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Sunday, November 22, 2020

米大統領選よりコロナで沸く珍ラリー

やっと政府も Go To 見直しですが、3連休前ならともかく、人の移動を抑える効果は限られます。結果的に来月になって感染拡大が進んで忘年会全滅から年末年始の帰省や初詣も自粛で消費低迷は目に見えてます。目先の経済を回すことに拘るあまり、大局を見失っている現状は Go To コロナ不可避です。社畜は正月も帰らないかも。

てことで実体経済グダグダが避けられない中で、株価の好調が目立ちます。特に米市場の好調が世界を牽引している訳ですが、あれほど揉めた米大統領選に対しては、結果的に大して反応しなかった一方、米ファイザーとモデルナが相次いで開発中のワクチンの有効性の高さを発表した結果、市場は沸いて所謂ワクチンラリー状態になったことが大きいです。

ワクチンはウイルスを意図的に投与して免疫を働かせて抗体を形成することで予防や軽症化の効果を得るものですが、当然発症のリスクもある訳で、そのため生ワクチンではなく病原性を弱めた不活化ワクチンが主流ですが、そもそもウイルスの分離、培養に時間がかある上に、不活化も複雑な処理を要するため、とにかく開発にも製造にも時間がかかりますし、量産による供給体制の構築もにも時間と費用が掛かります。また安全性の検証のための治験を経なければ認証を得られず、実際の供給開始には数年かかるのが通常です。

しかし米2社のワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)を利用する新技術が使われており、この点でも注目されるものです。遺伝子の本体であるDNAが細胞核の中で折り畳まれていて門外不出で温存されている訳ですが、タンパク質の設計図である遺伝子が実際にタンパク質を生成するには、長いDNAの一部を状況に応じて転写して細胞液に放出します。RNA転写と呼ばれるものですが、こうして放出されたRNAがmRNAと呼ばれ、複数のアミノ酸をつないでタンパク質を生成する際の触媒となり、役割を終えれば解体されます。

そこでCovid19ウイルスの表面タンパク質を解析して対応するmRNAの塩基配列を調べれば、RNA自体は人工的に生成できるので、そうして生成されたmRNAを投与することで、ウイルスの表面タンパク質が生成され、免疫反応で抗体が作られる結果、免疫獲得につながる訳です。そして治験の結果良好な有効性が証明されたということで市場が湧いた訳です。ウイルスの培養や不活化のプロセスも不要なので、量産体制も組みやすいこともあり、市場が好感した訳です。

しかし問題もあり、特にファイザーのワクチンは摂氏マイナス70度で保管しないと有効性が保てないということで、輸送や医療機関での保管体制の構築に時間がかかるとすると、普及までに時間を要することになります。加えて抗体を増やすと免疫の暴走を招く可能性もあります。これ不要不急の臭い話で指摘したコロナの重症化が免疫の暴走の可能性とつながってきます。つまりワクチン投与が重症化のトリガーになる可能性がある訳で、安全性の判定が難しくなります。特に既に抗体を獲得した既発症者への投与は危険を伴うことが考えられます。てことは事前に抗体検査が必要かもしれない訳です。その抗体検査の精度の問題もあり、実際の使用には慎重さが求められます。

とはいえ今の株式市場は悪い材料はスルーして良い材料を模索する傾向が顕著なので、とりあえず株価上昇のエンジンとしては十分という評価になる訳です。米大塔陽陵泉書き部下に影響しなかったのも、バイデン優勢ならトランプ以上の財政出動が期待されるからで、ブルーウエーブの実現が今のところ未定ですが、議会選が意外と接戦となったことで、金融規制やハイテク規制もマイルドになるという期待が注目されましたし、またコロナがどう転ぼうが今後も大規模な財政出動が避けられない中、FRBが金利上昇抑制に動くから、結果的に金融市場を支える余剰マネーの供給が続くと見られ、実はこれが一番の要因だったりします。国のマクロ経済政策が予想可能というのが、市場にとっては一番の安心材料ってことですね。

ただこれは同時に投資のリターンの減少を招くことでもあり、実物経済で言われる投資収益逓減の法則が金融投資にも及んだと見れば、これ長期的には投資資金を溶かし続けるプロセスを意味します。日本のバブル崩壊後の経済低迷が示すのは、オイルショックを乗り越えて実物経済のチャンピオンの地位に上り詰めた日本が、潤沢な資金をITなど次世代技術への投資に回さず財テクと称するマネーゲームに興じた結果が示します。今の日本は過去の栄光で得た蓄えを溶かし続けている訳です。世界がそれに追いついてきた訳です。

その一方で新興国のキャッチアップは続く訳ですが、とりわけ規模の大きい中国の台頭が典型的ですが、ITで従来の新興工業国がの成長プロセスを単純になぞるのではなく、途中段階を飛び越えて成長することで、寧ろ世界最先端はどっちだかわからない状況が出現している訳です。それを伺わせるのがハイブリッド・シビル・ウォーで取り上げたアントフィナンシャルグループの上場中止ですが、続報が出ました。

アリババ創業者、共産党と根深い対立 アント上場、習氏が反対:日本経済新聞
香港と上海の市場への上場を目指し手続きを終えて上場審査をクリアした後での急な上場中止ですが、習近平氏の反対があったようです。アントはアリババのEC市場出店事業者向けに資金調達を支援する事業で成長した訳ですが、実態は銀行との仲介が中心で、アント自身のバランスシートに融資資産がほとんど計上されておらず、主にECデータによる信用スコアを利用した信用補完が中心ですが、決済サービスとしてのアリペイの存在がその下敷きになっている訳で、リスクを銀行に取らせて仲介手数料はしっかり取るというビジネスモデルで、言ってみれば良いとこ取りな訳です。

ただ実際問題としてアリババに出店する零細事業者は銀行融資を受けにくい現実がある訳で、銀行システムの未熟さが背景にあります。故に創業者の馬雲(ジャック・マー)氏から見れば、当局の銀行規制の不合理が見える訳で、それを公言したことで当局批判と取られたということで、習近平氏が怒ったtってことのようです。

但し注意が必要なのは、中国は人民元の国際化を推進しており、IMFの助言に従って人民元の流動性を高め、管理変動相場制への移行などを着々と進めている訳で、米ドルの基軸通貨体制下では国富がアメリカに流出することを避けられない現実を悟ったからですが、その足許で金融規制を巡る当局批判と取られる発言が問題視されたってことですね。これ実はフェイスブックの暗号通貨リブラを巡る西側諸国のブロックと通底する問題です。

ビットコインがトランザクションへの計算能力を提供するマイナーへの成功報酬として発行され実物資産の裏付けが無い一方、リブラは米ドルなど主要5通貨を保有してその通貨バスケットを裏付けとして発行されるので、法定通貨と紐付けされたという意味でステープルコインと言われますが、かつての金本位制時代にも各国金融当局は裏付け資産以上の通貨発行をしていましたし、ブロックチェーンを用いるシステム自体に信用創造の機能があることから、リブラの事業領域は伝統的な銀行業と被ることになります。

故にリブラに銀行業免許を求めるなどして事実上阻止した訳ですが、アントの顛末はある意味その中国版と見ることができます。ブロックチェーンは用いないけど、ECや決済システムの運用で得られた信用スコアを用いるアントのビジネスモデルは、既存の銀行業の領域を侵犯する可能性がある訳です。と見ると、アントの上場中止は単なる独裁体制の弊害とばかり言えない訳です。勿論武漢封鎖と同様にトップの鶴の一声で事態が動くトップダウンの仕組みは中国らしいと言えばらしいところですが。

翻って日本では低金利による銀行の収益悪化で地方銀行が特に窮地に陥り、地銀再編が言われますが、さっぱり事態は進みません。寧ろコロナ下での緊急融資もあって様々な支援しきーむはあるものの、例えば経産省の信用保証制度は単なる銀行融資の付け替えによる融資行のリスク回避に使われ、企業が破綻すれば国民負担という理不尽な仕組みですし、日銀が打ち出した無利子無担保の緊急融資も間もなく満期を迎えますが、融資先の状況は改善からほど遠く、銀行は借り換えを躊躇している状況です。倒産ラッシュはこれから本番と言われるゆえんです。

地方私鉄で特に観光輸送に依存するところはコロナ禍で苦しんでますが、それでも日銭が稼げる鉄道業はそれなりに耐性はあります。但しいつまで持つかという問題もありますが、そんな中でこんなニュースを見つけました。

自虐的?赤字の島原鉄道「赤字ボールペン」発売 珠玉の一本、目指すは黒字:毎日新聞
長崎と言えば長崎新幹線問題がホットですが、現状の整備新幹線の枠組みでは佐賀県の態度が変わらない限り武雄温泉―長崎間の離れ小島で赤字必至の飛べないかもめになりそうですが、インバウンド消滅で窮地にある島原鉄道は自虐ネタで勝負ってことですね。鉄道を支えるにはキャッシュフローが大事なんで、銚子電鉄の濡れせんべいのような奇跡を起こすかどうか、注目しましょう。

