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Saturday, July 11, 2020

水に流せない過去

豪雨被害で大変なことになっておりますが、おそらく出てくるんじゃないかと予想していた川辺川ダムお化けが現れました。特にSuica甘いかの最後に登場した京大教授氏曰く「7割出来てた川辺川ダム中止したから人が死んだ。人殺し!」とかもう狂ってるとしか言いようがないですね。

巨大ダム建設は順調に進んでも50年はかかると言われます。水没エリアに集落があると集落ごとの移転が必要ですし、営農地であれば耕作地の移転先も必要になります。移転先は表土の厚みのある肥沃な土地で且つ道路アクセスと水利も備えなければなりませんから、なかなか困難です。加えて集落内の学校などの公共施設の移転も必要ですから、相当時間をかけて準備しなければなりません。当然費用もかかります。

そして道路の付け替えや作業用道路、作業ヤード、宿舎などを準備してやっと本体工事です。当然工事の進捗に合わせて作業員の確保やセメントその他の資材の調達なども絡みますから、長い時間と費用が掛かる訳ですが、出来ているとされる7割の根拠は不明です。時間軸で捉えて7割なのか予算の消化率が7割なのか、モノサシを示さない議論は学者としてどうなのか?ですね。仮に時間軸で7割なら中止が決まった2012年時点からあと15年かかりますから、今回の豪雨には間に合わない訳ですね。

八ッ場ダムでも問題になりましたが、元々水資開発を目論んだ事業が時の経過で低成長期になり水需要が増えないということで利水から治水へ看板をかけ替えて事業を継続というありがちなパターンです。加えて補償金弾んで反対意見を封じ込めるから、それが地元住民の分断を生み禍根を残すという地域にとって不幸な展開が見られます。その中で当時の熊本県民の意思として川辺川ダムへの反対が大勢を占めていて、それを踏まえて蒲島知事が国に中止を申し入れ、当時の前原国交相が中止を決断した訳です。

当時の熊本県民は球磨川の自然保護と共に、堤防や調整池整備、河床の掘り下げなどの流域対策で対応すべきという声が多かった訳ですが、当時はまだ線状降水帯なんて言葉もなかった時代で、今のような異常な気象現象は見られませんでした。加えて流域対策に国はろくに予算をつけてこななかった訳で、そういった経緯から言えば「ダムを止めた人殺し」発言は政治的意図の有無に関わらず暴言です。またダム治水は運用次第なのは昨年の台風19号豪雨での肱川ダムの事例で明らかですし、肱川の場合上流にダムがあることを理由に市街地の堤防整備が進まなかったという倒錯した事情もありました。

線状降水帯は海水温の上昇による水蒸気の発生の増加と大氣温の上昇で水蒸気の飽和点が上昇した結果、水蒸気濃度が高くなった一方、地形や梅雨前線に沿って水蒸気を含んだ大気が上昇気流に乗って放射冷却で雲を発生させるメカニズムが連続的に起こることの結果ですから、温暖化の影響と考えて間違いありません。その意味では低コストだからと石炭火力依存を続ける大手電力会社こそ「人殺し」にふさわしいと言えましょう。

という具合に時間がかかる大規模土木工事は一旦始まると止めるのが困難なんですが、ダムじゃありませんが、やはり時間がかかる山岳トンネルも、準備工事に多大な時間と費用がかかります。てことでリニア静岡工区の続報です。

リニア準備工事、再開容認を 国交省が静岡県に要請:日本経済新聞
これ唖然とさせるニュースですが、そもそもJR東海と静岡県の対立は、静岡県条例で開発面積5ha以上は県自然環境保護条例に定められた自然環境保護協定が必要というのが県の言い分です。既に許可された宿舎工事は申請の開発面積4.9haだから許可したけれど、宿舎に付帯する作業ヤードは17haあり県条例の求める協定締結が必要として許可を保留している訳です。

そして協定にはJR東海が採るべき環境保全措置を記載した計画書の添付が必要だけど、県専門部会で決定していないから協定を結べないし、本体工事に関わる国の有識者会議の検討を経て問題点をクリアにしなければ手続きが進まないというのが静岡県の言い分ですが、それがまったく顧みられずJR東海の言い分をなぞっただけの調停案ですから、案の定10日の知事と国交次官の面会で川勝知事に否定されました。

結局JR東海は7年前から大井川の水源遮断問題にまともに答えず、準備工事だから認めてくれという主張を繰り返すばかりで、実質的な対策を取ってこなかった訳です。宿舎工事の開発面積4.9haというのは、JR東海自身が県条例を承知していたことを物語りますし、それに付帯する準備工事であって本体工事ではないという理屈で押すことしかしてこなかった結果です。まあ駅のできる他県ならば魚心あれば水心で不問に付されたかもしれませんが、駅のない静岡県ではそれが通じない訳です。さりとて奥大井の山岳地帯のトンネル部分に駅を作るって言っても相手にはされないでしょうけど。

これ結局JR東海の国鉄体質なんですね。元々国の機関として強大な権限を有していた国鉄は、全体的な事業計画や予算及び決算報告を国会に対して行うことが義務付けられてはいるものの、個別事業は国鉄の裁量で実施されてきた訳で、それ故に往々にして国の機関として自治体を下に見る傾向がありその意識が抜けないのかもしれません。若い人にはわかりにくいでしょうけど、例えば首都圏五方面作戦でも表に出にくい黒歴史がありまして、特に常磐線にはいろいろなエピソードが集中しておりますが、別の機会に譲ります。

てことで国交省は役に立たない調停案を示してその無能ぶりを明らかにしてしまいました。前身の運輸省も国鉄は許認可対象ではなかったので対国鉄の権限は限定的でしたし、整備新幹線でもJRの意向が重視されますし、まして国費投入のないリニアに関してはものが言えないってのが正直なところなのでしょう。その意味で風邪ひかない人たちで取り上げたJR上場4社の株式持ち合いに危惧を抱きます。

例えば今回の豪雨で肥薩線と久大本線が被災したJR九州ですが、株式上場時に経営安定基金を取り崩して資産の減損処理をして7減価償却費を圧縮して益出しした訳ですが、新幹線リース料の繰り上げ支払いと違って資産の減損処理はあくまでも帳簿上の評価替えでキャッシュアウトを伴いませんから、その分キャッシュリッチになっている訳です。故にアクティビストファンドに目を付けられ、720億円の自社株買いを迫られた訳です。

幸い株主提案による自社株買いは株主総会で否決され回避できましたが、結局アクティビストの圧力に屈して100億円の自社株買いを実施してます。その一方で18年の西日本豪雨で被災した日田彦山線は廃止された訳で、上場したがためにファンドに金を毟られる一方、交通政策基本法に則り災害復旧に自治体の関与が条件づけられた訳です。故に事業の継続よりも投資家に還元することが優先される体制ですが、国鉄OBの経営陣にとっては地元の反発よりも株主への対応が大事で、プライドも高い。故に株式持ち合いでアクティビストに対抗という構図が見えてきます。肥薩線や久大本線はどうなるでしょうか?

プライドの高さはまた別の問題にもつながります。

「富岳」使いやすさ探求 国産スパコン、世界一に返り咲き 「京」の反省生かし互換性高く:日本経済新聞
「2位じゃダメないですか?」の蓮舫氏の問いでお馴染みのスパコン「京」の後継機の「富岳」がスパコン世界一になったニュースですが、世界一を目指した「京」が純国産に拘って汎用性のない独自アーキテクチャーで使えるソフトが少なかったために活用されなかった反省に立ち、世界から汎用性の高いプロセッサーなどの部品を調達し、多くのソフトを走らせる使いやすさに拘った結果、図らずも世界一になったって話です。元々蓮舫氏の質問も世界一に拘って迷走することを危惧したものですが、結果的にそうなった訳です。

翻ってリニアですが、世界一に拘って汎用性の乏しいシステムにすることを考え直すべきだと思います。東海道新幹線は世界初の高速鉄道ですが、斜陽産業と言われ、ある意味技術的には枯れた鉄道技術に拘ることで、汎用性のあるシステムとして世界に提案できた訳で、仏TGVや独ICEをはじめ鉄道の復権に貢献できた訳ですが、汎用性に疑問のあるリニアに拘るのは何故なのか?世界一を目指すプライドの問題ならばくだらないからやめろって話です。

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Saturday, July 04, 2020

リモートよ

マイクロオフィスで取り上げた香港国家安全維持法の成立し施行され、早速大量の逮捕者が出ています。これに対して国際社会は有効な対抗策を出せずにいます。それどころか例えば英ジョンソン首相は香港市民に市民権付与を示唆してますが、あくまでも金融やITなどの優秀な人材獲得が目当てで、希望者をすべて受け入れる訳ではありません。同様の議論は日本でもあって、それどころかこれを機に東京を香港に変わる国際金融都市にしようという不謹慎な議論すらあります。

