バス

Friday, September 25, 2009

高速道1,000円渋滞で鉄道回帰

政権交代が実現し、鳩山首相の外交デビューも順調です。気候変動、核廃絶など、民主党の主張に近い関心が国際社会で広がっていて、丁度国連首脳外交やピッツバーグのG20サミットなどの外交日程が政権交代をアピールするチャンスとなったなど、ラッキーな面はありますが、期待の持てる十分な成果が見られます。

民主党が掲げる内需拡大策の目玉は、何といっても子ども手当と高速道路無料化ですが、まだまだその意義に対する国民的理解は不十分です。とはいえマニフェストに明記され、それを国民が信認して政権を与えた以上、民主党政権はこれを実現する責任があります。実現にあたっては当然生煮えな部分を国会で野党に追及されるわけですから、実現可能性を高めるための修正協議もする必要がありますが、一方で安易な妥協は308議席の与党議員の追求にさらされるわけです。今さらながらマニフェストの重みを思い知らされます。

というわけで興味深いニュースです。

秋の連休、鉄道好調 東海道新幹線、GWより8%増
秋の5連休で渋滞予想から利用者が鉄道へ回帰しているというのです。1,000円高速の影響で減少した利用が戻っただけといえばそれまでですし、JR各社が対抗策で割引キップを出した効果と考えると、ひょっとしたら売上は戻っていない可能性はありますが。

あと航空も同様に利用者が戻っております。春のGWではあの新型インフルエンザ騒動が公共交通利用忌避を招いた部分もありますが、むしろ今、流行が本格化している中で利用が戻っているのですから、この影響は軽微なのかもしれませんが、断定は避けておきます。

一方でオンライン版の記事では省略されてますが、各道路会社によれば高速道路利用はGW時より4%減ということで、明らかに渋滞が忌避されたことが読み取れます。しかし納得がいかない部分もあります。というのは渋滞の発生はむしろ増えた点です。しかも50km超の渋滞が複数個所で発生するなど、見かけ上渋滞はひどくなっているのですが、これは結局利用時間が集中したことの影響のようで、ちょっと時間をずらせば渋滞を回避できたケースも多いようです。ということで、高速道のETC割引による内需喚起という前政権の置き土産で、貴重な社会実験がなされたということになります。

渋滞は利用の集中で起きるわけですから、週末限定のETC割引は、そもそも渋滞を誘発する要因を内包しているわけです。ですから、GWや夏休みの高速道の渋滞を理由に、民主党の言う高速道無料化でもっとひどいことになるということも言われたのですが、その論拠は怪しいわけです。むしろ曜日限定がなくなれば、利用の分散で渋滞は減るという議論も可能です。

あと高速道路無料化は自動車利用を助長しCO2排出を増やすという議論があり、国交省でも他の交通機関からの利用の移転でCO23割増との試算を明らかにしてますが、一方で同じ国交省で並行道路の渋滞緩和でCO2削減効果は4割弱になるという試算もあります。これは計算の前提が違うために起きたミステリーですが、前者は交通機関の選択のみに絞った試算で、後者は渋滞緩和に絞った試算で、他の条件は考慮しておりませんから、実際は両方の効果が相殺されて中立に近い結果となる可能性が高いといえます。

というわけで、マニフェストに明記されていないJAL問題と違って、マニフェストに謳い政権を得た以上、高速道路無料化はやらなければならないことであり、JRや高速バス事業者などから否定的コメントが相次ぐ中、あえて申しあげますが、この程度の競争条件の変化は、経営の責任で対応すべきです。また変化はチャンスでもあるわけで、変化にいち早く対応した者が、多くの果実を得るのがビジネスの世界の鉄則です。各社の奮起を期待します。

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Saturday, June 27, 2009

相鉄ラプソディ

26日、相模鉄道が始発からスト突入、約2時間後に解除されましたが、なかなかわかりにくいニュースです。本題に入る前に、枕話をひとくさり。

カフカの"変身"という小説がありますが、グレゴール・ザムザがある朝、自分が巨大な甲虫に変身していることに気づくという話です。親しい家族に助けを求めようと行動しますが、言葉を発することができませんから、家族からはただ気味悪がられ、遠ざけられます。終いには不都合な現実のある彼の部屋に近づきたくないから、家政婦を雇って部屋の掃除などをやらせるようにさえなります。そして彼は干からびて死に、件の家政婦によって掃き棄てられます。

先日衆議院で可決された臓器移植法改正案で、大した議論もないままに、脳死を人の死とするA案が可決成立したわけですが、心停止と違って脳死は医師による判定でしかわからないし、脳死でも自発呼吸を司る脳幹のみの損傷(脳幹死)と、大脳を含む脳全体が損傷した全脳死とがあり、改正案では全脳死を以て死亡とすることになっておりますが、判定はあくまでも医師が行うわけです。医師はおそらく移植医療推進のバイアスを持っているので、脳死状態の人がグレゴール・ザムザ、その家族を説得してドナーとして臓器提供を勧める医師が家政婦とすれば、カフカが描いたおぞましい世界は、めちゃくちゃリアリティのある話となります。家族は脳死を判定できず、医師の判定を信じて勧めに従うしかないわけです。

結局一般人である家族と医師との間には、埋め難い情報格差があるわけで、こういうのを経済学では「情報の非対称性」と呼び、市場の失敗を条件付けるものとされます。売り手と買い手の間に情報格差が存在する場合、市場は効率的に機能しないわけで、この観点からすれば、改正臓器移植法は大きな問題を孕んでいるということになります。枕が長くなりましたが、今回は「情報の非対称性」がキーワードです。

相模鉄道のストに関しては、メディアの露出度にバラつきがあり、取り上げ方にも疑問がある中で、東京新聞の記事が比較的バランスが良いようです。

ラッシュ直撃は回避 相鉄スト2時間で解除 来月4、5日の第2波も
要は会社側が鉄道事業子会社の分社をしようとして、そのやり方を巡って労組と対立したものです。正直なところ会社側の意図がよくわかりません。持株会社に事業会社をぶら下げる形態の会社は昨今増えており、鉄道会社でも阪急阪神HDなどの例がありますが、「経営の意思決定の迅速化」と説明される場合が多いですし、今回の相鉄でも、会社側の説明はそうなっております。