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Sunday, November 15, 2020

厳冬に向かって Go To コロナ

寒冷化で人の免疫力が低下する一方、乾燥でエアロゾル化して長く空中をウイルスが浮遊する季節になり、感染拡大が続きます。

新型コロナの感染拡大が続きます。国内感染 過去最多の1700人超 新型コロナ:日本経済新聞
とはいえ政府の動きは鈍いままです。国内では第3波と言われますが、第1波と第2波は、緊急事態宣言による自粛期間がありましたから、ひと連なりと見て良いでしょう。欧米も厳しいロックダウンを経て規制解除と経済活動解禁を進めた結果の感染再拡大ですし、欧米で猛威を振るう第2波と同時進行と見る方が実態に近いと考え、ここでは第2波の表現に統一します。

第2波の影響で為替市場がドル安ユーロ安にシフトする中、円高回避の手が無い日本もコロナ禍で打開という与太が冗談と言い切れない現実があります。緊急事態宣言時も医療崩壊阻止が言われ、それを理由にPCR検査を増やさないという謎理論がまことしやかに語られたことは忘れちゃいけません。その結果、確かに医療崩壊は防げたかもしれませんが、解除後に感染拡大が起き、所謂国内第2波と言われた訳ですが、その後の感染高止まりもあって消費の戻りは遅く、Go To も当初東京都が除外されたこともあり、最初はボチボチな感じでしたが、先月の東京都解禁で明らかに様子は変わりました。

観光地は久しぶりに人があふれ活気が戻っていますが、それと共にジワジワ感染が微増傾向を見せ、感染拡大局面に至ったとすれば、新型コロナの発症に至るタイムラグにほぼ符合します。また寒冷地の北海道の感染拡大にも注目すべきです。緯度的に欧米と同緯度であり、欧米の感染拡大とほぼ同じタイミングで感染拡大が見られている状況です。本来ならばとりあえず北海道のGo To 除外はをすべき局面ですが、結局除外は見送られました。経済優先子の結果感染拡大すれば、結局経済が冷えるという当たり前のことが見えていないようです。風邪ひかない人たちに政権を委ねた結果です。

コロナ対策こそ最優先課題の筈ですが、行政DXや携帯料金値下げには熱心な一方、コロナ対策には消極的です。第2波感染拡大は避けられない状況です。政府が当てにできない状況ですから、政府に言われるまでもなく、自助で身を守るしかありません。ヤレヤレ。

結局非常事態宣言による医療崩壊を回避できたとはいえ感染を封じ込めた訳ではないので、自粛を解除し規制を緩めGo To で人の移動を促せばこうなる訳です。せめて自粛期間中に検査と隔離の拡大や医療分野への支援でICU拡大が為されているならばともかく、それもありません。尚、一部で病院は暇でベッドも空いていると主張されていますが、隔離病棟は感染防止のため気密減圧が必要ですし、人工呼吸器や人工心肺も扱える医療スタッフを揃えないと使えない訳ですが、そのためのマンパワーを整えるのは簡単ではありません。しかも負荷のかかる病院は一般診療の減少で収入が減っていてボーナスカットなどで退職者まで出ている状況です。Go To よりもこちらに予算を配分すべきですが放置されてます。

ホント何やってんだかって話ですが、16日に7-9月期GDP速報値の発表があります。予想では年率18%を超える高い伸び率ですが、これ前回の27%減の数字に対するもので、しかも年率換算ですから高い数字になりますが、落ち込んだ分の半分程度の戻りに過ぎません。財政出動で下支えしてもこんなもんなんですから、元には戻らないと見るべきでしょう。今後の感染状況によっては今後さらに下がる可能性もあります。そんな中で鉄道各社の上期中間決算が出そろいました。

鉄道18社、全社が最終赤字 今期計1.2兆円 減収は32% 固定費削減急ぐ:日本経済新聞
各社でそれぞれ事情が異なりますが、JR3社では運輸収入比率の高いJR東海が売り上げの落ち込みが大きい一方、利益率の高い新幹線の陰で赤字幅は相対的に小さくなります。私鉄大手は各社各様ですが、長距離輸送や観光輸送の比率が高い近鉄が厳しい他,成田空港輸送の蒸発した京成、関連事業のホテル業の不振で西武HDが落ち込みが大きいのが目立ちます。一方定期券比率が高く安定している小田急、京王は株価が上昇に転じるなど各社ごとに事情が異なります。

JR東日本は成田s空港輸送の不振のほかに、整備新幹線リース料として課されている負債を抱えてますから、JR3社の中では特に苦しい立場です。故に7終電繰り上げや通勤定期値上げなどをいち早く打ち出しましたが、コロナ後の需要回復は8割と見ていることが前提です。安定収入に寄与する筈の通勤定期売上はリモートワークで減少してますし、夜のクラスター対策で終電近くの乗車率が下がったことが終電繰り上げにつながる訳で、経営環境を反映した事業の見直しは避けられません。

JR東日本の特急踊り子のE257系置き換えに伴い、185系の現役引退が発表され、それに伴って朝夕の湘南ライナーも特急湘南となり、踊り子の自由席廃止と相まって実質値上げとの恨み節も見られます。自由席の廃止自体は常磐線のひたち・ときわ、高崎線のゆけむり・草津・あかぎ、中央線のあずさ・かいじで先行しており、座席予約状況を示すLEDランプで車内検察を省略する合理化の一環で、車両更新に合わせて踊り子・湘南にも適用されたってことですが、ライナー列車を廃止して特急化ですから、値上げの要素はあります。

タイミング的にはコロナ禍と被っている訳で、湘南ライナーの特急化は需要低下の中での増収策の気配はあります。逆に密を避けるという意味で受け入れられる可能性もありますし、特にとかいなかリモートワークという新たなトレンドの創出につながる可能性もありますので、企業としてのJR東日本としてはチャレンジしたいところでしょう。逆にインバウンドの蒸発で苦しむ他社でも、着席サービスの積極的展開はあり得ます。需要が元に戻らないとすれば、客単価を上げて増収を図ることは増えてくると考えられます。問題はそれが容易ではない地方では難しいってことです。

逆に気になるのが自動運転への傾斜です。山手線では既に試験が始まっていますが、東北新幹線でもE5系で試験を粉うと発表されてます。JR東日本が目指すのはドライバレスということで、車掌相当の保安要員を添乗させるけど運転業務は行わないことを想定しており、現状の地下鉄などのATOの先を狙っているんですが、心配なのは異常時に確実に列車を止められるのかですね。福知山線の事故でも運転士の異常を車掌が止められなかったように、事態の把握と対応が適切に行えるかどうかは未知の問題です。

組合が強ければ会社側に慎重な対応を申し入れることでけん制が働きますが、JR東労組大量脱退が起きたことが懸念材料です。鉄道の場合乗務員が事故の責任を問われる立場ですが、裁判の支援も含めて組合の支援があることで、過重な責任追及を回避できますし、会社側と保安装置の仕様や運転規則の見直しなどを交渉して組合員を守ることで、会社側の行き過ぎた合理化をけん制できるんですが、それが難しい中で、しかも経営に逆風が吹く中で、適切なシステム開発や運用が可能かどうかは危ういところです。

ドライバレス関連で言えば、中央リニアも基本ドライバレスになります。これは従来の鉄道と違って地上コイルへの給電で列車を制御するシステムですから、ドライバーは不要ですが、その分地上側からの遠隔操作になります。これケーブルカーなどでは当たり前ですが、2列車の釣瓶運行という単純な仕組みならともかく300kmを超える距離を複数列車で運行する訳ですから、AIレベルの運行管理システムを構築して監視するようなシステムになる訳で、異常時の緊急停止や乗客の安全な誘導が可能なのかどうかは未知数です。このレベルの実証実験は40kmほどの実験線だけでは不可能ですから、建設後の全線試運転での走り込みをして熟成させるしかありません。開業を急ぐJR東海の姿勢には疑問符が付きます。

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Sunday, November 08, 2020

ハイブリッド・シビル・ウォー

開票が進みやっと大勢が決まった米大統領選です。

「分断ではなく結束」 バイデン氏が勝利宣言:日本経済新聞
バイデン氏が勝利宣言をしましたが、トランプ氏は敗北宣言をしておらず。法廷闘争に持ち込む姿勢を見せており、すんなり政権移行するかどうかは微妙ですが、既に欧州首脳は祝意を表明しています。トランプ政権で悪化した外交関係の修復に対する期待でもあります。

英国ジョンソン首相も防衛機交渉や気候変動問題での連携に期待しており、EUと足並みがそろっております。バイデン氏の同盟重視の姿勢に対する期待ですが、アジアの某日本国は微妙です。安倍政権でトランプべったりだったことで、同盟重視があまりピンと来ていないこともありますが、バイデン氏が復帰を明言したパリ協定の目標が低すぎるとか石炭火力に依存しているなどで非難されたから、トランプ政権は居心地が良かったとも言えます。それに日本学術会議問題の国会答弁で炎上中でそれどころじゃないかも。また任命拒否した6名は反政府運動に関わっているという政府関係者の証言が報じられております。中国かよ!

