優組合のストが生成AIの活用ルールや報酬に関して合意したというニュースです。AI開発が進むアメリカでは既に労働市場への影響を睨んだ動きが出てきて既に成果が出ている訳ですが、それに引き換え日本ではこうした動きはありません。

主演のトム・クルーズが自らスタント演技までして体を張った映画も、生成AIを使ってサンプル演技から生成してできるなら、配給会社としては劇的なコストダウンになりますし、トム・クルーズのような余人に代えがたい大スターを起用しなくても済むとなれば映画製作費は著しく下げられますが、そんな映画を劇場代を負担してまで見せられる観客もいい面の皮ってことになります。それに一定の歯止めを課した訳です。

一方の日本ではDXにしろAIにしろ人手不足対策として活用が叫ばれますが、元々のハイスキル人材には改善効果が出にくい一方、ロースキル人材ほど改善効果が出る訳ですから、若い人がコストのかかるハイスキル習得のインセンティブを失わせます。つまりまかり間違えば中長期で人材の質的劣化が進むということです。例えば不足が言われるバスドライバーになるために普通免許からステップアップして大型二種を取得する若者が減って補充されなくなれば、現役ドライバーの高齢化が進み引退や離職もあってドライバー不足によるバスの減便が反転する展望がない訳です。

自動運転技術の進捗によってドライバー不足を解消できるかと言えば、開発スピードや制度見直しの難しさもあっておそらく間に合いません。まして大型バスの自動化の難易度の高さは言うまでもありません。唯一可能な対策があるとすればスキル取得のコストに見合った報酬を約束することで経済インセンティブとすることぐらいです。

それに留まらず雇用のミスマッチ解消のためのリスキリングにも影響するでしょうし、そもそもAI開発ができるハイスキル人材が育ちません。オープンAIの騒動が示すハイスキル人材同士の摩擦も日本では起きない訳です。少子化の最大の原因は教育コストの上昇にある訳で、先進国ではほぼ共通しています。教育資金が高騰して子供を持つことが贅沢になっている訳です。それでいて大学まで終了して社会人になっても生産性の低い日本企業で安月給で我慢するしかないとなれば尚更です。かくして人口ゼロの未来へ向かって進むことになります。これある意味核戦争より怖い話です。安全保障面でも戦う兵士がいないという現実がある訳です。そんな日本でこんなニュースです。

北朝鮮衛星、ロシアが技術支援か 通告期間前に発射 - 日本経済新聞
偵察衛星打ち上げを事前通告していましたが、通告期間前の発射で北朝鮮は衛星軌道に乗せたと発表しておりますが、現時点でその真偽は不明です。但し成否にかかわらず米韓を揺さぶる心理戦の材料にはなる訳で、北朝鮮にとってはとりあえずそれで十分でしょう。抑止力は手札を立てて相手に疑心暗鬼を生むポーカーゲームですし。

そして沖縄にJアラートが発出されました。成長しないこどもの日本で触れましたが、元々災害が予想されるときに該当地域住民の避難を促す警報として総務省消防庁所轄のシステムにミサイル警報を乗っけたもので、防衛省から官邸を経て発出の指示が出されますから、タイムラグが発生すると同時に、発出の基準も恣意的になりやすいこともあります。今回も衛星打ち上げと予告されていたのにミサイルとして警報が出された訳ですが、沖縄では逃げ込める地下道などがない訳でただ住民を不安にさせただけです。それが狙いなのかもしれませんが政治的意図を感じます。

そんな中で内需が枯れていくことは避けられず、将来の増収を見込みにくい鉄道各社ですが、実際コロナ明けの増収局面でも利用はコロナ前に戻りません。特にリモートワークの進捗で出張などのビジネス利用が戻らない新幹線で顕著です。故にJR東日本では最初から戻らないことを前提に輸送事業比率を下げて不動産とSuicaを軸とするシステム関連事業拡充を打ち出しております。元々人口減少を視野に入れていたので、計画を前倒しした形ですが、減収に関わらず借入金で投資を前倒しする一方、オフピーク定期券の導入で需要分散を図ってピーク輸送力増強投資を抑制するといった形でメリハリをつけています。また新幹線による荷物輸送サービスを試行して収益化を模索するなどしておりますが、短期的には厳しい現実があります。

