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Saturday, June 15, 2019

高齢者の資産取り崩しの意味するところ

何だかよくわからないニュースが多い今日この頃です。1つはイランを巡る緊迫ですが、安倍首相がイランを訪問し最高指導者ハメネイ氏にトランプ大統領の「会談しようぜ」のメッセージを伝えて断られてます。ガキの使いか!同じ日にホルムズ海峡で民間商船2隻が砲撃を受けるという事件が起きて、アメリカはイランの責任を言い、イランはそれを否定という構図ですが、謎の多い事件です。

安倍首相のイラン訪問を意識した可能性はあるとしても、意図が分からない。単純に混乱を演出するということか。アメリカはイラン革命防衛隊所属線による機雷回収の映像を公開してますが、被害船の1隻を保有する国華産業という日本の海運会社は、飛来物目撃の船員の証言を明らかにしていて矛盾します。結果的にトランプ大統領も「会談は時期尚早」と態度を変えたわけで、謎の攻撃主体が混乱拡大を意図したとすれば、それは成功したということになります。真相はどうあれ原油価格の上昇は避けられないところです。

香港では逃亡犯条例制定に反対する市民の大規模デモが起きて欧米諸国から人権配慮の意見が寄せられております。今のところ日本政府は態度を明らかにしておりませんが、多分スルーでしょう。天安門事件の時と同じ構図です。実は日本のこういうところを中国政府はよく見ています。というよりも、もっと有体に言えば参考にしているとさえ言えます。

天安門事件は中国政府にとっては未だにトラウマになっていてます。鄧小平の改革開放路線に舵を切って経済成長を目指したのは、勿論清吾日本の奇跡の復興を参考にしてますが、同時に経済成長は民主化をもたらすという欧米中心に見られる見方への対応も日本を参考にしているのです。経済成長と民主化の関係で言えば、韓国やインドネシアなど開発独裁で経済成長した後に民主化で独裁者を倒す事例が多数見られますが、当然中国もそれを分かっていて、実際天安門事件では胡耀邦総書記のように天安門に集った若者に共感を示して更迭された幹部もいます。

にも拘らず軍隊に当たる人民解放軍を投入して鎮圧したのは、経済成長しても長期政権が続く日本の自民党を見倣えば良いという判断ですね。60年安保闘争のデモ隊鎮圧を見倣った訳です。ただし1つ誤算があって、軍隊を動かしたことでハンガリー動乱やプラハの春でソ連軍が動いたことの連想で欧米が拒否感を示したことです。だから今回はそれを踏まえて人民解放軍の投入はしない。訳です。警察権力による鎮圧ならばセーフって感覚ですね。

余談ですが、97年総選挙での政権交代による民主党政権誕生は、中国政府にとっても誤算だったわけで、実際尖閣問題などで却って関係がぎくしゃくしました。野党時代には双方で交流があったから、寧ろ中国政府にとっては尖閣問題での民主党政権の筋論はショックを大きくしたとも言えます。逆に民主党政権が安定していれば、中国の民主化は進んだかも。同時に今のままなら中国はいずれ日本が躓いた問題に躓き行き詰ることになります。米中摩擦は将にそれです。

で、やっと本題。日本の行き詰まりを示すこんなニュース。

「老後資産2000万円」問題、私的年金の議論に冷や水  :日本経済新聞

金融審議会ワーキンググループによる報告書を巡って炎上してます。56pの報告書は人口減少と高齢化で金融事業の環境変化を論じていますが、まあツッコミどころ満載で、炎上すべくして炎上していると言えます。ワーキンググループに名を連ねる多数の識者たちにしても意に沿わない纏め方じゃないかと思いますが、結局事務局が描いたシナリオが先にあるのがこの手の審議会の常ですし、委員も名が売れて謝礼が出るから意に介さないかもしれませんが、これは恥だぞ。

問題になっているのは厚労省提供の年金生活の高齢者世帯の実態調査で、年金受給額プラス5万円の生活費というところから、65歳時点で95歳まで生きると仮定した場合に、資産取り崩しで充当される5万円を賄うためには2,000万円の資産形成が必要と結論付けて、iDeCoやNISAなどで若いうちから資産形成すべきと結論付けております。これまんま出来の悪い証券マンのセールストークそのものです。事務局の官僚の劣化甚だしいところです。

そもそも厚労省が示したデータは夫婦2人世帯のものですから、厚生年金や共済年金といった被用者年金加入世帯が対象で、高齢者全世帯ではないですし、既に資産形成に成功した世帯とそうでない世帯を含みますから、少数の資産残高の高い世帯ほど取り崩し額が大きく、平均値を押し上げている訳です。平均値で見るべきでないデータを平均値で丸めて単純計算したら2,000万円って話です。統計学の基礎の基礎ができてない。せいぜい言えるのは、資産残高の高い世帯ほど資産を取り崩すってことぐらいです。つまり老後も贅沢したきゃ金貯めろってことですね。これを承認した審議会メンバーも恥ずかしいけど、1度は公表を認めた麻生大臣も恥ずかしい。ま、恥を自覚する知性がないだけかもしれませんがwww。

ですから論旨としては公的年金の問題を取り上げた訳ではないんですが、公的年金の支給減額の見通しを随所で記述しており、減額があたかも既成事実のように扱われているというのはありますが、野党の追及も含めて寧ろそちらに力点が移っているようですが、主たる論点ではありません。

年金に関してはあくまでも保険ですから、損得を言えば長生きすればたくさん支給されるし、支給年齢前に不慮の死を遂げれば貰えないってことで、保険の原理で動いているので、本質的な問題は4.1%という割引率の高さです。割引率が高ければ少ない保険料で大きな給付が受けられますから、お得感を演出できますが、実現するために株式などのリスク資産への投資を余儀なくされる訳で、本来は元本保証のある国債投資に限定すべきです。この誤魔化しを是正するところからが、本来の年金改革です。

付け加えれば、公的年金制度の安定性は現役世代の実質所得に依存しますから、実質賃金が上昇していれば問題ないんですが、国がデータを公表できないほど悪化している
訳ですから、見通しが暗いのは間違いありませんが-_-;。

金融審議会の報告書ですから、そこへ触れないのは仕方ないとしても、悪質なのは公的年金の不安を煽ってiDeCoなどの私的年金へ誘導しようとする意図見え見えな点です。この辺が上記の「出来の悪い証券マンのセールストーク」たるゆえんです。つまり議論を取りまとめた事務局の官僚たちによる金融業界への利益誘導ってことですね。これこそが問題なんですが、またそのレベルが低すぎるというか、こんな証券マンに騙される人はそもそも投資には向きません。やめた方が良い。これがかつて優秀とされた日本の官僚なのか?

もう1つ言えば、マクロ経済的にはライフサイクル仮説ってのがありまして、若年時には将来に備えて貯蓄する一方、リタイア後はその貯蓄を取り崩すってのがありまして、日本の高度経済成長は若年人口の厚み故に国内貯蓄で企業が容易に投資資金を調達できたことで説明できますが、高齢化に伴う金融環境の変化を言うなら、高齢世帯の資産取り崩しは当然のことであると共に、若年世代の貯蓄性向を緩和するような方向性、つまり公的年金制度の安定性こそが重要なんで、その意味からもトンチンカンな報告書ってことですね。

つまりこのニュースが示すのは日本の政府統治の劣化ぶりを何重にも露わにしたってことです。付言しますがこのレポートを真に受けて消費を売政商とすれば、所謂合成の誤謬で経済はさらに冷え込みます。こんな日本をお手本にする中国を脅威論で警戒することの無意味さも指摘しておきます。本来は課題先進国として中国も見倣うような将来を見せることの方が大事です。

てな訳の分かんないニュースが溢れる中で、わかりやすいニュースを1つ。

横浜市営地下鉄で脱線 撤去忘れの装置に乗り上げか (写真=共同) :日本経済新聞
シーサイドラインに続いて横浜市の出来事ですが、保線車両を収納庫から出して本線レールに乗せる横取り装置と呼ばれるアダプターの撤去忘れってことで、他社でも同様の事故はそれなりに起きてますし、その結果撤去忘れ防止のための警報装置が装備されたりもしてますが、横浜市営地下鉄では装備されていなかったし、手順書への記載もなかったってことで、交通局は見直しを宣言してます。