しかしトランプ大統領は敗北宣言をしておらず、法廷闘争に持ち込む算段をしています。但し現時点ではトランプ陣営からの不正の訴えは裁判所に退けられており、また欧州から派遣された選挙監視団も今のところ不正の証拠はないとしております。但し州によって手続きが異なるため、提訴を受け付ける州も出てくる可能性はあります。

また既にSNSでフェイクニュースが拡散されており、何故か日本でも翻訳されたツイートが拡散されてますが、そのほとんどはファクトチェックされてフェイクとされております。寧ろトランプ陣営の立会人のあからさまな開票妨害が見られ、また両陣営のデモも起きており、下手すると両者の衝突もあり得ます。これ既に内戦状態と見て良いかもしれません。

ザ・シビル・ウォーで取り上げた南北戦争も元はと言えば大統領選でリンカーンが勝利して奴隷解放を進めたことに対する南部諸州の離反によりますが、当時リンカーンが所属する共和党は保護主義と工業化推進の立場で、逆に民主党は国際貿易重視で有力な輸出品だった綿花栽培農家の利害を代表していたため、安い労働力としての奴隷制度維持の立場で、今とは立場が逆だったのが面白いところです。時代が変われば立場も主張も変わる訳です。

てことでバイデン氏は同盟重視、国際協調の立場ですが、一方でバイ・アメリカンで国内工業重視の姿勢も見せており、経済下支えのための大規模公共事業も公言しています。しかし既にトランプ減税の大盤振る舞いとコロナ対策で財政赤字拡大が続いており、法人税増税を打ち出してはいるものの、上院がで民主党が多数派を取れなければ実現可能性に疑問符が付きます。そうなるとFRBが金融緩和で支えざるを得なくなり、金利の低下でドル安基調で円高が進むと言われております。

実際円は対ドルでジリジリ上げておりますし、欧州のコロナ第2波でユーロ圏もマイナス金利で円独歩高の様相です。しかし異次元緩和で手詰まりな日銀は打つ手がありませんし、政府の為替介入も現実的には不可能です。この面からもバイデン氏に祝意を表しにくい某日本国です。残る手は欧米並みにコロナ第2波で経済失速か。ひょっとして Go To って-_-;

話を戻しますが、フェイクニュースや開票妨害などはある意味現代的な実力行使でもある訳で、ハイブリッド戦争ならぬハイブリッド内戦と言えるかもしれません。ハイブリッド戦争または非対称戦争と呼ばれるのは、主権国家同士の実力紛争を意味する通常の戦争に対して、例えばテロのように民間人に紛れて攻撃を仕掛けたり、あるいは軍事的衝突は伴わないけどサイバーセキュリティの弱点を突くハッキングや攪乱とか、フェイクニュースのry\流布とか、武力行使を伴わない妨害行為など、紛争関係が非対称で見えにくいものを指します。

典型的なのは9.11とその後の対テロ戦争だったり、ウクライナ紛争のように明らかにロシア軍の実態の義勇軍とか、その他もろもろの紛争携帯の総称です。政権移行のために連邦軍がホワイトハウスからトランプ氏をエスコートといった事態もあり得ますし、仮にそうなると遺恨が残りバイデン氏の政策遂行の現場で様々な妨害工作が行われることも視野に入れておく必要があります。となると同盟重視で国際社会へのコミットを公言するバイデン氏ですが、国内問題に忙殺されて国際協調に手が届かない事態もあり得ます。かくして頼りにならないアメリカは継続し、中国、ロシア、トルコなどの権威主義国家がますます勝手に動くことになります。トランプ時代に負けず劣らず国際秩序は混乱すると見るべきでしょう。

となるとヤルタ・ポツダム体制下で惰眠を貪る日本も、アメリカを当てにできないことを自覚すべきでしょう。日本が提唱しアメリカが乗っかっている開かれたインド太平洋という防衛構想も、当てにはできないと考えた方が良いでしょう。結局米中のパワーバランスの中でポジションを模索するしかないのが日本の立場です。しかも日本の経済的プレゼンスはダダ下がりの中での話です。そんな中で気になるのがこのニュース。

アント、香港・上海上場を延期 中国当局が創業者ら聴取:日本経済新聞
アリババグループの金融サービス会社のアント・フィナンシャルグループが上場直前に創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の発言を問題視して聴取したことで、上場が遅れたというニュースです。マー氏は当局の規制が時代に適合していないと政府批判ととれる発言をしたことが問題視されたようです。

アリペイによりQRコード決済システムでテンセントのウイチャットペイと市場を分ける巨人ですが、更に踏み込んでECでアリババに出店する事業者の資金支援サービスまで手掛ける結果、銀行の領域に迫る訳ですが、それ故当局の干渉は大きいのでしょう。それに対する不満を述べたことが当局の知るところとなっての事態ってことらしいですが、この辺中国の国有企業と民間企業の二重構造が表面化したと見ることができます。

ITの巨人として米GAFAと中国BATHという言い方があります。GAFAは省略しますが、BATHはバイドゥ、アリババ、テンセント,ファーウエイの頭文字です。この中に国有企業は無く、全て新興の民間企業なんですね。中国と言えば規模ばかり大きく非効率な国有企業のイメージが強く、実際そのような企業は多いですし、政府も雇用の観点から国有企業の保護の姿勢は見られますが、実際に中国の経済成長を支えてきたのはBATHに代表される新興民間企業です。但し競争を勝ち抜いて大企業に成長すると政府の干渉が強まるというジレンマが中国社会でも見られる訳です。これどこかの国と似ています。

NTT再編と政府による通信料金値下げにキナ臭い関係が噂されます。稼ぎ頭のNTTドコモが他社の攻勢でシェアを落として3位となった結果、優越的地位による規制が現実にそぐわなくなってきていることは確かですが、ドコモに留まらず東西やコミュニケーションズ、ITベンダーのデータまで統合してNTT再編が目論まれていますが、政府が34%の議決権を保有する特殊会社ですから、根拠法の改正は避けられないところですが、おそらく政府も法改正などの支援を内々に示唆しているのでしょう。上場したJRが完全民営化されたのとは異なります。

具体的には°ドコモの完全子会社化で、株主配当は不要になり、それがドコモにとっては値下げの原資になります。となるとauとソフトバンクも追随せざるを得なくなり、政府が目論む値下げが実現するという見取り図ですね。またsuもソフトバンクもUQモバイルやYモバイルといったサブブランドを活用してMVNO事業に進出し、安値志向の顧客をドコモから奪って囲い込む戦略でシェアを伸ばしてきましたが、このビジネスモデルはNTT法の縛りでドコモはできません。ですから見方を変えればドコモの子会社化でやっと追いついたという見方も可能です。

実際auもソフトバンクも本体は高機能端末でバリバリ通信するヘビーユーザーを囲い込んで高い料金を取っている訳ですが、ここに落とし穴があります。つまり高額通信料を承知で利用するユーザ―のお陰で基地局などの投資の原資を得ている訳で、それがドコモの値下げで利益が圧迫されるとやりにくくなります。折しも5G投資がは事案るタイミングでの話ですから、日本の5G投資は遅れることが心配されます。

今のところ専用基地局を増やすより既存の4G基地局をソフトエミュレートで疑似5G化する形でサービスを始めて5G端末を売って投資原資を得る形が考えられているようですが、これつまり通信速度は速くならないなんちゃって5Gってことで、5Gならではのサービスが起こる可能性を狭めます。アントの上場延期じゃないけれど、政府による民間介入はろくな結果にならないってことだけは言えそうです。

この調子で地方銀行や地方バス会社の統廃合とかやる気でしょうか?やめてくれ!

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Saturday, October 24, 2020

仲良きことは美しき哉かな?