東北のJR東日本ローカル線、22年度も利用低迷 - 日本経済新聞
震災復興も道半ば、原発事故の影響で操業がままならなかった漁業の再開のタイミングでの福島第一原発処理水海洋放出に伴う中国の輸入禁止で打撃を受けたことに留まらず、コロナ明けのインバウンド復活でも外国人客は富士山や京都を目指し東北には向かわないから恩恵は限られ、東北のローカル線事情は厳しさを増しています。陸羽東線や花輪線では一部廃止でミッシングリング化する危機もあります。

地方の過疎化は高齢化と共に進んでますが、逆に言えば高齢化予備軍の世代が少ないからいずれ高齢化は止まります。そうすると逆に地方の社会インフラや古民家が資源として若い世代が活用できる余地が出てきます。その萌芽は四国徳島県の神山村で見られますが、何もない地方にブロードバンド回線を整備して移住者を受け入れた結果、日本版シリコンバレーと言えるような尖った人材が集まってきています。

こうした大都市と地方の逆転現象は、大都市での子育てのコストが嵩むこともあっていずれ他の地方でも起きる可能性があります。人口の多寡にかかわらずハイスキル人材が集まれば高齢化で停滞する大都市をしり目に、高齢者がいなくなった地方の方が地域が成長する余地もあります。ただそれまでに鉄道などのインフラが維持できるかどうかは微妙ですが、鉄道に限らず道路や橋などの社会インフラをどう維持するかは重要ってことです。戦略的に考えるならミサイル買うよりこっちに金回せよ。

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Thursday, November 23, 2023

勤労感謝にAIは勝つ?

「心配ないからね」とはいかないAI開発を示したオープンAIの騒動はこうなりました。

OpenAI、サム・アルトマン氏がCEO復帰 理事会大幅刷新へ - 日本経済新聞
元々汎用AI開発をで人類への貢献をミッションに掲げるNPO法人として発足し、大手ハイテク企業の市場独占や軍事利用、サルとロバの法螺吹き合戦で触れたデマ拡散などのネガティブなものを排除して人類に貢献するというその姿勢に賛同した多くのITエンジニアが集まりました。

当初はその名の通りオープンソースでの開発を目指し、開発過程をオープンにすることで悪意ある開発を排除し、競争環境でハイテク寡占の弊害を除去できるという見通しを示したものの、少数でも悪意あるエンジニアが開発に関与することでミッションが台無しになるというジレンマに気付きます。故にソースを公開しない形の開発にシフトする訳ですが、この点には賛同できないエンジニアもいる訳で、オープンソースでボランティア的に開発することで低コストで開発できるというメリットも失われます。

という訳でNPOが研究開発費を手当てするために営利目的の子会社を設立して営利部門を担わせる形になり、その子会社にマイクロソフトが提携のために出資するという形で関係が築かれ、大規模言語モデルの生成AIとしてGPTを開発しリリースした訳ですが、そうなると開発のスピードが速まって、しかもマイクロソフトという大手IT企業を利する形で事態が進捗することにNPOの理事たちが不安を覚えてブレーキをかけたということのようです。

マイクロソフトとしては折角掴んだ金の卵をやすやすと手放す訳にもいかずNPOの理事たちの説得と共にアルトマン氏を研究員として雇用するなどして動いた訳ですが、そこへオープンAIの従業員からアルトマン氏復帰を求める声が上がり、9割超の署名が集まりました。アルトマン氏はエンジニアの人望が厚かったようです。結果的に理事会が折れて決着し、加えて6人の理事の半数の3人を入れ替え、1人はマイクロソフトから送り込み、ガバナンスを安定させる手当もした訳です。

この一連のニュースで感じたのは、AI開発でアメリカが世界を大きくリードしている現実です。中国に限らず日本でもAI開発でアメリカを追う訳ですが、そこで語られることが例えば日本では人口減少をカバーする生産性向上策だったり、人間は労働から解放されると言われる一方、労働者から労働を奪うと反対されるなどのレベルの議論が中心ですが、アメリカではその先を行っていて、人類に貢献するAI開発というミッションと本気で格闘している人たちがいるということです。おそらく中国も日本もこの領域に達することは困難でしょう。

という訳で、勤労感謝の日だし、AIが労働市場にどんな変化をもたらすかという視点で見ると、AIへの期待は主に人口減少に伴う労働力不足の代替ということになります。経済学で言うところの資本装備率を高めて労働生産性を高める効果が期待される訳ですが、工場労働がロボットで代替されたように頭脳労働がAIに代替される訳ではありません。AIは単なるアルゴリズムですから、それ自体には創造性はなく、創造性が求められる頭脳労働は原則代替できません。

