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Sunday, February 21, 2021

地震、雷、火事、親父

昔は怖いものとして言い慣わされておりました。かくいう私も親父にはよく𠮟られてました。家父長制の傾向が強かったかつての日本ですが、核家族化して「元気で留守がいい」と言われちゃうぐらいにはマイルドにはなりましたが、ジェンダー問題や選択的夫婦別姓問題など相変わらずではあります。

夫婦別姓問題を「日本の伝統に反する」とか「家族制度が崩壊する」とかで反対する人たちは、今や核家族どころか単身世帯が増えて核家族すら典型的と言えない現実が見えていないようです。加えて言えば公家、武士、豪農、豪商を除けば大多数の日本人が姓を名乗るようになったのは明治以降の話ですし、例えば北条政子は源頼朝に嫁いでも北条政子のまま、源姓を名乗っておりません。昔は夫婦別姓だったんですね。

そんな家父長的パターナリズムの権化みたいな人が炎上して公職を去りましたが、どう見てもその影響下にあるとしか見えない元アスリートの現役閣僚が後任だそうで、伝えられるところでは本人は固辞したそうですが「あなたしかいない」と周りから言われて火中の栗を拾ったらしいと言われております。親父が差別発言で批判され逆切れカミナリで炎上。地震以外全部キタ—―――――――^_^;。結局組織委が森前会長から橋本新会長に変わっても、開催の方針は変わらない訳です。

文化放送の有森裕子氏のインタビューで「オリンピックはチャンピオンシップではない」という言葉が刺さります。元々オリンピックはスポーツを通じた国際交流を目的とした平和の祭典で、古代ギリシャで宿敵のアテナイとスパルタもこの時は戦いを休んでスポーツに興じた故事から20世紀にフランスのクーベルタン男爵が提唱して始まったものです。コロナ禍でIOCも無観客若しくは国内観客限定の開催に傾き、大会組織機もその前提で動いているのが現状でしょうけど、それってオリンピック精神に反すると声を上げた訳です。FIFAワールドカップや世界陸上のようなアスリート同士で勝敗を競うチャンピオンシップなら無観客も有り得るけどオリンピックにはなじまないという訳です。更に地方からも声が上がりました。

島根県、五輪聖火リレー中止を検討 知事が表明:日本経済新聞
島根県の丸山達也知事は旧自治省、総務省でキャリアを重ねた元官僚で地方出向を重ねた地方自治のエキスパートですが、2018年に退職し2019年の島根県知事選に無所属で出馬し、自民党と共産党の候補を破って当選した実力派知事です。地方自治の専門家らしく五輪関連の法令や通達を熟読して県の判断で聖火リレーを中止できることを確認した上での発言で、国や都のコロナ対策の下では聖火リレーはできないという趣旨です。

そもそもコロナ終息後の経済浮揚策だった筈の Go To トラベルの見切り発車、特に10月1日の東京都の Go To トラベル除外解除によって地方への観光旅行が増えた結果、コロナ感染がジワジワ全国に広がり11月以降は明らかに指数関数的増加が見られ、一部都府県で医療に負荷がかかりました。コロナ病棟で陽性者を受け入れると最低2週間の経過観察が必要ですから、指数関数的に新規感染者が増えれば早晩破綻する訳で、そのために病床を空けるために他の傷病者の退院や転院、手術の延期や救急搬送のたらい回し頻発など医療崩壊と言える状況が出現しています。

暮れの12月28日の Go To トラベル停止と帰省初詣の自粛要請、東京都などの飲食店時短営業要請、1月7日の緊急事態宣言発出で新規感染者が減ってきてはいますが、重症化しやすい高齢者の新規感染が増えており,死亡者も高水準でとても終息に向かっているとは言えない状況が続きますが、地方では Go To トラベルを巡る混乱で振り回され、緊急事態宣言対象外で営業自粛に対する補償金もない中、ただただ貧乏くじを引かされ続けていることへの不満が渦巻いている訳です。丸山島根県知事の発言はそれを代弁している訳で、隣県の知事たちも理解を示しています
が、この人はそうじゃない。

自民・竹下氏「島根県知事を注意する」 聖火リレー発言:日本経済新聞
国とは別法人の地方自治体の首庁に国会議員が注意する権限はもとよりありませんが、2019年の知事選で自民候補を応援した当事者ですから、政局絡みの恨み節ですね。言外に「あんな知事選ぶからこうなる」という有権者への当てつけですね。こんな奴次の選挙で落としましょう。

また竹下氏は橋本組織委新会長を「男みたいな性格、ハグ当たり前」と発言して炎上。二階幹事長も森氏用語発言といい自爆テロ級の火に油ですし与党議員の夜遊びといい管首相長男の総務省接待疑惑といい、炎上を競い合っているとしか見えませんね^_^;。

てな冗長な前振りはここまでで^_^;、本当に怖いのはもちろん自然災害です。先日の福島県沖地震は10年前の東日本大震災を思い起こさせましたが、プレート型地震の東日本大震災に対して「スラブ内地震」と呼ばれるもので、平たいプレートをスラブと呼び、地中の圧力によるひずみでスラブにひび割れが生じることでおきます。阪神大震災のような内陸型地震はほぼこれで、浅い震源ならば地上に断層が出来たり津波の原因になったりしますが、今回は地下53kmという深い震源だったので、津波も起きず震度6強とマグニチュードの割には弱い揺れになりました。但しその分広範囲に長時間揺れたことで思わぬ被害が出ました。

鉄道耐震化間に合わず 東北新幹線、電柱など損傷:日本経済新聞
東北新幹線は高架橋にスラブ軌道という構造の区間が多いのですが、これが災いしたようです。ちなみにスラブ軌道は上述の平たいプレートを表すスラブと同じ意味です。土の路盤のわきに基礎を打って立てる在来線の架線柱と違ってコンクリート構造物の高架橋に建植された架線柱は共振しやすく、今回のような長い揺れで傾いたり折れたりした訳です。東日本大震災の時にも見られ、鋼板を巻いたり鉄芯を入れたりする補強工事が施工中ですが、とにかく数が多いから工事は進まず、終了は2,028年頃の見込みということで、実際未施工区間で被害が出ています。

そういうこともあってJR東日本はひたちの仙台延伸や在来線の臨時快速運行などでカバーしましたが、輸送力の差はありますから完全にはカバーできないですが、迅速な緊急対応という意味でレジリエンスを示しました。加えてJRバス東北や福島交通の高速バス増便や定期便のない羽田から福島、仙台、花巻へ臨時便を出したANAとJALの対応といい、震災の体験が活きているようです。コロナ禍で需要が減っていたことや、特に航空は大量減便で機材も人員も余力があり、ネックとなる羽田空港も空いていたなどの要因もありますが、こうした迅速な動きは評価すべきでしょう。どっかの国の政府とは大違いです。

加えて言えば鉄道のネットワーク効果は大事だということを改めで感じます。阪神大震災の時に被災した京阪神地区を迂回する貨物ルートが無かったことが混乱を拡大しましたし、東日本大震災の時は逆に貨物列車の設定が無い磐越西線を利用した燃料輸送で代替ルートを確保したなんてこともありました。レジリエンスってこういったことの積み重ねなんですね。

ってことで、国土強靭化はその意味で明後日の方向の対策にしかならないと改めて思います。津波対策で防潮堤が整備されたものの、寧ろ海が見えない方が危険ということで、人が住んでいるところほど反対に遭って整備が進まず、無人地帯の巨大防潮堤が飛び飛びに整備されており、だれを守るものか曖昧です.寧ろ市町村役場などの公共施設を高層化して高層階に比内所を兼ねた集会場施設を作るとかする方が現実的です。

東北新幹線の架線柱損傷に見られるように、高速鉄道は元々レジリエンスが弱い存在だってことも覚えておきましょう。逆に盛土にバラスト軌道の東海道新幹線の方が頑丈に作られた山陽新幹線や東北新幹線よりレジリエンス面で優位ということも言えます。但しその分メンテナンスにコストがかかる訳で、東名阪をカバーする東海道新幹線でしか成り立たない可能性はあります。その意味で高速鉄道の二重化を唱えて中央リニアや北陸新幹線の大阪延伸が必要とする主張にも疑問を禁じ得ません。特にリニアは地震など自然災害時の安全性に関して未知な訳で、東海地震に備えた代替路線という位置づけも疑問を禁じ得ません。

加えて整備新幹線の並行在来線問題でも、頼みの新幹線が長期運休になった場合のリカバリーを考えれば維持する方が良いのは言うまでもありません。北海道新幹線の並行在来線で貨物列車のない長万部―小樽間の山線区間の存続はかなり厳しく、受け皿三セクの経営が成り立つ可能性は低いと言えます。こうしたコストも込みで整備新幹線が有利な投資なのかどうか、きちんと見極める必要があります。

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Sunday, February 14, 2021

しんきろうで2020五輪霧中

五輪組織委森会長の辞任問題が尾を引いております。

不透明プロセス、世論の離反招く 五輪組織委会長の選考:日本経済新聞
密室の謀議で首相になった人が公職を去る時も7密室でって、らしいと言えばらしいけど、流石に通りませんでした。森氏が指名した川淵三郎氏は過去の発言に問題いありとIOCからダメ指しされたようですが、そもそも辞任する森会長に後継指名の権利はありませんし、川淵氏も就任後に森氏を相談役に指名するということまで決めていたとか、もうドロドロ。個人商店じゃあるまいし。ちなみに森氏を慰留した武藤敏郎事務局長は、大蔵省ノーパンしゃぶしゃぶ事件当時の官房長で引責辞任した人物です。ポンコツ同士の身内意識なのか?