そして組合の対応ですが、基本的には分社化そのものに反対しているわけではなく、去年12月のバス分社を巡るストも回避されたわけですし、不動産などの事業分社化も結果的に同意しております。今回の鉄道事業分社化でも、分社化そのものには理解を示す一方、組合との協議を経ずに突然発表され、社員の転籍や株主総会の議案とするなどしたことが、労使協定違反というのが組合側の言い分です。

対して会社側は、組合の主張では組合に経営の意思決定権限があることになるということで却下、結局スト突入に至ったんですが、結局分社化を巡る労使協議を十分行い、スケジュールを十分考慮するという和解案を示して組合が受け入れ、スト解除に至ったわけです。それなら最初からそうしておけば、乗客に無用な混乱をしなくて済むものを。

正直に申しまして、今回のスト騒動、会社側に問題がありそうです。そもそも鉄道事業の分社化ですが、従来鉄道事業を核として進めてきたグループ事業に対して、バス、流通、不動産などはいずれも派生事業だったのに対し、鉄道事業を同列に置くという意味ですから、ある意味組合側の反発は当然です。鉄道会社としてのアイデンティティを棄てるということですから。そしてその結果得られる経営判断の迅速化は、つまるところ鉄道事業からの撤退も迅速に行えるということでもあります。

バス事業の分社化を巡っても、組合との対立から高速バス事業への参入時にタクシー会社の相鉄自動車にバス事業免許を取得させて参入する一方、相鉄バスの分社化に際して事業を移管するなど、組合との協議を避けているようにしか見えないのですが、これが会社側の言うところの「経営判断の迅速化」であれば、組合側が不審に思うのは無理もないところです。そこに見え隠れするのは、経営陣の保身ではないかということです。

正直なところ相模鉄道は今逆風下にあるといえます。主体的に開発してきた横浜西口の商業地としての地盤沈下は著しく、人口減少に転じて沿線開発も滞りがちな中、JRや東急との直通で東京都心へのルートを確保して沿線開発の梃子にしようとしているものの、JRとの直通を決めた後で横浜市からの横槍で、東急との直通も事業化されることになりました。

東横線/目黒線との直通では、車両限界が小さい路線への直通となり、折角11000系投入でJRと同じ2,950mmの最大幅が実現したものの、別規格の専用車を準備しなければなりません。また特にホーム可動柵のある目黒線との直通では、ドア中心間4,820mmの私鉄標準寸法によらなければならず、JR規格の均等割り付けとした11000系とはドア位置がずれます。加えて目黒線では6連ですから、8-10連の相鉄線に6連の目黒線直通電車の乗り入れは、かなり迷惑な話です。また当然西谷―横浜羽沢間だけの建設よりも追加負担も増えるわけです。加えて渋谷の再開発に未来を託す東急とは、横浜西口の商業利用を深化させたい相鉄とはライバル関係ですらあります。とはいえ横浜市の同意なしには事業が進まない相鉄にとっては、呑まざるを得ない話でもあります。

この辺の事情を考えると、相鉄経営陣が鉄道事業経営に意欲を失った可能性を指摘することはできるかもしれませんが、断定は避けておきます。あるいは都心直通構想が実現した後に、鉄道事業の切り売りを考えているかもしれませんね。JR、東急、小田急など、自社の鉄道事業を高く買ってくれそうなところに声をかけるのに、鉄道事業の分社と本体の持株会社化は好都合なわけです。だとすれば会社側は本心は明かしたくないでしょう

これ構図として何かに似てませんか。鳩山前総務省の更迭に発展したかんぽの宿問題とそっくりです。郵政民営化で持株会社の日本郵政に、郵便、窓口、郵貯銀行、かんぽ生命の各事業会社が子会社としてぶら下がっている形ですが、かんぽの宿売却は、かんぽ生命の赤字非中核事業であり、民営化後5年以内の2012年までに売却することが法令で定められております。

年間50億円もの赤字を出すかんぽの宿の早期売却は当然大きな課題ですが、より高値で売却する必要があり、また個別売却であれば採算性の低いものほど後に残って経営を圧迫しますから、一括で高値売却しようとすれば、あの方法しかなかっただろうと思います。そして結果的にオリックス不動産が落札し、西川社長には結果報告されていたはずです。

問題は持株会社方式の場合の、事業会社の経営のモニタリングに関してですが、かんぽの宿売却は、かんぽ生命にいる担当役員の責任で実行されたのに、政府の議決権は100%保有の特殊会社である日本郵政にしか及ばないわけですから、政府としてかんぽの宿売却に疑問を抱いたとしても、直接業務を管掌しない西川社長を攻めるしかないわけで、それが総務相更迭に至るドタバタとなったわけです。実は日本の会社法制では持株会社方式に関するコーポレートガバナンスには不透明な問題があるわけです。持株会社とすることで、社外に対して情報開示が阻害される要因があるわけで、言葉を変えれば経営陣は外野の声を気にせず事業の切り売りや組み換えができるわけで、制度の不備に起因する内外の情報の非対称性が拡大しますから、なるほど「経営判断の迅速化」が図れるわけです。

というわけで、枕話に沿って言えば、救急患者(事業)が脳死(赤字で中核事業といえなくなった)から、家族(株主)の同意を得て臓器移植(事業譲渡)しますという話になるわけです。法人格を備える会社の事業を切り刻むことは、法律上は問題ないですが、労働集約産業である鉄道などの運輸業において、労組との良好な関係は、事業経営にとってかなり重要なファクターです。思えば国鉄分割民営化も、磯崎総裁時代のマル生運動で労使関係が決定的に悪くなったことが起点ですから、今回の騒動が相鉄解体に至ることがないか心配です。

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Tuesday, February 17, 2009

ジャパン老いるマネー

中川大臣が辞任しました。政界では以前から飲兵衛で酒乱で知られていた人ですが、醜態が世界に配信されちゃ辞めるしかありません。にしても日本の恥ですね(怒)。中央リニア5.1兆円の記事の冒頭でも振れましたが、昨年8月以来の貿易収支赤字化で、日本がいよいよ高齢化社会本番を迎え、産業構造を見直さなければならないときに、緊張感まるでなし、他人事のように「米国の景気対策をオバマにお願い」したり、以前にも日本の金融危機の不始末を自慢した財務金融相のズレた感覚はどうしようもありません。