わかりやすい例として進化著しい自動翻訳で見てみると、マニュアルや技術解説書のようなものは自動翻訳の後に人間がチェックすることでほぼ問題ないレベルの翻訳が可能ですが、機微が表現される文学作品などは難しいということになります。故に翻訳家の仕事は無くなりませんが、従来はそれ故にハイスキルを求められていた翻訳家ですが、スキルの低い人が参入できる分野ができることで翻訳家は増えて結果的にハイスキルの翻訳家も含めて競争激化で報酬が下がるということが起きる訳で、AIに労働が奪われることはないとしても賃金は下がるということになります。これ事務仕事でも営業職でも結局ハイスキルの人ほどAIによる労働生産性効果が得られず、ライバルが増えて賃金が減ることを意味します。日本の場合で言えば連合などの労働団体こそAI問題に向き合う必要がありますが、現実はお寒い限りです。

そしてドライバー不足から自動運転への期待も高まりますが、気になる動きがあります。

自動運転事故、刑事責任の基準作成へ 実用化へ懸念払拭 - 日本経済新聞
記事にもあるようにあくまでも企業の参入障壁の緩和に力点がある訳で、ドライバー不足を錦の御旗に緩和を模索する動きです。ドライバー不足問題は働き方改革の例外扱いが2024年で終了することに伴って注目されましたが、それ以前に生産年齢人口の減少と需給調整規制撤廃による参入自由化の影響で賃金が下がり、そもそもなり手が減っていた中で、経過措置として2024年まで猶予され、企業は様々な対策を講じているものの、報酬アップだけはスルーされています。低報酬故に残業でやっと稼げるのに残業の上限が規制されれば収入源となる訳で、そこには手をつけずに対応すしようとするから無理がありますし、当然若者も免許取得のコストに見合わないから担い手は枯れる一方で、ドライバーの高齢派だけは進むという状況です。簡単にはいかない現実があります。

そもそも道路は公共空間な訳で、公共空間の私的利用には当然ながらルールが必要なんですが、オリガルヒの叛乱で取り上げた電動キックボードの解禁もレンタル事業者の便宜を優先した結果ですし、ユニコーンの馬脚で取り上げたライドシェア問題もそうですが、公共空間を利用した営利事業に規制がかかるのは当然のことです。実際ロンドンをはじめ欧州の大都市では営業許可を採取れていなかったり、規制のないアメリカでもライドシェア絡みの事故は多数報告されています。故にドイツの後塵で取り上げたカリフォルニアの自動運転車の事故に関わらずウーバーよりは安全と評価されてたりします。ライドシェアにしろ自動運転にしろ上述の翻訳家の例のように結果的に低報酬化をもたらすものについては、労働団体が問題意識をっ持つことが必要です。

公共空間としての道路という視点ではどうする縦割りで取り上げた宇都宮ライトレール(以下ライトラインと記す)の問題も関わってきます。同エントリーで記したようにライトラインは新設軌道に見える区間も道路扱いで全線併用軌道となっており、故に軌道法の規制で目視運転を前提とする40km/h規制を受けている訳ですが、出かけて試乗してみました。

とりあえずは40㎞/h規制でゆっくり走っており、交差点信号に黄↑赤×の二位式軌道信号が併設され、その他両終端のシーサスクロッシングと平石、グリーンスタジアム前のポイント部に軌道信号がありましたが、閉そく信号に相当する信号は見当たらず、列車間隔を制御するシステムはどうなっているのかはわかりませんでした。また信号に引っかかることもあり、電車優先信号が設置されているようにも見えません。現状では電車の表定運行時分に合わせて交通信号を調整しているだけのように見えます。現状はLRTというより通常のトラムの域を出ておりません。

現状道路上の目視運転で自動車の軌道敷内通行を規制している状況ですが、公共空間として緊急車両の通行帯として軌道敷が利用されることなどを踏まえれば目視運転のままのスピードアップは問題があります。おそらく何らかの対応は取られるのでしょうけど、ならば何故開業時から併用軌道50km/h新設軌道70km/hで開業しなかったのか、その辺の事情が明らかになっておりません。当然ながら専用路を走る鉄道と違って自動運転は簡単ではありません。自動車の自動運転が俎上に上る中でのライトラインの評価には難しさがあります。