加えて昨夜の地震。震災の余震だそうですが、10年経っても大きな余震が続く現実は重いですね。家屋被災で負傷者が出てますし、発電所の停止で大規模な停電が起き、水道の被災で水道が止まるなどライフライン被害も出ています。東北新幹線は河川中が傾いて復旧に10日以上貨化kる見込みですし、常磐道も被災しています。復興五輪を標榜していた東京オリパラにとっては最悪のタイミングです。

震災復興にとってはオリパラ関連の公共投資でヒトモノカネが取られますから、寧ろ復興を遅らせるだけというのはこれまでも指摘してきましたが、震災復興も道半ば、コロナ禍で無観客も有り得る五輪開催の意義が見出しにくい上に、大会組織委のガバナンスにクレームがつく事態で、流石に延期で追加負担を求められた企業スポンサーも不満爆発となりました。実はこれが効いたようで、国民世論の勝利と言いにくいところですが。

そんな中で小池都知事は奇妙な立ち回りを見せています。来現つに予定されているI4者会談不参加を表明しましたが、そもそも日程も決まっていない中での点数稼ぎと見る向きもあります。五輪前に行われる都議選で対立する都議会自民党への圧力ですね。実は森首相の辞任も都議会自民党の意向が働いたと言われており、総裁選で小泉政権誕生をもたらした訳ですが、自民党がゴタゴタすれば小池知事自身の国政復帰が見えてくるという訳ですね。五輪開催都市としてのダメージを国に付け替えて政局を有利にする思惑が見え隠れします。

てことで都知事としては大した実績を残せている訳ではありませんが、自分が有利になる立ち振る舞いは得意ということですね。築地市場の豊洲移転問題でも「豊洲は活かす築地は残す」という発言にも現れてますが、食のテーマパークというコンセプトは示したものの、豊洲市場の活性化のために整備予定だった観光施設は権利を落札した民間企業が反発して降りてしまいました。

タワマンたわわエントリーで取り上げた8号豊住線(豊洲―住吉)荷動きが出てきました。

膠着の有楽町線延伸問題、国交省委員会で議論進むか:日本経済新聞
東京メトロは株式上場を控えて大規模投資となる新線建設を打ち止めとする方針ですが、一方で混雑の激しい東西線の東陽町駅の改良(構内線増)や九段下の折り返し線拡張などの大規模改良工事を手掛けている訳ですが、タワマンで人口が急増した江東区では、東西線、総武線の混雑緩和のために比較的空いている有楽町線へ誘導するために豊住線建設を要望していて、豊洲問題のバーターで豊住線建設を江東区に約束したものの、東京メトロはこれを拒否している訳です。

ややこしいのは東京メトロ自身の株式上場問題が絡んでいて、国(財務省)53%都47%の株主構成で国が株式を手放しても都が手放さなければメトロに対する支配権が国から都へ移行する訳で、すが、経営的に重荷となる新線建設を回避したい東京メトロに都が圧力をかければ利益相反が生じる訳で、そうなれば投資家が東京メトロ株の保有を躊躇することになるので、より高く売り出したい財務省としてはそれは認められないということで膠着状態になっている訳ですが、国交省が委員会を立ち上げて妥協点を探ろうと動いた訳です。

整理すると豊洲移転を巡るゴタゴタで都が江東区にいい加減な口約束をしたものの、株式上場問題も絡んで東京メトロは建設を渋り株式を高く売りたい財務省が後ろ盾になっているという構図です。政治家のいい加減な発言が事態をここまで拗らせてしまった訳ですが、小池知事は政局で国政復帰を模索しているからあとは野となれなんですね。同委はしませんが地下鉄一元化を打ち出した猪瀬氏はまだしも理念がありましたが。委員会を立ち上げた国交省にとっては難題ですが、どうするつもりなんでしょうか。

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Sunday, February 07, 2021

イット革命でデタラメトランスフォーメーションな神の国

五輪大会組織委員会の森会長が大炎上中です。

五輪組織委・森会長「発言撤回しおわび」 辞任は否定:日本経済新聞
小渕首相の急死を受けて密室の謀議で首相に就任した森喜朗氏は当時から「しんきろう内閣」と揶揄されてましたし、とかく失言が多く、「神の国」とか「(選挙前に)無党派層は寝ててくれば」とか枚挙に暇がないですが、コロナ禍で五輪開催自体が流動的な中で、かなり致命的なダメージとなりました。一般的には話が長いのは高い地位にある高齢男性ですが、女性の発言が多いってことは、それだけ女性が感じる不自由が多いことの反映な訳ですが、それを疎ましく思うってのは、人の話を聞く気が無いってことです。

故に思わぬ逆風にとりあえず謝罪しておこうという会見で辞任を否定して逆切れしてますます炎上とドツボに嵌っております。首相時代に失言であれだけ叩かれた経験が活かされていない訳で、口で言う「反省」が出来ていない訳です。故に組織委女性理事に対する「わきまえている」発言で更に火に油。組織委会長という公職にある公人ということをわきまえていないのはあんただよ。

森氏の失言数あれど、私が真っ先に思い出すのは「イット革命」発言ですね。これIT革命に関する経産省のペーパーを見て「君、このイット革命とは何だね?」という発言が外部へ洩れて週刊誌に抜かれたものですが、不勉強ぶりに眩暈がします。元々こういう人なんで、公人になっちゃいけない人なんですね。こんな人を担ぎやすさだけでトップに据える日本の組織文化がもたらした炎上劇ってことです。

ただ森氏だけを笑えない現実がありまして、例えばコロナ感染濃厚接触を知らせるアプリCOCOAの不具合ですが、OSの後進にアプリの修正が追い付かなかったとか。

「COCOA」不具合 スマホOS更新、アプリ修正後手に:日本経済新聞
これスマホアプリに関する認識が出来ていなかったことが原因らしいってことです。これスマホアプリが典型ですが、使いながら不具合を修正するアジャイル式のシステム開発を厚労省が理解sていなかったってことです。

ソフト開発の手法で、ウォーターフォール式とアジャイル式の2つの方式に分かれます。前者は主に基幹業務システムで採用されているもので、システム全体の業務フローを上流から下流へと一貫して開発するもので、計画、要求分析、設計、実装(コーディング)、テスト、文書化の工程でだk内的に進みますが、アジャイル式は反復(イデレーション)と呼ばれる短い単位期間でこれを繰り返し、修正を重ねることで対応するものです。

基幹業務システムでも要求分析の段階で発注者としての関与が大事なんですが、この部分をソフト会社に丸投げすることが日本の官庁や企業では多く、結果、システムのメンテナンスやバージョンアップも丸投げとなって、それ故に日本のITベンダーは言い値で請け負っておいしい思いをしてきた部分はあります。しかしその結果ユーザーである官庁や企業にシステムの全体像を理解する人がいないという異常な事態となり、今あるシステムを後生大事に修正しながら使い続けて却って非効率になっているという一面があります。

スマホアプリは典型的なアジャイル式のシステム開発であり、使いながら不具合を修正する訳ですから、よりユーザーの関与が大事なんですが、ウォーターフォール式のノリで発注してあと放ったらかしすれば、OSのアップデートで生じる不具合が放置されたとしても不思議ではありません。これぞイット革命wwwwww。DXはデタラメトランスf-メーションの略だったのか?^_^;