鉄道の世界では起きた事故や重大インシデントに対しては時に過剰な対応を取る一方、起きていないけど可能性のある問題はスルーされやすいう傾向があります。今回が将にそれです。加えて事故現場に脱線車両を復線させる十分なスペースが不足していて復旧に手間取ったってこともあります。この辺も見直しが必要ですが、時間とコストがかかります。

おまけですが、復旧作業にはJR東日本と東急の支援があったそうで、こうした鉄道事業者同士の横の繋がりはそれなりにある訳ですが、事故の予防にも活かして欲しいところです。

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Saturday, June 08, 2019

自動運転にブレーキ? シーサイドラインの逆相事故

仙台日帰りで戻って地元スーパーで仙台みそ買った謎行動の先週末^_^;、謎な事故が起きました。

無人運行の横浜「シーサイドライン」逆走、14人けが (写真=共同) :日本経済新聞
終端駅の新杉田で折り返しの事故編成は、地上側からのATO信号で方向転換の指令を受け、方向転換を地上側に通知し、実際ヘッドライトやテールライトは正常に切り替わっていたのですが、発車してみれば逆走して25m走って車止めに激突して14人負傷という事故となりました。損傷度合いから20km/h程度で衝突したと見られており、非常ブレーキは作動しなかったと見られます。

代行バスの積み残しもあって3日後には社員の動力車運転免許所持者を動員して有人手動運転で運転再開したものの、平常の65%の本数に留まります。その後事故編成の動力系の制御回路に断線が見つかり、動力系だけ方向転換が出来ていなかった可能性があることがわかりました。難航が予想された原因究明ですが、とりあえずこれでかなり絞り込めますが、問題は非常ブレーキが作動しなかったことです。AGTではなく地下鉄ですが、こんな事例があります。

大阪地下鉄逆走 指導役、運転室に同乗 車掌の乗り違え気づかず  :日本経済新聞
大坂地下鉄谷町線大日駅で始発電車に運転士と車掌が乗り込み、普通にドア閉め安全確認合図の一連の後発車してみれば車止め側に走り出し、ATC信号で非常ブレーキがかかって停止したという不可解なミスです。しかも本来の進行方向を運転士と車掌が双方勘違いして逆側に乗務し、普通に発車させたというコントみたいな話です\_\;。加えて運転士の抜き打ち検査のために助役が本来の進行方向の乗務員室に添乗してたんですが、車掌を運転士と勘違いしつつ、ドア閉め合図するさまを漫然と見送り、走り始めて気付いたというおまけつき。間抜けすぎるwwwww。

無人自動であれ有人手動であれ、想定外の事態に対して非常ブレーキを作動させて停止させるという機械的バックアップがあればこそ安全が担保されるのであって、その部分に疑義があるシーサイドラインの有人手動での運転再開は、確率は低いものの、乗務員の勘違いで生じる異常事態のバックアップが働かない可能性があるわけで、当面慎重に対応するとしても、システムの大幅改修がない限り無人自動運転の再開はと言わざるを得ません。

思い当たるトラブルの原因としては、3月に一方の終端駅である金沢八景が仮駅から京急金沢八景駅隣接の新駅へ延伸したことでしょうか。金沢八景駅周辺の区画整理事業が遅々として進まず、16号線手前の複線の高架橋の1線を潰して仮設ホームを設置していたものが、区画整理の進捗と京急金沢八景駅の橋上駅舎化に伴い、当面単線で新駅へ延伸したものですが、この時に進路構成の連動関係を変更したときに何らかの瑕疵が生じた可能性はあります。

これやはり普通鉄道ですが、あの信楽高原鉄道事故では、信楽駅の場内信号機を停止(R)定位として、下り列車が接近して手前の地上子を通過することで列車を検知し注意(Y)信号に切り替わるという連動を、届け出なく変更して(Y)定位にした一方。信楽を信用していなかったJR西日本がやはり届け出も信楽側への通告も無しに亀山CTCセンターに信楽線内の方向優先テコを設置した結果、信号システムが誤作動したケースが思い出されます。加えて誤出発検知装置を過大評価して出発を強行した信楽側のヒューマンエラーが重なったものですが、システム改修時の僅かなバグが他の因子と偶然に重なって事故につながるケースはままあります。その辺も含めてクリアな事故原因究明が望まれます。

実は焦っているのがJR東日本なんですが、シーサイドラインに関しては車両メーカーのJTRECが東急車輛時代から関わっていて、事故車の2000系は開業2代目でステンレスボディや内装もE233系など新系列車によく似ています。信号システムはかかわりが薄いとはいえ、動力系制御回路の断線は車両側の欠陥が疑われます。加えて山手線の自動運転にも暗雲が漂います。

勿論山手線でシーサイドラインのような無人自動運転までは考えていないでしょうけど、添乗員付きは考えているフシがあります。というのも、運転士と車掌の職制の区分の廃止を打ち出しているからですが、動力車運転免許という国家資格取得が必要で運転士の養成はコストがかかりますし、専門職として高給優遇が必要になります。それを車掌レベルの保安要員で済ませられれば、労務コストを下げられるわけです。うがった見方ですがスットコドッコイな組合潰しはこの狙いもあるかも。

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Saturday, May 11, 2019

セコCOCOM

5月4日、令和を祝うように祝砲が上がった東アジア。ホリエモンロケットと北朝鮮の飛翔体。同じロケットでも政治が絡むと呼称が変わります。敢えてミサイルと呼ばないのは、アメリカも和平プロセスそのものは維持したいからです。対中国、対イランでガチ勝負だから北朝鮮どころじゃない訳です。ホリエモンロケットならぬキムエモンロケット^_^;。

そしてアメリカの突然の対中国制裁発動ショックが連休明けの株式市場を襲います。礼は要らんどころかCOCOMしちゃった訳です。対中強硬策は80年代のジャパンバッシングと酷似は昨年末のエントリーで指摘した通りですし、基本的な枠組みは昨年末と何も変わっておりませんが、年が明けて米FRBが利上げ停止を宣言したのが大きく異なります。昨年中から市場関係者のFRBの利上げ姿勢への批判は絶えず、その声に押されるようにトランプ大統領も圧力発言を繰り返しておりましたが、利下げ停止を好感して市場は持ち直しました。そうなると元々史上最低水準の失業率に加えて緩和的な金融環境でアメリカの国内景気は堅調に推移します。FRBの利上げ警戒感で対中強硬策を採りにくい状況が変わって、強硬策を打っても国内景気への反動は弱いという判断が働いた結果です。

貿易摩擦、痛みは中国に 安定物価が米政権強気支える: 日本経済新聞
いや機を見るに敏というか、基本ビジネスマンのトランプ大統領らしいとは言えます。ここで強硬に出てもコストは許容範囲ってことですね。ビジネスマンのコスト感覚というか、基本セコいんです^_^;。

という訳でかつての冷戦に対して新冷戦という見方もされてますが、アメリカが問題視するのは軍事力よりも技術力の脅威であり、その様相はかなり異なります。故にかつてのCOCOMでは軍事転用可能な輸出品の規制だったのが、通信やハイテク分野での封じ込めが意図されてます。例えばCOCOM未加入で永世中立国を宣言していたスウェーデンのアゼア社(後にスイスのブラウンボベリー社と統合してABBを構成)がCOCOM規制で動けない欧米勢を尻目にユーゴスラビアなど東欧諸国への鉄道車両輸出を重ねます。それでもAMTRAKメトロライナー用電気機関車を輸出するしれっとしたところがありました。永世中立国って便利です。

ところが5G通信を巡る技術では、米クァルコムが気を吐いているものの、中国頼みの本音もあり、通信機器を含むトータル技術では中国HUAWEIとノキアやエリクソンといった北欧勢が中心で、アップルが頼みとしていたインテルさえ蚊帳の外。ましてNECや富士通、韓国サムスンやLGも国内だけのローカルブランドに成り下がっています。それでも韓国は5G一番乗りを宣言し、後にアメリカの前倒しで逆転されますが、日本勢は声も出ません。で、同盟国と呼ぶには微妙な立ち位置の北欧勢を頼みとする訳で、まして韓国勢とも微妙な距離感で、ある意味アメリカの焦りはよくわかります。その分同盟国への圧力は厳しくなる訳です。