バブル期から繰り返し唱えられてきた東京の国際金乳都市構想が他人の不幸に乗じて出てくるのは論外ですが、そもそも何故東京が国際金融都市になれないかというと、元々金融は規制業種で国毎に違いがありますし、金融界の慣例やバーゼルの国際決済銀行(BIS)規制や国際条約など様々な法源によって規定されている訳です。

そんな中でニューヨークやロンドンの金融街が特別な地位を得ている理由がそれぞれある訳で、ニューヨークは米ドルが基軸通貨として貿易決済に使われることに由来しますし、ロンドンは女王陛下と言えども事前に許可を得なければ入れない程の自治権があって、国の干渉を受けにくいことからオフショア市場が形成しやすい訳で、所謂比較優位で金融業が集積している訳です。翻って東京には特段の比較優位はありません。

香港に関してはロンドン同様の強固な自治権の存在は指摘できますが、同時に以前から西側からの中国アクセスの窓口の機能があり、その中国が目覚ましい経済成長を遂げた今も、香港経由の国際取引は大きなウエートを持っている訳で、中国は恐らく前者が棄損しても後者の機能で香港の国際金融都市としての機能は損なわれないと考えたと思います。いずれにしても東京の出る幕はない訳ですが。

それよりも気になる東京の感染拡大のニュースですが、検査数が増えて特に夜の館加害の重点化で増えていると説明されてます。恐らく都知事選絡みの小池知事のメディア戦略なんだと思いますが、感染者の増加に留まらず感染経路不明が多いことが問題なんで、東京に限っては自粛解除が早かった可能性は指摘できます。とはいえ再度の自粛要請は抵抗感も強く補償の財源も当てがないから難しいところです。

確かに自粛で経済を窒息させるのも問題ですが、早すぎる解除は寧ろ感染拡大で経済を棄損します。アメリカが今まさにそんな状況ですし、100年前のスペイン風邪のときに厳しい規制をかけた州ほど終息後の経済回復が早かったという実証研究もあります。経済回復をアピールしたい政治的判断で前のめりになると寧ろ逆効果ってことですね。

その意味でロックダウンも学校閉鎖もしなかったスウェーデンが注目されますが、老人介護施設で感染拡大が見られ死亡者が増えたという問題は起きました。しかし政権の支持率は寧ろ上がっているというのが不思議ですが、実はスウェーデンはデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいて、リモートワーク可能な雇用者は全体の44%いて、政府の自粛要請を受けて可能な人はリモートワークで外出自粛した結果、市中感染の拡大は防げましたが、濃厚接触が必要な介護などのケアサービス部門でクラスター感染が起きた結果、高齢者の死亡が増えた訳です。

それでも元々医療制度で高齢者の受け入れが制限されていて、日本のような院内感染は起きていません。これは有限な医療リソースを未来ある若者に割り当てるというスウェーデン独自の考え方が反映されていることによりますから、日本では反発されるかもしれませんが、社会保障費の膨張に悩む先進的な福祉国家故に国民的合意ができたんでしょうけど、高齢化の進む日本でもこういった議論は必要でしょう。

にしても切ないのはスウェーデンがDX先進国だから、国民は負担を感じずに自粛生活にシフトできたってところですね。コロナ禍を機にリモートという泥縄の日本では、自粛解除した途端にリモートやめて出社という企業が多く、以前よりはましとはいえ密になる通勤ラッシュが復活してます。こういうのを周回遅れと言います。コロナ後のDXが如何にのんきな話かですね。

あと企業の本気度が疑われる事例があることは指摘しておきます。例えばこれです。

「ジョブ型」に労働規制の壁 コロナ下の改革機運に水:日本経済新聞
これ記事遺体が労働規制緩和の必要性に結び付けれれていてミスリードですが、PCやスマホのタイムスタンプで労働時間管理するから、就業時間をちょっと超えたためにメールも送れないってのは、寧ろその会社のリモート環境がおかしいです。リモートでの在宅勤務で何故フレックスタイム制を併用しないのか?アホとしか言いようがありません。フレックスタイム制ならば自己申告となりますが、残業が発生すれば残業代の支払いも発生します。雇用がジョブ型じゃないから在宅ワークがうまくいかないってことはない訳です。あとこれね。
マイナンバー 普及へ試練 「10万円」給付で混乱:日本経済新聞
企業というよりも、日本では企業組織のロールモデルとして参照されてきた公共部門の混乱です。例の特別給付金を巡る自治体の混乱ですが、マイナポータル経由の電子申請でも住民基本台帳との突合が必要だから紙に出力して手作業で突合した結果ってことです。

ただでさえ財政規律を求められギリギリの人数しかいない自治体の行政事務のDXが進んでいなかったというオチですが、自治体に限らず日本の公共部門の多くは、NTTデータ、日本IBM、NEC、富士通といった大手ITベンダーに個別に発注していて統一が取れていないばかりか、一旦導入したシステムを後生大事に修正して使ってきた結果、パッチワークだらけの複雑怪奇なシステムとなり効率も悪いし新たなシステムの導入を阻む壁にもなっています。

加えてセキュリティ上デリケートな個人情報の扱いから、マイナンバーカードのシステムは例えば住基ネットなど他の公的なネットワークとの相互接続が敢えて取られていないから、結局手作業の確認が必要になる訳です。はっきり言いますが、国や自治体がこのレベルでは、民間企業のDXが進む訳がありません。あとこれ。

リニア工事「対話遅れ、JR東海に責任」 静岡副知事:日本経済新聞
前エントリーのリニアの続報ですが、副知事会見で明らかにされたのは、小規模な宿舎蛍雪を認められているから、付帯工事として17haの作業ヤードも認めてくれってのがJR東海の言い分らしいですが、これ副知事の言い分が正しければ、大規模な開発行為を細切れにして環境影響が小さいとするレトリックですね。行政手続きとして認める訳にはいかないですよね。

しかし気になるのが、そもそもDXでリモート会議が手軽にできるならば、例えば名古屋本社の東京勤務の人が会議を理由にいちいち名古屋まで出かけなくてよくなる訳です。そう考えると、開業してもどれだけ利用されるのかはわかりません。それとも将来にわたって日本のDXは進まないという展望を持っているのかな?別の意味でヤバいと思うが。

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Saturday, June 27, 2020

風邪ひかない人たち

5月25日の記者会見で日本のコロナ対策を自画自賛した安倍首相や日本の感染者の少なさを問われて国民の民度の高さと答えた麻生財務相のニュースを聞くと、この国で古くから言い伝えられたフレーズが頭の中でリフレインします。山中伸弥京大教授のファクトX はこれかい?

よく考えたら国民は風邪ひくからコロナ禍は恐怖であり不安なんですが、その国民の代表が風邪ひかない人たちだとすれば、風邪ひく人の恐怖や不安がわからないから的外れなのかも。アベノマスク然りアベノコラボ然り。検察庁法改正案然り。国民もいい加減風邪ひく普通の人を代表に選ばなきゃ^_^;。当然自粛解除後に感染者数が高いレベルで続いている東京都の知事選びも普通に風邪ひく人が良いのは言うまでもありませんwww。

そして鉄道界で最大の話題はこれでしょう。リニア27年開業延期へ 

JR東海と静岡県の協議平行線:日本経済新聞
予想された結果ですが、JR東海と静岡県の主張は平行線のまま、川勝知事は折れなかった訳です。

名古屋リニヤだがや以来リニアに否定的なスタンスを取ってきましたが、特に自己負担で名古屋までの先行開業を打ち出したことで、決定的に無理と判断しました。つまり新幹線買い取り代金のローン負債5.1兆円の支払いが2017年に終わり、その部分のキャッシュフローが余剰となるので、名古屋までならギリギリ何とかなるということですね。名古屋まで先行開業して収益化した上で、大阪延伸を後回しにすれば国の支援なしに事業化可能と弾いた訳です。

これの何が問題なのかはわかりにくいかもしれませんが、ほとんど綱渡りに近い資金計画ってことです。よく言われる東海道新幹線との比較では、東海道新幹線の事業計画では事業費2倍で収益が半分でも収支は黒字という手堅い投資だった訳で、経営判断としてやらない理由がなかった訳で、実際当初1,900億円と見込んだ事業費は倍以上の3,900億円に膨張した一方、開業後の営業成績は好調で、赤字体質の国鉄の屋台骨を支える存在になりました。背景には戦後復興で人口増と経済成長が軌道に乗っていて、需要の上振れが見込める時代だったとこもあります。