冗談はさておき、コロナ禍で露呈した日本のDXのお寒い状況はホントにヤバいですね。マスク、マスク、マスクで指摘したマイナンバーカードを巡る混乱は記憶に新しいところですが、特別給付金の交付を自治体事務に定義した一方、マイナンバーカードは住民基本台帳と紐付けされておらず、そのことを理解しない政治家の不規則発言で混乱した訳です。こうして見るとイット革命の呪縛^_^;は続いているような。ワクチン接種でも混乱は覚悟しておいた方がよさそうです。流石神の国-_-;。

国鉄からマルスシステムを継承するJR各社はまだユーザーリテラシーを持っているとは言えますが、コロナ禍で売上減少が続く中、JR東日本などで時間帯別運賃の導入などでの対応が注目されます。Suicaによる非混雑時間帯の利用客へのポイント還元や週2-3回程度の利用を想定した新タイプの定期券などが考えられているようですが、バスや航空鵜で見られる大胆なダイナミックプライシングへ進むのは難しいと考えられます。

ということで、3月改正は国鉄末期を彷彿させる減量ダイヤ改正ですが、違いは私鉄も含む鉄道全般ということですかね。ただ影響は各社各様で、整備新幹線のリース料がのしかかるJR東日本や観光やホテル事業の比重が高い近鉄、東武、西武などが特に厳しいようです。そんな中でJR東日本がこう動きました。

JR東日本、「羽田空港アクセス線(仮称)」で鉄道事業許可を取得:日本経済新聞
今期4,500億円の赤字を見込む中で、3,000億円の投資を実行するということです。29年開業予定ですから、いくら何でもコロナ禍は終息しているでしょうけど、鉄道事業への投資は続けるということですね。吉と出るか凶と出るかはわかりませんが。

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Sunday, January 31, 2021

見えざる手のたそがれ

与党議員の銀座の夜遊びのお陰で特措法改正案が野党案丸呑みになり、過料の額が減額されました。グッジョブd^_^wwwww。前エントリーで指摘した国家権力を飼い馴らす観点が機能しました。一方アメリカでは思わぬところに火の手が上がりました。

米株式市場にも分断の影 個人投資家SNS、ファンド標的:日本経済新聞
構図が複雑なんですが、個人投資家向けに売買手終了を無料にして躍進したネット証券のロビンフッドに、コロナ対策で連邦政府が配布した給付金を手にした個人投資家が殺到し、米株価上昇を支えていたのですが、一方ロビンフッドは個人投資家の売買注文データを大手ヘッジファンドなどマーケットメーカーに販売して収益を確保していました。ガラパゴス・スモールブラザーズで指摘した日本のネット証券とHFT投信の癒着と同じことがメリカでも起きていた訳です。

但しアメリカの個人投資家の対応は、ロビンフッドにデータを取得しているシトロンなどの空売りファンドを標的にした逆張りで対抗するというもの。ある意味アメリカらしいカウンターカルチャー炸裂となっているのが面白いところです。空売り勢は時価総額が大きくない中小型株に空売りを仕掛け、値下がりしたところで買い戻して借株を返却して手仕舞い、値下がり分のサヤ取りをする訳ですが、リスクヘッジで先物コール(買い注文)を仕込んでおく訳です。つまり先物市場の動きでヘッジファンドの意図がある程度見えることで、レディットというSNSののウォール・ストリート・ベッツ)WSB)という掲示板で情報を共有し、逆張りの買い注文を出すことでファンドに損失を与えることができる訳です。

勿論共謀しての株価操作は刑事罰を伴う犯罪ですが、個人のSNSによる呼びかけがこれに当たるかどうかは微妙なところです。今回ゲーム店を展開するゲームストップ株などが標的にされ、みるみる株価が上昇していった訳ですが、株価上昇に伴って売買注文の決済に責任を負うロビンフッドの準備金の積み立てが必要になり、資金繰りがタイトになってゲームストップ株その他の売買制限をかけたのですが、これが混乱に拍車をかけ、ロビンフッドが批判にさらされ、制限解除を余儀なくされました。その結果ゲームストップ株は値上がりを続けましたが、個人投資家には不信感が残り、SNS上で訴訟騒ぎにまで発展しました。

話はここで終わらず、大統領候補にもなった民主党オカシオコルテス下院議員が個人投資家に損害を与えたとロビンフッドを批判、また上院ウォーレン議員はSECに書簡を送り問題提起をしました。そのSECの次期委員長にバイデン政権は規制派のゲンズラー氏を指名する予定ということで、金融市場の規制強化の動きにつながりそうな気配になっています。トリプルブルーのアメリカが動き出した訳です。

ただ冷静に眺めると、各プレイヤーは合理的に行動している訳で、何が問題なのかは見えにくいのですが、市場経済の矛盾が見えたという意味で重要ということです。ヘッジファンドが金融テクニックを駆使してリターンを得る行為は、ネット証券の個人投資家の売買注文データを用いた先回りでもある訳で、同じことを個人投資家の共闘で仕掛けられたとも言える訳で、ある意味どっちもどっちなんですが、これを古典的な市場競争の枠組みで捉えることが適切なのかどうかってことですね。また売買の場を提供するネット証券にも言い分はある訳です。

本来は市場競争を通じて超過利潤(レント)がゼロに収束すると言われており、それ故に独占禁止などの競争政策が重要と言われてきた訳ですが、株式市場の実態は寧ろマージャンの点棒の取り合いに近い訳で、本来の企業の投資行動を支える機能は薄まっているのが実情です。特にアメリカが世界へ拡散させた株主資本主義は、結果的にこの傾向を強めました。昨今の企業の自社株買いでは、企業の余剰資金が投資家に還元されている訳で、本来は将来に備えた投資の原資を得るための、公募増資による資金調達の手段である筈の株式市場が逆方向へ動いている訳です。

同じような市場の混乱は日本の電力でも生じたのは電気が足りない訳じゃないエントリーでも取り上げましたが、報道が進むにつれていろいろなことが明らかになっています。元々コロナの影響で電力需要が低下し、卸電力市場(JPEX)の価格はキロワット5円程度まで下がっていて、新電力にとっては顧客拡大のチャンスでした。加えて在宅時間が増えて家庭の電力費が増える傾向も追い風となった訳ですが、それが何時でも簡単に余剰電力を調達できると逆に油断を生んでしまいました。

大手電力も4割を占めるLNG火力への依存が強く、やはりコロナの影響で電力需要が低下したことを受けて、またアジアのLNGスポット価格も低迷し、余剰分の転売も損失につながるので、安定供給で中東カタールからの長期契約の調達を減らしていました。そこへ暮れからの寒波がアジアを直撃し、また中国の経済回復もあってLNGスポット価格が跳ね上がり、電力需要も上ブレした結果、LNGの在庫不足となって企業の自家発電電力の買取などで凌いだわけですが、その結果JPEXへの売り物が減少して相場が跳ね上がり、顧客獲得に走った新電力が裏喰った訳です。

但し新電力の供給不足は結果的に大手電力が融通するので電力不足にはなりませんが、その転売価格はJPEX連動が原則なので、今月分が決済される3月末が地獄と言われております。これも新電力も大手電力も合理的に判断して行動した結果であり、見えざる手は機能しなかった訳です。こうして仕組みが複雑になると、市場原理が本来の働きを期待できず、コロナや寒波のようなブラックスワンの出現で混乱する訳です。

その意味では民間企業でも事実上中国共産党の指導下にあって、議決権が有名無実化している中国株が本来の姿に一番近いという皮肉な現実があります。株主は黙って金出して配当貰って満足すべしってことですね。アントの上場廃止とジャック・マー氏の消息不明は未だに謎ですが、最強の規制当局としての中国という視点で見ると、金融規制やデジタル規制に踏み込もうとするトリプルブルーのアメリカや、主権国家の上位機関として加盟国に義務を課すEUと何が違うのか?説明はなかなか困難です。

見えざる手は機能せず、中国のような見えるけど見ちゃいけない手^_^;が機能するということですが、これが可能なのは経済成長で国民が豊かになった実感があるからで、そうでなければ国民の不満が爆発します。ある意味中国のような国家資本主義体制は効率的で成長経済の推進はやり易い訳ですが、そうなると当然LNGスポット価格の高騰に見られるように資源消費が拡大してCO2排出量が増える訳で、実は中国のような成長経済にとってはここがウイークポイントになります。

自動車の電動化で中国が先を行こうとしていますが、現状EV生産や廃車後の廃棄処分家庭まで含めたライフサイクルアセスメントで見ればガソリン車よりCO2排出量は多いと言われます。特に石炭火力依存度の高い中国においては尚更ですね。てことで巷間謂われる中国封じ込めは経済制裁や軍事的圧力よりも、資源消費低減を突き付ける方が効果的ではあります。とはいえ巨大市場となった中国国内市場へのアクセスを失いたくないのが先進国の本音でもあります。だから中国封じ込めは確実に失敗すると見ておきましょう。