また並行バス路線をバッサリ切って宇都宮大学陽東キャンパス、清原地区市民エンター前、芳賀工業団地管理センター前で途中乗り換えとしたことに対する評価は時間がかかるとしても結果的に公共交通利用が増えて渋滞が解消することがゴールということも踏まえておく必要があります。地元のバス事業者の関東自動車は出資と共にバス路線再編でドライバー不足が緩和されたとしてますが、乗換を嫌って乗客が減るようであれば本末転倒なのは言うまでもありません。未だに市民や鉄ちゃんの試し乗りと思しき乗客が見られるのが気がかりです。当然ライトライン自体の運行維持という新たな負担も負う訳です。

という訳でAI時代になっても労働力不足を解消できる訳ではなく、労働から解放されるといった楽観論がいかに非現実的かということは間違いなく言えます。AIもLRTもシステムとして社会にどう実装されるのかが大事ってことです。

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Saturday, November 11, 2023

ユニコーンの馬脚

ちょっとだけ中東のニュース。

米軍、シリアのイラン関連施設を空爆 「自衛目的」 - 日本経済新聞
中東に多数ある米軍施設にイラン系の墓相組織が攻撃を仕掛けたから報復したという公式発表。イスラエルとハマスの紛争中にややこしいことをしますが、あくまでも米国の問題ということです。欧米の対テロ戦争回帰で指摘したようにイスラエルはアメリカの劣化コピー版ですね。自衛権を反撃権に読み替えているとしか思えません。そんな国からミサイル買うぞと意気込む日本ですが、反撃能力のリアルはこれだぞ!
米WeWork破綻 金利上昇の重圧、不振企業の倒産増 - 日本経済新聞
資本主義と民主主義の微妙な関係で取り上げたWeWorkが遂に破綻しました。伝説の一角獣ともてはやされた会社が実はロバだった^_^;。ニューヨークなど大都市のオフィスをシリコンバレーのハイテク企業に倣ってカフェ風のお洒落なレンタルオフィスに改装してビジネスパーソンの交流を促し、イノベーションをもたらすという狙いだったようですが、賃料の高い大都市でド田舎だから可能なシリコンバレーのゆとりあるビジネス環境というのはどう見ても無理があります。所詮低金利カネ余り時代の仇花だったってことですね。

そしてこんな企業をユニコーンと持て囃してソフトバンクが出資して損している訳ですが、追加出資したものの、コロナ禍でリモートワークが拡大して利用者が減り、回復しないまま賃料は上がる一方で、FRBの利上げで借入金の金利上昇で事業継続が困難になり破綻処理となりました。ソフトバンクグループは英半導体企業のアームの上場で潤っており、やっと赤字脱却が見えてきたとはいえ、孫正義氏の目利き力はこんなもんなのかも。

そしてやはりユニコーンと持て囃されたウーバーも日本では食事宅配のウーバーイーツがメインという状況で、コロナ禍による外食規制で寧ろ追い風だったようですが、本業のライドシェアは日本の道路運送事業法に阻まれて事業展開が滞っております。それがここへ来て日本でも地方のタクシードライバー不足問題から規制改革会議で議論されており、政府も前のめりなのは減税くそメガネで記しました。

ポンド飛び出し円の切れ目で取り上げた京丹後市久美浜町のウーバーの事業に関しては地方のタクシードライバー不足を言うならいの一番に参照すべき事例ですが実績が公表されていない一方、国家戦略特区として特認を得た兵庫県養父市の「やぶくる」で河野行革相がこんなこと言ってます。

地域交通「喫緊の課題」 河野デジタル相、兵庫の特区視察 - 日本経済新聞
流石に国家戦略特区の指定事業なので非公表という訳にはいかなかったようで、視察時の記者会見で年間400人の利用があったことが明かされました。1日平均1人強という微妙な数字です。300余の基礎自治体の一定割合が視察したとすると、この程度の数字は行政関係者の視察でかなりの部分を占めると考えられますから、一般利用者の実数はかなり悲惨なものと言えます。過疎化で需要自体が蒸発したとしか言えません。

元々過疎化でバスの撤退が問題化していて、多くの自治体でデマンド交通の取り組みが行われております。ザックリ言えばバスとタクシーに中間的なモードで、会員登録した住民が電話や専用端末やスマホアプリで目的地と希望到着時刻を告げて呼び出し、小型バスやワゴン車が予約状況に最適のルートで利用者を拾い目的地へ届けるというもので、会員制乗合タクシーのような存在です。その中の幾つかは道路運送事業法の自家用車有償運行特例によっております。