それに対してJR東海の中央リニアエクスプレスのそれは事業費の大枠が決まっている上、人口減少が始まって経済成長がほぼ見込めなくなっている中で、リニアの収益も不透明なんですから、ほとんど綱渡りと言って良いほどリスキーなんです。故に事業費膨張が避けられない開業延期はJR東海にとっては不都合ですが、だからと言って環境問題を犠牲にして良い訳ではありません。だからJR東海は開業延期を避けたいから着工を認めてくれの一点張りで、川勝知事が求める厳格な環境アセスメントにはほぼゼロ回答ですから、もの別れに終わるのは当然です。

伝えられるところでは川勝知事はリニアには反対しないことを表明し、品川―山梨県駅間の部分開業の提案もしたということですが、まさか山梨リニアエントリー読んだ?但し私の提案はもっと過激で^_^;どうせリニアは実現可能性低いんだから、コンセプト見直して100km程度の中距離の高速輸送システムにすれば汎用性が出て実現可能性が高まるという提案だったんです。

つまり実験線として神奈川県駅と山梨県駅の駅間の大半が出来ていて、前後に数キロ伸ばすだけで実現でき追加コストが抑えられる上、距離と速度から1編成による機織り運行で需要をカバーできるから制御も容易で低コストで実現できます。あとは京王電鉄が相模原線内160km/hのリニアリレー号で新宿―橋本間30分で結べば需要は取れるというもの。実現してシステムとしての優位性や安定性が次実証できれば、札幌―新千歳空港間、羽田空港―成田空港間、伊丹空港―関西空港間など短時間移動の需要が見宇込めるところへ外販できるから開発費の元もとれるよっていう前向きな(笑)提案だったんですけどね。しかも火元は葛西敬之JR東海会長(当時)なんですが。

あとちょっと気になったこのニュース。

JR4社、持ち合い株増 「信頼醸成へ有効」:日本経済新聞
JRの上場4社間で株式持ち合いが進んでいるということですが。元々鉄道事業者は長期的に安定した取引関係を重視する傾向から株式持ち合いは多いんですが、国鉄改革の成果として上場を果たした4社間での株式持ち合いとなれば、国鉄一家の再現という有り難くないものを連想させます。実際4社トップは揃って国鉄OBですし。JR東日本初代社党の元運輸官僚住田正二氏がリニアをけなしていたようなことは考えにくくなります。風邪ひかない人たちなんだろうか?

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Sunday, June 07, 2020

ウィズコロナ・ウィズデジタル・ウィズグローバル

緊急事態宣言解除で予想されたこととはいえ、感染者は増えています。但しこれを第2波と見るべきではないでしょう。自粛で経済にブレーキをかけて感染拡大を止めた結果感染者が減っただけですから、克服できている訳じゃありません。単に爆発的感染のピークを後ずれさせただけですから、今後も感染者は一定ボリュームで発生しますし、それ故に警戒は続ける必要があります。コロナ克服を意味するアフターコロナではなくコロナと共生するウィズコロナってことですね。そんな中で気になるニュースがこれ。

新型コロナ、病院経営を直撃 「第2波来たら持たない」:日本経済新聞
地味ながら「神奈川モデル」と呼ばれる医療体制を構築し「ダイヤモンドプリンセス号の教訓を活かした」と評価される神奈川県ですら現状がギリギリ。救急搬送のたらい回しが複数報じられた東京都や大阪府の脆弱さは推して知るべし。院内感染もチラホラ見られ、濃厚接触者として医療スタッフが2週間の経過観察で戦線離脱という悪循環もあって、医療体制は万全とは言い難いのが現実です。見方によってはソフトな医療崩壊という辛辣な評価もあり得ます。この状態で第2波の備えが万全と言えるのか?国民経済の犠牲にして時間稼ぎをしている間にやるべきことがあったんじゃないかという点は指摘しておきます。

ウィズコロナで盛んに言われる新常態(ニューノーマル)ですが、経済関連では以前から使われてきた言葉で、しかも幾つかの国の立場の異なる人から発せられているのですが、日本ではコロナ禍に対する「新しい生活様式」と結びつけられております。しかし経済、金融の世界ではコロナ禍のずっと以前からニューノーマルが言われていました。その議論の前提としてジャパニフィケーションとリバーサルレート論があります。

これらはリーマン後のトレンドですが、所謂日本化は、元々長期停滞論としてアメリカなどで議論されたもので、人口減少と高齢化によって人口ボーナスが消滅し逆転する結果の低成長が言われるようになり、実際米FRBは3次に亘る量的緩和(QE)として日本の非伝統的金融政策を模倣し、ECBもこれに続きます。欧州ではギリシャショックをきっかけとする危機で財政力の弱い加盟国の国債を買い支える必要もありました。いずれも日本のようにデフレに陥ることを回避しようとしましたが、効果は限定的で、結果緩和の長期化による副作用も意識され、金融政策の正常化が模索されましたが、市場の反応や政治圧力もあって長期化を余儀なくされました。

一方欧州のスイスや北欧など非ユーロ諸国ではECBの緩和政策で通貨高圧力に晒された結果、マイナス金利政策へ踏み込みます。これがきっかけとなりECBや日銀もマイナス金利に踏み込むことになりますが、その結果長短金利差が消滅して銀行が貸し出しを絞る結果、緩和効果を失う水準としてリバーサルレートが意識されるようになりました。現在ECBがマイナス0.5%、日銀がマイナス0.1%で動けないのはこのためです。

つまり人口減少と高齢化によって金融政策による景気浮揚効果が失われ、長期停滞による低成長が常態化したのがニューノーマル論という訳です。アベノミクスや黒田バズーカが有効ではないことが世界規模で証明された訳ですが、ニューノーマル論には続きがありまして、非伝統的緩和策で世界をリードする日本で^_^;、2016年9月に導入されたイールドカーブコントロール(YCC)で長期金利を誘導目標とした訳ですが、FRBの利上げにも拘らず米国債金利の低迷が続き、アメリカでも長短金利差が消滅している現実があります。

元々積極財政で赤字拡大基調の上、コロナ禍で財政への負担が増す中で、FRBは米国債を買い支えて長期金利を抑え込まざるを得なくなりました。これ意図せざるYCCと言えます。日本と事情が異なるのは、米国債は外貨準備として世界各国で保有されている訳で、金利上昇=価格下落は米国債投げ売りを誘い米ドルの信認を脅かすため、FRBは買い支えせざるを得ない訳です。ECBが加盟国の国債購入をやめられないことと同様の事態になった訳です。ザックリ言えば日米欧の主要通貨の長期金利がほぼゼロ近辺の水準で膠着し、為替相場も膠着させている訳です。

てことで、各国の財政赤字拡大が続き、金利上昇圧力を抑え込むために金融緩和もやめられず、結果主要国通貨間の金利差が消滅して為替市場も動かなくなるというのがグローバル経済の現実です。コロナ禍が終息してV字回復があり得ない訳で、その中で経済を冷やさずに国民生活を守るためには、国民の不安に寄り添う政府の働きかけが大事ですが、現政権にその意識はなさそうです。

但し悲観する必要はありません。90年代後半の金融危機をきっかけに始まった日本のデフレですが、ゼロ年代以降のベアゼロ春闘による賃上げの低迷に加えて非正規労働の解禁による労働者の非正規化もあって賃金が下がってきた中で、物価下落のお陰で快適な生活を維持しつつ貯蓄を増やすことができたのが日本の現実です。それに世界が追い付いてきた訳です。グローバルデフレが始まる訳です。

補足すれば先進国ではGDPの6割は個人消費が占めますが、個人消費は生存的消費と選択的消費に分けられます。前者は削れないけど後者は削れる謂わば不要不急の部分で、所得水準によりますが先進国ではおよそ半分は後者の選択的消費となります。てことで緊急事態宣言が出た4-6月期のGDPは年率換算でマイナス20%程度と予想されてます。マクロには余裕があると見なせますが、所得階層によっては厳しい訳で、特別給付金の迅速な給付が必要なのは言うまでもありません。

てことで、当面のウィズコロナ時代でキモになるのがリモートワークなどのデジタル技術を活用した社会的距離の確保策ですが、前エントリーで指摘した日本の住宅事情がネックになる可能性があります。逆に言えば、この問題を解決できるビジネスモデルを生み出せれば、そこにビジネスチャンスがあるということでもあります。その点から首都圏の各社で始まったシェアオフィス事業が化ける可能性は指摘できます。

シェアオフィスといっても主にスタートアップ向けの共用スペースをシェアするタイプではなく、パーティションで仕切られた1-2人用ブースを駅構内に複数設置するタイプのもので、セキュリティ対策された高速ネット環境で、出来ればユーザーの所属企業のVPNとの接続が可能な仕様で、例えば午前中はシェアオフィスでリモート勤務して午後出社といった使い方が出来れば、朝のピークタイムをヘッジする効果もありますから、鉄道会社にもメリットがあります。