しかもイギリスやドイツはHUAWEIを排除しない姿勢で同盟国をまとめ切れていない中で、アメリカの本気を見せる必要に迫られていたということは言えます。てことで、この事態は想定しておくべきだったということが言えます。そして中国の出方次第では膠着状態になることが予想されます。となると成果を出したいトランプ大統領は日本をターゲットにしてくるでしょう。不思議の国ののトランプの兵隊の足音が^_^;。

おまけ。

二俣川―新宿760円 相鉄のJR直通線の運賃が認可  :日本経済新聞
COCOMエントリーで取り上げた相鉄JR直通運転の運賃認可のニュースです。記事では合算額のみの記述ですが、相鉄新線の西谷―羽沢横浜国大間の営業キロ2.1㎞でおそらくJRは鶴見―横浜羽沢間の営業キロ8.8㎞を適用し、相鉄新線に30円の加算運賃という構成ですね。横浜乗換の現行運賃よりやや割高ですが、列車本数が限られる中、乗客の転移が増えすぎても困るという微妙なとk路が垣間見えます。ハイテクを巡る米中のせめぎ合い同様複雑な構図です。

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Sunday, April 28, 2019

人間だもの

10連休が始まりました。個人的には仕入れ先も取引先も休むんで、一緒に休みますが、どこ行っても混んでるんで、家に籠って粛々と休みを消化する予定です。てことで取り上げるのはこれ。

接触事故後に急加速、気が動転か 池袋暴走 (写真=共同) :日本経済新聞
赤信号で進入か 運転操作を捜査、神戸バス死傷事故 (写真=共同) :日本経済新聞
何れもオートマ車の暴走事故で2日連続の惨事となりました。前者は87歳の元通産官僚、後者は64歳のバスドライバーですが、共に現行犯逮捕案件なのに対応が分かれました。それ故に忖度が働いたんじゃないかとネットで話題になりました。前者は加害者自身も負傷入院中だから逃亡の恐れがないという指摘もありましたが、日本の警察の過去の対応を見る限り、負傷入院中でも容赦なく逮捕している訳で、違う対応になっていること自体は確かです。

それと高齢ドライバーの問題として取り上げられてますが、オートマ車の操作ミスによる暴走事故自体は年齢に関係なく起きている訳で、寧ろマンマシンインターフェースのヒューマンファクター系のトラブルじゃないかと考えております。端的に言えばマニュアル車ならばアクセルとブレーキを間違える操作系ミスはエンストで止まりますし、そもそもクラッチやシフトレバーを含む一連の動作でミス自体起こりにくいってことがあります。

加えて昔のオートマ車は非力なエンジンに前進2段とか3段とかのシンプルなもので、アクセル踏み込んでもスムーズに変速して加速するような代物じゃありませんでした。これ元々アメリカで普及したトルコンATシステムを移植した結果ですが、5-7リッターのトルクフルなエンジンでトルクコンバーターを介してトルク変動を吸収してメカ部分をシンプルにする設計思想から来てますから、昔の日本車の非力なエンジンじゃうまく機能せず、タイムラグを伴うレスポンスの悪さとなります。加えてトルク変動による駆動輪の回転モーメントによるリアの沈み込みもありますから、暴走する前にミスに気付きますし、暴走するほどの力もなかったと^_^;。

それに比べてHVのプリウスも含めてオートマ車のアクセルのレスポンスは著しく進化していて、殆どストレスなく加速するようになっていることが影響しているんじゃないかってことを言いたい訳です。つまりミスに気付きにくくなり、結果的にダメージを大きくしているんじゃないかってことです。高齢者の免許証取り上げれば解決する問題じゃないってことです。

加えて最近の車は総じて乗員の安全確保が進化しており、よほどの事故じゃなければ乗員のダメージは少ないってこともあります。だからカジュアルに煽り運転ができてしまうってことも指摘しておきます。実際車間を詰めて煽ってくる車の多さは日常的に実感しておりますし、事件化して報道される事例もある訳ですね。車の性能や安全性が向上したことが、皮肉にもこの手の事故を誘発してるんじゃないかってことです。

ヒューマンファクターといえば14年前の25日に起きたJR西日本福知山線尼崎脱線転覆事故でも指摘されました。余裕時分を削り込んだタイトなダイヤでオーバーランと停止位置修正で後れが生じたことを気にした運転士が引き起こした事故ということで、JR西日本は批判にさらされました。加えて当該の運転士が過去にもオーバーランによる遅延で日勤教育と称する懲罰的処分を受けていて、ミスを重ねると乗務から外されることを気にしていたことも指摘されました。

日勤教育自体は国鉄時代から行われていて、JR西日本以外のJR各社でもほぼ同じように行われておりました。その中でJR東日本だけは日勤教育の名称は残しながら、実際は変更や確認事項の現場への連絡手段に変化していました。安全面では明らかに一歩リードしていた訳です。それもこれも1988年12月5日の東中野駅列車追突事故で運転士が死亡するということがあって、安全問題が見直されたものです。

事故は余裕時分の見直しによるダイヤ改正が行われた翌日というタイミングで起きたもので、当時の中央総武緩行線は201系と103系が混在していた中で起きており、201系では余裕のある新ダイヤも103系ではいっぱいいっぱいで、実際遅れていた停車中の103系の先行列車に201系の後続列車が追突した事故でした。遅れにより司令との交信に気を取られた後続列車の運転士のミスと判定されました。

その結果JR東労組がヒューマンファクターの見直しを本社に申し入れ、ATS-Pの設置スケジュールが前倒しされ、安全教育のための研修センターが福島県白河市に設置されるなど、目に見える改善がされました。また老朽車両の取り換えも積極化され92年の901系(後の209系試作車)投入につながったと見ることもできます。強面の労組が機能した事例です。同じ労組でも中核系の千葉動労は103系の取り換えに最後まで反対してますから、同じ労組でも違うもんです。尤もJR東日本は愚かにもJR東労組を潰しにかかりました。将来が心配です。

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Sunday, April 14, 2019

ガラクタ>ポンコツ

鏡の国の未来の話です。まずこれ。

総人口1億2644万3000人、減少率0.21% 18年10月時点  :日本経済新聞
2008年から日本の総人口は減少に転じてますが、度々指摘してますが、より重要なのは1997年から始まった生産年齢人口の減少の方です。生産年齢人口の減少はつまり雇用者の減少ですから、その分世帯の所得の減少となります。実際GDPの分配面を見れば、雇用者報酬は一貫して減少してます。当然消費が減少しますから、価格抑制の力学が働いて、巷間言われるデフレが生じる訳です。貨幣現象じゃないから金融緩和しても解決しない訳です。

生産年齢人口の減少はかように経済を縮小させるインパクトがある訳ですが、これも度々指摘してますが、高齢化に伴うリタイア人口の増加が原因であって、このタイミングで少子化対策しても、生産年齢人口は増えない訳で、保育の無償化などの少子化対策はやるだけ無駄どころか財政再建に回す筈の消費税の増税分を充てるってことは、事実上国債発行と同じ負担の先送りにしかならず、却って将来の負担を増やします。

結果的に高齢者と女性の労働力率が高まって雇用者人口は増えてますが、少なくとも推計方法変更前の2015年までのGDPは増えてないので、労働力の投入量が増えたにも拘らず付加価値は増えてない訳ですから、その分労働生産性が低下した訳です。詳細に見ると高齢者の嘱託や主婦のパートなど非正規雇用が増えた訳で、雇用の劣化を伴っている訳ですから、毎月勤労統計で誤魔化しても隠しようのない現実です。少子化対策したくても、保育士も不足しますし、保育士を増やせばその分他のセクターの雇用が圧迫されますから、どのみち社会は回らない訳です。これ働き方改革も無駄ってことでもあります。