京王線を下って仙川の掘割を抜けると視界が開けるところがあります。仙川は台地の上の高地なのですが、入間川とはいっても埼玉のそれとは異なる野川の支流の都市中小河川が谷を刻み河川敷状の低地が広がる地形に繋がります。故にこの間下り勾配で、高松吉太郎氏がここを疾走するダブルポールの四輪単車の写真を残しております。大正期の貴重な記録ですが、当時と佇まいがほとんど変わっていないある意味貴重な場所です。そんな場所での出来事です。

住宅街の道路陥没、東京・調布 付近でトンネル工事:日本経済新聞
調布市は10年ほど住んでたことがありまして、土地勘のあるところです。入間川を挟んで東つつじが丘と若葉町が隣接しておりますが、若葉町は武者小路実篤が晩年居を構えていたところで、旧居は実篤公園・記念館として一般公開されております。居宅は重要文化財に指定されています。

白樺派の重鎮で日本における空想社会主義者としても知られる文豪ですが、宗旨替えして戦争礼賛に転じ、政府に協力したということで、戦後公職追放の憂き目にも遭っております。そんな文豪が愛した武蔵野の面影も今は昔、入間川沿いの低地も宅地開発されていますが、今回の出来事はそんな場所で起きた訳です。地下では東日本高速道路会社による東京外環自動車道の建設工事が進行中で、所謂大深度地下にシールドトンネルを掘り進めていた場所でもあります。今のところ因果関係は不明ですが、川沿いの低地で地盤が弱いと考えられますから、無関係ではないでしょう。当然ながら外環道の工事は凍結されました。

都市部の地下トンネルは、ビルの基礎杭などと競合するため、地権者の同意を必要とします。・ややこしいですが地下トンネルを掘るために地上権を設定し地権者に金銭補償をする必要がある訳で、例えば地下鉄半蔵門線の九段地区では地権者の同意がなかなか得られずに開業が大幅に遅れたりしました。調布市でも外環道の構想に対して多くの場所に「外環道絶対反対」の看板が掲げられておりました。元々掘れば水が出るほど保水量の多い地域ですし、地下を通すにしても揉めることは確実だった訳です。

それが法改正でビルの基礎杭も届かない地下40mi以上の大深度地下層は山岳トンネルに準じて地権者の権利が及ばないように改正され、外環道も将に大深度地下層にシールドトンネルで通すことで決着した訳です。但し危惧する声が無かった訳ではありません。というのも、山岳トンネルでも過去にトラブルが発生しており、例えば丹奈トンネルの工事で水源を絶たれた地上部分では灌漑用水が得られなくなってますが、国家総動員体制の中で反対の声は上げられませんでした。

上越新幹線でも中山トンネルの大湧水でルート変更を余儀なくされましたし、大清水トンネルの湧水が原因と考えられる水上温泉や越後湯沢温泉の源泉の一部枯渇問題などが起きています。補償装置は講じられましたがトンネル湧水は続いており、大清水(おおしみず)ブランドの飲料販売で活用されてます。この辺は民営化でやり易くなったとは言えます。

ということで外環道の工事も遅れそうですが、思い出されるのがリニア静岡工区のJR東海と静岡県の対立です。一部報道で河川管理を静岡県から政令市の静岡市へ移譲されれば解決するという観測もありますが、仮にそうなっても大井川下流域の自治体との調整は必要で、静岡県が動くことになります。また静岡県もリニア工事に伴う道路整備には奥大井の観光開発の思惑から理解し期待する部分もある訳で、静岡県がリニア工事の邪魔をしているという理解は現実とは異なります。上記の丹奈トンネル工事の経緯もあり、静岡県は条例で厳しい環境アセスメントを求めている一方、JR東海は基準を満たすデータを出さないから膠着していることは指摘しておきます。

この辺のJR東海の姿勢は五方面作戦エントリーで指摘した国鉄時代からの独善性とバーター主義で相手を黙らせる流儀を疑わせます。そしてこのことはリニア談合事件でも垣間見えます。

リニア談合、大成・鹿島が無罪主張で結審 判決は21年3月:日本経済新聞
既に大林組と清水建設の2社は分離公判でtyy材はk熱dが出され、罰金と課徴金も確定していますが、無罪を主張する大成建設と鹿島は公判が続いているのですが、動機法定で指摘したように、分離公判で大林組はJR東海の要請を受けて作成した「星取表」と呼ばれる工区別の予算と受注会社を記したエクセルワークシートという動かぬ証拠を提出してバラしちゃった訳で、有罪判決は動かないでしょう。同時に被害者である筈のJR東海が談合を実質的に差配していたことも明らかになりました。

そのリニア工事も大深度地下トンネル区間があります。元を質せば事業費圧縮を求めるJR東海の姿勢が談合の原因でもある訳で、それだけ儲けの少ない工事を請け負うゼネコン各社がギリギリの見積りを立てている訳で、トラブルが無いとは言い切れなません。てことでゼネコン同士の暴露合戦と化したリニア談合裁判ですが、業界の亀裂は簡単には修復できないでしょう。

仲良き事は美しき哉

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Sunday, October 04, 2020

風邪と共に去りぬ

予想外の展開です。

米政権・議員に感染者複数 ホワイトハウスで拡大か:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたギンズバーグ判事死去に伴う最高裁新判事候補の披露イベント時のクラスター感染が疑われています。自業自得というか、ミイラ取りがミイラというか-_-;。

当然大統領選どころじゃなくなりますし、病状次第では執務不能となることもあり得ます。その場合の代理第1位は副大統領、第2位は下院議長となっており、政治的混乱は避けられません。特に共和党にとっては痛手でしょう。今更別の大統領候補を選ぶのもままならず、副大統領候補が横滑りという訳にも行かず、政治的混乱は避けられません。それ以上にコロナ禍の終息がますます見通せなくなり、国民の消費自粛ムードを高めます。

加えてただでさえ財政の崖問題で追加経済対策が打ち出せない中で、雇用情勢は悪化の一途を辿っています。てことは、アメリカの経済回復は遅れる訳ですから、世界中が様子見モードの米中摩擦の行方も微妙になります。確実に経済を回復させている中国を排除して対米追従すれば自国の経済回復も遅れる訳ですから、日本を含め、多くの国の迷いを誘う事態です。まあ日本はそれどころじゃないあれこれがありますが。

東証「バックアップへ切り替えできず」 機器故障が原因:日本経済新聞
下期初日の10月1日に東証がシステム障害で終日取引停止になりました。原因は記憶装置の不具合ですが、バックアップディスクへの切り替えがうまくいかず、混乱を避ける為に已む無くということですが、問題は代替市場が機能しなかったことです。

欧米では地方市場や私設市場が併存していて、相互にバックアップされる自律分散システムとなっているので、危機の不具合による取引停止は避けられるんですが、取引の薄い地方市場では独自のシステム構築の費用が出せず、東証のシステムに相乗りしていたし、私設市場(PTS)は金融庁の規制で規模が拡大すると東証の上場銘柄が扱えなくなるなどで、小規模PTSが複数併存していて、ネット証券が東証を含む複数市場で最も有利な市場で取引するSORという仕組みがありますが、最大規模の東証のシステムダウンでバグが出る可能性があるということで、ネット証券各社はSORを止めたため機能しなかったというもの。

株式市場も東京一極集中の弊害が明らかになった訳で、香港に代わる国際金融都市など無理ですね。金融分野では3行合併でスタートしたみずほ銀行のシステム障害がありましたが、大きけりゃいい訳じゃないってことですね。それを忘れたかのような地方銀行の経営統合を含む再編に前のめりな管政権ですが、同様の問題が起きるとは思わないのでしょうか?

それと気になるのが、同時に経営が苦しい地方乗合バス事業者や地方中小企業の再編も同じノリで進めようとしているんですが、これ1938年の陸上交通事業統制法の時代に逆行させる気でしょうか?今更な国家総動員体制を目指しているとしか思えません。そんな中でのNTT再編ですが、稼ぎ頭のドコモが他社乗り換えでユーザーを減らし、気が付けば3位ということで、もはやガリバー企業としてのNTTグループの協業規制が意味を失ったということです。

加えてNECの出資を仰ぐことになった訳で、気が付けば旧電電ファミリーの復活劇ということですが、5Gの出遅れを取り戻したいってことですね。そしてHuawei対策として国産通信インフラの復権を狙ったものと言えましょう。NTTの筆頭株主は34%を保有する財務大臣つまり国なんですが、上場企業が実は国営企業という中国みたいな現実もあります。何だか国家総動員体制下の電力国家管理に酷似します。携帯料金値下げはこれを誘導する為だったのかな?

このノリで民営化JRに手を突っ込んでくる可能性もあります。経営不振のJR北海道はJR東日本に、JR四国はJR西日本に強引に面倒を見させるとかやりかねないですね。JR九州を含む上場4社は完全民営化されているので、抵抗力は一定にあると思いますが、例えば災害復旧にかこつけて介入する可能性はあります。

例えば熊本地震と大雨で大規模な山崩れで不通となった豊肥本線は3年半かけてやっと復旧しましたが、復旧費用は50億円で半部は国と地方の折版で補助されてます。一方同時に被災した並行する国道57号線は、ルート変更で北側復旧ルートと称する3.6kmのトンネルで外輪山を超える形で復旧し、費用は800億円と言われ、全額公費です。道路予算と鉄道予算にはこんなに開きがあるってのがショックですが、それでも復旧に公費を当てにせざるを得ないJRは、ある意味旧国鉄時代のような政治圧力を受ける存在になりかねない訳です。これはいつか来た道です・

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Saturday, September 12, 2020

愛なき成長戦略

愛ある成長戦略の秋元司議員が保釈中に偽証依頼で再逮捕されました。呆れてものが言えませんが、秋元議員は二階派所属ですが、時期総理と目される菅義偉官房長官が進めていたIRでの汚職ということで注目されます。