ライドシェアは配車ベンダーがシステムを提供するのでシステム負担は減りますが、当然ながら利用が少なければ売り上げが少なく、手数料も稼げません。加えて本当の狙いであるデータ収集も非効率なので、本音は都市部への参入ですが、当然ながら都市部ではタクシーと競合する訳で、反対もありますし、参入規制の緩和で台数規制が緩められてタクシードライバーの収入が減っていた訳で、コロナ禍の利用低迷で離職したドライバーも多数います。その結果都市部でもドライバー不足は進行している訳ですが、逆に現役ドライバーにとっては残存者利益を享受できる状況になっている訳ですから簡単に認める訳にもいきません。そんな中で都市部でも動きが出てきています。

横浜の三和交通、タクシー運転手に副業人材 実証実験 - 日本経済新聞
横浜でタクシー会社と配車アプリベンダーのコラボで二種免許保持者を対象とした副業人材活用の実証実験ですが、ドライバー不足をライドシェア導入の口実にされることを睨んだ動きとも取れます。同時にライドシェアの問題点がタクシーとの競合といった狭い領域の問題ではないことも示唆します。

都市部でライドシェアが解禁されれば、当然ながら本業を持った人のスキマ時間活用に使われます。例えばパパの車使い放題の専業主婦やドラ息子、売れないタレント、大学教員の非正規化で生活苦の若き学者の卵たち、正規雇用でも賃金の少ない人たち、おそらくその中には社用車で営業する剛の者も現れるでしょう。そしてスキマ時間で無理な営業をすれば事故のリスクが高まりますが、ただでさえ事故時の責任の所在があいまいな上にドライバーが車のオーナーではない事例では当て脱げ逃亡の可能性もある訳です。それでも解禁すべきとするならウーバーのような配車ベンダーの利益にしか貢献しません。つまり新たな利権漁りでしかない訳です。加計学園の獣医学部新設に見られるように規制改革会議が利権を誘導したことを忘れてはいけません。

ギグ老いるショックで指摘したようにアメリカでは2016年の大統領選でヒラリー・クリントン候補がギグエコノミー問題として取り上げましたが、アメリカでは事実上ほぼ規制なしです。一方欧州ではロンドン市で問題が多すぎるとして営業許可を取り消してますし、同様に規制緩和に慎重な都市が多数あります。アジアでもほぼ規制なしですが、やはり問題は多数報告されてます。ライドシェアを世界標準のように言うのは間違いです。

公共交通で寧ろ今問題になっているのは通信のようなユニバーサルサービスが欠如していることで、例えば北海道新幹線の並行在来線問題のようにバス転換も困難ですし、上述のデマンド交通も極限的な効率を追求しながら採算性は悲惨で自治体の持ち出しで維持されてます。国や自治体がどのように関与すべきかといった枠組みを考えて実現することが必要です。

NTT問題ともオーバーラップしますが、通信のユニバーサルサービスは持ち株会社のNTTとNTT東西が負っていますが、政府保有株放出となればNTT東西を公的保有とするなどして担保する必要があります。そうでなければデータ通信や無線通信もNTT東西が持つ光回線に各通信事業者が依存している現状の通信事情でNTTグループに便宜が図られれば公正な競争環境が損なわれます。まあこれは防衛費倍増の為の株式放出なんですから、ミサイル買うのやめれば済む話でもありますが。通信も交通も加えて防衛も、大元の議論がそもそも欠如しております。

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Saturday, November 04, 2023

笑う鬼退治

鬼が笑う2024年で取り上げたインボイス問題のニュースです。

インボイス導入1カ月「想定以上に負担」 混乱続く企業:日本経済新聞
サラリーマンの経費精算でインボイスの有無の確認作業で現場負担があることは国税庁も認識していて1万円以下の取引でインボイスが省略できる経過措置を決めたりしましたが、ネット取引での登録ナンバー確認など次々に面倒な問題が湧いて出てますし、ドライバー不足なのに運送大手が委託先の多重下請けが仇となって委託先の登録の有無を把握しきれないなどの問題も起きています。独禁法違反が疑われる委託切りも見られるなど混乱しています。