てことで、自動車の電動化よりも公共交通へのてこ入れによる脱クルマ社会を目指すのが実は最善手かもしれません。その意味ではネット通販の拡大による宅配便需要の増大が実は深刻だったりします。その意味ではフリュグスカムで取り上げた夜行列車の復活よりも、鉄道貨物の拡大が優先度が高いと言えます。今後も続く生産年齢人口の減少でドライバー不足は続きますから、この面からも必要です。

ってことで、アメリカやEUも見えざる手に変わって見える手の活用に舵を切る流れですが、日本でも国民目線での公正な見える手にシフトすることが、結局中国封じ込めにもつながる訳です。鉄道のような枯れた技術の活用で資源節約社会を目指す方が、大規模な研究開発を伴う技術革新に頼るよりも確実ですし。

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Sunday, January 24, 2021

民主主義は勝利しない

バイデン大統領の就任演説を否定する気は更々ありませんが、民主国家アメリカが戻ってくるという楽観論はとりあえず否定しておきたいと思います。ただトランプ政権の極端な価値観の揺り戻しが起きたという意味で、こうしたレジリエンスこそが民主主義の本質という点は指摘できます。言い換えると暴力装置としての主権国家を飼い馴らすプロセスこそが民主主義の本質なんですよね。その点でアメリカの政治制度は懐が深いとは言えます。

とはいえトランピスト総動員のような暴力沙汰も起きている訳で、おそらく当事者の訴追はキッチリ行われると思いますが、それで収まる訳じゃなくて、寧ろエスタブリッシュメントの政権復帰に対する不満は深く潜航することになります。結局格差拡大で中流から滑落した白人労働者層の不満はそのままで、分断の克服に当面精力を注ぐしかない訳で、パリ協定やWTO復帰などトランプ政権で大統領令で離脱した部分を大統領令で戻すことは出来ても、批准を要する国際条約の推進は直ぐにはできない訳です。TPP復帰論は当面ないでしょう。

そういう意味で官邸に権力を集約している日本では、こうしたレジリエンスが働く状況にはなく、日本国民は国家権力を十分飼い馴らしているとは言えません。緊急事態宣言発出を巡る混乱がありましたが、期限の2月7日まであと2週間。延長せざるを得ない状況ですが、また混乱がありそうですね。問題なのは見かけ上新規感染者数は高止まりながら低下しつつありますが、濃厚接触者追跡中止で検査数自体が減っているので、ある意味当然の結果ですが、その一方で自宅待機中に症状急変で死に至る人が少なからず出ている現実がある訳で、結局保健所による検査体制がボトルネックのままです。

これ地方自治法の改正で国の機関委任事務が廃止され、保健所が自治体行政に委ねられた結果、官邸が厚労省に指示を出しても現場が動かないというリアルな問題が起きている訳で、地方への権限移譲が伴わない結果こうなっている訳です。これ特別給付金の手続きを巡る混乱も同じことが起きた訳で、地方分権がお題目だけだったことが災いしてます。そして官邸への権力集中の結果、不都合な情報は上がらないから適切な判断が出来なくなっている訳です。

ある意味制度の不備からくる行政のレジリエンスとは言えますが、これを民主主義と呼べるかどうか?昨年1月27日に中国武漢市長の周先旺市長が国営中央テレビのインタビューに答えて危機対応の遅れを認めると同時に、疫病の情報を公開する権限が無いことを述べて事実上中央政府を批判したことがありました。同じことが日本で起きている訳です。

確かに武漢封鎖で見せた中国の強権体質はおぞましいところですが、日本でも特措法と感染症法の改正案で罰則規定を設けることが議論されてます。特に入院拒否に対する刑事罰ですが、現実は感染が確認されても入院できない人が多い中で、罰則を設け実効性を上げるというのは明らかにおかしいですね。実態として入院拒否によって感染拡大したという立法事実がある訳じゃありません。ひとり親や介護老人を抱える家庭などで入院が難しいケースもありますし、立件は難しいかもしれませんが、明らかに悪質な感染拡大をもたらしたケースなら傷害罪の適用の可能性もあります。中国を見倣うのかい(怒)。

今回の緊急事態宣言では会食の抑制から飲食店の午後8時以降の営業自粛を求められ、更に1都3県の知事からの要請で終電繰上げが行われました。元々3月改正で実施予定でしたが、改正前の段階での繰上げは、車両や乗務員の運用変更が困難なため、実際は回送扱いなどの形で対応しているようですが、客扱い時間の短縮は駅係員の人件費の圧縮になりますので、緊急事態宣言でただでさえ打撃を受ける鉄道各社にとってもコストダウンになるということで、ほぼ横並びで実施されております。

お陰で夜の人出は確実に減っているようですが、コロナウイルスの変異種も見つかり、当面この状態が続く訳で、また3月改正でどのみち終電繰上げとなる訳です。かつてナイトエコノミーとか言って終夜バス走らせた時代とは様変わりですね。寧ろ脱炭素のためには夜更かしやめて活動時間を短くした方が良い訳です。

残業が減れば社畜の悲劇も減るかな?いやリモートで見えなくなるだけか。

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Sunday, January 17, 2021

電気が足りない訳じゃない

緊急事態宣言の中いかがお過ごしでしょうか。しかしアメリカやイギリスに比べれば2桁少ない感染者数で医療崩壊が叫ばれる日本の現状はどうしたものか。要因はいろいろありますが、医療機関に占める公立病院比率が2割程度で残りは民間という日本の医療体制が災いしているようです。

政府は各病院にコロナ病床の設定を要請していますが、風評を恐れる民間病院は申し訳程度の病床数でお茶を濁し、公立病院にしわ寄せがされている状況です。民間病院では1桁の病床数しか用意されていないtころが多いですが、そのために呼吸器感染症専門医や看護師、保健師張り付かせる訳ですから、勢力場分散して非効率になる訳です。加えて経営の要請で病床を空けておくわけにはいかず、他の疾病の患者を入院させるなどしていざというときに使言えなかったりしますし、また救急車が電話で受け入れ病院を探すシステムが災いしてコロナが疑われる救急患者の受け入れ拒否も頻発している状況です。

ならば公立病院に専門医、看護師、保健師を応援に出して集中的に対応した方が効率よく受け入れられそうなものですが、その公立病院が赤字体質をたたかれて予算が縮減されてやはり対応を困難にしているという面もあります。例えば民間病院にコロナ受け入れの免除の見返りとして医師、看護師、保健師の人的支援を求めるといった対策が取られれば良いのですが、国の支援が無ければこれも難しいということで、医療制度改革で疲弊した医療体制が災いしている訳です。

公立病院の比率や状況はそれでも地域差がありますし、専門スタッフ偏在している状況ですから、そもそも国が差配するのは難しい訳ですが、ならば緊急事態宣言の発出は都道府県知事の権限として必要な予算は国が提供する制度が望ましい訳で、法制度の問題です。また当初から言われ続けてきた検査体制の問題も「医療崩壊を防ぐために検査を絞る」という謎理論で抑制されてきましたが、これも未症状や軽症の人向けの隔離施設として地域のホテルを借り上げて食事提供と医療チーム派遣で対応することでホテルの支援にもなりGo To で無理くり需要を作り感染拡大で蒸発という混乱を考えたら遥かにマシは支援策です。

Go To に関しても緊急事態宣言で県境を越えた移動を制限しても、状況が許せば県内 Go To といった形で対応するなど地方の実情に合わせた対応が可能なのに、そうした建付けになっておらず、結果的に国の迷走に振り回されてしまう訳です。政府は国民を不幸にするばかりです。

ついでながら予想通りイギリス、南アフリカ以外の地域からもコロナ変異種が見つかりました。元々不安定なRNAウイルスですから、世界規模で感染拡大すれば多数の変異種が顕れることは必然です。変異は全方位に出現しますが、生き残るのは免疫迂回などでより感染力を増した変異種となりますから、更に警戒を強める必要があります。一方弱毒化の証拠は見当たらず、今後も未知の変異種の出現を見込む必要があります。世界から人を呼ぶ五輪を止めないというのは、商業イベントの方が国民の命より大事ってことになりますが-_-;。