そうは言っても労働力不足は賃金を押し上げますから、低賃金セクターほど人が集まらず人手不足倒産も有り得るってことで、ヤマト運輸の労使協議で料金値上げと荷受け縮小を決めて、それを原資にして賃上げと労働時間圧縮を図った結果、寧ろ人が集まって荷受けも増やすことが出来てと好循環になりました。働き方改革のためにはホント労組大事。労組潰ししたJR東日本のスットコドッコイの将来が不安です。

で、賃金を上げられない不人気業種では、人手不足倒産が現実問題となる訳で、後は外国人に頼るって流れです。これも外食やコンビニでは既に留学生アルバイト抜きには回らない状況ですが、実はバブル期から兆候はあったものの、バブル崩壊による経済減速に助けられて、不良債権処理の借り手側の過剰債務対策で人件費カットを余儀なくされて新卒採用の手控えが起きて、所謂ロスジェネ問題で一息ついたのが実態でしたが、若年人口の減少で逆に新卒の有効求人倍率が高まった結果、頼みの若いフリーターの補充が効かなくなり、その穴を留学生が埋める流れです。

しかしそれも限界でいよいよ賃金上昇が現実に起きると、外食では営業時間の短縮が始まりますが、24時間営業のコンビニではそうはいかず、遂に見直しを迫られることになりました。ただしコンビニでは既に弁当の3便配送をはじめ、24時間営業を前提とした店舗オペレーションでシステム化されてますので、人が集まらないから営業時間を短縮するという訳にはいかず、とりあえず実験で検証する段階です。高度に効率化されたが故に、無人レジなどのストアオートメーションによる省力化の余地も少なく、寧ろ自社競合によるオーバーストアの地域もあることから、単なる営業時間短縮よりも店舗閉鎖が進む可能性があります。

そしてやはり不人気業種の建設業ですが、元々現場仕事は10年程度の見習い期間が必要で育成に時間がかかるにも拘らず、若手の補充が滞ってますから、平均年齢の上昇著しく、いずれ回らなくなります。ここでは技能実習生が頼みでしたが、仕事教えても3年や5年で帰国されると結局戦力にならないということで、入管法改正による新在留資格を要望することになり、この4月から実現しましたが、狙いは実際に現場にいる実習生を帰国させないためでしかありません。

それなら本人の希望に合わせて永住権や国籍の取得ができる移民制度にすればいいのですが、国内の反対論に配慮して移民じゃないと言い張ってますが問題です。外国人を労働力として受け入れることの落とし穴は、労働者が消費者でもあることを見落としてるんですね。労働力の補充よりも消費者として国内消費市場を支え、税や社会保障の担い手として迎え入れるという視点が必要です。これつまり移民そのものです。そして技能実習生制度の烈悪なバージョンアップでは労組への加入なども考慮されてませんので、長時間労働や賃金ピンハネなどの不正の温床にもなります。差別による治安悪化と隣り合わせですね。

内緒ですけど^_^;、新在留資格でも5-10年の在留期間が終われば帰国する訳ですから、結局建設業の人手不足は解消されません。それ以前に今でも年間50万人規模で生産年齢人口が減っているときに5年で35万人とか算数できないのか?wwwwwそういう中で鏡の国で指摘したように古い利権構造で地元への利益誘導で公共事業引っ張って来るってのは、それだけ建設業にストレスを与えますから、様々な矛盾をもたらします。そんなニュースがこれ。

豊洲市場、くすぶる「民営化」  :日本経済新聞
産地直送やBtoCのEコマースの拡大などで元々築地時代から年々取扱額は減っていましたが、豊洲移転でますますその傾向が強まっております。築地市場の豊洲移転はそもそも築地の施設の老朽化と手狭さが理由とされてましたが、大枚はたいて巨大ハコモノ作ったらそっぽ向かれた形です。そして軟弱地盤や土壌汚染問題でコストもハネ上がっていて赤字確実と言われてた中での低迷ですから、それだけ東京都の財政を圧迫します。

そうなると公設市場法の改正もあって民営化の議論が出かねません。これ東急世田谷線レベルの輸送規模でキロ100億円の地下鉄を作るぐらい頭おかしい話です。老朽インフラと新設インフラの関係で見れば下関北九州道路代とも通底しますが、後先考えず巨大インフラ投資を決めて責任は取らずあとは野となれってことですね。

そしてタイトルの意味ですが、ガラクタもポンコツも役に立たないものという共通の意味がある一方、ポンコツは語源である拳でコツンと殴るが転じてハンマーで叩いて解体するものである一方、ガラクタは見方を変えれば価値が見いだせるものという意味で希望があります。故に不等式でつないだんですが、つまりコンバージョンってことですね。新しいもの作って古いもの壊す繰り返しは結局健在を疲弊させますから、知恵を絞ってガラクタを活かすことこそが、人口減の日本にとっては有益です。

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Sunday, April 07, 2019

鏡の国のアベノミクス

不思議の国の続編はやっぱ鏡の国でしょ。ってことで、あれこれ始めます。

塚田前国交副大臣の発言「でも私は忖度」→「おわびする」  :日本経済新聞
渦中の副大臣が忖度したかどうかは些末なことでして、11年前、福田政権時代に費用対効果が不十分として却下された下関北九州道路の事業が国の直轄事業として調査費が計上されたことの不透明さが本質です。現状R2関門国道トンネルと高速道の関門橋の2ルートがありますが、老朽化で国道トンネルは10年に1度の大修繕による通行止めが毎年行われるようになっていて、国土強靭化による災害対策のための二重化という議論があるのですが、そのために2,000億円をかけることが妥当かどうか冷静な判断が必要です。

ルートの二重化はメンテナンスの負担増を意味します。相応の経済効果があるならば良いのですが、関門橋の通行量も予定の半分の水準で、国道トンネルの通行止めの影響を吸収可能な現状からすれば、大した経済効果は見込めません。そうなるとメンテナンス費用のかかる国道トンネルの閉鎖も視野に入り、唐戸水産市場のある下関市東部の経済的な地盤沈下をもたらす可能性もあります。それでもやるのかってあたりの議論がきちんとされてるようには見えないんですよね。

この手の話は日本中にありまして、東日本大震災の津波被害を受けた地域でも、大規模防潮堤建設の是非が議論になった結果、人の住んでないところばかり工事が進んでしまい、いったい誰を守る防潮堤なのかって現状があります。福島第一原発事故関連でもいい加減な除染作業で復興予算が食いつぶされたり、がれき処理を広域処理と称して持ち出した結果、焼却工場を木質バイオマス発電につなげようという地元の構想が頓挫したりとか、土建屋ベースで物事が進む現状がそこかしこにあります。

国土強靭化の名の下に経済効果が十分検討されない公共事業がそこら中で復活したり新たに立ち上がったりしてますが、そのための予算が赤字国債発行を前提にしているわけで、アベノミクスの第2の矢として機動的な財政出動が謳われてもおりますが、経済効果のない公共事業をやる余裕が日本の政府財政にはありません。90年代の財政出動で赤字を累積していて政府予算の最大費目が国債費でその半分は借換債ですから、過去の赤字の清算ができていないのに赤字を重ねる訳ですね。しかも既にケインズの言う乗数効果も1倍即ち有効需要を生まない水準なのは政府も認めています。

加えてここへ来て深刻な人手不足で折角予算が付いた公共工事も人が集まらず未執行となり財政出動不発となる現状があり、2020年の東京オリパラ関連で人手が取られて震災復興も遅れている状況です。五輪関連は元々旧国立競技場の改修をはじめ既存施設を活用し半径8㎞以内で実施という計画だったものが、招致が決まった途端に新競技施設の建設が次々に決まり、加えて築地市場の豊洲移転と環状2号線の整備が強行されました。これも都知事選で争点化した後に迷走し、結局環状2号線は仮設状態でつながったものの、晴海の選手村からの移動がネックになるのは確実です。ここを京成バスが受託した環2BRTが走るらしいですが、混乱は確実です。加えて五輪後の地下鉄計画も。