おさらいですが、高齢者が増えるとなぜ輸出が減るかというと、高齢化して現役をリタイアする人が増えるわけですから、この人たちは生産に従事せずに消費のみを行うことになりますので、国全体では貯蓄が減って消費が増えることになります。で、貯蓄は投資に回ってさまざまな生産活動を支えるわけですので、貯蓄が減り、また現役世代の減少で労働力の投入量も減りますから、国全体の貯蓄の減少は生産の減少を通じて国際収支の黒字縮小となるわけです。これはどう逆立ちしても避けられないことです。

それを無理に輸出を増やそうとすれば、資本装備を高めた上で労働力の投入量を減らすしかないわけです。これを技術革新によって、例えばIT化で生産性を高めることで実現できるならば良いのですが、実際にはIT化で実現できる生産性向上は、主に管理部門など生産現場以外の場所では効果が期待できるものの、人手が必要な生産現場では、人件費の抑制でしか実現できません。その結果正社員はベアゼロでサービス残業という事実上の労働強化と、非正規雇用者を増やして雇用を流動化し、人件費を固定費から流動費にすることなど、主に労働分配率を下げる形でしか実現不可能なんです。結果的に若年層の購買力を奪い、車が売れなくなったんですから世話ありません。

加えて2003-2004年の大規模為替介入による円安政策にも助けられていたわけですが、加えて輸出で稼いだドルを海外投資に回し、それでも足りずに「貯蓄から投資」の掛け声の下、金融自由化の流れに乗って内外の株式や債券やそれらを組み合わせた投資信託を銀行や郵便局の窓口で販売し、家計貯蓄をリスク資産に移転させる政策もとられました。その結果海外へ流出したジャパンマネーがドルやユーロ建ての金融商品に投資され、欧米諸国の中央銀行に代わって流動性供給をした結果、海外で生じたバブルに乗って輸出を加速させたわけです。つまり高齢者世代の貯蓄を海外流出させて米欧のバブルを後押ししたわけで、米政府やFRB関係者の中には、アメリカのバブルはアジアの過剰貯蓄が原因と、暗に日本や中国に責任転嫁する論調も見られます。

もちろん日本人としては違和感のある見方ですが、自動車や電機をはじめ、輸出企業の対応も「売れりゃいいじゃん」というもので、実際自動車は海外市場重視でモデルチェンジの度にサイズアップして国内では使いにくくなってますし、電機業界では高付加価値を狙って不必要な高機能を与え、結果として消費者の離反を招き、また自動車とは逆に世界の趨勢に乗れずにいわゆるガラパゴス化してしまう体たらくです。薄型TVやデジカメなどのデジタル家電も、北京五輪特需が空振りだったという不幸はあるものの、結局在庫を積み増して価格競争の消耗戦を繰り返しているんですから世話ないです。ジャパン老いるマネーで売上を作っていたわけですね。

元々高齢者は若者ほど消費しないと言われます。理由はいろいろあるんですが、一番は若いころからいろいろなものを購入し、既に多くのものを持っているので、新たに買い増すものは少ないということと、若いころから老後を睨んで貯蓄を重ね富裕層に移行することで、消費性向を減らすという説明もあります。ただしこれは社会福祉の充実した欧州では必ずしもあてはまらないようです。日本では老後資金として3,000万円程度は必要と言われますが、欧州では100万円もあれば十分といわれます。

とすると、実は高齢者福祉というのは、消費性向の低い高齢者の消費を呼び起こすことで内需を活性化させる政策ということができます。加えて老後資金の貯蓄の必要性も減るわけです。医療や介護など高齢者向けサービスを充実させれば、そこに雇用が生まれ、富裕な高齢者から福祉で雇用される若年層へのサービスを媒介した所得移転となるわけです。とすると財政支出は増えても、医療や介護へもっと多くを配分することこそが、閉塞感漂う現状を打開することになるわけですね。

あと加えて、高齢化は必然的にマイカーを手放す人も増えるわけで、公共交通の必要性が高まるわけですが、実際は規制緩和で競争激化の結果、参入退出の自由度が増し、事業採算性だけで路線の改廃が起きて、多くのローカル鉄道やバスが廃止される流れにもなっています。野放図に補助すべきだとは思いませんが、高齢者に消費を促すならば、モビリティの向上は重要といえます。無意味に道路を作り続けるのではなく、地域の生活圏の利便性を高めることに焦点を当てるべきですね。

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Friday, September 12, 2008

バスで取り過ぎ昨年春から

前の記事の続報です。

パスモの過徴収、07年春に把握
ちょっとひどいですね。PASMOサービスが始まってすぐの4月に乗客の苦情で発覚、バス共通ICカード協会(以下「協会」と記す)は大きな問題と思わず公表せず、5月にICカードで決済未了時に取り消し処理をしないよう通達し、12月にはエラー音を他のものと区別できるようにしたが、「運転士のミス」はなくならず、今年7月まで放置したといいますから、ひどすぎます。

こうなると何のためのPASMO導入だったのかを問いたくなります。少なからぬ初期投資をしながら、「運転士のミス」を増やすだけなら、むしろやらない方が良かったとさえ言えます。そもそもバス事業は人件費で売上の8割を占める労働集約型産業です。鉄道など他の交通事業と比べても、人件費比率が飛び抜けて高いのです。これは人口減少社会では、持続可能性が極めて厳しいという意味でもあります。

人口減少下では乗客減も心配ですが、当面の高齢化は運転免許返上などでむしろ追い風になります。それよりも運転士や整備士などの確保が難しくなることの方が問題です。解決策があるとすれば、運転士に高給取りになってもらうほかありません。そのためにはより大勢をより速くより遠くへ運ぶということになります。1人当り乗車人キロで表現可能です。この観点から、単位時間あたりの走行キロを稼ぐ高速バスの収益性の高さがわかります。

その一方で一般道を走る一般路線バスの収益性は低く、大都市圏では表定速度10km/h台も珍しくありません。とはいえ一般路線から撤退するわけにもいきません。むしろ都市交通の一部として鉄道駅を起点とするフィーダー輸送には一定に需要があり、1台のバスで何往復もするシャトル運行であれば、効率性は高まります。実際駅と団地を結ぶ路線などで、そのような路線は少なからずあります。

また鉄道では乗換が発生するとか、大回りしなければならない区間で直通や短絡ルートを構成する場合なども、一般に利用度が高い傾向があります。許認可事業である路線バスで、認可路線を維持するために漫然と運行している路線は、実は結構多かったりします。ICカード乗車券は、そんな現状を変えるインパクトを持つツールであるわけで、その意義が事業者に理解されていなかったというのが残念です。協会は単なる調整機関に過ぎないのでしょうけど、バス事業者の意識の低さは残念です。