更にIT系中心に続いてきたオフィス増床で都心オフィスの賃料が高止まりしていることもあり、企業にとってもサテライト型シェアオフィスの活用で都心オフィスの縮小などでコスト削減の可能性が出てきます。浮いたコストでシェアオフィス会費を含むリモート勤務で生じる従業員の負担を手当てでカバーするなどすれば、様々な問題解決につながります。

あと医療分野の遠隔診療やカルテ電子化とか、教育分野のリモート学習など、デジタル技術による問題解決の可能性は多岐に亘りますが、医療も教育もそれを阻む障害が多い現実があります。日本ではウィズデジタルが最も困難かも。

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Sunday, May 17, 2020

マスク、マスク、マスク

私自身はマスクする習慣は無いし、感染を防ぐ効果が乏しいので、マスク無しで通そうと思っておりましたが、取引先でマスク着用を要請されて已む無く入手した布マスクを着用し、毎日手洗いしております。あーメンドクさ。ちなみにアベノマスクではありません。届いてないし。

医療品、海外依存度高く 感染爆発の備えに不安:日本経済新
マスク問題はコロナゲートウエイでも取り上げました。その際に情報の攪乱によるナッシュ均衡(囚人のジレンマ)で説明いたしましたが、yamanotesenさんのコメントで「合成の誤謬じゃないか」というツッコミもいただきました。まあ双方の要素がある訳で、現実の事象ではこうしたことは珍しくありません。

合成の誤謬の典型的な事例は貯蓄投資バランスの問題で見られます。社会の構成員が全員貯蓄に励むと、借り手不在でリターンを期待できない一方、全員が貯蓄を取り崩して借金に頼ると、貸し手不在で金利が跳ね上がり経済を冷やす訳で、日本でデフレと称された現象は前者に該当します。故にアベノミクスや黒田バズーカでデフレ脱却という議論は寧ろ逆効果で如何にバカバカしいかがわかります。

マスクに悲してはグローバル化に伴うサプライチェーンの拡大による国際分業の影響が背景にあります。医療品は元々輸入超過状態で、医薬品は国内メーカーの有力特許失効と多額の開発費を費やした海外メーカーの高額医薬品の差がある一方、マスクや防護服などの消耗品は中国を中心に海外生産が定着していた訳ですが、その中国の武漢で爆発的感染が起きて国内需要が爆発的に増えた結果、日本向けに生産されたものも中国港内で消費され日本に回らなくなりました。何のことはない生産の中国依存の必然的結果なんです。

加えて一部は東南アジアなどへ生産拠点を移す分散化も進んではいたものの、規模は小さく、加えて遅れて感染拡大しいてやはりマスク輸出が差し止められる事態になり、結局品薄の解消には至りませんでした。とはいえ中国を含むアジア地域の感染は落ち着いてきており、また内外で増産がかけられた結果、徐々に供給量が増えて入手可能になってきました。結局需給の均衡によってしか解消しない問題です。

その意味で「布マスク配布を決めたから、マスクバブルが弾けて転売ヤーが涙の投げ売り」というストーリーを語る人々の頓珍漢ぶりも指摘できます。未だ5%しか配布されていないアベノマスクを過大評価したいだけの妄言です。そういや安倍首相も国会答弁で言ってたな。おまけですが、多くの日本人にとっては未経験の、夏のマスク地獄が待ち受けています。くれぐれも熱中症には注意しましょう。ことほど左様に国民生活と乖離した政府の姿勢は困ったものです。

マイナンバー、10万円給付で注目だが… 活用で海外と差  税財政エディター 小滝麻理子:日本経済新聞
マイナンバーカードを用いた電子申請がスタートした結果、自治体窓口に人が殺到して密状態という笑えないことが起きています。政府としては10万円の特別支給を梃子に20%しかないマイナンバーカードの発行を増やそうとしたものの、当然これを機にマイナンバーカードを作ろうとする人が自治体窓口に殺到する訳ですが、それに留まらずオンライン申請手続きがうまくいかなくて問い合わせが殺到しているという状況です。

1つは意外なことにマイナンバーを発行した人の年齢層が高齢者に偏っていてITスキルが必ずしも高くなく、二重パスワード認証などの仕組みを理解できていないとか、専用カードリーダー若しくは対応スマホが必要だけど、ガラケーのみでPCすら持っていないとか、マイナンバーカードを巡るお寒い現実の壁に直面している訳です。

三蜜で即身成仏で指摘したように自治体の課税台帳使えばマイナンバーカードは要りません。個人または勤務先の何れかで申告納税していれば漏れはないですし、扶養家族などの情報も把握されてますから、あとは通信事務で世帯全員の氏名と指定振り込み口座を通知してもらうだけで非接触で手続きできます。既存の制度インフラを使い尽くせってことですね。

マイナンバーカードに関しては、国による個人情報取得への拒否感が国民側にありますから、何故必要なのかを本質的なところで説明する必要がありますが、これまで国の説明ではワンストップでコンビニで手続きできて便利といった枝葉の部分が強調されており、国民の納得を得られておりません。この辺古くは納税者カード(グリーンカード)や住基カードの失敗の総括が出来ていないってことでもあります。

グリーンカードに関しては資産課税を含む総合課税のインフラになるとして当時の大蔵省と社会党がタッグを組んで推進し、専用コンピューターセンターまで作られましたが、結局法案成立に至らず実現しませんでした。住基カードは記憶に新しいですが、マイナンバーカードとの重複で無意味化しています。

何故こうなるかというと、結局アベノマスクやアベノコラボが側近の官邸官僚の提案だったように、現場を知らない人間の思い付きでことを進めている結果だってことでしょう。そして普及率の上がらないマイナンバーカードの普及促進という雑音に流されて現場はパニックってことですね。そういう意味で密かに注目しているニュースがあります。

JR四国、コロナで業績悪化 4月の損失「残り11カ月で補えない」:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたJR四国の資金繰りが悪化し6月にもアウトという状況です。交通政策基本法の定めるところにより事業者と自治体の協議を経て国に助けを求める手続きとなりますが、現実はそこまで持たないほどひっ迫しています。加えて忘れてならないのはJR四国はJR北海道やJR貨物と同様国全額出資の根拠法に基づく特殊会社であるため、勝手に全業廃業したり解散したりできない立場ってことですね。国は株主として資本注入なり融資なり債務保証なり何らかの姿勢を示す必要があります。こういった法律の建付けを政府は理解しているかどうか。検察官の定年を勝手に延長するような遵法精神欠如が見られる現政権ではまともな対応は期待できないかも。
#検察庁法改正案に抗議します
検察庁法改正案の強行採決に反対します

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Tuesday, May 05, 2020

出口が見えないアベノ自粛

予想されたこととはいえ、緊急事態宣言の延長が決まりました。そしてプロンプター読んでるんだけの「台本営発表」とも謂われる首相記者会見で、緊急事態宣言の解除の基準は語られませんでした。8日を8月に読み違えたみたいですが^_^;。出口が見えないという意味でアベノミクスと同じです。加えて検査体制の拡充が未だに実現できていないために、そもそも出口を判断できるデータがないという現実もあります。

この辺統計135°の歪みで指摘した統計不正問題に通じますが、現状を正しく把握できないから緊急事態宣言解除のような責任のかかる決断が出来ない訳です。あと内緒ですが伝染ルンですアベノミクスで指摘した消費指標を家計調査ではなく商業統計に切り替えてインバウンド消費が二重計上されていた疑惑ですが、コロナ禍でこっそり見直されてます。嘘が下手な嘘つきの典型的対応です。

あと「新しい生活様式」とかいう大きなお世話を専門家会議が発表しましたが、これ政府の諮問に基づいた助言機関がなぜ国民向けにこんな発表するのかですが、助言に基づいて責任を負うべき側に責任を負う姿勢が見えず、専門家会議に丸投げしている状況が透けて見えます。政府への助言が暖簾に腕押しでは、国民に語り掛けて協力を得るしか手段がない訳で、余計なことをさせられている訳です。当然専門家会議としては責任を負えず安全側へ判断が偏りますから、出口の判断はますます遅れます。

てことで巣篭りは長引きそうです。そうなるとリモートワークの範囲が拡大することになります。既に通勤定期券の払い戻しが増えており、加えて年度替わりで買い替えが多い4月もおよそ3割減ということで社畜の国で指摘した企業の通勤手当支給見直しがさらに進むことになります。その結果鉄道事業者が苦境に陥ております。

記者の目 JR東、コロナで見えた鉄道の盲点 3割減収なら利益ゼロ  証券部 堤健太郎:日本経済新聞
JR東日本だけの問題じゃないんですが、大都市圏の通勤需要で支えられている事業者にとっては、割引とはいえ前払いで収益を現金化できる定期券売上は経営安定のキモであり、経営の基礎体力をもたらします。記事で指摘されている固定費のかなりの部分を定期券売上でカバーし昼間や土休日の定期外客で上乗せすることで利益の最大化を図る訳ですが、こちらも外出自粛で激減している訳ですから、JR東日本と言えども1-3月期に赤字転落してますし、現状では4-6月はもっと悲惨です。