そのIRですが、中心となるカジノは元々クラスター効果で集積を創る効果が期待されていた訳ですが、コロナ禍で見直しは避けられません。実際日本進出を狙っていた米カジノ事業者は本国の事業失速でそれどころじゃなくなり撤退を表明しています。一方で無観客開催が続くJRAの競馬は勝ち馬投票券の売上が過去最高となっています。場外馬券売り場の再開とネット投票の増加が寄与したものですが、これ他のプロスポーツでも参考になります。

カジノを誘致するぐらいなら、ブックメーカーを公認する方がリモートの時代にはふさわしいし、現実的に欧州ブックメーカーのサイトを利用する日本人ユーザーが少なからず存在する現実を見れば、国内ブックメーカーの存在は資金流出を抑止する効果もありますし、逆に海外ユーザーの取り込みも期待できます。だけど新政権はカジノを捨てないだろうなあ。

また管氏はアベノミクスの継承を公言してますが、前エントリーの続きですが、三本の矢の三本目の成長戦略を今度こそと期待する向きもありますが、それは不可能です。一本目と二本目の矢で日本の潜在成長力はむしろ低下してますし、止めを刺せば下手に成長軌道に乗れば資金需要の逼迫で金利が跳ね上がり、それを呼び水にハイパーインフレを呼び込む可能性もありますし、それ以前に利払いの増加で政府財政が急速に悪化すます。ギリシャショックと同じ構図です。

日本の場合国内の貯蓄過剰がありますから、やや事情は違いますが、金利上昇を強引に抑え込む日銀の異次元緩和を続けざるを得ませんから、結局それが成長の足を引っ張り低成長に甘んじることになります。加えて日本の大企業がこぞって銀行の融資枠を設定してもらったり、社債発行が相次いでいるように、低金利故に可能な資金繰りが金利上昇で一転阿鼻叫喚地獄になる訳で、過剰債務は銀行にとっては不良債権になる訳ですから、バブル崩壊後の金融危機に逆戻りです。意地悪い見方をすればバブル崩壊当時はまだ日本の成長力は健在だったからバブル崩壊につながったとも言えます。アベノミクスの一本目二本目の矢も低成長だったから可能だったとも言えます。

管氏の発言からは成長戦略へのコミットを強める姿勢が見えますが、そのために官僚への締め付けは強まるでしょうし、秋元議員に留まらず河合夫妻の疑惑解明も進まないと見るべきでしょう。検察や司法がどこまで迫れるかは未知数ですが、河合夫妻の事件では収賄側の地方議員等100名ほどが全員不起訴となっています。ゴーン事件同様司法取引を悪用した可能性があり、がさ入れまでした自民党本部も訴追されず、河合夫妻だけを断罪する構図は違和感を拭えません。

てことでDXを中心に生産性向上を図るってのが中心になりそうですが、早速冷水を浴びせる事件が発覚しました。

ドコモ口座、全35行で新規登録停止 異業種連携に穴:日本経済新聞
これセブンペイの不正と同じ構図で、消費増税を機にキャッシュレス決済を普及させようと政府が旗振りした結果、セキュリティがガバガバなシステムが出来上がった訳です。しかも既に同じ手口でりそな銀行の不正引き出しが発覚していたにも関わらずNTTドコモはシステムを見直さず、本人確認が緩いまま被害を拡大しました。

今回の不正は更に複数の銀行で過去に口座情報が漏洩していた点も問題です。口座名と名義人がわかれば4桁のキャッシュカード暗証番号を解明することで本人に成りすますことができます。実際今回被害に遭った人はドコモユーザーは少なかった訳で、逆にだから発覚が遅れたとも言えます。こんなんでフィンテックのオープンAPIなんて無茶な話です。貧テック鈍テックな低成長国家に甘んじる現実が見えてしまいました。

それと気になるのが高給取りと言われる銀行マンもご多分に漏れず非正規化が進んでいて、非正規行員には待遇への不満も蓄積していると見られます。加えて見なし正社員ルールを盾に雇用期間も細切れとなれば、不満を理由に銀行の口座情報を外部へ漏らす退職者が現れても不思議ではありません。ただでさえ低金利にあえいでいる銀行で、行員のモラルが低下すればどうなるかということですね。これアルバイトのバカッター騒ぎや東京女子医大病院のボーナス不支給を巡る看護師の大量退職騒動などと同様、人件費を削るとろくなことが起きないってことでもあります。

その観点から言えば、JR北海道やJR四国の置かれている状況も似ています。特に厳寒で路盤を支える土壌も弱いJR北海道の場合、幹線でも線路等級が低く軌道負担力が弱いため、例えば大型蒸機C62の北海道転属の時にボイラー交換して軸重を下げたなんてことまでしてます。有名なスワローエンジェル©622号機もオリジナルではない訳です。

そんな調子ですから、北海道の鉄道マンの苦労は大変なもので、それでも長年の熟練で何とか対応してきたものの、国鉄分割民営化以前にローカル線の廃止も進みJR北海道へ継承された路線は規模を縮小し、熟練社員の多くは余剰人員として国鉄を去った一方、残った社員も高齢化で退職し、一方補充の若手は少なく、技術の継承が困難になりました。その結果保守が行き届かず度重なるトラブルにつながった訳です。

更に言えば国鉄からの資産継承時に資産価格を低く査定した結果、減価償却費の減少で利益は出やすくなりますが、設備更新は進まず脆弱な線路を振り子式高速ディーゼル車が走って線路を痛め、更にJR貨物のDF200型投入も線路を痛める原因になっている訳で、早晩行き詰ることは避けられなかった訳です。なるほどJR北海道自身が北海道新幹線に熱心だったのは、並行在来線切り離しで負担が減ることへの期待もあったのでしょう。

新幹線札幌延伸まで10年 並行在来線に3つのポイント:日本経済新聞
JR北海道にとっては整備新幹線のスキームで国と地方の資金を得ながら設備更新して重荷となる並行在来線を切り離せますから、効率追求の建前からも北海道新幹線は必須だったのでしょう。しかし切り離される並行在来線の厳しい現実も明らかになりました。函館―長万部間は道南いさり火鉄道を受け皿に議論が進んでますが、これはJR貨物の免許区間でJR貨物調整金が当てにできることが前提にあります。

この調整金は東北新幹線盛岡以北でJR貨物の指摘で問題になったJR貨物の格安な線路使用料の維持と並行在来線引き受け三セクの費用負担のギャップを鉄道・運輸機構\が差額補助するもので、原資は整備新幹線の貸付料に上乗せしてJR旅客会社が負担するものですが、逆に言えばそれぐらいしか並行在来線三セクを支える原資は無いってことです。一方の長万部―小樽間は貨物調整金が無く沿線人口も少ないことから、鉄道としての維持は困難と見られます。加えて言えば青函トンネル区間の速度制限解除のために貨物の船便シフトの計画が国交省で練られてますが、実現すれば函館―長万部間の鉄道維持も困難になる訳で、実現は困難です。

しかし心配なのが新政権で効率優先を旗印に政府が干渉する可能性があり、地元の調整を頭越しに無視する可能性も指摘できます。そうった強権主義の片鱗は例えば地方銀行の数が多すぎると合併促進に言及したりする姿勢にも見えます。加えて鉄道維持にビタ1銭出し惜しみをする北海道庁の姿勢もあり、愛なき決着の可能性を高めています。油断できませんね。

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Saturday, September 05, 2020

アベノミクスは終わらない

終わらせろと書いといて何ですが^_^:、より正確に言えば終われないんですよね。てのは効果のない無意味なアベノミクスを続けた結果、身動きが取れなくなっているのが実際だからです。だから誰が後継総理になっても、あるいは極端に言えば与野党で政権交代が起きても、打てる手は限られてしまうという地獄のような現状だからです。

始まる前からのアベノミクス批判に留まらず、不思議の国鏡の国でも指摘したように、効果がないばかりか副作用ばかりで、結果的にウソノミクス統計135°のように統計数字を誤魔化すし、森加計問題のように公文書の改ざんも平気ということで、後継者と目される管官房長官のスガノミクスが注目されたりしてますが、結局アベノミクス継承で国民を騙し続けるってことです。

余談ですが、不思議の国の相鉄JR直通列車は利用が伸びず、結果的に武蔵小杉民の乗車機会を拡大しているのが皮肉です。おそらく東急との直通で品川東京方面へシフトが考えられますが、そうなるとグリーン車組み込み15連で付属4連羽沢落としG車込み11連で相鉄へということも考えられます。延伸不能な田浦駅対策で横須賀線の基本編成は1両ドアカット機能がありますから不可能ではありません。ついでにグリー料金のおまけも。相鉄12000系はATACS搭載を活かして朝に新宿以北へ送り込んで埼京線で終日運用して夜帰還する運用で車両走行キロ調整に供するってところでしょうか。

