TACOの知性とDeepSeek
まずジャパニーズラストベルト*1の話題です。コメが店頭に届かないのは精米能力の制約があり、1日6.000トン程度の精米能力の9割以上の稼働率でほぼ余裕なし*2。それを超える量の備蓄米放出で精米がボトルネックになっている状況です。減反によるコメ価格維持で価格が上がれば消費が減って結果的に値崩れする流れが精米機の投資を滞らせてきた結果ですね。一部メディアで卸の利益率500%増という小泉農相の発言が報じられてますが、1年前のコメの端境期に健在化したコメ不足で精米機の稼働率が落ち込んだ時期を分母にすればこれぐらいの数字が出ても不思議ではない訳で、原因はコメ不足であって、その結果卸や小売りや消費者の購買行動を引き起こしたもので、転売ヤーの暗躍といった俗説を否定する材料は揃っています。そもそも裏付け取材もせずにこうした発言を切り取るメディアはネットフェイクを批判できないです。
さて本題。市場の動きに翻弄されるTACOぶりは外交にも影を落とします。145%対115%の関税合戦に猶予期間を設けたのはアメリカの方が悲鳴を上げた形で、関税協議の本命の中国に翻弄されている訳です*3。結局米トランプ大統領が折れてどうにか閣僚級協議を経て習近平氏とのトップ会談の段取りがついた形ですが、ウクライナ停戦交渉で見せた強い相手に滅法弱いトランプ流のTACO外交では成果は期待薄です。そして来年5月まで任期のあるFRBパウエル議長の後任指名の前倒しを公言しています*4。これ第二次安倍政権で日銀白河総裁に利下げを迫り、更に黒田元財務官の後任指名を示唆して圧をかけたことを模倣したもののようですが、仮にそれでパウエル議長に圧をかけても市場のトリプル安で無力化されるTACO相場になるだけじゃないでしょうか。学習能力にバグがあります。
そもそも蛸は軟体動物一の知性の持ち主で、極めて学習能力が高いのですが*5、TACOの学習能力はかなり残念なもののようです。それでも執着は強いから第一次政権でスタッフに足を引っ張られた記憶からイエスマンで固めて強引に事を成し遂げようとしております。しかしうまくいかずあれほどの蜜月ぶりだったテスラのマスク氏とも仲違いして罵り合うことに。とはいえ並外れたエゴイスト同士ですから驚きはありませんが。そしてマスク氏はEVやAI規制でいいとこ取りを狙っていたようですが、世界で拡がる不買運動でそれどころじゃなくなったってことでしょう*6。そしてバイデン政権でも踏み込まなかったAI規制をトランプ政権で行う可能性はDeepSeekショック*7で高まっています。
DeepSeekに関しては8964とかのセンシティブな問いに答えられなかったのが、答えられるようになったと言われております。DeepSeekがオープンソースで開発されたことで、中国国内のクラウドでは検閲で規制されていたけれど、国外クラウド上で使えば規制されないから学習できたということのようです。つまりDeepSeekはオープンソース故に結構自由な使い方ができて、仮に規制をかけるにしても難しいところがあります。TACOの知性で対策できるかどうか。しかしあの手この手を繰り出す諦めの悪さは相当なものです*8。議会で審議中の内国歳入法899条で米国が不公正と見做す税制の国の企業や個人に課税するというもので、日本の消費税に当たる付加価値税型間接税が対象と考えられます。所謂国境調整としての輸出還付金を不正な補助金と見做すということですね。関税で成果をげられないから次の手ということでTACOなりの学習を重ねてはいます(褒めてませんが^_^;)。
一方の日本もTACOを笑えません。例えばこんなニュース。
縮む建設業、工事さばけず 未完了が15兆円超え過去最大 - 日本経済新聞これ今までも散々話題にしてきましたが*9、こうなることはわかっていたことです。このことを示唆するニュースとして先月22日の山手線の架線事故*10です。山手線ではE235系の一部編成に架線監視用のカメラを搭載して営業運転中にデータ収集して保守工事のスケジュールを決めたりしている訳ですが、新橋駅付近の外回り線での断線ということで、京浜党y北専との並走区間で特徴的なダブルカテナリー式架線の区間で、しかも補助張架線の断線ということで、カメラの監視対象ではなかったことで発見が遅れ、夜になって不自然な火花を車掌が確認して異常が見つかったものです。
結果的に山手線の50編成のうち21編成でパンタグラフの曲がりが確認され、補修が間に合わず翌23日の始発から半日ほど運休の憂き目となりました。現任は補修時の施工不良で、委託業者が指定した器具を使わずに施工した結果、電気抵抗熱で断線したことが判明しました*11。JR東日本の監理監督責任は免れませんが、ダブルカテナリー式という特殊な架線構造で補助吊架線で大電流を扱う構造が仇となった訳ですが、委託業者側がこうした特殊性を認識していたのかどうか。人手不足で技術継承がうまくいっていない可能性はあります。また首都圏JRの弱点と言えるDC1.5kv饋電の大電流問題も再三取り上げてきました*12。こうしたトラブルを防がないとATACS*13のような自動運転技術も使えません。知性を発揮して解決してほしいところです。
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