銀座から臨海部へ都が地下鉄、羽田直結目指す : 国内 : 読売新聞オンライン
これTBSのメトロ都営統合報道を思い出させる観測気球ですね。実態はこれから検討という段階ですが、一方で豊洲移転の遅れで政治路線化したマジ卍な豊住線はメトロが作るのが望ましいとしていますが、1日13万人の利用を見込む豊住線よりこの臨海部地下鉄を都としては優先するってことです。5㎞で1日5万人ってザックリ言って東急世田谷線レベルの輸送規模ですが、それに2,500億円、キロ500億円の事業費を見込むってのは採算性は関係ないって頭おかしいレベルです。

この臨海部地下鉄構想ですが、言い出しっぺは中央区で、当初環2LRTが五輪輸送を睨んだ暫定BRTとして上記のように京成バスの受託に至ったんですが、一方で2020年五輪招致が決まったところで地下鉄構想を唐突に主張し、交通政策審議会の2016年答申に滑り込ませた経緯があります。明らかに五輪絡みの利権漁りの気配があります。

直通運転が示唆されるつくばエクスプレスについては、沿線開発が急過ぎて混雑緩和対策に追われた結果、懸案の東京駅延伸の事業費1,000億円をねん出できない状況ですが、更に銀座まで伸ばすとすれば同じぐらいの事業費が上乗せされますから、ほぼ不可能でしょう。羽田直通はJR東日本によるりんかい線引き受け問題との絡みで、可能性はあると言えばありますが、地下駅の国際展示場駅をジャンクションに改造するのは相当な事業費の上振れの覚悟が要りますので、やはり実現可能性は薄いでしょう。しかも都営地下鉄として整備とは言っていません。つくばエクスプレスかJR東日本に丸投げのつもりでしょう。

政治家にとっては公共事業による利益誘導はわかりやすい有権者へのアピールになるんでしょうけど、それに留まらず土建屋の集票能力への依存の意味なんでしょう。採算性が問われる鉄道事業でさえ採算度外視の計画が動いてしまう危うさは要注意ですが、別の面から言えば、それだけ土建業会は労働集約産業としての性格が強いってことでもあります。そこで気づいたんですが、公共事業の乗数効果の低下はこれが原因じゃないかと思い当たります。

つまり公共事業に依存しなければ存続が難しいゾンビ的な土建業に栄養を与え続ければ、そこへ雇用が張り付いて国全体の生産性を下げてしまうという点です。日本の低生産性は公共事業依存の結果なのかも。しかも人口減少で人手不足は若年労働力の確保が難しくなりますから、外国人を入れないと回らないってことで、入管法改正を急いだわけですね。加えてこのニュース。

ジャパンディスプレイ株が急伸 台中勢傘下で再建進展の期待  :日本経済新聞
政府系ファンドによる国内企業の救済策は死屍累々で外資に売り渡した途端に株価が上がるって、これ公的資金でゾンビ企業を延命させている結果と見れば、公共事業と同じように日本の生産性を低下させる元凶と言えるでしょう。結局ゾンビ退治ができないから生産性が下がって成長できないけれど、それがバレると選挙で勝てないから統計弄って誤魔化すことになります。その結果アベノミクスは迷走しっぱなし。鏡の国の迷宮に迷い込んだアリスの如しです。

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Saturday, March 30, 2019

不思議の国のアベノミクス

アセット・バブル・エコノミクスの頃から指摘している通り、うまくいかないしやめられなくなると言い続けてきたアベノミクスですが、予想通り迷走しております。当初2年で2%のインフレ率達成を目標としたQQEも度々目標達成を先送りして現在に至りますが、出口が見えない中で景気の谷が近づいているのに動けない日銀です。 今囁かれているのがマイナス金利融資という奇策ですが、現在のマイナス金利が日銀当座預金に銀行が追加で預け入れした分に適用されるのですが、その原資は国債の日銀への売却代金ですから、僅かながら利子が付く国債を売って日銀当座預金が増えれば銀行にとっては損失になりますが、逆に融資の形で日銀が銀行に貸し付ければ、銀行がその資金を利の薄い銀行間取引や債券投資に振り向けることで、僅かながら利ザヤが生まれます。つまり体の良い銀行補助金って訳ですが、これなら銀行から批判を浴びた日銀預託分のマイナス金利付利に対し、銀行懐柔に使えるって訳ですね。銀行の中の銀行も地に堕ちたもんです。 元々QQEは金融圧迫にしかならないと言い続けてきました。QQEによる国債爆買いは国債市場を圧迫して市場金利を歪めたことに留まらず、市場で売買される現物が減って銀行が運用難に陥る訳ですが、当初「ポートフォリオ・リバランス」と称して国債投資に偏った銀行のポートフォリオ見直しを示唆しました。これぶっちゃけ外債投資を促したわけですね。というのは日銀が直接外債を買うと為替介入と見做されて国際的に非難を浴びるので、銀行の余剰資金を振り向けさせるという訳です。 その結果外債投資に傾斜した銀行各行ですが、米FRBの緩和縮小と利上げで状況が変わり、保有外債が金利上昇で含み損を抱える状況で持続可能ではなくなりつつあります。ちなみに今季6,800億円の減損処理を発表したみずほ銀行ですが、内1,800億円は外債含み損の減損処理で、他行に先駆けてはおりますが、これで打ち止めという保証はありません。外債投資が無理で行き場を失った資金は国内社債投資にシフトしているようですが、ハイリターンを狙ってハイリスクな劣後債に集中しているようで、景気の谷を迎えるこれからを考えると不安です。 そもそも銀行の一番の収益源となる筈の融資ですが、企業の国内設備投資が冷え込んだままですから融資が伸びない。そんな中で数少ない融資先として不動産融資に傾斜した結果、地価が上昇している訳ですが、これも選別が激しくなり、今や駅近7分以内以外は見向きもされない状況です。バブル崩壊後の地価下落と再開発絡みの容積率緩和で人口の都心回帰が進みましたが、地価上昇でマンションの価格が押し上げられ、売れ行きにブレーキがかかり始め、ここへきて異変が起きてきています。 インバウンド需要の拡大でホテル不足から都心の好立地はホテルに買い負けるようになり、より地価の安い郊外の駅近へ、そして地方都市へという流れで、宇都宮や高崎にまでタワーマンションが建つ状況です。誰が買うんだか。あと交通結節点のマンション人気は強く、武蔵小杉に続いて海老名の人気が高まり、開発が加速しております。そしてこのニュース。

相鉄、悲願の東京都心直結へ 11月末からJRと直通  :日本経済新聞
武蔵小杉のタワマン群のお陰で横須賀線の混雑が助長されていることは限界都市川崎で述べた通りですが、始発で座れる海老名のタワマン族が利用するとすれば、JRと相鉄の直通で列車本数が増えても武蔵小杉に着く前に満員とタワマン族が被る状況もあり得ます。相鉄としてもいずみ野線に残る保有地のマネタイズとバランスの取れた街づくりがしたいところでしょうけど、目論見が外れる可能性があります。 加えて五輪後の不動産市況の変化も見逃せません。東京都心エリアではJR東日本の高輪ゲートウエーの開発進捗があり、また晴海の五輪選手村も改装して分譲マンションとして売り出されますが、その辺のタイミングで東京も人口減少へ転じると予想されております。需要が減って供給が増える訳ですから、値崩れは確実でしょう。ホントアベノミクスいいとこなし。 居や国内はともかく外交特に通商交渉ではTPP11や日欧EPAでをまとめたじゃないかと言われますが、TPPを離脱したアメリカの復帰を狙って農産物で大幅譲歩した結果、異変が起きています。
農産品輸入、米国離れ 牛肉・豚肉のシェア低下  :日本経済新聞
オーストラリアとカナダ産の牛豚肉のシェアが拡大して米国産を圧迫している状況です。これから始まる日米通商交渉はさぞや地獄でしょう。浅はかです。 てな訳で、トランプの兵隊に追い詰められた不思議の国のアリスですが、アベノミクスも同じぢゃん^_^;。

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Sunday, March 17, 2019

思い出されるBrexit

Brexitが迷走しているように見えますが、私はほぼ想定内のプロセスを踏んでいると見ます。そして追い込まれているかに見えるイギリスのメイ政権ですが、強硬離脱反対の下院議決を得たことで、寧ろEU側が追い込まれたと見ています。理由は簡単で、強硬離脱を避けたいのはEUも同じ、対立が解けない英国内世論の中で、強硬離脱だけは避けたいという意思が示された訳ですから、メイ首相はこれを対EUの交渉のカードに利用すると考えられます。

あと国内経済が好調なのも追い風です。これBrexitのゴタゴタでEU圏からの移住者が減って失業率が歴史的低水準にあり、消費が堅調なことによります。EUに加盟しながら移動の自由を保障するシェンゲン協定未加入というイギリスですが、市場統合が進み、特に東欧圏へ拡大した結果、相対的に貧しい東欧圏の住民が流入して労働市場を圧迫してきたことがBrexitの議論の背景にあります。元々移民受け入れに寛容なイギリスで単純な反移民という訳ではありません。その流入が減って経済が上向いたんですからこれゴタゴタのお陰?