これらはインボイス自体の問題というよりも説明不足や日本的な商慣習故の問題だったりしますが、ただでさえ働き方改革の2024年問題でドライバー不足が言われる中で、タイミングが悪かったとは言えますが、欧州付加価値税制度では機能している制度が日本ではこうなってしまうというのは、日本社会が抱える問題と見るべきでしょう。欧州でも当てない民主政治で損くらってますで取り上げたギリシャショックのようにヤミ営業でインボイス発行しない脱税が横行していたなんて例もありますから、明示された法令も社会の受容次第で機能を失うことは同じではありますが。

ギリシャショックは同時に財政破綻のリアルを示しており世界最悪の日本財政の反省材料にもなります。長期金利が7%になると財政が持続可能でなくなることを明らかにしました。今の日本の減税議論に違和感しかありません。それも所得減税に拘ったために実現は来年6月という役に立たないものですし、1年限りなら後に増税が待っている訳で、リカードの中立定理が働く故に減税くそメガネになります。減税うそメガネとも言われているようですが^_^;。だからといって恒久減税は論外ですが。

別の視点ですが今回の減税は税収の上振れ分の還元を謳っている訳ですが、その根拠となるのが22年度の10兆円超の税収上振れでして、円安による企業業績の上昇による法人税収とインフレによる消費税収が主なもので、7:3の割合です。昨年円相場が激しく動いた結果ですが、今年は150円前後で膠着しており、去年のような上振れが起きるとは言えませんし、インフレは税収増をもたらすと同時に政府支出も増やします。今年度の予算は当然インフレを踏まえて連動する社会保障費は拡大しますし、人件費や資材費の上昇は公共事業費も上振れさせますから、年度をまたいだ歳出増で消化されます。故に減税財源にはならない訳です。

日銀、長期金利1%超容認 植田総裁「大幅に上回らず」:日本経済新聞
日銀がYCC見直しに動きましたが、1%変動枠に長期金利が近づいて維持困難と判断して限度からめどへと表現を変え1%超の金利を容認する姿勢を見せました。但し急激な変動は抑えるということで緩和継続を謳っておりますが、実態は市場の圧力に押されての判断ということですね。それでも不十分ということで為替は円安に振れて150円のバリアを突破しており円安傾向は続きます。

とはいえ変動幅は小さいですから、上述のように法人税収の上振れ効果は限られます。但しインフレ要因ですから消費税収の上振れはある程度発生しますが、政府支出増を上回る水準になるかどうかは微妙です。ということは税収上振れを見込んだ減税は財源的には微妙ってことです。増税メガネと悪口言われたから減税を打ち出すとか、思いつきで政治をやるなということですね。

岸田政権の打ち出す政策は。例えば少子化対策と称して児童手当の拡充を打ち出し高校生も対象に加えてますが、一方で自民税調で高校生の扶養控除圧縮が議論されているという具合に目先を誤魔化す姿勢が見られます。基本的に国民をなめているとしか思えません。手当拡充よりより高校無償化の方が効果的ですし予算も少なくて済みます。という具合に目につくところをやったフリで乗り切って選挙の票稼ぎというあざとい姿勢は国民に見透かされてます。桃太郎よろしく鬼退治しても宝は得られません。桃太郎は岡山だけど。

2024年の働き方改革で人手不足が言われている中で少子化対策でバラまくというのは本当の問題解決にはならないばかりか、仮に出生率が上がって子供が増えたところで家庭内のケア労働を増やして特に女性の就労を圧迫しますから、人手不足は悪化します。持続可能な賃上げを打ち出して法人減税をしても法人税を払っていない赤字企業は蚊帳の外ですし、仮に賃上げが定着しても企業の人件費上昇は価格転嫁に繋がりますから賃金インフレで結局実質賃金は伸びないですし、新NISAで家計貯蓄を資産運用へという画を描いても、今の市場環境では国内株式に資金が回る保証はありません。日銀のETF購入で下駄を履かせた官製市場の現在の株価では個人投資家が得られる利益は限られます。一方でそれでも株価が上がらない日本企業はアクティビストの草刈り場です。

京成電鉄、ディズニーでゆがむPBR 実態は「1倍割れ」 - 日本経済新聞
お業績好調なオリエンタルランド株の保有分の時価が1.6兆円と自身の時価総額を上回る水準にあり、OLC株を除いた本体のPBRは0.5倍程度と見積もられ、英アクティビストファンドから一部売却を迫られております。京成電鉄の場合コロナ禍で空港輸送が大打撃を受けた不運はありますが、逆に空港輸送の1本足打法の脆弱性が露呈した訳で、オリエンタルランドのような優良企業を連結対象にしていることがリスク要因となっている訳です。