せっかく多額の初期投資をして資本装備を積み上げても、労働投入と代替的でなければ生産性の向上にはつながらないわけで、結果的に運転士の賃金も抑制せざるを得なくなる、とすると苦労が多くて稼げない業種ということで、運転士の確保が難しくなる道理です。そこから脱却することが、バス事業の大きな課題であるはずですが、現状で事業者にその意識はなく、システムを追加して「運転士のミス」を増やしているのですから、バス事業の将来を悲観したくなります。

システムは改良すれば済むわけですが、事業者の意識は簡単には変わらないと思います。鉄道を補完するバスの役割はけっして小さくはないので、今回のことを教訓にしてほしいところです。

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Thursday, September 11, 2008

バスでPASMO二重引き落とし

PASMO導入でイオカードどパスネットと共通バスカードが一つになってから1年半、元々鉄道系が乗車券に対してバスは回数券と違いがあったわけですが、これは盲点でした。

バス運賃、パスモで取り過ぎ1100万円
これはPASMOやSuicaをカードリーダーにタッチするときに、中途半端だったり、複数カードの二重読み取りなどでエラーとなったときに、再度タッチして正常処理とすべきところ、運転士が取り消し処理をしてしまうと、運賃が引き落とされてしまうため、再タッチで二重取りとなってしまうわけです。

記事では運転士のミスとなってますが、共通バスカードではエラー処理で取り消し処理をして一旦カードを排出してから再度リーダーに通す仕様ですから、これをミスと言うのは酷でしょう。マン=マシンインターフェースの設計ミスです。バス各社はシステム改修を行うことにしています。

私事ですが、最近うっかりバスカードの残高不足で追加支払をSuicaでと申し出たところ、運転士がかなり焦ってタッチを制してテンキーを操作したことを思い出します。運賃箱のディスプレーでも、SuicaやPASMOでタッチしたときの画面は、現金やバスカードのときと全く異なるものになっていて、処理系が別であるようです。システムの仕様上やむをえないのかもしれませんが、ミスを誘発する可能性はありそうだと思い、PASMO対応のバスでもバスカードで利用するように気をつけておりましたが、案の定でした。

報道によれば7月に乗客からの照会で発覚したそうで、PASMO導入事業者全社で起きていたそうです。この辺はシステム設計の難しさなんでしょうけど、疑問なのは処理系が異なるならばあえて既存の運賃箱システムと切り離して対応できなかったのだろうかということです。日本のバスの運賃箱は元々ハイテクの塊りで、バラ銭を投入しても即座に運賃が表示されるなど乗務員支援の観点からは優れものには違いないのですが、そこへ鉄道から移植されたICカードシステムを後付けしたことで、基本思想の異なる処理系を並存させなければならなかったことが、今回の事態を招いているのではないでしょうか。何でも一緒にすればよいとは限らないわけですね。

これはバス会社の責任なのかどうかは微妙ですが、そもそも運転士が1人1人運賃収受することを前提としたパッセンジャーフローの仕組みは、運転士に過度のストレスを与えるものでもあるわけで、欧州を中心に乗客のセルフチェックを前提とした信用乗車システムが定着していれば、かくもハイテクな運賃箱は必要ないわけです。また運行管理上も停留所での客扱い時間を考慮した運行ダイヤにせざるを得ませんから、道路交通の流れを無視した低速運行が見られるなど、生産性を高められない状況にあります。その結果バス運賃は割高にならざるを得ず、運転士に負担に見合う賃金を支払うことも難しくなっているわけです。これは同時に乗客にとっても、本来はもっと低価格で高サービスが受けられる可能性をみすみす逃しているのかもしれません。

lこのあたりを考えると、そもそもPASMOで鉄道とカードの共通化をはかる意味は何だったのかを考えざるを得ません。カードは共通化されても、乗継割引があるわけではなく、それぞれの独自の閉じた運賃体系の中で、決済だけを共通化したに過ぎないんで、現状では乗客側のメリットがはっきりしません。

一応バスカードの割引部分相当のバスポイント(*1)やバスチケット(*2)という制度は導入されているものの、乗客に理解されているものかどうかわかりません。

*1 =毎月1~末日の間で、バス利用金額10円につき10ポイント付与される。
*2 =バスポイント1000ポイント毎に100~450円相当のバスチケットが付与される(10年間有効)。バスチケットはバス乗車時に優先的に引き落とされ、バスポイントは付与されない。別表参照。










バスポイント バスチケット
1000 100
2000 100
3000 100
4000 100
5000 450
6000 170
7000 170
8000 170
9000 170
10000 170


正直申し上げまして、使い勝手はバスカードよりも後退してます。バスポイントが1月単位でクリアされてしまうことや、バスチケットが付与されると、乗車時に優先的に引き落とされるので、5000円相当の乗車ではバスポイントは4600ポイントにしかなりませんので、かなりの頻度で利用しないと、バスカードと同等の割引を受けられません。現時点ではバスカードは期間指定がありませんので、乗客の立場としてはPASMO/Suicaへ全面移行することを躊躇させます。折角多大な初期投資をして、乗客に定着しなければ、結局高くつくのではないでしょうか。

また対鉄道や、バス同士の乗継割引などで、積極的に需要を掘り起こすことをやってほしいですね。結果的にかなり詳細な個人レベルのパーソントリップが捕捉可能ですから、地点間のOD表(発着地マップ)を作成して輸送計画に反映させるなど、攻めのマーケティングにデータを活かしてほしいと願います。

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Wednesday, September 03, 2008

ツアーバスに追い込まれるムーンライトながら

1日、衝撃のニュースが流れました。どっかの国の宰相が辞めた方ではなく^_^;、朝日新聞朝刊のこの記事の方です。

夜行「ムーンライトながら」臨時化へ 18きっぷで人気
他紙の追跡取材は今のところありませんので、あくまでも朝日の独自取材記事ということでしょう。気をつけなければならないのは、JR関係者の中身です。運行計画に係わる関係者の話なのか、社内のウワサの類いなのか、記事からは不明です。

そのあたりを留意しつつ、冷静に考えれば、JRからの正式発表がない現状で、検討はされているでしょうけど、決まったわけではないということは言えそうです。青春18シーズン以外の時期の乗車率の悪さは以前から指摘されていたところですから、むしろ特急東海の廃止と運命を共にしなかったことが、この列車の特殊な位置づけを物語ると思います。