鏡の国の公共事業が実はゾンビ企業温存にしかならない点は指摘しましたが、加えてGoTo トラブルで示した恒等式GDP=消費+投資+政府支出+輸出-輸入
を思い出していただきたいんですが、これ生産の指標であるGDPを所得の面から見たもので、所得=消費+貯蓄と同義です。つまりGDPの式の右辺の第2項以降の合計が貯蓄とイコールなんです。てことで橋本政権の金融ビッグバン以来の「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズは無意味なんですね。経路はいろいろあるけど、所得から消費を引いた残余が貯蓄で、投資と政府支出と輸出から輸入を引いた純輸出に振り向けられるって意味です。貯蓄と投資は裏表の関係でしかない訳です。

ただし貯蓄=投資ではない訳で、政府支出のファイナンスと余剰生産品の輸出で調整される訳です。てことは、政府の財政赤字と輸出依存が続く限り投資に資金が向かわない訳で、これアベノミクスの第一の矢は為替の円安シフトで輸出を促し、第2の矢は財政出動でいずれもGDPを押し上げはするけれど、経済成長に欠かせない企業の投資行動を抑制することになる訳ですね。

また両者は本来政府財政の悪化に伴い上昇する筈の市場金利を異次元緩和で抑え込んでいて、特に銀行の融資による利ザヤが圧縮されますから、信用創造の基本である銀行融資の拡大が見込めず、銀行は余剰資金を株や債券で運用せざるを得ません。株式は5%の保有制限がありますから、勢い債券運用に偏りますが、そうなると安全資産とされる国債運用に偏ります。

それが日銀の異次元緩和で爆買いされている訳ですから、社債や外債へシフトせざるを得ません。特に後者はポーt-フォリオリバランスと称して日銀が意図的に民間資金を外債投資に振り向ける結果、為替相場が動いて円安になるって理屈です。しかし米FRBもゼロ金利に復帰したように世界の主要国中銀が金融緩和で足並みを揃えてくると、結果的にどこへ投資しても金利を生まないから、結果的に為替も膠着して動かなくなりますし、信用力の劣るジャンク債への投資も増えます。

あとコロナ禍もあって劣後債の起債が増えてますが、これ債券ながら元本返済の義務が無く、その分高めの金利を払い続けることで会計上資本勘定に算入できるということで、言ってみれば議決権のない株式に近いですが、ややこしいのは優先株のような種類株ではないんですね。優先株はあくまで株式で、議決権を返上する代わりに優先配当の権利を得るもので、金融危機の時の銀行の公的資金注入で使われた手法ですが、優先株は期限を切って普通株に転換する条件が設定されていたりして、期限内に注入された資金を活用して不良債権処理を進め正常化したら買い取って消却するという前提で発行されたものですから、微妙に異なります。

あと株高の意味も考える必要があります。日経平均に限らずTOPIXも上がって取引高も増えているという点でアベノミクスを成功と評する向きもありますが、今や東京株式市場の主要プレイヤーは外国人投資家であって、外国人が買えば上がり売れば下がる状況です。外国人投資家は東京市場をドル建てで見ていて、為替が円安になれば買い円高になれば売る訳です。しかも資金は日本国内で調達しますから、日本の過剰流動性を利用してほぼ為替フリーで投資できる訳で、国民が積み上げた厚い貯蓄を利用して利ザヤを稼いでいる訳です。そして株価上昇は株式市場への資金流入の結果ですから、国民の貯蓄が空回りしているとも言える訳です。

そして株価が高止まりすると時価で見た配当利回りは低下しますから、株価が上がれば上がるほど、長期投資の資金を遠ざけることになり、この面からも債券投資への傾斜が起きる訳です。そうしてジャンク債や劣後債のブーム?って珍事になる訳です。つまりほぼ金利負担なしに資金調達できるけれど、リターンが見込める投資先が見当たらない訳です。その点からすると一時のユニコーンブームや昨今のGAFA等ハイテク企業一人勝ち状態のアメリカでは、ベンチャーキャピタルなどを通じて企業のアニマルスピリットが発現している訳ですが、そのアメリカも財政赤字が深刻化しており、日本化の可能性はあります。

てことでいいとこなしのアベノミクスですが、だからといっていきなり利上げしたり財政を圧縮したりできる訳じゃないところが悩みどころです。財政規律を取り戻すにしても時間をかけて徐々にしかできませんし、過剰流動性相場だからと株価を冷やすことの副作用もある訳で、アベノミクスの失敗は明らかでも出口対策は実は難しい。結局目先の数字を整えるためにこれからの経済政策の選択肢を事実上失わせたことが、アベノミクス最大の副作用って訳ですね。

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Sunday, August 30, 2020

アベノミクスを終わらせろ

健康上の理由による突然の辞任ですが、腑に落ちないのが代理を立てて直ちに静養しないことです。来月の自民党総裁選で後継者が決まるまで執務を続けるのは、責任の取り方としておかしいです。当然国会召集も新総裁に丸投げとなる訳です。自分の任期中に後継者を競わせることで、影響力を維持したいってことでしょうけど。

それはそれとして、アベノミクスの総括がどうなるのかが興味深いところです。成果として株価の上昇と雇用環境の改善が取り上げられますが、いずれもアベノミクスの成果ではありません。株価といっても日経平均株価ばかりが取り上げられますが、これ225の優良銘柄の平均値ですから、上がらない方がおかしいんです。ま、バブル崩壊で実際下がった訳で、38,000円台を付けた最高値に未だに届いていない訳です。

この225銘柄は定期的に入れ替えられますし、合併や上場廃止などで銘柄数が減れば補充されます。謂わば日本のチャンピオン企業を集めた指標ですから、上がらないってことは日本経済の成長力の劣化を意味する訳ですし、実際バブル崩壊以来下がりっぱなしだった訳で、下がった水準から少し戻したことを以て成果とするのはおかしい訳です。

あと雇用に関しては、完全失業率の低下や有効求人倍率の改善が言われますが、非正規雇用が4割を占める質の劣化は問題です。これも90年代後半から生産年齢人口の減少が始まり、2007年以降には団塊世代の大量退職もあった訳ですから雇用情勢が売り手市場になるのは必然ですが、一方で企業の求人難に対しては非正規雇用の拡大で穴埋めされた訳で、その結果高齢者と女性の労働力率は高まりましたが、見方を変えれば、その間GDPはほとんど伸びていない訳で、労働生産性が低いまま労働力の投入量を増やしてGDPを維持したというのが実際です。

これ前エントリーで指摘したように政府の成長戦略で経済成長する訳じゃなくて、企業の成長力が結局経済成長をもたらすという当たり前のことを申し上げておきます。その意味で示唆に富むのがこれ。

角栄メモは今も問う ポスト安倍の金融センター構想は 本社コメンテーター 梶原誠:日本経済新聞
コラムでは今度こそ東京をアジアの金乳センターにすべしという希望的観測が語られてますが、1974年に東証理事長に就任した谷村裕氏に当時の田中首相がメモを渡して株式市場の抜本改革を求めたことが、国際金融都市東京の出発点ということです。

その「角栄メモ」の中身は「エクイティファイナンスは利払いがなく低コスト」とする日本企業のあり方を根本的に見直すべきことが綴られていたそうで、株主価値の向上と株主還元に重きを置くものだったということです。所謂コーポレートガバナンス問題ですが、株式持ち合いで安定株主対策を取りながら、株主に煩わされることなく意思決定していた日本企業の姿がその後どう変わったかは問われます。

リーマンショックで株主資本主義の弊害が指摘されましたが、それ以前に株主という外部の目を排除して独善的に意思決定してきたことが、バブル期に財テクと称して土地や株へ投資資金を振り向け、次の成長に繋がる投資を怠った結果、バブル崩壊で競争力を失った訳で、基本的に日本経済は当時の失敗を乗り越えられていない訳です。

かつて電子立国と言われ世界の半導体市場を席巻した日本の電機産業が典型的です。バブルに踊りIT革命の波に乗り損なった間に、ムーアの法則に則って大規模投資を継続した米インテルや、後発ながら積極投資でグローバルプレイヤーに成長した韓国サムスンやLGの後塵を拝する結果となった訳です。

余談ですが日韓事変の後日談ですが、日本の化成品輸入が滞った結果、サムスンもLGも製造工程を見直し、例えばディプレイパネルなど精度を要求されない工程で韓国産化成品を使う一方、日本の化成品メーカーが現地進出することで、同等品の入手も可能になり、今後製造技術の移転で韓国メーカーもキャッチアップが期待されるという状況になり、財閥企業と中小企業のギャップ解消が進んだことで、韓国から「安倍さんありがとう」の声が上がってます。これをアベノミクスの成果と呼ぶかどうかは微妙ですが^_^;。

バブル崩壊で沈んだ日本の電機産業ですが、コロナ禍で沈むとすれば自動車産業でしょうか。自動車メーカー本体は何とか持ちこたえるとしても、部品メーカーから悲鳴が上がっています。1台3万点と言われる自動車部品の供給がコロナショックで止まり、感染防止の観点からも国内メーカーの操業停止が相次ぎ、結果的に国内部品メーカーも操業を止めざるを得なくなりました。その結果資金繰りが悪化しており、いずれ廃業も出てくるでしょう。そうすると結果的に国内サプライチェーンが弱体化し、生産再開が早かった中国依存が短期的には強まる可能性があります。そうなると危機対応で国内回帰が叫ばれるのと逆の動きとなって、国内サプライチェーンが立ち枯れていく可能性があります。

元受けの大手メーカーが資本を入れるとかすれば何とかなるかもしれませんが、CASEなど100年に一度の変革期を迎える自動車産業で、在来型のガソリン車の部品供給が滞ればEVシフトが進む可能性も視野に入れる必要があります。逆に大手メーカーにはある意味チャンスかもしれませんが、それは多数のサプライヤーを犠牲にしての生き残りということになる訳で、そこまで腹の座った経営者が果たして現れるかどうか?