収益構造から言えば、運輸収入の依存度の高いJRの方が関連事業収入が多い大手私鉄より厳しい訳です。例外的に関連事業比率の高いJR九州は安泰かと言えば、ライバルの西鉄と比べれば生活関連事業で沿線にドミナント形成という水準には達しておらず、営業エリアが広すぎるから仕方ないんですが、トータルな経営体力では苦しいところです。

加えて整備新幹線が重荷になります。整備新幹線は30年リースで負債を計上している訳で、特に整備新幹線区間が長いJR東日本には重荷でしょう。救いは水害で水没した北陸新幹線E7系廃車に伴って延命されたE4系を廃車して減便することである程度出費を防げますが、リース料は固定費としてのしかかります。鉄道・運輸機構による債務繰り延べの可能性は、リース料が北海道新幹線などのの整備費用として見込まれており整備を止めることになりますから、難しいでしょう。

それでも莫大な減価償却費があり、JR東日本でおよそ2,000億円規模ですから、投資の抑制によってキャッシュアウトを防ぐことは可能ですが、ホームドア設置やバリアフリー化などは減らせませんから、車両更新や新線建設が抑制されると考えられます。航空業界の逆風もありますから、羽田空港アクセス線は幻の新線計画になる公算大でしょう。

この流れで言えば関空アクセス輸送を睨んだ大阪のなにわ筋線もヤバいかも。泉北線と市営地下鉄の売却益で府市共に財源確保してメトロの稼ぎ頭の御堂筋線のライバル路線を作るという倒錯が起きる訳ですから。

JR東海も稼ぎ頭の東海道新幹線で8割減ですから、長引けばリニアを諦めることになりそうです。名古屋リニヤだがや以来疑問を指摘してきた中央リニアも幻になる訳です。それでも財務体質の強いJR東海はある程度持ち堪えるでしょう。JR西日本は赤字ローカル線の整理に活路を見出すと考えられます。中国地方の路線網はかなり整理されそうです。JR九州は上場時に経営安定基金を取り崩して資産の減損処理と整備新幹線リース料の前倒し支払いで負担を減らしてますが、やはり赤字ローカル線整理に踏み込むことになるでしょう。本州3社と比べて財務体質の弱さは否めません。そしてJR四国ですが。

JR四国に国が改善指導 自立経営阻む2つの「老い」:日本経済新聞
コロナショックで真っ先に連想されるのはJR北海道でしょうけど、札幌都市圏への経営資源集中を前提とした再建策で先が読めるJR北海道に対して、エリアに大都市圏が存在せず、過疎化と高齢化が止まらないJR四国の方がより深刻です。とはいえ関係の深いJR西日本に助けを求めたくてもその余裕はなく、そこへ外出自粛が重なる訳ですから、出口が見当たりません。四国だけ三蜜解禁してお遍路さん呼び込むか?

鉄道として残すならば何らかの財政支援が必要ですが、JR北海道でも見られるように、結局交通政策基本法で謳われた地元自治体の関与が無いから国が動かないという倒錯が起きる可能性があります。JRでこれですから、過疎地の地方ローカル私鉄で持ち堪えられないところはちらほら出てくるでしょう。アベノ自粛は公共交通を枯れさせる可能性大です。

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Sunday, April 26, 2020

不要不急の黄金律

Zoomを200mと空目して、ソーシャル・ディスタンシングってそこまで離れないといけないの?と勘違いした人もしなかった人も、お元気でしょうかwwww。私はと言えば、元々引きこもりのボッチですから、あまり変化ありませんが、流石に接触機会が増える乗り鉄は自粛してます。

しかし不要不急が叫ばれるけど、何を以て不要なのか不急なのかは曖昧です。例えばパチンコ規制ですが、開店前の行列に始まり、店内の密集度も高いし、換気が十分かどうかも不明で、しかもプレイ時間もそれなりに長い訳ですから、入場制限や間隔を空けるなどは必要かもしれませんが、補償無しの自粛要請には無理があります。そして自粛に応じなければ店名公表するとして大阪市などでは公表されましたが、これ逆に人を集める効果があるので、あまり意味がありませんし寧ろ逆効果です。欧米のように休業補償を条件に強制力を持たせるべきところです。

現行憲法でも強制力を持たせること自体は可能ですが、補償したくないから曖昧にしている訳です。旧憲法下で国家総動員法などと共に成立した陸上交通事業調整法で、東京の私鉄統合が行われたのは空飛ぶ都営交通でも取り上げましたが、東武野田線の柏以南は京成エリアですし、東上線は西武エリアですが、路線移管は行われず、中央線以南の西南部が東急に統合されたに留まりますが、西武に統合された多磨鉄道はそのままだし、実際は資本の論理による乗っ取り(京浜)や電力国家管理による独立維持の放棄(小田急、京王)の結果ですし、南武、鶴見臨港は国有化だし相鉄は相模線の国有化で東急への経営委託はしたものの旧神中線のみで独立存続してます。

地方でも1県1事業者を模索されましたが、ほぼ実現した富山と福岡は、事業者同士の自主的な統合の結果ですし、富山では県営鉄道や富山市電まで富山地方鉄道へ統合する徹底ぶりでしたが、一方で県内の交通統合の音頭を取った熊本では、熊本電気鉄道と熊延(ゆうえん)鉄道(後の熊本バス)が応じず中途半端になりました。近畿圏でも関西急行鉄道と南海鉄道が統合して近畿日本鉄道が成立した一方、南海傍系の高野山電気鉄道は独立を維持して戦後の南海電気鉄道の分離独立の受け皿となりましたし、力業の統合の阪神急行電鉄と京阪電気鉄道は、やはり旧京阪が分離独立してますが、新京阪線は阪急に残り京都線になるなど混乱しました。コロナ対応がうまくいかないのは憲法は関係ありません。

そして国家総動員体制下で鉄道事業者に求められたのが不要不急線の休廃止と資材の供出でしたが、こちらは国鉄白棚線(白河―磐城棚倉)をはじめ全国の多くの鉄軌道で行われ、軍需品増産や兵員輸送に必要な路線建設に回されたり、金属類は兵器生産に回されたケースもあるようです。という訳で鉄ちゃん的にはこれを連想してしまいますが、基本的に未補償でした。国鉄白棚線は路盤を専用道にして国鉄バス路線として存続しただけマシではありました。戦時BRTですね。

てことでコロナ問題での政府の対応は大いに不満のあるところです。炎上したアベノマスクにしろアベノコラボにしろ、官邸の1人の経産省出身秘書官の発案だそうで、いずれも内閣支持率の低下に焦って提案したものだそうですが、検査を増やすとか衛生用品の増産などの実質的な対策ではなく人気取りに走るところが国民から見透かされている訳です。また1世帯30万円給付も無条件に1人10万円に変更されましたが、これ公明党がが意地を見せた訳じゃなくて支持母体の創価学会からの突き上げで仕方なくって話で、単なる自己保身です。こんな連中が言う不要不急には違和感しかありません。今一番の不要不急は五輪だろ。その一方で感染爆発した欧米は次のフェーズへ進みます。

米欧のコロナ感染、公表値の10倍も 抗体検査で判明  人口6割で「集団免疫」 まだ遠く 精度向上に課題
PCR検査に精度の問題があることは確かですが、とにかく感染の実態を把握するには検査を増やすしかない一方、出口となる集団免疫の獲得進行度を見る意味もあり、遺伝子検査であるPCR検査に留まらず血液を採って抗体の有無を調べる抗体検査へと進み、疫学データを拡充しています。結果はPCR検査の陽性反応で確認された感染者数を大幅に上回る感染率であることが分かった一方、集団免疫獲得と言える60%には全く届かないということで、終息にはまだまだ時間がかかることが明らかになりました。また1度回復して再発症するケースも報告されており、その場合重症化するケースが多いということもあり、免疫の暴走が疑われています。つまり集団免疫獲得が本当に出口になるかどうかもわからないってことですね。

加えて国内感染が終息しつつある中国では帰国者を原因とする感染拡大が見られるなど、今後第2波第3波の感染拡大も警戒する必要があります。しかもそのタイミングが国毎にズレてますから、一旦落ち着いても油断できない状況は続く訳です。1年後に五輪開催できると考えるのはあまりに楽観的です。

最後にちょっと臭い話。鉄道を巡る戦時体制で特筆すべきは戦時下の食糧増産計画でして、人口密集地の東京では住民の糞便が大量に出ることに注目した当局が、郊外の営農地帯への堆肥供給のために鉄道各社に汚わい輸送を要請したものの、乗客の評判を気にして各社尻込みする中で、唯一要請に応じたのが西武鉄道ですが、戦時体制でただでさえ要員が徴用されて人手不足の中、御大堤康次郎の陣頭指揮で大混乱に陥ったという逸話があります。所謂西武鉄道黄金列車伝説です^_^;。