簡単に言えば、国鉄時代からある青春18キップですが、意味合いが変わり、現実にはかつて貧乏旅行の経験のある中高年世代を中心に、普通列車限定という縛りの中で、ゲーム感覚で貧乏旅行の疑似体験ができる商品という位置づけになってきてまして、一方地方のローカル線の最大顧客である通学生を失う学休期の余剰輸送力の有効活用という面で、他の伝統的企画商品である各種周遊券などがことごとく見直された中で、青春18は止めるに止められないものになったと考えられます。特に大都市から遠い三島会社にまで効果を波及させるには、ムーンライト××という夜行快速列車はJRにとっても青春18シーズンの必需品となるわけです。逆に言えばそれだけ採算面の厳しいサービス列車でもあるわけで、予定臨格下げは列車の性格からいえば自然です。

記事中にもあるとおり、夜行列車を巡る環境は激変しておりまして、基本的に1列車を仕立てるに足るだけの基礎的需要があるわけではないということはいえます。もう少し具体的に申し上げますと、季節変動などの需要変動要因を加味すれば、ながらのような定員制列車で収益を最大化できる乗車率は7割程度と考えられます。これは需要期に満席で断る乗客の存在を考えれば明らかです。いわゆるチャンスロス(機会損失)が発生する確率を減らし、逆に閑散期の乗客減による売上ロスも少なくするとすれば、この辺の数字jに落ち着くことになります。ながらの場合、需要変動に応じて6~9連に編成を増減してますが、通年固定編成であれば、6割程度の乗車率が収益最大化ゾーンということになりそうです。

夜行バスでは輸送単位の小ささを逆手に、予約の入り込みから予想される適正台数で運行する前提で8割程度の乗車率を狙うことが可能ですから、3列シート29人で23人程度がペイラインというのが目安と考えられます。当然4列シートの青春ドリームや80人乗りのメガドリームではより少ない乗車率でペイラインに乗りますから、収益の上ブレ分を原資とした値下げが可能になるわけです。

さらに昨今増えている格安ツアーバスですが、こちらは旅行会社の主催旅行形式で、ネットによる事前予約による集客というスタイルとなります。夜行高速バスが道路運送法に基づく公共交通であるのに対して、旅行業法に基づく主催旅行で、事前予約が最少催行人数に達しなければ、運行する義務を負わないわけです。加えて規制緩和で新規参入した多くの中小貸切バス事業者から競争入札で運行社を決める形ですから、いわゆる仕入がかなり安く抑えられます。これらの事情でバスの仕入れ価格を上回る水準で最少催行人数を設定する限り、損はないわけですから、リスクを負わない分運賃を安く抑えられます。実はこのツアーバスが問題なんです。

いわゆる規制緩和で、さまざまな変化が生じております。ツアーバスの興隆を「規制緩和の成果」と言ってのける御用学者はおりますが、同じフィールドで異なった準拠法規で争う高速バスとツアーバスの関係は、公正な競争とは程遠いものです。いわば同じピッチ上でサッカーチームとラグビーチームがそれぞれのゲームのルールで戦うようなものですから、こんなものを規制緩和の成果と見ることはできません。本来はツアーバスを乗合類似行為として乗合認可を与え、同等の安全運行義務を課す必要があります。実際はそれには程遠く、実際ツアーバスが絡む事故は増えております。

まぁ無理もないんで、元々レジャーの多様化で団体旅行が下火なところで行われた貸切バス事業の参入自由化ですから、たちまち供給過剰となり、価格競争の叩きあいとなります。元々乗合バス事業者も兼業していて、春秋の団体旅行繁忙期に対して車両が余剰となる夏冬の帰省バスやスキーバスなどで効率よく車両を運用してきた業界秩序が一気に壊れ、歴史ある大手事業者は撤退傾向を強めております。その一方でタクシーやレンタカーなどからの新規参入事業者が増えて価格競争が激しくなり、旅行会社のツアーバスの仕入が安くなりました。その結果車両のメンテナンスや乗務員の労務管理などで無理な運行の請負が横行し、事故を増やしている現実があります。そういった新規参入社に経験豊富なベテランドライバーを雇用する力はなく、経験不足のドライバーが多いのもまた現実です。

この辺は新宿駅南口に高速バスターミナルの記事でも軽く触れましたが、ツアーバスの問題点は声を大にして申し上げたいところです。と同時に、既に輸送量から一定の役割を得ていることもまた事実であり、これはとりもなおさず従来の輸送キャリアのサービスでは掘り起こせなかった利用層でもあるわけで、この辺は各事業者も真剣に考えるべきことがあります。ネット事前予約制は、集客コストを劇的に下げることが可能なわけで、JRのマルスシステムやバス各社の独自システムの高コスト体質を浮き彫りにします。この辺は既存キャリア側に工夫の余地がありますね。

同時に高速バスならば、専用ターミナルやバス停の整備が不可欠ですが、ツアーバスは極端な話駐停車禁止場所での客扱いすらある状況で、この面でも不公正競争となっていると同時に、道路交通の私物化という点で社会正義にも反するものでもあります。こういったことを加味すれば、航空における国際定期便と国際チャーター便の関係のような、包括的なルールの策定が必要です。現状はとても資源の効率配分とかパレート最適とか言えるレベルには程遠いといえます。

あと昨今の燃料費高騰でバスはコスト面が厳しくなっているわけですが、JRバスではそれを逆手に取った値下げに踏み切りました。元々乗合バスの場合は一般路線で人件費が8割と言われるように、燃料費の比率は低く、特にJRバスのような大規模事業者は有利です。加えて中小貸切事業者よりも車齢が若く、整備も良好で燃費も良いわけですから、中小事業者が支えるツアーバスを振り切るチャンスでもあるわけです。こういった観点からすれば、ながらも運行コストの削減に工夫するとして、存続を模索してほしいところです。例えば一時期中央線夜行普通列車を甲府で列車分離して、車両をそのまま駅ホームに据えつけて翌日早朝の一番列車とするなんて奇策が取られたことがありますが、静岡あたりで夜間留置車内開放扱いの2列車に分離して存続させるなどの方法も考えて欲しいところです。

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Sunday, June 29, 2008

自動車メーカーの脱クルマ戦略

前の記事に関連しますが、国内自動車市場の縮小に直面する自動車メーカーの話題です。

20世紀はザックリ言って自動車の世紀という言い方が可能でしょう。自動車は工業化社会の象徴ですし、特に20世紀初頭、T型フォードのオートメーション生産がもたらしたイノベーションは、以後の100年を規定するほどの大きな意味がありました。