そしてEVシフトはある意味自動車メーカーの強みを失うことにもつながります。内燃機関をコントロールしてて適切に動力を取り出し駆動する技術はアナログなチューニングの塊であり、それが参入障壁にもなっていた訳ですが、その強みが失われれば、新規参入者との競争を覚悟しなければなりません。

生産台数では劣るテスラがトヨタを時価総額で上回るってのはそれなんですね。部品メーカーとのしがらみのないテスラは、オンラインでバージョンアップしながら性能を高めるというスマホのような繋がるクルマを実現してますが、これが既存メーカーには高いバリアなんです。自動車の世界も電子化自体は進んでますが、それは主にロッドやワイヤーを電子回路に置き換えることが中心で、機能的にひと塊のユニットを組み立てるモジュール化とも関連します。個々のモジュールに制御用のプロセッサーが組み込まれており、独自OSで動いている訳で、モジュールに不具合があればモジュール単位で交換するという形でブラックボックス化しており、これがコネクテッドカーへの進化を阻んでいる訳です。

てことで、心配なのが政府による自動車産業への介入なんですが、実際窮地にある日産をホンダに救済合併させようとして双方から断られたなんて話もあります。仮に構造変化でつぶれる自動車メーカーが出るとしても、それは市場の正常な作用であって、政府が手を突っ込むような問題ではありません。

逆に気になるのが密を避けるという意味で公共交通忌避に乗じて自動車を売ろうという方向へ進む可能性もあります。公共交通の独立採算原則の下では放っといても公共交通は立ち枯れるから車を売るチャンスという訳ですね。国民の移動の権利が規定されていない交通政策基本法の下ではそうなります。

同じ公共交通でも、鉄道やバスは換気に配慮して対応してますが、それが出来ないのが航空でして、空気の薄い成層圏を飛ぶ以上、気密性も保持が優先されます。実際航空機の前後の席での感染が報告されてますし、航空産業にとっては逆風は続きます。ある意味フリュグスカム(飛び恥)実現のチャンスでもある訳ですが、恐らく政府は航空の救済に向かうでしょう。

あと気になる動きとしてはJR東日本が時間帯別運賃の導入を検討するというにゅーすですが、これ運賃制度へのダイナミックプライシング導入が意図されています。その問題点はデジタル経済はビッグブラザーの夢を見る? で指摘した消費者余剰の搾取を意味します。届け出制の特急料金やグリーン料金では既に繁忙期と閑散期あるいは事前購入か車内購入かで格差をつけてますが、これわかりやすく言えば客の足元を見て高く取れるところから取るという話であり値上げの口実です。つまりSuica甘いかエントリーで指摘したように、仮に消費税減税が実現しても交通運賃の値下げは無いってことです。

書きたいことはまだありますが、長くなりましたので一旦終わります。アベノミクスには終わってほしいけど。

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Sunday, August 23, 2020

コロナの後遺症

covid-19の感染拡大が続いていますが、日本の場合検査が少なすぎて、感染拡大の実態が見えないまま、国民の疑心暗鬼ばかりが拡大します。故に大学ラグビー部の寮でクラスター感染が確認されたら。ラグビー部と無関係の教育実習生受け入れが断られたりという差別的なことが起きてしまいます。相変わらず保健所の窓口能力がボトルネックになっていて改善は見られません。

東京都や大阪府の知事がメディア露出で政治利用している実態もあり、国民に寄り添う政治姿勢は見られません。一方で世界中からコロナ感染者が回復後も心臓や肺に延焼が見られるなど後遺症が指摘されており、とてもじゃないけど普通の風邪レベルの話じゃありませんし、感染力の強いウイルスの生存戦略としての弱毒化も見られません。確実に長引くコロナ禍の中で、出来ることを積み重ねるしかありません。

そしてまともなコロナ対策を打ち出せない政府の無能に批判が集まるようになりました。アベノミクスが始まる前から批判していた身としては、ここへ来ての内閣支持率低下に今更感しかありませんが、歴代政権の実質GDP成長率の比較を見ても、大規模財政出動で経済を下支えした小渕・橋本政権で1.0%、規制緩和中心に新自由主義的な構造改革路線の小泉政権で1.0%、何だかよくわからなかった民主党政権で1.6%、大規模金融緩和の2019年までの安倍政権で1.2%です。しかも安倍政権にはオマケがついてます。

日米欧GDP戦後最悪、4~6月 日本はデジタル化カギ:日本経済新聞
統計不正などのインチキで数字を作ってきた安倍政権ですが、コロナで吹っ飛びました。しかも19年10-12月期、20年1-3月期に続く3期連続の下落ですから、ザックリ元の水準から1割減ってところです。しかもコロナ禍が長引くから回復には3-4年程度あるいはそれ以上の相当の時間がかかると見るべきでしょう。安倍政権下の成長率はさらに下がる訳です。

歴代政権の比較で何だかよくわからなかった民主党政権時代が最も高いってのは意外ですが、これ東日本大震災の復興による部分もありますから、やや下駄を履いた数字ではあります。しかし大災害に対して汗かいて国民に寄り添って努力したことは認めて良いと思います。つまり成長戦略ぶち上げて景気の良い話を煽った自民党系政権に対して、目先の課題に取り組んだ結果、経済が反発した訳です。ここ重要です。

てことでまともなコロナ対策も打ち出せずに国会も開かずに逃げている限り、安倍政権の評価は下がらざるを得ない訳です。そもそも財政政策や金融政策を成長戦略とするのは疑問です。マクロ経済政策を理論化したケインズが、報道記者に成長理論を問われて「アニマルスピリット」と答えた逸話が有名です。ケインズの理論は経済成長過程で生じる景気変動を平準化する理論であって、実際の成長は企業家のアニマルスピリットに依存するという意味です。つまり自らの経済理論に成長理論は無いと認めた訳です。

政府が打ち出す成長戦略は当てにならない訳です。結局企業がリスクを取って投資することが成長に繋がる訳で、その意味で成長できないのは政府のせいだという新自由主義者の主張も要注意です。例えば民主党政権で実現した高速乗合バスの規制緩和も、ツアーバス事業者からすれば規制強化なんですが、規制をクリアして乗合免許を取得した所謂新免事業者が輸送市場の活性化に寄与したように、ルールの変更は重要ですが、岩盤規制があるから成長できないなんてほざく経営者は、無能を晒しているに等しい訳です。運輸省や郵政省と戦ったヤマト運輸の事例を挙げるだけで十分でしょう。

ただ悲観すべきではないのは、GDPは付加価値の合計であって、例えば外出自粛や飲食店の営業自粛で必然的に自宅で食事をとる機会が増える訳ですが、飲食店の原価率が3割程度で元々付加価値が高かった一方、スーパーで食材を買って自宅で調理すれば、飲食店が生み出す付加価値は消える訳ですから、生存には問題がない訳です。付加価値って選択的消費の結果生じる訳ですから、早くコロナ感染を封じ込めて、手間のかかる自宅調理より外食を楽しめる環境を作ることが大事ってことです。

心配なのは雇用でして、既に多くの企業が来年度の新規採用を見直していて、JALやANAは既に採用停止を打ち出しておりますし、JR西日本も新規採用抑制を打ち出しております。JR各社は国鉄末期の採用停止で空白の世代があり、今後国鉄OBの社員の大量退職が見込まれるため、計画的に新規採用を拡大してきたのですが、コロナ禍による運輸収入の減少でそれどころじゃなくなりつつあります。

一方でネット通販の利用拡大で宅配便のドライバーは増えてますが、急激な拡大には正社員主義のヤマト運輸も追いつかず、利益を減らすとして減少傾向にあった外部委託に頼らざるを得ないですし、更に外食の宅配でウーバーイーツなどの拡大が見られますが、これも飲食店の営業自粛でアルバイト先を失った学生、フリーター、外国人留学生などが更に不安定なギグワーカーに転落したとも取れる訳で、雇用の劣化は止まりません。ただでさえ低下著しい日本の労働分配率はさらに低下し消費を冷やすことは間違いありません。

そして新卒の正規雇用減少はいつか来た道ですね。90年代後半のロズジェネ世代の再現となり、多くの若者が社会人としてのキャリアの始まりで躓く訳です。とはいえベンチャーキャピタルの弱い日本では起業もままならずですし、コロナ禍が収まるまでは海外渡航もリスクがあります。ある意味ロスジェネ世代より過酷な現実に直面しているとも言えます。