京成電鉄には新京成電鉄という優良企業をグループ内に抱えており地域輸送に特化した事業環境もあってコロナ禍の影響も軽微だった訳ですが、その結果コロナに勝てない国で取り上げたように完全子会社化して元々の保有分の含み益由来の負ののれんで益出しするなどしてきましたが、そんな一過性のことでは事態は改善せず次のステップを踏みます。

京成電鉄が傘下・新京成を吸収合併へ 25年4月 - 日本経済新聞
継続的に利益を計上して株価を上げるには、経営統合して運営面で規模の経済を狙うしかない訳ですが、悩ましいのは運賃の共通化問題です。共通化して運賃通算すると初乗り運賃の二重取りが無くなり乗客にはメリットがありますが、運賃収入の減少は避けられず寧ろネガティブな評価になりかねません。故に当面現行運賃を維持するということになりました。

別運賃自体は現行制度で禁止されておりませんし、京成自身もちはら線と成田空港線(スカイアクセス)は別運賃です。それぞれ歴史的事情があって、ちはら線は元々小湊鉄道が東京直通を狙って京成千葉(現千葉中央)―海土有木間の地方鉄道免許を申請して交付されたことに始まります。京成線を通じて東京進出を図った訳ですが、4ft8in1/2(1,435㎜)電化の京成と3ft6in(1,067㎜)非電化の小湊では直通はできない訳で、長らく免許更新を続けながら棚ざらしになっておりました。京成との合弁で千葉急行電鉄を設立して事業化を模索したものの進まず、沿線予定地の宅地開発が具体化して途中の千原台(仮)までの事業化が動き出し実現しました。しかしバブル期の仇花で宅地分譲は遅々として進まず、業績が上がらずに京成が救済合併して京成ちはら線となりましたが別運賃は維持されました。故に対都心でJRに乗り換える場合には千葉中央と京成千葉の間の京成線運賃の合算が重荷になりますが、赤字路線を引き受けた京成としては簡単に運賃を弄れないわけです。

成田空港線は元々三セクの北総開発鉄道(現北総鉄道)の路線を利用していて、小室以東は千葉県営鉄道由来の宅地開発公団線として別運賃だったこともあり、高運賃で利用が低迷しました。宅開公団は小泉改革の特殊法人改革で統廃合や名称変更の結果、鉄道事業を切り離すことになって京成が引き受け第三種事業者の千葉ニュータウン鉄道となり北総が第二種事業者となって一体化されたものの高運賃は改善されず、住民訴訟にまで発展しました。結果的には成田新幹線ルートを利用した北総ルート(成田スカイアクセス)が整備され北総線の運賃の見直しをすることで和解しましたが、それ故に北総線と共通化された成田空港線運賃も安易に動かせない政治性を帯びた訳で、やはり解消は困難です。

という訳で、新鎌ヶ谷で接続する新京成線と成田空港線の運賃統合はやはり無理となると、京成津田沼での京成本線・千葉線との運賃通算に限られる訳ですが、これも新京成線が新津田沼でJRと乗換可能で船橋乗換からシフトすることになると京成にとっては減収要因になります。船橋乗換の場合も東京メトロ東西線に向かう場合はJR線を挟んで初乗り運賃の重複負担となりますが、東京メトロの低運賃に助けられています。京成西船に優等列車を停めないのはJRに気を遣っているのかも^_^;。

ということで、当面車両の共通化や乗務員も含めた運営の柔軟化などで地道に益出ししたり、それぞれが抱えるバス事業の再編などで合理化を進めるぐらいしか打つ手はない訳で、アクティビストの納得を得るハードルは高いといえます。こうした問題を抱えて身動きが取れない日本企業は数多くあり、海外投資家を通じた国富の流出を助けるだけです。鬼たちも大爆笑-_-;。

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Saturday, October 14, 2023

欧米の対テロ戦争回帰

ハマスの攻撃に対するイスラエルの軍事作戦が実行されようとする中で、民主主義対権威主義では見えない本音が露呈しました。

ハマスのイスラエル攻撃「断固非難」 G7が共同声明:日本経済新聞
気分は9.11後の対テロ戦争に回帰したかのような状況です。ハマスのテロ行為を肯定はできませんが、200万人以上が住むガザ地区は高いフェンスで覆われ、物資の出入りもイスラエル政府に管理されて最低限のものしか供給されず貧困の極みにある状況は放置されてきた訳で、重大な人権侵害が日常化していたことは指摘しておきます。