それまで自動車は町工場で馬車職人の手作りという形で作られていたもので、馬の代わりに内燃機関で動力を得て走らせるということで、馬車の構造を引きずっておりました。オーナーは馬車のキャビンに似た屋根付後部座席に乗車し、御者代わりのドライバー席は屋根なしの雨ざらしということで、オーナードライバー中心の現在のクルマ社会とは違います。それがT型フォードの生産と市場投入で変わったわけです。

気難しい職人に仕事をしてもらうには、報酬を弾むしかないですから、そもそも専属ドライバーを雇える富裕層しか自動車は変えなかったわけですが、それをオートメーション生産で、複数の単能工によるライン生産に切り替えた結果、生産性を高めて価格を劇的に下げる価格革命が可能になったわけです。加えて工場で働く単能工には、いわゆる単純労働ながら相場より高めの賃金を渡すことで、フォードは自社の商品の最初の購買者を育てることにも成功します。実はこれこそが大衆消費社会を切り拓く端緒となったのです。

それを横目に、この仕組みをより効率化しようという動きが現れました。アルフレッド・スローン率いるゼネラルモーターズ(GM)の革新的ビジネスモデルが登場します。町工場中心の前期工業化社会では、所詮家内工業の域を出なかったのですが、生産と管理を分離し、事業に必要な資金調達、売れる商品を生み出すマーケティング、工場の工程管理など、直接生産に携わらない多くの専門家を組織して、多数の傘下工場を稼動させ、規模の経済を追及するというものです。その結果、馬車スタイルが抜け切らない無骨やT型フォードと一線を画す、薄板をプレス加工してフェンダー一体型の滑らかなボディを与えたスタイリッシュな自動車を次々と生み出し、自動車を大衆消費財にしたのでした。

巧みなのは、古くなった工場の生産設備の交換に合わせて、ボディスタイルを見直し、旧モデルを陳腐に見せて買い替えを促す、いわゆるモデルチェンジを行って業績を高め、かくして世界一の自動車メーカーの地保を固め、以後世界に君臨しました。

こうして、常に大衆受けする新しい車が生み出され、市場が刺激され、自動車がリーディングインダストリーとなってアメリカは繁栄し、そればかりか、その見かけ上の豊かさは、世界に憧れをばら撒きました。大衆消費財としての自動車は、頻繁な買い替えが前提ですから、必ずしも高品質である必要はなく、適度に壊れてくれた方が、結果的に買い替えが促進されますし、買い手のユーザーはオーナードライバーであることにステイタスを感じてますから、故障などのトラブルはむしろ地位にあるものの悩みとして受け入れてくれます。かくして最強のビジネスモデルが完成することとなります。

しかしこのビジネスモデルは、石油や鉄などの資源を際限なく浪費することになりますので、アメリカ1国だけであれば成り立つかもしれませんが、他の地域へ拡大すれば、たちどころに資源制約が世界を襲うことになります。70年代のオイルショックは、石油輸出国による価格カルテルの試みだったのですが、日本などで省エネの取組みを誘発し、結果的には不発に終わります。しかし同時に、日本や欧州で資源浪費的でトラブルの多い自動車の燃費改善と品質向上の取組みが始まり、メーカー間の競争環境もあって、自動車は燃費性能を改善し、品質も向上し、故障の確率は劇的に下がりました。そしてアメリカのメーカーはその流れに乗れず、手っ取り早く利益を稼げる車しか作らなくなります。

フォードマスタングは、売れ行きの悪かったコンパクトカー「ファルコン」のシャーシにスポーティなボディを与えただけのチープな車でしたが、若者が飛びつき大ヒットしました。これに味を占めた米自動車メーカーは、その後もライトトラックのシャーシにオフロードカーに似せたボディを与えたSUV、同じくトラックシャーシに大柄のバンボディを与えて、大勢乗れる、たくさん積めるミニバンを開発し、大いに稼いだのです。しかし好事魔多し、すぐさま日欧メーカーの後追いに遭います。

トヨタセリカ、日産シルビア、ホンダプレリュードなどのスペシャルティカーが、量販車のコンポーネントで作られ、同じくSUVも量販車ベースでオフロードカーに似せたなんちゃってオフローダーに、量販車ベースで大柄なバンボディを与えたなんちゃってミニバンなど、ベースが乗用車だけに、トラックベースの米メーカー車とは素性が違いますから、ユーザーは日欧メーカー車に群がります。と同時に日欧メーカーも実は袋小路にはまります。

ユーザーを飽きさせないための新しいクルマの提案が相次いだ結果、かえってユーザーを飽きさせてしまったフシがあります。加えて昨今の原油価格上昇、鉄鋼価格上昇で、メーカーも値上げせざるを得ない状況で消費マインドを冷やします。また皮肉なことに品質向上が極限に達し、故障しなくなったことで、買い替えにブレーキがかかります。

さらに90年代から始まった非正規雇用の拡大、2002年春闘のベアゼロで正規社員も収入が伸びず、ユーザーの購買力を奪います。国内市場は冷え込むばかりです。おそらく簡単には抜け出せないでしょう。しかしこういった逆境こそ、逆転の発想で乗り切るチャンスでもあります。そんな中でのこんなニュースです。

JR北海道のDMV開発、トヨタ・日野が参加
青森県内レンタカー6社、新青森駅に共同基地 新幹線開業時に
まずはDMVからですが、以前の記事でも取り上げました。ベース車は日産シビリアンなんですが、この車、主要コンポーネントをいすゞから調達し、日産車体で組み立てて、日産系、いすゞ系ディーラーへシビリアン/ジャーニーとして供給されているという成り立ちです。特徴としてラダーフレームにキャブオーバーのボデイを架装したフロントエンジン・リアドライブ(FR)レイアウトで、構造単純で軽量、堅牢であるがゆえに、重量物である鉄車輪を装備してレール上を走行可能になります。

しかし昨今のディーゼル排ガス規制や安全装備などで重量が増え、そのためにDMV試作車では乗車定員を減らして総重量を道路運送法の規制値に収める必要があります。それに対してJR北海道は日産に共同開発を申し入れますが、成り立ちの特異性もあり、数が売れる保証もないDMVの開発には慎重姿勢でした。