で、コロナも怖いけど寒さも怖いということで、先日の大雪以外にも問題山積です。

新電力、料金2倍に高騰も 需給逼迫で卸価格が急上昇:日本経済新聞
世界規模の大寒波で天然ガスの需要が上振れしており、特にLNGの調達が困難になっている結果、燃料不足で発電量が制約された結果、卸電力取引所(JPEX)の価格が高騰し、自前電源を持たない新電力の料金が跳ね上がっています。元々大手電力が余剰電力を出し惜しみしていて、市場規模が小さいため、燃料需給のひっ迫で価格が跳ね上がってしまうという構造的欠陥が明らかになったものです。

とはいえ大手電力各社は節電要請は出しておりません。その一方で企業保有の向上などの自家発電設備からの電力買い取りを進め、また地域間の連携線で大手同士の電力融通は行われており、結果的に電力不足は起きていない訳です。加えて石炭火力の重油併燃で出力アップして凌ぐなどしており、脱炭素に逆行しています。これは電力自由化に逆行する行為です。2020年実施の電力自由化で大手電力の送電部門の法的分離が実現した訳ですが、これ単なる分社ですから、親会社の大手電力のガバナンスに委ねられている訳です。

加えて先発券が認められており、稼働していない原発の容量枠は空いていますし、本来原発のバックアップ電源の筈の石炭火力の容量まで上乗せされていたりしていて、言ってみれば既得権の塊となっております。そんな中で新電力が再生可能エネルギー電源の託送を求まる場合、必要な容量アップのための送電線増強投資は原因者たる新電力に求められる訳ですから、資本力の劣る新電力は担いきれず、送電線はがら空きなのに利用できないという不条理がある訳です。

一方大手電力同士の連携線を通じた電力融通には好都合な訳で、これで電力自由化とは笑わせます。結局大手電力の既得権を守り新電力の参入障壁となっている訳です。大手電力が涼しい顔して節電要請を見送るのはこういうからくりなんですね。あと公式な連携線とは別に、東電と東北電力のエリア間には未使用の送電線が休眠しています。福島と柏崎刈羽から首都圏へ向けての送電線です。発送電分離を前倒しした東京d燃力パワーグリッドに東北電力の送電網を移管する話が進んでいるそうで、巨大送電網となりそうです。

裏には完成間近で3.11以後止まっている東通原発の完成推進の狙いがあると言われており、これに関電の美浜3号と高浜1,2号機の40年超の再稼働の条件として福井県から使用積み燃料増やさないことが条件づけられ、この関連で青森県むつ市の中間貯蔵施設への移管受け入れの決定があると言われております。裏には原発事業集約の狙いがあり、それに反発する関電に貸しを作るためとか。東電は実質国有化状態にあり、電力自由化の陰で政府の影響力を拡大する意図が透けて見えます。

新たな電力国家管理と見ることもできますが、政府は沈黙しており、実際は単なる行き当たりばったりでしょう。未だにエネルギー基本計画も明らかにされない中でトップダウンでカーボンニュートラルの方針が示されたことから、原発利権が動き出したとも言えます。リソースの集約の観点から原発集約自体は反対はしませんが、この辺は注意深く見ていく必要があります。

そしてもう1つ、カーボンニュートラルに反応したニュースがこちらです。

日本郵船、鉄道で車を大規模輸送 CO2排出半減【イブニングスクープ】:日本経済新聞
中国から中央アジアを経て中東から欧州へと通じる鉄路のちゃにあランドブリッジを利用した自動車輸送ですが。日本郵船が実施というところがミソです。

船会社にとって頭が痛いのは燃費の悪い老朽船の代替問題ですが、アンモニアや水素などの燃料動力にシフトする必要がある一方、技術開発はこれからで船舶も燃料も当面高価なのは避けられないことから、輸送の一部を鉄道に振り替えることで、老朽船を廃船して資産を圧縮しながらCO2削減を図る繋ぎの施策ということですね。カーボンニュートラルには程遠いけど、とりあえずできることからってことですね。同様に国内の鉄道貨物の見直しが進めばJR貨物にとっては老舗ですし、JR東日本やJR北海道が計画するカーゴ新幹線も有望ってことにはなります。

但しE5系ベースの10連で積載量は70t程度ということで、コキ20連の標準的な1,000t貨物列車で12ftコンテナ5t換算での積載量500tの1/7に過ぎず、運賃が高くなることは避けられません。つまり在来線貨物の代替にはなりませんが、元々積載量の少ない航空貨物に対しては競争力があると見られます。貨物もフリュグスカムの時代を拓くかもしれません。

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Monday, January 11, 2021

トランピスト総動員の後始末

アメリカが大変なことになりました。

トランプ支持者、議会占拠 大統領選出が一時中断:日本経済新聞
米議会へのトランプは野乱入で混乱し、景観を含む5人の死者を出す騒ぎとなりました。しかもトランプ大統領自らSNSで扇動した結果ということで、事態は重大です。

1月5日に上院で行われる選挙人投票の集計結果を認定して新大統領制出を確定する手続きに対して、上院で議長を務めるペンス副大統領に圧力をかけて阻止しようとしたものの、当然ながらペンス氏は従わず手続きに入ったことで裏切り者呼ばわりされた一方、最後の手段として支持者へ実力行使を訴えた結果の出来事ですが、SNS各社は大統領のアカウントを凍結するなどしたものの、Qアノンなどの陰謀論者やネオナチなどの極右を中心に武装して乱入したものです。

トランプ大統領自身はイデオロギーに基づいてというより、単純に負ければ在任中の数々の不法行為が訴追の対象になることを回避するための行動で合理的エゴイストたるレントシーカーに過ぎない訳ですが、不満を抱えた国民の分断を利用した暴挙ではあります。

しかし密な支持者集会を繰り返し自らコロナに感染し風邪と共に去るかに見えたものの、ステロイド剤服用までしてドラッグで大復活してますます支持者を喜ばせた訳で、ハイブリッド・シビル・ウォーの現実が顕れたと見ることができます。問題なのは狂信的な支持者ほどバイデン新大統領が不正によって選ばれた正当性のない大統領という見解を持つ訳で、国民の文題は今後も続き、バイデン氏の政策実現は難しくなります。

但し議事堂乱入はある意味建国以来の国体を傷つける行為で、日本で喩えれば天皇に不敬を働いたに等しい行為として糾弾されますから、かなり徹底した訴追と掃討が行われると見られ、寧ろ現場での実力行使を封じる方向へ変化するとも見られます。ジョージア州の上院選再投票でも民主党が2議席確保で結果的に伯仲しながらでもトリプルブルーともブルーウエーブとも呼ばれる大統領と上下院の民主党独占が成った訳で、バイデン氏にとってはやり易い形ではあります。

但し対中制裁の見直しなどは当面行わず、香港やウイグルなどの中国の人権問題への厳しい対応も考えられ、交渉カードとして温存されると考えられます。中国は経済的なライバルであり安全保障面でも無視できないけれど、是々非々の対応で成果を導き出そうとするでしょう。また経済界などが期待するTPP復帰も、国内の労働者への配慮から見送られるでしょうし、既に貿易協定ではTPPと同等の権利を得ているから今のままでしょう。寧ろ米議会がオバマ政権時に議決した為替条項盛り込みの要求がありますから逆にヤブヘビの可能性もあります。

てことで表面上は平静を取り戻すものの、対立の構図は深く潜航する訳で、特に狂信的な支持者はたとえ訴追され罰を受けても独自の世界観を捨てずにバイデン政権の不当性を信じ続けるでしょう。つまり広く国民に共有される正史とは異なるアナザーヒストリーの誕生となって対立がイデオロギー的にロックインされる訳で前途多難です。

一方でトランプ現象と並び称されたBrexitですが、こちらは土壇場で英EUFTA合意が成立し、明けて1月1日から発効しています。一説によれば年末のコロナ変異種が英国内で発見されEU側が緊急に国境を閉じた結果物流が滞り、Brexitの予行演習^_^;になったと言われております。結果的にイギリスはEUの関税同盟に留まりながら独立を勝ち取った形ですが、大幅譲歩を余儀なくされております。北アイルランド問題では当面EUルール適用としたほか、英EEZ内の漁業権問題でも譲歩を迫られました。これは主にフランス漁船の操業継続に対して経過措置を設けて当面維持するもので、当初案の漁獲割り当てをイギリスが一方的に決められるルールから譲歩したものです。

最後まで揉めたEU規制の英国内適用問題は、関税同盟に残るのであれば競争条件を揃えるイコールフッティングの主張ですが、本音はロンドンの金融機能の代替の狙いと言われます。ダブリン、フランクフルト、アムステルダム、ルクセンブルク、パリなどが名乗りを上げていましたが、何れもロンドンの機能を代替するには規模の点で劣り実現可能性はほとんど無いと言えます。この辺香港の代替を狙う東京と同様で、政治的思惑では進まないところです。