一方EU側はイギリスに厳しい態度を取り続けてきましたが、その狙いはイギリスを離脱撤回に追い込むことです。何しろBrexitのゴタゴタでイギリスを忌避した東欧諸国の労働者がその分大陸諸国に押し寄せてますし、加えてシリア難民の受け入れ問題も重なって大混乱し、移民排斥の機運が高まっている訳です。その結果反EU勢力が支持め加盟国で議席を確保し、無視できない存在になっております。EUとしてはこの面でもイギリスに甘い顔ができない訳で、着地点としてイギリスの離脱撤回がベストシナリオになる訳です。

それがイギリス下院の強制離脱反対決議と翌日の離脱延期決議によって、EUも延期承認の決断が求められることになります。延期については全加盟国の承認が必要ですが、承認されずに強制離脱に追い込まれることは避けたい訳ですから、EU側としては延期承認でまとめるしか選択肢はありません。しかもここへきてユーロ圏の経済が足踏み状態となり、ECBによる緩和縮小も当面見送られる状況ですから、強制離脱でより深傷を負うのはEU側ということになります。

このイギリスの政治的混乱は理解しにくいことも確かです。しかしイギリスがコモンセンスの慣習法の国であり、主要国で唯一成文憲法を持たない国という点から見れば、不思議でも何でもありません。そんな国の議会に付与された立法権というのは、つまるところ時代の変化で不具合が出てきた慣習法の修正に力点が置かれます。故に現実にどんな不具合があるかが出発点になります。

所謂立法事実が問われ、議会で成案を得ればそれがそのまま法律として発効する訳で、成文憲法に照らした違憲立法という概念すらないが故に、文字通り熟議を経て必要な修正を加えて可決成立に至る訳で、某日本国みたいにろくな議論も無しに数の優位で押し切られるのとは違います。Brexit関連では、そもそもキャメロン政権が行った国民投票も、日本ならば憲法改正の要件として国民投票が憲法に明記されてますし(第96条)、辺野古埋立問題で実施された県民投票も法的拘束力はないと説明されてますが、憲法第95条で国会での不利益立法の禁止が定められています。

イギリスの国民投票が取扱注意なのは、例えば結果を無視して政府が離脱撤回したり、あるいは違う結果を得るために国民投票のやり直しをして異なる結果を得た場合などはそれが慣例となってしまうということになります。故に政府としては不都合であれ何であれ、国民投票で示された民意を尊重しつつ議論を重ねるしかない訳です。その辺を踏まえずに直接民主制の弊害やポピュリズムを指摘する議論はインチキってことがわかります。

ある意味イギリスはこういった混乱を重ねながら歴史を刻んでまして、例えばメージャー政権で手掛けた鉄道改革を巡る混乱は政治に翻弄された英国鉄道改革鉄道書評、民営化で誰が得をするのかで取り上げましたが、一方ブレア政権での見直しで高速新線(STRL)High-Speed1が建設されユーロスターのスピードアップとドーバーまでの近郊輸送が劇的に改善しロンドンオリンピック輸送にも貢献したことは近郊型消滅? suburban首都圏品質で取り上げました。当初の混乱が見直しで改善されたことは、Step by Stepで議論を重ねるイギリス流ってことですね。

尚、このHigh-Speed1ですが、ユーロスター単独では採算性に疑問符が付くところ、ロンドンの近郊輸送の改善と抱き合わせたところがミソ。日立製のClass395"Javellin"がMax225km/hで走りドーバーがロンドンの衛星都市になるという変化も生まれてます。これ国鉄の通勤新幹線構想そのままです。この構想は実現しませんでしたが、新幹線網を全国展開する上でネックとなる首都圏のアプローチ区間を通勤新幹線として先行整備して短期的には首都圏の通勤輸送改善を狙った意欲的なものでした。公社時代の国鉄ではこうした柔軟な発想は実現できなかったんですね。

ふと思うのは整備新幹線を巡る我田引鉄ぶりやJR北海道の経営を巡る混乱を見ると、結果的に上下分離とフランチャイズ制による参入障壁の撤廃で活性化された英国鉄道の方が今となっては優れていると言えるかも知れません。逆に成文憲法を持つ日本の場合は、民主党政権で閣議決定されながら震災の影響で断念された交通基本法が、自公政権で交通政策基本法として成立したものの、移動権を憲法の基本的人権に紐付けて国、自治体、事業者の役割を規定した部分が省かれた結果が、国の責任ばかりを言い立てて具体策を出さない北海道庁や関連自治体の態度になっているのではないかと思います。

Brexitに話を戻しますが、北アイルランド問題がネックになっている訳ですが、現実的な落としどころとしては北アイルランドをEU圏に残して1国2制度にするぐらいしかないでしょうけど、それだと英国内に実質的な国境ができることになります。故にメイ首相がEUと取り交わした離脱案では北アイルランドの国境問題の恒久的な解決策が見つかるまでEU圏に残留させるという表現になっておりますが、これが実質EU残留の恒久化につながるとして強硬離脱派からも残留派からも反対されている訳です。

その対立は解けないままですから、離脱延期しても同じことを繰り返すだけで、結局延期を繰り返してゴタゴタが続くことになりますが、ある意味根競べというか、いずれ諦めから政府案に収斂されるってところでしょうか。とはいえ時間をかけることは民間企業に判断の余地を与えるので、それを織り込んだ動きで強制離脱のショックもマイルドになるという面もあります。そんな中でのこのニュース。

ホンダ社長、英での生産終了21年中に トルコでも休止  :日本経済新聞
Brexitは無関係と明言された社長会見ですが、勿論無関係ではありませんが、背景としてホンダの欧州での販売不振があり、スウィンドン工場出荷分の大半は北米向け輸出に回っていて、欧州に生産拠点を置く意味が薄れたので、モデルチェンジのタイミングで生産拠点を見直すのが主眼です。北米では売れているホンダですが、欧州で認められて一流という意識から古くからF1参戦してきたものの、果たせず撤退ってことです。欧州で認められたという意味で日系企業では日産が先行しており、ホンダは及ばなかったってことです。これある意味不振企業の撤退を促している訳で、ゾンビ企業を温存して低迷する日本ンとは大違いです。

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Sunday, February 24, 2019

限界都市川崎

別に川崎に悪意がある訳じゃないんですが^_^;、サイドバーの書籍からお題を頂きました。同じくサイドバーの週刊東洋経済の通勤電車特集から、最強の通勤電車ランキング32路線中32位のワーストに選ばれた横須賀線のE217系の置き換えにE235系投入が発表され、普通車がオールロングシートになることがネット上で話題になりましたが、横須賀線のワーストの理由が混雑率の悪化ってことで、実は武蔵小杉のタワーマンション群に原因があるのでした。

ご存じの通り横須賀線は湘南新宿ラインと線路を共用しており、旧蛇窪信号場の平面交差もあって増発が困難なことが原因なんですが、加えて相鉄都心プロジェクトで今年度下期には相鉄からの乗り入れも始まりますから、その枠も確保しなきゃならない訳です。こちらも埼京線との相互直通ですから、品川東京方面への増発は当面見込めません。となれば当然車両レベルで収容力を高める必要がある訳で、オールロングシートにするしか手がない訳です。