それに対してトヨタが日野と共同で開発に協力することになったのです。トヨタは世界一の量販バスであるコースターをラインナップしているものの、小型バスでは珍しいモノコック構造で、そのままでは鉄車輪の装備は不可能です。そこで日野のトラックシャーシの活用を考えたものと思いますが、数が読めないニッチな市場へアプローチするトヨタの苦悩が見えます。軽量化で25人以上の乗車定員確保が開発目標となりますが、開発段階で相当数のバックオーダーを得なければ難しいだけに、トヨタの取組みは注目されます。

東北新幹線新青森駅にレンタカー基地というのも、なかなか興味深いニュースです。なにしろ新青森駅は市街地から3km以上離れた郊外の低層住居地域で、市街地とのアクセスに課題がある上、駅前の開発にも制約があるわけですから、そこへレンタカー基地を設けることで、利便性を確保しようということです。同時にやはり、メーカーのニッチ市場攻略という側面もあります。

というわけで、ここまでしないとクルマが売れない日本のメーカーの苦悩は続きます。

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Sunday, May 11, 2008

設備投資を加速させる京王電鉄

京王電鉄の2008年度経営計画が発表されました。

オフィシャルサイトのプレスリリース(PDF)
冒頭の基本方針に
「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」を目指し、
「鉄道事業の安全性の向上」と「沿線価値向上への取組み」に
注力してまいります。
とあります。鉄道事業への投資額549億円(対前年20%増)、うち安全性向上には433億円(対前年14%増)ということで、これは2010年に予告されている調布市内連続立体化事業にあわせてATC導入と所属車両省エネ化(VVVF化)を加速させるものです。

具体的には相模原線のATC地上設備の設置を完了させ、車両改造を進めるほか、京王線60両井の頭線25両の車両代替と在来車改造を含めて117両のVVVFインバータ制御車を登場させることになります。そのほか地下駅の火災対策強化や駅のバリアフリー対応工事を進めるとしております。

車両面では85両の新造というのが目立ちます。京王線の60両は9000系30番台10連6本と考えられ、これで10連14本が揃いますので、都営線直通運用を9000系だけで賄える数がそろいます。当然6000系は代替廃車が進むことになります。5扉車や2連など、一部残る可能性はありますが、JR常磐緩行線203系と双璧の窓のバタつく電車の過去帳入りは近いですね。そういえばJR東日本も本年からE233系2000番台による置換えが始まりますね。

名車の誉れ高い5000系の後継車でありながら、京王新線の呪縛でコストダウンを余儀なくされた粗製乱造車の6000系ですが、それだけに時代を映す車だったといえます。この苦境があればこそ、バブルに踊らず線増ではなく長編成化で混雑緩和に取り組み、大手私鉄随一の財務体質を獲得したわけですから、感慨深いものがあります。かつて冷房化に抵抗し続けた^_^;2010系などの"グリーン車"と蔑称された旧型車の途をなぞるようですが、"アイボリー車"とでも呼べばよいでしょうか。

一方の井の頭線でも1000系の久々の増備となりますが、これでやはり昼間に関しては完全に1000系で統一でき、3000系はラッシュ専用となりそうです。ここでも"グリーン車"現象^_^;が進みます。同時に3000系でも増備の都度改良が重ねられてきた歴史に倣えば、どんな仕様で登場するかも注目です。京王線9000系が日車ブロック工法で小田急3000系京成新3000系と一派を築いていますが、1000系のすそ絞りスタイルは対応できない可能性があります。となると小田急の千代田線直通車に倣って東急車輛製のツーシート工法へのシフトも考えられ、"走ルンです京王"^_^;が登場するかもしれませんね。注目です。

あと関連事業では、京王電鉄の新たな沿線活性化策で取り上げましたが、移住・住みかえ支援機構(JTI)を活用した、沿線の高齢者を都心の賃貸マンションに誘導し、持ち家を子育て若年世代へ賃貸することで、沿線の若年人口増加への取組みを進めるほか、学生マンションや企業向け独身寮事業などで、一味違った沿線活性化策が謳われております。計画書にはありませんが、高幡不動駅前の子育て支援マンションの成果も興味深いですね。

人口減少で、鉄道事業を核として沿線開発で不動産部門で利益を得る従来型の私鉄経営のビジネスモデルが行き詰まりを見せる中、いち早く次の時代を睨んだ事業を展開しているわけで、その成果が注目されます。

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Sunday, January 06, 2008

今年はいい年? 悪い年?

や、年越し論争で新年のごあいさつも未だしですが^_^;、本当は株価が気になって記事どころじゃなかったらしい^_^;。なにしろ新年早々こんなトップニュースですから。

日経平均、終値616円安の1万4691円・昨年来安値に
いや、別に株が下げて損したわけじゃなくて、PER(株価収益率)が16倍を割って、理論上割安といえる水準にある日本株の買い時を探っているんですが、これがなかなか難しいんです。なにしろこんなニュースが続くんですから。
米国発株安、年明け後も日欧市場揺さぶる
週明けに一段の値下げ必至の状況で、いかに理論上割安であっても、買うに買えないというところです。というわけで、私自身は株安には動じておりませんで、買いの好機と見ているんですが、なけなしの資金ですから、ふんぎりがつかないんですね^_^;。

でも、買えない理由はそれだけじゃなくて、為替相場との関連をバーゲンエコノミーで述べましたが、年末にOECD加盟国中1人当たりGDPで日本が18位になったというニュースが流れ、かつて世界一豊かだった日本もいよいよ並みの豊かな国に成り下がったわけで、悲しい予想の的中と相成りました。そんな状況に斉藤東証社長も危機感を募らせます。

「東京市場、魅力失いつつある」・斉藤東証社長が年頭あいさつ
国際競争力を維持するために、賃カツ、リストラ、サービス残業、非正規雇用で凌いでいたはずなのに、ただただ国民をビンボにしただけでした(怒)。購買力を失った国民は節約を心がけりゃ,モノが売れないデフレだと騒ぎ、低金利で国民から利子所得すら奪い、円安と相まって企業はぼろ儲けしていたのに、税金払いたくないから法人税まけろの大合唱、財源確保で消費税増税とは、どこまでも虫の好い日本企業です。

でもだからといって儲けを株主に配当などで還元する気はさらさらなく、ひたすら蓄財に余念がないのでした。今回の株価下落で配当利回りが1.6%と、久々に10年物国債の利回りを上回ったそうですが、日本企業の配当性向の低さは絶句です。そりゃ外国人投資家には魅力がないわQ-o-フッ。というわけで、なかなか買いのタイミングがつかめないのでした。