関税同盟に留まったとはいえ通関手続きは始まった訳で、これが原因の物流の滞貨が生じていて現場は混乱していますが、これは主にイギリス側のインフラ整備の遅れに起因しますので、いずれ解消へ向かうと思われます。思えばBrexitに注文付けていたのは主にEU内の拠点としてイギリスに生産拠点を置いた日本企業が中心だった訳ですが、Brexitの結果日英EPAの締結に至りBrexit後も関税同盟に留まって一安心でしょうが、別の問題も起きています。

これはEPAの原産国証明の問題で、自動車で7年の経過措置を得たものの、従来のように日本から部品を輸出して現地で組み立てる形は見直しを迫られます。加えて2030年のEV規制でガソリン車ディーゼル車の新車販売が出来なくなり、日本メーカーもEVシフトを迫られる中でのことですから、下手すればサプライチェーンをそっくり現地化せざるを得ないことも視野に入れるべきです。イギリスの交渉上手の伝統は生きているようですが、裏を返せば日本の交渉下手でもある訳です。

ただ指摘しておきたいのは、トランプ現象もBrexitも背景として労働者の反乱の産物という点で共通しています。Brexitは保守党キャメロン政権の緊縮財政への拒否感から出てきたものですし、トランプ現象も所謂ラストベルトの白人労働者の支持があったこと「は見落とせません。これは元々労働者の支持を得ていた左派陣営の変質に由来するもので、アメリカで言えばクリントン政権の経済重視や英ブレア政権の第三の道で置き去りにされたと労働者が感じたことが起点です。

サッチャーやレーガンに始まった新自由主義とグローバル化の流れを去派指導者が追認し経済成長に軸足を置いた結果、支持層の国内労働者が置き去りにされた構図です。この面では独シュレーダー政権の労働市場改革も同じ文脈に属します。その結果東西統合が経済の重石となっていてEUのお荷物だったドイツは一転EUの優等生に変身し豊かにはなりましたが、そこまで踏み込めない他国の労働市場を圧迫し、ギリシャ危機を初めとする経済危機を呼び起こした訳で、Brexitもその帰結の1つと見ることができますし、東欧のポピュリズム政治もそうですね。

これ結局左派がエリート主義を脱却できないことに由来すると考えられます。左派のエリート主義の起点は2つありまして、1つはレーニンのボルシェビキですね。マルクスの言うプロレタリア革命はパリコミューンの住民自治にヒントを得た労働者による自覚的な解放運動ですが、レーニンはロシアの後進性から労働者bの自覚を待てないことから、意識の高い職業革命家による扇動で大衆を分極化し騒乱の中で政権を奪取することを構想し実現した訳ですが、これが左派の成功体験として広く共有された結果、エリート主義が肯定された訳です。

もう1つはケインズのハーベイロードの賢人主義とも言うべきもので、もろにエリート主義を肯定しています。結果広い意味で左派とされるマルクス主義者もケインズ主義者もエリート主義に毒されてしまった訳です。余談ですが、日本は元々保守派もエリート主義に凝り固まっていて、40年代の革新官僚による国家総動員体制で戦争へ突き進んだ訳ですが、同時に戦前非合法だった日本共産党もボルシェビズムを受け入れて中央の指導への従順さを求めており、この点は今も変わりません。とはいえ格差拡大でネトウヨの出現など大衆の分極化が見られる日本の現状で美装闘争を仕掛けないから武装闘争放棄は本気でしょうが、日本の労働者に寄り添っているのかは疑問を禁じ得ません。

最後にこの話題。北陸道など一時1200台動けず 富山・福井が災害派遣要請:日本経済新聞年末の関越道の混乱と同じことが北陸道でも起きました。元々寒波で日本海側の広い範囲で豪雪の予想があったわ訳ですが、通行止めの判断が遅れた訳です。今回は高度な雪対策がされた筈の北陸新幹線まで止まるぐらいですから、より大きな災害ということになりますが、高速道路会社にとっては通行料収入を失う通行止めの判断は出しにくいと考えられます。高速道路民営化が私たちを幸せにしたのでしょうか?

新神瀬が止まるぐらいですから、鉄道は全滅、一般道も使えないで、結局交通は全滅状態です。これも気候変動による海水温の上昇が原因と考えられます。前エントリーのカーボンニュートラルで経済成長は無理でも、こうして経済損失を被ることを考えると、経済成長以上の経済損失が発生して台無しということは考えられます。経済成長に結びつくかどうかに関わらずカーボンニュートラルは進める必要があります。

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Friday, January 01, 2021

カーボンニュートラないとグレタさんに叱られる

コロナ感染拡大がシャレにならない状況ですが、ホントGo To とか無理矢理経済を動かそうとすればろくなことにならないってことですね。人の移動が増えれば感染拡大は不可避です。病理的な因果関係は明らかではありませんが、強い相関があり蓋然性が高いならば因果関係の有無を問わないのが疫学でありエビデンスの議論は不毛です。現実に医療崩壊が現実味を帯びてきている現状は人災です。くれぐれも餅をのどに詰まらせないようにご自愛ください。

てな不穏な新年のスタートですが、日経新聞の元旦トップ記事がこれです。

脱炭素の主役 世界競う 日米欧中動く8500兆円 排出削減特許、日本なお先行:日本経済新聞
頭痛い。記事は技術革新を競い合う世界のトピックスの紹介で正直退屈な中身ですが、付随するグラフが示す絶望的な現実をこそ注目すべきです。

グラフから読み取れるのは、2020年時点の世界人口80億人弱が2050年に100億人弱と25%増え、石油換算のエネルギー消費量が140億トンから180億トンに増えると予測しています。つまり人口の増加以上にエネルギー消費量は増える訳で、内化石燃料は120億トンから145億トン程度と増加率は減るものの、絶対量は増え続ける訳で、カーボンニュートラルは遠く及ばない訳です。それを科学技術のブレークスルーで何とかしようって話なんですね。

勿論現状を維持した場合の予測ですから、対策を講じることで変えられる可能性はありますが、2050年のカーボンニュートラルという目標の困難さは実感できると思います。思えば1990年比マイナス6%という京都議定書のなんと牧歌的だったことか。それすら渋々受け入れた日本ですが、言い出しっぺのアメリカが離脱し、東日本大震災で原発が止まったことを口実に離脱した日本が、今回は本気のようですが、具体策はこれからです。

大きな要素としては経済界のヒアリングで前向きな回答を得たことですが、既に欧米ではESG投資の考え方が浸透していて、石炭火力発電プラントへの投資などに資金が集まらなくなってきたことと、特にCO2排出量の多い電力や鉄鋼で水素活用の機運が出てきたことで、日本でも欧米に乗り遅れるなということのようです。相変わらず周りを見ながらの「みんなで渡れば怖くない」ってことのようです。それでいて先進国ではほぼ世界標準の炭素税には反対とチグハグですが。

水素といっても現状では化石燃料由来でカーボンニュートラルになりませんが、当面はアンモニア(NH3)の利用で凌ぐということのようです。NH3は常温で気体ですが、沸点が-35°Cと比較的高いので水素ガスよりも液化しやすく水素の弱点である保管運搬の問題をクリアしやすいこと、水溶性が高く溶液とすることで保管運搬しやすいという面もあり、また直接燃焼できるので、火力発電燃料としても使えるということもあります。

半面強い臭気と毒性を持つため取り扱いが難しい面もありますし、爆発物ですし燃料用途の場合窒素酸化物の発生という問題も抱えます。窒素酸化物についてはディーゼルエンジンで使われる尿素水噴霧により窒素と水に還元する技術が使えということで、既に国内の一部の火力発電所で使われています。そして将来カーボンフリー水素の供給体制がk¥出来れば水素燃焼に切り替えることも視野に入っているようです。つまり水素社会への移行の現実解ってことのようです。

但し現状では産油国の精製所で副産物として発生したNH3の輸入で調達ということで、化石燃料由来ですからカーボンフリーではありませんし、再生可能エネルギーと違って輸入エネルギーという意味でも問題です。ただ自国で石油精製すればCO2排出がカウントされますから単に排出源を国外へ出しただけという意味ではグリーンウォッシュでしかない訳で、どこまでも姑息です。