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Sunday, April 12, 2020

三蜜で即身成仏

何だか耳慣れない言葉が飛び交う緊急事態宣言下ですが、クラスター、オーバーシュート、ロックダウン、ソーシャルデイスタンス等々横文字が多いのも気になりますが、その中で「三蜜」が異彩を放っています^_^:。

三蜜とは、身密(しんみつ)、口密(くみつ)、意密(いみつ)の三つで、ご本尊様の身体(身蜜)、言葉(口密)、精神(意密)を修行を通じて体現し即身成仏すべしという密教の教えですが、日本独自の山岳信仰と結びついた修験者の修行を若き日の空海が行ったことから、お大師様の足跡を辿る修行に転じて、時代が下り四国八十八箇所の霊場を巡礼することが庶民にも広がりました。所謂お遍路さんですね。なるほどお遍路さんに代表される宗教聖地巡礼はウイルス拡散に繋がりますから「三蜜は避けよ」は正しい(違)。

日本でも7都府県を対象とした緊急事態宣言が発出されましたが、都が同時に予定していた飲食店や遊戯施設の休業要請に国が待ったをかけて結局72時間遅れで中身も後退したものになりました。既存の新型インフルエンザ等特措法を強引に改正してまでして特措法を成立させて法的根拠を持たせた筈が、生煮えのドタバタとなりました。そもそも発出以前によくわからない根回しに忙殺される図は滑稽でもありました。これ感染症じゃなくてミサイルだったら根回しの猶予もない訳で、緊急事態にご執心な筈の安倍政権でこれですからね。

気になるのが「自粛状況を2週間様子を見てから」という国の言い分ですが、これ福島第一原発事故の時も問題になりましたが、リスクを抑え込むためには最悪を想定して当初強力な規制をかけておいて、様子を見てから徐々に解除するのが危機管理のセオリーですが、今回の緊急事態宣言はそうではないってことですね。早い話が強面の自粛要請でしかないですし、そういう法の建付けなので、端から休業補償は眼中にないし、早期に終息するという正常性バイアスに囚われてV字回復のための景気浮揚策に意識が向かうからお肉券やお魚券のようなトンデモ案が出てくるし、手続きの煩雑な条件を付けてドヤ顔になる訳ですね。

繰り返しになりますが、国民全員にとりあえず1人10万円配ることですね。自治体の課税台帳で対応すれば手続きも簡単ですし課税所得とすれば高額所得者は税金で国庫に戻されますから、所得制限も不要です。何なら臨時課税で取り戻しても良いし。通常の所得税率は超過累進課税で税率5%~45%ですが、課税所得の中央値を300万円程度とすれば税率20%で10兆円の歳出に対して2兆円の納税となりますから、8兆円の予算で実現可能ってことです。臨時課税で更に2兆円取り戻せば、政府の緊急経済対策で1世帯30万円支給で6兆円と見込む予算内に収めることも可能です。あくまでも休業要請をサポートするための家計の資金繰り支援と割り切れば良い訳です。

これも繰り返しになりますが、危機管理のキモはロジスティクスに尽きます。前線へのヒトモノカネの補給を迅速に滞りなく行うことです。そのための家計の資金繰り支援だし、医療崩壊を防ぐために医療に負荷をかけない検査体制の構築であり、マスクやアルコール消毒液などの衛生用品の流通量確保であり、休業を余儀なくされる企業や店舗の資金繰り支援なんですよね。どれも出来ていないですが-_-:。これつまり補給を無視して無謀な作戦を強行したインパール作戦並の愚策です。しかも相手が感染症じゃ撤退も出来ない地獄です。

ジャレド・ダイヤモンドの「銃・伝染病・鉄」で指摘されたように、そもそも感染症は食糧生産を始めた農耕牧畜民が余剰生産で豊かになった一方、家畜を飼うことで動物から貰った病気が人間に特化した結果発生したもので、人類文明に適応しながら共進化してきたものであり、人類が抱える宿痾でもあります。つまり人類のクラスター形成が感染症ウイルスにとっては繁殖の苗床となりますが、一方で人類の体内ではリンパ球の働きによる免疫の獲得があり、スペインの新大陸制覇に見られるように感染症(この場合天然痘)の免疫獲得の有無が作用したり、逆にアジアではマラリアなどの感染症に阻まれて苦戦したりしてます。大航海時代に日本が植民地化を免れたのは、日本に到達したときにはスペインもポルトガルも疲弊していた可能性があります。

そうした視点から見ると、日本で一部の人が好んで使う「武漢肺炎」「中国肺炎」という言い方は適切ではありません。グローバル化で大都市の集積度が上がる一方、ぐ国際分業の深化で人々の移動、交流が盛んになっている状況に適応したウイルスが出現したこと自体は必然と言えます。中国当局の初動に問題があったことは確かですが、グローバル化が進んだ現代において、どこで発生しても爆発的感染が起きても不思議ではありませんし、例えば日本やアメリカが発生源になっていたとして、それを早期発見して迅速な初動が出来たと言える根拠はありません。勿論終息が見えてきた中国が得意げに克服を吹聴するのはおかしいですが。

これが日本だけの問題じゃなくて、アメリカでも損害賠償で中国当局を提訴する動きが活発化しており、民間主体に留まらず、ホワイトハウスも議会も歩調を合わせるように動いていることです。グローバル化がもたらした災難なんで、その克服にはグローバルな連帯が必要なんで、この点は気候変動や廃プラ問題とも共通しますが、覇権国のアメリカでこうした動きが出てきたことを危惧します。議会筋では野党の民主党も同調しており、仮にトランプ大統領が再選されずにバイデン大統領が誕生しても、オバマ大統領時代のような国際協調路線への復帰は見込めないってことです。米中対立は決定的となり、他国は双方から踏み絵を迫られます。

しかしコロナ禍で米中両国とも世界のリーダーとしての資質が疑われる現実が露呈した訳ですから、多くの国は結局両国を都合よく天秤にかけることはあっても、一定の距離を置く対応になると思います。例えばサウジアラビアはロシアとの減産協議決裂後に破壊的増産をかけてアメリカのシェール潰しに走り、慌てたロシアが結局減産で合意するといったジグザグな対応を取るなど不安定化が顕在化してます。そしてサウジは今、王族を含む多数の感染者が出て石油生産が続けられなくなり、結果的にロシアが漁夫の利を得る流れです。

南北対立で揺れるEUでは、流石に加盟国の結束が叫ばれ、財政規律派のドイツすら財政赤字容認に転換したものの、財政力格差を埋める共同債発行には至らず、寧ろ水面下の対立は深刻になっています。構図としてはナポレオン戦争で神聖ローマ帝国解体後、戦後処理のウイーン体制で関税同盟としてのドイツ連邦となった中で力を蓄えたプロイセン主導でオーストリア抜きのドイツ帝国が成立した流れとそっくりです。力を蓄えたドイツは他国を助ける気更々なしです。また移動の自由を謳ったシェンゲン協定も停止され国境封鎖が行われています。

またアフリカへの感染拡大は医療支援を通じた中国の影響力拡大は避けられません。グローバル経済の最後のフロンティアへの中国の影響力拡大はアメリカの覇権の綻びを拡大します。加えて気になるこのニュース。

米軍、空母4隻でコロナ感染者、即応体制に揺らぎも:日本経済新聞
つまりアメリカの覇権を支える海の支配に綻びが出ているってことで、これ海洋進出を狙う中国にとってはまたとないチャンスですし、またこのところミサイル発射を再開した北朝鮮も、今ならアメリカが動けないことを利用しているものです。さて、日本は守ってもらえるでしょうか?