そして現役世代の賃金低下は年金や医療保険など社会保障にストレスを与えます。年金給付の減額や診療の自己負担増で対応すれば、寧ろ老後不安から現役世代の貯蓄性向を高めますから、これも消費を冷やします。そしてロスジェネ再現以上に問題なのが、学校教育の遅れです。学校の閉鎖でカリキュラムの消化が遅れていて、夏休みを極端に短縮しながら密を避けで授業を行う教育現場のストレスは相当高いですが、問題は小中高大と幅広い世代に影響が及んでいることで、将来「ゆとり世代」ならぬ「コロナ世代」が長期に亘って経済にマイナスインパクトを与えかねません。安直に学校閉鎖を決めたツケが重くのしかかります。

てことできりがないのでこの辺にしておきますが、この状況で公共交通の逆風をどう乗り切るかは重大です。おそらく独立採算原則を見直さない限り、立ち枯れていく未来が見えますが、民主党世間が提案した交通基本法を自公政権で交通権部分を省いた交通政策基本法として成立させたことがネックになりそうです。憲法に紐付けされた交通権を盾にしないと、結局自治体は金を出し渋り事業者は撤退せざるを得なくなることになりかねません。

また欧州で見られる交通税のようなものを導入する手はありますが、これも恐らく課税対処になる沿線住民や企業の反対で潰されるのがオチになりそうです。あるいは揮発油税など燃料税を事業者への補助金に使うとか、国税レベルで炭素税のような新税を導入して補助財源にするとか、公的サポートを考えないと持続可能性を損なうことになります。

てことで経済社会にも深刻な後遺症を残しそうなコロナ禍です。国会召集早よ!

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Sunday, August 16, 2020

コロナで変わるパワーシフト

人口減少にあえぐ日本と欧州ですが、人口増加でパワーシフトが起きると言われていた日本を除くアジアに異変が見られます。

中国新幹線、2035年に総延長2倍 投資額70兆円か:日本経済新聞
これ田中角栄の日本列島魁皇論の中国版ですが、都市域の広い中国の50万都市って日本の感覚で言えばさして密集度が高くないので、ほぼ広大な大陸中国の津々浦々を高速鉄道でカバーするという狂気じみた計画です。

風邪は寝て直せで取り上げましたが、そもそも最初にcovid-19の感染拡大が見られた武漢市が交通の要衝で人の移動が活発だったことが、中国全土及び世界への感染拡大をもたらしたことを忘れてはいけません。covid-19はグローバル化がもたらした新しいタイプの感染症であり、高速移動の条件が整えばそれだけ脅威も拡大するし、今後も未知の感染症の蔓延を助けることになるということも考慮すべきです。これ日本でもアフターコロナでリニア作れという議論がありますが、同じ種類の誤謬です。

中国では香港やウイグルの人権侵害問題は取り上げられますが、実はもっと深刻な農民問題が影を落としています。中国の農業人口は7億人程度で人口のほぼ半分ですが、農村出身者は都市住民になれない制度上の制約もあり、都市で就業しても農民工として扱われ、差別的な待遇に甘んじていますが、経済成長と共に都市在住者が豊かになる一方、低賃金労働に甘んじていて、昨今待遇改善のためのストライキが頻発しています。農民工には漢族以外の少数民族も多く、不満がたまっています。

更に法改正で地方政府の土地利用権限の拡大が行われた結果、農村に留まる農民も、分散する農家を集合住宅に移住させて開発用地を生み出すということが各地で行われ、農地に隣接した農家が取り上げられ、集合住宅から農地へ通勤という笑えない事態になっております。経済成長のために地方政府の開発事業は基本的に奨励されておりますが、不正の温床にもなりやすく、習近平政権の不正撲滅運動で少なからぬ地方政府幹部が失脚してもおります。中央集権の建前と裏腹に、地方政府の暴走を手綱を締めて操る現状は、実は中央と地方の緊張感を生みます。故に地方が潤う経済対策を打って不満を和らげる必要もある訳です。

こんな状況ですから、香港だけを特別扱いできませんし、経済成長のエサを撒いて不満を封じ込める必要がある訳です。という訳で、習近平政権の経済重視は変わっておりませんし、ある意味香港市民は金儲けには熱心でも政治的にはノンポリでデモ鎮圧は支持されるという見立てをしていたと考えられます。元々香港は英国統治時代から植民地型の統治システムだった訳で、行政庁と立法会は独立していたものの、裁判官は裁判の都度行政庁長官が指名するという形で、司法の独立は確立していませんでした。それでも英国流コモンローで48時間で公判前保釈が普通に行われるのは、長期勾留当たり前の日本より遥かにマシですが。

だから習近平政権の性格はどちらかと言えば日本の田中角栄政権に近いと言えそうです。田中政権で懸案の日米繊維交渉が妥結した一方、アメリカを出し抜いてイラン原油確保に走るなど、独自外交を展開したことでアメリカに睨まれてロッキード事件で失脚することになったという見立てもありますが、米中摩擦で引かない外交姿勢などもそうですね。中国がアメリカに変わって覇権を求めているというのは当たりません。中国から見ればアメリカの言いがかりに対応しているだけってことですね。

付け加えると高速鉄道整備で資産規模を拡大した中国鉄路集団ですが、当然負債も拡大しており、このまま高速鉄道整備を続ければ早晩日本の国鉄のように経営破綻を免れません。よく見れば日本の歩んだ道をトレースしていることがうかがえます。となればいずれ日本のように低成長に陥りアジア全体の足を引っ張るようになる。中国版失われた20年に突入します。日本の場合は中国の台頭でカバーされましたが、中国の規模の経済大国が低成長になったときの成長をカバーできる国は恐らく現れません。

1897年ペスト禍の香港に派遣されてペスト菌を発見した北里柴三郎博士は、ペスト菌がネズミに寄生するノミを媒介してヒトへ感染する感染経路まで明らかにして、ネズミ駆除のためにネコを飼うことを推奨し、日本でも飼いネコブームが起きたとか。夏目漱石が雑誌ホトトギスに「吾輩は猫である」を掲載し好評を博したのが1905年という時系列ですが、北里博士は脚気菌の存在を否定して東大教授緒方正規博士と対立した一方、勤めていた国立伝染病研究所が突然内務省から文部省に移管されて東大の下部機関になる形で地位を追われます。この辺PCR検査を巡るゴタゴタに通じるものがありますね。

PCR検査自体は採取した検体に含まれる特定の塩基配列を増殖して調べる検査で、抗体検査や抗原検査など他の検査方法と比べて簡単で精度も高いのですが、それでも擬陽性や偽陰性があるから信用できないという謎理論や、医療崩壊につながるという反対論で検査拡充が進みません。後者は検査を医療から切り離して体制整備すれば済むことで、確かに鼻や喉からの検体採取は感染リスクを伴いますし、相応のスキルも必要でしょう。だから大学や民間検査機関まで動員し、必要な検査キットや防護服などの医療用品を国が手当てすれば済むことですが、今に至っても出来ていません。

その結果自粛解除で案の定感染拡大が見られますし、3月4月時点では院内感染も含めてクラスター感染が中心でしたから、クラスターを発見して対応すれば済みましたが、今や感染経路不明が半数を超え、東京や大阪など大都市の感染拡大に留まらず、地方での感染拡大が見られます。医療リソースの限られる地方の感染拡大は深刻な問題です。故に帰省自粛は賢明な対応ですが、おかげでJRや航空会社などは稼ぎ時を逃している訳ですし、当然Go Toどころじゃありませんね。感染封じ込めこそが最大の経済政策です。

実際新幹線や在来線特急の乗車率は悲惨な状況で、こんなに空いているのは見たことがない状況です。一方在来線の普通列車はそこそこ乗ってます。勿論生活動線に組み込まれていて日常利用が一定水準存在するってことでしょうけど、拠点駅で終着列車から接続の始発列車に乗り継ぐ青春18キッパーと思しき集団は見かけます。やっぱり鉄ちゃんは自粛なんかしてないな。

面白いのは車内換気のためにドア半自動扱い区間でも各駅で全ドア開閉していることですが、E531系5連ワンマン運行の東北本線黒磯―新白河間では半自動扱いのままでした。輸送量に対して過剰な5連だから敢えて社内換気は不要ってことですかね。で、運転士は運転業務のみで、乗車券発券回収や運賃収受は行いません。故に事前の乗車券購入または乗車駅証明書による降車駅精算の案内放送が繰り返し流れます。

まるで欧州式信用乗車システムですが、一方で新白河で受ける701系2連では席がさらりと埋まり立客チラホラですから、全駅ドア開閉で社内換気は必要なんでしょう。逆に言えば、黒磯新白河方式は案外汎用性があるかも。必要ならば拠点駅の改札分離で不正乗車を防ぐという方法も考えられます。アフターコロナの芽はこんなところにありそうです。

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