鉄ちゃん的には、今年は新線開業の当たり年ということで、3月の横浜市営地下鉄グリーンラインと都営新交通日暮里舎人ライナー(ベタなネーミングだ^_^;)、6月の東京メトロ副都心線渋谷開業に東急目黒線日吉延伸と、首都圏だけで4線ということになります。んが、よく考えたらグリーンラインと日暮里舎人ライナーは公営交通だし、東京メトロは株式会社化されたとはいえ、未だ国と東京都が出資する特殊会社で上場もこれからです。唯一民間路線である東急目黒線ですが、東横線の線増扱いとなりますので、営業キロは変化なしというわけで、うーむ、よく考えたら日本経済並みに上げ底だったりして^_^;。

横浜市営地下鉄は民営化されるはずだったのですが、中田市長の選挙違反疑惑などで話が進んでいる形跡はなし、同時に民営化が答申された市営バスは民営化見送りで、路線ごとの切り売りでリストラ進行中。分社化でもめた相鉄のバス部門共々横浜のバス事情は波乱含みですね。そもそも全体の営業規模も大きくない横浜市営地下鉄で、規格の異なる新線というのは、どう考えても愚策です。

むしろ関西のJRおおさか東線と京阪中之島線に期待がかかりますが、いずれも三セク方式の上下分離路線でやっぱ上げ底か^_^;。とケチばかりつけていても仕方ないのですが、大阪のような大都市圏での鉄道整備は公的助成なしには進まないのも現実です。かといって第三セクター方式は問題のある方式であることも次第に明らかになりつつあり、地方版産業再生機構がターゲットにしていると噂されます。困ったときの三セク頼みは通用しなくなります。ま、それでも近鉄の逆上下分離よりはましか。

というわけで、とりとめがなくなってまいりましたが、本年もよろしくお願いいたします。m_ _m

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Tuesday, December 18, 2007

相鉄のバス路線売却で労使の泥仕合

暮れの押し迫ったこの時期に、スト含みの労使紛争ネタです-_-;。

相模鉄道、バス不採算路線撤退・売却を決定
ネット版の記事では省略されてますが、以前にも取り上げた相鉄のバス部門を巡る労使対立は根深く、24日からの96時間ストを機関決定しています。
労組が24日からスト計画、バスと鉄道で一日42万人影響/相模鉄道
ストの主眼はバス事業分社化を巡る労使対立であるわけで、暮れのこの時期に異例のスト突入の恐れが出てきました。

以前にも指摘したとおりですが、バス事業を巡る労働環境は激変しておりまして、かつては高給取りが多かったバス運転士ですが、事業者にとっては8割が人件費というコスト構造の中で、マイカーの普及によるバス離れと渋滞など走行環境の悪化に伴なう定時運行維持の困難さでさらにバス離れが助長される中、人件費の圧縮はやむをえない選択ではあります。実際、大手私鉄各社を見回しても、かつて小田急、西武、阪急、京阪の3社を除いて鉄道直営だったバス事業を分社化して給与体系を本体から切り離す分社化の流れは続いております。当然相鉄経営陣も、そういった他社の情勢を見て追随しているだけという認識なんでしょう。しかし他社でうまくいった手法が、なぜに相鉄では労組の理解を得られず頓挫しているのか、そこに何かありそうです。

首都圏では京王帝都電鉄(現京王電鉄)による京王バス(現京王バスイースト)の分社が嚆矢ですが、全国で見れば、福岡県の西鉄による地域子会社分社や、バス専業ですが奈良交通による子会社エヌシーバス分社などが先行します。いずれもバス事業の規模が大きく、会社単位では全業黒字ではあるものの、それゆえに認可運賃が低額に抑えられる一方、大所帯ゆえに労組の力が強く賃金レベルも高いため、特に末端の非採算路線の維持が年々困難になる中で、運賃や給与水準を本体から切り離すことで収支均衡を図る目的で始められました。

ただしいずれの場合も、単純な人件費の抑制策であれば、やはり労組の反対にあっていたはずですが、地域の実情に合った運賃水準と給与水準を実現することで、増発や新路線開設など攻めの対策が取れるようになるなど、事業そのものの見直しにつながるものだった点が特筆されます。西鉄ではマツダパークウエーやいすゞエルフ改の小型ワンステップバスの開発導入を行うなどしてますし、エヌシーバスでも日産シビリアンやいすゞDBR→MRなどのフロントエンジンワンマンバスで狭隘路のフィーダー路線を開拓するなど、かなり先進的な取組みが行われました。

京王電鉄のバス分社化にしても、当初はメーカーに依頼して開発した7m級リアエンジンワンステップバスの日産ディーゼルRNを用い、輸送単位を小さくして増便するなど、人件費抑制により可能な攻めの施策を打ち出して注目されました。その後バス事業は再々編されて事情は変わりましたが、新路線の開拓や、高採算部門である高速バスへの集中など、攻めの姿勢は今に至るも変わりません。また東急の場合でいえば、一旦東急バスへバス事業を分離した後、子会社(電鉄から見て孫会社)の東急トランセを立ち上げて、路線移管や新路線開拓などバス事業再編を進め、競争激化の貸切バス事業と小規模な高速バス事業からの撤退など、やはり得意分野に絞り込んでの事業再編を進めて今日に至ります。この辺が相鉄のケースでは希薄な印象があります。

実際のところ京王バスでは賃金を抑え込みすぎて社員の定着率が悪いなどの弊害も報告されているわけで、全面的に成功したと評することはできませんが、それでもバス事業に関して攻めの再編を仕掛けることはできたわけで、功罪に関して見方は分かれます。ただ、事業環境の変化が著しい中で、座して衰退のスパイラルに陥ることは、どのみち避けられないことではあります。

というわけで、予断を許さない状況の中で、労使双方が歩み寄れるかどうかが問われているということかと思います。今回会社側が打ち出した7路線売却案ですが、不採算路線だから切るということですが、そんな路線が他社へ売却できるとすれば、それはやはり相鉄のバス部門の給与水準の高さに由来するとはいえるわけで、こうして結果的に規模の縮小を呑まざるを得ない労組側にも弱みはあるわけです。かくして不毛な労使対立の構図は、誰も喜ばないものということはできます。

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