しかも日米地位協定で米軍基地経由で米軍人軍属は通関や検疫を経ずに日本に入国できますから、米軍由来の感染拡大も当然あると考えるべきでしょう。PCR検査増やすとバレるから増やさないのか?てことで日米同盟が明らかなリスクとなっている現実があります。コロナ後の地政学的変化を考えないとヤバいですね。

てことで、思い出されるのがJR東海のテキサス州高速鉄道計画ですが、ただでさえ採算に疑問を持たれているプロジェクトで、コロナ禍で投資家マインドが冷えれば資金調達がとん挫する可能性大です。それ以上にコロナ禍が収まらないと稼ぎ頭の東海道新幹線の収益も当てにできなくなります。これ当然中央リニアの計画にも支障となるでしょう。コロナ後のV字回復とか夢見ない方が良いでしょう。

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Sunday, April 05, 2020

社畜の国のリモートワーク

予想通り東京がえらいことになっております。前エントリーで指摘した指数関数的な感染拡大が現実となってきています。流石にヤバいんで、私も自粛して渋谷の銀座線ホーム見物や高輪ゲートウエイ駅訪問やアーバンパークライン全線急行乗車や発着枠増加に関連してターミナルを刷新した羽田空港見に行ったりは断じてしておりません(汗)。

首都圏 鉄道利用7割減 小池知事「爆発的な感染増への岐路」:日本経済新聞
先週末は小池知事の脅しと寒さや雪など悪天候も手伝って人手は大幅に落ちたようです。平日はどうなのかは鉄道通勤をしない立場になって久しい私の知るところではありませんが、リモートワークの拡大で減ってはいるようです。てことで今回はリモートワークを取り上げますが、その前にアベノマスク(笑)。

これ経産省系の官邸官僚の進言を受け入れたものらしいんですが、「国民に喜ばれる」という言葉を真に受けたものらしい。人気取りのつもりが炎上案件となった訳ですが、この唐突な思い付きを誰も止めなかったというのが現政権の病巣を示します。最早官邸には国民の気持ちを理解できている者がいない訳で、なるほど、これじゃ私権制限を伴う緊急事態宣言なんか出しようがない訳です。

とはいえ法的拘束力は限られていて医療機関に対して指定医療機関に指名するなどの権限が生じる一方、外出制限などは要請の域を出ない訳ですが、既に医療部門に負荷がかかっていて医療従事者の感染も見られますし、そうなると濃厚接触者も含めて自宅待機となって逼迫したマンパワーを更に追い込む悪循環です。故に厳しい現実に直面する医療関係者から「緊急事態宣言を出すべき」の声が上がってますが、そんな現状認識も出来てないってことです。という訳で今週末は不本意ながら本気の乗り鉄自粛です。

ただこの状況でも中国をはじめ感染症診療の有効性が実証された遠隔診療は医師会が難色を示して厚労省が反対している現状です。勿論対面診療と同等とはいきませんが、命に係わる重症者以外は自宅で経過観察とすることで、医療現場での感染拡大が防げて医療崩壊を防げる訳で、既に医療部門が悲鳴を上げているのに医師会トップが渋い顔って構図です。

これ貧テック鈍テックでも指摘しましたが、日本では遠隔診療どころか医療機関横断で共有可能な電子カルテも未導入ですし、電子処方箋も無いし処方箋薬のネット購入も限定的にしか認められない現状ですが、その結果どういうことが起きているかというと、同一人物が異なった医療機関を受診し同じ薬を処方されて飲みきれないほどの薬を抱える現実があります。医療のフリーアクセスが原則の日本ではこれ防ぎようがありません。

そして処方箋の期限を迎えて追加の薬欲しさに受診して処方箋を受け取りのエンドレスですが、特に高齢者で回復の見込みがない人ほどこういう行動に陥りがちな一方、医師が継続して処方箋を出さなければ別の医療機関に行って同じ薬の処方を受けますから、所謂薬漬け状態に陥る訳で、保険診療の負荷を高めている一方、薬の処方箋欲しさに通院するから院内感染のリスクを知らずに負っている訳で、医療情報が共有されていないから生じる無駄ですし、当人にとっても無駄な通院を誘発し想定外のリスクを負っている訳ですね。これ結局医療機関にとっては保険点数稼ぎになりますから放置しても困らない訳で、改革の動機づけが乏しい訳です。

今回のような感染症に対してこういった日本の医療体制が脆弱なのが問題なんですが、感染の実態を知るための検査すら「医療崩壊につながる」と反対の声が上がるって、結局現状維持したいだけだろって話です。その結果医療崩壊が避けられない事態になって緊急事態宣言をおねだりするってのも大概です。しかし事態は確実に切迫してきています。

てことで本題ですが、リモートワークにもいろいろ落とし穴がありまして、例えば会社印が必要な契約は結局押印のために出社する必要がありますし、その会社印を管理する部門も当然出社していなければなりません。こうしたリモートワーク不可能な事務仕事ってのは意外とありまして、結局リモートワークは一部に限る訳です。しかも契約を扱う営業社員は書類づくりは自宅で出来ても、こうして節目節目で出社しなければならない訳ですから、場合によっては寧ろ負担が増える場合もあります。

にも拘らず自宅勤務はタイムカードなど勤務時間を客観的に示す証拠が得にくい訳で、社印押印のための出社にかかる移動時間は通勤時間と見做されて勤務時間にカウントされず、結果的にリモートワークで残業カットという会社にとっては美味しい事態が生じますから、コロナ禍が去ってもリモートワークは続く可能性はあります。社畜の国あるあるですね^_^:。

それと社内会議のビデオ会議化にも落とし穴がありまして、パソコンやスマホの画面を見ながらのやり取りで会議を行うこと自体は可能であっても、特に利害対立のある面倒な案件で腹落ちする落としどころを探して確実なアウトプットを得ることが可能かどうかは微妙です。ツールとしてはスカイプやズームなど手軽に使えるものが出てきてますが、ただでさえ空気に流されやすいと言われる日本人が果たしてモニター越しに本音をぶつけ合えるでしょうか。特におっかない上司に対して。この辺は会議の進行役となるファシリテーターの実力次第ではありますが、こういった訓練を重ねた人材がどれだけ居るかというとお寒いですね。

加えて社外秘の扱いやセキュリティがデリケートな問題を孕みます。そもそも会社支給のPCを自宅に持ち帰ることを認めるかどうか?あるいは社員の私物のPCで会社のネットワークへの接続を認めるかどうか?そしてビデオ会議も含めてそもそも社員の自宅のネット環境のセキュリティが適切かどうか?またビデオ会議の発言が外部へ洩れないか?他にも考えられますが、この辺の問題をクリアするのは結構ハードルが高いと言えます。しかし確実い言えるのは、万が一情報漏洩があればリモートワークに励む社員に責任転嫁されるだろうということです。

そして微妙だなと思うのが通勤手当の扱いです。これも最悪の想定をすれば、リモートワークを理由に通勤手当の支給を渋る企業が出てくる可能性はあります。その場合社印押印などで出社した時の交通費精算をその都度行うならば問題ないですが、それをシステムがカバーしているとは限らない訳で、下手すると経費の自己申告のために出社せよってばかげた話もあり得ます。今は非常時ってことでどさくさ紛れに始めた会社ほど、この辺は要注意です。

てことで先週末の乗客減だけで7割減ったと即断はできませんが、コロナ禍が終わってもリモートワークが続く可能性は、会社にとっての好都合である限り一定に存在します。仮に7割減までには至らずとも5割減ぐらいになれば首都圏でも快適通勤が実現する可能性はありますが、その場合現在の輸送力水準が維持される前提でって話になりますから、当然鉄道事業者にとっては逆風です。あまり想像したくはありませんが、通勤手当不支給が広がれば割引運賃ながら先払いの安定収入となる定期券の売上減少は鉄道事業者の経営にボディーブローのように効きます。そうなると現行の輸送力水準の維持が難しくなる訳で、輸送力の減量に踏み込む可能性はあります。

それを防ぐための増収策があれば現状維持はある程度可能でしょうけど、例えば通勤ライナーのような着席サービスは、混雑が緩和されたときにどこまで有効かという問題を抱えます。あとMaaSによるラストマイル輸送との連携で付加価値を生む方向性は考えられますが、欧州でのMaaSの実現例は都市圏の運輸連合方式による共通運賃制度がプラットホームの役割を果たしていることから、事業者が多くそれぞれ沿線の囲い込みに余念がない日本でうまく機能するかどうかの疑問は残ります。あるいは戦後ほとんど見られなかった事業者の合従連衡に進む可能性も指摘できますが、阪急阪神の経営統合で大騒ぎしたぐらいですから、簡単ではありませんが。

あとは東京メトロなどで社会実験が行われた宅配便荷物の客貨混載が進む可能性はあります。ドライバー不足が背景にある一方、感染症対策としてのECの拡大に対応する必要から宅配事業者側の都合で実現する可能性が高まるという点もあります。その反面鉄道沿線の商業施設の利用が忌避されるとすれば儲けの大きい定期外客を減らすことと裏腹となりますので、プラスマイナスは微妙です。

一方トヨタがNTTと組んで静岡県裾野市に建設するスマートシティ構想を推進すると発表しています。つまりこれ自動車メーカーのトヨタがまちづくりを事業化するって話なんですが、CASEの繋がる、自動化、シェア、電動化のいずれも開発費負担が重くて利益見通しが持てない中で、トヨタ流のMaaSを実現して付加価値を得ようって話です。ある意味日本では大手私鉄の専売特許に近かったまちづくり事業への参入となる訳で、トヨタ自身にも迷いがあると思われるので、直ちに手強いライバルになるとは限りませんが、鉄道事業者の連携や合従連衡無しに太刀打ちできるとも思えません。