一方鉄鋼ではコークス製鉄を水素製鉄に切り替える検討が始まっていますが、まだ研究段階で実現可能性を現時点で評価できるようなものではありません。ただ自動車産業でのFCVの普及で水素ステーションの少なさがネックになっている現状もあり、電力の水素シフトと併せて技術革新を共同で進める思惑もあるようです。同時にガソリン車が減ることで苦境が予想される石油産業の水素ステーションへの業態転換の思惑も乗っかってきます。

てことでつまり現状の重厚長大産業の温存の意図ありありです。加えて技術革新のための研究開発費を分担するということですね。最早単独では世界と戦えないと同時に、現政権の統制姿勢とも親和性があるということですね。頭痛くなってきた。思えば原子力発電もCO2を出さないクリーンエネルギーとして電力会社がキャンペーン打ってきた訳ですし、太陽光その隊の再生可能エネルギー発電でFITを導入した結果電力会社の拒否権で普及が進まなかったこともあり、同じ轍を踏む可能性は指摘しておきます。

コロナ禍での地方私鉄のエントリーでも取り上げましたが、火力依存の日本ではEV普及による電力需要の増加はDO2排出を増やすことになりますし、水素のカーボンフリーもすぐに実現できる訳じゃありません。つまりどう転んでも当面のCO2排出量は増える訳ですが、一方で近年堰合では2度ほど排出が減りました.1つはリーマンショック後2009年とコロナ禍の2020年です。つまり経済活動が停滞すれば排出量は減る訳です。成長と排出s苦言は両立できないと見るべきです。

但し世界的な人口増は成長を促しますし、止めることのマイナス面もある訳で、この辺所謂マルサスの人口論がグローバルに実現していると見ることができます。脱炭素で経済成長しても、結局化石燃料消費の拡大で脱炭素は遠のく訳です。これ首都圏の通勤ラッシュがいつまでも解決しないことと似ています。

2009年のエントリーでポスト京都議定書で25%削減が求められた時の考えをまとめましたが、これすら2050年のカーボンニュートラル目標に比べれば実現可能性はあったと思います。この時は結局まとまりませんでしたが。加えて末尾で指摘した首都圏の通勤ラッシュの解消が進まないことに触れており、当時複々線化の遅れで混雑と遅延の日常化から小田急が忌避された一方、輸送サービスの改善で利用者のシフトが起きて混雑率トップとなった東急田園都市線のケースを取り上げましたが、結局投資して改善した結果寧ろ好ましくない結果を招いてしまった訳です。

コロナ禍で鉄道各社は春のダイヤ改正で終電繰上げと共にピーク時の減便まで打ち出しています。共に人件費の圧縮効果はありますが、夜の街のクラスター叩きで需要が減った終電に対して、在宅勤務も自粛解除で元に戻りつつあり混雑も見られる通勤ラッシュ時間帯での減便は密の解消の観点から問題ですが、減収減益ではこうならざるを得ない訳です。災いを福に転じることができない訳です。

同様に製造業の水素社会移行も既存のビジネスで稼げなければ進まない訳で、カーボンニュートラルも収益化に至るまでの期間は既存事業での利益確保が必要な訳で、収益をもたらす化石燃料利用を拡大させるインセンティブが働きます。市場経済を前提とする限りカーボンニュートラルも同じ展開となる可能性が高い訳です。結果的にフリュグスカムのグレタさんに叱られる。

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Sunday, December 27, 2020

円高株高消費低迷の謎

日経平均株価が上昇基調で年内3万円台に乗せる期待が持たれていますが、ちょっと値上がりすると含み損抱えた投資家から売りが出て戻すことを繰り返していて2万7千円付近で膠着しています。但し上げ基調にはあり、年内は無理でもいずれは実現すると見られます。

とはいえ Go To 停止もあって消費は冷え込んでおり、実体経済との関係では整合性が見られないこの相場をどう見るべきでしょうか。種明かしすれば先月頃からの外国人買いの増加が寄与したものですが、世界の投資家が注目するのは米NY市場などから見て放置されて割安感が出てきたことによります。米ハイテク株中心に値上がりが続くNY市場ですが、3万ドル突破でここまで高値になると投資の旨みがなくなってしまうことがあります。

株式投資は配当狙いのインカムゲインと値上がり期待のキャピタルゲインの両方の狙いがある訳ですが、共に値上がりすれば旨みが薄れるのは当然ですし、また売り相場になった時の値下がりリスクもある訳です。基本は安値で仕込んで高値で売ることですから、相場如何では逆食らう可能性もある訳です。だからこれ以上NY株式は買えない水準に達したってことです。加えて米国債金利に上昇圧力がかかっていることもあり、株式と国債の裁定が働きにくくなっていることも指摘できます。

米大統領選でバイデン氏勝利が確実になり、グリーンニューディールや老朽化した公共インフラへの投資などで財政拡大を打ち出すバイデン次期政権ですが、議会選では苦戦し、特に上院は年明けの再投票で決着するジョージア州の2議席を民主党が取っても50:50の同数になるだけで、財源として法人税と富裕層課税の強化を見込むものの実現可能性は低く、財政赤字拡大が避けられないことから嫌気されたものです。

となると日米金利差で円安になりそうなものですが、アメリカの国内消費は堅調で、国債金利上昇は寧ろインフレ懸念をもたらします。しかもFRBはインフレ目標2%達成後も安定的に継続するまで量的緩和を続けるとコミットしており、インフレが放置されるということで、インフレ率で補正した実質金利ベースでは日米金利差は寧ろ円高方向へブレるということで、日本株高と円高が共存する相場になっている訳です。円高は外国勢から見れば日本株の低リターンをカバーし、米インフレをヘッジするという意味で、米国債の代替の役割も持ったということですね。

外国勢から注目されたからといって、東京が国際金融都市に近づいた訳ではありません。この関連で優秀なアナリストやトレーダーの所得税減免が議論されてますが、彼らは市場規模の大きなところの方が稼げる訳で、またそうした大規模市場は競争も激しく、その中で実績を上げ続けることの難しさはステータスでもある訳で、税金オマケするから来てね、に釣られて来るのは競争劣位の二流でしかありません。そして東証システム障害の後始末のニュースです。

東証、統治及ばず「引責」 システム障害で辞任、「必要なし」から一転 官邸の空気察し自ら決断:日本経済新聞
風邪と共に去りぬで指摘しましたが、システム障害自体はある意味避けられないところですが、東証は証券各社へのヒアリングを徹底し混乱回避に尽力した訳で、その結果の終日取引停止だったのですが、官邸がそれを咎める空気があり忖度してトップ辞任に至った訳です。繰り返しになりますが、大証を除く地方市場が東証のシステムに乗っかっていたことと、民間市場(PTS)が規模の小ささから代替を果たせなかったことが終日停止已む無しの判断に繋がった訳で、東証の責任を問うのはお門違いです。これ日本学術介護問題にも通底する事実上の人事介入です。また代替市場が機能しないのは国の規制の結果なんで、政府が規制緩和を打ち出すならまずここからだろ。

ってことで、円高は結局日米のインフレ期待の差がもたらしたもので、それ程日本の消費は冷え込んでいる訳ですが、注意が必要なのは、これコロナ禍による不安が原因であって需要不足が原因ではない点です。繰り返しになりますが、コロナの克服こそが最大の経済政策だってことです。実際安倍政権で実施された特別給付金はその多くが貯蓄に回っていて消費には寄与していないと見られています。但しだから無駄だった訳ではなく、助けられた人も多数存在したことは確かです。その意味で一部で言われる消費税減税は無意味だし、需要喚起策としての Go To も結果的に感染拡大を招いた分マイナスの方が大きいと言える訳です。実際街にクリスマスソングは流れず規制や初詣も自粛で消費は落ち込んでます。

ひとつ謎なのがコロナ禍がより過酷なアメリカの方が消費が活発という点ですが、おそらくアメリカの方が格差拡大が深刻で、給付金などの政府支援が消費に回りやすい可能性があります。コロナ感染者の爆発的拡大も、一応国民皆保険で医療にアクセスしやすい日本に対して、オバマケアも実現できず医療へのアクセスができない人が多いことも影響していると考えられますが断定は避けておきます。

もう一点指摘しておきたいのが、日米に留まらず世界的に公的債務が膨張傾向にあり、特にドイツの反対で実現できなかったEU共同債の発行が決まったこともあり、公的債務拡大は当面続くことは確実ですが、一方で需要が消滅したエアラインなど多くの企業で資金繰りのために借り入れを増やしている訳で、官民共に債務拡大が続いている訳ですが、アメリカで国債金利上昇が見られるものの、それでも低金利が続いていることです。