長期的には蛇窪の立体交差化が課題ですが、直ぐには実現できません。とにかく朝ラッシュ時には改札入場待ちの列が伸びて危険ってことで臨時改札を設けたけれど、今度はホームが混雑して危険ということで、ホームの増設を決めましたが、完成は2023年で、未だ建設中のマンソンも多く、当面改善は見込めません。大江戸線勝どき駅の二の舞ですね。加えて若い子育て世代の流入で待機児童は増える一方。タワマンたわわな江東区を再現しています。当然小学校、中学校と順繰りに生徒数の増加に悩まされるわけです。

都市部で依然 待機児童多く  :日本経済新聞
待機児童問題は煎じ詰めると都市部固有の問題で、再開発で同じ世代の人口が急増することで起きる訳ですが、それでも都市再開発の流れは止まらず、寧ろ開発を促すために容積率の緩和が行われる状況です。そして世代の多様性がないから将来はそっくり高齢化して空き家候補になる訳です。将に限界都市まっしぐらです。

川崎というと工業都市のイメージが強いのですが、新興財閥の浅野財閥による川崎鶴見の埋立地開発に遡ります。元々多摩川の砂利輸送を意図した南武鉄道と奥多摩地区の石灰石採掘から派生した青梅鉄道(後に青梅電気鉄道)、五日市鉄道が立川で繋がったことで、京浜運河沿いの埋立地に浅野セメントが工場を作り、奥多摩からセメント工場への一気通貫の輸送体系を形作ります。加えて隣接する鶴見の埋立地が造成され工場が建ち、原材料や製品の輸送を担う鶴見臨港鉄道が開業し、当初貨物専業でしたが、工場が増えて従業員輸送の要請から旅客営業を始めます。何れも戦時買収で国鉄に編入され青梅線、五日市線、南武線、鶴見線になります。東京や横浜の港湾は政府の手によるものですが、埋立から民間資本で形成されたのが京浜工業地帯の特徴です。

蛇足ですが、南武鉄道のバス部門が小田急グループの立川バス、青梅電気鉄道のバス部門は奥多摩振興から京王グループの西東京バスへ併合、鶴見臨港鉄道は川崎鶴見臨港バスとなり京急グループに属します。歴史にIFは禁物ですが、戦時買収が無ければ大東急の一員となって小田急、京王、京急に分割されたか、相模鉄道のように東急に経営委託しながら独立を維持したかなど興味をそそられます。

加えて戦時体制で南武線沿線には通信機器などの軍需工場が立地し発展しました。大師参拝輸送からインターアーバンに進化した京浜電気鉄道や省電時代のスター京浜線は目いっぱい恩恵を受けた訳です。特に省電京浜線は東京本社の幹部による工場視察の便宜を図って二等車(現グリーン車に相当)が連結されていました。モータリゼーション夜明け前の当時、二等車は社用車の役割を担っておりました。

しかしそれ故に環境悪化で住宅地としては不人気でしたが、グローバル化で工場の海外移転や競争激化による撤退もあり、広大な工場跡地が残されます。これが種地となって再開発が進み、特に横須賀線武蔵小杉駅の開業で利便性を高めた武蔵小杉は人気エリアとしてタワマンが多数つくられて人口急増した訳です。

これは川崎市にとってもJR東日本にとっても計算外だったと思われますが、東京の大江戸線沿線やAGTの新堀舎人ライナー沿線など、交通インフラの整備に伴って開発が過熱して需要が想定を上回る事態が続きます。しかも多様な業務都市が画一的な住宅都市へ変貌することで矛盾を抱え込んでしまうことになります。この観点から二荒山神社の隣にタワマンが建って景観を損なうなど物議を醸す宇都宮市ですが、LRTで沿線開発が誘発されると、寧ろ都市のスプロール化か進み限界都市化という懸念があることは指摘しておきます。一方明るい話題もあります。

横浜地下鉄の延伸予定区間を歩く 住宅地に募る期待  :日本経済新聞
同じ川崎市でも多摩丘陵の住宅地に地下鉄ができるって話です。横浜市営地下鉄ブルーラインの新百合ヶ丘延伸ですが、自前の地下鉄に拘り事業認可まで受けながら、財政事情から断念した川崎市が、横浜市と協定を結んで実現したところが新しいところです。

公営地下鉄の越境自体は都営新宿線の本八幡(千葉県市川市)、大阪市営御堂筋線の江坂(吹田市)となかもず(堺市)の例がありますが、政令市同士の協定というのは前例がありません。尚、御堂筋線のなかもず延伸は1987年で堺市の政令指定都市化は2006年ですし、堺市は中百舌鳥堺線の構想はあったものの具体化はされず寧ろ阪堺電軌を軸とした公共交通活性化に取り組むなどしていて、川崎市とは事情が異なります。

川崎市内のルートが未定で、駅設置と絡んで3ルートが提案されてますが、最も新百合ヶ丘から距離があり、周辺バスの本数や乗車率の高い東ルートのヨネッティ王禅寺案が有力です。ヨネッティ王禅寺はゴミ焼却工場に併設された市営スポーツ施設で市民の人気スポットであると共に、近くに田園調布学園のキャンパスがあり通学需要も見込めます。そしておそらく自前の地下鉄構想が尻手黒川道路ルートだったことから、断念された地下鉄計画でも駅設置が考えられていたと考えられます。

そして横浜市内の剣山は戸建て中心の住宅地に付随する商業集積があり、すすきのはすすきの団地最寄りで隣接する川崎市域の虹ヶ丘団地も駅勢圏で、既に成熟した街で開発余地はあまりありませんが、その方が武蔵小杉のような想定外の事態を招くこともなさそうです。

川崎市の地下鉄構想は元々武蔵野南線の旅客化とセットで構想され、川崎―武蔵小杉間と梶ケ谷貨物ターミナル―新百合ヶ丘間を建設するというものだったのですが、武蔵野南線の旅客化は具体化せず、尻手黒川道路ルートで自前建設を目指し、横須賀線武蔵小杉駅開業で武蔵小杉経由に変更して事業認可を受けて断念という経過を辿るんですが、川崎市でもう一つ具体化した京急大師線の地下化による連続立体化事業が大いに振り回されました。川崎駅で地下鉄と大師線は繋がる形の構想が描かれてましたが、この辺が曖昧で、一方新百合ヶ丘で小田急線との乗り入れも検討されという具合に軸が定まっていなかったので、結局実現は無理だったでしょう。

京急大師線の地下化は市役所通り地下を東へ進み(仮)宮前を経て川崎競馬場地下でS字カーブしてR409に合流する地点に港町駅を設置して川崎大師駅で現在線ルートに合流し産業道路東側で地上へ出て地上駅の小島新田に至るというルートですが、地下鉄との関係が詰められないから工事が度々延期される一方、アクアラインの開通で浮島へ向かうルートを支障する産業道路の踏切は解消されず、また旧いすゞ自動車工場跡地を中心に羽田空港へ渡る橋とセットで先端企業誘致の再開発となる殿町プロジェクトの具体化もあって仕方なく東門前―小島新田間を先行着手することになりました。尚、京急川崎―川崎大師間の地上線は回送線として残りますが、地下鉄計画がなくなった結果、地下化に伴うルート変更の意味も問われます。

川崎市は例えば神奈川臨海鉄道浮島線の旅客化や南武支線の川崎駅連絡線や東海道貨物線を利用した羽田空港アクセスなどいろいろ構想を思い付きのように発信しておりますが、実現に向かって具体化はしておりません。産業構造の変化に翻弄される苦しさはありますが、もう少ししっかりしたビジョンを持つべきでしょう。自前の地下鉄を断念したんですから、次はJR東日本と協定を結んで区画整理事業と連動した南武線の立体化や長編成化など、現実的な都市開発を模索する方が良いように思います。以上非住民の外野のたわごとかもしれませんが。

 