そして高輪ゲートウエー駅開業でまちづくりに乗り出したJR東日本ですが、安中榛名や喜連川の宅地開発分譲でコケたJR東日本にとっては、まちづくりは未踏の分野です。しかもグローバル化を前提とした職住近接の国際都市というコンセプトも、コロナ後を睨むと見直した方が良いと思います。特に最近の地価上昇をけん引してきたホテル関連がコロナ禍でブレーキになると、緩和マネーで膨らんだ土地バブルも終わる可能性が高まります。まちづくりの経験豊富な東急やこの地域に根を張る京急や西武との連携を図る方が賢明ですが、果たしてそういう判断ができるでしょうか。COVID-19の後始末は簡単ではないでしょう。

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Saturday, March 28, 2020

感染路は続くよ何処までも

海越え街越え時越えて遥かな世界へ僕たちの見えない未来をつないでる~♪
元歌はアメリカの労働歌で、大陸横断鉄道の建設工事に駆り出された建設労働者が、来る日も来る日も人里離れた荒野でツルハシを振るい、時にはインディアンの襲撃にさらされる命がけの終わりの見えない過酷な労働への恨み節でした。その歌にNHKが旅へのあこがれを表す日本語の歌詞をつけてみんなのうたて紹介したため、日本では全く異なった印象で受け止められてますが、皮肉にも元歌に近い現実に直面する私たちです。

武漢から始まったCOVID-19の感染が世界に拡大し、遂にアメリカの感染者数が中国を抜いて収拾がつかない状況です。COVID-19のような感染力の強い感染症は大都市で感染拡大するのはある意味当然で、中国でも人口1,100万人の武漢市で爆発的感染拡大に見舞われましたし、イタリアでも7ミラノなどの大都市に集中しています。日本でも札幌市がそうでしたし、感染拡大が見られる大阪府や兵庫県、それに東京都もですが、明らかに爆発的感染拡大の兆候が見られます。感染症は指数関数的に感染拡大する訳ですから、いつかはこうなる訳ですが、厚労省の報告書を思い切り誤読して阪神間の往来自粛を呼び掛けたり、唐突に首都閉鎖も有り得ると脅しをかけたりしてパニックを煽る知事たちにうんざりです。

新型コロナ感染者、米は10万人突破 全世界の17%に:日本経済新聞
アメリカの感染者が10万人を超えて中国を抜き世界一となった訳ですが、アメリカでも4割は大都市を抱えるニューヨーク州に集中しており、大変な状況ですが、クオモ州知事の州民向けの演説が評判を呼んでいます。自身が対応に疲れたことを告白するとともに、自分以上に最前線で対応し疲れている人がいることに言及し、非常事態への対応への協力を求めたものですが、病院ベッドの不足や人工呼吸器の不足などの具体的な問題点を明らかにして、パニックにならないように冷静な対応を求めたものです。この演説に好感して株式市場も一時的に上げたぐらいですから、人々に与えた安心感は相当なものでしょう。

翻って小池知事美首都閉鎖発言はインパクトは大きいけれど基本的に脅しですから、それに反応して多くの人がスーパーに殺到して買いだめに走る訳で、SNSに蔓延るデマと変わりません。情報攪乱が市場経済を機能不全に陥れることは前エントリーで指摘した通りです。しかもタイミングが東京五輪の1年延期が決まった後ということで憶測を呼んでいます。まあ五輪に限らず様々なスポーツイベントが中止または延期が相次ぐ中で、今年予定通りに開催できる訳はないんで、見直しは当然ですし、スケジュールが狂った各競技団体にしてもどのみちスケジュールの見直しは必要ですから、調整自体は不可能ではないでしょう。しかし問題は1年後に沈静化しているかどうか不明ということです。

[FT]英の新型コロナ対策、「最善願い最悪に備える」:日本経済新聞
英国ジョンソン首相が集団免疫を打ち出して批判を浴びて引っ込めたという風に報じられていますが、国民の大多数が感染して免疫を獲得すれば、新規感染者が減ってCOVID-19も普通の風邪の1つになり落ち着く訳で、国民の60%が免疫獲得が目安となるということで、それまでの長い道のりを乗り越えるよう国民に協力を呼び掛けたもので、既に市中感染が見られ水際作戦での封じ込めが不可能という現実を示したものです。結果批判を浴びたものの、飲食店等の休業補償や納税猶予や国民への現金配布などの対策を打って理解を求めました。

何だか国も地方も出鱈目なのは日本だけと落ち込みたくなりますが、ここで注目すべきは60%という集団免疫の目安です。既に欧米アジアから南米やアフリカまで感染拡大が見られる現状からすれば、今さら封じ込めは現実的ではない訳で、いずれ世界各地で順繰りに爆発的感染を経験しながら世界全体が終息に向かうのに1年で済むのか?ということです。世界のどこかで感染拡大の混乱が続く限り、公正な世界大会なんか開けない訳で、そう考えると1年後の仕切り直しで突っ走るのはどうかと思います。そもそも人命が関わる問題でスポーツどころじゃないだろうって訳ですが、商業イベント化したオリンピックは簡単に中止できないのもまた現実です。問題の軽重を取り違えてないかってことですね。

それととりあえず3,000億円と試算される延期に伴う追加負担の問題ですが、現状10Cと都と国で押し付け合いしている現状です。これも実際はいくらかかるか想像もつかないのが実際で、事態の進捗に伴って隠れたコストが明らかになることは覚悟しといた方が良いでしょう。この辺福島第一原発の廃炉問題や汚染水問題でも見せられている現実です。こういった計算違いは正常化バイアスが働く以上必然的に生じます。所謂希望的観測に流される訳です。仮に上記のように1年後にも終息していなければ、延期のために負担したコストは無駄になり更に追加負担を覚悟しなきゃならないとなると、五輪の経済効果とは何だったのか?って話になります。

それよりも当面の経済的な落ち込みをどうするかですが、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリアなど欧米諸国に加えて韓国や香港でも国民への現金配布が行われる一方、日本では所得の落ち込んだ世帯に限りというような制限を課すようですが、それをどのように判定するつもりなんでしょうか。しかも時期は5月になるとか言ってる訳ですが、コロナショックによる自粛で職を失ったり所得を失った人はとても待てませんし、消費の落ち込みは更に経済を冷やす訳で、条件付けずに全員に配布する方がコストもかからず迅速に実行できます。

財源は震災復興増税のように事後的に増税して回収すれば良いですし、所得税に税率を上乗せすれば高額納税者ほど負担する訳で結果的に回収されますから所得制限は不要です。一部で言われる消費税減税ですが、そのために法改正して鉄道運賃など公共料金の改定でシステム変更のコストもかかりますから、緊急対応としては不適格です。加えて地方消費税も減る訳ですから、住民サービスを担う自治体が干上がることも忘れてます。それも含めて制度としての消費税の是非や適切な税率の議論は平時に行うべきであり、どさくさ紛れにやるべきではありません。そして与党内の議論で和牛商品券やお魚券といったトンデモ議論があるようですが、非常事態に利権漁りとはお下劣です。ま、こんな連中を選ぶ国民も大概ですが。

それでも流石に公共事業の積み増しは出てこないようです。人手不足による入札不調で執行が約1年遅れの現状では、公共事業を積み増しても経済効果が出ないことが明らかなので、持ち出しにくいんでしょう。その一方で結果的に建設費の相場が上がって民間工事も割高になって所謂民間活用も難しくなり、加えて五輪を睨みインバウンドを睨み活況にあったホテル建設が一転不良債権の山になりそうな中で、ゼネコンは請け負う工事を選別してます。

このコンテクストで今公判中のリニア談合事件でゼネコン各社の暴露合戦が繰り広げられています。既に分離公判で有罪が確定している大林組がJR東海幹部の指示で星取表と呼ばれる工区ごとの予算と受注企業の一覧をExcelで作成したことを暴露しており、談合の物証になると共に被害者である筈のJR東海の関与が明らかになりました。これ鈍器法定で指摘したように、事業費の上限が決まっている中で、ゼネコン各社の過酷な値下げ要求をした挙句のゼネコン同士の仲間割れって構図です。この辺無罪を主張する大成建設も技術的な相談に乗ったつもりが企業秘密の開示につながったことを認めています。

大林組は地元のうめきたやなにわ筋線などもあるし大阪万博も控えているしで、もうけがショボいリニアに過度に付き合うつもりはない一方、五輪関連の受注をほぼ独占してきた大成建設にとってはポスト五輪でリニアは外せなかったという構図です。なにわ無くとも五輪の大成とその逆の大林組という対立構図があからさまで与党の集票マシンだったゼネコンの仲間割れは与党の公共事業への関心も醒めさせたかもしれません。加えてリニア談合事件の影響で各社入札停止処分も受けておりますし。ま、ある意味無駄な公共事業が出来にくくなったとは言えますが。

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