これ各国中央銀行の金融政策が緩和的だから緩和マネーが溢れていることで説明できますが、それに留まらず日本に典型的に見られる貯蓄の増加が寄与していると考えられます。とすると上記の日米の消費性向の差が為替を円高方向に向かわせていると言える訳で、いろいろと説明がつくことにはなりますが。

ネット通販拡大の恩恵を受ける宅配便を例外として、エアラインに限らず運輸事業の逆風は厳しいところですが、日本のエアラインの大手2社ANAとJALは共に当面自力更生を模索しており世界で見られる政府による救済はなさそうです。竹中平蔵氏が国際線の1社体制をぶち上げて話題となりましたが、ANAもJALもその気はないと見て良いでしょう。何れもグループ内にLCCを抱えており、採算性の低い路線を傘下のLCCに肩代わりさせて高採算のビジネス路線を温存する方向性を打ち出しています。ただ長引けば耐え切れなくなることは考えられます。その際には拡大路線にまい進したANAの方が苦しい訳で、それを見越したANA養護が真意かと思います。とにかく裏の多い人物ですので真に受けない方が良いでしょう。

そして苦しいのは鉄道も同じで小規模な地方私鉄は資金繰りに知恵を絞りますが、規模の大きいJRは当然必要資金の規模も大きい訳で、もっと抜本的な対策が必要です。特に元々経営基盤の弱いJR北海道とJR四国においてはなおさらです。<

a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF2510G0V21C20A2000000" target="_blank">JR北海道・四国への支援拡大を発表、コロナで旅客急減:日本経済新聞
JR北海道は3年で1,302億円、JR四国は5年で1,025億円の資金支援ということです。但し債務の株式化や利子補給を含むということで、真水は少ないとっ考えられます。前者は2020年までに設備更新や省力化投資の資金としてJR北海道へ2年間で400億円、JR四国へ2011年以来512億円を支援しておりますが、鉄道・運輸機構からの融資分を株式化するってことだと思います。つまり国有企業としての両社を国は潰さないという意思表示ではあります。

但しJR北海道で問題になっている大幅な路線存廃の議論は別ということで、沿線自治体と道庁の支援策が無ければ大幅な路線縮小が避けられないのは今までと変わりません。国としては債務の株式化に踏み込んでも最終的に経常黒字を安定させて株式上場すれば取り戻せる訳です。但し国策として株式保有を続ける可能性はありますが。というかNTTもJTも国の持ち分は残っている訳ですし郵政関連も同様で、JR本州3社の持ち分全放出による完全民営化の方が少数派です。

あとは経営安定基金の積み増しも考えられますが、今のところ言及はありません。実際は鉄道・運輸機構への預託により相場より高い利回りを保証して事実上の補助金としている一方、JR九州上場時に取り崩したように、追加の設備投資で発生する減価償却費を上場時に減損処理して減らす原資になる訳で、基本は株式上場がゴールという立場を維持しているようです。つまり国鉄改革時の基本方針は変えない訳で、自治体への負担を求めるということですね。あとついでにこれも取り上げておきます。

北陸新幹線、敦賀延伸1年遅れ 地元負担増を懸念:日本経済新聞
元々生産年齢人口の減少で人手の確保が困難になる中で、震災その他の災害復興と五輪関連で取り合いになりますから、工事の遅れは当然起きる訳で、遅れれば当初見込みの事業費は膨張する一方、JRが負担するリース料は受益の範囲で確定していますから、地元負担が増えることになります。また開業が遅れれば整備新幹線財源として開業後の整備新幹線リース料が当てにされている訳で、当然2030年開業予定の北海道新幹線札幌延伸が遅れることも視野に入ります。JR北海道にとっては頼みの綱の北海道新幹線延伸ですが、狂いが生じることになります。整備新幹線スキームも限界に達したと言える状況です。果たして上場のゴールに辿り着くでしょうか。

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Sunday, December 20, 2020

スベってコロナで大痛い政権

結局 Gp To t中止で年末年始の稼ぎ時を逸した観光関連の混乱が起こり、キャンセル料補償を余儀なくされた政府ですが、既に年末年始に備えて人を雇ったり食材等を仕入れたりしている訳で、Go To を当てにしていた事業者を振り回す結果となりました。愚かです。加えて寒波襲来で関越道が大変なことになりました。

関越道 最大2100台立ち往生 相次ぐ雪害まひ 教訓生かせず 週末再び大雪警戒:日本経済新聞
元々海水温が上昇していたところへ寒波が来て温度差で大量の水蒸気を抱えた状態で上越国境の山々で雪雲を形成したため、経験則で測りきれない大量の降雪があり被害を大きくした訳で、気候変動の影響を見て取れます。

雪国では寒さから降った雪が解けずに根雪となって春まで残るので、冬の間にドライバーの雪道スキルが向上することで日常生活が成り立ちますが、シーズン初めの初雪では半年間の乾いた路面でスキルを失ったドライバーがそこら中でスベりまくります。よく言われると「東京ではちょっとの雪で混乱すする」というのは、実は雪国でも初雪では同じです。その状態での大量降雪ですから、無事な方が奇跡ってことになります。

ぶっちゃけ1台がスベって横向きになって道路を塞ぐと、後続車は停止を余儀なくされますが、降雪量が多いと停止中の車が雪に埋もれて動けなくなりますから、状況が文字通り雪ダルマ式に悪化します。そうなると先頭の横向きの車を撤去しただけでは復旧せず、除雪を強いられますが、当然除雪車は使えませんから、スコップで人海戦術の除雪作業になり、前の車から順繰りに進路を確保して動かすという作業を延々と続けるしかありません。故に多数の車が長時間閉じ込められる事態となった訳ですね。

一方JRの上越新幹線は何事もなかったように平常運行してますし、在来線も遅延はしたものの、運行はされていました。勿論このことが鉄道一般が雪に強いことを示す訳ではありません。上越新幹線はトンネル区間が多く、明かり区間も雪対策がされているので運行に支障がなかった訳ですが、在来線。はそうでもない訳です。在来線規格の北越急行ほくほく線は新設時に雪対策をしていたので雪に強く、年間運休日の少なさから過疎地に関わらず沿線需要を掘り起こすことに成功しています。要は備えがあるかどうかで変わってくる訳です。

とはいえ占有空間が巨大な高速道路で例えばスノーシェルターで覆うとかは現実的に難しいですし、降雪量が多いと除雪も間に合わないとなると、結局状況に応じてチェーン等のすべり止め規制をしたり事前告知して通行止めにするかしか手段はありません。今回も東日本高速道路が除雪で対応可能とした判断が甘く事前告知の通行止め措置を取らなかったことがこの事態を招いたと言うことはできます。その東日本高速道路はこちらでもトラブルを抱えます。

東京・調布の陥没、工事との因果関係認める 東日本高速:日本経済新聞
調布の外環道工事と陥没の因果関係を結局認めてこれから補償交渉となります。専門家からは、1つは切羽のドリルが岩盤層に当たって振動が生じた結果の砂礫層の液状化と、直径15mのトンネル躯体が地下水脈を遮って地下水位のバランスが崩れて隆起と沈下が起こったという2点が指摘されています。後者は工事個所を境に広範に隆起と沈下が認められる衛星観測の結果とも一致しており、共に蓋然性が高いということで認めざるを得なかったという流れです。

つまり鉄道に比べて高速道路の占有空間の巨大さが災いしたとも言える訳で、その分道路整備は巨額の費用が掛かる訳ですが、実際道路と鉄道では財源にも大きな開きがあります。これ風邪と共に去りぬでも指摘しましたが、災害復旧でも予算規模の差を見せつけられる結果となっています。道路の負荷を抑える意味で道路予算を鉄道投資に回すことは合理性がありますが、日本では全く顧みられません。前エントリーで指摘したようにEV普及のみならずモーダルシフトも視野に入れなければ温室効果ガス排出削減も難しいですし。

一方密を避けるということで車利用は増える傾向にありますが、関越道のマヒもその影響が出た可能性はあります。そして年末年始の帰省シーズンですが、自粛の掛け声の一方、お盆も帰らなかったからと車帰省へのシフトも考えられます。但しそれでも無症状の陽性者が実家の高齢の両親に感染させるリスクはある訳で、慎重に対応すべきと考えます。てことで私も正月の親族の集まりは自粛です。

しかし政府の無策ぶりはどうしたものか。「Go TO 止めない」と言っていた前言を翻したりニコ動で「ガースーです」と言ってみたり5人以上の会食自粛を言いながら8人の会食をしかもハシゴとかスベりまくってます。スベり芸なのか?笑えないけど-_-;。

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