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Sunday, February 17, 2019

鈍器法定

統計不正問題がいよいよ森加計問題と酷似してきました。これ統計法違反という明らかな違法行為なんですが、捜査当局は動く気配なし。そして関与した上級官吏は口をそろえてゴマカシや答弁拒否。一方実行部隊の下級官吏からはリーク続々。アベノミクスの成果を良く見せる改編が行われたと考えてほぼ間違いありませんが、ウソノミクス統計135°でさわりは明らかにしてますので、ここでは踏み込まず別の話題。

大林組、増収増益  :日本経済新聞
「受注企業JR東海が差配」 大成と鹿島、無罪を主張 リニア談合初公判 他2社と認否真っ二つ :日本経済新聞
元々大林組が公取委に申告して発覚したものですが、談合を認め処分を軽減した大林組、清水建設に対して、争う姿勢を見せる大成建設、鹿島建設という構図で公判も分離されてますが、主張は真っ向対立してます。

既に分離公判で有罪が確定している大林組ですが、120日間の民間土木工事中止の処分も受けてますが、実は増収増益。つまりリニアは儲からないから逃げ出したってことですね。加えて2025年の大阪万博開催が決まり、関西地盤の大林組は竹中工務店と共に受注が増えることが見込まれます。つまり大手ゼネコンが仕事を選ぶようになったってことです。

これJR東海にとっては痛い話です。というのは、そもそもリニア建設着手は国鉄民営化時に新幹線保有機構からリースする形で、リース料に旧国鉄債務の一部を乗っけたスキームから、JR東日本の上場審査の過程で主たる収益資産が自己保有でないことのリスクを指摘され、同じ立場のJR東海、JR西日本と共に国に譲渡を申し入れたことで、譲渡代金のローンが始まり、それが2017年にほぼ完済されたことから生じる資金余剰があってこその自前整備ですから、逆に言えば予算上限は厳しく管理する必要があります。

それでも当初名古屋まで5.1兆円と言っていた事業費が膨らみ5.4兆円となっているように、ジワジワと膨張しているわけです。当然利益を削られるゼネコンにとっては旨味が少ないのですが、それでも五輪後を睨めば無下にできない訳で、特に五輪関連や豊洲市場など東京都が絡む事業に深く食い込んでいる大成建設や鉄道会社との関係を気にする鹿島建設は断れない。そしてこうなるってことですね。これだけなら民間同士の話ですから、談合事件で公取委が動くことにはならないのですが。

しかし大阪への早期延伸を望む声が与党議員から出てきて財投債で9兆円の融資を決めたことで、公共性ありと判断されて事件化されるんですから、何がどう転ぶかわかりません。それでも談合事件の立件は難しいところ。大林組の申告が渡りに船だったのでしょう。政府が関与するといろいろ不都合が生じるのは森加計問題や統計不正問題ばかりではありません。

JR東日本の整備新幹線区間への追加投資に絡んで、整備新幹線の法定速度って話題がネットに出てきて「法定速度を超えると線路使用料が上がる」などの妄言も見られますが、これ根拠法の全国新幹線鉄道整備法で定義されている設計最高速度が法定速度と誤って理解されているのが実際です。そもそも東海道新幹線の設計最高速度は210km/hですが285km/hで営業運転されてます。東海道新幹線の建設時には整備法は無かったので超法規的に独自規格で作られたもの。その結果を踏まえて全国新幹線網整備に当たって将来の技術革新によるスピードアップを先取りする形で定められた基準がそのまま見直されずに来たというのが実際です。

そもそも新幹線の事業主体は国であり、国の鉄道事業を体現する国鉄がその任に当たるという前提で作られた法律ですから、国の事業である以上恣意的な解釈で骨抜きにすることは許されないということから、設計最高速度やそれに付帯する最急勾配や最小回転半径などの基準が定められたのが実際。それが国鉄分割民営化で事業主体が消滅すると当時の与党議員が騒いで事業主体となる国のところを各旅客会社に読み替えることで延命させた結果です。

しかも財源がないからあの手この手で財源をひねり出すために、並行在来線の切り離しなどでJRに負担をかけないことや、受益者となる地方の負担も定めるなどされたものです。結局整備計画の延命のために恣意的解釈をした訳ですが。尚、最急勾配は九州新幹線や北陸新幹線では事業費圧縮の要請から一部基準を超える急勾配があり、将来のスピードアップの可能性を狭めています。

JR東海も当初は中央リニアを整備新幹線の枠組みで考えていたようですが、現実に存在しないリニア新幹線は基準に適合しないってことで当時の運輸省はほぼ門前払いに近い扱いをしていたようです。当時は所謂整備5線(東北新幹線延伸部、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線鹿児島ルート、同長崎ルート)の扱いすら決まっていない状態で、そちらを優先しないと地元選出議員からクレームがつく状態でしたから、中央リニアの整備新幹線化は実現可能性が無かったと言えます。

それが新幹線譲渡に絡んで譲渡代金の産出に時価法の一種である再取得価格法が適用されました。これは現在時点で同等の資産を新たに取得する場合に想定される価格ってことで、地価や建設費などの相場を反映したものですが、仮定の置き方で数値は変わり得るものでもあります。当時の運輸省はこれを利用して資産の非償却部分となる土地やトンネルなどのインフラ部分の数値を嵩上げし、嵩上げ分を新設の鉄道整備基金に持たせて整備新幹線の財源に利用することで財源論に道筋をつけました。数値を操作して財源をねん出した訳で、こういったことがあるから統計不正にリアリティが出てきます。

その結果JR本州3社はローン負担を負う訳ですが、同時に整備新幹線事業の推進力を得ることとなりました。加えて新幹線が自社保有となり、膨大な減価償却費が発生し無税で利益控除できますから、これで得たキャッシュフローで設備投資に弾みを付けます。その結果JR東海は品川新駅開業によるのぞみ中心のダイヤ編成で増収を図り、自己資本による東名間先行の整備計画をぶち上げることになる訳です。

で、JR東海をリニア建設に向かわせた新幹線譲渡代金ローンの終了はJR東日本やJR西日本も同様で、規模の違いはありますが、それぞれ異なった動きを見せています。ウソノミクスでも触れたように一つは東北新幹線盛岡以北の高速化に向けた設備増強ですが、もう一つ大きなプロジェクトも動き出しました。

JR東 都心と羽田空港結ぶ新線、29年度にも開業  :日本経済新聞
羽田空港の国際化と発着枠拡大で今後とも利用Y差は増えると見込んでいる訳ですが、同時に成田スカイアクセスとローコストリムジンバスに食われて劣勢の成田空港輸送の挽回の意図もありそうです。

整備区間の北半分は休止中で遊休化している東海道貨物線の浜松町―東京貨物ターミナル間の線路を活用し、東海道線に合流させて上野東京ラインで埼玉や北関東のアクセスを図るというもの。加えてりんかい線経由で山手西ルートから中央線や埼京線方面、と京葉線や武蔵野線方面の3方向の列車設定を想定しています。千葉県や千葉市が要求する京葉線から総武線への連絡線が実現すれば、羽田空港と成田空港を直結することもあのうになりますから、将来的には成田空港輸送のてこ入れにもなるという訳です。

既存施設を活用するプロジェクトですから、資金手当てが見通せれば実現可能性は高いですが、一つネックとなるのがりんかい線の扱いでしょうか。東京都はJR東日本に東京臨海高速鉄道の引き受けを以前から打診してますが、これが動く可能性はあります。都市興津に関わる新線計画ですから、国と地方に応分の負担を求めることになると思いますが、東京都の負担分を東京臨海高速鉄道の株式で行い、事実上のりんかい線引き受けにつなげる可能性はあります。ただしJR東日本の営業規則上、東京近郊区間に組み込まれることになれば、現在の認可運賃から大幅減額となりますから、それによる減収の評価をどうするか。株式評価を下げて都が実質補償するか、あるいは東京近郊区間から外して現行認可運賃を存続させる形にするか、交渉次第でしょうけど注目されます。

おまけ。リニアで散財するJR東海と対照的に経営基盤強化に資するプロジェクトに選択的に投資するJR東日本ですが、JR西日本はといえば、尼崎事故以後の安全投資優先の影響もあって遅れている老朽車両の更新に回るものと見られます。だから広島に錆びない電車が登場し、大阪環状線もリニューアルされると。

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