特にバイデン大統領の親イスラエルの姿勢には違和感を禁じ得ません。9.11後のアメリカの対テロ戦争でテロの主犯とされたアルカイダのリーダーのウサマ・ビンラディンを匿ったという理由でタリバン政権下のアフガニスタンにNATO軍で開戦して20年後の撤退戦という苦い経験を忘れたかのような対応です。アフガン地震でタリバン政権は国際社会に支援を求めておりますが、女性の権利侵害などを理由に経済制裁が科されていて、現時点で応じた国はありません。人権外交どこへやらです。

尤も今回はイスラエルが当事者ですから、アメリカはあくまでも支援する立場ですが、ウクライナとの二正面作戦を余儀なくされて対中国を睨んだ米軍のアジアシフトはますます遅れます。特にアメリカの仲介でイスラエルとの国交樹立を模索していたサウジアラビアの態度が微妙になり、バイデン大統領としては外交で大きな失点となりました。ウォール街のユダヤ人脈への忖度もあるでしょう。

色々な見方が錯綜してますが、ある意味イスラエルはアメリカと似た背景の国ではあります。ローマ時代から迫害され続けた欧州ユダヤ人によって建国されたイスラエルは、ある意味イギリスで宗教上の理由から迫害された清教徒の新大陸植民から独立に至ったアメリカとは相似相と言える建国の経緯があります。共にネイティブな住民を排除して建国された点も似ています。そしてイスラエル国内にも多数のアラブ系住民がいて主に低賃金のエッセンシャルワークを支えている点もネイティブアメリカンやアフリカ系などの有色人種の労働力に依存するアメリカと似ています。そして軍事大国でもあります。

ガザ地区を囲む高いフェンスもアメリカの保守派がメキシコ国境に作れといっている柵を先取りしたようなものとも見えます。実際イスラエルはネタニヤフ政権下でイスラエルの世論も保守化していますが、一方でネタニヤフ政権下での汚職事件や進められていた司法制度改悪に反対する運動も盛んです。イスラエルも一枚岩という訳ではありません。同時にネタニヤフ首相にとっては戦時のリーダーとして統治の強化を図れるチャンスでもある訳で、その為に失われるパレスチナ人の命は考慮されていません。これをジェノサイドと呼ばずに何と呼ぶべきか-_-;。

パレスチナ問題は深刻ですが、一方で日本国内でも深刻な事態が進んでいます。

ローカル線、運転士不足で減便相次ぐ 福井鉄道は2割減:日本経済新聞
アメリカやイスラエルがエッセンシャルワーカーを他民族に頼っている一方、公称単一民族国家の日本では、人口減少下エッセンシャルワーカーの確保が難しくなっていることはエッセンシャルワーカーが足りないで取り上げたバスやトラックのドライバー不足と同じ問題がローカル私鉄でも顕在化しているのですが、数の上では多い大型二種免許保持者と比べても鉄軌道事業の動力車運転免許保持者は圧倒的に少なく、実務経験などの資格要件も厳格な上国家試験が年2回で育成のボトルネックにもなっています。加えて大手事業者のような好待遇を出せないローカル私鉄の厳しさは尚のこと。

取り上げられた福井鉄道の場合は鉄道と軌道に跨る路線構成で、前者向けの第一種免許を保持するJR退職者も後者向けの第二種免許を取得するまで乗務できず、徹軌道分界点に駅がないことから乗務員交代の対応も取れないという特殊事情もあります。どうする縦割りで取り上げた鉄道事業法と軌道法の縦割りの弊害が作用している訳です。

政府はトラックやバスのドライバーを外国人解禁(特定技能職種に追加)で対応しようとしてますが、円安で稼げない日本にわざわざ来て大型二種免許取得というコストを負担してまで来てくれると考えるのは甘いでしょう。エッセンシャルワーカーの枯渇は先進国共通の課題ですが、日本の急速な人口減少はそれだけ危機的ですが、政府は有効な対策を打てておりません。国民の窮乏化が作用している現状で取ってつけた少子化対策は無意味だし財源ねん出過程で国民負担の増加や行政サービスの低下を伴うことも確実です。当然有事に戦う兵士もいないということでもあります。外国人兵士も解禁するのか?当然ながらそんな日本は世界平和を希求し平和の配当を受け取る以外に道はないんですけどね。

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